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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(54)【発明の名称】キメラポリペプチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20221216BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20221216BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221216BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20221216BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20221216BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20221216BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221216BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221216BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221216BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221216BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221216BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20221216BHJP
   C12N 15/56 20060101ALI20221216BHJP
   C12N 9/24 20060101ALI20221216BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20221216BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20221216BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20221216BHJP
   A61K 35/407 20150101ALN20221216BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C12N15/867 Z
C12N15/864 100Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K19/00
C07K14/47
C12N15/56
C12N9/24
A61K35/12
A61K35/76
A61P3/00
A61K35/407
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523983
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2020079693
(87)【国際公開番号】W WO2021078833
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】19306372.4
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】503197304
【氏名又は名称】ジェネトン
(71)【出願人】
【識別番号】503119487
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・デヴリ・ヴァル・デソンヌ
(71)【出願人】
【識別番号】507002516
【氏名又は名称】アンセルム(アンスティチュート・ナシオナル・ドゥ・ラ・サンテ・エ・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・メディカル)
(71)【出願人】
【識別番号】518059934
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
【氏名又は名称原語表記】SORBONNE UNIVERSITE
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パスクアリーナ・コレッラ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・プッツォ
(72)【発明者】
【氏名】フェデリコ・ミンゴッツィ
【テーマコード(参考)】
4B050
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC03
4B050CC05
4B050DD11
4B050LL01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA86X
4B065AA87X
4B065AA87Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZC21
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
(57)【要約】
本発明は、1つ又は複数の異種部分に融合された目的のペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする核酸分子であって、異種部分のうちの少なくとも1つが、ソーティリン受容体のリガンドである、核酸分子に関する。本発明はまた、前記核酸分子によってコードされるキメラポリペプチド、及びその使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の異種部分に融合された目的のペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする核酸分子であって、前記異種部分のうちの少なくとも1つが、
- 配列番号14のヌクレオチド配列によって、若しくは配列番号14のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、スパジンペプチド、
- 配列番号15のヌクレオチド配列によって、若しくは配列番号15のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、ニューロテンシンペプチド、又は
- 配列番号16のヌクレオチド配列によって、若しくは配列番号16のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、ニューロテンシンペプチドのフラグメント、
から選択されるソーティリン受容体のリガンドである、核酸分子。
【請求項2】
前記目的のペプチドが、配列番号1~3からなる群において選択されるヌクレオチド配列によって、又は配列番号1~3からなる群において選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる機能性GAAポリペプチドである、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
前記目的のペプチドが、GAAの短縮型形態に対応する機能性GAAポリペプチドであり、前記GAAの短縮型形態が、GAAと比較して、好ましくは42個の連続するアミノ酸がそのN末端において短縮されており、前記GAAの短縮型形態が、より好ましくは、配列番号10のヌクレオチド配列によって、又は配列番号10のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1又は2に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記異種部分が、前記目的のペプチドのN末端に融合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項5】
配列番号18~22からなる群において選択されるアミノ酸配列、好ましくは、配列番号21を有するシグナルペプチドを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項6】
プロモーターに作動可能に連結された請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、核酸コンストラクトであって、任意選択で、イントロンを更に含む、核酸コンストラクト。
【請求項7】
プロモーター、イントロン、請求項1から5に記載の核酸分子、及びポリアデニル化シグナルを、好ましくはこの順序で含む、請求項6に記載の核酸コンストラクト。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の核酸分子又は核酸コンストラクトを含む、ベクター、例えば、ウイルスベクター、好ましくは、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター、又はAAVベクター。
【請求項9】
一本鎖又は二本鎖自己相補性AAVベクター、好ましくは、AAV由来のキャプシド、例えば、AAV1キャプシド、AAV2キャプシド、バリアントAAV2キャプシド、AAV3キャプシド、バリアントAAV3キャプシド、AAV3Bキャプシド、バリアントAAV3Bキャプシド、AAV4キャプシド、AAV5キャプシド、AAV6キャプシド、バリアントAAV6キャプシド、AAV7キャプシド、AAV8キャプシド、AAV9キャプシド、AAV10キャプシド、例えば、AAVcy10キャプシド及びAAVrh10キャプシド、AAVrh74キャプシド、AAVdjキャプシド、AAVAnc80キャプシド、AAV-LK03キャプシド、AAV2i8キャプシド、並びにブタAAVキャプシド、例えば、AAVpo4キャプシド及びAAVpo6キャプシド、又はキメラキャプシドを有する、AAVベクターであり、
前記AAVベクターが、より好ましくは、AAV8、AAV9、AAVrh74、又はAAV2i8キャプシド、具体的には、AAV8、AAV9、又はAAVrh74キャプシド、より具体的には、AAV8キャプシドを有する、
請求項8に記載のベクター。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項6から7に記載の核酸コンストラクト、又は請求項8から9のいずれか一項に記載のベクターで形質転換された、単離された細胞。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸分子によってコードされる、キメラポリペプチド。
【請求項12】
薬学的に許容される担体中に、請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項6若しくは7に記載の核酸コンストラクト、請求項8若しくは9に記載のベクター、請求項10に記載の単離された細胞、又は請求項11に記載のキメラポリペプチドを含む、医薬組成物。
【請求項13】
医薬として使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項6若しくは7に記載の核酸コンストラクト、請求項8若しくは9に記載のベクター、請求項10に記載の単離された細胞、又は請求項11に記載のキメラポリペプチド。
【請求項14】
リソソーム貯蔵疾患、具体的には、グリコーゲン貯蔵疾患(GSD)、例えば、GSD II(ポンペ病)、ムコ多糖症I型(MPSI)、ムコ多糖症II型(MPSII)、ムコ多糖症IIIA型(MPSIIIA)、ムコ多糖症IIIB型(MPSIIIB)、ムコ多糖症IIIC型(MPSIIIC)、ムコ多糖症IIID型(MPSIIID)、ムコ多糖症VII型(MPSVII)、異染性白質ジストロフィー(MLD)、ゴーシェ病2型、ゴーシェ病3型、GM1ガングリオシドーシス、テイ・サックス病、サンドホフ病、ファブリー病、クラッベ病、ニーマン・ピック病A型、異染性白質ジストロフィー、ファーバー病、α-マンノシドーシス、β-マンノシドーシス、シンドラー病、シアリドーシス、神経セロイドリポフスチン沈着症1型(NCL1)、神経セロイドリポフスチン沈着症2型(NCL2)、多種スルファターゼ欠損症(MSD)、ムコリピドーシスII型、ムコリピドーシスIIIA型、ガラクトシアリドーシス、ニーマン・ピック病C型、GM2活性化タンパク質欠損症、ダノン病、サラ病、NCL3病、又はムコリピドーシスIV型を処置するため、具体的には、GSDII(ポンペ病)を処置するための方法において使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項6若しくは7に記載の核酸コンストラクト、請求項8若しくは9に記載のベクター、請求項10に記載の細胞、又は請求項11に記載のキメラポリペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数の異種部分に融合された目的のペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする核酸分子であって、異種部分のうちの少なくとも1つが、ソーティリン受容体のリガンドである、核酸分子に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の治療法は、治療用ポリペプチドの投与、又は治療用ポリペプチドを発現する遺伝子療法ベクターの投与に基づく。前記ポリペプチドは、標的組織に到達するために、血流中を循環することが意図され得る。この場合、治療用ペプチドの活性を増強させるために、その特性を向上させることが望ましい。例えば、血漿コンパートメントにおける治療用ポリペプチドの安定性を向上させること、又は治療用ポリペプチドがその治療活性を発揮することが意図される標的組織による循環ポリペプチドの取り込みを促進することが、有益であり得る。
【0003】
そのような循環ポリペプチドには、リソソーム酵素である酸性アルファ-グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドが含まれる。具体的には、ポンペ病の状況において、治療目的で投与されるGAAポリペプチドの活性を向上させることが、望ましい。グリコーゲン貯蔵疾患(GSD)II型及び酸性マルターゼ欠損症としても公知のポンペ病は、リソソーム酵素酸性アルファ-グルコシダーゼの欠損によって引き起こされる、常染色体劣性代謝性筋疾患である。GAAは、リソソームにおいてグリコーゲンをグルコースに加水分解するエキソ-1,4及び1,6-α-グルコシダーゼである。GAAの欠損は、リソソームにおけるグリコーゲン蓄積をもたらし、呼吸器、心臓、及び骨格筋への進行性損傷を引き起こす。この疾患は、通常1~2歳までに致命的となる急速に進行する乳児型の経過から、小児及び成人において重大な病状及び早期死亡を引き起こすより緩徐に進行する異種型の経過に及ぶ。Hirschhorn RR、The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease、3: 3389-3420 (2001、McGraw-Hill); Van der Ploeg及びReuser、Lancet 372: 1342-1351 (2008)。
【0004】
ポンペ病を処置するための現在のヒト治療法は、別名酵素補充療法(ERT)と称される、組換えヒトGAAの投与を含む。ERTは、重症乳児型GSD IIに対する有効性が実証されている。しかしながら、酵素療法の利点は、末梢静脈送達後のタンパク質の生体分布不良、いくつかの組織による取り込みの欠如、及び頻繁な注入の必要性によって、制限される。
【0005】
ERTの代替法又は補助として、GSD-IIを処置するための遺伝子療法アプローチの実現可能性が、調査されている(Amalfitano, A.ら、(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:8861-8866、Ding, E.ら、(2002) Mol. Ther. 5:436-446、Fraites, T. J.ら、(2002) Mol. Ther. 5:571-578、Tsujino, S.ら、(1998) Hum. Gene Ther. 9:1609-1616)。
【0006】
改変されたGAAタンパク質もまた、リソソーム貯蔵疾患の処置を改善するために、過去に提案されている。具体的には、国際公開第2004064750号の出願及びSun et al. 2006は、タンパク質の分泌経路への標的化を増強させるための手段として、GAAに作動可能に連結されたシグナルペプチドを含むキメラGAAポリペプチドを開示している。国際公開第2018/046772号、同第2018/046775号、及び同第WO2018/046774号の特許出願では、ポンペ病の現在の遺伝子置き換え療法を改善するためのGAAバリアントが提供されている。前記特許出願では、野生型対応物よりも分泌性が高く、免疫原性が低いことが示されたGAAバリアントが開示されている。
【0007】
GAAの更なる改善が、本明細書において記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004064750号
【特許文献2】国際公開第2018/046772号
【特許文献3】国際公開第2018/046775号
【特許文献4】国際公開第2018/046774号
【特許文献5】国際特許出願第PCT/EP2019/053061号
【特許文献6】欧州特許第EP19 305455.8号
【特許文献7】国際公開第2015/162302号
【特許文献8】国際公開第2015013313号
【特許文献9】国際公開第2015196179号
【特許文献10】国際公開第2005/118792号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hirschhorn RR、The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease、3: 3389-3420 (2001、McGraw-Hill)
【非特許文献2】Van der Ploeg and Reuser、Lancet 372: 1342-1351 (2008)
【非特許文献3】Amalfitano, A.ら(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:8861-8866
【非特許文献4】Ding, E.ら(2002) Mol. Ther. 5:436-446
【非特許文献5】Fraites, T. J.ら(2002) Mol. Ther. 5:571-578
【非特許文献6】Tsujino, S.ら(1998) Hum. Gene Ther. 9:1609-1616
【非特許文献7】Hoefslootら、(1988) EMBO J. 7: 1697
【非特許文献8】Martiniukら、(1990) DNA and Cell Biology 9: 85
【非特許文献9】Hoefsloot、(1988) EMBO J. 7: 1697
【非特許文献10】Hoefslootら、(1990) Biochem. J. 272: 485
【非特許文献11】Wisselaarら、(1993) J. Biol. Chem. 268: 2223
【非特許文献12】Hermansら、(1993) Biochem. J. 289: 681
【非特許文献13】Hirschhorn, R. and Reuser, A. J. (2001)、The Metabolic and Molecular Basis for Inherited Disease、(Scriver, C. R.ら編)、3389~3419頁(McGraw-Hill、New York)
【非特許文献14】Kunitaら、(1997) Biochemica et Biophysica Acta 1362: 269
【非特許文献15】Hirschhorn, R.及びReuser, A. J.、(2001)、The Metabolic and Molecular Basis for Inherited Disease(Scriver, C. R.、Beaudet, A. L.、Sly, W. S.、及びValle, D.編)、3389~3419頁.McGraw-Hill、New York、3403~3405頁
【非特許文献16】Van Hoveら、(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 65
【非特許文献17】Sharp and Li、1987、Nucleic Acids Research 15: 1281-1295
【非特許文献18】Kimら、Gene. 1997, 199:293-301
【非特許文献19】zur Megedeら、Journal of Virology, 2000, 74: 2628-2635
【非特許文献20】Chichiliら、Protein Sci. 2013 Feb;22(2):153-67
【非特許文献21】34.Ill, C. R.ら、(1997). Optimization of the human factor VIII complementary DNA expression plasmid for gene therapy of hemophilia A. Blood Coag. Fibrinol.8: S23-S30.
【非特許文献22】http://rulai.cshl.edu/LSPD/
【非特許文献23】Rinconら、Mol Ther. 2015 Jan;23(1):43-52
【非特許文献24】Chuahら、Mol Ther. 2014 Sep;22(9):1605-13
【非特許文献25】Nairら、Blood. 2014 May 15;123(20):3195-9
【非特許文献26】Wu Z.ら、Mol Ther.、2010、18(1): 80-86
【非特許文献27】Lai Y.ら、Mol Ther.、2010、18(1): 75-79
【非特許文献28】Wang Y.ら、Hum Gene Ther Methods、2012、23(4): 225-33
【非特許文献29】Lingら、2016 Jul 18、Hum Gene Ther Methods.
【非特許文献30】Vercauterenら、2016、Mol. Ther. Vol. 24(6)、1042頁
【非特許文献31】Rosarioら、2016、Mol Ther Methods Clin Dev. 3、16026頁
【非特許文献32】Shenら、Molecular Therapy、2007
【非特許文献33】Tenneyら、Virology、2014
【非特許文献34】McCartyら、Gene Therapy、2003
【非特許文献35】「Remington's Pharmaceutical Sciences」E. W. Martin著
【非特許文献36】van Tilら、2010、Blood、115(26)、5329頁
【非特許文献37】Puzzo F.ら、Sci Transl Med. 2017 Nov 29;9(418)
【非特許文献38】Zincarelliら、Mol Ther. 2008 Jun;16(6):1073-80
【非特許文献39】Raben N.ら、J Biol Chem. 1998 Jul 24;273(30):19086-92
【非特許文献40】Bockenhoff A.ら、J. Neurosci.、2014、第34巻、9号、3122~3129頁
【非特許文献41】Sorrentino N.C.ら、EMBO Mol. Med.、2013、第5巻、5号、675~690頁
【非特許文献42】Spencerら、PNAS 2007、第104巻、18号、7594~7599頁
【非特許文献43】Gleitz H.F.E.ら、EMBO Mol Med. 2018
【非特許文献44】Maga JAら、J Biol Chem. 2013、288(3):1428-1438
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、1つ又は複数の異種部分に融合された目的のペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする核酸分子であって、異種部分のうちの少なくとも1つが、ソーティリン受容体のリガンドである、核酸分子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
具体的な実施形態において、キメラポリペプチドは、ソーティリン受容体のリガンドである1つの異種部分に融合された目的のペプチドを含む。
【0012】
具体的な実施形態において、ソーティリン受容体のリガンドは、
- 配列番号14のヌクレオチド配列によって、若しくは配列番号14のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、スパジンペプチド、
- 配列番号15のヌクレオチド配列によって、若しくは配列番号15のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、ニューロテンシンペプチド、又は
- 配列番号16のヌクレオチド配列によって、若しくは配列番号16のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる、ニューロテンシンペプチドのフラグメント
から選択される。
【0013】
具体的な実施形態において、ソーティリン受容体のリガンドは、配列番号14を含むか又はそれからなるヌクレオチド配列によってコードされるスパジンペプチドである。
【0014】
具体的な実施形態において、目的のペプチドは、配列番号1~3からなる群において選択されるヌクレオチド配列によって、又は配列番号1~3からなる群において選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ得る、機能性GAAポリペプチドである。
【0015】
具体的な実施形態において、目的のペプチドは、GAAの短縮型形態に対応する機能性GAAポリペプチドである。具体的には、前記機能性GAAポリペプチドは、GAAと比較して、42個の連続するアミノ酸がそのN末端において短縮されていてもよい。具体的な実施形態において、短縮型GAAは、配列番号10のヌクレオチド配列によって、又は配列番号10のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0016】
具体的な実施形態において、上述の異種部分は、目的のペプチドのN末端に融合されている。
【0017】
具体的な実施形態において、本発明の核酸分子は、配列番号18~22からなる群において選択されるアミノ酸配列、好ましくは、配列番号21を有する、シグナルペプチドを更に含む。
【0018】
本発明はまた、プロモーターに作動可能に連結された上述の核酸分子を含む、核酸コンストラクトであって、任意選択で、イントロンを更に含み得る、核酸コンストラクトに関する。具体的な実施形態において、核酸コンストラクトは、プロモーター、イントロン、上述の核酸分子、及びポリアデニル化シグナルを、好ましくはこの順序で含み得る。
【0019】
本発明はまた、本発明の核酸分子又は核酸コンストラクトを含む、ベクター、例えば、ウイルスベクター、好ましくは、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター、又はAAVベクターに関する。具体的には、ベクターは、一本鎖又は二本鎖自己相補性AAVベクター、好ましくは、AAV由来のキャプシド、例えば、AAV1キャプシド、AAV2キャプシド、バリアントAAV2キャプシド、AAV3キャプシド、バリアントAAV3キャプシド、AAV3Bキャプシド、バリアントAAV3Bキャプシド、AAV4キャプシド、AAV5キャプシド、AAV6キャプシド、バリアントAAV6キャプシド、AAV7キャプシド、AAV8キャプシド、AAV9キャプシド、AAV10キャプシド、例えば、AAVcy10キャプシド及びAAVrh10キャプシド、AAVrh74キャプシド、AAVdjキャプシド、AAVAnc80キャプシド、AAV-LK03キャプシド、AAV2i8キャプシド、並びにブタAAVキャプシド、例えば、AAVpo4キャプシド及びAAVpo6キャプシド、又はキメラキャプシドを有する、AAVベクターであり得る。具体的な実施形態において、AAVベクターは、AAV8、AAV9、AAVrh74、又はAAV2i8キャプシド、具体的には、AAV8、AAV9、又はAAVrh74キャプシド、より具体的には、AAV8キャプシドを有する。
【0020】
本発明はまた、上述の核酸分子、核酸コンストラクト、又はベクターが形質転換された、単離された細胞に関する。
【0021】
加えて、本発明の核酸分子によってコードされるキメラポリペプチドが、本明細書において記載される。
【0022】
本発明は、更に、薬学的に許容される担体中に、上述の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、単離された細胞、又はキメラポリペプチドを含む、医薬組成物に関する。
【0023】
医薬として使用するための、上述の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、単離された細胞、又はキメラポリペプチドもまた、記載される。具体的な実施形態において、上述の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、単離された細胞、又はキメラポリペプチドは、リソソーム貯蔵疾患、例えば、グリコーゲン貯蔵疾患(GSD)、ムコ多糖症I型(MPSI)、ムコ多糖症II型(MPSII)、異染性白質ジストロフィー(MLD)、又はムコ多糖症VI型(MPS VIを処置するため、具体的には、GSDII(ポンペ病)を処置するための方法において使用するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のキメラGAAバリアントをコードする発現カセットの概略図を示す。異種ドメイン(HD)を、GAA N末端にクローニングした。ITR:AAV2由来の末端逆位反復配列、プロモーター:ApoEエンハンサー(ApoE)及び肝細胞特異的ヒトアルファ1-抗トリプシンプロモーター(hAAT)、イントロン:最適化されたヒトヘモグロビンβ-サブユニット合成イントロン(HBB2.1)、ヒトキモトリプシノーゲン由来のシグナルペプチド(sp7)、HD:異種ドメイン、GAAco:コドン最適化されたGAA、ポリA:ヒトウシ成長ホルモンポリアデニル化配列、ApoB:アポリポタンパク質Bドメイン、ApoE:アポリポタンパク質Eドメイン、スパジン:スパジンペプチド、NT1-13:ニューロテンシンアミノ酸1~13、NT9-13:ニューロテンシンアミノ酸9~13、リンカー:3アミノ酸リンカー。
図2】ヒト肝細胞培養物における本発明のキメラGAAバリアントの発現を示す。キメラGAAバリアントsp7-ApoB-Δ42-GAAco(HD-ApoB)、sp7-ApoE-Δ42-GAAco(HD-ApoE)、sp7-スパジン-Δ42-GAAco(HD-スパジン)、sp7-ニューロテンシン1-13-Δ42-GAAco(HD-NT1-13)、sp7-ニューロテンシン9-13-Δ42-GAAco(HD-NT1-9-13)をコードするプラスミドをトランスフェクトした72時間後のHuH7ライセートの分析。異種ドメインが欠如したGAAバリアントsp7-Δ42-GAAco(HD0)を、比較として使用した。CTRL:高感度緑色蛍光タンパク質をコードするプラスミドをトランスフェクトした、陰性対照として使用される対照細胞。トランスフェクションは、3回の独立した実験で繰り返した。それぞれの複製物について、GAAデータを、HD0と比較した相対量として表した(HD0=100%)。データは、3回の独立した実験の平均±平均の標準偏差(SD)として示されている。統計学的分析:チューキーの事後検定を伴う一方向ANOVA。*p<0.05。
図3】AAV肝臓遺伝子移入後のGaa-/-マウスの血漿における本発明のGAAバリアントの活性を示す。キメラGAAバリアントをコードするAAV8ベクター(AAV、n=6匹のマウス/群、ベクター用量:5×1011vg/kg)の静脈内投与から4ヶ月後に測定した、Gaa-/-マウスの血漿におけるGAA活性の分析;PBSで処置したマウスは、陰性対照として使用した(Ctrl n=6匹のマウス);HD-ApoB:sp7-ApoB-Δ42-GAAco、HD-スパジン:sp7-スパジン-Δ42-GAAco、HD0:sp7-Δ42-GAAco。データは、平均±標準偏差として示されている。統計学的分析:チューキーの事後多重比較を伴う一方向ANOVA、「すべての群対その他(All groups vs. all)、時点独立型」。アスタリスク(*)及びハッシュタグ(#)は、凡例で示される有意差を示す。*p<0.05。
図4】AAV肝臓遺伝子移入後のGaa-/-マウスの血漿における本発明のGAAバリアントの分泌を示す。キメラGAAバリアントをコードするAAV8ベクター(AAV、n=6匹のマウス/コホート、ベクター用量:5×1011vg/kg)の静脈内投与から4ヶ月後に測定した、Gaa-/-マウスの血漿におけるGAA分泌の分析;HD-ApoB:sp7-ApoB-Δ42-GAAco、HD-スパジン:sp7-スパジン-Δ42-GAAco、HD0:sp7-Δ42-GAAco。(A)抗hGAA抗体を用いた血漿におけるウエスタンブロット、組換えヒトGAA(rhGAA)を陽性対照として使用;分子量マーカーが示されている。(B)パネルAに示されるウエスタンブロットから得られたGAAタンパク質バンドの定量化、非特異的な低いバンドは、ローディングの正規化に使用した。データは、平均±標準偏差として示されている。統計学的分析:チューキーの事後多重比較を伴う一方向ANOVA、「すべての群対その他、時点独立型」、*p<0.05。
図5】AAV肝臓遺伝子移入後のGaa-/-マウスの脳におけるグリコーゲン量の分析を示す。キメラGAAバリアントをコードするAAV8ベクター(AAV、n=6匹/コホート、用量:5×1011vg/kg)で処置した4ヶ月後のGaa-/-マウスの脳におけるグリコーゲン量の分析;PBSで処置したマウスを、陰性対照として使用し(CTRL、n=6匹)、Gaa+/+(n=6匹)を、非罹患対照として使用した。データは、平均±標準偏差として示されている。アスタリスク(*)及びハッシュタグ(#)は、凡例において示されている群に対する有意差を示し、脳におけるグリコーゲン量が示されている。統計学的分析:チューキーの事後多重比較を伴う一方向ANOVA、「すべての群対その他」。*p<0.05、#p<0.05。
図6】AAV肝臓遺伝子移入後のGaa-/-マウスの組織におけるグリコーゲン量の分析を示す。キメラGAAバリアントをコードするAAV8ベクター(AAV、n=6匹/コホート、用量:5×1011vg/kg)で処置した4ヶ月後のGaa-/-マウスの組織におけるグリコーゲン量の分析;PBSで処置したマウスを、陰性対照として使用し(CTRL、n=6匹)、Gaa+/+(n=6匹)を、非罹患対照として使用した。データは、平均±標準偏差として示されている。アスタリスク(*)及びハッシュタグ(#)は、凡例において示されている群に対する有意差を示し、心臓(A)、三頭筋(B)、脊髄(C)におけるグリコーゲン量が示されている。統計学的分析:チューキーの事後多重比較を伴う一方向ANOVA、「すべての群対その他」。*p<0.05、#p<0.05。
図7】AAV肝臓遺伝子移入後のGaa-/-マウスの血漿におけるGAA免疫原性の分析を示す。キメラGAAバリアントをコードするAAV8ベクター(AAV、n=6匹/コホート、用量:5×1011vg/kg)の投与から1ヶ月後及び4ヶ月後のGaa-/-マウスの血漿における抗GAA IgGの分析;PBSで処置したマウスを、陰性対照(CTRL、n=6匹)として使用し、Gaa+/+(n=6)を、非罹患対照として使用した。データは、平均±標準偏差として示されている。統計学的分析:チューキーの事後多重比較を伴う一方向ANOVA、「すべての群対その他」。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明者らは、異種部分を目的のペプチドと融合させることによって、目的のペプチドのインビボ活性を増強させるための新しい方法の広範な探索を行った。具体的には、酸性α-グルコシダーゼポリペプチドを、モデルペプチドとして使用した。結果として、本発明者らは、GAAと、ソーティリン受容体のリガンド、具体的には、スパジンペプチドとの融合タンパク質が、中枢神経系(CNS)における取り込みの改善、及び組織、例えば、脳におけるより良好な活性を含む、改善された特性を有することを示した。注目すべきことには、リガンドをGAAペプチドに付加することは、キメラGAAポリペプチドに対する免疫原性応答の増加を誘起しない。
【0026】
したがって、本発明は、概して、1つ又は複数の異種部分に融合された目的のペプチドを含むキメラポリペプチドであって、異種部分のうちの少なくとも1つが、ソーティリン受容体のリガンドである、キメラポリペプチドに関する。
【0027】
1-核酸分子
本発明の第1の態様は、1つ又は複数の異種部分に融合された目的のペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする核酸分子であって、異種部分のうちの少なくとも1つが、ソーティリン受容体のリガンドである、核酸分子に関する。
【0028】
「キメラタンパク質」又は「融合タンパク質」とは、もともとは別個のタンパク質をコードする2つ又はそれよりも多くの遺伝子の接合を通じて作製されたタンパク質を意味する。
【0029】
本発明のキメラポリペプチドは、
- 目的のペプチドと、
- 目的のペプチドとは異なるポリペプチドに由来する、1つ又は複数の「異種部分」と
の融合を指す。
【0030】
目的のペプチド
目的のペプチドは、インビボにおいて活性の改善が求められる、任意のペプチドであり得る。具体的には、目的のペプチドは、循環ペプチドである。「循環ペプチド」とは、血液循環において見出される任意のペプチド、ポリペプチド、又はそのフラグメントを意味する。目的のペプチドは、分泌されるペプチドであってもよい。「分泌されるタンパク質」とは、細胞外環境への分泌のために細胞内でプロセシングされる、任意のペプチド、ポリペプチド、又はそのフラグメントを意味する。具体的には、目的のペプチドは、血漿における活性及び/若しくは安定性の改善が求められるか、又はCNSに効果的に到達するためにより良好なリソソーム標的化及び/若しくは血液脳関門の通過が求められる、循環ペプチドである。目的のペプチドは、標的組織における取り込み及び/又は活性の改善が求められる、任意の循環ペプチドであり得る。標的組織は、例えば、CNS、例えば、脳若しくは脊髄、筋肉、例えば、骨格筋、又は肝臓であり得る。具体的には、ペプチドは、脳又は脊髄を含めCNSにおける取り込み及び/又は活性の改善が求められる、具体的には、脳における取り込み及び/又は活性の改善が求められる、ペプチド又はポリペプチドである。具体的には、目的のペプチドは、リソソームを標的とする任意のペプチドであり得る。
【0031】
具体的な実施形態において、目的のペプチドは、治療用ペプチド、すなわち、治療目的で、例えば、疾患又は病的状態を処置、予防、又は緩和するために送達される、ペプチドである。具体的には、治療用ペプチドは、ペプチドの注入によって、又は遺伝子療法ベクターを使用した発現によって、投与される。
【0032】
具体的な実施形態において、目的のペプチドは、神経症状と関連するリソソーム障害において欠損していることが公知のペプチドである。
【0033】
具体的な実施形態において、目的のペプチドは、リソソーム酸性α-グルコシダーゼ(GAA)、アルファ-イズロニダーゼ(IDUA)、リソソームヒドロラーゼイズロネート2-スルファターゼ(IDS)、アリルスルファターゼA(ARSA)、アルファ-ガラクトシダーゼA(GLA)、グルコシルセラミダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-ヘキソサミニダーゼA、β-ヘキソサミニダーゼB、β-ガラクトシル-セラミダーゼ、酸性スフィンゴミエリナーゼ、ヘパランスルファミダーゼ、アセチルCoA:α-グルコサミニドN-アセチルトランスフェラーゼ、N-アセチルグルコサミン-6-スルファターゼ、β-グルクロニダーゼ、酸性セラミダーゼ、α-マンノシダーゼ、β-マンノシダーゼ、N-アセチルガラクトサミニダーゼ、α-ノイラミニダーゼ、パルミトイル-タンパク質チオエステラーゼ1、カルボキシペプチダーゼ、多重スルファターゼ、N-アセチルグルコサミンホスフェートトランスフェラーゼ、保護タンパク質カテプシンA、ノイラミニダーゼ、NPC2、GM2活性化タンパク質、LAMP2、NPC1、シアリン、CLN3、及びムコリピンからなる群から選択される。
【0034】
具体的な実施形態において、目的のペプチドは、リソソーム酸性α-グルコシダーゼ又は「GAA」である。この実施形態において、本発明の核酸分子は、
- 1つ又は複数の異種部分であって、異種部分のうちの少なくとも1つが、ソーティリン受容体のリガンドである、異種部分
- 異種部分に融合された、機能性GAAポリペプチド
を含む、キメラGAAポリペプチドをコードする。
【0035】
リソソーム酸性α-グルコシダーゼ又は「GAA」(E.C. 3.2. 1.20)(1,4-α-D-グルカングルコヒドロラーゼ)は、オリゴ糖へのα-1,4及びα-1,6の両方の連結を加水分解してグルコースを遊離させる、エキソ-1,4-α-D-グルコシダーゼである。GAAの欠損は、ポンペ病とも称される(しかし、この用語は、正式にはこの疾患の乳児期発症形態を指す)グリコーゲン貯蔵疾患II型(GSDII)をもたらす。それは、グリコーゲンの完全な分解を触媒し、分岐点では緩徐となる。第17染色体上の28kbのヒト酸性α-グルコシダーゼ遺伝子は、3.6kbのmRNAをコードし、これは951アミノ酸のポリペプチドを産生する(Hoefslootら、(1988) EMBO J. 7: 1697;Martiniukら、(1990) DNA and Cell Biology 9: 85)。この酵素は、小胞体において同時翻訳的N結合型グリコシル化を受ける。それは、110kDaの前駆体形態として合成され、それが、広範なグリコシル化改変、リン酸化、及びタンパク質分解プロセシングによって、およそ90kDaのエンドソーム中間体を通じて成熟して、最終的なリソソーム76及び67kDaの形態となる(Hoefsloot、(1988) EMBO J. 7: 1697;Hoefslootら、(1990) Biochem. J. 272: 485;Wisselaarら、(1993) J. Biol. Chem. 268: 2223;Hermansら、(1993) Biochem. J. 289: 681)。
【0036】
GSD IIを有する患者において、酸性α-グルコシダーゼの欠損は、リソソームにおけるグリコーゲンの大量の蓄積を引き起こし、細胞機能を破壊する(Hirschhorn, R.及びReuser, A. J. (2001)、The Metabolic and Molecular Basis for Inherited Disease、(Scriver, C. R.ら編)、3389~3419頁(McGraw-Hill、New York)。もっとも一般的な乳児型では、患者は、進行的な筋肉の変性及び心筋症を示し、2歳になる前に死亡する。若年及び成人発症形態では、重度の衰弱が存在する。
【0037】
「GAA」又は「GAAポリペプチド」という用語は、本明細書において使用される場合、成熟(約76又は約67kDa)及び前駆体(例えば、約110kDa)GAA、具体的には、前駆体形態、並びに挿入、欠失、及び/若しくは置換による改変型若しくは突然変異型)GAAタンパク質、又はGAAの機能性誘導体である、すなわち、GAAの生物学的機能を保持する(すなわち、天然のGAAタンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を有する、例えば、上記に定義されるように、グリコーゲンを加水分解することができる)そのフラグメント及びGAAバリアント(例えば、Kunitaら、(1997) Biochemica et Biophysica Acta 1362: 269によって記載されているGAA II、Hirschhorn, R.及びReuser, A. J.、(2001)、The Metabolic and Molecular Basis for Inherited Disease(Scriver, C. R.、Beaudet, A. L.、Sly, W. S.、及びValle, D.編)、3389~3419頁.McGraw-Hill、New York、3403~3405頁によって記載されている多型及びSNP)を包含する。当該技術分野において公知の任意のGAAコーディング配列を使用することができ、例えば、配列番号1、GenBank受託番号NM_00152、並びにHoefslootら、(1988) EMBO J. 7: 1697及びVan Hoveら、(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 65(ヒト)、GenBank受託番号NM_008064(マウス)、並びにKunitaら、(1997) Biochemica et Biophysica Acta 1362: 269(ウズラ)を参照されたい。
【0038】
キメラGAAポリペプチドをコードする核酸分子は、任意の「機能性GAAポリペプチド」を含む、すなわち、それは、発現されると、野生型GAAタンパク質の機能性を有するGAAタンパク質をコードする。上記に定義されるように、野生型GAAの機能性は、オリゴ糖及び多糖、より具体的にはグリコーゲンのα-1,4及びα-1,6の両方の連結を加水分解して、グルコースを遊離させることである。核酸分子によってコードされる機能性GAAタンパク質は、配列番号1~3の核酸配列によってコードされる野生型GAAタンパク質と比較して、例えば、配列番号4のアミノ酸配列を有するGAAポリペプチドと比較して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又は少なくとも100%の、グリコーゲンに対する加水分解活性を有し得る。核酸分子によってコードされる機能性GAAポリペプチドの活性は、更には、配列番号1~3の核酸配列によってコードされる野生型GAAタンパク質の活性の、例えば、配列番号4のアミノ酸配列を有するGAAポリペプチドと比較して、100%を上回る、例えば、110%を上回る、120%を上回る、130%を上回る、140%を上回る、又は更には150%を上回るものであり得る。
【0039】
当業者であれば、核酸分子が、機能性GAAタンパク質を発現するかどうかを容易に判定することができる。例えば、1つの好適なインビトロ方法は、核酸をベクター、例えば、プラスミド又はウイルスベクターに挿入すること、宿主細胞、例えば、293T若しくはHeLa細胞、又は他の細胞、例えば、Huh7に、ベクターをトランスフェクト又は形質導入すること、及びGAA活性についてアッセイすることを含む。或いは、好適なインビボ方法は、核酸を含むベクターを、ポンペ病又は別のグリコーゲン貯蔵障害のマウスモデルに形質導入すること、並びにマウスの血漿における機能性GAA及び組織におけるGAAの存在についてアッセイすることを含む。好適な方法は、以下の実験の部分においてより詳細に記載されている。
【0040】
機能性GAAポリペプチドをコードする核酸分子の配列は、好ましくは、配列番号1~3のヌクレオチド配列に対して、少なくとも85パーセント、より好ましくは、少なくとも90パーセント、更により好ましくは、少なくとも92パーセントの同一性、具体的には、少なくとも95パーセントの同一性、例えば、少なくとも98、99、又は100パーセントの同一性を有する。
【0041】
「同一」という用語及びその派生語は、2つの核酸分子又は2つのアミノ酸分子の間における配列同一性を指す。2つの比較される配列の両方におけるある位置が、同じ塩基又はアミノ酸によって占有されている場合、これらの分子は、その位置において同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列によって共有されている一致する位置の数を、比較されている位置の数で除し、それに100を乗じた関数である。例えば、2つの配列における10個の位置のうち6個が一致する場合、2つの配列は、60%同一である。一般に、比較は、2つの配列を最大の同一性が得られるようにアライメントして行われる。当業者に公知の様々なバイオインフォマティクスツール、例えば、BLAST又はFASTAを使用して、核酸配列をアライメントすることができる。
【0042】
具体的な実施形態において、本明細書に記載される核酸分子によってコードされる機能性GAAポリペプチドは、GAAの機能性短縮型形態である。「短縮型形態」又は「短縮型GAA」とは、親GAAポリペプチドのN末端部分から1つ又は複数の連続するアミノ酸が欠失したものを含む、GAAポリペプチドを意味する。本発明によると、「親GAAポリペプチド」は、機能性前駆体GAA配列であるが、そのシグナルペプチドが欠如している。例えば、典型的な野生型ヒトGAAポリペプチドを参照すると、完全な野生型GAAポリペプチド(すなわち、GAAの前駆体形態)は、配列番号5又は配列番号6で表され、シグナルペプチド(配列番号5又は配列番号6のアミノ酸1~27に対応する)を有するが、一方で、これらの野生型ヒトGAAポリペプチドの短縮型GAA形態の基礎としての機能を果たす親GAAポリペプチドは、それぞれ、配列番号7及び配列番号8で表され、シグナルペプチドを有さない。この例では、配列番号5のアミノ酸28~952及び配列番号6のアミノ酸28~952に対応する後者が、親GAAポリペプチドと称される。
【0043】
本発明によると、短縮型GAAポリペプチドは、機能性GAAポリペプチドである、すなわち、それは、上記に定義される野生型GAAポリペプチドの機能性を有する。
【0044】
親GAAポリペプチドのアミノ酸配列又はそのコーディング配列は、鳥類及び哺乳動物種を含む任意の源に由来し得る。「鳥類」という用語は、本明細書において使用される場合、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、シチメンチョウ、及びキジを含むがこれらに限定されない。「哺乳動物」という用語は、本明細書において使用される場合、ヒト、サル、及び他の非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ等を含むが、これらに限定されない。本発明の実施形態において、親GAAポリペプチドは、ヒト、マウス、又はウズラ、具体的には、ヒトGAAポリペプチドである。
【0045】
加えて、親GAAポリペプチドは、公知のGAAポリペプチドと比較して、1つ又は複数のアミノ酸改変、例えば、アミノ酸挿入、欠失、及び/又は置換を含む、GAAポリペプチドの機能性バリアントであってもよい。例えば、親ポリペプチドは、ヒトGAAポリペプチドの機能性誘導体、例えば、このヒトGAAポリペプチドに対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、又は少なくとも99パーセントの配列同一性を有する、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7のポリペプチドであってもよい。例えば、GAAポリペプチドの機能性バリアントは、親GAAポリペプチド、例えば、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親GAAポリペプチドに対して、0~50個、0~30個、0~20個、0~15個、0~10個、又は0~5個のアミノ酸変更を有し得る。具体的には、親GAAポリペプチドは、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するヒトGAAポリペプチドからなり得る。
【0046】
本発明によるGAAの短縮型形態は、親GAAポリペプチドのN末端短縮型形態であり、少なくとも1つのアミノ酸が、前記親GAAポリペプチドのN末端から欠失している。例えば、短縮型GAAポリペプチドは、親GAAポリペプチドと比較して、1~75個の連続するアミノ酸又は75個を上回る連続するアミノ酸が、そのN末端から短縮されていてもよい。具体的には、短縮型GAAポリペプチドは、親GAAタンパク質と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、又は75個の連続するアミノ酸が、そのN末端から短縮されていてもよい(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)。代替的な命名法を使用すると、親GAAポリペプチドにおける1つのアミノ酸の短縮により得られるGAAポリペプチドは、Δ1 GAA短縮型形態と称され、N末端からの2つの連続するアミノ酸の短縮により得られるGAAポリペプチドは、Δ2 GAA短縮型形態と称され、親GAAポリペプチドにおける3つの連続するアミノ酸の短縮により得られるGAAポリペプチドは、Δ3 GAA短縮型形態)と称される等である。具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、Δ45、Δ46、Δ47、Δ48、Δ49、Δ50、Δ51、Δ52、Δ53、Δ54、Δ55、Δ56、Δ57、Δ58、Δ59、Δ60、Δ61、Δ62、Δ63、Δ64、Δ65、Δ66、Δ67、Δ68、Δ69、Δ70、Δ71、Δ72、Δ73、Δ74、又はΔ75 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0047】
別の具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、Δ45、Δ46、又はΔ47 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0048】
別の具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、Δ45、又はΔ46 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0049】
別の具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、又はΔ45 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0050】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、又はΔ44 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0051】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0052】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、又はΔ42 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0053】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0054】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0055】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0056】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0057】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0058】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0059】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親hGAAタンパク質の短縮型形態)である。
【0060】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ6、Δ7、Δ8、Δ9、又はΔ10短縮型形態、具体的には、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ7、Δ8、又はΔ9短縮型形態、より具体的には、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ8短縮型形態である。
【0061】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ27、Δ28、Δ29、Δ30、又はΔ31短縮型形態、具体的には、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ28、Δ29、又はΔ30短縮型形態、より具体的には、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ29短縮型形態である。
【0062】
別の具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ40、Δ41、Δ42、Δ43、又はΔ44短縮型形態、具体的には、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ41、Δ42、又はΔ43短縮型形態、より具体的には、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ42短縮型形態である。
【0063】
更に具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ41、Δ42、Δ43、Δ44、又はΔ45短縮型形態、具体的には、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ42、Δ43、又はΔ44短縮型形態、より具体的には、GAA(具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ43短縮型形態である。
【0064】
別の実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、Δ45、Δ46、又はΔ47短縮型形態である。
【0065】
別の実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ7、Δ8、Δ9、Δ28、Δ29、Δ30、Δ41、Δ42、Δ43、又はΔ44短縮型形態である。
【0066】
別の実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、又はΔ44短縮型形態である。
【0067】
別の実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ8、Δ29、Δ42、Δ43、又はΔ47短縮型形態である。
【0068】
別の実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ8、Δ29、Δ42、又はΔ43短縮型形態である。
【0069】
別の実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ8又はΔ42短縮型形態である。
【0070】
本発明の具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、機能性ヒトGAAポリペプチドの短縮型形態である。更に具体的な実施形態において、親hGAAポリペプチドは、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドである。この実施形態の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、Δ45、Δ46、Δ47、Δ48、Δ49、Δ50、Δ51、Δ52、Δ53、Δ54、Δ55、Δ56、Δ57、Δ58、Δ59、Δ60、Δ61、Δ62、Δ63、Δ64、Δ65、Δ66、Δ67、Δ68、Δ69、Δ70、Δ71、Δ72、Δ73、Δ74、又はΔ75 GAA短縮型形態である。
【0071】
この実施形態の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、Δ45、Δ46、又はΔ47 GAA短縮型形態である。
【0072】
この実施形態の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、Δ45、又はΔ46 GAA短縮型形態である。
【0073】
この実施形態の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、又はΔ45 GAA短縮型形態である。
【0074】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、又はΔ44 GAA短縮型形態である。
【0075】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態である。
【0076】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ1、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、又はΔ42 GAA短縮型形態である。
【0077】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、又はΔ42 GAA短縮型形態である。
【0078】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的に、は配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、又はΔ42 GAA短縮型形態である。
【0079】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、又はΔ42 GAA短縮型形態である。
【0080】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、又はΔ42 GAA短縮型形態である。
【0081】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、又はΔ42 GAA短縮型形態である。
【0082】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、又はΔ42 GAA短縮型形態である。
【0083】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、又はΔ42 GAA短縮型形態である。
【0084】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ2、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態である。
【0085】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ3、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態である。
【0086】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ4、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態である。
【0087】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ5、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態である。
【0088】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態である。
【0089】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態である。
【0090】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、更により具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7、配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ8、Δ9、Δ10、Δ11、Δ12、Δ13、Δ14、Δ15、Δ16、Δ17、Δ18、Δ19、Δ20、Δ21、Δ22、Δ23、Δ24、Δ25、Δ26、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ32、Δ33、Δ34、Δ35、Δ36、Δ37、Δ38、Δ39、Δ40、Δ41、Δ42、又はΔ43 GAA短縮型形態である。
【0091】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、又はΔ10、具体的には、Δ7、Δ8、又はΔ9、より具体的には、Δ8短縮型形態である。
【0092】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、又はΔ31、具体的には、Δ28、Δ29、又はΔ30、より具体的には、Δ29短縮型形態である。
【0093】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、又はΔ44、具体的には、Δ41、Δ42、又はΔ43、より具体的には、Δ42短縮型形態である。
【0094】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、又はΔ45、具体的には、Δ42、Δ43、又はΔ44、より具体的には、Δ43短縮型形態である。
【0095】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ27、Δ28、Δ29、Δ30、Δ31、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、Δ44、又はΔ45、具体的には、Δ7、Δ8、Δ9、Δ28、Δ29、Δ30、Δ41、Δ42、Δ43、又はΔ44、具体的には、Δ8、Δ29、Δ42、又はΔ43短縮型形態である。
【0096】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ6、Δ7、Δ8、Δ9、Δ10、Δ40、Δ41、Δ42、Δ43、若しくはΔ44、具体的には、Δ8又はΔ42短縮型形態である。
【0097】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ8、Δ29、Δ42、Δ43、又はΔ47短縮型形態である。
【0098】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ8、Δ29、Δ42、又はΔ43短縮型形態である。
【0099】
この実施形態の別の変化形において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ8又はΔ42短縮型形態である。
【0100】
具体的な実施形態において、本発明の短縮型GAAポリペプチドは、GAA(具体的には、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAタンパク質)のΔ42短縮型形態である。
【0101】
具体的な実施形態において、短縮型GAAポリペプチドは、hGAAポリペプチド、及びより具体的には、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示されるhGAAポリペプチドの、又は配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に示される配列におけるアミノ酸置換を含み、配列番号7若しくは配列番号8、具体的には、配列番号7に対して少なくとも80、85、90、95、96、97、98、若しくは99パーセントの同一性を有するその機能性バリアントの、Δ42短縮型形態である。具体的な実施形態において、GAAポリペプチドの機能性バリアントは、上記に定義される短縮に加えて、親GAAポリペプチド、例えば、配列番号7又は配列番号8、具体的には、配列番号7に示される親GAAポリペプチドに対して、0~50個、0~30個、0~20個、0~15個、0~10個、又は0~5個のアミノ酸変更を有し得る。
【0102】
特定の実施形態において、本発明の短縮型hGAAポリペプチドは、配列番号66、配列番号9、配列番号67、配列番号68、若しくは配列番号69に示される配列からなるアミノ酸配列、又は配列番号66、配列番号9、配列番号67、配列番号68、若しくは配列番号69に示される配列と比較して、1~5個のアミノ、具体的には1~4個、具体的には1~3個、より具体的には1~2個、具体的には1個のアミノ酸置換を含むその機能性バリアントを有する。別の特定の実施形態において、本発明の短縮型hGAAポリペプチドは、配列番号66、配列番号9、配列番号67、若しくは配列番号68に示される配列からなるアミノ酸配列、又は配列番号66、配列番号9、配列番号67、若しくは配列番号68に示される配列と比較して、1~5個のアミノ酸置換を含むその機能性バリアントを有する。特定の実施形態において、本発明の短縮型hGAAポリペプチドは、配列番号66若しくは配列番号9に示される配列からなるアミノ酸配列、又は配列番号66若しくは配列番号9に示される配列と比較して、1~5個のアミノ、具体的には1~4個、具体的には1~3個、より具体的には1~2個、具体的には1個のアミノ酸置換を含むその機能性バリアントを有する。
【0103】
特定の実施形態において、本発明の短縮型hGAAポリペプチドは、配列番号9に示される配列からなるアミノ酸配列、又は配列番号9に示される配列と比較して、1~5個、具体的には1~4個、具体的には1~3個、より具体的には1~2個、具体的には1個のアミノ酸置換を含むその機能性バリアントを有する。
【0104】
機能性GAAポリペプチド、具体的には、短縮型GAAポリペプチドをコードする核酸配列は、インビボにおけるGAAポリペプチドの発現のために最適化されていてもよい。配列最適化は、コドン最適化、GC含量の増加、CpGアイランド数の減少、代替的オープンリーディングフレーム(ARF)数の減少、並びにスプライスドナー及びスプライスアクセプター部位数の減少を含む、核酸配列におけるいくつかの変更を含み得る。遺伝子コードの縮重のため、異なる核酸分子が、同じタンパク質をコードする場合がある。また、異なる生物の遺伝子コードが、同じアミノ酸をコードするいくつかのコドンのうちの1つを、その他のものよりも使用する傾向に偏ることが多いことも周知である。コドン最適化を通じて、結果として得られるコドン最適化されたヌクレオチド配列が、所与の細胞状況において、非コドン最適化配列と比較して相対的に高いレベルで発現される可能性が高くなるように、そのような所与の細胞状況に存在しているコドンバイアスを利用する変更が、ヌクレオチド配列に導入される。本発明の好ましい実施形態において、短縮型GAAをコードするそのような配列最適化されたヌクレオチド配列は、例えば、ヒト特異的コドン使用頻度バイアスを利用することによって、同じ短縮型GAAタンパク質をコードする非コドン最適化ヌクレオチド配列と比較して、ヒト細胞におけるその発現を改善するようにコドン最適化される。
【0105】
具体的な実施形態において、最適化されたGAAコーディング配列は、配列番号1の野生型hGAAコーディング配列のヌクレオチド82~2859と比較して、コドン最適化されている、並びに/又は増加したGC含量を有する、並びに/又は減少した代替的オープンリーディングフレーム数を有する、並びに/又は減少したスプライスドナー及び/若しくはスプライスアクセプター部位数を有する。例えば、本発明の核酸配列は、野生型GAA配列の配列と比較して、GAA配列におけるGC含量の少なくとも2、3、4、5、又は10%の増加をもたらす。具体的な実施形態において、本発明の核酸配列は、野生型GAAヌクレオチド配列の配列と比較して、GAA配列におけるGC含量の2、3、4、又はより具体的には、5%若しくは10%(具体的には、5%)の増加をもたらす。具体的な実施形態において、機能性GAAポリペプチドをコードする本発明の核酸配列は、配列番号1に示される配列のヌクレオチド82~2859に対して、「実質的に同一」である、すなわち、それに対して、約70%同一であり、より好ましくは、約80%同一であり、更により好ましくは、約90%同一であり、更により好ましくは、約95%同一であり、更により好ましくは、約97%、98%、又は更には99%同一である。上述のように、GC含量及び/又はARF数に加えて、配列最適化は、配列内のCpGアイランド数の減少、並びに/又はスプライスドナー及びアクセプター部位数の減少も含み得る。当然ながら、当業者には周知のように、配列最適化は、これらのパラメーターすべての間でのバランスであり、配列は、上述のパラメーターのうちの少なくとも1つが改善されているが、他のパラメーターのうちの1つ又は複数が改善されていない場合、最適化された配列が導入遺伝子の改善、例えば、インビボにおける導入遺伝子の発現の改善及び/又は免疫応答の減少をもたらす限り、最適化されていると考えることができる。
【0106】
加えて、ヒト細胞のコドン使用頻度に対する機能性GAAをコードするヌクレオチド配列の適合性は、コドン適合指数(CAI)として表すことができる。コドン適合指数は、本明細書において、高度に発現されるヒト遺伝子のコドン使用頻度に対する、ある遺伝子のコドン使用頻度の相対的な適合性の尺度として定義される。それぞれのコドンの相対的適合性(w)は、それぞれのコドンの使用頻度の、同じアミノ酸についてもっとも豊富なコドンの使用頻度に対する比である。CAIは、これらの相対的適合性値の幾何平均として定義される。非同義コドン及び終止コドン(遺伝子コードに依存する)は、除外される。CAI値は、0から1までの範囲に及び、値が高いほど、もっとも豊富なコドンの比率が高いことを示す(Sharp及びLi、1987、Nucleic Acids Research 15: 1281-1295を参照されたく、またKimら、Gene. 1997, 199:293-301、zur Megedeら、Journal of Virology、2000、74: 2628-2635も参照されたい)。好ましくは、GAAをコードする核酸分子は、少なくとも0.75(具体的には、0.77)、0.8、0.85、0.90、0.92、又は0.94のCAIを有する。
【0107】
「核酸配列」(又は核酸分子)という用語は、一本鎖又は二本鎖の形態のDNA又はRNA分子、具体的には、本発明による機能性GAAポリペプチドをコードするDNAを指す。
【0108】
本発明の別の実施形態において、短縮型GAAポリペプチドをコードする本発明の核酸分子の一部は、配列最適化された配列である配列番号2又は3のヌクレオチド配列の対応する部分に対して、少なくとも85パーセント、より好ましくは、少なくとも90パーセント、及び更により好ましくは、少なくとも92パーセントの同一性、具体的には、少なくとも95パーセントの同一性、例えば、少なくとも98、99、又は100パーセントの同一性を有する。
【0109】
好ましい実施形態において、短縮型GAAポリペプチドをコードする本発明の核酸分子の一部は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、配列番号10又は配列番号11、好ましくは、配列番号10に対して、少なくとも85パーセント、より好ましくは、少なくとも90パーセント、及び更により好ましくは、少なくとも92パーセントの同一性、具体的には、少なくとも95パーセントの同一性、例えば、少なくとも98、99、又は100パーセントの同一性を有する。具体的な実施形態において、短縮型GAAポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、配列番号10又は配列番号11、好ましくは、配列番号10に示される配列からなる。
【0110】
加えて、機能性GAAポリペプチドは、国際公開第2018/046772号、国際公開第2018/046775号、及び国際公開第2018/046774号の特許出願に記載される機能性GAAポリペプチドのうちのいずれかであり得る。
【0111】
異種部分
本発明者らの目的は、インビボにおいて循環ペプチドの活性を改善することであった。本発明者らは、上記に定義されるGAAポリペプチドを、1つ又は複数の異種部分と融合させることによって、GAA活性を改善する可能性を調査した。「異種部分」とは、目的のペプチドとは異なる、具体的には、GAAとは異なる、ペプチド又はポリペプチドから得られるペプチド部分を意味する。本発明の文脈において、「異種部分」は、インビボにおいて目的のペプチドの活性を改善することができる任意のペプチド部分、例えば、血漿安定性、血漿活性、リソソーム標的化、標的組織、例えば、CNS若しくは骨格筋への取り込み、及び/又は血液脳関門の通過を改善する任意のペプチド部分を意味する。
【0112】
具体的には、本発明の核酸分子は、
- 1つ又は複数の異種部分であって、異種部分のうちの少なくとも1つが、ソーティリン受容体のリガンドである、異種部分
- 異種部分に融合された、上記に定義される目的のペプチド、
を含むキメラポリペプチドをコードする。
【0113】
「ソーティリン受容体のリガンド」とは、ソーティリン受容体に結合することができる任意の分子、具体的には、ソーティリン受容体に特異的に結合することができる任意の分子を意味する。リガンドは、ソーティリン受容体に結合して受容体-リガンド複合体を形成する、天然又は合成の分子であり得る。好ましくは、ソーティリン受容体の三次元構造に相補的な三次元構造を有するリガンドによって、親和性が生じる。好ましくは、リガンドは、タンパク質性リガンドである。
【0114】
ソーティリン受容体は、液胞タンパク質選別10タンパク質(Vps10p)受容体ファミリーに属するI型膜糖タンパク質である。「ソーティリン」は、ニューロテンシン受容体3(NTR3)、糖タンパク質95(Gp95)、又は100kDaのNT受容体とも称される。ヒトソーティリンは、Swiss Protにおいて識別番号Q99523で受託されている。ソーティリンは、ヒトにおいて、第1染色体のバンド1p13.3上のSORT1遺伝子によってコードされるタンパク質である。ソーティリン受容体は、大型細胞外ドメイン(75kDa)、1回膜貫通ヘリックス、及び短い細胞質側尾部から構成される。ソーティリン受容体は、脳、脊髄、心臓、骨格筋、甲状腺、胎盤、及び精巣において高いレベルで発現され、リンパ系器官、腎臓、結腸、及び肝臓において低いレベルで発現される。
【0115】
ソーティリン受容体のリガンドは、任意の天然のリガンド、例えば、スパジン、ニューロテンシン(NT)、リポタンパク質リパーゼ、神経成長因子-ベータの代替形態(proNGF)及び脳由来神経栄養因子の代替形態(proBDNF)、又は受容体関連タンパク質(RAP)であり得る。
【0116】
具体的な実施形態において、ソーティリン受容体のリガンドは、スパジンペプチド若しくはニューロテンシンペプチド、又はそれらの任意の機能性フラグメントである。「機能性フラグメント」とは、ソーティリン受容体に結合することができ、目的のペプチド、具体的には、GAAペプチドの活性を改善することができる、任意のフラグメントを意味する。具体的には、脳における目的のペプチドの取り込み及び/又は活性を改善することができる任意の機能性フラグメントを、使用することができる。具体的な実施形態において、前記機能性フラグメントは、少なくとも5個のアミノ酸を有する。
【0117】
具体的な実施形態において、ソーティリン受容体のリガンドは、スパジンペプチド又はその機能性フラグメントである。具体的には、スパジンペプチドのアミノ酸配列は、配列番号31のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性を有し得るか、又はそれに対して100%の同一性を有し得る。例えば、スパジンペプチドは、配列番号31に示されるスパジンペプチドと比較して、1、2、3、4、又は5個のアミノ酸変更を有し得る。具体的な実施形態において、スパジンペプチドは、配列番号31に示されるアミノ酸配列を有する。
【0118】
具体的には、スパジンペプチドは、配列番号14のヌクレオチド配列によって、又は配列番号14のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性を有するか若しくはそれに対して100%の同一性を有するヌクレオチド配列によって、コードされ得る。
【0119】
別の具体的な実施形態において、ソーティリン受容体のリガンドは、ニューロテンシンペプチド又はその機能性フラグメントである。具体的には、ニューロテンシンペプチドのアミノ酸配列は、配列番号32のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性を有し得るか、又はそれに対して100%の同一性を有し得る。例えば、ニューロテンシンペプチドは、配列番号32に示されるニューロテンシンペプチドと比較して、1、2、3、4、又は5個のアミノ酸変更を有し得る。具体的な実施形態において、ニューロテンシンペプチドは、配列番号32に示されるアミノ酸配列を有する。
【0120】
具体的な実施形態において、ニューロテンシンペプチドは、配列番号15のヌクレオチド配列によって、又は配列番号15のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性を有するか若しくはそれに対して100%の同一性を有するヌクレオチド配列によって、コードされる。
【0121】
具体的な実施形態において、ソーティリン受容体のリガンドは、ニューロテンシンペプチドのフラグメント、具体的には、配列番号32に記載される、ニューロテンシンペプチドのフラグメントである。具体的には、ニューロテンシンペプチドのフラグメントは、配列番号33のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性を有し得るか、又はそれに対して100%の同一性を有し得る。例えば、ニューロテンシンペプチドは、配列番号33に示されるニューロテンシンペプチドのフラグメントと比較して、1、2、又は3個のアミノ酸変更を有し得る。具体的な実施形態において、ニューロテンシンペプチドのフラグメントは、配列番号33に示されるアミノ酸配列を有する。
【0122】
具体的には、ニューロテンシンペプチドのフラグメントは、配列番号16のヌクレオチド配列によって、又は配列番号16のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性を有するか若しくはそれに対して100%の同一性を有するヌクレオチド配列によって、コードされる。
【0123】
具体的な実施形態において、目的のペプチド、具体的には、機能性GAAポリペプチドは、少なくとも1、2、3、4、又は少なくとも5つの異種部分に融合されており、前記異種部分のうちの少なくとも1つは、上記に定義されるソーティリン受容体のリガンドである。具体的には、目的のペプチドは、1、2、3、4、又は5つの異種部分に融合されていてもよい。ソーティリン受容体のリガンド以外の異種部分は、目的のペプチド、具体的には、GAAの活性を改善することができる任意の異種部分であり得る。具体的には、血漿安定性、血漿活性、リソソーム標的化、標的組織への取り込み、及び/又は血液脳関門の通過を改善する任意の異種部分が、使用され得る。
【0124】
具体的な実施形態において、目的のペプチドは、1、2、3、4、又は5つの異種部分に融合されており、異種部分のそれぞれは、上記に定義されるソーティリン受容体のリガンドである。具体的な実施形態において、目的のペプチドは、1、2、3、4、又は5つの異種部分に融合されており、異種部分のそれぞれは、スパジンペプチドである。したがって、この実施形態において、目的のペプチドは、上記に定義されるスパジンペプチドである同じ異種部分の反復物に融合されている。
【0125】
具体的な実施形態において、目的のペプチド、具体的には、上記に定義される機能性GAAペプチドは、1つの(すなわち、1つであり、唯一の)異種部分に融合されており、異種部分は、上記に定義されるソーティリン受容体のリガンド、具体的には、スパジンペプチド、ニューロテンシンペプチド、又は上記に定義されるその任意のフラグメントである。具体的な実施形態において、目的のペプチド、具体的には、上記に定義される機能性GAAペプチドは、上記に定義されるスパジンペプチドである1つの(すなわち、1つであり、唯一の)異種部分に融合されている。
【0126】
具体的な実施形態において、目的のペプチドは、少なくとも2つの異種部分に融合されており、異種部分のうちの少なくとも1つが、上記に定義されるソーティリン受容体のリガンドであり、異種部分のうちの少なくとも1つが、ヒト絨毛性ゴナドトロピンベータサブユニット(hCGβ)のカルボキシ末端ペプチド(CTP)である。
【0127】
本明細書に記載されるヒト絨毛性ゴナドトロピンベータサブユニット(hCGβ)のカルボキシ末端ペプチド(CTP)は、配列番号34に記載されるヒト絨毛性ゴナドトロピンのベータサブユニットの137位~165位のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、CTP配列ペプチドは、28、29、30、31、32、33、又は34個のアミノ酸の長さである。好ましくは、hCGβのCTPは、28個のアミノ酸の長さである。
【0128】
具体的な実施形態において、hCGβのCTPは、天然のCTPとは1~5個のアミノ酸置換が異なる、機能性バリアントである。「機能性バリアント」とは、インビボにおいてGAAの活性を改善することができる、hCGβの任意のCTPを意味する。具体的には、hCGβのCTPのアミノ酸配列は、配列番号12のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性を有し得るか、又はそれに対して100%の同一性を有し得る。具体的な実施形態において、hCGβのCTPのアミノ酸配列は、配列番号12を含むか又はそれからなる。
【0129】
具体的な実施形態において、hCGβのCTPは、配列番号13のヌクレオチド配列によって、又は配列番号13のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性を有するか若しくはそれに対して100%の同一性を有するヌクレオチド配列によって、コードされる。
【0130】
具体的な実施形態において、目的のペプチド、具体的には、機能性GAAポリペプチドは、一方が上記に定義されるhCGβのCTPであり、他方が上記に定義されるスパジンペプチドである、2つの異種部分に融合されている。
【0131】
具体的な実施形態において、1つ又は複数の異種部分は、目的のペプチド、具体的には、機能性GAAポリペプチドの、N末端及び/又はC末端に融合されている。具体的な実施形態において、1つの異種部分は、N末端に融合されており、同じか又は異なる異種部分が、目的のペプチドのC末端に融合されている。好ましい実施形態において、1つ又は複数の異種部分は、目的のペプチドのN末端に融合されている。
【0132】
好ましい実施形態において、上記に定義されるスパジンペプチドである1つの異種部分は、目的のペプチド、具体的には、機能性GAAポリペプチドのN末端に融合されている。
【0133】
具体的な実施形態において、1つ又は複数の異種部分は、リンカーを介して、目的のペプチドに結合される。1つ又は複数の異種部分を目的のペプチドの配列に接続するリンカーは、共有結合又はペプチド結合であり得る。キメラポリペプチドの正しいフォールディングをもたらす任意の従来的なリンカーを、使用することができる。具体的には、ポリペプチドの連結されたドメイン間に可動性を導入することができる任意のリンカーを、使用することができる。具体的な実施形態において、リンカーは、グリシンリッチリンカーである。
【0134】
具体的な実施形態によると、リンカーは、Chichiliら、Protein Sci. 2013 Feb;22(2):153-67に記載される任意のリンカーであり得る。
【0135】
具体的な実施形態において、リンカーは、「GAP」(配列番号65)、「GGGGSLVPRGSGGGGS」(配列番号48)、「GSGSGS」(配列番号49)、「GGGGSLVPRGSGGGG」(配列番号50)、「GGSGGHMGSGG」(配列番号51)、「GGSGGSGGSGG」(配列番号52)、「GGSGG」(配列番号53)、「GGSGGGGG」(配列番号54)、「GSGSGSGS」(配列番号55)、「GGGSEGGGSEGGGSEGGG」(配列番号56)、「AAGAATAA」(配列番号57)、「GGGGG」(配列番号58)、「GGSSG」(配列番号59)、「GSGGGTGGGSG」(配列番号60)、「GSGSGSGSGGSG」(配列番号61)、「GSGGSGGSGGSGGS」(配列番号62)、「GSGGSGSGGSGGSG」(配列番号63)、又は「GT」(配列番号64)からなる群において選択されるアミノ酸配列を有する。
【0136】
好ましい実施形態において、異種部分は、アミノ酸配列「GAP」(配列番号65)を有するペプチドリンカーを介して、目的のペプチドに融合されている。
【0137】
具体的には、ペプチドリンカーは、配列番号17のヌクレオチド配列によって、又は配列番号17のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、又は少なくとも100%の同一性のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0138】
シグナルペプチド
本発明のキメラポリペプチドは、シグナルペプチドを更に含み得る。具体的には、本発明の核酸分子によってコードされるキメラGAAポリペプチドは、シグナルペプチド、例えば、GAAの天然のシグナルペプチド、又は別の分泌タンパク質に由来する代替的なシグナルペプチドを更に含み得る。本発明の文脈において、シグナルペプチドは、上記に定義される「異種部分」ではない。
【0139】
したがって、本発明の核酸分子は、
- 上記に定義される1つ又は複数の異種部分であって、異種部分のうちの少なくとも1つが、ソーティリン受容体のリガンドである、異種部分
- 異種部分に融合された、上記に定義される目的のペプチド、具体的には、上記に定義される機能性GAAポリペプチド、及び
- 任意選択で、シグナルペプチド
を含むキメラポリペプチドをコードする。
【0140】
そのようなシグナルペプチドの非限定的な例としては、国際公開第2018/046775号特許出願に記載されるものが挙げられる。具体的には、シグナルペプチドは、配列番号18~22からなる群から選択され得る。したがって、本発明は、シグナル部分と、1つ又は複数の異種部分と、目的のペプチド、例えば、上記に定義される機能性GAAポリペプチドとを含む、キメラGAAポリペプチドを提供する。具体的な実施形態において、シグナルペプチドは、GAAの天然のシグナルペプチド、例えば、配列番号18に示されるhGAAのシグナルペプチドである。別の実施形態において、シグナルペプチドは、GAAとは異なるタンパク質に由来する、外因性(又は代替的な)シグナルペプチドである。具体的な実施形態において、代替的なシグナルペプチドは、配列番号19、20、21、及び22からなる群において選択されるか、又は以下に定義されるそれらの機能性誘導体である。具体的には、シグナルペプチドは、配列番号20、21、及び22からなる群において選択されるか、又は以下に定義されるそれらの機能性誘導体である。
【0141】
本発明において実行可能な具体的な外因性シグナルペプチドとしては、キモトリプシノーゲンB2のアミノ酸1~20(配列番号21)、ヒトアルファ-1-抗トリプシンのシグナルペプチド(配列番号19)、イズロネート-2-スルファターゼのアミノ酸1~25(配列番号20)、及びプロテアーゼC1阻害剤のアミノ酸1~23(配列番号22)が挙げられる。配列番号18及び配列番号19~配列番号22のシグナルペプチドは、インビトロ及びインビボの両方において、その天然のシグナルペプチドを含むキメラGAAと比較して高いキメラGAAポリペプチドの分泌を可能にする。具体的な実施形態において、シグナルペプチドは、配列番号18~22に示される配列を有するか、又はその機能性誘導体、すなわち、結果として得られる配列が、機能性シグナルペプチド、すなわち、GAAタンパク質の分泌を可能にするシグナルペプチドに対応する限り、配列番号18~22に示される配列と比較して、1~5個、具体的には1~4個、具体的には1~3個、より具体的には1~2個、具体的には1個のアミノ酸の欠失、挿入、若しくは置換を含む配列である。
【0142】
具体的な実施形態において、シグナルペプチド配列は、配列番号18~22からなる群において選択される配列に対して、好ましくは、配列番号19~22からなる群において選択される配列に対して、より好ましくは、配列番号20~22からなる群において選択される配列に対して、更により好ましくは、配列番号21の配列に対して、少なくとも85パーセント、より好ましくは、少なくとも90パーセント、及び更により好ましくは、少なくとも92パーセントの同一性、具体的には、少なくとも95パーセントの同一性、例えば、少なくとも98、99、又は100パーセントの同一性を有する。具体的な実施形態において、シグナルペプチド配列は、配列番号18~22からなる群において選択される配列からなる。好ましくは、シグナルペプチド配列は、配列番号19~22からなる群において選択される配列からなり、より好ましくは、シグナルペプチド配列は、配列番号20~22からなる群において選択される配列からなる。好ましい実施形態によると、シグナルペプチド配列は、配列番号21に示される配列からなる。
【0143】
具体的な実施形態において、核酸分子は、上記に定義されるシグナルペプチド、上記に定義される異種部分、任意選択で上記に定義されるリンカー、及び上記に定義される機能性GAAポリペプチドを、好ましくはこの順序で含む、キメラGAAポリペプチドをコードする。具体的には、キメラGAAポリペプチドは、配列番号21に示される配列からなるシグナルペプチド、配列番号31~33に示される配列からなる異種部分、任意選択で配列「GAP」のリンカー、及び配列番号9に示される配列からなる機能性GAAポリペプチドを、好ましくはこの順序で含む。
【0144】
具体的な実施形態において、核酸分子は、配列番号35~37、又は配列番号35~37に示される配列に対して少なくとも90%の同一性、具体的には、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の同一性を有するその機能性誘導体を含むか又はそれからなるキメラGAAポリペプチドをコードする。
【0145】
具体的な実施形態において、本発明の核酸分子は、配列番号38~40の配列、又は配列番号38~40に示される配列に対して少なくとも90%の同一性、具体的には、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか又はそれからなる。
【0146】
2-核酸コンストラクト
本発明はまた、本発明の核酸分子を含む核酸コンストラクトに関する。核酸コンストラクトは、1つ又は複数の発現制御配列、及び/又は導入遺伝子の発現を改善する他の配列、及び/又はコードされるタンパク質の分泌を増強させる配列、及び/又はコードされるタンパク質の取り込みを増強させる配列に作動可能に連結された、本発明の核酸配列を含む、発現カセットに相当し得る。本明細書において使用される場合、「作動可能に連結された」という用語は、機能的関係性でのポリヌクレオチドエレメントの連結を指す。核酸は、別の核酸配列と機能的関係性に置かれている場合、「作動可能に連結」されている。例えば、プロモーター、又は別の転写調節配列は、それがコーディング配列の転写に影響を及ぼす場合、コーディング配列に作動可能に連結されている。そのような発現制御配列、例えば、プロモーター、エンハンサー(例えば、シス調節モジュール(CRM))、イントロン、ポリAシグナル等は、当該技術分野において公知である。
【0147】
具体的には、発現カセットは、プロモーターを含み得る。プロモーターは、遍在性プロモーターであっても組織特異的プロモーターであってもよく、具体的には、目的のペプチドの発現が所望される細胞又は組織、例えば、目的のペプチドの発現が所望される細胞又は組織における発現を促進することができるプロモーターであってもよい。目的のペプチドがGAAである場合、プロモーターは、GAA欠損患者において目的のペプチドの発現が所望される細胞又は組織におけるGAA発現を促進することができる任意のプロモーターであり得る。具体的な実施形態において、プロモーターは、CNS、具体的には、脳に特異的なプロモーターである。具体的な実施形態において、プロモーターは、肝臓特異的プロモーター、例えば、アルファ-1抗トリプシンプロモーター(hAAT)(配列番号23)、トランスサイレチンプロモーター、アルブミンプロモーター、サイロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、LSPプロモーター(甲状腺ホルモン結合グロブリンプロモーター配列、アルファ1-ミクログロブリン/ビクニンエンハンサー配列の2つのコピー、及びリーダー配列を含む-34.Ill, C. R.ら、(1997). Optimization of the human factor VIII complementary DNA expression plasmid for gene therapy of hemophilia A. Blood Coag. Fibrinol.8: S23-S30.)等である。他の有用な肝臓特異的プロモーター、例えば、Liver Specific Gene Promoter Database compiled the Cold Spring Harbor Laboratory(http://rulai.cshl.edu/LSPD/)に列挙されているものが、当該技術分野において公知である。具体的な実施形態において、プロモーターは、hAATプロモーターである。別の実施形態において、プロモーターは、1つの目的とされる組織又は細胞(例えば、筋肉細胞)及び肝臓細胞における発現を指向させるプロモーターである。例えば、ある程度まで、筋肉細胞に特異的なプロモーター、例えば、デスミン、Spc5-12、及びMCKプロモーターは、肝臓細胞への発現のいくらかの漏出を呈し得るが、これは、核酸分子から発現されるキメラGAAタンパク質に対する対象の免疫寛容を誘導するのに有利であり得る。
【0148】
他の組織特異的又は非組織特異的プロモーターは、本発明の実施において有用であり得る。例えば、発現カセットは、肝臓特異的プロモーターとは異なるプロモーターである、組織特異的プロモーターを含み得る。例えば、プロモーターは、筋肉特異的、例えば、デスミンプロモーター(及びデスミンプロモーターバリアント、例えば、天然若しくは人工のエンハンサーを含むデスミンプロモーター)、SPc5-12、又はMCKプロモーターであり得る。別の実施形態において、プロモーターは、他の細胞系統に特異的なプロモーター、例えば、赤血球系統の細胞からのキメラポリペプチドの発現のためのエリスロポエチンプロモーターである。
【0149】
別の実施形態において、プロモーターは、遍在性プロモーターである。代表的な遍在性プロモーターとしては、サイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリベータアクチン(CAG)プロモーター、サイトメガロウイルスエンハンサー/プロモーター(CMV)、PGKプロモーター、SV40初期プロモーター等が挙げられる。加えて、プロモーターはまた、内因性プロモーター、例えば、アルブミンプロモーター又はGAAプロモーターであってもよい。具体的な実施形態において、プロモーターは、「LiMP」及び「LiNeuP」と称される特定のプロモーターを含む、国際特許出願第PCT/EP2019/053061号に記載される任意のハイブリッド調節エレメントである。
【0150】
具体的な実施形態において、プロモーターは、参照により本明細書に組み込まれる特許出願第EP19 305455.8号に記載される任意のハイブリッドプロモーターであり、ここで、前記ハイブリッドプロモーターは、筋肉選択的プロモーターに作動可能に連結された1つ又は複数の肝臓選択的エンハンサーを含む。具体的には、プロモーターは、特許出願第EP19 305455.8号においてEP1、EP2、EP3、又はEP4と称される特定のプロモーター、具体的には、EP4と称されるプロモーターであり得る。
【0151】
具体的な実施形態において、プロモーターは、エンハンサー配列、例えば、シス調節モジュール(CRM)又は人工エンハンサー配列に結合している。例えば、プロモーターは、エンハンサー配列、例えば、ヒトApoE制御領域(又はヒトアポリポタンパク質E/C-I遺伝子座、肝臓制御領域HCR-1-Genbank受託番号U32510、配列番号24に示される)に結合していてもよい。具体的な実施形態において、エンハンサー配列、例えば、ApoE配列は、肝臓特異的プロモーター、例えば、上記に列挙したもの、及び具体的にはhAATプロモーターに結合している。本発明の実施において有用な他のCRMとしては、Rinconら、Mol Ther. 2015 Jan;23(1):43-52、Chuahら、Mol Ther. 2014 Sep;22(9):1605-13、又はNairら、Blood. 2014 May 15;123(20):3195-9に記載されるものが挙げられる。
【0152】
別の具体的な実施形態において、核酸コンストラクトは、イントロン、具体的には、プロモーターとキメラポリペプチドをコードする本発明の核酸分子との間に配置されるイントロンを含む。イントロンは、mRNA安定性及びタンパク質の産生を増加させるために導入され得る。更なる実施形態において、核酸コンストラクトは、ヒトベータグロビンb2(若しくはHBB2)イントロン、凝固第IX因子(FIX)イントロン、SV40イントロン、又はニワトリベータ-グロビンイントロンを含む。別の更なる実施形態において、本発明の核酸コンストラクトは、前記イントロンにおいて見出される代替的オープンリーディングフレーム(ARF)の数を減少させるか、又は更には完全に除去するように設計された、改変されたイントロン(具体的には、改変されたHBB2若しくはFIXイントロン)を含む。好ましくは、50bpの長さにわたり、開始コドンとインフレームで終始コドンを含むARFが、除去される。ARFは、イントロンの配列を改変することによって除去され得る。例えば、改変は、ヌクレオチド置換、挿入、又は欠失によって、好ましくは、ヌクレオチド置換によって、実行され得る。例示として、目的のイントロンの配列に存在するATG又はGTG開始コドン内の1つ又は複数のヌクレオチド、具体的には、1つのヌクレオチドが、置き換えられて、非開始コドンがもたらされ得る。例えば、ATG又はGTGは、目的のイントロンの配列内で、開始コドンではないCTGで置き換えられてもよい。
【0153】
核酸コンストラクトにおいて使用される古典的なHBB2イントロンは、配列番号25に示されている。例えば、このHBB2イントロンは、前記イントロン内の開始コドン(ATG及びGTGコドン)を排除することによって、改変され得る。具体的な実施形態において、コンストラクトに含まれる改変されたHBB2イントロンは、配列番号26に示される配列を有する。核酸コンストラクトにおいて使用される古典的なFIXイントロンは、ヒトFIXの第1のイントロンに由来し、配列番号27に示されている。FIXイントロンは、前記イントロン内の開始コドン(ATG及びGTGコドン)を排除することによって、改変され得る。具体的な実施形態において、本発明のコンストラクトに含まれる改変されたFIXイントロンは、配列番号28に示される配列を有する。核酸コンストラクトにおいて使用される古典的なニワトリ-ベータグロビンイントロンは、配列番号29に示されている。ニワトリ-ベータグロビンイントロンは、前記イントロン内の開始コドン(ATG及びGTGコドン)を排除することによって、改変され得る。具体的な実施形態において、本発明のコンストラクトに含まれる改変されたニワトリ-ベータグロビンイントロンは、配列番号30に示される配列を有する。
【0154】
本発明者らは、国際公開第2015/162302号において、そのような改変されたイントロン、具体的には、改変されたHBB2又はFIXイントロンが、有利な特性を有すること、及び導入遺伝子の発現を有意に改善し得ることを、これまでに示している。
【0155】
具体的な実施形態において、本発明の核酸コンストラクトは、5'から3'の配向で、任意選択でエンハンサーが先行するプロモーター、本発明の核酸分子(すなわち、本発明のキメラポリペプチドをコードする配列)、及びポリアデニル化シグナル(例えば、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル、SV40ポリアデニル化シグナル、又は別の天然若しくは人工のポリアデニル化シグナル)を含む、発現カセットである。具体的な実施形態において、本発明の核酸コンストラクトは、5'から3'の配向で、任意選択でエンハンサーが先行するプロモーター(例えば、ApoE制御領域)、イントロン(具体的には、上記に定義されるイントロン)、本発明の核酸分子、及びポリアデニル化シグナルを含む、発現カセットである。更に具体的な実施形態において、本発明の核酸コンストラクトは、5'から3'の配向で、エンハンサー、例えば、ApoE制御領域、プロモーター、イントロン(具体的には、上記に定義されるイントロン)、本発明の核酸分子、及びポリアデニル化シグナルを含む、発現カセットである。本発明の更に具体的な実施形態において、5'から3'の配向で、ApoE制御領域、hAAT肝臓特異的プロモーター、HBB2イントロン(具体的には、上記に定義される改変されたHBB2イントロン)、本発明の核酸分子、及びウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含む、発現カセット、例えば、キメラGAAポリペプチドをコードする配列番号38~40の核酸分子を含む配列番号41~43に示される核酸コンストラクト。
【0156】
具体的な実施形態において、発現カセットは、ApoE制御領域、hAAT肝臓特異的プロモーター、コドン最適化されたHBB2イントロン、本発明の核酸分子の配列、及びウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含む。
【0157】
本発明の核酸コンストラクトを設計する際、当業者であれば、前記コンストラクトを細胞又は組織に送達するために使用されるベクターのサイズ制限に配慮することに注意するであろう。具体的には、当業者であれば、AAVベクターの主要な制限が、そのカーゴ容量であることを理解しており、カーゴ容量は、AAV血清型ごとに変動し得るが、親ウイルスゲノムのサイズ付近に限定されると考えられている。例えば、通常、AAV8キャプシドへのパッケージングが考えられる最大のサイズは、5kbである。(Wu Z.ら、Mol Ther.、2010、18(1): 80-86;Lai Y.ら、Mol Ther.、2010、18(1): 75-79;Wang Y.ら、Hum Gene Ther Methods、2012、23(4): 225-33)。したがって、当業者であれば、本発明を実施する際に、AAV 5'及び3'-ITRをコードする配列を含む、結果として得られる核酸配列が、好ましくは、実装されるAAVベクターのカーゴ容量の110%を超えないように、具体的には、好ましくは5.5kbを超えないように、本発明の核酸コンストラクトの成分を選択するのに注意を払うであろう。
【0158】
3-ベクター
本発明はまた、本明細書に開示される核酸分子又はコンストラクトを含む、ベクターに関する。具体的には、本発明のベクターは、タンパク質発現に、好ましくは、遺伝子療法における使用に好適なベクターである。一実施形態において、ベクターは、プラスミドベクターである。別の実施形態において、ベクターは、本発明の核酸分子、具体的には、本発明のキメラポリペプチドをコードするメッセンジャーRNAを含む、ナノ粒子である。別の実施形態において、ベクターは、本発明の核酸分子又はコンストラクトを標的細胞のゲノムに組み込むことを可能にする、トランスポゾンに基づく系、例えば、超活性Sleeping Beauty(SB100X)トランスポゾン系(Matesら、2009)である。別の実施形態において、ベクターは、目的とされる任意の細胞、例えば、肝臓組織若しくは細胞、筋肉細胞、CNS細胞(例えば、脳細胞)、又は造血幹細胞、例えば、赤血球系統の細胞(例えば、赤血球)を標的とする、遺伝子療法に好適なウイルスベクターである。この事例において、本発明の核酸コンストラクトはまた、当該技術分野において周知のように、効率的なウイルスベクターを産生するのに好適な配列を含む。具体的な実施形態において、ウイルスベクターは、組込みウイルスに由来する。具体的には、ウイルスベクターは、レトロウイルス又はレンチウイルスに由来し得る。更に具体的な実施形態において、ウイルスベクターは、AAVベクター、例えば、肝臓組織又は細胞に形質導入するのに好適なAAVベクター、より具体的には、AAV-1、-2、及びAAV-2バリアント(例えば、Lingら、2016 Jul 18, Hum Gene Ther Methods. [電子版先行公開]に開示される、Y44+500+730F+T491Vの変更を有する操作されたキャプシドを含む、四重突然変異体キャプシド最適化AAV-2)、-3及びAAV-3バリアント(例えば、Vercauterenら、2016、Mol. Ther. Vol. 24(6)、1042頁に開示される、S663V+T492Vの2つのアミノ酸変更を有する操作されたAAV3キャプシドを含むAAV3-STバリアント)、-3B及びAAV-3Bバリアント、-4、-5、-6、及びAAV-6バリアント(例えば、Rosarioら、2016、Mol Ther Methods Clin Dev. 3、16026頁に開示される、三重突然変異型AAV6キャプシドY731F/Y705F/T492Vを含む、AAV6バリアント)、-7、-8、-9、-10、例えば、-cy10及び-rh10、-rh74、-dj、Anc80、LK03、AAV2i8、ブタAAV血清型、例えば、AAVpo4及びAAVpo6等のベクター又はレトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター及びアルファ-レトロウイルスである。当該技術分野において公知のように、使用が考えられる特定のウイルスベクターに応じて、追加の好適な配列が、機能性ウイルスベクターを得るために、本発明の核酸コンストラクトに導入される。好適な配列としては、AAVベクターについてはAAV ITR、又はレンチウイルスベクターについてはLTRが挙げられる。このように、本発明はまた、両側にITR又はLTRが隣接する、上述の発現カセットに関する。
【0159】
ウイルスベクターの利点は、本開示の以下の部分において考察されている。ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター、又は非病原性パルボウイルス、より好ましくはAAVベクターは、本発明の核酸分子又はコンストラクトを送達するのに好ましい。ヒトパルボウイルスアデノ随伴ウイルス(AAV)は、感染した細胞のゲノム内に組み込まれ、不顕性感染を構築することができる、天然に複製が欠損したディペンドウイルスである。最後の特性は、組込みが、ヒトゲノムの第19染色体に位置するAAVS1と称される特定の部位(19q13.3-qter)において生じるため、哺乳動物ウイルスに固有であると見られる。
【0160】
したがって、AAVベクターには、ヒト遺伝子療法の可能性のあるベクターとして相当な関心が生じている。ウイルスの好ましい特性にはとりわけ、任意のヒト疾患との関係の欠如、分裂細胞及び非分裂細胞の両方に感染するその能力、並びに感染させることができる様々な組織に由来する広範な細胞株がある。
【0161】
ヒト又は非ヒト霊長類(NHP)から単離され、十分に特徴付けが行われたAAVの血清型のなかで、ヒト血清型2は、遺伝子移入ベクターとして開発した最初のAAVである。他の現在使用されているAAV血清型としては、AAV-1、AAV-2バリアント(例えば、Lingら、2016 Jul 18、Hum Gene Ther Methods. [電子版先行公開]に開示される、Y44+500+730F+T491Vの変更を有する操作されたキャプシドを含む、四重突然変異体キャプシド最適化AAV-2)、-3及びAAV-3バリアント(例えば、Vercauterenら、2016, Mol. Ther. Vol. 24(6)、1042頁に開示される、S663V+T492Vの2つのアミノ酸変更を有する操作されたAAV3キャプシドを含むAAV3-STバリアント)、-3B及びAAV-3Bバリアント、-4、-5、-6、及びAAV-6バリアント(例えば、Rosarioら、2016、Mol Ther Methods Clin Dev. 3、16026頁に開示される、三重突然変異型AAV6キャプシドY731F/Y705F/T492V形態を含むAAV6バリアント)、-7、-8、-9、-10、例えば、cy10及び-rh10、-rh74、-dj、Anc80、LK03、AAV2i8、ブタAAV血清型、例えば、AAVpo4及びAAVpo6、並びにAAV血清型のチロシン、リシン、及びセリンキャプシド突然変異体等が挙げられる。加えて、他の非天然の操作されたバリアント及びキメラAAVもまた、有用であり得る。
【0162】
AAVウイルスは、従来的な分子生物学技法を使用して操作して、核酸配列の細胞特異的送達、免疫原性の最小化、安定性及び粒子寿命の調整、効率的な分解、核への正確な送達のために、これらの粒子を最適化することが可能であり得る。
【0163】
ベクターへのアセンブリに望ましいAAVフラグメントとしては、vp1、vp2、vp3、及び超可変領域を含むcapタンパク質、rep 78、rep 68、rep 52、及びrep 40を含むrepタンパク質、並びにこれらのタンパク質をコードする配列が挙げられる。これらのフラグメントは、様々なベクター系及び宿主細胞において容易に利用することができる。
【0164】
Repタンパク質が欠如したAAVに基づく組換えベクターは、低い効力で宿主のゲノムに組み込まれ、主として、標的細胞において数年間持続し得る安定な環状エピソームとして存在する。
【0165】
AAVの天然の血清型を使用する代わりに、本発明の状況において、限定することなく、非天然のキャプシドタンパク質を有するAAVを含め、人工AAV血清型を使用してもよい。そのような人工キャプシドは、選択されたAAV配列(例えば、vp1キャプシドタンパク質のフラグメント)を、別の選択されたAAV血清型、同じAAV血清型の非連続的な部分、非AAVウイルス源、又は非ウイルス源から得ることができる異種配列と組み合わせて使用して、任意の好適な技法によって生成することができる。人工AAV血清型は、限定することなく、キメラAAVキャプシド、組換えAAVキャプシド、又は「ヒト化」AAVキャプシドであり得る。
【0166】
したがって、本発明は、本発明の核酸分子又はコンストラクトを含むAAVベクターに関する。本発明の状況において、AAVベクターは、目的の標的細胞、具体的には、肝細胞に形質導入することができるAAVキャプシドを含む。特定の実施形態によると、AAVベクターは、AAV-1、-2、AAV-2バリアント(例えば、Lingら、2016 Jul 18、Hum Gene Ther Methods. [電子版先行公開]に開示される、Y44+500+730F+T491Vの変更を有する操作されたキャプシドを含む、四重突然変異体キャプシド最適化AAV-2)、-3及びAAV-3バリアント(例えば、Vercauterenら、2016, Mol. Ther. Vol. 24(6)、1042頁に開示される、S663V+T492Vの2つのアミノ酸変更を有する操作されたAAV3キャプシドを含むAAV3-STバリアント)、-3B及びAAV-3Bバリアント、-4、-5、-6、及びAAV-6バリアント(例えば、Rosarioら、2016、Mol Ther Methods Clin Dev. 3、16026頁に開示される、三重突然変異型AAV6キャプシドY731F/Y705F/T492V形態を含むAAV6バリアント)、-7、-8、-9、-10、例えば、-cy10及び-rh10、-rh74、-dj、Anc80、LK03、AAV2i8、ブタAAV、例えば、AAVpo4及びAAVpo6、並びにAAV血清型等の血清型のチロシン、リシン、及びセリンキャプシド突然変異体のものである。具体的な実施形態において、AAVベクターは、AAV8、AAV9、AAVrh74、又はAAV2i8血清型のものである(すなわち、AAVベクターは、AAV8、AAV9、AAVrh74、又はAAV2i8血清型のキャプシドを有する)。更に具体的な実施形態において、AAVベクターは、シュードタイプベクターである、すなわち、そのゲノム及びキャプシドは、異なる血清型のAAVに由来する。例えば、シュードタイプAAVベクターは、そのゲノムが上述のAAV血清型のうちの1つに由来し、そのキャプシドが別の血清型に由来する、ベクターであり得る。例えば、シュードタイプベクターのゲノムは、AAV8、AAV9、AAVrh74、又はAAV2i8血清型に由来するキャプシドを有し得、そのゲノムは、異なる血清型に由来し得る。具体的な実施形態において、AAVベクターは、AAV8、AAV9、又はAAVrh74血清型、具体的には、AAV8又はAAV9血清型、より具体的には、AAV8血清型のキャプシドを有する。
【0167】
特定の実施形態において、ベクターが、導入遺伝子を筋肉細胞に送達するのに使用するためのものである場合、AAVベクターは、とりわけ、AAV8、AAV9、及びAAVrh74からなる群において選択され得る。
【0168】
別の特定の実施形態において、ベクターが、導入遺伝子を肝臓細胞に送達するのに使用するためのものである場合、AAVベクターは、とりわけ、AAV5、AAV8、AAV9、AAV-LK03、AAV-Anc80、及びAAV3Bからなる群において選択され得る。
【0169】
別の実施形態において、キャプシドは、改変されたキャプシドである。本発明の状況において、「改変されたキャプシド」は、キメラキャプシド、又は1つ若しくは複数の野生型AAV VPキャプシドタンパク質に由来する1つ若しくは複数のバリアントVPキャプシドタンパク質を含むキャプシドであり得る。
【0170】
具体的な実施形態において、AAVベクターは、キメラベクターである、すなわち、そのキャプシドは、少なくとも2つの異なるAAV血清型に由来するVPキャプシドタンパク質を含むか、又は少なくとも2つのAAV血清型に由来するVPタンパク質領域若しくはドメインを組み合わせた少なくとも1つのキメラVPタンパク質を含む。肝臓細胞に形質導入するのに有用なそのようなキメラAAVベクターの例は、Shenら、Molecular Therapy、2007及びTenneyら、Virology、2014に記載されている。例えば、キメラAAVベクターは、AAV8キャプシド配列と、AAV8血清型とは異なるAAV血清型、例えば、上記に具体的に言及されているもののうちのいずれかの配列との組合せにより、導出され得る。別の実施形態において、AAVベクターのキャプシドは、1つ又は複数のバリアントVPキャプシドタンパク質、例えば、国際公開第2015013313号に記載されるもの、具体的には、高い肝臓指向性を呈する、RHM4-1、RHM15-1、RHM15-2、RHM15-3/RHM15-5、RHM15-4、及びRHM15-6キャプシドバリアントを含む。
【0171】
別の実施形態において、改変されたキャプシドは、エラープローンPCR及び/又はペプチド挿入(例えば、Bartelら、2011に記載される)によって挿入されるキャプシド改変によっても導出され得る。加えて、キャプシドバリアントは、単一アミノ酸変更、例えば、チロシン突然変異体(例えば、Zhongら、2008に記載される)を含み得る。
【0172】
加えて、AAVベクターのゲノムは、一本鎖又は自己相補性二本鎖ゲノムのいずれであってもよい(McCartyら、Gene Therapy、2003)。自己相補性二本鎖AAVベクターは、AAV末端反復のうちの1つから末端分解部位(trs)を欠失させることによって生成される。複製ゲノムが野生型AAVゲノムの長さの半分であるこれらの改変されたベクターは、DNA二量体をパッケージングする傾向を有する。好ましい実施形態において、本発明の実施において実装されるAAVベクターは、一本鎖ゲノムを有し、更に好ましくは、AAV8、AAV9、AAVrh74、又はAAV2i8キャプシド、具体的には、AAV8、AAV9、又はAAVrh74キャプシド、例えば、AAV8又はAAV9キャプシド、より具体的には、AAV8キャプシドを含む。
【0173】
具体的な実施形態において、本発明は、一本鎖又は二本鎖の自己相補性ゲノム(例えば、一本鎖ゲノム)において、本発明の核酸コンストラクトを含む、AAVベクターに関する。一実施形態において、AAVベクターは、AAV8、AAV9、AAVrh74、又はAAV2i8キャプシド、具体的には、AAV8、AAV9、又はAAVrh74キャプシド、例えば、AAV8又はAAV9キャプシド、より具体的には、AAV8キャプシドを含む。更に具体的な実施形態において、前記核酸は、プロモーター、特に、遍在性プロモーター又は肝臓特異的プロモーターに作動可能に連結される。特定の変化形実施形態によると、プロモーターは、遍在性プロモーター、例えば、サイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリベータアクチン(CAG)プロモーター、サイトメガロウイルスエンハンサー/プロモーター(CMV)、PGKプロモーター、及びSV40初期プロモーターである。特定の変化形において、遍在性プロモーターは、CAGプロモーターである。別の変化形によると、プロモーターは、肝臓特異的プロモーター、例えば、アルファ-1抗トリプシンプロモーター(hAAT)、トランスサイレチンプロモーター、アルブミンプロモーター、及びサイロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーターである。特定の変化形において、肝臓特異的プロモーターは、配列番号23のhAAT肝臓特異的プロモーターである。更に具体的な実施形態において、本発明のAAVベクターのゲノムに含まれる核酸コンストラクトは、上述のイントロン、例えば、プロモーターと本発明のキメラポリペプチドをコードする核酸配列との間に配置されるイントロンを更に含む。AAVベクターゲノム内に導入される核酸コンストラクト内に含まれ得る代表的なイントロンとしては、限定することなく、ヒトベータグロビンb2(又はHBB2)イントロン、FIXイントロン、及びニワトリベータ-グロビンイントロンが挙げられる。AAVベクターのゲノム内の前記イントロンは、古典的(若しくは改変されていない)イントロン、又は前記イントロン内の代替的オープンリーディングフレーム(ARF)の数を減少させるか、若しくは更には完全に除去するように設計された改変されたイントロンであってもよい。本発明の核酸がAAVベクター内に導入されるこの実施形態の実施に使用することができる改変されたイントロン及び改変されていないイントロンは、上記で詳細に説明されている。具体的な実施形態において、本発明のAAVベクター、具体的には、AAV8、AAV9、AAVrh74、又はAAV2i8キャプシド、具体的には、AAV8、AAV9、又はAAVrh74キャプシド、例えば、AAV8又はAAV9キャプシド、より具体的には、AAV8キャプシドを含む、AAVベクターは、そのゲノム内に、改変された(又は最適化された)イントロン、例えば、配列番号26の改変されたHBB2イントロン、配列番号28の改変されたFIXイントロン、及び配列番号30の改変されたニワトリベータ-グロビンイントロンを含む。更に具体的な実施形態において、本発明のベクターは、AAV8、AAV9、AAVrh74、又はAAV2i8キャプシド、具体的には、AAV8、AAV9、又はAAVrh74キャプシド、例えば、AAV8又はAAV9キャプシド、より具体的には、AAV8キャプシドを含むAAVベクターであり、5'から3'の配向で、AAV 5'-ITR(例えば、AAV2 5'-ITR)、ApoE制御領域、hAAT肝臓特異的プロモーター、HBB2イントロン(具体的には、上記に定義される改変されたHBB2イントロン)、キメラポリペプチド、具体的にはキメラGAAポリペプチドをコードする本発明の核酸分子、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル、及びAAV 3'-ITR(例えば、AAV2 3'-ITR)を含むゲノム、例えば、AAV 5'-ITR(例えば、AAV2 5'-ITR)及びAAV 3'-ITR(例えば、AAV2 3'-ITR)がZ隣接する配列番号41~43に示される核酸コンストラクトを含むゲノムを含む。
【0174】
本発明の具体的な実施形態において、本発明の核酸コンストラクトは、上述の肝臓特異的プロモーターを含み、ベクターは、上述のように肝臓組織又は細胞に形質導入することができるウイルスベクターである。この実施形態により、肝細胞においてGAAの分泌性形態を発現し、タンパク質に対する免疫寛容を誘導する、高度に効率的かつ最適化されたベクターが生じるように、肝臓の寛容原性促進特性及び代謝特性が有利に実装される。
【0175】
加えて、更に具体的な実施形態において、本発明は、目的の細胞における遺伝子送達及び処置有効性を改善するために、2つのベクター、例えば、2つのウイルスベクター、具体的には、2つのAAVベクターの組合せを提供する。例えば、2つのベクターは、これらの2つのベクターのそれぞれに、1つの異なるプロモーターの制御下において本発明のキメラポリペプチドをコードする本発明の核酸分子を保持し得る。具体的な実施形態において、一方のベクターは、肝臓特異的プロモーター(上述のもののうちの1つのような)であるプロモーターを含み、他方のベクターは、グリコーゲン貯蔵障害の処置のための目的とされる別の組織に特異的なプロモーター、例えば、筋肉特異的プロモーター、例えば、デスミンプロモーターを含む。この実施形態の具体的な変化形において、ベクターのこの組合せは、国際公開第2015196179号に記載されるように産生される複数の共パッケージングされるAAVベクターに相当する。
【0176】
4-キメラGAAポリペプチド
別の態様において、本発明は、上述の本発明の核酸分子によってコードされるキメラポリペプチドを提供する。具体的には、キメラポリペプチドは、1つ又は複数の異種ドメインに融合された機能性GAAポリペプチドを含むキメラGAAポリペプチドであり、異種ドメインのうちの少なくとも1つは、上記に定義されるソーティリン受容体のリガンドである。具体的な実施形態において、キメラGAAポリペプチドは、配列番号35~37に示される配列を有するか、又は配列番号35~37に示される配列に対して少なくとも90%の同一性、具体的には、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の同一性を有するその機能性誘導体である。
【0177】
具体的な実施形態において、キメラポリペプチド、具体的には、キメラGAAポリペプチドは、CNS(例えば、脊髄及び脳)、具体的には、脳におけるグリコーゲン量を低減させることができる。具体的な実施形態において、キメラポリペプチド、具体的には、キメラGAAポリペプチドは、上述のように1つ又は複数の異種ドメインに融合されていない非キメラポリペプチド、具体的には、非キメラGAAポリペプチドと比較して、CNS(例えば、脊髄及び脳)、具体的には、脳におけるグリコーゲン量の低減の改善をもたらす。
【0178】
5-細胞
本発明はまた、エキソビボ遺伝子療法と同様に、本発明の核酸分子又はコンストラクトが形質導入された単離された細胞、例えば、肝臓細胞にも関する。したがって、本発明は、本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、又はベクターを含む、単離された細胞、例えば、肝臓細胞に関する。
【0179】
本発明の細胞は、それを必要とする対象、例えば、GAA欠損患者に、任意の適切な投与経路、例えば、前記対象の肝臓又は血流への注射によって送達され得る。具体的な実施形態において、本発明は、本発明の核酸を、肝臓細胞、具体的には、処置しようとする対象の肝臓細胞に導入すること、及び核酸が導入されている前記形質転換された肝臓細胞を、対象に投与することを含む。有益なことに、この実施形態は、前記細胞からGAAを分泌させるのに有用である。具体的な実施形態において、肝臓細胞は、処置しようとする患者から得られた肝臓細胞であるか、又は続いて患者に投与するために、更に形質転換され、インビトロで肝臓細胞に分化した、肝臓幹細胞である。
【0180】
本発明は、更に、そのゲノムに本発明によるキメラポリペプチドをコードする本発明の核酸分子又はコンストラクトを含む、トランスジェニック非ヒト動物に関する。具体的な実施形態において、動物は、マウスである。
【0181】
以下において実施例で具現化される特定の送達系とは別に、例えば、リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセル、本発明の核酸配列を発現することができる組換え細胞へのカプセル封入、受容体に媒介されるエンドサイトーシス、レトロウイルス又は他のベクターの一部としての治療用核酸の構築等、様々な送達系が公知であり、本発明の核酸分子又はコンストラクトを投与するために使用することができる。
【0182】
ある実施形態によると、本発明のキメラポリペプチド、核酸分子、核酸コンストラクト、又は単離された細胞を、任意の好適な経路によって対象の肝臓に導入することが望ましい場合がある。加えて、ネイキッドDNA、例えば、ミニサークル及びトランスポゾンを、送達又はレンチウイルスベクターに使用することができる。更に、遺伝子編集技術、例えば、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALEN、及びCRISPRもまた、本発明のコーディング配列を送達するのに使用することができる。
【0183】
6-医薬組成物
本発明はまた、本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラポリペプチド、又は単離された細胞を含む、医薬組成物を提供する。そのような組成物は、治療有効量の治療薬(本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラポリペプチド、又は細胞)と、薬学的に許容される担体とを含む。特定の実施形態において、「薬学的に許容される」という用語は、動物及びヒトにおける使用に関して、連邦政府若しくは州政府の規制当局、又は米国若しくは欧州薬局方、又は他の一般に認識されている薬局方によって承認されていることを意味する。「担体」という用語は、治療薬と一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。そのような薬学的担体は、滅菌の液体、例えば、水及び油であり得、これには、石油、動物、植物、又は合成起源のもの、例えば、ピーナツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等が含まれる。医薬組成物が静脈内投与される場合には、水が、好ましい担体である。生理食塩水並びにデキストロース及びグリセロール水溶液もまた、特に、注射用溶液のための液体担体として利用することができる。好適な薬学的賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等が挙げられる。
【0184】
組成物は、所望される場合、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝化剤も含有し得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤等の形態を取り得る。経口製剤は、標準的な担体、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等を含み得る。好適な薬学的担体の例は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」E. W. Martin著に記載されている。そのような組成物は、治療有効量の治療薬、好ましくは、精製された形態のものを、対象への適切な投与のための形態を提供するのに好適な量の担体と一緒に含有するであろう。具体的な実施形態において、本発明の核酸、ベクター、又は細胞は、0.25%のヒト血清アルブミンが補充されたリン酸緩衝食塩水を含む組成物において、製剤化される。別の具体的な実施形態において、本発明の核酸、ベクター、又は細胞は、組成物の総質量を基準として0.01~0.0001%の最終濃度、例えば、0.001%の濃度で乳酸リンガー液及び非イオン性界面活性剤、例えば、プルロニックF68を含む組成物において、製剤化される。製剤は、血清アルブミン、具体的には、ヒト血清アルブミン、例えば、0.25%のヒト血清アルブミンを更に含み得る。保管又は投与のいずれかのための他の適切な製剤は、当該技術分野において、具体的には、国際公開第2005/118792号又はAllayら、2011から、公知である。
【0185】
好ましい実施形態において、組成物は、日常的な手順に従って、ヒトへの静脈内投与に適合される医薬組成物として製剤化される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要があれば、組成物は、可溶化剤及び局所麻酔薬、例えば、リグノカインを、注射部位の痛みを和らげるために含んでもよい。
【0186】
7-投与及び使用
ある実施形態において、本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラポリペプチド、又は細胞は、小胞、具体的には、リポソームにおいて、送達され得る。更に別の実施形態において、本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラポリペプチド、又は細胞は、制御放出系において、送達され得る。
【0187】
本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラポリペプチド、又は細胞の投与の方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、及び経口の経路が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態において、投与は、静脈内経路又は筋肉内経路を介して行われる。本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラポリペプチド、又は細胞は、ベクター処理されているかどうかにかかわらず、任意の便宜的な経路によって、例えば、注入又はボーラス注射によって、上皮内層又は皮膚粘膜の内側(例えば、口腔粘膜、直腸、及び腸管粘膜等)からの吸収によって投与することができ、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与されてもよい。投与は、全身的であっても局所的であってもよい。
【0188】
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物を、処置を必要とする領域、例えば、肝臓に、局所的に投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、埋込み片を用いて達成することができ、前記埋込み片は、多孔質、非孔質、又はゼラチン状の材料であり、これには、膜、例えば、シアラスティック(sialastic)膜、又は線維が挙げられる。
【0189】
疾患、具体的には、グリコーゲン貯蔵疾患の処置において有効であろう本発明の治療薬(すなわち、本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラポリペプチド、又は単離された細胞)の量は、標準的な臨床技法によって決定され得る。加えて、インビボ及び/又はインビトロアッセイを、任意選択で利用して、最適な投薬量範囲の予測に役立ててもよい。また、製剤において利用される正確な用量は、投与経路、及び疾患の重症度に依存し、医療従事者の判断及びそれぞれの患者の状況に応じて決定されるべきである。それを必要とする対象に投与される本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラポリペプチド、又は細胞の投薬量は、限定することなく、投与経路、処置される具体的な疾患、対象の年齢、又は治療効果を得るために必要な発現のレベルを含む、いくつかの要因に基づいて変動するであろう。当業者であれば、この分野における知識に基づいて、これらの要因及びその他のものに基づいて必要とされる投薬量範囲を容易に決定することができる。ウイルスベクター、例えば、AAVベクターを対象に投与することを含む処置の場合、ベクターの典型的な用量は、体重1キログラム当たり少なくとも1×108ベクターゲノム(vg/kg)、例えば、少なくとも1×109vg/kg、少なくとも1×1010vg/kg、少なくとも1×1011vg/kg、少なくとも1×1012vg/kg、少なくとも1×1013vg/kg、又は少なくとも1×1014vg/kgである。
【0190】
本発明は更に、治療有効量の本発明の核酸、ベクター、キメラポリペプチド、医薬組成物、又は細胞を、それを必要とする対象に送達する工程を含む、リソソーム貯蔵疾患を処置するための方法に関する。
【0191】
具体的な実施形態において、リソソーム疾患には、神経症状が関係する。
【0192】
具体的には、リソソーム疾患は、グリコーゲン貯蔵疾患(GSD)、例えば、ポンペ病、ムコ多糖症I型(MPSI)、ムコ多糖症II型(MPSII)、ムコ多糖症IIIA型(MPSIIIA)、ムコ多糖症IIIB型(MPSIIIB)、ムコ多糖症IIIC型(MPSIIIC)、ムコ多糖症IIID型(MPSIIID)、ムコ多糖症VII型(MPSVII)、異染性白質ジストロフィー(MLD)、ゴーシェ病2型、ゴーシェ病3型、GM1ガングリオシドーシス、テイ・サックス病、サンドホフ病、ファブリー病、クラッベ病、ニーマン・ピック病A型、異染性白質ジストロフィー、ファーバー病、α-マンノシドーシス、β-マンノシドーシス、シンドラー病、シアリドーシス、神経セロイドリポフスチン沈着症1型(NCL1)、神経セロイドリポフスチン沈着症2型(NCL2)、多種スルファターゼ欠損症(MSD)、ムコリピドーシスII型、ムコリピドーシスIIIA型、ガラクトシアリドーシス、ニーマン・ピック病C型、GM2活性化タンパク質欠損症、ダノン病、サラ病、NCL3病、又はムコリピドーシスIV型であり得る。
【0193】
具体的な実施形態において、疾患は、グリコーゲン貯蔵疾患、具体的には、GSDII(ポンペ病)である。
【0194】
本発明はまた、治療有効量の本発明の核酸、ベクター、キメラポリペプチド、医薬組成物、又は細胞を、それを必要をとする対象に送達する工程を含む、CNS(例えば、脊髄及び/又は脳)、具体的には、脳におけるグリコーゲン量を低減させるための方法に関する。
【0195】
具体的な実施形態において、本発明は、治療有効量の本発明の核酸、ベクター、キメラGAAポリペプチド、医薬組成物、又は細胞を、それを必要とする対象に送達する工程を含む、グリコーゲン貯蔵疾患を処置するための方法に関する。
【0196】
本発明はまた、グリコーゲン貯蔵疾患を処置するための方法であって、前記方法が、導入遺伝子(すなわち、キメラGAAポリペプチド)に対する免疫応答を誘導しないか、又は導入遺伝子に対する低減された免疫応答を誘導し、治療有効量の本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、キメラポリペプチド、ベクター、医薬組成物、又は細胞を、それを必要とする対象に送達する工程を含む、方法に関する。本発明はまた、グリコーゲン貯蔵疾患を処置するための方法であって、前記方法が、治療有効量の本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、キメラポリペプチド、ベクター、医薬組成物、又は細胞の、それを必要とする対象への反復投与を含む、方法に関する。この態様において、本発明の核酸分子又は核酸コンストラクトは、肝臓細胞において機能性であるプロモーターを含み、それによって、そこから産生される発現されるキメラGAAポリペプチドに対する免疫寛容が可能となる。同様に、この態様では、この態様において使用される医薬組成物は、肝臓細胞において機能性であるプロモーターを含む核酸分子又は核酸コンストラクトを含む。肝臓細胞の送達の場合、前記細胞は、処置を必要とする対象から事前に採取され、本発明の核酸分子又は核酸コンストラクトを中に導入することによって操作されており、それによって、本発明のキメラGAAポリペプチドを産生することができるようになっている、細胞であり得る。ある実施形態によると、反復投与を含む態様において、前記投与は、少なくとも1回又は複数回反復されてもよく、更には、周期的スケジュールに従って、例えば、1週間、1ヶ月、又は1年間に1回で、行われることが考慮されてもよい。また、周期的スケジュールは、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、若しくは10年間に、又は10年間よりも長くに1回の投与を含み得る。別の具体的な実施形態において、本発明のウイルスベクターのそれぞれの投与の投与は、それぞれの連続する投与について、異なるウイルスを使用して行われ、それによって、前に投与されたウイルスベクターに対する可能性のある免疫応答に起因する有効性の低減を回避する。例えば、AAV8キャプシドを含むウイルスベクターの第1の投与が行われ、続いて、AAV9キャプシドを含むベクターの投与、又は更にはAAVとは無関係のウイルス、例えば、レトロウイルス若しくはレンチウイルスベクターの投与が行われ得る。
【0197】
本発明はまた、グリコーゲン貯蔵疾患を処置するための方法であって、治療有効量の本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラGAAポリペプチド、医薬組成物、又は細胞を、それを必要とする対象に送達する工程を含む、方法に関する。導入遺伝子を使用して、高いレベルのGAAタンパク質を産生させることができ、血漿及び/又は組織、例えば、骨格筋におけるGAA活性を改善すること等の治療的利点を提供する。本発明はまた、グリコーゲン貯蔵疾患を処置するための方法であって、前記方法が、治療有効量の本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラGAAポリペプチド、医薬組成物、又は細胞の、それを必要とする対象への反復投与を含む、方法に関する。この態様において、本発明の核酸分子又は核酸コンストラクトは、肝臓細胞において機能性であるプロモーターを含み、それによって、そこから産生される発現されるキメラGAAポリペプチドに対する免疫寛容が可能となる。同様に、この態様では、この態様において使用される医薬組成物は、肝臓細胞において機能性であるプロモーターを含む核酸分子又は核酸コンストラクトを含む。肝臓細胞の送達の場合、前記細胞は、処置を必要とする対象から事前に採取され、本発明の核酸分子又は核酸コンストラクトを中に導入することによって操作されており、それによって、本発明のキメラGAAポリペプチドを産生することができるようになっている、細胞であり得る。ある実施形態によると、反復投与を含む態様において、前記投与は、少なくとも1回又は複数回反復されてもよく、更には、周期的スケジュールに従って、例えば、1週間、1ヶ月、又は1年間に1回で、行われることが考慮されてもよい。また、周期的スケジュールは、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、若しくは10年間に、又は10年間よりも長くに1回の投与を含み得る。別の具体的な実施形態において、本発明のウイルスベクターのそれぞれの投与の投与は、それぞれの連続する投与について、異なるウイルスを使用して行われ、それによって、前に投与されたウイルスベクターに対する可能性のある免疫応答に起因する有効性の低減を回避する。例えば、AAV8キャプシドを含むウイルスベクターの第1の投与が行われ、続いて、AAV9キャプシドを含むベクターの投与、又は更にはAAVとは無関係のウイルス、例えば、レトロウイルス若しくはレンチウイルスベクターの投与が行われ得る。
【0198】
本発明によると、処置には、治癒的作用、緩和作用、又は予防的作用が含まれ得る。したがって、治療的及び予防的処置には、特定のグリコーゲン貯蔵疾患の症状の緩和、予防、又はそれ以外には特定のグリコーゲン貯蔵疾患を発症する危険性を低減することが含まれる。「予防的」という用語は、特定の状態の重症度又は発症を低減させることと考えることができる。「予防的」はまた、以前に特定の状態が診断されている患者においてその状態の再発を予防することも含む。「治療的」はまた、既存の状態の重症度を低減させることを含み得る。「処置」という用語は、本明細書において使用される場合、動物、具体的には、哺乳動物、より具体的にはヒト対象に有益であり得る任意のレジメンを指す。
【0199】
本発明はまた、グリコーゲン貯蔵疾患の処置のためのエキソビボ遺伝子療法であって、本発明の核酸分子又は核酸コンストラクトを、それを必要とする患者の単離された細胞、例えば、単離された造血幹細胞に導入すること、及び前記細胞を、それを必要とする前記患者に導入することを含む、方法に関する。この態様の具体的な実施形態において、核酸分子又はコンストラクトは、上記に定義されるベクターを用いて、細胞に導入される。具体的な実施形態において、ベクターは、組込みウイルスベクターである。更に具体的な実施形態において、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクターである。例えば、van Tilら、2010、Blood、115(26)、5329頁に開示されるレンチウイルスベクターは、本発明の方法における実施で使用され得る。
【0200】
本発明はまた、医薬として使用するための、本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラGAAポリペプチド、又は細胞に関する。
【0201】
本発明はまた、GAA遺伝子における突然変異によって引き起こされる疾患を処置するための方法、具体的には、ポンペ病を処置するための方法において使用するための、本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラGAAポリペプチド、又は細胞に関する。本発明は、更に、グリコーゲン貯蔵疾患、例えば、GSDI(フォン・ギールゲ病)、GSDII(ポンペ病)、GSDIII(コーリ病)、GSDIV、GSDV、GSDVI、GSDVII、GSDVIII、及び心臓の致死性先天性グリコーゲン貯蔵疾患、より具体的には、GSDI、GSDII、又はGSDIII、更により具体的には、GSDII及びGSDIII、もっとも具体的には、GSDIIを処置するための方法において使用するための、本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラGAAポリペプチド、又は細胞に関する。本発明のキメラGAAポリペプチドは、酵素補充療法(ERT)において使用するため、例えば、グリコーゲン貯蔵疾患のうちの1つ、例えば、GSDIII(コーリ病)の酵素補充療法だけでなく、GSD-IV、-VI、-IX、-XI、及びAMP活性化タンパク質キナーゼガンマサブユニット2欠損症に起因する心グリコーゲン原性において使用するために、それを必要とする患者に投与され得る。
【0202】
本発明は、更に、グリコーゲン貯蔵疾患、例えば、GSDI(フォン・ギールゲ病)、GSDII(ポンペ病)、GSDIII(コーリ病)、GSDIV、GSDV、GSDVI、GSDVII、GSDVIII、及び心臓の致死性先天性グリコーゲン貯蔵疾患、より具体的には、GSDI、GSDII、又はGSDIII、更により具体的には、GSDII及びGSDIII、もっとも具体的には、GSDIIを処置するのに有用な医薬の製造における、本発明の核酸分子、核酸コンストラクト、ベクター、キメラGAAポリペプチド、又は細胞の使用に関する。
【実施例
【0203】
材料及び方法
GAA発現カセット及びAAVベクター
この研究において使用されるGAA導入遺伝子発現カセットは、コドン最適化されたヒトGAA(hGAA)コーディング配列を含んでいた[Puzzo F.ら、Sci Transl Med. 2017 Nov 29;9(418)]。コドン最適化は、市販のアルゴリズム(Thermo Fisher Scientific)を使用して行った[Puzzo F.ら、Sci Transl Med. 2017 Nov 29;9(418)]。異種ドメイン(スパジン、ApoE、ApoB)を、図1に示されるように、GAA導入遺伝子のN末端にクローニングした。導入遺伝子配列を、アポリポタンパク質E(肝細胞制御領域エンハンサー)及びヒトアルファ1-抗トリプシン(hAAT)プロモーターによる転写制御下において、AAVベクター骨格にクローニングした。この研究において使用したすべてのDNA配列は、GeneCust又はThermo Fisher Scientificのいずれかによって合成されたものであった。
【0204】
この研究において使用したAAVベクターは、記載されるHEK293細胞のアデノウイルスを用いない一過的トランスフェクション法を使用して産生された[Puzzo Fら、Sci Transl Med. 2017 Nov 29;9(418)]。AAVベクターストックの力価は、定量的リアルタイムPCR(qPCR)及びSDS-PAGE、続いてSYPRO Rubyタンパク質ゲル染色及びバンド濃度測定を使用して判定した。この研究において使用したすべてのベクター調製物は、使用前に、並列で定量化した。AAVゲノムに対するqPCRに使用したプライマーを、BGHポリA(順方向:tctagttgccagccatctgttgt(配列番号44)、逆方向:tgggagtggcaccttcca(配列番号45)、及びコドン最適化hGAA(順方向:agatacgccggacattggactg(配列番号46)、逆方向:gcacgcccagcagattgaac(配列番号47)にアニーリングした。使用したAAV血清型は、AAV8である(Zincarelliら、Mol Ther. 2008 Jun;16(6):1073-80)。
【0205】
インビトロ実験
ヒト肝臓癌細胞(HuH7)を、6ウェルプレートに播種し(5×105個の細胞/ウェル)、リポフェクタミン3000(Thermo Fisher Scientific)を製造業者の説明書に従って使用して、トランスフェクトした。トランスフェクションの72時間後に、細胞を採取し、GAA活性及びウエスタンブロット分析に関して分析した。
【0206】
酵素取り込み実験については、HuH7細胞を、T75ウェルプレートに播種し(1×107個の細胞/ウェル)、リポフェクタミン3000(Thermo Fisher Scientific)を製造業者の説明書に従って使用して、トランスフェクトした。トランスフェクションの72時間後に、HuH7順化培地を採取し、それを使用して、ポンペ病患者に由来する線維芽細胞を培養した(GMO 20124 GSDII 3p)。72時間培養した後、線維芽細胞を、PBSで3回洗浄し、採取し、ウエスタンブロット分析に関して分析した。
【0207】
マウス研究
野生型C57BL/6マウスを、Charles River(Charles River、France)から購入した。Gaa-/-マウスを、エクソン6の標的化破壊によって生成した(Raben N.ら、J Biol Chem. 1998 Jul 24;273(30):19086-92)。C57BL/6J/129X1/SvJバックグラウンドのGaa-/-マウスを使用した。雄性の同腹仔の罹患Gaa-/-マウス及び非罹患Gaa+/+マウスを使用した。AAVベクターを、0.2mlの体積で、尾静脈を介して、1.生体マウスに送達した。実験群は、統計学的分析を可能にするようにサイズ決定し、すべての動物を分析に含め、排除した外れ値はなかった。マウスを、実験群にランダムに割り当て、ベクター送達及び機能性分析を行う担当者には、群の同一性に関して盲検とした。
【0208】
GAA活性
GAA活性を、マウス血漿(1/1000~1/2000希釈)及び組織において測定した。瞬間凍結組織を、di UltraPure(商標)DNase/RNase不含蒸留水(Thermo Fisher Scientific)においてホモジナイズした。50~100mgの組織を計量し、ホモジナイズした後、10000×gで20分間遠心分離して、上清を回収した。酵素反応は、96ウェルプレートにおいて、10μlのサンプル(血漿又は組織ホモジネート)及び20μlの基質-4MU-アルファ-D-グルコシドを使用して設定した。反応混合物を、37℃で1時間インキュベートし、次いで、150μlの炭酸ナトリウム緩衝液pH10.5を添加することによって停止させた。標準曲線(0~2500pmol/μlの4MU)を使用して、449nm(放出)及び360nm(励起)で、EnSpireアルファプレートリーダー(Perkin-Elmer)を使用して、個々の反応混合物から放出された蛍光性4MUを測定した。清浄化した上清のタンパク質濃度を、BCA(Thermo Fisher Scientific)によって定量化した。GAA活性を計算するために、放出された4MUの濃度を、サンプルタンパク質濃度で除し、活性を、nmol/時間/タンパク質mgとして報告した。
【0209】
ウエスタンブロット分析
HuH7及び線維芽細胞の細胞ライセートを、1%のTriton-X100及びプロテアーゼ阻害剤(Roche Diagnosis)を含有する10mM PBS(pH7.4)を使用して調製した。マウス血漿のウエスタンブロットを、蒸留水中に1:4希釈したサンプルに行った。マウス組織を、GAA活性に関して示されているように調製した。タンパク質濃度を、BCAタンパク質アッセイ(Thermo Fisher Scientific)を使用して判定した。SDS-page電気泳動を、4~12%ポリアクリルアミドゲルにおいて行った。転写後に、膜をOdyssey緩衝液(Li-Cor Biosciences)でブロッキングし、抗GAA抗体(ウサギモノクローナル、Abcam)又は抗ビンクリン(マウスモノクローナル、Sigma Aldrich)とともにインキュベートした。膜を洗浄し、適切な二次抗体(Li-Cor Biosciences)とともにインキュベートし、Odysseyイメージングシステム(Li-Cor Biosciences)によって視覚化した。
【0210】
抗GAA抗体の検出
抗GAA抗体測定を、公開されているプロトコールに従って行った。簡単に述べると、maxisorp 96ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific)を、1μg/mlのrhGAAでコーティングした。IgG標準曲線を、二連でウェルに直接的にコーティングした市販のマウス(Sigma Aldrich)組換えIgGの1~2連続希釈物によって作製した。抗マウス(Southern biotech)IgG二次抗体を、二次抗体として使用した。
【0211】
結果
1.AAVプラスミドにおけるGAAバリアントのクローニング
本発明者らは、GAAのCNS標的化を改善するために、まず、5つの異種ドメインを選択した:1.アポリポタンパク質Bドメイン(ApoB)、2.アポリポタンパク質Eドメイン(ApoE)、3.スパジン、4.ニューロテンシンアミノ酸1~13(NT1-13)、ニューロテンシンアミノ酸9~13(NT9-13)。ApoB及びApoEドメインは、LDL受容体のリガンドであり、タンパク質にコンジュゲートした場合にCNS標的化を増強することがこれまでに説明されている(Bockenhoff A.ら、J. Neurosci.、2014、第34巻、9号、3122~3129頁;Sorrentino N.C.ら、EMBO Mol. Med.、2013、第5巻、5号、675~690頁;Spencerら、PNAS 2007、第104巻、18号、7594~7599頁;Gleitz H.F.E.ら、EMBO Mol Med. 2018)。ソーティリンリガンドであるスパジンペプチド、NT1-13、及びNT9-13は、それとは異なり、これまでに他のタンパク質とコンジュゲートされたことがない、かつ/又はCNSへの標的化に利用されたことはない。
【0212】
ApoB、ApoE、スパジン、NT1-13、及びNT9-13ペプチドを、sp7-Δ42-GAAcoバリアントのN末端に挿入して[Puzzo F.ら、Sci Transl Med. 2017 Nov 29;9(418)、特許出願国際公開第2018/046774号)]、sp7-ApoB-Δ42-GAAcoバリアント(HD-ApoBと略される)、sp7-ApoE-Δ42-GAAcoバリアント(HD-ApoEと略される)、sp7-スパジン-Δ42-GAAcoバリアント(HD-スパジンと略される)、sp7-NT1-13-Δ42-GAAcoバリアント(HD-NT1-13と略される)スパジン)、sp7-NT9-13-Δ42-GAAcoバリアント(HD-NT9-13と略される)を生成した(図1)。アミノ酸リンカー(3アミノ酸、Maga JAら、J Biol Chem. 2013;288(3):1428-1438.)を、安定性ドメインとGAAとの間に配置して、適切な酵素フォールディングを確保した(図1)。
【0213】
肝臓における効率的な発現を達成するために、すべてのsp7-Δ42-GAAcoバリアントを、ヒトアルファ-1抗トリプシン(hAAT)プロモーターとともに肝細胞制限アポリポタンパク質(ApoE)エンハンサーの制御下において、発現カセットにクローニングした。sp7-Δ42-GAAcoバリアントをコードするすべての導入遺伝子発現カセットは、これまでに説明されている同じ制御エレメントを含有していた[Puzzo F.ら、Sci Transl Med. 2017 Nov 29;9(418)、図1):
- ウイルスゲノムのパッケージングに必要とされるAAV2に由来する2つのITR配列を含む、AAVシス-パッケージング骨格
- アポリポタンパク質E(ApoE)肝細胞制御領域エンハンサー
- 肝細胞特異的ヒトアルファ1-抗トリプシン(hAAT)プロモーター
- mRNAを安定化させ、タンパク質発現を増強させるための、ヒトヘモグロビンβ-サブユニット合成イントロン(HBB2.1)
- 内因性シグナルペプチドが欠如したGAAコーディング配列のコドン最適化バージョン
- GAA分泌を可能にするための異種シグナルペプチド(sp7)
- ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル。
【0214】
2.ヒト肝細胞培養物におけるGAAバリアントの分析
異種ドメインを有するGAAバリアント[sp7-ApoB-Δ42-GAAco(HD-ApoB)、sp7-ApoE-Δ42-GAAco(HD-ApoE)、sp7-スパジン-Δ42-GAAco(HD-スパジン)、sp7-NT1-13-Δ42-GAAco(HD-NT1-13)、sp7-NT9-13-Δ42-GAAcoバリアント(HD-NT9-13)]の産生及び酵素活性を、まず、それぞれのpAAVプラスミドの一過的トランスフェクションによって、培養物中のヒト肝細胞細胞株(HuH7)において試験した。異種ドメインが欠如したバリアント(sp7-Δ42-GAAco、HD0と略される)を、陽性対照として使用した。HuH7細胞の3回の独立した一過性トランスフェクションを行った(図2)。細胞を、トランスフェクションから72時間後に採取し、GAA酵素活性を、細胞ライセートにおいて測定した(図2)。HD0と比較して、HD-スパジン、HD-NT1-13、及びHD-NT9-13バリアントだけが、適切な酵素産生及び成熟を示す、細胞ライセートにおける酵素活性の保存を示した(図2)。細胞における検出不能なGAA活性という結果を得たHD-ApoE(図2)には、更なる分析は行わなかった。
【0215】
3.AAVに媒介される肝臓遺伝子移入後のGAAノックアウト(GAA-/-)マウスポンペ病モデルにおけるGAAバリアントの分析
本発明者らは、AAV肝臓遺伝子移入後のGaa-/-マウスポンペ病モデルにおいて、キメラHD-ApoB及びHD-スパジンGAAバリアントの治療有効性を試験した。本発明者らは、それぞれのバリアント:sp7-ApoB-Δ42-GAAco(HD-ApoB)及びsp7-スパジン-Δ42-GAAco(HD-スパジン)をコードするAAV8ベクターを生成した。異種ドメインが欠如したGAAバリアントsp7-Δ42-GAAco(HD0)をコードするAAV8ベクターを、陽性対照として使用した。AAV8ベクターを、マウス肝細胞に効率的に導入されるように生成した。2ヶ月齢のGaa-/-マウス(n=6匹/群)に、HD-ApoB、HD-スパジン、又は比較としてのHD0をコードするAAV8ベクターを、静脈内注射した(ベクター用量:5×1011vg/kg)。PBSで処置した同腹Gaa-/-マウス(n=6匹)を、罹患対照(Ctrl)として使用した。同腹Gaa+/+マウス(n=5匹)を、非罹患対照として使用した。研究の追跡調査は、4ヶ月であった。
【0216】
血漿サンプルを、処置の4ヶ月後に採取し、分析して、循環GAA活性(図3)及びタンパク質量(図4)を測定した。循環GAA活性は、HD-スパジンとHD0との間で有意差はなかったが、HD-ApoB処置群では有意に低い活性が達成された(図3)。循環中のGAAの分泌は、研究の終了時(処置から4ヶ月後)に、抗GAA抗体を用いたウエスタンブロット分析によって、AAVベクターで処置したすべてのマウスの血漿において容易に確認された(図4A)。GAAバンドの定量化(図4B)は、HD-スパジンとHD0との間に有意差がないことを示したが、HD-ApoB処置群において有意に低い酵素量が達成され(図4B)、活性データが確認された(図3)。全体としてこれらのデータは、キメラHD-スパジンバリアントが、AAV肝臓遺伝子移入後に肝細胞によって効率的に産生及び分泌され、保存された酵素活性を有することを示唆する。
【0217】
次いで、キメラGAAバリアントの治療有効性を評価するために、本発明者らは、脳におけるグリコーゲン量を測定した(図5)。注目すべきことに、脳において、グリコーゲンクリアランスは、HD-スパジンベクターで処置したGaa-/-マウスでは、HD-ApoB及びHD0ベクターの両方と比較して、有意に改善された(図5)。これらの結果は、脳取り込み及び脳におけるGAA活性の点におけるHD-スパジンキメラポリペプチドの優位性を示す。
【0218】
グリコーゲン量は、筋肉(心臓、三頭筋)及び脊髄においても測定した(図6)。予測した通り、グリコーゲン量は、PBS処置Gaa-/-マウスのすべての組織において、Gaa+/+と比較して増加した(図6)。有意なグリコーゲンクリアランスが、すべてのAAV処置コホートの筋肉及びCNSにおいて観察された(図6)。しかしながら、AAV処置Gaa-/-マウスのCNSにおけるグリコーゲン量は、Gaa+/+において測定されたものよりも依然として高かった。注目すべきことに、グリコーゲンクリアランスは、HD-スパジンベクターで処置したGaa-/-マウスの脊髄において、HD-ApoBベクターと比較して有意に改善された(図6C)。
【0219】
最後に、本発明者らは、ベクター投与から1ヶ月後及び4ヶ月後にマウス血漿において抗GAA免疫グロブリンG(IgG)を測定することによって、HD-スパジンバリアントの免疫原性を評価した(図7)。HD-スパジンバリアントで処置したマウスにおいて、HD0と比較して、有意な抗GAA体液性免疫応答は観察されなかった(図7)。低く(1μg/mL未満)かつ散発性の抗GAA IgGが、1ヶ月の時点で検出されたが、それらは、分泌性GAAを用いた以前のAAV肝臓遺伝子移入研究において観察されたように[Puzzo F.ら、Sci Transl Med. 2017 Nov 29;9(418)]研究の終了時には0に戻った(図7)。
【0220】
加えて、培養液中のポンペ病線維芽細胞におけるキメラGAAバリアントの取り込みを評価した。HD-スパジンバリアントが、細胞内に容易に内部移行し、成熟したことが示された(データは示されない)。
【0221】
まとめると、スパジン異種ドメインを含有するキメラGAAバリアント(HD-スパジンと略される)は、マウスポンペ病モデルにおいて、免疫応答の不在下で、GAA酵素分泌及び酵素活性の保存、並びにCNS、具体的には脳におけるグリコーゲンの病的蓄積の改善された修正をもたらした。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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【国際調査報告】