(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(54)【発明の名称】紫外線底部コーティングシステム及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
B05C 9/12 20060101AFI20221216BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20221216BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20221216BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20221216BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20221216BHJP
B05C 1/02 20060101ALI20221216BHJP
B65D 8/00 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
B05C9/12
B05D3/06 102Z
B05D7/14 F
B05D7/00 N
B05C13/02
B05C1/02 102
B05C1/02 104
B65D8/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524085
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 US2020058708
(87)【国際公開番号】W WO2021091897
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522163665
【氏名又は名称】ロースライン アンド アソシエイツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボーイング、ステファン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】マラソヴィッチ、ニコラス ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マックローリー、スタンリー ジー
(72)【発明者】
【氏名】リームス・アレン ウェイン
【テーマコード(参考)】
3E061
4D075
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
複数の缶を機械方向にルーティングするように構成されたコンベヤ機構を含む紫外線底部コーティングシステムであって、複数の缶はそれぞれ、底面と、底面に塗布された未硬化コーティング材料とを有する。このシステムはまた、複数の缶に向けて紫外線を照射するように構成された少なくとも1つの紫外線発光ダイオード(UV-LED)装置を含み、紫外線は、未硬化コーティング材料を底面に硬化させるように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線底部コーティングシステムであって、
底面及び前記底面に塗布された未硬化コーティング材料を有する複数の缶を機械方向にルーティングするように構成されたコンベヤ機構と、
複数の前記缶に向けて前記未硬化コーティング材料を前記底面に硬化させるために紫外線を照射するように構成された少なくとも1つの紫外線発光ダイオード(UV-LED)装置とを含む、システム。
【請求項2】
少なくとも1つの前記UV-LED装置が水冷式または空冷式であるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンベヤ機構が、機械方向に垂直な幅寸法を有する作業面を含み、少なくとも1つの前記UV-LED装置が、前記幅寸法において前記作業面の全長にわたって前記紫外線を照射するように配向されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンベヤ機構に向けて照射される前記紫外線が前記コンベヤ機構上に硬化ゾーンを画定し、前記コンベヤ機構は、前記硬化ゾーンを通過するように複数の前記缶を機械方向にルーティングするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの前記UV-LED装置が、複数の前記缶に向けて約200nm~約400nmの範囲内に定められた波長のみを有する前記紫外線を照射するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記UV-LED装置は、最大電力までの活性化時間が約1秒未満であるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの前記UV-LED装置が、約2W/cm
2~約24W/cm
2の範囲内に定められた出力で前記紫外線を照射するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
紫外線底部コーティングシステムであって、
底面を有する複数の缶を機械方向にルーティングするよう構成されたコンベヤ機構と、
前記コンベヤ機構上にコーティングゾーンを画定し、かつ、前記コーティングゾーンを通過するようにルーティングされた複数の前記缶の前記底面に未硬化コーティング材料を塗布するように構成されたコーティングアプリケータと、
前記コンベヤ機構上の機械方向において前記コーティングゾーンの下流に硬化ゾーンを画定し、かつ、複数の前記缶に向けて紫外線を照射することにより、前記底面に前記未硬化コーティング材料を硬化させるように構成された少なくとも1つのUV-LED装置を含む、システム。
【請求項9】
少なくとも1つの前記UV-LED装置が水冷式または空冷式であるように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの前記UV-LED装置の活性化時間が約1秒未満であるように構成され、
前記システムが、前記コンベヤ機構及び少なくとも1つの前記UV-LED装置と互いに通信するコントローラをさらに含み、
前記コントローラは、少なくとも1つの前記UV-LED装置を選択的に活性化及び非活性化し、かつ、少なくとも1つの前記UV-LED装置の活性化時間に基づいて、前記コンベヤ機構のルーティング速度を制御するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記コーティングアプリケータが、前記コーティングゾーンを通過するようにルーティングされた複数の前記缶の前記底面に接触するように構成されたローラーを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記コンベヤ機構が、機械方向に垂直な幅寸法を有する作業面を含み、少なくとも1つの前記UV-LED装置が、前記幅寸法において前記作業面の全長にわたって前記紫外線を照射するように配向されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
少なくとも1つの前記UV-LED装置が、複数の前記缶に向けて約200nm~約400nmの範囲内に定められた波長のみを有する前記紫外線を照射するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも1つの前記UV-LED装置は、最大電力までの活性化が約1秒未満であるように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
金属缶の底面にリムコートを形成する方法であって、
複数の缶を、コーティングゾーン、次いで硬化ゾーンを通過するように機械方向にルーティングするステップと、
前記コーティングゾーンを通過する複数の前記缶の前記底面に未硬化コーティング材料を塗布するステップと、
少なくとも1つの紫外線発光ダイオード(UV-LED)装置から、前記硬化ゾーンを通過するようにルーティングされた複数の前記缶に向けて、前記未硬化コーティング材料を前記底面に硬化させることにより前記リムコートを形成するように構成された紫外線を照射するステップとを有する方法。
【請求項16】
少なくとも1つの前記UV-LED装置を水または空気で冷却するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記紫外線を照射するステップが、前記硬化ゾーンへの複数の前記缶の近接度に基づいて、前記UV-LED装置を選択的に活性化及び非活性化するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの前記UV-LED装置は、最大電力までの活性化時間が約1秒未満であるように構成され、
複数の前記缶は、機械方向に互いに離間した複数のグループごとに配置されており、
複数の前記缶をルーティングするステップは、活性化時間及び隣接する前記グループ間の距離に基づいて、複数の前記缶のルーティング速度を制御するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記紫外線を照射するステップは、複数の前記缶に向けて約200nm~約400nmの範囲内に定められた波長のみを有する前記紫外線を照射するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記紫外線を照射するステップは、約2W/cm
2~約24W/cm
2の間の範囲内に定められた出力で前記紫外線を照射するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
2019年11月4日に出願された米国特許出願第16/673,522号明細書の利益を主張しており、それらの出願の全開示は、引用を以って本明細書の一部となす。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、缶製造におけるコーティング、より具体的には、缶の底縁部表面のコーティングを硬化させるシステム及び方法に関する。
【0003】
消費者に食品を提供するために使用される金属缶などの既知の容器の多くは、例えば、腐食の抑制、容器の美的外観の改善、及び製造工程における容器の取扱性を高める目的でコーティング処理される。あるコーティングの例では、取扱性をさらに高めるために使用されるとき、容器の底縁部表面に施されるリムコートを含むことがある。リムコートは、容器が製造ラインに沿って通過する際の摩擦を低減することにより、容器の取扱性を高める。リムコートは、通常、未硬化の状態で底縁部に塗布され、次いで、紫外線エネルギーによって硬化される場合がある。しかしながら、多くの既知の紫外線エネルギー照射体は、高い電力消費、出力遅延、使用可能な焦点距離の制限、ランプ寿命の制限、及び大きな物理的設置面積を有する二次的サポートシステムの必要性などの内在的な欠点を有している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、紫外線底部コーティングシステムが提供される。このシステムは、複数の缶を機械方向にルーティング(routing)するように構成されたコンベヤ機構を含み、複数の缶はそれぞれ、底面と、底面に塗布された未硬化コーティング材料とを有する。このシステムはまた、複数の缶に向けて紫外線を照射するように構成された少なくとも1つの紫外線発光ダイオード(UV-LED)装置を含む。紫外線照射は、未硬化コーティング材料を底面に硬化させるように構成される。
【0005】
他の態様では、紫外線底部コーティングシステムが提供される。このシステムは、複数の缶を機械方向にルーティングするように構成されたコンベヤ機構を含み、複数の缶はそれぞれ底面を有する。コーティングアプリケータは、コンベヤ機構上にコーティングゾーンを画定する。また、コーティングアプリケータは、コーティングゾーンを通過するようにルーティングされた複数の缶の底面に未硬化コーティング材料を塗布するように構成される。少なくとも1つの紫外線発光ダイオード(UV-LED)装置は、コンベヤ機構の機械方向において、コーティングゾーンの下流に硬化ゾーンを画定する。また、UV-LED装置は、複数の缶に向けて紫外線を照射することにより、未硬化コーティング材料を底面上に硬化させるように構成される。
【0006】
さらに別の態様では、金属缶の底面にリムコートを形成する方法が提供される。この方法は、複数の缶をコーティングゾーン、次で硬化ゾーンを通過するように機械方向にルーティングするステップと、コーティングゾーンを通過するようにルーティングされた複数の缶の底面に未硬化コーティング材料を塗布するステップと、少なくとも1つの紫外線発光ダイオード(UV-LED)装置から、硬化ゾーンを通過するようにルーティングされた複数の缶に向けて、紫外線を照射するステップとを含む。紫外線照射は、未硬化コーティング材料を底面に硬化させることによりリムコートを形成するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的な紫外線底部コーティングシステムを示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す紫外線底部コーティングシステムの側面を示す概略図である。
【
図3】
図1に示す紫外線底部コーティングシステムで使用することができる例示的な紫外線発光ダイオード装置の斜視図である。
【
図4】
図2に示す紫外線底部コーティングシステムの一部の上面を示す概略図である。
【
図5】金属缶の底面にリムコートを形成する例示的な方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に記載の実施形態は、一般に、缶の底縁部表面のコーティングを硬化させるシステム及び方法に関する。例えば、本明細書で説明されるシステムは、コンベヤ機構と、1以上の紫外線発光ダイオード(UV-LED)装置とを含む。コンベヤ機構は、製造ラインにおいてシート材料のブランクから成形された複数の缶を受け取る。コンベヤ機構にはコーティングゾーンと硬化ゾーンとが画定されており、缶が各ゾーンを通過することにより、各缶の底面にリムコートが形成される。未硬化コーティング材料は、コーティングゾーンを通過する缶の底面に塗布され、次いで、缶が硬化ゾーンを通過するときに、コーティング材料が底面に硬化される。コーティング材料は、UV-LED装置から照射される紫外線によって硬化する。
【0009】
例示的な実施形態では、UV-LED装置は、水または空気などの流体で冷却される。UV-LED装置には、非LED空冷式UV硬化装置と比べて多くの利点がある。例えば、UV-LED装置のランプ消費電力は、非LED装置に比べて50~90パーセント少ない。また、UV-LED装置は非LED装置に比べて冷却の必要性が少なく、流体による冷却がより容易となっている。本システムでは、ダクト、ハウジング、フィルタ、ブロワ、及び真空計装などの給気装置を排除することにより、全体的な消費電力及び物理的設置面積を削減することができる。さらに、非LED空冷式UV硬化装置の既知の欠点の1つとして、空気中の汚れやオイルミストを非LED機器に引き寄せる傾向があり、これにより、装置の損傷や、メンテナンスインターバル間の耐用年数の短期化を引き起こす恐れがある。UV-LED装置に水などの流体を供給することで、制御された方法による装置の冷却を可能にし、システムへの汚染物質の量を減らすことができる。UV-LED装置は、活性化されるとすぐに紫外線を照射し、正確な焦点距離の使用を必要とすることなく硬化操作を行うことができ、これにより、ランプの寿命も改善される。UV-LED装置のさらなる利点は、発生する熱が少なく、機械部品の表面温度が低い点である。これにより、機械オペレータやメンテナンス担当者の安全性が向上する。このように、本明細書に記載の紫外線底部コーティングシステムにおけるUV-LED装置の使用により、効率性、安全性、及び費用対効果の高い方法で缶の生産性を向上させることができる。
【0010】
本明細書で使用される場合、「缶」という用語は、単一ピースまたは完全に組み立てられた複数ピースの金属缶、及び完全に組み立てられた複数ピースの金属缶の製造における前駆体として使用される複数ピースの金属缶の容器部分を指す。
【0011】
図1は、例示的な紫外線底部コーティングシステム(システム)100を示すブロック図であり、
図2は、紫外線底部コーティングシステム100の側面を示す概略図である。紫外線底部コーティングシステム100は、オフラインで組み立てられて製造ライン(図示せず)に組み込まれる独立型ユニットであってもよく、または製造ライン自体の一部として統合されてもよい。システム100はまた、新しいアセンブリの一部として組み込まれてもよく、または既存のアセンブリに後付けすることにより、その硬化システムをアップグレードしてもよい。例示的な実施形態では、紫外線底部コーティングシステム100は、コンベヤ機構102、コーティングアプリケータ104、及び少なくとも1つのUV-LED装置106を含む。
図2に示すように、コンベヤ機構102は、複数の缶108を機械方向110にルーティングする。缶108は、製造ラインに沿って製造され、次いで、任意の適切な配向付けによりコンベヤ機構102に運搬されてもよい。図示するように、缶108はそれぞれ底面112を有し、缶108は、底面112を上向きにするためにコンベヤ機構102上で反転させられる。そのような実施形態では、コンベヤ機構102は、その上で缶108を受け入れる連続的な作業面114を有し、作業面114は、滑車やローラーなどの使用により運動を付与するトラックシステムによって回転可能である。あるいは、缶108は、各缶108に関連する保持部材(図示せず)を備えたコンベヤ機構102上に保持されてもよい。したがって、缶108は、紫外線底部コーティングシステム100が本明細書の記載の通り機能することを可能にするコンベヤ機構102上の任意の方向に配向されてもよい。
【0012】
コーティングアプリケータ104は、コンベヤ機構102上にコーティングゾーン116を画定する。動作中、コーティングアプリケータ104は、コーティングゾーン116を通過するようにルーティングされた複数の缶108の底面112に未硬化コーティング材料118を塗布する。コーティングアプリケータ104は、紫外線底部コーティングシステム100が本明細書の記載の通り機能することを可能にする任意の装置であってもよい。
図2に示すように、コーティングアプリケータ104はローラー120であり、エラストマー材料で覆われていてもよい。また、ローラー120は、コーティングゾーン116を通過するようにルーティングされた複数の缶108の底面112に接触することにより、未硬化コーティング材料118を複数の缶108の底面112に供給し、その上に堆積させる。例えば、缶108がコーティングゾーン116を通過するようにルーティングされるため、ローラー120は、回転方向122に回転可能であってもよい。他の実施形態では、コーティングアプリケータ104は、霧状の未硬化コーティング材料をコンベヤ機構102に向けて排出するように配向付けられたスプレー装置である。したがって、コーティングゾーン116は、ローラー120の寸法によって、またはスプレー装置の排出範囲によって画定される。
【0013】
紫外線底部コーティングシステム100が本明細書の記載の通り機能することを可能にする、任意の種類の未硬化コーティング材料118を、缶108の底面112に塗布してもよい。例えば、未硬化コーティング材料118は、紫外線エネルギーで硬化可能であるが、硬化するために熱エネルギーを必要としない。さらに、未硬化コーティング材料118は、約500mJ/cm2未満のエネルギーで硬化可能であり、UV-A放射線と組み合わせてまたは単独で硬化可能であり、硬化時に透明な仕上がりを生み出す。
【0014】
UV-LED装置106は、コンベヤ機構102に対して、機械方向110において、コーティングアプリケータ104の下流に配置されている。UV-LED装置106は、コンベヤ機構102上に硬化ゾーン124を画定する。動作中、UV-LED装置106は、紫外線126を複数の缶108に向けて照射することにより、未硬化コーティング材料118を底面112上に硬化させる。例えば、UV-LED装置106から照射される紫外線126は、コンベヤ機構102を横切る範囲128を画定し、範囲128は、硬化ゾーン124を画定する。未硬化コーティング材料118は、紫外線126と反応性があり、紫外線126によって硬化され易い。このように、硬化ゾーン124を通過するようにルーティングされ、次いで硬化ゾーン124から排出される缶108は、その底面112上に形成された硬化リムコート130を有する。
【0015】
例示的な実施形態では、UV-LED装置106は、液冷式または空冷式装置である。例えば、
図1に示すように、紫外線底部コーティングシステム100は、水または空気などの冷却流体をUV-LED装置106に供給する冷却流体供給源132を含む。
図3に示すように、UV-LED装置106は、冷却流体供給源132と連通して結合された入口ポート134及び出口ポート136を含む。動作中、冷却流体は、入口ポート134を通じてUV-LED装置106に流れていき、UV-LED装置106によって生成された熱は、UV-LED装置106を通って流れる冷却流体に伝達され、加熱された冷却流体は、出口ポート136を通じてUV-LED装置106から排出される。したがって、UV-LED装置106は、効率性、安全性、及び費用対効果の高い方法で生産性をより向上させる動作パラメータを有する。
【0016】
例えば、UV-LED装置106は、約2ワット/平方センチメートル(W/cm2)~約24W/cm2の範囲内に定められた出力で紫外線126を照射するように動作可能であり、それにより、毎分約24.384メートル(80フィート)を超える生産速度での缶の製造(例えば、硬化)を可能にする。一実施形態では、UV-LED装置106は、約200ナノメートル(nm)~約400nmの範囲内に定められた波長を有する紫外線126を照射する。あるいは、UV-LED装置106は、約315nm~約400nmの間の範囲内にのみ定められた波長(すなわち、UV-A放射帯域)を有する紫外線126を照射する。したがって、紫外線底部コーティングシステム100のオペレータは、UV-B及びUV-C放射帯などのより有害な紫外線帯に曝されることがない。
【0017】
紫外線底部コーティングシステム100はまた、UV-LED装置106に電力を供給するための電源138を含む。紫外線底部コーティングシステム100は、UV-LED装置106が本明細書の記載の通り機能することを可能にする任意の適切な電源138を含んでいてもよい。例えば、電源138は、約40ボルト~約400ボルトの範囲内に定められた電圧定格を有する直流電源であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、電源138は、入力電圧障害、出力電圧検証、内部ファン障害、過熱警告、及び/または溶断ヒューズ表示のための信号出力を提供する監視機能を備えている。
【0018】
紫外線底部コーティングシステム100はまた、コンベヤ機構102、コーティングアプリケータ104、UV-LED装置106、及び/または冷却流体供給源132と通信するコントローラ140を含む。実施形態によっては、コントローラ140は、機械方向110に移動する作業面114の生産速度、並びにコーティングアプリケータ104及びUV-LED装置106の選択的活性化及び非活性化を制御する。缶108は、コンベヤ機構102上に配置されてもよく、または間隔を置いてもしくは非連続的にコーティングゾーン116及び硬化ゾーン124に提供されてもよい。例えば、
図2に示すように、複数の缶108は、機械方向110に距離Dだけ互いに離間した複数のグループ142ごとにそれぞれ配置されている。グループ142は、機械方向110において一定または不規則な距離で互いに離間していてもよい。
【0019】
動作中、コントローラ140は、コーティングゾーン116への複数の缶108の近接度に基づいてコーティングアプリケータ104を選択的に活性化及び非活性化し易くし、硬化ゾーン124への複数の缶108の近接度に基づいてUV-LED装置106を選択的に活性化及び非活性化し易くする。UV-LED装置106は、ウォームアップ時間なしで即時出力を提供することができる。即時出力は、UV-LED装置106が最大電力に到達するための活性化時間によって定められていてもよい。活性化時間は、約1秒未満、約0.75秒未満、約0.5秒未満、または約0.25秒未満であってもよい。UV-LED装置106の活性化はまた、約1秒を超える持続時間内に最大電力までUV-LED装置106に徐々に通電することによって制御されてもよい。
【0020】
コントローラ140は、コンベヤ機構102の缶108の隣接するグループ142間の既知の起動時間及び既知の距離Dに基づいて、複数の缶108のルーティング速度を制御する。例えば、ルーティング速度は、紫外線底部コーティングシステム100の生産出力を高めるように選択され、同時に、缶108がコーティングゾーン116及び硬化ゾーン124を通過するようにルーティングされるときに、コーティングアプリケータ104及びUV-LED装置106が活性化するのに十分な時間を提供する。このように、コーティングアプリケータ104及びUV-LED装置106が、コントローラ140によって選択的に活性化及び非活性化されることにより、未硬化コーティング材料118などの材料コストを削減し、UV-LED装置106によるエネルギー使用を制限することができる。
【0021】
図4は、紫外線底部コーティングシステム100(
図2に示す)の一部の上面概略図である。例示的な実施形態では、コンベヤ機構102の作業面114は、機械方向110に実質的に垂直である幅寸法144を有する。UV-LED装置106は、硬化ゾーン124(両方とも
図2に示される)を通過するようにルーティングされるすべての缶108に硬化するために、任意の方向の相対的な幅寸法144に配向されてもよい。UV-LED装置106は、図に示すように、硬化ゾーン124を通過するようにルーティングされるすべての缶108を硬化するために、機械方向110に実質的に垂直になるように配向される。UV-LED装置106は、単一の細長い照明ユニット146であってもよい。あるいは、UV-LED装置106は、直列または他の方法で一緒に結合され、作業面114を横切って幅寸法144に延在するように配向された複数の照明ユニット148を含んでいてもよい。
【0022】
図5は、金属缶の底面にリムコートを形成する例示的な方法150を示すフロー図である。方法150は、コーティングゾーンと、次いで硬化ゾーンとを通過するように機械方向に複数の缶をルーティングするステップ152と、コーティングゾーンを通過するようにルーティングされた複数の缶の底面に未硬化コーティング材料を塗布するステップ154と、紫外線発光ダイオード(UV-LED)装置から硬化ゾーンを通過するようにルーティングされた複数の缶に向けて紫外線を照射するステップ156とを含む。
【0023】
本明細書に記載の実施形態は、金属缶の底面にリムコートを形成するためのシステム及び方法に関する。本明細書に記載のシステム及び方法は、流体冷却UV-LED装置を使用してコーティング材料を金属缶上に硬化させ、リムコートを形成することにより、効率性、安全性、及び費用対効果の高い方法で前述の目的を達成する。したがって、本明細書に記載のシステム及び方法は、高速製造プロセスにおいて金属缶の底面へのリムコートの形成を可能にする。
【0024】
紫外線底部コーティングシステムの例示的な実施形態は、上記で詳細に説明されている。本明細書のシステムは、金属飲料缶の製造に関して説明及び図示しているが、本発明はまた、物品へのコーティングのUV硬化が所望される任意の製造システムでの使用を意図している。さらに、本発明の構成要素は本明細書に記載の特定の実施形態に限定されないことにも留意されたい。むしろ、各構成要素の態様を、本明細書に記載の他の構成要素及び方法とは独立して別個に利用することができる。
【0025】
この書面による説明は、ベストモードを含む様々な実施形態を開示するために例を用いており、また、当業者であれば誰でも、任意の装置またはシステムの作成及び使用、並びに任意の組み込まれた方法の実行を含む、様々な手段を実践することができるものである。本開示の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定められ、当業者が想到する他の例を含んでいてもよい。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に異なる同等の構造要素を含む場合に、特許請求の範囲に含まれることを意図している。
【国際調査報告】