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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(54)【発明の名称】流体モニタシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/015 20060101AFI20221216BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20221216BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
A61B1/015 511
A61B1/00 550
A61M5/168 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524656
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 US2020057719
(87)【国際公開番号】W WO2021086952
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/928,005
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500332814
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ラウニヤール ニラジ プラサド
(72)【発明者】
【氏名】バーン ポール
(72)【発明者】
【氏名】スミス リー
(72)【発明者】
【氏名】ファニング リー
(72)【発明者】
【氏名】カッタール ニシャント
(72)【発明者】
【氏名】シャー ヴィヴェク
(72)【発明者】
【氏名】タスガオンカール ディペン アルン
【テーマコード(参考)】
4C066
4C161
【Fターム(参考)】
4C066AA03
4C066CC01
4C066DD02
4C066LL05
4C066LL11
4C161AA15
4C161AA16
4C161CC06
4C161HH04
4C161HH05
4C161HH08
4C161HH51
4C161JJ11
4C161LL02
(57)【要約】
流体管理及び医療デバイスシステムは、流体管理システムと、医療デバイスの細長シャフトの遠位端に対して近位の1又は2以上のセンサを有する医療デバイスとを含むことができる。流体管理システムのコントローラは、細長シャフトの遠位端が患者内に配置された時に流体欠損を計算するように構成され、かつ細長シャフトの遠位端が患者から除去された時に流体欠損計算を自動的に中断するように構成することができる。一部の事例では、コントローラは、流体を流体管理システムに供給する流体供給源の重量変化と流体管理システムから流体を収集する収集容器の重量変化との間の差と共に流入ポンプの回転速度を用いて流体欠損を計算するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管理及び医療デバイスシステムであって、
医療デバイスと、流体管理システムと、を備え、
前記医療デバイスが、
患者内の治療部位にアクセスするように構成された細長シャフトと、
前記細長シャフトの遠位端に対して近位の1又は2以上のセンサと、
前記細長シャフトの近位端に結合されたハンドルと、を含み、
前記流体管理システムが、
流体供給源からの流体を前記治療部位までポンピングするように構成された流入ポンプと、
前記細長シャフトの前記遠位端が患者内に配置されている時に流体欠損を計算するように構成されたコントローラと、を含み、
前記コントローラは、前記細長シャフトの前記遠位端が前記患者から除去された時に流体欠損計算を自動的に中断するように構成されている、流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記細長シャフトの前記遠位端が患者の中に再挿入されたことを前記1又は2以上のセンサからの信号が示す時に流体欠損計算を再開するように構成されている、請求項1に記載の流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記流体管理システムのプライミングの後に流体欠損を自動的にゼロにリセットするように構成されている、請求項1又は2に記載の流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記細長シャフトの前記遠位端が前記患者内に挿入されたことを前記1又は2以上のセンサからの信号が示す時に流体欠損計算を自動的に開始するように構成されている、請求項3に記載の流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項5】
流体欠損計算は、前記流体供給源が補充される時に中断されることなく続行される、請求項1~4のいずれか1項に記載の流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項6】
流体管理及び医療デバイスシステムであって、
医療デバイスと、流体管理システムと、を備え、
前記医療デバイスが、
患者内の治療部位にアクセスするように構成された細長シャフトと、
前記細長シャフトの遠位端に対して近位の1又は2以上のセンサと、
前記細長シャフトの近位端に結合されたハンドルと、を含み、
前記流体管理システムが、
供給ロードセルと作動的に結合されて前記細長シャフトと流体連通する流体供給源と、
収集ロードセルと作動的に結合されて収集ドレープと流体連通する収集容器と、
流体を前記流体供給源から前記治療部位までポンピングするように構成された流入ポンプと、
1組のシステム作動パラメータに基づいて前記流入ポンプを制御し、前記治療部位での望ましい流体圧力又は望ましい流体流量を維持するように構成されたコントローラと、を含み、
前記コントローラは、前記供給ロードセル及び前記収集ロードセルと電子通信しており、
前記コントローラは、前記流体供給源の重量変化と前記収集容器の重量変化との間の差と共に前記流入ポンプの回転速度を用いて流体欠損を計算するように構成されている、流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記細長シャフトの前記遠位端が前記患者内に配置されている時にのみ前記流体欠損を計算するように構成されている、請求項6に記載の流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記流体の流量を用いた第1の流体欠損値と、前記流体供給源の前記重量変化と前記収集容器の前記重量変化との間の前記差を用いた第2の流体欠損値とを計算するように構成され、
表示される欠損値が、前記第1の流体欠損値と前記第2の流体欠損値との組合せに基づいている、請求項6又は7に記載の流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項9】
前記流体の流量は、前記流入ポンプの回転速度を用いて決定される、請求項8に記載の流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項10】
前記流体の流量は、前記流体供給源と前記治療部位の間に配置された流れセンサからのデータを用いて決定される、請求項8に記載の流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第1の流体欠損値と前記第2の流体欠損値の間の差が予め決められた範囲内である場合に前記表示される欠損値を表示するように構成され、
前記コントローラは、前記第1の流体欠損値と前記第2の流体欠損値の間の差が予め決められた範囲外である場合にある通知を表示するように構成されている、請求項8~10のいずれか1項に記載の流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項12】
自動流体管理システムであって、
医療デバイスと、流体管理システムと、を備え、
前記医療デバイスが、
患者内の治療部位にアクセスするように構成された細長シャフトと、
前記細長シャフトの遠位端に対して近位の1又は2以上のセンサと、
前記細長シャフトの近位端に結合されたハンドルと、を含み、
前記流体管理システムが、
前記細長シャフトと流体連通する第1の流体供給源と、
第2の流体供給源と、
前記細長シャフトと流体連通する収集容器と、
流体を前記第1の流体供給源から前記治療部位までポンピングするように構成された流入ポンプと、
前記流体管理システムのプライミングの後に全流体欠損をゼロに設定するように構成されたコントローラと、を含み、
前記コントローラは、前記細長シャフトの前記遠位端が前記患者内に配置された時に前記第1の流体供給源に関連付けられた第1の流体欠損を計算することを自動的に開始するように構成され、
前記コントローラは、前記第1の流体供給源が前記細長シャフトと流体連通する前記第2の流体供給源で置換される時に前記第1の流体欠損を保持するように構成され、該コントローラは、該細長シャフトの前記遠位端が前記患者内に配置されている時に該第1の流体欠損と該第2の流体供給源に関連付けられた第2の流体欠損とを加算することによって前記全流体欠損をその後に計算するように構成されている、自動流体管理システム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記全流体欠損が事前設定流体欠損限界に達した時にユーザに通知するように構成されている、請求項12に記載の自動流体管理システム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記細長シャフトの前記遠位端が前記患者から除去された時に流体欠損計算を自動的に中断するように構成されている、請求項12又は13に記載の自動流体管理システム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記細長シャフトの前記遠位端が前記患者の中に再挿入された時に流体欠損計算を自動的に再開するように構成されている、請求項14に記載の自動流体管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、これによりその開示全体が引用によって組み込まれる2019年10月30日出願の米国仮特許出願第62/928,005号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、流体管理システムに関する。より具体的には、本発明の開示は、流体管理システムでの及び/又はそれによる流体欠損をモニタするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
軟性尿管鏡検査(fURS)、婦人科内視鏡手順、及び他の内視鏡手順は、いくつかの理由から流体の循環を必要とする。今日の外科医は、例えば、流体バッグを吊り下げて重力を用いて流体を送出する、シリンジに流体を充填してそれを手動で注入する、又は蠕動ポンプを用いてリザーバから流体管理システムを通じて固定圧力又は流量で流体を送出することによるような様々な方法で流体を送出する。流体管理システムは、リザーバから流体を送出する時に限定ではないが内視鏡のような処置デバイスから収集されたデータに基づいて流量及び/又は圧力を調節することができる。公知の医療デバイス、システム、及び方法に関して、各々はある一定の利点及び欠点を有する。代替医療デバイス及び流体送出システムを提供する継続的な必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0361055号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の例では、流体管理及び医療デバイスシステムは、患者内の治療部位にアクセスするように構成された細長シャフトと、細長シャフトの遠位端に対して近位の1又は2以上のセンサと、細長シャフトの近位端に結合されたハンドルとを含む医療デバイスを含むことができる。流体管理及び医療デバイスシステムはまた、流体を流体供給源から治療部位までポンピングするように構成された流入ポンプと、細長シャフトの遠位端が患者内に配置される時に流体欠損を計算するように構成されたコントローラとを含む流体管理システムを含むことができる。コントローラは、細長シャフトの遠位端が患者から除去された時に流体欠損計算を自動的に中断するように構成することができる。
【0006】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、細長シャフトの遠位端が患者の中に再挿入されたことを1又は2以上のセンサからの信号が示す時に流体欠損計算を再開するように構成することができる。
【0007】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、1組のシステム作動パラメータに基づいて流入ポンプを制御し、ターゲット流体流量又はターゲット流体圧力を維持するように構成することができる。
【0008】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、流体管理システムのプライミングの後に流体欠損を自動的にゼロにリセットするように構成することができる。
【0009】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、細長シャフトの遠位端が患者内に挿入されたことを1又は2以上のセンサからの信号が示す時に流体欠損計算を自動的に開始するように構成することができる。
【0010】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、1又は2以上のセンサは、温度センサを含む。
【0011】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、1又は2以上のセンサは、圧力センサを含む。
【0012】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、1又は2以上のセンサは、温度センサと圧力センサを含む。
【0013】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、流体管理システムは、真空ポンプと、収集ドレープと流体連通する収集容器とを含む。
【0014】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、流体欠損計算は、流体供給源が補充される時に中断されることなく続行する。
【0015】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えてかつ第2の例では、流体管理及び医療デバイスシステムは、患者内の治療部位にアクセスするように構成された細長シャフトと、細長シャフトの遠位端に対して近位の1又は2以上のセンサと、細長シャフトの近位端に結合されたハンドルとを含む医療デバイスを含むことができる。流体管理及び医療デバイスシステムはまた、供給ロードセルと作動的に結合されて細長シャフトと流体連通する流体供給源と、収集ロードセルと作動的に結合されて収集ドレープと流体連通する収集容器と、流体を流体供給源から治療部位までポンピングするように構成された流入ポンプと、1組のシステム作動パラメータに基づいて流入ポンプを制御し、治療部位での望ましい流体圧力、又は望ましい流体流量を維持するように構成されたコントローラとを含む流体管理システムを含むことができる。コントローラは、供給ロードセル及び収集ロードセルと電子通信することができる。コントローラは、流体供給源の重量変化と収集容器の重量変化の間の差と共に流入ポンプの回転速度を用いて流体欠損を計算するように構成することができる。
【0016】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、細長シャフトの遠位端が患者内に配置された時にのみ流体欠損を計算するように構成することができる。
【0017】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、細長シャフトの遠位端が患者から除去された時に流体欠損計算を自動的に中断するように構成することができる。
【0018】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、流体の流量を用いた第1の流体欠損値と流体供給源の重量変化と収集容器の重量変化の間の差を用いた第2の流体欠損値とを計算するように構成することができる。表示欠損値は、第1の流体欠損値と第2の流体欠損値との組合せに基づくことができる。
【0019】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、流体の流量は、流入ポンプの回転速度を用いて決定される。
【0020】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、流体の流量は、流体供給源と治療部位の間に配置された流れセンサからのデータを用いて決定される。
【0021】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、第1の流体欠損値と第2の流体欠損値の間の差が予め決められた範囲内である場合に表示欠損値を表示するように構成することができる。コントローラは、第1の流体欠損値と第2の流体欠損値の間の差が予め決められた範囲外にある場合に通知を表示するように構成することができる。
【0022】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えてかつ第3の例では、自動流体管理システムは、患者内の治療部位にアクセスするように構成された細長シャフトと、細長シャフトの遠位端に対して近位の1又は2以上のセンサと、細長シャフトの近位端に結合されたハンドルとを含む医療デバイスを含むことができる。自動流体管理システムはまた、流体管理システムを含むことができ、流体管理システムは、細長シャフトと流体連通する第1の流体供給源と、第2の流体供給源と、細長シャフトと流体連通する収集容器と、流体を第1の流体供給源から治療部位までポンピングするように構成された流入ポンプと、流体管理システムのプライミングの後に全流体欠損をゼロに設定するように構成されたコントローラとを含む。コントローラは、細長シャフトの遠位端が患者内に配置された時に第1の流体供給源に関連付けられた第1の流体欠損を計算することを自動的に開始するように構成することができる。コントローラは、第1の流体供給源が細長シャフトと流体連通する第2の流体供給源で置換される時に第1の流体欠損を保持するように構成することができ、コントローラは、その後に、細長シャフトの遠位端が患者内に配置された時に第1の流体欠損と第2の流体供給源に関連付けられた第2の流体欠損とを加算することによって全流体欠損を計算するように構成することができる。
【0023】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、全流体欠損が事前設定流体欠損限界に達した時にユーザに通知するように構成することができる。
【0024】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、細長シャフトの遠位端が患者から除去された時に流体欠損計算を自動的に中断するように構成することができる。
【0025】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、細長シャフトの遠位端が患者の中に再挿入された時に流体欠損計算を自動的に再開するように構成することができる。
【0026】
本明細書に開示するいずれかの例に加えて又はそれに代えて、コントローラは、細長シャフトの遠位端が患者内にいつ配置されるかを決定するために1又は2以上のセンサからの信号を検出するように構成することができる。
【0027】
一部の実施形態、態様、及び/又は実施例の以上の要約は、本発明の開示の各実施形態を説明するように又はどの実施をも説明するように意図していない。以下の図及び詳細説明は、これらの実施形態をより具体的に例証するものである。
【0028】
本発明は、添付図面と共に以下の詳細説明を精査することでより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】流体管理システムの選ばれた態様の概略図である。
図2図1のシステムの医療デバイス及びワークステーションの選ばれた態様を示す図である。
図3図2の医療デバイスの選ばれた態様を示す図である。
図4】原位置にある図2の医療デバイスの概略図である。
図5図1のシステムの加熱器アセンブリ及びカセットの選ばれた態様を示す部分斜視図である。
図6図1及び図2の流体管理システム及び医療デバイスの概略ブロック図である。
図7】例示的表示画面を示す図である。
【0030】
本発明は、様々な修正及び代替形態を容易に受け入れるが、その詳細は、図面に一例として示しており、かつ詳細に以下に説明する。しかし、その意図は、本発明の態様を説明する特定の実施形態に限定することではないことは理解されるものとする。それとは逆に、その意図は、本発明の精神及び範囲内に収まる全ての修正物、均等物、及び代替物を網羅することである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明は、必ずしも正確な縮尺のものではなくていくつかの図を通して類似の参照番号が類似の要素を示す図面を参照して読解しなければならない。これらの詳細説明及び図面は、例示的であり、主張する本発明を限定するように意図したものではない。当業者は、説明及び/又は図示する様々な要素を本発明の開示の範囲から逸脱することなく様々な組合せ及び構成で配置することができることを認識するであろう。これらの詳細説明及び図面は、主張する本発明の例示的実施形態を具体的に示している。しかし、明瞭化の目的で及び理解を容易にするために各図面内に全ての特徴及び/又は要素を示すわけではないが、それにも関わらず、他に指定しない限り、これらの特徴及び/又は要素は存在すると理解することができる。
【0032】
以下で定める用語に関して、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所で異なる定義を提示しない限り、これらの定義を適用することとする。
【0033】
本明細書では、指定するか否かに関わらず、全ての数値が用語「約」によって修飾されると仮定する。数値の状況での用語「約」は、当業者が列挙する値と同等である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と見なすと考えられる数字範囲を一般的に意味する。多くの事例では、用語「約」は、最も近い有効数字に丸められた数字を含むことができる。用語「約」の他の使用(例えば、数値以外の状況での)は、他に指定しない限り、本明細書の関連から理解され、それと矛盾しないこの用語の通常及び通例の定義を有すると仮定することができる。
【0034】
端点による数値範囲の列挙は、端点を含む当該範囲内である全ての数字を含む(例えば、1から5までは、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0035】
様々な構成要素、特徴、及び/又は仕様に関するいくつかの適切な寸法、範囲、及び/又は値を開示するが、本発明の開示によって喚起される当業者は、望ましい寸法、範囲、及び/又は値が明示的に開示するものからずれる可能性があることを理解するであろう。
【0036】
本明細書及び特許請求の範囲内で使用する場合に、「a」、「an」、及び「the」は、状況が他に明確に定めない限り、単数の指示物と複数の指示物とを含む。本明細書及び特許請求の範囲内で使用する場合に、用語「又は」は、状況が他に明確に定めない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味に使用する。理解を容易にするために、本発明の開示のある一定の特徴は単数で説明することができるが、これらの特徴は、本発明の開示の実施形態内で複数であるか又は繰り返す場合があることに注意されたい。これらの特徴の各事例は、反意を明示しない限り、単数での開示を含む及び/又はそれによって包含される場合がある。簡略化及び明瞭化の目的で、必ずしも本発明の開示の発明の全ての要素を各図に図示して下記で詳細に議論するとは限らない。しかし、1よりも多い構成要素が存在する場合に関して反意を明示しない限り、以下の議論がこれらの構成要素のうちのいずれか及び/又は全てのものに同等に適用される場合があることは理解されるであろう。これに加えて、明瞭化の目的で一部の要素又は特徴の全ての事例は、各図に示されない場合がある。
【0037】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、及びこれらの変形などのような相対用語は、一般的にデバイスのユーザ/オペレータ/マニピュレータに対する様々な要素の位置決め、方向、及び/又は操作に関して決定することができ、「近位」及び「後退」は、ユーザに近い方又は向うことを示し又は意味し、「遠位」及び「前進」は、ユーザから遠い方又は離れることを示す又は意味する。一部の事例では、本発明の開示の理解を容易にする試みで用語「近位」及び「遠位」を任意的に割り当てる場合があるが、そのような事例は、当業者に直ちに明らかであろう。「上流」、「下流」、「流入」、及び「流出」のような他の相対用語は、体管腔、血管のような管腔内又はデバイス内の流体流れの方向を意味する。
【0038】
用語「限度」は、説明する又は図示する寸法の最も小さい測定値を意味すると理解することができる「最小」をこのような限度又は寸法に前置するか又はこのような限度又は寸法を「最小」として示すことのない限り、説明する又は図示する寸法の最も大きい測定値を意味すると理解することができる。例えば、「外側限度」は、外寸を意味し、「半径方向限度」は、半径方向寸法を意味し、「長手限度」は、長手寸法を意味するなどと理解することができる。「限度」の各事例は、異なる場合があり(例えば、軸線方向、長手方向、横方向、半径方向、周方向など)、当業者には個々の使用状況から明らかであろう。一般的に、「限度」は、意図する使用に従って測定された最大可能寸法と考えることができ、それに対して「最小限度」は、意図する使用に従って測定された最小可能寸法と考えることができる。一部の事例では、「限度」は、一般的に平面及び/又は断面内で直交方向に測定することができるが、特定の状況から明らかなように、例えば、以下に限定されるものではないが、角度方向、半径方向、周方向(例えば、弧に沿った)などで別様に測定することができる。
【0039】
用語「一体」及び「単体」は、一般的に単一構造又はベースユニット/要素から製造された又はこれらから構成される1又は複数の要素を意味するものとする。一体及び/又は単体の要素は、複数の個別要素を組み立てるか又は他に互いに接合することによって製造された構造及び/又は特徴を除外する。
【0040】
本明細書での「実施形態」、「一部の実施形態」、「他の実施形態」などへの参照は、説明する実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、全ての実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を必ずしも含むとは限らないことを示すことに注意されたい。更に、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を参照するとは限らない。更に、特定の特徴、構造、又は特性を実施形態に関して説明する時に、明示的に説明するか否かに関わらず、反意を明示しない限り、他の実施形態に関してこれらの特定の特徴、構造、又は特性を発生させることは当業者の認識内であると考えられる。すなわち、当業者によって理解されるように、下記で説明する様々な個々の要素は、特定の組合せで指定しない場合であっても、他の追加の実施形態を形成するために又は説明する実施形態を相補及び/又は拡張するために互いに組合せ可能又は配置可能であるように依然として考えられている。
【0041】
明瞭化の目的で、説明及び/又は主張する様々な特徴を命名するために及び/又はこれらの特徴の間で区別するために、本説明及び/又は特許請求の範囲を通してある一定の識別数字命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)を使用することができる。この数字命名法は、限定的であるように意図したものではなく、単に例示的であることは理解されるものとする。一部の実施形態では、簡潔化及び明瞭化の目的で、以前に用いた数字命名法の変更及びそれからの逸脱を行う場合がある。すなわち、「第1」の要素として示した特徴は、後に「第2」の要素、「第3」の要素などと呼ぶ場合があり、又は完全に除外する場合があり、及び/又は異なる特徴を「第1」の要素と呼ぶ場合がある。各事例での意味及び/又は表示は、当業者に明らかであろう。
【0042】
軟性尿管鏡検査(fURS)手順(例えば、尿管鏡検査、経皮的腎切石術(PCNL)、良性前立腺肥大症(BPH)、経尿道的前立腺切除術(TURP)など)、婦人科内視鏡手順、及び他の内視鏡手順に使用するための一部の流体管理システムは、以下に限定されるものではないが、LithoVue(登録商標)スコープデバイスのような内視鏡デバイスなどの内視鏡デバイスと併用される時に当該又は他の内視鏡デバイスからの圧力データ及び/又は温度データを用いて体腔圧を調整することができる。医療手順中の腔内圧の直接的な調整は、流体管理システムが600mmHgまでのシステム圧を安全に駆動して内視鏡デバイスの作動チャネルの中にツールを挿入する時に手順中の流れの損失がないことを保証することを可能にすることができる。流体欠損は、例えば、長時間にわたる及び/又は大量の流体を使用する手順中の医師にとって懸念である場合がある。患者による余剰流体吸収は、例えば、高圧及び/又は大容積の場合のBPH/TURP中に水腫/水中毒及び/又は敗血症状態のような深刻な合併症をもたらす場合がある。許容可能な流体の損失(例えば、流体欠損)は、患者毎及び手順毎に異なる可能性があるので決定することが困難である場合がある。これに加えて、注入される流体量の追跡は、手順中に多くの流体供給源(例えば、生理食塩水バッグ、グリシンなど)が使用される可能性があるので困難である場合がある。流体欠損を計算することも、この計算が廃液収集システムに依存することに起因して収集システム(例えば、床の上の)の外で失われる流体が計算内への包含を免れる可能性があるので困難である場合がある。その結果、一部の手順では、流体欠損は推定されて不正確な場合がある。流体欠損計算及び/又はモニタを自動化する及び/又はその精度を改善するためのシステム及び方法が望ましい。
【0043】
図1は、fURS手順のような内視鏡手順に使用することができる流体管理システム10の概略図である。流体管理システム10は、流体の流れが中を貫流することを可能にして圧力センサを含む医療デバイス20に結合することができる。例示的医療デバイス20は、LithoVue(登録商標)スコープデバイス又は他の内視鏡とすることができる。例示的実施形態では、医療デバイス20は、流体管理システム10に腔内温度フィードバックを供給する温度センサ、流体管理システム10に腔内圧フィードバックを供給する圧力センサ、及び/又は流体管理システム10に視覚フィードバックを供給するカメラを含むことができる。
【0044】
簡潔に説明すると、流体管理システム10は、流体を流体供給源34(例えば、流体バッグなど)から医療デバイス20及び/又は治療部位にポンピング及び/又は搬送するように構成された流入ポンプ50を含むことができる。一部の場合に、流体は、医療デバイス20に流入する前に流体加温システム60を通過することができる。流体流量、流体圧力、流体温度、及び他の作動パラメータは、コントローラ48によって制御するか又は少なくとも部分的に制御することができる。コントローラ48は、医療デバイス20、流入ポンプ50、及び/又は流体加温システム60との電子通信(例えば、有線又は無線)状態にして制御指令を供給すること、及び/又はコントローラ48とこれらの間でデータを伝達又は受信することができる。例えば、本明細書でより詳細に説明するように、コントローラ48は、以下に限定されるものではないが、圧力データ及び温度データなどのデータを医療デバイス20から受信することができる。次いで、コントローラ48は、医療デバイス20から受信したデータを用いて流入ポンプ50及び/又は流体加温システム60の作動パラメータを制御することができる。一部の実施形態では、コントローラは、1組のシステム作動パラメータに基づいて流入ポンプ50を制御し、ターゲット流体流量又はターゲット流体圧力を維持するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、1組のシステム作動パラメータに基づいて流入ポンプ50を制御し、治療部位での望ましい流体圧力又は望ましい流量を維持するように構成することができる。
【0045】
流体管理システム10はまた、流体管理ユニットを含む。例示的流体管理ユニットは、1又は2以上の流体供給源34(例えば、1又は2以上の流体バッグ)を各々が支持する1又は2以上の流体容器支持体、例えば、流体供給源ハンガー32を含むことができる。一部の実施形態では、各流体供給源ハンガー32及び/又は流体容器支持体に関連付けられた及び/又は作動的に結合された遠隔センサ及び/又は供給ロードセル94を用いて流体供給源34(例えば、流体バッグ)の配置及び/又は重量を検出することができる。コントローラ48は、供給ロードセル94と電子通信することができる。流体供給源ハンガー32は、例えば、1リットル(L)から5Lまでの流体供給源(例えば、流体バッグ)のような様々なサイズの流体供給源34を受け入れることができる。いずれの個数の流体供給源34も使用することができることは理解されるであろう。更に、手順に依存していずれのサイズの流体供給源34も使用することができる。一部の実施形態では、流体管理ユニットは、支柱36及び/又は台座38を含むことができるローリングスタンドに装着することができる。台座38は、使用時に流体管理ユニットの簡易移動を容易にする複数の車輪を含むことができる。しかし、診療プリファレンスに依存して流体供給源34を天井又は他の場所から吊り下げることができることは理解されるであろう。流体供給源ハンガー32は、支柱36及び/又はコントローラ48から延びることができ、1又は2以上の流体供給源34を懸架することができる1又は2以上のフックを含むことができる。一部の実施形態では、流体管理ユニットに使用される流体は、0.9%生理食塩水とすることができる。しかし、手順に依存して様々な粘性の様々な他の流体を使用することができることは理解されるであろう。
【0046】
一部の実施形態では、流体管理ユニットは、真空ポンプ24及び収集ドレープ28と流体連通する収集容器26を含むことができる。一部の実施形態では、真空ポンプ24は、複数の真空ポンプを含むことができる。一部の実施形態では、収集容器26は、互いに及び/又は真空ポンプ24に流体接続した複数の容器、キャニスタ、及び/又は他のレセプタクルを含むことができる。一部の実施形態では、収集ドレープ28は、複数の収集ドレープを含むことができる。真空ポンプ24は、コントローラ48と作動的に及び/又は電子的に接続することができる。一部の実施形態では、図1に示すように、真空ポンプ24は、収集容器26に隣接するように及び/又はその近くに配置することができる。一部の実施形態では、真空ポンプ24は、流体管理システム10の中に配置することができる。他の構成を考えることもできる。一部の実施形態では、収集容器26の配置及び/又は重量を検出するために、収集容器26を収集ロードセル25と作動的に結合することができる。複数の容器、キャニスタ、及び/又は他のレセプタクルを有する実施形態では、各容器、キャニスタ、及び/又は他のレセプタクルは、対応する収集ロードセル25と作動的に結合することができる。コントローラ48は、収集ロードセル25と電子通信することができる。
【0047】
流体管理システム10は、タッチ画面インタフェース42のような1又は2以上のユーザインタフェース構成要素を更に含むことができる。タッチ画面インタフェース42は表示画面44を含み、タッチ機能に加えてスイッチ又はノブを含むことができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、タッチ画面インタフェース42及び/又は表示画面44を含むことができる。タッチ画面インタフェース42は、ユーザが例えば流量、圧力、又は温度のような流体管理システム10の様々な関数を入力/調節することを可能にする。ユーザは、パラメータ及び警報(以下に限定されるものではないが、最大圧力警報など)、表示される情報、及び手順モードを含むことができる。タッチ画面インタフェース42は、ユーザが流体管理システム10内で様々なモジュール式システムを追加すること、切り換えること、及び/又はその使用を中断することを可能にする。タッチ画面インタフェース42は、様々な手順に向けて流体管理システム10を自動モードと手動モードの間で切り換えるのに使用することができる。タッチ画面インタフェース42の代わりとして又はこれに加えて、ユーザ入力を受け入れるように構成された他のシステムを使用することができるように考えられている。
【0048】
当業者によって理解されるように、タッチ画面インタフェース42は、ボタンのような選択可能区域を含むように構成することができ、及び/又は物理的ボタンと類似の機能を提供することができる。表示画面44は、流体管理システム10内に含まれるモジュール式のシステム及びデバイスに関するアイコンを示すように構成することができる。更に、表示画面44は流量表示を含むことができる。流量表示は、手順の前にユーザによって設定された流量に対する望ましい閾値又は既知の一般的な値などに基づいて決定することができる。一部の実施形態では、作動パラメータは、タッチ画面インタフェース42の対応する部分をタッチすることによって調節することができる。タッチ画面インタフェース42は、パラメータ(例えば、流量、温度など)が予め決められた閾値及び/又は範囲を上回った又は下回った場合に視覚警告及び/又は聴覚警報を提供することができる。タッチ画面インタフェース42は、流体供給源34内に残っている流体の量及び/又は手順中にユーザが有利と決定するいずれかの他の情報を表示するように構成することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10は、任意的な足踏みペダル46、加熱器ユーザインタフェース、流体制御インタフェース、又は様々なモジュール式システムを手動で制御するための他のデバイスのような更に別のユーザインタフェース構成要素を更に含むことができる。例えば、任意的な足踏みペダル46を用いて流量を手動で制御することができる。一部の例示的表示画面44及び他のユーザインタフェース構成要素は、本発明の出願人に譲渡された「自動流体管理システム(AUTOMATED FLUID MANAGEMENT SYSTEM)」という名称の米国特許出願公開第2018/0361055号明細書に説明されており、この文献の開示全体は、これにより引用によって組み込まれる。
【0049】
タッチ画面インタフェース42は、コントローラ48と作動的に接続するか又はその一部とすることができる。コントローラ48は、タブレットコンピュータ又は他の処理デバイスとすることができる。コントローラ48は、例えば、流入ポンプ50、流体加温システム60、及び流体欠損管理システムのような1又は2以上のシステム構成要素と作動的に接続することができる。一部の実施形態では、これらの特徴は、単一ユニットの中に統合することができる。コントローラ48は、計算、制御、コンピュータ、表示のような様々な機能を実施する機能を有し、これらの機能を実施するように構成される。コントローラ48は、流体管理システム10及びその各構成要素の作動に関するデータを追跡及び格納する機能も有する。例示的実施形態では、コントローラ48は、コントローラ48を例えばローカルエリアネットワークに接続することを可能にするイーサネット又はWi-Fiのような有線及び/又は無線のネットワーク通信機能を含む。コントローラ48は、流体管理システム10の複数のセンサのうちの1又は2以上から信号を受け入れることができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、最良の診療提案及び患者記録の整備の目的でデータベースと通信することができ、これらは、表示画面44上でユーザに対して表示することができる。
【0050】
流体管理システム10は、手順、患者特性などに基づいて異なるモードの間でユーザ選択可能とすることができる。例えば、様々なモードは、以下に限定されるものではないが、fURSモード、BPHモード、子宮鏡検査モード、膀胱鏡検査モードなどを含むことができる。ユーザによってモードが選択されると、流体流量、流体圧力、流体欠損、及び温度のようなモードパラメータを表示画面を通してユーザに提供することができる。特定のモードの例示的パラメータは、予め決定して例えばソフトウエアを用いてコントローラ48上にロードすることができる。従って、ユーザがタッチ画面インタフェース表示画面44上の初期表示(例えば、図7)から手順を選択した時に、これらの既知のパラメータをコントローラ48から例えば流入ポンプ50、流体加温システム60、流体欠損管理システムのような流体管理システム10の様々な構成要素にロードすることができる。流体管理システム10は、自動モードと手動モードの間でユーザ選択可能とすることができる。例えば、ある一定の手順では、ユーザは、流体流量、流体圧力、及び/又は他のパラメータを手動で調節しようと望む場合ある。ユーザが、例えば、タッチ画面インタフェース42上で手動モードの作動を選択すると、ユーザは、任意的な足踏みペダル46又は流体制御インタフェースのような他の手動インタフェースを通して流体流量又は流体圧力を調節することができる。ユーザが自動モードを選択した場合に、流体管理システム10の制御を容易にするために医療デバイス20から得られたデータを使用することができるか否かをコントローラ48が決定することができるように、ユーザにタッチ画面インタフェース42を通してどの医療デバイス20を用いているかを選択又は入力するように促すことができる。本明細書でより詳細に説明するように、流体管理システム10は、収集データを使用する前に、選択された医療デバイス20が実際に使用されるかを検証するように構成することができる。
【0051】
コントローラ48は、輝度(例えば、光モニタ)、コントラスト、又はカラーピクシレーションの変化に基づいて視覚ノイズを検出することができる視覚ソフトウエア/画像認識ソフトウエアを含むように構成することができる。コントローラ48に供給される画像が十分に明瞭又は鮮明ではないと決定された場合に、流体管理システム10は、治療部位からデブリを洗い流して画像を鮮明化/明瞭化するために流体流量又は流体圧力を増大することができる。流体流量又は流体圧力は、一時的な時間(予め決められた期間)にわたって又は視野が十分に明瞭であると見なされるまで増大することができる。この一時的な増加は、腔内圧が安全限界を超えないことを保証するように流体流量又は流体圧力を増大する時間が制限されることを保証する。例えば、流体管理システム10は、洗浄液中の赤色相(血液の兆候)を認識し、血液が視野から取り除かれるまで流体流量又は流体圧力を増大するように流入ポンプ50に信号伝達することができる。これに代えて、コントローラ48は、医師又は看護師に対して曇った視界が検出されたという視覚警告を表示画面44上に提供すること又は可聴警告を提供することができ、次いで、ユーザは、洗浄液流量を手動で調節することができる。別の例では、かなりの量のデブリが存在する事例では、デブリから反射された光が画像の輝度を実質的に高める場合がある。この関連では、コントローラ48は、この過度の輝度を検出してデブリを洗い流すために及び/又は除去するために流体流量又は流体圧力を増大するように流入ポンプ50に信号伝達する。デブリが映像システムの視野から洗い流されて取り除かれる時に反射光が低減すると、流体流量又は流体圧力を低減するように流入ポンプ50がコントローラ48によって制御される。一部の場合に、医師は、視野を明瞭化する流体流れを起こした方が良いと思うベースライン可視性レベルを生成し、手順の前にこれらのパラメータを流体管理システム10の中にタッチ画面インタフェース42を通して入力することができる。ベースラインが生成されると、流体管理システム10は、映像の変化に関して視覚フィードをモニタして流体流量を必要に応じて自動的に調節することができる。
【0052】
流体管理システム10によって流体流量又は流体圧力を調節するために、流体管理ユニットは、流入ポンプ50のような1又は2以上の加圧デバイスを含むことができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50は、蠕動ポンプとすることができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50は、複数のポンプ又は1よりも多いポンプを含むことができる。流入ポンプ50は、電気的に駆動することができ、壁コンセントのような電力線源、使い捨てバッテリ又は再充電可能バッテリのような外部又は内部の蓄電デバイス、及び/又は内部電源から受電することができる。流入ポンプ50は、流体を例えば5mmHgから50mmHgまでのようなターゲット圧力、及び/又はターゲット流体流量又はターゲット流体圧力で送出するほど十分ないずれかの望ましい速度で作動させることができる。本明細書で特筆するように、流入ポンプ50は、例えば、治療部位内の圧力及び/又は温度の読取値及び/又は医療デバイス20からの視覚フィードバックに基づいて自動的に調節することができる。流入ポンプ50は、例えば、任意的な足踏みペダル46、タッチ画面インタフェース42、又は別個の流体コントローラを通して手動で調節することができる。明示的に示していないが、流体コントローラは、ユーザが流入ポンプ50を強めるか又は弱めることを可能にするボタンを含む別個のユーザインタフェースとすることができる。これに代えて、流体コントローラは、主処理デバイスの中に組み込むことができ、タッチ画面インタフェース42を通して入力を受け入れることができる。いずれの個数のポンプも使用することができることは理解されるであろう。一部の実施形態では、流体管理システム10は、様々な流送機能を有する複数のポンプを含むことができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50の前及び/又は後に流量計を位置付けることができる。
【0053】
いずれかの変化に対する手術室(OR)の可視性を与えるために、いずれか所与の時間での流体の流体流量又は流体圧力を表示画面44上に表示することができる。OR人員が、過度に高いか又は過度に低いかのいずれかの流体流量又は流体圧力の変化に気付いた場合に、ユーザは、好ましいレベルに戻るように流体流量又は流体圧力を手動で調節することができる。これは、例えば、医師がツールを医療デバイス20の作動チャネルの中に挿入する時又はそこから除去する時に起こる場合がある。流体管理システム10は、本明細書で議論するように、予め設定されたパラメータに基づいて流体流量又は流体圧力をモニタして自動的に調節することができる。この特徴は、流体流れが手動で供給される時、例えば、助手がシリンジによって洗浄液を注入する時に有利とすることができる。
【0054】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、視覚ソフトウエア又は画像認識解析ソフトウエアを含むことができる。例えば、流体管理システム10は、身体内の医療デバイス20上に配置されたカメラ70(例えば、図2及び図3を参照されたい)によってツールが挿入されたか否か及びツールが使用されるか否かを検出することができる。ツールは、例えば、どのタイプのツールが使用されるかを流体管理システム10に通知するために視覚ソフトウエアによって確認することができる識別可能マーカを有することができる。次いで、流体管理システム10は、視覚ソフトウエアによって識別されたツールに基づいて流体流量又は流体圧力を自動的に調節することができる。従って、ツールが作動チャネルから後退される時に、流体管理システム10は、流体流量又は流体圧力を自動的に低減することができる。
【0055】
これに加えて又はこれに代えて、流体管理システム10は、治療部位内で検出された腔内の温度及び/又は圧力に基づいて流体流量又は流体圧力を自動的に調節することができる。腔内の温度及び/又は圧力は、医療デバイス20上に装着された温度センサ72及び/又は圧力センサ74を流体管理システム10と併用して原位置で測定することができる。流体管理システム10は、治療部位に送出される流体の圧力をターゲット圧力及び/又は予め決められた圧力範囲に維持するために流体管理システム10によって流入ポンプ50を自動的に始動、停止、及び/又は速度調節するようにユーザが構成することができるような圧力モニタソフトウエアを含むことができる。例えば、圧力センサ74は、治療部位(例えば、腎臓又は子宮)内の圧力を検出してモニタされる腔内(例えば、腎内又は子宮内)圧に基づいて流体管理システム10内の流体流量又は流体圧力を自動的に変更することができる。腔内圧が過度に高い場合に、流体管理システム10は、流体流量又は流体圧力を低減することができ、腔内圧が過度に低い場合に、流体管理システム10は、流体流量又は流体圧力を増大することができる。例示的温度制御モードでは、流体管理システム10は、治療部位に送出される流体の温度をほぼターゲット温度及び/又は予め決められた温度範囲に維持するように流体加温システム60を制御する(例えば、始動、停止、及び温度調節する)ことができるような温度モニタソフトウエアを含むことができる。例えば、温度を生体内又は生体外でモニタし、供給される温度フィードバックに基づいて流体流れを変更することができる。図示の実施形態では、流体管理システム10は、治療部位内で感知された温度及び/又は圧力を既知の値と比較してパラメータが予め決められた安全範囲外にある時に注意喚起を提供することができる。注意喚起は、視覚警告又は聴覚警告とすることができる。
【0056】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、例えば、腎臓結石のようなターゲット構造又は物体の移動をモニタすることができる。流体管理システム10は、ターゲット構造又は物体の元の位置と新しい位置に基づいて移動速度を計算することができる。移動が予め決められた閾値を超えた場合に、流体管理システム10の流体流量又は流体圧力を手動で調節するようにユーザに警告することができる。本明細書に説明するように、流体流量又は流体圧力は、任意的な足踏みペダル46、タッチ画面インタフェース42、及び/又はポンプインタフェースを通して手動で調節することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10は、自動モードにある場合に、流体流量又は流体圧力を必要に応じて自動的に調節することになる。この機能は、砕石のような手順中にターゲット構造又は物体の後方突進を制御するのに非常に有利とすることができる。
【0057】
図2図4は、流体管理システム10と併用することができる医療デバイス20の態様を示している。図示の実施形態では、医療デバイス20は、LithoVue(登録商標)スコープのような尿管鏡とすることができる。しかし、尿管鏡に加えて又はその代わりに、別の内視鏡のような他の医療デバイスを使用することができる。医療デバイス20は、患者内の治療部位にアクセスするように構成された細長シャフト76によって流体を流体管理システム10から治療部位に送出するように構成することができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50は、細長シャフト76と流体連通することができる。細長シャフト76は、流体流れを受け入れるための1又は2以上の作動管腔又はそこを通る他の医療デバイスを含むことができる。流体管理システム10と流体連通して患者の身体に配置された医療デバイス20の概略図である図4に示すように、医療デバイス20は、1又は2以上の供給ライン78(例えば、チューブ)を通して流体管理システム10に接続される。
【0058】
一部の実施形態では、医療デバイス20は、有線接続部79を通してワークステーション81と電子通信することができる。ワークステーション81は、特徴の中でも、タッチパネルコンピュータ83と、有線接続部79を受け入れるためのインタフェースボックス85と、カート87と、電源89とを含むことができる。一部の実施形態では、インタフェースボックス85は、流体管理システム10のコントローラ48との有線又は無線通信接続部91を有するように構成することができる。タッチパネルコンピュータ83は、少なくとも表示画面と画像処理プロセッサとを含むことができる。一部の実施形態では、ワークステーション81は、多用途構成要素(例えば、1よりも多い手順に使用される)とすることができ、それに対して医療デバイス20は単一用途デバイスとすることができるが、これは必須ではない。一部の実施形態では、ワークステーション81は除外することができ、医療デバイス20は、流体管理システム10のコントローラ48に電子的に直接に結合することができる。
【0059】
流体管理システム10から医療デバイス20への1又は2以上の供給ライン78は、流入ポンプ50によって達成される蠕動運動を減衰させることを助ける材料で形成することができる。ここで図2に戻ると、医療デバイス20は、細長シャフト76の遠位端80に対して近位の1又は2以上のセンサを含むことができる。例えば、医療デバイス20は、治療部位内の腔内圧を測定するための圧力センサ74を細長シャフト76の遠位先端に含むことができる。医療デバイス20は、例えば、温度センサ72、応力を検出するためのファイバブラッグ回折格子光ファイバ75、及び/又はアンテナ又は電磁センサ93(例えば、位置センサ)を更に含むことができる。例示的実施形態では、医療デバイス20の遠位端80は、タッチパネルコンピュータ83の表示画面上でユーザに対して視覚フィードを提供するために少なくとも1つのカメラ70を更に含むことができる。別の実施形態では、医療デバイス20は、各々によって異なる情報をユーザに伝えることができるように異なる通信要件又はプロトコルを有する2つのカメラ70を含むことができる。そのように設けられた時に、ユーザは、タッチ画面インタフェース42及び/又はタッチパネルコンピュータ83を通してこれらのカメラ70の間で任意に切り換えを行うことができる。指定していないが、細長シャフト76は、流体及び/又は他の医療デバイスを受け入れるための1又は2以上の作動管腔を含むことができる。
【0060】
医療デバイス20は、細長シャフト76の近位端に結合されたハンドル82を含む。ハンドル82は、流体がいつ医療デバイス20を通って治療部位の中に流れ込むかをユーザが制御することを可能にする流体流れオン/オフスイッチ84を有することができる。ハンドル82は、他の様々な機能を実施する他のボタン86を更に含むことができる。例えば、一部の実施形態では、ハンドル82は、流体の温度を制御するためのボタンを含むことができる。一部の実施形態では、ハンドル82は、ユーザがレーザエネルギを放出することができるようにレーザを含むことができる。例示的実施形態では、レーザは、Lumenis又はStarMed Techのレーザとすることができる。レーザシステムにはレーザファイバを接続し、尿管鏡の作動チャネルを通して挿入することができる。ユーザは、レーザファイバの先端からエネルギが射出し、デブリ/結石に当たってそれを破壊するようにレーザを放出することができる。ハンドル82上にレーザボタンを含む例示的実施形態では、レーザシステムとハンドル82の間の通信ライン(例えば、結線又は無線)が維持される。この例示的実施形態は、尿管鏡を説明しているが、上記で詳述した特徴は、膀胱鏡、内視鏡、子宮鏡、又は画像機能を有する事実上あらゆるデバイスの中に直接統合することができることは理解されるであろう。一部の実施形態では、医療デバイス20は、排液システムに接続することができる排液ポート88を更に含むことができる。一部の例示的排液システムは、本発明の出願人に譲渡された「自動流体管理システム(AUTOMATED FLUID MANAGEMENT SYSTEM)」という名称の米国特許出願公開第2018/0361055号明細書に説明されており、この文献の開示は、これにより引用によって組み込まれる。
【0061】
少し図1に戻ると、コントローラ48は、細長シャフト76の遠位端80が患者内に配置された時に手順中に失われた流体を表す流体欠損、患者によって吸収された流体欠損、及び/又は他に不明な流体欠損を計算するように構成することができる。
【0062】
手順を開始する前に、流体管理システム10からあらゆる空気を除去するためにこのシステムをプライミング又は充填する必要がある場合がある。流体管理システム10をプライミングした結果として一部の流体が失われる場合がある。一部の実施形態では、コントローラ48は、流体管理システム10のプライミングの後に流体欠損をゼロに自動的にリセットするように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、細長シャフト76の遠位端80が患者内に挿入されたことを1又は2以上のセンサからの信号が示す時に流体欠損計算を自動的に開始するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、細長シャフト76の遠位端80が患者から除去された時に流体欠損計算を自動的に中断するように構成することができる。医療デバイス20の細長シャフト76の遠位端80が患者内に配置された時を検出するためのシステム及び方法に関する追加の詳細に関しては後に議論する。一部の実施形態では、コントローラ48は、細長シャフト76の遠位端80が患者の中に再挿入されたことを1又は2以上のセンサからの信号が示す時に流体欠損計算を自動的に再開するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、細長シャフト76の遠位端80が患者内に配置された時にのみ流体欠損を計算するように構成することができる。
【0063】
代替実施形態では、流体欠損計算は、システムの初期設定の後(例えば、プライミングの前)に開始することができる。設定後に、コントローラ48は、「プライミングモード」に入ることができる。コントローラ48は、システムのプライミング(例えば、「プライミングモード」)中に使用される流体をモニタするように構成することができる。プライミング中に使用される流体は、ポンプ回転速度、流れセンサデータ、流体供給源34の重量変化、又は他の適切な手段を用いて決定することができる。システムのプライミング後に、コントローラ48は、「作動モード」に入ることができる。真の流体欠損を決定するために、システムのプライミング中に使用された流体は、流体欠損計算から除外することができ、及び/又は計算された流体欠損から減算することができる。例えば、供給ライン78及び/又は加熱器カセット64は、既知の流体容積を定義する及び/又は閉じ込めることができる。コントローラ48は、供給ライン78及び/又は加熱器カセット64のこの既知の流体容積を流体欠損計算から除外するように構成することができる。
【0064】
これに加えて、一部の実施形態では、流体欠損計算は、流体供給源34が補充される時に中断されることなく続行することができる。例えば、手順中に流体供給源34が交換又は補填される場合にこの手順は続行される。従って、コントローラ48によって計算されている流体欠損も、手順全体にわたって全流体欠損を維持し続けることができる。従って、一部の実施形態では、流体管理システム10は、細長シャフト76と流体連通する第1の流体供給源34と、第2の流体供給源34とを含むことができる。コントローラ48は、流体管理システム10をプライミングした後に全流体欠損をゼロに設定するように構成することができる。使用時に、コントローラ48は、細長シャフト76の遠位端80が患者内に配置された時に、第1の流体供給源34に関する第1の流体欠損を計算することを自動的に開始するように構成することができる。手順中に第1の流体供給源34が減った又は尽きた場合に、第1の流体供給源34を第2の流体供給源34と交換すること、それによって補填すること、及び/又は補充することができる。コントローラ48は、第1の流体供給源34が、細長シャフト76と流体連通する第2の流体供給源34で置換される時に、第1の流体欠損を保持するように構成することができ、その後に、細長シャフト76の遠位端80が患者内に配置された時の第2の流体供給源34に関連付けられた第2の流体欠損に第1の流体欠損を加算することによって全流体欠損を計算するように構成することができる。
【0065】
一部の実施形態では、コントローラ48は、全流体欠損が事前設定流体欠損限界に達する時にユーザに通知するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、全流体欠損が事前設定流体欠損限界に達する時に流入ポンプ50及び/又は真空ポンプ24を停止するように構成することができる。
【0066】
一部の実施形態では、コントローラ48は、注入された流体の全量が事前設定流体注入限界に達する時にユーザに通知するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、注入された流体の全量が事前設定流体注入限界に達する時に流入ポンプ50及び/又は真空ポンプ24を停止するように構成することができる。
【0067】
一部の実施形態では、コントローラ48は、例えば、供給ロードセル94、目盛り、又は他の適切な手段を用いて流体供給源34内の流体量を重量を通してモニタするように構成することができる。供給ロードセル94は、流体供給源ハンガー32に取り付けられた流体供給源34の重量を決定して流体供給源34内の初期流体量を流体供給源34内に残っている現在流体量と比較するためにコントローラ48によって使用することができる。供給ロードセル94の読取値は、表示画面44上でユーザに対して示すことができる。手順が進行する時に、供給ロードセル94の読取値を実時間で更新し、流体供給源34内にどれほどの量の流体が残されているかを医師に警告することができ、次いで、この量を用いてどれほどの量の流体が患者の中に注入されたかを決定することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10及び/又はコントローラ48は、新しい流体供給源34が必要になる前に残っている時間量を流体供給源34の重量と流体供給源34が空になる速度(例えば、流体流量)とに基づいて提供することができる。一部の実施形態では、流体供給源34内に残っている流体量を示すことができる。例えば、流体供給源34内に10%の流体が残っている時に、表示画面44上に可聴信号によって警告を示すことができる。一部の実施形態では、供給ロードセル94は、無線(例えば、WiFi)信号を通して表示画面44に接続することができる。一部の実施形態では、供給ロードセル94は、結線接続を通して表示画面44に接続することができる。
【0068】
同様に、コントローラ48は、例えば、収集ロードセル25、目盛り、又は他の適切な手段を用いて収集容器26内の流体量を重量を通してモニタするように構成することができる。収集ロードセル25は、収集容器26の重量を決定して収集容器26内の初期流体量を収集容器26内の現在流体量と比較するためにコントローラ48によって使用することができる。収集ロードセル25の読取値は、表示画面44上でユーザに対して示すことができる。手順が進行する時に、収集ロードセル25の読取値を実時間で更新し、収集容器26内にどれほどの量の流体が存在するかを医師に警告することができ、次いで、この量を用いてどれほどの量の流体が患者及び/又は収集ドレープ28から収集されたかを決定することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10及び/又はコントローラ48は、新しい収集容器26が必要になる前に残っている時間量を収集容器26の重量と流体供給源34が空になる速度(例えば、流体流量)とに基づいて提供することができる。一部の実施形態では、収集容器26内の流体量を示すことができる。例えば、収集容器26内に初期空容積の10%しか残っていない時に、表示画面44上に可聴信号によって警告を示すことができる。一部の実施形態では、収集ロードセル25は、無線(例えば、WiFi)信号を通して表示画面44に接続することができる。一部の実施形態では、収集ロードセル25は、結線接続を通して表示画面44に接続することができる。
【0069】
一部の実施形態では、流体欠損計算は、収集容器26が空になるか又は交換される時に中断されることなく続行することができる。例えば、手順中に収集容器26が空になるか又は交換される場合にこの手順は続行する。従って、コントローラ48によって計算されている流体欠損も、手順全体にわたって全流体欠損を維持し続けることができる。手順中に収集容器26が一杯になった場合に、収集容器26を空にして使用状態に置き戻すことができ、又は空の収集容器と交換することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、収集容器26内の流体量を保持するように構成することができ、その後に、細長シャフト76の遠位端80が患者内に配置された時に空の収集容器又は交換収集容器に関連付けられた第2の流体量に収集容器26内の流体量を加算することによって全流体欠損を計算するように構成することができる。
【0070】
一部の実施形態では、コントローラ48は、流体供給源34の重量変化と収集容器26の重量変化の間の差と共に流入ポンプ50の回転速度を用いて流体欠損を計算するように構成することができる。例えば、流入ポンプ50の回転速度は、既知の流体流量(例えば、患者及び/又は治療部位の中に注入される流体の予想量)を定めることができ、流体供給源34から除去される流体の重量と収集容器26に追加される流体の重量の間の差が流体欠損(失われた流体)に対応することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、流体供給源34の重量変化を流入ポンプ50の回転速度及び/又は流れセンサからのデータと相関させて流体が流体供給源34で又は治療部位の上流及び/又は患者の体外にあるいずれかの場所で失われている(例えば、流体バッグが破裂した)か否かを決定するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、流入ポンプ50の回転速度を用いて第1の流体欠損値を計算し、流体供給源34の重量変化と収集容器26の重量変化の間の差を用いて第2の流体欠損値を計算するように構成することができる。表示欠損値(例えば、表示画面44上の)は、第1の流体欠損値と第2の流体欠損値との組合せに基づくことができる。例えば、第1の流体欠損値は、第2の流体欠損値と比較する及び/又は相関させることができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、第1の流体欠損値と第2の流体欠損値の間の差が予め決められた範囲内である場合に表示欠損値を表示するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、第1の流体欠損値と第2の流体欠損値の間の差が予め決められた範囲外にある場合に通知を表示するように構成することができる。
【0071】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、流体供給源34と医療デバイス20の間に直列に接続された圧力センサを含むことができ、供給ライン78内の圧力が流体供給源34の高さに基づいて決定される。流体供給源34が空になる時にヘッド圧の量が減少する。この圧力がユーザによって設定された閾値を下回った場合に表示画面44上に警告を示すことができ、可聴信号を送信することができる。別の例示的実施形態では、コントローラ48は、経過した時間の量に基づいて特定の流体流量又は流体圧力に設定することができる。医師は、流体供給源34の初期流体容積を流体管理システム10及び/又はコントローラ48の中に入力することができ、次いで、流体管理システム10及び/又はコントローラ48は、既知の流体流量又は既知の流体圧力と流体管理システム10が使用状態にあった時間の量とに基づいて、既に使用された流体の量及びどれほどの量が残されているかを計算する。一部の実施形態では、流体供給源34と医療デバイス20の間に流量センサを直列に接続することができる。流量センサは、コントローラ48と作動的に接続することができ、流量センサからのデータは、コントローラ48によって選択的なシステムパラメータを変更するのに使用することができ、及び/又は流体欠損計算に使用することができる。
【0072】
流体管理システム10は、供給ライン78を利用して様々な構成要素に接続することができる。一部の実施形態では、供給ライン78は、直径が1/16インチ(1.5875ミリメートル)よりも小さいか又はそれに等しい小径配管から形成することができる。しかし、配管サイズは、用途に基づいて異なる場合があることは理解されるであろう。供給ライン78及び/又は配管は、使い捨て用品とし、無菌かつ直ぐに使用可能な状態で与えることができる。流体管理システム10内の様々な機能に対して異なるタイプの配管を使用することができる。例えば、1つのタイプの配管を医療デバイス20への流体の加熱及び流体流れの制御に使用することができ、それに対して別のタイプの配管を身体内及び/又は治療部位内の洗浄に使用することができる。
【0073】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、図5に示す患者に送出されることになる流体を加熱するための流体加温システム60を含むことができる。流体加温システム60は、加熱器62と加熱器カセット64とを含むことができる。加熱器カセット64は、単一用途加熱器カセット64であるように構成することができ、それに対して加熱器62は、複数の手順に向けて再使用することができる。例えば、加熱器カセット64は、加熱器62を最小限の保守しか伴わずに再使用することができるように流体流れを隔離することができる。加熱器カセット64は、例えば、ポリカーボネート又はいずれかの高熱定格生体適合プラスチックで形成することができ、単一単体部品及び一体部品又は互いに永久接合された複数の部品として形成される。一部の実施形態では、加熱器カセット64は、その側面に位置付けられた流体入口ポート61と流体出口ポート63とを含むことができる。流体入口ポート61及び流体出口ポート63は、各々が流体管理システム10の供給ライン78に結合するように構成することができる。例えば、流体入口ポート61は、流体供給源34と流体加温システム60を結合することができ(流入ポンプ50を通して)、それに対して流体出口ポート63は、流体加温システム60を医療デバイス20と結合することができ、各結合は、供給ライン78を通じたものである。
【0074】
一部の実施形態では、加熱器カセット64は、流体が流体入口ポート61から流体出口ポート63まで貫流することを可能にするチャネルに沿って内部流れ経路を含むことができる。加熱器カセット64は、1又は複数の流路を含むことができる。一部の実施形態では、チャネルは、誘導加熱によって流体を加熱することを可能とすることができるサセプタ66を通過することができる。加熱器カセット64が加熱器62と結合される時に、サセプタ66は、誘導コイル68の中に配置されるように構成することができる。必要に応じて、他の流体加温システム構成及び方法を使用することができる。例えば、加熱器62は、例えば電気エネルギを使用するプラテンシステム又は直列コイルのような1又は2以上の熱源を供給ライン78内に含むことができる。加熱は、流体管理システム10の特定の用途で必要とされる流量に合わせて特別に設計かつ適応させることができる。一部の例示的流体加温システム60は、本発明の出願人に譲渡された「自動流体管理システム(AUTOMATED FLUID MANAGEMENT SYSTEM)」という名称の米国特許出願公開第2018/0361055号明細書に説明されており、この文献の開示全体は、これにより引用によって組み込まれる。
【0075】
明示的に示していないが、流体加温システム60は、タッチ画面インタフェース42とは別個の加熱器ユーザインタフェースを含むことができる。加熱器ユーザインタフェースは、単純に、加熱器62の内部温度のデジタル表示を提供する表示画面とすることができる。別の実施形態では、このユーザインタフェースは、加熱器62の温度を上昇又は下降させるための温度調節ボタンを更に含むことができる。この実施形態では、加熱器ユーザインタフェース及び/又は表示画面は、加熱器62の現在温度、並びに到達されるターゲット温度を含むことができる。加熱器ユーザインタフェースを必要としないように、流体加温システム60から出力される全ての情報は、表示画面44に直接伝達することができることに注意されたい。
【0076】
流体加温システム60は、その中を貫流する流体をモニタするように構成された1又は2以上のセンサを含むことができる。例えば、加熱器カセット64の中を貫流する流体の温度を検出するように、温度センサ65を流体加温システム60内に装着することができる。温度センサ65は、流体入口ポート61及び/又は流体出口ポート63又はその近くに位置付けることができる。一部の実施形態では、温度センサ65は、流体がサセプタ66に流入する前及び流体がサセプタ66を流出した後に加熱器カセット64を貫流する流体の温度を検出するように装着することができる。一部の実施形態では、加熱器カセット64内の流体の温度上昇の推移を検出するように、サセプタ66の中間部分に追加のセンサを位置付けることができる。温度センサ65は、いずれかの情報を表示画面44に遠隔的に送信することができ、又は加熱器ユーザインタフェース及び/又はその表示画面がそのように設けられる場合にこれらに情報を送信することができる。別の実施形態では、温度センサ65は、加熱器ユーザインタフェースと結線することができ(設けられる場合)、この場合に、加熱器ユーザインタフェースは、望ましい情報を表示画面44に遠隔的に伝達することができる。これに代えて又はこれに加えて、温度センサ65は、コントローラ48に及び/又はそれと結線することができる。
【0077】
加熱器62は、圧力センサ67及び/又は気泡センサ69を更に含むことができる。加熱器カセット64は、それが流体加温システム60と結合された時に圧力センサ67及び気泡センサ69それぞれが加熱器カセット64の中を貫流する流体をモニタすることを可能にする対応する圧力センサインタフェース71及び気泡センサインタフェース73を含むことができる。圧力センサ67及び/又は気泡センサ69は、いずれかの情報を表示画面44に遠隔的に送信することができ、又は加熱器ユーザインタフェース及び/又はその表示画面がそのように設けられる場合にこれらに情報を送信することができる。別の実施形態では、圧力センサ67及び/又は気泡センサ69は、加熱器ユーザインタフェース(設けられる場合)と結線することができ、この場合に、加熱器ユーザインタフェースは、望ましい情報を表示画面44に遠隔的に伝達することができる。これに代えて又はこれに加えて、圧力センサ67及び/又は気泡センサ69は、コントローラ48に及び/又はそれと結線することができる。
【0078】
図6は、流体管理システム10及び医療デバイス20を示す概略ブロック図である。本明細書に説明するように、流体管理システム10と医療デバイス20の間に医療デバイス20を加熱器カセット64に流体結合する1又は2以上の機械的接続部(例えば、供給ライン78)と、ワークステーション81を流体管理システム10のコントローラ48と結合する1又は2以上の有線又は無線通信接続部91(例えば、イーサネットコード、WiFiなど)とを含む2つの1次インタフェースが存在することが可能である。ワークステーション81は、圧力データ(例えば、医療デバイス20を用いて得られた)を流体管理システム10のコントローラ48に伝達することができる。次いで、流体管理システム10のコントローラ48は、ユーザ指定値又は予め決められた圧力限界に達した時に医療デバイス20からの圧力データを用いて流体流量又は流体圧力を調節することができる。
【0079】
しかし、例えば典型的な結石手順中に、流体管理システム10は、複数の内視鏡又は他の医療デバイスに接続される場合がある。同様に、圧力センサ74を有する医療デバイス20と流体管理システム10の両方が使用される手順では、コントローラ48とワークステーション81とがORの準備段階で接続される場合があり、手順を通して接続したままに留まる場合がある。これは、医療デバイス20がワークステーション81に接続されている場合に、医療デバイス20が使用されているか否かに関わらず、ワークステーション81が流体管理システム10のコントローラ48に圧力データを伝達することができることを意味することができる。従って、流体管理システム10のコントローラ48は、腔内圧を調整するために医療デバイス20からの圧力データをいつ使用するのが安全であるかを決定するように構成することができる。一部の実施形態では、これは、使用されている医療デバイス20のタイプをタッチ画面インタフェース42上で選択するようにユーザに問うことによって行うことができる。医師が医療デバイス20以外のデバイスを選択した場合に、流体管理システム10のコントローラ48は、医療デバイス20から送信されている圧力データを無視することができる。
【0080】
しかし、医師が医療デバイス20を実際に用いていない時、又は医療デバイス20がもはや使用状態になく、現時点で異なる内視鏡又は医療デバイスが使用されていることを医師が流体管理システム10に伝え忘れている可能性がある時に、医師は、医療デバイス20を間違って選択する場合がある。流体管理システム10は、新しい内視鏡又は医療デバイスが使用されていることを検出することができない場合に、使用状態にない医療デバイス20から送信された圧力データを間違って使用する(従って、腔内圧に関する圧力データが不正確である)場合がある。その結果、流体管理システム10の圧力限界制御が根本的に迂回され、流体管理システム10が潜在的に危険な圧力を駆動又は送出することが許される場合がある。そのような危険が発生することを防止するために、流体管理システム10は、医療デバイス20から伝達される圧力データをいつ使用するのが安全であるかをワークステーション81によって決定する必要がある場合がある。従って、医療デバイス20と流体管理システム10の間の唯一の接続を例えば標準のルアーコネクタを用いた物理的接続とすることができる時に、センサ使用可能医療デバイス20が流体管理システム10に接続されているか否かを検出することが望ましい場合がある。
【0081】
医療デバイス20が流体管理システム10との併用状態にある時に、医療デバイス20は、その遠位先端にある圧力センサ74によって測定することができる脈動圧力のいくつかの固有発生源に露出される場合がある。これらの脈動発生源は、流体管理システム10又は患者のいずれかに固有のものである場合がある。1又は2以上の脈動発生源を区別することができる場合に、流体管理システム10は、医療デバイス20が使用状態にあり、従って、医療デバイス20からの圧力データに基づいて流体圧力を制限することが安全であるという決定を行うことができる。
【0082】
1つの脈動圧力発生源は、流体管理システム10内で発生する場合がある。例えば、流入ポンプ50は、医療デバイス20の圧力センサ74のような圧力センサを用いて測定することができる固有のフィンガプリントを脈動流れ内に発生させる場合がある。脈動圧力は、ポンプヘッドのポンプヘッドローラーと毎分回転数(RPM)との関数とすることができる。医療デバイス20が流体管理システム10に接続された時に、このフィンガプリントを医療デバイス20によって測定し、流体管理システム10の流入ポンプ50によって達成されるシグナチャーと照合することができる。医療デバイス20の圧力センサ74で測定された脈動圧力と流体管理システム10の流入ポンプ50の既知のシグナチャーとの間に適合があった場合に、流体管理システム10は、医療デバイス20が使用状態にあり、流体管理システム10に接続されていることを確認することができる。
【0083】
一部の実施形態では、流体管理システム10からの生の圧力データを流体加温システム60内の圧力センサ67から受け入れることができる。他の実施形態では、生圧力データは、流体流量に従って予想される圧力のデータベースから取り出すことができる。図示の実施形態では、この生圧力データ及び医療デバイス20からの圧力データは、約100ミリリットル毎分(mL/分)の中程度の流体流量で収集される。しかし、本明細書に説明するデータ処理段階は、100mL/分よりも低い流体流量及び100mL/分よりも高い流体流量に使用することができることは理解されるものとする。流体管理システム10からの生圧力データと医療デバイス20からの圧力データとを比較するために生圧力データ及び医療デバイス20からの圧力データを数学平均を用いてフィルタリングすることができる。一部の実施形態では、生圧力データ及び医療デバイス20からの圧力データは、フィルタ遮断周波数を有するローパスフィルタを用いてフィルタリングすることができる。フィルタ遮断周波数は、ポンプ流量に基づいて設定することができる。次いで、生圧力データ及び医療デバイス20からの圧力データは、正規化することができる。次いで、フィルタリングされたかつ正規化された圧力データに対して高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを実施して流入ポンプ50によって達成された優勢なトーンを抽出することができる。FFTアルゴリズムは、フィルタリングされたかつ正規化された圧力データを時間領域から周波数領域に変換することができる。フィルタリングされたかつ正規化された圧力データが周波数領域に変換されると、流体管理システム10の優勢トーン(例えば、最大振動強度を有する周波数)と医療デバイス20の優勢トーンとを識別することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10の優勢トーンと医療デバイス20の優勢トーンは、2.3ヘルツ(Hz)では同様又は同じである。図示の例では、流体管理システム10は、優勢トーンが適合するか否かを決定することができる。これらの優勢トーンが等しい、ほぼ等しい、又は互いの予め決められた範囲内である場合に、優勢トーンは適合すると見なすことができる。流体管理システム10の優勢トーンと医療デバイス20の優勢トーンとが適合した時に、流体管理システム10は、医療デバイス20が使用状態にあり、流体管理システム10に接続されており、かつ医療デバイス20からの圧力データを用いて流体管理システム10を制御することができると決定することができる。
【0084】
データ処理は、コントローラ48、ワークステーション81、又はその組合せで行うことができるように考えられている。一部の実施形態では、生圧力データ及び医療デバイス20からの圧力データの全ては、単一処理デバイスで処理及び解析することができる。他の実施形態では、生圧力データ及び医療デバイス20からの圧力データは、別個の処理デバイスで処理することができる。例えば、一部の場合に、コントローラ48は、流体管理システム10から取得した生圧力データを処理(例えば、フィルタリング、正規化、及び/又はFFT)することができ、それに対してワークステーション81は、医療デバイス20から取得した圧力データを処理(例えば、フィルタリング、正規化、及び/又はFFT)することができる。一部の場合に、医療デバイス20からの処理された圧力データは、比較に向けてワークステーション81からコントローラ48に伝達することができる。他の実施形態では、流体管理システム10からの処理された生圧力データは、解析に向けてコントローラ48からワークステーション81に伝達することができる。
【0085】
一部の実施形態では、例えば、400mL/分のようなより高い流体流量では、流体管理システム10の優勢トーンと医療デバイス20の優勢トーンとが同様又は同じではない場合がある。これは単なる例であり、限定的であるように意図したものではない。この例では、流体管理システム10の優勢トーンは約9.5Hzである場合があり、それに対して医療デバイスの優勢トーンは約4Hzである場合がある。従って、この例では、流体管理システム10は、優勢トーンが適合せず、従って、流体管理システム10を制御するのに医療デバイス20からの圧力データを用いるべきではないと決定することができる。
【0086】
別の脈動圧力発生源は、患者の心拍である場合がある。例えば、心拍と同期した脈動波が腎盂の中に伝達される場合がある。これらの脈動波は、医療デバイス20によって検出することができる心臓律動に関する固有の圧力シグナチャーを発生させる場合がある。流体管理システム10は、心拍の圧力シグナチャーから抽出した特性を医療デバイス20上の圧力センサ74から受け入れた圧力データから抽出した特性と比較するように構成することができる。この特性は、周波数、振幅、優勢トーンなどとすることができる。一例では、流体管理システム10は、フィルタリングされて正規化されて周波数領域に変換された心拍データを今説明したものと類似の方式で同じくフィルタリングされて正規化されて周波数領域に変換された医療デバイス20からの圧力データと比較することができる。心拍データは、流体管理システム10以外又は医療デバイス20以外の医療デバイスから取得することができるように考えられている。医療デバイス20によって収集された圧力データ内に心臓律動が検出された場合に、流体管理システム10は、医療デバイス20が使用状態にあり、従って、流体管理システム10を制御するのに医療デバイス20から取得した圧力データを使用することができるという決定を行うことができる。医療デバイス20によって収集された圧力データ内に心臓律動を検出することができない場合に、流体管理システム10は、医療デバイス20が使用状態になく、流体管理システム10を制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用すべきではないという決定を行うことができる。
【0087】
別の脈動圧力発生源は、患者の尿管腎盂活動である場合がある。例えば、患者の尿管又は腎盂の収縮及び弛緩は、固有の測定可能な圧力波を発生させる場合がある。これらの収縮からの周期的な圧力変化は、医療デバイス20内の圧力センサ74を用いて検出することができる。流体管理システム10は、尿管腎盂活動の圧力シグナチャーから抽出した特性を医療デバイス20上の圧力センサ74から受け入れた圧力データから抽出した特性と比較するように構成することができる。この特性は、周波数、振幅、優勢トーンなどとすることができる。一部の場合に、収縮は、医療デバイス20からの圧力データとの比較に向けて医療デバイス20以外又は流体管理システム10以外のセンサを用いて検出することができる。他の実施形態では、流体管理システム10は、予想又は事前プログラムされた収縮パターンを医療デバイス20からの圧力データと比較するように構成することができる。収縮データ(医療手順中に得られた場合)は、今説明したものと類似の方式でフィルタリングされて正規化されて周波数領域に変換された医療デバイス20からの圧力データと比較する前に同じくフィルタリングし、正規化し、かつ周波数領域に変換することができるように考えられている。医療デバイス20からの圧力データ内に尿管腎盂活動が検出された場合に、流体管理システム10は、医療デバイス20が使用状態にあり、従って、流体管理システム10を制御するのに医療デバイス20から取得した圧力データを使用することができるという決定を行うことができる。医療デバイス20からの圧力データ内に尿管腎盂活動を検出することができない場合に、流体管理システム10は、医療デバイス20が使用状態になく、流体管理システム10を制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用すべきではないという決定を行うことができる。
【0088】
更に別の脈動圧力発生源は、患者の呼吸である場合がある。例えば、患者の正常な呼吸律動は、腎内圧では緩慢な経時変化を発生させる場合がある。これらの緩慢な圧力変化は、医療デバイス20上の圧力センサ74によって測定され(医療デバイス20が使用されている時)、患者の呼吸律動と照合することができる。流体管理システム10は、呼吸律動の圧力シグナチャーから抽出した特性を医療デバイス20上の圧力センサ74から受け入れた圧力データから抽出した特性と比較するように構成することができる。この特性は、周波数、振幅、優勢トーンなどとすることができる。例では、流体管理システム10は、フィルタリングされて正規化されて周波数領域に変換された呼吸データを今説明したものと類似の方式で同じくフィルタリングされて正規化されて周波数領域に変換された医療デバイス20からの圧力データと比較することができる。呼吸データは、流体管理システム10以外又は医療デバイス20以外の医療デバイスから取得することができるように考えられている。医療デバイス20からの圧力データ内に呼吸律動が検出された場合に、流体管理システム10は、医療デバイス20が使用状態にあり、従って、流体管理システム10を制御するのに医療デバイス20から取得した圧力データを使用することができるという決定を行うことができる。医療デバイス20からの圧力データ内に呼吸律動を検出することができない場合に、流体管理システム10は、医療デバイス20が使用状態になく、流体管理システム10を制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用すべきではないという決定を行うことができる。
【0089】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、脈動圧力を用いて医療デバイス20が患者の身体内で使用されているか否かを決定することができる。最初に、流体管理システム10のコントローラ48は、デバイス検証処理を開始することができる。コントローラ48は、手順中に予め決められた間隔(例えば、毎分、5分毎など)でデバイス検証処理を実施するように構成することができるように考えられている。他の実施形態では、コントローラ48は、流体管理システム10が医療デバイス20からの圧力データを用いて流体管理システム10からの流体流れを制御しようと試みる度にデバイス検証処理を実施するように構成することができる。これに加えて又はこれに代えて、デバイス検証処理は、手動で開始することができる。例えば、医師は、タッチ画面インタフェース42を用いてデバイス検証処理を開始することができる。次いで、流体管理システム10は、医療デバイス20から圧力データを取得することができる。一部の場合に、コントローラ48は、予め決められた期間にわたって生圧力データに関してワークステーション81をポーリングすることができるが、これは必須ではない。一部の場合に、コントローラ48は、医療デバイス20から圧力データを取得するようにワークステーション81に指令することができる。次いで、医療デバイス20からの圧力データは、フィルタリングし、正規化し、かつ周波数領域に変換することができる。医療デバイス20からの圧力データは、必要に応じてコントローラ48又はワークステーション81で処理することができるように考えられている。
【0090】
流体管理システム10は、流体管理システム10及び/又は患者から脈動圧力データを取得することができる。脈動圧力データの発生源は、以下に限定されるものではないが、流入ポンプ50が発生させる圧力パルス、患者の心拍、患者の尿管腎盂活動、患者の呼吸律動などを含むことができる。流体管理システム10は、医療デバイス20からの圧力データと同じ(例えば、それと実質的に同時の)予め決められた期間にわたって脈動圧力データを取得するように構成することができるように考えられている。しかし、一部の事例では、流体管理システム10は、脈動圧力データに関連する新しいデータを取得することができず、代わりに予め決められたベースライン又は予想データを参照する場合がある。流体管理システム10及び/又は患者からの圧力データは、フィルタリングし、正規化し、かつ周波数領域に変換することができる。流体管理システム10及び/又は患者からの圧力データは、必要に応じてコントローラ48又はワークステーション81で処理することができるように考えられている。
【0091】
次いで、コントローラ48又はワークステーション81は、医療デバイス20の周波数領域データを脈動圧力発生源の周波数領域データと比較することができる。更に、コントローラ48又はワークステーション81は、医療デバイス20の周波数領域データと脈動圧力発生源の周波数領域データとが適合するか否かを決定することができる。医療デバイス20の周波数領域データと脈動圧力発生源の周波数領域データとが適合した場合に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができると決定する。医療デバイス20の周波数領域データと脈動圧力発生源の周波数領域データとが適合しない場合に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができないか又は使用すべきではないと決定する。
【0092】
これに代えて又はこれに加えて、医療デバイス20の温度センサ72から得られたデータを用いて、流体管理システム10を制御することを補助するのに医療デバイス20の圧力センサ74からのデータを使用することができるか否かを決定することができる。最初に、コントローラ48は、デバイス検証処理を開始することができる。コントローラ48は、手順中に予め決められた間隔(例えば、毎分、5分毎など)でデバイス検証処理を実施するように構成することができるように考えられている。他の実施形態では、コントローラ48は、流体管理システム10が医療デバイス20からの圧力データを用いて流体管理システム10からの流体流れを制御しようと試みる度にデバイス検証処理を実施するように構成することができる。これに加えて又はこれに代えて、デバイス検証処理は、手動で開始することができる。例えば、医師は、タッチ画面インタフェース42を用いてデバイス検証処理を開始することができる。次いで、流体管理システム10は、医療デバイス20から温度データを取得することができる。一部の場合に、コントローラ48は、予め決められた期間にわたって生データに関してワークステーション81をポーリングすることができるが、これは必須ではない。一部の場合に、コントローラ48は、医療デバイス20から温度データを取得するようにワークステーション81に指令することができる。
【0093】
次いで、コントローラ48又はワークステーション81は、医療デバイス20からの温度測定値が室温よりも高い(例えば、約20℃~23℃よりも高い)か否かを決定することができる。一部の場合に、次いで、コントローラ48又はワークステーション81は、医療デバイス20からの温度測定値が体温の前後(例えば、約37℃)であるか否かを決定することができる。医療デバイス20上の温度センサ72から得られた温度測定値が20℃~23℃(例えば、室温)よりも高いか又は約37℃(例えば、体温)である場合に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができると決定する。医療デバイス20上の温度センサ72から得られた温度測定値が約20℃~23℃(例えば、室温)であるか又は約37℃(例えば、体温)よりも低い場合に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができないか又は使用すべきではないと決定する。一部の場合に、流体管理システム10は、温度センサ72で得られた温度測定値が室温よりも高い(例えば、約20℃~23℃よりも高い)時に常に医療デバイス20が使用されていると決定するように構成することができる。流体管理システム10は、温度センサ72で得られた温度測定値を室内の周囲温度測定値(正確に測定された室温)と比較することができる。他の場合に、流体管理システム10は、温度センサで得られた25℃よりも高い、28℃よりも高い、又は30℃よりも高いいずれの温度測定値も室温よりも高く、従って、医療デバイス20からのデータが使用するのに安全であるように構成することができる。一部の実施形態では、医療デバイス20上の温度センサ72から得られた温度測定値は、流体加温システム60の温度設定値と比較される及び/又はそれと相関させることができる。一部の実施形態では、流体加温システム60(例えば、加熱器62)が作動状態にある場合に、流体管理システムからの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができるか否かを決定する時に、温度センサ72から得られた温度測定値を無視することができる。
【0094】
流体管理システム10は、ほぼ室温と見なすことができる第1の温度範囲(例えば、20℃±5℃又は23℃±3℃)を用いてプログラムすることができるように、又は流体管理システム10と共に与えられた又はそれと他に通信する周囲温度センサからの正確な室温測定値とほぼ体温と見なすことができる第2の温度範囲(例えば、37℃±1℃又は37℃±2℃)とを流体管理システム10の中に入力することができるように考えられている。これらは例に過ぎない。必要に応じて又は環境条件に適する場合は他の温度範囲を使用することができる。一部の場合に、第2の温度範囲は、流体管理システム10が体温よりも高い温度で流体を送出する手順(例えば、レーザが使用されている時)を考慮するように選択することができる。他の場合に、第2の温度範囲は、流体管理システム10が体温よりも低い温度で流体を送出する手順を考慮するように選択することができる。
【0095】
これに代えて又はこれに加えて、流体管理システム10を制御することを補助するのに医療デバイス20の圧力センサ74からの圧力データを使用することができるか否かを決定するために、医療デバイス20の圧力センサ74から得られた圧力データを大気圧と比較することができる。最初に、コントローラ48は、デバイス検証処理を開始することができる。コントローラ48は、手順中に予め決められた間隔(例えば、毎分、5分毎など)でデバイス検証処理を実施するように構成することができるように考えられている。他の実施形態では、コントローラ48は、流体管理システム10が医療デバイス20からの圧力データを用いて流体管理システム10からの流体流れを制御しようと試みる度にデバイス検証処理を実施するように構成することができる。これに加えて又はこれに代えて、デバイス検証処理は、手動で開始することができる。例えば、医師は、タッチ画面インタフェース42を用いてデバイス検証処理を開始することができる。次いで、流体管理システム10が流体を能動的に送出している間に、流体管理システム10は、医療デバイス20から圧力データを取得することができる。一部の場合に、コントローラ48は、予め決められた期間にわたって生圧力データに関してワークステーション81をポーリングすることができるが、これは必須ではない。一部の場合に、コントローラ48は、医療デバイス20から圧力データを取得するようにワークステーション81に指令することができる。
【0096】
流体管理システム10が流体を送出している間に医療デバイス20が身体内にある場合に、医療デバイス20の圧力センサ74で測定される圧力データは、大気圧よりも高くなるように考えられている。次いで、コントローラ48又はワークステーション81は、医療デバイス20からの圧力データが大気圧よりも高いか否かを決定することができる。医療デバイス20上の圧力センサ74から得られた圧力データが大気圧よりも高い場合に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができると決定する。医療デバイス20上の圧力センサ74から得られた圧力データが大気圧又はほぼ大気圧である場合に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができないか又は使用すべきではないと決定する。圧力センサ74からの平均圧力測定値及び/又は二乗平均平方根(RMS)DC圧力は、大気圧と比較するのに使用することができるように考えられている。
【0097】
これに代えて又はこれに加えて、医療デバイス20の遠位端80にあるファイバブラッグ回折格子光ファイバ75から得られたデータを用いて、流体管理システム10を制御することを補助するのに細長シャフト76の圧力センサ74からのデータを使用することができるか否かを決定することができる。例えば、ファイバブラッグ回折格子光ファイバ75は、医療デバイス20の通常使用中に発生する医療デバイス20の細長シャフト76に沿う応力を検出することができる。最初に、コントローラ48は、デバイス検証処理を開始することができる。コントローラ48は、手順中に予め決められた間隔(例えば、毎分、5分毎など)でデバイス検証処理を実施するように構成することができるように考えられている。他の実施形態では、コントローラ48は、流体管理システム10が医療デバイス20からの圧力データを用いて流体管理システム10からの流体流れを制御しようと試みる度にデバイス検証処理を実施するように構成することができる。これに加えて又はこれに代えて、デバイス検証処理は、手動で開始することができる。例えば、医師は、タッチ画面インタフェース42を用いてデバイス検証処理を開始することができる。次いで、流体管理システム10は、医療デバイス20の細長シャフト76の遠位端80にあるファイバブラッグ回折格子光ファイバ75又は他の応力測定デバイスから応力データを取得することができる。一部の場合に、コントローラ48は、予め決められた期間にわたって生データに関してワークステーション81をポーリングすることができるが、これは必須ではない。一部の場合に、コントローラ48は、医療デバイス20から応力データを取得するようにワークステーション81に指令することができる。
【0098】
医療デバイス20が身体内にある場合に、ファイバブラッグ回折格子光ファイバ75は、医療デバイス20の通常使用によって引き起こされる細長シャフト76内の応力を検出することができるように考えられている。次いで、コントローラ48又はワークステーション81は、医療デバイス20からの応力データが検出されたか否かを決定することができる。応力が検出された場合に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができると決定する。応力が検出されなかった場合に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができないか又は使用すべきではないと決定する。一部の場合に、応力データは、予め決められた閾値と比較することができる。例えば、応力が予め決められたレベルを上回っている場合に医療デバイス20は使用状態にあり、それに対して応力が予め決められたレベルにあるか又はそれを下回っている場合に医療デバイス20は使用状態にない。
【0099】
これに代えて又はこれに加えて、医療デバイス20が使用されているか否かを決定するのに、細長シャフト76の遠位端80の場所を追跡することができる。例えば、マッピング及びナビゲーションシステムは、既知の幾何学形状の磁場を発生させるための電磁発生器として機能するか又は機能するように構成された手術台(又は他の手順又は診察の台又は椅子など)を含むことができる。これに代えて又はこれに加えて、手術台とは別個の電磁発生器を設けることができる。手術台及び/又は電磁発生器は、他の特徴の中でも取りわけ、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ、及び入力手段を含むことができる制御ユニットに結合することができる。
【0100】
位置センサ(例えば、電磁センサ93など)又は他のアンテナは、医療デバイス20の細長シャフト76の遠位端80の中に組み込むことができる。位置センサは、マッピング及びナビゲーションシステムの磁場での位置センサの場所を感知するための使用に関して構成することができる。位置センサは、ワークステーション81と電子的に結合することができる。位置センサが磁場内にある時に、電磁場発生源(例えば、手術台及び/又は電磁発生器)に対する位置センサの場所は、数学的に決定することができる。ワークステーション81と制御ユニットは、患者に対する位置センサの位置を決定するために通信することができる。位置センサが患者内に配置された時に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができると決定する。電磁センサが患者内に配置されない時に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができないか又は使用すべきではないと決定する。
【0101】
実際に医療デバイス20が身体内にない時に医療デバイス20が身体内であると誤って決定する可能性を低減することが望ましいと考えられる。例えば、医療デバイス20が身体内にないのにユーザが温度センサ72をタッチした場合に、医療デバイス20は、温度が体温に近いことを流体管理システム10に伝え、従って、誤検出を発生させる場合がある。医療デバイス20が身体内であるか否かを決定するのに、本明細書に説明するセンサ又はデバイス検証処理を1回よりも多く使用することが望ましいと考えられている。2回又は3回以上のデバイス検証処理からの結果は、必要に応じて実質的に同時に(例えば、並行して)又は順番に(例えば、1つずつ)取得することができるように考えられている。流体管理システム10は、必要に応じていずれの回数のデバイス検証処理をもあらゆる組合せで使用することができる。
【0102】
コントローラ48は、これらの結果を比較して、医療デバイス20が使用状態にないことを示すデバイス検証処理回数を用いて医療デバイス20が使用されていることを確認したデバイス検証処理回数を決定することができる。次いで、コントローラ48は、これらのデバイス検証処理の大部分が、医療デバイス20が使用されていることを確認するかを決定することができる。デバイス検証処理の大部分が、医療デバイス20が使用されていることを確認した場合に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができると決定する。デバイス検証処理の大部分が、医療デバイス20が使用されていることを確認しなかった又は確認し損ねた場合に、流体管理システム10は、流体管理システム10からの流体流れを制御するのに医療デバイス20からの圧力データを使用することができないか又は使用すべきではないと決定する。
【0103】
デバイス検証処理の大部分が、医療デバイス20が使用されていることを確認したか又は確認しなかったかを決定することに代えて又はこれに加えて、少なくとも1回のデバイス検証処理が1又は2以上の追加のデバイス検証処理と異なる結果を戻した時に、これらの結果に加重平均を適用するようにコントローラ48を構成することができる。例えば、1回のデバイス検証処理が他のデバイス検証処理よりも正確であると見なされる場合に、比較段階中により正確なデバイス検証処理に他のデバイス検証処理よりも重めに加重することができる。デバイス検証処理からの結果を比較して解析するための他の技術を必要に応じて使用することができる。
【0104】
図7は、コントローラ48の例示的表示画面44を例示している。一部の実施形態では、表示画面44は、手順及び/又は医療デバイスのタイプに関して選択可能なメニュー44aを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、流体流れをオン又はオフにするための選択可能スイッチ44bを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、ユーザによって定めることができる流量セレクタ44cを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、現在/実際の流体流量を示すための流量インジケータ44dを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、ユーザによって定めることができる洗浄速度セレクタ(フラッシュ速度セレクタ)44eを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、流体流れバーストを手動で開始するための洗浄ボタン(フラッシュボタン)44fを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、医療デバイス20から受け入れた腔内圧を示す腔内圧表示44gを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、ユーザによって定めることができる圧力通知設定値44hを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、コントローラ48による自動腔内圧制御を作動させるための圧力制限モードスイッチ44iを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、流体欠損の現在量又は手順中に注入された流体の現在量を示すようにユーザ選択可能とすることができる流体量表示44jを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、ユーザによって定めることができる流体欠損通知設定値44kを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、流体収集システムをオン又はオフにするための真空ポンプ起動スイッチ44mを含むことができる。一部の実施形態では、表示画面44は、流体加温システム60をオン又はオフにするための流体加温器起動スイッチ44nを含むことができる。
【0105】
当業者は、本明細書に説明してかつ考えられた特定の実施形態以外の様々な形態で本発明を現すことができることを認識するであろう。従って、形態及び詳細の変更は、特許請求の範囲に言及する本発明の範囲及び精神から逸脱することなく加えることができる。
【0106】
本明細書に開示するシステム及びその様々な要素の様々な構成要素に使用することができる材料は、一般的に医療デバイスに関するものを含むことができる。簡略化の目的で、以下の議論はシステムに関するものである。しかし、この議論は、以下に限定されるものではないが、流体管理システム、医療デバイス、細長シャフト、流入ポンプ、流体加温システム、コントローラ、供給ライン、ロードセル、ハンドル、ワークステーション、表示画面、流体供給源、収集容器、及び/又はこれらの要素又は構成要素などの本明細書に開示する他の要素、部材、構成要素、又はデバイスに当て嵌めることができるので、上述の関連性は、本明細書に説明するデバイス及び方法を限定するように意図したものではない。
【0107】
一部の実施形態では、システム及び/又はその構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(一部の例を下記で開示する)、金属-ポリマー複合物、セラミック、及びこれらの組合せなど、又は他の適切な材料から製造することができる。
【0108】
適切なポリマーの一部の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPontから利用可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、Polyurethane85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから利用可能なARNITEL(登録商標))、エーテル系又はエステル系のコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタラート及び/又は他のポリエステルエラストマー、例えば、DuPontから利用可能なHYTREL(登録商標))、ポリアミド(例えば、Bayerから利用可能なDURETHAN(登録商標)又はElf Atochemから利用可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、PEBAX(登録商標)という商品名の下で利用可能なもの)、エチレンビニルアセタートコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、MARLEX(登録商標)密度ポリエチレン、MARLEX(登録商標)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン12(EMS American Grilonから利用可能なGRILAMID(登録商標)など)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリビニリデンクロリド(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS50A)、ポリカーボナート、ポリウレタンシリコーンコポリマー(例えば、Aortech BiomaterialsからのElastEon(登録商標)又はAdvanSource BiomaterialsからのChronoSil(登録商標))、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又は混合物、組合せ、そのコポリマー、及びポリマー/金属複合物などを含むことができる。一部の実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)と配合することができる。例えば、この混合物は、約6パーセントまでのLCPを含有することができる。
【0109】
適切な金属及び金属合金の一部の例は、ステンレス鋼、例えば、304V、304L、及び316LVのステンレス鋼、軟鋼、ニッケル-チタン合金、例えば、線形弾性及び/又は超弾性のニチノール、他のニッケル合金、例えば、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:N06625、例えば、INCONEL(登録商標)625、UNS:N06022、例えば、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)、UNS:N10276、例えば、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)、及び他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、UNS:N04400、例えば、MONEL(登録商標)400、ニッケルVAC(登録商標)400、及びNICORROS(登録商標)400など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30035、例えば、MP35-N(登録商標)など)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、UNS:N10665、例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標))、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、及び他のニッケル-タングステン合金又はタングステン合金、などコバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)及びPHYNOX(登録商標)などのようなUNS:R30003)、プラチナ富化ステンレス鋼、チタン、プラチナ、パラジウム、金、これらの組合せ、又はいずれかの他の適切な材料を含む。
【0110】
少なくとも一部の実施形態では、システム及び/又はその構成要素の一部分又は全ては、放射線不透過性材料でドーピングされ、それで製造され、又はこれらの一部分又は全ては、放射線不透過性材料を他に含むことができる。放射線不透過性材料は、医療手順中に蛍光透視画面上に比較的高い画像を生成する機能又は別の画像生成技術の機能を有する材料であると理解される。この比較的高輝度の画像は、システムのユーザがその場所を決定する際に支援する。放射線不透過性材料の一部の例は、以下に限定されるものではないが、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、及び放射線不透過性充填剤が充填されたポリマー材料などを含むことができる。これに加えて、同じ結果を達成するのに他の放射線不透過性マーカバンド及び/又はコイルをシステム設計の中に組み込むことができる。
【0111】
一部の実施形態では、ある程度の核磁気共鳴撮像(MRI)適合性が本明細書に開示するシステム及び/又は他の要素の中に付与される。例えば、システム及び/又はその構成要素又はその各部分は、画像を実質的に歪ませて実質的なアーチファクト(すなわち、画像内のギャップ)を発生させることのない材料で製造することができる。ある一定の強磁性材料は、例えば、MRI画像内にアーチファクトを発生させる可能性があるので適切ではない場合がある。システム又はその各部分は、MRI機械が撮像することができる材料から製造することができる。これらの特性を提供する一部の材料は、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)及びPHYNOX(登録商標)などのようなUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのようなUNS:R30035)、及びニチノールなど、及びその他を含む。
【0112】
一部の実施形態では、本明細書に開示するシステム及び/又は他の要素は、適切な治療薬を含む及び/又はそれを用いて処理することができる。適切な治療薬の一部の例は、抗血栓形成薬(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)など)、抗増殖薬(エノキサパリン、アンジオペプチン、順調な筋細胞増殖を阻害する機能を有するモノクローナル抗体、ヒルジン、及びアセチルサリチル酸など)、抗炎症薬(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、及びメサラミンなど)、抗腫瘍/抗増殖/抗有糸分裂薬(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、及びチミジンキナーゼ阻害剤など)、麻酔薬(リドカイン、ブピバカイン、及びロピバカインなど)、抗凝血剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗剤、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、及びマダニ抗血小板ペプチドなど)、血管細胞増殖促進剤(増殖ファクタ阻害剤、増殖ファクタ受容体拮抗剤、転写活性化ファクタ、及び翻訳促進剤など)、血管細胞増殖阻害剤(増殖ファクタ阻害剤、増殖ファクタ受容体拮抗剤、転写抑制ファクタ、転写抑制ファクタ、翻訳抑制ファクタ、複製阻害剤、阻害性抗体、増殖ファクタに対する抗体、増殖ファクタと細胞毒とで構成される二官能性分子、抗体と細胞毒とで構成される二官能性分子など)、コレステロール降下薬、血管拡張薬、及び内因性血管作用機構を妨害する薬を含むことができる。
【0113】
本発明の開示が多くの点で例示的であることを理解しなければならない。本発明の範囲を超えることなく、特に、形状、サイズ、及び段階の配置に関する詳細に変更を加えることができる。これは、それが適切である限り、他の実施形態に使用されている一例示的実施形態の特徴のうちのいずれの使用も含むことができる。本発明の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲が表現されている言語で定められる。
【符号の説明】
【0114】
20 医療デバイス
76 細長シャフト
80 細長シャフトの遠位端
82 ハンドル
89 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】