(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-23
(54)【発明の名称】機械学習支援ユースケース分類および適応アンテナ同調
(51)【国際特許分類】
H04B 1/034 20060101AFI20221216BHJP
H04B 17/10 20150101ALI20221216BHJP
【FI】
H04B1/034
H04B17/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525058
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 US2020058397
(87)【国際公開番号】W WO2021087387
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ロウェス・ウィンスロー
(72)【発明者】
【氏名】ディエゴ・カルツォラーリ
(72)【発明者】
【氏名】ペイマン・ヘサミ
【テーマコード(参考)】
5K060
【Fターム(参考)】
5K060BB07
5K060CC04
5K060DD04
5K060HH39
5K060JJ01
5K060LL07
5K060PP05
(57)【要約】
本開示のいくつかの態様は、電子デバイス中のワイヤレスデータ送信システムを適応的に同調させるための技法を提供し、これは、電子デバイス中のワイヤレスデータ送信システムの要素の複数の測定値を生成することと、ユースケース判断モデルおよび複数の測定値に基づいて、電子デバイス用の判断されたユースケースを生成することと、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断することと、1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、ワイヤレスデータ送信システムを同調させることと、1つまたは複数のアンテナ設定を使って、ワイヤレスデータ送信システムを介してデータを送信することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス用の電子デバイスユースケース判断モデルを生成する方法であって、
第1のタイプの電子デバイスの中のワイヤレスデータ送信システムの複数のテスト測定値を生成するステップであって、前記複数のテスト測定値の各テスト測定値は、前記第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、ステップと、
前記第1のタイプの電子デバイスの複数の動作値に基づいて、前記第1のタイプの電子デバイス用のユースケースを判断するように、前記複数のテスト測定値に基づいて機械学習モデルをトレーニングするステップとを含む方法。
【請求項2】
前記機械学習モデルはニューラルネットワークモデルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のテスト測定値は、
前記ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの前記要素の虚インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、
インピーダンス同調器状態、または
開口同調器状態のうちの1つまたは複数とを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記要素は、前記ワイヤレスデータ送信システムのアンテナである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のテスト測定値に基づいて複数の合成測定値を生成するステップと、
前記複数の合成測定値に基づいて前記機械学習モデルをトレーニングするステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記機械学習モデルをトレーニングするステップは、
前記第1のタイプの電子デバイスがもはや第1のユースケースにないかどうかを判断するように、前記機械学習モデルの第1の分類器をトレーニングするステップと、
前記第1のタイプの電子デバイス用の第2のユースケースを判断するように、前記機械学習モデルの第2の分類器をトレーニングするステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
トレーニング済み前記機械学習モデルに基づいて複数の閉じた決定境界を判断するステップをさらに含み、
前記複数の閉じた決定境界の各閉じた決定境界は、前記第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記機械学習モデルを前記第1のタイプの電子デバイスに展開するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータ実行可能命令を備えるメモリと、
前記コンピュータ実行可能命令を実行するように構成されたプロセッサとを備えるトレーニングシステムであって、前記プロセッサは、前記トレーニングシステムに、
第1のタイプの電子デバイスの中のワイヤレスデータ送信システムの複数のテスト測定値を生成することであって、前記複数のテスト測定値の各テスト測定値は、前記第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、ことと、
前記第1のタイプの電子デバイスの複数の動作値に基づいて、前記第1のタイプの電子デバイス用のユースケースを判断するように、前記複数のテスト測定値に基づいて機械学習モデルをトレーニングすることとを行わせるように構成され、
前記機械学習モデルはニューラルネットワークモデルである、トレーニングシステム。
【請求項10】
前記複数のテスト測定値は、
前記ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの前記要素の虚インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、
インピーダンス同調器状態、または
開口同調器状態のうちの1つまたは複数とを含む、請求項9に記載のトレーニングシステム。
【請求項11】
前記要素は、前記ワイヤレスデータ送信システムのアンテナである、請求項10に記載のトレーニングシステム。
【請求項12】
前記複数のテスト測定値に基づいて複数の合成測定値を生成することと、
前記複数の合成測定値に基づいて前記機械学習モデルをトレーニングすることとをさらに備える、請求項9に記載のトレーニングシステム。
【請求項13】
前記機械学習モデルをトレーニングするために、前記プロセッサは、前記トレーニングシステムに、
前記第1のタイプの電子デバイスがもはや第1のユースケースにないかどうかを判断するように、前記機械学習モデルの第1の分類器をトレーニングすることと、
前記第1のタイプの電子デバイス用の第2のユースケースを判断するように、前記機械学習モデルの第2の分類器をトレーニングすることとを行わせるようにさらに構成される、請求項9に記載のトレーニングシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記トレーニングシステムに、トレーニング済み前記機械学習モデルに基づいて複数の閉じた決定境界を判断させるようにさらに構成され、
前記複数の閉じた決定境界の各閉じた決定境界は、前記第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、請求項9に記載のトレーニングシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記トレーニングシステムに、前記機械学習モデルを前記第1のタイプの電子デバイスに展開させるようにさらに構成される、請求項9に記載のトレーニングシステム。
【請求項16】
電子デバイス中のワイヤレスデータ送信システムを適応的に同調させるための方法であって、
前記電子デバイス中の前記ワイヤレスデータ送信システムの要素の複数の測定値を生成するステップと、
ユースケース判断モデルおよび前記複数の測定値に基づいて、前記電子デバイス用のユースケースを判断するステップと、
前記判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断するステップと、
前記1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、前記ワイヤレスデータ送信システムを同調させるステップと、
前記1つまたは複数のアンテナ設定を使って、前記ワイヤレスデータ送信システムを介してデータを送信するステップとを含む方法。
【請求項17】
前記ユースケース判断モデルはニューラルネットワークモデルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ユースケース判断モデルは、前記電子デバイスのモデムのメモリに記憶される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の測定値は、
前記ワイヤレスデータ送信システムの前記要素の実インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの前記要素の虚インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、
インピーダンス同調器状態、または
開口同調器状態のうちの1つまたは複数とを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ユースケース判断モデルは、
前記電子デバイスがもはや第1のユースケースにないかどうかを判断するように構成された第1の分類器と、
前記電子デバイス用の第2のユースケースを判断するように構成された第2の分類器とを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記電子デバイス用の前記ユースケースを判断するステップは、
前記測定値を複数の閉じた決定境界と比較するステップを含み、
前記複数の閉じた決定境界の各閉じた決定境界は、前記電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記判断されたユースケースに関連付けられた前記1つまたは複数のアンテナ設定は、
インピーダンス同調器設定、または
開口同調器設定のうちの1つまたは複数を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記判断されたユースケースに関連付けられた前記1つまたは複数のアンテナ設定を判断するステップは、
ユースケース設定データベースを照会するステップと、
前記判断されたユースケースに関連付けられた前記1つまたは複数のアンテナ設定を、前記ユースケース設定データベースから受信するステップとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、前記ワイヤレスデータ送信システムを同調させるステップは、前記電子デバイスの開口同調器に開口同調器設定を提供するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、前記ワイヤレスデータ送信システムを同調させるステップは、前記電子デバイスのインピーダンス同調器にインピーダンス同調器設定を提供するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
ワイヤレスデータ送信システムと、
コンピュータ実行可能命令を備えるメモリと、
前記コンピュータ実行可能命令を実行するように構成されたプロセッサとを備える電子デバイスであって、前記プロセッサは、前記電子デバイスに、
前記電子デバイス中の前記ワイヤレスデータ送信システムの要素の複数の測定値を生成することと、
ユースケース判断モデルおよび前記複数の測定値に基づいて、前記電子デバイス用のユースケースを判断することと、
前記判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断することと、
前記1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、前記ワイヤレスデータ送信システムを同調させることと、
前記1つまたは複数のアンテナ設定を使って、前記ワイヤレスデータ送信システムを介してデータを送信することとを行わせるように構成される、電子デバイス。
【請求項27】
前記ユースケース判断モデルはニューラルネットワークモデルである、請求項26に記載の電子デバイス。
【請求項28】
前記ワイヤレスデータ送信システムはモデムを備え、
前記モデムは前記メモリを備え、
前記ユースケース判断モデルは前記モデムの前記メモリに記憶される、請求項27に記載の電子デバイス。
【請求項29】
前記複数の測定値は、
前記ワイヤレスデータ送信システムの前記要素の実インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの前記要素の虚インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、
インピーダンス同調器状態、または
開口同調器状態のうちの1つまたは複数とを含む、請求項26に記載の電子デバイス。
【請求項30】
前記ユースケース判断モデルは、
前記電子デバイスがもはや第1のユースケースにないかどうかを判断するように構成された第1の分類器と、
前記電子デバイス用の第2のユースケースを判断するように構成された第2の分類器とを備える、請求項26に記載の電子デバイス。
【請求項31】
前記電子デバイス用の前記ユースケースを判断するために、前記プロセッサは、前記電子デバイスに、
前記測定値を複数の閉じた決定境界と比較させるようにさらに構成され、
前記複数の閉じた決定境界の各閉じた決定境界は、前記電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、請求項26に記載の電子デバイス。
【請求項32】
前記判断されたユースケースに関連付けられた前記1つまたは複数のアンテナ設定は、
インピーダンス同調器設定、または
開口同調器設定のうちの1つまたは複数を含む、請求項26に記載の電子デバイス。
【請求項33】
前記判断されたユースケースに関連付けられた前記1つまたは複数のアンテナ設定を判断するために、前記プロセッサは、前記電子デバイスに、
ユースケース設定データベースを照会することと、
前記判断されたユースケースに関連付けられた前記1つまたは複数のアンテナ設定を、前記ユースケース設定データベースから受信することとを行わせるようにさらに構成される、請求項26に記載の電子デバイス。
【請求項34】
前記1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、前記ワイヤレスデータ送信システムを同調させるために、前記プロセッサは、前記電子デバイスに、前記電子デバイスの開口同調器に開口同調器設定を提供させるようにさらに構成される、請求項26に記載の電子デバイス。
【請求項35】
前記1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、前記ワイヤレスデータ送信システムを同調させるために、前記プロセッサは、前記電子デバイスに、前記電子デバイスのインピーダンス同調器にインピーダンス同調器設定を提供させるようにさらに構成される、請求項26に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条に基づく優先権の主張
本特許出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に明確に組み込まれる、2019年11月1日に出願された、「MACHINE LEARNING-ASSISTED USE CASE CLASSIFICATION AND ADAPTIVE ANTENNA TUNING」と題する非仮出願第16/671,721号の優先権を主張する。
【0002】
本開示の態様は、機械学習支援ユースケース分類および適応アンテナ同調に関する。
【背景技術】
【0003】
スマートフォンなどのワイヤレスデバイスは、ワイヤレスデータを通信するための複数のアンテナを有する場合がある。そのようなデバイスの使われ方、たとえば、スマートフォンがどのように持たれているかが、アンテナの性能に、したがってデータワイヤレス送信の性能に影響し得る。たとえば、性能の低下は、遅いワイヤレスデータ送信、バッテリー使用の増大、およびワイヤレスネットワーク干渉の増大につながり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、必要とされるのは、モバイルデバイスのワイヤレス送信システムの使用法を、ワイヤレス電子デバイスがどのように使われているかに基づいて適応させるためのシステムおよび方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの態様は、電子デバイス用の電子デバイスユースケース判断モデルを生成する方法を提供し、この方法は、第1のタイプの電子デバイスの中のワイヤレスデータ送信システムの複数のテスト測定値を生成するステップであって、複数のテスト測定値の各テスト測定値は、第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、ステップと、第1のタイプの電子デバイスの複数の動作値に基づいて、第1のタイプの電子デバイス用のユースケースを判断するように、複数のテスト測定値に基づいて機械学習モデルをトレーニングするステップとを含む。
【0006】
さらなる態様は、コンピュータ実行可能命令を備えるメモリと、コンピュータ実行可能命令を実行するように構成されたプロセッサとを備えるトレーニングシステムを提供し、プロセッサは、トレーニングシステムに、第1のタイプの電子デバイスの中のワイヤレスデータ送信システムの複数のテスト測定値を生成することであって、複数のテスト測定値の各テスト測定値は、第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、ことと、第1のタイプの電子デバイスの複数の動作値に基づいて、第1のタイプの電子デバイス用のユースケースを判断するように、複数のテスト測定値に基づいて機械学習モデルをトレーニングすることとを行わせるように構成される。
【0007】
さらなる態様は、電子デバイス中のワイヤレスデータ送信システムを適応的に同調させるための方法を提供し、この方法は、電子デバイス中のワイヤレスデータ送信システムの要素の複数の測定値を生成するステップと、ユースケース判断モデルおよび複数の測定値に基づいて、電子デバイス用の判断されたユースケースを生成するステップと、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断するステップと、1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、ワイヤレスデータ送信システムを同調させるステップと、1つまたは複数のアンテナ設定を使って、ワイヤレスデータ送信システムを介してデータを送信するステップとを含む。
【0008】
さらなる態様は、ワイヤレスデータ送信システムと、コンピュータ実行可能命令を備えるメモリと、コンピュータ実行可能命令を実行するように構成されたプロセッサとを備える電子デバイスを提供し、プロセッサは、電子デバイスに、電子デバイス中のワイヤレスデータ送信システムの要素の複数の測定値を生成することと、ユースケース判断モデルおよび複数の測定値に基づいて、電子デバイス用の判断されたユースケースを生成することと、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断することと、1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、ワイヤレスデータ送信システムを同調させることと、1つまたは複数のアンテナ設定を使って、ワイヤレスデータ送信システムを介してデータを送信することとを行わせるように構成される。
【0009】
以下の説明および関連図面は、1つまたは複数の態様のいくつかの例示的な特徴を詳細に記載する。
【0010】
添付の図面は、1つまたは複数の態様のうちのいくつかの態様を示し、したがって、本開示の範囲の限定と見なされるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】ワイヤレス電子デバイスの3つの異なるユースケースに対するテスト結果の例を示す図である。
【
図1B】測定されたテスト結果に基づく、ワイヤレス電子デバイスに対する例示的ユースケース決定境界を示す図である。
【
図2】ワイヤレス電子デバイス中の、ユースケースを判断し、適応開口同調を実施するための例示的システムを示す図である。
【
図3】ユースケース判断モデルをトレーニングするためのトレーニングデータを生成する態様を示す図である。
【
図4】ユースケース判断モデルの例を示す図である。
【
図5】ユースケース判断および適応アンテナ同調を実施するための例示的流れ図である。
【
図6】ワイヤレス電子デバイスユースケース判断モデルを生成し、ワイヤレス電子デバイスに展開する例示的方法を示す図である。
【
図7】ユースケース判断モデルに基づいて適応アンテナ同調を実施する例示的方法を示す図である。
【
図8】ユースケース判断モデルに基づいて適応アンテナ同調の方法を実施するように構成され得る例示的電子デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、可能な場合、図に共通する同一の要素を指定するために同一の参照番号が使用されている。一態様の要素および特徴が、さらなる記述なしに他の態様に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0013】
本開示の態様は、機械学習支援ユースケース分類および適応アンテナ同調のための装置、方法、処理システム、およびコンピュータ可読媒体を提供する。
【0014】
ワイヤレス電子デバイスがより小さく、より有能になるのに従って、ワイヤレスデータ送信システムを設計する上での問題が、少なくとも部分的には、そのようなデバイスの緊密であり複雑な内部領域内で有効アンテナを設計することの複雑さのせいで、より面倒になる。実際、最新のワイヤレス電子デバイスは、送信と受信の両方のために瞬時に多くのワイヤレス周波数において動作するので、1台のデバイスの中で、異なる設計の複数のアンテナがしばしば必要である。
【0015】
機能上の設計およびパッケージング問題は、ワイヤレス電子デバイス用の有効ワイヤレスデータ送信システムを作成する上での全体的問題の1つの側面にすぎない。そのようなデバイスの異なる使用モードまたは「ユースケース」は、異なるユースケースがワイヤレスデータ送信システムの性能に様々に影響するので、別の問題を提起する。
【0016】
たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータなどのワイヤレス電子デバイスを、左手か右手に、または両手で持つことによって、ワイヤレスデータ送信性能が変わる場合があり、というのは、異なる手の配置が、異なるアンテナに様々に影響するからである。したがって、左手での使用、右手での使用、面(たとえば、ユーザの膝)に置くこと、ある領域内(たとえば、ポケット、車、または飛行機の中)に置くこと、(たとえば、USBまたは同様のケーブルにより)プラグに差し込みながらの使用、などのようなユースケースはすべて、概してワイヤレスデータ送信性能に様々に影響する。特に、これらは、いくつかの例示的ユースケースにすぎず、概して、ワイヤレス電子デバイス用のユースケースは、デバイスが使われるどの識別可能な方式であってもよい。
【0017】
ワイヤレス電子デバイスの異なるユースケースによって引き起こされる性能低下は、様々なやり方で軽減され、回復され得る。
【0018】
たとえば、インピーダンス整合および同調が、電子デバイス中のアンテナの性能を向上するために、動的に実施されてよい。概して、インピーダンスは、システムを通るエネルギーの流れに対して反対である。一定の電子信号が一定のインピーダンスを有してよく、変動電子信号が、変化する周波数で変動するインピーダンスを有してよい。インピーダンスは概して、値の「実」部を形成する抵抗成分と、値の「虚」部を形成するリアクタンス成分とを含む複素数値を有する。
【0019】
アンテナインピーダンスは、アンテナへの入力における電圧および電流に関係する。アンテナインピーダンスの「実」部は、アンテナから放散されるか、または吸収される電力を表し、インピーダンスの「虚」部は、アンテナの近接場に蓄えられる電力、すなわち、非放射電力を表す。アンテナは概して、システムのインピーダンスがアンテナ用に最適化されているとき、より効率的であり、したがって有効である。
【0020】
インピーダンス整合は、電気負荷の入力インピーダンスまたはそれに対応する信号源の出力インピーダンスを、電力伝達を最大にし、負荷からの信号反射を最小にするように設計することを指す。ただし、インピーダンスは可変周波数信号で変動するので、RFフロントエンドからアンテナへの電力伝達が最大にされるように、動的インピーダンス同調が、アンテナを無線周波数フロントエンド(RFFE)と整合するように同調させるのに使われる場合がある。
【0021】
インピーダンス同調は、所定のパラメータ(たとえば、所定のユースケース用)が、アンテナをシステムに同調させるのに使われる「開ループ」構成において、またはアンテナをシステムに同調させるようにパラメータが動的に調節される「閉ループ」構成において実施されてよい。どちらの場合も、パラメータは、所定であっても、動的に判断されても、ワイヤレス電子デバイスがユースケースに従って使われている間はアンテナ性能(たとえば、総放射電力および反射損失)を向上するために、そのユースケースに整合されてよい。
【0022】
開口同調は、ワイヤレス電子デバイスの異なるユースケースによって引き起こされる性能を回復するための別のやり方である。概して、アンテナ開口同調は、アンテナの共振周波数を、特定のアプリケーションまたは周波数と整合するように修正するプロセスである。アンテナの共振周波数を特定のアプリケーションまたは周波数のために同調させることによって、アンテナの効率が、その特定のアプリケーション向けに、またはその特定の周波数において向上される。開口同調はしたがって、同じアンテナが、複数の周波数において複数のアプリケーション用に使われるようにし得る。
【0023】
アンテナの開口同調を実施するための1つのやり方は、アンテナの電気的長さを、その共振周波数を調節するように修正するものである。いくつかの態様では、アンテナを異なる長さの接地経路に接続することによってアンテナの共振周波数を調節するのに、スイッチが使われる。異なる帯域をサポートするように共振周波数をさらに調節するために、キャパシタまたはインダクタが使われてもよい。それらは、スイッチと放射要素との間に接続され得る。
【0024】
有益には、開口同調は、インピーダンス同調よりも少ない損失を有する場合があり、インピーダンス同調よりもさらにアンテナ効率を向上することが可能であり得る。この2つの方法は互いに排他的ではないが、この2つを組み合わせたものは、いずれか一方で行うよりも良い結果を生じる。
【0025】
開口同調は概して、アンテナの性能、たとえばその動作帯域、反射損失、帯域幅、利得、および効率を向上し得る。スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートウェアラブルなど、最新のモバイルデバイスでは、開口同調は有益には、帯域選択同調と呼ばれ得る、異なるときに複数の帯域中で動作するためのデバイスの力を向上し得る。
【0026】
いくつかの態様では、開口同調は、アンテナフィードとアンテナとの間の並列の(たとえば、シャント型スイッチ)または直列の、1つまたは複数のスイッチを使って実施され得る。各スイッチは、異なる電気的長さの接地経路にアンテナを選択的に接続し、したがって、アンテナの共振をシフトし、そうすることによって、アンテナを構造的に変えることなく、アンテナの性能を変える。
【0027】
適応開口同調器は、アンテナ用の最良の開口設定を判断するのに、様々な測定値を使い得る。たとえば、フィードバック受信測定値は、ワイヤレス電子デバイスの現在のユースケースを判断するのに使うことができる。
【0028】
従来、ワイヤレス電子デバイスは、ルックアップテーブル(または類似物)用のユースケース特徴づけデータを生成するために、いくつかの異なるユースケースにおいてテストされてよく、データは続いて、デバイスが使用中である間にユースケースを判断するために使われ得る。
【0029】
たとえば、
図1Aは、3つの異なるユースケース(空き空間、右手、および左手)に対するテスト結果ならびにテスト結果のセットの各々に対する、算出された平均を示す。平均された点は、テスト結果に基づく、ユースケースについての特性または代表点と呼ばれ得る。この例では、テスト結果は、所与の周波数についての実および虚インピーダンスを測定し、テストは、ワイヤレス電子デバイスの能力に基づいて、多くの異なる周波数にわたって実施されてよい。これらの測定結果に基づいて、明快なユースケース決定境界が、
図1Bに示すように(弧によって示すように)判断され得る。
【0030】
図1Bにさらに示すように、「ライブ」測定値102が、プロットされ、ワイヤレス電子デバイスが現在、どのように使われているか(たとえば、ワイヤレス電子デバイスの現在のユースケース)を判断するために、異なるユースケースについての代表点と、および/またはユースケース決定境界と比較されてよい。
【0031】
残念ながら、
図1Aに示すような、測定値とユースケースとの間の初期モデリングは、時間を消費し、コストがかかり、概して代表的でなく、というのは、生産に入る任意の所与のデバイスが(たとえば、様々なユースケースに関して)使われ得る無数の異なるやり方をテストすることは実際的でないからである。たとえば、デバイスは、いくつかの異なるユースケースを判断するために、いくつかの異なる位置においてテストされ得るが、そのテストが、デバイスが様々なユーザによって扱われ得る非常に様々な異なるやり方を本当に表すことはまれである。たとえば、
図1Bに示すように、決定境界は、3つの例示的ユースケースの各々について、代表点の周りの広いエリアをカバーし、それらの大きいエリアは、特定のユースケースを過剰に表す場合がある。
【0032】
さらに
図1Bに示すように、点が複数のユースケースの限界内であり得るようなユースケース決定境界が重複する多くのエリアがあり、ユースケース判断の際のさらなる不確実性につながる。したがって、この例でのように、明快な、重複する決定境界および代表点を使うことは、ワイヤレス電子デバイスによる追加処理を要する場合があり、これは、動作を遅くさせ、より多くの電力を使う。
【0033】
より全般的には、従来のテストの限られた性質は、ライブデータ測定値に基づいてデバイスが現在どのように使われているか(たとえば、ユースケースの定義されたセットに関して)ケースを確実に判断する限られた能力を有する、限られたユースケーステストデータおよびモデルにつながる。特に、ユースケースの誤判断または予測ミスは、誤ったアンテナ同調器設定を適用させ、デバイスの最適には及ばないワイヤレスデータ送信性能につながる場合がある。
【0034】
従来のテストおよびユースケース判断を向上するために、本明細書に記載するシステムおよび方法は、測定データに基づいて、デバイスがどのように使われているかに関連付けられたユースケースを判断するための、トレーニング済み機械学習モデルを実装する。機械学習モデル(たとえば、ニューラルネットワークモデル)は、データ収集およびテスト要件を削減するように、ならびに、そうすることによってユースケース判断を簡単にするようにテスト測定データならびに合成データに基づいてトレーニングされ得る。概して、ユースケース判断は、モデルの連続する数値出力に基づくか、またはモデルの範疇的もしくは離散的出力(分類など)に基づいてよい。いくつかの態様では、ユースケース判断は、ユースケース予測と呼ばれ得る。
【0035】
さらに、本明細書に記載するトレーニング済み機械学習モデルは、任意の所与の時点において新たなユースケース判断を行うことが必要かどうかを決定するために、フィルタまたは2段階分類器を実装することができ、そうすることにより、新たな判断が必要ない多くの場合において、処理能力を温存する。
【0036】
またさらに、本明細書に記載するトレーニング済み機械学習モデルは、区別できないユースケースを自動的に無視するように構成されてよく、こうすることにより、
図1Bに関して論じるような、従来の過剰包含決定境界に基づく、間違ったユースケース判断を回避する。最後に、本明細書に記載する機械学習モデルは、その次元性を低減するために周波数および/または開口同調器状態で分割することができ、処理能力要件をさらに削減する。
【0037】
適応アンテナ同調を実施するための例示的システム
図2は、ワイヤレス電子デバイス中の、適応アンテナ同調を実施するための例示的システム200を示す。
【0038】
システム200はモデム210を含み、このモデムは本態様では、測定構成要素212、ユースケース判断モデル214、適応アンテナ同調構成要素216、およびユースケース設定データベース218を含む。
【0039】
測定構成要素212は、インピーダンスおよび周波数測定値などの測定データを、ワイヤレス電子デバイスの他の態様から受信するように構成されてよい。たとえば、測定構成要素212は、一態様では、無線周波数フロントエンド230から測定値を受信し得る。
【0040】
追加または代替として、測定構成要素212は、ワイヤレストランシーバ220から測定データを受信し得る。たとえば、いくつかの態様では、ワイヤレストランシーバ220はフィードバック受信機(FBRx)を含むことができ、この受信機は、送信チェーン沿いの異なる点において送信された信号の測定値を比較する回路である。そのような態様では、電圧定在波比(VSWR)が判断されてよく、これは、送信信号の複雑なインピーダンスの測定値を与える。次いで、適応アンテナ同調216など、モデム210の態様が、複雑なインピーダンスを受け取り、アンテナにおけるインピーダンスに変換し得る。上記のように、このアンテナインピーダンスは、異なるデバイスユースケースによってアンテナがどのように影響されるかを判断するのに使われ得る。このプロセスは、アンテナのインピーダンスおよび/または反射損失を測定するのにネットワークアナライザを使うことと同様である。
【0041】
ユースケース判断モデル214は、測定構成要素212を介して測定値を受信し、ワイヤレス電子デバイス用のユースケースを判断するように構成されてよい。ユースケース判断モデル214の例については、
図4に関して以下でより詳しく説明する。
【0042】
適応アンテナ同調構成要素216は、ワイヤレス電子デバイス用の判断されたユースケースをユースケース判断モデル214から受信し、開口および/またはインピーダンス同調パラメータなど、1つまたは複数のアンテナ同調パラメータを判断するために、関連付けられたユースケース設定をユースケース設定データベース218から取り出し得る。適応アンテナ同調構成要素216は、アンテナ250の性能を向上するために、同調パラメータを、無線周波数フロントエンド230中のインピーダンス同調器232および開口同調器234に提供するようにさらに構成される。
【0043】
データを送信および受信するために、モデム210はワイヤレストランシーバ220に接続され、対してこのトランシーバは無線周波数フロントエンド(RFFE)230に接続され、このフロントエンドはアンテナ250(複数のアンテナを表す場合がある)に接続される。モデム210は、処理コア、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、セキュリティ構成要素、周辺構成要素、キャッシュ、およびそれ以外など、簡単のためにこの例には示されない多くの他の態様を含み得ることに留意されたい。
【0044】
本態様では、無線周波数フロントエンド230はインピーダンス同調器232および開口同調器234を含み、これらは、それぞれ、インピーダンス同調および開口同調を実施するように構成される。無線周波数フロントエンド230は、いくつか例を挙げると、電力増幅器、電力追跡器、デュプレクサ、ヘキサプレクサ、スイッチ、低ノイズ増幅器、フィルタ、アンテナスイッチ、および抽出器など、簡単のためにこの例には示されない多くの他の態様を含み得ることに留意されたい。
【0045】
無線周波数フロントエンド230は、アンテナ250にさらに接続される。この例では、簡単のために単一のアンテナ250が示されているが、無線周波数フロントエンド230は複数のアンテナに接続されてよいことに留意されたい。さらに、この例は単一の無線周波数フロントエンドを示すが、他の態様は、異なる無線アクセス技術用などに、複数の無線周波数フロントエンドを含み得る。
【0046】
システム200など、ワイヤレス電子デバイスにおいて機械学習ベースのユースケース判断モデルを使って適応アンテナ同調を実施するためのシステムを実装すると、電子デバイスのワイヤレスデータ送信システムの性能を大幅に向上することができる。たとえば、アンテナ効率における3~5dBの向上が、電力使用の削減、バッテリー寿命の増大、およびネットワーク干渉の低下とともに達成され得る。そのような向上は、概して有益であり、屋内および/もしくはセルエッジでの、または複数のアンテナがカバーされるようにワイヤレス電子デバイスが扱われるときの使用など、いくつかのシナリオに特に適し得る。
【0047】
特に、
図2は、簡単のために、ワイヤレス電子デバイスの選択された態様のみを示し、他のプロセッサ、メモリ、センサー、入力および出力デバイス、周辺システムなどのような、多くの他の態様が可能である。
【0048】
ユースケース判断モデル用のトレーニングデータを生成するための例示的方法
図3は、電子デバイスがどのように使われているかを判断するように構成されたユースケース判断モデルをトレーニングするためのトレーニングデータを生成する態様を示す。
【0049】
特に、
図3は、この例では空き空間、右手での使用、および左手での使用を含む、異なるユースケースに関連付けられたテストデータを収集する例300を示す。この例では、
図1Aの例でのように、テストデータ測定値は、様々な周波数についての虚および実インピーダンスを含む。たとえば、測定は、ワイヤレス電子デバイスのアンテナに関して行われてもよい。
【0050】
図3に示すような(
図1Aとは異なる)いくつかの態様では、追加合成データ点が、テストデータ点の統計的サンプリングに基づいて生成される。たとえば、合成マイノリティオーバーサンプリング(Synthetic Minority Over-Sampling)技法(SMOTE)およびカーネル密度推定(KDE)が、態様において使われてよい。ただし、分散をオーバーサンプリングするためのどの統計的方法が使われてもよい。合成データ点は、モデルトレーニングに利用可能なラベル付きデータ点の数を増やすことによって、機械学習モデルをトレーニングするための力を向上する。
【0051】
いくつかの態様では、ユースケースに関連付けられた合成データ点に加え、ユースケースに関連付けられない追加合成データ点が生成されてよい。そのようなデータ点は、合成バックグラウンドデータ点と呼ばれる場合があり、ユースケース判断モデルのトレーニング中に、ユースケース決定境界堅牢性を向上し得る。これらのデータ点は、たとえば、どの他のテストデータ点(他の合成バックグラウンドデータ点を含む)からも最少距離を維持するように置かれてよく、そうすることによって、テストエリアの残りには、そのような点が投入される。
【0052】
テストデータ点、および本態様では合成されたテストデータ点は、モデルトレーニング302のためのラベル付きテストデータとして使われる。この例では、モデルトレーニング302は、機械学習ベースのユースケース判断モデル304をトレーニングするための教師付き機械学習トレーニング技法を含み得る。いくつかの態様では、ユースケース判断モデル304はニューラルネットワークモデルである。たとえば、ユースケース判断モデル304は、
図2に示すユースケース判断モデル214の例であり得る。
【0053】
いくつかの態様では、モデルトレーニングステップ302の複雑さは、特定の状態(たとえば、開口同調器またはインピーダンス同調器状態)に基づいて、ならびに異なる周波数に基づいてトレーニングをトレーニングバッチに分割することによって低減され得る。この種のバッチされたトレーニングは、モデルのためのトレーニング時間を数時間または数日から数分まで削減し得る。
【0054】
トレーニングの後、ユースケース判断モデル304は、
図2の測定構成要素212において受信される測定データなどのライブデータに基づいてユースケースを判断するように構成される。
【0055】
一態様では、ユースケース判断モデル304は、ユースケース決定境界306A~Cなど、各ユースケースに対するユースケース決定境界を判断するように構成され得る。いくつかの態様では、決定境界306A~Cは、広範囲の値にわたるインピーダンス(この例では)の実および虚成分についての測定をシミュレートすること、ならびに各ユースケースについての確率が閾を上回る、たとえば95%の確率を上回る境界点を判断することによって判断され得る。ただし、閾は、異なるシナリオのために調整可能である。
【0056】
図3の決定境界306A~Cは、閉じた複雑な決定境界と呼ばれる場合があり、というのは、境界は、測定された値の特定のエリアを囲むからであり、境界は、必ずしも、
図1Bの例に示すような単一の「代表点」からの固定された距離ではないからである。むしろ、各決定境界は、ユースケース判断モデルのトレーニングに基づいて複雑である。
【0057】
決定境界の複雑性または「緊密性」は、ニューラルネットワークベースのユースケース判断モデルの中のノードの数を変えることによって操作され得る。たとえば、概して、ノードの数を増やすと、より緊密でありより複雑な決定境界を作ることになり、ノードの数を減らすと、より緩いか、またはより単純な決定境界を作ることになる。
【0058】
点308Aおよび308Bなどのライブデータが、プロットされ、ワイヤレス電子デバイスがどのように(たとえば、決定境界によって定義されたユースケースに関して)使われているかを判断するために、306A~Cなどの決定境界と比較されてよい。
【0059】
たとえば、ライブデータ点308Aは決定境界306Aの範囲内にあるので、「空き空間」ユースケースがワイヤレス電子デバイス用に判断され得る。対照的に、ライブデータ点308Bは、特徴づけられた決定境界306A~Cすべての外にあるので、どの現在のユースケースも確実には判断され得ない。そのような場合、代替ユースケースの信頼できる判断がないので、ワイヤレス電子デバイスの既存のユースケースが維持され、ライブデータは無視されてよい。特に、これは、新たなユースケースが、より明確でないユースケース決定境界に基づいてより頻繁に判断されることになる、
図1Bに示す単純な決定境界とは対照的である。
【0060】
別の例では、ユースケース判断モデルが、ユースケースの各々に対応する確率を出力し、確率閾を超える最も高い確率を選択すればよい。そのような例では、カットオフ閾が、確信的には特徴づけられたユースケースのうちのいずれでもないテストデータ点用のフィルタと見なされ得る。
【0061】
例示的ユースケース判断モデルアーキテクチャ
図4は、ユースケース判断モデル400アーキテクチャの例を示す。ユースケース判断モデル400は、
図2のユースケース判断モデル214または
図3の304の例であり得る。
【0062】
ユースケース判断モデル400は、2つの分類器404および406を含み、これらは、第1のレベルまたは第1の段階および第2のレベルまたは第2の段階分類器と呼ばれ得る。特に、第1のレベル分類器404は、実インピーダンス測定値、虚インピーダンス測定値、周波数、開口同調器状態、およびインピーダンス同調器状態のうちの1つまたは複数を入力としてとる、ニューラルネットワークモデルなどのトレーニング済み機械学習モデルであってよい。特に、他の態様では、第1のレベル分類器は、
図4に示すもののサブセット、または図示されない追加入力を、入力としてとり得る。
図4は、単なる1つの可能な態様である。
【0063】
入力402に基づいて、第1のレベル分類器404は、複数の判断406のうちの1つを出力し得る。たとえば、第1のレベル分類器404は、ワイヤレス電子デバイスがその現在のユースケースを保つべきであると判断する場合があり、これは、開口同調器設定およびインピーダンス同調器設定がそれらの現在の状態にされてよく、第2のレベル分類器が迂回されてよいことを意味する。
【0064】
たとえば、一態様では、第1のレベル分類器404は、以前のデータ点と現在のデータ点を比較し、差を判断する。差が差閾よりも小さい場合、ワイヤレス電子デバイスは、その現在のユースケースを保つ。一方、差が差閾よりも大きい場合、第1のレベル分類器404は、ワイヤレス電子デバイスが「遷移中」であると判断してよい。差が再び差閾を下回る(すなわち、ワイヤレス電子デバイスが遷移中であるという判断の後)と、第2のレベル分類器408が、ワイヤレス電子デバイス用の新たなユースケースを判断するのに使われてよい。
【0065】
したがって、第1のレベル分類器404は、第2のレベル分類器408用のバイパスフィルタとして作用する。第2のレベル分類器を迂回すると、処理リソースが温存される。テストは、いくつかの場合には、わずか1.4%のデータ点が第2のレベル分類を要することを示した。
【0066】
別の例として、第1のレベル分類器404は、ワイヤレス電子デバイスが遷移状態にあり、したがってそのアンテナ同調をまだ変えるべきでないと判断する場合がある。たとえば、
図3のデータ点308Bが、決定境界306Aによって示される空き空間ユースケースと、決定境界306Cによって示される左手でのユースケースとの間の遷移状態を表し得る。
【0067】
別の例として、第1のレベル分類器404は、ワイヤレス電子デバイスのユースケースが変わったと、したがって第2のレベル分類器408がその新たなユースケースを判断するのに使われるべきであると判断する場合がある。そのような場合、第2のレベル分類器は、同じ入力された入力402(またはその何らかのサブセット)をとり、ワイヤレス電子デバイス用の新たなユースケース410を判断すればよい。新たなユースケースは、
図2の構成要素216などの適応アンテナ同調構成要素によって、電子デバイスのワイヤレスデータ送信システムの全体的性能を向上するように、1つまたは複数のアンテナの同調を変えるために使われ得る。
【0068】
特に、
図4は、ユースケース判断モデル構成の単なる一例であり、他のモデルタイプおよび構成が使われてよい。たとえば、代替態様では、単一レベル分類器が、フィルタリング段階なしで直接、ユースケースを判断するのに使われる場合もある。さらに、異なる入力または入力の混合が使われる場合もあり、第1のレベル分類器の異なる出力が可能である。
【0069】
図4のようなユースケース判断モデルが、異なるタイプ(たとえば、異なるモデルまたは構成)のワイヤレス電子デバイスのためにトレーニングされてよい。いくつかの態様では、基本ユースケース判断モデルがワイヤレス電子デバイスにロードされてよく、次いで、特定のワイヤレス電子デバイス用の特定のパラメータが、たとえば、構成ファイルにより、ワイヤレス電子デバイスにロードされてよい。たとえば、構成ファイルは、
図4の第1のレベル分類器404および第2のレベル分類器408など、1つまたは複数の分類器用のパラメータの1つの行列または複数の行列を含み得る。
【0070】
機械学習ベースのユースケース判断モデルの展開は、正しいユースケース識別を大幅に向上し得る。たとえば、従来のシステムおよび方法についての67%と比較して、本明細書に記載するシステムおよび方法についての95%のユースケース判断精度をテストが示した。
【0071】
例示的ユースケース判断および適応アンテナ同調フロー
図5は、ユースケース判断および適応アンテナ同調を実施するための例示的流れ
図500を示す。
【0072】
フロー500は502においてスタートし、ここで、
図2の230などの無線周波数フロントエンドが、ワイヤレス電子デバイスの中の1つまたは複数のアンテナの性能に関連した測定値をとり、
図2の測定構成要素212などの測定構成要素へフォワードする。いくつかの態様では、測定値は、アンテナなど、送信チェーン中の要素の、虚インピーダンス、実インピーダンス、および/または周波数のうちの1つまたは複数に関連し得る。
【0073】
他の態様では、測定は、
図2のフィードバック受信機222に関して上述したように、トランシーバの要素によって実施され得る。
【0074】
測定構成要素212は次いで、ステップ504において、
図2のユースケース判断モデル214または
図4の400などのユースケース判断モデルへ測定値をフォワードする。
【0075】
ユースケース判断モデル214は次いで、測定値を入力として使い、ワイヤレス電子デバイス用のユースケースをステップ506において判断する。
図4でのように、ユースケース判断モデル214による判断は、ワイヤレス電子デバイスのユースケースを変えないためであり得ることに留意されたい。そのような場合、判断されたユースケースは現在のユースケースであってよい。
【0076】
ユースケース判断モデル214は、ステップ506において新たなユースケース、すなわち、ワイヤレス電子デバイスの現在のユースケースとは異なるものを判断すると、判断したユースケースを、ステップ508において、
図2の適応アンテナ同調構成要素216などの適応アンテナ同調器へフォワードする。
【0077】
適応アンテナ同調構成要素216は次いで、ステップ510において、ユースケース設定データベース(たとえば、ルックアップテーブルまたはリレーショナルデータベース)からの判断されたユースケースに基づいて、ユースケース固有アンテナ同調設定を要求する。ユースケース設定データベース218は、ステップ512において、ユースケース固有アンテナ設定を戻す。ユースケース固有アンテナ設定は、たとえば、
図2のインピーダンス同調器232および開口同調器234用などのインピーダンス同調器設定および/または開口同調器設定を含み得る。
【0078】
適応アンテナ同調構成要素216は次いで、ステップ514において、ユースケース固有アンテナ設定を、実装のために無線周波数フロントエンド230へフォワードする。
【0079】
無線周波数フロントエンド230は次いで、ユースケース固有アンテナ設定を実装し、ステップ516において、ユースケース固有アンテナ設定を使ってデータを送信する。いくつかの態様では、ユースケース固有アンテナ設定を実装することには、インピーダンスおよび/または開口同調多重アンテナが関与する。
【0080】
特に、
図5は、フローの単なる一例であり、異なるフローが可能である。たとえば、他の態様では、フロー500の態様は、様々なデータを、ワイヤレス電子デバイスのある要素からワイヤレス電子デバイスの別の要素へ直接送信するのではなく、共有データバスに載せることによって実施されてよい。
【0081】
ユースケース判断モデルを生成する例示的方法
図6は、ワイヤレス電子デバイスユースケース判断モデルを生成し、ワイヤレス電子デバイスに展開する例示的方法600を示す。
【0082】
方法600はステップ602において始まり、第1のタイプの電子デバイスの中のワイヤレスデータ送信システムの複数のテスト測定値を生成する。いくつかの態様では、複数のテスト測定値の各テスト測定値は、第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる。
【0083】
いくつかの態様では、複数のテスト測定値は、ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンス、ワイヤレスデータ送信システムの要素の虚インピーダンス、ワイヤレスデータ送信システムの周波数、インピーダンス同調器状態、および/または開口同調器状態のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、要素は、ワイヤレスデータ送信システムのアンテナである。
【0084】
方法600は次いで、ステップ604に進み、第1のタイプ電子デバイスの複数のライブまたは動作データ値に基づいて第1のタイプの電子デバイス用のユースケースを判断するように、複数のテスト測定値に基づいて機械学習モデルをトレーニングする。たとえば、動作データ値は、電子デバイスのワイヤレスデータ送信システムに関連付けられたライブ測定値であってよい。さらに、電子デバイスのタイプは、たとえば、電子デバイスの特定のモデル、または同じもしくは同様のワイヤレスデータ送信システムもしくはそれらの構成要素を共有する電子デバイスの特定のファミリーであってよい。
【0085】
いくつかの態様では、機械学習モデルはニューラルネットワークモデルである。
【0086】
いくつかの態様では、機械学習モデルをトレーニングすることは、
図4に関して上述したように、第1のタイプの電子デバイスがもはや第1のユースケースにないかどうかを判断するように、機械学習モデルの第1の分類器をトレーニングすることと、第1のタイプの電子デバイス用の第2のユースケースを判断するように、機械学習モデルの第2の分類器をトレーニングすることとをさらに含む。
【0087】
方法600は次いで、ステップ606に進み、機械学習モデルを第1のタイプの電子デバイスに展開する。機械学習モデルが展開される電子デバイスは、テスト測定が行われた同じデバイス、同じ特定のモデルの異なるデバイス、またはテスト測定が行われたデバイスと、同じもしくは同様のワイヤレスデータ送信システム(もしくはその構成要素)を共有する電子デバイスの同じ特定のファミリーの異なるデバイスであってよい。
【0088】
いくつかの態様では、方法600は、複数のテスト測定値に基づいて複数の合成測定値を生成するステップと、複数の合成測定値に基づいて機械学習モデルをトレーニングするステップとをさらに含む。
【0089】
いくつかの態様では、方法600は、トレーニング済み機械学習モデルに基づいて複数の閉じた決定境界を判断するステップをさらに含み、複数の決定境界の各決定境界は、
図3に関して上述したように、第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる。
【0090】
適応アンテナ同調を実施する例示的方法
図7は、ユースケース判断モデルに基づいて適応アンテナ同調を実施する例示的方法700を示す。
【0091】
方法700はステップ702において始まり、電子デバイス中のワイヤレスデータ送信システムの要素の複数の測定値を生成する。
【0092】
いくつかの態様では、複数の測定値は、ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンス、ワイヤレスデータ送信システムの要素の虚インピーダンス、ワイヤレスデータ送信システムの周波数、インピーダンス同調器状態、および開口同調器状態のうちの1つまたは複数を含む。
【0093】
方法700は次いで、ステップ704に進み、ユースケース判断モデルベースおよび複数の測定値に基づいて、電子デバイス用のユースケースを判断する。
【0094】
いくつかの態様では、ユースケース判断モデルはニューラルネットワークモデルである。いくつかの態様では、ユースケース判断モデルは、
図4に関して上述したように、電子デバイスがもはや第1のユースケースにないかどうかを判断するように構成された第1の分類器と、電子デバイス用の第2のユースケースを判断するように構成された第2の分類器とを備える。いくつかの態様では、ユースケース判断モデルは、電子デバイスのモデムのメモリに記憶される。
【0095】
いくつかの態様では、電子デバイス用のユースケースを判断することは、測定値を複数の閉じた決定境界と比較することを含み、複数の決定境界の各決定境界は、
図3に関して上述したように、電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる。
【0096】
方法700は次いで、ステップ706に進み、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断する。
【0097】
いくつかの態様では、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定は、インピーダンス同調器設定、または開口同調器設定のうちの1つまたは複数を含む。
【0098】
いくつかの態様では、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断することは、
図5に関して上述したように、ユースケース設定データベースを照会することと、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を、ユースケース設定データベースから受信することとを含む。
【0099】
方法700は次いで、ステップ708に進み、1つまたは複数のアンテナ設定に基づいてワイヤレス送信システムを同調させる。
【0100】
いくつかの態様では、1つまたは複数のアンテナ設定に基づいてワイヤレス送信システムを同調させることは、電子デバイスの開口同調器に開口同調器設定を提供することを含む。
【0101】
いくつかの態様では、1つまたは複数のアンテナ設定に基づいてワイヤレス送信システムを同調させることは、インピーダンス同調器設定を電子デバイスのインピーダンス同調器に提供することをさらに含む。
【0102】
方法700は次いで、ステップ710に進み、1つまたは複数のアンテナ設定を使って、ワイヤレス送信システムを介してデータを送信する。
【0103】
図8は、例示的電子デバイス800を示す。電子デバイス800は、
図5~
図7に関するものを含む、本明細書に記載する方法を実施するように構成され得る。
【0104】
電子デバイス700は、いくつかの実施形態ではマルチコアCPUであってよい中央処理ユニット(CPU)802を含む。CPU802において実行される命令は、たとえば、CPU802に関連付けられたプログラムメモリからロードされてよく、またはメモリブロック824からロードされてよい。
【0105】
電子デバイス800は、グラフィックス処理ユニット(GPU)804、デジタル信号プロセッサ(DSP)806、ニューラル処理ユニット(NPU)808、マルチメディア処理ブロック810、マルチメディア処理ユニット810、およびワイヤレス接続性ブロック812など、特定の機能に合わせてあつらえられた追加処理ブロックも含む。
【0106】
一実装形態では、NPU808は、CPU802、GPU804、および/またはDSP806のうちの1つまたは複数の中で実装される。
【0107】
いくつかの実施形態では、ワイヤレス接続性ブロック712は、たとえば、第3世代(3G)接続性、第4世代(4G)接続性(たとえば、4GLTE)、第5世代接続性(たとえば、5GまたはNR)、Wi-Fi接続性、Bluetooth接続性、および他のワイヤレスデータ送信規格による他の接続性のための構成要素を含み得る。ワイヤレス接続性処理ブロック812は、1つまたは複数のアンテナ814にさらに接続される。
【0108】
電子デバイス800は、センサーの任意の方式に関連付けられた1つもしくは複数のセンサープロセッサ816、画像センサーの任意の方式に関連付けられた1つもしくは複数の画像信号プロセッサ(ISP)816、および/またはナビゲーションプロセッサ820も含んでよく、これは、衛星ベースの測位システム構成要素(たとえば、GPSまたはGLONASS)ならびに慣性測位システム構成要素を含み得る。
【0109】
電子デバイス800は、スクリーン、タッチ感応面(タッチ感応ディスプレイを含む)、物理的ボタン、スピーカー、マイクロフォンなどのような、1つまたは複数の入力および/または出力デバイス822も含み得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、電子デバイス800のプロセッサのうちの1つまたは複数は、ARM命令セットに基づき得る。
【0111】
電子デバイス800はメモリ824も含み、これは、動的ランダムアクセスメモリ、フラッシュベースの静的メモリなどのような、1つまたは複数の静的および/または動的メモリを表す。この例では、メモリ824はコンピュータ実行可能構成要素を含み、これは、電子デバイス800の上述したプロセッサのうちの1つまたは複数によって実行され得る。特に、本実施形態では、メモリ824は、生成構成要素824A、判断構成要素824B、同調構成要素824C、受信構成要素824D、および送信構成要素824Eを含む。
【0112】
概して、電子デバイス800またはそれらの構成要素は、本明細書に記載する方法を実施するように構成され得る。
【0113】
代替態様
以下の番号付き節に、代替態様が列挙される。
【0114】
節1:電子デバイス用の電子デバイスユースケース判断モデルを生成する方法であって、第1のタイプの電子デバイスの中のワイヤレスデータ送信システムの複数のテスト測定値を生成するステップであって、複数のテスト測定値の各テスト測定値は、第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、ステップと、第1のタイプの電子デバイスの複数の動作値に基づいて、第1のタイプの電子デバイス用のユースケースを判断するように、複数のテスト測定値に基づいて機械学習モデルをトレーニングするステップとを含む。
【0115】
節2:機械学習モデルはニューラルネットワークモデルである、節1の方法。
【0116】
節3:複数のテスト測定値は、ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの要素の虚インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、インピーダンス同調器状態または開口同調器状態のうちの1つまたは複数とを含む、節1または2のいずれか1つの、方法。
【0117】
節4:要素はワイヤレスデータ送信システムのアンテナである、節3の方法。
【0118】
節5:複数のテスト測定値に基づいて複数の合成測定値を生成するステップと、複数の合成測定値に基づいて機械学習モデルをトレーニングするステップとをさらに含む、節1から4のいずれか1つの、方法。
【0119】
節6:機械学習モデルをトレーニングするステップは、第1のタイプの電子デバイスがもはや第1のユースケースにないかどうかを判断するように、機械学習モデルの第1の分類器をトレーニングするステップと、第1のタイプの電子デバイス用の第2のユースケースを判断するように、機械学習モデルの第2の分類器をトレーニングするステップとをさらに含む、節1から5のいずれか1つの、方法。
【0120】
節7:トレーニング済み機械学習モデルに基づいて複数の閉じた決定境界を判断するステップをさらに含み、複数の閉じた決定境界の各閉じた決定境界は、第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、節1から6のいずれか1つの、方法。
【0121】
節8:機械学習モデルを第1のタイプの電子デバイスに展開するステップをさらに含む、節1から7のいずれか1つの、方法。
【0122】
節9:コンピュータ実行可能命令を備えるメモリと、コンピュータ実行可能命令を実行するように構成されたプロセッサとを備えるトレーニングシステムであって、プロセッサは、トレーニングシステムに、第1のタイプの電子デバイスの中のワイヤレスデータ送信システムの複数のテスト測定値を生成することであって、複数のテスト測定値の各テスト測定値は、第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、ことと、第1のタイプの電子デバイスの複数の動作値に基づいて、第1のタイプの電子デバイス用のユースケースを判断するように、複数のテスト測定値に基づいて機械学習モデルをトレーニングすることとを行わせるように構成される。
【0123】
節10:機械学習モデルはニューラルネットワークモデルである、節9のトレーニングシステム。
【0124】
節11:複数のテスト測定値は、ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの要素の虚インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、インピーダンス同調器状態または開口同調器状態のうちの1つまたは複数とを含む、節9から10のいずれか1つの、トレーニングシステム。
【0125】
節12:要素はワイヤレスデータ送信システムのアンテナである、節11のトレーニングシステム。
【0126】
節13:複数のテスト測定値に基づいて複数の合成測定値を生成することと、複数の合成測定値に基づいて機械学習モデルをトレーニングすることとをさらに含む、節9から12のいずれか1つの、トレーニングシステム。
【0127】
節14:機械学習モデルをトレーニングするために、プロセッサは、トレーニングシステムに、第1のタイプの電子デバイスがもはや第1のユースケースにないかどうかを判断するように、機械学習モデルの第1の分類器をトレーニングすることと、第1のタイプの電子デバイス用の第2のユースケースを判断するように、機械学習モデルの第2の分類器をトレーニングすることとを行わせるようにさらに構成される、節9から13のいずれか1つの、トレーニングシステム。
【0128】
節15:プロセッサは、トレーニングシステムに、トレーニング済み機械学習モデルに基づいて複数の閉じた決定境界を判断させるようにさらに構成され、複数の閉じた決定境界の各閉じた決定境界は、第1のタイプの電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、節9から14のいずれか1つの、トレーニングシステム。
【0129】
節16:プロセッサは、トレーニングシステムに、機械学習モデルを第1のタイプの電子デバイスに展開させるようにさらに構成される、節9から15のいずれか1つの、トレーニングシステム。
【0130】
節17:処理システムのプロセッサによって実行されると、処理システムに、節1から8のいずれか1つによる方法を実施させるコンピュータ実行可能命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体。
【0131】
節18:電子デバイス中のワイヤレスデータ送信システムを適応的に同調させるための方法であって、電子デバイス中のワイヤレスデータ送信システムの要素の複数の測定値を生成するステップと、ユースケース判断モデルおよび複数の測定値に基づいて、電子デバイス用のユースケースを判断するステップと、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断するステップと、1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、ワイヤレスデータ送信システムを同調させるステップと、1つまたは複数のアンテナ設定を使って、ワイヤレスデータ送信システムを介してデータを送信するステップとを含む。
【0132】
節19:ユースケース判断モデルはニューラルネットワークモデルである、節18の方法。
【0133】
節20:ユースケース判断モデルは、電子デバイスのモデムのメモリに記憶される、節18または19のいずれか1つの、方法。
【0134】
節21:複数の測定値は、ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの要素の虚インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、インピーダンス同調器状態または開口同調器状態のうちの1つまたは複数とを含む、節18から20のいずれか1つの、方法。
【0135】
節22:ユースケース判断モデルは、電子デバイスがもはや第1のユースケースにないかどうかを判断するように構成された第1の分類器と、電子デバイス用の第2のユースケースを判断するように構成された第2の分類器とを備える、節18から21のいずれか1つの、方法。
【0136】
節23:電子デバイス用のユースケースを判断するステップは、測定値を複数の閉じた決定境界と比較するステップを含み、複数の閉じた決定境界の各閉じた決定境界は、電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、節18から22のいずれか1つの、方法。
【0137】
節24:判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定は、インピーダンス同調器設定または開口同調器設定のうちの1つまたは複数を含む、節18から23のいずれか1つの、方法。
【0138】
節25:判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断するステップは、ユースケース設定データベースを照会するステップと、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を、ユースケース設定データベースから受信するステップとを含む、節18から24のいずれか1つの、方法。
【0139】
節26:1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、ワイヤレスデータ送信システムを同調させるステップは、電子デバイスの開口同調器に開口同調器設定を提供するステップを含む、節18から25のいずれか1つの、方法。
【0140】
節27:1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、ワイヤレスデータ送信システムを同調させるステップは、電子デバイスのインピーダンス同調器にインピーダンス同調器設定を提供するステップをさらに含む、節18から26のいずれか1つの、方法。
【0141】
節28:ワイヤレスデータ送信システムと、コンピュータ実行可能命令を備えるメモリと、コンピュータ実行可能命令を実行するように構成されたプロセッサとを備える電子デバイスであって、プロセッサは、電子デバイスに、電子デバイス中のワイヤレスデータ送信システムの要素の複数の測定値を生成することと、ユースケース判断モデルおよび複数の測定値に基づいて、電子デバイス用のユースケースを判断することと、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断することと、1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、ワイヤレスデータ送信システムを同調させることと、1つまたは複数のアンテナ設定を使って、ワイヤレスデータ送信システムを介してデータを送信することとを行わせるように構成される。
【0142】
節29:ユースケース判断モデルはニューラルネットワークモデルである、節28の電子デバイス。
【0143】
節30:ワイヤレスデータ送信システムはモデムを備え、モデムはメモリを備え、ユースケース判断モデルはモデムのメモリに記憶される、節28または29のいずれか1つの、電子デバイス。
【0144】
節31:複数の測定値は、ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの要素の虚インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、インピーダンス同調器状態または開口同調器状態のうちの1つまたは複数とを含む、節28から30のいずれか1つの、電子デバイス。
【0145】
節32:ユースケース判断モデルは、電子デバイスがもはや第1のユースケースにないかどうかを判断するように構成された第1の分類器と、電子デバイス用の第2のユースケースを判断するように構成された第2の分類器とを備える、節28から31のいずれか1つの、電子デバイス。
【0146】
節33:電子デバイス用のユースケースを判断するために、プロセッサは、電子デバイスに、測定値を複数の閉じた決定境界と比較させるようにさらに構成され、複数の閉じた決定境界の各閉じた決定境界は、電子デバイスのあらかじめ定義されたユースケースに関連付けられる、節28から32のいずれか1つの、電子デバイス。
【0147】
節34:判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定は、インピーダンス同調器設定または開口同調器設定のうちの1つまたは複数を含む、節28から33のいずれか1つの、電子デバイス。
【0148】
節35:判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を判断するために、プロセッサは、電子デバイスに、ユースケース設定データベースを照会することと、判断されたユースケースに関連付けられた1つまたは複数のアンテナ設定を、ユースケース設定データベースから受信することとを行わせるようにさらに構成される、節28から34のいずれか1つの、電子デバイス。
【0149】
節36:1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、ワイヤレスデータ送信システムを同調させるために、プロセッサは、電子デバイスに、電子デバイスの開口同調器に開口同調器設定を提供させるようにさらに構成される、節28から35のいずれか1つの、電子デバイス。
【0150】
節37:1つまたは複数のアンテナ設定に基づいて、ワイヤレスデータ送信システムを同調させるために、プロセッサは、電子デバイスに、電子デバイスのインピーダンス同調器にインピーダンス同調器設定を提供させるようにさらに構成される、節28から36のいずれか1つの、電子デバイス。
【0151】
節38:処理システムのプロセッサによって実行されると、処理システムに、節18から27のいずれか1つによる方法を実施させるコンピュータ実行可能命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体。
【0152】
先行する説明は、いかなる当業者も、本明細書で説明した様々な態様を実践することを可能にするように提供されている。本明細書において論じる例は、特許請求の範囲に記載された範囲、適用可能性、または態様を限定するものではない。これらの態様の様々な修正は、当業者に容易に明らかになり、本明細書で定義される一般原理は、他の態様に適用され得る。たとえば、本開示の範囲から逸脱することなく、説明される要素の機能および構成において変更が行われてよい。様々な例は、必要に応じて、様々な手順または構成要素を省略、置換、または追加してよい。たとえば、説明する方法は説明する順序とは異なる順序で実施されてよく、様々なステップが加えられ、省かれ、または組み合わせられてよい。また、いくつかの例に関して説明する特徴は、いくつかの他の例において組み合わせられてよい。たとえば、本明細書に記載する任意の数の態様を使用して、装置が実装されてよく、または方法が実践されてよい。加えて、本開示の範囲は、本明細書に記載する開示の様々な態様に加えて、またはそれらの態様以外の、他の構造、機能性、または構造および機能性を使用して実践される装置または方法をカバーするものである。本明細書で開示する本開示のいずれの態様も、特許請求の範囲の1つまたは複数の要素によって具現され得ることを理解されたい。
【0153】
本明細書で使用する限り、「例示的」という言葉は、「例、事例、または例示としての役割を果たすこと」を意味する。「例示的」として本明細書で説明するいかなる態様も、必ずしも他の態様よりも好適または有利なものと解釈すべきではない。
【0154】
本明細書で使用される、項目のリスト「のうちの少なくとも1つ」を指す句は、単一のメンバーを含む、それらの項目の任意の組合せを指す。例として、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、およびa-b-c、ならびに複数の同じ要素を有する任意の組合せ(たとえば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、およびc-c-c、または、a、b、およびcの任意の他の順序)を包含するものとする。
【0155】
本明細書で使用する「判断すること」という用語は、多種多様なアクションを包含する。たとえば、「判断すること」は、算出すること、計算すること、処理すること、導出すること、調査すること、ルックアップすること(たとえば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造においてルックアップすること)、確認することなどを含み得る。また、「判断すること」は、受信すること(たとえば、情報を受信すること)、アクセスすること(たとえば、メモリの中のデータにアクセスすること)などを含んでよい。また、「判断すること」は、解決すること、選択すること、選出すること、確立することなどを含み得る。
【0156】
本明細書で開示した方法は、本方法を達成するための1つまたは複数のステップまたはアクションを含む。方法のステップおよび/またはアクションは、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく互いに交換され得る。言い換えれば、ステップまたはアクションの特定の順序が指定されない限り、特定のステップおよび/もしくはアクションの順序ならびに/または使用は、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく修正されてよい。さらに、上記で説明された方法の種々の動作は、対応する機能を実施することが可能な任意の適切な手段によって実施され得る。手段は、限定はされないが、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはプロセッサを含む、様々なハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素および/またはモジュールを含み得る。一般に、図に示される動作がある場合、それらの動作は、同様の番号を付された対応する相対物のミーンズプラスファンクション構成要素を有し得る。
【0157】
以下の請求項は、本明細書で示されている態様に限定されるものではなく、請求項の文言と一致する全範囲を与えられるべきである。請求項において、単数形の要素への言及は、そのように明記されていない限り、「唯一無二の」を意味するものではなく、「1つまたは複数の」を意味するものとする。別段に明記されていない限り、「いくつかの」という用語は、1つまたは複数を指す。請求項のいかなる要素も、「のための手段」という句を使用して要素が明示的に列挙されていない限り、または方法クレームの場合、「のためのステップ」という句を使用して要素が列挙されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。当業者に知られているか、または後で知られることになる、本開示全体にわたって説明した様々な態様の要素のすべての構造的および機能的等価物は、参照により本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されるものとする。さらに、本明細書で開示したものはいずれも、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公に捧げられることを意図するものではない。
【符号の説明】
【0158】
200 システム
210 モデム
212 測定構成要素
214 ユースケース判断モデル
216 適応アンテナ同調構成要素、適応アンテナ同調、構成要素
218 ユースケース設定データベース
220 ワイヤレストランシーバ
230 無線周波数フロントエンド(RFFE)
232 インピーダンス同調器
234 開口同調器
250 アンテナ
304 ユースケース判断モデル
400 ユースケース判断モデル
404 分類器、第1のレベル分類器
406 分類器
408 第2のレベル分類器
700 電子デバイス
712 ワイヤレス接続性ブロック
800 電子デバイス
802 中央処理ユニット(CPU)
804 グラフィックス処理ユニット(GPU)
806 デジタル信号プロセッサ(DSP)
808 ニューラル処理ユニット(NPU)
810 マルチメディア処理ブロック、マルチメディア処理ユニット
812 ワイヤレス接続性ブロック、ワイヤレス接続性処理ブロック
814 アンテナ
816 センサープロセッサ、画像信号プロセッサ(ISP)
820 ナビゲーションプロセッサ
822 入力および/または出力デバイス
824 メモリブロック、メモリ
824A 生成構成要素
824B 判断構成要素
824C 同調構成要素
824D 受信構成要素
824E 送信構成要素
【国際調査報告】