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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】手持ち電気機械式手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500884
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 CN2019103482
(87)【国際公開番号】W WO2021017079
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】201921228479.9
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】リー, ショウウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー, イェジョウ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ, フェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ジフア
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC02
4C160CC09
4C160CC23
4C160CC40
4C160KK04
4C160KK35
4C160KK70
(57)【要約】
手持ち手術器具(10)のハンドルアセンブリ(12)は、ハンドルハウジング(26)と、モータ(36)と、モータ(36)に動作可能に結合され、かつモータ(36)の作動に応答して、近位および/または遠位に移動するように構成された二重ねじ山親ねじ(46)と、を含む。親ねじ(46)の第1のねじ山ピッチは、エンドエフェクタ(20)のジョー部材(20a、20b)の閉鎖を実行するのに好適であり、親ねじ(46)の第2のねじ山ピッチは、エンドエフェクタ(20)のステープル留め機能を実行するのに好適である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち手術器具のハンドルアセンブリであって、
ハンドルハウジングと、
前記ハンドルハウジング内に配置されたモータと、
前記モータに動作可能に結合され、かつエンドエフェクタの機能を動作させるために前記モータによって並進されるように構成された親ねじであって、前記親ねじが、
第1のピッチを有する近位ねじ山と、
前記近位ねじ山の前記第1のピッチとは異なる、第2のピッチを有する遠位ねじ山と、を含む、親ねじと、を備える、ハンドルアセンブリ。
【請求項2】
前記近位ねじ山の前記第1のピッチが、前記遠位ねじ山の前記第2のピッチよりも大きい、請求項1に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項3】
前記遠位ねじ山が、エンドエフェクタのクランプに対応し、前記近位ねじ山が、エンドエフェクタのステープル留め機能に対応する、請求項2に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項4】
前記モータと前記親ねじとを動作可能に結合する歯車アセンブリをさらに備える、請求項1に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項5】
前記歯車アセンブリが、第1のカラーの回転が前記親ねじを並進させるように、前記親ねじの周りに配置され、かつ前記親ねじにねじ結合された前記第1のカラーを含む、請求項4に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のカラーが、前記親ねじの前記近位ねじ山または前記遠位ねじ山に受容された少なくとも1つのピンを有する、請求項5に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項7】
前記歯車アセンブリが、前記モータに結合され、かつ前記第1のカラーのかさ歯車と噛み合い係合するかさ歯車を有する第2のカラーを含む、請求項5に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項8】
前記モータが、そこから延びる駆動シャフトを有し、前記第2のカラーが前記モータの作動に応答して前記駆動シャフトとともに回転するように、前記第2のカラーが前記駆動シャフトに非回転的に結合される、請求項7に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項9】
前記第2のカラーの前記かさ歯車が、前記第1のカラーの前記かさ歯車に対して角度付けられている、請求項7に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項10】
前記ハンドルハウジングが、
前記親ねじと平行である長手方向軸を画定する上部ハウジング部分と、
前記上部ハウジング部分から下向きかつ近位に延びる下部ハウジング部分と、を含む、請求項9に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項11】
前記下部ハウジング部分が、長手方向軸を画定し、前記下部ハウジング部分の前記長手方向軸が、前記上部ハウジング部分の前記長手方向軸に対して90度未満の角度で配置されている、請求項10に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項12】
前記親ねじの周りに配置され、かつ前記親ねじにピン留めされた外管をさらに備え、前記親ねじが、前記外管の手動回転に応答して回転するように構成されている、請求項1に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項13】
前記外管の近位端を覆い、かつ前記ハンドルハウジングに取り外し可能に結合されたキャップをさらに備え、前記キャップが、前記ハンドルハウジングに対して、前記外管、ひいては、前記親ねじの回転に抵抗するように構成されている、請求項12に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項14】
手持ち手術器具のハンドルアセンブリであって、
ハンドルハウジングと、
前記ハンドルハウジングによって支持されたモータと、
前記モータに動作可能に結合され、かつ前記モータの作動に応答して近位または遠位のうちの少なくとも1つに移動するように構成された親ねじであって、エンドエフェクタの個別の機能を実行するように構成された二重ねじ山を有する、親ねじと、
前記ハンドルハウジングに結合されたノブハウジングと、
前記ノブハウジングに結合された近位端部分およびエンドエフェクタに結合されるように構成された遠位端部分を有するシャフト部分と、を備える、ハンドルアセンブリ。
【請求項15】
前記親ねじが、
ねじ山付き外面を有する近位端部分と、
ねじ山付き外面を有する遠位端部分と、を含み、前記近位端部分の前記ねじ山付き外面が、前記親ねじの前記遠位端部分の前記ねじ山付き外面とは異なるねじ山ピッチを有する、請求項14に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項16】
前記親ねじの前記近位端部分の前記ねじ山付き外面の前記ねじ山ピッチが、前記親ねじの前記遠位端部分の前記ねじ山付き外面の前記ねじ山ピッチよりも大きい、請求項15に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項17】
前記親ねじの前記遠位端部分の前記ねじ山付き外面の前記ねじ山ピッチが、エンドエフェクタのクランプに対応し、前記親ねじの前記近位端部分の前記ねじ山付き外面の前記ねじ山ピッチが、エンドエフェクタのステープル留め機能に対応する、請求項16に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項18】
前記モータと前記親ねじとを動作可能に結合する歯車アセンブリをさらに備え、前記歯車アセンブリが、
第1のカラーの回転が前記親ねじを並進させるように、前記親ねじの周りに配置され、かつ前記親ねじにねじ結合された前記第1のカラーと、
前記モータに結合され、かつ前記第1のカラーのかさ歯車と噛み合い係合するかさ歯車を有する第2のカラーと、を含む、請求項14に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項19】
前記第1のカラーが、前記親ねじの前記二重ねじ山に受容された少なくとも1つのピンを有する、請求項18に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項20】
前記モータが、そこから延びる駆動シャフトを有し、前記第2のカラーが前記モータの作動に応答して前記駆動シャフトとともに回転するように、前記第2のカラーが前記駆動シャフトに非回転的に結合される、請求項18に記載のハンドルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本開示は、手術器具に関する。より具体的には、本開示は、例えば、手術装填ユニットなどの手術アタッチメントの他の様々な機能を関節接合させ、回転させ、かつ作動させる手持ち電気機械式手術器具に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の背景
電気機械式手術器具は、再利用可能なハンドルアセンブリおよび使い捨ての装填ユニット、ならびに/または、例えば、手術エンドエフェクタなどの単回使用装填ユニットを含む。エンドエフェクタは、使用前にハンドルアセンブリに選択的に接続され、次いで、処分されるか、または場合によっては再利用のために滅菌もしくは再調整されるように、使用後にハンドルアセンブリから切断される。いくつかのハンドルアセンブリは、エンドエフェクタの動作機能を実施するための1つ以上の駆動機構を含んでもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一態様では、手持ち手術器具のハンドルアセンブリが提供され、ハンドルハウジングと、ハンドルハウジング内に配置されたモータと、モータに動作可能に結合された親ねじと、を含む。親ねじは、エンドエフェクタの機能を動作させるためにモータによって並進されるように構成され、近位ねじ山および遠位ねじ山を含む。近位ねじ山は第1のピッチを有し、遠位ねじ山は、近位ねじ山の第1のピッチとは異なる第2のピッチを有する。
【0004】
一態様では、近位ねじ山の第1のピッチは、遠位ねじ山の第2のピッチよりも大きくてもよい。
【0005】
いくつかの態様では、遠位ねじ山は、エンドエフェクタのクランプに対応してもよく、近位ねじ山は、エンドエフェクタのステープル留め機能に対応してもよい。
【0006】
別の態様では、ハンドルアセンブリは、モータと親ねじとを動作可能に結合する歯車アセンブリをさらに含んでもよい。
【0007】
さらなる態様では、歯車アセンブリは、第1のカラーの回転が親ねじを並進させるように、親ねじの周りに配置され、かつ親ねじにねじ結合された第1のカラーを含んでもよい。
【0008】
態様では、第1のカラーは、親ねじの近位ねじ山または遠位ねじ山に受容された少なくとも1つのピンを有してもよい。
【0009】
いくつかの態様では、歯車アセンブリは、モータに結合された第2のカラーを含んでもよい。第2のカラーは、第1のカラーのかさ歯車と噛み合い係合するかさ歯車を有してもよい。
【0010】
他の態様では、モータは、そこから延びる駆動シャフトを有してもよい。第2のカラーは、駆動シャフトに非回転的に結合されてもよく、その結果、第2のカラーは、モータの作動に応答して駆動シャフトとともに回転する。
【0011】
さらなる態様では、第2のカラーのかさ歯車は、第1のカラーのかさ歯車に対して角度付けられてもよい。
【0012】
別の態様では、ハンドルハウジングは、上部ハウジング部分と、上部ハウジング部分から下向きかつ近位に延びる下部ハウジング部分と、を含んでもよい。上部ハウジング部分は、親ねじと平行である長手方向軸を画定してもよい。
【0013】
態様では、下部ハウジング部分は、上部ハウジング部分の長手方向軸に対して90度未満の角度で配置された長手方向軸を画定してもよい。
【0014】
いくつかの態様では、ハンドルアセンブリは、親ねじの周りに配置され、かつ親ねじにピン留めされた外管をさらに含んでもよい。親ねじは、外管の手動回転に応答して回転するように構成されてもよい。
【0015】
さらなる態様では、ハンドルアセンブリは、外管の近位端を覆い、かつハンドルハウジングに取り外し可能に結合されたキャップをさらに含んでもよい。キャップは、ハンドルハウジングに対して、外管、ひいては親ねじの回転に抵抗するように構成されてもよい。
【0016】
本開示の別の態様によれば、手持ち手術器具のハンドルアセンブリが提供され、ハンドルハウジングと、ハンドルハウジングによって支持されたモータと、モータに動作可能に結合された親ねじと、ハンドルアセンブリに結合されたノブハウジングと、シャフト部分と、を含む。親ねじは、モータの作動に応答して近位および/または遠位に移動するように構成されている。親ねじは、エンドエフェクタの個別の機能を実行するように構成された二重ねじ山を有する。シャフト部分は、ノブハウジングに結合された近位端部分およびエンドエフェクタに結合されるように構成された遠位端部分を有する。
【0017】
態様では、親ねじは、ねじ山付き外面を有する近位端部分と、ねじ山付き外面を有する遠位端部分と、を含んでもよい。近位端部分のねじ山付き外面は、親ねじの遠位端部分のねじ山付き外面とは異なるねじ山ピッチを有してもよい。
【0018】
いくつかの態様では、親ねじの近位端部分のねじ山付き外面のねじ山ピッチは、親ねじの遠位端部分のねじ山付き外面のねじ山ピッチよりも大きくてもよい。
【0019】
さらなる態様では、親ねじの遠位端部分のねじ山付き外面のねじ山ピッチは、エンドエフェクタのクランプに対応してもよく、親ねじの近位端部分のねじ山付き外面のねじ山ピッチは、エンドエフェクタのステープル留め機能に対応してもよい。
【0020】
他の態様では、ハンドルアセンブリは、モータと親ねじとを動作可能に結合する歯車アセンブリをさらに含んでもよい。歯車アセンブリは、第1のカラーと、第2のカラーと、をさらに含んでもよい。第1のカラーは、第1のカラーの回転が親ねじを並進させるように、親ねじの周りに配置され、親ねじにねじ結合されてもよい。第2のカラーは、モータに結合されてもよく、第1のカラーのかさ歯車と噛み合い係合するかさ歯車を有してもよい。
【0021】
別の態様では、第1のカラーは、親ねじの二重ねじ山に受容された少なくとも1つのピンを有してもよい。
【0022】
態様では、モータは、そこから延びる駆動シャフトを有してもよい。第2のカラーは、駆動シャフトに非回転的に結合されてもよく、その結果、第2のカラーは、モータの作動に応答して駆動シャフトとともに回転する。
【0023】
本明細書で使用される場合、平行および垂直という用語は、真の平行、および真の垂直から最大で約+または-10度まで、実質的に平行、および実質的に垂直である、相対的な構成を含むものと理解される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の実施形態を添付の図面を参照して本明細書で説明する。
【0025】
図1】本開示の実施形態による、ハンドルアセンブリと、ハンドルアセンブリに結合されたシャフト部分と、シャフト部分に結合された手術エンドエフェクタと、を含む、手持ち電気機械式手術器具の側面斜視図である。
図2】ハンドルアセンブリの内部構成要素を示す、図1の手術器具の、ハンドルハウジングが半分取り外された拡大側面斜視図である。
図3】モータと、親ねじと、歯車アセンブリと、を含む、図2のハンドルアセンブリの伝達アセンブリを示す上面斜視図である。
図4図2の線4-4に沿った、部品を取り外した断面図であり、伝達機構の様々な構成要素を示す。
図5図3の線5-5に沿った、部品を取り外した断面図であり、親ねじおよび伝達機構の歯車アセンブリを示す。
図6図3の伝達機構の親ねじを示す側面図である。
図7図5の示された領域の拡大図であり、伝達機構の歯車アセンブリに対して前進した親ねじを示す。
図8図7の8-8に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
開示された手術器具の実施形態は、図面を参照して詳細に説明され、図面において、同様の参照数字は、いくつかの図の各々における同一または対応する要素を示す。本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、ユーザからより遠い、手術器具のその部分またはその構成要素を指し、一方、「近位」という用語は、ユーザにより近い、手術器具のその部分またはその構成要素を指す。
【0027】
図1を参照すると、本開示の実施形態による、手術器具は、概して10として示されており、複数の異なる手術エンドエフェクタ、例えば、手術エンドエフェクタ20をそれに選択的に結合するように構成された、電動手持ち電気機械式手術器具の形態をしている。エンドエフェクタ20は、電動手持ち電気機械式手術器具10による作動および操作のために構成されている。
【0028】
手持ち電気機械式手術器具10は、ハンドルアセンブリ12と、ハンドルアセンブリ12に回転的に結合されたノブハウジング22と、ノブハウジング22に結合された近位端部分14aおよび遠位端部分14bを有するシャフト部分14と、を含む。ノブハウジング22は、シャフト部分14によって画定された長手方向軸「X」の周りを手動で回転して、その遠位端部分14bに取り付けられたエンドエフェクタ20を回転させるように構成されている。関節レバー24は、エンドエフェクタ20の関節を作動させるためにノブハウジング22に回転的に結合される。ハンドルアセンブリ12は、エンドエフェクタ20のステープル留めおよび/または切断機能を作動させるように構成された発射スイッチ16と、エンドエフェクタ20のジョー部材20a、20bを閉鎖するためのクランプスイッチ18と、を有する。態様では、同じスイッチ16または18を使用して、エンドエフェクタ20のステープル留め機能、クランプ機能、および切断機能を動作させてもよい。
【0029】
図1および2を参照すると、ハンドルアセンブリ12は、長手方向軸「X」と実質的に位置合わせされた上部ハウジング部分またはバレル部分28を有するハンドルハウジング26と、上部ハウジング部分28から下向きかつ近位に延びる下部ハウジング部分またはハンドル部分30と、を含む。下部ハウジング部分30は、長手方向軸「X」に対して90度未満の角度(例えば、約50度~約85度)で配置された長手方向軸「Y」を画定する。ハンドルアセンブリ12は、上部および下部ハウジング部分28、30の両方を通って延びるプリント回路基板32と、上部ハウジング部分28に配置された電池34と、下部ハウジング部分30に配置されたモータ36(例えば、DCモータ)と、を含む。プリント回路基板32は、電池34およびモータ36と(例えば、無線または有線で)電気的に通信するように構成されている。発射およびクランプスイッチ16、18は、電池34を起動させて、エンドエフェクタ20のクランプ機能、ならびにステープル発射および/または切断機能、ならびに/または組織の切断を作動させるために、プリント回路基板32と通信している。
【0030】
モータ36は、モータ36によって生成された力を機械的出力に伝達する歯車ボックス38に駆動的に結合されている。歯車ボックス38は、モータ36に結合され、そこから延びる駆動シャフト40を有する。駆動シャフト40は、伝達アセンブリ42を介してエンドエフェクタ20に動作可能に結合され、その結果、駆動シャフト40の回転は、エンドエフェクタ20のジョー部材20a、20bの閉鎖を、そして最終的には、エンドエフェクタ20からのステープルの発射をもたらす。
【0031】
図3~6を参照すると、伝達アセンブリ42は、歯車アセンブリ44と、親ねじ46と、を含む。歯車アセンブリ44は、親ねじ46に結合された第1のカラー48と、歯車ボックス38の駆動シャフト40に結合された第2のカラー50と、を含む。第2のカラー50は、駆動シャフト40に固定され、モータ36の作動に応答して駆動シャフト40とともに回転するように構成されている。第1および第2のカラー48、50の各々は、そこから半径方向外向きに延びるそれぞれのかさ歯車52、54を有する。第1および第2のカラー48、50のかさ歯車52、54は、互いに噛み合い係合し、その結果、第2のカラー50の回転は、第1のカラー48の回転をもたらす。第1および第2のカラー48、50のかさ歯車52、54は、ハンドルハウジング26の下部ハウジング部分30(図2)が上部ハウジング部分28から(例えば、約50度~約85度)角度付けられることを可能にするために、互いに対して角度が付けられ、これは、より人間工学的な感触を臨床医に提供する。
【0032】
第1のカラー48は、第1のカラー48の回転が親ねじ46を並進させるように、親ねじ46の周りに配置され、親ねじ46にねじ結合される。第1のカラー48は、受容され、それを通って半径方向に延びる少なくとも1つのピン56(図5、7、および8)を有し、少なくとも1つのピン56は、親ねじ46のねじ山付き外面の螺旋ねじ山に摺動可能に受容されるか、または配置される。態様では、第1のカラー48は、親ねじ46のねじ山付き外面にねじ切り結合されたねじ山付き内側環状表面を有してもよい。
【0033】
図3および4を参照すると、ハンドルアセンブリ12は、親ねじ46の周りに配置された、例えば、外管70などのねじガイドを含む。外管70は、中に摺動可能に配置された親ねじ46を有する長手方向に延びるチャネル72を画定する。親ねじ46は、外管70内の親ねじ46の回転を抑制しながら、親ねじ46が外管70内で摺動することを可能にするピン74を介して外管70に取り付けられてもよい。外管70は、その近位端78から半径方向外向きに延びる一対のアーム76a、76bを有する。アーム76a、76bは、外管70、したがって親ねじ46を手動で回転させるために臨床医の手によって把持されるように構成されている。
【0034】
ハンドルアセンブリ12は、中に外管70の近位端78を覆い、支持するためのキャップ80をさらに含んでもよい。キャップ80は、外管70のアーム76a、76bを受容するために、かつキャップ80に対する外管70の回転を抑制するために、その中に溝84a、84bを画定してもよい。キャップ80は、ハンドルハウジング26の上部ハウジング部分28(図2)との取り外し可能なスナップフィット接続のために構成された、そこから遠位に延びる一対の可撓性ラッチアーム82a、82bを有する。
【0035】
親ねじ46は、上部ハウジング部分28の長手方向軸「X」と同軸であり、近位端部分46aおよび遠位端部分46bを有する。親ねじ46の遠位端部分46bは、そこから遠位に延びるロッド57を有する。ロッド57は、自在継手60を介して発射シャフト58に結合されている。発射シャフト58は、エンドエフェクタ20のクランプおよびステープル留め機能を実施するために、エンドエフェクタ20の従動シャフト(図示せず)に結合されるように構成されている。
【0036】
図5および6に最もよく示されるように、親ねじ46は、二重ねじ山62、64を有し、各々が、例えば、ステープル留め機能およびクランプ機能などのエンドエフェクタ20のそれぞれの機能を実行するように構成されている。具体的には、親ねじ46の近位端部分46aは、第1のねじ山ピッチを有するねじ山付き外面62を有し、親ねじ46の遠位端部分46bは、第1のねじ山ピッチとは異なる第2のねじ山ピッチを有するねじ山付き外面64を有する。親ねじ46の近位端部分46aのねじ山付き外面62のねじ山ピッチは、親ねじ46の遠位端部分46bのねじ山付き外面64のねじ山ピッチよりも大きい。態様では、親ねじ46は、近位および遠位端部分46a、46bの間に移行ねじ山を有してもよい。他の態様では、近位および遠位端部分46a、46bの間のねじ山ピッチの変化は、急激であってもよい。
【0037】
親ねじ46の近位端部分46aのねじ山付き外面62のねじ山ピッチが比較的大きい(例えば、約2倍)ため、親ねじ46の近位端部分46aは、エンドエフェクタ20のステープル留め機能を実施するのにより好適である。例えば、より大きなねじ山ピッチは、その回転当たりの親ねじ46のより大きな軸方向並進を可能にし、それによって、エンドエフェクタ20のステープル留め機能のより迅速な作動を生み出す。親ねじ46の遠位端部分46bのねじ山付き外面64のねじ山ピッチが小さいため、親ねじ46の遠位端部分46bは、エンドエフェクタ20のクランプ機能を実施するのにより好適である。例えば、より小さなねじ山ピッチは、親ねじ46がその回転当たりより短い距離を並進する結果として、エンドエフェクタ20のジョー部材20a、20bのより細かく制御された開閉を可能にし、ジョー部材20a、20bの間に配置された組織をより制御された速度で圧縮することを可能にする。
【0038】
動作中、エンドエフェクタ20のジョー部材20a、20bの間に組織を受容した状態で、発射スイッチ16を作動して、電池34からモータ36に電力を伝達してもよい。モータ36は、歯車ボックス38の駆動シャフト40を回転させ、これは、第2のカラー50および第1のカラー48の同時回転を駆動する。第1のカラー48のピン56が親ねじ46の遠位端部分46bのねじ山付き外面64に受容されるため、第1のカラー48の回転は、親ねじ46の遠位移動を駆動して、最終的に組織の周りでエンドエフェクタ20のジョー部材20a、20bを閉鎖する。モータ36の継続的な作動は、最終的に、親ねじ46の遠位端部分46bを第1のカラー48との係合から外して前進させ、親ねじ46の近位端部分46aを第1のカラー48内に前進させる。
【0039】
図7および8を参照すると、一実施形態では、ピン56は、第1のカラー48で支持されたヘッド部分56aと、親ねじ46の螺旋溝内に延びるステムまたは本体部分56bと、を含むことが企図される。ピン56の本体部分56bは、親ねじ46のねじ山と接触しそれに沿って摺動するための楕円形の横断面プロファイルを有してもよい。楕円形の横断面プロファイルを有するピン56の本体部分56bが示され、説明されているが、本体部分56bは、例えば、円形、卵形、三角形、三日月形などの、親ねじ46のねじ山に沿って摺動することができる任意の形状の横断面プロファイルを有してもよいことが企図される。ピン56の本体部分56bの楕円形の横断面プロファイルは、親ねじ46の近位端部分46aおよび遠位端部分46bの異なるピッチ間のピン56の移行を容易にする。さらに、ピン56の本体部分56bの楕円形の横断面プロファイルは、ピン56と親ねじ46のねじ山との間で接触する表面積を増加させる。
【0040】
親ねじ46の近位端部分46aが第1のカラー48と係合した状態で、第1のカラー48の回転は、上記のように、親ねじ46の近位端部分46aのより大きなねじ山ピッチのために、ねじ山46の比較的より速い遠位移動を駆動する。親ねじ46の比較的速い遠位移動は、ステープルをエンドエフェクタ20からジョー部材20a、20bの間にクランプされた組織内に急速に駆動する。さらに、並進可能なナイフを含むエンドエフェクタ20の場合、親ねじ46の遠位移動はまた、組織を通るナイフ(図示せず)の遠位並進をもたらし、それによって組織を切断し得ることが企図される。
【0041】
電池34が低いか切れている、またはそうでなければ発射スイッチ16の作動が所望の出力をもたらさないシナリオでは、伝達機構42は、手動で動作されてもよい。具体的には、キャップ80は、ハウジング部分26から取り外され、ハンドルアセンブリ12の外管70を露出させてもよい。臨床医は、外管70のアーム76a、76bを把持し、外管70を長手方向軸「X」の周りで回転させてもよい。親ねじ46は外管70にピン留めされているので、外管70の回転は、親ねじ46の回転をもたらし、エンドエフェクタ20を手動で開放するか、エンドエフェクタ20を閉鎖するか、エンドエフェクタ20からステープルを発射するか、または組織を切断する。
【0042】
本明細書に記載の構成要素のいずれも、強度、耐久性、耐摩耗性、重量、耐腐食性、製造の容易さ、製造コストなどを考慮して、金属、プラスチック、樹脂、複合材料などのいずれかから製造され得る。
【0043】
本開示の手術器具の実施形態に対して様々な変更がなされてもよいことが理解されるであろう。したがって、上の説明は、限定するものではなく、単に実施形態の例証として解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の範囲および趣旨内での他の変更を想定するであろう。例えば、1つの記載した実施形態のありとあらゆる特徴が、別の実施形態に好適に組み込まれてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】