(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/27 20060101AFI20221219BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
A61K8/27
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022515775
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2020078332
(87)【国際公開番号】W WO2021074012
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ロンロン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB332
4C083AB351
4C083AB352
4C083AC241
4C083AC301
4C083AC782
4C083AD152
4C083BB05
4C083CC38
4C083EE29
(57)【要約】
損傷毛髪を修復する方法であって、組成物を毛髪に適用する工程を含み、該組成物が可溶性亜鉛化合物および洗浄界面活性剤を含み;および該組成物が3~5のpHを有する、前記方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
損傷毛髪を修復する方法であって、組成物を毛髪に適用する工程を含み、該組成物が、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛またはそれらの混合物から選択される可溶性亜鉛化合物、およびアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤或いはそれらの混合物から選択される洗浄界面活性剤を含み、該組成物が3~5のpHを有する、前記方法。
【請求項2】
前記亜鉛化合物が硫酸亜鉛である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
全組成物中の亜鉛化合物の濃度が、全組成物の好ましくは0.005~10重量%、より好ましくは0.01~5重量%、最も好ましくは0.05~2重量%である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記洗浄界面活性剤がアニオン性界面活性剤である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記組成物を毛髪からすすぐ工程を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
毛髪、好ましくは毛髪タンパク質に対する損傷修復、好ましくは毛髪の内部タンパク質の変性温度の上昇をもたらす、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記損傷の原因が、機械的手段、化学的手段または環境的手段から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記損傷が、毛髪の明色化、化学的直毛化、着色、ヒートスタイリング、またはそれらの混合から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
以下の連続工程を含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法:
i) 亜鉛化合物、洗浄界面活性剤を含み、pH3~6を有する組成物を最大で20分間適用する工程;および
ii) その髪をすすぐ工程。
【請求項10】
毛髪内部タンパク質への損傷を修復するための、可溶性亜鉛化合物を含む組成物の使用。
【請求項11】
前記組成物が請求項1~9のいずれかに記載される組成物である、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛化合物を含む組成物を用いて損傷毛髪を修復する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は定期的に、毛髪を集中処理にかけ、所望の外観を達成するのを助けるために、ケアおよびスタイリングルーチンを行う。消費者によって行われる当該行為は毛髪ケラチンタンパク質の化学的性質に改変を導入し、その結果、ミクロおよびマクロ構造の変化、ひいては、繊維の物理的性質の変化がもたらされ、これらの結果は一般に、消費者によって損傷として知覚される。
【0003】
毛髪のコーミングおよびブラッシングは繊維キューティクルを機械的に研磨し、これをより粗くし、摩擦特性を増大させる。漂白などの毛髪の明色化、または着色処理は一般に、メラニンを分解し、新しい毛髪の色を発色させるための酸化工程を含むが、これらのプロセスはまた、毛髪繊維タンパク質および内因性脂質を酸化する。これらの反応は、繊維内の共有結合および非共有結合の数および種類を変化させ、毛髪の熱安定性および機械的特性に影響を与える。損傷した毛髪の内部タンパク質は、典型的には未処理の毛髪の変性温度と比較して減少した変性温度を有する。
【0004】
米国特許第4,960,588号はセット保持を改善するために、ヘアスタイリング組成物中に少なくともIIの原子価を有する金属塩を開示している。
【0005】
国際公開第2012/156177号パンフレットは第III族金属塩を含む組成物を毛髪に適用する工程を含む、毛髪損傷を軽減する方法を開示しており、アルミニウムが好ましく、例示されている。
【0006】
米国特許出願公開第2017/360674号は、酸タンパク質と、少なくとも1つの二価または三価カチオンを含む少なくとも1つの塩とを含むケラチン繊維を処理するための化粧品、および当該化粧品を使用して染色されたケラチン繊維の色を維持するための方法を開示する。
【0007】
国際公開第2012/084866号パンフレットおよび国際公開第2012/084903号パンフレットは、毛髪の人工色の保護、経時的な退色の防止、および毛髪に良好な化粧品特性を与えることに関する。前者は1以下の亜鉛塩に対する第四級アンモニウム塩の重量比で1以上の非窒素亜鉛塩と1以上の第四級アンモニウム塩とを含む化粧料組成物を開示し、後者は、0.01~5のシリコーン対亜鉛元素の重量比で1以上の非窒素亜鉛塩と1以上のアミノシリコーンとを含む化粧料組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,960,588号公報
【特許文献2】国際公開第2012/156177号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/360674号公報
【特許文献4】国際公開第2012/084866号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2012/084903号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術にもかかわらず、損傷した毛髪のための新しい有効な処理が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、特定の亜鉛化合物を含む組成物で処理された毛髪が損傷を受けた毛髪を修復することができることを見出した。
【0011】
発明の定義
本発明の第1の態様は組成物を毛髪に適用する工程を含み、該組成物は硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛またはそれらの混合物から選択される可溶性亜鉛化合物、およびアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤或いはそれらの混合物から選択される洗浄界面活性剤を含み、該組成物は、3~5のpHを有する、損傷毛髪を修復する方法を提供する。
【0012】
内部毛髪タンパク質への損傷を修復するための、可溶性亜鉛化合物を含む組成物の使用も提供される。好ましくは、該組成物が本発明の第1の態様の組成物である。
【0013】
本発明の方法は、毛髪、好ましくは内部毛髪タンパク質に対する損傷修復、好ましくは毛髪の内部タンパク質の変性温度の上昇を提供する。
【0014】
損傷の原因は、機械的手段、化学的手段または環境的手段から選択され得る。好ましくは、損傷が毛髪の明色化、化学的直毛化、着色、ヒートスタイリング、またはそれらの混合から選択される。
【0015】
好ましくは、この方法が毛髪から該組成物をすすぐ工程を含む。
【0016】
亜鉛化合物
本発明で使用するための組成物は、可溶性亜鉛化合物を含む。
【0017】
可溶性とは、25℃での水中での4.0×104mg/L以上の溶解度を意味する。
【0018】
亜鉛化合物は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛またはそれらの混合物、最も好ましくは硫酸亜鉛から選択される。
【0019】
全組成物中の亜鉛化合物の濃度は、好ましくは0.005~10重量%、より好ましくは0.01~5重量%、最も好ましくは0.05~2重量%である。
【0020】
本発明の製剤のpHはpH3~pH6の範囲であり、より好ましくはpH3~5で使用される。
【0021】
本発明で使用するための毛髪処理組成物は、適切にはシャンプー、スプレー、ムース、ゲル、ワックスまたはローション、好ましくはシャンプーの形態をとることができる。
【0022】
1つの好ましい実施形態において、組成物は、リンスオフ製品として製剤化される。本発明の文脈において、リンスオフ製品は毛髪に適用され、最大20分間の時間放置され、次いで、すすぎ落とされる。
【0023】
好ましい処理方法は、以下の連続工程を含む:
i) 硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛またはそれらの混合物から選択される亜鉛化合物と、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤または双性イオン性界面活性剤或いはそれらの混合物から選択される洗浄界面活性剤を含み、3~6のpHを有する組成物を、最大20分間の時間、より好ましくは5分間、最も好ましくは30秒間適用する工程;
ii) 髪をすすぐ工程。
【0024】
本発明の方法において使用するためのシャンプー組成物は一般に水性であり、すなわち、それらは、それらの主成分として水または水溶液またはリオトロピック液晶相を有する。
【0025】
適切には、シャンプー組成物が組成物の総重量に基づいて50~98重量%、好ましくは60~90重量%の水を含む。
【0026】
シャンプー組成物は、1つ以上の洗浄界面活性剤を含む。
【0027】
界面活性剤は、それらが溶解する水溶液の表面張力を低下させるように作用する親水性部分および疎水性部分を有する化合物である。本発明の方法で使用するためのシャンプー組成物は一般に、化粧品として許容され、毛髪への局所適用に適した1つ以上の洗浄界面活性剤を含む。洗浄界面活性剤はアニオン性、非イオン性、両性または双性イオン性化合物或いはそれらの混合物から選択することができ、好ましくはアニオン性である。
【0028】
本発明で使用するためのシャンプー組成物中の洗浄界面活性剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、一般に1~50重量%、好ましくは2~40重量%、より好ましくは4~25重量%である。
【0029】
非限定的な例として、洗浄界面活性剤には、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルカリールスルホネート、N-アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アシルアミノ酸系界面活性剤、アルキルエーテルカルボン酸、アシルタウレート、アシルグルタミン酸塩、アルキルグリシネートおよびその塩、特にそれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウム並びにモノ-、ジ-およびトリエタノールアミン塩が含まれる。前記のもののアルキル基およびアシル基は一般に、8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含有し、不飽和であってもよい。アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸塩およびアルキルエーテルカルボン酸並びにそれらの塩は、1分子当たり1~20個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含有することができる。
【0030】
洗浄界面活性剤のさらなる非限定的な例にはアルキレンオキシド、通常はエチレンオキシドを有し、一般に6~30個のエチレンオキシド基を有する脂肪族(C8-C18)第一級または第二級直鎖または分岐鎖アルコールを含む非イオン性洗浄界面活性剤が挙げられる。他の代表的な洗浄界面活性剤としては、モノ-またはジ-アルキルアルカノールアミド(例えば、ココモノ-エタノールアミドおよびココモノ-イソプロパノールアミド)およびアルキルポリグリコシド(APG)が挙げられる。本発明で使用するのに適したアルキルポリグリコシドは市販されており、例えば、BASF社製のPlantapon 1200およびPlantapon 2000として知られる材料を含む。本発明で使用するための組成物に含めることができる他の糖誘導体界面活性剤としては、例えば国際公開第92/06154号および米国特許第5,194,639号に記載されているC12-C18N-メチルグルカミドのようなC10-C18N-アルキル(C1-C6)ポリヒドロキシ脂肪酸アミドや、C10-C18N-(3-メトキシプロピル)グルカミドのようなN-アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
【0031】
洗浄界面活性剤のさらなる非限定的な例は、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタン、アシルタウレートおよびアシルグルタメートを含む両性または双性イオン性洗浄界面活性剤を含んでもよく、アルキルおよびアシル基は8~19個の炭素原子を有する。
【0032】
本発明において使用するためのシャンプー組成物において使用するための典型的な洗浄界面活性剤には、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸およびN-ラウリルサルコシネートナトリウム、パレス硫酸ナトリウム、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホアセテートナトリウムが含まれる。
【0033】
好ましい洗浄界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(n)EO(式中、nは1~3、好ましくは2~3、最も好ましくは3)、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム(n)EO(式中、nは1~3、好ましくは2~3、最も好ましくは3)、ココイルイセチオン酸ナトリウムおよびラウリルエーテルカルボン酸、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホアセテートナトリウムである。
【0034】
前述のアニオン性、非イオン性および両性洗浄界面活性剤のいずれかの混合物も好適であり得、好ましくは、シャンプー組成物中の洗浄界面活性剤の含有重量に基づいて、第一界面活性剤対第二界面活性剤の比が1:1~10:1、より好ましくは2:1~9:1、および最も好ましくは3:1~8:1の間である。
【0035】
必要に応じて、本発明で使用するためのシャンプー組成物は性能および/または消費者の受容性を高めるために、さらなる成分(その非限定的な例を以下に記載する)を含み得る。
【0036】
カチオン性ポリマーは、コンディショニング性能を高めるために本発明で使用するためのシャンプー組成物中の好ましい成分である。
【0037】
適切なカチオン性ポリマーは、カチオン的に置換されたホモポリマーであってもよく、または2つ以上のタイプのモノマーから形成されてもよい。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は一般に、100,000~300万ダルトンである。ポリマーはカチオン性窒素含有基(例えば、第四級アンモニウムもしくはプロトン化アミノ基、またはそれらの混合物)を有する。ポリマーの分子量が低すぎる場合、コンディショニング効果は不十分である。高すぎると、高い伸長粘度の問題があり、それが注がれたときに組成物の糸状性につながる可能性がある。
【0038】
カチオン性窒素含有基は、一般的にカチオン性ポリマーの全モノマーユニットの分画上に置換基として存在する。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合、スペーサー非カチオン性モノマー単位を含有することができる。このようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory、第3版に記載されている。カチオン性モノマー単位と非カチオン性モノマー単位との比は、一般に0.2~3.0meq/gmで必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーを与えるように選択される。ポリマーのカチオン電荷密度は窒素測定のための化学試験下で米国薬局方に記載されるように、ケルダール法を介して適切に決定される。
【0039】
好適なカチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性アミンまたは第四級アンモニウム官能性を有するビニルモノマーと、(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンおよびビニルピロリジンなどの水溶性スペーサーモノマーとのコポリマーが挙げられる。アルキルおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1~C7アルキル基、より好ましくはC1~3アルキル基を有する。他の適当なスペーサーモノマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、マレイン酸無水物、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが含まれる。
【0040】
カチオン性アミンは、特定の種および組成物のpHに依存して、第一級、第二級または第三級アミンであり得る。一般に、第二級および第三級アミン、特に第三級アミンが好ましい。
【0041】
アミン置換ビニルモノマーおよびアミンは、アミン形態で重合され、次いで、四級化によってアンモニウムに変換され得る。
【0042】
カチオン性ポリマーは、アミンおよび/または第四級アンモニウム置換モノマーおよび/または相溶性スペーサーモノマーから誘導されるモノマー単位の混合物を含むことができる。
【0043】
適切な(非限定的な例の)カチオン性ポリマーとしては、以下が挙げられる:
・例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマーおよびアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマーを含むカチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー(それぞれ、ポリクォータニウム6およびポリクォータニウム7として当業界(CTFA)において呼称される);
・3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノアルキルエステルの鉱酸塩(米国特許第4,009,256号に記載されている);
・(国際公開第95/22311号に記載されているような)カチオン性ポリアクリルアミド。
【0044】
使用することができる他のカチオン性ポリマーとしては、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、およびカチオン性グアーガム誘導体などのカチオン性多糖ポリマーが挙げられる。
【0045】
本発明における使用のための組成物における使用に適したカチオン性多糖ポリマーとしては、次式のモノマーが挙げられる:
【化1】
[式中、Aは、デンプンまたはセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基である。Rは、アルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、またはヒドロキシアルキレン基、またはそれらの組み合わせである。R
1、R
2およびR
3は独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、またはアルコキシアリール基を表し、それぞれの基は約18個までの炭素原子を含む。それぞれのカチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R
1、R
2およびR
3中の炭素原子の合計)は好ましくは約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。]
【0046】
別のタイプのカチオン性セルロースには、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性第四アンモニウム塩が含まれ、これは当業界(CTFA)ではポリクォータニウム24と呼ばれている。これらの材料はAmerchol Corporation社から、例えば、Polymer LM-200の商品名で入手可能である。
【0047】
他の適切なカチオン性多糖ポリマーには、四級窒素含有セルロースエーテル(例えば、米国特許第3,962,418号に記載されているような)、およびエーテル化セルロースとデンプンのコポリマー(例えば、米国特許第3,958,581号に記載されているような)が含まれる。このような材料の例としてはDow社製のポリマーLRおよびJRシリーズが挙げられ、これらは一般に、当業界(CTFA)においてPolyquaternium 10と呼ばれる。
【0048】
使用することができる特に適切なタイプのカチオン性多糖ポリマーは、カチオン性グアーガム誘導体、例えばグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(それらのJAGUAR商標シリーズにおいてRhodia社から市販されている)である。このような材料の例は、JAGUAR C13S、JAGUAR C14およびJAGUAR C17である。
【0049】
上記カチオン性ポリマーのいずれかの混合物を使用することができる。
【0050】
カチオン性ポリマーは一般に、組成物の総重量に基づいて、0.01~5%、好ましくは0.02~1%、より好ましくは0.05~0.8%のカチオン性ポリマーの総重量濃度で、本発明で使用するためのシャンプー組成物中に存在する。
【0051】
好ましくは、本発明の方法において使用するための組成物が懸濁化剤をさらに含む。適切な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、疎水性モノマーとのアクリル酸のコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エステルの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムまたは結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくはエチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド、またはそれらの混合物から選択される。ジステアリン酸エチレングリコールおよびジステアリン酸ポリエチレングリコール3は、これらが組成物に真珠光沢を付与するので、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488またはCarbopol 493として市販されている。多官能剤で架橋されたアクリル酸のポリマーも使用することができ;それらは、Carbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941およびCarbopol 980として市販されている。カルボン酸含有モノマーおよびアクリル酸エステルの適切なコポリマーの例は、Carbopol 1342である。全てのCarbopol(商標)材料は、Goodrich社から入手可能である。
【0052】
アクリル酸およびアクリレートエステルの適切な架橋ポリマーは、Pemulen TR1またはPemulen TR2である。適切なヘテロ多糖ガムは、例えばKelzan muとして入手可能なキサンタンガムである。
【0053】
上記の懸濁化剤のいずれかの混合物を使用することができる。アクリル酸と結晶性長鎖アシル誘導体との架橋ポリマーの混合物が好ましい。
【0054】
懸濁化剤は一般に、本発明の方法において使用するためのシャンプー組成物中に、組成物の総重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.5~6重量%、より好ましくは0.9~4重量%の総懸濁化剤濃度で存在するであろう。
【0055】
本発明の方法で使用するための組成物は、好ましくはコンディショニング性能を高めるために、1つ以上のシリコーンコンディショニング剤、特にシリコーンコンディショニング剤の乳化液滴も含有する。
【0056】
乳化シリコーンは、好ましくはポリジオルガノシロキサン、シリコーンガム、アミノ官能性シリコーンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0057】
適切なシリコーンには、ポリジオルガノシロキサン、特に、ジメチコンというCTFA名称を有するポリジメチルシロキサンが含まれる。本発明の方法に使用するための組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)における使用にも適しているのは、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンであり、これはジメチコノールというCTFAの名称を有する。また、例えば国際公開第96/31188号に記載されているように、わずかな架橋度を有するシリコーンガムも好適である。
【0058】
乳化シリコーン自体(エマルジョンまたは最終ヘアコンディショニング組成物ではない)の粘度は典型的には25℃で少なくとも10,000cstであり、シリコーン自体の粘度は、好ましくは少なくとも60,000cst、最も好ましくは少なくとも500,000cst、理想的には少なくとも1,000,000cstである。好ましくは、粘性が配合の容易さのために109cstを超えない。
【0059】
シャンプー組成物に使用するための乳化シリコーンは、典型的には組成物中のD90シリコーン液滴サイズが30ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満、理想的には0.01~1ミクロンである。0.15ミクロンの平均シリコーン液滴サイズ(D50)を有するシリコーンエマルジョンは、一般にミクロエマルジョンと呼ばれる。
【0060】
シリコーン粒径はレーザー光散乱技術の手段によって、例えば、Malvern Instruments製の2600D Particle Sizerを使用して測定することができる。
【0061】
適切な予備成形エマルジョンの例としては、Xiameter MEM 1785およびDow Corning社から入手可能なマイクロエマルジョンDC2-1865が挙げられる。これらは、ジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。架橋シリコーンガムもまた、予め乳化された形態で入手可能であり、これは、製剤化の容易さのために有利である。
【0062】
本発明のシャンプーおよびコンディショナーに含めるためのシリコーンのさらに好ましいクラスは、アミノ官能性シリコーンである。「アミノ官能性シリコーン」とは、少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミン基、或いは第四級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味する。適切なアミノ官能性シリコーンの例には、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが含まれる。
【0063】
本発明での使用に適したアミノ官能性シリコーンの特定の例は、アミノシリコーン油DC2-8220、DC2-8166およびDC2-8566(すべてDow Corning社製)である。
【0064】
適切な第四級シリコーンポリマーは、欧州特許出願公開第530974号に記載されている。好ましい四級シリコーンポリマーは、K3474(Goldschmidt社製)である。
【0065】
アミノ官能性シリコーン油と非イオン性および/またはカチオン性界面活性剤とのエマルジョンも好適である。
【0066】
アミノ官能性シリコーンの予備形成エマルジョンはまた、Dow Corning社およびGeneral Electric社のようなシリコーン油の供給者から入手可能である。具体的な例としては、DC939カチオン性エマルジョンおよび非イオン性エマルジョンDC2-7224、DC2-8467、DC2-8177およびDC2-8154(すべてDow Corning社製)が挙げられる。
【0067】
シリコーンの総量は、好ましくは全組成物の0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%、最も好ましくは0.5重量%~3重量%が適切な濃度である。
【0068】
本発明の方法で使用するための組成物は、パフォーマンスおよび/または消費者の受容性を高めるための他の成分を含有する可能性がある。このような成分には、芳香剤、染料および顔料、pH調整剤、真珠光沢剤または乳白剤、粘度調整剤、および防腐剤または抗菌剤が含まれる。これらの成分の各々は、その目的を達成するのに有効な量で存在する。一般に、これらの任意成分は個々に、全組成物の5重量%までの濃度で含まれる。
【0069】
本発明の方法および使用において使用するためのヘアトリートメント組成物は主として、損傷した毛髪のトリートメントのために、ヒト対象者の毛髪および/または頭皮への局所適用を意図する。リンスオフ組成物が好ましい。同様に、本発明の第3の態様に関連する使用は、毛髪への可溶性亜鉛化合物の局所適用を含む。
【0070】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに例示され、ここで、引用される全てのパーセンテージは特に断らない限り、総重量に基づく重量による。
【実施例】
【0071】
毛髪
未漂白:以下の実施例で使用した毛髪は、2グラムおよび10インチの長さの暗褐色のヨーロッパ人の毛髪房であった。
【0072】
漂白:未漂白毛髪房を以下のプロトコールに従って漂白した。9%のクリームペルオキシド、30‘vol’を混合した市販の漂白粉末を用いて、毛髪を30分間漂白した。次いで、乾燥前に、毛髪を14%ラウレスエーテル硫酸ナトリウム水溶液(SLES)で洗浄した。
【0073】
二回漂白した毛髪を、実験の前に、72時間にわたって5Lの蒸留水中で透析し、この期間にわたって水を3回交換した。透析後、毛髪房を、制御された環境(20℃および50%相対湿度)で一晩放置して乾燥した。
【0074】
組成物
本発明による組成物1は、シャンプー組成物である。組成物Aは、損傷修復剤を全く含有しない比較シャンプーである。組成物1およびAを以下の表1に示す。
【表1】
【0075】
毛髪の処理
毛髪(未漂白および二回漂白)を、最初に、14%ラウレスエーテル硫酸ナトリウム(SLES)を毛髪1g当たり0.1mlの割合で含有する水性組成物で、30秒間の泡立ておよび水道水中での30秒間のすすぎを用いて2回処理した。
【0076】
次に、毛髪を以下の方法を用いてシャンプー組成物1またはAで処理した:
毛髪1g当たり0.1mlの割合で適用し、30秒間泡立て、続いて水道水で30秒間すすいだ。過剰の水を除去した後、毛髪の処理を繰り返した。その後、毛髪房を20℃、相対湿度50%で一晩乾燥させた。
【0077】
組成物1および比較組成物Aによる処理が毛髪タンパク質に及ぼす効果
示差走査熱量測定(DSC)用の毛髪サンプルを調製するために、各房の先端から1インチの毛髪を切り取った。次いで、毛髪を1~2mmの切片に切断した。
【0078】
測定はMettler-Toledo DSC(オートサンプラー付き)を用いて行った。乾燥し、細かく切り刻んだ7~10mgの毛髪サンプルを「中圧ステンレス鋼DSCパン」に入れ、正確に秤量した。次いで、50マイクロリットルの脱イオン水を各サンプルに添加し、その後、パン蓋を載せ、パンをクリンプして閉じて、密封シールを施した。パンを、毛髪が完全に水和することを可能にするために、全ての測定の最低24時間前に平衡化した。DSCは最初に各サンプルを100℃に3分間加熱し、次いで5℃/分の一定速度で100~180℃にさらに温めるようにプログラムした。
【表2】
【0079】
シャンプー組成物Aで処理された毛髪は、漂白された毛髪の性質のために低い変性温度を有することが分かるのであろう。本発明によるシャンプー組成物1は、漂白毛髪の変性温度を未漂白毛髪の変性温度よりも高くする。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪の内部タンパク質の変性温度を上昇させることで損傷した該内部タンパク質を修復する方法であって、
シャンプー組成物を毛髪に適用する工程を含み、該組成物が、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛またはそれらの混合物から選択される可溶性亜鉛化合物、およびアニオン性界面活性剤
またはその混合物から選択される洗浄界面活性剤を含み、該組成物が3~5のpHを有
し、並びに
該組成物を毛髪に最大時間で20分間放置し、該組成物を毛髪からすすぐ工程を含む、
前記方法。
【請求項2】
前記亜鉛化合物が硫酸亜鉛である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
全組成物中の亜鉛化合物の濃度が、全組成物の好ましくは0.005~10重量%、より好ましくは0.01~5重量%、最も好ましくは0.05~2重量%である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記損傷の原因が、機械的手段、化学的手段または環境的手段から選択される、請求項
1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記損傷が、毛髪の明色化、化学的直毛化、着色、ヒートスタイリング、またはそれらの混合から選択される、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記最大時間が5分間である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
毛髪内部タンパク質への損傷を修復するための、
請求項1~3のいずれかに記載される組成物の使用。
【国際調査報告】