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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】眼障害を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20221219BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221219BHJP
   A61K 47/56 20170101ALI20221219BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221219BHJP
   C07K 16/22 20060101ALN20221219BHJP
【FI】
A61K47/68
A61P27/02
A61K47/56
A61K39/395 N
C07K16/22 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521198
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 US2020055074
(87)【国際公開番号】W WO2021072265
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】62/913,567
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/935,434
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/971,738
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512159960
【氏名又は名称】コディアック サイエンシーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kodiak Sciences Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エールリッヒ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラスケス-マルティン,パブロ
(72)【発明者】
【氏名】ナオール,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ペルロス,ディー.ヴィクター
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ホン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA95
4C076BB24
4C076EE59
4C085AA14
4C085AA23
4C085BB11
4C085CC23
4C085DD11
4C085DD59
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA50
4H045BA56
4H045BA57
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
抗VEGF抗体および/またはコンジュゲートを、眼障害を有する対象に投与することにより眼障害を処置する方法が本明細書において提供される。本開示の抗VEGF抗体は、対象に投与された場合の抗体の半減期/有効性/特性を拡大させるポリマー部分を含む抗VEGF抗体コンジュゲートであってもよい。本開示の方法は、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の用量を、眼障害の処置を必要とする対象(例えば、ヒトまたは他の哺乳動物患者)に投与することを含み、抗VEGF抗体コンジュゲートは、眼障害を処置するために、標準的な抗VEGF治療よりも低い頻度で投与されてもよい。
【選択図】図42
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼障害を処置する方法であって、
抗VEGF抗体コンジュゲートを、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与すること;および
前記負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すこと
を含み、
それにより、前記対象が、前記抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも12週間保持する、
方法。
【請求項2】
前記眼障害が、糖尿病黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症(RVO)、滲出型加齢黄斑変性症(AMD)、および糖尿病網膜症(DR)のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記眼障害がDMEまたはRVOのいずれかである、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
網膜静脈閉塞症(RVO)を処置する方法であって、
抗VEGF抗体コンジュゲートを、RVOを有する対象に第1の負荷用量において投与すること;および
前記負荷用量を1回繰り返すこと
を含み;
それにより、前記対象が、前記抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも8週間保持する、
方法。
【請求項5】
前記抗VEGF抗体コンジュゲート治療の前記治療結果が、最終負荷用量後に少なくとも14週間続く、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗VEGF抗体コンジュゲート治療の前記治療結果が、最終負荷用量後に少なくとも20週間続く、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートのさらなる投与が、前記対象に最終負荷用量の4週以内に提供されない、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートのさらなる投与が、前記対象に最終負荷用量の10週以内に提供されない、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートのさらなる投与が、前記対象に最終負荷用量の14週以内に提供されない、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートのさらなる投与が、前記対象に最終負荷用量の20週以内に提供されない、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記負荷用量が、各負荷用量の間に約1か月を伴って投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記負荷用量が、各負荷用量の間に約1~2か月を伴って投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を前記対象に前記最終負荷用量後に投与することをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの任意の後続用量が、12週毎に1回以下の頻度で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの任意の後続用量が、20週毎に1回以下の頻度で投与される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの前記1回または複数回の後続用量が、平均で24週毎に1回以下の頻度で投与される、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの第1の後続用量を前記最終負荷用量後の第1の期間において投与すること;および
第2の後続用量を前記第1の後続用量後の第2の期間において投与することであって、前記抗VEGF抗体コンジュゲートが前記第1の後続用量および前記第2の後続用量の間に投与されない、前記投与すること
を含み、
前記第1の期間が前記第2の期間よりも短い、
請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の期間が8週またはより長い、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の時間間隔が前記第1の期間よりも少なくとも4週長い、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
負荷用量当たり約1.25mgの抗体が、前記対象に前記抗VEGF抗体バイオコンジュゲートの形態で投与される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
負荷用量当たり約5mgの抗体が、前記対象に前記抗VEGF抗体バイオコンジュゲートの形態で投与される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記負荷用量に後続する用量が、直近の負荷用量の少なくとも20週後まで投与されない、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記負荷用量に後続する用量が、直近の負荷用量の少なくとも24週後まで投与されない、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記治療結果が、処置前のレベルと比較した、視力の改善、網膜厚の低減、少なくとも1つの目における灌流の改善、糖尿病網膜症重症度スコア(DRSS)の改善、または前記眼障害の疾患活動性の低減のうちの1つまたは複数を含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
目の灌流を改善する方法であって、
DME、DRまたはRVOを有する対象を同定すること;および
抗VEGF抗体コンジュゲートの少なくとも2回の負荷用量を前記対象に投与すること;
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回のさらなる用量を前記対象に、
前記対象が少なくとも1つの目における灌流の改善を示すまで提供すること
を含む、方法。
【請求項26】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの前記負荷用量の各々が少なくとも1.25mgの抗体タンパク質を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記負荷用量に後続する用量が、直近の負荷用量の少なくとも20週後まで投与されない、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
目の灌流を改善する方法であって、
非増殖性DRを有する対象を同定すること;および
抗VEGF抗体コンジュゲートの初期用量を前記対象に投与して、少なくとも1つの目における灌流の改善を提供すること
を含む、方法。
【請求項29】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回のさらなる用量を前記対象に前記初期用量後に提供することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
用量が、前記初期用量の少なくとも20週後まで投与されない、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの負荷用量が前記対象に投与されない、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの各用量が少なくとも1.25mgの抗体タンパク質を含む、請求項28~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記灌流の改善が、前記少なくとも1つの目における無灌流の進行の速度における低減を少なくとも含む、請求項25~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記灌流の改善が、処置前に対して無灌流の面積における少なくとも10%の低減を含む、請求項25~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
DME、DRまたはRVOを有する対象を処置する方法であって、
抗VEGF抗体コンジュゲートの1~3回の負荷用量を、DME、DRまたはRVOを有する対象に投与すること;
3回より多くの負荷用量を前記対象に投与しないこと;
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用を前記抗VEGF抗体コンジュゲートの直近の負荷用量または直近の後続適用の12週以後の時点において提供することであって、前記負荷用量が前記対象に月毎を基準にして投与される、前記提供すること
を含む、方法。
【請求項36】
前記対象が増殖性DRを有し、かつ前記方法が、前記抗VEGF抗体コンジュゲートの3回の負荷用量を前記対象に投与することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
非増殖性DRを有する対象を処置する方法であって、
抗VEGF抗体コンジュゲートの1または2回の負荷用量を、非増殖性DRを有する対象に投与すること;
2回より多くの負荷用量を前記対象に投与しないこと;および
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与を直近の負荷用量の12週以後の時点に
おいて提供することであって、前記負荷用量が前記対象に月毎を基準にして投与される、前記提供すること
を含む、方法。
【請求項38】
RVOを有する対象を処置する方法であって、
抗VEGF抗体コンジュゲートの1または2回の負荷用量を、RVOを有する対象に投与すること;
2回より多くの負荷用量を前記対象に投与しないこと;
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与を直近の負荷用量の8週以後の時点において提供することであって、前記負荷用量が前記対象に月毎を基準にして投与される、前記提供すること
を含む、方法。
【請求項39】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの各負荷用量が少なくとも1.25mgの抗体タンパク質を含む、請求項35~38または45~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートが、硝子体内注射を介して投与される、請求項1~39または45~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートが5mgの量で投与される、請求項1~37または45~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートが、ポリマーに結合した抗VEGF-A免疫グロブリンG(IgG)を含む抗体コンジュゲートを含み、前記ポリマーがMPCモノマーを含み、抗VEGF-A抗体重鎖の配列が配列番号1であり、かつ抗VEGF-A抗体軽鎖の配列が配列番号2であり、かつ前記抗体が配列番号1中のC449において前記ポリマーに結合している、請求項1~38または45~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートが、軽鎖および重鎖を含む抗体コンジュゲートを含み、前記抗VEGF-A抗体重鎖が、CDR1:GYDFTHYGMN(配列番号9)、CDR2:WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号10)、およびCDR3:YPYYYGTSHWYFDV(配列番号11)を含み、かつ前記抗VEGF-A抗体軽鎖が、CDR1:SASQDISNYLN(配列番号12)、CDR2:FTSSLHS(配列番号13)、およびCDR3:QQYSTVPWT(配列番号14)を含む、請求項1~42または45~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記抗体コンジュゲートが、以下の構造:
【化1】

を有し、式中、
前記抗VEGF-A抗体の各重鎖は文字Hにより表され、かつ前記抗VEGF-A抗体の各軽鎖は文字Lにより表され;
前記ポリマーは、C443(EUナンバリング)のスルフヒドリルを通じて前記抗VEGF-A抗体に結合しており、前記結合は前記重鎖の1つに描写されており;
PCは、
【化2】

であり、曲線は前記ポリマーの残部への結合点を指し示し、Xは、a)-OR(式中、Rは、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルである)、b)-H、c)-Br、-Cl、もしくは-Iを含む、任意のハロゲン、d)-SCN、またはe)-NCSであり;かつ
n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9は同じまたは異なり、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n6、n7、n8およびn9の和は2500プラス
またはマイナス15%である、
請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
RVOを処置する方法であって、
抗VEGF抗体コンジュゲートを、RVOの処置を必要とする対象に1~3回の負荷用量において投与すること
を含み;かつ
それにより、前記対象が、RVOに対する前記抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも8週間、および/または少なくとも8週の1回もしくは複数回のその後の投薬間隔の間に保持する、
方法。
【請求項46】
前記対象が、10週毎に1回よりも高い頻度で前記抗VEGF抗体コンジュゲートを用いて再処置されない、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記対象が、12週毎に1回よりも高い頻度で前記抗VEGF抗体コンジュゲートを用いて再処置されない、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
眼障害の疾患修飾の方法であって、
抗VEGF抗体コンジュゲートを、眼障害を有する対象に第1の負荷用量において投与すること
を含み、それにより、前記眼障害が、前記対象にとって有益な方式で修飾される、
方法。
【請求項49】
眼障害を処置する方法であって、
DME、DRまたはRVOを有する対象を同定すること;および
抗VEGF抗体コンジュゲートの1~6回の負荷用量を前記対象に投与すること;
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの第1の再処置用量を前記対象に直近の負荷用量から第1の時間量後に提供すること;および
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの第2の再処置用量を前記対象に、前記抗VEGF抗体コンジュゲートの前記第1の再処置用量から第2の時間量後に提供することであって、前記第2の時間量が前記第1の時間量に等しいまたはより大きい、前記提供すること
を含む、方法。
【請求項50】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの1~3回の負荷用量を前記対象に投与することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第2の時間量が、前記第1の時間量よりも少なくとも1週大きい、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記第2の時間量が、前記第1の時間量よりも少なくとも2週大きい、請求項49または50に記載の方法。
【請求項53】
前記第2の時間量が、前記第1の時間量よりも少なくとも4週大きい、請求項49または50に記載の方法。
【請求項54】
眼障害を処置する方法であって、
抗VEGF抗体コンジュゲートを、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与することであって、前記眼障害が糖尿病黄斑浮腫(DME)である、前記投与すること;および
前記負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すこと
を含み、それにより、前記対象が、前記抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも8週間保持する、
方法。
【請求項55】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を前記対象に前記最終負荷用量後に投与することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの前記1回または複数回の後続用量をQ8Wまたはより長い間隔の投薬スケジュールにおいて投与することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記投薬スケジュールがQ8W~Q24Wである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量が、前記対象に前記第1の負荷用量後の少なくとも約1年以内に投与されない、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
眼障害を処置する方法であって、
抗VEGF抗体コンジュゲートを、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与することであって、前記眼障害が滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)である、前記投与すること;および
前記負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すこと
を含み、それにより、前記対象が、前記抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも12週間保持する、
方法。
【請求項60】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を前記対象に前記最終負荷用量後にQ12Wまたはより長い間隔の投薬スケジュールにおいて投与することをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記投薬スケジュールがQ24Wまたはより長い間隔である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記投薬スケジュールがQ12W~Q20Wである、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの1回より多くの後続用量が、前記対象に前記第1の負荷用量の約1年以内に投与されない、請求項59~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
眼障害を処置する方法であって、
抗VEGF抗体コンジュゲートを、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与することであって、前記眼障害が網膜静脈閉塞症(RVO)である、前記投与すること;および
前記負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すこと
を含み、それにより、前記対象が、前記抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも8週間保持する、
方法。
【請求項65】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を前記対象に前記最終負荷用量後に投与することをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの前記1回または複数回の後続用量をQ8Wまたはより長い間隔の投薬スケジュールにおいて投与することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
眼障害を処置する方法であって、眼障害の処置を必要とする対象に治療有効量の抗VEGF抗体コンジュゲートをQ12Wまたはより長い間隔の投薬スケジュールにおいて投与することであって、前記眼障害が糖尿病網膜症(DR)であり、前記投与により前記眼障害が処置される、前記投与すること
を含む、方法。
【請求項68】
前記投薬スケジュールがQ12W~Q24Wである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記対象に前記抗VEGF抗体コンジュゲートの2回以下の負荷用量を投与することをさらに含む、請求項67または68に記載の方法。
【請求項70】
任意の2回の連続する負荷用量の間の時間が約8週である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
眼障害を処置する方法であって、眼障害の処置を必要とする対象に抗VEGF抗体コンジュゲートの複数回の用量のうちの前記抗VEGF抗体コンジュゲートの第1の用量を投薬スケジュールにおいて投与することであって、前記投薬スケジュールが、
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの1~3回の負荷用量を含む負荷投薬スケジュールであって、前記第1の用量が負荷用量である、前記負荷投薬スケジュール;続いて
最終負荷用量後の前記抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を含む維持投薬スケジュールであって、Q8Wまたはより長い間隔の予め決定された投薬スケジュールを含む、前記維持投薬スケジュール
を含む、前記投与することを含む、
方法。
【請求項72】
前記抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を前記対象において前記第1の用量後の1つまたは複数の時点において評価すること;および
前記抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量を前記対象に、前記予め決定された投薬スケジュールにより指定されるその後の時点において、前記治療結果が前記対象により保持されていない場合に、投与し、前記治療結果が前記対象により保持されている場合には、前記後続用量を投与するまでの時間間隔を延長すること
をさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記眼障害がwAMDであり、かつ前記予め決定された投薬スケジュールがQ12Wまたはより長い間隔である、請求項71または72に記載の方法。
【請求項74】
前記予め決定された投薬スケジュールがQ24Wまたはより長い間隔である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記眼障害が、DME、DR、またはRVOである、請求項71または72に記載の方法。
【請求項76】
眼障害を処置する方法であって、
眼障害の処置を必要とする対象を同定することであって、前記眼障害が推定眼ヒストプラズマ症候群である、前記同定すること;および
前記対象の硝子体内に治療有効量の抗VEGF抗体コンジュゲートを投与し、それによ
り前記眼障害を処置すること
を含む、方法。
【請求項77】
前記治療有効量が約1mg~約5mgの前記抗VEGF抗体コンジュゲートを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記対象が、前記抗VEGF抗体コンジュゲート治療の前記治療結果を前記最終負荷用量後に少なくとも24週間保持する、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記眼障害がwAMDである、請求項78に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月10日に出願された米国仮出願第62/913567号;2019年11月14日に出願された同第62/935434号;および2020年2月7日に出願された同第62/971738号に対する優先権を主張し、これらの仮出願の各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、電子フォーマットの配列表と共に提出される。配列表は、2020年10月9日に作成された20,609バイトのサイズのSEQLIST_KDIAK102WO.txtという名称のファイルとして提供される。配列表の電子フォーマット中の情報は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
分野
本開示は、抗体およびそのコンジュゲート、ならびに前記抗体、そのコンジュゲート、および他のタンパク質コンジュゲートを使用および製造する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管内皮細胞の増殖を刺激し、血管透過性を誘導する。これらの生物学的活性は、正常および病的の両方の状態において、血管新生における中心的役割をVEGFに与える。VEGFの不適切な過剰発現は、網膜血管疾患、例えば糖尿病網膜症(DR)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)、および網膜静脈閉塞症(RVO)において鍵となる役割を果たしている。追加的に、網膜VEGF発現の増加が、網膜虚血性疾患を有する患者において実証されている。不適切なVEGF活性の阻害はこれらの疾患の処置に対する「抗血管新生」アプローチであり、これらの網膜血管疾患を有する患者における視力の保存および改善の有効な方法となっている。
【0005】
硝子体内抗血管新生治療は現在、DME、wAMD、およびRVOに起因する黄斑浮腫に対する主要な処置である。しかしながら、治療用VEGF-A阻害剤、例えば硝子体内アフリベルセプトおよび硝子体内ラニビズマブを用いるこれらの眼障害の標準的な処置は、眼障害に依存して、月毎または8週毎(初期の月毎の負荷用量の後)の投薬を伴う。そのため、現実世界のアウトカムは、評価および処置のための網膜専門医への月毎の来診に関係する負担のため、期待に達していない。より少ないかつ/またはより低い頻度の硝子体内注射で治療結果を達成するための医学的必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,530,101号明細書
【特許文献2】米国特許第5,585,089号明細書
【特許文献3】米国特許第5,225,539号明細書
【特許文献4】米国特許第6,407,213号明細書
【特許文献5】米国特許第5,859,205号明細書
【特許文献6】米国特許第6,881,557号明細書
【特許文献7】米国特許第4,634,664号明細書
【特許文献8】米国特許第4,634,666号明細書
【特許文献9】国際公開第93/12227号
【特許文献10】米国特許第5,877,397号明細書
【特許文献11】米国特許第5,874,299号明細書
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【特許文献45】米国特許第5,681,746号明細書
【特許文献46】国際公開第2017117464号
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【0007】
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【発明の概要】
【0008】
要旨
抗VEGF抗体または抗VEGFタンパク質を、眼障害を有する対象に投与することにより眼障害を処置する方法が本明細書において提供される。本開示の抗VEGF抗体は、対象に投与された場合に抗体またはタンパク質の半減期(例えば、眼内半減期など)を延長させるポリマー部分を含む抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲートであってもよい。本開示の方法は、対象において抗VEGF治療の治療効果を達成するために従来の抗VEGF治療よりも少ない抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの用量(例えば、より低い頻度の投与)を含む眼障害に対する処置の過程を提供し得る。
【0009】
眼障害を処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与すること;および負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すことを含み;それにより、対象が、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも12週間保持する、方法が本明細書において提供される。任意選択的に、眼障害は、糖尿病黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症(RVO)、滲出型加齢黄斑変性症(AMD)、および糖尿病網膜症(DR)のうちの少なくとも1つである。一部の実施形態において、眼障害はDMEまたはRVOのいずれかである。
【0010】
網膜静脈閉塞症(RVO)を処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、RVOを有する対象に第1の負荷用量において投与すること;および負荷用量を1回繰り返すことを含み;それにより、対象が、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも8週間保持する、方法もまた本明細書において提供される。
【0011】
一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、治療の治療結果は、最終負荷用量後に少なくとも12週間、少なくとも14週間、例えば少なくとも16週間続く。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果は、最終負荷用量後に少なくとも20週間続く。
【0012】
任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)のさらなる投与は、対象に最終負荷用量の4週以内に提供されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301のさらなる投与は、対象に最終負荷用量の10週以内、12週以内、または16週以内に提供されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301のさらなる投与は、対象に最終負荷用量の14週以内に提供されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301のさらなる投与は、対象に最終負荷用量の20週以内に提供されない。
【0013】
任意選択的に、負荷用量は、各負荷用量の間に1か月を伴って投与される。一部の実施形態において、負荷用量は、各負荷用量の間に約1~2か月を伴って投与される。一部の実施形態において、負荷用量は、各負荷用量の間に約2か月を伴って投与される。
【0014】
任意選択的に、本開示の方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の1回または複数回の後続用量を対象に最終負荷用量後に投与することを含む。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の任意の後続用量は、12週毎に1回以下の頻度で投与される。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の任意の後続用量は、20週毎に1回以下の頻度で投与される。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量は、平均で24週毎に1回以下の頻度で投与される。任意選択的に、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の第1の後続用量を最終負荷用量後の第1の期間において投与すること;および第2の後続用量を第1の後続用量後の第2の期間において投与することを含み、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301は、第1の後続用量および第2の後続用量の間に投与されず、第1の期間は第2の期間よりも短い。一部の実施形態において、第1の期間は8週またはより長い。一部の実施形態において、第2の時間間隔は第1の期間よりも少なくとも4週長い。
【0015】
任意選択的に、負荷用量当たり約1.25mgの抗体が対象に抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の形態で投与される。一部の実施形態において、負荷用量当たり約5mgの抗体が対象に抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の形態で投与される。
【0016】
一部の実施形態において、負荷用量に後続する用量は、直近の負荷用量の少なくとも20週後まで投与されない。
【0017】
任意選択的に、治療結果は、処置前のレベルと比較した、視力の改善、網膜厚の低減、少なくとも1つの目(例えば、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301が投与された少なくとも1つの目)における灌流の改善、糖尿病網膜症重症度スコア(diabetic retinopathy severity score;DRSS)の改善、または眼障害の疾患活動性の低減のうちの1つまたは複数を含む。
【0018】
目の灌流を改善する方法であって、DME、DRまたはRVOを有する対象を同定すること;および抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の少なくとも2回の負荷用量を対象に投与すること;対象が少なくとも1つの目における灌流の改善を示すまで、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1回または複数回のさらなる用量を対象に提供することを含む、方法もまた本明細書において提供される。任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量の各々は、少なくとも1.25mgの抗体タンパク質を含む。任意選択的に、負荷用量に後続する用量は、直近の負荷用量の少なくとも20週後まで投与されない。一部の実施形態において、負荷用量に後続する用量は、直近の負荷用量の少なくとも24週後まで投与されない。
【0019】
本開示はまた、目の灌流を改善する方法であって、非増殖性DRを有する対象を同定すること;および抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の初期用量を対象に投与して、少なくとも1つの目における灌流の改善を提供することを含む、方法を提供する。任意選択的に、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の1回または複数回のさらなる用量を対象に初期用量後に提供することを含む。一部の実施形態において、用量は、初期用量の少なくとも20週後まで投与されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量は、対象に投与されない。任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の各用量は、少なくとも1.25mgの抗体タンパク質を含む。任意選択的に、灌流の改善は少なくとも、少なくとも1つの目における進行性の無灌流の率における低減を含む。一部の実施形態において、灌流の改善は、処置前に対して少なくとも10%の無灌流の面積における低減を含む。
【0020】
DME、DRまたはRVOを有する対象を処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1~3回の負荷用量をDME、DRまたはRVOを有する対象に投与すること;3回より多くの負荷用量を対象に投与しないこと;抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の後続適用を抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の直近の負荷用量または直近の後続適用の12週以後の時点において提供することを含み、負荷用量が対象に月毎を基準にして投与される、方法もまた本明細書において提供される。任意選択的に、対象は増殖性DRを有し、かつ方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の3回の負荷用量を対象に投与することを含む。
【0021】
非増殖性DRを有する対象を処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1または2回の負荷用量を、非増殖性DRを有する対象に投与すること;2回より多くの負荷用量を対象に投与しないこと;および抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の後続投与を直近の負荷用量の12週以後の時点において提供することを含み、負荷用量が対象に月毎を基準にして投与される、方法もまた提供される。
【0022】
本開示はまた、RVOを有する対象を処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1または2回の負荷用量を、RVOを有する対象に投与すること;2回より多くの負荷用量を対象に投与しないこと;抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の後続投与を直近の負荷用量の8週以後の時点において提供することを含み、負荷用量が対象に月毎を基準にして投与される、方法を提供する。
【0023】
任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量の各々は、少なくとも1.25mgの抗体タンパク質を含む。
【0024】
任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301は、硝子体内注射を介して投与される。任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301は、5mgの量で投与される。
【0025】
任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301は、ポリマーに結合した抗VEGF-A免疫グロブリンG(IgG)を含む抗体コンジュゲートを含み、ポリマーはMPCモノマーを含み、抗VEGF-A抗体重鎖の配列は配列番号1であり、かつ抗VEGF-A抗体軽鎖の配列は配列番号2であり、かつ抗体は配列番号1中のC449においてポリマーに結合している。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301は、軽鎖および重鎖を含む抗体コンジュゲートを含み、抗VEGF-A抗体重鎖は、CDR1:GYDFTHYGMN(配列番号9)、CDR2:WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号10)、およびCDR3:YPYYYGTSHWYFDV(配列番号11)を含み、かつ抗VEGF-A抗体軽鎖は、CDR1:SASQDISNYLN(配列番号12)、CDR2:FTSSLHS(配列番号13)、およびCDR3:QQYSTVPWT(配列番号14)を含む。一部の実施形態において、抗体コンジュゲートは、以下の構造:
【0026】
【化1】
【0027】
を有し、抗VEGF-A抗体の各重鎖は文字Hにより表され、かつ抗VEGF-A抗体の各軽鎖は文字Lにより表され;ポリマーは、抗VEGF-A抗体にC443(EUナンバリング)のスルフヒドリルを通じて結合しており、該結合は重鎖の1つに描写されており;PCは、
【0028】
【化2】
【0029】
であり、曲線はポリマーの残部への結合点を指し示し、Xは、a)-OR(式中、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、もしくはイソプロピルである)、b)-H、c)-Br、-Cl、もしくは-Iを含む任意のハロゲン、d)-SCN、またはe)-NCSであり;かつn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9は同じまたは異なり、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n6、n7、n8およびn9の和は2500プラスまたはマイナス15%である。
【0030】
RVOを処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、RVOの処置を必要とする対象に1~3回の負荷用量において投与することを含み;それにより、対象が、RVOに対する抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、治療、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも8週間および/または少なくとも8週の1回もしくは複数回のその後の投薬間隔の間に保持する、方法もまた本明細書において提供される。任意選択的に、対象は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301を用いて10週毎に1回よりも高い頻度で再処置されない。任意選択的に、対象は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301を用いて12週毎に1回よりも高い頻度で再処置されない。
【0031】
本開示はまた、眼障害の疾患修飾の方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、眼障害を有する対象に第1の負荷用量において投与することを含み、それにより、眼障害が、対象にとって有益な方式で修飾される、方法を提供する。
【0032】
眼障害を処置する方法であって、DME、DRまたはRVOを有する対象を同定すること;および抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1~6回の負荷用量を対象に投与すること;抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの第1の再処置用量を対象に直近の負荷用量から第1の時間量後に提供すること;および抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の第2の再処置用量を対象に抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の第1の再処置用量から第2の時間量後に提供することであって、第2の時間量が第1の時間量に等しいまたはより大きい、提供することを含む、方法もまた本明細書において提供される。任意選択的に、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲートの1~3回の負荷用量を対象に投与することを含む。任意選択的に、第2の時間量は、第1の時間量よりも少なくとも1週大きい。一部の実施形態において、第2の時間量は、第1の時間量よりも少なくとも2週大きい。一部の実施形態において、第2の時間量は、第1の時間量よりも少なくとも4週大きい。
【0033】
眼障害を処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与することであって、眼障害が糖尿病黄斑浮腫(DME)である、投与すること;および負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すことを含み、それにより、対象が、抗VEGF抗体コンジュゲート治療、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート治療(therpay)の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも8週間保持する、方法もまた本明細書において提供される。任意選択的に、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を対象に最終負荷用量後に投与することをさらに含む。一部の実施形態において、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量をQ8Wまたはより長い間隔の投薬スケジュールにおいて投与することを含む。一部の実施形態において、投薬スケジュールはQ8W~Q24Wである。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量は、対象に第1の負荷用量後の少なくとも約1年以内に投与されない。
【0034】
眼障害を処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与することであって、眼障害が滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)である、投与すること;および負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すことを含み、それにより、対象が、抗VEGF抗体コンジュゲート治療、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも12週間保持する、方法もまた本明細書において提供される。任意選択的に、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を対象に最終負荷用量後にQ12Wまたはより長い間隔の投薬スケジュールにおいて投与することをさらに含む。任意選択的に、投薬スケジュールはQ12W~Q20Wである。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回より多くの後続用量は、対象に第1の負荷用量の約1年以内に投与されない。
【0035】
眼障害を処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与することであって、眼障害が網膜静脈閉塞症(RVO)である、投与すること;および負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すことを含み、それにより、対象が、抗VEGF抗体コンジュゲート治療、またはまたは(or or)抗VEGFタンパク質コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも8週間保持する、方法もまた本明細書において提供される。一部の実施形態において、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を対象に最終負荷用量後に投与することをさらに含む。任意選択的に、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量をQ8Wまたはより長い間隔の投薬スケジュールにおいて投与することを含む。
【0036】
眼障害を処置する方法であって、眼障害の処置を必要とする対象に治療有効量の抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)をQ12Wまたはより長い間隔の投薬スケジュールにおいて投与することであって、眼障害が糖尿病網膜症(DR)であり、投与により眼障害が処置される、投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の実施形態において、投薬スケジュールはQ12W~Q24Wである。一部の実施形態において、方法は、対象に抗VEGF抗体コンジュゲートの2回以下の負荷用量を投与することをさらに含む。任意選択的に、任意の2回の連続する負荷用量の間の時間は約8週である。
【0037】
眼障害を処置する方法であって、眼障害の処置を必要とする対象に抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の複数回の用量のうちの第1の用量を投薬スケジュールにおいて投与することであって、投薬スケジュールが、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの1~3回の負荷用量を含む負荷投薬スケジュールであって、第1の用量が負荷用量である、負荷投薬スケジュ
ール;続いて最終負荷用量後の抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を含む維持投薬スケジュールであって、Q8Wまたはより長い間隔の予め決定された投薬スケジュールを含む、維持投薬スケジュールを含む、投与することを含む、方法もまた提供される。任意選択的に、方法は、対象における抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を第1の用量後の1つまたは複数の時点において評価すること;および抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量を対象に、予め決定された投薬スケジュールにより指定されるその後の時点において、治療結果が対象により保持されていない場合に、投与し、治療結果が対象により保持されている場合には、後続用量を投与するまでの時間間隔を延長することをさらに含む。一部の実施形態において、眼障害はwAMDであり、かつ予め決定された投薬スケジュールはQ12Wまたはより長い間隔である。一部の実施形態において、眼障害は、DME、DR、またはRVOである。
【0038】
眼障害を処置する方法であって、眼障害の処置を必要とする対象を同定することであって、眼障害が推定眼ヒストプラズマ症候群である、同定すること;および対象の硝子体内に治療有効量の抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を投与し、それにより眼障害を処置することを含む、方法もまた本明細書において提供される。任意選択的に、治療有効量は約1mg~約5mgの抗VEGF抗体コンジュゲートを含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、インビボでのKSI-301の延長された半減期を示すグラフである。
図2図2は、KSI-301のインビボ網膜バイオアベイラビリティを示すグラフである。
図3図3は、静脈内に投与されたKSI-301の急速な全身クリアランスを示すグラフである。
図4図4は、本開示の一部の実施形態による、糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する患者におけるKSI-301の単回硝子体内投与の治療効果を示すグラフである。
図5図5は、本開示の一部の実施形態による、加齢黄斑変性症(wAMD)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、および網膜静脈閉塞症(RVO)におけるKSI-301硝子体内投与スケジュールを表す図解である。
図6図6は、本開示の一部の実施形態による、滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図7図7は、本開示の一部の実施形態による、wAMDについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフのセットである。4%(1/25)は3か月の前に再処置され;5%(1/20)は3か月時に再処置され;90%(19/21)は直近の負荷用量後に3か月よりも長く過ぎており;80%(11/14)は第1の再処置までに4か月またはより長きに達している。
図8図8は、本開示の一部の実施形態による、糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図9図9は、本開示の一部の実施形態による、DMEについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフのセットである。
図10図10は、本開示の一部の実施形態による、網膜静脈閉塞症(RVO)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図11図11は、本開示の一部の実施形態による、RVOについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフである。
図12図12は、本開示の一部の実施形態による、wAMD(左列)、DME(中央列)、およびRVO(右列)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後の網膜の健康状態における持続された改善を示す画像の集合である。
図13図13は、本開示の一部の実施形態によるKSI-301の構造の図解であり、抗VEGF-A抗体の各重鎖は文字Hにより表され、かつ抗VEGF-A抗体の各軽鎖は文字Lにより表され;ポリマーは、EUナンバリングにしたがってC443におけるスルフヒドリルを通じて抗VEGF-A抗体に結合しており、該結合は上記の重鎖の1つにおいて描写されており;PCは、
【化3】

であり、曲線はポリマーの残部への結合点を指し示し;かつn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9は同じまたは異なり、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n6、n7、n8およびn9の和は2500プラスまたはマイナス15%である。
図14図14は、本開示の一部の実施形態による、KSI-301の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を描写する。
図15図15は、様々な抗体のアミノ酸配列のセットである。
図16図16は、標準化された写真読み取り尺度で測定された、異なるレベルの糖尿病網膜症重症度を有する患者の割合を示すグラフである。
図17A図17Aは、滲出型AMDにおけるKSI-301の有効性および脈絡膜血管新生に対する直接的な効果を示す。滲出型AMDにおけるKSI-301の有効性、ならびにメジアンBCVAおよびOCT CSTにおけるベースラインから週までの変化を示す。
図17B図17Bは、滲出型AMDにおけるKSI-301の有効性および脈絡膜血管新生に対する直接的な効果を示す。
図18A図18Aは、3回の負荷用量後の疾患修飾を伴うDME患者における結果を示し、著しいDRSSの改善および再灌流が疾患修飾を表す。
図18B図18Bは、3回の負荷用量後の疾患修飾を伴うDME患者における結果を示し、著しいDRSSの改善および再灌流が疾患修飾を表す。
図18C図18Cは、3回の負荷用量後の疾患修飾を伴うDME患者における結果を示し、著しいDRSSの改善および再灌流が疾患修飾を表す。
図18D図18Dは、3回の負荷用量後の疾患修飾を伴うDME患者における結果を示し、著しいDRSSの改善および再灌流が疾患修飾を表す。
図19図19は、疾患修飾の可能性を表す、3回の負荷用量後に追加の用量を少なくとも5か月間要求しなかったRVO患者の結果を示す。
図20図20は、疾患が再発し、患者が再処置を受けるまでに8週続く3回の負荷用量の効果を示した患者のOCT画像のセットを示す。
図21A図21Aは、単回用量生物活性研究からの結果を描写する。
図21B図21Bは、単回用量生物活性研究からの結果を描写する。
図21C図21Cは、単回用量生物活性研究からの結果を描写する。
図22図22は、本開示の一部の実施形態による、wAMDについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフのセットである。
図23図23は、本開示の一部の実施形態による、滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図24図24は、本開示の一部の実施形態による、滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)を有するが高度な色素上皮剥離を有しない患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図25図25は、本開示の一部の実施形態による、滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図26図26は、本開示の一部の実施形態による、滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)を有するが高度な色素上皮剥離を有しない患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図27図27は、本開示の一部の実施形態による、DMEについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフのセットである。
図28図28は、本開示の一部の実施形態による、糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図29図29は、本開示の一部の実施形態による、糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図30図30は、本開示の一部の実施形態による、RVOについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフである。
図31図31は、本開示の一部の実施形態による、網膜静脈閉塞症(RVO)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図32図32は、本開示の一部の実施形態による、網膜静脈閉塞症(RVO)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図33図33は、本開示の一部の実施形態による、加齢黄斑変性症(wAMD)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、および網膜静脈閉塞症(RVO)における抗体結合性構築物A硝子体内投与スケジュールを表す図解である。
図34図34は、本開示の一部の実施形態による、wAMDについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフのセットである。
図35図35は、本開示の一部の実施形態による、wAMDを有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図36図36は、本開示の一部の実施形態による、DMEについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフのセットである。
図37図37は、本開示の一部の実施形態による、DMEを有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図38図38は、本開示の一部の実施形態による、RVOについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフのセットである。
図39図39は、本開示の一部の実施形態による、網膜静脈閉塞症(RVO)を有する患者へのKSI-301の負荷用量の硝子体内投与後のKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図40図40は、本開示の一部の実施形態による、処置ナイーブwAMD患者におけるKSI-301処置のフェーズ2研究設計および標準治療の処置との比較を表す図解である。
図41A図41Aは、本開示の一部の実施形態による、フェーズ1b研究からであるがフェーズ2再処置基準を適用した患者からのデータに基づく、処置の仮説的なスケジュールを示すグラフである。
図41B図41Bは、本開示の一部の実施形態による、フェーズ1b研究からであるがフェーズ2再処置基準を適用した患者からのデータに基づく、Q20W投薬での残存の確率を示すグラフである。
図42図42は、本開示の方法の実施形態を描写するフローチャートである。
図43図43は、本開示の一部の実施形態による、加齢黄斑変性症(wAMD)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、および網膜静脈閉塞症(RVO)におけるKSI-301硝子体内投与スケジュールを表す図解である。
図44図44は、本開示の一部の実施形態による、滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)を有する患者に投与されたKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図45A図45Aは、本開示の一部の実施形態による、wAMDについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフのセットである。
図45B図45Bは、図45Aに示されるwAMD患者におけるKSI-301の投与間隔を要約する表である。
図46図46は、本開示の一部の実施形態による、KSI-301で処置されたwAMD患者のOCT画像の集合である。
図47図47は、本開示の一部の実施形態による、標準治療の処置に対するwAMDにおけるKSI-301のベンチマーキングを示すグラフである。
図48図48は、本開示の一部の実施形態による、標準治療の処置に対するwAMDにおけるKSI-301のベンチマーキングを示すグラフである。
図49図49は、本開示の一部の実施形態による、糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する患者に投与されたKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図50A図50Aは、本開示の一部の実施形態による、DMEについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフのセットである。
図50B図50Bは、図50Aに示されるDME患者におけるKSI-301の投与間隔を要約する表である。
図51図51は、本開示の実施形態による、KSI-301で処置されたDME患者のOCT画像の集合である。
図52図52は、本開示の一部の実施形態による、KSI-301で処置されたDME患者のOCT画像の集合である。
図53図53は、本開示の一部の実施形態による、網膜静脈閉塞症(RVO)を有する患者に投与されたKSI-301の持続された治療効果を示すグラフのセットである。
図54A図54Aは、本開示の一部の実施形態による、RVOについて処置される個々の患者に与えられるKSI-301の硝子体内投与のスケジュールを示すグラフのセットである。
図54B図54Bは、図54Aに示されるRVO患者におけるKSI-301の投与間隔を要約する表である。
図55図55は、本開示の一部の実施形態による、標準治療の処置に対するRVOにおけるKSI-301のベンチマーキングを示すグラフである。
図56図56は、本開示の一部の実施形態による、KSI-301で処置されたCRVO患者のOCT画像の集合である。
図57図57は、本開示の一部の実施形態による、加齢黄斑変性症(wAMD)における抗VEGF抗体コンジュゲート硝子体内投与スケジュールを表す図解である。
図58図58は、本開示の一部の実施形態による、糖尿病黄斑浮腫(DME)における抗VEGF抗体コンジュゲート硝子体内投与スケジュールを表す図解である。
図59図59は、本開示の一部の実施形態による、網膜静脈閉塞症(RVO)における抗VEGF抗体コンジュゲート硝子体内投与スケジュールを表す図解である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
好ましい実施形態の詳細な説明
眼障害を有する対象に抗VEGF抗体を投与することにより眼障害を処置する方法が本明細書において提供される。本開示の抗VEGF抗体は、対象に投与された場合の抗体の半減期を延長させるポリマー部分を含む抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)であってもよい。抗体コンジュゲートは、ポリマー部分を有しない抗体と比較して投与後により長期間にわたり治療有効性を保持し得る。そのため、本開示の方法は、対象において抗VEGF治療の治療効果を達成するために従来の抗VEGF抗体治療よりも少ない用量(例えば、より低い頻度の投与)の抗VEGF抗体コンジュゲートを含む眼障害に対する処置の過程を提供し得る。本発明の方法は、特に眼障害処置が治療剤の硝子体内投与を伴う場合に、処置過程へのより良好な患者のコンプライアンスを促し得る。
【0041】
定義
「新生血管障害」は、血管新生の変更、脱調節または未調節により特徴付けられる障害または疾患状態である。新生血管障害の例としては、新生物性形質転換(例えば、がん)ならびに糖尿病網膜症および加齢黄斑変性症を含めて目の新生血管障害が挙げられる。
【0042】
「目の新生血管」障害は、患者の目における血管新生の変更、脱調節または未調節により特徴付けられる障害である。そのような障害としては、視神経乳頭血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、角膜血管新生、硝子体血管新生、緑内障、パンヌス、翼状片、黄斑浮腫、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、血管網膜症、網膜変性症、ぶどう膜炎、網膜の炎症性疾患、および増殖性硝子体網膜症が挙げられる。
【0043】
抗体という用語は、インタクトな抗体およびその結合性断片を含む。結合性断片は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の部分を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。結合性断片の例としては、Fv、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv);および抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。scFv抗体は、非特許文献1において記載されている。追加的に、抗体断片は、VHドメインの特徴を有する、すなわち、VLドメインと共に集合することができる、またはVLドメインの特徴を有する、すなわち、VHドメインと共に機能的な抗原結合性部位に集合することにより全長抗体の抗原結合特性を提供することができる、単鎖ポリペプチドを含む。
【0044】
抗体のその標的抗原への特異的結合は、少なくとも10、10、10、10、または1010-1の親和性を意味する。特異的結合は、少なくとも1つの無関連の標的に対して起こる非特異的結合に対して検出可能により強く、区別可能である。特異的結合は、特定の官能基または特定の空間的フィット(例えば、錠および鍵型)の間の結合の形成の結果であり得る一方、非特異的結合は通常、ファンデルワールス力の結果である。特異的結合は、しかしながら、抗体または融合タンパク質がただ1つの標的に結合することを必ずしも含意しない。
【0045】
基本的な抗体構造単位はサブユニットの四量体である。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一のペアを含み、各ペアは、1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識の主な原因となる約100~110またはより多くのアミノ酸の可変領域を含む。この可変領域は最初に、切断可能なシグナルペプチドに連結されて発現される。シグナルペプチドを有しない可変領域は成熟可変領域と称されることがある。そのため、例えば、軽鎖成熟可変領域は、軽鎖シグナルペプチドを有しない軽鎖可変領域を意味する。しかしながら、可変領域への言及は、シグナル配列が必然的に存在することを意味せず、実際に、抗体または融合タンパク質が発現および分泌されると、シグナル配列は切断される。重鎖および軽鎖可変領域のペアは抗体の結合性領域を定義する。軽鎖および重鎖のカルボキシ末端部分は軽鎖および重鎖定常領域をそれぞれ定義する。重鎖定常領域は主にエフェクター機能の原因となる。IgG抗体において、重鎖定常領域は、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3領域に分けられる。CH1領域は、ジスルフィドおよび非共有結合により軽鎖定常領域に結合する。ヒンジ領域は、抗体の結合性領域およびエフェクター領域の間の柔軟性を提供し、そしてまた四量体サブユニット中の2つの重鎖定常領域の間の分子間ジスルフィド結合のための部位を提供する。CH2およびCH3領域は、エフェクター機能およびFcR結合の主要な部位である。
【0046】
軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEとして定義する。軽鎖および重鎖内で、可変および定常領域は約12またはより多くのアミノ酸の「J」セグメントにより接合され、重鎖は約10またはより多くのアミノ酸の「D」セグメントも含む。(一般に、非特許文献2を参照)(参照により全体が全ての目的のために組み込まれる)。
【0047】
各軽/重鎖ペアの成熟可変領域は、抗体結合性部位を形成する。そのため、インタクトな抗体は2つの結合性部位を有し、すなわち、二価である。天然抗体において、結合性部位は同じである。しかしながら、2つの結合性部位が異なる二重特異性抗体を作製することができる(例えば、非特許文献3;非特許文献4を参照)。可変領域は全て、相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)が、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる3つの超可変領域により接合されている同じ全体構造を呈する。各ペアの2つの鎖からのCDRはフレームワーク領域によりアライメントされて、特異的なエピトープへの結合が可能になる。N末端からC末端へと、両方の軽鎖および重鎖は、ドメインFRl、CDRl、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。簡便性のために、可変重鎖CDRは、CDR1、CDR2およびCDR3と称されることがあり、可変軽鎖CDRは、CDR1、CDR2およびCDR3と称されることがある。各ドメインへのアミノ酸の割当ては、非特許文献5および非特許文献6または非特許文献7;非特許文献8の定義に従う。Kabatはまた、広く使用されているナンバリング規則(Kabatナンバリング)を提供しており、該規則において、異なる重鎖可変領域の間または異なる軽鎖可変領域の間の対応する残基は同じ数を割り当てられる。Kabatナンバリングを抗体定常領域のために使用することができるが、EUナンバリングがより一般的に使用され、本出願においても同様である。本明細書に開示される例示的な抗体のために特有の配列が提供されるが、タンパク質鎖の発現後に軽鎖および/または重鎖のアミノまたはカルボキシ末端における1~数個のアミノ酸、特には重鎖C末端リジン残基が、分子の部分または全体において欠失または誘導体化され得ることが理解される。
【0048】
「エピトープ」という用語は、抗体または細胞外トラップセグメントが結合する抗原上の部位を指す。タンパク質上のエピトープは、連続するアミノ酸から、または1つもしくは複数のタンパク質の三次フォールディングにより並置される不連続のアミノ酸から形成
され得る。連続するアミノ酸から形成されるエピトープ(リニアエピトープとしても公知)は、典型的には、変性溶媒への曝露で保持される一方、三次フォールディングにより形成されるエピトープ(コンホメーショナルエピトープとしても公知)は、典型的には、変性溶媒での処理で喪失される。エピトープは、典型的には、独特の空間的配座において少なくとも3個、より通常は、少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間的配座を決定する方法としては、例えば、x線結晶学および2次元核磁気共鳴が挙げられる。例えば、非特許文献9を参照。
【0049】
同じまたはオーバーラップするエピトープを認識する抗体は、標的抗原への別の抗体の結合と競合する1つの抗体の能力を示す単純なイムノアッセイにおいて同定することができる。抗体のエピトープはまた、その抗原に結合した抗体(またはFab断片)のX線結晶学により接触残基を同定することにより定義することができる。
【0050】
代替的に、2つの抗体は、1つの抗体の結合を低減させまたは排除する抗原中の全てのアミノ酸突然変異が他の抗体の結合を低減させまたは排除する場合に、同じエピトープを有する。2つの抗体は、1つの抗体の結合を低減させまたは排除する一部のアミノ酸突然変異が他の抗体の結合を低減させまたは排除する場合に、オーバーラップするエピトープを有する。
【0051】
抗体間の競合は、試験下の抗体が共通の抗原への参照抗体の特異的結合を阻害するアッセイにより決定される(例えば、非特許文献10を参照)。試験抗体は、過剰な試験抗体(例えば、少なくとも2×、5×、10×、20×またはl00×)が参照抗体の結合を少なくとも50%阻害する場合に、参照抗体と競合する。一部の実施形態において、試験抗体は、競合結合アッセイにおける測定で、参照抗体の結合を75%、90%、または99%阻害する。競合アッセイにより同定される抗体(競合性抗体)としては、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、および立体障害が起こるために参照抗体により結合されるエピトープの十分に近位にある隣接するエピトープに結合する抗体が挙げられる。
【0052】
「患者」という用語は、予防的処置または治療的処置のいずれかを与えられるヒトおよび他の哺乳動物対象を含む。
【0053】
アミノ酸置換を保存的または非保存的として分類する目的のために、アミノ酸は以下のようにグループ分けされる:グループI(疎水性側鎖):met、ala、val、leu、ile;グループII(中性親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn、gin、his、lys、arg;グループV(鎖配向に影響を及ぼす残基):gly、pro;およびグループVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換は、同じクラス内のアミノ酸の間の置換を伴う。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーの、別のクラスのメンバーとの交換を構成する。
【0054】
配列同一性パーセンテージは、可変領域についてKabatナンバリング規則によりまたは定常領域についてEUナンバリングにより最大にアライメントされた抗体配列を用いて決定される。アライメント後に、対象抗体領域(例えば、重鎖または軽鎖の成熟可変領域全体)が参照抗体の同じ領域と比較されている場合、対象および参照抗体領域の間の配列同一性パーセンテージは、ギャップをカウントせずに、対象および参照抗体領域の両方において同じアミノ酸により占有された位置の数を、2つの領域のアライメントされた位置の総数で割り、100を掛けてパーセンテージに変換したものである。他の配列の配列同一性は、アルゴリズム、例えばWisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetics Computer
Group、575 Science Dr.、Madison、WI中のBESTF
IT、FASTA、およびTFASTAを使用し、デフォルトのギャップパラメーターを使用して配列をアライメントすることにより、または検査、および最良のアライメント(すなわち、比較ウィンドウにかけて配列類似性の最も高いパーセンテージを結果としてもたらす)により、決定することができる。配列同一性のパーセンテージは、比較のウィンドウにかけて2つの最適にアライメントされた配列を比較し、両方の配列において同一の残基が起こる位置の数を決定してマッチした位置の数を得、マッチした位置の数を比較のウィンドウ中の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割り、結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることにより算出される。
【0055】
1つまたは複数の記載される要素を「含む」組成物または方法は、特に記載されない他の要素を含んでもよい。例えば、抗体を含む組成物は、抗体を単独でまたは他の成分と組み合わせて含有してもよい。
【0056】
「抗体依存性細胞傷害性」、またはADCCという用語は、抗体でコーティングされた標的細胞(すなわち、抗体に結合した細胞)の、溶解活性を有する免疫細胞(エフェクター細胞とも称される)との相互作用に依存する、細胞死を誘導するための機序である。そのようなエフェクター細胞としては、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージおよび好中球が挙げられる。ADCCは、細胞に結合した抗体のFc領域と、免疫エフェクター細胞、例えば好中球、マクロファージおよびナチュラルキラー細胞上のFcy受容体、特にはFcγRIおよびFcγRIIIとの間の相互作用により誘発される。標的細胞は、媒介性エフェクター細胞の種類に依存して、ファゴサイトーシスまたは溶解により排除される。抗体でコーティングされた標的細胞の死が、エフェクター細胞活性の結果として起こる。
【0057】
オプソニン化という用語は、「抗体依存性細胞ファゴサイトーシス」、またはADCPとしても公知であり、抗体でコーティングされた細胞が、全体的または部分的のいずれかで、免疫グロブリンFc領域に結合する貪食免疫細胞(例えば、マクロファージ、好中球および樹状細胞)への内部移行を受けるプロセスを指す。
【0058】
「補体依存性細胞傷害性」またはCDCという用語は、標的に結合した抗体のFcエフェクタードメインが一連の酵素反応を活性化させ、結果的に標的細胞膜中のホールの形成をもたらす、細胞死を誘導するための機序を指す。典型的には、抗原-抗体複合体、例えば抗体でコーティングされた標的細胞上の抗原-抗体複合体は、補体成分Clqに結合してそれを活性化させ、次いでそれは補体カスケードを活性化させて標的細胞の死に繋がる。補体の活性化はまた、白血球上の補体受容体(例えば、CR3)に結合することによりADCCを促す標的細胞表面上の補体成分の沈着を結果としてもたらし得る。
【0059】
ヒト化抗体は、遺伝子操作された抗体であって、非ヒト「ドナー」抗体からのCDRがヒト「アクセプター」抗体配列にグラフトされたものである(例えば、Queenの特許文献1および特許文献2;Winter,特許文献3、Carter,特許文献4、Adair,特許文献5、特許文献6、Foote,特許文献6を参照)。アクセプター抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、そのような配列の複合物、ヒト抗体配列のコンセンサス配列、または生殖系列領域配列であることができる。そのため、ヒト化抗体は、全体的にまたは実質的にドナー抗体からの一部のまたは全てのCDRならびに全体的にまたは実質的にヒト抗体配列からの可変領域フレームワーク配列および存在する場合には定常領域を有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、全体的にまたは実質的にドナー抗体重鎖からの少なくとも1つ、2つ、通常は3つ全てのCDR、ならびに実質的にヒト重鎖可変領域フレームワークおよび定常領域配列からの重鎖可変領域フレームワーク配列および存在する場合には重鎖定常領域を有する。同様に、ヒト化軽鎖は、全体的にまたは実質的にドナー抗体軽鎖からの少なくとも1つ、2つ、通常は3つ全てのCDR、ならびに実質的
にヒト軽鎖可変領域フレームワークおよび定常領域配列からの軽鎖可変領域フレームワーク配列および存在する場合には軽鎖定常領域を有する。ナノボディおよびdAb以外では、ヒト化抗体はヒト化重鎖およびヒト化軽鎖を含む。ヒト化抗体中のCDRは、対応する残基(Kabatにより定義される)の少なくとも85%、90%、95%または100%が各々のCDRの間で同一である場合に、実質的に非ヒト抗体中の対応するCDRからのものである。抗体鎖の可変領域フレームワーク配列または抗体鎖の定常領域は、Kabatにより定義される対応する残基の少なくとも85、90、95または100%が同一である場合に、実質的にそれぞれヒト可変領域フレームワーク配列またはヒト定常領域からのものである。
【0060】
ヒト化抗体は多くの場合にマウス抗体からの6つ全てのCDR(Kabatにより定義され得る)を組み込んでいるが、それらはまた、全てではないCDR(例えば、マウス抗体からの少なくとも3、4、または5つのCDR)と共に作製することができる(例えば、非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。
【0061】
キメラ抗体は、非ヒト抗体(例えば、マウス)の軽鎖および重鎖の成熟可変領域がヒト軽鎖および重鎖定常領域と組み合わせられた抗体である。そのような抗体は、マウス抗体の結合特異性を実質的にまたは全体的に保持し、約3分の2のヒト配列である。
【0062】
ベニア抗体(veneered antibody)は、非ヒト抗体のCDRの一部、通常は全て、ならびに非ヒト可変領域フレームワーク残基の一部を保持するが、BまたはT細胞エピトープに寄与し得る他の可変領域フレームワーク残基、例えば露出される残基(非特許文献15)を、ヒト抗体配列の対応する位置からの残基で置き換えた、ヒト化抗体の種類である。結果は、CDRが全体的にまたは実質的に非ヒト抗体からのものであり、かつ非ヒト抗体の可変領域フレームワークが置換によってよりヒト様とされた抗体である。ヒト抗体は、ヒトから単離することができ、または他にヒト免疫グロブリン遺伝子の発現の結果としてもたらされ得る(例えば、トランスジェニックマウス、インビトロまたはファージディスプレイによる)。ヒト抗体を製造する方法としては、非特許文献16;Ostberg,;特許文献7およびEngleman et al.,特許文献8のトリオーマ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニックマウスの使用(例えば、Lonberg et al.,特許文献9;特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、非特許文献17、非特許文献18、Kucherlapati,特許文献20を参照)ならびにファージディスプレイ法(例えば、Dower et al.,特許文献21およびMcCafferty et al.,特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27および特許文献28を参照)が挙げられる。
【0063】
「ポリマー」は、連結されて一緒になった一連のモノマー基を指す。ポリマーは、単一のモノマー(ホモポリマー)または異なるモノマー(ヘテロポリマー)の複数の単位から構成される。高MWポリマーは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、ビニル-ピリジン、ビニル-ピロリドンおよびビニルエステル、例えば酢酸ビニルが挙げられるがこれらに限定されないモノマーから調製される。追加のモノマーが高MWポリマーにおいて有用である。2つの異なるモノマーが使用される場合、2つのモノマーは「コモノマー」と呼ばれ、これは異なるモノマーが共重合されて単一のポリマーを形成することを意味する。ポリマーは直鎖状または分枝状であることができる。ポリマーが分枝状である場合、各ポリマー鎖は「ポリマーアーム」と称される。開始剤部分に連結されたポリマーアームの末端は近位末端であり、ポリマーアームの成長鎖末端は遠位末端である。ポリマーアームの伸長鎖末端において、ポリマーアーム末端基は、ラジカルスカベンジャー、または別の基であることができる。
【0064】
「開始剤」は、モノマーまたはコモノマーを使用して重合を開始させることができる化合物を指す。重合は、従来のフリーラジカル重合または制御/「リビング」ラジカル重合、例えば原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization;ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動(Reversible Addition Fragmentation Termination;RAFT)重合またはニトロキシド媒介重合(NMP)であることができる。重合は、「擬」制御重合(“pseudo” controlled polymerization)、例えば縮退的移動(degenerative transfer)であることができる。開始剤がATRPのために好適な場合、それは、ホモリティックに切断されて、ラジカル重合を開始させることができるラジカルである開始剤断片、Iを形成することができる不安定な結合、および成長するポリマー鎖のラジカルと反応して重合を可逆的に停止させるラジカルスカベンジャー、I’を含有する。ラジカルスカベンジャーI’は典型的にはハロゲンであるが、有機部分、例えばニトリルであることもできる。一部の実施形態において、開始剤は、ATRPを介する重合用の部位としてより多くの2-ブロモイソブチレート基のうちの1つを含有する。
【0065】
「化学的リンカー」は、2つの基を一緒になるように連結させる化学的部分、例えば半減期延長部分およびタンパク質を指す。リンカーは切断可能なものまたは切断不可能なものであることができる。切断可能なリンカーは、特には、加水分解可能、酵素切断可能、pH感受性、光解離性、またはジスルフィドリンカーであることができる。他のリンカーとしては、ホモ二官能性およびヘテロ二官能性リンカーが挙げられる。「連結基」は、生物活性剤への1つまたは複数の結合からなる共有連結を形成することができる官能基である。非限定的な例としては、特許文献29(参照により組み込まれる)のTable 1に示されるものが挙げられる。
【0066】
「反応基」という用語は、別の化学基と反応して共有結合を形成することができる、すなわち好適な反応条件下で共有結合的に反応性の基を指し、一般に別の物質のための結合点となる。反応基は、部分、例えばマレイミドまたはスクシンイミジルエステルであり、異なる部分上の官能基と化学的に反応して共有連結を形成することができる。反応基としては、一般に、求核剤、求電子剤および光活性化可能基が挙げられる。
【0067】
「PC」としても表される「ホスホリルコリン」は、以下:
【0068】
【化4】
【0069】
を指し、*は結合点を表す。ホスホリルコリンは、双性イオン基であり、その塩(例えば分子内塩)、ならびにプロトン化および脱プロトン化形態を含む。
【0070】
「ホスホリルコリン含有ポリマー」は、ホスホリルコリンを含有するポリマーである。
「双性イオン含有ポリマー」は、双性イオンを含有するポリマーを指す。
【0071】
ポリ(アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)含有ポリマーは、2-(アクリロイルオキシ)エチル-2-(トリメチルアンモニウム)エチルホスフェート(以下の実施例6において示されるHEA-PC)をモノマーとして含有するポリマーを指す。
【0072】
ポリ(メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)含有ポリマーは、2-(メタクリロイルオキシ)エチル-2-(トリメチルアンモニウム)エチルホスフェート(HEMA-PCまたはMPC)をモノマーとして含有するポリマーを指す(以下を参照):
【0073】
【化5】
【0074】
本明細書において使用される場合、「MPC」および「HEMA-PC」は交換可能である。
【0075】
ポリマーの文脈における「分子量」は、数平均分子量、または重量平均分子量またはピーク分子量のいずれかとして表すことができる。他に指し示されなければ、本明細書における分子量への全ての言及はピーク分子量を指す。これらの分子量決定、数平均(Mn)、重量平均(Mw)およびピーク(Mp)は、サイズ排除クロマトグラフィーまたは他の液体クロマトグラフィー技術を使用して測定することができる。分子量値を測定する他の方法もまた使用することができ、それは例えば、数平均分子量を決定するための末端基分析もしくは束一的特性(例えば、凝固点降下、沸点上昇、もしくは浸透圧)の測定の使用、または重量平均分子量を決定するための光散乱技術、超遠心分離もしくは粘度測定の使用である。一部の実施形態において、分子量はSEC-MALS(サイズ排除クロマトグラフィー-多角光散乱)により測定される。一部の実施形態において、ポリマー試薬は典型的には多分散(すなわち、ポリマーの数平均分子量および重量平均分子量は等しくない)であり、例えば、SEC-MALS測定に由来するPDI値による判断で、例えば、約1.5未満の低い多分散性値を有することができる。一部の実施形態において、多分散性(PDI)は、約1.4~約1.2の範囲内である。一部の実施形態において、PDIは、約1.15、1.10、1.05、または1.03よりも低い。
【0076】
「a」または「an」実体という語句は、その実体の1つまたは複数を指し、例えば、化合物(a compound)は、1つもしくは複数の化合物または少なくとも1つの化合物を指す。そのため、「a」(または「an」)、「1つまたは複数の」、および「少なくとも1つの」という用語は、本明細書において交換可能に使用され得る。
【0077】
「約」は、異なる機器、試料、および試料調製の間で得られる測定値において見られ得るばらつきを意味する。
【0078】
「保護された」、「保護された形態」、「保護基」(protecting group)および「保護基」(protective group)は、ある特定の反応条件下で分子中の特定の化学的に反応性の官能基の反応を予防または遮断する基(すなわち、保護基)の存在を指す。保護基は、保護されている化学的に反応性の基の種類の他に、用いられる反応条件および存在する場合には分子中の追加の反応基または保護基の存在に依存して変動する。好適な保護基としては、非特許文献19において見出されるようなものが挙げられる。
【0079】
「アルキル」は、指し示される炭素原子の数を有する、直鎖状または分枝状の、飽和した、脂肪族ラジカルを指す。例えば、C~Cアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどが挙げられるがこれらに限定されない。他のアルキル基としては、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられるがこれらに限定されない。アルキルは、任意の数、例えば1~2個、1~3個、1~4個、1~5個、1~6個、1~7個、1~8個、1~9個、1~10個、2~3個、2~4個、2~5個、2~6個、3~4個、3~5個、3~6個、4~5個、4~6および5~6個の炭素を含むことができる。アルキル基は典型的には一価であるが、二価であることができ、これは例えば、アルキル基が2つの部分を一緒になるように連結する場合である。
【0080】
有機ラジカルまたは化合物との繋がりで上記および下記において言及される「低級」(lower)という用語は、7つを含めて7つまでのまたは4つを含めて4つまでのおよび(非分枝状として)1または2つの炭素原子を有する分枝状または非分枝状であり得る化合物またはラジカルをそれぞれ定義する。
【0081】
「アルキレン」は、少なくとも2つの他の基を連結する、上記に定義されるようなアルキル基、すなわち、二価炭化水素ラジカルを指す。アルキレンに連結される2つの部分は、アルキレンの同じ原子または異なる原子に連結され得る。例えば、直鎖アルキレンは、-(CHの二価ラジカルであることができ、nは、1、2、3、4、5または6である。アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、ペンチレンおよびヘキシレンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0082】
アルキルおよびヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと多くの場合に称される基を含む)の置換基は、0~(2m’+1)(m’は、そのようなラジカル中の炭素原子の総数である)の範囲内の数の、以下から選択される様々な基であることができる:-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NH-C(NH)=NH、-NR’C(NH)=NH、-NH-C(NH)=NR’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-CNおよび-NO。R’、R’’およびR’’’は、各々独立して、水素、非置換(C~C)のアルキルおよびヘテロアルキル、非置換のアリール、1~3個のハロゲンで置換されたアリール、非置換のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリール-(C~C)アルキル基を指す。R’およびR’’が同じ窒素原子に結合している場合、それらは、窒素原子と組み合わさって、5、6、または7員環を形成することができる。例えば、-NR’R’’は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことが意味される。「アルキル」という用語は、ハロアルキル(例えば、-CFおよび-CHCF)ならびにアシル(例えば、-C(O)CH、-C(O)CF、および-C(O)CHOCHなど)などの基を含む。一部の実施形態において、置換されたアルキルおよびヘテロアルキル基は1~4個の置換基を有する。一部の実施形態において、置換されたアルキル(akyl)およびヘテロアルキル基は、1、2または3個の置換基を有する。例外は、ペルハロアルキル基(例えば、ペンタフルオロエチルなど)である。
【0083】
アルキルおよびヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと多くの場合に称される基を含む)の置換基は、0~(2m’+1)(m’は、そのようなラジカル中の炭素原子の総数である)の範囲内の数の、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CNおよび-NOから選択される様々な基のうちの1つまたは複数であることができるがこれらに限定されない。R’、R’’、R’’’およびR’’’’は、各々独立して、水素、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のアリール、例えば、1~3個のハロゲンで置換されたアリール、置換または非置換のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。化合物が、例えば、1つより多くのR基を含む場合、R基の各々は独立して選択され、1つより多くのR’、R’’、R’’’およびR’’’’基が存在する場合にこれらの基の各々についても同様である。R’およびR’’が同じ窒素原子に結合している場合、それらは、窒素原子と組み合わさって、5、6、または7員環を形成することができる。例えば、-NR’R’’は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むがこれらに限定されないことが意味される。置換基の上記の議論から、「アルキル」という用語は、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基、例えばハロアルキル(例えば、-CFおよび-CHCF)ならびにアシル(例えば、-C(O)CH、-C(O)CF、および-C(O)CHOCHなど)を含むことが意味されることを当業者は理解する。
【0084】
「アルコキシ」は、アルコキシ基を結合点に接続するか、またはアルコキシ基の2つの炭素に連結された酸素原子を有するアルキル基を指す。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが挙げられる。アルコキシ基は、本明細書に記載の様々な置換基でさらに置換され得る。例えば、アルコキシ基は、ハロゲンで置換されて「ハロ-アルコキシ」基を形成することができる。
【0085】
「カルボキシアルキル」は、カルボキシ基で置換されたアルキル基(本明細書において定義される)を意味する。「カルボキシシクロアルキル」という用語は、カルボキシ基で置換されたシクロアルキル基(本明細書において定義される)を意味する。アルコシキアルキルという用語は、アルコキシ基で置換されたアルキル基(本明細書において定義される)を意味する。本明細書において用いられる「カルボキシ」という用語は、カルボン酸およびそれらのエステルを指す。
【0086】
「ハロアルキル」は、水素原子の一部または全てがハロゲン原子で置換された、上記に定義されるようなアルキルを指す。ハロゲン(ハロ)はクロロまたはフルオロを表すが、ブロモまたはヨードであってもよい。例えば、ハロアルキルとしては、トリフルオロメチル、フルオロメチル、1,2,3,4,5-ペンタフルオロ-フェニルなどが挙げられる。「パーフルオロ」という用語は、全ての利用可能な水素がフッ素で置き換えられた化合物またはラジカルを定義する。例えば、パーフルオロフェニルは1,2,3,4,5-ペンタフルオロフェニルを指し、パーフルオロメチルは1,1,1-トリフルオロメチルを指し、パーフルオロメトキシは1,1,1-トリフルオロメトキシを指す。
【0087】
「フルオロ置換されたアルキル」は、1つ、一部、または全ての水素原子がフッ素に置き換えられたアルキル基を指す。
【0088】
「サイトカイン」は、免疫および炎症応答において細胞-細胞コミュニケーションに参加し得るタンパク質シグナル伝達分子の群のメンバーである。サイトカインは、典型的には、約8~35kDaの質量を有する、小さい、水溶性の糖タンパク質である。
【0089】
「シクロアルキル」は、約3~12個、3~10個、または3~7個の環内炭素原子を含有する環式炭化水素基を指す。シクロアルキル基としては、縮合、架橋およびスピロ環構造が挙げられる。
【0090】
「環内(の)」は、環式環構造の部分を構成する原子または原子の群を指す。
【0091】
「環外(の)」は、結合しているが環式環構造を定義しない原子または原子の群を指す。
【0092】
「環式アルキルエーテル」は、3もしくは4個の環内炭素原子および1個の環内酸素もしくは硫黄原子を有する4もしくは5員環式アルキル基(例えば、オキセタン、チエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン);または1もしくは2個の環内酸素もしくは硫黄原子を有する6~7員環式アルキル基(例えば、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロチオピラン、1,3-ジチアン、1,4-ジチアン、1,4-オキサチアン)を指す。
【0093】
「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有する、2~6個の炭素原子の直鎖または分枝状炭化水素を指す。アルケニル基の例としては、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、イソペンテニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,5-ヘキサジエニル、2,4-ヘキサジエニル、または1,3,5-ヘキサトリエニルが挙げられるがこれらに限定されない。アルケニル基はまた、2~3、2~4、2~5、3~4、3~5、3~6、4~5、4~6および5~6個の炭素を有することができる。アルケニル基は典型的には一価であるが、二価であることができ、これは例えば、アルケニル基が2つの部分を一緒になるように連結する場合である。
【0094】
「アルケニレン」は、少なくとも2つの他の基を連結する、上記に定義されるようなアルケニル基、すなわち、二価炭化水素ラジカルを指す。アルケニレンに連結される2つの部分は、アルケニレンの同じ原子または異なる原子に連結され得る。アルケニレン基としては、エテニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、ブテニレン、イソブテニレン、sec-ブテニレン、ペンテニレンおよびヘキセニレンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0095】
「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を有する、2~6個の炭素原子の直鎖または分枝状炭化水素を指す。アルキニル基の例としては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、イソブチニル、sec-ブチニル、ブタジイニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、イソペンチニル、1,3-ペンタジイニル、1,4-ペンタジイニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、1,3-ヘキサジイニル、1,4-ヘキサジイニル、1,5-ヘキサジイニル、2,4-ヘキサジイニル、または1,3,5-ヘキサトリイニルが挙げられるがこれらに限定されない。アルキニル基はまた、2~3、2~4、2~5、3~4、3~5、3~6、4~5、4~6および5~6個の炭素を有することができる。アルキニル基は典型的には一価であるが、二価であることができ、これは例えば、アルキニル基が2つの部分を一緒になるように連結する場合である。
【0096】
「アルキニレン」は、少なくとも2つの他の基を連結する、上記に定義されるようなアルキニル基、すなわち、二価炭化水素ラジカルを指す。アルキニレンに連結される2つの部分は、アルキニレンの同じ原子または異なる原子に連結され得る。アルキニレン基としては、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、sec-ブチニレン、ペンチニレンおよびヘキシニレンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0097】
「シクロアルキル」は、3~12個の環原子、または指し示される数の原子を含有する、飽和または部分的に不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式環アセンブリーを指す。単環式環としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルが挙げられる。二環式および多環式環としては、例えば、ノルボルナン、デカヒドロナフタレンおよびアダマンタンが挙げられる。例えば、C3~8シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、およびノルボルナンが挙げられる。
【0098】
「シクロアルキレン」は、少なくとも2つの他の基を連結する、上記に定義されるようなシクロアルキル基、すなわち、二価炭化水素ラジカルを指す。シクロアルキレンに連結される2つの部分は、シクロアルキレンの同じ原子または異なる原子に連結され得る。シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、およびシクロオクチレンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0099】
「ヘテロシクロアルキル」は、3個の環員~約20個の環員ならびに1~約5個のヘテロ原子、例えばN、OおよびSを有する環系を指す。追加のヘテロ原子もまた有用であり得、これにはB、Al、SiおよびPが含まれるがこれらに限定されない。ヘテロ原子はまた、酸化されたものであることができ、これは例えば-S(O)-および-S(O)-であるがこれらに限定されない。例えば、複素環としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、インドリニル、キヌクリジニルおよび1,4-ジオキサ-8-アザ-スピロ[4.5]デカ-8-イルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0100】
「ヘテロシクロアルキレン」は、少なくとも2つの他の基を連結する、上記に定義され
るようなヘテロシクロアルキル(heterocyclalkyl)基を指す。ヘテロシクロアルキレンに連結される2つの部分は、ヘテロシクロアルキレンの同じ原子または異なる原子に連結され得る。
【0101】
「アリール」は、6~16個の環炭素原子を含有する、単環式または縮合二環式、三環式もしくはより多環式の、芳香環アセンブリーを指す。例えば、アリールは、フェニル、ベンジルまたはナフチルであってもよい。「アリーレン」は、アリール基に由来する二価ラジカルを意味する。アリール基は、アルキル、アルコキシ、アリール、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アミノ-アルキル、トリフルオロメチル、アルキレンジオキシおよびオキシ-C~C-アルキレン(これらの全ては、例えば上記に定義されるように、さらに置換されていてもよい);または1-もしくは2-ナフチル;または1-もしくは2-フェナントレニルから選択される1、2または3個のラジカルにより一、二または三置換されたものであることができる。アルキレンジオキシは、フェニルの2個の隣接する炭素原子に結合した二価置換基、例えばメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである。オキシ-C~C-アルキレンもまた、フェニルの2個の隣接する炭素原子に結合した二価置換基、例えばオキシエチレンまたはオキシプロピレンである。オキシ-C~C-アルキレン-フェニルの例は2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イルである。
【0102】
一部の実施形態において、アリールは、ナフチル、フェニルまたはアルコキシ、フェニル、ハロゲン、アルキルもしくはトリフルオロメチルにより一もしくは二置換されたフェニル、特にフェニルまたはアルコキシ、ハロゲンもしくはトリフルオロメチルにより一もしくは二置換されたフェニル、特にはフェニルである。
【0103】
Rとしての置換されたフェニル基の例は、例えば、4-クロロフェン-1-イル、3,4-ジクロロフェン-1-イル、4-メトキシフェン-1-イル、4-メチルフェン-1-イル、4-アミノメチルフェン-1-イル、4-メトキシエチルアミノメチルフェン-1-イル、4-ヒドロキシエチルアミノメチルフェン-1-イル、4-ヒドロキシエチル-(メチル)-アミノメチルフェン-1-イル、3-アミノメチルフェン-1-イル、4-N-アセチルアミノメチルフェン-1-イル、4-アミノフェン-1-イル、3-アミノフェン-1-イル、2-アミノフェン-1-イル、4-フェニル-フェン-1-イル、4-(イミダゾール-1-イル)-フェニル、4-(イミダゾール-1-イルメチル)-フェン-1-イル、4-(モルホリン-1-イル)-フェン-1-イル、4-(モルホリン-1-イルメチル)-フェン-1-イル、4-(2-メトキシエチルアミノメチル)-フェン-1-イルおよび4-(ピロリジン-1-イルメチル)-フェン-1-イル、4-(チオフェニル)-フェン-1-イル、4-(3-チオフェニル)-フェン-1-イル、4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-フェン-1-イル、および4-(ピペリジニル)-フェニルおよび4-(ピリジニル)-フェニルであり、これらは複素環式環中で置換されていてもよい。
【0104】
「アリーレン」は、少なくとも2つの他の基を連結する、上記に定義されるようなアリール基を指す。アリーレンに連結される2つの部分は、アリーレンの異なる原子に連結されている。アリーレン基としてはフェニレンが挙げられるがこれに限定されない。
【0105】
「アリーレン-オキシ」は、アリーレンに連結された部分のうちの1つが酸素原子を通じて連結されている、上記に定義されるようなアリーレン基を指す。アリーレン-オキシ基としてはフェニレン-オキシが挙げられるがこれに限定されない。
【0106】
同様に、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は変動的であり、0から芳香環系上の開放原子価の総数までの範囲内の数の、-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R’’、-SR’、-R’、-CN、-NO、-COR’、-CONR’R’
’、-C(O)R’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NH-C(NH)=NH、-NR’C(NH)=NH、-NH-C(NH)=NR’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-N、-CH(Ph)、パーフルオロ(C~C)アルコキシ、およびパーフルオロ(C~C)アルキルから選択され;R’、R’’およびR’’’は、水素、(C~C)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換のアリールおよびヘテロアリール、(非置換のアリール)-(C~C)アルキル、および(非置換のアリール)オキシ-(C~C)アルキルから独立して選択される。
【0107】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、式-T-C(O)-(CH-U-の置換基で置き換えられてもよく、TおよびUは、独立して、-NH-、-O-、-CH-または単結合であり、qは0~2の整数である。代替的に、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、式-A-(CH-B-の置換基で置き換えられてもよく、AおよびBは、独立して、-CH-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-S(O)NR’-または単結合であり、rは1~3の整数である。そのように形成された新たな環の単結合のうちの1つは、二重結合で置き換えられてもよい。代替的に、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、式-(CH-X-(CH-の置換基で置き換えられてもよく、sおよびtは独立して0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-S(O)NR’-である。-NR’-および-S(O)NR’-中の置換基R’は、水素または非置換の(C~C)アルキルから選択される。
【0108】
「ヘテロアリール」は、5~16個の環原子を含有する単環式または縮合二環式もしくは三環式芳香環アセンブリーであって、環原子のうちの1~4個が、それぞれN、OまたはSであるヘテロ原子であるものを指す。例えば、ヘテロアリールとしては、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、または例えばアルキル、ニトロもしくはハロゲンにより置換された、特に一もしくは二置換された、任意の他のラジカルが挙げられる。ピリジルは、2-、3-または4-ピリジル、有利には2-または3-ピリジルを表す。チエニルは2-または3-チエニルを表す。一部の実施形態において、キノリニルは、2-、3-または4-キノリニルを表す。一部の実施形態において、イソキノリニルは、1-、3-または4-イソキノリニルを表す。一部の実施形態において、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニルは、3-ベンゾピラニルまたは3-ベンゾチオピラニルをそれぞれ表すことができる。一部の実施形態において、チアゾリルは2-または4-チアゾリルを表すことができる。一部の実施形態において、トリアゾリルは、1-、2-または5-(1,2,4-トリアゾリル)であることができる。一部の実施形態において、テトラゾリルは5-テトラゾリルであることができる。
【0109】
一部の実施形態において、ヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、キノリニル、ピロリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、オキサゾリル、インダゾリル、または置換された、特に一もしくは二置換された、ラジカルのいずれかである。
【0110】
「ヘテロアルキル」という用語は、1~3個のヘテロ原子、例えばN、OおよびSを有するアルキル基を指す。追加のヘテロ原子もまた有用であり得、これにはB、Al、SiおよびPが含まれるがこれらに限定されない。ヘテロ原子はまた、酸化されたものである
ことができ、これは例えば-S(O)-および-S(O)-であるがこれらに限定されない。例えば、ヘテロアルキルとしては、エーテル、チオエーテル、アルキル-アミンおよびアルキル-チオールを挙げることができる。
【0111】
「ヘテロアルキレン」という用語は、少なくとも2つの他の基を連結する、上記に定義されるようなヘテロアルキル基を指す。ヘテロアルキレンに連結される2つの部分は、ヘテロアルキレンの同じ原子または異なる原子に連結され得る。
【0112】
「求電子剤」は、求電子中心、すなわち、求核剤と反応することができる電子求引性の中心を有する、イオンまたは、イオン性であり得る、原子もしくは原子の集合を指す。求電子剤(または求電子試薬)は、その反応パートナー(求核剤)からの両方の結合性電子を受容することによりその反応パートナーへの結合を形成する試薬である。
【0113】
「求核剤」は、求核中心、すなわち、求電子中心に求引されるまたは求電子剤と反応することができる中心を有する、イオンまたは、イオン性であり得る、原子もしくは原子の集合を指す。求核剤(または求核試薬)は、両方の結合性電子を供与することによりその反応パートナー(求電子剤)への結合を形成する試薬である。「求核基」は、反応基と反応した後の求核剤を指す。非限定的な例としては、アミノ、ヒドロキシル、アルコキシ、およびハロアルコキシなどが挙げられる。
【0114】
「マレイミド」は、構造:
【0115】
【化6】
【0116】
を有するピロール-2,5-ジオン-1-イル基であって、スルフヒドリル(例えば、チオアルキル)との反応で、構造:
【0117】
【化7】
【0118】
(式中、「・」は、マレイミド基のための結合点を指し示し、
【0119】
【化8】
【0120】
は、元々のスルフヒドリル含有基の残余への硫黄原子チオールの結合点を指し示す)を有する-S-マレイミド基を形成するものを指す。
【0121】
本開示の目的のために、タンパク質およびポリペプチド中に見出される「天然に存在するアミノ酸」は、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-グルタミン、L-グルタミン酸、L-グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、およびまたは(and or)L-バリンである。タンパク質中に見出される「天然に存在しないアミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸として記載されるもの以外の任意のアミノ酸である。天然に存在しないアミノ酸としては、非限定的に、天然に存在するアミノ酸のD異性体、ならびに天然に存在するアミノ酸のDおよびL異性体の混合物が挙げられる。他のアミノ酸、例えばN-アルファ-メチルアミノ酸(例えばサルコシン)、4-ヒドロキシプロリン、デスモシン、イソデスモシン、5-ヒドロキシリジン、イプシロン-N-メチルリジン、3-メチルヒスチジンは、天然に存在するタンパク質中に見出されるが、それらは、一般に、mRNAのリボソーム翻訳以外の手段により導入されるので、本開示の目的のためにタンパク質中に見出される天然に存在しないアミノ酸であると考えられる。
【0122】
ポリマーの幾何形状、構成(architecture)または全体構造に関する「直鎖状」は、単一のポリマーアームを有するポリマーを指す。
【0123】
ポリマーの幾何形状、構成または全体構造に関する「分枝状」は、開始剤内に含有されるコア構造から伸長した2つまたはより多くのポリマー「アーム」を有するポリマーを指す。開始剤は、原子移動ラジカル重合(ATRP)反応において用いられてもよい。分枝状ポリマーは、2個のポリマー鎖(アーム)、3個のポリマーアーム、4個のポリマーアーム、5個のポリマーアーム、6個のポリマーアーム、7個のポリマーアーム、8個のポリマーアーム、9個のポリマーアームまたはより多くを有してもよい。各ポリマーアームはポリマー開始部位から伸長する。各ポリマー開始部位は、モノマーの付加によるポリマー鎖の成長のための部位となることができる。限定ではなく例えば、ATRPを使用して、開始剤上のポリマー開始の部位は、典型的には、遷移金属化合物、例えばハロゲン化第一銅により触媒される可逆的なレドックスプロセスを受ける有機ハロゲン化物である。一部の実施形態において、ハロゲン化物は臭素である。
【0124】
「薬学的に許容される賦形剤」は、組成物中に含めることができ、かつ患者に対して著しい有害な毒物学的効果を引き起こさず、かつ特にはヒトにおける、治療的使用のためにFDAにより承認されているまたは承認可能な、賦形剤を指す。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、生理食塩水溶液、乳酸リンゲル液、通常スクロース、および通常グルコースなどが挙げられる。
【0125】
治療用タンパク質は有効なレジームにおいて投与され、これは、障害の開始を遅延させ、その重症度を低減させ、そのさらなる悪化を阻害し、かつ/またはその少なくとも1つの徴候もしくは症状を寛解させる投薬量、投与の経路および投与の頻度を意味する。患者が障害を既に患っている場合、レジームは治療有効レジームと称され得る。患者が、一般集団と比べて障害のリスクが上昇しているが、症状を未だに経験していない場合、レジームは予防有効レジームと称され得る。一部の事例において、治療的または予防的有効性は、歴史的な対照または同じ患者における過去の経験と比べて個々の患者において観察され得る。他の事例において、治療的または予防的有効性は、処置されていない患者の対照集団と比べた処置された患者の集団における前臨床または臨床試験において実証され得る。
【0126】
物質の「生物学的半減期」は、物質の半分が、物質の導入後に組織または生物から除去されるために要求される時間を指定する薬物動態パラメーターである。
【0127】
「OG1786」は、ポリマー合成のために使用される9アーム開始剤であり、トリフルオロ酢酸(trifluororacetic acid)とのOG1786の塩形態が描写される。OG1786は、他の塩として使用されてもよく、または遊離塩基として使用されてもよい。
【0128】
「OG1801」は、おおよそ(+/-15%)750kDaのポリマー(MnまたはMpのいずれかによる)であり、モノマーHEMA-PCを使用するATRP合成用の開始剤としてOG1786を使用して製造される。
【0129】
「OG1802」は、マレイミド官能性を付加したOG1801であり、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9の各々は整数(正)(0~約3000)であり、ポリマーの総分子量は(Mw)750,000±15%ダルトンである。
【0130】
「BCVA」は最良矯正視力(Best Corrected Visual Acuity)を表す。
【0131】
「OCT-A」はOCTアンギオグラフィー(OCT-Angiography)を表す。
【0132】
「SD-OCT」はスペクトル領域光干渉断層撮影法(Spectral Domain Optical Coherence Tomography)を表す。
【0133】
多角光散乱(multi-angle light scattering;MALS)は、レーザー光が分子に衝突し、光の振動電場がその中で振動双極子を誘導する、高分子を分析する技術である。この振動双極子は光を再放射し、MALS検出器、例えばWyatt miniDawn TREOSを使用して測定することができる。放射される光の強度は、高分子中で誘導される双極子の振幅に依存し、そしてそれは高分子の分極率に比例し、誘導される双極子がより大きいほど、散乱される光の強度はより大きい。したがって、そのような高分子の溶液から散乱を分析するために、周囲の媒体(例えば、溶媒)に対するそれらの分極率を知るべきである。これは、分子濃度変化、Δcに伴う溶液の屈折率nの変化、Δnの測定から、Wyatt Optilab T-rEX示差屈折計を使用してdn/dc(=Δn/Δc)値を測定することにより決定されてもよい。MALS決定が用いる2つのモル重量パラメーターは数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)であり、多分散指数(PDI)はMwをMnで割ったものに等しい。SECはまた、SECにおける最も高いピークの分子量として定義されるピーク分子量Mpの別の平均分子量決定を可能とする。
【0134】
PDIは、ポリマー、および多分散バイオポリマー(例えば、OG1802)への別々のタンパク質(例えばOG1950)のコンジュゲーションに由来するバイオコンジュゲートの分子量分布の広がりの度合として使用される。タンパク質試料について、その多分散性は1.0に近く、これは、溶液中のあらゆるタンパク質分子は、ほぼ同じ長さおよびモル質量を有することが期待される翻訳の産物であるという事実に起因する。対照的に、様々な長さのポリマー鎖が重合プロセスの間に合成されるバイオポリマーの多分散的性質に起因して、分子量の狭い分布のためにその品質属性の1つとして試料のPDIを決定することは非常に重要である。
【0135】
サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography;SEC)は、溶液中の分子がサイズにより分離されるクロマトグラフィー技術である。典型的には、水性溶液は、様々な細孔径の樹脂が充填されたカラムを通じて試料を輸送するようにアプライされる。樹脂は、カラムを通過する時にアナライトに対して不活性であることが期待され、アナライトは、それらの独特のサイズおよび選択されたカラムの細孔径の特徴に基づいて互いに分離する。
【0136】
SECをMALSと連結したものまたはSEC/MALSは、SEC軟正標準のセットに依拠する場合とは対照的に、モル質量およびサイズ(二乗平均平方根半径)の正確な分布を提供する。この種類の構成は、伝統的なカラム軟正方法を上回る多くの利点を有する。光散乱および濃度は各溶出画分について測定されるので、モル質量およびサイズは、溶出位置とは独立して決定され得る。これは特には、非球形高分子を有する種、例えばバイオポリマー(OG1802)またはバイオコンジュゲート(例えば、KSI-301)に該当し、そのような種は、典型的には、カラム軟正標準のセットにより記載され得る方式で溶出しない。
【0137】
一部の実施形態において、SEC/MALS分析は、Alliance 2695溶媒送達モジュールおよびShodex SEC-HPLCカラム(7.8×300mm)を備えたWaters 2996 Photodiole Array Detectorを有するWaters HPLCシステムを含む。これは、Wyatt miniDawn TREOSおよびWyatt Optilab T-rEX示差屈折計とオンラインで接続される。WatersのEmpowerソフトウェアを使用してWaters HPLCシステムを制御することができ、WyattのASTRA V 6.1.7.16ソフトウェアを使用して、Wyatt miniDawn TREOSからMALSデータ、T-rEX検出器からdn/dcデータ、およびWaters 2996 Photodiole Array detectorからA280吸光度シグナルを使用して質量リカバリーデータを得ることができる。SECは、1×PBS pH7.4における1ml/分の試料注入において実行することができ、MALSおよびRIシグナルは、絶対
モル質量(Mp、Mw、Mn)および多分散指数(PDI)の決定のためにASTRAソフトウェアにより分析することができる。追加的に、算出はまた、ポリマーおよびタンパク質のインプットdn/dc値をそれぞれ0.142および0.183として伴う。KSI-301 dn/dc値について、dn/dcは、約0.148であるポリマーおよびタンパク質の加重MWに基づいて、以下の式:
コンジュゲートdn/dc=0.142×[MWポリマー/(MWポリマー+MWタンパク質)]+0.183×[MWタンパク質/(MWポリマー+MWタンパク質)]
【0138】
(式中、OG1802のMWポリマーは800kDaであり、OG1950のMWタンパク質は146kDaである)を使用して算出される。
【0139】
「KSI-301」は、分枝状高分子量ホスホリルコリンベースバイオポリマーに共有結合的にコンジュゲート化された、組換えの、哺乳動物細胞発現全長ヒト化抗VEGFモノクローナル抗体のバイオコンジュゲートである。一部の実施形態において、KSI-301は、防腐剤フリーの無菌の水性溶液として単回使用ガラスバイアル中に50mg/mL(抗体質量に基づく)の濃度で供給される。図14は、KSI-301の抗体部分のアミノ酸配列を示す。KSI-301は、延長された眼内半減期を有する抗血管内皮増殖因子(VEGF)バイオ医薬品である。KSI-301は、2つの中間体:(1)OG1950抗体中間体、組換え全長ヒト化抗huVEGF Aモノクローナル抗体、および(2)OG1802バイオポリマー中間体、ホスホリルコリンバイオポリマーのバイオコンジュゲートである。OG1802、不活性バイオポリマーの付加は、生物学的製剤のサイズを増加させ、それにより、現在承認されている抗huVEGF-A治療のものを超えてKSI-301の眼内薬物動態(PK)を延長させる。KSI-301での非臨床研究は、それは高い親和性でhuVEGF-Aに適切に結合し、huVEGF受容体1および2(huVEGFR)へのhuVEGF-Aの結合は阻害されることを指し示す。これは次いで、huVEGF-A媒介性の機能を妨げる。
【0140】
薬物動態研究がウサギにおいて実行されたが、これは、KSI-301は、延長された眼内半減期を有し、眼組織を良好に透過し、かつ網膜および脈絡膜に分布されることを実証する。ウサギにおいて、KSI-301は約11日の眼内半減期を有し、これは、それぞれ4~5日および3~4日であるアフリベルセプトおよびラニビズマブについて測定された、報告されたウサギ半減期(非特許文献20)よりも著しく長い。KSI-301の眼内および全身安全性を試験するカニクイザルにおける一連の非臨床GLP反復用量(4週の投薬間隔)毒物学研究がそれぞれ26週(7回の硝子体内用量)および10週(3回の静脈内用量)を通じて実行された。KSI-301は、眼内および全身研究におけるそれぞれ5mg/目(硝子体内)および5mg/kg(静脈内)の試験された最大用量まで忍容性良好であったことを結果は示す。以上を合わせて、非臨床PKおよび毒物学研究から推定されるデータは、KSI-301はヒト対象において安全かつ有効に投薬され得ることを指し示す。一部の実施形態において、投与の経路は硝子体内注射を介するものである。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)は、負荷用量完了後に3~4か月毎に、またはよりいっそう低い頻度で、投与され得る。
【0141】
一部の実施形態において、本明細書において提供される方法のいずれか1つまたは複数において投与される分子は、特許文献30(参照により全体が本明細書に組み込まれる)において開示される分子のいずれか1つである。
【0142】
処置方法
一般的に、本開示の方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301、もしくは本明細書において提供されるような、ホスホリルコリンポリマーにコンジュゲート化された図14における実施形態、もしくは図13において描写される構築物)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1回または複数回の用量を、眼障害の処置を必要とする対象(例えば、ヒトまたは他の哺乳動物患者)に投与し、それにより、眼障害を処置することを含む。抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートは、対象に投与された場合に、抗VEGF治療と共に以前に使用されていたよりも長い投薬間の間隔を有する投薬スケジュールを可能とする長期持続性の治療効果を提供し得る。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート治療または抗VEGFタンパク質コンジュゲート治療の治療結果は、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの1回または複数回の用量(例えば、負荷用量および/または維持用量)の投与により一旦達成されると、その後にいかなる追加の用量も要求することなく対象により保持される、例えば、対象の残りの人生にわたり保持される。
【0143】
図42を参照すると、本開示の方法の実施形態が記載される。方法4200は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)を、眼障害(例えば、wAMD、DME、またはRVO)の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与すること4210を含むことができる。次に、負荷用量を少なくとも1回繰り返すこと4220ができる(例えば、1回、2回、3回などで繰り返される)。負荷用量の投与後に、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、治療の治療結果は、最終負荷用量後に少なくとも8週、例えば、少なくとも12週、少なくとも16週、少なくとも20週、少なくとも24週またはより長い間、対象により保持され得る。一部の実施形態において、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の1回または複数回の後続用量(例えば、維持用量)を対象に、最終負荷用量を投与した少なくとも8週、例えば、少なくとも12週、少なくとも16週、少なくとも20週、少なくとも24週後に投与すること4230を含む。一部の実施形態において、方法は、本明細書に開示される方法のいずれかにしたがって、(抗VEGF抗体コンジュゲートの代わりに)抗VEGFタンパク質、例えば、アフリベルセプト、コンジュゲートを、眼障害の処置を必要とする対象に投与することを含む。
【0144】
一部の実施形態において、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の第1の負荷用量を、眼障害の処置を必要とする対象(例えば、ヒトまたは他の哺乳動物患者)に投与すること、およびその後に少なくともさらに1回であるが2回以下の負荷用量を投与して、延長された時間的期間にわたり続く抗VEGF治療の治療結果(例えば、視力の改善、疾患進行の緩慢化、症状の低減、網膜の健康状態の改善など)を達成することを含む。一部の実施形態において、患者は、最終負荷用量を受けると延長された時間的期間にわたり眼障害の再処置を要求しないことがあり得る。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート(または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート))の投与は、眼障害(例えば、非増殖性糖尿病網膜症)を有する対象を処置するために、いかなる負荷用量もなしに抗VEGF治療の治療結果を提供し得る。
【0145】
本明細書において使用される場合、「抗VEGF抗体」または「抗VEGF抗体コンジュゲート」が言及される場合は常に、抗VEGFタンパク質、例えば抗VEGF融合タンパク質、例えば、アフリベルセプトもまた想定される。そのため、本明細書に開示される場合、「抗VEGF抗体コンジュゲート」が言及される場合は常に、本明細書に開示されるようなホスホリルコリン含有バイオポリマー(例えば、OG1802)に共有結合した抗VEGFタンパク質、例えば、アフリベルセプトもまた想定される。本明細書に開示される様々な実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート治療に対する任意の言及はまた、抗VEGFタンパク質、例えば、アフリベルセプト、コンジュゲート治療を想定する。本明細書に開示される、眼障害を処置する方法の様々な実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートに対する任意の言及はまた、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲートを想定する。
【0146】
「負荷用量」は、本開示を考慮して当業者に理解されるようなその通常および慣習的な意味を有する。負荷用量は、剤の治療効果が対象において観察される前、または剤の治療効果の所望のレベルが対象において達成される前のいずれかで、対象に投与される治療剤の量を指すことができる。負荷用量は、典型的には、治療を伴う処置の過程の始めに投与される。一部の実施形態において、負荷用量は、治療結果の維持のための後の用量と比較してより頻繁にまたはより短い間隔で投与される。対象が1回または複数回の負荷用量を与えられる期間は、負荷期(loading phase)と称されることがある。一部の実施形態において、対象は、負荷期の間に疾患進行または状態についてモニターされない(例えば、視力、網膜厚などについて評価されない)。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート治療(例えば、KSI-301治療)の(本明細書に開示されるような)治療結果は、負荷期の間に所望のまたは閾値のレベルに達していない。負荷用量は、例えば負荷期の間に、対象に投与される一連の負荷用量のうちの1つであってもよい。「最終負荷用量」は、対象に投与された一連の負荷用量中の最後の負荷用量であって、その時点および/またはその後の時点において剤の治療効果の所望のレベルが達成されるものを指すことができる。そのため、対象が1回の負荷用量を与えられる場合、最終負荷用量は第1の負荷用量である。対象が2回の負荷用量を与えられる場合、最終負荷用量は第2の負荷用量である。同様に、対象が3回の負荷用量を与えられる場合、最終負荷用量は第3の負荷用量である、などである。負荷期の後に対象に投与される治療剤の用量は、維持用量または再処置用量と称されることがある。「維持用量」および「再処置用量」は本明細書において交換可能に使用される。本明細書において提供される一部の実施形態において、負荷用量は、その後の再処置または維持用量を頻繁に必要としない、または何ら必要としないために十分なものであることができる。一部の実施形態において、一連の負荷用量は、対象に投与される一連の維持(または再処置)用量よりも高い頻度で対象に投与される。一部の実施形態において、与えられる負荷用量は、維持(または再処置)用量を要求することなく、疾患活動性を対象において制御下に保つために十分なものであってもよい。
【0147】
一部の実施形態において、本明細書に開示される方法により達成される抗VEGF治療の治療結果は、予め決定された投薬スケジュール中のスケジュールされた時点において維持用量を要求しないように十分に保持される。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約2か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えばKSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約3か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約4か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約5か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約6か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約7か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約8か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約9か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約10か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約12か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約14か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約16か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。一部の実施形態において、対象は、直近の負荷用量または直近の維持用量を与えられた約18か月またはより長い期間の後までに、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量、例えば、維持用量を要求しない少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはより高い可能性、または先行する値のうちのいずれか2つの間のパーセンテージを有する。
【0148】
直近の用量(例えば、最終負荷用量、または直近に起こった任意の投薬)を与えられた後に、対象は、抗体コンジュゲートの後続用量(例えば、維持用量)を与えられることなく持続された時間的期間にわたり抗VEGF治療の治療結果を保持してもよい。抗VEGF治療の治療結果は、第1の負荷用量の前またはその時点と比較した最終負荷用量の時点またはその付近の時点における視力または網膜の健康状態(例えば、網膜厚、網膜灌流の程度など)の1つまたは複数における改善を含んでもよい。抗VEGF治療の任意の好適な治療結果が本開示の方法にしたがって使用され得る。治療結果を決定するための好適な度合は、例えば、視力、網膜厚、少なくとも1つの目における灌流、糖尿病網膜症重症度スコア(DRSS)、眼障害の疾患活動性、またはこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態において、wAMD、DME、RVO、またはDR疾患活動性は、網膜内流体の増加、網膜下流体の増加、新たな網膜内出血、新たな滲出物のうちの1つまたは複数を含む。
【0149】
一部の実施形態において、治療結果は、視力における改善、または少なくとも緩慢化された低下を含む。視力は、任意の好適な方法を使用してモニターされてもよい。一部の実施形態において、視力は、例えば、ETDRS文字またはスネレンチャートなどを使用して、最良矯正視力(BCVA)により測定される。一部の実施形態において、治療結果は、処置前と比較して、3文字もしくはより多く、例えば、4文字もしくはより多く、5文字もしくはより多く、6文字もしくはより多く、7文字もしくはより多く、8文字もしくはより多く、9文字もしくはより多く、10文字もしくはより多く、12文字もしくはより多く、15文字もしくはより多く、18文字もしくはより多く、20文字もしくはより多く、22文字もしくはより多く、例えば25文字もしくはより多くの、ETDRS文字により測定される、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の数によるBCVAにおける改善を含んでもよい。一部の実施形態において、治療結果は、処置前に対して、少なくとも10%、例えば、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、例えば約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の任意のパーセンテージのBCVAの劣化の速度における低減を含んでもよい。
【0150】
一部の実施形態において、治療結果は、網膜厚(例えば、中心サブフィールド厚)における低減、または少なくとも緩慢化された増加を含む。網膜厚は、光干渉断層撮影法(OCT)が挙げられるがこれに限定されない任意の好適な方法を使用して測定されてもよい。一部の実施形態において、治療結果は、処置前と比較して、約25μmまたはより大きい、例えば、約50μmもしくはより大きい、約75μmもしくはより大きい、約100μmもしくはより大きい、約125μmもしくはより大きい、約150μmもしくはより大きい、約175μmもしくはより大きい、約200μmもしくはより大きい、約225μmもしくはより大きい、約250μmもしくはより大きい、約275μmもしくはより大きい、約300μmもしくはより大きい、約325μmもしくはより大きい、約350μmもしくはより大きい、約375μmもしくはより大きい、約400μmもしくはより大きい網膜厚における低減、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の低減を含んでもよい。一部の実施形態において、治療結果は、処置前に対して、少なくとも10%、例えば、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、例えば約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の任意のパーセンテージの網膜厚における増加の速度における低減を含んでもよい。
【0151】
一部の実施形態において、治療結果は、網膜の灌流の改善、または少なくとも無灌流の拡大の速度における低減を含む。灌流は、任意の好適な方法を使用してモニターされてもよい。好適な方法は、非限定的に、OCTアンギオグラフィー(OCT-A)、フルオレセイン血管造影図または超広視野フルオレセイン血管造影図を含む。灌流、または無灌流の程度は、任意の好適な度合を使用して測定されてもよい。一部の実施形態において、無灌流面積または毛細血管無灌流の面積が測定される。一部の実施形態において、虚血指数が、無灌流面積を総網膜面積で割ることにより算出される。一部の実施形態において、血管造影図上の網膜四半分における網膜無灌流の存在または非存在が測定される。一部の実施形態において、治療結果は、処置前に対して、少なくとも10%、例えば、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、例えば約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の任意のパーセンテージの無灌流の面積における低減を含んでもよい。一部の実施形態において、治療結果は、処置前に対して、少なくとも10%、例えば、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、例えば約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の任意のパーセンテージの無灌流進行の速度における低減を含んでもよい。
【0152】
一部の実施形態において、治療結果は、糖尿病網膜症重症度スコア(DRSS)の改善、または悪化の予防を含む。一部の実施形態において、治療結果は、処置前と比較して、2ステップもしくはより大きい、または3ステップもしくはより大きいDRSSの改善を含んでもよい。一部の実施形態において、治療結果は、処置前と比較して、2ステップもしくはより大きい、または3ステップもしくはより大きいDRSSの悪化の予防を含んでもよい。
【0153】
視力または網膜の健康状態(例えば、網膜厚、無灌流の程度など)のレベルが、改善されたレベルと比較して予め決定された量より大きく悪化しない場合に、治療結果は保持される。一部の実施形態において、視力または網膜の健康状態のレベルが、直近の用量(例えば、最終負荷用量)後に、視力または網膜の健康状態の処置前レベルに向けて30%またはより高い%、例えば、50%またはより高い%、75%またはより高い%、90%またはより高い%、例えば100%またはより高い%復帰しない場合に、治療結果は保持される。一部の実施形態において、視力または網膜の健康状態の変化の速度が、直近の用量(例えば、最終負荷用量)後に、視力または網膜の健康状態の変化の速度の処置前レベル
に向けて30%またはより高い%、例えば、50%またはより高い%、75%またはより高い%、90%またはより高い%、例えば100%またはより高い%復帰しない場合に、治療結果は保持される。
【0154】
一部の実施形態において、治療結果は、視力における改善を含む。一部の実施形態において、BCVAが、(例えば、3回の月毎の負荷用量後の12週目において)最終負荷用量の時点におけるBCVAスコアから3文字もしくはより多く、4文字もしくはより多く、5文字もしくはより多く、6文字もしくはより多く、7文字もしくはより多く、8文字もしくはより多く、9文字もしくはより多く、または10文字もしくはより多く低下しない場合に、治療結果は保持され得る。一部の実施形態において、BCVAが、直近の評価(例えば、4週前)において測定されたBCVAスコアから3文字もしくはより多く、4文字もしくはより多く、5文字もしくはより多く、6文字もしくはより多く、7文字もしくはより多く、8文字もしくはより多く、9文字もしくはより多く、または10文字もしくはより多く低下しない場合に、治療結果は保持され得る。一部の実施形態において、BCVAが、対象の最良の測定されたBCVAスコア、または2つの最良の測定されたBCVAスコアの平均から3文字もしくはより多く、4文字もしくはより多く、5文字もしくはより多く、6文字もしくはより多く、7文字もしくはより多く、8文字もしくはより多く、9文字もしくはより多く、または10文字もしくはより多く低下しない場合に、治療結果は保持され得る。
【0155】
一部の実施形態において、治療結果は、網膜厚(例えば、中心サブフィールド厚)における低減を含む。一部の実施形態において、網膜厚(例えば、中心サブフィールド厚)が、(例えば、3回の月毎の負荷用量後の12週目において)直近の用量(例えば、最終負荷用量)の時点における網膜厚から25μmもしくはより大きく、50μmもしくはより大きく、75μmもしくはより大きく、100μmもしくはより大きく、125μmもしくはより大きく、または150μmもしくはより大きく増加しない場合に、治療結果は保持され得る。一部の実施形態において、網膜厚(例えば、中心サブフィールド厚)が、直近の評価(例えば、4週前)において測定された網膜厚から25μmもしくはより大きく、50μmもしくはより大きく、75μmもしくはより大きく、100μmもしくはより大きく、125μmもしくはより大きく、または150μmもしくはより大きく増加しない場合に、治療結果は保持され得る。一部の実施形態において、保持された治療結果は、対象の最も低い測定された網膜厚と比較して150μm、125μm、100μm、75μm、50μm、40μm、または30μmよりも大きいものではない網膜厚を含む。
【0156】
一部の実施形態において、治療結果は、網膜の灌流の改善を含む。DR、DME、およびRVOを有する患者において、網膜は、無灌流、または血流の非存在の領域を有し得る。一部の実施形態において、無灌流は血管造影図上で可視化される。一部の実施形態において、本開示の方法による、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、投与、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)投与の治療結果は、網膜の無灌流の逆行(regression)、または再灌流を含む。一部の実施形態において、無灌流の面積が、直近の用量(例えば、最終負荷用量)の時点における無灌流の面積と比べて10%またはより高い%、例えば、15%もしくはより高い%、25%もしくはより高い%、50%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、または約100%低減される場合に、治療結果は保持され得る。一部の実施形態において、無灌流の面積が、直近の用量(例えば、最終負荷用量)の時点における無灌流の面積と比べて10%またはより高い%、例えば、15%もしくはより高い%、25%もしくはより高い%、50%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、または約100%増加されない場合に、治療結果は保持され得る。一部の実施形態において、無灌流の面積が、直近の評価(例えば、4週前)において測定された無灌流の面積と比べて10%またはより高い%、例えば、15%もしくはより高い%、25%もしくはより高い%、50%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、または約100%増加されない場合に、治療結果は保持され得る。一部の実施形態において、無灌流の面積が、対象において測定された無灌流の最小の面積と比べて10%またはより高い%、例えば、15%もしくはより高い%、25%もしくはより高い%、50%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、または約100%増加されない場合に、治療結果は保持され得る。
【0157】
本開示の方法によれば、直近の用量(例えば、最終負荷用量)後の抗VEGF治療の治療結果は、直近の用量(例えば、最終負荷用量)が投与された後に少なくとも8週またはより長く、例えば、少なくとも10週またはより長く、少なくとも12週またはより長く、少なくとも14週またはより長く、少なくとも16週またはより長く、少なくとも20週またはより長く、少なくとも24週またはより長く、少なくとも28週またはより長く、少なくとも32週またはより長く、少なくとも36週またはより長く、少なくとも40週またはより長く、少なくとも44週またはより長く、少なくとも48週またはより長く、例えば少なくとも52週またはより長く保持され得る。一部の実施形態において、治療結果は、最終負荷用量が投与された後に8週~1年、例えば、8週~40週、8週~32週、例えば12週~28週の期間にわたり保持され得る。これは、例えば、RVO、DME、DR、および/またはwAMDを含めて、本明細書において提供される眼障害のいずれか1つまたは複数についてのものであり得る。
【0158】
一部の実施形態において、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1、2、または3回の負荷用量を対象に投与すること、および抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、(または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート))の1回または複数回の後続用量(例えば、維持用量)を最終負荷用量後に投与することを含む。後続用量は、対象に8週毎に1回以下の頻度、例えば、10週毎、12週毎、14週毎、16週毎、18週毎、20週毎、24週毎、28週毎、32週毎、40週毎、例えば52週毎に投与されてもよい。抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量を投与するかどうかは、任意の好都合な理由に基づいて決定されてもよい。一部の実施形態において、後続用量は、予め決定されたスケジュール(例えば、対象が負荷用量のうちの1つまたは複数のいずれかを投与される前に決定されたスケジュール)に基づいて投与されてもよい。一部の実施形態において、後続用量は、眼障害の重症度、眼障害に対する他の治療への対象の先行する応答、もしくはその欠如、または対象と関連付けられる任意の他の臨床的に関連する因子に基づいて予め決定されたスケジュールに基づいて投与されてもよい。一部の実施形態において、後続用量は、抗VEGF抗体コンジュゲートでの処置の過程の間に対象に対して実行される目の健康状態および/または機能についての1つまたは複数の評価試験のアウトカムに基づいて投与されてもよい。一部の実施形態において、後続用量は、4週またはより多くの週毎、例えば、6週またはより多くの週毎、8週またはより多くの週毎、10週またはより多くの週毎、12週またはより多くの週毎、16週またはより多くの週毎、20週またはより多くの週毎、24週またはより多くの週毎、28週またはより多くの週毎、32週またはより多くの週毎、36週またはより多くの週毎、例えば40週またはより多くの週毎に対象に対して実行される1つまたは複数の評価試験のアウトカムに基づいて投与されてもよい。一部の実施形態において、1つまたは複数の評価試験が、予め決定された閾値よりも大きい抗VEGF治療の治療結果の減少を指し示す場合に、後続用量は投与されてもよい。
【0159】
本明細書において使用される場合、「Q4W」および「Q8W」などは、投薬スケジュールを指し、当業者にとっての通常のおよび慣習的な意味を有する。数は、その後の文字により指定される時間の単位の数を指し示し得る。「W」は週の単位を指し示し、「M」は月の間隔を指定する。そのため、Q4Wは4週の投薬間隔を指し、これは1か月の投薬間隔も含む;Q8Wは8週の投薬間隔を指し、これは2か月の投薬間隔も含む;などである。本明細書において使用される場合、投薬スケジュールの指定は、他に指し示されなければ、2回を超える多数の用量を必ずしも含意しない。一部の実施形態において、投薬スケジュールは、維持用量のための投薬スケジュール(直近の負荷用量、および第1の維持用量の間の間隔を含む)を指す。「より長い」または「より短い」投薬スケジュール(例えば、「Q12Wまたはより長い間隔」)への言及は、指定されるよりも長い用量間の時間間隔(例えば、12週またはより長い投薬間隔)を指す。
【0160】
一部の実施形態において、処置の最初の1年中に対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、10回もしくはそれ未満、9回もしくはそれ未満、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。一部の実施形態において、処置の最初の2年中に対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、10回もしくはそれ未満、9回もしくはそれ未満、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。一部の実施形態において、処置の最初の3年中に対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、10回もしくはそれ未満、9回もしくはそれ未満、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。
【0161】
一部の実施形態において、処置のための1年の期間中に対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。一部の実施形態において、処置のための2年の期間中に対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。一部の実施形態において、処置のための3年の期間中に対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。
【0162】
一部の実施形態において、処置の最初の1年中にwAMDを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。一部の実施形態において、処置の最初の2年中にwAMDを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持
用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。一部の実施形態において、処置の最初の3年中にwAMDを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。
【0163】
一部の実施形態において、処置のための1年の期間中にwAMDを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。一部の実施形態において、処置のための2年の期間中にwAMDを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。一部の実施形態において、処置のための3年の期間中にwAMDを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。
【0164】
一部の実施形態において、処置の最初の1年中にDMEを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。一部の実施形態において、処置の最初の2年中にDMEを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。一部の実施形態において、処置の最初の3年中にDMEを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。
【0165】
一部の実施形態において、処置の間の1年の期間中にDMEを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。一部の実施形態において、処置の間の2年の期間中にDMEを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。一部の実施形態において、処置の間の3年の期間中にDMEを有する対象に投与される抗V
EGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。
【0166】
一部の実施形態において、処置の最初の1年中にRVOを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。一部の実施形態において、処置の最初の2年中にRVOを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。一部の実施形態において、処置の最初の3年中にRVOを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の注射(負荷および維持用量を含む)の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、8回もしくはそれ未満、7回もしくはそれ未満、6回もしくはそれ未満、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、または1回である。
【0167】
一部の実施形態において、処置の間の1年の期間中にDMEを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。一部の実施形態において、処置の間の2年の期間中にDMEを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。一部の実施形態において、処置の間の3年の期間中にDMEを有する対象に投与される抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の維持用量の総数は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持するために、5回もしくはそれ未満、4回もしくはそれ未満、3回もしくはそれ未満、2回もしくはそれ未満、1回もしくはそれ未満、または0回である。
【0168】
一部の実施形態において、第1の後続用量は直近の負荷用量後の第1の時点において投与され、かつ第2の後続用量は第1の後続用量後の第2の時間的期間において投与され、他の用量は、直近の負荷用量および第1の後続用量の間にも、第1の後続用量および第2の後続用量の間にも投与されない。第1および第2の後続用量の間の第2の時間的期間は、直近の負荷用量および第1の後続用量の間の第1の時間的期間と同じまたは異なるものであってもよい。一部の実施形態において、第1の期間は、8週またはより長い、例えば、10週またはより長い、12週またはより長い、14週またはより長い、16週またはより長い、18週またはより長い、20週またはより長い、24週またはより長い、28週またはより長い、32週またはより長い、36週またはより長い、40週またはより長い、少なくとも44週またはより長い、少なくとも48週またはより長い、例えば52週またはより長い。一部の実施形態において、第2の時間的期間は、0週またはより長く、例えば、4週またはより長く、6週またはより長く、8週またはより長く、10週またはより長く、12週またはより長く、16週またはより長く、20週またはより長く、例えば24週またはより長く第1の時間的期間よりも長い。第2の後続用量を投与するためのタイミングは、対象の目の健康状態および/または機能についての1つまたは複数の評価のアウトカムに依存してもよい。
【0169】
任意の好適な量の抗VEGF抗体コンジュゲート、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)が、対象に後続用量(例えば、維持用量)において投与されてもよい。一部の実施形態において、後続用量は、約1mgまたはより多く、例えば、約1.25mgまたはより多く、約1.5mgまたはより多く、約1.75mgまたはより多く、約2mgまたはより多く、約2.5mgまたはより多く、約3mgまたはより多く、約3.5mgまたはより多く、約4mgまたはより多く、約4.5mgまたはより多く(of more)、例えば約5mgまたはより多く(抗VEGF抗体部分の重量による)の抗VEGF抗体コンジュゲートを含む。一部の実施形態において、後続用量は、約1mg~約10mg、例えば、約1mg~約7.5mg、約1.25mg~約5mg、例えば約2mg~約5mg(抗VEGF抗体部分の重量による)の抗VEGF抗体コンジュゲートを含む。
【0170】
抗VEGF治療の治療結果は、直近の用量(例えば、最終負荷用量)後に持続された時間的期間にわたり保持されるので、治療効果が続いている間に、対象は、抗VEGF抗体コンジュゲート、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の用量を与えられる必要がないことがあり得る。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)のさらなる投与は、直近の用量(例えば、最終負荷用量)後の4週またはより長い期間内、例えば、6週またはより長い期間内、8週またはより長い期間内、10週またはより長い期間内、12週またはより長い期間内、14週またはより長い期間内、16週またはより長い期間内、20週またはより長い期間内、24週またはより長い期間内、28週またはより長い期間内、32週またはより長い期間内、36週またはより長い期間内、40週またはより長い期間内、44週またはより長い期間内、48週またはより長い期間内、例えば52週またはより長い期間内に対象に対して為されない。
【0171】
本開示の方法は、治療結果を維持するために、標準治療の処置における注射の回数と比較して直近の負荷用量後により少ない回数の(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えばKSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の)注射を投与することを含むことができる。一部の実施形態において、直近の負荷用量後に投与される(例えば、抗VEGF抗体コンジュゲートの)注射の平均回数は、16週にかけて、約1もしくはそれ未満、約0.9もしくはそれ未満、約0.8もしくはそれ未満、約0.7もしくはそれ未満、約0.5もしくはそれ未満、約0.45もしくはそれ未満、約0.4もしくはそれ未満、約0.35もしくはそれ未満、約0.3もしくはそれ未満、約0.25もしくはそれ未満、約0.2もしくはそれ未満、約0.18もしくはそれ未満、約0.17もしくはそれ未満、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の数である。一部の実施形態において、直近の負荷用量後に投与される(例えば、抗VEGF抗体コンジュゲートの)注射の平均回数は、12週にかけて、約1もしくはそれ未満、約0.9もしくはそれ未満、約0.8もしくはそれ未満、約0.7もしくはそれ未満、約0.5もしくはそれ未満、約0.45もしくはそれ未満、約0.4もしくはそれ未満、約0.35もしくはそれ未満、約0.3もしくはそれ未満、約0.25もしくはそれ未満、約0.2もしくはそれ未満、約0.18もしくはそれ未満、約0.17もしくはそれ未満、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の数である。一部の実施形態において、直近の負荷用量後に投与される(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)注射の平均回数は、8週にかけて、約1もしくはそれ未満、約0.9もしくはそれ未満、約0.8もしくはそれ未満、約0.7もしくはそれ未満、約0.5もしくはそれ未満、約0.45もしくはそれ未満、約0.4もしくはそれ未満、約0.35もしくはそれ未満、約0.3もしくはそれ未満、約0.25もしくはそれ未満、約0.2もしくはそれ未満、約0.18もしくはそれ未満、約0.17もしくはそれ未満、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の数である。
【0172】
一部の実施形態において、対象はDMEを有し、かつ直近の負荷用量後に投与される(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)注射の平均回数は、16週にかけて、約1.75もしくはそれ未満、約1.5もしくはそれ未満、約1.25もしくはそれ未満、約1もしくはそれ未満、約0.9もしくはそれ未満、約0.8もしくはそれ未満、約0.7もしくはそれ未満、約0.5もしくはそれ未満、約0.45もしくはそれ未満、約0.4もしくはそれ未満、約0.35もしくはそれ未満、約0.3もしくはそれ未満、約0.25もしくはそれ未満、約0.2もしくはそれ未満、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の数である。一部の実施形態において、対象はDMEを有し、かつ直近の負荷用量後に投与される(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)注射の平均回数は、12週にかけて、約1.75もしくはそれ未満、約1.5もしくはそれ未満、約1.25もしくはそれ未満、約1もしくはそれ未満、約0.9もしくはそれ未満、約0.8もしくはそれ未満、約0.7もしくはそれ未満、約0.5もしくはそれ未満、約0.45もしくはそれ未満、約0.4もしくはそれ未満、約0.35もしくはそれ未満、約0.3もしくはそれ未満、約0.25もしくはそれ未満、約0.2もしくはそれ未満、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の数である。一部の実施形態において、対象はDMEを有し、かつ直近の負荷用量後に投与される(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)注射の平均回数は、8週にかけて、約1.75もしくはそれ未満、約1.5もしくはそれ未満、約1.25もしくはそれ未満、約1もしくはそれ未満、約0.9もしくはそれ未満、約0.8もしくはそれ未満、約0.7もしくはそれ未満、約0.5もしくはそれ未満、約0.45もしくはそれ未満、約0.4もしくはそれ未満、約0.35もしくはそれ未満、約0.3もしくはそれ未満、約0.25もしくはそれ未満、約0.2もしくはそれ未満、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の数である。
【0173】
一部の実施形態において、対象はRVOを有し、かつ直近の負荷用量後に投与される(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)注射の平均回数は、16週にかけて、約2.75もしくはそれ未満、約2.5もしくはそれ未満、約2.25もしくはそれ未満、約2もしくはそれ未満、約1.75もしくはそれ未満、約1.5もしくはそれ未満、約1.25もしくはそれ未満、約1もしくはそれ未満、約0.9もしくはそれ未満、約0.8もしくはそれ未満、約0.7もしくはそれ未満、約0.5もしくはそれ未満、約0.45もしくはそれ未満、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の数である。一部の実施形態において、対象はRVOを有し、かつ直近の負荷用量後に投与される(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)注射の平均回数は、12週にかけて、約2.75もしくはそれ未満、約2.5もしくはそれ未満、約2.25もしくはそれ未満、約2もしくはそれ未満、約1.75もしくはそれ未満、約1.5もしくはそれ未満、約1.25もしくはそれ未満、約1もしくはそれ未満、約0.9もしくはそれ未満、約0.8もしくはそれ未満、約0.7もしくはそれ未満、約0.5もしくはそれ未満、約0.45もしくはそれ未満、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の数である。一部の実施形態において、対象はRVOを有し、かつ直近の負荷用量後に投与される(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)注射の平均回数は、8週にかけて、約2.75もしくはそれ未満、約2.5もしくはそれ未満、約2.25もしくはそれ未満、約2もしくはそれ未満、約1.75もしくはそれ未満、約1.5もしくはそれ未満、約1.25もしくはそれ未満、約1もしくはそれ未満、約0.9もしくはそれ未満、約0.8もしくはそれ未満、約0.7もしくはそれ未満、約0.5もしくはそれ未満、約0.45もしくはそれ未満、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の数である。
【0174】
一部の実施形態において、本発明の方法により処置される眼障害は、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症(RVO)(例えば、中心網膜静脈閉塞症(CRVO)および分枝中心網膜静脈閉塞症(branched central retinal vein occlusion;BRVO))、糖尿病網膜症(DR)(例えば、非増殖性DRおよび増殖性DR)ならびに推定眼ヒストプラズマ症候群のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態において、本開示の方法により処置される対象は滲出型AMDを有する。一部の実施形態において、対象は、高度な色素上皮剥離(PED)を有しない滲出型AMDを有する。一部の実施形態において、対象は、対象の目におけるベースライン中心サブフィールド網膜厚(CST)が500ミクロンまたはより大きい場合に、高度なPEDを有する。
【0175】
一部の実施形態において、眼障害を有する対象は、本開示の方法による処置を受ける前に、約200ミクロンもしくはより大きい、約250ミクロンもしくはより大きい、約275ミクロンもしくはより大きい、約300ミクロンもしくはより大きい、約325ミクロンもしくはより大きい、約350ミクロンもしくはより大きい、約375ミクロンもしくはより大きい、約400ミクロンもしくはより大きい、約425ミクロンもしくはより大きい、約450ミクロンもしくはより大きい、約475ミクロンもしくはより大きい、約500ミクロンもしくはより大きい、約525ミクロンもしくはより大きい、約550ミクロンもしくはより大きい、約575ミクロンもしくはより大きい、約600ミクロンもしくはより大きい、約625ミクロンもしくはより大きい、約650ミクロンもしくはより大きい、約675ミクロンもしくはより大きい、約700ミクロンもしくはより大きい、約725ミクロンもしくはより大きい、約750ミクロンもしくはより大きい、約775ミクロンもしくはより大きい、約800ミクロンもしくはより大きい、約825ミクロンもしくはより大きい、約850ミクロンもしくはより大きい、約875ミクロンもしくはより大きい、約900ミクロンもしくはより大きい、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の距離のCSTを有する。CSTは、例えば、光干渉断層撮影法(OCT)により測定することができる。
【0176】
一部の実施形態において、眼障害を有する対象は、本開示の方法による処置を受ける前に、約80もしくはそれ未満、約75もしくはそれ未満、約70もしくはそれ未満、約68もしくはそれ未満、約66もしくはそれ未満、約64もしくはそれ未満、約62もしくはそれ未満、約60もしくはそれ未満、約58もしくはそれ未満、約56もしくはそれ未満、約54もしくはそれ未満、約52もしくはそれ未満、約50もしくはそれ未満、約48もしくはそれ未満、約46もしくはそれ未満、約44もしくはそれ未満、約42もしくはそれ未満、約40もしくはそれ未満、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内の値の、ETDRS文字におけるBCVAを有する。
【0177】
一部の実施形態において、本開示の方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)(または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート))の第1の負荷用量を、wAMDまたはDMEの処置を必要とする対象(例えば、ヒトまたは他の哺乳動物患者)に投与すること、およびその後に少なくともさらに1回であるが2回以下の負荷用量を投与して抗VEGF治療の治療結果(例えば、視力の改善、症状の低減など)を達成することを含み、治療結果は、最終負荷用量が投与された後に少なくとも12週間保持される。一部の実施形態において、治療結果は、最終負荷用量が投与された後に少なくとも14週、例えば、少なくとも16週、少なくとも20週、少なくとも24週、少なくとも28週、少なくとも32週、少なくとも36週、少なくとも40週、少なくとも44週、少なくとも48週、例えば少なくとも52週にわたり保持される。
【0178】
一部の実施形態において、眼障害はwAMDであり、かつ方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の後続用量を最終負荷用量の約24か月後に投与することを含む。一部の実施形態において、眼障害は、高度な色素上皮剥離(PED)を有しない滲出型AMDである。一部の実施形態において、対象は、対象の目におけるベースライン中心サブフィールド網膜厚(CST)が500ミクロンまたはより大きい場合に、高度なPEDを有する。
【0179】
一部の実施形態において、本発明の方法により処置される対象はRVOを有する。一部の実施形態において、本開示の方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の第1の負荷用量を、RVOの処置を必要とする対象(例えば、ヒト患者)に投与すること、およびその後にさらに1回の負荷用量を投与して抗VEGF治療の治療結果(例えば、視力の改善、症状の低減など)を達成することを含み、治療結果は、最終負荷用量が投与された後に少なくとも8週間保持される。一部の実施形態において、治療結果は、最終負荷用量が投与された後に少なくとも10週、例えば、少なくとも12週、少なくとも14週、少なくとも16週、少なくとも20週、少なくとも24週、少なくとも28週、少なくとも32週、少なくとも36週、少なくとも40週、例えば少なくとも52週にわたり保持される。一部の実施形態において、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の1回または複数回の後続用量(例えば、維持用量)を最終負荷用量後に投与することをさらに含む。後続用量は、対象に8週毎に1回以下の頻度、例えば、10週毎、12週毎、14週毎、16週毎、18週毎、20週毎、24週毎、28週毎、32週毎、36週毎、40週毎、44週毎、48週毎、例えば52週毎に投与されてもよい。
【0180】
眼障害を有する対象を処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1~3回の負荷用量であるが3回以下の負荷用量を対象に投与すること、および抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの後続適用を、直近の負荷用量が投与された14週以後に提供することを含む、方法もまた本明細書において提供される。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの後続適用は、直近の負荷用量が投与された16週以後、例えば、18週以後、20週以後、24週以後、28週以後、32週以後、36週以後、例えば40週以後に提供される。一部の実施形態において、処置される眼障害はDMEである。
【0181】
眼障害について対象を処置する方法であって、眼障害の処置を必要とする対象に抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の月毎の負荷用量を1、2または3か月にかけて投与すること、および抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を、最終負荷用量後に8週以上毎に投与することを含む、方法もまた提供される。一部の実施形態において、眼障害は、AMD(例えば、wAMD)、DME、RVOまたはDRである。一部の実施形態において、眼障害はRVOである。一部の実施形態において、眼障害は、wAMD、DMEまたはDRであり、かつ抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの後続用量は、最終負荷用量後に12週以上毎、例えば、16週毎、20週毎、24週毎、28週毎、32週毎、36週毎、40週毎、例えば52週毎に投与される。一部の実施形態において、眼障害はwAMDであり、かつ抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの後続用量は、12週以上毎に投与される。一部の実施形態において、眼障害は、高度な色素上皮剥離(PED)を有しない滲出型AMDである。一部の実施形態において、対象は、対象の目におけるベースライン中心サブフィールド網膜厚(CST)が500ミクロンまたはより大きい場合に、高度なPEDを有する。
【0182】
一部の実施形態において、本開示の方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の少なくとも1回かつ3回までの負荷用量を、眼障害の処置を必要とする対象に投与し、それにより抗VEGF治療の治療結果を達成すること、対象の目の健康状態を最終負荷用量後に評価して、抗VEGF治療の治療結果が保持されているかどうかを決定すること、および最終負荷用量後に少なくとも8週間、抗VEGF治療がもはや保持されていないと決定されるまで、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートのいかなる後続用量も投与しないことを含む。一部の実施形態において、眼障害は、AMD(例えば、wAMD)、DMEまたはRVOである。一部の実施形態において、眼障害はRVOである。一部の実施形態において、眼障害はwAMDまたはDMEであり、かつ抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの後続用量は、最終負荷用量の少なくとも12週後に投与される。一部の実施形態において、眼障害はwAMDであり、かつ方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の後続用量を最終負荷用量の約24か月後に投与することを含む。一部の実施形態において、眼障害は、高度な色素上皮剥離(PED)を有しない滲出型AMDである。一部の実施形態において、対象は、対象の目におけるベースライン中心サブフィールド網膜厚(CST)が500ミクロンまたはより大きい場合に、高度なPEDを有する。
【0183】
一部の実施形態において、本開示の方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の少なくとも1回かつ3回までの負荷用量を、眼障害の処置を必要とする対象に投与して、抗VEGF治療の治療結果(例えば、視力の改善、症状の低減など)を達成すること、および抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を最終負荷用量後に8週以上毎に投与することを含み、抗VEGF治療の治療結果は、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を最終負荷用量後に4週毎に投与する場合と同様に有効に保持される。一部の実施形態において、眼障害は、AMD(例えば、wAMD)、DMEまたはRVOである。一部の実施形態において、眼障害はRVOである。一部の実施形態において、眼障害はwAMDまたはDMEであり、かつ抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量は、最終負荷用量後に12週以上毎に投与され、抗VEGF治療の治療結果は、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を最終負荷用量後に4週毎に投与する場合と同様に有効に保持される。一部の実施形態において、眼障害はwAMDであり、かつ方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の後続用量を最終負荷用量の約24か月後に投与することを含む。一部の実施形態において、眼障害は、高度な色素上皮剥離(PED)を有しない滲出型AMDである。一部の実施形態において、対象は、対象の目におけるベースライン中心サブフィールド網膜厚(CST)が500ミクロンまたはより大きい場合に、高度なPEDを有する。
【0184】
一部の実施形態によれば、本開示の方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の少なくとも1回かつ3回までの負荷用量を、眼障害の処置を必要とする対象に投与して、抗VEGF治療の治療結果(例えば、視力の改善、症状の低減など)を達成すること、および抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を最終負荷用量後に12週以上毎に投与することを含み、抗VEGF治療の治療結果が、眼障害に対する標準治療の処置での治療結果と同様に有効に保持され、標準治療の処置が、標準治療の治療剤の3回の月毎の負荷用量を投与すること、および標準治療の治療剤の1回または複数回の後続用量を標準治療の治療剤の最終負荷用量後に8週毎、または4週毎に投与することを含む。一部の実施形態において、眼障害はwAMDである。一部の実施形態において、眼障害は、高度な色素上皮剥離(PED)を有しない滲出型AMDである。一部の実施形態において、対象は、対象の目におけるベースライン中心サブフィールド網膜厚(CST)が500ミクロンまたはより大きい場合に、高度なPEDを有する。一部の実施形態において、標準治療の治療剤はアフリベルセプトである。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量は、16週以上毎、例えば、20週以上毎、24週以上毎、28週以上毎、例えば32週以上毎に、抗VEGF抗体コンジュゲートの最終負荷用量後に投与される。
【0185】
DMEを患う対象における目の再灌流の方法であって、DME、DRまたはRVOを有する対象を同定すること、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の少なくとも2回の負荷用量を対象に投与すること、および対象が少なくとも1つの目における再灌流を示すまで抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの1回または複数回のさらなる用量を対象に提供することを含む、方法もまた本明細書において提供される。目の再灌流は、任意の好適な度合を使用してモニターされてもよい。一部の実施形態において、目の再灌流は、処置前の状態と比較した、例えば、網膜組織における、血管数における増加により決定される。目の再灌流は、任意の好適な方法を使用してモニターされてもよく、該方法としては、OCTアンギオグラフィー(OCT-A)、フルオレセイン血管造影図または超広視野フルオレセイン血管造影図が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態において、方法は、処置前の無灌流の面積に対して少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、例えば約100%の無灌流の面積における低減により測定されるような目の灌流の改善を提供する。一部の実施形態において、方法は、処置前の無灌流の面積に対して10%~100%、例えば、10%~75%、10%~50%、例えば10%~30%の無灌流の面積における低減により測定されるような目の再灌流を提供する。一部の実施形態において、灌流の改善は、処置前のレベルに対して対象における視力の少なくとも10%の回復、例えば、少なくとも20%の回復、少なくとも30%の回復、少なくとも50%の回復、少なくとも75%の回復、少なくとも90%の回復、例えば約100%の回復を提供する。一部の実施形態において、灌流の改善は、処置前のレベルに対して対象における視力の10%~100%の回復、例えば、10%~90%の回復、10%~75%の回復、10%~50%の回復、例えば10%~30%の回復を提供する。
【0186】
負荷用量は、所望の治療結果を達成するために任意の好適な時間間隔で対象に投与されてもよい。一部の実施形態において、負荷用量は、各負荷用量の間に3週またはより長く、例えば、4週またはより長く、1か月またはより長く、5週またはより長く、6週またはより長く、8週またはより長く、12週またはより長く、例えば16週またはより長くを伴って投与される。2回よりも多くの負荷用量がある場合、各負荷用量の間の期間は、同じであってもよく、または異なってもよい。一部の実施形態において、負荷用量の一部は同じ間隔で投与されてもよく、かつ一部の他の負荷用量は異なる間隔で投与されてもよい。
【0187】
抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの任意の好適な量が、対象にある負荷用量において投与されてもよい。一部の実施形態において、負荷用量は、約1mgまたはより多く、例えば、約1.25mgまたはより多く、約1.5
mgまたはより多く、約1.75mgまたはより多く、約2mgまたはより多く、約2.5mgまたはより多く、約3mgまたはより多く、約3.5mgまたはより多く、約4mgまたはより多く、約4.5mgまたはより多く(of more)、例えば約5mgまたはより多く(抗VEGF抗体部分の重量による)の抗VEGF抗体コンジュゲートを含む。一部の実施形態において、負荷用量は、約1mg~約10mg、例えば、約1mg~約7.5mg、約1.25mg~約5mg、例えば約2mg~約5mg(抗VEGF抗体部分の重量による)の抗VEGF抗体コンジュゲートを含む。
【0188】
抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、眼障害の処置を必要とする対象に投与することにより眼障害を処置する方法であって、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの単回用量が、抗VEGF治療の治療効果を得るために十分なものである、方法もまた本明細書において提供される。一部の実施形態において、継続する治療効果は、いかなる負荷用量も投与することなく(例えば、処置スケジュール中に月毎の負荷用量を用いる負荷期を有することなく)、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの単回用量により得られる。一部の実施形態において、眼障害は非増殖性DRである。一部の実施形態において、VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質は、非増殖性DRを有する患者に、対象の少なくとも1つの目における灌流を改善するために投与される。
【0189】
抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの任意の好適な量が、対象にある用量において投与されてもよい。一部の実施形態において、用量は、1mgまたはより多く、例えば、1.25mgまたはより多く、1.5mgまたはより多く、1.75mgまたはより多く、2mgまたはより多く、2.5mgまたはより多く、3mgまたはより多く、3.5mgまたはより多く、4mgまたはより多く、4.5mgまたはより多く、例えば5mgまたはより多く(抗VEGF抗体部分の重量による)の抗VEGF抗体コンジュゲートを含む。一部の実施形態において、用量は、1mg~10mg、例えば、1mg~7.5mg、1.25mg~5mg、例えば2mg~5mg(抗VEGF抗体部分の重量による)の抗VEGF抗体コンジュゲートを含む。
【0190】
一部の実施形態において、本開示の方法は、眼内炎症(例えば、眼瞼炎、感染性結膜炎、角膜炎、強膜炎、眼内炎)のリスクが低減される、眼障害に対する抗VEGF治療を提供する。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の硝子体内投与は、例えば、眼障害に対する標準治療の処置と比較した、眼内炎症のリスクの低減と関連付けられる。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の硝子体内投与は眼内炎症を引き起こさない。
【0191】
一部の実施形態において、wAMDの再処置は、以下のうちの1つまたは複数を伴う:
【0192】
- 12週目と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う≧75μmのCSTにおける増加、または
【0193】
- wAMD活動性の悪化に起因する、1日目と比較した、>5文字のBCVAにおける減少、または
【0194】
- wAMD活動性の悪化に起因する、最良の以前のBCVAと比較した、≧10文字
のBCVAにおける減少。
【0195】
一部の実施形態において、wAMDの再処置は、以下のうちの1つまたは複数を伴う:
【0196】
- 12週目と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う≧50μmのCSTにおける増加、または
【0197】
- wAMD活動性の悪化に起因する、最良の以前のBCVAと比較した、>10文字のBCVAにおける減少、または
【0198】
- 12週目と比較した、≧75ミクロンの増加、または
【0199】
- 新たな黄斑出血。
【0200】
一部の実施形態において、DMEおよびRVOの再処置は、以下のうちの1つまたは複数を伴う:
【0201】
- 12週目もしくは以前の来診と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う≧75μmのCSTにおける増加、または
【0202】
- DME/RVO疾患活動性の悪化に起因する、最良の以前のBCVAと比較した、≧10文字のBCVAにおける減少。
【0203】
一部の実施形態において、0、1、2、3、4、5、または6回以下の再処置事象が対象のために1年の持続期間、例えば1、2、3または4年の持続期間にかけて要求される。
【0204】
一部の実施形態において、再処置は、上記の基準のうちの1つまたは複数が起こる場合に行われる。一部の実施形態において、再処置は、対象のための直近の負荷用量または処置に後続する処置である。負荷用量は、初期治療効果を得るために所望のレベルまで患者または対象における薬物の量を至らせるように最初に提供される用量である。対照的に、再処置用量、または維持用量は、以前の用量(直近の負荷用量もしくは再処置/維持用量)の有効性が解消された後に、または予め決定された間隔で、対象に対する薬物の治療効果を戻すために提供される用量である。
【0205】
一部の実施形態において、方法は、以下の再処置基準のうちの少なくとも1つが満たされる場合に、抗体またはそのコンジュゲート(例えば、KSI-301)の硝子体内注射を用いて再処置を施すことを伴う。一部の実施形態において、基準は、疾患の再発の徴候および/または疾患の再発に起因する視力低下に関する。一部の実施形態において、対象はwAMDを有し、かつ基準は、以下のうちの1つまたは複数である:12週目と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う≧75μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;wAMD疾患活動性の悪化(例えば網膜内流体の増加、網膜下流体の増加、新たな網膜内出血、新たな網膜下出血)に起因する、1日目と比較した、≧10文字のBCVAにおける減少;および/またはwAMD疾患活動性に起因する、最良の以前のBCVAと比較した、≧10文字のBCVAにおける減少。一部の実施形態において、対象はDMEまたはRVOを有し、かつ基準は以下のうちの1つまたは複数である:12週目もしくは以前の来診(来診間に4週の間隔)と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う≧75μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;および/またはDME/RVO疾患活動性の悪化(例えば網膜内流体の増加、網膜下流体の増加、新たな網膜内出血、新たな滲出物)に起因する、最良の以前のBCVAと
比較した、≧10文字のBCVAにおける減少。
【0206】
一部の実施形態において、方法は、以下の再処置基準のうちの少なくとも1つが満たされる場合に、抗体またはそのコンジュゲート(例えば、KSI-301)の硝子体内注射を用いて再処置を施すことを伴う。一部の実施形態において、基準は、疾患の再発の徴候および/または疾患の再発に起因する視力低下に関する。一部の実施形態において、対象はwAMDを有し、かつ基準は以下のうちの1つまたは複数である:12週目と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う≧50μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;wAMD疾患活動性の悪化(例えば網膜内流体の増加、網膜下流体の増加、新たな網膜内出血、新たな網膜下出血)に起因する、最良の以前のBCVAと比較した、≧10文字のBCVAにおける減少;≧75μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;および/または新たな黄斑出血。
【0207】
一部の実施形態において、再処置用量は、対象に直近の負荷用量後に少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52またはより多くの週にわたり与えられない。一部の実施形態において、1回の負荷用量が投与され、かつ再処置用量は、対象に負荷用量後に少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52またはより多くの週にわたり与えられない。一部の実施形態において、2回の負荷用量が対象に与えられ、かつ再処置用量は、直近の負荷用量後に少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52またはより多くの週にわたり与えられない。一部の実施形態において、3回の負荷用量が対象に与えられ、かつ再処置用量は、直近の負荷用量後に少なくとも少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52またはより多くの週にわたり与えられない。一部の実施形態において、1~2回の負荷用量が対象に与えられ、かつ再処置用量は、直近の負荷用量後に少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52またはより多くの週にわたり与えられない。一部の実施形態において、1~3回の負荷用量が対象に与えられ、かつ1、2、3、または4回の再処置用量が、直近の負荷用量後に少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52またはより多くの週にわたり与えられる。一部の実施形態において、2、3、4、または5回以下の負荷用量が対象に投与される。一部の実施形態において、4回目の負荷用量は対象に提供されない。一部の実施形態において、上記の処置アプローチは、1回目、2回目または3回目の負荷用量後に達成されるレベルまたはその近くまで対象の視力が改善されたままとなることを可能とする。一部の実施形態において、上記の処置アプローチは、対象の再処置を要求しない点まで対象の視力が改善されたままとなることを可能とする。
【0208】
一部の実施形態において、本開示の方法は、長い投薬間隔を提供し、かつ抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)治療、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)治療の治療結果を依然として持続させることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の少なくとも75%は、Q4Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の少なくとも90%は、Q4Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%は、Q4Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の約40~約95%、例えば、約45~約90%、約50~約85%、約55~約85%、約60~約85%、約65~約85%、例えば約70~約80%は、Q4Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の少なくとも75%は、Q5Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%は、Q5Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の約40~約95%、例えば、約45~約90%、約50~約85%、約55~約85%、約60~約85%、約65~約85%、例えば約70~約80%は、Q5Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の少なくとも55%は、Q6Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の少なくとも70%は、Q6Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の少なくとも75%は、Q6Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%は、Q6Mの投薬間隔であることができる。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者の約30~約85%、例えば、約30~約80%、約35~約75%、約40~約70%、約45~約65%、約50~約65%、例えば約50~約60%は、Q6Mの投薬間隔であることができる。
【0209】
一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する患者)は、Q5Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する少なくとも75%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する患者)は、Q5Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する患者)は、Q5Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する約40~約95%、例えば、約45~約90%、約50~約85%、約55~約85%、約60~約85%、約65~約85%、例えば約70~約80%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する患者)は、Q6Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する少なくとも55%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する患者)は、Q6Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する少なくとも70%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する患者)は、Q6Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する少なくとも80%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する患者)は、Q6Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置される患者(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する患者)は、Q6Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する約30~約85%、例えば、約30~約80%、約35~約75%、約40~約70%、約45~約65%、約50~約65%、例えば約50~約60%の可能性を有する。
【0210】
一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置されるRVOを有する患者は、Q4Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する少なくとも75%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置されるRVOを有する患者は、Q5Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する少なくとも80%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置されるRVOを有する患者は、Q5Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する少なくとも90%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置されるRVOを有する患者は、Q4Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%または少なくとも900%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の方法にしたがって処置されるRVOを有する患者は、Q4Mの投薬間隔で抗VEGF治療の治療結果を維持する約40~約95%、例えば、約45~約95%、約50~約95%、約55~約95%、約60~約95%、約65~約95%、例えば約70~約90%の可能性を有する。
【0211】
一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって1、2、3、4、5、または6回の負荷用量(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量)を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)の50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージは、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約28週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない。一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって3回の負荷用量(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量)を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)の50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージは、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約28週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない。
【0212】
一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)1、2、3、4、5、または6回の負荷用量を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)は、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約28週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージの可能性を有する(および代替的に、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、11.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5,8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20年またはより長きにわたり、KSI-301(または代替的に、抗VEGFタンパク質治療剤、例えばアフリベルセプトバイオコンジュゲート)の別の注射のその後の必要性なしに過ごすことができる)。一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)3回の負荷用量を投与されたwAMDを有する対象は、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約28週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない約70%またはより高い%の可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)3回の負荷用量を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)は、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約28週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージの可能性を有する。
【0213】
一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって1、2、3、4、5、または6回の負荷用量(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量)を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)の50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージは、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約24週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない。一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって3回の負荷用量(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量)を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)の50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージは、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約24週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない。
【0214】
一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)1、2、3、4、5、または6回の負荷用量を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)は、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約24週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージの可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって(例えば、KSI-301の)3回の負荷用量を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)は、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約24週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージの可能性を有する。
【0215】
一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって1、2、3、4、5、または6回の負荷用量(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量)を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)の50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージは、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約20週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない。一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって3回の負荷用量(例えば、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量)を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)の50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージは、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約20週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない。
【0216】
一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)1、2、3、4、5、または6回の負荷用量を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)は、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約20週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくは
より高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージの可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)3回の負荷用量を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)は、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約20週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージの可能性を有する。
【0217】
一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって1、2、3、4、5、または6回の負荷用量(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量)を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)の50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージは、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約16週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない。一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって3回の負荷用量(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷用量)を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)の50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージは、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約16週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない。
【0218】
一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって(抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の)1、2、3、4、5、または6回の負荷用量を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)は、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約16週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージの可能性を有する。一部の実施形態において、本開示の一部の方法にしたがって(例えば、KSI-301の)3回の負荷用量を投与された対象(例えば、眼障害、以下に限定されないが例えばwAMD、RVOまたはDMEを有する対象)は、直近の負荷用量後、または直近の再処置用量後に少なくとも約16週間、(例えば、1つまたは複数の再処置基準を満たす疾患活動性に起因する)再処置用量を与えられない50%もしくはより高い%、55%もしくはより高い%、60%もしくはより高い%、65%もしくはより高い%、70%もしくはより高い%、75%もしくはより高い%、80%もしくはより高い%、85%もしくはより高い%、90%もしくはより高い%、95%もしくはより高い%、もしくは約100%、または先行する値の任意の2つにより定義される範囲内のパーセンテージの可能性を有する。
【0219】
本明細書において提供される眼障害(例えば、wAMD、RVOおよび/またはDME)のいずれかについての一部の実施形態において、2または3回の負荷用量は、障害の永久的な解消を提供し、その結果、さらなる再処置または維持用量は要求されない。本明細書において提供される眼障害(例えば、wAMD、RVOおよび/またはDME)のいずれかについての一部の実施形態において、2または3回の負荷用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年またはより長きにわたり障害の有効な抑制を提供し、その結果、維持用量のさらなる再処置はその期間の間に要求されない。
【0220】
一部の実施形態において、上記の投薬スケジュールのいずれかは、任意の眼障害からである。一部の実施形態において、それは、RVO、AMD、wAMD、および/もしくはDME、ならびに/または本明細書において提供される他の障害のいずれかの処置および/または予防のためである。
【0221】
一部の実施形態において、wAMD患者は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の使用を介して3~6か月の持久性を達成する。
【0222】
一部の実施形態において、DME患者は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の使用を介して3回の負荷用量のみで3~5+か月の持久性を達成する。一部の実施形態において、DME患者は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の使用を介して3回の負荷用量のみで3~6+か月の持久性を達成する。
【0223】
一部の実施形態において、RVO患者は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の使用を介して3回の負荷用量のみで2~4+か月の持久性を達成する。一部の実施形態において、RVO患者は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の使用を介して3回の負荷用量のみで2~5+か月の持久性を達成する。
【0224】
一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の使用を介する3回の負荷用量でのPDRにおける持続された改善。
【0225】
一部の実施形態において、DMEおよびRVOにおける負荷用量の回数の低減が、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の使用を介して達成される。一部の実施形態において、滲出型AMDのための投薬スケジュールは、3~5か月毎(但し、一部のwAMD患者は8週毎の投薬から利益を受け得る)。一部の実施形態において、DMEのための投薬スケジュールは3~6か月毎である。一部の実施形態において、RVOのための投薬スケジュールは8週またはより長い期間毎(例えば、6か月毎)である。一部の実施形態において、糖尿病網膜症(糖尿病黄斑浮腫を伴わない)のための投薬スケジュールは3か月またはより長い期間毎(例えば、4か月毎もしくは6か
月毎)である。一部の実施形態において、投薬スケジュールは、糖尿病網膜症(非増殖性(non-proiliferative)糖尿病網膜症および増殖性糖尿病網膜症を処置するために適用され得る。
【0226】
一部の実施形態において、負荷用量後に1回より多くの再処置を与えられたRVO患者、第2の再処置までの時間は、第1の再処置までの時間よりも長い。これもまた、驚くべきおよび予想外である。
【0227】
一部の実施形態において、対象に投与される抗体の量は、1~5mg、例えば、1.25(25マイクロリットル)、2.5(50マイクロリットル)または5mg(100マイクロリットル)である。
【0228】
一部の実施形態において、2回の負荷用量のみが適用され、次に8週毎に再処置用量が適用される(例えば、RVOのため)。RVOの場合において、2回の負荷用量のみまたは3回の負荷用量の使用であっても月毎と同様の良好なアウトカムを有することは驚くべきおよび予想外である(Lucentis(登録商標)、Eylea(登録商標)、およびAvastin(登録商標)の全ては、一次的な結果のために月毎の投薬を必要とすることをデータは示す)。一部の実施形態において、DMEについて抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を使用して、3回の負荷用量で良好な結果を得ることが可能である一方、他の抗体システムは4または5回の月毎の負荷用量を要求する。
【0229】
一部の実施形態において、非増殖性DRについて、任意の負荷用量を回避することができ、または処置を得るために単回の負荷用量のみを含むことができる。
【0230】
一部の実施形態において、非増殖性または増殖性糖尿病網膜症を有する患者において糖尿病網膜症の重症度を減少させることができる。DMEと同じ処置レジメン(3回の負荷用量および次にq12wもしくはより低い頻度)、または「負荷用量なしもしくは2回の負荷用量、次に3、4、もしくは6か月毎」)を使用してこれを達成することができる。一部の実施形態において、アウトカムは、1)網膜の標準的なカラー写真における糖尿病網膜症重症度状態の2つもしくはより多くのステップにおける改善または2)写真を使用してDRSSの2つもしくはより多くのステップの悪化の予防があることを測定する。一部の実施形態において、再処置は、8週毎に1回よりも低い頻度で為される。
【0231】
一部の実施形態において、投薬スケジュールは、1~2回の負荷用量、またはただ1回だけの負荷用量を用いて非増殖性DRに応用され得る。再処置は、その12または16または24週以後に行うことができる。
【0232】
一部の実施形態において、増殖性DRについて、3回の月毎の負荷用量が適用され、続いて12週またはより長い期間毎とすることができる。
【0233】
一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートを投与する方法であって、患者が負荷期(例えば、q4週の2回の負荷用量)、次に8週時の再処置を与えられ、第2の再処置までの時間が第1の再処置までの時間よりも長い(例えば、16+週)、方法が提供される。一部の実施形態において、これは「疾患修飾」を反映する。
【0234】
一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマー
コンジュゲート)は、虚血性領域の「再灌流」のために糖尿病を有する対象に投与することができ、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の用量(または抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の負荷期、例えば、4週毎に3回、そのため0日目、4週目、8週目の3回の負荷用量)、次に必要に応じて再処置が与えられる。
【0235】
一部の実施形態において、眼障害の疾患修飾の方法が提供される。方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、眼障害を有する対象に第1の負荷用量において投与することを含み、それにより、眼障害が、対象にとって有益な方式で修飾される。
【0236】
一部の実施形態において、眼障害を処置する方法が提供される。方法は、DME、DRまたはRVOを有する対象を同定すること;抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1~6回の負荷用量を対象に投与すること;抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の第1の再処置用量を対象に直近の負荷用量から第1の時間量後に提供すること;および抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の第2の再処置用量を対象に、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の第1の再処置用量から第2の時間量後に提供することを含み、第2の時間量は第1の時間量よりも大きい。一部の実施形態において、第2の時間量は、第1の時間量よりも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%またはより高い%だけ大きい。一部の実施形態において、第2の時間量は、第1の時間量よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16またはより多くの週だけ長い。一部の実施形態において、負荷用量は、対象に投与される、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の3回の用量を含む。
【0237】
一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を用いてDMEまたは増殖性糖尿病網膜症または非増殖性糖尿病網膜症を処置する方法であって、(虚血性組織の)再灌流を結果としてもたらし、したがって基礎疾患の改善となる、方法において応用することができる。灌流および再灌流という用語は本明細書において交換可能に使用される。
【0238】
一部の実施形態において、負荷注射および第1の再処置注射後に、各その後の再処置注射は、第1の再処置注射よりも低い頻度で為される。すなわち、再処置注射の間の時間量を増加させ、本発明の方法の特性を与えることができる。特に、時間量は、各その後の再処置注射について1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはより多くの週だけ増加させることができる。一部の実施形態において、時間量は、各再処置の間に1、2、3、4、5、6、7、8、90、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、500、1000、5000、10,000パーセントまたはより高いパーセントだけ増加される。
【0239】
一部の実施形態において、眼障害を処置する方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与することであって、眼障害が糖尿病黄斑浮腫(DME)である、投与すること;および負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すことを含むことができ、それにより、対象は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)、治療の治療結果を、最終負荷用量後に少なくとも8週間保持する。一部の実施形態において、対象は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、治療、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)治療の治療結果を、最終負荷用量後に少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、34、36、38、40、44、48、52、56、または60またはより多くの週にわたり保持する。一部の実施形態において、負荷用量は、2回、または3回投与される。一部の実施形態において、負荷用量は、月毎または2か月毎に投与される。
【0240】
一部の実施形態において、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1回または複数回の後続用量を対象に最終負荷用量後に投与することをさらに含む。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量は、Q8W、Q12W、Q16W、Q20W、またはQ24W、またはより長い間隔の投薬スケジュールで投与される。一部の実施形態において、投薬スケジュールはQ8W~Q24Wである。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量は、対象に第1の負荷用量後の少なくとも約1年、約2年、または約3年以内に投与されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回よりも多くの後続用量は、対象に第1の負荷用量後の少なくとも約1年、約2年、または約3年以内に投与されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの2回よりも多くの後続用量は、対象に第1の負荷用量後の少なくとも約1年、約2年、または約3年以内に投与されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの3回よりも多くの後続用量は、対象に第1の負荷用量後の少なくとも約1年、約2年、または約3年以内に投与されない。
【0241】
一部の実施形態において、眼障害を処置する方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与することであって、眼障害が滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)である、投与すること;および負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すことを含み、それにより、対象は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも12週間保持する。一部の実施形態において、対象は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、治療の治療結果を、最終負荷用量後に少なくとも12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、34、36、38、40、44、48、52、56、または60またはより多くの週にわたり保持する。一部の実施形態において、負荷用量は、2回、または3回投与される。一部の実施形態において、負荷用量は、月毎または2か月毎に投与される。
【0242】
一部の実施形態において、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1回または複数回の後続用量を対象に最終負荷用量後に投与
することをさらに含む。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの後続用量は、Q2W、Q4W、Q8W、Q12W、Q16W、Q20W、またはQ24W、またはより長い間隔の投薬スケジュールで投与される。一部の実施形態において、投薬スケジュールはQ12W~Q20Wである。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの1、2、3、もしくは4回よりも多くの後続用量、または後続用量は、対象に第1の負荷用量の約1年以内に投与されない。一部の実施形態において、投薬スケジュールはQ12W~Q20Wである。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの1、2、3、もしくは4回よりも多くの後続用量、または後続用量は、対象に第1の負荷用量の約2年以内に投与されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの1、2、3、もしくは4回よりも多くの後続用量、または後続用量は、対象に第1の負荷用量の約3年以内に投与されない。
【0243】
一部の実施形態において、眼障害を処置する方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を、眼障害の処置を必要とする対象に第1の負荷用量において投与することであって、眼障害が網膜静脈閉塞症(RVO)、例えば、CRVOまたはBRVOである、投与すること;および負荷用量を少なくとも1回かつ2回以下で繰り返すことを含み、それにより、対象は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、治療、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)治療の治療結果を、最終負荷用量後に少なくとも8週間保持する。一部の実施形態において、対象は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、治療、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)治療の治療結果を、最終負荷用量後に少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、34、36、38、40、44、48、52、56、または60またはより多くの週にわたり保持する。一部の実施形態において、負荷用量は、2回、または3回投与される。一部の実施形態において、負荷用量は、月毎または2か月毎に投与される。
【0244】
一部の実施形態において、方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の1回または複数回の後続用量を対象に最終負荷用量後に投与することをさらに含む。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量は、Q8W、Q12W、Q16W、Q20W、またはQ24W、またはより長い間隔の投薬スケジュールで投与される。一部の実施形態において、投薬スケジュールは、Q8Wまたはより長い間隔である。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続用量は、対象に第1の負荷用量後の少なくとも約1年、約2年、または約3年以内に投与されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの1回よりも多くの後続用量は、対象に第1の負荷用量後の少なくとも約1年、約2年、または約3年以内に投与されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの2回よりも多くの後続用量は、対象に第1の負荷用量後の少なくとも約1年、約2年、または約3年以内に投与されない。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートの3回よりも多くの後続用量は、対象に第1の負荷用量後の少なくとも約1年、約2年、または約3年以内に投与されない。
【0245】
一部の実施形態において、眼障害を処置する方法は、眼障害の処置を必要とする対象に治療有効量の抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート
)を投与し、眼障害が糖尿病網膜症(DR)であり、該投与により眼障害を処置することを含む。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートは、Q12W、Q16W、Q20W、またはQ24W、またはより長い間隔の投薬スケジュールにしたがって投与される。一部の実施形態において、投薬スケジュールはQ12W~Q24Wである。一部の実施形態において、方法は、対象に抗VEGF抗体コンジュゲートの少なくとも1回の負荷用量であるが2回以下の負荷用量を投与することをさらに含む。一部の実施形態において、任意の2回の連続する負荷用量の間の時間は約4または8週(月毎に1回または2か月毎に1回)である。
【0246】
一部の実施形態において、眼障害を処置する方法は、眼障害の処置を必要とする対象に抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)の複数回の用量のうちの第1の用量を投薬スケジュールにおいて投与することであって、投薬スケジュールが、抗VEGF抗体コンジュゲートの1~3回の負荷用量を含む負荷投薬スケジュールであって、第1の用量が負荷用量である、負荷投薬スケジュール;続いて最終負荷用量後の抗VEGF抗体コンジュゲートの1回または複数回の後続用量を含む維持投薬スケジュールであって、Q8Wまたはより長い間隔の予め決定された投薬スケジュールを含む、維持投薬スケジュールを含む、投与することを含む。一部の実施形態において、予め決定された投薬スケジュールは、Q8W、Q12W、Q16W、Q20W、またはQ24W、またはより長い間隔である。一部の実施形態において、眼障害はwAMDであり、かつ予め決定された投薬スケジュールは、Q12Wまたはより長い間隔、例えば、Q16W、Q20W、もしくはQ24W、もしくはより長い間隔である。一部の実施形態において、眼障害は、DME、DR、またはRVOである。
【0247】
一部の実施形態において、方法は、個別化された投薬スケジュールを含む。個別化された投薬スケジュールを用いる眼障害を処置する方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、治療、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)治療の治療結果を、対象において第1の用量(例えば、負荷用量または維持用量)後の1つまたは複数の時点において評価すること;および抗VEGF抗体コンジュゲート、または抗VEGFタンパク質コンジュゲートの後続用量を対象に、予め決定された投薬スケジュールにより指定されるその後の時点において、治療結果が対象により保持されていない場合に、投与し、治療結果が対象により保持されている場合には、後続用量を投与するまでの時間間隔を延長することを含むことができる。一部の実施形態において、対象の目の健康状態、例えば網膜の健康状態は、直近の用量、例えば、直近の負荷用量、または直近の維持用量後に、4、8、もしくは12週、または上記の値により定義される範囲内の任意の時点のフォローアップ来院において評価(evaluatedまたはassessed)されてもよい。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート治療または抗VEGFタンパク質コンジュゲート治療の治療結果は、本明細書において開示されるような任意の好適なオプション(例えば、視力、網膜厚など)により評価されてもよい。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート治療または抗VEGFタンパク質コンジュゲート治療の治療結果が、本明細書に開示されるように保持される場合、後続用量、例えば、維持用量は必要とされず、実際の投薬スケジュールは、予め決定された投薬スケジュールから逸脱してもよい。一部の実施形態において、次の後続用量、例えば、維持用量は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療または抗VEGFタンパク質コンジュゲート治療の治療結果が保持される限り、延期される。一部の実施形態において、例えば、実際の投薬スケジュールは、直近の負荷用量または直近の維持用量後の8週時に、対象の処置された目が抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を保持する場合に、予め決定されたQ8W投薬スケジュールから逸脱してもよく、抗VEGF抗体コンジュゲートは、スケジュールされた時点において投与されない。一部の実施形態において、次の維持用量は、抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果が保持される限り、無期限に延期されてもよい。
【0248】
一部の実施形態において、眼障害を処置する方法は、眼障害の処置を必要とする対象を同定することであって、眼障害が推定眼ヒストプラズマ症候群である、同定すること;および対象の硝子体内に治療有効量の抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を投与し、それにより眼障害を処置することを含む。一部の実施形態において、治療有効量は、約1mg~約5mg、約1.25mg~約5mg、または約2.5mg~約5mg(抗VEGF抗体部分の重量による)の抗VEGF抗体コンジュゲートを含む。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートまたは抗VEGFタンパク質コンジュゲートの1回よりも多くの注射は、眼障害を処置するために要求されない。
【0249】
一部の実施形態において、眼障害の処置を必要とする対象に抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の3回以下の負荷用量を投与することは、少なくとも24週またはより長く続く治療結果を提供する。一部の実施形態において、眼障害の処置を必要とする対象に抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の2回以下の用量を投与することは、少なくとも24週またはより長く続く治療結果を提供する。一部の実施形態において、眼障害の処置を必要とする対象に抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の1回以下の用量を投与することは、少なくとも24週またはより長く治療結果を提供する。一部の実施形態において、最終負荷用量後に、抗VEGF抗体コンジュゲートの追加用量(例えば、維持用量)は、対象に少なくとも24週間投与されない(すなわち、それはその時間的期間のために有効であり、その結果、追加の維持または再処置用量はその時間の間に要求されない)。一部の実施形態において、1回の負荷用量を投与した後に、抗VEGF抗体コンジュゲートの追加用量(例えば、維持用量)は、対象に少なくとも24週間投与されない。一部の実施形態において、2回の負荷用量を投与した後に、抗VEGF抗体コンジュゲートの追加用量(例えば、維持用量)は、対象に少なくとも24週間投与されない。一部の実施形態において、3回の負荷用量を投与した後に、抗VEGF抗体コンジュゲートの追加用量(例えば、維持用量)は、対象に少なくとも24週間投与されない。一部の実施形態において、負荷用量間の間隔は約1か月~約2か月である。一部の実施形態において、負荷用量間の間隔は約1か月または約2か月である。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)は、対象にQ24Wまたはより長い間隔の投薬スケジュール(例えば、維持投薬スケジュール)で投与される。一部の実施形態において、眼障害はwAMDである。一部の実施形態において、眼障害はRVOである。一部の実施形態において、眼障害はDMEである。一部の実施形態において、眼障害はDRである。
【0250】
抗体コンジュゲート
抗VEGF抗体(抗VEGFタンパク質、例えば、アフリベルセプト(afliberccept)を含む)およびそのコンジュゲートが本明細書において提供される。一部の実施形態において、抗体自体が、他の抗VEGF剤とは異なり、他の抗VEGF剤を上回る優位な結果を提供する。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートは、他の抗体、および/または他の抗体コンジュゲートの活性の期待を上回る驚くべき優位性を示す。
【0251】
一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートはKSI-301であり、KSI-301は抗体コンジュゲートであり、
(1)抗VEGF-A抗体;および
(2)ホスホリルコリン含有ポリマー
を含み、ポリマーは、抗VEGF-A抗体の可変領域の外側のシステインにおいて抗VE
GF-A抗体に共有結合しており、かつ前記システインは、配列中の同じ位置に存在する非システインアミノ酸を置き換えており、抗VEGF-A抗体は軽鎖および重鎖を含み、前記重鎖はFc領域を含み、前記システインは重鎖のFc領域中にあり、重鎖の配列は配列番号1を含み、かつ軽鎖の配列は配列番号2を含み、抗体コンジュゲートは、以下の構造:
【0252】
【化9】
【0253】
を有し、抗VEGF-A抗体の各重鎖は文字Hにより表され、かつ抗VEGF-A抗体の各軽鎖は文字Lにより表され;
ポリマーは、EUナンバリングにしたがってC443におけるスルフヒドリルを通じて抗VEGF-A抗体に結合しており、該結合は上記の重鎖の1つにおいて描写されており;
PCは、
【0254】
【化10】
【0255】
であり、曲線はポリマーの残部への結合点を指し示し;かつ
n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9は同じまたは異なり、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n6、n7、n8およびn9の和は2500プラスまたはマイナス15%である。
【0256】
歴史的に、タンパク質への分子のコンジュゲート化は、多くの場合に、その意図される標的へのタンパク質の結合相互作用における減少を結果としてもたらした。本開示の一部の実施形態において、活性部位の外側の位置へのコンジュゲート化の場合、予測されたかもしれないものと同じレベルの減少は必ずしも観察されない。本明細書において提供される証拠は、予測されたかもしれないものと反対の効果を示す。一部の実施形態において、理論により限定されることは意図せずに、コンジュゲートは抗体単独に対して優位であり得る。例えば、リガンドおよびその特異的な受容体の相互作用は、多くの場合に、受容体上の親水性アミノ酸とのリガンド上の親水性アミノ酸の相互作用により導かれるようなリガンドおよび受容体の立体特異的な相互作用を通じて駆動され、水分子はそれらの相互作用において前面および中心にある。同時に、この親水性の立体特異性は、疎水性-疎水性アミノ酸により一般に媒介/作出され得る非特異的な疎水性相互作用を脱強調および/または抑制することによりさらに増強される。
【0257】
一部の実施形態において、VEGFリガンド(「VEGFL」)およびVEGF受容体(「VEGFR」)の間の相互作用の少なくとも90%を遮断することができる抗VEGF抗体コンジュゲートが提供される。例えば、それは、VEGFRおよびVEGFLの間の相互作用の少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または有効に全てを遮断することができる。一部の実施形態において、留意される遮断は、飽和濃度において起こる。一部の実施形態において、VEGFリガンドおよびVEGF受容体の間の相互作用の少なくとも95%を遮断する抗VEGF抗体コンジュゲートが提供される。遮断のそのような優位性の例は、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)またはAvastin(登録商標)(ベバシズマブ)またはさらには抗体OG1950(非コンジュゲート化)よりも高い程度まで遮断する抗VEGF抗体バイオコンジュゲート(本明細書において提供される抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301)の能力である。実際に、抗体へのポリマーの付加(抗体コンジュゲートを形成する)は、抗体の結合/活性に何らかの有害な影響力を有するまたは何らの有害な影響力も有しないことを予測することはできたが、この方式で抗体の遮断能力を実際に向上させることは予想外であったという点で、この結果は予想外であった。
【0258】
一部の実施形態において、抗体またはそのコンジュゲートは、VEGFRおよびVEGFLの間の活性および/または相互作用の少なくとも70、80、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%を阻害する。一部の実施形態において、IC50値は、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100nMであるか、または先行する値の任意の1つもしくは複数よりも低いものであることができる。一部の実施形態において、KDは、2×10^-13、1×10^-13、1×10^-12、1×10^-11、1×10^-10Mであるか、または先行する値のいずれか1つよりも低いものであることができる。一部の実施形態において、IC50値は、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300であるか、または先行する値のいずれか1つよりも低いものであることができる。
【0259】
一部の実施形態において、VEGFリガンドおよびVEGF受容体の間の相互作用の少なくとも90%を遮断する抗VEGF抗体が提供される。例えば、それは、VEGFRおよびVEGFLの間の相互作用の少なくとも91、92、93、94、95、96、97、98、99、または有効に全てを遮断することができる。遮断のそのような優位性の例としては、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)またはAvastin(登録商標)(ベバシズマブ)よりも高い程度まで遮断するOG1950(および本明細書において提供される抗体)の能力である。
【0260】
一部の実施形態において、他の抗体、例えばLucentis(登録商標)(ラニビズマブ)またはAvastin(登録商標)(ベバシズマブ)は、本明細書に記載の方法の1つまたは複数により、本明細書に記載されるようなポリマーの1つまたは複数にコンジュゲート化させることができる。一部の実施形態において、任意の抗体、またはその断片は、本明細書に記載の方法の1つまたは複数により、本明細書に記載されるようなポリマーの1つまたは複数にコンジュゲート化させることができる。
【0261】
一部の実施形態において、抗体は、配列番号1を含む重鎖アミノ酸可変領域および配列番号2を含む軽鎖アミノ酸可変領域を含む。一部の実施形態において、抗体は、本明細書において提供されるポリマーの1つまたは複数にコンジュゲート化される。一部の実施形態において、コンジュゲート化される抗体は、配列番号1および/または2に対して少なくとも90%同一である。一部の実施形態において、抗体は、配列番号1および配列番号2内の6つのCDRの他に、L443C(EUナンバリング、または配列番号1中の449C)の点突然変異を含有する。一部の実施形態において、コンジュゲート化される抗体は、配列番号1および/または2に対して少なくとも90%同一であり、かつ以下の突然変異:L234A、L235A、およびG237A(EUナンバリング)、ならびに以下の突然変異:Q347C(EUナンバリング)またはL443C(EUナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む。
【0262】
一部の実施形態において、VEGF-Aに結合する抗体が提供される。抗体は、配列番号1中のCDR1であるCDR1、配列番号1中のCDR2であるCDR2、配列番号1中のCDR3であるCDR3、配列番号2中のCDR1であるCDR1、配列番号2中のCDR2であるCDR2、配列番号2中のCDR3であるCDR3、以下の突然変異:L234A、L235A、およびG237A(EUナンバリング)のうちの少なくとも1つ、ならびに以下の突然変異:Q347C(EUナンバリング)またはL443C(EUナンバリング)のうちの少なくとも1つを含む。
【0263】
当業者に認識されるように、本明細書に照らして、本明細書において提供される任意の抗体は、本明細書において提供される任意のポリマーにコンジュゲート化することができ、かつ/または本明細書において提供される任意の抗体は、ポリマーへの部位特異的なコンジュゲーションを可能とするようにシステインを付加され得る。
【0264】
「VEGF」または「血管内皮増殖因子」は、血管新生または血管新生プロセスに影響するヒト血管内皮増殖因子である。特に、VEGFという用語は、(i)VEGF受容体
、例えばVEGFR-1(Flt-1)、VEGFR-2(KDR/Flk-1)、またはVEGFR-3(FLT-4)に結合し;(ii)VEGF受容体と関連付けられるチロシンキナーゼ活性を活性化させ;かつ(iii)それにより血管新生または血管新生プロセスに影響する、増殖因子のクラスの任意のメンバーを意味する。
【0265】
VEGFの因子ファミリーは、5つの関連する糖タンパク質:VEGF-A(VPEとしても公知)、-B、-C、-DおよびPGF(胎盤増殖因子)から構成される。これらのうち、VEGF-Aは最もよく研究されており、抗血管新生治療の標的である。非特許文献21。VEGF-Aは、選択的スプライシングおよびタンパク質加水分解の両方により生成される多数の異なるアイソタイプ:VEGF-A206、VEGF-A189、VEGF-A165、およびVEGF-A121として存在する。アイソフォームは、ヘパリンおよびニューロピリンと呼ばれる非シグナル伝達結合性タンパク質に結合する能力において異なる。アイソフォームは全て、二量体として生物学的に活性である。
【0266】
VEGFの様々な効果は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)へのVEGF、例えば、VEGF-A(P15692)、-B(P49766)、-C(P49767)および-D(Q43915)の結合により媒介される。VEGFファミリー受容体はクラスV RTKに属し、各々は細胞外ドメイン(ECD)中に7つのIg様ドメインを有する。ヒトにおいて、VEGFは、3種類のRTK:VEGFR-1(Flt-1)(P17948)、VEGFR-2(KDR、Flk-1)(P935968)およびVEGFR-3(Flt-4)(P35916)に結合する。文脈から他に明らかでなければ、VEGFへの言及は、天然アイソフォームもしくは天然バリアントまたは天然形態に対して少なくとも90、95、98もしくは99%もしくは100%の配列同一性を有する誘導されたバリアントのいずれかの、VEGF-A、-B、-C、-D、およびPGFのいずれかを意味する。一部の実施形態において、そのようなVEGFはヒトVEGFである。同様に、VEGFRへの言及は、任意の天然アイソフォームもしくは天然バリアント、または天然配列に対して少なくとも90、95、98もしくは99%もしくは100%の配列同一性を有する誘導されたバリアントを含めて、VEGR-1、R-2またはR-3のいずれかを意味する。
【0267】
VEGFアンタゴニスト治療は、ある特定のがんおよび滲出型AMDの処置のために承認されている。ベバシズマブ(AVASTIN、Genentech/Roche)は、ヒトVEGF、特にはVEGF-Aの全てのアイソフォームおよびVEGF-Aの生物学的に活性のタンパク質分解断片に結合してそれを中和するヒト化マウスモノクローナル抗体である。例えば、非特許文献22を参照。ベバシズマブは、ある特定のがんの処置のために承認されている。ベバシズマブの重鎖および軽鎖のタンパク質配列(DrugBank DB00112)は配列番号3(重)および配列番号4(軽)に記載される。
【0268】
ベバシズマブ可変軽鎖CDRは、CDR1:SASQDISNYLN(配列番号12)、CDR2:FTSSLHS(配列番号13)およびCDR3:QQYSTVPWT(配列番号14)である。ベバシズマブ可変重鎖CDRは、CDR1:GYTFTNYGMN、CDR2:WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号10)、およびCDR3:YPHYYGSSHWYFDVである。CDRH1が複合Kabat/Chothia定義を使用することを除いてCDRはKabatにより定義される。一部の実施形態において、システインをベバシズマブ配列に付加することができ、抗体(および/またはベバシズマブの6つのCDRを含むバリアント)を、本明細書において提供されるポリマーのいずれか1つまたは複数にコンジュゲート化させることができる。
【0269】
ベバシズマブと同じマウスモノクローナル抗体に由来する別の抗VEGF分子が滲出型AMDに対する処置として承認されている:ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標
)(ラニビズマブ)、Genentech/Roche)。ラニビズマブは抗体断片またはFabである。ラニビズマブは、ベバシズマブの可変重鎖および軽鎖の親和性成熟により製造された。(Novartisにより報告された)ラニビズマブの重鎖および軽鎖の配列は、それぞれ配列番号5および6において記載される。一部の実施形態において、システインをラニビズマブ配列に付加することができ、抗体(および/またはラニビズマブの6つのCDRを含むバリアント)を、本明細書において提供されるポリマーのいずれか1つまたは複数にコンジュゲート化させることができる。
【0270】
ラニビズマブCDRは、改良が親和性成熟後に加えられたことを除いてベバシズマブと同じである。ラニビズマブ可変軽鎖CDRは、CDR1:SASQDISNYLN(配列番号12)、CDR2:FTSSLHS(配列番号13)およびCDR3:QQYSTVPWT(配列番号14)である。ラニビズマブ可変重鎖CDRは、CDR1:GYDFTHYGMN(配列番号9)、CDR2:WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号10)、およびCDR3:YPYYYGTSHWYFDV(配列番号11)である。
【0271】
一部の実施形態において、抗体の可変領域の外側のシステインにおいてホスホリルコリン含有ポリマーに結合した抗VEGF-A抗体を有し、システインが組換えDNA技術を介して付加されている、抗体コンジュゲートが提示される。一部の実施形態において、ポリマーは、単一のシステインに結合している。一部の実施形態において、「組換えDNA技術により付加される」は、システイン残基が、公知もしくは既存の抗体中またはコンセンサス抗体配列中の同じ位置に存在する非システインアミノ酸を置き換えることを意味する。そのため、例えば、抗体がIgG1であり、かつ重鎖がEU位置443にロイシンを有する場合、ロイシンは、組換えDNA技術を介してシステインで置き換えられる(L443C、EUナンバリング、または配列番号1中の449C)。対応して、EU位置347におけるネイティブなIgG1配列はQ(グルタミン)であり、Qは、組換えDNA技術を介してシステインで置き換えられてQ347Cをもたらす。
【0272】
一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体は、軽鎖および重鎖を含み、重鎖はFc領域を有する。一部の実施形態において、システインはFc領域中にあり、かつ抗VEGF-A抗体は免疫グロブリンG(IgG)である。一部の実施形態において、抗VEGF-A重鎖は、CDR1:GYDFTHYGMN(配列番号9)、CDR2:WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号10)、およびCDR3:YPYYYGTSHWYFDV(配列番号11)を有し、かつ位置221(配列番号3における通りの連続的なカウントを介する)はTであり、かつ抗VEGF-A軽鎖は、CDR1:SASQDISNYLN(配列番号12)、CDR2:FTSSLHS(配列番号13)、およびCDR3:QQYSTVPWT(配列番号14)を有し、かつKabat位置4はLである。
【0273】
一部の実施形態において、抗VEGF-A重鎖アイソタイプはIgG1である。一部の実施形態において、IgG1定常ドメインは、エフェクター機能をモジュレートするためにIgG1定常ドメイン(例えば配列番号3の定常領域)と比べて1つまたは複数の突然変異を有する。一部の実施形態において、エフェクター機能突然変異は、以下:(EUナンバリング)E233X、L234X、L235X、G236X、G237X、A327X、A330X、およびP331X(Xは任意の天然または非天然アミノ酸である)のうちの1つまたは複数である。一部の実施形態において、突然変異は、(EUナンバリング)E233P、L234V、L234A、L235A、G237A、A327G、A330S、およびP331Sからなる群から選択される。一部の実施形態において、抗体コンジュゲートは、以下の突然変異(EUナンバリング):L234A、L235A、およびG237Aを有する。
【0274】
一部の実施形態において、システイン残基は抗VEGF-A重鎖中にあり、かつQ347C(EUナンバリング)またはL443C(EUナンバリング)である。一部の実施形態において、システイン残基はL443C(EUナンバリング、または配列番号1中の449C)である。一部の実施形態において、抗VEGF-A重鎖の配列は配列番号1であり、かつ抗VEGF-A軽鎖の配列は配列番号2である。
【0275】
一部の実施形態において、ホスホリルコリン含有ポリマーは、以下:
【0276】
【化11】
【0277】
に記載されるような2-(メタクリロイルオキシエチル)-2’-(トリメチルアンモニウム)エチルホスフェート(MPC)モノマーを含む。
【0278】
その結果、ポリマーは、以下の繰返し単位:
【0279】
【化12】
【0280】
(式中、nは1~3000の整数であり、かつ波線はポリマー中のモノマー単位の間の結合点を指し示す)を含む。
【0281】
一部の実施形態において、ポリマーは、3つもしくはより多くのアームを有し、または3つもしくはより多くのポリマー開始部位を含む開始剤を用いて合成される。一部の実施形態において、ポリマーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12個のアームを有し、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12個のポリマー開始部位を含む開始剤を用いて合成される。より好ましくは、ポリマーは、3、6、もしくは9個のアームを有し、または3、6、もしくは9個のポリマー開始部位を含む開始剤を用いて合成される。一部の実施形態において、ポリマーは9個のアームを有し、または9個のポリマー開始部位を含む開始剤を用いて合成される。
【0282】
一部の実施形態において、付加されるポリマーは約300,000~約1,750,000Daの分子量(SEC-MALs)を有する。一部の実施形態において、ポリマーは約500,000~約1,000,000Daの分子量を有する。一部の実施形態において、ポリマーは約600,000~約900,000Daの分子量を有する。一部の実施形態において、ポリマーは約750,000~約850,000Daの分子量を有する。一部の実施形態において、ポリマーは約800,000~約850,000Daの分子量を有する。一部の実施形態において、ポリマーは約750,000~約800,000Daの分子量を有する。
【0283】
一部の実施形態において、本明細書に記載の任意の抗体は、さらにポリマーにコンジュゲート化してバイオコンジュゲートを形成させることができる。バイオコンジュゲートの分子量(合計、SEC-MALs)は、約350,000~2,000,000ダルトン、例えば、約450,000~1,900,000ダルトン、約550,000~1,800,000ダルトン、約650,000~1,700,000ダルトン、約750,000~1,600,000ダルトン、約850,000~1,500,000ダルトン、約900,000~1,400,000ダルトン、約950,000~1,300,000ダルトン、約900,000~1,000,000ダルトン、約1,000,000~1,300,000ダルトン、約850,000~1,300,000ダルトン、約850,000~1,000,000ダルトン、および約1,000,000~1,200,000ダルトンであることができる。
【0284】
一部の実施形態において、抗体コンジュゲートは精製される。一部の実施形態において、ポリマーは、抗体コンジュゲートの態様であり、多分散であり、すなわちポリマーPDIは1.0ではない。一部の実施形態において、PDIは1.5よりも低い。一部の実施形態において、PDIは1.4よりも低い。一部の実施形態において、PDIは1.3よりも低い。一部の実施形態において、PDIは1.2よりも低い。一部の実施形態において、PDIは1.1よりも低い。
【0285】
一部の実施形態において、抗体コンジュゲートは、ポリマーに結合した抗VEGF-A免疫グロブリンG(IgG)を有し、ポリマーはMPCモノマーを含み、抗VEGF-A重鎖の配列は配列番号1であり、かつ抗VEGF-A軽鎖の配列は配列番号2であり、かつ抗体は、ポリマーに配列番号1中のC449においてのみ結合している。一部の実施形態において、ポリマーは9個のアームを有し、かつ約600,000~約1,000,000Daの分子量を有する。
【0286】
一部の実施形態において、抗体コンジュゲートは、ポリマーに結合した抗VEGF-A免疫グロブリンG(IgG)を有し、ポリマーはMPCモノマーを含み、抗VEGF-A重鎖の配列は配列番号1であり、かつ抗VEGF-A軽鎖の配列は配列番号2であり、かつ抗体は、ポリマーにC443(EUナンバリング、または配列番号1中の449C)においてのみ結合している。一部の実施形態において、ポリマーは9個のアームを有し、かつ約600,000~約1,000,000Daの分子量を有する。
【0287】
一部の実施形態において、抗体コンジュゲートは、以下の構造:
【0288】
【化13】
【0289】
を有し、式中、
抗VEGF-A抗体の各重鎖は文字Hにより表され、かつ抗VEGF-A抗体の各軽鎖は文字Lにより表され;
ポリマーは、配列番号1のC449のスルフヒドリルを通じて抗VEGF-A抗体に結合しており、該結合は、重鎖の1つにおいて描写されており;PCは、
【0290】
【化14】
【0291】
であり、曲線はポリマーの残部への結合点を指し示し;Xは、a)-OR(式中、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、もしくはイソプロピルである)、b)-H、c)-Br、-Cl、もしくは-Iを含む、任意のハロゲン、d)-SCN、またはe)-NCSであり;かつn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9は同じまたは異なり、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n6、n7、n8およびn9の和は2500プラスまたはマイナス10%である。一部の実施形態において、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9は同じまたは異なり、0~3000の整数である。一部の実施形態において、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9は同じまたは異なり、0~500の整数である。一部の実施形態において、Xは-OR(Rは、糖、アミノアルキル、以下の残基:飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニルまたはC~C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ(aminocarboyloxy)、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、およびポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルの一置換、多置換または非置換バリアント)、--CO--O--R、カルボニル--CCO--R、--CO--NR、--(CH--COOR、--CO--(CH)--COOR、--(CH--NR、エステル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル(nは1~6の整数であり、各R、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、以下の残基:飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニルまたはC~C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、およびポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルの一置換、多置換または非置換バリアントからなる群から別々に選択される)、5員環、および6員環である。
【0292】
一部の実施形態において、抗体コンジュゲートは、以下の構造:
【0293】
【化15】
【0294】
を有し、式中、
抗VEGF-A抗体の各重鎖は文字Hにより表され、かつ抗VEGF-A抗体の各軽鎖は文字Lにより表され;
ポリマーは、C443(EUナンバリング、または配列番号1中の449C)のスルフヒドリルを通じて抗VEGF-A抗体(antbiody)に結合しており、該結合は重鎖の1つにおいて描写されており;PCは、
【0295】
【化16】
【0296】
であり、曲線はポリマーの残部への結合点を指し示し;Xは、a)-OR(式中、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、もしくはイソプロピルである)、b)-H、c)Br、-Cl、もしくは-Iを含む、任意のハロゲン、d)-SCN、またはe)-NCSであり;かつn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9は同じまたは異なり、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n6、n7、n8およびn9の和は2500プラスまたはマイナス10%である。一部の実施形態において、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9は同じまたは異なり、0~3000の整数である。一部の実施形態において、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8およびn9は同じまたは異なり、0~500の整数である。一部の実施形態において、Xは、-OR(Rは、糖、アミノアルキル、以下の残基:飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニルまたはC~C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、およびポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルの一置換、多置換または非置換バリアントである)、--CO--O--R、カルボニル--CCO--R、--CO--NR、--(CH--COOR、--CO--(CH)--COOR、--(CH--NR、エステル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル(nは1~6の整数であり、各R、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、以下の残基:飽和C~C24アルキル、不飽和C~C24アルケニルまたはC~C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、およびポリハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルの一置換、多置換または非置換バリアントからなる群から別々に選択される)、5員環、および6員環である。一部の実施形態において、この構築物はKSI-301と呼称される。
【0297】
一部の実施形態において、抗体コンジュゲートは液体製剤中に存在する。一部の実施形態において、抗体コンジュゲートは、薬学的に許容される担体と合わせられている。
【0298】
一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体が提示される。抗VEGF-A抗体重鎖は、少なくとも以下のCDR配列:CDR1:GYDFTHYGMN(配列番号9)、CDR2:WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号10)、およびCDR3:YPYYYGTSHWYFDV(配列番号11)を有する。一部の実施形態において、抗VEGF-A重鎖は、それらのCDRを有し、かつ追加的に位置221(配列番号3における通りの連続的なカウントを介する)におけるスレオニン(T)を有する。一部の実施形態において、抗VEGF-A軽鎖は、少なくとも以下のCDR:CDR1:SASQDISNYLN(配列番号12)、CDR2:FTSSLHS(配列番号13)およびCDR3:QQYSTVPWT(配列番号14)を有する。一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体は、それらのCDRを有し、かつ追加的にKabat位置4におけるロイシン(L)を有する。一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体重鎖のアイソタイプは、IgG1であり、かつCH、ヒンジ、CHおよびCHドメインを有する。一部の実施形態において、軽鎖アイソタイプはカッパである。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)構築物は、これらのCDRのうちの1つまたは複数を有する。
【0299】
一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体のIgG1ドメインは、エフェクター機能、例えばADCC、ADCP、およびCDCをモジュレートするための1つまたは複数
の突然変異を有する。一部の実施形態において、IgG1突然変異はエフェクター機能を低減させる。一部の実施形態において、エフェクター機能突然変異のために使用するアミノ酸としては、(EUナンバリング)E233X、L234X、L235X、G236X、G237X、G236X、D270X、K322X、A327X、P329X、A330X、A330X、P331X、およびP331Xが挙げられ、Xは任意の天然または非天然アミノ酸である。一部の実施形態において、突然変異は、以下:E233P、L234V、L234A、L235A、G237A、A327G、A330SおよびP331S(EUナンバリング)のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態において、抗VEGF-A重鎖は、以下の突然変異(EUナンバリング):L234A、L235AおよびG237Aを有する。一部の実施形態において、天然ヒトIgG1配列と比べたエフェクター機能突然変異の数は10個以下である。一部の実施形態において、天然ヒトIgG1配列と比べたエフェクター機能突然変異の数は、5、4、3、2または1個以下である。一部の実施形態において、抗体は、減少されたFcガンマ結合および/または補体C1q結合を有し、その結果、エフェクター機能を結果としてもたらす抗体の能力は減少されている。これは、眼科適応症/障害のために特に有利であり得る。
【0300】
一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体は、以下のアミノ酸突然変異:L234A、L235A、G237A(EUナンバリング)、およびL443C(EUナンバリング、または配列番号1中の449C)のうちの1つまたは複数を含む。
【0301】
一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体は、ヒト免疫グロブリンG(IgG1)、またはその部分である。
【0302】
一部の実施形態において、VEGF-A抗体は、免疫媒介性エフェクター機能を低減させる1つまたは複数の突然変異を含む重鎖定常ドメインを含む。
【0303】
一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体が提供される。抗VEGF抗体は、配列GYDFTHYGMN(配列番号9)を含むCDR1、配列WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号10)を含むCDR2、配列YPYYYGTSHWYFDV(配列番号11)を含むCDR3、配列SASQDISNYLN(配列番号12)を含むCDR1、配列FTSSLHS(配列番号13)を含むCDR2、および配列QQYSTVPWT(配列番号14)を含むCDR3を含む重鎖を含む。
【0304】
代替的に、IgGドメインは、IgG2、IgG3もしくはIgG4、または定常領域がこれらのアイソタイプのうちの1つより多く(例えば、IgG2またはIgG4からのCH1領域、IgG1からのヒンジ、CH2およびCH3領域)から形成された複合物であることができる。そのようなドメインは、IgG1について言及されたEU位置のうちの1つまたは複数においてエフェクター機能を低減させかつ/またはモジュレートするための突然変異を含有することができる。ヒトIgG2およびIgG4は、ヒトIgG1およびIgG3と比べて低減されたエフェクター機能を有する。
【0305】
抗VEGF-A重鎖は、組換えDNA技術により突然変異として付加されたシステイン残基を有し、該残基は、半減期延長部分をコンジュゲート化するために使用され得る。一部の実施形態において、突然変異は、(EUナンバリング)Q347C(EUナンバリング)および/またはL443C(EUナンバリング、もしくは配列番号1中の449C)である。一部の実施形態において、突然変異はL443C(EUナンバリング、または配列番号1中の449C)である。一部の実施形態において、抗体対ポリマーの化学量論は1:1であり、換言すれば、コンジュゲートは、1分子のポリマーにコンジュゲート化された1分子の抗体を有する。
【0306】
抗VEGF-A抗体の半減期は、「半減期延長部分」または「半減期延長基」の取付けにより延長させることができる。半減期延長部分としては、問題とする生物学的薬物とインフレームで発現され得る(または状況に依存して化学的にコンジュゲート化され得る)ペプチドおよびタンパク質、ならびに1つまたは複数のアミノ酸側鎖または末端官能基、例えば-SH、-OH、-COOH、-CONH2、-NH2、または1つもしくは複数のN-および/もしくはO-グリカン構造に取付けまたはコンジュゲート化され得る様々なポリマーが挙げられる。半減期延長部分は、一般に、生物学的薬物のインビボ循環半減期を増加させるように作用する。
【0307】
ペプチド/タンパク質半減期延長部分の例としては、Fc融合物(非特許文献23)、ヒト血清アルブミン(HAS)融合物(非特許文献24)、カルボキシ末端ペプチド(CTP)融合物(非特許文献25)、不正確反復ペプチド配列(XTEN)融合物の遺伝子融合(非特許文献26)、エラスチン様ペプチド(ELP化)(非特許文献27)、ヒトトランスフェリン融合物(Prior CP, Lai C-H, Sadehghi H et al. Modified transferrin fusion proteins. 特許 特許文献31)、プロリン-アラニン-セリン(PAS化)(Skerra A, Theobald I, Schlapsky M. Biological active proteins having increased in vivo and/or vitro stability. 特許 特許文献32)、ホモ-アミノ酸ポリマー(HAP化)(非特許文献28)およびゼラチン様タンパク質(GLK)融合物(非特許文献29)が挙げられる。
【0308】
ポリマー半減期延長部分の例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、分枝状PEG、PolyPEG(登録商標)(Warwick Effect Polymers;Coventry、UK)、ポリシアル酸(PSA)、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン(hydroxylethyl starch;HES)、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、炭水化物、多糖、プルラン(pullulane)、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレン酸化物(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレン-コ-マレイン酸無水物(polyethylene-co-maleic acid anyhydride)、ポリスチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(poly(1-hydroxymethyethylene hydroxymethylformal);PHF)、双性イオンポリマー、ホスホリルコリン含有ポリマーおよびMPCを含むポリマー、ポリ(Gly-Ser)、ヒアルロン酸(HA)、ヘパロサンポリマー(HEP)、フレキシマー(Fleximers)、デキストラン、ならびにポリシアル酸(PSA)が挙げられる。
【0309】
1つの実施形態において、半減期延長部分は、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルを使用してタンパク質の遊離アミノ基を介して抗体にコンジュゲート化させることができる。アミン基にコンジュゲーションを標的化する試薬は、リジンのε-アミン基、N末端アミノ酸のα-アミン基、およびヒスチジンのδ-アミン基に無作為に反応することができる。
【0310】
しかしながら、本明細書に開示される抗VEGF-A抗体は、ポリマーコンジュゲーションのために利用可能な多くのアミン基を有する。遊離アミノ基へのポリマーのコンジュゲーションは、そのため、VEGFに結合する抗体タンパク質の能力に負に影響する可能性がある。
【0311】
一部の実施形態において、半減期延長部分は、非限定的に、マレイミド化学を含めて、任意の適切なチオール反応化学、または以前の酸化後の抗体の炭水化物部分へのポリマーヒドラジドもしくはポリマーアミンのカップリングを使用して1つまたは複数の遊離SH基に連結される。一部の実施形態において、マレイミドカップリングが使用される。一部の実施形態において、カップリングは、天然に存在するまたは遺伝子操作を介して導入されたシステインにおいて行われる。
【0312】
一部の実施形態において、ポリマーは、部位特異的突然変異誘発により抗VEGF-A抗体に導入されたシステイン残基に共有結合的に取り付けられる。一部の実施形態において、システイン残基が抗体のFc部分において用いられる。一部の実施形態において、システイン残基をFc領域に導入するための部位は、特許文献33、特許文献34、特許文献35、特許文献36、特許文献37および特許文献38(参照により全ての目的のために本明細書に組み込まれる)において提供される。一部の実施形態において、システイン突然変異は、EUナンバリングによるヒトIgG重鎖を参照するQ347C(EUナンバリング)およびL443Cである。
【0313】
一部の実施形態において、抗体および半減期延長剤として役立つ高MWポリマーのコンジュゲートが提供される。一部の実施形態において、コンジュゲートは、双性イオンポリマーに連結された抗体を含み、ポリマーは1つまたは複数のモノマー単位から形成され、かつ少なくとも1つのモノマー単位は双性イオン基を有するものが提供される。一部の実施形態において、双性イオン基はホスホリルコリンである。
【0314】
一部の実施形態において、モノマー単位のうちの1つはHEMA-PCである。一部の実施形態において、ポリマーは、HEMA-PCである単一のモノマーから合成される。
【0315】
一部の実施形態において、一部の抗体コンジュゲートは、モノマーがHEMA-PCである2、3、またはより多くのポリマーアームを有する。一部の実施形態において、コンジュゲートは、モノマーがHEMA-PCである2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のポリマーアームを有する。一部の実施形態において、コンジュゲートは、3、6または9個のアームを有する。一部の実施形態において、コンジュゲートは9個のアームを有する。
【0316】
一部の実施形態において、ポリマー-抗体コンジュゲートは、100,000~1,500,000Daの分子量を有するポリマー部分を有する。一部の実施形態において、コンジュゲートは、500,000~1,000,000Daの分子量を有するポリマー部分を有する。一部の実施形態において、コンジュゲートは、600,000~800,000Daの分子量を有するポリマー部分を有する。一部の実施形態において、コンジュゲートは、600,000~850,000Daの分子量を有するポリマー部分を有し、かつ9個のアームを有する。分子量がポリマーにコンジュゲート化された抗体について与えられる場合、分子量は、それと会合した任意の炭水化物部分を含めて、タンパク質の分子量、およびポリマーの分子量の合計である。
【0317】
一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体は、約100kDa~1650kDaのMwにより測定される分子量を有するHEMA-PCポリマーを有するものが提供される。一部の実施形態において、Mwにより測定されるポリマーの分子量は約500kDa~1000kDaである。一部の実施形態において、Mwにより測定されるポリマーの分子量は約600kDa~約900kDaである。一部の実施形態において、Mwにより測定されるポリマー分子量は750kDaプラスまたはマイナス15%である。
【0318】
一部の実施形態において、ポリマーは、1つまたは複数のポリマー開始部位を有するATRPのために好適な開始剤から作られる。一部の実施形態において、ポリマー開始部位は2-ブロモイソブチレート部位を有する。一部の実施形態において、開始剤は、3つまたはより多くのポリマー開始部位を有する。一部の実施形態において、開始剤は、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個のポリマー開始部位を有する。一部の実施形態において、開始剤は、3、6または9個のポリマー開始部位を有する。一部の実施形態において、開始剤は9個のポリマー開始部位を有する。一部の実施形態において、開始剤はOG1786である。
【0319】
抗VEGF-A抗体は、(i)遺伝子操作による組換えDNAの製造、(ii)非限定的に例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーションまたは微量注射により、原核または真核細胞に組換えDNAを導入すること、(iii)形質転換細胞を培養すること、(iv)例えば構成的にまたは誘導で、抗体を発現させること、および(v)例えば培養培地からまたは形質転換細胞を採取することにより、抗体を単離すること、それにより(vi)精製された抗体を得ることを含む組換え発現により製造することができる。
【0320】
抗VEGF-A抗体は、薬理学的に許容される抗体分子の製造により特徴付けられる好適な原核または真核宿主システムにおける発現により製造することができる。真核細胞の例は、哺乳動物細胞、例えばCHO、COS、HEK 293、BHK、SK-Hip、およびHepG2である。他の好適な発現システムは、原核性(例えば、pET/BL21発現システムを伴う大腸菌(E. coli))、酵母(サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)および/またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)システム)、ならびに昆虫細胞である。
【0321】
多様なベクターを、本明細書に開示される抗体の調製のために使用することができ、それは真核および原核発現ベクターから選択される。原核発現用のベクターの例としては、プラスミド、非限定的に例えばpreset、pet、およびpadが挙げられ、原核発現ベクターにおいて使用されるプロモーターは、非限定的に、lac、trc、trp、recA、またはaraBADのうちの1つまたは複数を含む。真核発現用のベクターの例としては、(i)酵母における発現のためのベクター、非限定的に例えば、プロモーター、非限定的に例えば、AOX1、GAP、GAL1、またはAUG1を使用する、pAO、pPIC、pYES、またはpMET;(ii)昆虫細胞における発現のためのベクター、非限定的に例えば、プロモーター、非限定的に例えばPH、p10、MT、Ac5、OpIE2、gp64、またはpolhを使用する、pMT、pAc5、pIB、pMIB、またはpBAC、ならびに(iii)哺乳動物細胞における発現のためのベクター、非限定的に例えば、プロモーター、非限定的に例えばCMV、SV40、EF-1、UbC、RSV、ADV、BPV、およびベータ-アクチンを使用する、pSVL、pCMV、pRc/RSV、pcDNA3、またはpBPV、および、1つの態様において、ウイルスシステム、非限定的に例えばワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、またはレトロウイルスに由来するベクターが挙げられる。
【0322】
タンパク質をポリマーにコンジュゲート化する方法
一部の実施形態において、治療用タンパク質-半減期延長部分コンジュゲートを調製する方法であって、組換えDNA技術を介して付加されたシステイン残基を有する治療用タンパク質を、マレイミド、ビニルスルホン、オルトピリジル-ジスルフィド、およびヨードアセトアミドからなる群から選択されるスルフヒドリル特異的反応基を有する半減期延長部分にコンジュゲート化して、治療用タンパク質-半減期延長部分コンジュゲートを提供するステップを有する、方法が提示される。
【0323】
一部の実施形態において、OG1950から抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、
KSI-301を調製する方法が提供される。方法は、50×モル過剰のTCEP還元剤を用いてOG1950タンパク質を還元させることを含む。還元後に、抗体(antiobody)は酸化されて、キャップ除去されたOG1950抗体が製造され、OG1950抗体において、抗体中に天然に存在する軽鎖および重鎖の間およびそれらの内部のジスルフィド結合が形成されるが、重鎖位置L443C(EUナンバリング、または配列番号1中の449C)上の操作されたシステインはキャップ除去されたままとなる。OG1950は次に、賦形剤を加えることおよび5~10×モル過剰のマレイミドバイオポリマーを加えることによりコンジュゲート化される。バイオポリマーは、共有結合性のチオエーテル(thiolether)連結を通じてOG1950抗体に連結する。コンジュゲーション後に、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301は精製され、非コンジュゲート化抗体およびポリマーの両方は除去される。
【0324】
上記のタンパク質および方法は変更することもできる。そのため、一部の実施形態において、コンジュゲート化されたタンパク質(抗体または抗VEGF抗体である必要はない)を調製する方法が提供される。方法は、溶液中でタンパク質中の1つまたは複数のシステインを還元させて、キャップ除去されたタンパク質を形成させることを含む。1つまたは複数のシステインを還元させた後に、キャップ除去されたタンパク質を再酸化して、還元されたタンパク質中の少なくとも1つのジスルフィド連結を回復させると共に、タンパク質中の操作されたシステイン残基が遊離チオール形態に留まって、溶液中で再酸化されたキャップ除去されたタンパク質を形成することを確実にする。少なくとも1つの賦形剤が次に溶液に加えられる。賦形剤は、ポリマー誘導性のタンパク質沈殿を低減させる。賦形剤が加えられた後に、ポリマーが溶液に加えられ、これは操作されたシステイン残基において再酸化されたキャップ除去されたタンパク質にコンジュゲート化されて、コンジュゲート化されたタンパク質が形成される。
【0325】
一部の実施形態において、モル過剰の還元剤は、機能する任意の量に変更することができる。一部の実施形態において10、20、30、40、50、60、70、80、90×モル過剰の還元剤(全ての実施形態においてTCEPである必要はない)を用いることができる。一部の実施形態において、任意の抗体(治療用またはその他)を用いることができる。一部の実施形態において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15×モル過剰なマレイミドバイオポリマーを用いることができる。一部の実施形態において、ポリマーに対して過剰なキャップ除去されたタンパク質が存在する。一部の実施形態において、還元されたタンパク質の量はポリマーの量よりも少ない。一部の実施形態において、還元されたタンパク質の量は、ポリマーの量の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%である。一部の実施形態において、ポリマーの10~15倍の量がタンパク質として使用される。一部の実施形態において、還元された抗体の量はポリマーの量よりも多い。一部の実施形態において、ポリマーの量は、還元された抗体の量よりも多い。
【0326】
一部の実施形態において、精製ステップは任意選択的である。
【0327】
一部の実施形態において、抗体コンジュゲートを製造する方法は、抗VEGF-A抗体をホスホリルコリン含有ポリマーにコンジュゲート化することを含む。一部の実施形態において、方法は、抗VEGF-A抗体をホスホリルコリン含有ポリマーにコンジュゲート化するステップを含む。抗VEGF-A抗体は、組換えDNA技術を介して付加されたアミノ残基(amino residue)を含む。一部の実施形態において、付加されるアミノ酸残基はシステイン残基である。一部の実施形態において、システイン残基は、抗体の可変領域の外側に付加される。システイン残基は、抗体の重鎖または軽鎖のいずれかに付加され得る。
【0328】
一部の実施形態において、ポリマーは、ホスホリルコリン含有ポリマーを含むまたはからなる。一部の実施形態において、ホスホリルコリン含有ポリマーは、マレイミド、ビニルスルホン、オルトピリジル-ジスルフィド、およびヨードアセトアミドからなる群から選択されるスルフヒドリル特異的反応基を含む。一部の実施形態において、ホスホリルコリン含有ポリマー上のスルフヒドリル特異的反応基は、抗VEGF-A抗体上のシステイン残基と反応して抗体コンジュゲートを生成する。
【0329】
一部の実施形態において、コンジュゲート化されるタンパク質は、抗体、抗体タンパク質融合物、またはその結合性断片であることができる。一部の実施形態において、タンパク質は抗体ではなく、酵素、リガンド、受容体、もしくは他のタンパク質またはその突然変異体もしくはバリアントである。一部の実施形態において、ネイティブなタンパク質は、少なくとも1つのジスルフィド結合および少なくとも1つの非ネイティブのシステインを含有する。
【0330】
一部の実施形態において、賦形剤は酸または塩基であることができる。一部の実施形態において、賦形剤は、界面活性剤、糖、または荷電性アミノ酸である。一部の実施形態において、賦形剤は、ポリマーへのコンジュゲーションの間に溶液中にタンパク質を保つことを補助する。一部の実施形態において、賦形剤は、タンパク質を含有する溶液へのポリマーの添加の前に、タンパク質を含有する溶液に加えられる。
【0331】
一部の実施形態において、反応は、約pH5~約pH9の水性条件下で行われる。一部の実施形態において、反応は、6.0~8.5、6.5~8.0または7.0~7.5で行われる。
【0332】
一部の実施形態において、ポリマーは、2~37℃でタンパク質にコンジュゲート化される。一部の実施形態において、コンジュゲーションは、0~40℃、5~35℃、10~30℃、および15~25℃で行われる。
【0333】
一部の実施形態において、本明細書に記載のコンジュゲート化されたタンパク質は、精製のため(コンジュゲート化されたものを非コンジュゲート化のものから取り出すため)にイオン交換媒体または疎水性相互作用クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィー媒体に接触させることができる。一部の実施形態において、イオン交換媒体、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および/またはアフィニティークロマトグラフィー媒体は、コンジュゲート化されたタンパク質を遊離ポリマーから、および再酸化されたキャップ除去されたタンパク質から分離する。
【0334】
一部の実施形態において、本明細書に記載され、図18に概要が述べられる方法は、溶解系の促進および/または維持が可能な賦形剤を伴う。一部の実施形態において、方法は、溶液が、相互作用が意図される2つの成分の溶解度を維持することを可能とする。これは、タンパク質およびポリマー、そして目標コンジュゲートの溶解度を含むことができる。一部の実施形態において、賦形剤アプローチなしでの問題は、タンパク質は可溶性であるが、バイオポリマーが加えられた場合に、溶液(例えば、タンパク質)の溶解度が低下し、タンパク質が衝突/沈殿して溶液の外に出るということであり得る。当然、タンパク質が衝突して外に出る場合、それはバイオポリマーと効率的にコンジュゲート化するために利用可能でない。そのため、バイオポリマーの存在下でタンパク質の溶解度を維持することで2つが連結してタンパク質コンジュゲート(または図18に描写されるように、抗体コンジュゲート)を形成できるように賦形剤を用いることができる。これはまた、コンジュゲートの溶解度が維持されることを可能とする。
【0335】
一部の実施形態において、本明細書に開示されるポリマーは、以下:双性イオン、ホス
ホリルコリン、またはポリマー分岐点の中心をマレイミド官能基にブリッジするPEGリンカーのうちの1つまたは複数を含むことができる。一部の実施形態において、本明細書において提供される任意のポリマーは、本明細書において提供される方法を介してタンパク質に付加することができる。
【0336】
一部の実施形態において、本明細書において提供される任意のタンパク質は、本明細書において提供される方法のうちの1つまたは複数を介して本明細書において提供されるポリマーのいずれかにコンジュゲート化することができる。
【0337】
一部の実施形態において、本明細書において提供される方法は、タンパク質および/または抗体コンジュゲートを製造および精製するためのより大きいスケールの処理を可能とする。一部の実施形態において、用いられる体積は、少なくとも1リットル、例えば1、10、100、1,000、5,000、10,000、リットルまたはより大きい。一部の実施形態において、製造および/または精製される抗体コンジュゲートの量は、0.1、1、10、100、1000、またはより多くのグラムであることができる。
【0338】
一部の実施形態において、治療用タンパク質は、組換えDNA技術を介して付加されたシステイン残基を有する本明細書に記載の抗VEGF-A抗体のいずれかであってもよい。一部の実施形態において、抗VEGF抗体重鎖は、以下のCDR:CDR1:GYDFTHYGMN(配列番号9)、CDR2:WINTYTGEPTYAADFKR(配列番号10)、およびCDR3:YPYYYGTSHWYFDV(配列番号11)を有する。重鎖はまた、位置221(配列番号3における通りの連続的なカウントを介する)におけるスレオニン(T)を有することができる。一部の実施形態において、抗VEGF軽鎖は、以下のCDR:CDR1:SASQDISNYLN(配列番号12)、CDR2:FTSSLHS(配列番号13)、およびCDR3:QQYSTVPWT(配列番号14)を有する。抗VEGF-A軽鎖はまた、Kabat位置4におけるロイシン(L)を有することができる。
【0339】
一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体はIgG1である。一部の実施形態において、重鎖は、エフェクター機能をモジュレートするための1つまたは複数の突然変異を有する。一部の実施形態において、突然変異は、以下のアミノ酸位置(EUナンバリング):E233、L234、L235、G236、G237、A327、A330、およびP331のうちの1つまたは複数に対するものである。一部の実施形態において、突然変異は、E233P、L234V、L234A、L235A、G237A、A327G、A330SおよびP331S(EUナンバリング)からなる群から選択される。一部の実施形態において、突然変異は、(EUナンバリング)L234A、L235AおよびG237Aである。
【0340】
一部の実施形態において、組換えDNA技術を介して治療用タンパク質に付加されたシステイン残基は、Cys-Cysジスルフィド結合対合に関与するべきではない。これに関して、治療用タンパク質は二量体であってもよい。そのため、例えば、インタクトな抗VEGF-A抗体は2つの軽鎖および2つの重鎖を有する。Cys残基が例えば重鎖に導入される場合、インタクトな抗体は、同一の位置において2つのそのような導入されたシステインを有し、これらのシステイン残基が鎖内ジスルフィド結合を形成する可能性が存在する。導入されたシステイン残基がCys-Cysジスルフィド結合を形成するまたはその傾向を有する場合、その導入されたCys残基はコンジュゲーションのために有用ではない。鎖内ジスルフィド対合を生じさせる重鎖および軽鎖中の位置を回避する方法は当該技術分野において公知である。例えば、特許文献39を参照。
【0341】
一部の実施形態において、組換えDNA技術を介して導入されたシステイン残基は、(
EUナンバリング)Q347CおよびL443Cからなる群から選択される。一部の実施形態において、システイン残基はL443C(EUナンバリング、または配列番号1中の449C)である。一部の実施形態において、重鎖抗体(the heavy chain the antibody)は配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、かつ軽鎖は配列番号2のアミノ酸配列を有する。
【0342】
一部の実施形態において、スルフヒドリル(sulfhydral)特異的反応基はマレイミドである。
【0343】
一部の実施形態において、半減期延長部分は、ポリエチレングリコール(PEG)、分枝状PEG、PolyPEG(登録商標)(Warwick Effect Polymers;Coventry、UK)、ポリシアル酸(PSA)、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、炭水化物、多糖、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、ポリアルキレン酸化物(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリスチレン-コ-マレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、双性イオンポリマー、ホスホリルコリン含有ポリマーおよび2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)を含むポリマーからなる群から選択される。
【0344】
一部の実施形態において、半減期延長部分は双性イオンポリマーである。一部の実施形態において、双性イオンは、ホスホリルコリン、すなわちホスホリルコリン含有ポリマーである。一部の実施形態において、ポリマーはMPC単位から構成される。
【0345】
一部の実施形態において、MPCポリマーは、3個またはより多くのアームを有する。一部の実施形態において、MPCポリマーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個のアームを有する。一部の実施形態において、MPCポリマーは、3、6、または9個のアームを有する。一部の実施形態において、MPCポリマーは9個のアームを有する。一部の実施形態において、ポリマーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはより多くのポリマー開始部位を含む開始剤を用いて合成される。
【0346】
一部の実施形態において、MPCポリマーは約300,000~1,750,000Daの分子量を有する。一部の実施形態において、MPCポリマーは約500,000~1,000,000Daまたは約600,000~900,000Daの分子量を有する。
【0347】
一部の実施形態において、治療用タンパク質-半減期延長部分コンジュゲートを調製する方法は、治療用タンパク質をチオール還元剤と、還元されたシステインスルフヒドリル基を生成する条件下で接触させる追加のステップを有する。上記で議論されたように、組換えDNA技術を介して付加されたシステイン残基は対合していない、すなわち、Cys-Cys鎖内ジスルフィド結合に関与しない、またはそのような結合に実質的に関与しないことが好ましい。しかしながら、そのようなCys-Cysジスルフィド結合に関与せず、かつコンジュゲーションのために遊離であるCys残基は、培養培地中の遊離のシステインと反応してジスルフィド付加体を形成することが公知である。例えば、特許文献40を参照。そのように誘導体化されたシステインはコンジュゲーションのために利用可能ではない。新たに付加されたシステインをジスルフィド付加体から遊離させるために、精製後のタンパク質は、還元剤、例えば、ジチオトレイトールで処理される。しかしながら、還元剤でのそのような処理は、その多くが鎖間および鎖内Cys-Cysジスルフィド結合に関与するネイティブなシステインを含めて、治療用タンパク質中のシステイン残基の全てを還元させる。ネイティブなCys-Cysジスルフィドは、タンパク質の安定性および活性に対して一般に決定的なものであり、再形成されるべきである。一部の実施形態において、全てのネイティブな(例えば、鎖間および鎖内)Cys-Cysジスルフィドが再形成される。
【0348】
ネイティブな鎖間および鎖内ジスルフィド残基を再形成させるために、システインジスルフィド付加体を除去するための還元後に、治療用タンパク質は、規定される時間的期間、例えば、終夜、酸化条件および/または酸化剤に曝露される。一部の実施形態において、終夜の周囲空気曝露を使用して、ネイティブなジスルフィド結合の再形成を達成することができる。一部の実施形態において、ネイティブなジスルフィドを回復させるために酸化剤が用いられる。一部の実施形態において、酸化剤(oxiding agent)は、水性(acqueous)CuSO4およびデヒドロアスコルビン酸(DHAA)からなる群から選択される。一部の実施形態において、酸化剤はDHAAである。一部の実施形態において、使用されるDHAAの範囲は5~30当量の範囲内である。一部の実施形態において、範囲は10~20当量である。一部の実施形態において、範囲は15当量である。
【0349】
一部の実施形態において、チオール還元剤は、トリス[2-カルボキシエチル(carboxyehtyl)]ホスフィンヒドロクロリド(TCEP)、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH)、β-メルカプトエタノール(BME)、塩酸システインおよびシステインからなる群から選択される。一部の実施形態において、チオール還元剤はTCEPである。
【0350】
一部の実施形態において、チオール還元剤濃度は、治療用タンパク質濃度と比べて1~100倍モル過剰である。一部の実施形態において、チオール還元剤濃度は、治療用タンパク質濃度と比べて20~50倍モル過剰である。一部の実施形態において、チオール還元剤は、治療用タンパク質とのインキュベーション後に治療用タンパク質の酸化前に除去される。
【0351】
一部の実施形態において、治療用タンパク質を半減期延長部分にコンジュゲート化する方法は、コンジュゲーション後に治療用タンパク質コンジュゲートを精製するさらなるステップを有する。一部の実施形態において、治療用タンパク質コンジュゲートは、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびアフィニティークロマトグラフィーまたはこれらの組合せからなる群から選択される技術を使用して精製される。
【0352】
一部の実施形態において、治療用タンパク質コンジュゲートは、非コンジュゲート化治療用タンパク質と比べて少なくとも20%の生物学的活性を保持する。一部の実施形態において、治療用タンパク質コンジュゲートは、非コンジュゲート化治療用タンパク質と比べて少なくとも50%の生物学的活性を保持する。一部の実施形態において、治療用タンパク質コンジュゲートは、ネイティブな治療用タンパク質と比べて少なくとも90%の生物学的活性を保持する。
【0353】
一部の実施形態において、治療用タンパク質コンジュゲートは、非コンジュゲート化治療用タンパク質と比べて増加された半減期を有する。一部の実施形態において、治療用タンパク質コンジュゲートは、非コンジュゲート化治療用タンパク質と比べて半減期における少なくとも1.5倍の増加を有する。一部の実施形態において、治療用タンパク質コン
ジュゲートは、非コンジュゲート化治療用タンパク質と比べて半減期における少なくとも5倍の増加を有する。
【0354】
一部の実施形態において、治療用タンパク質を半減期延長部分にコンジュゲート化する方法の双性イオンポリマーは、双性イオン(zwitterionc)基を有するラジカル重合可能なモノマーであり、かつ方法は、重合媒体中の遊離のラジカル重合可能な双性イオンモノマーを重合させてポリマーを提供するさらなるステップを有し、媒体は、ラジカル重合可能な双性イオンモノマー;遷移金属触媒Mq-1(式中、Mは遷移金属であり、qは金属のより高い酸化状態であり、q-1は金属のより低い酸化状態であり、金属触媒は、Mt(q-1X’(q-1)(式中、X’は対イオンもしくは基である)の形態の塩として供給され、または遷移金属触媒は、そのより高い酸化状態M q+X’にある不活性の金属塩を、遷移金属を酸化された不活性の状態から還元された活性の状態に還元することができる還元剤と共に提供することによりインサイチューで供給される);配位子;および開始剤を含む。
【0355】
ATRP遷移金属触媒として機能するために、遷移金属は、1つの電子により分離される少なくとも2つの容易にアクセス可能な酸化状態、より高い酸化状態およびより低い酸化状態を有するべきである。ATRPにおいて、可逆的なレドックス反応は、より高い酸化状態およびより低い酸化状態の間の遷移金属触媒サイクリングを結果としてもたらすと同時に、ポリマー鎖は成長鎖末端および休止(dormant)鎖末端の間でサイクルする。例えば、特許文献41を参照。
【0356】
一部の実施形態において、ラジカル重合可能な双性イオンモノマーは、
【0357】
【化17】
【0358】
(式中、R1はHまたはC1~6アルキルであり、ZWは双性イオンであり、nは1~6の整数である)からなる群から選択される。
【0359】
一部の実施形態において、ラジカル重合可能なモノマーは、
【0360】
【化18】
【0361】
(式中、R1はHまたはC1~6アルキルであり、R2、R3、R4は同じまたは異なり、HまたはC1~4アルキルであり、XおよびYは同じまたは異なり、1~6の整数である)である。一部の実施形態において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれメチルであり、XおよびYはそれぞれ2である。
【0362】
一部の実施形態において、ラジカル重合可能なモノマーは、
【0363】
【化19】
【0364】
(式中、R1はHまたはC1~6アルキルであり、R2およびR3は同じまたは異なり、HまたはC1~4アルキルであり、R4はPO-、SO-またはCO-であり、XおよびYは同じまたは異なり、1~6の整数である)である。一部の実施形態において、R1、R2およびR3はメチルであり、R4はPO-であり、XおよびYはそれぞれ2である。
【0365】
一部の実施形態において、モノマーは、
【0366】
【化20】
【0367】
(式中、R1はHまたはC1~6アルキルであり、R2、R3およびR4は同じまたは異なり、HまたはC1~4アルキルであり、R5は、PO-、SO-またはCO-であり、XおよびYは同じまたは異なり、1~6の整数である)である。一部の実施形態において、R1、R2、R3およびR4はメチルであり、R5はPO-であり、XおよびYは2である。
【0368】
一部の実施形態において、遷移金属Mtは、Cu、Fe、Ru、Cr、Mo、W、Mn、Rh、Re、Co、V、Zn、Au、およびAgからなる群から選択される。一部の実施形態において、金属触媒は、形態Mt(q-1X’(q-1)の塩として供給される。Mq-1は、Cu1+、Fe2+、Ru2+、Cr2+、Mo2+、W2+、Mn3+、Rh3+、Re2+、Co、V2+、Zn、Au、およびAgからなる群から選択され、かつX’は、ハロゲン、C1~6アルコキシ、(SO、(PO、(R7PO、(R7PO)、トリフレート、ヘキサフルオロホスフェート(hexaluorophosphate)、メタンスルホネート、アリールスルホネート、CNおよびR7COからなる群から選択され、R7は、H、またはハロゲンで1~5回置換されていてもよい直鎖状もしくは分枝状C1~6アルキル基である。一部の実施形態において、Mq-1はCu1+であり、かつX’はBrである。
【0369】
一部の実施形態において、Mq-1はインサイチューで供給される。一部の実施形態において、M q+はCuBrである。一部の実施形態において、還元剤は無機化合物である。一部の実施形態において、還元剤は、低い酸化レベルの硫黄化合物、亜硫酸水素ナトリウム、金属イオンを含む無機塩、金属、ヒドラジン水和物およびそのような化合物の誘導体からなる群から選択される。一部の実施形態において、還元剤は金属である。一部の実施形態において、還元剤はCuである。
【0370】
一部の実施形態において、還元剤は有機化合物である。一部の実施形態において、有機化合物は、アルキルチオール、メルカプトエタノール、または容易にエノール化され得るカルボニル化合物、アスコルビン酸、アセチルアセトネート、カンファースルホン酸(camphosulfonic acid)、ヒドロキシアセトン、還元糖、単糖、グルコ
ース、アルデヒド、およびそのような有機化合物の誘導体からなる群から選択される。
【0371】
一部の実施形態において、配位子は、2,2’-ビピリジン、4,4’-ジ-5-ノニル-2,2’-ビピリジン、4,4-ジノニル-2,2’-ジピリジル、4,4’,4’’-トリス(5-ノニル)-2,2’:6’,2’’-テルピリジン、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリス(2-ジメチルアミノエチル)アミン、N,N-ビス(2-ピリジルメチル)オクタデシルアミン、N,N,N’,N’-テトラ[(2-ピリジル(pyridal))メチル]エチレンジアミン、トリス[(2-ピリジル)メチル]アミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(2-ビス(3-ブトキシ-3-オキソプロピル)アミノエチル)アミン、トリス(2-ビス(3-(2-エチルヘキシルオキシ(ethylhexoxy))-3-オキソプロピル)アミノエチル)アミンおよびトリス(2-ビス(3-ドデコキシ-3-オキソプロピル)アミノエチル)アミンからなる群から選択される。一部の実施形態において、配位子は2,2’-ビピリジンである。
【0372】
一部の実施形態において、開始剤は、構造:
【0373】
【化21】
【0374】
(式中、R1は求核性反応基であり、R2はリンカーを含み、かつR3は、構造
【0375】
【化22】
【0376】
(式中、R4およびR5は、同じまたは異なり、アルキル、置換されたアルキル、アルキレン、アルコキシ、カルボキシアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、環式アルキルエーテル、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン、アリール、アリーレン、アリーレン-オキシ、ヘテロアリール、アミノ、アミドまたはこれらの任意の組合せからなる群から選択され;Zは、ハロゲン、-OR(式中、Rは、-H、メチル、エチル、プロピル、もしくはイソプロピルである)、-SCNまたは-NCSである)を有するポリマー合成開始剤部分を含み;かつsは1~20の整数である)を有する。
【0377】
一部の実施形態において、ZはBrであり、かつR4およびR5はそれぞれメチルである。一部の実施形態において、R1は、-NH、-OH、および-SHからなる群から
選択される。
【0378】
一部の実施形態において、R2は、アルキル、置換されたアルキル、アルキレン、アルコキシ、カルボキシアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、環式アルキルエーテル、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン、アリール、アリーレン、アリーレン-オキシ、ヘテロアリール、アミノ、アミドまたはこれらの任意の組合せである。一部の実施形態において、R2は、
【0379】
【化23】
【0380】
(式中、XおよびYは同じまたは異なり、1~20の整数である)である。一部の実施形態において、XおよびYはそれぞれ4である。
【0381】
一部の実施形態において、R3は、
【0382】
【化24】
【0383】
(式中、R6、R7およびR8は同じまたは異なり、
【0384】
【化25】
【0385】
(式中、Zは、-OR(式中、Rは、-H、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルである)、-SCN、-NCS、-F、-Cl、-Brまたは-Iである)からなる群から選択される。一部の実施形態において、Zは-Brであり、R6、R7およびR8はそれぞれ、
【0386】
【化26】
【0387】
である。
【0388】
一部の実施形態において、開始剤は、構造:
【0389】
【化27】
【0390】
(式中、AおよびBは同じまたは異なり、2~12の整数であり、Zは任意のハロゲン化物、例えばBrである)を有する。一部の実施形態において、AおよびBはそれぞれ4
である。
【0391】
一部の実施形態において、方法は、ポリマーをマレイミド試薬と反応させて、末端マレイミドを有するポリマーを提供するステップをさらに有する。一部の実施形態において、マレイミド化合物は、
【0392】
【化28】
【0393】
である。
【0394】
処置方法
一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体(およびそのコンジュゲート)、ならびに抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)からなる群から選択される治療用タンパク質を投与するステップを有する眼疾患の処置または予防方法が提示される。一部の実施形態において、本明細書において提供される抗体または抗体コンジュゲートまたはタンパク質コンジュゲートの任意の1つまたは複数を眼疾患の処置および/または予防として使用することができる。方法は、対象に本明細書において提供される抗体または抗体コンジュゲートの任意の1つまたは複数を投与することを含む。
【0395】
一部の実施形態において、眼疾患の処置または予防方法が提供される。方法は、有効用量の本明細書に記載の抗体および/または抗体コンジュゲートおよび/またはタンパク質コンジュゲートのいずれかをそれを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態において、疾患は加齢黄斑変性症(AMD)または糖尿病黄斑浮腫(DME)であることができる。一部の実施形態において、疾患は滲出型AMDであることができる。一部の実施形態において、眼障害は、高度な色素上皮剥離(PED)を有しない滲出型AMDである。一部の実施形態において、対象は、対象の目におけるベースライン中心サブフィールド網膜厚(CST)が500ミクロンまたはより大きい場合に、高度なPEDを有する。
【0396】
一部の実施形態において、眼疾患は、糖尿病網膜症、脈絡膜血管新生(CNV)、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、病的近視、フォンヒッペル-リンドウ病、目のヒストプラズマ症、中心網膜静脈閉塞症(CRVO)、分枝中心網膜静脈閉塞症(BRVO)、角膜血管新生、網膜血管新生、未熟児網膜症(ROP)、結膜下出血、および高血圧性網膜症からなる群の1つまたは複数から選択される。一部の実施形態において、眼疾患は糖尿病網膜症である。
【0397】
一部の実施形態において、抗体または抗体コンジュゲートまたはタンパク質コンジュゲートは、月に1回以下の頻度で投与される。一部の実施形態において、抗体またはそのコンジュゲートは、月に2回または週毎に投与される。一部の実施形態において、抗体またはそのコンジュゲートは、2か月毎に1回、3か月毎に1回、4か月毎に1回、5か月毎に1回、6か月毎に1回、7か月毎に1回、8か月毎に1回、9か月毎に1回、10か月毎に1回、11か月毎に1回、または12か月毎に1回投与される。
【0398】
一部の実施形態において、本明細書において提供される組成物の1つまたは複数は、滲出(増殖)型の加齢黄斑変性症(AMD)の処置のための抗VEGF剤の硝子体内注射の使用からの高い処置負担の帰結における低減を可能とすることができる。滲出型AMDを有する患者の現実世界のアウトカムは、フェーズ3臨床研究、例えばLucentis(登録商標)(ラニビズマブ)を用いたMARINAおよびANCHOR研究ならびにEylea(登録商標)(アフリベルセプト)を用いたVIEW 1およびVIEW 2研究において実証された臨床アウトカムに後れを取る。より低い頻度、およびしたがって患者にとってより忍容性のプロファイルで投与できるようなより長い眼滞留時間を有する抗VEGF治療剤は、より多くの患者のためにフェーズ3臨床アウトカムにより近い現実世界のアウトカムをもたらすことができる。
【0399】
一部の実施形態において、抗体コンジュゲートおよび抗VEGF-A抗体、ならびに抗VEGFタンパク質コンジュゲート(例えば、アフリベルセプトバイオポリマーコンジュゲート)を含めて、本明細書に記載の化合物は、基礎または非増殖性糖尿病網膜症を有するがほとんどまたは全く視覚障害を有しない患者を処置するために使用される。一部の実施形態において、そのような患者は、月に1回よりも少なく硝子体内注射を介して投薬される。一部の実施形態において、そのような患者は、年に6回投薬される。一部の実施形態において、そのような患者(pateints)は年に4回以下で投薬される。一部の実施形態において、患者は年に3回以下で投薬される。一部の実施形態において、患者は年に2回以下で投薬される。一部の実施形態において、患者は年に1回以下で投薬される。一部の実施形態において、対象は、抗体または抗体コンジュゲートまたはタンパク質コンジュゲートを硝子体内注射を介して与えられる。
【0400】
本明細書に記載の治療用タンパク質(例えば、抗体および抗体コンジュゲートの両方)は、患者におけるインビボでのそのようなポリペプチドの発現、すなわち、遺伝子治療により用いられ得る。
【0401】
核酸(任意選択的にベクター中に含有される)を患者の細胞に入れる2つの主要なアプローチ:インビボおよびエクスビボがある。インビボ送達のために核酸は、通常は治療用タンパク質が要求される、すなわち、治療用タンパク質の生物学的活性が必要とされる部位において、患者に直接的に注射される。エクスビボ処置のために、患者の細胞が取り出され、核酸がこれらの単離された細胞に導入され、改変された細胞は、直接的にまたは、例えば、患者に移植される多孔性膜内に被包されて、患者に投与される(例えば、特許文献42および特許文献43を参照)。生存細胞に核酸を導入するために利用可能な様々な技術がある。技術は、核酸が培養細胞にインビトロで移入されるのか、それとも意図される宿主の細胞にインビボで移入されるのかに依存して変動する。インビトロでの哺乳動物細胞への核酸の移入のために好適な技術としては、リポソーム、エレクトロポレーション、微量注射、形質導入、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法などの使用が挙げられる。形質導入は、細胞受容体との複製欠陥性組換えウイルス(レトロウイルスを含む)粒子の会合、続いて粒子により含有された核酸の細胞への導入を伴う。遺伝子のエクスビボ送達のための一般的に使用されるベクターはレトロウイルスである。
【0402】
一部の実施形態において、インビボ核酸移入技術としては、ウイルスまたは非ウイルスベクター(例えばアデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスIウイルス、またはアデノ随伴ウイルス(AAV))を用いるトランスフェクションおよび脂質ベースのシステム(遺伝子の脂質媒介性移入のための有用な脂質は、例えば、DOTMA、DOPE、およびDC-Cholである;例えば、非特許文献30を参照)が挙げられる。一部の実施形態において、遺伝子治療における使用のためのベクターはウイルスであり、ウイルスは
、アデノウイルス、AAV、レンチウイルス、またはレトロウイルスを含む。ウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクターは、少なくとも1つの転写プロモーター/エンハンサーもしくは遺伝子座定義エレメント、または他の手段、例えば選択的スプライシング、核RNA輸送、もしくはメッセンジャーの翻訳後修飾により遺伝子発現を制御する他のエレメントを含む。追加的に、ウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクターは、治療用タンパク質をコードする遺伝子の存在下で転写された場合にそれに作動可能に連結され、翻訳開始配列として作用する核酸分子を含む。そのようなベクター構築物はまた、パッケージングシグナル、長鎖末端反復(LTR)またはその部分、ならびに使用されるウイルスに対して適切な正および負鎖プライマー結合性部位(これらがウイルスベクター中に既に存在しない場合)を含む。追加的に、そのようなベクターは、典型的には、それが置かれる宿主細胞からのプロポリペプチドの分泌のためのシグナル配列を含む。一部の実施形態において、この目的のためのシグナル配列は哺乳動物シグナル配列である。一部の実施形態において、シグナルは、治療用タンパク質のネイティブなシグナル配列である。任意選択的に、ベクター構築物はまた、ポリアデニル化を指令するシグナルの他に、1つまたは複数の制限部位および翻訳終結配列を含んでもよい。例として、そのようなベクターは、典型的には、5’LTR、tRNA結合性部位、パッケージングシグナル、第2鎖DNA合成の起点、および3’LTRまたはこれらの部分を含む。非ウイルス性の他のベクター、例えば陽イオン性脂質、ポリリジン、およびデンドリマーを使用することができる。
【0403】
一部の状況において、標的細胞を標的化する剤、例えば細胞表面膜タンパク質または標的細胞に特異的な抗体、標的細胞上の受容体のリガンドなどと共に核酸供給源を提供することが望ましい。リポソームが用いられる場合、エンドサイトーシスと関連付けられる細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質が標的化のためおよび/または取込みを促すために使用されてもよく、これは例えば、特定の細胞種に対してトロピズムを有するカプシドタンパク質またはその断片、サイクリングにおいて内部移行を起こすタンパク質に対する抗体、および細胞内局在性を標的化し、細胞内半減期を増強するタンパク質である。受容体媒介性エンドサイトーシスの技術は、例えば、非特許文献31;および非特許文献32により記載される。現在公知の遺伝子マーキングおよび遺伝子治療プロトコールの総説について、非特許文献33を参照。特許文献44およびそれにおいて参照される参考文献も参照。
【0404】
好適な遺伝子治療ならびにレトロウイルス粒子および構造タンパク質を製造する方法は、例えば、特許文献45に見出され得る。
【0405】
一部の実施形態において、抗VEGF-A抗体からなる群から選択される治療用タンパク質をコードする核酸分子が投与される、哺乳動物における眼疾患の処置または予防方法が提示される。
【0406】
一部の実施形態において、重鎖は配列番号1に記載のものであり、かつ軽鎖は配列番号2に記載のものである。一部の実施形態において、核酸分子は、エクスビボ遺伝子治療を介して投与される。
【0407】
本開示の方法における使用のために好適な抗体コンジュゲートを調製する方法は、例えば、特許文献46(参照により全体が本明細書に組み込まれる)において見出される。
【0408】
医薬組成物
治療用タンパク質は、薬学的に許容される賦形剤と共に医薬組成物に組み込むことができる。経口投与のために適合された医薬組成物は、別々の単位、例えばカプセルとして、溶液、シロップまたは懸濁液として(水性もしくは非水性液;または食用フォームもしく
はホイップとして;またはエマルションとして)提供されてもよい。錠剤または硬質ゼラチンカプセルのための好適な賦形剤としては、ラクトース、トウモロコシデンプンまたはその誘導体、ステアリン酸またはその塩が挙げられる。軟質ゼラチンカプセルとの使用のための好適な賦形剤としては、例えば植物油、ワックス、脂肪、半固体、または液体ポリオールなどが挙げられる。溶液およびシロップの調製のために、使用され得る賦形剤としては、例えば水、ポリオールおよび糖が挙げられる。懸濁液の調製のために、油(例えば植物油)を使用して水中油または油中水懸濁液を提供することができる。
【0409】
医薬組成物は経鼻投与のために適合させることができ、その場合、賦形剤は固体であり、例えば20~500ミクロンの範囲内の粒子サイズを有する粗い粉末を含み、これは嗅ぎタバコが摂取される方式で、すなわち、鼻の近くに保持された粉末の容器からの鼻通過を通じた急速な吸入により、投与される。経鼻スプレーとしてまたは点鼻薬としての投与のための、賦形剤が液体である好適な組成物としては、活性成分の水性または油性溶液が挙げられる。吸入による投与のために適合された医薬組成物としては、様々な種類の計量された用量の加圧エアロゾル、ネブライザーまたは空気吸入器の手段により生成され得る微粒子ダストまたはミストが挙げられる。
【0410】
非経口投与のために適合された医薬組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を意図されるレシピエントの血液と実質的に等張とする溶質を含有してもよい水性および非水性無菌注射溶液;ならびに懸濁化剤および増稠剤を含んでもよい水性および非水性無菌懸濁液が挙げられる。注射可能な溶液のために使用され得る賦形剤としては、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセリンおよび植物油が挙げられる。組成物は、単位用量または複数用量容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアル中で提供されてもよく、使用の直前に無菌の液体担体(liquid carried)、例えば注射用の水の添加のみを要求するフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵されてもよい。即席注射溶液および懸濁液が無菌粉末、顆粒および錠剤から調製されてもよい。医薬組成物は実質的に等張であることができ、これは約250~400mOsm/kg水の重量オスモル濃度を含意する。
【0411】
医薬組成物は、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、臭気剤、塩(物質自体が薬学的に許容される塩の形態で提供されてもよい)、緩衝剤、コーティング剤または抗酸化剤を含有してもよい。それらはまた、物質に加えて治療活性剤を含有してもよい。医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて用いられてもよい。そのような賦形剤としては、食塩水、緩衝食塩水(例えばリン酸緩衝食塩水)、デキストロース、リポソーム、水、グリセロール、エタノールおよびこれらの組合せを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0412】
抗体およびそれらを含有する医薬組成物は、患者の疾患の処置または予防のための有効なレジームにおいて投与されてもよく、該レジームとしては、例えば、経口、硝子体内、静脈内、皮下、筋肉内、骨内、鼻腔内、外用、腹腔内、および病巣内投与による投与が挙げられる。非経口注入は、特には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与または経路を含む。治療においてまたは予防として、活性剤は、注射可能な組成物、例えば無菌水性分散体として個体に投与されてもよい。一部の実施形態において、剤は等張または実質的に等張である。
【0413】
哺乳動物、特にはヒトへの投与のために、活性剤の投薬量は0.01mg/kg体重、典型的には1mg/kg程度であることが予測される。医師は、個体のために最も好適な実際の投薬量を決定することができ、これは、個体の年齢、体重、性別および応答、処置されている疾患または障害、ならびに処置されている個体の年齢および条件を含む要因に依存する。上記の投薬量は平均的な症例の例示である。当然、より高いまたはより低い投
薬量にメリットがある事例が存在し得る。一部の実施形態において、投薬量は、0.5~20mg/目、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19mgであることができる。
【0414】
この投薬量は、適切な頻度(例えば、週毎、隔週毎、月毎、2か月毎に1回、年に4回、年に2回、年毎)で繰り返されてもよい。副作用が発生する場合、投薬の量および/または頻度は、通常の臨床プラクティスにしたがって低減され得る。1つの実施形態において、医薬組成物は1~30日毎に1回投与されてもよい。1つの実施形態において、医薬組成物は30日毎に2回投与されてもよい。1つの実施形態において、医薬組成物は週に1回投与されてもよい。
【0415】
抗体および医薬組成物は、単独でまたは他の化合物、例えば治療用化合物もしくは分子、例えば抗炎症性薬物、鎮痛剤もしくは抗生物質と組み合わせて用いることができる。他の化合物とのそのような投与は、同時、別々または逐次的であってもよい。成分は、適宜に使用説明書を含んでもよいキットの形態で調製されてもよい。
【0416】
本明細書に開示される抗体および医薬組成物は、疾患、特には本明細書に記載の眼疾患または状態の処置または予防のために使用することができる。
【0417】
抗VEGF抗体コンジュゲート、または抗VEGFタンパク質コンジュゲート、およびそれらを含有する医薬組成物は、眼、眼内、および/もしくは硝子体内注射、ならびに/または強膜近傍注射、ならびに/または網膜下注射ならびに/またはテノン嚢下注射、ならびに/または上脈絡膜(superchoroidal)注射ならびに/または点眼剤および/もしくは軟膏の形態での結膜下および/もしくは外用投与のために製剤化されてもよく、それらにより投与されてもよい。そのような抗体および組成物は、様々な方法により、例えば、硝子体への化合物の遅い放出を可能とするデバイスおよび/またはデポーとして硝子体内に、送達することができ、これには、参考文献、例えば非特許文献34に記載のものが含まれる。一例において、デバイスは、ミニポンプおよび/またはマトリックスおよび/または受動拡散システムおよび/または長期化された時間的期間にわたり化合物を放出する被包された細胞の形態であってもよい(非特許文献34)。
【0418】
眼、眼内または硝子体内投与用の製剤は、当該技術分野において公知の方法によりおよび成分を使用して調製することができる。効率的な処置のための主な要求は目の適切な透過である。薬物が外用で送達され得る目の前方の疾患とは異なり、網膜疾患はより部位特異的なアプローチを要求する。点眼剤および軟膏は目の背後にほとんど透過せず、血液眼関門は、全身投与された薬物の眼組織への透過を妨げる。よって、網膜疾患、例えばAMDおよびCNVを処置するための薬物送達のために選択される方法は通常、直接的な硝子体内注射である。硝子体内注射は、通常、患者の状態、ならびに送達される薬物の特性および半減期に依存する間隔で繰り返される。
【0419】
治療用抗体および関連するコンジュゲートは、一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針により貫通可能なストッパーを有するバイアル中に置かれる。そのような組成物はまた、事前充填シリンジの形態で供給されてもよい。
【0420】
「安定な」製剤は、タンパク質または製剤中で他の半減期延長部分のポリマーにコンジュゲート化されたタンパク質が貯蔵時にその物理的安定性および/または化学的安定性および/または生物学的活性を本質的に保持する製剤である。「安定な」により、凝集および/または脱アミドを含めて、不安定性の徴候をほとんどまたは全く呈しない製剤もまた意味される。例えば、提供される製剤は、5~8℃の温度で指し示されるように貯蔵された場合に、少なくとも2年間安定なままであってもよい。本開示の抗VEGF抗体コンジュゲートのための好適な製剤は、例えば、特許文献46(参照により全体が本明細書に組み込まれる)において記載されている。
【0421】
タンパク質の安定性を測定するための様々な分析技術が当該技術分野において利用可能であり、例えば、非特許文献35および非特許文献36において総説されている。安定性は、選択された温度において選択された期間にわたり測定することができる。一部の実施形態において、製剤の貯蔵は、少なくとも6か月、12か月、12~18か月、または2もしくはより多くの年にわたり安定である。
【0422】
タンパク質、例えば抗体またはその断片は、色および/もしくは清澄度の視覚的検査において、またはUV光散乱もしくはサイズ排除クロマトグラフィーによる測定で、凝集、沈殿、脱アミドおよび/または変性の徴候を示さない場合に、薬学的製剤中で「その物理的安定性を保持する」。
【0423】
タンパク質は、所与の時点における化学的安定性が、タンパク質がその生物学的活性を依然として保持すると考えられるようなものである場合に、薬学的製剤中で「その化学的安定性を保持する」。化学的安定性は、化学的に変更された形態のタンパク質を検出および定量化することにより評価することができる。化学的な変更はサイズの改変(例えば、クリッピング)を伴ってもよく、これは、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、SDS-PAGEおよび/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間質量分析(MALDI/TOF MS)を使用して評価することができる。他の種類の化学的な変更としては電荷の変更(例えば、脱アミドの結果として起こる)が挙げられ、これは、例えば、イオン交換クロマトグラフィーにより評価することができる。抗体は、例えば、抗原結合アッセイにおける決定で所与の時点における抗体の生物学的活性が、薬学的製剤が調製された時点に呈された生物学的活性の約10%以内(アッセイの誤差以内)である場合に、薬学的製剤中で「その生物学的活性を保持する」。
【0424】
タンパク質-ポリマーコンジュゲートは「その化学的安定性を保持し」、タンパク質およびポリマーの間の化学結合はインタクトに維持される、例えば、それは加水分解も他の破壊もされない。コンジュゲートのタンパク質部分は、上記のようにその化学的安定性を保持する。
【0425】
「等張(の)」により、関心対象の製剤が、ヒト血液または硝子体内注射について硝子体と本質的に同じ浸透圧を有することが意味される。等張製剤は一般に約250~400mOsmの浸透圧を有する。等張性は、例えば、蒸気圧または氷結型浸透圧計を使用して測定することができる。
【0426】
本明細書において使用される場合、「緩衝剤」は、その酸-塩基共役成分の作用によりpHにおける変化に抵抗する緩衝化溶液を指す。一部の実施形態において、緩衝剤は、約3.0~約8.0、例えば約4.5~8、または約pH6~約7.5、または約6.0~約7.0、または約6.5~7.0、または約pH7.0~約7.5、または約7.1~約7.4のpHを有する。上記の範囲の間にある任意の点のpHもまた想定される。
【0427】
一部の実施形態において、「PBS」リン酸緩衝食塩水、トリスベースの緩衝剤およびヒスチジンベースの緩衝剤が使用される。
【0428】
一部の実施形態において、PBS緩衝剤は、適切なpHを提供するように調整された少なくともNaHPO、KHPOおよびNaClから構成される。一部の実施形態において、緩衝剤は、安定貯蔵溶液を提供するように他の薬学的賦形剤、例えばKClお
よび他の塩、界面活性剤ならびに/または防腐剤を含有してもよい。
【0429】
「防腐剤」は、製剤中の細菌の作用を本質的に低減させて、例えばマルチユースの製剤の製造を促す、製剤中に含めることができる化合物である。潜在的な防腐剤の例としては、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖化合物であるアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドの混合物)、および塩化ベンゼトニウムが挙げられる。他の種類の防腐剤としては、芳香族アルコール、例えばフェノール、ブチルおよびベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えばメチルまたはプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、ならびにm-クレゾールが挙げられる。
【0430】
一部の実施形態において、製剤は、ヒトでの使用または動物試験のために安全であるために、十分に低いレベルのエンドトキシンを有するべきである。「エンドトキシン」は、グラム陰性細菌の細胞膜に由来するリポ多糖(LPS)である。エンドトキシンは、疎水性脂質部分(リピドA)に共有結合的に連結された親水性多糖部分から構成される。非特許文献37。リピドAは、エンドトキシンの生物学的活性、すなわち、その毒性のほとんどの原因となる。エンドトキシンは、細菌細胞の死の他に、増殖および分裂の間に大量に放出される。それらは高度に熱安定的であり、通常の滅菌条件下で破壊されない。熱またはpHを用いる極端な処理、例えば、180~250℃および0.1Mを上回る酸または塩基が使用されなければならない(非特許文献38)。そのような条件は、当然ながら、生物学的薬物に対して高度に有害である。
【0431】
バイオテクノロジーおよび医薬品産業において、製造プロセスの間および最終製造物の両方においてエンドトキシンが見出され得る。細菌は、水、食塩水および緩衝剤を含めて、栄養分に乏しい培地中で増殖することができるので、注意しなければエンドトキシンが蔓延する。動物またはヒトへのエンドトキシンの注射は、エンドトキシンショック、組織傷害およびさらには死を含めて、多様な病態生理学的効果を引き起こす。非特許文献39。
【0432】
発熱性反応およびショックは、低濃度(1ng/mL)のエンドトキシンの静脈内注射で哺乳動物において誘導される(非特許文献40)。医薬および生物製剤製造物の静脈内適用のためのエンドトキシンの最大レベルは、全ての薬局方により5エンドトキシン単位(EU)/kg体重/時間に設定されている(非特許文献41)。EUはエンドトキシンの生物学的活性の測定値である。例えば、100pgの標準的なエンドトキシンEC-5および大腸菌(Escherichia coli)O111:B4からの120pgのエンドトキシンは1EUの活性を有する(非特許文献42)。この閾値レベルを満たすことは常に生物学的研究および医薬品産業において課題となっている(非特許文献43)。
【0433】
硝子体内注射を介して送達される薬物中のエンドトキシンの存在は特に懸念される。薬物(ペニシリン)の硝子体内注射はRycroftにより1945年に初めて行われた。非特許文献44。硝子体は、高いレベルの薬物が導入され、相対的に長い時間的期間にわたり維持され得るチャンバーである。硝子体内注射を介して達成され得る薬物の濃度は、外用投与または全身投与(例えば静脈内)により生成され得るものをはるかに上回る。
【0434】
硝子体内注射から生じる可能性がある最も危険な合併症の1つは眼内炎である。眼内炎は2つのクラス:感染性および無菌性に入る。感染性眼内炎は、一般に、細菌、真菌または寄生生物により引き起こされる(cause)。感染性眼内炎の症状としては、重篤な疼痛、視力の喪失、ならびに結膜および裏打ちする上強膜の潮紅が挙げられる。感染性眼内炎は緊急の診断および処置を要求する。可能な処置としては、抗生物質の硝子体内注射および一部の場合には毛様体扁平部硝子体切除術が挙げられる。盲目および有痛性の目を
除去するために眼球除去が要求されることがある。例えば、非特許文献45を参照。
【0435】
無菌性眼内炎は対照的に感染性因子を伴わず、硝子体内抗生物質および/または網膜硝子体手術の必要性なしに解消する硝子体腔の急性眼内炎症として定義することができる。硝子体の微生物学的試験が行われている場合、それは、無菌性眼内炎の診断の維持が証明される陰性培養物である必要がある。非特許文献46。
【0436】
エンドトキシンが夾雑した生物学的薬物の硝子体内注射は無菌性眼内炎を結果としてもたらし得ることが観察されている。非特許文献46。ベバシズマブ(Avastin(登録商標))は、膠芽腫および転移性結腸直腸がん、進行性非扁平非小細胞肺がんならびに転移性腎臓がんの処置のために食品医薬品局により承認されている。ベバシズマブはまた、滲出型AMDの処置として適応外で広く使用される。ベバシズマブは100mg/4mlとして製造者から得られる。この溶液は硝子体内注射のために直接的に使用することはできず、薬剤師により調合されるべきである。無菌性眼内炎のクラスターが観察されており、調合薬剤師によるエンドトキシンによるベバシズマブの意図しない夾雑により引き起こされる(cause)と考えられている。
【0437】
エンドトキシンの硝子体内注射の直接的な臨床結果を考慮すれば、硝子体内投薬を介して患者に与えられ得るエンドトキシンの総量は高度に限定的である。一部の実施形態において、抗体または抗体コンジュゲートを有する溶液であって、5.0EU/mlを超えないエンドトキシンレベルを有するものが提供される。一部の実施形態において、エンドトキシンレベルは1.0EU/mlを超えない。一部の実施形態において、エンドトキシンレベルは0.5EU/mlを超えない。一部の実施形態において、エンドトキシンレベルは0.2EU/mlを超えない。一部の実施形態において、エンドトキシンレベルは、2、1、0.5、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02または0.01EU/mlを超えない。
【0438】
エンドトキシンの存在についての2つの一般的に使用されるFDA承認済みの試験は、ウサギパイロジェン試験およびカブトガニ溶解液(Limulus Amoebodyte Lysate;LAL)アッセイである(非特許文献47)。ウサギパイロジェン試験は1920年代に開発され、試験溶液を注射されたウサギにおける温度上昇をモニターすることを伴う。しかしながら、ウサギパイロジェン試験の使用は、費用および長い所要時間に起因して年月と共に大きく減少している。はるかにより一般的なものはLAL試験である。LALはカブトガニの血液に由来し、エンドトキシンへの曝露で凝固する。
【0439】
最も単純なLALアッセイの1つはLALゲル凝固アッセイである。本質的に、LAL凝固アッセイは、問題とする試料の段階希釈液と組み合わせられる。ゲルの形成は試料中のエンドトキシンの量に比例する。段階希釈液が試料から調製され、各希釈液がLALゲルを形成する能力についてアッセイされる。何らかの点において陰性反応が含有される。元々の試料中のエンドトキシンの量が希釈アッセイから概算され得る。
【0440】
他のLAL試験もまた開発されており、これには比濁法LALアッセイ(非特許文献48)および色素産生LALアッセイ(非特許文献49)が含まれる。比濁法および色素産生アッセイは、単純なゲル凝固希釈アッセイよりもはるかに高感度かつ定量的である。
【0441】
一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体を有する組成物中のエンドトキシンの量を低減させる方法が提供される。方法は、組成物を、抗体に結合するアフィニティークロマトグラフィー樹脂と接触させるステップ;抗体をアフィニティークロマトグラフィー樹脂から溶出させて、アンタゴニストを有するアフィニティークロマトグラフィー溶出液を形成させるステップ;アフィニティークロマトグラフィー溶出液を、抗体に結合するイオン交換樹脂と接触させるステップ;および抗体をイオン交換樹脂から溶出させるステップを有し、イオン交換樹脂から溶出される抗体はエンドトキシンを実質的に含まない。
【0442】
エンドトキシンの量を低減させる上記の方法、または本明細書に記載される他の方法もしくはプロセスは、上記のステップに記載の順序で行うことができ、またはそれは任意選択的に、ステップの順序を変更することにより、もしくはステップのうちの1つもしくは複数を繰り返すことによっても行うことができる。1つの実施形態において、組成物中のエンドトキシンの量を低減させる方法は、記載されたステップの順序で行われる。一部の実施形態において、アフィニティークロマトグラフィー樹脂接触、洗浄および溶出ステップは、アフィニティークロマトグラフィー溶出液をイオン交換樹脂と接触させる前に同じ順序で1回より多く繰り返される。方法はまた、例えば、0.1ミクロン、0.22ミクロン、または0.44ミクロンフィルターを使用する、濾過ステップを含むことができ、これは、各樹脂結合ステップ後に除去された溶出液のいずれか1つまたは複数に対して行うことができる。
【0443】
ある特定の事例において、組成物をアフィニティークロマトグラフィー樹脂と接触させるステップ、洗浄するステップおよび抗体をアフィニティークロマトグラフィー樹脂から溶出させるステップは、第1の溶出液をイオン交換樹脂と接触させる前に1回より多く繰り返すことができる。1つの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィー樹脂は、組換えプロテインA[0297](「rProteinA」)樹脂を含む。好適な組換えプロテインA樹脂の1つの例はrProteinA Sepharose(登録商標) FF樹脂(Amersham、Piscataway、N.J.)である。別の実施形態において、好適なアフィニティークロマトグラフィー樹脂はプロテインGクロマトグラフィー樹脂を含む。他の実施形態において、好適なアフィニティークロマトグラフィー樹脂は、混合されたプロテインA/プロテインG樹脂を含む。他の実施形態において、好適なアフィニティークロマトグラフィー樹脂は、4-メルカプトエチルピリジンリガンドを含む疎水性電荷誘導樹脂、例えばMEP HyperCel樹脂(BioSepra、Cergy、Saint Christophe、France)を含む。
【0444】
一部の実施形態において、イオン交換樹脂は陰イオン交換樹脂を含む。当業者に公知であるように、イオン交換体は、マトリックスの他に取り付けられる荷電性基に関して様々な材料に基づいてもよい。例えば、以下のマトリックスが使用されてもよく、これらにおいて記載される材料は何らかの程度で架橋されていてもよい:MacroCap Q(GE Healthcare Biosciences、Piscataway、NJ)、アガロースベースのもの(例えばSepharose(登録商標) CL-6B、Sepharose(登録商標) Fast FlowおよびSepharose(登録商標)
High Performance)、セルロースベースのもの(例えばDEAE Sephacel(登録商標))、デキストランベースのもの(例えばSephadex(登録商標))、シリカベースのものならびに合成ポリマーベースのもの。陰イオン交換樹脂のために、マトリックスに共有結合的に取り付けられる荷電性基は、例えば、ジエチルアミノエチル、第四級アミノエチル、および/または第四級アンモニウムであってもよい。一部の実施形態において、陰イオン交換樹脂は第四級アミン基を含む。抗M-CSF抗体に結合するための第四級アミン基を有する例示的な陰イオン交換樹脂はQ Sepharose(登録商標)樹脂(Amersham、Piscataway、N.J.)である。
【0445】
他の態様において、エンドトキシンレベルが、組成物を上述の陰イオン交換クロマトグラフィーステップに供した後に所望されるよりも高い場合、組成物は代替的に陽イオン交換樹脂に供されてもよい。一部の実施形態において、組成物中の任意のエンドトキシンは
、問題とするタンパク質とは差次的なイオン交換樹脂への結合を有して、エンドトキシンからのタンパク質の精製を可能とするべきである。これに関して、エンドトキシンは負に荷電しており、一般に陰イオン交換樹脂に結合する。タンパク質およびエンドトキシンの両方が陰イオン交換樹脂に結合する場合、他方からの一方の精製は、塩勾配を使用して2つを異なる画分に溶出させることにより実現され得る。特定の樹脂へのタンパク質の相対的な結合はまた、タンパク質のpIと比べて緩衝剤のpHを変化させることによりもたらされ得る。一部の実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィーは、用いられる唯一のイオン交換クロマトグラフィーである。
【0446】
一部の実施形態において、エンドトキシンレベルが陰イオン交換樹脂後に高すぎる場合、組成物は第2のイオン交換ステップにさらに供されてもよく、これは例えば、組成物を陽イオン交換樹脂と接触させ、続いて洗浄ステップ、次にイオン交換樹脂からの溶出を行うことにより為される。一部の実施形態において、陽イオン交換樹脂は結合のためのスルホン酸基を含む。例示的な陽イオン交換樹脂は、SP Sepharose(登録商標)樹脂FF(Amersham、Piscataway、N.J.)Poros XS(CEX)(Life Technology、Grand Island、New York)である。
【0447】
一部の実施形態において、指定されるレベルのエンドトキシンを有する抗体タンパク質の溶液が製造された後に、タンパク質の最終製剤化の前に多数のステップが為される。一部の実施形態において、半減期延長部分がタンパク質にコンジュゲート化される。コンジュゲートは次に、患者に注射される最終薬物製剤に製剤化される。一部の実施形態において、コンジュゲートは、陽イオン交換樹脂であり得るイオン交換樹脂において再び精製される。他の実施形態において、タンパク質が製剤化される。全ての場合に、タンパク質試料へのまたはタンパク質-ポリマーコンジュゲートへのエンドトキシン夾雑物の導入を予防するために通常の実験室手順が用いられるべきである。
【実施例
【0448】
実施例1:KSI-301の網膜半減期、網膜バイオアベイラビリティおよび全身クリアランス
硝子体内に投与されたKSI-301は、ウサギモデルの網膜および脈絡膜/網膜色素上皮(RPE)において延長された半減期を示した(図1)。アフリベルセプトおよびラニビズマブについて報告された結果とのKSI-301のデータの比較は、KSI-301は、他の抗VEGF治療剤と比較して優位な持久性を呈することを指し示した。データはウサギモデルからのものである。ラニビズマブのデータ:非特許文献50、非特許文献51、非特許文献52;アフリベルセプトのデータ:EVER Congress Portoroz Slovenia (2008) Struble (Covance) Koehler-Stec (Regeneron)。アフリベルセプトのデータは、2,000μgの用量の投与を反映するように算術的に調整し(500μgのウサギインビボ投薬に基づく);KSI-301のデータは、5,000μgの用量の投与を反映するように算術的に調整した(725μgのウサギインビボ投薬に基づく)。エラーバーは平均の標準誤差を反映する。
【0449】
硝子体内に投与されたKSI-301は優れた網膜バイオアベイラビリティを示した(図2)。アフリベルセプトについて報告された結果とのKSI-301のデータの比較は、KSI-301のより良好なバイオアベイラビリティを指し示した。図2からのデータはcovanceウサギADME(吸収、分布、代謝、排除)モデルからのものである。アフリベルセプトのデータ(2008):EVER Congress Portoroz Slovenia Struble (Covance), Koehler-Stec (Regeneron)。エラーバーは平均の標準誤差を反映する。
【0450】
静脈内に投与されたKSI-301は急速な全身クリアランスを示した(図3)。ベバシズマブについての報告された結果とのKSI-301のデータの比較は、KSI-301のより速い全身クリアランスを指し示した。ベバシズマブのデータは非特許文献53からのものであった。
【0451】
実施例2:糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する対象におけるKSI-301の硝子体内投与の用量漸増研究
研究設計
用量漸増研究を実行して、目および全身安全性を評価し、KSI-301の最大耐用量(MTD)を確立した。3つの用量、1.25mg、2.5mg、および5mg(タンパク質の重量による)のうちの1つを各対象に単回の注射として与えた。3人の対象を各用量レベルに登録した。対象を以下の時点;2日目、1週目、2週目、4週目、8週目、および12週目における最終フォローアップにおいて計12週間追跡した。
【0452】
研究開始時に、最初の3人の対象を第1投薬コホート(1.25mgのKSI-301)に登録し、KSI-301の単回の硝子体内用量を用いて処置した。次の対象の注射を承認する前に各対象についての安全性審査のための十分な時間を可能とするために対象間に少なくとも24時間の待ち時間を用いて対象を逐次的に評価した。
【0453】
先行する用量レベルの3人目の対象がKSI-301の用量後の1週の安全性期間を完了したら、用量群を漸増様式において登録した。対象の登録および用量漸増は、安全性情報および用量制限毒性(DLT)の存在の審査に基づいた。
【0454】
9人の登録された対象のうちの8人は以前に処置されていたが、複数の以前の抗VEGF処置にもかかわらず限られたまたは無応答であり、重篤な疾患(前年においてBCVAメジアン3、0~7の範囲)を有していた。
【0455】
結果
KSI-301の単回の注射は、急速な、12週まで持続可能な高規模の応答を結果としてもたらした(図4)。眼内炎症および薬物関連有害事象は観察されなかった。図4:糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する対象の硝子体内に投与された1.25mg、2.5mg、または5mg(タンパク質の重量による)のKSI-301の適用。BCVAおよびOCT CSTをKSI-301の硝子体内注射後に測定した。ベースラインから12週目までのメジアン変化、3つの用量群の間でプール(n=計9患者、用量群当たり3患者)。非特許文献54。
【0456】
そのほとんどが他の抗VEGF剤(ベバシズマブ、アフリベルセプト、および/またはラニビズマブ)を用いてDMEについて以前に処置されていた患者における単回の注射としてのKSI-301の有効性を結果は示す。KSI-301は、硝子体内に投与された場合に、12週を通じて安定な様式で視力および網膜厚(OCTでの測定)における改善を提供することを結果は指し示す。実験では、重篤な疾患を有する糖尿病黄斑浮腫(DME)患者(n=9)を調べた。一部の患者は以前に処置されていたが(8/9)、複数の以前の抗VEGF処置にもかかわらず限られたまたは無応答であり、重篤な疾患(前年においてメジアン3、0~7の範囲)を有していた。KSI-301の単回の注射は、急速な、12週まで持続可能な高規模の応答を結果としてもたらすことを結果は実証した。眼内炎症および薬物関連有害事象は観察されなかった。
【0457】
糖尿病黄斑浮腫を有する対象の硝子体内に投与された1.25mg、2.5mg、または5mg(タンパク質の重量による)のKSI-301の適用から結果を得た。そのほと
んどが他の抗VEGF剤(ベバシズマブ、アフリベルセプト、および/またはラニビズマブ)を用いてDMEについて以前に処置されていた患者における単回の注射としてのKSI-301の有効性を結果は示す。KSI-301は、ここで行われたように、単回用量において投与された場合に、予想外の治療効果を有し、視力および網膜厚(OCTでの測定)が12週を通じて安定な様式で改善したことを結果は指し示す。
【0458】
実施例3:滲出型加齢黄斑変性症(wAMD)を有する対象におけるKSI-301の複数回の硝子体内投与を調べるためのオープンラベル多施設探査的研究
他に指し示されなければ、実施例3、4および5において以下の研究設計および方法に従った。一般に、抗VEGF処置ナイーブであり、かつwAMD、DME、またはRVOのいずれかを有する患者を無作為に割り当てて、2.5mgまたは5mg(抗体の重量による)のKSI-301の3回の月毎の負荷用量を与え、その後に月毎またはより高い頻度で追跡し、疾患活動性に起因する再処置が要求されると医師が決定した場合、または患者が任意の再処置基準を満たした場合のいずれかにおいて再処置を行った。
【0459】
全体的な研究設計
【0460】
この研究において、抗VEGF処置ナイーブであり、かつwAMD、DME、またはRVOのいずれかを有する患者を無作為に割り当てて、2.5mgまたは5mg(抗体の重量による)のKSI-301の3回の月毎の負荷用量を与え、その後に月毎またはより高い頻度で追跡し、疾患活動性に起因して再処置が要求されると医師が決定した場合、または患者が再処置基準のいずれかを満たした場合のいずれかにおいて再処置を行った。これらの基準は、疾患の再発の徴候および/または疾患の再発に起因する視力低下に関するものであった。
【0461】
KSI-301の2つの用量レベル、2.5mg(50μL)および5mg(100μL)(タンパク質の重量による)を複数用量研究において評価した。各対象にKSI-301の3回の初期硝子体内注射を、1日目に1回目、4週目に2回目、8週目に3回目で与えた(図5)。全てのコホートを1:3で2.5mgまたは5mgの用量に無作為化した。
【0462】
図5:KSI-301の硝子体内投与の複数用量安全性、有効性および持久性を評価するための無作為化されたオープンラベル研究の研究設計。
【0463】
対象を4週毎に評価し、対象は、特有の再処置基準が満たされる場合に、16週目に開始して研究薬物の追加投与を与えることがあった。滲出型AMDコホートの場合を除いて、評価来診において義務的な注射はなかったが、滲出型AMDコホートの場合、直近の注射から24週が経っている場合に来診時に義務的な硝子体内注射を与えた。
【0464】
予め決定された包含および除外基準に基づいて適格対象を選択した。対象は、処置されるべき眼障害に関して処置ナイーブであり、調査される状態以外の網膜疾患の歴史を有しなかった。
【0465】
KSI-301を、約12.5mMのリン酸ナトリウムおよび0.025%のポリソルベート20中に水性溶液として50mg/mL(抗体質量に基づく)において製剤化し、単回使用の2.0mLのバイアルに充填した。
【0466】
研究の間に、KSI-301の複数用量曝露は忍容性良好であり、眼内炎症は観察されなかった。113人の対象に投薬を行い、計308の用量を与えた(1日目に104の用量、4週目に96の用量、8週目に84の用量)。以下が観察された:
【0467】
・研究眼において眼内炎症も眼SAEもこれまで報告されなかった;
【0468】
・薬物関連有害事象(AE)も薬物関連の深刻な有害事象(SAE)もこれまで報告されなかった;
【0469】
・ほとんどのAEは軽度と評価され、硝子体内抗VEGFのプロファイルと合致した;
【0470】
・薬物関連ではない目以外の8つのSAEが4人の対象において報告された:
【0471】
・1人の92歳のRVO対象は既存の状態に関する入院を伴い、これは死を結果としてもたらした。
【0472】
・1人の66歳のRVO対象はめまいに関する入院を伴った。
【0473】
・1人の43歳のDME対象は既存の状態に関する入院を伴った。
【0474】
・1人の56歳のDME対象は既存の状態に関する入院を伴った。
【0475】
wAMDコホート
wAMDコホートに含まれる患者は、≧50歳であり;中心窩を伴う処置ナイーブ滲出型加齢黄斑変性症を有し;病変面積<30mm(12乳頭面積)の任意の病変型を有し;スクリーニング時におよび1日目に確認された研究眼における≦78および≧23(約20/25~約20/320のスネレンに相当)のBCVA ETDRS文字スコアを有し;主にwAMDの結果であると決定された研究眼の視力における減少を有した。
【0476】
研究集団の平均的特徴を表1に示す。
【0477】
【表1】
【0478】
試験の評価
KSI-301の3回の初期硝子体内注射後に以下の評価を4週毎に行った:早期処置糖尿病網膜症研究(ETDRS)視力試験による最良矯正視力(BCVA);スペクトル領域光干渉断層撮影法(SD-OCT);OCTアンギオグラフィー(OCT-A)。
【0479】
再処置基準(非負荷用量)
以下の再処置基準のうちの少なくとも1つが満たされた場合にKSI-301の硝子体内注射での再処置を行った。これらの基準は、疾患の再発の徴候および/または疾患の再発に起因する視力低下に関する。
【0480】
・12週目と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う、≧75μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;
【0481】
・wAMD疾患活動性の悪化(例えば網膜内流体の増加、網膜下流体の増加、新たな網膜内出血、新たな網膜下出血)に起因する、1日目と比較した、>5文字のBCVAにおける減少;
【0482】
・wAMD疾患活動性の悪化(例えば網膜内流体の増加、網膜下流体の増加、新たな網膜内出血、新たな網膜下出血)に起因する、最良の以前のBCVAと比較した、≧10文字のBCVAにおける減少;または
【0483】
・先行する注射から24週/6か月が経過した。
【0484】
結果
1日目に投与された第1の負荷用量後の患者においてBCVAおよびOCT CSTにおける改善が観察された(図6図12、左列)。BCVAおよびOCT CST値の改善は標準治療の抗VEGF治療と同等であった。KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも8週間継続した(図6)。CSTにおける低減は、代表的な患者において再処置なしで7か月間持続した(図12、左列)。
【0485】
図6:滲出型AMDを有する患者の最良矯正視力(BCVA)および網膜厚(OCT)における初期改善。wAMDコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=25。データカットオフ日までに16週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。
【0486】
図12:wAMDコホートからの患者における治療の持久性。KSI-301での処置の1日目(1行目)、1週目(2行目)、3か月目(3行目)、および7か月目(4行目)における個々の網膜のOCTスキャン。左列:wAMD患者;中央列:DME患者;右列:RVO患者。
【0487】
結果は、これまでのwAMDコホートからの患者における治療の持久性を示す(図7)。1人の患者のみが20週目(または直近の負荷用量から約3か月)の前に再処置されており、1人の患者が直近の負荷用量から3か月時に再処置されており、11/14(80%)が第1の再処置までに4か月またはより長きに達していたので、KSI-301は、現行の剤と比べて予想外の治療効果を提供し、より良好な結果を提供し得ることをデータは指し示す。wAMDにおける3~5か月の標的投薬間隔が可能であることをこれは指し示す。
【0488】
要約すると、25人の患者のうちの1人のみ(4%)が3か月の前に再処置された(図
7)。20人の患者のうちの1人のみ(5%)が3か月時に再処置された。患者の86%(18/21)は、直近の負荷用量後に再処置なしで3か月またはより長きに達し、患者の80%(11/14)は、直近の負荷用量後に再処置なしで4か月またはより長きに達した。wAMDにおける標的投薬間隔は3~5か月であり得ることをこれは指し示す。
【0489】
図7:wAMDコホートにおけるKSI-301の処置持久性。データカットオフ日までに第1の再処置機会(12週目の来診)に達した無作為化された患者を含む。各バーは個々の患者を表す。再処置は(◆)により指し示される。全ての描写される患者は、指し示される直近の評価時点を超えて追跡された(右の矢印により指し示される)。結果は以下のように要約され得る:
【0490】
・18.5%が再処置を受けた(5/27)。20週目に達した患者の中で、95%(20/21)は、直近の負荷用量後に12週よりも長きにわたり再処置を受けていない。
【0491】
・81.5%は再処置を要求しなかった(22/27)
【0492】
・20週目に達した患者の中で、95%(20/21)は、第3の負荷用量後に少なくとも12週にわたり再処置を受けていない。
【0493】
・負荷期後6か月までの再処置がKSI-301 5mg用量において達成された。
【0494】
実施例4:糖尿病黄斑浮腫(DME)を有する対象におけるKSI-301の複数回の硝子体内投与を調べるためのオープンラベル多施設探査的研究
全体的な研究設計および試験評価は実施例3に記載される通りであった。
【0495】
DMEコホート
DMEコホートに含まれる患者は、処置ナイーブ糖尿病黄斑浮腫;スクリーニング時におよび1日目に確認された研究眼における≦78および≧23(約20/25~約20/320のスネレンに相当)のBCVA ETDRS文字スコア;SD-OCT(ハイデルベルグスペクトラリスまたは同等物)における≧300ミクロンの中心サブフィールド厚(CST);ならびに主にDMEの結果であると決定された研究眼の視力における減少を有した。
【0496】
研究集団の平均的特徴を上記の表1に示す。
【0497】
再処置基準(非負荷用量)
以下の再処置基準のうちの少なくとも1つが満たされた場合にKSI-301の硝子体内注射での再処置を行った。これらの基準は、疾患の再発の徴候および/または疾患の再発に起因する視力低下に関する。
【0498】
12週目または以前の来診(来診間に4週の間隔)と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う、≧75μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;または
【0499】
DME/RVO疾患活動性の悪化(例えば網膜内流体の増加、網膜下流体の増加、新たな網膜内出血、新たな滲出物)に起因する、最良の以前のBCVAと比較した、≧10文字のBCVAにおける減少。
【0500】
結果
1日目に投与された第1の負荷用量後の患者においてBCVAおよびOCT CSTに
おける改善が観察された(図8図12、中央列)。KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも8週間継続した(図8)。CSTにおける低減は、代表的な患者において再処置なしで7か月間持続した(図12、中央列)。
【0501】
データは、DMEを有する患者における3回の月毎の用量後のKSI-301の効果を実証する(図8)。現行の製造物は月毎の治療または5回の月毎の負荷用量のいずれかを要求する一方、KSI-301は3回の負荷用量のみの後に高いレベルの改善を提供したので、データは予想外である。
【0502】
図8:DMEコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=12。データカットオフ日までに16週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。
【0503】
直近の負荷用量後3か月の前に再処置を要求した患者はおらず、第4または第5の月毎の負荷用量を要求した患者はいなかった(図9)。患者の18%(2/11)は3か月時に再処置された。20週目に達した患者の中で、81.8%(9/11)は、第3の負荷用量後に12週間を上回って再処置を要求しなかった。一部の患者は、再処置なしで4、5、または6か月に達した。
【0504】
データは、DMEを有する患者における3回の負荷用量のみの後の3+か月の投薬間隔の可能性を指し示す(図9)。さらには、いずれのDME患者も3か月の前に未だに再処置されていないので、データは予想外である。追加的に、80%よりも多くは、直近の負荷用量後に再処置が必要となる前に3か月よりも長く過ぎている。従来の治療を用いた場合、9~10ほど多くの注射が治療の最初の12か月のうちに投与されるので、これは予想外である。
【0505】
図9:DMEコホートにおけるKSI-301の処置持久性。データカットオフ日までに第1の再処置機会(12週目の来診)に達した無作為化された患者を含む。各バーは個々の患者を表す。再処置は(◆)により指し示される。全ての描写される患者は、指し示される直近の評価時点を超えて追跡された(右の矢印により指し示される)。結果は以下のように要約され得る:
【0506】
・11.8%は再処置を受けた(2/17)。
【0507】
・20週目に達した患者の中で、80%(8/10)は、直近の負荷用量後に12週よりも長きにわたり再処置を受けていない。
【0508】
・88.2%は再処置を受けていない(15/17)。
【0509】
・20週目に達した患者の中で、81.8%(9/11)は、3回の負荷用量のみの後に12週よりも長きにわたり再処置を受けていない。
【0510】
・いずれの患者も第4または第5の月毎の負荷用量を要求しなかった。
【0511】
図15は糖尿病網膜症重症度の結果(DRSS)を描写する。図は、独立した専門読み取り施設による、標準化された写真読み取り尺度で測定された、異なるレベルの糖尿病網膜症重症度を有する患者の割合を示す。DRは、異なるレベルの重症度、例えば、軽度、中等度、そして重篤な非増殖性糖尿病網膜症、または軽度~高リスク増殖性DRとして記
載することができる。この場合、患者の大部分はベースラインにおいてレベル47の疾患(中等度のNPDR)を有した。12週(3回の負荷用量および次に1か月)後に、患者の27%は、重症度スケールにおいて>=2ステップのDR重症度における改善を有し、13%は1ステップの改善を有し、60%は同じレベルのDR重症度を維持した。(DR重症度は、抗VEGF治療の適用後に改善することが公知であるが、他の剤を用いた場合、ピーク効果に達するために1~2年を要し、抗VEGF治療が中止された場合に、効果は多くの患者において喪失され、疾患は再び悪化する)。画像は、12週目において疾患修飾を有し、非増殖性(レベル53)まで改善(標準的なグレーディング尺度において2ステップ)した増殖性(レベル65)疾患を有する患者を示す。追加用量が与えられることなく、その患者のために利用可能な最大のフォローアップ時間である追加の14週にわたりDR重症度に対する効果が維持された。
【0512】
一部の実施形態において、非増殖性DRを有する患者は、負荷用量なしまたは潜在的にわずか数回の負荷用量(例えば、1回の用量、2回の用量、または3回の開始用量)と共に抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)を使用して処置され、次に非増殖性DRの処置のために3~6か月毎に再処置され得る。
【0513】
実施例4.5
非増殖性DRを有する患者が同定される。患者は、負荷用量なしで処置されるが、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の単回の注射を用いて3~6か月毎に処置され、非増殖性DRが処置される。代替的に、患者は、最初に1、2、または3回の負荷用量を用いて処置される。
【0514】
実施例5:網膜静脈閉塞症(RVO)を有する対象におけるKSI-301の複数回の硝子体内投与を調べるためのオープンラベル多施設探査的研究
全体的な研究設計および試験評価は、実施例3に記載される通りであった。
【0515】
RVOコホート
RVOコホートに含まれる患者は、黄斑浮腫および二次的な視覚障害を伴う処置ナイーブ網膜静脈閉塞症;スクリーニング時におよび1日目に確認された研究眼における≦78および≧23(約20/25~約20/320のスネレンに相当)のBCVA ETDRS文字スコア;SD-OCT(ハイデルベルグスペクトラリスまたは同等物)における≧300ミクロンの中心サブフィールド厚(CST);分枝網膜静脈閉塞症(BRVO)または中心網膜静脈閉塞症(CRVO);ならびに主にRVOに二次的な黄斑浮腫の結果であると研究者により決定された研究眼の視力における減少を有した。
【0516】
研究集団の平均的特徴を表1に示す。
【0517】
再処置基準
以下の再処置基準のうちの少なくとも1つが満たされた場合にKSI-301の硝子体内注射での再処置を行った。これらの基準は、疾患の再発の徴候および/または疾患の再発に起因する視力低下に関する。
【0518】
・12週目または以前の来診(来診間に4週の間隔)と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う、≧75μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;または
【0519】
・DME/RVO疾患活動性の悪化(例えば網膜内流体の増加、網膜下流体の増加、新たな網膜内出血、新たな滲出物)に起因する、最良の以前のBCVAと比較した、≧10文字のBCVAにおける減少。
【0520】
結果
1日目に投与された第1の負荷用量後の患者においてBCVAおよびOCT CSTにおける改善が観察された(図10図12、右列)。KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも8週間継続した(図10)。CSTにおける低減は、代表的な患者において再処置なしで7か月間持続した(図12、右列)。
【0521】
データは、RVOを有する患者における3回の月毎の用量後のKSI-301の効果を実証する(図10)。視力における継続した改善が8週から16週までで観察されるので、データは予想外である。RVOにおけるラニビズマブ、アフリベルセプト、およびベバシズマブの研究において、月毎の治療から月毎よりも低い頻度の治療への切換えは、視力およびOCT CSTの悪化を結果としてもたらす。
【0522】
図10:RVOコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=14。データカットオフ日までに16週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。
【0523】
RVOコホートにおける患者の75%(18/24)は再処置を要求しなかった(図11)。患者の8%(2/24)は1か月時に第1の再処置を受け;患者の23%(3/13)は2か月時に第1の再処置を受け;患者の11%(1/9)は3か月時に第1の再処置を受けた。20週目に達した患者の中で、56%(5/9)は、第3の負荷用量後に12週間を超えて再処置を要求しなかった。5mgコホートの100%(18/18)の患者は第4または第5の月毎の負荷用量を要求せず、要求する場合には、直近の負荷用量の9週後またはより後に再処置を受けた。5mgにおける8人の患者のうちの2人のみが2か月時に第1の再処置を受け、両者は次の処置の前により長い時間を有した。そのため、1回より多くの再処置を受けた患者の中で、第1および第2の再処置の間の時間は、直近の負荷用量および第1の再処置の間の時間と比較して延長された。
【0524】
5mg用量群において、RVO患者は8週またはより後に第1の再処置を受けていることをデータは示す(図11)。従来の治療はRVOを処置するために月毎の投薬を要求するので、この結果は予想外である。さらに、1回より多くの再処置を受けた患者の中で、第1および第2の再処置の間の時間は延長され、典型的にはRVOを有する患者は特定のパターン、または定期的な間隔において疾患の再発を有するので、これもまた予想外であった。最後に、半数を上回る患者(5/9)は、直近の負荷用量から3か月よりも長くを過ごし、RVOの高い眼内VEGF負荷を考慮すれば、これもまた予想外であった。
【0525】
図11:RVOコホートにおけるKSI-301の処置持久性。データカットオフ日までに第1の再処置機会(12週目の来診)に達した無作為化された患者を含む。各バーは個々の患者を表す。再処置は(◆)により指し示される。指し示される直近の評価時点を超えて追跡された患者は右の矢印により指し示される。中止は左の矢印により指し示される。図11に示されるさらなる結果は以下のように要約され得る:
【0526】
・25%は再処置を受けた(6/24)。
【0527】
・20週目に達した患者の中で、56%(5/9)は、直近の負荷用量後に12週よりも長きにわたり再処置を受けていない。
【0528】
・75%は再処置を受けていない(18/24)。
【0529】
・20週目に達した患者の中で、56%(5/9)は、3回の負荷用量のみの後に12週よりも長きにわたり再処置を受けていない。
【0530】
・KSI-301 5mgコホートの18/18人の患者は4回目の月毎の負荷用量を要求しなかった。
【0531】
実施例6
眼障害の処置(予防的またはその他)を必要とする対象が最初に同定される。次に1~5mgの抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の抗体が対象に第1の負荷用量において投与され、任意選択的に第2の負荷用量および任意選択的に第3の負荷用量が投与される(互いに約1か月以内)。直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF治療の治療的な利益を少なくとも12週間保持する。これは、糖尿病黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症(RVO)、滲出型加齢黄斑変性症(AMD)、および/または代替的に糖尿病網膜症(DR)に適用され得る。
【0532】
実施例6.5
眼障害の処置(予防的またはその他)を必要とする対象が最初に同定される。次に1~5mgの抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の抗体が対象に第1の負荷用量において投与され、任意選択的に第2の負荷用量および任意選択的に第3の負荷用量が投与される(互いに約1か月以内)。直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも16週間保持する。代替的に、直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも20週間保持する。代替的に、直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも24週間保持する。代替的に、直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも30週間保持する。代替的に、直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも36週間保持する。代替的に、直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも42週間保持する。代替的に、直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも48週間保持する。代替的に、直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも54週間保持する。代替的に、直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも60週間保持する。これは、糖尿病黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症(RVO)、滲出型加齢黄斑変性症(AMD)、および/または代替的に糖尿病網膜症(DR)に適用され得る。
【0533】
実施例7
本実施例は、網膜静脈閉塞症(RVO)を処置する方法を提供する。方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)を、RVOを有する対象に第1の負荷用量において投与することを含む。次に負荷用量を1回または代替的に2回繰り返すことができる。これは、対象が抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも8週間保持することを結果としてもたらす。代替的に、これは、対象が抗VEGF抗体バイオコンジュゲート、例えば、KSI-301、治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも12週間保持することを結果としてもたらす。代替的に、これは、対象が抗VEGF抗体バイオコンジュゲート、例えば、KSI-301、治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも20週間保持することを結果としてもたらす。
【0534】
実施例7.5
本実施例は、網膜静脈閉塞症(RVO)を処置する方法を提供する。方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)を、RVOを有する対象に第1の負荷
用量において投与することを含む。次に負荷用量を1回または代替的に2回繰り返すことができる。これは、対象が抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも24週間保持することを結果としてもたらす。代替的に、これは、対象が抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも30週間保持することを結果としてもたらす。代替的に、これは、対象が抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも36週間保持することを結果としてもたらす。代替的に、これは、対象が抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも42週間保持することを結果としてもたらす。代替的に、これは、対象が抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも48週間保持することを結果としてもたらす。代替的に、これは、対象が抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも54週間保持することを結果としてもたらす。代替的に、これは、対象が抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも60週間保持することを結果としてもたらす。
【0535】
実施例8
本実施例は、目の灌流を改善する方法であって、DME、DRまたはRVOを有する対象を同定することを含む、方法を提供する。次に抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の少なくとも2回の負荷用量を対象に1.25~5mgにおいて、各注射間に1か月で投与する。2回よりも多くの注射を投与しない。次に、対象が少なくとも1つの目における灌流の改善を示すまで、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の1回または複数回のさらなる用量(再処置)を対象に提供する。
【0536】
実施例9
本実施例は、目の灌流を改善する方法を提供する。方法は、非増殖性DRを有する対象を同定することおよび抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の初期用量を対象に投与(1~5mgの抗体)して、少なくとも1つの目における灌流の改善を提供することを伴う。灌流が対象の処置された目において達成されるまで用量は繰り返される。
【0537】
実施例10
本実施例は、DME、DRまたはRVOを有する対象を処置する方法を提供する。方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の1~3回の負荷用量(月毎に1回を基準にして1~5mgの抗体)を、DME、DRまたはRVOを有する対象に投与することを含む。3回より多くの負荷用量を対象に投与しない。要求される場合には、要求される程度まで、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用(再処置)を直近の負荷用量の12週以後の時点において提供する。
【0538】
実施例10.5
本実施例は、DME、DRまたはRVOを有する対象を処置する方法を提供する。方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の1~3回の負荷用量(月毎に1回を基準にして1~5mgの抗体)を、DME、DRまたはRVOを有する対象に投与することを含む。3回より多くの負荷用量を対象に投与しない。要求される場合には、要求される程度まで、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用(再処置)を直近の負荷用量の16週以後の時点において提供する。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用(再処置)を直近の負荷用量の20週以後の時点において提供する。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用(再処置)を直近の負荷用量の24週以後の時点において提供する。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用(再処置)を直近の負荷用量の30週以後の時点において提供する。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用(再処置)を直近の負荷用量の36週以後の時点において提供する。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用(再処置)を直近の負荷用量の42週以後の時点において提供する。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用(再処置)を直近の負荷用量の48週以後の時点において提供する。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用(再処置)を直近の負荷用量の54週以後の時点において提供する。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続適用(再処置)を直近の負荷用量の60週以後の時点において提供する。
【0539】
実施例11
本実施例は、非増殖性DRを有する対象を処置する方法を提供する。治療を必要とする患者を同定し、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の1回または2回の負荷用量(1~5mg、月に1回)を、非増殖性DRを有する対象に投与する。2回より多くの負荷用量を対象に投与しない。任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の後続投与(再処置)を直近の負荷用量の12週以後の時点において提供することができる。
【0540】
実施例11.5
本実施例は、非増殖性DRを有する対象を処置する方法を提供する。治療を必要とする患者を同定し、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の1回または2回の負荷用量(1~5mg、月に1回)を、非増殖性DRを有する対象に投与する。2回より多くの負荷用量を対象に投与しない。任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の16週以後の時点において提供することができる。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の20週以後の時点において提供することができる。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の24週以後の時点において提供することができる。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の30週以後の時点において提供することができる。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の36週以後の時点において提供することができる。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の42週以後の時点において提供することができる。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の48週以後の時点において提供することができる。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の54週以後の時点において提供することができる。代替的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の60週以後の時点において提供することができる。
【0541】
実施例12
本実施例は、RVOを有する対象を処置する方法を提供する。方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の1回または2回の負荷用量(1~5mg、月毎に1回)を、RVOを有する対象に投与することを含む。追加の負荷用量は3対象に投与されない。次に、任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の8週以後の時点において提供する。代替的に、再処置は12週以後に行われる。代替的に、再処置は16週以後に行われる。代替的に、再処置は20週以後に行われる。代替的に、再処置は24週以後に行われる。
【0542】
実施例12.5
本実施例は、RVOを有する対象を処置する方法を提供する。方法は、抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の1回または2回の負荷用量(1~5mg、月毎に1回)を、RVOを有する対象に投与することを含む。追加の負荷用量は3対象に投与されない。次に、任意選択的に、抗VEGF抗体コンジュゲートの後続投与(再処置)を直近の負荷用量の30週以後の時点において提供する。代替的に、再処置は36週以後に行われる。代替的に、再処置は42週以後に行われる。代替的に、再処置は48週以後に行われる。代替的に、再処置は54週以後に行われる。代替的に、再処置は60週以後に行われる。
【0543】
実施例13
本実施例は、RVOを処置する方法を提供する。抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)(1~5mg、月に1回)を、RVOの処置を必要とする対象に1~3回の負荷用量において投与する。対象は、それにより、RVOに対する抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも8週間保持する。対象は、治療的な利益の、ほとんどまたは全てではないにしても少なくとも1つをこの時間的期間にかけて保持し、その結果、対象は、抗VEGF抗体コンジュゲートの直近の適用後に少なくとも14週間、別の再処置からの利益を実質的に受けない。
【0544】
実施例13.5
本実施例は、RVOを処置する方法を提供する。抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)(1~5mg、月に1回)を、RVOの処置を必要とする対象に1~3回の負荷用量において投与する。対象は、それにより、RVOに対する抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療結果を最終負荷用量後に少なくとも12週間保持する。対象は、治療的な利益の、ほとんどまたは全てではないにしても少なくとも1つをこの時間的期間にかけて保持し、その結果、対象は、抗VEGF抗体バイオコンジュゲートの直近の適用後に少なくとも18週間、別の再処置からの利益を実質的に受けない。代替的に、対象は、治療的な利益の、ほとんどまたは全てではないにしても少なくとも1つをこの時間的期間にかけて保持し、その結果、対象は、抗VEGF抗体バイオコンジュゲートの直近の適用後に少なくとも24週間、別の再処置からの利益を実質的に受けない。代替的に、対象は、治療的な利益の、ほとんどまたは全てではないにしても少なくとも1つをこの時間的期間にかけて保持し、その結果、対象は、抗VEGF抗体バイオコンジュゲートの直近の適用後に少なくとも30週間、別の再処置からの利益を実質的に受けない。代替的に、対象は、治療的な利益の、ほとんどまたは全てではないにしても少なくとも1つをこの時間的期間にかけて保持し、その結果、対象は、抗VEGF抗体バイオコンジュゲートの直近の適用後に少なくとも36週間、別の再処置からの利益を実質的に受けない。代替的に、対象は、治療的な利益の、ほとんどまたは全てではないにしても少なくとも1つをこの時間的期間にかけて保持し、その結果、対象は、抗VEGF抗体バイオコンジュゲートの直近の適用後に少なくとも42週間、別の再処置からの利益を実質的に受けない。代替的に、対象は、治療的な利益の、ほとんどまたは全てではないにしても少なくとも1つをこの時間的期間にかけて保持し、その結果、対象は、抗VEGF抗体バイオコンジュゲートの直近の適用後に少なくとも48週間、別の再処置からの利益を実質的に受けない。代替的に、対象は、治療的な利益の、ほとんどまたは全てではないにしても少なくとも1つをこの時間的期間にかけて保持し、その結果、対象は、抗VEGF抗体バイオコンジュゲートの直近の適用後に少なくとも54週間、別の再処置からの利益を実質的に受けない。代替的に、対象は、治療的な利益の、ほとんどまたは全てではないにしても少なくとも1つをこの時間的期間にかけて保持し、その結果、対象は、抗VEGF抗体バイオコンジュゲートの直近の適用後に少なくとも60週間、別の再処置からの利益を実質的に受けない。
【0545】
実施例14
眼障害の処置(予防的またはその他)を必要とする対象が最初に同定される。次に1~5mgの抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の抗体が対象に第1の負荷用量において投与され、任意選択的に第2の負荷用量および任意選択的に第3の負荷用量が投与される(互いに約1か月以内)。直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも12週間保持する。これは、糖尿病黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症(RVO)、滲出型加齢黄斑変性症(AMD)、およ
び/または代替的に糖尿病網膜症(DR)に適用され得る。任意の再処置適用後に、対象は、投与される各再処置についてますます少ない処置を必要とするので、任意のその後の再処置事象の間の持続期間は増加する。
【0546】
実施例14.5
眼障害の処置(予防的またはその他)を必要とする対象が最初に同定される。次に1~5mgの抗VEGF抗体コンジュゲート(例えば、KSI-301)の抗体が対象に第1の負荷用量において投与され、任意選択的に第2の負荷用量および任意選択的に第3の負荷用量が投与される(互いに約1か月以内)。直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも18週間保持する。代替的に直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも24週間保持する。代替的に直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも30週間保持する。代替的に直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも36週間保持する。代替的に直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも42週間保持する。代替的に直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも48週間保持する。代替的に直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも54週間保持する。代替的に直近の負荷用量後に、対象は抗VEGF抗体コンジュゲート治療の治療的な利益を少なくとも60週間保持する。
【0547】
これは、糖尿病黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症(RVO)、滲出型加齢黄斑変性症(AMD)、および/または代替的に糖尿病網膜症(DR)に適用され得る。任意の再処置適用後に、対象は、投与される各再処置についてますます少ない処置を必要とするので、任意のその後の再処置事象の間の持続期間は増加する。
【0548】
実施例15
本実施例は、繰返しの投与を通じたKSI-301の使用について観察された安全性および特徴を要約する。113の対象にフェーズ1aおよび1bにかけて投薬が為された。308の合計用量が投与された。以下が安全性に関して観察された:
・研究眼における眼内炎症も眼SAEもこれまで報告されていない。
・薬物関連AEも薬物関連SAEもこれまで報告されていない。
・ほとんどのAEは軽度と評価されており、これは硝子体内抗VEGFのプロファイルと合致する。
・薬物関連ではない目以外の8つのSAEが4人の対象において報告された:
- 1人の92歳のRVO対象は既存の状態に関する入院を伴い、これは死を結果としてもたらした。
- 1人の66歳のRVO対象はめまいに関する入院を伴った。
- 1人の43歳のDME対象は既存の状態に関する入院を伴った。
- 1人の56歳のDME対象は既存の状態に関する入院を伴った。
【0549】
上記の実施例は、抗体バイオポリマーコンジュゲート(ABC)構築物は、長い持久性の硝子体内医薬のための新たな設計プラットフォームであることを実証する。KSI-301は、重要な開発結果を達成しており、これには以下が含まれる:
【0550】
優れた安全性:300+の用量後に眼内炎症の症例なし。
【0551】
強い有効性:3つの主要な表現型的に変動的な網膜疾患の中には滲出型AMD、DME/DR&RVOがある。
【0552】
顕著な生物学的持久性:処置された目の大部分は、3回の負荷用量後に再処置なしで4か月またはそれを超えて持続した。以下の可能性が実証されることが予期される:
【0553】
・wAMDにおいて3~5+か月の間隔
【0554】
・DMEにおいて3~5+か月の間隔
【0555】
・RVOにおいて2~3+か月の間隔
【0556】
実施例16
図17Aおよび図17Bは、ベースライン、4週目および8週目における5mg KSI-301の3回の負荷用量で処置された滲出型AMD患者のOCTおよびOCTアンギオグラフィーを描写する。OCT画像における流体の減少に加えて、パネルの中心におけるスポット低減と共に表されるように、流れおよびサイズの両方において脈絡膜新生血管膜に対する直接的な効果がある。脈絡膜新生血管膜は、滲出型AMDのコアとなる特徴であり、この膜において直接的な効果を有することは、疾患修飾の徴候であると考えられる。
【0557】
実施例17
図18A~18Dは、3回の負荷用量後の疾患修飾を伴うDMEの例を示し、疾患修飾を表す著しいDRSSの改善および再灌流を伴う。図18Aは、3回の負荷用量のみでDMEにおいて迅速かつ長期持続性の効果を得ることができる(再処置は少なくとも5か月間要求されない)ことを明らかにする時間経過を示す。図18Bは、KSI-301の3回の負荷用量のみの有効性が増殖性糖尿病網膜症において存在することを実証する。示されるように、KSI-301の3回の負荷用量後に14週持続した、迅速かつ実質的な(2つの急な)改善があった。PDRからNPDRへの転換に加えて、対象はまた末梢血管再灌流の徴候を示した(図18Cおよび図18D)。
【0558】
そのため、本明細書において提供される方式でのKSI-301の使用は、迅速かつ長期化された結果および再灌流を達成するために使用することができる。
【0559】
実施例18
図19は、RVO患者における結果を示し、これは3回の負荷用量後に、追加用量は少なくとも5か月間要求されず、疾患修飾と考えられるものを表した。そのため、本明細書において提供される方式でのKSI-301の使用は、疾患修飾を達成するために使用することができる。
【0560】
実施例19
図20は、疾患が再発し、患者が再処置を受けるまでに8週続く3回の負荷用量の効果を示す患者のOCT画像のセットを示す。その第4の用量の効果は、患者が再処置を要求するまで16週続き、8週から16週へと再処置間隔を有効に倍加させており、これは疾患修飾の徴候であり得る。そのため、追加の有効性が再処置プロセスを通じても達成されており、その後の要求される再処置の間のより多くの時間を可能とすることをこれは実証する。
【0561】
実施例20
図21A~21CはKSI-301の単回の注射の結果を示す。フェーズ1単回用量研究 - 要約:
・迅速な高規模かつ持続可能な処置応答が、試験された全ての用量レベルにおいて見られた。
・単回用量の12週後に、+9のETDRSチャート文字のベースラインからのメジアンBCVA改善および-121ミクロン(OCT CST)の網膜浮腫におけるメジアン改善が観察された。
・12週における各患者の直近の来診を通じて用量制限毒性も、薬物関連有害事象も、眼内炎症も観察されなかった。
【0562】
図21Aは、ベースラインから12週目までのメジアン変化のグラフを示す。それは、KSI-301投与についての、持続可能な迅速な、高い応答を実証する。症例研究1の結果が図21Bに示され、これは、以前の最適以下の応答を有する対象における慢性黄斑浮腫に対するKSI-301投与の有効性を実証する。図21Cは症例研究2からの結果を示し、これは、慢性浮腫および大規模な中心窩脂質滲出物を有する対象における12週を通じた網膜下流体の解消を示す。
【0563】
これらの結果は、単回の注射後に、以前に処置されて失敗した患者において、KSI-301の単回の注射が長く続く利益を有する2つの症例を提供する。症例2において、効果はKSI-301注射後に遅く現れ、経時的に増加しており、疾患修飾の形態を実証する。
【0564】
実施例21
実施例3に記載の研究に登録された患者のフォローアップ評価を行った。結果は、3~5またはより多くの月に及ぶwAMDコホートからの患者におけるKSI-301処置の持久性を示す(図22)。患者の83%(20/24)は、第1の再処置の前に4か月またはより長きに達した。患者の85%(22/26)は、直近の負荷用量後に3か月よりも長きにわたり再処置を受けなかった。6%(2/31)は直近の負荷用量後3か月の前に再処置され、8%(2/25)は直近の負荷用量後3か月時に再処置された。wAMDにおける標的投薬間隔は負荷用量後に3~5またはより多くの月であり得ることをこれらの結果は指し示す。
【0565】
図22:wAMDコホートにおけるKSI-301の処置持久性。データカットオフ日までに第1の再処置機会(12週目の来診)に達した無作為化された患者を含む。各バーは個々の患者を表す。再処置は(◆)により指し示される。指し示される直近の評価時点を超えて追跡された患者(右の矢印により指し示される)。1人の中止された患者は左の矢印により指し示される。
【0566】
BCVAおよびOCT CSTにおける改善は、20週目、直近の負荷用量の12週後において患者において継続して観察された(図23)。BCVAおよびOCT CST値の改善は標準治療の抗VEGF治療と同等であった。KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも12週間継続した(図23)。BCVAおよびOCT CSTにおける改善は、12週目に達した患者のより大きいコホートにおいて観察された(図25)。
【0567】
図23:滲出型AMDを有する患者における最良矯正視力(BCVA)および網膜厚(OCT)における改善。wAMDコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=25。データカットオフ日までに20週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0568】
図25:KSI-301で処置された滲出型AMD患者におけるBCVAおよびOCTにおける改善。N=31。データカットオフ日までに12週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;O
CT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0569】
高度な色素上皮剥離(PED)を有しないwAMDコホートからの患者のサブセットのBCVAおよびOCT CSTにおける改善を分析した。これらの患者もまたBCVAおよびOCT CST値における持続された改善を示し、KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも12週間継続した(図24)。BCVAおよびOCT CSTにおける改善は、12週目に達した高度なPEDを有しないwAMD患者のより大きいコホートにおいて観察された(図26)。
【0570】
図24:高度なPEDを有しない滲出型AMD患者における最良矯正視力(BCVA)および網膜厚(OCT)における改善。wAMDコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=23。高度なPEDは、≧500ミクロンのベースラインCSTを有するPEDの存在として定義される。データカットオフ日までに20週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0571】
図26:KSI-301で処置された、高度なPEDを有する滲出型AMD患者におけるBCVAおよびOCTにおける改善。N=29。高度なPEDは、≧500ミクロンのベースラインCSTを有するPEDの存在として定義される。データカットオフ日までに12週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0572】
実施例22
実施例4に記載の研究に登録された患者のフォローアップ評価を行った。結果は、4か月より長きに及んだDMEコホートからの患者におけるKSI-301処置の持久性を示す(図27)。患者の72%(8/11)は、再処置なしで4か月またはより長きに達した。81%(13/16)は、直近の負荷用量後に3か月より長く再処置を要求しなかった。1人の患者は3か月の前に再処置され、患者の13%(2/15)は3か月時に再処置された。DMEにおける標的投薬間隔は負荷用量後に3またはより多くの月であり得ることをこれらの結果は指し示す。
【0573】
図27:DMEコホートにおけるKSI-301の処置持久性。データカットオフ日までに第1の再処置機会(12週目の来診)に達した無作為化された患者を含む。各バーは個々の患者を表す。再処置は(◆)により指し示される。全ての描写される患者は、指し示される直近の評価時点を超えて追跡された(右の矢印により指し示される)。
【0574】
BCVAおよびOCT CSTにおける改善が20週目、直近の負荷用量後12週目にDME患者において観察された(図28)。KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも12週間継続した。BCVAおよびOCT CSTにおける改善は、12週目に達したDME患者のより大きいコホートにおいて観察された(図29)。
【0575】
図28:DMEコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=15。データカットオフ日までに20週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0576】
図29:DMEコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=19。データカットオフ日までに12週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0577】
実施例23
実施例5に記載の研究に登録された患者のフォローアップ評価を行った。結果は、3か月より長きに及んだRVOコホートからの患者におけるKSI-301処置の持久性を示す(図30)。3人の患者のみが1回より多くの再処置を受け、それらの3人の患者において、各再処置は再処置までの最初の間隔よりも長い間隔で行われた。患者の50%(9/18)は、再処置なしで3か月またはより長きに達した。患者の6%(2/32)、30%(7/23)および14%(2/14)はそれぞれ1、2および3か月時に第1の再処置を受けた。RVOにおける標的投薬間隔は2~3か月またはより長いものであり得ることをこれらの結果は指し示す。
【0578】
図30:RVOコホートにおけるKSI-301の処置持久性。データカットオフ日までに第1の再処置機会(12週目の来診)に達した無作為化された患者を含む。各バーは個々の患者を表す。再処置は(◆)により指し示される。指し示される直近の評価時点を超えて追跡された患者は右の矢印により指し示される。中止は左の矢印により指し示される。
【0579】
BCVAおよびOCT CSTにおける改善が20週目、直近の負荷用量後12週目にRVO患者において観察された(図31)。KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも12週間継続した(図31)。BCVAおよびOCT CSTにおける改善は、12週目に達したRVO患者のより大きいコホートにおいて観察された(図32)。
【0580】
図31:RVOコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=15。データカットオフ日までに20週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0581】
図32:RVOコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=32。データカットオフ日までに12週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0582】
実施例24
実施例22~23に記載の研究の間に、KSI-301の複数用量曝露は忍容性良好であり、眼内炎症は観察されなかった。116の対象が投薬を受け、338の合計用量が与えられた(1日目に107の用量、4週目に103の用量、8週目に96の用量)。以下が観察された:
【0583】
・研究眼において眼内炎症も眼SAEもこれまで報告されなかった;
【0584】
・薬物関連有害事象(AE)も薬物関連の深刻な有害事象(SAE)もこれまで報告されなかった;
【0585】
・ほとんどのAEは軽度と評価され、硝子体内抗VEGFのプロファイルと合致した;
【0586】
・薬物関連ではない目以外の12のSAEが7人の対象において報告された:
【0587】
・1人の92歳のRVO対象は既存の状態に関する入院を伴い、これは死を結果としてもたらした;
【0588】
・1人の66歳のRVO対象はめまいに関する入院を伴った;
【0589】
・1人の43歳のRVO対象は、オートバイ事故に関する脚の骨折を伴った;
【0590】
・1人の85歳のRVO対象は既存の状態に関する入院を伴った。
【0591】
実施例24
実施例3~5、15~23に記載の研究を、図33に示されるように72週までさらに延長した。
【0592】
図33:KSI-301の硝子体内投与の複数用量安全性、有効性および持久性を評価するための無作為化されたオープンラベル研究の更新された研究設計。
【0593】
研究集団の更新された平均的特徴を表2に示す。
【0594】
【表2】
【0595】
実施例21に記載の研究に登録された患者のさらなるフォローアップ評価を行った。結果は、3~6またはより多くの月に及んだwAMDコホートからの患者におけるKSI-301処置の持久性を示す(図34)。患者の55%(16/29)において、第1の再
処置は直近の負荷用量の6か月後に行われ、これはwAMDコホートのための研究設計における義務的な再処置であった。患者の72%(21/29)は、直近の負荷用量後に5か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。患者の84%(27/32)は、直近の負荷用量後に4か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。患者の86%(30/35)は、直近の負荷用量後に3か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。14%(5/35)は、直近の負荷用量の3か月後またはそれよりも前に再処置された。wAMDにおける標的投薬間隔は直近の負荷用量後に3~6またはより多くの月であり得ることをこれらの結果は指し示す。
【0596】
図34:wAMDコホートにおけるKSI-301の処置持久性。データカットオフ日までに第1の再処置機会(12週目の来診)に達した無作為化された患者を含む。各バーは個々の患者を表す。再処置は(◆)により指し示される。指し示される直近の評価時点を超えて追跡された患者は右の矢印により指し示される。1人の中止された患者は左の矢印により指し示される。
【0597】
BCVAおよびOCT CSTの改善は、24週目、直近の負荷用量後16週目に患者において維持された(図35)。このコホートのベースライン(処置前)BCVAは64.1 ETDRS文字であった。24週目のBCVAにおける平均改善は+5.9文字であった(20/40のスネレンVAに対応する)。BCVAおよびOCT CST値の改善は、標準治療の抗VEGF治療において報告された改善(60.8文字のベースライン、約6文字の増加;または61.5のベースライン、約5.2文字の増加、20週目)と同等であった。OCT CSTにおける平均改善は24週目において-58ミクロンであった。KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも16週間継続した(図35)。
【0598】
最終負荷用量後16週にかけて、患者は再処置のためにKSI-301の平均で0.16回の注射を受けた。(図35)。これは、各々の標識によれば、同じ期間にかけて1.0回の注射の平均回数を要求する標準治療の処置、アフリベルセプトまたはブロルシズマブと比較される。
【0599】
図35:滲出型AMDを有する患者における最良矯正視力(BCVA)および網膜厚(OCT)における改善。wAMDコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=31。データカットオフ日までに24週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0600】
実施例25
実施例22に記載の研究に登録された患者のさらなるフォローアップ評価を行った。DMEコホート集団の特徴は、表2に記載される通りであった。結果は、6か月より長きに及んだDMEコホートからの患者におけるKSI-301処置の持久性を示す(図36)。患者の69%(9/13)は、再処置なしで6か月またはより長きに達した。73%(11/15)は、直近の負荷用量後に5か月より長く再処置を要求しなかった。80%(16/20)は、直近の負荷用量後に4か月より長く再処置を要求しなかった。83%(20/24)は、直近の負荷用量後に3か月より長く再処置を要求しなかった。患者の17%(4/24)は最初の3か月の間に再処置された。DMEにおける標的投薬間隔は直近の負荷用量後に3~6またはより多くの月であり得ることをこれらの結果は指し示す。
【0601】
図36:DMEコホートにおけるKSI-301の処置持久性。データカットオフ日までに第1の再処置機会(12週目の来診)に達した無作為化された患者を含む。各バーは個々の患者を表す。再処置は(◆)により指し示される。全ての描写される患者は、指し
示される直近の評価時点を超えて追跡された(右の矢印により指し示される)。
【0602】
BCVAおよびOCT CSTにおける改善が24週目、直近の負荷用量後16週目にDME患者において観察された(図37)。24週目におけるBCVAにおける平均改善は+6.8文字であった(約20/32+2のスネレンVAに対応する)。OCT CSTにおける平均改善は24週目において-133ミクロンであった。KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも16週間継続した。
【0603】
負荷用量後16週にかけて患者は平均で0.21回のKSI-301の注射を受けた。(図37)。これは、標識によれば(アフリベルセプト)、または中枢的な研究設計に基づいて(ブロルシズマブ)、同じ期間にかけて2.0回の注射の平均回数を要求する標準治療の処置、アフリベルセプトまたはブロルシズマブと比較される。
【0604】
図37:DMEコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=19。データカットオフ日までに24週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0605】
実施例26
実施例23に記載の研究に登録された患者のフォローアップ評価を行った。RVOコホート集団の特徴は、表2に記載される通りであった。結果は、4か月より長きに及んだRVOコホートからの患者におけるKSI-301処置の持久性を示す(図38)。患者の53%(16/30)は、再処置なしで4か月またはより長きに達した。患者の55%(17/31)は、再処置なしで3か月またはより長きに達した。患者の34%(11/32)は直近の負荷用量後に最初の2か月の間に再処置を受け、45%(14/31)は直近の負荷用量後に最初の3か月の間に再処置を受けた。RVOにおける標的投薬間隔は2~4か月またはより長いものであり得ることをこれらの結果は指し示す。
【0606】
図38:RVOコホートにおけるKSI-301の処置持久性。データカットオフ日までに第1の再処置機会(12週目の来診)に達した無作為化された患者を含む。各バーは個々の患者を表す。再処置は(◆)により指し示される。指し示される直近の評価時点を超えて追跡された患者は右の矢印により指し示される。中止は左の矢印により指し示される。
【0607】
BCVAおよびOCT CSTにおける改善は、24週目、直近の負荷用量後16週目にRVO患者において継続して観察された(図39)。24週目におけるBCVAにおける平均改善は+22.2文字であった(20/32のスネレンVAに対応する)。OCT
CSTにおける平均改善は24週目において-350ミクロンであった。KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも16週間継続した(図39)。
【0608】
最終負荷用量後16週にかけて患者は再処置のために平均で0.46回のKSI-301の注射を受けた。(図39)。これは、標識によれば(アフリベルセプト)、または中枢的な研究設計に基づいて(ブロルシズマブ)、同じ期間にかけて3.0回の注射の平均回数を要求する標準治療の処置、アフリベルセプトまたはブロルシズマブと比較される。
【0609】
図39:RVOコホートについてのBCVAおよびCST評価。N=30。データカットオフ日までに24週目の来診に達した無作為化された患者を含む;2.5および5mgの用量をプールした。BCVA=最良矯正視力;OCT=光干渉断層撮影法;CST=中
心サブフィールド厚。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【0610】
実施例27
実施例3~5、および15~26に記載の研究の間に、KSI-301の複数用量曝露は忍容性良好であり、眼内炎症は観察されなかった。130の対象が投薬を受け、420の合計用量が与えられた(1日目に121の用量、4週目に112の用量、8週目に105の用量)。以下が認められた:
【0611】
・研究眼において眼内炎症も眼SAEもこれまで報告されなかった;
【0612】
・薬物関連有害事象(AE)も薬物関連の深刻な有害事象(SAE)もこれまで報告されなかった;
【0613】
・ほとんどのAEは軽度と評価され、硝子体内抗VEGFのプロファイルと合致した;
【0614】
・薬物関連ではない目以外の16のSAEが10人の対象において報告された:
【0615】
・1人の92歳のRVO対象は既存の状態に関する入院を伴い、これは死を結果としてもたらした;
【0616】
・6人(それぞれ43、56、62、66、70および72歳)のDME対象は既存の状態に関する入院を伴った;
【0617】
・1人の66歳のRVO対象はめまいに関する入院を伴った;
【0618】
・1人の43歳のRVO対象は、オートバイ事故に関する脚の骨折を伴った;
【0619】
・1人の85歳のRVO対象は既存の状態に関する入院を伴った。
【0620】
実施例28:wAMDにおけるKSI-301および標準治療の処置のフェーズ2無作為化研究
約550人の処置ナイーブwAMD患者が、KSI-301での処置を標準治療の治療剤(アフリベルセプト)での処置と比較する無作為化研究に参加する。標準治療の処置は、4週の間隔で投与される治療剤の3回の負荷用量(2mg/投与)、続いて初期処置の16週後に開始される4週毎の維持用量またはシャム注射の交互投与を含む(図40)。そのため、標準治療の治療剤は患者に8週毎に投与される。
【0621】
KSI-301は、別の患者コホートに4週の間隔の3回の負荷用量で投与される(5mg/投与)。最終負荷用量(8週目)後に、患者は、初期処置の16週後に開始される4週毎の少なくともシャム注射を受ける(図40)。KSI-301処置患者の1つのコホートは、直近の負荷用量(8週目)後に12週毎(Q12W)に疾患活動性について評価される。KSI-301処置患者の別のコホートは、直近の負荷用量(8週目)後に16週毎(Q16W)に疾患活動性について評価される。評価された疾患活動性が予め指定された再処置基準を満たす場合、患者はKSI-301で再処置される。KSI-301処置患者の第3のコホートは、直近の負荷用量(8週目)後に20週毎(Q20W)にKSI-301を投与される。全ての患者は、直近の負荷用量(8週目)の20週後にKSI-301を投与される。
【0622】
図40:処置ナイーブwAMD患者の処置においてアフリベルセプトに対してKSI-301を評価するための無作為化研究用の研究設計。KSI-301は20週毎のような
低い頻度で投薬される。
【0623】
再処置基準(非負荷用量)
KSI-301の硝子体内注射での再処置は、以下の再処置基準のうちの少なくとも1つが満たされる場合に行われる。これらの基準は、疾患の再発の徴候および/または疾患の再発に起因する視力低下に関する。
【0624】
- 12週目と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う≧50μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;
【0625】
- wAMD疾患活動性の悪化(例えば網膜内流体の増加、網膜下流体の増加、新たな網膜内出血、新たな網膜下出血)に起因する、最良の以前のBCVAと比較した、≧10文字のBCVAにおける減少;
【0626】
- ≧75μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;
【0627】
- 新たな黄斑出血。
【0628】
実施例3、15、21および24に記載されるような、フェーズ1b研究におけるKSI-301で処置されたwAMD患者の評価の間に観察された疾患活動性を使用して、フェーズ2臨床試験において指定される、より厳格な再処置基準の下での、各患者のための再処置の仮説的なスケジュールを構築した(図41A)。32人の総患者のうち、24人の患者(または75%)は、再処置のいかなるより早期の必要性もなしに再処置の5か月のキャップ(cap)に達することになる(図41Aおよび図41B)。患者の12.5%のみが、12週において第1の再処置を要求し、別の12.5%は、16週において第1の再処置を要求することになる(図41Aおよび図41B)。
【0629】
図41Aおよび図41B:フェーズ2臨床試験における仮説的な再処置基準の下でのwAMDコホートにおけるKSI-301の処置持久性(図41)、およびQ20W投薬において残存する患者の仮説的な確率(図41B)。データカットオフ日まで28週目の前または28週目に再処置基準を満たしている無作為化された患者を含む。各バーは個々の患者を表す。
【0630】
実施例29
実施例3~5、15~24に記載の研究を76~148週目(19~36か月)にさらに延長した(図43)。図43は、KSI-301の硝子体内投与の複数用量安全性、有効性および持久性を評価するための無作為化されたオープンラベル研究の更新された研究設計を示す。研究のwAMD、DMEおよびRVOアームの患者の数はそれぞれ51、35および35であった。
【0631】
実施例30
この実施例は、実施例21および24に記載のwAMDについてのKSI-301の臨床研究のさらなるフォローアップ評価を示す。平均BCVAおよびOCT CSTの改善が、44週目、直近の負荷用量後36週目に患者において維持されることを結果は示した(図44)。抗VEGF抗体コンジュゲートの治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも36週間継続した。患者の58%は32週目に第1の再処置用量を受け(Q6Mの投薬)、これは、直近の負荷用量から再処置されていない任意の患者についての義務的な再処置用量であった。さらに、患者は、12~40週目の間に平均で1.32回の抗VEGF抗体コンジュゲートの注射を受け、その44%は義務的なQ6M用量であった。対照的に、同じ期間にかけての従来の処置(アフリベルセ
プト)についての標識にしたがった注射の平均回数は4である。
【0632】
図45Aはフォローアップ評価の個々の内訳を示す。wAMDコホートからの患者における抗VEGF抗体コンジュゲート処置の持久性は3~6またはより多くの月に及んだ。図45Bは、図45Aに示される結果を要約する。患者の72%において、患者は、直近の負荷用量の後の何らかの時期に少なくとも1つの6か月の処置間隔(Q6M - 処置用量間の間隔についての義務的なキャップ)を達成した(図45B)。患者の49%(20/41)は、直近の負荷用量後に6か月にわたり再処置を受けなかった。患者の66%(27/41)は、直近の負荷用量後に5か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。患者の82%(40/49)は、直近の負荷用量後に4か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。患者の92%(45/49)は、直近の負荷用量後に3か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。8%(4/49)のみが、直近の負荷用量の2か月後またはそれよりも前に再処置された。wAMDにおける抗VEGF抗体コンジュゲートの標的投薬間隔は、直近の負荷用量後に3~6またはより多くの月であり得ることをこれらの結果は指し示す。
【0633】
そのため、wAMD患者の半分近くは、第1の再処置まで6か月の時間であり、>60%のwAMD患者は、フォローアップの間に6か月の間隔を少なくとも1回達成した。これらの結果はKSI-301単独の半減期に基づけば予想外であった。
【0634】
図46は、1年を通じて6か月の投薬でKSI-301を用いて処置された、上記のフェーズ1b研究におけるwAMD患者の症例を示す。指し示される時点においてOCT画像を撮影した。BCVAもまた評価した(週の標識の下のETDRS文字値における変化により指し示される)。OCTおよびBCVAの改善が、直近の負荷用量の1か月後(12週目)もの早期に観察され、直近の負荷用量後に少なくとも6か月(32週目)にわたり持続された。6か月時(32週目)に、義務的な再処置用量が投与された。再処置の6か月(56週目)後に、患者はOCTおよびBCVAの改善を維持した。合計で、患者は処置の最初の1年中に4回の硝子体内注射を受けた。
【0635】
一部の実施形態において、wAMD患者は、硝子体内に有効量の抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301を、約3か月、約4か月、約5か月、もしくは約6か月の投薬間隔、または上記の値のうちの任意の2つの間の任意の時間間隔で、患者が直近の負荷用量を投与された後の任意の期間において投与される。一部の実施形態において、wAMD患者は、抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を、直近の負荷用量の少なくとも約3か月後、少なくとも約4か月後、少なくとも約5か月後、もしくは少なくとも約6か月後もしくはより後まで、または上記の値のうちの任意の2つの間の任意の時点まで、投与されない。一部の実施形態において、wAMD患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約6か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない約40%、約50%、約55%、約60%、もしくは約65%またはより高い可能性を有する。一部の実施形態において、wAMD患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約5か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない約50%、約55%、約60%、約65%、もしくは約70%またはより高い可能性を有する。一部の実施形態において、wAMD患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約4か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない約50%、約60%、約70%、もしくは約80%またはより高い可能性を有する。一部の実施形態において、wAMD患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約3か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない約60%、約70%、約80%、もしくは約90%またはより高い可能性を有する。一部の実施形態において、対象は、負荷用量を含めて、wAMDに対する処置の最初の1年中に、抗VEGF抗体コンジュゲートの8回またはより少ない、7回またはより少ない、6回またはより少ない、5回またはより少ない、4回またはより少ない硝子体内注射を受ける。一部の実施形態において、対象は、wAMDの処置のために1年当たりで抗VEGF抗体コンジュゲートの4回またはより少ない、3回またはより少ない、2回またはより少ない、または1回の維持用量を受ける。
【0636】
実施例31
この実施例は、処置ナイーブwAMDについてのアフリベルセプト(Eylea(登録商標))長間隔RCTデータ(図47)およびwAMDについてのEylea(登録商標)現実世界データ(図48)と比較したKSI-301持久性のベンチマーキングを示す。上記のKSI-301フェーズ1b研究における処置ナイーブwAMD患者の間の処置間隔の分布が、ラニビズマブおよびアフリベルセプト、2つの従来の抗VEGF処置の組合せについてのtreat-and-extend無作為化臨床試験におけるものと比較されたことを図47は示す。従来の抗VEGF処置を受けた患者のほぼ50%は4週の処置間隔を有し、処置間隔は患者の約15%について12週(3か月)の最大間隔に延長された。対照的に、KSI-301で処置された患者の約50%は、研究の下で許容された最大間隔である24週(6か月)の処置間隔を有した。KSI-301処置を受けた患者の80%より多くは、16週またはより長い処置間隔を有し、従来の抗VEGF処置により達成された最大処置間隔を超えた。
【0637】
図48は、上記のフェーズ1b研究におけるKSI-301で処置された患者についての平均処置間隔およびアフリベルセプト(Eylea(登録商標))treat-and-extendについての現実世界データからの平均処置間隔の比較を示す。アフリベルセプトで処置された患者は、8週の平均処置間隔、および9.6週の平均最大処置間隔を有した。対照的に、KSI-301での患者は、19.3週の平均の第1の間隔(直近の負荷用量後の第1の再処置までの平均間隔)、および20.6週の平均最大間隔を有した。これらの結果は、wAMDを処置するための従来の抗VEGF処置と比較した抗VEGF抗体コンジュゲートの治療効果の優位な持続期間を実証する。
【0638】
一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301を用いてwAMDを処置するための平均最大間隔は、従来の抗VEGF処置の平均最大間隔よりも少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約170%または少なくとも約200%長い。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートは、wAMDを処置するための従来の抗VEGF処置の投与の頻度の、最高でも約80%、最高でも約70%、最高でも約60%、最高でも約50%、最高でも約40%、最高でも約30%、最高でも約20%、最高でも約10%またはより低い頻度でwAMD患者に投与される。
【0639】
実施例32
この実施例は、実施例22および25に記載のDMEに対するKSI-301の臨床研究のさらなるフォローアップ評価を示す。KSI-301の治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも36週間継続したことを図49は示す。患者は、12~40週目の間に平均で0.61回の抗VEGF抗体コンジュゲートの注射を受け、患者の67%は再処置注射を要求しなかった。対照的に、同じ期間にかけての従来の処置(アフリベルセプト)についての標識にしたがった注射の平均回数は5である。
【0640】
図50Aはフォローアップ評価の個々の内訳を示す。DMEコホートからの患者におけるKSI-301処置の持久性は3~6またはより多くの月まで及んだ。図50Bは、図
50Aに示される結果を要約する。患者の45%(15/33)は、負荷用量後に再処置用量をこれまで(直近の負荷用量から6か月より長く)要求していない。患者の79%において、患者は、直近の負荷用量後の何らかの時点において6か月またはより長い少なくとも1つの処置間隔を達成した。患者の67%(22/33)において再処置までの時間は、直近の負荷用量後に6か月またはより長かった。患者の70%(23/33)は、直近の負荷用量後に5か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。患者の76%(25/33)は、直近の負荷用量後に4か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。患者の97%(32/33)は、直近の負荷用量後に3か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。患者の3%(1/33)のみが、直近の負荷用量の2か月後に再処置された。いずれの患者も、直近の負荷用量後に2か月の前に再処置されなかった。
【0641】
DMEにおける抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の標的投薬間隔は直近の負荷用量後に3~6またはより多くの月であり得ることをこれらの結果は指し示す。
【0642】
要約すると、DME患者の2/3は、3回の負荷用量後に6か月より長く追加の処置を要求しなかった。これらの結果は、市販の抗VEGF処置でのDMEにおける高い処置必要性(例えば、DRCR.net処置アルゴリズムに基づく第1年における注射のメジアン回数は9~10である)に基づいては予測されなかったであろう。
【0643】
図51は、負荷期後に処置なしでKSI-301を用いて処置された、上記のフェーズ1b研究におけるDME患者の症例を示す。指し示される時点においてOCT画像を撮影した。BCVAもまた評価した(週の標識の下のETDRS文字値における変化により指し示される)。OCTおよびBCVAの改善が、直近の負荷用量の1か月後(12週目)もの早期に観察され、直近の負荷用量後に少なくとも12か月(56週目)にわたり持続された。再処置用量は直近の負荷用量後に12か月を超えて要求されなかった。合計で、患者は処置の最初の1年中に3回の硝子体内注射を受けた。
【0644】
一部の実施形態において、DME患者は、硝子体内に有効量の抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301を、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、または約10か月、約11か月、約12か月、約13か月、もしくは約14か月もしくはより長い投薬間隔、または上記の値のうちの任意の2つの間の任意の時間間隔で、患者が直近の負荷用量を投与された後の任意の期間において投与される。一部の実施形態において、DME患者は、抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を、直近の負荷用量の少なくとも約3か月後、少なくとも約4か月後、少なくとも約5か月後、少なくとも約6か月後、少なくとも約7か月後、少なくとも約8か月後、少なくとも約9か月後、少なくとも約10か月後、少なくとも約11か月後、少なくとも約12か月後、少なくとも約13か月後、もしくは少なくとも約14か月後もしくはより後まで、または上記の値のうちの任意の2つの間の任意の時点まで、投与されない。一部の実施形態において、DME患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約7か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない約30%、約35%、約40%、約45%、もしくは約50%またはより高い可能性を有する。一部の実施形態において、DME患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約6か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、または少なくとも約65%の可能性を有する。一部の実施形態において、DME患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約5か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、または少なくとも約70%の可能性を有する。一部の実施形態において、DME患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約4か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%の可能性を有する。一部の実施形態において、DME患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約3か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の可能性を有する。一部の実施形態において、対象は、負荷用量を含めて、DMEに対する処置の最初の1年中に、8回またはより少ない、7回またはより少ない、6回またはより少ない、5回またはより少ない、4回またはより少ない、または3回またはより少ない抗VEGF抗体コンジュゲートの硝子体内注射を受ける。一部の実施形態において、対象は、DMEの処置のために1年当たりで抗VEGF抗体コンジュゲートの4回もしくはより少ない、3回もしくはより少ない、2回もしくはより少ない、または1回もしくはより少ない維持用量を受ける、または維持用量を受けない。
【0645】
実施例33
この実施例は、DMEにおけるEylea(登録商標)と比較したKSI-301持久性のベンチマーキングを示す。図52は、上記のフェーズ1b研究におけるKSI-301(右)、または従来の抗VEGF処置、Eylea(登録商標)(アフリベルセプト)(左)で処置されたDMEを有する患者について1年の間隔中に要求された注射の平均回数を示す。従来の抗VEGF処置での患者は、処置の最初の1年中に平均で6回の月毎の負荷用量、および3.2回の維持用量、合計で9.2回の注射を要求した。対照的に、KSI-301で処置された患者は、処置の最初の1年中に平均で3回の月毎の負荷用量、および1回の維持用量、合計で4回の注射のみを要求した。そのため、KSI-301は、従来の抗VEGF処置と比較して半分の回数の負荷および維持用量でのDMEの処置を可能とした。これらの結果は、DMEを処置するための従来の抗VEGF処置と比較した抗VEGF抗体コンジュゲートの治療効果の優位な持続期間を実証する。
【0646】
一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301でのDMEの処置のために要求される負荷用量(例えば、月毎の負荷用量)の回数は、従来の抗VEGF処置での処置のために要求される負荷用量の回数の最高でも約75%、最高でも約70%、最高でも約65%、最高でも約60%、最高でも約55%、最高でも約50%、最高でも約45%、または最高でも約40%である。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートでのDMEの処置のために要求される維持用量の回数は、従来の抗VEGF処置での処置のために要求される維持用量の回数の最高でも約75%、最高でも約70%、最高でも約65%、最高でも約60%、最高でも約55%、最高でも約50%、最高でも約45%、または最高でも約40%である。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートでのDMEの処置のために要求される1年当たりの用量の総数は、従来の抗VEGF処置での処置について1年当たりに要求される用量の総数の最高でも約75%、最高でも約70%、最高でも約65%、最高でも約60%、最高でも約55%、最高でも約50%、最高でも約45%、または最高でも約40%である。
【0647】
実施例34
この実施例は、実施例23および26に記載のRVOに対するKSI-301の臨床研究のさらなるフォローアップ評価を示す。抗VEGF抗体コンジュゲートの治療効果は負荷期の間に持続され、8週目に投与された最終負荷用量後に少なくとも36週間継続したことを図53は示す。患者は、12~40週目の間に平均で1.33回の抗VEGF抗体コンジュゲートの注射を受け、患者の36%のみが1回より多くの再処置用量を要求した。対照的に、同じ期間にかけての従来の処置(アフリベルセプト)についての標識にしたがった注射の平均回数は8である。
【0648】
図54Aはフォローアップ評価の個々の内訳を示す。RVOコホートからの患者におけ
るKSI-301処置の持久性は、3回の月毎の負荷用量後に2~4またはより多くの月まで及んだ。図54Bは、図54Aに示される結果を要約する。患者の81%は、直近の負荷用量後の何らかの時点において4か月またはより長い少なくとも1つの処置間隔を達成した。患者の56%(18/32)において再処置までの時間は、直近の負荷用量後に4か月またはより長かった。患者の66%(21/32)は、直近の負荷用量後に3か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。患者の94%(31/33)は、直近の負荷用量後に2か月またはより長きにわたり再処置を受けなかった。患者の6%(2/34)のみが、直近の負荷用量の1か月後に再処置された。
【0649】
RVOにおける抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301の標的投薬間隔は、直近の負荷用量後に2~4か月またはより長くであり得ることをこれらの結果は指し示す。
【0650】
図56は、KSI-301で処置された、上記のフェーズ1b研究におけるCRVO患者の症例を示す。指し示される時点においてOCT画像を撮影し、厚さの測定値は、左の週の標識の下に指し示される。BCVAもまた評価した(右のETDRS文字値における変化により指し示される)。処置前のOCT測定は、患者は最も重篤なCRVOを有することを指し示した。OCTおよびBCVAの改善が第1の負荷用量の1週後もの早期に観察され、次の月毎の負荷用量までの翌3週にかけて継続して改善された。OCTは継続して改善され、BCVAは第2の負荷用量の1か月後に維持された。抗VEGF抗体コンジュゲートの2回の負荷用量のみで最も重篤なCRVO症例を制御することが可能であり得ることをこれらの結果は指し示した。
【0651】
一部の実施形態において、RVO(例えば、BRVO、CRVO)患者は、硝子体内に有効量の抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301を、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、約13か月、約14か月、もしくは約15か月もしくはより長い投薬間隔、または上記の値のうちの任意の2つの間の任意の時間間隔で、直近の負荷用量後の任意の期間において、投与される。一部の実施形態において、RVO患者は、抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を、直近の負荷用量の少なくとも約2か月後、少なくとも約3か月後、少なくとも約4か月後、少なくとも約5か月後、少なくとも約6か月後、少なくとも約7か月後、少なくとも約8か月後、少なくとも約9か月後、少なくとも約10か月後、少なくとも約11か月後、少なくとも約12か月後、少なくとも約13か月後、少なくとも約14か月後、もしくは少なくとも約15か月後もしくはより後まで、または上記の値のうちの任意の2つの間の任意の時点まで、投与されない。一部の実施形態において、RVO患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約4か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、もしくは約70%またはより高い可能性を有する。一部の実施形態において、RVO患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約3か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない約50%もしくはより高い、約55%もしくはより高い、約60%もしくはより高い、約65%もしくはより高い、または約70%もしくはより高い可能性を有する。一部の実施形態において、RVO患者は、直近の負荷用量または直近の維持用量の約2か月後またはより後まで抗VEGF抗体コンジュゲートの維持用量を要求しない約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、もしくは約95%またはより高い可能性を有する。一部の実施形態において、対象は、負荷用量を含めて、RVOに対する処置の最初の1年中に、抗VEGF抗体コンジュゲートの8回またはより少ない、7回またはより少ない、6回またはより少ない、5回またはより少ない、4回またはより少ない硝子体内注射を受ける。一部の実施形態において、対象は、RVOの処置のために1年当たりで抗VEGF抗体コンジュゲートの5回もしくはより少ない、4回もしくはより少ない、3回もしくはより少ない、2回もしくはより少ない、または1回の維持用量を受ける。一部の実施形態において、RVO患者(例えば、CRVO患者)は、抗VEGF抗体コンジュゲートの2または3回の負荷用量を受ける。
【0652】
実施例35
この実施例は、RVOにおけるEylea(登録商標)と比較したKSI-301持久性のベンチマーキングを示す。図55は、上記のフェーズ1b研究におけるKSI-301(右)、または従来の抗VEGF処置であるEylea(登録商標)(アフリベルセプト)(左)で処置されたRVOを有する患者についての1年の間隔中に要求された注射の平均回数を示す。従来の抗VEGF処置での患者は、処置の最初の1年中に平均で6回の月毎の負荷用量、および2.6回の維持用量、合計で8.6回の注射を要求した。対照的に、KSI-301で処置された患者は、処置の最初の1年中に平均で3回の月毎の負荷用量、および1.7回の維持用量、合計で4.7回の注射のみを要求した。そのため、KSI-301は、従来の抗VEGF処置と比較して半分の回数の負荷用量、および約2/3の回数の維持用量でのRVOの処置を可能とした。これらの結果は、RVOを処置するための従来の抗VEGF処置と比較した抗VEGF抗体コンジュゲートの治療効果の優位な持続期間を実証する。
【0653】
一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲート、例えば、KSI-301でのRVOの処置のために要求される負荷用量(例えば、月毎の負荷用量)の回数は、従来の抗VEGF処置での処置のために要求される負荷用量の回数の最高でも約75%、最高でも約70%、最高でも約65%、最高でも約60%、最高でも約55%、最高でも約50%、最高でも約45%、または最高でも約40%である。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートでのRVOの処置のために要求される維持用量の回数は、従来の抗VEGF処置での処置のために要求される維持用量の回数の最高でも約80%、最高でも約75%、最高でも約70%、最高でも約65%、または最高でも約60%である。一部の実施形態において、抗VEGF抗体コンジュゲートでのRVOの処置のために要求される1年当たりの用量の総数は、従来の抗VEGF処置での処置について1年当たりに要求される用量の総数の最高でも約80%、最高でも約75%、最高でも約70%、最高でも約65%、最高でも約60%、最高でも約55%、または最高でも約50%である。
【0654】
実施例36
この実施例は、(負荷用量後に)20週毎に1回程度の低い頻度で投薬されるKSI-301でのフェーズ2b/3 wAMD研究を提供する。図57は、研究設計の構成図を示す。研究のKSI-301処置アームの患者は、任意のフォローアップ評価において疾患活動性評価基準(下記)が満たされるまで、Q12W、Q16WまたはQ20Wの投薬スケジュールとされ、該基準が満たされた時点において患者は維持用量を投与される。
【0655】
疾患活動性評価基準(非負荷用量)
これらの基準は、疾患の再発の徴候および/または疾患の再発に起因する視力低下に関する。
- 12週目と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う≧50μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;
- wAMD活動性の悪化(例えば網膜内流体の増加、網膜下流体の増加、新たな網膜内出血、新たな網膜下出血)に起因する、最良の以前のBCVAと比較した、≧10文字のBCVAにおける減少;
- 12週目と比較した、≧75μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;
- 新たな黄斑出血。
【0656】
実施例37
この実施例は、(負荷用量後に)24週毎に1回程度の低い頻度で投薬されるKSI-301でのフェーズ3 DME研究を提供する。図58は研究設計の構成図を示す。研究のKSI-301処置アームの患者は、任意のフォローアップ評価において疾患活動性評価基準(下記)が満たされるまで、Q8W、Q12W、Q16W、Q20W、Q24Wの投薬スケジュールとされ、該基準が満たされた時点において患者は維持用量を投与される。
【0657】
疾患活動性評価基準(非負荷用量)
これらの基準は、疾患の再発の徴候および/または疾患の再発に起因する視力低下に関する。
- DME疾患活動性の悪化に起因する、2つの最良の先行するBCVA評価の平均と比較した、≧5文字のBCVAにおける減少を伴う、最も低い先行する測定値と比較した、≧50μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;
- DME疾患活動性の悪化に起因する、最も低い先行する測定値と比較した、≧75μmのOCT CSTにおける増加;
- 新たなまたは悪化した増殖性DR(PDR)。
【0658】
実施例38
この実施例は、(負荷用量後に)8週に1回投薬されるKSI-301でのフェーズ3
RVO研究を提供する。図58は研究設計の構成図を示す。研究のKSI-301処置アームの患者は、2回の月毎の負荷用量、続いて2回の8週毎の投薬、次に投薬を個別化するための疾患活動性評価を伴う8週毎の投薬を受ける。疾患活動性評価基準(下記)が任意のフォローアップ評価において満たされた場合、患者は維持用量を投与される。
【0659】
疾患活動性評価基準(非負荷用量)
これらの基準は、疾患の再発の徴候および/または疾患の再発に起因する視力低下に関する。
- RVO疾患活動性の悪化に起因する、最も低い先行する測定値と比較した、≧75μmのOCT中心サブフィールド網膜厚(CST)における増加;
- RVO疾患活動性の悪化に起因する、最も低い先行する測定値と比較した、≧75μmのOCT CSTにおける増加。
【0660】
実施例39
この実施例は、(負荷用量後に)6か月毎に1回程度の低い頻度で投薬されるKSI-301での非増殖性糖尿病網膜症(NPDR)についての臨床研究を示す。研究のKSI-301処置アームの患者は、8週離して2回の負荷用量を受ける。次に患者は4または6か月毎に維持用量を受ける。エンドポイントは、灌流だけでなく、>=2または3ステップの改善および2または3ステップの悪化を伴う患者のETDRS DRSS(糖尿病網膜症重症度スコア)%を使用する。
【0661】
実施例40
実施例3~5、15~26、および29~35に記載の研究の間に、KSI-301の複数用量曝露は忍容性良好であり、眼内炎症は観察されなかった。130の対象が投薬を受け、546の合計用量が与えられた。121の対象は、フェーズ1bにおける負荷期を完了し、81人は、12週目またはそれ以後に少なくとも1回の追加の再処置を受けた。以下が認められた:
- ほとんどの有害事象(AE)は軽度と評価され、従来の硝子体内抗VEGF処置のプロファイルと合致する;
- これまで、非薬物関連の、29の深刻な有害事象(SAE)が16の対象において報告された;
- 研究眼における1つの眼SAE(薬物関連ではない、全身性流体過負荷に二次的なDMEの悪化);
- 眼内炎症の2つのみのAE、両方とも1+の硝子体細胞が認められ、完全に解消された:
・注射当たりを基準にして0.37%(2/546の注射)、患者当たりを基準にして1.5%(2/130人の患者)の率
・いずれの患者においても血管炎も網膜炎もなし。
【0662】
上記または下記において参照される全ての特許出願、ウェブサイト、他の刊行物、およびアクセッション番号などは、各個々の項目が参照により組み込まれることを特におよび個々に指し示された場合と同じ程度まで全ての目的のために全体が参照により組み込まれる。配列の異なるバージョンが異なる時点においてアクセッション番号と関連付けられる場合、本出願の有効出願日におけるアクセッション番号と関連付けられるバージョンが意味される。有効出願日は、実際の出願日または該当する場合にはアクセッション番号に言及する優先権出願の出願日のうちの最先のものを意味する。同様に、刊行物またはウェブサイトなどの異なるバージョンが異なる時点において刊行されている場合、他に指し示されなければ、本出願の有効出願日における最も最近に刊行されたバージョンが意味される。本明細書に開示される任意の特徴、ステップ、要素、実施形態、または態様は、他に特に指し示されなければ、任意の他のものと組み合わせて使用され得る。一部の実施形態は、明確性および理解の目的のためにイラストレーションおよび例によりある程度詳細に記載されているが、ある特定の変更および修飾が添付の請求項の範囲内で実施され得ることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41A
図41B
図42
図43
図44
図45A
図45B
図46
図47
図48
図49
図50A
図50B
図51
図52
図53
図54A
図54B
図55
図56
図57
図58
図59
【配列表】
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【国際調査報告】