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特表2022-553641疼痛の処置のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】疼痛の処置のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20221219BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221219BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221219BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20221219BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20221219BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20221219BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20221219BHJP
   A61K 31/7115 20060101ALI20221219BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20221219BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20221219BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20221219BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221219BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61P25/04
A61P43/00 111
A61K31/711
A61K31/713
A61K31/7105
A61K31/7088
A61K31/7115
A61K31/712
A61K31/7125
C12N15/113 Z
A61K48/00
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521202
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2020078395
(87)【国際公開番号】W WO2021069654
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】19306327.8
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513246469
【氏名又は名称】インサーム(インスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル)
【氏名又は名称原語表記】INSERM(INSTITUT NATIONAL DELA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE)
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】514058706
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】515011944
【氏名又は名称】ウニヴェルシテ・ドゥ・モンペリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンテオ,ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】キャロル,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】バルテレミー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ベニズリ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】パティン,アレクサンドル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA08
4C084ZC41
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、FXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質はそれを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、少なくとも配列番号3の219~229番目のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とする。発明者らは、FXYD2の領域を標的とすることがFXYD2の発現及び/又は活性を阻害及び/又は低減するのに用いられ得ることを示した。彼らは、ラット及びヒトFXYD2遺伝子を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号4)を設計及び合成した。疼痛の2つのラットモデル(神経障害性及び炎症性疼痛)においてFXYD2に最適化されたASOの脊髄内注射を行った。彼らは、FXYD2のASOがラットの脊髄後根神経節(DRG)におけるその発現を有効に低減することを示した。FXYD2のASOが脊髄神経結紮(SNL)ラットモデルにおける神経障害性疼痛を顕著に低減することを証明した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FXYD2の阻害物質であって、
それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、少なくとも配列番号3の219~229番目のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とする、阻害物質。
【請求項2】
配列番号3の210~238番目のヌクレオチドを含む若しくは該ヌクレオチドからなる領域、及び/又は配列番号3の210~267番目のヌクレオチドを含む若しくは該ヌクレオチドからなる領域を標的とする、請求項1に記載の阻害物質。
【請求項3】
少なくとも配列番号3のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とする、請求項1又は2に記載の阻害物質。
【請求項4】
FXYD2の阻害物質であって、
それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6の少なくとも15ヌクレオチドを標的とする、阻害物質。
【請求項5】
siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA又はリボザイムである、請求項1~4のいずれか1項に記載の阻害物質。
【請求項6】
アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1~5のいずれか1項に記載の阻害物質。
【請求項7】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、脂質コンジュゲート型のアンチセンスオリゴヌクレオチド(LASO)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の阻害物質。
【請求項8】
配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる配列を含む又は該配列からなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の阻害物質。
【請求項9】
脊髄後根神経節(DRG)におけるFXYD2の量を低減できる、請求項1~8のいずれか1項に記載の阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
それを必要とする対象における疼痛の処置に使用するための請求項1~9のいずれか1項に記載の阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
前記疼痛は、神経障害性疼痛、糖尿病性疼痛、化学療法性疼痛、炎症性疼痛、術後疼痛及び/又は慢性術後疼痛である、請求項10に記載の阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、脊髄内投与、皮下投与、局所投与又は静脈内投与により行われる、請求項10又は11に記載の阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか1項に記載の阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、医薬組成物。
【請求項14】
疼痛の処置に使用するための請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記疼痛は、神経障害性疼痛、糖尿病性疼痛、化学療法性疼痛、炎症性疼痛、術後疼痛及び/又は慢性術後疼痛である、請求項13に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は疼痛の分野に関し、より具体的には、本発明は末梢疼痛を処置するための方法及び医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛は、多くの場合、激しい又は有害な刺激によって引き起こされる不快感である。国際疼痛学会で広く用いられている定義は、「疼痛は、急性の若しくは潜在的な組織損傷に関連する、又はそのような損傷の観点から説明される不快な感覚の及び感情の経験である」と述べている。疼痛には種々の型がある。
【0003】
急性疼痛は、突然起こり且つ特定の原因を有し、通常は組織傷害である短期間の疼痛である。一般に、6月未満の間続き、根本の原因が処置されると消失する。
【0004】
慢性疼痛は、その複雑な自然歴、不明確な病因及び治療に対する乏しい反応により、医療従事者にとっての主要な課題を構成する一般的な問題である。慢性疼痛は、病状の定義が乏しい。多くの著者は、診断として6月を超える継続した疼痛と考え、一方、他者は最低基準として3月を用いている。慢性疼痛において、期間のパラメータが任意に用いられている。種々の神経筋障害、生殖障害、胃腸障害及び泌尿器障害は、慢性疼痛を引き起こす又は慢性疼痛に寄与する。
【0005】
傷害受容性疼痛は、疼痛の最も一般的な型である。それは、組織傷害における疼痛受容体である傷害受容器の刺激により引き起こされる。傷害受容器は、身体の至る所にあり、特に皮膚及び内臓にある。それらが切断又は他の傷害等の潜在的有害により刺激を受けた場合、それらは脳に電気刺激を送り、対象に疼痛を感じさせる。
【0006】
内臓痛は、内臓に対する傷害又は損傷で引き起こされる。対象は、胸部、腹部及び骨盤を含む身体の体幹領域に痛みを感じ得る。多くの場合、内臓痛の正確な位置を示すことは困難である。多くの場合、内臓痛は、圧力、痛み、圧迫又は痙攣として説明される。
【0007】
体性痛は、内臓よりもむしろ組織における傷害受容器の刺激により生じる。これは、皮膚、筋肉、関節、結合組織及び骨を含む。多くの場合、内臓痛よりも体性痛の位置を正確に把握することが容易である。体性痛は、通常、一定の痛み又は痛烈な感覚のように感じる。それは、さらに深い又は表面のもので分類され得る。深い体性痛は、関節、腱、骨及び筋肉で感じられる。多くの場合、痛みとして説明される。表面の体性痛は、皮膚及び粘膜で感じられる。それは、鋭く又は拍動性で感じられ得る。
【0008】
末梢神経障害性疼痛は、(例えば傷害受容器から)皮膚における末梢神経の末端の損傷等の末梢神経系からの神経構造の損傷により引き起こされる。これらの損傷された神経末端は、刺激が無い状態で活動電位を生成でき、通常の刺激に対して過敏となり得る、及び/又は残存する局所的な炎症性刺激により引き起こされ得る。表皮における非常に少数の損傷を受けた且つ過敏性の小神経線維であっても、末梢神経障害性疼痛を引き起こすのに十分である。例としては、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、慢性突発性軸索多発性ニューロパシー及び化学療法誘導性多発性ニューロパシーによる末梢神経障害性疼痛である。
【0009】
神経障害性疼痛の処置において最も一般的に用いられる2つの化合物は、カプサイシン(場にロイド受容体のアゴニスト及び反対刺激剤)、及びリドカイン(膜安定剤)である。しかし、外用のカプサイシン0.025%~0.075%、及びカプサイシン8%パッチの両方は、その適用が非常に多くの場合、灼熱感の増大等の耐え難い副作用を誘導し、また多くの場合、処置がこの副作用を中和するための局所麻酔と組み合わせなければならないといった不利益がある(Jay GW & Barkin RL (2014))。米国特許出願公開第2014/0141056号明細書及び米国特許出願第2013/0184351号明細書に開示された外用のリドカイン5%パッチは、12時間毎に交換する必要があり、傷がある皮膚、潰瘍がある皮膚、損傷を受けた皮膚又は炎症を受けた皮膚には用いることができず、通常、糖尿病性ニューロパシーの患者を想定し、パッチは切断されなければならないため特に高齢者においてつま先に適用する際において使用に問題が生じ得る。また、クリーム及びゲルといった8%までの他の局所形態は、購入可能である(Deny S et al. (2014))。いくつかの研究が、外用のリドカインが神経障害性疼痛の緩和に有効であり得ることを示すと考えているが(Derry S et al. (2014))、神経障害性疼痛を処置するのに外用のリドカインの使用を支持するために利用できる良質なランダム化比較試験からの証拠は未だ無い。しかし、患者と彼らの医師との間での合意は、外用のリドカイン、より一般には神経障害性疼痛の局所的及び経口の両方の薬物療法に対する神経障害性疼痛で苦しむ患者の反応率が、全く不十分なままであることである。
【0010】
「神経障害性疼痛」が不十分なコンテナコンセプトであることがますます感じられている。「神経障害性疼痛」は、種々の発病過程により特徴付けられた異なる病理の集まりである。一治療分子が一連の異なる神経障害性疼痛症候群に有効であろうことを期待することは、明らかに無謀過ぎる。従って、特定の神経障害性疼痛の状態に苦しむ患者のための個別化された治療戦略の緊急の必要性がある。さらに、例えば数日、数週間、数か月、数年の間で、1日、1週間又は1か月に数回の慢性的な投与の場合、副作用が軽減される又はより良くは副作用が無い処置選択肢の強い必要性がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、FXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質はそれを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号3のヌクレオチド219~229を含む又はそのヌクレオチド219~229からなる領域を少なくとも標的とする。特に本発明は、特許請求の範囲により規定される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A-B】図1A及びBはヒトFXYD2のmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの識別について示す。また、ヒトFXYD2のmRNAを標的とする一連のアンチセンスオリゴヌクレオチド(A)、並びにそれぞれ15、17及び20ヌクレオチドの長さのASO75及びASO82(B)がトランスフェクションされた後のHEK293細胞抽出物のウエスタンブロットによるFXYD2タンパク質のレベルの定量を示す。FXYD2タンパク質のレベルはアクチンタンパク質で正規化された。データは、平均値±s.e.mで示される。=p<0.05;**=p<0.01;***=p<0.001及び****=p<0.0001である(n=3)。
図2図2は、脂質改変Fxyd2アンチセンスオリゴヌクレオチドであるFxyd2-LASOの髄腔内注射によるラットDRGニューロンにおけるFxyd2発現のインビボでの阻害を示す。Fxyd2-LASOの量の増大は、14日間にわたる毎日の髄腔内注射でなされ、ランバー(lumber)DRG(L4~L6)組織は解剖され、Fxyd2タンパク質レベルが定量された。Fxyd2タンパク質のレベルは、アクチンタンパク質により正規化された。データは、平均値±s.e.mで示される。=p<0.05であり、n.sは有意でないことを示す。
図3A-B】図3A及びBは、脂質改変Fxyd2アンチセンスオリゴヌクレオチドの毎日の髄腔内注射は、神経障害性疼痛のSNLモデルにおける痛覚感受性の緩和において、ω-コノトキシンMVIIAの髄腔内投与と少なくとも同等の有効性があることを示す。ラットのコホートに対してSNL手術をし、機械的刺激に対する反応を試験した(A:von Freyテスト、B:Randall-Selitto paw pressureテスト)。2μgのFxyd2-LASO(n=9)の毎日の髄腔内注射は、2つの試験において機械的な過敏性の段階的な完全な軽減を引き起こしたが、対照-LASO(n=9)では引き起こさず、また、その軽減は、処置の中断によって元に戻った。Fxyd2-LASO処置の再開は、鎮痛効果を回復した。ω-コノトキシンMVIIA(n=9)の単一の髄腔内注射による神経障害性疼痛症候群を示すラットのコホートの処置は、機械的な過敏性を1~2時間軽減した。データは、平均値±s.e.mで示される。=p<0.05;***=p<0.001及び****=p<0.0001である。
図4A-B】図4A及びBは、Fxyd2-LASO処置は、炎症性疼痛モデルにおいて機械的な過敏性を軽減することを示す。機械的な過敏性はCFA(完全フロイントアジュバント)の足底内注射により誘導された。Fxyd2-LASO(n=6)の毎日の注射は、疼痛症候群を軽減したが、対照-LASO(n=6)は軽減しなかった(A:von Freyテスト、B:Randall-Selitto paw pressureテスト)。注射の中断が疼痛過敏性を回復するので、Fxyd2-LASOの鎮痛効果は、継続的な処置に依存する。データは、平均値±s.e.mで示される。=p<0.05;**=p<0.01及び****=p<0.0001である。
図5A-B】図5A及びBは、Fxyd2-LASOの脂質改変は、神経障害性疼痛のSNLモデルにおけるその鎮痛効果に必要であることを示す。SNLによる機械的な過敏性の誘導後、ラットは、Fxyd2-LASO(n=6)又はFxyd2-ASO(非脂質改変型)(n=6)のいずれかを毎日髄腔内注射された。Fxyd2-LASOは、機械的な過敏性試験により証明されるように疼痛行為を有効に後退させたが、Fxyd2-ASOでは後退させなかった(A:von Freyテスト、B:Randall-Selitto paw pressureテスト)。データは、平均値±s.e.mで示される。=p<0.05;**=p<0.01;***=p<0.001及び****=p<0.0001である。
図6A-B】図6A及びBは、Accell Fxyd2-siRNAの髄腔内注射によるFxyd2阻害は、SNLモデルにおける機械的な過敏性を低減することを示す。SNLによる機械的な過敏性の誘導後、動物は、Accell Fxyd2-siRNA(n=9)又はAccell対照-siRNA(n=9)を毎日髄腔内注射された。Accell Fxyd2-siRNAは、von Freyテスト(A)、及びRandall-Selitto paw pressureテスト(B)において機械的な過敏性を低減したが、Accell対照-siRNAでは低減しなかった。データは、平均値±s.e.mで示される。**=p<0.01;***=p<0.001及び****=p<0.0001である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明者らは、FXYD2の領域を標的とすることがFXYD2の発現及び/又は活性を阻害及び/又は低減するのに用いられ得ることを示した。それらは、ラット及びヒトのFXYD2遺伝子を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO;例えば配列番号17)を設計及び合成した。それは、疼痛の2つのラットモデル(神経障害性及び炎症性疼痛)において、FXYD2最適化ASOの髄腔内注射を行った。それは、FXYD2 ASOがラットの脊髄後根神経節(DRG)におけるその発現を有効に低減することを示した。それは、FXYD2 ASOが、脊髄神経結紮(SNL)ラットモデルにおける神経障害性疼痛を顕著に低減すること、及び神経障害性疼痛におけるFXYD2の鎮痛効果が近年市場で最もシェアがあるジコノチドよりも大きいことを証明した。また、それらは、FXYD2 ASOが完全フロイントアジュバント(CFA)誘導性ラットモデルにおける炎症性疼痛を顕著に低減したことを示した。
【0014】
従って、本発明者らは、疼痛、より具体的には神経障害性疼痛に対する治療ツールを得た。
【0015】
(本発明の配列)
第1の態様において、本発明は、FXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質はそれを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号3のヌクレオチド219~229を含む又はそのヌクレオチド219~229からなる領域を少なくとも標的とする。
【0016】
本明細書において用いられる「FXYD2」の用語は、イオン輸送レギュレータ2を含むFXYD2ドメインを意味する。それは、本技術分野において一般的な意味を有し、Na,K-ATPaseのガンマサブユニットを意味する。その用語は、天然起源のFXYD2バリアント及びその改変形態を含む。FXYD2のmRNA配列はNCBI遺伝子ID番号:486で見つけられ得る。
【0017】
天然起源のヒトFXYD2遺伝子、バリアントbはGenbankのアクセッション番号NM021603.4に示されるようなヌクレオチド配列を有する。ヒトFXYD2、転写バリアントbのヌクレオチド配列cDNAは、配列番号1の配列により定義される(593bp):
ACTCTCCATCCAGGCCCCAGGCAAGCAGCACCTCCCTGCTCTCCTGCACTCCTGGACACAACCAGCAGCTCCTGCCATGGACAGGTGGTACCTGGGCGGCAGCCCCAAGGGGGACGTGGACCCGTTCTACTATGACTATGAGACCGTTCGCAATGGGGGCCTGATCTTCGCTGGACTGGCCTTCATCGTGGGGCTCCTCATCCTCCTCAGCAGAAGATTCCGCTGTGGGGGCAATAAGAAGCGCAGGCAAATCAATGAAGATGAGCCGTAACAGCAGCCTCGGCGGTGCCACCCACTGCACTGGGGCCAGCTGGGAAGCCAAGCATGGCCCTGCCTCTGGCGCCTCCCCTTCTTCCCTGGGCTTTAGACCTTTGTCCCCGTCACTGCCAGCGCTTGGGCTGAAGGAAGCTCCAGACTCAATGTGACCCCCAGGTGGCATCGCCAACTCCTGCCTCGTGCCACCTCATGCTTATAATAAAGCCGGCGTCAGAGACCGCTGCTTCCCTCACCTGCCTGCCTGTCTCCCTCCTCTGTCACCACCAGCCTCTCCAAGCTCAAGTACAAATACAGCCGGGTCTCATTTGTTTTTTCAA。
【0018】
天然起源のヒトFXYD2遺伝子、バリアントaはGenbankのアクセッション番号NM001680.5に示されるようなヌクレオチド配列を有する。ヒトFXYD2、転写バリアントaのヌクレオチド配列cDNAは、配列番号2の配列により定義される(589bp):
AGACACTCTCCAAAAAGCAGAGACAGCAGGAAGAGGGGAGTGGAGGCAGCCCATTCACCTGGGGAAATGACTGGGTTGTCGATGGACGGTGGCGGCAGCCCCAAGGGGGACGTGGACCCGTTCTACTATGACTATGAGACCGTTCGCAATGGGGGCCTGATCTTCGCTGGACTGGCCTTCATCGTGGGGCTCCTCATCCTCCTCAGCAGAAGATTCCGCTGTGGGGGCAATAAGAAGCGCAGGCAAATCAATGAAGATGAGCCGTAACAGCAGCCTCGGCGGTGCCACCCACTGCACTGGGGCCAGCTGGGAAGCCAAGCATGGCCCTGCCTCTGGCGCCTCCCCTTCTTCCCTGGGCTTTAGACCTTTGTCCCCGTCACTGCCAGCGCTTGGGCTGAAGGAAGCTCCAGACTCAATGTGACCCCCAGGTGGCATCGCCAACTCCTGCCTCGTGCCACCTCATGCTTATAATAAAGCCGGCGTCAGAGACCGCTGCTTCCCTCACCTGCCTGCCTGTCTCCCTCCTCTGTCACCACCAGCCTCTCCAAGCTCAAGTACAAATACAGCCGGGTCTCATTTGTTTTTTCAA。
【0019】
天然起源のヒトFXYD2遺伝子は、両方のバリアント(a及びb)でコードする共通の配列である、配列番号3の配列で定義された以下のヌクレオチド配列を有する:
5’-91 GGCGGCAGCCCCAAGGGGGACGTGGACCCGTTCTACTATGACTATGAGACCGTTCGCAATGGGGGCCTGATCTTCGCTGGACTGGCCTTCATCGTGGGGCTCCTCATCCTCCTCAGCAGAAGATTCCGCTGTGGGGGCAATAAGAAGCGCAGGCAAATCAATGAAGATGAGCCGTAA 267-3’。
【0020】
特定の実施形態において、ヒトFXYD2、転写バリアントbのヌクレオチド配列RNAは、配列番号4の配列により定義される:
UGA GAG GUA GGU CCG GGG UCC GUU CGU CGU GGA GGG ACG AGA GGA CGU GAG GAC CUG UGU UGG UCG UCG AGG ACG GUA CCU GUC CAC CAU GGA CCC GCC GUC GGG GUU CCC CCU GCA CCU GGG CAA GAU GAU ACU GAU ACU CUG GCA AGC GUU ACC CCC GGA CUA GAA GCG ACC UGA CCG GAA GUA GCA CCC CGA GGA GUA GGA GGA GUC GUC UUC UAA GGC GAC ACC CCC GUU AUU CUU CGC GUC CGU UUA GUU ACU UCU ACU CGG CAU UGU CGU CGG AGC CGC CAC GGU GGG UGA CGU GAC CCC GGU CGA CCC UUC GGU UCG UAC CGG GAC GGA GAC CGC GGA GGG GAA GAA GGG ACC CGA AAU CUG GAA ACA GGG GCA GUG ACG GUC GCG AAC CCG ACU UCC UUC GAG GUC UGA GUU ACA CUG GGG GUC CAC CGU AGC GGU UGA GGA CGG AGC ACG GUG GAG UAC GAA UAU UAU UUC GGC CGC AGU CUC UGG CGA CGA AGG GAG UGG ACG GAC GGA CAG AGG
GAG GAG ACA GUG GUG GUC GGA GAG GUU CGA GUU CAU GUU UAU GUC GGC CCA GAG UAA ACA AAA AAG UU。
【0021】
特定の実施形態において、ヒトFXYD2、転写バリアントaのヌクレオチド配列RNAは、配列番号5の配列により定義される:
UCU GUG AGA GGU UUU UCG UCU CUG UCG UCC UUC UCC CCU CAC CUC CGU CGG GUA AGU GGA CCC CUU UAC UGA CCC AAC AGC UAC CUG CCA CCG CCG UCG GGG UUC CCC CUG CAC CUG GGC AAG AUG AUA CUG AUA CUC UGG CAA GCG UUA CCC CCG GAC UAG AAG CGA CCU GAC CGG AAG UAG CAC CCC GAG GAG UAG GAG GAG UCG UCU UCU AAG GCG ACA CCC CCG UUA UUC UUC GCG UCC GUU UAG UUA CUU CUA CUC GGC AUU GUC GUC GGA GCC GCC ACG GUG GGU GAC GUG ACC CCG GUC GAC CCU UCG GUU CGU ACC GGG ACG GAG ACC GCG GAG GGG AAG AAG GGA CCC GAA AUC UGG AAA CAG GGG CAG UGA CGG UCG CGA ACC CGA CUU CCU UCG AGG UCU GAG UUA CAC UGG GGG UCC ACC GUA GCG GUU GAG GAC GGA GCA CGG UGG AGU ACG AAU AUU AUU UCG GCC GCA GUC UCU GGC GAC GAA GGG AGU GGA CGG ACG GAC AGA GGG AGG AGA CAG UGG UGG UCG GAG AGG UUC GAG UUC AUG UUU AUG UCG GCC CAG AGU AAA CAA AAA AGU U。
【0022】
天然起源のヒトFXYD2遺伝子は、両方のバリアント(a及びb)でコードする共通の配列である、配列番号6の配列で定義された以下のヌクレオチド配列RNAを有する:
CCG CCG UCG GGG UUC CCC CUG CAC CUG GGC AAG AUG AUA CUG AUA CUC UGG CAA GCG UUA CCC CCG GAC UAG AAG CGA CCU GAC CGG AAG UAG CAC CCC GAG GAG UAG GAG GAG UCG UCU UCU AAG GCG ACA CCC CCG UUA UUC UUC GCG UCC GUU UAG UUA CUU CUA CUC GGC AUU。
【0023】
さらなる実施形態において、本発明は、FXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質は、それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6の少なくとも15ヌクレオチドを標的とする。
【0024】
特定の実施形態において、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下を標的とする:
-配列番号3のヌクレオチド210~238を含む又は該ヌクレオチド210~238からなる領域、及び/又は、
-配列番号3のヌクレオチド210~267を含む又は該ヌクレオチド210~238からなる領域。
【0025】
特定の実施形態において、本発明に係る阻害物質は、配列番号3のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を少なくとも標的とする。
【0026】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質は、それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を少なくとも標的とする。
【0027】
特定の実施形態において、本発明はFXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質は、それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6に規定されている核酸219~229を含む又は該核酸219~229からなる領域を標的とする。
【0028】
特定の実施形態において、本発明はFXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質は、それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6に規定されている核酸210~238を含む又は該核酸210~238からなる領域を標的とする。
【0029】
特定の実施形態において、本発明はFXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質は、それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6に規定されている核酸210~267を含む又は該核酸210~267からなる領域を標的とする。
【0030】
特定の実施形態において、本発明はFXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質は、それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5又は配列番号6に規定されている核酸91~267を含む領域を標的とする。
【0031】
特定の実施形態において、本発明はFXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質は、それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5又は配列番号6に規定されている核酸91~267からなる領域を標的とする。
【0032】
特定の実施形態において、本発明はFXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質は、それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6に規定されている核酸からなる領域を標的とする。
【0033】
特定の実施形態において、本発明はFXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質は、それを必要とする対象におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減し、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6に規定されている核酸を含む領域を標的とする。
【0034】
特定の実施形態において、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5及び/又は配列番号6に規定されているヌクレオチド配列からなる領域を標的とする。
【0035】
いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも15ヌクレオチドの長さを有する。
【0036】
いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、15~25ヌクレオチドの長さを有する。
【0037】
特に、本発明のオリゴヌクレオチドは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25ヌクレオチドの長さを有する。
【0038】
本明細書において用いられる「阻害物質」の用語は、FXD2の発現及び/又は活性を阻害する又は低減するような生物学的効果を有する天然又は合成化合物を意味する。
【0039】
特定の実施形態において、遺伝子発現の阻害物質は、FXYD2遺伝子の発現を低減及び/又は阻害するような生物学的効果を有する天然又は合成化合物を意味する。例えばFXYD2遺伝子といった遺伝子の発現を阻害することが、通常、種々の阻害レベルが達成され得るが、標的細胞又は組織における遺伝子産物(タンパク質、例えばFXYD2タンパク質)の低減又は消失でさえ起こすことを当業者に理解されるであろう。発現の阻害又は低減は、通常、ノックダウンとして呼ばれる。
【0040】
特定の実施形態において、FXYD2の活性の阻害物質は、FXYD2の活性を低減及び/又は阻害するような生物学的効果を有する天然又は合成化合物を意味する。
【0041】
特定の実施形態において、FXYD2の遺伝子発現の阻害物質は、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、miRNA又はリボザイムである。
【0042】
一実施形態において、本発明に係るFXYD2の阻害物質はsiRNAである。
【0043】
低分子阻害RNAは、低分子干渉RNA(siRNA)とも呼ばれ、本発明で用いるためのFXYD2の発現阻害物質としても作用し得る。FXYD2遺伝子発現は、FXYD2の発現が配列特異的な様式でmRNAの分解によって特異的に阻害される(すなわちRNA干渉又はRNAi)ように、低分子二本鎖RNA(dsRNA)又は低分子二本鎖RNAの産生を引き起こすベクター若しくはコンストラクトを用いて対象又は細胞を処置することにより低減され得る。適切なdsRNA又はdsRNAをコードするベクターを選択する方法は、本技術分野において周知であり、そのための遺伝子の配列は周知である(例えば、Tuschl, T. et al. (1999); Elbashir, S. M. et al. (2001); Hannon, GJ. (2002); McManus, MT. et al. (2002); Brummelkamp, TR. et al. (2002);米国特許第6573099号明細書及び米国特許第6506559号明細書、並びに国際公開第01/36646号、99/32619号及び01/68836号を参照、それらはその全体が本明細書に参照として組み込まれる)。
【0044】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の阻害物質に関し、該阻害物質はsiRNAである。
【0045】
特定の実施形態において、本発明に係るsiRNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6に規定されている核酸を含む又は該核酸からなる領域を標的とする。
【0046】
特定の実施形態において、本発明に係るsiRNAは、配列番号3に規定されている核酸を含む又は該核酸からなる領域を標的とする。
【0047】
特定の実施形態において、本発明に係るsiRNAは、配列番号31の配列からなる。配列番号31に規定される核酸は、以下の核酸で定義される:
5’AAGAUUCCGCUGUGGGGGC(UU)3’。
【0048】
一実施形態において、本発明に係るFXYD2の阻害物質は、shRNAである。
【0049】
また、低分子ヘアピンRNA(shRNA)は、本発明において使用するためのFXYD2発現の阻害物質として機能し得る。低分子ヘアピンRNA(shRNA)は、RNA干渉を介して遺伝子発現を抑制するために用いられ得る急なヘアピンターンを形成するRNAの配列である。一般に、shRNAは、細胞内に導入されるベクターを用いて発現され、該ベクターはshRNAが常に発現されることを保証するU6プロモーターを用いる。通常、このベクターは、遺伝子サイレンシングが遺伝され得るように娘細胞に伝わる。shヘアピン構造は、細胞機構によりsiRANに切断され、その後、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に結合される。この複合体は、siRNAに結合されるのに適合するmRNAに結合し、切断する。
【0050】
一実施形態において、本発明に係るFXYD2の阻害物質はmiRNAである。
【0051】
miRNA(miR)は、本発明において使用するためのFXYD2発現の阻害物質としても機能し得る。miRNAは、本技術分野においてその一般的な意味を有し、19~23ヌクレオチドの長さを有することが報告されているが、通常21~22ヌクレオチドの長さであるマイクロRNA分子を意味し、標的mRNAの翻訳を抑制する。miRNAは、より長い前駆体RNA分子(前駆体miRNA)からそれぞれ処理される。前駆体miRNAは、非タンパク質コーディング遺伝子から転写される。前駆体miRNAは、ステムループ又は折り畳み様構造を形成することができる相補性の2つの領域を有し、それは、ダイサーと呼ばれるリボヌクレアーゼIII様ヌクレアーゼ酵素により動物内で切断される。通常、処理されたmiRNAは、ステムの部分である。処理されたmiRNA(「成熟miRNA」とも呼ばれる)は、例えば特定の標的遺伝子に対して翻訳を抑制するといったダウンレギュレートする大きな複合体の部分となる。
【0052】
複数のmiRNAは、FXYD2をノックダウンするために用いられ得る。複数のmiRNAは、標的の転写物の異なる標的転写物又は標的転写物の異なる結合サイトに相補的であり得る。また、多シストロン性転写物は、標的遺伝子のノックダウンの効率を増強するのに用いられ得る。いくつかの実施形態において、同一のmiRNA又は異なるmiRNAをコードする複数の遺伝子は、単一の転写物で共に、又は単一のベクターカセットにおいて別々の転写物として制御され得る。一実施形態において、ベクターは、以下に限定されないが、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター及びレトロトランスポゾンに基づくベクターシステムを含むウイルスベクターである。
【0053】
一実施形態において、FXYD2の阻害物質は、アンチセンス核酸である。
【0054】
本発明のFXYD2発現の阻害物質は、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンストラクトに基づく。アンチセンスRNA分子及びアンチセンスDNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAに結合し、タンパク質翻訳を防止することにより、又はmRNA分解を増大することによりFXYD2のmRNAの翻訳を直接に妨げるように作用し、従って、細胞内におけるFXYD2タンパク質のレベル及び活性を低減し得る。例えば、少なくとも15塩基で、FXYD2をコードするmRNA転写配列の特異領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば従来のリン酸ジエステル技術によって合成可能であり、例えば静脈内注射又は注入によって投与可能である。配列が周知の遺伝子の発現を特異的に低減するためのアンチセンス技術を用いる方法は、本技術分野において周知である(例えば米国特許第6566135号、米国特許第6566131号、米国特許第6365354号、米国特許第6410323号、米国特許第6107091号、米国特許第6046321号及び米国特許第5981732号明細書を参照、また、それらはそれぞれ内容の全体が参照として本明細書に組み込まれる)。
【0055】
センス標的配列に相補的であるアンチセンスRNAは、上記阻害物質(例えばアンチセンス、siRNA、shRNA又はmiRNA)のいずれかの産生のためのDNA配列によりコードされる。所望の二本鎖RNAをコードするDNAは、例えばDNAの転写がプロモーターにより制御される発現カセットのように、遺伝子カセットに組み込まれる。
【0056】
特定の実施形態において、FXYD2遺伝子発現の阻害物質は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0057】
特定の実施形態において、FXYD2遺伝子発現の阻害物質は、FXYD2のmRNA転写物を標的とする単離された、合成された又は組換え型のアンチセンスオリゴヌクレオチドである。本発明のオリゴヌクレオチドは、いずれかの適切な型のものであり得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドはRNAオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドはDNAオリゴヌクレオチドである。
【0059】
特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下に限定されないが、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41からなる群から選択される。
【0060】
【表1】
【0061】
本明細書において用いられる「ヌクレオチド」の用語は、改変された又は天然起源のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドとして定義される。通常、ヌクレオチドは、チミジン(T)、シチジン(C)、グアノシン(G)、アデノシン(A)及びウリジン(U)を含むプリン及びピリミジンを含む。
【0062】
本明細書において用いられる「オリゴヌクレオチド」は、上記ヌクレオチドのオリゴマーを意味する。「オリゴヌクレオチド」の用語は、3’-5’又は5’-3’方向の核酸配列を意味し、それは一本鎖又は二本鎖であってもよい。本発明において用いられるオリゴヌクレオチドは、特にDNA又はRNAであってもよい。また、その用語は、(i)例えば天然オリゴ及びポリヌクレオチドで見られる標準的なホスホジエステル結合以外の骨格等の改変された骨格構造、及び(ii)任意に、例えばリボース又はデオキシリボース成分ではなくモルフォリノ成分等の改変された糖成分を有するオリゴヌクレオチドを意味する「オリゴヌクレオチドアナログ」を含む。オリゴヌクレオチドアナログは、標準的なポリヌクレオチド塩基に対してワトソン-クリック塩基対により水素結合可能な塩基を支持し、該アナログの骨格は、オリゴヌクレオチドアナログ分子と標準的なポリヌクレオチド(例えば一本鎖RNA又は一本鎖DNA)における塩基との間の配列特異的な様式でのそのような水素結合を許容する様式で塩基を提供する。特に、アナログは、実質的に無電荷のリン含有骨格を有する。オリゴヌクレオチドアナログにおける実質的に無電荷のリン含有骨格は、それに含まれる多数のサブユニット結合、例えばその結合の50%~100%、典型的に少なくとも60%~100%又は75%又は80%が、無電荷で且つ単一のリン原子を含むものである。
【0063】
また、「オリゴヌクレオチド」の用語は、転写のための正常な方向に対して逆であり、そのため、宿主細胞内で発現された標的遺伝子mRNA分子に相補的であるRNA又はDNA配列に対応する(例えばワトソン-クリック塩基対を介して標的遺伝子mRNA分子にハイブリダイズできる)オリゴヌクレオチド配列を意味する。
【0064】
アンチセンス鎖は、標的遺伝子の発現に干渉できるのであれば、多くの他の方法で構築されてもよい。例えば、アンチセンス鎖は、相補物の転写(例えばアンチセンス及びセンス遺伝子によりコードされたRNAが相補的となり得る)を可能とするように、標的遺伝子のコード領域(又はその一部)をその転写のための正常の方向に対して逆相補変換すること(reverse-complementing)により構築され得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子と同一のイントロン又はエクソンを有する必要が無く、標的遺伝子の非コーディング領域は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)等のコーディング領域と同様に標的遺伝子発現のアンチセンス抑制を達成するのに有効であり得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、siRNA及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)等の標的遺伝子と同一のエクソンパターンを有する。
【0065】
本明細書において用いられる「標的」又は「標的とする」の用語は、FXYD2遺伝子産物をコードするFXYD2遺伝子又はFXYD2mRNSに特異的に結合できるオリゴヌクレオチドを意味する。特に、当業者に周知の方法(例えばアンチセンス、RNA干渉)により該遺伝子又はRNAを阻害できるオリゴヌクレオチドを意味する。
【0066】
本発明によると、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、FXYD2遺伝子産物をコードするmRNA及び/又はDNAを標的とし、細胞におけるFXYD2発現及び/又は活性の量を低減できる。
【0067】
すなわち、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、該mRNAの配列の領域に対して少なくとも部分的に相補的、特に完全に相補的である配列を含み、その相補性は細胞内条件下で特異的な結合を生じるのに十分なものである。当業者にすぐに明らかになるように、第2の配列に対して「完全に相補的」である配列は、DNA分子の形態又はRNA分子の形態のいずれかにおける第2の配列の逆相補的な対応物を意味する。配列は、1つ以上のミスマッチがある場合、第2の配列に「部分的に相補的」である。
【0068】
FXYD2遺伝子(例えば配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6を含むFXYD2遺伝子)をコードするcDNA又はmRNAを標的とする本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えばバイオインフォマティクツールを用いて、基準として前記mRNAの配列を用いることにより設計され得る。
【0069】
特に、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、DRGにおけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減できる。オリゴヌクレオチドが細胞内におけるFXYD2の発現及び/又は活性を低減できるかどうかを決定する方法は、当業者に周知である。
【0070】
これは、例えばRT-qPCR、インサイチュハイブリダイゼーション等によるFXYD2のRNA発現を分析する、又は免疫組織染色、ウエスタンブロット等によるFXYD2のタンパク質発現を分析することにより、並びに試験されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの存在及び非存在下でFXYD2のタンパク質発現又はFXYD2の機能的活性を比較することにより、行われ得る。
【0071】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、mRNAの翻訳開始点(AUGコドン)、コーディング領域(例えば1つ以上のエクソン)、5’-非翻訳領域又は3’-非翻訳領域に対して標的にされる。その目的は、RNAのタンパク質翻訳のためのサイトへの転座、RNAからタンパク質への実際の翻訳、RNAのスプライシング又は成熟、及びおそらくRNAに依存され得る独立した触媒活性でさえも含まれるすべてのウイルス機能を含むメッセンジャーRNAの機能に干渉することである。そのようなRNA機能に対する干渉の全体的な効果は、タンパク質発現に対する干渉を引き起こすことである。
【0072】
いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、インビボにおける安定性及び/又は治療効率を増大するために、さらなる改変、特に化学的改変がなされる。当業者は、安定化改変等のオリゴヌクレオチドの有効性の改善をし得るいくつかの改変を容易に提供できる(C. Frank Bennett and Eric E. Swayze, RNA Targeting Therapeutics: Molecular Mechanisms of Antisense Oligonucleotides as a Therapeutic PlatformAnnu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 2010.50:259-293; Juliano RL. The delivery of therapeutic oligonucleotides. Nucleic Acids Res. 2016 Aug 19;44(14):6518-48)。特に、本明細書において用いられるオリゴヌクレオチドは、改変されたヌクレオチドを含み得る。化学的改変は、オリゴヌクレオチドの(i)リン酸基、(ii)糖部分、及び/又は(iii)全体の骨格構造の3つの異なるサイトで起こし得る。通常、化学的改変は、骨格の改変、複素環の改変、糖の改変及びコンジュゲートの戦略を含む。
【0073】
例えば、オリゴヌクレオチドは、オリゴデオキシリボヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、低分子制御RNA(sRNA)、U7若しくはU1媒介ASO又はペプチドコンジュゲート若しくはナノ粒子複合化ASO等のそれらのコンジュゲート産物、モルフォリノ、ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴマー(ホスホロジアミデートモルフォリノ、PMO)、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロチオエート(PS)オリゴヌクレオチド、立体化学的に純粋なホスホロチオエート(PS)オリゴヌクレオチド、ホスホロアミデート改変オリゴヌクレオチド、チオホスホロアミデート改変オリゴヌクレオチド、及びメチルホスホネート改変オリゴヌクレオチド等の骨格の改変による化学的改変オリゴヌクレオチド;二環改変オリゴヌクレオチド、二環性核酸(BNA)、三環改変オリゴヌクレオチド、三環性DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、ピリミジンにおける5-メチル置換核酸塩基等の核酸塩基改変、5-置換ピリミジンアナログ、2-チオ-チミン改変オリゴヌクレオチド、及びプリン改変オリゴヌクレオチド等の複素環改変による化学的改変オリゴヌクレオチド;ロック核酸(LNA)オリゴヌクレオチド、2’,4’-メチレンオキシ架橋核酸(BNA)、エチレン架橋核酸(ENA)、拘束エチル(cEt)オリゴヌクレオチド、2’-O-MeRNA(2’-OMe)、2’-O-メトキシエチルRNA(MOE)、2’-フルオロRNA(FRNA)、及び4’-チオ-改変DNA及びRNA等の2’-改変RNA、2’-及び4’-改変オリゴヌクレオチド等の糖改変による化学的改変オリゴヌクレオチド;5’-GalNAc及び3’-GalNAcASOコンジュゲート等のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)オリゴヌクレオチド、脂質オリゴヌクレオチドコンジュゲート(LASO)、膜透過性ペプチド(CPP)オリゴヌクレオチドコンジュゲート、標的化オリゴヌクレオチドコンジュゲート、抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、PEG化及び標的化リガンド等を用いたポリマー-オリゴヌクレオチドコンジュゲート等のコンジュゲート戦略による化学的改変オリゴヌクレオチド;並びに例えばBennett及びSwayze、2010(RNA targeting therapeutics: molecular mechanisms of antisense oligonucleotides as a therapeutic platform. Annu Rev Pharmacol Toxicol. 2010;50:259-93)、Wan及びSeth、2016(The Medicinal Chemistry of Therapeutic Oligonucleotides. J Med Chem. 2016 Nov 10;59(21):9645-9667)、Juliano、2016(The delivery of therapeutic oligonucleotides. Nucleic Acids Res. 2016 Aug 19;44(14):6518-48)、Lundin等、2015(Oligonucleotide Therapies: The Past and the Present. Hum Gene Ther. 2015 Aug;26(8):475-85)、及びPrakash、2011(An overview of sugar-modified oligonucleotides for antisense therapeutics. Chem Biodivers. 2011 Sep;8(9):1616-41)で記載されている化学的改変及びコンジュゲート戦略からなる群から選択される。実際に、インビボでの使用のために、オリゴヌクレオチドは安定化され得る。「安定化された」オリゴヌクレオチドは、(例えばエキソヌクレアーゼ又はエンドヌクレアーゼを介した)インビボでの分解に対して相対的に耐性があるオリゴヌクレオチドを意味する。安定化は、長さ又は二次構造の機能となり得る。特に、オリゴヌクレオチドの安定化は、リン酸骨格の改変、ホスホジエステル改変、ホスホロチオエート(PS)骨格の改変、ホスホジエステル及びホスホロチオエート改変の組み合わせ、チオホスホロアデート改変、2’改変(2’-O-Me、2’-O-(2-メトキシエチル)(MOE)改変及び2’-フルオロ改変)、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、ヒスホロジチオエート、p-エトキシ、及びそれらの組み合わせを介して達成され得る。
【0074】
特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、LASOとして知られている脂質コンジュゲート型である。いくつかの実施形態において、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、国際公開第2014/195432号に記載されているように、2~30個の炭素原子、具体的に5~20個の炭素原子、より具体的に10~18個の炭素原子を含む少なくとも3つの飽和型又は不飽和型、特に飽和型の、直鎖型又は分枝型、特に直鎖型の炭化水素鎖を含む成分による3’末端又は5’末端での置換によって改変される。
【0075】
いくつかの実施形態において、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのケタール官能基を含む成分による3’末端又は5’末端での置換によって改変され、該ケタール官能基のケタール炭素は、国際公開第2014/195430号に記載されているように、1~22個の炭素原子、具体的に6~20個の炭素原子、特に10~19個の炭素原子、より具体的に12~18個の炭素原子を含む2つの飽和型又は不飽和型、特に飽和型の、直鎖型又は分枝型、特に直鎖型の炭化水素鎖を提供する。
【0076】
例えば、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート誘導体(非架橋ホスホリル酸素原子を硫黄原子で置換)として用いられてもよく、それは、ヌクレアーゼによる切断に対する耐性が増大されている。2’-メトキシエチル(MOE)改変(IONIS Pharmaceuticalsにより販売されている改変骨格等)も有効である。追加的又は代替的に、本発明に係るオリゴヌクレオチドは、特に以下の化学的改変により糖の2’位での置換を有する誘導体である完全に、部分的に又は組み合わせで改変されたヌクレオチドを含み得る:O-メチル基(2’-O-Me)置換、2-メトキシエチル基(2’-O-MOE)置換、フルオロ基(2’-フルオロ)置換、クロロ基(2’-Cl)置換、ブロモ基(2’-Br)置換、シアニド基(2’-CN)置換、トリフルオロメチル基(2’-CF3)置換、OCF3基(2’-OCF3)置換、OCN基(2’-OCN)置換、O-アルキル基(2’-O-アルキル)置換、S-アルキル基(2’-S-アルキル)置換、N-アルキル基(2’-N-アルキル) 置換、O-アルケニル基(2’-O-アルケニル)置換、S-アルケニル基(2’-S-アルケニル)置換、N-アルケニル基(2’-N-アルケニル)置換、SOCH3基(2’-SOCH3)置換、SO2CH3基(2’-SO2CH3)置換、ONO2基(2’-ONO2)置換、NO2基(2’-NO2)置換、N3基(2’-N3)置換及び/又はNH2基(2’-NH2)置換。追加的又は代替的に、本発明のオリゴヌクレオチドは、完全に又は部分的に改変されたヌクレオチドを含んでもよく、リボース成分がロック核酸(LNA)を生成するのに用いられ、それにおいて、共有結合がリボースの2’の酸素と4’の炭素との間で形成され、3’末端の構造においてそれを固定する。これらの分子は、LNAが末端に配置され(ギャップマー)、相補的なRNA及びDNAと強いハイブリッドを形成するとき等、RNaseHを活性化できる生物学的培地において非常に安定である。
【0077】
いくつかの実施形態において、本発明において用いられるオリゴヌクレオチドは、LNA、2’-OMeアナログ、2’-O-Met、2’-O-(2-メトキシエチル)(MOE)オリゴマー、2’-ホスホロチオエートアナログ、2’-フルオロアナログ、2’-Clアナログ、2’-Brアナログ、2’-CNアナログ、2’-CF3アナログ、2’-OCF3アナログ、2’-OCNアナログ、2’-O-アルキルアナログ、2’-S-アルキルアナログ、2’-N-アルキルアナログ、2’-O-アルケニルアナログ、2’-S-アルケニルアナログ、2’-N-アルケニルアナログ、2’-SOCH3アナログ、2’-SO2CH3アナログ、2’-ONO2アナログ、2’-NO2アナログ、2’-N3アナログ、2’-NH2アナログ、トリシクロ(tc)-DNA、U7短鎖核酸(sn)RNA、トリシクロ-DNA-オリゴアンチセンス分子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される改変ヌクレオチドを含む(2009年4月10日に出願された疾病を処置するためのトリシクロ-DNAアンチセンスオリゴヌクレオチド、組成物及び方法の米国仮出願第61/212384号を参照、また、それの完全な内容は本明細書に参照として組み込まれる)。
【0078】
特定の実施形態において、本発明に係るオリゴヌクレオチドは、LNAオリゴヌクレオチドである。本明細書で用いられる「LNA」(ロック核酸)(又は「LNAオリゴヌクレオチド」)は、LNAヌクレオチド及びLNAアナログヌクレオチドとも言われる1つ以上の二環性、三環性又は多環性ヌクレオシドアナログを含むオリゴヌクレオチドを意味する。一般に、LNAオリゴヌクレオチド、LNAヌクレオチド及びLNAアナログヌクレオチドは、国際公開第99/14226号、並びにその後の出願である国際公開第00/56746号、国際公開第00/56748号、国際公開第00/66604号、国際公開第01/25248号、国際公開第02/28875号、国際公開第02/094250号、国際公開第03/006475号、米国特許第6043060号、米国特許第6268490号、米国特許第6770748号、米国特許第6639051号、並びに米国特許出願公開第2002/0125241号、米国特許出願公開第2003/0105309号、米国特許出願公開第2003/0125241号、米国特許出願公開第2002/0147332号、米国特許出願公開第2004/0244840号及び米国特許出願公開第2005/0203042号に記載されており、それらすべては本明細書に参照として組み込まれる。LNAオリゴヌクレオチド及びLNAアナログオリゴヌクレオチドは、例えばProligo LLC, 6200 Lookout Road, Boulder, CO 80301 USAから商業的に購入可能である。
【0079】
本発明のオリゴヌクレオチドの他の形態は、以下に限定されないがレンチウイルス又はアデノ随伴ウイルスに基づくウイルス導入法と組み合わせて、U1又はU7等の低分子RNA分子に結合されたオリゴヌクレオチド配列である(Denti, MA, et al, 2008; Goyenvalle, A, et al, 2004)。
【0080】
本発明のオリゴヌクレオチドの他の形態は、ペプチド核酸(PNA)である。ペプチド核酸において、オリゴヌクレオチドのデオキシリボース骨格は、糖よりもペプチドに類似する骨格に置換される。各サブユニット又はモノマーは、この骨格に結合された天然起源又は非天然起源の塩基を有する。そのような一骨格は、アミド結合で結合されたN-(2-アミノエチル)グリシンの繰り返しユニットで構築される。デオキシリボース骨格からのラジカルの逸脱のため、これらの化合物はペプチド核酸(PNA)と命名された(Dueholm et al., New J. Chem., 1997, 21, 19-31)。PNAは、DNA及びRNAの両方に結合して、PNA/DNA又はPNA/RNA二重鎖を形成する。PNA/DNA又はPNA/RNA二重鎖の生成は、DNA/DNA、DNA/RNA又はRNA/RNAよりも大きいTmにより決定される親和性で結合される。この高い熱安定性は、PNAにおける中性の骨格によって電荷反発が無いことに寄与され得る。また、PNAの中性の骨格は、実質的に塩濃度に依存しないPNA/DNA(RNA)二重鎖のTmを生じる。従って、PNA/DNA(RNA)二重鎖の相互作用は、イオン強度に強く依存するDNA/DNA、DNA/RNA又はRNA/RNA二重鎖の相互作用を超えるさらなる利点を提供する。ホモピリミジンPNAは、高い熱安定性の(PNA)2/DNA(RNA)三重鎖を形成する逆平行方向で相補的なDNA又はRNAを結合することを示した(例えばEgholm, et al., Science, 1991, 254, 1497; Egholm, et al., J. Am. Chem. Soc., 1992, 114, 1895; Egholm, et al., J. Am. Chem. Soc., 1992, 114, 9677を参照)。増大された親和性に加えて、PNAは、増大された特異性でDNA又はRNAに結合することも示した。PNA/DNA二重鎖ミスマッチがDNA/DNA二重鎖と比較して融解される場合、8~20℃と考えられる。このTmの下落の大きさは、ミスマッチがあるDNA/DNA二重鎖では見られない。PNA鎖のDNA又はRNA鎖への結合は、2つ方向のうち1つで起こり得る。その方向は、PNAのカルボキシル末端がDNA又はRNAの5’末端に対して向かい、PNAのアミノ末端がDNA又はRNAの3’末端に向かうように、5’から3’方向でDNA又はRNA鎖が相補的にPNA鎖に結合する場合、逆平行であると言える。逆平行方向において、PNAのカルボキシル末端及びアミノ末端は、DNA又はRNAの5’-3’方向に対して逆である。オリゴヌクレオチドと比較したPNAのさらなる利点は、それらの(それらに結合された適切な核酸塩基又は他の側鎖基を有数)ポリアミド骨格がヌクレアーゼ又はプロテアーゼの何れかにより認識されず、切断されないことである。結果として、PNAは、核酸及びペプチドとは異なり、酵素による分解に対して耐性がある。国際公開第92/20702号は、対応するDNAよりも強く相補的なDNA及びRNAに結合するペプチド核酸(PNA)化合物を記載する。PNAは、相補的DNAに対して強い結合親和性及び特異性を示した(Egholm, M., et al., Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 800; Egholm, M., et.al., Nature, 1993, 365, 566; and Nielsen, P., et.al. Nucl. Acids Res., 1993, 21, 197)。さらに、PNAは、細胞抽出物におけるヌクレアーゼ耐性及び安定性を示す(Demidov, V. V., et al., Biochem. Pharmacol., 1994, 48, 1309-1313)。PNAの改変は、拡大された骨格(Hyrup, B., et.al. Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 518)、骨格と核酸塩基との間の拡大されたリンカー、アミド結合の反転(Lagriffoul, P. H., et.al., Biomed. Chem. Lett., 1994, 4, 1081)及びアラニンに基づくキラル骨格の使用(Dueholm, K. L, et.al., BioMed. Chem. Lett., 1994, 4, 1077)を含む。ペプチド核酸は、米国特許第5539082号及び米国特許第5539083号に記載されている。ペプチド核酸は、さらに米国特許出願第08/686113号に記載されている。
【0081】
通常、本発明のオリゴヌクレオチドは、当業者に周知の従来の方法によって得られる。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドは、本技術分野において周知の多くの手法を用いて新規に合成され得る。例えば、b-シアノエチルホスホロアミダイト法(Beaucage et al., 1981)、ヌクレオシドH-ホスホネート法(Garegg et al., 1986; Froehler et al., 1986, Garegg et al., 1986, Gaffney et al., 1988)である。これらの化学は、市場で購入可能な種々の自動核酸合成器により行われ得る。これらの核酸は、合成核酸を意味し得る。代替的に、オリゴヌクレオチドは、プラスミドで大規模に生成され得る(Sambrook, et al., 1989を参照)。オリゴヌクレオチドは、制限酵素、エキソヌクレアーゼ又はエンドヌクレアーゼを用いる等の周知の技術を用いて既存の核酸配列から調製され得る。この方法で調整されたオリゴヌクレオチドは、単離された核酸を意味し得る。
【0082】
当業者は、オリゴヌクレオチドの化学的改変、脂質及びポリマーベースのナノ粒子又はナノキャリア、オリゴヌクレオチドを炭水化物、ペプチド、抗体、アプタマー、脂質若しくは低分子等の標的因子に結合することによるリガンド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、及びJuliano RL.The delivery of therapeutic oligonucleotides. Nucleic Acids Res. 2016 Aug 19;44(14):6518-48に記載されているようなオリゴヌクレオチド輸送を改善する低分子等のオリゴヌクレオチドの輸送及び有効性を増強するためのいくつかのアプローチ及び改変を容易に提供できる。親油性コンジュゲート及び脂質コンジュゲートは、脂肪酸-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、ステロール-オリゴヌクレオチドコンジュゲート及びビタミン-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを含む。
【0083】
特定の実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、第2の分子にコンジュゲートされる。通常、該第2の分子は、アプタマー、抗体又はポリペプチドからなる群から選択される。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドは、膜透過性ペプチドにコンジュゲートされ得る。膜透過性ペプチドは、本技術分野において周知であり、例えばTATペプチドを含む(Bechara C, Sagan S. Cell-penetrating peptides: 20 years later, where do we stand? FEBS Lett. 2013 Jun 19;587(12):1693-702)。
【0084】
いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、当業者により認識され得るように他のキャリアも用いられ得るが、例えばリポソーム又はミセル等のキャリア又はビヒクルと結合される。リポソームは、生物学的膜に類似する構造を有する脂質二重膜で形成された小胞である。そのようなキャリアは、オリゴヌクレオチドの細胞取り込み又は標的化を促進するため、又はオリゴヌクレオチドの薬物動態又は治療特性を改善するために用いられる。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドは、リポソーム、医薬組成物に封入されて投与されてもよく、有効成分は、脂質膜に付着した水性の同心性の層からなる小体に分散されて又は多様に存在するように含まれる。可溶性に依存するオリゴヌクレオチドは、水層及び脂質膜の両方に、又は一般にリポソーム懸濁液と呼ばれるものに存在し得る。一般に、疎水性層は、排他的ではないが、レシチン及びスフィンゴミエリン、コレステロール等のステロイド、ジアセチルリン酸、ステアリルアミン若しくはホスファチジン酸等のより強い若しくはより弱いイオン性界面活性剤、又は疎水性の他の材料を含む。一般に、リポソームの直径は、約15nm~約5μmの範囲である。ドラッグデリバリービヒクルとしてのリポソームの使用は、いくつかの利点を提供する。リポソームは、細胞内安定性を増大し、取り込み効率を増大し、生物学的活性を改善する。リポソームは、細胞膜を形成するそれらの脂質と類似する様式で準備された脂質で構成された中空球状小体である。それらは、水溶性化合物を捕捉する、直径で0.05から数μmのサイズ範囲の内部水性空間を有する。いくつかの研究は、リポソームが核酸を細胞に輸送できること、及び核酸が生物学的活性を維持することを示している。例えば、リポフェクチン等の研究ツールとして元々は設計されたリポソーム輸送ビヒクルは、細胞に無傷の核酸分子を輸送できる。リポソームを使用する特定の利点は、以下のものを含む:それらが組成物中において無毒で且つ生物学的分解可能である;それらが長い循環半減期を示す;及び認識分子が組織に対して標的化するためにそれらの表面に容易に付着され得る。最後に、液体懸濁液又は凍結乾燥製品でのリポソームベースの医薬品のコスト効果が高い製造は、許容されるドラッグデリバリーシステムとしてこの技術の実行可能性を証明している。
【0085】
いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みを増大するための錯化剤と組み合わせられる。錯化剤の例は、カチオン性脂質を含む。カチオン脂質は、細胞にオリゴヌクレオチドを輸送するために用いられ得る。「カチオン性脂質」の用語は、極性及び無極性ドメインの両方を有する脂質及び合成脂質を含み、それらは生理学的pHで又は生理学的pH付近で正電荷を有することができ、核酸等のポリアニオンに結合でき、細胞内への核酸の輸送を促進できる。一般に、カチオン性脂質は、飽和及び不飽和アルキル及び脂環式エーテル、並びにアミン、アミド又はそれらの誘導体のエステルを含む。カチオン性脂質の直鎖及び分枝鎖アルキル及びアルケニル基は、例えば1~約25個の炭素原子を含み得る。特に、直鎖又は分枝鎖アルキル又アルケン基は、6つ以上の炭素原子を有する。脂環式基は、コレステロール及び他のステロイド基を含む。カチオン性脂質は、例えば、Cl-、Br-、I-、F-、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩及び硝酸塩を含む種々の対イオン(アニオン)により調製され得る。カチオン性脂質の例は、ポリエチレンイミン、ポリイミドアミン(PAMAM)星形デンドリマー、リポフェクチン(DOTMA及びDOPEの組み合わせ)、リポフェクターゼ、リポフェクタミン、DOPE、シトフェクチン(Gilead Sciences, Foster City, Calif.)及びエウフェクチン(JBL, San Luis Obispo, Calif.)を含む。カチオン性リポソームは以下のものを含む:N-[1-(2,3-ジオレオロキシ)-プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)、N-[1-(2,3-ジオレオロキシ)-プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムメチルスルフェート(DOTAP)、3p-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC-Chol)、2,3,-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-1-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド;及びジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)。カチオン性脂質の例えばN-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)は、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドのアンチセンス効果を1000倍増大することが見られた(Vlassov et al., 1994, Biochimica et Biophysica Acta 1197:95-108)。また、オリゴヌクレオチドは、例えばポリ(L-リシン)又はアビジンと複合され得る、及びこの混合物(例えばステリル-ポリ(L-リシン))に含まれ得る又は含まれ得ない。カチオン性脂質は、細胞にオリゴヌクレオチドを輸送するために本技術分野において用いられている(例えば、米国特許第5855910号、米国特許第5851548号、米国特許第5830430号、米国特許第5780053号、米国特許第5767099号、Lewis et al. 1996. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:3176; Hope et al. 1998. Molecular Membrane Biology 15:1を参照)。無傷のオリゴヌクレオチドの取り込みを促進するために用いられ得る他の脂質組成物は、クレームされた方法に関連して用いられ得る。上記に挙げられたものに加えて、他の脂質組成物も本技術分野において周知であり、例えば米国特許第4235871号、米国特許第4501728号、米国特許第4837028号、米国特許第4737323号に教示されている。
【0086】
本発明に係る阻害物質の特定の実施形態において、該阻害物質は、配列番号3のヌクレオチドからなる領域を標的とする。
【0087】
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの特定の実施形態において、該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる配列を含む。
【0088】
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの特定の実施形態において、該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる配列からなる。
【0089】
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの特定の実施形態において、該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる配列を含む及び/又は該配列からなる。
【0090】
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの特定の実施形態において、該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26からなる配列を含む及び/又は該配列からなる。
【0091】
本発明に係る阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチドの特定の実施形態において、該阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、脊髄後根神経節(DRG)におけるFXYD2の量を低減できる。
【0092】
本発明によると、第2の核酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有する第1の核酸配列は、第2の核酸配列に対して70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%の同一性を有することを意味する。核酸配列の同一性はBLAST N等の適切な配列アライメントアルゴリズム及びデフォルトパラメーターを用いて特に決定される(Karlin and Altschul, Proc. Natl Acad. Sci. USA 87(6):2264-2268 (1990))。
【0093】
(本発明のベクター)
第2の態様において、本発明は、異種核酸の輸送のためのベクターに関し、該核酸は、FXYD2のmRNAに特異的に結合し、細胞内のFXYD2の発現を阻害する阻害性RNAをコードする。
【0094】
特定の実施形態において、本発明は、異種核酸の輸送のためのベクターに関し、該核酸は、FXYD2のmRNAに特異的に結合し、細胞内のFXYD2の発現を阻害する本発明に係る阻害物質をコードする。
【0095】
本発明に係るベクターの特定の実施形態において、阻害物質は、上記のようなsiRNA又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0096】
さらなる実施形態において、本発明の核酸(例えばアンチセンス核酸)は、インビボにおいて単独(裸のASO/LASO)で又はベクターを組み合わせて輸送され得る。
【0097】
その最も広い意味において、「ベクター」は、細胞への本発明のオリゴヌクレオチドの移送を促進できるビヒクルである。特に、ベクターは、該ベクターの不在下で起こる分解の程度に対して、分解を抑制して細胞へ核酸を輸送する。一般に、本発明において有益なベクターは、以下に限定されないが、裸のプラスミド、非ウイルスデリバリーシステム(カチオン性トランスフェクション剤、リポソーム、脂質ナノ粒子等)、ファージミド、ウイルス、オリゴヌクレオチド配列の挿入又は組み込みにより操作された他のウイルス又は細菌源由来のビヒクルを含む。ウイルスベクターは、以下に限定されないが、以下のウイルスからの核酸配列を含む:レトロウイルス(例えばモロニーマウス白血病ウイルス及びレンチウイルス由来ベクター)、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス及びラウス肉腫ウイルス等のRNAウイルス;アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV);SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン-バールウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス。当業者は、示さないが本技術分野に周知の他のベクターを容易に用いることができる。
【0098】
従って、本発明の目的は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするオリゴヌクレオチド配列を含むベクターに関する。
【0099】
他の実施形態において、本発明のベクターは、FXYD2の一部又は断片をコードするオリゴヌクレオチド配列のバリアントを含む。
【0100】
他の実施形態において、本発明のベクターは、FXYD2のバリアントをコードするオリゴヌクレオチド配列のバリアントを含む。
【0101】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするアンチセンスオリゴヌクレオチド配列を含むベクターに関する。
【0102】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするshRNA配列を含むベクターに関する。
【0103】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするmiRNA配列を含むベクターに関する。
【0104】
本発明に係るベクターの他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とする。
【0105】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードする配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41の配列を含むベクターに関する。
【0106】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードする配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41の配列からなるベクターに関する。
【0107】
他の実施形態において、本発明のベクターは、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードする配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号26又は配列番号27の配列を含む。
【0108】
他の実施形態において、本発明のベクターは、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードする配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41の配列のバリアントからなる。
【0109】
特定の実施形態において、本発明のベクターは、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26の配列のバリアントからなる。
【0110】
他の実施形態において、本発明は、以下に限定されないが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6からなる群から選択される一配列、及びプロモーターを含むベクターに関する。
【0111】
他の実施形態において、本発明は、以下に限定されないが、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる群から選択される一配列、及びプロモーターを含む又はそれらからなるベクターに関する。
【0112】
他の実施形態において、以下に限定されないが、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26からなる群から選択される一配列、及びプロモーターを含む又はそれらからなるベクターに関する。
【0113】
本発明に係るベクターの他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチド、及びU6プロモーター又はPolIIプロモーターを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とする。
【0114】
いくつかの実施形態において、ベクターは、以下に限定されないが、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる群から選択される一配列、及びU6プロモーター又はPolIIプロモーターを含む配列を含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、ベクターは、以下に限定されないが、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26からなる群から選択される一配列、及びU6プロモーター又はPolIIプロモーターを含む配列を含む。
【0116】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするオリゴヌクレオチド配列、及びCAGプロモーターを含むベクターに関する。
【0117】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするmiRNA配列、及びCAGプロモーター又はPolIIプロモーターを含むベクターに関する。
【0118】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするshRNA配列、及びU6プロモーターを含むベクターに関する。
【0119】
本発明に係るベクターの他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域及びCAGプロモーターを標的とする。
【0120】
他の実施形態において、本発明は、以下に限定されないが、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる群から選択される一配列、及びCAGプロモーターを含むベクターに関する。
【0121】
他の実施形態において、本発明は、以下に限定されないが、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26からなる群から選択される一配列、及びCAGプロモーターを含むベクターに関する。
【0122】
バリアントは、例えば個体間(例えば多型)での、選択的スプライシング型等のアレル変異による天然起源のバリアントを含む。また、バリアントの用語は、他の源又は生物からの本発明の遺伝子配列を含む。バリアントは、好ましくは、本発明に係る配列に対して実質的に相同であり、すなわち、本発明の配列と、典型的に少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%のヌクレオチド配列同一性を示す。また、本発明の遺伝子のバリアントは、厳しいハイブリダイゼーション条件下で上記の配列(又はその相補鎖)にハイブリダイズする核酸を含む。典型的な厳しいハイブリダイゼーション条件は、約30℃、好ましくは約35℃、より好ましくは42℃を超える温度、及び/又は約500mM未満、好ましくは200mM未満の塩濃度を含む。ハイブリダイゼーション条件は、温度、塩濃度及び/又はSDS、SSC等の他の試薬の濃度を改変することにより、当業者によって調整され得る。
【0123】
特定の実施形態において、本発明に係るベクターの使用は、非ウイルスベクター又はウイルスベクターである。
【0124】
特定の実施形態において、非ウイルスベクターは、FXYD2をコードする核酸配列を含むプラスミドである。
【0125】
他の特定の実施形態において、ベクターはウイルスベクターであってもよい。
【0126】
本発明の実施において有益な遺伝子デリバリーウイルスベクターは、分子生物学の技術分野において周知の方法論を用いて構築され得る。通常、導入遺伝子を運ぶウイルスベクターは、導入遺伝子、適切な調節エレメント、及び細胞への形質導入を媒介するウイルスタンパク質の産生に必要なエレメントをコードするポリヌクレオチドから構築される。
【0127】
本明細書において用いられる「導入遺伝子」は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを意味する。
【0128】
「遺伝子導入」又は「遺伝子輸送(デリバリー)」の用語は、宿主細胞内に外来性DNAを容易に挿入するための方法又はシステムを意味する。そのような方法は、非統合転移DNAの一過性発現、染色体外複製及び転移レプリコンの発現(例えばエピソーム)、又は宿主細胞のゲノムDNAへの転移遺伝子材料の統合を可能にする。
【0129】
そのような組換えウイルスは、パッケージング細胞のトランスフェクション、又はヘルパープラスミド又はウイルスを用いた一過性トランスフェクション等の本技術分野において周知の技術によって生成され得る。ウイルスパッケージング細胞の典型的な例は、PA317細胞、PsiCRIP細胞、GPenv+細胞、293細胞等を含む。そのような複製欠陥組換えウイルスを生成するための詳細なプロトコールは、例えば国際公開第95/14785号、国際公開第96/22378号、米国特許第5882877号、米国特許第6013516号、米国特許第4861719号、米国特許第5278056号及び国際公開第94/19478号で見られ得る。
【0130】
特定の実施形態において、ウイルスベクターは、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルス又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであってもよい。
【0131】
特定の実施形態において、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが採用される。
【0132】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするオリゴヌクレオチド配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0133】
他の実施形態において、本発明のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、FXYD2の一部若しくは断片をコードするオリゴヌクレオチド配列のバリアントを含む。
【0134】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするアンチセンス配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0135】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするshRNA配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)に関する。
【0136】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするmiRNA配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0137】
本発明に係るアデノ随伴ウイルス(AAV)の他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とする。
【0138】
特定の実施形態において、本発明は、以下に限定されないが、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードする配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる群から選択される一配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0139】
他の実施形態において、本発明に係るアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、以下に限定されないが、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードする配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる群から選択される一配列のバリアントを含む。
【0140】
特定の実施形態において、本発明に係るアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、以下に限定されないが、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26からなる群から選択される一配列のバリアントを含む。
【0141】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするオリゴヌクレオチド配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0142】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするアンチセンス配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0143】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするmiRNA配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0144】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするshRNA配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0145】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするオリゴヌクレオチド配列、及びCAGプロモーターを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0146】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするアンチセンス配列、及びCAGプロモーターを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0147】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするmiRNA配列、及びCAGプロモーターを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0148】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片又はそれらのバリアントをコードするshRNA配列、及びCAGプロモーターを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0149】
特定の実施形態において、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、及びCAGプロモーターを含むベクターに関する。
【0150】
特定の実施形態において、本発明は、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41の配列、及びCAGプロモーターを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0151】
特定の実施形態において、本発明は、以下に限定されないが、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26からなる群から選択される一配列、及びCAGプロモーターを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。
【0152】
一実施形態において、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AA5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAVrh.10、又はヒト、げっ歯類、サル又は他の種に感染可能な他の血清型のAAVである。
【0153】
「AAVベクター」は、以下に限定されないが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AA5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAVrh.10等を含むアデノ随伴ウイルス血清型由来のベクターを意味する。AAVベクターは、例えばrep及び/又はcap遺伝子の全部又は一部が欠失されたが、機能的隣接ITR配列を維持する1つ以上のAAV野生型遺伝子を有し得る。機能的ITR配列は、AAVビリオンのレスキュー、複製及びパッケージングのために必要である。従って、AAVベクターは、ウイルスの複製及びパッケージングのためのcisに必要とされるそれらの配列(例えば機能的ITR)を少なくとも含むことを、本明細書に規定される。ITRは、配列が機能的レスキュー、複製及びパッケージングを提供する限り、野生型ポリヌクレオチド配列である必要は無く、例えばヌクレオチドの挿入、欠失又は置換により変更され得る。AAV発現ベクターは、転写の方向で作用可能に転写開始領域、所望のDNA(すなわち、本発明の核酸配列)及び転写終結領域を含む調節エレメントに結合されたコンポーネントとして少なくとも提供するように周知の技術を用いて構築される。
【0154】
特定の実施形態において、本発明の組成物及び方法に用いられるウイルスベクターは、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)である。rAAVは、本技術分野において周知のいずれかの血清型、変異型若しくは誘導体又はそれらの組み合わせ(例えばrAAV2、rAAV8及びrAAV9のうちの2つ以上を含むような2つ以上の血清型を含むrAAVの群)であり得る。いくつかの実施形態において、rAAVは、rAAV1、rAAV2、rAAV3、rAAV4、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV8、rAAV9、rAAV10、rAAV-11、rAAV-12、rAAV-13、rAAV-14、rAAV-15、rAAV-16、rAAV.rh8、rAAV.rh10、rAAV.rh20、rAAV.rh39、rAAV.Rh74、rAAV.RHM4-1、AAV.hu37、rAAV.Anc80、rAAV.Anc80L65、rAAV.7m8、rAAV.PHP.B、rAAV2.5、rAAV2tYF、rAAV3B、rAAV.LK03、rAAV.HSC1、rAAV.HSC2、rAAV.HSC3、rAAV.HSC4、rAAV.HSC5、rAAV.HSC6、rAAV.HSC7、rAAV.HSC8、rAAV.HSC9、rAAV.HSC10、rAAV.HSC11、rAAV.HSC12、rAAV.HSC13、rAAV.HSC14、rAAV.HSC15若しくはrAAV.HSC16若しくは他のrAAV、又はそれらの2つ以上の組み合わせである。
【0155】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物及び方法に用いられるrAAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、AAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15若しくはAAV.HSC16、又はそれらの誘導体、バリアント若しくは偽型から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAVは、例えばAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、AAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15若しくはAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型のvp1、vp2及び/又はvp3配列に対して、少なくとも80%以上の同一性、例えば85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%等、すなわち100%以下の同一性のカプシドタンパク質を含む。
【0156】
特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、Zinn et al., 2015: 1056-1068に記載されているようなAnc80又はAnc80L65であり、それはその全体が参照として本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、米国特許第9193956号、米国特許第9458517及び米国特許第9587282号並びに米国特許出願公開第2016/0376323号に記載されているように、LGETTRP(配列番号14)又はLALGETTRP(配列番号15)のアミノ酸挿入のうちの1つの含み、上記文献のそれぞれは、それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、米国特許第9193956号、米国特許第9458517及び米国特許第9587282号並びに米国特許出願公開第2016/0376323号に記載されているように、AAV.7m8であり、上記文献のそれぞれは、それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、AAV-PHP.B等の米国特許第9585971号に開示されたいずれかのAAVである。特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、AAV.Rh74及びRHM4-1等の米国特許第9840719号及び国際公開第2015/013313号に開示されたいずれかのAAVであり、上記文献のそれぞれは、それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、AAV.Rh74等の国際公開第2014/172669号に開示されたいずれかのAAVであり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、Georgiadis et al., 2016, Gene Therapy 23: 857-862及びGeorgiadis et al., 2018, Gene Therapy 25: 450に記載されているようなAAV2/5であり、それらの文献は全体が参照として本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、AAV2tYF等の国際公開第2017/070491号に開示されたいずれかのAAVであり、該文献はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、Puzzo et al., 2017, Sci. Transl. Med. 29(9): 418に記載されているようなAAVLK03又はAAV3Bであり、該文献はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、HSC1、HSC2、HSC3、HSC4、HSC5、HSC6、HSC7、HSC8、HSC9、HSC10、HSC11、HSC12、HSC13、HSC14、HSC15又はHSC16等の米国特許第8628966号、米国特許第8927514、米国特許第9923120号及び国際公開第2016/049230号に開示されたいずれかのAAVであり、それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0157】
特定の実施形態において、本明細書に記載されている方法に用いられるAAVは、それぞれ全体が参照として本明細書に組み込まれる以下の特許及び特許出願のいずれかに開示されたAAVである:米国特許第7282199号、米国特許第7906111号、米国特許第8524446号、米国特許第8999678号、米国特許第8628966号、米国特許第8927514、米国特許第8734809号、米国特許第9284357号、米国特許第9409953号、米国特許第9169299号、米国特許第9193956、米国特許第9458517号、及び米国特許第9587282号、米国特許出願公開第2015/0374803号、米国特許出願公開第2015/0126588号、米国特許出願公開第2017/0067908号、米国特許出願公開第2013/0224836号、米国特許出願公開第2016/0215024号、米国特許出願公開第2017/0051257号、及び国際出願番号PCT/US2015/034799号、国際出願番号第PCT/EP2015/053335号。いくつかの実施形態において、rAAVは、それぞれ全体が参照として本明細書に組み込まれる以下の特許及び特許出願の何れかに開示されたAAVカプシド血清型のvp1、vp2及び/又はvp3配列に対して、少なくとも80%以上の同一性、例えば85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%等、すなわち100%以下の同一性のカプシドタンパク質を有する:米国特許第7282199号、米国特許第7906111号、米国特許第8524446号、米国特許第8999678号、米国特許第8628966号、米国特許第8927514号、米国特許第8734809号、米国特許第9284357号、米国特許第9409953号、米国特許第9169299号、米国特許第9193956号、米国特許第9458517号、及び米国特許第9587282号、米国特許出願公開第2015/0374803号、米国特許出願公開第2015/0126588号、米国特許出願公開第2017/0067908号、米国特許出願公開第2013/0224836号、米国特許出願公開第2016/0215024号、米国特許出願公開第2017/0051257号、及び国際出願番号PCT/US2015/034799号、国際出願番号第PCT/EP2015/053335号。
【0158】
いくつかの実施形態において、rAAVは、それぞれの内容の全体が本明細書に参照として組み込まれる国際公開第2003/052051号(例えば配列番号2を参照)、国際公開第2005/033321号(例えば配列番号123及び88を参照)、国際公開第03/042397号(例えば配列番号2、81、85及び97を参照)、国際公開第2006/068888号(例えば配列番号1及び3~6を参照)、国際公開第2006/110689号(例えば配列番号5~38を参照)、国際公開第2009/104964号(例えば配列番号1~5、7、9、20、22、24及び31を参照)、国際公開第2010/127097号(例えば配列番号5~38を参照)、及び国際公開第2015/191508号(例えば配列番号80~294を参照)、並びに米国特許出願公開第2015/0023924号(例えば配列番号1、5~10を参照)に開示されたカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAVは、国際公開第2003/052051号(例えば配列番号2を参照)、国際公開第2005/033321号(例えば配列番号123及び88を参照)、国際公開第03/042397号(例えば配列番号2、81、85及び97を参照)、国際公開第2006/068888号(例えば配列番号1及び3~6を参照)、国際公開第2006/110689号(例えば配列番号5~38を参照)、国際公開第2009/104964号(例えば配列番号1~5、7、9、20、22、24及び31を参照)、国際公開第2010/127097号(例えば配列番号5~38を参照)、及び国際公開第2015/191508号(例えば配列番号80~294を参照)、並びに米国特許出願公開第2015/0023924号(例えば配列番号1、5~10を参照)に開示されたカプシド血清型のvp1、vp2及び/又はvp3配列に対して、少なくとも80%以上の同一性、例えば85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%等、すなわち100%以下の同一性のカプシドタンパク質を有する。
【0159】
AAVの核酸配列ベースのウイルスベクター並びに組換えAAV及びAAVカプシドを生成する方法は、例えば米国特許第7282199号、米国特許第7906111号、米国特許第8524446号、米国特許第8999678号、米国特許第8628966号、米国特許第8927514号、米国特許第8734809号、米国特許第9284357号、米国特許第9409953号、米国特許第9169299号、米国特許第9193956号、米国特許第9458517号、及び米国特許第9587282号、米国特許出願公開第2015/0374803号、米国特許出願公開第2015/0126588号、米国特許出願公開第2017/0067908号、米国特許出願公開第2013/0224836号、米国特許出願公開第2016/0215024号、米国特許出願公開第2017/0051257号、及び国際出願番号PCT/US2015/034799号、国際出願番号第PCT/EP2015/053335号、国際公開第2003/052051号、国際公開第2005/033321号、国際公開第03/042397号、国際公開第2006/068888号、国際公開第2006/110689号、国際公開第2009/104964号、国際公開第2010/127097号、及び国際公開第2015/191508号、並びに米国特許出願公開第2015/0023924号に教示されている。
【0160】
追加的実施形態において、rAAVは、偽型rAAVを含む。いくつかの実施形態において、偽型AAVは、rAAV2/8又はrAAV2/9の偽型rAAVである。偽型rAAVを生成する及び用いる方法は、本技術分野において周知である(例えばDuan et al., J. Virol., 75:7662-7671 (2001); Halbert et al., J. Virol., 74:1524-1532 (2000); Zolotukhin et al., Methods 28:158-167 (2002);及びAuricchio et al., Hum. Molec. Genet. 10:3075-3081, (2001)を参照)。
【0161】
追加的実施形態において、rAAVは、2つ以上のAAVカプシド血清型のカプシドタンパク質キメラを含むカプシドを含む。いくつかの実施形態において、カプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、AAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15又はAAV.HSC16から選択されるAAV血清型からの2つ以上のAAVカプシドタンパク質のキメラである。
【0162】
特定の実施形態において、一本鎖AAV(ssAAV)が用いられ得る。特定の実施形態において、例えばscAAV等の自己相補的ベクターが用いられ得る(例えばWu, 2007, Human Gene Therapy, 18(2):171-82, McCarty et al, 2001, Gene Therapy, Vol. 8, Number 16, Pages 1248-1254;及び米国特許第6596535号、米国特許第7125717号、及び米国特許第7456683号を参照、それらは、それらそれぞれの全体が参照として本明細書に組み込まれる)。
【0163】
特定の実施形態において、導入遺伝子を輸送するために用いられる組換えAAVベクターは、DRGにおいて細胞への指向性を有する。そのようなベクターは非複製「rAAV」を含んでもよく、特にAAV8又はAAVrh10を産生することが好ましい。特定の実施形態において、本明細書において提供されるウイルスベクターは、AAV9又はAAVrh10ベースのウイルスベクターである。特定の実施形態において、本明細書において提供されるAAV8又はAAVrh10ベースのウイルスベクターは、DRGでの指向性を維持する。AAVバリアントカプシドが用いられてもよく、それらは以下に限定されないが、全体が本明細書に参照として組み込まれるWilsonの米国特許第7906111号に記載されており、AAV/hu.31及びAAV/hu.32が特に好ましく、また、AAVバリアントカプシドは、それぞれ全体が本明細書に参照として組み込まれるChatterjeeの米国特許第8628966号、米国特許第8927514号、及びSmith et al., 2014, Mol Ther 22: 1625-1634に記載されている。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明は、(i)調節エレメントの制御下にありITRに隣接される導入遺伝子を含む発現カセットと、(ii)AAVカプシドとを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)に関し、該導入遺伝子は、FXYD2のmRNAに特異的に結合し、細胞内においてFXYD2の発現を阻害する阻害性RNAをコードする。
【0165】
特定の実施形態において、(i)調節エレメントの制御下にありITRに隣接される導入遺伝子を含む発現カセットと、(ii)AAVカプシドタンパク質のアミノ酸配列を有する、又はAAVカプシドの生物学的機能を維持するAAVカプシドタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%若しくは99.9%の同一性を有するウイルスカプシドとを含む人工ゲノムを含むAAVベクターが提供される。
【0166】
特定の実施形態において、(i)調節エレメントの制御下にありITRに隣接される導入遺伝子を含む発現カセットと、(ii)AAVrh10カプシドタンパク質のアミノ酸配列を有する、又はAAVrh10カプシドの生物学的機能を維持するAAVrh10カプシドタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%若しくは99.9%の同一性を有するウイルスカプシドとを含む人工ゲノムを含むAAVrh10ベクターが提供される。特定の実施形態において、AAVrh10をコードするカプシドは、本明細書に全体が参照として組み込まれる米国特許第9790427号に記載された配列番号81の配列を有し、それは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個のアミノ酸置換を有し、AAVrh10の生物学的機能を維持する。
【0167】
調節エレメントは、哺乳動物細胞内で機能的となるように選択される。作用可能に結合されたコンポーネントを含む得られるコンストラクトは、(5’及び3’)機能的AAV ITR配列に隣接される。「アデノ随伴ウイルスの逆位末端反復配列」又は「AAV ITR」は、DNA複製の開始点及びウイルスのためのパッケージングシグナルとしてcisと共に機能するAAVゲノムのそれぞれの末端で見られる本技術分野において認識されている領域を意味する。AAV ITRは、AAVrepコーディング領域と共に、2つの隣接ITR同士の間に挿入されたポリヌクレオチド配列の切除、レスキュー及び哺乳動物細胞ゲノム内への統合を提供する。AAV ITR領域のポリヌクレオチド配列は周知である。本明細書において用いられる「AAV ITR」は、野生型ポリヌクレオチド配列を必ずしも含まないが、例えばヌクレオチドの挿入、欠失又は置換により変更され得る。さらに、AAV ITRは、以下に限定されないが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAVrh.10等を含むいくつかのAAV血清型の何れかに由来し得る。さらに、AAVベクターにおける選択されたポリヌクレオチド配列に隣接する5’及び3’ITRは、それらが意図するように機能する、すなわち宿主細胞ゲノム又はベクターから所望の配列を切除及びレスキューできる、及びAAVRep遺伝子産物が細胞内に存在する場合に受容細胞ゲノム内に異種配列の統合を可能とする限り、必ずしも同一である若しくは同一のAAV血清型由来である、又は分離されている必要は無い。さらに、AAV ITRは、以下に限定されないが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAVrh.10等を含むいくつかのAAV血清型の何れかに由来し得る。さらに、AAV発現ベクターにおける選択されたポリヌクレオチド配列に隣接する5’及び3’ITRは、それらが意図するように機能する、すなわち宿主細胞ゲノム又はベクターから所望の配列を切除及びレスキューできる、及びAAVRep遺伝子産物が細胞内に存在する場合に受容細胞ゲノム内にDNA分子の統合を可能とする限り、必ずしも同一である若しくは同一のAAV血清型由来である、又は分離されている必要は無い。
【0168】
特定の実施形態は、哺乳動物DRGの細胞に対する指向性及び高い形質導入効率を有するAAV血清型由来のベクターである。異なる血清型の形質導入効率のレビュー及び比較は、本特許出願で提供される。特定の例において、AAV2、AAV5、AAV8、AAV9及びrh.10ベースのベクターは、DRGにおける導入遺伝子の長期発現を指示する。
【0169】
選択されたポリヌクレオチド配列は、対象内のインビボでその転写又は発現を指示する調節エレメントに作動可能に結合されている。そのような調節エレメントは、選択された遺伝子に正常に会合される調節配列を含み得る。
【0170】
通常、本発明のベクターは、発現カセットを含む。「発現カセット」の用語は、本発明の核酸分子の発現に十分な核酸エレメントを含む核酸コンストラクトを意味する。一般に、核酸分子は、異種遺伝子をコードし、また、適切な調節エレメントを含み得る。異種遺伝子は、所望のRNAをコードする導入遺伝子を意味する。
【0171】
1つ以上の発現カセットが用いられ得る。各発現カセットは、所望のRNAをコードする配列に作動可能に結合されたプロモーター配列を少なくとも含み得る。各発現カセットは、追加の調節エレメント、スペーサー、イントロン、UTR及びポリアデニル化サイト等からなり得る。いくつかの実施形態において、発現カセットは、例えば2つ以上のmiRNAをコードする導入遺伝子に対して多シストロン性である。他の実施形態において、発現カセットは、プロモーター、1つ以上の所望のRNA分子をコードする核酸及びポリAを含む。さらなる実施形態において、発現カセットは、5’-プロモーター配列、所望の第1のRNAをコードする配列、所望の第2のRNAをコードする配列、及びポリアデニル化配列-3’を含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、発現カセットは、例えばイントロン、エンハンサー、ポリアデニル化サイト、ウッドチャック転写後反応エレメント(WPRE)、及び/又はコード配列の発現レベルに影響することが知られている他のエレメント等の追加のエレメントを含み得る。通常、発現カセットは、プロモーター配列に作動可能に結合された本発明の核酸分子を含む。
【0173】
「作動可能に結合」の用語は、単一の核酸断片に対する2つ以上の核酸断片の関わりであり、一方の機能が他方に影響することを意味する。
【0174】
例えば、プロモーターがコーディング領域の発現に影響できる(例えばコーディング配列はプロモーターの転写制御下にある)場合、プロモーターはコーディング配列に作動可能に結合されている。コーディング配列は、センス又はアンチセンスで調節配列に作動可能に結合され得る。
【0175】
本明細書において用いられる「プロモーター」の用語は、DNA調節配列を含むポリヌクレオチド領域を意味し、該調節配列は、RNAポリメラーゼの結合が可能な遺伝子由来であり、下流の(3’-方向の)コーディング配列の転写を開始する。転写プロモーターは、「誘導性プロモーター」(該プロモーターに作動可能に結合されたポリヌクレオチド配列の発現は分析物、コファクター、調節タンパク質等により誘導される)、「抑制性プロモーター」(該プロモーターに作動可能に結合されたポリヌクレオチド配列の発現は分析物、コファクター、調節性タンパク質等により誘導される)、及び「恒常的プロモーター」を含み得る。
【0176】
いくつかの実施形態において、プロモーターは、異種プロモーターである。「異種プロモーター」の用語は、自然において、所定のコーディング配列に作動可能に結合されることが見られないプロモーター配列を意味する。
【0177】
有益な異種調節配列は、一般に、哺乳動物又はウイルスの遺伝子をコードする配列由来の配列を含む。例は、以下に限定されないが、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PKG)プロモーター、CAG((CMV)サイトメガロウイルスエンハンサー、トリベータアクチンプロモーター(CBA)及びウサギベータグロビンイントロンの複合体)、U6プロモーター、神経プロモーター(ヒトシナプシン1(hSyn)プロモーター、NeuNプロモーター、CamKIIプロモーター、ドーパミン1受容体及びドーパミン2受容体のプロモーター)、SV40初期プロモーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルスメジャーレイトプロモーター、(Ad MLP)、単純ヘルペスウイルス(HSV)プロモーター、CMV最初期プロモーター領域(CMV-IE)等のCMVプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、合成プロモーター、及びハイブリッドプロモーター等を含む。さらに、マウスメタロチオネイン遺伝子等の非ウイルス遺伝子由来の配列も本明細書での使用が見られ得る。そのようなプロモーター配列は、例えばStratagene (San Diego, CA)から商業的に購入可能である。
【0178】
本発明の目的のために、異種プロモーター、並びにDRG特異的且つ誘導性プロモーター及びエンハンサー等の他の調節エレメントの両方は、特定の使用に有益となり得る。
【0179】
「エンハンサー」は、プロモーター活性を刺激でき、プロモーターの先天的なエレメント、又はプロモーターのレベル又は組織特異性を増強するように挿入された異種エレメントであり得るポリヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、プロモーターは、ネイティブ遺伝子からのその完全性に由来される。いくつかの実施形態において、プロモーターは、異なる天然起源のプロモーター由来の異なるエレメントから構成される。いくつかの実施形態において、プロモーターは、合成ポリヌクレオチド配列を含む。異なるプロモーターは、異なる組織若しくは細胞型、又は発生の異なる段階、又は異なる環境条件に応じて、又は薬剤若しくはコファクターの存在若しくは不在に応じて遺伝子の発現を誘導し得ることが当業者により理解され得る。ユビキタス、細胞型特異的、組織特異的、発生段階特異的、及び薬剤反応性プロモーター(例えばテトラサイクリン反応性プロモーター)等の条件付きプロモーターは、当業者に周知である。
【0180】
哺乳動物系において、3種のプロモーターが存在し、発現ベクターの構造のための候補である:PolIプロモーターは大きいリボソームRNAの転写を調節する;PolIIプロモーターは(タンパク質に翻訳される)mRNA及び低分子核RNA(snRNA)の転写を調節する;PolIII低分子非コーディングRNAをユニークに転写する。インビボでのRNAの発現のための構成を設計する場合、それぞれが検討される利点及び制約を有する。例えば、PolIIIプロモーターは、インビボでDNA鋳型から低分子干渉RNA(shRNA)を合成するのに有益である。組織特異的発現におけるより優れた調節のためには、PolIIプロモーターが好ましいが、miRNAの転写にのみ用いられ得る。しかし、PolIIプロモーターが用いられる場合、RNAがsiRNA、shRNA又はmiRNAとして機能し、インビボでペプチドに翻訳されないように、翻訳開始シグナルを省略することが好ましい。
【0181】
AAV ITRに隣接された所望のDNA分子を含むAAV発現ベクターは、それらから切除された主要なAAVオープンリーディングフレーム(「ORF」)を有していたAAVゲノムに選択された配列を直接に挿入することにより構築され得る。複製及びパッケージング機能が可能となるのに十分なITRの部分を維持する限り、AAVゲノムの他の部分も除去することができる。そのようなコンストラクトは、本技術分野において周知の技術を用いて設計され得る。例えば米国特許第5173414号及び米国特許第5139941号、並びに国際公開第92/01070号(1992年1月23日公開)及び国際公開第93/03769号(1993年3月4日公開)を参照できる。代替的に、AAV ITRは、ウイルスゲノムから又はそれを含むAAVベクターから切除され、標準的なライゲーション技術を用いて、他のベクターに存在する選択された核酸コンストラクトの5’及び3’に融合され得る。ITRを含むAAVベクターは、例えば米国特許第5139941号に記載されている。特にいくつかのAAVベクターは、それに記載されており、アメリカンタイプセルラーコレクション(ATCC)から、アクセッション番号53222、53223、53224、53225及び53226で入手可能である。さらに、キメラ遺伝子は、1つ以上の選択された核酸配列の5’及び3’に配置されたAAV ITR配列を含むように合成で生成され得る。哺乳動物のDRG細胞におけるキメラ遺伝子配列の発現のための好ましいコドンが用いられてもよく、特定の実施形態において、導入遺伝子のコドン最適化は周知の方法により行われる。完全キメラ配列は、標準的方法により調製された重複するオリゴヌクレオチドから構築される。AAVベクターの生成のために、AAV発現ベクターは、トランスフェクション等の周知の技術を用いて、適切な宿主細胞に導入される。多くのトランスフェクション技術は、本技術分野において周知である。特に適切なトランスフェクション方法は、リン酸カルシウム沈殿法、培養細胞への直接のマイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、リポソーム媒介遺伝子導入法、脂質媒介形質導入法、及び高速マイクロプロジェクタイルを用いた核酸輸送法を含む。
【0182】
例えば、特定のウイルスベクターは、本発明の核酸配列に加えて、AAV-2に由来するITRを含むAAVベクタープラスミドの骨格、マウスPKG(ホスホグリセリン酸キナーゼ)遺伝子等のプロモーター、又はCMV最初期遺伝子からのエンハンサー、プロモーター、トリβアクチン遺伝子からのスプライスドナー及びイントロン、ウサギβ-グロビンからのスプライスアクセプターからなるサイトメガロウイルス/β-アクチンハイブリッドプロモーター(CAG)、又はドーパミン1受容体若しくはドーパミン2受容体のプロモーター等の神経プロモーター、又はウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)の野生型若しくは変異型を含む若しくは含まないシナプシンプロモーター、及びウサギベータグロビンポリA配列を含む。ウイルスベクターは、さらに、アンピシリン(AmpR)、カナマイシン、ハイグロマイシンB、ジェネティシン、ブラストサイジンS又はピューロマイシン耐性遺伝子等の抗生物質耐性遺伝子をコードする配列を含み得る。
【0183】
一実施形態において、レトロウイルスベクターが用いられる。
【0184】
レトロウイルスは、宿主細胞内にそれらの遺伝子を統合する能力により、多量の外因性遺伝子材料を移送し、広範囲の種及び細胞に感染して、特定の細胞株にパッケージされるための遺伝子デリバリーベクターとして選択され得る。レトロウイルスベクターを構築するために、所望の遺伝子をコードする核酸は、複製欠損のウイルスを生成するために、特定のウイルス配列のピースでウイルスゲノム内に挿入される。ビリオンを生成するために、パッケージング細胞株は、gag、pol及び/又はenv遺伝子を含むがLTR及び/又はパッケージングコンポーネントを含まず構築される。レトロウイルスLTR及びパッケージング配列と共にcDNAを含む組換えプラスミドが(例えばリン酸カルシウム沈殿法により)この細胞株に導入される場合、パッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写を可能として、培養培地に分泌されるウイルス粒子内にパッケージングされる。その後、組換えレトロウイルスを含む培地は回収され、任意に濃縮され、遺伝子導入のために用いられる。レトロウイルスベクターは、広範囲の細胞型に感染可能である。
【0185】
他の実施形態において、レンチウイルスが用いられる。
【0186】
特定の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードするオリゴヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターに関する。
【0187】
他の実施形態において、本発明のレンチウイルスベクターは、FXYD2の一部又は断片をコードするオリゴヌクレオチド配列のバリアントを含む。
【0188】
他の実施形態において、本発明のレンチウイルスベクターは、FXYD2のバリアントをコードするオリゴヌクレオチド配列のバリアントを含む。
【0189】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードするアンチセンス配列を含むレンチウイルスベクターに関する。
【0190】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードするshRNA配列を含むレンチウイルスベクターに関する。
【0191】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードするmiRNA配列を含むレンチウイルスベクターに関する。
【0192】
他の実施形態において、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチド又はそれらのバリアントを含む、又はそれらのいずれかからなる領域を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むレンチウイルスベクターに関する。
【0193】
他の実施形態において、本発明は、以下に限定されないが、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードする配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる群から選択される一配列を含むレンチウイルスベクターに関する。
【0194】
他の実施形態において、本発明のレンチウイルスベクターは、以下に限定されないが、FXYD2の一部又は断片をコードする配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる群から選択される一配列のバリアントを含む。
【0195】
他の実施形態において、本発明のレンチウイルスベクターは、以下に限定されないが、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26からなる群から選択される一配列のバリアントを含む。
【0196】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードするオリゴヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターに関する。
【0197】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードするshRNA配列、及びU6プロモーターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【0198】
他の実施形態において、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、及びU6プロモーターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【0199】
他の実施形態において、本発明は、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41の配列、及びU6プロモーターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【0200】
他の実施形態において、本発明のレンチウイルスベクターは、以下に限定されないが、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26からなる群から選択される一配列のバリアント、及びU6プロモーターを含む。
【0201】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードするオリゴヌクレオチド配列、及びCAGプロモーターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【0202】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードするアンチセンス配列、およびCAGプロモーターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【0203】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードするmiRNA配列、およびCAGプロモーターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【0204】
他の実施形態において、本発明は、FXYD2の一部若しくは断片、又はそれらのバリアントをコードするshRNA配列、およびCAGプロモーターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【0205】
特定の実施形態において、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、及びCAGプロモーターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【0206】
特定の実施形態において、本発明は、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41の配列、及びCAGプロモーターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【0207】
レンチウイルスは、一般的なレトロウイルス遺伝子であるgag、pol及びenvに加えて調節又は構造的機能を有する他の遺伝子を含む複合レトロウイルスである。高い複雑性は、潜伏感染の過程でウイルスがそのライフサイクルを変更できるようにする。レンチウイルスのいくつかの例は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV1、HIV2)及びサル免疫不全ウイルス(SIV)を含む。レンチウイルスベクターは、HIV毒性遺伝子を複合的に減衰することにより生成され、例えばenv、vif、vpr及びnef遺伝子がベクターの生物学的安全性を得るために欠失される。レンチウイルスベクターは、本技術分野において周知であり、例えば米国特許第6013516号及び米国特許第5994136号を参照でき、それらの両方は本明細書に参照として組み込まれる。一般に、ベクターは、プラスミドベース又はウイルスベースであり、選択及び宿主細胞内に核酸を導入するために、外来性核酸を組み込むのに必須の配列を運ぶように構成される。所望のベクターのgag、pol及びenv遺伝子も本技術分野において周知である。従って、関連遺伝子は、選択されたベクター内にクローニングされ、所望の標的細胞を形質転換するのに用いられる。非分裂細胞に感染できる組換えレンチウイルスであって、適切な宿主細胞がパッケージング機能、すなわちgag、pol及びenv、並びにrev及びtatを運ぶ2つ以上のベクターでトランスフェクションされることが米国特許第5994136号に記載されており、それは本明細書に参照として組み込まれる。これは、パッケージング細胞を生成するための、ウイルスのgag及びpol遺伝子をコードする核酸を提供できる第1ベクターと、ウイルスのenvをコードする核酸を提供できる他のベクターとを説明する。パッケージング細胞内に異種遺伝子を提供するベクターを導入することは、所望の外来性遺伝子を運ぶ感染性ウイルス粒子を放出するプロデューサー細胞を生成する。envは、ヒト及び他の種の細胞の形質導入を可能にする広宿主性エンベロープタンパク質であることが好ましい。通常、本発明の核酸分子又はベクターは「調節配列」を含み、それは、プロモーター配列、ポリアデニル化シグナル、転写終結配列、上流調節ドメイン、複製開始点、内部リボソーム進入サイト(「IRES」)及びエンハンサー等を集合的に意味し、それは、レシピエント細胞にコーディング配列の複製、転写及び翻訳のために集合的に提供される。選択されたコーディング配列が適切な宿主細胞に複製、転写及び翻訳を可能にさせる限り、これらの調節配列の全てが常に存在する必要なわけではない。
【0208】
(疼痛を処置する方法)
第3の態様において、本発明は、それを必要とする対象における疼痛の処置に用いるための上記のような阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0209】
特定の実施形態において、本発明は、上記のような阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチドの治療的有効量を対象に投与するステップを含む、それを必要とする対象における疼痛を処置する方法に関する。
【0210】
特定の実施形態において、本発明に係る方法におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とする。
【0211】
特定の実施形態において、本発明に係る方法における阻害物質は、配列番号3のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とする。
【0212】
特定の実施形態において、本発明に係る方法におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41を含む、又はそれらからなる群から選択される配列を含む又は該配列からなる。
【0213】
特定の実施形態において、本発明に係る方法におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26を含む、又はそれらからなる群から選択される配列を含む又は該配列からなる。
【0214】
特定の実施形態において、本発明に係る方法におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、単独(裸)で、又は上記のようなベクターで投与される。
【0215】
本明細書で用いられる「処置」又は「処置する」の用語は、疾患に罹患するリスクがある又は疾患に罹患したおそれがある患者、及び、病気である又は疾患を罹患していると診断若しくは健康状態を診断された患者の処置を含む、予防的又は防止的処置の両方、及び治療的又は疾患修飾的処置を意味し、また、臨床的再発の抑制を含む。処置は、障害又は再発した障害の1つ以上の症状の防止、治療、発症の遅延、重症度の低減若しくは緩和のために、又はそのような処置が無い場合に予測される生存時間を超えて対象の生存時間を延長するために、医的障害を有する、又は最終的に障害を受け得る対象に行われ得る。「治療レジメン」は、例えば治療の間に用いられる用量のパターン等の病気の処置のパターンを意味する。治療レジメンは、レジメンの導入及びレジメンの維持を含み得る。「導入レジメン」又は「導入期」の用語は、疾患の最初の処置に用いられる治療レジメン(又は治療レジメンの部分)を意味する。導入レジメンの一般的な目的は、治療レジメンの開始期の際に患者に高レベルの薬物を提供することである。導入レジメンは、維持レジメンの際に医師が採用し得るよりも大きい用量の薬物を投与すること、維持レジメンの際に医師が薬物を投与するよりも頻繁に投与すること、又はそれらの両方を含み得る「負荷レジメン」を(部分的に又は全体的に)用いてもよい。「維持レジメン」又は「維持期」の用語は、例えば長期間(数か月又は数年)寛解状態に患者を維持するというように病気の処置の際に患者を維持するために用いられる治療レジメン(又は治療レジメンの部分)を意味する。維持レジメンは、持続的療法(例えば週ごと、月ごと、年ごと等の規則的な間隔で薬物を投与する)又は間欠療法(例えば中断された処置、間欠性処置、再発時処置、又は特定の基準(例えば疾患の症状等)の達成に際しての処置)を採用してもよい。
【0216】
本明細書で用いられる「疼痛」の用語は、強い又は有害な刺激によってよく引き起こされる不快感を意味する。国際疼痛学科で広く用いられている定義は、「疼痛は、急性の若しくは潜在的な組織損傷に関連する、又はそのような損傷の観点から説明される不快な感覚の及び感情の経験である」と述べている。疼痛には種々の型がある:急性疼痛、慢性疼痛、傷害受容性疼痛、内臓痛又は末梢痛。本発明において、疼痛は末梢痛である。より具体的に、末梢痛は、神経障害性疼痛、糖尿病性疼痛、化学療法性疼痛、炎症性疼痛、術後疼痛及び/又は慢性術後疼痛である。
【0217】
本明細書で用いられる「対象」は、げっ歯類、ネコ、イヌ及び霊長類等の哺乳動物を意味する。特に、本発明における対象は、ヒト、マウス又はラットである。本明細書で用いられる「対象」の用語は「患者」を含む。
【0218】
特定の実施形態において、対象は疼痛を罹患する又は罹患しやすい。
【0219】
特定の実施形態において、対象は末梢疼痛を罹患する又は罹患しやすい。
【0220】
特定の実施形態において、対象は神経障害性疼痛を罹患する又は罹患しやすい。
【0221】
特定の実施形態において、対象は炎症性疼痛を罹患する又は罹患しやすい。
【0222】
特定の実施形態において、対象は糖尿病性疼痛を罹患する又は罹患しやすい。
【0223】
特定の実施形態において、対象は化学療法性疼痛を罹患する又は罹患しやすい。
【0224】
特定の実施形態において、対象は術後疼痛を罹患する又は罹患しやすい。
【0225】
特定の実施形態において、対象は慢性術後疼痛を罹患する又は罹患しやすい。
【0226】
本明細書で用いられる「投与する」又は「投与」の用語は、静脈内、筋肉内、腸内、皮下、非経口、全身、局部、脊椎、経鼻、局所又は表皮投与(例えば注射又は点滴による)等により、体外に存在する物質(例えば本発明のASO等のFXYD2の阻害物質)を対象内に注入する又は他の物理的な輸送をする行為を意味する。疾患又はその症状が処置される場合、通常、物質の投与は、疾患又はその症状の発症後に起こる。疾患又はその症状が防止される場合、通常、物質の投与は、疾患又はその症状の発症前に起こる。特定の実施形態において、投与は、パッチ、ペースト、軟膏、懸濁液、溶液若しくはクリーム、ゲル又はスプレーによって行われる。特定の実施形態において、投与はクリームによって行われる。
【0227】
特定の実施形態において、阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、脊髄内、皮下、局所又は静脈内投与により行われる。
【0228】
さらなる実施形態において、i)本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド、及びii)古典的処置は、組み合わせ製剤として、同時に、別々に又は順次に、疼痛の処置のために用いられる。
【0229】
本明細書で用いられる「古典的処置」の用語は、天然又は合成の化合物を意味する。特定の実施形態において、古典的処置は、以下に限定されないが、アスピリン、パラセタモール、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、コデイン、凍結療法、バーチャル療法、大麻、モルヒネ及びその誘導体、アヘン及びその誘導体からなる群から選択される。
【0230】
「治療的有効量」は、対象に治療的利益を与えるのに必要な有効成分(例えば本発明に係るASO)の最小量を意味する。例えば、対象に対する「治療的有効量」は、障害に関連する病理学的症状、疾患の進行若しくは生理学的状態における改善、又は障害に対する耐性を誘導する、向上する又は引き起こす量である。本発明の化合物の日常使用の総計が、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定され得ることが理解され得る。特定の対象における特定の治療的有効量のレベルは、処置される障害及び障害の重症度、用いられる特定の化合物の活性、用いられる特定の組成物、対象の年齢、体重、全体的な健康、性別及び食事、投与時間、投与経路、用いられる特定の化合物の排泄率、処置期間、用いられる特定の化合物と組み合わせて又は同時に用いられる薬物、並びに医学分野で周知の因子等の種々の因子に依存するであろう。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低いレベルで化合物の用量が開始され、所望の効果が達成されるまで徐々に用量を増大することが当業者には周知である。しかしながら、製品の1日量は、1日当たり大人で0.01~1000mgの広範囲にわたって変化し得る。通常、組成物は、処置される対象に対する用量の症状的調節のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250及び500mgの有効成分を含む。通常TA薬は、約0.01mg~500mgの有効成分を含み、好ましくは1mg~約100mgの有効成分を含む。薬物の有効量は、通常、1日当たり0.0002mg/kg(体重)~約20mg/kg(体重)、好ましくは1日当たり0.001mg/kg(体重)~7mg/kg(体重)の用量レベルで供給される。
【0231】
(医薬組成物)
第4の態様において、本発明は、本発明に係る阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物に関する。
【0232】
特定の実施形態において、本発明に係る医薬組成物におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5又は配列番号6のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を少なくとも標的とする。
【0233】
特定の実施形態において、本発明に係る医薬組成物における阻害物質は、配列番号3のヌクレオチドを含む又は該ヌクレオチドからなる領域を標的とする。
【0234】
特定の実施形態において、本発明は、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40又は配列番号41からなる群から選択される配列を含む、及び/又は該配列からなるアンチセンスオリゴヌクレオチドを少なくとも含む本発明に係る医薬組成物に関する。
【0235】
特定の実施形態において、本発明に係る医薬組成物におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26を含む又はそれらからなる群から選択される配列を含む又は該配列からなる。
【0236】
特定の実施形態において、本発明は、疼痛の処置に用いるための本発明に係る医薬組成物に関する。
【0237】
特定の実施形態において、本発明は、本発明に係る使用のための医薬組成物に関し、疼痛は末梢疼痛である。
【0238】
特定の実施形態において、本発明は本発明に係る使用のための医薬組成物に関し、疼痛は、神経障害性疼痛、糖尿病性疼痛、化学療法性疼痛、炎症性疼痛、術後疼痛及び/又は慢性術後疼痛である。
【0239】
上記のような阻害物質及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬組成物を形成するために、医薬的に許容可能な賦形剤、及び任意に生分解性ポリマー等の徐放性マトリクスと組み合わせられ得る。「医薬的」又は「医薬的に許容可能」は、必要に応じて哺乳動物、特にヒトに投与する際に、有害な、アレルギー性の又は他の不利な反応を生成しない分子体及び成分を意味する。医薬的に許容可能なキャリア又は賦形剤は、非毒性の固体、半固体若しくは液体の充填剤、希釈剤、封入材料又はいずれかの型の製剤化補助剤を意味する。経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所又は直腸内投与で、有効成分単独又は他の有効成分と組み合わせて投与するための本発明の医薬組成物は、単位投与形態で、従来の医薬的担体との混合剤で、動物やヒト等の対象に投与され得る。適切な単位投与形態は、タブレット、ゲルカプセル、粉末、顆粒及び経口懸濁液若しくは溶液等の経口投与形態、舌下及び口腔内投与形態、エアロゾル、インプラント、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、真皮下、皮下、脊髄内及び経鼻投与形態、並びに直腸内投与形態を含む。
【0240】
特定の実施形態において、本発明に係る医薬組成物は、脊髄内、皮下、局所又は静脈内投与により投与される。
【0241】
通常、医薬組成物は、注射可能な製剤化において医薬的に許容可能であるビヒクルを含む。これらは、特に等張で無菌の生理食塩水(リン酸一ナトリウム若しくは二ナトリウム、塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム若しくはマグネシウム等、又はそのような塩の混合物)、又は場合によって無菌水若しくは生理食塩水を加えて注射液を構成する乾燥、特に凍結乾燥組成物であり得る。注射用途に適する医薬的形態は、無菌水溶液又は分散液;ごま油、ピーナッツ油又は水性プロピレングリコールを含む製剤;及び無菌注射液又は分散液の即時調製のための無菌粉末を含む。全ての場合において、その形態は無菌でなければならず、容易に注射針を通過できる程度の流体でなければならない。それは、製造及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用に対して保護されていなければならない。遊離塩基又は医薬的に許容可能な塩として本発明の化合物を含む溶液は、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と好適に混合された水中で調製され得る。また、分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合液中、並びに油中で調製され得る。保存及び使用の通常の条件下で、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するための防腐剤を含む。ポリペプチド(又はそれをコードする核酸)は、中性又は塩形態で組成物中において製剤化される。医薬的に許容可能な塩は、(タンパク質の遊離アミノ基と形成された)酸付加塩を含み、それは、例えば塩酸若しくはリン酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸と形成される。遊離カルボキシル基と形成される塩は、例えば水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は鉄等の無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基に由来し得る。キャリアは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合液、及び植物油を含む溶媒又は分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えばレシチン等のコーティングの使用、分散液の場合における必要な粒子サイズの維持、界面活性剤の使用により維持され得る。微生物の作用の防止は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等の種々の抗菌及び抗真菌剤により達成され得る。多くの場合、例えば砂糖又は塩化ナトリウム等の等張剤を含むことが好ましいであろう。注射用組成物の延長された吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等の吸収を遅延する剤の組成物での使用により達成され得る。無菌注射溶液は、必要に応じて上記の他の成分のいくつかと共に適切な溶媒中で必要量の活性ポリペプチドを組み込み、その後にろ過滅菌するにより調製される。一般に、分散液は、基本的な分散媒及び上記の必要な他の成分を含む無菌ビヒクルに、種々の無菌有効成分を組み込むことにより調製される。無菌注射溶液の調製のための無菌粉末の場合において、調製の好ましい方法は、事前にろ過滅菌された溶液から、有効成分及び追加の所望の成分の粉末を生成する真空乾燥及び凍結乾燥技術であってもよい。製剤化において、溶液は、剤形に適合性がある方法で、治療的に有効である量で投与され得る。製剤は、上記注射溶液の型等の種々の剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセル等も用いられ得る。水溶液での非経口投与のために、例えば溶液は必要に応じて適切に緩衝されるのがよく、液体希釈液はまず十分な生理食塩水又はグルコースを用いて等張にされる。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に特に適する。これに関して、用いられ得る無菌水性媒体は、本開示に照らして当業者に周知であろう。例えば、一用量は、1mlの等張NaCl溶液に溶解され、1000mlの皮下注入流体に加えられる又は注入の候補位置に注射される。用量のいくつかのバリエーションは、処置される対象の状態に依存して必ず生じるであろう。投与責任者は、いずれにしても、個々の対象に適切な用量を決定する。
【0242】
特定の実施形態において、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む局所製剤を提供する。例えば、以下に限定されないが、本発明はアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む局所製剤を提供する。本発明の阻害物質の局所又は経皮投与のための剤形は、以下に限定されないが、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤を含む。特定の非限定的実施形態において、局所製剤は、ミセル、リポソーム又は非脂質系ミクロスフェアに含まれたアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。特定の非限定的実施形態において、そのような局所製剤は、以下に限定されないが、ジメチルスルホキシド、炭化水素(例えばアルカン及びアルケン)、アルコール(例えばグリコール及びグリセロール)、酸(例えば脂肪酸)、アミン、アミド、エステル(例えばミリスチン酸イソプロピル)、界面活性剤(例えば陰イオン、陽イオン又は非イオン界面活性剤)、テルペン及び脂質(例えばリン脂質)等の透過性増強剤を含み得る。
【0243】
特定の実施形態において、製剤は、パッチ、ペースト、軟膏、懸濁液、溶液、クリーム、ゲル又はスプレーである。特定の実施形態において、製剤はクリームである。
【0244】
本発明は、以下の図面及び実施例によりさらに説明される。しかし、これらの実施例及び図面は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【実施例
【0245】
(材料及び方法)
動物
全ての試験は、フランスの研究省(承認#C34-172-36)により承認され、国際疼痛学会(IASP)のガイドラインに従って行った。全ての動物は、自由に水及び食餌にアクセスできる状態で、12/12の暗/明サイクルで収容された。試験の開始時において200~250gの5週齢の雄のスプラーグドーリーラット(Janvier, France)を用いた。
【0246】
慢性疼痛モデル
末梢神経障害性疼痛のSNL(脊髄神経結紮)モデル及び慢性炎症性疼痛のCFA(完全フロイントアジュバント)モデルを用いた。全ての手術の手順は、深いイソフルラン麻酔下で行われた。SNLの手順は、以前に説明されたように行った。簡単に説明すると、L6横突起を除去して、L4及びL5脊髄神経を露出した。その後、L5脊髄神経を単離し、6.0絹糸で強く結紮した。完全フロイントアジュバント(CFA)誘導性疼痛のモデルは、慢性炎症性疼痛を評価するために用いた。簡単に説明すると、イソフルラン麻酔下で、1mg/mlの結核菌(Sigma-Aldrich)の溶液の足底内注射(50μl)を、動物の左の後脚に対して行った。
【0247】
ラットへのASO、LASO、siRNA又はω-コノトキシンMVIIAの脊髄内注射
ASO及びLASOは、ChemBioPharm(Bordeaux, France)により製造された。非標的化ASO及びLASOは、ChemBioPharmにより提供され(センス配列;5’ CGTGTAGGTACGGCAGATC 3’=配列番号32)、陰性対照として用いた。我々は、29個の異なるFxyd2-ASOを設計し、配列を表1に示す。ラット-ヒトFxyd2のmRNAに対する「アクセル」siRNAは、Dharmaconから購入した。センス配列は、5’ AAGAUUCCGCUGUGGGGGC(UU) 3’であり、配列番号31に規定される。「インビボのアクセル非標的化」siRNA(Dharmacon, D-001910-01)は、陰性対照として用いた。ω-コノトキシンMVIIAは、Sigma Aldrich(Ref. C1182)から購入し、de Souza等により説明されているように100ピコモルの用量で脊髄内注射した。
【0248】
SNL操作ラットは、機械的過敏性を確認するために試験し、その後、くも膜下腔への短いイソフルラン麻酔下において、毎日脊髄内に2μgの対照又はFxyd2-siRNA又はASO又はLASOを含む20μlの5%グルコース溶液を注射した。CFA注射ラットにおいて、CFA注入後、3日目から毎日脊髄内に4μgの対照又はFxyd2-LASOを含む20μlの5%グルコース水溶液を注射した。
【0249】
ラットの行動試験
雄のスプラーグドーリーラットを標準的な光及び温度条件下で1ケージに3匹ずつ収容した。市販の固形飼料及び水道水を自由に取得可能にした。到着後、動物を4日間集団部屋に慣らさせために放置した。試験条件によるストレスを避けるために、分析を集団部屋に近接した試験部屋において穏やかな条件で同一の実験者により行った。試験前の2週間、毎日動物の体重測定を行い、5分間穏やかに取り扱われ、1時間試験部屋に置かれ、それらを傷害受容装置に慣らすために放置した。機械的アロディニア及び機械的痛覚過敏を、手術後に1日1回、手術前及び手術の日(d0)に評価した。機械的アロディニアのために、各試験条件において6匹の動物に対して、マウスのための上記のようなvon Freyテストを行った。機械的痛覚過敏のために、各試験条件において6匹の動物に以前に説明されたようなpaw-pressure vocalization試験を用いて、手で持てるラットにおける侵害受容閾値を決定した。簡単に説明すると、ラットが鳴くまで負傷した後脚に一定に増大する圧力を加えた。Basile無痛覚計(Apelex;スタイラスチップの直径が1mm)を用いた。組織傷害を防止するために600gのカットオフ値が決められた。
【0250】
インビトロでのASOを用いたFXYD2タンパク質のノックダウン試験
対照-ASO、それぞれ20ヌクレオチド長の29種のFxyd2-ASO、並びにそれぞれ15及び17ヌクレオチド長のASO#75及びASO#82を用いて(配列は表1に示される)(ChemBioPharm, Bordeaux, France)、HEK293M細胞を用いインビトロで試験した。HEK293M細胞を、DMEM 抗生物質(ペニシリン50U/ml、ストレプトマイシン50μg/ml)及び10%熱失活ウシ胎児血清を添加したGlutamax(Invitrogen)で維持した。細胞を50%濃度で播種し、1日後に、示されたASOで2日間処理した。Lipofectamine 2000、陽イオン性脂質(Invitrogen)を、ASOの細胞内取り込みを増大させるために用いた。細胞に対して、無血清OPTI-MEM(Life Technologies)で1/1000希釈されたLipofectamine 2000を用いて20分間プレインキュベーションを行った後に、100nMのASOを処理した。4時間後に、培地を上記標準的な培養培地に交換した。
【0251】
インビボでのLASOを用いたFxyd2タンパク質のノックダウン試験
0、0.5、2、4又は8μgのFxyd2-LASOを含む20μlの5%グルコース溶液を、14日間毎日脊髄内注射した。Fxyd2-LASOの各濃度を3匹のラットに対して注射した。ラットはペントバルビタールの腹腔内注射を受け、経心的にPBSを用いて灌流した。ランバー(lumber)DRG(L4-L6)を解剖して-80℃で保存した。
【0252】
ウエスタンブロット
細胞又は組織をNP40バッファー(1%のNP40、150mMのNaCl、50mMのTris-HCl、pH7.5及びプロテアーゼ阻害剤)中で、4℃で機械的に均質化した。溶解物を、12000×gで4℃、10分で清澄化した。BCAキット(Thermofisher, France)を用いてタンパク質定量をした後、溶解物をSDS-PAGEにかけ、ニトロセルロース膜に転写した。ウサギ抗C末端Fxyd2及びマウス抗アクチン抗体を用いた。1次及び蛍光IRDye2次抗体(LI-COR Biosciences)でインキュベーションした後、免疫検出をOdyssey CLx Imager(LI-COR Biosciences)を用いて行った。Image Studio Lite software(LI-COR Biosciences)を用いて定量を行った。
【0253】
統計分析
ウエスタンブロット試験において、1元配置分散分析(ANOVA)の後にポストホックダネット試験を用いて統計分析を行った。行動試験において、繰り返し測定のために2元ANOVAにより、群及び時間効果を評価した。ANOVAが顕著な効果を示す場合、有意差の決定のためにボンフェローニポストホック試験を用いた。P値<0.05()、P<0.01(**)、P<0.001(***)及びP<0.0001(****)が統計的有意とみなされる。示された全てのデータは平均±s.e.mである。
【0254】
(結果)
我々は、RNAfoldプログラム(http://rna.tbi.univie.ac.at/cgi-bin/RNAfold.cgi)を用いて、潜在的な機能的ノックダウン特性を有するオリゴヌクレオチド配列を同定するために用いられたヒトFXYD2のmRNA(NCBI参照配列NM_001680)の二次構造を描いた(データは図示せず)。ヒトFXYD2のmRNAの112~267の塩基をカバーする一連の重複するオリゴヌクレオチド配列(表1)に対して、ヒトHEK293細胞に個々のASOをトランスフェクションし、ウエスタンブロットによりFXYD2タンパク質を定量することにより試験した。210~238の塩基(ASO#75から#84により標的とされる)を含む領域を、アンチセンス阻害に特に好ましいことを発見した(図1A)。
【0255】
それぞれ15、17及び20ヌクレオチド長のASO#75及びASO#82を試験した(配列番号17、24、38~41)。20ヌクレオチド長のASOを用いることで最も良好な有効性を達成した(図1B)。
【0256】
ASO#75(配列番号17、210~229の塩基に相補的)の配列はラットとヒトとの間で100%保存されており、ラットモデル試験でその有効性を試験することができるため、より深い研究のためにASO#75を選択した。脊髄内注射後に、ラットDRG内のFxyd2のノックダウンのために、ASO#75をインビボで試験した(図2)。トランスフェクション剤の周知の毒性効果を避けるため、及びニューロンへのASOの取り込み効率を増大するために、我々は、脂質改変型のASO#75を用い、以後これをFxyd2-LASOと呼ぶ。この脂質改変は、国際公開第2014/195430号及びPokholenko et al 2013に記載されている。
【0257】
まず我々は、DRGニューロンにおけるFxyd2タンパク質レベルを有効に低減できるFxyd2-LASOの最小量を見出すために、容量反応性分析を行った。Fxyd2-LASO(0、0.5、2、4及び8μg)又は対照-LASOを、20μlの5%グルコース溶液に含有させて14日間毎日、脊髄内注射した。ランバーDRG(L4、L5、L6)を解剖し、組織をウエスタンブロットにより分析した。図2は、最大限のノックダウンが2μgのFxyd2-LASOの注射により達成され、より高い量のLASOを用いてもさらなる低減は無いことを示す。対照-LASOは、Fxyd2タンパク質レベルにおいて影響がなかった。
【0258】
我々は、神経障害性疼痛のSNLモデルのラットにおける疼痛行動において、Fxyd2-LASOの脊髄内注射のインビボの効果を試験した(図3)。手術後4日目に、ラットは、von Freyフィラメントに対する退避閾値の低下、及び同側の脚への圧力(ランダル-セリット試験)に対する反応の増大により証明されるように、機械的刺激に対して過敏性を示した。手術後14日目からのFxyd2-LASOの毎日の注射が疼痛行動を徐々に回復し、手術後21日目までに反応が基底レベルに戻った。疼痛行動の完全な減衰は、Fxyd2-LASO注射を継続する限り(6日間)維持された。Fxyd2-LASO注射の中断は、2日以内に機械的刺激に対する過敏性の再発を引き起こした。神経障害性ラットにおける2μgの対照-LASOの対応した注射は、疼痛行動において減衰効果はなかった。
【0259】
その後、我々は、代表的な脊髄内注射投与薬剤であり、Prialtの名称でヒト用に販売されている合成形態であるω-コノトキシンMVIIAと、Fxyd2-LASOとの鎮痛効果を比較した。ω-コノトキシンMVIIAは、難治疼痛の特定の場合に用いられるカルシウムチャンネル阻害剤である。Fxyd2-LASOで十分に処置され、機械的過敏性が注射の中止後に再発したラットのコホートにおいて、我々は、新たな一連の注射を開始した。再びFxyd2-LASOは完全に疼痛行動を除去した。並行して、手術を受けて神経障害性疼痛を発症したラットのコホートは、ω-コノトキシンMVIIA(100ピコモル/脊髄内注射)により処置された。ω-コノトキシンMVIIAは、予想通り部分的に疼痛行動を減衰した(図3)が、その効果期間は短かった(1~2時間)。この試験は、Fxyd2-LASOの脊髄内注射が神経障害性疼痛のげっ歯類モデルにおいて有効な鎮痛剤であり、より長い作用期間を有し(数時間ではなく数日間)、現在の代表的な薬物のPrialtと少なくとも同等の有効性があることを証明する。
【0260】
次に我々は、基礎となるメカニズムが神経傷害誘導性疼痛に属するメカニズムとは異なることが知られている他の疼痛モデルにおいて、Fxyd2-LASOによるFxyd2阻害が有効となり得るかどうかを試験した。従って、我々は、長期間の機械的過敏性を引き起こすCFA(完全フロイントアジュバント)の足底注射による一般的に用いられている炎症性疼痛モデルを採用した(図4)。再び、von Freyフィラメント及びランダル-セリット試験を用いて、機械的過敏性を試験した。CFAの注射は、2日以内に急速な機械的過敏性を引き起こし、対照-LASOにより処理された対照動物における試験の経時変化にわたって維持された。4μgのFxyd2-LASOの毎日1回の脊髄内注射は、神経傷害誘導性の神経障害性疼痛の場合よりも長い時間枠であっても、疼痛行動を減衰した。最大の鎮痛効果は、傷害誘導性の神経障害性疼痛の7日目と比較して、処置の15日後に達成された。第2に、疼痛行動がvon Freyフィラメント試験において完全に減衰されたが、結果はランダル-セリット試験における部分的な有効性を示す(図4)。神経傷害モデルの場合のように、Fxyd2-LASO注射の中断が、疼痛行動の急速に戻ることを引き起こし、その後にFxyd2-LASO注射の再開が鎮痛効果を回復する。
【0261】
次に、我々は、同一の試験において非改変Fxyd2-ASOアンチセンスオリゴヌクレオチド及びFxyd2-LASOの脊髄内注射に対する反応を直接に比較することにより、その鎮痛効果におけるFxyd2-LASOの脂質改変の重要性を調べた。SNL手術及び神経障害性疼痛行動の誘導の後、ラットのコホートは、2μgのFxyd2-ASO又はFxyd2-LASOの毎日の脊髄内注射により処理された。機械的過敏性の試験は、Fxyd2-ASOが疼痛行動を減衰するのに有効ではなく、脂質改変はオリゴヌクレオチドの疼痛抑制効果に必要であった。
【0262】
最後に、我々は、その機能を阻害することの代替的方法として、Fxyd2のmRNAに対するsiRNAを用いることの有効性を試験した(図6)。Accell技術(Dharmacon)を用いて合成され、ASO#75と同じ100%保存されたラット-ヒト配列を認識する特注のsiRNAを購入した。Accell技術は、追加のトランスフェクタントが無く細胞透過を促進する。我々は、注射ごとに2μgのFxyd2-siRNAを用いた。「非標的化」siRNAを対照として用いた。神経障害性疼痛のSNLモデルにおいて、Fxyd2-LASOほど有効ではないが、毎日のFxyd2-siRNAは機械的過敏性を低減し、対照siRNAは低減しなかった。
【0263】
(結論)
全体として、これらの結果は、インビトロでヒトFXYD2発現を阻害できるいくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドを同定する。100%保存されたラット-ヒトASOの脂質改変型(LASO#75)脊髄内注射は、末梢神経傷害性の神経障害性疼痛及びCFA誘導性の炎症性疼痛の2つの神経障害性疼痛のげっ歯類モデルにおいて疼痛行動を顕著に減衰できた。
【0264】
従って、発明者らは、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドがFXYD2を阻害でき、それにより疼痛を処置できることを証明した。
【0265】
(参考文献)
本願を通して、種々の参考文献は、本発明が属する技術分野の現状技術を説明する。これらの参考文献の開示は、本明細書内に参照として組み込まれる。
1- De Souza, AH et al. An evaluation of the antinociceptive effects of Phα1β, a neurotoxin from the spider Phoneutria nigriventer, and ω-conotoxin MVIIA, a cone snail Conus magus toxin, in rat model of inflammatory and neuropathic pain. Cell Mol Neurobiol. 33, 59-67 (2013)
2- Kim, S. H. & Chung, J. M. An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in the rat. Pain 50, 355-363 (1992).
3- Ferreira, J. et al. Evidence for the participation of kinins in Freund’s adjuvantinduced inflammatory and nociceptive responses in kinin B1 and B2 receptor knockout mice. Neuropharmacology 41, 1006-1012 (2001).
4- Pieraut, S. et al. NKCC1 phosphorylation stimulates neurite growth of injured adult sensory neurons. J. Neurosci. 25, 6751-6759 (2007).
5- Rivat, C. et al. Non-nociceptive environmental stress induces hyperalgesia, not analgesia, in pain and opioid-experienced rats. Neuropsychopharmacology 32, 2217-2228 (2007).
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
【配列表】
2022553641000001.app
【国際調査報告】