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特表2022-553642タバコにおける淡黄色遺伝子座およびその応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】タバコにおける淡黄色遺伝子座およびその応用
(51)【国際特許分類】
   A01H 6/82 20180101AFI20221219BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20221219BHJP
   C12N 15/29 20060101ALI20221219BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20221219BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20221219BHJP
   A01H 3/04 20060101ALI20221219BHJP
   A24B 13/02 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
A01H6/82 ZNA
A01H5/00 A
C12N15/29
C12N15/10 200Z
C12N15/113 Z
A01H3/04
A24B13/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521205
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 US2020055055
(87)【国際公開番号】W WO2021072248
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】62/913,313
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/913,414
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517453405
【氏名又は名称】アルトリア クライアント サーヴィシーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】プラモド スリープリヤ
(72)【発明者】
【氏名】アダムス アンドリュー シー.
(72)【発明者】
【氏名】デ ゴドイ ルッソ マルコス フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】デービス グレゴリー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】モリス ジェリー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】シュ ドンメイ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ジェシー
【テーマコード(参考)】
2B030
4B043
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AD06
2B030AD07
2B030CA08
4B043BB01
4B043BB28
(57)【要約】
本開示は、タバコにおける淡黄色遺伝子座の同定および遺伝子移入に関連したタバコ植物、タバコ種子、組成物、および方法に関する。本開示は同様に、タバコにおけるPY遺伝子座内での新規変異の作製に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO: 18、16、17、19~21および48からなる群より選択される核酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドに非天然変異を含む、改変されたタバコ植物またはその部分であって、
該改変されたタバコ植物が淡黄色表現型を含み、かつ該変異が同じタバコ品種の対照タバコ植物と比較したものである、前記改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項2】
改変されたタバコ植物が、フルーキュアード(flue-cured)品種、ブライト(bright)品種、バーレイ(Burley)品種、バージニア(Virginia)品種、メリーランド(Maryland)品種、ダーク(dark)品種、ガルパオ(Galpao)品種、オリエンタル(Oriental)品種、およびトルコ(Turkish)品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項3】
改変されたタバコ植物が、表2、表3、表4、表5、表6、表7、および表8に記載されるタバコ品種からなる群より選択される品種のものである、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項4】
変異についてヘテロ接合性である、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項5】
変異についてホモ接合性である、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項6】
改変されたタバコ植物が雑種である、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項7】
改変されたタバコ植物が、雄性不稔または細胞質雄性不稔である、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項8】
非天然変異が、対照タバコ植物と比較して、遺伝子の発現レベルの低減をもたらす、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項9】
非天然変異が、非天然変異を欠くポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドと比較した、非天然変異を含むポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドによる活性レベルの低減をもたらす、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項10】
非天然変異が、対照タバコ植物と比較して、遺伝子の発現レベルの増加をもたらす、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項11】
非天然変異が、非天然変異を欠くポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドと比較した、非天然変異を含むポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドによる活性レベルの増加をもたらす、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項12】
非天然変異が、プロモーター、5' UTR、イントロン、エクソン、3' UTR、ターミネーター、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される配列領域中の変異を含む、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項13】
非天然変異が、ナンセンス変異、ミスセンス変異、フレームシフト変異、スプライス部位変異、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異タイプを含む、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項14】
非天然変異が、SEQ ID NO: 18、16、17、19~21および48からなる群より選択される野生型遺伝子に対する1つまたは複数のヌクレオチドの置換、欠失、挿入、重複、および逆位からなる群より選択される変異を含む、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項15】
タバコ植物が、ニコチンレベルの低減を与える変異または導入遺伝子を含む、請求項1記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項16】
タバコ植物が低アルカロイドタバコ植物である、請求項15記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項17】
ニコチンレベルの低減を与える変異が、nic1変異、nic2変異またはその両方を含む、請求項15記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項18】
nic1変異、nic2変異またはその両方が、LA Burley 21、LAFC53、LN B&W、およびLN KY171からなる群より選択される品種から遺伝子移入されるか、または該品種に由来する、請求項17記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項19】
ニコチンレベルの低減を与える変異が、アスパラギン酸オキシダーゼ、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、NADHデヒドロゲナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(PRAI)、プトレシンN-メチルトランスフェラーゼ(PMT)、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、S-アデノシル-メチオニンシンテターゼ(SAMS)、A622、NBB1、BBL、MYC2、Nic1_ERF、Nic2_ERF、エチレン応答因子(ERF)転写因子、ニコチン取り込み透過酵素(NUP)、およびMATEトランスポーターからなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子座における変異を含む、請求項15記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項20】
ニコチンレベルの低減を与える変異が、ERF101、ERF110、ERFnew、ERF199、ERF19、ERF130、ERF16、ERF29、ERF210、およびERF91L2からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子座における変異を含む、請求項15記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項21】
ニコチンレベルの低減を与える変異が、ERF32、ERF34、ERF39、ERF189、ERF115、ERF221、ERF104、ERF179、ERF17、およびERF168からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子座における変異を含む、請求項15記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項22】
ニコチンレベルの低減を与える導入遺伝子が、アスパラギン酸オキシダーゼ、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、NADHデヒドロゲナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(PRAI)、プトレシンN-メチルトランスフェラーゼ(PMT)、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、S-アデノシル-メチオニンシンテターゼ(SAMS)、A622、NBB1、BBL、MYC2、Nic1_ERF、Nic2_ERF、エチレン応答因子(ERF)転写因子、ニコチン取り込み透過酵素(NUP)、およびMATEトランスポーターからなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的化および抑制する導入遺伝子を含む、請求項15記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項23】
ニコチンレベルの低減を与える導入遺伝子が、ERF101、ERF110、ERFnew、ERF199、ERF19、ERF130、ERF16、ERF29、ERF210、およびERF91L2からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的化および抑制する導入遺伝子を含む、請求項15記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項24】
ニコチンレベルの低減を与える導入遺伝子が、ERF32、ERF34、ERF39、ERF189、ERF115、ERF221、ERF104、ERF179、ERF17、およびERF168からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的化および抑制する導入遺伝子を含む、請求項15記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項25】
非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸構築物を含む、改変されたタバコ植物またはその部分であって、
該非コードRNA分子が、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができ、該非コードRNA分子が該アミノ酸配列の発現を抑制し、かつ該改変されたタバコ植物が淡黄色表現型を含む、前記改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項26】
非コードRNA分子がマイクロRNA分子である、請求項25記載の改変されたタバコ植物またはその部分。
【請求項27】
請求項1記載のタバコ植物からの乾燥タバコ材料。
【請求項28】
熱風乾燥、空気乾燥、火力乾燥、および天日乾燥からなる群より選択される乾燥プロセスによって作製される、請求項27記載の乾燥タバコ材料。
【請求項29】
請求項27記載の乾燥タバコ材料を含む、タバコブレンド。
【請求項30】
乾燥タバコ材料がタバコブレンド中の乾燥タバコの少なくとも10重量%を構成する、請求項29記載のタバコブレンド。
【請求項31】
乾燥タバコ材料がタバコブレンド中の乾燥タバコの少なくとも10体積%を構成する、請求項29記載のタバコブレンド。
【請求項32】
請求項27記載の乾燥タバコ材料を含む、タバコ製品。
【請求項33】
シガリロ、非通気性リセスフィルタ紙巻タバコ、通気性リセスフィルタ紙巻タバコ、葉巻、嗅ぎタバコ、パイプタバコ、葉巻タバコ、紙巻タバコ、噛みタバコ、葉タバコ、水タバコ、刻みタバコ、およびカットタバコからなる群より選択される、請求項32記載のタバコ製品。
【請求項34】
無煙タバコ製品である、請求項32記載のタバコ製品。
【請求項35】
無煙タバコ製品が、ルーズリーフ噛みタバコ、プラグ噛みタバコ、湿性嗅ぎタバコ、鼻用嗅ぎタバコ、乾燥嗅ぎタバコ、およびスヌースからなる群より選択される、請求項32記載のタバコ製品。
【請求項36】
請求項27記載の乾燥タバコ材料を含む、再構成されたタバコ。
【請求項37】
淡黄色(PY)表現型を示すタバコ植物の集団を作製する方法であって、
(a) PY量的形質遺伝子座(QTL)に関連しかつSEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の20センチモルガン(cM)以内に連関した1つまたは複数のマーカー遺伝子座の存在について、タバコ植物またはタバコ種子の第1の集団を遺伝子型判定する段階;
(b) 段階(a)において遺伝子型判定された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子を選択する段階であって、該1つまたは複数のタバコ植物または種子が、該1つまたは複数のマーカー遺伝子座および該PY QTLを含む、段階; ならびに
(c) 該PY QTLおよび該1つまたは複数のマーカー遺伝子座を含むタバコ植物またはタバコ種子の第2の集団を、段階(b)において選択された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子から産生する段階であって、該タバコ植物またはタバコ種子の第2の集団が、淡黄色表現型を示す少なくとも1つのタバコ植物または種子を含む、段階
を含む、前記方法。
【請求項38】
淡黄色(PY)表現型を示すタバコ植物の集団を作製する方法であって、
(a) PY量的形質遺伝子座(QTL)に関連しかつSEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の20,000,000ヌクレオチド以内に位置した1つまたは複数のマーカー遺伝子座の存在について、タバコ植物またはタバコ種子の第1の集団を遺伝子型判定する段階;
(b) 段階(a)において遺伝子型判定された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子を選択する段階であって、該1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子が、該1つまたは複数のマーカー遺伝子座および該PY QTLを含む、段階; ならびに
(c) 該PY QTLおよび該1つまたは複数のマーカー遺伝子座を含むタバコ植物またはタバコ種子の第2の集団を、段階(b)において選択された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子から産生する段階であって、該タバコ植物またはタバコ種子の第2の集団が、淡黄色表現型を示す少なくとも1つのタバコ植物または種子を含む、段階
を含む、前記方法。
【請求項39】
段階(c)において産生された1つまたは複数のタバコ植物を、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、キノリネートシンターゼ(QS)、BBL、A622、アスパラギン酸オキシダーゼ、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、S-アデノシル-メチオニンシンテターゼ(SAMS)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(PRAI)、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、ニコチン取り込み透過酵素(NUP)、およびMATEトランスポーターからなる群より選択される産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現または活性を直接抑制または排除する変異または導入遺伝子を含むタバコ植物と交配する段階
をさらに含む、請求項37または38記載の方法。
【請求項40】
1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の15 cM以内に連関する、請求項37記載の方法。
【請求項41】
段階(a)のタバコ植物またはタバコ種子が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10 cM以内に連関したマーカー遺伝子座を含む、請求項37記載の方法。
【請求項42】
段階(a)のタバコ植物またはタバコ種子が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の5 cM以内に連関したマーカー遺伝子座を含む、請求項37記載の方法。
【請求項43】
段階(a)のタバコ植物またはタバコ種子が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1 cM以内に連関したマーカー遺伝子座を含む、請求項37記載の方法。
【請求項44】
段階(a)のタバコ植物またはタバコ種子が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.5 cM以内に連関したマーカー遺伝子座を含む、請求項37記載の方法。
【請求項45】
1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の500,000ヌクレオチド内に位置する、請求項38記載の方法。
【請求項46】
1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の250,000ヌクレオチド内に位置する、請求項38記載の方法。
【請求項47】
1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100,000ヌクレオチド内に位置する、請求項38記載の方法。
【請求項48】
1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の50,000ヌクレオチド内に位置する、請求項38記載の方法。
【請求項49】
淡黄色表現型が、後代植物の葉の少なくとも25%の、平均して少なくとも80%の黄変を含む、請求項37または38記載の方法。
【請求項50】
遺伝子座がSEQ ID NO: 1である、請求項37または38記載の方法。
【請求項51】
遺伝子座がSEQ ID NO: 2である、請求項37または38記載の方法。
【請求項52】
遺伝子座がSEQ ID NO: 3である、請求項37または38記載の方法。
【請求項53】
遺伝子座がSEQ ID NO: 4である、請求項37または38記載の方法。
【請求項54】
遺伝子座がSEQ ID NO: 5である、請求項37または38記載の方法。
【請求項55】
段階(a)の遺伝子型判定が、1つまたは複数のマーカー遺伝子座を検出することを含む、請求項37または38記載の方法。
【請求項56】
1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、1つまたは複数の一塩基多型(SNP)マーカー、1つまたは複数の挿入-欠失(INDEL)マーカー、1つまたは複数の単純反復配列(SSR)マーカー、1つまたは複数の制限断片長多型(RFLP)マーカー、1つまたは複数のランダム増幅多型DNA (RAPD)マーカー、および1つまたは複数の増幅断片長多型(AFLP)マーカーからなる群より選択される、請求項55記載の方法。
【請求項57】
遺伝子型判定がオリゴヌクレオチドプローブの使用を含む、請求項55記載の方法。
【請求項58】
オリゴヌクレオチドプローブが、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列を含む、請求項57記載の方法。
【請求項59】
オリゴヌクレオチドプローブが、マーカー遺伝子座の多型ヌクレオチド位置に隣接する、請求項57記載の方法。
【請求項60】
段階(a)の遺伝子型判定が、ハプロタイプを検出することを含む、請求項37または38記載の方法。
【請求項61】
ハプロタイプが、SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン、SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン、SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン、およびSEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニンからなる群より選択される少なくとも2つのSNPを含む、請求項60記載の方法。
【請求項62】
タバコ植物が、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、ガルパオ品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである、請求項37または38記載の方法。
【請求項63】
タバコ植物が、表2、表3、表4、表5、表6、表7、および表8に記載されるタバコ品種からなる群より選択される品種のものである、請求項37または38記載の方法。
【請求項64】
1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される、請求項37または38記載の方法。
【請求項65】
1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、
(a) SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン;
(b) SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン;
(c) SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン;
(d) SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン; および
(e) SEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニン
からなる群より選択される一塩基多型を含む、請求項64記載の方法。
【請求項66】
淡黄色(PY) QTLを遺伝子移入する方法であって、
(a) 該PY量的形質遺伝子座(QTL)を含む第1のタバコ植物を、異なる遺伝子型の第2のタバコ植物と交配して、1つまたは複数の後代植物または種子を産生する段階; ならびに
(b)
(i) SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン、
(ii) SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン、
(iii) SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン、
(iv) SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン、または
(v) SEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニン
からなる群より選択される少なくとも1つのPY関連一塩基多型(SNP)を含む段階(a)において産生された後代植物または種子を選択する段階であって、該選択された後代植物または種子が淡黄色表現型を含む、段階
を含む、前記方法。
【請求項67】
淡黄色(PY)形質を遺伝子移入する方法であって、
(a) SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列に非天然変異を含む第1のタバコ植物を、異なる遺伝子型の第2のタバコ植物と交配して、1つまたは複数の後代植物または種子を産生する段階; ならびに
(b) 非天然変異を含む段階(a)において産生された後代植物または種子を選択する段階であって、該後代植物または種子が淡黄色形質を含む、段階
を含む、前記方法。
【請求項68】
段階(b)の後代植物または種子が、SNPについてヘテロ接合性である、請求項66記載の方法。
【請求項69】
段階(b)の後代植物または種子が、SNPについてホモ接合性である、請求項66記載の方法。
【請求項70】
段階(b)の後代植物または種子が、SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン、SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン、SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン、およびSEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニンからなる群より選択される少なくとも2つのSNPを含む、請求項66記載の方法。
【請求項71】
一塩基多型がSEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニンである、請求項66記載の方法。
【請求項72】
一塩基多型がSEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニンである、請求項66記載の方法。
【請求項73】
一塩基多型がSEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニンである、請求項66記載の方法。
【請求項74】
一塩基多型がSEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミンである、請求項66記載の方法。
【請求項75】
一塩基多型がSEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニンである、請求項66記載の方法。
【請求項76】
タバコ植物が、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、ガルパオ品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである、請求項66または67記載の方法。
【請求項77】
タバコ植物が、表2、表3、表4、表5、表6、表7、および表8に記載されるタバコ品種の群より選択される品種のものである、請求項66または67記載の方法。
【請求項78】
後代植物または種子が、非天然変異についてヘテロ接合性である、請求項67記載の方法。
【請求項79】
後代植物または種子が、非天然変異についてホモ接合性である、請求項67記載の方法。
【請求項80】
非天然変異が、対照タバコ植物と比較して、遺伝子の発現レベルの低減をもたらす、請求項67記載の方法。
【請求項81】
非天然変異が、対照タバコ植物と比較して、遺伝子の発現レベルの増加をもたらす、請求項67記載の方法。
【請求項82】
非天然変異が、プロモーター、5' UTR、イントロン、エクソン、3' UTR、ターミネーター、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される配列領域中の変異を含む、請求項67記載の方法。
【請求項83】
非天然変異が、ナンセンス変異、ミスセンス変異、フレームシフト変異、スプライス部位変異、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異タイプを含む、請求項67記載の方法。
【請求項84】
非天然変異が、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される野生型核酸配列に対する1つまたは複数のヌクレオチドの置換、欠失、挿入、重複、および逆位からなる群より選択される変異を含む、請求項67記載の方法。
【請求項85】
後代植物または種子が、PY QTLを欠く第2のタバコ植物と比較して、少なくとも1つのタバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)のレベルの低減を含む、請求項66記載の方法。
【請求項86】
少なくとも1つのTSNAが、N-ニトロソノルニコチンおよび4-(メチルニトロソアミノ)-l-(3-ピリジル)-l-ブタノン、N'-ニトロソアナタビン、ならびにN'-ニトロソアナバシンからなる群より選択される、請求項85記載の方法。
【請求項87】
後代植物または種子が、PY QTLを欠く第2のタバコ植物と比較して、USDA葉等級指数の増加を含む、請求項66記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照および配列表の組み入れ
本出願は、2019年10月10日付で出願された米国特許仮出願第62/913,313号; および2019年10月10日付で出願された米国特許仮出願第62/913,414号の恩典を主張するものであり、その両方とも参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。102,745バイト(MS-Windows(登録商標)で測定された)であり、2020年10月9日に作成されたファイル「P34737WO00_SL.txt」に含まれる配列表は、本明細書に添付して電子的に出願され、参照によりその全体が組み入れられる。
【0002】
分野
本開示は、タバコにおける淡黄色(Pale Yellow)(PY)遺伝子座の同定および遺伝子移入に関連したタバコ植物、タバコ種子、組成物、および方法に関する。本開示は同様に、タバコにおけるPY遺伝子座内での新規変異の作製に関する。
【0003】
配列
核酸配列およびアミノ酸配列の一覧表を表1に提供する。
【0004】
(表1)核酸配列およびアミノ酸配列
【背景技術】
【0005】
背景
商業用のタバコ(ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum))品種では、老化の加速は、従来の品種に関連する黄変プロセス中にさもなければ蓄積するタバコ特有のニトロソアミン(TSNA)のレベルを低減するのに役立つ。2つの遺伝子座Yb1およびYb2は、バーレイ(burley)タバコでの老化速度の制御に関与している。3番目の遺伝子座である淡黄色(PY)遺伝子座も、バーレイ、フルーキュアード(flue-cured)、およびダーク(dark)栽培品種での老化速度の制御に関与することが知られている。PY遺伝子座の存在はTSNAレベルを低減させることも知られている。
【0006】
PY遺伝子座の位置および同定は不明のままであり、PY遺伝子座を所望のタバコ品種に組み込むには、時間のかかる主観的な選択プロセスを必要とする。本開示は、タバコゲノム内のPY遺伝子座の位置を提供する。本開示は同様に、異なるタバコ系統へのPY遺伝子座の加速された育種を容易にするためのマーカーを提供する。さらに、PY遺伝子座を低アルカロイドタバコ系統に組み込むことで、USDA等級指数によって測定される葉の品質の著しい向上がもたらされる。
【発明の概要】
【0007】
概要
1つの局面において、本開示は、淡黄色(PY)表現型を示すタバコ植物の集団を作製する方法であって、(a) PY量的形質遺伝子座(QTL)に関連しかつSEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の20センチモルガン(cM)以内に連関した1つまたは複数のマーカー遺伝子座の存在について、タバコ植物またはタバコ種子の第1の集団を遺伝子型判定する段階; (b) 段階(a)において遺伝子型判定された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子を選択する段階であって、該1つまたは複数のタバコ植物または種子が、該1つまたは複数のマーカー遺伝子座および該PY QTLを含む、段階; ならびに(c) PY QTLおよび1つまたは複数のマーカー遺伝子座を含むタバコ植物またはタバコ種子の第2の集団を、段階(b)において選択された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子から産生する段階であって、該タバコ植物またはタバコ種子の第2の集団が、淡黄色表現型を示す少なくとも1つのタバコ植物または種子を含む、段階を含む、方法を提供する。
【0008】
1つの局面において、本開示は、淡黄色(PY)表現型を示すタバコ植物の集団を作製する方法であって、(a) PY量的形質遺伝子座(QTL)に関連しかつSEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の20,000,000ヌクレオチド以内に位置した1つまたは複数のマーカー遺伝子座の存在について、タバコ植物またはタバコ種子の第1の集団を遺伝子型判定する段階; (b) 段階(a)において遺伝子型判定された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子を選択する段階であって、該1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子が、該1つまたは複数のマーカー遺伝子座および該PY QTLを含む、段階; ならびに(c) PY QTLおよび1つまたは複数のマーカー遺伝子座を含むタバコ植物またはタバコ種子の第2の集団を、段階(b)において選択された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子から産生する段階であって、該タバコ植物またはタバコ種子の第2の集団が、淡黄色表現型を示す少なくとも1つのタバコ植物または種子を含む、段階を含む、方法を提供する。
【0009】
1つの局面において、本開示は、淡黄色(PY) QTLを遺伝子移入する方法であって、(a) PY量的形質遺伝子座(QTL)を含む第1のタバコ植物を、異なる遺伝子型の第2のタバコ植物と交配して、1つまたは複数の後代植物または種子を産生する段階; ならびに(b) (i) SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン; (ii) SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン; (iii) SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン; (iv) SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン、または(v) SEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニンからなる群より選択される少なくとも1つのPY関連一塩基多型(SNP)を含む段階(a)において産生された後代植物または種子を選択する段階であって、該選択された後代植物または種子が淡黄色表現型を含む、段階を含む、方法を提供する。
【0010】
1つの局面において、本開示は、淡黄色(PY)形質を遺伝子移入する方法であって、(a) SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列に非天然変異を含む第1のタバコ植物を、異なる遺伝子型の第2のタバコ植物と交配して、1つまたは複数の後代植物または種子を産生する段階; ならびに(b) 非天然変異を含む段階(a)において産生された後代植物または種子を選択する段階であって、該後代植物または種子がPY形質を含む、段階を含む、方法を提供する。
【0011】
1つの局面において、本開示は、非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸構築物を含む、改変されたタバコ植物またはその部分を提供し、ここで非コードRNA分子が、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができ、ここで非コードRNA分子が、該アミノ酸配列の発現を抑制し、かつここで改変されたタバコ植物が淡黄色表現型を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】定量的RT-PCRを用いて測定されたg58899 (SEQ ID NO: 24)の発現を示す。摘心後のさまざまな時点のタバコ品種KY171、淡黄色(Pale Yellow) KY171 (PY_KY171)、およびTI1372について、3つの生物学的複製物にわたり測定されたg58899の平均RQ (例えば、倍変化)を示す。アクチンを対照として用いている。
図2】定量的RT-PCRを用いて測定されたg61524 (SEQ ID NO: 27)の発現を示す。摘心後のさまざまな時点のタバコ品種KY171、淡黄色(Pale Yellow) KY171 (PY_KY171)、およびTI1372について、3つの生物学的複製物にわたり測定されたg61524の平均RQ (例えば、倍変化)を示す。アクチンを対照として用いている。
図3】定量的RT-PCRを用いて測定されたg58917 (SEQ ID NO: 25)の発現を示す。摘心後のさまざまな時点のタバコ品種KY171、淡黄色(Pale Yellow) KY171 (PY_KY171)、およびTI1372について、3つの生物学的複製物にわたり測定されたg58917の平均RQ (例えば、倍変化)を示す。アクチンを対照として用いている。
図4】g58899 (SEQ ID NO: 54)を過剰発現するT0植物のRNA発現を示す。
図5】g58899 (SEQ ID NO: 54)を過剰発現する4つの植物系統の写真を示す。黒色の矢印は淡黄色の組織を指し示している。
図6】組織培養においてg58899 (SEQ ID NO: 44)発現を抑制するようにデザインされたRNAi構築物(SEQ ID NO: 52)を発現する植物の写真を示す。黒色の矢印は淡黄色の組織を指し示している。
図7】g58899 (SEQ ID NO: 44)発現を抑制するようにデザインされたRNAi構築物(SEQ ID NO: 52)を発現するT0植物のRNA発現を示す。
図8】g58899 (SEQ ID NO: 44)発現を抑制するためにデザインされたRNAi構築物(SEQ ID NO: 52)を発現するT0植物の写真を示す。記号「+」は、野生型様発現を示す。記号「(-)」、「-」、「--」および「---」は、半定量的PCRによって決定された下方制御のレベルの増加をいい、(-)はその群内で下方制御が最も少なく、---は下方制御が最も多い。WTは、RNAi構築物を欠くナローリーフマドール(Narrow Leaf Madole)対照植物をいう。g58905は、g58905 (SEQ ID NO: 26)を抑制するためにデザインされたRNAi構築物を発現する植物をいう。植物は、他に断らない限り、摘心3週間後に画像化される。
図9】定量的RT-PCRを用いて測定されたg58899 (SEQ ID NO: 24)の発現を示す。摘心前(UT)および摘心24時間後(24時間)のタバコ品種ナローリーフマドール(Narrow Leaf Madole) (NLM; 淡黄色形質を欠く)、ds1771 (NLMをTI1372と交配することから作製されたF2集団) 野生型(WT; 淡黄色表現型なし)、淡黄色形質についてヘテロ接合性のds1771 (HT)、淡黄色形質についてホモ接合性のds1771 (HM)、およびTI1372 (淡黄色形質源)について、平均RQを示している。
図10】定量的RT-PCRを用いて測定されたg58917 (SEQ ID NO: 25)の発現を示す。摘心前(UT)および摘心24時間後(24時間)のタバコ品種ナローリーフマドール(Narrow Leaf Madole) (NLM; 淡黄色形質を欠く)、ds1771 (NLMをTI1372と交配することから作製されたF2集団) 野生型(WT; 淡黄色表現型なし)、淡黄色形質についてヘテロ接合性のds1771 (HT)、淡黄色形質についてホモ接合性のds1771 (HM)、およびTI1372 (淡黄色形質源)について、平均RQを示している。
図11】定量的RT-PCRを用いて測定されたg61524 (SEQ ID NO: 27)の発現を示す。摘心前(UT)および摘心24時間後(24時間)のタバコ品種ナローリーフマドール(Narrow Leaf Madole) (NLM; 淡黄色形質を欠く)、ds1771 (NLMをTI1372と交配することから作製されたF2集団) 野生型(WT; 淡黄色表現型なし)、淡黄色形質についてヘテロ接合性のds1771 (HT)、淡黄色形質についてホモ接合性のds1771 (HM)、およびTI1372 (淡黄色形質源)について、平均RQを示している。
図12-1】g58899アミノ酸配列(SEQ ID NO: 30)とBCM1 (SEQ ID NO: 55)およびBCM2 (SEQ ID NO: 56)のシロイヌナズナ(Arabidopsis)アミノ酸配列のアライメントを示す。
図12-2】図12-1の続きの図である。
図13-1】タバコ品種ナローリーフマドール(Narrow Leaf Madole) (NLM; SEQ ID NO: 46)、TN90 (SEQ ID NO: 30)、およびK326 (SEQ ID NO: 57)由来のg58899アミノ酸配列のアライメントを示す。SEQ ID NO: 58としてg58899コンセンサス配列も記載する。
図13-2】図13-1の続きの図である。
図14A】g58917_v2 (SEQ ID NO: 25)の相対定量(RQ)を示す。図14A、14B、および14Cの各々について、タバコ系統K326、淡黄色(Pale Yellow; PY) K326、KY171 LC、PY KY 171 LC、TN90 LC、およびPY TN90 LCがサンプリングされた。サンプルを摘心前(非摘心)および摘心24時間後(「24時間」)に採取した。
図14B】g61524 (SEQ ID NO: 27)のRQを示す。図14A、14B、および14Cの各々について、タバコ系統K326、淡黄色(Pale Yellow; PY) K326、KY171 LC、PY KY 171 LC、TN90 LC、およびPY TN90 LCがサンプリングされた。サンプルを摘心前(非摘心)および摘心24時間後(「24時間」)に採取した。
図14C】g58899 (SEQ ID NO: 24のRQを示す。図14A、14B、および14Cの各々について、タバコ系統K326、淡黄色(Pale Yellow)(PY) K326、KY171 LC、PY KY 171 LC、TN90 LC、およびPY TN90 LCがサンプリングされた。サンプルを摘心前(「非摘心」)および摘心24時間後(「24時間」)に採取した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
他に定義されない限り、使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。用語が単数形で提供される場合、本発明者らは、その用語の複数形によって記述される本開示の局面も企図している。参照により組み入れられる参考文献において用いられる用語および定義に矛盾がある場合、本出願において用いられる用語は、本明細書において与えられる定義を有するものとする。使用される他の技術用語は、さまざまな技術固有の辞書、例えば、「The American Heritage(登録商標) Science Dictionary」(Editors of the American Heritage Dictionaries, 2011, Houghton Mifflin Harcourt, Boston and New York)、the「McGraw-Hill Dictionary of Scientific and Technical Terms」(6th edition, 2002, McGraw-Hill, New York)、またはthe「Oxford Dictionary of Biology」(6th edition, 2008, Oxford University Press, Oxford and New York)によって例示される、それらが使用されている技術分野におけるその通常の意味を有する。
【0014】
例えば、全ての特許、公開された特許出願、および非特許公報を含めて、本明細書において引用されるいずれの参考文献も、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0015】
選択肢の群化が提示される場合、その選択肢の群化を構成する成員の任意のおよび全ての組み合わせが具体的に想定される。例えば、ある項目がA、B、CおよびDからなる群より選択される場合、本発明者らは、各選択肢を個別に(例えば、A単独、B単独など)、ならびにA、BおよびD; AおよびC; BおよびCなどのような組み合わせも具体的に想定している。2つまたはそれ以上の項目のリストで用いられる場合の用語「および/または」は、リストされた項目のいずれか1つをそれ自体で、または他のリストされた項目のいずれか1つもしくは複数との組み合わせで、を意味する。例えば「Aおよび/またはB」という表現は、AおよびBの一方または両方、すなわち、A単独、B単独、または組み合わせでAおよびBを意味するように意図される。「A、Bおよび/またはC」という表現は、A単独、B単独、C単独、組み合わせでAおよびB、組み合わせでAおよびC、組み合わせでBおよびC、または組み合わせでA、BおよびCを意味するように意図される。
【0016】
数の範囲が本明細書において提供される場合、その範囲は、範囲の端だけでなく、範囲の定義された端の間の任意の数を含むと理解される。例えば、「1から10の間」は、1から10の間の任意の数だけでなく、数1と数10を含む。
【0017】
「約」という用語が用いられる場合、プラスまたはマイナス10%を意味すると理解される。例えば、「約100」は、90から110までを含む。
【0018】
本明細書において用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈から明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の参照のものを含む。例えば、「1つの化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含みうる。
【0019】
タバコ植物における優性淡黄色(PY)遺伝子座の存在は、葉の老化を加速する。老化の加速により、葉に蓄積するタバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)が少なくなる。歴史的に、PY遺伝子座を異なるタバコ系統または品種に遺伝子移入する唯一の方法は、PY遺伝子座を保有することが疑われる植物の表現型を主観的にスコアリングし、保有が疑われる植物を異なるタバコ植物に交配し、その後、後代を栽培してスクリーニングすることによるものである。しかしながら、交配は、PYに関連する表現型の発生前に行われる必要がありうる。これに対処するため、個々の葉をエテホンなどの化学物質で処理して、老化の速度を上げることができる。これにより、老化が自然に起こるのを待っている間に他の方法で可能であるよりも、植物の寿命の早い段階で表現型のスコアリングが可能になる。これらの要件により、PY遺伝子座を遺伝子移入するプロセスには時間と労力がかかっていた。
【0020】
PY遺伝子座は、存在する場合、「淡黄色(PY)表現型」または「PY形質」と呼ばれるものを生じる。PY表現型は、優性PY遺伝子座を欠く対照植物と比較して、クロロフィルの分解および/または葉の成熟を加速させる。PY表現型は、葉の黄変の早期発生により現れ、最終的には完全に黄色の葉をもたらす。この黄変は、PY形質を欠く同じ遺伝的背景の対照タバコ植物で現れるよりも早く起こる。典型的には、PY形質の表現型は、タバコ植物が摘心される後まで現れない。
【0021】
1つの局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも1日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも2日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも3日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも4日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも5日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも6日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも7日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも8日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも9日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも10日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも14日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも18日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。別の局面において、PY形質を含むタバコ植物は、同じ環境条件下で栽培された場合、PY形質を欠く同じ品種の対照タバコ植物よりも少なくとも21日早く摘心後に少なくとも1枚の緑葉の葉黄変を示す。
【0022】
タバコでは、茎が成長するにつれて新しい葉が形成される。それゆえ、最も若い葉は茎の一番上の葉であり、最も古い葉は茎の一番下の葉にある。
【0023】
1つの局面において、摘心後にPY形質を含むタバコ植物に残存している最も若いおよび最も古い緑葉は、タバコ植物が摘心された後に互いに1日以内に黄色に変わり始める。別の局面において、摘心後にPY形質を含むタバコ植物に残存している最も若いおよび最も古い緑葉は、タバコ植物が摘心された後に互いに2日以内に黄色に変わり始める。別の局面において、摘心後にPY形質を含むタバコ植物に残存している最も若いおよび最も古い緑葉は、タバコ植物が摘心された後に互いに3日以内に黄色に変わり始める。別の局面において、摘心後にPY形質を含むタバコ植物に残存している最も若いおよび最も古い緑葉は、タバコ植物が摘心された後に互いに4日以内に黄色に変わり始める。別の局面において、摘心後にPY形質を含むタバコ植物に残存している最も若いおよび最も古い緑葉は、タバコ植物が摘心された後に互いに5日以内に黄色に変わり始める。別の局面において、摘心後にPY形質を含むタバコ植物に残存している最も若いおよび最も古い緑葉は、タバコ植物が摘心された後に互いに6日以内に黄色に変わり始める。別の局面において、摘心後にPY形質を含むタバコ植物に残存している最も若いおよび最も古い緑葉は、タバコ植物が摘心された後に互いに7日以内に黄色に変わり始める。
【0024】
PY表現型は、タバコ品種に依存してわずかに異なる形で現れうることが当技術分野において理解されている。従来の暗色タバコ品種は、熟成プロセス中に黄色に変わらないので、PY表現型は暗色タバコ品種において最も容易に観察される。典型的には、暗色タバコ品種の葉は、摘心後も膨張し、厚くなり、より脆くなり続けるが、葉の色は濃緑色のままである。時折、葉に色が緑色ではないシミを発現することもある。従来の暗色タバコ品種を収穫した場合、摘心からおよそ5~7週間後に、葉または茎の黄変はほとんど観察されない。対照的に、PY形質が暗色タバコ品種に遺伝子移入された場合、植物は摘心2週間以内に葉の黄変を示し始める。植物は全ての葉の、特に葉身での黄変を示す(中脈は通常、緑色のままである)。また、植物は黄色い茎を示す。
【0025】
1つの局面において、PY形質を含む暗色タバコ植物は、摘心後に少なくとも1枚の緑葉の黄変を示す。
【0026】
暗色タバコ品種とは異なり、従来のバーリータバコ品種は熟成プロセス中に黄変する。バーリータバコは摘心されると、下(古)葉の一部は既に黄変し始めている可能性がある。従来のバーレイタバコは摘心後、下から上へと黄変し続ける。しかしながら、バーレイタバコにPY形質がある場合、植物は加速されたペースで黄色に変わり、全ての葉が同時に黄変し始め、多くの場合、摘心1週間以内に黄変する。
【0027】
本明細書において用いられる場合、「黄変」は、タバコの葉または茎の組織でクロロフィルが失われ、黄色の着色をもたらすことをいう。
【0028】
本開示は、初めて、PY遺伝子座の染色体位置を特定する。本開示は同様に、タバコにおけるPY遺伝子座を追跡するのに適したマーカーを提供する。
【0029】
1つの局面において、本開示は、淡黄色(PY)表現型を示すタバコ植物の集団を作製する方法であって、(a) PY量的形質遺伝子座(QTL)に関連しかつSEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の20センチモルガン以内に連関した1つまたは複数のマーカー遺伝子座の存在について、タバコ植物またはタバコ種子の第1の集団を遺伝子型判定する段階; (b) 段階(a)において遺伝子型判定された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子を選択する段階であって、該1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子が、該1つまたは複数のマーカー遺伝子座および該PY QTLを含む、段階; ならびに(c) PY QTLおよび1つまたは複数のマーカー遺伝子座を含むタバコ植物またはタバコ種子の第2の集団を、段階(b)において選択された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子から産生する段階であって、該タバコ植物またはタバコ種子の第2の集団が、PY表現型を示す少なくとも1つのタバコ植物またはタバコ種子を含む、段階を含む、方法を提供する。
【0030】
別の局面において、本開示は、淡黄色(PY)表現型を示すタバコ植物の集団を作製する方法であって、(a) PY量的形質遺伝子座(QTL)に関連しかつSEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の20,000,000ヌクレオチド以内に連関した1つまたは複数のマーカー遺伝子座の存在について、タバコ植物またはタバコ種子の第1の集団を遺伝子型判定する段階; (b) 段階(a)において遺伝子型判定された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子を選択する段階であって、該1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子が、該1つまたは複数のマーカー遺伝子座および該PY QTLを含む、段階; ならびに(c) PY QTLおよび1つまたは複数のマーカー遺伝子座を含むタバコ植物またはタバコ種子の第2の集団を、段階(b)において選択された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子から産生する段階であって、該タバコ植物またはタバコ種子の第2の集団が、PY表現型を示す少なくとも1つのタバコ植物またはタバコ種子を含む、段階を含む、方法を提供する。
【0031】
マーカー
本明細書において用いられる場合、「に関連する」または「に連関する」という語句は、2つの実体間の認識可能および/またはアッセイ可能な関係をいう。例えば、「PY形質に関連する」または「PY QTLに関連する」という語句は、その有無が、PY形質またはPY QTLを有する植物またはその関心対象の部分の程度、度合い、および/または速度に影響を与えうる、形質、遺伝子座、遺伝子、対立遺伝子、マーカー、表現型など、またはその発現をいう。このように、マーカーが形質に連関している場合、ならびにマーカーの存在は、所望の形質または形質の形態が、該マーカーを含む植物/生殖質において生じるかどうか、および/またはどの程度まで生じるかを示す指標になる場合、マーカーは形質「に関連し」ている。同様に、マーカーが対立遺伝子に連関している場合、およびマーカーの存在は、対立遺伝子が、該マーカーを含む植物/生殖質に存在するかどうかを示す指標になる場合、マーカーは対立遺伝子「に関連し」ている。例えば、「PY形質に関連するマーカー」は、その有無を用いて、植物がPY表現型を呈するかどうか、およびどの程度まで呈するかを予測することができるマーカーをいう。
【0032】
1つの局面において、PY QTLは、タバコゲノムの第15染色体上のSSRマーカーPT51549とPT55414の間に位置付けられている。
【0033】
本明細書において用いられる場合、「遺伝子座」は、染色体上の固定された位置をいう。1つの局面において、遺伝子座は遺伝子を含む。別の局面において、遺伝子座はマーカーを含む。遺伝子座は、ゲノム領域内の単一ヌクレオチド、数ヌクレオチド、または多数のヌクレオチドを表すことができる。本明細書において用いられる場合、「マーカー」、「分子マーカー」または「マーカー遺伝子座」は、ゲノム上の特定の遺伝子座を特徴付けるのに十分に固有である核酸配列をいう。検出可能ないずれの多型形質も、それが差次的に遺伝し、関心対象の表現型形質との連鎖不平衡を示す限り、マーカーとして用いることができる。ある形質が所与のマーカーに連関していると述べられている場合、その形質に影響を与える配列の実際のDNAセグメントは、一般的にマーカーと同時分離することが理解されるであろう。形質の両側でマーカーが同定されたなら、より正確かつ明確な形質の局在を得ることができる。形質の実際の評価には、その形質が発現されうる段階までおよび/または環境条件の下で植物を栽培する必要があるため、困難かつ時間がかかりうる、形質自体の出現を実際に評価することなく、交配後代でのマーカーの出現を測定することにより、比較的簡単な分子的試験によって形質の存在を検出することができる。マーカーが2つ以上の対立遺伝子を含むことができ、2つ以上の対立遺伝子が所定の形質に関連することができることは当技術分野において理解されている。
【0034】
本明細書において用いられる場合、「対立遺伝子」は、特定の遺伝子座における代替の核酸配列をいう。対立遺伝子の長さは、1ヌクレオチド塩基と同じくらい小さいことがある。例えば、第1の対立遺伝子は1つの染色体上に生じ、第2の対立遺伝子は、例えばヘテロ接合個体の異なる染色体について生じるように、または集団内の異なるホモ接合個体もしくはヘテロ接合個体の間で生じるように、第2の相同染色体上に生じることができる。
【0035】
遺伝的連鎖は、有性生殖の減数分裂期の間にDNA遺伝子座(例えば、遺伝子、マーカー)が一緒に遺伝する傾向をいう。物理的に互いに近い遺伝子座は、遺伝的に互いに「連関」している可能性がより高い。連鎖は、遺伝的連鎖または物理的連鎖のいずれかをいうことができる。遺伝的連鎖は通常センチモルガンを用いて測定され、物理的連鎖は通常ヌクレオチド単位で測定される。
【0036】
本明細書において用いられる場合、「センチモルガン」(cM)は、単一世代における介在する染色体交差の予想される平均数が0.01である染色体位置(遺伝子座またはマーカーとも称される)間の距離をいう。2つの遺伝子座間の遺伝的距離が50 cMを超える場合、2つの遺伝子座は通常、遺伝的に連関していないと見なされる。
【0037】
1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の20 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の17.5 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の15 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の14 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の13 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の12 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の11 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の9 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の8 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の7 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の6 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の5 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の4 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の3 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の2 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.5 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.25 cM以内にある。
【0038】
1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.01 cM~20 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.05 cM~20 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.1 cM~20 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.5 cM~20 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1 cM~20 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の5 cM~20 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10 cM~20 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.01 cM~15 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.01 cM~10 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.01 cM~7.5 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.01 cM~5 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.01 cM~2.5 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.01 cM~1 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.5 cM~10 cM以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.5 cM~5 cM以内にある。
【0039】
1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の75,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の50,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の40,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の30,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の25,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の20,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の17,500,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の15,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の12,500,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の9,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の8,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の7,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の6,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の5,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の4,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の3,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の2,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の750,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の500,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の250,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の75,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の50,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の25,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の5,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の2,500ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の750ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の500ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の250ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100ヌクレオチド以内にある。
【0040】
1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1ヌクレオチド~100,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10ヌクレオチド~100,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100ヌクレオチド~100,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1,000ヌクレオチド~100,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10,000ヌクレオチド~100,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100,000ヌクレオチド~100,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1,000,000ヌクレオチド~100,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10,000,000ヌクレオチド~100,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1ヌクレオチド~50,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10ヌクレオチド~50,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100ヌクレオチド~50,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1,000ヌクレオチド~50,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10,000ヌクレオチド~50,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100,000ヌクレオチド~50,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1,000,000ヌクレオチド~50,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10,000,000ヌクレオチド~50,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1ヌクレオチド~20,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10ヌクレオチド~20,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100ヌクレオチド~20,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1,000ヌクレオチド~20,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10,000ヌクレオチド~20,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100,000ヌクレオチド~20,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1,000,000ヌクレオチド~20,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10,000,000ヌクレオチド~20,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1ヌクレオチド~10,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10ヌクレオチド~10,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100ヌクレオチド~10,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1,000ヌクレオチド~10,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10,000ヌクレオチド~10,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100,000ヌクレオチド~10,000,000ヌクレオチド以内にある。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1,000,000ヌクレオチド~10,000,000ヌクレオチド以内にある。
【0041】
1つの局面において、遺伝子座はSEQ ID NO: 1を含む。別の局面において、遺伝子座はSEQ ID NO: 2を含む。別の局面において、遺伝子座はSEQ ID NO: 3を含む。別の局面において、遺伝子座はSEQ ID NO: 4を含む。別の局面において、遺伝子座はSEQ ID NO: 5を含む。
【0042】
本明細書において提供される方法および組成物で用いるために、任意のタイプの多型マーカーが想定される。1つの局面において、マーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される。1つの局面において、マーカー遺伝子座はSEQ ID NO: 1を含む。1つの局面において、マーカー遺伝子座はSEQ ID NO: 2を含む。1つの局面において、マーカー遺伝子座はSEQ ID NO: 3を含む。1つの局面において、マーカー遺伝子座はSEQ ID NO: 4を含む。1つの局面において、マーカー遺伝子座はSEQ ID NO: 5を含む。
【0043】
1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、(a) SEQ ID NO: 1の121位のグアニン; (b) SEQ ID NO: 2の121位のグアニン; (c) SEQ ID NO: 3の101位のグアニン; (d) SEQ ID NO: 4の121位のチミン; および(e) SEQ ID NO: 5の121位のグアニンからなる群より選択される一塩基多型(SNP)を含む。
【0044】
1つの局面において、マーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 1の121位のグアニンを含む。別の局面において、マーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 2の121位のグアニンを含む。別の局面において、マーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 3の101位のグアニンを含む。別の局面において、マーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 4の121位のチミンを含む。別の局面において、マーカー遺伝子座は、SEQ ID NO: 5の121位のグアニンを含む。
【0045】
1つの局面において、植物または種子はSNPについてホモ接合性である。別の局面において、植物または種子はSNPについてヘテロ接合性である。
【0046】
1つの局面において、植物または種子はマーカー遺伝子座についてホモ接合性である。別の局面において、植物または種子はマーカー遺伝子座についてヘテロ接合性である。
【0047】
1つの局面において、マーカー遺伝子座は、1つまたは複数の一塩基多型マーカーを含む。別の局面において、マーカー遺伝子座は、1つまたは複数の挿入-欠失(INDEL)マーカーを含む。別の局面において、マーカー遺伝子座は、1つまたは複数の単純反復配列(SSR)マーカーを含む。別の局面において、マーカー遺伝子座は、1つまたは複数の制限断片長多型(RFLP)マーカーを含む。別の局面において、マーカー遺伝子座は、1つまたは複数のランダム増幅多型DNA (RAPD)マーカーを含む。別の局面において、マーカー遺伝子座は、1つまたは複数の増幅断片長多型(AFLP)マーカーを含む。1つの局面において、1つまたは複数のマーカー遺伝子座は、1つまたは複数のSNPマーカー、1つまたは複数のINDELマーカー、1つまたは複数のSSRマーカー、1つまたは複数のRFLPマーカー、1つまたは複数のRAPDマーカー、および1つまたは複数のAFLPマーカーからなる群より選択される。
【0048】
遺伝子型判定は、分子アッセイ法を用いてDNA配列を調べ、その配列を参照配列と比較することにより、個々の植物または植物細胞の遺伝的構成を判定することを伴う必要があるものと理解されよう。遺伝子型判定は、植物または植物細胞の目視検査のみで実施される視覚的な表現型判定とは異なる。1つの局面において、遺伝子型判定は、植物または植物細胞の視覚的な表現型判定を含まない。
【0049】
1つの局面において、遺伝子型判定は、1つまたは複数のマーカー遺伝子座を検出することを含む。別の局面において、遺伝子型判定(genotype)は、1つもしくは複数の対立遺伝子または1つもしくは複数のマーカー遺伝子座を検出することを含む。マーカー遺伝子座の存在、またはマーカー遺伝子座の特定の対立遺伝子を検出することは、任意の適当な方法もしくは技法または当技術分野において公知の方法を含むことができる。マーカーまたはマーカーの対立遺伝子を検出するための非限定的な例としては、ゲル電気泳動、DNA配列決定、RNA配列決定、サザンブロット、およびマイクロアレイ技術が挙げられる。
【0050】
1つの局面において、遺伝子型判定は、オリゴヌクレオチドプローブの使用を含む。本明細書において用いられる場合、「オリゴヌクレオチドプローブ」は、関心対象のポリヌクレオチドに相補的(必ずしも完全に相補的ではないが)であり、関心対象のポリヌクレオチドの少なくとも1つの鎖とのハイブリダイゼーションによって二重構造を形成するオリゴヌクレオチド(合成または天然に存在する)をいう。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブはDNAを含む。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブはRNAを含む。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは一本鎖である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは部分的に二本鎖である。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、PCRのプライマーとして機能することができる。
【0051】
典型的には、オリゴヌクレオチドプローブは、長さが10ヌクレオチド~50ヌクレオチドを含むが、より長いまたはより短い配列を利用することができる。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、15ヌクレオチド~40ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、15ヌクレオチド~35ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、15ヌクレオチド~30ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、20ヌクレオチド~40ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、20ヌクレオチド~35ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、10ヌクレオチド~100ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、10ヌクレオチド~75ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、10ヌクレオチド~50ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、10ヌクレオチド~40ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、10ヌクレオチド~30ヌクレオチドを含む。
【0052】
1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも18ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも19ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも20ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも21ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも22ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも23ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも24ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも25ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも26ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも27ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも28ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも29ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも30ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも31ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも32ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも33ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも34ヌクレオチドを含む。1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも35ヌクレオチドを含む。
【0053】
プローブは、検出可能な標識をさらに含むことができる。検出可能な標識は、5'末端、3'末端、またはオリゴヌクレオチドプローブの内部にあることができる。オリゴヌクレオチドプローブは、特定のマーカーまたはマーカーの特定の対立遺伝子とハイブリダイズするようにデザインすることができる。検出可能な標識の非限定的な例としては、ビオチン、フルオロフォア(例えば、緑色蛍光タンパク質、テキサスレッド(Texas Red)(登録商標)、VIC(商標)、JUN(商標)、ABY(商標))、および放射性同位体(例えば、リン-32、硫黄-35、ヨウ素-125)が挙げられる。
【0054】
1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、TaqMan(商標)プローブである。TaqMan(商標)プローブは、定量的PCRの特異性を高めるために用いられることが多い。TaqMan(商標)プローブは、Taqポリメラーゼの5'から3'方向のエキソヌクレアーゼ活性に依存して、相補的な標的配列とのハイブリダイゼーションおよびフルオロフォアに基づく検出の間に二重標識プローブを切断する。他の定量的PCR法と同様に、得られた蛍光シグナルにより、PCRの指数関数的段階中に産物の蓄積を定量的に測定することが可能になる; ただし、TaqMan(商標)プローブは、検出の特異性を有意に増加させる。
【0055】
1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列を含む。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と少なくとも85%同一の核酸配列を含む。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と少なくとも90%同一の核酸配列を含む。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と少なくとも95%同一の核酸配列を含む。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と少なくとも96%同一の核酸配列を含む。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と少なくとも97%同一の核酸配列を含む。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と少なくとも98%同一の核酸配列を含む。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と少なくとも99%同一の核酸配列を含む。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と100%同一の核酸配列を含む。
【0056】
1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも80%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも85%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも90%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも91%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも92%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも93%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも94%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも95%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも96%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも97%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも98%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと少なくとも99%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも18個の連続するヌクレオチドと100%同一である。
【0057】
1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも80%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも85%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも90%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも91%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも92%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも93%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも94%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも95%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも96%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも97%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも98%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと少なくとも99%同一である。別の局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列の少なくとも21個の連続するヌクレオチドと100%同一である。
【0058】
1つの局面において、オリゴヌクレオチドプローブは、1つまたは複数のマーカー遺伝子座の多型ヌクレオチド位置に隣接する。本明細書において用いられる場合、「隣接する」とは、オリゴヌクレオチドプローブの最も近い末端(3'または5')および多型ヌクレオチド位置から0ヌクレオチドから50ヌクレオチドの間の距離をいう。本明細書において用いられる場合、「多型ヌクレオチド位置」は、所与のマーカー遺伝子座の2つまたはそれ以上の対立遺伝子の間の差異(例えば、挿入、欠失、置換)をいう。多型ヌクレオチド位置は、対立遺伝子配列間のペアワイズ比較を作製することによって見出すことができる。例えば、第1の対立遺伝子がヌクレオチド配列ATTTGを含み、第2の対立遺伝子がヌクレオチド配列TTTTGを含む場合、第1の対立遺伝子は「多型ヌクレオチド位置」であろう。
【0059】
1つの局面において、遺伝子型判定は、ハプロタイプを検出することを含む。本明細書において用いられる場合、「ハプロタイプ」は、片方の親から受け継がれた2つまたはそれ以上の遺伝子座の群をいう。遺伝子座には、遺伝子、マーカー、または遺伝子およびマーカーの組み合わせを含めることができる。典型的には、ハプロタイプによって記述される遺伝子座は、物理的および遺伝的に連関している。ハプロタイプは、単一の遺伝子座内に位置付けられたSNPの組み合わせをいうこともできる。
【0060】
1つの局面において、ハプロタイプを検出することは、SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン、SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン、SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン、およびSEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニンからなる群より選択される少なくとも2つの一塩基多型(SNP)を検出することを含む。
【0061】
遺伝子移入
1つの局面において、本開示は、淡黄色(PY)量的形質遺伝子座(QTL)を遺伝子移入する方法であって、(a) PY QTLを含む第1のタバコ植物を、異なる遺伝子型の第2のタバコ植物と交配して、1つまたは複数の後代植物または種子を産生する段階; ならびに(b) (i) SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン; (ii) SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン; (iii) SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン; (iv) SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン、および(v) SEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニンからなる群より選択される少なくとも1つのPY関連一塩基多型を含む段階(a)において産生された後代植物または種子を選択する段階であって、該選択された後代植物または種子がPY表現型を含む、段階を含む、方法を提供する。
【0062】
本明細書において用いられる場合、「遺伝子移入」は、ある遺伝的背景(例えば、遺伝子型)から別の遺伝的背景への遺伝子座の所望の対立遺伝子の伝達をいう。
【0063】
本明細書において用いられる場合、「PY関連一塩基多型」は、PY QTLと分離する多型をいう。
【0064】
本明細書において用いられる場合、「遺伝子型」は、植物または細胞の遺伝的構成をいう。異なるタバコ系統または品種からの2つのタバコ植物は、異なる遺伝子型を有すると理解されるであろう。あるいは、近交系の植物は、通常、同一の遺伝子型を含む。しかしながら、限定するものではないが、PY QTLが単一のTN 90植物に遺伝子移入された場合、PY QTLを含む単一のTN 90植物は、PY QTLを欠く全てのTN 90植物と異なる遺伝子型を有するであろう。
【0065】
変異
1つの局面において、本開示は、淡黄色(PY)形質を遺伝子移入する方法であって、(a) SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸に非天然変異を含む第1のタバコ植物を、異なる遺伝子型の第2のタバコ植物と交配して、1つまたは複数の後代植物または種子を産生する段階; ならびに(b) 非天然変異を含む段階(a)において産生された後代植物または種子を選択する段階であって、該後代植物または種子がPY形質を含む、段階を含む、方法を提供する。
【0066】
1つの局面において、本開示は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列に非天然変異を含む、改変されたタバコ植物またはその部分を提供し、ここで該改変されたタバコ植物は淡黄色表現型を含み、かつここで変異は同じタバコ品種の対照タバコ植物と比較したものである。
【0067】
別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードする核酸配列にお非天然変異を含む、改変されたタバコ植物またはその部分を提供し、ここで該改変されたタバコ植物は淡黄色表現型を含み、かつここで変異は同じタバコ品種の対照タバコ植物と比較したものである。
【0068】
1つの局面において、植物または種子は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列における非天然変異についてホモ接合性である。1つの局面において、植物または種子は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列における非天然変異についてヘテロ接合性である。
【0069】
1つの局面において、植物または種子は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸をコードする核酸配列における非天然変異についてホモ接合性である。1つの局面において、植物または種子は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸をコードする核酸配列における非天然変異についてヘテロ接合性である。本明細書において用いられる場合、「変異」は、遺伝子によってコードされる産物の発現または活性を改変するために遺伝的に導入される遺伝性の遺伝子修飾をいう。そのような修飾は、遺伝子の任意の配列領域中、例えば、プロモーター、5' UTR、エクソン、イントロン、3' UTR、またはターミネーター領域中であることができる。1つの局面において、変異は遺伝子産物の発現または活性を低減、阻害、または排除する。別の局面において、変異は遺伝子産物の発現または活性を増加、上昇、強化、または増強させる。
【0070】
1つの局面において、変異は「非天然」または「天然に存在しない」変異である。本明細書において用いられる場合、「非天然」または「天然に存在しない」変異は、ヒトの介入によって生じた非自然発生的な変異をいい、ヒトの介入なしに生じた自然発生的な変異に対応するものではない。ヒトの介入の非限定的な例としては、突然変異誘発(例えば、化学的突然変異誘発、電離放射線突然変異誘発)および標的遺伝子修飾(例えば、CRISPRに基づく方法、TALENに基づく方法、ジンクフィンガーに基づく方法)が挙げられる。非天然変異および天然に存在しない変異は、自然に生じる(例えば、植物の生殖細胞系列での異常なDNA複製による)自然発生的な変異を含まない。
【0071】
変異を同定する場合、参照DNA配列は同じ品種のタバコに由来するべきであることが理解されよう。例えば、変異を含む改変されたタバコ植物が品種TN90に由来する場合、内在性参照配列は、異なるタバコ品種(例えば、K326)由来の相同配列ではなく、内在性TN90配列でなければならない。同様に、変異を含む改変されたタバコ細胞がTN90細胞である場合、内在性参照配列は、異なるタバコ品種(例えば、K326)由来のタバコ細胞からの相同配列ではなく、内在性TN90配列でなければならない。
【0072】
1つの局面において、非天然変異を含む内在性核酸配列は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列と少なくとも75%同一の核酸配列を含む。1つの局面において、非天然変異を含む内在性核酸配列は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列と少なくとも80%同一の核酸配列を含む。1つの局面において、非天然変異を含む内在性核酸配列は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列と少なくとも85%同一の核酸配列を含む。1つの局面において、非天然変異を含む内在性核酸配列は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列と少なくとも90%同一の核酸配列を含む。1つの局面において、非天然変異を含む内在性核酸配列は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列と少なくとも95%同一の核酸配列を含む。1つの局面において、非天然変異を含む内在性核酸配列は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列と少なくとも96%同一の核酸配列を含む。1つの局面において、非天然変異を含む内在性核酸配列は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列と少なくとも97%同一の核酸配列を含む。1つの局面において、非天然変異を含む内在性核酸配列は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列と少なくとも98%同一の核酸配列を含む。1つの局面において、非天然変異を含む内在性核酸配列は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列と少なくとも99%同一の核酸配列を含む。1つの局面において、非天然変異を含む内在性核酸配列は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列と100%同一の核酸配列を含む。
【0073】
1つの局面において、本明細書において提供される変異は、変異された遺伝子座の優性対立遺伝子を作製する。優性対立遺伝子は、同じ遺伝子座の第2の対立遺伝子の寄与をマスクする対立遺伝子である。優性対立遺伝子は、「ドミナントネガティブ対立遺伝子」または「ドミナントポジティブ対立遺伝子」であることができる。ドミナントネガティブ対立遺伝子、または抑制的対立遺伝子は、通常の対立遺伝子の機能に反して作用する対立遺伝子である。ドミナントネガティブ対立遺伝子は、通常、正常に機能せず、野生型タンパク質の活性を直接阻害するか(例えば、二量体化によって)、または野生型タンパク質の正常な機能に必要な第2のタンパク質(例えば、活性化因子もしくは経路の下流成分)の活性を阻害するかのいずれかである。例えば、ドミナントネガティブ対立遺伝子は、ヘテロ接合状態またはホモ接合状態における対立遺伝子の正常な機能を無効化または低減する。ドミナントポジティブ対立遺伝子は、正常な遺伝子機能を増加させることができ(例えば、高次形態)、または遺伝子に新しい機能を提供することができる(例えば、新形態)。半優性対立遺伝子は、対立遺伝子についてヘテロ接合性である個体における関連表現型の浸透度が、対立遺伝子についてホモ接合性である個体において観察される浸透度よりも小さい場合に生じる。
【0074】
1つの局面において、本明細書において提供される変異は、変異された遺伝子座のドミナントネガティブ対立遺伝子を作製する。別の局面において、本明細書において提供される変異は、変異された遺伝子座のドミナントポジティブ対立遺伝子を作製する。
【0075】
本明細書において用いられる場合、変異を「誘発する」とは、ヒトの介入を介してポリヌクレオチド配列に変異を作製することをいう。タバコに変異を誘発するための多くの適当な方法が、当技術分野において公知である。そのような方法の非限定的な例としては、化学的変異原の使用、放射線照射の使用、およびヌクレアーゼの使用が挙げられる。1つの局面において、変異を誘発することは、化学的変異原、放射線照射、トランスポゾン、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、およびヌクレアーゼからなる群より選択される作用物質の使用を含む。
【0076】
1つの局面において、変異を誘発することは、化学的変異原の使用を含む。1つの局面において、化学的変異原はメタンスルホン酸エチル(EMS)を含む。
【0077】
別の局面において、変異を誘発することは、放射線照射の使用を含む。1つの局面において、放射線照射はガンマ線、X線、または電離放射線を含む。別の局面において、放射線照射は高速中性子の使用を含む。
【0078】
1つの局面において、変異を誘発することは、トランスポゾンの使用を含む。別の局面において、変異を誘発することは、アグロバクテリウムの使用を含む。
【0079】
さらなる局面において、変異を誘発することは、ヌクレアーゼの使用を含む。1つの局面において、ヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ、CRISPR/Cpf1ヌクレアーゼ、CRISPR/CasXヌクレアーゼ、CRISPR/CasYヌクレアーゼ、およびCsm1ヌクレアーゼからなる群より選択される。1つの局面において、変異を誘発することは、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼの使用を含む。1つの局面において、変異を誘発することは、CRISPR/Cpf1ヌクレアーゼの使用を含む。1つの局面において、変異を誘発することは、CRISPR/CasXヌクレアーゼの使用を含む。1つの局面において、変異を誘発することは、CRISPR/CasYヌクレアーゼの使用を含む。1つの局面において、変異を誘発することは、Csm1ヌクレアーゼの使用を含む。
【0080】
いくつかのタイプの変異が当技術分野において公知である。1つの局面において、変異は挿入を含む。「挿入」は、内在性の参照ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列と比較して、それぞれ、所与のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列への1つまたは複数のヌクレオチドまたはアミノ酸の付加をいう。別の局面において、変異は欠失を含む。「欠失」は、内在性の参照ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列と比較して、それぞれ、所与のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対する1つまたは複数のヌクレオチドまたはアミノ酸の除去をいう。別の局面において、変異は置換を含む。「置換」は、内在性の参照ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列と比較して、それぞれ、所与のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対する1つまたは複数のヌクレオチドまたはアミノ酸の置換をいう。別の局面において、変異は逆位を含む。「逆位」は、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列のセグメントが端から端まで反転している場合をいう。1つの局面において、本明細書において提供される変異は、挿入、欠失、置換、および逆位からなる群より選択される変異を含む。
【0081】
1つの局面において、非天然変異は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される野生型核酸配列に対する1つまたは複数のヌクレオチドの置換、欠失、挿入、重複、および逆位からなる群より選択される変異を含む。
【0082】
1つの局面において、非天然変異は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードする野生型核酸配列に対する1つまたは複数のヌクレオチドの置換、欠失、挿入、重複、および逆位からなる群より選択される変異を含む。
【0083】
1つの局面において、非天然変異は、ナンセンス変異、ミスセンス変異、フレームシフト変異、スプライス部位変異、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異タイプを含む。本明細書において用いられる場合、「ナンセンス変異」は、核酸配列によってアミノ酸配列に未成熟終止コドンを導入する核酸配列に対する変異をいう。本明細書において用いられる場合、「ミスセンス変異」は、核酸配列によってコードされるアミノ酸配列内で置換を引き起こす核酸配列に対する変異をいう。本明細書において用いられる場合、「フレームシフト変異」は、核酸配列をアミノ酸配列に翻訳するためのフレームをシフトする核酸配列に対する挿入または欠失をいう。「スプライス部位変異」は、タンパク質翻訳のために、あるいは、タンパク質翻訳からエクソンが除外されるように、イントロンを保持させる核酸配列における変異をいう。スプライス部位変異は、ナンセンス変異、ミスセンス変異、またはフレームシフト変異を引き起こしうる。
【0084】
遺伝子のコード領域における変異(例えば、エクソン変異)は、変異したメッセンジャーRNA (mRNA)がタンパク質またはポリペプチドに翻訳されるときに、切断されたタンパク質またはポリペプチドをもたらしうる。1つの局面において、本開示は、タンパク質またはポリペプチドの切断をもたらす変異を提供する。本明細書において用いられる場合、「切断された」タンパク質またはポリペプチドは、内在性対照タンパク質またはポリペプチドと比較して、少なくとも1つ少ないアミノ酸を含む。例えば、内在性タンパク質Aが100個のアミノ酸を含む場合、タンパク質Aの切断型は1~99個のアミノ酸を含むことができる。
【0085】
いかなる科学的理論によっても制限されないが、タンパク質またはポリペプチドの切断を引き起こす1つの方法は、内在性遺伝子のmRNA転写物における未成熟終止コドンの導入によるものである。1つの局面において、本開示は、内在性遺伝子のmRNA転写物において未成熟終止コドンをもたらす変異を提供する。本明細書において用いられる場合、「終止コドン」は、タンパク質翻訳の終結をシグナル伝達するmRNA転写物内のヌクレオチドトリプレットをいう。「未成熟終止コドン」は、内在性mRNA転写物における通常の終止コドンの位置よりも早く(例えば、5'側に)位置する終止コドンをいう。限定するものではないが、「UAG」、「UAA」、「UGA」、「TAG」、「TAA」および「TGA」を含めて、いくつかの終止コドンが当技術分野において公知である。
【0086】
1つの局面において、本明細書において提供される変異は、無発現変異を含む。本明細書において用いられる場合、「無発現変異」は、変異を含む遺伝子によってコードされるタンパク質に完全な機能喪失を与える変異、あるいは、ゲノム遺伝子座によってコードされる低分子RNAに完全な機能喪失を与える変異をいう。無発現変異は、mRNA転写物産生の欠如、低分子RNA転写物産生の欠如、タンパク質機能の欠如、またはそれらの組み合わせを引き起こしうる。
【0087】
本明細書において提供される変異は、内在性遺伝子の任意の部分に位置付けることができる。1つの局面において、本明細書において提供される変異は、内在性遺伝子のエクソン内に位置付けられる。別の局面において、本明細書において提供される変異は、内在性遺伝子のイントロン内に位置付けられる。さらなる局面において、本明細書において提供される変異は、内在性遺伝子の5'非翻訳領域(UTR)内に位置付けられる。さらに別の局面において、本明細書において提供される変異は、内在性遺伝子の3'-UTR内に位置付けられる。さらに別の局面において、本明細書において提供される変異は、内在性遺伝子のプロモーター内に位置付けられる。さらに別の局面において、本明細書において提供される変異は、内在性遺伝子のターミネーター内に位置付けられる。
【0088】
突然変異誘発されたタバコ植物のスクリーニングおよび選択は、当業者に公知の任意の方法論によるものであることができる。スクリーニングおよび選択の方法論の例としては、サザン分析、ポリヌクレオチドの検出のためのPCR増幅、ノザンブロット、RNase保護、プライマー伸長、RNA転写物を検出するためのRT-PCR増幅、サンガー配列決定、次世代配列決定技術(例えば、Illumina、PacBio、Ion Torrent、454) ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの酵素またはリボザイム活性を検出するための酵素アッセイ、ならびにポリペプチドを検出するためのタンパク質ゲル電気泳動、ウエスタンブロット、免疫沈降および酵素免疫測定法が挙げられるが、これらに限定されることはない。インサイチュハイブリダイゼーション、酵素染色、および免疫染色などの他の技法も、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの存在または発現を検出するために用いることができる。参照されている技法の全てを実施するための方法が公知である。
【0089】
1つの局面において、内在性遺伝子の変異は、変異を欠く内在性遺伝子と比較して、発現レベルの低減をもたらす。別の局面において、内在性遺伝子の変異は、変異を欠く内在性遺伝子と比較して、発現レベルの増加をもたらす。
【0090】
1つの局面において、非天然変異は、対照タバコ植物における遺伝子の発現と比較して、発現レベルの低減をもたらす。1つの局面において、非天然変異は、対照タバコ植物における遺伝子の発現と比較して、発現レベルの増加をもたらす。
【0091】
さらなる局面において、内在性遺伝子の変異は、変異を欠く内在性遺伝子によってコードされるタンパク質またはポリペプチドと比較した、変異を有する内在性遺伝子によってコードされるタンパク質またはポリペプチドによる活性レベルの低減をもたらす。さらなる局面において、内在性遺伝子の変異は、変異を欠く内在性遺伝子によってコードされるタンパク質またはポリペプチドと比較した、変異を有する内在性遺伝子によってコードされるタンパク質またはポリペプチドによる活性レベルの増加をもたらす。
【0092】
1つの局面において、非天然変異は、非天然変異を欠くポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドと比較した、非天然変異を含むポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドによる活性レベルの低減をもたらす。別の局面において、非天然変異は、非天然変異を欠くポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドと比較した、非天然変異を含むポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドによる活性レベルの増加をもたらす。
【0093】
1つの局面において、ゲノム遺伝子座の変異は、変異を欠くゲノム遺伝子座と比較して、発現レベルの低減をもたらす。別の局面において、ゲノム遺伝子座の変異は、変異を欠くゲノム遺伝子座と比較して、発現レベルの増加をもたらす。さらなる局面において、ゲノム遺伝子座の変異は、変異を欠くゲノム遺伝子座によってコードされるタンパク質またはポリペプチドと比較した、変異を有するゲノム遺伝子座によってコードされるタンパク質またはポリペプチドによる活性レベルの低減をもたらす。さらなる局面において、ゲノム遺伝子座の変異は、変異を欠くゲノム遺伝子座によってコードされるタンパク質またはポリペプチドと比較した、変異を有するゲノム遺伝子座によってコードされるタンパク質またはポリペプチドによる活性レベルの増加をもたらす。
【0094】
遺伝子発現のレベルは、当技術分野において日常的に調べられている。非限定的な例として、遺伝子発現は、定量的逆転写酵素PCR (qRT-PCR)、RNA配列決定、またはノザンブロットを用いて測定することができる。1つの局面において、遺伝子発現は、qRT-PCRを用いて測定される。別の局面において、遺伝子発現は、ノザンブロットを用いて測定される。別の局面において、遺伝子発現は、RNA配列決定を用いて測定される。
【0095】
1つの局面において、本明細書において提供される方法は、タバコ植物を、MPO、QPT、BBL、A622、アスパラギン酸オキシダーゼ、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ、アルギニンデカルボキシラーゼ、ニコチン取り込み透過酵素(NUP)、およびMATEトランスポーターからなる群より選択される産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現または活性を直接抑制または排除する変異または導入遺伝子を含むタバコ植物と交配する段階をさらに含む。
【0096】
本明細書において用いられる場合、「導入遺伝子」は、改変されたタバコ植物のゲノムに安定して組み込まれている外来性DNAをいう。
【0097】
1つの局面において、PY形質を含むタバコ植物は、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、キノリネートシンターゼ(QS)、BBL、A622、アスパラギン酸オキシダーゼ、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、S-アデノシル-メチオニンシンテターゼ(SAMS)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(PRAI)、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、ニコチン取り込み透過酵素(NUP)、およびMATEトランスポーターからなる群より選択される産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現または活性を直接抑制または排除する変異または導入遺伝子をさらに含む。
【0098】
1つの局面において、PY形質を含むタバコ植物は、Nic2遺伝子座のERF遺伝子の変異をさらに含む。1つの局面において、PY形質を含むタバコ植物は、ERF189、ERF115、ERF221、ERF104、ERF179、ERF17、およびERF168からなる群より選択される2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、6つもしくはそれ以上、または7つ全ての遺伝子の1つまたは複数の変異をさらに含む。Shoji et al., Plant Cell, (10):3390-409 (2010); およびKajikawa et al.,, Plant physiol. 2017, 174:999-1011を参照されたい。1つの局面において、PY形質を含むタバコ植物は、ERF189、ERF115またはその両方の1つまたは複数の変異をさらに含む。
【0099】
1つの局面において、PY形質を含むタバコ植物は、Nic1遺伝子座(またはWO/2019/140297として公開されている、2019年1月11日付で出願されたPCT/US2019/013345のようにNic1b遺伝子座)のERF遺伝子の変異をさらに含む。WO/2018/237107も参照されたい。1つの局面において、PY形質植物を含むタバコは、ERF101、ERF110、ERFnew、ERF199、ERF19、ERF130、ERF16、ERF29、ERF210、およびERF91L2からなる群より選択される2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、6つもしくはそれ以上、または7つもしくはそれ以上の遺伝子の1つまたは複数の変異をさらに含む。Kajikawa et al.,, Plant physiol. 2017, 174:999-1011を参照されたい。1つの局面において、PY形質を含むタバコ植物は、ERFnew、ERF199、ERF19、ERF29、ERF210、およびERF91L2からなる群より選択される1つもしくはそれ以上、2つもしくはそれ以上、3つもしくはそれ以上、4つもしくはそれ以上、5つもしくはそれ以上、または6つ全ての遺伝子の1つまたは複数の変異をさらに含む。
【0100】
1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物は、変異または導入遺伝子を欠くタバコ植物と比較して、ニコチンレベルの低減を与える変異または導入遺伝子を含む。1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物は、低アルカロイドタバコ植物である。
【0101】
遺伝子型、環境、受精、および農耕法を含む種々の要因がタバコアルカロイドレベルに影響を与える(例えば、ニコチン産生は摘心、創傷、および草食動物被害によって刺激される)。キューバ産葉巻タバコ品種の系統で最初に見つかった低アルカロイド形質は、一連の戻し交配によってタバコ品種に導入された。その後、低アルカロイドのタバコ生殖質は、栽培品種Burley 21の遺伝的背景に登録された(Legg et al., Crop Science, 10:212 (1970))。低アルカロイドバーレイ21 (Burley 21 (LA BU21))系統を用いた遺伝学的研究により、2つの連関していない遺伝子座がタバコ葉中のニコチンレベルに寄与することが示された。これらの2つの遺伝子座はNic1およびNic2といわれる。LA BU21のnic1およびnic2 (それぞれニコチン1およびニコチン2と同じ)変異は半優性である。それらはニコチンレベルに対して用量依存的な効果を示し、nic1の効果はnic2の効果よりも約2.4倍強い。Nic2遺伝子座の分子的な特徴付けが報告されている。nic2変異は、エチレン応答因子(ERF)ファミリー由来の転写因子遺伝子のクラスタ、例えば、ERF189、ERF115、ERF221、ERF104、ERF179、ERF17、およびERF168の欠失を含むことが示された(Shoji et al., Plant Cell, (10):3390-409 (2010))。
【0102】
タバコの総アルカロイド含有量を減らすことは、多くの利点を持ちうる。それはバイオマス資源としてのタバコの価値を高めることができる。タバコ植物におけるニコチン性アルカロイドの増加は、昆虫および草食動物から植物を保護するうえで重要な役割を果たしうる。
【0103】
昆虫防御におけるアルカロイドの役割と一致して、LA BU21は虫害に極めて弱いことが報告された(Legg et al., Crop Science, 10:212 (1970))。総アルカロイドの割合が低い(およそ0.20%)フルーキュアードタバコの同質遺伝子系統をその「正常な」反復性の親(総アルカロイド1.85~2.70%)と比較したさらなる研究では、低アルカロイド系統における収量、等級指数、総 N、および還元糖含有量が正常なフルーキュアード栽培品種におけるよりも低いことが報告された(Chaplin and Weeks, Crop Science, 16(3):416-18 (1976))。
【0104】
限定するものではないが、低アルカロイドのタバコ品種は、LA Burley 21、LAFC53、LN B&W、およびLN KY171を含む。
【0105】
1つの局面において、ニコチンレベルの低減を与える変異は、nic1変異、nic2変異またはその両方を含む。1つの局面において、nic1変異、nic2変異またはその両方は、LA Burley 21、LAFC53、LN B&W、およびLN KY171からなる群より選択される品種から遺伝子移入されるか、またはこれらの品種に由来する。
【0106】
本明細書において用いられる場合、タバコの「低アルカロイド品種」は、1つまたは複数の遺伝子修飾を除いて実質的に類似の遺伝的背景の対照タバコ品種における総アルカロイドレベルの25%未満のレベルまで総アルカロイド(乾燥重量で測定)を低減する1つまたは複数の遺伝子修飾を含むタバコ品種をいう。非限定的な例として、KY171は、低アルカロイド品種LA KY171の対照として機能することができる。
【0107】
本明細書において用いられる場合、「遺伝子修飾」は、突然変異誘発、ゲノム編集、遺伝子形質転換、またはそれらの組み合わせに供された植物、種子、植物部分、植物細胞、および植物ゲノムをいう。
【0108】
1つの局面において、ニコチンレベルの低減を与える変異は、アスパラギン酸オキシダーゼ、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、NADHデヒドロゲナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(PRAI)、プトレシンN-メチルトランスフェラーゼ(PMT)、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、S-アデノシル-メチオニンシンテターゼ(SAMS)、A622、NBB1、BBL、MYC2、Nic1_ERF、Nic2_ERF、エチレン応答因子(ERF)転写因子、ニコチン取り込み透過酵素(NUP)、およびMATEトランスポーターからなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子座における変異を含む。別の局面において、ニコチンレベルの低減を与える変異は、ERF101、ERF110、ERFnew、ERF199、ERF19、ERF130、ERF16、ERF29、ERF210、およびERF91L2からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子座における変異を含む。別の局面において、ニコチンレベルの低減を与える変異は、ERF32、ERF34、ERF39、ERF189、ERF115、ERF221、ERF104、ERF179、ERF17、およびERF168からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子座における変異を含む。
【0109】
1つの局面において、ニコチンレベルの低減を与える導入遺伝子は、アスパラギン酸オキシダーゼ、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、NADHデヒドロゲナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(PRAI)、プトレシンN-メチルトランスフェラーゼ(PMT)、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、S-アデノシル-メチオニンシンテターゼ(SAMS)、A622、NBB1、BBL、MYC2、Nic1_ERF、Nic2_ERF、エチレン応答因子(ERF)転写因子、ニコチン取り込み透過酵素(NUP)、およびMATEトランスポーターからなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的化および抑制する導入遺伝子を含む。別の局面において、ニコチンレベルの低減を与える導入遺伝子は、ERF101、ERF110、ERFnew、ERF199、ERF19、ERF130、ERF16、ERF29、ERF210、およびERF91L2からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的化および抑制する導入遺伝子を含む。別の局面において、ニコチンレベルの低減を与える導入遺伝子は、ERF32、ERF34、ERF39、ERF189、ERF115、ERF221、ERF104、ERF179、ERF17、およびERF168からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的化および抑制する導入遺伝子を含む。
【0110】
1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 22~27、44、45および49からなる群より選択される配列と少なくとも75%同一の核酸配列に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 22~27、44、45および49からなる群より選択される配列と少なくとも80%同一の核酸配列に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 22~27、44、45および49からなる群より選択される配列と少なくとも85%同一の核酸配列に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 22~27、44、45および49からなる群より選択される配列と少なくとも90%同一の核酸配列に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 22~27、44、45および49からなる群より選択される配列と少なくとも95%同一の核酸配列に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 22~27、44、45および49からなる群より選択される配列と少なくとも96%同一の核酸配列に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 22~27、44、45および49からなる群より選択される配列と少なくとも97%同一の核酸配列に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 22~27、44、45および49からなる群より選択される配列と少なくとも98%同一の核酸配列に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 22~27、44、45および49からなる群より選択される配列と少なくとも99%同一の核酸配列に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 22~27、44、45および49からなる群より選択される配列と100%同一の核酸配列に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。
【0111】
1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一または類似のアミノ酸配列をコードする核酸に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%同一または類似のアミノ酸配列をコードする核酸に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一または類似のアミノ酸配列をコードする核酸に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一または類似のアミノ酸配列をコードする核酸に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも96%同一または類似のアミノ酸配列をコードする核酸に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも97%同一または類似のアミノ酸配列をコードする核酸に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも98%同一または類似のアミノ酸配列をコードする核酸に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも99%同一または類似のアミノ酸配列をコードする核酸に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と100%同一または類似のアミノ酸配列をコードする核酸に機能的に連結された異種プロモーターを含む組換えDNA構築物を含む。
【0112】
1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列において非天然変異を含むポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む。
【0113】
1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、g58899タンパク質をコードする内在性核酸配列における非天然変異であって、SEQ ID NO: 46と比較して18、24、54、56、57、60、87、221、および325位からなる群より選択される位置でのアミノ酸残基の挿入、欠失、または置換を含む該非天然変異を含む。
【0114】
1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、g58899タンパク質をコードする内在性核酸配列のプロモーターに非天然変異を含み、ここで該タバコ植物、種子、または細胞が、非天然変異を欠く対照タバコ植物、種子、または細胞と比較して内在性核酸の発現の低減を示す。
【0115】
1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、g58899タンパク質をコードする内在性核酸配列に非天然変異を含み、ここで該非天然変異が、SEQ ID NO: 30、46、および47からなる群より選択されるアミノ酸配列と比較して、g58899タンパク質における未成熟終止コドンをもたらす。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、g58887タンパク質をコードする内在性核酸配列に非天然変異を含み、ここで該非天然変異がSEQ ID NO: 28と比較してg58887タンパク質における未成熟終止コドンをもたらす。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、g58888タンパク質をコードする内在性核酸配列に非天然変異を含み、ここで該非天然変異がSEQ ID NO: 29と比較してg58888タンパク質における未成熟終止コドンをもたらす。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、g58917タンパク質をコードする内在性核酸配列に非天然変異を含み、ここで該非天然変異がSEQ ID NO: 31と比較してg58917タンパク質における未成熟終止コドンをもたらす。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、g58905タンパク質をコードする内在性核酸配列に非天然変異を含み、ここで該非天然変異がSEQ ID NO: 32と比較してg58905タンパク質における未成熟終止コドンをもたらす。別の局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、g61524タンパク質をコードする内在性核酸配列に非天然変異を含み、ここで該非天然変異がSEQ ID NO: 33と比較してg61524タンパク質における未成熟終止コドンをもたらす。
【0116】
人工miRNA
1つの局面において、本開示は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。
【0117】
1つの局面において、本開示は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列と少なくとも80%同一のRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列と少なくとも85%同一のRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列と少なくとも90%同一のRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列と少なくとも95%同一のRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列と少なくとも96%同一のRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列と少なくとも97%同一のRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列と少なくとも98%同一のRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列と少なくとも99%同一のRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。別の局面において、本開示は、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列と100%同一のRNAに結合することができる非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸を提供する。
【0118】
1つの局面において、非コードRNA分子は、マイクロRNA (miRNA)、低分子干渉RNA (siRNA)、トランス作用性siRNA (ta-siRNA)、転移RNA (tRNA)、リボソームRNA (rRNA)、イントロン、ヘアピンRNA (hpRNA)、およびイントロン含有ヘアピンRNA (ihpRNA)からなる群より選択される。
【0119】
miRNAは一般的に約19~約25ヌクレオチド(植物では一般的に約20~24ヌクレオチド)のものであり、標的転写物のトランスでの切断をガイドし、さまざまな調節および発達経路に関与する遺伝子の発現を負に調節する(Bartel (2004) Cell, 116:281-297)。場合によっては、miRNAはsiRNAの一次転写物の同相(in-phase)プロセッシングをガイドするのに役立つ(Allen et al. (2005) Cell, 121:207-221を参照のこと)。
【0120】
多くのマイクロRNA遺伝子(MIR遺伝子)が同定され、データベースで公開されている(「miRBase」, microrna[dot]sanger[dot]ac[dot]uk/sequencesにてオンラインで利用可能; Griffiths-Jones et al. (2003) Nucleic Acids Res., 31:439-441も参照のこと)。MIR遺伝子は、ゲノム中の孤立した、およびクラスタ内の、遺伝子間領域に存在することが報告されているが、他の遺伝子(タンパク質をコードする遺伝子およびタンパク質をコードしない遺伝子の両方)のイントロン内に全体的または部分的に位置することもできる。miRNA生合成に関する最近の総説としては、Kim (2005) Nature Rev. Mol. Cell. Biol., 6:376-385を参照されたい。MIR遺伝子の転写は、少なくとも場合によっては、MIR遺伝子自体のプロモーターの促進制御下にあることができる。「pri-miRNA」と称される一次転写物は、かなり大きく(数キロベース)、1つまたは複数のpre-miRNA (成熟miRNAにプロセッシングされるステムループ配列を含む折り返し構造)ならびにmRNAの通常の5'「キャップ」およびポリアデニル化尾部を含み、ポリシストロン性でありうる。例えば、Kim (2005) Nature Rev. Mol. Cell. Biol., 6:376-385中の図1を参照されたい。
【0121】
対応する前駆体(pri-miRNAおよびpre-miRNA)からの成熟miRNAの成熟は、動物と植物では大きく異なる。例えば、植物細胞では、マイクロRNA前駆体分子は、もっぱら核内で成熟miRNAに主としてプロセッシングされると考えられているが、動物細胞では、pri-miRNA転写物が核内で動物特異的酵素Droshaによりプロセッシングされた後に、pre-miRNAの細胞質への輸送が行われ、そこでpre-miRNAは成熟miRNAにさらにプロセッシングされる。植物における成熟miRNAは通常、長さが21ヌクレオチドである。植物と動物の両方におけるmiRNA生合成に関する最近の総説は、Kim (2005) Nature Rev. Mol. Cell. Biol., 6:376-385を参照されたい。miRNAの生合成および機能に関するさらなる総説は、例えば、Bartel (2004) Cell, 116:281-297; Murchison and Hannon (2004) Curr. Opin. Cell Biol., 16:223-229; およびDugas and Bartel (2004) Curr. Opin. Plant Biol., 7:512-520のなかで見出される。
【0122】
miRNAのトランスジェニック発現(天然に存在する配列または人工配列のいずれであっても)は、miRNAの標的遺伝子の発現を調節するために利用することができる。トランスジェニックに発現された転写物にmiRNA認識部位を含めることも、転写物の発現を調節するのに有用である; 例えば、Parizotto et al. (2004) Genes Dev., 18:2237-2242を参照されたい。miRNAの認識部位は、5'非翻訳領域、コード領域、および3'非翻訳領域を含め、mRNAの全ての領域において検証されており、コード配列に対するmiRNA標的部位の位置が必ずしも抑制に影響を与えるとは限らない可能性があることを示唆している(例えば、Jones-Rhoades and Bartel (2004). Mol. Cell, 14:787-799、Rhoades et al. (2002) Cell, 110:513-520、Allen et al. (2004) Nat. Genet., 36:1282-1290、Sunkar and Zhu (2004) Plant Cell, 16:2001-2019を参照のこと)。miRNAは真核生物における重要な調節要素であるため、miRNAのトランスジェニック抑制は、生物学的経路および応答を操作するのに有用である。最後に、MIR遺伝子のプロモーターは、非常に特異的な発現パターン(例えば、細胞特異的、組織特異的、時間特異的、または誘導可能)を有することができるので、それらが機能的に連結されているDNA配列のそのような特異的転写を誘導するために組換え構築物において有用である。miRNA、その前駆体、その認識部位、およびそのプロモーターのさまざまな有用性は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2006/0200878 A1号に詳細に記述されている。これらの有用性の非限定的な例としては、以下が挙げられる: (1) 標的遺伝子を抑制するためのネイティブmiRNAまたはmiRNA前駆体配列の発現; (2) 標的遺伝子を抑制するための人工miRNAまたはmiRNA前駆体配列の発現; (3) 成熟miRNAが発現すると導入遺伝子が抑制される、miRNA認識部位を有する導入遺伝子の発現; (4) miRNAプロモーターによって駆動される導入遺伝子の発現。
【0123】
人工miRNA配列のデザインは、Zeng et al. (2002) Mol. Cell, 9:1327-1333によって実証されているように、miRNA前駆体のmiRNAステム領域におけるヌクレオチドを意図した標的に相補的な配列に置換するのと同じくらい簡単でありうる。操作されたmiRNA前駆体を産生するためにネイティブmiRNA配列のヌクレオチド変化を判定するための一般的な方法の1つの非限定的な例は、以下の段階を含む: (a) BLASTなどの配列アライメントツール(例えば、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol., 215:403-410; Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res., 25:3389-3402を参照のこと)を用いることにより、例えば、タバコcDNAおよびゲノムDNAデータベースの両方の、標的遺伝子に特異的な少なくとも18ヌクレオチドのユニークな標的配列を選択して、標的転写物オルソログおよび関連のない遺伝子とのすべての潜在的な一致を同定し、それによって非標的配列の意図しないサイレンシングを回避する段階; (b) 望ましくない配列(例えば、非標的種からの配列との一致)について標的遺伝子を分析し、GC含量、レイノルズスコア(Reynolds et al. (2004) Nature Biotechnol., 22:326-330を参照のこと)、および自由エネルギーの負の差(「.DELTA..DELTA.G」または「ΔΔG」)によって特徴付けられる機能非対称性(Khvorova et al. (2003) Cell, 115:209-216を参照のこと)について各潜在的な19-merセグメントをスコア化する段階。好ましくは、以下の特徴の全部または大部分を有する19-merが選択される: (1) レイノルズスコア>4、(2) 約40%~約60%のGC含量、(3) 負のΔΔG、(4) 末端アデノシン、(5) 4つまたはそれ以上の同一ヌクレオチドの連続的な続き(consecutive run)の欠如、(6) 標的遺伝子の3'末端近傍の位置; (7) mRNA前駆体転写物との最小限の相違。siRNAにおける3ヌクレオチドごとの位置は、RNAiの効力に影響を与える上で特に重要であると報告されており、アルゴリズム「siExplorer」がrna[dot]chem[dot]t[dot]u-tokyo[dot]ac[dot]jp/siexplorer.htmで公開されている(Katoh and Suzuki (2007) Nucleic Acids Res., 10.1093/nar/gkl1120を参照のこと); (c) 修飾された成熟miRNAの作製で用いるために選択された19-merの逆相補体を決定する段階。20位の追加のヌクレオチドは、好ましくは、選択された標的配列と一致し、21位のヌクレオチドは、好ましくは、標的転写物上のサイレンシングの広がりを抑止するために対になっていないか、または標的転写物上のサイレンシングの広がりを促進するために標的配列と対になっているかのいずれかであるように選択される; ならびに(d) 人工miRNAを植物に形質転換する段階。
【0124】
1つの局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択されるポリヌクレオチドと少なくとも80%の配列同一性を有するポリヌクレオチドに相補的である。1つの局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択されるポリヌクレオチドと少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチドに相補的である。1つの局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択されるポリヌクレオチドと少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチドに相補的である。1つの局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択されるポリヌクレオチドと少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドに相補的である。1つの局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択されるポリヌクレオチドと少なくとも96%の配列同一性を有するポリヌクレオチドに相補的である。1つの局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択されるポリヌクレオチドと少なくとも97%の配列同一性を有するポリヌクレオチドに相補的である。1つの局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択されるポリヌクレオチドと少なくとも98%の配列同一性を有するポリヌクレオチドに相補的である。1つの局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択されるポリヌクレオチドと少なくとも99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドに相補的である。1つの局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択されるポリヌクレオチドと100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドに相補的である。
【0125】
別の局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的である。別の局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるポリペプチドと少なくとも85%の配列同一性または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的である。別の局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的である。別の局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的である。別の局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるポリペプチドと少なくとも96%の配列同一性または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的である。別の局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるポリペプチドと少なくとも97%の配列同一性または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的である。別の局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるポリペプチドと少なくとも98%の配列同一性または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的である。別の局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるポリペプチドと少なくとも99%の配列同一性または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的である。別の局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるポリペプチドと100%の配列同一性または類似性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的である。
【0126】
1つの局面において、人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列に相補的な少なくとも15個の隣接するヌクレオチドを含む。別の局面において、人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列に相補的な少なくとも16個の隣接するヌクレオチドを含む。別の局面において、人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列に相補的な少なくとも17個の隣接するヌクレオチドを含む。別の局面において、人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列に相補的な少なくとも18個の隣接するヌクレオチドを含む。別の局面において、人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列に相補的な少なくとも19個の隣接するヌクレオチドを含む。別の局面において、人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列に相補的な少なくとも20個の隣接するヌクレオチドを含む。別の局面において、人工miRNAは、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される核酸配列に相補的な少なくとも21個の隣接するヌクレオチドを含む。
【0127】
1つの局面において、本明細書において提供される人工miRNAは、G58887、g58888、g58899、g58917、g58905、g61524、およびg20337からなる群より選択される遺伝子のRNA転写またはタンパク質翻訳を低減または排除する。
【0128】
1つの局面において、改変されたタバコ植物またはその部分は、本明細書において提供される任意の非コードRNA分子を含む。別の局面において、改変されたタバコ植物またはその部分は、本明細書において提供される任意の人工miRNAを含む。別の局面において、改変されたタバコ植物またはその部分は、本明細書において提供される任意の組換え核酸を含む。
【0129】
タバコ植物において発現される場合、本明細書において提供される非コードRNA分子は、非コードRNA分子を発現しない対照タバコ植物と比較して、同族の標的転写物(例えば、SEQ ID NO: 16~21および48)の発現または翻訳を低減する。同様に、タバコ植物において発現される場合、本明細書において提供される人工miRNAは、非コードRNA分子を発現しない対照タバコ植物と比較して、同族の標的転写物(例えば、SEQ ID NO: 16~21および48)の発現または翻訳を低減する。
【0130】
1つの局面において、本明細書において提供される改変されたタバコ植物は、淡黄色の表現型を示す。
【0131】
1つの局面において、人工miRNAは、異種プロモーターに機能的に連結される。
【0132】
本明細書において用いられる場合、「に結合することができる」は、「とハイブリダイズすることができる」と同義である。1つの局面において、第2の核酸分子に結合することができる第1の核酸分子は、第2の核酸分子に結合する。本明細書において用いられる場合、第1の核酸分子は、温度および溶液イオン強度の適切なインビトロおよび/またはインビボ条件の下で、配列特異的、逆平行的な形で非共有結合相互作用(例えば、ワトソン-クリック塩基対合)を介して第2の核酸分子を「ハイブリダイズする」ことができる(すなわち、核酸は相補的核酸に特異的に結合する)。当技術分野において公知であるように、標準的なワトソン-クリック塩基対合は、チミンとのアデニン対合、ウラシルとのアデニン対合、およびシトシン(C)とのグアニン(G)対合を含む[DNA, RNA]。さらに、2つのRNA分子(例えば、dsRNA)間のハイブリダイゼーションの場合、グアニン塩基がウラシルと対合することも当技術分野において公知である。例えば、G/U塩基対合は、mRNA中のコドンとのtRNAアンチコドン塩基対合の文脈における遺伝暗号の縮重(すなわち、冗長性)に部分的に関与している。本開示の文脈において、対象のDNA標的化RNA分子のタンパク質結合セグメント(dsRNA二重鎖)のグアニンはウラシルと相補的であり、その逆もまた然りであると考えられる。そのため、対象のDNA標的化RNA分子のタンパク質結合セグメント(dsRNA二重鎖)の所定のヌクレオチド位置にG/U塩基対を作製することができる場合、その位置は非相補的であると見なされるのではなく、代わりに、相補的であると見なされる。
【0133】
ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、周知であり、Sambrook, J., Fritsch, E. F. and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor (1989), particularly Chapter 11 and Table 11.1 therein; and Sambrook, J. and Russell, W., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor (2001)において例示されている。温度およびイオン強度の条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。
【0134】
ハイブリダイゼーションには、2つの核酸が相補的な配列を含むことが必要とされるが、塩基間のミスマッチは可能である。2つの核酸間のハイブリダイゼーションに適した条件は、核酸の長さおよび相補性の程度に依存し、当技術分野において周知の変数である。2つのヌクレオチド配列間の相補性の程度が高いほど、それらの配列を有する核酸のハイブリッドの融解温度(Tm)の値は大きくなる。相補性の短いストレッチ(例えば35またはそれ以下のヌクレオチドにわたる相補性)を有する核酸間のハイブリダイゼーションの場合、ミスマッチの位置が重要になる(Sambrook et al.参照)。典型的には、ハイブリダイズ可能な核酸のための長さは、少なくとも約10ヌクレオチドである。ハイブリダイズ可能な核酸のための例示的な最小の長さは、少なくとも約15ヌクレオチド; 少なくとも約20ヌクレオチド; 少なくとも約22ヌクレオチド; 少なくとも約25ヌクレオチド; および少なくとも約30ヌクレオチド)である。さらに、当業者は、温度および洗浄液の塩濃度が、相補性領域の長さおよび相補性の程度などの要因にしたがい必要に応じて調整されうることを認識するであろう。
【0135】
ポリヌクレオチドの配列は、特異的にハイブリダイズ可能であるか、またはハイブリダイズ可能であるように、その標的核酸の配列と100%相補的である必要はないことが当技術分野において理解されている。さらに、ポリヌクレオチドは、介在または隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象に関与しない(例えば、ループ構造またはヘアピン構造)ような1つまたは複数のセグメントにわたってハイブリダイズしうる。例えば、アンチセンス化合物の20個のヌクレオチドのうち18個が標的領域と相補的であり、それゆえ特異的にハイブリダイズするであろうアンチセンス核酸は、90%の相補性を表すであろう。この例では、残りの非相補的ヌクレオチドは、クラスタ化されてもまたは相補的ヌクレオチドが散在してもよく、互いにまたは相補的ヌクレオチドに隣接している必要はない。核酸内の核酸配列の特定のストレッチ間のパーセント相補性は、当技術分野において公知のBLAST(登録商標)プログラム(ベーシックローカルアライメント検索ツール)およびPowerBLASTプログラム(Altschul et al., J. Mol. Biol., 1990, 215, 403-410; Zhang and Madden, Genome Res., 1997, 7, 649-656を参照のこと)を用いて、またはGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix, Genetics Computer Group, University Research Park, Madison Wis.)を用いることにより、SmithおよびWatermanのアルゴリズム(Adv. Appl. Math., 1981, 2, 482-489)を使うデフォルト設定を用いて日常的に判定することができる。
【0136】
プロモーター
当技術分野において一般的に理解されるように、「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼ結合部位、転写開始部位、および/またはTATAボックスを含み、関連する転写可能なポリヌクレオチド配列および/または遺伝子(もしくは導入遺伝子)の転写および発現を支援または促進するDNA配列をいう。プロモーターは、既知もしくは天然プロモーター配列または他のプロモーター配列から合成的に作製され、改変され、またはこれらの配列に由来しうる。プロモーターは、2つまたはそれ以上の異種配列の組み合わせを含むキメラプロモーターを含むこともできる。したがって、本出願のプロモーターは、本明細書において提供のまたは公知の他のプロモーター配列と、同一ではないが、組成が類似しているプロモーター配列の変種を含むことができる。
【0137】
植物の全部または大部分の組織での発現を駆動するプロモーターは、「構成的」プロモーターといわれる。構成的プロモーターの非限定的な例は、カリフラワーモザイクウイルス(Cauliflower Mosaic Virus)(CaMV) 35Sプロモーターである。発生の特定の期間または段階中に発現を駆動するプロモーターは、「発生的」プロモーターといわれる。生物の他の組織と比べて生物の特定の組織での増強された発現を駆動するプロモーターは、「組織好適」プロモーターといわれる。したがって、「組織好適」プロモーターは、植物の特定の組織では相対的に高いまたは優先的な発現を引き起こすが、植物の他の組織ではより低いレベルの発現を引き起こす。「誘導性」プロモーターは、熱、寒さ、干ばつ、光などの環境刺激、または創傷もしくは化学物質の適用などの他の刺激に応答して転写を開始するプロモーターである。
【0138】
1つの局面において、本明細書において提供されるプロモーターは、構成的プロモーターである。別の局面において、本明細書において提供されるプロモーターは、誘導性プロモーターである。さらなる局面において、本明細書において提供されるプロモーターは、発生的プロモーターである。
【0139】
1つの局面において、本開示は異種プロモーターを提供する。別の局面において、本開示は異種ポリヌクレオチドに機能的に連結されているプロモーターを提供する。別の局面において、本開示は異種プロモーターに機能的に連結されているポリヌクレオチド配列を提供する。
【0140】
本明細書において用いられる場合、「機能的に連結された」は、2つまたはそれ以上の要素間の機能的連結をいう。例えば、関心対象のポリヌクレオチドと調節配列(例えば、プロモーター)との間の機能的な連結は、関心対象のポリヌクレオチドの発現を可能にする機能的な連結である。機能的に連結された要素は、隣接していてもまたは隣接していなくてもよい。1つの局面において、本明細書において提供されるプロモーターは、異種核酸分子に機能的に連結されている。
【0141】
植物
本明細書において用いられる場合、「タバコ」はニコチアナ・タバカムをいう。
【0142】
1つの局面において、提供されるタバコ部分は、葉、茎、根、種子、花、花粉、葯、胚珠、小花柄、果実、分裂組織、子葉、胚軸、鞘、胚、胚乳、外植体、カルス、組織培養物、新芽、細胞、およびプロトプラストを含むが、これらに限定されることはない。1つの局面において、提供されるタバコ部分は、種子を含まない。1つの局面において、本開示は、生殖材料ではなく、植物の自然な生殖を媒介しないタバコ植物細胞、組織、および器官を提供する。別の局面において、本開示は同様に、生殖材料であり、植物の自然な生殖を媒介するタバコ植物細胞、組織、および器官を提供する。別の局面において、本開示は、光合成を介してそれ自体を維持することができないタバコ植物細胞、組織、および器官を提供する。別の局面において、本開示は、体細胞タバコ植物細胞を提供する。体細胞は、生殖細胞とは対照的に、植物の生殖を媒介しない。
【0143】
細胞、組織および器官は、種子、果実、葉、子葉、胚軸、分裂組織、胚、胚乳、根、新芽、幹、さや、花、花序、茎、小花柄、花柱、柱頭、花托、花弁、萼片、花粉、葯、花糸、子房、胚珠、果皮、師部、維管束組織由来であることができる。別の局面において、本開示はタバコ植物葉緑体を提供する。さらなる局面において、本開示は、表皮細胞、気孔細胞、葉もしくは根毛、貯蔵根、または塊茎を提供する。別の局面において、本開示はタバコプロトプラストを提供する。
【0144】
当業者は、タバコ植物が、無性生殖または栄養繁殖を介してではなく、種子を介して自然に繁殖することを理解している。1つの局面において、本開示はタバコ胚乳を提供する。
【0145】
本開示は、本明細書において提供されるタバコ植物からの細胞を提供する。
【0146】
本明細書において用いられる場合、「後代植物」は任意の雑種世代、例えば、F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7など由来であることができる。
【0147】
1つの局面において、タバコ植物は、フルーキュアード(flue-cured)品種、ブライト(bright)品種、バーレイ(Burley)品種、バージニア(Virginia)品種、メリーランド(Maryland)品種、ダーク(dark)品種、ガルパオ(Galpao)品種、オリエンタル(Oriental)品種、およびトルコ(Turkish)品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである。1つの局面において、本明細書において提供される改変されたタバコ植物は、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、ガルパオ品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである。
【0148】
1つの局面において、タバコ細胞は、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、ガルパオ品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである。1つの局面において、改変されたタバコ細胞は、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、ガルパオ品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである。
【0149】
1つの局面において、タバコ葉は、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、ガルパオ品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである。
【0150】
1つの局面において、乾燥タバコ葉または植物部分は、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、ガルパオ品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである。当業者は、乾燥タバコは生物を構成せず、生育または再生することができないことをさらに理解する。
【0151】
フルーキュアード(熱風乾燥)(flue-cured)タバコ(「バージニア」または「ブライト」タバコとも呼ばれる)は、世界のタバコ生産量のおよそ40%になる。フルーキュアードタバコは、乾燥中に黄金色から濃橙色になるため、「ブライトタバコ」ともいわれることが多い。フルーキュアードタバコは、軽く、明るい香りと味わいを有する。フルーキュアードタバコは、一般的に糖分が多く、油分が少ない。フルーキュアードタバコの主な栽培国は、アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、タンザニア、およびアメリカ合衆国である。1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変されたタバコ植物もしくは種子は、表2に記載の品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群より選択されるフルーキュアードタバコ品種のものである。WO 2004/041006 A1を参照されたい。さらなる局面において、本明細書において提供される改変されたタバコ植物または種子は、K326、K346、およびNC196からなる群より選択されるフルーキュアード品種におけるものである。
【0152】
(表2)フルーキュアードタバコ品種
【0153】
エアーキュアード(空気乾燥)(air-cured)タバコは、「バーレイ」、「メリーランド」および「ダーク」タバコを含む。エアーキュアードタバコを結び付ける共通の要因は、乾燥が主に人工源の熱および湿度なく行われるということである。バーレイタバコは、色が淡褐色から濃褐色であり、油分が多く、糖分が少ない。バーレイタバコは、典型的には、倉庫で空気乾燥される。バーレイの主な栽培国は、アルゼンチン、ブラジル、イタリア、マラウイ、およびアメリカ合衆国を含む。
【0154】
メリーランドタバコは、極めてフワフワしており、良好な燃焼特性、低ニコチンおよび中性の香りを有する。メリーランドの主な栽培国は、アメリカ合衆国およびイタリアを含む。
【0155】
1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変されたタバコ植物もしくは種子は、表3に記載のタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群より選択されるバーレイタバコ品種のものである。さらなる局面において、本明細書において提供される改変されたタバコ植物または種子は、TN 90、KT 209、KT 206、KT212、およびHB 4488からなる群より選択されるバーレイ品種におけるものである。
【0156】
(表3)バーレイタバコ品種
【0157】
別の局面において、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変されたタバコ植物もしくは種子は、表4に記載のタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群より選択されるメリーランドタバコ品種のものである。
【0158】
(表4)メリーランドタバコ品種
【0159】
ダークエアーキュアード(ダーク空気乾燥)(dark air-cured)タバコは、ダークエアーキュアードタバコにその中褐色から暗褐色と独特の香りを与えるその乾燥プロセスによって主に、他のタバコタイプと区別される。ダークエアーキュアードタバコは、噛みタバコおよび嗅ぎタバコの生産において主に用いられる。1つの局面において、本明細書において提供される改変されたタバコ植物または種子は、スマトラ(Sumatra)、ジャティム(Jatim)、ドミニカ・キュバーノ(Dominican Cubano)、ベスキ(Besuki)、ワンスタッカ(One sucker)、グリーンリバー(Green River)、バージニア天日乾燥、およびパラグアン・パッサド(Paraguan Passado)、ならびに前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群より選択されるダークエアーキュアードタバコ品種のものである。
【0160】
ダークファイアキュアード(ダーク火力乾燥)(dark fire-cured)タバコは、閉じた乾燥倉庫の床で低燃焼の薪火により一般的に乾燥される。ダークファイアキュアードタバコは、典型的には、パイプブレンド、紙巻タバコ、噛みタバコ、嗅ぎタバコおよび味の強い葉巻を作るために用いられる。ダークファイアキュアードタバコの主な栽培地域は、アメリカ合衆国のテネシー州(Tennessee)、ケンタッキー州(Kentucky)、およびバージニア州(Virginia)である。1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変されたタバコ植物もしくは種子は、表5に記載のタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群より選択されるダークファイアキュアードタバコ品種のものである。
【0161】
(表5)ダークファイアキュアードタバコ品種
【0162】
オリエンタルタバコは、トルコ(Turkey)、ギリシャ(Greece)、ブルガリア(Bulgaria)、マケドニア(Macedonia)、シリア(Syria)、レバノン(Lebanon)、イタリア(Italy)、およびルーマニア(Romania)などの地中海東部地域で通常栽培されているという事実のために、ギリシャ(Greek)タバコ、香りタバコおよびトルコタバコともいわれる。オリエンタルタバコ品種の小さな植物サイズ、小さな葉サイズ、および独特な香り特性は、それらが開発された痩せた土壌とストレスの多い気候条件へのその適応の結果である。1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変されたタバコ植物もしくは種子は、表6に記載のタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群より選択されるオリエンタルタバコ品種のものである。
【0163】
(表6)オリエンタルタバコ品種
【0164】
1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変されたタバコ植物もしくは種子は、表7に記載のタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群より選択される葉巻タバコ品種のものである。
【0165】
(表7)葉巻タバコ品種
【0166】
1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物もしくは種子または改変されたタバコ植物もしくは種子は、表8に記載のタバコ品種、および前述の品種のいずれか1つに本質的に由来する任意の品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである。
【0167】
(表8)他のタバコ品種
【0168】
1つの局面において、タバコ植物、種子、または細胞は、表2、表3、表4、表5、表6、表7、および表8に記載されるタバコ品種からなる群より選択される品種由来である。
【0169】
前述した全てのフルーキュアード、ダークエアーキュアード、バーレイ、メリーランド、ダークファイアキュアード、葉巻、またはオリエンタル型の特定の品種は、例示的な目的のためにのみ記載されている。任意のさらなるフルーキュアード、ダークエアーキュアード、バーレイ、メリーランド、ダークファイアキュアード、葉巻、またはオリエンタル品種も本出願において企図される。
【0170】
1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物または品種は、近交系タバコ植物または品種である。本明細書において用いられる場合、「近交系」タバコ品種は、遺伝的均質性のために育種された品種である。
【0171】
1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物または品種は、雑種タバコ植物または品種である。本明細書において用いられる場合、「雑種」は、後代が各親からの遺伝物質を含むように、異なる品種または種からの2つの植物を交配することによって作製される。当業者は、より高次の雑種も作製されうることを認識している。例えば、品種Cを品種Dと交配してC×D雑種を作製することにより第1の雑種を作製することができ、品種Eを品種Fと交配してE×F雑種を作製することにより第2の雑種を作製することができる。第1および第2の雑種をさらに交配して、4つの親品種全てからの遺伝情報を含む高次雑種(C×D)×(E×F)を作製することができる。1つの局面において、本明細書において提供される改変されたタバコ植物は、雑種タバコ植物である。別の局面において、本明細書において提供される改変されたタバコ種子は、雑種タバコ種子である。
【0172】
本明細書において用いられる場合、「交配する」という用語は、2つの植物の意図的な種付けをいう。1つの局面において、交配することは、第2のタバコ植物による第1のタバコ植物の受粉および/または受精を含む。交配される2つのタバコ植物は、遠縁、近縁、または同一であることができる。1つの局面において、交配される2つのタバコ植物は、両方とも改変されたタバコ植物である。1つの局面において、交配される2つのタバコ植物は、同じタバコ品種のものである。1つの局面において、交配される2つのタバコ植物は、2つの異なるタバコ品種のものである。1つの局面において、交配される2つのタバコ植物の1つは、雄性不稔である。1つの局面において、交配される2つのタバコ植物の1つは、雌性不稔である。1つの局面において、交配される2つのタバコ植物の少なくとも1つは、雑種タバコ植物である。1つの局面において、交配される2つのタバコ植物の少なくとも1つは、改変されたタバコ植物である。
【0173】
1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物または品種は、雄性不稔である。別の局面において、本明細書において提供されるタバコ植物または品種は、細胞質雄性不稔(CMS)である。雄性不稔タバコ植物は、当技術分野において公知の任意の方法によって産生することができる。雄性不稔タバコを産生する方法は、Wernsman, E. A., and Rufty, R. C. 1987. Chapter Seventeen. Tobacco. Pages 669-698 In: Cultivar Development. Crop Species. W. H. Fehr (ed.), MacMillan Publishing Go., Inc., New York, N.Y. 761 ppに記述されている。
【0174】
別の局面において、本明細書において提供されるタバコ植物または品種は、雌性不稔である。非限定的な例として、雌性不稔植物は、STIG1遺伝子を変異させることによって作製することができる。例えば、Goldman et al. 1994, EMBO Journal 13:2976-2984を参照されたい。1つの局面において、本明細書において提供される改変されたタバコ植物は、雌性不稔である。
【0175】
本明細書において用いられる場合、植物または種子の「集団」は、評価のためにサンプルが採取される個体、物体またはデータの、1つを含め、任意の数を含むセットを意味する。最も一般的には、この用語は、育種プログラムにおいて後代を産生するために成員が選択され、交配される植物の育種集団をいう。植物の集団は、単一の育種交配または複数の育種交配の後代を含むことができ、実際の植物もしくは植物由来の材料、または植物もしくは種子のインシリコ提示物のいずれでもよい。集団成員は、その後の分析サイクルで用いるために選択された集団成員、または最終的な後代植物もしくは種子を得るために最終的に選択された集団成員と同一である必要はない。多くの場合、植物または種子の集団は、単一の二親交配に由来するが、同じまたは異なる親間の2回またはそれ以上の交配に由来することもある。植物または種子の集団は任意の数の個体を含みうるが、当業者は、植物育種家が100または200個体から数千個体の範囲の集団サイズを一般に用いること、および集団のうちの性能が最も高い5%~20%が、集団の後続世代の性能を向上させるために後続交配で用いるよう一般に選択されるものであることを認識するであろう。
【0176】
植物細胞に組換えDNA構築物を導入するための多数の方法が当技術分野において公知であり、これらを本出願の方法によって用い、トランスジェニック植物細胞および植物を産生することができる。当技術分野において公知の植物細胞の形質転換のための任意の適当な方法または技法を、本方法によって用いることができる。植物の形質転換のための効果的な方法は、細菌媒介形質転換、例えばアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介またはリゾビウム(Rhizobium)媒介形質転換および微小発射体衝撃媒介形質転換を含む。細菌媒介形質転換または微小発射体衝撃を介して形質転換ベクターで外植片を形質転換し、続いてそれらの外植片を培養するなどして、トランスジェニック植物を再生または発達させるための種々の方法が当技術分野において公知である。マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、真空浸潤、圧力、超音波処理、炭化ケイ素繊維攪拌、ポリエチレングリコール(PEG)を介した形質転換などのような、植物形質転換のための他の方法も当技術分野において公知である。これらの形質転換法によって産生されたトランスジェニック植物は、用いられる方法および外植片に依り、形質転換事象に対してキメラまたは非キメラであることができる。
【0177】
植物細胞を形質転換させる方法は、当業者により周知である。例えば、組換えDNAでコーティングされた粒子を用いた微小発射体衝撃によって植物細胞を形質転換(例えば、微粒子銃形質転換)するための具体的な指示は、米国特許第5,550,318号; 同第5,538,880号 同第6,160,208号; 同第6,399,861号; および同第6,153,812号に見出され、アグロバクテリウム媒介形質転換は米国特許第5,159,135号; 同第5,824,877号; 同第5,591,616号; 同第6,384,301号; 同第5,750,871号; 同第5,463,174号; および同第5,188,958号に記述されており、これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる。植物を形質転換するためのさらなる方法は、例えば、Compendium of Transgenic Crop Plants (2009) Blackwell Publishingに見出すことができる。当業者に公知の任意の適切な方法を用いて、本明細書において提供される核酸分子のいずれかでタバコ細胞を形質転換することができる。
【0178】
1つの局面において、核酸分子をタバコ細胞に提供する方法は、アグロバクテリウム媒介形質転換を含む。別の局面において、核酸分子を細胞に提供する方法は、PEG媒介形質転換を含む。別の局面において、核酸分子を細胞に提供する方法は、微粒子銃形質転換を含む。別の局面において、核酸分子を細胞に提供する方法は、リポソーム媒介トランスフェクション(リポフェクション)を含む。別の局面において、核酸分子を細胞に提供する方法は、レンチウイルストランスフェクションを含む。
【0179】
リポフェクションは、例えば、米国特許第5,049,386号、同第4,946,787号; および同第4,897,355号に記述されており、リポフェクション試薬は市販されている(例えば、トランスフェクタム(商標)およびリポフェクチン(商標))。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに適したカチオン性脂質および中性脂質は、WO 91/17424およびWO 91/16024のものを含む。送達は、細胞(例えばインビトロもしくはエクスビボ投与)または標的組織(例えばインビボ投与)に対するものであることができる。
【0180】
稔性タバコ植物を再生することができる任意のタバコ細胞は、本開示の実践のために有用なレシピエント細胞として企図される。1つの局面において、組換えDNA構築物がタバコ細胞に導入される。1つの局面において、組換えDNA構築物はタバコプロトプラスト細胞に導入される。別の局面において、組換えDNA構築物はタバコカルス細胞に導入される。1つの局面において、組換えDNA構築物は、種子細胞、果実細胞、葉細胞、子葉細胞、胚軸細胞、分裂組織細胞、胚細胞、胚乳細胞、根細胞、新芽細胞、幹細胞、花細胞、花序細胞、茎細胞、小花柄細胞、花柱細胞、柱頭細胞、花托細胞、花弁細胞、萼片細胞、花粉細胞、葯細胞、花糸細胞、子房細胞、胚珠細胞、果皮細胞、および師部細胞からなる群より選択されるタバコ細胞に導入される。
【0181】
カルスは、未熟な胚または胚の一部、実生の頂端分裂組織、微小胞子などを含むが、これらに限定されない、さまざまな組織源から惹起することができる。カルスとして増殖することができるそれらの細胞は、形質転換のためのレシピエント細胞として役立つことができる。本開示のトランスジェニック植物を作製するための実用的な形質転換方法および材料(例えば、さまざまな培地およびレシピエント標的細胞、未熟胚の形質転換、およびその後の稔性トランスジェニック植物の再生)は、例えば、米国特許第6,194,636号および同第6,232,526号ならびに米国特許出願公開第2004/0216189号に開示されており、これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる。
【0182】
TSNA低減
「アルカロイド」は、植物に自然に存在する複雑な窒素含有化合物であり、ヒトおよび動物において薬理学的効果を有する。「ニコチン」は、市販の紙巻タバコにおける主要な天然アルカロイドであり、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)におけるアルカロイド含有量の約90パーセントを占めている。タバコにおける他の主要なアルカロイドは、コチニン、ノルニコチン、ミオスミン、ニコチリン、アナバシンおよびアナタビンを含む。微量なタバコアルカロイドは、ニコチン-n-オキシド、N-メチルアナタビン、N-メチルアナバシン、プソイドオキシニコチン, 2,3ジピリジルなどを含む。
【0183】
アルカロイドレベルは、当技術分野において公知の方法により、例えば、ガス液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、放射免疫測定法、および酵素免疫測定法に基づく定量化によりアッセイすることができる。例えば、ニコチン性アルカロイドレベルは、CORESTA Recommended Method No. 7, 1987およびISO規格(ISO TC 126N 394 Eに基づくGC-FID法により測定することができる。キャピラリーカラムおよびFID検出器を備えたガス液体クロマトグラフィーによる方法の場合には、Hibi et al., Plant Physiology 100: 826-35 (1992)も参照されたい。
【0184】
あるいは、タバコ総アルカロイドは、Skalar Instrument Co. (West Chester, PA)により適応され、Collins et al., Tobacco Science 13:79-81 (1969)により記述されているように、タバコサンプルの分析用に開発されたセグメント化フロー比色法を用いて測定することができる。手短に言えば、タバコのサンプルは、総アルカロイドおよび還元糖の分析の前に、乾燥、粉砕および抽出される。次に、この方法では、酢酸/メタノール/水抽出および脱色用の木炭を利用する。総アルカロイドの決定は、芳香族アミンの存在下での塩化シアンとニコチンアルカロイドとの反応に基づき、460 nmで測定される着色複合体を形成するものであった。
【0185】
1つの局面において、総TSNAまたは個々のTSNAのレベルは、タンデム質量分析による液体クロマトグラフィー(LC/MS/MS)を用いて、凍結乾燥された乾葉サンプルに基づき測定される。
【0186】
別の局面において、PY QTLまたはPY形質の第2のタバコ品種への遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く第2のタバコ品種と比較して、少なくとも1つのタバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)のレベルを低減する。TSNAは、N-ニトロソノルニコチン(NNN)および4-(メチルニトロソアミノ)-l-(3-ピリジル)-l-ブタノン(NNK)、N'-ニトロソアナタビン(NAT)、ならびにN'-ニトロソアナバシン(NAB)を含む。
【0187】
1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、低減されたNNNを含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、低減されたNNKを含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、低減されたNATを含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、低減されたNABを含む。
【0188】
1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも1%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも2%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも3%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも4%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも5%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも10%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも15%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも20%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも25%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも50%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも75%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~99%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~90%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~80%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~70%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~60%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~50%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~40%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~30%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~20%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~10%だけのNNNの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~5%だけのNNNの低減を含む。
【0189】
1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも1%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも2%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも3%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも4%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも5%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも10%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも15%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも20%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも25%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも50%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも75%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~99%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~90%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~80%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~70%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~60%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~50%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~40%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~30%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~20%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~10%だけのNNKの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~5%だけのNNKの低減を含む。
【0190】
1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも1%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも2%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも3%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも4%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも5%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも10%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも15%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも20%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも25%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも50%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも75%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~99%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~90%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~80%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~70%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~60%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~50%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~40%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~30%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~20%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~10%だけのNATの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~5%だけのNATの低減を含む。
【0191】
1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも1%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも2%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも3%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも4%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも5%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも10%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも15%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも20%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも25%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも50%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、少なくとも75%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~99%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~90%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~80%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~70%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~60%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~50%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~40%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~30%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~20%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~10%だけのNABの低減を含む。1つの局面において、少なくとも1つのTSNAの低減されたレベルは、PY QTLまたはPY形質を欠く対照タバコ品種と比較して、1%~5%だけのNABの低減を含む。
【0192】
葉等級付け
1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、後代植物のUSDA葉等級指数を改善する。
【0193】
1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも1%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも2%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも3%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも4%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも5%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも10%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも15%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも20%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも25%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも30%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも50%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも75%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも100%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも200%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~20%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~30%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~40%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~50%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~60%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~70%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~80%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~90%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~100%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~150%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~200%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1%~300%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、10%~50%だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、10%~30%だけUSDA葉等級指数を改善する。
【0194】
1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも1だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも2だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも3だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも4だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも5だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも6だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも7だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも8だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも9だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも10だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも11だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも12だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも13だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも14だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも15だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも16だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも17だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも18だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも19だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも20だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも25だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも30だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも40だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、少なくとも50だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1~90だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1~80だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1~70だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1~60だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1~50だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1~40だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1~30だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1~20だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1~10だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、1~5だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、5~10だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、5~15だけUSDA葉等級指数を改善する。1つの局面において、低アルカロイドタバコ品種へのPY QTLまたはPY形質の遺伝子移入は、PY QTLまたはPY形質を欠く低アルカロイドタバコ品種と比較して、10~20だけUSDA葉等級指数を改善する。
【0195】
本明細書において用いられる場合、「低アルカロイド品種」は、CS15およびLN KY171などの既知の低アルカロイド系統において測定されたアルカロイドレベルと同等の、CS15およびLN KY171などの既知の低アルカロイド系統において測定されたアルカロイドレベル未満の、またはCS15およびLN KY171などの既知の低アルカロイド系統において測定されたアルカロイドレベルより20%以下の高さのアルカロイドレベルを含むタバコ品種をいう。
【0196】
本明細書において用いられる場合、「USDA等級指数」、「等級指数」または「数値等級指数」は、群、品質、および色によるタイプの細分化をいう。1つの局面において、USDA等級品質スコアは、公式USDA等級審査員によって決定される0~100の等級数値表現として定量化され、全ての茎の位置の加重平均である。等級指数が高いほど高品質であることを示す。あるいは、葉等級は、ハイパースペクトルイメージングを介して決定することができる。例えば、WO 2011/027315 (2011年3月10日付で公開されており、参照によりその全体が組み入れられる)を参照されたい。
【0197】
本明細書において用いられる場合、「認証タバコ葉等級審査員」は、米国農務省(USDA)、7 CFR § 29に公開されている農業マーケティングシステムにより定義される USDA 公式基準等級にしたがってタバコ葉を等級付けする訓練を受けた者をいう。本明細書において用いられる場合、「公式USDA等級」は、従業員、過去の従業員、またはUSDA公式基準等級にしたがってタバコ葉を等級付けする訓練をその他の方法で受けた者によって割り当てられうる。商業検査サービスの標準作業の例示的手順は、栽培者がタバコを市場に出荷することから始まり、その後、タバコはロットとして平らな籠に並べられる。各ロットは計量され、その後、公式USDA等級審査員によって検査される。検査後、等級審査員は各ロットに等級を割り当て、それが群、品質、および色を示す等級証明書になる。実験ロットを等級付けするための手順は類似している; しかしながら、実験用タバコは市場に出されず、または商業目的で使用されることもない。
【0198】
タバコ等級は、葉の茎の位置、葉のサイズ、葉の色、葉の均一性および完全性、熟度、質感、弾力性、光沢(葉の着色の強さおよび深さならびに輝きに関連)、吸湿性(周囲の水分を吸収かつ保持するタバコ葉の能力)、ならびに緑色の色相または色調を含むが、これらに限定されない、要因に基づいて評価される。葉の等級は、例えば、米国農務省の農業マーケティングサービス(7 U.S.C. §511)により発行された公式基準等級を用いて決定することができる。例えば、バーレイタバコ(米国タイプ31、外国タイプ93)の公式基準等級, 1990年11月5日発効(55 F.R. 40645); フルーキュアードタバコ(米国タイプ11、12、13、14および外国タイプ92)の公式基準等級, 1989年3月27日発効(54 F.R. 7925); ペンシルバニアシードリーフタバコ(米国タイプ41)の公式基準等級, 1965年1月8 日発効(29 F.R. 16854); オハイオシガーリーフタバコ(米国タイプ42、43および44)の公式基準等級, 1963年12月8日発効(28 F.R. 11719および28 F.R. 11926); ウィスコンシンシガーバインダタバコ(米国タイプ54および55)の公式基準等級, 1969年11月20日発効(34 F.R. 17061); ウィスコンシンシガーバインダタバコ(米国タイプ54および55)の公式基準等級, 1969年11月20日発効(34 F.R. 17061); ジョージアおよびフロリダシェード・グロウンシガー・ラッパータバコ(Georgia and Florida Shade-Grown Cigar-Wrapper Tobacco) (米国タイプ62)の公式基準等級, 1971年4月発効を参照されたい。USDA等級指数値は、業界で受け入れられている等級指数にしたがい決定することができる。例えばBowman et al, Tobacco Science, 32:39-40(1988); Legacy Tobacco Document Library (Bates Document #523267826-523267833, July 1, 1988, Memorandum on the Proposed Burley Tobacco Grade Index); およびMiller et al., 1990, Tobacco Intern., 192:55-57 (前述の全ての参考文献は参照によりその全体が組み入れられる)を参照されたい。
【0199】
特に指定のない限り、タバコ植物、品種、栽培品種、または系統について本明細書において言及される葉の等級指数値、アルカロイド、またはニコチンレベルの測定値は、例えば、単一の植物の複数の葉の平均、または単一の品種、栽培品種もしくは系統由来のタバコ植物の集団からの平均測定値を含む、平均測定値をいう。平均測定値(例えば、葉の等級付けまたはアルカロイドもしくはニコチンレベル)を決定するためのタバコ植物の集団またはタバコ葉の集合は、任意のサイズ、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、50、またはそれ以上のものであることができる。標準偏差を決定するためには、少なくとも5つまたはそれ以上のタバコ植物の集団が用いられる。平均測定値または等級指数値の決定のためには、業界で受け入れられている標準プロトコルに従う。
【0200】
本明細書において用いられる場合、「USDA等級付け葉群」、「葉群」または「群」は、茎の位置、体、または一般的な品質に関連するある種の特徴に基づき、密接に関連する等級を網羅するタイプの区分である。群は、USDA等級の第1因子である。群の決定は、等級付け手順の一部であり、公式USDA等級審査員によって割り当てられる。
【0201】
特に指定のない限り、タバコ植物、品種、栽培品種、または系統について本明細書において言及されるアルカロイドもしくはニコチンレベル(または別の葉の化学的性質もしくは特性の特徴付け)の測定値または葉等級指数値は、例えば、単一の植物の複数の葉の平均、または単一の品種、栽培品種もしくは系統由来のタバコ植物の集団からの平均測定値を含む、平均測定値をいう。
【0202】
特に指定のない限り、ニコチンもしくはアルカロイドレベル(または別の葉の化学的性質もしくは特性の特徴付け)は、摘心後の葉番号3、4、および5から収集したプール葉サンプルにおいて摘心後に測定される。本明細書において用いられる場合、2つの植物由来の葉の比較(例えば、変異体植物 対 対照植物)が言及される場合はいつでも、比較が他の要因ではなく、遺伝子型の差による影響を実証できるように、同一または同等の茎位置および発育段階からの葉を意図している。非限定的な例示として、野生型対照植物の葉3は、PY形質を含む植物の葉3と比較するための基準点として意図される。
【0203】
本明細書において用いられる場合、葉の番号付けはタバコ茎上の葉の位置に基づいており、葉番号1は摘心後の最も若い葉(上部)であり、最も高い葉番号は最も古い葉(下部)に割り当てられる。
【0204】
特に指定のない限り、対照植物との全ての比較には、比較される2つの植物について類似の生育条件または同等の生育条件を必要とする。本明細書において用いられる場合、「類似の生育条件」または「同等の生育条件」は、環境条件または農耕法が2つまたはそれ以上の植物遺伝子型の間で観察されるいかなる差異にも寄与しないまたは説明とならないように、2つまたはそれ以上の植物遺伝子型の間で生育および有意義な比較を行うための類似の生育条件および/または農耕法をいう。環境条件は、例えば、光、温度、水(湿度)、および栄養(例えば、窒素およびリン)を含む。農耕法は、例えば、播種、刈込、切下げ(undercutting)、移植、摘心、および株分けを含む。Chapters 4B and 4C of Tobacco, Production, Chemistry and Technology, Davis & Nielsen, eds., Blackwell Publishing, Oxford (1999), pp 70-103を参照されたい。
【0205】
乾燥/製品
「乾燥(curing)」は、水分を減らし、クロロフィルの破壊を引き起こしてタバコの葉に金色を与え、それによってでんぷんを砂糖に変換する熟成プロセスである。それゆえ、乾燥タバコは、収穫された緑葉と比較して、より高い還元糖含有量およびより低いデンプン含有量を有する。1つの局面において、本明細書において提供されるタバコ植物または植物成分は、従来の手段、例えば、熱風乾燥(flue-cured)、倉庫乾燥(barn-cured)、火力乾燥(fire-cured)、空気乾燥(air-cured)または天日乾燥(sun-cured)を用いて乾燥させることができる。例えば、異なるタイプの乾燥方法の記述については、Tso (1999, Chapter 1 in Tobacco, Production, Chemistry and Technology, Davis & Nielsen, eds., Blackwell Publishing, Oxford)を参照されたい。乾燥タバコは、通常、木製ドラム(例えば、大だる)または段ボール箱中、圧縮された状態で数年間(例えば、2~5年間)、10%から約25%の範囲の水分含有量で熟成される。米国特許第4,516,590号および同第5,372,149号を参照されたい。乾燥および熟成されたタバコを、その後、さらに処理することができる。さらなる処理は、さまざまな温度での蒸気の導入を伴うまたは伴わない真空下でのタバコのコンディショニング、低温殺菌、および発酵を含む。
【0206】
バーレイおよびダークタバコ品種の収穫に関する情報は、ケンタッキー大学、テネシー大学、バージニア工科大学、およびノースカロライナ州立大学により刊行された2019-2020 Burley and Dark Tobacco Production Guide (December 2018)のなかで見出すことができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0207】
1つの局面において、本開示は、本明細書において提供される任意の植物からの乾燥タバコ材料を提供する。
【0208】
1つの局面において、乾燥タバコ材料は、葉材料、茎材料、芽材料、花材料、および根材料から選択される群から選択されるタバコ材料を含む。
【0209】
1つの局面において、本明細書において提供される乾燥タバコ葉は、空気乾燥タバコ葉、火力乾燥タバコ葉、天日乾燥タバコ葉、および熱風乾燥タバコ葉からなる群より選択される。別の局面において、本明細書において提供される乾燥タバコ材料は、空気乾燥タバコ材料、火力乾燥タバコ材料、天日乾燥タバコ材料、および熱風乾燥タバコ材料からなる群より選択される。1つの局面において、乾燥タバコ葉は、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種由来である。別の局面において、乾燥タバコ材料は、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種由来である。
【0210】
発酵は、典型的には、高い初期水分含有量、発熱、および10~20%の乾燥重量の損失によって特徴付けられる。例えば、米国特許第4,528,993号、同第4,660,577号、同第4,848,373号、同第5,372,149号; 米国特許出願公開第2005/0178398号; およびTso (1999, Tobacco, Production, Chemistry and Technology, Davis & Nielsen編, Blackwell Publishing, Oxford中の第1章)を参照されたい。乾燥、熟成、および発酵したタバコを、さらに処理(例えば、切断、細断、膨張、またはブレンド)することができる。例えば、米国特許第4,528,993号、同第4,660,577号; および同第4,987,907号を参照されたい。1つの局面において、本開示は、本明細書において提供される任意のタバコ植物由来の発酵タバコ材料を提供する。
【0211】
本開示のタバコ系統、品種、または雑種から得られるタバコ材料は、タバコ製品を作製するために用いることができる。本明細書において用いられる場合、「タバコ製品」は、ヒトによる使用または消費を目的としている、タバコから作製または誘導された任意の製品と定義される。1つの局面において、本開示は、本明細書において提供されるタバコ植物由来の植物材料を含むタバコ製品を提供する。別の局面において、本開示は、乾燥タバコ材料を含むタバコ製品を提供する。別の局面において、本開示は、発酵タバコ材料を含むタバコ製品を提供する。
【0212】
提供されるタバコ製品は、非限定的に、紙巻タバコ(シガレット)製品(例えば、紙巻タバコおよびビディ紙巻タバコ)、葉巻タバコ(例えば、葉巻きタバコおよびシガリロ)、パイプタバコ製品、タバコ由来の製品、タバコ由来のニコチン製品、無煙タバコ製品(例えば、湿性嗅ぎタバコ、乾燥嗅ぎタバコ、および噛みタバコ)、フィルム、チュアブル、タブレット(tabs)、成形部品、ゲル、消耗品ユニット、不溶性マトリクス、中空形状、再構成タバコ、膨張タバコなどを含む。例えば、米国特許出願公開第2006/0191548号を参照されたい。
【0213】
本明細書において用いられる場合、「紙巻タバコ(シガレット)」は、「ロッド」および「充填材」を有するタバコ製品をいう。シガレット「ロッド」は、シガレット紙、フィルタ、プラグラップ(ろ過材を含ませるために用いられる)、(充填材を含む)シガレット紙をフィルタに保持するチッピング紙、およびこれらの構成要素を一緒に保持する全ての接着剤を含む。「充填材」は、(1) 再構成および膨張タバコを含むがこれに限定されない、全てのタバコ、(2) 非タバコ代用品(ハーブ、非タバコ植物材料およびシガレット紙の中に巻かれたタバコに付随しうる他のスパイスを含むがこれらに限定されない)、(3) 包装材料、(4) 香料、ならびに(5) (タバコおよび代替品に混合され、紙巻タバコに巻き込まれる)他の全ての添加物を含む。
【0214】
本明細書において用いられる場合、「再構成タバコ」は、タバコダストおよび他のタバコスクラップ材料から作製され、シート状に加工され、タバコに似せて短冊状に裁断したタバコ充填材の一部をいう。再構成タバコは、コスト削減に加えて、アンモニアと糖の間の反応を用いた加工風味開発による紙巻タバコの味への貢献が非常に重要である。1つの局面において、タバコ製品は再構成タバコを含む。
【0215】
本明細書において用いられる場合、「膨張タバコ」は、適当なガスの膨張により処理され、その結果、タバコが「膨化され」、密度の低減およびさらに高い充填能力をもたらすタバコ充填材の一部をいう。これは、紙巻タバコに用いられるタバコの重量を減らす。1つの局面において、タバコ製品は膨張タバコを含む。
【0216】
本開示の植物に由来するタバコ製品は、紙巻タバコおよび他の喫煙物品、特に喫煙可能な材料のロッドがタバコブレンド内の乾燥タバコを含む、フィルタ要素を含んだ喫煙物品も含む。1つの局面において、本開示のタバコ製品は、シガリロ、非通気性リセスフィルタ紙巻タバコ、通気性リセスフィルタ紙巻タバコ、葉巻、嗅ぎタバコ、パイプタバコ、葉巻タバコ、紙巻タバコ、噛みタバコ、葉タバコ、水タバコ、刻みタバコ、およびカットタバコからなる群より選択される。別の局面において、本開示のタバコ製品は、無煙タバコ製品である。無煙タバコ製品は、燃焼されず、噛みタバコ、湿性無煙タバコ、スヌース、および乾燥嗅ぎタバコを含むが、これらに限定されることはない。噛みタバコは粗く分割されたタバコの葉であり、これは、通常、大きな袋状のパッケージに入れられ、プラグまたはツイストとして用いられる。湿性無煙タバコは、湿った、より細かく分割されたタバコであり、これはゆるい形または袋状の形で提供され、通常、丸い缶に入れられ、成人タバコ消費者の頬と歯茎の間に配される小袋としてまたはピンチとして用いられる。スヌースは、加熱処理された無煙タバコである。乾燥嗅ぎタバコは、口に入れられるか、または鼻で用いられる微粉砕したタバコである。さらに別の局面において、本開示のタバコ製品は、電子加熱シガレット、電子シガレット、電子気化装置からなる群より選択される。
【0217】
1つの局面において、無煙タバコ製品は、ルーズリーフ噛みタバコ、プラグ噛みタバコ、湿性嗅ぎタバコ、鼻用嗅ぎタバコ、乾燥嗅ぎタバコ、およびスヌースからなる群より選択される。
【0218】
1つの局面において、本開示のタバコ製品は、ブレンドされたタバコ製品であることができる。
【0219】
別の局面において、本開示は、乾燥タバコ材料を含むタバコブレンドを提供する。タバコブレンドは、乾燥タバコ、未乾燥タバコ、発酵タバコ、未発酵タバコ、膨張タバコ、および再構成タバコの任意の組み合わせを含むことができる。
【0220】
1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも5重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも10重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも15重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも20重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも25重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも30重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも35重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも40重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも45重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも50重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも55重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも60重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも65重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも70重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも75重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも80重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも85重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも90重量%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも95重量%の乾燥タバコを含む。
【0221】
1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも5体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも10体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも15体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも20体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも25体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも30体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも35体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも40体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも45体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも50体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも55体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも60体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも65体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも70体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも75体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも80体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも85体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも90体積%の乾燥タバコを含む。1つの局面において、タバコブレンドは少なくとも95体積%の乾燥タバコを含む。
【0222】
配列
2つまたはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に関して本明細書において用いられる「パーセント同一性」または「パーセント同一」という用語は、(i) 比較ウィンドウ(「整列可能な」領域)にわたって2つの最適に整列された配列(ヌクレオチドまたはアミノ酸)を比較すること、(ii) 同一の核酸塩基(ヌクレオチド配列の場合)またはアミノ酸残基(タンパク質およびポリペプチドの場合)が両方の配列に存在する位置の数を決定して、一致する位置の数を算出すること、(iii) 一致した位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割ること、次いで(iv) この商に100%を乗じてパーセント同一性を算出することにより計算される。特定の比較ウィンドウを指定せずに参照配列に関連して「パーセント同一性」が計算されている場合、パーセント同一性は、アライメント領域にわたって一致した位置の数を参照配列の全長で割ることによって決定される。したがって、本出願の目的のために、2つの配列(問い合わせおよび対象)が(それらのアライメントにおけるギャップを許容して)最適に整列される場合、問い合わせ配列に対する「同一性パーセント」は、2つの配列間の同一位置の数をその長さ(または比較ウィンドウ)にわたり問い合わせ配列における位置の総数で割り、これに100%を乗じたものに等しい。
【0223】
アミノ酸に関して配列同一性の割合が用いられる場合、同一ではない残基位置は、アミノ酸残基が類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基に置き換えられ、それゆえ分子の機能特性を変化させない、保存的アミノ酸置換によって異なることが多いと認識されている。配列が保存的置換の点で異なる場合、置換の保存的性質を補正するために、パーセント配列同一性を上方修正することができる。そのような保守的置換によって異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有すると言われる。
【0224】
パーセント同一性を計算するための配列の最適なアライメントの場合、2つまたはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の配列同一性および類似性を比較するために使用することができる、ClustalWまたはベーシックローカルアライメント検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool)(登録商標) (BLAST(商標))などのような、さまざまなペアワイズまたは多重配列アライメントアルゴリズムおよびプログラムが当技術分野において公知である。他のアライメントおよび比較方法が当技術分野において公知であるが、2つの配列間のアライメントおよびパーセント同一性(上記のパーセント同一性の範囲を含む)は、ClustalWアルゴリズムによって決定される通りであることができ、例えば、Chenna et al., 「Multiple sequence alignment with the Clustal series of programs」, Nucleic Acids Research 31: 3497-3500 (2003); Thompson et al., 「Clustal W: Improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penalties and weight matrix choice」, Nucleic Acids Research 22: 4673-4680 (1994); Larkin MA et al., 「Clustal W and Clustal X version 2.0」, Bioinformatics 23: 2947-48 (2007); およびAltschul et al. 「Basic local alignment search tool.」 J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)を参照されたく、その内容および開示の全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0225】
2つのヌクレオチド配列に関連して本明細書において用いられる「パーセント相補性」または「パーセント相補」という用語は、パーセント同一性の概念に類似しているが、しかし問い合わせ配列および対象配列が直線的に整列され、ループ、ステムまたはヘアピンのような、二次折り畳み構造なしに最適に塩基対合される場合に対象配列のヌクレオチドに最適に塩基対合またはハイブリダイズする問い合わせ配列のヌクレオチドの割合をいう。そのようなパーセント相補性は、2つのDNA鎖、2つのRNA鎖、またはDNA鎖とRNA鎖の間であることができる。「パーセント相補性」は、(i) 比較ウィンドウにわたって2つのヌクレオチド配列を直線的なかつ完全に伸長された配置で(すなわち、折り畳みまたは二次構造なしに)最適に塩基対合またはハイブリダイズさせること、(ii) 比較ウィンドウにわたって2つの配列間で塩基対合する位置の数を決定して相補的位置の数を得ること、(iii) 比較ウィンドウにおける位置の総数で相補的位置の数を割ること、および(iv) この商に100%を乗じて2つの配列のパーセント相補性を得ることにより算出することができる。2つの配列の最適な塩基対合は、水素結合によるG-C、A-T、およびA-Uなどの、ヌクレオチド塩基の既知の対合に基づいて決定することができる。特定の比較ウィンドウを指定せずに参照配列に関連して「パーセント相補性」を計算している場合、2つの直鎖状配列間の相補的位置の数を参照配列の全長で割ることにより、パーセント同一性が決定される。したがって、本出願の目的のために、2つの配列(問い合わせおよび対象)が(ミスマッチまたは非塩基対合ヌクレオチドを許容して)最適に塩基対合される場合、問い合わせ配列に対する「パーセント相補性」は、2つの配列間の塩基対合位置の数をその長さにわたり問い合わせ配列における位置の総数で割り、これに100%を乗じたものに等しい。
【0226】
「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」という用語の使用は、デオキシリボ核酸(DNA)を含むポリヌクレオチドに本開示を限定することを意図していない。例えば、リボ核酸(RNA)分子も想定される。当業者は、ポリヌクレオチドおよび核酸分子が、リボヌクレオチドならびにリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの組み合わせを含みうることを認識するであろう。そのようなデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドは、天然に存在する分子および合成類似体の両方を含む。本開示のポリヌクレオチドは、一本鎖形態、二本鎖形態、ヘアピン、ステム・ループ構造などを含むが、これらに限定されない、全ての形態の配列も包含する。1つの局面において、本明細書において提供される核酸分子はDNA分子である。別の局面において、本明細書において提供される核酸分子はRNA分子である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸分子は一本鎖である。別の局面において、本明細書において提供される核酸分子は二本鎖である。核酸分子は、ポリペプチドまたは低分子RNAをコードすることができる。
【0227】
本明細書において用いられる場合、「組換え核酸」は、限定するものではないが、分子クローニングなどの、遺伝子組換えの実験室的方法によって形成される核酸分子をいう。
【0228】
核酸は、当技術分野において日常的な技法を用いて単離することができる。例えば、核酸は、非限定的に、組換え核酸技術、および/またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む任意の方法を用いて単離することができる。一般的なPCR技法は、例えば、PCR Primer: A Laboratory Manual, Dieffenbach & Dveksler, Eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995に記述されている。組換え核酸技法は、例えば、制限酵素消化およびライゲーションを含み、これらを用いて核酸を単離することができる。単離された核酸は、単一の核酸分子としてまたは一連のオリゴヌクレオチドとして、化学的に合成することもできる。ポリペプチドは、DEAEイオン交換、ゲルろ過、およびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーなどの既知の方法によって天然源(例えば、生物学的サンプル)から精製することができる。ポリペプチドは、例えば、発現ベクターにおいて核酸を発現させることにより精製することもできる。さらに、精製されたポリペプチドは、化学合成によって得ることができる。ポリペプチドの純度の程度は、任意の適切な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析を用いて測定することができる。
【0229】
1つの局面において、本開示は、植物細胞中の組換え核酸およびポリペプチドを検出する方法を提供する。限定するものではないが、核酸は、ハイブリダイゼーションを用いて検出することもできる。核酸間のハイブリダイゼーションは、Sambrookら(1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)に詳細に論じられている。
【0230】
1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と少なくとも75%同一である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と少なくとも80%同一である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と少なくとも85%同一である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と少なくとも90%同一である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と少なくとも95%同一である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と少なくとも96%同一である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と少なくとも97%同一である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と少なくとも98%同一である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と少なくとも99%同一である。1つの局面において、本明細書において提供される核酸配列は、SEQ ID NO: 1~27、34~42、44、45、48および49からなる群より選択される配列と100%同一である。
【0231】
本明細書において用いられる場合、「ポリペプチド」という用語は、少なくとも2つの共有結合したアミノ酸の鎖をいう。ポリペプチドは、本明細書において提供されるポリヌクレオチドによってコードされうる。本明細書において提供されるタンパク質は、本明細書において提供される核酸分子によってコードされうる。タンパク質は、本明細書において提供されるポリペプチドを含むことができる。本明細書において用いられる場合、「タンパク質」は、細胞に構造または酵素活性を提供することができるアミノ酸残基の鎖をいう。
【0232】
ポリペプチドは、抗体を用いて検出することができる。抗体を用いてポリペプチドを検出するための技法は、酵素免疫測定法(ELISA)、ウエスタンブロット法、免疫沈降法および免疫蛍光法を含む。本明細書において提供される抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であることができる。本明細書において提供されるポリペプチドに対して特異的な結合親和性を有する抗体は、当技術分野において周知の方法を用いて作製することができる。本明細書において提供される抗体は、当技術分野において公知の方法を用いて、マイクロタイタープレートなどの固体支持体に付着させることができる。
【0233】
検出(例えば、増幅産物の、ハイブリダイゼーション複合体の、ポリペプチドの)は、検出可能な標識を用いて達成することができる。「標識」という用語は、間接標識と同様に、直接標識の使用を包含することを意図している。検出可能な標識は、酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質を含む。
【0234】
1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一または類似である。1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と少なくとも75%同一または類似である。1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と少なくとも80%同一または類似である。1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と少なくとも85%同一または類似である。1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と少なくとも90%同一または類似である。1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と少なくとも95%同一または類似である。1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と少なくとも96%同一または類似である。1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と少なくとも97%同一または類似である。1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と少なくとも98%同一または類似である。1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と少なくとも99%同一または類似である。1つの局面において、本明細書において提供されるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択される配列と100%同一または類似である。
【0235】
以下の例示の、非限定的な態様が想定される:
1. SEQ ID NO: 18、16、17、19~21および48からなる群より選択される核酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドに非天然変異を含む、改変されたタバコ植物またはその部分であって、
該改変されたタバコ植物が淡黄色表現型を含み、かつ該変異が同じタバコ品種の対照タバコ植物と比較したものである、前記改変されたタバコ植物またはその部分。
2. 改変されたタバコ植物が、フルーキュアード(flue-cured)品種、ブライト(bright)品種、バーレイ(Burley)品種、バージニア(Virginia)品種、メリーランド(Maryland)品種、ダーク(dark)品種、ガルパオ(Galpao)品種、オリエンタル(Oriental)品種、およびトルコ(Turkish)品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである、態様1の改変されたタバコ植物またはその部分。
3. 改変されたタバコ植物が、表2、表3、表4、表5、表6、表7、および表8に記載されるタバコ品種からなる群より選択される品種のものである、態様1または2の改変されたタバコ植物またはその部分。
4. 変異についてヘテロ接合性である、態様1~3のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
5. 変異についてホモ接合性である、態様1~3のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
6. 改変されたタバコ植物が雑種である、態様1~5のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
7. 改変されたタバコ植物が、雄性不稔または細胞質雄性不稔である、態様1~6のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
8. 非天然変異が、対照タバコ植物と比較して、遺伝子の発現レベルの低減をもたらす、態様1~7のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
9. 非天然変異が、非天然変異を欠くポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドと比較した、非天然変異を含むポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドによる活性レベルの低減をもたらす、態様1~8のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
10. 非天然変異が、対照タバコ植物と比較して、遺伝子の発現レベルの増加をもたらす、態様1~7のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
11. 非天然変異が、非天然変異を欠くポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドと比較した、非天然変異を含むポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチドによる活性レベルの増加をもたらす、態様1~7または10のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
12. 非天然変異が、プロモーター、5' UTR、イントロン、エクソン、3' UTR、ターミネーター、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される配列領域中の変異を含む、態様1~11のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
13. 非天然変異が、ナンセンス変異、ミスセンス変異、フレームシフト変異、スプライス部位変異、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異タイプを含む、態様1~12のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
14. 非天然変異が、SEQ ID NO: 18、16、17、19~21および48からなる群より選択される野生型遺伝子に対する1つまたは複数のヌクレオチドの置換、欠失、挿入、重複、および逆位からなる群より選択される変異を含む、態様1~13のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
15. タバコ植物が、ニコチンレベルの低減を与える変異または導入遺伝子を含む、態様1~14のいずれか1つの改変されたタバコ植物またはその部分。
16. タバコ植物が低アルカロイドタバコ植物である、態様15の改変されたタバコ植物またはその部分。
17. ニコチンレベルの低減を与える変異が、nic1変異、nic2変異またはその両方を含む、態様15の改変されたタバコ植物またはその部分。
18. nic1変異、nic2変異またはその両方が、LA Burley 21、LAFC53、LN B&W、およびLN KY171からなる群より選択される品種から遺伝子移入されるか、または該品種に由来する、態様17の改変されたタバコ植物またはその部分。
19. ニコチンレベルの低減を与える変異が、アスパラギン酸オキシダーゼ、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、NADHデヒドロゲナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(PRAI)、プトレシンN-メチルトランスフェラーゼ(PMT)、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、S-アデノシル-メチオニンシンテターゼ(SAMS)、A622、NBB1、BBL、MYC2、Nic1_ERF、Nic2_ERF、エチレン応答因子(ERF)転写因子、ニコチン取り込み透過酵素(NUP)、およびMATEトランスポーターからなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子座における変異を含む、態様15の改変されたタバコ植物またはその部分。
20. ニコチンレベルの低減を与える変異が、ERF101、ERF110、ERFnew、ERF199、ERF19、ERF130、ERF16、ERF29、ERF210、およびERF91L2からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子座における変異を含む、態様15の改変されたタバコ植物またはその部分。
21. ニコチンレベルの低減を与える変異が、ERF32、ERF34、ERF39、ERF189、ERF115、ERF221、ERF104、ERF179、ERF17、およびERF168からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子または遺伝子座における変異を含む、態様15の改変されたタバコ植物またはその部分。
22. ニコチンレベルの低減を与える導入遺伝子が、アスパラギン酸オキシダーゼ、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、NADHデヒドロゲナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(PRAI)、プトレシンN-メチルトランスフェラーゼ(PMT)、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、S-アデノシル-メチオニンシンテターゼ(SAMS)、A622、NBB1、BBL、MYC2、Nic1_ERF、Nic2_ERF、エチレン応答因子(ERF)転写因子、ニコチン取り込み透過酵素(NUP)、およびMATEトランスポーターからなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的化および抑制する導入遺伝子を含む、態様15の改変されたタバコ植物またはその部分。
23. ニコチンレベルの低減を与える導入遺伝子が、ERF101、ERF110、ERFnew、ERF199、ERF19、ERF130、ERF16、ERF29、ERF210、およびERF91L2からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的化および抑制する導入遺伝子を含む、態様15の改変されたタバコ植物またはその部分。
24. ニコチンレベルの低減を与える導入遺伝子が、ERF32、ERF34、ERF39、ERF189、ERF115、ERF221、ERF104、ERF179、ERF17、およびERF168からなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子を標的化および抑制する導入遺伝子を含む、態様15の改変されたタバコ植物またはその部分。
25. 非コードRNA分子をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸構築物を含む、改変されたタバコ植物またはその部分であって、
該非コードRNA分子が、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNAに結合することができ、該非コードRNA分子が該アミノ酸配列の発現を抑制し、かつ該改変されたタバコ植物が淡黄色表現型を含む、前記改変されたタバコ植物またはその部分。
26. 非コードRNA分子がマイクロRNA分子である、態様25の改変されたタバコ植物またはその部分。
27. 態様1~25のいずれか1つのタバコ植物からの乾燥タバコ材料。
28. 熱風乾燥、空気乾燥、火力乾燥、および天日乾燥からなる群より選択される乾燥プロセスによって作製される、態様27の乾燥タバコ材料。
29. 態様27または28の乾燥タバコ材料を含む、タバコブレンド。
30. 乾燥タバコ材料がタバコブレンド中の乾燥タバコの少なくとも10重量%を構成する、態様29のタバコブレンド。
31. 乾燥タバコ材料がタバコブレンド中の乾燥タバコの少なくとも10体積%を構成する、態様29のタバコブレンド。
32. 態様27または28の乾燥タバコ材料を含む、タバコ製品。
33. シガリロ、非通気性リセスフィルタ紙巻タバコ、通気性リセスフィルタ紙巻タバコ、葉巻、嗅ぎタバコ、パイプタバコ、葉巻タバコ、紙巻タバコ、噛みタバコ、葉タバコ、水タバコ、刻みタバコ、およびカットタバコからなる群より選択される、態様32のタバコ製品。
34. 無煙タバコ製品である、態様32のタバコ製品。
35. 無煙タバコ製品が、ルーズリーフ噛みタバコ、プラグ噛みタバコ、湿性嗅ぎタバコ、鼻用嗅ぎタバコ、乾燥嗅ぎタバコ、およびスヌースからなる群より選択される、態様32のタバコ製品。
36. 態様27または28の乾燥タバコ材料を含む、再構成されたタバコ。
37. 淡黄色(PY)表現型を示すタバコ植物の集団を作製する方法であって、
(a) PY量的形質遺伝子座(QTL)に関連しかつSEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の20センチモルガン(cM)以内に連関した1つまたは複数のマーカー遺伝子座の存在について、タバコ植物またはタバコ種子の第1の集団を遺伝子型判定する段階;
(b) 段階(a)において遺伝子型判定された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子を選択する段階であって、該1つまたは複数のタバコ植物または種子が、該1つまたは複数のマーカー遺伝子座および該PY QTLを含む、段階; ならびに
(c) 該PY QTLおよび該1つまたは複数のマーカー遺伝子座を含むタバコ植物またはタバコ種子の第2の集団を、段階(b)において選択された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子から産生する段階であって、該タバコ植物またはタバコ種子の第2の集団が、淡黄色表現型を示す少なくとも1つのタバコ植物または種子を含む、段階
を含む、前記方法。
38. 淡黄色(PY)表現型を示すタバコ植物の集団を作製する方法であって、
(a) PY量的形質遺伝子座(QTL)に関連しかつSEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の20,000,000ヌクレオチド以内に位置した1つまたは複数のマーカー遺伝子座の存在について、タバコ植物またはタバコ種子の第1の集団を遺伝子型判定する段階;
(b) 段階(a)において遺伝子型判定された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子を選択する段階であって、該1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子が、該1つまたは複数のマーカー遺伝子座および該PY QTLを含む、段階; ならびに
(c) 該PY QTLおよび該1つまたは複数のマーカー遺伝子座を含むタバコ植物またはタバコ種子の第2の集団を、段階(b)において選択された1つまたは複数のタバコ植物またはタバコ種子から産生する段階であって、該タバコ植物またはタバコ種子の第2の集団が、淡黄色表現型を示す少なくとも1つのタバコ植物または種子を含む、段階
を含む、前記方法。
39. 段階(c)において産生された1つまたは複数のタバコ植物を、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、キノリネートシンターゼ(QS)、BBL、A622、アスパラギン酸オキシダーゼ、アグマチンデイミナーゼ(AIC)、S-アデノシル-メチオニンシンテターゼ(SAMS)、アルギナーゼ、ジアミンオキシダーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(PRAI)、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、ニコチン取り込み透過酵素(NUP)、およびMATEトランスポーターからなる群より選択される産物をコードする1つまたは複数の遺伝子の発現または活性を直接抑制または排除する変異または導入遺伝子を含むタバコ植物と交配する段階
をさらに含む、態様37または38の方法。
40. 1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の15 cM以内に連関する、態様37の方法。
41. 段階(a)のタバコ植物またはタバコ種子が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の10 cM以内に連関したマーカー遺伝子座を含む、態様37の方法。
42. 段階(a)のタバコ植物またはタバコ種子が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の5 cM以内に連関したマーカー遺伝子座を含む、態様37の方法。
43. 段階(a)のタバコ植物またはタバコ種子が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の1 cM以内に連関したマーカー遺伝子座を含む、態様37の方法。
44. 段階(a)のタバコ植物またはタバコ種子が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の0.5 cM以内に連関したマーカー遺伝子座を含む、態様37の方法。
45. 1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の500,000ヌクレオチド内に位置する、態様38の方法。
46. 1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の250,000ヌクレオチド内に位置する、態様38の方法。
47. 1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の100,000ヌクレオチド内に位置する、態様38の方法。
48. 1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される遺伝子座の50,000ヌクレオチド内に位置する、態様38の方法。
49. 淡黄色表現型が、後代植物の葉の少なくとも25%の、平均して少なくとも80%の黄変を含む、態様37または38の方法。
50. 遺伝子座がSEQ ID NO: 1である、態様37~49のいずれか1つの方法。
51. 遺伝子座がSEQ ID NO: 2である、態様37~49のいずれか1つの方法。
52. 遺伝子座がSEQ ID NO: 3である、態様37~49のいずれか1つの方法。
53. 遺伝子座がSEQ ID NO: 4である、態様37~49のいずれか1つの方法。
54. 遺伝子座がSEQ ID NO: 5である、態様37~49のいずれか1つの方法。
55. 段階(a)の遺伝子型判定が、1つまたは複数のマーカー遺伝子座を検出することを含む、態様37~49のいずれか1つの方法。
56. 1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、1つまたは複数の一塩基多型(SNP)マーカー、1つまたは複数の挿入-欠失(INDEL)マーカー、1つまたは複数の単純反復配列(SSR)マーカー、1つまたは複数の制限断片長多型(RFLP)マーカー、1つまたは複数のランダム増幅多型DNA (RAPD)マーカー、および1つまたは複数の増幅断片長多型(AFLP)マーカーからなる群より選択される、態様55の方法。
57. 遺伝子型判定がオリゴヌクレオチドプローブの使用を含む、態様55の方法。
58. オリゴヌクレオチドプローブが、SEQ ID NO: 34~42からなる群より選択される核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列を含む、態様57の方法。
59. オリゴヌクレオチドプローブが、マーカー遺伝子座の多型ヌクレオチド位置に隣接する、態様57の方法。
60. 段階(a)の遺伝子型判定が、ハプロタイプを検出することを含む、態様37~49のいずれか1つの方法。
61. ハプロタイプが、SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン、SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン、SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン、およびSEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニンからなる群より選択される少なくとも2つのSNPを含む、態様60の方法。
62. タバコ植物が、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、ガルパオ品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである、態様37~61のいずれか1つの方法。
63. タバコ植物が、表2、表3、表4、表5、表6、表7、および表8に記載されるタバコ品種からなる群より選択される品種のものである、態様37~61のいずれか1つの方法。
64. 1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、SEQ ID NO: 1~5からなる群より選択される、態様37または38の方法。
65. 1つまたは複数のマーカー遺伝子座が、
(a) SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン;
(b) SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン;
(c) SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン;
(d) SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン; および
(e) SEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニン
からなる群より選択される一塩基多型を含む、態様64の方法。
66. 淡黄色(PY) QTLを遺伝子移入する方法であって、
(a) 該PY量的形質遺伝子座(QTL)を含む第1のタバコ植物を、異なる遺伝子型の第2のタバコ植物と交配して、1つまたは複数の後代植物または種子を産生する段階; ならびに
(b)
(i) SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン、
(ii) SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン、
(iii) SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン、
(iv) SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン、または
(v) SEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニン
からなる群より選択される少なくとも1つのPY関連一塩基多型(SNP)を含む段階(a)において産生された後代植物または種子を選択する段階であって、該選択された後代植物または種子が淡黄色表現型を含む、段階
を含む、前記方法。
67. 淡黄色(PY)形質を遺伝子移入する方法であって、
(a) SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される配列に非天然変異を含む第1のタバコ植物を、異なる遺伝子型の第2のタバコ植物と交配して、1つまたは複数の後代植物または種子を産生する段階; ならびに
(b) 非天然変異を含む段階(a)において産生された後代植物または種子を選択する段階であって、該後代植物または種子が淡黄色形質を含む、段階
を含む、前記方法。
68. 段階(b)の後代植物または種子が、SNPについてヘテロ接合性である、態様66の方法。
69. 段階(b)の後代植物または種子が、SNPについてホモ接合性である、態様66の方法。
70. 段階(b)の後代植物または種子が、SEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニン、SEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニン、SEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニン、SEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミン、およびSEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニンからなる群より選択される少なくとも2つのSNPを含む、態様66~69のいずれか1つの方法。
71. 一塩基多型がSEQ ID NO: 1のヌクレオチド121位のグアニンである、態様66~69のいずれか1つの方法。
72. 一塩基多型がSEQ ID NO: 2のヌクレオチド121位のグアニンである、態様66~69のいずれか1つの方法。
73. 一塩基多型がSEQ ID NO: 3のヌクレオチド101位のグアニンである、態様66~69のいずれか1つの方法。
74. 一塩基多型がSEQ ID NO: 4のヌクレオチド121位のチミンである、態様66~69のいずれか1つの方法。
75. 一塩基多型がSEQ ID NO: 5のヌクレオチド121位のグアニンである、態様66~69のいずれか1つの方法。
76. タバコ植物が、フルーキュアード品種、ブライト品種、バーレイ品種、バージニア品種、メリーランド品種、ダーク品種、ガルパオ品種、オリエンタル品種、およびトルコ品種からなる群より選択されるタバコ品種のものである、態様66~75のいずれか1つの方法。
77. タバコ植物が、表2、表3、表4、表5、表6、表7、および表8に記載されるタバコ品種の群より選択される品種のものである、態様66~75のいずれか1つの方法。
78. 後代植物または種子が、非天然変異についてヘテロ接合性である、態様67の方法。
79. 後代植物または種子が、非天然変異についてホモ接合性である、態様67の方法。
80. 非天然変異が、対照タバコ植物と比較して、遺伝子の発現レベルの低減をもたらす、態様67の方法。
81. 非天然変異が、対照タバコ植物と比較して、遺伝子の発現レベルの増加をもたらす、態様67の方法。
82. 非天然変異が、プロモーター、5' UTR、イントロン、エクソン、3' UTR、ターミネーター、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される配列領域中の変異を含む、態様67の方法。
83. 非天然変異が、ナンセンス変異、ミスセンス変異、フレームシフト変異、スプライス部位変異、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の変異タイプを含む、態様67の方法。
84. 非天然変異が、SEQ ID NO: 16~21および48からなる群より選択される野生型核酸配列に対する1つまたは複数のヌクレオチドの置換、欠失、挿入、重複、および逆位からなる群より選択される変異を含む、態様67の方法。
85. 後代植物または種子が、PY QTLを欠く第2のタバコ植物と比較して、少なくとも1つのタバコ特異的ニトロソアミン(TSNA)のレベルの低減を含む、態様66の方法。
86. 少なくとも1つのTSNAが、N-ニトロソノルニコチンおよび4-(メチルニトロソアミノ)-l-(3-ピリジル)-l-ブタノン、N'-ニトロソアナタビン、ならびにN'-ニトロソアナバシンからなる群より選択される、態様85の方法。
87. 後代植物または種子が、PY QTLを欠く第2のタバコ植物と比較して、USDA葉等級指数の増加を含む、態様66の方法。
【0236】
これまで本開示を一般的に記述してきたが、実例として提供され、特に明記されない限り、本開示を限定することを意図しない以下の実施例を参照することによって、同じことがさらに容易に理解されるであろう。
【実施例
【0237】
実施例1. タバコでの淡黄色(PY)遺伝子座のマッピング
淡黄色(Pale Yellow) (PY)遺伝子座は、タバコでの老化を加速することが知られている。しかしながら、タバコゲノム内のPY遺伝子座の位置は不明である。
【0238】
PY遺伝子座の位置を決定するために、ナローリーフマドールLC (NL Madole LC, PY形質欠損)とTI1372 (PY形質の起源)との交配からF2マッピング集団を作製する。F2個体を摘心後の熟成過程の目視観察によって、および各植物の葉のエテホンによる処理前後の目視観察によってスコアリングすることにより、野原で表現型的にスコア化する。表9~12を参照されたい。葉を植物から取り除き、それらを完全に濡らすようにエテホン処理液(1.2 g ai/L)に浸す。
【0239】
エテホン処理後に連続5日の各日で葉をスクリーニングする。エテホンは植物内でエチレンに変換され、これが成熟を誘導し、PY形質を保有する植物はエテホンの適用によってさらに速いまたは加速した黄変を示す。
【0240】
(表9)未処理タバコ葉の表現型スコアリングスケール
【0241】
(表10)エテホン処理タバコ葉の表現型スコアリングスケール
【0242】
(表11)F2マッピング個体の表現型スコアリング
表9および10は、本表で用いられているスコアリングの説明を提供する。
【0243】
(表12)対照植物の表現型スコアリング
表10は、本表で用いられているスコアリングの説明を提供する。全ての対照植物はNLマドール(Madole) LC植物である。
【0244】
表12でスコア化されたF2個体中の93個体、および親系統(NLマドールLCおよびTI1372)を、タバコゲノム全体に配置されたおよそ170,000個のSNPを含むカスタムタバコ・アキシオム(axiom)アレイを用いて遺伝子型判定する。遺伝子型および表現型のデータを組み合わせて、量的形質遺伝子座を同定し、淡黄色形質の遺伝的制御を同定する。タバコ疑似配列(pseudomolecule)の第15染色体上のQTL (PY QTL)は、この分析において同定されたPY形質のバラツキの75%を説明する。PY QTLは、公開されているSSR/マイクロサテライトマーカーPT51549とPT55414の間に位置付けられる。Bindler et al., 「A high density genetic map of tobacco (Nicotiana tabacum L.) obtained from large scale microstatellite marker development」, Theor. Appl. Genet., 123:219-230 (2011)を参照されたく、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。さらなる公開されているタバコマーカーは、Tong et al., 「Large-scale development of SSR markers in tobacco and construction of a linkage map in flue-cured tobacco」, Breed Sci., 66:381-390 (2016)において見出すことができ、これも参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0245】
実施例2. 高速大量処理KASP(商標)アッセイのデザインおよび検証
KASP(商標)は、競合的な対立遺伝子特異的PCRに基づく遺伝子型判定アッセイのシステムであり、これは特定の遺伝子座でのSNPの二対立遺伝子スコアリングを可能にする。KASP(商標)プライマーは、実施例1において同定されたQTL内の5つのSNPマーカーについてデザインされている。表13を参照されたい。
【0246】
(表13)KASP(商標)を用いてアッセイされたPY QTL内のSNP
SNP位置は、表の配列欄の太字下線である。
【0247】
実施例1において表現型を判定した80個のF2個体を、PY形質に関連するSNPマーカーを同定するために、表13において上記で同定したSNP遺伝子座でスクリーニングする。表14を参照されたい。
【0248】
(表14)KASP(商標) SNPマーカーの結果
遺伝子型欄は、表13で上述したように、各PY_SNPマーカーのSNP位置で観察されたヌクレオチドを示す。「?」は、データが決定的でなかったことを示す。「WT」は野生型または非PY遺伝子型をいう。
【0249】
表15は、公開されているマーカーPT51549 (GenBankアクセッション番号; Pr032530969)、PT55414 (GenBankアクセッション番号Pr032533458)、PT50034 (GenBankアクセッション番号Pr032529969)、およびPT53131 (GenBankアクセッション番号Pr032531997)と比較して、本明細書において同定されたSNPマーカーの物理的位置を提供する。
【0250】
(表15)タバコゲノム第15染色体上のマーカーおよび候補遺伝子の物理的位置
【0251】
実施例3. PY形質に関与する候補遺伝子の同定
ダークタバコ品種KY171 (PY形質を欠く)およびPYKY171 (TI1372から遺伝子移入されたPY形質を含むKY171)、ならびにTI1372を、植物が開花期に達するまで温室内で栽培する。開花期に達した後、全ての植物を摘心し、摘心24時間後、摘心48時間後、摘心72時間後、摘心1週間後、および摘心2週間後の植物から葉サンプルを収集する。
【0252】
RNAを各時点で品種ごとに全ての摘心サンプル、および非摘心対照サンプルから収集する。収集したRNAをIllumina HiSeqにて、サンプルあたりおよそ60,000,000端部読み出し(paired-end reads)の深さで2×100ヌクレオチド端部配列決定に供する。
【0253】
RNAseqの結果に基づいて、6つの候補遺伝子が第15染色体上に同定されている。表16を参照されたい。g61524はPY QTLの範囲に入らないが、しかし試験した2つのタバコ品種の間で有意に変化した発現を示した。
【0254】
(表16)候補遺伝子
【0255】
実施例4. 同定された候補遺伝子の検証
上記のF2マッピング集団(実施例1参照)においてスコア化された同じ種子ロット由来の植物を、上記実施例3において提供された候補遺伝子の発現を追跡するために用いる。親系統を対照として用いる。遺伝子発現を、KASP(商標) SNPマーカーの結果(表14参照)によって決定されるように、ホモ接合性PY、ヘテロ接合性PY、およびWTとスコア化された植物において調べる。群あたりおよそ24個のF2個体(ホモ接合性PY、ヘテロ接合性PY、およびWT)を候補遺伝子発現についてスクリーニングする。
【0256】
候補遺伝子の発現を、定量的RT-PCR (qPCR)、TaqMan(商標)遺伝子発現アッセイ、および RNAseq を用い葉組織において測定する。葉組織を摘心前に、および摘心後のいくつかの時点で(例えば、摘心24時間後、摘心48時間後、摘心72時間後、摘心1週間後、摘心2週間後に)各F2個体から収集する。ここでは、実施例3のRNAseq試験において用いたものと同じ系統を用いる。
【0257】
TaqMan(商標)遺伝子発現アッセイ(プライマーおよびプローブについては表17を参照のこと)は、上記の実施例3において同定された候補遺伝子の発現を追跡するようにデザインされている。
【0258】
qPCRを用い、KY171、淡黄色(Pale Yellow) KY171、およびTI1372においてg61524およびg58917の発現が類似していることが示されている。図2および図3を参照されたい。しかしながら、g58899の発現はKY171と比較して、淡黄色(Pale Yellow) KY171およびTI1372において著しく低い。図1を参照されたい。
【0259】
(表17)TaqMan(商標)プライマーおよびプローブ
【0260】
実施例5. 候補遺伝子を過剰発現させるための改変タバコ植物の形質転換および再生
PY形質と相関する発現の増加を示す候補遺伝子(例えば、TI1372、PY形質についてホモ接合性であるF2個体)を非PYバックグラウンド(例えば、NLマドール(Madole) NC)において過剰発現させ、結果として生じる表現型を観察する。
【0261】
発現ベクターをバックボーンとして用い、候補遺伝子(例えば、SEQ ID NO: 28~33、46、47および50のいずれか1つをコードする核酸配列; SEQ ID NO: 53および54も参照のこと)を過剰発現する組換えDNA構築物を含む複数の形質転換ベクターを作製する。発現ベクターは、CaMV 35Sプロモーター、NOSターミネーター、ならびにアクチン2プロモーターおよびNOSターミネーターに機能的に連結されたカナマイシン選択マーカー(NPT II)を含んだカセットを含む。関心対象の導入遺伝子を含む核酸ベクターは、アグロバクテリウム形質転換によりタバコ葉ディスクに導入される。例えば、Mayo et al., 2006, Nat Protoc. 1:1105-11およびHorsch et al., 1985, Science 227:1229-1231を参照されたい。
【0262】
NLマドール(Madole) LCタバコ植物を、マゼンタ(商標) GA-7ボックスで栽培し、葉ディスクをカットしてペトリ皿に入れる。形質転換ベクターを含むアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞を、10分間3500 RPMで50 mLの遠心分離管中20 mLの細胞懸濁液を遠心分離することによって収集する。上清を除去し、アグロバクテリウム・ツメファシエンス細胞ペレットを液体再懸濁培地40 mLに再懸濁する。タバコ葉を、中肋を避けて、15番の剃刀で0.6 cmのディスク8枚に切り、ペトリ皿に逆さに置く。B5ビタミン液体再懸濁培地を有するMurashige & Skoog (MS)の薄層をペトリ皿に加え、細い先の針で葉ディスクを均一に突き刺す。アグロバクテリウム・ツメファシエンス懸濁液約25 mLをペトリ皿に加え、葉ディスクを懸濁液中で10分間インキュベートする。
【0263】
葉ディスクを共培養ペトリ皿(1/2 MS培地)に移し、共培養TOM培地(30 g/Lスクロース; 0.1 mg/L 1-ナフタレン酢酸(NAA); および1 mg/L 6-ベンジルアミノプリン(BAP)を有するMS培地)に重ねたろ紙に接触させてディスクを逆さまに置く。ペトリ皿を暗所中で2日間、インキュベーションの前にパラフィルムで密閉する。
【0264】
インキュベーション後、葉ディスクを再生/選択TOM-Hyg培地ペトリ皿(TOM培地に200 mg/Lのセフォタキシムおよび50 mg/Lのハイグロマイシンを加えたもの)に移す。葉ディスクから形成されたカルスを隔週で、薄明かり(60 mE/ms~80 mE/ms)の中で新鮮TOM-Hyg培地に継代培養し、新芽(植物体)が切除可能になるまで24℃で18時間明期、6時間暗期の光周期におく。カルスから形成された植物体を鉗子で取り除き、MS発根培地(3 g/Lスクロース; 7 g/Lデキストロース; 200 mg/Lセフォタキシム; 50 mg/Lハイグロマイシンを有するMS培地)中に継代培養する。MS発根培地上の新芽を、薄明かりおよび18時間明期、6時間暗期の光周期で24℃にてインキュベートして、発根を誘導する。
【0265】
新芽および根の両方を含む植物体が十分に大きく(例えば、Magenta(商標) GA-7ボックスの高さの半分を超えて)生育したら、それらを成長室での順化のためにジフィー泥炭ペレットに移す。樹立されたら、さらなる生育、育種、および分析のために苗木を温室に移す。
【0266】
得られた植物を、上記実施例1に記述されているように、目視観察またはエテホンスクリーニングによって評価する。
【0267】
図4は、g58899 (SEQ ID NO: 30をコードするSEQ ID NO:24)を過剰発現する13種のT0タバコ系統を調べた半定量的RT-PCRの結果(若葉から抽出したRNAを使用)を示す。いくつかの系統(例えば、系統3、11)は野生型(WT)対照と比較して発現のサイレンシングを示すが、他の系統(例えば、系統9、12)は発現の増加を示す。いかなる科学的理論によっても制限されないが、単一の導入遺伝子の複数コピーの挿入が遺伝子サイレンシングにつながりうることが当技術分野において公知である。
【0268】
図4において試験したT0系統を表現型的に調べた。g58899を過剰発現することが示された系統9および12は、全体的に緑色の葉を示す。図5を参照されたい。対照的に、g58899の発現を低減させていることが示された系統3および11は、より古い葉でPY表現型を示す。図5、黒矢印を参照されたい。
【0269】
実施例6. 候補遺伝子のノックダウン
PY形質と相関する発現の減少を示す候補遺伝子(例えば、TI1372、PY形質についてホモ接合性であるF2個体)は、非PYバックグラウンド(例えば、NLマドール(Madole) NC)で発現をノックダウンまたはノックアウトさせるための標的である。
【0270】
人工miRNAまたは他のRNAi構築物を、候補遺伝子(例えば、SEQ ID NO: 22~27)の各々の発現を低減することができるmiRNAまたは別の非コードRNAを産生するために作製する。人工miRNAまたはRNAi構築物を、CaMV 35Sプロモーターの制御下でプラスミドに挿入する。プラスミドは、NOSターミネーター、ならびにアクチン2プロモーターおよびNOSターミネーターに機能的に連結されたカナマイシン選択マーカー(NPT II)を含んだカセットをさらに含む。
【0271】
実施例5に記述されているように、タバコ葉ディスクを形質転換し、タバコ植物を再生する。
【0272】
g58899 (SEQ ID NO: 51および52)を抑制するようにデザインされた構築物を含む植物体は、Magenta(商標) GA-7ボックスから除去する前に、いくつかの葉でPY表現型を示し始めた。図6; 特に黒矢印を参照されたい。この効果は、g58905 (SEQ ID NO: 26) RNAi抑制構築物を発現する植物においてまたは野生型対照において観察されなかった。
【0273】
g58899抑制構築物を含むトランスジェニック17系統を、若い植物から抽出されたRNAを用いてg58899発現レベルについて調べる。図7を参照されたい。図8は野生型(WT)対照と比較して、さまざまなレベルのg58899抑制を含む植物において観察された表現型を示す。野生型対照と比較してg58899の抑制を示す全ての植物が、より古い葉においてPY表現型を示す。
【0274】
実施例7. 候補遺伝子の変異
PY形質と相関する発現の減少を示す候補遺伝子(例えば、TI1372、PY形質についてホモ接合性であるF2個体)は、非PYバックグラウンド(例えば、NLマドール(Madole) NC)で発現をノックダウンまたはノックアウトさせるための標的である。
【0275】
候補遺伝子(例えば、SEQ ID NO: 16~21および48)の各々のゲノム配列において変異を生じさせる。タバコのプロトプラストに、ポリエチレングリコール(PEG)を用いて、CRISPRタンパク質またはCRISPRタンパク質および所望の位置で個々の遺伝子を標的化する特異的ガイドRNA (gRNA)をコードするプラスミドをトランスフェクトする。
【0276】
その後、トランスフェクトしたプロトプラストを1%アガロースビーズに固定化し、組織培養に供する。カルスは直径がおよそ1ミリメートルに生育したら、それらをTOM2プレート上に広げる。断片分析を用いて標的位置で変異(例えば、挿入または欠失(挿入欠失))についてカルスをスクリーニングする。野生型対照と比較してサイズの変化を示す候補を、さらなる培養のために選択し、結果として得られた新芽を再び断片分析により試験して、変異の存在を確認する。
【0277】
得られた植物を、上記実施例1に記述されているように、目視観察またはエテホンスクリーニングによって評価する。
【0278】
実施例7. 淡黄色(Pale Yellow)形質を含む品種の葉の品質
2018年にアメリカ合衆国バージニア州のフィールドサイトにおいて、フルーキュアード(表18)、バーレイ(表19)、およびダーク(表20)タバコ品種から葉品質値を得た。各試験には、ランダム化された完全なブロックデザインで3つまたは4つの複製が含まれた。乾燥が完了した後に等級付けを実施した。各複製には、認証タバコ葉等級審査員によってUSDA等級指数が与えられた。等級付けは、いくつかの葉の位置(AからD)ごとに個別に実施された。収穫時に、葉を各3葉刻みの位置に分ける。上位3葉(例えば、最も若い葉)を位置「A」と指定し、4~6葉を位置「B」と指定し、7~9葉を位置「C」と指定し、10~12葉を位置「D」と指定し、13~15葉を位置「E」と指定し、以下同様に最後の葉まで指定する。
【0279】
(表18)フルーキュアードタバコの葉等級指数値
PYは、淡黄色(Pale Yellow)形質を含む品種をいう。LAは、低アルカロイドレベルを含む品種をいう。
【0280】
(表19)バーレイタバコの葉等級指数値
PYは、淡黄色(Pale Yellow)形質を含む品種をいう。LAは、低アルカロイドレベルを含む品種をいう。
【0281】
(表20)ダークタバコの葉等級指数値
PYは、淡黄色(Pale Yellow)形質を含む品種をいう。LNは、低ニコチンレベルを含む品種をいう。NGは、等級が与えられなかったことを意味する。
【0282】
実施例8. 同定された候補遺伝子のさらなる検証
候補遺伝子g58899、g58917、およびg61524の発現を、摘心前(UT)および摘心24時間後(24時間)のタバコ品種ナローリーフマドール(Narrow Leaf Madole) (NLM; 淡黄色形質を欠く)、ds1771 (NLMをTI1372と交配することから作製されたF2集団) 野生型(WT; 淡黄色表現型なし)、淡黄色形質についてヘテロ接合性のds1771 (HT)、淡黄色形質についてホモ接合性のds1771 (HM)、およびTI1372 (淡黄色形質源)においてさらに調べる。
【0283】
ds1771系統を、表13において同定されたSNPマーカーを用いて遺伝子型判定し、摘心前に、摘心後24時間の時点で実施例4に記述されているように発現分析を実施した。
【0284】
g58899の発現はNLMおよびds1771-WTと比較して、品種ds1771-HT、ds1771-HM、およびTI1372において著しく低い。図9を参照されたい。g58917およびg61524の発現レベルは、全ての系統で類似していた。それぞれ、図10および図11を参照されたい。
【0285】
実施例9. g58899のさらなる配列分析
遺伝子g58899は、トマト(ソラナム・リコペルシカム(Solanum lycopersicum)) STAY-GREEN遺伝(GenBankアクセッション番号NP_001358338.1; SEQ ID NO: 43)と87.77%の配列同一性を示す。表16を参照されたい。トマトでは、STAY-GREENタンパク質は、葉の老化および果実の成熟の間にクロロフィル分解を引き起こすのに必要である。
【0286】
PY形質を欠くナローリーフマドール(Narrow Leaf Madole)におけるg58899 (SEQ ID NO: 44)、およびPY形質を含むTI1372 (SEQ ID NO: 45)のcDNA配列を配列決定することで、これらの配列がヌクレオチドレベルで100%の同一性を共有していることが示される。それゆえ、SEQ ID NO: 44および45によりコードされるアミノ酸は、タンパク質(それぞれ、SEQ ID NO: 46および47)レベルでも100%の同一性を共有する。
【0287】
TI1372 cDNA (SEQ ID NO: 45)の内部タバコゲノムアセンブリへのアライメントは、最良の一致がg58899であることを示す。同様に、ナローリーフマドール(Narrow Leaf Madole) cDNA (SEQ ID NO: 44)の内部タバコゲノムアセンブリへのアライメントは、最良の一致がまたg58899であることを示す。
【0288】
TN90品種g58899アミノ酸配列(SEQ ID NO: 30)とシロイヌナズナ(Arabidopsis)タンパク質BALANCE OF CHLOROPHYLL METABOLISM1 (BCM1)およびBCM2とのアライメントは、g58899がBCM1 (SEQ ID NO: 55)と66.21%の同一性およびBCM2 (SEQ ID NO: 56)と64.13%の同一性を共有することを実証している。図12を参照されたい。BCM1およびBCM2は、クロロフィル分解の抑止または減弱に関与することが示されている。Wang et al., Nature Communications, 11:1254 (2020)を参照されたい。
【0289】
NLM g58899 アミノ酸配列(SEQ ID NO: 46)、TN90 g58899アミノ酸配列(SEQ ID NO: 30)、およびK326 g58899アミノ酸配列(SEQ ID NO: 57)のアライメントにより、g58899コンセンサスアミノ酸配列(SEQ ID NO: 58)の同定が可能になる。図13を参照されたい。
【0290】
実施例10. g58899の発現プロファイル
qPCRを用いタバコ系統K326、淡黄色(Pale Yellow) (PY) K326、KY 171、淡黄色(Pale Yellow) (PY) K171、TN90、および淡黄色(Pale Yellow) (PY) TN 90においてg58899 (SEQ ID NO: 24)の発現プロファイルを調べる。RNAサンプルを摘心前および摘心24時間後の葉から採取する。g61524 (SEQ ID NO: 27)およびg58917 (SEQ ID NO: 25)の発現プロファイルも調べる。アクチンを対照として用いる。結果は、図14A図14B、および図14Cに示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13-1】
図13-2】
図14A
図14B
図14C
【配列表】
2022553642000001.app
【国際調査報告】