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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】マウスピース及び口腔内治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/06 20060101AFI20221219BHJP
   A61N 5/06 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
A61C19/06 A
A61N5/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521468
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 FI2020050672
(87)【国際公開番号】W WO2021069805
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】20195878
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519088306
【氏名又は名称】コイテ ヘルス オイ
【氏名又は名称原語表記】Koite Health Oy
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【弁理士】
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】サカリ ニキヌマー
(72)【発明者】
【氏名】トンミ パティラ
(72)【発明者】
【氏名】ユハ ランタラ
(72)【発明者】
【氏名】ハリ ジョイ
【テーマコード(参考)】
4C052
4C082
【Fターム(参考)】
4C052AA01
4C052AA06
4C052AA10
4C052MM10
4C052NN15
4C082MA10
4C082PE10
4C082RA07
(57)【要約】
本発明は、口腔内表面の抗菌処理のためのマウスピース及び方法に関する。マウスピースは、熱伝導性材料で作られた本体を含み、本体は、傾斜した顔側及び舌側の外面と、歯の顔側及び舌側の表面にそれぞれ面するように適合化された顔側及び舌側の内面と、を含む。光源は、本体の傾斜面に取り付けられ、歯の表面に光を伝えるように適合化され、光源は、外面の少なくとも1つに配置され、内面を介して歯の顔側及び舌側表面の両方に光を伝えるように適合化される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内マウスピース(1)を備える口腔治療デバイスであって、前記口腔治療デバイスは、
-熱伝導性材料で作られた本体(3~5、9)であって、前記本体は、上面(3)及び対向する下面(5)を更に有し、前記面は、舌側エッジ(7)と頬側又は唇側エッジ(6)との間に本質的に平坦な部分をそれぞれ備え、歯の表面に対して配置されるように構成された本体と、
-前記本体に取り付けられ、歯の表面に光を伝えるように適合化された複数の光源(10)と、を備え、
-前記エッジは、表面(6、7)を備え、その少なくとも一部は、平面であり、且つ前記本体の断面において、前記上面(3)及び下面(5)の前記平坦な部分に対して5~85°の角度を形成するように傾斜し、
-前記光源(10)の少なくとも一部は、前記本体(3~5、9)の前記傾斜した頬側、唇側、又は舌側エッジの少なくとも1つに配置され、
-前記本体及び前記光源は、透明なポリマー材料によって形成されたケース(2)内に埋め込まれる、
口腔治療デバイス。
【請求項2】
傾斜エッジ(6、7)が、前記上面(3)及び下面(5)の前記平坦な部分に対して10°~55°、特に20°を超える角度、又は少なくとも25°、特に30°~50°の角度を形成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記エッジ(6、7)は、前記上面及び下面の前記平坦な部分に向かってスロープを形成するように傾斜している、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ケース(2)を形成するポリマー材料は、TiO、SiO、Ag、金属ドープTiO、金属ドープSiO、N-TiO、N-SiO、若しくは銀ナノ粒子、又はそれらの組合せといった抗菌及び/又は光回折材料を含む、それと混合される、又はそれを被覆として含む、請求項1乃至3の何れかに記載のデバイス。
【請求項5】
前記ポリマー材料は、例えばシリコン、ポリカーボネート、又はポリアクリレートポリマーといった透明又は半透明の熱可塑性又は熱硬化性材料を含む、請求項1乃至4の何れかに記載のデバイス。
【請求項6】
前記1つの本体(3~5、9)は、0.5W/mKよりも大きい、例えば1W/mKよりも大きい、特にポリマー材料では1.1~25W/mK、金属材料では100~500W/mKの熱伝導率を有する熱伝導性材料から作られる、請求項1乃至5の何れかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記本体(3~5)及び前記光源(10)は、歯列弓の形状を有するケース(2)によって少なくとも部分的に封入される、請求項1乃至6の何れかに記載のデバイス。
【請求項8】
前記本体(10)は、前記咬合エリアにおける前記ケースの厚さが0.1mm以上、特に1mm以上、10mmまで、例えば2~5mmであるケース(2)によって封入される、請求項1乃至7の何れかに記載のデバイス。
【請求項9】
前記熱伝導体(3~5、9)は、前記ケース(2)の内側の前記本体(3~5)から前記ケースの外側に熱を伝導することが可能な冷却トレイ又は表面(9)を形成する延在部を含む、請求項1乃至8の何れかに記載のデバイス。
【請求項10】
前記ケース(2)内に埋め込まれた前記本体(3~5)は、前記デバイスの動作中に100℃までの温度を維持することが可能である、請求項1乃至9の何れかに記載のデバイス。
【請求項11】
前記トレイ(9)は、例えばその延在部分を介して、前記ケース(2)の内側にフィットした前記本体(3~5)の前記一部を冷却するための受動冷却ユニットに接続される、請求項9又は10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記トレイ(9)は、例えばその延在部分を介して、前記ケース(2)内にフィットした前記部品本体(3~5)を冷却するための能動冷却ユニットに接続される、請求項9乃至11の何れかに記載のデバイス。
【請求項13】
前記トレイは、前記ケースの内側の前記本体を冷却するための能動冷却ユニットに接続され、前記能動冷却は、前記マウスピースの温度に応じて前記本体の冷却の調整を可能にするために温度センサに接続される、請求項9乃至12の何れかに記載のデバイス。
【請求項14】
前記本体は、歯列弓に従うことができるように、略U字形の円弧(3~5)を含む、請求項1乃至13の何れかに記載のデバイス。
【請求項15】
前記本体は、前記本体の前記上面及び下面の前記エッジに配置された光反射素子、導光素子、又は光反射素子と導光素子との両方を含み、前記素子は、前記光源から発する光を反射又はガイドすることが可能であり、又はその両方が可能である、請求項1乃至14の何れかに記載のデバイス。
【請求項16】
前記光源(10)は、前記本体(3~5、9)の前記頬側、唇側、又は舌側のエッジにおいて、好ましくは前記頬側、唇側、又は舌側のエッジの形状に従うように、配置されたマルチLED列を備える、請求項1乃至15の何れかに記載のデバイス。
【請求項17】
前記光源(10)は、前記本体の頬側、唇側、又はその両方に配置される、請求項1乃至16の何れかに記載のデバイス。
【請求項18】
前記光源(10)は、前記本体の前記舌側の外面上に配置される、請求項1乃至17の何れかに記載のデバイス。
【請求項19】
光源(10)はまた、前記上面及び下面の前記平坦な部分の少なくとも一部に配置され、このような光源は、前記マウスピースが使用される場合に前記歯の前記咀嚼面に面することが可能である、請求項1乃至18の何れかに記載のデバイス。
【請求項20】
前記本体(3~5)は、砂時計形状の断面プロファイルを有し、歯の一方又は両方の線において、前記歯の水平面及び2つの鉛直面をそれぞれ覆うことを可能とする、請求項1乃至19の何れかに記載のデバイス。
【請求項21】
前記光源(10)は、30~1000mW/cm、特に50~500mW/cmの平均パワー密度で、前記歯に向かって発光することが可能である、請求項1乃至20の何れかに記載のデバイス。
【請求項22】
前記光源(10)は、前記本体(3~5)の前記舌側の外面を通って前記舌に光を伝えるように適合化される、請求項1乃至21の何れかに記載のデバイス。
【請求項23】
活性成分の光退色又は治療エリアにおける活性成分の量といった口腔内組織又は口腔内薬剤の放出光に対する応答を測定するための光センサといった少なくとも1つのセンサを備える、請求項1乃至22の何れかに記載のデバイス。
【請求項24】
口腔内に配置された状態で前記本体を機械的に振動させるための手段を備える、請求項1乃至23の何れかに記載のデバイス。
【請求項25】
前記光源(10)は、780~820nmの帯域内といった少なくとも1つの非可視波長帯域内で光を放出するように構成される、請求項1乃至24の何れかに記載のデバイス。
【請求項26】
口腔内センサと、前記口腔内センサからの入力に基づいて、少なくとも1つの波長、特に少なくとも1つの非可視波長帯域上の前記光源(10)の前記出力パワーを調節する手段と、を備える、請求項1乃至25の何れかに記載のデバイス。
【請求項27】
前記光源の前記出力パワーを調整する前記手段は、前記口腔内センサによる特定の波長の検出に応じて、前記光源(10)のパワー出力を増大させるように構成される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項28】
前記光源(10)は、非可視治療光と可視安全光との両方を同時に放出するように構成され、前記可視安全光は好ましくは1.8cdよりも大きく、好ましくは25cdよりも大きく、更には100cdよりも大きい強度を有する、請求項1乃至27の何れかに記載のデバイス。
【請求項29】
前記光源(10)は、センサ入力に基づいて、特に口腔内センサに基づいて、治療強度及び治療時間を達成するように光を放出するように構成される、請求項1乃至28の何れかに記載のデバイス。
【請求項30】
前記光源(10)の少なくとも一部は、複数のピーク波長を有する光を生成することが可能である、請求項1乃至29の何れかに記載のデバイス。
【請求項31】
前記光源(10)の少なくとも一部は、複数の発光面を有する、請求項1乃至30の何れかに記載のデバイス。
【請求項32】
前記光源(10)は、前記光源に電力を供給するために、内蔵電力貯蔵器といった電源(12)に接続可能である、請求項1乃至31の何れかに記載のデバイス。
【請求項33】
前記電力貯蔵器は、少なくとも1分間、好ましくは少なくとも2分間、例えば5分間及び120分間まで、特に少なくとも15分間及び30分間まで、前記デバイスを動作させることができる1つ以上のスーパーキャパシタを使用して実装される、請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記ケース(2)は、歯を磨くことが可能な毛、形、ロッドと、毛、形、若しくはロッド、又はそれらの組み合わせを移動又は振動させることが可能な電気モータと、を備える、請求項1乃至33の何れかに記載のデバイス。
【請求項35】
熱伝導材料(15)で作られた本体と、前記本体に接続された、特にその雄型USBポートを介して前記本体に接続された制御電子回路(14、17)と、を備える、請求項1乃至34の何れかに記載の口腔治療デバイスを備える、キット。
【請求項36】
制御ユニット(14、17)、LEDヘッド(13)、ドッキングステーション(11)と共に、請求項1乃至19の何れかに記載の口腔治療デバイスを備える、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
前記口腔治療デバイスの前記マウスピースは、USB-Cポートに接続可能である、請求項35又は36に記載のキット。
【請求項38】
経口剤、特に抗酸化剤、光増感剤及び増強剤、並びにそれらの組み合わせを含む有益剤の群から選択される活性剤を含む、請求項35乃至37の何れかに記載のキット。
【請求項39】
前記経口剤は、ビタミンE又はそれらの類似体若しくは前駆体、色素、及びそれらの組み合わせといった抗酸化分子の群から選択される、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
前記経口剤は、ヒペリシン、クルクミン、フェナレノン誘導体、セルコスポリン、ソラレン、キサントキシン、アンゲリシン、アルファ-テルチエニル、フェニルテパトリイン、THC、カンナビジオール(CBD)の群から選択される光増感剤を含み、合成光増感剤は、RB(ローズベンガル)、MB、ポルフィリン誘導体、クルクミン誘導体、メチレンブルー、インドシニングリーン、エリトシン、フェナレノン誘導体、フラーレン誘導体、キサンテン誘導体、任意に色素を共に含む、請求項38又は39に記載のキット。
【請求項41】
前記経口剤は、二酸化チタンと組み合わせたインドシアニングリーンから選択され、任意選択で、E-ビタミン又はその類似体若しくは前駆体といった少なくとも1つの抗酸化剤と更に組み合わせられる、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
歯及び口腔内組織の光線力学療法を目的とした口腔内マウスピース内に光を伝える方法であって、
-熱伝導性材料で作られた本体を提供することであって、前記本体は、上面及び対向する下面を更に有し、前記表面は、舌側エッジと頬側又は唇側エッジとの間にそれぞれ本質的に平坦な部分を含み、歯の表面に対して配置されるように構成されることと、
-複数の光源を前記本体に取り付けることと、
-前記光源を歯の表面及び口腔内組織に光を伝えるように適合化させることと、を含み、
更に
-少なくとも一部が平坦であり、且つ前記本体の断面において前記上面及び前記下面の前記平坦な部分に対して5°~85°の角度を形成するように傾斜するエッジを設けることと、
-前記光源の少なくとも一部を前記本体の前記傾斜した頬側、唇側、又は舌側エッジの少なくとも1つに配置することと、
-前記光源に前記ユーザの歯及び口腔内組織に向けて光を送達するための電力を供給することと、を含む、方法。
【請求項43】
ユーザの口腔内組織の治療方法であって、
-請求項1乃至34の何れかに記載のマウスピースを提供することと、
-前記上面及び下面が少なくとも前記ユーザの歯の咀嚼面と係合するように、前記マウスピースを前記ユーザの口内に配置することと、
-前記光源に光を発生させるための電力を供給することと、
-前記歯及び口腔疾患の光線力学口腔療法を達成するために、前記光を前記歯の前記咀嚼面の前記平面に対してある角度で前記ユーザの歯に向けることと、
を含む、治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ヘルスケアに関する。特に、本発明は、歯のような口腔内表面の抗菌治療のためのマウスピースに関する。本発明はまた、口腔内光線力学療法マウスピース内に光を伝える方法、及び口腔内組織の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内のバクテリアに影響を与えることで、口腔の健康は増進され得る。しかしながら、経口細菌量又は組成物を管理する有効な方法は存在しない。特に、ミュータンス菌、う蝕、細菌感染を予防又は治療する有効な方法は存在しない。専門の歯科医によると、バクテリアバイオフィルムをチェックし続けるためには、2カ月毎に口腔内細菌洗浄が必要とされる。必要とされる専門知識及び特別な設備のために、これは、現在ほとんどの人々にとって不可能である。
【0003】
光線力学療法(PDT)では、口腔細菌は光を用いて影響を受ける。PDTは、多くの光エネルギーを必要とし、これにより、例えば熱蓄積問題が発生し、必要とされる強度はまた、眼にとって危険であり得る。高エネルギーレベルは特に、インドシアニングリーン(ICG)PDT等の光増感剤増強口腔内PDTにおいて必要とされる。
【0004】
ある公知の口腔内治療デバイスは、米国特許第7144249B2号及び米国特許第6616447B1号に開示されている。このデバイスは、歯の顔側に面する透明パネルによって覆われたLED光を含むLED列を含み得る。歯に向かって標的となる光エネルギーを最大にするために、LED光の後方に反射パネルを設けることもできる。このデバイスは、歯の顔側を白化するのに適している。米国特許第8371853号は、同じ目的に適した別のデバイスを開示する。これらのデバイスのタイプの変更並びに他の既存の口腔内治療デバイス及び方法は、例えば米国特許第8241035B2号、米国特許第7354448B2号、及び米国特許第9572645B2号に開示される。
【0005】
米国特許第8215954B2号は、歯の顔側及び舌側の両方の治療を可能にするために、歯列弓の外側及び内側にLEDを備えるマウスピースを開示する。このデバイスはまた、LEDから離れて各側の歯の表面に光を均一に垂直に伝える周辺視性の特徴を備え得る。
【0006】
既存の解決策の多くは、歯の表面に部分的にのみ及び/又は低い光強度で光を伝えることに基づいており、その場合、治療効率が損なわれる。さもなければ、全ての歯面をカバーするために広範囲な量のLEDコンポーネントが必要とされ、その部分については設計の製造コストを増加させると共に、熱の蓄積を引き起こす。典型的には、低価格のLEDがより低い熱効率を有し、それによって、コストと熱蓄積との間のバランスを見つけることが困難である。また、提案されたデバイスの多くは、大量生産への適合性が乏しく、安全性が低いという欠点がある。例えば、幾つかの設計では、歯の咬合面上にLEDコンポーネントが配置されており、それによって、ユーザが事故でLEDを噛むことによってLEDが破損するリスクがある。また、眼に対するNIR光の危険性の問題は、適切に解決されていない。
【0007】
例えば、上述した欠点のために、実行可能な消費者向けPDT製品は市場にほとんどない。しかしながら、効率的且つ安全なPDTデバイスは、通常の消費者に利用可能な頻繁な抗菌治療を可能にするのに役立ち得る。
【0008】
したがって、改善された口腔内治療デバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上述した欠点の少なくとも幾つかを解決し、口腔内の抗菌治療のための新規なマウスピースを提供することにある。
【0010】
本発明の第1の目的は、口腔内マウスピースを備える口腔治療デバイスを提供することにある。
【0011】
本発明の第2の目的は、口腔治療デバイスを備えるキットを提供することにある。
【0012】
本発明の第3の目的は、歯及び口腔内組織の光線力学療法を目的とした口腔内マウスピース内に光を伝える方法を提供することにある。
【0013】
本発明の第4の目的は、ユーザの口腔内組織の治療方法を提供することにある。
【0014】
本発明は、熱伝導性材料で作られた本体を備えるマウスピースを提供するという着想に基づいている。前記本体は、一般に、上面及び対向する下面を示し、これらの面は、典型的には2つの対向するエッジと、少なくとも1つの舌側エッジと、少なくとも1つの頬側又は唇側エッジとの間に実質的に平坦な部分を備える。前記マウスピースは、前記マウスピースが使用される際に、前記表面が歯の表面及び任意選択で口腔組織と当接するように構成される。前記上面及び下面は更に、前記本体に取り付けられ、歯の表面に光を伝えるように適合化された複数の光源を含む。
【0015】
表面が設けられた前記対向するエッジは、その少なくとも一部が平坦であり、前記本体の断面において、前記上面及び下面の前記平坦な部分に対して90°までの角度を形成するように傾斜している。前記光源の少なくとも一部は、好ましくは前記本体の前記傾斜した頬側、唇側、又は舌側エッジのうちの少なくとも1つに配置される。前記本体及び前記光源は、透明なポリマー材料によって形成されたケース内に埋め込まれる。このような材料は、前記マウスピースが個々の口腔内の使用位置に配置されている間、光が前記ケース材料を通って歯及び組織に通過することを依然として可能にしながら身体を保護する。
【0016】
一実施形態では、前記デバイスにおいて、前記傾斜したエッジは、前記上面及び下面の前記平坦な部分に対して、5~75°、例えば10~65°の角度を形成する。
【0017】
一実施形態では、前記傾斜したエッジは、前記上面及び下面の前記平坦な部分に対して、10~55°、特に30~50°の角度を形成する。
【0018】
キットは、好ましくは上述した種類の口腔内マウスピースを備え、本体は、前記本体に接続された、特に雄型USBポートを介して前記本体に接続された制御電子回路と組み合わされた熱伝導性材料でできている。
【0019】
キットはまた、経口剤と共に、特に抗酸化剤、光増感剤及び増強剤、並びにそれらの組み合わせを含む有益剤の群から選択される活性剤と共に、口腔内マウスピースを備えてもよい。
【0020】
本発明のマウスピースは、歯及び口腔内組織の光線力学療法のための光の伝達を可能にする。使用中、前記光源の少なくとも一部は、前記本体の前記傾斜した頬側、唇側、又は舌側エッジの少なくとも1つに配置され、前記光源には前記ユーザの歯及び口腔内組織に向けて光を伝えるための電力が供給される。
【0021】
したがって、前記上面及び下面が少なくとも前記ユーザの歯の咀嚼面と係合するように前記マウスピースは前記ユーザの口腔内にあり、前記光源には光を生成するための電力が供給され、前記光は歯及び口腔の問題の光線力学療法を達成するために、前記歯の前記咀嚼面の前記平面に対してある角度で前記ユーザの歯に向けられる。
【0022】
より具体的には、本発明は、独立請求項の特徴部に記載されていることを特徴とする。
【0023】
本技術により相当な利点が得られる。本技術の実施形態は、典型的には相互に関連する目的で、治療効率を改善し、熱蓄積を緩和することに寄与するであろう。
【0024】
本発明はまた、改善されたユーザの安全性及び製造性を提供する。
【0025】
前記光源は、低い発熱を有する予め選択された波長で高い強度の光を与えるであろうLED(発光ダイオード)であることが好ましい。
【0026】
本発明のマウスピースは、LED光源といった光源が歯の顔側又は舌側面に配置される場合に、歯及び歯周の位置に光を均等に分配することを可能とする。前記光源、特に前記LEDを顔側又は舌側に、すなわち唇若しくは頬と歯との間のエリアに又は歯と舌との間に配置することによって、前記光源の如何なる熱損失も、露光中に周囲の組織によって吸収される。
【0027】
さらに、LEDといった前記光源を前記歯の前記咬合面から離して配置することにより、咬合によって前記LEDの部品が破損するリスクが低減される。前記マウスピース内の前記モジュラ要素の光学的属性は、前記歯の全表面上での均一な光分布を可能にする。
【0028】
前記LED素子は、35%を超える熱効率を有してもよい。
【0029】
様々な実施形態の更なる特徴及び利点は、以下の非限定的な実施形態の説明において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一実施形態による、マウスピースのケース(最上部の図面)及びケース内側の3つの重なり合うトレイの機械的構造を示す斜視図である。
図2】一実施形態による、マウスピースと、制御ユニットと、局所光ヘッドと、充電ドックと、を備えるキットを示す。
図3】トレイのリムに沿って傾斜位置に配置された発光コンポーネントの列と、トレイの咬合面上に埋め込まれた様式で配置された幾つかの発光コンポーネントと、を備えるトレイの実施形態の一部を示す斜視図である。
図4】一実施形態によるマウスピースのスタンドアローン形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本技術は一般に、口腔内表面の抗菌治療のためのマウスピース及び方法に関する。
【0032】
様々な実施形態では、マウスピースは、熱伝導材料で作られた本体を含み、本体は、傾斜した顔側及び舌側の外面と、歯の顔側及び舌側の表面にそれぞれ面するように適合化された顔側及び舌側の内面と、を含む。光源は、本体の傾斜面に取り付けられ、歯の表面に光を伝えるように適合化され、光源は、外面の少なくとも1つに配置され、内面を介して歯の顔側及び舌側の両方に光を伝えるように適合化される。
【0033】
一実施形態では、経口治療デバイスは、上面及び対向する下面を示す熱伝導材料で作られた本体を備える口腔内マウスピースを備える。表面は、好ましくは略平坦な本体の対向する両側に、少なくとも外側に、好ましくは対向する両側のエッジ間に位置する平坦又は本質的に平坦な部分を含む表面が存在するように構成される。
【0034】
したがって、一実施形態では、舌側エッジ並びに頬側及び/又は唇側エッジが存在する。平坦な部分又は好ましくは複数の平坦な部分は、マウスピースが歯の間でユーザの口内に配置される場合に、ユーザの歯の表面に対して配置されるように構成される。したがって、本体の平坦な表面は、歯の咬合表面と当接するであろう。
【0035】
本体は、本体に取り付けられ、且つ歯の表面に光を適合化ように適合化された少なくとも1つの、好ましくは複数の光源を更に備える。一般に、各舌側には約1~20個の光源があり、唇側には1~10個の光源がある。本体に複数の光源を設けることによって、歯及び歯茎エリア又は他の口腔内エリアに対する光の均一な発光を確実にすることが可能である。
【0036】
さらに、平坦な部分の何れか側又は両側に配置されたエッジは、斜面を含む又は本質的にそのような面を含む。エッジ面の少なくとも一部又は全部は平坦である。表面はさらに、上面及び下面の少なくとも一方の平坦な部分に対して90°まで、特に約5~85°の角度を形成するように、少なくとも部分的に傾斜する。光源の少なくとも一部を本体の傾斜した頬側、唇側又は舌側エッジの少なくとも1つに配置することによって、歯の表面及びの周りの歯茎等の口腔内組織に対して90°まで、特に5~85°の角度で光を放出することが可能である。
【0037】
本体のエッジの角度は、マウスピースの異なる部分で変化することができ、例えば、本体の第1の部分では5°~30°、本体の第2の部分では25°~60°であることに留意されたい。
【0038】
マウスピースは、好ましくは本体及び光源のためのケースを備える。特に、本体及び光源は、透明なポリマー材料によって形成されたケース内に埋め込まれる。
【0039】
一実施形態において、光源が組み立てられる本体の形状は、90°以下、好ましくは5°以上の角度で、光を歯に向けるために、本体の基部表面上にLEDを提供することを可能にする。本体の基部表面における角度を調整することによってLEDを歯に向けるか、或いは歯茎又は他の口腔内組織に向けるかによって、治療及び光強度の調整が行われ得る。
【0040】
一実施形態では、傾斜エッジは、上面及び下面の平坦な部分に対して10°以上、特に20°超え、又は少なくとも25°、好ましくは少なくとも30°の角度を形成する。したがって、一実施形態では、傾斜エッジは、20°を超える角度、又は少なくとも30°及び85°までの角度を形成する。
【0041】
一実施形態では、傾斜エッジは、上面及び下面の平坦な部分に対して、10~55°、特に30~50°の角度を形成する。
【0042】
本技術はまた、一実施形態では、歯及び口腔内組織の光線力学療法を目的とした口腔内マウスピース内に光を伝える方法を提供する。
【0043】
この方法は、熱伝導性材料で作られた本体を提供するステップを含み、本体は、上面及び対向する下面を更に有し、表面は、舌側エッジと頬側又は唇側エッジとの間にそれぞれ本質的に平坦な部分を含み、歯の表面に対して配置されるように構成される。
【0044】
その少なくとも一部は、平坦であり、本体の断面において、上面及び下面の平坦な部分に対して5~85°の角度を形成するように傾斜する。
【0045】
この方法では、歯の表面及び口腔内組織に光を伝えるように適合化された本体への本体光源のエッジの少なくとも一部に配置され、電力が光源に供給される。
【0046】
ユーザの歯及び口腔内組織の治療方法では、上面及び下面が少なくともユーザの歯の咀嚼面と係合し、光を発生させるための電力が光源に供給され、光が歯及び口腔内組織の光線力学療法を達成するために歯の咀嚼面の平面に対してある角度、特に斜角でユーザの歯に向けられるように、上述したマウスピースがユーザの口内に配置される。
【0047】
本実施形態の更なる詳細は、図面から明らかになるであろう。
【0048】
一実施形態の典型的な以下の特徴を図1に示す。
・シリコーンゴム又は熱可塑性プラスチック、好ましくは透明又は半透明であり、ヒトへの使用が承認されているものを含み得るポリマーカバー又はケース2
・好ましくは可撓性であり、それぞれが特にプリント回路基板を含むシート又は層3、5
・例えば発光ダイオード(略称LED)を含む発光部品(光源)10
・一般にU字形(平面方向)であり、好ましくは剛性であるシート又はプレート4の形態の本体
【0049】
本文脈において、用語「剛性」は、本体(すなわち、シート又はプレート)4がマウスピースの通常の使用中に変形されないことを意味し、例えばそれは、マウスピースのユーザによって及ぼされる咬合力によって、長手方向又は横方向の何れにも本質的に曲げられない。
【0050】
シート又はプレート4は、特に熱伝導性材料を含む。
【0051】
好ましくは、本体は、歯列弧に従うことができるように、略U字形の弧(3~5)を含む。
【0052】
構造4は、以下では「トレイ」又は「熱散逸」(又は「熱伝導」)トレイとも呼ばれる。トレイは、典型的には特に前端(使用位置)に、冷却トレイ又は表面9を形成する延在部分を有する。
【0053】
したがって、一実施形態では、Uの脚部とは反対側の、Uの遠位端(すなわち、底部)に、脚部とは略逆方向に延在する、特に冷却面又はトレイとして機能する延在部分があることが好ましい。同様に、図3は、一実施形態によるトレイの一部を示し、符号21は全体としてトレイを示し、符号24は、トレイ21の平坦な部分を示す。符号22及び23は、トレイの傾斜エッジ部分を指し、符号25及び26は光源を指す。明らかなように、その第1の組(符号25)は、トレイ21の傾斜エッジ部分に配置される。第2の組26は、トレイ21の平坦な部分24上に配置される。
【0054】
トレイは、典型的には、金属若しくは熱導電性ポリマー又はそれらの組み合わせの本体を含む。本体の材料(以下では「基材」とも呼ぶ)の好ましい熱伝導(「熱伝導率」としても知られる)は、0.5W/mKよりも大きい。金属基材については、典型的には1~1000W/mK、好ましくは5~400W/mK、特に50~250W/mKである。ポリマー基材の好ましい熱伝導は、0.5~100W/mK、好ましくは1~20W/mK、例えば5~15W/mKである。前述の値は、「面内の熱伝導性」を表し、ASTM E1461によって決定され得る。
【0055】
一実施形態では、本体の熱伝導材料が0.5W/mKを超える、例えば1W/mKを超える、特にポリマー材料では1.1~25W/mK、金属材料では100~500W/mKの熱伝導率を有する。
【0056】
図1及び図3から分かるように、光源10;22の少なくとも一部は、トレイ4;21の平面11;24に対して、ある角度、特に斜角で光を伝えるように構成される。
【0057】
トレイ4;21は、光源をマウスピース内に組み立てることを可能にし、その結果、光源は、ある角度で、特に歯に向かって斜角で、光を方向付けることができる。この目的のために、トレイ4;21は、平坦な部分に対して傾斜するか、或いはそれを含む、対向するエッジ部8;22、23の間に画定された平坦エリア部分11;24を含む。その結果、図1及び図3から明らかなように、トレイは、少なくとも部分的に砂時計形状(time glass shaped)の断面を示す。同様に明らかなように、エッジは、上面及び下面の平坦な部分に向かってスロープを形成するように傾斜される。
【0058】
一実施形態では、本体は、本体の上面及び下面のエッジに配置された光反射素子、導光素子、又は光反射素子と導光素子との両方を含み、素子は、光源から発する光を反射又はガイドすることができ、或いはその両方を行うことができる。
【0059】
一実施形態では、発光コンポーネントは、剛性トレイに埋め込まれて、光を増大させて咬合面を増加させ、コンポーネントを機械的応力から保護することができる。1つの可能な選択肢は、2つの側面フレキシブル回路基板を使用し、マウスピースの反対側に光が移動することを可能にするためにトレイに非対称の穴を有することである。
【0060】
治療及び光強度の調整は、歯に対する光源の発光面の位置を調整することによって行われ得る。したがって、光源は、歯若しくは歯肉又はその両方に向かって光を放出するように構成され得る。トレイの支持エッジ6、7;22、23の位置を調整すること及び/又は光分布を調整するためにポリマーカバーの厚さを調整することも可能である。
【0061】
一実施形態では、光源は、鋭角又は斜角で歯若しくは歯肉又はその両方に対して放射される光を提供する。一実施形態では、光源の発光面の角度は0度と90度との間で変化し、好ましくは光は約5度と85度との間、例えば30度と60度との間、特に35度と50度との間の角度で、歯若しくは歯肉又はその両方に向けられる。角度とは、光源から放射される光のエネルギーが最大となる入射光波の方向を指す。
【0062】
一実施形態では、少なくとも本質的に発光面を有するLED又は同様の光源を使用する場合、その面は、歯の咬合面によって画定される平面に対して、好ましくは約5°~約85°である斜角で光を放出するように構成されることが好ましい。そのために、光源は、トレイの平坦な表面の何れか又は両方に斜角で立ち上がるトレイのエッジ部分に取り付けられ得る。特に、そのような平坦な表面は、マウスピースが使用されている際に、歯の咬合面と当接するように構成されることが好ましい。
【0063】
図3に示すように、トレイは、歯の咬合面に向けられる光強度を増加させるために咬合面に埋め込まれたLED23といった光源を更に有してもよい。
【0064】
光源は、フレキシブルプリント回路基板として構成され得る。典型的には、トレイ4;21は、図1に示すようにトレイの各側に2列のLEDを支持する。
【0065】
光源は、本体の頬側、唇側、又は舌側エッジの形状に配置され、好ましくはそれに追従するように配置されたマルチLED列を含んでもよい。
【0066】
光源は、本体の頬側若しくは唇側又はその両方に配置され得る。それらはまた、本体の舌側の外面上に配置され得る。
【0067】
一実施形態では、光源は、本体の舌側の外面を通して舌に光を伝えるように適合化される。
【0068】
一実施形態では、マウスピースに使用されるLED等の光源は、30~1000mW/cm、特に50~500mW/cmの出力を有する光を歯に向けて放出することが可能である。
【0069】
LEDは、フレキシブルPCB、銅片、金属PCB、半フレキシブルPCB、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されないあらゆる種類の回路基板に接続され得る。
【0070】
トレイと発光素子との間の熱接合部は、熱ペースト又は熱伝導接着剤(不図示)等の熱伝導材料によって増大され得る。
【0071】
トレイ4;21は、ユーザの口の周りのホットスポットから、当該口の口腔表面に制御された方法で放散される熱を放散する。良好な光パワーを可能にし、発光コンポーネントの過熱又は局所的ホットスポットの形成の問題を解決する。
【0072】
図1の実施形態に示すように、口の外部のトレイ4の部分9はシリコーンカバーから突出することができ、受動又は能動冷却機能2’を組み込むことができる。トレイ4は、冷却液体又は空気がトレイの内部を移動することを可能とするために、溝又はパイプを更に有し得る。能動冷却は、補助空冷、水冷、油冷、若しくはペルチェ冷却又はそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。受動冷却は、対流による空冷、ヒートパイプ冷却、蒸発冷却若しくは蓄熱冷却、放射冷却、又はそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0073】
上記に基づいて、デバイスの一実施形態では、熱伝導体3~5、9は、ケース2の内側の本体3~5からケースの外側に熱を伝導することが可能な冷却トレイ又は表面9を形成する延在部分を含む。
【0074】
典型的には、延在部分は、(マウスピースが歯の間の所定位置に配置される際に)トレイの前端に配置される。
【0075】
一実施形態では、トレイは、ケース内部の本体を冷却するための能動冷却ユニットに接続され、能動冷却は、温度センサに接続され、マウスピースの温度に応じた本体の冷却の調整を可能にする。
【0076】
マウスピースカバー2は、シリコーンゴム、熱可塑性材料、又はそれらの組み合わせ等の、経口使用が承認されたポリマー材料を含むか、又はそれらからなるか、又はそれらから本質的になることができる。カバーは、単一の均一な層(a single uniform layer)又は異なる材料からなり各層が均一である複数の層(multiple layers of same of different material)を含んでもよい。カバーはまた、マウスピースの光学特性を変化させるか、又はROS産生による抗菌効果等の他の効果を誘発する光学活性化合物若しくは材料を含んでもよいが、これに限定されない。光学活性化合物は、Au、Ag、N、Fe若しくはCu又はそれらの組み合わせを用いてドープされた誘導体といったそれらのTiO、SiOドープ誘導体に属し得るが、これらに限定されない。
【0077】
一実施形態では、ケースを形成するポリマー材料は、ケース上に、TiO、SiO、銀、金属ドープTiO、金属ドープSiO、N-TiO、N-SiO、若しくは銀ナノ粒子、又はそれらの組み合わせ等の抗菌及び/又は光回折材料を含有するか、それらで混合されるか、又はそれらを被覆として含有する。
【0078】
咬合面に埋め込まれた発光面を欠く本発明の実施形態では、歯の咬合エリアにおけるマウスピースカバーの厚さは1mmを超え、好ましくは2~3mm、最適には10mmまでである。5~10mmの厚さは、柔らかい材料にとって特に興味深い。
【0079】
咬合面23にLEDを有する本発明の実施形態では、カバーの厚さは0.1mmを超え、好ましくは1mmを超え、最大で10mmまでである。
【0080】
一般に、ケースに埋め込まれた本体は、デバイスの動作中に100℃までの温度に耐えることが可能である。
【0081】
最良の治療効果を達成するために、本発明のマウスピースは、交換可能なマウスピースと、局所照明器ヘッドと、制御ユニットと、活性物質と共に使用される充電ドックと、を備えるキットとして使用されるべきである。
【0082】
最良の治療効果を達成するために、本発明のマウスピースは、交換可能なマウスピースと、局所照明器ヘッドと、制御ユニットと、活性物質と共に使用される充電ドックと、を備えるキットとして使用されるべきである。
【0083】
実施形態は、熱伝導材料で作られた本体を備えるマウスピースに関し、本体は、傾斜した顔側及び舌側の外面と、歯の顔側及び舌側の表面にそれぞれ対向するように適合化された顔側及び舌側の内面と、を備える。光源は、本体の傾斜面に取り付けられ、歯の表面に光を伝えるように適合化され、光源は、当該外面の少なくとも1つに配置され、当該内面を介して歯の顔側と舌側表面との両方に当該光を伝えるように適合化される。
【0084】
一実施形態では、光源は、非可視治療光と可視安全光との両方を同時に放出するように構成され、可視安全光は、好ましくは1.8cdより大きい、好ましくは25cdより大きい、更には100cdより大きい強度を有する。強度は、好ましくは5000cd以下、特に3000cd以下、例えば1500cd以下である。
【0085】
一実施形態では、光源は、センサ入力に基づいて、特に口腔内センサに基づいて、治療強度及び治療時間を達成するために光を放出するように構成される。
【0086】
好ましくは、光源の少なくとも一部は、複数のピーク波長を有する光を生成することが可能である。
【0087】
一実施形態では、光源の少なくとも一部は、複数の発光面を有する。
【0088】
一実施形態では、ケースは、毛、形、歯を磨くことができるロッド、毛、形、及びロッド、並びにそれらの組み合わせを移動又は振動させることが可能な電気モータを含む。
【0089】
図3を参照して、光源10は、光源に電力を供給するために、内蔵された電力貯蔵器等の電源12に接続可能であることに留意されたい。
【0090】
図示されるように、経口治療デバイスを含むキットは、熱伝導材料15で作られた本体と、本体に接続された制御電子回路14、17と、を備え、特に制御電子回路は、その雄型USBポートを介して本体に接続される。
【0091】
一実施形態では、キットは、制御ユニット14、17と、LEDヘッド13と、ドッキングステーション11と共に経口治療デバイスを備える。
【0092】
特定の一実施形態では、経口治療デバイスのマウスピースは、USB-Cポートに接続可能である。
【0093】
一実施形態では、キットは、経口剤、特に、抗酸化剤、光増感剤及び増強剤、並びにそれらの組み合わせを含む有益剤の群から選択される活性剤を含む。したがって、例えば、経口剤は、ビタミンE又はその類似体若しくは前駆体等の抗酸化分子、色素、及びそれらの組み合わせの群から選択され得る。
【0094】
活性剤、特に経口内剤の具体例は、ヒペリシン、クルクミン、フェナレノン誘導体、セルコスポリン、ソラレン、キサントキシン、アンゲリシン、α-テルチエニル、フェニルテパトリイン、THC、カンナビジオール(CBD)の群から選択される光増感剤を含む。合成光増感剤は、RB(Rose Bengal)、MB、ポルフィリン誘導体、クルクミン誘導体、メチレンブルー、インドシニングリーン、エリトシン、フェナレノン誘導体、フラーレン誘導体、キサンテン誘導体を含み、任意に色素と共に含む。
【0095】
一実施形態では、経口剤は、二酸化チタンと組み合わせたインドシアニングリーンから選択され、任意選択で、E-ビタミン又はその類似体若しくは前駆体等の少なくとも1つの抗酸化剤と更に組み合わせられる。
【0096】
一実施形態では、マウスピースは、口腔内に配置されている間に本体を機械的に振動させるための手段を含む。
【0097】
マウスピースは、1つ又は複数の光源及びマウスピースが組み込む任意の他の電子機能に電力を供給するための、バッテリ又はスーパーキャパシタ等の内蔵電力リザーバを備えてもよい。幾つかの実施形態では、発電リザーバが無線で充電し得る。
【0098】
電源は、例えば、適切なセンサによって検出されるように、充電器から切断された際に自動的に又はユーザがマウスピースを噛んだ際に手動でスイッチを入れることができる。
【0099】
一実施形態では、電力貯蔵は、少なくとも1分間、好ましくは少なくとも2分間、例えば5分間及び120分間まで、特に少なくとも15分間及び30分間までデバイスを駆動させ得る1つ又は複数のスーパーキャパシタを使用して実施される。例えば、1つの又は1グループのLEDあたり1つのスーパーキャパシタが存在してもよい。
【0100】
デバイスは、1つ又は複数のセンサも有し得る。これは、測定及び/又はフィードバック機能を治療プロセスに提供することを可能にする。幾つかの実施形態では、LED電流からのLEDコンポーネントの光吸収を測定するために、少なくとも1つのセンサが提供される。代替又は補足の実施形態では、光吸収を測定することが可能な、ダイオード等の少なくとも1つの感光性素子を設けてもよい。光吸収情報は、歯の上部の生物膜の量及び虫歯の早期発症に関連付けられ得る。
【0101】
幾つかの実施形態では、マウスピースは、放射された波長の吸収光の変化を測定するためのセンサを備えるか、或いはセンサ出力に関連するコンポーネントは第1の波長の光を放射し、センサ入力は第1の波長とは異なる第2の波長の光を検出する。
【0102】
幾つかの実施形態では、マウスピースは、光源又はその周囲の温度を測定するように適合化された1つ又は複数の温度センサを備える。また、温度を継続的に監視し、且つ温度が所定レベルまで上昇した場合にLED電力を制限するための手段が存在してもよい。これは、ユーザを安全に保ち、LEDが最良の熱効率のためにそれらの最適なゾーンに留まることを可能にする。
【0103】
幾つかの実施形態では、マウスピース表面は、405nmの光が構造体から放出される際に反応性酸素を生成する二酸化チタンの小さい層で少なくとも部分的にコーティングされる。二酸化チタンは、マウスピース内の拡散又は回折材料として使用され、治療的な細菌殺傷機能も有する。
【0104】
幾つかの実施形態では、限定された数の電子コンポーネントを有する1つ又は2つのモジュール素子のみを使用することによって、低効果の局所使用のための軽量光線力学療法デバイスを作製することも可能である。マウスピースの充電は、スーパーキャパシタに無線接続して行われる。充電器から持ち上げるとデバイスが点灯する。
【0105】
幾つかの実施形態では、マウスピースは、その上に抗菌層を有し、例えば充電器内で待機モードにある際に定期的に抗菌層を照射することによって自己抗菌機能が提供される。例えば、マウスピースは、マウスピースに含まれる二酸化チタン粒子に405nmの光を提供してもよい。
【0106】
1つの例示的な使用事例では、治療は、有効成分物を口に適用し、次いでマウスピースを口内に配置し、コード又は無線でマウスピースを外部制御ユニットに接続することによって開始される。制御ユニットは、治療中に持ち運びが容易なモバイルデバイスであり得る。治療の完了後、プロバイオティック製品が、例えば、ガム、錠剤、ペースト又は液体の形態で服用され得る。
【0107】
一実施形態では、マウスピースは、有効成分の光漂白又は治療エリア内の有効成分量等、口腔内組織又は口腔内薬剤のそれに放出される光に対する応答を測定するための光学センサ等の少なくとも1つのセンサを備える。
【0108】
幾つかの実施形態では、本光線力学療法マウスピースは、ユーザが高強度の不可視光で自身を傷つけることを防止する1つ又は複数の安全機能を有する。一実施態様では、安全機能は、デバイスのセンサ入力に基づいて390~700nm波長外の光成分に対する光源の明度を調整することに基づくか、或いは明るい光に対する目の本来の且つ能動嫌悪応答を生成するために、可視390~700nmスペクトルの光を放射する追加の光源を含む。デバイスは更に、治療エリアから標的分子に固有の標的波長を検出すると、低電力状態から高電力状態に変わるように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、デバイスは、780~815nmの光を一次活性光として利用し、明るい白色光を眼の保護光として利用する。
【0109】
幾つかの実施形態では、デバイスは、センサの使用によって標的エリアからの蛍光照射を検出した後にのみ、低電力から高電力の治療照射に切り替わるように構成され、したがって、照射への不必要な暴露から眼及び他の組織の保護が達成される。
【0110】
一実施形態では、光源は、780~820nmの帯域内等の少なくとも1つの非可視波長帯域内で光を放出するように構成される。
【0111】
一実施形態では、マウスピースは、口腔内センサと、口腔内センサからの入力に基づいて、少なくとも1つの波長、特に少なくとも1つの不可視波長帯域で光源の出力パワーを調整するための手段と、を備える。
【0112】
さらに、幾つかの実施形態では、光源の出力パワーを調整するための手段は、口腔内センサによる特定の波長の検出に応じて光源の出力パワーを増大させるように構成される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】