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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】吸気弁堆積物を低減するための方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/06 20060101AFI20221219BHJP
   C10L 10/18 20060101ALI20221219BHJP
   C10L 1/223 20060101ALI20221219BHJP
   F02B 77/04 20060101ALI20221219BHJP
   F02D 19/12 20060101ALI20221219BHJP
   F02D 19/08 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C10L1/06
C10L10/18
C10L1/223
F02B77/04
F02D19/12 A
F02D19/12 Z
F02D19/08 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523163
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2020079523
(87)【国際公開番号】W WO2021078753
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/924,422
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023685
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】クラックネル,ロジャー・フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ルッソ,ジョセフ・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アラディ,アレン・アンベレ
(72)【発明者】
【氏名】コルベック,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3G092
【Fターム(参考)】
3G092AA01
3G092AB02
3G092AB14
3G092AB17
3G092DE03S
3G092FA36
3G092HB05Z
(57)【要約】
ガソリン燃料組成物を燃料とする火花点火内燃エンジンにおける吸気弁堆積物を低減するための方法であって、方法が、水性ベースの組成物をエンジン内に導入することを含み、水性ベースの組成物が、(i)水、(ii)0体積%~40体積%の凝固点抑制剤、(iii)0体積%~10体積%の界面活性剤、および(iv)0ppmw~1000ppmwのブレンド量のアミン化合物を含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリン燃料組成物を燃料とする火花点火内燃エンジンにおける吸気弁堆積物を低減するための方法であって、前記方法が、水性ベースの組成物を前記エンジン内に導入することを含み、前記水性ベースの組成物が、(i)水、(ii)0体積%~40体積%の凝固点抑制剤、(iii)0体積%~10体積%の界面活性剤、および(iv)0ppmw~1000ppmwのブレンド量のアミン化合物を含む、方法。
【請求項2】
前記火花点火内燃エンジンが、直接噴射火花点火内燃エンジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性ベースの組成物が、噴射システムを介して前記エンジン内に導入される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミン化合物が、ポリアルキレンベースのアミン化合物、ポリエーテルアミン化合物、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アミン化合物が、ポリエーテルアミン、好ましくはアルキルまたはアルキアリール(alkyaryl)ポリエーテルアミンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記界面活性剤が、12.4~14.4の範囲のHLBを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤が、アルキルアルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、およびそれらの混合物から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記非イオン性界面活性剤が、アルキルアルコールエトキシレート、好ましくは、C10~C16アルキルアルコールから誘導され、かつ6~12個のエチレンオキシド部分を有するアルキルアルコールエトキシレートである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記水性ベースの組成物が、0.5体積%~5体積%の界面活性剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記凝固点抑制剤が、アルコール、アルキレングリコールなどのグリコール、ジアルキルカルバメート、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記凝固点抑制剤が、アルコールである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、およびそれらの混合物から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項14】
前記水性ベースの組成物が、前記エンジンの始動前に前記エンジン内に噴射される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ガソリン燃料組成物を燃料とする火花点火内燃エンジンにおける吸気弁堆積物を低減するための水性ベースの組成物の使用であって、前記水性ベースの組成物が、(i)水、(ii)0~40体積%の凝固点抑制剤、(iii)0~10体積%の界面活性剤、および(iv)0ppmw~1000ppmwのブレンド量のアミン化合物を含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火花点火内燃エンジンにおける吸気弁堆積物を低減する方法に関する。特に、本方法は、水性ベースの組成物を火花点火内燃エンジン内に導入することに関与する。
【背景技術】
【0002】
理想的な条件下では、従来の火花点火エンジンにおける平常の燃焼は、燃料と空気の混合気が、点火プラグに起因する火花の生成によってシリンダ内部の燃焼室内で点火される場合に発生する。一般に、そのような平常の燃焼は、燃焼室を横切る火炎前面が規則的かつ制御された様式で拡大することを特徴とする。
【0003】
近年、自動車産業は、ますます厳しくなる排出量および燃料消費量の基準を考慮して、小型化されたブースト直接噴射エンジンへの大きな転換を目の当たりにしている。
【0004】
ポート燃料噴射(PFI)エンジンと直接噴射火花点火(DISI)エンジン(GDIエンジンとしても既知)の両方とも、吸気弁上に堆積物が形成されやすくなる可能性があり、いずれの場合も、燃焼中の気流の悪化をもたらし得る。堆積物は、ブローバイ回路もしくは弁軸のいずれかからの潤滑油、またはPFIエンジンの熱分解燃料に由来し得る。しかしながら、PFIエンジンにおいては、適切に配合された燃料を吸気弁の背面に噴射することが、IVD蓄積の軽減に役立ち得る。対照的に、GDIエンジンにおいては、IVDを除去するためのそのような燃料洗浄は存在しない。GDIおよびPFIエンジンは、不良なスプレーパターンおよび不良な運転性をもたらし得る、噴射装置の穴の中の堆積物にも悩まされ得る。GDI噴射装置の表面に形成される堆積物は、排出量の増加をもたらす煤形成の増加、および燃料経済性の不経済をもたらす潤滑油粘度の増加を引き起こすことが示されている。加えて、GDIとPFIの両方の噴射システムにおいて形成される燃焼室堆積物は、微粒子状物質およびNOx排出量の増加に関連している。
【0005】
エンジンの小型化の主な結果は、高レベルの筒内圧および熱負荷であり、これは、ノッキングと呼ばれる異常燃焼現象の可能性の増加をもたらす。Gerty,M.and Heywood,J.,“An Investigation of Gasoline Engine Knock Limited Performance and the Effects of Hydrogen Enhancement,”SAE Technical Paper 2006-01-0228 2006によれば、「ノッキング」という用語は、進行する乱流火炎前面の前にある未燃の空気-燃料の混合気の自然点火から生じる音を表している。ノッキングは、エンジンの損傷をもたらす場合もあり、最近の車両は、ノッキングの発生を検出し、かつ点火のタイミングを変更してそれを排除することができるセンサを有する傾向がある。しかしながら、点火のタイミングの変更は、エンジン効率の低下および排出量の増加をもたらす。
【0006】
水噴射は、高ブーストエンジンにおいて、末端ガス温度を低下させ、ひいてはエンジンのノッキングを制御するための効果的な技法として使用されている。さらに、水噴射は、点火のタイミングを遅らせる必要性を除去するため、最適な効率を可能にする。Rohit,A.,Satpathy,S.,Choi,J.,Hoard,J.et al,“Literature Survey of Water Injection Benefits on Boosted Spark Ignited Engines”,SAE Technical Paper 2017-01-0658,2017,doi:10.4271/2017-01-0658は、ブースト火花点火エンジンにおけるノッキング制限を拡張するための水噴射の使用における以前の研究、ならびに性能および排出量に対するその潜在的な影響を調査している。
【0007】
Netzer,C.,Franken,T.,Lehtiniemi,H.et al.,“Numerical Analysis of the Impact of Water Injection on Combustion and Thermodynamics in a Gasoline Engine using Detailed Chemistry,”SAE Technical Paper 2018-01-0200,2018,doi:10.4271/2018-01-0200は、ブースト火花点火エンジンにおける燃焼プロセスに対する異なる化学的および物理的量の水噴射の影響を調査している。
【0008】
https://www.bmw-m.com/en/topics/magazine-article-pool/5-litres-of-water-for-500-horses.htmlで開示されている記事は、BMW M4 GTSにおける水噴射システムを記載している。この記事の執筆者は、この水噴射システムが、ターボチャージャ付き直列6気筒エンジンのフルスロットル動力および燃料消費量をさらに改善することを報告している。この記事には、水が微細なスプレーとして吸気マニフォールドプレナム室内に噴射され、そこで蒸発し、吸気の温度を有意に低下させることが記載されている。この記事によると、この水噴射は、燃焼室内の最終圧縮温度を低下させ、これによりノッキングの発生も低減し、ターボチャージャ付きエンジンがより高いブースト圧力およびより早い点火のタイミングで動作することを可能にし、かつ動力およびトルクを増加させる。
【0009】
I Hermanは、Springer International Publishing AG 2018 M.Gunther and M Sens(eds.),Knocking in Gasoline Engines,https://doi.org/10.1007/978-3-319-69760-4_18の中で、(直接噴射燃料を用いる)ポート水噴射が、実装するのが最も容易な実施形態であったことを示している。
【発明の概要】
【0010】
水噴射は、ブースト火花点火エンジンにおいてノッキングを制御することが既知であるが、これまでのところ、吸気弁堆積物を制御する方法としては使用されていない。直接噴射火花点火エンジンにおける、ならびにポート燃料噴射火花点火エンジンにおける、吸気弁堆積物とノッキングの両方を同時に制御する手段として、水噴射システムを使用することが望ましいであろう。
【0011】
驚くべきことに、以下に記載される水性ベースの組成物は、ノッキングに加えて、火花点火内燃エンジンにおける吸気弁堆積物を制御するために使用され得ることが見出されている。
【0012】
本発明によれば、ガソリン燃料組成物を燃料とする火花点火内燃エンジンにおける吸気弁堆積物を低減するための方法が提供され、この方法は、水性ベースの組成物をエンジン内に導入することを含み、水性ベースの組成物は、(i)水、(ii)0体積%~40体積%の凝固点抑制剤、(iii)0体積%~10体積%の界面活性剤、および(iv)0ppmw~1000ppmwのブレンド量のアミン化合物を含む。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、ガソリン燃料組成物を燃料とする火花点火内燃エンジンにおける吸気弁堆積物を低減するための水性ベースの組成物の使用が提供され、水性ベースの組成物は、(i)水、(ii)0体積%~40体積%の凝固点抑制剤、(iii)0体積%~10体積%の界面活性剤、および(iv)0ppmw~1000ppmwのブレンド量のアミン化合物を含む。
【0014】
驚くべきことに、本発明の使用および方法は、すべての火花点火内燃エンジン、特に直接噴射火花点火(GDI)エンジンにおける吸気弁堆積物を有利に低減することが見出されている。本発明は、燃料によって吸気弁を清浄化するための直接洗浄機構が存在しないため、直接噴射火花点火(GDI)エンジンにおいて特に有利である。
【0015】
さらに、驚くべきことに、本発明の使用および方法は、火花点火内燃エンジン、特に直接噴射火花点火エンジンにおける吸気弁堆積物を有利に低減し、同様にエンジンのノッキングを低減し得ることが見出されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において使用される水性ベースの組成物の必須成分(本明細書における成分(i))は、水である。本明細書における使用のための水性ベースの組成物は、すべてのタイプの火花点火エンジンと適合性でなければならない。
【0017】
本明細書における水性ベースの組成物の任意選択の非常に好ましい成分(本明細書における成分(ii))は、凝固点抑制剤である。本明細書において使用される場合、「凝固点抑制剤」という用語は、それが添加される水性ベースの組成物の凝固点を低下させる能力を有する成分を意味する。
【0018】
内燃エンジンにおける使用に好適な任意の凝固点抑制剤が本明細書において使用され得る。
【0019】
好適には、凝固点抑制剤は、アルコール、アルキレングリコールなどのグリコール、ジアルキルカルバメート、およびそれらの混合物から選択される。好適な凝固点抑制剤の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルカルバメート、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0020】
凝固点抑制剤としての使用に好適なアルコールとしては、低分子量アルコールが挙げられ、これには、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、イソ-ブチルアルコール、二級ブチルアルコール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。凝固点抑制剤としての使用に好適なアルコールとしては、アルコキシル化低分子量アルコールも挙げられ、これには、1~15個のアルキレンオキシド基、好ましくは1~4個のアルキレンオキシド基を有するイソブチルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。アルキレンオキシド基は、任意のアルキレンオキシド基を含み得る。例えば、該アルキレンオキシド基は、メチレンオキシド基、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、およびブチレンオキシド基、またはそれらの混合物、例えば、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基の混合物を含み得る。そのような混合物は、ランダムまたはブロック状であり得る。
【0021】
凝固点抑制剤としての使用に好適なグリコールとしては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書における好ましい実施形態では、凝固点抑制剤は、アルコール、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、およびそれらの混合物、特にイソプロパノールから選択される。
【0023】
凝固点抑制剤は、成分(i)、(ii)、および(iii)の総体積に基づいて、好ましくは最大40体積%、より好ましくは1~40体積%、さらにより好ましくは1体積%~30体積%、特に5体積%~30体積%、より具体的には10体積%~20体積%のレベルで存在する。
【0024】
本明細書における水性ベースの組成物中に包含するための別の非常に好ましい成分は、界面活性剤(成分(iii))である。該界面活性剤は、以下に記載されるアミン化合物を包含しない。本明細書における好適な界面活性剤としては、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、および両性界面活性剤、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0025】
好ましくは、本明細書において使用される界面活性剤は、1つ以上の非イオン性界面活性剤から選択され、好ましくは9~14.4、より好ましくは12~14.4、さらにより好ましくは12.4~14.4、特に12.4~13.6の範囲のHLBを有する。
【0026】
本明細書における使用に好適な非イオン性界面活性剤の例としては、アルキルアルコールエトキシレート(例えば、Surfonic L24-12、Surfonic L24-9、Surfonic L24-4、Surfonic L12-8、Surfonic L12-6、およびSurfonic TDA-6、すべてIndoramaから市販、ならびにAlchem 111、Alchem 123、およびAlchem 123、すべてSasolから市販)、アルキルフェノールエトキシレート(例えば、Surfonic N100およびSurfonic N60、いずれもIndoramaから市販、ならびにTergitol NP10およびTergitol NP 8、いずれもDow Chemicalから市販)、アルキル酸エトキシレート(例えば、Indoramaから市販のTericシリーズ)、ポリヒドロキシ化合物のアルキル酸エステル(例えば、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、およびモノオレイン酸グリセロール)、ソルビトールのアルキル酸エステル(例えば、Indoramaから市販のEcoteric Tシリーズ)、スクロースのアルキル酸エステル、アルキルポリグルコシド(例えば、デシル、ラウリル、およびオクチルグルコシド)、アミンオキシド(例えば、Indoramaから市販のOxaminシリーズ)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテルなど、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
好ましくは、界面活性剤は、アルキルアルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、およびそれらの混合物から選択される。
【0028】
本発明の一実施形態では、界面活性剤は、アルキルエトキシレート、好ましくは、C10~C16アルキル基を有し、かつ6~12個のエチレンオキシド部分を含有するアルキルエトキシレートである。本明細書における使用に好適なアルキルエトキシレートの例としては、12個のエチレンオキシド部分を有するC12~C16脂肪族アルコールエトキシレート、9個のエチレンオキシド部分を有するC12~C16脂肪族アルコールエトキシレート、4個のエチレンオキシド部分を有するC12~C16脂肪族アルコールエトキシレート、8個のエチレンオキシド部分を有するC10~C12脂肪族アルコールエトキシレート、6個のエチレンオキシド部分を有するC10~C12脂肪族アルコールエトキシレート、および6個のエチレンオキシド部分を有するイソトリデシルアルコールエトキシレートが挙げられる。
【0029】
本発明の別の実施形態では、界面活性剤は、アルキルフェノールエトキシレート、好ましくは、6~12個のエチレンオキシド部分を有するC6~C10アルキルフェノールエトキシレートである。本明細書における使用に好適なアルキルフェノールエトキシレートの例としては、6個のエチレンオキシド部分を含有するノニルフェノールエトキシレートおよび10個のエチレンオキシド部分を含有するノニルフェノールエトキシレートが挙げられる。
【0030】
界面活性剤は、成分(i)、(ii)、および(iii)の総体積に基づいて、0体積%~10体積%のレベルで、好ましくは1~10体積%、より好ましくは0.5体積%~5体積%、さらにより好ましくは0.5体積%~2体積%のレベルで存在する。
【0031】
界面活性剤が2つ以上の界面活性剤の混合物を含む場合、界面活性剤の量について上記に提供されるレベルは、水性ベースの組成物中の界面活性剤の総レベルを指す。
【0032】
驚くべきことに、水性ベースの組成物中の界面活性剤とアミン化合物の組み合わせは、すべてのタイプのエンジン、特に、GDIエンジンにおいて典型的であるようなより高い圧縮エンジンに利益をもたらすことが見出されている。
【0033】
本明細書における水性ベースの組成物の非常に好ましい成分は、両親媒性特性を有するアミン化合物(成分(iv))である。好適には、アミン化合物は、ポリアルキレンベースのアミン化合物、ポリエーテルアミン化合物、およびそれらの混合物から選択される。
【0034】
好適なポリアルキレンベースのアミン化合物としては、ポリイソブチレンアミン、ポリプロピレンアミン、マンニッヒアミン、ポリイソブチレンスクシンイミド、ポリプロピレンスクシンイミド、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0035】
本明細書における使用に特に好ましいアミン化合物は、ポリエーテルアミン、例えば、アルキルまたはアルキアリール(alkyaryl)ポリエーテルアミンである。好適なアルキルまたはアルキルアリールポリエーテルアミンは、ポリエーテル骨格に結合したアミノ基を含有する。ポリエーテル骨格は、例えば、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド(BO)、混合BO/PO/EOなどのアルキレンオキシド部分に基づく。
【0036】
好適なポリエーテルアミンの例は、C~C60-アルカノール、C~C30-アルカンジオール、モノ-もしくはジ-C~C30-アルキルアミン、C~C30-アルキルシクロヘキサノール、またはC~C30-アルキルフェノールと、ヒドロキシル基またはアミノ基1つ当たり1~30molのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドとの反応によって、ならびにその後のアンモニア、モノアミン、またはポリアミンを用いた還元的アミノ化によって得ることができる、ポリオキシ-C~C-アルキレン部分を含む、化合物である。そのような生成物は、特に、EP-A-310 875、EP-A-356 725、EP-A-700 985、およびUS-A-4,877,416に記載されている。例えば、使用されるポリエーテルアミンは、ポリ-C~C-アルキレンオキシドアミンまたはその機能性誘導体であり得る。その典型的な例は、以下の化合物:トリデカノールブトキシレートまたはイソトリデカノールブトキシレート、イソノニルフェノールブトキシレート、ならびにまたポリイソブテノールブトキシレートおよびプロポキシレートと、アンモニアとの反応生成物である。
【0037】
本明細書における好ましい実施形態では、ポリエーテルアミンは、65:35(PO/BO)の重量比でPO/BO基を含有するノニルフェノールアミンであるXJT 958(Indoramaから市販)である。
【0038】
アミン化合物は、0ppmw~1000ppmw、好ましくは100ppmw~450ppmw、より好ましくは200ppmw~400ppmw、さらにより好ましくは300ppmw~400ppmwのブレンド量で水性ベースの組成物中に存在する。アミン化合物に関して本明細書において言及される場合、ppmwは、成分(i)、(ii)、および(iii)の組み合わせの百万重量部当たりのアミン化合物の重量部を意味することに留意されたい。
【0039】
本明細書における水性ベースの組成物の任意選択であるが好ましい成分は、腐食防止剤である。好適な腐食防止剤の例としては、Octel DCI 11(Innospecから市販)、Tolad 3224(Petroliteから市販)、およびBio Tec 9881(Aftonから市販)が挙げられる。腐食防止剤は、水性ベースの組成物全体に基づいて、好ましくは10~30ppmwのレベルで存在する。内燃エンジンにおける使用に好適な任意の腐食防止剤が本明細書において使用され得る。
【0040】
水性ベースの組成物はまた、着色剤、酸化防止剤、苦味剤、例えば、Macfarlan Smith CorporationおよびJ.M.Johnson Mattheyによって製造されているBitrex(RTM)(有効成分は、安息香酸デナトニウムである)などのさらなる任意選択の添加剤を含み得る。他の好適な任意選択の添加剤としては、ガソリン添加剤パッケージにおける使用にも好適であり、かつ当業者に周知であるような添加剤が挙げられる。そのような添加剤の例は、好適なガソリン添加剤の説明に関連して以下に提供される。本発明における使用のために、任意のそのような添加剤は、水相の混和性に適合させる必要があり得る。
【0041】
水性ベースの組成物の残りは、水(成分(i))である。水は、成分(i)、(ii)、および(iii)の総体積に基づいて、好ましくは50体積%~99体積%、より好ましくは58体積%~98体積%のレベルで存在する。
【0042】
水性ベースの組成物は、好ましくは、最初の工程においてアミン化合物と界面活性剤を混合し、続いて凝固点抑制剤を添加し、最後に水を添加して、透明な分散溶液、例えば、マイクロエマルジョンまたは連続相を生成することによって調製される。
【0043】
本発明の使用および方法において、エンジンは、ガソリン燃料組成物を燃料とし、水性ベースの組成物は、例えば、噴射システムまたは他の方法を介して、エンジン内に導入される。水性ベースの組成物は、エンジンの通常の動作の前または動作中のいずれかでエンジン内に導入され得る。水性ベースの組成物は、任意の適切な様式で、好ましくは、例えば、シリンダ内、弁上、またはマニホルド内への噴射を介して、吸気弁の背面に洗浄作用を生じさせるような方法でエンジン内に導入され得る。
【0044】
本明細書に記載される水性ベースの組成物は、好ましくは、車両に搭載された別個のタンクに貯蔵され、燃料とは別個に噴射される。高効率エンジンを対象とした燃料噴射システムの進歩は、2つの流体(これらは、正確に計量され、かつ噴射装置内で混合されて単一のスプレーを提供するか、または噴射装置内の異なる設計穴から別個に噴射されて噴射装置外部でのスプレー中の混合を容易にするかのいずれかである)を噴射することができる、QuantLogic Corp(http://qlc2.com/)によって開発されたものなどの単一の二重燃料噴射装置を使用して、同時噴射のさらなる機会を提供している。
【0045】
本明細書に記載される水性ベースの組成物は、吸気弁堆積物を低減する目的で使用される。本明細書における好ましい実施形態では、本明細書に記載される水性ベースの組成物は、吸気弁堆積物を低減し、エンジンのノッキングを低減するという二重の目的で使用される。
【0046】
本発明の使用および方法は、ゼロまで低減すること(すなわち、吸気弁堆積物を排除すること)を含む、エンジンにおける吸気弁堆積物の任意の程度の低減を達成するために使用され得る。本明細書における使用および方法は、好ましくは、エンジンにおける吸気弁堆積物の5%以上の低減、より好ましくは、エンジンにおける吸気弁堆積物の10%以上の低減、さらにより好ましくは、エンジンにおける吸気弁堆積物の15%以上の低減、特に、エンジンにおける吸気弁堆積物の30%以上の低減を達成する。特に好ましい実施形態では、本明細書における方法および使用は、エンジンにおける吸気弁堆積物の50%以上の低減を達成する。別の特に好ましい実施形態では、本明細書における方法および使用は、エンジンにおける吸気弁堆積物を完全に除去する。
【0047】
本発明の使用および方法において、火花点火内燃エンジンは、ガソリン燃料組成物を燃料とする。
【0048】
火花点火内燃エンジンに燃料を供給するために本明細書において使用されるガソリン燃料組成物は、ガソリンベースの燃料を含む。ガソリンベースの燃料は、自動車エンジン、ならびに、例えば、オフロードおよび航空機エンジンなどの他のタイプのエンジンを含む、当該技術分野で既知である火花点火(ガソリン)タイプの内燃エンジンにおける使用に好適な任意のガソリンベースの燃料であり得る。本明細書における液体燃料組成物においてベース燃料として使用されるガソリンは、便宜的には、「ベースガソリン」とも称され得る。
【0049】
ガソリンは、典型的には、25~230℃の範囲で沸騰する炭化水素の混合物を含み(EN-ISO 3405)、最適な範囲および蒸留曲線は、典型的には、その年の気候および季節によって変動する。ガソリン中の炭化水素は、当該技術分野で既知である任意の手段によって得ることができ、便宜的には、炭化水素は、直留ガソリン、合成的に生成された芳香族炭化水素混合物、熱的分解もしくは接触分解炭化水素、水素化分解石油留分、接触改質炭化水素、またはこれらの混合物から任意の既知の様式で誘導され得る。これらのガソリン成分はすべて、化石炭素または再生可能エネルギーに由来し得る。
【0050】
ガソリンの特定の蒸留曲線、炭化水素組成、リサーチオクタン価(RON)、およびモータオクタン価(MON)は、本発明には重要ではない。
【0051】
便宜的には、ガソリンのリサーチオクタン価(RON)は、少なくとも80、例えば80~110の範囲であり得、好ましくは、ガソリンのRONは、少なくとも90、例えば90~110の範囲であり、より好ましくは、ガソリンのRONは、少なくとも91、例えば91~105の範囲であり、さらにより好ましくは、ガソリンのRONは、少なくとも92、例えば92~103の範囲であり、さらにより好ましくは、ガソリンのRONは、少なくとも93、例えば93~102の範囲であり、最も好ましくは、ガソリンのRONは、少なくとも94、例えば94~100の範囲である(EN 25164);ガソリンのモータオクタン価(MON)は、便宜的には、少なくとも70、例えば70~110の範囲であり得、好ましくは、ガソリンのMONは、少なくとも75、例えば75~105の範囲であり、より好ましくは、ガソリンのMONは、少なくとも80、例えば80~100の範囲であり、最も好ましくは、ガソリンのMONは、少なくとも82、例えば82~95の範囲である(EN 25163)。
【0052】
典型的には、ガソリンは、以下の基:飽和炭化水素、オレフィン系炭化水素、芳香族炭化水素、および酸素化炭化水素のうちの1つ以上から選択される成分を含む。便宜的には、ガソリンは、飽和炭化水素、オレフィン系炭化水素、芳香族炭化水素、および任意選択的に酸素化炭化水素の混合物を含み得る。
【0053】
典型的には、ガソリンのオレフィン系炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて0~40体積パーセントの範囲であり(ASTM D1319)、好ましくは、ガソリンのオレフィン系炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて0~30体積パーセントの範囲であり、より好ましくは、ガソリンのオレフィン系炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて0~20体積パーセントの範囲である。
【0054】
典型的には、ガソリンの芳香族炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて0~70体積パーセントの範囲であり(ASTM D1319)、例えば、ガソリンの芳香族炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて10~60体積パーセントの範囲であり、好ましくは、ガソリンの芳香族炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて0~50体積パーセントの範囲であり、例えば、ガソリンの芳香族炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて10~50体積パーセントの範囲である。
【0055】
ガソリンのベンゼン含有量は、ガソリンに基づいて最大2体積パーセント、より好ましくは最大1体積パーセントである。
【0056】
ガソリンは、好ましくは、低いまたは非常に低い硫黄含有量を有し、例えば、最大1000ppmw(重量百万分率)、好ましくは500ppmw以下、より好ましくは100以下、さらにより好ましくは50以下、最も好ましくはさらに10ppmw以下である。
【0057】
ガソリンはまた、好ましくは最大0.005g/lなどの低い総鉛含有量を有し、最も好ましくは鉛を含有していない、すなわち、鉛化合物がガソリンに添加されていない(すなわち、無鉛である)。
【0058】
ガソリンが酸素化炭化水素を含む場合、非酸素化炭化水素の少なくとも一部が、酸素化炭化水素に置換される。ガソリンの酸素含有量は、ガソリンに基づいて最大35重量パーセントであり得る(EN 1601)(例えば、エタノール自体(すなわち、純粋な無水エタノール))。例えば、ガソリンの酸素含有量は、最大25重量パーセント、好ましくは最大10重量パーセントであり得る。便宜的には、酸素化物濃度は、0~5重量パーセントのうちのいずれか1つから選択される最小濃度、および30、20、10重量パーセントのうちのいずれか1つから選択される最大濃度を有するであろう。好ましくは、本明細書における酸素化物濃度は、5~15重量パーセントである。
【0059】
ガソリン中に組み込まれ得る酸素化炭化水素の例としては、アルコール、エーテル、およびそれらの誘導体、ならびに酸素含有複素環式化合物が挙げられる。好ましくは、ガソリン中に組み込まれ得る酸素化炭化水素は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、イソ-ブタノール、および2-ブタノール)、エーテル(好ましくは、1分子当たり5個以上の炭素原子を含有するエーテル、例えば、メチルtert-ブチルエーテルおよびエチルtert-ブチルエーテル)、およびエステル(好ましくは、1分子当たり5個以上の炭素原子を含有するエステル)から選択され、特に好ましい酸素化炭化水素は、エタノールである。
【0060】
酸素化炭化水素がガソリン中に存在する場合、ガソリン中の酸素化炭化水素の量は、広範囲にわたって変動し得る。例えば、酸素化炭化水素を大きな割合で含むガソリン、例えば、エタノール自体およびE85、ならびに酸素化炭化水素をわずかな割合で含むガソリン、例えば、E10およびE5は、現在、ブラジルおよび米国などの国々で市販されている。したがって、ガソリンは、最大100体積パーセントの酸素化炭化水素を含有し得る。ブラジルで使用されているようなE100燃料もまた、本明細書中に含まれる。好ましくは、ガソリン中に存在する酸素化炭化水素の量は、ガソリンの所望の最終配合に応じて、以下の量:最大85体積%、最大70体積%、最大65体積%、最大30体積%、最大20体積%、最大15体積%、および最大10体積%の量のうちの1つから選択される。便宜的には、ガソリンは、少なくとも0.5、1.0、または2.0体積パーセントの酸素化炭化水素を含有し得る。
【0061】
好適なガソリンの例としては、0~20体積パーセントのオレフィン系炭化水素含有量(ASTM D1319)、0~5重量パーセントの酸素含有量(EN 1601)、0~50体積パーセントの芳香族炭化水素含有量(ASTM D1319)、および0~1体積パーセントのベンゼン含有量を有するガソリンが挙げられる。
【0062】
生物源に由来し得るガソリンブレンド成分もまた、本明細書における使用に好適である。そのようなガソリンブレンド成分の例は、WO2009/077606、WO2010/028206、WO2010/000761、欧州特許出願第09/160983.4号、同第09/176879.6号、同第09/180904.6号、および米国特許出願第61/312307号に見出すことができる。
【0063】
本明細書において使用されるベースガソリンまたはガソリン組成物は、便宜的には、1つ以上の任意選択の燃料添加剤を含み得る。本明細書において使用されるベースガソリンまたはガソリン組成物中に含まれ得る任意選択の燃料添加剤の濃度および性質は、重要ではない。本明細書において使用されるベースガソリンまたはガソリン組成物中に含まれ得る好適なタイプの燃料添加剤の非限定的な例としては、酸化防止剤、腐食防止剤、耐摩耗性添加剤または表面改質剤、燃焼加速添加剤、洗剤、曇り除去剤、ノッキング防止添加剤、金属不活性化剤、弁座後退防止剤化合物、染料、溶媒、キャリア流体、希釈剤、およびマーカが挙げられる。好適なそのような添加剤の例は、米国特許第5,855,629号に全般的に記載されている。
【0064】
便宜的には、燃料添加剤は、1つ以上の溶媒とブレンドされて、添加剤濃縮物を形成し得、添加剤濃縮物は、次いで、本明細書において使用されるベースガソリンまたはガソリン組成物と混和され得る。
【0065】
本明細書において使用されるベースガソリンまたはガソリン組成物中に存在するあらゆる任意選択の添加剤の(活性物質)濃度は、好ましくは最大1重量パーセント、より好ましくは5~2000ppmwの範囲、有利には300~1500ppmw、例えば300~1000ppmwの範囲である。
【0066】
燃料組成物は、便宜的には、1つ以上のベース燃料を1つ以上の性能添加剤パッケージおよび/または1つ以上の添加剤成分と混和することにより、従来の配合技法を使用して調製され得る。
【0067】
本発明のより良い理解を促すために、いくつかの実施形態のある特定の態様の実施例を以下に示す。以下の実施例は、決して本発明の全範囲を制限または定義するものとして読み取られるべきではない。
【実施例
【0068】
水性ベースの組成物を、以下の表1に記載される成分をブレンドすることによって調製した。実施例において使用したポリエーテルアミンは、65:35(PO/BO)の重量比でPO/BO基を含有するノニルフェノールアミンであるXJT 958(Indoramaから市販)であった。実施例において使用した界面活性剤は、Surfonic L24-12、Surfonic L24-9、Surfonic L12-8、Surfonic L12-6、Surfonic L24-4、Surfonic N100、Surfonic N60、およびSurfonic TDA(以下の表1に示す化学組成を有する、Indoramaから市販のすべてのアルキルエトキシレートまたはアルキルアリールエトキシレート)であった。これらの各界面活性剤の各々のHLB値を、表1に示す。実施例において使用した凝固点抑制剤は、表1に示す量のアルコール(エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、またはメタノール)であった。組成物の残りは、水であった。
【0069】
実施例は、最初の工程において非イオン性界面活性剤とアミン化合物をブレンドし、続いてアルコールを添加し、最後に水を添加することによって調製した。次いで、実施例の各々について目視検査を実施して、それらのうちのどれが透明なマイクロエマルジョンを生成したかを決定した。これらの結果を、表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0070】
考察
洗剤/水/凝固点抑制剤の透明かつ安定した水性ベースの組成物は、正しい界面活性剤を用いて達成することができる。好ましい界面活性剤は、14.4~13の範囲のHLBを有するアルキルベースであった。特別に選択したアルコールを含むSurfonic L24-12、Surfonic L24-9、およびSurfonic L12-8などの界面活性剤は、ポリエーテルアミン洗剤を用いて透明かつ安定した水性ベースの組成物を生成するのに特に良好であった。
【0071】
吸気弁堆積物を低減するために、およびエンジンのノッキングを低減するために、上記の表1の実施例は、エンジンの始動前に直接噴射火花点火(GDI)エンジン内に噴射され得る。
【国際調査報告】