(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】金属支持型セルユニット
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2432 20160101AFI20221219BHJP
H01M 8/1226 20160101ALI20221219BHJP
H01M 8/124 20160101ALI20221219BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20221219BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20221219BHJP
H01M 8/0273 20160101ALI20221219BHJP
H01M 8/2404 20160101ALI20221219BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20221219BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20221219BHJP
C25B 9/19 20210101ALI20221219BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20221219BHJP
【FI】
H01M8/2432
H01M8/1226
H01M8/124
H01M8/2465
H01M8/2483
H01M8/0273
H01M8/2404
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/19
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523190
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020079783
(87)【国際公開番号】W WO2021078874
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】セルビー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン, ユアン ノーマン ハーヴェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドマンスキー, トマシュ
(72)【発明者】
【氏名】ノブス, クリス
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021DA09
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC03
5H126AA02
5H126AA13
5H126AA15
5H126AA22
5H126AA23
5H126BB06
5H126EE11
5H126FF04
5H126GG02
5H126HH00
5H126HH02
(57)【要約】
少なくとも一対のセル(110a、110b)を備え、各セルは、第1及び第2の側面と側面間の流体連通をもたらす多孔質領域(124)とを有する金属基板(120a,120b)と、燃料電極層、電解質層、及び、空気電極層を備えるとともに、第1の側面で多孔質領域(124)上にわたってコーティング又は堆積されて多孔質領域(124)によって支持される平面セル化学層(111,112,113)とを備え、金属基板(120)は、その第1の側面の両方又はその第2の側面の両方が離間して対向する関係を成して内向きに面するように、金属基板(120)のセル化学層(111,112,113)が互いの上に横たわる状態で積み重ね配置を成すことにより、内向きに面する側面が、金属基板(120)の間に、燃料又は酸化剤のうちの一方のための共通の第1の流体容積部(140)を画定する、金属支持型平面セル装置(200)。
【選択図】
図9c
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対のセルを備え、
各セルが、第1及び第2の側面と前記側面間の流体連通をもたらす多孔質領域とを有する金属基板と、燃料電極層、電解質層、及び、空気電極層を備えるとともに、前記第1の側面で前記多孔質領域上にわたってコーティング又は堆積されて前記多孔質領域によって支持される平面セル化学層とを備え、
複数の前記金属基板は、それらの第1の側面の両方又はそれらの第2の側面の両方が離間して対向する関係を成して内向きに面するように、それらの複数のセル化学層が互いの上に重なる状態で積み重ね配置になっていることにより、複数の前記内向きに面する側面が、それらの間に、燃料又は酸化剤のうちの一方のための共通の第1の流体容積部を画定する、
金属支持型平面セル装置。
【請求項2】
金属基板の対が、直接的又は間接的に互いに接続されて前記積み重ね配置を成す2つの別個の金属プレートを備える、請求項1に記載のセル装置。
【請求項3】
前記2つの金属プレートが、任意選択で、それらの間に金属スペーサプレートが配置された状態で、互いに間接的に接続されて、前記積み重ね配置を成す、請求項2に記載のセル装置。
【請求項4】
前記2つの金属プレートが、それらが互いに当接して前記積み重ね配置を成すように互いに直接的に接続され、前記2つの金属プレートの一方又は両方が、前記2つのプレート間に前記第1の流体容積部を形成する成形形態部を有する、請求項2に記載のセル装置。
【請求項5】
複数の前記金属基板が第1の側面を有する単一の連続金属基板として形成され、当該第1の側面上に一対のセル化学層がそれぞれ前記多孔質領域上にわたってコーティング又は堆積され、前記連続金属基板が、それらが互いの上に横たわって燃料又は酸化剤のうちの前記一方のための前記第1の流体容積部を画定するセルの折り曲げられた対を形成するように、複数の前記セル化学層間で折り曲げられる、請求項1に記載のセル装置。
【請求項6】
複数のセルのバンク内で互いに隣り合って積み重ねられる複数の折り曲げられたセルの対を備える、請求項5に記載のセル装置。
【請求項7】
前記バンクにおいて、折り曲げられたセルの各対が別個のそれぞれの金属基板から形成され、当該基板は、それが前記第1の流体容積部を封入する1つのみの折り曲げられた端部を有するように1回折り曲げられる、請求項6に記載のセル装置。
【請求項8】
前記バンクにおいて、隣り合う折り曲げられたセルの対が共通の連続金属基板から形成され、当該基板は、それが複数の対向する折り曲げられた端部を有するように複数回折り曲げられて、燃料又は酸化剤のうちの前記一方のための複数のそれぞれの第1の流体容積部を画定する、請求項5又は6に記載のセル装置。
【請求項9】
複数の前記金属基板のうちの少なくとも1つがフランジ付き外周形態部を備え、複数の前記金属基板が、前記フランジ付き外周形態部の周りで一緒にシールされて、それらの間に前記共通の第1の流体容積部を形成する、請求項1~8のいずれか一項に記載のセル装置。
【請求項10】
少なくとも1つの流体ポートが複数の前記金属基板のそれぞれを貫通する開口として設けられ、それぞれの前記流体ポートが、積み重ね方向で互いに整列されて、前記共通の第1の流体容積部と連通する、請求項1~9のいずれか一項に記載のセル装置。
【請求項11】
複数の前記金属基板のうちの少なくとも1つには、そのポートの周囲に形成されて前記共通の第1の流体容積部内で内向きに延びる成形ポート形態部が設けられ、前記成形ポート形態部の複数の要素が、互いから横方向に離間されて、前記ポートからの流体経路を前記複数の要素間に画定し、前記ポートから前記共通の第1の流体容積部への流体の通過を可能にする、請求項10に記載のセル装置。
【請求項12】
複数の前記金属基板のうちの少なくとも1つには、そのポートの周囲に形成されて前記共通の第1の流体容積部から離れるように外向きに延びる成形ポート形態部が設けられる、請求項10又は11に記載のセル装置。
【請求項13】
複数の前記内向きに面する側面が燃料のための第1の流体容積部を画定する、請求項1~12のいずれか一項に記載のセル装置。
【請求項14】
複数の前記内向きに面する側面が複数の前記金属基板の前記第2の側面である、請求項1~13のいずれか一項に記載のセル装置。
【請求項15】
セルの複数の対が互いに隣り合って積み重ねられてセルのバンクを形成し、それにより、少なくとも1つの第2の流体容積部が隣り合うセルの対間に画定され、前記少なくとも1つの第2の流体容積部が燃料又は酸化剤のうちの他方のためのものである、請求項1~14のいずれか一項に記載のセル装置。
【請求項16】
隣り合う複数の第1の流体容積部が、それぞれの複数の前記金属基板を貫通して設けられる複数の開口を介して互いに流体連通し、前記複数の開口が積み重ね方向に整列されて前記バンク内に複数の内部通路(マニホールド)を形成する、請求項15に記載のセル装置。
【請求項17】
前記複数の内部通路が、前記バンク内の前記セルの対間に設けられる複数のガスケットによってシール状態で画定される、請求項16に記載のセル装置。
【請求項18】
前記バンク内の全ての複数の前記燃料電極が互いに電気的に接続され、及び/又は、前記バンク内の全ての複数の前記空気電極が互いに電気的に接続される、請求項15に記載のセル装置。
【請求項19】
バンク内のそれぞれの前記セルの対が全て互いに溶接され、前記複数の基板が全て電気的に接続される、請求項15に記載のセル装置。
【請求項20】
互いの上に積み重ねられる複数のセルのバンクを備え、1つのバンクにおける複数の前記燃料電極が次の隣り合うバンクの複数の前記空気電極に直列に接続される、請求項15に記載のセル装置。
【請求項21】
互いの上に積み重ねられる複数のセルのバンクを備え、隣り合う複数のバンク間の直接的な電気的接触を防ぐために前記隣り合う複数のバンク間に絶縁シートが配置される、請求項15に記載のセル装置。
【請求項22】
互いの上に積み重ねられる複数のセルのバンクを備え、単一のセルがバンクの端部に設けられ、前記セルが、隣り合う複数のバンクを直列に接続するべく前記隣り合う複数のバンクの隣り合うセルと直接的な電気的接触を行なう、請求項15に記載のセル装置。
【請求項23】
金属支持型平面セル装置の組み立て方法であって、
第1及び第2のセルを用意するステップであって、各セルが、第1及び第2の側面と前記側面間の流体連通をもたらす多孔質領域とを有する金属基板と、燃料電極層、電解質層、及び、空気電極層を備えるとともに、前記第1の側面で前記多孔質領域上にわたってコーティング又は堆積されて前記多孔質領域によって支持される平面セル化学層とを備える、ステップと、
前記複数のセルの一方を他方に対して反転させ、それにより、複数の前記金属基板は、それらの複数の第1の側面の両方又はそれらの複数の第2の側面の両方が離間して対向する関係を成して内向きに面するように、それらの複数のセル化学層が互いの上に横たわる状態で積み重ね配置を成して、燃料又は酸化剤のうちの一方のための共通の第1の流体容積部をそれらの間に画定し、前記セル装置を形成する、ステップと、
を含む方法。
【請求項24】
最初の前記セル装置と同じ態様で少なくとも1つの更なるセル装置を用意するステップと、それぞれの複数の前記セル装置を積み重ねてセルのバンクを形成するステップと、バンク内の全ての前記燃料電極又はバンク内の全ての前記空気電極を電気的に接続するステップとを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
それぞれの複数の前記セルのバンクを積み重ねてセルのスタックを形成するステップを更に含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
複数の前記金属基板が単一の連続金属基板として形成され、反転させる前記ステップは、複数の前記セル化学層が互いの上に横たわって燃料又は酸化剤のうちの前記一方のための前記第1の流体容積部を画定するセルの折り曲げられた対を形成するように、それらの間で前記連続金属基板を折り曲げることを含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記連続金属基板が折り曲げによって反転されて前記折り曲げられた対を形成する前に、前記セルの対の複数の前記セル化学層がそれぞれ前記第1の側面上にわたってコーティング又は堆積される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
複数の前記セル化学層をコーティング又は堆積する前に、前記金属基板上に事前折り曲げを形成するステップを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
複数の前記金属基板のそれぞれを貫通する複数の開口を切り開いて、少なくとも1つの入口ポート及び少なくとも1つの出口ポートを形成するステップを更に含む、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
複数の前記金属基板のうちの少なくとも1つをそのポートの周囲でプレス加工して、前記共通の第1の流体容積部内で内向きに延びる及び/又は前記共通の第1の流体容積部から離れるように外向きに延びる成形ポート形態部を形成するステップを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記複数のセルを反転させる前に、複数の前記金属基板のうちの少なくとも1つをプレス加工してフランジ付き外周形態部を形成するステップを更に含む、請求項23~30のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたセルユニット及び複数のそのようなセルユニットを備えるセルスタック、並びに、それらの製造方法に関する。本発明は、より詳細には、金属支持型セルユニット及びそのスタックに関し、より詳細には、更に、金属支持型固体酸化物燃料セル(MS-SOFC)ユニット及びそのスタック、並びに、金属支持型固体酸化物電解セル(MS-SOEC)ユニット及びそのスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物燃料セル
燃料セルユニットは、燃料を酸化して電気を生成する電気化学的変換プロセスを使用する。燃料セルユニットは、形態が管状又は平面となる場合がある。固体酸化物燃料セル(SOFC)は、電解質の両側に位置されるカソードからアノードに負の酸素イオンを伝導する固体酸化物電解質に基づく。このために、燃料又は改質燃料がアノード(燃料電極)と接触し、空気又は酸素に富む流体などの酸化剤がカソード(空気電極)と接触する。
【0003】
SOFCスタックを設計する際には、機械的、電気的、熱的設計における重大な課題に直面する。例えば、平面SOFCスタック配置では、セルのスタックが、一般に、スタックの一端部から(例えば、ベースプレート端から)他端部(例えば、エンドプレート端)に向かうスタック方向に配置される。燃料セル/燃料セルスタック繰り返し層の動作性能は、温度及び他の要因によって影響される。
【0004】
金属支持型固体酸化物燃料セル
従来のセラミック支持型(例えば、アノード支持型)SOFCは、機械的強度が低く、破壊に対して脆弱である。活性燃料セル構成要素層が金属基板上に支持される金属支持型SOFC(MS-SOFC)が最近開発されてきている。これらのセルでは、セラミック層が電気化学的機能のみを果たす(つまり、セラミック層が自立していない)ため、セラミック層が非常に薄くなり得る。そのような金属支持型SOFCスタックは、より頑丈であり、コストが低く、熱特性も優れている。また、従来の金属溶接技術を使用して金属支持型SOFCスタックを製造することもできる。
【0005】
国際公開第2015/136295号は、それぞれが金属支持プレート120(例えば、箔)上に堆積されて金属支持プレート120によって支持されるアノード層、電解質層、及び、カソード層を電気化学的に活性な層(又は活性燃料セル構成要素層)が備える金属支持型SOFCについて記載する。
図1a~
図1cに示されるように、燃料セル繰り返しユニット90は、3つのプレート又は平面構成要素-金属支持プレート120、セパレータプレート(又は相互接続部)150、及び、これらのプレート間に挟まれたスペーサプレート130を備える。また、燃料セル繰り返しユニットは、酸化剤又は燃料のための流体ポート188、200も有する。3つのプレートは、互いに積み重ねられてスペーサプレート130を介して溶接(互いに融合)されることにより、スペーサプレート130に設けられる空間によって流体容積部140が中央に画定される単一の金属支持型固体酸化物燃料セルユニット90を形成する。燃料セルスタック繰り返し層90の金属構成要素は互いに電気的に接触しており、それらの構成要素間の電子の流れは、主にヒューズ/溶接経路を経由することによって、表面間接触抵抗損失を回避する。
【0006】
MS-SOFCにおいて、金属基板は、粉末金属前駆体から(例えば、テープキャスティングによって)形成される本質的に多孔質金属基板であってもよく、又は、より好ましくは、非多孔質(固体)領域によって取り囲まれる貫通穴又は小開口部の形態を成す多孔質領域を備える金属支持プレートから形成される。多孔質領域124は金属支持プレート120を貫通して設けられ、また、アノード層113(又は電気化学的に活性な層110の極性配向に応じてカソード111)がその領域上にわたってコーティングされ、その後、連続する層がその上にコーティングされ、したがって、これらの層は金属支持プレート120によって支持される。図示のように、電解質層は、通常、最も内側の電極の側縁上にわたってコーティングされ、金属基板上にわたって延在することにより、多孔質領域内のガス及び最も内側の電極をシールする。多孔質領域は、流体容積部140(隣り合うプレート120,150及びスペーサプレート130によって画定される)が小開口部を通じて支持プレート120上の電気化学的に活性な層110と流体連通できるようにする。図示のように、電解質層は、通常、最も内側の電極の側縁上にわたってコーティングされ、金属基板上にわたって(延在層123として)延在することによって多孔質領域内のガス及び最も内側の電極をシールする。
【0007】
セパレータプレート150では、この燃料セルユニット上に積み重ねられる後続の燃料セルユニット90のカソード111(又は電気化学的に活性な層110の極性配向に応じてアノード113)に至るまで上側に且つセパレータプレート150自体の燃料セルユニットの金属支持プレート120に至るまで下側に延びるように上下の波形が設けられる。これにより、スタックの隣り合う燃料セルユニット90間が電気的に接続され、スタックの電気化学的に活性な層110(通常は各燃料セルユニット上の1つ)が互いに直列に配置される。両側から延びる丸い又は細長い窪み(又は谷と山)などの他のプレス加工された三次元形態部も、電気的接触及び構造的支持(スタック圧縮力に抵抗する)を行なうのに適している。
【0008】
燃料セル、燃料セルスタック、燃料セルスタックアセンブリ、及び、熱交換器システム、装置及び方法に関する他の教示は、国際公開第2002/35628号、国際公開第2003/07582号、国際公開第2004/089848号、国際公開第2005/078843号、国際公開第2006/079800号、国際公開第2006/106334号、国際公開第2007/085863号、国際公開第2007/110587号、国際公開第2008/001119号、国際公開第2008/003976号、国際公開第2008/015461号、国際公開第2008/053213号、国際公開第2008/104760号、国際公開第2008/132493号、国際公開第2009/090419号、国際公開第2010/020797号、国際公開第2010/061190号、及び、国際公開第2015/004419号において見出すことができる。
【0009】
固体酸化物電解セル(SOEC)は、SOFCと同じ構造を有する場合があるが、本質的には、固体酸化物電解質を使用することによって水及び/又は二酸化炭素の電気分解を実現して水素ガス及び/又は一酸化炭素及び酸素を生成するべく再生モードで動作する固体酸化物燃料セルである。SOFCでは、燃料(例えば、水素ガス)が、燃料ポートによって供給され、セルによって使用されるが、SOECでは、セルが、例えば、燃料ポートで収集される水素ガスを生成する。
【0010】
本発明は、SOEC又はSOFCとしての使用に適した構造を有するスタック繰り返し固体酸化物セルユニットに関する。便宜上、以下では、SOEC又はSOFCセルユニットのいずれも「セルユニット」(すなわち、SOEC又はSOFCセルユニットを意味する)と称される。
【0011】
燃料セルの費用対効果を高めるための継続的な推進力がある-燃料セルの製造コストを削減することは、燃料セルエネルギー生産の参入コストを削減するために大きな利益となり得る。
【発明の概要】
【0012】
一態様によれば、金属支持型平面セル装置が記載されており、該金属支持型平面セル装置は、少なくとも一対のセルを備え、各セルは、第1及び第2の側面と側面間の流体連通をもたらす多孔質領域とを有する金属基板と、燃料電極層、電解質層、及び、空気電極層を備えるとともに、第1の側面で多孔質領域上にわたってコーティング又は堆積されて多孔質領域によって支持される平面セル化学層とを備え、金属基板は、金属基板の第1の側面の両方又は金属基板の第2の側面の両方が離間して対向する関係を成して内向きに面するように、金属基板のセル化学層が互いの上に横たわる状態で積み重ね配置を成すことにより、内向きに面する側面が、金属基板の間に、燃料又は酸化剤のうちの一方のための共通の第1の流体容積部を画定する。
【0013】
本発明は、金属支持型平面セル装置、すなわち、セル化学層が平面(単一平面内でのみ延びる)であって非自立的である、すなわち、セル化学層が多孔質金属基板上にわたってそれぞれ堆積されて多孔質金属基板によって(一体的に)支持される薄いコーティング又はフィルムとしてのみ存在するセル装置に関する。これは、セル化学層が単独で存在して他の支持構造体に実装され又は取り付けられ得る硬質の自立タイルを形成する、アノード支持型、カソード支持型、又は、電解質支持型のセルとは対照的である。本発明は、詳細には、金属支持型固体酸化物燃料セル「MS-SOFC」又は固体酸化物電解セル「MS-SOEC」に関する。
【0014】
多孔質金属基板は、多孔質金属基板の第1の側面でのみセル化学層を支持し、各基板の第2の側面は、セル化学層を何ら支持せず、むしろ、第2の側面は、互いに向き合って、第2の側面の間に、第1の側面のそれぞれで第1の流体を最も内側の電極(支持金属基板に最も近い)に供給できるようにする共通の容積部又は空間に晒される。
【0015】
(活性)セル化学層は平面であり、そのため、その化学構造を支持する金属基板の少なくとも一部も平面である。セル化学層は、各セルが支持金属基板に最も近い燃料電極を有する燃料容積部としての機能を果たすことができる又は各セルが支持金属基板に最も近い空気電極を有する酸化剤容積部としての機能を果たすことができる共通の第1の流体容積部を金属基板が確定するように、各領域にわたって同じ順序で積み重ねられる。積み重ね配置内で、セル化学層は、互いに上下に(例えば、平行な平面内で)あり、通常は、互いに横方向に整列される(すなわち、互いに位置合わせされる)。
【0016】
2つの燃料電極が電気的に接続されてもよく、また、一対のセルの2つの空気電極が電気的に接続されてもよい。通常、最も内側の電極(支持金属基板に最も近い)は、2つのそれぞれの対向する金属基板間の電気的接続によって電気的に接続される。最も外側の2つの電極は、最も外側の電極上の2つのそれぞれの集電体間の接続によって接続される。
【0017】
金属基板は、その外周にわたって互いにシール状態で接続されてもよい。
【0018】
金属基板の対は、例えば、各金属プレート自体が一体の多孔質領域(非多孔質領域によって境界付けられる)を有するとともに多孔質領域でコーティングされたセル化学層を支持するように、直接的又は間接的に互いに接続されて積み重ね配置を形成する2つの別個の金属プレートを備えることが好ましい。通常、2つの別個の金属プレートは同一である。
【0019】
一実施形態において、2つの金属プレートは、積み重ね配置を形成するために間接的に互いに接続され、任意選択で、2つの金属プレートの間に(平坦な)金属スペーサプレートが配置される。2つの金属プレート及び中間金属スペーサプレートは、例えば、3つの構成要素全てを介して溶接することによって、少なくともそれらの外周にわたって、互いにシール状態で接続され得る。
【0020】
スペーサが2つの別個の金属プレート間に配置される場合、これは、スタックに追加の構成要素が必要とされるという欠点を有するが、平坦な平面金属プレートを使用でき、この平面金属プレート上に従来のコーティング又はスプレー蒸着技術によってセル化学層を都合良く直接に横たえることができるという利点を有する。スペーサは、平坦な金属基板間に挟まれて第1の流体容積部のための容積をもたらすとともに第1の流体容積部をシール状態で取り囲むフレーム又は平坦な外周構成要素(活性セル化学領域を超えて位置される)を備え得る。
【0021】
通常、流体容積部内に流れを妨げる任意の大きな構造体があってはならないが、基板(又は化学構造)を支持する及び/又は基板(又は化学構造)と接触し得るセル化学構造が設けられる場合には、開放した又は非常に透過性の構造体の形態を成す更なるスペーサ構成要素を設けることができる。
【0022】
或いは(基板の間接的な接続に対して)、2つの金属プレートを直接互いに接続して、これらの金属プレートが互いに当接して積み重ね配置を形成するようにしてもよく、金属プレートの一方又は両方は、プレート間に第1の流体容積部を形成する固有の成型形態部(例えば、フランジ付き外周形態部)を有する。2つの金属プレートは、例えば、溶接によって、少なくともそれらの外周にわたって直接的に互いにシール状態で接続され得る。これにより、スペーサが不要になるため、構成要素の数が減り、以て、材料の無駄が減る。また、2枚の金属プレートを都合良く電気的に接続することもできる。
【0023】
或いは(基板を分離するために)、金属基板は、第1の側面を有する単一の連続金属基板として形成され、第1の側面上には、一対のセル化学層がそれぞれ多孔質領域上にわたってコーティング又は堆積され、連続金属基板は、セル化学層が互いの上に横たわって燃料又は酸化剤のうちの一方のための第1の流体容積部を画定するセルの折り曲げられた対を形成するようにセル化学層の間で(例えば、180度にわたって)折り曲げられる。都合良く、最も内側の電極(すなわち、支持金属基板に最も近い)は、連続金属基板によって電気的に接続される。そのような形態では、本質的に必要な構成要素及び溶接/シーリングも少なくて済む。
【0024】
連続金属基板を180度にわたって折り曲げることができ、180度の折り曲げは、連続金属基板の短いセクションによって分離される2つの90度折り曲げの形態をとることができ、これは、連続金属基板によって囲繞される共通の流体容積部を画定するのに役立つ。他の場所で説明されているように、成形形態部又はスペーサが、基板を支持して開放した共通の流体容積部を維持するために設けられる。
【0025】
装置は、セルのバンク内で互いに隣り合って積み重ねられるセルの複数の折り曲げられた対を更に備えることが好ましい。バンクでは、最も内側の電極(支持金属基板に最も近い)は、連続金属基板によって電気的に接続されてもよく、また、最も外側の電極は、電流収集構造体によって電気的に接続されてもよい。電流収集構造体は、透過性の支持構造体であってもよく、電流収集構造体の表面積全体にわたって同じ流体環境である1つの流体環境にのみ晒される必要がある。これにより、電流収集構造体の熱的及び化学的な要件が軽減する。
【0026】
バンクにおいて、セルの折り曲げられた各対は、別個のそれぞれの金属基板から形成され、その基板は、それが1つのみの折り曲げられた端部を有するように1回折り曲げられ、第1の流体容積部は折り曲げられた基板の内側に配置されることが好ましい。
【0027】
或いは(基板を分離するために)、バンクにおいて、セルの隣り合う折り曲げられた対は、共通の連続金属基板から形成され、その基板は、それが複数の対向する折り曲げられた端部を有するように複数回折り曲げられる。そのような基板は、燃料又は酸化剤のうちの一方のための複数のそれぞれの第1の流体容積部を画定し得る。そのような容積部は、燃料又は酸化剤のうちの他方のためのそれぞれの第2の流体容積部と交互に入れ替わってもよい。
【0028】
金属基板のうちの少なくとも1つはフランジ付き外周形態部を備えることが好ましく、金属基板は、フランジ付き外周形態部の周りで互いにシールされて、金属基板の間に共通の第1の流体容積部を形成する。フランジ付き外周形態部は、基板を凹状形態へとプレス加工することによって形成されてもよい。セルの対の金属基板の両方がフランジ付き外周形態部を備えてもよい。
【0029】
少なくとも1つの流体ポート、通常は少なくとも1つの入口ポート及び少なくとも1つの出口ポートが、金属基板のそれぞれを貫通する開口として設けられことが好ましく、それぞれの流体ポートは、積み重ね方向で及び共通の第1の流体容積部と連通して互いに整列される。或いは、少なくとも1つの流体ポートは、共通の第2の流体容積部と連通している。或いは、少なくとも第1の流体ポートが共通の第1の流体容積部と連通しており、また、少なくとも第2の流体ポートが共通の第2の流体容積部と連通している。少なくとも第1の流体ポート及び少なくとも第2の流体ポートは、第1の流体を第1の流体容積部に及び第2の流体を第2の流体容積部にそれぞれ送達することができる。少なくとも第1の排出ポートが共通の第1の流体容積部と連通していてもよく、また、少なくとも第2の排出ポートが共通の第2の流体容積部と連通していてもよい。少なくとも第1の排出ポート及び少なくとも第2の排出ポートは、第1の流体容積部から第1の排出流体を抽出し、第2の流体容積部から第2の排出流体を抽出することができる。
【0030】
金属基板のうちの少なくとも1つには、そのポートの周囲に形成されて共通の第1の流体容積部内で内向きに延びる成形ポート形態部が設けられ、成形ポート形態部の要素は、ポートから共通の第1の流体容積部への流体の通過を可能にするべくポートからの要素間の流体経路を画定するために互いから横方向に離間されることが好ましい。また、成形ポート形態部はプレス加工によって形成されることが好ましい。
【0031】
金属基板のうちの少なくとも1つには、そのポートの周囲に形成されて共通の第1の流体容積部から離れるように外向きに延びる成形ポート形態部が設けられてもよい。複数のそのようなセルの対が互いに隣り合って積み重ねられる場合、そのような形態部は、セルの対間に設けられるシーリングガスケットを配置するために横方向で役立つことができ、又は、そのような形態部は、隣り合うプレートと界面を成して、セルの対間に設けられるガスケットの圧縮を制限するためのハードストッパを形成することができ、又は、シールペーストなどからその場でシールを形成できる表面を形成することができる。セルのバンク内で、金属基板を互いに電気的に接続することができ、そのため、そのような成形ポート形態部を隣り合うセルの形態部に溶接して、都合良く、電気的接続を行なうことができるとともに、ポート/マニホールドのシールも可能にし得る。
【0032】
電流収集のための圧縮力が低い又はセルが十分に剛性である場合には、対向するそれぞれの内向きに面する側面の間の間隔を維持するのを助けるために、共通の第1の流体容積部内に支持構造体が設けられてもよい。
【0033】
支持構造体は、透過性の支持構造体であってもよく、支持構造体の表面積にわたって同じ流体環境である1つの流体環境にのみ晒される必要がある。これにより、支持構造体の熱的及び化学的な要件が軽減される。最も内側の電極(支持金属基板に最も近い)は、金属基板によって電気的に接続されてもよく、また、最も外側の電極は、電流収集構造体によって電気的に接続されてもよい。電流収集構造体は、透過性の支持構造体であってもよく、電流収集構造体の表面積にわたって同じ流体環境である1つの流体環境にのみ晒される必要がある。これにより、電流収集構造体の熱的及び化学的な要件が軽減される。
【0034】
共通の第1の流体容積部内の支持構造体には、例えば、共通の第1の流体容積部が燃料容積部である場合、内部改質を促進するために触媒が設けられてもよい。支持構造体が共通の第1の流体容積部内に設けられなければ、例えば、共通の第1の流体容積部が燃料容積部である場合、そのような触媒が金属基板表面に設けられてもよい。
【0035】
内向きに面する側面が燃料の第1の流体容積部を画定することが好ましい。内向きに面する側面は、通常、金属基板の第2の側面である。その配置では、セル化学構造が外向きに面しており、電流を都合良く最も外側の電極から収集することができる。
【0036】
通常、燃料電極層は、金属基板の第1の側面上に堆積されるセル化学層の第1の層である。内向きに面する側面が燃料のための第1の流体容積部を画定する場合(SOFCとして動作する場合)、内向きに面する側面は金属基板の第2の側面になり、燃料ガスは、第2の側面から第1の側面へ向けて多孔質領域を通過し、燃料電極層と接触する。
【0037】
別のセル装置では、内向きに面する側面が酸化剤のための第1の流体容積部を画定する。この場合、再び燃料電極層が金属基板の第1の側面上に堆積されるセル化学層の第1の層であれば、セル化学層が共通の第1の流体容積部内にあるように、内向きに面する側面が第1の側面となり、また、空気電極層が酸化剤のための第1の流体容積部に晒され、その配置では、最も外側の電極が基板内に位置され、基板自体から(反対の電位で)電流を収集する任意のデバイスを注意深く絶縁する必要がある。
【0038】
セルの複数の対が互いに隣り合って積み重ねられて、セルのバンクを形成することが好ましく、それにより、少なくとも1つの第2の流体容積部がセルの隣り合う対間に画定され、また、第1の流体容積部は燃料又は酸化剤のいずれかのためであり、少なくとも1つの第2の燃料容積部は燃料又は酸化剤のうちの他方のためのものである。このことは、第1及び第2の流体容積部が積み重ね方向に沿って交互に画定されることを意味する。したがって、バンクのセルのそれぞれの対において外向きに面する金属基板の他のそれぞれの側面は、セルの隣り合うそれぞれの対における対応物と離間して対向する関係を成す。通常、第1の流体容積部はセルの対における金属基板間に画定され、第2の流体容積部は隣り合う対間に画定される。
【0039】
バンクでは、隣り合う第1の流体容積部が、それぞれの金属基板を貫通して設けられる開口を介して互いに流体連通してもよく、これらの開口は、積み重ね方向で整列して、バンク内に内部通路(マニホールド)を形成する。同じことが第2の流体容積部にも当てはまり得る。しかしながら、2つの流体容積部のうちの一方は、外部でマニホールド化された入口及び/又は出口ポートを有してもよい。内部通路は、バンク内のセルの対間に設けられるガスケットによってシール状態で画定されてもよい。
【0040】
支持構造体は、共通の第1の流体容積部内に存在してもよく、例えば、内部改質を促進するために触媒を備えてもよい。支持構造体が共通の第1の流体容積部内に設けられない場合、そのような触媒は、例えば共通の第2の流体容積部が燃料容積部である場合、金属基板表面に設けられてもよい。
【0041】
バンク内の全ての燃料電極が電気的に接続され及び/又はバンク内の全ての空気電極が電気的に接続されることが好ましい。このことは、1つのタイプの電極が並列に接続されることを意味する。これにより、バンクの電流出力が比較的増大する。
【0042】
非常に好ましい配置では、バンク内のセルの全てのそれぞれの対が互いに溶接され、したがって、基板が全て電気的に接続される。各セルがスタックに追加されるため、レイアップ中に溶接を行なうことができる。
【0043】
金属基板及びセル化学層が側縁部を伴って配置され、また、接続された燃料電極及び/又は空気電極が同じ側縁部に沿って接続されることが好ましい。
【0044】
あるバンクにおける燃料電極は、次の隣り合うバンクの空気電極と直列に接続されることが好ましい。これにより、燃料セルのバンクの電圧出力が比較的増大する。
【0045】
絶縁シートが、隣り合うバンク(例えば、隣り合うバンクの最も外側の電極)間の直接的な電気的接触を防ぐために、隣り合うバンク間に配置されることが好ましい。例えば、バンクが直列に接続された状態で、1つのバンクの最後の基板と隣り合うバンクの最も外側の電極との間に電気的接続が存在してもよい。
【0046】
一実施形態では、単一のセルがバンクの端部に設けられ、そのセルは、隣り合うバンクと(例えば、単一のセルの基板と隣り合うバンクの最も外側の電極との間で)直接的な電気的接触を行なって、隣り合うバンクを直列に接続する。
【0047】
そのような単一の又は対を成さないセルは、その上に活性セル化学層を伴う金属基板を備えてもよく、この金属基板は、非多孔質金属シートに取り付けられてエンドクーポンを形成する(例えば、囲繞された流体容積部を伴うエンドクーポンを形成するべく溶接することによって)。金属シートは、例えば、平坦で成形されなくてもよい、穿孔されていない金属基板であってもよい。このようにして、更なる電気的接続を必要とせずに、隣り合うバンクをセル領域の大部分にわたって対面接触した状態で直列に接続してもよいことが有利である。例えば、1つのバンクの相互接続部が全て並列に接続されてもよく、また、最も外側の相互接続部が、隣り合うバンクのエンドクーポンの非多孔質金属シートと(物理的及び電気的に)接触して直列接続を形成してもよい。その隣り合うバンクでは、非多孔質金属シート及び基板が、同じ電位にあり、そのバンク内の他の全ての金属基板と並列に接続される。したがって、隣り合うバンク内の並列接続された基板は、直列接続によって、第1のバンク内の並列接続された相互接続部に接続される。
【0048】
更なる態様によれば、金属支持型平面セル装置を組み立てる方法が記載されており、この方法は、第1及び第2のセルを用意するステップであって、各セルが、第1及び第2の側面と側面間の流体連通をもたらす多孔質領域とを有する金属基板と、燃料電極層、電解質層、及び、空気電極層を備えるとともに、第1の側面で多孔質領域上にわたってコーティング又は堆積されて多孔質領域によって支持される平面セル化学層とを備える、ステップと、セルの一方を他方に対して反転させ、それにより、金属基板は、金属基板の第1の側面の両方又は金属基板の第2の側面の両方が離間して対向する関係を成して内向きに面するように、金属基板のセル化学層が互いの上に横たわる状態で積み重ね配置を成して、燃料又は酸化剤のうちの一方のための共通の第1の流体容積部を金属基板の間に画定し、セル装置を形成する、ステップとを含む。
【0049】
方法は、一対のユニットセルの2つの燃料電極又は2つの空気電極のいずれかを電気的に接続するステップを含んでもよい。連続基板では、そのような基板が接続を行なうことができる。
【0050】
したがって、共通の第1の流体容積部を一対のセル間に画定する一対のセルを備える繰り返しユニットを製造することができる。
【0051】
金属基板は単一の連続金属基板として形成され、また、反転させるステップは、セル化学層が互いの上に横たわって燃料又は酸化剤のうちの一方のための第1の流体容積部を画定するセルの折り曲げられた対を形成するように、セル化学層間で連続金属基板を折り曲げることを含むことが好ましい。折り曲げは、180度にわたってもよく、第1の流体容積部の所望の高さに対応する間隔によって分離される2つの90度折り曲げを備えてもよい。
【0052】
対のセルのセル化学層はそれぞれ、第1の側面の多孔質領域上にわたってコーティング又は堆積され、続いて、金属基板が折り曲げられることが好ましい。コーティング又は堆積とそれに続く折り曲げは、好都合なことに、対のセルのセル化学層をコーティング又は堆積するために基板を裏返す必要がないことを意味し、また、対のセルのセル化学層を同じ製造プロセス中にコーティング又は堆積できることを意味する。
【0053】
事前折り曲げが、セル化学層をコーティング又は堆積する前に金属基板上に形成されることが好ましい。事前折り曲げは、折り曲げの前駆体であり、1つ又は複数の折り曲げの所望の位置に配置され、続いて、対のセルのセル化学層が事前折り曲げのいずれかの側にコーティング又は堆積される。事前折り曲げは、金属基板を横切る連続又は不連続の線をスタンピング加工又は折り目付けすることによって形成されてもよい。折り曲げが2つの90度折り曲げを備える場合には、2つの事前折り曲げ線が形成される。複数回折り曲げられた基板に前駆体として更なる事前折り曲げ線を形成することができる。事前折り曲げは脆弱線を形成し、この脆弱線に沿って、セル化学層のコーティング又は堆積後の折り曲げステップ中に基板が折れ曲がり易くなり、これにより、基板を折り曲げるプロセスでセル化学層が損傷する可能性が低くなる。つまり、事前折り曲げは脆弱線を形成する。
【0054】
平坦化ステップが事前折り曲げを形成するステップの後に続いてもよい。平坦化により、基板がセル化学層のコーティング又は堆積にとって十分に平坦になることが確実になる。
【0055】
方法は、金属基板のそれぞれを貫通する開口を切り開いて、少なくとも1つの入口ポート及び少なくとも1つの出口ポートを形成するステップを更に含むことが好ましい。
【0056】
したがって、流体送達のためのポートが各金属基板に形成される。金属基板の折り曲げ及び/又は積み重ねの際、それぞれの流体ポートは、折り曲げ及び/又は積み重ね方向で互いに整列され、共通の第1の流体容積部と連通している。更なるポートが同様に第2の流体容積部と連通していてもよい。
【0057】
金属基板のうちの少なくとも1つがそのポートの周囲でプレス加工され、共通の第1の流体容積部内で内向きに延びる、又は共通の第1の流体容積部から離れるように外向きに延びる成形ポート形態部が形成されることが好ましい。
【0058】
次のステップにおいて、金属基板は、フランジ付き外周又は別個のスペーサ構成要素によって、金属基板の外周の一部又は全部の周り(例えば、1、2、3、又は4つの側面全ての周り)で互いにシールされてもよい。折り曲げられた連続基板の場合、折り曲げられた側面はフランジ付き外周を必要としてもしなくてもよい。フランジの周りの溶接又は蝋付けの次のステップが使用されてもよい。外周にわたって溶接又は蝋付けするこのステップは、第2の流体容積部と連通してもしなくてもよい残りの環境から第1の流体容積部をシールする。
【0059】
プレス加工の1つ又は複数のステップは、第1及び/又は第2の流体容積部に凹面をもたらす。外周にわたるフランジ及び共通の第1の流体容積部内で内向きに延びる成形ポート形態部は、同じ又は別個のプレス加工ステップで形成されてもよい。プレス加工及び切断のステップは、セル化学層をコーティング又は堆積するステップの前又は後に行なわれてもよい。プレス加工及び切断のステップは、セル化学層への損傷を防ぐために、セル化学層をコーティング又は堆積するステップの前に行なわれ得ることが好ましい。
【0060】
更なるセル装置が、第1のセル装置と同じ態様で設けられ、これらのセル装置は積み重ねられてバンクの状態となり、バンク内の燃料電極間及び/又はバンク内の空気電極間の電気的接続がもたらされることが好ましい。更なるステップが、セルのそれぞれのバンクを積み重ねてセルのスタックを形成することを含んでもよい。隣り合うバンク内のそれぞれの端部セルが直列に接続されないように、隣り合うバンク間に絶縁体が設けられてもよい。或いは、バンクの端部に単一のセルが設けられる場合には隣り合うバンクが直列に接続されてもよい。
【0061】
金属基板は一般に長方形であり、また、中央領域のセル化学層が金属基板の各対から外向きに面する状態で金属基板の左端部及び右端部にポート穴が設けられ、また、導電及び流体伝導スペーサが、化学層と接触して金属基板から離間される最も上側の化学層(最も外側の電極)上にわたって横たわり、それにより、積み重ね配置で上に配置される別のセルの化学層に対する電気的接触がもたらされ、また、スペーサには、ポート穴の配置に対して垂直なその前縁部及び/又は後縁部に電気接続部が設けられることが好ましい。導電性スペーサは、中央領域を取り囲んで絶縁体として作用する電解質の延在領域によって下にある金属基板から分離されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1a】従来技術の固体酸化物燃料セルユニットの分解図を示す。
【
図1b】従来技術の燃料セルユニットの断面図を、
図1aに対して反転して示す。
【
図1c】積み重ね配置を成す従来技術の燃料セルユニットのうちの2つの断面図を示す。
【
図2】外向きに面する活性セル化学層を伴う背中合わせ配置の一対のセルユニットの新規な配置を示す。
【
図3】内向きに面する活性セル化学層を伴う対面配置の一対のセルユニットの別の新規な配置を示す。
【
図4a】二対のセルユニットを備える燃料セルユニットのバンクを示し、各対が
図2に係る背中合わせ配置を成す。
【
図4b】別の離間配置を伴うセルユニットの別のバンクを示す。
【
図5】各バンクが
図4aに係るものである一対のバンクが隣り合うバンク間に絶縁層を伴って互いに上下に積み重ねられる、新規な積み重ね配置を示す。
【
図6】バンク間に直列電気接続を含む
図5の積み重ね配置を示す。
【
図7a】各バンクに三対のセルユニットがあり、2つのバンクが隣り合うバンク間に絶縁層を伴って互いに上下に積み重ねられ、バンクが電気的に直列に接続されている別の積み重ね配置を示す。
【
図7b】バンク間の電気的接続のための別の配置を示す。
【
図7c】バンク間の電気的接続のための更なる別の配置を示す。
【
図8a】金属基板と活性セル化学層とを備える新規なセルユニットを示す。
【
図8b】外向きに面する活性セル化学層を伴う背中合わせ配置を成す2つのそのようなセルユニットを示す。
【
図8c】二対のセルユニットを備えるセルユニットのバンクを示し、各対が
図8bに係る背中合わせ配置を成す。
【
図9a】形成されたポート形態部を備える新規なセルユニットを示す。
【
図9b】外向きに面する活性セル化学層を伴う背中合わせ配置を成して配置される2つのそのようなセルユニットを示す。
【
図9c】二対のセルユニットを備えるセルユニットのバンクを示し、各対が
図9bに係る背中合わせ配置を成す。
【
図10a】形成されたポート形態部を備える更に新規なセルユニットを示す。
【
図10b】外向きに面する活性セル化学層を伴う背中合わせ配置を成して配置される2つのそのようなセルユニットを示す。
【
図10c】二対のセルユニットを備える燃料セルユニットのバンクを示し、各対が
図10bに係る背中合わせ配置を成す。
【
図10d】セルユニットの2つのバンクを備えるセル装置を示し、各バンクが
図10cに係る二対のセルユニットを備える。
【
図10e】セルユニットの2つのバンクを備えるセル装置を示し、バンクのうちの1つがバンクの端部に単一のセルユニットを有する。
【
図11】上から見た斜視図でセルユニットの第1の側面を示す。
【
図12a】
図11aに係る一対のセルユニットを示し、それらのそれぞれの金属支持基板がフランジ付き外周の周りで互いに溶接される。
【
図12b】チムニーを貫く基板のフランジ付き外周からの、
図12aに係るセルユニットの断面図を示す。
【
図13】空気側導電性支持構造体がセルユニットの上方に位置される
図12に係るセルユニットの対を示す。
【
図14a】
図13に係る一対のセルユニット及び導電性支持構造体を示し、支持構造体の上に第3のセルユニットが加えられる。
【
図14b】チムニーを貫く基板のフランジ付き外周からの
図14aに係るセルユニットの断面図である。
【
図15a】セルユニット及び導電性支持構造体のスタックを示す。
【
図15b】チムニーを貫く基板のフランジ付き外周からの
図15aに係るセルユニットのバンクの断面図である。
【
図15c】各バンクが
図15aに係るものである一対のバンクが隣り合うバンク間に絶縁層を伴って互いに上下に積み重ねられる積み重ね配置を示す。
【
図16a】外向きに面する活性セル化学層が単一の折り曲げられた基板によって支持される、背中合わせ配置を成す一対のセルの別の新規な配置を示す。
【
図16b】二対のセルユニットを備えるセルユニットのバンクを示し、各対が
図16aに係る背中合わせ配置を成す。
【
図16c】形成されたポート形態部を備える
図16aに係るセルユニットを概略的に示す。
【
図17a】二対の燃料セルの配置を備える別の新規なセルユニットを示し、各対が外向きに面する活性セル化学層を伴う背中合わせ配置を成し、二対のセルが単一の折り曲げられた基板によって支持される。
【
図17b】形成されたポート形態部を備える
図17aに係るセルユニットを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本明細書中で使用される参照符号のリストが特定の実施形態の最後に与えられる。本明細書及び図面における参照符号の繰り返しの使用は、同じ又は類似の特徴又は要素を表わすことを意図している。
【0064】
当業者に明らかなように、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明において様々な修正及び変形を行なうことができる。例えば、一実施形態の一部として記載された特徴を別の実施形態で使用して、更に別の実施形態を生成することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内に入るような修正及び変形を網羅することが意図されている。
【0065】
以下の説明では、酸化剤として空気が使用される。したがって、他の場所での「酸化剤」への言及は「空気」への言及と解釈することができ、逆もまた同様である。
【0066】
図2を参照すると、背中合わせに配置される一対のセルユニットの装置200が示される。セルユニット200の対は、第1の金属支持プレート120aによって支持された第1のセルユニット110aと、第2の金属支持プレート120bによって支持された第2のセルユニット110bとを有する。各金属支持型セルユニット110a、110bは、金属基板120上に堆積又はコーティングされて電気化学的に活性な層110を形成するセル化学層111、112、113を備える。アノード層113、電解質層112、及びカソード層111が多孔質領域124上にわたって連続して配置される。しかしながら、幾つかのセル装置では、その順序が逆になることがある(カソード層が基板に最も近くなるように)。
【0067】
図1のように、金属基板120は、金属箔、通常はフェライト系ステンレス鋼である。多孔質領域124は、金属基板120の第1の側面125から反対側(第2の側面126)に延びるドリル加工(又は他の手段、例えばエッチング)によって形成された貫通穴のアレイを備え、多孔質領域は非多孔質(固体)領域によって取り囲まれる。
【0068】
アノード層113、電解質層112、及びカソード層111は、平面金属基板120上に堆積によって、例えば、化学蒸着、静電堆積、スプレー堆積、スピンオン堆積、粉末堆積などによって形成されてもよい。このプロセスは、粉末又は粒状材料の堆積とそれに続く焼結又は固体酸化物セルの各層を形成するための他の処理とを伴う2段階プロセスであってもよい。各層は薄い層であるため、どの層も自立していない。つまり、金属基板は、固体酸化物化学層を支持するために必要である。他のバリア層、例えば、延在電解質層123が設けられてもよい。従来技術のセルと同様に、電解質層は、最も内側の電極の側縁部上にコーティングされ、金属基板上にわたって延在することにより、多孔質領域内のガス及び最も内側の電極をシールする。
【0069】
図2において、各金属基板120a,120bは、第1の側面125及び第2の側面126を有し、これらの側面間で多孔質領域124が延びる。多孔質領域124は、金属基板120の第2の側面126上の流体が電気化学的に活性な層110(図に示されるようなアノード層)の一方側に到達できるようにする。電気化学的に活性な層110(アノード層113、電解質層112、及びカソード層111を備える)は、多孔質領域124によって支持される。2つの金属基板120a,120bの第2の側面126は、セルユニットが背中合わせ配置で配置された同様の側面を有するように1つ以上のスペーサ130の両側に取り付けられる。この配置は、一対の金属基板120a,120b間に第1の流体容積部140を形成する。必要な圧縮荷重があればそれに反応するために、また、最も外側の電極からの電流収集のために、一対の金属基板間に支持構造体131が配置されてもよい(
図4aの説明を参照)。このようにすると、2つのセルユニットのアノード層113は、第1の流体容積部140の全体にわたって互いに向き合う。2つのセルユニットのアノード層113(又は燃料電極)が第1の流体容積部140の全体にわたって互いに向き合う場合、一対の金属基板が燃料容積部を包み込み、支持構造体131が燃料にのみ晒される。この場合、支持構造体は、燃料の内部改質に必要な触媒の支持を行なうという二次的な機能をもたらすことができる。その容積部は、燃料ガスが酸化剤ガスと接触しないようにシールされる必要がある。
【0070】
説明すると、燃料(例えば水素又は炭化水素ガスなど)はセルユニットの燃料電極又はアノード(SOFCにおける)側と接触する必要があり、酸化剤(空気又は酸素など)はセルユニットの空気電極又はカソード側にアクセスする必要がある。したがって、アノードが金属基板と隣り合う場合、支持プレート間の流体容積部(この場合、「第1の流体容積部」)は、好ましくは燃料用である。しかしながら、背中合わせ配置では、カソード層111が代わりに最初に堆積される場合、第1の流体容積部が酸化剤流体容積部である必要がある。
【0071】
支持構造体131は、
図1bの相互接続部160又は
図1cの相互接続部150aと同様であってもよいが、この場合、スペーサ130まで完全に延びる必要はない。更に、
図2の支持構造体131は、1つの環境(燃料又は酸化剤のいずれか)のみに晒され、2つの環境を分離する必要がない。したがって、支持構造体に課せられた化学的、熱的及び機械的要求は、従来技術の設計よりも少ない。更に、支持構造体131は、流体が支持構造体131の一方側から他方側に通過できるように十分に開いていなければならない。
【0072】
支持構造体131は、導電性であり得るが、導電性である必要はない。これは、スペーサ130(一対のセルユニットの配置で2つの金属基板を分離する)が導電性であってもよく、したがって2つの金属基板間の電気的接続を可能にするからである。スペーサ130を介した電気的接続は、金属基板及びスペーサを介した溶接又は蝋付けによって支援され得る。この溶接又は蝋付けは、第1及び第2の流体容積部もシールする。更に、セル間の電気的相互接続は、支持構造体131と金属基板120との間の電気的接続に依存しないので、支持構造体を介した圧縮荷重(したがって、支持構造体の強度)は、
図1の相互接続部150と比較して低減され得る。支持構造体131は、波形要素として概略的に示されるが、他のプレス加工された三次元形態部、メッシュ構造、又はエキスパンデッドメタルを使用することができる。
【0073】
明確にするために、金属基板120に設けられて第1の流体容積部140への流体(通常は燃料)の送達を可能にするポートは、
図2(及び後続の
図3~
図7)には示されていない。金属基板120を貫通するポートは、金属基板とスペーサプレート130との間のガスケット又は溶接によってシールされてもよい。ポート及びスペーサ(又はポートの周りに形成された形態部)は共にスタックを介した第1の流体の輸送のためのチムニーを形成する。ポート形態部又はマニホールドは、流体の一部がチムニーから出て第1の流体容積部140に入ることができるようにする。チムニーのうちの1つ以上は、第1の流体容積部140からの排ガスの出口をもたらす。
【0074】
図3は、一対のセルユニット300の別の対面配置を示す。この配置は、第1の金属基板120aによって支持された第1の電気化学的に活性な層110aと、第2の金属基板120bによって支持された第2の電気化学的に活性な層110bとを備える。電気化学的に活性な層110a,110bの対はそれぞれ、上記のように、カソード層111、電解質層112、及びアノード層113を備えるセル化学層を有する。金属基板120a,120bのそれぞれは、第1の側面125及び第2の側面126を備え、これらの側面間で多孔質領域124が延在し、多孔質領域124上に電気化学的に活性な層110a,110bが支持される。金属基板120a,120bの第1の側面125は、電気化学的に活性な層110a,110bが対面配置で互いに内向きに面するように、1つ以上のスペーサプレート130の両側に取り付けられる。この配置は、一対の金属基板120a,120b間に第1の流体容積部141を形成する。導電性支持構造体310が一対の金属基板の間に配置されてもよい。すなわち、2つのセルユニットのカソード層111は、第1の流体容積部141の全体にわたって互いに対向して、第1の流体容積部141を形成する。この場合、第1の流体容積部141は一般に酸化剤(空気又は酸素)容積部である。導電性支持構造体310は、導電性支持構造体310が、金属基板120よりも遠位側にある(最も外側の)電極層、この場合にはカソード層111からの電流を伝導するための集電体として作用することを除いて、支持構造体131と同様である。
【0075】
支持構造体131及び導電性支持構造体310は、波形要素として概略的に示されるが、ここでも、他のプレス加工された三次元形態部を使用することができる。それらの形態部は、隣り合うセルユニット間の電気的接続を行なうのに役立つことができ、そうすることで、支持構造体及び導電性支持構造体は、両側の金属基板の座屈又は反りに抗するのに役立つ。支持構造体131及び導電性支持構造体310は、好ましくは、図面の左から右(又は右から左又は前から後ろ又は後ろから前)に及び図面の上下(又は下から上又は金属基板に向かって及び金属基板から離れる方向)にそれらを通過する流体の自由な流通のための隙間(示された断面図には見えない)を有し、つまり、これらの構造体は透過性である。
【0076】
図4aは、固体酸化物セル200a,200bの2つの対を備えるセルユニットのバンク400を示し、各対は、
図2のいずれかに従って背中合わせに実装される(バンクは、電気化学的に活性な層110a,110bの第1の対及び電気化学的に活性な層110c,110dの第2の対を備える)。セルユニットの2つ(又はそれ以上)の対は、1つ以上のガスケット180a,180bを間に挟んで互いに上下に積み重ねられる。ガスケット180a,180bは、第1の流体容積部を第2の流体容積部からシールしつつ隣り合うセル対の第1の流体容積部を接続する。最も外側の電極310上の集電体は、第2の流体容積部430内に配置され、前述の導電性支持構造体310と同様であってもよい。集電体を常圧集電体として設けることができる。
【0077】
図4bは、
図4aのバンクと同様のセルユニットのバンクを示すが、支持構造体131が第1の流体容積部140a,140bの内側に配置された短いスペーサとして示される。支持構造体131は、その両側でそれぞれの金属基板を電気的に接続するように導電性である(しかし、支持構造体がそうである必要はない-この機能は、説明されるように、縁部で与えられ得る)。支持構造体131は、金属基板120とは別個の構成要素であってもよく、又は、支持構造体131がセル化学構造の外側にあるという条件で、金属基板のプレス加工又は形成された形態部によって形成されてもよい。また、支持構造体131は、電流収集に必要な圧縮力の結果としての金属基板120の曲がり又は屈曲を防止するように作用し得る。
【0078】
図4bには、導電性支持構造体310の代わりに一般的なセパレータ層440が示される。セパレータ層440は、メッシュ、エキスパンデッドメタル、又はそれらの組み合わせを備える。セパレータ層は、第2の流体容積部430の内部に配置されて、第1の対のセルユニット200aの第2のセルユニット110bと、第2の対のセルユニット200bの第1のセルユニット110cとの間の相互接続を行なう。層440は、酸化剤(又は場合によっては燃料)を流通させるための空間又は間隙を有する。
【0079】
図5は、互いに上下に積み重ねられるセルユニット200a、200bの2つ以上のバンク400a,400bを備えるセルユニットのスタック500を示す。各バンク400a,400bは、
図4a又は
図4bのバンク400と同様である。スタックは、バンクを互いに電気的に絶縁するためにバンク400a,400bの各対間に配置された絶縁層510を更に備える。導電性支持構造体530は、電気化学的に活性な層110に接触して集電体としての機能を果たすように設けられる(第1の流体容積部が燃料容積部(例えば、SOFCの場合は水素)であり、第2の流体容積部が酸化剤容積部である場合にはカソード層のために)。導電性支持構造体530及び絶縁層510を繰り返すことによって、スタックに更なるバンクが加えられてもよい。
【0080】
図5の各バンク400a,400bには二対のセルユニットが示される。しかしながら、一対のセルユニット又は二対を超えるセルユニットが使用されてもよい。表1(下記)を参照されたい。
【0081】
図6は、
図4a、
図4b、及び
図5と同様のセルユニットの2つのバンクのスタック600を示す(更に多くのそのようなバンクが存在してもよいが、2つだけが示される)。バスバー610,615,620が設けられる。バスバー610は、第1のバンク400aのセルユニットの各対の金属基板120間の導電性スペーサプレート130に(したがって、導電性スペーサプレート130の金属基板に)接続する。したがって、一般に、バスバー610は、第1のバンクのアノードを電気的に接続する。バスバー615は、第2のバンク400bの電気化学的に活性な層120間の導電性支持構造体630に接続する。したがって、一般に、バスバー615は、第2のバンクのカソードを電気的に接続する。バスバー620は、第1のバンク400aの導電性支持構造体630を第2のバンクの導電性スペーサプレート130に接続する。したがって、一般に、バスバー620は、第1のバンクのカソードと第2のバンクのアノードを電気的に接続する。バスバーは、好ましくは、それぞれのセパレータプレート130及び導電性支持構造体630に溶接される。セパレータプレート130は、バスバー610,620と直面するように外側に延ばされて示され、或いは、金属基板120は、バスバー610,620と直面して電気的に接続するように延ばされてもよい。バスバー610,615は、隣り合うバンク(図示せず)の更なるセルユニットに接続されてもよく、したがって、バスバー620と同様の配置を有することができる。或いは、バスバー610,615は、セルユニットの隣り合うバンクに接続されなくてもよく、代わりにパワーテイクオフに接続されて、外部で使用するためにスタックから電源を経路付けてもよい。
【0082】
このようにして、セルユニットの並列直列配置がもたらされる。特定のバンクの全てのアノードは並列に接続される。同様に、特定のバンクの全てのカソードは並列に接続される。これは、セルユニットのスタックに課せられた電流要件を満たすのに役立つ。1つのバンクのセルユニットは、隣り合うバンクのセルユニットと直列に接続される。バンク(例えば、第1のバンク400a)のカソードは、隣り合うバンク(例えば、第2のバンク400b)のアノードと直列に接続される。これは、スタックに課せられた電圧要件を満たすのに役立つ。電圧を更に上げるために、より多くのバンクが加えられてもよい。
【0083】
図7aは、セルユニットの2つのバンク710a,710bのスタック700をより概略的に示す。スタックは、バンク710a,710bの各対間に絶縁層510が配置された状態で互いに上下に積み重ねられるセルユニットのバンクを備える。絶縁層510及びバンク710を繰り返すことによって、スタック700に更なるバンクが加えられてもよい。
【0084】
各バンクは、セルユニットの複数の対を備える。図示の例では、各バンクに三対のセルユニットがある。しかしながら、一対、二対、又は三対以上のセルユニットが使用されてもよい。表1(下記)を参照されたい。
【0085】
図7aは、バンク間のセルユニットの電気的接続を示すために、
図6に対して簡略化されている。この場合も、特定のバンクの全てのアノードが並列に接続される。同様に、特定のバンクの全てのカソードが並列に接続される。これは、セルユニットのスタックに課せられた電流要件を満たすのに役立つ。1つのバンクのセルユニットは、隣り合うバンクのセルユニットと直列に接続される。バンク(例えば、第1のバンク710a)のカソードは、隣り合うバンク(例えば、第2のバンク710b)のアノードと直列に接続される。これは、スタックに課せられた電圧要件を満たすのに役立つ。
【0086】
図7bは、
図6及び
図7aに関連して説明したバンクと同様のセルユニットの2つのバンクのスタックを示す。このスタックは、セル対間に燃料を送達するためにセルユニットの隣り合う対の金属基板の間に設けられる導電性ガスケット730a,730bを更に備える。導電性ガスケット730は、セルユニットのバンクのアノードを電気的に接続する際に、
図6のバスバー610の役割を果たす。次に、バスバー720を使用して、第1のバンクのカソードを第2のバンクのアノードに接続する。バスバー715は、一般に、第2のバンクのカソードを電気的に接続する(及び、更なるバンクのアノードに接続しもよい(図示せず))。
【0087】
それぞれが三対のセルユニットを伴う2つのバンクが
図7bに示される。しかしながら、一対、二対、又は三対以上のセルユニットが各バンクに存在してもよく、また、複数のバンクを有するスタックが形成されてもよい。
【0088】
図7cは、
図7bに関連して説明したセルユニットの2つのバンクのスタック750を示し、それ自体がセルユニットの各対の間にある導電性支持構造体630間に配置された固体ブロック731を更に備える。固体ブロック731は、前述のように、セルユニットの第1及び第2のバンクを電気的に接続し、バスバー及びバスバーのセルユニットのスタックへの溶接の必要性を取り除く。
【0089】
【表1】
表1は、セルユニットがMS-SOFCユニットとして動作される際の、バンク内のセルユニットの数に応じた
図1の従来技術の設計と比較した体積電力密度の増大を示す。MS-SOFCモードで動作される場合、ちょうど2つのセルユニット(つまり、背中合わせ配置又は対面配置の一対のセルユニット)のバンクを有することによって体積電力密度が19%増大する。これは、1つの流体容積部が2つの金属基板120上の2つの電気化学的に活性な層によって共有されるためである。したがって、共有された流体容積部の高さは、流体容積部の壁での摩擦効果に起因する粘性損失量が減少されるため、従来技術の設計における2つの流体容積部の組み合わせ高さと比べて減少され得る。
【0090】
当業者であれば分かるように、これらの利点は、セルユニットをMS-SOECユニットとして動作させることに等しく適用される。
【0091】
体積電力密度の増大は、4つのセル(つまり、背中合わせ配置又は対面配置の二対のセルユニット)を有するバンクに関して増大する。これは、スタック内の所定の数のセルに関して、バンク間の絶縁層(スタックの高さを増やす)が少なくて済むからである。
【0092】
体積電力密度の増大は、バンクごとに二対のセルユニットから三対のセルユニットに増大する場合など、それほど顕著ではない。更に、バンクごとのセルユニットの数が増えると、バンクによって生成される電流も増える。これは、大電流用途では有利な場合があるが、抵抗損失が大きくなり、抵抗加熱に耐える又は軽減するために構成要素をより厚い又はより導電性の高い材料で作る必要があるかもしれない。
【0093】
金属基板は、それが完全に単一平面内に位置するように完全に平坦であってもよく、又は、以下に説明するように、セル化学層を超えて、基板が3D形態部を有するようにプレス加工又は成形されてもよく、この形態部は、セル化学構造の堆積前又は後に形成されてもよい。
【0094】
スペーサレスセルユニット対変形例
図8~
図10の次の実施形態は本発明に係るセルユニット対を示し、この場合、セルユニットは、それらが互いに当接するように互いに直接に接続され、これらの対はスペーサレスセルユニット対と称されてもよい。セルユニット間に必要な共通の流体容積部を実現するために、各金属基板は平坦ではなく、むしろ、セルユニット間に流体容積部を形成するべくスペーサの必要性を排除する(例えば、プレス加工又はスタンピング加工された)3D形態部を形成している。これらの例は、一例として背中合わせ配置を伴って示される。
図8~
図10のスペーサレスセルユニット対は原寸に比例して示されておらず、むしろ、活性なセル化学構造に不連続性(完全には示されない)があるため、ポートがある端部がより詳細に示される場合がある。明確にするために、金属基板120を貫通する実際のポートは示されない。
【0095】
図8aは、金属基板120上に堆積又はコーティングされた電気化学的に活性な層110を備えるセルユニット810を示す(図中、活性層及び基板は、縁部に焦点を合わせるために中央で断ち切られる)。薄い電気化学的に活性な層110は、この場合も、前述のように、支持金属基板120上に置かれる。金属基板120の第2の側面126は、その表面から(示されるように下に)延出する(例えば、プレス加工又はスタンピング加工された)形態部又は突起840を形成している。突起840は、三角形(すなわち、3次元の円錐又はピラミッド)として示されるが、ドーム又は隆起などの他の断面形状を有してもよく、ピークを有してもよい。突起840は、ポート(図示せず)の周りに分散されて、流体がポートから第1の流体容積部へ又は第1の流体容積部からポートへ流れることができるようにする(すなわち、ポートと流体容積部との間の流体移動を可能にする)。このようにして、突起は、必要な流体チャネルを流体チムニーから第1の流体容積部まで開いたままにしつつ、ポートの周りでスタック圧縮荷重を伝達する。
【0096】
突起(又は基板に形成された形態部)840の頂点又はピークは、第2の側面126から離れるように延びる。金属基板120は、その外周にフランジ850を備える形成された形態部を更に備える。フランジは、金属基板120の主平面と平行であり且つ主平面(よりも図示の方向で低い)から垂直に離間される平面内で方向付けられる。金属基板120の主平面は、電気化学的に活性な層110を支持する平面である。突起840及びフランジ850は、プレス加工、スタンピング加工、又は平面金属基板を形成する他の方法によって金属基板120に形成される。多孔質領域及び電気化学的に活性な層110は、突起840及びフランジ850の形成の前又は後に形成され得るが、好ましくは、突起840及びフランジ850は、電気化学的に活性な層110を堆積する前に形成されて、前記層への損傷の可能性を低減する。
【0097】
図8bは、背中合わせ配置を成すセルユニットのスペーサレス対805を示し、各セルユニット810a,810bは、
図8aに関連して説明した通りである。図示のように、対は第1及び第2のセルユニットを備える。第1のセルユニット810a及び第2のセルユニット810bは背中合わせに接続され、第1のセルユニットから延びる突起840aのピークは、第2のセルユニットから延びる突起840と接触又は当接する。セルユニットの対805は、第1の金属基板と第2の金属基板との間に連続流体容積部140を形成する。容積部は、溶接、蝋付け、又は、同様の技術によって外周フランジ850の周囲でシールされる。
図8bから明らかなように、突起840及びフランジ850は、背中合わせ配置を成すセルユニットの対805におけるセルユニット810a,810b間のスペーサ(例えば、
図4のスペーサ130)の必要性を排除する。
【0098】
図8cは、セルユニットの2つのスペーサレス対を備えるセルユニットのバンク870を示し、セルユニットの各対805a,805bは、
図8bに関連して説明された通りである。前に説明したように、各バンクにはセルユニットの1つの対又は2つ以上の対が存在してもよい。セルユニットの対805a,805bは、積み重ね配置を成して配置され、それぞれが上下に位置し、1つ以上のガスケット180が前述のように隣り合う対の第1の流体容積部間の流体接続を行なう。前述のように、これらのガスケットは、導電性であり、隣り合うセル対の基板を電気的に接続することができる。金属基板120よりも遠位側にある電気化学的に活性な層の面を電気的に接続するために(例えば、セルユニット805aの第1の対のカソード(最も外側の電極)をセルユニット805bの第2の対のカソードと接続するために)導電性支持構造体440がセルユニットの隣り合う対の間に設けられる。導電性支持構造体440は、前述の導電性支持構造体440と同様であり、メッシュ、エキスパンデッドメタルを備えてもよく、或いは、導電性支持構造体310と同様であってもよい。支持構造体131は、任意選択で、前述したように、流体容積部140内に設けられてもよい。
【0099】
図9a~
図9cは、
図8a~
図8cのセルユニットの変形例を示す。
図9aのセルユニットには、流体ポート980を取り囲む隆起ポート形態部910が設けられる。隆起ポート形態部は好ましくは環状である。隆起ポート形態部は、金属基板120の主平面と平行であり且つ主平面(よりも図示の方向で高い)から垂直に離間される平面を備える。隆起ポート形態部910の平面は、金属基板の主平面からフランジ850の平面までの反対方向にある。すなわち、金属基板は3つのレベルを有し、そのそれぞれが平面であって垂直に離間される。つまり、隆起ポート形態部910の平面は金属基板の主平面の上方にあり、金属基板の主平面自体はフランジ850の平面の上方にある。隆起ポート形態部910は、突起840及びフランジ850と同様に、好ましくは同時に、平面金属基板をプレス加工、スタンピング加工、又は成形することによって金属基板120に形成される。突起840及び隆起ポート形態部910は、必要な流体チャネルを流体チムニーから第1の流体容積部140まで開いたままにしつつポートの周りでスタック圧縮荷重を伝達するように配置される。
【0100】
図9bは、
図9aで説明したような一対のセルユニット905を示す。第1及び第2のセルユニットは背中合わせに配置され、第1のセルユニットの第2の側面から延びる突起840のピークは、第2のセルユニットの第2の側面から延びる突起840と接触又は当接する。セルユニットの対は、第1の金属支持プレートと第2の金属支持プレートとの間で第1の流体容積部140を囲繞する。第1の流体容積部140の高さは、突起840及びフランジ850によって画定され、フランジ850の周りの溶接によってシールされる。
【0101】
図9cは、セルユニットの2つの対を備えるセルユニットのバンク900を示し、セルユニットの各対905a,905bは
図9aに示されるものと同様である。前述のように、各バンクには一対又は二対以上のセルユニットがあってもよく、バンクは、前述のように積み重ねられて電気的に接続されてもよい。セルユニットの対805a,805bは積み重ね配置を成して位置され、それぞれが上下にあり、積み重ね配置は、セルユニットの隣り合う対間に第2の流体容積部430を形成する。
【0102】
隣り合うセル対の隆起ポート形態部910は、セルユニットの隣り合う対を離間させて第2の流体容積部430を形成するように相互作用する。隆起ポート形態部の高さは、第2の流体容積部を形成するのに十分であり、したがって、セルユニットの第2の隣り合う対におけるセルユニットの電気化学的に活性な層110からセルユニットの第1の対におけるセルユニットの電気化学的に活性な層110を更に離間させる。隆起ポート形態部910及びポート980は、第1の流体容積部140に流体を送達する(又は第1の流体容積部140から排出する)ための流体チムニーを形成する。
【0103】
第1のセルユニットの隆起ポート形態部の平面は、第2のセルユニットの隆起ポート形態部の対応する平面と界面を成し、第2のセルユニットは第1のセルユニットに隣り合うセルユニットの対を成す。したがって、前述のセルユニットとは対照的に、隆起ポート形態部910は、第2の流体容積部を形成するためのセルユニットの隣り合う対間のガスケット(
図4に関連して説明したガスケット180など)の必要性を取り除く。これらのセルユニット対は、更に少ない部品数でスタックへと形成され得るガスケットレスなスペーサレスセル対と称されてもよい。
【0104】
第1のセルユニットの隆起ポート形態部の平面と第2のセルユニットの隆起ポート形態部の対応する平面との間の界面は、チムニーをシールするとともに第1及び第2の流体容積部内の流体の混合を防止するためにシールされなければならない。シールは、ガスケットを使用して、すなわち、事前に形成されたガスケット、又は、好ましくはその場でシールを形成するシーリングコンタクトペースト又は液体を使用して行なわれてもよい。後者は、界面を成す平面の一方又は両方における環状溝内に配置されてもよい。必要に応じて、隆起ポート形態部の外側の周りに(例えば圧縮可能な)環状ガスケットを更に配置することができる-実際には所定の位置に固定することができる。或いは、隆起ポート形態部の界面を成す平面の周りにシールを溶接することによってシールが行なわれてもよく、これは部品数を更に減らすことが好ましい。
【0105】
図10aは、
図9aのセルユニットの変形例を示す。隆起ポート形態部1050は、
図9の隆起ポート形態部910と比較して、ポート980の外周から径方向外側に移動される。これにより、隆起ポート形態部1050の平面を(ポート980に対して)それらの径方向内側及び径方向外側で突起840,1040により支持することができる。隆起ポート形態部1050は両側で支持される環状リングである。更なる突起1040が示され、これらの突起は、それらがポート980と隆起ポート形態部1050との間に配置される一方で突起840が隆起ポート形態部1050の(ポート980に対して)径方向外側に配置される点を除き、突起840と同様である。隆起ポート形態部1050は、突起840,1040を介して、セルのスタックを通じて圧縮を伝達する。このように、隆起ポート形態部1050は、必要な流体チャネルを流体チムニーから第1の流体容積部140まで開いたままにしつつポートの周囲でバンク間のガスケットのシールに必要なスタック圧縮荷重を伝達するように配置される(
図10d参照)。
【0106】
図10bは、更なる突起1040が互いに当接する(突起840と同様の態様で)とともに金属基板間の分離を行なって流体が流体チムニー及びポート980から第1の流体容積部140に入ることができるようにそのようなセルユニットの対が背中合わせに配置される方法を示す。
【0107】
突起1040は、第1の流体容積部140内へ突出するように示される。突起は、交互にその容積部に出入りするように突出できる。これについては以下で説明する。突起が流体容積部140から離れるように突出する場合、突起は、隆起ポート形態部1050と同じレベルまで突出し、隆起ポート形態部1050とスタック圧縮荷重を共有するのに役立つ。突起840は同様に交互になり得る。
【0108】
図10cは、そのようなセルユニットのバンクを示すとともに、セルユニットの1つの対の隆起ポート形態部1050aがセルユニットの隣り合う対の隆起ポート形態部1050bとどのように当接するかを例示する。
図9cに関連して説明したように、隆起ポート形態部は、相互作用するとともに、チムニーを画定するようにシールされる。
【0109】
図10dは、積み重ね配置を成すセルユニットの対の2つのバンクを示す。セルユニットのバンクの間には、隆起ポート形態部1050の隣り合う平面を分離して電気的に絶縁する絶縁体層1070が設けられる。絶縁体層1070(例えば、電解質層)は、絶縁層510(
図5に関連して前述した)と同様であってもよく、又は、絶縁ペーストの形態を成してもよい。更なるガスケット1080が、チムニーの内側に設けられ、隣り合うバンクの対向する隆起ポート形態部1050a,1050bの(ポート980に対して)径方向内側に位置され、突起1040の上方に配置されて該突起をシールするとともにスタックを通じて圧縮力を伝達する。或いは、環状絶縁体1080は、チムニーの外側に設けられ、隣り合うバンクの対向する隆起ポート形態部1050a,1050bの(ポート980に対して)径方向外側に位置され、突起840の上方に配置されて、スタックを通じて圧縮力を伝達し得る。絶縁層1070及び絶縁ガスケット1080は、共に又は個別に作用して流体チムニーをシールし(したがって、第2の流体容積部とは別個の第1の流体容積部を画定する)、バンク間の電気的絶縁を行ない、スタックを通じて圧縮力を伝達する。絶縁層は、それがこれらの要件を全て満たすように選択されてもよく、ガスケット1080を省いて部品数を更に減らすことができる。
図9a~
図9cのセルユニットは、
図10dと同様のバンク配置を成すように形成されてもよい。更に、
図10dのバンク配置を成すバンクは、
図6~
図7cに関連して説明した態様で電気的に接続されてもよい。
【0110】
図10eは、積み重ね配置を成すセルユニットの対の2つのバンク間の別の電気的接続を示す。この配置では、単一のセルユニット1020がバンクの端部に設けられる(図示のように、バンクの最上部又は最下部にあってもよい)。単一セルユニット1020は、
図10aに関連して説明したセルユニットと同様である。単一セルユニット1020は、(例えば、溶接又は蝋付けによって)非多孔質金属シート1021に取り付けられて、単一セルユニット1020と非多孔質金属シート1021との間に囲繞された流体容積部を形成する(すなわち、セルユニット1020のポートに対応して非多孔質金属シート1021を貫通するポートを介する以外の、非多孔質金属シート1021の一方側から非多孔質金属シート1021の他方側への流体連通がない)。スペーサ131は、単一セルユニット1020と非多孔質金属シート1021との間の囲繞された流体容積部内に配置され、スペーサ131は前述の通りである。非多孔質金属シート1021は、活性セル化学層を有さない、穿孔されていない金属基板である。非多孔質金属シート1021は、セルユニット1020に流体対応するポートを形成するための穴を組み込む。非多孔質金属シート1021は、平坦な未成形シートとして示されるが、セルユニット1020と同様に形成されたポート形態部を同様に有してもよい。
【0111】
図10eから明らかなように、また、
図10dとは対照的に、バンクをそれらの幅にわたって分離する絶縁体層1070が存在しない。第1のバンクの端部にある導電性支持構造体(セパレータ440)は、隣り合う第2のバンクの端部にある非多孔質金属シート1021と直接に接触する。導電性支持構造体(セパレータ440)は前述の通りである。第1のバンクの端部のセルユニットの隆起ポート形態部1050上に配置された絶縁体層又は絶縁ガスケット1071は、隣り合う第2のバンクの端部にある非多孔質金属シート1021から隆起ポート形態部1050を電気的に絶縁するとともに、マニホールド内の流体をシールする。したがって、隣り合うバンクは、更なる電気的接続を必要とせずに、セル領域の大部分にわたって(セパレータ440を介して)対面接触で直列に接続される。例えば、1つのバンクは、その導電性支持構造体(又は相互接続器)が全て並列に接続されてもよく、また、最も外側の導電性支持構造体(セパレータ440又は相互接続部)は、(物理的及び電気的に)接触して、隣り合うバンクのユニットの端部対(非多孔質金属シート1021とセルユニット1020を備える対)の非多孔質金属シートと直列接続してもよい。その隣り合うバンクにおいて、非多孔質金属シート及び基板は、同じ電位にあり、そのバンク内の他の全ての金属基板と並列に接続される。したがって、隣り合うバンク内の並列接続された基板は、直列接続によって、第1のバンク内の並列接続された相互接続器に接続される。
【0112】
バンクのユニットの端部対(
図10eのように、非多孔質金属シート1021とセルユニット1020とを備える対)は、
図2~
図9に関連して説明したセルユニットの対のバンクで使用されてもよい。
図6及び
図7a~
図7bに関連して説明した装置において、単一又は対を成さないセルの使用は、隣り合うバンクを電気的に相互接続するために前記バスバーが必要とされないため、より短いバスバー610,615,620,710,715,720をもたらす。前述のように、前記バスバーは、各バンク内のセルユニットの対を依然として接続する。
【0113】
(スペーサレスセルユニット対のための)組み立て方法
ここで、一例として、
図11~
図15を参照して、セルユニットのスペーサレス対の新規な装置の1つの好ましい組み立て方法について説明する。
【0114】
図11に示されるように、セルユニットは金属基板120を備え、該金属基板は、最も上側の第1の側面と、下側の第2の側面とを有する。金属基板は、下側に電気化学的に活性な層を伴う多孔質領域124を備える。電気化学的に活性な層は、前述のように、カソード層、電解質層、及びアノード層を備える。
図11はセルユニットの一部を示しており、明確にするためにユニットの範囲が(図示のように右側で)切り取られており、また、ユニットの動作バージョンは、セルユニットの連続する外周を形成するフランジによって取り囲まれる、延在金属基板及び電気化学的に活性な層を有する、画像の右側を越えて続くことが分かる。更なるポートが存在してもよい。
【0115】
セルユニットには2つのポート980a,980bが示される。ポートは、金属基板120を貫通する穴である。各ポートから径方向外側に、環状の隆起ポート形態部1050(
図11には谷部又は窪んだリングの形態で示される)がある。突起1040は、隆起ポート形態部1050の径方向内側に設けられる。突起1040は、上向き及び下向きに交互になり、上端が平坦なピラミッドの形をしているように示されるが、円錐、ドーム又は隆起などの他の断面形状を有してもよく、丸みを帯びた上端を有してもよい。隆起ポート形態部1050は、隆起ポート形態部1050の周囲及びその径方向外側で上向きの突起840によって更に取り囲まれる。突起840は、立ち上がった隆起又はドームとして示されるが、円錐形の上端が平らなピラミッドなどの他の断面形状を有し得る(下向きの突起が点在していてもよい)。
【0116】
セル対組み立てのプロセスは、金属基板を所定形状にスタンピング加工又はプレス加工することによって(先の実施形態に記載されるように)第1のセルユニットを形成するとともに、ポート穴外周フランジ850、突起840,1040、及び隆起ポート形態部1050を形成することから始まる(突起840はフランジ850と同じ側/同じ方向に突出し、隆起ポート形態部1050が反対側/反対方向に突出する)。
【0117】
多孔質領域124及び電気化学的に活性な層120は、
図1及び
図2に関して前述した方法によって、金属基板をスタンピング加工又はプレス加工する前又は後に(後者が好ましい)形成されてもよい。
【0118】
ポート穴は、MS-SOFCとして動作されると、燃料(例えば水素ガス)を第1の流体容積部に経路付けるとともに、MS-SOECとして動作されると、ガス、例えば水素ガス(MS-SOECセルユニットの生成物として)を第1の流体容積部から経路付けるため、燃料ポートと称されてもよい。
【0119】
第2のそのようなセルユニットは、
図12a及び
図12bに示されるように、背中合わせの配置でセルユニットの第1の対を形成するように第1のセル上にわたって設けられ、反転され、配置される。
図12a及び
図12bは、第1の金属基板120a及び第1の金属基板120aの上方に配置された第2の金属基板120bを示す。2つの金属基板120a,120bは、セルユニットの対を形成するようにフランジ850上の溶接線1210に沿って互いに溶接される。任意選択で、第2のセルユニットが第1のセルユニットまで提供される前に、第1の流体容積部にスペーサ(スペーサ131など)が配置される。
【0120】
図12bは、
図12aのセルユニットの対のポート領域を貫く断面図である。突起1040は、セルユニットのスタックを通じて圧縮力を伝達するために、方向が交互になっている(セルユニットの対を構成する金属基板110a,110b間の隙間に向かう及び隙間から離れる)。
【0121】
シールされた時点で、第1及び第2のセルユニットの環状隆起ポート形態部1050の内周にわたって内向きに突出する突起1040は、
図12bの断面図(一般に円1200によって示される、第1の流体容積部への流入又は第1の流体容積部からの排出を行なうチムニーの断面)に見られるように、反対の対向する関係を成して互いに接触する。同じことが、各環状隆起ポート形態部1050の外周にわたる突起840にも当てはまる。
【0122】
先の実施形態のいずれかで前述したようなセルバンクの組み立て方法は、
図13~
図14の順序で続く。
【0123】
図13に示されるように、セルユニットのバンクは、
図11~
図12に関連して説明された方法を使用して形成されるセルユニットの1つ以上の対を備える。
【0124】
バンク組み立てのプロセスは、導電性支持構造体310を第1のセル対アセンブリ上にわたって配置し、電気化学的に活性な層110と接触させて、電気化学的に活性な層110の上層への電気的接続をもたらすことから始まる。導電性支持構造体310は、その1つ以上の側で、金属基板の縁部を越えて延在するとともに、ポート及び隆起ポート形態部によって形成されるチムニーに支障を来さないように配置される。
【0125】
導電性支持構造体は、前述の導電性支持構造体310と同様のスタンピング加工された金属プレートであってもよく、導電性メッシュ又は同様の形態であってもよい(セパレータ440に関連して上述したように)。
【0126】
図14aは、導電性支持構造体310が第3のセルユニットの電気化学的に活性な層と接触するように、第1のセル対アセンブリ上にわたって配置された金属基板120cを有する第3のセルユニットを示す。第3のセルユニットの環状隆起ポート形態部1050c及び外向き突起1040は、第1のセル対アセンブリの対応する環状隆起ポート形態部及び外向き突起1040と接触する。
図14bは、
図14aのセルユニットのポート領域を貫く断面を示す。次に、第3のセルユニットは、第1のセル対アセンブリのポート穴980a,980bと第3のセルユニットとの間にシールを形成する溶接線に沿って接触する隆起環状ポート形態部1050b,1050cの周りで第1のセル対アセンブリに溶接される。
【0127】
図15aに示されるように、セル基板外周の外側に隣り合う導電性支持構造体310を電気的に接続するためにエッジタング1510も設けられる。隣り合う導電性支持構造体のエッジタング間の電気的接続は、エッジタングの界面を介して溶接することによって改善され得る。
【0128】
バンクがセルユニットの対の所望の数に達するまで
図11~
図14に関して記載された態様で更なるセルユニットを加えることができる。そのようなバンクでは、セル対間の流体ポートの周りにシールを形成するためにガスケットは必要なく、セルが完全な溶接アセンブリを形成する。
図14における単一セルユニットの付加に代えて、セルユニットの対(
図12に示される)を各導電性支持構造体310上に位置させることができるが、これは流体ポートの周りの溶接をより困難にする。
【0129】
図15aは、上記の方法を使用して形成された三対のセルユニットを備えるセルユニットのバンクを示す。
図15bは、
図15aのセルユニットのバンクのチムニー領域を貫く断面図である。
【0130】
導電性支持構造体310は、好ましくは、
図14bに示されるように、タング(金属フィンガ)311を備える。タングは平坦な金属シートから列をなしてプレス加工される。例えば、列中の交互のタングは、シートの平面から上向き及び下向きにプレス加工される。タングは、電気化学的に活性な層と対向する面を電気的に相互接続するための電気接点としての機能を果たす。
【0131】
セルスタック組み立ての方法における更なるステップを
図15cを参照して説明する。
図15cに示されるように、セルユニットのスタックは、
図11~
図15bに関連して前述したように形成された複数のバンクアセンブリを備える。導電性支持構造体、絶縁層、及び第2の導電性支持構造体が、
図15のセルユニットのバンク上に配置されるとともに、この上に、セルユニットの第2のバンク(
図15のものと同様)が配置される。
図15cは、
図10dと同様の絶縁層1070によって分離されるセルユニットの2つのバンクを示す。
図10dに示したものと同様に、環状の隆起ポート形態部及びバンク間の突起も電気的に絶縁される。セルユニットの第1のバンクのエッジタングは、
図6~
図7と同様のセルユニットの第2のバンクのエッジタングに接続しない。
【0132】
折り曲げによって形成されるセルユニット対
図16~
図17は、背中合わせ配置又は対面配置(図示せず)を成すセルの対を形成するための別の装置を示す。この装置では、対向するセルユニットのそれぞれの活性層が共通の基板上に堆積されて共通の基板によって支持されるように金属基板を折り曲げることによって少なくとも1つのセルユニット対が形成される。金属基板は導電性であるため、金属基板に最も近い電極が電気的に接続されて同じ電位になる。
【0133】
図16aは、金属基板120がU字形の形態である装置における一対の折り曲げられたセルユニット1600a,1600bを示す。金属基板120は、折り曲げゾーン1620で180度にわたって折り曲げられる単一の金属プレート又は連続金属基板から形成される。金属プレートには、2つの多孔質領域と、金属プレートの第1の側面125上の2つのそれぞれの位置で前記領域上にシール状態で横たわる2つの電気化学的に活性な層110a,110bとが設けられ、2つの電気化学的に活性な層110a,110b間に折り曲げゾーン1620を伴う。SOFCの場合、2つの多孔質領域及び関連する電気化学的に活性な領域110は、別々のもの、すなわち、別個である。つまり、電気化学的に活性な領域110は可撓性がないため、電気化学的に活性な領域110は折り曲げゾーン1620の領域に堆積されない。
【0134】
図16aに示されるように、電気化学的に活性な層は、折り曲げゾーン1620で180度にわたって折り曲げられた時点で、互いの上に横たわって互いに位置合わせし、背中合わせ(又は対面)配置を成して、略平行なそれぞれの(平坦な)平面を占める。一対の折り曲げられたセルユニットの折り曲げ端部における折り曲げゾーン1620は、間に短いセクションを伴う2つの90度折り曲げを備えてもよく、短いセクションは第1の流体容積部140の高さをもたらす。
【0135】
第1(及び/又は第2)の流体容積部を供給(及び/又は排出)するためのチムニーを形成するべく、電気化学的に活性な領域110と折り曲げゾーン1620との間の基板120に(及び、電気化学的に活性な領域110と基板の縁部との間の折り曲げられた基板の他端部において)ポートが形成されてもよく、したがって、第1(第2)の流体容積部が内部でマニホールド化される。
【0136】
第1の流体容積部140は、
図16bに関して更に説明されるように、金属基板120に溶接されたスペーサ130などの(例えば、導電性)スペーサを使用して、他端部1630(すなわち、折り曲げゾーン1620よりも遠位側の端部)でシールされてもよい。
【0137】
セルユニットの対1600の配置は、繰り返しユニットを形成し、
図4~
図10に関連して説明したセルバンク内のセルの対200の代わりに使用されてもよい。
【0138】
前述のように、電気化学的に活性な層は、固体酸化物セルに使用される場合、通常、多孔質領域124上に堆積されたアノード層113、電解質層112、及びカソード層111を備え、延在電解質コーティング123も存在し得る。金属基板(最も内側の電極と同じ極性)が電気接続部(図示せず)に接続されてもよい。
【0139】
図16bは、セルユニット1600a,1600bのそれぞれの折り曲げられた対を互いに積み重ねてセルユニットのバンク1640を形成する方法を示す。バンク1640は、
図4~
図10に関連して説明されたバンクに類似している。セルユニット1600a,1600bの折り曲げられた対はそれぞれ、第1の流体容積部140をシールするスペーサ130又はガスケットを有する。ガスケット180a,180b(前述のように導電性となり得る)及び導電性支持構造体310は、隣り合う折り曲げられた対1600a,1600b間に位置される。対間で、ガスケット180a,180bは、第1の流体容積部への隣り合うセル対間の流体連通をもたらす内部マニホールドをシールする。導電性支持構造体310は、隣り合う折り曲げられたユニット1600a,1600bの電気化学的に活性な層110の最も外側の電極との電気的接触を行ない、これは金属基板と反対の極性であり、また、電気コネクタに接続されてもよい(例えば、パワーテイクオフのために)。金属基板120の曲がりに抵抗するために、第1の流体容積部140に支持構造体(図示せず)が設けられてもよい。
図5~
図10に関連して前述したように、2つ以上のバンク1640が配置されてもよい。
【0140】
図16cは、背中合わせ配置を成すセルユニットの折り曲げられた対1650を示し、形成されたポート形態部840,910,1040及び外周フランジ850を含む。形成されたポート形態部は、ガスケット180a,180bの必要性を取り除く第1の流体容積部140の送達及び排出のためのチムニーを維持する。したがって、装置は、内部でマニホールド化された第1の流体容積部を有する(すなわち、ポート及び形成されたポート形態部は、セルユニットの各対の第1の流体容積部140への入口及び第1の流体容積部140からの出口を画定する)。第2の流体容積部は、i)第2の流体容積部(図示せず)への入口及び第2の流体容積部(図示せず)からの出口をもたらす更なるポート及び形成されたポート形態部によって同様に内部でマニホールド化されてもよく、又は、ii)対のセルユニットの周囲で第2の流体流れによって外部でマニホールド化されてもよい。
【0141】
セルユニットの折り曲げられた対1650は、外周フランジ850の一端に折り曲げゾーン1620があることを除き、
図9b、
図10b及び
図16aに関連して説明されたセルユニットの対と実質的に類似し得る。折り曲げゾーン1620は、外周フランジ850の一端を置き換えるものとして示される。少なくとも折り曲げゾーン1620の反対側の端部には、好ましくは(例えば、長方形の)セルの3つの全ての縁部の周囲に、外周フランジ850が存在する。或いは、外周フランジ850は、セルの全ての縁部(例えば、長方形セルの4つの全ての縁部)で保持され、折り曲げゾーン1620がフランジ850に組み込まれ(
図17bに示されるように)、第1の流体容積部140をシールするべく外周フランジ850の周囲で溶接が行なわれる。
【0142】
セルユニットの対1650は、折り曲げゾーン1620で折り曲げられる形成された形態部を伴って金属シートから形成される。形成された形態部は、平面金属シートをプレス加工することによって形成される。形成された形態部は、チムニーの周りの突起840(窪みの形態で)、チムニー突起910(環状であり、チムニーをシールするためのガスケットの有無にかかわらず使用され得る)、及び、チムニーの外側にある突起1040を備える。突起840,1040は、スタック圧縮力に抗することによって、第1の流体容積部140を画定するのを支援する。基板120の湾曲を防止して第1の流体容積部140を画定するために支持構造体131が基板120の多孔質領域間に位置されてもよい。電気化学的に活性な層110は、金属シートを折り曲げる前又は後に金属基板120の多孔質領域124上に堆積されてもよい。
【0143】
図17aは、4つの電気化学的に活性な領域110が同じ金属基板120を共有するセルユニット1700の別の装置を示す。金属基板120は、折り曲げゾーン1720a,1720b,1720cで折り曲げられる単一の金属プレート又は連続金属基板から形成される。単一の金属プレートには4つの多孔質領域が設けられ、多孔質領域上にわたって4つの電気化学的に活性な領域110がそれぞれ第1の側面125に堆積される。SOFC又はSOECの場合、4つの多孔質領域及び電気化学的に活性な領域110は別個である。金属基板120は、第1の折り曲げゾーン1720aで単一の金属プレートを第1の方向(
図17aに示されるように時計回り)に180度にわたって折り曲げることによって、第2の折り曲げゾーン1720bで単一の金属プレートを第2の方向(
図17aに示されるように反時計回り)に180度にわたって折り曲げることによって、及び、第3の折り曲げゾーン1720cで単一の金属プレートを第1の方向(
図17aに示されるように時計回り)に180度にわたって折り曲げることによって形成される。
図17aに示されるように、結果として背中合わせ配置になる。反対方向(すなわち、第1及び第3の折り曲げゾーンで反時計回り、第2の折り曲げゾーンで時計回り)に折り曲げることにより、対面配置をもたらすことができる。したがって、金属基板120はジグザグの形態を成す。第1及び第3の折り曲げゾーン1720a,1720cが第1の流体容積部140を画定し、第2の折り曲げゾーン1720bが第2の流体容積部430を画定する。各折り曲げゾーン1720は、間に短いセクションを伴う2つの90度折り曲げを備えてもよく、短いセクションは第1及び第2の流体容積部140,430の高さをそれぞれもたらす。
【0144】
支持構造体131は、隣り合う電気化学的に活性な層110から対向する電極を接続するのを支援できるが、それらの主な役割は、第1の流体容積部140を画定することである。集電体310は、隣り合う電気化学的に活性な層110から対向する(最も外側の)電極から電流を収集し、第2の流体容積部430を画定する(支持構造体は第1の流体容積部に示されないが、
図17aでは第2の流体容積部に示され、この場合、支持構造体は活性層の最も外側の電極を電気的に接続する(任意選択で接触ペーストを用いて))。当業者であれば分かるように、対応する数の対を成すセルユニットをジグザグセルに設けるために、単一の金属プレートには、実質的に任意の数の電気化学的に活性な領域及び対応する数の折り曲げゾーンが設けられてもよい。制限因子は、通常、共通の基板上の複数のセルから引き出され得る電流の量である。
【0145】
単一の金属基板120上のセルユニット1700の配置は、第1の流体容積部140をシールするために端部にスペーサ130又はガスケットを備えてもよく、単一のバンクとして使用され得る。前述のように、セルユニットのスタックを形成するために複数のバンクが配置されてもよい。
【0146】
図17bは、背中合わせ配置を成すセルユニット1750の装置を示し、形成されたポート形態部840,910,1040と外周フランジ850とを含む。セルユニットの対1750は、
図9b、
図10b、及び、
図17aに関連して説明したセルユニットの対と実質的に類似している。折り曲げゾーン1720は、外周フランジ850の一部を形成するものとして示され、或いは、折り曲げゾーンは外周フランジの部品を置き換えることができる(
図16cの折り曲げゾーン1620に関して示されるように)。外周フランジは、第1及び第3の折り曲げゾーン1720a,1720cで溶接される必要はないが、第2の折り曲げゾーン1720bに隣り合うフランジは、第1の流体容積部140をシールするために溶接される。
【0147】
図17bに示されるように、セルユニットの2つの対1750は、折り曲げゾーン1720で折り曲げられる形成された形態部を伴う単一の金属シートから形成される。形成された形態部は、平面金属シートをプレス加工することによって形成される。形成された形態部は、チムニーの周りの突起840(窪みの形態を成す)、チムニー突起910(環状であり、チムニーをシールするためのガスケットの有無にかかわらず使用され得る)、及び、チムニーの外側にある突起1040を備える。突起840,1040は、スタック圧縮に抗することによって、第1の流体容積部140を画定するのを助ける。チムニーは、セルユニットがSOFCとして動作されるときに第1の流体容積部140に燃料(例えば、水素ガス)を送達し、セルユニットがMS-SOECとして動作されるときに第1の流体容積部から燃料(例えば、水素ガス)を排出するために使用される。セルユニットがMS-SOFCとして動作されるときに第1の流体容積部を排出し、セルユニットがMS-SOECとして動作されるときに第1の流体容積部に流体を供給するために第2のチムニーが使用されてもよい。基板120の湾曲を防止して第1の流体容積部140を画定するために基板120の多孔質領域間に導電性支持構造体310aが位置されてもよい。電気化学的に活性な層110の間の電気的な相互接続を助けるとともに基板120の湾曲を防止して第2の流体容積部430を画定するために、導電性支持構造体310bが電気化学的に活性な層110間に位置されてもよい。電気化学的に活性な層110は、金属シートを折り曲げる前に金属基板120の多孔質領域124上に堆積されてもよい。
図17bに関連して説明したセルユニットの2つの対1750は、セルユニットの単一のバンクとして使用されてもよく、また、本明細書で前述したように、複数のバンクがスタックを形成するように配置されてもよい。
【0148】
セルユニットの折り曲げられた対のスタックは、内部でマニホールド化される。すなわち、これらのスタックは、セルユニットの各対の第1の流体容積部140を接続する内部マニホールド(複数可)又はチムニーを形成するために金属基板120内にポートを有する。
【符号の説明】
【0149】
従来技術-序文の節のみ
90 燃料セル繰り返しユニット
110 電気化学的に活性な層
111 カソード層
112 電解質層
113 アノード層
120 金属基板
124 多孔質領域
130 スペーサプレート
140 第1の流体容積部
150 相互接続部
160 広いスペース/開口
180a,180b ガスケット
188 酸化剤ポート/マニホールド
200 ポート/マニホールド
図2-図17
110 電気化学的に活性な層
111 カソード層
112 電解質層
113 アノード層
120 金属基板
123 延在電解質コーティング
124 多孔質領域
125 金属基板の第1の側面
126 金属基板の第2の側面
130 スペーサ
131 支持構造体
140 第1の流体容積部
141 第1の流体容積部
180 ガスケット
200 セルユニットの対
300 セルユニットの対
310 導電性支持構造体/集電体
311 相互接続部のタング
400 セルユニットのバンク
430 第2の流体容積部
440 導電性支持構造体
500 セルユニットのスタック
510 絶縁層
530 導電性支持構造体
610 アノードと電気的に接触するバスバー
615 カソードと電気的に接触するバスバー
620 アノード及びカソードと電気的に接触するバスバー
630 導電性支持構造体
700 セルユニットのスタック
710 セルユニットのバンク
711 アノード及びカソードと電気的に接触するバスバー
715 アノードと電気的に接触するバスバー
720 アノード及びカソードと電気的に接触するバスバー
730 導電性ガスケット
731 導電性ガスケット
750 セルユニットのスタック
805 セルユニットの対
810 成形されたセルユニット
840 突起
850 フランジ
870 セルユニットのバンク
905 セルユニットの対
910 隆起ポート形態部
980 流体ポート
1020 セルユニット
1021 非多孔質金属シート
1040 チムニー内部の突起
1050 隆起ポート形態部
1070 絶縁層
1071 絶縁層/絶縁ガスケット
1080 絶縁ガスケット
1200 チムニー
1210 溶接経路
1600 セルユニットの対
1620 折り曲げゾーン
1630 セルユニット対の端部
1640 セルユニットのバンク
1650 セルユニット対
1700 セルユニット
1720 折り曲げゾーン
1750 セルユニット
【国際調査報告】