(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】ナノファイバーろ過フィルム及び可溶性基材の処理
(51)【国際特許分類】
D04H 1/4382 20120101AFI20221219BHJP
C01B 32/168 20170101ALI20221219BHJP
D04H 1/4242 20120101ALI20221219BHJP
【FI】
D04H1/4382
C01B32/168
D04H1/4242
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523503
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 US2020057110
(87)【国際公開番号】W WO2021081361
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516124627
【氏名又は名称】リンテック オブ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】LINTEC OF AMERICA, INC.
【住所又は居所原語表記】15930 S. 48th Street, Suite 110, Phoenix, Arizona 85048, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】リマ マルシオ ディー
【テーマコード(参考)】
4G146
4L047
【Fターム(参考)】
4G146AA11
4G146AA19
4G146AB06
4G146AD40
4G146BA04
4G146CB17
4G146CB28
4G146DA07
4L047AA03
4L047AB02
4L047AB08
4L047CC12
(57)【要約】
さまざまな基材間におけるナノファイバー構造体(例えば、ナノファイバーフィルム;ナノファイバーシート;ナノファイバーグリッド、ナノファイバーフィルム、ナノファイバーシートの積層体;及びそれらの組み合わせ)の移動のための装置ならびに方法が記載される。記載される技術は、後に溶解される基材上の可溶性層を使用し、そのようにして、上記ナノファイバー構造体を上記基材から遊離させる。この液相技術は、上記ナノファイバー構造体の機械的完全性及び純度を維持する。
【選択図】
図7(B)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層及び可溶性層を備える基材アセンブリ上にナノファイバー構造体を調製することと、
前記可溶性層を溶媒で溶解することと、
前記溶解することに応じて、前記ナノファイバー構造体を前記溶媒の表面上に浮遊させることと、
前記ナノファイバー構造体が前記溶媒中に浸漬される際に、前記ナノファイバー構造体を前記基材層から剥離させることと
を含む方法。
【請求項2】
前記溶媒の表面から浮遊しているナノファイバー構造体を取り出すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可溶性層が塩化ナトリウムであり、前記溶媒が水である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記可溶性層がポリマーであり、前記溶媒が有機溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶解することの前に、赤外線レーザーで前記ナノファイバー構造体を切断することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基材層が、ガラス、シリカ、ケイ素、ポリマー、及び鋼の1種以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記可溶性層の厚さが10μm~200μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記取り出すことが、最終的な基材を使用して、前記溶媒の表面から前記浮遊しているナノファイバー構造体を取り出すことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノファイバー構造体が少なくとも2つのカーボンナノファイバー層を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カーボンナノファイバー層のそれぞれが、カーボンナノファイバーシート、カーボンナノファイバーろ過フィルム、及びカーボンナノファイバーグリッドの少なくとも1種を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノファイバー構造体を、前記基材層から完全に剥離させることに続いて、前記溶媒の表面上に浮遊させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記取り出すことが、枠を使用して、前記浮遊しているナノファイバー構造体を前記溶媒の表面から引き上げることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記枠が、開口している中心部分を備える針金製の枠である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
基材アセンブリ上のナノファイバー構造体と、基材層及び可溶性層を備える前記基材アセンブリとを備える透明導電性フィルムを備え、
前記ナノファイバー構造体が溶媒の表面上に浮遊するように構成され、且つ
前記可溶性層が、前記ナノファイバー構造体を前記溶媒の表面上に浮遊させることによって、前記基材層から溶解するように構成されている装置。
【請求項15】
前記透明導電性フィルムの電気抵抗が1Ω/sq未満である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記透明導電性フィルムが、可視光の99%超に対して透明である、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記可溶性層が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、臭化カリウム、デンプン、ポリスチレン、及びトルエンの少なくとも1種を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記透明導電性フィルムが、前記可溶性層に損傷を生じさせることなく、レーザービーム及び放電装置の少なくとも1種を使用して切断されるように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記ナノファイバー構造体が少なくとも2つのカーボンナノファイバー層を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記カーボンナノファイバー層のそれぞれが、カーボンナノファイバーシート、カーボンナノファイバーろ過フィルム、及びカーボンナノファイバーグリッドの少なくとも1種を含む、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年10月24日出願であり、発明の名称を「ナノファイバーろ過フィルム及び水溶性グリッドの処理」とする米国仮特許出願第62/925,533号、及び2020年3月22日出願であり、発明の名称を「ナノファイバーろ過フィルム及び水溶性グリッドの処理」とする米国仮特許出願第62/993,030号の、米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、上記出願のそれぞれはその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概括的にはナノファイバーに関する。詳細には、本開示は、ナノファイバーろ過フィルム及び可溶性基材の処理に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノファイバーは、特異な機械的、光学的、及び電子的特性を有することが知られている。しかしながら、ナノファイバーのナノスケールの寸法に起因して、工業製品へと集積化することができるナノファイバーの構成を考案することは困難であった。ナノファイバーの工業的に有用な実施形態の開発における進歩の一例は、ナノファイバー「フォレスト」の製造である。このフォレストは、基材表面に垂直に成長した平行なナノファイバーの配列である。このフォレストは、基材から引き出し、ナノファイバーが互いに平行で且つシートの平面内にあるナノファイバーシートを得ることができる。次いで、ナノファイバーシートを、任意選択でナノファイバーヤーンに形成することができる。あるいは、ナノファイバーを溶媒中に懸濁させ、次いでフィルターに塗布してもよい。溶媒に対して透過性であるフィルターを通して溶媒が除去されると、ナノファイバーに対して不透過性であるフィルターの片面上に、ランダムに配向したナノファイバーのフィルムが残留する。
【発明の概要】
【0004】
第1の例において、方法は、
基材層及び可溶性層を備える基材アセンブリ上にナノファイバー構造体を調製することと、
上記可溶性層を溶媒で溶解することと、
上記溶解することに応じて、上記ナノファイバー構造体を上記溶媒の表面上に浮遊させることと、
上記ナノファイバー構造体が上記溶媒中に浸漬される際に、上記ナノファイバー構造体を上記基材層から剥離させることと
を含む。
【0005】
例2は例1の主題を含み、上記溶媒の表面から浮遊しているナノファイバー構造体を取り出すことをさらに含む。
【0006】
例3は例1の主題を含み、上記可溶性層は塩化ナトリウムであり、上記溶媒は水である。
【0007】
例4は例1の主題を含み、上記可溶性層はポリマーであり、上記溶媒は有機溶媒である。
【0008】
例5は例1の主題を含み、上記溶解することの前に、赤外線レーザーで上記ナノファイバー構造体を切断することをさらに含む。
【0009】
例6は例1の主題を含み、上記基材層は、ガラス、シリカ、ケイ素、ポリマー、及び鋼の1種以上を含む。
【0010】
例7は例1の主題を含み、上記可溶性層の厚さは10μm~200μmである。
【0011】
例8は例2の主題を含み、上記取り出すことは、最終的な基材を使用して、上記溶媒の表面から上記浮遊しているナノファイバー構造体を取り出すことを含む。
【0012】
例9は例1の主題を含み、上記ナノファイバー構造体は少なくとも2つのカーボンナノファイバー層を備える。
【0013】
例10は例9の主題を含み、上記カーボンナノファイバー層のそれぞれは、カーボンナノファイバーシート、カーボンナノファイバーろ過フィルム、及びカーボンナノファイバーグリッドの少なくとも1種を含む。
【0014】
例11は例10の主題を含み、上記ナノファイバー構造体を、上記基材層から完全に剥離させることに続いて、上記溶媒の表面上に浮遊させることをさらに含む。
【0015】
例12は例2の主題を含み、上記取り出すことは、枠を使用して、上記浮遊しているナノファイバー構造体を上記溶媒の表面から引き上げることを含む。
【0016】
例13は例12の主題を含み、上記枠は、開口している中心部分を備える針金製の枠である。
【0017】
例14は、基材アセンブリ上のナノファイバー構造体と、基材層及び可溶性層を備える上記基材アセンブリとを備える透明導電性フィルムを備え、
上記ナノファイバー構造体は溶媒の表面上に浮遊するように構成され、且つ
上記可溶性層は、上記ナノファイバー構造体を上記溶媒の表面上に浮遊させることによって、上記基材層から溶解するように構成されている、装置である。
【0018】
例15は例14の主題を含み、上記透明導電性フィルムの電気抵抗は1Ω/sq未満である。
【0019】
例16は例14の主題を含み、上記透明導電性フィルムは可視光の99%超に対して透明である。
【0020】
例17は例14の主題を含み、上記可溶性層は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、臭化カリウム、デンプン、ポリスチレン、及びトルエンの少なくとも1種を含む。
【0021】
例18は例14の主題を含み、上記透明導電性フィルムは、上記可溶性層に損傷を生じさせることなく、レーザービーム及び放電装置の少なくとも1種を使用して切断されるように構成されている。
【0022】
例19は例14の主題を含み、上記ナノファイバー構造体は少なくとも2つのカーボンナノファイバー層を備える。
【0023】
例20は例19の主題を含み、上記カーボンナノファイバー層のそれぞれは、カーボンナノファイバーシート、カーボンナノファイバーろ過フィルム、及びカーボンナノファイバーグリッドの少なくとも1種を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態における、例示的な、基材上のナノファイバーのフォレストの顕微鏡写真である。
【
図2】一実施形態における、例示的な、ナノファイバーを成長させるための反応器の概略図である。
【
図3】一実施形態におけるナノファイバーシートの図であって、当該シートの相対的な寸法を明らかにし、該シートの表面に平行な平面に端部と端部を接して(end-to-end)配列した、該シート内のナノファイバーを概略図として示す、上記ナノファイバーシートの図である。
【
図4】一実施形態における、ナノファイバーフォレストから側方に引き出されているナノファイバーシートであって、ナノファイバーが模式的に端部と端部を接して配列している、上記ナノファイバーシートの画像である。
【
図5】一実施形態における、より大きくより長い多層カーボンナノファイバーと、それらと混合された単層及び/または少数層カーボンナノファイバーとを含むろ過ナノファイバーフィルムであって、上記カーボンナノファイバーのすべてが上記フィルムの平面内でランダムな方向を向いている、上記フィルムの一部の概略図である。
【
図6】一実施形態における、多層ナノチューブと少数層及び/または単層ナノチューブの混合物を含むろ過フィルムの電子顕微鏡画像である。
【
図7】(A)、(B)、(C)は、一実施形態における、水中に挿入することによって、ナノファイバーろ過フィルムをフィルターから取り出すことができる、例示的なプロセスを示す図である。
【
図8A】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図8B】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図8C】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図8D】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図8E】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図8F】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図8G】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図8H】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図8I】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図8J】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図8K】一実施形態における、水溶性層を備える基材アセンブリを使用して、ナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、ナノファイバーグリッド、及びそれらの組み合わせの1種以上を含むナノファイバー構造体を基材間で移動させる例示的なプロセスの、各段階を示す図である。
【
図9】一実施形態における、
図8A~
図8Kに示す例示的な方法に関する、方法のフローダイアグラムを示す図である。
【
図10】一実施形態における、
図8A~
図8Kに示す例示的な方法に関する、方法のフローダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
上記の図は、例示のみを目的として、本開示のさまざまな実施形態を描いている。多数の変化形、構成、及び他の実施形態は、以下の詳細な議論から明らかになろう。さらに、理解されるであろうが、上記の図は必ずしも一定の縮尺では描かれておらず、または記載される実施形態を、図に示されている特定の構成に限定することは意図しない。例えば、いくつかの図は全般的に直線、直角、及び平滑な表面を示す一方、開示される技術の現実的な実施においては、製造プロセスの実世界の制限を考慮すれば、完全な直線及び完全な直角を満たしてない場合があり、一部の形体は表面トポグラフィーを有するか、または他の形態で非平滑である場合がある。簡単にいえば、上記の図は、単に例示的な構造を示すために提示されている。
【0026】
概要
ナノファイバーは、多くの場合、同様に構成されたバルク材料には存在しない、特異且つ興味深い特性を有している。しかしながら、個々のナノファイバーのナノスケールの寸法に起因して、一部のナノファイバー系材料は取り扱いが困難である場合がある。例えば、カーボンナノファイバーシートは、興味深い特性を備えているが、物理的に繊細であり、処理中に、極めて僅かな力が掛かっても、裂ける、折れる、または他の形態の損傷を受ける可能性がある。空気処理装置または運転員の呼吸によって生じる空気の流れがナノファイバーシートに損傷を与える場合がある。この物理的に繊細な性質のために、一部の開発努力の焦点は、ナノファイバー材料の特異な特性の探求及び応用のみならず、これらの材料の処理の改善にもあてられている。
【0027】
本明細書に記載の技術は、さまざまな基材間でのナノファイバー構造体(例えば、ナノファイバーフィルム;ナノファイバーシート;ナノファイバーグリッド、ナノファイバーフィルム、ナノファイバーシートの積層体;及びそれらの組み合わせ)の移動方法を含む。本明細書に記載の技術は、上記ナノファイバー構造体の機械的完全性及びナノファイバー構造体の純度を維持する液相技術を使用して、この移動を可能にする。換言すれば、ナノファイバー構造体の繊細な性質にも拘わらず、本明細書に記載の技術は、ナノファイバー構造体を損傷することも汚染することもない。
【0028】
これらの配列及び該配列の製造方法の説明の前に、ナノファイバー、ナノファイバーろ過フィルム、ならびにナノファイバーフォレスト及びナノファイバーシートについて説明する。
【0029】
ナノファイバーフォレスト
本明細書では、用語「ナノファイバー」とは、直径が1μm未満の繊維を意味する。本明細書における実施形態は主としてカーボンナノチューブから製造されるものとして説明しているが、グラフェン、ミクロンスケールもしくはナノスケールのグラファイト繊維及び/またはプレートであることも問わない他の炭素同素体、さらには窒化ホウ素などの他の組成のナノスケール繊維までも、以下に説明する技術を使用して処理することができることが理解されよう。本明細書では、用語「ナノファイバー」及び「ナノチューブ」は同義で使用され、原子が互いに連結されて円筒形構造を形成する単層ナノチューブ、少数層ナノチューブ、及び/または多層ナノチューブの全てを包含する。いくつかの実施形態において、本明細書で言及する多層ナノチューブは6~20層を有する。
【0030】
ナノチューブの寸法は使用する製造方法に応じて大幅に変化する場合がある。例えば、カーボンナノチューブの直径は0.4nm~100nmとなる場合があり、長さは10μm~55.5cm超の範囲となる場合がある。カーボンナノチューブはまた、アスペクト比(長さ対直径の比)を約132,000,000:1以上もの非常に高い値とすることが可能である。可能な寸法の範囲が広いことを考慮すると、カーボンナノチューブの特性は高度に調節可能(adjustable)、すなわち「調整可能(tunable)」である。カーボンナノチューブの多くの興味深い特性が特定されている一方で、実際の用途においてカーボンナノチューブの特性を利用するには、カーボンナノチューブの機能を維持または向上することができる、大規模に実現可能で且つ制御可能な製造方法が必要とされる。
【0031】
ナノチューブは、その独特の構造に起因して、特定の機械的、電気的、化学的、熱的、及び光学的特性であって、それらの特性が故にナノチューブが特定の用途に適する上記特性を備えている。特に、カーボンナノチューブは、優れた導電性、高い機械的強度、良好な熱安定性を示し、その上疎水性でもある。これらの特性に加えて、カーボンナノチューブは有用な光学的特性も示す場合がある。例えば、カーボンナノチューブは、発光ダイオード(LED)及び光検出器に使用され、狭い幅で選択された波長で発光するまたは光を検出することができる。カーボンナノチューブは光子輸送及び/または音子輸送に有用であることが証明される可能性がある。
【0032】
本開示のさまざまな実施形態によれば、ナノファイバー(カーボンナノチューブを含む、但しこれに限定されない)は、本明細書において「フォレスト」と称する形状を始めとする、さまざまな形状で配列させることができる。本明細書では、ナノファイバーまたはカーボンナノチューブの「フォレスト」とは、基材上に互いに実質的に平行に配置された、寸法が略同等であるナノファイバーの配列をいう。
図1は、例示的な、基材上のナノファイバーのフォレストを示している。基材は任意の形状であってよいが、いくつかの実施形態において、基材は、その上にフォレストが構築される平面状の表面を有する。
図1に示すように、フォレスト中のナノファイバーは、高さ及び/または直径が略同一であってよい。
【0033】
本明細書に開示のナノファイバーフォレストは比較的高密度であることができる。詳細には、本開示のナノファイバーフォレストの密度は、少なくとも10億本のナノファイバー/cm2であってよい。いくつかの特定の実施形態において、本明細書に記載のナノファイバーフォレストの密度は、100億本/cm2~300億本/cm2であってよい。他の例において、本明細書に記載のナノファイバーフォレストの密度は、900億本のナノファイバー/cm2であってよい。上記フォレストは高密度または低密度の領域を含む場合があり、特定の領域にナノファイバーが存在しない場合がある。フォレスト内のナノファイバーは、繊維間の結合性も示す場合がある。例えば、ナノファイバーフォレスト内の隣接するナノファイバーは、ファンデルワールス力によって互いに引きつけ合う場合がある。それにもかかわらず、本明細書に記載の技術を適用することによって、フォレスト内のナノファイバーの密度を増加させることができる。
【0034】
ナノファイバーフォレストの製造方法は、例えばPCT第WO2007/015710号に記載されており、該公報はその全体が本明細書に援用される。
【0035】
さまざまな方法を使用してナノファイバー前駆体フォレストを製造することができる。例えば、いくつかの実施形態において、ナノファイバーは、
図2に概略図を示す高温炉中で成長させることができる。いくつかの実施形態において、触媒を基材上に沈着させ、反応器中に載置し、次いで該反応器に供給される燃料化合物に曝露させてもよい。基材は800℃を超える、または1000℃を超える場合すらある温度に耐えることができ、不活性材料であってよい。この基材は、基礎となるケイ素(Si)ウェハ上に配置されたステンレス鋼またはアルミニウムを備えていてもよいが、Siウェハに代えて他のセラミック基材(例えば、アルミナ、ジルコニア、SiO2、ガラスセラミック)を使用することもできる。前駆体フォレストのナノファイバーがカーボンナノチューブである例においては、アセチレンなどの炭素系化合物を燃料化合物として使用してもよい。上記反応器中への導入後に、燃料化合物(複数可)が触媒上に沈着し始め、基材から上方に向かって成長することにより集積し、ナノファイバーのフォレストを形成することができる。上記反応器はまた、燃料化合物(複数可)及びキャリアガスを上記反応器に供給することができるガス入口と、消費された燃料化合物及びキャリアガスを該反応器から放出することができるガス出口とを備えていてもよい。キャリアガスの例としては、水素、アルゴン、及びヘリウムが挙げられる。これらのガス、特に水素は、ナノファイバーフォレストの成長を促進するために反応器に導入することもできる。さらに、ナノファイバーに組み込まれるドーパントをガス流に添加してもよい。
【0036】
多層ナノファイバーフォレストを製造するために使用するプロセスにおいて、1つのナノファイバーフォレストが基材上に形成され、続いて第1のナノファイバーフォレストと接触する第2のナノファイバーフォレストが成長する。多層ナノファイバーフォレストは、基材上に第1のナノファイバーフォレストを形成し、第1のナノファイバーフォレスト上に触媒を沈着させ、次いで反応器に追加の燃料化合物を導入して、第1のナノファイバーフォレスト上に配置された触媒からの第2のナノファイバーフォレストの成長を促進することによるなどの、多数の好適な方法によって形成させることができる。適用される成長の方法論、触媒の種類、及び触媒の位置に応じて、第2のナノファイバー層は、第1のナノファイバー層の上に成長してもよく、または、例えば水素ガスで触媒を再活性化した後に、基材上に直接成長する、したがって、第1のナノファイバー層の下に成長してもよい。それにもかかわらず、第2のナノファイバーフォレストは、第1のナノファイバーフォレストのナノファイバーと略端部と端部を接して配列することができる。但し、第1のフォレストと第2のフォレストの間には容易に検出可能な境界面が存在する。多層ナノファイバーフォレストは任意の数のフォレストを含んでいてもよい。例えば、多層前駆体フォレストは、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれを超えるフォレストを含んでいてもよい。
【0037】
ナノファイバーシート
本出願のナノファイバーは、フォレスト形状における配置に加えて、シート形状に配置されてもよい。本明細書では、用語「ナノファイバーシート」、「ナノチューブシート」、または単に「シート」とは、ナノファイバーが平面内に端部と端部を接して配列したナノファイバーの配置をいう。本明細書では、「ナノファイバーシート」または単に「シート」とは、引き出しプロセス(その全体が本明細書に援用されるPCT公開第WO2007/015710号に記載される)によって整列したナノファイバーのシートであって、上記シートのナノファイバーの長手方向の軸が、該シートの主表面に垂直(すなわち、多くの場合「フォレスト」と呼ばれる、沈着したままの形態のシート)ではなく、該シートの主表面に平行であるような、上記シートをいう。例示的なナノファイバーシートの図を、3つの寸法の表示と共に
図3に示す。いくつかの実施形態において、上記シートの長さ及び/または幅は、該シートの厚さの100倍を超える大きさである。いくつかの実施形態において、上記長さ、幅、またはそれらの両方は、該シートの平均の厚さの103倍、106倍、または109倍を超える大きさである。ナノファイバーシートの厚さは、例えば、約5nm~30μmであり、長さ及び幅は、意図する用途に適した任意の大きさであってよい。いくつかの実施形態において、ナノファイバーシートの長さは1cm~10メートルであってよく、幅は1cm~1メートルであってよい。これらの長さは単に例示のために提示している。ナノファイバーシートの長さ及び幅は、ナノチューブ、フォレスト、またはナノファイバーシートのいずれかの物理的または化学的特性によってではなく、製造装置の構成によって制約を受ける。例えば、連続プロセスでは、任意の長さのシートを製造することができる。これらのシートは製造された際にロール上に巻き取ってもよい。
【0038】
図3に示すように、ナノファイバーが端部と端部を接して配列している方向の軸は、ナノファイバー配列の方向と呼ばれる。いくつかの実施形態において、上記ナノファイバー配列の方向は、ナノファイバーシート全体にわたって連続的であってよい。ナノファイバーは必ずしも互いに完全に平行ではなく、ナノファイバー配列の方向は、ナノファイバーの配列の方向の平均的なまたは概括的な尺度であると解される。
【0039】
ナノファイバーシートは、該シートを製造可能な任意のタイプの適切なプロセスを使用して構築することができる。いくつかの例示的な実施形態において、ナノファイバーシートは、ナノファイバーフォレストから引き出してもよい。ナノファイバーフォレストから引き出されているナノファイバーシートの例を
図4に示す。
【0040】
図4に示すように、上記ナノファイバーを、フォレストから側方に引き出し、次いで端部と端部を接して配列させてナノファイバーシートを形成してもよい。ナノファイバーシートがナノファイバーフォレストから引き出される実施形態において、フォレストの寸法を制御して、特定の寸法を有するナノファイバーシートを形成することができる。例えば、ナノファイバーシートの幅は、シートを引き出すナノファイバーフォレストの幅に略等しくてもよい。さらに、シートの長さは、例えば、所望のシートの長さが得られた時点で引き出しプロセスを終了することによって制御することができる。
【0041】
ナノファイバーシートは、さまざまな用途に利用することができる多くの特性を有する。例えば、ナノファイバーシートは、調整可能な不透明性、高い機械的強度及び可撓性、熱伝導性及び導電性を有し、疎水性も示す場合がある。シート内のナノファイバーの高度な配列を考慮すると、ナノファイバーシートは極めて薄くすることができる。いくつかの例において、ナノファイバーシートの厚さは概略10nmであり(通常の測定公差内で測定して)、このナノファイバーシートは略二次元になっている。他の例において、ナノファイバーシートの厚さは、200nmまたは300nmという高い値となる場合がある。そのため、ナノファイバーシートをある構成部品に加えても、増加する厚さは最小限に抑えることができる。
【0042】
ナノファイバーフォレストと同様に、ナノファイバーシート中のナノファイバーは、処理剤により、当該シートのナノファイバーの表面に化学基または元素を付加することによって機能化することができ、それによってナノファイバー単独とは異なる化学的活性が生じる。ナノファイバーシートの機能化は、前もって機能化されたナノファイバーに対して実施する、または前もって機能化されていないナノファイバーに対して実施することができる。機能化は、CVDを始めとする、但しこれに限定されない、本明細書に記載の技法のいずれか、及びさまざまなドーピング技法を使用して実施することができる。
【0043】
ナノファイバーのフォレストから引き出された状態のナノファイバーシートは高純度であることもでき、ナノファイバーシートの重量の90%超、95%超、または99%超がナノファイバーに帰することが可能である。同様に、ナノファイバーシートは、90重量%超、95重量%超、99重量%超、または99.9重量%超の炭素を含む場合がある。
【0044】
ろ過ナノファイバーフィルム
構築されたナノファイバーの別の平面形態は「ろ過フィルム」であり、このろ過フィルムにおいて、多層ナノチューブ、少数層ナノチューブ、及び/または単層ナノチューブの1種以上が懸濁液として溶媒中に分散している(ナノファイバーは溶媒に不溶性である)。その後この分散液を、カーボンナノチューブの固体状態フィルムであって、カーボンナノチューブが、該フィルムの平面内で互いに対してランダムな方向を向いている上記フィルムに形成させることができる。場合によっては、上記分散液は、ナノチューブの大部分が個々に懸濁しており、他のナノチューブに吸着されていないような分散液である。分散度が高い(例えば、溶媒中で互いに吸着しているナノチューブは少数である)ほど、その後に形成されるナノファイバーフィルムはより均一になることができる(すなわち、厚さが均一)。この物理的均一性(いくつかの例において、複数のろ過フィルムを互いに積層することによってさらに改善される)により、フィルム全体にわたる特性の均一性(例えば、放射に対する透過性)も向上することができる。
【0045】
明確化のために説明すると、多層ナノチューブとは、4~20個の同心状の層及び4nm~100nmの直径を有するものと見なし、少数層ナノチューブとは、2つまたは3つの同心状の層及び2nm~6nmの直径を有するものと見なし、単層カーボンナノチューブは、1つの層及び0.2nm~4nmのチューブ直径を有するものと見なす。
【0046】
これらの3種の異なるタイプのナノチューブのそれぞれは異なる特性を有することができる。一例において、少数層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブは、その後ランダムな方向を向いたカーボンナノチューブのシートに形成させるために、溶媒中により簡便に分散させることができる(すなわち、ナノチューブの大部分が個々に懸濁しており、他のナノチューブに吸着されていない)。個々のナノチューブが溶媒中に均一に分散するこの能力は、延いては、懸濁したナノファイバーから溶媒を除去することによって形成される寸法が均一なナノチューブろ過フィルムを生成させることになる。
【0047】
ナノファイバー間のファンデルワールス引力の強さも、単層/少数層ナノファイバーと多層ナノファイバーの間で異なる。一般に、単層/少数層ナノファイバーは、多層ナノファイバーで観測されるよりも、互いのファンデルワールス引力がより大きくなる。単層/少数層ナノファイバー間のこの引力の増加により、少数層/単層カーボンナノチューブの、互いに接着して、ろ過フィルムなどのコヒーレントなナノファイバー構造体を形成する能力が向上することができる。
【0048】
単層カーボンナノチューブ及び少数層カーボンナノチューブから形成されるシートまたはフィルムは、多層カーボンナノチューブから形成されるシートまたはフィルムよりも小さい寸法で、その下にある表面のトポグラフィーに追従することができる。いくつかの例において、単層カーボンナノチューブ及び/もしくは少数層カーボンナノチューブから形成されるシートまたはフィルムは、下にある基材の、10nmという小さなトポグラフィーに追従することができ、この10nmのトポグラフィーというのは、多層カーボンナノチューブフィルムが追従することができる形状サイズ(feature size)よりも少なくとも50%小さい。場合によっては、多層カーボンナノチューブは、単層/少数層ナノチューブよりも互いに凝集する可能性が高く、それによって、下にある表面に追従する及び/または接着する可能性がより低い、構造が不均一なフィルムが生成する。
【0049】
ろ過フィルムの調製は、所望の比率の多層ナノチューブ、少数層ナノチューブ、及び/または単層ナノチューブの1種以上の、溶媒を含まない混合物を調製することによって開始してもよい。次に、この1種以上の異なるタイプのナノチューブの混合物を溶媒中に懸濁してもよい。別の例において、溶媒中の既知の濃度のナノチューブの別個の懸濁液を調製する。例えば、多層カーボンナノチューブ、少数層カーボンナノチューブ、及び単層カーボンナノチューブの別個の懸濁液を調製してもよい。次いで、それらの懸濁液を、混合した懸濁液において多層ナノチューブと少数層/単層ナノチューブの所望の相対比率に到達するように、そして最終的には最終生成物であるろ過フィルムとなるように、所望の比率で混合してもよい。
【0050】
上記懸濁液の液相は、例えば、極性プロトン性化合物または極性非プロトン性化合物などの極性化合物であってよい。いくつかの例において、ナノチューブ懸濁液を調製するために使用される溶媒としては、水、イソプロピルアルコール(IPA)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルフィド(DMS)、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかの例において、溶媒中におけるカーボンナノファイバーの均一な分散を助長するために、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の例としては、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)が挙げられるが、これらに限定はされない。溶媒中の界面活性剤の重量パーセントは、溶媒の0.1重量%~10重量%のいずれの値でもよい。一実施形態において、50重量%の多層カーボンナノチューブと50重量%の少数層/単層カーボンナノチューブとの混合物を調製し、水及びSDS界面活性剤中に懸濁させてもよい。溶媒中への上記ナノチューブの分散化としては、機械的混合(例えば、磁気撹拌子及び撹拌プレートを使用)、機械的振とう、超音波撹拌(例えば、液浸超音波探触子を使用)、または他の手段を挙げることができる。
【0051】
上述のように、本明細書に記載の例としては、1種のタイプのナノファイバー(例えば、単層、少数層、多層)、またはこれらの異なるタイプのナノファイバーの組み合わせから形成することができるナノファイバーフィルムを挙げることができる。複数のタイプのナノファイバーで構成される例は、異なるナノファイバーのタイプの組み合わせまたは混合により、「複合フィルム」と記述される場合がある。本明細書のいくつかの例において、多層カーボンナノチューブの中央値の長さは約300μm(±10%)であってよい。以下の説明を参照すれば理解されようが、一般的により短い(例えば0.5μm~30μm)単層及び/または少数層カーボンナノチューブも含むろ過フィルムの機械的安定性を改善するために、ろ過フィルムは、長さが少なくとも250μmである多層カーボンナノチューブを含んでいてもよい。より長い多層ナノチューブまたはより短い少数層/単層カーボンナノチューブのいずれかのみから形成されるフィルムは一般的に、多層ナノチューブ及び少数層/単層ナノチューブの混合物を含むフィルムほどの耐久性(すなわち、亀裂または崩壊などの機械的機能の不全に対する耐性)がない。
【0052】
上記懸濁液を、溶媒に対しては透過性であるがナノファイバーに対しては不透過性であるフィルターにかける。例示的なフィルターの1つの例は一般的な実験室用のろ紙のフィルターである。他のタイプのフィルターも、溶媒に対して透過性であり且つナノファイバーに対して不透過性である限り、使用することができる。
【0053】
次いで、上記溶媒を、上記フィルターを通過させることによって懸濁しているナノファイバーから分離し、そのようにしてフィルターの上面上にろ過フィルムを残留させる。いくつかの例において、上記溶媒を、単に重力下でフィルターを流通させることによって、ナノファイバー(すなわち、懸濁液の固相成分)から分離することができる。他の例において、フィルターの懸濁液の反対側の面に負圧(すなわち、真空)を、またはフィルターの懸濁液の面に陽圧を選択的に印加することによって、溶媒を、フィルターを通して強制的に吸引または押圧してもよい。いくつかの例において、上記フィルターを使用した分離の後に、熱をろ過フィルムに印加し、乾燥により溶媒の除去を促進させてもよい。
【0054】
上記ろ過フィルムは、脱イオン水に浸漬することによりフィルターから取り出すことができる。上記ナノファイバーフィルムは疎水性であり、フィルター上に単に載置されているのみである(結合はしていない)ことから、このろ過フィルムはフィルターから自然に浮き上がり、水面上に浮遊することとなる。次いで、枠または他の基材を使用して、フィルムを水面から引き上げ、そのようにして、ろ過フィルムを上記枠または基材上に配置してもよい。必要に応じて、水(または他の溶媒)の表面張力を、界面活性剤または他の溶媒を添加することによって変化させてもよい。次に、上記ろ過フィルムを乾燥してもよい(例えば、低湿度環境、熱、真空を使用して)。このプロセスを繰り返して、任意選択で、多層、少数層、及び/または単層ナノファイバーの異なる組成の混合物の異なるフィルムを形成することができる。
【0055】
取り出した後に、上記ろ過フィルム(またはろ過フィルムの積層体)を、低相対湿度環境、熱、または他の乾燥技法に曝露することにより乾燥させてもよい。
【0056】
図5は、本開示の一例における、複合ナノチューブろ過フィルム500の概略図である。図に示すように、複合ナノチューブろ過フィルム500は、多層カーボンナノチューブ508と相互分散した単層/少数層ナノチューブ504を含む。この例示的なフィルム500では、単層/少数層カーボンナノチューブ504は、フィルム500の全体としての構造に対して、少なくとも2つの有益な効果をもたらすことができる。例えば、単層/少数層カーボンナノチューブ504は、近接する多層カーボンナノチューブ508間の間隙を埋めることにより、近接する多層カーボンナノチューブ508間の間接的な結合の数を増加させることができる。短いナノファイバーと長いナノファイバーの間の相互結合により、フィルムに印加される力の伝達及び分散を改善することができ、したがって耐久性の向上が可能である。有益な効果の第2の例において、単層/少数層カーボンナノチューブ504は、隣接する及び/または重なり合う多層カーボンナノチューブ508間の間隙のサイズの中央値及び/または平均値を減少させることができ、これは、いくつかの実施形態に有利な場合がある。さらに、より長い多層カーボンナノチューブが過多であると、溶媒に分散する際に凝集する可能性がある。これによってフィルムが不均一になる場合がある。より短いナノチューブは溶媒中でより容易に分散し、したがって、単位体積当りのナノチューブの密度が均一な、寸法が均一であるフィルムを形成する可能性がより高い。
【0057】
図6は、上記の技術に従って調製した多層ナノチューブと少数層及び/または単層ナノチューブとの混合物を含むろ過フィルムの電子顕微鏡画像である。
【0058】
ナノファイバーろ過フィルムの特性
ろ過フィルム、特に単層及び/または少数層カーボンナノチューブを用いて製造されたフィルムは、一般的に一部の波長の放射に対してより大きな透過性を有する。いくつかの例において、入射する放射の透過率は、90%または95%にも及ぶ高さになる場合がある。場合によっては、この透過率は、多層カーボンナノチューブの引き出しシート(以下に説明するカーボンナノチューブフォレストから引き出されたシートなど)よりも有意に高くなる。理論に拘束されることを望むものではないが、引き出しシート中のナノチューブの配向によって、ろ過フィルムと比較して放射の散乱が増加すると考えられている。一部では、ろ過フィルム(該フィルムの、ランダムな方向を向いたナノチューブを含む)の透明性がより高いことにより、さまざまな用途においてろ過カーボンナノチューブフィルムから透明なフィルター及びペリクルを形成することに関心が集まっている。
【0059】
上記の単層カーボンナノチューブ及び少数層カーボンナノチューブの利点にもかかわらず、多層カーボンナノチューブも、単層または少数層ナノチューブから形成されたナノチューブ構造体において必ずしも同程度に観測されるとは限らない利点を有する。例えば、多層カーボンナノチューブから形成された構造体は、一般的に少数層/単層カーボンナノチューブから形成された構造体よりも放射率が高いことが観測されている。理論に拘束されることを望むものではないが、多層カーボンナノチューブの層の数がより多く、直径がより大きいことが、上記放射率の増加の要因であると考えられている。例えば、多層カーボンナノチューブ構造体(例えば、ナノチューブフォレスト、ナノチューブシート)の熱放射率は、少数層/単層ナノチューブから形成されたナノチューブ構造体の熱放射よりも大きい。1つの比較のための例において、多層カーボンナノチューブを含むナノファイバー構造体の放射率は概略0.275(±15%)である一方、単層カーボンナノチューブを含むナノファイバー構造体の放射率は0.05(±15%)と著しく低い場合がある。高い放射率は、技術的用途であって、その用途におけるプロセスが当該ナノファイバー構造体内で加熱を起こす可能性がある上記用途において特に有利であるが、上記ナノファイバー構造体の伝導によるまたは対流による冷却の仕組みは、制限されるかまたは技術的に実現性がない。
【0060】
例えば、特定の波長の放射(例えば、10nm~124nmの範囲の極端紫外線すなわち「EUV」)に対して透過性を有するナノファイバー構造体は、EUVリソグラフィーデバイスのフィルター(「ペリクル」とも呼ばれる)としての使用が期待されている。ペリクルは、異物粒子が、パターン形成される材料の表面上に降下すること、及び/または光活性面をパターン形成するために使用されるリソグラフィーマスクの表面上に降下することを防止する、粒子フィルターとして機能することができる。これにより、リソグラフィーで持ち込まれる欠陥の割合が低下し、延いては、パターン形成されたデバイスの製造の歩留まりが向上する。
【0061】
EUV放射波長範囲における透明性が高いにもかかわらず、ナノファイバーEUVペリクルの採用には課題が残っている。例えば、ナノファイバーペリクルの冷却は、リソグラフィーでのパターン形成中のEUVエネルギーの吸収に起因するペリクルの過熱を防止するために重要な場合がある。ペリクルの温度が上昇すると、ナノファイバー構造体の完全性が低下する可能性がある。しかし、EUVリソグラフィーが真空中で実施され、且つペリクルがほとんどの場合懸架されている(周辺エッジがフレームに取り付けられている)ことを考慮すると、この環境中でのナノファイバー構造体の対流による及び/または伝導による冷却の機会は低い。このため、熱放射は、EUV用途に使用されるナノファイバーペリクルの冷却の主要な機構である。
【0062】
多層カーボンナノチューブ構造体は一般に放射率がより高く、そのことはEUVペリクルの冷却の問題への対処になるが、多層カーボンナノチューブは、引き出しシート中で配列した場合、透過性も、ろ過フィルム中のランダムな方向を向いた単層/少数層カーボンナノファイバーより低くなる。より透明な(但し、放射率がより低い)少数層/単一層ナノファイバーフィルムは、多くの場合、機械的に過度に繊細であり、ペリクルとして使用することができない。場合によって、少数層/単層ナノファイバーから製造されたフィルム及びシートは、それらのナノファイバーの長さが相対的に短い(例えば、100μm未満)ために壊れやすく、EUVリソグラフィー機で一般的に使用される圧力サイクル(例えば、±1気圧~2気圧の圧力変化(大気圧から真空まで))に供すると、崩壊することとなる。
【0063】
別の一連の実施形態において、本明細書に記載のろ過フィルムは、透明導電性フィルム(TCF)を形成することができる。これを得るためには、上記ろ過フィルムは、低い電気抵抗及び高い光学的透明性を示していてよい。TCFは、単層、二層、または多層のろ過フィルムを備えていてもよい。これらのろ過フィルムは、単層CNTのみ、少数層CNTのみ、多層CNTのみ、またはそれらの組み合わせであってよい。例えば、TFT中の単層/少数層ナノチューブと多層ナノチューブの重量比は、1:1より大きい、5:1より大きい、10:1より大きい、50:1より大きい、100:1より大きい、1:1未満、1:2未満、1:5未満、1:10未満、1:20未満、1:50未満、または1:100未満であってよい。さまざまな実施形態において、上記TCFは、電気抵抗が、10,000Ω/sq未満、1,000Ω/sq未満、100Ω/sq未満、10Ω/sq未満、または1.0Ω/sq未満であるように構築してもよい。同一の、または異なる実施形態において、可視光範囲におけるフィルムの透明度は、60%を超え、75%を超え、90%を超え、95%を超え、98%を超え、または99%を超えていてもよい。
【0064】
これらの低い抵抗レベル及び高い透明性は、導電性銀などのナノチューブのコーティングの有無にかかわらず達成することができる。いくつかの実施形態において、この結果はインジウムを使用せずに達成される。上記ろ過フィルムは、1つ以上の基材上に存在していてもよく、または基材がなくてもよい。上記フィルムは多くの形状に適合することができ、光学センサー、レンズ、及び窓などの表面に接着しても、または上記表面と組み合わせて使用してもよい。
【0065】
可溶性基材を用いたナノファイバーフィルムの処理
場合によっては、基材の露出面上に可溶性層を有する基材を使用することにより、ナノファイバー構造体、特に多層を備えるナノファイバー構造体の処理が容易になる場合がある。例えば、ナノファイバーシート、ナノファイバーグリッド、及び/またはナノファイバーフィルムの1種以上を含むナノファイバー構造体は壊れやすい場合がある。水溶性層を使用して基材からナノファイバー構造体を取り出すことにより、これらの繊細な構造体を1つの基材から取り出し、任意選択で最終的な基材上に載置する際の利便性を向上させることができる。
【0066】
図7(A)~(C)及び
図8A~
図8Kは、ナノファイバー基材の移動を容易にするために可溶性層を有する基材を使用するための例示的なプロセスのさまざまな段階を示している。以下の例は、主としてNaClの水溶性層に関して説明しているが、CaCl及びKBrなどの他の無機塩、デンプン、または非水溶媒と対応する可溶性組成物(例えば、ポリスチレンとトルエン)との他の組み合わせさえも含む、他の水溶性組成物を使用することができることが理解されよう。以下に説明する理由により、上記可溶性層は、いくつかの波長の放射、特にレーザーで使用される波長に対する可溶性層の透過性を目的に選択することもできる。このように、レーザーを使用して水溶性層上のナノファイバー構造体を切断する場合、レーザーは下にある水溶性層を加熱しないまたは劣化させない。特に水とNaClの利点は、共にナノファイバー構造体から除去することができ、NaClはナノファイバー構造体の切断に使用されるレーザー赤外線の一部の波長に対して透過性であることである。他の場合において、例えば、上記ナノファイバー構造体にポリマーを浸透させることが望ましい場合があり、したがって、基材上のポリマー層を、対応する有機溶媒と共に使用することが好ましい組み合わせである場合がある。
【0067】
まず
図7(A)に目を向けると、ナノファイバー構造体704は基材708上に配置されていてもよい。一例において、ナノファイバー構造体704はろ過ナノファイバーフィルムであってよく、基材708は、ガラス基材、ポリマー基材、またはろ紙であってよい。いくつかの例において、基材708は平面である必要すらなく、平面に代えて凸状または凹状の形状であってもよい。これは、以下に説明する技術を使用して、これらのトポグラフィーを有する基材からナノファイバー構造体を取り出すことが可能であることによる。
図7(B)に示すように、ナノファイバーフィルム704及び基材708を、水の容器712に浸漬してもよく(矢印「A」によって示される)、水面716以下に浸漬してもよい(矢印「B」によって示される)。上記のように、ろ過ナノファイバーフィルム704Bの水と接触している部分は水面716上に浮遊する。ろ過ナノファイバーフィルム704Bの一部が水面より上にある間は、当該部分は基材708に付着したままである。しかし、該部分が水面716と接触するようになると、この部分も基材708から剥離する(矢印「C」によって示すように)。
図7(C)に示すように、ろ過フィルム704は、基材708から完全に剥離する時点で、水面716上に浮遊することとなる。
【0068】
ここで
図8Aに目を向けると、ナノファイバー構造体704を、枠804を使用して水から引き上げてもよい。
図8Aにおいて、フレーム804は破線として示されており、その位置がナノファイバー構造体704の下側であることを示している。いくつかの例において、上記枠は中央部分が開口している針金製の枠であってよく、したがって、ナノファイバーフィルム704の対応する部分を自立した状態に保ち、ナノファイバー構造体をフレーム804から取り出すことができるという利便性がさらに向上する。
【0069】
図8Bは、米国特許出願第16/242,086号(米国特許公開第US2019/0218099号に対応)(その全体が本明細書に援用される)に記載される方法に従って製造することができるナノファイバーグリッド808を示す。概略図で示すように、ナノファイバーグリッド808は、ナノファイバー束であって、該束の間に画成された間隙によって分離され、横方向に配置された上記ナノファイバー束を備える。直交する垂直方向のナノファイバー束810A及び水平方向のナノファイバー束810Bを備えるナノファイバーグリッド808が示されている。この描画は例示の便宜のみを目的になされたものであり、ナノファイバー束810A、810Bは、任意の方向、且つ互いに対して均一または不規則な方向を向いていてもよいことが理解されよう。
【0070】
図8C及び
図8Dに目を向けると、ナノファイバーグリッド808は基材アセンブリ812上に配置されていてもよく、上記基材アセンブリ812は、基材820と、基材820上の可溶性層816とを備える。基材820の例としては、とりわけ、ガラス(例えばホウケイ酸ガラス)、シリカ(SiO2)、ケイ素(Si)ウェハ、ポリマーシート(例えば、ポリカーボナート、ポリエチレン)、鋼が挙げられるが、これらに限定はされない。上記に示した可溶性層816は、多数の可溶性材料のいずれかであってよい。この例においては、可溶性層816は、25ミクロン(μm)~100μmの厚さのNaClの層である。この例において、可溶性層816は、水とNaClとの飽和溶液として基材820上に噴霧してもよい。基材820は、噴霧した溶液からの水の蒸発及び可溶性層816の形成を容易にするために、加熱または予熱してもよい。溶質(可溶性層816を形成するために使用される)及び溶媒のこの組み合わせ、ならびに他の技術のために、他の沈着技法を使用することができることが理解されよう。例えば、NaCl/水の溶液ならびにポリマー/有機溶媒の溶液の両方の場合において、スプレーキャスティングに代えて(もしくはそれに加えて)、ドリップキャスティング及び/またはスピンキャスティングを使用してもよい。一般的に、可溶性層816は10μm~200μmの厚さとなる。この厚さは、ドリップキャスティング、スピンキャスティング、またはスプレーキャスティングで塗布される溶液における溶媒中の溶質の濃度、ならびに基材820に塗布される溶液の量に基づいて個別化することができる。
【0071】
図8E及び
図8E’に示すように、ろ過フィルム704を基材アセンブリ812上のナノファイバーグリッド808の上に配置してもよい。ナノファイバーグリッド808上のろ過フィルム704の積層体は、ナノファイバー構造体アセンブリ824を形成する。上記に示すように、ナノファイバー構造体アセンブリ824は、任意の数のナノファイバーシート、ナノファイバーろ過フィルム、及びナノファイバーグリッドの任意の組み合わせから形成することができる。示した例において、ナノファイバーフィルム704は、ナノファイバーグリッド808の隣接するナノファイバー束810A、810B(集合的かつ概括的に810)の間で垂れ下がる場合があることが理解されよう。この垂れ下がった部分を、突起状の部分として
図8E’に示す。
【0072】
任意選択で、基材アセンブリ812上のナノファイバー構造体アセンブリ824は、任意のパターン、形状、または形状の組み合わせに切断または成形されてもよい。
図8Fは、レーザーダイオードデバイス832によって発生したレーザービーム836を用いたナノファイバー構造体アセンブリ824の切断を示す。他の切断システムとしては、放電装置(コロナまたは電気アーク(例えば「EDM」を使用))及び熱による切断装置が挙げられる。
図8Fの例において、NaCl可溶性層816と赤外線(IR)レーザービーム836との組み合わせが、少なくとも、NaClがIR放射に対して透過性を持つという理由で有用である。このため、ナノファイバー構造体アセンブリ824を、可溶性層816を加熱する、燃焼させる、または他の形態で劣化させることなく、レーザービーム836を用いて切断することができる。したがって、ナノファイバー構造体アセンブリ824の意図しない熱的損傷及び/または汚染が回避される。
【0073】
図8Gは、ナノファイバー構造体アセンブリ824が切断された例示的な形状を示す。例示のみを目的としてこの図に示すように、ナノファイバー構造体アセンブリ824は、楕円840、長方形844、及び異形848に切断されている。ナノファイバー構造体アセンブリ824は、とりわけ、正多角形、異形の多角形、環形、リング、らせんを含む任意の形状に切断することができることが理解されよう。所望の形状ではないナノファイバー構造体アセンブリ824の部分(複数可)を除去し、そのようにして可溶性層816を露出させてもよい。
【0074】
いくつかの例において、ナノファイバー構造体アセンブリ824に、ナノファイバーシート、またはこのケースでは、ナノファイバーフィルム852を、形状840、844、848の上に載置することによって追加し、そのようにして第2のナノファイバー構造体アセンブリ856を形成することができる。これの平面図を
図8Hに示す。
図8H中に示した位置で描いた断面図を
図8Iに示す。
【0075】
次に、
図7(A)~(C)に示し、且つ上記で説明したプロセスを使用して、第2のナノファイバー構造体アセンブリ856を水860の中に入れることにより、上記第2のナノファイバー構造体アセンブリ856を基材820から取り出すことができる。いくつかの例において、第2のナノファイバー構造体アセンブリ856を、一定期間(例えば、5分、30分、60分、120分間)水860の上に留めておいてもよく、その結果、すべての残留塩(または他の可溶性層の材料)が第2のナノファイバー構造体アセンブリ856から除去される。
【0076】
次いで、第2のナノファイバー構造体856を、枠または最終的な基材864を使用して水から取り出してもよく、また任意選択で、上記に示した形状840、844、848のうちの1つ以上に切断してもよい。最終的な基材864は、任意の結晶性または非晶性材料(例えば、ポリマー、ホウケイ酸ガラス、ケイ素、アクリル、ITO、硫化亜鉛)を含んでいてもよく、剛直であるかまたは可撓性であってもよい。上記最終的な基材のトポグラフィーは、平坦であるかまたは丸みを帯びていてもよい。このアセンブリを、熱及び/または真空を使用して乾燥し、残留溶媒(例えば水)を除去してもよい。
【0077】
図9及び
図10は、上記のプロセスの実施形態に対応する例示的な方法のフローダイアグラムを示す。
【0078】
さらなる考慮事項
本開示の実施形態の上述の説明は例示を目的として提示したものであり、網羅的であること、または特許請求の範囲を開示される厳密な形態に限定することを意図するものではない。関連する技術分野における当業者は、上記の開示に照らせば、多くの改変及び変更が可能であることを理解することができよう。
【0079】
本明細書で使用される言語は、主として読みやすさ及び指導的目的のために選択されており、本発明の主題を記述するまたは限定するために選択されてはいない場合がある。したがって、本開示の範囲は、この詳細な説明によってではなく、いずれかの、出願時に提出する本明細書に基づく特許請求の範囲によって限定されることが意図される。したがって、本実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を、限定するのではなく、例示することを意図する。
【国際調査報告】