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特表2022-553717補強装置を備えた整形外科用インプラントシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】補強装置を備えた整形外科用インプラントシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/40 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A61F2/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523886
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 US2020056575
(87)【国際公開番号】W WO2021081033
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/925,440
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521040499
【氏名又は名称】イグナイト・オーソペディックス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Ignite Orthopedics LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ホドレック,ブライアン シー
(72)【発明者】
【氏名】パーディ,マット ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パロット,ラス エム
(72)【発明者】
【氏名】ウィアター,ジェイ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ムルティ,アナンド エム
(72)【発明者】
【氏名】スミス,マシュー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】カフ,デレク ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャワ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】オースティン,ルーク
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA11
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC08
4C097MM10
4C097SC04
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】インプラントシステムは、少なくとも1つのスルーホールを有するベースプレートを含む。中央ネジは、ベースプレートの下面から延び、ベースプレートを骨に固定するように動作可能である。少なくとも1つの補強装置は、少なくとも1つのスルーホールを通って延びるように動作可能である。補強装置は、ベースプレートが骨に固定されたときに、補強装置が骨の欠損を横断することを可能にするように寸法決めされた第1端、第2端及び長さを有するポストを含む。締結部は、ポストの第1端に位置する。締結部は、ベースプレートに締結するように動作可能である。脚部は、ポストの第2端に位置する。脚部は、締結部がベースプレートに締結されたときに、欠損内の骨の表面に当接するように動作可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスルーホールを有するベースプレートと、
前記ベースプレートの下面から延び、前記ベースプレートを骨にネジ止めするように動作可能な中央ネジと、
少なくとも1つの前記スルーホールを通って延びる少なくとも1つの補強装置であって、
第1端、第2端、および前記ベースプレートが前記骨に固定されるときに前記骨の欠損に前記補強装置が延びることができる長さを有するポストと、
少なくとも1つの前記補強装置を前記ベースプレートに結合する、前記ポストの前記第1端に配置された締結部と、
前記締結部が前記ベースプレートに結合されたときに前記欠損内の骨表面に押し付けられた、前記ポストの第2端に配置された脚部と、
を備える前記補強装置と、
を含む、インプラントシステム。
【請求項2】
前記ベースプレートに配置された中央ボアを備え、
前記中央ネジは、前記中央ボアを貫通して延びている、請求項1に記載のインプラントシステム。
【請求項3】
前記ベースプレート及び前記中央ネジは、単一の一体型構成物として一体的に接続されている、請求項1に記載のインプラントシステム。
【請求項4】
前記補強装置の前記脚部は、平坦な底部、アーチ状の底部、及び円錐状の底部のいずれか1つを含み、前記脚部は、前記欠損内の前記骨表面を押圧して動作可能である、請求項1に記載のインプラントシステム。
【請求項5】
前記補強装置の前記脚部は、少なくとも1つのネジ山を有するネジ付きの底部の脚部を含み、
少なくとも1つの前記ネジ山は、前記ポストの前記第2端の外径よりも小さいねじ外径を有し、
前記ネジ付きの底部の脚部は、前記欠損内の前記骨表面に螺合するように構成される、請求項1に記載のインプラントシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記スルーホールは、前記中央ボアの周囲に円周方向に配置された複数のネジ付き周囲ホールを含み、
前記締結部は、前記複数の周囲ホールのうちの第1周囲ホールのネジ山と係合するように構成されたネジ山を有するネジ付き締結部を含む、請求項1に記載のインプラントシステム。
【請求項7】
前記複数の周囲ホールのいずれか1つを貫通して延在するように動作可能な少なくとも1つの周囲ネジを含み、
少なくとも1つの前記周囲ネジは、
前記複数の周囲ホールのうちの第2周囲ホールのネジ山に係合するように構成された第1ネジ山と、
前記骨に螺合するように構成された第2ネジ山と、
を含む、請求項6に記載のインプラントシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの前記スルーホールは、
前記中央ボアの周囲に円周方向に配置された複数のアーチ状のスロットと、
前記複数のアーチ状のスロットのうちの第1アーチ状のスロットに係合するように構成された締結部と、
を備える、請求項1に記載のインプラントシステム。
【請求項9】
前記第1アーチ状のスロットは、前記第1アーチ状のスロットの反対側の側壁に設けられた雌ネジの部分を有し、
前記締結部は、前記第1アーチ状のスロットの前記雌ネジの部分と係合するように構成された雄ネジを含む、請求項8に記載のインプラントシステム。
【請求項10】
前記ベースプレートが前記骨に固定された後に、前記ベースプレートに取り付けられるように動作可能なグレノスフィア及び関節窩ライナのうちの一方を含む、請求項1に記載のインプラントシステム。
【請求項11】
ベースプレートであって、前記ベースプレートの中央領域の周囲に円周方向に配置された複数のネジ付き周囲ホールを有するベースプレートと、
前記ベースプレートの下面から延びるように動作可能であり、前記ベースプレートを骨に螺合するように動作可能な中央ネジと、
前記複数のネジ付き周囲ホールの第1周囲ホールを貫通して延在するように動作可能な少なくとも1つの補強装置であって、
第1端と、第2端と、前記ベースプレートが前記骨に固定されたときに前記補強装置が前記骨の欠損内に延びる長さとを有するポストと、
前記第1周囲ホールのネジ山と係合するように構成されたネジ山を有し、前記ポストの前記第1端に配置されたネジ付き締結部と、
前記欠損内の前記骨に当接するように動作可能である、前記ポストの前記第2端に位置する脚部と、を備える補強装置と、
を備える、インプラントシステム。
【請求項12】
前記ベースプレートに配置された中央ボアを備え、
前記中央ネジは、前記ベースプレートから分離可能であり、前記中央ボアを通って延びるように動作可能である、請求項11に記載のインプラントシステム。
【請求項13】
前記ベースプレートと前記中央ネジとは、単一の一体型構成物として一体的に連結されている、請求項11に記載のインプラントシステム。
【請求項14】
前記補強装置の前記脚部は、平坦な底部、アーチ状の底部、及び円錐状の底部の少なくとも1つを含み、前記脚部は、前記欠損内の前記骨に押圧して係合するように構成されている、請求項11に記載のインプラントシステム。
【請求項15】
前記補強装置の前記脚部は、ネジ付きの底部の脚部を備え、
前記ネジ付きの底部の脚部は、少なくとも1つの前記ネジ山を有し、
少なくとも1つの前記ネジ山は、前記ポストの前記第2端の外径よりも小さいねじ外径を有し、
前記ネジ付きの底部の脚部は、前記欠損内の前記骨の表面に螺合可能である、請求項11に記載のインプラントシステム。
【請求項16】
前記複数の周囲ホールのいずれか1つを貫通して延在するように動作可能な少なくとも1つの周囲ネジを含み、
少なくとも1つの前記周囲ネジは、
前記複数の周囲ホールのうちの第2周囲ホールのネジ山に係合するように構成された第1ネジ山と、
前記骨に螺合するように構成される第2ネジ山と、
を含む、請求項11に記載のインプラントシステム。
【請求項17】
グレノスフィアおよび関節窩ライナのうちの少なくとも1つを含み、
前記ベースプレートが前記骨に固定された後、前記ベースプレートに連結されている、請求項11に記載のインプラントシステム。
【請求項18】
インプラントシステムの補強装置であって、
前記インプラントシステムは、骨に固定されるように動作可能なベースプレートを備え、
前記補強装置は、
前記ベースプレートが前記骨に固定されたときに前記骨の欠損内に延びるように寸法決めされており、
前記ベースプレートのスルーホールを通って延在するように構成されたポストであって、第1端と第2端とを有するポストと、
前記ポストの前記第1端に位置し、前記ベースプレートに結合するように動作可能な締結部と、
前記ポストの第2端に位置し、前記締結部が前記ベースプレートに結合されたときに、前記欠損内の前記骨の表面に押し付けられるように構成された脚部と、
を備える、インプラントシステムの補強装置。
【請求項19】
前記補強装置の前記脚部は、平坦な底部、アーチ状の底部および円錐底部の少なくとも1つを含み、前記脚部は、前記欠損内の前記骨の表面に接触するように構成されている、請求項18に記載の補強装置。
【請求項20】
前記補強装置の前記脚部は、ネジ付きの底部の脚部を備え、
前記ネジ付きの底部の脚部は、少なくとも1つのネジ山を有し、
前記ネジ山は、前記ポストの前記第2端の外径よりも小さいねじ外径を有し、
前記ネジ付きの底部の脚部は、前記欠損内の前記骨の表面に螺合するように動作可能である、請求項18に記載の補強装置。
【請求項21】
前記締結部は、前記ベースプレートの周囲ホールのネジ山と係合するように構成されたネジ山を有するネジ付きの締結部を含む、請求項18に記載の補強装置。
【請求項22】
前記締結部は、前記ベースプレートのアーチ状のスロットと係合するように構成されている、請求項18に記載の補強装置。
【請求項23】
骨の表面であって、骨の欠損を有する外側表面を外科的に露出させる工程と、
前記骨の前記外側表面に円形表面の部分をリーミングする工程と、
前記円形表面の部分と同心のボアホールを骨に穿孔する工程と、
インプラントシステムのベースプレートのスルーホールを前記骨の欠損の上方に配向させる工程と、
前記ベースプレートの前記スルーホールが前記欠損の上に位置するように、前記ベースプレートを前記ボアホール内に挿入する工程と、
前記スルーホールを貫通して補強装置を延在させる工程と、
前記補強装置の脚部が前記欠損内の前記骨の表面に当接するように前記補強装置を前記ベースプレートに締結する工程と、
グレノスフィア及び関節窩ライナの少なくとも一方を前記ベースプレートに、取り付ける工程と、
を含む、インプラントシステムを骨内に外科的に埋め込む方法。
【請求項24】
前記ボアホールと同心の円形溝の一部を前記骨に切削する工程と、
前記ベースプレートの一部を前記円形溝の一部に挿入する工程と、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記スルーホールの下の前記欠損内の前記骨の表面の一部に表面をリーミングする工程と、
前記補強装置の前記脚部が前記表面に当接するように、前記補強装置を前記ベースプレートに締結する工程と、
を含む、請求項23の方法。
【請求項26】
前記骨の前記一部が、肩甲骨の関節窩である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記スルーホールは、前記ベースプレートのネジ穴である、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、発明の名称が「整形外科用インプラントシステムを備えた整形外科用インプラントシステム及びその使用方法」である、2019年10月24日に出願された出願番号62/925,440の米国仮特許出願の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般に、整形外科手術、例えば肩の人工関節のような関節面を置き換えるために使用されるインプラントシステムに関するものである。より詳細には、排他的ではないが、本発明は、関節窩欠損に埋め込まれたとき、関節窩ベースプレートに安定性を与えるための補強装置を有する肩関節窩用関節窩インプラントシステム、およびその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
整形外科手術の間、外科医は、外科医が手術している骨の欠損に遭遇することがある。例えば、外科医は、解剖学的または逆関節窩形成の間に、関節窩の様々な領域において、ボイドまたは関節窩の欠損のような骨欠損に遭遇することがある。リーミング準備後であっても、整形外科用関節窩移植片のベースプレートの裏面の下に欠損が存在する場合がある。適切に支持しなければ、インプラントの緩み及び故障をもたらす可能性がある。
【0004】
外科医がベースプレートの裏面支持を完成させたい場合には、裏面被覆率が100%になるまで、より深いリーミングを継続し得る(偏心リーミングとして知られている)。しかしながら、これはしばしば、皮質骨(または皮質層)、すなわち、骨の内部ボイドの周りに保護層を形成する緻密な外面骨を過剰に除去する。皮質骨の除去は、時間の経過とともにインプラントのゆるみと相関することが研究で明らかにされている。
【0005】
裏面に所定の形状を有する様々な補強関節窩ベースプレートが存在する。所定形状は、様々な種類の関節窩欠損により密に嵌合するように設計されている。しかしながら、これらの補強ベースプレートは、補強ベースプレートを受け入れるために必要な角度と深さを作り出すために、関節窩の広範な準備を必要とする。加えて、外科医が遭遇する可能性のあるあらゆる関節の欠損をカバーするために、様々な裏面形状の器具と補強インプラントを手術室に持ち込む必要がある。さらに、外科医は、患者の関節窩が露出するまでどの補強ベースプレートを使用するかを決定することができない。
【0006】
患者の関節窩の解剖学的構造に適合する裏面形状を有する患者固有のベースプレートは、予め形成された補強ベースプレートよりも準備が少なくて済むことが多い。しかしながら、このような患者固有のベースプレートを製作するために、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンが、カスタマイズされたベースプレートの形状を決定するために必要とされる。これにより、従来の肩関節窩形成術と比較して、手術手順にかかる時間とコストを大幅に増加し得る。さらに、カスタム装置は高価であり、装置を供給する会社の代わりに時間と資源の投資を増大させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、骨欠損がある場合に、過剰に骨を削ることなく、ベースプレートに対してモジュール安定性を提供することができるベースプレート設計及び手順が必要とされている。加えて、同一の標準ベースプレートを用いて種々の欠損にわたってそのような安定性を提供することができるベースプレートの設計および手順が必要とされている。さらに、患者の骨欠損に合わせたカスタムメイドのベースプレートを製作することなく、安定性を確保することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、例えば肩プロテーゼのような関節の関節窩面を置き換るための補強装置を備えたインプラントシステムを提供する。補強装置は、ベースプレートが骨内のボイドのような欠損に近接して配置される場合に、インプラントシステムのベースプレートに安定性を提供するために使用される。本発明はまた、インプラントシステムを使用するための方法を提供する。
【0009】
一態様では、少なくとも1つのスルーホールを有するベースプレートを含むインプラントシステムが提供される。中央ネジは、ベースプレートの下面から延び、ベースプレートを骨に固定するように動作可能である。少なくとも1つの補強装置は、少なくとも1つのスルーホールを貫通して延在するように動作可能である。補強装置は、ベースプレートが骨に固定されたときに、補強装置が骨の欠損を横断することを可能にするように寸法決めされた第1端、第2端及び長さを有するポストを含む。締結部は、ポストの第1端に配置される。締結部は、ベースプレートに締結するように動作可能である。脚部は、ポストの第2端に位置している。脚部は、締結部がベースプレートに締結されたときに、欠損内の骨の表面に当接するように動作可能である。
【0010】
別の態様では、本明細で提供されるのは、ベースプレートを含み、ベースプレートの中央領域の周りに周方向に配置された複数のネジ付き周囲ホールを有するインプラントシステムである。中央ネジは、ベースプレートの下面から延び、ベースプレートを骨にネジ固定するように動作可能である。少なくとも1つの補強装置は、複数の周囲ホールの第1周囲ホールを通って延びるように動作可能である。補強装置は、第1端と、第2端と、ベースプレートが骨に固定されたときに、補強装置が骨の欠損を横断することを可能にするように寸法決めされた長さと、を有するポストを含む。補強装置のネジ付き締結部は、ポストの第1端上に配置される。締結部は、第1周囲ホールのネジ山と係合するように構成されたネジ山を有する。補強装置の脚部は、ポストの第2端に位置している脚部は、締結部がベースプレートに締結されたときに、欠損内の骨の表面に当接するように動作可能である。
【0011】
別の態様において、本明細書において提供されるのは、インプラントシステムの補強装置であって、インプラントシステムは、骨に固定されるように動作可能なベースプレートを有する。補強装置は、ベースプレートのスルーホールを通って延びるように動作可能なポストを含む。ポストは、第1端と、第2端と、ベースプレートが骨に固定されたときに、補強装置が骨の欠損を横断することを可能にするように寸法決めされた長さと、を有する。締結部は、ポストの第1端に配置される。締結部は、ベースプレートに締結するように動作可能である。脚部は、ポストの第2端に位置する。脚部は、締結部がベースプレートに締結されたときに、欠損部内の骨の表面に当接するように動作可能である。
【0012】
別の態様では、骨に整形外科用インプラントを外科的に埋め込む方法が本明細書に提供される。この方法は、骨の表面を外科的に露出させることを含む。円形の表面は、骨の一部にリーミングされる。骨の一部には、中心ボアホールが穿孔されている。中心ボアホールと円形の表面とは同心である。インプラントシステムのベースプレートのスルーホールは、骨内の欠損の上方に配向される。ベースプレートは、中心ボアホールに圧入され、スルーホールが欠損の上方に位置するように、中心ボアホール内に挿入される。補強装置は、スルーホールを貫通して延びている。補強装置は、補強装置の脚部が当接するようにベースプレートに締結され、欠損内の骨の表面を貫通しない。
【0013】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴及び利点は、添付図面と関連してなされた本発明の種々の態様の以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書の一部を構成し、本明細書の一部に組み込まれる添付図面は、本発明の実施形態を例示し、本明細書の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、好ましい実施形態を説明するためだけであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。産業上の標準的な実施に従って、様々な特徴が縮尺通りに描かれていないことが強調される。実際に、様々な特徴の寸法は、説明を明確にするために、任意に増減されてもよい。本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明から明らかである。
【0015】
図1図1は、本発明の一態様に係る、肩甲骨の欠損した関節窩の側面斜視図である。
図2図2は、本発明の一態様に係る、整形外科用インプラントシステムの側面斜視図である。
図3図3は、本発明の一態様に係る、図2の整形外科用インプラントシステムの分解側面図を示す。
図4図4は、本発明の一態様に係る、図2の整形外科用インプラントシステムのベースプレートの上面斜視図である。
図5図5は、本発明の一態様に係る、図2のベースプレートの底面斜視図である。
図6図6は、本発明の一態様に係る、図2の整形外科用インプラントシステムの中央ネジの側面斜視図である。
図7図7は、本発明の一態様に係る、図2の整形外科用インプラントシステムの連結部材の側面斜視図である。
図8図8は、本発明の一態様に係る、平坦な底部の脚部を有する図2の整形外科用インプラントシステムの補強装置の一実施形態の上面斜視図である。
図9図9は、本発明の一態様に係る、図8の補強装置の側面図である。
図10図10は、本発明の一態様に係る、アーチ状の底部の脚部を有する補強装置の他の実施形態の側面斜視図である。
図11図11は、本発明の一態様に係る、円錐状の底部の脚部を有する補強装置の他の実施形態の側面斜視図である。
図12図12は、本発明の一態様に係る、ネジ付きの底部の脚部を有する補強装置の他の実施形態の側面斜視図である。
図13図13は、本発明の一態様に係る、整形外科用インプラントシステムを受け入れるための骨を外科的に準備する方法のブロック図である。
図14図14は、本発明の一態様に係る、整形外科用インプラントシステムを受け入れるために使用される骨リーマの底面斜視図である。
図15図15は、本発明の一態様に係る、図2の整形外科用インプラントシステムを受け入れるために、関節窩の上面が準備された、欠損のある関節窩の上面斜視図である。
図16図16は、本発明の一態様に係る、図15の欠損関節窩の側面斜視図である。
図17図17は、本発明の一態様に係る、挿入工具を伴う、図15の準備された関節窩内に挿入される整形外科用インプラントシステムのベースプレートの側面斜視図である。
図18図18は、本発明の一態様に係る、図17の関節窩内に埋め込まれた図2の整形外科用インプラントシステムの側面斜視図である。
図19図19は、本発明の一態様に係る、逆肩関節窩形成における使用のためにベースプレート上に配置されたグレノスフィアを有する、図2の整形外科用インプラントシステムの上面斜視図である。
図20図20は、本発明の一態様に係る、図19の整形外科用インプラントシステムの底面斜視図である。
図21図21は、本発明の一態様に係る、解剖学的肩関節窩形成に使用するためにベースプレート上に配置された関節窩を有する、図2の整形外科用インプラントシステムの側面斜視図である。
図22図22は、本発明の一態様に係る、整形外科用インプラントシステムの別の例の側面斜視図である。
図23図23は、本発明の一態様に係る、図22の整形外科用インプラントシステムの側面分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般的に言って、本明細書は、インプラントシステム及びその製造方法を開示する。さらに、インプラントシステムを使用するための外科的方法について説明する。
【0017】
この詳細な説明および以下の特許請求の範囲において、近位、遠位、前方、後方、内側、外側、上方、および下方という用語言葉は、天然の骨の相対的配置又は参照の方向的用語に従って、骨またはインプラントの特定の部分を示すために、それらの用語の標準的な使用によって定義される。例えば、「近位」は、胴体に最も近いデバイスまたはインプラントの部分を意味し、一方、「遠位」は、デバイスまたはインプラントの胴体から最も遠い部分を示す。方向の用語に関して、「前方」は体の正面に向かう方向であり、「後方」は体の裏側に向かう方向を意味し、「内側」は体の正中線に向かう方向を意味し、「外側」は体の側方に向かう方向または体の正中線から離れる方向を意味し、「上方」は別の物体または構造の上の方向を意味し、「下方」とは、別の物体または構造の下の方向を意味する。
【0018】
本明細書で使用される用語「典型的な」または「例示的な」は、一例、実例、または例示として機能する。本明細書に「一例」又は「例示」として記載されている任意の実施形態は、必ずしも他の実施態様よりも好ましいまたは有利であると解釈される必要はない。また、本説明では、「上」、「下」「左」、「後」、「右」、「前」、「垂直」、「水平」、及びそれらと類似する用語は、各実施形態の第1の図に向けられた本発明に関連する。
【0019】
同様に、位置または方向は、解剖学的構造または表面を参照して本明細書で使用され得る。例えば、現在のインプラントシステム(又はインプラント)、デバイス、システム、および方法が、肩の骨との使用に関して本明細書に記載されているので、肩および上腕の骨は、インプラントシステム、デバイス、システムおよび方法の表面、位置、方向または向きを記述するために使用され得る。さらに、本明細書に開示されるインプラントシステム、デバイス、システムおよび方法、ならびにそれらの態様、構成要素(コンポーネント)、特徴などは、簡潔にするために、身体の一側面に関して説明される。しかしながら、人体は対称線(正中線)を中心として比較的、対称または鏡像なので、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、同じまたは同様の目的のために身体の別の側と使用または関連付けるため、本明細書に記載および/または図示されているインプラントシステム、デバイス、システムおよび方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などが変更、され得ることが明確に期待される。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、同じまたは類似の目的のために、身体の別の側面との使用または関連のために変更、修正、再構成、またはその他の方法で変更される。例えば、右肩に関して本明細書に記載されている、インプラントシステム、デバイス、システムおよび方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、それらが同様に左肩に機能するように鏡像にされてもよく、その逆も同様である。さらに、本明細書に開示されるインプラントシステム、デバイス、システムおよび方法、ならびにそれらの態様、構成要素、特徴などは、簡潔な目的のために肩に関して説明されるが、インプラントシステム、デバイス、システムおよび方法は、例えば、下肢、より具体的には、足首、足、足の骨等の類似の構造を有する身体の他の骨に使用され得ることが理解されるべきである。
【0020】
図面を参照すると、同様の参照番号が、いくつかの図全体にわたって同様のまたは類似の構成要素を示すために使用される。特に、図1は、欠損のあるボイド関節窩の一例を示す。図2から図12は、本発明の態様によるインプラントシステムの様々な図を示す。また、図13から図18は、本発明の態様に係る整形外科用インプラントシステムのための骨を準備する方法に利用される種々のステップおよび装置を示す。図22および図23は、インプラントシステムの他の実施形態の例の様々な図を示しており、インプラントシステムのベースプレートおよび中央ネジは、単一の一体型構成物として形成される。
【0021】
図1を参照すると、本発明の態様によれば、肩甲骨10の欠損のある関節窩12の側方斜視図の一例が示されている。関節窩12は、患者に経時的に発生した少なくとも1つの骨欠損14を含む。例えば、骨欠損14は、限定されないが、ボイドであってもよい。欠損は、関節窩の正常な解剖学的構造を超えた窪みからなる。
【0022】
図1に示した欠損のある肩甲骨10の例は1つの欠損14を示しているが、2つ以上の欠損も可能である。このような欠損は、発生する条件に応じて深さ及び大きさが変化することがある。さらに、本明細書の図は、欠損を有する関節窩12を示しているが、人間の解剖学的構造における他の骨も、本発明の範囲内で治療可能な同様の欠損を有し得る。
【0023】
このような欠陥は、関節窩12に不規則な表面を提供し、それによって、関節窩の関節面をリーミングした後でさえ、整形外科用インプラントシステム(またはインプラント)のベースプレートの裏面に対する構造的支持を減少させている。外科医がベースプレートの裏面支持を達成させたい場合には、外科医は、裏面被覆率が100%になるまで、より深くリーミングを継続する必要がある(偏心リーミングとして知られている)。しかしながら、これは、しばしば、皮質層の過剰な除去をもたらす。皮質層の除去は、経時的にインプラントの緩みと相関することが研究により示された。ここでの皮質層(または皮質骨)は、骨の内部ボイドの周囲に保護層を形成する骨の緻密な外面である。
【0024】
図2及び図3を参照すると、本発明の一態様によれば、整形外科用インプラントシステム100の側面斜視図(図2)及び分解図(図3)が示されている。インプラントシステム100は、ベースプレート102と、中央ネジ104と、連結部材106と、少なくとも1つの補強装置200とを含み、インプラントシステム100は、1つまたは複数の周囲ネジ154(図19および図20に示す)を含み得る。さらに、インプラントシステムは、解剖学的肩関節窩形成術において使用するために、逆肩関節窩形成術および/または関節窩ライナ160(図21に示す)に使用するための、グレノスフィア150(図19および図20に示す)を含むことができる。
【0025】
図2及び図3に示すインプラントシステム100の例では、ベースプレート102、中央ネジ104及び連結部材106は、別々のピースである。さらに、中央ネジ104は、ベースプレート102から分離可能であり、ベースプレート102の中央領域115に位置する中央ボア114(図4参照)を通って延びるように動作可能であるが、本発明の範囲内にあるインプラントシステム400の別の例が図22及び図23に示されている。インプラントシステム400において、ベースプレート402、中央ネジ404及び連結部材406は、単一の一体型構成物として一体的に連結されてもよい。
【0026】
本明細書でより詳細に説明するように、補強装置200は、インプラントシステムがボイド(図18参照)のような骨欠損328を有する関節窩324に挿入されるとき、インプラントシステム100に安定性を提供する。補強装置200は、ベースプレート102に締結され、補強装置の脚端部が欠損14内の骨の表面に当接するように骨の欠損14内に延在することができ、欠損14内の骨は、硬質骨、例えば、皮質骨を含み得る。補強装置200は、テーブルの脚のように、ベースプレート102に支持を提供することができ、欠損14内の骨の表面からの骨の除去を最小にして、テーブルのための支持を提供する。
【0027】
図4及び図5を参照すると、本発明の一態様によれば、インプラントシステム100のベースプレート102の上面斜視図(図4)および底部斜視図(図5)が示されている。ベースプレート102は、例えば、円形の上面110と円形の底面112とを有する円筒状であってもよい。
【0028】
ベースプレート102は、ベースプレート102の中央領域115に配置または位置決めされたネジ切りされた中央ボア114を含んでもよい。ベースプレート102はまた、少なくとも1つのスルーホールを含む。この特定の例では、ベースプレート102は、2種類のスルーホール、すなわち、複数のネジ付き周囲ホール118と、複数のアーチ状のスロット120とを含む。複数の周囲ホール118及び複数のアーチ状のスロット120の両方は、ベースプレートの中央ボア114および/または中央領域115の周囲に円周方向に配置されている。
【0029】
ここでは、2種類のスルーホール(すなわち、複数の周囲ホール118及び複数のアーチ状のスロット120)のみが例示されており、他の種類のスルーホールが本発明の範囲内にある。例えば、スルーホールは、ベースプレート102を貫通して穿設された1つ以上のネジ山のないホールまたは直線状のスロットであってもよい。
【0030】
複数のネジ付き周囲ホール118は、周囲ネジ154(図19及び図20参照)と係合するように構成されている。手術中、少なくとも1つの周囲ネジ154は、複数の周囲ホール118のいずれか1つを通って延び、ベースプレート102をさらに骨に固定する。図20に示すように、周囲ネジ154は、第1ネジ山156と第2ネジ山158とを含む。第1ネジ山156は、複数の周囲ホール118のいずれかの周囲ホール118のネジ山と係合するように構成される。第2ネジ山158は、骨内にネジ込まれ、ベースプレート102を骨に固定するのを助けるように構成されている。
【0031】
図5は、ベースプレート102の底面112から延びる複数のアーチ状の突起122を有するベースプレート102を示しており、複数のアーチ状の突起122は、中央ボア114の周囲に円周方向に配置されている。突起122は、多孔質金属構造体から構成され、準備されたボイド関節窩内に挿入されたときに、成長中の骨のための部位を提供する。
【0032】
図5に示されるように、複数のアーチ状のスロット120は、突起122の内側及び外側の側壁に隣接して配置されてもよく、突起122の形状に沿ってもよい。アーチ状のスロット120は、必要に応じて、インプラントシステム100を変更するために潜在的に利用されてもよい。例えば、アーチ状のスロット120は、骨接合部のような外科用器具を、スロット120を介して下方に通過させて、修正手術中にインプラントシステム100を取り外すことができるように、金属を骨接合部から離脱させてもよい。
【0033】
図6を参照すると、本発明の一態様によれば、整形外科用インプラントシステム100の中央ネジ104の側面斜視図が示されている。中央ネジ104は、中央ボア114を通って延び、ベースプレート102を骨にネジ固定するように動作可能である(図18参照)。この例では、中央ネジ104が係合する骨は、肩甲骨の関節窩(図18参照)と係合する。
【0034】
図6に示すように、中央ネジ104は、近位非ネジ部124と遠位ネジ部126とを含んでもよい。近位部124は、中央ネジ104の第1端130に位置するフレア状ヘッド部128を含んでもよい。近位部124は、中央ネジ104の第1端130から近位部124内に延びる凹部132を含んでもよい。
【0035】
図6は、凹部132が第1ソケット部134と第2雌ネジ部136とを含んでもよい。第1ソケット部134は、中央ネジ104の第1端130から第2雌ネジ部136に向かって延びていてもよい。第2雌ネジ部136は、第1ソケット部134の下端から遠位ネジ部126に向かって延びていてもよい。第1ソケット部134は、例えば、中央ネジ104を挿抜するための工具を係合させるための駆動機能であってもよい。第2雌ネジ部136は、例えば、ポスト152(図19参照)の対応するネジ山を受け入れるためのネジ山であってもよい。近位部124は、例えば、多孔質固定を提供するためのテクスチャまたはコーティングを有してもよい。近位部124は、例えば、骨を節約するように構成され又は寸法決めされていてもよい。遠位ネジ部126は、例えば、ベースプレート102を患者の骨に固定するために患者の骨、例えば、関節窩12に係合するようにネジが切られていてもよい。
【0036】
図7を参照すると、本発明の一態様によれば、整形外科用インプラントシステム100の連結部材106の側面斜視図が示されている。連結部材106は、ネジ部138を介してベースプレート102と係合し、ベースプレート102の中央ボア114内に中央ネジ104を固定する。
【0037】
図7は、連結部材106の下端140で終端する遠位雄ネジ部138を含む連結部材106を示し、連結部材106は、連結部材106を貫通して上端146から下端140まで延びる中央スルーホール144を有する近位ネジ部142を含み、中央スルーホール144は、頂端部148から中央スルーホール144の少なくとも一部を通って延びるソケット部148を含んでもよい。ソケット部148は、例えば、連結部材106を挿入または除去するための工具をベースプレート102の中央ボア114内に係合させるための駆動機構であってもよく、雄ネジ部138は、例えば、中央ボア114内の対応する雌ネジを受け入れるためにネジが切られていてもよい。中央ボア114にネジ込まれると、連結部材106の下端140は、中央ネジ104のフレア状ヘッド部128に当接して、中央ネジ104を適所に固定してロックすることができる。
【0038】
図8及び図9を参照して、本発明の一態様に係る、整形外科用インプラントシステム100の補強装置200の第1の実施形態の上面斜視図(図8)と側面図(図9)とが示されている。補強装置200は、ポスト206によって連結された締結部202と脚部204とを備える。
【0039】
補強装置200は、ベースプレート102の少なくとも1つのスルーホール118を通って延在するように動作可能である。本明細書に示される例では、補強装置200は、周囲ホール118のいずれか1つを通って延在するように構成されている。しかしながら、補強装置200は、アーチ状のスロット120のうちのいずれか1つを通って延びるように構成されてもよい。さらに、補強装置200は、ベースプレート102内に配置された任意の他のタイプの貫通孔を通って延在するように構成されてもよい。
【0040】
図8に示すように、ポスト206は、第1端208と、第2端210と、補強装置200が骨内の欠損を横断または充填することを可能にする大きさの長さ212と、を含む。例えば、ポスト206の長さ212は、補強装置200がベースプレート102に締結されて、肩甲骨10内に固定されるときに十分に長くてもよい。補強装置200は、欠損14(図18参照)内の骨の底面に対して脚部204に当接するように関節窩12の欠損14内に延在し、ベースプレート102に支持を提供してもよい。ポスト206は、準備された関節窩内に挿入されたときに骨の内部成長のための部位を提供するための多孔質表面を含んでもよい。多孔質表面は、例えば、多孔質金属構造体、または多孔質コーティングで構成されていてもよい。図8および図9では、ポスト206は円筒形であるように図示されているが、ポスト206は、他の形状で構成されてもよい。例えば、限定するものではないが、ポスト206は、正方形又は長方形の断面形状を有していてもよい。あるいは、ポスト206は、それが延ばされるスルーホールの形状に適合する形状を有していてもよい。
【0041】
また、図8は、締結部202がポスト206の第1端208上に配置されるように示している。締結部202は、補強装置200をベースプレート102に連結する。例えば、締結部202は、ベースプレート102の周囲ホール118のいずれか1つに雌ネジと係合するように構成された雄ネジ214を含み得る。しかしながら、締結部は、複数のアーチ状のスロット120のいずれかと係合するように構成されてもよい。例えば、第1アーチ状のスロット120は、第1アーチ状のスロット120の対向する側壁に設けられた雌ネジ214の一部を有し、締結部202に設けられた雄ネジと係合する。また、締結部202は、ベースプレート102に設けられた他のスルーホールと係合するように構成されていてもよい。さらに、締結部202は、ネジ山を含まず、スルーホールに圧入または接合されるように構成されてもよい。
【0042】
締結部202は、弾力性のある、すなわちバネ負荷され、所定の位置にあるときに補強装置200をスナップして固定することができる様々な構成要素を含んでもよい。例えば、締結部202は、締結部202の上端218に配置された上リムと、ポスト206の上部の第1端208に隣接する締結部202の下端上の溝内に配置された周知のばね負荷格納自在保持リング(またはスナップリング)を含んでもよい。保持リング(図示せず)は、スルーホールの頂部を通って挿入されているときに半径方向へ溝内に格納し、スルーホールの底部から出たときに、溝から部分的に半径方向へスナップバックすることができる。保持リング及び上リムは、ベースプレートを間にベースプレートを捕捉するように間隔をあけて配置されてもよく、補強装置200がスルーホールを通って延在すると、補強装置200を所定の位置に保持するように構成されている。
【0043】
ソケット部216は、締結部202の上端218内へ窪んでいてもよい。ソケット部216は、例えば、補強装置200を挿入または取り外すための工具を係合させるための駆動機構であってもよい。この特定の例では、工具は、ソケット部216に係合して、締結部202の雄ネジ214をベースプレート102の周囲ホール118のいずれかの雌ネジに螺合することができる。
【0044】
脚部204は、ポスト206の第2端210上に位置している。脚部204は、締結部202がベースプレート102に締結されたときに、欠損14内の骨の表面に当接するように動作可能である。図8及び図9に示す例では、脚部204は、平坦な底部の脚部を有する。すなわち、脚部204は、ポスト206の底部の第2端210において平坦面である。平坦な底部の脚部204は、欠損14内の骨の表面を押圧して貫通しないように動作可能である。
【0045】
ここでより詳細に説明するように、平坦面344は、補強装置200が挿入されるスルーホールの直下に、欠損14内の骨の表面の一部にリーミングされ得る。平坦面344は、補強装置200の平坦な底部の脚部204に当接して、平坦な底部の脚部204およびベースプレート102の実質的に全表面積に沿って脚部204を支持する。
【0046】
図10は、本発明の一態様に係るアーチ状の底部の脚部222を有する補強装置220の他の例の側面斜視図を示す。補強装置220の締結部202及びポスト206は、補強装置200を参照して上述したように構成されており、簡潔にするためにここで再度説明しない。
【0047】
脚部222は、アーチ状又は曲線状に形成されている。脚部222は、欠損14内の骨の表面を押圧して貫通しないように構成される。アーチ状の底部の脚部222は、平坦な底部の脚部204よりも小さい表面積の割合で欠損14内の骨に当接することができる。このように、平坦な底部の脚部204に対して、必要とされるリーミングが少なく、骨の除去をより減らすことができ、欠損14内の骨の表面を準備し、アーチ状の底部の脚部222を受け入れて支持することができる。
【0048】
図11は、本発明の一態様に係る円錐状の底部の脚部226を有する補強装置224の他の例の側面斜視図である。補強装置224の締結部202及びポスト206は、補強装置200を参照して上述したように構成されており、ここでは説明を省略する。脚部226は、円錐形状を有し、欠損14内の骨の表面に再び押し付けられる。円錐状の底部の脚部226は、平坦な底部の脚部204よりも小さい表面積の割合で欠損14内の骨に当接することができる。このように、平坦な底部の脚部204に対して、必要とされるリーミングや骨の除去を減らすことができ、欠損14内の骨の表面を準備することができる。
【0049】
図12は、本発明の一態様に係るネジ付き底部の脚部230を有する補強装置228の他の例の側面斜視図を示す。補強装置228の締結部202及びポスト206は、補強装置200を参照して上述したように構成され、簡潔にするためにここで再び説明されない。補強装置228のネジ付き底部の脚部230は、欠損14内の骨を最小に貫通するように設計されたネジ山232を含む。例えば、補強装置228は、少なくとも1つのネジ山232を含み、ポスト206の第2端210の外径236以下のねじ外径234を有する。さらに、ネジ付き底部の脚部230は、限定された数のネジ、例えば3本以上のネジ232を含んでもよく、欠損14内の骨の表面への貫通を制限する。ネジ付き底部の脚部230は、欠損14内の骨の表面にネジ込まれるように動作可能である。
【0050】
図13から図18を参照すると、整形外科用インプラントシステム100のための骨を準備する方法において利用される種々のステップが、本発明の態様に従って示されている。この特定の場合には、この方法は、整形外科用インプラントシステム100を肩甲骨10の関節窩12にインプラントするために使用される。しかしながら、本発明の範囲内の他の整形外科用インプラントシステムを他の骨にインプラントするために使用されてもよい。具体的には、図13は、本発明に係る整形外科用インプラントシステムを受け入れるために骨を外科的に準備する方法のブロック図を示し、図14から図21は本発明の方法の様々なステップを補足する。
【0051】
図14を参照すると、本発明の一態様に係る、整形外科用インプラントシステム100を受け入れるためのボイドのような骨欠損328を有する関節窩324の上(または外側)表面322を準備するために使用される骨リーマ320の底部斜視図が示されている。同様のこのような骨リーマは、2019年9月16日に出願された国際特許出願番号PCT/US2019/051322号に開示されており、その全体を参照して本明細書に組み込まれる。
【0052】
図15および図16を参照すると、本発明の一態様によれば、欠損のある関節窩324の上面斜視図(図15)および側面斜視図(図16)が示されている。図15および図16において、関節窩324の外側表面322は、骨リーマ320を有する整形外科用インプラントシステム100を受け入れるように準備されている。
【0053】
患者(図13の符号300参照)の関節窩324の外側表面322を外科的に露出させた後、関節窩324(図13の符号302参照)の外側表面322を除去して円形表面330の一部にするために骨リーマ320を使用してもよい。円形表面330の部分のリーマ仕上げは、骨リーマ320のブレード部材332によって行われてもよい。円形表面330の部分は、骨欠損328によって引き起こされる骨損失による完全な円形表面であってもよいし、なくてもよい。
【0054】
さらに、骨リーマ320を使用して、円形表面330(図13の符号304参照)の部分と同心の中央ボアホール334を関節窩324内にドリルすることができる。中央ボアホール334の穿孔は、骨リーマ320の中央ドリルビット336で行うことができる。
【0055】
骨リーマ320は、中央ボアホール334(図13の符号306参照)と同心の円形溝338の一部を関節窩骨324に切削してもよい。円形溝338の部分の切削は、骨リーマ320の複数の切削ペグ340で行うことができる。円形溝338の部分は、既存の骨損失のために完全な360度の完全な円形溝であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0056】
骨リーマ320は、円形表面330の一部をリーマ加工することができ、中央ボアホール334を穿孔し、円形溝338の一部を実質的に同時に切削する。しかしながら、円形表面330、中央ボアホール334および円形溝338の部分の部分は、任意の数の器具を使用して、任意の順序で、関節窩324に機械加工することができる。
【0057】
図17は、本発明の一態様に係る、図示された挿入工具342が、準備された関節窩324に挿入される整形外科用インプラントシステム100のベースプレート102の側面斜視図を示す。挿入工具342は、インプラントシステム100のベースプレート102のスルーホールを、関節窩骨324(図13の符号308参照)内の欠損328の上方に配向させるために使用されてもよい。
【0058】
その後、挿入工具342を使用して、ベースプレート102のスルーホールが欠損324(図13の符号310参照)の直上に位置決めされるように、ベースプレート102を中央ボアホール334と円形溝338の部分に挿入することができる。さらに具体的には、ベースプレート102の中央ボア114は、挿入工具によって、関節窩324内の中央ボアホール334の直上に配置されてもよく、中央ネジ104は、ベースプレート102を肩甲骨326の関節窩324に固定するために使用されてもよい。ベースプレート102のアーチ状の突起122は、円形溝338に圧入されて、ベースプレート102を関節窩324にさらに固定することができる。次いで、1つ以上の周囲ネジ154(図19及び図20参照)が、ベースプレート102を関節窩324にさらに固定するために使用されてもよい。
【0059】
その後、平坦面344が、スルーホール(図13の符号312参照)の直下の欠損328内の関節窩骨324の表面346の一部にリーミングされてもよい。リーミングは、いくつかの周知のリーミング工具のうちの任意の1つによって行うことができる。
【0060】
あるいは、面344のリーミングを必要としなくてもよい。これは、特に、補強装置200がアーチ状の底部の脚部222、円錐状の底部の脚部226またはネジ付きの底部の脚部230を有する場合であり得る。
【0061】
図18は、本発明の一態様に係る、関節窩324に埋め込まれた整形外科用インプラントシステム100を示す。その後、補強装置200は、スルーホール(図13の符号314参照)を通って延びている。
【0062】
補強装置200は、補強装置200の脚部204が欠損328の表面346に当接するように、ベースプレート102に締結されてもよく、関節窩骨324の表面346を貫通しない(図13符号316参照)。より具体的には、この場合、補強装置200は、補強装置200の脚部204が、欠損328内の関節窩骨324の表面346にリーマ加工された平坦面344(図15及び16参照)に突き当たるように、締結部202を周囲スルーホール118に結合することによってベースプレート102に固定されてもよい。
【0063】
補強装置200は、埋め込まれると、ベースプレート102を支持し、関節窩324への取り付けを可能にする。補強装置200は、欠損328内の表面骨の除去を最小にする。さらに、補強装置200は、骨の欠損に関係なく同一のベースプレート102を使用することを可能にする。ベースプレート102が埋め込まれると、遭遇する欠損の種類および重症度に応じて、1つ以上の補強装置200を挿入することができる。
【0064】
図19及び図20を参照すると、整形外科用インプラントシステム100の上面斜視図(図19)および底面斜視図(図20)が、本発明の一態様にしたがって示されている。その後、逆肩関節窩形成術(図13符号318参照)で使用するために、インプラントシステム100のベースプレート102の上にグレノスフィア150を配置することができる。
【0065】
グレノスフィア150は、ネジポスト152によってベースプレート102に連結されてもよく、ネジポスト152は、連結部材106(図7参照)を通って延び、中央ネジ104(図6参照)の凹部132の雌ネジ部136に螺合する。中央ネジ104及び周囲ネジ154を使用して、インプラントシステム100を肩甲骨326に固定することができる。周囲ネジ154は、周囲ホール118のネジ山と係合するように構成された第1ネジ山156と、肩甲骨326にネジ込まれるように構成された第2ネジ山158とを含んでもよい。補強装置200は、肩甲骨326に埋め込まれたときにベースプレート102を支持してもよい。
【0066】
図21を参照すると、本発明の一態様による整形外科用インプラントシステムの上面透視図が描かれている。関節窩ライナ160は、図中のグレノスフィア150(図13符号318参照)ではなく、ベースプレート100に接続されてもよい。関節窩ライナ160は、解剖学的肩関節窩形成術に使用するためのものであってもよい。
【0067】
関節窩ライナ160は、いくつかの異なる取り付け技術(図示せず)を用いてベースプレート102に連結されてもよい。例えば、関節窩ライナ160は、突出部がスロット120に圧入されるように、ベースプレート102のアーチ状のスロット120に適合する突出部を有してもよい。あるいは、関節窩ライナ160は、半径方向内側に延びるフランジ付き端部を有していてもよい。フランジ付き端部は、ベースプレート102の底面112の下にカップ状であってもよく、ライナ160をベースプレート102に固定してもよい。関節窩ライナ160を収容するために、連結部材106は、連結部材106がベースプレート102に取り付けられると、その上面がベースプレートの上面110と同一平面、またはほぼ同一平面となるように高さが低くされてもよい。
【0068】
図22および図23を参照すると、本発明による整形外科用インプラントシステム400の他の例の側面斜視図(図22)および側面分解図(図23)が示されている。インプラントシステム100とは対照的に、ベースプレート402、中央ネジ404及び連結部材406は、単一の一体型構成物として一体的に連結されている。このインプラントシステム400では、ベースプレート102の中央領域115に配置され、中央ネジ104及び連結部材106の両方が取り外し可能に接続され得る中央ボア114(図4参照)が存在しない。むしろ、インプラントシステム400では、中央ネジ404は、ベースプレート402の中央領域415の下面410から延び、連結部材406は、ベースプレート402の中央領域415の上面408から延びている。ベースプレート402、中央ネジ404及び連結部材406は、単一の材料ブロックから鋳造および/または機械加工することができる。インプラントシステム100及びインプラントシステム400(補強装置200などの補強装置を含む)の他の全ての態様は、実質的に同様である
【0069】
本明細書の教示に基づいて当業者によって認識され得るように、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の上記および他の実施形態に対して多数の変更および修正を行うことができる。添付の要約および図面を含む、本明細書に開示されるインプラントシステム、装置、および/またはシステムの構成要素は、別の実施形態に開示されるものなどの代替の構成要素または特徴によって置き換えられ得、意図された目的のために同様の機能を提供するために、そのような代替の構成要素または特徴によって同じ、同等または同様の結果を達成するために当業者によって知られているのと同じ、同一または同様の目的を提供する。さらに、インプラントシステム、装置、および/またはシステムは、本明細書に記載および図示される実施形態よりも多いまたは少ない構成要素または特徴を含み得る。例えば、インプラントシステム100の構成要素および特徴は、当業者によって修正または変更されるように、交換可能に、および代替の組み合わせで使用され得る。さらに、インプラントシステム100に関連する外科的方法のステップは、当業者によって修正または変更されるように、互換的に、および代替の組み合わせで使用することができる。したがって、現在好ましい実施形態のこの詳細な説明は、本開示の限定とは対照的に、例示的に解釈されるべきである。
【0070】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの」、および「その」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、「構成する」(および「構成している」などの「構成する」任意の形態)、「有する」(および「有している」などの「有する」任意の形態)、「備える」(および「備えている」などの「備える」の任意の形態)という用語は、制限のない連結動詞です。結果として、1つまたは複数のステップまたは構成要素を「構成する」、「有する」、「備える」、または「含む」方法またはデバイスは、それらの1つまたは複数のステップまたは構成要素を所有するが、それらの1つまたは複数のステップまたは構成要素のみを所有することに限定されない。同様に、1つまたは複数の特徴を「構成する」、「有する」、「備える」、または「含む」方法の工程またはデバイスの構成要素は、それらの1つまたは複数の特徴を所有するが、それらの1つのみを所有することに限定されない。さらに、特定の方法で構成されたデバイスまたは構造は、少なくともその方法で構成されるが、記載されていない方法で構成されてもよい。
【0071】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。本明細書に記載の使用できる実施形態は、同じ一般的な特徴、特性、および一般的なシステム動作を提供するための複数の可能な構成の例示であることが理解される。上記の詳細な説明を読んで理解すると、第3者は修正や変更を思いつくであろう。本発明は、そのようなすべての修正および変更を含むと解釈されることが意図される。
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【国際調査報告】