(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】クラッチ機構、ステアリングシステム及び自動車
(51)【国際特許分類】
B62D 1/20 20060101AFI20221219BHJP
B62D 1/22 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B62D1/20
B62D1/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523953
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2020117122
(87)【国際公開番号】W WO2021077970
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】201911023715.8
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100149102
【氏名又は名称】松山 習
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼敏
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲沖▼
(72)【発明者】
【氏名】肖冠甲
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DC40
(57)【要約】
クラッチ機構(100)、ステアリングシステム及び自動車が開示されている。クラッチ機構(100)は、同軸に配置されると共に径方向に間隔をあけて配置された第1のエンドシャフト(1)と第2のエンドシャフトとの間の径方向の間隔内に収容可能であり、かつ第1のエンドシャフト(1)と第2のエンドシャフトとを分離又は連結するように第1のエンドシャフト(1)と第2のエンドシャフトの軸方向に沿って平行移動可能に構成されたスライダー(14)と、スライダー(14)が第1のエンドシャフト(1)と第2のエンドシャフトの軸方向に沿って平行移動するように駆動する駆動部材と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸に配置されると共に径方向に間隔をあけて配置された第1のエンドシャフト(1)と第2のエンドシャフトとの間の径方向の間隔内に収容され、かつ前記第1のエンドシャフト(1)と前記第2のエンドシャフトとを分離又は連結するように前記第1のエンドシャフト(1)と前記第2のエンドシャフトの軸方向に沿って平行移動可能に構成されたスライダー(14)と、
前記第1のエンドシャフト(1)と前記第2のエンドシャフトの軸方向に沿って平行移動するように前記スライダー(14)を駆動させる駆動部材と、
を含むことを特徴とするクラッチ機構。
【請求項2】
前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトのうちの一方は、中空構造であり、
前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトのうちの他方の軸方向の一部は、前記中空構造内に入り込み、かつ該一部の外周面は、前記中空構造の内周面と径方向に間隔をあけて配置されて前記スライダー(14)を収容する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクラッチ機構。
【請求項3】
前記他方の軸方向の前記一部は、第1の軸部(54)と第2の軸部(55)を有し、
前記第1の軸部(54)の外周面と前記中空構造の内周面との間の径方向の間隔は、前記第2の軸部(55)の外周面と前記中空構造の内周面との間の径方向の間隔より小さく、
連結位置で、前記スライダー(14)は、外側壁が前記中空構造の内周面と結合され、内側壁が前記第1の軸部(54)の外周面と結合される、
ことを特徴とする請求項2に記載のクラッチ機構。
【請求項4】
前記スライダー(14)は、前記中空構造と常時スプライン結合され、かつ前記連結位置で前記第1の軸部(54)とスプライン結合される、
ことを特徴とする請求項3に記載のクラッチ機構。
【請求項5】
前記スライダー(14)は、スリーブであり、
前記スリーブは、前記第1のエンドシャフト(1)及び前記第2のエンドシャフトと同軸に配置される、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のクラッチ機構。
【請求項6】
前記駆動部材は、前記中空構造の外部に位置し、
前記中空構造の側壁には、前記駆動部材を前記スライダー(14)に接続するための開口が形成される、
ことを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載のクラッチ機構。
【請求項7】
前記中空構造の外側には、軸受(12)が同軸に設けられ、
前記スライダー(14)は、前記軸受(12)の内輪に固定的に接続され、前記軸受(12)の外輪が駆動部材に接続される、
ことを特徴とする請求項6に記載のクラッチ機構。
【請求項8】
前記スライダー(14)の外側壁には、取付部品が形成され、
該取付部品は、前記中空構造の側壁の開口から前記中空構造の外部に延出して、前記駆動部材に接続され、
該取付部品には、前記軸受(12)の内輪の両端の端面にそれぞれ当接するストッパ構造が設けられる、
ことを特徴とする請求項7に記載のクラッチ機構。
【請求項9】
前記軸受(12)は、軸受取付リング(13)内に取り付けられ、
前記軸受取付リング(13)の外周面には、前記駆動部材を接続する接続部が形成され、
前記軸受取付リング(13)の内周面には、周回方向に沿って前記軸受(12)の外輪の下端の端面に当接する径方向段差が形成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のクラッチ機構。
【請求項10】
前記駆動部材は、電動駆動部材であり、
前記電動駆動部材は、
駆動力を提供する動力素子と、
前記動力素子の出力軸と同期回転するように接続されたねじ棒(33)と、
前記ねじ棒(33)にねじ接続されると共に、前記スライダー(14)に接続され、前記ねじ棒(33)の回転を前記スライダー(14)の軸方向平行移動に変換するスクリュー伝動機構(34)とを含む、
ことを特徴とする請求項2~9のいずれか1項に記載のクラッチ機構。
【請求項11】
クラッチ機構ハウジング(41)をさらに含み、
前記中空構造は、前記クラッチ機構ハウジング(41)内に軸方向に回転可能に取り付けられ、
前記駆動部材は、前記クラッチ機構ハウジング(41)の外側に取り付けられると共に前記クラッチ機構ハウジング(41)に固定される、
ことを特徴とする請求項10に記載のクラッチ機構。
【請求項12】
前記中空構造の下部には、円周方向に互いに間隔をあけて配置された複数の円弧状板が形成され、
前記他方の軸方向の前記一部は、前記複数の円弧状板によって囲まれた円形空間内に入り込み、
前記クラッチ機構は、ベース(61)をさらに含み、
前記ベース(61)には、前記複数の円弧状板の構造に対応する複数の円弧状穴が形成され、
前記複数の円弧状板の下端は、前記複数の円弧状穴から前記ベース(61)内に挿入されると共に、前記ベース(61)に固定され、
前記ベース(61)と前記クラッチ機構ハウジング(41)との間の径方向の間隔内には、第1の軸受(62)が同軸に取り付けられ、
前記中空構造の上部と前記クラッチ機構ハウジング(41)との間の径方向の間隔内には、第2の軸受(4)が同軸に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項11に記載のクラッチ機構。
【請求項13】
前記クラッチ機構ハウジング(41)の軸方向の両側の対向位置には、径方向に外向きに突出する接続部が設けられ、
前記動力素子の動力素子ハウジングは、前記クラッチ機構ハウジング(41)の軸方向の片側の接続部に固定的に取り付けられ、前記ねじ棒(33)は、前記クラッチ機構ハウジング(41)の軸方向の他側の接続部に軸方向に回転可能に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載のクラッチ機構。
【請求項14】
前記クラッチ機構ハウジング(41)には、前記クラッチ機構ハウジング(41)を車体に固定するアダプタ(42)がさらに設けられる、
ことを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載のクラッチ機構。
【請求項15】
第1のエンドシャフト(1)と、
第2のエンドシャフトと、
前記第1のエンドシャフト(1)と前記第2のエンドシャフトを分離又は連結するクラッチ機構(100)と、を含み、
前記クラッチ機構(100)が、請求項1~14のいずれか1項に記載のクラッチ機構である、
ことを特徴とするステアリングシステム。
【請求項16】
前記第1のエンドシャフト(1)の分離状態でのねじりトルクに基づいて、前記第1のエンドシャフト(1)に逆のフィードバックトルクを加えて、前記第1のエンドシャフト(1)に伝動接続されたステアリングホイールの操作感を向上させるトルクフィードバック機構をさらに含む、
ことを特徴とする請求項15に記載のステアリングシステム。
【請求項17】
前記トルクフィードバック機構は、
前記第1のエンドシャフトの分離状態でのねじりトルクを検出するトルク検出素子と、
駆動力を提供する動力素子と、
前記駆動力を前記第1のエンドシャフトに伝達して前記第1のエンドシャフトに逆のフィードバックトルクを加える伝動機構と、
前記トルク検出素子によって検出されたねじりトルクに基づいて前記動力素子が前記駆動力を提供するように制御するコントローラーとを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載のステアリングシステム。
【請求項18】
分離終了後に、前記クラッチ機構が前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトを連結できるように前記第1のエンドシャフトを駆動して復帰させる復帰機構をさらに含む、
ことを特徴とする請求項15~17のいずれか1項に記載のステアリングシステム。
【請求項19】
前記復帰機構は、
前記第1のエンドシャフトの分離前のステアリング角度と前記第1のエンドシャフトの分離終了後のステアリング角度を検出する角度検出素子と、
駆動力を提供する動力素子と、
前記駆動力を前記第1のエンドシャフトに伝達して前記第1のエンドシャフトが分離前のステアリング角度に復帰するように駆動する伝動機構と、
前記角度検出素子によって検出されたステアリング角度に基づいて前記動力素子が前記駆動力を提供するように制御するコントローラーとを含む、
ことを特徴とする請求項18に記載のステアリングシステム。
【請求項20】
前記動力素子は、モータ(23)であり、
前記伝動機構は、前記モータ(23)の出力軸と同期回転するように接続された第1の歯車(21)と、前記第1のエンドシャフト(1)と同期回転するように接続された第2の歯車(2)とを含み、
前記第1の歯車(21)は、前記第2の歯車(2)と噛み合い、
前記第1の歯車(21)の外径は、前記第2の歯車(2)の外径より小さい、
ことを特徴とする請求項17又は19に記載のステアリングシステム。
【請求項21】
前記第2の歯車(2)は、前記第1のエンドシャフト(1)に同軸に固定され、
前記第1のエンドシャフト(1)の外側壁には、前記第2の歯車(2)の軸方向の両端の端面にそれぞれ当接可能な保持構造が設けられ、
前記第1のエンドシャフト(1)の外側壁には、突起が形成され、
前記第2の歯車(2)の内輪縁部には、前記突起に対応してノッチが形成され、
前記突起が前記ノッチ内に収容される、
ことを特徴とする請求項20に記載のステアリングシステム。
【請求項22】
分離状態で前記第1のエンドシャフトの回転角度範囲を制限するストッパ機構がさらに設けられる、
ことを特徴とする請求項15~21のいずれか1項に記載のステアリングシステム。
【請求項23】
前記第1のエンドシャフト(1)は、中空構造であり、
前記第2のエンドシャフトの軸方向の一部は、前記中空構造内に入り込み、
前記ストッパ機構は、前記中空構造内に位置する前記第2のエンドシャフトの端(56)にねじ接続されたストッパナット(6)を含み、
前記ストッパナット(6)の外周面には、前記中空構造の内周面とスプライン係合する雄スプラインが形成され、
前記中空構造の内周面及び/又は前記第2のエンドシャフトの外周面には、前記ストッパナット(6)の軸方向の両側の変位量を制限するストッパ部がさらに設けられる、
ことを特徴とする請求項22に記載のステアリングシステム。
【請求項24】
前記第2のエンドシャフトは、同軸に設けられたステアリングスリーブ(53)及びステアリングシャフト(70)を含み、
前記ステアリングシャフト(70)は、前記ステアリングスリーブ(53)内に入り込むと共に前記ステアリングスリーブ(53)と同期回転するように接続され、
前記ステアリングスリーブ(53)は、前記中空構造内に位置し、
前記ステアリングスリーブ(53)の外周面には、前記ストッパナット(6)をねじ接続する雄ねじと、前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトを連結するように前記スライダーとスプライン結合する雄スプラインとが加工される、
ことを特徴とする請求項23に記載のステアリングシステム。
【請求項25】
前記第1のエンドシャフトは、ステアリングホイールエンドシャフトであり、
前記第2のエンドシャフトは、ステアリングデバイスエンドシャフトである、
ことを特徴とする請求項15~24のいずれか1項に記載のステアリングシステム。
【請求項26】
請求項15~25のいずれか1項に記載のステアリングシステムを含む、
ことを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願日が2019年10月25日、出願番号が201911023715.8、名称が「クラッチ機構、ステアリングシステム及び自動車」である中国特許出願の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、自動車の分野に関し、具体的には、クラッチ機構、ステアリングシステム及び自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の進歩に伴い、人々の自動車のゲーム娯楽機能に対する要求が増え続けている。ニード・フォー・スピードシリーズ、爆走ドリフターズなどのドリフトスピードレースゲームは、人々が夢中になる運転の楽しさを体験させることができるため、多くの車愛好者から大いに注目されて好まれている。現在、上記ゲーム機能を体験することは、一般的に、PC側で通常のキーボード又は専用のゲームステアリングホイールを操作することによって実現される。通常のキーボードは、運転中にステアリングホイールを操作してステアリングする感覚をリアルにシミュレートすることができず、専用のゲームステアリングホイールはかさばり、ユーザが購入して使用する費用対効果が低い。専用のゲームステアリングホイールを操作するために関連する娯楽場に行くとすれば、場所が限られているため、いつでもどこでもユーザの使用要求を満たすことができない。
【0004】
車内の座席に座って、自動車自体のステアリングホイールにより上記ゲームを直接体験することは、非常に良い解決策である。本願の発明者は、実際に、現在市場に出回っている全ての自動車のステアリングシステム、ステアリングホイール及びステアリングデバイスエンドシャフトが長期間に噛み合い状態にあることを発見した。ステアリングホイールを上下又は前後の4方向に調節しても、そのトルク伝達構造(例えば、スプラインなど)が外れることはないため、ステアリングホイールを回すと必然的にタイヤが軸方向に移動し、タイヤと地面との静止摩擦が繰り返されることにより、タイヤ自体の磨耗が非常に深刻であり、これは消費者に受け入れられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の目的の1つは、従来技術における上記問題を克服し、ステアリングシステムの分離又は連結を実現することにより、自動車のゲームシナリオの実現に有利であるクラッチ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願の第1の態様は、
同軸に配置されると共に径方向に間隔をあけて配置された第1のエンドシャフトと第2のエンドシャフトとの間の径方向の間隔内に収容され、かつ前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトとを分離又は連結するように前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトの軸方向に沿って平行移動可能に構成されたスライダーと、
前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトの軸方向に沿って平行移動するように前記スライダーを駆動させる駆動部材と、を含むクラッチ機構を提供する。
【0007】
好ましくは、前記第1のエンドシャフトは、ステアリングホイールエンドシャフトであり、前記第2のエンドシャフトは、ステアリングデバイスエンドシャフトであり、及び/又は、前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトのうちの一方は、中空構造であり、他方の軸方向の一部は、前記中空構造内に入り込み、かつ該一部の外周面は、前記中空構造の内周面と径方向に間隔をあけて配置されて前記スライダーを収容する。
【0008】
好ましくは、前記他方の軸方向の前記一部は、第1の軸部と第2の軸部を有し、前記第1の軸部の外周面と前記中空構造の内周面との間の径方向の間隔は、前記第2の軸部の外周面と前記中空構造の内周面との間の径方向の間隔より小さく、連結位置で、前記スライダーは、外側壁が前記中空構造の内周面と結合され、内側壁が前記第1の軸部の外周面と結合される。
【0009】
好ましくは、前記スライダーは、前記中空構造と常時スプライン結合され、かつ前記連結位置で前記第1の軸部とスプライン結合される。
【0010】
好ましくは、前記スライダーは、スリーブであり、前記スリーブは、前記第1のエンドシャフト及び前記第2のエンドシャフトと同軸に配置される。
【0011】
好ましくは、前記駆動部材は、前記中空構造の外部に位置し、前記中空構造の側壁には、前記駆動部材を前記スライダーに接続するための開口が形成される。
【0012】
好ましくは、前記中空構造の外側には、軸受が同軸に設けられ、前記スライダーは、前記軸受の内輪に固定的に接続され、前記軸受の外輪が駆動部材に接続される。
【0013】
好ましくは、前記スライダーの外側壁には、取付部品が形成され、該取付部品は、前記中空構造の側壁の開口から前記中空構造の外部に延出して、前記駆動部材に接続され、該取付部品には、前記軸受の内輪の両端の端面にそれぞれ当接するストッパ構造が設けられる。
【0014】
好ましくは、前記軸受は、軸受取付リング内に取り付けられ、前記軸受取付リングの外周面には、前記駆動部材を接続する接続部が形成され、前記軸受取付リングの内周面には、周回方向に沿って前記軸受の外輪の下端の端面に当接する径方向段差が形成される。
【0015】
好ましくは、前記駆動部材は、電動駆動部材であり、
前記電動駆動部材は、
駆動力を提供する動力素子と、
前記動力素子の出力軸と同期回転するように接続されたねじ棒と、
前記ねじ棒にねじ接続されると共に、前記スライダーに接続され、前記ねじ棒の回転を前記スライダーの軸方向平行移動に変換するスクリュー伝動機構と、を含む。
【0016】
前記クラッチ機構は、クラッチ機構ハウジングをさらに含み、前記中空構造は、前記クラッチ機構ハウジング内に軸方向に回転可能に取り付けられ、前記駆動部材は、前記クラッチ機構ハウジングの外側に取り付けられると共に前記クラッチ機構ハウジングに固定される。
【0017】
好ましくは、前記中空構造の下部には、円周方向に互いに間隔をあけて配置された複数の円弧状板が形成され、前記他方の軸方向の前記一部は、前記複数の円弧状板によって囲まれた円形空間内に入り込み、ベースには、前記複数の円弧状板の構造に対応する複数の円弧状穴が形成され、前記複数の円弧状板の下端は、前記複数の円弧状穴から前記ベース内に挿入されると共に、前記ベースに固定され、前記ベースと前記クラッチ機構ハウジングとの間の径方向の間隔内には、第1の軸受が同軸に取り付けられ、前記中空構造の上部と前記クラッチ機構ハウジングとの間の径方向の間隔内には、第2の軸受が同軸に取り付けられる。
【0018】
好ましくは、前記クラッチ機構ハウジングの軸方向の両側の対向位置には、径方向に外向きに突出する接続部が設けられ、前記動力素子の動力素子ハウジングは、前記クラッチ機構ハウジングの軸方向の片側の接続部に固定的に取り付けられ、前記ねじ棒は、前記クラッチ機構ハウジングの軸方向の他側の接続部に軸方向に回転可能に取り付けられ、及び/又は、
前記クラッチ機構ハウジングには、前記クラッチ機構ハウジングを車体に固定するアダプタがさらに設けられる。
【0019】
本願の第1の態様に係るクラッチ機構に基づいて、本願の第2の態様は、第1のエンドシャフトと、第2のエンドシャフトと、前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトを分離又は連結するクラッチ機構と、を含み、前記クラッチ機構が、本願の第1の態様に記載のクラッチ機構である、ステアリングシステムを提供する。
【0020】
好ましくは、前記ステアリングシステムは、前記第1のエンドシャフトの分離状態でのねじりトルクに基づいて、前記第1のエンドシャフトに逆のフィードバックトルクを加えて、前記第1のエンドシャフトに伝動接続されたステアリングホイールの操作感を向上させるトルクフィードバック機構をさらに含む。
【0021】
好ましくは、前記トルクフィードバック機構は、
前記第1のエンドシャフトの分離状態でのねじりトルクを検出するトルク検出素子と、
駆動力を提供する動力素子と、
前記駆動力を前記第1のエンドシャフトに伝達して前記第1のエンドシャフトに逆のフィードバックトルクを加える伝動機構と、
前記トルク検出素子によって検出されたねじりトルクに基づいて前記動力素子が前記駆動力を提供するように制御するコントローラーと、を含む。
【0022】
好ましくは、前記ステアリングシステムは、分離終了後に、前記クラッチ機構が前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトを連結できるように前記第1のエンドシャフトを駆動して復帰させる復帰機構をさらに含む。
【0023】
好ましくは、前記復帰機構は、
前記第1のエンドシャフトの分離前のステアリング角度と前記第1のエンドシャフトの分離終了後のステアリング角度を検出する角度検出素子と、
駆動力を提供する動力素子と、
前記駆動力を前記第1のエンドシャフトに伝達して前記第1のエンドシャフトが分離前のステアリング角度に復帰するように駆動する伝動機構と、
前記角度検出素子によって検出されたステアリング角度に基づいて前記動力素子が前記駆動力を提供するように制御するコントローラーと、を含む。
【0024】
好ましくは、前記動力素子は、モータであり、前記伝動機構は、前記モータの出力軸と同期回転するように接続された第1の歯車と、前記第1のエンドシャフトと同期回転するように接続された第2の歯車とを含み、前記第1の歯車は、前記第2の歯車と噛み合い、前記第1の歯車の外径は、前記第2の歯車の外径より小さい。
【0025】
好ましくは、前記第2の歯車は、前記第1のエンドシャフトに同軸に固定され、前記第1のエンドシャフトの外側壁には、前記第2の歯車の軸方向の両端の端面にそれぞれ当接可能な保持構造が設けられ、前記第1のエンドシャフトの外側壁には、突起が形成され、前記第2の歯車の内輪縁部には、前記突起に対応してノッチが形成され、前記突起が前記ノッチ内に収容される。
【0026】
好ましくは、前記ステアリングシステムには、分離状態で前記第1のエンドシャフトの回転角度範囲を制限するストッパ機構がさらに設けられる。
【0027】
好ましくは、前記第1のエンドシャフトは、中空構造であり、前記第2のエンドシャフトの軸方向の一部は、前記中空構造内に入り込み、前記ストッパ機構は、前記中空構造内に位置する前記第2のエンドシャフトの端にねじ接続されたストッパナットを含み、前記ストッパナットの外周面には、前記中空構造の内周面とスプライン係合する雄スプラインが形成され、前記中空構造の内周面及び/又は前記第2のエンドシャフトの外周面には、前記ストッパナットの軸方向の両側の変位量を制限するストッパ部がさらに設けられる。
【0028】
好ましくは、前記第2のエンドシャフトは、同軸に設けられたステアリングスリーブ及びステアリングシャフトを含み、前記ステアリングシャフトは、前記ステアリングスリーブ内に入り込むと共に前記ステアリングスリーブと同期回転するように接続され、前記ステアリングスリーブは、前記中空構造内に位置し、前記ステアリングスリーブの外周面には、前記ストッパナットをねじ接続する雄ねじと、前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトを連結するように前記スライダーとスプライン結合する雄スプラインとが加工される。
【0029】
好ましくは、前記ステアリングスリーブは、スリーブ軸受により前記第1のエンドシャフト内に支持され、前記ステアリングスリーブの外周面には、前記スリーブ軸受の内輪の両端の端面に当接するストッパ構造が形成され、前記スリーブ軸受の外輪は、前記第1のエンドシャフトに固定的に接続される。
【0030】
好ましくは、前記第1のエンドシャフトは、ステアリングホイールエンドシャフトであり、前記第2のエンドシャフトは、ステアリングデバイスエンドシャフトである。
【0031】
本願の第2の態様に係るステアリングシステムに基づいて、本願の第3の態様は、本願の第2の態様に記載のステアリングシステムを含む自動車を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本願に係る技術手段は、以下の有益な効果を有する:
本願では、第1のエンドシャフトと第2のエンドシャフトは、同軸に配置されると共に径方向に間隔をあけて配置され、クラッチ機構は、スライダー及び駆動部材を含み、スライダーは、前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトとの間の径方向の間隔内に収容され、かつ駆動部材の駆動により前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトの軸方向に沿って移動可能に構成されることにより、前記第1のエンドシャフトと前記第2のエンドシャフトの分離又は連結を実現する。該クラッチ機構は、自動車のステアリングシステムに適用可能であり、このときに第1のエンドシャフトは、ステアリングホイールエンドシャフトとして使用され、第2のエンドシャフトは、ステアリングデバイスエンドシャフトとして使用され、第1のエンドシャフトと第2のエンドシャフトが連結される場合、自動車が通常運転モードに入り、ユーザがステアリングホイールを操作すると車輪をステアリングする。第1のエンドシャフトと第2のエンドシャフトが分離されている場合、自動車がゲームモードに入り、ユーザがステアリングホイールを操作して回しても車輪をステアリングすることない。これにより、自動車がゲームモードに入った後、車輪と地面との静止摩擦が繰り返されることによりタイヤの磨耗を引き起こすことを回避することができるため、自動車のゲームシナリオの実現に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】従来の自動車のステアリングシステムの概略構成図である。
【
図2】一部の断面構造を有する従来の自動車のステアリングシステムの概略構成図である。
【
図3】本願の実施形態に係る、クラッチ機構が取り付けられた自動車のステアリングシステムの概略構成図である。
【
図4】本願の実施形態に係るクラッチ機構、ステアリングホイールエンドシャフト及びステアリングデバイスエンドシャフトの分解図である。
【
図5】本願の実施形態に係るステアリングシステムの縦断面図である。
【
図6】本願の実施形態に係るステアリングシステムの別の縦断面図である。
【
図7】本願の実施形態に係る自動車の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本願の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで記述した具体的な実施形態が本願を説明し解釈するためのものにすぎず、本願を限定するものではないことを理解されたい。
【0035】
本願では、特に説明しない限り、「上、下、左、右」のような方位の用語は、一般的には、図面に示す上、下、左、右を意味する。「内、外」は、部材自体の輪郭に対する内と外を意味する。
【0036】
自動車のステアリングシステムは、ステアリングホイールと車輪との間の駆動接続を実現し、ユーザがステアリングホイールを操作して回す場合、自動車のステアリングシステムにより車輪を偏向させることにより、自動車の走行方向の制御を実現することができる。
【0037】
図1~
図2は、従来技術における自動車のステアリングシステムの概略構成図である。自動車のステアリングシステムは、ステアリングホイールエンドシャフトAとステアリングデバイスエンドシャフトBを含む。ステアリングホイールエンドシャフトAとは、ステアリングホイールに伝動接続された回転軸を指し、ステアリングデバイスエンドシャフトBとは、車輪に伝動接続された回転軸を指す。ステアリングホイールエンドシャフトAとステアリングデバイスエンドシャフトBは、固定的に接続され、分離することはできない。ゲームモードでは、ユーザがステアリングホイールを操作して回すと車輪が偏向してタイヤの磨耗が深刻である。
【0038】
図3~
図6に示すように、該技術的問題を解決するために、本願の実施形態の第1の態様は、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトとの間に取り付けられ、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトを分離又は連結するクラッチ機構100を提供する。ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトとの分離又は連結を実現するために、従来のステアリングホイールエンドシャフトAとステアリングデバイスエンドシャフトBの構造を改善する必要がある。本願の実施形態では、上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトは、同軸に配置されると共に径方向に間隔をあけて配置され、クラッチ機構100は、スライダー14及び駆動部材を含み、スライダー14は、上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトとの間の径方向の間隔内に収容され、かつ上記駆動部材の駆動により上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトの軸方向に沿って移動可能に構成されることにより、上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトの分離又は連結を実現する。ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトが連結されている場合、自動車が通常運転モードに入り、ユーザがステアリングホイールを操作すると車輪はステアリングする。ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトが分離されている場合、自動車がゲームモードに入り、ユーザがステアリングホイールを操作して回しても車輪がステアリングすることはない。これにより、自動車がゲームモードに入った後、車輪と地面との静止摩擦が繰り返されることによりタイヤの磨耗を引き起こすことを回避できるため、自動車のゲームシナリオの実現に有利である。
【0039】
なお、本願の実施形態に係るクラッチ機構は、さらに分離又は連結を必要とする他の場合に適用されてもよく、自動車のステアリングシステムに限定されず、即ち、クラッチ機構は、分離又は連結を必要とするいかなる第1のエンドシャフトと第2のエンドシャフトとの分離又は連結に用いられてもよい。本願の以下の実施形態では、第1のエンドシャフトがステアリングホイールエンドシャフトであり、第2のエンドシャフトがステアリングデバイスエンドシャフトである場合を例として、クラッチ機構及びステアリングシステムの具体的な構造と動作原理を説明する。
【0040】
具体的には、上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトのうちの一方は、中空構造であり、他方の軸方向の一部は上記中空構造内に入り込み、かつ該一部の外周面は、上記中空構造の内周面と径方向に間隔をあけて配置されて上記スライダー14を収容し、上記他方の軸方向の一部は、第1の軸部54と第2の軸部55を有し、上記第1の軸部54の外周面と上記中空構造の内周面との間の径方向の間隔は、上記第2の軸部55の外周面と上記中空構造の内周面との間の径方向の間隔とは異なる。
【0041】
例えば、上記第1の軸部54の外周面と上記中空構造の内周面との間の径方向の間隔が、上記第2の軸部55の外周面と上記中空構造の内周面との間の径方向の間隔より小さい。スライダー14が上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトの軸方向に沿って上記第1の軸部54と上記中空構造との間の径方向の間隔内に位置するように移動する場合、スライダー14の内側壁が上記第1の軸部54の外周面と結合され、スライダー14の外側壁が上記中空構造の内周面と結合されることにより、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトが連結され、自動車が通常運転モードに入り、スライダー14が上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトの軸方向に沿って上記第2の軸部55と上記中空構造との間の径方向の間隔内に位置するように移動する場合、スライダーが上記第2の軸部55と上記中空構造のうちの一方のみと結合され、上記第2の軸部55と上記中空構造のうちの他方と脱離することにより、上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトとの分離を実現し、自動車がゲームモードに入る。
【0042】
上記スライダー14と上記中空構造、上記第1の軸部54又は上記第2の軸部55との結合方式は、様々であってもよい。例えば、溝と突起が係合する結合方式、又はスプライン係合する結合方式などである。好ましい実施形態では、上記スライダー14は、上記中空構造、上記第1の軸部54又は上記第2の軸部55とスプライン結合される。
【0043】
具体的には、例えば、上記第1の軸部54の径方向寸法が上記第2の軸部55の径方向寸法より大きい。上記中空構造と上記第1の軸部54との間の径方向の間隔は、上記中空構造と上記第2の軸部55との間の径方向の間隔より小さい。上記スライダー14が上記第1の軸部54と上記中空構造との間の径方向の間隔内に移動する場合、上記スライダー14の外側壁が上記中空構造の内周面とスプライン結合され、上記スライダー14の内側壁が上記第1の軸部54の外周面とスプライン結合され、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトは、連結状態にある。上記スライダー14が上記第2の軸部55と上記中空構造との間の径方向の間隔内に移動する場合、上記スライダー14の内側壁が上記第2の軸部55の外周面と径方向に間隔をあけて配置されて分離状態となり、上記スライダー14の外側壁が上記中空構造の内周面とスプライン結合され、このときにステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトは、分離状態となり、ステアリングホイールの回転トルクは、ステアリングデバイスエンドシャフトに伝達されない。即ち、上記スライダー14の外側壁は上記中空構造の内周面と常時スプライン結合状態にあり、上記スライダー14の内側壁は連結状態でのみ上記第1の軸部54の外周面とスプライン結合される。
【0044】
上記機能を実現するために、上記スライダー14の外側壁及び内側壁には、いずれもスプラインが形成され、上記中空構造の内周面及び上記第1の軸部54の外周面にも、スプラインが形成される。なお、上記スライダー14の内側壁とは、スライダー14の上記ステアリングデバイスエンドシャフトに面する側の側壁を指し、上記スライダーの外側壁とは、スライダー14の上記中空構造に面する側の側壁を指す。
【0045】
上記スライダー14の具体的な構造は、様々であり、例えば、上記中空構造が中空円筒体であり、上記第1の軸部54及び上記第2の軸部55がいずれも円筒軸である。上記スライダー14は、スリーブであってもよく、上記スリーブは、上記ステアリングホイールエンドシャフト1及び上記ステアリングデバイスエンドシャフトと同軸に配置される。即ち、上記スリーブは、上記第1の軸部54及び上記第2の軸部55の外側に外嵌され、スリーブの内周面及び外周面には、いずれもスプラインが形成される。第1の軸部54の外周面には、上記スリーブの内周面のスプラインに対応して雄スプラインが形成され、中空円筒体の内周面には、上記スリーブの外周面のスプラインに対応して雌スプラインが形成される。このように、スリーブが軸方向に平行移動するときに、第1の軸部54とのスプライン結合又は分離により、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトとの連結又は分離を実現することができる。
【0046】
上記駆動部材は、スライダー14に接続され、スライダー14を軸方向に沿って平行移動するように駆動させ、好ましくは、駆動部材は、上記中空構造の外側に取り付けられる。駆動部材とスライダーとの接続を実現できるために、上記中空構造の外側壁には、開口が形成される。上記スライダー14には、該開口から中空構造の外側に延出し、上記駆動部材との接続に用いられる取付部品が形成される。
【0047】
ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトが連結されると、スライダー14は、ステアリングホイールエンドシャフト1と共に同期回転する。例えば、駆動部材が電動駆動部材であることを例とすると、駆動部材が制御装置に電気的に接続される必要があり、駆動部材もスライダーと共に回転すれば、駆動部材に接続されるワイヤーの断線を回避するために、一般的に、クロックスプリングを取り付ける必要があり、これは、クラッチ機構の取り付けの難しさを増加させるだけでなく、クラッチ機構のコストを増加させる。
【0048】
なお、「クロックスプリング」は、回転コネクタ、エアバッグヘアスプリング、スパイラルケーブルとも呼ばられ、らせん状のワイヤーハーネスである。クロックスプリングは、所定長のハーネスとして構成され、巻線構成になっている。ステアリングホイールエンドシャフト1と共に回転するときに、ハーネスは、適宜逆方向に緩めたり、よりきつく巻いたりすることができ、かつステアリングホイールエンドシャフト1を左右にいっぱいに切ったときに断線しない。クロックスプリングは、車両に一般的に使用されるワイヤハーネスであるため、ここで説明を省略する。
【0049】
この技術的問題を解決するために、本願のいくつかの実施形態では、上記中空構造の外側には、軸受12が同軸に設けられ、上記スライダー14は、上記軸受12の内輪に固定的に接続され、上記軸受12の外輪が駆動部材に接続される。このように、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトとの連結又は分離を実現するように、上記駆動部材は、上記軸受12が上記中空構造の軸方向に沿って平行移動するように駆動することにより、上記スライダー14が上記中空構造の軸方向に沿って平行移動するように駆動することができる。そして、スライダー14が上記中空構造と共に同期回転する場合、軸受12の内輪は、スライダー14と共に回転し、軸受12の外輪は、影響を受けず、駆動部材が軸受12の外輪に接続されるため、駆動部材は、スライダー14の回転による影響を受けない。即ち、軸受12が設けられることにより、スライダー14の軸方向の回転は、駆動部材に伝達されないため、スライダー14が駆動部材を回転するように駆動することを回避する。これにより、駆動部材が自動車の他の相対的に静止している部材に取り付けられてもよいため、駆動部材に接続されるクロックスプリング(スパイラルケーブルとも呼ばれる)を提供する必要がなく、クラッチ機構100の取り付けの難しさ、設計の難しさ及びコストを低減する。
【0050】
上記スライダー14と上記軸受12の内輪を固定的に接続するために、上記スライダー14の外側壁には、取付部品が形成され、該取付部品は、上記中空構造の側壁の開口から上記中空構造の外部に延出し、該取付部品には、上記軸受12の内輪の両端の端面にそれぞれ当接する保持構造が設けられる。具体的には、上記取付部品の上記軸受の内輪に面する側には、上記軸受の内輪の下端の端面に当接する保持面が形成され、また、上記取付部品の上記軸受の内輪に面する側には、溝がさらに形成され、ストッパリング11が該溝内に挿入され、かつストッパリング11が軸受12の内輪の上端の端面に当接することにより、軸受12の内輪をスライダー14に固定し、かつ軸受12がスライダー14に対して軸方向に変位することを回避することができる。
【0051】
上記軸受12が駆動部材に接続され、上記軸受12と上記駆動部材との接続の難しさを低減するために、上記軸受12は、軸受取付リング13内に取り付けられ、軸受取付リング13により上記駆動部材に接続される。具体的には、上記軸受取付リング13の外周面には、径方向外向きに突出する接続部が形成され、該接続部には貫通穴が形成されてもよく、駆動部材には、該接続部に対応して該接続部と係合する係合部材が形成され、係合部材には取付穴が形成され、上記貫通穴及び上記取付穴を貫通するボルトなどの接続部品により両者を固定することができる。
【0052】
上記軸受12は、軸受取付リング13内に締まり嵌めで取り付けられてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、上記軸受取付リング13の内周面には径方向段差が形成されてもよく、該径方向段差が上記軸受12の外輪の下端の端面に当接することにより、軸受12の軸受取付リング13に対する取付安定性を向上させることができる。
【0053】
上記駆動部材は、手動駆動部材であってもよく、電動駆動部材であってもよく、クラッチ機構の自動化レベルを向上させるために、本願のいくつかの好ましい実施形態では、上記駆動部材を電動駆動部材とする。具体的には、上記電動駆動部材は、駆動力を提供する動力素子と、上記動力素子の出力軸と同期回転するように接続されたねじ棒33と、上記ねじ棒33にねじ接続されると共に、上記スライダー14に接続され、上記ねじ棒33の回転を上記スライダー14の平行移動に変換するスクリュー伝動機構34と、を含む。
【0054】
より具体的には、上記動力素子は、モータ31であってもよく、上記ねじ棒33は、上記モータ31の出力軸と同軸に固定されてもよい。例えば、上記ねじ棒33のうち上記モータの出力軸に近い端には、取付溝が形成され、上記モータ31の出力軸が該取付溝内に挿入されて固定される。上記スクリュー伝動機構34は、ねじナットであってもよく、該ねじナットは、ねじ棒33にねじで取り付けられると共に、上記スライダー14に固定的に接続される。好ましくは、上記ねじナットは、上記軸受取付リング13の接続部に固定的に接続されてもよい。
【0055】
ねじ棒33の軸方向は、ステアリングホイールエンドシャフト1及びステアリングデバイスエンドシャフトの軸方向に平行であり、モータ31は、自動車のコントローラーに接続され、自動車のコントローラーは、自動車の電気素子の信号を受信し、かつ電気素子に制御命令を送信して、対応する動作を該電気素子に実行させることができる。具体的には、コントローラーは、分離又は連結信号を受信し、かつ分離又は連結信号に基づいてモータ31を回転するように制御することができ、モータ31が回転する場合、ねじ棒33がそれと共に同期回転して、ねじナット34がねじ棒33の軸方向に沿って平行移動するように駆動し、ねじナット34が軸方向に平行移動する場合、スライダー14がそれと共に軸方向に平行移動するように駆動することにより、上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトとを分離又は連結する。
【0056】
上記駆動部材を容易に取り付けるために、好ましい実施形態では、上記クラッチ機構は、クラッチ機構ハウジング41をさらに含み、上記中空構造は、上記クラッチ機構ハウジング41内に軸方向に回転可能に取り付けられ、上記駆動部材は、上記クラッチ機構ハウジング41の外側に取り付けられる。
【0057】
具体的には、上記クラッチ機構ハウジングは、中空円筒状構造であってもよく、上記クラッチ機構ハウジング41の軸方向の両側には、径方向に外向きに突出する接続部が設けられ、上記動力素子の動力素子ハウジングは、上記中空円筒状構造の軸方向の片側の接続部に固定的に取り付けられ、上記ねじ棒33は、上記中空円筒状構造の軸方向の他側の接続部に軸方向に回転可能に取り付けられる。
【0058】
図4に示すように、上記クラッチ機構ハウジングの上端の外周縁部には、第1の取付ブロックが設けられ、クラッチ機構ハウジングの下端の外側には、第2の取付ブロックが設けられ、本願のいくつかの好ましい実施形態では、第1の取付ブロックと第2の取付ブロックは、構造が異なってもよく、垂直方向に互いに対向する。
【0059】
第1の取付ブロックには、第1の貫通穴が形成され、動力素子、例えばモータ31の動力素子ハウジングは、中間アダプターブラケット32により第1の取付ブロックに固定される。具体的には、
図4に示すように、中間アダプターブラケット32は、略長方体形状であってもよく、中間には、厚さ方向に沿って寸法が大きい取付穴が形成され、モータ31の出力軸は、該取付穴を貫通すると共にねじ棒33の上端に固定的に接続され、取付穴の周囲には、複数の寸法が小さい位置決め穴がさらに形成され、ねじなどの接続部品が該位置決め穴を貫通すると共にモータ31の動力素子ハウジングにねじ接続されることにより、モータ31の動力素子ハウジングを中間アダプターブラケット32に固定的に接続する。中間アダプターブラケット32の側壁には、第1の取付ブロックの第1の貫通穴に対応して第2の貫通穴が形成され、第1の貫通穴及び第2の貫通穴を貫通するボルトなどの接続部品により中間アダプターブラケット32を第1の取付ブロックに固定的に接続することができる。
【0060】
第2の取付ブロックには、貫通穴が形成され、回転軸受43は、該貫通穴に固定され、ねじ棒33の下端は、該回転軸受43を貫通すると共に該回転軸受に固定される。これにより、モータ31の出力軸が回転する場合、ねじ棒33は、出力軸と共に同期回転することができ、かつクラッチ機構ハウジング41を回転させることない。
【0061】
具体的に実施する場合、クラッチ機構ハウジング41は、自動車の他の静止している部材、例えばステアリングコラム取付ハウジング200に固定される。クラッチ機構ハウジング41を他の部材に容易に接続するために、上記クラッチ機構ハウジングには、アダプタ42がさらに形成される。該アダプタ42によりクラッチ機構ハウジング41を他の静止している部材に接続することができる。
【0062】
自動車が通常運転モードにあるか又はゲームモードにあるかにかかわらず、クラッチ機構ハウジング41は、自動車に対して静止している。しかしながら、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトが回転する状態にある可能性があるため、中空構造を上記クラッチ機構ハウジング41内に軸方向に回転可能に取り付ける必要がある。この機能を実現するために、上記中空構造の上記クラッチ機構ハウジング41内に入り込む部分の上下両側には、それぞれ軸受が設けられ、中空構造が軸受の内輪に固定的に接続され、軸受の外輪がクラッチ機構ハウジングに固定的に接続される。
【0063】
具体的な実施形態では、上記中空構造の下部には、円周方向に互いに間隔をあけて配置された複数の円弧状板が形成され、ステアリングホイールエンドシャフト及びステアリングデバイスエンドシャフトのうち他方の軸方向の一部は、上記複数の円弧状板によって囲まれた円形空間内に入り込む。
【0064】
説明を容易にするために、以下、中空構造がステアリングホイールエンドシャフト1であり、上記他方がステアリングデバイスエンドシャフトであることを例として説明する。
【0065】
具体的には、スライダー14が上記円弧状板の内側壁と上記ステアリングデバイスエンドシャフトの外周面との間に収容され、かつスライダー14の取付部品が隣接する2つの円弧状板間の隙間を通って中空構造の外側に延出して、中空構造の外側の駆動部材に接続される。
【0066】
円弧状板の内側壁には、上記スライダーとスプライン結合する雌スプラインが形成される。ステアリングデバイスエンドシャフトの中空構造内に位置する部分は、下部の径方向寸法がその上部の径方向寸法より大きく、下部の外周面には、スライダーとスプライン結合する雄スプラインが形成される。
【0067】
上記複数の円弧状板の下端は、上記ベース61に挿入されて固定され、径方向における上記ベース61と上記クラッチ機構ハウジング41との間の径方向の間隔内には、第1の軸受62が同軸に取り付けられ、上記中空構造の上部と上記クラッチ機構ハウジング41との間の径方向の間隔内には、第2の軸受4が同軸に取り付けられる。具体的には、ベース61は、例えば円柱形構造であってもよく、該円柱形構造の上端端板には、円弧状板に対応して円弧状穴が形成される。円弧状板は、該円弧状穴からベース61内に挿入されてもよい。円弧状板の下端には、貫通穴がさらに形成され、円柱形構造の側壁には、該貫通穴に対応する取付穴が形成され、円弧状板は、円柱形構造に挿入した後、円柱形構造の内側壁にフィットすることができ、このときに、円弧状板の貫通穴が円柱形構造の側壁の取付穴と連通し、ねじなどにより円弧状板をベースと固定することができる。
【0068】
ベース61の外周面には、上記第1の軸受62が取り付けられる。具体的には、上記第1の軸受62は、例えば、ベース61の外周面に締まり嵌めで取り付けられてもよい。さらに、第1の軸受62の取付安定性を向上させるために、上記ベース61の外周面には、上記第1の軸受62の内輪の両端の端面にそれぞれ当接可能な第1のストッパ構造が形成される。
【0069】
図5~
図6に示すように、具体的には、上記第1のストッパ構造は、上記ベース61の外周面に形成された第1のストッパ面を含み、該第1のストッパ面は、第1の軸受62の内輪の上端の端面に当接する。さらに、第1のストッパ構造は、ベース61の外側壁に取り付けられた第1のストッパリング63をさらに含み、該第1のストッパリング63は、第1の軸受62の内輪の下端の端面に当接する。
【0070】
上記第1のストッパリング63を取り付けるために、ベース61の外周面には、周回方向に沿って溝が形成され、第1のストッパリング63は、該溝に取り付けられてもよい。
【0071】
同様に、上記第2の軸受4を中空構造の上部に安定して取り付けるために、上記中空構造の上部の外周面には、上記第2の軸受4の内輪の両端の端面にそれぞれ当接可能な第2のストッパ構造が形成される。具体的には、上記第2のストッパ構造は、上記中空構造の外周面に形成された第2のストッパ面を含み、該第2のストッパ面は、第2の軸受4の内輪の上端の端面に当接する。さらに、第2のストッパ構造は、中空構造の外側壁に取り付けられた第2のストッパリング5をさらに含み、該第2のストッパリング5は、第2の軸受4の内輪の下端の端面に当接する。
【0072】
上記第2のストッパリング5を取り付けるために、中空構造の外周面には、周回方向に沿って溝が形成され、第2のストッパリング5は、該溝に取り付けられてもよい。
【0073】
第1の軸受62と第2の軸受4の外輪は、いずれもクラッチ機構ハウジング41に固定的に接続される。
【0074】
本願の実施形態の第1の態様に係るクラッチ機構に基づいて、本願の実施形態の第2の態様は、ステアリングホイールエンドシャフト1と、ステアリングデバイスエンドシャフトと、上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトを分離又は連結するクラッチ機構100と、を含み、上記クラッチ機構100が、本願の実施形態の第1の態様に記載のクラッチ機構である、ステアリングシステムを提供する。
【0075】
上記クラッチ機構によりステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトとを分離した後、自動車は、ゲームモードに入る。ゲームモードでは、ユーザがステアリングホイールを操作する際にいかなる抵抗を受けないため、ステアリングホイールの操作感に影響を与えて、ユーザの娯楽体験を低下させる。
【0076】
この技術的問題を解決するために、本願の実施形態は、ステアリングシステムをさらに改善する。具体的には、上記ステアリングシステムは、トルクフィードバック機構をさらに含み、上記トルクフィードバック機構は、分離状態での上記ステアリングホイールエンドシャフト1のねじりトルクに基づいて、上記ステアリングホイールエンドシャフト1に逆のフィードバックトルクを加えて上記ステアリングホイールエンドシャフト1の回転を妨げることにより、ステアリングホイールの操作感を向上させる。
【0077】
トルクフィードバック機構がねじりトルクに基づいてステアリングホイールに逆のフィードバックトルクを加えることにより、ユーザがステアリングホイールを操作してステアリングするときにステアリングホイールに一定の抵抗を加えて、ユーザがゲームモードでステアリングホイールを操作して回すときに、実際の路面での実際の運転と同じように、一定の「重い」感覚を感じさせ、ユーザがゲーム娯楽に自動車を使用する操作体験を向上させる。
【0078】
フィードバックトルクと検出されたねじりトルクとの対応関係は、試験により確立されると共に、コントローラーに予め格納され、コントローラーが、検出されたねじりトルクに基づいてトルクフィードバック機構から出力されるフィードバックトルクの大きさを制御することにより、ユーザに最適なケーム体験を与えることができる。
【0079】
上記トルクフィードバック機構の構造は、様々であってもよい。好ましい実施形態では、上記トルクフィードバック機構は、上記ステアリングホイールエンドシャフト1の分離状態でのねじりトルクを検出するトルク検出素子と、駆動力を提供する動力素子と、上記駆動力を上記ステアリングホイールエンドシャフト1に伝達して上記ステアリングホイールエンドシャフト1に逆のフィードバックトルクを加える伝動機構と、上記トルク検出素子によって検出されたねじりトルクに基づいて上記動力素子が上記駆動力を提供するように制御するコントローラーと、を含む。
【0080】
具体的には、上記トルク検出素子は、例えばトルクセンサであってもよく、上記動力素子は、例えばモータ23であってもよく、上記コントローラーは、例えば、ワンチップマイコン又はプログラマブルロジックコントローラなどであってもよく、コントローラーは、検出されたねじりトルクの大きさに基づいて、モータの入力電流を制御することによりモータ23から出力される駆動力を変化させることができる。
【0081】
上記モータ23は、電動機モードで動作することによりステアリングホイールエンドシャフト1に逆のフィードバックトルクを加える。好ましくは、上記モータ23が発電機モードにあるように制御することにより、上記ステアリングホイールエンドシャフト1に逆のフィードバックトルクを加えることもできる。具体的には、ユーザがステアリングホイールを操作して回すと、ステアリングホイールエンドシャフト1を回転させ、かつモータ23のローターに伝動接続されるため、モータ23のローターを回転するように駆動することにより、モータ23が発電機モードにある。
【0082】
駆動力は、伝動機構によりステアリングホイールエンドシャフト1に伝達され、伝動機構は、例えば、伝動ベルトであってもよい。例えば、モータの出力軸に第1のローラーを取り付け、ステアリングホイールエンドシャフト1に第2のローラーを取り付け、第1のローラーと第2のローラーは、両者に取り付けられた伝動ベルトにより伝動接続される。
【0083】
好ましい実施形態では、トルクフィードバック機構の体積を減少させて、トルクフィードバック機構の取付を容易にするために、以下のようにする。上記伝動機構は、上記モータの出力軸と同期回転するように接続された第1の歯車21と、上記ステアリングホイールエンドシャフト1と同期回転するように接続された第2の歯車2とを含み、上記第1の歯車21は、上記第2の歯車2と噛み合う。第1の歯車21は、モータ23の出力軸に同軸に固定されてもよく、第2の歯車2は、ステアリングホイールエンドシャフト1に同軸に固定されてもよく、モータ23の出力軸は、上記ステアリングホイールエンドシャフト1に平行であり、モータ23から出力される駆動力が第1の歯車21、第2の歯車2によりステアリングホイールエンドシャフト1に伝達されることにより、ステアリングホイールエンドシャフト1にフィードバックトルクを加えることができる。
【0084】
好ましくは、上記第1の歯車21の直径は、上記第2の歯車2の直径より小さい。該構造の伝動機構による伝動は、速度を低下させ、トルクを増加させる役割を果たし、即ち、伝動機構が回転速度の出力を低下させると共にトルク出力を増加させることができるため、寸法が小さいモータ23を選択して大きいトルクをフィードバックすることにより、トルクフィードバック機構の占める空間及び体積の減少に有利である。
【0085】
好ましい実施形態では、上記第2の歯車2は、以下の方式で上記ステアリングホイールエンドシャフト1と同軸に固定される。具体的には、上記第2の歯車2は、環状のリングギアであり、該環状のリングギアが上記ステアリングホイールエンドシャフト1の外側に外嵌され、上記ステアリングホイールエンドシャフト1の外側壁には、上記第2の歯車2の軸方向の両端の端面にそれぞれ当接可能な保持構造が設けられる。
【0086】
図5~
図6に示すように、より具体的には、保持構造は、上記ステアリングホイールエンドシャフト1の外周面に形成された保持面を含み、該保持面は、第2の歯車2の上端の端面に当接して、第2の歯車2がステアリングホイールエンドシャフト1に対して軸方向に上向きに変位することを回避し、さらに、保持構造は、ステアリングホイールエンドシャフト1の外側壁に同軸に取り付けられた保持リング3をさらに含み、該保持リング3は、第2の歯車2の下端の端面に当接して、第2の歯車2がステアリングホイールエンドシャフト1に対して軸方向に下向きに変位することを回避する。上記保持リング3を取り付けるために、ステアリングホイールエンドシャフト1の外側壁には、周回方向に沿って溝が形成され、保持リング3は、該溝に挿入されて固着される。
【0087】
上述したように、第2の歯車2は、ステアリングホイールエンドシャフト1と同期回転するように接続され、この機能を実現するために、上記ステアリングホイールエンドシャフト1の外側壁には突起が形成され、上記第2の歯車2の内輪縁部には、上記突起に対応してノッチが形成され、上記突起が上記ノッチ内に収容される。これにより、第2の歯車2がステアリングホイールエンドシャフト1に対して円周方向に変位することを回避することができる。
【0088】
自動車のゲームモードが終了した後、自動車が通常運転モードに入るようにステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトを連結する必要がある。上記クラッチ機構によりステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトを連結するときに、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトが互いに位置合わせされる状態にある必要がある。クラッチ機構がステアリングホイールエンドシャフト1及びステアリングデバイスエンドシャフトとスプライン結合することを例とする。スリーブ14の雌スプラインの凸部とステアリングデバイスエンドシャフトの雄スプラインの凹部が互いに対向する場合、スリーブ14が移動するとステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトを連結することができる。そうでなければ、スリーブ14は、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトとの連結を実現することができない。
【0089】
しかしながら、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトとが分離されている場合、ユーザがゲーム中にステアリングホイールを操作してステアリングし、ゲームが終了した後、ステアリングホイールが分離前のステアリング角度に位置しない可能性がある。ステアリングホイールの偏向によりステアリングホイールエンドシャフト1の偏向を引き起こし、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトとは位置合わせされなくなる場合、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトとは、ゲーム後の再連結を実現できず、自動車の通常の使用に影響を与える。
【0090】
この技術的問題を解決するために、本願の幾つかの実施では、上記ステアリングシステムは、ゲームモードが終了した後、上記クラッチ機構が上記ステアリングホイールエンドシャフト1と上記ステアリングデバイスエンドシャフトを連結できるように上記ステアリングホイールエンドシャフト1を駆動して復帰させる復帰機構をさらに含む。上記ステアリングホイールエンドシャフト1の復帰とは、ステアリングホイールエンドシャフト1が分離前のステアリング角度になるように回転することを指し、ステアリングホイールエンドシャフト1が分離される前に、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトとは、互いに位置合わせされる状態にある。
【0091】
具体的には、上記復帰機構は、上記ステアリングホイールエンドシャフト1のゲームモード終了前のステアリング角度及びゲームモード終了後のステアリング角度を検出する角度検出素子と、駆動力を提供する動力素子と、上記駆動力を上記ステアリングホイールエンドシャフト1に伝達して上記ステアリングホイールエンドシャフト1が分離前のステアリング角度に復帰するように駆動する伝動機構と、上記角度検出素子によって検出されたステアリング角度に基づいて上記動力素子が上記駆動力を提供するように制御するコントローラーと、を含む。
【0092】
より具体的には、角度検出素子は、角度センサであってもよく、角度センサは、前述したトルクセンサと一体的に統合されてもよい。即ち、トルク角度センサによりステアリングホイールエンドシャフト1のねじりトルク及びステアリングホイールエンドシャフト1のステアリング角度をそれぞれ検出することができる。これにより、トルクフィードバック機構の全体積を減少させ、システムの取付を容易にする。トルク角度センサは、ステアリングホイールエンドシャフト1に取り付けられてもよく、モータ23に統合されてもよく、モータ23の出力軸のねじりトルク及びステアリング角度を検出することにより、ステアリングホイールエンドシャフト1のねじりトルク及びステアリング角度を間接的に検出する。コントローラーがモータ23の出力回転速度及び回転数を正確に制御することにより、ステアリングホイールエンドシャフト1がゲーム終了後に分離前の初期角度に復帰する。
【0093】
上記角度検出素子によって検出されたステアリング角度に基づいて、ステアリングホイールエンドシャフト1を分離前の初期角度に復帰させる場合に対応するモータ23の出力回転速度及び回転数を得ることができ、コントローラーにより動力素子が対応する駆動力を提供するように制御する場合、該駆動力は、モータ23の出力回転速度及び回転数に基づいて計算したものである。
【0094】
上記復帰機構のハードウェア構造は、前述したトルクフィードバック機構のハードウェア構造と同じであってもよい。出力する駆動力の大きさが異なるという点で相違する。トルクフィードバック機構から出力される駆動力は、一般的に比較的小さく、ユーザの操作体験向上のみに用いられる。復帰機構から出力される駆動力は、一般的に比較的大きく、ゲーム終了後にステアリングホイールエンドシャフト1をステアリングして復帰させるように駆動することを目的とする。
【0095】
復帰機構又はトルクフィードバック機構の動力素子は、クラッチ機構のクラッチ機構ハウジングに固定されてもよい。
【0096】
図3~
図4に示すように、本願の好ましい実施形態では、復帰機構又はトルクフィードバック機構の動力素子は、クラッチ機構ハウジングの第1の取付ブロックに固定される。具体的には、上記第1の取付ブロックには、復帰機構又はトルクフィードバック機構の動力素子に対応して取付穴が形成される。上記動力素子は、一般的にモード23であり、モータ23の動力素子ハウジングは、中間アダプターブラケット22により上記第1の取付ブロックに取り付けられる。
【0097】
図4に示すように、中間アダプターブラケット22は、板状構造であり、該板状構造には、寸法が大きい貫通穴が形成され、モータ23の出力軸は、該貫通穴を貫通する。貫通穴の周囲には、複数の小さい位置決め穴が形成され、モータ23の動力素子ハウジングの端部には、該位置決め穴に対応して複数の取付穴が形成され、位置決め穴及び取付穴を貫通するねじなどの接続部品により、モータ23の動力素子ハウジングを中間アダプターブラケット22に固定する。また、中間アダプターブラケット22には、第1の取付ブロックの取付穴に対応して複数の小穴が形成され、小穴及び取付穴を貫通するボルトなどの接続部品により中間アダプターブラケット22を第1の取付ブロックに固定する。
【0098】
クラッチ機構100によりステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトを分離した後、同一の方向にステアリングホイールを制限なしに回すことができず、そうでなければ、実際の状況に対応することができず、運転体験が悪く、より重要なことは、ステアリングホイール中のクロックスプリングを切断し、ステアリングホイールの多くの電子ボタンの機能が無効になることを引き起こす可能性があるため、分離後、一般的に位置を制限する必要がある。
【0099】
この機能を実現するために、本願のいくつかの実施形態では、上記ステアリングシステムには、分離状態で上記ステアリングホイールエンドシャフト1の回転角度範囲を制限するストッパ機構がさらに設けられる。
【0100】
具体的には、上記ステアリングホイールエンドシャフト1は、中空構造であり、上記ステアリングデバイスエンドシャフトの軸方向の一部は、上記中空構造内に入り込み、上記ストッパ機構は、上記ステアリングデバイスエンドシャフトの上記中空構造内に位置する端56にねじ接続されたストッパナット6を含み、上記ストッパナット6の外周面には、上記中空構造の内周面とスプライン係合する雄スプラインが形成され、上記中空構造の内周面及び/又は上記ステアリングデバイスエンドシャフトの外周面には、上記ストッパナットの軸方向の両側の変位量を制限するストッパ部がさらに設けられる。
【0101】
より具体的には、上記ストッパナット6の内周面には、例えば雌台形ねじが加工され、上記ステアリングデバイスエンドシャフトの上端の端部の外周面には、雄台形ねじが加工され、雌台形ねじと雄台形ねじは、係合接続され、ストッパナット6の外周面には、矩形の雄スプラインが加工され、ステアリングホイールエンドシャフト1の内周面には、対応して矩形の雌スプラインが加工され、矩形の雄スプラインと矩形の雌スプラインは、係合接続され、ストッパナット6の軸方向の両側の変位量のストッパ部は、例えば、ストッパポストであってもよい。
【0102】
ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトが分離されると、ゲームモードに入り、ステアリングホイールを回してステアリングホイールエンドシャフト1を回転させる場合、ストッパナット6により回転運動を直線運動に変換し、軸方向に沿って上向き又は下向きに平行移動し、上死点は、ステアリングホイールエンドシャフト1により対応する構造をなすことにより決定されてもよく、下死点は、ステアリングデバイスエンドシャフトにより対応する構造をなすことにより決定されてもよく、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトは、いずれも軸方向に移動しないため、上死点、下死点の位置は、正確で信頼でき、ストッパナット6のストロークに基づいてその雌台形伝動ねじのリードを調整することにより、ステアリングホイール回転の限界角度を正確に制御する。理解できるように、上死点と下死点は、ステアリングホイールエンドシャフト1とステアリングデバイスエンドシャフトのうちのいずれか一方に形成されてもよく、或いは、上死点は、ステアリングデバイスエンドシャフトに形成され、下死点は、ステアリングホイールエンドシャフト1に形成される。ここで、上死点と下死点は、前述したストッパポストの位置である。
【0103】
ストッパナット6を実際に取り付けるときに、一般的に、ストッパナット6をステアリングホイールエンドシャフト1内に位置決めしてから、ステアリングデバイスエンドシャフトをストッパナット6に挿入してねじ接続する必要がある。ストッパナット6を取り付けるときにストッパナット6を容易に位置決めするために、ナット6の側壁には、貫通穴が形成され、取り付けるときに、まず、軸ピン7を用いて貫通穴を貫通してストッパナット6をステアリングホイールエンドシャフト1内に位置決めし、ステアリングデバイスエンドシャフトをストッパナット6にねじ接続し、その後に、軸ピンを取り外す。
【0104】
図4~
図6に示すように、好ましい実施形態では、ステアリングデバイスエンドシャフトの取付及び製造の難しさを低減するために、上記ステアリングデバイスエンドシャフトは、同軸に設けられたステアリングスリーブ53及びステアリングシャフト70を含み、ステアリングシャフト70は、ステアリングスリーブ53内に入り込むと共にステアリングスリーブ53とスプライン係合接続され、ステアリングスリーブ53は、ステアリングホイールエンドシャフト1の内側に位置する。その下部の外周面には、スライダー14とスプライン結合可能な雄スプラインが加工され、その上端の外周面には、ストッパナットとねじ接続可能な雄ねじが加工され、その内周面には、ステアリングシャフトとスプライン結合する雌スプラインが加工される。
【0105】
さらに、ステアリングデバイスエンドシャフトのステアリングホイールエンドシャフト1における取付安定性を向上させるために、上記ステアリングスリーブ53の上端は、スリーブ軸受52によりステアリングホイールエンドシャフト1内に支持される。具体的には、ステアリングホイールエンドシャフト1の内周面がスリーブ軸受52の外輪と固着係合し、スリーブ軸受52の内輪がステアリングスリーブ53の外周面と固着係合することにより、ステアリングデバイスエンドシャフトをステアリングホイールエンドシャフト1内に安定して取り付けることができる。
【0106】
好ましくは、スリーブ軸受52のステアリングスリーブ53における取付安定性を向上させるために、ステアリングスリーブ53の外周面には、スリーブ軸受52の内輪の上下の両端の端面に当接可能なストッパ構造が形成され、該ストッパ構造は、ステアリングスリーブ53の外周面に形成された、軸受の下端の端面に当接可能なストッパ面と、ステアリングスリーブ53の外周面に取り付けられたストッパリング51とを含み、該ストッパリング51は、スリーブ軸受52の上端の端面に当接する。
【0107】
上記ストッパリング51を取り付けるために、ステアリングスリーブ53の外周面には、ストッパリング51を取り付けるための溝が加工されてもよい。
【0108】
図7に示すように、本願の実施形態の第2の態様に係るステアリングシステムに基づいて、本願の実施形態の第3の態様は、本願の実施形態の第2の態様に記載のステアリングシステムを含む自動車を提供する。
【0109】
以上、図面を参照しながら本願の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本願は、これに限定されない。本願の技術的思想の範囲内に、本願の技術手段に対して複数の簡単な変形を行うことができる。それぞれの具体的な技術的特徴は、任意適切な方式で組み合わせることができる。不要な重複を回避するために、本願は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。しかしながら、これらの簡単な変形や組み合わせは、同様に本願において開示される内容と見なされるべきであり、いずれも本願の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0110】
1、ステアリングホイールエンドシャフト、2、第2の歯車、3、ストッパリング、4、第2の軸受、5、第2のストッパリング、6、ストッパナット、7、軸ピン、11、ストッパリング、12、軸受、13、軸受取付リング、14、スライダー、21、第1の歯車、22、中間アダプターブラケット、23、モータ、31、モータ、32、中間アダプターブラケット、33、ねじ棒、34、スクリュー伝動機構、41、クラッチ機構ハウジング、42、アダプタ、43、軸受、51、ストッパリング、52、スリーブ軸受、53、ステアリングスリーブ、54、第1の軸部、55、第2の軸部、61、ベース、62、第1の軸受、63、第1のストッパリング、70、ステアリングシャフト、100、クラッチ機構、200、ステアリングコラム取付ハウジング。
【国際調査報告】