(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】風力タービンタワー設備及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
F03D 13/20 20160101AFI20221219BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F03D13/20
F16B5/02 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524113
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2020079796
(87)【国際公開番号】W WO2021078884
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 秀康
(72)【発明者】
【氏名】モーテンセン,ピーター シーフレズ
【テーマコード(参考)】
3H178
3J001
【Fターム(参考)】
3H178AA20
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67X
3J001FA02
3J001HA02
3J001JA08
3J001KA21
3J001KB04
(57)【要約】
風力タービンタワー設備は、モノパイルと、トランジションピース基礎と、当該基礎の頂部上に配置されるタワーとを含む。当該タワーは、第1円筒部と、当該第1円筒部の下端から当該タワーの外側に向かって突出する第1外フランジとを含む。当該基礎は、第2円筒部と、当該第2円筒部の上端から当該基礎の外側に向かって突出する第2外フランジとを含む。当該タワーと当該基礎とは、当該第1外フランジ及び当該第2外フランジを貫通する複数のスタッドボルトによって接続される。当該第2外フランジの下方では、突出部が当該第2円筒部から当該第2外フランジの下方に突出している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎と、
該基礎の頂部上に配置されるタワーと、
を備え、
前記タワーは、第1円筒部と、該第1円筒部の下端から前記タワーの外側に向かって突出する第1外フランジとを含み、
前記基礎は、第2円筒部と、該第2円筒部の上端から前記基礎の外側に向かって突出する第2外フランジとを含み、
前記タワーと前記基礎とは、前記第1外フランジ及び前記第2外フランジを貫通する複数のボルトによって接続されており、
前記第2外フランジの下方では、突出部が前記第2円筒部から前記第2外フランジの下方に突出しており、
該複数のボルトは、スタッドボルトであることを特徴とする風力タービンタワー設備。
【請求項2】
前記突出部は、プラットフォームであることを特徴とする請求項1に記載の風力タービンタワー設備。
【請求項3】
前記基礎は、モノパイル基礎、ジャケット基礎、三脚基礎、重力基礎及びフロート基礎からなる群から選択されるベース部を備え、
前記基礎は、任意選択的に、前記ベース部の頂部上に配置されるトランジションピースを更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の風力タービンタワー設備。
【請求項4】
前記基礎は、モノパイルの頂部上に配置されるトランジションピースを備え、該トランジションピースは、前記第2円筒部を含み、前記プラットフォームは、該トランジションピースの外周上に配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の風力タービンタワー設備。
【請求項5】
前記タワーの前記第1円筒部は、前記タワーに人が出入りするための出入口を有し、
階段または梯子が該出入口と前記プラットフォームとを接続していることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の風力タービンタワー設備。
【請求項6】
前記タワーは、前記第1円筒部の前記下端から前記タワーの内側に向かって突出する第1内フランジを含み、
前記基礎は、前記第2円筒部の前記上端から前記基礎の内側に向かって突出する第2内フランジを含み、
前記タワーと前記基礎とは、前記第1内フランジ及び前記第2内フランジを貫通する複数の前記ボルトによって接続されており、
該複数のボルトは、スタッドボルトであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の風力タービンタワー設備。
【請求項7】
前記突出部は、前記外フランジの外径よりも水平面内においてより突出しており、前記突出部の上面と前記第2外フランジの下面との間の鉛直距離は、前記タワーと前記基礎とを接続する少なくとも一つの前記スタッドボルトの長さよりも短いことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の風力タービンタワー設備。
【請求項8】
前記プラットフォームの上面と前記第2外フランジの下面との間の距離は、各スタッドボルトの長さよりも短いことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の風力タービンタワー設備。
【請求項9】
前記第1外フランジ及び前記第2外フランジの内外フランジ幅をW、前記第1外フランジ及び前記第2外フランジの総フランジ厚をTとしたとき1<(W/T)<3であり、
各スタッドボルトの直径をd
boltとしたとき5×d
bolt<W<11×d
boltであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の風力タービンタワー設備。
【請求項10】
水中に基礎を配置する工程と、
前記基礎の頂部上にタワーを配置する工程と、
前記タワーの第1円筒部の下端から前記タワーの外側に向かって突出する第1外フランジ、及び前記基礎の第2円筒部の上端から前記基礎の外側に向かって突出する第2外フランジを貫通するように複数のボルトを挿入して、該複数のボルトによって前記タワー及び前記基礎を接続する工程と、
を含み、
前記第2外フランジの下方では、突出部が前記第2円筒部から前記第2外フランジの下方に突出しており、
前記複数のボルトは、スタッドボルトであることを特徴とする風力タービンタワー設備を組み立てる方法。
【請求項11】
前記突出部は、プラットフォームであることを特徴とする請求項10に記載の風力タービンタワー設備を組み立てる方法。
【請求項12】
前記基礎を水中に配置する工程は、水底にモノパイルを配置する工程と、該モノパイルの頂部上にトランジションピースを配置する工程とを含み、該トランジションピースは、前記第2円筒部を含み、前記プラットフォームは、該トランジションピースの外周上に配置されることを特徴とする請求項11に記載の風力タービンタワー設備を組み立てる方法。
【請求項13】
前記タワーの前記第1円筒部の前記下端から前記タワーの内側に向かって突出する第1内フランジと、前記トランジションピースの前記第2円筒部の前記上端から前記トランジションピースの内側に向かって突出する第2内フランジとを貫通するように複数の前記スタッドボルトを挿入して、該複数のスタッドボルトによって前記タワー及び前記トランジションピースを接続する工程を含むことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の風力タービンタワー設備を組み立てる方法。
【請求項14】
前記第1外フランジ及び前記第2外フランジを貫通するように前記第1外フランジの上側から各スタッドボルトを取り付けて固定する工程と、
前記第1外フランジにおいてボルトテンショナ装置を配置し、該ボルトテンショナ装置によって前記スタッドボルトを保持する工程と、
前記スタッドボルトの下側において第1ナットを螺合し、前記ボルトテンショナ装置によって前記スタッドボルトに張力を印加し、その後、前記スタッドボルトの上側において第2ナットを締結する工程と、
前記ボルトテンショナ装置によって前記スタッドボルトに印加されている前記張力を解放する工程と、
を含むことを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一項に記載の風力タービンタワー設備を組み立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洋上風力タービン設備などの風力タービンタワー設備及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二つのタワーセクションに内側に突出する内フランジを設け、この内フランジをボルトで固定して当該二つのタワーセクションを連結することが開示されている。特許文献2には、機器のメンテナンスに用いられるプラットフォームを備えた風力タービンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2192245号明細書
【特許文献2】国際公開第2013/060703号
【発明の概要】
【0004】
近年、湖沼、海、河川等の水辺に設置されて風力を生成する風力タービンは一般的になっている。そのような風力タービン(例えば、海底固定式洋上風力タービン)は、トランジションピースを有するモノパイル等の基礎と、風力タービンタワー設備としてのタワーとを備えるものが多い。
【0005】
このような風力タービンでは、地震や波、強風に対する強度を確保するためにタワーと基礎とを強固に接続する必要がある。この点について、特許文献1に開示されているように内フランジを固定する構成では十分な接続強度が得られない虞がある。従って、タワーと任意にトランジションピースを含む基礎に対して外側に突出する外フランジを設けて固定することが考えられる。
【0006】
トランジションピースは、波の影響を受ける位置に配置されるため、タワーよりも剛性が高くなるように設計されている。従って、特に突出部がプラットフォームである場合には、剛性の高いトランジションピースの外周に突出部を設けることが一般的である。しかしながら、タワーとトランジションピースを含む基礎とに外フランジを設ける場合には、突出部を当該外フランジから離れた適切な位置に配置する必要があることが分かった。特許文献1及び2には、このような適切な配置を実現するための手段は開示されていない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タワーを基礎(任意にトランジションピースを含む)に対してより強固に接続することができると共に、プラットフォーム等の突出部を適切な位置に配置することができる風力タービンタワー設備を提供することを目的とする。
【0008】
本開示による風力タービンタワー設備は、基礎(モノパイルの頂部に配置されたトランジションピースを有するモノパイル等)と、当該基礎の頂部に配置されるタワーとを含む。当該タワーは、第1円筒部と、当該第1円筒部の下端から当該タワーの外側に向かって突出する第1外フランジとを含む。当該基礎は、第2円筒部と、当該第2円筒部の上端から当該基礎の外側に向かって突出する第2外フランジとを含む。当該タワーと当該基礎とは、当該第1外フランジ及び当該第2外フランジを貫通する複数のボルトによって接続されている。当該第2外フランジの下方では、当該第2円筒部から当該第2外フランジの下方に突出する突出部(例えば、プラットフォーム)が設けられている。また、当該複数のボルトはスタッドボルトである。
【0009】
本発明の風力タービンタワー設備の一態様は、本開示に係る風力タービンタワー設備であって、モノパイルと、当該モノパイルの頂部に配置されたトランジションピースと、当該トランジションピースの頂部に配置されたタワーとを含む。当該タワーは、第1円筒部と、当該第1円筒部の下端から当該タワーの外側に向かって突出する第1外フランジとを含む。当該トランジションピースは、第2円筒部と、当該第2円筒部の上端から当該トランジションピースの外側に向かって突出する第2外フランジとを含む。当該タワーと当該トランジションピースとは、当該第1外フランジ及び当該第2外フランジを貫通する複数のスタッドボルトによって接続される。当該第2外フランジの下方では、当該トランジションピースの外周にプラットフォームが配置される。
【0010】
本開示に係る風力タービンタワー設備を組み立てる方法は、水中に基礎(上部にトランジションピースを有するモノパイル等)を配置する工程と、当該基礎の上部にタワーを配置する工程と、当該タワーの第1円筒部の下端から当該タワーの外側に向かって突出する第1外フランジ、及び当該基礎の第2円筒部の上端から当該基礎の外側に向かって突出する第2外フランジを貫通するように複数のボルトを挿入して当該タワーと当該基礎とを当該複数のボルトによって接続する工程とを含む。当該第2外フランジの下方では、当該第2円筒部から当該第2外フランジの下方に突出する突出部(例えば、プラットフォーム)が設けられている。また、当該複数のボルトはスタッドボルトである。
【0011】
本発明の方法の一態様は、本開示に係る風力タービンタワー設備を組み立てる方法であって、モノパイルの頂部にトランジションピースを配置する工程と、当該トランジションピースの上部にタワーを配置する工程と、当該タワーの第1円筒部の下端から当該タワーの外側に向かって突出する第1外フランジ、及び当該トランジションピースの第2円筒部の上端から当該トランジションピースの外側に向かって突出する第2外フランジを貫通するように複数のスタッドボルトを挿入して当該タワーと当該トランジションピースとを当該複数のスタッドボルトによって接続する工程とを含む。当該第2外フランジの下方では、当該トランジションピースの外周にプラットフォームが配置される。
【0012】
本発明によれば、タワーとトランジションピースとをより強固に接続することができると共に、プラットフォームを適切な位置に配置することができる風力タービンタワー設備が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る風力タービンタワー設備の構成を説明するための模式図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施形態に係るタワーとトランジションピースとの間の接続部分の断面図である。
【
図2B】
図2Bは、一実施形態に係るタワーとトランジションピースとの間の接続部分の断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る風力タービンタワー設備に設けられたキャップの断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る風力タービンタワー設備に用いられるグリースの断面図である。
【
図5A】
図5Aは、一実施形態に係る風力タービンタワー設備の調節リングの使用状態を示す正面図である。
【
図5B】
図5Bは、一実施形態に係る風力タービンタワー設備に設けられた調節リングの斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、一実施形態に係るスタッドボルトにナットが仮固定された状態を示す模式図である。
【
図6B】
図6Bは、一実施形態に係るスタッドボルトに張力が印加された状態を示す模式図である。
【
図6C】
図6Cは、一実施形態に係るスタッドボルトが締め付けられた状態を示す模式図である。
【
図7A】
図7Aは、一実施形態に係るボルトテンショナ装置が使用される直前の状態を説明するための模式図である。
【
図7B】
図7Bは、一実施形態に係るボルトテンショナが使用されている状態を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る風力タービンタワー設備を組み立てる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、添付されている図面を参照して実施形態を以下に詳細に説明する。ただし、当該実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは本発明の範囲を限定する意図ではなく、単なる事例として解釈するべきであることが意図される。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置の表現は、厳密な文字通りの配置を示すだけではなく、同一の機能を発揮し得る、ある公差、ある角度、ある距離だけ配置が相対的にずれた状態も含むものとする。
例えば、「同一」、「等しい」、「均一」等の等しい状態の表現は、特徴が厳密に等しい状態を示すだけではなく、依然として同一の機能を発揮し得る、公差又は差がある状態も含むものとする。
また例えば、矩形状、円筒状等の形状の表現は、幾何学的に厳密な形状だけではなく、同一の効果を奏することができる範囲内で、凹凸や角部が面取りされた形状も含むものとする。
一方、「備える」、「含む」、「有する」、「含有する」及び「構成する」等の表現は、他の構成要素を排除することを意図するものではない。
【0015】
(風力タービンタワー設備の構成)
ここで、一実施形態に係る風力タービンタワー設備100の構成を以下に説明する。
図1は、一実施形態に係る風力タービンタワー設備100の構成を説明するための模式図であり、風力タービンタワー設備100の外観を示している。風力タービンタワー設備100は、湖、海、川等の水辺に設置される風力タービンに関連する設備である。
【0016】
図1に示されているように、風力タービンタワー設備100は、(例えば、吸引バケットを介して、又は海底への挿入によって)水底等の水中に配置されるモノパイル10と、モノパイル10の頂部に配置されるトランジションピース20とを有する基礎を含む。なお、「の頂部に配置される」という表現は、二つの部材が(典型的にはフランジ接続を介して)互いに向かい合って配置される実施形態と、第1の部材の端部が第2の部材に対して垂直方向にいくらか重なって配置される実施形態(例えば、頭部上の帽子又は卵カップ内の卵と同様)との双方を包含することに留意されたい。また風力タービンタワー設備100は、トランジションピース20の頂部に配置されるタワー30を含む。タワー30の頂部上には、風力を生成するための構成要素としてナセル、ハブ、風力タービンブレード、発電機等(不図示)が配置されている。風力タービンタワー設備100は、ナセル、ハブ、風力タービンブレード、発電機等の構成要素を除いた風力タービンの一部であってもよく、これらの構成部品を含む風力タービンであってもよい。
【0017】
タワー30は、第1円筒部31と、第1円筒部31の下端からタワー30の外側に向かって突出する第1外フランジ32とを含む。当該基礎、
図1においてより具体的にはトランジションピース20は、第2円筒部21と、第2円筒部21の上端からトランジションピース20の外側に向かって突出する第2外フランジ22とを含む。
【0018】
タワー30とトランジションピース20とは、第1外フランジ32及び第2外フランジ22を貫通する複数のスタッドボルト40によって接続されている。当該スタッドボルトの下側には第1ナット41が配置されていると共に、当該スタッドボルトの上側には第2ナット42が配置されている。当該ボルトはスタッドボルトであるため、両ナットは当該スタッドボルトに着脱可能に接続している。後述する
図2に示されているように、第1ナット41と第2外フランジ22との間、及び第2ナット42と第1外フランジ32との間には、ワッシャ45が配置されていてもよい。又はフランジナットを用いることができる。
【0019】
トランジションピース20の外周における第2外フランジ22の下方には、作業者によるメンテナンスのために用いられる、
図1ではプラットフォーム50と例示される突出部が配置される。プラットフォーム50は、床51と、トランジションピース20の外周に沿って配置された手摺52とを含む。
図1では、タワー30とトランジションピース20との接続部分を見易くするために、プラットフォーム50を簡略化して示している。プラットフォーム50等の突出部は、例えば、トランジションピース20の全周を覆っていてもよい。突出部は、プラットフォームであることが特に好ましいが、本発明の他の有利な実施形態の例は、突出部が、例えば三脚又はジャケット基礎等の当該基礎の脚、又は例えばフロート基礎用の拡大直径を有する管状構造である場合に関する。
【0020】
風力タービンタワー設備の基礎は、モノパイル基礎、ジャケット基礎、三脚基礎、重力基礎、及びフロート基礎からなる群から選択されるベース部を備えることが好ましい。また当該基礎は、当該ベース部の頂部に配置されたトランジションピースを任意に更に備えることができる。特に好ましいタイプの基礎は、モノパイル10の頂部に配置されたトランジションピース20を備える基礎であり、ここで当該トランジションピースは、第2円筒部21を含むと共に、トランジションピース20の外周にはプラットフォーム50が配置される。
【0021】
タワー30の第1円筒部31は、タワー30に人を出入りさせるための出入口60を有する。当該出入口は、タワーの当該第1外フランジの上方にあり、出入口60とプラットフォーム50とを接続する出入口階段70を介して当該プラットフォームから出入口60へ行くことができる。代替的には、階段70の代わりに梯子が当該出入口と当該プラットフォームとを接続してもよい。当該階段又は当該梯子は、当該タワーの一部として、当該基礎の一部(トランジションピース等)として、又は別個の部品として設けられてもよい。
【0022】
図1に示されている例では、当該基礎のトランジションピース20の第2円筒部21の外径は、モノパイル10に接続される下部において拡大されていてもよく、第2外フランジ22の外径よりも大きい外径を含むことが好ましい。また、トランジションピース20の底部の外径は、第2外フランジ22の外径よりも大きいことが好ましい。これにより、基部として安定性を向上させることが可能となる。モノパイル10の上部は、点線で示すようにトランジションピース20内に挿入されている。モノパイル10とトランジションピース20との間の径方向の隙間には、グラウト材(不図示)が充填されていてもよい。
【0023】
ここで
図2に示されているように、第1外フランジ32及び第2外フランジ22の内外フランジ幅をW、第1外フランジ32及び第2外フランジ22の総フランジ厚をTとしたとき、1<(W/T)<3であることが好ましい。また、スタッドボルト40の直径をd
boltとしたとき、5×d
bolt<W<11×d
boltであることが好ましい。これにより、波や風等の外部環境によって設置条件が厳しい場合であっても、十分な強度を提供することができる。内外フランジ幅Wは、第1外フランジ32又は第2外フランジ22の外縁から第2円筒部21の内壁面までの幅である。例えば第1内フランジ33が第1外フランジ32から連続して形成される場合には、第1外フランジ32の内外フランジ幅Wは、第1外フランジ32の幅と第1内フランジ33の幅とを含む。一方、第1内フランジ33が存在しない場合には、第1外フランジ32の内外フランジ幅Wは、第1内フランジ33の幅を含まない。第2外フランジ22の内外フランジ幅Wも同様に定義される。
【0024】
図2は、一実施形態に係る基礎のタワー30とトランジションピース20との間の接続部分の断面図であり、当該接続部分の拡大鉛直断面を示している。
図2に示されているように、本実施形態のタワー30は、第1円筒部31の下端からタワー30の内側に向かって突出する第1内フランジ33を含む。当該基礎は、第2円筒部21の上端から、ここではトランジションピース20として例示される当該基礎の内側に向かって突出する第2内フランジ23を更に含む。タワー30と当該基礎(図示されているトランジションピース20等)とは、第1内フランジ33及び第2内フランジ23を貫通する複数のスタッドボルト40によって接続されている。
【0025】
従って、タワー30と基礎10、20とは、第1外フランジ32及び第2外フランジ22で接続されていてもよく、又は第1外フランジ32及び第2外フランジ22に加えて、第1内フランジ33及び第2内フランジ23で接続されていてもよい。
図2では、第1内フランジ33及び第2内フランジ23を貫通するスタッドボルト40は図示されていないが、第1内フランジ33及び第2内フランジ23は、第1外フランジ32及び第2外フランジ22と同様に、スタッドボルト40によって固定されている。
【0026】
第1内フランジ33と第2内フランジ23とは、同一の内径及び同一の厚さを有していることが好ましい。その結果、
図2に示されているように、第1内フランジ33と第2内フランジ23とをそれぞれの内径が整列するように重ね合わせることができる。
【0027】
第1外フランジ32と第2外フランジ22とは、同一の外径及び同一の厚さを有していることが好ましい。その結果、
図2に示されているように、第1外フランジ32と第2外フランジ22とをそれぞれの外径が整列するように重ね合わせることができる。
【0028】
第1外フランジ32及び第1内フランジ33は、単一の環状部材によって形成されていてもよい。すなわち第1外フランジ32及び第1内フランジ33は、T字フランジとして一体に形成されていてもよい。第2外フランジ22及び第2内フランジ23にも同様である。また
図2に示されているように、第1外フランジ32及び第1内フランジ33は、同一の内外フランジ幅W及び同一の厚さT/2を有していてもよく、第2外フランジ22及び第2内フランジ23は、同一の内外フランジ幅W及び同一の厚さT/2を有していてもよい。
【0029】
図2に示されているように、トランジションピース20によって例示される基礎の内側には、足場80が配置されていてもよい。作業者は、足場80を用いて第1内フランジ33を第2内フランジ23に固定することができる。足場80は、当該足場上の作業者が接続位置に到達することができるように、第2内フランジ23から0.5乃至2mの範囲に配置されることが好ましい。
【0030】
本発明は、突出部が外フランジの外径よりも水平面内でより突出し、第1外フランジ32及び第2外フランジ22を接続するスタッドボルト40の直下の突出部の上面と、第2外フランジ22の下面との間の鉛直距離L1が、タワー30と基礎10、20とを接続するスタッドボルト40の少なくとも一つについて、当該スタッドボルトの長さL2よりも短い実施形態において特に有利であることがわかった。
【0031】
図2Aに示されているように、プラットフォーム50の床51によって例示される突出部の上面と、第2外フランジ22の下面との間の距離L1は、スタッドボルト40の長さL2よりも短くてもよい。例えばL2が400mm以下(例えば370mm)のとき、L1は350mm以下(例えば220mm)であってもよい。この場合、突出部(ここではプラットフォーム50の床51)は、第2外フランジ22に近接する高さに位置付けられる。
図2Bでは、当該突出部は、当該基礎の脚部(10)によって例示されている。
図2Bでは、スタッドボルト40の直下の当該突出部の当該上面は、符号52で示されていると共に、鉛直距離L1も示されている。
風力タービン基礎及び風力タービンタワーのフランジは、伝統的に、一つの固定ヘッドと一つの着脱可能なナットとを有する典型的なボルトによって接続されており、これはそのようなボルトは、固定が迅速であり、取り扱いが容易だからである。
図2に記載されている状況では、スタッドボルトを使用することが非常に有利であることが見い出された。スタッドボルトは、ねじ付きピン(両端ねじ付きボルトと称されることもある)であり、全長又は少なくともピンの両端付近の部分にねじが切られており、両端付近に着脱可能なナットが装着される。これは例えば、当該第2外フランジと当該突出部との間の距離L1が、L1が典型的には500mmより大きい典型的なボルトを使用することで実現することができる距離よりもはるかに短くなり得るためである。当該突出部がプラットフォームであり、当該タワーへの出入口が第1フランジ32(33)の上方に配置される場合、当該スタッドボルトの使用は、当該出入口と当該プラットフォームとを接続するためのより短い階段又は梯子を可能にし、材料(従ってコスト及び重量)の節約に繋がり、且つ/又は当該階段が落下する衝撃を低減することによって安全性を高めることに繋がる。また、フランジ22、23、32、33の位置は、構造上はるかに高く、従ってこれらのフランジは、波や風等の外部環境に起因して設置条件が厳しいときに強度を維持するために、より強い(且つ典型的にはより厚い)ことが求められ得る。
【0032】
図3は、一実施形態に係る風力タービンタワー設備100に配置されているキャップ43の断面図である。
図3に示されているように、スタッドボルト40が第1ナット41と共に第2外フランジ22内に挿入されている間、スタッドボルト40の露出部分及び第1ナット41を覆うようにキャップ43が配置されていてもよい。同様に、スタッドボルト40が第2ナット42と共に第1外フランジ32内に挿入されている間、スタッドボルト40の露出部分及び第2ナット42を覆うようにキャップ43が配置されていてもよい。従って、キャップ43を用いてスタッドボルト40の露出部分及び当該ナット(第1ナット41及び第2ナット42)を覆うことで、スタッドボルト40の当該露出部分及び当該ナットにおける腐食を防止することができる。
【0033】
図4は、一実施形態に係る風力タービンタワー設備100に用いられるグリース44の断面図である。
図4に示されているように、スタッドボルト40の当該露出部分及び当該ナット(第1ナット41及び第2ナット42)にグリース44を塗布してもよい。従って、スタッドボルト40の当該露出部分及び当該ナットにおける腐食を防止することができる。グリース44を塗布した後、キャップ43を設けてもよい。
【0034】
ちなみに、タワー30を当該基礎に接続する際に、タワー30の傾斜角度が当該風力タービンの運転上許容される範囲から外れる場合がある。この場合、タワー30の当該傾斜角度を調節する必要がある。
【0035】
図5Aは、一実施形態に係る風力タービンタワー設備100の調節リング90の使用状態を示す正面図である。この図では、スタッドボルト40等の構成要素は、図示されていない。
図5Bは、一実施形態に係る風力タービンタワー設備100に設けられた調節リング90の斜視図である。
【0036】
図5Aに示されているように、タワー30とトランジションピース20によって例示される当該基礎との間に配置される調節リング90は、タワー30の当該傾斜角度を当該風力タービンの運転上許容される範囲内に収めることを可能にする。例えば
図5Aにおいて、トランジションピース20は鉛直方向に対して傾斜していると共に、トランジションピース20の上面は水平ではない。この場合であっても、タワー30の下面を調節リング90によって水平に調節することができる。
【0037】
図5Bに示されているように、調節リング90の厚さは、周方向において不均一である。換言すると、調節リング90の断面形状は、当該周方向の位置によって変化する。調節リング90は、第1外フランジ32及び第2外フランジ22と同一の外径を有することが好ましい。調節リング90は、第1内フランジ33及び第2内フランジ23と同一の内径を有することが好ましい。
【0038】
単一の調節リング90では調節に十分ではない場合には、複数の調節リング90を組み合わせて調節を行ってもよい。例えば、厚さ1mmの調節リング90と厚さ3mmの調節リング90とを組み合わせて厚さ4mmの調節を行ってもよい。従って、タワー30の当該傾斜角度は、一つ以上の調節リング90によって調節することができる。調節リング90は、単一の完全なリングであってもよく、又は当該リングは、2、4、10又は約20までの数のセクション等、いくつかのより小さいセクションから構成されていてもよい。これは、特に7メートルより大きい直径を有するタワーに対して、当該調節リングのより容易な製造、輸送及び設置を可能にする。
【0039】
(風力タービンタワー設備を組み立てる方法)
次に、一実施形態に係る風力タービンタワー設備100を組み立てる方法について説明する。当該風力タービンタワー設備100を組み立てる方法は、風力タービンタワー設備100の製造方法を意味する。ここでは、ボルトテンショナ装置200(後述する
図7A又は
図7B参照)を用いた接続作業を例として説明する。
【0040】
この例では、組み立て前の準備として、タワー30の第1円筒部31の下端に第1環状部材を溶接して第1外フランジ32及び第1内フランジ33を形成する。また、当該基礎の第2円筒部21の上端に第2環状部材を溶接して第2外フランジ22及び第2内フランジ23を形成する。この場合、例えば
図2に示されているように、第1外フランジ32及び第1内フランジ33は一体に形成され、第2外フランジ22及び第2内フランジ23は一体に形成される。また、溶接により接続部分の強度を向上させることができる。これらの工程は、風力タービンタワー設備100を組み立てる方法の工程として組み込むことができる。
【0041】
図6Aは、一実施形態に係るスタッドボルト40にナット(第1ナット41又は第2ナット42)を仮止めした状態を示す模式図である。
図6Bは、一実施形態に係るスタッドボルト40を引っ張った状態を示す模式図である。
図6Cは、一実施形態に係るスタッドボルト40が締結された状態を示す模式図である。
【0042】
図7Aは、一実施形態に係るボルトテンショナ装置200が使用される直前の状態を説明するための模式図である。
図7Bは、一実施形態に係るボルトテンショナ装置200が使用されている状態を説明するための模式図である。
【0043】
図7A及び
図7Bに示されているように、ボルトテンショナ装置200は、上部に配置された牽引部(スリーブ)201と、油圧によって牽引部201を上昇させる本体202と、下部に配置されたブリッジ203と、ブリッジ203内で締結されるナットに嵌合するように構成されたナットリング204と、ナットリング204を介して当該ナットを回転させるように構成されたトミーバー205とを備えている。本体202は、ピストン、ロードセル及び封止部材を含み、油圧ポンプ(不図示)から供給される油が通過する孔212を更に含む。
図7A及び
図7Bでは、内部状態を図示するために、一部の構成(例えばブリッジ203及びナットリング204)を切断している。
【0044】
図8は、当該基礎がモノパイル及びトランジションピースを含み、当該突出部がプラットフォームである一実施形態に係る風力タービンタワー設備100を組み立てる方法のフローチャートである。当該一実施形態に係る風力タービンタワー設備100を組み立てる方法は、
図8を参照して説明される。
【0045】
まず、モノパイル10を水底に配置する(工程S1)。次に、モノパイル10の頂部にトランジションピース20を配置する(工程S2)。プラットフォーム50は、第2外フランジ22の下方において、トランジションピース20の外周上に位置付けられる。
【0046】
トランジションピース20の頂部にタワー30を配置する(工程S3)。タワー30とトランジションピース20とをスタッドボルト40で接続する(工程S4)。工程S4の詳細を具体的に説明する。当該基礎のベース部がモノパイルとは異なるタイプのものである実施形態では、工程S1は、当該使用される基礎のベース部、具体的にはジャケット基礎、三脚基礎、重力基礎又はフロート基礎に調節される。当該基礎がトランジションピースを備えていない実施形態では、工程S2は省略され、当該タワーは当該基礎のベース部上に直接配置される。
【0047】
スタッドボルト40は、第1外フランジ32及び第2外フランジ22を貫通するように第1外フランジ32の上側から挿入される。タワー30の外側上においてボルトテンショナ装置200を用いることによって、第1外フランジ32及び第2外フランジ22に挿通されたスタッドボルト40に張力が印加される。
【0048】
より具体的には、第1外フランジ32においてボルトテンショナ装置200が配置され、ボルトテンショナ装置200によって、スタッドボルト40(任意に、第2ナット42をスタッドボルト40の上端近傍に位置づけた状態で予めフランジを貫通して配置される)が保持される。従って、スタッドボルト40が固定される。この状態で、第2外フランジ22の下方から第1ナット41をスタッドボルト40の下側に螺合する。
【0049】
そして
図6Aに示されているように、スタッドボルト40の上方から第2ナット42が螺合される。この状態で、第2ナット42は仮止め状態になる。
図6A乃至
図6Cでは、ボルトテンショナ装置200は図示されていない。
【0050】
そして、
図6B及び
図7Aに示されているように、ボルトテンショナ装置200によってスタッドボルト40は矢印によって示される方向(すなわち、上方)に引っ張られる。当該引っ張りは、油圧ポンプからの油の供給によって引き起こされる。このとき、仮固定された第2ナット42がスタッドボルト40と共に上方に移動し、第2ナット42と第2外フランジ22の上面との間に隙間が形成される。
図7Bに示されているように、当該第2ナットは、当該隙間が無くなるまで、トミーバー205によって回転して締結される。
【0051】
この作業は繰り返し実行されてもよい。そして、スタッドボルト40のボルト長又は軸力が規格値に達した後、又はボルトテンショナ装置200の油圧が規格値に達した後、第2ナット42がスタッドボルト40の上端において締結される。その後、ボルトテンショナ装置200によってスタッドボルト40へ印加される張力が解放される。従って、
図6Cに示されているように、第2ナット42が本締めされ、スタッドボルト40は締結状態になる。
【0052】
この作業を各スタッドボルト40に対して実行することによって、タワー30及びトランジションピース20が外側位置において固定される。
【0053】
また、第1内フランジ33及び第2内フランジ23を貫通するように複数のスタッドボルト40が挿入される。タワー30又はトランジションピース20の内側上でボルトテンショナ装置200を用いることによって、第1内フランジ33及び第2内フランジ23に挿入されたスタッドボルト40に張力が印加される。より具体的には、スタッドボルト40は、ボルトテンショナ装置200によって保持され、上述したように第1ナット41及び第2ナット42が取り付けられる。
【0054】
この作業を各スタッドボルト40に対して実行することによって、タワー30及びトランジションピース20が内側位置において固定される。
【0055】
このように、タワー30とトランジションピース20とを外側及び内側の双方において固定することによって接続強度が向上する。当該内側固定及び当該外側固定のどちらを先に実行してもよい。また工程S4において、当該ナット(第1ナット41、第2ナット42)及びスタッドボルト40にグリース44を塗布してもよく、且つ/又は当該ナット及びスタッドボルト40を覆うようにキャップ43を設けてもよい。この場合、腐食が低減される。また工程S4において、タワー30の傾斜角度は、周方向に不均一な厚さを有する一つ以上の調節リング90を当該タワーの下方で固定することによって、調節されてもよい。例えば、工程S4において当該調節リングが固定される前の当該タワーが配置される工程S3の前に、当該調節リングが配置される。これにより、タワー30の当該傾斜角度を例えば風力タービンの運転上許容される範囲内に収めることが可能となる。
【0056】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、上述した実施形態の変更形態や、これらの実施形態の組み合わせから構成される実施形態も含まれる。
【0057】
(結論)
上述の実施形態において説明した内容は、例えば、以下のように理解される。
【0058】
(1)本開示の一実施形態に係る風力タービンタワー設備(100)は、基礎(10、20)と、基礎(10、20)の頂部に配置されたタワー(30)とを含む。タワー(30)は、第1円筒部(31)と、第1円筒部(31)の下端からタワー(30)の外側に向かって突出する第1外フランジ(32)とを含む。基礎(10、20)は、第2円筒部(21)と、第2円筒部(21)の上端から基礎(10、20)の外側に向かって突出する第2外フランジ(22)とを含む。タワー(30)及び基礎(10、20)は、第1外フランジ(32)及び当該第2外フランジを貫通する複数のボルト(40)によって接続される。第2外フランジ(32)の下方では、突出部(50)が第2円筒部(21)から第2外フランジ(32)の下方に突出しており、複数のボルト(40)はスタッドボルト(40)である。
【0059】
脚部、拡張された直径を有する管状構造、又はプラットフォーム等の当該突出部は、(例えば当該突出部がプラットフォームであるとき)当該タワーへのアクセスを容易にするために、(例えばフロート基礎に対して)良好なバランスを確保するために、又は(例えばジャケット基礎又は三脚基礎に対して)海底への安全な接続を確保するために、当該基礎上に配置されてもよい。二つの外フランジの接続は、一つの固定ヘッド及び一つの着脱可能なナットを有する典型的なボルトを使用し、典型的な用具及び作業手順が用いられ得る伝統を含むいくつかの方法で行うことができる。伝統的な方法では、タワー(30)の第1外フランジ(32)と基礎(20)の第2外フランジ(22)とが典型的なボルトで固定され、作業者は、典型的には第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)を貫通するように当該ボルトを当該第2外フランジの下方から挿入し、当該フランジの上側上で第2ナット(42)を締結する。従って、第2外フランジ(22)と突出部(50)との間には一定の空間が必要である。
【0060】
これに関して、上記の構成(1)によれば、第1外フランジ(32)と第2外フランジ(22)とが複数のスタッドボルト(40)によって固定されるため、典型的なボルトを用いる場合と比較して、突出部(50)を第2外フランジ(22)により近接させることができる。これは、コスト又は重量に関して材料の節約に繋がり得ることが見い出された。また、上記の構成(1)によれば、第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)が固定されるため、内フランジ(例えば第1内フランジ33及び第2内フランジ23)(のみ)が固定される場合と比較して、タワー(30)を基礎(10、20)により強固に接続することができる。
【0061】
(2)いくつかの実施形態では、上記の構成(1)において、突出部(50)は、プラットフォーム(50)である。
【0062】
上記の構成(2)によれば、プラットフォームを設けることにより、例えば風力タービンタワー設備の設置時やメンテナンス時に、当該ボルトを設置するための安全な支持、及び/又は使用する部品や機器を(一時的に)格納する場所を提供することが可能となる。
【0063】
(4)本開示の一実施形態に係る風力タービンタワー設備(100)(上記の構成(2)であってもよい)は、モノパイル(10)と、モノパイル(10)の頂部に配置されたトランジションピース(20)と、トランジションピース(20)の頂部に配置されたタワー(30)とを含む。タワー(30)は、第1円筒部(31)と、第1円筒部(31)の下端からタワー(30)の外側に向かって突出する第1外フランジ(32)とを含む。トランジションピース(20)は、第2円筒部(21)と、第2円筒部(21)の上端からトランジションピース(20)の外側に向かって突出する第2外フランジ(22)とを含む。タワー(30)とトランジションピース(20)とは、第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)を貫通する複数のスタッドボルト(40)によって接続される。第2外フランジ(22)の下方では、トランジションピース(20)の外周上にプラットフォーム(50)が配置される。
【0064】
一般的に、プラットフォーム(50)の高さは、想定される最大波高よりも所定の距離だけ高く、真下を向いた風力タービンブレードの下端よりも所定の距離(例えば6m)だけ低くする必要がある。また一般的に、タワー(30)への出入りを可能にする出入口(60)は、座屈を防止するために、トランジションピース(20)とタワー(30)との間の接続部分よりも所定の距離(例えば1m)だけ高い位置におけるタワー(30)の側面(第1円筒部(31))に配置される。
【0065】
プラットフォーム(50)は、そのような位置に配置されたタワー(30)の出入口(60)へのアクセス性を損なわない高さに配置されることが好ましい。これらの条件を考慮して、プラットフォーム(50)は、タワー(30)を基礎(20)に接続するための第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)よりも低く、好ましくはトランジションピース(20)の外周上において第2外フランジ(22)に近接して配置される。
【0066】
二つの外フランジの接続は、一つの固定ヘッド及び一つの着脱可能なナットを有する典型的なボルトを使用し、典型的な用具及び作業手順が用いられ得る伝統を含むいくつかの方法で行うことができる。伝統的な方法では、タワー(30)の第1外フランジ(32)とトランジションピース(20)の第2外フランジ(22)とが典型的なボルトで固定され、作業者は、第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)を貫通するように当該ボルトをプラットフォーム(50)側から、すなわち当該第2外フランジの下側から挿入し、当該フランジの上側上で第2ナット(42)を締結することを必要とする。従って、第2外フランジ(22)とプラットフォーム(50)との間には一定の空間が必要である。
【0067】
これに関して、上記の構成(4)によれば、第1外フランジ(32)と第2外フランジ(22)とが複数のスタッドボルト(40)によって固定されるため、典型的なボルトを用いる場合と比較して、プラットフォーム(50)を第2外フランジ(22)により近接させて配置することができる。これは、当該プラットフォームから当該タワーへのより安全な出入りを可能にし得る、且つ/又はコスト又は重量に関して材料の節約に繋がり得ることが見い出された。また、上記の構成(4)によれば、第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)が固定されるため、内フランジ(例えば第1内フランジ33及び第2内フランジ23)(のみ)が固定される場合と比較して、タワー(30)をトランジションピース(20)により強固に接続することができる。
【0068】
(5)いくつかの実施形態では、上記の構成(2)乃至(4)のいずれか一つにおいて、タワー(30)の第1円筒部(31)は、タワー(30)に人が出入りするための出入口(60)を有しており、階段(70)又は梯子が出入口(60)とプラットフォーム(50)とを接続している。
【0069】
上記の構成(5)によれば、出入口(60)とプラットフォーム(50)とを接続する階段(70)又は梯子を設けることで、アクセス性が向上される。また、上記の構成(1)によってプラットフォーム(50)は第2外フランジ(22)に近接して位置づけられているため、階段(70)又は梯子の長さは短くなり、これにより階段や(もし存在するなら)トランジションピースクレーン等の他の部品のコストを低減したり、アクセス性を向上させたり、且つ/又は階段を転倒する、起こりそうにない出来事における衝撃を低減して安全性を向上させたりすることができる。
【0070】
(6)いくつかの実施形態では、上記の構成(1)乃至(5)のいずれか一つにおいて、タワー(30)は、第1円筒部(31)の下端からタワー(30)の内側に向かって突出する第1内フランジ(33)を含み、当該基礎(例えば当該基礎のトランジションピース(20))は、第2円筒部(21)の上端から基礎(20)の内側に向かって突出する第2内フランジ(23)を含み、タワー(30)と基礎(20)とは、第1内フランジ(33)及び第2内フランジ(23)を貫通する複数のスタッドボルト(40)によって接続される。
【0071】
上記の構成(6)によれば、タワー(30)と基礎(20)とは外側と内側との双方において固定されるため、血族強度が向上する。
【0072】
(6A)いくつかの実施形態では、上記の構成(6)において、タワー(30)の第1内フランジ(33)と、基礎(20)の第2内フランジ(23)とは、同一の内径及び厚さを有している。
【0073】
上記の構成(6A)によれば、当該内径を重ね合わせて整列させることができる。従って、接続強度が向上する。
【0074】
(6B)いくつかの実施形態では、上記の構成(1)乃至(6A)のいずれか一つにおいて、タワー(30)の第1外フランジ(32)と、基礎(20)の第2外フランジ(22)とは、同一の外径及び厚さを有している。
【0075】
上記の構成(6B)によれば、当該外径を重ね合わせて整列させることができる。従って、接続強度が向上する。
【0076】
(7)いくつかの実施形態では、上記の構成(1)乃至(6B)のいずれか一つにおいて、当該突出部は、当該外フランジの外径よりも水平面内において更に突出している。更に、当該突出部の上面と当該第2外フランジの下面との間の鉛直距離は、当該タワーと当該基礎とを接続する当該スタッドボルトの少なくとも一つについて、当該スタッドボルトの長さよりも短くなっている。
【0077】
上記の構成(1)に記載されているようにスタッドボルト(40)が用いられているため、第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)を貫通するようにプラットフォーム(50)側から重いボルトを挿入するための空間は不要となる。その結果、上記の構成(7)を採用することができ、そのため突出部(50)と第2外フランジ(22)との間の距離を非常に小さい距離に減少させることが可能となる。
【0078】
(8)いくつかの実施形態では、上記の構成(2)乃至(7)のいずれか一つにおいて、プラットフォーム(50)の上面と第2外フランジ(22)の下面との間の距離は、各スタッドボルト(40)の長さよりも短くなっている。
【0079】
上記の構成(1)に記載されているようにスタッドボルト(40)が用いられているため、第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)を貫通するようにプラットフォーム(50)側から重いボルトを挿入するための空間は不要となる。その結果、上記の構成(6)を採用することができ、そのためプラットフォーム(50)と第2外フランジ(22)との間の距離を十分に減少させることが可能となる。
【0080】
(8A)いくつかの実施形態では、上記の構成(1)乃至(8)のいずれか一つにおいて、周方向において厚さが不均一な一つ以上の調節リング(90)がタワー(30)とトランジションピース(20)との間に配置される。
【0081】
上記の構成(8A)によれば、タワー(30)の傾斜角度を、風力タービンの運転上許容される範囲内に収めることが可能となる。
【0082】
(9)いくつかの実施形態では、上記の構成(1)乃至(8A)のいずれか一つにおいて、第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)の内外フランジ幅をW、第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)の総フランジ厚をTとしたとき、1<(W/T)<3であり、各スタッドボルト(40)の直径をdboltとしたとき、5×dbolt<W<11×dboltである。
【0083】
上記の構成(9)によれば、波や風等の外部環境によって設置条件が厳しい場合でも、十分な強度を提供することが可能となる。
【0084】
(9A)いくつかの実施形態では、上記の構成(1)乃至(9)のいずれか一つにおいて、当該風力タービンタワー設備は、各スタッドボルト(40)に配置されるナット(41、42)と、スタッドボルト(40)及びナット(41、42)の露出部分を覆うキャップ(43)とを含む。
【0085】
上記の構成(9A)によれば、スタッドボルト(40)及び当該ナット(第1ナット41及び第2ナット42)の露出部分をキャップ(43)で覆うことで、スタッドボルト(40)及び当該ナットの露出部分における腐食を防止することが可能となる。
【0086】
(10)本開示の一実施形態に係る風力タービンタワー設備(100)を組み立てる方法は、基礎(10、20)を水中に配置する工程と、当該基礎(10、20)の頂部上にタワー(30)を配置する工程とを含む。また当該方法は、タワー(30)の第1円筒部(31)の下端からタワー(30)の外側に向かって突出する第1外フランジ(32)と、基礎(10、20)の第2円筒部(21)の上端から基礎(10、20)の外側に向かって突出する第2外フランジ(22)とを貫通するように複数のボルト(40)を挿入することで、複数のボルト(40)によってタワー(30)と基礎(10、20)とを接続する工程を含む。第2外フランジ(22)の下方では、突出部(50)が第2円筒部(21)から第2外フランジ(22)の下方に突出しており、複数のボルト(40)はスタッドボルト(40)である。
【0087】
上記の方法(10)によれば、タワー(30)をトランジションピース(20)により強固に接続することができると共に、プラットフォーム(50)を適切な位置に配置することができる風力タービンタワー設備(100)を提供することが可能となる。
【0088】
(11)いくつかの実施形態では、上記の構成(10)において、突出部(50)は、プラットフォーム(50)である。
【0089】
上記の構成(11)によれば、当該プラットフォームを設けることで、例えば風力タービンタワー設備(100)の設置時やメンテナンス時に、ボルト(40)を設置するための安全な支持、及び/又は使用される構成部品や機器を(一時的に)格納する場所を提供することができる。
【0090】
(12)いくつかの実施形態では、上記の構成(11)において、基礎(10、20)を水中に配置する工程は、水底にモノパイル(10)を配置する工程と、モノパイル(10)の頂部上にトランジションピース(20)を配置する工程とを含む。トランジションピース(20)は第2円筒部(21)を含み、プラットフォーム(50)はトランジションピース(20)の外周上に配置される。
【0091】
上記の構成(12)によれば、当該プラットフォームから当該タワーへのより安全な出入りを可能にすることができる、且つ/又はコスト若しくは重量に関して材料の節約に繋がり得る風力タービンタワー設備を実現することができることがわかった。
(12A)いくつかの実施形態では、上記の方法(10)又は(11)において、当該方法は、タワー(30)の外側においてボルトテンショナ装置(200)を用いることによって、第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)に挿通されたスタッドボルト(40)に張力を印加する工程を含む。
【0092】
上記の方法(12A)によれば、例えばスタッドボルト(40)を上方から挿入し、ボルトテンショナ装置(200)が印加する張力によってスタッドボルト(40)を引き上げながら第2ナット(42)を締結することによって、当該フランジを固定することができる。第1ナット(41)は、スタッドボルト(40)を挿入する前に動かないように固定されていてもよく、スタッドボルト(40)を挿入した後に下方から締結してもよい。従って、作業者の負担を軽減することが可能となる。
【0093】
(13)いくつかの実施形態では、上記の方法(10)乃至(12)のいずれか一つにおいて、当該方法は、タワー(30)の第1円筒部(31)の下端からタワー(30)の内側に向かって突出する第1内フランジ(33)と、トランジションピース(20)の第2円筒部(21)の上端からトランジションピース(20)の内側に向かって突出する第2内フランジ(23)とを貫通するように複数のスタッドボルト(40)を挿入し、複数のスタッドボルト(40)によってタワー(30)とトランジションピース(20)とを接続する工程を含む。
【0094】
上記の方法(13)によれば、タワー(30)及びトランジションピース(20)が外側及び内側の双方において固定されているため、接続強度が向上する。
【0095】
(13A)いくつかの実施形態では、上記の方法(12)において、当該方法は、タワー(30)又はトランジションピース(20)の内側においてボルトテンショナ装置(200)を用いることによって、第1内フランジ(33)及び第2内フランジ(23)に挿通されたスタッドボルト(40)に張力を印加する工程を含む。
【0096】
上記の方法(13A)によれば、当該ボルトを締結するためにボルトテンショナ装置(200)を用いることによって、作業者の負担を軽減することが可能となる。
【0097】
(14)いくつかの実施形態では、上記の方法(10)乃至(13)のいずれか一つにおいて、当該方法は、第1外フランジ(32)及び第2外フランジ(22)を貫通するように第1外フランジ(32)の上側から各スタッドボルト(40)を取り付けて固定する工程と、第1外フランジ(32)においてボルトテンショナ装置(200)を配置してボルトテンショナ装置(200)によってスタッドボルト(40)を保持する工程と、スタッドボルト(40)の下側において第1ナット(41)を螺合し、そしてボルトテンショナ装置(200)によってスタッドボルト(40)に張力を印加した後、スタッドボルト(40)の上側において第2ナット(42)を締結する工程と、ボルトテンショナ装置(200)によってスタッドボルト(40)に印加された張力を解放する工程とを含む。
【0098】
上記の方法(14)によれば、ボルトを締結する際の作業者の負担を軽減することが可能となる。例えば作業者は、ボルト締結作業のためにトランジションピース(20)の内側に配置されたプラットフォーム(50)や足場(80)を用いることができる。
【0099】
(14A)いくつかの実施形態では、上記の方法(10)乃至(14)のいずれか一つにおいて、周方向において厚さが不均一な一つ以上の調節リング(90)によってタワー(30)の傾斜角度を調節する工程を含む。
【0100】
上記の方法(14A)によれば、タワー(30)の傾斜角度を、例えば風力タービンの運転上許容される範囲内に収めることが可能となる。
【国際調査報告】