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特表2022-553743このタイプのブラシのクリップを形成するための竹素材とワイヤーで作られた支持体で構成されるブラシ
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  • 特表-このタイプのブラシのクリップを形成するための竹素材とワイヤーで作られた支持体で構成されるブラシ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】このタイプのブラシのクリップを形成するための竹素材とワイヤーで作られた支持体で構成されるブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 3/16 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A46B3/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524148
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2020079903
(87)【国際公開番号】W WO2021078948
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】102019128786.3
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008700
【氏名又は名称】ベルケンホフ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Berkenhoff GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】バルデマ-ル シュレーダー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ネーテ
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202BA02
3B202CA05
3B202DB01
3B202EA01
3B202EG17
(57)【要約】
剛毛束を配置するための竹素材からなる支持体であって、各々が1つの剛毛束を収容する働きをする複数のクラスター孔を有する支持体であって、各々がクリップによってクラスター孔に固定され、長手方向の両端部(36、37)に形成されたクリップ突起を形成するようにクラスター孔の直径Dよりも長い長さlを有するクリップと、少なくともクリップ突起の領域において2つの反対する長手方向の側面の少なくとも一方に少なくとも2つのウェッジ(18、19、20、21)を有するクリップとを備えるブラシであって、ウェッジ(18、19、20、21)は、縦軸の方向に上下に配置され、上方に広がり、クリップの長手方向に延びるキャッチショルダを形成するウェッジ(18、19、20、21)の上端部が、下側のウェッジ(18)の下端部に形成され、圧入端の幅b1が、クリップの幅bに比べて低減されている、ブラシに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛毛束(13)をその上に配置するための竹素材で作られた支持体(11)を含むブラシ(10)であって、前記支持体(11)は、各々が1つの剛毛束(13)を収容するように機能する複数の毛束孔(12)を有し、前記剛毛束(13)は、それぞれクリップ(14)によって毛束孔(12)内に固定され、前記クリップ(14)は、長手方向の両端部(36、37)にクリップ突起(38、39)を形成するように前記毛束孔(12)の直径Dよりも大きい長さlを有し、前記クリップ(14)は、少なくとも前記クリップ突起(38、39)の領域において長手方向の2つの反対向きの側面(15、16)の少なくとも一方に少なくとも2つのウェッジ(18、19、20、21)を有し、前記ウェッジ(18、19、20、21)は、縦軸(17)の方向に互いに上下に配置され、上方に広がり、前記ウェッジ(18、19、20、21)の上端部は、前記クリップ(14)の長手方向に延びるキャッチショルダ(22、23、24、25)を形成する、ブラシであって、
前記クリップ(14)の圧入端(29)は、下側のウェッジ(18)の下端に形成され、圧入端(29)の幅b1は、前記クリップ(14)の幅bと比較して低減されることを特徴とする、ブラシ。
【請求項2】
前記圧入端(27)は、前記下側のウェッジ(18)の下端によって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
前記圧入端(27)は、前記下側のウェッジ(18)の下端に形成された延長として形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載のブラシ。
【請求項4】
前記圧入端(27)の幅は、キャッチショルダ(22、23、24、25)の幅b2、b3、b4、b5の0.5倍~1.5倍であることを特徴とする、請求項3に記載のブラシ。
【請求項5】
前記ウェッジ(18、19、20、21)の高さh2は、前記圧入端(27)の幅b1の4~8倍であることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか1項に記載のブラシ。
【請求項6】
キャッチ溝(28)を形成するために、隣接するウェッジ(18、19;19、20;20、21)は、溝の底部(29)から立ち上がる上側のウェッジ(19、20、21)のウェッジ面が溝逃げ面(30)を形成し、前記下側のウェッジ(18、19、20)のキャッチショルダ(22、23、24)が反対側の溝逃げ面(31)を形成するように、前記溝の底部(29)を形成するスペーサ(26)によって互いに離間されることを特徴とする、請求項1~5のうちいずれか1項に記載のブラシ。
【請求項7】
前記溝の底部(29)の幅b6は、0.05~0.6mmであることを特徴とする、請求項6に記載のブラシ。
【請求項8】
前記溝の底部(29)の幅b6は0.2~0.4mmであることを特徴とする、請求項6に記載のブラシ。
【請求項9】
前記キャッチ溝(28)は、前記縦軸(17)に対して平行な溝の底部(29)を有することを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載のブラシ。
【請求項10】
ウェッジ表面とキャッチショルダ(22、23、24、25)との間に形成される移行部は、凸状の移行縁として形成されることを特徴とする、請求項6~9のうちいずれか1に記載のブラシ。
【請求項11】
上下に配置された2つのウェッジ(19、20、21)のそれぞれの上側のウェッジには、下側のウェッジ(18、19、20)によって形成されたキャッチショルダ(22、23、24)よりも大きな幅b3、b4、b5のキャッチショルダ(23、24、25)を有することを特徴とする、請求項1~10のうちいずれか1項に記載のブラシ。
【請求項12】
それぞれの上側のウェッジ(19、20、21)は、それぞれの前記下側のウェッジ(18、19、20)のキャッチショルダ(23、24、25)よりも5~15%大きい幅b3、b4、b5を有することを特徴とする、請求項11に記載のブラシ。
【請求項13】
前記クリップ(14)は、前記縦軸(17)に対して対称であり、長手方向の反対向きの側面(15、16)に形成された前記ウェッジ(18、19、20、21)は、対称な二重ウェッジプロファイルを形成することを特徴とする、請求項1~12のうちいずれか1項に記載のブラシ。
【請求項14】
前記ブラシ(10)は歯ブラシであることを特徴とする、請求項1~13のうちいずれか1項に記載のブラシ。
【請求項15】
請求項1~14のうちいずれか1項又は複数項に記載のブラシ(10)用クリップを形成するためのワイヤであって、前記ワイヤは、互いに反対向きの2つの長手方向の側面(15、16)のうちの少なくとも1つにウェッジ(18、19、20、21)を有し、前記ウェッジ(18、19、20、21)は、縦軸(17)の方向において上下に配置され、上方に広がるとともに、前記ウェッジ(18、19、20、21)の上端は、前記ワイヤの長手方向に延びるキャッチショルダ(22、23、24、25)を形成し、下側のワイヤ縁部(41)は、前記下側のウェッジ(18)の下端に形成され、前記下側のワイヤ縁部(41)は、ワイヤ幅bに比べて幅b1が小さくなっている、ワイヤ。
【請求項16】
前記下側のワイヤ縁部(41)は、前記下側のウェッジ(18)の下端によって形成されることを特徴とする、請求項15に記載のワイヤ。
【請求項17】
前記下側のワイヤ縁部(41)は、前記下側のウェッジ(18)の下端に形成された延長として形成されていることを特徴とする、請求項15又は16に記載のワイヤ。
【請求項18】
前記ワイヤ縁部(41)の幅b1は、キャッチショルダ(22、23、24、25)の幅b2、b3、b4、b5の0.5倍~1.5倍であることを特徴とする、請求項15~17のいずれか1項に記載のワイヤ。
【請求項19】
前記ウェッジ(18、19、20、21)の高さh1は、下側のワイヤ縁部(41)の幅b1の4~8倍であることを特徴とする、請求項15または18のいずれか1項に記載のワイヤ。
【請求項20】
請求項15~19のうちいずれか1項に記載のワイヤであって、
キャッチ溝(28)を形成するために、隣接するウェッジ(18、19;19、20;20、21)は、溝の底部(29)から立ち上がる上側のウェッジ(19、20、21)のウェッジ面が溝逃げ面(30)を形成し、下側のウェッジ(18、19、20)のキャッチショルダ(22、23、24)が反対側の溝逃げ面(31)を形成するように、溝の底部(29)を形成するスペーサ(26)によって互いに離間されることを特徴とする、ワイヤ。
【請求項21】
前記溝の底部(29)の幅b6は、0.05~0.6mmであることを特徴とする、請求項20に記載のワイヤ。
【請求項22】
前記溝の底部(29)の幅b6は、0.2~0.4mmであることを特徴とする、請求項20に記載のワイヤ。
【請求項23】
前記キャッチ溝(28)は、ワイヤの縦軸(17)に平行な溝の底部(29)を有することを特徴とする、請求項20~22のうちいずれか1項に記載のワイヤ。
【請求項24】
ウェッジ面とキャッチショルダ(22、23、24、25)との間に形成された移行部は、凸状の移行縁として形成されることを特徴とする、請求項15~23のうちいずれか1項に記載のワイヤ。
【請求項25】
上下に配置された2つのウェッジ(19、20、21)のそれぞれの上側のウェッジには、下側のウェッジ(18、19、20)によって形成されたキャッチショルダ(22、23、24)よりも大きな幅b3、b4、b5を有するキャッチショルダ(23、24、25)があることを特徴とする、請求項15~24のいずれかに記載のワイヤ。
【請求項26】
前記ワイヤは縦軸(17)に対して対称であり、反対側の長手方向の側面(15、16)に形成されたウェッジ(18、19、20、21)が、対称的な二重ウェッジプロファイルを形成することを特徴とする、請求項15~25のうちいずれか1項に記載のワイヤ。
【請求項27】
前記ワイヤは、真鍮、ニッケル銀、またはアルミニウム合金を有することを特徴とする、請求項15~26のうちいずれか1項に記載のワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剛毛束を配置するための竹素材で作られた支持体を備えるブラシであって、支持体は、各々が1つの剛毛束を収容するための複数の毛束孔を有し、剛毛束は、クリップによって毛束孔内に固定され、クリップは、長手方向の両端に形成されたクリップ突起を形成するための毛束孔の直径Dよりも大きい長さlを有し、クリップは、少なくともクリップ突起の領域において長手方向の2つの反対側の側面の少なくとも一方に少なくとも2つのウェッジを有し、ウェッジが、縦軸の方向に互いに上下に配置され、且つ上方に広がり、クリップの圧入端が、下側のウェッジの下端に形成され、圧入端の幅が、クリップの幅と比較して低減される、ブラシに関する。さらに、本発明は、このようなブラシのためのクリップを形成するためのワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック材料で作られ、ワイヤクリップ(Drahtklammern)によって毛束孔に固定された剛毛束を有する支持体を備えるブラシは、特許文献1から知られている。この目的のために使用されるワイヤクリップは、クリップの縦軸と対称であり、かつクリップの縦軸の方向に一方が他方より上方に配置されかつ上方に拡幅する2つのウェッジが長手方向の反対側の側面に配置された二重ウェッジプロファイル(Doppelkeilprofil)を有する。クリップの幅に対応する幅を有する圧入端が、下側のウェッジの下端部に形成され、圧入端は、剛毛束に損傷を与えない剛毛束との密接な接触を目的として、その幅全体にわたって丸められ、その結果、剛毛束は、ワイヤクリップと支持体の周囲のプラスチック材料との間にU字形に収容される。その全幅にわたって丸められた圧入端とは反対に、クリップの長手方向の側面のウェッジ形のデザインは、鋭い刃状の縁を有する溝を形成すると想定され、溝は、支持体のプラスチック材料に対応するアンカーを可能にするために鋸歯状の断面を形成する。
【0003】
本出願人によって実施された試験では、このデザインのワイヤクリップは、竹素材で作られた支持体の毛束孔に剛毛束を固定するのにあまり適しておらず、その理由は、プラスチック材料と比較して、明らかに竹素材の劣ったクリープ挙動にあることが分かった。特許文献1では、プラスチック材料内の既知のワイヤクリップで達成されるアンカー効果は、プラスチック材料の公知のクリープ挙動によって、プラスチック材料が塑性変形されるときに、二重ウェッジ形によって形成される鋭利な縁の溝を、プラスチック材料が埋めるようにするという事実に起因しているとされている。
【0004】
竹素材で作られた支持体に剛毛束を固定するために特許文献1から公知のワイヤクリップを使用すると、剛毛束を支持体に確実に固定するために必要な引張力が、明らかに不十分な塑性変形のために達成されないことが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第98/05238号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、その上に剛毛束を配置するための竹素材で作られた支持体に接続して十分な引張力を達成することを可能にするブラシ、すなわち、竹素材で作られた支持体を備えるブラシの支持体内への剛毛束の望ましい確実な固定を可能にするブラシを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明によるブラシは、請求項1の特徴を有する。このようなブラシを製造するのに適したクリップを形成することを可能にするワイヤは、請求項15の特徴を有する。
【0008】
剛毛束をその上に配置するための竹素材で作られた支持体を含む本発明によるブラシの場合、支持体は、各々が1つの剛毛束を収容する働きをする複数の毛束孔を有し、剛毛束は、それぞれ、クリップによって毛束孔に固定され、クリップは、長手方向両端にクリップ突起を形成するための毛束孔の直径Dよりも大きい長さlを有し、クリップは、少なくともクリップ突起の領域において長手方向の2つの反対側の側面の少なくとも1つに少なくとも2つのウェッジを有し、ウェッジは縦軸の方向に互いに上下に配置され且つ上方に広がり、ウェッジの上端部は、クリップの長手方向に延びるキャッチショルダを形成し、クリップの圧入端はクリップの下端部に形成され、圧入端の幅は、クリップの幅と比較して低減される。
【0009】
剛毛束を固定する際、クリップは、圧入端と接触している剛毛束と共に毛束孔内に圧入され、その結果、毛束孔の直径に対してクリップの長手方向の先端に形成されたクリップ突起が竹素材を貫通する。本発明による下側のウェッジの下端のクリップの幅と比較して幅が減少したクリップの圧入端は、クリップの幅と比較して狭い前部を有し、これにより、一方向に配置された竹素材の繊維束を、圧入工程中に竹繊維が破壊されることなく広げることができる。むしろ、繊維束は、プレス処理中にウェッジ表面に沿って滑り、弾性復元力によって、ウェッジが上下に配置されて形成されているキャッチ溝内にスプリングバックする。
【0010】
下側のウェッジの下端により圧入端が形成される場合、圧入端は、傾きがウェッジ角に対応する圧入逃げ面(Einpressflanke)を有することができる。
【0011】
特に好ましい実施形態では、圧入端は、圧入逃げ面がウェッジ表面の角度とは異なるフランク角を有することができるという結果を伴って、下側のウェッジの下端部に形成された延長として形成される。圧入逃げ面は、好ましくは、クリップの縦軸に平行である。
【0012】
圧入端の幅は、キャッチショルダの幅の0.5倍から1.5倍であることが特に有利であることが判明しており、その結果、弾性復元力は、竹繊維が圧入端によって予め広げられた後に、竹繊維自体をクリップに成形することを可能にする。
【0013】
また、ウェッジの高さが圧入端の幅の4~8倍であれば、竹繊維が広げられた後に竹繊維をクリップに成形するという点で有利な効果を有する。
【0014】
キャッチ溝を形成するためのスペーサによって、隣接するウェッジが互いに離間されることは、特に有利であることが証明されており、溝の底部から立ち上がる上側のウェッジのウェッジ表面が溝逃げ面(Nutflanke)を形成し、下側のウェッジのキャッチショルダが反対側の溝逃げ面を形成するように、スペーサは、溝の底部を形成する。これは、ウェッジの間に空間が形成されることを意味し、この空間は、竹素材によって充填されるために利用可能であり、竹素材とクリップとの間の形状適合のために、可能な限り大きな接触面を形成する。同時に、キャッチ溝によって形成された拡大された接触面は、竹素材とクリップとの間の相応に増加した摩擦による接続を可能にし、両方の効果が引張力の増加に寄与する。
【0015】
有利には、溝の底部は、0.05~0.6mmの幅、特に好ましくは0.2~0.4mmの幅を有する。
【0016】
さらに、キャッチ溝が垂直方向クリップ軸に平行な溝の底部を有することが有利であることが証明されている。
【0017】
ウェッジとキャッチショルダとの間に形成された移行部が凸状の移行縁として形成される場合、竹繊維の繊維構造上において出来るだけ緩やかであるキャッチ溝内への繊維の弾性復元が可能になる。これにより、従来技術で生じるような鋭い縁の溝の形成が回避される。
【0018】
圧入力を低減させる観点から有利であり、クリップの全高にわたって出来るだけ一定に竹繊維自身をクリップに成形する際に竹繊維を支持する別の実施形態は、一方が他方の上に配置された各2つのウェッジの上側のウェッジが、下側のウェッジによって形成されたキャッチショルダよりも大きい幅を有するキャッチショルダを有する場合に可能になる。
【0019】
それぞれの上側のウェッジのキャッチショルダは、好ましくは、それぞれの下側のウェッジのキャッチショルダよりも5%~15%大きい幅を有する。
【0020】
長手方向の反対向きの側面上に形成されたウェッジが対称の二重ウェッジプロファイルを形成するように、クリップが縦軸に対称であり、その結果、縦軸に垂直な力が圧入工程に回避でき、支持体内のクリップの規定された配列が容易になる、ブラシの実施形態が、特に好ましい。
【0021】
本発明に従って構成されたブラシは、比較的小さなクリップ突起で十分な引張力を達成できるブラシの提供を可能にし、その結果、互いに比較的小さな距離に配置された複数の毛束孔で、非常に高い剛毛束の密度を達成することが可能であり、それにより、本発明によるブラシは、歯ブラシに設計されるのに特に適する。
【0022】
本発明によるブラシ用のクリップを形成するのに適した本発明によるワイヤの場合、ワイヤは、長手方向の2つの反対向きの側面の少なくとも1つにウェッジを有し、ウェッジは、縦軸の方向に上下に配置され且つ上方に広がり、ウェッジの上端は、ワイヤの長手方向に延びるキャッチショルダを形成し、ワイヤは、下側のウェッジの下端に形成されるワイヤの幅と比較して減少する幅を有する下側のワイヤ縁部を有する。
【0023】
ワイヤ縁部は、下側のウェッジの下端によって形成されることが好ましい。
【0024】
ワイヤ縁部は、下側のウェッジの下端に形成された延長として形成されることが好ましい。
【0025】
ワイヤ縁部の幅は、キャッチショルダの幅の0.5倍から1.5倍であることが好ましい。
【0026】
ウェッジの高さは、ワイヤ縁部の幅の4~8倍であることが好ましい。
【0027】
キャッチ溝を形成するため、スペーサによって、隣接するウェッジが互いに離間されることが特に好ましく、スペーサは、溝の底部から立ち上がる上側のウェッジのウェッジ表面が溝逃げ面を形成し、下側のウェッジのキャッチショルダが反対側の溝逃げ面を形成するような方法で、溝の底部を形成する。
【0028】
溝の底部は、好ましくは0.05~0.6mmの幅、特に好ましくは0.2~0.4mmの幅を有する。
【0029】
キャッチ溝は、好ましくは、ワイヤの縦軸に平行な溝の底部を有する。
【0030】
ウェッジ面とキャッチショルダとの間に形成される移行部は、好ましくは、凸状の移行縁として形成される。
【0031】
一方が他方の上に配置された各2つのウェッジの上側のウェッジは、好ましくは、下側のウェッジによって形成されたキャッチショルダよりも大きな幅を有するキャッチショルダを有する。
【0032】
ワイヤは、好ましくは、反対側の長手方向の側面に形成されたウェッジが対称の二重ウェッジプロファイルを形成するような方法で、縦軸に対して対称である。
【0033】
ワイヤが真鍮、ニッケル銀、またはアルミニウム合金を有する場合、できるだけ高い引張力を達成するという観点から、それは特に有利であることが証明されている。
【0034】
以下、ワイヤの好ましい実施形態を用いたブラシの好ましい実施形態について、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、ブラシが歯ブラシである実施形態の等角図である;
図2図2は、図1に示されたブラシのブラシヘッドを示し、クリップがブラシヘッドの毛束孔に圧入されている;
図3図3は、クリップの等角図である;
図4図4は、図3のIV-IV線による図3に示すクリップの断面図である;
図5図5は、図2のV-V線による図2に示すブラシヘッドの部分断面図である;
図6図6は、図2のVI-VI線による図2に示すブラシヘッドの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、図示の実施形態例における歯ブラシであり、支持体11を有するブラシ10を示す。ブラシは、本実施形態例のブラシヘッドであり、図2に平面図で示されており、複数の毛束孔12を備えており、これらの毛束孔は、本実施形態において、格子パターンに配置され、それぞれ、クリップ14によって毛束孔12内に固着された剛毛束13を備えている。
【0037】
図3及び図4に示すクリップ14は、ワイヤの一部から製造され、ワイヤは、図示した実施形態の場合、縦軸17の方向に上下に配置された4つのウェッジ18、19、20及び21を、縦軸17に対して対称的に反対向きの長手方向の側面15及び16の両方に有し、ウェッジ18、19、20及び21は、本実施形態の場合、同一の高さh2を有し、クリップ14の長手方向に延びるキャッチショルダ22、23、24及び25を形成する。
【0038】
特に図4に示すように、ウェッジ18、19、20、21は上端に向かって広がり、キャッチショルダ22、23、24、25を形成し、それぞれのスペーサ26はウェッジ18と19の間に形成され、ウェッジ19と20、および縦軸17の方向に隣接するウェッジ20と21、各スペーサ26は、ウェッジ19、20および21の下側のテーパー端によって定義される幅b1を有する。圧入端27は、下側のウェッジ18の下端に形成され、圧入端27は、本実施形態におけるスペーサ26と同じ幅b1および同じ高さh1を有する。
【0039】
それぞれのキャッチ溝28は、縦軸17の方向に隣接するウェッジ18と19、ウェッジ19と20およびウェッジ20と21の間に形成され、それぞれのスペーサ26によって溝の底部29が形成され、溝逃げ面30は、溝の底部29から立ち上がり、上側のウェッジ19、20および21のウェッジ面30によってそれぞれ形成され、反対側の溝逃げ面31はそれぞれキャッチショルダ22、23および24によって形成される。
【0040】
特に、図4にさらに示すように、縦軸17の方向に上下に配置されているウェッジ18、19、20および21のキャッチショルダ22、23、24および25は、増加する幅b2、b3、b4およびb5を有しており、ウェッジ18、19、20および21が縦軸17に対して対称的に配置されていることによって、最上位のウェッジ21のキャッチショルダによって形成されている上側のワイヤ縁部32が2倍の幅b5を有する。キャッチショルダ25によって形成され、同時にクリップの厚さbを決定する上側のワイヤ縁部32とは対照的に、下側のワイヤ縁部41によって形成される圧入端27は、減少した厚さb1を有する。
【0041】
図5および図6に示されるように、剛毛束13が長手方向の側面15および16に成形され、U字形に圧入端27が形成され、互いに平行に延びるストランドの房(Bueschelstraenge)33および34が、クリップ14の長手方向の側面15、16と孔の壁35との間に収容されるように、クリップ14と共に毛束孔12内に収容されるので、剛毛束13は、毛束孔12内に保持される。この配置を達成するために必要な圧入工程において、圧入端27の周りに巻き付けられた剛毛束13は、縦軸27の方向に毛束孔12内に挿入される。クリップ突起38および39(図2)は、クリップ14の長手方向の先端部36および37によって形成され、毛束孔12の直径Dを超えて突出しており、図6に示すように、支持面40における上側のワイヤ縁部32の本質的に同一平面の配置が達成されるように、縦軸17の方向に毛束孔12を制限する支持体11の竹素材内に同時に圧入される。
【0042】
図6から明らかなように、縦軸17の方向に隣接するウェッジ18と19、ウェッジ19と20、およびウェッジ20と21の間に形成されるキャッチ溝28は、それぞれの下側のウェッジのキャッチショルダ22、23、および24とそれぞれの上側ウェッジの下端との間に自由空間を形成することを可能にし、竹素材の繊維ストランドFは、竹素材内に一方向に形成され、長手方向の側面15および16に本質的に平行であり、クリップ14の長手方向軸の方向に配向され、圧入工程の過程で繊維ストランドFが先に広がった後、弾性復元力によって前記自由空間の大部分を充填することができ、その結果、クリップ14と竹素材との間に形状適合が確立される。
【0043】
図6でも明らかに分かるように、ウェッジ18、19、20および21が、縦軸17の方向に上下に配置されていることは、キャッチショルダ22、23、24および25の幅が圧入端27から縦軸17の方向に上側のワイヤ縁部32に向かって増大することと関係して、図4の破線によって示される全体的なウェッジ形のクリップ断面42の形成を可能にする。クリップ14は、このように、ウェッジ形の部分から構成されるウェッジ形の全断面を有する。
【0044】
図5及び図6の図によるクリップ14によって毛束孔12内に固定されている剛毛束13を支持体10から除去するために必要な引張力を測定するための試験において見出されたように、図4に示すように縦軸17の方向に上下に配置されたウェッジ形の部分から構成されるウェッジ形の全断面を有するクリップ14の形成は、特許文献1に従って構成されたクリップと比較して引張力の実質的な増加を可能にする。
【0045】
クリップ製造に使用される同一のワイヤ合金CuZn37であって、高さh=2mm、幅b=0.3mmのクリップの同一寸法では、30%を超える引張力の増大が達成され得る。この引張力の増大に加えて、クリップ重量は、図5および図6に示されているウェッジ形の全断面によって、7%以上減少させることができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】