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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】抗菌消臭スパンデックスの調製方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/94 20060101AFI20221219BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20221219BHJP
   D01F 6/70 20060101ALI20221219BHJP
   C08G 18/50 20060101ALI20221219BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20221219BHJP
   C08G 18/80 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
D01F6/94 A
A61L9/01 K
D01F6/70
C08G18/50 021
C08G18/76 057
C08G18/80 064
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524590
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(85)【翻訳文提出日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2020120297
(87)【国際公開番号】W WO2021082890
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】201911048432.9
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522166552
【氏名又は名称】華峰化学股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAFON CHEMICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100160543
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 正晴
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】楊暁印
(72)【発明者】
【氏名】楊従登
(72)【発明者】
【氏名】薛士壮
(72)【発明者】
【氏名】温作楊
(72)【発明者】
【氏名】晋中成
(72)【発明者】
【氏名】梁紅軍
(72)【発明者】
【氏名】陳厚翔
(72)【発明者】
【氏名】周志偉
【テーマコード(参考)】
4C180
4J034
4L035
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA10
4C180BB06
4C180BB08
4C180BB15
4C180CC01
4C180CC16
4C180EA26Y
4C180EB26X
4J034BA03
4J034DA01
4J034DB03
4J034DG03
4J034DG22
4J034DG23
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC64
4J034HC67
4J034JA02
4J034JA14
4J034JA32
4J034MA01
4J034RA02
4J034RA19
4L035AA04
4L035BB02
4L035EE11
4L035KK05
(57)【要約】
抗菌消臭スパンデックスおよびその調製方法であり、スパンデックス原液に抗菌消臭剤を添加し、撹拌して熟成し、乾式紡糸により抗菌消臭スパンデックスを取得し、抗菌消臭剤は、スパンデックス原液における固形分の0.2~2%を占める。前記抗菌消臭剤は、ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩で化学グラフト変性したセピオライトを意味する。該抗菌消臭剤は、スパンデックス原液に均一に分散することができ、抗菌消臭剤を添加した後、生産設備の交換周期に影響を及ぼさない。スパンデックス本来の高弾性、高強度を保持する前提で、スパンデックスに優れた抗菌消臭機能を与える。該方法で調製された抗菌消臭剤は、スパンデックス原液に良好に分散でき、安定して存在し、凝集せず、調製された抗菌消臭スパンデックスは、従来の抗菌スパンデックスと比べ、スパンデックス繊維が良好な均一性、抗菌性、消臭性能を有し、耐水洗性能が優れている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパンデックス原液に抗菌消臭剤を添加し、撹拌して熟成し、乾式紡糸により抗菌消臭スパンデックスを取得し、抗菌消臭剤は、スパンデックス原液における固形分の0.2~2%を占める、
ことを特徴とする抗菌消臭スパンデックスの調製方法。
【請求項2】
前記抗菌消臭剤は、ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩で化学グラフト変性したセピオライトを意味する、
ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌消臭スパンデックスの調製方法。
【請求項3】
ステップ1において、反応器に窒素ガスを通入して保護し、反応器に溶剤、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン、および三級アミンを添加し、三級アミン内の窒素原子と水酸基末端ポリエピクロロヒドリン内の塩素原子とのモル比は1:2~1:10であり、60~100℃で5~10h還流した後、溶剤を除去し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩を取得し、
ステップ2において、反応器にN,N-ジメチルアセトアミドを添加し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩、および4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比1:2~4で均一に混合させ、40~60℃で予備重合を1.5~3.5h行い、質量分率30~40%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液を取得し、
ステップ3において、無機酸で処理されたセピオライトを、N,N-ジメチルアセトアミドと固液質量比1:10で均一に混合させ、2~6h研磨した後、研磨後のセピオライトと質量分率30~40%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液とを混合させ、研磨後のセピオライトとイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩との質量比が1:30~1:200であり、40~60℃で化学グラフト反応を2~4h行い、濾過し、N,N-ジメチルアセトアミドでリンスし、乾燥して粒子状抗菌消臭剤を取得する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌消臭スパンデックスの調製方法。
【請求項4】
前記抗菌消臭剤の粒径範囲は1nm~1000nmである、
ことを特徴とする請求項3に記載の抗菌消臭スパンデックスの調製方法。
【請求項5】
前記ステップ1に使用される水酸基末端ポリエピクロロヒドリンの数平均分子量の範囲は500~1000である、
ことを特徴とする請求項3に記載の抗菌消臭スパンデックスの調製方法。
【請求項6】
前記ステップ1に使用される三級アミンの構造式は以下のとおりである、ことを特徴とする請求項3に記載の抗菌消臭スパンデックスの調製方法。
【化2】
(ただし、Rは炭素数12~18の直鎖アルキル基であり、Rは炭素数1~18の直鎖アルキル基である。)
【請求項7】
ステップ1に記載のステップ1における反応器に添加する溶剤は、アセトン、n-プロパノール、エタノール、メタノール、またはイソプロピルアルコールのいずれかである、
ことを特徴とする請求項3に記載の抗菌消臭スパンデックスの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料調製の技術分野に属し、具体的に、抗菌消臭スパンデックスの調製方法に関する。本発明の方法は、従来の無機抗菌剤とスパンデックス原液との相溶性が良くないという問題を効果的に改善することができ、調製プロセスが簡単で、生産設備の交換周期に影響を及ぼさず、調製したスパンデックスの性能は、均一性が良く、良好な抗菌性および消臭性を有する。
【背景技術】
【0002】
スパンデックスは、高破断強度、高破断伸度および高反発弾性の特徴を有し、インナー、スポーツウェア、ストッキング、ウェビング、紙オムツ、医療衛生用品等の分野で広く使用されている。このような製品は人体の皮膚と直接接触するため、その抗菌性および消臭性能はますます注目されている。研究によると、スパンデックス内のポリウレタン高分子鎖自身は抗菌性および消臭性を持たず、適当な環境条件で、人体に有害ないくつかの細菌が一般的なスパンデックス繊維で繁殖して代謝でき、人体の正常な皮膚の微生物生態の動的バランスを破壊し、人体の健康に損害を与える。体臭の大部分は、表皮ブドウ球菌およびコリネバクテリウム等の臭気菌が汗または脂質分泌物質を分解代謝して形成したアンモニアガス、酢酸およびイソ吉草酸に由来する。繊維に対して抗菌処理を行うことにより、感染症および皮膚病を予防することに加え、細菌による体臭を効果的に防止することもできる。それと同時に、体臭の別の由来は、人体自身の代謝によるアンモニアガス、酢酸、イソ吉草酸および2-ノネナール等であるため、抗菌と消臭とは密接に関連しており、繊維は、実用的な意味を持つために、この2つの機能を同時に有する必要がある。
【0003】
化学繊維に対して抗菌性能を付与することは、主に、繊維に抗菌剤を添加することにより実現される。抗菌剤は、主に、無機抗菌剤、有機抗菌剤、および少量の天然抗菌剤を含む。無機抗菌剤の中で、銀イオンの適用が最も広いが、分散しにくく、高価である。有機抗菌剤の中で、四級アンモニウム塩は広く適用されるが、流失しやすく、耐水洗性能が悪いという問題がある。
【0004】
化学繊維に消臭機能を付与するために、主に、繊維に消臭剤を添加することにより実現され、常に、以下の3種の消臭剤を採用する。1)芳香物質である。このような物質は、臭気をマスクしたり臭気を薄めたりし、人に異臭を感じさせないようにすることができ、主にバラ、スズラン、桂花、テレビン油、レモン油等を含む。2)化学消臭剤である。このような物質は、臭気分子と化学反応して無臭物質を生成することができ、主に金属塩系無機消臭剤を含み、主にナノチタニア、ナノ酸化亜鉛を含む。3)物理吸着剤である。比表面積が大きく、孔が大きく、強い吸着能力を持つ物質で悪臭物質を吸着し、主に活性炭、シリカゲル、ゼオライト、活性白土、珪藻土等を含むが、凝集しやすいという欠点も存在する。
【0005】
開示された報道によると、抗菌消臭スパンデックスの調製方法は、主にブレンド法およびスキン-コア構造複合紡糸法を含む。
【0006】
ブレンド法で抗菌消臭スパンデックスを調製することは、抗菌剤と、スパンデックス原液またはTPUスライスとをブレンドし、乾式紡糸または溶融紡糸により抗菌スパンデックスを調製することを意味し、特許CN102618962Bの報告によると、まず、硝酸銀をDMACに加えて撹拌し、70℃で3時間撹拌した後、黄色の銀ゾルを取得し、銀ナノ粒子を抗菌剤としてスパンデックス紡糸原液に添加し、添加量を0.01~1%とし、乾式紡糸により抗菌スパンデックスを取得する。しかし、硝酸銀でナノ銀を調製するためには還元剤および保護剤を添加する必要があり、添加しないと、生成されたナノ銀が凝集しやすい。特許CN107513776Aの報告によると、溶融紡糸過程において、TPUスライスと銀系無機抗菌剤とをスクリュー機で加熱混合し、溶融紡糸により、抗菌スパンデックスを取得する。
【0007】
スキン-コア構造複合紡糸法を利用して抗菌消臭スパンデックスを調製することは、機能材料をスキン層またはコア層に被覆し、特別な構造のスキン-コアコンポーネントにより調製することである。特許CN103194819Bの報告によると、該ヘルスケアスパンデックスは、スキン層とコア層とで構成され、ここで、コア層の溶融紡糸体は、竹炭粉末、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、香料、繊維形成ポリマーを含む。紡糸口金板組立体を用い、コア層の溶融紡糸体およびスキン層の紡糸原液をそれぞれ紡糸口金板組立体の中空針および押圧孔からそれぞれ押し出し、抗菌消臭を持つヘルスケアスパンデックスを調製する。
【0008】
上記開示された報道の情報分析によると、ブレンド法で抗菌スパンデックスを調製する全過程において、以下の3つの主な問題が存在する。第1に、ナノ銀は、比表面積が大きい無機粒子であり、高エネルギーで安定しない状態にあり、スパンデックス内のポリウレタン高分子鎖との界面相溶性が悪く、非常に凝集しやすく、改質処理を経ないまたは処理が不十分であると、原液フィルタが詰まりやすく、配管の圧力が高くなりすぎて、深刻な場合、生産設備の停止事故を引き起こし、生産に大きな経済的損失をもたらす。第2に、改質処理されていないナノ銀または無機抗菌剤は、スパンデックス原液における分散が均一でなく、スパンデックス指標の波動が大きくなり、スパンデックス製品の後工程における使用に影響を及ぼす。第3に、開示された報道の抗菌スパンデックスは、よく見られるいくつかの人体に有害な細菌に対してだけ殺菌作用を果たすし、人体の主な異臭分子(アンモニアガス、酢酸、イソ吉草酸、および2-ノネナール等)を除去する面では効果がない。一般的には、人体の皮膚の微生物生態環境において、特に、足、腋窩等の部位は有機物および汗を大量に分泌するので、細菌が繁殖しやすく、異臭低分子も生成されやすいため、抗菌消臭織物の開発において、抗菌性と消臭性とが良好な使用効果を達成するためには、有機的に結合して協同作用する必要がある。一方、スキン-コア複合紡糸法は、調製プロセスが煩雑かつ複雑であり、紡糸システム全体は従来の乾式紡糸プロセスと全く異なり、コア層に含まれる無機材料の含有量が著しく高く、生産設備の詰まり、紡糸過程の断糸を引き起こしやすく、更に、スパンデックス糸の伸度等の物性指標に大きく影響するとともに、抗菌消臭有効物質をコア層に被覆するため、スパンデックスの実際の抗菌消臭作用効果が大きく低下する。
【0009】
本発明は、特別な構造の抗菌消臭剤を合成することにより、スパンデックスに抗菌消臭性および耐水洗性を付与することができるとともに、該抗菌消臭剤がスパンデックス原液に均一に分散し、凝集しにくく、調製プロセスが簡単で、生産設備の交換周期に悪影響を及ぼさない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、抗菌消臭スパンデックスの調製方法を提供することであり、該方法で調製された抗菌消臭剤は、スパンデックス原液に良好に分散でき、安定して存在し、凝集せず、調製された抗菌消臭スパンデックスは、開示された抗菌スパンデックスと比べ、スパンデックス繊維が良好な均一性、抗菌性、消臭性能を有し、耐水洗性能が優れている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る抗菌消臭スパンデックスの調製方法は、スパンデックス原液に抗菌消臭剤を添加し、撹拌して熟成し、乾式紡糸により抗菌消臭スパンデックスを取得し、抗菌消臭剤は、スパンデックス原液における固形分の0.2~2%を占める。
【0012】
前記抗菌消臭剤は、ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩で化学グラフト変性したセピオライトを意味する。
【0013】
前記抗菌消臭剤の調製方法は、以下のとおりである。
【0014】
ステップ1において、反応器に窒素ガスを通入して保護し、反応器に溶剤、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン、および三級アミンを添加し、三級アミン内の窒素原子と水酸基末端ポリエピクロロヒドリン内の塩素原子とのモル比は1:2~1:10であり、60~100℃で5~10h還流した後、溶剤を除去し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩を取得する。
【0015】
ステップ2において、反応器にN,N-ジメチルアセトアミドを添加し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩、および4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比1:2~4で均一に混合させ、40~60℃で予備重合を1.5~3.5h行い、質量分率30~40%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液を取得する。
【0016】
ステップ3において、無機酸で処理されたセピオライトを、N,N-ジメチルアセトアミドと固液質量比1:10で均一に混合させ、2~6h研磨した後、研磨後のセピオライトと質量分率30~40%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液とを混合させ、研磨後のセピオライトとイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩との質量比が1:30~1:200であり、40~60℃で化学グラフト反応を2~4h行い、濾過し、N,N-ジメチルアセトアミドでリンスし、乾燥して粒子状抗菌消臭剤を取得する。
【0017】
前記抗菌消臭剤の粒径範囲は1nm~1000nmである。
【0018】
前記ステップ1に使用される水酸基末端ポリエピクロロヒドリン数平均分子量の範囲は500~1000である。
【0019】
前記ステップ1に使用される三級アミンの構造式は、以下のとおりである。
【化1】
(ただし、Rは炭素数12~18の直鎖アルキル基であり、Rは炭素数1~18の直鎖アルキル基である。)
【0020】
ステップ1に記載のステップ1における反応器に添加する溶剤は、アセトン、n-プロパノール、エタノール、メタノール、またはイソプロピルアルコールのいずれかである。
【発明の効果】
【0021】
本発明で調製された抗菌消臭スパンデックスは、抗菌消臭材料を合成してスパンデックス原液に添加することにより、一方では、該材料の構造の表面に有機長鎖高分子が含まれ、スパンデックスの主成分であるポリウレタン高分子の構造に類似し、良好な相溶性を持つため、抗菌消臭剤をスパンデックス原液に添加して良好な安定分散性を有することを確保し、原液フィルタおよび紡糸コンポーネントの交換周期が短くならないことを確保することができる。他方では、このような抗菌消臭材料の構造の表面における有機長鎖高分子の側鎖には、多くの四級アンモニウム塩基があり、良好な抗菌性を有し、また無機部分がセピオライトであり、繊維状をなし、空隙率が極めて高く、比表面積が大きいという特徴を持ち、良好な異臭低分子吸着性能を持つため、本発明で調製された抗菌消臭スパンデックスは、開示された抗菌スパンデックスと比べ、良好な均一性、抗菌性を有し、且つ、良好な消臭性能が付与される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る抗菌消臭スパンデックスの調製方法のステップは、以下のとおりである。
(1)抗菌消臭剤を調製する。
(2)紡糸原液を調製する。
(3)抗菌消臭スパンデックスを調製する。
【0023】
抗菌消臭剤の具体的な調製方法は、以下のとおりである。
【0024】
ステップ1において、反応器に窒素ガスを通入して保護し、反応器に溶剤、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン、三級アミンを添加し、ここで、三級アミン内の窒素原子と水酸基末端ポリエピクロロヒドリン内の塩素原子とのモル比は1:2~1:10であり、60~100℃で5~10h還流した後、溶剤を除去し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩を取得する。
【0025】
ステップ2において、反応器にN,N-ジメチルアセトアミドを添加し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩、および4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比1:2~4で均一に混合させ、40~60℃で予備重合を1.5~3.5h行い、質量分率30~40%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液を取得する。
【0026】
ステップ3において、無機酸で処理されたセピオライトを、N,N-ジメチルアセトアミドと固液質量比1:10で均一に混合させ、3h研磨した後、研磨後のセピオライトと質量分率30~40%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液とを混合させ、ここで、研磨後のセピオライトとイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩との質量比が1:30~1:200であり、40~60℃で化学グラフト反応を2h行い、濾過し、N,N-ジメチルアセトアミドでリンスし、乾燥して抗菌消臭剤を取得する。
【0027】
紡糸原液の具体的には調製方法は、以下のとおりである。
【0028】
第1反応器に溶剤を添加し、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートとポリテトラヒドロフランエーテルグリコールとをモル比1.5:1~1.8:1で混合させ、40~50℃で予備重合を2h行った後、第2反応器に移し、第2反応器に鎖延長剤溶液を徐々に滴下し、1.5~2.5hの滴下が終了した後、熟成タンクに移し、抗菌消臭剤および他の各補助剤を加え、熟成を24h行い、質量分率30~37(wt)%の紡糸原液を調製し、紡糸原液の粘度は3000~6000P(40℃)である。
【0029】
(3)抗菌消臭スパンデックスの調製方法は、以下のとおりである。
【0030】
抗菌消臭剤を含むスパンデックス原液をギヤポンプで精確に計量して紡糸コンポーネントに押し込み、紡糸口金板から流出させ、通路中で糸条が熱風により加熱され、溶剤がフラッシュ蒸発により揮発し、糸条に凝固し、油剤付与および巻き取りにより抗菌消臭スパンデックスを調製する。
【0031】
抗菌性能および消臭性能の検出方法は、以下のような標準を参照する。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
以下、具体的な実施例を参照しながら本発明を更に説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではないことが理解されるべきである。また、本発明に記載される内容を閲読した後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの等価形態も同様に本願の添付の特許請求に限定される範囲に含まれることが理解されるべきである。
【実施例
【0035】
(実施例1)
反応器に窒素ガスを通入して保護し、反応器に溶剤、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン(数平均分子量500)、三級アミン(N,N-ジメチルドデシルアミン)を添加し、ここで、三級アミン(N,N-ジメチルドデシルアミン)内の窒素原子と水酸基末端ポリエピクロロヒドリン内の塩素原子とのモル比は1:2であり、60℃で5h還流した後、溶剤を除去し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩を取得した。
【0036】
反応器にN,N-ジメチルアセトアミドを添加し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩、および4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比1:2で均一に混合させ、40℃で予備重合を2h行い、質量分率35%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液を取得した。
【0037】
無機酸で処理されたセピオライトを、質量分率35%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液と混合させ、無機酸で処理されたセピオライトとイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩との質量比が1:30であり、40℃で化学グラフト反応を4h行い、抗菌消臭剤を取得した。
【0038】
抗菌消臭剤をスパンデックス原液に添加し、抗菌消臭剤がスパンデックス原液の固形分の2.0%を占めた。乾式紡糸により抗菌消臭スパンデックス(「サンプル1」と表記する)を製造した。
【0039】
(実施例2)
反応器に窒素ガスを通入して保護し、反応器に溶剤、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン(数平均分子量700)、三級アミン(N,N-ジメチルテトラデシルアミン)を添加し、ここで、三級アミン(N,N-ジメチルテトラデシルアミン)内の窒素原子と水酸基末端ポリエピクロロヒドリン内の塩素原子とのモル比は1:4であり、70℃で6h還流した後、溶剤を除去し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩を取得した。
【0040】
反応器にN,N-ジメチルアセトアミドを添加し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩、および4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比1:2.5で均一に混合させ、45℃で予備重合を2.5h行い、質量分率35%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液を取得した。
【0041】
無機酸で処理されたセピオライトを、質量分率35%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液と混合させ、無機酸で処理されたセピオライトとイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩との質量比が1:90であり、40℃で化学グラフト反応を4h行い、抗菌消臭剤を取得した。
【0042】
抗菌消臭剤をスパンデックス原液に添加し、抗菌消臭剤がスパンデックス原液の固形分の1.5%を占めた。乾式紡糸により抗菌消臭スパンデックス(「サンプル2」と表記した)を製造した。
【0043】
(実施例3)
反応器に窒素ガスを通入して保護し、反応器に溶剤、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン(数平均分子量800)、三級アミン(N,N-ジメチルヘキサデシルアミン)を添加し、ここで、三級アミン(N,N-ジメチルヘキサデシルアミン)内の窒素原子と水酸基末端ポリエピクロロヒドリン内の塩素原子とのモル比は1:6であり、80℃で7h還流した後、溶剤を除去し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩を取得した。
【0044】
反応器にN,N-ジメチルアセトアミドを添加し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩、および4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比1:3で均一に混合させ、50℃で予備重合を2.5h行い、質量分率35%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液を取得した。
【0045】
無機酸で処理されたセピオライトを、質量分率35%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液と混合させ、無機酸で処理されたセピオライトとイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩との質量比が1:150であり、40℃で化学グラフト反応を4h行い、抗菌消臭剤を取得した。
【0046】
抗菌消臭剤をスパンデックス原液に添加し、抗菌消臭剤がスパンデックス原液の固形分の1.0%を占めた。乾式紡糸により抗菌消臭スパンデックス(「サンプル3」と表記した)を製造した。
【0047】
(実施例4)
反応器に窒素ガスを通入して保護し、反応器中加入溶剤、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン(数平均分子量1000)、三級アミン(ジドデシル三級アミン)、ここで、三級アミン(ジドデシル三級アミン)内の窒素原子と水酸基末端ポリエピクロロヒドリン内の塩素原子とのモル比は1:10であり、90℃で8h還流した後、溶剤を除去し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩を取得した。
【0048】
反応器にN,N-ジメチルアセトアミドを添加し、水酸基末端ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩、および4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比1:4で均一に混合させ、60℃で予備重合を3h行い、質量分率35%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液を取得した。
【0049】
無機酸で処理されたセピオライトを、質量分率35%のイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩溶液と混合させ、無機酸で処理されたセピオライトとイソシアネート封止ポリエピクロロヒドリン四級アンモニウム塩との質量比が1:200であり、40℃で化学グラフト反応を4h行い、抗菌消臭剤を取得した。
【0050】
抗菌消臭剤をスパンデックス原液に添加し、抗菌消臭剤がスパンデックス原液の固形分の0.5%を占めた。乾式紡糸により抗菌消臭スパンデックス(「サンプル4」と表記した)を製造した。
【0051】
本発明で調製された抗菌消臭スパンデックス(40D)の抗菌性能および消臭性能は、以下の表1および表2に示すとおりである。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
本発明で抗菌消臭スパンデックスを調製する過程において、原液フィルタおよび紡糸コンポーネントの交換周期は、表3に示すとおりである。
【0055】
【表5】
【国際調査報告】