IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

特表2022-553781自己格納式命綱のためのエネルギー吸収ユニット
<>
  • 特表-自己格納式命綱のためのエネルギー吸収ユニット 図1
  • 特表-自己格納式命綱のためのエネルギー吸収ユニット 図2
  • 特表-自己格納式命綱のためのエネルギー吸収ユニット 図3
  • 特表-自己格納式命綱のためのエネルギー吸収ユニット 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】自己格納式命綱のためのエネルギー吸収ユニット
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/04 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A62B35/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524911
(86)(22)【出願日】2020-10-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 IB2020060005
(87)【国際公開番号】W WO2021084395
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/926,909
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】コイル,クリストファー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ミルブライト,ミカエル エヌ.
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184LB01
(57)【要約】
自己格納式命綱のケーブルの相補的なモジュラーコネクタに脱着可能に接続可能なモジュラーコネクタを有する第1の端部と、落下防止ハーネスの背面接続点に締結可能な締結具を有する第2の端部と、を有するエネルギー吸収ユニットである。自己格納式命綱と落下防止ハーネスとの組み合わせにおけるこのようなユニットの使用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己格納式命綱落下防止装置であって、
ハウジングと、前記ハウジングに回転可能に接続されたリールと、を備える、ベースユニットと、
前記自己格納式命綱の前記ベースユニットの前記リールに取り付けられた第1の端部と、第1のモジュラーコネクタに取り付けられた第2の端部と、を有する、耐荷重ケーブルと、
エネルギー吸収体を備えるエネルギー吸収ユニットであって、前記エネルギー吸収体が、前記第1のモジュラーコネクタに脱着可能に接続される第2のモジュラーコネクタが取り付けられた第1の端部と、落下防止ハーネスの背面接続点に締結されるように構成された締結具に取り付けられた反対側の第2の端部と、を有する、エネルギー吸収ユニットと、
を備える、自己格納式命綱落下防止装置。
【請求項2】
前記エネルギー吸収体が、少なくとも1つの細長い部分を含む少なくとも細長い1本のウェビングを備え、前記少なくとも1つの細長い部分が、前記細長い部分自体の上に複数回折り畳まれて、重なり合ったセクションを形成し、前記セクションのうち少なくともいくつかが互いに接合されている、請求項1に記載の自己格納式命綱。
【請求項3】
互いに取り付けられた前記重なり合ったセクションが、縫製によって互いに接合されている、請求項2に記載の自己格納式命綱。
【請求項4】
前記細長い1本のウェビングの第1の端部の第1の末端部分が、前記第2のモジュラーコネクタの貫通開口部に通され、前記第1の端部自体に折り返されて、前記第1の端部自体に取り付けられることによって、前記第2のモジュラーコネクタが、前記エネルギー吸収体の前記第1の端部に取り付けられている、請求項2に記載の自己格納式命綱。
【請求項5】
前記細長い1本のウェビングの反対側の第2の端部の第2の末端部分が、前記締結具の貫通開口部に通され、前記第2の端部自体に折り返されて、前記第2の端部自体に取り付けられることによって、前記締結具が、前記エネルギー吸収体の前記第2の端部に取り付けられている、請求項2に記載の自己格納式命綱。
【請求項6】
前記エネルギー吸収体の前記第2の端部に取り付けられた前記締結具が、フックである、請求項1に記載の自己格納式命綱。
【請求項7】
前記背面接続点が、背面Dリングを含む、請求項1に記載の自己格納式命綱。
【請求項8】
前記第1のモジュラーコネクタが、雄型モジュラーコネクタであり、前記第2のモジュラーコネクタが、雌型モジュラーコネクタである、請求項1に記載の自己格納式命綱。
【請求項9】
前記第1のモジュラーコネクタが、ループ部分を備え、前記ループ部分から前記第1の雄型モジュラーコネクタの雄型部材が延びており、前記ループ部分が、貫通開口部を画定しており、前記ケーブルの前記第2の端部の末端部分を、前記ループ部分の前記貫通開口部に通し、前記第2の端部自体に折り返して、前記第2の端部自体に取り付けることによって、前記ケーブルの前記第2の端部が前記第1のモジュラーコネクタに取り付けられている、請求項8に記載の自己格納式命綱。
【請求項10】
前記第1のモジュラーコネクタ及び前記第2のモジュラーコネクタは、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとを接続状態へと自動係合することを可能にし、前記第1のモジュラーコネクタと前記第2のモジュラーコネクタとが接続解除状態へと係合解除可能となる前に、前記第2のモジュラーコネクタをロック解除状態へと作動させることを必要とするように構成されている、請求項1に記載の自己格納式命綱。
【請求項11】
前記第1のモジュラーコネクタが、雌型モジュラーコネクタであり、前記第2のモジュラーコネクタが、雄型モジュラーコネクタである、請求項1に記載の自己格納式命綱。
【請求項12】
前記エネルギー吸収ユニットが、前記エネルギー吸収体、前記第2のモジュラーコネクタ、及び前記締結具の長さを含めて、8インチ~24インチの細長い全長を有するように構成されている、請求項1に記載の自己格納式命綱。
【請求項13】
請求項1に記載の自己格納式命綱と、人間の使用者によって着用されるように構成された落下防止ハーネスと、を備える、落下防止システムであって、前記エネルギー吸収ユニットの前記締結具が、前記落下防止ハーネスの背面接続点に締結されて、前記自己格納式命綱の前記ケーブルが前記落下防止ハーネスに接続されている、落下防止システム。
【請求項14】
請求項1に記載の自己格納式命綱を備えるキットであって、請求項1に記載のエネルギー吸収ユニットと同一であるが、前記自己格納式命綱に接続されていない少なくとも1つの追加のエネルギー吸収ユニットを更に備える、キット。
【請求項15】
1つ以上の自己格納式命綱落下防止装置の使用方法であって、
エネルギー吸収ユニットの第2の端部の締結具を落下防止ハーネスの背面接続点に締結する工程を含み、前記エネルギー吸収ユニットの第1の端部が、自己格納式命綱のケーブルの端部にモジュラー接続部を介して接続されており、前記モジュラー接続部が、前記ケーブルの前記端部が取り付けられている第1のモジュラーコネクタと、前記エネルギー吸収ユニットの前記第1の端部が取り付けられている第2のモジュラーコネクタとの間に設けられている、
方法。
【請求項16】
前記エネルギー吸収ユニットが前記自己格納式命綱の前記ケーブルに接続されなくなるように、前記エネルギー吸収ユニットの前記第1の端部が取り付けられている前記第2のモジュラーコネクタを、前記ケーブルの前記端部が取り付けられている前記第1のモジュラーコネクタから接続解除する工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のモジュラーコネクタが前記第1のモジュラーコネクタから接続解除されるときに、前記エネルギー吸収ユニットが、前記落下防止ハーネスに接続されたままであるように、前記エネルギー吸収ユニットの前記第2の端部の前記締結具が、前記落下防止ハーネスの前記背面接続点に締結されたままであり、前記エネルギー吸収ユニットが、8インチ~24インチの細長い全長を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギー吸収ユニットが前記自己格納式命綱の前記ケーブルに接続されていないときに、前記エネルギー吸収ユニットが、前記落下防止ハーネスの前記背面接続点から少なくとも略垂直方向下向きに垂れ下がっている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エネルギー吸収ユニットが前記自己格納式命綱の前記ケーブルに再接続されるように、前記エネルギー吸収ユニットの前記第1の端部が取り付けられている前記第2のモジュラーコネクタを、前記ケーブルの前記端部が取り付けられている前記第1のモジュラーコネクタに再接続する後続の工程を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記エネルギー吸収ユニットが第2の自己格納式命綱のケーブルに接続されるように、前記エネルギー吸収ユニットの前記第1の端部が取り付けられている前記第2のモジュラーコネクタを、前記第2の自己格納式命綱の前記ケーブルの端部が取り付けられている第1のモジュラーコネクタに接続する後続の工程を更に含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
例えば、自己格納式命綱などの落下防止装置は、ビル建設などの用途にしばしば使用されている。
【発明の概要】
【0002】
大まかに要約すると、本明細書では、自己格納式命綱のケーブルの相補的なモジュラーコネクタに脱着可能に接続可能なモジュラーコネクタを備える第1の端部と、落下防止ハーネスの背面接続点に締結可能な締結具を備える第2の端部と、を有するエネルギー吸収ユニットが開示される。また、自己格納式命綱と落下防止ハーネスとの組み合わせにおけるこのようなユニットの使用も開示される。これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、この広範な要約は、請求可能な主題を限定するように解釈してはならず、これは、かかる主題が出願において最初に出願された特許請求の範囲に提示されているか、又は出願経過中に修正された若しくは他の方法で提示された請求項に提示されているかに関わらない。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】例示的な自己格納式命綱及び自己格納式命綱のケーブルに接続された例示的なエネルギー吸収ユニットの側面斜視図である。
図2】エネルギー吸収ユニットを接続することができる例示的な落下防止ハーネスの背面図である。
図3】自己格納式命綱のケーブルの端部、及びケーブルの端部に接続されることができる例示的なエネルギー吸収ユニットの側面斜視図である。
図4】例示的なエネルギー吸収ユニットが背面接続点(この場合は、Dリング)に接続された状態である例示的な落下防止ハーネスの背面図である。
【0004】
様々な図における同様の参照番号は、同様の要素を示す。いくつかの要素は、同一又は等価の複数で提示されることが可能であり、つまり1つのみ又はそれ以上の代表的要素が参照番号で示されることが可能な場合であっても、かかる参照番号は、かかる同一要素の全てに適用されると理解されたい。特に指示がない限り、本文書における全ての図及び図面は、縮尺どおりではなく、本発明の異なる実施形態を例示する目的で選択される。特に、様々な構成要素の寸法は、指示のない限り、単に例示的な意味合いとして示されているにすぎず、様々な構成要素の寸法間の関係は、図面から推測されるべきではない。
【0005】
「第1」などの用語は、自己格納式命綱のベースユニット及びハウジングのより近くに位置する物品を示す。「第2の」などの用語は、自己格納式命綱のベースユニットから(「第1の」物品と呼ばれる同様の物品と比べて)より遠くに位置する物品を示す。
【0006】
接続する(connect)、コネクタ(connector)、接続された(connected)、接続(connection)などの用語は、物品が必要に応じて何度でも相互に接続解除されることができ、相互に再接続されることができるように、相互に可逆的にかつ繰り返して接続されることが可能な物品を示す。
【0007】
モジュラーコネクタという用語は、相補的なモジュラーコネクタに対して、可逆的にかつ繰り返して接合されて、接続解除されることができるように特別に構成されたコネクタを示す。モジュラーコネクタは、多くの場合、相補的な対、例えば「雄」コネクタと「雌」コネクタとで提供される。相補的な対のモジュラーコネクタについて、多くの場合コネクタのうちの一方が、場合によっては両方が、モジュラーコネクタの使用のために提供された指示に従ったモジュラーコネクタの通常使用において、当該モジュラーコネクタに対して相補的なモジュラーコネクタ以外のいかなるコネクタにも接続可能ではない。
【0008】
締結具という用語は、モジュラーコネクタではなく、用途における「汎用的」な任意のコネクタを示すために使用される。締結具という用語は、例えば、フック(例えば、スナップフック)、カラビナなどを包含する。
【0009】
「取り付ける」、「取り付けられた」などの用語は、それらの物品の通常の使用中に、物品のうちの少なくとも1つを破壊又は著しく損傷することなく、使用者がそれらを互いに取り外すことができないように、物品同士が永続的に相互に接合されていることを示す。したがって、2つの物品が互いに取り付けられている状態は、2つの物品が互いに接続されている状態とは区別される。
【0010】
「垂直」、「上」、「上方」、「下」、「下方」などの用語は、直立した人間の使用者によって着用される落下防止安全ハーネスについて、それらの通常の意味を有する。
【0011】
「構成される」などの用語は、少なくとも「適応される」という用語と同程度に制限的であり、明記された機能を遂行する単なる物理的な能力ではなく、その機能を遂行しようとする実際の設計意図を必要とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、図1の例示的な実施形態に示されるように、自己格納式命綱(「SRL」)100と共に使用するように構成されたエネルギー吸収ユニット1が開示される。自己格納式命綱100は、作業現場の任意の好適な定着装置に固定され得るベースユニット101から巻き出されることができる耐荷重ライン(本明細書では「ケーブル」とも呼ばれる)104を備える落下防止装置である。典型的には、ベースユニット101は、ハウジング内に回転可能に据付けられているリール103(概して図1に示される)を保護及び支持するハウジング102を備え、リール103にケーブル104の第1の端部105が取り付けられている。ケーブル104は、リール103から巻き出され、それゆえ、使用者が動き回る際に使用者に追従するように、リール103が付勢されている状態でハウジング102から延ばすことができ、それにより、使用者がベースユニット101に向かって移動する際にリールがケーブル104をハウジング102内に引き戻し、ケーブル104をリール上に巻き戻す。自己格納式命綱(例えば、そのハウジング102及びリール103)は、使用者が落下した場合に(例えば、ケーブル104の急速な巻き出しの際に)起動され、使用者を安全に停止させるブレーキ(例えば、摩擦パッドなどと連携して作用する遠心的に作動される爪を備える)を含む。自己格納式命綱などの落下防止装置並びにそれらの構成要素及び機能は、米国特許第7,843,349号、同第8,256,574号、同第8,430,206号、同第8,430,207号、及び同第9,488,235号に様々な態様で記載されており、これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、自己格納式命綱は、ANSI Z359.14-2014の要件を満たす。
【0013】
自己格納式命綱100のケーブル104は、荷重を支持する限り、任意の好適な形態をとり得る。耐荷重とは、ケーブル104が使用される自己格納式命綱100の通常の使用において、ケーブル104が落下防止装置の人間の使用者(例えば、少なくとも150ポンドの体重の成人)によって与えられる荷重を支持することができることを意味する。いくつかの状況(例えば、落下を止めるために使用される場合)では、ケーブル104は、少なくとも瞬間的に、人間の使用者の実際の重量よりも幾分又は実質的にも大きい動的負荷を支持することができることを理解されたい。
【0014】
ケーブル104は、任意の形態を取ってもよく、任意の好適な材料で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、ケーブル104は、金属ケーブル、例えば、撚り又は編組の金属ケーブル(ワイヤロープと呼ばれることが多い)であってもよい。金属ケーブルの好適な材料としては、例えば、ステンレス鋼及び亜鉛めっき鋼を挙げることができる。他の実施形態では、ケーブル104は、撚り又は編組された有機ポリマーストランド、プライ、又は繊維からなるロープの形態を取ってもよい。多くの実施形態では、ケーブル104は、少なくとも略円形の断面を示してもよい。しかしながら、ケーブルという用語は広く使用され、ケーブルが上述のように荷重を支持する限り、必ずしも特定の組成又は幾何学的形状を意味するわけではない。
【0015】
ケーブル104は、任意の好適な長さを有することができる。さまざまな実施形態では、ケーブル104は、少なくとも約10、15、25、35、45、又は55フィートの全長を有してもよく、更なる実施形態では、全長は、約20、30、50、100、150、200、300、又は500フィート以下であってもよい。さまざまな実施形態では、ケーブル104は、少なくとも約310、900、1800、3600、5000、5400、7000、又は9000lbの最小破断強度を示すことができる。
【0016】
本明細書で開示される構成では、自己格納式命綱100のケーブル104の第2の端部106(すなわち、ベースユニット101の遠位にあるケーブル104の端部)は、例えば、フック、カラビナなどの「汎用的な」又は一般的なコネクタには取り付けられていない。むしろ、ケーブル104の第2の端部106は、第1のモジュラーコネクタ110に取り付けられ、この第1のモジュラーコネクタ110は、図1の例示的な実施形態に示されるように、エネルギー吸収ユニット1の第2のモジュラーコネクタ4に接続可能であるように構成されている。これにより、エネルギー吸収ユニット1が、特定の際に、本質的にケーブル104の一部として機能するように、エネルギー吸収ユニット1をケーブル104の端部106に接続することを可能にし、本明細書で論じられる構成及び利点を達成することができる。
【0017】
ケーブル104の第2の端部106は、取り付けが永続的である限り、任意の好適な様式で第1のモジュラーコネクタ110に取り付けられてもよい。例えば、ケーブル104の第2の端部106の末端セクションは、モジュラーコネクタ110の貫通路113に通され、第2の端部自体に折り返され、図3に見られるように、ケーブル104の第2の端部106に末端ループ107を形成し得る。ケーブル104の末端セクションは、ケーブル104の最後から2番目のセクションと密接に近接させる(例えば、接触させる)ことができ、最後から2番目のセクションに固定されるかそうでなければ取り付けられることができる。いくつかの実施形態では、例えば、シース、フェルール、又は、スエージ取付具の形態の圧縮嵌め具など、1つ以上の取付具(例えば、任意の好適な金属、例えば、鋼などから作製される)をこの目的のために使用することができる。好適であり得る例示的な圧縮嵌め具としては、NICOPRESSの商品名で市販されている製品が挙げられる。
【0018】
必要に応じて、いくつかの実施形態では、例えば耐摩耗性を高めるために、ケーブル104のこのように形成された末端ループ107の少なくとも一部の内部部分に沿って、シンブル(弓状の保護溝)を設けることができる。必要に応じて、いくつかの実施形態では、保護シュラウド108をケーブル104の第2の端部106に設けてもよい。このようなシュラウドは、例えば、使用者が、存在し得る任意の取付具、露出したケーブル端部などに接触することなく、ケーブル104の端部106を把持することを可能にすることができる。このようなシュラウドは、ケーブル104がハウジング内に完全に引き込まれた場合に、モジュラーコネクタ110(又は、一般に、ケーブル104の第2の端部106にある任意の物品)がベースユニット101のハウジング内102に入るのを防止する「バンパー」としても機能することができる。多くの実施形態では、このようなシュラウドは、例えば、成形プラスチック材料で作製され得る。
【0019】
本明細書に開示される自己格納式命綱100は、図2の例示的な実施形態に示されるハーネス40と組み合わせて使用される。(自己格納式命綱100のケーブル104は、本明細書で詳細に論じられるように、エネルギー吸収ユニット1によってハーネス40に接続されることになる。)ハーネス40は、自己格納式命綱の人間の使用者によって着用されるように構成されており、典型的にはフルボディハーネスである。図2の一般的な表現に示されるように、このようなハーネスは、多くの場合、肩の上部にまたがって延びている第1及び第2の肩ストラップ、並びに使用者の腰/臀領域を取り囲む腰ストラップを備える。このようなストラップは、典型的には、例えば、ポリアミド、ポリアラミド(例えば、商品名TECHNORA、KEVLAR、又はNOMEXで入手可能なもの)、超高分子量ポリエチレン(例えば、Dyneemaなど)、ポリエステル(例えば、商品名VECTRANで入手可能な繊維)など、有機ポリマーからなる繊維を含む、例えば合成織布で作製される平坦なウェビングから構成される。十分に理解されるように、このようなストラップ(及び、例えば、存在し得るような脚又は大腿ストラップなどの他のストラップ)は、互いに相互接続され、多くの場合、ハーネスの快適性を向上させるための様々なパッド(例えば、肩パッド及び腰/臀パッド)、並びに様々なバックル、ラッチ、コネクタ、ループ、ガイド、例えば胸パッド及び/又は脚パッドなどの追加のパッドなどが取り付けられる。そのような構成要素及びそのような構成要素の例示的な構成は、例えば、米国特許第8,959,664号、同第9,174,073号、及び同第10,137,322号に記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。図2の特定の構成は、例示的な表現であり、実際には、落下防止ハーネスは、これらの図に示される構成とは厳密には異なり得ることが理解されるであろう。
【0020】
どのような設計であれ、このようなハーネスの多くは、肩ストラップが、概ね使用者の背中の中央、例えば、肩甲骨の間の部分に向かって位置する背面領域で互いに交わり、重なり合い、及び/又は交差するように構成される。背面接続点41が、典型的には、この位置に設けられ、肩ストラップに(直接的又は間接的に)取り付けられ、任意選択で背面プレートによって支持され、かつ/又は使用者の快適さを向上させるために背面パッドを伴う。多くの便利な実施形態では、背面接続点41は、Dリング(例えば、好適な強度及び耐久性を呈するように、鋼、アルミニウム、任意の好適な合金などの金属からなる)の形態をとることができる。Dリングという用語は、一般的に使用されている技術用語であり、当業者は、このような物品は、サイズ、形状、幾何学的形状などが異なり得ることを理解するであろう。他の実施形態では、背面接続点は、例えば、好適な特性を示す合成ポリマー材料のループとして設けられ得る。
【0021】
背面接続点41は、自己格納式命綱のケーブルの端部をハーネスに接続することができる便利な点を提供する。当該位置でケーブルをハーネスに接続すると、ケーブルが概ね使用者の背中の後ろに留まるため、使用者が作業する際にケーブルが作業を過度に妨害しないようにすることができる。
【0022】
ケーブル104の第2の端部106に接続可能なエネルギー吸収ユニット1が、本明細書に開示される。エネルギー吸収ユニット1は、エネルギー吸収体10を備える。エネルギー吸収体10の第1の端部12には、ユニット1の第1の端部2をケーブル104の第2の端部106に接続することを可能にする第2のモジュラーコネクタ4が取り付けられている。(ケーブル104の第2の端部106に設けられた第1のモジュラーコネクタ110と、エネルギー吸収ユニット1の第1の端部2に設けられた第2のモジュラーコネクタ4とは、したがって相補的な一対のモジュラーコネクタを構成する)。エネルギー吸収体10の反対側の第2の端部13には、ユニット1の第2の端部3を落下防止ハーネス40の背面接続点(例えば、Dリング)41に接続することを可能にする締結具が取り付けられている。締結具6は、モジュラーではない(すなわち、相補的な特定のコネクタにのみ接続可能であるようには構成されていない)が、むしろ、例えばフックなどであり得る。
【0023】
エネルギー吸収ユニット1のエネルギー吸収体10は、任意の好適な幾何学的形態をとってもよく、任意の好適な機構によって動作してもよく、任意の好適な材料で作製されてもよい。多くの便利な実施形態では、エネルギー吸収体10は、少なくとも細長い1本のウェビング14が、その1本のウェビングに十分な引張力が加えられたときに、ウェビングが変形するか、そうでなければ制御された方法で形状及び/又は特性を変化させるように構成された、構成を含み得る。これにより、作業者が落下した場合、作業者をより緩やかな方法で停止させることを可能にする。いくつかの状況では、エネルギー吸収体10(「ショックアブゾーバ」又は「ショックパック」と呼ばれることもある)は、自己格納式命綱に本明細書で前述した方法で装備されている遠心ブレーキと協調して、又は遠心ブレーキに対する補助として機能し得る。しかしながら、いくつかの状況では(例えば、作業者が、例えば縁から、ケーブルが、例えば絡まる又は引っ掛かるようにして落下した場合など)、エネルギー吸収体10は、落下を制御可能に止める主要な機構であり得る。
【0024】
多くの便利な実施形態では、細長い1本のウェビング14を取得し、ウェビングの少なくとも1つの細長い部分にわたってウェビングをウェビング自体の上に複数回折り畳んで、重なり合ったセクションを形成することによって、エネルギー吸収体10が提供され得る。このような折り畳みは、例えば、Z折り、扇折り、アコーディオン折りなどと呼ばれることがある。次いで、これらの重なり合ったセクションのうちの少なくともいくつかは、互いに(例えば、縫製によって)接合され得る。縫製又は他の接合機構は、ウェビングの端部に十分な引張力を加えると、それらのセクションが引き裂かれるか、そうでなければ互いに分離されるように構成されている(このようなエネルギー吸収体は、「引裂きストリップ」と呼ばれることがある)。このプロセスは、所望のエネルギー吸収をもたらすことができる。折り畳まれた/重なり合ったセクション15は、図3に示される一般的な方法では、シュラウド(例えば、布カバー)によってしばしば覆われている。
【0025】
このようなエネルギー吸収体におけるウェビング14の折り畳まれたセクション15の実際の構成は、異なり得る。例えば、好適であり得る1つの例示的な構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0048723号の図1に開示されている。エネルギー吸収体の様々な他の潜在的に好適な構成は、例えば、米国特許第4,538,702号、同第5,174,410号、同第9,498,659号、及び同第10,125,837号に記載されており、これらは全て同様に参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。多くの便利な実施形態では、エネルギー吸収体の折り畳まれたセクションは、上記のように縫製によって互いに接合され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、いくつかの他の手段(例えば、接着剤、及び/又はステープルなどの機械的締結具など)が、縫製の使用の補助として、又は代わりとして、使用され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、ウェビング14の一部分は、図3に示される一般的な方法では、折り畳まれた/重なり合ったセクション15から突出し得る。ウェビングの第1の端部12と、第2の端部13とは、図3に示されるように、第2のモジュラーコネクタ4と、締結具6とにそれぞれ取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、これは、図3に示される一般的な方法では、ウェビングを、第2のモジュラーコネクタ(又はコネクタ)の貫通開口部に通し、ウェビング自体に折り返して、ウェビング自体に(例えば、耐久縫製によって)取り付けることによって達成され得る。エネルギー吸収体10のウェビングは、例えば、本明細書に前述の有機ポリマー材料のうちのいずれかから選択される任意の好適な材料から構成され得る。
【0027】
上記の構成は、例示的であることを理解されたい。代替的実施形態では、エネルギー吸収体10は、例えば、有機ポリマーウェビングの縫い合わされた部分ではなく、少なくともいくつかの金属構成要素に依存し得る。例えば、エネルギー吸収体は、十分に高い引張力を加えると伸ばすことができるコイル状に構成された金属など、一本の好適な材料に依存し得る。この一般的なタイプのエネルギー吸収体は、3M Fall Protectionから商品名ZORBITで入手可能である。この一般的なタイプのエネルギー吸収体は、米国特許第6,279,680号にも記載されている。代替として、又は組み合わせて、エネルギー吸収体は、十分に高い引張力を加えると真っ直ぐになることができる略ジグザグ形状に構成された1本の金属を含んでもよい。この一般的なタイプのエネルギー吸収体は、3M Fall Protection Technical Datasheet 866(部品番号7241073)に記載されている。
【0028】
したがって、エネルギー吸収体が、任意の好適な形態をとり得ること、及び例えば、取り付けられた層同士の互いからの制御された取り外し、摩擦力、又はそれらの任意の組み合わせを含む、任意の好適なエネルギー吸収機構に依存し得ることを理解されたい。
【0029】
任意のこのような構成により、エネルギー吸収体10、第2のモジュラーコネクタ4、及び締結具6を含むエネルギー吸収ユニット1が提供され、モジュラーコネクタ4及び締結具6はそれぞれ、エネルギー吸収ユニットの第1の端部2及び第2の端部3を提供する。
【0030】
エネルギー吸収ユニット1の第2のモジュラーコネクタ4は、自己格納式命綱100のケーブル104の端部105に取り付けられた第1のモジュラーコネクタ110に接続可能であるように構成されている。前述のように、このようなモジュラーコネクタは、多くの場合、対で使用され、相補的である。すなわち、モジュラーコネクタは、具体的には、それらの間に接続を形成するように、互いに嵌合可能であるか、そうでなければ互いに係合可能であるように構成されている。2つのこのようなコネクタ4と110とが互いに接続されるように互いに係合されると、それらは図1に示されるようにモジュラー接続部114を形成する。
【0031】
いくつかの実施形態では、このような一対の相補的なモジュラーコネクタは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,114,225号に開示される一般的なタイプのものであってもよい。本明細書に開示される実施形態(図3において最も容易に見られる)では、第1のモジュラーコネクタ110は、ベース112を備える「雄」コネクタであってもよく、ベース112は、ベース112から突出する部材(例えば、Tバー)111を有する。いくつかの実施形態では、ベース112は、ベース112の内部に貫通路113を画定するループ(必ずしも厳密に円形である必要はない)である一般的な形態をとり得る。(このようなループ及びそれによって画定された貫通路は、自己格納式命綱100のケーブル104の端部をコネクタ110に取り付けるための便利な方法を提供し得る)
【0032】
このようなコネクタ110は、「雌」コネクタ4と組み合わせて使用され得るものであり、雌コネクタ4は、雄コネクタのTバー部材が雌コネクタ4の内部に挿入され、ロックされ得るスロットを含む。
いくつかの実施形態では、第1のモジュラーコネクタ4及び第2のモジュラーコネクタ110は、第1のコネクタと第2のコネクタとを接続状態へと自動係合することを可能にするように構成され得る。これは、Tバー部材をスロット内に押し込むことが、Tバー部材をスロット内に着座させ、次いで、スロット内でしっかりと保持されることを可能にするのに十分であることを意味する。これは、例えば、1つ以上の付勢された爪を提供することによって達成され得、この爪は、撓んで、Tバー部材を通過させ、次いでTバー部材を所定の場所にロックする位置に戻る。
【0033】
いくつかの実施形態では、モジュラーコネクタは、第1のモジュラーコネクタと第2のモジュラーコネクタとが接続解除状態へと係合解除可能となる前に、第2のモジュラーコネクタ4をロック解除状態へと作動させることを必要とするように構成され得る。例えば、アクチュエータ(例えば、対になったアクチュエータ5であり、このようなアクチュエータの一方の一部分を図3に見ることができる)は、上記の爪をロック解除して、Tバー部材をスロットから取り外すことを可能にするために、押されるかそうでなければ動かされる必要があり得る。言い換えれば、いくつかの実施形態では、このようなコネクタは、互いに係合されると、自動的にロックされてもよく、これは、それらのコネクタのうちの少なくとも1つを、コネクタを互いに係合解除することができる状態に置くという事前の意図的な作動なしに、コネクタを互いに係合解除することができないことを保証するやり方でなされる。
【0034】
多くの実施形態では、モジュラーコネクタ4、110の少なくともいくつかの構成要素は、金属、例えば、鋼などで作製され得る。いくつかの実施形態では、貫通路が第2のモジュラーコネクタ4の一部分内に設けられ、エネルギー吸収ユニット1のウェビング14が、その貫通路に通され、ウェビング14自体に折り返されて、ウェビング14自体に(例えば、耐久縫製によって)取り付けられることを可能にし、それにより、第2のモジュラーコネクタ4がエネルギー吸収体10の第1の端部12に取り付けられる。同様に、締結具6をエネルギー吸収体10の第2の端部14に取り付けるために、貫通路が締結具6内に設けられ、ウェビング14がその貫通路を通ることを可能にし得る。これらの構成の両方が、図3の例示的な実施形態に示されている。図1及び図3は、「雄型」モジュラーコネクタ110がケーブル104の端部106に設けられ、相補的な「雌型」モジュラーコネクタ4がエネルギー吸収ユニット1の端部2に設けられている構成を示しているが、いくつかの実施形態では、この構成を逆にすることができる。(更に、いくつかの実施形態では、このようなモジュラーコネクタは、必ずしも「雄」及び「雌」形態である必要はない)
上記のように、エネルギー吸収ユニット1は、エネルギー吸収ユニット1の第2の端部3に位置する締結具6を備える。締結具6は、ユニット1の第2の端部3(ひいては、自己格納式命綱100のケーブル104)が、任意の所望の物品に、例えば、自己格納式命綱100の使用者のハーネスの背面接続点に接続されることを可能にする。締結具6は、任意の好適な形態、例えば、スナップフックなどのフック、カラビナ、Dリング、好適なウェビングのループなどの形態をとることができる。いくつかの実施形態では、締結具6は、図3の例示的な実施形態に示されるように、フック部分とヒンジで開閉可能な(例えば、親指又は指で作動可能な)ゲートとを備え得る。いくつかの実施形態では、締結具6は、自己係合することができ(例えば、スナップフック)、これは、締結具6のヒンジで開閉可能なゲートを構成部品に対して適切に押し付けるだけで、ハーネスの構成部品(例えばDリング)に締結具6が係合できることを意味する。多くの実施形態では、このような留め具は、ゲートが開かれたときに形成される間隙を通って構成部品を通過させた後に、ヒンジ式ゲートがスナップで閉じるように付勢される(例えば、ばね付勢の)場合、自己ロック式であってもよい。このような留め具の多くは、片手操作を可能とすることができる。必要に応じて、フック部分が、例えば使用者の移動によって、必要に応じてフックの長軸と一直線になった回転軸の周囲を自由に回転できるように、一つ以上の回転可能な(旋回可能な)接続部7が(例えば、締結具6のアイボルトと締結具6のフック部分との間に)設けられてもよい。多くの実施形態において、締結具6の少なくともいくつかの構成要素は、金属、例えば、鋼などで作製され得る。いくつかの実施形態では、貫通路が、締結具6の一部分に設けられ得る(例えば、締結具6は、図3のように、貫通路を画定するアイボルトに接合されるフックの形態をとり得る)。これにより、上述のように、エネルギー吸収ユニット1のウェビング14が、貫通路に通され、ウェビング14自体に折り返されて、ウェビング14自体に(例えば、耐久縫製によって)取り付けられることを可能にし、それにより、締結具6をエネルギー吸収体10の第2の端部13に取り付けることができる。
【0035】
本明細書に記載される構成により、エネルギー吸収体10、第2のモジュラーコネクタ4、及び締結具6を含むエネルギー吸収ユニット1が提供され、モジュラーコネクタ4及び締結具6はそれぞれ、エネルギー吸収ユニットの第1の端部2及び第2の端部3を提供する。いくつかの実施形態では、そのようなエネルギー吸収ユニットは、図1に示される一般的な方法では自己格納式命綱100の構成要素として提供され得る。すなわち、エネルギー吸収ユニットは、エネルギー吸収ユニット1の締結具(例えば、スナップフック)6が落下防止ハーネス40の背面接続点に接続されている状態で、命綱のケーブルの末端部分として効果的に機能することができる。
【0036】
しかしながら、従来の(例えば、自己格納式命綱のケーブルから取り外すことができない一体型エネルギー吸収体を含み得る)自己格納式命綱とは対照的に、本構成では、ケーブル104の第2の端部106にモジュラー接続部114を介して可逆的に接続されているエネルギー吸収ユニット1を、必要に応じてケーブル104から接続解除することができる。したがって、エネルギー吸収ユニット1は、例えば、検査又は整備のために工場に戻すため、ケーブル104から接続解除されることができ(逆もまた同様である)、例えば、このような検査又は整備のために自己格納式命綱100全体を工場に戻す必要がない。
【0037】
本明細書に開示される構成は、更なる利点を提供する。前述のように、ハーネスの背面接続点(例えば、Dリング)41は、多くの場合、ケーブルをハーネスに接続するために選択された位置であるため、ケーブルは、作業を妨害しないように、概ね着用者の後ろに留まる。しかしながら、背面接続点41は、着用者の背部の小さい場所に位置するため、締結具(例えば、スナップフック)を背面接続点に接続することが困難である場合があり、したがって着用者は、接続を行うために別の人の支援を必要とし得る。
【0038】
本明細書に開示される構成によれば、エネルギー吸収ユニット1がその締結具6によってハーネス40の背面接続点に接続されると、エネルギー吸収ユニット1は、この方法でハーネスに接続されたままとなり得る。自己格納式命綱のサービスが必要なくなると、第1のモジュラーコネクタ4と第2のモジュラーコネクタ110とは、(例えば、図3に示されるように)互いに接続解除されてもよい。そして、エネルギー吸収ユニット1は、図4に示される一般的な方法では、背面接続点(例えば、背面Dリング)41に接続されて所定の場所に留まり、着用者の活動を妨害しない場所で着用者の背後にぶら下がる。そして、着用者は、自己格納式命綱100を落下防止の目的で使用するときまで、特定の活動(例えば、落下防止が必要とされない活動)を継続することができる。この時点で、使用者は、モジュラーコネクタ4と、110とを互いに再接続することができる。
【0039】
エネルギー吸収ユニット1の長さ(すなわち、締結具6及びモジュラーコネクタ4を含む全長)は、ユニット1の第1の端部2が自己格納式命綱のケーブル104に容易に接続可能であるように構成される。言い換えれば、ユニット1は、十分に長く、着用者は、第2のモジュラーコネクタ4を、例えば着用者の臀部の側面の周りで一瞬で操作することができ、それにより、ユニット1の第2のモジュラーコネクタ4を、自己格納式命綱のケーブル104の端部の第1のモジュラーコネクタ110に容易に接続することができる。様々な実施形態では、エネルギー吸収ユニットの全長は、少なくとも8、10、12、14、又は16インチであり得る。更なる実施形態では、エネルギー吸収ユニットの全長は、最大で24、22、20、18、又は16インチであり得る。
【0040】
したがって、エネルギー吸収ユニット1は、使用者の落下時に所望のエネルギー吸収を提供することができるだけでなく、例えば、就業中ずっと、使用者(着用者)のハーネス40の背面接続点41に接続されたままであることができる。ケーブル104は、この間に、必要に応じて何度でも、ユニット1の第1の端部に接続され、第1の端部から接続解除されることができる。このような構成は、例えば就業中に複数回、ケーブル104を背面接続点に接続し、ケーブル104を背面接続点から接続解除する必要性を実質的に最小限に抑えることができる。むしろ、ユニット1は、所定の場所に留まり、必要に応じて、一日中、背面Dリングに接続されたままにすることができる。(実際、ユニット1は、終業時にハーネスが取り外された後でも背面接続点に接続されたままであってもよい)
【0041】
本明細書に開示される、ハーネス及び自己格納式命綱のケーブルの端部に接続可能なエネルギー吸収ユニットは、例えば、自己格納式命綱及びそれに接続されたエネルギー吸収ユニットが、ANSI Z359.14-2014、セクション4.1.10に記載されているように、リーディングエッジ自己格納式命綱(SRL-LE)の要件を満たすことを可能にすることができるように、エネルギー吸収体をハーネスに近接して有利に位置付けることができることに更に留意されたい。
【0042】
本明細書に開示されるモジュラー式アプローチは、追加の利点をもたらす。例えば、複数の自己格納式命綱は、作業現場の様々な場所に設置することができる。作業者が作業現場を動き回る際に、作業者は、ハーネスを取り外して再着用する、又はエネルギー吸収ユニットをハーネスから接続解除する必要はない。むしろ、作業者は、エネルギー吸収ユニットを第1の自己格納式命綱のケーブルから単に接続解除してから、当該ユニットを第2の別の(同じく、適切なモジュラーコネクタを備えている)自己格納式命綱のケーブルに接続することができる。このプロセスは、必要な数の自己格納式命綱で繰り返すことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、自己格納式命綱100は、エネルギー吸収ユニット1が自己格納式命綱のケーブルに既に接続された状態でエンドユーザに供給されてもよい。更なる実施形態では、自己格納式命綱のケーブル(又は任意の構成要素もしくは部分)に接続されていない1つ以上の追加のエネルギー吸収ユニット1もまた(例えば、スペア、もしくは交換品として、又は複数の作業者に供給するために)供給されてもよい。したがって、エンドユーザには、例えば、自己格納式命綱のケーブルに接続された1つのエネルギー吸収ユニットと、自己格納式命綱と一緒にパッケージ化され得る一方で自己格納式命綱に接続されていない1つ以上の追加のユニットと、を共に含むキットが提供され得る。
【0044】
本明細書に記載の任意の落下防止デバイス、装置、システム、又はそれらの構成要素の使用者は、適用可能な法律、規則、規範、基準、及び/又は命令によって要求される場合、任意の適切なステップ、アクション、予防措置、操作手順などを実行することを課せられることが強調される。すなわち、いかなる状況下においても、本明細書に開示される任意の構成の存在により、使用者が全ての適切な法律;規則;規範;適切な機関(例えばANSI)によって公布された基準;落下防止システム、装置、又は構成要素の製造業者によって提供される指示;作業現場を監督する主体によって提供される指示などに従う義務を免除するものではない。
【0045】
例示的な実施形態及び組み合わせ
第1の実施形態は、自己格納式命綱落下防止装置であって、ハウジングと、ハウジングに回転可能に接続されたリールと、を備える、ベースユニットと、自己格納式命綱のベースユニットのリールに取り付けられた第1の端部と、第1のモジュラーコネクタに取り付けられた第2の端部と、を有する、耐荷重ケーブルと、エネルギー吸収体を備えるエネルギー吸収ユニットであって、エネルギー吸収体が、第1のモジュラーコネクタに脱着可能に接続される第2のモジュラーコネクタが取り付けられた第1の端部と、落下防止ハーネスの背面接続点に締結されるように構成された締結具に取り付けられた反対側の第2の端部と、を有する、エネルギー吸収ユニットと、を備える、自己格納式命綱落下防止装置である。
【0046】
実施形態2は、エネルギー吸収体が、少なくとも1つの細長い部分を含む少なくとも細長い1本のウェビングを備え、少なくとも1つの細長い部分が、細長い部分自体の上に複数回折り畳まれて、重なり合ったセクションを形成し、セクションのうち少なくともいくつかが互いに接合されている、実施形態1に記載の自己格納式命綱である。
【0047】
実施形態3は、互いに取り付けられた重なり合ったセクションが、縫製によって互いに接合されている、実施形態2に記載の自己格納式命綱である。
【0048】
実施形態4は、細長い1本のウェビングの第1の端部の第1の末端部分が、第2のモジュラーコネクタの貫通開口部に通され、第1の端部自体に折り返されて、第1の端部自体に取り付けられることによって、第2のモジュラーコネクタがエネルギー吸収体の第1の端部に取り付けられている、実施形態2又は3に記載の自己格納式命綱である。
【0049】
実施形態5は、細長い1本のウェビングの反対側の第2の端部の第2の末端部分が、締結具の貫通開口部に通され、第2の端部自体に折り返されて、第2の端部自体に取り付けられることによって、締結具がエネルギー吸収体の第2の端部に取り付けられている、実施形態2~4のいずれか1つに記載の自己格納式命綱である。
【0050】
実施形態6は、エネルギー吸収体の第2の端部に取り付けられた締結具が、フックである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の自己格納式命綱である。
【0051】
実施形態7は、背面接続点が、背面Dリングを含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の自己格納式命綱である。
【0052】
実施形態8は、第1のモジュラーコネクタが、雄型モジュラーコネクタであり、第2のモジュラーコネクタが、雌型モジュラーコネクタである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の自己格納式命綱である。
【0053】
実施形態9は、第1のモジュラーコネクタが、ループ部分を備え、ループ部分から第1の雄型モジュラーコネクタの雄型部材が延びておりループ部分が、貫通開口部を画定しており、ケーブルの第2の端部の末端部分を、ループ部分の貫通開口部に通し、第2の端部自体に折り返して、第2の端部自体に取り付けることによって、ケーブルの第2の端部が第1のモジュラーコネクタに取り付けられている、実施形態8に記載の自己格納式命綱である。
【0054】
実施形態10は、第1のモジュラーコネクタ及び第2のモジュラーコネクタは、第1のコネクタと第2のコネクタとを接続状態へと自動係合することを可能にし、第1のモジュラーコネクタと第2のモジュラーコネクタとが接続解除状態へと係合解除可能となる前に、第2のモジュラーコネクタをロック解除状態へと作動させることを必要とするように構成されている、実施形態1~9のいずれか1つに記載の自己格納式命綱である。
【0055】
実施形態11は、第1のモジュラーコネクタが、雌型モジュラーコネクタであり、第2のモジュラーコネクタが、雄型モジュラーコネクタである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の自己格納式命綱である。
【0056】
実施形態12は、エネルギー吸収ユニットが、エネルギー吸収体、第2のモジュラーコネクタ、及び締結具の長さを含めて、8インチ~24インチの細長い全長を有するように構成されている、実施形態1~11のいずれか1つに記載の自己格納式命綱である。
【0057】
実施形態13は、実施形態1~12のいずれか1つに記載の自己格納式命綱と、人間の使用者によって着用されるように構成された落下防止ハーネスと、を備える、落下防止システムであって、エネルギー吸収ユニットの締結具が、落下防止ハーネスの背面接続点に締結されて、自己格納式命綱のケーブルが落下防止ハーネスに接続されている、落下防止システムである。
【0058】
実施形態14は、実施形態1~12のいずれか1つに記載の自己格納式命綱を備えるキットであって、対応する実施形態1~12に記載のエネルギー吸収ユニットと同一であるが、自己格納式命綱に接続されていない少なくとも1つの追加のエネルギー吸収ユニットを更に備える、キットである。
【0059】
実施形態15は、1つ以上の自己格納式命綱落下防止装置の使用方法であって、エネルギー吸収ユニットの第2の端部の締結具を落下防止ハーネスの背面接続点に締結する工程を含み、エネルギー吸収ユニットの第1の端部が、自己格納式命綱のケーブルの端部にモジュラー接続部を介して接続されており、モジュラー接続部が、ケーブルの端部が取り付けられている第1のモジュラーコネクタと、エネルギー吸収ユニットの第1の端部が取り付けられている第2のモジュラーコネクタとの間に設けられている、方法である。
【0060】
実施形態16は、エネルギー吸収ユニットが自己格納式命綱のケーブルに接続されなくなるように、エネルギー吸収ユニットの第1の端部が取り付けられている第2のモジュラーコネクタを、ケーブルの端部が取り付けられている第1のモジュラーコネクタから接続解除する工程を更に含む、実施形態15に記載の方法である。
実施形態17は、第2のモジュラーコネクタが第1のモジュラーコネクタから接続解除されるときに、エネルギー吸収ユニットが、落下防止ハーネスに接続されたままであるように、エネルギー吸収ユニットの第2の端部の締結具が、落下防止ハーネスの背面接続点に締結されたままであり、エネルギー吸収ユニットが、8インチ~24インチの細長い全長を有する、実施形態16に記載の方法である。
実施形態18は、エネルギー吸収ユニットが自己格納式命綱のケーブルに接続されていないときに、エネルギー吸収ユニットが、落下防止ハーネスの背面接続点から少なくとも略垂直方向下向きに垂れ下がっている、実施形態17に記載の方法である。
実施形態19は、エネルギー吸収ユニットが自己格納式命綱のケーブルに再接続されるように、エネルギー吸収ユニットの第1の端部が取り付けられている第2のモジュラーコネクタを、ケーブルの端部が取り付けられている第1のモジュラーコネクタに再接続する後続の工程を更に含む、実施形態17又は18に記載の方法である。
実施形態20は、エネルギー吸収ユニットが第2の自己格納式命綱のケーブルに接続されるように、エネルギー吸収ユニットの第1の端部が取り付けられている第2のモジュラーコネクタを、第2の自己格納式命綱のケーブルの端部が取り付けられている第1のモジュラーコネクタに接続する後続工程を更に含む、実施形態17又は18に記載の方法である。
実施形態21は、実施形態1~15のうちのいずれか1つの自己格納式命綱、落下防止システム、ハーネス、及び/又はキットを用いて実行される、実施形態15~20のうちのいずれか1つに記載の方法である。
【0061】
本明細書に開示される特定の例示的な要素、構造、特色、詳細、構成などは、多数の実施形態において修正及び/又は組み合わせ可能であることは、当業者には明らかであろう。かかる全ての変形及び組み合わせは、単に例示的な説明としての役割を果たすように選択された代表的な設計ではなく、着想された発明の範囲内にあると発明者によって思料される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された特定の例示的な構造に限定してはならず、少なくとも請求項の文言によって記載された構造及びそれらの構造の均等物に拡張される。本明細書において選択肢として積極的に記載されている要素はいずれも、所望に応じた任意の組み合わせで、請求項に明示的に含めてもよい、又は請求項から除外してもよい。オープンエンド言語(例えば、「を含む」とその派生語)で本明細書に記載される、要素のいずれか又は要素の組み合わせは、クローズドエンド言語(例えば、「からなる」とその派生語)及び部分的クローズドエンド言語(例えば、「から本質的になる」とその派生語)で更に記載されると考えられる。本明細書の記載と、参照によって本明細書に組み込まれたいずれかの文書での開示との間に何らかの矛盾又は不一致が存在するが、それに対する優先性が主張されていない場合、本明細書の記載が優先するものとする。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】