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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】二峰性触媒システム
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/64 20060101AFI20221219BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20221219BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C08F4/64
C08F4/6592
C08F10/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525571
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 US2020058855
(87)【国際公開番号】W WO2021091994
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/930,450
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、アンドリュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クールマン、ロジャー エル.
(72)【発明者】
【氏名】パディリャ-アセヴェド、アンジェラ アイ.
(72)【発明者】
【氏名】スズール、ジョン エフ.
【テーマコード(参考)】
4J128
【Fターム(参考)】
4J128AA02
4J128AB00
4J128AC01
4J128AC26
4J128AD08
4J128AD11
4J128AE06
4J128AE15
4J128BA01A
4J128BA01B
4J128BB01A
4J128BB01B
4J128BC25A
4J128BC25B
4J128CA28A
4J128CA28B
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB09
4J128EC02
4J128FA02
4J128FA04
4J128FA07
4J128FA08
4J128FA09
4J128GA01
4J128GA05
4J128GA06
4J128GA07
4J128GA08
4J128GA19
(57)【要約】
実施形態は、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたメタロセンオレフィン重合触媒およびビフェニルフェノール重合触媒を含む二峰性重合触媒システムを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタロセンオレフィン重合触媒と、
式I:
【化1】
(式中、RおよびRの各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、ハロゲン、または水素であり、
式中、RおよびR10の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルキルもしくはアリール置換シリル、または水素であり、
式中、RおよびR13の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、または水素であり、
式中、R15およびR16の各々は、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルであり、
式中、Lは、飽和C~Cアルキルであり、Lが結合している2個の酸素原子間に2-炭素架橋または3-炭素架橋を形成し、
式中、各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C~C20)アルキル、(C~C20)アラルキル、(C~C)アルキル置換(C~C12)アリール、または(C~C)アルキル置換ベンジル、-CHSi(R、Rは、C~C12炭化水素であり、
式中、R、R、R、R、R、R11、R12、およびR14の各々は、独立して、水素であり、
式中、Mは、ZrおよびHfからなる群から選択されるヘテロ原子である)のビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒と、を含む二峰性重合触媒システム。
【請求項2】
およびRの各々が、Cアルキルである、請求項1に記載の二峰性重合触媒システム。
【請求項3】
およびR10の各々が、ジアルキルまたはトリアルキル置換シリルである、請求項1または2に記載の二峰性重合触媒システム。
【請求項4】
各RおよびR13が、1,1,3,3-テトラメチルブチルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の二峰性重合触媒システム。
【請求項5】
15およびR16の各々が、2,7-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の二峰性重合触媒システム。
【請求項6】
Lが、飽和Cアルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の二峰性重合触媒システム。
【請求項7】
各Xが、Cアルキルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の二峰性重合触媒システム。
【請求項8】
Mが、Zrである、請求項1~7のいずれか一項に記載の二峰性重合触媒システム。
【請求項9】
Mが、Hfである、請求項1~7のいずれか一項に記載の二峰性重合触媒システム。
【請求項10】
前記メタロセンオレフィン重合触媒が、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)MX
(テトラメチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)MX
(テトラメチルシクロペンタジエニル)(ブチルシクロペンタジエニル)MX
(メチルシクロペンタジエニル)(1,3-ジメチル-テトラヒドロインデニル)MX
(シクロペンタジエニル)(1,3-ジメチル-テトラヒドロインデニル)MX
(シクロペンタジエニル)(4,7-ジメチルインデニル)MX
(シクロペンタジエニル)(1,5-ジメチルインデニル)MX
(シクロペンタジエニル)(1,4-ジメチルインデニル)MX
MeSi(インデニル)MX
MeSi(テトラヒドロインデニル)MX
(n-プロピルシクロペンタジエニル)MX
(n-ブチルシクロペンタジエニル)MX
(1-メチル、3-ブチルシクロペンタジエニル)MX
HN(CHCHN(2,4,6-Meフェニル))MX
HN(CHCHN(2,3,4,5,6-Meフェニル))MX
(ブチルシクロペンタジエニル)MX
(プロピルシクロペンタジエニル)MX、およびそれらの混合物、なる群から選択されるメタロセンプレ触媒から製造され、
式中、MはZrまたはHfであり、XはF、Cl、Br、I、Me、ベンジル、CHSiMe、およびC~Cのアルキルまたはアルケニルから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の二峰性重合触媒システム。
【請求項11】
シリカ支持体であって、前記シリカ支持体が、(a)式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造された前記ビフェニルフェノール重合触媒ではなく、前記メタロセンオレフィン重合触媒、(b)前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造された前記メタロセンオレフィン重合触媒ではなく、前記ビフェニルフェノール重合触媒、または(c)式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造された前記メタロセンオレフィン重合触媒および前記ビフェニルフェノール重合触媒の組み合わせ、を支持するシリカ支持体をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の二峰性重合触媒システム。
【請求項12】
高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を含む二峰性ポリエチレン組成物を製造する方法であって、前記高分子量および低分子量ポリエチレン成分が、請求項1に記載の二峰性重合触媒システムを使用する重合プロセスを介して、単一の気相反応器内で一緒に製造され、前記二峰性ポリエチレン組成物が、5.00より大きい重量平均分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)比(Mw/Mn)の値、前記Mw/Mnより小さい、重量平均分子量(Mw)比に対するz平均分子量(Mz)の値(Mz/Mw)、または、5.00より大きい前記Mw/Mnおよび前記Mw/Mnより小さいMz/Mwの両方を有する、方法。
【請求項13】
少なくとも前記メタロセンオレフィン重合触媒、前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒、または前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造された前記ビフェニルフェノール重合触媒を含むトリム溶液を形成することと、
前記トリム溶液を単一の反応器に添加して、前記二峰性重合触媒システムの少なくとも一部を製造することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
活性化条件下で、前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性剤と接触させることによって前記ビフェニルフェノール重合触媒を製造することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の二峰性重合触媒システムを製造する方法。
【請求項15】
前記活性剤を、シリカ支持体上で噴霧乾燥し、前記方法が、活性化条件下で、前記式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒を、前記支持された噴霧乾燥活性剤と接触させることによって前記ビフェニルフェノール重合触媒を製造することを含む、請求項14に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、二峰性触媒システム、より具体的には、単一の気相反応器において高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を含む二峰性ポリエチレン組成物を製造するために利用され得る二峰性触媒システムを対象にする。
【背景技術】
【0002】
ポリマーは、特に、フィルム、繊維、不織布および/または織布、押出物品、および/または成形品などの多くの製品に用いられ得る。ポリマーは、重合触媒の存在下で、重合反応において1つ以上の種類のモノマーを反応させることによって製造され得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、以下を含む様々な実施形態を提供する。
【0004】
メタロセンオレフィン重合触媒と、式I:
【化1】
(式中、RおよびRの各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、ハロゲン、または水素であり、式中、RおよびR10の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルキルもしくはアリール置換シリル、または水素であり、式中、RおよびR13の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、または水素であり、式中、R15およびR16の各々は、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルであり、
式中、Lは、飽和C~Cアルキルであり、Lが結合している2個の酸素原子間に2-炭素架橋または3-炭素架橋を形成し、式中、各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C~C20)アルキル、(C~C20)アラルキル、(C~C)アルキル置換(C~C12)アリール、または(C~C)アルキル置換ベンジル、-CHSi(Rであり、式中Rは、C~C12炭化水素であり、式中、R、R、R、R、R、R11、R12、およびR14の各々は、独立して水素であり、式中、Mは、ZrおよびHfからなる群から選択されるヘテロ原子である)のビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒と、を含む二峰性重合触媒システム;
【0005】
高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を含む二峰性ポリエチレン組成物を製造する方法であって、高分子量および低分子量ポリエチレン成分が、二峰性重合触媒システムを使用する重合プロセスを介して、単一の気相反応器内で一緒に製造され、二峰性ポリエチレン組成物が、5.00より大きい重量平均分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)比(Mw/Mn)の値、Mw/Mnより小さい、重量平均分子量(Mw)比に対するz平均分子量(Mz)(Mz/Mw)の値、または、5.00より大きいMw/MnおよびMw/Mnより小さいMz/Mwの両方を有する、方法;ならびに
本明細書に詳述されるように、活性化条件下で、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性剤と接触させることによってビフェニルフェノール重合触媒を製造することを含む、二峰性重合触媒システムを製造する方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
メタロセンオレフィン重合触媒と、式I:
【化2】
(式中、RおよびRの各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、ハロゲン、または水素であり、式中、RおよびR10の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルキルもしくはアリール置換シリル、または水素であり、式中、RおよびR13の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、または水素であり、式中、R15およびR16の各々は、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルであり、式中、Lは、飽和C~Cアルキルであり、Lが結合している2個の酸素原子間に2-炭素架橋または3-炭素架橋を形成し、式中、各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C~C20)アルキル、(C~C20)アラルキル、(C~C)アルキル置換(C~C12)アリール、または(C~C)アルキル置換ベンジル、-CHSi(Rであり、式中、Rは、C~C12炭化水素であり、式中、R、R、R、R、R、R11、R12、およびR14の各々は、独立して水素であり、式中、Mは、ZrおよびHfからなる群からなる選択されるヘテロ原子である)のビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒と、を含む二峰性重合触媒システム。
【0007】
式Iによって表されるビフェニルフェノール重合プレ触媒(すなわち、ビフェニルフェノール重合プレ触媒)は、本明細書に記載されるように、ビフェニルフェノール重合触媒を製造するために利用され得る。例えば、式Iによって表されるビフェニルフェノール重合プレ触媒は、活性化条件下で、式Iによって表されるビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性化するように活性剤と接触させることができ、それにより、ビフェニルフェノール重合触媒を製造する。
【0008】
前述のように、式Iに示されるようなRおよびRの各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、ハロゲン、または水素である。1つ以上の実施形態は、RおよびRの各々が、Cアルキル、例えばメチルであることを提供する。
【0009】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、水素が1つ欠乏した線状、分枝状および環式パラフィン基を含む。したがって、例えば、CH基(「メチル」)およびCHCH基(「エチル」)は、アルキルの例である。
【0010】
本明細書で使用される場合、「アリール」には、フェニル、ナフチル、ピリジル、および分子がベンゼン、ナフチレン、フェナントレン、アントラセン等に特徴的な環構造を有する他の基が含まれる。「アリール」は、C~C20アリールであってもよいことが理解される。例えば、C-芳香族構造は「フェニル」であり、C-芳香族構造は「フェニレン」である。本明細書で使用される場合、「アリールアルキル」とも呼ばれる場合がある「アラルキル」は、そこからぶら下がったアリールを有するアルキルである。「アラルキル」は、C~C20アラルキルであってもよいことが理解される。「アルキルアリール」は、そこからぶら下がった1つ以上のアルキルを有するアリールである。本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」は、水素が1つ欠乏した水素および炭素を含む脂肪族、環式、オレフィン、アセチレンおよび芳香族基(すなわち炭化水素基)を含む。
【0011】
前述のように、式Iに示されるようなRおよびR10の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルキルもしくはアリール置換シリル、または水素であり得る。例えば、1つ以上の実施形態は、RおよびR10は、ジアルキルまたはトリアルキル置換シリルであることを提供する。1つ以上の実施形態は、RおよびR10の各々は、オクチルジメチルシリルであることを提供する。
【0012】
前述のように、式Iに示されるようなRおよびR11の各々は、独立して、水素またはフッ素などのハロゲン化物であり得る。例えば、1つ以上の実施形態は、RおよびR11の各々は、水素であることを提供する。
【0013】
前述のように、式Iに示されるようなRおよびR13の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、または水素であり得る。1つ以上の実施形態は、RおよびR13の各々は、n-ブチル、t-ブチル、または2-メチル-ペンチルなどのC-Cアルキルであることを提供する。1つ以上の実施形態は、RおよびR13の各々は、1,1,3,3-テトラメチルブチルであることを提供する。
【0014】
前述のように、式Iに示されるようなR15およびR16の各々は、2,7-二置換カルバゾール-9-イルであり得る。例えば、1つ以上の実施形態は、R15およびR16の各々は、2,7-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジエチルカルバゾール-9-イル、2,7-ジメチルカルバゾール-9-イル、および2,7-ビス(ジイソプロピル(n-オクチル)シリル)-カルバゾール-9-イルからなる群から選択される2,7-二置換カルバゾール-9-イルであることを提供する。
【0015】
前述のように、式Iに示すように、Lは、飽和C~Cアルキルであり、Lが結合している2個の酸素原子間に2-炭素または3-炭素架橋を形成する。例えば、1つ以上の実施形態は、Lが、Lが結合している2個の酸素原子間に架橋を形成する飽和Cアルキルであることを提供する。「飽和」という用語は、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、および(ヘテロ原子-含有基において)炭素-窒素、炭素-リン、および炭素-シリコン二重結合または三重結合を欠いていることを意味する。
【0016】
前述のように、式Iに示すように、各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C~C20)アルキル、(C~C20)アラルキル、(C~C)アルキル置換(C~C12)アリール、または(C~C)アルキル置換ベンジル、-CHSi(Rであり得、Rは、C~C12炭化水素である。例えば、1つ以上の実施形態は、各Xは、独立してCアルキルであることを提供する。
【0017】
前述のように、式Iに示すように、Mは、金属原子などのヘテロ原子である。いくつかの実施形態では、Mは、ZrおよびHfからなる群から選択することができる。1つ以上の実施形態は、Mがジルコニウムであることを提供する。1つ以上の実施形態は、Mがハフニウムであることを提供する。
【0018】
本明細書に記載されるように、式IのR基(R~R16)およびXの各々は、独立して、置換または非置換することができる。例えば、いくつかの実施形態では、式IのXの各々は、独立して、(C~C)アルキル置換(C~C12)アリール、または(C~C)アルキル置換ベンジルであり得る。本明細書で使用される場合、「置換された」とは、その用語に続く基が、任意の位置の1つ以上の水素の代わりに少なくとも1つの部分を有することを示し、部分は、ハロゲンラジカル、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C~C20アルキル基、C~C10アルケニル基、およびそれらの組み合わせのような基から選択される。「二置換された」とは、任意の位置に2つ以上の置換基の存在を指し、部分は、ハロゲンラジカル、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル、C~C20アルキル基、C~C10アルケニル基、およびそれらの組み合わせのような基から選択される。
【0019】
本明細書のメタロセンオレフィン重合触媒およびビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されるビフェニルフェノール重合触媒は、本明細書に記載の反応物を利用して製造することができる。本明細書のメタロセンオレフィン重合触媒およびビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されるビフェニルフェノール重合触媒は、多くのプロセスによって、例えば、従来の溶媒、反応条件、反応時間、および単離手順を用いて製造することができ、公知のメタロセンオレフィン重合触媒などの公知の触媒を製造するために利用される。
【0020】
1つ以上の実施形態は、重合触媒、すなわち式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されるビフェニルフェノール重合触媒を提供する。ビフェニルフェノール重合触媒は、活性化条件下で、ビフェニルフェノール重合プレ触媒および活性剤を接触させることによって製造され、ビフェニルフェノール重合触媒、例えば、活性化ビフェニルフェノール重合プレ触媒を提供することができる。活性化条件は、当技術分野において周知である。
【0021】
本明細書で使用される場合、「活性剤」は、例えば触媒成分のカチオン種を生成することによって、錯体または触媒成分を活性化させることができる、担持されたまたは担持されていない任意の化合物または化合物の組み合わせを指す。例えば、これは、錯体/触媒成分、例えば、式Iの金属錯体の金属中心からの、少なくとも1つの脱離基、例えば、本明細書に記載の「X」基の抽象化を含むことができる。本明細書で使用される場合、「脱離基」は、金属原子に結合し、活性剤によって引き抜かれ、したがってオレフィン重合に対して活性な種を生成することができる1つ以上の化学部分を指す。
【0022】
活性剤は、ルイス酸または非配位性イオン性活性剤またはイオン化活性剤、またはルイス塩基、アルミニウムアルキル、および/または従来型助触媒を含む任意の他の化合物を含むことができる。上述のメチルアルミノキサン(「MAO」)および修飾メチルアルミノキサン(「MMAO」)に加えて、例示的な活性剤としては、限定されないが、アルミノキサンもしくは修飾アルミノキサン、および/またはイオン化化合物、中性もしくはイオン性、例えばジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-(CFフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-(CFフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロナフチル)アルミネート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロナフチル)アルミネート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)アルミネート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)アルミネート、トリス(ペルフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペルフルオロナフチル)ホウ素、トリス(ペルフルオロフェニル)アルミニウム、トリス(ペルフルオロナフチル)アルミニウムまたはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0023】
アルミノキサンは、-A1(R)-O-サブユニット(ここで、Rはアルキル基である)を有するオリゴマーアルミニウム化合物として記載することができる。アルミノキサンの例としては、メチルアルミノキサン(「MAO」)、修飾メチルアルミノキサン(「MMAO」)、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。アルミノキサンは、それぞれのトリアルキルアルミニウム化合物の加水分解によって生成することができる。MMAOは、トリメチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムなどの高級トリアルキルアルミニウムの加水分解によって生成することができる。アルミノキサンおよび修飾アルミノキサンを調製するための様々な既知の方法がある。アルミノキサンは、修飾メチルアルミノキサン(「MMAO」)タイプ3A(米国特許第5,041,584号に記載されている修飾メチルアルミノキサンタイプ3Aの商品名でAkzo Chemicals,Inc.から市販されている)を含むことができる。MAO源は、例えば、約1重量%~約50重量%のMAOを有する溶液であり得る。市販のMAO溶液としては、Albemarle Corporation(Baton Rouge,La)から入手可能な10重量%および30重量%のMAO溶液を挙げることができる。
【0024】
1つ以上のアルキルアルミニウム化合物などの1つ以上の有機アルミニウム化合物を、アルミノキサンと組み合わせて使用することができる。アルキルアルミニウム化合物の例としては、限定されないが、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。他のアルキルアルミニウム化合物、例えばトリアルキルアルミニウム化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム(「TEAL」)、トリイソブチルアルミニウム(「TiBAl」)、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
メタロセンオレフィン重合触媒は、任意のメタロセンオレフィン重合触媒であり得る。1つ以上の実施形態では、メタロセンオレフィン重合触媒は、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)MX、(テトラメチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)MX、(テトラメチルシクロペンタジエニル)(ブチルシクロペンタジエニル)MX、MeSi(インデニル)MX、MeSi(テトラヒドロインデニル)MX、(n-プロピルシクロペンタジエニル)MX、(n-ブチルシクロペンタジエニル)MX、(1-メチル、3-ブチルシクロペンタジエニル)MX、HN(CHCHN(2,4,6-Meフェニル))MX、HN(CHCHN(2,3,4,5,6-Meフェニル))MX、(プロピルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)MX、(ブチルシクロペンタジエニル)MX、(プロピルシクロペンタジエニル)MX、およびそれらの混合物(MはZrまたはHf、XはF、Cl、Br、I、Me、ベンジル、CHSiMe、およびC~Cのアルキルまたはアルケニルから選択される)からなる群から選択される。1つ以上の実施形態では、メタロセンオレフィン重合触媒は、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、または(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドからなる群から選択される。
【0026】
メタロセンオレフィン重合触媒およびビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒を含む二峰性重合触媒システムを利用して、ポリマーを製造することができる。例えば、二峰性重合触媒システムおよびオレフィンを重合条件下で接触させて、ポリマー、例えばポリオレフィンポリマーを製造することができる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」は、1つ以上の異なるモノマー、例えばホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどから誘導される2つ以上の同じまたは異なるポリマー単位を有する。「ホモポリマー」は、同じポリマー単位を有するポリマーである。「コポリマー」は、互いに異なる2つ以上のポリマー単位を有するポリマーである。「ターポリマー」は、互いに異なる3つのポリマー単位を有するポリマーである。ポリマー単位に言及する際、「異なる」とは、ポリマー単位が、互いに少なくとも1つの原子だけ異なるか、または異性体的に異なることを示す。したがって、本明細書で使用されるコポリマーの定義は、ターポリマーなどを含む。本明細書で使用される場合、「重合プロセス」は、ポリマーを製造するために用いられるプロセスである。
【0028】
実施形態は、ポリマーがポリオレフィンポリマーであり得ることを提供する。本明細書で使用される場合、「アルケン」と称され得る「オレフィン」は、炭素および水素を含み、少なくとも1つの二重結合を有する直鎖状、分枝状、または環状の化合物を指す。本明細書で使用される場合、ポリマーまたはコポリマーがオレフィンを含む(例えば、オレフィンから作製される)といわれる場合、このようなポリマーまたはコポリマー中に存在するオレフィンは、オレフィンの重合形態である。例えば、コポリマーが1重量%~99重量%のエチレン含有量を有するといわれる場合、コポリマー中のポリマー単位は重合反応においてエチレンから誘導され、誘導単位はポリマーの総重量に基づいて1重量%~99重量%で存在すると理解される。高級α-オレフィンとは、3個以上の炭素原子を有するα-オレフィンを指す。
【0029】
ポリオレフィンとしては、エチレンなどのオレフィンモノマーから作製されたポリマー、すなわちポリエチレン、および3~20個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の高級α-オレフィンモノマーが挙げられる。高級α-オレフィンモノマーの例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、および3,5,5-トリメチル-1-ヘキセンが挙げられるが、それらに限定されない。ポリオレフィンの例としては、特に、エチレン-1-ブテン、エチレン-1-ヘキセンおよびエチレン-1-オクテンコポリマーなどの少なくとも50重量%のエチレンを有するエチレン系ポリマーが挙げられる。用いられ得る他のオレフィンとしては、例えば、エチレン性不飽和モノマー、4~18個の炭素原子を有するジオレフィン、共役または非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマーおよび環状オレフィンが挙げられる。モノマーの例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、およびシクロペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。多くの実施形態において、エチレンのコポリマーが生成され、ここでは、エチレンと、4~15個の炭素原子、好ましくは4~12個の炭素原子、および最も好ましくは4~8個の炭素原子を有する少なくとも1つのα-オレフィンを有するコモノマーが、例えば、気相重合プロセスで重合され得る。別の実施形態では、エチレンおよび/またはプロピレンは、少なくとも2つの異なるコモノマー(任意で、そのうちの1つはジエンであり得る)と重合して、ターポリマーを製造することができる。
【0030】
1つ以上の実施形態は、ポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、1~100重量%のエチレンから誘導される単位を含むことができることを提供する。1~100重量%のすべての個別値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、1、5、10、または50重量%の下限のエチレンから誘導される単位から、100、95、90、85、または75重量%の上限のエチレンから誘導される単位までを含むことができる。
【0031】
前述のように、驚くべきことに、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒を含む二峰性重合触媒システムは、単一の気相反応器での重合プロセスによってポリマーを提供するのを助けることができる。1つ以上の実施形態では、得られるポリマーは、本明細書に詳述されるように、少なくとも高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を有することができる。1つ以上の実施形態では、得られるポリマーは、高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を含む二峰性ポリエチレン組成物などの二峰性ポリマーであり得、高分子量および低分子量ポリエチレン成分は、単一の気相反応器で、二峰性重合触媒システムを使用した重合プロセスによって一緒に形成される。高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を有することが、いくつかの用途において望ましい。
【0032】
驚くべきことに、本開示の式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒を含む二峰性重合触媒システムは、本明細書に詳述されるように、同様の重合条件で他の(非発明的)重合触媒で形成される二峰性ポリマー中の高分子量成分と比較して、より小さい分子量を有する高分子量ポリエチレン成分を含む二峰性ポリマーを製造することができる。いくつかの用途では、他の高分子量ポリエチレン成分よりも低分子量を有する高分子量ポリエチレン成分が望ましい。
【0033】
実施形態は、ポリマーが8,000~50,000の全体のMn(数平均分子量)を有し得ることを提供する。8,000~50,000のすべての個別値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、8,000、10,000、または12,000の下限から50,000、40,000、または35,000の上限までの全体のMnを有し得る。いくつかの実施形態では、全体のMnは、12,170~30,958の範囲にあり得る。
【0034】
実施形態は、ポリマーが50,000~1,000,000の全体のMw(重量平均分子量)を有し得ることを提供する。100,000~1,000,000のすべての個別値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、50,000、100,000、または200,000の下限から1,000,000、800,000、または600,000の上限までの全体のMwを有し得る。いくつかの実施形態では、全体のMwは、218,937~529,748の範囲にあり得る。
【0035】
実施形態は、ポリマーが200,000~10,000,000の全体のMz(z平均分子量)を有し得ることを提供する。200,000~10,000,000のすべての個別値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、200,000、700,000、または900,000の下限から10,000,000、5,000,000、または3,000,000の上限までの全体のMzを有し得る。いくつかの実施形態では、全体のMzは、945,368~2,645,720の範囲であり得る。
【0036】
実施形態は、ポリマーが、2.00~20.00の範囲の全体のMz対Mw比を有することができることを提供する。2.00~20.00のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、2.00、3.00、または4.00の下限から20.00、15.00、または10.00の上限の全体のMz対Mw比を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、4.32対8.21の全体のMz対Mw比を有することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、5.00より大きいMw対Mn比の値を有することができる。例えば、実施形態は、ポリマーが5.00~75.00の範囲の全体のMw対Mn比を有することができることを提供する。5.00~75.00のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、5.00、6.00、または7.00の下限から75.00、60.00、または50.00の上限のMw対Mn比を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、8.95対43.53の全体のMw対Mn比を有することができる。
【0038】
実施形態は、ポリマーが、ポリマーの全体のMw対Mn比よりも小さい全体のMz対Mw比を有することができることを提供する。
【0039】
実施形態は、ポリマーが、ASTM D1238(190℃、21kgの負荷で)によって測定されるように、0.001dg/1分~1000dg/1分の範囲のメルトインデックス(I21)を有することができることを提供する。0.001dg/1分~1000dg/1分のすべての個別値および部分範囲が含まれる。例えば、ポリマーは、1.49dg/1分~7.93dg/1分のメルトインデックス(I21)を有することができる。
【0040】
実施形態は、ポリマーが、0.890g/cm~0.970g/cmの密度を有することができることを提供する。0.890~0.970g/cmのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、ポリマーは、0.890、0.900、0.910、0.920、または0.940g/cmの下限から、0.970、0.960、または0.950g/cmの上限までの密度を有することができる。密度を、ASTM D-792-13、置換によるプラスチックの密度および比重(相対密度)の標準試験法、方法Bに従って決定(水以外の液体、例えば液体2-プロパノール中で固体プラスチックを試験するため)することができる。結果は1立方センチメートル当たりのグラム数(g/cm)の単位で報告する。
【0041】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)試験法:重量平均分子量試験法:高温ゲル浸透クロマトグラフィー機器(HTGPC、Polymer Laboratories)で得られたクロマトグラムを使用して、M、数平均分子量(M)、およびM/Mを決定する。HTGPCは、トランスファライン、示差屈折率検出器(DRI)、および3つのPolymer Laboratories PLgel 10μm Mixed-Bカラムを備えており、すべて160℃に維持されたオーブンに含まれる。方法は、1.0ミリリットル/分(mL/min.)の公称流量、300マイクロリットル(μL)の公称注入量で、BHTで処理されたTCBからなる溶媒を使用する。6グラムのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT、抗酸化剤)を4リットル(L)の試薬グレードの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)に溶解し、得られた溶液を0.1マイクロメートル(μm)のテフロンフィルターで濾過して溶媒を得ることにより溶媒を調製する。溶媒がHTGPC機器に入る前に、インラインデガッサで溶媒を脱気する。一連の単分散ポリスチレン(PS)標準物を用いてカラムを較正する。別に、既知量の溶媒中で、その既知量を160℃で2時間連続的に振盪しながら加熱することにより、溶媒に溶解した既知の濃度の試験ポリマーを調製する。(すべての量を重量測定で測定する。)試験ポリマーの目標溶液濃度cは、1ミリリットル溶液当たり0.5~2.0ミリグラムポリマー(mg/mL)で、高分子量ポリマーには低濃度のcが使用される。各試料を実行する前に、DRI検出器をパージする。次に、装置内の流量を1.0mL/分に増加させ、最初の試料を注入する前に、DRI検出器を8時間安定させる。カラム較正の一般的な較正関係を使用して、MおよびMを計算する。次式
【数1】
を用いて、各溶出体積でのMWを計算する(式中、下付き文字「X」が、試験試料を表し、下付き文字「PS」が、PS標準を表し、aPS=0.67、KPS=0.000175であり、aおよびKが、出版された文献から得られる)。ポリエチレンの場合、a/K=0.695/0.000579である。ポリプロピレンの場合、a/K=0.705/0.0002288である。結果のクロマトグラムの各ポイントで、次の方程式を使用して、ベースラインを差し引いたDRI信号IDRIから濃度cを計算する:c=KDRIDRI/(dn/dc)、(式中、KDRIはDRIを較正することによって決定される定数で、/は除算を示し、dn/dcはポリマーの屈折率の増分である)。ポリエチレンの場合、dn/dc=0.109である。溶出体積に対する濃度クロマトグラフィーのクロマトグラムの積分面積と、所定の濃度に注入ループ体積を掛けたものに等しい注入質量との比率から、ポリマーの質量回収率を計算する。特に明記しない限り、すべての分子量を1モル当たりのグラム数(g/mol)で報告する。Mw、Mn、MWDを決定する方法に関するさらなる詳細は、US2006/0173123の24~25頁、段落番号[0334]~[0341]に記載されている。y軸上のdW/dLog(MW)をx軸上のLog(MW)に対してプロットして、GPCクロマトグラムを得る(Log(MW)およびdW/dLog(MW)は、上記で定義したとおりである)。
【0042】
ポリマーは、特に、フィルム、繊維、不織布および/または織布、押出物品、および/または成形品などの多くの物品に用いられ得る。
【0043】
提供されるのは、メタロセンオレフィン重合触媒と、式I:
【化3】
(式中、RおよびRの各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、ハロゲン、または水素であり、式中、RおよびR10の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルキルもしくはアリール置換シリル、または水素であり、式中、RおよびR13の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、または水素であり、式中、R15およびR16の各々は、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルであり、式中、Lは、飽和C~Cアルキルであり、Lが結合している2個の酸素原子間に2-炭素架橋または3-炭素架橋を形成し、式中、各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C~C20)アルキル、(C~C20)アラルキル、(C~C)アルキル置換(C~C12)アリール、または(C~C)アルキル置換ベンジル、-CHSi(Rであり、式中、Rは、C~C12炭化水素であり、式中、R、R、R、R、R、R11、R12、およびR14の各々は、独立して水素であり、式中、Mは、ZrおよびHfからなる群からなる選択されるヘテロ原子である)のビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒と、を含む二峰性重合触媒システムである。
【0044】
メタロセンオレフィン重合触媒および/または式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒、ならびに活性剤などの本明細書で論じられる他の成分は、支持体と共に利用され得る。担体とも呼ばれる「支持体」は、タルク、無機酸化物、および無機塩化物等の多孔性支持体材料を含む任意の支持体材料を指す。
【0045】
メタロセンオレフィン重合触媒および/または式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒からなるビフェニルフェノール重合触媒、ならびに本明細書で論じる他の成分を、同一または別の支持体に支持することができ、または成分のうちの1つ以上を非支持形態で使用してもよい。支持体を用いることは、当該技術分野で使用される任意の技術によって達成することができる。1つ以上の実施形態は、噴霧乾燥プロセスが用いられることを提供する。噴霧乾燥プロセスは、当該技術分野において周知である。支持体は、官能化され得る。
【0046】
支持体は、多孔質支持体材料、例えば、タルク、無機酸化物、または無機塩化物であり得る。他の支持体材料としては、樹脂支持体材料、例えばポリスチレン、ポリスチレンジビニルベンゼンポリオレフィンまたはポリマー化合物などの官能化または架橋有機支持体、ゼオライト、粘土、または任意の他の有機もしくは無機支持体材料など、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0047】
支持体材料としては、2、3、4、5、13、または14族の金属酸化物を含む無機酸化物が挙げられる。いくつかの好ましい支持体としては、シリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、およびそれらの混合物が挙げられる。他のいくつかの支持体としては、マグネシア、チタニア、ジルコニア、塩化マグネシウム、モンモリロナイト、フィロケイ酸塩、ゼオライト、タルク、粘土などが挙げられる。また、これらの支持体材料の組み合わせ、例えば、シリカ-クロム、シリカ-アルミナ、シリカ-チタニアなどを使用することができる。追加の支持体材料としては、多孔質アクリルポリマー、ナノ複合材料、エアロゲル、球晶、およびポリマービーズが挙げられる。
【0048】
支持体の一例は、商品名Cabosil(商標)TS-610で入手可能なヒュームドシリカ、またはCabot Corporationから入手可能な他のTSもしくはTGシリーズの支持体である。ヒュームドシリカは、典型的には、表面ヒドロキシル基の大部分がキャップされるようにジメチルシリルジクロリドで処理された7~30ナノメートルの寸法の粒子を有するシリカである。すなわち、場合によっては、シリカ支持体は、メタロセンオレフィン重合触媒、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒、またはメタロセンオレフィン重合触媒および式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒の組み合わせを支持することができる。シリカ支持体は、WO2019/190897に記載されているような従来の量で存在することができる。
【0049】
支持体材料は、約10~約700m/gの範囲の表面積、約0.1~約4.0g/cmの範囲の細孔容積、および約5~約500μmの範囲の平均粒径を有し得る。より好ましくは、支持体材料の表面積は、約50~約500m/gの範囲であり、約0.5~約3.5g/cmの細孔容積であり、および約10~約200μmの平均粒径である。最も好ましくは、支持体材料の表面積は、約100~約400m/gの範囲であり、約0.8~約3.0g/cmの細孔容積であり、および約5~約100μmの平均粒径である。担体の平均細孔径は、典型的には、10~1000A、好ましくは50~約500A、最も好ましくは75~約350Aの範囲の細孔径を有する。
【0050】
メタロセンオレフィン重合触媒および/または式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒、ならびに活性剤などの本明細書で論じられる他の成分を、スラリー化してもよい。スラリーは、当該技術分野において周知である。スラリーは、例えば、メタロセンオレフィン重合触媒および/または式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒、活性剤、ならびに支持体を含み得る。
【0051】
活性剤中の金属とメタロセンオレフィン重合触媒中の金属またはスラリー中の式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒中の金属のモル比は、1000:1~0.5:1、300:1~1:1、または150:1~1:1であり得る。スラリー中の任意の2つ以上の成分の組み合わせを容易にするために、1つ以上の希釈剤、例えば、流体を使用することができる。例えば、メタロセンオレフィン重合触媒および/または式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒、ならびに活性剤は、トルエンまたは別の非反応性炭化水素もしくは炭化水素混合物の存在下で一緒に組み合わせることができる。トルエンに加えて、他の好適な希釈剤としては、エチルベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、他の炭化水素、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。次に、乾燥またはトルエンと混合された支持体を混合物に加えるか、または金属-配位子錯体/活性剤を支持体に加えることができる。スラリーは、重合プロセスのために反応器に供給されてよく、かつ/またはスラリーは、重合プロセスのために反応器に供給される前に、乾燥(例えば、噴霧乾燥)され得る。
【0052】
重合プロセスは、懸濁重合プロセス、および/または気相重合プロセスであり得る。重合プロセスは、既知の装置および反応条件、例えば既知の重合条件を使用して用いられ得る。重合プロセスは、いかなる特定のタイプの重合システムにも限定されない。一例として、重合温度は、大気圧、大気圧より低い圧力、または大気圧より高い圧力で約0℃~約300℃の範囲であり得る。特に、スラリーまたは溶液重合システムは、大気圧より低い圧力、あるいは大気圧より高い圧力、および約40℃~約300℃の範囲の温度を用いることができる。実施形態は、ポリオレフィンポリマーを製造する方法であって、重合条件下で、オレフィンを、本明細書に記載の二峰性重合触媒システムと接触させて、オレフィンを重合し、それによってポリオレフィンポリマーを製造することを含む方法を提供する。
【0053】
1つ以上の実施形態は、ポリマーが気相重合システムを介して、0.07~68.9バール、3.45~27.6バール、または6.89~24.1バールの範囲の大気圧より高い圧力、および30~130℃、65~110℃、75~120℃、または80~120℃の範囲の温度で形成され得ることを提供する。1つ以上の実施形態では、操作温度は112℃未満であり得る。撹拌および/または流動床気相重合システムが用いられ得る。
【0054】
一般に、従来の気相流動床重合プロセスは、1つ以上のオレフィンモノマーを含む流れを、反応条件下で、懸濁状態で固体粒子の床を維持するのに十分な速度で触媒組成物、例えば、二峰性重合触媒システム(メタロセンオレフィン重合触媒および式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒)および活性剤を含む組成物の存在下で、流動床反応器に連続的に通すことによって行うことができる。未反応のモノマーを含む流れは、反応器から連続的に引き出され、圧縮され、冷却され、任意で部分的または完全に凝縮され、反応器に再循環され得る。生成物、すなわちポリマーを反応器から取り出し、置換モノマーを再循環流に加えることができる。触媒組成物および反応体に対して不活性なガスもまた、ガス流中に存在し得る。重合システムは、例えば、単一の反応器または連続した2つ以上の反応器を含み得る。
【0055】
重合プロセスの供給流は、オレフィンモノマー、窒素および/または水素などの非オレフィンガスを含んでよく、さらに、重合プロセスにおいて凝縮可能であり、反応熱を除去するために使用され得る1つ以上の非反応性アルカンを含み得る。例示的な非反応性アルカンとしては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、それらの異性体およびそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。供給物は、単一または複数の異なる場所で反応器に入れることができる。
【0056】
重合プロセスのために、重合触媒(メタロセンオレフィン重合触媒および/または式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒)を連続的に反応器に供給することができる。窒素またはアルゴンなどの重合触媒に対して不活性であるガスを使用して、重合触媒を反応器床に運ぶことができる。1つの実施形態では、重合触媒は、鉱油または例えばプロパン、ブタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはオクタンなどの液体炭化水素または混合物中のスラリーとして提供され得る。スラリーは、例えば、窒素もしくはアルゴンなどの担体流体、または例えばイソペンタンもしくは他のC~Cアルカンなどの液体と共に反応器に送達され得る。
【0057】
重合プロセスのために、水素は、反応器内で水素対エチレンのガスモル比で利用することができ、これは、約0.0~1.0の範囲、0.01~0.7の範囲、0.03~0.5の範囲、0.005~0.3の範囲、または0.0017~0.0068の範囲であることができる。多くの実施形態は、水素ガスを用いる。
【0058】
本開示のいくつかの態様は、以下のように提供される。
【0059】
態様1は、メタロセンオレフィン重合触媒と、式I:
【化4】
(式中、RおよびRの各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、ハロゲン、または水素であり、式中、RおよびR10の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルキルもしくはアリール置換シリル、または水素であり、式中、RおよびR13の各々は、独立して、C~C20のアルキル、アリールもしくはアラルキル、または水素であり、式中、R15およびR16の各々は、独立して、2,7-二置換カルバゾール-9-イルであり、式中、Lは、飽和C~Cアルキルであり、Lが結合している2個の酸素原子間に2-炭素架橋または3-炭素架橋を形成し、式中、各Xは、独立して、ハロゲン、水素、(C~C20)アルキル、(C~C20)アラルキル、(C~C)アルキル置換(C~C12)アリール、または(C~C)アルキル置換ベンジル、-CHSi(Rであり、式中、Rは、C~C12炭化水素であり、式中、R、R、R、R、R、R11、R12、およびR14の各々は、独立して水素であり、式中、Mは、ZrおよびHfからなる群からなる選択されるヘテロ原子である)のビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒と、を含む二峰性重合触媒システムを提供する。
【0060】
態様2は、RおよびRの各々が、Cアルキルである、態様1の二峰性重合触媒システムを提供する。
【0061】
態様3は、RおよびR10の各々が、ジアルキルまたはトリアルキル置換シリルである、態様1の二峰性重合触媒システムを提供する。
【0062】
態様4は、各RおよびR13が、1,1-ジメチルエチルである、態様1~3のいずれか1つの二峰性重合触媒システムを提供する。
【0063】
態様5は、R15およびR16の各々が、2,7-ジ-t-ブチルカルバゾール-9-イルである、態様1~4のいずれか1つの二峰性重合触媒システムを提供する。
【0064】
Lが、飽和Cアルキルである、態様1~5のいずれか1つの態様6の二峰性重合触媒システム。
【0065】
態様7は、各Xが、Cアルキルである、態様1~6のいずれか1つの二峰性重合触媒システムを提供する。
【0066】
態様8は、Mが、Zrである、態様1~7のいずれか1つの二峰性重合触媒システムを提供する。
【0067】
態様9は、Mが、Hfである、態様1~8のいずれか1つの二峰性重合触媒システムを提供する。
【0068】
態様10は、メタロセンオレフィン重合触媒が、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)MX
(テトラメチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)MX
(テトラメチルシクロペンタジエニル)(ブチルシクロペンタジエニル)MX
(メチルシクロペンタジエニル)(1,3-ジメチル-テトラヒドロインデニル)MX
(シクロペンタジエニル)(1,3-ジメチル-テトラヒドロインデニル)MX
(シクロペンタジエニル)(4,7-ジメチルインデニル)MX
(シクロペンタジエニル)(1,5-ジメチルインデニル)MX
(シクロペンタジエニル)(1,4-ジメチルインデニル)MX
MeSi(インデニル)MX
MeSi(テトラヒドロインデニル)MX
(n-プロピルシクロペンタジエニル)MX
(n-ブチルシクロペンタジエニル)MX
(1-メチル、3-ブチルシクロペンタジエニル)MX
HN(CHCHN(2,4,6-Meフェニル))MX
HN(CHCHN(2,3,4,5,6-Meフェニル))MX
(ブチルシクロペンタジエニル)MX
(プロピルシクロペンタジエニル)MX、およびそれらの混合物、なる群から選択されるメタロセンプレ触媒から製造され、
式中、MはZrまたはHfであり、XはF、Cl、Br、I、Me、ベンジル、CHSiMe、およびC~Cのアルキルまたはアルケニルから選択される、態様1~9のいずれか1つの二峰性重合触媒システムを提供する。
【0069】
態様11は、シリカ担体であって、シリカ担体が、(a)式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒ではなく、メタロセンオレフィン重合触媒、(b)式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたメタロセンオレフィン重合触媒ではなく、ビフェニルフェノール重合触媒、または(c)式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたメタロセンオレフィン重合触媒およびビフェニルフェノール重合触媒の組み合わせ、を支持するシリカ支持体をさらに含む(すなわち、(c)は支持された二峰性重合触媒システムである)、態様1~10のいずれか1つの二峰性重合触媒システムを提供する。
【0070】
態様12は、高分子量ポリエチレン成分および低分子量ポリエチレン成分を含む二峰性ポリエチレン組成物を製造する方法であって、高分子量および低分子量ポリエチレン成分が、態様1の二峰性重合触媒システムを使用する重合プロセスを介して、単一の気相反応器内で一緒に製造され、二峰性ポリエチレン組成物が、5.00より大きい重量平均分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)比(Mw/Mn)の値、Mw/Mnより小さい、重量平均分子量(Mw)比に対するz平均分子量(Mz)(Mz/Mw)の値、または、5.00より大きいMw/MnおよびMw/Mnより小さいMz/Mwの両方を有する、方法を提供する。
【0071】
態様13は、少なくともメタロセンオレフィン重合触媒、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒、または式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒を含むトリム溶液を形成することと、トリム溶液を単一の反応器に添加して、二峰性重合触媒システムの少なくとも一部を製造することと、をさらに含む、態様12の方法を提供する。
【0072】
態様14は、活性化条件下で、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒を活性剤と接触させることによってビフェニルフェノール重合触媒を製造することを含む、態様1~11のいずれか1つの二峰性重合触媒システムを製造する方法を提供する。
【0073】
態様15は、活性剤をシリカ支持体上で噴霧乾燥し、この方法が、活性化条件下で、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒を、支持された噴霧乾燥活性剤と接触させることによってビフェニルフェノール重合触媒を製造することを含む、態様14の方法を提供する。
【実施例
【0074】
式(I)のビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒を含む二峰性重合触媒システム、および比較触媒(式(I)の二峰性重合プレ触媒から製造されたものを除く)を含む比較二峰性重合触媒システムを以下のように調製した。
【0075】
式(i)のビフェニルフェノール重合プレ触媒を以下のように調製した。グローブボックス内で、16オンスのオーブン乾燥ガラスジャーに塩化ハフニウム[HfCl4](12.07g、37.7mmol、Strem Chemicalから入手可能)およびトルエン(300mL、Fisher Scientificから入手可能)ならびに磁気撹拌棒を入れた。ジャーの内容物を、約-30セ氏温度(℃)に冷却した。臭化メチルマグネシウム(ジエチルエーテル中の2.6M溶液56.6mL、147mmol、Millipore Sigmaから入手可能)を添加して、溶液を-30℃で15分間撹拌した。ジャーに式Aのリガンド(56.00g、35.9mmol)を入れた。式Aのリガンドを、WO2017/058,981に記載されているように調製し、WO2017/058,981の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。溶液を徐々に室温まで温めながら、バイアルの内容物を3時間撹拌した。混合物を濾過し、溶媒を濾液から真空で除去して、灰色の粉末(45g、71.0%の収率)を得た。式(i)のビフェニルフェノール重合プレ触媒の存在を、H NMR分析によって確認した。H NMR(400MHz、ベンゼン-d)δ8.19(d、2H)、8.01(s、2H)、7.99(d、2H)、7.89(d、2H)、7.74(s、2H)、7.64(d、2H)、7.55(s、2H)、7.51(dd、2H)、7.31(dd、2H)、7.06(m、2H)、3.68(m、2H)、3.42(m、2H)、1.79(d、2H)、1.67(d、2H)、1.60(s、18H)、1.47(s、6H)、1.42(s、6H)、1.35(s、6H)、1.33-1.25(m、26H)、1.25(s、18H)、0.93(t、6H)、0.92(s、18H)、0.59(m、4H)、0.10(s、6H)、0.07(s、6H)、-0.82(s、6H)。。
【化5】
【0076】
本明細書で使用される場合、「Me」はメチルを指し、「n-Oct」はn-C17を指し、「n-Pr」はn-Cを指す。
【0077】
式(ii)のビフェニルフェノール重合プレ触媒は、式(i)のビフェニルフェノール重合プレ触媒と同じ成分および方法論を使用して調製されたが、塩化ハフニウムの代わりに塩化ジルコニウム[ZrCl4](15.0g、64.1mmol)を使用した(99.9g、92.9%の収率)。式(ii)のビフェニルフェノール重合プレ触媒の存在を、H NMR分析によって確認した。H NMR(400MHz、ベンゼン-d)δ8.19(d、2H)、8.01(s、2H)、7.99(d、2H)、7.87(d、2H)、7.79(d、2H)、7.65(d、2H)、7.57(d、2H)、7.51(dd、2H)、7.30(dd、2H)、7.04(m、2H)、3.57(m、2H)、3.43(m、2H)、1.79(d、2H)、1.67(d、2H)、1.60(s、18H)、1.46(s、6H)、1.42(s、6H)、1.35(s、6H)、1.34-1.25(m、26H)、1.25(s、18H)、0.94(t、6H)、0.93(s、18H)、0.60(m、4H)、0.11(s、6H)、0.08(s、6H)、-0.63(s、6H)。
【化6】
【0078】
様々な実施形態では、式(i)および/または(ii)のプレ触媒から製造される触媒を、本明細書の二峰性重合触媒システムで使用して、二峰性ポリエチレン組成物中に高分子量ポリエチレン成分を製造することができる。
【0079】
式(iii)の重合プレ触媒を、Huang、Rubinら、Macromolecules(ワシントンDC、米国)、41(3)、579~590、2008年に見出される方法に従って調製し、Huang、Rubinら、Macromoleculesの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【化7】
【0080】
式(iv)の比較重合プレ触媒は、PCT Int.Appl.WO2009/064404(A2)に見られる方法に従って調製することができる。
【0081】
様々な実施形態では、式(iii)および/または式(iv)のメタロセンオレフィン重合プレ触媒を本明細書の二峰性重合触媒システムで使用して、二峰性ポリエチレン組成物中に低分子量ポリエチレン成分を製造することができる。
【化8】
【0082】
式(v)の比較重合プレ触媒は、PCT Int.Appl.WO2009/064404(A2)に見られる方法に従って調製することができる。様々な実施形態では、式(v)の比較重合プレ触媒を二峰性重合触媒システムで使用して、比較二峰性ポリエチレン組成物中に比較高分子量ポリエチレン成分を製造することができる。
【化9】
【0083】
式(i)および(ii)のプレ触媒を以下のように活性化して、実施例1~4(EX1~4)の二峰性重合触媒システムに含まれる活性化ビフェニルフェノール重合触媒を製造した。
【0084】
実施例1は、以下のように調製された二峰性重合触媒システムA(式(ii)のプレ触媒および式(iii)のプレ触媒を含む)を使用する。
【0085】
式(ii)のプレ触媒のトリム溶液を以下のように調製した。1Lシリンダーにおいて、式(ii)のプレ触媒の溶液698gを測定した(メチルシクロヘキサン中1.00重量パーセント、539ppm Zr)。1Lシリンダーを3785.41立方センチメートル(cc)(28ガロン)シリンダーに接続し、約8.60キログラム(18.96ポンド)の精製イソペンタンを充填して、0.075重量パーセントの最終濃度を生成した。シリンダーを窒素で3回加圧およびパージした。すなわち、様々な実施形態では、触媒システム(例えば、メタロセンおよび/またはビフェニルフェノール重合プレ触媒)の一部または全部を、トリム溶液として提供する。例えば、メタロセン触媒の一部を、トリム溶液として提供してよい。あるいは、ビフェニルフェノール重合プレ触媒の一部を、トリム溶液として提供してよい。
【0086】
式(iii)のプレ触媒の噴霧乾燥配合物を、WO2019/190897に記載されているように調製して、活性化および支持された触媒を製造した。最終的な噴霧乾燥触媒組成物は、ジルコニウム負荷0.18重量%、アルミニウム負荷16.7重量%、および残留トルエン2.5重量%を有していた。
【0087】
実施例1では、二峰性重合触媒システムAを、式(ii)のプレ触媒の総重量に基づいてトリム触媒濃度0.075重量パーセントで、噴霧乾燥触媒供給速度26.6cc/時(hr)、トリム触媒供給速度24.9cc/時、エチレン分圧約4.24キログラム/平方センチメートル(60.3ポンド/平方インチ絶対(PSIA))、C/Cモル比0.0028、H/Cモル比0.0018、イソペンタン濃度12.3モルパーセントで、本明細書に記載の重合手順を使用するように使用した。実施例1は、生産速度約11.89キログラム/時(26.2ポンド/時)および触媒(2515ポンドのポリマー/ポンドの触媒)の生産性約2515キログラムのポリマー/キログラムで二峰性ポリエチレン組成物を生成した。
【0088】
実施例2は、二峰性触媒システムAと同じ方法を使用して調製されたが、ジルコニウム負荷0.11wt%、アルミニウム負荷16.9wt%、および残留トルエン2.1wt%、噴霧乾燥触媒供給速度65.9cc/時、トリム触媒供給速度21.2cc/時、エチレン分圧61.1PSIA、C/Cモル比0.0017、H/Cモル比0.0018、およびイソペンタン濃度12.5モルパーセントの組成を有する式(iii)のプレ触媒の噴霧乾燥配合物を使用した二峰性重合触媒システムB(式(ii)のプレ触媒および式(iii)のプレ触媒を含む)を使用した。実施例2は、生産速度約8.84キログラム/時(19.5ポンド/時)および触媒(6667ポンドのポリマー/ポンドの触媒)の生産性約6667キログラムのポリマー/キログラムで二峰性ポリエチレン組成物を生成した。
【0089】
実施例3は、以下のように調製された表1の比率で存在する二峰性重合触媒システムC(式(iii)のプレ触媒ならびに式(ii)および式(iii)の混合物の噴霧乾燥触媒を含む)を使用した。
【0090】
式(iii)のプレ触媒のトリム溶液は、実施例1のトリム溶液と同じ方法を使用して調製されたが、式(ii)のプレ触媒の代わりに式(iii)のプレ触媒を用いて、0.04重量パーセントの最終濃度を生成した。
【0091】
式(iii)のプレ触媒および式(ii)のプレ触媒から製造された噴霧乾燥触媒は、WO2019/190897に記載されているように形成されて、活性化噴霧乾燥触媒を製造する。配合物において、式(ii)のプレ触媒および式(iii)のプレ触媒は、それぞれ、モル比0.7:20で存在する。最終的な噴霧乾燥触媒組成物は、ジルコニウム負荷0.19重量%、アルミニウム負荷16.7重量%、および残留トルエン3.2重量%を有していた。
【0092】
二峰性重合触媒システムCを、トリム触媒濃度0.04重量パーセント、噴霧乾燥触媒供給速度38.0cc/時、トリム触媒供給速度106.0cc/時、エチレン分圧35.0PSIA、C/Cモル比0.00097、H/Cモル比0.00174、イソペンタン濃度13.9モルパーセントで、本明細書に記載の重合手順を使用するように使用した。実施例3は、生産速度約7.71キログラム/時(17.0ポンド/時)および触媒(1296ポンドのポリマー/ポンド触媒)の生産性約1296キログラムのポリマー/キログラムで二峰性ポリエチレン組成物を生成した。
【0093】
実施例4は、以下のように調製された二峰性重合触媒システムD(式(i)のプレ触媒および式(iii)のプレ触媒を含む)を使用した。
【0094】
式(i)のプレ触媒のトリム溶液を以下のように調製した。1Lシリンダーにおいて、式(i)のプレ触媒の溶液350gを測定した(メチルシクロヘキサン中1.01重量パーセント、1008ppm Hf)。1Lシリンダーを3785.41cc(28ガロン)シリンダーに接続し、約8.39キログラム(18.5ポンド)の精製イソペンタンを充填して、最終濃度0.04重量パーセントを生成した。シリンダーを窒素で3回加圧およびパージした。
【0095】
式(iii)のプレ触媒の噴霧乾燥配合物を、WO2019/190897に記載されているように調製して、活性化触媒を製造した。最終的な噴霧乾燥触媒組成物は、ジルコニウム負荷0.18重量%、アルミニウム負荷16.7重量%、および残留トルエン2.5重量%を有していた。
【0096】
二峰性重合触媒システムDを、トリム触媒濃度0.04重量パーセント、噴霧乾燥触媒供給速度24.0cc/時、トリム触媒供給速度30.8cc/時、エチレン分圧100.1PSIA、C/Cモル比0、H/Cモル比0.0022、イソペンタン濃度9.1モルパーセントで、本明細書に記載の重合手順を使用するように使用した。実施例4は、生産速度約12.25キログラム/時(27.0ポンド/時)および触媒(2911ポンドのポリマー/ポンドの触媒)約2911キログラムのポリマー/キログラムの生産性で二峰性ポリエチレン組成物を生成した。
【0097】
比較実施例1は、以下のように調製された比較二峰性重合触媒システムE(式(iv)および式(v)のプレ触媒から製造された触媒を含む)を使用した。式(iv)のプレ触媒および式(v)のプレ触媒の支持された配合物は、PCT Int.Appl.WO2009/064404(A2)に見られる方法に従って調製することができる。二峰性重合触媒システムEを、PCT Int.Appl.WO2009/064404(A2)に見られる方法を使用して、使用した。
【0098】
エチレン/1-ヘキセン共重合は、エチレンおよび1-ヘキセンの気相流動床共重合を使用して実施例1~4の各々について実施されて、エチレン/1-ヘキセンコポリマーを生成した。気相流動床反応器は、内径0.35m、床高さ2.3mを有する気相流動床反応器、およびポリマー顆粒で構成される流動床を使用した。流動化ガスは、約1.7~2.1フィート/秒の速度で床を通過した。流動化ガスは、反応器の上部を出て、リサイクルガス圧縮機および熱交換器を通過してから、分配グリッドの下の反応器に再び入った。多管式熱交換器のシェル側の水の温度を継続的に調整することにより、一定の流動床温度を維持した。エチレン、窒素、および水素のガス状供給流を1-ヘキセンコモノマーと一緒にリサイクルガスラインに導入した。反応器は、約2413キロパスカル(kPA)ゲージの全圧で運転され、全圧を制御するためにフレアに排気された。エチレン、窒素、水素、および1-ヘキセンの個々の流量を調整して、ガス組成目標を維持する。エチレン分圧、C6/C2モル比、H2/C2モル比およびイソペンタン濃度を、それぞれ、実施例での値に設定した。すべてのガスの濃度を、オンラインガスクロマトグラフを使用して測定した。粒子状生成物の形成速度に等しい速度で床の一部を引き抜くことにより、流動床を一定の高さに維持した。スラリー触媒(噴霧乾燥プレ触媒/表1に指定された触媒)を、触媒注入管に供給し、そこでトリム溶液(トリムプレ触媒/表1に指定された触媒)とインラインで接触させた後、イソペンタンおよび窒素担体を流動床に噴霧した。スラリー触媒の供給速度は、所望の生産速度を維持するように調整され、トリム溶液の供給速度は、得られる二峰性ポリマーにおいて所望の最終樹脂流動指数を得るために調整された。生成物を、一連のバルブを介して半連続的に固定容量チャンバーに取り出した。窒素パージにより、固定容量チャンバー内の取り込まれかつ溶解した炭化水素のかなりの部分が除去された。パージ後、生成物を、固定容量チャンバーからファイバーパックに排出して収集した。生成物を加湿窒素の少量の流れでさらに処理して、微量の残留触媒および助触媒を失活させた。
【0099】
EX1~4およびCE1の結果を表1および2に示し、本明細書に記載する。
【0100】
Mn(数平均分子量)およびMw(重量平均分子量)、z平均分子量(Mz)を、当技術分野で知られているように、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。
【0101】
生産性(キログラムポリマー/キログラム触媒)を、反応器に添加された触媒および活性剤の量に対する生成されたポリマーの比率として決定した。
【表1】
【表2】
【0102】
表1および2に詳述されるように、EX1~4は、二峰性重合触媒システムおよび得られる適切な特性を有する二峰性ポリマーを提供する。例えば、本開示の二峰性重合触媒システムは、例えば、同様の条件で比較触媒から生成される二峰性ポリマーの高分子量成分よりも改善された(すなわち、より低い)分子量を有する高分子量成分を有する二峰性ポリマーを、改善されたMz対Mw比(すなわち、5.00より大きいMw対Mn比およびMw/Mn比の値よりも小さいMz対Mw比の値)を有するポリマーによる証拠として、生成する。すなわち、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒(式(i)および/または(ii)のプレ触媒など)は、同様の条件で比較触媒から製造される二峰性ポリマーよりも改善された(すなわち、より低い)分子量を有する所望の高分子量成分の生成を導く二峰性重合触媒システムにおいて使用することができる。理論に拘束されることを望むものではないが、Mwの値が700,000より小さい高分子量成分が特定の用途の樹脂特性を改善する可能性があることが示唆されている。特に、改善されたMwは、式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造されたビフェニルフェノール重合触媒が、二峰性触媒システムにおいてトリム触媒(EX1、EX2、EX4)として使用される場合、および式Iのビフェニルフェノール重合プレ触媒から製造された触媒が、二峰性触媒システムにおいて噴霧乾燥触媒(EX3)として使用される場合の両方で実現され得る。

【国際調査報告】