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特表2022-553834水素化処理用途用のシリカ-アルミナ複合材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】水素化処理用途用のシリカ-アルミナ複合材料
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/08 20060101AFI20221219BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20221219BHJP
   B01J 29/12 20060101ALI20221219BHJP
   B01J 29/14 20060101ALI20221219BHJP
   B01J 29/16 20060101ALI20221219BHJP
   C10G 47/20 20060101ALI20221219BHJP
   C10G 45/12 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B01J29/08 M
B01J35/10 301A
B01J29/12 M
B01J29/14 M
B01J29/16 M
C10G47/20
C10G45/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525929
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 US2020058797
(87)【国際公開番号】W WO2021091952
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/930,297
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リャン、アン
(72)【発明者】
【氏名】オットー、トレントン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジア、ジフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、リン
(72)【発明者】
【氏名】リー、バオ キュー.
(72)【発明者】
【氏名】チョウドリー、カウスタヴ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ビー - ヅァン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA03A
4G169BA03B
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC59B
4G169BC60B
4G169BC67B
4G169BC68B
4G169BC72B
4G169BC75B
4G169CC05
4G169DA06
4G169EC03X
4G169EC03Y
4G169EC04X
4G169EC04Y
4G169EC07X
4G169EC07Y
4G169EC08X
4G169EC08Y
4G169EC14X
4G169EC14Y
4G169EC15X
4G169EC15Y
4G169EC21X
4G169FB30
4G169FB57
4G169FB65
4G169FC08
4G169ZA04A
4G169ZA04B
4G169ZA19A
4G169ZB03
4G169ZC07
4G169ZF02A
4G169ZF02B
4G169ZF09A
4G169ZF09B
4H129AA02
4H129CA09
4H129DA15
4H129DA21
4H129KA06
4H129KA12
4H129KB03
4H129KC03X
4H129KC03Y
4H129KC10X
4H129KC10Y
4H129KC14X
4H129KC14Y
4H129KC32Y
4H129KC33X
4H129KC33Y
4H129KD15Y
4H129KD16Y
4H129KD24Y
4H129KD25Y
4H129KD26Y
4H129NA19
4H129NA23
4H129NA37
(57)【要約】
水素化処理触媒を作製するための、シリカ-アルミナベースの複合材料を開示する。そのシリカ-アルミナ複合材料は概して、シリカ-アルミナを少なくとも2つ含み、その第1のシリカ-アルミナは、改質済みの第1のシリカ-アルミナであり、その第2のシリカ-アルミナは、改質されていないか、または改質されている第2のシリカ-アルミナである。その第1のシリカ-アルミナは、シリカドメイン及びアルミナドメイン、ならびにシリカとアルミナとの界面相を含むように改質されている。その第2のシリカ-アルミナも、シリカドメイン及びアルミナドメイン、ならびにシリカとアルミナとの界面相を含むように同時または別個に改質されていてもよい。その第1のシリカ-アルミナと第2のシリカ-アルミナは、1つ以上の物理的特徴及び/または化学的特徴、例えば、シリカとアルミナの比、表面積、細孔径、細孔容積、シリカドメインサイズまたはアルミナドメインサイズが異なる。本発明は、燃料、潤滑油、化学物質及びその他の含炭化水素組成物を作製するための炭化水素原料を改良するのに有用な触媒用基材材料及び触媒の作製に使用できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化処理触媒用基材の作製に用いるのに適するシリカ-アルミナ複合材料であって、シリカドメイン及びアルミナドメイン、ならびにシリカとアルミナとの界面相を含むように改質されている改質済みの第1のシリカ-アルミナと、第2のシリカ-アルミナとを含み、前記第1のシリカ-アルミナ及び前記第2のシリカ-アルミナにおいて、シリカとアルミナの比、表面積、細孔径、細孔容積、シリカドメインサイズまたはアルミナドメインサイズから選択した1つ以上の特徴が異なる前記複合材料。
【請求項2】
前記改質済みの第1のシリカ-アルミナが、押し出し条件下で、第1のシリカ-アルミナを強酸、好ましくは硝酸と接触させることによって改質されている、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記第1のシリカ-アルミナ及び前記第2のシリカ-アルミナが、非晶質シリカ-アルミナを含むか、または両方とも、非晶質シリカ-アルミナである、請求項1または2のいずれか1項に記載の材料。
【請求項4】
前記第2のシリカ-アルミナが、シリカドメイン及びアルミナドメイン、ならびにシリカとアルミナとの界面相を含む改質済みの第2のシリカ-アルミナである、請求項1~3のいずれか1項に記載の材料。
【請求項5】
前記改質済みの第2のシリカ-アルミナが、押し出し条件下で、第2のシリカ-アルミナを強酸、好ましくは硝酸と接触させることによって改質されている、請求項4に記載の材料。
【請求項6】
モレキュラーシーブ及び/またはアルミナ担体をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の材料。
【請求項7】
前記モレキュラーシーブが、Yゼオライト、好ましくは、単位胞サイズ24.15Å~24.45ÅのYゼオライトを含み、任意に、βゼオライトをさらに含む、請求項6に記載の材料。
【請求項8】
前記第1のシリカ-アルミナを1~90wt.%、10~80wt.%、20~70wt.%、30~60wt.%または30~50wt.%と、
前記第2のシリカ-アルミナを1~90wt.%、10~80wt.%、20~70wt.%、25~60wt.%または25~50wt.%と、
モレキュラーシーブを0~60wt.%、2~50wt.%、5~40wt.%、5~30wt.%、5~20wt.%または5~15wt.%と、
アルミナを0~40wt.%、5~40wt.%、10~30wt.%または15~30wt.%と、
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の材料。
【請求項9】
前記第1のシリカ-アルミナ及び/または前記第2のシリカ-アルミナが、以下のうちの1つ以上を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の材料。
アルミナ含有率が、10~98wt.%、10~80wt.%、20~80wt.%、30~80wt.%、30~70wt.%、40~70wt.%、50~70wt.%、50~80wt.%、60~80wt.%、10~50wt.%、10~40wt.%、20~40wt.%、40~98wt.%、50~98wt.%、60~98wt.%、70~98wt.%または80~98wt.%の範囲であること
窒素吸着による表面積が、300~700m/g、300~650m/g、300~600m/g、320~600m/g、320~550m/g、320~500m/g、350~700m/g、350~650m/g、350~600m/g、350~600m/g、350~550m/g、350~500m/g、400~700m/g、400~650m/g、400~600m/g、400~550m/g、450~700m/g、450~650m/g、450~600m/gまたは450~550m/gの範囲であること
窒素吸着による細孔容積が、0.7~2.50m/g、0.7~2.2m/g、0.7~2.0m/g、0.7~1.8m/g、0.7~1.6m/g、0.7~1.4m/g、0.7~1.2m/g、0.7~1.0m/g、0.7~0.9m/g、0.75~2.50m/g、0.75~2.2m/g、0.75~2.0m/g、0.75~1.8m/g、0.75~1.6m/g、0.75~1.4m/g、0.75~1.2m/g、0.75~1.0m/g、0.75~0.9m/g、0.85~2.50m/g、0.85~2.2m/g、0.85~2.0m/g、0.85~1.8m/g、0.85~1.6m/g、0.85~1.4m/g、0.85~1.2m/g、0.85~1.0m/g、0.85~0.9m/g、0.9~2.50m/g、0.9~2.2m/g、0.9~2.0m/g、0.9~1.8m/g、0.9~1.6m/g、0.9~1.4m/g、0.9~1.2m/g、0.9~1.0m/g、1.0~2.50m/g、1.0~2.2m/g、1.0~2.0m/g、1.0~1.8m/g、1.0~1.6m/g、1.0~1.4m/g、1.0~1.2m/g、1.0~2.50m/g、1.1~2.2m/g、1.1~2.0m/g、1.1~1.8m/g、1.1~1.6m/g、1.1~1.4m/g、1.1~1.2m/g、1.2~2.5m/g、1.2~2.0m/g、1.2~1.8m/g、1.2~1.6m/g、1.2~1.4m/g、1.3~2.5m/g、1.3~2.0m/g、1.3~1.8m/g、1.3~1.6m/g、1.3~1.4m/g、1.4~2.5m/g、1.4~2.0m/g、1.4~1.8m/gまたは1.4~1.6m/gの範囲であること
細孔容積50%における直径D50が、3~35nm、3~20nm、3~15nm、3~10nm、3~8nm、3~7nm、4~25nm、4~20nm、4~15nm、4~10nm、4~8nm、4~7nm、5~25nm、5~20nm、5~15nm、5~10nm、5~8nm、5~7nm、6~25nm、6~25nm、6~20nm、6~15nm、6~10nm、6~8nm、8~25nm、8~20nm、8~15nm、8~10nm、10~25nm、10~20nm、10~15nm、10~13nm、12~25nm、12~20nm、12~15nm、14~25nm、14~20nm、14~18nm、16~25nm、16~20nmまたは16~18nmの範囲であること
【請求項10】
以下のうちの1つ以上を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の材料。
粒子密度が、0.6~0.1.0g/mL、0.64~1.0g/mL、0.68~1.0g/mL、0.72~1.0g/mL、0.76~1.0g/mL、0.8~1.0g/mL、0.84~1.0g/mL、0.88~1.0g/mL、0.6~0.96g/mL、0.64~0.96g/mL、0.68~0.96g/mL、0.72~0.96g/mL、0.76~0.96g/mL、0.8~0.96g/mL、0.84~0.96g/mL、0.88~0.96g/mL、0.6~0.92g/mL、0.64~0.92g/mL、0.68~0.92g/mL、0.72~0.92g/mL、0.76~0.92g/mL、0.8~0.92g/mL、0.84~0.92g/mL、0.6~0.88g/mL、0.64~0.88g/mL、0.68~0.88g/mL、0.72~0.88g/mL、0.76~0.88g/mL、0.8~0.88g/mL、0.6~0.84g/mL、0.64~0.84g/mL、0.68~0.84g/mL、0.72~0.84g/mL、0.76~0.84g/mL、0.8~0.84g/mL、0.6~0.8g/mL、0.64~0.8g/mL、0.68~0.8g/mL、0.72~0.8g/mL、0.76~0.8g/mL、0.6~0.76g/mL、0.64~0.76g/mL、0.68~0.76g/mLまたは0.72~0.76g/mLの範囲であること
窒素吸着による表面積が、300~700m/g、300~650m/g、300~600m/g、320~600m/g、320~550m/g、320~500m/g、350~700m/g、350~650m/g、350~600m/g、350~600m/g、350~550m/g、350~500m/g、400~700m/g、400~650m/g、400~600m/g、400~550m/g、450~700m/g、450~650m/g、450~600m/gまたは450~550m/gの範囲であること
窒素吸着による細孔容積が、0.7~2.50m/g、0.7~2.2m/g、0.7~2.0m/g、0.7~1.8m/g、0.7~1.6m/g、0.7~1.4m/g、0.7~1.2m/g、0.7~1.0m/g、0.7~0.9m/g、0.75~2.50m/g、0.75~2.2m/g、0.75~2.0m/g、0.75~1.8m/g、0.75~1.6m/g、0.75~1.4m/g、0.75~1.2m/g、0.75~1.0m/g、0.75~0.9m/g、0.85~2.50m/g、0.85~2.2m/g、0.85~2.0m/g、0.85~1.8m/g、0.85~1.6m/g、0.85~1.4m/g、0.85~1.2m/g、0.85~1.0m/g、0.85~0.9m/g、0.9~2.50m/g、0.9~2.2m/g、0.9~2.0m/g、0.9~1.8m/g、0.9~1.6m/g、0.9~1.4m/g、0.9~1.2m/g、0.9~1.0m/g、1.0~2.50m/g、1.0~2.2m/g、1.0~2.0m/g、1.0~1.8m/g、1.0~1.6m/g、1.0~1.4m/g、1.0~1.2m/g、1.0~2.50m/g、1.1~2.2m/g、1.1~2.0m/g、1.1~1.8m/g、1.1~1.6m/g、1.1~1.4m/g、1.1~1.2m/g、1.2~2.5m/g、1.2~2.0m/g、1.2~1.8m/g、1.2~1.6m/g、1.2~1.4m/g、1.3~2.5m/g、1.3~2.0m/g、1.3~1.8m/g、1.3~1.6m/g、1.3~1.4m/g、1.4~2.5m/g、1.4~2.0m/g、1.4~1.8m/gまたは1.4~1.6m/gの範囲であること
細孔容積50%における直径D50が、3~35nm、3~20nm、3~15nm、3~10nm、3~8nm、3~7nm、4~25nm、4~20nm、4~15nm、4~10nm、4~8nm、4~7nm、5~25nm、5~20nm、5~15nm、5~10nm、5~8nm、5~7nm、6~25nm、6~25nm、6~20nm、6~15nm、6~10nm、6~8nm、8~25nm、8~20nm、8~15nm、8~10nm、10~25nm、10~20nm、10~15nm、10~13nm、12~25nm、12~20nm、12~15nm、14~25nm、14~20nm、14~18nm、16~25nm、16~20nmまたは16~18nmの範囲であること
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の材料を約40~100wt.%未満、40~99wt.%、50~99wt.%、60~99wt.%または70~99wt.%の範囲と、
貴金属を0.1~5wt.%、0.1~4wt.%、0.1~3wt.%、0.1~2wt.%または0.1~1wt.%の範囲と、
卑金属を0~40wt.%、5~40wt.%、5~30wt.%、10~40wt.%、10~30wt.%、10~20wt.%、20~40wt.%または20~30wt.%の範囲であって、前記卑金属の含有率は任意に、0~40wt.%、5~40wt.%、5~30wt.%、10~40wt.%、10~30wt.%、10~20wt.%、20~40wt.%または20~30wt.%の範囲であり、
促進剤を0~30wt.%、0~20wt.%、0~10wt.%、5~30wt.%、5~20wt.%、10~30wt.%または10~20wt.%の範囲と、
を含む水素化処理触媒。
【請求項12】
水素化処理触媒用基材としての使用、または水素化処理触媒用基材の作製に適するシリカ-アルミナ複合材料を作製する方法であって、
第1のシリカ-アルミナと第2のシリカ-アルミナを、任意にモレキュラーシーブ及び/またはアルミナ担体とともに組み合わせて、基材組成物を形成することであって、
前記第1のシリカ-アルミナ及び前記第2のシリカ-アルミナにおいて、シリカとアルミナの比、表面積、細孔径、細孔容積、シリカドメインサイズまたはアルミナドメインサイズから選択した1つ以上の特徴が異なる、前記形成することと、
前記基材組成物に希釈強酸水溶液、好ましくは硝酸を加えて、押し出し可能な組成物を形成することと、
前記押し出し可能な組成物を押し出し、乾燥し、焼成して、前記シリカ-アルミナ複合材料を形成することと、
を含む前記方法。
【請求項13】
前記第1のシリカ-アルミナ及び前記第2のシリカ-アルミナが、非晶質シリカ-アルミナを含むか、または非晶質シリカ-アルミナである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基材組成物が、前記第1のシリカ-アルミナ、前記第2のシリカ-アルミナ、Yゼオライト及びアルミナを含み、任意に、βゼオライトをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記基材組成物が、
前記第1のシリカ-アルミナを1~90wt.%、10~80wt.%、20~70wt.%、30~60wt.%または30~50wt.%と、
前記第2のシリカ-アルミナを1~90wt.%、10~80wt.%、20~70wt.%、25~60wt.%または25~50wt.%と、
モレキュラーシーブを0~60wt.%、2~50wt.%、5~40wt.%、5~30wt.%、5~20wt.%または5~15wt.%と、
アルミナを0~40wt.%、5~40wt.%、10~30wt.%または15~30wt.%と、
を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のシリカ-アルミナ及び/または前記第2のシリカ-アルミナが、以下のうちの1つ以上を含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
アルミナ含有率が、10~98wt.%、10~80wt.%、20~80wt.%、30~80wt.%、30~70wt.%、40~70wt.%、50~70wt.%、50~80wt.%、60~80wt.%、10~50wt.%、10~40wt.%、20~40wt.%、40~98wt.%、50~98wt.%、60~98wt.%、70~98wt.%または80~98wt.%の範囲であること
窒素吸着による表面積が、300~700m/g、300~650m/g、300~600m/g、320~600m/g、320~550m/g、320~500m/g、350~700m/g、350~650m/g、350~600m/g、350~600m/g、350~550m/g、350~500m/g、400~700m/g、400~650m/g、400~600m/g、400~550m/g、450~700m/g、450~650m/g、450~600m/gまたは450~550m/gの範囲であること
窒素吸着による細孔容積が、0.7~2.50m/g、0.7~2.2m/g、0.7~2.0m/g、0.7~1.8m/g、0.7~1.6m/g、0.7~1.4m/g、0.7~1.2m/g、0.7~1.0m/g、0.7~0.9m/g、0.75~2.50m/g、0.75~2.2m/g、0.75~2.0m/g、0.75~1.8m/g、0.75~1.6m/g、0.75~1.4m/g、0.75~1.2m/g、0.75~1.0m/g、0.75~0.9m/g、0.85~2.50m/g、0.85~2.2m/g、0.85~2.0m/g、0.85~1.8m/g、0.85~1.6m/g、0.85~1.4m/g、0.85~1.2m/g、0.85~1.0m/g、0.85~0.9m/g、0.9~2.50m/g、0.9~2.2m/g、0.9~2.0m/g、0.9~1.8m/g、0.9~1.6m/g、0.9~1.4m/g、0.9~1.2m/g、0.9~1.0m/g、1.0~2.50m/g、1.0~2.2m/g、1.0~2.0m/g、1.0~1.8m/g、1.0~1.6m/g、1.0~1.4m/g、1.0~1.2m/g、1.0~2.50m/g、1.1~2.2m/g、1.1~2.0m/g、1.1~1.8m/g、1.1~1.6m/g、1.1~1.4m/g、1.1~1.2m/g、1.2~2.5m/g、1.2~2.0m/g、1.2~1.8m/g、1.2~1.6m/g、1.2~1.4m/g、1.3~2.5m/g、1.3~2.0m/g、1.3~1.8m/g、1.3~1.6m/g、1.3~1.4m/g、1.4~2.5m/g、1.4~2.0m/g、1.4~1.8m/gまたは1.4~1.6m/gの範囲であること
細孔容積50%における直径D50が、3~35nm、3~20nm、3~15nm、3~10nm、3~8nm、3~7nm、4~25nm、4~20nm、4~15nm、4~10nm、4~8nm、4~7nm、5~25nm、5~20nm、5~15nm、5~10nm、5~8nm、5~7nm、6~25nm、6~25nm、6~20nm、6~15nm、6~10nm、6~8nm、8~25nm、8~20nm、8~15nm、8~10nm、10~25nm、10~20nm、10~15nm、10~13nm、12~25nm、12~20nm、12~15nm、14~25nm、14~20nm、14~18nm、16~25nm、16~20nmまたは16~18nmの範囲であること
【請求項17】
前記シリカ-アルミナ複合材料が、以下のうちの1つ以上を含む、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
粒子密度が、0.6~0.1.0g/mL、0.64~1.0g/mL、0.68~1.0g/mL、0.72~1.0g/mL、0.76~1.0g/mL、0.8~1.0g/mL、0.84~1.0g/mL、0.88~1.0g/mL、0.6~0.96g/mL、0.64~0.96g/mL、0.68~0.96g/mL、0.72~0.96g/mL、0.76~0.96g/mL、0.8~0.96g/mL、0.84~0.96g/mL、0.88~0.96g/mL、0.6~0.92g/mL、0.64~0.92g/mL、0.68~0.92g/mL、0.72~0.92g/mL、0.76~0.92g/mL、0.8~0.92g/mL、0.84~0.92g/mL、0.6~0.88g/mL、0.64~0.88g/mL、0.68~0.88g/mL、0.72~0.88g/mL、0.76~0.88g/mL、0.8~0.88g/mL、0.6~0.84g/mL、0.64~0.84g/mL、0.68~0.84g/mL、0.72~0.84g/mL、0.76~0.84g/mL、0.8~0.84g/mL、0.6~0.8g/mL、0.64~0.8g/mL、0.68~0.8g/mL、0.72~0.8g/mL、0.76~0.8g/mL、0.6~0.76g/mL、0.64~0.76g/mL、0.68~0.76g/mLまたは0.72~0.76g/mLの範囲であること
窒素吸着による表面積が、300~700m/g、300~650m/g、300~600m/g、320~600m/g、320~550m/g、320~500m/g、350~700m/g、350~650m/g、350~600m/g、350~600m/g、350~550m/g、350~500m/g、400~700m/g、400~650m/g、400~600m/g、400~550m/g、450~700m/g、450~650m/g、450~600m/gまたは450~550m/gの範囲であること
窒素吸着による細孔容積が、0.7~2.50m/g、0.7~2.2m/g、0.7~2.0m/g、0.7~1.8m/g、0.7~1.6m/g、0.7~1.4m/g、0.7~1.2m/g、0.7~1.0m/g、0.7~0.9m/g、0.75~2.50m/g、0.75~2.2m/g、0.75~2.0m/g、0.75~1.8m/g、0.75~1.6m/g、0.75~1.4m/g、0.75~1.2m/g、0.75~1.0m/g、0.75~0.9m/g、0.85~2.50m/g、0.85~2.2m/g、0.85~2.0m/g、0.85~1.8m/g、0.85~1.6m/g、0.85~1.4m/g、0.85~1.2m/g、0.85~1.0m/g、0.85~0.9m/g、0.9~2.50m/g、0.9~2.2m/g、0.9~2.0m/g、0.9~1.8m/g、0.9~1.6m/g、0.9~1.4m/g、0.9~1.2m/g、0.9~1.0m/g、1.0~2.50m/g、1.0~2.2m/g、1.0~2.0m/g、1.0~1.8m/g、1.0~1.6m/g、1.0~1.4m/g、1.0~1.2m/g、1.0~2.50m/g、1.1~2.2m/g、1.1~2.0m/g、1.1~1.8m/g、1.1~1.6m/g、1.1~1.4m/g、1.1~1.2m/g、1.2~2.5m/g、1.2~2.0m/g、1.2~1.8m/g、1.2~1.6m/g、1.2~1.4m/g、1.3~2.5m/g、1.3~2.0m/g、1.3~1.8m/g、1.3~1.6m/g、1.3~1.4m/g、1.4~2.5m/g、1.4~2.0m/g、1.4~1.8m/gまたは1.4~1.6m/gの範囲であること
細孔容積50%における直径D50が、3~35nm、3~20nm、3~15nm、3~10nm、3~8nm、3~7nm、4~25nm、4~20nm、4~15nm、4~10nm、4~8nm、4~7nm、5~25nm、5~20nm、5~15nm、5~10nm、5~8nm、5~7nm、6~25nm、6~25nm、6~20nm、6~15nm、6~10nm、6~8nm、8~25nm、8~20nm、8~15nm、8~10nm、10~25nm、10~20nm、10~15nm、10~13nm、12~25nm、12~20nm、12~15nm、14~25nm、14~20nm、14~18nm、16~25nm、16~20nmまたは16~18nmの範囲であること
【請求項18】
請求項12~17のいずれか1項に記載の方法によって作製したシリカ-アルミナ複合材料。
【請求項19】
含炭化水素原料を水素化処理する方法であって、水素化処理条件下で、水素化処理触媒を前記含炭化水素原料及び水素と接触させることを含み、前記水素化処理触媒が、請求項1~10もしくは18のいずれか1項に記載の材料に付着させた金属を少なくとも1つ含むか、または前記水素化処理触媒が、請求項11に記載の触媒である前記方法。
【請求項20】
前記触媒が、前記第1のシリカ-アルミナ及び前記第2のシリカ-アルミナの両方ではなく、前記第1のシリカ-アルミナまたは前記第2のシリカ-アルミナの一方を含むということのみが異なる水素化処理触媒と比べて、触媒活性を向上させ、同等の重質ディーゼル収率及び全留分収率をもたらす水素化分解条件下で行う水素化分解プロセスを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、水素化処理触媒を作製するための、シリカ-アルミナベースの複合材料に関するものである。本発明は、燃料、潤滑油、化学物質及びその他の含炭化水素組成物を作製するための炭化水素原料を改良するのに有用な触媒用基材材料及び触媒の作製に使用できる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
結晶性ゼオライト及び非晶質シリカ-アルミナといった、固体状態の酸性物質は、水素化処理用途で重要な役割を果たす。非晶質シリカ-アルミナは、卑金属(例えば、ニッケル、コバルト、タングステン及びモリブデンなど)、ならびに貴金属(例えば、パラジウム及び白金)を水素化処理用の二元機能触媒に分散させるための重要な酸性成分として広く用いられている。シリカアルミナの細孔構造及び酸性度は、原油中の重めの分子を、所望の生成物(例えば、潤滑油、クリーン燃料及び化学物質を含む)に転化するための水素化処理プロセスの選択性に大きな影響を及ぼす。
【0003】
シリカ-アルミナの酸性度は概して、SiOマトリックス中のAlの分散、またはこの逆に、Alマトリックス中に分散したSiOによって決まる。マトリックス材内のアルミナ相及びシリカ相のドメインサイズ及び分散度を制御するための合成アプローチは、共沈、コーティング、pHスイングなど、数多く報告されている。しかしながら、非晶質構造の特徴により、合成プロセス中、シリカ-アルミナ材の細孔構造を制御するのが困難であることもある。
【0004】
シリカ-アルミナから、水素化処理用の基材材料及び触媒を調製することは進歩しているものの、このような材料及び触媒を調製するための改良型及び簡易型のプロセス、特に、水素化処理用途の改良をもたらすプロセスに対する継続的なニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
本発明は概して、ある特定の特性が異なるシリカ-アルミナを少なくとも2つ組み合わせることによって、所望の細孔構造特徴及び酸性度を有する非晶質シリカ-アルミナ(ASA)複合材料を作製するための新たなアプローチを提供する。その複合材料は、改質剤の添加を伴う混合プロセスで概して作製し得る改質シリカ-アルミナを含む。例えば、混練及び/または押し出しプロセスを用いて、硝酸のような改質剤を、1つ以上のシリカ-アルミナと混合してよい。このようなせん断条件下で、その硝酸または他の無機強酸改質剤、ならびに混練/押し出しプロセスによって加わるせん断力が、シリカ-アルミナに存在するアルミナドメイン及びシリカドメインの表面を改質し、その結果、シリカとアルミナとの界面相が形成されて、その複合材料に、所望のメソ孔構造が備わるようになると考えられる。
【0006】
本発明は広くは、シリカ-アルミナ複合材料、特に、水素化処理触媒の作製に使用するシリカ-アルミナ複合材料を作製する方法に対するものである。本発明の目標の1つは、概して水素化処理用途での資本コスト及び操業コストも低下させる、触媒性能の改良を行うことである。代替的供給源のシリカ-アルミナ材を用いて、水素化処理触媒用の基材材料として用いるのに適切な複合材料を調製する商業的柔軟性をもたらすことも望ましい。
【0007】
一態様では、本発明は、水素化処理触媒用基材の作製に用いるのに適するシリカ-アルミナ複合材料であって、その材料が、シリカ-アルミナを少なくとも2つ含み、その第1のシリカ-アルミナが、改質済みの第1のシリカ-アルミナであり、その第2のシリカ-アルミナが、改質されていないかまたは改質されている第2のシリカ-アルミナである材料に関するものである。第1のシリカ-アルミナは、シリカドメイン及びアルミナドメイン、ならびにシリカとアルミナとの界面相を含むように改質されている。第2のシリカ-アルミナも、シリカドメイン及びアルミナドメイン、ならびにシリカとアルミナとの界面相を含むように同時または別個に改質されていてもよい。その第1のシリカ-アルミナと第2のシリカ-アルミナは、1つ以上の物理的特徴及び/または化学的特徴、例えば、シリカとアルミナの比、表面積、細孔径、細孔容積、シリカドメインサイズまたはアルミナドメインサイズが異なる。
【0008】
本発明は、その複合材料を用いて、その複合材料、貴金属、卑金属及び任意に促進剤を含む水素化処理触媒を作製することと、その複合材料を作製する方法、その水素化処理触媒を作製する方法、及び水素化処理用途において、その水素化処理触媒を使用する方法にも関するものである。一態様では、そのシリカ-アルミナ複合材料は、第1のシリカ-アルミナと第2のシリカ-アルミナを、任意にモレキュラーシーブ及び/またはアルミナ担体とともに組み合わせて、基材組成物を形成することと、その基材組成物に、希釈強酸水溶液を加えて、押し出し可能な組成物を形成することと、その押し出し可能な組成物を押し出し、乾燥し、焼成して、シリカ-アルミナ複合材料を形成することを含む方法によって作製してよい。その複合材料においても述べたように、その方法で使用する第1のシリカ-アルミナと第2のシリカ-アルミナは、シリカとアルミナの比、表面積、細孔径、細孔容積、シリカドメインサイズまたはアルミナドメインサイズから選択した1つ以上の特徴が異なる。本発明による水素化処理触媒は、その複合材料に触媒活性金属を含侵もしくは付着させるか、または別段に、触媒活性金属をその複合材料と組み合わせることによって、その複合材料から形成してよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面の簡単な記述
本発明の範囲は、本開示に添付されているいずれの代表的な図面によっても限定されず、添付の請求項によって定義されると理解されたい。
【0010】
図1】実施例に記載されているように、水素化処理触媒用基材試料における細孔径分布(N PSD)の比較結果を示している。
【0011】
図2】実施例に記載されているように、水素化処理触媒用基材試料における細孔径分布(Hg PSD)の比較結果を示している。
【0012】
図3】実施例に記載されているように、水素化処理触媒用基材材料HCB-4で使用した場合のシリカ-アルミナ試料-1(ASA-1)におけるシリカドメインを示している。
【0013】
図4】実施例に記載されているように、非晶質シリカ-アルミナが2つである水素化処理触媒用基材材料と、非晶質シリカ-アルミナが1つである水素化処理触媒用基材材料とのシリカドメインサイズ分布の比較結果を示している。
【0014】
図5】実施例に記載されているように、水素化処理触媒用基材材料HCB-2及びHCB-4におけるシリカドメインの粒度分布の比較結果を示している。
【0015】
図6】実施例に記載されているように、各種の水素化処理触媒用基材材料で調製した触媒の触媒活性を示している。
【0016】
図7】実施例に記載されているように、各種の水素化処理触媒用基材材料で調製した触媒における重質ディーゼルの収率を示している。
【0017】
図8】実施例に記載されているように、各種の水素化処理触媒用基材材料で調製した触媒における全留分の収率を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な記述
本明細書には、1つ以上の態様の例示的な実施形態が示されているが、開示されているプロセス、及びそのプロセスから形成される組成物は、いずれかの数の技法を用いて実施してよい。本開示は、本明細書に例示及び記載されているいずれの例示的な設計及び実施形態も含め、本明細書に例示されている例示的または具体的な実施形態、図面及び技法に限定されず、均等物の全範囲とともに、添付の請求項の範囲内で改変してよい。
【0019】
別段に示されていない限り、本開示には、下記の用語、専門用語及び定義を適用する。用語が本開示で使用されているが、本明細書で具体的に定義されていない場合には、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd ed(1997)の定義を適用してよい。ただし、その定義が、本明細書におけるいずれかの他の開示内容もしくは適用される定義と矛盾しないか、またはその定義が適用されるいずれの請求項も不明確もしくは実施不能にしないことを条件とする。参照により本明細書に援用されるいずれかの文献によって定められているいずれかの定義または用法が、本明細書に定められている定義または用途と矛盾する限りにおいては、本明細書に定められている定義または用法が適用されると理解されたい。
【0020】
「周期表」とは、IUPAC Periodic Table of the Elements dated Jun.22,2007のバージョンを指し、周期表の族番号表示は、Chemical and Engineering News,63(5),27(1985)に記載されているとおりである。
【0021】
「含炭化水素」、「炭化水素」及び類似の用語は、炭素原子及び水素原子のみを含む化合物を指す。その炭化水素に特定の基が存在する場合には、他の識別語を用いて、その特定の基の存在を示すことができる(例えば、ハロゲン化炭化水素とは、その炭化水素中の等しい数の水素原子と置き換わっているハロゲン原子が1つ以上存在することを示している)。
【0022】
「水素化処理」または「水素化転化」とは、望ましくない不純物を除去し、及び/または炭素状原料を所望の生成物に転化する目的で、その炭素状原料を高めの温度及び圧力で、水素及び触媒と接触させるプロセスを指す。このようなプロセスとしては、メタン化、水性ガスシフト反応、水素化、水素化処理、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱金属、水素化脱芳香族、水素化異性化、水素化脱ろう、及び選択的水素化分解を含む水素化分解が挙げられるが、これらに限らない。水素化処理の種類及び反応条件に応じて、水素化処理の生成物では、粘度、粘度指数、飽和分含有率、低温特性、揮発性及び減極性の改善といった物理的特性の改善が見られることがある。
【0023】
「水素化分解」とは、水素化及び脱水素に、炭化水素のクラッキング/分解が伴うプロセス、例えば、より重質な炭化水素をより軽質な炭化水素に転化すること、あるいは芳香族化合物及び/またはシクロパラフィン(ナフテン)を非環状分岐パラフィンに転化することを指す。
【0024】
「担体」という用語は、特に、「触媒担体」という用語で使用する場合には、典型的には、表面積の大きい固体である従来の材料のうち、触媒材料を担持する材料を指す。担体材料は、触媒反応において不活性であっても、または触媒反応に関与するものであってもよく、多孔性または非多孔性であってよい。典型的な触媒担体としては、様々な種類の炭素、アルミナ、シリカ、及びシリカ-アルミナ、例えば、非晶質シリカアルミネート、ゼオライト、アルミナ-ボリア、シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-アルミナ-チタニア、ならびにそれらに他のゼオライト及び他の複合酸化物を加えることによって得られる物質が挙げられる。
【0025】
「モレキュラーシーブ」とは、フレームワーク構造内に、細孔の均一な分子寸法を有しており、モレキュラーシーブの種類に応じて、ある特定の分子のみが、そのモレキュラーシーブの細孔構造に到達できる一方で、その他の分子が、例えば分子のサイズ及び/または反応性により排除されるようになっている物質を指す。ゼオライト、結晶性アルミノフォスフェート及び結晶性シリコアルミノフォスフェートが、モレキュラーシーブの代表的な例である。
【0026】
「中間留分」には、典型的には、以下に示されているようなカットポイントであるジェット燃料、ディーゼル燃料及びケロシンが含まれる。
【表0】
【0027】
SiO/Al比(SAR)は、誘導結合型プラズマ(ICP)元素分析によって求める。無限大のSARは、ゼオライトにアルミニウムが含まれないこと、すなわち、アルミナに対するシリカのモル比が無限大であることを意味する。
【0028】
「非晶質シリカアルミネート(ASA)」とは、核磁気共鳴撮像によって示した場合に、四面体配位で存在するいくつかのアルミナを有する合成物質を指す。ASAは、触媒または触媒担体として使用できる。非晶質シリカアルミナは、イオン化可能な水素原子を有するブレンステッド酸(またはプロトン性)部位と、ルイス酸(プロトン性)電子受容性部位という部位を含み、これらの異なる種類の酸性部位は、特定の化学種(例えばピリジン)が結合する方法によって識別できる。
【0029】
表面積:その沸点における窒素吸着によって求める。BET表面積は、P/P=0.050、0.088、0.125、0.163及び0.200の5点法によって計算する。試料をまず、流した乾燥窒素の存在下で、400℃で6時間、前処理する。
【0030】
細孔容積/微細孔容積:その沸点における窒素吸着によって求める。微細孔容積は、P/P=0.050、0.088、0.125、0.163及び0.200のtプロット法によって計算する。試料をまず、流した乾燥窒素の存在下で、400℃で6時間、前処理する。
【0031】
孔径:その沸点における窒素吸着によって求める。メソ細孔径は、E.P. Barrett, L.G. Joyner and P.P. Halenda, “The determination of pore volume and area distributions in porous substances. I. Computations from nitrogen isotherms.” J.Am.Chem.Soc.73,373-380,1951に記載されているBJH法によって、窒素等温線から計算する。試料をまず、流した乾燥窒素の存在下で、400℃で6時間、前処理する。
【0032】
全細孔容積:P/P0=0.990で、その沸点における窒素吸着によって求める。試料をまず、流した乾燥窒素の存在下で、400℃で6時間、前処理する。
【0033】
粒子密度:D=M/Vという式を適用することによって得る。Mは、触媒試料の重量であり、Vは、触媒試料の体積である。その体積は、28mm Hg真空下で、その試料を水銀に浸すことによって体積変位を測定することによって求める。
【0034】
単位胞サイズ:粉末X線回折によって求める。
【0035】
シリカドメインの粒度分布:試料を樹脂に取り付け、断面を切断し、研磨し、コーティングして、導電性を確保した。JEOL JXA 8230電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて、その試料の反射電子像及び元素マップを20kV、20nAで得た。ZEISS ZEN Intellesisというソフトウェアを用いて、その元素マップに対して画像分割を行った。分割後、最大フェレ径を構造パラメーターとして求め、その最大フェレ径を用いて、シリカドメインの粒度分布を表すヒストグラムを作成した。
【0036】
本開示では、組成物、及び方法またはプロセスが、各種の成分または工程を「含む」という観点で説明されている場合が多いが、その組成物及び方法は、別段の記載のない限り、その各種の成分もしくは工程「から本質的になっても」よいし、またはその各種の成分もしくは工程「からなっても」よい。
【0037】
「a」、「an」及び「the」という用語は、複数形の代替案、例えば、少なくとも1つを含むように意図されている。例えば、「a」の付された遷移金属または「an」の付されたアルカリ金属という開示内容は、別段の定めのない限り、1つの遷移金属またはアルカリ金属、あるいは2つ以上の遷移金属もしくはアルカリ金属の混合物、または2つ以上の遷移金属もしくはアルカリ金属を組み合わせたものを含むように意図されている。
【0038】
本明細書における詳細な説明及び請求項内のいずれの数値も、示されている値が「約」または「およそ」によって修飾されており、当業者であれば予測するであろう、実験での誤差及び変動が考慮されている。
【0039】
本発明は、水素化処理触媒用基材の作製に用いるのに適するシリカ-アルミナ複合材料を提供する。そのシリカ-アルミナ複合材料は、シリカドメイン及びアルミナドメイン、ならびにシリカとアルミナとの界面相を含むように改質されている改質済みの第1のシリカ-アルミナと、第2のシリカ-アルミナとを含み、その第1のシリカ-アルミナ及び第2のシリカ-アルミナは、シリカとアルミナの比、表面積、細孔径、細孔容積、シリカドメインサイズまたはアルミナドメインサイズから選択した1つ以上の特徴が異なる。
【0040】
その複合材料は概ね、その第1のシリカ-アルミナを1~90wt.%、10~80wt.%、20~70wt.%、30~60wt.%または30~50wt.%と、その第2のシリカ-アルミナを1~90wt.%、10~80wt.%、20~70wt.%、25~60wt.%または25~50wt.%と、モレキュラーシーブを0~60wt.%、2~50wt.%、5~40wt.%、5~30wt.%、5~20wt.%または5~15wt.%と、アルミナを0~40wt.%、5~40wt.%、10~30wt.%または15~30wt.%含んでよい。
【0041】
本発明による水素化処理触媒は、その複合材料を約40~100wt.%未満、40~99wt.%、50~99wt.%、60~99wt.%または70~99wt.%の範囲と、貴金属を0.1~5wt.%、0.1~4wt.%、0.1~3wt.%、0.1~2wt.%または0.1~1wt.%の範囲と、卑金属を0~40wt.%、5~40wt.%,、5~30wt.%、10~40wt.%、10~30wt.%、10~20wt.%、20~40wt.%または20~30wt.%の範囲であって、その卑金属の総含有率は任意に、0~40wt.%、5~40wt.%、5~30wt.%、10~40wt.%、10~30wt.%、10~20wt.%、20~40wt.%または20~30wt.%の範囲であり、促進剤を0~30wt.%、0~20wt.%、0~10wt.%、5~30wt.%、5~20wt.%、10~30wt.%または10~20wt.%の範囲含む。適切な貴金属としては例えば、Pt及びPdが挙げられ、適切な卑金属としては、Ni、Mo、Co及びWが挙げられる。貴金属と卑金属を組み合わせたものも用いてよい。適切な促進剤は、Zhanの米国特許第8,637,419B2号に記載されている。
【0042】
本発明は、水素化処理触媒用基材としての使用、または水素化処理触媒用基材の作製に適するシリカ-アルミナ複合材料を作製する方法をさらに提供し、その方法は、第1のシリカ-アルミナと第2のシリカ-アルミナを、任意にモレキュラーシーブ及び/またはアルミナ担体とともに組み合わせて、基材組成物を形成することであって、その第1のシリカ-アルミナと第2のシリカ-アルミナにおいて、シリカとアルミナの比、表面積、細孔径、細孔容積、シリカドメインサイズまたはアルミナドメインサイズから選択した1つ以上の特徴が異なることと、その基材組成物に、希釈強酸水溶液、好ましくは硝酸を加えて、押し出し可能な組成物を形成することと、その押し出し可能な組成物を押し出し、乾燥し、焼成して、シリカ-アルミナ複合材料を形成することを含む。
【0043】
その複合材料、及びその複合材料から作られる触媒(複数可)は、含炭化水素原料を水素化処理する方法で用いてよい。概して、このような方法は、水素化処理条件下で、水素化処理触媒を含炭化水素原料及び水素と接触させることを含み、その水素化処理触媒は、本発明による複合材料に付着させた金属を少なくとも1つ含む。このような水素化分解プロセスでは、その触媒は有益なことに、その第1のシリカ-アルミナまたは第2のシリカ-アルミナの両方ではなく、第1のシリカ-アルミナまたは第2のシリカ-アルミナの一方を含むということのみが異なる水素化処理触媒と比べて、触媒活性を向上させ、同等の重質ディーゼル収率及び全留分収率をもたらすことができる。
【0044】
その改質済みの第1のシリカ-アルミナは、押し出し条件下で、第1のシリカ-アルミナを強酸、好ましくは硝酸と接触させることによって改質されている。典型的には、押し出し条件は、約200°F未満の温度を含む。その第1のシリカ-アルミナ及び第2のシリカ-アルミナは典型的には、非晶質シリカ-アルミナを含み、さらに具体的には、それぞれ、非晶質シリカ-アルミナである。その第2のシリカ-アルミナも、シリカドメイン及びアルミナドメイン、ならびにシリカとアルミナとの界面相を含む改質済みの第2のシリカ-アルミナを含んでもよい。その改質済みの第2のシリカ-アルミナも、同様の押し出し条件下で、第1のシリカ-アルミナと別個にもしくは同時にのいずれかで、及び/または第1のシリカ-アルミナと一緒に、第2のシリカ-アルミナを強酸、好ましくは硝酸と接触させることによって改質されていてもよい。
【0045】
本発明の複合材料は、モレキュラーシーブ及び/またはアルミナ担体をさらに含んでもよい。適切なシーブとしては例えば、Yゼオライト、好ましくは、単位胞サイズが24.15Å~24.45ÅであるYゼオライトが挙げられ、任意に、βゼオライトをさらに含む。
【0046】
その第1のシリカ-アルミナ及び/または第2のシリカ-アルミナは概して、以下のうちの1つ以上を含む物理的特徴を含んでよい。
【0047】
アルミナ含有率が、10~98wt.%、10~80wt.%、20~80wt.%、30~80wt.%、30~70wt.%、40~70wt.%、50~70wt.%、50~80wt.%、60~80wt.%、10~50wt.%、10~40wt.%、20~40wt.%、40~98wt.%、50~98wt.%、60~98wt.%、70~98wt.%または80~98wt.%の範囲であること
【0048】
窒素吸着による表面積が、300~700m/g、300~650m/g、300~600m/g、320~600m/g、320~550m/g、320~500m/g、350~700m/g、350~650m/g、350~600m/g、350~600m/g、350~550m/g、350~500m/g、400~700m/g、400~650m/g、400~600m/g、400~550m/g、450~700m/g、450~650m/g、450~600m/gまたは450~550m/gの範囲であること
【0049】
窒素吸着による細孔容積が、0.7~2.50m/g、0.7~2.2m/g、0.7~2.0m/g、0.7~1.8m/g、0.7~1.6m/g、0.7~1.4m/g、0.7~1.2m/g、0.7~1.0m/g、0.7~0.9m/g、0.75~2.50m/g、0.75~2.2m/g、0.75~2.0m/g、0.75~1.8m/g、0.75~1.6m/g、0.75~1.4m/g、0.75~1.2m/g、0.75~1.0m/g、0.75~0.9m/g、0.85~2.50m/g、0.85~2.2m/g、0.85~2.0m/g、0.85~1.8m/g、0.85~1.6m/g、0.85~1.4m/g、0.85~1.2m/g、0.85~1.0m/g、0.85~0.9m/g、0.9~2.50m/g、0.9~2.2m/g、0.9~2.0m/g、0.9~1.8m/g、0.9~1.6m/g、0.9~1.4m/g、0.9~1.2m/g、0.9~1.0m/g、1.0~2.50m/g、1.0~2.2m/g、1.0~2.0m/g、1.0~1.8m/g、1.0~1.6m/g、1.0~1.4m/g、1.0~1.2m/g、1.0~2.50m/g、1.1~2.2m/g、1.1~2.0m/g、1.1~1.8m/g、1.1~1.6m/g、1.1~1.4m/g、1.1~1.2m/g、1.2~2.5m/g、1.2~2.0m/g、1.2~1.8m/g、1.2~1.6m/g、1.2~1.4m/g、1.3~2.5m/g、1.3~2.0m/g、1.3~1.8m/g、1.3~1.6m/g、1.3~1.4m/g、1.4~2.5m/g、1.4~2.0m/g、1.4~1.8m/gまたは1.4~1.6m/gの範囲であること
【0050】
細孔容積50%における直径D50が、3~35nm、3~20nm、3~15nm、3~10nm、3~8nm、3~7nm、4~25nm、4~20nm、4~15nm、4~10nm、4~8nm、4~7nm、5~25nm、5~20nm、5~15nm、5~10nm、5~8nm、5~7nm、6~25nm、6~25nm、6~20nm、6~15nm、6~10nm、6~8nm、8~25nm、8~20nm、8~15nm、8~10nm、10~25nm、10~20nm、10~15nm、10~13nm、12~25nm、12~20nm、12~15nm、14~25nm、14~20nm、14~18nm、16~25nm、16~20nmまたは16~18nmの範囲であること
【0051】
その第1のシリカ-アルミナ及び第2のシリカ-アルミナを含む複合材料は、下記のうちの1つ以上を含む物理的特徴をさらに含んでよい。
【0052】
粒子密度が、0.6~1.0g/mL、0.64~1.0g/mL、0.68~1.0g/mL、0.72~1.0g/mL、0.76~1.0g/mL、0.8~1.0g/mL、0.84~1.0g/mL、0.88~1.0g/mL、0.6~0.96g/mL、0.64~0.96g/mL、0.68~0.96g/mL、0.72~0.96g/mL、0.76~0.96g/mL、0.8~0.96g/mL、0.84~0.96g/mL、0.88~0.96g/mL、0.6~0.92g/mL、0.64~0.92g/mL、0.68~0.92g/mL、0.72~0.92g/mL、0.76~0.92g/mL、0.8~0.92g/mL、0.84~0.92g/mL、0.6~0.88g/mL、0.64~0.88g/mL、0.68~0.88g/mL、0.72~0.88g/mL、0.76~0.88g/mL、0.8~0.88g/mL、0.6~0.84g/mL、0.64~0.84g/mL、0.68~0.84g/mL、0.72~0.84g/mL、0.76~0.84g/mL、0.8~0.84g/mL、0.6~0.8g/mL、0.64~0.8g/mL、0.68~0.8g/mL、0.72~0.8g/mL、0.76~0.8g/mL、0.6~0.76g/mL、0.64~0.76g/mL、0.68~0.76g/mLまたは0.72~0.76g/mLの範囲であること
【0053】
窒素吸着による表面積が、300~700m/g、300~650m/g、300~600m/g、320~600m/g、320~550m/g、320~500m/g、350~700m/g、350~650m/g、350~600m/g、350~600m/g、350~550m/g、350~500m/g、400~700m/g、400~650m/g、400~600m/g、400~550m/g、450~700m/g、450~650m/g、450~600m/gまたは450~550m/gの範囲であること
【0054】
窒素吸着による細孔容積が、0.7~2.50m/g、0.7~2.2m/g、0.7~2.0m/g、0.7~1.8m/g、0.7~1.6m/g、0.7~1.4m/g、0.7~1.2m/g、0.7~1.0m/g、0.7~0.9m/g、0.75~2.50m/g、0.75~2.2m/g、0.75~2.0m/g、0.75~1.8m/g、0.75~1.6m/g、0.75~1.4m/g、0.75~1.2m/g、0.75~1.0m/g、0.75~0.9m/g、0.85~2.50m/g、0.85~2.2m/g、0.85~2.0m/g、0.85~1.8m/g、0.85~1.6m/g、0.85~1.4m/g、0.85~1.2m/g、0.85~1.0m/g、0.85~0.9m/g、0.9~2.50m/g、0.9~2.2m/g、0.9~2.0m/g、0.9~1.8m/g、0.9~1.6m/g、0.9~1.4m/g、0.9~1.2m/g、0.9~1.0m/g、1.0~2.50m/g、1.0~2.2m/g、1.0~2.0m/g、1.0~1.8m/g、1.0~1.6m/g、1.0~1.4m/g、1.0~1.2m/g、1.0~2.50m/g、1.1~2.2m/g、1.1~2.0m/g、1.1~1.8m/g、1.1~1.6m/g、1.1~1.4m/g、1.1~1.2m/g、1.2~2.5m/g、1.2~2.0m/g、1.2~1.8m/g、1.2~1.6m/g、1.2~1.4m/g、1.3~2.5m/g、1.3~2.0m/g、1.3~1.8m/g、1.3~1.6m/g、1.3~1.4m/g、1.4~2.5m/g、1.4~2.0m/g、1.4~1.8m/gまたは1.4~1.6m/gの範囲であること
【0055】
細孔容積50%における直径D50が、3~35nm、3~20nm、3~15nm、3~10nm、3~8nm、3~7nm、4~25nm、4~20nm、4~15nm、4~10nm、4~8nm、4~7nm、5~25nm、5~20nm、5~15nm、5~10nm、5~8nm、5~7nm、6~25nm、6~25nm、6~20nm、6~15nm、6~10nm、6~8nm、8~25nm、8~20nm、8~15nm、8~10nm、10~25nm、10~20nm、10~15nm、10~13nm、12~25nm、12~20nm、12~15nm、14~25nm、14~20nm、14~18nm、16~25nm、16~20nmまたは16~18nmの範囲であること
【0056】
本発明及び本開示の範囲に関するさらなる詳細は、添付の請求項から判断し得る。
【0057】
本発明の1つ以上の実施形態の上記の説明は、主に例示のためのものであり、変形形態を用いてよく、その上、その変形形態が、本発明の本質に組み込まれることは認識されている。本発明の範囲を判断する際には、下記の請求項を参照すべきである。
【0058】
米国特許の実施慣行の目的上、及び認められる場合には、その他の特許庁においては、本発明の上記の説明で引用したいずれの特許及び刊行物も、それらに含まれるいずれかの情報が、上記の開示内容と整合し及び/または上記の開示内容を補う限りにおいては、参照により、本明細書に援用される。
【実施例
【0059】

本発明による非晶質シリカ-アルミナのうち、実施例で使用した代表的な非晶質シリカ-アルミナは、表1に示されており、そのそれぞれは、市販されている。
【表1】
【0060】
表2に示されている量の非晶質シリカ-アルミナ及び硝酸を用いて、水素化処理触媒用基材HCB-1~HCB-7を本発明に従って調製した。各HCB試料の合成及び特徴は、下に記載されている。
【表2】
【0061】
水素化処理触媒用基材-1(HCB-1)の合成及び特徴付け
水素化処理触媒用基材-1は、以下のようにして調製した。すなわち、37重量部のシリカ-アルミナ試料-1、30重量部のシリカ-アルミナ試料-5、25重量部の擬ベーマイトアルミナ粉末及び8重量部のゼオライトYをよく混合した。その混合粉末に希硝酸水溶液(乾燥酸化物ベースで2wt.%)を加えて、押し出し可能なペーストを形成した。そのペーストを1/16”の非対称な四葉形で押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥した。過剰な乾燥空気をパージしながら、その乾燥した押出成形体を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0062】
水素化処理触媒用基材-2(HCB-2)の合成及び特徴付け
水素化処理触媒用基材-2は、以下のようにして調製した。すなわち、37重量部のシリカ-アルミナ試料-1、30重量部のシリカ-アルミナ試料-5、25重量部の擬ベーマイトアルミナ粉末及び8重量部のゼオライトYをよく混合した。その混合粉末に希硝酸水溶液(乾燥酸化物ベースで3wt.%)を加えて、押し出し可能なペーストを形成した。そのペーストを1/16”の非対称な四葉形で押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥した。過剰な乾燥空気をパージしながら、その乾燥した押出成形体を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0063】
水素化処理触媒用基材-3(HCB-3)の合成及び特徴付け
水素化処理触媒用基材-3は、以下のようにして調製した。すなわち、34重量部のシリカ-アルミナ試料-3、33重量部のシリカ-アルミナ試料-4、25重量部の擬ベーマイトアルミナ粉末及び8重量部のゼオライトYをよく混合した。その混合粉末に希硝酸水溶液(乾燥酸化物ベースで2wt.%)を加えて、押し出し可能なペーストを形成した。そのペーストを1/16”の非対称な四葉形で押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥した。過剰な乾燥空気をパージしながら、その乾燥した押出成形体を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0064】
水素化処理触媒用基材-4(HCB-4)の合成及び特徴付け
水素化処理触媒用基材-4は、以下のようにして調製した。すなわち、67重量部のシリカ-アルミナ試料-1、25重量部の擬ベーマイトアルミナ粉末及び8重量部のゼオライトYをよく混合した。その混合粉末に希硝酸水溶液(乾燥酸化物ベースで2wt.%)を加えて、押し出し可能なペーストを形成した。そのペーストを1/16”の非対称な四葉形で押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥した。過剰な乾燥空気をパージしながら、その乾燥した押出成形体を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0065】
水素化処理触媒用基材-5(HCB-5)の合成及び特徴付け
水素化処理触媒用基材-5は、以下のようにして調製した。すなわち、67重量部のシリカ-アルミナ試料-5、25重量部の擬ベーマイトアルミナ粉末及び8重量部のゼオライトYをよく混合した。その混合粉末に希硝酸水溶液(乾燥酸化物ベースで2wt.%)を加えて、押し出し可能なペーストを形成した。そのペーストを1/16”の非対称な四葉形で押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥した。過剰な乾燥空気をパージしながら、その乾燥した押出成形体を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0066】
水素化処理触媒用基材-6(HCB-6)の合成及び特徴付け
水素化処理触媒用基材-6は、以下のようにして調製した。すなわち、67重量部のシリカ-アルミナ試料-4、25重量部の擬ベーマイトアルミナ粉末及び8重量部のゼオライトYをよく混合した。その混合粉末に希硝酸水溶液(乾燥酸化物ベースで2wt.%)を加えて、押し出し可能なペーストを形成した。そのペーストを1/16”の非対称な四葉形で押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥した。過剰な乾燥空気をパージしながら、その乾燥した押出成形体を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0067】
水素化処理触媒用基材-7(HCB-7)の合成及び特徴付け
水素化処理触媒用基材-7は、以下のようにして調製した。すなわち、67重量部のシリカ-アルミナ試料-2、25重量部の擬ベーマイトアルミナ粉末及び8重量部のゼオライトYをよく混合した。その混合粉末に希硝酸水溶液(乾燥酸化物ベースで2wt.%)を加えて、押し出し可能なペーストを形成した。そのペーストを1/16”の非対称な四葉形で押し出し、250°F(121℃)で一晩乾燥した。過剰な乾燥空気をパージしながら、その乾燥した押出成形体を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0068】
表3には、水素化処理触媒用基材HCB-1~HCB-7の物理的特性がまとめられている。
【表3】
【0069】
本開示のさらに広範な範囲内であるとともに、本明細書に示されている実施例に従うある特定の実施形態では、適切な水素化処理触媒は、表4の組成範囲に従って調製してよい。
【表4】
【0070】
結果及び考察
細孔径分布
非晶質シリカ-アルミナ(ASA)が1つである水素化処理触媒用基材試料HCB-4及びHCB-5と、2つの非晶質シリカ-アルミナを含む水素化処理触媒用基材試料HCB-2において、細孔径分布(PSD)を比較することによって、2つのシリカ-アルミナの使用が、窒素細孔径分布(N PSD)に及ぼす作用を調べた。図1には、これらのHCB試料における窒素PSDが示されている。ASAが1つのHCB-4は、ASAが1つのHCB-5(細孔径が大きめである)と比べて、細孔径が小さい。ASAが2つの試料HCB-2(ASA-1及びASA-5を用いて合成した)は、PSDの範囲がさらに広く、個々の非晶質シリカ-アルミナASA-1及びASA-5によって示された範囲のほぼすべてを網羅した。
【0071】
図2には、水銀細孔径決定法(Hg PSD)によって、2つのASAを使用することで得られた、さらに広範な細孔径分布が示されている。水素化処理触媒用基材HCB-2では、二峰性のPSDが見られ、その二峰性分布の2つのピークの位置は、ASAが1つの試料HCB-4及びHCB-5で得られる位置に相当する。
【0072】
ケイ素の元素マッピング
ケイ素の元素マッピングを電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)で行った。その元素マップにより、シリカドメイン及びアルミナドメインを(その機器の解像度限界内で)視覚的に認識可能になり、その後、それらを測定して、特徴的な寸法、例えば粒径に基づき、粒度分布を得ることができる。図3には、HCB-4で使用した場合のシリカ-アルミナ試料-1(ASA-1)におけるシリカドメインが示されており、そのドメインは、EPMA分析から得られる反射電子像によって測定可能な範囲内のものである。これに対して、試料-5(ASA-5)におけるシリカドメイン及びアルミナドメインのサイズは、非常に小さいために、反射電子像によって測定できない。
【0073】
粒度及び界面相の形成
ASAが1つの水素化処理触媒用基材材料と比較して、水素化処理触媒用基材材料で2つの非晶質シリカ-アルミナを用いること、及び一方または両方のASAを硝酸のような強酸で改質することの作用を求めるために、シリカドメインの粒度を調べた。図4には、HCB-1におけるシリカドメインの粒度が、1つのシリカ-アルミナASA材(ASA-1)のみで合成したHCB-4と比べて小さくなり、粒度分布も狭いことが示されている。2つのASA(このケースでは、ASA-1及びASA-5)を使用した結果、図1及び2に示されているように、細孔径分布が広くなっているものの、粒子が小さくなったシリカ-アルミナ複合材料が得られた。
【0074】
より高い濃度の硝酸の使用についても調べたところ、アルミナドメインとシリカドメインとの界面相の形成がさらに促進されて、粒度をさらに低下させることが示された。図5には例えば、硝酸を3wt%(乾燥酸化物ベース)に増加させたところ、図4においてHCB-4またはHCB-1で観察されたおよそ14マイクロメートル未満という小さめの粒度の粒子が、HCB-2で完全に消失したことが示されている。
【0075】
水素化分解触媒の性能
典型的な水素化分解装置供給原料を用いて、本開示の基材用複合材料を含む触媒の水素化分解性能を調べた。本開示の水素化処理触媒用基材材料を用いて調製した触媒において、水素化分解触媒の性能を評価するのに使用した石油原料の物理的特性が、表6に示されている。各試験では、全圧:2300PSIG(反応器入口における分圧:2100PSIA H)、油に対するHの比:5000SCFB、LHSV:1.0h-1というプロセス条件下で、その触媒をその原料と接触させた。
【表6】
【0076】
図6には、上記の原料と接触させた触媒であって、本開示による各種の水素化処理触媒用基材材料で調製した触媒の触媒活性が示されている。ASAが2つである触媒用基材複合材料、特にHCB-1及びHCB-2をベースとするそれらの触媒においては、ASAが1つである触媒用HCB材HCB-5、HCB-6及びHCB-7の場合と比較したところ、同じ温度において、表6の原料の水素化分解(HCR)転化率が上昇したことによって示されているように、触媒活性が向上していることが観察された。
【0077】
図7には、上記の原料と接触させた触媒であって、各種の水素化処理触媒用基材材料で調製した触媒で得られた重質ディーゼルの収率が示されている。図8には、上記の原料と接触させた触媒であって、各種の水素化処理触媒用基材材料で調製した触媒で得られた全留分の収率が示されている。ASAが2つである触媒用基材複合材料、特にHCB-1及びHCB-2をベースとするそれらの触媒においては、ASAが1つである触媒用HCB材HCB-5、HCB-6及びHCB-7と比較したところ、表6の原料の水素化分解から得られた重質ディーゼル及び全留分の収率によって示されているように、HCR選択性が同等であることが観察された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】