(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】抗-CD45抗体及びそのコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221219BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221219BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221219BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221219BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221219BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221219BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20221219BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20221219BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20221219BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20221219BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20221219BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20221219BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20221219BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20221219BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20221219BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20221219BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20221219BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20221219BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20221219BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20221219BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20221219BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20221219BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20221219BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20221219BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221219BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P7/00
A61P35/02
A61P37/02
A61P37/06
A61P25/00
A61P3/10
A61P17/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P1/04
A61P29/00
A61P17/06
A61P17/14
A61P19/00
A61P3/00
A61P7/06
A61P27/16
A61P15/00
A61P9/00
A61P25/02 101
A61P25/02 103
A61P5/00
A61P11/00
A61P13/10
A61P21/04
A61P25/08
A61P27/02
A61P1/16
A61K38/12
A61K31/5517
A61K47/68
A61K45/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525948
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 US2020058373
(87)【国際公開番号】W WO2021087368
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518445159
【氏名又は名称】マジェンタ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MAGENTA THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214259
【氏名又は名称】山本 睦也
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ボイタノ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル クック
(72)【発明者】
【氏名】シャーロット マクドナー
(72)【発明者】
【氏名】ラーフル パルチョウデュリー
(72)【発明者】
【氏名】ラジブ パンワール
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー アール ピアース
(72)【発明者】
【氏名】ポール フレデリック ウィドブーム
(72)【発明者】
【氏名】パトリシア アン クルティ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA17
4C084BA25
4C084BA44
4C084CA05
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA13
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA061
4C084ZA062
4C084ZA081
4C084ZA082
4C084ZA211
4C084ZA212
4C084ZA241
4C084ZA242
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA341
4C084ZA342
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA511
4C084ZA512
4C084ZA551
4C084ZA552
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA921
4C084ZA922
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC211
4C084ZC212
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC412
4C084ZC75
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB11
4C085BB36
4C085CC01
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA03
4C086CB11
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA13
4C086ZA01
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA21
4C086ZA24
4C086ZA33
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA55
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC21
4C086ZC35
4C086ZC41
4H045AA11
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
ヒトCD45に特異的に結合する、抗-CD45抗体、その抗原結合フラグメント、及び抗体薬物コンジュゲート(ADC)、が開示される。このような抗体及びADCは、治療方法(例えば、CD45+細胞を患者から減少させる方法など)において有用である。本出願に記載される組成物及び方法を、使用して、例えば、CD45+の、がん細胞又は自己免疫細胞、の集団を減少させることによって、障害を直接的に治療することがある。本出願に記載される組成物及び方法をまた、使用して、移植手順の前に、内因性のCD45+細胞を選択的に減少させることによって、造血幹細胞移植療法のために、患者に対して準備を行うこともある、及び造血幹細胞の移植片の生着を改善させることもある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分:
(a)配列番号(SEQ ID NO):2に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):3に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):4に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):6に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):7に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):8に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号(SEQ ID NO):12に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):13に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):14に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):17に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):18に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号(SEQ ID NO):22に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):23に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):24に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):26に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):27に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):28に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号(SEQ ID NO):32に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):33に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):34に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):36に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):37に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):38に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号(SEQ ID NO):42に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):43に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):44に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):46に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):47に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):48に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域;
(f)配列番号(SEQ ID NO):52に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):53に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):54に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):56に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):57に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):58に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域;
(g)配列番号(SEQ ID NO):62に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):63に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):64に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):66に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):67に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):68に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域;
(h)配列番号(SEQ ID NO):72に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):73に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):74に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):76に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):77に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):78に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域;
(i)配列番号(SEQ ID NO):82に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):83に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):84に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):86に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):87に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):88に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域;又は、
(j)配列番号(SEQ ID NO):92に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):93に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):94に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):96に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):97に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):98に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域。
【請求項2】
以下を含む、単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、
配列番号(SEQ ID NO):119に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):120に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):121に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO):122に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):123に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO):124に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域。
【請求項3】
以下を含む、単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、
(a)配列番号(SEQ ID NO):1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):5に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号(SEQ ID NO):11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):15に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号(SEQ ID NO):21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):25に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号(SEQ ID NO):31に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):35に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号(SEQ ID NO):41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(f)配列番号(SEQ ID NO):51に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):55に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(g)配列番号(SEQ ID NO):61に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):65に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(h)配列番号(SEQ ID NO):71に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):75に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(i)配列番号(SEQ ID NO):81に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):85に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は、
(j)配列番号(SEQ ID NO):91に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):95に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記抗体、又はその抗原結合部分は、Fc領域を含む。
【請求項5】
請求項4に記載の単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記Fc領域は、ヒトIgG1 Fc領域、又はヒトIgG4 Fc領域である。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記抗体は、モノクローナル抗体である。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の単離された抗-CD45抗体、ここで、前記抗体は、定常領域を含むインタクトな抗体である。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の単離された抗-CD45抗体、ここで、前記抗体は、IgGである。
【請求項9】
請求項8に記載の単離された抗-CD45抗体、ここで、前記IgGは、IgG1又はIgG4である。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の単離された抗-CD45抗体、ここで、前記抗体は、定常領域を含む、及びここで、前記定常領域は、L234A、L235A、D265C、H310A、及びH435A(EUインデックスによる番号付け)からなる群より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、のアミノ酸置換、を含む。
【請求項11】
請求項10に記載の単離された抗-CD45抗体、ここで、前記定常領域は、アミノ酸置換L234A、L235A及びD265C(EUインデックスによる番号付け)を含む。
【請求項12】
定常領域を含む、請求項1~11の何れか一項に記載の単離された抗-CD45抗体、ここで前記定常領域は、以下を含む、
(a)配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、配列番号(SEQ ID NO):104、配列番号(SEQ ID NO):105、又は配列番号(SEQ ID NO):106、に記載の重鎖アミノ酸配列;及び、
(b)配列番号(SEQ ID NO):101に記載の軽鎖アミノ酸配列。
【請求項13】
以下を含む、単離された抗-CD45抗体
(a)配列番号(SEQ ID NO):9に記載の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号(SEQ ID NO):10に記載の軽鎖アミノ酸配列;
(b)配列番号(SEQ ID NO):19に記載の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号(SEQ ID NO):20に記載の軽鎖アミノ酸配列;
(c)配列番号(SEQ ID NO):29に記載の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号(SEQ ID NO):30に記載の軽鎖アミノ酸配列;
(d)配列番号(SEQ ID NO):39に記載の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号(SEQ ID NO):40に記載の軽鎖アミノ酸配列;
(e)配列番号(SEQ ID NO):49に記載の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号(SEQ ID NO):50に記載の軽鎖アミノ酸配列;
(f)配列番号(SEQ ID NO):59に記載の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号(SEQ ID NO):60に記載の軽鎖アミノ酸配列;
(g)配列番号(SEQ ID NO):69に記載の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号(SEQ ID NO):70に記載の軽鎖アミノ酸配列;
(h)配列番号(SEQ ID NO):79に記載の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号(SEQ ID NO):80に記載の軽鎖アミノ酸配列;
(i)配列番号(SEQ ID NO):89に記載の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号(SEQ ID NO):90に記載の軽鎖アミノ酸配列;又は、
(j)配列番号(SEQ ID NO):99に記載の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号(SEQ ID NO):100に記載の軽鎖アミノ酸配列。
【請求項14】
CD45フラグメント1(配列番号(SEQ ID NO):114)、CD45フラグメント2(配列番号(SEQ ID NO):115)、CD45フラグメント3(配列番号(SEQ ID NO):116)、CD45フラグメント4(配列番号(SEQ ID NO):117)、及び/又はCD45フラグメント5(配列番号(SEQ ID NO):118)、内に位置するエピトープで、ヒトCD45に特異的に結合する、単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分。
【請求項15】
請求項14に記載の単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記抗体、又はその抗原結合部分は、以下に特異的に結合する、
(a)CD45フラグメント2内に位置するヒトCD45のエピトープ、及びフラグメント4内に位置するヒトCD45のエピトープ;
(b)CD45フラグメント1内に位置するヒトCD45のエピトープ、及びCD45フラグメント3内に位置するヒトCD45のエピトープ;又は、
(c)CD45フラグメント5内に位置するヒトCD45のエピトープ。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記抗体、又はその抗原結合部分は、以下に特異的に結合する、
(a)ヒトCD45中の405T、407K、419Y、425K、481R、505R、及び509H、からなる群より選択される1つ以上の残基(配列番号(SEQ ID NO):113を参照して番号付け);又は、
(b)ヒトCD45中の486R、493Y、及び502T、からなる群より選択される1つ以上の残基(配列番号(SEQ ID NO):113を参照して番号付け)。
【請求項17】
ヒトCD45に特異的に結合する、及びカニクイザルCD45と交差反応する、請求項1~16の何れか一項に記載の単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分。
【請求項18】
請求項1~17の何れか一項に記載の単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記抗体、又はその抗原結合部分は、バイオ-レイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)で測定した場合、1x10
-2から 1x10
-3, 1x10
-3 から 1x10
-4, 1x10
-4 から 1x10
-5, 1x10
-5 から 1x10
-6, 1x10
-6 から 1x10
-7, 又は 1x10
-7 から 1x10
-8、の解離定数(Koff)で、ヒトCD45に結合する。
【請求項19】
請求項1~18の何れか一項に記載の単離された抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、ここで、前記抗体、又はその抗原結合部分は、バイオ-レイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)で測定した場合、約100 nM以下、約90 nM以下、約80 nM以下、約70 nM以下、約60 nM以下、約50 nM以下、約40 nM以下、約30 nM以下、約20 nM以下、約10 nM以下、約10 nM以下、又は約0.1 nM以下、のK
Dで、ヒトCD45に結合する。
【請求項20】
請求項1~19の何れか一項に記載の抗体、又はその抗原結合部分、及び薬学的に許容可能な担体、を含む医薬組成物。
【請求項21】
請求項1~13の何れか一項に記載の抗体、又はその抗原結合部分をコードする核酸配列、を含む単離された核酸。
【請求項22】
請求項21に記載の単離された核酸、を含むベクター。
【請求項23】
請求項21に記載の単離された核酸、又は請求項22に記載のベクター、を含む宿主細胞。
【請求項24】
請求項23に記載の宿主細胞、ここで、前記細胞は、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞、又はHEK293T細胞である。
【請求項25】
ヒト患者においてCD45+細胞の集団を減少させる際に使用するための、請求項1~19の何れか一項に記載の抗体、又はその抗原結合部分、を含む医薬組成物。
【請求項26】
ヒト患者においてCD45+細胞の集団を減少させる方法、ここで、前記方法は、請求項1~19の何れか一項に記載の抗体、又はその抗原結合部分を、前記ヒト患者に投与することを含む。
【請求項27】
請求項26に記載の方法、ここで、前記CD45+細胞は、CD3+、CD19+、CD33+、CD34+、又はCD45+/B2M+、である。
【請求項28】
請求項26に記載の方法、ここで、前記CD45+細胞は、造血幹細胞(HSC)、T細胞、B細胞、及び/又は骨髄性細胞である。
【請求項29】
請求項26に記載の方法、ここで、前記CD45+細胞は、がん細胞である。
【請求項30】
請求項26~29の何れか一項に記載の方法、ここで、前記CD45+細胞を、前記患者の骨髄、及び/又は前記患者の末梢血、から減少させる。
【請求項31】
請求項26~30の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、造血幹細胞移植を必要とする。
【請求項32】
請求項26~31の何れか一項に記載の方法、ここで、前記方法は、造血幹細胞を含む移植片を前記患者に投与することを更に含む。
【請求項33】
請求項31又は32に記載の方法、ここで、前記移植片は、同種異系である。
【請求項34】
請求項31又は32に記載の方法、ここで、前記移植片は、自己である。
【請求項35】
リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分、を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)、ここで、前記抗-CD45抗体、又はその抗原結合部分は、請求項1~19の何れか一項の抗体、又はその抗原結合部分、である。
【請求項36】
請求項35に記載のADC、ここで、前記抗体は、前記抗体の定常ドメイン中のシステイン残基を介して前記細胞毒素にコンジュゲートする。
【請求項37】
請求項36に記載のADC、ここで、前記システイン残基を、前記抗体の定常領域中のアミノ酸置換によって導入する、。
【請求項38】
請求項37に記載のADC、ここで、前記アミノ酸置換は、D265C及び/又はV205C(EU番号付け)である。
【請求項39】
請求項35~38の何れか一項に記載のADC、ここで、前記ADCは、1、2、3、4、5、6、7、又は8の薬物対抗体比(DAR)を有する。
【請求項40】
請求項35~39の何れか一項に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、RNAポリメラーゼ阻害剤、DNAインターカレーション薬剤、DNAアルキル化薬剤、DNAクロスリンク薬剤、タンパク質合成を破壊する薬剤、微小管動態を破壊する薬剤、又は紡錘体を破壊する薬剤、である。
【請求項41】
請求項35~40の何れか一項に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、アマトキシン、アントラサイクリン、アウリスタチン、カリケアマイシン、deブーガニン、ジフテリア毒素、デュオカルマイシン、インドリノベンゾジアゼピン(IGN)、インドリノベンゾジアゼピン二量体、イリノテカン、メイタンシン、シュードモナス外毒素A、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、ピロロベンゾジアゼピン二量体、サポリン、及びSN-38、からなる群より選択される。
【請求項42】
請求項40に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、RNAポリメラーゼ阻害剤である。
【請求項43】
請求項42に記載のADC、ここで、前記RNAポリメラーゼ阻害剤は、アマトキシンである。
【請求項44】
請求項43に記載のADC、ここで、前記ADCは、式Ab-Z-L-Amによって表される、ここで、Abは、請求項1~19の何れか一項の抗体、又はその抗原結合部分である、Lはリンカーである、Zは化学的な部分構造である、及びAmはアマトキシンである。
【請求項45】
請求項44に記載のADC、ここで、前記アマトキシン-リンカー・コンジュゲートは、式(I)で表される:
[化1]
ここで、R
1は、H、OH、OR
A、又はOR
Cである;
R
2は、H、OH、OR
B、又はOR
Cである;
R
A 及びR
Bは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R
3は、H、R
C、又はR
Dである;
R
4、R
5、R
6, 及びR
7は、それぞれ独立してH、OH、OR
C、OR
D、R
C、又はR
Dである;
R
8は、OH、NH
2、OR
C、OR
D、NHR
C、又はNR
CR
Dである;
R
9は、H、OH、OR
C、又はOR
Dである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO
2-である;
R
Cは、-L-Zである;
R
Dは、任意選択的に置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択的に置換されたC
1-C
6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルキニル、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたC
1-C
6アルキレン、任意選択的に置換されたC
1-C
6ヘテロアルキレン、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルケニレン、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルケニレン、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルキニレン、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルキニレン、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ペプチド、ジペプチド、-(C=O)-、ジスルフィド、ヒドラゾン、又はそれらの組合せである;並びに、
Zは、L上に存在する反応性置換基と、前記抗体又は抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である、ここで、Amは正確に1つのR
C置換基を含む。
【請求項46】
請求項45に記載のADC、ここで、L-Zは、
[化2]
又は
[化3]
である。
【請求項47】
請求項43又は44に記載のADC、ここで、前記ADCは、以下のうちの1つによって表される:
[化4]
ここで、Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO
2- である。
【請求項48】
請求項43又は44に記載のADC、ここで、前記ADCは、以下の式を有する、
[化5]
ここで、Abは、抗-CD45抗体のアタッチメント(attachment)の点を表す。
【請求項49】
請求項43又は44に記載のADC、ここで、前記ADCは、以下の式を有する、
[化6]
ここで、Abは、抗-CD45抗体のアタッチメント(attachment)の点を表す。
【請求項50】
請求項43又は44に記載のADC、ここで、前記ADCは、以下の式を有する、
[化7]
ここで、Abは、抗-CD45抗体のアタッチメント(attachment)の点を表す。
【請求項51】
請求項43又は44に記載のADC、ここで、前記ADCは、以下の式を有する、
[化8]
ここで、Abは、抗-CD45抗体のアタッチメント(attachment)の点を表す。
【請求項52】
請求項43又は44に記載のADC、ここで、前記ADCは、以下の式を有する、
[化9]
ここで、Abは、抗-CD45抗体のアタッチメント(attachment)の点を表す。
【請求項53】
請求項41に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)である。
【請求項54】
請求項53に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、PBD二量体である。
【請求項55】
請求項54に記載のADC、ここで、前記PBD二量体は、
[化10]
によって表される、
ここで、波線は、前記ADCの、前記リンカーへのアタッチメント(attachment)の点、を示す。
【請求項56】
請求項53~55の何れか一項に記載のADC、ここで、前記リンカーは、ペプチド、オリゴ糖、-(CH
2)
p-, -(CH
2CH
2O)
q-, -(C=O)(CH
2)
r-, -(C=O)(CH
2CH
2O)
t-, -(NHCH
2CH
2)
u-,
-PAB, Val-Cit-PAB, Val-Ala-PAB, Val-Lys(Ac)-PAB, Phe-Lys-PAB, Phe-Lys(Ac)-PAB, D-Val-Leu-Lys, Gly-Gly-Arg, Ala-Ala-Asn-PAB, 又は Ala-PAB、のうちの1種以上を含む、ここで、p、q、r、t、及びuの各々は、1~12の整数であり、各場合毎に、独立して選択される。
【請求項57】
請求項53~55の何れか一項に記載のADC、ここで、前記リンカーは、以下の構造を有する、
[化11]
ここで、R
1は、CH
3(Ala)、又は(CH
2)
3NH(CO)NH
2(Cit)、である。
【請求項58】
請求項53~57の何れか一項に記載のADC、前記リンカーは、前記抗体にコンジュゲートする前に、反応性置換基Z'を含み、L-Z'として一緒になっている、以下の構造を有する。
[化12]
ここで、R
1は、CH
3(Ala)、又は(CH
2)
3NH(CO)NH
2(Cit)、である。
【請求項59】
請求項58に記載のADC、ここで、R
1は、CH
3である。
【請求項60】
請求項53~59の何れか一項に記載のADC、ここで、前記細胞毒素-リンカー・コンジュゲートは、前記抗体にコンジュゲートする前に、反応性置換基Z'を含み、Cy-L-Z'として一緒になっている、テシリンであり、以下の構造式を有する。
[化13]
【請求項61】
以下の構造を有する、請求項53~60の何れか一項に記載のADC、
[化14]
、 ここで、Abは、抗-CD45抗体又はその抗原結合部分である、及びSは、前記抗体の又はその抗原結合部分の、中に存在する、又は中に導入された、硫黄原子を表す。
【請求項62】
請求項41に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、インドリノベンゾジアゼピン(IGN)である。
【請求項63】
請求項62に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、IGN二量体又はIGN疑似二量体(pseudodimer)である。
【請求項64】
請求項62又は63に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、以下によって表されるIGN疑似二量体(pseudodimer)である:
[化15]
ここで、波線は、前記ADCの、前記リンカーへの共有結合アタッチメント(attachment)の点、を示す。
【請求項65】
請求項62~64の何れか一項に記載のADC、ここで、前記リンカーは、ジペプチド、ジスルフィド、C1-C12アルキル、C=O、又はそれらの組み合わせ、を含む。
【請求項66】
請求項62~65の何れか一項に記載のADC、ここで、前記リンカーは、
[化16]
を含む。
【請求項67】
請求項62~66の何れか一項に記載のADC、ここで、前記細胞毒素-リンカー・コンジュゲートは、前記抗体又はその抗原結合部分にコンジュゲートする前に、反応性置換基Z'を含み、Cy-L-Z'として一緒になっている、以下の構造式を有する:
[化17]
【請求項68】
請求項35~67の何れか一項に記載のADC、及び薬学的に許容可能な担体、を含む医薬組成物。
【請求項69】
ヒト患者におけるCD45+細胞の集団を減少させる方法、ここで、前記方法は、請求項35~67の何れか一項に記載のADCの有効量を、前記患者に投与することを含む。
【請求項70】
請求項69に記載の方法、ここで、前記CD45+細胞は、CD3+、CD19+、CD33+、CD34+、又はCD45+/B2M+、である。
【請求項71】
請求項69に記載の方法、ここで、前記CD45+細胞は、造血幹細胞(HSC)である。
【請求項72】
請求項69に記載の方法、ここで、前記CD45+細胞は、HSC、T細胞、B細胞、及び/又は骨髄性細胞である。
【請求項73】
請求項69~72の何れか一項に記載の方法、ここで、前記CD45+細胞を、前記患者の骨髄、及び/又は前記患者の末梢血、から減少させる。
【請求項74】
請求項69~73の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、造血幹細胞移植を必要とする。
【請求項75】
請求項69~74の何れか一項に記載の方法、ここで、造血幹細胞を含む移植片を前記患者に投与することを更に含む。
【請求項76】
造血幹細胞(HSC)移植を必要とするヒト患者において、CD45+細胞の集団を減少させる方法、ここで、前記方法は、前記患者が造血幹細胞を含む移植片を受ける前に、請求項35~67の何れか一項に記載のADCを、前記患者に投与することを含む。
【請求項77】
以下を含む方法
(a)ヒト患者に、請求項35~67の何れか一項に記載のADCを、前記患者の中のCD45+細胞の集団を減少させるのに十分な量で、投与すること;及び、
(b)その後、前記患者に、造血幹細胞を含む移植片を投与すること。
【請求項78】
請求項74~77の何れか一項に記載の方法、ここで、前記移植片は、同種異系である。
【請求項79】
請求項74~77の何れか一項に記載の方法、ここで、前記移植片は、自己である。
【請求項80】
請求項74~79の何れか一項に記載の方法、ここで、造血幹細胞を含む移植片を、ADCの濃度が前記患者の血液から実質的にクリアランスされた後に、前記患者に投与する。
【請求項81】
請求項74~80の何れか一項に記載の方法、ここで、前記造血幹細胞又はその後代は、前記患者の中に前記造血細胞を移植した後に、造血組織に局在化することができる、及び/又は造血を再確立することができる。
【請求項82】
請求項74~81の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者の中に移植したときに、前記造血幹細胞によって、巨核球、血小板(thrombocytes)、血小板(platelets)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア,顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、及びB-リンパ球、からなる群より選択される細胞の集団の回復が生じる。
【請求項83】
請求項69~82の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、血液疾患、代謝障害、がん、若しくは自己免疫障害、又は重度複合免疫不全症疾患(severe combined immunodeficiency disease)(SCID)、を有する。
【請求項84】
請求項83に記載の方法、ここで、前記患者は、がんを有する。
【請求項85】
請求項84に記載の方法、ここで、前記がんは、血液がんである。
【請求項86】
請求項85に記載の方法、ここで、前記血液がんは、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、又は多発性骨髄腫、である。
【請求項87】
請求項83に記載の方法、ここで、前記患者は、自己免疫障害を有する。
【請求項88】
請求項87に記載の方法、ここで、前記自己免疫障害は、多発性硬化症、1型糖尿病、又は強皮症、である。
【請求項89】
請求項87に記載の方法、ここで、前記自己免疫障害は、多発性硬化症、ヒト全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬の治療、1型糖尿病(1型糖尿病)、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、汎発性脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性卵巣炎、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、シャーガス病、慢性疲労性免疫不全症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、クローン病、瘢痕性類天疱瘡、セリアック・スプルー疱疹状皮膚炎(coeliac sprue-dermatitis herpetiformis)、寒冷凝集素症、CREST症候群、デゴス病、円板状エリテマトーデス、自律神経障害、子宮内膜症、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症‐線維筋炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン-バレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性及び/又は急性血小板減少性紫斑病、特発性肺線維症、IgAニューロパチー、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、ライム病、メニエール病、混合性結合組織病、重症筋無力症、ニューロミオトニア、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、視神経炎、オルド甲状腺炎(Ord's thyroiditis)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発軟骨炎、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発動脈炎、多内分泌腺症候群、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症(primary agammaglobulinemia)、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シューグレン症候群、スティッフ・パーソン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛、及びヴェーゲナー肉芽腫症、からなる群より選択される。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、令和1年11月1日に出願された米国仮出願第62/929,137号、令和1年11月1日に出願された米国仮出願第62/929,207号、令和1年11月1日に出願された米国仮出願第62/929,601号、令和1年11月1日に出願された米国仮出願第62/929,283号、令和1年11月1日に出願された米国仮出願第62/929,347号、令和1年11月26日に出願された米国仮出願第62/940,742号の優先権を主張する。2020年2月18日出願の米国特許仮出願第63/015,348号、2020年6月30日出願の米国特許仮出願第63/046,046号、米国特許仮出願番号。2020年6月30日に出願された63/046,164;および2020年9月29日に出願された米国仮出願第63/084,903号。前述の優先権出願の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【配列一覧】
【0002】
本出願はASCIIフォーマットで電子的に提出された配列リストを含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2020年10月29日に作成されたASCIIコピーは2020-10-29_M103034 1525WO_SL_ST25.txtと名づけられており、サイズは233Kバイトである。
【技術分野】
【0003】
抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、およびその抗体薬物コンジュゲートが本明細書に記載される。抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCがターゲット細胞(例えば、造血幹細胞、免疫代謝障害、または他の型がん)上でCD45を結合することができる、とりわけ、抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはその抗体薬物コンジュゲート(ADC)の投与による、血液疾患、細胞、細胞、および自己免疫疾患などの様々な病態に罹患している患者の治療も記載されている。
【背景技術】
【0004】
CD45, タンパク質チロシンホスファターゼ、レセプター型C(PTPRC)としても知られるものは、ヒトにおいてPTPRC遺伝子によってコードされる酵素である(Kaplanら、PNAS 87:7000-7004(1990))。CD45はタンパク質チロシンホスファターゼファミリーの一員であり、細胞増殖、分化、有糸分裂周期、発癌形質転換を含む様々な細胞過程を調節するシグナル伝達分子を含む。CD45は細胞外ドメイン、単一膜貫通セグメント、および2つのタンデム細胞質内触媒ドメインを含み、したがってレセプター型PTPファミリーに属する。CD45はI型膜貫通タンパク質であり、分化した造血細胞(赤血球および血漿細胞を除く)上の様々なイソフォームに存在する(ホームズ、免疫学117:145-55(2006))。CD45は、T-およびB-細胞抗原レセプターシグナル伝達の調節因子であることが示されている。これは、抗原レセプター錯体の構成要素との直接的な相互作用(共刺激の一形態)、または抗原レセプターシグナル伝達に必要な各種Srcファミリーキナーゼをその細胞質ドメインを介して活性化することによって機能する。CD45はJAKキナーゼも抑制し、したがってサイトカイン・レセプターシグナル伝達の負の調節因子として機能する。
【0005】
CD45は造血起源のHSC、白血球、および破骨細胞を含む造血細胞の表面に存在する(Shivtielら、J Exp Med 205:2381(2008))。ヒトにおけるCD45内の欠失変異は重度の免疫不全と関連している。これは主として、T細胞上にCD45が存在しないことによる。CD45は典型的には豊富に存在し、抗原反応の際にSFK活性を調節するのに必要である。CD45- 欠損(CD45-/-)マウス骨髄は正常な数の造血細胞を含むが、最も原始的なHSCは減少し、G-CSFに反応するそれらの動員は損なわれる。部分的には、この欠陥はHSCに固有のものである。CD45を介したSFK活性のダウンレギュレーションがなければ、インテグリンを介した接着は高くなり、HSCは幹細胞のニッチに留まる可能性が高くなる。CD45-/ HSCはまた、G-CSF刺激動員およびケモカインCXCL12/SDF-1へのホーミングが欠損しており、移植後の細胞生着に悪影響を及ぼす。これらの欠陥はSFK阻害薬の補足によって回復可能であり、この役割は通常CD45によって行われることを示している。同様に、CD45-/レシピエント(recipient)はまた、正常なHSCの欠損した生着およびその後の動員を示し、これは、幹細胞の間隙、ならびにHSCにおけるCD45の役割を示す(Shivtielら、J Exp Med 205:2381(2008))。
【0006】
医学技術の進歩にもかかわらず、特に特定の血中細胞, 代謝障害,がんの疾患、および自己免疫状態などの造血システムの病理を治療することが依然として求められている。造血幹細胞(HSC)には重大な治療可能性がある一方で、診療所での使用を妨げている限界は、宿主におけるHSC移植の生着確保に伴う難しさであった。特に、内因性HSC上の表層抗原をターゲット細胞する抗体を含む造血幹細胞治療は、外因性HSC移植の生着を妨げる望ましくない免疫刺激機能およびエフェクタ機能を誘発することができる。CD45は例えば、HSCおよび白血球上で発現されるので、コンディショニング療法、免疫再設定、および疾病療法を含む療法のための標的を提示する。
【発明の概要】
【0007】
細胞生物学におけるCD45の重要な役割を考えると、抗CD45抗体、およびそのフラグメントが必要とされる。抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、およびその抗体薬物コンジュゲート(ADC)が本明細書に記載される。抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、およびその抗体薬物コンジュゲート(ADC)は造血幹細胞(HSC)に結合し得、そして例えば、HSC移植のためのコンディショニング代理人として有効である。特に、本明細書中に記載される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、およびそのADCは例えば、ホストHSC、免疫細胞(例えば、白血球)、または疾患を引き起こす細胞を特異的に枯渇させるために使用され得る。さらに、本明細書中に記載される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、およびそのADCは白血病またはリンパ腫を有する患者を処置するために、または多発性硬化症および強皮症のような自己免疫疾患を有する患者を処置するために使用され得る。本明細書中に記載される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、およびADCはこれらの細胞の多効力および造血機能性が移植後に保存されるように、外因性造血幹細胞グラフトの生着を促進するための組成物および方法の必要性を満たす。
【0008】
第1の局面において、本発明は、(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;ならびに配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含むCDR2ドメインを含む軽鎖可変領域;(b)配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを含む重鎖可変領域、および配列番号13に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを含むCDR3ドメインを含む、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分を提供する。配列番号14に示されるアミノ酸配列;ならびに配列番号16に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号18に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含むCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域;(c)配列番号22に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号24に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;ならびに配列番号26に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを含む軽鎖可変領域;および配列番号27に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含むCDR3ドメイン: 28;(d)配列番号32に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号34に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域;ならびに配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号37に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号38に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域;(e)配列番号42に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号43に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号44に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域;ならびに以下を含む軽鎖可変領域配列番号46に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号48に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含むCDR2ドメイン;(f)配列番号52に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号53に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号54に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;ならびに配列番号56に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号57に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号58に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含むCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域;(g)示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変領域 配列番号62に示すアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、配列番号63に示すアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号64に示すアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変領域、配列番号66に示すアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、配列番号67に示すアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号68に示すアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;(h)配列番号72に示すアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号73に示すアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号74に示すアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;ならびに配列番号76に示すアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変領域を含むCDR2ドメイン 配列番号78に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン;(i)配列番号82に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号83に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号84に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含むCDR3ドメイン;ならびに配列番号86に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号87に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号88に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含むCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域;または(j)配列番号92に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号92に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを含む重鎖可変領域 配列番号93、および配列番号94に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン;ならびに配列番号96に示されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号97に示されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号98に示されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域。
【0009】
別の態様では、配列番号(SEQ ID NO):119に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):120に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号(SEQ ID NO):121に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域、ならびに配列番号(SEQ ID NO):122に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):123に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号(SEQ ID NO):124に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、単離された抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書に提供される。
【0010】
別の態様において、本発明は、(a)配列番号(SEQ ID NO):1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号(SEQ ID NO):5に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;(b)配列番号(SEQ ID NO):11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および抗体15に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部分を提供する; (c)配列番号:21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号:25に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、(d)配列番号:31に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号:35に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、(e)配列番号:41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号:45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、(f)配列番号:51に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号:55に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、(g)配列番号:61に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、軽鎖とを含む 配列番号:65に記載のアミノ酸配列を含む可変領域と、(h)配列番号:71に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号:75に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、(i)配列番号:81に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号:85に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、(j)配列番号:91に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号:95に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を有する。
【0011】
上記のいくつかの実施形態では局面において、単離された抗CD45抗体またはその抗原結合部分はFc領域を含む。ある特定の実施形態に、Fc領域は、ヒトIgG4 Fc領域のヒトIgG1 Fc領域である。
いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。
いくつかの実施形態では、抗体が定常領域を含む無傷の抗体である。
いくつかの実施形態では、抗体はIgGである。特定の実施形態では、IgGはIgG1またはIgG4である。
【0012】
前述の態様のいくつかの実施形態ではでは抗体が定常領域を含み、定常領域はL234A、L235A、D265C、H310A、およびH435A(欧州指数による番号付け)からなる群から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、定常領域がアミノ酸置換L234A、L235AおよびD265C(欧州指数による番号付け)を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では本発明の単離された抗CD45抗体が定常領域を含み、定常領域は(a)配列番号(SEQ ID NO):102、OH103、OI104、配列番号(SEQ ID NO):105または配列番号(SEQ ID NO):106に記載の重鎖アミノ酸配列;および(b)配列番号(SEQ ID NO):101に記載の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0014】
別の態様において、本発明は、(a)配列番号(SEQ ID NO):9に示される重鎖アミノ酸配列、および配列番号(SEQ ID NO):10に示される軽鎖アミノ酸配列;(b)配列番号(SEQ ID NO):19に示される重鎖アミノ酸配列、および配列番号(SEQ ID NO):20に示される軽鎖アミノ酸配列;(c)配列番号(SEQ ID NO):29に示される抗体アミノ酸配列、および配列番号(SEQ ID NO):30に示される軽鎖アミノ酸配列を含む、単離された抗CD45重鎖を提供する; (d)配列番号39に示す重鎖アミノ酸配列、および配列番号40に示す軽鎖アミノ酸配列;(e)配列番号49に示す重鎖アミノ酸配列、および配列番号50に示す軽鎖アミノ酸配列;(f)配列番号59に示す重鎖アミノ酸配列、および配列番号60に示す軽鎖アミノ酸配列;(g)配列番号69に示す重鎖アミノ酸配列、および配列番号70に示す軽鎖アミノ酸配列;(h)配列番号79に示す重鎖アミノ酸配列、および配列番号80に示す軽鎖アミノ酸配列;(i)配列番号89に示す重鎖アミノ酸配列、ならびに軽鎖 配列番号90に記載のアミノ酸配列;または(j)配列番号99に記載の重鎖アミノ酸配列、および配列番号100に記載の軽鎖アミノ酸配列。
【0015】
別の態様において、CD45フラグメント1(配列番号(SEQ ID NO):114)、CD45フラグメント2(OH115)、CD45フラグメント3(OJ116)、CD45抗体4(抗原結合部分117)、および/またはCD45エピトープ5(OE118)内に位置するフラグメントでヒトCD45に特異的に結合する、単離された抗CD45フラグメントまたはその配列番号(SEQ ID NO):を提供する。
【0016】
上記の局面のいくつかの実施形態では単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分は(a)CD45フラグメント2内に位置するヒトCD45のエピトープ、およびフラグメント4内に位置するヒトCD45のエピトープ;(b)CD45フラグメント1内に位置するヒトCD45のエピトープ、およびCD45フラグメント3内に位置するヒトCD45のエピトープ;または(c)CD45フラグメント5内に位置するヒトCD45のエピトープに特異的に結合する。
【0017】
いくつかの実施形態では単離された抗CD45抗体、またはその抗原結合部分は(a)ヒトCD45における405T、407K、419Y、425K、481R、505R、および509H(配列番号(SEQ ID NO):113に関して番号付けされる)からなる群より選択される1つ以上の残渣;または(b)ヒトCD45における486R、493Y、および502Tからなる群より選択される1つ以上の残渣(配列番号(SEQ ID NO):113に関して番号付けされる)に特異的に結合する。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明の単離された抗CD45抗体、または抗原結合部分はヒトCD45に特異的に結合し、カニクイザルCD45と交差反応する。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明の単離された抗CD45抗体、または抗原結合部分は-4(BL1)によって測定されるように、1x10-2~1x10-3、1x10-3~1x10バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)、1x10-4~1x10-5、1x10-5~1x10解離速度、1x10K OFF~1x10-7、または1x10-7~1x10-8の-6(-6)でヒトCD45に結合する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明の単離された抗CD45抗体、または抗原結合部分はバイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)によって決定されるように、約100 nM以下、約90 nM以下、約80 nM以下、約70 nM以下、約60 nM以下、約50 nM以下、約40 nM以下、約30 nM以下、約20 nM以下、約10 nM以下、約10 nM以下、または約0.1 nM以下のK DでヒトCD45に結合する。
【0021】
別の態様において、本明細書中に提供されるのは、本発明の抗体またはその抗原結合部分および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物である。
【0022】
別の態様において、本明細書中に提供されるのは、本発明の抗体またはその抗原結合部位を符号化する核酸配列を含む単離された核酸である。
【0023】
別の態様では、本発明の単離核酸を含むベクターが本明細書で提供される。
【0024】
別の態様において、本明細書中に提供されるのは、本発明の単離された核酸または本発明のベクターを含む宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【0025】
別の態様では、ヒト患者においてCD45+細胞の集団を枯渇させる際に使用するための、前述の態様のいずれかの抗体またはその抗原結合部分を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【0026】
別の態様において、本明細書中に提供されるのは、前述の局面のいずれかの抗体またはその抗原結合部分をヒト患者に投与することによって、ヒト患者におけるCD45+細胞の集団を枯渇させる方法である。いくつかの実施形態ではでは、CD45陽性細胞はCD3+、CD19+、CD33+、CD34+、またはCD45+/B2M+である。他の実施形態では、CD45+細胞は造血幹細胞(HSC)である。さらに他の実施形態では、CD45+細胞がHSC、T細胞、B細胞、および/または骨髄性細胞である。
【0027】
上記の態様のいくつかの実施形態ではでは、CD45+細胞が患者の骨髄および/または患者の末梢血から枯渇する。
【0028】
上記態様のいくつかの実施形態において、該患者は造血幹細胞移植を必要とする。上記の局面のいくつかの実施形態で、この方法は、造血幹細胞を含む移植片を該患者に投与する工程をさらに包含する。ある特定の実施形態に、移植は同種異系である。代替の実施形態では、移植片は自己由来である。
【0029】
別の態様において、本発明はリンカーを介して細胞毒素に結合された抗CD45抗体またはその抗原結合部分を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)を提供し、ここで、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、前述の局面のいずれかの抗体またはその抗原結合部分である。
【0030】
上記の態様のいくつかの実施形態において、抗体は、抗体の定常ドメインにおけるシステイン残基によって細胞毒素に結合される。ある特定の実施形態に、システイン残基は、抗体の定常領域におけるアミノ酸置換によって導入される。特定の実施形態では、アミノ酸置換がD265Cおよび/またはV205C(EU番号付け)である。
【0031】
上記いくつかの実施形態では側面において、薬物対抗体比は、1、2、3、4、5、6、7、8である。
【0032】
上記の局面のいくつかの実施形態では、細胞毒素がRNAポリメラーゼ阻害剤、DNA挿入代理人、DNAアルキル化剤、DNA架橋代理人、タンパク質合成を破壊する代理人、微小管動態を破壊する代理人、またはスピンドルを破壊する代理人である。
【0033】
上記局面のいくつかの実施形態ではとして、細胞毒素は、アマトキシン、アントラサイクリン、1アウリスタチン、1カリケアマイシン、1deブーガニン、ジフテリア毒素、デュオカルマイシン、1インドリノベンゾジアゼピン(IGN)、インドリノベンゾジアゼピン二量体, イリノテカン,メイタンシン、1シュードモナス外毒素A、1ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、ピロロベンゾジアゼピン二量体、サポリン、およびSN-38からなる群より選択される。ある特定の実施形態に、細胞毒素はRNAポリメラーゼ阻害剤である。ある特定の実施形態に、RNAポリメラーゼ阻害剤はアマトキシンである。
【0034】
いくつかの実施形態では、Abは抗体またはその抗原結合部分であり、Lはリンカーであり、Zは化学的な部分構造であり、AmはアマトキシンであるAb-Z-L-Amで表される。ある特定の実施形態に、Am-L-Zは、式(I)で表される。
[化1]
【0035】
ここで、R1は、H、OH、ORA、またはORCである;
R2はH、OH、ORB、またはORC;
RA およびRBは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
【0036】
R3はH、RC、またはRD;
R4、R5、R6, とR7はそれぞれ個別にH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R8はOH、NH2、ORC、ORD、NHRC、またはNRCRD;
R9はH、OH、ORC、またはORD;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -;
RCは-L-Z;
【0037】
R Dは、任意選択的に置換されたC 1 -C 6アーキテクル、任意選択的に置換されたC 1 -C 6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC 2-C 6アルケニル、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルケニール、任意選択的に置換されたC 2-C 6アルキニル、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルキニール、任意選択的に置換されたシクロアルキル, 任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル,任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
【0038】
Lは、任意選択的に置換されたC 1 -C 6アルキレン、任意選択的に置換されたC 1-C 6ヘテロアルキレン、任意選択的に置換されたC 2 -C 6アルケニレン、任意選択的に置換されたC 2-C 6ヘテロアルケニレン、任意選択的に置換されたC 2 -C 6アルキニレン、任意選択的に置換されたC 2-C 6ヘテロアルキニレン、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン体、ジペプチド-(C=O)-、ジスルフィド、ヒドラゾン、またはそれらの組合せである。
【0039】
Zは、L上に存在する反応性置換基と前記抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基とのカップリング反応から形成される化学的部分であり、
式中、Amは正確に1個のRC置換基を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、L-Zは
[化2]
又は、
[化3]
いくつかの実施形態では、ADCはのうちの1つによって表される。
ここで、Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 - である。
【0041】
いくつかの実施形態では、ADCは以下の公式を有する。
[化4]
ここで、Abは、抗CD45抗体のアタッチメント(attachment)点を表す。
【0042】
他の実施形態では、ADCが以下の式を有する。
[化5]
ここで、Abは、抗CD45抗体のアタッチメント(attachment)点を表す。
【0043】
代替の実施形態では、ADCが以下の式を有する。
[化6]
ここで、Abは、抗CD45抗体のアタッチメント(attachment)点を表す。
[化7]
他の実施形態では、ADCが以下の式を有する
ここで、Abは、抗CD45抗体のアタッチメント(attachment)点を表す。
【0044】
さらに他の実施形態では、ADCが以下の式を有する
[化8]
【0045】
ここで、Abは、抗CD45抗体のアタッチメント(attachment)点を表す。
【0046】
本明細書に開示されるADCのいくつかの実施形態では、細胞毒素はピロロベンゾジアゼピン(PBD)である。ある特定の実施形態に、細胞毒素はPBD二量体である。特定の実施形態では、PBD量体によって表される。
[化9]
ここで、波線は、AD変換器のリンカーへのアタッチメント(attachment)点を示す。
【0047】
本明細書に開示されるADCのいくつかの実施形態ではリンカーがペプチド、オリゴ糖、-(CH 2)p -、-(CH 2 CH 2 O)q-、-(C=O)(CH 2)r -、-(C=O)(CH 2 CH 2 O)t-、-(NHCH 2 CH 2)u -、-PAB、Val-Cit-PAB、Val-Ala-PAB、Val-Lys(Ac)-PAB、Phe-Lys-PAB、Phe-Lys(Ac)-PAB、D-Val-Leu-Lys、Gly-Gly-Arg、Ala-Ala-Asn-PAB、またはAla-PABのうちの1つ以上を含み、ここで、p、q、r、t、及びuの各々は、1~12の整数であり、各場合毎に、独立して選択される。
【0048】
ここに開示されるいくつかの実施形態では、本リンカーが以下の構成を有す。
[化10]
ここで、R1 はCH3(Ala)または(CH2)3NH(CO)NH2(Cit)である。
【0049】
本明細書に開示されるADCのいくつかの実施形態ではでは抗CD45抗体に結合する前であって、反応性置換基Z'を含むリンカーはL-Z'として一緒になって、以下の構造を有する。
[化11]
ある特定の実施形態では、R 1はCH 3 である。
【0050】
本明細書中に開示されるADCのいくつかの実施形態では、抗CD45抗体への結合の前であり、Cy-L-Z'として一緒に考えられる反応性置換基Z'を含む、細胞毒素-リンカー結合体はテシリンであり、以下の構造を有する。
[化12]
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるADCがその構造を有する。
[化13]
【0052】
ここで、Abは抗CD45抗体またはその抗原結合部分であり、Sは、抗CD45抗体またはその抗原結合部分中に存在するかまたは導入されるイオウ原子を表す。
【0053】
本明細書に開示されるADCのいくつかの実施形態では、細胞毒素はインドリノベンゾジアゼピン(IGN)である。ある特定の実施形態に、細胞毒素は、IGN二量体またはIGN疑似二量体(pseudodimer)である。
【0054】
いくつかの実施形態では、細胞毒素がで表されるIGN疑似二量体(pseudodimer)である。
[化14]
【0055】
ここで、波線は、ADCのリンカーに対する共有結合アタッチメント(attachment)の点を示す。
【0056】
いくつかの実施形態では、リンカーがジペプチド、ジスルフィド、C1~C12アルキル、C=O、またはそれらの組み合わせを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、リンカーを含む
[化15]
又は、
[化16]
【0058】
いくつかの実施形態では、細胞毒素リンカー結合体が抗CD45抗体またはその抗原結合部分に結合する前に、Cy-L-Z'として一緒になった反応性置換基Z'を含み、以下の構造を有する。
[化17]
【0059】
別の態様において、本発明は、本明細書において上記されたADC、および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
【0060】
別の態様において、本明細書中に提供されるのは、上記の抗CD45 ADCの有効量を患者に投与することによって、ヒト患者におけるCD45+細胞の集団を枯渇させる方法である。
【0061】
上記局面のいくつかの実施形態では、CD45+細胞がCD3+、CD19+、CD33+、CD34+、またはCD45+/B2M+である。ある特定の実施形態に、CD45+細胞は造血幹細胞(HSC)である。他の実施形態では、CD45+細胞がHSC、T細胞、B細胞、および/または骨髄性細胞である。
【0062】
上記の態様のいくつかの実施形態では、CD45+細胞が患者の骨髄および/または患者の末梢血から枯渇する。
【0063】
上記態様のいくつかの実施形態において、該患者は造血幹細胞移植を必要とする。
【0064】
上記の局面のいくつかの実施形態で、この方法は、造血幹細胞を含む移植片を該患者に投与する工程をさらに包含する。
【0065】
別の態様において、本発明は造血幹細胞を含む移植を患者が受ける前に、上記のADCを患者に投与することによって、造血幹細胞(HSC)移植を必要とするヒト患者においてCD45+細胞の集団を枯渇させる方法を提供する。
【0066】
別の態様において、本発明は(a)ヒト患者に、上記のADCを、患者におけるCD45+細胞の集団を枯渇させるのに充分な量で投与する工程;および(b)続いて、造血幹細胞を含む移植物を患者に投与する工程を包含する方法を提供する。
【0067】
いくつかの実施形態では、移植は同種異系である。他の実施形態では、移植片は自己由来である。
【0068】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞を含む移植片がADCの濃度が患者の血中から実質的に除去された後に患者に投与される。
【0069】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞またはその後代が造血組織に局在化することができ、および/または造血幹細胞の移植後に造血を再確立することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では患者に移植すると、造血幹細胞は巨核球, 血小板(thrombocytes),血小板(platelets)、赤血球、マスト細胞,骨髄芽球,好塩基球,好中球,好酸球,ミクログリア,顆粒球,単球,破骨細胞,抗原提示細胞,マクロファージ,樹状細胞,ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、およびB-リンパ球からなる群より選択される細胞の集団の回収を生じる。
【0071】
いくつかの実施形態では、血の病気、代謝障害、がん、自己免疫疾患、重度複合免疫不全症疾患(severe combined immunodeficiency disease)などがある。ある特定の実施形態では、がんがある。特定の実施形態では、がんは血液がんである。特定の実施では、血液がんは急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病、または多発性骨髄腫である。
【0072】
ある特定の実施形態に、自己免疫疾患がある。特定の実施形態では、自己免疫障害が多発性硬化症、1型糖尿病、または強皮症である。他の態様において、自己免疫障害は、多発性硬化症、ヒト全身性ループス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬を治療すること、急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、バロ病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、慢性疲労免疫不全症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、クローン病、瘢痕性類天疱瘡疱疹状皮膚炎、寒冷凝集素症、Degos病からなる群より選択される 円板状ループス、自律神経障害、本態性混合性クリオグロブリン血症、線維筋痛・線維筋炎、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性および/または急性血小板減少性紫斑病、IgA神経障害、間質性膀胱炎、若年性関節炎、扁平苔癬、メニエール病 混合性結合組織病、重症筋無力症、神経筋強直症、ニューロミオトニー症候群、視神経炎、オード甲状腺炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発性軟骨炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発動脈炎、リウマチ性多腺性動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症、レイター現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフパー症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛、ヴェゲナー肉芽腫症。
【0073】
さらに、本発明は、以下の実施形態も含む。
【0074】
ある実施形態に、配列番号(SEQ ID NO):2に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO):3に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):4に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号(SEQ ID NO):6に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含む重鎖、抗体7に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):8に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部位を提供する。
【0075】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0076】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO):5に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0077】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む
配列番号(SEQ ID NO):5に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0078】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0079】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0080】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号(SEQ ID NO):10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0081】
ある実施形態に、配列番号(SEQ ID NO):12に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO):13に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):14に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号(SEQ ID NO):16に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含む重鎖、抗体17に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):18に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部位を提供する。
【0082】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0083】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO):15に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0084】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
配列番号(SEQ ID NO):15に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0085】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):19に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0086】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):20に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0087】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):19に記載のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号(SEQ ID NO):20に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0088】
ある実施形態に、配列番号(SEQ ID NO):22に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO):23に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):24に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号(SEQ ID NO):26に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含む重鎖、抗体27に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):28に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部位を提供する。
【0089】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0090】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO):25に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0091】
ある特定の実施形態で、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む
配列番号(SEQ ID NO):25に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0092】
ある特定の実施形態で、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0093】
ある特定の実施形態で、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):30に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0094】
ある特定の実施形態で、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号(SEQ ID NO):30に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0095】
ある実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):32に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO):33に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):34に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号(SEQ ID NO):36に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含む重鎖、抗体37に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):38に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部位を提供する。
【0096】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):31に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0097】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO):35に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0098】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):31に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む
配列番号(SEQ ID NO):35に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0099】
ある特定の実施形態で、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):39に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0100】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):40に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0101】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):39に記載のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号(SEQ ID NO):40に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0102】
ある実施形態に、配列番号(SEQ ID NO):42に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO):43に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):44に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号(SEQ ID NO):46に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含む重鎖、抗体47に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):48に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部位を提供する。
【0103】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0104】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO):45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0105】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む
配列番号(SEQ ID NO):45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0106】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):49に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0107】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):50に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0108】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):49に記載のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号(SEQ ID NO):50に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0109】
ある実施形態に、配列番号(SEQ ID NO):52に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO):53に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):54に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号(SEQ ID NO):56に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含む重鎖、抗体57に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):58に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部位を提供する。
【0110】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):51に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0111】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO):55に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0112】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):51に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む
配列番号(SEQ ID NO):55に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0113】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):59に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0114】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):60に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0115】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):59に記載のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号(SEQ ID NO):60に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0116】
ある実施形態に、配列番号(SEQ ID NO):62に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO):63に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):64に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号(SEQ ID NO):66に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含む重鎖、抗体67に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):68に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部位を提供する。
【0117】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):61に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0118】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO):65に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0119】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):61に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
配列番号(SEQ ID NO):65に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0120】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):69に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0121】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):70に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0122】
ある特定の実施形態で、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):69に記載のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号(SEQ ID NO):70に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0123】
ある実施形態で、配列番号(SEQ ID NO):72に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO):73に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):74に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号(SEQ ID NO):76に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含む重鎖、抗体77に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):78に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部位を提供する。
【0124】
ある特定の実施形態で、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):71に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0125】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO):75に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0126】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):71に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む
配列番号(SEQ ID NO):75に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0127】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):79に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0128】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):80に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0129】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):79に記載のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号(SEQ ID NO):80に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0130】
ある実施形態に、配列番号(SEQ ID NO):82に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO):83に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):84に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号(SEQ ID NO):86に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含む重鎖、抗体87に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):88に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部位を提供する。
【0131】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):81に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0132】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO):85に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0133】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):81に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む
配列番号(SEQ ID NO):85に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0134】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):89に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0135】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):90に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0136】
ある特定の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):89に記載のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号(SEQ ID NO):90に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0137】
ある実施形態において、配列番号(SEQ ID NO):92に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号(SEQ ID NO):93に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):94に記載のアミノ酸配列を有するCDR3、および配列番号(SEQ ID NO):96に記載のアミノ酸配列を有するCDR1を含む可変領域を含む軽鎖を含む重鎖、抗体97に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、配列番号(SEQ ID NO):98に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む重鎖を含む、単離された抗CD45配列番号(SEQ ID NO):またはその抗原結合部位を提供する。
【0138】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):91に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0139】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が配列番号(SEQ ID NO):95に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0140】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):91に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む
配列番号(SEQ ID NO):95に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0141】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):99に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0142】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):100に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0143】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):99に記載のアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号(SEQ ID NO):100に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0144】
ある実施形態において、本明細書に記載の抗CD45抗体は無傷である。
【0145】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体フラグメントは、Fab、F(ab')2、およびscFvからなる群から選択される。
【0146】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分がヒト抗体またはその結合フラグメントである。
【0147】
他の実施形態では、抗CD45抗体またはその抗原結合部分が少なくとも1つのアミノ酸置換を含むFc領域を含み、H435またはI235/H310/H435(欧州番号付け)である。ある実施形態的に、本Fc領域はH435のアミノ酸置換がH435A(欧州番号)で構成される。他の実施形態では、Fc領域がI235A/H310A/H435A(欧州番号付け)として記載されるようなI235/H310/H435アミノ酸置換を含む。
【0148】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、IgG、例えばIgG1またはIgG4である。
【0149】
CD45抗体(または抗原結合フラグメント)を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)もまた本明細書に記載され、ここで、抗体(またはCD45結合フラグメント)は、リンカーを介して細胞毒素に結合される。
【0150】
ある実施形態において、抗CD45 ADCは、細胞毒素に結合した抗CD45抗体を含む
RNAポリメラーゼ阻害剤.ある実施形態に、RNAポリメラーゼ阻害剤はアマトキシンである。
【0151】
ある実施形態において、抗CD45 ADCは、式(IA)で表されるアマトキシンである細胞毒素を含む。
[化18]
ここで、R1は、H、OH、ORA、またはORCである;
R2はH、OH、ORB、またはORC;
RA およびRBは、それらが結合している酸素原子と一緒になって、随意に置換された5員ヘテロシクロルアルキル基を形成する;
R3はH、RC、またはRD;
R4、R5、R6, とR7はそれぞれ個別にH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R8はOH、NH2、ORC、ORD、NHRC、またはNRCRD;
R9はH、OH、ORC、またはORD;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -;
RCは-L-Z;
【0152】
R Dは、任意選択的に置換されたC 1 -C 6アーキテクル、任意選択的に置換されたC 1 -C 6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC 2-C 6アルケニル、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルケニール、任意選択的に置換されたC 2-C 6アルキニル、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルキニール、任意選択的に置換されたシクロアルキル, 任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル,任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
【0153】
Lは、任意選択的に置換されたC 1 -C 6アルキレン、任意選択的に置換されたC 2-C 6アルケニレン、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルケニレン、任意選択的に置換されたC 2-C 6アルキニレン、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルキニレン、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、または任意選択的に置換されたヘテロアリーレンである
【0154】
Zは、L上に存在する反応性置換基と前記抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基とのカップリング反応から形成される化学的部分であり、
式中、Amは正確に1個のRC置換基を含む。
【0155】
ある実施形態において、抗CD45 ADCは、以下の公式を有する。
[化19]
[化20]
, 又は、
[化21]
ここで、Abは、抗CD45抗体のアタッチメント(attachment)点を表す。
【0156】
ある実施形態において、抗CD45 ADCは、以下の公式を有する。
[化22]
またはここで、Abは抗CD45抗体のアタッチメント
[化23]
(attachment)点を表す。
【0157】
ある実施形態において、抗CD45 ADCはアマニチン、例えば、αアマニチン、βアマニチン、γアマニチン、εアマニチン、アマニン、アマニンアミド, アマヌリン,アマヌリン酸、およびプロアマヌリンである細胞毒素を含む。
【0158】
ある実施形態において、抗CD45 ADCはシュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、サポリン、メイタンシン、メイタンシノイド、アウリスタチン(例えば、MMAEまたはMMAF)、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン、およびインドリノベンゾジアゼピン二量体からなる群より選択される細胞毒素を含む。
【0159】
ある実施形態において、抗CD45 ADCは、ベンゾジアゼピン部分を含む細胞毒素を含む。いくつかの実施形態では、抗CD45 ADCがピロロベンゾジアゼピン(「PBD」)を含む。いくつかの実施形態では、抗CD45 ADCがインドリノベンゾジアゼピン(「IGN」)を含む。
【0160】
ある実施形態において、抗CD45 ADCは、本抗体のFcドメインにおけるシステイン残基によって毒素に結合された抗CD45抗体を含む。ある実施形態に、システイン残基は、抗体のFcドメインにおけるアミノ酸置換によって導入される。ある実施形態に、アミノ酸置換は、D265Cおよび/またはV205C(欧州番号付け)である。
【0161】
ある特定の実施形態において、抗CD45 ADCは、1、2、3、4、5、6、7、または8の薬物対抗体比を有する。
【0162】
また、本明細書に記載の抗CD45抗体またはADC、および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物も含まれる。
【0163】
本明細書中に記載される抗CD45抗体、フラグメント、およびADCはヒト患者における治療方法において使用され得、これには移植前のコンディショニング処理(同種異系または自己)が挙げられるが、これらに限定されない)。
【0164】
ある実施形態において、本明細書に開示されるのはヒト患者において造血幹細胞(HSC)の集団を枯渇させる方法であり、この方法は本明細書に記載される抗CD45抗体、フラグメント、またはADCの有効量を患者に投与することを含む。ある特定の実施形態に、本方法は、造血幹細胞を含む移植片を該患者に投与することをさらに含む。
【0165】
他の実施形態において、本明細書に開示される方法は造血幹細胞を含む移植片(同種または自己)をヒト患者に投与することを含み、患者は、患者における造血幹細胞の集団を枯渇させるのに充分な量で、本明細書に記載される抗CD45抗体、フラグメント、またはADCを以前に投与されている。ある特定の実施形態に、造血幹細胞はCD45+細胞である。
【0166】
さらに他の実施形態では、本明細書に記載される抗CD45抗体、フラグメント、またはADCが以下のために使用される
血液疾患、代謝障害、がん、自己免疫疾患、または重度複合免疫不全症疾患(severe combined immunodeficiency disease)を有するヒト患者を治療する。
【0167】
ある実施形態において、本明細書に記載の抗CD45抗体、フラグメント、またはADCは、ヒト患者の白血病を治療するためにヒト患者に投与される。
【0168】
他の実施形態において、本明細書に開示される方法は造血幹細胞を含む移植片をヒト患者に投与することを含み、患者は、患者における免疫細胞の集団を枯渇させるのに充分な量で、本明細書に記載される抗CD45抗体、フラグメント、またはADCを以前に投与されている。ある実施形態に、免疫細胞はCD137+、CD2+、またはCD5+細胞である。他の実施形態では、免疫細胞はT細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【
図1】
図1はインビトロ結合アッセイの成績を図示しており、ここでは、親和性成熟抗CD45抗体およびそれらに対応する親抗体(親1~4)の結合を、ヒトCD45またはカニクイザルCD45への結合について評価した。親1は、本明細書に記載のAb1に対応する。結合は、精製ヒトCD45またはカニクイザルCD45外部ドメインとインキュベートした、示された精製IgG(センサー関連)のバイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)によって測定した。
【
図2】
図2は、REH細胞、ヒトPBMC細胞、およびカニクイザル(「カニクイザル」)PBMC細胞に対する示された抗CD45抗体(Ab5およびAb7)の結合を評価するためのインビトロ細胞結合試験の成績を図示する。Ab5_D265C_LALA_H435AおよびA7_D265C_LA_H435A、Ab5およびAb7のFcバリアントを本研究で使用した。Fc修飾領域を有する非標的化アイソタイプIgG(D265C LA H435A)を対照として評価した。
【
図3】
図3は、抗CD45抗体Ab5を用いたCD45エピトープ地図作成検討の結果を示す。CD45上のAb5相互作用部位の概略図が示されており、Ab5-エピトープを取り囲むアミノ酸配列(配列番号(SEQ ID NO):115および配列番号(SEQ ID NO):117)が表記されている。接触残渣は405T、407K、419Y、425K、481R、505R、および509Hとして強調され、残渣番号は配列番号(SEQ ID NO):113によって表されるヒトCD45フラグメントを指す。
【
図4】
図4は、ヒトCD34+骨髄細胞においてAb5から構築された抗CD45抗体薬物コンジュゲート(ADC)のインターナリゼーションを評価するインビトロインターナリゼーションアッセイの成績を図示する。Ab5のFcバリアントであるAb5 D265C.LALA.H435Aをアマトキシン(アマトキシン1(AM1))に結合させて、Ab5-AM1 D265C.LALA.H435Aを形成した。抗CD45 ADCを、水溶性で、明るく、感光性で、pH反応性であるpHAb色素に結合させた。内在化すると、共役抗体は酸性エンドソーム/リソソームに移動することができ、ここでpHAb色素は563nmで発光し、フロー・サイトメトリーによって検出することができる。ヒト骨髄CD34+細胞を、飽和濃度のADCと共に氷上で2時間インキュベートし、0、2、24、48、または72時間インキュベートした。左のパネルは、経時的なpHAbのレベルをグラフで示す。フルオロフォア標識抗IgG分子を用いて、結合した表面hIgG1をフロー・サイトメトリーによって評価し、そこから、右パネルに示すように、表面IgGの割合を時間計算した。
【
図5】
図5Aおよび5Bは、Ab4およびAb5から構築された抗CD45 ADCがインビトロでCD45+細胞株(ジャーカット(急性T細胞白血病細胞系、ATCC番号TIB-152)、SKNO-1(急性骨髄性白血病細胞系JCRB1170)、およびREH-1(B細胞非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)細胞系、ATCC番号CRL-3004))を殺傷するのに効果的であることを示すインビトロ細胞系殺傷アッセイの結果をグラフで示している。Ab4 D265C.LALA.H435AおよびAb5 D265C.LALA.H435A、Ab4およびAb5のFcバリアントをアマトキシン(アマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2))に結合させて、Ab4-AM2 D265C.LA.H435A(「Ab4-AM2」)およびAb5-AM1 D265C.LA.H435A(「Ab5-AM1」)を形成した。
図5Aにおいて、SKNO1、Jurkat、REH(CD45+)、またはREH(CD45-/-)細胞株を、Ab5-AM1または制御、非標的化アイソタイプ適合ADC(「アイソタイプ-AM1」)の存在下で7日間培養し、細胞生存率を、抗体濃度(x軸)の機能としてのセルタイターGloによる発光(y軸)によって測定した。
図5Bにおいて、SKNO1、Jurkat、またはREH(CD45+)細胞株を、Ab4-AM2または制御、非標的化アイソタイプ適合ADC(「アイソタイプ-AM2」)の存在下で7日間培養し、細胞生存率を、抗体濃度(x軸)の機能としてのセルタイターGloによる発光(y軸)に基づいて測定した。
【
図6】
図6A~6Cは、Ab2、Ab4、またはAb5から構築された抗CD45 ADCがインビトロで初代ヒトまたはカニクイザル末梢血単核細胞(PBMC)またはヒト造血幹細胞(HSC)を死滅させるのに効果的であることを示すインビトロ初代細胞死滅アッセイの成績をグラフで示す。Ab2 D265C.LALA.H435A,Ab4 D265C.LALA.H435A,Ab5 D265C.LALA.H435A,Ab2、Ab4、およびAb5のFcバリアントをアマトキシン(アマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2))に結合させて、Ab2-AM2 D265C.LA.H435A(「Ab2-AM2」)、Ab4-AM2 D265C.LA.H435A(「Ab4-AM2」)、およびAb5-AM1 D265C.LA.H435A(「Ab5-AM1」)を形成した。
図6Aにおいて、ヒトPBMCを、CD45-AM結合体(Ab5-AM1)または制御の非標的化アイソタイプ適合ADC(「アイソタイプ-AM1」)の存在下で7日間培養し、細胞生存率(y軸)を、抗体濃度(x軸)の機能としてセルタイターGloによって測定した。
図76Bおよび
図6Cでは、初代ヒトCD34
+骨髄細胞を、抗CD45-ADC(
図6BではAb5-AM1;
図6CではAb2-AM2またはAb4-AM2)またはアイソタイプ-AMで5日間培養し、生存CD34+CD90+ HSC数(y軸)を、抗体濃度(x軸)の機能としてフロー・サイトメトリーによって決定した。
【
図7】
図7は、Ab2から構築された抗CD45 ADCがインビトロで非刺激(非分裂)および刺激(分裂)末梢血単核細胞(PBMC)を殺傷するのに効果的であることを示すインビトロ初代細胞殺傷アッセイの成績を図示する。Ab2のFcバリアントであるAb2 D265C.LALA.H435Aをアマトキシン2(AM2)に結合させて、Ab2‐AM2 D265C.LALA.H435A(「Ab2‐AM2」)を形成した。刺激PBMCおよび非刺激PBMCを、CD45-AM結合体(Ab2-AM2)または制御の非標的化アイソタイプ適合ADC(「アイソタイプ-AM2」)の存在下で4日間培養し、細胞生存率(y軸)を、抗体濃度(x軸)の機能としてセルタイターGloによって測定した。
【
図8】
図8は、Ab6から構築された抗CD45 ADCがインビトロでマクロファージを死滅させるのに効果的であったことを示すインビトロ死滅アッセイの成績を図示する。Ab6のFcバリアントであるAb6 D265C.LALA.H435Aをアマトキシン1(AM1)に結合させて、Ab6-AM1 D265C.LALA.H435A(「Ab6-AM1」)を形成した。マクロファージを、CD45-AM結合体(Ab6-AM1)または制御の非標的化アイソタイプ適合ADC(「アイソタイプ-AM1」)の存在下で6日間培養し、細胞生存率を、抗体濃度(x軸)の機能としてのセルタイターGloによって発光(RLU; y軸)で測定した。
【
図9】
図9は、ヒト血清(上図)またはカニクイザル(「カニクイザルなし」)血清(下図)中のAb5から構築されたパネルCD45 ADCの安定性を評価する血清安定性アッセイの結果を図示する。Ab5のFcバリアントであるAb5 D265C.LALA.H435Aをアマトキシン1(AM1)に結合させて、Ab5-AM1 D265C.LALA.H435A(「Ab5-AM1」)を形成した。このADCが血清中で安定であるかどうかを決定するために、ADCをヒトまたはカニクイザル(カニクイザルなし)血清中で37℃で0または72時間プレインキュベートし、その後ADCをREH細胞の細胞死滅について評価した。REH細胞の細胞生存率(y軸)を、血清処理ADC濃度(x軸)の機能としての細胞力価Gloによって評価した。
【
図10】
図10A~10Eは、Ab2、Ab3、Ab5、およびAb7から構築された短い半減期の抗CD45 ADCがヒト化NSGマウスにおいてヒトHSCおよび免疫細胞を選択的に枯渇させることを示すインビボ細胞枯渇アッセイの成績をグラフで示す。Ab2 D265C.LALA.H435A,Ab3 D265C.LALA.H435A,Ab5 D265C.LA.LA.H435A、およびAb7 LA.LA.H435A(Ab2、Ab3、Ab5、およびAb7のFcバリアント)をアマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2)に結合させて、Ab2 D265C.LA.H435A-AM2(「Ab2-AM2」)、Ab3 D265C.LA.H435A-AM2(「Ab3-AM2」)、Ab5 D265C.LA.H435A-AM1(「Ab5-AM1」)、およびAb7 D265C.LA.LA.H435A-AM1(「Ab7-AM1」)を形成した。PBS処理マウスを対照として評価した。
図10Aは、抗CD45-ADC(Ab2-AM2、Ab3-AM2、AbA-AM2)の投与14日後のマウスにおける、ベースラインに対するヒトCD3+ T-細胞、CD19+ B-細胞およびCD33+骨髄性細胞の割合を示す。
図10Bは、抗CD45-ADC(Ab2-AM2またはAb3-AM2)の投与後0、7、および14日間の末梢血におけるヒトCD45+細胞の割合を示す。
図10Cは、抗CD45-ADC(Ab2-AM2またはAb3-AM2)の投与後14日間マウスのヒト化NSGの骨髄におけるヒトCD45細胞(左図)およびヒトHSC(右図)の絶対数を示す。
図10Dは、抗CD45 ADC(Ab2-AM2およびAb3-AM2)の投与後14日間マウスのヒト化NSGの骨髄におけるHSC(CD34+細胞、CD34+ CD38-、およびCD34+ CD117+細胞)の割合および絶対数を図示する。
図10Eは、抗CD45-ADC(Ab5-AM1またはAb7-AM1)の投与後14日間マウスのヒト化NSGの末梢血におけるヒトCD45細胞の割合(ベースラインに対する)、骨髄におけるヒトCD45細胞の絶対数、および骨髄におけるHSCの絶対数(CD34+ CD38細胞)を図示する。
【
図11】
図11Aおよび11Bは、Ab4、Ab5、およびAb7から構築された短い半減期の抗CD45-OOBADCがインビボで非ヒト霊長類HSCおよび免疫細胞を効果的に枯渇させることを示すインビボ細胞枯渇アッセイの成績をグラフで示す。Ab4 D265C.LALA.H435A,Ab5 D265C.LA.LA.H435A、およびAb7 D265C.LA.H435A(Ab4、Ab5、およびAb7のFcバリアント)をアマトキシン1(AM1)に結合させて、Ab4 D265C.LA.H435A-AM2(「Ab4-AM1」)、Ab5 D265C.LA.H435A-AM1(「Ab5-AM1」)、およびAb7 D265C.LA.H435A-AM1(「Ab7-AM1」)を形成した。
図11Aは、抗CD45 ADC(0.5mg/kgまたは2mg/kgでのAb5-AM1またはAb7-AM1)の投与後72時間でのカニクイザルの末梢血におけるリンパ系細胞の絶対数を図示する。
図11Bは、抗CD45 ADC(1mg/kgのAb4-AM1または0.5または2mg/kgのAb5-AM1)の投与後7日目のカニクイザルの骨髄における白血球細胞、HSC、およびリンパ球の濃度をグラフで示す。
【
図12】
図12は、Ab4から構築された短い半減期の抗CD45 ADCのカニクイザルにおける薬物動態解析の成績をグラフで示している。Ab4のFcバリアントであるAb4 D265C.LA.H435Aをアマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2)に結合させて、Ab4 D265C.LA.H435A-AM1(「Ab4-AM1」)およびAb4 D265C.LA.H435A-AM2(「Ab4-AM2」)を形成した。各ADCの平均血漿薬物濃度(y軸)を経時的にモニターした(x軸)。
【
図13】
図13は、実施例15の親クローンA、B、およびCに由来するヒト化クローンの、膜および細胞質ゾルタンパク質への結合を評価する多混合物試薬(PSR)アッセイの結果をグラフで示す。
【
図14】
図14は、ヒトPBMC細胞およびカニクイザル(「カニクイザル」)PBMC細胞に対する抗CD45抗体AbA、AbB、およびAbC(実施例15で同定)の結合を評価するためのインビトロ細胞結合アッセイの成績を図示する。
【
図15】
図15は、実施例15で同定された抗CD45抗体AbAを用いたCD45エピトープ地図作成検討の結果を示す。CD45上のAbA相互作用部位の概略図が示されており、AbAエピトープを取り囲むアミノ酸配列(配列番号(SEQ ID NO):117)が表記されている。コンタクト残渣は486R、493Y、および502Tとして強調され、残渣番号は配列番号(SEQ ID NO):113によって表されるヒトCD45フラグメントを指す。
【
図16】
図16は、ヒトCD34+骨髄細胞におけるAbAから構築された抗CD45抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の内在化を評価するインビトロ内在化アッセイの結果をグラフで示す。AbA_D265C_LA_LA_H435A、AbAのFcバリアントをアマトキシン(アマトキシン1)に結合し、抗CD45 ADCであるAbA_D265C_LA_H435A-AM1を作成した。抗CD45 ADCを、水溶性で、明るく、感光性で、pH反応性であるpHAb色素に結合させた。内在化すると、共役抗体は酸性エンドソーム/リソソームに移動することができ、ここでpHAb色素は563nmで発光し、フロー・サイトメトリーによって検出することができる。ヒト骨髄CD34+細胞を、飽和濃度のADCと共に氷上で2時間インキュベートし、0、2、24、48、または72時間インキュベートした。左のパネルは、経時的なpHAbのレベルをグラフで示す。フルオロフォア標識抗IgG分子を用いて、結合した表面hIgG1をフロー・サイトメトリーによって評価し、そこから、右パネルに示すように、表面IgGの割合を時間計算した。
【
図17】
図17Aおよび17Bは、AbAから構築された抗CD45 ADCがインビトロで初代ヒトまたはカニクイザル末梢血単核細胞(PBMC)を殺傷するのに効果的であることを示すインビトロ初代細胞殺傷アッセイの成績を図示する。AbA_D265C_LALA_H435A、AbAのFcバリアントを2つのアマトキシンのうちの1つ、すなわちアマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2)に共役させて、AbA_D265C_LALA_H435A-AM1またはAbA_D265C_LALA_H435A-AM2を形成した。ヒトPBMCを、示されたCD45-AM結合体(AbA_D265C_LA-H435A-AM1(
図17A)またはAbA_D265C_LA-H435A-AM2(
図17B))または制御の非標的化アイソタイプ適合ADC(「アイソタイプ-AM1」または「アイソタイプ-AM2」)の存在下で7日間培養し、細胞生存率(y軸)を、抗体濃度(x軸)の機能としてセルタイターGloによって測定した。
【
図18】
図18は、AbAから構築された抗CD45 ADCがインビトロでヒト造血幹細胞(HSC)を殺傷するのに効果的であることを示すインビトロ初代細胞殺傷アッセイの成績を図示する。AbA、AbA_D265C_LALA_H435A、およびAbA_D265C_LALA_IHHのFcバリアントをアマトキシン1(AM1)、アマトキシン2(AM2)、またはPBDに接合して、AbA_D265C_LALA_H435A-AM1、AbA_D265C_LALA_H435A-AM2、またはAbA_D265C_LALA_IHH-PBDを形成した。示されたADC(AbA_D265C_LALA_H435A-AM1、およびAbA_D265C_LALA_IHH-PBD)またはアイソタイプ制御の存在下で、一次ヒトCD34
+骨細胞を5日間培養した。生きているCD34+CD90+ HSCカウント(y軸)を、抗体濃度(x軸)に応じてフロー・サイトメトリーによって決定した。
【
図19】
図19は、AbAから構築された抗CD45 ADCがインビトロでマクロファージを死滅させるのに効果的であったことを示すインビトロ死滅アッセイの成績を図示する。AbA_D265C_LALA_H435A、AbAのFcバリアントをアマトキシン1(AM1)に共役させ、AbA_D265C_LALA_H435A-AM1、CD45 ADCを形成した。マクロファージを、ADC(AbA_D265C_LA_H435A-AM1)または制御の非標的化アイソタイプ適合ADC(「isotype-AM1」)の存在下で6日間培養し、細胞生存率を、抗体濃度(x軸)の機能として、セルタイターGloによって発光(RLU; y軸)で測定した。
【
図20】
図20は、末梢血中のヒト細胞の枯渇を評価した、抗CD45抗体薬物コンジュゲート(AbA-PBD)で処理したヒト化NSGマウスにおけるインビボ枯渇アッセイの結果をグラフで示す。hNSGマウスに、媒体(PBS)、アイソタイプ対照-PBD(「Iso-PBD」)、またはCD45-PBD(AbA-PBD)のいずれかの示された単回用量を投与した。示された時点で末梢血を収集し、総ヒト造血細胞含有量(hβ
2 M
+)、骨髄性細胞含有量(CD33
+)、B細胞含有量(CD19
+)、およびT細胞含有量(CD3
+)について評価した。この結果は、ベースラインに標準化した枯渇率として示されている。
【
図21】
図21は、抗CD45-ADC(AbA-PBD)で処理されたヒト化NSGマウスにおけるインビボ枯渇アッセイの結果を図示する。ここでは骨髄におけるヒト細胞の枯渇を評価した。hNSGマウスには、媒体(PBS)、アイソタイプ-PBD、またはCD45-PBD(AbA-PBD)のいずれかの示された単回用量を投与した。骨髄サンプルを処置後14日目に収集し、ヒト前駆体細胞/HSC含量について評価した。結果は、ヒト細胞および絶対数/大腿骨の割合として示す。
【
図22】
図22は、ヒトCD45+細胞、二重正(DP)胸腺細胞、成熟CD4
+単一正(SP)胸腺細胞、または成熟CD8
+単一正(SP)胸腺細胞の枯渇を処置後14日目に評価した、抗CD45-ADC(AbA-PBD)で処置したヒト化NSGマウスにおけるインビボ枯渇試験の結果をグラフで示す。hNSGマウスには、媒体(PBS)、アイソタイプ-PBD、またはCD45-PBD(AbA-PBD)のいずれかの示された単回用量を投与した。
【
図23】
図23は、末梢血におけるヒト細胞の枯渇を評価した、抗CD45抗体薬物コンジュゲート(AbA-IGN)で処理したヒト化NSGマウスにおけるインビボ枯渇アッセイの結果をグラフで示す。hNSGマウスに、媒体(PBS)、アイソタイプ対照-IGN(「Iso-IGN」)、またはCD45-IGN(AbA-IGN)のいずれかの示された単回用量を投与した。示された時点で末梢血を収集し、合計ヒト造血細胞含有量(hβ
2 M
+)、骨髄性細胞含有量(CD33
+)、B細胞含有量(CD19
+)、およびT細胞含有量(CD3
+)について評価した。この結果は、ベースラインに標準化した枯渇率として示されている。
【
図24】
図24はCD45-IGNで処理されたヒト化NSGマウスにおけるインビボ枯渇アッセイの結果を図示し、このアッセイでは、骨髄におけるヒト細胞の枯渇が評価された。hNSGマウスには、媒体(PBS)、アイソタイプ-IGN、またはCD45-IGNのいずれかの示された単回用量を投与した。骨髄サンプルを処置後14日目に収集し、ヒト前駆体細胞/HSC含量について評価した。結果は、ヒト細胞および絶対数/大腿骨の割合として示す。
【
図25】
図25は、ヒトCD45+細胞、二重正(DP)胸腺細胞、成熟CD4
+単一正(SP)胸腺細胞、または成熟CD8
+単一正(SP)胸腺細胞の枯渇を評価した、AbA-IGNで処理したヒト化NSGマウスにおけるインビボ枯渇試験の結果をグラフで示す。hNSGマウスには、媒体(PBS)、アイソタイプ-IGN、またはAbA-IGNのいずれかの示された単回用量を投与した。
【
図26】
図26は、インビボで効果的に枯渇した非ヒト霊長類HSCおよび免疫細胞から構築された抗CD45-アマトキシンADCを示すインビボ細胞枯渇アッセイの成績を図示する。AbA_D265C_LALA_H435A、AbAのFcバリアント(半減期を低下させるために、Fc領域中の修正)をアマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2)に共役させて、AbA_D265C_LALA_H435A-AM1(「CD45 ADC-AM1」)またはAbA_D265C_LALA_H435A-AM2(「CD45 ADC-AM2」)を形成した。カニクイザルの骨髄中の白血球細胞、HSC、および免疫細胞(B-細胞、T-、および骨髄細胞)の濃度を、指示されたADCの1mg/kg単回注射の指示された期間(Day 6、Day 14、Day 20、およびDay 28)後に測定した。
【
図27】
図27は、AbAから構築された抗CD45 ADCのカニクイザルにおける薬物動態解析の結果をグラフで示す。AbA_D265C_LA_H435A、AbAのFcバリアント(半減期を減少するためにFc領域の修飾を導入した)を、アマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2)に結合させて、AbA_D265C_LA_H435A-AM1(「CD45 ADC-AM1」)またはAbA_D265C_LA_H435A-AM2(「CD45 ADC-AM2」)を形成した。各ADCの平均血漿薬物濃度(y軸)を経時的にモニターした(x軸)。
【
図28】
図28はAbA-AM ADCの単回用量が患者由来腫瘍に対して細胞減少性であり、未処理および難治性疾患を模倣するために、モデルのパネルにわたって標準治療を超えて生存を延長することを示すインビボマウス検討の結果をグラフで示す。AMLの患者由来異種移植片(PDX)モデル[AML #1(治療歴のない患者に由来)、AML #2(多くの前治療歴のある、同種HSCT後の再発難治性患者に由来)]、及びT-ALL(DHAP化学療法後に進行する患者に由来)を、不死化細胞株(REH-Luc)の細胞株由来ALLモデルとともに、免疫不全マウス(NSG-SGM3、又はNSG)に全身接種した。治療はPDXの末梢腫瘍負荷(n=3~5/群)が始まり、CDXマウスはREH‐lucモデル(n=10/群)に対する移植後末梢血または5日目に2~16%の芽球に達した。抗CD45-ADC(1、3、6、または10mg/kg)の単回用量を、媒体(PBS)またはイソタイプ-AM(6、または10mg/kg)と比較し、Ara-c(30mg/kg QDx5、静注)、デキサメタゾン(5mg/kg Q3Dx9、腹腔内)、またはドキソルビシン(3mg/kg QWx3、静注)の臨床的に検証された標準治療レジメンと同等であった。試験期間中の腫瘍量を示す。
【
図29】
図29A~29Cは、短い半減期のCD45-ADC(AbA-AM)がREH-ルシフェラーゼALL異種移植片モデルにおける生存期間中央値を増加させることを示すin vivoマウス検討の結果をグラフで示す。
図29Aは、示された処置群におけるマウスについて、移植後の日数に応じた生存率をグラフで示す。
図29Bは、示された処置群における研究の時間経過にわたるREH-ルシフェラーゼにおける放射輝度のレベル(平均± SEM)をグラフで示す。
図29Cは、全ての処置群について、移植後22~23日目に捕捉された代表的な生物発光シグナル擬似着色画像である。
【
図30】
図30Aおよび30Bは、短い半減期のCD45-ADC(AbA-AM)がT-ALL PDXモデルにおいて腫瘍増殖遅延を生じる周白血病細胞を低下させることを示すインビボマウス検討の結果をグラフで示す。
図30Aは、示された処置群におけるマウスについて、移植後の日数に応じた生存率をグラフで示す。
図30Bは、示された治療群の各々におけるマウスのための移植後日数の関数としての末梢血中の腫瘍負荷%(hCD45+)をグラフで示す。
【
図31】
図31A-31Dは、2例の患者由来AMLモデルにおいて、短半減期CD45-DC(AbA-AM)が効果的にヒト白血病細胞を枯渇させることを示すインビボマウス検討の結果をグラフで示す。図。31Aおよび31Bは、示された処置群におけるPDXモデルAML #1マウス(
図31A)またはPDXモデルAML #2マウス(
図31B)について、移植後の日数に応じた生存率をグラフで示す。
図31Aおよび31Bの各々の拡大図は、罹患マウス由来の脾細胞上のCD117およびCD45細胞表層発現を評価するための各々のAML PDXモデルのフロー・サイトメトリー解析を描いている。図。31Cおよび31Dは、各示された治療群におけるPDXモデルAML #1マウス(
図31C)およびPDXモデルAML #2マウス(
図31D)の移植後日数の関数として、末梢血における腫瘍負荷率(hCD45+)をグラフで示す。
【
図32】
図32は、抗CD45抗体Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、およびAb7の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の多重配列アラインメントを示す。それぞれの可変領域のCDRは、太字で示されている。
【0170】
例えば、それらがヒトCD45と非ヒト霊長類CD45との間で交差反応するために有益で新規な抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、およびそれらの結合体(例えば、抗体薬物コンジュゲート;ADC)が本明細書中に開示される。さらに、本明細書中に記載される抗CD45抗体およびそのフラグメントは、治療薬剤として使用され得る。例えば、抗CD45抗体、そのフラグメント、および抗CD45 ADCはCD45+細胞の枯渇が有益である状態を有する患者(限定するわけではないが、白血病およびリンパ腫、ならびに多発性硬化症および強皮症のような自己免疫疾患を有する患者を含む)を治療するために使用することができる。また、抗造血細胞抗体(抗CD45抗体)含有ヘレインクリは造血幹細胞治療に役立つ。例えば、本明細書中の抗体またはADCは、造血幹細胞を含む移植片の受容のために調製されるコンディショニング手順において有効である。このような手続は造血幹細胞移植の生着を促進する。本明細書中に記載される方法によれば、患者はCD45(例えば、造血細胞(例えば、造血幹細胞または成熟免疫細胞(例えば、T細胞))によって発現されるCD45)を結合し得る抗CD45 ADC、抗体またはその抗原結合フラグメントの患者への投与によって、造血幹細胞移植療法のために状態調節され得る。本明細書中に記載されるように、抗CD45抗体は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を形成するように細胞毒素に共有結合され得る。造血幹細胞移植療法を必要とする患児にCD45と結合可能なADCを投与すると、例えば、内因性の造血幹細胞を選択的に枯渇させることによって、造血幹細胞移植片の生着を促進することができ、それによって、外因性造血幹細胞移植によって満たされた空洞を作り出す。
【0171】
以下のセクションは独特の特性(例えば、ヒトおよび非ヒト霊長類CD45の両方との交差反応性)を有する新規な抗CD45抗体およびそのフラグメントを提供する。以下のセクションはまた、造血幹細胞移植片の生着を促進するために、患者(例えば、造血幹細胞移植の前に)にこのような治療薬を投与する方法と同様に、がんまたは自己免疫疾患を患う患者、または造血幹細胞移植療法を必要とする患者などの患者に投与され得る、抗CD45抗体またはその結合体の明細書を提供する。
【0172】
定義
本明細書中で使用される場合、用語「約」は、記載される値より5%高いかまたは低い値をいう。例えば、「約100 nM」という用語は、95~105nMの範囲を示す。
【0173】
本明細書で使用されるように、移植の文脈において、「同種異系」という語はドナー(donor)からレシピエント(recipient)に移植される移植(例えば、細胞、組織または臓器移植)を定義するために使用され、ここで、レシピエント(recipient)は、ドナー(donor)と比較して、同じ種の異なった個体である。
【0174】
本明細書で使用される「自家」という語は、移植の文脈において、ドナー(donor)およびレシピエント(recipient)が同じ個体、すなわち同じ対象である移植を指す。
【0175】
本明細書で使用される「異種」という語は、移植の文脈において、ドナー(donor)およびレシピエント(recipient)が様々な種のものである移植を指す。
【0176】
本明細書中で使用される場合、「免疫細胞」という語は造血起源であり、そして免疫反応において役割を果たす細胞を含むことが意図されるが、これに限定されない。免疫細胞にはT細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれるが、これらに限定されない。ナチュラル・キラー細胞は、当技術分野で周知である。ある実施形態に、ナチュラル・キラー細胞は、NK-92細胞などの細胞系を含む。NK細胞系のさらなる例としては、NKG、YT、NK-YS、HANK-1、YTS細胞、およびNKL細胞が挙げられる。免疫細胞には、同種または自己がある。
【0177】
本明細書中で使用される場合、「抗体」という語は、特定の抗原に特異的に結合するか、または特定の抗原と免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子をいう。抗体はそれらが所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、マルチスペシフィック抗体(multispecific antibody)(例えば、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody))、および抗体フラグメントを含むが、これらに限定されない。
【0178】
一般に、抗体は、抗原結合領域を含む重鎖および軽鎖を含む。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3からなる。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略す)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VHおよびVL領域は相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分することができ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が点在する。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRから構成され、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシル末端に配列される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。本抗体の定常領域は免疫システム(例えば、エフェクター細胞)の種々の細胞および古典的補体システムの第1の構成要素(CIq)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
【0179】
本明細書で使用される抗体の「抗原結合フラグメント」または「抗原結合部分」という語は、標的抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の部分を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントによって行うことができる。抗体フラグメントは例えば、Fab、F(ab')2、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、アフィボディ、ナノボディ、アプタマー、またはドメイン抗体であり得る。抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に包含される結合フラグメントの例には(i)Fabフラグメント、VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価フラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含むF(ab')2価フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームからなるFvフラグメント;(v)VHおよびVLドメインを含むdAbフラグメント;(vi)VHドメインからなるdAbフラグメント(例えば、被後見人ら、Nature 341:544~546を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。(vii)VHまたはVLドメインからなるdAb;(viii)単離された相補性決定領域(CDR);および(ix)2つ以上の組み合わせ(例えば、2つ、3つ)。4つ、5つ、または6つの単離されたCDRは合成リンカーによって任意に連結されてもよい。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされるが、それらは組換え方法を使用して、VLおよびVH領域が一対になって一価分子(単鎖Fv(scFv)として公知である;例えば、鳥ら、Science 242:423-426、1988およびHustonら、Procを参照のこと)を形成する単一のタンパク質鎖として作製されることを可能にするリンカーによって、連結され得る。Natl.Acad.Sci.米国85:5879-5883, 1988).これらの抗体フラグメントは当業者に公知の従来の技術を使用して得ることができ、フラグメントは、無傷の抗体と同じ様式で有用性についてスクリーニングすることができる。抗原結合フラグメントは組換えDNA技術、完全な免疫グロブリンの酵素的または化学的切断によって、またはある場合には当該分野で公知の化学的ペプチド合成手順によって産生され得る。
【0180】
本明細書で使用される「完全である」または「全長」抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続された2つの重(H)鎖ポリペプチドおよび2つの光(L)鎖ポリペプチドを有する抗体を指す。ある特定の実施形態に、毒素は、本明細書に記載の重鎖および/または軽鎖アミノ酸配列を有する無傷の抗CD45抗体に結合させることができる。
【0181】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という語は任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体を、当技術分野で利用可能なまたは公知の任意の方法によって指し、ハイブリドーマテクノロジーによって産生される抗体に限定されない。本発明で有効なモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組合せの使用を含む、当技術分野で公知の多種多様な技術を使用して調製することができる。
【0182】
本明細書で使用される「Fc領域」、「Fcドメイン」、および「IgG Fcドメイン」という用語は、IgG分子のパパイン消化によって得られる結晶性フラグメントに相関する免疫グロブリン、例えばIgG分子の一部を指す。Fc領域は、ジスルフィド結合によって連結されたIgG分子の2つの重鎖のC末端半分を含む。それは抗原結合活性を有さないが、補体およびFcレセプター(FcRnレセプターを含む)のための糖類(carbohydrates)部分および結合位置を含む(以下を参照のこと)。例えば、Fcドメインは、第2の定常ドメインCH2全体(IgG1のEU位置231~340の残渣)および第3の定常ドメインCH3(ヒトIgG1のEU位置341~447の残渣)を含む。本明細書中で使用される場合、このFcドメインは、「下部ヒンジ領域」(IgG1のEU位置233~239の残基)を含む。
【0183】
Fcは、単離されたこの領域、または抗体、抗体フラグメント、もしくはFcの融合タンパク質の文脈におけるこの領域を指すことができる。多型はEU位置270、272、312、315、356、および358を含むがこれらに限定されない、Fcドメイン中の多くの位置で観察されており、したがって、本出願で提示される配列と当技術分野で公知の配列との間に若干の差異が存在数。従って、「野生型IgG Fcドメイン」または「WT IgG Fcドメイン」は任意の天然に存在するIgG Fc領域(すなわち、任意の対立遺伝子)をいう。ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の重鎖の配列はいくつかの配列データベース、例えば、登録数P01857(IGHG1_human)、P01859(IGHG2_human)、P01860(IGHG3_human)およびP01861(IGHG1_human)でそれぞれUniprotデータベース(www.uniprot.org)に見出すことができる。
【0184】
本明細書で使用される「修飾Fc領域」または「バリアントFc領域」という用語は、Fcドメイン内の任意の位置に導入された1つ以上のアミノ酸置換、欠失、挿入または修飾を含むIgG Fcドメインを指す。特定の局面において、バリアントIgG Fcドメインは、1つ以上のアミノ酸置換を含まない野生型Fcドメインと比較して、FcガンマRおよび/またはC1qに対する結合親和性の減少または除去を生じる1つ以上のアミノ酸置換を含む。さらに、Fc結合相互作用は抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)および補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity)(CDC)を含むが、これらに限定されない、様々なエフェクター機能および下流シグナル伝達事象に必須である。従って、特定の局面において、バリアントFcドメイン(例えば、抗体、融合タンパク質、または共役)を含む抗体は他の点では同じアミノ酸配列を有するが、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、挿入、または改変(例えば、Fc領域中の対応する位置に天然に存在するアミノ酸残基を含む非改変Fc領域)を含まない対応する抗体と比較して、少なくとも1つ以上のFcリガンド(例えば、FcガンマR)に対して改変された結合親和性を示し得る。
【0185】
バリアントFcドメインは、それらを構成するアミノ酸修飾に従って定義される。本Fc領域に関して本明細書中で議論される全てのアミノ酸置換について、番号付けは、必ず、カバットにおけるような欧州連合指数に従う。従って、例えば、D265Cは、母体Fcドメインに対してシステイン(C)で置換されたEU位置265のアスパラギン酸(D)を有するFcバリアントである。置換が提供される順序は任意であることに留意されたい。
【0186】
用語「Fcガンマレセプター」または「FcガンマR」は本明細書中で使用される場合、IgG抗体Fc領域に結合し、そしてFcガンマR遺伝子によってコードされるタンパク質のファミリーの任意のメンバーをいう。ヒトにおいて、このファミリーはFcgammaRI(CD64)(アイソフォームFcgammaRIa、FcgammaRIb、およびFcgammaRIIcを含む);アイソフォームFcgammaRIIa(アロタイプH131およびR131を含む)、FcgammaRIIb(FcgammaRIIb-1およびFcgammaRIIb-2を含む)、およびFcgammaRIIc;ならびにアイソフォームFcgammaRIIa(アロタイプV158およびF158を含む)およびFcgammaRIIb(アロタイプFcgammaRIIb-NA1およびFcgammaRIIb-NA2を含む)を含むFcgammaRIII(CD16)(アロタイプFcgammaRIIb-NA1およびFcgammaRIIb-NA2を含む)、ならびに任意の未発見のヒトFcgammaRまたはFcgammaRアイソフォームまたはアロタイプを含むが、これらに限定されない。FcγRは限定されるわけではないが、ヒト、マウス、ネズミ、ラビット、およびサルを含む任意の生物由来であり得る。マウスなFcgammaRにはFcgammaRI(CD64)、FcgammaRII(CD32)、FcgammaRIII(CD16)、およびFcgammaRIII-2(CD16-2)、ならびに任意の未発見のマウスのFcgammaRまたはFcgammaRアイソフォームまたはアロタイプが含まれるが、これらに限定されない。
【0187】
本明細書で使用される「エフェクタ機能」という語は、FcドメインとFcレセプターとの相互作用から生じる生化学的事象を指す。エフェクタ機能にはADCC、ADCP、およびCDCが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「エフェクター細胞」とは、1つ以上のFcレセプターを発現し、1つ以上のエフェクター機能を媒介する免疫システムの細胞を意味する。エフェクター細胞には単球, マクロファージ,好中球,樹状細胞,好酸球,マスト細胞,血小板(platelets)、B細胞、大顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびγデルタT細胞が含まれるが、これらに限定されず、ヒト、マウス、ネズミ、ウサギ、およびサルを含むがこれらに限定されない任意の生物由来であり得る。
【0188】
本明細書で使用される「サイレント」、「サイレンシング」または「サイレンシング」という語はFcγRへの未修飾Fc領域を含む同一抗体の結合と比較してFcγレセプター(FcγR)への結合が減少した(例えば、FcγRへの結合が例えば、BLIによって測定して、FcγRへの未修飾Fc領域を含む同一抗体の結合と比較して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%低下した)、本明細書に記載の修飾Fc領域を有する抗体を指す。いくつかの実施形態では、このFcサイレンス化(Fc silenced)抗体がFcγRへの検出可能な結合を有さない。修飾されたFc領域を有する抗体のFcγRへの結合は当技術分野で公知の様々な技術、例えば、平衡方法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA); KinExA、Rathanaswamiら)を用いて決定することができるが、これらに限定されない。Analytical Biochemistry、Vol.373:52-60, 2008年、または表面プラズモン共鳴アッセイもしくは動態に基づくアッセイの他のメカニズム(例えば、BIACORE(登録商標)解析またはOctet TM解析(forteBIO))、および間接結合アッセイ、競合結合アッセイ、蛍光共鳴エネルギ移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィ(例えば、ゲルろ過)などの他の方法。これらおよび他の方法は、試験される1つ以上の構成要素上の標識を利用し得、そして/または色素産生標識、蛍光標識、発光標識、または同位体標識を含むがこれらに限定されない種々の検知方法を利用し得る。結合親和性および動力学の詳細な明細書はPaul、WE、ed、Fundamental Immunology,4th Ed、Lippincott-Raven、Philadelphia(1999)に見出され得、これは抗体-免疫原相互作用に焦点を当てる。競合結合アッセイの一例は、増大する量の非標識抗原の存在下での標識抗原と目的の抗体とのインキュベーション、および標識抗原に結合した抗体の検出を含むラジオイムノアッセイである。特定の抗原および結合オフレート(off-rate)に対する関心の抗体の親和性は、スキャッチャードプロット解析によるデーターから決定され得る。第2の抗体との競合はまた、ラジオイムノアッセイを使用して決定され得る。このケースでは、標識されていない第2の抗体の量を増加させながら、標識された化合物に結合された関心の抗体とインキュベートする。
【0189】
本明細書中で使用される場合、「未修飾Fc領域を含む同一抗体」という語は列挙されたアミノ酸置換(例えば、D265C, H435A)を欠くが、他の点ではそれが比較されるFc修飾抗体と同じアミノ酸配列を有する抗体をいう。
【0190】
用語「抗体依存性細胞媒介細胞傷害性」または「ADCC」はFcドメイン(例えば、抗体)を含むポリペプチドが特定の細胞傷害性細胞(例えば、主にNK細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcR)上に結合し、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原保有「ターゲット細胞」に特異的に結合し、続いて細胞毒素でターゲット細胞を死滅させることを可能にする、細胞毒性形態をいう。(Hogarthら、Nature review Drug Discovery 2012,11:313)抗体およびそのフラグメントに加えて、抗原保有ターゲット細胞に特異的に結合する能力を有する、Fcドメイン(例えば、Fc融合タンパク質およびFc共役タンパク質)を含む他のポリペプチドが、細胞媒介性細胞毒性をもたらすことができることが意図される。
【0191】
単純化のために、Fcドメインを含むポリぺポリペプチドの活性から生じる細胞媒介性細胞傷害性はまた、本明細書中では、ADCC活性とも呼ばれる。本発明の任意の特定のポリペプチドの、ADCCによるターゲット細胞の溶解を媒介する能力は、アッセイされ得る。ADCC活性を評価するために、目的のポリぺプチド(例えば、抗体)が、免疫エフェクター細胞と組み合わされてターゲット細胞に添加され、ターゲット細胞の細胞溶解を生じる。細胞溶解は一般に、溶解した細胞からの標識(例えば、放射性基質、蛍光色素または天然の細胞内タンパク質)の放出によって検出される。このようなアッセイに有効なエフェクタ細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。インビトロADCCアッセイの具体例は、Bruggemann et al、JExp.に記載されている。中央値。166:1351(1987); Wilkinson et al、JImmunol.方法258:183(2001); Patelら、JImmunol.方法 184:29(1995).あるいは、またはさらに、関心の抗体のADCC活性はインビボで(例えば、Clynesら、Procに開示されるような動物モデルにおいて)評価され得る。Natl.Acad.Sci.米国95:652(1998).
【0192】
本明細書中で使用される場合、用語「状態」および「コンディショニング」は移植片(例えば、造血幹細胞を含む移植片)の患者のために調製されるプロセスをいう。このような処置は造血幹細胞移植の生着を促進する(例えば、コンディショニング処置およびその後の造血幹細胞移植に続いて、患児から単離されたサンプル内の患者造血幹細胞の量の持続的な増大から推測される)。本明細書中に記載される方法によれば、患者は、造血幹細胞によって発現されるCD45に結合し得るADC、抗体またはその抗原結合フラグメントの患者への投与によって、造血幹細胞移植療法のために状態調節され得る。本明細書中に記載されるように、抗体は薬物-抗体結合体を形成するように、細胞毒素に共有結合的に結合され得る。造血幹細胞移植療法を必要とする患者に上記抗原を結合し得る抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCの投与は例えば、内因性の造血幹細胞を選択的に枯渇させることによって、造血幹細胞移植片の生着を促進し得、それによって、外因性造血幹細胞移植によって満たされる空孔を作製する。
【0193】
本明細書中で使用される場合、「有効量」または「治療有効量」という語は被験体における疾病または障害の治療、予防、改善、または症状(symptom)の減少の文脈において所望の結果を達成するのに充分な治療薬剤、例えば、抗CD45 ADCの量をいう。例えば、いくつかの実施形態では、抗CD45抗体またはADCの治療有効量が患者におけるCD45+細胞の集団を減少または枯渇させるのに充分な量である。他の実施形態では、抗CD45抗体またはADCの治療有効量が造血幹細胞移植を受け取るために被験者を状態調節するのに充分な量である。上記実施形態では、治療有効量が例えば、患者から内因性の造血幹細胞を選択的に枯渇させるのに十分な量、および/または患者における造血幹細胞移植の生着を促進するのに十分な量であり得る。他の実施形態では、抗CD45抗体またはADCの治療有効量がヒト患者における自己免疫疾病またはがんに影響を及ぼすのに充分な量である。
【0194】
本明細書で使用される「半減期」という語は、対象、例えばヒト対象において、体内の抗体薬物の血漿中濃度が半分または50%低下するのにかかる時間を指す。この血清濃度の50%の低下は、循環する薬物の量を反映する。
【0195】
本明細書で使用されるように、「血液から実質的に除去される」という語句は患者から単離された血液サンプル中の治療薬剤の濃度が治療薬剤が従来の方法によって検出できないようなものである場合(例えば、治療薬剤が治療薬剤を検出するために使用されるデバイスまたは検定の雑音しきい値を超えて検出できないようなものである場合)、患者への治療薬剤(例えば、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメント)の投与後の時点を指す。当技術分野で公知の、または本明細書に記載のELISAベースの検出アッセイなどの、当技術分野で公知の種々の技術を使用して、抗体、または抗体フラグメントを検出することができる。抗体または抗体フラグメントを検出するために使用され得るさらなるアッセイは、当技術分野で公知のとりわけ、免疫沈降技術およびイムノブロットアッセイを含む。
【0196】
本明細書で使用される「特異的結合」または「特異的結合」という用語は、抗体が一般にタンパク質ではなく、特異的タンパク質構造(エピトープ)を認識し、それに結合することができることを指す。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識された「A」および抗体を含む反応物中の、エピトープA(または遊離の非標識A)を含む分子の存在は、抗体に結合した標識Aの量を減少させる。例えば、抗体が標識された場合に、対応する非標識抗体によってその標的から競合され得る場合、標的に「特異的に結合する」。ある実施形態に、抗体は、抗体が少なくとも約10-4 M、10-5 M、10-6M、10-7 M、10-8 M、10-9M、10-10 M、10-11 M、10K DM以下(10-12未満、例えば10-13以下の数値を意味する)の標的に対する-12を有する場合、標的、例えばCD45に特異的に結合する。ある実施形態に、本明細書で使用される「CD45への特異的結合」または「CD45に特異的に結合する」という語は抗体またはCD45に結合し、表面プラズモン共鳴によって決定されるように、1.0×10-7 M以下の酸解離定数(K D)を有するものを指す。ある実施形態では、K D(M)は標準バイオ層干渉法(BLI)に従って決定される。ある実施形態では、K off(1/s)は標準バイオ層干渉法(BLI)に従って決定される。しかし、抗体は、配列が関連する2つ以上の抗原に特異的に結合することができることを理解されたい。例えば、ある実施形態において、抗体はCD45のヒトおよび非ヒト(例えば、マウス、カニクイザルまたは非ヒト霊長類)オルソログの両方に特異的に結合し得る。したがって、本明細書中で使用されるように、「ヒトCD45に特異的に結合する」抗体はヒトCD45(およびおそらくはカニクイザルのような1以上の非ヒト種由来のCD45)に結合するが、非CD45タンパク質には実質的に結合しない抗体を指すことを意図している。好ましくは、抗体が1×10-7M以下のK D、5×10-8M以下のK D、3×10-8M以下のK D、1×10-8M以下のK D、または5×10-9M以下のK DでヒトCD45に結合する。
【0197】
本明細書中で使用される場合、「ヒト抗体」という語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことが意図される。ヒト抗体が定常領域を含む実施形態において、定常領域は同様に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来し得る。ヒト抗体には、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムまたは部位特異的突然変異誘発によって導入された突然変異、またはインビボでの遺伝子再編成または体細胞突然変異によって導入された突然変異)が含まれ得る。しかし、本明細書で使用する「ヒト抗体」という語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている抗体を含むことを意図するものではない。ヒト抗体はヒト細胞において(例えば、組換え発現によって)、または機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現し得る非ヒト動物または原核生物もしくは真核細胞によって産生され得る。ヒト抗体が一本鎖抗体である場合、天然のヒト抗体には見出されないリンカーペプチドを含むことができる。例えば、Fvは2~約8個のグリシンまたは他のアミノ酸残基のようなリンカーペプチドを含み得、これは本重鎖の可変領域および本軽鎖の可変領域を連結する。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用するファージディスプレイ方法またはイーストディスプレイ方法を含む、当該分野で公知の種々の方法によって作製され得る。ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して産生され得る(例えば、PCT公開番号WO 1998/24893; WO 1992/01047; WO 1996/34096; WO 1996/33735;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;第5,885,793号;第5,916,771号;および第5,939,598号を参照のこと)。
【0198】
「キメラ抗体」という語は可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種、例えば可変領域配列がラット抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体に由来する抗体を指すことを意図する。
【0199】
非ヒト(例えば、マウスまたはラット)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む免疫グロブリンである。概して、ヒト化抗体は少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、ここで、CDR領域のすべてまたは実質的にすべては非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてはヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のもの全部または一部を含むことができる。抗体ヒト化の方法は、当該分野で公知である。例えば、Riechmannら、1988、Nature 332:323-7;米国特許を参照のこと。No.5,530,101; 5,585,089; 5,693,761; 5,693,762;および6,180,370(Queenら);EP239400; PCT公開WO 91/09967;米国特許。No。5,225,539; EP592106; EP519596; Padlan、1991、Mol.Immunol、28:489-498; Studnicka et al、1994、Prot.Eng.7:805-814; Roguska et al、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.91:969-973; 米国特許。有しない. 5,565,332.
【0200】
本明細書中に記載される配列番号に記載される配列の「保存的配列改変」もまた提供される。保存的配列修飾は本明細書中でその同種抗原(例えば、CD45)に提供される、ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む抗体またはその抗原結合部位の結合を排除しないヌクレオチドおよびアミノ酸配列修飾を含む。このような保存的配列修飾には、保存的ヌクレオチドおよびアミノ酸置換、ならびにヌクレオチドおよびアミノ酸の付加および欠失が含まれる。例えば、修飾は、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発など、当技術分野で公知の通常の技術によって本明細書に記載の配列番号に導入することができる。保存的配列修飾には、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される保存的アミノ酸置換が含まれる。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーは塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。従って、抗CD73抗体中の予測される非必須アミノ酸残基は、好ましくは同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換される。抗原結合を排除しないヌクレオチドおよびアミノ酸保存的置換を同定する方法は当該分野で周知である(例えば、Brummellら、Biochem.32:1180-1187(1993); Kobayashiらを参照のこと)。タンパク質Eng.12(10):879-884(1999);およびBurksら。Proc.Natl.Acad.Sci.米国94:41](1997)).
【0201】
本明細書中で使用される場合、「生着電位」という語は、造血幹および前駆細胞がそのような細胞が天然に循環しているか、または移植によって提供されるかにかかわらず、組織を再増殖させることができることを指すために使用される。この語は、細胞の組織ホーミングおよび目的の組織内の細胞のコロニー形成のような、移植を取り巻くか、または移植に至るすべての事象を包含する。生着の有効性効率速度は当業者に公知の任意の臨床的に許容可能なパラメータを使用して評価効率定量され得、そして例えば、競合的再生着ユニット(competitive repopulating unit)(CRU)の評価;幹細胞がホーミング、コロニー形成、効率移植された組織におけるマーカーの取り込み効率発現;効率疾患進行、造血幹および前駆細胞の生存、効率レシピエント(recipient)の生存を介する被検者の進行の評価によって、評価効率定量され得る。生着は、移植期間の末梢血の白血球細胞数を測定することによっても判定できる。生着はまた、骨髄穿刺液サンプルにおけるドナー(donor)細胞による骨髄細胞の回収を測定することによって評価することができる。
【0202】
本明細書中で使用される、用語「造血幹細胞」(「HSC」)は自己複製し、かつ、限定されないが、単球(例えば、前骨髄球、好中球, 好酸球,好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、巨核球を産生する血小板(platelet))、単球(例えば、細胞)、細胞、およびリンパ球(例えば、顆粒球、B細胞およびT細胞)を含む多様な系統を含む成熟血中樹状細胞,ミクログリア,破骨細胞に分化する能力を有する未成熟血中マクロファージを指す。そのような細胞は、CD34+細胞を含むことができる。CD34+細胞は、CD34細胞表面マーカーを発現する未成熟細胞である。ヒトではCD34+細胞が上記に定義された幹細胞特性を有する細胞の部分集団を含むと考えられているが、マウスではHSCはCD34-である。さらに、HSCはまた、長期再増殖HSC(LT-HSC)および短期再増殖HSC(ST-HSC)を指す。LT-HSCおよびST-HSCは、機能的可能性および細胞表面マーカー発現に基づいて分化される。例えば、ヒトHSCは、CD34+、CD38-、CD45RA-、CD90+、CD49F+、lin(CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD11B、CD19、CD20、CD56、CD235Aを含む成熟した直線マーカーについては負の値)。マウスにおいて、骨髄LT-HSCはCD34-、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、CD48-、およびlin(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7raを含む成熟系統マーカーに対して陰性)であるのに対し、ST-HSCは、CD34+、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、およびlin(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7raを含む成熟系統。加えて、ST‐HSCはホメオスタシス条件下でLT‐HSCよりも静止期が少なく、より増殖性である。しかしながら、LT-HSCはより大きな自己複製能を有する(すなわち、成人期を通して生存し、連続したレシピエント(recipient)を通して連続的に移植できる)がST-HSCは限定された自己複製を有する(すなわち、それらは限られた期間のみ生存し、連続した移植能を有しない)。これらのHSCのいずれも、本明細書中に記載される方法において使用され得る。ST-HSCはそれらが高度に増殖性であり、従って、より迅速に分化した後代を生じ得るので、特に有益である。
【0203】
本明細書中で使用される「造血幹細胞機能電位」という用語は1)顆粒球(例えば、前骨髄球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球)、血小板(例えば、巨核球、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、およびリンパ球(例えば、NK細胞、T細胞およびB細胞)を含むが、これらに限定されない複数の異なる血液系統に分化する能力を指す、2)自己複製(母細胞として同等の電位を有する造血幹細胞の能力を指す、さらに、この能力は枯渇することなく個々の寿命にわたって繰り返され得ること、および3)それらが帰宅する移植レシピエントに再導入される造血幹細胞またはその後代の能力 造血幹細胞ニッチに到達し、生産的かつ持続的な造血を再確立する。
【0204】
本明細書中で使用される場合、用語「被検者」および「患者」は、本明細書中に記載されるような特定の疾患または状態のための処置を受ける、ヒトのような生物をいう。いくつかの実施形態では、本明細書中に提供される方法において参照される対象または患者がヒト対象である。
【0205】
本明細書中で使用される場合、「レシピエント(recipient)」という語は、造血幹細胞の集団を含む移植片のような移植片を受ける被験体をいう。移植された細胞をレシピエント(recipient)に投与することは、例えば、自家、同系、または同種細胞であり得る。
【0206】
本明細書中で使用される場合、「処理する」または「処理」は疾患の任意の結果の任意の向上(例えば、延長された生存、より少ない罹患率、および/または代替の治療様式の副産物である副作用の減少)をいい;当該分野で容易に認識されるように、疾患の完全な根絶は好ましいが、処理行為の必要条件ではない。例えば、治療は、疾患症状(symptom)の重症度および/または周波数を減少させること、疾患症状(symptom)および/または前記症状(symptom)の根本的な原因を排除すること、疾患症状(symptom)および/またはその根本的な原因の周波数または可能性を減少させること、ならびに疾患によって直接的または間接的に引き起こされる障害を改善または修復することを指すことができる。有益なまたは所望の臨床結果としては本明細書に記載されるような抗体コンディショニング治療後の患者における外因性造血細胞の生着の促進、およびその後の有益な結果としてはコンディショニング治療後の造血幹細胞移植を必要とする患者における細胞数の増大、または造血幹細胞の比濃度の増大、およびその後の患者への外因性造血幹細胞移植片の投与が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される治療の有益な成果は、コンディショニング治療およびその後の造血幹細胞移植療法に続いて、巨核球, 血小板(thrombocyte),血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞,骨髄芽球,好塩基球,好中球,好酸球、ミクログリア細胞,顆粒球,単球,破骨細胞,抗原提示細胞,マクロファージ,樹状細胞,ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、またはB-リンパ球のような、造血系統の1つ以上の細胞の細胞数の増大または相対的集中を含むこともできる。さらなる有益な結果としてはがん細胞(例えば、CD45+白血病細胞)または自己免疫細胞(例えば、自己抗原と交差反応するT細胞レセプターを発現するCD45+ T-細胞のようなCD45+自己免疫リンパ球)の集団のような疾患を引き起こす細胞集団の量の低下が挙げられ、本発明の方法が障害を防止することを対象とする限り、「防止する」という語は疾患が完全に阻止されることを必要としないことが理解される。むしろ、本明細書中で使用される場合、予防という語は、当業者が障害に感受性である集団を同定し得、その結果、本発明の化合物の投与が疾病の発症前に起こり得ることをいう。この用語は、病態が完全に回避されていることを意味するものではない。
【0207】
本明細書中で使用される場合、造血幹細胞移植を「必要とする」患者は、1つ以上の血中細胞型において欠損または欠損を示す患者、ならびに本明細書中に記載される幹細胞障害、自己免疫病、がん、または他の病理を有する患者を含む。造血幹細胞は一般に、1)多能性を示し、したがって、限定されないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球, 好酸球,好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞,ミクログリア,破骨細胞、およびリンパ球(例えば、NK細胞、B-細胞およびT-細胞)、2)自己再生を含み、したがって、母親細胞と同等の可能性を有する娘細胞を生じさせることができ、3)移植レシピエント(recipient)に再導入され、その結果、それらが造血幹細胞間隙に位置し、生産的で持続的な造血を再確立する能力を含む、多数の異なった血系統に分化することができる。したがって、造血幹細胞はインビボでの細胞の欠損または欠損集団を再構成するために、造血系列の1つ以上の細胞型を欠損または欠損した患児に投与することができる。例えば、該患者はがんを患っていてもよく、該欠陥は癌性細胞集団を選択的または非特異的のいずれかで枯渇させる化学療法代理人または他の薬剤の投与によって引き起こされてもよい。さらに、またはその代替として、患者は鎌状赤血球貧血, サラセミア,ファンコニ貧血(Fanconi anemia), 再生不良性貧血、およびウィスコット‐アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome)のような異常ヘモグロビン症(例えば、非悪性異常ヘモグロビン症)を患っている可能性がある。被験体は、アデノシンデアミナーゼ重度複合免疫不全症(ADA SCID)、HIV/AIDS、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド‐ブラックファン貧血(Diamond-Blackfan anemia)、およびシュワッハマン- ダイアモンド症候群を患っているものであってよい。被験体は遺伝性血液疾患(例えば、鎌状赤血球貧血)または自己免疫疾患を有するか、またはその影響を受け得る。さらに、またはその代替として、被験体は、神経芽細胞腫または血液学的がんのような悪性腫瘍を有するか、またはその影響を受け得る。例えば、被験体は、白血病、リンパ腫、または骨髄腫を有し得る。いくつかの実施形態では、被験者は急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病,多発性骨髄腫,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)を有する。いくつかの実施形態では、被検者は骨髄異形成症候群を有する。いくつかの実施形態では、被検者が強皮症, 多発性硬化症,潰瘍性大腸炎,クローン病、I型糖尿病などの自己免疫病、または本明細書に記載の別の自己免疫病理を有する。いくつかの実施形態では、被検者がキメラ抗原レセプター(chimeric antigen receptor)T-細胞(CART)治療を必要とする。いくつかの実施形態では、被験体が代謝貯蔵障害を有するか、またはそわなければそれによって影響される。被験体はグリコーゲン蓄積症, ムコ多糖症,ゴーシェ病,ハーラー病,スフィンゴ脂質症,異染性白質ジストロフィー、または本明細書に開示される治療および治療から利益を得ることができる他の疾患または障害からなる群から選択される代謝障害に罹患するか、またはそれ以外の影響を受ける可能性があり、これらには重度複合免疫不全症、アルドリッチオールドリッチ症候群、高免疫グロブリンM(IgM)症候群、チェディアック‐東病,遺伝性リンパ組織球症,大理石骨病,骨形成不全症,貯蔵疾患,サラセミア・メジャー,鎌状赤血球症,全身性硬化症,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus), 多発性硬化症,若年性関節リウマチおよびこれらの疾患、または障害が含まれ、「非悪性疾患のための骨髄移植」、ASH Education Book,1:319-338(2000)に記載されており、その開示は造血幹細胞移植療法の投与によって治療され得る病理に関するものとして全体を引用して本明細書に組み込まれている。さらに、またはその代替として、造血幹細胞移植を「必要としている」患者はそれにもかかわらず、巨核球, 血小板(thrombocytes),血小板(platelets)、赤血球、マスト細胞、ミエオブラスト、好塩基球,好中球,好酸球,ミクログリア,顆粒球,単球,破骨細胞,抗原提示細胞,マクロファージ,樹状細胞,ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、およびB-リンパ球などの、造血系内の1つ以上の内因性細胞型の低下したレベル(例えば、それ以外は健康な対象のレベルと比較して)を示し得る。当業者のある者は、前記の細胞型または他の血中細胞型の1つ以上のレベルが例えば、当該分野で公知の他の手順の中でも、フロー・サイトメトリーおよび蛍光活性化細胞選別(fluorescence activated cell sorting)(FACS)方法によって、他の健康な被検者に対して低下しているかどうかを容易に決定し得る。
【0208】
本明細書中で使用される場合、「幹細胞障害」という語句は対象のターゲット組織をコンディショニングすることによって、および/またはターゲット組織中の内因性幹細胞集団を切除することによって(例えば、対象の骨髄組織から内因性造血幹細胞又は前駆細胞集団を切除することによって)、および/または対象のターゲット組織に幹細胞を移植または移植することによって、処置または治癒され得る任意の疾病、障害、または状態を広く指す。例えば、I型糖尿病は造血幹細胞移植によって治癒されることが示されており、本明細書に記載の組成物および方法に従ってコンディショニングから利益を得ることができる。本明細書中に記載される組成物および方法を使用して処置され得るさらなる障害としては鎌状赤血球貧血, サラセミア,ファンコニ貧血(Fanconi anemia), 再生不良性貧血,ウィスコット‐アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome)、ADA SCID、HIV・エイズ、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド‐ブラックファン貧血(Diamond-Blackfan anemia)、およびシュワッハマン- ダイアモンド症候群が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される患者コンディショニングおよび/または造血幹細胞移植方法を用いて治療され追加のさらなる疾病は遺伝性血液疾病(例えば、鎌状赤血球貧血)および自己免疫障害、例えば、強皮症, 多発性硬化症,潰瘍性大腸炎、およびクローン病を含む。本明細書中に記載されるコンディショニングおよび/または移植方法を使用して処置され得るさらなる疾患は悪性腫瘍(例えば、神経芽細胞腫)または血液学的がん(例えば、白血病、リンパ腫、および骨髄腫)を含む。例えば、がんは、急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病,多発性骨髄腫,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)であり得る。本明細書に記載のコンディショニングおよび/または移植方法を用いて治療可能なさらなる疾患には、骨髄異形成症候群が含まれる。いくつかの実施形態では、被験体が代謝貯蔵障害を有するか、またはそわなければそれによって影響される。例えば、被験体はグリコーゲン蓄積症, ムコ多糖症,ゴーシェ病,ハーラー病,スフィンゴ脂質症,異染性白質ジストロフィー、または本明細書に開示された治療および治療から利益を得る可能性のある他の疾患または障害からなる群から選択される代謝障害に罹患するか、またはそれ以外の影響を受ける可能性があり、これらには重度複合免疫不全症、アルドリッチオールドリッチ症候群、高免疫グロブリンM(IgM)症候群、チェディアック‐東病,遺伝性リンパ組織球症,大理石骨病,骨形成不全症,貯蔵疾患,サラセミア・メジャー,鎌状赤血球症,全身性硬化症,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus), 多発性硬化症,若年性関節リウマチ、およびそれらの疾患、または障害が含まれ、「非悪性疾患のための骨髄移植」、ASH Education Book、1:319-338(2000)に記載され、その開示は造血幹細胞移植療法の投与によって治療される可能性のある病理に関するものとして全体を引用して本明細書に組み込まれる。
【0209】
本明細書で使用される「ベクター」という語は、プラスミド、DNAベクター、プラスミド、RNAベクター、ウイルス、または他の好適なレプリコンなどの核酸ベクターを含む。本明細書中に記載される発現ベクターはポリヌクレオチド配列、ならびに、例えば、タンパク質の発現および/または哺乳動物細胞のゲノムへのこれらのポリヌクレオチド配列の集積のために使用されるさらなる配列エレメントを含み得る。抗体および抗体フラグメントの発現に用いることができる特定のベクターには、遺伝子転写を指示するプロモータ領域およびエンハンサ領域などの調節配列を含むプラスミドが含まれる。抗体および抗体フラグメントの発現のための他の有効なベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を増強するか、または遺伝子転写から結果mRNAの安定性または核外移行を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列要素は例えば、発現ベクター上に担持される遺伝子の効率的な転写を指示するために、5'および3'非翻訳領域、ならびにポリアデニル化シグナル部位を含み得る。本明細書中に記載される発現ベクターはまた、そのようなベクターを含有する細胞の選択のためのマーカーを符号化するポリヌクレオチドを含有し得る。適切なマーカーの実施例には、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、およびノウルセオスリシンなどの抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子が含まれる。
【0210】
本明細書で使用される「結合体」または「抗体薬物コンジュゲート」または「ADC」という語は、全体を通して互換的に使用される、細胞毒素または毒素に連結された抗体を指す。ある実施形態に、ADCは、抗体またはその抗原結合フラグメントなどの1つの分子の反応性官能基と、本明細書に記載される細胞毒素などの別の分子の適切に反応性の官能基との化学結合によって形成される。本明細書中に提供される結合体においていくつかの実施形態では使用され得る細胞毒素の非限定的な例としては、小有機分子(例えば、MW 1500Da以下)、生体分子(例えば、タンパク質)、薬物充填ナノ粒子、または放射性核種が挙げられる。複合体は互いに結合した2つの分子間、例えば、抗体と細胞毒素との間のリンカーを含み得る。コンジュゲートの形成に用いることができるリンカーの実施例には、ペプチド含有リンカー、実施例えば、D-アミノ酸のような天然に存在する又は天然に存在しないアミノ酸を含有するものが含まれる。リンカーは、本明細書中に記載され、そして当該分野で公知の種々の方策を使用して調製され得る。その中の反応性構成要素に依存して、リンカーは例えば、酵素的加水分解、光分解、酸性条件下での加水分解、基本条件加水分解、酸化、ジスルフィド還元、求核切断、または有機金属切断によって切断され得る(例えば、Lericheら、Bioorg.Med.Chem.,20:571-582,2012を参照のこと)。
【0211】
用語「共役」、「共役」または「共役」は共に共役される少なくとも2つの分子の意味で使用される場合、第2の分子(例えば、毒素)に連結または結合される1つの分子(例えば、抗体)をいう。抗CD45抗体およびそのフラグメントは毒素、標識代理人(例えば、フルオレセインまたはビオチン)、薬物負荷ナノ粒子を含む他の分子に結合され得る。共役分子は、共有または非共有相互作用を介して共役され得る。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはそのフラグメントをタンパク質毒素に結合させて、タンパク質融合体(例えば、scFv毒素キメラ)を形成する。いくつかの実施形態では、共役分子が共役分子に関連する第1の相互作用部分(例えば、ビオチン)および第2の相互作用部分(例えば、ストレプトアビジン)の非共有結合相互作用を介して結合され得る。
【0212】
本明細書中で使用される場合、「薬物対抗体比」または「DAR」は結合体の抗体に結合した薬物(例えば、アマトキシン)の数をいう。抗体上の連結部位の個数に応じて、より高い負荷も考えられるが、ADCのDARは1~8であってもよい。ある特定の実施形態に、共役体は、1、2、3、4、5、6、7、または8のDARを有する。
【0213】
本明細書中で使用される場合、「微小管結合代理人」という語は、細胞における有糸分裂および間期細胞機能に必須である微小管網状組織を破壊することによって作用する化合物をいう。微小管結合代理人の例としてはメイタシン、メイタンシノイド、およびそれらの誘導体(本明細書中に記載されるか、または当技術分野で公知のものなど)、ビンカ・アルカロイド(ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンなど)、タキサン(ドセタキセルおよびパクリタキセルなど)、マクロライド(ジスコデルモリド、コキシン、およびエポチロンなど)、ならびにそれらの誘導体(エポチロンBまたはそれらの誘導体など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
本明細書で使用される「アマトキシン」という語は、RNAポリメラーゼII活性を阻害することができるバリアントまたはその誘導体などの、アマニタファロイデスキノコまたはその誘導体によって産生されるペプチドのアマトキシンファミリーのメンバを指す。本明細書中に記載される組成物および方法と併せて有効なアマトキシンには、本明細書中に記載される化合物(例えば、αアマニチン、βアマニチン、γアマニチン、εアマニチン、アマニン、アマニンアミド, アマヌリン,アマヌリン酸、またはプロアマヌリン)が含まれる。本明細書中に記載されるように、アマトキシンは例えば、リンカー部分(L)によって、抗体またはその抗原結合フラグメントに結合体化され得る(したがって、ADCを形成する)。このようなプロセスに有効なアマトキシン結合体およびリンカーの例示的な方法を以下に記載する。組成物および方法に従って、抗体または抗原結合フラグメントへの共役に有用な例示的なリンカー含有アマトキシンもまた、本明細書に記載される。
【0215】
本明細書で使用される「アシル」という語は-C(=O)Rを指し、ここで、Rは本明細書で定義されるように、水素(「アルデヒド」)、C1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、C2~C12アルキニル、C3~C7カルボシクリル、C6~C20アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロシクリルである。非限定的な例としては、ホルミル基、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、およびアクリロイルが挙げられる。
【0216】
本明細書で使用される「C1~C12アルキル」という語は、1~12個の炭素原子を有する直鎖または分岐の飽和炭化水素を指す。代理人C1-C12アルキル基にはメチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、および-n-ヘキシルが含まれるが、これらに限定されず、分岐C1-C12アルキルにはイソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、および2-メチルブチルが含まれる。C1~C12アルキル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0217】
本明細書で使用される「アルケニル」という語は、不飽和の少なくとも1つの部位、すなわち炭素-炭素、sp2二重結合を有する、通常、第2級、または第3級炭素原子を含むC2-C12炭化水素を指す。例としてはエチレンまたはビニル、-アリル、-1-ブテニル、-2-ブテニル、-イソブチレニル、-1-ペンテニル、-2-ペンテニル、-3-メチル-1-ブテニル、-2-メチル-2-ブテニル、-2,3-ジメチル-2-ブテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、tert-ブチレニル、ヘキセニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0218】
本明細書で使用される「アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素-炭素、sp三重結合を有する、正常、二次、または三次炭素原子を含むC2-C12炭化水素を指す。例としてはアセチレンおよびプロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0219】
本明細書で使用される「アリール」は、C6~C20炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例としてはフェニル、ナフチルおよびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0220】
「アリールアルキル」は、本明細書中で使用される場合、炭素原子、典型的には端子またはsp3炭素原子に結合した水素原子の1つがアリール基で置換されている非環状アルキル基を指す。代表的なアリールアルキル基としてはベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-フェニルエテン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、2-ナフチルエテン-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。アリールアルキル基は6~20個の炭素原子を含み、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル基を含むアルキル部分は1~6個の炭素原子であり、アリール部分は、5~14個の炭素原子である。アルカリル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0221】
本明細書で使用される「シクロアルキル」は飽和炭素環式基を指し、これは単環式または二環式であってもよい。シクロアルキル基は、単環として3~7個の炭素原子を有する環、または自転車として7~12個の炭素原子を有する環を含む。単環式シクロアルキル基の実施例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれる。シクロアルキル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0222】
本明細書で使用される「シクロアルケニル」は不飽和炭素環式基を指し、これは単環式でも二環式でもよい。シクロアルケニル基は、単環として3~6個の炭素原子を有する環、または自転車として7~12個の炭素原子を有する環を含む。単環式シクロアルケニル基の実施例には、1-シクロペント-1-エニル、1-シクロペント-2-エニル、1-シクロペント-3-エニル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、および1-シクロヘキサ-3-エニルが含まれる。シクロアルケニル基は、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0223】
「ヘテロアラルキル」は、本明細書中で使用される場合、炭素原子、典型的には端子またはsp3炭素原子に結合した水素原子の1つがヘテロアリールラジカルで置き換えられた非環状アルキル基を指す。典型的なヘテロアリールアルキル基は限定されるものではないが、2-ベンズイミダゾリルメチル、2-フリルエチル等を含む。ヘテロアリールアルキル基は6~20個の炭素原子、例えばヘテロアリールアルキル基のアルキル部分(アルカニル、アルケニルまたはアルキニル基を含む)を含み、ヘテロアリール部分は1~6個の炭素原子であり、ヘテロアリール部分は5~14個の炭素原子であり、N、O、P、およびSから選択される1~3個のヘテロ原子は、3~7個の環員(2~6個の炭素原子、または7~10個の環員(4~9個の炭素原子およびN、O、P、およびSから選択される1~3個のヘテロ原子)を有する単環であってもよく、例えば:ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,6]システム。
【0224】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」および「ヘテロシクロアルキル」はそれぞれ、1個以上の環原子がヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、およびイオウである芳香族または非芳香族環システムを指す。ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルラジカルは、2~20個の炭素原子およびN、O、P、およびSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む。Aヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは3~7個の環員(2~6個の炭素原子およびN、O、P、およびSから選択される1~3個のヘテロ原子)を有する単環、または7~10個の環員(4~9個の炭素原子およびN、O、P、およびSから選択される1~3個のヘテロ原子)を有する自転車、例えば、二環式[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,。ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、置換されていなくても置換されていてもよい。
【0225】
ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキル基は、Paquette、Leo A.;「現代のヘテロ環状化学の原理」(WABenjamin、New York、1968)、特に第1章、3章、4章、6章、7および9;「複素環化合物の化学、A一連のモノグラフ」(John Wiley & Sons、New York、1950年から現在まで)、特に巻13、14、16、19および28;およびJAmに記載されている。化学協会。(1960)82:5566.
【0226】
ヘテロアリール基の例としては例えば、ピリジル、チアゾリル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、3H-インダリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナンスロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。フェノキサジニル、イソクロマニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イサチノイル。
【0227】
ヘテロシクロアルキルの例としてはジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、テトラヒドロフランイル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、およびモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0228】
限定ではなく例として、炭素結合ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、ピリジンの2、3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの2、4、5、もしくは6位、ピリダジ ンの2、3、4、5、もしくは6位、フランの2、3、5、4、もしくは5位、テトラヒドロフラン、チオファレン、チオファレン、ピロールもしくはテトラヒドロピロール、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4、もしくは5位、イソオキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位、アジリジンの2、3、もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位に結合される。更に典型的には、炭素結合ヘテロシクリルは2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、5-ピリジル、6-ピリジル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル、6-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、2-ピラジニル、3-ピラジニル、5-ピラジニル、6-ピラジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、又は5-チアゾリルを包含する。
【0229】
限定ではなく例示として、窒素結合ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドール、1時間インダゾール、イソインドールの2位、モルホリンの4位、およびカルバゾールの9位、またはベータカルボリンの1位に結合している。更に典型的には、窒素結合ヘテロシクリルは1-アジリジル、1-アゼチジル、1-ピロリル、1-イミダゾリル、1-ピラゾリル、及び1-ピペリジニルを包含する。
【0230】
本明細書で使用され、上記のアルキル、アルケニル, アルキニル,アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルなどのいずれかに適用される「置換された」とは、1個以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置換されていることを意味する。典型的な置換基には、-X、-R、-OH、-or、-SH、-SR、-NHR、-NHR(R)2、-N+(R)3、-CX3、-CN、-OCN、-SCN、-NCO、-NCO、-NCS、-NO2、-NC(=O)H、-NC(=O)R、-C(=O)H、-C(=O)R、-C(=O)NH2、-C(=O)N(R)2、-SO3-、-SO3H、-S(=O)2R、-OS(=O)2OR、-S(=O)2NH2、-S(=O)2N(R)2、-S(=O)R P(=O)2、-PO3H2、-C(=O)2、-PO3、-C(=S)X、-CO2H、-C(=S)R、-CO2R、-C(=S)or、-C(=O)SR、-C(=S)SR、-C(=O)SR、-C(=O)NH2、-C(=S)N(=S)NH2、-C(=S)N(R)2、-C(=NH)NH2、-C(=NR)NH2、-C(=NR)N(R)2)。基が「任意に置換されている」と記載されている場合はいつでも、その基は、各場合に独立して、上記の置換基の1つ以上で置換され得る。
【0231】
ある種のラジカル命名規則は、文脈に応じて、モノラジカルまたはジラジカルのいずれかを含むことができることを理解されたい。例えば、置換基が残りの分子に対して2つのアタッチメント(attachment)点を必要とする場合、置換基はジラジカルであることが理解される。例えば、2つのアタッチメント(attachment)点を必要とするアルキルとして同定される置換基は、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-などのジラジカルを含む。他のラジカル命名規則は、ラジカルが「アルキレン」、「アルケニレン」、「アリーレン」、「ヘテロシクロアルキレン」などのようなジラジカルであることを明確に示す。
【0232】
置換基がジラジカルとして示される(すなわち、残りの分子に対して2つのアタッチメント(attachment)点を有する)場合はいつでも、置換基は別段の指示がない限り、任意の方向性配置で結合され得ることが理解されるべきである。
【0233】
「異性体」は同一の分子式を有するが、同一の原子の結合の順序または空間における同一の原子の配列が異なる化合物を意味する。空間における原子の配置が異なる異性体を「立体異性体」と呼び、互いに鏡像でない立体異性体を「ジアステレオ異性体」と呼び、互いに非重畳鏡像である立体異性体を「鏡像異性体」と呼び、時には「光学異性体」と呼ぶ。
【0234】
4つの非同一の置換基に結合した炭素原子は「キラル中心」と呼ばれ、「キラル異性体」は少なくとも1つのキラル中心を有する化合物を意味する。1つ以上のキラル中心を有する化合物は個々のジアステレオマーとして、または「ジアステレオマー混合物」と呼ばれるジアステレオマーの混合物として存在してもよい。1つのキラル中心が存在する場合、立体異性体はそのキラル中心の絶対配置(RまたはS)によって特徴付けられてもよい。絶対配置とは、キラル中心に結合した置換基の空間的配置をいう。考慮中のキラル中心に結合した置換基は、Cahn、IngoldおよびPrelogの配列規則に従ってランク付けされる。(Cahnら、AngewChemInterEdit.1966,5,385; errata 511; Cahnら、AngewChem.1966,78,413; CahnおよびIngold、JChemSoc.1951(London),612; Cahnら、Experientia 1956,12,81; Cahn、JChemEduc)。1964, 41, 116).等量の反対側のキラリティーの個々のエナンチオマー形態を含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0235】
本明細書および特許請求の範囲に開示される化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでもよく、各化合物の異なったジアステレオマーおよび/または鏡像異性体が存在してもよい。本明細書および特許請求の範囲における任意の化合物の明細書は特に明記しない限り、すべての鏡像異性体、ジアステレオマー、およびそれらの混合物を含むことを意味する。加えて、本明細書および特許請求の範囲における任意の化合物の明細書は特に断らない限り、本鏡像異性体の個々の鏡像異性体、ならびに任意の混合物(ラセミ体または他のもの)の両方を含むことを意味する。化合物Eの構造が特定の鏡像異性体として描写される場合、本出願の開示はその特定の鏡像異性体に限定されないことが理解されるべきである。したがって、本明細書では、本開示の構造式の各々の鏡像異性体、光学異性体、およびジアステレオマーが企図される。本明細書において、化合物の構造式は便宜上、特定の異性体を表す場合があるが、本発明は幾何異性体、不斉炭素をベースとする光学異性体、立体異性体、互変異性体等の全ての異性体を含み、全ての異性体が同じ活性度を有するわけではないことが理解される。これらの化合物は、異なる互変異性体形態で存在し得る。本開示による化合物は特に明記しない限り、全ての互変異性体形態を含むことを意味する。化合物Eの構造が特定の互変異性体として描写される場合、本出願の開示はその特定の互変異性体に限定されないことが理解されるべきである。
【0236】
本明細書に記載される任意の式の化合物は適用可能であれば、化合物自体、ならびにそれらの塩、およびそれらの溶媒和物を含む。例えば、塩は本開示の化合物上のアニオンと正に荷電した基(例えば、アミノ)との間で形成され得る。好適なアニオンには、塩化物、ブロミド、ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、スルファミン、硝酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、グルタミン酸塩、グルクロン酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、トシレート酸塩、サリチル酸塩、乳酸塩。用語「薬学的に受容可能なアニオン」は、薬学的に許容可能な塩を形成するために適切なアニオンをいう。同様に、陽イオンと本発明の化合物上の負に荷電した基(例えば、カルボキシレート)との間に塩を形成することもできる。好適な陽イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオンなどのアンモニウム陽イオンが挙げられる。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの実施例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、およびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸から誘導されるものである。本開示の化合物はまた、第四級窒素原子を含有する塩を含む。適切な無機アニオンの実施例としては以下の無機酸:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、亜硝酸、リン酸およびリン酸から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。適切な有機アニオンの実施例としては、以下の有機酸:2-アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、安息香酸、カンファルスルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデチック、エタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、フマル酸、グルケプトン酸、グルタミン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸。適切なポリマー有機アニオンの実施例としては以下のポリマー酸:タンニン酸、カルボキシメチルセルロースから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0237】
さらに、本発明の化合物、例えば、化合物の塩は、含水または非含水(無水)形態で、または他の溶媒分子との溶媒和物として存在することができる。水和物の非限定的な例には、一水和物、二水和物などが含まれる。溶媒和物の非限定的な例としてはエタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが挙げられ、「溶媒和物」は化学量論的または非化学量論的量のいずれかの溶媒を含有する溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は結晶性固相中に固定されたモル比率の溶媒分子を捕捉する傾向を有し、したがって溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物とは、水がH2 Oとして分子状態を保持する物質の1分子と1分子以上の水の組合せによって形成される。水和物とは例えば、一水和物、二水和物、三水和物などを指す。
【0238】
さらに、本明細書中に開示される式によって表される化合物またはその塩について、結晶多型が存在し得る。任意の結晶形態、結晶形態混合物、またはそれらの無水物もしくは水和物が、本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【抗CD45抗体】
【0239】
本明細書では、例えば、(i)CD45+細胞を特徴とするがんおよび自己免疫疾患を治療し、(ii)移植治療を必要とする患者において移植された造血幹細胞の生着を促進するために、治療薬剤単独または共役(ADC)として使用することができる、CD45に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメントを意図する。これらの治療活性は例えば、単離された抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、または細胞の表面上に発現されたCD45に結合し、それに続いて細胞死滅を誘導するがん細胞、自己免疫細胞、または造血幹細胞のようなADCの結合によって引き起こされ得る。内因性の造血幹細胞の欠乏は移植された造血幹細胞が帰宅できるニッチを提供し、続いて増殖性造血を確立することができる。このようにして、移植された造血幹細胞は、本明細書中に記載される幹細胞障害を患うヒト患者のような患者に首尾よく移植され得る。さらに、それを必要とする患者における白血球の枯渇はHSC移植と組み合わされて、患者の免疫システムを再設定し得、それによって、例えば、自己免疫病の患者を治癒し得る。
【0240】
CD45、白血球共通抗原およびレセプター型チロシンタンパク質ホスファターゼCとしても知られており、TおよびB細胞抗原レセプターを介したシグナル伝達に不可欠な造血細胞特異的な膜貫通型タンパク質チロシンホスファターゼである。CD45には大きな細胞外ドメイン、細胞質ドメインを含むアルカリホスファターゼが含まれる。CD45は、刺激の性質および関与する細胞型に依存して、正および負の両方の調節因子として作用する可能性がある。CD45遺伝子には多数の並べ順列が可能であるが、伝統的にヒトで同定されているアイソフォームはわずか6種類である。アイソフォームはRA、RO、RB、RAB、RBCおよびRABCである(Hermistonら2003 "CD45: a critical regulator of signaling threshold in Immunol細胞." Annu Rev Immunol.2:107-137.)CD45RAはナイーブT細胞上に発現し、CD45ROは活性化およびメモリーT細胞、一部のB細胞サブセット、活性化単球/マクロファージ、および顆粒球上に発現する。CD45RBは末梢B細胞、ナイーブT細胞、胸腺細胞、弱くマクロファージ、および樹状細胞上に発現する。CD45RABCのアミノ酸配列は、本明細書において配列番号(SEQ ID NO):112として提供される。CD45RAのアミノ酸配列は、本明細書において配列番号(SEQ ID NO):107として提供される。CD45ROのアミノ酸配列は、本明細書において配列番号(SEQ ID NO):108として提供される。CD45RBのアミノ酸配列は、本明細書において配列番号(SEQ ID NO):109として提供される。CD45RABのアミノ酸配列は、本明細書において配列番号(SEQ ID NO):110として提供される。配列番号(SEQ ID NO):赤血球のアミノ酸配列は、本明細書において配列番号(SEQ ID NO):111として提供される。
【0241】
以下に記載するように、ある特定の実施形態に、新規抗ヒトCD45(hCD45)抗体を、完全ヒト抗体を示すイーストディスプレイライブラリをスクリーニングすることによって同定した。スクリーニングで7つのヒト抗体(抗体1(Ab1)、抗体2(Ab2)、抗体3(Ab3)、抗体4(Ab4)、抗体5(Ab5)、抗体6(Ab6)、抗体7(Ab7))が同定され、これらはヒトCD45(全てのイソ型)に結合し、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルCD45および/またはアカゲザルCD45)由来のCD45と交差反応する。
【0242】
他の実施形態では、ヒト化および親和性成熟抗体を、3匹のラット抗CD45抗体から調製した。この方法で、さらに3つの抗体(抗体A(AbA)、抗体B(AbB)、抗体C(AbC)が同定され、これらはヒトCD45(全てのイソ型)に結合し、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルCD45および/またはアカゲザルCD45)由来のCD45と交差反応する。同定された抗体は本明細書中に記載されるように、診断および治療特性を有する。
【0243】
従って、ヒトCD45に特異的に結合し、そして非ヒト霊長類由来のCD45と交差反応する抗体またはその抗原結合部分が本明細書中に提供される。
【0244】
ある実施形態において、ヒトCD45(配列番号(SEQ ID NO):112)およびカニクイザルCD45(配列番号(SEQ ID NO):145)および/またはアカゲザルCD45(配列番号(SEQ ID NO):146)に結合する抗体またはその抗原結合部分を提供する。いくつかの実施形態では、本抗原結合部分の抗体がバイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)によって決定されるように、約100 nM以下、例えば、約100 nM以下、約90 nM以下、約80 nM以下、約70 nM以下、約60 nM以下、約50 nM以下、約40 nM以下、約30 nM以下、約20 nM以下、約10 nM以下、約10 nM以下、または約0.1 nM以下のK DでヒトCD45に結合することができる。いくつかの実施形態では、本抗原結合部分の抗体がバイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)によって決定されるように、約100 nM以下、例えば、約100 nM以下、約90 nM以下、約80 nM以下、約70 nM以下、約60 nM以下、約50 nM以下、約40 nM以下、約30 nM以下、約20 nM以下、約10 nM以下、約10 nM以下、または約0.1 nM以下のK DでカニクイザルCD45に結合することができる。いくつかの実施形態では、その抗体、本抗原結合部分の抗原結合部分はバイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)によって決定されるように、約100 nM以下、例えば、約100 nM以下、約90 nM以下、約80 nM以下、約70 nM以下、約60 nM以下、約50 nM以下、約40 nM以下、約30 nM以下、約20 nM以下、約10 nM以下、約10 nM以下、または約0.1 nM以下のK DでアカゲザルCD45に結合することができる。いくつかの実施形態では、抗体が完全ヒト抗体、またはその抗原結合部分である。他の実施形態では、抗体はヒト化抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、抗体が脱免疫化された抗体、またはその抗原結合部分である。
【0245】
ヒトCD45の細胞外領域は、ムチン様ドメイン、および4つのフィブロネクチン様ドメイン(d1、d2、d3、およびd4)を含む。いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、抗体Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、およびAb7はd3およびd4フィブロネクチン様ドメイン内に位置するヒトCD45の残渣と相互作用すると考えられる。特に、これらの抗体は、配列番号(SEQ ID NO):115に記載されるヒトCD45のフラグメント、および配列番号(SEQ ID NO):117に記載されるヒトCD45のフラグメントと相互作用し得る。本明細書に記載された架橋検討は、抗体がヒトCD45、カニクイザルCD45、およびアカゲザルCD45の間で保存されている1つ以上のCD45アミノ酸残基と特異的に相互作用できることを示唆している。これらの残基には、405T、407K、419Y、425K、および505R(配列番号(SEQ ID NO):113に記載のhCD45のフラグメントに関して番号付けされている)が含まれる。さらに、これらの抗体はヒトCD45中の残基481Rおよび/または509H(配列番号(SEQ ID NO):113に記載されるhCD45のフラグメントに関して番号付けされる)と相互作用し得る。したがって、本明細書で提供されるいくつかの実施形態ではd3および/またはd4フィブロネクチン様ドメインに位置するエピトープでヒトCD45に結合する抗体またはその抗原結合部分である。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、CD45フラグメント2(配列番号(SEQ ID NO):115および/またはCD45フラグメント4(配列番号(SEQ ID NO):117))内に位置するヒトCD45のエピトープでCD45に結合する抗体またはその抗原結合部分である。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、CD45フラグメント1(配列番号(SEQ ID NO):114および/またはCD45フラグメント3(配列番号(SEQ ID NO):116))内に位置するヒトCD45のエピトープでCD45に結合する抗体またはその抗原結合部分である。本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、ヒトCD45、カニクイザルCD45、および/またはアカゲザルCD45の間で保存されている少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、または少なくとも5個のアミノ酸残基を含むエピトープでCD45に結合する抗体またはその抗原結合部分である。例えば、いくつかの実施形態では抗体、またはそれらの抗原結合部分はヒトCD45における以下のアミノ酸残基の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または5つ全てに結合することができる: 405T、407K、419Y、425K、および505R(配列番号(SEQ ID NO):113に記載されるhCD45のフラグメントに関して番号付けされる)。いくつかの実施形態では抗体、またはそれらの抗原結合部分はヒトCD45における以下のアミノ酸残基のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、または7つに結合することができる: 405T、407K、419Y、425K、481R、および505R、509H(配列番号(SEQ ID NO):113に記載されるhCD45のフラグメントに関して番号付けされる)。ヒトCD45(配列番号(SEQ ID NO):112)への結合についてAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6および/またはAb7と競合する抗体またはその抗原結合部分もまた、本明細書中に提供される。いくつかの実施形態では、抗体、またはそれらの抗原結合部分はまた、カニクイザルCD45(OE145)および/またはアカゲザルCD45(OE146)への結合について、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、および/またはAb7と競合し得る。いくつかの実施形態では、抗体が完全ヒト抗体、またはその抗原結合部分である。他の実施形態では、抗体はヒト化抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、抗体が脱免疫化された抗体、またはその抗原結合部分である。
【0246】
いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、本明細書に記載される抗体AbAはまた、CD45のd4フィブロネクチン様ドメインに結合するが、CD45への結合に関してAb1-Ab7のいずれとも競合しないと考えられる。本明細書中に記載されるエピトープ地図作成実験は、AbAがAb1-Ab7と比較して、分子の反対側の面でd4フィブロネクチン様ドメインに結合することを示唆する。特に、この抗体は、配列番号(SEQ ID NO):118に記載されるヒトCD45のフラグメントと相互作用すると考えられる。本明細書に記載された架橋検討は、AbAがヒトCD45、カニクイザルCD45、およびアカゲザルCD45の間で保存されている1つ以上のCD45アミノ酸残基と特異的に相互作用し得ることを示唆する。これらの残基には、493Yおよび502T(配列番号(SEQ ID NO):113に記載のhCD45のフラグメントに関して番号付けされている)が含まれる。さらに、この抗体はヒトCD45(配列番号(SEQ ID NO):113に記載されるhCD45のフラグメントに関して番号付けされる)中の残基486Rと相互作用し得る。したがって、本明細書で提供されるいくつかの実施形態ではd4フィブロネクチン様ドメインに位置するエピトープでヒトCD45に結合する抗体またはその抗原結合部分である。本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、CD45フラグメント5(配列番号(SEQ ID NO):118)内に位置するヒトCD45のエピトープでCD45に結合する抗体またはその抗原結合部分である。ヒトCD45、カニクイザルCD45、および/またはアカゲザルCD45の間で保存される少なくとも1つまたは少なくとも2つのアミノ酸残基を含むエピトープでCD45に結合する抗体またはその抗原結合部分が、本明細書で提供されるいくつかの実施形態ではである。例えば、いくつかの実施形態では抗体、またはそれらの抗原結合部分はヒトCD45における以下のアミノ酸残基の一方または両方に結合し得る: 493Yおよび502T(配列番号(SEQ ID NO):113に記載されるhCD45のフラグメントに関して番号付けされる)。いくつかの実施形態では抗体、またはそれらの抗原結合部分はヒトCD45における以下のアミノ酸残基の1つ以上、2つ以上、または3つに結合することができる: 486R、493Y、および502T(配列番号(SEQ ID NO):113に記載されるhCD45のフラグメントに関して番号付けされる)。ヒトCD45(配列番号(SEQ ID NO):112)への結合についてAbAと競合する抗体またはその抗原結合部分もまた、本明細書中に提供される。いくつかの実施形態では、抗体、またはそれらの抗原結合部分はまた、カニクイザルCD45(配列番号(SEQ ID NO):145)および/またはアカゲザルCD45(配列番号(SEQ ID NO):146)への結合についてAbAと競合し得る。いくつかの実施形態では、抗体が完全ヒト抗体、またはその抗原結合部分である。他の実施形態では、抗体はヒト化抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、抗体が脱免疫化された抗体、またはその抗原結合部分である。
【0247】
他の実施形態において、本明細書中に提供されるのは、AbBと同じエピトープのヒトCD45に結合する抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では抗体、またはそれらの抗原結合部分はカニクイザルCD45および/またはアカゲザルCD45と交差反応する。ヒトCD45(配列番号(SEQ ID NO):112)への結合についてAbBと競合する抗体またはその抗原結合部分もまた、本明細書中に提供される。いくつかの実施形態では、抗体、またはそれらの抗原結合部分はまた、カニクイザルCD45(配列番号(SEQ ID NO):145)および/またはアカゲザルCD45(配列番号(SEQ ID NO):146)への結合についてAbBと競合し得る。いくつかの実施形態では、抗体が完全ヒト抗体、またはその抗原結合部分である。他の実施形態では、抗体はヒト化抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、抗体が脱免疫化された抗体、またはその抗原結合部分である。
【0248】
他の実施形態において、本明細書中に提供されるのは、AbCと同じエピトープのヒトCD45に結合する抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では抗体、またはそれらの抗原結合部分はカニクイザルCD45および/またはアカゲザルCD45と交差反応する。ヒトCD45(配列番号(SEQ ID NO):112)への結合についてAbCと競合する抗体またはその抗原結合部分もまた、本明細書中に提供される。いくつかの実施形態では、抗体、またはそれらの抗原結合部分はまた、カニクイザルCD45(配列番号(SEQ ID NO):145)および/またはアカゲザルCD45(配列番号(SEQ ID NO):146)への結合についてAbCと競合し得る。いくつかの実施形態では、抗体が完全ヒト抗体、またはその抗原結合部分である。他の実施形態では、抗体はヒト化抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、抗体が脱免疫化された抗体、またはその抗原結合部分である。
【0249】
抗CD45抗体Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、AbA、AbBおよびAbCの種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。種々の局面において、本発明は、表27に記載される抗体の重鎖および/または軽鎖CDR配列を含む抗体を提供する。いくつかの局面において、本発明は、表27に記載される抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を含む抗体を提供する。いくつかの局面において、本発明は、表27に記載される抗体の重鎖および/または軽鎖を含む抗体を提供する。本明細書で提供される本抗体の追加の特徴およびその抗原結合部分は、以下に記載される。
【0250】
Ab1
抗体1(Ab1)はヒトCD45、シノCD45およびアカゲザルCD45と交差反応し、ヒトCD45の様々なアイソフォームと結合できる。
【0251】
抗CD45 Ab1の種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。例えば、表27に記載のCDRを含む、Ab1に基づく抗CD45抗体が含まれる。
【0252】
ある実施形態に、Ab1のものに対応する抗原結合領域、例えばCDRおよび/または可変領域を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。Ab1の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):1に示す(表27参照)。Ab1のVH CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):2(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):3(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):4(VH CDR3)に記載されている。Ab1の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):5に記載されている(表27参照)。Ab1のVL CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):6(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):7(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):8(VL CDR3)に記載されている。
【0253】
したがって、配列番号(SEQ ID NO):2に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):3に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、およびいくつかの実施形態では4に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;および/または配列番号(SEQ ID NO):6に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):7に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):8に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書で提供される。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は本明細書に記載されるCDR(配列番号(SEQ ID Nos):2~4および6~8)を含み、ここで、CDRは抗体のCD45特定性(すなわち、Ab1に類似の特定性)を保持しながら、保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む。
【0254】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号(SEQ ID NO):5に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、抗体が配列番号1を一定HC可変ドメインを一定改変重鎖(HC)可変領域、または配列番号1の変異体を一定することができ、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号1と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号1と異なり、(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号1と異なり、および/または(iv)配列番号1と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸であってもよい。修飾重鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab1に類似の特定性)を保持するか、または別のAb1重鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。特定の実施形態では、抗体が配列番号5を一定LC可変ドメインを一定修飾軽鎖(LC)可変領域、または配列番号5の変異体を含み、変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号5と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号5と異なり、(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号5と異なり、および/または(iv)配列番号5と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。または非保存的アミノ酸置換;および改変軽鎖可変領域が抗体のCD45特定性(すなわち、Ab1に類似する特定性)を保持するか、または別のAb1軽鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0255】
Ab1のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体はFab、Fab'、(Fab')2、Fv)、scFv(単鎖Fv)、サロボディ(代理軽鎖構築物を含む)、単ドメイン抗体、ラクダ化抗体などを含むがこれらに限定されない、ヒトCD45に特異的に結合する全長抗体, バイスペシフィック抗体(bispecific antibody), 二重可変ドメイン抗体、多重鎖または単鎖抗体、および/または結合フラグメントの形成であり得る。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、またはIgMを含む、任意のアイソタイプのものであり得るか、または任意のアイソタイプに由来し得る。いくつかの実施形態では、抗45抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。
【0256】
いくつかの実施形態では、Ab1のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定常領域がヒトIgG1定常領域、ヒトIgG2定常領域、ヒトIgG3定常領域、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域が修飾された定常領域であってもよい。例示的な定常領域置換および/または修飾は本明細書に記載され、以下の位置: 234、235、265、および435(カバットによる欧州指数)のうちの1つ以上における置換を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Ab1のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が以下の置換: L234A、L235A、D265C、およびH435A(カバットによる欧州指数)の1つ以上を含むIgG1重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、Ab1のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、OH104、配列番号(SEQ ID NO):105またはOJ106に記載される重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗体が配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域を含む。
【0257】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体が配列番号9を一定HCドメインを一定改変重鎖(HC)領域、または配列番号9の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号9と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号9と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号9と異なり、および/または(iv)配列番号9と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変重鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab1に類似する特定性)を保持するか、または別のAb1重鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0258】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号10を一定LCドメインを一定改変軽鎖(LC)領域、または配列番号10の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号10と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号10と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号10と異なり、および/または(iv)配列番号10と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(i)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そしてここで、改変軽鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab1に類似する特定性)を保持するか、または別のAb1軽鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0259】
いくつかの実施形態では、Ab1のCDR領域および/または可変領域を含む抗体が本明細書に記載されるように、抗体-薬物コンジュゲートに組み込むことができる。さらに、Ab1のCDR領域および/または可変領域を含む抗体は例えば、被検者におけるCD45+細胞の枯渇のために、本明細書中に記載される方法において使用され得る。
Ab2
【0260】
抗体2(Ab2)はヒトCD45、シノCD45およびアカゲザルCD45と交差反応し、ヒトCD45の様々なアイソフォームと結合できる。
【0261】
抗CD45 Ab2の種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。例えば、表27に記載のCDRを含む、Ab2に基づく抗CD45抗体が含まれる。
【0262】
ある実施形態において、本発明は抗原結合領域(例えば、Ab2のものに対応するCDRおよび/または可変領域)を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。Ab2の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):11に示す(表27参照)。Ab2のVH CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):12(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):13(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):14(VH CDR3)に記載されている。Ab2の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):15に記載されている(表27参照)。Ab2のVL CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):16(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):17(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):18(VL CDR3)に記載されている。
【0263】
したがって、配列番号(SEQ ID NO):12に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):13に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、およびいくつかの実施形態では14に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;および/または配列番号(SEQ ID NO):16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):17に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):18に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書に提供される。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は本明細書に記載されるCDR(配列番号(SEQ ID NO):12~14および16~18)を含み、ここで、CDRは抗体のCD45特定性(すなわち、Ab2に類似の特定性)を保持しながら、保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む。
【0264】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号(SEQ ID NO):15に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、抗体が配列番号11を一定HC可変ドメインを一定改変重鎖(HC)可変領域、または配列番号11の変異体を一定することができ、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号11と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号11と異なり、(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号11と異なり、および/または(iv)配列番号11と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸であってもよい。修飾重鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab2に類似の特定性)を保持するか、または別のAb2重鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。特定の実施形態では、抗体が配列番号15を一定LC可変ドメインを一定修飾軽鎖(LC)可変領域、または配列番号15の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号15と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号15と異なり、(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号15と異なり、および/または(iv)配列番号15と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。または非保存的アミノ酸置換;および改変軽鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab2に類似する特定性)を保持するか、または別のAb2軽鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0265】
Ab2のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体はFab、Fab'、(Fab')2、Fv)、scFv(単鎖Fv)、サロボディ(代理軽鎖構築物を含む)、単ドメイン抗体、ラクダ化抗体などを含むがこれらに限定されない、ヒトCD45に特異的に結合する全長抗体, バイスペシフィック抗体(bispecific antibody), 二重可変ドメイン抗体、多重鎖または単鎖抗体、および/または結合フラグメントの形成であり得る。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、またはIgMを含む、任意のアイソタイプのものであり得るか、または任意のアイソタイプに由来し得る。いくつかの実施形態では、抗45抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。
【0266】
いくつかの実施形態では、Ab2のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定常領域がヒトIgG1定常領域、ヒトIgG2定常領域、ヒトIgG3定常領域、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域が修飾された定常領域であってもよい。例示的な定常領域置換および/または修飾は本明細書に記載され、以下の位置: 234、235、265、および435(カバットによる欧州指数)のうちの1つ以上における置換を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Ab2のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が以下の置換: L234A、L235A、D265C、およびH435A(カバットによる欧州指数)の1つ以上を含むIgG1重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、Ab2のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、OH104、配列番号(SEQ ID NO):105またはOJ106に記載される重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗体が配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域を含む。
【0267】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):19に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体が配列番号19を一定HCドメインを一定改変重鎖(HC)領域、または配列番号19の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号19と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号19と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号19と異なり、および/または(iv)配列番号19と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変重鎖領域が抗体のCD45特定性(すなわち、Ab2に類似する特定性)を保持するか、または別のAb2重鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0268】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):20に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号20を一定LCドメインを一定改変軽鎖(LC)領域、または配列番号20の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号20と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号20と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号20と異なり、および/または(iv)配列番号20と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(i)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または99であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そしてここで、改変軽鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab2に類似する特定性)を保持するか、または別のAb2軽鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0269】
いくつかの実施形態では、Ab2のCDR領域および/または可変領域を含む抗体が本明細書に記載されるように、抗体-薬物コンジュゲートに組み込むことができる。さらに、Ab2のCDR領域および/または可変領域を含む抗体は例えば、被検者におけるCD45+細胞の枯渇のために、本明細書中に記載される方法において使用され得る。
Ab3
【0270】
抗体3(Ab3)はヒトCD45、シノCD45およびアカゲザルCD45と交差反応し、ヒトCD45の様々なアイソフォームと結合できる。
【0271】
抗CD45 Ab3の種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。例えば、表27に記載のCDRを含む、Ab3に基づく抗CD45抗体が含まれる。
【0272】
ある実施形態において、Ab3のものに対応する抗原結合領域、例えばCDRおよび/または可変領域を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。Ab3の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):21に示す(表27参照)。Ab3のVH CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):22(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):23(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):24(VH CDR3)に記載されている。Ab3の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):25に記載されている(表27参照)。Ab3のVL CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):26(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):27(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):28(VL CDR3)に記載されている。
【0273】
したがって、配列番号(SEQ ID NO):22に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):23に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、およびいくつかの実施形態では24に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;および/または配列番号(SEQ ID NO):26に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):27に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):28に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書に提供される。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は本明細書に記載されるCDR(配列番号(SEQ ID NO):22~24および26~28)を含み、ここで、CDRは抗体のCD45特定性(すなわち、Ab3に類似の特定性)を保持しながら、保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む。
【0274】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):21に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号(SEQ ID NO):25に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、抗体が配列番号21を一定HC可変ドメインを一定改変重鎖(HC)可変領域、または配列番号21の変異体を一定することができ、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号21と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号21と異なり、(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号21と異なり、および/または(iv)配列番号21と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸であってもよい。修飾重鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab3に類似の特定性)を保持するか、または別のAb3重鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。特定の実施形態では、抗体が配列番号25を一定LC可変ドメインを一定修飾軽鎖(LC)可変領域、または配列番号25の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号25と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号25と異なり、(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号25と異なり、および/または(iv)配列番号25と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。または非保存的アミノ酸置換;および改変軽鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab3に類似する特定性)を保持するか、または別のAb3軽鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0275】
Ab3のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体はFab、Fab'、(Fab')2、Fv)、scFv(単鎖Fv)、サロボディ(代理軽鎖構築物を含む)、単ドメイン抗体、ラクダ化抗体などを含むがこれらに限定されない、ヒトCD45に特異的に結合する全長抗体, バイスペシフィック抗体(bispecific antibody), 二重可変ドメイン抗体、多重鎖または単鎖抗体、および/または結合フラグメントの形成であり得る。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、またはIgMを含む、任意のアイソタイプのものであり得るか、または任意のアイソタイプに由来し得る。いくつかの実施形態では、抗45抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。
【0276】
いくつかの実施形態では、Ab3のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定常領域がヒトIgG1定常領域、ヒトIgG2定常領域、ヒトIgG3定常領域、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域が修飾された定常領域であってもよい。例示的な定常領域置換および/または修飾は本明細書に記載され、以下の位置: 234、235、265、および435(カバットによる欧州指数)のうちの1つ以上における置換を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Ab3のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が以下の置換: L234A、L235A、D265C、およびH435A(カバットによる欧州指数)の1つ以上を含むIgG1重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、Ab3のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、OH104、配列番号(SEQ ID NO):105またはOJ106に記載される重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗体が配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域を含む。
【0277】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号29を一定HCドメインを一定改変重鎖(HC)領域、または配列番号29の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号29と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号29と異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号29と異なり、および/または(iv)配列番号29と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変重鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab3に類似する特定性)を保持するか、または別のAb3重鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0278】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):30に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号30を一定LCドメインを一定改変軽鎖(LC)領域、または配列番号30の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号30と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号30と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号30と異なり、および/または(iv)配列番号30と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(i)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そしてここで、改変軽鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab3に類似する特定性)を保持するか、または別のAb3軽鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0279】
いくつかの実施形態では、Ab3のCDR領域および/または可変領域を含む抗体が本明細書中に記載されるように、抗体-薬物コンジュゲートに組み込まれ得る。さらに、Ab3のCDR領域および/または可変領域を含む抗体は例えば、被検者におけるCD45+細胞の枯渇のために、本明細書中に記載される方法において使用され得る。
Ab4
【0280】
抗体4(Ab4)はヒトCD45、シノCD45およびアカゲザルCD45と交差反応し、ヒトCD45の様々なイソ型と結合できる。
【0281】
抗CD45 Ab4の種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。例えば、表27に記載のCDRを含む、Ab4に基づく抗CD45抗体が含まれる。
【0282】
ある実施形態において、本発明は抗原結合領域(例えば、Ab4のものに対応するCDRおよび/または可変領域)を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。Ab4の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):31に示す(表27参照)。Ab4のVH CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):32(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):33(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):34(VH CDR3)に記載されている。Ab4の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):35に記載されている(表27参照)。Ab4のVL CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):36(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):37(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):38(VL CDR3)に記載されている。
【0283】
したがって、配列番号(SEQ ID NO):32に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):33に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、およびいくつかの実施形態では34に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;および/または配列番号(SEQ ID NO):36に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):37に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):38に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書に提供される。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は本明細書に記載されるCDR(配列番号(SEQ ID NO):32~34および36~38)を含み、ここで、CDRは抗体のCD45特定性(すなわち、Ab4に類似の特定性)を保持しながら、保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む。
【0284】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):31に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号(SEQ ID NO):35に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、抗体が配列番号31を一定HC可変ドメインを一定修飾重鎖(HC)可変領域、または配列番号31の変異体を一定することができ、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号31と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号31と異なり、(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号31と異なり、および/または(iv)配列番号31と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)アミノ酸置換は保存的アミノ酸であってもよい。修飾重鎖可変領域が抗体のCD45特定性(すなわち、Ab4に類似の特定性)を保持するか、または別のAb4重鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。特定の実施形態では、抗体が配列番号35を一定LC可変ドメインを一定修飾軽鎖(LC)可変領域、または配列番号35の変異体を含み、変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号35と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号35と異なり、(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号35と異なり、および/または(iv)配列番号35と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。または非保存的アミノ酸置換;および改変軽鎖可変領域が抗体のCD45特定性(すなわち、Ab4に類似する特定性)を保持するか、または別のAb4軽鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0285】
Ab4のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体はFab、Fab'、(Fab')2、Fv)、scFv(単鎖Fv)、サロボディ(代理軽鎖構築物を含む)、単ドメイン抗体、ラクダ化抗体などを含むがこれらに限定されない、ヒトCD45に特異的に結合する全長抗体, バイスペシフィック抗体(bispecific antibody), 二重可変ドメイン抗体、多重鎖または単鎖抗体、および/または結合フラグメントの形成であり得る。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、またはIgMを含む、任意のアイソタイプのものであり得るか、または任意のアイソタイプに由来し得る。いくつかの実施形態では、抗45抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。
【0286】
いくつかの実施形態では、Ab4のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定常領域がヒトIgG1定常領域、ヒトIgG2定常領域、ヒトIgG3定常領域、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域が修飾された定常領域であってもよい。例示的な定常領域置換および/または修飾は本明細書に記載され、以下の位置: 234、235、265、および435(カバットによる欧州指数)のうちの1つ以上における置換を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Ab4のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が以下の置換: L234A、L235A、D265C、およびH435A(カバットによる欧州指数)の1つ以上を含むIgG1重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、Ab4のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、OH104、配列番号(SEQ ID NO):105またはOJ106に記載される重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗体が配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域を含む。
【0287】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):39に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号39を一定HCドメインを一定改変重鎖(HC)領域、または配列番号39の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号39と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号39と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号39と異なり、および/または(iv)配列番号39と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変重鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab4に類似する特定性)を保持するか、または別のAb4重鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0288】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):40に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号40を一定LCドメインを一定改変軽鎖(LC)領域、または配列番号40の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号40と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号40と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号40と異なり、および/または(iv)配列番号40と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そしてここで、改変軽鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab4に類似する特定性)を保持するか、または別のAb4軽鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0289】
いくつかの実施形態では、Ab4のCDR領域および/または可変領域を含む抗体が本明細書中に記載されるように、抗体-薬物コンジュゲートに組み込まれ得る。さらに、Ab4のCDR領域および/または可変領域を含む抗体は例えば、被検者におけるCD45+細胞の枯渇のために、本明細書中に記載される方法において使用され得る。
Ab5
【0290】
抗体5(Ab5)はヒトCD45、シノCD45およびアカゲザルCD45と交差反応し、ヒトCD45の様々なアイソフォームと結合することができる。
【0291】
抗CD45 Ab5の種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。例えば、表27に記載のCDRを含む、Ab5に基づく抗CD45抗体が含まれる。
【0292】
ある実施形態において、本発明は抗原結合領域(例えば、Ab5のものに対応するCDRおよび/または可変領域)を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。Ab5の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):41に示す(表27参照)。Ab5のVH CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):42(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):43(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):44(VH CDR3)に記載されている。Ab5の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):45に記載されている(表27参照)。Ab5のVL CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):46(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):47(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):48(VL CDR3)に記載されている。
【0293】
したがって、配列番号(SEQ ID NO):42に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):43に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、およびいくつかの実施形態では44に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;および/または配列番号(SEQ ID NO):46に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):47に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):48に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書に提供される。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は本明細書に記載されるCDR(配列番号(SEQ ID NO):42~44および46~48)を含み、ここで、CDRは抗体のCD45特定性(すなわち、Ab5に類似の特定性)を保持しながら、保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む。
【0294】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号(SEQ ID NO):45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、抗体が配列番号41を一定HC可変ドメインを一定改変重鎖(HC)可変領域、または配列番号41の変異体を一定することができ、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号41と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号41と異なり、(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号41と異なり、および/または(iv)配列番号41と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸であってもよい。修飾重鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab5に類似の特定性)を保持するか、または別のAb5重鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。特定の実施形態では、抗体が配列番号45を一定LC可変ドメインを一定修飾軽鎖(LC)可変領域、または配列番号45の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号45と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号45と異なり、(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号45と異なり、および/または(iv)配列番号45と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。または非保存的アミノ酸置換;および改変軽鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab5に類似する特定性)を保持するか、または別のAb5軽鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0295】
Ab5のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体はFab、Fab'、(Fab')2、Fv)、scFv(単鎖Fv)、サロボディ(代理軽鎖構築物を含む)、単ドメイン抗体、ラクダ化抗体などを含むがこれらに限定されない、ヒトCD45に特異的に結合する全長抗体, バイスペシフィック抗体(bispecific antibody), 二重可変ドメイン抗体、多重鎖または単鎖抗体、および/または結合フラグメントの形成であり得る。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、またはIgMを含む、任意のアイソタイプのものであり得るか、または任意のアイソタイプに由来し得る。いくつかの実施形態では、抗45抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。
【0296】
いくつかの実施形態では、Ab5のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定常領域がヒトIgG1定常領域、ヒトIgG2定常領域、ヒトIgG3定常領域、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域が修飾された定常領域であってもよい。例示的な定常領域置換および/または修飾は本明細書に記載され、以下の位置: 234、235、265、および435(カバットによる欧州指数)のうちの1つ以上における置換を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Ab5のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が以下の置換: L234A、L235A、D265C、およびH435A(カバットによる欧州指数)の1つ以上を含むIgG1重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、Ab5のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、OH104、配列番号(SEQ ID NO):105または配列番号(SEQ ID NO):106に記載される重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗体が配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域を含む。
【0297】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):49に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号49を一定HCドメインを一定改変重鎖(HC)領域、または配列番号9の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号49と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号49と異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号49と異なり、および/または(iv)配列番号49と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変重鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab5に類似する特定性)を保持するか、または別のAb5重鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0298】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):50に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号50を一定LCドメインを一定改変軽鎖(LC)領域、または配列番号50の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号50と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号50と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号50と異なり、および/または(iv)配列番号50と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そしてここで、改変軽鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab5に類似する特定性)を保持するか、または別のAb5軽鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0299】
いくつかの実施形態では、Ab5のCDR領域および/または可変領域を含む抗体が本明細書に記載されるように、抗体-薬物コンジュゲートに組み込むことができる。さらに、Ab5のCDR領域および/または可変領域を含む抗体は例えば、被検者におけるCD45+細胞の枯渇のために、本明細書中に記載される方法において使用され得る。
Ab6
【0300】
抗体6(Ab6)はヒトCD45、シノCD45およびアカゲザルCD45と交差反応し、ヒトCD45の様々なアイソフォームと結合できる。
【0301】
抗CD45 Ab6の種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。例えば、表27に記載のCDRを含む、Ab6に基づく抗CD45抗体が含まれる。
【0302】
ある実施形態において、Ab6のものに対応する抗原結合領域、例えばCDRおよび/または可変領域を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。Ab6の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):51に示す(表27参照)。Ab6のVH CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):52(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):53(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):54(VH CDR3)に記載されている。Ab6の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):55に記載されている(表27参照)。Ab6のVL CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):56(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):57(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):58(VL CDR3)に記載されている。
【0303】
したがって、配列番号(SEQ ID NO):52に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):53に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、およびいくつかの実施形態では54に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;および/または配列番号(SEQ ID NO):56に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):57に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):58に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書に提供される。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は本明細書に記載されるCDR(配列番号(SEQ ID NO):52~54および56~58)を含み、ここで、CDRは抗体のCD45特定性(すなわち、Ab6に類似の特定性)を保持しながら、保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む。
【0304】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):51に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号(SEQ ID NO):55に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、抗体が配列番号51を一定HC可変ドメインを一定改変重鎖(HC)可変領域、または配列番号51の変異体を一定することができ、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号51と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号51と異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号51と異なり、および/または(iv)配列番号51と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸であってもよい。修飾重鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab6に類似の特定性)を保持するか、または別のAb6重鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。特定の実施形態では、抗体が配列番号55を一定LC可変ドメインを一定修飾軽鎖(LC)可変領域、または配列番号55の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号55と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号55と異なり、(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号55と異なり、および/または(iv)配列番号55と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。または非保存的アミノ酸置換;そして改変軽鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab6に類似する特定性)を保持するか、または別のAb6軽鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0305】
Ab6のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体はFab、Fab'、(Fab')2、Fv)、scFv(単鎖Fv)、サロボディ(代理軽鎖構築物を含む)、単ドメイン抗体、ラクダ化抗体などを含むがこれらに限定されない、ヒトCD45に特異的に結合する全長抗体, バイスペシフィック抗体(bispecific antibody), 二重可変ドメイン抗体、多重鎖または単鎖抗体、および/または結合フラグメントの形成であり得る。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、またはIgMを含む、任意のアイソタイプのものであり得るか、または任意のアイソタイプに由来し得る。いくつかの実施形態では、抗45抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。
【0306】
いくつかの実施形態では、Ab6のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定常領域がヒトIgG1定常領域、ヒトIgG2定常領域、ヒトIgG3定常領域、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域が修飾された定常領域であってもよい。例示的な定常領域置換および/または修飾は本明細書に記載され、以下の位置: 234、235、265、および435(カバットによる欧州指数)のうちの1つ以上における置換を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Ab6のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が以下の置換: L234A、L235A、D265C、およびH435A(カバットによる欧州指数)の1つ以上を含むIgG1重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、Ab6のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、OH104、配列番号(SEQ ID NO):105または配列番号(SEQ ID NO):106に記載される重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗体が配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域を含む。
【0307】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):59に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体が配列番号59を一定HCドメインを一定改変重鎖(HC)領域、または配列番号59の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号59と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号59と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号59と異なり、および/または(iv)配列番号59と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変重鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab6に類似する特定性)を保持するか、または別のAb6重鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0308】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):60に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号60を一定LCドメインを一定改変軽鎖(LC)領域、または配列番号60の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号60と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号60と異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号60と異なり、および/または(iv)配列番号60と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(i)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そしてここで、改変軽鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab6に類似する特定性)を保持するか、または別のAb6軽鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0309】
いくつかの実施形態では、Ab6のCDR領域および/または可変領域を含む抗体が本明細書中に記載されるように、抗体-薬物コンジュゲートに組み込まれ得る。さらに、Ab6のCDR領域および/または可変領域を含む抗体は例えば、被検者におけるCD45+細胞の枯渇のために、本明細書中に記載される方法において使用され得る。
Ab7
【0310】
抗体7(Ab7)はヒトCD45、シノCD45およびアカゲザルCD45と交差反応し、ヒトCD45の様々なアイソフォームと結合することができる。
【0311】
抗CD45 Ab7の種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。例えば、表27に記載のCDRを含む、Ab7に基づく抗CD45抗体が含まれる。
【0312】
ある実施形態において、Ab7のものに対応する抗原結合領域、例えばCDRおよび/または可変領域を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。Ab7の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):61に示す(表27参照)。Ab7のVH CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):62(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):63(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):64(VH CDR3)に記載されている。Ab7の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):65に記載されている(表27参照)。Ab7のVL CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):66(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):67(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):68(VL CDR3)に記載されている。
【0313】
したがって、配列番号(SEQ ID NO):62に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):63に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、およびいくつかの実施形態では64に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;および/または配列番号(SEQ ID NO):66に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):67に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):68に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書に提供される。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は本明細書に記載されるCDR(配列番号(SEQ ID NO):62~64および66~68)を含み、ここで、CDRは抗体のCD45特定性(すなわち、Ab7に類似の特定性)を保持しながら、保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む。
【0314】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):61に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号(SEQ ID NO):65に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、抗体が配列番号61を一定HC可変ドメインを一定改変重鎖(HC)可変領域、または配列番号61の変異体を一定することができ、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号61と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号61と異なり、(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号61と異なり、および/または(iv)配列番号61と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸であってもよい。修飾重鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab7に類似の特定性)を保持するか、または別のAb7重鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。特定の実施形態では、抗体が配列番号65を一定LC可変ドメインを一定修飾軽鎖(LC)可変領域、または配列番号65の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号65と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号65と異なり、(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号65と異なり、および/または(iv)配列番号65と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。または非保存的アミノ酸置換;そして改変軽鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab7に類似する特定性)を保持するか、または別のAb7軽鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0315】
Ab7のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体はFab、Fab'、(Fab')2、Fv)、scFv(単鎖Fv)、サロボディ(代理軽鎖構築物を含む)、単ドメイン抗体、ラクダ化抗体などを含むがこれらに限定されない、ヒトCD45に特異的に結合する全長抗体, バイスペシフィック抗体(bispecific antibody), 二重可変ドメイン抗体、多重鎖または単鎖抗体、および/または結合フラグメントの形成であり得る。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、またはIgMを含む、任意のアイソタイプのものであり得るか、または任意のアイソタイプに由来し得る。いくつかの実施形態では、抗45抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。
【0316】
いくつかの実施形態では、Ab7のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定常領域がヒトIgG1定常領域、ヒトIgG2定常領域、ヒトIgG3定常領域、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域が修飾された定常領域であってもよい。例示的な定常領域置換および/または修飾は本明細書に記載され、以下の位置: 234、235、265、および435(カバットによる欧州指数)のうちの1つ以上における置換を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Ab7のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が以下の置換: L234A、L235A、D265C、およびH435A(カバットによる欧州指数)の1つ以上を含むIgG1重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、Ab7のCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、OH104、配列番号(SEQ ID NO):105またはOJ106に記載される重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗体が配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域を含む。
【0317】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):69に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体が配列番号69を一定HCドメインを一定改変重鎖(HC)領域、または配列番号69の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号69と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号69と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号69と異なり、および/または(iv)配列番号69と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変重鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab7に類似する特定性)を保持するか、または別のAb7重鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0318】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):70に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号70を一定LCドメインを一定改変軽鎖(LC)領域、または配列番号70の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号70と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号70と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号70と異なり、および/または(iv)配列番号70と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そしてここで、改変軽鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、Ab7に類似する特定性)を保持するか、または別のAb7軽鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0319】
いくつかの実施形態では、Ab7のCDR領域および/または可変領域を含む抗体が本明細書中に記載されるように、抗体-薬物コンジュゲートに組み込まれ得る。さらに、Ab7のCDR領域および/または可変領域を含む抗体は例えば、被検者におけるCD45+細胞の枯渇のために、本明細書中に記載される方法において使用され得る。
AbA
【0320】
抗体A(AbA)はヒトCD45、シノCD45およびアカゲザルCD45と交差反応し、ヒトCD45の様々なアイソフォームと結合できる。
【0321】
抗CD45 AbAの種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。例えば、表27に記載のCDRを含む、AbAに基づく抗CD45抗体が含まれる。
【0322】
ある実施形態において、抗原結合領域、例えば、AbAのものに対応するCDRおよび/または可変領域を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。AbAの重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):71に示す(表27参照)。AbAのVH CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):72(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):73(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):74(VH CDR3)に記載されている。AbAの軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):75に記載されている(表27参照)。AbAのVL CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):76(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):77(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):78(VL CDR3)に記載されている。
【0323】
したがって、配列番号(SEQ ID NO):72に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):73に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、およびいくつかの実施形態では74に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;および/または配列番号(SEQ ID NO):76に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):77に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):78に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書に提供される。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は本明細書に記載されるCDR(配列番号(SEQ ID NO):72~74および76~78)を含み、ここで、CDRは抗体のCD45特定性(すなわち、AbAに類似の特定性)を保持しながら、保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む。
【0324】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):71に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号(SEQ ID NO):75に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、抗体が配列番号71を一定HC可変ドメインを一定改変重鎖(HC)可変領域、または配列番号71の変異体を一定することができ、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号71と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号71と異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号71と異なり、および/または(iv)配列番号71と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸であってもよい。修飾重鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbAに類似の特定性)を保持するか、または別のAbA重鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。特定の実施形態では、抗体が配列番号75を一定LC可変ドメインを一定修飾軽鎖(LC)可変領域、または配列番号75の変異体を含み、変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号75と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号75と異なり、(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号75と異なり、および/または(iv)配列番号75と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。または非保存的アミノ酸置換;そして改変軽鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbAに類似する特定性)を保持するか、または別のAbA軽鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0325】
AbAのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体はFab、Fab'、(Fab')2、Fv)、scFv(一本鎖Fv)、サロボディ(代理軽鎖構築物を含む)、一本ドメイン抗体、ラクダ化抗体などを含むがこれらに限定されない、ヒトCD45に特異的に結合する、全長抗体, バイスペシフィック抗体(bispecific antibody), 二重可変ドメイン抗体、複数本鎖または一本鎖抗体、および/または結合フラグメントの形成であり得る。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、またはIgMを含む、任意のアイソタイプのものであり得るか、または任意のアイソタイプに由来し得る。いくつかの実施形態では、抗45抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。
【0326】
いくつかの実施形態では、AbAのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定常領域がヒトIgG1定常領域、ヒトIgG2定常領域、ヒトIgG3定常領域、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域が修飾された定常領域であってもよい。例示的な定常領域置換および/または修飾は本明細書に記載され、以下の位置: 234、235、265、および435(カバットによる欧州指数)のうちの1つ以上における置換を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、AbAのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が以下の置換: L234A、L235A、D265C、およびH435A(カバットによる欧州指数)の1つ以上を含むIgG1重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、AbAのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、OH104、配列番号(SEQ ID NO):105またはOJ106に記載される重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗体が配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域を含む。
【0327】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):79に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号79を一定HCドメインを一定改変重鎖(HC)領域、または配列番号79の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号79と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号79と異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号79と異なり、および/または(iv)配列番号79と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変重鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbAに類似する特定性)を保持するか、または別のAbA重鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0328】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):80に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号80を一定LCドメインを一定改変軽鎖(LC)領域、または配列番号80の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号80と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号80と異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号80と異なり;および/または(iv)配列番号80と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変軽鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbAに類似する特定性)を保持するか、または別のAbA軽鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0329】
いくつかの実施形態では、AbAのCDR領域および/または可変領域を含む抗体が本明細書中に記載されるように、抗体-薬物コンジュゲートに組み込まれ得る。さらに、AbAのCDR領域および/または可変領域を含む抗体は例えば、被検者におけるCD45+細胞の枯渇のために、本明細書中に記載される方法において使用され得る。
AbB
【0330】
抗体B(AbB)はヒトCD45、シノCD45およびアカゲザルCD45と交差反応し、ヒトCD45の様々なアイソフォームと結合できる。
【0331】
抗CD45 AbBの種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。例えば、表27に記載されるようなCDRを含む、AbBに基づく抗CD45抗体が含まれる。
【0332】
ある実施形態において、抗体Bのものに対応する抗原結合領域(例えば、CDRおよび/または可変領域)を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。AbBの重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):81に示す(表27参照)。AbBのVH CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):82(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):83(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):84(VH CDR3)に記載されている。AbBの軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):85に記載されている(表27参照)。AbBのVL CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):86(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):87(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):88(VL CDR3)に記載されている。
【0333】
したがって、配列番号(SEQ ID NO):82に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):83に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、およびいくつかの実施形態では84に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;および/または配列番号(SEQ ID NO):86に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):87に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):88に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書に提供される。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は本明細書に記載されるCDR(配列番号(SEQ ID NO):82~84および86~88)を含み、ここで、CDRは抗体のCD45特定性(すなわち、AbBに類似する特定性)を保持しながら、保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む。
【0334】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):81に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号(SEQ ID NO):85に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、抗体が配列番号81を一定HC可変ドメインを一定改変重鎖(HC)可変領域、または配列番号81の変異体を一定することができ、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号81と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号81と異なり、(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号81と異なり、および/または(iv)配列番号81と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸であってもよい。修飾重鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbBに類似の特定性)を保持するか、または別のAbB重鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。特定の実施形態では、抗体が配列番号85を一定LC可変ドメインを一定修飾軽鎖(LC)可変領域、または配列番号85の変異体を含み、変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号85と異なり、(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号85と異なり、(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号85と異なり、および/または(iv)配列番号85と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。または非保存的アミノ酸置換;そして改変軽鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbBに類似する特定性)を保持するか、または別のAbB軽鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0335】
AbBのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体はFab、Fab'、(Fab')2、Fv)、scFv(単鎖Fv)、サロボディ(代理軽鎖構築物を含む)、単ドメイン抗体、ラクダ化抗体などを含むがこれらに限定されない、ヒトCD45に特異的に結合する全長抗体, バイスペシフィック抗体(bispecific antibody), 二重可変ドメイン抗体、多重鎖または単鎖抗体、および/または結合フラグメントの形成であり得る。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、またはIgMを含む、任意のアイソタイプのものであり得るか、または任意のアイソタイプに由来し得る。いくつかの実施形態では、抗45抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。
【0336】
いくつかの実施形態では、AbBのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定常領域がヒトIgG1定常領域、ヒトIgG2定常領域、ヒトIgG3定常領域、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域が修飾された定常領域であってもよい。例示的な定常領域置換および/または修飾は本明細書に記載され、以下の位置: 234、235、265、および435(カバットによる欧州指数)のうちの1つ以上における置換を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、AbBのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が以下の置換: L234A、L235A、D265C、およびH435A(カバットによる欧州指数)の1つ以上を含むIgG1重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、AbBのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、OH104、配列番号(SEQ ID NO):105または配列番号(SEQ ID NO):106に記載される重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗体が配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域を含む。
【0337】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):89に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号89を一定HCドメインを一定改変重鎖(HC)領域、または配列番号89の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号89と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号89と異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号89と異なり、および/または(iv)配列番号89と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変重鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbBに類似する特定性)を保持するか、または別のAbB重鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0338】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):90に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号90を一定LCドメインを一定改変軽鎖(LC)領域、または配列番号90の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号90と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号90と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号90と異なり、および/または(iv)配列番号90と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(i)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そしてここで、改変軽鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbBに類似する特定性)を保持するか、または別のAbB軽鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0339】
いくつかの実施形態では、AbBのCDR領域および/または可変領域を含む抗体が本明細書に記載されるように、抗体-薬物コンジュゲートに組み込むことができる。さらに、AbBのCDR領域および/または可変領域を含む抗体は例えば、被検者におけるCD45+細胞の枯渇のために、本明細書に記載される方法において使用され得る。
AbC
【0340】
抗体C(AbC)はヒトCD45、シノCD45およびアカゲザルCD45と交差反応し、ヒトCD45の種々のイソ型と結合できる。
【0341】
抗CD45 AbCの種々の結合領域のアミノ酸配列を表27に記載する。例えば、表27に記載のCDRを含む、AbCに基づく抗CD45抗体が含まれる。
【0342】
ある実施形態において、抗原結合領域、例えば、AbCのものに対応するCDRおよび/または可変領域を含む抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。AbCの重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):91に示す(表27参照)。AbCのVH CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):92(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):93(VH CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):94(VH CDR3)に記載されている。AbCの軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):95に記載されている(表27参照)。AbCのVL CDRドメインアミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO):96(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):97(VL CDR2)および配列番号(SEQ ID NO):98(VL CDR3)に記載されている。
【0343】
したがって、配列番号(SEQ ID NO):92に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):93に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、およびいくつかの実施形態では94に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;および/または配列番号(SEQ ID NO):96に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):97に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):98に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインが本明細書に提供される。ある特定の実施形態に、抗CD45抗体は本明細書に記載されるCDR(配列番号(SEQ ID NO):92~94および96~98)を含み、ここで、CDRは抗体のCD45特定性(すなわち、AbCに類似の特定性)を保持しながら、保存的アミノ酸置換(または2、3、4、または5アミノ酸置換)を含む。
【0344】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):991に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号(SEQ ID NO):95に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗CD45抗体またはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、抗体が配列番号91を一定HC可変ドメインを一定改変重鎖(HC)可変領域、または配列番号91の変異体を一定することができ、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号91と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号91と異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号91と異なり、および/または(iv)配列番号91と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸であってもよい。修飾重鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbCに類似の特定性)を保持するか、または別のAbC重鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。特定の実施形態では、抗体が配列番号95を一定LC可変ドメインを一定修飾軽鎖(LC)可変領域、または配列番号95の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号95と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号95と異なり;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5または3-5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号95と異なり、および/または(iv)配列番号95と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)-(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。または非保存的アミノ酸置換;そして改変軽鎖可変領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbCに類似する特定性)を保持するか、または別のAbC軽鎖可変領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0345】
AbCのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体はFab、Fab'、(Fab')2、Fv)、scFv(単鎖Fv)、サロボディ(代理軽鎖構築物を含む)、単ドメイン抗体、ラクダ化抗体などを含むがこれらに限定されない、ヒトCD45に特異的に結合する全長抗体, バイスペシフィック抗体(bispecific antibody), 二重可変ドメイン抗体、多重鎖または単鎖抗体、および/または結合フラグメントの形成であり得る。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、またはIgMを含む、任意のアイソタイプのものであり得るか、または任意のアイソタイプに由来し得る。いくつかの実施形態では、抗45抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)である。
【0346】
いくつかの実施形態では、AbCのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、定常領域がヒトIgG1定常領域、ヒトIgG2定常領域、ヒトIgG3定常領域、またはヒトIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域が修飾された定常領域であってもよい。例示的な定常領域置換および/または修飾は本明細書に記載され、以下の位置: 234、235、265、および435(カバットによる欧州指数)のうちの1つ以上における置換を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、AbCのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が以下の置換: L234A、L235A、D265C、およびH435A(カバットによる欧州指数)の1つ以上を含むIgG1重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、AbCのCDRおよび/または可変領域配列を含む抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、OH104、配列番号(SEQ ID NO):105またはOJ106に記載される重鎖定常領域をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、抗体が配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域を含む。
【0347】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):99に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号99を一定HCドメインを一定改変重鎖(HC)領域、または配列番号99の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号99と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号99と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号99と異なり、および/または(iv)配列番号99と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(iv)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そして改変重鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbCに類似する特定性)を保持するか、または別のAbC重鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0348】
ある特定の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):100に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態において、抗体は配列番号100を一定LCドメインを一定改変軽鎖(LC)領域、または配列番号100の変異体を含み、この変異体は(i)1、2、3、4または5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号100と異なり;(ii)多くとも5、4、3、2または1アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号100と異なり;(iii)1~5、1~3、1~2、2~5または3~5アミノ酸の置換、付加または欠失において配列番号100と異なり、および/または(iv)配列番号100と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、(i)~(iv)のいずれかにおいて、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換または(iv)であってもよい。非保存的アミノ酸置換;そしてここで、改変軽鎖領域は抗体のCD45特定性(すなわち、AbCに類似する特定性)を保持するか、または別のAbC軽鎖領域のそれと比較して増強された生物学的活性を有する。
【0349】
いくつかの実施形態では、AbCのCDR領域および/または可変領域を含む抗体が本明細書に記載されるように、抗体-薬物コンジュゲートに組み込むことができる。さらに、AbCのCDR領域および/または可変領域を含む抗体は例えば、被検者におけるCD45+細胞の枯渇のために、本明細書に記載される方法において使用され得る。
【コンセンサスCDR】
【0350】
Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6およびAb7のCDRのアミノ酸配列の比較を
図32に示す。これらの抗体はヒトCD45上の同じエピトープに結合し、それらのCDR領域において一定のコンセンサス残渣を共有する。コンセンサス重鎖アミノ酸CDR配列は配列番号(SEQ ID NO):119、配列番号(SEQ ID NO):120、および配列番号(SEQ ID NO):121に提示され、コンセンサス軽鎖アミノ酸CDR配列は配列番号(SEQ ID NO):122、配列番号(SEQ ID NO):123、および配列番号(SEQ ID NO):124に提示される。
【0351】
従って、いくつかの実施形態では、本発明が配列番号(SEQ ID NO):119に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO):120に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号(SEQ ID NO):121に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;ならびに配列番号(SEQ ID NO):122に記載のアミノ酸配列を含むCDR1抗原結合部分、配列番号(SEQ ID NO):123に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン;および配列番号(SEQ ID NO):124に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを含む抗体を含む、単離された抗CD45軽鎖可変領域またはそのドメインを提供する。前記の抗体は、いくつかの実施形態では重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域をさらに含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、前記の抗体が配列番号(SEQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO):103、配列番号(SEQ ID NO):104、配列番号(SEQ ID NO):105、または配列番号(SEQ ID NO):106、および/または配列番号(SEQ ID NO):101に記載される軽鎖定常領域のうちのいずれか1つに記載されるものから選択される重鎖定常領域をさらに含むことができる。
【Fc-Modified抗体】
【0352】
CD45に結合することができ、Fcサイレンシングを可能にするFc修飾を有する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で意図され、このような抗体またはその抗原結合フラグメントは、それを必要とする患者においてCD45を発現する細胞を枯渇させるための治療薬剤単独またはADCとして使用することができる。例えば、本明細書中で意図されるいくつかの実施形態ではそのような抗体、またはその抗原結合フラグメントはHSCおよび白血球を含む特定の細胞型を枯渇させるために使用され得る。従って、ある特定の実施形態に、本明細書において意図される抗体またはその抗原結合フラグメントは、HSC移植のために被験体を状態患者するために使用され得る。本明細書中で意図されるいくつかの実施形態では、抗体、またはそれらの抗原結合フラグメントは例えば、患者中のHSCおよび白血球を枯渇させ、そしてHSC移植物を患者に投与することによって、患者の免疫システムを再設定するために使用され得る。本明細書中で意図されるいくつかの実施形態では抗体、またはそれらの抗原結合フラグメントは疾患を引き起こすCD45+細胞を患者から排除することによって、CD45陽性細胞に関連する疾患(がんおよび自己免疫疾患を含むが、これらに限定されない)を処置するために使用され得る。
【0353】
例えば、本明細書中で意図されるのは、造血幹細胞(例えば、CD45)によって発現される抗原に結合し得、そしてFcサイレンシングを可能にするFc改変を有する抗体またはその抗原結合フラグメントであり、ここで、このような抗体またはその抗原結合フラグメントは(i)CD45+造血幹細胞によって特徴付けられるがんおよび自己免疫疾患を処置するために;そして(ii)移植治療を必要とする患者において、移植された造血幹細胞の生着を促進するために、治療薬剤として単独でまたはADCとして使用され得る。これらの治療活性は例えば、抗体死を誘導するがん細胞、自己免疫細胞、または造血幹細胞などの造血細胞(例えば、造血幹細胞または成熟免疫細胞(例えば、T細胞))によって発現されることに結合する抗CD45細胞、またはその抗原結合フラグメントの結合によって引き起こされ得る。内因性の造血幹細胞の欠乏は移植された造血幹細胞が帰宅できるニッチを提供し、続いて増殖性造血を確立することができる。このようにして、移植された造血幹細胞は、本明細書中に記載される幹細胞障害を患うヒト患者のような患者に首尾よく移植され得る。本明細書において意図されるFc修飾抗体およびADCは、内因性の造血幹細胞の選択的枯渇を可能にするだけでなく、外因性造血幹細胞移植に対する細胞毒性効果を減少させ、それによって造血幹細胞移植片の生着をさらに促進する。
【0354】
本明細書中に記載される抗体または結合フラグメントはまた、抗体および/またはフラグメントの特性を変化させる改変および/または変異(例えば、半減期を増加または減少させるか、またはADCCを増加または減少させるもの)を含み得る。ある実施形態に、1つ以上の放射性標識アミノ酸を含む抗体が提供される。放射性標識された抗体は、診断および治療の両方の目的のために使用され得る(放射性標識された分子への結合が別のあり得る特徴)。ポリペプチドの標識の非限定的な例としては3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、および125I、131I、および186Reが挙げられるが、これらに限定されない。放射性標識アミノ酸および関連ペプチド誘導体を調製するための方法は当該分野で公知である(例えば、Junghansら、inがんChemotherapy and Biotherapy 655-686(2d版、ChafnerおよびLongo編、Lippincott Raven(1996))および米国特許を参照のこと)。米国特許第4,681,581号。米国特許第4,735,210号。米国特許第5,101,827号。米国特許第5,102,990号(US RE35,500)。No.5,648,471および米国特許。有しない. 5,697,902.例えば、放射性同位体は、クロラミンT方法によって結合され得る。
【0355】
ある実施形態において、抗CD45抗体またはその結合フラグメントは修飾Fc領域を含み、ここで、前記修飾Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、その結果、前記分子は、FcγR(FcγR)に対する改変された親和性またはFcγRへの結合を有する。Fc領域内の特定のアミノ酸位置は、FcγRと直接接する結晶学的研究によって知られている。具体的には、アミノ酸234~239(ヒンジ領域)、アミノ酸265~269(B/Cループ)、アミノ酸297~299(C'/Eループ)、およびアミノ酸327~332(F/G)ループである。(Sondermann et al、2000 Nature、406: 267-273参照)。本明細書中に記載される抗体は、構造的および結晶学的解析に基づいて、FcγRと直接的に接触する少なくとも1つの残渣の修飾を含むバリアントFc領域を含み得る。ある実施形態に、抗CD45抗体(またはそのフラグメント)のFc領域はKabatら、Sequences ofタンパク質of Immunological Interest、5th EdPublic Health Service、NH1、MD(1991)(参照により本明細書に明確に組み込まれる)におけるように、アミノ酸265でのアミノ酸置換を含む。「カバットにおけるようなEU指数」は、ヒトIgG1 EU抗体の番号付けを指す。ある実施形態に、Fc領域はD265A変異を含む。ある実施形態に、Fc領域はD265C変異を含む。いくつかの実施形態では、本抗体のFc領域(またはそのフラグメント)がカバットにおけるように、欧州連合指数によるアミノ酸234でのアミノ酸置換を含む。
【0356】
ある実施形態において、Fc領域は、D265、V205、H435、I253、および/またはH310のアミノ酸位置に変異を含む。例えば、これらの位置における特異的突然変異には、D265C、V205C、H435A、I253A、および/またはH310Aが含まれる。
【0357】
ある実施形態において、Fc領域はL234A変異を含む。いくつかの実施形態では、抗CD45抗体(またはそのフラグメント)のFc領域がカバットにおけるような欧州指数によるアミノ酸235でのアミノ酸置換を含む。ある実施形態に、Fc領域はL235A変異を含む。さらに別の実施形態では、Fc領域がL234AおよびL235A変異を含む。更なる実施形態において、Fc領域は、D265C、L234A、およびL235A変異を含む。さらに更なる実施形態において、Fc領域は、D265C、L234A、L235A、およびH435A変異を含む。更なる実施形態において、Fc領域は、D265CおよびH435A変異を含む。
【0358】
いくつかの実施形態では、本明細書中の抗CD45抗体が以下の改変または改変の組み合わせのうちの1つを含むFc領域を含む: D265A、D265C、D265C / H435A、D265C / LA、D265C/LA/LA / H435A、D265C / N297G、D265C / N297G / H435A、D265C(IgG2*)、D265C(IgG2)/ H435A、D265C / N297Q / H435A、D265C / N297Q、D265C / N297Q、EPLVLAdelG / H435A、N297A、N297G、またはN297Q(Kabatによる欧州連合指数)。
【0359】
改変Fc領域とFcγレセプターとの間の結合または親和性は当技術分野で公知の種々の技術、例えば、平衡方法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA); KinExA、Rathanaswamiら)を用いて決定することができるが、これらに限定されない。Analytical Biochemistry、Vol.373:52-60, 2008年、または表面プラズモン共鳴アッセイもしくは動態に基づくアッセイの他のメカニズム(例えば、BIACORE(登録商標)解析またはOctet TM解析(forteBIO))、および間接結合アッセイ、競合結合アッセイ、蛍光共鳴エネルギ移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィ(例えば、ゲルろ過)などの他の方法。これらおよび他の方法は、試験される1つ以上の構成要素上の標識を利用し得、そして/または色素産生標識、蛍光標識、発光標識、または同位体標識を含むがこれらに限定されない種々の検知方法を利用し得る。結合親和性および動力学の詳細な明細書はPaul、WE、ed、Fundamental Immunology,4th Ed、Lippincott-Raven、Philadelphia(1999)に見出され得、これは抗体-免疫原相互作用に焦点を当てる。競合結合アッセイの一例は、増大する量の非標識抗原の存在下での標識抗原と目的の抗体とのインキュベーション、および標識抗原に結合した抗体の検出を含むラジオイムノアッセイである。特定の抗原および結合オフレート(off-rate)に対する関心の抗体の親和性は、スキャッチャードプロット解析によるデーターから決定され得る。第2の抗体との競合はまた、ラジオイムノアッセイを使用して決定され得る。このケースでは、標識されていない第2の抗体の量を増加させながら、標識された化合物に結合された関心の抗体とインキュベートする。
【0360】
ある実施形態において、本明細書に記載のFc修飾(例えば、D265C、L234A、L235A、および/またはH435A)を有する抗体はFcガンマレセプターへの未修飾Fc領域を含む同一抗体の結合と比較して、Fcガンマレセプターへの結合において、少なくとも70%の減少、少なくとも80%の減少、少なくとも90%の減少、少なくとも95%の減少、少なくとも98%の減少、少なくとも99%の減少、または約100%の減少を有する(例えば、生体層干渉法(BLI)によって評価される)。
【0361】
FcγレセプターとのFc領域結合相互作用は抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity)(CDC)を含むが、これらに限定されない、様々なエフェクター機能および下流シグナル伝達事象に必須である。従って、特定の局面において、改変されたFc領域を含む抗体(例えば、L234A、L235A、および/またはD265C変異を含む)は、実質的に減少したかまたは消失したエフェクター機能を有する。エフェクター機能は当該分野で公知の種々の方法を使用して(例えば、関心の抗体に対する細胞応答(例えば、マスト細胞脱顆粒またはサイトカイン放出)を測定することによって)アッセイされ得る。例えば、当技術分野で通常の方法を使用して、Fc修飾抗体を、例えばヒト末梢血単核細胞によって、サイトカイン放出を誘発するそれらの能力において、またはそれらの能力についてアッセイすることができる。
【0362】
したがって、ある実施形態で、Fc領域は(例えば、未変性のFc領域を有する抗体と比較して)半減期の低下をもたらす変異を含む。短い半減期を有する抗体は抗体が短命の治療薬として機能すると予想される一定の例、例えば、抗体が投与され、続いてHSCが投与される本明細書に記載のコンディショニング工程において有益であり得る。典型的には抗体が標的抗原(例えば、CD45)も一般に発現するが、内因性幹細胞とは異なり抗CD45抗体の標的ではないHSCのデリバリー前に実質的に除去される。ある実施形態に、Fc領域は、435位に変異を含む(カバットによる欧州連合指数)。ある実施形態に、変異はH435A変異である。
【0363】
ある実施形態で、本明細書に記載の抗CD45抗体は24時間以下、23時間以下、22時間以下、21時間以下、20時間以下、19時間以下、18時間以下、17時間以下、16時間以下、15時間以下、14時間以下、13時間以下、12時間以下、11時間以下の半減期(例えば、ヒトにおける)を有する。
【0364】
ある実施形態で、本明細書に記載される抗CD45抗体は約1~2時間、約1~3時間、約1~5時間、約1~10時間、約5~10時間、約5~15時間、約10~15時間、約10~20時間、約15~20時間、約15~25時間、または約20~25時間の半減期(例えば、ヒトにおける)を有する。
【0365】
いくつかの局面において、このFc領域は減少した半減期を付与し、そして抗体のエフェクター機能を減少させる2つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域が半減期の低下をもたらす変異、およびFcγRと直接接することができる少なくとも1つの残渣の変異を含む(例えば、構造的および結晶学的解析に基づく)。ある実施形態に、Fc領域は、H435A変異、L234A変異、およびL235A変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は、H435A変異およびD265C変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は、H435A突然変異、L234A突然変異、L235A突然変異、およびD265C突然変異を含む。
【0366】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントが抗体またはその抗原結合フラグメントのFcドメインにおけるシステイン残基によって細胞毒素(例えば、アマトキシン)に結合体化される。いくつかの実施形態では、システイン残基が抗体またはその抗原結合フラグメントのFcドメインにおける変異によって導入される。例えば、システイン残基は、Cys118、Cys239、およびCys265からなる群から選択され得る。ある実施形態に、抗CD45抗体(またはそのフラグメント)のFc領域は、カバットにおけるような欧州指数によるアミノ酸265でのアミノ酸置換を含む。ある実施形態に、Fc領域はD265C変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は、D265CおよびH435A変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は、D265C、L234A、およびL235A変異を含む。ある実施形態に、Fc領域は、D265C、L234A、L235A、およびH435A変異を含む。
【0367】
特に、Fcアミノ酸位置は別段の指示がない限り、EU番号付け指数を参照する。
【0368】
前記の刊行物の各々の開示は、抗CD45抗体に関するので、本明細書中に参考として援用される。本明細書中に記載される組成物および方法と組み合わせて使用され得る抗体および抗原結合フラグメントは上記の抗体およびその抗原結合フラグメント、ならびに上記の非ヒト抗体および抗原結合フラグメント、ならびに上記のものと同じエピトープに結合する抗体または抗原結合フラグメントのバリアント(例えば、競合的抗原結合アッセイによって評価される)を含む。
【0369】
本明細書中の任意のFc修飾を包含するための工学的抗体の方法は、当該分野で周知である。これらの方法には抗体または少なくとも本抗体の定常領域をコードする調製DNA分子の部位特異的(またはオリゴヌクレオチド媒介)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、およびカセット突然変異誘発による調製が含まれるが、これらに限定されない。部位特異的突然変異誘発は当該分野で周知である(例えば、Carterら、Nucleic Acids Res.,13:4431-4443(1985)およびKunkelら、Procを参照のこと)。Natl.Acad.Sci.米国, 82:488(1987)).PCR突然変異誘発はまた、出発ポリぺポリペプチドのアミノ酸配列バリアントを作製するために適している。Higuchi、in PCRプロトコル, pp.177-183(Academic Press,1990);およびValletteら、Nucを参照のこと。Acids Res.17:723-733(1989).配列バリアントを調製するための別の方法、カセット突然変異誘発はウェルズら、Gene,34:315-323(1985)によって記載される技術に基づく。
【0370】
ある特定の実施形態で、本明細書中に記載される抗CD45抗体またはその結合フラグメントは、標識に結合され得る。標識には直接検出される標識または部分(例えば、蛍光標識、発色団標識、電子密度標識、化学発光標識、および放射性標識)、ならびに、例えば、酵素反応または分子相互作用によって間接的に検出される酵素またはリガンドなどの部分が含まれるが、これらに限定されない。例示的な標識は放射性同位体32 P、14 C、125 I、3 H、および131 I、希土類キレートまたはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウベルフェロン、ルセリフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国)を含むが、これらに限定されない。4,737,456)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、3-ガラクトシダーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはミクロペルオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、安定なフリーラジカルなどの染料前駆体を酸化する酵素と結合した複素環式オキシダーゼ。
【核酸、ベクター、宿主細胞】
【0371】
本明細書に記載の抗CD45抗体またはその抗原結合部位をコードする核酸配列を含む核酸分子(例えば、DNAまたはmRNA)もまた、本明細書に提供される。
【0372】
従って、本明細書において提供されるいくつかの実施形態では、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、AbA、AbB、またはAbCの重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域をコードする単離された核酸分子である。他の実施形態では、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、AbA、AbB、またはAbCの重鎖可変領域をコードする単離された核酸分子が本明細書に提供される。他の実施形態では、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、AbA、AbB、またはAbCの重鎖をコードする単離された核酸分子が本明細書に提供される。
【0373】
Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、AbA、AbB、またはAbCの軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域をコードする単離された核酸分子が、本明細書において提供されるいくつかの実施形態ではである。他の実施形態では、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、AbA、AbB、またはAbCの軽鎖可変領域をコードする単離された核酸分子が本明細書に提供される。他の実施形態では、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、AbA、AbB、またはAbCの軽鎖をコードする単離された核酸分子が本明細書に提供される。
【0374】
重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域、ならびにAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、AbA、AbB、またはAbCの軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域をコードする単離された核酸分子が、本明細書においていくつかの実施形態では提供される。他の実施形態では、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、AbA、AbB、またはAbCの重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードする単離された核酸分子が本明細書に提供される。他の実施形態では、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、AbA、AbB、またはAbCの重鎖および軽鎖をコードする単離された核酸分子が本明細書に提供される。
【0375】
抗体重鎖をコードする核酸、またはその一部は抗体軽鎖をコードする核酸、またはその一部と同じ核酸分子(例えば、発現ベクター)中に存在し得る。あるいは、重鎖および軽鎖配列が別々の核酸分子(例えば、別々の発現ベクター)上に存在し得る。
【0376】
ある実施形態に、本発明は、以下を含む単離された核酸分子を提供する:
(a)配列番号(SEQ ID NO):125に記載の核酸配列;
(b)配列番号(SEQ ID NO):126に記載の核酸配列;
(c)配列番号(SEQ ID NO):127に記載の核酸配列;
(d)配列番号(SEQ ID NO):128に記載の核酸配列;
(e)配列番号(SEQ ID NO):129に記載の核酸配列;
(f)配列番号(SEQ ID NO):130に記載の核酸配列;
(g)配列番号(SEQ ID NO):131に記載の核酸配列;
(h)配列番号(SEQ ID NO):132に記載の核酸配列;
(i)配列番号(SEQ ID NO):133に記載の核酸配列;
(j)配列番号(SEQ ID NO):134に記載の核酸配列;
(k)配列番号(SEQ ID NO):135に記載の核酸配列;
(l)配列番号(SEQ ID NO):136に記載の核酸配列;
(m)配列番号(SEQ ID NO):137に記載の核酸配列;
(n)配列番号(SEQ ID NO):138に記載の核酸配列;
(o)配列番号(SEQ ID NO):139に記載の核酸配列;
(p)配列番号(SEQ ID NO):140に記載の核酸配列;
(q)配列番号(SEQ ID NO):141に記載の核酸配列;
(r)配列番号(SEQ ID NO):142に記載の核酸配列;
(s)配列番号(SEQ ID NO):143に記載の核酸配列
(t)配列番号(SEQ ID NO):144に記載の核酸配列;
ここで、単離された核酸は、抗CD45抗体またはその一部をコードする。
【0377】
別の実施形態では、本発明が以下を含む単離された核酸分子を提供する:
・ 配列番号(SEQ ID NO):150に記載の核酸配列;
・ 配列番号(SEQ ID NO):151に記載の核酸配列;
・ 配列番号(SEQ ID NO):152に記載の核酸配列;
・ 配列番号(SEQ ID NO):153に記載の核酸配列;
・ 配列番号(SEQ ID NO):154に記載の核酸配列;
・ 配列番号(SEQ ID NO):155に記載の核酸配列;
・ 配列番号(SEQ ID NO):156に記載の核酸配列;
・ 配列番号(SEQ ID NO):157に記載の核酸配列;
・ 配列番号(SEQ ID NO):158に記載の核酸配列;
・ 配列番号(SEQ ID NO):159に記載の核酸配列;
・ 配列番号(SEQ ID NO):160に記載の核酸配列
・ 配列番号(SEQ ID NO):161に記載の核酸配列;
ここで、単離された核酸は、抗CD45抗体またはその一部をコードする。
【0378】
抗体は例えば、米国特許に記載されるように、組換え方法および組成物を使用して産生され得る。有しない. 4,816,567.ある実施形態に、本明細書に記載の抗CD45抗体を符号化する単離された核酸が提供される。このような核酸はVLを含むアミノ酸配列および/または本抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、本抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードし得る。更なる実施形態において、このような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施形態において、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。1つのこのような実施形態において、宿主細胞は(1)本抗体のVLを含むアミノ酸配列および本抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)本抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸配列および本抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、形質転換されている)。ある実施形態に、宿主細胞は真核生物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えばY0、NS0、Sp20細胞)である。ある実施形態に、抗CLL-1抗体を作製する方法が提供され、ここで、この方法は抗体の発現に適した条件下で、上記に提供されるような抗体を符号化する核酸を含む宿主細胞を培養すること、および任意に、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から抗体を回収することを含む。
【0379】
抗CD45抗体の組換え産生のために、抗体を符号化する核酸(例えば、上記のよう)は、単離され、そして宿主細胞におけるさらなるクローニングおよび/または式のために1つ以上のベクターに挿入される。このような核酸は従来の手順を使用して(例えば、本抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され得、そして配列決定され得る。
【0380】
抗体を符号化するベクターのクローン化または発現に適した宿主細胞には、本明細書に記載の原核生物または真核生物細胞が含まれる。例えば、抗体は特にグリコシル化およびFcエフェクタ機能が必要とされない場合に、inバクテリアで産生され得る。バクテリアにおける抗体フラグメントおよびポリペプチドの発現については、例えば、米国特許を参照のこと。No.5,648,237, 5,789,199、5,840,523。式後、抗体を、可溶性画分中の細菌細胞糊から単離し、さらに精製することができる(Charlton, 方法in Molecular Biology、Vol。248(B.K.CLo、ed、Humana Press、Totowa、NJ、2003)、pp。245-254を参照されたい。
【0381】
脊椎動物細胞も宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合された哺乳動物細胞株が有益であり得る。有用哺乳動物宿主細胞株の他の例はSV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(293または293細胞、例えば、Grahamら、JGen Virol.36:59(1977)に記載される);乳児ハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(TM4細胞、例えば、Mather、BiolReprod.23:243-251(1980)に記載される);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸部がん(carcinoma)細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);TRI細胞、例えば、Matherら、Annals N.Y.に記載される)である。Acad.Sci.383:44-68(1982); MRC 5細胞;およびFS4細胞。他の有用な哺乳動物宿主細胞株はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(DHFRCHO細胞を含む(ウルラウブら、ProcNatlAcadSciUSA 77:4216(1980));および骨髄腫細胞株(例えば、Y0、NS0およびSp2/0)を含む)。抗体産生に適した一定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、YazakiおよびWu, 方法in Molecular Biology、Vol.248(BKCLo、ed、Humana Press、Totowa、NJ), pp.255-268(2003)を参照のこと。
【0382】
ある実施形態において、抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントは、本明細書中に開示される配列番号と少なくとも95%、96%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を有する可変領域を含む。あるいは抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントは本明細書中に開示される配列番号と少なくとも95%、96%、97%または99%同一であるアミノ酸配列を有する本明細書中に記載される可変領域のフレームワーク領域を有する本明細書中に開示される配列番号を含むCDRを含む。
【0383】
ある実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書に開示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および重鎖定常領域を含む。別の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を含む。さらに別の実施形態において、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、軽鎖可変領域、重鎖定常領域および軽鎖定常領域を含む。
【抗体識別方法】
【0384】
例えば、患者中のCD45+細胞を枯渇させるために使用され得る新規な抗CD45抗体が、本明細書中に提供される。これらの抗体は例えば、幹細胞移植のためのコンディショニング方法において有益であり得る。本明細書中に提供される記載を考慮して、他の抗CD45抗体が同定され得る。
【0385】
造血幹によって発現されるCD45に結合することができる抗体または抗体フラグメントライブラリのハイスループットスクリーニングのための方法はがん、自己免疫疾患を処置するために、および本明細書に記載されるような造血幹細胞治療を必要とする患者(例えば、ヒト患者)をコンディショニングするために有用な抗CD45抗体を同定するために使用され得る。このような方法は、本明細書中に記載される抗CD45抗体の改善されたバージョンを同定するために使用され得る。このような方法には、とりわけ、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、イーストディスプレイ、哺乳動物細胞ディスプレイ、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイ、およびcDNAディスプレイなどの、当技術分野で公知のインビトロディスプレイ技術が含まれる。
【0386】
生物学的に関連する分子に結合する抗体または抗原結合フラグメントを単離するためのファージディスプレイの使用は例えば、Feliciら、Biotechnolにおいて概説されている。Annual Rev。1:149-183、1995; Katz、Annual Rev.Biophys.Biomol.構造。26:27-45, 1997;およびHoogenboomら、Immunotechnology 4:1-20、1998、これらの各々の開示は、インビトロディスプレイ技術に関連するので、参照により本明細書に組み込まれる。ランダム化コンビナトリアル・ペプチド・ライブラリはKay、Perspectに記載されるように、細胞表面抗原に結合するポリペプチドを選択するために構築された。ドラッグディスカバリー・デス。2:251-268, 1995年およびKayら、Mol.ダイバー。1:139-140, 1996、これらの各々の開示は、抗原結合分子の発見に関連するので、参照により本明細書に組み込まれる。タンパク質(例えば、多量体タンパク質)は機能的分子として首尾よくファージディスプレイされている(例えば、EP 0349578; EP 4527839;およびEP 0589877、ならびにChiswellおよびMcCafferty、Trends Biotechnolを参照のこと)。10:80-84 1992、これらの各々の開示は、抗原結合分子の発見のためのインビトロディスプレイ技術の使用に関するので、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、機能的抗体フラグメント(例えば、FabおよびscFvフラグメント)はインビトロディスプレイフォーマットにおいて発現されている(例えば、McCaffertyら、Nature 348:552554、1990; Barbasら、Procを参照のこと)。Natl.Acad.Sci.USA 88:7978-7982、1991;およびClacksonら、Nature 352:624-628、1991(これらの各々の開示は、抗原結合分子の発見のためのインビトロディスプレイプラットフォームに関連するので、本明細書中に参考として援用される)。ヒト抗CD45抗体はまた、例えば、HuMAb-マウス(登録商標)またはXenoMouse(登録商標)中で生成され得る。これらの技術はとりわけ、造血幹細胞移植療法を必要とする患者(例えば、ヒト患者)において内因性の造血幹細胞を枯渇させるために使用される、造血幹細胞によって発現されるCD45に結合他抗体、抗体またはフラグメントの親和性を同定および改善するために使用され得る。
【0387】
インビトロディスプレイ技術に加えて、コンピューターモデル化技術を使用して、造血幹細胞によって発現される抗原(例えば、CD45)に結合し得る抗体をデザインおよび同定し得る。例えば、コンピューターモデル化技術を使用して、当業者のある者は造血幹細胞(例えば、CD45)によって発現される抗原(例えば、抗原の細胞外エピトープ)上の特異的エピトープを結合し得る分子について、インシリコで、抗体または抗体フラグメントのライブラリを画面し得る。
【0388】
造血幹細胞によって発現され、そして細胞によって、例えば、レセプター媒介エンドサイトーシスによって内部移行されるCD45に結合し得る抗体または抗体フラグメントを同定するために、さらなる技術が使用され得る。例えば、上記のインビトロディスプレイ技術はCD45に結合し、続いて内在化される抗体または抗体フラグメントについてスクリーニングするように適合され得る。ファージディスプレイは、このスクリーニングパラダイムと組み合わせて使用され得る1つのこのような技術を表す。造血幹細胞によって内在化され得る抗CD45抗体または抗体フラグメントを同定するために、当業者のある者はウィリアムズら、白血病19:1432-1438,2005に記載されるファージディスプレイ技術を使用し得る。例えば、当技術分野で公知の突然変異誘発方法を使用して、上記scFvフラグメント、Fabフラグメント, ダイアボディ,トリアボディ、および10 Fn3ドメインなどの抗体、抗体フラグメント、またはランダム化されたアミノ酸カセット(例えば、CDRまたはその等価領域の1つ以上、またはすべて、または抗体もしくはファージ・ライブラリ)を含むリガンドを符号化する組換え抗体フラグメントを産生することができる。抗体または抗体フラグメントの骨格領域、ヒンジ、Fcドメイン、および他の領域は例えば、ヒト生殖系列抗体配列またはヒト生殖系列抗体と比較してわずかな変異しか示さない配列を有することによって、それらがヒトにおいて非免疫原性であるように設計され得る。
【0389】
本明細書中に記載されるか、または当技術分野で公知のファージディスプレイ技術を使用して、ファージ粒子に共有結合したランダム化抗体または抗体フラグメントを含むファージ・ライブラリを、例えば、最初にファージ・ライブラリをブロッキング薬剤(例えば、抗体を符号化するファージ、または抗体フラグメントを除去するために、乳タンパク質、ウシ血清アルブミン、および/またはIgGなど)とともにインキュベートし、Fcドメインに結合する抗体またはそのフラグメントを符号化するファージおよび非特異的タンパク質結合を示すファージを除去し、次いで、ファージ・ライブラリを細胞の集団(例えば、CD45を発現する造血幹細胞)とともにインキュベートすることによって、CD45とともにインキュベート上記。ファージ・ライブラリは抗CD45抗体または抗体フラグメントが同族の細胞表面抗原に結合し、続いて造血幹細胞によって内部移行されるのに十分な時間(例えば、4℃で1時間など、4℃で30分~6時間)造血幹細胞とインキュベートすることができる。抗体または抗体フラグメントを含むファージは、CD45に対する結合を可能にするのに十分な親和性を示さず、造血幹細胞による内部移行は続いて、例えば、冷(4℃)0.1Mグリシンバッファー(pH 2.8)で細胞を洗うことによって除去することができる。造血幹細胞によって内在化された抗体または抗体フラグメントに結合したファージは例えば、細胞を溶解し、細胞培養培地から内在化ファージを回収することによって同定することができる。次いで、ファージは例えば、当該分野で公知の方法を使用して、2×YT媒体中で回収されたファージと共に細菌細胞をインキュベートすることによって、細菌細胞中で増幅され得る。次いで、この媒体から回収されたファージは例えば、ファージゲノム内に挿入された抗体または抗体フラグメントを符号化する遺伝子の核酸配列を決定することによって特徴付けられ得る。コードされた抗体または抗体フラグメントは続いて、化学合成(例えば、抗体フラグメント、例えば、scFvフラグメント)または組換え発現(例えば、全長抗体)によって新たに調製され得る。
【0390】
調製された抗体または抗体フラグメントの内部移行能力は例えば、当該分野で公知の放射性核種内部移行アッセイを使用して評価され得る。例えば、18 F、75 Br、 77 Br、122 I、 123 I、124 I、 125 I、抗体I、抗体フラグメントI、211、At、67 Ga、111、In、99 Tc、169 Yb、186 Re、64 Cu、129 Cu、131 Lu、77 As、72 As、86 Y、 90 Y、89 Zr、212 Bi、213 Bi、または67 Acなどの放射性同位体を組み込むことによって、本明細書に記載されるか、または当技術分野で公知のインビトロディスプレイ技術を使用して同定される抗CD45 225または177を官能化することができる。例えば、18 F、75 Br、 77 I、122 Br、 123 I、124 I、129 I、131 I、抗体フラグメントAなどの放射性ハロジェンは抗体、または 125に組み込むことができ、これには、求電子性ハロゲン試薬を含むポリスチレンビーズなどのビーズ(例えば、イオディネーション 125、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ケンブリッジ、MA)を使用することができる。放射標識抗体、そのフラグメント、またはADCは内在化を可能にするのに充分な時間(例えば、4℃で1時間など、4℃で30分~6時間)、造血幹細胞とともにインキュベートされ得る。次いで、細胞を洗浄して、(例えば、冷(4℃)0.1Mグリシンバッファー(pH 2.8)を使用して)非内在化抗体またはそのフラグメントを除去することができる。内部抗体または抗体フラグメントは回収された洗浄バッファーの放出された照射(例えば、γ線)と比べて、得られた造血幹細胞の放出された照射(例えば、γ線)を検出することによって同定され得る。前記の内在化アッセイはまた、ADCを特徴付けるために使用され得る。
【0391】
抗体は例えば、米国特許に記載されるように、組換え方法および組成物を使用して産生され得る。有しない. 4,816,567.ある実施形態に、本明細書に記載の抗CD45抗体を符号化する単離された核酸が提供される。このような核酸はVLを含むアミノ酸配列および/または本抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、本抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードし得る。更なる実施形態において、このような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施形態において、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。1つのこのような実施形態において、宿主細胞は(1)本抗体のVLを含むアミノ酸配列および本抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)本抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸配列および本抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、形質転換されている)。ある実施形態に、宿主細胞は真核生物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えばY0、NS0、Sp20細胞)である。ある実施形態に、抗CLL-1抗体を作製する方法が提供され、ここで、この方法は抗体の発現に適した条件下で、上記に提供されるような抗体を符号化する核酸を含む宿主細胞を培養すること、および任意に、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から抗体を回収することを含む。
【0392】
抗CD45抗体の組換え産生のために、抗体を符号化する核酸(例えば、上記のよう)は、単離され、そして宿主細胞におけるさらなるクローニングおよび/または式のために1つ以上のベクターに挿入される。このような核酸は従来の手順を使用して(例えば、本抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され得、そして配列決定され得る。
【0393】
抗体を符号化するベクターのクローン化または発現に適した宿主細胞には、本明細書に記載の原核生物または真核生物細胞が含まれる。例えば、抗体は特にグリコシル化およびFcエフェクタ機能が必要とされない場合に、inバクテリアで産生され得る。バクテリアにおける抗体フラグメントおよびポリペプチドの発現については、例えば、米国特許を参照のこと。No.5,648,237, 5,789,199、5,840,523。式後、抗体を、可溶性画分中の細菌細胞糊から単離し、さらに精製することができる(Charlton, 方法in Molecular Biology、Vol。248(B.K.CLo、ed、Humana Press、Totowa、NJ、2003)、pp。245-254を参照されたい。
【0394】
脊椎動物細胞も宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合された哺乳動物細胞株が有益であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例はSV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(293または293細胞、例えば、Grahamら、JGen Virol.36:59(1977)に記載される);乳児ハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(TM4細胞、例えば、Mather、BiolReprod.23:243-251(1980)に記載される);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸部がん(carcinoma)細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);TRI細胞、例えば、Matherら、Annals N.Y.に記載される)である。Acad.Sci.383:44-68(1982); MRC 5細胞;およびFS4細胞。他の有用な哺乳動物宿主細胞株はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(DHFRCHO細胞を含む(ウルラウブら、ProcNatlAcadSciUSA 77:4216(1980));および骨髄腫細胞株(例えば、Y0、NS0およびSp2/0)を含む)。抗体産生に適した一定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、YazakiおよびWu, 方法in Molecular Biology、Vol.248(BKCLo、ed、Humana Press、Totowa、NJ), pp.255-268(2003)を参照のこと。ある実施形態に、宿主細胞は真核生物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えばY0、NS0、Sp20細胞)である。
【抗体薬物コンジュゲート(ADC)】
【0395】
本明細書中に記載される抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、リンカーを介して細胞毒素に結合(連結)され得る。いくつかの実施形態では、細胞傷害性分子が抗体またはそのフラグメントの細胞取り込み後に、細胞毒素がその細胞内標的に接近し、造血細胞死を媒介し得るように、本明細書に開示されるような細胞内在化抗体またはその抗原結合フラグメントに結合される。ある特定の実施形態に、本明細書中に記載されるVHおよびVL可変領域(または本明細書中に記載される軽鎖および重鎖CDR組を含む可変領域)を含む抗CD45 scFvは、毒素に結合されて、scFv毒素を形成する。
【細胞毒素】
【0396】
種々の細胞毒素を、本明細書中に記載される療法における使用のために、リンカーを介して抗CD45抗体に結合体化し得る。特に、抗CD45 ADCは細胞傷害性部分(または細胞毒素)に結合された(すなわち、リンカーによって共有結合された)抗CD45抗体(またはその抗原結合フラグメント)を含む。様々な実施形態において、細胞毒性部分は共役中で結合される場合、減少した細胞毒性を示すか、または細胞毒性を示さないが、リンカーからの切断後に細胞毒性を再開する。様々な実施形態において、細胞毒性部分は、リンカーからの切断なしに細胞毒性を維持する。いくつかの実施形態では、細胞傷害性分子が抗体またはそのフラグメントの細胞取り込み後に、細胞毒素がその細胞内標的にアクセスし得、そして例えば、T細胞死を媒介し得るように、本明細書中に開示されるような細胞内在化抗体またはその抗原結合フラグメントに結合される。
【0397】
したがって、本発明のADCは、一般式のものであってもよい。
Ab-(Z-L-D)n
【0398】
ここで、抗体またはその抗原結合フラグメント(Ab)はリンカー(L)に、化学的な部分構造(Z)を介して、細胞傷害性部分(「薬物」、D、または「Cy」)にコンジュゲート(共有結合)される。
【0399】
したがって、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは例えば、約1~約20の範囲であり得る、抗体当たりの細胞毒素の平均数を表す整数nによって示されるような多数の薬物部分にコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態では、nは1~4である。いくつかの実施形態では、nは1である。共役反応からのADCの調製物中の抗体当たりの薬物部分の平均個数は、マススペクトロスコピー、ELISAアッセイ、およびHPLCのような従来の方法によって特徴づけることができる。nに関するADCの定量的分布も決定することができる。場合によってはnがADCからの特定の数値である均質ADCと他の薬物搭載(drug loading)との分離、浄化、および特性評価は逆相HPLCまたは電気泳動のような方法によって達成することができる。
【0400】
いくつかの抗CD45ADCについては、それらは抗体上のアタッチメント(attachment)部位の数によって制限され得る。例えば、アタッチメント(attachment)がシステインチオールである場合、抗体は、1つまたはいくつかのシステインチオール基のみを有してもよく、またはリンカーが結合され得る1つまたはいくつかの十分に反応性のチオール基のみを有する可能性がある。一般に、抗体は薬物部分に連結され得る多くの遊離および反応性システイン基を含まず;主に、抗体中のシステイン残基は、ジスルフィド架橋として存在する。ある特定の実施形態に、抗体は、部分的または全還元条件下で、ジチオトレイトール(DTT)またはトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)などの還元代理人で還元して、反応性システインチオール基を生成することができる。ある特定の実施形態に、より高い薬物搭載(drug loading)(DAR)、例えば、n>5は、特定の抗体-薬物コンジュゲートの凝集、不溶性、毒性、または細胞透過性の損を引き起こし得る。
【0401】
ある特定の実施形態において、共役反応の間に抗体にコンジュゲートされる薬物部分の理論上の最大よりも少ない。抗体は例えば、以下に議論されるように、薬物-リンカー中間体またはリンカー試薬と反応しないリシン残基を含み得る。最も反応性の高いリジン基のみがアミン反応性リンカー試薬と反応することができる。ある特定の実施形態に、抗体は、リジンまたはシステインのような反応性求核基を明らかにするために変性条件下に置かれる。
【0402】
ADCの負荷(薬物/抗体比)は種々の方法で、例えば、(i)抗体に対する薬物-リンカー中間体またはリンカー試薬のモル過剰を制限すること、(ii)共役反応時間または温度を制限すること、(iii)システインチオール修飾のための部分的または制限的還元条件下で、(iv)システイン残基の数および位置がリンカー-薬物アタッチメント(attachment)の数および/または位置の制御のために修飾されるように、抗体のアミノ酸配列を組換え技術によって操作することによって、制御され得る。
【0403】
本明細書に記載される組成物および方法と共に使用するのに適した細胞毒素には、とりわけ、DNA挿入代理人(例えば、アントラサイクリン)、紡錘体(例えば、ビンカ・アルカロイド, メイタンシン,メイタンシノイド、およびその誘導体)を破壊することができる代理人、RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、αアマニチンなどのアマトキシン、およびその誘導体)、ならびにタンパク質生合成を破壊することができる代理人(例えば、サポリンおよびリシンA鎖などのrRNA N-グリコシダーゼ活性を示す代理人)が含まれる。
【0404】
いくつかの実施形態では、細胞毒が微小管結合代理人(例えば、メイタンシンまたはメイタンシノイド)、アマトキシン, シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、サポリン、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、1ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、1インドリノベンゾジアゼピン、1インドリノベンゾジアゼピン二量体、またはそれらのバリアント、または本明細書に記載もしくは当技術分野で公知の別の細胞毒性化合物である。
【0405】
いくつかの実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートの細胞毒素はRNAポリメラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ阻害剤はアマトキシンまたはその誘導体である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体-薬物コンジュゲートの細胞毒素がαアマニチン、βアマニチン、γアマニチン、εアマニチン、アマニン、アマニンアミド, アマヌリン,アマヌリン酸,プロアマヌリンまたはその誘導体などのアマトキシンまたはその誘導体である。
【0406】
本発明の組成物および方法において有効な抗CD45 ADCにおいて使用され得る細胞毒素に関するさらなる細部は、以下に記載される。
アマトキシン
【0407】
いくつかの実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートの細胞毒素がRNAポリメラーゼ阻害剤であるアマトキシンまたはその誘導体である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体-薬物コンジュゲートの細胞毒素がαアマニチン、βアマニチン、γアマニチン、εアマニチン、アマニン、アマニンアミド, アマヌリン,アマヌリン酸,プロアマヌリンまたはその誘導体などのアマトキシンまたはその誘導体である。
【0408】
下記一般式(IV)で表される例示的なアマトキシンの構造は例えば、Zanotti et al、Int.にも開示されている。J. ペプチドタンパク質Res.30、1987、450-459.
[化24]
以下の表に、追加のアマトキシン構造を示す。
【0409】
[表1]
【0410】
組成物、例えば、抗CD45 ADC、および本明細書に記載の方法と併せて有効なアマトキシンには式(V)に従う化合物が含まれるが、これらに限定されない.
[化25]
である。
【0411】
R1はH、OH、またはORA;
R2はH、OH、またはORB;
【0412】
RA およびRBは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する。
【0413】
R3がHまたはRD;
R4はH、OH、ORD、またはRD;
R5はH、OH、ORD、またはRD;
R6はH、OH、ORD、またはRD;
R7はH、OH、ORD、またはRD;
R8はOH、NH2、またはORD;
R9はH、OH、またはORD;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
R Dは任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C 1 -C 6アーキテクト)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C 1 -C 6ヘテロアルキル)、任意に置換されたアルケニル(例えば、C 2 -C 6アルケニル)、任意に置換されたヘテロアルケニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニール)、任意に置換された(例えば、C 2 -C 6アルキニル)、任意に置換されたヘテロアルキニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキル, 任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル,任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリール)である。
【0414】
例えば、ある実施形態に、本明細書に記載の組成物および方法と併用して有効なアマトキシンには、式(VA)による化合物が含まれる。
[化26]
【0415】
ここで、R4、R5、X、およびR8は、それぞれ上記で定義されたものである。
【0416】
例えば、ある実施形態に、本明細書に記載される組成物および方法物と併せて有用なアマトキシンは、以下の式(VB)による化合物を含む。
[化27]
である。
【0417】
R1はH、OH、またはORA;
R2はH、OH、またはORB;
【0418】
RA およびRBは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する。
【0419】
R3がHまたはRD;
R4はH、OH、ORD、またはRD;
R5はH、OH、ORD、またはRD;
R6はH、OH、ORD、またはRD;
R7はH、OH、ORD、またはRD;
R8はOH、NH2、またはORD;
R9はH、OH、またはORD;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
R Dは任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C 1 -C 6アーキテクト)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C 1 -C 6ヘテロアルキル)、任意に置換されたアルケニル(例えば、C 2 -C 6アルケニル)、任意に置換されたヘテロアルケニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニール)、任意に置換された(例えば、C 2 -C 6アルキニル)、任意に置換されたヘテロアルキニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキル, 任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル,任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリール)である。
【0420】
ある実施形態において、本明細書に記載される組成物および方法物と併せて有用なアマトキシンはまた、以下の式(VC)による化合物を含む。
[化28]
である。
R1はH、OH、またはORA;
R2はH、OH、またはORB;
RA およびRBは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する。
【0421】
R3がHまたはRD;
R4はH、OH、ORD、またはRD;
R5はH、OH、ORD、またはRD;
R6はH、OH、ORD、またはRD;
R7はH、OH、ORD、またはRD;
R8はOH、NH2、またはORD;
R9はH、OH、またはORD;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
R Dは任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C 1 -C 6アーキテクト)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C 1 -C 6ヘテロアルキル)、任意に置換されたアルケニル(例えば、C 2 -C 6アルケニル)、任意に置換されたヘテロアルケニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニール)、任意に置換された(例えば、C 2 -C 6アルキニル)、任意に置換されたヘテロアルキニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキル, 任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル,任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリール)である。
【0422】
本明細書中に記載される共役中で使用され得るアマトキシンのさらなる例示としては、国際公開第2020/216927号に記載されるものが挙げられ、その含有量は本明細書中に参考として援用される。ある実施形態に、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントはリンカーを介してアマトキシンに結合され、ここで、ADCは式(VI)の構造を有する。
[化29]
またはその立体異性体;
である。
【0423】
QはSである;
Lはリンカーである。
Zは、L上に存在する反応性置換基と、抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応によって形成される化学的な部分構造である。
【0424】
Abは、抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントである。ある実施形態に、リンカーは切断可能なリンカーである。別の実施形態では、リンカーは非切断性リンカーである。ある実施形態において、Lは-(CH 2)n-ユニットを含み、ここで、nは、2-6からの整数である。ある実施形態では、Lは-(CH 2)n - である。nは6 である。ある実施形態に、Ab-Z-Lと総称されるAb、Z、およびLは、次式で表される。
[化30]
式中、Sは、抗CD45抗体中に存在するシステイン残基の硫黄原子、またはその抗原結合フラグメントである。
【0425】
ある実施形態において、ADCはアマトキシンに結合した抗CD45抗体を含み、ADCは、式(VII)に従う構造を有する。
[化31]
またはその立体異性体。
【0426】
ある実施形態において、ADCはアマトキシンに結合した抗CD45抗体を含み、ADCは、式(VIIA)に従う構造を有する。
[化32]
【0427】
ある実施形態において、ADCはアマトキシンに結合した抗CD45抗体を含み、ADCは、式(VIIB)に従う構造を有する。
[化33]
アマトキシンを製造する合成方法は、米国特許第9,676,702号に記載されている。
【0428】
他の実施形態では、本明細書に記載の抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントをアマトキシンに結合させて、式Ab-Z-L-Am(式中、Abは抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントであり、Lはリンカーであり、Zは化学的な部分構造であり、Amはアマトキシン)によって表されるコンジュゲートを形成することができる。アマトキシンまたはその誘導体上の多くの位置は、連結部分を共有結合させる位置として働くことができる
L、したがってその抗体または抗原結合フラグメント。いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(I)で表される
【0429】
ここで、R1は、H、OH、ORA、またはORCである。
R2はH、OH、ORB、またはORC;
【0430】
RA およびRBは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する。
R3はH、RC、またはRD;
R4はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R5はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R6はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R7はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R8はOH、NH2、ORC、ORD、NHRC、またはNRC RD;
R9はH、OH、ORC、またはORD;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -;
RCは-L-Z;
R Dは任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C 1 -C 6アーキテクト)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C 1 -C 6ヘテロアルキル)、オプションで置換されるアルケニル(例えば、C 2 -C 6アルケニル)、オプションで置換されるヘテロアルケニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニール)、オプションで置換される(例えば、C 2 -C 6アルキニル)、オプションで置換されるヘテロアルキニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキル, 任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル,任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリール)である。
【0431】
Lはリンカー、例えば、オプションで置換されるアルキレン(例えば、C 1 -C 6アルキレン)、オプションで置換されるヘテロアルキレン、オプションで置換されるアルケニレン(例えば、C 2 -C 6アルケニレン)、オプションで置換されるヘテロアルケニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニレン)、オプションで置換されるアルキニレン(例えば、C 2 -C 6アルキニレン)、オプションで置換されるヘテロアルキニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニレン)、オプションで置換されるシクロアルキレン、オプションで置換されるヘテロシクロアルキレン、オプションで置換されるC 1 -C 6、オプションで置換されるヘテロアリーレン、ペプト、ジペプチド、-(C=O)-、ジスルフィド、ヒドラゾン、またはそれらの組合せ;と
ZはL上に存在する反応性置換基と、標的抗原(例えば、CD45)に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である。
【0432】
[化34]
いくつかの実施形態では、Amが正確に1個のR C置換基を含む。
【0433】
いくつかの実施形態では、L-Zは
式中、Sは標的抗原(例えば、システイン残基の-SH基由来)に結合する、抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基を表す硫黄原子である。
いくつかの実施形態では、コンジュゲートが式III、IIIA、またはIIIBのうちの1つによって表される。
[化35]
ここで、XはS、SOまたはSO 2であり、Abは、Abアタッチメント(attachment)の点を示すために示される。
【0434】
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abがである。
【0435】
[化36]
ここで、Abは、Abのアタッチメント(attachment)点を示すように示される。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abがである。
[化37]
ここで、Abは、Abのアタッチメント(attachment)点を示すように示される。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abがである。
[化38]
ここで、Abは、Abのアタッチメント(attachment)点を示すように示される。
いくつかの実施形態ではAm-L-Z-Ab前駆物質、Am-L-Z'はである
[化39]
ここで、マレイミドは、抗体中のシステイン上に見出されるチオール基と反応する。
いくつかの実施形態ではAm-L-Z-Ab前駆物質、Am-L-Z'はである
【0436】
[化40]
ここで、マレイミドは、抗体中のシステイン上に見出されるチオール基と反応する。
【0437】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)で表される。
【0438】
[化41]
ここで、R1は、H、OH、ORA、またはORCである。
R2はH、OH、ORB、またはORC;
RA およびRBは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3はH、RC、またはRD;
R4はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R5はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R6はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R7はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R8はOH、NH2、ORC、ORD、NHRC、またはNRCRD;
R9はH、OH、ORC、またはORD;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -;
RCは-L-Z;
R Dは任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C 1 -C 6アーキテクト)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C 1 -C 6ヘテロアルキル)、オプションで置換されるアルケニル(例えば、C 2 -C 6アルケニル)、オプションで置換されるヘテロアルケニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニール)、オプションで置換される(例えば、C 2 -C 6アルキニル)、オプションで置換されるヘテロアルキニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキル, 任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル,任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリール)である。
【0439】
Lはリンカー、例えば、オプションで置換されるアルキレン(例えば、C 1 -C 6アルキレン)、オプションで置換されるヘテロアルキレン、オプションで置換されるアルケニレン(例えば、C 2 -C 6アルケニレン)、オプションで置換されるヘテロアルケニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニレン)、オプションで置換されるアルキニレン(例えば、C 2 -C 6アルキニレン)、オプションで置換されるヘテロアルキニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニレン)、オプションで置換されるシクロアルキレン、オプションで置換されるヘテロシクロアルキレン、オプションで置換されるC 1 -C 6、オプションで置換されるヘテロアリーレン、ペプト、ジペプチド、-(C=O)-、ジスルフィド、ヒドラゾン、またはそれらの組合せ;
【0440】
Zは、L上に存在する反応性置換基と、CD45に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である。
式中、Amは正確に1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
[化42]
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IB)で表される、
[化43]
ここで、R1は、H、OH、ORA、またはORCである;
R2はH、OH、ORB、またはORC;
RA およびRBは、存在する場合、それらが結合する酸素原子と一緒になって、結合して、任意に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3はH、RC、またはRD;
R4はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R5はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R6はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R7はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R8はOH、NH2、ORC、ORD、NHRC、またはNRCRD;
R9はH、OH、ORC、またはORD;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -;
RCは-L-Z;
【0441】
R Dは任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C 1 -C 6アーキテクト)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C 1 -C 6ヘテロアルキル)、オプションで置換されるアルケニル(例えば、C 2 -C 6アルケニル)、オプションで置換されるヘテロアルケニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニール)、オプションで置換される(例えば、C 2 -C 6アルキニル)、オプションで置換されるヘテロアルキニール(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニール)、任意選択的に置換されたシクロアルキル, 任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル,任意選択的に置換されたアリール、または任意選択的に置換されたヘテロアリール)である;
【0442】
Lはリンカー、例えば、オプションで置換されるアルキレン(例えば、C 1 -C 6アルキレン)、オプションで置換されるヘテロアルキレン、オプションで置換されるアルケニレン(例えば、C 2 -C 6アルケニレン)、オプションで置換されるヘテロアルケニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルケニレン)、オプションで置換されるアルキニレン(例えば、C 2 -C 6アルキニレン)、オプションで置換されるヘテロアルキニレン(例えば、C 2 -C 6ヘテロアルキニレン)、オプションで置換されるシクロアルキレン、オプションで置換されるヘテロシクロアルキレン、オプションで置換されるC 1 -C 6、オプションで置換されるヘテロアリーレン、ペプト、ジペプチド、-(C=O)-、ジスルフィド、ヒドラゾン、またはそれらの組合せ;
【0443】
Zは、L上に存在する反応性置換基と、CD45に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である
式中、Amは正確に1個のRC置換基を含む。
【0444】
いくつかの実施形態では、L-Zは、
[化44]
【0445】
いくつかの実施形態では、R A およびR Bが存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって結合し、次式の5員ヘテロシクロアルキル基を形成する:
[化45]
ここで、Yは-(C=O)-、-(C=S)-、-(C=NRE) -, または-(CRE RE’)-;
【0446】
R EおよびR E’は、各々独立して、任意選択的に置換されたC 1 -C 6アルキレン-R C、任意選択的に置換されたC 1 -C 6ヘテロアルキレン-R C、任意選択的に置換されたC 2 -C 6アルケニレン-R C、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルケニレン-R C、任意選択的に置換されたC 2 -C 6アルキニレン-R C、任意選択的に置換されたC 2 -C 6ヘテロアルキニレン-R C、任意選択的に置換されたシクロアルキレン-R C、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン-R C、任意選択的に置換されたアリーレン-R C、または任意選択的に置換されたヘテロアリーレン-R Cである。
【0447】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
ここで、R1は、H、OH、ORA、またはORCである;
R2はH、OH、ORB、またはORC;
[化46]
RA とRBが存在する場合、それらがバインドされているアトムと一緒に結合して形成される。
R3がHまたはRC;
R4はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R5はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R6はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R7はH、OH、ORC、ORD、RC、またはRD;
R8はOH、NH2、ORC、またはNHRC;
R9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
ここで、RCおよびRDは、それぞれ上記で定義されたものである。
【0448】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
ここで、R1は、H、OH、ORA、またはORCである;
R2はH、OH、ORB、またはORC;
RA とRBが存在する場合、それらがバインドされているアトムと一緒に結合して形成される:
[化47]
R3がHまたはRC;
R4とR5はそれぞれ個別にH、OH、ORC、RC、またはORD;
R6とR7はそれぞれH;
R8はOH、NH2、ORC、またはNHRC;
R9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
ここで、RCは上記で定義されたとおりである。
【0449】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
ここで、R1は、H、OH、またはORAである;
R2はH、OH、またはORB;
[化48]
RA とRBが存在する場合、それらがバインドされているアトムと一緒に結合して形成される:
R3、R4、R6、およびR7はそれぞれH;
R5がORC;
R8がOHまたはNH2;
R9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
ここで、RCは上記で定義されたとおりである。このようなアマトキシン共役は例えば、米国特許出願公開第2016/0002298号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0450】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
ここで、R1とR2 はそれぞれ独立にHまたはOHである;
R3がRC;
R4、R6、およびR7はそれぞれH;
R5は、H、OH、またはOC1 -C6のバイトである;
R8がOHまたはNH2;
R9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
ここで、RCは上記で定義されたとおりである。このようなアマトキシン共役は例えば、米国特許出願公開第2014/0294865号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0451】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
ここで、R1とR2はそれぞれ独立にHまたはOHである;
R3、R6、およびR7はそれぞれH;
R4とR5はそれぞれ個別にH、OH、ORC、またはRC;
R8がOHまたはNH2;
R9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
ここで、RCは上記で定義されたとおりである。このようなアマトキシン共役は例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0452】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(IA)または式(IB)で表される
ここで、R1とR2はそれぞれ独立にHまたはOHである;
R3、R6、およびR7はそれぞれH;
R4とR5はそれぞれ独立してHまたはOHである;
R8はOH、NH2、ORC、またはNHRC;
R9がHまたはOH;
Xは-S-、-S(O)-、または-SO2 -; であり、
ここで、RCは上記で定義されたとおりである。このようなアマトキシン共役は例えば、米国特許番号に記載されている。9,233,173 および9,399,681、ならびに米国特許出願公開第2016/0089450号(これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0453】
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Ab前駆体Am-L-Z'がである
[化49]
【0454】
本明細書中に記載される組成物および方法に従って、抗体またはその抗原結合フラグメントへの結合のために使用され得るさらなるアマトキシンは例えば、WO 2016/142049; WO 2016/071856; WO 2017/149077; WO 2018/115466;およびWO 2017/046658に記載され、これらの開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0455】
いくつかの実施形態では、Am-L-Zが式(II)、式(IIA)または式(IIB)で表される。
[化50]
式中、XはS、SO、またはSO 2 ; R 1であり、リンカー上に存在する反応性置換基Z'と抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造Zを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに共有結合したHまたはリンカーであり;R 2はリンカー上に存在する反応性置換基Z'と抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造Zを介して抗体またはその抗原結合フラグメントに共有結合したHまたはリンカーであり;R 1がHである場合、R 2はリンカーであり、R 2がHである場合、R 1はリンカーである。
【0456】
いくつかの実施形態では、R 1はリンカー、R 2はH、リンカーと化学的な部分構造はL-Zとしてまとめて、である
[化51]
【0457】
いくつかの実施形態では、R 1はリンカー、R 2はH、リンカーと化学的な部分構造はL-Zとしてまとめて、である
[化52]
【0458】
ある実施形態に、Am-L-Z-Abはである
[化53]
【0459】
ある実施形態に、Am-L-Z-Abはである
[化54]
【0460】
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Ab前駆体Am-L-Z'はのうちの1つ:
[化55]
【0461】
ここで、マレイミドは、抗体中のシステイン上に見出されるチオール基と反応して、共役Am-L-Z-Abを形成する。
【0462】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はαアマニチンである。いくつかの実施形態では、αアマニチンがリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合され、αアマニチンは式Vの化合物である。リンカーLが式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのαアマニチンリンカー結合体を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式Vのαアマニチンに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-((C=O)(CH 2)n -単位を含み、nは1から6の整数である。
【0463】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH 2)n -unitが含まれている。nは2 ~6 の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
[化56]
【0464】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はβアマニチンである。いくつかの実施形態ではβアマニチンはリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合し、■-アマニチンは式Vの化合物である。リンカーLはいくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えばR 1 -R 9のいずれか)で式Vの■-アマニチンに結合して、式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBの■-アマニチンリンカー共役を提供することができる。いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-(C=O)(CH 2)n -ユニットを含み、nは、1-6からの整数である。
【0465】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH 2)n -unitが含まれている。nは2 ~6 の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
[化57]
【0466】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はγアマニチンである。いくつかの実施形態では、γ-アマニチンがリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合され、γアマニチンは式Vの化合物である。リンカーLが式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのγアマニチンリンカー結合体を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式Vのγアマニチンに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-(C=O)(CH 2)n -ユニットを含み、nは、1-6からの整数である。
【0467】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH 2)n -unitが含まれている。nは2 ~6 の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH 2)n - である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
[化58]
【0468】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はεアマニチンである。いくつかの実施形態では、εアマニチンがリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合され、εアマニチンは式Vの化合物である。リンカーLが式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのεアマニチンリンカー結合体を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式Vのεアマニチンに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-(C=O)(CH 2)n -ユニットを含み、nは、1-6からの整数である。
【0469】
いくつかの実施形態ではでは、リンカーに-(CH 2)n -unitが含まれている。nは2 ~6 の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH 2)n - である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
[化59]
【0470】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はアマニンである。いくつかの実施形態では、アマニンがリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合され、アマニンは式Vの化合物である。リンカーLがいくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式Vのアマニンに結合されて、式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのアマニン-リンカー共役を提供することができる。いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-(C=O)(CH 2)n -ユニットを含み、nは、1-6からの整数である。
【0471】
いくつかの実施形態では、リンカーに-(CH 2)n -unitが含まれている。nは2 ~6 の整数である。いくつかの実施形態では、リンカーは-PAB-Cit-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、リンカーは-PAB-Ala-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
[化60]
【0472】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はアマニンアミドである。いくつかの実施形態ではアマニンアミドがリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合しており、アマニンアミドは式Vの化合物である。リンカーLがいくつかの考えられる位置のいずれか1つで式Vのアマニンアミドに結合することができる。いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-(C=O)(CH 2)n -ユニットを含み、nは、1-6からの整数である。
【0473】
いくつかの実施形態では、リンカーに-(CH 2)n -unitが含まれている。nは2 ~6 の整数である。いくつかの実施形態では、リンカーは-PAB-Cit-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、リンカーは-PAB-Ala-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
[化61]
【0474】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はアマヌリンである。いくつかの実施形態では、アマヌリンがリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合され、アマヌリンは式Vの化合物である。リンカーLが式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのアマヌリンリンカー結合体を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式Vのアマヌリンに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態でに、リンカーは-(C=O)(CH 2)n -ユニットを含み、nは、1-6からの整数である。
【0475】
いくつかの実施形態では、リンカーに-(CH 2)n -unitが含まれている。nは2 ~6 の整数である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Cit-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態ではでは、リンカーは-PAB-Ala-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
[化62]
【0476】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はアマヌリン酸である。いくつかの実施形態では、アマヌリン酸がリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合され、アマヌリン酸は式Vの化合物である。リンカーLが式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのアマヌリン酸リンカー結合体を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式Vのアマヌリン酸に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが成分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態で、リンカーは-(C=O)(CH 2)n -ユニットを含み、nは、1-6からの整数である。
【0477】
いくつかの実施形態では、リンカーに-(CH 2)n -unitが含まれている。nは2 ~6 の整数である。いくつかの実施形態では、リンカーは-PAB-Cit-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、リンカーは-PAB-Ala-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
[化63]
【0478】
いくつかの実施形態では、細胞毒素はプロアマヌリンである。いくつかの実施形態では、プロアマヌリンがリンカーL.いくつかの実施形態ではを介して抗CD45抗体に結合され、プロアマヌリンは式Vの化合物である。リンカーLが式I、IA、IB、II、IIA、またはIIBのプロアマヌリンリンカー結合体を提供するために、いくつかの考えられる位置のいずれか1つ(例えば、R 1 -R 9のいずれか)で式Vのプロアマヌリンに結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーはパラアミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、リンカーが部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態で、リンカーは-(C=O)(CH 2)n -ユニットを含み、nは、1-6からの整数である。
【0479】
いくつかの実施形態では、リンカーに-(CH 2)n -unitが含まれている。nは2 ~6 の整数である。いくつかの実施形態では、リンカーは-PAB-Cit-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、リンカーは-PAB-Ala-Val -(C=O)(CH 2)n -である。いくつかの実施形態では、L-ZとしてまとめられたリンカーL及び化学的な部分構造Zである。
[化64]
【0480】
アマトキシンを製造する合成方法は、米国特許第9,676,702号に記載されている。
【0481】
本明細書中に記載される組成物および方法と共に使用するための抗体および抗原結合フラグメントは当該分野で公知のまたは本明細書中に記載されるコンジュゲーション技術を使用して、アマトキシン(例えば、αアマニチンまたはそのバリアント)にコンジュゲートされ得る。例えば、標的抗原(抗CD45抗体は米国特許出願公開第2015/0218220号に記載されるように、アマトキシン(例えば、αアマニチンまたはそのバリアント)に結合され得る)を認識し、結合する抗体およびその抗原結合フラグメント(その開示は例えば、アマトキシン(例えば、αアマニチンおよびその改変体)、ならびに共有結合に使用され得る共有結合リンカーに関連するため、本明細書中に参考として援用される)。
【0482】
アウリスタチン
本明細書中に記載される抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは、アウリスタチンである細胞毒素に結合体化され得る(米国特許第5,635,483号;第5,780,588号)。アウリスタチンは抗有糸分割代理人であり、微小管の動態、GTP加水分解、核・細胞分割を妨害する(Woykeら(2001)抗菌薬)。代理人と化学療法。45(12):3580-3584)そして、抗癌(米国特許第5,663,149号)および抗真菌活性(Pettitら(1998)Antimicrob)を有する。代理人・ケモザー。42:2961-2965).(米国特許第5,635,483号;第5,780,588号)。アウリスタチン薬物部分は、ペプチド薬物部分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシル)末端を介して抗体に結合され得る(国際公開第02/088172号パンフレット)。
【0483】
例示的なアウリスタチンの実施形態はN末端結合モノメチルアウリスタチン薬物部分DEおよびDFを含み、これらはセンターら、Proceedings of American Association forがんResearch、Volume 45、Abstract Number 623、presented Mar 28、2004に開示され、その開示はその全体が参考として明確に援用される。
【0484】
例示的なアウリスタチンの実施形態はMMAEであり、波線は抗体リンカー結合体(本明細書に記載されるように、-L-Z-Abまたは-L-Z')のリンカーへの共有結合アタッチメント(attachment)点を示す。
[化65]
【0485】
別の例示的なアウリスタチンの実施形態はMMAFであり、波線は米国特許出願公開第2005/0238649号に開示されるように、抗体リンカー結合体(本明細書に記載されるように、-L-Z-Abまたは-L-Z')のリンカーへの共有結合アタッチメント(attachment)点を示す。
[化66]
【0486】
アウリスタチンは、米国特許の方法に従って調製することができる。米国特許第5,635,483号。No.5,780,588; Pettitら(1989)JAm.化学協会。111:5463-5465; Pettitら(1998)Anti-がんDrug Design 13:243-277; Pettit、GR.ら。合成、1996、719-725; Pettit et al(1996)JChemSoc.Perkin Trans.15:859-863; and Doronina (2003) Nat.Biotechnol.21(7):778-784.
【0487】
メイタンシノイド
本明細書中に記載される抗体およびその抗原結合フラグメントは、微小管結合代理人である細胞毒素に結合され得る。いくつかの実施形態では、微小管結合代理人がメイタンシン、メイタンシノイドまたはメイタンシノイドアナログである。メイタンシノイドは微小管に結合し、チューブリンの重合を阻害することによって作用する有糸分裂インヒビターである。メイタンシンは最初に、東アフリカ低木Maytenus serrataから単離された(米国特許第3,896,111号)。続いて、一定の微生物(例えば、メイタンシノールおよびC-3メイタンシノールエステル)もまた、メイタンシノイドを産生することが発見された(米国特許第4,151,042号)。合成メイタンシノールならびにその誘導体および類似体は例えば、米国特許に開示されている。No.4,137,230; 4,248,870; 4,256,746; 4,260,748; 4,256,744,608; 4,265,814,267; 4,307,016; 4,308,268; 4,308,269; 4,308,269; 4,309,428; 4,313,946; 4,315,929; 4,317,821; 4,322,348; 4,331,598; 4,361,650; 4,364,866; 4,424。メイタンシノイド薬物部分は(i)発酵または化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製するために比較的アクセス可能であり、(ii)非ジスルフィドリンカーによる抗体への結合に適した官能基による誘導体化に従い、(iii)血漿中で安定であり、そして(iv)種々の腫瘍細胞株に対して効果的であるため、抗体薬物コンジュゲートにおいて魅力的な薬物部分である。
【0488】
適当なメイタンシノイドとしては、例えば、メイタンシノールのエステル、合成メイタンシノール、及びメイタンシノールアナログ及び誘導体が挙げられる。メイタンシノイド、メイタンシノール、およびメイタンシノールアナログ、ならびに誘導体のように、微小管形成を阻害し、哺乳動物細胞に対して非常に毒性である任意の細胞毒素が本明細書に含まれる。
【0489】
好適なメイタンシノールエステルの実施例としては、修飾芳香環を有するもの、および他の位置に修飾を有するものが挙げられる。このような好適なメイタンシノイドは、米国特許に開示されている。No.4,137,230; 4,151,042; 4,248,608; 4,256,744,267; 4,307,306; 4,308,268; 4,309,428; 4,313,946; 4,315,929; 4,322,348; 4,331,598; 4,361,650; 4,364,866; 4,424,219 ; 4,450,254; 4,322,348; 4,362,663; 4,371,533; 5,208,020; 5,415,092; 5,585,499; 5,846,545; 6,333,410; 7,276,497;これらの各々は、メイタンシノイドおよびその誘導体に関連するので、本明細書中に参考として援用される。
【0490】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が細胞傷害性代理人として、形式的にN 2'-デアセチル-N 2'-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシンと呼ばれるチオール含有メイタンシノイド(DM1)を利用する。DM1は、以下の構造式で表される。
[化67]
【0491】
別の実施形態において、本発明の複合体はチオール含有メイタンシノイドN 2'-デアセチル-N 2'(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(例えば、DM4)を細胞傷害性代理人として利用する。DM4は、以下の構造式で表される。
[化68]
【0492】
立体障害チオール結合を含む側鎖を含む別のメイタンシノイドは、以下の構造式で表されるN 2'-デアセチル-N-2'(4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM3と呼ばれる)である。
[化69]
【0493】
メイタンシノイドの各々は、米国特許に教示されている。No.5,208,020 7,276,497もまた、本開示の結合体において使用され得る。この点に関して、5,208,020および7,276,697の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0494】
メイタンシノイド上の多くの位置は連結部分、従ってその抗体または抗原結合フラグメント(本明細書中に記載されるように、-L-Z-Abまたは-L-Z')を共有結合する位置として役立ち得る。例えば、ヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシで修飾されたC-15位、およびヒドロキシ基を有するC-20位は全て有用であると予想される。いくつかの実施形態ではC-3位がリンカー部分を共有結合するための位置として働き、いくつかの特定の実施形態ではメイタンシノールのC-3位が連結部分を共有結合するための位置として働く。例えば、米国特許に開示されているものを含む、抗体メイタンシノイド共役を作製するための当技術分野で知られている多くの連結基が存在する。No.5,208,020, 6,441,163、および欧州特許第0425235号B1; Chariら、がんResearch 52:127-131(1992);ならびに米国特許第2005/0169933号A1(これらの開示は、本明細書中で参照により明示的に援用される)。さらなる結合基は、本明細書に記載され、例示される。
【0495】
また、メイタンシノイドとコンジュゲートの種々の異性体および混合物も包含する。本発明の特定の化合物およびコンジュゲートは、種々の立体異性体、エナンチオマー、およびジアステレオマー形成で存在し得る。このような抗体メイタンシノイド共役を生成するためのいくつかの明細書が、米国特許に提供されている。No.5,208,020; 5,416,064; 6,333,410; 6,441,163; 6,716,821;および7,368,565(これらの各々は、その全体が本明細書中に援用される)。
【0496】
アントラサイクリン
他の実施形態では、本明細書に記載の抗体およびその抗原結合フラグメントがアントラサイクリン分子である細胞毒素に結合させることができる。アントラサイクリンは、細胞傷害活性を示す抗生物質化合物である。研究はアントラサイクリンが1)細胞のDNAへの薬物分子のインターカレーション、それによってDNA依存性核酸合成を阻害すること;2)次いで細胞高分子と反応して細胞に損傷を引き起こすフリーラジカルの薬物による製造、または3)薬物分子と細胞膜との相互作用[例えば、CPetersonら、「Transport And Storage OfアントラサイクリンIn ExperimentalシステムAnd Human白血病」(アントラサイクリンAntibiotics In細胞Therapy; N.RBachur、「free Radical damage」、同97~102頁を参照のこと]を含む、多くの様々な機構によってがんを殺すように作用し得ることを示した。その細胞傷害性電位アントラサイクリンがアントラサイクリンにおける白血病、乳房がん(carcinoma)、肺癌、卵巣腺癌および肉腫[例えば、P.HWiernik、がん(carcinoma):現状と新しい開発p 11を参照]などの多数がんの治療に使用されている。よく用いられるアントラサイクリンには、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびダウノマイシンがある。いくつかの実施形態では、細胞毒素がダウノルビシン, ドキソルビシン,エピルビシン、およびイダルビシンからなる群より選択されるアントラサイクリンである。アントラサイクリンの代表的なものとしてはダウノルビシン(セルビジン;ベッドフォードラボラトリーズ)、ドキソルビシン(アドリアマイシン;ベッドフォードラボラトリーズ;塩酸ドキソルビシン、水酸基ダウノルビシン、およびルベックスとも呼ばれる)、エピルビシン(エラレンス;ファイザー)、およびイダルビシン(イダマイシン;ファイザー社)が挙げられるが、これらに限定されない
【0497】
アントラサイクリン類似体であるドキソルビシン(ADRIAMYCIN)は、転写のためにDNAを巻き戻す酵素トポイソメラーゼIIのインターカレーションと進行の抑制によってDNAと相互作用すると考えられている。ドキソルビシンは複製のためにDNA鎖を切断した後、トポイソメラーゼII錯体を安定化し、DNA二重らせんが再結合するのを妨げ、それによって複製過程を停止させる。ドキソルビシンおよびダウノルビシン(DAUNOMYCIN)は化学療法剤をアントラサイクリンする原型細胞傷害性天然産物である(Sessaら、(2007)Cardiovasc)。トキシコール。7:75-79).
【0498】
本明細書で使用するのに適したアントラサイクリンの非限定的な一例は、PNU-159682(「PNU」)である。PNUは親ネモルビシンに対して3000倍を超える細胞毒性を示す(Quintieriら、臨床がんResearch 2005、11、1608-1617)。PNUは、構造式によって表される。
[化70]
【0499】
PNUのようなアントラサイクリン上の多数の位置は、連結部分、従って、本明細書中に記載されるような抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントを共有結合するための位置として役立ち得る。例えば、リンカーは、ヒドロキシメチルケトン側鎖への修飾を介して導入され得る。
【0500】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が構造式で表されるPNU誘導体である。
[化71]
【0501】
ここで、波線は本明細書に記載されるように、ADCのリンカーへの共有結合アタッチメント(attachment)点を示す。
【0502】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が構造式で表されるPNU誘導体である。
[化72]
【0503】
ここで、波線は本明細書に記載されるように、ADCのリンカーへの共有結合アタッチメント(attachment)点を示す。
【0504】
ベンゾジアゼピン
他の実施形態では、本明細書に記載される抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書に記載されるように、PBDまたはIGNなどのベンゾジアゼピン部分を含む細胞毒素に結合させることができる。
【0505】
ピロロベンゾジアゼピン(PBD)
本明細書中に記載されるようにCD45に結合するいくつかの実施形態では抗体、またはそれらの抗原結合フラグメントはピロロベンゾジアゼピン(「PBD」)である細胞毒素またはPBDを含む細胞毒素に結合され得る。PBDは特定の放線菌によって産生される天然産物であり、配列選択的DNAアルキル化化合物であることが示されている。PBD細胞毒素にはアントラマイシン、二量体PBD、および例えば、Hartley、JA(2011)に開示されているものが含まれるが、これらに限定されない。「抗腫瘍代理人としてのピロロベンゾジアゼピンの展開」専門家の意見。Inv.薬物、20(6)、733-744; and Antonow、Dand Thurston、D.E(2011)"Synthesis of DNA-interactive pyrrolo[2,1-c][1,4]benzodiazepines(PBD)".Chem Rev。111: 2815-2864.
【0506】
PBDは一般的な構造:
[化73]
【0507】
それらは、置換基の数、型および位置、それらの芳香族(「A」)環およびピロロ(「C」)環の両方、ならびにC環の飽和度が異なる。ジアゼピンB環には、N10-C11位にイミン(N=C)、カルビノアミン(NH-CH(OH))、またはカルビノアミンメチルエーテル(NH-CH(OMe))が存在する。この位置は、DNAアルキル化に関与する求電子性部分である。公知の天然産物PBDの全ては、C環からA環に向かって見た場合に、それらに右回りのねじれを与えるキラルC11a位置に(S)配置を有する。これは、B型DNAの副溝との等ヘリシティに適宜三次元形状を提供し、結合部位に密着する(Kohn、In Antibiotics IIISpringer-Verlag、New York、pp。3-11(1975); Hurley and Needham-VanDevanter、Acc)。Chem Res、19、230-237(1986))。PBDが副溝中で付加物を形成することができることにより、PBDはDNAプロセシングを妨害することができ、抗腫瘍活性をもたらす。
【0508】
これらの分子の生物学的活性は可撓性アルキレンリンカーを介して2つのPBD単位をそれらのC8-水酸基機能を通して一緒に結合することによって増強され得ることが以前に開示されている(Bose、DSら、JAmChemSoc、114、4939-4941(1992); Thurston、DEら、JOrg.)。Chem.,61,8141-8147(1996)。PBD量体は主にそれらの生物学的活性の原因であると考えられる、パリンドローム5'-Pu-GATC-Py-3'ストランド間架橋(Smellie、M.ら、Biochemistry,42,8232-8239(2003); Martin、C.ら、Biochemistry,44,4135-4147)のような配列選択的DNA病変を形成すると考えられる。好都合な二量体ピロロベンゾジアゼピン化合物は、Gregsonら(ChemCommun。1999、797-798; "compound 1")およびGregsonら(JMedChem。2001、44、1161-1174; "compound 4a")によって記載されている。SG2000としても知られているこの化合物は、構造式:のものである。
[化74]
【0509】
一般に、ピロリジンアルケン部分に対する修飾は連結部分、したがってその抗体または抗原結合フラグメント(本明細書に記載されるように、それぞれ-L-Z'および-L-Z-Ab)を共有結合するための取っ手を提供する。あるいは、リンカーがN10位に結合され得る。
【0510】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が構造式で表されるピロロベンゾジアゼピン二量体である。
[化75]
【0511】
式中、nは2~5の整数である。nが3であるこの式の化合物は、DSB-120として知られている(Bose et al、JAmChemSoc。1992、114、4939-4941)。
【0512】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が構造式で表されるピロロベンゾジアゼピン二量体である。
[化76]
【0513】
式中、nは2~5の整数である。nが3であるこの式の化合物は、SJG-136として知られている(Gregson et al、JMedChem。2001、44、737-748)。nが5であるこの式の化合物はDRG-16として知られている(Gregsonら、Med.Chem.2004;47:1161-1174)。
【0514】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が構造式で表されるピロロベンゾジアゼピン二量体である。
[化77]
【0515】
ここで、波線は本明細書に記載されるように、ADCのリンカーへの共有結合アタッチメント(attachment)点を示す。このPBDに基づくADCは例えば、Sutherlandら、Blood 2013 122:1455-1463(これは、その全体が参照により本明細書中に援用される)に開示される。
【0516】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が構造式で表されるPBD二量体である。
[化78]
【0517】
式中、nは3または5であり、波線は、本明細書に記載されるようなADCのリンカーへの共有結合アタッチメント(attachment)点を示す。
【0518】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が構造式で表されるPBD二量体である。
[化79]
【0519】
ここで、波線は本明細書に記載されるように、ADCのリンカーへの共有結合アタッチメント(attachment)点を示す。
【0520】
特定の実施では細胞毒素がPBD量体であってもよく、これはリンカーおよび反応性部分Z'と一緒になった場合、それぞれ本明細書に記載されるように、以下の構造によって表されてもよい。
[化80]
この特定の細胞毒素-リンカー結合体はテシリン(SG3249)として知られており、例えば、ハワードら、ACS Medに記載されている。ChemLett.2016, 7(11)、983-987、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0521】
いくつかの実施形態では、細胞毒素-リンカー結合体が抗体に結合する前に、反応性置換基Z'を含み、Cy-L-Z'として一緒になっている、次の構造を有する。
[化81]
この特定の細胞毒素-リンカー結合体はタリリンとして知られており、例えば、ADCバダスツキシマブtalirine(SGN-CD33A)、Mantajら、Angewandte Chemie International Edition English 2017,56,462-488に関連して記載されており、その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0522】
インドリノベンゾジアゼピン(IGN)
本明細書中に記載されるようにCD45に結合するいくつかの実施形態では抗体、またはそれらの抗原結合フラグメントはインドリノベンゾジアゼピン(「IGN」)である細胞毒素またはIGNを含む細胞毒素に結合され得る。いくつかの実施形態では、IGN細胞毒素はインドリノベンゾジアゼピン二量体またはインドリノベンゾジアゼピン偽二量体である。
【0523】
インドリノベンゾジアゼピン二量体は、がん細胞に対する高インビトロ効力(低pMレンジIC 50値)を有する細胞毒素の比較的新しい化学種を表す。PBD量体SJG-136と同様に、IGN量体はDNAの副溝に結合し、量体中の2つのイミン機能を介してグアニン残基に共有結合し、DNAの架橋を生じる。IGN量体(IGN6;PBD部分のメチレン基をフェニル環で置換)はおそらくDNA IGNとの付加物生成速度が速いために、SJG-136と比較してインビトロで約10倍高い効力を示した(例えば、Millerら、「A New Class of抗体-Drug Conjugates with Potent DNA Alkylating Activity」Mol.がんTher。2016、15(8)、1870-1878を参照のこと)。対照的に、IGN疑似二量体(pseudodimer)は単一の反応性インドリノベンゾジアゼピンイミンを含み、二量体細胞毒素中の第2のインドリノベンゾジアゼピンは、還元(アミン)形態で存在する。従って、IGN疑似二量体(pseudodimer)は二量体中に存在する単一のイミン部分を介してDNAをアルキル化し、DNAを架橋しない。
【0524】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が構造式を有するIGN疑似二量体(pseudodimer)である。
[化82]
ここで、波線はリンカーのアタッチメント(attachment)点を示す。
【0525】
いくつかの実施形態では、細胞毒素-リンカー結合体が抗体に結合する前に、反応性置換基Z'を含み、Cy-L-Z'として一緒になって、次の構造を有する。
[化83]
この細胞毒素-リンカー結合体は本明細書中でDGN549と呼ばれ、そしてADC IMGN632中に存在し、これらの両方は例えば、国際特許出願公開パンフレット(これは、本明細書中で参考として援用される)に開示される。
【0526】
いくつかの実施形態では、細胞毒素が次式の構造を有するインドリノベンゾジアゼピン偽二量体である。
[化84]
ここで、波線はリンカーのアタッチメント(attachment)点を示す。このIGN疑似二量体(pseudodimer)細胞毒素は例えば、米国特許出願公開第20170080102号(これは、本明細書中に参考として援用される)に開示される、本明細書中でDGN462と呼ばれる。
【0527】
いくつかの実施形態では、細胞毒素-リンカー結合体が抗体に結合する前に、化学的な部分構造Zを含み、Cy-L-Zと一緒になって、次の構造を有する。
[化85]
ここで、波線は抗体(例えば、抗CD45抗体またはそのフラグメント)へのアタッチメント(attachment)点を示す。この細胞毒素-リンカー結合体は例えば、米国特許出願公開第20170080102号(以前に参考として本明細書中に援用される)に開示される、ADC IMGN779中に存在する。
【0528】
カリケアマイシン
他の実施形態において、本明細書に記載される抗体およびその抗原結合フラグメントはエネジイン抗腫瘍抗生物質(例えば、カリケアマイシン、オゾガミシン)である細胞毒素に結合され得る。カリケアマイシンファミリーの抗生物質は、ピコモル未満の濃度で二本鎖DNA破壊を生じることができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許を参照のこと。No.5,712,374; 5,714,586; 5,739,116; 5,767,285; 5,770,701; 5,770,710; 5,773,001; および5,877,296(すべてアメリカン・シアナミド・カンパニー)。使用され得るカリケアマイシンの構造類似体には例えば、Hinmanら、がんResearch 53:3336-3342(1993)、Lodeら、がんResearch 58:2925-2928(1998)、およびAmerican Cyanamidに対する前述の米国特許に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0529】
例示的なカリケアマイシンは、ここでは単にガンマとして参照され、構造公式を有する、ガンマ1と表される。
[化86]
【0530】
いくつかの実施形態では、カリケアマイシンがガンマ-カリケアマイシン誘導体またはN-アセチルガンマ-カリケアマイシン誘導体である。使用され得るカリケアマイシンの構造類似体には例えば、Hinmanら、がんResearch 53:3336-3342(1993)、Lodeら、がんResearch 58:2925-2928(1998)、および上記の米国特許に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。カリケアマイシンは適切なチオールと反応させてジスルフィドを形成することができるメチルトリスルフィド部分を含み、同時に、リンカーを介して、本明細書に記載の抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントにカリケアマイシン誘導体を結合させるのに役立つ官能基を導入する。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許を参照のこと。No.5,712,374; 5,714,586; 5,739,116; 5,767,285; 5,770,701; 5,770,710; 5,773,001; および5,877,296(すべてアメリカン・シアナミド・カンパニー)。使用され得るカリケアマイシンの構造類似体には例えば、Hinmanら、がんResearch 53:3336-3342(1993)、Lodeら、がんResearch 58:2925-2928(1998)、およびAmerican Cyanamidに対する前述の米国特許に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0531】
ある実施形態に、本明細書に開示されるADCの細胞毒素は、次式で表されるカリケアマイシンジスルフィド誘導体である。
[化87]
ここで、波線はリンカーのアタッチメント(attachment)点を示す。
【0532】
リボソーム非作動タンパク質(RIP)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD45抗体またはそのフラグメントに結合した細胞毒素がリボソーム不活性化タンパク質である。リボソーム不活性化タンパク質は、通常は不可逆的にリボソームに作用するタンパク質合成阻害薬である。RIPは、植物およびバクテリアに見出される。RIPの実施例としてはサポリン、リシン、アブリン、ゲロニン、シュードモナス外毒素(または外毒素A)、トリコサンチン、ルフィン、凝集素およびジフテリア毒素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0533】
本明細書中に開示される抗CD45抗体結合体および方法において使用され得るRIPの別の実施例は、志賀毒素(Stx)または志賀様毒素(SLT)である。志賀毒素(Stx)は、大腸菌(大腸菌ではStx1と呼ばれる)のShigella dysenteriae 1および一部の血清群(血清型O157:H7、O104:H4を含む)で認められる強力な細菌毒素である。Stx1に加えて、一部の大腸菌株はStx/Stx1と同じ作用様式をもつが抗原的に異なる第2の型のStx(Stx2)を産生する。SLTは、大腸菌によって産生される同一または同一の毒物の歴史的用語である。各毒素のサブタイプが同定されているため、現在では各グループの原型毒素をStx1aまたはStx2aと命名している。Stx1aおよびStx2aは様々な細胞型に対する細胞毒性の差異を示し、レセプター類似体または模倣体に異なって結合し、異なるケモカイン応答を誘導し、いくつかの特徴的な構造特性を有する。
【0534】
志賀毒素ファミリーのメンバーとは、構造的および機能的に関連する天然に存在するタンパク質毒素のファミリーの任意のメンバー、特に、Sdysenteriaeおよび大腸菌単離された毒素をいう(Johannes L、Romer W、Nat Rev Microbiol 8: 105-16(2010))。例えば、志賀毒素ファミリーは、Sdysenteriae血清型1から単離された真の志賀毒素(Stx)、腸管出血性大腸菌の血清型から単離された志賀様毒素1バリアント(SLT1またはStx1またはSlt-1またはSlt-I)、および腸管出血性大腸菌の血清型から単離された志賀様毒素2バリアント(SLT2またはStx2またはSlt-2)を包含する。SLT1はStxと残基が1つしか異ならず、両方とも、ベロサイトトキシンまたはベロトキシン(VT)と呼ばれている(O'Brien Aら、Curr Top Microbiol Immunol 180: 65-94(1992))。SLT1およびSLT2バリアントはアミノ酸配列レベルで互いに約53~60%しか類似していないと報告されているが、それらは志賀毒素ファミリーのメンバーに一般的な酵素活性および細胞毒性のメカニズムを共有する(Johannes、Nat Rev Microbiol 8: 105-16(2010))。
【0535】
志賀毒素ファミリーのメンバーは一般に2つのサブユニットをもつ。AサブユニットとBサブユニットである。トキシンのBサブユニットは、糖脂質グロボトリアオシルセラミド(Gb3)として知られる細胞膜の構成要素に結合する。サブユニットBがGb3に結合すると、狭い管状の膜陥入が誘発され、バクテリアが細胞に取り込まれるために内向きの膜細管が形成される。志賀毒素(非孔形成毒素)は、ゴルジ網と小胞体を介して細胞質に移行する。ゴルジ体毒素から小胞体に輸送される。志賀毒素はリシン(Sandvig and van Deurs(2000)EMBO J 19(220:5943))と同様のメカニズムによってターゲット細胞内のタンパク質合成を阻害するように作用し、細胞に入った後、毒素のAサブユニットがリボソームの60Sサブユニットの28S RNAから比アデニン核酸塩基を切断し、それによってタンパク質合成を停止させる(Donohue-Rolfe et al(2010)Reviews of Infectious Diseases 13 Suppl.)。4(7): S293-297).
【0536】
本明細書中で使用される場合、志賀ファミリー毒素への言及は構造的および機能的に関連する、天然に存在するタンパク質毒素(例えば、Sdysenteriaeおよび大腸菌単離された毒素)の志賀毒素ファミリーの任意のメンバーをいう。例えば、志賀毒素ファミリーは、Sdysenteriae血清型1から単離された真の志賀毒素(Stx)、腸管出血性大腸菌の血清型から単離された志賀様毒素1バリアント(SLT1またはStx1またはSlt-1またはSlt-I)、および腸管出血性大腸菌の血清型から単離された志賀様毒素2バリアント(SLT2またはStx2またはSlt-2)を包含する。本明細書中で使用される場合、「Shigaファミリー毒素由来のサブユニットA」または「Shigaファミリー毒素サブユニットA」は、Shiga毒素またはShiga様毒素を含む、Shiga毒素ファミリーの任意の部材由来のサブユニットAをいう。
【0537】
ある実施形態に、抗CD45 ADCは、志賀ファミリー毒素サブユニットA、または細胞毒性活性、すなわちリボソーム阻害活性を有する志賀ファミリー毒素サブユニットAの一部に結合した抗CD45抗体を含む。志賀毒素サブユニットA細胞毒性活性には、例えば、リボソーム不活性化、タンパク質合成抑制、N-グリコシダーゼ活性、ポリヌクレオチド:アデノシングリコシダーゼ活性、RNAse活性、およびDNAse活性が含まれる。志賀毒素エフェクター活性のアッセイの非限定的な例は、タンパク質合成阻害活性、脱プリン活性、細胞増殖の阻害、細胞毒性、超らせんDNA緩和活性、およびヌクレアーゼ活性を測定する。
【0538】
ある特定の実施形態に、抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントは、シガファミリー毒素Aサブユニット、またはリボソーム阻害活性を有するそのフラグメントに結 合される。志賀ファミリー毒素サブユニットAの実施例は志賀様毒素1サブユニットA(SLT-1A)であり、そのアミノ酸配列を以下に示す
VVDIDSLNRNLGFAGTVRNLNVTTVFTTVVGSLNVTTTVFTTVVGSTTVFTTVFTTVVGSTVFTTTVFTTVFTVGSTVTVTQRQIQRQRGTTTLDLSGRSYMTVMTVDEDGRSVLSGRSLSGRSVLSGRSLSSGRLSSVPDVLLLSSGRLSSSVLPDYHGGSVGRISFGSINGSAILGSLVALNCHHHHSSRVARMASDESDEFPSMCPADGRADGRGITHNKILWDSSTLGAILRTISS(OB147)(OB147)を参照する。
志賀ファミリー毒素サブユニットAのもう一つの実施例は志賀毒素サブユニットA(StxA)であり、そのアミノ酸配列を以下に示す
NVDIDGVRTNLVRNLVERNGTNLYFTGTNVFTGVRTTNLYVFTTGVFTTTVFTTVFTTVGTTVFTTVFTGVTTTVFTTVFTTGVTTTVFTTVFTTTVFTTVFTTTVFTTVFTTTVFTTVFTTTVFTTVFTTTVTVTALQRGRSYMTDLDGRSYMTVLGRSLSGRSVLSSGRLSSLSWLSGRLSSVLPDYHGQDSVRGRISFGSINGSLVALNCHHGSLNCHHHGSLVARMASSRVARMASDEFPSMCPADGRGITHNKILWDSSTLGAILRTISS(OB148)OB148)を参照してください(OB148)。
志賀ファミリー毒素サブユニットAの別の実施例は志賀様毒素2サブユニットA(SLT-2A)であり、そのアミノ酸配列を以下に示す
VISNLYGNTERNLYGNTERNLVISGVISSLLNGVINTENGVISSLLVISGVINTVISSLVISSLVINGVINTVISSLVISTVISSLVISTVISSLVVISSTVISSLVVISSTVISSTLVISSSLVGRMEGRSMTRASVLMEFRSTRASVLRFVITVIRFRQRQRGFRSEPLASEPLYTMTAQDVDLTNWNGRISNVLEGRIGRISFNSAILSSAILLSSAILVGSAILSVIGSTHSYSSVRSQKQKTECQIVGDRAAIKVNVNWEANTIAAAALNTIAAALLLNRKPQDLTEPNQ(OB149)(OB149)。
【0539】
特定の状況において、天然に存在するShigaファミリー毒素サブユニットAは、成熟Shigaファミリー毒素Aサブユニットを産生するために除去され、当業者に認識可能で約22アミノ酸のシグナル配列をそれらのアミノ末端に含む前駆体形態を含み得る。シガファミリー毒素サブユニットAの細胞傷害性フラグメントまたは切断型もまた、本明細書中に開示されるADCおよび方法において使用され得る。
【0540】
ある特定の実施形態に、志賀ファミリー毒素サブユニットAは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40またはそれ以上のアミノ酸残基(ただし、少なくとも85%、90%、95%、99%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を保持するアミノ酸残基以下)だけ、天然に存在する志賀毒素Aサブユニットとは異なる。いくつかの実施形態では、志賀ファミリー毒素サブユニットAが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40またはそれ以上のアミノ酸残基(ただし、少なくとも85%、90%、95%、99%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を保持するアミノ酸残基以下)だけ、天然に存在する志賀ファミリー毒素Aサブユニットとは異なる。従って、Shiga毒素ファミリーの部材のAサブユニットに由来するポリペプチド領域は天然に存在するShigaファミリー毒素サブユニットAに対して少なくとも85%、90%、95%、99%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性が維持される限り、元の配列からの付加、欠失、切断、または他の改変を含み得る。
【0541】
したがって、ある特定の実施形態に、志賀ファミリー毒素サブユニットAは、SLT-1A(配列番号(SEQ ID NO): 147)、StxA(配列番号(SEQ ID NO):148)、および/またはSLT-2A(配列番号(SEQ ID NO):149)などの天然に存在する志賀ファミリー毒素サブユニットAと少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%または99.7%の全配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、または本質的にそれからなる。
【0542】
細胞毒素として好適なShiga毒素およびRIPは例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているUS20180057544に開示されている。
【0543】
ある特定の実施形態に、本明細書中に記載されるVHおよびVL可変領域(または本明細書中に記載される軽鎖および重鎖CDR組を含む可変領域)を含む抗CD45 scFvは、毒素に結合されて、scFv毒素を形成する。毒素のこのような例は、上記のような志賀毒素である。
【0544】
追加の細胞毒素
他の実施形態では、本明細書に記載される抗体およびその抗原結合フラグメントが本明細書において上記で開示される細胞毒素以外の細胞毒素に、またはそれに加えて、結合体化され得る。本明細書に記載される組成物および方法での使用に適した追加のサイトトキシンは限定されるものではないが、5-エチニルウラシル、アビラテロン、アドゼレシン、アルデスレタミン、アムスチン、アミドックス、アミノレブリン酸、アムサクリン、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管新生阻害剤、アンタレリクス、抗背側形成タンパク質-1、抗アンドロゲン、前立腺癌、アンチネオプラストン、アンチネオプラストン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アフィジコリングリシネート、アポトーシス調節剤、アプリン酸、アスウラクリン、アタメスタン、アキシナスタチン1、アキシナスタチン2、アザセトロン、アザチロシン、バカチンIII誘導体を含む バラノール、BCR/ABL拮抗薬、ベンゾクロリン、βラクタム誘導体、ベタクラミンB、ベツリン酸、ビカルタミド、ビサントレミン、ビスナフィド、ビゼレシンA、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ブロピリミン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプトテシン誘導体(例えば、10-ヒドロキシカンプトテシン)、カペシタビン、カルボキサミドアミノトリアゾール、 カルボキシアミドトリアゾール、カルゼレシン、カセリン、クロロリクス、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、シスポルフィリン、クロトリマゾール、クロトリマゾールA、コルブレタスタチンA4、コンブレタスタチンアナログ、コナゲニン、クリプトフィシン816、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA、シクロペンタントラキノン、シペマイシン、シタラビンオクホスファート、細胞溶解因子、サイトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、2'デオキシコホルマイシン(DCF)、デスロレリン、デクスファミド、デクスラゾキサン、デクスラパミル ジアジクオン、ジデムニンB、ジヒドロノルスペルミン、ジヒドロキサシチジン、ジヒドロキサシチジン、ドロキソサノール、ドロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エドレクロマブ、エフロルニチン、エミテフル、エポチロン、エプリステリド、エトポシド、エトポシド4'-リン酸(エトポフオスともいう)、エキセメスタン、ファザラビン、フェンレチニド、フィラステリド、フラボピリドール、フラゼラスチン、フルダラビン、フルオロダウニシン、 フェニメク、ギャドリニウムテキサフィリン、ギロシタビン、ガロシタビン、ゲムシタビン、グルタチオン阻害薬、ヘプスルファン、ホモハリンギシン、イドキシフェン、イロマスタット、イミダゾクリドン、イミキモド、免疫刺激ペプチド、ヨードキソルビシン、イリノテカン、イリノグラジン、イソベンガゾール、ジャスファリドF、ラメラリン-Nトリアセテート、レナマイシン、レノグラスチム、レプトルスタチン、レトロゾール、脂溶性白金化合物、リスソクリナミド7、ロバプラチン メトレキソール、ロニダミン、ロキサントロン、ロキソリビン、ロキソトリビン、マソプロテイナーゼ阻害薬、マソプロテイナーゼ、メノガリン、メテロシナーゼ、メチオニナーゼ、MIF阻害薬、イフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミトガゾン、ミトキサントロン、ミトキサントロン、モファロテン、ミリアポロンB、N-アセチルジナリン、ナフェルスティプ、ナフテルピン、ナルグラスチム、ネモルビシン、ニルタミド、ニトルリン、オクトレオチド、イセノン 、オナプリストン、オキサリプラチン、オキサロマイシン、パルミトキシン、パミドロン酸、パルミトリオール、パゼリン、ペグアスパラガーゼ、パゼリプチン、ポリ硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルフルブロン、フェナジノマイシン、ピシバニール、ピラルビシン、ポドフィロトキシン、ポルフィロマイシン、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、ラルチトレキセド、リゾキシン、ロヒツカイン、ルビギノンB1、ルフィン、サルコフィトールA、サルガモスチム、ソブゾキサン、スパルフォシンD、スピロムスチン ピスチアミド、スルフィノシン、テモゾロミド、テニポシド、タリブラスチン、チオコラザミン、トポテカン、トプセンチン、トリシリビン、トリメトレキサート、ビノレルビン、ビンキサルチン、ボロゾール、ゼニプラチン、およびジラスコルブ。
【0545】
リンカー
本明細書で使用される「リンカー」という語はそれぞれ本明細書に記載されるように、抗CD45抗体を細胞毒素に共有結合させて抗CD45抗体薬物コンジュゲート(ADC)を形成する共有結合または原子鎖を含む二価化学的な部分構造を意味する。好適なリンカーは2つの反応性末端を有し、一方は抗体への共役のためであり、他方は細胞毒素への共役のためである。リンカーの抗体共役反応性末端(反応性部分、Z')は典型的には抗体上のシステインチオールまたはリジンアミン基を介して抗体に共役することができる部位であり、したがって、典型的には二重結合(マレイミドにおけるよう)のようなチオール反応性基、またはクロロ、ブロモ、ヨード、もしくはR-スルファニル基のような脱離基、またはカルボキシル基のようなアミン反応性基であり;一方、リンカーの抗体共役反応性末端は典型的には細胞毒素上の基本アミンまたはカルボキシル基とのアミド結合の形成を介して細胞毒素に共役することができる部位であり、したがって、典型的にはカルボキシルまたは基本アミン基である。「リンカー」という語が共役形態で本リンカーを記載する際に使用される場合、反応性末端の一方または両方はリンカーおよび/または細胞毒素間、ならびにリンカーおよび/またはその抗体もしくは抗原結合フラグメント間の結合の形成のために、存在しない(例えば、化学的な部分構造Zに変換された反応性部分Z')か、または不完全である(例えば、カルボン酸のカルボニル基のみ)。このような共役反応は、本明細書中以下にさらに記載される。
【0546】
種々のリンカーを用いて、記載された抗体または抗体フラグメントを細胞傷害性分子に結合させることができる。いくつかの実施形態ではリンカーが細胞内条件下で切断可能であり、その結果、リンカーの切断は細胞内環境において抗体から薬物ユニットを放出する。さらに他の実施形態では、リンカー・ユニットは切断可能ではなく、薬物は例えば、抗体分解によって放出される。本発明のADCに有効なリンカーは好ましくは細胞外で安定であり、ADC分子の凝集を防止し、ADCを水溶性媒体中および単量体状で自由に溶解し続ける。細胞への移送またはデリバリーの前に、ADCは好ましくは安定であり、無傷のままであり、すなわち、抗体は、薬物部分に連結されたままである。リンカーはターゲット細胞の外部で安定であり、細胞内部である有効な速度で切断され得る。効果的なリンカーは(i)抗体の特異的結合特性を維持し;(ii)共役または薬物部分の細胞内デリバリーを可能にし;(iii)共役がその標的部位に送達または輸送されるまで、安定かつ完全なままであり、すなわち切断されない;および(iv)細胞傷害性、細胞殺傷効果または細胞傷害性部分の細胞増殖抑制効果を維持する。ADCの安定性は、マススペクトロスコピー、HPLC、および分離/解析技術LC/MSなどの通常の分析技術によって測定することができる。抗体および薬物部分の共有結合アタッチメント(attachment)は、リンカーが2つの反応性官能基、すなわち反応性の意味での二価を有することを必要とする。ペプチド、核酸、薬物、毒素、抗体、ハプテン、およびレポーター基などの2つ以上の機能的または生物学的に活性な部分を付着させるのに役立つ二価リンカー試薬が知られており、方法は、それらの得られた共役について記載されている(Hermanson、GT(1996)Bioconjugate Techniques; Academic Press: New York、p。234-242)。
【0547】
好適な切断可能なリンカーは例えば、酵素的加水分解、光分解、酸性条件下での加水分解、基本条件加水分解、酸化、ジスルフィド還元、求核切断、または有機金属切断によって切断され得るものを含む(例えば、Lericheら、BioorgMedChem、20:571-582、2012(この記載内容は、共有共役的共役に好適なリンカーに関連するものとして、本明細書中で参考として援用される)。好適な切断可能なリンカーは例えば、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテルまたはジペプチドなどの化学的な部分構造を含み得る。
【0548】
酸性条件下で加水分解可能なリンカーとしては、例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シス-アコニティックアミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなどが挙げられる。(例えば、米国特許を参照されたい。No.5,122,368; 5,824,805; 5,622,929; Dubowchik and Walker、1999、Pharm.Therapeutics 83:67-123; Nevilleら、1989、Biol.Chem.264:14653-14661(これらの各々の記載は、共有結合に適したリンカーに関連するので、その全体が本明細書中に参考として援用される)。このようなリンカーは血中のものような中性pH条件下では比較的安定であるが、リソソームのおよそのpHであるpH 5.5または5.0未満では不安定である。
【0549】
還元条件下で切断可能なリンカーとしては、例えば、ジスルフィドが挙げられる。例えば、アドバンストテクノロジアタッチメント(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)酪酸)およびSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン)、SPDBおよびSMPTを使用して形成することができるものを含む、様々なジスルフィドリンカーが当技術分野で知られている(例えば、Thorpeら、1987、がんResを参照されたい)。47:5924-5931; Wawrzynczakら、Inイミュノコンジュゲート:抗体Conjugates in Radioimagery and Therapy ofがん(C.WVogel編、Oxford Uプレス、1987)。米国特許も参照されたい。その各々の記載は、共有結合に適したリンカーに関連するので、その全体が本明細書中に参考として援用される、第4,880,935号。
【0550】
酵素的加水分解に感受性のリンカーは例えば、細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素(リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼを含むが、これらに限定されない)によって切断されるペプチド含有リンカーであり得る。治療薬剤の細胞内タンパク質分解放出を使用することの1つの利点は、結合体高された場合に代理人が典型的に弱毒高され、結合体の血清安定性が典型的に高まることである。いくつかの実施形態では、ペプチジルリンカーが少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長である。例示的なアミノ酸リンカーには、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドまたはペンタペプチドが含まれる。好適なペプチドの実施例としては、バリン、アラニン、シトルリン(Cit)、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、およびグリシンなどのアミノ酸を含むものが挙げられる。アミノ酸リンカー構成要素を含むアミノ酸残基としては、天然に存在するもの、ならびに少量のアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸アナログ(例えば、シトルリン)が挙げられる。例示的なジペプチドには、バリン-シトルリン(vcまたはval-cit)およびアラニン-フェニルアラニン(afまたはala-phe)が含まれる。例示的なトリペプチドには、グリシンフェニルアラニンシトルリン(gly-val-cit)およびグリシングリシングリシン(gly-gly-gly)が含まれる。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-Cit、Ala-Val、またはPhe-Lys、Val-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Phe-Arg、またはTrp-Citなどのジペプチドを含む。Val-CitまたはPhe-Lysなどのジペプチドを含むリンカーは例えば、米国特許に開示されている。米国特許第6,214,345号は、共有結合に適したリンカーに関連するので、その内容全体が引用により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、リンカーがVal-AlaおよびVal-Citから選択されるジペプチドを含む。
【0551】
本明細書に記載の抗体または抗体フラグメントを細胞傷害性分子に結合させるのに適したリンカーには、1,6-排除処理によって細胞毒素を放出することができるものが含まれる。この脱離過程が可能な化学的な部分構造には、p-アミノベンジル基、6-マレイミドヘキサン酸、pH感受性炭酸塩、およびJainら、Pharmに記載されているような他の試薬が含まれる。Res.32:3526-3540, 2015、その内容は、共有結合に適したリンカーに関連するので、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0552】
いくつかの実施形態では、このリンカーが例えば、Carlら、JMedに開示されている、前述のPABまたはPABC(パラアミノベンジルオキシカルボニル)などの「自己免疫性」基を含む。Chem(1981)24:479-480; Chakravartyら(1983)JMed.化学物質26:638-644; US200306214345; US20030096743; US200400759509; US20040052793; US6218519; US6835807; US6268488; US2004001894;W098/13059; US20040052793; US5621002; US20040121940;WO2004/032828。この方法が可能な他のこのような化学的な部分構造(「自壊リンカー」)としては、メチレンカルバメートおよびヘテロアリール基(例えば、アミノチアゾール、アミノイミダゾール、アミノピリミジンなど)が挙げられる。このような複素環自己固定基を含むリンカーは例えば、米国特許公報に開示されている。20160303254および20150079114、ならびに米国特許第7,754,681号; Hayら(1999)Bioorg。中央値。ChemLett.9:2237; 米国2005/0256030; de Groot et al(2001)JOrg.Chem.66:8815-8830;およびUS 7223837。いくつかの実施形態では、ジペプチドを自壊リンカーと併用する。
【0553】
本明細書での使用に適したリンカーはさらに、C 1 -C 6アルキレン、C 1 -C 6ヘテロアルキレン、C 2 -C 6アルケニレン、C 2 -C 6ヘテロアルケニレン、C 2 -C 6 アルキニレン、C 2 -C 6 ヘテロアルキニレン、C 3 -C 6 シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびそれらの組合せから選択される1つ以上の群を含み、それらの各々は任意に置換されてもよい。このようなグループの非限定的な例は(CH2)p、(CH2 CH2 O)p, および-(C=O)(CH2)p -ユニットを含み、ここでpは、各場面に対して独立に選択される1から6の整数である。
【0554】
好適なリンカーは、溶解性を高める特性を有する基を含有する可能性がある。例えば、(CH 2 CH 2 O)p単位(ポリエチレングリコール、PEG)を含むリンカーは溶解性を高めることができ、アミノ、スルホン酸、ホスホン酸またはリン酸残基で置換されたアルキル鎖も同様である。このような部分を含むリンカーは例えば、米国特許番号に開示されている。8,236,319 および9,504,756は、共有共役的共役に適したリンカーに関連するので、その全体が本明細書に参考として援用される。さらなる溶解性増強基としては、例えば、以下の構造を有するアシルおよびカルバモイルスルファミド基が挙げられる。
[化88]
式中、aは0または1である。
【0555】
R 10はオシロ、C 1-C 24のアルキル群、C 2 -C 24のシクロアルキル群、C 1 -C 24(ヘテロ)アリール群、C 1 -C 24(ヘテロ)のアルキル群、C 3 -C 24のアルキル群、R 10(ヘテロ)C 3-C 24のアルキル群、C 3 -C 24のアルキル(ヘテロ)アリール群、C 1 -C 24(ヘテロ)のアルキル群からなる群から選択され、それらの各々はオプショナルにO、S、NR 11 R 12から選択された1つ以上のヘテロアトムによって置換および/または任意に中断されてもよく、R 11およびC 1 -C 24はオプショナルに、オプショナルにスペーサーモイティーを介してNに接続されるサイトトキシンである。このような基を含むリンカーは例えば、米国特許第9,636,421号および米国特許出願公開第2017/0298145号に記載されており、これらの開示は、細胞毒素および抗体またはそれらの抗原結合フラグメントへの共有結合に適したリンカーに関連するため、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0556】
いくつかの実施形態では、リンカーがヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル、ジペプチド、p-アミノベンジル(PAB)基、複素環自己免疫基、任意に置換されたC 1 -C 6 アルキル、任意に置換されたC 1 -C 6ヘテロアルキル、任意に置換されたC 2 -C 6アルケニル、任意に置換されたC 2 -C 6 ヘテロアルケニル、任意に置換されたC 2 -C 6 アルキニル、任意に置換されたC 2 -C 6 ヘテロアルキニル、任意に置換されたC 3 -C 6 シクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール、溶解性増強基、アシル、-(C=O)-、または-(CH 2 CH 2 O)p-基(pは1~6の整数)のうちの1つまたは複数を含むことができる。当業者のある者は、列挙された基の1つ以上が二価(ジラジカル)種(例えば、C 1 -C 6アルキレンなど)の形態で存在し得ることを認識する。
【0557】
いくつかの実施形態では、リンカーLは、部分*-L 1 L 2 -**を含む:
L1がないか-(CH2)m NR13C(=O)-、-(CH2)m NR13 -、-(CH2)m X3(CH2)mである。
[化89]
【0558】
L2が存在しないか、-(CH2)m -、-(CH2)R13 C(=O)Nm -、-(CH2)13 C(=O)Nm -、-(CH2)C(=O)X4、-((CH2)CH2)m -((CH2)m -(CH2)mn -(CH2)m -、-(NR13)(CH2)X3(CH2)m -、-NR13(CH2)m X3(CH2)m -、-X1 X2 C(=O)m -、-(CH2)m -(CH2)m -、-(CH2)m(CH2)n、-(CH2)m NR13(m)m -、-(CH2)m NR13 C(=O)(CH2)m X3(CH2)m -(C(=O)NR13(CH2)mNR13 C(=O)m C(=O)、-(m)m C(=O)、-(CH2)X2 X1 C(=O)、-(CH2)m C(=O)m -(CH2)m RN13 C(=O)、-(CH2)m X3(CH2)n R13 C(=O)m -(CH2)n -(CH2)m(=O)、-(CH2)m C(=O)n)X3(CH2)m-(m)CH2 X3(mC(=O)NR13(CH2))-、-(CH2)m X3(CH2O)-、-(CH2)m C(=)m C(=O)NR13(CH2))-、-(CH2)m C(=O)(CH2)m -、-(CH2)(CH2)m O)n(CH2)mX3(CH2)m -、-(CH2)m X3(CH2)m(O(CH2)m)nNR13 C(=O)(CH2)m -、-(CH2)m X3(CH2)m X3(CH2)mC(=Om C(=O)NR13(CH2)m)CH2)n-、-(CH2)m C(=O)n(CH2)m-、-(CH2NR13(CH2)m NR13C(=OO)mCH2)n C(=O)-、-((m)(CH2)m -、-(CH2)O)n(CH2)m NR13C(=O)mCH2mm -、-(CH2)m NR13C(=O)(CH2)m NR13 CNR13(CH2)mC(=O))m X3(CH2)m C(=O)-、-(CH2)m(O(=O)CH2mCH2)(=O)-、-(CH2)m X3(CH2)m(O(CH2m=O)(=O)(CH2)-(CH2)-、-(CH2)m C(==O)NR13 CH2CH2m(O(CH2)m)nC(CH2)m -、-(CH2)m C(=O)NR13(CH2)mC(=O)NR13(CH2))NR13(CH2)mNR13 C(=O m X3(CH2)mC(=OOOh)m)、-C(R13)2(CH2)m-、-(mm C(R13)2 NR13 -、-(CH2)m)C(=O)NR13(CH2)m)NR13-、-(CH2)m C()m X3(CH2)mC(R13)2 NR13 -、NR13-、-(CH2)m C(O)NR13 -、-(CH2)m C(NR13 -、-(CH2)m X3 -)(CH2)m-、-(CH2)O(CH2)m C(R13)2NR13 -、- C(R13)2(CH2))mX3(CH2)m -、-(CH2CH2 -C(R13)2(CH2)mOC(=O))X2 X1 C(=O)-、- C(R13)2(CH2)mNR13 C(=O)m C(R13)2 NR13-、-(CH2)m
m C(=O)NR13(CH2))CH2mX3(CH2)m(O(CH2mn NR13 -、-(CH2)m NR13)-、-(CH2)m C(=)m NR13 C(=O)O(CH2nNR13 -、-(CH2)m()O(CH2)m-、-(CH2)m(OCH2 CH2)n;-(CH2)m)m
n NR13 -、-(CH2 CH2 O)n(CH2)m-、-(CH2))m S(=O)2 -、-)(CH2)m X2 X1 C(=O)-、-(CH2)m(O()CH2OOOCO)(CH2)mS(=O)2)X3(CH2)m NR13 -、-(n X2 X1 C(=O)-、-)(CH2)m X3(CH2)mX2 X1 C(=O)-、-(CH2 C(=O)(m X3(CH2)m(O(CH2O)NR13(CH2)m -、-(CH2OOOb-、-(CH2)m X3(CH2CH2O)mX3(CH2)m C(=O(〓)-、-(CH2)m X3(CH2またはm C(=O)NR13(CH2)mC(=O)-;
である
【0559】
X1は
[化90]
【0560】
X2は
[化91]
【0561】
X3は
[化92]
【0562】
X4は
[化93]
である
【0563】
R13は、HおよびC1 -C6のアルキルからそれぞれ独立に選択される;
【0564】
mは、それぞれの場合について、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10から独立して選択される;
【0565】
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13および14から各場合について独立して選択される
【0566】
ここで、単一のアスタリスク(*)は細胞毒素(例えば、アマトキシン)に対するアタッチメント(attachment)点を示し、二重のアスタリスク(**)は反応性置換基Z'または化学的な部分構造Zに対するアタッチメント(attachment)点を示すが、ただし、L 1およびL 2は両方とも存在しない。
【0567】
いくつかの実施形態では、リンカーがp-アミノベンジル基(PAB)を含む。ある実施形態に、p-アミノベンジル基は、細胞傷害性薬物とリンカー中のプロテアーゼ切断部位との間に配置される。ある実施形態に、p-アミノベンジル基は、p-アミノベンジルオキシカルボニルユニットの一部である。ある実施形態に、p-アミノベンジル基は、p-アミノベンジルアミド単位の一部である。
【0568】
いくつかの実施形態では、リンカーはPAB、Val-Cit-PAB、Val-Ala-を含む
PAB、Val-Lys(Ac)-PAB、Phe-Lys-PAB、Phe-Lys(Ac)-PAB、D-Val-Leu-Lys、Gly-Gly-Arg、Ala-Ala-Asn-PAB、またはAla-PAB。
【0569】
いくつかの実施形態では、リンカーは以下の組合せを含むポリゴサッカライド、-(CH2)p-、-(CH2CH2 O)p -, PAB、Val-Cit-PAB、Val-Ala-PAB、Val-Lys(Ac)-PAB、Phe-Lys-PAB、Phe-Lys(Ac)-PAB、D-Val-Leu-Lys、Gly-Gly-Arg、Ala-Ala-Asn-PAB、またはAla-PABの1つ以上。
【0570】
いくつかの実施形態では、リンカーには-(CH 2)nが含まれる。nは6 である。いくつかの実施形態では、L-Zは、
[化94]
【0571】
式中、Sは、抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基を表す硫黄原子である
【0572】
いくつかの実施形態では、前記リンカーは-(C=O)(CH 2)p -単位を含み、ここで、pは、1~6の整数である。
具体的な一実施形態では、リンカーが以下の構成を含む
[化95]
【0573】
ここで、波線は、細胞毒素および反応性部分Z'に対するアタッチメント(attachment)点を示す。別の具体的な実施形態では、リンカーが以下の構造を含む。
[化96]
【0574】
ここで、波線は、細胞毒素および反応性部分Z'に対するアタッチメント(attachment)点を示す。このようなPAB-ジペプチド-プロピオニルリンカーは例えば、国際公開第2017/149077号パンフレットに開示されており、これは、その全体が本明細書中に参考として援用される。さらに、WO2017/149077に開示された細胞毒素は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0575】
ある特定の実施形態において、ADCのリンカーは、マレイミドカプロイル-Val-Ala-パラ-アミノベンジル(mc-Val-Ala-PAB)である。
【0576】
ある特定の実施形態において、ADCのリンカーはマレイミドカプロイル-Val-Cit-para-アミノベンジル(mc-vc-PAB)である。
【0577】
いくつかの実施形態では、リンカーがを含む。
[化97]
【0578】
いくつかの実施形態では、リンカーがMCC(4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート)を含む。
【0579】
いくつかの実施形態では、リンカーは(CH 2)m( n)m-グループを含み、ここで、nおよびmはそれぞれ独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10から選択され、ヘテロアリール基、ここで、ヘテロアリールグループは、トリアゾールである。いくつかの実施形態では、(CH 2)m(m O)n)- グループとトリアゾールを一緒に構成する。
[化98]
【0580】
ここで、nは1~10であり、波線は、追加のリンカー構成要素、化学的な部分構造Z、またはアマトキシンへのアタッチメント(attachment)点を示す。本明細書中に記載される方法および組成物において使用され得る他のリンカーは米国特許出願公開第2019/0144504号に記載され、これは本明細書中に参考として援用される。
【0581】
本明細書中に開示される化学基、部分および特徴のいずれか1つ以上は本明細書中に開示されるような抗体および細胞毒素の結合に有用なリンカーを形成するために、多様な方法で組み合わされ得ることが、当業者のある者によって認識される。本明細書中に記載される組成物および方法と関連して有効なさらなるリンカーは例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号に記載されており、その開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0582】
ある特定の実施形態では、リンカーの前駆物質である中間体は、適切な条件下で薬物部分と反応する。ある特定の実施形態に、反応性基は、薬物および/または中間体もしくはリンカー上で使用される。薬物と中間体または誘導体化薬物との間の反応の生成物は、その後、適切な条件下で抗体または抗原結合フラグメントと反応される。あるいは、リンカーまたは中間体を最初に抗体または誘導体化抗体と反応させ、次いで薬物または誘導体化薬物と反応させてもよい。このような共役反応は、ここで、より完全に記載される。
【0583】
抗体またはその抗原結合フラグメントへのリンカーまたは薬物-リンカー結合体の共有結合アタッチメント(attachment)には、多くの様々な反応が利用可能である。抗体分子上の好適なアタッチメント(attachment)点には、リジンのアミン基、グルタミン酸およびアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基、および芳香族アミノ酸の種々の部分が含まれる。例えば、非特異的共有結合アタッチメント(attachment)は、化合物上のカルボキシ(またはアミノ)基を抗体部分上のアミノ(またはカルボキシ)基に連結するためのカルボジイミド反応を用いて行うことができる。さらに、二官能性代理人(例えば、ジアルデヒドまたはイミドエステル)はまた、化合物上のアミノ基を抗体部分上のアミノ基に連結するために使用され得る。シッフ塩基反応もまた、薬物の結合代理人へのアタッチメント(attachment)に利用可能である。この方法はグリコールまたは水酸基を含有する薬物の過よう素酸塩酸化を伴い、したがってアルデヒドを形成し、次いでこれを結合代理人と反応させる。アタッチメント(Attachment)は、結合代理人のアミノ基を有するシッフ塩基の形成を介して起こる。イソチオシアネートはまた、薬物を結合代理人に共有結合させるための結合代理人として使用され得る。他の技術は当業者に知られており、本開示の範囲内である。
【0584】
本明細書中に記載されるような抗体または抗原結合フラグメントへの共役に有用なリンカーは以下の表1に示されるようなカップリング反応によって形成される化学的な部分構造Zを含むが、これらに限定されない。曲線は、それぞれ、抗体または抗原結合フラグメント、および細胞傷害性分子に対するアタッチメント(attachment)点を示す。
【0585】
[表2]
表1:抗体薬物コンジュゲートの生成におけるカップリング反応によって形成される例示的な化学的な部分構造Z
【0586】
当業者のある者は、リンカーに結合した反応性置換基Z'および抗体またはその抗原結合フラグメント上の反応性置換基が化学的な部分構造Zを生成するための共有カップリング反応に関与し、反応性部分Z'を認識することを認識する。したがって、本明細書中に記載される方法と併せて有用な抗体薬物コンジュゲートは、化学的な部分構造Zを形成するための、抗体、またはその抗原結合フラグメントと、本明細書中に記載されるような、反応性置換基Z'(抗体、またはその抗原結合フラグメント上の反応性置換基との反応に適した)を含むリンカーまたは細胞毒素リンカー結合体と、リンカーまたは細胞毒素リンカー結合体との反応によって形成され得る。
【0587】
いくつかの実施形態では、Z' は-NR 13 C(=O)CH=CH 2、-N 3、-SH、-S(=O)2(CH=CH 2)、-(CH 2)2S(=O)2(CH=CH 2)、-NR 13 S(=O)2(CH=CH 2)、-NR 13 C(=O)CH 2R 14、-NR 13C(=O)CH 2 Br、-NR 13C(=O)CH 2 I、-NHC(=O)CH 2Br、-NHC(=O)CH 2I、-ONH 2、-C(O)NHNH 2、-CO 2 H、-NH 2、-NH(C=O)、-NC(=S),
[化99]
である。
【0588】
R13は、HおよびC1 -C6のアルキルからそれぞれ独立に選択される;
R14が-S(CH2)n CHR15NHC(=O)R13;
R15がR13または-C(=O)OR13;
R16は、H、C1-C6 Alk、F、Cl、および-OHからそれぞれ個別に選択される;
R17は、H、C1-C6 alkyl、F、Cl 、-NH2、-OCH3、-OCH2 CH3、-N(CH3)2、-CN、-NO2、-OHからそれぞれ独立に選択される
R18はH、-C(=O)OHで置換されたC1 -C6 Olk、F、ベンジロキシ、-C(=O)OHで置換されたベンジル、-C(=O)OHで置換されたC1 -C4 アルコキシ基、-C(=O)OHで置換されたC1 -C4 アルコキシ基から、それぞれ個別に選択される。
【0589】
リンカーおよび抗体またはそれらの抗原結合フラグメント上の適切な反応性置換基の例としては、求核剤/求電子剤対(例えば、チオール/ハロアルキル対、アミン/カルボニル対、またはチオール/α, β-不飽和カルボニル対など)、ジエン/ジエノフィル対(例えば、とりわけ、アジド/アルキン対、またはジエン/α,β-不飽和カルボニル対など)などが挙げられる。化学的な部分構造Zを形成するための反応性置換基間のカップリング反応としてはチオールアルキル化、ヒドロキシルアルキル化、アミンアルキル化、アミンまたはヒドロキシルアミン縮合、ヒドラジン形成、アミド化、エステル化、ジスルフィド形成、環化付加(例えば、とりわけ、[4+2]Diels-Alder環化付加、[3+2]Huisgen環化付加)、芳香族求核置換、アミン、またはヒドロキシルアミン縮合、芳香族求電子置換、および当技術分野で公知であるか、または本明細書に記載される他の反応様式が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、リンカーが抗体上の求核性官能基またはその抗原結合フラグメントとの反応のための求電子性官能基を含有する。
【0590】
本明細書中に開示されるように、抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在し得る反応性置換基は限定されないが、(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基(例えば、リジン)、(iii)側鎖チオール基(例えば、システイン)、および(iv)糖水酸基またはアミノ基(ここで、抗体はグリコシル化される)のような求核基を含む。本明細書中に開示されるように、抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在し得る反応性置換基としては、非限定的に、セリン、トレオニン、およびチロシン残基のヒドロキシル部分;リジン残基のアミノ部分;アスパラギン酸およびグルタミン酸残基のカルボキシル部分;ならびにシステイン残基のチオール部分、ならびにプロパルギル、アジド、ハロアリール(例えば、フルオロアリール)、ハロヘテロアリール(例えば、フルオロヘテロアリール)、ハロアルキル、および非天然アミノ酸のハロヘテロアルキル部分が挙げられる。いくつかの実施形態では本明細書に開示される抗体内に存在する反応性置換基、またはその抗原結合フラグメントはアミン部分またはチオール部分を含む。特定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、DTT(ジチオトレイトール)などの還元性代理人で処理することによって、リンカー試薬との結合に対して反応性にすることができる。従って、各システインブリッジ部は、理論的には2つの反応性チオール求核試薬を形成する。追加の求核基はリジンと2-イミノチオラン(トラウト試薬)との反応によって抗体中に導入することができ、その結果、アミンがチオールに転化する。反応性チオール基は1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のシステイン残基を導入することによって(例えば、1つまたはそれ以上の非天然システインアミノ酸残基を含む変異体抗体を調製することによって)、抗体(またはそのフラグメント)に導入され得る。米国特許。第7,521,541号は、反応性システインアミノ酸の導入によるエンジニアリング抗体を教示している。
【0591】
いくつかの実施形態では、リンカーに結合した反応性部分Z'が抗体上に存在する求電子性と反応性である求核基である。抗体上の有用な求電子性としてはアルデヒドおよびケトンカルボニル基が挙げられるが、これらに限定されない。求核基のヘテロ原子は抗体上の求電子性と反応し、抗体と共有結合を形成することができる。有用な求核基としてはヒドラジド、オキシム、アミノ、水酸基、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、およびアリールヒドラジドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0592】
いくつかの実施形態では、Zは抗体内に存在する反応性求核置換基、またはその抗原結合フラグメント(例えば、アミン部分およびチオール部分)と、反応性求電子置換基Z'との間の反応の生成物である。例えば、Z'はとりわけ、マイケルアクセプター(例えば、マレイミド)、活性化エステル、電子欠損カルボニル化合物、およびアルデヒドであり得る。
【0593】
例えば、ADCの合成に適したリンカーとしてはマレイミドまたはハロアルキル基などの反応性置換基Z'が挙げられるが、これらに限定されない。これらはとりわけ、例えば、Liuら、18:690-697、1979に記載されている、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-L-カルボキシレート(SMCC)、Nsuccinimidylヨードアセテート(SIA)、スルホ-SMCC、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(MBS)、スルホ-MBS、およびスクシンイミジルヨードアセテートなどの試薬によってリンカーに付着させることができ、その開示内容は化学結合のためのリンカーに関するものとして本明細書に参考として援用される。
【0594】
いくつかの実施形態では、リンカーLに結合した反応性置換基Z'がマレイミド、アジド、またはアルキンである。マレイミド含有リンカーの実施例は非切断性マレイミドカプロイルベースのリンカーであり、これは、微小管破壊代理人(実施例えば、アウリスタチン)の結合に特に有効である。このようなリンカーはドロニナら、バイオコンジュゲートケム、17:14-24、2006により記載されており、この記載は、化学的共役のためのリンカーに関連するものとして、本明細書中に参考として援用される。
【0595】
いくつかの実施形態では反応性置換基Z'が-(C=O)-または-NH(C=O)-であり、その結果、リンカーは-(C=O)-または-NH(C=O)基と抗体またはその抗原結合フラグメントのアミノ基との反応から生じる、アミドまたはウレア部分によって、それぞれ、抗体またはその抗原結合フラグメントに結合され得る。
【0596】
いくつかの実施形態では、反応性置換基がN-マレイミジル基、ハロゲン化N-アルキルアミド基、スルホニルオキシN-アルキルアミド基、カーボネート基、ハロゲン化スルホニル基、チオール基またはその誘導体、内部炭素炭素三重結合を含むアルキニル基、(het-ero)シクロアルキニル基、ビシクロ[6.1.0]非-4-yn-9-イル基、内部炭素炭素二重結合を含むアルケニル基、シクロアルケニル基、テトラジニル基、アジド基、ホスフィン基、ニトリルオキシド基、ニトロン基、ニトリルイミン基、ジアゾ基、ケトン基、(O-アルキル)ヒドロキシルアミノ基、ヒドラジン基、ハロゲン化N-マレイミジル基、1,1-ビス(スルホニルメチル)メチルカルボニル基またはその脱離誘導体、ハロゲン化カルボニル基、またはアレンアミド基であり、これらはそれぞれ任意に置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、反応性置換基がシクロアルケン基、シクロアルキン基、または任意に置換された(ヘテロ)シクロアルキニル基を含む。
【0597】
抗体またはその抗原結合断片上の反応性残基との反応に適した反応性置換基Z'を含有するアマトキシン-リンカー結合体の非限定的な例には、以下が含まれる。7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ピペリジン-1-イル;7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル;7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル; C-(4-(6-(6-(マレイミド)ヘキサミド)エチル)ピペリジン-1-イル;7'C-(4-(6-(4-(4-(4-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(2-ブロモアセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)プロパンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル;7'C-(4-(マレイミド)ブタン-(2-(マレイミド)アセチル)-ピペラジン-1-イル;7'C-(4-(マレイミド)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペリジン-1-イル;7'C-(3-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル 7'C-(3-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル;7'C-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)メチル)ピロリジン-1(-(3-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル;7-(2-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)ピペラジン-1-イル;7'C-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)ピペラジン-1-イル;7'C-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2)(6-(6-(マレイミド)ヘキサノイル)メチル)ピペリジン-1-イル(7-(6-(マレイミド)メチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;(7-(6-(マレイミド)ヘキサノイル)メチル)-アマトキシン;7-(4-(2-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-メチル;7'C-(4-(6-(マレイミド))(2-(4-(6-(6-(マレイミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(4-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-メチル;7'C-((4-(6-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)-S-メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-)((6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)-R-メチル)ピロリジン-1-アミドキシン;7-((3-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)-R-メチル)-ピロリジン-1-イル)-メチル;7'C-(((6-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-((2-(3-カルボキシプロパンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-メチル;7'C-(6-(マレイミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-)4-(((マレイミド)メチル)シクロヘキサノイル)ピペラジン-1-イル(マレイミド)メチル;7-(3-(マレイミド)ピペラジン-1-イル)ピペラジン-1-イル)メチル;7'C-((4-(4-(マレイミド)ブタノイル)ピペラジン-1-イル)メチル;7'C-(4-(4-(マレイミド)ブタナミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;'C-(4-(6-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン; 7'C-((3-(6-(マレイミド)メチル)アゼチジン-1-イル;7'C-((3-(4-(マレイミド)エチル)アゼチジン-1-イル)メチル)アゼチジンアマトキシン;7'C-((3-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)アゼチジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-(2-(6-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)アゼチジン-1-イル)メチル;7'C-((2-(マレイミド)-N-メチルヘキサンアミド)エチル)(メチル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(マレイミド)))(2-(6-(2-(メチル)アマトキシン;7-(2-(6-(マレイミド)エチル)アジリジン)メチル)アジリジン-1-イル;7'C-(4-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)メチル;7'C-((4-(1-(アミノオキシ)-2-オキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザヘプタデカン-17-オイル)ピペラジン-1-イル)-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)アセチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4)(2-(3-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ピペラジン-1-イル)メチル)ピペラジン-1-イル;7-(2-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;'7-(4-(20-(アミノオキシ)-4,19-ジオキソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3,18-ジアザイコシル)ピペリジン-1-イル)-メチル)-アマトキシン ; 7'C-(((2-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)-N-メチル)エチル;7'C-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)-N-メチル)ブチル;7'C-((3-(4-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(((3-(6-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)-R-メチル)ピロリジン-1-イル)-メチル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(ブロモアセトアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(ブロモアセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル(2-(3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)ピペリジンアマトキシン;6'O-(5-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンアミド)-ペンチル;6'O-(2-(6-(マレイミド)ヘキシル)-2-オキソエチル)-アマトキシン;6'O-(((6-(マレイミド)ヘキシル)カルバモイル)-アマトキシン;6'O-((6-(4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキシル)-カルバモイル;6'O-(2-ブロモアセトアミド)-ヘキシル;7'C-(4-(アジド)ヘキサミド)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(hex-5-ynoylamino))(2-(4-(6-(6-(マレイミド)ヘキサミド)エチル)ピペラジン-1-イル;7-(6-(4-イル)-アマトキシン)-1-エチル)ピペラジン-1-イル;6-(11,12-ジデヒドロ-5,6-ジヒドロジベンズ[b,f]アゾシン-5-イル)-6-オキソヘキサミド)-ヘキシル;6'O-(6-(ヘキス-5-イノイルアミノ)ヘキシル)-アマトキシン;6'O-((6-アミノオキシ)ヘキシル)-アマトキシン;O-(6-(2-ヨードアセトアミド)ヘキシル)-アマトキシン。
【0598】
いくつかの実施形態では、化学的な部分構造Zが表1から選択される。いくつかの実施形態ではの化学的な部分構造Zは、
[化100]
【0599】
ここで、Sは(例えば、システイン残基の-SH基からの)CD45に結合する、抗体またはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基を表す硫黄原子である。
【0600】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントと結合させる前のリンカー反応性置換基構造L-Z'がある。
[化101]
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるアマトキシンが以下の式を有するリンカー反応性部分-L-Z'に結合される:
【0601】
前記のリンカー部分およびアマトキシンリンカー共役はとりわけ、本明細書中に記載される組成物および方法と関連して有益であり、例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号および特許出願公開第WO2017/149077号に記載されており、これらの各々の開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【抗体薬物結合体の調製】
【0602】
本明細書中に開示されるようなADCにおいて、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは本明細書中に開示されるようなリンカーLおよび化学的な部分構造Zを介して、1つ以上の細胞傷害性薬物部分(D)(例えば、1抗体あたり約1~約20の薬物部分)に結合体化される。本発明のADCは、(1)抗体またはその抗原結合フラグメントの反応性置換基と二価リンカー試薬との反応、それに続く薬物部分Dとの反応;または(2)薬物部分の反応性置換基と二価リンカー試薬との反応、それに続くD-L-Z'の形成、それに続く本明細書中に記載されるような抗体またはその抗原結合フラグメントの反応性置換基との反応を含む、当業者に公知の有機化学反応、条件および試薬を使用するいくつかの経路によって調製され得る。ADCを調製するためのさらなる方法は、本明細書中に記載される。
【0603】
別の態様において、抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントは、1つ以上のスルフヒドリル基を導入するために化学的に改変され得る1つ以上のリジン残基を有する。次いで、ADCは本明細書中上記のように、スルフヒドリル基の硫黄原子を通る共役によって形成される。リジンを修飾するために使用することができる試薬にはN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)および2-イミノチオラン塩酸塩(トラウト試薬)が含まれるが、これらに限定されない。
【0604】
別の態様において、抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメントは、1つ以上のスルフヒドリル基を有するように化学修飾され得る1つ以上の糖鎖部分(carbohydrate groups)を有し得る。次いで、ADCは本明細書中上記のように、スルフヒドリル基の硫黄原子を通る共役によって形成される。
【0605】
さらに別の局面において、抗CD45抗体は酸化されてアルデヒド(-CHO)基を提供し得る1つ以上の糖鎖部分(carbohydrate groups)を有し得る(例えば、Laguzzaら、JMedChem.1989,32(3),548-55を参照のこと)。次いで、ADCは本明細書中上記のように、対応するアルデヒドを通る共役によって形成される。細胞毒素のアタッチメント(attachment)または会合のためのタンパク質の修飾のための他のプロトコルはColiganら、電流プロトコルinタンパク質Science、volに記載されている。2, John Wiley & Sons (2002)(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0606】
抗体、免疫グロブリンまたはそれらのフラグメントのような細胞標的タンパク質へのリンカー-薬物部分の結合のための方法は例えば、米国特許に見出される。米国特許第5,208,020号。No.6,441,163; WO2005037992; WO2005081711;およびWO2006/034488(これらの全ては、それらの全体が参照により本明細書に明示的に援用される)。
【0607】
あるいは、抗体および細胞傷害性代理人を含む融合タンパク質が例えば、組換え技術またはペプチドシンセシスによって作製され得る。DNAの長さは、結合体の2つの部分をコードするそれぞれの領域を、互いに隣接するか、または結合体の所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域によって分離されてもよい。
【0608】
本明細書中に記載されるADCは種々の投薬形態で患者(例えば、免疫病またはがんに罹患しているヒト患者)に投与され得る。例えば、本明細書中に記載されるADCは、1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を含む水溶液のような水溶液の形態で、免疫疾病またはがんに罹患している被験体に投与され得る。本明細書中に記載される組成物および方法物と共に使用するための好適な薬学的に許容される賦形剤は、粘度改変代理人を含む。水溶液は、当技術分野で公知の技術を使用して滅菌することができる。
【0609】
本明細書に記載されるような抗CD45 ADCを含む医薬製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、このようなADCを1つ以上の任意の薬学的に許容可能な担体(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol、AEd(1980))と混合することによって調製される。薬学的に受容可能なキャリアは一般に、使用される用量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、これにはリン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止;塩化オクタデシルベンジルアンモニウム;塩化ベンザルコニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;レゾルシノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどの親水性ポリマー;単糖類、二糖類が挙げられるが、これらに限定されない。グルコース、マンノース、デキストリンなどの他の炭水化物;スクロース、マンニトール、トレハロース、ソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(Zn-タンパク質複合体など);および/または非イオン性界面活性剤 例えば、ポリエチレングリコール(PEG)。
【治療目的の使用】
【0610】
CD45は、造血および免疫システム全体に広く発現する細胞表層分子である。本明細書中に記載されるのはCD45+細胞の枯渇が有益である状態を有する患者の治療に用いることができる抗CD45抗体および抗CD45 ADCであり、これらには限定されるわけではないが、白血病およびリンパ腫、ならびに多発性硬化症および強皮症のような自己免疫疾患を有する患者が含まれる。さらに、現在、これらの細胞の多効力および造血機能性が移植後に保存されるように、外因性造血幹細胞グラフトの生着を促進するための組成物および方法が必要とされている。本明細書に開示される組成物および方法は、この難題に対する解決策をさらに提供する。
【0611】
CD45を抗CD45抗体、その結合フラグメント、および本明細書に記載のADCで標的化することによって、一般に造血幹細胞(HSC)および白血球の両方を枯渇させることができる(CD45は汎白血球マーカ)。従って、ある特定の実施形態に、本明細書中に提供されるのは、それを必要とする被検者において免疫再設定を提供するための方法である。例えば、本明細書中に記載される抗CD45抗体またはADCを、白血球を引き起こす疾患(例えば、自己免疫疾患)に関連する疾患を有する患者に投与することによって、白血球を引き起こす疾患は(HSCと共に)排除され得、次いで、患者はその後に移植されたHSCから新たな免疫システムを構築し得る。
【0612】
本明細書中に記載されるCD45特異的抗体およびADCのさらなる利点は非標的化高毒性化学療法とは対照的に、赤血球細胞が一般にCD45を発現しないことを考慮すると、赤血球細胞は、被験体において影響を受けないはずである。
【0613】
従って、本明細書中に開示されるのは、とりわけ、造血系統における細胞型の疾患、がん、自己免疫疾患、代謝障害、および幹細胞障害のような種々の障害を処置する方法である。本明細書に記載される組成物および方法は(i)がん細胞(例えば、白血病細胞)および自己免疫細胞(例えば、自己反応性T-細胞)の集団などの病理を引き起こす細胞の集団を直接的に枯渇させることができ、かつ/または(ii)移植された細胞がホーミングすることができるニッチを提供することによって、移植された造血幹細胞の生着を促進するように内因性の造血幹細胞の集団を枯渇させることができる。上記の活性は、内因性疾患を引き起こす細胞または造血幹細胞に結合し得る抗CD45 ADC、抗体、またはそれらの抗原結合フラグメントの投与によって達成され得る。病気を直接治療する場合、この投与は、関心の病理を生じる細胞の量の低下を引き起こすことができる。造血幹細胞移植療法のために患者を準備する場合、この投与は内因性の造血幹細胞の集団の選択的な枯渇を引き起こすことができ、それによって、移植された外因性造血幹細胞によって引き続いて充填され得る、骨髄のような造血組織における空隙を作り出すことができる。CD45に結合することができる、本明細書に記載のADC、抗体、またはその抗原結合フラグメントは上記の活性の両方をもたらすために、被験者に投与することができる。移植された造血抗原結合フラグメントの生存および抗体電位を促進するために、免疫細胞、例えば造血幹細胞によって発現されるCD45抗原と結合するADC、生着、またはその幹細胞を、がんまたは自己免疫疾患に罹患している患者に投与して、癌性細胞または自己免疫細胞の集団を直接的に枯渇させることができ、造血幹細胞移植療法を必要とする患者にも投与することができる。
【0614】
本明細書中に記載されるように、造血幹細胞移植療法は1つ以上の血中細胞型をポピュレートまたは再ポピュレートするために、処置を必要とする被験体に投与され得る。造血幹細胞は一般に、多分化能を示し、したがって、限定されるわけではないが、樹状細胞, ミクログリア,破骨細胞、およびリンパ球(例えば、顆粒球、B-好中球,好酸球,好塩基球およびT-血小板(platelet))を含む、NK細胞(例えば、前骨髄球、細胞)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、巨核球、血小板(platelets)を産生する細胞)、単球(例えば、単球、例えば、マクロファージ)、多数の異なった血球系列に分化することができる。さらに、造血幹細胞は自己複製能力を有し、従って、母親細胞と同等の可能性を有する娘細胞を生じ、そしてまた、造血幹細胞ニッチに帰宅し、再び生産的で持続的な造血を確立する移植レシピエント(recipient)に再導入される能力を特徴とすることができる。
【0615】
したがって、造血幹細胞はインビボで細胞の欠損または欠損集団を再構成するために、造血系列の1つ以上の細胞型を欠損または欠損した患児に投与することができ、それによって、内因性血中細胞集団の欠損または欠損に関連する病理を治療する。したがって、本明細書に記載の組成物および方法は非悪性ヘモグロビン症(例えば、鎌状赤血球貧血, サラセミア,ファンコニ貧血(Fanconi anemia), 再生不良性貧血およびウィスコット‐アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome)からなる群から選択されるヘモグロビン症)を治療するために使用することができる。さらに、または代わりに、本明細書に記載の組成物および方法は、先天性免疫不全症などの免疫不全を治療するために使用することができる。さらに、または代わりに、本明細書に記載の組成物および方法は後天性免疫不全症(例えば、HIVおよび助剤からなる群から選択される後天性免疫不全症)を治療するために使用することができる。本明細書中に記載される組成物および方法は代謝障害(例えば、グリコーゲン蓄積症, ムコ多糖症,ゴーシェ病,ハーラー病,スフィンゴ脂質症および異染性白質ジストロフィーからなる群より選択される代謝障害)を処置するために使用され得る。
【0616】
さらに、または代わりに、本明細書に記載の組成物および方法は、血液がん、骨髄増殖性疾患などの悪性腫瘍または増殖性障害を治療するために使用することができる。がん治療の場合、本明細書に記載される組成物および方法は、造血幹細胞移植療法の前に内因性の造血幹細胞の集団を枯渇させるように患者に投与されてもよく、この場合、移植された細胞は内因性細胞枯渇工程によって作り出された隙間に帰還し、生産的造血を確立することができる。これは、次に、全身化学療法の間のようながん細胞除菌の間に枯渇した細胞の集団を再構成することができる。本明細書に記載される組成物および方法を用いて治療することができる例示的な血液がんには限定されるものではないが、急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病,多発性骨髄腫,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)、ならびに神経芽細胞腫を含む他の癌性状態が含まれる。
【0617】
本明細書に記載される組成物および方法で治療することができる追加の疾患は限定されるわけではないが、アデノシン・デアミナーゼ欠損症および重度複合免疫不全症, 高免疫グロブリンM症候群,チェディアック‐東病,遺伝性リンパ組織球症,大理石骨病,骨形成不全症,貯蔵疾患,サラセミア・メジャー,全身性硬化症,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus), 多発性硬化症、ならびに若年性関節リウマチを含む。
【0618】
本明細書中に記載される抗体、またはその抗原結合フラグメント、および共役は、固形臓器移植寛容を誘導するために使用され得る。例えば、本明細書中に記載される組成物および方法はターゲット組織からの細胞の集団を枯渇させるかまたは切除するために(例えば、骨髄幹細胞ニッチからの造血幹細胞を枯渇させるために)使用され得る。ターゲット組織からの細胞のそのような枯渇に続いて、臓器ドナー(donor)(例えば、臓器ドナー(donor)からの造血幹細胞)からの幹または前駆細胞の集団を移植レシピエント(recipient)に投与することができ、そのような幹または前駆細胞の生着に続いて、一時的または安定な混合キメリズムを達成することができ、それによって、さらなる免疫抑制代理人を必要とせずに長期移植臓器寛容を可能にする。例えば、本明細書に記載の組成物および方法は固形臓器移植レシピエント(recipient)(例えば、とりわけ、腎臓移植、肺移植、肝臓移植、および心臓移植)において移植耐性を誘導するために使用され得る。本明細書に記載される組成物および方法は例えば、移植された器官の長期耐性を誘導するのに、低割合の一時的または安定なドナー(donor)生着で充分であるため、固形器官移植耐性の誘導に関連して使用するのによく適している。
【0619】
さらに、本明細書に記載の組成物および方法は、CD45+である細胞を特徴とするがんなどのがんを直接的に治療するために使用することができる。例えば、本明細書中に記載される組成物および方法は例えば、CD45+白血病細胞を示す患者において、白血病を処置するために使用され得る。CD45+癌性細胞(例えば、白血病性細胞)を枯渇させることによって、本明細書中に記載される組成物および方法は、種々のがんを直接的に処置するために使用され得る。この様式で治療され得る例示的ながんは、急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病,多発性骨髄腫,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)などの血液がんを含み、
【0620】
さらに、本明細書中に記載される組成物および方法は、自己免疫障害を処置するために使用され得る。例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントはCD45+免疫細胞を死滅させるために、自己免疫障害に罹患しているヒト患者などの対象に投与することができる。例えば、CD45+免疫細胞はT-細胞レセプターを発現し、自己抗原に対する免疫反応を実行するT-細胞のような自己反応性リンパ球であり得る。自己反応性CD45+を枯渇させることによって、本明細書に記載される組成物および方法は、以下に記載されるような自己免疫性病理を処置するために使用され得る。さらに、または代わりに、本明細書に記載される組成物および方法は造血幹細胞移植療法の前に内因性の造血幹細胞の集団を枯渇させることによって自己免疫疾患を治療するために使用することができ、そのケースでは、移植された細胞が内因性細胞枯渇工程によって作り出されたニッチに帰還し、生産的造血を確立することができる。これは、次に、自己免疫性細胞撲滅の間に枯渇した細胞の集団を再構成することができる。
【0621】
本明細書に記載される組成物および方法を用いて治療することができる自己免疫疾患には限定されるものではないが、乾癬、1型糖尿病(RA)、関節リウマチ(SLE)、ヒト全身性ループス(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、リンパ球性大腸炎、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖性症候群(ALPS)、自己免疫性卵巣炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、慢性疲労性免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーが含まれる クローン病、瘢痕性類天疱瘡、コエリアックスプルー皮膚炎、寒冷凝集素症、デゴス病、円板状エリテマトーデス、自律神経異常症、本態性混合クリオグロブリン血症、線維筋痛症線維筋炎、グッドパスチャー症候群、Guillain-Barre症候群(GBS))、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性及び/又は急性血小板減少性紫斑病、IgAニューロパチー、若年性関節炎、川崎病、ライム病、メニエール病、混合性結合組織病(MCTD)、重症筋無力症、神経筋強直症、視神経炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発性軟骨炎及び皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症、レイター症候群、リウマチ熱、強皮症 シェーグレン症候群、こわばり人症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」としても知られる)、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛(「外陰前庭炎」)、ヴェーゲナー肉芽腫症。
【0622】
いくつかの実施形態では、移植は同種異系である。いくつかの実施形態では、移植片は自家性である。
【0623】
いくつかの実施形態ではでは、骨髄移植、末梢血移植、臍帯血移植である。
【0624】
いくつかの実施形態では、移植が造血細胞(例えば、造血幹細胞)を含む。
【0625】
本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、移植片は、任意の固形臓器または皮膚移植片であり得る。いくつかの実施形態では移植は、腎移植、心移植、肝移植、膵移植、肺移植、小腸移植、皮膚移植からなる群から選択される。
【0626】
本明細書中に記載される抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは種々の投薬形態で患者(例えば、がん、自己免疫疾病、または造血幹細胞移植療法を必要とするヒト患者)に投与され得る。例えば、本明細書中に記載される抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCはがん、自己免疫疾患に罹患しているか、または造血幹細胞移植療法を必要とする患者に、1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を含む水溶液のような水溶液の形態で投与され得る。本明細書中に記載される組成物および方法物と共に使用するための薬学的に許容される賦形剤物は、粘度改変代理人を含む。水溶液は、当技術分野で公知の技術を使用して滅菌することができる。
【0627】
抗CD45抗体またはその結合体(例えば、本明細書に記載のADC)を含む医薬製剤は、このような抗体またはADCを、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、1つ以上の任意の薬学的に許容可能な担体(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol、AEd(1980))と混合することによって調製される。薬学的に受容可能なキャリアは一般に、使用される用量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、これにはリン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止;塩化オクタデシルベンジルアンモニウム;塩化ベンザルコニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;レゾルシノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどの親水性ポリマー;単糖類、二糖類が挙げられるが、これらに限定されない。グルコース、マンノース、デキストリンなどの他の炭水化物;スクロース、マンニトール、トレハロース、ソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(Zn-タンパク質複合体など);および/または非イオン性界面活性剤 例えば、ポリエチレングリコール(PEG)。
【0628】
本明細書に記載の抗体、抗原結合フラグメント、またはADCは、経口、経皮、皮下、鼻腔内、静脈内、筋肉内、眼内、または非経口などの様々な経路によって投与することができる。任意の所与の症例における投与のための最も好適な経路は投与される特定の抗体または抗原結合フラグメント、患者、医薬製剤方法、投与方法(例えば、投与時刻および投与経路)、患者の年齢、身体重量、性別、処置される疾患の重症度、患者の食事、および患者の排泄速度に依存する。
【0629】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量は例えば、単回(例えば、ボーラス)用量、複数用量、または持続用量当たり、または抗体の最適血清濃度(例えば、0.0001~5000μg/mLの血清濃度)を達成するために、またはその抗原結合フラグメント当たり、約0.001~約100mg/kg体重量に及ぶことができる。投与量はがん、自己免疫疾患に罹患しているか、または造血幹細胞移植の受容に備えてコンディショニング療法を受けている被検者(例えば、ヒト)に、1日、1週間、または1ヶ月当たり1回以上(例えば、2~10回)投与され得る。造血幹細胞移植前のコンディショニング手続の場合、抗体またはその抗原結合フラグメントは外因性造血幹細胞移植の投与前に、外因性造血幹細胞の生着を最適に促進する時間、例えば、1時間~1週間(例えば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、または7日)またはそれ以上、患者に投与され得る。
【0630】
本明細書中に開示される方法を使用して、当業者は造血幹細胞移植療法を必要とするヒト患者に、造血幹細胞によって発現されるCD45に結合し得るADC、抗体またはその抗原結合フラグメントを投与し得る。このようにして、集団の内因性の造血幹細胞を外因性造血幹細胞移植片の投与前に枯渇させて、造血幹細胞移植片の生着を促進することができる。抗体は、本明細書中に記載されるか、または当該分野で公知の細胞傷害性分子のような毒素に共有結合され得る。例えば、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントは細胞毒、例えばシュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、アマトキシン、例えば、カリケアマイシン、アマニチン、サポリン、メイタンシン、メイタンシノイド、アンドロゲン、アントラサイクリン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、αアマニチン、サポリン、インドリノベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン二量体、またはそれらのアウリスタチンに共有結合させることができる。この共役は、本明細書に記載されるか、または当技術分野で公知の共有結合形成技術を使用して行うことができる。抗体、その抗原結合フラグメント、または薬物-抗体結合体はその後、患者への外因性造血幹細胞(例えば、自己、同系、または同種造血幹細胞)の移植の前に、例えば、静脈内投与によって患者に投与され得る。
【0631】
抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは、標的CD45発現細胞の量を減少させるのに充分な量で投与することができる。例えば、抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは骨髄および/または末梢血中の内因性CD45+細胞の量を、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上減少させるのに充分な量で投与することができる。いくつかの実施形態では、抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは造血幹細胞移植療法前に、内因性の造血幹細胞の量を、例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上減少させるのに充分な量で投与することができる。造血幹細胞数の低下は、コンディショニング療法の間に様々な間隔で患者から採取された血中サンプル中の特性造血幹細胞表面抗原を発現する細胞のFACS解析によるような、当技術分野で公知の従来の技術を用いてモニターすることができる。例えば、当業者はコンディショニング治療中の様々な時点で患者からサンプルを採血し、造血幹細胞マーカ抗原に結合する抗体を用いてサンプル中の造血幹細胞の相対濃度を解明するためにFACS解析を行うことによって内因性の造血幹細胞減少の範囲を決定することができる。いくつかの実施形態によれば、抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCによるコンディショニング療法に反応して造血幹細胞の濃度が最低値に達した場合、医師はコンディショニング療法を終了し、造血幹細胞移植療法のための準備を開始することができる。
【0632】
抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、粘度改変代理人)を含む水溶液中で、被験体に投与され得る。水溶液は、本明細書中に記載されるか、または当該分野で公知の技術を使用して滅菌され得る。抗体、その抗原結合フラグメント、または薬物-抗体結合体は患者への造血幹細胞グラフトの投与前に、例えば、0.001mg/kg~100mg/kgの投薬量で患者に投与され得る。ある実施形態に、抗体、その抗原結合フラグメント、または薬物-抗体結合体は、約0.1mg/kg~約0.3mg/kgの用量で被験者に投与することができる。ある実施形態に、抗体、その抗原結合フラグメント、または薬物-抗体結合体は、約0.15mg/kg~約0.3mg/kgの用量で被験者に投与することができる。ある実施形態に、抗体、その抗原結合フラグメント、または薬物-抗体結合体は、約0.15mg/kg~約0.25mg/kgの用量で被験者に投与することができる。ある実施形態に、抗体、その抗原結合フラグメント、または薬物-抗体結合体は、約0.2mg/kg~約0.3mg/kgの用量で被験者に投与することができる。ある実施形態に、抗体、その抗原結合フラグメント、または薬物-抗体結合体は、約0.25mg/kg~約0.3mg/kgの用量で被験者に投与することができる。いくつかの実施形態では抗体、その抗原結合フラグメント、または薬物-抗体結合体は約0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、または1.0mg/kgの用量で患者に投与することができる。
【0633】
他の実施形態において、抗体、その抗原結合フラグメント、または薬物抗体共役は、約0.001mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約9.5mg/kg、約0.1mg/kg~約9.1mg/kg、約0.1mg/kg~約8.5mg/kg、約0.1mg/kg~約7.5mg/kg、約0.1mg/kg~約6.5mg/kg、約0.1mg/kg~約6mg/kg、約0.1mg/kg~約5.5mg/kg、約0.1mg/kg~約5mg/kg、約0.1mg/kg~約0.1mg/kg約4.5mg/kg、約0.1mg/kg~約4mg/kg、約0.5mg/kg~約3.5mg/kg、約0.5mg/kg~約3mg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約9mg/kg、約1mg/kg~約8mg/kg、約1mg/kg~約7mg/kg、約1mg/kg~約6mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約1mg/kg~約4mg/kgまたは約1mg/kg~約3 mg。
【0634】
ある特定の実施形態で、本明細書中に記載される抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCは外因性造血幹細胞の生着を最適に促進する時間、例えば、外因性造血幹細胞移植の投与前の約1時間~約1週間(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、または7日)またはそれ以上、患者に投与され得る。
【0635】
その後、コンディショニング療法を行った医師と同じ医師、別の医師等により、外因性造血幹細胞の点滴(点滴静注等)が行われることがある。医師は例えば、約1×103~約1×109造血幹細胞/kgの投薬量で、自己、同系、または同種造血幹細胞の注入を投与患者。医師は例えば、患者から血中サンプルを引き出し、移植の投与に続いて造血系幹細胞または造血系の細胞(巨核球, 血小板(thrombocytes),血小板(platelets)、赤血球、マスト細胞,骨髄芽球,好塩基球,好中球,好酸球,ミクログリア,顆粒球,単球,破骨細胞,抗原提示細胞,マクロファージ,樹状細胞,ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、およびB-リンパ球など)の増大を決定することによって、造血幹細胞移植の生着を監視し得る。この解析は例えば、造血幹細胞移植療法後約1時間~約6ヶ月以上(例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間。造血系統の造血幹細胞または細胞の濃度が移植療法前の対応する細胞型の濃度と比較して、移植療法後に増加した(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、500%、またはそれ以上)という発見は、抗CD45抗体、またはその抗原結合フラグメント、またはADCによる処置が移植された造血幹細胞移植片の生着を首尾よく促進したという1つの指標を提供する。前記のことは、CD45細胞;枯渇、例えば、自己免疫病の療法のためのHSCおよび免疫細胞枯渇、または血液がんの療法のための療法にも使用され得る。
【0636】
抗CD45抗体、その抗原結合フラグメント、またはADCの投与による造血幹細胞移植の生着は、種々の経験的測定において現れ得る。例えば、移植された造血幹細胞の生着は、抗CD45抗体またはその抗原結合フラグメントの投与、およびその後の造血幹細胞移植の投与に続く、患児の骨髄内に存在する競合的再生着ユニット(competitive repopulating unit)(CRU)の量を評価することによって評価することができる。さらに、ドナー(donor)造血幹細胞がトランスフェクトされたベクター中に、蛍光、発色団、または発光製品を生じる化学反応を触媒する酵素などのレポーター遺伝子を組み込み、続いて、骨髄などの造血幹細胞がホーミングされた組織中の対応するシグナルをモニターすることによって、造血幹細胞移植の生着を観察することができる。また、例えば、当技術分野で公知の蛍光活性化細胞選別(fluorescence activated cell sorting)(FACS)解析方法によって決定されるように、造血幹および前駆細胞細胞の量および生存率を調べることによって、造血幹細胞生着を観察することもできる。生着はまた、骨髄細胞の移植後中の末梢血中の白血球数を測定すること、および/または骨髄穿刺サンプル中のドナー(donor)細胞による回収を測定することによって決定することができる。
実施例
【0637】
以下の実施例は、本明細書中に記載される組成物および方法がどのように使用され、作製され、そして評価され得るかの明細書を当業者に提供するために提示され、そして純粋に本発明の例示であることが意図され、そして本発明者らがそれらの発明とみなすもの範囲を限定することが意図されない。
例1. 抗CD45抗体Ab1-Ab7の同定
【0638】
完全ヒトライブラリをスクリーニングし、抗ヒトCD45抗体Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、およびAb7を同定した。前記の抗体の各々は、CD45発現細胞上に内在化することができた。ライブラリスクリーン上のさらなる詳細および得られる抗体は、以下の実施例において提供される。
酵母ディスプレイ
【0639】
完全ヒト抗体(天然または合成のいずれか)を示すイーストディスプレイライブラリを、ヒトCD45(アイソフォームCD45RABC;ユニプロット: P08575-3)および非ヒト霊長類(NHP)CD45の外部ドメインへの結合についてスクリーニングした。組換えCD45抗原に結合する抗体をコードする酵母細胞を選択した。選択されたイースト細胞からの抗体を表す核酸配列を、当技術分野で公知の技術に従って単離した。
【0640】
特に、画面を行って、ヒトおよびNHP交差反応性抗CD45抗体を同定した。最初のスクリーニングでは約55抗体が得られたが、これらはヒトCD45にのみ結合し、NHP CD45抗原と交差反応性ではなかった。2回目のスクリーニングで82個のヒト反応性クローンが得られ、そのうち17個はヒトおよびアカゲザルCD45に反応性を示し、そのうち8個はヒト、アカゲザルおよびカニクイザルのCD45組換え抗原に対して3重交差反応性を示した。
【0641】
8つの三重交差反応性(ヒト、アカゲザル、カニクイザルCD45反応性)抗体から、別個CDR3重鎖配列を有する4つのヒトIgG抗体を、重鎖および軽鎖中のCDR1、CDR2、CDR3の配列を多様化し、当技術分野で公知の方法に従って親和性を改善するために選択することによって、親和性をさらに改善するために、数ラウンドの親和性成熟のために選択した。改善された親和性およびバリアント配列を有する全部で55のヒトIgG抗体を、続いて、4つの入力抗体の親和性成熟後に同定した。親和性成熟過程に投入された4つの親抗体から、ヒトおよびカニクイザルの末梢単核細胞(PBMC)に対して実施された結合アッセイにより、生細胞上で真の交差反応性クローンであることが検証された娘変形例が1つだけ生成された(
図1参照)。
【0642】
図1に示されるように、Ab1に由来する娘変形例はオクテット結合アッセイによって評価されるように、親抗体と比較して、ヒトCD45への改善された結合を有していた。また、Ab1由来の親和性成熟娘バリアントは、ヒトCD45およびカニクイザルCD45と種間交差反応性を示した(
図1)。対照的に、他の3つの母体抗体に由来する抗体は、交差反応性に乏しかった(
図1)。
【0643】
Ab1に由来する選択された娘バリアントを発現させ、得られた抗体をさらにスクリーニングして、細胞を発現するCD45上にインターナリゼーションすることができる抗CD45抗体を同定した。抗体ディスプレイライブラリの生成およびスクリーニングに使用するのに適した例示的な方法および試薬は例えば、Boder E.T.およびWittrup K.D、タンパク質発現、親和性、および安定性の指向性進化のための酵母表面ディスプレイ、方法Enzymol、328:430-44(2000)およびBoder E.T.およびWittrup K.D、コンビナトリアルポリペプチドライブラリのスクリーニングのための酵母表面ディスプレイ、Nat Biotechnolに見出すことができる。15(6):553-7(1997年6月)。
[表3]
【0644】
前記のスクリーニングプロセスから、親和性成熟(Ab1)の前に同定された1つの抗体、および親和性成熟(Ab2、Ab3、Ab4、およびAb6)の後の4つを含む、5つのヒトIgG抗体を、所望の抗原および生細胞結合特性に基づいて選択した。その後の部位特異的置換をAb4に導入し、Ab5を生成した。同様に、部位特異的置換をAb3に導入して、Ab7を生成した。7つの選択された抗体の重鎖および軽鎖の可変領域およびCDR領域のアミノ酸配列を表27に示す。7つの抗体は、以下を含む:抗体1(Ab1)、抗体2(Ab2)、抗体3(Ab3)、抗体4(Ab4)、抗体5(Ab5)、抗体6(Ab6)、および抗体7(Ab7)。
【0645】
Ab1-7のさらなる特性評価は、実施例2~14に提供される。
例2. 抗CD45抗体のインビトロ安定性解析
【0646】
実施例1で同定した抗体の安定性を、種々のストレス条件下で評価した。これらの研究は、抗体の不均一性および/または結合に影響を及ぼし得る翻訳後修飾の形成に感受性であり得るVH/VL骨格およびCDRアミノ酸を同定した。
【0647】
Ab3およびAb4を4℃、25℃、および40℃で15日間インキュベートすることによって2週間の安定性アッセイを行い、その後、抗体を親水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって分析した。簡潔には、25マイクログラムの示された抗体を、Waters ARC HPLC/UPLCシステム上のTosoh TSKgel Phenyl-5PW 7.5mm ID×7.5cm 10ミクロンカラム(カタログ番号07573)に注入した。本抗体のHIC溶離プロフィールは、熱ストレスに応じて増加する比較的親水性のプレピークを示した。この親水性プレピークは翻訳後修飾(例えば、酸化または脱アミド化)の潜在的部位を示した。続いて、ペプチドマッピングを行って、ストレス(高pH、低pH、および酸化ストレス)に曝露した際に、それぞれの抗体においてどのアミノ酸が修飾されたかを同定した。ペプチドマッピング解析は高pH条件下(例えば、pH 8以上)に反応して、CDR-L1(N30位置)におけるアスパラギンにおける脱アミド化の潜在的部位を同定した。
【0648】
親和性成熟に続いて同定された他のクローンの比較から、CDR-L1のN30位でセリンが耐えられる可能性が示唆された。従って、CDR-L1(例えば、30B位)中のアスパラギンがセリンで置換されたAb3およびAb4のバリアントが生成された。得られた抗体をそれぞれAb7およびAb5と命名した。脱アミド化種に対応するプレピークは、高pH処理への暴露後のAb5のHICプロフィールにおいて観察されず、この置換がこの脱アミド化の潜在的部位を除去することを確認した。
例3. 抗CD45抗体のインビトロ結合解析
【0649】
実施例1および2に記載された抗体を、ヒトCD45に関してそれらの結合特徴を決定し、アカゲザルおよびカニクイザルCD45との交差反応能を評価するために研究した。
【0650】
抗体結合研究は、バイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて、Pall ForteBio Octet Red96を用いて、0.1% w/vウシ血清アルブミンを補充した1×PBS中、25℃で行った。それぞれの精製ヒト抗体を、抗ヒトFcバイオセンサ(AHQ; Pall ForteBio 18-5001)上に固定化し、親クローンAb2-Ab7に対する50nMの精製ヒト、アカゲザルまたはカニクイザルCD45外部ドメイン、および親クローンAb1に対する100nMのヒトCD45および300nMのアカゲザルまたはカニクイザルCD45と共にインキュベートした。
【0651】
見かけ上の等価なアフィニティ(K D)、見かけ上の会合速度(K ON)、および見かけ上の解離速度(K OFF)は、それぞれのIgGのForteBioデータ解析ソフトウエアバージョン10によって計算された1:1バインディングモデルを用いて、精製されたヒト、カニオルゴル、またはレサスCD45外部領域へのローカル完全フィッティングによって決定された。それぞれの抗体のK D、K ON、およびK disをテーブル2に示す。親和性成熟娘クローン(Ab 2-Ab 7)は、親クローンAb1と比較して、ヒトCD45への改善された結合を示した。さらに、これらの結果は、Ab5およびAb7のN_30_S置換がCD45結合を変化させなかったことを示す。特に、選択された抗体Ab2-Ab7の各々は、ヒト、カニクイザルおよびアカゲザルCD45と交差反応することができた。結合は、を用いて確認した
【0652】
[表4]
表2:表示されているIgGの人間のCD45外部ドメイン、サイノミオルガのCD45外部ドメイン、またはレサスCD45外部ドメインへの単相親和性(K D)、見かけ上の会合速度(K ON)、および見かけ上の解離速度(K OFFまたはK dis)
*N_Sアミノ酸置換を有するクローン化
【0653】
例4. 抗CD45抗体の試験管内REHおよびPBMC細胞結合活性
実施例1および2(Ab5およびAb7)において同定された選択抗CD45抗体のインビトロREHおよびPBMC細胞結合を、この実施例において評価した。それぞれの抗体のFc領域を、アミノ酸置換D265C LALA H435Aで修飾した。
【0654】
REH-1(B細胞非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)細胞株、ATCC NoCRL-3004)細胞または細胞培養培地中の初代ヒトまたはカニクイザル末梢血単核細胞(PBMC)を、滴定用量のAb5およびAb7とともに37oCで一晩インキュベートした。結合した抗CD45抗体を、フロー・サイトメトリーを用いて蛍光標識AF488抗ヒトIgG二次抗体で検出した。IC50は、GraphPad Prismを用いてデータをフィッティングすることによって決定した。
【0655】
表3および
図2に示すように、Ab5およびAb7はヒトおよびカニクイザルPBMC間で同様のIC50を示し、生きた細胞上のヒトおよびカニクイザルCD45に対する交差反応性結合を実証した。抗体はまた、ヒトCD45を発現するREH‐1細胞株に対して強力な結合を示した。
[表5]
【0656】
例5. エピトープマッピング
実施例1および2(Ab5)で同定された抗CD45抗体によって結合されたエピトープを、架橋質量分析を用いてマッピングした。架橋実験は、高質量MALDI質量分析による非共有結合相互作用の直接解析を可能にする。非共有結合性相互作用を含むタンパク質サンプルを、特別に開発された架橋混合物と混合することによって(Bich、C et alAnalChem、2010、82(1)、pp172-179)、高感度で非共有結合性錯体を特異的に検出することができる。架橋によって生成される共有結合は、相互作用する種がサンプル調製過程およびMALDIイオン化に耐えることを可能にする。特殊なHigh-Mass検出系により、High-Massレンジでの相互作用の特性評価が可能になる。
【0657】
高分解能でAb5のエピトープを決定するために、タンパク質複合体を重水素化交差リンカーと共にインキュベートし、多酵素的切断に供した。タンパク質複合体は、ヒトCD45に結合したAb5バリアント抗体(Ab5と同じエピトープを有する)であった。架橋ペプチドの濃縮後、サンプルを高分解能質量分析(nLC-LTQ-Orbitrap MS)によって分析し、生成したデーターをXQuestおよびStavroxソフトウェアを用いて分析した。
【0658】
重水素化d0d12を有するタンパク質複合体CD45/Ab5のトリプシン、キモトリプシン、ASP-N、エラスターゼ、およびサーモリシンタンパク質分解後、nLC-orbitrap MS/MS解析はAb5エピトープがペプチドTEKDCLNLDKNLIKYDLQNLK(OE114)およびRPPRDRNGPHERYHLEVEAGNTLVRNESH(OE116)中に残渣を含み、特にOE113の405T、407K、419Y、425K、481R、505R、および509Hに対応するヒトCD45上のアミノ酸と相互作用することを示した(NP_002829.3に対応するCD45アイソフォームのフラグメント)。これらの結果を
図3に示し、Ab5のエピトープ(例えば、配列番号(SEQ ID NO):114および配列番号(SEQ ID NO):116に記載のエピトープ)および相互作用の特定部位を包含する配列番号(SEQ ID NO): 115および117に対応するCD45アミノ酸フラグメントを示す。
【0659】
CD45にはムチン様ドメイン、d1-d4フィブロネクチン様ドメイン、膜貫通型およびアルカリホスファターゼドメインが含まれる。Ab5はCD45のフィブロネクチン様ドメインのd3及びd4と相互作用した。Ab5エピトープの残存405T、407K、419Y、425K、および505Rはヒト、カノルガス、およびレサスCD45に保存されており、これはAb5(およびAb1から派生したクローン化)がヒト、リサス、およびカノムガスCD45に結合する能力と一致している。
【0660】
例6. 抗CD45抗体結合体の細胞内在化
本研究のために、実施例1および2(Ab5)において同定された抗CD45抗体を、ヒト骨髄細胞におけるインビトロインターナリゼーションアッセイにおいて評価した。修飾Fc領域を有するAb5(D265C LA H435A)をアマトキシン(アマトキシン1(AM1))に結合させて、抗体薬物コンジュゲート(Ab5-AM1)を形成した。AM1は特に明記しない限り、全体を通して使用される場合、本明細書に記載の式VIによって表される。
【0661】
抗CD45 ADCを、水溶性で、明るく、感光性で、pH反応性であるpHAb色素に結合させた。内在化すると、共役抗体は酸性エンドソーム/リソソームに移動することができ、ここでpHAb色素は563nmで発光し、フロー・サイトメトリーによって検出することができる。この方法を用いて、Ab5-AM1 ADCのインターナリゼーションを、CD34+ヒト骨髄細胞において評価した。
【0662】
このアッセイは、CD34+ヒト骨髄細胞を氷上で2時間、飽和濃度のADCと共に0、2、24、48、または72時間インキュベートすることによって行った。pHAbのレベル(gMFIにより測定)を経時的に評価した(
図4;左パネル)。時間経過の端部に、フルオロフォア標識抗IgG分子を使用して、フロー・サイトメトリーによって結合表面hIgG1を評価した。ヒトCD34+細胞に結合しないアマトキシン1(アイソタイプ-AM1)に結合したアイソタイプIgGを、非内在化制御として含めた。0時間時点はCD45の飽和結合を表すので、各時点における結合表面IgGの幾何平均蛍光強度(gMFI)を、0時間における同じADCのgMFIと比較することによって、パーセント内在化ADCを計算した(
図4;右パネル)。
【0663】
図4に示すように、細胞中の検出されたpHAbの濃度は経時的に増加し(
図4、左側パネル)、これは経時的なADC内在化の割合の増加に対応した(
図4、右側パネル)。Ab5‐AM1のインターナリゼーションパーセントはアイソタイプ‐AM1のそれと比較して著しく高く、Ab5‐AM1はヒトCD34+骨髄細胞によりインターナリゼーションされるが、アイソタイプ制御はインターナリゼーションされないことを示した。以上より、Ab5‐AM1はヒトCD34+骨髄細胞により細胞内に取り込まれることが示された。
【0664】
例7. インビトロ細胞線殺傷アッセイを用いる抗CD45抗体結合体の解析
実施例1および2(Ab2-Ab7)で同定された抗CD45抗体の抗体薬物結合体(ADC)を、ジャーカット(急性T細胞白血病細胞系、ATCC番号TIB-152)、SKNO-1(急性骨髄性白血病細胞系JCRB1170)、およびREH-1(B細胞非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)細胞系、ATCC番号CRL-3004)細胞系、およびREH CD45-/ノックアウト細胞系のインビトロ死滅について評価した。修飾Fc領域(D265C LA LA H435AまたはD265C.LA.H435A-SG3249)を有する抗CD45抗体を、それぞれ、2つのアマトキシン(アマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2))またはPBD(テシリン)の一方に結合させて、ADCを形成した。AM2は特に断らない限り、式III(式中、XはS)で表される。
【0665】
細胞株を用いたインビトロ殺傷アッセイのために、細胞をATCCガイドラインに従って増殖させた。より具体的には、細胞をCD45-ADCまたはアイソタイプ対照-ADCの存在下で7日間培養した。次いで、細胞生存率を、生細胞に相関するアデノシン三リン酸(ATP)含有量を測定する細胞力価Gloアッセイによって測定した。細胞株殺傷試験に続いて、細胞毒性のレベルを定量し、IC50をGraphPad Prismを用いて計算した。
【0666】
結果を表4及び5並びに図に示す。5Aおよび5Bは、試験した抗CD45-ADCの各々がインビトロでCD45発現細胞株(例えば、Jurkat、REH-1、またはSKNO-1細胞)を殺すのに効果的であったことを示す。
[表6]
表4インビトロJurkat、REH、およびSKNO-1細胞株殺傷アッセイ- IC50値
【0667】
[表7]
表5:インビトロREH細胞系殺傷アッセイ- IC50
【0668】
例8. インビトロPBMCおよびHSC殺傷アッセイを用いる抗CD45抗体結合体の解析
実施例1および2(Ab2-Ab7)で同定された抗CD45抗体の抗体薬物結合体(ADC)を、インビトロでの初代ヒトまたはカニクイザル末梢血単核細胞(PBMC)またはヒト造血幹細胞(HSC)の殺傷について評価した。修飾Fc領域(D265C LA LA H435AまたはD265C.LA.H435A-SG3249)を有する抗CD45抗体を、それぞれ、2つのアマトキシン(アマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2))の一方またはPBDに結合させて、本研究におけるADCを形成した。
【0669】
PBMCは、リンパ球(T細胞、B細胞、およびナチュラル・キラー細胞)および単球の不均一な細胞集団からなるCD45発現細胞である。細胞株を用いたインビトロ殺傷アッセイのために、PBMCを、CD45-ADCまたはアイソタイプ対照-ADCの存在下、10%ウシ胎仔血清を含むRPMI 1640中で7日間培養した。次いで、細胞力価Gloアッセイによって細胞生存率を測定した。PBMC殺傷アッセイ後、細胞毒性のレベルを定量し、GraphPad Prismを用いてIC50を計算した。
【0670】
図6Aおよび表6に記載された結果は、防CD45-ADCの各々がインビトロでヒトおよびカニクイザルPBMCを殺傷するのに効果的であったことを示す。Ab5-AM1についてのヒトおよびシノ殺傷を描写する例示的なグラフを、
図6Aおよび表7に示す。Ab5‐AM1はヒトPBMCではIC
508.5 pM、シノPBMCではIC
509.1pmの一次PBMCの強力な殺傷を示し、ヒトおよびシノPBMCがAb5‐AM1に等しく感受性であることを示した。
【0671】
[表8]
表6:インビトロ細胞線殺傷アッセイ- IC50
【0672】
表7:Ab5-AM1-IC50値を用いたインビトロヒトおよびサイノPBMC細胞殺傷アッセイ
[表9]
【0673】
ヒトHSCを用いたインビトロ殺傷アッセイのために、初代ヒトCD34
+骨髄細胞を、Ab2-AM2、Ab4-AM2、Ab5-AM1またはアイソタイプADCと共に5日間培養した。生きているCD34+CD90+ HSCカウントを、抗体濃縮の機能としてフロー・サイトメトリーによって決定した。
図6Bに示すように、Ab5-AM1は、0.49nmのIC
50でヒトHSCの強力な殺傷を示した。
図6Cに示され、そして表8に要約されるように、Ab2-AM2およびAb4-AM2はまた、インビトロでHSCを死滅させた。
【0674】
[表10]
表8:インビトロHSC細胞死滅アッセイ- IC50値
【0675】
例9. インビトロでの刺激された分割対非刺激された非分割PBMCに対する抗CD45 ADC細胞殺傷活性の解析
実施例1(Ab2)に記載された抗CD45抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)について、インビトロでの増殖刺激および非刺激初代ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を殺傷する能力を評価した。この研究のために、修飾Fc領域を有するAb2(D265C LA H435A)をアマトキシン2(AM2)に結合させてAb2-AM2を形成した。
【0676】
凍結保存したヒトPBMCを解凍し、2つに分割した。細胞の半分は、2:1の細胞対ビーズ比率でCD3 CD28ダイナビーズで刺激され、細胞の他の半分は刺激されなかった。両方の細胞を、5000細胞/ウェルで384ウェルプレートにプレーティングし、そして4日間ADCで処理し、その後、細胞生存率を、細胞力価-Gloによって測定した。
【0677】
図7に記載された結果は、アマトキシン2ペイロード(payload)を有する防CD45-ADCがインビトロで非刺激(非分裂)および刺激(分裂)されたヒトPBMCを発現するCD45の両方を殺すのに効果的であったことを示す。以下の表9は、この細胞殺傷アッセイで得られたEC50値を定量化する追加のデーターを提供する。
【0678】
[表11]
表9In vitro HSC PBMC killing assay (刺激vs非刺激)- IC50値
【0679】
例10. インビトロ初代単球由来マクロファージアッセイを用いる抗CD45 ADCの解析
実施例1(Ab6)に記載の抗CD45抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を、一次単球由来マクロファージのインビトロ殺傷について評価した。この研究のために、修飾Fc領域(D265C LA H435A)を有するAb6をアマトキシン1(AM1)に結合させてAb6-AM1を形成した。
【0680】
ヒトPBMCを平板培養し、組換えM-CSFを用いて7日間分化させた。次いで、これらの細胞を持ち上げ、マクロファージマーカについて評価し、細胞殺菌アッセイのために5×10^3細胞/ウェルで384平底板にプレーティングした。細胞を、Ab6-AM1の10点希釈液で6日間処理し、その後、細胞力価Gloを用いてそれらの生存率を評価した。
【0681】
図8に示すように、ヒト単球由来マクロファージは、Ab6-AM1による殺傷に対して感受性であった。
【0682】
例11. 抗CD45抗体結合体の解析インビトロ細胞殺傷試験を用いて-
実施例1および2(Ab5)に記載の抗CD45抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を、血清中でのその安定性について評価した。この研究のために、Ab5をアマトキシン1(AM1)に結合させてADCを形成した。
【0683】
ADCをヒトまたはカニクイザル血清中で37℃で0または72時間プレインキュベートした。血清中でインキュベートした後、ADCを滴定し、増殖培養培地中のREH細胞に添加した。細胞を7日間インキュベートし、細胞生存率を細胞力価Gloによって評価した。
【0684】
図9に示すように、Ab5-AM1はヒトまたはカニクイザル血清中で72時間インキュベートした後、0時間と比較して同様の殺傷を示し、ADCがヒトおよびカニクイザル血清中で安定であることを示した。
【0685】
例12. ヒト化NSGマウスにおける短半減期抗CD45 ADCを用いた生体内造血幹細胞(HSC)および免疫細胞除去試験
実施例1および2で同定された選択された抗CD45抗体(Ab2、Ab3、Ab5、およびAb7)の抗体薬物結合体(ADC)を、インビボHSCおよびヒト化NSGマウスにおける免疫細胞枯渇について評価した(ジャクソン・ラボラトリーズ)。この研究では、Fc領域に修飾を有するAb2、Ab3、Ab5、およびAb7(すなわち、D265C LA H435Aアミノ酸置換)を、それぞれ2つのアマトキシン(アマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2))の1つに結合させて、ADC(Ab2-AM2、Ab3-AM2、Ab5-AM1、Ab7-AM1)を形成した。Fc領域中のH435Aアミノ酸置換を導入して、それぞれの抗体の半減期を減少した。
【0686】
Ab5-AM1およびAb7-AM1を、ヒト化マウスモデルに1mg/kg、3mg/kg、または6mg/kgの単回注射として投与した。Ab2-AM2(DAR 1.8)およびAb3-AM2(DAR 2.0)を、ヒト化マウスモデルに1mg/kg、2mg/kg、または3mg/kgの単回注射として投与した。14日目に骨髄を採取し、フロー・サイトメトリーによりCD34+細胞の絶対数を測定した。7日目と14日目にも採血し、フロー・サイトメトリーで調べた。
【0687】
ベースラインに対する処置または対照処置マウスのヒトCD3+ T-細胞、CD19+ B-細胞およびCD33+骨髄性細胞の割合を
図10Aに示す。Ab2-AM2およびAb3-AM2で処理したヒト化NSGマウスは処理計画の単回投与後に、ベースラインと比較して、ヒトCD3+ T-細胞、CD19+ B-細胞、およびCD33+骨髄性細胞の有意な枯渇を示した(
図10A)。以上より、Ab2‐AM2およびAb3‐AM2は免疫細胞(骨髄性、T細胞、およびB細胞)を枯渇させることが示された。
【0688】
さらに、
図10B-10Eに示すように、ADC Ab2-AM2、Ab3-AM2、Ab5-AM1、またはAb7-AM1の1mg/kg、3mg/kg、または6mg/kgの単回注射で処理したヒト化NSGマウスは対照と比較した場合、ADCの単回投与の14日後に、末梢血および骨髄において、ヒトHSCを含む標的ヒトCD45細胞の有意な枯渇を示した。
【0689】
選択した短半減期抗CD45 ADCは、用量従属外縁と骨髄中の標的ヒト細胞を効率的に枯渇させることを示した。
【0690】
例13:短半減期抗CD45-アマトキシン抗体薬物コンジュゲートは生体内で非ヒト霊長類HSCと免疫細胞を効果的に枯渇させる
実施例1および2に記載された選択抗CD45抗体(Ab4、Ab5、およびAb7)の抗体薬物結合体(ADC)を、非ヒト霊長類(NHP)におけるインビボHSCおよび免疫細胞枯渇について評価した。この研究では、Fc領域に修飾を有するAb4、Ab5、およびAb7(すなわち、Fc領域におけるD265C LA H435Aアミノ酸置換)をアマトキシン1(AM1)に結合させて、ADC(Ab4-AM1、Ab5-AM1、Ab7-AM1)を形成した。Fc領域における修飾は、それぞれの抗体の半減期を減少するために導入された。
【0691】
雄性カニクイザルに本薬を単回漸増投与(3/群)し、NHP HSC及び免疫枯渇が検討された。骨髄中のHSC含量、および末梢血と骨髄中の免疫枯渇をフロー・サイトメトリーによりモニターした。
【0692】
図11Aに示すように、投与後72時間の抗CD45 ADC(0.5mg/kgまたは2mg/kgのAb5-AM1およびAb7-AM1)において、リンパ球のオンターゲット、用量依存性の減少(>90%枯渇)が末梢血で観察された。さらに、抗CD45 ADC(1mg/kgのAb4-AM1および0.5および2mg/kgのAb5-AM1;
図11B)の投与後7日目に、標的に応じた用量依存性のWBC、HSC、およびリンパ球の減少が骨髄で観察された。
【0693】
短半減期抗CD45 ADC Ab4‐AM1、Ab5‐AM1、Ab7‐AM1はNHP HSCの強力な排除と生体内での免疫細胞を示した。
【0694】
実施例14:NHP中の短半減期抗CD45抗体薬物コンジュゲートの薬物動態解析と血清中での安定性
実施例1(Ab4)に記載した抗CD45抗体を含む抗体‐薬物コンジュゲート(ADC)の薬物動力学を、非ヒト霊長類で評価した。この研究では、Fc領域に修飾を有するAb4(すなわち、Fc領域におけるD265C LA H435Aアミノ酸置換)を、2つのアマトキシン(アマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2))の一方に結合させて、ADC(Ab4-AM1、Ab4-AM2)を形成した。Fc領域に対する修飾を導入して、抗体の半減期を減少した。
【0695】
市販のELISAキットを用いて、雄型カニクイザルの血漿中薬物濃度を測定した。簡単に述べると、プレートを抗ヒトIgG捕捉抗体でコーティングした。サンプルおよび標準(ADC)を希釈剤中で検定のダイナミックレンジ内に希釈し、プレート上でインキュベートした。インキュベート後、プレートを抗IgG-HRP(総抗体を計算するため)または抗アマトキシン-HRP(ADCを計算するため)と共にインキュベートした。最後に、HRP基質TMBを添加し、続いて停止溶液を添加した。色の強さは、結合したIgG(総抗体を計算するため)またはIgG/アマトキシン(ADCを計算するため)の量に正比例した。
【0696】
図12に示すように、抗アマトキシン検出ベースのPKと抗IgG検出ベースのPKとの重ね合わせは、ADCが血清安定性であることを示した。薬物動態解析の結果を表10にさらにまとめる。抗CD45 ADCは3.2~7.4時間の半減期で速やかに除去され、ADCがin vivoで短い半減期を有することを示した。
【0697】
[表12]
表10:薬物動態の概要
【0698】
例15. ヒト化抗CD45モノクローナル抗体の調製
ヒトCD45(具体的には、ヒトCD45 ROの細胞外領域)を用いて、抗ヒトCD45抗体を得るために、ネズミを免疫化した。ヒトCD45RO、ヒト全長CD45(RABC)、サイノRABCおよびマウスCD45 RABCを発現する細胞株を作成し、フロー・サイトメトリーを用いて、216クローンのCD45への結合を評価した。
【0699】
交差反応性mAbを同定するために、オクテットバイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)結合実験を行った。クローンは、抗体のヒトCD45ROおよびCD45RABCならびに非ヒト霊長類(カニクイザル)CD45RABCへの結合能に基づいて選択した。3クローン(親クローンA、親クローンB、親クローンC)は、ヒトおよび非ヒト霊長類CD45 RABCに対して良好な交差反応性を有すると同定された。親クローンA、B、およびCの配列はその全体が本明細書に参考として援用される国際公開第2020/092654号A1(例えば、国際公開第2020/092654号A1の第1~30配列番号(SEQ ID NO):参照)に記載されている。
【0700】
ヒト化および親和性成熟を、3つの選択された交差反応性mAbのそれぞれについて使用した。親クローンA由来の13個のヒト化クローン、親クローンB由来の11個のヒト化クローン、および親クローンC由来の5個のヒト化クローンを得た。
【0701】
親クローンA、B、およびCからのヒト化および親和性成熟クローンを、それぞれの抗体に対するビオチン化細胞溶解物の非特異的結合を評価する多特異性試薬(PSR)結合検定を用いて、膜と細胞質ゾルタンパク質の混合物への非特異的結合についても試験した。結果を
図13に示す。
図13に示されるように、親クローンAのヒト化および親和性成熟バリアントは、低レベルの非特異的結合を有した(低PSRスコアから明らかなように)。親クローンBおよびCのヒト化バリアントは一般に、より高いレベルの非特異的結合を有した。しかしながら、親和性成熟後、クローン化Aのバリアントで観察されるレベルに匹敵する、非特異的結合の著しく減少したレベルを有するバリアントを選択した(
図13)。
【0702】
続いて、ヒト化および親和性成熟クローンをIgG1抗体として発現させ、ヒトCD45細胞に対する結合および活性について試験した。ヒトCD45 RABC、カニクイザル(カニクイザルなし)CD45 RABC及びアカゲザルCD45RABCに対するAbA、AbB及びAbCの一価結合の程度をBLIにより評価し、ヒト及びカニクイザルPBMCへの結合をフロー・サイトメトリーにより確認した。
【0703】
このスクリーニングプロセスから、ヒトおよびカニクイザルCD45との交差反応性および低非特異的結合を含む所望の特性に基づいて、3つのヒト化IgG1抗体を選択した。これらの抗体には、AbA(親クローンAのヒト化および親和性成熟バリアント)、AbB(親クローンBの親和性成熟バリアント)、およびAbC(親クローンCの親和性成熟バリアント)が含まれる。3つの選択された抗体の重鎖および軽鎖の可変領域およびCDR領域のアミノ酸配列を表27に示す。
【0704】
例16. 抗CD45抗体のインビトロ結合解析
実施例15に記載されたヒト化および親和性成熟抗CD45抗体(AbA、AbB、およびAbC)を、ヒトCD45に関するそれらの結合特徴およびそれらのカニクイザル(カニクイザル(カニクイザル)CD45との交差反応能を測定するために研究した。ヒトCD45 RABCおよびカニクイザルCD45 RABCへの一価結合の程度についてヒト化クローンを評価するために、AbA、AbB、およびAbCのそれぞれ、ならびにそれぞれの親クローンA、B、およびCを、OCTET Biolayer Interferometry(BLI)によって評価した。
【0705】
簡単に述べると、バイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて、0.1% w/vウシ血清アルブミンを補充した1×PBS中、25o℃で、PALL FORTEBIO OCTET RED96を用いて、抗体結合研究を行った。それぞれの精製抗体を抗ヒトFcバイオセンサ(AHQ; PALL FORTEBIO 18-5001)上に固定化し、100 nMの精製ヒトまたは300 nMのカニクイザルCD45外部ドメインとインキュベートした。
【0706】
見かけ上の等価なアフィニティ(K
D)、見かけ上の会合速度(K
ON)、および見かけ上の解離速度(K
DISまたはK
OFF)は、FORTEBIOデータ解析ソフトウェアバージョン10によって計算される1:1バインディングモデルを用いたローカルフルフィッティングによって決定された。精製ヒトまたはカニクイザルCD45外部ドメインに対するそれぞれの抗体のK
D、K
ONおよびK
DISを表11に示す。表11に記載されるように、ヒト化クローンAbAおよびAbBの結合親和性はそれぞれの親クローンAおよびBの結合親和性に類似しており、一方、ヒト化クローンAbCは、親クローンCよりも4倍を超える改善された親和性を示した。選択されたヒト化抗体AbA、AbB、およびAbCの各々は、ヒトおよびカニクイザルCD45と交差反応することができた。さらに、ヒト化およびアフィニティー成熟抗体AbBは、有意に改善された多特異的結合スコアを有し(
図13)、AbBが親クローンBと比較して非特異的抗原への有意に低い結合を有することを示した。
【0707】
[表13]
表11:表示されているIgGのKD、KON、およびヒトまたはカニオルゴンのCD45外部ドメインへのKDIS
【0708】
例17.抗CD45抗体のインビトロPBMC細胞結合活性
実施例15に記載のヒト化および親和性成熟抗CD45抗体(AbA、AbB、AbC)を、CD45発現細胞への結合について評価した。この目的のために、細胞培養培地中の初代ヒトまたはカニクイザル(カニクイザル)末梢血単核細胞(PBMC)を、滴定用量の抗CD45抗体と共に37o Cで一晩インキュベートした。簡単に述べると、4つの集中点のアニ-CD45抗体を使用し、最高濃度は6.25 nMであり、これを4倍に滴定して対数期用量反応曲線を確立した。結合した抗CD45抗体を、フロー・サイトメトリーを用いて蛍光標識AF488抗ヒトIgG二次抗体で検出した。IC50は、GRAPHPAD PRISMを用いてデータをフィッティングすることによって決定した。アイソタイプIgGを対照として使用した。
【0709】
上記の方法を用いて、ヒト化クローンAbA、AbB、およびAbCのPBMC結合活性を決定した。結果を
図14および表12に示す。
図14に記載されるように、アイソタイプ対照と比較して、ヒト化クローンAbA、AbB、およびAbCは、ヒトPBMCおよびシノPBMCの両方に強い結合を示した。また、
図14および表12に記載されるように、AbA、AbB、およびAbCはそれぞれの細胞型にわたって低nM EC
50でCD45に結合し、したがって、生細胞上のヒトおよびカニクイザルCD45への交差反応性結合を実証した。しかしながら、全体的により高い結合シグナルが、シノPBMCよりもヒトにおいて観察された。
【0710】
[表14]
表12ヒト化クローンのヒトまたはカニクイザルPBMCへの結合
【0711】
次に、上記の方法を用いて、ヒト化クローンAbA、AbBおよびAbCのヒトおよびシノPBMCへの結合を、それぞれの親クローンA、BおよびCのそれと比較した。表13に示すように、ヒト化クローンAbAおよびAbBのヒトおよびシノPBMCへの結合はそれぞれの親クローンAおよびBのそれと類似していたが、ヒト化クローンAbCは親クローンCよりも結合の向上を示した。
【0712】
表13. ヒト化クローンおよび親キメラのヒトまたはカニクイザルPBMCへの結合
[表15]
【0713】
次に、上記の方法を用いて、ヒト化クローンAのFcバリアントのPBMC結合活性(Abe.i.Abe_D265C_LA_H435A)、AbB(i.Abe_D265C_LA_H435A)、およびAbC(i.Abe_D265C_LA_H435A)を決定した。これらの抗体は、Fc置換D265C、L234A/L235A(「LALA」)、およびH435Aを含む。結果は表14 のとおりであった。アイソタイプ対照と比較して、ヒト化クローンのFcバリアントは、ヒトPBMCおよびシノPBMCへの強力な結合を示した。また、表14に示すように、ヒト化クローンのFcバリアントはそれぞれの細胞型にわたって低nM EC 50でCD45に結合し、したがって、生細胞上のヒトおよびカニクイザルCD45への交差反応性結合を実証した。しかしながら、全体的により高い結合シグナルが、シノPBMCよりもヒトにおいて観察された。従って、表14に記載される結果は、D265C、L234A/L235A(LALA)、およびH435A修飾がヒト化クローンのPBMC結合に影響しないことを示す。
【0714】
表14. ヒト化クローンのFcバリアントのヒトまたはカニクイザルPBMCへの結合
[表16]
【0715】
例18. AbAのエピトープ地図
AbAに結合したエピトープを、架橋質量分析を用いてマッピングした。架橋実験は、高質量MALDI質量分析による非共有結合相互作用の直接解析を可能にする。非共有結合相互作用を含むタンパク質サンプルを、特別に開発された架橋混合物と混合することによって(ビッチら、Anal Chem 82:172-179(2010))、上記実施例5に記載のように、高感度で非共有結合複合体を特異的に検出することができる。
【0716】
高分解能でAbAのエピトープを決定するために、タンパク質複合体を重水素化交差リンカーと共にインキュベートし、多酵素的切断に供した。タンパク質複合体は、人間CD45に結合したAbAバリアント抗体(AbAと同じエピトープを有する)であった。架橋ペプチドの濃縮後、サンプルを高分解能質量分析(nLC-LTQ-Orbitrap MS)によって分析し、生成したデーターをXQUESTおよびSTAVROXソフトウェアを用いて分析した。
【0717】
重水素化d0d12を有するタンパク質複合体CD45/AbAのトリプシン、キモトリプシン、ASP-N、エラスターゼおよびサーモリシンタンパク質分解後、nLC-orbitrap MS/MS解析はAbAエピトープがペプチドRNGPHERYHLEVEAGNT(配列番号(SEQ ID NO):118)中に残渣を含み、特にOE113の486R、493Yおよび502Tに対応するヒトCD45上のアミノ酸と相互作用することを示した(NP_002829.3に対応するCD45アイソフォームのフラグメント)。これらの結果を
図15に示す。
図15は、AbAのエピトープを含むアミノ酸フラグメント、特に領域RNGPHERYHLEVEAGNT(配列番号(SEQ ID NO):118)を示す。
【0718】
AbAはCD45のフィブロネクチンd4ドメインと相互作用し、選択的スプライシングを受けたCD45アイソフォーム(RO, RA、RB、RC、RABCなど)間で保存されている。AbAエピトープの残存493Yと502TはAbAの種間反応性と整合するように、ヒト、カノルガス、およびレサスCD45断面で保存されている。
【0719】
例19. AbA Fcバリアント(AbA_D265C_LALA_H435A)ADCの内部化
AbAのFcバリアント("AbA_D265C_LALA_H435A")をアマトキシン(AM1)に共役させ、抗体薬物コンジュゲート(ADC)("AbA_D265C_LALA_H435A-AM1")を形成した。AbA_D265C_LALA_H435A-AM1のインターナリゼーション容量をインビトロ抗体インターナリゼーションアッセイで評価した。
【0720】
このアッセイのために、抗CD45 ADCをpHAb色素に結合させた。内在化すると、結合抗体/ADCは酸性エンドソーム/リソソームに移動し、ここでpHAb色素は上記のように、ポリエチレンチャネルにおけるフロー・サイトメトリーによって検出され得る。この方法を用いて、ヒトCD34+骨髄細胞を用いて、AbA_D265C_LALA_H435AアマトキシンADCの内部移行をインビトロで評価した。
【0721】
CD34+ヒト骨髄細胞を氷上で2時間、飽和濃度のADCと共に0、2、24、48、または72時間インキュベートした。pHAbのレベル(gMFIにより測定)を経時的に評価した。時間経過の端部に、フルオロフォア標識抗IgG分子を使用して、フロー・サイトメトリーによって結合表面ヒトIgG1(hIgG1)を評価した。ヒトCD34+細胞に結合しないアマトキシン1(アイソタイプ-AM1)に結合したアイソタイプIgGを、非内在化制御として含めた。0時間時点はCD45の飽和結合を表すので、各時点での結合表面IgGの幾何平均蛍光強度(gMFI)を0時間での同じADCのgMFIと比較することによって、パーセント内在化ADCを計算した。結果を
図16に示す。
【0722】
図16に示すように、細胞中の検出されたpHAbの濃度は経時的に増加し(
図16、左側パネル)、これは経時的なADC内在化の割合の増加に対応した(
図16、右側パネル)。AbA_D265C_LALA_H435A-AM1 ADCの内在化パーセントはIsotype-AM1と比較して著しく高く、AbA_D265C_LALA_H435A-AM1はヒトCD34+骨マーロー細胞によって内在化されたが、アイソタイプ制御は内在化されなかったことを示した。
【0723】
例20. インビトロ細胞線殺傷アッセイを用いるCD45 ADCの解析
AbAのFcバリアント(例えば、AbA_D265C_LA_H435A、AbA_D265C_LA_LA_IHH、およびAbA_S239C_LA_LA_IHH)をピロロベンゾジアゼピン(PBD)または2つのアマトキシンのうちの1つ、すなわちアマトキシン1(AM1)またはアマトキシン2(AM2)に結合させて、以下のADCを形成した: AbA_D265C_LA_IHH-PBD、AbA_S239C_LA_IHH-PBD、AbA_D265C_LA_H435A-AM1、またはAbA_D265C_LA_H435A-AM2。以下の実施例は、インビトロでSKNO-1(急性骨髄性白血病細胞系JCRB1170)、ジャーカット(急性T細胞白血病細胞系、ATCC番号TIB-152)、およびREH-1(B細胞非ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)細胞系、ATCC番号CRL-3004)などの、CD45陽性がん細胞系を殺傷するこれらのADCの能力を試験するインビトロ細胞殺傷アッセイを記載する。
【0724】
SKNO-1、Jurkat、およびREH-1細胞株を用いたインビトロ殺傷アッセイのために、細胞をATCCガイドラインに従って増殖させた。より具体的には、細胞がCD45 ADC(例えば、AbA_D265C_LALA_IHH-PBD、AbA_S239C_LALA_IHH-PBD、AbA_D265C_LALA_H435A-AM1、またはAbA_D265C_LALA_H435A-AM2)またはアイソタイプ制御-ADC、すなわち、アマトキシンに共役なIgG1イソタイプ(「アイソタイプ-AM」)またはPBDに共役なIgG1イソタイプ(「アイソタイプ-PBD」)の存在下で、(RPMI-1640(1X)媒体に10% FBSおよび1% Pen-Strepを補足した)7日間培養された。次いで、細胞生存率を、生細胞に相関するアデノシン三リン酸(ATP)含有量を測定する細胞-TITER GLOアッセイによって測定した。細胞-TITER GLO(CTG)により、生存細胞の割合(y軸)を抗体濃度(x軸)に応じて測定した。細胞株殺傷試験に続いて、細胞毒性のレベルを定量し、そしてIC50を、GRAPHPAD PRISMを用いて計算した。結果を表15に示す。
【0725】
表15に記載されるように、試験された種々の防CD45 ADCの各々はインビトロでCD45発現細胞株(すなわち、SKNO-1、Jurkat、およびREH-1細胞株)を殺すのに効果的であった。
【0726】
[表17]
表15. インビトロ細胞線殺傷アッセイ
【0727】
例21. インビトロPBMC殺傷アッセイを用いるCD45 ADCの解析
実施例15に記載したヒト化抗CD45抗体の抗体薬物結合体(ADC)について、インビトロでの一次末梢血単核細胞(PBMC)を死滅させる能力を評価した。
【0728】
AbAのFcバリアント、AbA_D265C_LALA_H435A、をアマトキシンAM1またはAM2に共役させ、ADC AbA_D265C_LALA_H435A-AM1およびAbA_D265C_LALA_H435A-AM2を形成した。これらのADCの初代ヒトまたはカニクイザルPBMCを殺傷する能力を、in vitro PBMC殺傷アッセイにより評価した。PBMCは、リンパ球(T細胞、B細胞、およびナチュラル・キラー細胞)および単球の不均一な細胞集団からなるCD45発現細胞である。ヒトまたはカニクイザルPBMCを使用するインビトロ殺傷アッセイのために、PBMCを、CD45 ADC、またはアイソタイプ対照-ADC、すなわち、AM1に結合したIgG1アイソタイプ(「アイソタイプ-AM1」)またはAM2に結合したIgG1アイソタイプ(「アイソタイプ-AM2」)の抗体の存在下で、10%ウシ胎仔血清を含むRPMI-1640培地中で7日間培養した。次いで、細胞生存率を、細胞-TITER GLO(CTG)アッセイによって測定した。PBMC殺傷アッセイ後、細胞毒性のレベルを定量し、GRAPHPAD PRISMを用いてIC50を計算した。結果を図に示す。17A-17B、表16および表17。
【0729】
図に記載されているように。17A-17B、表16および表17において、AM1結合またはAM2結合抗CD45 ADCの各々は、in vitroでヒトおよびカニクイザルPBMCを殺すのに有効であった。以下の表16および17は、細胞殺傷アッセイの定量化に関する追加のデーターを提供する。
図17A~17B、表16および表17から明らかなように、ヒトおよびシノPBMCは、AM1共役CD45 ADCおよびAM2c共役CD45 ADCに対して等しく感受性であった。
【0730】
[表18]
表16. インビトロPBMC殺傷アッセイ:AM1に結合したADC
【0731】
[表19]
表17. インビトロPBMC殺傷アッセイ:AM2に結合したADC
【0732】
さらに、AbAのFcバリアントをPBD(AbA_D265C_LALA_IHH-PBD)に結合させ、AbCのFcバリアントをAM1(AbC_D265C_LA_H435A-AM1)に結合させた。これらのADCの、前項(AbA_D265C_LALA_H435A-AM1およびAbA_D265C_LALA_H435A-AM2)に記載されているADCとともに、一次ヒトPBMCおよびREH細胞線を死滅させる能力を評価した。結果を以下の表18に示す。
【0733】
表18に記載されるように、PBD共役ADCはREH細胞に対してより高い効力を示したが、AM1共役ADCまたはAM2共役ADCはPBMCに対してより高い効力を示した。
【0734】
[表20]
表18. インビトロ細胞殺傷アッセイ:AM1、AM2またはPBDに結合したADC
【0735】
次に、実施例15に記載のヒト化抗CD45抗体の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を、インビトロで増殖刺激および非刺激一次ヒトPBMCを死滅させる能力について試験した。凍結保存したヒトPBMCを解凍し、2つに分割した。細胞の半分はCD3 CD28 DYNA BEADSで2:1の細胞対ビード比率で刺激され、他の半分の細胞は刺激されずに放置された。刺激および非刺激細胞の両方を、5000細胞/ウェルの濃度で384ウェルプレートにプレーティングし、CD45 ADC(AbA_D265C_LA_H435A-AM2)またはアイソタイプ対照ADC(Isotype-AM2)で様々な濃度で4日間処理し、その後、細胞生存率を細胞TITER-GLO(CTG)アッセイによって測定した。細胞殺傷試験に続いて、細胞毒性のレベルを定量し、そしてIC50をGRAPHPAD PRISMを用いて計算した。代表的な結果を表19に記載する。
【0736】
表19に記載されるように、AbA_D265C_LALA_H435A-AM2は、インビトロでヒトPBMCを発現する非刺激(非分裂)および刺激(分裂)CD45の両方を殺すのに有効であった。
【0737】
[表21]
表19. インビトロPBMC殺傷アッセイ:AM1、PBD、またはIGNに結合したADC
【0738】
例22. インビトロHSC殺傷アッセイを用いるCD45 ADCの解析
次に、実施例15に記載される選択された抗CD45ヒトIgG抗体の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を、インビトロでヒト造血幹細胞(HSC)を死滅させる能力について試験した。
【0739】
AbAのFcバリアントをAM1、AM2、またはPBDに共役させ、それぞれADC AbA_D265C_LALA_H435A-AM1、AbA_D265C_LALA_H435A-AM2、およびAbA_D265C_LALA_IHH-PBDを形成した。これらのADCのヒト骨髄(BM)HSCを死滅させる能力を評価した。CD34+ヒトBM細胞を、SCF、IL-6、FLT3、およびTPOを含むSFEM媒体中で、前記のADCの1つの存在下で5日間、またはAM1(isotype-AM1)、AM2(「isotype-AM2」)、またはPBD(「isotype-PBD」)に結合したアイソタイプ対照抗体を含むアイソタイプ対照ADCの存在下で培養した。CD34+CD90+ヒトBM HSCの生存率を7-AADにより測定した。細胞殺傷試験に続いて、細胞毒性のレベルを定量し、そしてIC50値を、GRAPHPAD PRISMを用いて計算した。結果を
図18に記載し、これは、AM1、AM2またはPBDに結合したAbA ADCによるヒトCD34+CD90+ BM HSCの殺傷を示す代表的な結果を提供する。IC50値を表20および表21に示す。
【0740】
これらの結果は、AbA ADCがヒト骨髄HSCを効果的に殺すことを確認する。
【0741】
[表22]
表20. インビトロBM HSC殺傷アッセイ:AM1またはPBDに結合したADC
【0742】
[表23]
表21. インビトロBM HSC殺傷アッセイ:AM2に結合したADC
【0743】
例26. CD45 ADCは生体内で非ヒト霊長類(NHP)HSCと免疫細胞を枯渇させる
ヒトCD45(AbA)に特異的に結合することができる抗体を含む抗CD45抗体薬物コンジュゲート(ADC)を、インビボで非ヒト霊長類(NHP)由来の造血幹細胞(HSC)および免疫細胞を枯渇させる能力について試験した。半減期を低下させるFc領域(AbA_D265C_LALA_H435A)にH435A改質を含むAbAのFcバリアントをアマトキシンAM1またはアマトキシンAM2に共役させ、それぞれCD45 ADC AbA_D265C_LALA_H435A-AM1(「CD45 ADC-AM1」)およびAbA_D265C_LALA_H435A-AM2(「CD45 ADC-AM2」)を形成した。これらCD45 ADCのHSCおよび免疫細胞除去効果を、インビボでNHPで試験した。
【0744】
雄性カニクイザルにCD45 ADC-AM1、CD45 ADC-AM2又は媒体対照(PBS)1mg/kgを単回注射した。骨髄中のHSC含量、および末梢血中の免疫細胞枯渇を、指示された時間にフロー・サイトメトリーによってモニターした。試験期間中、血液学的検査および臨床化学的検査を実施した。結果を
図26に示す。
【0745】
図26に記載されているように、CD45 ADCによる処理後に、NHPのBMにおいてWBC、HSC、およびリンパ球のオンターゲット枯渇が観察された。結論として、抗体半減期を低下させるFc領域に修飾を有するAbAを含むADC CD45 ADC‐AM1とCD45 ADC‐AM2は、インビボでNHP HSCの強力な除去と免疫細胞を示した。
【0746】
例27. NHPにおけるCD45 ADCの薬物動態解析と血清中安定性
【0747】
抗CD45抗体AbAを含むADCを試験し、非ヒト霊長類における血清安定性と薬物動態を評価した。市販のELISAキットを、雄型カニクイザルにおけるCD45 ADC-AM1およびCD45 ADC-AM2(実施例26に記載)の血漿薬物濃度を測定するように適合させた。
【0748】
簡単に述べると、ELISAプレートを抗ヒトIgG捕捉抗体でコーティングした。血漿サンプルおよび標準(CD45 ADC)を希釈剤中で検定のダイナミックレンジ内に希釈し、プレート上でインキュベートした。インキュベート後、プレートを抗IgG-HRP(総抗体を計算するため)または抗アマトキシン-HRP(CD45 ADCを計算するため)とインキュベートした。最後に、HRP基質TMBを添加し、続いて停止溶液を添加した。色の強さは、結合したIgG(総抗体を計算するため)またはIgG/アマトキシン(AM1またはAM2結合CD45 ADCを計算するため)の量に正比例した。結果を
図27および表22に示す。
【0749】
抗アマトキシン検出に基づくPKと抗IgG検出に基づくPKとのオーバーレイは、ADCがNHPにおいてインビボで安定な血清であったことを示す。CD45 ADCは3.79~14.4時間の半減期で迅速に除去され、CD45 ADCがin vivoで短い半減期を有することを示した。
【0750】
[表24]
表22. 平均CD45 ADC PK
【0751】
例28. AbA-AMは患者由来腫瘍に対して腫瘍縮小効果を示し、血液悪性腫瘍の複数の前臨床モデルにおいて標準治療を超えて生存期間を延長する単回用量
[表25]
本実施例に記載される標的抗体薬物コンジュゲート(ADC)手法は、CD45+細胞を特異的に枯渇させることによって電流コンディショニングプロトコルの安全性を改善するように設計される。アマトキシンに結合したAbA(AbA-AM1)を含む抗ヒトCD45標的短半減期ADCをこの研究で使用した。CD45は、全ての造血細胞(赤血球、プラズマ細胞および血小板(platelets)を除く)、およびほとんどの血液悪性腫瘍に発現するため、allo-HSCTコンディショニングの標的となりうる。標的特異性を考慮すると、抗CD45-AMはHSCTの効果的なコンディショニングと標的を有する腫瘍細胞の枯渇を組み合わせることにより、白血病に二重の利益をもたらすことができる。
【0752】
AbA-AMが抗白血病活性を有することを実証するために、ADCをヒト白血病異種移植マウスモデルにおいて試験した。一連のモデルを評価して、未処理および難治性疾患を模倣した: AML患者由来異種移植片(PDX)モデル(処理未経験および再発同種HCT後患者由来;すべてのFLT-3+NPM1+)、不死化細胞株由来ALL細胞(REH-Luc)、およびT-ALL患者由来異種移植片(PDX)モデル(DHAP化学療法後に進行する患者由来)。
【0753】
AML #1は治療歴のない患者(J000106134)に由来し、AML #2は多くの前治療歴のある同種異系HSCT後の再発性腎摘出患者(J000106132)に由来し、T-ALLはDHAP化学療法後に進行した患者に由来した。細胞株由来ALLを形質導入して、ホタルルシフェラーゼを発現させた。それぞれの腫よう型の細胞を免疫不全マウス(NSG‐SGM3、またはNSG)に全身接種した。
【0754】
治療はPDXの末梢腫瘍負荷(n=3~5/群)が始まり、CDXマウスはREH‐lucモデル(n=10/群)に対する移植後末梢血または5日目に2~16%の芽球に達した。抗CD45-ADC(1、3、6、または10mg/kg)の単回用量を、媒体(PBS)またはアイソタイプ-AM1(6、または10mg/kg)と比較し、Ara-c(30mg/kg QDx5、静注)、デキサメタゾン(5mg/kg Q3Dx9、腹腔内)、またはドキソルビシン(3mg/kg QWx3、静注)の臨床的に検証された標準治療レジメンと同等であった。教科課程にわたる腫瘍負荷を
図28に示す。
【0755】
ヒトALLのREH‐ルシフェラーゼモデル細胞株由来(CDX)モデルでは、AbA‐AM1の単回用量は忍容性が良く、細胞減少性であり、媒体(PBS)、アイソタイプ‐AM1、または標準オブケア(SoC)ドキソルビシン(パネル28;左下パネルおよびパネル29B)と比較して、腫瘍増殖の遅延および生存期間中央値の少なくとも2倍(2.2~2.8倍)の延長をもたらした。
図29Aおよび表23に示すように、ALL接種後5日目にAbA-AM1(1、3、または10mg/kg)を単回注射すると、PBS、またはアイソタイプ-ADC処置対照と比較して55~66日のメジアンで生存期間が長くなり、ALLに対するケア処置の基準として使用されるドキソルビシンと同様であった(n=10マウス/群)。生物発光シグナルを、IVIS画像化システム(PerkinElmer)を用いて測定した。放射線(平均± SEM)を、研究の時間経過にわたって捕捉した。代表的な生物発光シグナル擬似着色画像を、
図29Cに示すように、全ての処置群について、移植後22~23日目に捕捉した。
【0756】
[表26]
表23. REH-ルシフェラーゼALL異種移植モデルにおける生存期間中央値
PBSまたはアイソタイプADCと比較したログランク検定† p≦0.001;ドキソルビシンと比較した† p<0.05
【0757】
T-ALL患者由来異種移植片(PDX)モデルでは、T-ALL接種後5日目に短い半減期のCD45-ADC(AbA-AM1を3または6mg/kg)を単回注射した結果、PBS(28日間)、またはIsotype-ADC(28日間)処置対照、またはデキサメタゾン(47日間、n=5マウス/群;
図30Aおよび表24)と比較して、生存期間中央値が66~67日長かった。さらに、
図30Bに示すように、AbA-AM処理は、T-ALL PDXモデルにおいて、媒体、アイソタイプ-ADCと比較して、遅発性腫瘍増殖をもたらす末梢腫瘍負荷を有意に減少させ、2つの臨床的に検証された標準治療(それぞれAra-C、およびデキサメタゾン)と同等であった。これらの結果は、半減期の短いCD45-ADCの単回用量による治療が腫瘍増殖遅延をもたらす周白血病細胞を低下させ、生存期間中央値の倍増をもたらすことを示している。
【0758】
[表27]
表24. T-ALL PDXモデルにおける生存期間中央値
ログランク検定p ≦ 0.009、PBS、またはアイソタイプADCとの比較; ▲デキサメタゾン; Ara-Cとの比較
【0759】
処理未経験および再燃した同種HCT後患者由来のAML患者由来異種移植片(PDX)モデルでは、外縁中に2~16%の芽球が検出された時点で処理が開始された(n=3~5マウス/群/AML PDXモデル)。マウスを、抗ヒトCD45-ADC(AbA-AM)、アイソタイプ-ADC、または媒体(PBS)の単回静脈内投与で処置した。Ara‐cは1日1回5日間連続で静脈内投与した。図に示すように。31Aおよび31B(ならびに表25および26)、ADC(抗CD45-ADC(AbA-AM)、アイソタイプ-ADC)、媒体(PBS)の単回静脈内投与で処置されたPDX AMLマウスは、PBS対照と比較して、抗CD45-ADCのレシピエント(recipient)においてより長い生存をもたらした。さらに、図に示すように。31Cおよび31Dは半減期の短いCD45-ADCの単回用量であり、媒体(PBS)またはアイソタイプ-ADCと比較して、2つの患者由来異種移植モデルにおけるヒト急性骨髄性白血病細胞の腫瘍量を効果的に減少させ、臨床的に検証された標準治療レジメン(Ara-c)と同等であった。
【0760】
[表28]
表25. PDXモデル(AML #1)の生存期間中央値
PBSまたはIsotype-ADCと比較したログランク検定† p< 0.02; Ara-Cと比較した‡ p< 0.005
【0761】
[表29]
表26. PDXモデル(AML #2)の生存期間中央値
ログ順位検定† p<0.008(PBSと比較); ‡ p<0.008(アイソタイプADCと比較); *p<0.012(Ara-Cと比較)。
【0762】
これらの結果から、短半減期CD45-ADC(AbA-AM)の単回用量投与は複数異種移植モデル(ALL、T-All、AML)において強力に白血病細胞を標的とし、制御および臨床的に検証されたケアの標準と比較して、確立された白血病異種移植モデル(細胞株および患者由来)の生存期間中央値を有意に延長することにより、忍容性が良好で、腫瘍量を減少させることができることが実証された。
【0763】
PDX AML、およびT-ALLにおけるAbA-AM治療は、媒体、アイソタイプ-AMと比較して末梢腫瘍量を有意に減少させ、2つの臨床的に検証された標準治療(それぞれAra-C、およびデキサメタゾン;
図28)と同等の腫瘍増殖遅延をもたらした。移植適応のためにデザインされたように、ADCは野生型抗体制御と比較して半減期が短かった(16時間対79時間)。
【0764】
ヒト化マウス異種移植モデルにおけるこれらの結果は、短半減期AbA‐AM ADCが強力な標的抗白血病代理人であることを示す。これらの非遺伝毒性ADCは移植後の患者、特に再発のリスクが高い強度低下コンディショニングを受けた患者において、疾病負荷を軽減し、耐久性寛解を誘導するのに役立つ可能性がある。
【0765】
本開示全体を通して参照される配列は、表27に提供される。
[表30]
表27. 配列表
【0766】
他の実施形態
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも各独立した刊行物または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0767】
本発明はその具体的な実施形態に関連して説明されてきたが、本発明はさらなる修正が可能であり、本出願は本発明の原理に従い、本発明が関係する技術内の既知のまたは慣例的な実施の範囲内に入り、本明細書で前述した本質的な特徴に適用され得る本発明からのそのような逸脱を含む、本発明の任意の変形、使用、または適応を包含することが意図され、本特許請求の範囲の範囲内に従うことが理解されるのであろう。
【0768】
他の実施形態も本特許請求の範囲の範囲内である。
【国際調査報告】