IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イー インク コーポレイションの特許一覧

特表2022-553872電気光学ディスプレイを駆動する方法
<>
  • 特表-電気光学ディスプレイを駆動する方法 図1
  • 特表-電気光学ディスプレイを駆動する方法 図2
  • 特表-電気光学ディスプレイを駆動する方法 図3
  • 特表-電気光学ディスプレイを駆動する方法 図4
  • 特表-電気光学ディスプレイを駆動する方法 図5
  • 特表-電気光学ディスプレイを駆動する方法 図6
  • 特表-電気光学ディスプレイを駆動する方法 図7
  • 特表-電気光学ディスプレイを駆動する方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電気光学ディスプレイを駆動する方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/34 20060101AFI20221219BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221219BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20221219BHJP
   G02F 1/16757 20190101ALI20221219BHJP
   G02F 1/1681 20190101ALI20221219BHJP
   G02F 1/1685 20190101ALI20221219BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20221219BHJP
   G02F 1/141 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G09G3/34 C
G09G3/20 670K
G09G3/20 624B
G09G3/20 622C
G09G3/20 621B
G02F1/167
G02F1/16757
G02F1/1681
G02F1/1685
G02F1/133 550
G02F1/141
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526725
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020060835
(87)【国際公開番号】W WO2021101859
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】62/936,914
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アムンドソン, カール レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】シム, テック ピン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H193
2K101
5C080
【Fターム(参考)】
2H088HA06
2H088JA17
2H088MA01
2H088MA20
2H193ZA04
2H193ZB02
2H193ZE16
2H193ZE20
2H193ZQ13
2H193ZQ22
2K101AA04
2K101AA08
2K101AA11
2K101BA01
2K101BA12
2K101BD21
2K101BD61
2K101CA01
2K101EC08
2K101ED13
2K101ED25
2K101ED32
2K101ED35
2K101EE02
2K101EE06
2K101EJ11
5C080AA16
5C080BB05
5C080DD05
5C080DD29
5C080EE01
5C080EE17
5C080EE28
5C080FF03
5C080FF11
5C080JJ03
5C080JJ04
(57)【要約】
複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、複数のディスプレイピクセルの各々は、ディスプレイトランジスタに関連付けられ、方法は、残留電圧をディスプレイピクセルから排出するために、第1の持続時間の間、第1の電圧をディスプレイピクセルに関連付けられたトランジスタに印加することと、ディスプレイピクセルからの残留電圧の排出を停止させるために、第2の持続時間の間、第2の電圧をトランジスタに印加することと、残留電圧をディスプレイピクセルから排出するために、第3の持続時間の間、第3の電圧をトランジスタに印加することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記ディスプレイは、複数のディスプレイピクセルを有し、前記複数のディスプレイピクセルの各々は、ディスプレイトランジスタに関連付けられており、前記方法は、
残留電圧を前記ディスプレイピクセルから排出するために、第1の持続時間の間、第1の電圧をディスプレイピクセルに関連付けられたトランジスタに印加することと、
前記ディスプレイピクセルからの残留電圧の前記排出を停止させるために、第2の持続時間の間、第2の電圧を前記トランジスタに印加することと
残留電圧を前記ディスプレイピクセルから排出するために、第3の持続時間の間、第3の電圧を前記トランジスタに印加することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の電圧は、ゲートオン電圧である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3の電圧は、ゲートオン電圧である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の電圧は、ゼロボルトである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の持続時間の長さは、前記第2の持続時間と同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の持続時間の長さは、前記トランジスタへの応力を低減させるように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の持続時間の長さは、前記第3の持続時間と同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の持続時間の長さは、前記第3の持続時間と同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の持続時間の長さは、前記第2の持続時間と異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の持続時間の長さは、前記第3の持続時間と異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の電圧は、前記第1の電圧と反対の電圧極性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の電圧は、前記第3の電圧と反対の電圧極性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の電圧は、公称ゲートオフ電圧である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ディスプレイピクセルからの残留電圧の前記排出を停止させるために、第4の持続時間の間、第4の電圧を前記トランジスタに印加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第4の持続時間の長さは、前記トランジスタにおける応力を低減させるように構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
残留電圧を前記ディスプレイピクセルから排出するために、第5の持続時間の間、第5の電圧を前記トランジスタに印加することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第4の持続時間は、前記第5の持続時間と異なる長さを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第4の持続時間の長さは、前記第5の持続時間と同じである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第4の持続時間は、前記第2の持続時間と異なる長さを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第4の持続時間の長さは、前記第2の持続時間と同じである、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年11月18日に出願された米国仮出願第62/936,914号に関連し、その優先権を主張する
【0002】
前述の出願の開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
(発明の主題)
【0003】
本発明は、反射性電気光学ディスプレイおよびそのようなディスプレイにおける使用のための材料に関する。より具体的に、本発明は、低減させられた残留電圧を伴うディスプレイおよび電気光学ディスプレイにおける残留電圧を低減させる駆動方法に関する。
【背景技術】
【0004】
直流電流(DC)非平衡波形によって駆動される電気光学ディスプレイは、残留電圧を生産し得、この残留電圧は、ディスプレイピクセルの開回路電気化学電位を測定することによって確認可能である。残留電圧は、原因および影響の両方において、電気泳動および他のインパルス駆動式電気光学ディスプレイにおけるより一般的現象であることが見出されている。DC非平衡がいくつかの電気泳動ディスプレイの長期寿命劣化を引き起こし得ることも見出されている。
【0005】
用語「残留電圧」は、時として、全体的現象を指す便宜的用語としても使用される。しかしながら、インパルス駆動式電気光学ディスプレイの切り替え挙動のための基本は、電気光学媒体を横断した電圧インパルス(時間に対する電圧の積分)の印加である。残留電圧は、駆動パルスの印加の直後にピーク値に到達し、その後、実質的に指数関数的に減衰し得る。かなりの期間にわたる残留電圧の存続は、「残留インパルス」を電気光学媒体に印加し、厳密には、残留電圧ではなく、この残留インパルスが、残留電圧によって生じると通常考えられている電気光学ディスプレイの光学状態への影響に関与し得る。
【0006】
理論上、残留電圧の影響は、直接、残留インパルスに対応するはずである。しかしながら、実際には、インパルス切り替えモデルは、低電圧において正確度を失い得る。いくつかの電気光学媒体は、ある閾値を有し、それによって、約1Vの残留電圧が、駆動パルスが終了した後、媒体の光学状態の顕著な変化を引き起こさないこともある。しかしながら、本明細書に説明される実験において使用される好ましい電気泳動媒体を含む他の電気光学媒体では、約0.5Vの残留電圧は、光学状態の顕著な変化を引き起こし得る。したがって、2つの等価な残留インパルスが、実際の結果において異なり得、残留電圧の影響を低減させるために、電気光学媒体の閾値を増加させることが有用であり得る。E Ink Corporationは、いくつかの状況において経験される残留電圧が、駆動パルスが終了した後、ディスプレイ画像を直ちに変化させることを防止するために適切な「小閾値」を有する電気泳動媒体を生産した。閾値が、不適切である場合、または残留電圧が高すぎる場合、ディスプレイは、キックバック/自己消去または自己改良現象を提示し得る。用語「光学キックバック」は、本明細書では、少なくとも部分的にピクセルの残留電圧の放電に対する応答を引き起こすピクセルの光学状態の変化を説明するために使用される。
【0007】
残留電圧が、小閾値を下回るときでも、それらが、依然として、次の画像更新が生じるときに存続する場合、それらは、深刻な影響を画像切り替わりに及ぼし得る。例えば、電気泳動ディスプレイの画像更新中、+/-15V駆動電圧が、電気泳動粒子を移動させるために印加されると仮定する。+1V残留電圧が、前の更新から存在する場合、駆動電圧は、事実上、+15V/-15Vから+16V/-14Vにシフトされるであろう。その結果、ピクセルは、それが正の残留電圧を有するか、負の残留電圧を有するかに応じて、暗色または白色状態に向かって付勢されるであろう。さらに、この影響は、残留電圧の減衰率に起因して、経過時間に伴って変動する。前の画像更新の直後に15Vの300ms駆動パルスを使用して白色に切り替えられるピクセルにおける電気光学材料は、実際に、300msにわたって16Vにより近い波形を経験し得る一方、正確に同一の駆動パルス(15V、300ms)を使用して1分後に白色に切り替えられるピクセル内の材料は、実際に、300msにわたって15.2Vにより近い波形を経験し得る。その結果、ピクセルは、白色の著しく異なる陰影を示し得る。
【0008】
残留電圧場が、前の画像による複数のピクセルにわたり生成された場合(例えば、白色背景上の暗色線)、残留電圧も、類似パターンでディスプレイを横断して整列され得る。実際の問題として、ディスプレイ性能に及ぼす残留電圧の最も顕著な影響は、残影であり得る。この問題は、既に述べた問題、すなわち、DC非平衡(例えば、15V/15Vの代わりに、16V/14V)に加え、電気光学媒体のゆっくりとした寿命劣化の原因であり得る。
【0009】
残留電圧がゆっくりと減衰し、ほぼ一定である場合、波形をシフトさせることにおけるその影響は、画像更新毎に変動せず、実際に、迅速に減衰する残留電圧ほど残影を生成しないこともある。したがって、10分後にあるピクセルを更新し、11分後に別のピクセルを更新することによって経験される残影は、直ちにあるピクセルを更新し、1分後に別のピクセルを更新することによって経験される残影をはるかに下回る。逆に言えば、次の更新が生じる前にゼロに近づくように迅速に減衰する残留電圧は、実際は、検出可能な残影を引き起こさないこともある。
【0010】
複数の潜在的残留電圧源が、存在する。残留電圧の1つの大きな原因は、ディスプレイを形成する種々の層の材料内のイオン分極であると考えられる(但し、いくつかの実施形態は、この考えによっていかようにも限定されない)。
【0011】
要約すると、現象としての残留電圧は、ある厳しさの程度の感度で、種々の方法において、画像残影または視覚的アーチファクトとして現れ得、厳しさの程度は、画像更新間の経過時間に伴って変動し得る。残留電圧は、DC非平衡も生成し、最終ディスプレイ寿命を減らし得る。残留電圧の影響は、したがって、電気泳動または他の電気光学デバイスの品質に有害であり、残留電圧自体と残留電圧の影響に対するデバイスの光学状態の感度との両方を最小化することが望ましくあり得る。
【0012】
したがって、電気光学ディスプレイの残留電圧を放電することは、残留電圧がすでに低い状況でも、表示される画像の品質を改良し得る。本発明者らは、電気光学ディスプレイの残留電圧を放電するための従来の技法が、残留電圧を完全に放電しないこともあることを認識および理解している。すなわち、残留電圧を放電する従来の技法は、電気光学ディスプレイが少なくとも低残留電圧を保持する結果をもたらし得る。したがって、残留電圧を電気光学ディスプレイからより良好に完全に放電するための技法が、必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供し、複数のディスプレイピクセルの各々は、ディスプレイトランジスタに関連付けられ、方法は、残留電圧をディスプレイピクセルから排出するために、第1の持続時間の間、第1の電圧をディスプレイピクセルに関連付けられたトランジスタに印加することと、ディスプレイピクセルからの残留電圧の排出を停止させるために、第2の持続時間の間、第2の電圧をトランジスタに印加することと、残留電圧をディスプレイピクセルから排出するために、第3の持続時間の間、第3の電圧をトランジスタに印加することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本明細書に開示される主題による、電気泳動ディスプレイを表す回路図である。
【0015】
図2図2は、本明細書に開示される主題による、電気光学結像層の回路モデルを示す。
【0016】
図3図3は、本明細書に開示される主題による、例示的駆動方法を図示する。
【0017】
図4図4は、本明細書に開示される主題による、別の駆動方法を図示する。
【0018】
図5図5は、本明細書に開示される主題による、さらに別の駆動方法を図示する。
【0019】
図6図6は、本明細書に開示される主題による、追加の駆動方法を図示する。
【0020】
図7図7は、本明細書に開示される主題による、代替駆動方法を図示する。
【0021】
図8図8は、本明細書に開示される主題による、別の駆動方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用されるように、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する材料であって、材料への電場の印加によって、その第1からその第2の表示状態に変化させられる材料を指すために、本明細書で使用される。光学特性は、典型的に、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読み取りのために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学特性であり得る。
【0023】
用語「グレー状態」は、画像化技術分野におけるその従来的な意味で本明細書で使用され、2つの極端なピクセルの光学的状態の中間の状態を指し、必ずしも黒と白とのこれらの2つの極端な状態の間の移行を意味するわけではない。例えば、下で参照されるいくつかの電気泳動インクに関する特許および公開された出願は、極端な状態が白および濃青であり、中間の「グレー状態」が実際には薄青である電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに述べたように、光学的状態の変化は、色の変化では全くない場合もある。用語「黒」および「白」は、ディスプレイの2つの極端な光学的状態を指すように以下で使用されることもあり、例えば、前述の白および濃青状態等の厳密には黒および白ではない極端な光学的状態を通常含むものとして理解されるべきである。用語「モノクロ」は、以降、介在グレー状態を伴わず、ピクセルをその2つの極端な光学状態のみに駆動させる、ディスプレイ駆動スキームを指すために使用され得る。
【0024】
下での議論の多くは、初期グレーレベルから最終グレーレベル(初期グレーレベルと異なることも、異ならないこともある)への移行を通して、電気光学ディスプレイの1つ以上のピクセルを駆動する方法に焦点を当てるであろう。用語「波形」は、ある特定の初期グレーレベルから特定の最終グレーレベルへの移行をもたらすために使用される時間曲線に対する電圧全体を示すために使用されるであろう。典型的に、そのような波形は、複数の波形要素を備えるであろう。すなわち、これらの要素が、本質的に長方形である場合(すなわち、所与の要素が、ある期間にわたって、一定電圧の印加を備える場合)、要素は、「パルス」または「駆動パルス」と呼ばれ得る。用語「駆動スキーム」は、特定のディスプレイに関するグレーレベル間のあらゆる可能な移行をもたらすために十分な波形の組を示す。ディスプレイは、2つ以上の駆動スキームを利用し得る。例えば、前述の米国特許第7,012,600号は、駆動スキームがディスプレイの温度またはその寿命中に動作していた時間等のパラメータに応じて、修正される必要があり得、したがって、ディスプレイが、異なる温度等で使用されるための複数の異なる駆動スキームを具備し得ることを教示する。このように使用される駆動スキームの組は、「関連駆動スキームの組」と称され得る。前述のMEDEOD出願のうちのいくつかに説明されるように、2つ以上の駆動スキームを同一ディスプレイの異なるエリア内において同時に使用することも可能であり、このように使用される駆動スキームの組は、「同時駆動スキームの組」と称され得る。
【0025】
いくつかの電気光学材料は、材料が固体外部表面を有するという意味において、固体であるが、材料は、内部液体またはガス充填空間を有することもあり、多くの場合、そうである。固体電気光学材料を使用するそのようなディスプレイは、以降、便宜上、「固体電気光学ディスプレイ」と称され得る。したがって、用語「固体電気光学ディスプレイ」は、回転二色部材ディスプレイ、カプセル化された電気泳動ディスプレイ、マイクロセル電気泳動ディスプレイ、およびカプセル化された液晶ディスプレイを含む。
【0026】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えるディスプレイを指すために本明細書で使用され、表示要素は、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すように、有限持続時間のアドレスパルスを用いて、所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続くようなものである。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極端な黒および白状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書では、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0027】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されるような回転二色部材タイプである(このタイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、前述の特許のうちのいくつかでは、回転部材が球状ではないので、用語「回転二色部材」の方がより正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つ以上の区分と、内部双極子とを有する多数の小さい本体(典型的に、球状または円筒形)を使用する。これらの本体は、行列内に液体が充填された空胞の中に懸濁され、空胞は、本体が自由に回転するように、液体で充填されている。ディスプレイの外観は、ディスプレイに電場を印加し、したがって、本体を種々の位置に回転させ、視認表面を通して見られる本体の区分を変動させることによって、変更される。このタイプの電気光学媒体は、典型的に、双安定性である。
【0028】
長年にわたり研究および開発の関心の対象である、あるタイプの電気光学ディスプレイは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、複数の帯電粒子が、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したとき、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定、および低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期画質に関する問題は、その広範な使用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降し、これらのディスプレイにとって不適正な有効寿命をもたらす傾向にある。
【0029】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。殆どの従来技術の電気泳動媒体では、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生成され得る(例えば、Kitamura,T.,et al. Electrical toner movement for electronic paper-like display,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1、およびYamaguchi,Y.,et al.,Toner display using insulative particles charged triboelectricaily,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4参照)。同様に、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直プレーンに配置される看板等、媒体がそのような沈降を可能にする向きで使用されるとき、粒子沈降のために液体ベース電気泳動媒体と同じ種類の問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速の沈降を可能にする流体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度により、液体ベース電気泳動媒体よりガスベース電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0030】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的に、カプセルは、それ自体が、ポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術としては、以下が挙げられる。
【0031】
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
【0032】
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
【0033】
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
【0034】
(d)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
【0035】
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
【0036】
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイに使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
【0037】
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
【0038】
(h)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
【0039】
(i)非電気泳動ディスプレイ(例えば、米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0,277,160号参照)およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0,005,720号および第2016/0,012,710号参照)
【0040】
ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、および米国特許出願公開第2,003/0,102,858号、第2,004/0,246,562号、第2,005/0,253,777号、第2,007/0,070,032号、第2,007/0,076,289号、第2,007/0,091,418号、第2,007/0,103,427号、第2,007/0,176,912号、第2,007/0,296,452号、第2,008/0,024,429号、第2,008/0,024,482号、第2,008/0,136,774号、第2,008/0,169,821号、第2,008/0,218,471号、第2,008/0,291,129号、第2,008/0,303,780号、第2,009/0,174,651号、第2,009/0,195,568号、第2,009/0,322,721号、第20,100,194,733号、第20,100,194,789号、第20,100,220,121号、第20,100,265,561号、第20,100,283,804号、第2,011/0,063,314号、第2,011/0,175,875号、第2,011/0,193,840号、第2,011/0,193,841号、第2,011/0,199,671号、第2,011/0,221,740号、第2,012/0,001,957号、第2,012/0,098,740号、第2,013/0,063,333号、第2,013/0,194,250号、第2,013/0,249,782号、第2,013/0,321,278号、第2,014/0,009,817号、第2,014/0,085,355号、第2,014/0,204,012号、第2,014/0,218,277号、第2,014/0,240,210号、第2,014/0,240,373号、第2,014/0,253,425号、第2,014/0,292,830号、第2,014/0,293,398号、第2,014/0,333,685号、第2,014/0,340,734号、第2,015/0,070,744号、第2,015/0,097,877号、第2,015/0,109,283号、第2,015/0,213,749号、第2,015/0,213,765号、第2,015/0,221,257号、第2,015/0,262,255号、第2,016/0,071,465号、第2,016/0,078,820号、第2,016/0,093,253号、第2,016/0,140,910号、および第2,016/0,180,777号参照)
【0041】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生成し、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、高分子材料の連続相とを備え、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、別々のカプセル膜が各個々の液滴に関連付けられていない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の第2,002/0,131,147号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0042】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、担体媒体、例えば、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。例えば、国際出願公開第WO02/01,281号および公開された米国出願第2,002/0,075,556号(両方とも、Sipix Imaging,Inc.に譲渡されている)を参照されたい。
【0043】
前述のE INKおよびMIT特許および出願の多くも、マイクロセル電気泳動ディスプレイおよびポリマー分散電気泳動ディスプレイを想定している。用語「カプセル化された電気泳動ディスプレイ」は、あらゆるそのようなディスプレイタイプを指し得、それらは、壁の形態にわたって一般化するために、集合的に、「マイクロキャビティ電気泳動ディスプレイ」とも説明され得る。
【0044】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes,R. A.,et al.の「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」,Nature,425,383-385(2003)に説明されるエレクトロウェッティングディスプレイである。2004年10月6日に出願された同時係属中の出願第10/711,802号では、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイは、双安定にされ得ることが示されている。
【0045】
他のタイプの電気光学材料も、使用され得る。特に着目すべきこととして、双安定強誘電液晶ディスプレイ(FLC)が、当技術分野において公知であり、残留電圧挙動を示している。
【0046】
電気泳動媒体は、不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通した可視光の透過を実質的に遮断するので)、反射モードで動作し得るが、いくつかの電気泳動ディスプレイは、あるディスプレイ状態が実質的に不透明であり、あるディスプレイ状態が光透過性である、いわゆる「シャッタモード」で動作するようにされることができる。例えば、米国特許第6,130,774号および第6,172,798号および米国特許第5,872,552号、第6,144,361号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイに類似するが、電場強度の変動に依拠する誘電泳動ディスプレイは、類似モードで動作することができる。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイも、シャッタモードで動作することが可能であり得る。
【0047】
高分解能ディスプレイは、個々のピクセルを含み得、それらは、隣接するピクセルからの干渉を伴わずに、アドレス可能である。そのようなピクセルを取得するための1つの方法は、トランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供することであり、少なくとも1つの非線形要素が、各ピクセルに関連付けられ、「アクティブ行列」ディスプレイを生産する。1つのピクセルをアドレスするアドレスまたはピクセル電極は、関連付けられる非線形要素を通して、適切な電圧源に接続される。非線形要素が、トランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続され得、この配置が、以下の説明では仮定されるであろうが、本質的に、恣意的であり、ピクセル電極は、トランジスタのソースにも接続され得る。高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の具体的ピクセルが、1つの規定された行および1つの規定された列の交点によって一意に画定されるように、行および列の2次元アレイで配置され得る。各列内の全てのトランジスタのソースは、単一列電極に接続され得る一方、各行内の全てのトランジスタのゲートは、単一行電極に接続され得る。再び、行へのソースおよび列へのゲートの割り当ては、所望に応じて、逆転され得る。
【0048】
ディスプレイは、行毎方法で書き込まれ得る。行電極は、行ドライバに接続され、行ドライバは、選択された行内の全てのトランジスタが伝導であることを確実にするような電圧を選択された行電極に印加する一方、これらの非選択された行内の全てのトランジスタが非伝導のままであることを確実にするような電圧を全ての他の行に印加し得る。列電極は、列ドライバに接続され、列ドライバは、選択された行内のピクセルをその所望の光学状態に駆動するように選択された電圧を種々の列電極にかける。(前述の電圧は、電気光学媒体の非線形アレイと反対側に提供され、全体的ディスプレイを横断して延び得る共通正面電極に対するものである。当技術分野において公知のように、電圧は、相対的であり、2つの点間の電荷差の測定値である。一方の電圧値は、別の電圧値に対するものである。例えば、ゼロ電圧(「0V」)は、別の電圧に対して無電圧差を有することを指す。)「ラインアドレス時間」として知られる事前に選択された間隔後、選択された行は、選択解除され、別の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変化させられる。
【0049】
しかしながら、使用時、ある波形が、残留電圧を電気光学ディスプレイのピクセルに生産し得、上での議論から明白なように、この残留電圧は、いくつかの望ましくない光学効果を生産し、一般に、望ましくない。
【0050】
本明細書に提示されるように、アドレスパルスに関連付けられた光学状態における「シフト」は、電気光学ディスプレイへの特定のアドレスパルスの最初の印加が、第1の光学状態(例えば、第1のグレー色調)をもたらし、電気光学ディスプレイへの同一アドレスパルスの後続印加が、第2の光学状態(例えば、第2のグレー色調)をもたらす状況を指す。残留電圧は、アドレスパルスの印加中、電気光学ディスプレイのピクセルに印加される電圧が、残留電圧およびアドレスパルスの電圧の合計を含むので、光学状態におけるシフトを発生させ得る。
【0051】
ディスプレイの光学状態における経時的「ドリフト」は、ディスプレイが休止している間(例えば、アドレスパルスがディスプレイに印加されない期間中)、電気光学ディスプレイの光学状態が変化する状況を指す。残留電圧は、ピクセルの光学状態がピクセルの残留電圧に依存し得、ピクセルの残留電圧が経時的に減衰し得るので、光学状態におけるドリフトを発生させ得る。
【0052】
上記に議論されるように、「残影」は、電気光学ディスプレイが書き換えられた後、前の画像の痕跡が依然として可視である状況を指す。残留電圧は、前の画像の一部の輪郭(エッジ)が可視のままである残影のタイプである「エッジ残影」を発生させ得る。
【0053】
用語「光学キックバック」は、本明細書では、少なくとも部分的にピクセルの残留電圧の放電に応答して生じるピクセルの光学状態の変化を説明するために使用される。
【0054】
図1は、本明細書に提起される主題による電気光学ディスプレイのピクセル100の概略を示す。ピクセル100は、結像フィルム110を含み得る。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、双安定であり得る。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、限定ではないが、カプセル化された電気泳動結像フィルムを含み得、それは、例えば、荷電顔料粒子を含み得る。
【0055】
結像フィルム110は、正面電極102と背面電極104との間に配置され得る。正面電極102は、結像フィルムとディスプレイの正面との間に形成され得る。いくつかの実施形態では、正面電極102は、透明であり得る。いくつかの実施形態では、正面電極102は、限定ではないが、酸化インジウムスズ(ITO)を含む、任意の好適な透明材料から形成され得る。背面電極104は、正面電極102の反対側に形成され得る。いくつかの実施形態では、寄生容量(図示せず)が、正面電極102と背面電極104との間に形成され得る。
【0056】
ピクセル100は、複数のピクセルのうちの1つであり得る。複数のピクセルは、行および列の2次元アレイで配置され、行列を形成し得、任意の特定のピクセルが、1つの規定された行と1つの規定された列との交点によって一意に画定される。いくつかの実施形態では、ピクセルの行列は、各ピクセルが、少なくとも1つの非線形回路要素120に関連付けられた「アクティブ行列」であり得る。非線形回路要素120が、背面電極104とアドレス電極108との間に結合され得る。いくつかの実施形態では、非線形要素120は、ダイオードおよび/または、限定ではないが、MOSFETを含むトランジスタを含み得る。MOSFETのドレイン(またはソース)は、背面電極104に結合され得、MOSFETのソース(またはドレイン)は、アドレス電極108に結合され得、MOSFETのゲート106は、MOSFETのアクティブ化および非アクティブ化を制御するように構成されたドライバに結合され得る。(便宜上、背面電極104に結合されるMOSFETの終端が、MOSFETのドレインと称され、アドレス電極108に結合されるMOSFETの終端が、MOSFETのソースと称されるであろう。しかしながら、当業者は、いくつかの実施形態では、MOSFETのソースおよびドレインは、交換され得ることを認識するであろう。)
【0057】
アクティブ行列のいくつかの実施形態では、各列内の全てのピクセルのアドレス電極108は、同一列電極に接続され得、各行内の全てのピクセルに結合される全てのトランジスタのゲート106は、同一行電極に接続され得る。行電極は、行ドライバに接続され得、行ドライバは、選択された行内の全てのピクセル100の非線形要素120をアクティブ化するために十分な電圧を選択された行電極に印加することによって、ピクセルの1つ以上の行を選択し得る。列電極は、列ドライバに接続され得、列ドライバは、ピクセルを所望の光学状態に駆動するために好適な電圧を選択された(アクティブ化された)ピクセルのトランジスタゲート106にかけ得る。アドレス電極108に印加される電圧は、ピクセルの正面電極102に印加される電圧(例えば、約ゼロボルトの電圧)に対するものであり得る。いくつかの実施形態では、アクティブ行列内の全てのピクセルの正面電極102は、共通電極に結合され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、アクティブ行列のピクセル100は、行毎方法で書き込まれ得る。例えば、ピクセルの行は、行ドライバによって選択され得、ピクセルの行に関する所望の光学状態に対応する電圧が、列ドライバによって、ピクセルに印加され得る。「ラインアドレス時間」として知られる事前に選択された間隔後、選択された行は、選択解除され得、別の行が、選択され得、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの別のラインが書き込まれるように変化させられ得る。
【0059】
図2は、本明細書に提示される主題による正面電極102と背面電極104との間に配置される電気光学結像層110の回路モデルを示す。抵抗器202およびコンデンサ204は、任意の接着剤層を含む電気光学結像層110、正面電極102、および背面電極104の抵抗および静電容量を表し得る。抵抗器212およびコンデンサ214は、積層接着剤層の抵抗および静電容量を表し得る。コンデンサ216は、正面電極102と背面電極104との間、例えば、結像層と積層接着剤層との間および/または積層接着剤層と背面電極との間の界面等の層間の界面接触エリアに形成され得る静電容量を表し得る。ピクセルの結像フィルム110を横断した電圧Viは、ピクセルの残留電圧を含み得る。
【0060】
ピクセルの残留電圧を放電することは、限定ではないが、下記の図3および図4-8にさらに詳細に図示される信号の組を含む任意の好適な信号の組をピクセルに印加することによって開始および/または制御され得る。
【0061】
図3は、本明細書に開示される主題による、ある例示的駆動方法300を図示する。通常、残留電圧の駆動後放電は、放電電圧(例えば、各ディスプレイピクセルに関連付けられる、トランジスタ120のゲート106に印加される電圧)の印加を伴い得、放電電圧の印加は、ピクセルトランジスタトランスコンダクタンスを十分に増加させ、それは、残留電圧がディスプレイピクセルから排出させられることを可能にする。いくつかの実施形態では、この放電電圧値は、アクティブマトリクス走査中、ディスプレイピクセルの行を選択するために採用されるゲートオン電圧(すなわち、トランジスタが、電流を伝導し、ディスプレイピクセルを駆動するように、ディスプレイピクセルに関連付けられたトランジスタ120のゲートに印加される十分に大きい電圧)と同じであるように選定され得る。代替として、その全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/266,554号に説明されるように、この放電電圧は、より小さい大きさの値であるように選定され得るが、残留電圧がディスプレイピクセルから排出させられることを可能にするように、十分なピクセルトランジスタを誘発するために振幅は十分に大きい。この放電電圧は、一定であり得るか、または、時変動であり得る。例えば、放電電圧は、駆動後放電段階中、ほぼ指数関数的に減衰するように設計され得る。いくつかの他の実施形態では、放電電圧は、指定される駆動後放電時間にわたって断続的に印加され得る。特に、ゲート電圧は、駆動後時間範囲中、異なる電圧において、駆動後放電時間の残りを2つ以上の時間セグメントに関して所望の放電電圧に設定され得る。実践では、いくつかの実施形態では、単一の異なる電圧の代わりに、複数の交流電圧が存在し得る。しかしながら、これらの交流電圧は、放電電圧が印加されたときほどピクセル薄膜トランジスタを誘発しないことが望ましくあり得ることを理解されたい。使用時、これは、異なる電圧または交流電圧値が、放電電圧と典型的ディスプレイ走査中に採用されるゲートオフ電圧との間(ゲートオフ電圧を含む)の範囲内のいずれかの値であることを意味する。便利な交流電圧は、ゼロボルト(この場合、ゼロボルトは、この放電期間中に保持されるソース行と同じ電圧である)であり得るが、放電電圧と反対符号または極性の交流電圧を有することが有利であり得る。ここで反対符号の電圧である利点は、駆動電圧によってかけられるトランジスタへの電圧誘発応力を少なくとも部分的にオフセットし得ることである。
【0062】
本明細書に開示される主題は、いくつかの利点を導入し、1つは、放電電圧が残留電圧の放電中にTFTゲートに印加されるときのTFTトランスコンダクタンス応力における低減である。TFTトランスコンダクタンス応力は、時間とともに蓄積し、ディスプレイ性能における劣化を生じさせ得る。本明細書に説明される駆動方法は、交流より良好に駆動後放電の有効性を保つ方法で、例えば、駆動後放電の時間のみを低減させることによって、放電電圧応力を低減させる方法で、放電電圧がTFTに印加される積分時間を低減させ得る。
【0063】
さらに、異なる電圧値有する2つ以上の部分に駆動後放電を分割することによって、いくつかの事例では、これらの部分のうちの1つが、放電部分のそれに反対(例えば、TFT放電セグメント中の正の電圧と比べた負の電圧)の振幅を搬送する電圧レベルの部分であり得る。この構成において、蓄積されたトランスコンダクタンス応力の少なくとも一部は、縮小または低減させられ、それによって、TFTの不利となるものおよびTFT性能を改良する。
【0064】
図3に図示されるように、残留電圧を低減させるように残留電荷を放電するための駆動方法の一実施形態は、3つの駆動セグメントまたは時間間隔302、304、および306を含み得る。時間間隔302において、放電電圧VPDD308が、残留電荷を放電するための伝導経路を作成するために、ピクセルトランジスタに印加され得る。いくつかの実施形態では、この放電電圧VPDD308は、より小さい大きさの値であり得るが、残留電圧がピクセルから排出させられることを可能にするように、十分なピクセルトランジスタコンダクタンスを誘発するために振幅は十分に大きい。この時間間隔302において、ピクセル電圧Vpixelは、放電電圧VPDD308が印加されているこの時間間隔302中、ゼロにされ得、残留電荷は、電流Jdischargeを通して、ピクセルから消散させられる。続いて、滞留期間304中、放電電圧VPDDは、公称ゲートオフ電圧310に等しいように設定され得、それは、ピクセル電圧Vpixelをゼロ電流値に誘発し、この時点において、ピクセル電流Jdischargeは、ゼロになり、残留電荷は、消散させられない。この滞留期間304に続いて、ピクセル電圧VPDD308は、別の放電期間306において公称放電電圧312に再びオンにされ得る。この第2の放電期間において、追加の残留電荷は、消散させられ得る。
【0065】
いくつかの他の実施形態では、上で図示されるようなピクセル電圧VPDDを公称ゲートオフ電圧にする代わりに、ピクセル電圧VPDDは、ゼロボルトに設定され得、放電サイクルは、図4に図示されるように、公称放電電圧とゼロボルトレベルとの間で振動し得る。放電サイクルのセグメント持続時間および滞留期間は、印加に応じて変動することを理解されたい。例えば、図5に図示されるように、放電サイクル404は、デューティサイクルの40%(すなわち、完全なデューティサイクルは、サイクル402と404の和であり得る)に事前に設定され得る。
【0066】
いくつかの他の実施形態では、公称ゲートオフ電圧は、放電電圧VPDDより長い持続時間を有し得る。例えば、図6に示されるように、公称ゲートオフ電圧604は、デューティサイクルの60%であり得るが、放電電圧VPDD602は、デューティサイクルの40%であり得る。
【0067】
さらに別の実施形態では、駆動スキームは、異なる持続時間の放電電圧VPDDと、公称ゲートオフ電圧とを含み得る。駆動シーケンス内において、放電電圧VPDDサイクルおよび/またはゲートオフ電圧サイクルは、特定のディスプレイ用途に合わせられた持続時間において異なり得ることを意味する。例えば、図7に図示されるように、放電電圧サイクル702は、放電電圧サイクル706より持続時間が長くあり得る。なおもさらに、同様に、ゲートオフ電圧サイクルは、同様に持続時間が異なり得る。例えば、図8に図示されるように、放電電圧VPDDサイクルのみが、異なる持続時間を有するのではなく(例えば、サイクル802は、それ自体がサイクル808より持続時間が長いサイクル806より持続時間が長い)、ゲートオフ電圧サイクルも、異なる持続時間(例えば、サイクル810は、サイクル804より持続時間が長い)を有し得る。上で述べられたサイクルにおける持続時間変動は、性質上、不規則的であり得る。
【0068】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上で説明される本発明の具体的実施形態に行われ得ることが、当業者に明白であろう。故に、前述の説明の全体は、限定的意味ではなく、例証的意味で解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】