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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】磁気誘導コイルを有する聴覚装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 25/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
H04R25/00 N
H04R25/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520934
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2020077985
(87)【国際公開番号】W WO2021069434
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】19202764.7
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ルアーロ
(72)【発明者】
【氏名】シナースィー オズデン
(57)【要約】
本開示は、磁気誘導コイルと、磁気誘導コイルに相互接続される磁気誘導制御ユニットと、を備える聴覚装置に関する。磁気誘導制御ユニット及び磁気誘導コイルは、無線通信可能に構成されている。聴覚装置は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールであって、受信した音声信号を処理して、ユーザの聴覚障害を補償するように変更された変更済信号にするための信号プロセッサを備える、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと、変更済信号をユーザの耳に提供するように構成された接続モジュールと、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと接続モジュールとを相互接続する連結モジュールと、を備えている。磁気誘導制御ユニットは耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールに設けられ、磁気誘導コイルは連結モジュールに設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気誘導コイルと、
前記磁気誘導コイルに相互接続される磁気誘導制御ユニットであって、前記磁気誘導制御ユニット及び前記磁気誘導コイルは、無線通信可能に構成されている、前記磁気誘導制御ユニットと、
耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールであって、受信した音声信号を処理して、ユーザの聴覚障害を補償するように変更された変更済信号にするための信号プロセッサを備える、前記耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと、
前記変更済信号を前記ユーザの耳に提供するように構成された接続モジュールと、
前記耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと前記接続モジュールとを相互接続する連結モジュールと、を備えており、
前記磁気誘導制御ユニットは、前記耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールに設けられ、
前記磁気誘導コイルは、前記連結モジュールに設けられる、聴覚装置。
【請求項2】
前記連結モジュールは、第1連結部と第2連滅部と、を備えており、
前記第1連結部は、前記耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールに取り付けられ、
前記第2連結部は、前記接続モジュールに取り付けられ、
前記第1連結部と前記第2連結部とは、着脱可能に接続されるように構成される、請求項1の聴覚装置。
【請求項3】
前記磁気誘導コイルは、前記第1連結部内に設けられる、請求項2の聴覚装置。
【請求項4】
前記聴覚装置は、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールをさらに備えており、
前記耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールは、前記信号プロセッサから、前記連結モジュール及び前記接続モジュールを介して、前記変更済信号を受信するように構成されており、
前記耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールは、前記接続モジュールに取り付けられる、請求項1から3のいずれか一項の聴覚装置。
【請求項5】
前記耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールは、少なくとも1つの電気部品を備えており、
前記少なくとも1つの電気部品は、前記耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの電気部品との電気的相互接続部を有する、請求項4の聴覚装置。
【請求項6】
前記電気的相互接続部は、前記接続モジュール及び前記連結モジュールを通って、前記耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの前記電気部品まで設けられる、請求項5の聴覚装置。
【請求項7】
フィルタが、前記耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールに設けられており、
前記フィルタは、前記耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールの前記少なくとも1つの電気部品に提供されるように構成された前記変更済信号をフィルタリングするように構成される、請求項5または6の聴覚装置。
【請求項8】
前記電気的相互接続部は、Hブリッジ回路を備えており、
前記Hブリッジ回路は、前記耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールにおいて、前記信号プロセッサと前記フィルタとの間に設けられており、
前記Hブリッジ回路は、前記変更済信号を受信し、立ち上がり時間及び立ち下がり時間を有するパルス幅変調済信号を生成するように構成されており、
前記フィルタは、前記パルス幅変調済信号の前記立ち上がり時間及び前記立ち下がり時間を増加させるように構成される、請求項7の聴覚装置。
【請求項9】
前記フィルタは、10から200の間のRC係数を有するように構成される、請求項7または8の聴覚装置。
【請求項10】
前記フィルタは、ローパスフィルタであり、
前記ローパスフィルタは、1MHz以下、例えば5MHz以下、例えば8MHz以下のカットオフ周波数を有する、請求項7から9のいずれか一項の聴覚装置。
【請求項11】
前記フィルタは、前記磁気誘導コイルの動作周波数周辺の周波数範囲をフィルタ除去するように構成されたバンドパスフィルタである、請求項7から9のいずれか一項の聴覚装置。
【請求項12】
前記連結モジュールは、シールド要素をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項の聴覚装置。
【請求項13】
前記シールド要素は、グランドを有する、請求項12の聴覚装置。
【請求項14】
前記シールド要素は、前記耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと前記磁気誘導コイルとの間にシールドを提供する、請求項12または13の聴覚装置。
【請求項15】
前記シールド要素は、前記磁気誘導コイルと、前記連結要素内に設けられた更なる電気部品との間にシールドを提供する、請求項12または13の聴覚装置。
【請求項16】
前記シールド要素は、前記磁気誘導コイルの長手軸に平行な長手軸を有する、円筒状に形成されたシールド要素である、請求項12から15のいずれか一項の聴覚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、聴覚装置及び聴覚装置のための方法に関し、特に、無線通信能力を有する聴覚装置、したがって、通信用のアンテナを備える聴覚装置に関する。
【0002】
本開示はさらに、磁気誘導を用いて通信する、及び/又は無線周波数の使用によって通信するように構成された聴覚装置に関する。聴覚装置は、バイノーラル聴覚装置システムにおいて使用されてもよい。聴覚装置は、ユーザの聴覚損失を補償するための聴覚装置であってもよい。動作中、聴覚装置は、例えばユーザの聴覚損失を軽減するために、ユーザの耳内又は耳に装着される。
【背景技術】
【0003】
聴覚装置は、非常に小型で繊細な装置であり、人間の外耳道にフィットするか又は外耳の後部に配置されるほど十分に小さいハウジング又はシェル内に収容される多数の電子部品及び金属部品を備える。多数の電子部品及び金属部品は、小さなサイズの聴覚装置ハウジング又はシェルと相まって、無線通信能力を有する聴覚装置に使用されるアンテナ、MIアンテナ及びRFアンテナの両方に対して、高い設計上の制約を課す。
【0004】
加えて、特に、聴覚装置におけるアンテナは、聴覚装置のサイズ及びユーザの頭部に近接することによって課されるこれらの制限及びその他の厳しい設計制約があるにもかかわらず、十分な性能を達成するように設計されなければならない。
【0005】
聴覚装置をより小さく、よりコスト効率良く製造するための経時的な努力があるにもかかわらず、無線技術の発展により、聴覚装置の通信機能に対する期待は、一般により一層高まってきている。さらに、バイノーラル聴覚装置システムでは、バイノーラル聴覚装置システムにおける聴覚装置間の通信品質に対する要求はより一層増大しており、聴覚装置とその他の電子装置、例えば、スマートフォン、アクセサリ装置との間の通信に対する要求も増大しており、それらの要求は、遅延の少なさ及び低ノイズに対する要望を含み、聴覚装置における効率的なアンテナに対する需要を増大している。
【0006】
したがって、他の聴覚装置又は電子装置との通信を提供する聴覚装置の改良された設計が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示によれば、上記及びその他の目的のうちの1つ又は複数が、開示された聴覚装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、磁気誘導コイルと、磁気誘導コイルに相互接続される磁気誘導制御ユニットと、を備える聴覚装置が提供される。磁気誘導制御ユニット及び磁気誘導コイルは、無線通信可能に構成されている。聴覚装置は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールをさらに備える。耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールは、例えば、受信した音声信号を処理して、ユーザの聴覚障害を補償するように変更された変更済信号にするための信号プロセッサを備えてもよい。聴覚装置は、変更済信号をユーザの耳に提供するように構成された接続モジュールと、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと接続モジュールとを相互接続する連結モジュールをさらに備える。磁気誘導制御ユニットは、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールに設けられ、磁気誘導コイルは、連結モジュールに設けられる。
【0009】
磁気誘導又は近接場磁気誘導(NFMI)は、典型的には、2MHzから30MHzの間の周波数範囲内で、声、音、及びデータの送信を含む通信を提供する。これらの周波数では、電磁放射線が、細胞組織での目立った損失もなく、人間の頭部及び身体の中及び周囲を伝播する。このような周波数で動作する磁気誘導アンテナは、聴覚装置の電気部品に起因するノイズの影響を受けやすい可能性がある。いくつかの例では、マイクロボルト範囲内のノイズは、磁気誘導コイルの動作に影響を及ぼすのに十分であり得、いくつかの例では、磁気誘導コイルは、50μV未満のノイズフロアを有し得る。
【0010】
いくつかの従来技術の例では、磁気誘導コイルは、バッテリによってシールドされて提供されていたが、充電式バッテリを備えた聴覚装置が増えるにつれて、バッテリの後方の位置が十分なシールドを提供していないことが本願発明者によって見出された。しかしながら、磁気誘導制御ユニット及び信号プロセッサを耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールに設けるとともに、磁気誘導コイルを耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと接続モジュールとを相互接続する連結モジュールに設けることにより、磁気誘導コイルの位置におけるノイズレベルを十分に低減し得ることが分かっている。
【0011】
いくつかの実施形態では、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと接続モジュールとを相互接続する連結モジュールは、第1連結部と第2連結部とを備えており、第1連結部は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールに取り付けられ、第2連結部は、接続モジュールに取り付けられ、第1連結部と第2連結部とは、着脱可能に接続されるように構成される。
【0012】
第1連結部と第2連結部との間に着脱可能な接続を有することの利点は、限られた労力で、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールとの干渉を最小限に抑えながら、接続モジュールを、ユーザに取り付け可能であり、適切なフィット性を得るために交換可能であり、又は、例えば清掃又は交換のために、取り外し可能であることである。
【0013】
いくつかの実施形態では、磁気誘導コイルは、第1連結部内に設けられる。第1連結部内に磁気誘導コイルを設けることの利点は、接続部の交換時に第1連結部が交換されないので、連結モジュールに磁気誘導コイルを設けた場合であっても、接続部をより安価にすることができ、ユーザにとって容易に入手可能とすることができることである。
【0014】
聴覚装置は、典型的には、第1トランスデューサ、例えば、受信した音声信号に基づいて1つ又は複数のマイクロフォン出力信号を生成するためのマイクロフォンを備える。1つ又は複数のマイクロフォン出力信号は、1つ又は複数のマイクロフォン出力信号を処理するために信号プロセッサに提供される。レシーバ又はスピーカは、例えば、信号プロセッサの出力をユーザの聴覚障害を補償するように変更された変更済信号に変換するために、信号プロセッサの出力に接続され、変更済信号をスピーカに提供する。
【0015】
信号プロセッサは、増幅器、コンプレッサ、及び/又はノイズ低減システムのような要素を備えてもよい。信号プロセッサ装置は、フィルタ機能、例えば、出力信号を最適化するための補償フィルタをさらに有してもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、磁気誘導制御ユニットは、磁気誘導送受信機能、例えば、磁気誘導送受信制御機能を実装する。磁気誘導制御ユニットは、例えば、電気ワイヤを介して、又は、支持基板、例えばプリント回路基板又はその類似物、例えばフレキシブルホイル、例えばフレキシブルプリント回路基板などの上の導電性トレースを介して、磁気誘導コイルに相互接続される。磁気誘導制御ユニット及び磁気誘導コイルを備える聴覚装置は、磁気誘導、例えば、近接場磁気誘導を用いて通信するように構成される。磁気誘導コイルは、磁気誘導アンテナと呼ばれてもよい。磁気誘導制御ユニットは、無線通信ユニットと呼ばれてもよい。磁気誘導制御ユニットは、当業者にとって周知の任意のプロトコルを用いて通信するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、磁気誘導コイル及び磁気誘導制御チップは、双方向通信可能に構成される。磁気誘導制御ユニットは、磁気誘導コイルへの電力供給を制御するように構成されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、磁気誘導制御ユニットは、その結果、データが、磁気誘導コイルから放出される磁場に変調されるように、振幅変調、位相変調、及び/又は周波数変調を含む任意の変調方式を、磁気誘導を用いて伝達されるデータ信号に適用するように構成されてもよい。磁気誘導制御ユニットは、回路、例えば、低ノイズ増幅器(LNA)、ミキサ、及びフィルタを備えてもよい。磁気誘導制御ユニットは、周辺デジタルブロック、例えば、周波数分割器、コーデックブロック、復調器等を備えてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、磁気誘導コイルは、例えば別の電子装置の磁気誘導コイル又はアンテナを介して、別の電子装置によって伝達される磁場を受信し、受信したデータ信号を磁気誘導制御ユニットに提供するようにさらに構成される。磁気誘導制御ユニットは、受信した信号を復調するように構成される。いくつかの実施形態では、磁気誘導制御ユニットは、トランシーバとして構成される。いくつかの実施形態では、磁気誘導制御ユニットは、特定の周波数でデータを送受信するように構成される。
【0019】
通信されるデータは、データ、音、声、設定、情報などを含んでもよい。磁気誘導コイル及び磁気誘導制御ユニットは、使用中、100MHz未満、例えば30MHz未満、例えば15MHz未満の周波数で動作するように構成されてもよい。磁気誘導アンテナは、1MHzから100MHzの間、例えば1MHzから15MHzの間、例えば1MHzから30MHzの間、例えば5MHzから30MHzの間、例えば5MHzから15MHzの間、例えば10MHzから11MHzの間、例えば10.2MHzから11MHzの間の周波数範囲で動作するように構成されてもよい。周波数は、2MHzから30MHzまで、例えば2MHzから10MHzまで、例えば2MHzから10MHzまで、例えば5MHzから10MHzまで、例えば5MHzから7MHzまでの範囲をさらに含んでもよい。
【0020】
しかしながら、本明細書で開示される聴覚装置は、そのような周波数帯域での動作に限定されず、任意の周波数帯域で動作するように構成されてもよい、ということが想定される。
【0021】
いくつかの実施形態では、磁気誘導コイルのインピーダンスは、通信を最適化するように選択される。いくつかの例では、磁気誘導コイルは、しきい値インダクタンスであって、例えば2μHより大きいインダクタンス、例えば3μHより大きいインダクタンス、例えば3.5μHより大きく、例えば約3.9μH、又は5μH以下のインダクタンスより大きいインピーダンスを有してもよい。インダクタンスは、2μHから5μHの間、例えば3μHから4μHの間となるように選択されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、磁気誘導コイルは、聴覚装置がユーザの耳で意図された動作位置に設けられたときに、聴覚装置のユーザの耳から耳への軸に平行な長手方向を有しており、その長手方向は、それに沿って磁気誘導コイルのコイル巻線が設けられる軸であってもよい。1つ又は複数の実施形態では、磁気誘導コイルは、使用中に聴覚装置がその動作位置で装着されている場合、ユーザの耳から耳への軸に平行な方向か、又はユーザの耳から耳への軸に対して実質的に平行な方向、又は0/180度+/-35度である方向の長手方向延長部を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、支持基板、例えばプリント回路基板が、連結モジュール内、例えば連結モジュールの第1部分内に設けられる。いくつかの実施形態では、磁気誘導コイルは、連結モジュール内の基板に取り付けられる。これにより、磁気誘導コイルの向きは、上記に従って配置されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、聴覚装置は、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールをさらに備えており、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールは、信号プロセッサから、連結モジュール及び接続モジュールを介して、変更済信号を受信し、変更済信号をユーザの耳に提供するために、ユーザの耳内に配置されるように構成される。耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールは、接続モジュールに取り付けられる。耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールは、連結モジュールとは反対側で、接続モジュールに取り付けられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールは、少なくとも1つの電気部品、例えばトランスデューサを備えており、少なくとも1つの電気部品は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの電気部品、例えば、信号プロセッサ、バッテリなどのうちのいずれか1つ又は複数との電気的相互接続部を有する。少なくとも1つの電気部品は、トランスデューサを備えてもよい。いくつかの実施形態では、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールは、電気部品を有さない耳型を備える。
【0026】
いくつかの実施形態では、接続モジュールは、電気的相互接続部を用いて、変更済信号を信号プロセッサからユーザの耳に提供するように構成される。接続モジュールは、電気的相互接続部、例えば、ワイヤ、ケーブルなどを備えてもよい。いくつかの実施形態では、接続モジュールは、サウンドチューブを通してユーザの耳に変更済信号を提供するように構成されているため、接続モジュールはサウンドチューブを備える。いくつかの実施形態では、接続モジュールは、イヤフックとして構成されるため、接続モジュールはイヤフックを備える。イヤフックは、サウンドチューブとしてさらに構成されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のマイクロフォンがユーザの耳内に設けられてもよく、接続モジュールは、耳内に設けられた1つ又は複数のマイクロフォンを、少なくとも耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール内の信号プロセッサに接続する1つ又は複数のマイクロフォン信号線を備えてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、電気的相互接続部は、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールから、例えば、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールの少なくとも1つの電気部品から、例えば、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュール内の1つ又は複数のトランスデューサから、接続モジュール及び連結モジュールを通って、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの電気部品まで設けられる。耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールの電気部品は、1つ又は複数のトランスデューサを備えてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電気的相互接続部は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールとの間、例えば、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの電気部品、例えば、信号プロセッサ、バッテリなどのうちいずれか1つ又は複数から、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールの少なくとも1つの電気部品、例えば、少なくとも1つのトランスデューサまで設けられる。したがって、本明細書では、電気信号を伝える少なくとも1つの電気的相互接続部は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールから連結モジュールを通って接続モジュールに続いている。しかしながら、そのような電気的相互接続部は、例えば電磁干渉によって、電気的相互接続部に沿った電磁ノイズを誘起し得る。このような電磁ノイズは、特に、電気的相互接続部が本質的に連結モジュール内の磁気誘導コイルの近くに設けられることを踏まえると、欠点となり得る。
【0029】
このような聴覚装置は、聴覚装置の全体的な印象が可能な限りユーザに知覚することができないような小さいサイズを確実に維持するため、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールはユーザの外耳の後部にフィットできるような小さいサイズであり、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと接続モジュールとを連結する連結装置も小さいサイズであり、可能な限り知覚できないように構成されることに留意されたい。したがって、連結モジュール内の部品は、互いに近接して設けられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、電気的相互接続部は、絶縁されてもよいが、典型的には、そのような絶縁が、いかなる電磁ノイズも効率的にシールドするために十分なものであるために、電気的相互接続部の直径は、聴覚装置での使用目的で所望されるものよりも増加するであろう。
【0031】
いくつかの実施形態では、フィルタは、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールに設けられており、フィルタは、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの電気部品と耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールの少なくとも1つの電気部品との間で電気的相互接続部によって伝送される信号をフィルタリングするように構成される。いくつかの実施形態では、フィルタは、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールの少なくとも1つの電気部品に提供される変更済信号をフィルタリングするように構成される。
【0032】
フィルタは、信号プロセッサの一部として実装されてもよく、又はフィルタは、別個の電気回路として実装されてもよい。
【0033】
耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの電気部品と耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールの少なくとも1つの電気部品との間で電気的相互接続部によって伝送される信号をフィルタリングするように構成されたフィルタ、例えば、フィルタ要素を設けることの利点は、例えば、電気信号が連結モジュールを通過する前に、特定の周波数がフィルタ除去され得ることである。
【0034】
いくつかの実施形態では、フィルタは、ローパスフィルタ、例えば、1MHz以下、例えば5MHz以下、例えば8MHz以下のカットオフ周波数を有するローパスフィルタである。典型的には、電気的相互接続部は、トランスデューサ信号、例えばマイクロフォン信号、例えばスピーカ信号、例えば音声信号等を伝達する。典型的には、そのような信号は、8MHzより低い、例えば5MHzより低い、例えば1MHzより低い周波数を有するので、フィルタは、そのようなトランスデューサ信号の通過を許容するが、特に、1MHzより高い、例えば5MHzより高い、例えば8MHzより高い周波数を有するいかなるトランスデューサ信号の高調波を含む、そのような周波数より高い周波数を有する信号を低減するか、又はフィルタ除去する。
【0035】
いくつかの実施形態では、フィルタは、磁気誘導コイルの動作周波数周辺の周波数範囲をフィルタ除去するように構成されたバンドパスフィルタである。これにより、そのような範囲よりも低い周波数、又はそのような磁気誘導コイル動作範囲よりも高い周波数を有する信号は、そのようなバンドパスフィルタによって低減又は排除されないが、磁気誘導コイル動作範囲内に入る周波数を有する信号であれば、フィルタによって低減又は排除される。したがって、電気的相互接続部は、磁気誘導コイル動作範囲内の周波数を有する信号を伝導しないか、又は実質的に伝導しない。
【0036】
いくつかの実施形態では、電気的相互接続部は、Hブリッジ回路を備えており、Hブリッジ回路は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールにおいて、信号プロセッサとフィルタとの間に設けられる。Hブリッジ回路は、ユーザの聴覚損失を補償するように処理された信号を受信し、立ち上がり時間及び立ち下がり時間を有するパルス幅変調済の変更済信号を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、Hブリッジ回路は、変更済信号が連結モジュール及び接続モジュールを介して耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールに提供される前に、変更済信号を増幅するように構成される。
【0037】
パルス幅変調済の変更済信号は、フィルタに提供される。フィルタは、パルス幅変調済信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を増加させるように構成される。いくつかの実施形態では、パルス幅変調済の変更済信号は、ユーザの耳に提供される変更済信号である。
【0038】
いくつかの実施形態では、Hブリッジ回路は、信号プロセッサの一部として設けられるが、Hブリッジ回路は、また、別個の電気回路として実装され得ることが想定される。
【0039】
パルス幅変調済の変更済信号は、0Hzから20kHzの間、例えば100Hzから1kHzの間、例えば200Hzから500Hzの間の周波数を有してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、Hブリッジのパルス幅変調済信号は、非常に急峻であり、1nsのオーダーであり得るパルス立ち上がり時間及びパルス立ち下がり時間を有するように構成される。いくつかの実施形態では、そのような短い立ち下がり/立ち上がり時間が有利であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、そのような短い立ち下がり/立ち上がり時間は、ノイズ信号を誘起し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、パルス幅変調済信号は、フィルタによってフィルタリングされる。いくつかの実施形態では、パルス幅変調済信号の立ち上がり/立ち下がり時間は、フィルタによって、20%、例えば50%増加される。いくつかの実施形態では、パルス幅変調済信号の立ち上がり/立ち下がり時間は、1オーダー増加される。例えば、Hブリッジからのパルス幅変調済信号は約1nsの立ち上がり/立ち下がり時間を有していてもよく、フィルタは、立ち上がり/立ち下がり時間を例えば10nsまで増加させ得る。いくつかの実施形態では、フィルタのRC係数は、パルス幅変調済信号の平滑化を得るように、例えば、パルス幅変調済信号の立ち上がり/立ち下がり時間の所望の増加を得るように構成される。いくつかの実施形態では、フィルタは、10から200の間のRC係数を有するように構成される。
【0042】
パルス幅変調済信号の立ち上がり/立ち下がり時間を増加させるためにフィルタを用いることの利点は、電気的相互接続部において誘起されるノイズがそれによって低減される点にある。いくつかの実施形態では、パルス幅変調済の変更済信号を平滑化することによって、さもなければパルス幅変調済の変更済信号によって生成される高調波が低減される。そのような高調波は、さもなければ、動作中に磁気誘導コイルと電磁的に干渉する可能性がある。いくつかの実施形態では、フィルタは、連結モジュール内の磁気誘導コイルの周囲に必要な任意のシールドを再配置し得る、ということは利点である。これにより、連結モジュールのサイズを低減し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、聴覚装置は、シールド要素を備える。いくつかの実施形態では、シールド要素は、グランド、例えばグランド電位への接続を有する。グランドによって、シールドが改善され、例えばシールドによって発生する電磁干渉が確実に低減され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、シールド要素は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型型ハウジングモジュールと磁気誘導コイルとの間にシールドを提供する。いくつかの実施形態では、シールド要素は、連結モジュールを通過する任意の電気的相互接続部を含む、連結モジュール内の電子部品間にシールドを提供する。いくつかの実施形態では、シールド要素は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと磁気誘導コイルとの間、及び、連結モジュールを通過する任意の電気的相互接続部を含む、連結モジュール内の電子部品と磁気誘導コイルとの間にシールドを提供する。
【0045】
シールド要素は、電磁放射線に対するシールドを提供する電磁シールド要素であってもよい。いくつかの実施形態では、シールド要素は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの電子部品、例えば、信号プロセッサ、磁気誘導制御ユニット、電力管理ユニットなどからの不要な信号、及び/又は、連結モジュールを通過する任意の電気的相互接続部などを含む連結モジュール内の電子部品からの不要な信号が、磁気誘導コイルに到達する前に低減される、例えば、抑制される、例えば、少なくとも部分的に抑制されることを確実にする。
【0046】
いくつかの実施形態では、シールド要素は、連結モジュールに設けられる。耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールと磁気誘導コイルとの間にシールド、例えば電磁シールドを設けることによって、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール内の電子部品からのいかなる影響をも低減し得る。連結モジュール、例えば第1連結部にシールド要素を配置することは、電磁ノイズ、例えば、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールに設けられているが連結モジュールに電気的に近接している、配線を含む要素からの電磁干渉を低減するのに有利であり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、シールド要素は、磁気誘導コイルと連結モジュールに設けられた更なる電気部品との間に、シールド、例えば電磁シールドを提供する。シールド要素は、一つの面、例えば、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール側の面、例えば、連結モジュールなどに設けられた更なる電気部品側の面に沿って、磁気誘導コイルをシールドしてもよい。
【0048】
シールド要素は、電磁放射線をシールドするために通常用いられるような任意のシールド要素であってもよい。典型的には、シールドは導電性材料を備える。いくつかの実施形態では、シールド要素は、シートメタル、メッシュメタルシートのような貫通孔を有するメタルシート、メタルスクリーン、金属発泡体、金属箔などを備える。いくつかの実施態様において、シールド要素は、シートメタル要素、メタルスクリーン、金属箔、又は金属発泡体のうちの1つである。いくつかの実施形態では、シールド要素は、キャリア材料、例えば複合材料と、導電性材料を備える。いくつかの実施形態では、導電性材料は、キャリア材料に埋め込まれ、いくつかの実施形態では、導電性材料は、プリンティング、デポジション、ラミネーション、接着、コーティングなどを使用して、キャリア材料の面上に設けられる。いくつかの実施形態では、キャリア材料に金属元素が含まれている。典型的には、使用される導電性材料は、銅、ニッケル、鉄、クロム、真鍮、アルミニウム、銀、ステンレス鋼、金属化プラスチック、導電性炭素/グラファイト複合材料などを含み、このような材料を含む任意の組み合わせ又は合金を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、シールド要素は、磁気誘導コイルの長手軸に平行な長手軸を有する、円筒状に形成されたシールド要素である。いくつかの実施態様において、シールド要素は、ソリッドシールド要素、例えば、少なくとも1つの開口端を有するソリッド円筒状シールド要素である。いくつかの実施形態では、シールド要素は、1つ又は複数の開口部を有するシールド要素、例えば、少なくとも1つの開口端に加えて1つ又は複数の開口部を有する円筒状シールド要素である。いくつかの実施態様において、シールド要素は、長手方向にスリットを有し、少なくとも1つの開口端を有する円筒状シールド要素である。シールド要素にスリットを有することによって、シールド内の電流が低減される、又は実質的に排除され得ることを確保する。これにより、磁気誘導コイルの磁界への影響も小さくなる。
【0050】
シールド要素は、異なる形状及び形態を有してもよい、ということが想定される。いくつかの実施形態では、シールド要素は、長手方向に沿って磁気誘導コイルの最適なシールドを提供するように構成される一方、磁気誘導コイルの少なくとも1つの端面はシールドされない、ということが想定される。特に、いくつかの実施形態では、磁気誘導コイルは、例えば、ユーザの頭部の別の側に設けられた聴覚装置と通信するように構成されており、ユーザの頭部側の磁気誘導コイルの端面は、ユーザの頭部を通して効率的な通信を得るために、シールドされないままにされる。
【0051】
いくつかの実施形態では、聴覚装置は、本明細書に記載されるようなフィルタを備える。いくつかの実施形態では、聴覚装置は、本明細書に記載されるようなシールド要素を備える。いくつかの実施形態では、聴覚装置は、本明細書に記載されるようなフィルタ及びシールド要素の両方を備える。
【0052】
いくつかの実施形態では、聴覚装置は、Hブリッジ回路及びシールド要素を備えており、フィルタを備えていない。いくつかの実施形態では、聴覚装置は、Hブリッジ回路及びフィルタを備えており、任意で、シールド要素も備える。
【0053】
本願は、上記及び以下に記載される聴覚装置、ならびに対応する聴覚装置、バイノーラル聴覚装置、システム、方法、装置、使用及び/又は製造手段を含む様々な態様に関し、各々は、最初に述べられた態様に関連して記載された1つ又は複数の利益及び利点をもたらし、各々は、最初に述べられた態様に関連して記載され、かつ/又は添付の特許請求の範囲に開示された実施形態に対応する、1つ又は複数の実施形態を有する。
【0054】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することは意図していない、ということも理解されるべきである。明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられているように、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別段のことを明示的に指示しない限り、1つ又は複数の要素が存在することを意味すると意図されていることに留意されたい。したがって、例えば、「a unit」又は「the unit」との言及は、いくつかの装置及びその類似物を含んでもよい。さらに、単語「備える」、「含む」、「含有する」、及び同様の単語は、その他の要素又はステップを除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
上記及びその他の特徴及び利点は、以下の添付の図面を参照した例示的な実施形態の詳細な説明によって、当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【0056】
図1】聴覚装置における部品の一例を概略的に示す図である。
図2】本開示による聴覚装置の一例を概略的に示す図である。
図3a】本開示による、連結モジュールを有する例示的な聴覚装置をより詳細に示す図である。
図3b】本開示による、連結モジュールを有する例示的な聴覚装置をより詳細に示す図である。
図4】本開示による聴覚装置を図式的に示す図である。
図5a】シールド要素を含む連結モジュールを概略的に示す図である。
図5b】シールド要素を含む連結モジュールを概略的に示す図である。
図5c】シールド要素を含む連結モジュールを概略的に示す図である。
図5d】シールド要素を含む連結モジュールを概略的に示す図である。
図5e】シールド要素を含む連結モジュールを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本願は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び特定の実施例は、例示のみを目的として、本願の好ましい実施形態を開示する。当業者は、詳細な説明のガイダンスから、本発明の範囲内で変更及び修正がなされてもよいことを理解する。詳細な説明及び特定の実施例は、例示のみを目的として、本願の好ましい実施形態を開示する。当業者は、詳細な説明のガイダンスから、本発明の範囲内で変更及び修正がなされてもよいことを理解する。したがって、本発明は、他の形態で実施されてもよく、本明細書に開示された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。開示された実施形態は、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。
【0058】
様々な実施形態が、図面を参照して以下に記載される。全体を通して、同様の参照符号は同様の要素を指す。このため、同様の要素は、各図の説明に関して、詳細には説明されない。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図したものであることにも留意されたい。図面は、特許請求の範囲に記載された発明の網羅的な説明として、又は特許請求の範囲に記載された発明の範囲に対する限定として意図されたものではない。加えて、図示された実施形態は、図示された態様又は利点のすべてを有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様又は利点は、必ずしもその実施形態に限定されず、そのように図示されていなくても、又はそのように明示的に説明されていなくても、任意の他の実施形態で実施することができる。
【0059】
全体を通して、同じ参照符号は、同一又は対応する部に用いられる。
【0060】
図1には、聴覚装置1の一実施形態のブロック図が示されている。聴覚装置1は、受信した音声信号に基づいて1つ又は複数のマイクロフォン出力信号を生成するための第1トランスデューサ、すなわちマイクロフォン2を備える。1つ又は複数のマイクロフォン出力信号は、1つ又は複数のマイクロフォン出力信号を処理するための信号プロセッサ4に提供される。レシーバ又はスピーカ6は、信号プロセッサの出力をユーザの聴覚障害を補償するように変更された変更済信号に変換するために、信号プロセッサ4の出力に接続されており、変更済信号をスピーカ6に提供する。
【0061】
聴覚装置の信号プロセッサ4は、増幅器、コンプレッサ、及び/又はノイズ低減システムなどの要素を備えてもよい。聴覚装置は、フィルタ機能、例えば、出力信号を最適化するための補償フィルタをさらに有してもよい。
【0062】
聴覚装置は、磁気誘導アンテナ16、例えば磁気誘導コイルに相互接続された磁気誘導制御ユニット14をさらに備える。磁気誘導制御ユニット14は、無線通信ユニットであり、磁気誘導制御ユニット14及び磁気誘導コイル16は、磁界の放射及び受容を利用する無線データ通信のために構成されていてもよい。無線通信ユニットは、磁気誘導制御ユニット14として実装されてもよい。聴覚装置1は、電源8、例えば、バッテリ又は充電式バッテリをさらに備える。いくつかの例では、聴覚装置は、バッテリ8から信号プロセッサ4、レシーバ、1つ又は複数のマイクロフォン2、磁気誘導制御ユニット14のいずれか1つ又は複数に提供される電力を制御するための電力管理ユニット10をさらに備える。磁気誘導コイル16は、別の電子装置と通信するように構成されており、いくつかの実施形態では、典型的にはバイノーラル聴覚装置システムにおける別の聴覚装置、例えば、別の耳に位置する別の聴覚装置と通信するように構成される。
【0063】
いくつかの実施形態では、電力管理ユニットは、電力管理プロセッサであるか、又は少なくとも電力管理プロセッサを備える。いくつかの実施形態では、磁気誘導制御ユニットは、磁気誘導制御プロセッサであるか、又は少なくとも磁気誘導制御プロセッサを備える。
【0064】
図2には、本開示の第1態様が示されており、この態様では、聴覚装置1は、磁気誘導コイル16及び磁気誘導制御ユニット14を備えており、磁気誘導制御ユニット14は、磁気誘導コイル16に相互接続されている。磁気誘導制御ユニット14及び磁気誘導コイル16は、無線通信可能に構成されている。聴覚装置1は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20を備えており、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20は、受信した音声信号を処理して、ユーザの聴覚障害を補償するように変更された変更済信号にするための信号プロセッサ4を備える。聴覚装置1は、変更済信号をユーザの耳、例えば外耳道開口部35に提供するように構成された接続モジュール22と、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20と接続モジュール22とを相互接続する連結モジュール24と、をさらに備える。
【0065】
磁気誘導制御ユニット14は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20内に設けられている。磁気誘導コイル16は、連結モジュール24内に設けられている。磁気誘導コイル16は、長手軸18を有する。典型的には、磁気誘導コイル16は、聴覚装置がユーザの耳で意図された動作位置に配置されたときに、磁気誘導コイル16の長手軸18がユーザの耳から耳への軸に沿った方向を有するように、連結モジュール24内に配置される。これにより、例えば、対応する磁気誘導コイルを備え、ユーザの他方の耳に配置される聴覚装置との通信が容易になる。いくつかの実施形態では、連結モジュール24は、連結モジュール24内で磁気誘導コイル16を所望の位置に配置することを補助するキャリア基板、例えば、PCBを備えてもよい。
【0066】
耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール22の電気部品12は、信号プロセッサ4、磁気誘導制御ユニット14、1つ又は複数のマイクロフォン2などを備えてもよい。
【0067】
図3a及び図3bは、連結モジュール24を含む聴覚装置をより詳細に示す。図3aは、連結モジュール24が第1連結部31と第2連結部33とを備え、第1連結部31は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20に取り付けられており、第2連結部33は、接続モジュール22に取り付けられていることを示している。第1連結部31と第2連結部33は、着脱可能に接続されるように構成されている。第1連結部31は、第1電気コネクタ32を備え、第2連結部33は、第2電気コネクタ34を備える。第1電気コネクタ32と第2電気コネクタ34とは、第1連結部31と第2連結部33とが組み立てられたときに電気的に接続するように構成されている。第1電気コネクタ32と第2電気コネクタ34とは、プラグとソケットの実装として示されているが、このような接続は、当業者にとって周知の、任意の方法で行なわれてもよいことが想定される。
【0068】
第1連結部31と第2連結部33とは、第1連結部31と第2連結部33との間の着脱可能な接続を確実にする任意の周知の方法で、対応する物理的なコネクタ部(図示せず)をさらに備えてもよい。
【0069】
図3a及び図3bに、磁気誘導コイルが第1連結部内に設けられていることが示される。図3a及び図3bに示すように、聴覚装置1は、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュール36をさらに備える。耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュール36は、連結モジュール24及び接続モジュール22を介して、信号プロセッサ4から変更済信号を受信するように構成され、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュール36は、接続モジュール22に取り付けられる。接続モジュール22の一端は連結モジュール24に取り付けられ、接続モジュール22の他端は耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュール36に取り付けられていることが示される。いくつかの実施形態では、接続モジュール22は、第2連結部33に固定して接続される。
【0070】
図3a及び図3bに示すように、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュール36は、少なくとも1つの電気部品37、例えば、トランスデューサ37を備えており、少なくとも1つの電気部品37は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール22の電気部品12との電気的相互接続部39を有する。
【0071】
電気的相互接続部39は、接続モジュール22を通るとともに、連結モジュール24を通って、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20の電気部品12まで設けられる。
【0072】
図から分かるように、図3aは、第1連結部31と第2連結部33とが取り外されている連結モジュール24を示す。図3bでは、第1連結部31と第2連結部33が組み立てられており、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュール36内の少なくとも1つの電気部品37から、接続モジュール22及び連結モジュール24を通って、第1及び第2電気コネクタ32、34を介して、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの部品12、例えば信号プロセッサ4まで電気的接続部39が存在する。
【0073】
図4は、本開示による聴覚装置を図式的に示す。図4では、信号プロセッサ4及び磁気誘導制御ユニット14が、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20内に示されている。その他の部品、例えば、1つ又は複数のマイクロフォン、バッテリ、電力管理制御ユニット等は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20内に存在してもよいが、明確さのために図示されていない。磁気制御ユニット14は、磁気誘導コイル16の両端に接続する制御線41を介して、磁気誘導コイル16に接続されている。磁気誘導コイル16は、連結モジュール24内に設けられている。フィルタ42は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20内に設けられている。フィルタ42は、耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュール36の少なくとも1つの電気部品37に提供される変更済信号を含む信号プロセッサから送信される信号を、フィルタリングするように構成されている。
【0074】
フィルタ42は、当業者にとって周知の、任意の方法で実施されてもよい。フィルタは、ローパスフィルタであってもよく、ローパスフィルタは、1MHz以下、例えば5MHz以下、例えば8MHz以下のカットオフ周波数を有してもよい。フィルタ42は、磁気誘導コイル16の動作周波数周辺の周波数範囲をフィルタ除去するように構成されたバンドパスフィルタであってもよい。
【0075】
フィルタは、パルス幅変調済信号を効率的に平滑化するために、例えば、立ち上がり/立ち下がり時間を増加させるために、10から200の間のRC係数を有するように構成されてもよい。
【0076】
図4に概略的に示されているが、聴覚装置は、Hブリッジ回路44をさらに備えてもよい。Hブリッジ回路44は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20内において、信号プロセッサ4とフィルタ42との間に設けられる。図示するように、Hブリッジ回路44は、信号プロセッサ4の一部として設けられる。しかしながら、Hブリッジ回路は、信号プロセッサとは別の回路として設けられてもよいことが想定される。Hブリッジ回路44は、処理済及び変更済信号を受信し、立ち上がり時間及び立ち下がり時間を有するパルス幅変調済の変更済信号である変更済信号を生成するように構成される。パルス幅変調済の変更済信号は、線45、45’を介してフィルタ42に提供又は送信される。
【0077】
いくつかの実施形態では、フィルタ42は、パルス幅変調済信号の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を増加させるように構成される。したがって、フィルタ42は、パルス幅変調済信号を平滑化してもよい。これにより、相互接続線39、39’によって伝送される変更済信号は、高調波、例えば、磁気誘導コイル16の動作を妨害する可能性のある周波数の高調波を発生しにくい。相互接続線39、39’によって伝送される変更済信号は、フィルタリング済かつパルス幅変調済の変更済信号であってもよい。
【0078】
図5aから図5eは、連結モジュールを概略的に示す。図5aから図5eに示すように、いくつかの実施形態では、連結モジュール24は、シールド要素50をさらに備える。シールド要素50は、任意に、グランド52、例えば、グランド電位52への接続を有する。シールド要素50は、以下に示唆されるシールド要素又はさらなるシールド要素のいずれかの任意の組み合わせであってもよい、ということが想定される。
【0079】
いくつかの実施形態では、フィルタ42及びシールド要素50は、本明細書に開示されるように聴覚装置内に設けられる、ということが想定される。いくつかの実施形態では、聴覚装置は、フィルタ42を備えていない一方で、シールド要素50を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ42は、シールド要素50によるシールドのために、不要であってもよい。
【0080】
図5aに図示されるように、いくつかの実施形態では、シールド要素50は、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20と磁気誘導コイル16との間、例えば耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの電気部品12と磁気誘導コイル16との間に電磁シールドを提供する。
【0081】
図5bに示すように、いくつかの実施形態では、シールド要素50は、グランド52、例えば、聴覚装置のグランド電位52への接続を有する。図5bでは、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール20と磁気誘導コイル16との間、例えば、耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの電気部品12と磁気誘導コイル16との間に電磁シールドを提供するシールド要素50のためのグランド52が図示されている。しかしながら、本明細書に開示されたいずれのシールド要素も、グランド52を有してもよい、ということが想定される。
【0082】
図5cに示すように、いくつかの実施形態では、シールド要素50は、連結モジュール24を通る相互接続線39、39’と磁気誘導コイル16との間にシールドを提供する。例えば、図示するように、シールド要素は、磁気誘導コイル16と相互接続線39、39’との間に設けられる。磁気誘導コイルと、シールド要素と、相互接続線39、39’と、は、異なる平面に設けられてもよく、シールド要素は、中間平面に位置していてもよい。連結要素内に設けられた任意のさらなる電気部品55も、例えば、任意の電気的相互接続線39、39’と同じシールド要素50の側で、シールド要素50によってシールドされるように配置されてもよい、ということが示される。
【0083】
図5dに示すように、いくつかの実施形態では、シールド要素50は、磁気誘導コイル16の長手軸18に平行な長手軸を有する、円筒状に形成されたシールド要素50である。第1円筒端面53及び第2円筒端面54は、開口端であり、端面53、54は、シールド要素で覆われていない。これにより、シールド要素は、長手方向18に沿って、磁気誘導コイル16の最適な電磁シールドを提供する一方、磁気誘導コイルの少なくとも1つの端面は、シールドされない。特に、いくつかの実施形態では、磁気誘導コイル16は、例えば、ユーザの頭部の別の側に設けられた聴覚装置と通信するように構成されており、例えば、磁気誘導コイル16の周囲に設けられた円筒形状のシールド要素50の、ユーザの頭部側の第1円筒端面53は、ユーザの頭部を通して効率的な通信を得るために、シールドされないままにされる。
【0084】
図5eに図示されるように、いくつかの実施形態では、シールド要素50は、磁気誘導コイル16の長手軸18に平行な長手軸を有する、円筒状に形成されたシールド要素50であり、シールド要素50は、長手軸に沿ったスリット56をさらに有する。
【0085】
当業者は、本願が上記の好ましい実施形態に限定されないことを理解する。当業者は、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内で、変更及び変形が可能であることをさらに理解する。加えて、開示された実施形態に対する変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求の範囲に記載された発明を実施する当業者によって理解され得、達成され得る。
【符号の説明】
【0086】
1 :聴覚装置
2 :トランスデューサ、すなわちマイクロフォン
4 :信号プロセッサ
6 :レシーバ又はスピーカ
8 :電源
10 :電力管理ユニット
12 :耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュールの電気部品
14 :磁気誘導制御ユニット
16 :磁気誘導コイル/アンテナ
18 :磁気誘導コイルの長手軸
20 :耳の後ろ(behind-the-ear)(BTE)型ハウジングモジュール
22 :接続モジュール
24 :連結モジュール
31 :第1連結部
32 :第1連結部接点
33 :第2連結部
34 :第2連結部接点
35 :外耳道開口部
36 :耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュール
37 :耳の内部(in-the-ear)(ITE)型モジュールの電気部品
39、39’: 相互接続線
41 :コイル接続線
42 :フィルタ
44 :Hブリッジ回路
45 :変更済信号
50 :シールド要素
52 :グランド
53 :第1円筒端面
54 :第2円筒端面
55 :連結モジュールに設けられる電気部品
56 :スリット
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
【国際調査報告】