(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】PD1およびVEGFR2二重結合剤
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221220BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221220BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221220BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221220BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221220BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221220BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221220BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221220BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221220BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221220BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20221220BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20221220BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221220BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20221220BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20221220BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20221220BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20221220BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20221220BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221220BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20221220BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20221220BHJP
C12N 9/12 20060101ALN20221220BHJP
C12N 9/90 20060101ALN20221220BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20221220BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K19/00
C12P21/08
A61K45/00
A61K47/68
A61K48/00
A61P37/02
A61P37/04
A61P35/00
A61P31/12
A61P33/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/18
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 C
A61K39/395 S
A61K39/395 R
A61K39/395 T
A61K39/395 Y
A61K39/395 L
C12N15/113 Z
C12N9/16 B
C12N9/12
C12N9/90
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521074
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2020078427
(87)【国際公開番号】W WO2021069670
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520284090
【氏名又は名称】ウルトラヒューマン エイト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フィンレー,ウィリアム ジェームズ ジョナサン
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050KK07
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4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
プログラム細胞死1(PD1)および血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、関連する核酸分子、ベクターおよび宿主細胞に特異的に結合する抗体分子が本明細書において提供される。本明細書において、かかる抗体分子の医療用途も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PD1およびVEGFR2の両方に特異的に結合する抗体または前記抗体の抗原結合部分であって、前記抗体または抗原結合部分が、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含み、
(a)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(b)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(c)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLSのLCDR1(配列番号8)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(d)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含む、
(e)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含む、
(f)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLSのLCDR1(配列番号8)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含む、
(g)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQTIGTWLTのLCDR1(配列番号9)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(h)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQTIGTWLTのLCDR1(配列番号9)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(i)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(j)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(k)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLGのLCDR1(配列番号12)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(l)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(m)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(n)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(o)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TASSLADのLCDR2(配列番号40)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(p)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLADのLCDR2(配列番号41)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(q)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(r)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TASSLADのLCDR2(配列番号40)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(s)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLADのLCDR2(配列番号41)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、または
(t)前記VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQVYYFDYのHCDR3(配列番号64)を含み、前記VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、抗体または抗原結合部分。
【請求項2】
(a)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含む、
(b)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む、
(c)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号24を含む、
(d)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号14を含む、
(e)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号15を含む、
(f)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号16を含む、
(g)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号17を含む、
(h)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号18を含む、
(i)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号19を含む、
(j)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号20を含む、
(k)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号21を含む、
(l)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号22を含む、
(m)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号23を含む、
(n)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含む、
(o)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含む、
(p)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含む、
(q)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む、
(r)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含む、
(s)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含む、または
(t)前記VH領域アミノ酸配列は配列番号73を含み、前記VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む、請求項1に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項3】
前記抗体または抗原結合部分が、PD1-PDL1およびVEGFR2-VEGFシグナル伝達経路の両方を拮抗することができる、請求項1または2に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項4】
PD1およびVEGFR2の両方に特異的に結合する抗体または前記抗体の抗原結合部分であって、前記抗体または抗原結合部分が、PD1およびVEGFR2の両方への結合について、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分と交差競合し、
(a)完全生殖系列ヒトフレームワークアミノ酸配列を含み、
(b)ヒトPD1、カニクイザルPD1、ヒトVEGFR2、およびアカゲザルVEGFR2に特異的に結合し、
(c)ヒトPD1のヒトPD-L1への結合に拮抗し、ヒトVEGFに応答してヒトVEGFR2のシグナル伝達に拮抗する、抗体または抗原結合部分。
【請求項5】
前記抗体は、ヒト、ヒト化またはキメラである、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項6】
前記VH領域、前記VL領域、または前記VH領域および前記VL領域の両方が、一つ以上のヒトフレームワーク領域アミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項7】
前記VH領域、前記VL領域、または前記VH領域および前記VL領域の両方が、前記CDRが挿入されているヒト可変領域フレームワーク足場アミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項8】
前記VH領域が、前記HCDR1、HCDR2およびHCDR3アミノ酸配列が挿入されているIGHV3-7ヒト生殖系列足場アミノ酸配列を含む、請求項1または3に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項9】
前記VL領域が、前記LCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列が挿入されているIGKV1-39ヒト生殖系列足場アミノ酸配列を含む、請求項1、3および8のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項10】
前記抗体が免疫グロブリン定常領域を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項11】
前記免疫グロブリン定常領域が、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAまたはIgYである、請求項10に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項12】
前記免疫グロブリン定常領域が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2である、請求項11に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項13】
前記免疫グロブリン定常領域が、免疫学的に不活性である、請求項10に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項14】
前記免疫グロブリン定常領域が、野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG1定常領域、アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域、または野生型ヒトIgG2定常領域である、請求項10に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項15】
前記免疫グロブリン定常領域が、配列番号25~31のいずれか一つを含む、請求項13に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項16】
前記抗体または抗原結合部分が、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fd、Fv、scFv、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディまたはbis-scFvである、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗原結合部分。
【請求項17】
前記抗体はモノクローナルである、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項18】
前記抗体が四量体抗体、四価抗体または多選択性抗体である、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項19】
前記抗体または抗原結合部分が、(a)ヒトPD1、または(b)ヒトPD1およびカニクイザルPD1、または(c)ヒトPD1およびアカゲザルPD1、または(d)ヒトPD1、カニクイザルPD1およびアカゲザルPD1に特異的に結合する、請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項20】
前記抗体または抗原結合部分が(a)ヒトVEGFR2、または(b)ヒトVEGFR2およびカニクイザルVEGFR2、または(c)ヒトVEGFR2およびアカゲザルVEGFR2、または(d)ヒトVEGFR2、カニクイザルVEGFR2およびアカゲザルVEGFR2に特異的に結合する、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分。
【請求項21】
治療剤に連結される請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分を含む免疫コンジュゲート。
【請求項22】
前記治療剤が、サイトトキシン、放射性同位元素、化学療法剤、免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、アポトーシス促進剤、細胞分裂酵素、細胞溶解酵素、治療用核酸、抗血管新生剤、抗増殖剤またはアポトーシス促進剤である、請求項21に記載の免疫コンジュゲート。
【請求項23】
請求項1~20のいずれか一項の抗体または抗原結合部分または請求項21もしくは22に記載の免疫コンジュゲートならびに薬学的に許容可能な担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項24】
請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分の
(a)VH領域アミノ酸配列、
(b)VL領域アミノ酸配列または
(c)VHおよびVL領域アミノ酸配列の両方
をコードする、核酸分子。
【請求項25】
請求項24に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項26】
請求項24に記載の核酸分子または請求項25に記載の発現ベクターを含む、組換え宿主細胞。
【請求項27】
抗PD1抗体またはその抗原結合部分を作製する方法であって、
前記核酸分子が発現される条件下で、請求項25に記載の発現ベクターを含む組換え宿主細胞を培養し、それによって前記抗体または抗原結合部分を産生すること、および
前記宿主細胞または培養物から前記抗体または抗原結合部分を単離することを含む、方法。
【請求項28】
対象において免疫応答を強化するための方法であって、治療有効量の請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分、請求項21または22に記載の免疫コンジュゲートまたは請求項23に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項29】
対象における癌、感染性疾患または免疫疾患を治療または予防する方法であって、治療有効量の請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分、請求項21または22に記載の免疫コンジュゲートまたは請求項23に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記癌は、膵癌、黒色腫、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮または子宮内膜癌、口腔または咽頭癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫または血液組織の癌である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記感染性疾患は、ウイルス、細菌、真菌または寄生虫によるものである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記感染性疾患が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
癌、感染性疾患または免疫疾患の治療に使用するための、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分、請求項21もしくは22に記載の免疫コンジュゲートまたは請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記癌は、膵癌、黒色腫、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮または子宮内膜癌、口腔または咽頭癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫または血液組織の癌である、請求項33に記載の使用のための抗体または抗原結合部分、免疫コンジュゲートまたは医薬組成物。
【請求項35】
前記感染性疾患が、ウイルス、細菌、真菌または寄生虫によるものである、請求項33に記載の使用のための抗体または抗原結合部分、免疫コンジュゲートまたは医薬組成物。
【請求項36】
前記感染性疾患がヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染である、請求項33に記載の使用のための抗体または抗原結合部分、免疫コンジュゲートまたは医薬組成物。
【請求項37】
医薬として使用するための、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合部分、請求項21もしくは22に記載の免疫コンジュゲートまたは請求項23に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月24日に出願された英国特許出願第2013180.1号および2019年10月11日に出願された英国特許出願第1914747.9号の利益を主張し、その各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出されたテキストファイルの説明
本明細書に電子的に提出されたテキストファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。配列表のコンピュータ可読形式のコピー(ファイル名:UHEL_002_02WO_SeqList_ST25.txt、記録日:2020年10月9日、ファイルサイズ約86,707バイト)。
【0003】
本発明は、PD1(プログラム細胞死1、PDCD1、CD279、PD-1、SLEB2、PD-l、SLE1としても知られる)およびVEGFR2(KDR、CD309、FLK1、キナーゼ挿入ドメイン受容体としても知られる)の両方に特異的に結合する抗体分子ならびにそれらの医療用途に関する。
【背景技術】
【0004】
PD1は、免疫性「チェックポイント」メディエーターであることが示されている細胞表面受容体である。PD1チェックポイント活性は、自己抗原に反応性であるリンパ節に常駐するT細胞においてアポトーシス(プログラム細胞死)を促進し、制御性(抗炎症性)T細胞の生存を促進することによって、自己免疫リスクを最小化する。ヒトまたはヒト化モノクローナル抗体によるPD1活性の拮抗は、腫瘍におけるT細胞の再活性化につながる可能性があるため、複数の形態の癌の治療に対する成功した治療アプローチであることが実証されている。この臨床的な成功は、臨床試験で検討されている抗PD1抗体分子の増殖につながっているが、患者の大部分は抗PD1薬単独で治療しても持続的な抗癌応答をまだ担っていない。
【0005】
抗PD1抗体療法に応答する患者の数を増やすことは、大きな課題である。抗PD1抗体に対する臨床応答率を改善するための可能な戦略は、抗血管新生剤などの以前に実証された癌療法と組み合わせることである。そのような薬剤クラスの一つは、抗VEGFR2または抗VEGF抗体などのVEGFシグナル伝達経路を遮断する抗体である。しかしながら、このような併用療法は、それぞれに独自の毒性リスクを有する、二つの別個の費用のかかる薬剤の使用を必要とする。二つの別個の薬剤を組み合わせることの不利益を伴わずに併用療法の有益性を提供する単一の薬剤に対するニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、いくつかの抗PD1抗体および抗VEGFR2二重拮抗抗体ならびにその医療用途を提供する。
【0007】
本発明の一態様によれば、ヒトPD1およびヒトVEGFR2に特異的に結合し、任意選択的に、カニクイザルPD1およびカニクイザルVEGFR2、またはその抗原結合部分にも特異的に結合する抗体分子が提供される。
【0008】
一部の態様では、本発明は、PD1およびVEGFR2の両方または抗体の抗原結合部分に特異的に結合する抗体を提供し、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含み、
(a)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(b)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(c)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLSのLCDR1(配列番号8)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(d)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含む、
(e)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含む、
(f)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLSのLCDR1(配列番号8)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含む、
(g)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQTIGTWLTのLCDR1(配列番号9)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(h)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQTIGTWLTのLCDR1(配列番号9)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(i)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(j)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(k)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLGのLCDR1(配列番号12)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(l)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(m)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(n)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(o)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TASSLADのLCDR2(配列番号40)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(p)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLADのLCDR2(配列番号41)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(q)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(r)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TASSLADのLCDR2(配列番号40)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(s)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLADのLCDR2(配列番号41)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、または
(t)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQVYYFDYのHCDR3(配列番号64)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む。
【0009】
一部の態様では、抗PD1抗体またはその抗原結合部分が本明細書に開示され、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含み、
VH領域アミノ酸配列が、
(a)配列番号1のHCDR1;
(b)配列番号2、配列番号38または配列番号42のHCDR2および
(c)配列番号3または配列番号64のHCDR3を含み、
VL領域アミノ酸配列が、
(a’)配列番号4、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号12または配列番号39のLCDR1;
(b’)配列番号5、配列番号40、配列番号41または配列番号43のLCDR2および
(c’)配列番号6、配列番号10または配列番号11のLCDR3を含む。
【0010】
一部の態様では、PD1およびVEGFR2の両方に特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合部分が本明細書に開示され、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含み、
(a)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含む、
(b)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む、
(c)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号24を含む、
(d)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号14を含む、
(e)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号15を含む、
(f)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号16を含む、
(g)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号17を含む、
(h)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号18を含む、
(i)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号19を含む、
(j)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号20を含む、
(k)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号21を含む、
(l)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号22を含む、
(m)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号23を含む、
(n)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含む、
(o)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含む、
(p)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含む、
(q)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む、
(r)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含む、
(s)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含む、または
(t)VH領域アミノ酸配列は配列番号73を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む。
【0011】
本発明の一部の態様では、抗体分子または抗原結合部分のHCDR1は、配列GFTFSSYMMS(配列番号1;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体HCDR1、US2016/376367A1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のHCDR2は、配列TISGGGANTYYPDSVKG(配列番号2;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体HCDR2、US2016/376367A1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のHCDR3は、配列QLYYFDY(配列番号3;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体HCDR3、US2016/376367A1)を除外してもよい。
【0012】
本発明の一部の態様では、抗体分子または抗原結合部分のLCDR1は、配列LASQTIGTWLT(配列番号9;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体LCDR1、US2016/376367A1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のLCDR2は、配列TATSLAD(配列番号5;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体LCDR2、US2016/376367A1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のLCDR3は、配列QQVYSIPWT(配列番号6;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体LCDR3、US2016/376367A1)を除外してもよい。
【0013】
本発明によれば、治療剤に連結、融合または抱合された本明細書に定義される抗体分子またはその抗原結合部分を含む免疫コンジュゲートも提供される。
【0014】
別の態様では、本発明は、本明細書に定義される抗体分子またはその抗原結合部分をコードする核酸分子を提供する。
本発明の核酸分子を含むベクターがさらに提供される。
【0015】
また、本明細書に定義される本発明の核酸分子またはベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0016】
さらなる態様では、抗PD1/VEGFR2抗体および/またはその抗原結合部分を産生する方法が提供され、この方法は、抗体および/またはその抗原結合部分の発現および/または産生をもたらす条件下で本発明の宿主細胞を培養することと、抗体および/またはその抗原結合部分を宿主細胞または培養物から単離することと、を含む。
【0017】
本発明の別の態様では、本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される本発明の核酸分子または本明細書に定義される本発明のベクターを含む医薬組成物が提供される。
【0018】
さらに、有効量の本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される本発明の免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される本発明の核酸分子または本明細書に定義される本発明のベクターまたは本明細書に定義される本発明の医薬組成物を投与することを含む、対象における免疫応答を強化する方法が提供される。
【0019】
さらなる態様において、有効量の本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される本発明の免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される本発明の核酸分子または本明細書に定義される本発明のベクターまたは本明細書に定義される本発明の医薬組成物を投与することを含む、対象における癌を治療または予防する方法が提供される。
【0020】
医薬として使用するための、本明細書に定義される抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される核酸分子または本明細書に定義されるベクターまたは本明細書に定義される医薬組成物がさらに本明細書に提供される。本発明は、癌の治療に使用するための、本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される本発明の免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される本発明の核酸分子または本明細書に定義される本発明のベクターまたは本明細書に定義される本発明の医薬組成物も提供する。
【0021】
別の態様では、本発明は、第二の治療剤、例えば、抗癌剤と組み合わせた組み合わせにおける別個の、連続的なまたは同時的な使用のために、抗体分子またはその抗原結合部分または免疫コンジュゲートまたは核酸分子または使用のためのベクターまたは本明細書に定義される本発明の治療方法を提供する。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、癌の治療に使用するための医薬の製造において、本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される本発明の免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される本発明の核酸分子または本明細書に定義される本発明のベクターまたは本明細書に定義される本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0023】
本発明は、有効量の本明細書に定義される抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される核酸分子または本明細書に定義されるベクターまたは本明細書に定義される医薬組成物を投与することを含む、対象における感染性疾患を治療または予防する方法も提供する。
【0024】
感染性疾患は、全ての態様において、ウイルス性、細菌性、真菌性または寄生性からなる群から選択されることができる。一実施形態では、感染性疾患はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染である。
【0025】
感染性疾患の治療に使用するための、本明細書に定義される抗体分子もしくはその抗原結合部分、または本明細書に定義される免疫コンジュゲート、または本明細書に定義される核酸分子、または本明細書に定義されるベクター、または本明細書に定義される医薬組成物も提供される。
【0026】
さらに、感染性疾患の治療に使用するための医薬の製造における、本明細書に定義される抗体分子もしくはその抗原結合部分、または本明細書に定義される免疫コンジュゲート、または本明細書に定義される核酸分子、または本明細書に定義されるベクター、または本明細書に定義される医薬組成物も提供される。
【0027】
本発明は、有効量の本明細書に定義される抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される核酸分子または本明細書に定義されるベクターまたは本明細書に定義される医薬組成物を投与することを含む、対象における感染性疾患を治療または予防する方法も提供する。
【0028】
本発明は、ヒトPD1およびヒトVEGFR2に特異的に結合し、任意選択的に、カニクイザルPD1およびサルVEGFR2またはその抗原結合部分にも特異的に結合する抗体分子を製造する方法も提供され、
(1)非ヒトソースからヒトvドメインフレームワークに抗PD1 CDRを移植して、ヒト化抗PD1抗体分子またはその抗原結合部分を製造するステップ、
(2)CDR中に一つ以上の変異を含む、ヒト化抗PD1抗体分子またはその抗原結合部分のクローンのライブラリを生成するステップ、
(3)ヒトPD1およびヒトVEGFR2に結合し、任意選択的に、カニクイザルPD1およびアカゲザルVEGFR2にも結合するライブラリをスクリーニングするステップ;
(4)ヒトPD1およびヒトVEGFR2に対する結合特異性を有し、任意選択的に、カニクイザルPD1およびアカゲザルVEGFR2に対する結合特異性も有するクローンをスクリーニングステップ(3)から選択するステップ、および
(5)ステップ(4)から選択されるクローンから、ヒトPD1およびヒトVEGFR2に特異的に結合し、任意選択的に、カニクイザルPD1およびアカゲザルVEGFR2にも特異的に結合する抗体分子またはその抗原結合部分を製造するステップ、を含む。
【0029】
方法は、ステップ(4)において選択されたクローンに基づいて、例えば、ステップ(4)において選択されたクローンのCDRの特定の位置におけるさらなる探索的変異誘発に基づいて、追加のクローンを製造して、ヒト化を高め、および/またはヒトT細胞エピトープ量を最小にし、および/またはステップ(5)において製造された抗体分子またはその抗原結合部分における製造特性を改善するさらなるステップを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1 ヒトおよびカニクイザルPD1ならびにヒトおよびアカゲザルVEGFR2タンパク質に対するライブラリ由来の抗PD1 Fabの直接結合ELISA。クローンは、複数のファージライブラリ選択ブランチに由来し、ここでファージ集団が各ラウンドのビオチン化標的タンパク質上で選択された。選択の各ラウンドの後、ライブラリ由来のクローン(黒丸)を、ヒト(hu)およびカニクイザル(cy)PD1ならびにヒト(hu)およびアカゲザル(rh)VEGFR2に対して、ペリプラズム的に発現されたFabタンパク質としてスクリーニングした。ヒトIgG1 Fabとして発現されたhMAb005 vドメインを、各プレート(灰色のひし形)上でポジティブコントロールとして使用した。
【
図2】
図2A~
図2B アルファスクリーンにおけるFabタンパク質のエピトープ競合分析Anti-PD1クローンは、大腸菌(E.coli)にFabとして発現され、ペリプレップ(periprep)は、アルファスクリーン技術を使用したエピトープ競合アッセイに適用された。このアッセイでは、ライブラリ由来のFabを、溶液においてヒトPD1タンパク質に結合しているhMAb005 IgG1ヌルについて競合することによって、親hMAb005エピトープの相対的な親和性および保持について分析した。
【
図3A】
図3A~
図3B ヒトおよびカニクイザルPD1-Fc、ヒトおよびアカゲザルVEGFR2タンパク質に結合している精製されたIgG1ヌルについての直接滴定ELISA。ヒトIgG1ヌルフォーマットのhMab005、アイソタイプコントロールIgG1およびライブラリ由来のクローンを、ヒトおよびカニクイザルPD1タンパク質(
図3A)に対する、ならびにヒトおよびアカゲザルVEGFR2タンパク質(
図3B)に対する直接結合ELISAにおいて(nMで)滴定した。
【
図4】
図4 細胞ベースのVEGFR2拮抗アッセイ。ヒトIgG1ヌルフォーマットのhMab005、アイソタイプコントロールIgG1およびライブラリ由来のクローンを、ヒトVEGFR2シグナル伝達アッセイで(nMで)滴定し、ヒトVEGF-165タンパク質を添加して、VEGFR2シグナル伝達を誘導した。hMab005およびアイソタイプIgG1コントロールタンパク質のいずれかも、いかなる濃度依存性VEGFR2拮抗も示さなかった。11個のリードクローン全てとポジティブコントロール抗VEGFR2 IgG1ラムシルマブは、nMの範囲で強力な拮抗を示した。
【
図5A】
図5A~
図5K 細胞ベースのVEGFR2拮抗アッセイ-単一クローン分析。
図4に示されるリードクローンのVEGFR2拮抗を、クローンごとにクローン上で再分析した。11個のリードクローン全てが強力な拮抗を示したが、1クローン当たり1個のCDRのみに見られる突然変異を有するライブラリ由来のクローン(図 5A~図 5E)は、LCDR1およびLCDR3の両方における突然変異を組み合わせたクローンよりも強力ではないことが判明した(
図5F~
図5K)。
【
図6】
図6 細胞ベースのPD1拮抗アッセイ。hMab005(SHR-1210 IgG1-3M)、アイソタイプ対照IgG1、ニボルマブIgG4およびクローンMAB06.1-MAB06.8(ヒトIgG1ヌルフォーマット)をヒトPD1シグナル伝達アッセイで滴定し、ヒトPD1+細胞とヒトPD-L1+細胞が混合され、PD1/PD-L1相互作用の拮抗がシグナルの増加をもたらす。アイソタイプIgG1コントロールタンパク質は、いかなる濃度依存性PD1拮抗も示さなかった。クローンMAB06.1-MAB06.8、hMab005およびポジティブコントロール抗-PD1 IgG4ニボルマブは、nM範囲で強力な拮抗を示した。
【
図7】
図7 細胞ベースのVEGFR2拮抗アッセイ。IgG1hMab005(SHR-1210 IgG1-3M)、アイソタイプコントロールIgG1、ニボルマブIgG4およびクローンMAB06.1-MAB06.8(ヒトIgG1ヌルフォーマットの)を、ヒトVEGFR2シグナル伝達アッセイで滴定し、ヒトVEGF-165タンパク質を添加して、VEGFR2シグナル伝達を誘導した。hMab005およびアイソタイプIgG1コントロールタンパク質のいずれかも、いかなる濃度依存性VEGFR2拮抗も示さなかった。クローンMAB06.1-MAB06.8およびポジティブコントロール抗VEGFR2 IgG1ラムシルマブは、nMの範囲で強力な拮抗を示した。
【
図8A】
図8A~
図8H 細胞ベースのPD1およびVEGFR2拮抗アッセイ-単一クローン分析。
図7に示されるリードクローンについてのPD1およびVEGFR2拮抗を、クローンごとにクローン上で再分析した。クローンMAB06.5(
図8A、
図8B)、MAB06.6(
図8C、
図8D)、MAB06.7(
図8E、
図8F)およびMAB06.8(
図8G、
図8H)に対するPD1およびVEGFR2拮抗の比較分析は、クローンMAB06の配列がLCDR1、LCDR2およびHCDR2の複数の残基の変異を受け入れることができる一方で、両方の受容体のシグナル伝達に拮抗する能力を保持することを示した。
【
図9】
図9 二重PD1-VEGFR2拮抗。腫瘍浸潤免疫細胞は、PD1とVEGFR2の両方を発現することができる。腫瘍における癌細胞(または間質細胞、その他の免疫細胞など)は、PD-L1および/またはVEGFを発現することができる。これらのシグナルは、腫瘍微小環境における免疫機能を抑制するために協力する。したがって、PD1とVEGFR2の両方のシグナル伝達を効果的に遮断することができる二重拮抗薬抗体(同じまたは異なる細胞上の)は、したがって、PD1またはVEGFR2遮断抗体単独よりも改善された抗腫瘍能力を有し得る。
【
図10】
図10 細胞ベースのVEGFR2アゴニズムアッセイ。ラムシルマブ、アイソタイプコントロールヒトIgG1、MAB06.5、MAB06.8およびVEGF-165タンパク質を、ヒトVEGFR2シグナル伝達アッセイで滴定した。ラムシルマブ、アイソタイプおよびクローンMAB06.5およびMAB06.8のいずれも、任意の濃度依存性VEGFR2アゴニズムを示さなかった。ポジティブコントロールのVEGF-165は、nMの範囲で強力な拮抗を惹起した。
【
図11A】
図11A~
図11F 一方向ヒトDC:T細胞混合リンパ球反応(MLR)アッセイ。MAB06.5、MAB06.8およびニボルマブ(抗PD1)を、ヒトMLRアッセイで、3つの別個のヒトドナー対を用いて、二回の反復ランで滴定した(nM)。MAB6.5およびMAB6.8は、PD1遮断駆動型IFN-γシグナル伝達における濃度依存的な能力を示し、これはニボルマブと同等であった。これは、ドナーペア1(
図11A、11B)、ドナーペア2(
図11C、11D)およびドナーペア3(
図11E、11F)の両方のランで発見された。
【
図12A】
図12A~
図12D ヒトおよびカニクイザルのPD1-Fc、ヒトおよびカニクイザルVEGFR2タンパク質に結合している精製されたIgG1ヌルについての直接滴定ELISA。ヒトIgG1ヌルフォーマットのSHR-1210 IgG1-3M、アイソタイプコントロールIgG1および7個の第3世代クローンを、ヒトおよびカニクイザルPD1タンパク質(
図12A、
図12B)ならびにヒトおよびカニクイザルVEGFR2タンパク質(
図12C、
図12D)に対する直接結合ELISAにおいて(nMで)滴定した。
【
図13A】
図13A~
図13B 細胞ベースのPD1およびVEGFR2拮抗アッセイ。ヒトIgG1ヌルフォーマットにおけるクローンSHR-1210 IgG1-3M、ニボルマブ、アイソタイプコントロールIgG1および7個の第3世代クローンについてのPD1(
図13A)およびVEGFR2(
図13B)拮抗の比較分析。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、PD1経路およびVEGF経路の両方に予想外に拮抗する抗体の発見に基づいている。VEGFシグナル伝達経路の阻害は、PD1経路の阻害と効果的な組み合わせを提供することができる。VEGF-VEGFR2シグナル伝達は、血管新生を促進するだけでなく、腫瘍微小環境における免疫抑制を増強することも示されており、VEGFR2は複数の免疫細胞型で発現される。しかしながら、二重阻害剤抗体の生成は、二つの標的タンパク質、例えば、アミノ酸配列および構造がかなり異なるPD1およびVEGFR2の強力な調節を有する単一抗体の生成を伴うため、複雑で予測不可能な課題である。二つの標的間のこの配列および構造上の非類似性は、そのような抗体の生成の成功を妨げるものである。
【0032】
WO2015/085847A1は、拮抗性マウス抗PD1 IgG分子を「MAb005」と名付け、またMAb005のヒト化形態の調製についても記載している。ヒト化MAb005(hMAb005)は、臨床試験において、血管腫を誘発する非常にまれな副作用を有することが示された。In vitro試験では、VEGFR2の結合を含む、オフターゲット抗体の反応性にまでこの問題をトレースバックすることに成功した(Finlayら(2019)mAbs、11:1、26-44)。重要なことに、VEGFR2に対するhMAb005(SHR-1210としても知られる)の結合は、受容体の強力なアゴニズム(活性化)につながることが示され、これはおそらく、血管腫の副作用の主要な要因である。上述の理由により、WO2015/085847A1に記載されるかかるヒト化形態のMAb005は、理想的ではない。さらに、分子特性の変化が、Mab005などの拮抗薬/アゴニスト性抗体を、PD1経路とVEGFR2経路の両方の二重拮抗薬に変換できることを先験的に予測することはできない。本発明は、強力なPD1拮抗を維持するが、VEGFR2にも強力に拮抗する抗体を提供する。かかる抗体は、相乗的臨床的利益を提供し得る。
【0033】
本明細書において、PD1に特異的に結合し、VEGF-VEGFR2シグナル伝達に拮抗するhMAb005に由来する抗体を生成する方法が提供される。例えば、かかる抗体は、抗体hMAb005の一つ以上のCDR配列に変異を導入することによって生成することができる。一部の実施形態では、変異は、抗体hMAb005のLCDR1配列および/またはLCDR2配列および/またはHCDR2配列に導入される。
【0034】
一部の態様では、ヒトPD1とヒトVEGFR2の両方またはこの抗体の抗原結合部分に特異的に結合する抗体が提供される。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、PD1-PDL1シグナル伝達経路とVEGFR2-VEGFシグナル伝達経路の両方と拮抗することができる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、ヒトPD1のヒトPD-L1への結合に拮抗し、ヒトVEGFに応答してヒトVEGFR2のシグナル伝達に拮抗する。
【0035】
一部の態様では、本明細書に提供される抗PD1および抗VEGFR2抗体または抗原結合部分は、配列番号32または配列番号33を含む、またはからなるPD1タンパク質に特異的に結合する。一部の態様では、本明細書に提供される抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体または抗原結合部分は、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%、配列番号32または配列番号33と同一であるアミノ酸配列を有するPD1タンパク質に特異的に結合する。
【0036】
一部の態様では、本明細書に提供される抗PD1および抗VEGFR2抗体または抗原結合部分は、配列番号34または配列番号35を含む、またはからなるVEGFR2タンパク質に特異的に結合する。一部の態様では、本明細書に提供される抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体または抗原結合部分は、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%、配列番号34または配列番号35と同一であるアミノ酸配列を有するVEGFR2タンパク質に特異的に結合する。
【0037】
本発明の一部の態様では、抗体分子または抗原結合部分のHCDR1は、配列GFTFSSYMMS(配列番号1;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体HCDR1、US2016/376367A1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のHCDR2は、配列TISGGGANTYYPDSVKG(配列番号2;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体HCDR2、US2016/376367A1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のHCDR3は、配列QLYYFDY(配列番号3;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体HCDR3、US2016/376367A1)を除外してもよい。
【0038】
本発明の一部の態様では、抗体分子または抗原結合部分のLCDR1は、配列LASQTIGTWLT(配列番号9;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体LCDR1、US2016/376367A1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のLCDR2は、配列TATSLAD(配列番号5;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体LCDR2、US2016/376367A1)を除外してもよく、および/または抗体分子または抗原結合部分のLCDR3は、配列QQVYSIPWT(配列番号6;WO2015/085847A1に開示されるMAb005マウス/ヒト化抗体LCDR3、US2016/376367A1)を除外してもよい。
【0039】
一部の実施形態では、本発明の抗PD1抗体は、ヒトPD1とカニクイザルPD1の両方に対する結合特異性および親和性における等価性を有するように選択される(霊長類の毒性および薬物動態研究を最大に正確に促進するため)。本明細書に記載される最適化された抗体分子のさらなる精製は、PD1のカニクイザルオルソログへの結合の改善および/またはPD1/PD-L1シグナル伝達の中和における能力の維持または改善をもたらした。決定的なことに、これらの抗体は、ヒト受容体VEGFR2の強力な拮抗薬になることによって、MAb005(WO2015/085847A1;US2016/376367A1)と比較して、潜在的な臨床活性を劇的に改善し、血管腫を誘発するリスクも低減した。
【0040】
一部の態様では、本発明の抗PD1および抗VEGFR2抗体分子は、対応するマウスCDRまたは他の(フレームワークなどの)アミノ酸位置におけるヒト生殖系列置換の最大数を必ずしも有しない。一部の実施形態では、抗PD1または抗VEGFR2結合特性および/または他の望ましい特徴に関して、「最大ヒト化」抗体分子は、必ずしも「最大最適化」されない。
【0041】
本発明は、本明細書に定義される抗体分子またはその抗原結合部分のアミノ酸配列に対する改変を包含する。例えば、本発明は、抗体分子およびその対応する抗原結合部分を含み、抗体分子およびその対応する抗原結合部分は、その特性に有意な影響を与えない機能的に等価な可変領域およびCDRならびに活性および/または親和性を増加または減少させたバリアントを含む。例えば、アミノ酸配列を変異させて、PD1およびVEGFR2に対する所望の結合親和性を有する抗体を得ることができる。1個の残基から100個以上の残基を含有するポリペプチドまでの長さに及ぶアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合物、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む挿入が想定される。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有する抗体分子またはエピトープタグに融合された抗体分子が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントとして、血液循環における抗体の半減期を増加させる酵素またはポリペプチドの抗体のN末端またはC末端への融合を含む。
【0042】
本発明の抗体分子または抗原結合部分は、グリコシル化ポリペプチドおよび非グリコシル化ポリペプチド、ならびに例えば、異なる糖とのグリコシル化、アセチル化およびリン酸化などの他の翻訳後修飾を有するポリペプチドを含んでいてもよい。本発明の抗体分子または抗原結合部分は、例えば、一つ以上のアミノ酸残基を追加、除去または置換して、グリコシル化部位を形成または除去することによって、かかる翻訳後修飾を変化させるために変異することができる。
【0043】
本発明の抗体分子または抗原結合部分は、例えば、アミノ酸置換によって改変されて、抗体における潜在的なタンパク質分解部位を除去することができる。
【0044】
本発明の一部の態様では、PD1とVEGFR2の両方に結合する抗体または抗体の抗原結合部分を提供し、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含み、
(a)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含み、[MAB02A03]
(b)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含み、[MAB02B03]
(c)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLSのLCDR1(配列番号8)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号6)を含み、[MAB02D08]
(d)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQTIGTWLTのLCDR1(配列番号9)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含み、[MAB05G03]
(e)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQTIGTWLTのLCDR1(配列番号9)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB05E08]
(f)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含み、[MAB01]
(g)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含み、[MAB02]
(h)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLGのLCDR1(配列番号12)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含み、[MAB03]
(i)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB04]
(j)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB05]または
(k)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLSのLCDR1(配列番号8)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06]または
(l)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.1]または
(m)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TASSLADのLCDR2(配列番号40)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.2]または
(n)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLADのLCDR2(配列番号41)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.3]または
(o)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.4]または
(p)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.5]または
(q)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)、およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TASSLADのLCDR2(配列番号40)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.6]または
(r)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLADのLCDR2(配列番号41)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.7]または
(s)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.8]または
(t)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYLMSのHCDR1(配列番号61)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.8.1]または
(u)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYLMSのHCDR1(配列番号61)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号64)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.8.2]または
(v)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYLMSのHCDR1(配列番号61)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYGFDYのHCDR3(配列番号65)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.8.3]または
(w)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYLMSのHCDR1(配列番号61)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYADYのHCDR3(配列番号66)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.8.4]または
(x)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYLMSのHCDR1(配列番号61)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYFFDYのHCDR3(配列番号62)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.8.5]または
(y)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYLMSのHCDR1(配列番号61)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYYDYのHCDR3(配列番号63)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.8.6]または
(z)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQVYYFDYのHCDR3(配列番号64)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.8.7]または
(aa)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYADYのHCDR3(配列番号66)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、[MAB06.8.8]または
(y)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYYDYのHCDR3(配列番号63)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む。〔MAB06.8.9〕
一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分が本明細書に開示され、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含み、VH領域アミノ酸配列は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYMMSWVRQAPGKGLEWVATISGGGANTYYPDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARQLYYFDYWGQGTTVTVSS(配列番号13)を含む、またはこれらからなる。
【0045】
一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分が本明細書に開示され、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含み、VH領域は、配列番号13を含む、またはこれから成り、VL領域は、表5または表8のVL領域アミノ酸配列のいずれか一つを含む、またはそれらからなる。
【0046】
一部の態様では、PD1およびVEGFR2の両方に特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合部分が本明細書に開示され、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含み、
(a)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号14を含み、
(b)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号15を含み、
(c)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号16を含み、
(d)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号17を含み、
(e)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号18を含み、
(f)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号19を含み、
(g)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号20を含み、
(h)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号21を含み、
(i)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号22を含み、
(j)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号23を含み、
(k)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号24を含み、
(l)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含み、
(m)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含み、
(n)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含み、
(o)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、
(p)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含み、
(q)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含み、
(r)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含み、
(s)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、
(t)VH領域アミノ酸配列は配列番号67を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、
(u)VH領域アミノ酸配列は配列番号68を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、
(v)VH領域アミノ酸配列は配列番号69を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、
(w)VH領域アミノ酸配列は配列番号70を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、
(x)VH領域アミノ酸配列は配列番号71を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、
(y)VH領域アミノ酸配列は配列番号72を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、
(z)VH領域アミノ酸配列は配列番号73を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、
(aa)VH領域アミノ酸配列は配列番号74を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、または
(bb)VH領域アミノ酸配列は配列番号75を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む。
【0047】
一部の態様では、抗PD1および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分が本明細書に開示され、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含み、
(a)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号14に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(b)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号15に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(c)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号16に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(d)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号17に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(e)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号18に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(f)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号19に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(g)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号20に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(h)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号21に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(i)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号22に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(j)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号23に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(k)VH領域アミノ酸配列は、配列番号13に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号24に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(l)VH領域アミノ酸配列は、配列番号48に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号44に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(m)VH領域アミノ酸配列は、配列番号48に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号45に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(n)VH領域アミノ酸配列は、配列番号48に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号46に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(o)VH領域アミノ酸配列は、配列番号48に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号47に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(p)VH領域アミノ酸配列は、配列番号49に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号44に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(q)VH領域アミノ酸配列は、配列番号49に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号45に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(r)VH領域アミノ酸配列は、配列番号49に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号46に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、
(s)VH領域アミノ酸配列は、配列番号49に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であり、VL領域アミノ酸配列は、配列番号47に、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である。一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体のCDRアミノ酸配列は、列挙された配列のCDRアミノ酸配列と100%同一であり、一方でFRアミノ酸配列は、列挙された配列のFRアミノ酸配列と100%未満同一である。
【0048】
一部の態様では、本明細書に定義される抗体または抗原結合部分は、単離されてもよい。
【0049】
本明細書に定義される抗体分子または抗原結合部分は、本明細書に開示されるCDRのセットを含む抗体またはその抗原結合部分と、PD1およびVEGFR2への結合について交差競合し得る。一部の実施形態では、本発明は、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分を提供し、抗体または抗原結合部分が、本明細書に開示されるCDRのセットを含む抗体または抗原結合部分と、PD1およびVEGFR2への結合について交差競争し、(a)完全生殖系列ヒトフレームワークアミノ酸配列を含み、(b)ヒトPD1、カニクイザルPD1、ヒトVEGFR2およびアカゲザルVEGFR2に特異的に結合し、(c)ヒトPD1のヒトPD-L1への結合に拮抗し、ヒトVEGFに応答してヒトVEGFR2のシグナル伝達に拮抗する。
【0050】
一部の実施形態では、抗PD1および抗VEGFR2抗体または抗原結合部分は、最小限の免疫原性を有する。特定の事例では、抗体または抗原結合部分は、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR、配列番号9のLCDR1、配列番号5のLCDR2、および配列番号6のLCDR3を含む抗PD1抗体に比べて免疫原性の減少を示す。一部の例では、抗体または抗原結合部分の免疫原性リスクは、抗体または部分(例えば、抗体または部分の可変領域における)のT細胞エピトープの位置を特定することによって、in silicoで決定されてもよい。
【0051】
例えば、抗体または抗原結合部分のT細胞エピトープは、iTope(商標)を使用することによって特定され得る。iTope(商標)は、ヒトMHCクラスIIへの無差別の高親和性の結合を有するペプチドのVL領域配列およびVH領域配列を分析するために使用することができる。無差別高親和性MHCクラスII結合ペプチドは、薬剤タンパク質の臨床免疫原性の高リスク指標であるT細胞エピトープの存在と相関すると考えられる。iTope(商標)ソフトウェアは、34個のヒトMHCクラスII対立遺伝子のオープンエンド結合溝内のペプチドのアミノ酸側鎖と特異的結合ポケット(特にポケット位置;p1、p4、p6、p7およびp9)との間の好ましい相互作用を予測する。これらの対立遺伝子は、世界中で見出される最も一般的なHLA-DR対立遺伝子を表し、任意の特定の民族集団において最も広く見出されるものに起因する重み付けはない。20個の対立遺伝子は、「オープン」p1構成および14個の対立遺伝子は、83位のグリシンがバリンで置き換えられる「クローズ」構成を含む。重要な結合残基の位置は、試験タンパク質配列にわたる8つのアミノ酸によってオーバーラップする9merのペプチドのin silico生成によって達成される。このプロセスは、MHCクラスII分子に結合する、または結合しないペプチド間で、高精度で区別することに成功した。
【0052】
抗体または抗原結合部分のT細胞エピトープは、TCED(商標)(T Cell Epitope Database(商標))を使用してVLおよびVH領域配列を解析することによって特定され、他のタンパク質配列のin vitroなヒトT細胞エピトープマッピング解析によって以前に特定されたT細胞エピトープに対する一致を検索することができる。TCED(商標)は、無関係なタンパク質配列および抗体配列に由来するペプチドの大規模(>10,000ペプチド)データベースに対する任意の試験配列を検索するために使用される。
【0053】
一部の実施形態では、抗PD1および抗VEGFR2抗体または抗原結合部分は、抗体または部分が、その配列において以下のペプチドの一つ以上の少ない数しか有しないため、低い免疫原性を呈し得る:高親和性外来(「HAF」-高免疫原性リスク)、低親和性外来(「LAF」-低免疫原性リスク)、および/またはTCED+(TCED(商標)データベースにおいて以前に特定されたエピトープ)。
【0054】
一部の実施形態では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体または抗原結合部分は、その配列において生殖系列エピトープ(GE)の高い含量を有し得る。一部の例では、抗PD1抗体または抗原結合部分は、その配列(例えば、VLおよび/またはVH領域配列)に、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20(または20超)の生殖系列エピトープを有する。生殖系列エピトープは、高いMHCクラスII結合親和性を有するヒト生殖系列ペプチド配列として定義され得る。生殖系列エピトープ9merのペプチドは、これまでの広範な生殖系列ペプチドを用いた研究で検証されているように、T細胞耐性により免疫原性を有する可能性は低い。重要なことに、このような生殖系列vドメインエピトープ(ヒト抗体定常領域内の類似の配列によりさらに支援される)は、抗原提示細胞の膜においてMHCクラスII占有率について競合し、T細胞刺激に必要な「活性化閾値」を達成するのに十分である外来ペプチド提示のリスクを低減する。したがって、高いGE含有量は、抗体治療薬の臨床開発において有益な品質であり、低い免疫原性を提供することができる。
【0055】
特定の実施形態では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体または抗原結合部分は、抗体Mab005の可変ドメイン配列を含む抗PD1抗体と比較して、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の両方のフレームワークに見られるHAF、LAFおよび/またはTCED+エピトープの数が減少し得る(表1および表2)。一部の実施形態では、HAF、LAFおよび/またはTCED+エピトープは、抗PD1抗体または抗原結合部分のVLおよび/またはVH領域配列に存在しない。
【0056】
本明細書において、「交差競合する」、「交差競合」、「交差ブロック」、「交差ブロックされる」および「交差ブロッキング」という用語は、本発明の抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体の標的PD1およびVEGFR2(例えば、ヒトPD1、ヒトVEGFR2)へのアロステリック調節を介して、直接的または間接的に結合を阻害する抗体またはその部分の能力を意味するために、互換的に使用される。抗体またはその部分が別の抗体またはその部分の標的に対する結合を妨害することができる範囲は、したがって、本発明に記載の交差ブロックまたは交差競合と言うことができるかどうかにかかわらず、競合結合アッセイを使用して決定することができる。結合競合アッセイの一例は、Homogeneous Time Resolved Fluorescence(HTRF)である。一つの特に適切な定量的交差競合アッセイは、標的への結合について、標識された(例えば、Hisタグされた、ビオチニル化または放射性標識された)抗体またはその部分と他の抗体又はその部分との間の競合を測定するFACSまたはAlphaScreenベースのアプローチを使用する。一般的に、交差競合抗体またはその部分は、例えば、アッセイの間、第二の抗体またはその部分の存在下で、本発明に記載の免疫グロブリン単一可変ドメインの記録された転置が、所与の量で存在する潜在的に交差競合する抗体またはその断片によって、理論最大置換(例えば、強さブロックされる必要のあるコールド(例えば、標識されていない)抗体またはその断片)の(例えば、FACSベースの競合アッセイにおいて)100%までであるように、交差競合アッセイにおいて標的に結合する交差競合抗体またはその部分である。交差競合抗体またはその部分は、10%~100%、または50%~100%である記録された転置を有することが好ましい。
【0057】
本明細書に定義される抗体分子または抗原結合部分は、翻訳後修飾(PTM)部位、例えば、グリコシル化部位(N結合またはO結合)、脱アミノ化部位、リン酸化部位または異性化/断片化部位を除去する、一つ以上の置換、欠失および/または挿入を含み得る。
【0058】
350種類以上のPTMが知られている。PTMの主要な形態として、リン酸化、グリコシル化(N結合およびO結合)、スモイル化、パルミトイル化、アセチル化、硫酸化、ミリストイル化、プレニル化およびメチル化(K残基およびR残基の)が挙げられる。特定のPTMに関与する推定アミノ酸部位を特定する統計的方法は、当該技術分野で周知である(Zhouら、2016、Nature Protocols1:1318-1321を参照)。置換、欠失および/または挿入によるこうした部位の除去ならびに(a)結合活性および/または(b)PTMの喪失について(実験的におよび/または理論的に)任意で試験することが企図される。
【0059】
抗体分子またはその抗原結合部分は、ヒト、ヒト化またはキメラであってもよい。
【0060】
抗体分子またはその抗原結合部分は、CDRが挿入された一つ以上のヒト可変ドメインフレームワーク足場を含み得る。例えば、VH領域、VL領域、またはVH領域とVL領域の両方は、一つ以上のヒトフレームワーク領域アミノ酸配列を含んでもよい。
【0061】
抗体分子またはその抗原結合部分は、対応するHCDR配列が挿入されたIGHV3-7ヒト生殖系列足場を含んでもよい。抗体分子またはその抗原結合部分は、対応するHCDR1、HCDR2およびHCDR3のアミノ酸配列のセットが挿入された、IGHV3-7ヒト生殖系列足場アミノ酸配列を含むVH領域を含んでもよい。
【0062】
抗体分子またはその抗原結合部分は、対応するLCDR配列が挿入されたIGKV1-39ヒト生殖系列足場を含んでもよい。抗体分子またはその抗原結合部分は、対応するLCDR1、LCDR2およびLCDR3のアミノ酸配列のセットが挿入されたIGKV1-39ヒト生殖系列足場アミノ酸配列を含むVL領域を含んでもよい。
【0063】
抗体分子またはその抗原結合部分は、対応するHCDR配列が挿入されたIGHV3-7ヒト生殖系列足場および対応するLCDR配列が挿入されたIGKV1-39ヒト生殖系列足場を含んでもよい。抗体分子またはその抗原結合部分は、対応するHCDR1、HCDR2およびHCDR3のアミノ酸配列のセットが挿入されたIGHV3-7ヒト生殖系列の足場アミノ酸配列を含むVH領域および対応するLCDR1、LCDR2およびLCDR3のアミノ酸配列のセットが挿入されたIGKV1-39ヒト生殖系列の足場のアミノ酸配列を含むVL領域を含んでもよい。HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列は、以下のクローン(MAB02A03、MAB02B03、MAB02D08、MAB05G03、MAB05E08、MAB01、MAB02、MAB03、MAB04、MAB05、MAB06、MAB06.1、MAB06.2、MAB06.3、MAB06.4、MAB06.5、MAB06.6、MAB06.7、MAB06.8、MAB06.8.1、MAB06.8.2、MAB06.8.3、MAB06.8.4、MAB06.8.5、MAB06.8.6、MAB06.8.7、MAB06.8.8またはMAB06.8.9)のいずれか一つのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列であってもよい(6個のCDR配列の全ては同じクローンに由来する)。
【0064】
一部の態様では、抗体分子またはその抗原結合部分は、免疫グロブリン定常領域を含んでもよい。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2である。追加の実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2である。抗体分子またはその抗原結合部分は、免疫学的に不活性な定常領域を含んでもよい。一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分は、野生型ヒトIgG1定常領域を含む免疫グロブリン定常領域、アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含み得る。一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分は、野生型ヒトIgG2定常領域または野生型ヒトIgG4定常領域を含む免疫グロブリン定常領域を含み得る。一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体は、表6のアミノ酸配列のいずれか一つを含む免疫グロブリン定常領域を含み得る。表6のFc領域配列は、CH1ドメインから始まる。一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体は、ヒトIgG4、ヒトIgG4(S228P)、ヒトIgG2、ヒトIgG1、ヒトIgG1-3MまたはヒトIgG1-4MのFc領域のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン定常領域を含み得る。例えば、ヒトIgG4(S228P)Fc領域は、野生型ヒトIgG4 Fc領域と比較して、以下の置換を含む:S228P。例えば、ヒトIgG1-3M Fc領域は、野生型ヒトIgG1 Fc領域と比較して、以下の置換を含む:L234A、L235AおよびG237A、ヒトIgG1-4M Fc領域は、野生型ヒトIgG1 Fc領域と比較して、以下の置換を含む:L234A、L235A、G237AおよびP331S。一部の態様では、免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸残基の位置は、EU命名法に従って番号付けされる(Wardら、1995 Therap. Immunol.2:77-94)。一部の態様では、免疫グロブリン定常領域は、RDELT(配列番号36)モチーフまたはREEM(配列番号37)モチーフ(表6に下線を引く)を含んでもよい。REEM(配列番号37)のアロタイプは、RDELT(配列番号36)のアロタイプよりも小さなヒト集団において見出される。一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体は、配列番号25~31のいずれか一つを含む免疫グロブリン定常領域を含み得る。一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体は、以下のクローン(MAB02A03、MAB02B03、MAB02D08、MAB05G03、MAB05E08、MAB01、MAB02、MAB03、MAB04、MAB05、MAB06、MAB06.1、MAB06.2、MAB06.3、MAB06.4、MAB06.5、MAB06.6、MAB06.7、MAB06.8、MAB06.8.1、MAB06.8.2、MAB06.8.3、MAB06.8.4、MAB06.8.5、MAB06.8.6、MAB06.8.7、MAB06.8.8またはMAB06.8.9)のいずれか一つの六つのCDRアミノ酸配列(6個のCDR配列の全ては同じクローンに由来する)および表6のFc領域アミノ酸配列のうちのいずれか一つを含んでいてもよい。一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体は、表6のFc領域アミノ酸配列のいずれか一つを含む免疫グロブリン重鎖定常領域およびカッパ軽鎖定常領域またはラムダ軽鎖定常領域である免疫グロブリン軽鎖定常領域を含み得る。
【0065】
一部の態様では、抗PD1および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分が本明細書に開示され、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域および重鎖定常領域を含み、
(a)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(b)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(c)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLSのLCDR1(配列番号8)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(d)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQTIGTWLTのLCDR1(配列番号9)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(e)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQTIGTWLTのLCDR1(配列番号9)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(f)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(g)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(h)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLGのLCDR1(配列番号12)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(i)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(j)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(k)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLSのLCDR1(配列番号8)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(l)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(m)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TASSLADのLCDR2(配列番号40)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(n)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLADのLCDR2(配列番号41)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(o)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(p)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(q)VH領域アミノ酸配列は、GFTSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)、およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TASSLADのLCDR2(配列番号40)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(q)VH領域アミノ酸配列は、GFTSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)、およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)のLCDR1、AASSLADのLCDR2(配列番号41)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は配列番号25~31のいずれか一つを含む、または
(s)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含み、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む。一部の実施形態では、抗体は、カッパ軽鎖定常領域またはラムダ軽鎖定常領域である免疫グロブリン軽鎖定常領域をさらに含む。
【0066】
一部の態様では、抗PD1および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分が本明細書に開示され、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域および重鎖定常領域を含み、
a)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号14を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(b)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号15を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(c)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号16を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(d)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号17を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(e)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号18を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(f)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号19を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(g)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号20を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(h)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号21を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(i)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号22を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(j)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号23を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(k)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号24を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(l)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(m)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(n)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(o)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(p)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(q)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、
(r)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む、または
(s)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、またはからなり;VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含み、またはからなり;重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG2定常領域を含み、野生型ヒトIgG1定常領域;アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域;またはアミノ酸置換L234A、L235A、G237AおよびP331Sを含むヒトIgG1定常領域を含む。
【0067】
一部の態様では、抗PD1および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分が本明細書に開示され、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域および重鎖定常領域を含み、
a)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号14を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(b)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号15を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(c)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号16を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(c)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号17を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(e)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号18を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(f)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号19を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(g)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号20を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(h)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号21を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(i)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号22を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(j)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号23を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(k)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号24を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(l)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(m)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(n)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(o)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(p)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(q)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、
(r)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む、または
(s)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含む、またはからなり、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む、またはからなり、重鎖定常領域は、配列番号25~31のいずれか一つを含む。
【0068】
一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体は、免疫エフェクターヌルであってもよい。一部の態様では、抗PD1および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分は、免疫エフェクター機能を誘導せず、任意に、免疫エフェクター機能を抑制する。一部の態様では、抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体は、ヒトFcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIaおよびFcγRIIIb受容体への測定可能な結合を欠くが、ヒトFcγRIIb受容体への結合を維持し、任意選択的にヒトFcRn受容体への結合を維持することができる。FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIaおよびFcγRIIIbは、活性化受容体の例である。FcγRIIbは、阻害性受容体の例である。FcRnは、リサイクル受容体の一例である。一部の態様では、ヒトFc受容体について抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分の結合親和性は、BIACORE(登録商標)分析によって測定することができる。一部の態様では、Homogeneous Time Resolved Fluorescence(HTRF)を使用して、ヒトFc受容体への抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体の結合を試験することができる。HTRFの一例では、ヒトIgG1(野生型)は、Fcガンマ受容体の全群であるように標識され、次いで操作されたFc断片を有する抗体は、滴定競合に使用される。一部の態様では、PD1陽性細胞および/またはVEGFR2陽性細胞をヒト白血球細胞および抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体と混合し、CDC、ADCCおよび/またはADCPによる細胞死滅を測定することができる。一部の態様では、ヒトIgG1-3MのFc領域のアミノ酸配列を含む抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体(表6を参照)は、エフェクターヌルである。一部の態様では、ヒトIgG1-3MのFc領域のアミノ酸配列を含む抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体(表6を参照)は、エフェクターヌルではない。
【0069】
抗体分子またはその抗原結合部分は、Fab断片、F(ab)2断片、Fv断片、四量体抗体、四価抗体、多重特異性抗体(例えば、二価抗体)、ドメイン特異性抗体、単一ドメイン抗体、モノクローナル抗体または融合タンパク質であってもよい。一実施形態では、抗体は、二つ以上の抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体であってもよい。一部の実施形態では、第一の抗原結合ドメインは、PD1およびVEGFR2に特異的に結合し、第二の抗原結合ドメインは、PD1でもVEGFR2でもない抗原に特異的に結合する。それらの構築および使用のための抗体分子および方法は、例えば、Holliger&Hudson(2005、Nature Biotechnol.23(9):1126-1136)に記載されている。
【0070】
本発明の別の態様では、治療剤を連結した、本明細書に定義される本発明の抗体分子またはその抗原結合部分を含む免疫コンジュゲートが提供される。
【0071】
好適な治療剤の例としては、サイトトキシン、放射性同位元素、化学療法剤、免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、アポトーシス促進剤および細胞分裂停止酵素および細胞溶解酵素(例えば、リボヌクレアーゼ)が挙げられる。さらなる治療剤は、免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤またはアポトーシス促進剤をコードする遺伝子などの治療用核酸を含む。これらの薬剤記述子は相互に排他的ではなく、したがって、治療剤を、上記用語のうちの一つ以上を使用して記載してもよい。
【0072】
免疫コンジュゲートに使用するための適切な治療剤の例としては、タキサン、メイタンシン、CC-1065およびデュオカルマイシン、カリチアミシンおよびその他のエネジインおよびオーリスタチンが挙げられる。他の例としては、抗葉酸、ビンカアルカロイドおよびアントラサイクリンが挙げられる。植物毒素、他の生理活性タンパク質、酵素(すなわち、ADEPT)、放射性同位元素、光増感剤も、免疫コンジュゲートに使用され得る。さらに、コンジュゲートは、リポソームまたはポリマーなどの細胞傷害性薬剤として二次担体を使用して作製することができ、適切なサイトトキシンは、細胞の機能を阻害するかまたは妨げ、および/または細胞の破壊をもたらす薬剤を含む。代表的なサイトトキシンには、抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、DNAに結合し、DNAを破壊するアルキル化剤およびタンパク質合成またはタンパク質キナーゼ、ホスファターゼ、トポイソメラーゼ、酵素およびサイクリンなどの必須細胞タンパク質の機能を破壊する薬剤が含まれる。
【0073】
代表的なサイトトキシンとして、限定されるものではないが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、アクラビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、カルビシン、ノガラマイシン、メノガリル、ピタルビシン、バルルビシン、シタラビン、ゲムシタビン、トリフルリジン、アンシタビン、エノシタビン、アザシチジン、ドキシフルジン、ペントスタチン、ブロクサフジン、カペシタビン、クラドビン、デシタビン、フロキスフジン、フルダラビン、グゲロチン、ピューロマイシン、テガフル、チアゾフン、アドハマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、メクロルエタミン、プレドニゾン、プロカルバジン、メトトレキサート、フルオロウラシル、エトポシド、タキソール、タキソール類似体、シスプラチンおよびカルボプラチンなどのプラチン、ミトマイシン、チオテパ、タキサン、ビンクリスチン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、タモキシフェン、イダルビシン、ドラスタチン/オーリスタチン、ヘミアステリン、エスペルアマイシンおよびメイタンシノイドが挙げられる。
【0074】
適切な免疫調節剤には、腫瘍に対するホルモン作用を遮断する抗ホルモン剤およびサイトカイン産生を抑制し、自己抗原発現を下方制御し、またはMHC抗原をマスクする免疫抑制剤が挙げられる。
【0075】
本明細書に定義される本発明の抗体分子またはその抗原結合部分をコードする核酸分子も提供される。核酸分子は、(a)VH領域アミノ酸配列、(b)VL領域アミノ酸配列または(c)本明細書に記載される抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体もしくはその抗原結合部分のVHおよびVL領域アミノ酸配列の両方をコードしてもよい。一部の態様では、本明細書に定義される核酸分子は単離されてもよい。
【0076】
本明細書に定義される本発明の核酸分子を含むベクターがさらに提供される。ベクターは発現ベクターであってもよい。
【0077】
また、本明細書に定義される本発明の核酸分子またはベクターを含む宿主細胞が提供される。宿主細胞は、組換え宿主細胞であってもよい。一部の態様では、宿主細胞は、本明細書に記載される抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分のVH領域アミノ酸配列およびVL領域アミノ酸配列の両方をコードする核酸分子を含むベクターを含み得る。一部の態様では、宿主細胞は、VH領域アミノ酸配列をコードする核酸分子を含む第一のベクターおよび本明細書に定義される抗PD1および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分のVL領域アミノ酸配列をコードする核酸分子を含む第二のベクターを含んでいてもよい。
【0078】
さらなる態様では、抗PD1および抗VEGFR2抗体および/またはその抗原結合部分を産生する方法が提供され、この方法は、抗体および/またはその抗原結合部分の発現および/または産生をもたらす条件下で本発明の宿主細胞を培養することと、抗体および/またはその抗原結合部分を宿主細胞または培養物から単離することと、を含む。
【0079】
本発明の別の態様では、本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される本発明の核酸分子または本明細書に定義される本発明のベクターを含む医薬組成物が提供される。
【0080】
さらに、有効量の本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される本発明の免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される本発明の核酸分子または本明細書に定義される本発明のベクターまたは本明細書に定義される本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象における免疫応答を強化する方法が提供される。
【0081】
さらなる態様において、有効量の本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される本発明の免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される本発明の核酸分子または本明細書に定義される本発明のベクターまたは本明細書に定義される本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象における癌を治療または予防する方法が提供される。一部の実施形態では、癌は、PD1および/またはVEGFR2の発現または過剰発現に関連している。
【0082】
例えば、癌は、膵癌、黒色腫、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮または子宮内膜癌、口腔または咽頭癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫または血液組織の癌であってもよい。
【0083】
本発明は、癌の治療に使用するための、本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される本発明の免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される本発明の核酸分子または本明細書に定義される本発明のベクターまたは本明細書に定義される本発明の医薬組成物も提供する。
【0084】
別の態様では、本発明は、第二の治療剤、例えば、抗癌剤と組み合わせた組み合わせにおける別個の、連続的なまたは同時的な使用のために、抗体分子またはその抗原結合部分または免疫コンジュゲートまたは核酸分子または使用のためのベクターまたは本明細書に定義される本発明の治療方法を提供する。
【0085】
さらなる態様において、本発明は、癌の治療に使用するための医薬の製造において、本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される本発明の免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される本発明の核酸分子または本明細書に定義される本発明のベクターまたは本明細書に定義される本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0086】
本発明は、有効量の本明細書に定義される本発明の抗体分子もしくはその抗原結合部分または本明細書に定義される免疫コンジュゲートまたは本明細書に定義される核酸分子または本明細書に定義されるベクターまたは本明細書に定義される本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象における癌または免疫疾患を治療または予防する方法も提供する。
【0087】
一実施形態では、本発明は、治療における使用のために本明細書に開示されるアミノ酸配列を含む抗PD1抗体および抗VEGFR2抗体またはその抗原結合部分を提供する。
【0088】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、担体または希釈剤を含み得る。薬学的に許容可能な賦形剤は、二次反応を誘発せず、例えば、抗PD1および抗VEGFR2抗体分子の投与の円滑化、その寿命の増加および/または体内での有効性の増加または溶液中の溶解性の増加を可能にする、医薬組成物に入る化合物または化合物の組み合わせであってもよい。これらの薬学的に許容可能なビヒクルは周知であり、抗PD1および抗VEGFR2抗体分子の投与様式の機能として、当業者によって適合されるであろう。
【0089】
一部の実施形態では、抗PD1抗体分子および抗VEGFR2抗体分子は、投与前に再構成するために凍結乾燥形態で提供されてもよい。例えば、凍結乾燥された抗体分子は、個体への投与前に、滅菌水中で再構成され、生理食塩水と混合されてもよい。
【0090】
抗PD1および抗VEGFR2抗体分子は通常、医薬組成物の形態で投与され、抗体分子に加えて少なくとも一つの成分を含んでもよい。したがって、医薬組成物は、抗PD1抗体分子および抗VEGFR2抗体分子に加えて、当業者に周知の薬学的に許容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤またはその他の物質を含んでもよい。かかる材料は、非毒性であるべきであり、抗PD1および抗VEGFR2抗体分子の有効性に干渉するべきではない。担体または他の材料の正確な性質は、以下に論じるように、ボーラス投与、注入、注射または任意の他の適切な経路によってなりうる投与経路に依存する。
【0091】
非経口では、例えば、皮下注射または静脈内投与、例えば、注射によって、抗PD1抗体分子および抗VEGFR2抗体分子を含む医薬組成物は、パイロジェンを含まず、適切なpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容可能な水溶液の形態であってもよい。当業者であれば、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを使用して、適切な溶液を調製することができる。保存剤、安定剤、緩衝液、抗酸化物質および/または他の添加剤は、リン酸塩、クエン酸塩およびその他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンなどの抗酸化物質;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3’-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖類、二糖類および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0092】
抗PD1抗体分子および抗VEGFR2抗体分子を含む医薬組成物は、単独で、または他の治療剤との組み合わせで、治療される状態に依存して、同時にまたは連続して投与することができる。
【0093】
本明細書に記載される抗PD1および抗VEGFR2抗体分子は、ヒトまたは動物の体の治療方法に使用されてもよく、予防的治療または予防治療(例えば、個体における状態の発症リスクを減少させるために個体における状態の発症前の治療;その発症の遅延;または発症後の重症度の低減)が含まれる。治療方法は、抗PD1抗体分子および抗VEGFR2抗体分子を、それを必要とする個体に投与することを含み得る。
【0094】
投与は通常、患者に利益を示すのに十分である、「治療有効量」にある。こうした利益は、少なくとも一つの症状の少なくとも改善でありうる。実際の投与量、ならびに投与速度および投与時間コースは、治療されるものの性質および重症度、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、組成物の送達部位、投与方法、投与のスケジューリングおよび医療従事者に公知の他の要因に依存する。治療の処方、例えば、用量の決定などは、一般開業医および他の医師の責任内であり、治療される疾患の症状および/または進行の重症度に依存しうる。抗体分子の適切な用量は当該技術分野で周知である(Ledermann J.A.ら、1991、Int.J.Cancer47:659-664;Bagshawe K.D.ら、1991、Antibody、Immunoconjugates and Radiopharmaceutics 4:915-922)。特定の用量は、投与される薬剤の種類が適切に使用されるように、本明細書またはPhysician’s Desk Reference(2003)に示されていてもよい。抗体分子の治療有効量または適切な用量は、動物モデルにおけるそのin vitro活性およびin vivo活性を比較することによって決定されうる。マウスおよび他の試験動物における有効用量をヒトに外挿する方法が知られている。正確な用量は、抗体が予防または治療のためのものであるか、治療される領域のサイズおよび位置、抗体(例えば、全抗体、断片)の正確な性質および抗体に付着された任意の検出可能な標識または他の分子の性質を含む、いくつかの因子に依存する。
【0095】
典型的な抗体用量は、全身適用では100μg~1gの範囲であり、局所適用では1μg~1mgの範囲内である。より高い初期負荷用量に続いて、1回以上の低用量が投与されてもよい。典型的には、抗体は、全抗体、例えば、IgG1またはIgG4アイソタイプである。これは、成人患者の単一治療のための用量であり、小児および幼児については比例的に調整されてもよく、また分子量に比例して他の抗体フォーマットについても調整されてもよい。治療は、医師の裁量で、毎日、週2回、週1回、または月1回の間隔で繰り返されてもよい。個体の治療スケジュールは、抗体組成物の薬物動態および薬力学特性、投与経路および治療される状態の性質に依存し得る。
【0096】
治療は、周期的であってもよく、投与間の期間は、約2週間以上、例えば、約3週間以上、約4週間以上、約1カ月以上、約5週間以上または約6週間以上であってもよい。例えば、治療は、2~4週間毎または4~8週間毎であってもよい。治療は、手術前および/または手術後に行われてもよく、および/または外科手術または侵襲的処置の解剖学的部位に直接投与または適用されてもよい。適切な製剤および投与経路は、上記に記載されている。
【0097】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗PD1および抗VEGF抗体分子は、皮下注射として投与されてもよい。皮下注射は、例えば、長期予防/治療のために、自動注射器を使用して投与されうる。
【0098】
一部の実施形態では、抗PD1および抗VEGF抗体分子の治療効果は、用量に応じて、いくつかの半減期にわたって持続し得る。例えば、抗PD1および抗VEGF抗体分子の単回投与の治療効果は、個体において、1ヵ月以上、2ヵ月以上、3ヵ月以上、4ヵ月以上、5ヵ月以上または6ヵ月以上、持続し得る。
【0099】
本発明は、ヒトPD1およびヒトVEGFR2に特異的に結合し、任意選択的に、カニクイザルPD1およびサルVEGFR2またはその抗原結合部分にも特異的に結合する抗体分子を製造する方法も提供され、
(1)非ヒトソースからヒトvドメインフレームワークに抗PD1 CDRを移植して、ヒト化抗PD1抗体分子またはその抗原結合部分を製造するステップ、
(2)CDR中に一つ以上の変異を含む、ヒト化抗PD1抗体分子またはその抗原結合部分のクローンのライブラリを生成するステップ、
(3)ヒトPD1、および任意選択的にカニクイザルPD1への結合について、ヒトVEGFR2およびアカゲザルVEGFR2への結合についてもライブラリをスクリーニングするステップ、
(4)ヒトPD1に対する結合特異性、任意選択的にカニクイザルPD1およびヒトVEGFR2およびアカゲザルVEGFR2に対する結合特異性も有するクローンをスクリーニングステップ(3)から選択するステップ、
(5)ステップ(4)から選択されるクローンから、ヒトPD1に特異的に結合する抗体分子ならびに任意選択的にカニクイザルPD1ヒトVEGFR2およびアカゲザルVEGFR2またはこれらの抗原結合部分に特異的に結合する抗体分子を製造するステップ、
(6)抗体の分子的質をさらに改善する可能性を確認するために、CDRにおいて生殖細胞変異誘発試験を実施するステップ、を含む。
【0100】
方法は、ステップ(4)において選択されたクローンに基づいて、例えば、ステップ(4)において選択されたクローンのCDRの特定の位置におけるさらなる探索的変異誘発に基づいて、追加のクローンを製造して、ヒト化を高め、および/またはヒトT細胞エピトープ量を最小にし、および/またはステップ(5)において製造された抗体分子またはその抗原結合部分における製造特性を改善するさらなるステップを含んでいてもよい。
【0101】
本明細書で使用される場合、「PD1」という用語は、PD1の生物活性の少なくとも一部を保持するプログラム細胞死タンパク質1およびそのバリアントを指す。本明細書で使用される場合、PD1は、ヒト、ラット、マウスおよびニワトリを含む、天然配列PD1のすべての種を含み得る。「PD1」という用語は、ヒトPD1のバリアント、アイソフォームおよび種相同体を含むように使用されうる。
【0102】
一部の実施形態では、「PD1」は、PD1の野生型ヒト形態を指す。本発明の抗体は、ヒト以外の種由来のPD1、特にカニクイザル由来のPD1(Macaca fascicularis)と交差反応し得る。ヒトおよびカニクイザルPD1アミノ酸配列の例を表7に提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、ヒトPD1に完全に特異的であってもよく、非ヒト交差反応を示さなくてもよい。
【0103】
本明細書で使用される場合、「VEGFR2」という用語は、VEGFR2の生物学的活性の少なくとも一部を保持する血管内皮増殖因子受容体2(KDRまたはFLK1としても知られる)およびそのバリアントを指す。本明細書で使用される場合、VEGFR2は、ヒト、ラット、マウスおよびニワトリを含む、天然配列VEGFR2のすべての種を含み得る。「VEGFR2」という用語は、ヒトVEGFR2のバリアント、アイソフォームおよび種相同体を含むように使用されうる。一部の実施形態では、「VEGFR2」は、VEGFR2の野生型ヒト形態を指す。本発明の抗体は、ヒト以外の種のVEGFR2、特にアカゲザル(Macaca mulatta)由来のVEGFR2と交差反応し得る。ヒトおよびアカゲザルVEGFR2アミノ酸配列の例を表7に提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、ヒトVEGFR2に完全に特異的であってもよく、非ヒト交差反応を示さなくてもよい。
【0104】
本明細書で使用される場合、本発明の抗体の文脈において使用される「拮抗薬」または「抗PD1および抗VEGFR2アンタゴニスト抗体」(同義の用語として「抗PD1および抗VEGFR2抗体」)は、PD1およびVEGFR2に結合することができ、PD1およびVEGFR2生物活性ならびに/またはPD1および/もしくはVEGFR2シグナル伝達によって媒介される下流経路を阻害することができる抗体を指す。抗PD1および抗VEGFR2拮抗薬抗体は、受容体結合および/またはPD1およびVEGFR2に対する細胞応答の誘発などのPD1および/またはVEGFR2によって媒介される下流経路を含む、(著しくを含む)PD1およびVEGFR2生物活性を遮断する、拮抗する、抑制するまたは減少させることができる抗体を含む。本発明の目的のために、「抗PD1および抗VEGFR2拮抗薬抗体」という用語は、全ての用語、タイトルおよび機能的状態および特徴を含み、それによってPD1およびVEGFR2そのものおよびPD1およびVEGFR2生物活性(限定されないが、T細胞の抗腫瘍細胞活性の活性化を抑制するその能力を含む)または活性もしくは生物活性の結果が、任意の意味のある程度に実質的に無効になる、減少するまたは中和されることは明示的に理解される。
【0105】
抗体は、他の受容体に結合するより大きい親和性、結合活性で結合し、より容易に、および/またはより長く結合する場合、PD1またはVEGFR2に「特異的に結合する」、「特異的に相互作用する」、「優先的に結合する」、「結合する」または「相互作用する」。
【0106】
「抗体分子」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも一つの抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で使用される場合、「抗体分子」という用語は、無傷のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を含むだけでなく、任意の抗原結合断片(例えば、「抗原結合部分」)またはその単鎖、抗体を含む融合タンパク質ならびに例えば、限定されないが、scFv、単一ドメイン抗体(例えば、サメおよびラクダ抗体)、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NARおよびbis-scFvを含む抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成も含む。
【0107】
「抗体分子」は、IgG、IgAまたはIgM(またはそのサブクラス)などの任意のクラスの抗体を包含し、抗体は、任意の特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには五つの主要なクラスがあり:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMならびにこれらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばlgG1、lgG2、lgG3、lgG4、lgA1およびlgA2にさらに分けられてもよい。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、エプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構成は周知である。
【0108】
本明細書に使用される場合、抗体分子の「抗原結合部分」という用語は、PD1に特異的に結合する能力を保持するインタクトな抗体の一つ以上の断片を指す。抗体分子の抗原結合機能は、インタクトな抗体の断片によって実施され得る。抗体分子の用語「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、単一ドメイン抗体(dAb)断片および単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0109】
「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を画定するために使用される。「Fc領域」は、天然配列のFc領域またはバリアントのFc領域であってもよい。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化する場合があるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、位置Cys226のアミノ酸残基から、またはPro230からそのカルボキシル末端に伸びるように画定される。Fc領域中の残基のナンバリングは、KabatにあるEU指数のものである。免疫グロブリンのFc領域は、概して、CH2およびCH3の二つの定常ドメインを含む。当技術分野で公知のように、Fc領域は、二量体または単量体形態で存在し得る。
【0110】
抗体の「可変領域」は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を、単独でまたは組み合わせて指す。技術分野で公知のように、重鎖および軽鎖の可変領域はそれぞれ、超可変領域としても知られる三つの相補性決定領域(CDR)によって接続される四つのフレームワーク領域(FR)から構成され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRに隣接するFRを選択する場合、例えば、抗体をヒト化または最適化する場合、同じ標準クラスのCDR配列を含有する抗体由来のFRが好ましい。
【0111】
本出願に使用されるCDRの定義は、多くの異なる、フィールドにおいて作製された相克することの多いスキームに使用されるドメインを組み合わせ、免疫グロブリンレパートリー分析と、単離した抗体および抗原との共結晶の構造的分析の組み合わせに基づいている(Swindellsら、2016,abYsis:Integrated Antibody Sequence and Structure-Management, Analysis,and Prediction.J Mol Biol.[PMID:27561707;Epub 22 August 2016])。本明細書で使用されるCDR定義(「統合」定義)は、そのような過去の全ての知見の教訓を組み込み、標的結合相補性を媒介する可能性のある完全な残基ランドスケープをサンプリングするために必要な全ての適切なループ位置を含む。
【0112】
表1は、本明細書で定義されるCDRを有するMAb005ヒト化抗PD1抗体のVLドメインのアミノ酸配列を示す。表2は、本明細書で定義されるCDRを有するMAb005ヒト化抗PD1抗体のVHドメインのアミノ酸配列を示す。
【0113】
本明細書で使用される場合、「保存的置換」という用語は、機能活性を著しく有害なほど変化させない別のアミノ酸によるアミノ酸の置換を指す。「保存的置換」の好ましい例は、一つのアミノ酸を、以下のBLOSUM 62置換マトリックスにおいて0以上の値を有する別のアミノ酸と置換することである(Henikoff & Henikoff、1992、PNAS 89:10915-10919を参照):
【表1】
【0114】
「モノクローナル抗体」(Mab)という用語は、例えば、任意の真核、原核またはファージクローンを含み、それが産生される方法を含まない、単一コピーまたはクローンに由来する抗体またはその抗原結合部分を指す。本発明のモノクローナル抗体は、均質な集団または実質的に均質な集団に存在することが好ましい。
【0115】
「ヒト化」抗体分子は、非ヒト(例えばマウス)抗体分子またはその抗原結合部分の形態を指し、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖または非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むこれらの断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合サブ配列)である。ヒト化抗体は、レシピエントのCDRからの残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換される、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であってもよい。
【0116】
「ヒト抗体または完全ヒト抗体」は、ヒト抗体遺伝子を担持するトランスジェニックマウスまたはヒト細胞に由来する抗体分子またはその抗原結合部分を指す。
【0117】
「キメラ抗体」という用語は、抗体分子またはその抗原結合部分を指し、可変領域配列は一つの種に由来し、定常領域配列は抗体分子などの別の種に由来し、可変領域配列はマウス抗体に由来し、定常領域配列はヒト抗体に由来する。
【0118】
「抗体薬物コンジュゲート」および「免疫コンジュゲート」は、PD1およびVEGFR2に結合し、細胞傷害性薬剤、細胞分裂阻害剤および/または治療剤に抱合される抗体誘導体を含む、抗体分子またはその抗原結合部分を指す。
【0119】
本発明の抗体分子またはその抗原結合部分は、技術分野で周知の技術、例えば、組換え技術、ファージ表示技術、合成技術またはそのような技術の組み合わせ、または当技術分野で容易に知られている他の技術を使用して作製することができる。
【0120】
「単離分子」という用語(分子が例えばポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体である)は、その起源または導出源によって、(1)その天然状態で付随する天然関連成分と関連しない、(2)同じ種由来の他の分子が実質的に存在しない、(3)異なる種由来の細胞によって発現される、または(4)自然界では発生しない分子である。したがって、化学的に合成された、またはそれが天然由来の細胞とは異なる細胞系で発現された分子は、その天然関連成分から「単離」される。分子はまた、技術分野で周知の精製技術を使用して、単離によって天然関連成分を実質的に含まないようにしてもよい。分子の純度または均質性は、当技術分野で周知のいくつかの手段によって分析されてもよい。例えば、ポリペプチドサンプルの純度は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびゲルの染色を使用して分析され、当該技術分野で周知の技術を使用してポリペプチドを可視化することができる。特定の目的のために、HPLCまたは精製のために技術分野で周知の他の手段を使用することによって、より高い解像度が提供されてもよい。
【0121】
「エピトープ」という用語は、一つ以上の抗体分子の抗原結合領域における抗体分子によって認識され、結合することができる分子の部分またはその抗原結合部分を指す。エピトープは、一次、二次または三次タンパク質構造の定義された領域からなり得、抗体の抗原結合領域またはその抗原結合部分によって認識される標的の二次構造単位または構造ドメインの組み合わせを含む。同様に、エピトープは、アミノ酸または糖側鎖などの分子の定義された化学的に活性な表面グループからなり得、特定の三次元構造特性ならびに特定の荷電特性を有する。本明細書で使用される場合、「抗原エピトープ」という用語は、例えば、従来のイムノアッセイ、抗体競合結合アッセイまたはX線結晶構造解析法もしくは関連する構造決定方法(例えばNMR)など、技術分野で周知の任意の方法によって決定されるように、抗体分子が特異的に結合することができるポリペプチドの一部分として定義される。
【0122】
「結合親和性」または「KD」という用語は、特定の抗原-抗体相互作用の解離速度を指す。KDは、解離の速度の比であり、解離の速度は、関連速度に対する「オフレート(koff)」、または「オンレート(kon)」とも呼ばれる。したがって、KDは、koff/konに等しく、モル濃度(M)として表される。次に、KDが小さいほど、結合の親和性が強い。したがって、1μMのKDは、1nMのKDと比較して弱い結合親和性を示す。抗体のKD値は、技術分野で確立された方法を使用して決定することができる。抗体のKDを決定する一つの方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することであり、典型的には、Biacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用する。
【0123】
「力価」という用語は、IC50として示され、または本明細書に記載のPD1またはVEGFR2活性アッセイにおいて測定された活性の50%を阻害する抗原PD1またはVEGFR2に対する抗体または抗体薬物コンジュゲートの効果的な濃度として示すことができる。
【0124】
本明細書で使用される場合、語句「有効量」または「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するために必要な量(用量および期間ならびに投与手段)を指す。有効量は、対象に治療的利益を与えるために必要な活性剤の少なくとも最小量であるが毒性量未満である。
【0125】
本発明の抗体分子の生物活性に関して本明細書で使用される用語「阻害する」または「中和する」は、例えば、PD1またはVEGFR2に対する抗体分子の生物活性または結合相互作用を含むがこれに限定されない、阻害される進行または重症度を、抗体が実質的に拮抗する、禁止する、防止する、制限する、減速する、除去する、停止する、低減するまたは逆転する能力を意味する。
【0126】
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入の組み込みのためのベクターのレシピエントであり得るか、またはこれまであった個々の細胞または細胞培養を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、子孫は、自然突然変異、偶発的な突然変異または故意の突然変異により、元の親細胞と完全に同一であるとは限らない(形態学的またはゲノムDNA補体において)。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチドを用いてin vivoでトランスフェクトされた細胞を含む。
【0127】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、宿主細胞に一つ以上の対象の遺伝子または配列を送達し、好ましくは発現することができる構築物を意味する。ベクターの例としては、以下に限定されないが、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性凝縮剤と関連付けられたDNAまたはRNA発現ベクター、リポソームに封入されたDNAまたはRNA発現ベクター、およびプロデューサー細胞などの特定の真核細胞が挙げられる。
【0128】
本明細書で使用される場合、別段の示唆が無い限り、用語「治療すること」は、かかる用語が適用される障害もしくは状態またはかかる障害もしくは状態の一つ以上の症状の逆転、緩和、進行の阻害、進行の遅延、発症の遅延または予防を意味する。本明細書で使用される場合、別段の示唆がない限り、用語「治療」は、上記に定義される治療行為を指す。用語「治療すること」はまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント治療を含む。疑義を避けるために付言すると、本明細書の「治療」への言及には、治癒的、緩和的および予防的治療への言及が含まれる。疑義を避けるために付言すると、本明細書の「治療」への複数の言及にも、治癒的、緩和的および予防的治療への複数の言及が含まれる。
【0129】
実施形態が本明細書に「含む」という文言で記述されている場合、そうでなければ、「からなる」および/または「本質的にからなる」という用語で記述された類似の実施形態も提供されることが理解される。
【0130】
本発明の態様または実施形態が、Markushグループまたは他の代替のグループの観点から記述される場合、本発明は、全体として列挙されたグループ全体だけでなく、個別にグループの各メンバーおよび主要グループの可能性のあるすべてのサブグループを包含するだけでなく、一つ以上のグループメンバーが存在しない主要グループも包含する。本発明はまた、特許請求の範囲の発明における一つ以上のグループメンバーを明示的に除外することを想定する。
【0131】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。本明細書および特許請求の範囲全体を通して、用語「comprise」、または「comprises」または「comprising」などの変形は、指定された整数または整数の群を含むが、その他の任意の整数または整数の群を排除しないことを暗示するものとして理解されるであろう。文脈上別段の定めがない限り、単数形は複数形を含み、複数形は単数形を含むものとする。用語「例えば」に続く任意の例 は、網羅的または限定的であることを意味するものではない。
【0132】
本発明の実践は、別段の示唆がない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来的な技術を採用する。
【0133】
本発明の特定の非限定的な実施形態を、添付図面を参照してこれから説明する。
【実施例】
【0134】
実施例1 最適化された抗PD1治療用抗体の生成
はじめに
この実施例では、同時にVEGFR2のアンタゴニストでもある拮抗性の最適化された抗PD1抗体のパネルの生成に成功している。これらの抗PD1抗体は、良好に発現され、生物物理学的に安定し、高度に可溶性であり、好ましいヒト生殖細胞系に対する同一性が最大化された。
【0135】
材料および方法
PD1ライブラリの生成と選択
PD1 Fabレパートリーを、質量オリゴ合成およびPCRによって構築した。VL(表1)ドメインおよびVH(表2)ドメインのCDRおよびCDR近位領域に変異誘発を適用した。次いで、増幅されたFabレパートリーを、制限-ライゲーションを介してファージミドベクターにクローニングし、大腸菌(E.coli)TG-1細胞に形質転換し、ファージレパートリーを、前述した詳細に記載されるように本質的に救済した(Finlayら、2011、Methods Mol Biol681: 383-401)。
【0136】
ストレプトアビジン磁気マイクロビーズをビオチン化PD1またはVEGFR2標的タンパク質(ヒトまたはサルのいずれか)で被覆し、ビーズをPBSで3回洗浄し、PBS pH7.4および5%スキム乳タンパク質に再懸濁することによって、ファージ選択を行った。これらのビーズを、ラウンド1の選択で100nMの標的タンパク質で被覆し、続いて3回連続で抗原濃度を減少させた。各ラウンドで、ファージをトリプシンを使用して溶出し、その後TG1細胞に再感染させた。
【0137】
周辺質外抽出物の産生(小規模)
個々の大腸菌(E.coli)クローンにおける可溶性Fabの製造を実施した。対数増殖期における大腸菌TG1細胞を、イソプロピル1-チオ-D-β-ガラクトピラノシドで誘導した。可溶性Fabを含有する周辺質抽出物を、凍結/融解サイクルによって生成した:細菌細胞ペレットを-20℃で一晩凍結し、次いで室温で解凍し、PBS pH7.4中に再懸濁した。可溶性Fabを含有する上清を、室温で振とうし、遠心分離した後に収集した。
【0138】
IgGの発現および精製
リードパネル抗PD1抗体とMab005の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインをコードする哺乳類コドン最適化合成遺伝子を、エフェクター機能ヌルヒトIgG1(「IgG1null」;L234A、L235A、G237A変異を下側ヒンジに含有し、正常な免疫グロブリンADCC、ADCPおよびCDC機能をそれぞれ抑制するヒトIgG1)およびヒトCκドメインを含む哺乳類発現ベクターにクローニングした。哺乳類発現系に重鎖および軽鎖含有ベクターの共トランスフェクションを行い、続いてタンパク質AベースのIgGの精製、定量化ならびに変性SDS-PAGEおよび非変性SDS-PAGEに関するQCを行った。
【0139】
FabおよびIgGに対する直接結合ELISA
リードパネルの組換えタンパク質への結合および交差反応性は、最初にELISAを結合することによって評価された。ヒトPD1ヒトFcタグ付き組み換えタンパク質およびカニクイザルPD1ヒトFcタグ付き組み換えタンパク質を、1μg/mlでMaxiSorp(商標)平底96ウェルプレートの表面に被覆した。精製されたFabまたはIgGサンプルを、500nM~0.98nMで始まる2倍連続希釈で滴定し、被覆された抗原に結合させた。Fabsは、マウス抗c-myc抗体、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼに結合されたロバ抗マウスIgGを使用して検出された。IgGは、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合されたマウス抗ヒトIgGを使用して検出された。結合シグナルを、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン基質溶液(TMB)および450nmで測定された吸光度で可視化した。
【0140】
Fabペリプレップ(periprep)に対するAlphaScreenエピトープ競合アッセイ
AlphaScreenアッセイ(Perkin Elmer社)を、384ウェル白色マイクロタイタープレート(Greiner社)中、最終容量25μlで実施した。反応緩衝液は、1倍のPBS pH 7.3(Oxoid社,カタログ番号 BR0014G)および0.05%(v/v)Tween(登録商標)20(Sigma社、カタログ番号P9416)を含んだ。反応緩衝液に希釈されたペリプレップサンプルを、ビオチン化ヒトPD1-His/AviTagで、0.6nMの最終濃度で、室温で20分間インキュベートした。0.3nMのhMAb005 IgGおよび抗ヒトIgG1アクセプタービーズを20μg/ml(最終濃度)で添加し、混合物を室温で1時間インキュベートし、続いて、ストレプトアビジンドナービーズを20μg/ml(最終濃度)で添加し、室温で30分間インキュベーションした。光の放射を、EnVisionマルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer社)で測定し、EnVision管理ソフトウェアを使用して分析した。値は、Counts Per Second(CPS)として報告され、クロストークについて補正された。シグナル減少率を、無関係なサンプルに対して計算した。
【0141】
PD1/PD-L1細胞ベースの拮抗アッセイ
PD1/PD-L1遮断細胞ベースのバイオアッセイ(Promega社)を使用して、PD1/PD-L1相互作用の遮断における抗体の能力を測定した。アッセイの前日に、PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞を解凍し、細胞回収培地(90%のHam’s F12/10%のFBS)に移した。細胞懸濁液を、二つの96ウェルの白色の平底アッセイプレートの内部60ウェルの各々に、ウェル当たり100μlで分注した。細胞回収培地を、外側ウェルおよびアッセイプレートの各々に添加し、37℃/5%のCO2で一晩インキュベートした。アッセイの日に、サンプルIgGを、アッセイ緩衝液(99%のRPMI 1640/1%のFBS)に、300nMから0,04nMまで4倍に希釈し、1希釈当たり40μLを、PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞を含有するアッセイプレートに添加した。ポジティブ阻害対照には、IgG1ヌル型およびニボルマブIgG4のmAb005が含まれた。ネガティブ阻害コントロールとして、無関係なIgGが含まれた。次いでPD1エフェクター細胞をアッセイ緩衝液(99%のRPMI 1640/1%のFBS)に解凍し、細胞懸濁液を、PD-L1 aAPC/CHO-K1細胞およびIgG滴定サンプルを含有するアッセイプレートのウェルに加えた。アッセイプレートを、37℃/5%のCO2インキュベーターに6時間インキュベートし、5~10分間、周囲温度に平衡化させ、次いで、80μlのBio-Glo(商標)試薬(Promega社)を添加した。アッセイプレートを、周囲温度でさらに5~30分間インキュベートし、その後10、20、および30分で発光シグナルを測定した。
【0142】
一方向ヒトDC:T細胞混合リンパ球反応(MLR)アッセイ
CD14+単球を、3名のドナーからのPBMCから単離し、GM-CSFおよびIL-4の存在下でインビトロで培養して、未成熟単球由来樹状細胞(mo-DC)を産生した。mo-DCは、TNFαの添加により培養物にさらに成熟した。Pan-T細胞を、同種PBMCドナーから単離した。一方向MLRは、10:1のT細胞:DC比で新たに単離された汎T細胞を有する成熟DCを、滴定された試験物質の存在下で約5日間共培養することによってセットアップされた。活性は、ELISAを介してMLRの5日目のIFN-γ産生を定量化することによって測定された。
【0143】
結果と検討
ライブラリの生成とスクリーニング
拮抗性抗PD1 IgG hMAb005の可変ドメインを、ヒトIgG1-カッパFabフォーマットのファージ表示ベクターにクローニングした。NNK無作為化を使用したオリゴヌクレオチド変異誘発を、サブライブラリ当たり連続している5~6残基に適用し、5VLサブライブラリ(表1)および6VH(表2)の生成をもたらした。これらのライブラリを大腸菌に形質転換し、救済し、各ライブラリからのファージ集団を、ヒトおよびカニクイザルPD1ならびにヒトおよびアカゲザルのVEGFR2タンパク質について4ラウンドの選択に供した。
【0144】
次に、ペリプレップフォーマットのFabのELISAスクリーニングを実施して、ヒトPD1、カニクイザルPD1、ヒトVEGFR2およびカニクイザルVEGFR2への各ライブラリ選択からの個々のクローンの結合を調べた(
図1)。これらの解析は、全ての選択ラウンドにおける個々のクローンが、ポジティブコントロールhMAb005 Fabとシグナルが類似したPD1オルソログの両方への結合を示したことを実証した。重要なことに、結合解析はまた、いくつかのライブラリにおいて、クローンの集団が濃縮され、PD1活性を保持するだけでなく、ヒトおよび/またはカニクイザルVEGFR2への有意に改善された結合を示したことを実証した。これらの選択された集団からの168個のクローンを取り上げ、さらにhMAb005 IgGとのAlphascreen PD1エピトープ競合とVLドメインおよびVHドメインのDNAシーケンシングの両方を特徴付けた。Alphascreen解析は、VEGFR2への改善された結合を有するLCDR1およびLCDR3ライブラリの両方の固有の配列(
図1)が、PD1へのhMAb005結合に対するエピトープ競合を維持したことを示す(
図2)。対照的に、VEGFR2への改善された結合を示したHCDR1、2および3ライブラリからのクローンは、hMAb005と有効に競合しなく、VHドメインにおけるVEGFR2親和性改善変異が、PD1上にエピトープドリフトをもたらしたことを示唆している(
図2)。PD1結合を維持したすべてのVEGFR2改善クローンの配列解析は、LCDR1(表3)とLCDR3(表4)の両方で、かなりの数の変異がポジティブに選択されることを実証した。
【0145】
上記の解析に基づいて、PD1のオルソログとVEGFR2のオルソログの両方に対する高結合(
図1)および75%超のhMAb005/PD1相互作用のシグナル減少率(
図2)を示したLCDR1またはLCDR3の変異を有する5個の代表的なクローンが、IgGフォーマットにおける発現および特徴付けのために選択された(表5)。さらに、LCDR1とLCDR3の両方に潜在的に利益のある変異を合わせた6個の実験組み合わせのIgGクローンが作製された(クローンMAB01-MAB06、表5)。これら11個のリードIgGクローンを、ヒトIgG1ヌル形式で作製した。
【0146】
リードIgGの特異性および能力の特徴
表4に概説した11個の誘導IgG1ヌルクローンならびにhMAb005およびアイソタイプIgG1ヌルを、ヒトおよびカニクイザルPD1への滴定ELISA結合で調べた(
図3A)。この分析は、11個のリードクローン全てがhMAb005 IgG1と同様のヒトおよびカニクイザルPD1への結合能力を有したが、アイソタイプコントロールはいずれのタンパク質にも結合を示さなかった。対照的に、IgGをVEGFR2タンパク質への結合について試験した場合、11個のリードクローン全てが、hMAb005と比較して、ヒトおよびアカゲザルオルソログの両方に対する結合効力の有意な増加を示した(
図3B)。
【0147】
リードクローンにおけるhMab005に対するこのVEGFR2反応性の増加が、受容体との薬理学的関係を変化させることができるかどうかを調査するために、ヒトVEGFR2レポーターアッセイを使用して、天然のVEGF応答要素NFATの制御下でルシフェラーゼ発現の誘導を調査した(Promega社、製造業者の指示に従って実施)。このアッセイでは、可溶性VEGF-165タンパク質をVEGFR2レポーター細胞に添加し、すべてのIgG1タンパク質を、VEGF-165によって誘導されたシグナルに拮抗する能力について調べた(
図4)。IgG1 hMAb005およびアイソタイプIgG1は両方とも、VEGFR2シグナルの拮抗を示さなかった。しかし驚いたことに、全てのリードIgG1ヌル抗体はVEGF-VEGFR2シグナル誘導の強力な拮抗を示し、いくつかのクローンは、臨床的に承認された抗VEGFR2癌薬「ラムシルマブ」と同様の範囲の能力を示した(
図4)。hMAb005 IgG1がVEGFR2を強く刺激することが示されているため、非常に予想外の所見であった。上記のデータは、PD1エピトープ特異性を維持したが、全てのリード抗体に対するVEGFR2薬理学の完全な逆転を示唆した。このデータをさらに検討するために、ライブラリ由来クローン(
図5A~5E)およびLCDR1および3の変異を組み合わせたクローン(
図5F~5K)について、個々の解析を生成した。これらの解析は、抗体MAB01-MAB06が、VEGFR2シグナル伝達の最も強力な阻害剤であることを示唆し、各CDRによって媒介されたVEGFR2結合の改善が相乗的に組み合わされ得ることを実証した。
【0148】
本明細書に概説される組み合わせ分析は、驚くべきことに、これらの抗体のCDRにおけるアミノ酸多様性の深いサンプリングが、PD1とVEGFR2標的結合特異性の同時最適化を可能にし、複数のリード分子における前駆抗体hMAb005のVEGFR2アゴニスト性表現型の逆転をもたらすことを実証した。得られたリード抗体は、臨床的に関連のあるPD1およびVEGFR2シグナル伝達経路の二重拮抗の有益な特徴を有する。
【0149】
リードIgGバリアントの生成および分析
クローンMAB06(MAB06.1-MAB06.8)の8個のバリアントを生成して、複数のCDR残基のヒト生殖系配列に変異され、免疫原性リスクを減少させる能力を実験的に調べた。これらのクローンは、LCDR1および2(表8)、ならびにHCDR2(表9)において、生殖細胞系列の変異を含んだ。8個のクローン全てがIgG1ヌル形式で発現され、精製された。すべてのクローンは、タンパク質A親和性カラムを介して容易に発現および精製され、得られたタンパク質は、94%超の単量体IgG%を示した(SECにより測定)。
【0150】
MAB06.1-MAB06.8 IgGは、PD1およびVEGFR2シグナル伝達の両方に対して拮抗する能力について試験された。8個のクローン全てがPD1/PD-L1細胞シグナル伝達バイオアッセイにおいてPD1シグナル伝達に拮抗する能力を保持し、SHR-1210 IgG1-3Mとニボルマブの両方と同様の能力を有した(
図6)。同様に、8個のクローン全てがVEGF/VEGFR2シグナル伝達バイオアッセイにおいて、VEGFR2シグナル伝達を拮抗する濃度依存性の能力を保持し、ラムシルマブと同様の能力を有した(
図7)。クローンMAB06.5(
図8A、
図8B)、MAB06.6(
図8C、
図8D)、MAB06.7(
図8E、
図8F)およびMAB06.8(
図8G、
図8H)に対するPD1およびVEGFR2拮抗の比較分析は、クローンMAB06の配列がLCDR1、LCDR2(表8)およびHCDR2(表9)の複数の残基のヒト化を受け入れることができる一方で、両方の受容体のシグナル伝達に拮抗する能力を保持することを示した。重要なことに、対照SHR-1210 IgG13M(hMab005)は、
図4、5、7および8に示すように、VEGFの存在下でVEGFR2シグナル伝達を阻害することができないことが示された。
【0151】
上記の所見は、単一分子におけるPD1経路とVEGFR2経路の両方を拮抗する能力が、腫瘍微小環境において高度に活性であることが知られている二つの重要な免疫抑制シグナルを遮断することによって、抗体SHR-1210(hMab005)に対する臨床利益を提供し得ることを示す。実際に、PD1受容体とVEGFR2受容体は両方とも、ヒト腫瘍の免疫細胞上で共発現することが実証されており、
図9に示すように、二重拮抗剤が単一細胞上で二官能性様式で作用する可能性が示唆されている。
【0152】
親和性の高いシグナル伝達受容体に結合する抗体は、受容体リガンドが存在しない場合、受容体活性の強力なアゴニストとなるリスクがある。これを調べるために、VEGFの非存在下でVEGFR2バイオアッセイを繰り返した。高親和性抗VEGFR2 IgG1コントロール抗体であるラムシルマブ、アイソタイプコントロールヒトIgG1、MAB06.5、MAB06.8およびVEGF-165タンパク質はすべて、このアッセイで滴定され、抗体タンパク質は1000nMの濃度から開始された(
図10)。VEGF-165のみが濃度依存性受容体活性化を示しており、MAB06.5 IgG1およびMAB06.8 IgG1が、VEGFの存在下でVEGFR2の拮抗薬であり(
図8)、VEGFの非存在下でVEGFR2のアゴニストではないことを確認した(
図10)。
【0153】
MAB06.5およびMAB06.8のPD1拮抗効力をさらに確認するために、両方の分子をヒトDC:T細胞一方向MLRアッセイにおいて分析し、ポジティブコントロールとしてニボルマブ(抗PD1)および活性の指標としてIFN-ガンマを測定した(
図11)。MLRアッセイを、3つの別個のヒトドナー対を用いて二回の反復ランで実施した。これらの解析は、MAB6.5およびMAB6.8の両方が、ニボルマブと同等のPD1遮断駆動IFN-γシグナル伝達において濃度依存的な能力を示したことを実証した。これは、ドナーペア1(
図11A、11B)、ドナーペア2(
図11C、11D)およびドナーペア3(
図11E、11F)の両方のランで発見され、T細胞上のPD1の機能を遮断する高い再現性を示した。
【0154】
第3世代リードIgGバリアントの生成および分析
WO2019170885A1は、PD1についての分子の親和性を高める可能性を有するhMab005のVHドメインにおいて作製することができるいくつかの変異を開示する。本明細書に記載される新規クローンの文脈で、これらの以前に定義された変異の可能な有用性を調べるために、9種類のクローンMAB06.8バリアントを生成し、複数のVH CDR残基の変異能力について実験的に調べ、PD1および/またはVEGFR2への結合を潜在的にさらに改善した。これらのクローンは全て、9個の固有のVH配列で発現されたMAB06.8VL配列(配列番号47、表8)を含有した(表10)。8個のクローン全てがIgG1ヌル形式で発現され、精製された。すべてのクローンは、(MAB06.8.3およびMAB06.8.5以外であり、両者は凝集に悩まされる)タンパク質A親和性カラムを介して容易に発現および精製され、得られたタンパク質は、95%超の単量体IgG%を示した(SECにより測定)。
【0155】
7個の良好に発現されたIgG1ヌルクローン(MAB06.8.3およびMAB06.8.5は省略)ならびにhMAb005およびアイソタイプIgG1ヌルを、ヒトおよびカニクイザルPD1への滴定ELISA結合で調べた(
図12A、図 12B)。この分析は、これらの7個のクローンの多数がヒトおよびカニクイザルPD1に対する結合を保持することを示したが、アイソタイプコントロールはいずれのタンパク質にも結合しないことを示した。一つの顕著な例外は、カニクイザルPD1に結合する能力を失ったMAB06.8.4であった(
図12B)。IgGをVEGFR2タンパク質への結合について試験した場合、7個のクローン全てがヒトとカニクイザルオルソログの両方への結合を示した(
図12C、
図12D)。
【0156】
ほとんどのクローンにおいて、PD1とVEGFR2の両方に対する明白な結合親和性が保持されているにもかかわらず、7個のバリアントをPD1およびVEGFR2の拮抗バイオアッセイにおいて調べたところ、MAB06.8の有益性は保持も強化もされなかった。7個のクローンすべては、ポジティブコントロールと比較して、MAB06(
図5)、MAB06.5(
図8)およびMAB06.8(
図8)と比較して、PD1、VEGFR2、またはその両方に拮抗する能力の減少を示した(
図13A、
図13B)。
【0157】
特許、特許出願、記事、書籍および論文を含むがこれに限定されない、本明細書に引用されるすべての文書または文書の一部は、任意の目的のためにその全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。一つ以上の組み込まれた文書または文書の一部が、その用語の適用における定義と矛盾する用語を定義する場合、本発明の適用に表される定義が制御する。しかしながら、本明細書に引用される任意の参照、記事、刊行物、特許、特許公開および特許出願の言及は、世界の任意の国で、有効な先行技術を構成する、または共通の一般知識の一部を成すという承認またはいかなる形態の提案としてなされるものではなく、またなされるべきではない。
【0158】
本発明は、好ましい実施形態または例示的な実施形態を参照して記載されてきたが、当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、それに対する様々な改変および変形が達成可能であり、そのような改変が本明細書に明確に意図されていることを認識する。本明細書に開示され、添付の特許請求の範囲に記載される特定の実施形態に関する制限は意図されておらず、いかなるものも推測されるべきではない。
【0159】
番号付けされた実施形態
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、以下の番号付けされた実施形態を記載する。
【0160】
1.PD1およびVEGFR2の両方に特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合部分であって、抗体または抗原結合部分が、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含み、
(a)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(b)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(c)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLSのLCDR1(配列番号8)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(d)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含む、
(e)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含む、
(f)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLSのLCDR1(配列番号8)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVYSIPWTのLCDR3(配列番号6)を含む、
(g)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQTIGTWLTのLCDR1(配列番号9)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(h)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQTIGTWLTのLCDR1(配列番号9)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(i)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(j)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(k)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQESGIWLGのLCDR1(配列番号12)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVAELPFGのLCDR3(配列番号10)を含む、
(l)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQGIGPWLSのLCDR1(配列番号4)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(m)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYPDSVKGのHCDR2(配列番号2)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、LASQPLGIWLSのLCDR1(配列番号7)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(n)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TATSLADのLCDR2(配列番号5)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(o)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TASSLADのLCDR2(配列番号40)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(p)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLADのLCDR2(配列番号41)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(q)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGANTYYVDSVKGのHCDR2(配列番号38)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(r)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、TASSLADのLCDR2(配列番号40)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、
(s)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQLYYFDYのHCDR3(配列番号3)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLADのLCDR2(配列番号41)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、または
(t)VH領域アミノ酸配列は、GFTFSSYMMSのHCDR1(配列番号1)、TISGGGSNKYYVDSVKGのHCDR2(配列番号42)およびQVYYFDYのHCDR3(配列番号64)を含み、VL領域アミノ酸配列は、RASQESGIWLSのLCDR1(配列番号39)、AASSLQSのLCDR2(配列番号43)およびQQVSVTPFTのLCDR3(配列番号11)を含む、抗体または抗原結合部分。
【0161】
2.(a)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含む、
(b)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む、
(c)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号24を含む、
(d)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号14を含む、
(e)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号15を含む、
(f)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号16を含む、
(g)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号17を含む、
(h)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号18を含む、
(i)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号19を含む、
(j)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号20を含む、
(k)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号21を含む、
(l)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号22を含む、
(m)VH領域アミノ酸配列は配列番号13を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号23を含む、
(n)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号44を含む、
(o)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含む、
(p)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含む、
(q)VH領域アミノ酸配列は配列番号48を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む、
(r)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号45を含む、
(s)VH領域アミノ酸配列は配列番号49を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号46を含む、または
(t)VH領域アミノ酸配列は配列番号73を含み、VL領域アミノ酸配列は配列番号47を含む、実施形態1に記載の抗体または抗原結合部分。
【0162】
3.抗体または抗原結合部分が、PD1-PDL1およびVEGFR2-VEGFシグナル伝達経路の両方を拮抗することができる、実施形態1または2に記載の抗体または抗原結合部分。
【0163】
4.PPD1およびVEGFR2の両方に結合する抗体または抗体の抗原結合部分であって、抗体または抗原結合部分が、PD1およびVEGFR2の両方への結合について、実施形態1~3のいずれか一つの抗体または抗原結合部分と交差競合し、
(a)完全生殖系列ヒトフレームワークアミノ酸配列を含み、
(b)ヒトPD1、カニクイザルPD1、ヒトVEGFR2、およびアカゲザルVEGFR2に特異的に結合し、
(c)ヒトPD1のヒトPD-L1への結合に拮抗し、ヒトVEGFに応答してヒトVEGFR2のシグナル伝達に拮抗する、抗体または抗原結合部分。
【0164】
5.抗体は、ヒト、ヒト化またはキメラである、実施形態1~4のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分。
【0165】
6.VH領域、VL領域、またはVH領域およびVL領域の両方が、一つ以上のヒトフレームワーク領域アミノ酸配列を含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分。
【0166】
7.VH領域、VL領域、またはVH領域およびVL領域の両方が、CDRが挿入されているヒト可変領域フレームワーク足場アミノ酸配列を含む、実施形態1~6のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分。
【0167】
8.VH領域が、HCDR1、HCDR2およびHCDR3アミノ酸配列が挿入されているIGHV3-7ヒト生殖系列足場アミノ酸配列を含む、実施形態1または3に記載の抗体または抗原結合部分。
【0168】
9.VL領域が、LCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列が挿入されているIGKV1-39ヒト生殖系列足場アミノ酸配列を含む、実施形態1、3および8のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分。
【0169】
10.抗体が免疫グロブリン定常領域を含む、実施形態1~9のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分。
【0170】
11.免疫グロブリン定常領域が、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAまたはIgYである、実施形態10に記載の抗体または抗原結合部分。
【0171】
12.免疫グロブリン定常領域が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2である、実施形態11に記載の抗体または抗原結合部分。
【0172】
13.免疫グロブリン定常領域が免疫学的に不活性である、実施形態10に記載の抗体または抗原結合部分。
【0173】
14.免疫グロブリン定常領域が、野生型ヒトIgG4定常領域、アミノ酸置換S228Pを含むヒトIgG4定常領域、野生型ヒトIgG1定常領域、アミノ酸置換L234A、L235AおよびG237Aを含むヒトIgG1定常領域または野生型ヒトIgG2定常領域である、実施形態10に記載の抗体または抗原結合部分。
【0174】
15.免疫グロブリン定常領域が配列番号25~31のいずれか一つを含む、実施形態13に記載の抗体または抗原結合部分。
【0175】
16.抗体または抗原結合部分が、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、scFv、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディまたはbis-scFvである、実施形態1~15のいずれか一つに記載の抗原結合部分。
【0176】
17.抗体はモノクローナルである、実施形態1~16のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分。
【0177】
18.抗体は四量体抗体、四価抗体または多選択性抗体である、実施形態1~17のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分。
【0178】
19.抗体または抗原結合部分は、(a)ヒトPD1または(b)ヒトPD1およびカニクイザルPD1、または(c)ヒトPD1およびアカゲザルPD1、または(d)ヒトPD1、カニクイザルPD1およびアカゲザルPD1に特異的に結合する、実施形態1~18のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分。
【0179】
20.抗体または抗原結合部分は、(a)ヒトVEGFR2または(b)ヒトVEGFR2およびカニクイザルVEGFR2または(c)ヒトVEGFR2およびアカゲザルVEGFR2または(d)ヒトVEGFR2、カニクイザルVEGFR2およびアカゲザルVEGFR2に特異的に結合する、実施形態1~19のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分。
【0180】
21.治療剤に連結される実施形態1~20のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分を含む免疫コンジュゲート。
【0181】
22.治療剤が、サイトトキシン、放射性同位元素、化学療法剤、免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤、アポトーシス促進剤、細胞分裂酵素、細胞溶解酵素、治療用核酸、抗血管新生剤、抗増殖剤またはアポトーシス促進剤である、実施形態21に記載の免疫コンジュゲート。
【0182】
23.実施形態1~20のいずれか一つの抗体または抗原結合部分または実施形態21もしくは22に記載の免疫コンジュゲートならびに薬学的に許容可能な担体、希釈剤もしくは賦形剤を含む、医薬組成物。
【0183】
24.実施形態1~20のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分の
(a)VH領域アミノ酸配列、
(b)VL領域アミノ酸配列または
(c)VHおよびVL領域アミノ酸配列の両方
をコードする核酸分子。
【0184】
25. 実施形態24に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【0185】
26. 実施形態24に記載の核酸分子または実施形態25に記載の発現ベクターを含む組換え宿主細胞。
【0186】
27.抗PD1抗体またはその抗原結合部分を作製する方法であって、
核酸分子が発現される条件下で、実施形態25の発現ベクターを含む組換え宿主細胞を培養し、それによって抗体または抗原結合部分を産生すること、
宿主細胞または培養物から抗体または抗原結合部分を単離することを含む、方法。
【0187】
28.対象において免疫応答を強化するための方法であって、治療有効量の実施形態1~20のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分、実施形態21または22に記載の免疫コンジュゲートまたは実施形態23に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
【0188】
29.対象における癌、感染性疾患または免疫疾患を治療または予防する方法であって、治療有効量の実施形態1~20のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分、実施形態21または22に記載の免疫コンジュゲートまたは実施形態23に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
【0189】
30.癌は、膵癌、黒色腫、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮または子宮内膜癌、口腔または咽頭癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫または血液組織の癌である、実施形態29に記載の方法。
【0190】
31.感染性疾患は、ウイルス、細菌、真菌または寄生虫によるものである、実施形態29に記載の方法。
【0191】
32.感染性疾患が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染である、実施形態29に記載の方法。
【0192】
33.癌、感染性疾患または免疫疾患の治療に使用するための、実施形態1~20のいずれか一つの抗体または抗原結合部分、実施形態21もしくは22の免疫コンジュゲートまたは実施形態23の医薬組成物。
【0193】
34.癌は、膵癌、黒色腫、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳または中枢神経系癌、末梢神経系癌、食道癌、子宮頸癌、子宮または子宮内膜癌、口腔または咽頭癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫または血液組織の癌である、実施形態33に記載の使用のための抗体または抗原結合部分、免疫コンジュゲートまたは医薬組成物。
【0194】
35.感染性疾患が、ウイルス、細菌、真菌または寄生虫によるものである、実施形態33に記載の使用のための抗体または抗原結合部分、免疫コンジュゲートまたは医薬組成物。
【0195】
36.感染性疾患がヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染である、実施形態33に記載の使用のための抗体または抗原結合部分、免疫コンジュゲートまたは医薬組成物。
【0196】
37.医薬として使用するための、実施形態1~20のいずれか一つに記載の抗体または抗原結合部分、実施形態21もしくは22に記載の免疫コンジュゲートまたは実施形態23に記載の医薬組成物。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【配列表】
【国際調査報告】