(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】グリコールエーテル溶媒を含む殺虫性混合物の製剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/04 20060101AFI20221220BHJP
A01N 43/90 20060101ALI20221220BHJP
A01N 43/40 20060101ALI20221220BHJP
A01N 43/713 20060101ALI20221220BHJP
A01N 43/56 20060101ALI20221220BHJP
A01N 47/06 20060101ALI20221220BHJP
A01N 47/40 20060101ALI20221220BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A01N25/04 102
A01N43/90 102
A01N43/40 101C
A01N43/713
A01N43/56 D
A01N47/06 D
A01N47/40 Z
A01N43/40 101D
A01P7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521395
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2020078343
(87)【国際公開番号】W WO2021069628
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313006625
【氏名又は名称】バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ガエルツェン,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルベルク,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ヒルツ,エミリア
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011BA01
4H011BA06
4H011BB09
4H011BB10
4H011BB11
4H011BB12
4H011BC03
4H011DA15
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの溶解した活性成分と、高温および低温での良好な貯蔵安定性、および高い活性成分浸透性を有する、固体形態の1つの活性成分とを含む殺虫活性成分製剤、その生成プロセス、ならびに存在する活性成分の施用のためのその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)室温で固体の少なくとも1つの活性成分、
b)a)以外の、有機溶媒に可溶な少なくとも1つの活性成分、
c)少なくとも1つのアンモニウム塩、
d)アルキルプロポキシレートエトキシレートのクラスからの少なくとも1つの分散剤、
e)場合により、1つ以上の界面活性剤、
f)少なくとも1つの水不溶性充填剤、
g)式4によって表される化合物から選択される少なくとも1つの溶媒
【化1】
(式中、y=1~9であり
A、B=互いに独立したHまたは直鎖C1~C4-アルキルであり、さらに
M=HまたはC1~C2-アルキルであり、ただし、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く。)、
および
h)追加のアジュバント、
を含む組成物であって、
活性成分a)が、選択された溶媒g)に不溶性であるか、または難溶性である組成物。
【請求項2】
成分e)が、必須であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
a)が、5g/l以下、さらに好ましくは4g/l以下、さらにいっそう好ましくは2.5g/l以下、特に好ましくは1g/l以下の、選択された溶媒g)中の溶解度を有する前記活性殺虫成分の群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
a)が、以下に特定される式IおよびIIの化合物を含む、ジアミド殺虫剤、スピノシン(IRACグループ5)、メクチン(IRACグループ6)、エチプロール、トリフルムロン、デルタメトリン、チアクロプリドおよびテトロン酸またはテトラミン酸誘導体(IRACグループ23を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から3の一項以上に記載の組成物。
【請求項5】
a)が、以下に特定される式IおよびIIの化合物を含む、前記テトロン酸またはテトラミン酸誘導体(IRACグループ23)の群から選択されることを特徴とする、請求項1から4の一項以上に記載の組成物。
【請求項6】
a)が、式(I)のテトラミン酸誘導体であることを特徴とする、請求項1から5の一項以上に記載の組成物。
【化2】
(式中、
WおよびYは、独立して、水素、C1~C4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素であり、
Xは、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、塩素、臭素またはヨウ素であり、
A、B、およびそれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒に5員または6員のケタールを形成する、C1~C4-アルキル-またはC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
2-アルキルによって置換されていてもよいアルキレンジオキシ基によって置換されたC3~C6-シクロアルキルであり、
Gは、水素(a)であるか、または以下の基の1つであり、
【化3】
式中、
Eは、金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
Mは、酸素または硫黄であり、
R1は、直鎖または分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は、直鎖または分岐C1~C6-アルキルである。)
【請求項7】
成分a)が、式(I-2)の化合物であることを特徴とする、請求項1から6の一項以上に記載の組成物。
【化4】
【請求項8】
b)が、nAChRアゴニスト、フロニカミドならびに4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3-フルオロ-n-プロピル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3,3-ジクロロプロパ-2-エン-1-イル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、(E/Z)-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロビニル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、3-ブロモ-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、3-クロロ-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オンおよび4-[メチル[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](アミノ)]フラン-2(5H)-オンを含む殺虫剤の群から選択されることを特徴とする、請求項1から7の一項以上に記載の組成物。
【請求項9】
b)が、イミダクロプリド、クロチアニジン、フルピラジフロン、フロニカミドおよびアセタミプリドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から8の一項以上に記載の組成物。
【請求項10】
b)が、フルピラジフロンであることを特徴とする、請求項1から9の一項以上に記載の組成物。
【請求項11】
c)が、炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から10の一項以上に記載の組成物。
【請求項12】
d)が、一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化5】
(式中、Rは、C1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、さらに好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、さらに好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、0~10個のプロピレングリコール(PO)単位とともに10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8個のPO単位とともに20~40個のEO単位からなる、さらに好ましくは0~5個のPO単位とともに30~40個のEO単位からなるランダムに共重合されたポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化6】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
R-O-(C
mH
2mO)
x-(C
nH
2nO)
y-R’(IIId)
(式中、
RおよびR’は、独立して、水素、直鎖C
1-~C
5-アルキル基または分岐C
3-もしくはC
4-アルキル基であり、
mは、2または3であり、
nは、2または3であり、
xは、5~150であり、さらに、
yは、5~150であり、
式中、一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から11の一項以上に記載の組成物。
【請求項13】
e)が、ポリカルボキシレート型、アルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ジトリルエーテルとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、シクロヘキサノンとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩ならびにリグノスルホネートおよびその塩を含む群から選択される界面活性剤であることを特徴とする、請求項1から12の一項以上に記載の組成物。
【請求項14】
f)が、変性天然シリケート、ケイ酸塩鉱物、合成シリケートおよびヒュームドシリカ、アタパルジャイト、ならびに合成ポリマーに基づく充填剤を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から13の一項以上に記載の組成物。
【請求項15】
g)が、式4によって表される溶媒から選択されることを特徴とする、請求項1から14の一項以上に記載の組成物。
【化7】
(式中、y=1~3であり
A、B=互いに独立したHまたは直鎖C1~C4-アルキルであり、さらに
M=HまたはC1~C2-アルキルであり;ただし、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く。)
【請求項16】
前記成分が、以下のように存在することを特徴とする、請求項1から15の一項以上に記載の組成物:
a)1~30重量%
b)1~20重量%
c)1~40重量%
d)1~40重量%
e)0~10重量%
f)0.1~15重量%
h)1~20重量%
g)1リットルまで。
【請求項17】
前記成分が、以下のように存在することを特徴とする、請求項1から16の一項以上に記載の組成物:
a)2~15重量%
b)1~12重量%
c)15~30重量%
d)10~30重量%
e)0.5~2.5重量%
f)1~10重量%
h)2.5~17.5重量%
g)1リットルまで。
【請求項18】
a)以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化8】
b)フルピラジフロン、
c)硫酸アンモニウム(AMS)およびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つのアンモニウム塩、
d)一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化9】
(式中、Rは、C1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、さらに好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、さらに好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、0~10個のプロピレングリコール(PO)単位とともに10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8個のPO単位とともに20~40個のEO単位からなる、さらに好ましくは0~5個のPO単位とともに30~40個のEO単位からなるランダムに共重合されたポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化10】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
R-O-(C
mH
2mO)
x-(C
nH
2nO)
y-R’(IIId)
(式中、個々の基およびインデックスは、以下の定義を有する:
RおよびR’は、独立して、水素、直鎖C
1-~C
5-アルキル基または分岐C
3-もしくはC
4-アルキル基であり、
mは、2または3であり、
nは、2または3であり、
xは、5~150であり、さらに、
yは、5~150であり、
式中、一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)を含む群から選択される少なくとも1つの分散剤、
e)ポリカルボキシレート型を含む群から選択される少なくとも1つの界面活性剤、
f)ヒュームドシリカおよびアタパルジャイトを含む群から選択される少なくとも1つの充填剤、
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノールおよびジプロピレングリコールを含む群から選択されるg)、ならびに
h)追加のアジュバント、
を含む、請求項1から17の一項以上に記載の組成物。
【請求項19】
昆虫を防除するための、請求項1から18の一項以上に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの溶解した活性成分と、高温および低温での良好な貯蔵安定性、および高い活性成分浸透性を有する、固体形態の1つの活性成分とを含む殺虫活性成分製剤、その生成プロセス、ならびに存在する活性成分の施用のためのその使用に関する。本発明はさらに、両活性成分の浸透を改善するための、少なくとも1つの溶解した活性成分と、固体形態の少なくとも1つの活性成分とを有する殺虫活性成分製剤のためのアジュバント組合せ物に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的有効性を示すために、浸透移行性活性農薬成分、特に浸透移行性殺虫剤は、植物/標的生物への活性成分の取り込みを可能にする製剤を必要とする。対応する活性成分が使用のために水溶液に希釈されるか、および/または既に好ましくは濃縮物中に溶解状態にあり、それにより、高い活性成分濃度がいつでも利用可能であるという点で、最良の効果が達成され得る。
【0003】
これは、活性成分または活性成分組合せ物がエマルジョン濃縮物(EC)または可溶性液体(SL)として製剤化される場合は常に当てはまるが、溶解した活性成分および懸濁した活性成分の利用可能性は、溶解平衡によって制限される。
【0004】
さらに、生物学的活性は、場合により、好適なアジュバント/浸透剤を加えることによってさらに増加させることができる。
【0005】
上述のように、懸濁濃縮物(SC)および/または油性懸濁濃縮物(OD)などの製剤では、活性成分または活性成分組合せ物は、溶解形態ではなく固体、粒子形態であるため、製剤中のこれらの活性成分は、典型的には良好なバイオアベイラビリティを有しない。ここでは、本質的に、好適なアジュバント/浸透剤を加えることによってのみ生物学的活性を増加させることが可能であるが、それでもなお、これにより、上述のEC製剤またはSL製剤と比較して生物学的活性が低下する。
【0006】
活性農薬成分は、それらの物理化学的特性、例えば、水、溶媒および/または油中の溶解度、融点および沸点、極性、モル質量などを含む局面では、互いに異なることが知られている。これらの特性は、活性成分の配合性に影響を及ぼす。多くの公知の活性農薬成分は、例えば、高い融点を有するため、例えば、懸濁濃縮物の生成時に生じるような熱応力に耐えることができる。対照的に、低い融点を有する活性成分は、これらの生成条件に困難を伴って耐えることができるにすぎず、比較的高温での活性成分の軟化または溶融が予測されるため、貯蔵安定性懸濁液として生成することができるのは極めて限られた程度にとどまる。しかし、活性成分がもはや結晶形態でなければ、製剤化された生成物の物理的安定性は多くの場合著しく低下し、もはや実用的な有用性を有しない。
【0007】
さらに、有機物質は様々な水溶性を有し、これらの水溶性は、化学的特性に応じて、例えば、塩形成を介してpH依存性であり得ることが知られている。
【0008】
また、例えば、耐性の形成を防止するために(例えば、異なる作用機構を組み合わせることによって)、または有害生物が異なる活性成分に対して異なる反応を示す場合に、または混合物の作用スペクトルを拡大するために、活性農薬成分を互いに組み合わせることが多くの場合適切であることも知られている。後者の場合の活性成分の混合は、例えば、有効施用量を明確に減少させることができ、これにより、有益な生物を過度にまたは全く害することなく有害昆虫の特定の防除が可能になる。活性成分混合物を使用する別の理由は、1つの処理だけで極めて長期間の保護が生じるように、活性成分の作用持続時間(植物または土壌内での半減期)が異なることであり得る。
【0009】
安定な懸濁濃縮物の特徴は、長期間(12~24ヶ月)および広い温度範囲(0~54℃)にわたって物理的および化学的に貯蔵安定であることである。この広い温度範囲は、有利には、同じ活性成分または活性成分組合せ物を有する単一の製剤のみを様々な気候領域で使用し得るために必要である。
【0010】
懸濁濃縮物の貯蔵安定性は、とりわけ、これらの懸濁濃縮物の容器が、貯蔵期間にわたって、存在するとしても低い相分離しか有しないことを特徴とする。懸濁濃縮物の安定性のための追加のパラメーターには、例えば、濃縮物中の凝集物の存在下または非存在下で現れる、濃縮物中の分散物の安定性がある。
【0011】
国際公開第2011/029552号は、この界面活性剤クラスが活性農薬成分のための乳化剤および/または浸透剤として使用されるアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール(例えばAntarox B/848)含有農薬製剤を記載している。
【0012】
さらに、国際公開第2003/000053号は、油中の有機作物保護製品のための分散剤として、特定のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール、例えばAtlas G5000を記載している。
【0013】
活性農薬成分の作用を増強するためのアンモニウム塩の使用は、文献では公知である。例えば、国際公開第2011/131623号(米国特許第2011/0281727号、Fischer et al.)は、アンモニウム塩の存在下で改善された効力を有するヘテロシクリル系テトラミン酸に基づく殺虫性製剤および/または除草性製剤を記載している。さらに、国際公開第2007/068428号は、アンモニウム塩の存在下でのフェニル置換環状ケト-エノールの活性増強効果を記載している。国際公開第2011/131623号は、式[I]の物質の群から選択される単一の活性成分と、有機または無機のアンモニウム塩またはホスホニウム塩との組合せ、および好適な浸透剤の存在下または非存在下での水性噴霧液中でのその使用に関する。専門家は、国際公開第2011/131623号の教示から進んで、追加の活性成分の組合せを有する製剤、またはこれらの混合物製剤の物理的安定性および化学的安定性に関していかなる結論も引き出すことができない。好適な浸透剤は、段落~に広範囲に記載され、に概して特許請求されているが、菜種油メチルエステルのみが植物油誘導体の例として引用され、Genapol LROがアニオン性アルコールエーテルサルフェートの例として引用されている。
【0014】
国際公開第2011/131623号では、本発明による溶解した活性成分および非溶解活性成分の良好な浸透を有する製剤は、記載も示唆もされていない。
【0015】
アンモニウム塩を含有する油性製剤も、同様に文献では公知である。例えば、国際公開第2008/151725号は、アンモニウム塩が分散形態である、油に基づくアジュバント組成物を記載している。さらに、欧州特許第2193712号は、アンモニウム塩が分散形態である油性農薬製剤を記載している。ただし、水混和性溶媒中のアンモニウム塩の懸濁液に関する記載はない。
【0016】
しかし、要約すると、上記で引用された文献のいずれも、個々に、または一緒に見ても、アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール、例えばAntarox B/848が、特に懸濁および溶解した活性成分とともに、グリコールエーテルなどの極性の水溶性溶媒中で高添加量で無機アンモニウム塩の有効な分散剤として使用され得ることを示唆するものではない。
【0017】
テトラミン酸誘導体の可溶性水性濃縮物は、先行技術、例えば国際公開第2009/115262号から公知である。溶解度の問題のために、これらは、特定の作物保護製品および製剤成分と組み合わせることができない。さらに、これらの水性SL製剤は、一般に、同様に特定の塩基感受性作物保護製品および製剤成分との不適合をもたらす高いpH値を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2011/029552号
【特許文献2】国際公開第2003/000053号
【特許文献3】国際公開第2011/131623号
【特許文献4】米国特許第2011/0281727号
【特許文献5】国際公開第2007/068428号
【特許文献6】国際公開第2008/151725号
【特許文献7】欧州特許第2193712号
【特許文献8】国際公開第2009/115262号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、対処された問題は、溶解した活性成分と懸濁した活性成分との組合せからなり、両活性成分の良好なバイオアベイラビリティおよび浸透能力を有し、高温および低温の両方で良好な貯蔵安定性を有する安定な製剤を開発することであった。活性成分は、好ましくは殺虫剤である。
【0020】
この問題は、活性成分組合せ物と、アンモニウム塩と、溶媒としてのグリコールエーテルとを含む以下に記載される製剤によって解決された。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
a.選択された溶媒g)に好ましくは不溶性または難溶性である、室温で固体の少なくとも1つの活性成分、
b.a)以外の、有機溶媒に可溶な少なくとも1つの活性成分、
c.少なくとも1つのアンモニウム塩、
d.アルキルプロポキシレートエトキシレートのクラスからの少なくとも1つの分散剤、
e.場合により、1つ以上の界面活性剤、
f.少なくとも1つの水不溶性充填剤、
g.グリコールエーテルの群からの少なくとも1つの溶媒、および
h.追加のアジュバント。
【0022】
好ましい実施形態では、成分e)は必須である。
【0023】
さらに、好ましい実施形態における組成物は、水を本質的に含まない。用語「水を本質的に含まない」は、5%未満の水、好ましくは4%未満の水、さらに好ましくは3%未満の水を含有する組成物を指す。
【0024】
本発明によれば、対応する組成物は、存在する活性農薬成分および高い安定性の両方に対して良好な浸透促進特性を有することが見出された。活性成分a)およびb)の異なる特性を考慮すると、これは驚くべきことであった。
【0025】
本発明では、式、例えば式(I)において、置換されていてもよい基は、特に明記しない限り、一置換または多置換されていてもよく、多置換の場合の置換基は、同じであっても異なっていてもよい。
【0026】
さらに、本発明で述べられている好ましい範囲では、異なる好ましいレベルは、それらが順列で互いに組み合わせられ得るように理解されるべきであるが、いずれの場合も、同一の好ましいレベル、特に各場合の最も好ましい実施形態/好ましいレベルは、互いに組み合わされるべきであり、実際にそのような組合せとして開示される。
【0027】
必須成分(任意成分ではない)のみからなる、本出願に記載される組成物も、同様に開示されると見なされるべきである。
【0028】
本発明の文脈では、室温とは、特に明記しない限り、20℃~25℃の温度を意味する。
【0029】
成分a~hは、以下でさらに定義される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】
図2は、I-1の変形例Aの多形形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
a.室温で固体の活性成分
室温で固体の活性成分は、好ましくは、殺虫剤、除草剤および殺真菌剤を含む群から選択される。さらに好ましくは、選択された活性成分は、選択された溶媒g)に不溶性であるか、またはわずかに可溶である。さらに、室温で固体であり、選択された溶媒g)に不溶性または難溶性である活性殺虫成分が好ましい。
【0032】
本発明の文脈では、難溶性または不溶性の活性成分とは、室温で固体であり、好ましくは5g/l以下、さらに好ましくは4g/l以下、さらにいっそう好ましくは2.5g/l以下、特に好ましくは1g/l以下の、選択された溶媒g)中で20℃での溶解度を有する活性成分である。
【0033】
さらにいっそう好ましくは、活性成分は、ジアミド殺虫剤(ブロフラニリド、クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、シクラニリプロール、シハロジアミド、フルベンジアミド、テトラクロラントラニリプロールおよびテトラニリプロール)、スピノシン(IRACグループ5)、いわゆる「メクチン類」(例えば、アバメクチン、エマメクチンベンゾエート、ミルベメクチン;IRACグループ6)、エチプロール、トリフルムロン、デルタメトリン、チアクロプリド、ならびにテトロン酸およびテトラミン酸誘導体(IRACグループ23、以下で特定される式IおよびIIの化合物を含む)を含む群から選択される。
【0034】
好ましい実施形態では、本発明による組成物中の成分a)は、テトラニリプロール、シアントラニリプロール、エチプロール、チアクロプリド、スピロテトラマト、または
テトラミン酸に基づくケト-エノール、好ましくは式(I)の化合物であり、
【化1】
【0035】
式中、
WおよびYは、独立して、水素、C
1~C
4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素であり、
Xは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、塩素、臭素またはヨウ素であり、
A、B、およびそれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒に5員または6員のケタールを形成する、C
1~C
4-アルキル-またはC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
2-アルキルによって置換されていてもよいアルキレンジオキシ基によって置換されたC
3~C
6-シクロアルキルであり、
Gは、水素(a)であるか、または以下の基の1つであり、
【化2】
【0036】
式中、
Eは、金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
Mは、酸素または硫黄であり、
R1は、直鎖または分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は、直鎖または分岐C1~C6-アルキルである。
【0037】
基が以下のように定義される、上記式(I)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である:
Wは、さらに好ましくはメチルであり、
Xは、さらに好ましくは塩素またはメチル(さらに好ましくはメチル)であり、
Yは、さらに好ましくは塩素、臭素またはメチルであり、
A、B、およびそれらが結合している炭素原子は、さらに好ましくは、それが結合している炭素原子と一緒に5員または6員のケタールを形成する、アルキレンジオキシ基によって置換された飽和C
6-シクロアルキルであり、
Gは、さらに好ましくは水素(a)であるか、または以下の基の1つであり、
【化3】
【0038】
式中、
Mは酸素であり、
Eは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオン(具体的には、ナトリウムまたはカリウム)であり、
R1は、さらに好ましくは直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2は、さらに好ましくは直鎖または分岐C1~C4-アルキルである。
【0039】
具体的には、G=水素(a)である、上記式(I)のテトラミン酸誘導体が使用可能である。
【0040】
同様に、G=E(d)である、上記式(I)のテトラミン酸誘導体も特に使用可能である。
【0041】
基が以下のように定義される、上記式(I)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である:
【化4】
【表1】
【0042】
特に好ましい実施形態では、成分a)は、以下の式の化合物である。
【化5】
【0043】
化合物I-2は、好ましくは、その最も熱力学的に安定な多形体の形態で使用される。この結晶構造および追加の物理的データを以下のように決定した:
試料調製:
化合物I-2(C19H22ClNO4/MW=363.84g/mol)をメタノールから結晶化し、室温で乾燥させて、変形例Aを得た。
【0044】
I-2の変形例Aは、25℃で、Cu-Kα 1放射線(1.5406Å)を用いて記録された対応する回折図に基づくX線粉末回折法によって特徴付けることができる(
図1)。
【0045】
本発明による変形例Aは、
図1に示すように、少なくとも3回、好ましくは少なくとも5回、さらに好ましくは少なくとも7回、さらにいっそう好ましくは少なくとも10回、最も好ましくはすべての鏡映を示す:
本発明による変形例Aは、
図Iに示すX線回折図によっても特徴付けられる。
【0046】
変形例Aの単結晶に対する結晶学的試験では、結晶構造が単斜晶であることが示された。単位格子は、P2
1/c空間群を有する。
【表2】
【表3】
【0047】
I-1の変形例Aの多形形態は、4cm
-1の分解能でダイヤモンドATR装置を使用して25℃で記録された対応するスペクトルを使用して、IR分光法によって決定することができる(
図2)。本発明の変形例Aは、
図2に示され、表2cに記載されているように、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも5つ、さらに好ましくは少なくとも7つ、なお好ましくはすべてのバンドを示す。
【表4】
【0048】
代替的な実施形態では、成分a)は、式(II)のテトラミン酸を含み、
【化6】
【0049】
式中、
WおよびYは、独立して、水素、C
1~C
4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素であり、
Xは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、塩素、臭素またはヨウ素であり、
V
1は、水素、ハロゲン、C
1~C
6-アルキル、C
1~C
6-アルコキシ、C
1~C
6-アルキルチオ、C
1~C
6-アルキルスルフィニル、C
1~C
6-アルキルスルホニル、C
1~C
4-ハロアルキル、C
1~C
4-ハロアルコキシ、ニトロまたはシアノであり、
V
2は、水素、ハロゲン、C
1~C
6-アルキルまたはC
1~C
6-アルコキシであり、
V
3は、水素またはハロゲンであり、
A、B、およびそれらが結合している炭素原子は、1つの環員が酸素によって置換されており、C
1~C
8-アルキル、C
1~C
8-アルコキシまたはC
1~C
6-アルキルオキシ-C
1~C
6-アルキルによって一置換されていてもよい飽和C
5~C
6-シクロアルキルであり、
Gは、水素(a)であるか、または以下の基の1つであり、
【化7】
【0050】
式中、
Eは、金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
Lは、酸素または硫黄であり、
Mは、酸素または硫黄であり、
R1は、直鎖または分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は、直鎖または分岐C1~C6-アルキルである。
【0051】
基が以下のように定義される、上記式(I)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である:
Wは、さらに好ましくは水素またはメチルであり、
Xは、さらに好ましくは塩素またはメチルであり、
Yは、さらに好ましくは水素であり、
V
1は、さらに好ましくはフッ素または塩素(具体的には、4位のフッ素または塩素)であり、
V
2は、さらに好ましくは水素またはフッ素(具体的には、3位のフッ素)であり、
V
3は、さらに好ましくは水素またはフッ素(具体的には、5位のフッ素)であり、
A、B、およびそれらが結合している炭素原子は、さらに好ましくは、1つの環員が酸素によって置換されている飽和C
6-シクロアルキルであり、
Gは、さらに好ましくは水素(a)であるか、または以下の基の1つであり、
【化8】
【0052】
式中、
Eは、さらに好ましくは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオン(具体的には、ナトリウムまたはカリウム)であり、
R1は、さらに好ましくは直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2は、さらに好ましくは直鎖または分岐C1~C4-アルキルである。
【0053】
具体的には、G=水素(a)である、上記式(I)のテトラミン酸誘導体が使用可能である。
【0054】
同様に、G=E(d)である、上記式(I)のテトラミン酸誘導体も特に使用可能である。
【0055】
基が以下のように定義される、上記式(II)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である。
【表5】
【0056】
特に好ましい代替的な実施形態では、a)は、以下の通りである。
【化9】
【0057】
b.可溶性活性成分
可溶性活性成分は、好ましくは、殺虫剤、除草剤および殺真菌剤の群から選択される。さらに好ましくは、選択された活性成分は、選択された溶媒g)中で良好または十分な溶解度を有し、20℃での溶解度は、好ましくは少なくとも10g/l、さらに好ましくは少なくとも20g/l、さらにいっそう好ましくは少なくとも30g/l、さらに好ましくは少なくとも40g/lである。
【0058】
可溶性活性成分は、好ましくは、殺虫剤の群から選択される。さらにいっそう好ましくは、活性成分は、nAChRアゴニスト(IRACグループ4、例えば、イミダクロプリド、チアクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、アセタミプリド、スルホキサフロル、ニテンピラムおよびフルピラジフロン)フロニカミド、および国際公開第2007/115644号に記載されているような追加の殺虫剤、例えば、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3-フルオロ-n-プロピル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3,3-ジクロロプロパ-2-エン-1-イル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、(E/Z)-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロビニル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、3-ブロモ-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、3-クロロ-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、または国際公開第2009/118025号における、例えば4-[メチル[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](アミノ)]フラン-2(5H)-オンの群から選択される。
【0059】
さらに好ましくは、活性成分b)は、イミダクロプリド、クロチアニジン、フルピラジフロン、フロニカミドおよびアセタミプリドから選択される。
【0060】
最も好ましくは、活性成分b)はフルピラジフロンである。
【0061】
別の実施形態では、活性成分b)はフロニカミドである。
【0062】
さらに別の実施形態では、活性成分b)はアセタミプリドである。
【0063】
c.アンモニウム塩
アンモニウム塩は、好ましくは、水溶性無機アンモニウム塩を含む群から選択される。
【0064】
さらに好ましくは、c)は、炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される。
【0065】
さらに好ましくは、c)は、DAHPおよびAMSである。
【0066】
d.分散剤
成分d)は、好ましくは、一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物を含む群から選択され、
【化10】
【0067】
式中、Rは、C1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、さらに好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、さらに好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、0~10個のプロピレングリコール(PO)単位とともに10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8個のPO単位とともに20~40個のEO単位からなる、さらに好ましくは0~5個のPO単位とともに30~40個のEO単位からなるランダムに共重合されたポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールフラグメントである。
【化11】
【0068】
「アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物」の例は、以下の通りである:
【表6】
【0069】
および一般式(IIId)の化合物
R-O-(CmH2mO)x-(CnH2nO)y-R’(IIId)
(式中、個々の基およびインデックスは、以下の定義を有する:
RおよびR’は、独立して、水素、直鎖C1-~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり、
mは、2または3であり、
nは、2または3であり、
xは、5~150であり、さらに、
yは、5~150であり、
式中、一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)。
【0070】
本発明の文脈では、直鎖C1-~C5-アルキル基とは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基またはn-ペンチル基を意味すると理解される。
【0071】
本発明の文脈では、分岐C3-~C4-アルキル基とは、イソプロピル基、イソブチル基またはtert-ブチル基を意味すると理解される。
【0072】
好ましい実施形態では、R基およびR’基は、メチル基、n-ブチル基および水素からなる群から独立して選択される。
【0073】
さらになお好ましい実施形態では、R基およびR’基は、n-ブチル基および水素からなる群から独立して選択される。
【0074】
ポリエチレン単位およびポリプロピレン単位の配置に関して、
(a)mは2の値をとってもよく、nは3の値をとってもよいか、
(b)またはmは3の値をとってもよく、nは2の値をとってもよい。
【0075】
m=3およびn=2の構成(b)が好ましい。
【0076】
式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物が非常に特に好ましく、式中、
mは3であり、
nは2であり、
xは、5~80であり、
yは、5~80であり、
Rは、n-ブチルまたは水素であり、さらに、
R’は水素である。
【0077】
e.本発明の文脈における好適な界面活性剤e)は、以下を含む群から選択される:
e1)ポリカルボキシレート型の界面活性剤、例えば、疎水変性櫛形ポリマーなどのもの、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリマレイン酸無水物、マレイン酸または無水マレイン酸とオレフィン(イソブチレンまたはジイソブチレンなど)とのコポリマー、アクリル酸とイタコン酸とのコポリマー、メタクリル酸とイタコン酸とのコポリマー、マレイン酸または無水マレイン酸とスチレンとのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、アクリル酸とメタクリレートとのコポリマー、アクリル酸と酢酸ビニルとのコポリマー、スチレンとメタクリル酸とのコポリマー、スチレンとメタクリル酸との変性コポリマー、マレイン酸または無水マレイン酸とアクリル酸、N-メチル脂肪酸(例えばC8~C18)-サルコシネート、カルボン酸、例えば、樹脂酸もしくは脂肪酸(例えばC8~C18)、またはそのようなカルボン酸の塩とのコポリマー。上記コポリマーはまた、それらの塩、例えば、アルカリ金属塩(好ましくは、Li、Na、K)、アルカリ土類金属塩(好ましくは、Ca、Mg)、アンモニウムまたは様々なアミンの形態であってよい。例えば、上記のものの例には、Geropon T/36、Geropon TA/72、Tersperse 2700、Atlox Metasperse 550 S、Geropon Ultrasperse、Narlex D-72、Versa TL3およびAgrilan 789 Dryが挙げられる、ならびに
e2)アルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、例えば、MORWET D-425(Akzo Nobel製);OPARYL DT 120、OPARYL DT 201、OPARYL DT 530(Bozzetto製);TERSPERSE 2020(Huntsman製)、およびジトリルエーテルとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩(例えば、Levaco製のBAYKANOL SL)、およびシクロヘキサノンとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩(例えば、Levaco製のLUCRAMUL DAC 210)からなる群から選択される界面活性剤、ならびに
e3)リグノスルホネートおよびその塩の群から選択される界面活性剤、好ましくは、Borregaard製のBorresperse NA、Borresperse 3A、Ultrazine NA、Ufoxane 3A、Vanisperse CB、Marasperse AG、MARASPERSE N 22、MARASPERSE C 21、MARASPERSE CBOS-4、WAFEX CA122およびBorresperse CA;Ingevity製のKRAFTSPERSE EDF-350、KRAFTSPERSE 25M、KRAFTSPERSE EDF-450、REAX 100M、REAX 83A、REAX 85A、REAX 88A、REAX 88B、REAX 907、REAX 910、POLYFON H、POLYFON OおよびPOLYFON T;Tembec製のAGRINOL DN 19およびAgrinol C12からなるリグノスルホネートおよびその塩の群から選択される界面活性剤、ならびに
e4)硫酸化アルキルアリールスルホネートおよびその塩、例えば、アルキルアリールスルホネートおよびその塩、例えば、AEROSOL OS(Solvay製);AGNIQUE ANS 3DNP-U、AGNIQUE ANS 4DNP、AGNIQUE NSC 2NP-U、NEKAL BX DRY(BASF製);MORWET B、MORWET DB、MORWET EFW、MORWET IP(Akzo Nobel製);OPARYL MT 704、OPARYL MT 800、OPARYL MT 804(Bozzetto製);RHODACAL BX 78、SUPRAGIL WP(Solvay製);SURFOM HRB(Oxiteno製)などからなる群から選択される界面活性剤、ならびに
e5)ジ-/トリスチリルフェノールエトキシレートホスフェートおよびその塩、DISPERSOGEN LFH、DISPERSOGEN TP 160(Clariant製);LUCRAMUL PPS 16、LUCRAMUL PPS K 16(Levaco製);PHOSPHOLAN PHB 14(Akzo Nobel製);SOPROPHOR 3 D 33、SOPROPHOR TS 20-F、SOPROPHOR FL、SOPROPHOR FLK(Solvay製);STEPFAC TSP-PE、STEPFAC TSP PE-K(Stepan製);SURFOM 1323 SC、SURFOM 1325 SC(Oxiteno製);TERSPERSE 2222(Huntsman製)の群からの界面活性剤;およびアルコールエトキシレートホスフェート、例えば、EMPIPHOS 03 D(Akzo Nobel製);MULTITROPE 1214、Crodafosシリーズ、Atphos 3226(Croda製);PHOSPHOLAN PE 169(Akzo Nobel製);RHODAFAC RS-410、RHODAFAC RS-710、RHODAFAC TD 20 F(Solvay製);SERVOXYL VPDZ 20/100(Elementis製);STEPFAC 8180(Stepan製);CRAFOL AP261(BASF製);GERONOL CF/AR(Clariant製)の群からの界面活性剤。
【0078】
さらに好ましくは、好適な界面活性剤は、界面活性剤e1)、e2)、e3)およびe4)を含む群から選択される。
【0079】
さらに好ましくは、好適な界面活性剤は、界面活性剤e1)、e2)およびe3)を含む群から選択される。
【0080】
さらにいっそう好ましくは、好適な界面活性剤は、界面活性剤e1)およびe2)を含む群から選択される。
【0081】
なお好ましくは、好適な界面活性剤は、界面活性剤e1)を含む群から選択される。
【0082】
マレイン酸とオレフィンとのコポリマーのナトリウム塩(例えば、Geropon T/36 / Solvay;Duramax D-305 / Dow);およびメタクリル酸とスチレンとのコポリマーのナトリウム塩(Tersperse 2700 / Huntsman;Atlox Metasperse 500S / Croda);特に、マレイン酸とオレフィンとのコポリマーのナトリウム塩(例えばGeropon T/36)を含む群e1)の界面活性剤が非常に特に好ましい。
【0083】
Tersperse 2700などの好適な界面活性剤も国際公開第2008036865号に記載されている。
【0084】
上記の界面活性剤は、個別に、または組み合わせて使用することができ、マレイン酸とオレフィンとのコポリマーのナトリウム塩の群から選択される界面活性剤と、アルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩ならびにリグノスルホネートおよびその塩との組合せが好ましい。
【0085】
f.水不溶性充填剤
好適な充填剤は、好ましくは、以下を含む群から選択される
f1)変性天然シリケート、例えば、化学的に変性されたベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、モンモリロナイト、スメクタイトまたは他のケイ酸塩鉱物、例えば、Bentone(登録商標)(Elementis)、Attagel(登録商標)(BASF)、Agsorb(登録商標)(Oil-Dri Corporation)、Pangel B(Tolsa)またはHectorite(登録商標)(Akzo Nobel)、
f2)合成シリケートおよびヒュームドシリカ、例えば、Sipernat(登録商標)、Aerosil(登録商標)もしくはDurosil(登録商標)シリーズ(Degussa)、CAB-O-SIL(登録商標)シリーズ(Cabot)またはVan Gelシリーズ(R.T.Vanderbilt)からのシリケート、ならびに
f3)合成ポリマーに基づく充填剤、例えば、Thixin(登録商標)またはThixatrol(登録商標)シリーズ(Elementis)からの増粘剤。
【0086】
群f2の充填剤がさらに好ましい。
【0087】
充填剤f)としてのヒュームドシリカ、例えば、Aerosil製品、Aerosil R製品およびCab-O-Sil製品、ならびにアタパルジャイトが、単独でおよび混合物で特に好ましい。
【0088】
g.溶媒
溶媒g)は、式4によって表される化合物または化合物の混合物から選択され、式中、
【化12】
【0089】
y=1~9であり
A、B=互いに独立したHまたは直鎖C1~C4-アルキルであり、さらに、
M=HまたはC1~C2-アルキルである。
【0090】
本発明におけるg)のすべての定義を指す、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く。
【0091】
さらに好ましい実施形態では、g)は、式4によって表される化合物もしくは化合物の混合物から選択され、式中、
y=1~5であり
A、B=互いに独立したHもしくは直鎖C1~C4-アルキルであり、さらに、
M=Hであり;
またはg)は、式4によって表される化合物もしくは化合物の混合物から選択され、式中、
y=1~5であり
A、B=互いに独立したHもしくは直鎖C1~C4-アルキルであり、さらに、
M=C1~C2-アルキルであり;
ただし、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く。
【0092】
さらにいっそう好ましくは、g)は、式4によって表される化合物から選択され、式中、
y=1~3であり
A、B=互いに独立したHまたはメチルであり、さらに、
M=メチルであり;
ただし、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く。
【0093】
最も好ましくは、g)は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノールおよびジプロピレングリコールを含む群から選択される。
【0094】
好ましい実施形態では、本発明による溶媒g)は、混合物中で生じ得る。g)のいずれか1つの混合物は、1:50~50:1の範囲の比、好ましくは、1:25~25:1の範囲の比、さらに好ましくは1:10~10:1、例えば、1:10、1:8、1:6、1:5、1:2、1:1、2:1、5:1、6:1、8:1または10:1の範囲の混合物で存在することができる。さらに別の好ましい実施形態は、1:8~1:1の範囲の比、または1:1~8:1の範囲の比で、g)のいずれか1つの混合物を含む。溶媒g)の例には、DowのDowanolグリコールエーテル生成物、または異なるグレードのポリエチレングリコールエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノベンジルエーテル)、
もしくは異なるグレードのポリプロピレングリコールエーテル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノベンジルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノベンジルエーテル)がある。
【0095】
h.追加のアジュバント
本発明の組成物は、追加のアジュバントh)、例えば、場合により、乳化剤、湿潤剤、発泡防止剤、保存剤、染料、安定剤および酸化防止剤の群からの物質を含んでいてもよい。
【0096】
有用な乳化剤には、農薬製品に典型的に使用される界面活性特性を有するあらゆる慣用的な非イオノゲン性(nonionogenic)、アニオン性、カチオン性および双性イオン性物質が含まれる。これらの物質には、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、アルキルフェノールまたはアルキルアリールフェノールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドおよびその硫酸エステルとの反応生成物、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステル、ならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの反応生成物、さらに、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アリールサルフェート、テトラアルキルアンモニウムハライド、トリアルキルアリールアンモニウムハライド、アルキルアミンスルホネート、末端基封鎖および非末端基封鎖のアルコキシル化直鎖および分岐の飽和および不飽和アルコール(例えば、ブトキシポリエチレン-プロピレングリコール)、ならびにポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが含まれる。
【0097】
乳化剤は、個別に使用されてもよいか、または混合物で使用されてもよい。好ましい例には、ヒマシ油とエチレンオキシドとの1:20~1:60のモル比の反応生成物、C6~C20アルコールとエチレンオキシドとの1:5~1:50のモル比の反応生成物、C6~C20アルコールとプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドとの1:1:1~1:5:10のモル比の反応生成物、脂肪アミンとエチレンオキシドとの1:2~1:25のモル比の反応生成物、1molのフェノールと2~3molのスチレンおよび10~50molのエチレンオキシドとの反応生成物、C8~C12-アルキルフェノールとエチレンオキシドとの1:5~1:30のモル比の反応生成物、アルキルグリコシド、C8~C16-アルキルベンゼンスルホン酸塩、例えば、カルシウム塩、モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩およびトリエタノールアンモニウム塩が挙げられる。
【0098】
有用な湿潤剤は、農薬組成物中で、この目的のために典型的に使用可能なあらゆる物質である。水溶性液体が好ましく、例には、グリセロールおよび1,2-プロピレングリコールが挙げられる。
【0099】
有用な発泡防止剤は、農薬組成物中で、この目的のために典型的に使用可能なあらゆる物質である。シリコーン油、例えば、SAG1572およびステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0100】
有用な酸化防止剤は、農薬組成物中で、この目的のために典型的に使用可能なあらゆる物質である。ブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
【0101】
有用な染料は、農薬組成物中で、この目的のために典型的に使用可能なあらゆる物質である。例には、二酸化チタン、顔料ブラック、酸化亜鉛および青色顔料、ならびにPermanent Red FGRが挙げられる。
【0102】
使用される可能な安定剤は、例えば、酸または塩基であり得る。酸の例には、クエン酸、ギ酸、酢酸またはホウ酸が挙げられる。塩基の例には、カルボン酸のナトリウム塩、およびモノ-またはポリ-アルキル-置換アミンが挙げられる。
【0103】
好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
a.式(I)の化合物
【化13】
【0104】
(式(I)の化合物は、以下の定義を有する:
Wはメチルであり、
Xは、塩素またはメチルであり、
Yは、塩素、臭素またはメチルであり、
A、B、およびそれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒に5員または6員のケタールを形成する、アルキレンジオキシ基によって置換された飽和C6-シクロアルキルであり、
Gは、水素(a)であるか、または以下の基の1つであり、
【化14】
【0105】
式中、
Mは酸素であり、
Eは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオンであり、
R1は、直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2は、直鎖または分岐C1~C4-アルキルである。)
b.少なくとも1つの活性成分は、好ましくは、nAChRアゴニスト、フロニカミドならびに4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3-フルオロ-n-プロピル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3,3-ジクロロプロパ-2-エン-1-イル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、(E/Z)-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロビニル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、3-ブロモ-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、3-クロロ-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オンおよび4-[メチル[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](アミノ)]フラン-2(5H)-オンを含む殺虫剤の群から選択される。
【0106】
c.炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つのアンモニウム塩、
d.一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化15】
【0107】
(式中、Rは、C1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、さらに好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、さらに好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、0~10個のプロピレングリコール(PO)単位とともに10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8個のPO単位とともに20~40個のEO単位からなる、さらに好ましくは0~5個のPO単位とともに30~40個のEO単位からなるランダムに共重合されたポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化16】
【0108】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
R-O-(CmH2mO)x-(CnH2nO)y-R’(IIId)
(式中、個々の基およびインデックスは、以下の定義を有する:
RおよびR’は、独立して、水素、直鎖C1-~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり、
mは、2または3であり、
nは、2または3であり、
xは、5~150であり、さらに、
yは、5~150であり、
式中、一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)を含む群から選択される少なくとも1つの分散剤、
e.ポリカルボキシレート型、アルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ジトリルエーテルとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、シクロヘキサノンとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、リグノスルホネートおよびその塩、硫酸化アルキルアリールスルホネートおよびその塩、ジ-/トリスチリルフェノールエトキシレートホスフェートおよびその塩ならびにアルコールエトキシレートホスフェートを含む群から選択される少なくとも1つの界面活性剤。
【0109】
f.変性天然シリケート、ケイ酸塩鉱物、合成シリケートおよびヒュームドシリカ、アタパルジャイト、ならびに合成ポリマーに基づく充填剤を含む群から選択される少なくとも1つの充填剤。
【0110】
g.式4によって表される化合物または化合物の混合物から選択される少なくとも1つの溶媒(式中、
y=1~5であり
A、B=互いに独立したHもしくは直鎖C1~C4-アルキルであり、さらに、
M=Hである);
またはg)は、式4によって表される化合物もしくは化合物の混合物から選択され、式中、
y=1~5であり
A、B=Hもしくは直鎖C1~C4-アルキルであり
M=C1~C2-アルキルであり;
ただし、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く。
【0111】
h.追加のアジュバント。
【0112】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
a.以下の化合物から選択される式(I)の化合物:
【化17】
【表7】
【0113】
b.少なくとも1つの活性成分は、好ましくは、イミダクロプリド、チアクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、アセタミプリド、スルホキサフロル、ニテンピラムおよびフルピラジフロン、フロニカミドならびに4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3-フルオロ-n-プロピル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3,3-ジクロロプロパ-2-エン-1-イル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、(E/Z)-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロビニル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、3-ブロモ-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、3-クロロ-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オンおよび4-[メチル[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](アミノ)]フラン-2(5H)-オンを含む殺虫剤の群から選択される。
【0114】
c.炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つのアンモニウム塩、
d.一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化18】
【0115】
(式中、Rは、C1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、さらに好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、さらに好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、0~10個のプロピレングリコール(PO)単位とともに10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8個のPO単位とともに20~40個のEO単位からなる、さらに好ましくは0~5個のPO単位とともに30~40個のEO単位からなるランダムに共重合されたポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化19】
【0116】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
R-O-(CmH2mO)x-(CnH2nO)y-R’(IIId)
(式中、個々の基およびインデックスは、以下の定義を有する:
RおよびR’は、独立して、水素、直鎖C1-~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり、
mは、2または3であり、
nは、2または3であり、
xは、5~150であり、さらに、
yは、5~150であり、
式中、一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)を含む群から選択される少なくとも1つの分散剤、
e.ポリカルボキシレート型、アルキル芳香族との硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ジトリルエーテルとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、シクロヘキサノンとの硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩ならびにリグノスルホネートおよびその塩を含む群から選択される少なくとも1つの界面活性剤、
f.変性天然シリケート、ケイ酸塩鉱物、合成シリケートおよびヒュームドシリカ、アタパルジャイト、ならびに合成ポリマーに基づく充填剤を含む群から選択される少なくとも1つの充填剤。
【0117】
g.式4によって表される化合物または化合物の混合物から選択される少なくとも1つの溶媒(式中、
y=1~3であり
A、B=互いに独立したHまたはメチルであり、さらに、
M=メチルであり;
ただし、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く)。
【0118】
h.追加のアジュバント。
【0119】
さらにいっそう好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
a.以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化20】
【0120】
b.フルピラジフロン、
c.硫酸アンモニウム(AMS)およびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つのアンモニウム塩、
d.一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化21】
【0121】
(式中、Rは、C1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、さらに好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、さらに好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、0~10個のプロピレングリコール(PO)単位とともに10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8個のPO単位とともに20~40個のEO単位からなる、さらに好ましくは0~5個のPO単位とともに30~40個のEO単位からなるランダムに共重合されたポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化22】
【0122】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
R-O-(CmH2mO)x-(CnH2nO)y-R’(IIId)
(式中、個々の基およびインデックスは、以下の定義を有する:
RおよびR’は、独立して、水素、直鎖C1-~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり、
mは、2または3であり、
nは、2または3であり、
xは、5~150であり、さらに、
yは、5~150であり、
式中、一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)を含む群から選択される少なくとも1つの分散剤、
e.ポリカルボキシレート型を含む群から選択される少なくとも1つの界面活性剤、
f.ヒュームドシリカおよびアタパルジャイトを含む群から選択される少なくとも1つの充填剤。
【0123】
g.式4によって表される化合物または化合物の混合物から選択される少なくとも1つの溶媒(式中、
y=1~3であり
A、B=互いに独立したHまたはメチルであり、さらに、
M=メチルであり;ただし、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く)。
【0124】
h.追加のアジュバント。
【0125】
最も好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
a.以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化23】
【0126】
b.フルピラジフロン、
c.硫酸アンモニウム(AMS)およびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つのアンモニウム塩、
d.一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化24】
【0127】
(式中、Rは、C1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、さらに好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、さらに好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、0~10個のプロピレングリコール(PO)単位とともに10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8個のPO単位とともに20~40個のEO単位からなる、さらに好ましくは0~5個のPO単位とともに30~40個のEO単位からなるランダムに共重合されたポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化25】
【0128】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
R-O-(CmH2mO)x-(CnH2nO)y-R’(IIId)
(式中、個々の基およびインデックスは、以下の定義を有する:
RおよびR’は、独立して、水素、直鎖C1-~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり、
mは、2または3であり、
nは、2または3であり、
xは、5~150であり、さらに、
yは、5~150であり、
式中、一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)を含む群から選択される少なくとも1つの分散剤、
e.ポリカルボキシレート型を含む群から選択される少なくとも1つの界面活性剤、
f.ヒュームドシリカおよびアタパルジャイトを含む群から選択される少なくとも1つの充填剤。
【0129】
g.ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノールおよびジプロピレングリコールを含む群から選択される少なくとも1つの溶媒または溶媒混合物
h.追加のアジュバント。
【0130】
化合物I-2は、好ましくは、その最も熱力学的に安定な多形体の形態で使用される。
【0131】
パーセントは、特に明記しない限り、組成物の重量%が合計100になる重量パーセントと見なされるべきである。
【0132】
以下の個々の成分の割合は、組成物の総重量にそれぞれ基づいており、組成物全体の最大1リットルの割合は、成分h)(溶媒)によって構成される。したがって、成分h)の割合は、好ましくは1%~80%重量%、さらに好ましくは20~60重量%である。
【0133】
本発明による組成物中の固体活性成分(成分a)の割合は、
好ましくは0.5~30重量%、
さらに好ましくは1~20重量%、
なお好ましくは1~15重量%である。
【0134】
本発明による組成物中の溶解した活性成分(成分b)の割合は、
好ましくは1~20重量%、
さらに好ましくは1~16重量%、
なお好ましくは1~12重量%である。
【0135】
本発明による組成物中のアンモニウム塩(成分c)の割合は、
好ましくは1~40重量%、
さらに好ましくは5~35重量%、
なお好ましくは15~30重量%である。
【0136】
本発明による組成物中の分散剤(成分d)の割合は、
好ましくは0.5~40重量%、
さらに好ましくは2.5~35重量%、
なお好ましくは5~30重量%である。
【0137】
本発明による組成物中の界面活性剤(成分e)の割合は、
好ましくは0~10重量%、
さらに好ましくは0.3~8重量%、
なお好ましくは0.5~2.5重量%である。
【0138】
組成物中の充填剤(成分f)の割合は、
好ましくは0.1~10重量%、
さらに好ましくは0.5~10重量%、
なお好ましくは2~10重量%である。
【0139】
本発明による組成物中の追加のアジュバント(成分h)の割合は、
好ましくは1~20重量%、
さらに好ましくは2.5~17.5重量%、
なお好ましくは5~15重量%である。
【0140】
本発明の好ましい実施形態は、以下の成分を含む組成物である
a)1~30重量%
b)1~20重量%
c)1~40重量%
d)1~40重量%
e)0~10重量%
f)0.1~15重量%
h)1~20重量%
g)1リットルまで。
【0141】
本発明のさらに好ましい実施形態は、以下の成分を含む組成物である
a)2~20重量%
b)1~60重量%
c)5~35重量%
d)5~35重量%
e)0.3~8重量%
f)0.5~12.5重量%
h)2.5~17.5重量%
g)1リットルまで。
【0142】
本発明のさらにいっそう好ましい実施形態は、以下の成分を含む組成物である
a)2~15重量%
b)1~12重量%
c)15~30重量%
d)10~30重量%
e)0.5~2.5重量%
f)1~10重量%
h)5~15重量%
g)1リットルまで。
【0143】
本発明はさらに、両活性成分の浸透を改善するための、少なくとも1つの溶解した活性成分と、固体形態の1つの活性成分とを有する殺虫活性成分製剤のためのアジュバント組合せ物に関し、アジュバント組合せ物は、
c.少なくとも1つのアンモニウム塩と、
d.アルキルプロポキシル化エトキシレートのクラスからの少なくとも1つの分散剤とを含む。
【0144】
好ましい実施形態では、アジュバント組合せ物は、以下をさらに含む
g.式4によって表される化合物または化合物の混合物から選択される溶媒
【化26】
【0145】
(式中、y=1~9であり
A、B=互いに独立したHまたは直鎖C1~C4-アルキルであり、さらに、
M=HまたはC1~C2-アルキルであり;
ただし、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く)。
【0146】
アジュバント組合せ物からのアンモニウム塩は、好ましくは、水溶性無機アンモニウム塩を含む群から選択される。
【0147】
さらに好ましくは、c)は、炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される。
【0148】
さらに好ましくは、b)は、DAHPおよびAMSである。
【0149】
アジュバント組合せ物の成分d)(分散剤)は、好ましくは、一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物を含む群から選択され、
【化27】
【0150】
式中、Rは、C1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、さらに好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、さらに好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、0~10個のプロピレングリコール(PO)単位とともに10~50個のエチレンオキシド(EO-)単位(式III-c)からなる、好ましくは0~8個のPO単位とともに20~40個のEO単位からなる、さらに好ましくは0~5個のPO単位とともに30~40個のEO単位からなるランダムに共重合されたポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールフラグメントである。
【化28】
【0151】
「アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物」の例は、以下の通りである:
【表8】
【0152】
および一般式(IIId)の化合物
R-O-(CmH2mO)x-(CnH2nO)y-R’(IIId)
(式中、個々の基およびインデックスは、以下の定義を有する:
RおよびR’は、独立して、水素、直鎖C1-~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり、
mは、2または3であり、
nは、2または3であり、
xは、5~150であり、さらに、
yは、5~150であり、
式中、一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)。
【0153】
本発明の文脈では、直鎖C1-~C5-アルキル基とは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基またはn-ペンチル基を意味すると理解される。
【0154】
本発明の文脈では、分岐C3-またはC4-アルキル基とは、イソプロピル基、イソブチル基またはtert-ブチル基を意味すると理解される。
【0155】
好ましい実施形態では、R基およびR’基は、メチル基、n-ブチル基および水素からなる群から独立して選択される。
【0156】
さらになお好ましい実施形態では、R基およびR’基は、n-ブチル基および水素からなる群から独立して選択される。
【0157】
ポリエチレン単位およびポリプロピレン単位の配置に関して、
(a)mは2の値をとってもよく、nは3の値をとってもよいか、
(b)またはmは3の値をとってもよく、nは2の値をとってもよい。
【0158】
m=3およびn=2の構成(b)が好ましい。
【0159】
式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物が非常に特に好ましく、式中、
mは3であり、
nは2であり、
xは、5~80であり、
yは、5~80であり、
Rは、n-ブチルまたは水素であり、さらに、
R’は水素である。
【0160】
アジュバント組合せ物とともに使用される溶媒g)は、さらに好ましくは、式4によって表される化合物もしくは化合物の混合物から選択され、式中、
y=1~5であり
A、B=互いに独立したHもしくは直鎖C1~C4-アルキルであり、さらに、
M=Hであり;
またはg)は、式4によって表される化合物もしくは化合物の混合物から選択され、式中、
y=1~5であり
A、B=Hもしくは直鎖C1~C4-アルキルであり
M=C1~C2-アルキルであり;
ただし、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く。
【0161】
さらにいっそう好ましくは、g)は、式4によって表される化合物から選択され、式中、
y=1~3であり
A、B=互いに独立したHまたはメチルであり、さらに、
M=メチルであり;ただし、g)による定義から明示的に除外される1,2-プロピレングリコールを除く。
【0162】
最も好ましくは、g)は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノールおよびジプロピレングリコールを含む群から選択される。
【0163】
好ましい実施形態では、本発明による溶媒g)は、混合物中で生じ得る。g)のいずれか1つの混合物は、1:50~50:1の範囲の比、好ましくは、1:25~25:1の範囲の比、さらに好ましくは1:10~10:1、例えば、1:10、1:8、1:6、1:5、1:2、1:1、2:1、5:1、6:1、8:1または10:1の範囲の混合物で存在することができる。さらに別の好ましい実施形態は、1:8~1:1の範囲の比、または1:1~8:1の範囲の比でg)のいずれか1つの混合物を含む。
【0164】
本発明の好ましい実施形態は、3:1~1:3、好ましくは2:1~1:2、さらに好ましくは1.3:1~1:1.3のc)とd)との比(それぞれの場合で質量に基づく)を有するアジュバント組合せ物である。
【0165】
製剤全体の重量に基づくアジュバント組合せ物の割合は、好ましくは、以下の通りである
c)1~40重量%
d)1~40重量%、
さらに好ましくは
c)5~35重量%
d)5~35重量%、および
さらにいっそう好ましくは
c)15~30重量%
d)10~30重量%。
【0166】
本発明による製剤の施用量は、比較的広い範囲内で変化させることができる。それは、それぞれの活性成分によって、および組成物中のその含有量によって導かれる。水性噴霧溶液中の本発明による製剤の施用体積もまた、比較的広い範囲で変化させることができ、これは、施用可能な噴霧体積を10から500l/haまで変化させることができることを意味する。
【0167】
本発明による組成物を用いて、殺虫活性成分混合物を植物および/またはその生息地に特に有利な様式で展開することができる。
【0168】
本発明による組成物は、あらゆる植物および植物の部分を処理するために使用することができる。この文脈における植物とは、あらゆる植物および植物集団、例えば、所望の、および望ましくない野生植物または作物植物(天然に存在する作物植物を含む)を含むと理解される。作物植物は、トランスジェニック植物を含み、植物育種者の権利によって保護可能または保護不可能な植物栽培品種を含む、従来の育種方法および最適化方法によって、またはバイオテクノロジー法および遺伝子操作法もしくはこれらの方法の組合せによって得ることができる植物であり得る。植物の部分とは、地上および地下の植物のあらゆる部分および器官、例えば、苗条、葉、花および根を意味すると理解されるべきであり、例には、葉、針葉、柄、茎、花、子実体、果実および種子、ならびに塊茎、根および根茎が挙げられる。植物部分にはまた、収穫された材料、ならびに栄養および生殖繁殖材料、例えば、挿し穂、塊茎、根茎、苗条および種子が含まれる。
【0169】
好ましくは、本発明による製剤は、以下の有害生物科の動物有害生物に対する噴霧施用によって使用される:
例えば、柑橘類果実、仁果類果実、核果、葉野菜、根菜および塊茎野菜ならびに観賞植物などの作物では、羊毛状のアリマキ(ペムフィギダエ(Pemphigidae))の科から、エリオソマ(Eriosoma spp.)、ペムフィグス(Pemphigus spp.)までが好ましい。
【0170】
ブドウ、堅果、柑橘類果実では、ブドウシラミ(ブドウネアブラムシ(Phylloxeridae))の科から、フィロキセラ(Phylloxera spp.)までが好ましい。
【0171】
例えば、仁果類果実、核果、柑橘類果実、野菜、ジャガイモなどの作物、熱帯作物では、キジラミ(キジラミ科(Psyllidae))の科から、サイラ(Psylla spp.)、パラトリオザ(Paratrioza spp.)、テナラファラ(Tenalaphara spp.)、ジアフォリナ(Diaphorina spp.)、トリオザ(Trioza spp.)までが好ましい。
【0172】
例えば、柑橘類果実、仁果類果実、核果、オリーブ、ブドウ、コーヒー、茶、熱帯作物、観賞植物、野菜などの多年生作物では、カタカイガラムシ(カタカイガラムシ(Coccidae))の科から、セロプラステス(Ceroplastes spp.)、ドロシカ(Drosicha spp.)、プルビナリア(Pulvinaria spp.)、プロトプルミナリア(Protopulminaria spp.)、サイセチア(Saissetia spp.)、コッカス(Coccus spp.)までが好ましい。
【0173】
例えば、柑橘類果実、仁果類果実、核果、アーモンド、ピスタチオ、堅果、オリーブ、茶、観賞植物、ブドウ、熱帯作物などの作物では、マルカイガラムシ(マルカイガラムシ(Diaspididae))の科から、クアドラスピジオツス(Quadraspidiotus spp.)、アオニジエラ(Aonidiella spp.)、レピドサフェス(Lepidosaphes spp.)、アスピジオツス(Aspidiotus spp.)、アスピス(Aspis spp.)、ジアスピス(Diaspis spp.)、パルラトリア(Parlatoria spp.)、プセウダウラカスピス(Pseudaulacaspis spp.)、ウナスピス(Unaspis spp.)、ピナスピス(Pinnaspis spp.)、セレナスピダス(Selenaspidus spp.)までが好ましい。
【0174】
柑橘類果実、仁果類果実、核果では、ハカマカイガラムシ(ハカマカイガラムシ(Ortheziidae))の科から、オルテジア(Orthezia spp.)までが好ましい。
【0175】
例えば、柑橘類果実、核果および仁果類果実、茶、ブドウ、野菜、観賞植物ならびに熱帯作物などの作物では、コナカイガラムシ(コナカイガラムシ(Pseudococcidae))の科から、ペリセルガ(Pericerga)、シュードコッカス(Pseudococcus spp.)、プラノコッカス(Planococcus spp.)、ジスミコッカス(Dysmicoccus spp.)までが好ましい。
【0176】
さらに、例えば、野菜、メロン、ジャガイモ、タバコ、柔らかい果実、柑橘類果実、観賞植物、ワタ、ダイズおよび熱帯作物などの作物では、コナジラミ(コナジラミ(Aleyrodidae))の科から、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、ミカンワタコナジラミ(Aleurothrixus floccosus)、アレウロデス(Aleurodes spp.)、ジアレウロデス(Dialeurodes spp.)、ヤマモモコナジラミ(Parabemisia myricae)までが好ましい。
【0177】
さらに、アブラムシ(アブラムシ(Aphidae))の科から、
タバコ、核果、柔らかい果実、果菜、葉菜、塊茎および根菜、メロン、ジャガイモ、観賞植物、香辛料では、ミズス(Myzus spp.)、
野菜では、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)、
タバコ、柑橘類果実、仁果類果実、核果、メロン、イチゴ、柔らかい果実、果菜、葉菜、塊茎、茎および根菜、観賞植物、ジャガイモ、カボチャ、香辛料では、アフィス(Aphis spp.)、
イチゴでは、バラミドリアブラムシ(Rhodobium porosum)、
葉菜では、レタスヒゲナガアブラムシ(Nasonovia ribisnigri)、
観賞植物、ジャガイモ、葉菜および果菜、イチゴでは、マクロシフム(Macrosiphum spp.)、
ホップでは、ホロドン・フムリ(Phorodon humuli)、
葉菜では、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、
柑橘類果実、核果、アーモンド、堅果、香辛料では、トキソプテラ(Toxoptera spp.)、
柑橘類果実、ジャガイモ、果菜および葉菜では、アウラコルツム(Aulacorthum spp.)、
野菜では、アヌラフィス・カルドゥイ(Anuraphis cardui)、
ヒマワリでは、ブラキカウズス・ヘリクリシイ(Brachycaudus helycrisii)、
野菜では、エンドウヒゲナガアブラムシまでが好ましい。
【0178】
同様に、例えば、果実、ワタ、ブドウ、茶、堅果、熱帯作物、観賞植物、球果植物、タバコ、香辛料、野菜、柔らかい果実、メロン、柑橘類果実およびジャガイモなどの作物では、アザミウマ(アザミウマ(Thripidae))の科から、アナホスリップス(Anaphothrips spp.)、バリオスリップス(Baliothrips spp.)、カリオスリップス(Caliothrips spp.)、フランクリニエラ(Frankliniella spp.)、ヘリオスリップス(Heliothrips spp.)、ヘルシノスリップス(Hercinothrips spp.)、リピホロスリップス(Rhipiphorothrips spp.)、シルトスリップス(Scirtothrips spp.)、カコスリップス(Kakothrips spp.)、セレノスリップス(Selenothrips spp.)およびスリップス(Thrips spp.)までが好ましい。
【0179】
さらに、例えば、野菜、メロン、ジャガイモ、堅果、観賞植物などの作物では、リーフマイナーフライ(ハモグリバエ(Agromyzidae))およびルートマゴットフライ(ハナバエ(Anthomyiidae))の科から、アグロミザ(Agromyza spp.)、アマウロミザ(Amauromyza spp.)、クキイエバエ(Atherigona spp.)、クロロプス(Chlorops spp.)、リリオミザ(Liriomyza spp.)、オシネラ(Oscinella spp.)、ペゴミイア(Pegomyia spp.)までが好ましい。
【0180】
例えば、柑橘類果実、果実、ブドウ、ジャガイモ、野菜、観賞植物、球果植物、メロン、柔らかい果実、茶、堅果、イネおよび熱帯作物などの作物では、ヨコバイ(ヨコバイ(Cicadellidae))およびウンカ(ウンカ(Delphacidae))の科から、キルクリフェラ(Circulifer spp.)、ダルブス(Dalbus spp.)、エムポアスカ(Empoasca spp.)、エリトロネウラ(Erythroneura spp.)、ホマロディスカ(Homalodisca spp.)、イオディオスコパス(Iodioscopus spp.)、ラオデルファクス(Laodelphax spp.)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix spp.)、トビイロウンカ(Nilaparvata spp.)、オンコメトピア(Oncometopia spp.)、ソガテラ(Sogatella spp.)までが好ましい。
【0181】
リーフマイナーモス(ホソガ(Gracillariidae))の科から、
例えば、仁果類果実、核果、ブドウ、堅果、柑橘類果実、球果植物、ジャガイモ、コーヒーなどの作物では、カロプティリア(Caloptilia spp.)、グラシラリア(Gracillaria spp.)、リトコレチス(Lithocolletis spp.)、ロイコプテラ(Leucoptera spp.)、フトリマエア(Phtorimaea spp.)、フィロクニスチス(Phyllocnistis spp.)までが好ましい。
【0182】
タマバエ(タマバエ(Cecidomyiidae))の科から、
柑橘類果実、仁果類果実、核果、野菜、ジャガイモ、香辛料、柔らかい果実、球果植物、ホップなどの作物では、コンタリニア(Contarinia spp.)、ダシネウラ(Dasineura spp.)、ディプロシス(Diplosis spp.)、プロディプロシス(Prodiplosis spp.)、テコディプロシス(Thecodiplosis spp.)、シトディプロシス(Sitodiplosis spp.)、ハプロディプロシス(Haplodiplosis spp.)までが好ましい。
【0183】
同様に、ミバエ(ミバエ(Tephritidae))の科から、
野菜、柔らかい果実、メロン、仁果類果実および核果、観賞植物、ジャガイモ、ブドウ、熱帯作物、柑橘類果実、オリーブなどの作物では、アナストレファ(Anastrepha spp.)、ケラチチス(Ceratitis spp.)、ダクス(Dacus spp.)、ラゴレチス(Rhagoletis spp.)までが好ましい。
【0184】
さらに、ハダニ(ハダニ(Tetranychidae))およびフシダニ(フシダニ(Eriophydae))の科から、
野菜、ジャガイモ、観賞植物、柑橘類果実、ブドウ、球果植物などの作物では、ナミハダニ(Tetranychus spp.)、マルハダニ(Panonychus spp.)、アクロプス(Aculops spp.)が好ましい。
【0185】
本発明による組成物による植物および植物の部分の本発明の処理は、直接的に行われるか、または慣用的な処理方法によって、例えば、灌注、浸漬、噴霧、蒸発、霧化、散乱、塗装によって、および繁殖材料の場合、特に種子の場合には、1つ以上のコーティングを塗布することによって、組成物をその周囲、環境もしくは貯蔵空間に作用させることによって行われる。
【0186】
好ましくは、処理される植物は、ワタ、ダイズ、タバコ、野菜、香辛料、観賞植物、球果植物、柑橘類植物、果実、熱帯作物、堅果およびブドウからなる群から選択される。
【0187】
好ましくは、本発明による組成物は、羊毛状のアリマキ、ブドウシラミ、キジラミ、カタカイガラムシ、マルカイガラムシ、ハカマカイガラムシ、コナカイガラムシ、コナジラミ、アブラムシ、アザミウマ、ヨコバイ、ウンカ、リーフマイナーフライ、タマバエ、ミバエ、リーフマイナーモス、ハダニ、フシダニの科の有害生物に対して作用する。
【0188】
本発明による組成物は、以下の工程を有するプロセスによって生成され得ることが見出された:
1)成分(a)~(h)を混合し、続いて均質化およびビーズ粉砕を行う工程。均質化およびビーズ粉砕のための関連装置は、当業者に公知である。
【0189】
このプロセスもまた、本発明の主題の一部を形成する。
【0190】
最後に、本発明による組成物は、植物および/またはその生息地に対する存在する活性農薬成分の施用について極めて良好な適合性を有することが見出された。このプロセスもまた、本発明の主題の一部を形成する。以下の実施例は、本発明の主題を限定することなく説明する。
【表9】
【0191】
以下の試験および方法が適用される:
CIPAC MT 192に従って回転粘度を測定する。安定で簡便な製剤は、簡便にボトルを空にし、洗浄することを可能にするために中程度の範囲の粘度を示すと予測される。
【0192】
Bohlin Gemini Rheometerを使用して、レオロジーを測定した。G’(弾性率)、G’’(粘性率)および位相角の測定値は、歪み制御または応力制御のいずれかを用いた周波数掃引ルーチンを使用して、室温で異なる周波数(0.01~5Hz)で測定し、数値は0.5Hzで報告した。当業者には一般的に、安定な製剤では、G’(>G’’)の小さい位相角および大きい数値は高い確率を示すが、安定性が低い製剤では、G’(<G’’)の大きい位相角および小さい数値は高い確率を示すことが認められている。
【0193】
CIPAC MT 187 Malvern Mastersizer、媒体:プロピレングリコール)によるレーザー回折によって、または光学顕微鏡(倍率40倍)を使用することによって、粒径を決定する。安定で簡便な製剤は、濃縮物中での良好な貯蔵安定性と、水性希釈物中での良好な懸濁安定性とを確実にするために、小さな粒子を含有すると予測される。
【0194】
懸濁安定性を、CIPAC MT 180による単純化された方法に従って評価し、CIPAC D水中の2%水性希釈で測定し、1時間の放置時間後に決定する。安定で簡便な製剤は、噴霧溶液の均一な施用を確実にするために、試験容器の底部で沈殿物形成を全く示さないか、またはごくわずかしか示さないと予測される。
【0195】
異なる温度、例えば、0℃、20℃、30℃、40℃、54℃、または解凍-凍結サイクル(または温度サイクル;-15℃から+30℃への連続的な温度変化、および一週間以内の逆転)で、所与の週数(w)にわたって、貯蔵試験を行う。
【0196】
試料を振盪し、続いて試料容器の基部を評価することによって、試料の再分散性を定性的に決定する。
【0197】
DIN 10964「Sensory analysis-Simple descriptive test」と同様に、製剤特性の評価を行う。この目的のために、形状、物質の状態および色、ならびに追加の特質(特に、例えば、塊、粘結、沈殿物形成、その後の肥厚、沈殿物のマーブリングなど)について、視覚的に、および必要に応じて、振盪および傾斜によって、検査対象の試料を検査する。
【0198】
貯蔵直後の相分離を沈殿物画分として報告し、商H1[沈殿物相と上清との間の界面層のレベル]をH0[試料の総充填高さ]で割ったものから計算するか、またはこの場合のように上清画分として計算する:
沈殿物画分=(H1/H0)*100[%]または
上清画分=100-沈殿物含有量[%]
安定で簡便な製剤は、高温で長期間貯蔵した際に相分離を全く示さないか、またはほとんど示さず、容易に再均質化されると予測される。短い貯蔵時間後の著しい相分離は、貯蔵安定性が限られていること、および貯蔵中に分散することが困難であったとしても沈殿物が形成される顕著な傾向を示す。
【0199】
[実施例I]
表Iに記載される実験によるあらゆる製剤成分を好適な容器内で合わせ、撹拌しながら均質化する。続いて、10~15μの粒径に達するまで(顕微鏡による決定)、ビーズ粉砕を行う(例えば、Dispermat SL50、80%の2mmビーズ、4000rpm、循環粉砕)。例えば、懸濁安定性および回転粘度によって、得られた製剤を分析する。続いて、高温で貯蔵試験を行い、次いで、貯蔵後の相分離の定量的評価を行う。
【表10】
【0200】
考察:表Iに示すように、実施例I-1~I-3に従って調製した製剤は、異なる条件で2週間貯蔵した後、低から中程度の粘度および非常に低い相分離とともに、好適な粒径および優れた懸濁安定性を示す。実施例I-4に従って調製した製剤は、粗粒子と組み合わせて高い粘度を示すため、本発明によるものではない。この場合、粉砕プロセスを停止した数分間の粉砕後に既に高粘度が蓄積しているため、さらに小さい粒径を有する試料の調製を続行しなかった。
【0201】
[実施例II]
表IIに記載される実験によるあらゆる製剤成分を好適な容器内で合わせ、撹拌しながら均質化する。続いて、10~15μの粒径に達するまで(顕微鏡による決定)、ビーズ粉砕を行う(例えば、Dispermat SL50、80%の2mmビーズ、4000rpm、循環粉砕)。例えば、懸濁安定性、回転粘度およびレオロジー(位相角G’およびG’’の決定)によって、得られた製剤を分析する。続いて、高温で貯蔵試験を行い、次いで、貯蔵後の相分離の定量的評価を行う。
【表11】
【表12】
【0202】
本発明による製剤はいずれも、7.5 1/sで1000mPa*s未満または約1000mPa*sの粘度を示し、これは、実用的有用性と考えることができる(表1、実施例II-1;II-3~II-5;II-8;II-9)。実施例はいずれも、良好な貯蔵安定性に起因する30°またはその付近の小さい位相角を示す。ただし、本発明による実施例はいずれも、約100Paまたはそれ未満の弾性率G’と、G’を大幅に下回る対応する粘性率G’’とを示す。相分離に関して、本発明による製剤はいずれも、20℃/室温、40℃または温度サイクルのいずれかで4、8または16週間貯蔵した後、上清を全く示さないか、または低レベルの上清のみを示す。したがって、40℃でそれぞれ8週間または16週間貯蔵した後、0~10%の最大相分離が観察された。多量のプロピレングリコールを含有する製剤は、最大14%(表I、実施例II-2;II-6;II-7)という比較的高い粘度および/または比較的高いレベルの上清を示すため、本発明によるものではない。
【0203】
[実施例III]
異なるレベルの担体流体g)、アジュバントh)および水不溶性充填剤f)を試験するために、表IIIに記載の実験による全製剤成分を好適な容器内で合わせ、撹拌しながら均質化する。続いて、10~15μの粒径に達するまで(顕微鏡による決定)、ビーズ粉砕を行う(例えば、Dispermat SL50、80%の2mmビーズ、4000rpm、循環粉砕)。懸濁安定性、回転粘度およびレオロジーによって、得られた製剤を分析する。続いて、高温で貯蔵試験を行い、次いで、貯蔵後の懸濁安定性の定量的評価を行う。
【表13】
【0204】
考察:実施例III-1およびIII-2に従って調製した製剤は、貯蔵後であっても中程度の粘度および良好な懸濁安定性を示す。さらに、実施例III-1は、小さい位相角、約100Paまたはそれ未満の弾性率G’、およびG’を大幅に下回る対応する粘性率G’’を示す。したがって、III-1およびIII-2は、本発明による実施例である。実施例III-3に従って調製した製剤は、粘度がわずかに高く、III-1と比較して同様のG’を示し、これは、この処方におけるプロピレングリコールの量の増加に起因し得る。実施例III-4およびIII-5に従って調製した製剤は、増加した高い粘度および弾性率G’を示し、これもまた、この処方におけるプロピレングリコールの量の増加に起因し得る。
【0205】
[実施例IV]
製剤処方を変更せずに、室温a)で固体の少なくとも1つの活性成分と少なくとも1つの活性成分b)との様々な組合せを試験するために、表IVに示すように好適な活性成分を選択し、撹拌しながら合わせ、均質化した。続いて、ビーズ粉砕を行い(Dispermat SL50、80%の2mmビーズ、4000rpm、40分間の循環粉砕)、例えば、懸濁安定性、回転粘度および粒径評価によって、得られた製剤を分析する。続いて、高温で貯蔵試験を行い、貯蔵後の相分離の決定を含め、試料をさらに評価した。
【表14】
【0206】
考察:実施例IV-1~IV-7は、3~6μmの粒径d90(Malvernの結果)と組み合わせて7.5 1/sで850~1500mPa*sの回転粘度を示し、1時間後の優れた懸濁安定性を示す。2週間の貯蔵後、相分離はほとんど検出されず、粒径のわずかな変化が見られるにとどまり(例外は、54℃での貯蔵後にいくらかの結晶成長が見られる実施例IV-4)、これにより、本発明による安定な製剤が示される。さらに、貯蔵後の懸濁安定性は連続的に良好であり、場合によっては優れてさえいる。
【0207】
[実施例V]
フルピラジフロンおよび化合物I-2による表皮浸透
実験手順:
この試験では、リンゴの木の葉の酵素的に単離された表皮を通る活性成分の浸透を測定する。
【0208】
発達した状態のリンゴの木から切り落とし、Schonherr and Riederer(Schonherr,J.,Riederer,M.(1986))に記載される方法によって単離した葉を使用する。気孔および毛を含まない、葉の上面の表皮のみをさらに使用する。
【0209】
膜輸送試験のために、このようにして得られたクチクラ膜をステンレス鋼拡散セル(=輸送チャンバ)に入れる。この目的のために、表皮を、ピンセットを用いて拡散セルのシリコーングリースを塗りつけた縁部の中央に配置し、同様にグリースが塗布されたリングを用いて封止する。表皮の形態学的外側が外側、すなわち空気に向けられるのに対して、元の内側が拡散セルの内側に面するように、この配置を選択する。拡散セルに水、または水と溶媒との混合物を満たし、生理学的に適切なpH5.5に緩衝する。拡散セル内の培地は、アポプラスト、すなわち、葉内の自然吸収培地を模倣すると考えられる。この方法は、作物保護組成物の浸透に対する製剤、アジュバントおよび溶媒の効果を理解することを目的とした浸透移行性試験および機構的試験によく適している。
【0210】
浸透を決定するために、以下、特定の製剤(表Vを参照)中の活性成分フルピラジフロンおよびI-1を含有する噴霧液の各場合に5μlを表皮の外側に塗布する。活性成分濃度は、実際に慣習的な圃場施用量に相当する。噴霧液の調製のために、所与の量の対応する成分を水道水に注ぎ、混合によって均質化する。
【0211】
噴霧液を塗布した後、水をそれぞれ蒸発させ、次いで、チャンバを反転させ、それらを恒温槽に入れ、規定の気湿および温度の空気をそれぞれ表皮の外側に吹き付ける。したがって、設定される浸透は、56%の相対気湿および25℃の設定温度で行われる。一定の間隔で、オートサンプラーを使用して試料を採取し、浸透した活性成分の含有量をHPLCによって測定する。報告された数値は、それぞれ5~10回の個々の測定値の平均値である。
【表15】
【0212】
実験の評価:
試験した2つの活性物質、フルピラジフロンおよびI-2は、それ自体、添加剤を用いず使用された場合、存在するとしても、表皮浸透をほとんど示さない(表V、エントリー1)。リン酸水素二アンモニウム(DAHP)、特にAntarox B/848の存在下で活性成分を塗布すると、試験した両活性成分の表皮浸透の改善が独立してもたらされる(表Vエントリー2~3)。Antarox B/848およびDAHPを組み合わせて使用するとすぐに、最大浸透電位が見出され、これは、製剤中の両活性成分に対する個々の効果の付加的な組合せである(表V、エントリー4)。異なる溶媒の組合せ(表V、エントリー5~8)が、Antarox B/848およびDAHPの組合せと一緒に存在する場合、非常に類似した効果が観察され得る。フルピラジフロンは増加した浸透挙動を示すのに対して、I-2の浸透はわずかに減少するが、依然として非常に高いレベルであり、Antarox B/848またはDAHP単独よりも確実に良好である。
【国際調査報告】