(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】カップリング
(51)【国際特許分類】
F16D 3/26 20060101AFI20221220BHJP
F16D 3/16 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F16D3/26 Z
F16D3/16 P
F16D3/16 Z
F16D3/26 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521401
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 GB2020052491
(87)【国際公開番号】W WO2021069897
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522140600
【氏名又は名称】パンク カップリングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,サイモン
(57)【要約】
カップリング(1、2)は、位置合わせされたときに共通軸を共有し、共通軸上に共通中心を有する内側部材(111)と、外側環状部材(131)、及び中間環状部材(121)を有する。内側部材及び中間環状部材は、共通軸に垂直な第2の軸の周りで一方を他方に対して強制回転させる。中間環状部材及び外側環状部材は、共通軸(X)及び第2の軸(Y)に垂直な第3の軸(Z)の周りで一方を他方に対して強制回転させる。部材は、部材のそれぞれの間に隙間(103)を残すために離間される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置合わせされたときに共通軸(X)を共有し、前記共通軸上に共通中心(C)を有する内側部材(111、211、231)と、外側環状部材(131,231、251)と、中間環状部材(121、221、241)を備え、前記共通中心の半径方向に配置された、1対のまたは直径方向に対向する対の第1のアクスル(114、214、234)が、前記内側部材(111、211、231)及び前記中間環状部材(121、221、241)を結合し、前記内側部材(121、221、231)及び前記中間環状部材(121、221、241)が、前記第1のアクスル(114、214、234)によって、前記共通軸(X)に垂直な第2の軸(Y)の周りで一方を他方に対して強制回転させられ、前記中間環状部材(121、221、241)及び前記外側環状部材(131、231、251)が、前記第2のアクスル(134、234、254)によって、前記共通軸(X)と前記第2の軸(Y)の両方に垂直な第3の軸(Z)の周りで一方を他方に対して強制回転させられ、前記内側部材(111、211、231)、前記中間環状部材(121、221、241)、及び前記外側環状部材(131、231、251)が、前記部材のそれぞれの間に隙間(103、203)を残すために離間されること、並びに前記隙間(103、203)及び前記中間環状部材(121、221、241)の前記同心性が、1つのまたは複数の前記第1のアクスルが、前記内側部材(111、211、231)または前記外側部材(131、231、251)の前記一方もしくは他方及び前記中間環状部材(121、221、241)内に固定され、前記内側部材もしくは前記外側部材及び前記中間部材の前記他方のベアリング(125、129 225,245、227,247)内で支持されることを特徴とする、カップリング(1、2、21、22)。
【請求項2】
前記内側部材(111、211、231)が凸状外周部(112)を有し、前記中間環状部材(121、221、241)が、前記内側部材の前記凸状外周部(112)が受け入れられる凹状内周部(123)を有し、前記内側部材の前記凸状外周部(112)及び前記中間環状部材の前記凹状内周部(123)が、前記カップリングが位置合わせされたとき同じ共通軸(X)を有し、前記中間部材(121、221,241)が凸状外周部(122)を有し、前記外側環状部材(131、231、251)が、前記中間部材の前記凸状外周部が受け入れられる凹状内周部(133)を有することを特徴とする、請求項1に記載のカップリング。
【請求項3】
前記第1のアクスル(114、214、234)が、前記内側部材(111、211、231)の穴の中に固定され、前記中間部材(121、221、241)に取り付けられたベアリング内で支持されること、及び前記第2のアクスルが、前記外側部材の穴の中に固定され、前記中間部材(121、221、241)に取り付けられたベアリング(125、129、227、245、247)内で支持されることを特徴とする、請求項1または2に記載のカップリング。
【請求項4】
前記第2のアクスル(複数可)(134)が、前記外側部材の前記外周部に係合するフランジ(140)を有し、前記アクスル(134)のそれぞれが前記中間部材のベアリング(129)内で支持されることを特徴とする、任意の先行する請求項に記載のカップリング。
【請求項5】
アクスルがベアリング内で支持され、前記ベアリングが、前記ベアリングと前記隣接する表面(168)を係合する係合手段(167)によって遠心力に対して適所に保持されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のカップリング。
【請求項6】
1つ以上のアクスルが、ベアリング内に平坦な端面を有し、前記ベアリングが内側端面を有すること、及び前記ベアリングの前記内側よた者面が、前記アクスルの前記平坦な端部に作用することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のカップリング。
【請求項7】
アクスルを支持するベアリングを有し、前記ベアリングが前記アクスルとベアリングとの間のOリングで密封されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のカップリング。
【請求項8】
前記カップリングが2つの係るカップリング(1、2)の一方であり、前記内側部材(111)が共通のシャフト(3)によって結び付けられ、一方の外側部材が駆動シャフトに接続され、前記他方のカップリングの前記外側部材が被駆動シャフトに接続されることを特徴とする、任意の先行する請求項に記載のカップリング。
【請求項9】
前記カップリングが、前記外側カップリング(22)の前記内側部材(231)である前記内側カップリング(21)部材の前記環状前記外側部材(231)と同心円状に配置された2つの係るカップリング(21、22)の一方であることを特徴とする、請求項1から97のいずれか1項に記載のカップリング。
【請求項10】
部材の前記慣性質量が、前記中心軸から遠く離れると減少する、前記部材であることを特徴とする、任意の先行する請求項に記載のカップリング。
【請求項11】
前記第2のアクスルが、前記第1のアクスルよりも小さい直径を有することを特徴とする、任意の先行する請求項に記載のカップリング。
【請求項12】
前記内側カップリング(21)の前記中間部材(221)が、前記外側カップリングの前記中間部材と前記同じ慣性質量を有することを特徴とする、請求項9に記載のカップリング。
【請求項13】
前記カップリングが、前記中心軸(X)の周りに配置されたパルスダンパをさらに備え、前記パルスダンパが、減衰手段、第1のエンドプレート(305)及び平行な第2のエンドプレート(306)を有し、互いに対向しており、前記第1のエンドプレート(305)が、入力または出力に接続され、前記第2のエンドプレート(306)が前記外側環状部材(131)に接続され、前記エンドプレートの一方(305)が、そこから前記エンドプレートの前記他方(306)に延びる前記中心軸に中心があるアクスル(352)を有し、前記エンドプレートの他方(306)が、そこから前記アクスル(352)の周りに延び、前記管(362)と前記アクスル(352)の間に複数のベアリング(342)のためのハウジングを形成する管(362)を有し、減衰リング(303)が前記管(362)の周りで互いから等距離に配置された偶数のディバイダ(334、336)を備え、前記ディバイダ(334、336)がそれらの間にエラストマ材料(332)を有し、交互のディバイダ(336)が、前記アクスルがそこから延びる前記第1のエンドプレートに固定され、前記他のディバイダ(334)が前記同軸の管(362)に固定されることを特徴とする、任意の先行する請求項に記載のカップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
第WO2015/087081号(Punk Couplings Limited)は、内側部材及び外側環状部材を有するカップリングを説明及び特許請求し、
1対以上の環状部材であって、内側環状部材及び外側環状部材の一方または両方を含む場合もあれば、含まない場合もあり、各対が、共通軸を備え、軸上に共通中心を有する第1の環状部材及び第2の環状部材である、1対以上の環状部材と、
球形の凸状外周部を有する第1の環状部材と、
第1の環状部材の凸状外周部が受け入れられる球形の凹状内周部を有する第2の環状部材と、
中心の周りで同心であり、互いに相補的であり、互いと協力して凸状外周部と凹状内周部との間のねじり軸に沿って作用する軸負荷を伝達する、凸状外周部及び凹状内周部と、
環状部材の一方から他方へねじり負荷を伝達するために第1の及び第2の環状部材を結合する該対の環状部材の共通中心の半径方向に配置された1対のまたは直径方向に対向する対のアクスルであって、第1の及び第2の環状部材が、アクスル(複数可)によってアクスル(複数可)の周りで他方に対して強制回転可能にさせる、1対のまたは直径方向に対向する対のアクスルと
を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
係るカップリングで相当な負荷が生じるいくつかの状況では、相補的な表面の表面上での長期摩耗に対する懸念が生じる場合がある。さらに、相補的な表面間の接触の結果としての摩擦による損失は、カップリングの効率に影響を与える。
【0004】
また、カップリングがシャフトをずらしたときにエンジンパルスを吸収するためにゴムリング要素の両方のねじり減衰特性を活用することも知られているが、これは、ゴムリング設計に固有の面外の「捻り」能力を利用することによって達成される。ただし、これは、システム内に克服する必要がある余分な力がある不均衡を生じさせるため、非効率及び不必要なストレス、したがってシステム内に雑音/システムを誘発する。係るカップリングの例は、1982年10月20日に公開されたEP第0063022A(Dunlop Limited)に見られる。係るカップリングの制約の結果、角度のずれは2°または3°に制限される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
位置合わせされたときに共通軸を共有し、共通軸の上に共通中心を有する、内側部材と、外側環状部材と、中間環状部材と、
凸状外周部を有する内側部材であって、中間環状部材は、内側部材の凸状外周部が受け入れられる凹状内周部を有し、内側部材の凸状外周部及び中間環状部材の凹状内周部は、カップリングが位置合わせされたときに同じ共通軸を有し、共通中心の半径方向に配置された1対のまたは直径方向に対向する対の第1のアクスル(複数可)は、内側部材及び中間環状部材を結合し、内側部材及び中間環状部材は、第1のアクスル(複数可)によって共通軸に垂直の第2の軸の周りで一方を他方に対して強制回転させられる、内側部材と、
凸状外周部を有する中間部材であって、外側環状部材は、中間部材の凸状外周部が受け入れられる凹状内周部を有し、中間部材の凸状外周部及び外側環状部材の凹状内周部は、カップリングが位置合わせされたときに同じ共通軸を有し、共通中心の半径方向に配置された直径方向に対向する対の第2のアクスルは、中間環状部材及び外側環状部材を結合し、中間環状部材及び外側環状部材は、第2のアクスルによって共通軸と第2の軸の両方に垂直の第3の軸の周りで一方を他方に対して強制回転させられる、中間部材と
を備えるカップリングは、内側部材、中間環状部材、及び外側環状部材が、部材のそれぞれの間に隙間を残すために離間していることを特徴とする。
【0006】
一実施形態では、カップリングは、共通中心を共有する2つの係るカップリングの一方であり、その点において、一方のカップリングの外側環状部材は、他方のカップリングの内側部材である。
【0007】
別の実施形態において。カップリングは、内側部材が共通のシャフトの周りに配置される2つの係るカップリングの一方である。本実施形態は、標準的なカルダンシャフトカップリングの直接的でより効率的な代替品となるであろう。
【0008】
摩擦及び摩耗を低減することに加え、本発明は、対の環状部材の同心性の維持を確実にする追加の利点を有する。
【0009】
第1の及び第2の環状部材の球面があらゆる軸負荷及び半径方向負荷の大部分を運ぶ、球面によって運ばれる第WO2015/0087081号と対照的に、本発明では、アクスルも軸負荷及び半径方向負荷を運ぶ。
【0010】
本発明の様々な実施形態に係るカップリングは、少なくとも1回転自由度で結合されなければならない任意の2つの構造要素を結合するために使用され得る。いくつかの例は、固定された構造に要素を結合する、構造静的カップリングとして有用である。他の例は、2つの回転要素を結合する回転可撓カップリングとして有用である。本発明に係るカップリングは、例えば、角度的にずれたシャフトを結合するために、またはユニバーサルジョイント、等速ジョイント、駆動シャフトを被駆動シャフトに結合するためのカップリングとして、及びパックピニオンまたは車両ステアリングシステムのパワーステアリングアクチュエータに接続するためのカップリングとして使用され得る。
【0011】
本発明のさらなる展開では、カップリングは、中心軸の周りに配置されたパルスダンパをさらに含み、該パルスダンパ、互いに平行且つ対向する第1のエンドプレート及び第2のエンドプレート、第1のエンドプレートは入力または出力に接続され、第2のエンドプレートは外側環状部材に接続され、該エンドプレートの一方はそこから該エンドプレートの他方に向かって延びる中心軸に中心があるアクスルを有し、前記エンドプレートの他方は、そこからアクスルの周りに延び、管とアクスルとの間の複数のベアリングのためのハウジングを形成する管を有し、減衰リングが、管の周りで互いから等距離に配置された偶数のディバイダを含み、ディバイダはそれらの間にエラストマ材料を有し、代替ディバイダは、アクスルがそこから延びる第1のエンドプレートに固定され、他方のディバイダは同軸の管に固定される。
【0012】
本発明の他の特徴及び実施形態は、添付図面及び特許請求の範囲に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】内側部材が共通のアクスルを共有する、それぞれが本発明に係る2つのカップリングの側面図を示す図である。
【
図2】
図1のカップリングを通る垂直断面図を示す図である。
【
図3】
図1のカップリングを通る断面図であって、
図2の断面に図直交する断面図を示す図である。
【
図4】
図1のカップリングの一方を通る断面図であって、
図2及び
図3の断面図に直交する平面上にある断面図を示す図である。
【
図5】本発明を組み込んだ2つの同心カップリングを示す図である。
【
図6】パルスダンパを組み込んだ
図1のずれたカップリングの斜視図を示す図である。
【
図8】
図6の位置合わせされたカップリング及びパルスダンパの軸を通る断面図を示す図である。
【
図9】
図6のパルスダンパ単独の分解組立図を示す図である。
【
図10】
図8の断面図の平面に直交する平面上の
図6のパルスダンパの垂直断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から
図4は、カルダンシャフト代替品として使用されるシャフト3による本発明のリンクの2つの例のカップリング1及び2を示す。
【0015】
各カップリング1及び2は、内側環状部材111、中間環状部材121、及び外側環状部材131を含む。内側部材111は、中心軸Xに中心がある。内側部材111は、凸状に球形であり、中心軸X上の点Cに中心がある凸状の外周面112を有する。
【0016】
内側環状部材111は、シャフト3を受け入れるために中心開口100を有する。中心開口100は、シャフト3上で対応するキー102によって係合されるキー溝101を有する。代わりに、シャフト3の端部は、中心開口の周りで対向するスプラインを係合するためのスプラインを有する場合がある。
【0017】
中間環状部材121は、内側部材111の凸状の外周面112に相補的な球形セグメントである凹状内周部123を有する。また、凹状の面123も点Cに中心がある。直径方向に対向するアクスル114は、軸Xに直交する第2の軸Yに沿って軸Xの半径方向に延び、第2の軸Yは点Cを通過する。
【0018】
アクスル114は、内側部材111を通って中間部材の中に延び、内側部材111を中間環状部材121に結合する。アクスル114は、中間環状部材121を第2の軸Yの周りで内側部材111に対して強制回転させる。
【0019】
中間環状部材121は、凸状に球形で、点Cに中心がある外周部122を有する。外側環状部材131は、凹状に球形であり、中間部材121の凸状外周部122に相補的に点Cに中心がある凹状の内周面133を有する。1対の直径方向に対向するアクスル134は、第3の軸Z上の中心軸Xの半径方向に延び、第3の軸Zは、軸Y及び軸Xに直交する。直径方向に対向するアクスル134は、中間環状部材121を外側環状部材131に結合する。第3の軸Zは、中心軸X及び第2の軸Yと同じ中心点Cを通過する。
【0020】
アクスル134は、中間環状部材121及び外側環状部材131に軸Zの周りで一方を他方に対して強制回転させる。アクスル134は、内側部材111及び中間環状部材121の相対的な回転とは関係なく、中間環状部材121及び外側環状部材131の相対的な回転を可能にする。
【0021】
アクスル114は、中間部材121のボア124内に取り付けられたキャップ付きニードル軸受125内で支持され、内側部材111のボア115内に固定される。
【0022】
アクスル134は、外側環状部材131のボア内137に固定され、中間環状部材121のボア128内に固定されたキャップ付きニードル軸受129内で支持される。
【0023】
部材111、121、及び131の厚さは、内側部材111及び中間環状部材121の凸状と凹状の外周部と内周部112と123との間に小さい隙間103が残され、同様に、それぞれ中間環状部材121及び外側環状部材131の凸状と凹状の外周部と内周部122と133との間に小さい隙間103が残されるように選ばれる。したがって、部材の内周面及び外周面は互いに接触しない。ただし、万一故障が発生すると、内側部材及び中間環状部材は、カップリング1の構造内に保持される。
【0024】
内側部材111を中間環状部材121に挿入し、中間環状部材121を外側環状部材131に挿入することを可能にするために(
図2に記された)装填長穴104が設けられる。
【0025】
キャップ付きニードル軸受125及び129は、穴124及び128の表面の対応する溝168と係合するその閉じられた端部近くのその周辺部の周りに取り付けられたサークリップ167を有する。サークリップ167は、カップリング1が高速で回転するときに生じる遠心力に対してベアリング125及び129を保持するために使用される。シール169は、ベアリング125と129と、アクスル114と134との間の隙間を埋めてベアリング内への汚染物質の進入及びベアリングからの潤滑剤の排出を防ぐために配置される。
【0026】
アクスル134は、それぞれその外端にフランジ140を有する。フランジ140は、外側環状部材131の外面の座部141に載っている。サークリップ142は、アクスル134を適所にしっかりと保持するためにフランジ140に接して内周部ボア137と係合する。
【0027】
カップリング1の外側環状部材131はボルト穴を有し、ボルト穴の中で、駆動シャフトまたは被駆動シャフト7の端部フランジ6を通過するボルト5は、シャフト7を外側環状部材131に結合する。
【0028】
図1から
図5に示される構成では、カップリング2の外側環状部材131もボルト穴を有し、ボルト穴の中で、第2の駆動シャフトまたは被駆動シャフト8の端部フランジ6を通過するボルト5は、シャフト8を第2のカップリング2の外側環状部材131に結合する。
【0029】
追加の代替策として、カップリングの一方の内側部材が環状部材になるのではなく、それは、ボスを有するオス部材として形成され、シャフト3はボスから他方のカップリグの中心開口の中に延びる。
【0030】
別の代替策として、アクスル114及び134は、中間部材121内でではなく、それぞれ内側と外側の部材111と131のベアリング内で支持される。
【0031】
図1から
図5では、本発明のカップリングは、カルダンカップリングに代わる共通のシャフトによって結び付けられた2つのうちの一方であるとして示されている。しかし、1または2として示されるカップリングは単独で使用することができ、シャフト3及び7の一方が駆動シャフトであり、他方が被駆動シャフトである。追加の代替策として、シャフトにボルトで留められるのではなく、他方の環状部材は別の回転可能な装置に接続されてもよい。
【0032】
2つのカップリング1及び2が、シャフト3によって
図1に示されるように接続されるとき、駆動シャフトまたは被駆動シャフト7及び8の一方の回転速度は、シャフト7と8との間のずれがなんであれ、シャフト7及び8の他方の回転速度と同じになる。
【0033】
図5では、二重同心ジョイント20は2つのカップリング21及び22から構成され、それぞれが本発明を組み込み、一方が他方の内側に取り付けられ、内側カップリング21の外側環状部材は外側カップリング22の内側部材であり、これ以降共通部材231と呼ばれる。カップリング21及び22は、共通中心Cを有する。
【0034】
カップリング21は、この例では環状であり、スプライン付きの駆動シャフトまたは被駆動シャフト(不図示)を受け入れるためにボアの周りにスプライン210を備えた中心ボア200を有する内側部材211、及び外側環状部材-つまり、共通環状部材231及び中間部材221-を有する。
【0035】
カップリング22は、内側環状部材-つまり、共通環状部材231、中間部材241、及び外側環状部材251-を含む。
【0036】
内側部材211は、この例では環状であり、中間部材221、241及び共通環状部材231は球形のセグメントを含む。部材(211、221、231、241、251)のそれぞれは、共通中心軸Xの周りに配置され、共通軸Xに共通中心Cを有する。
【0037】
外側環状部材251はその側面にボルト穴を有して、外側環状部材に結合されるシャフト(不図示)の端部フランジを通過するボルトを受け入れる。
【0038】
内側部材は球形の凸状外周部212を有し、カップリング21の中間環状部材221は、内側部材211の凸状外周部212が受け入れられる球形の凹状内周部223を有する。
【0039】
中間環状部材221は球形の凸状外周部222を有し、共通環状部材231は、中間環状部材221の凸状外周部222が受け入れられる球形の凹状内周部233を有する。
【0040】
共通環状部材231は球形の凸状外周部232を有し、カプリング22の中間環状部材241は、共通環状部材231の凸状外周部232が受け入れられる球形の凹状内周部243を有する。
【0041】
第2のカップリング22の中間環状部材241は球形の凸状外周部242を有し、外側環状部材251は、中間環状部材241の凸状外周部242が受け入れられる球形の凹状内周部253を有する。
【0042】
凸状外周部(212、222、232、242)及び凹状内周部(223、233、243、253)は、中心Cの周りで同心であり、互いに相補的である。
【0043】
1対の直径方向に対向するアクスル214は、内側部材211内の対向するボア215から、中間環状部材221のボア224内に固定されたベアリング225の中に延びる。アクスル214の軸Yは、共通中心軸Xに垂直である。カップリング21の中間環状部材221は、共通軸Xに垂直な第2の軸Yの周りで内側部材211の周りを強制回転させられる。
【0044】
その共通軸Zが、共通中心軸Xと第2の軸Yの両方に垂直である1対の直径方向に対向するアクスル234は、共通環状部材231の対向するボア236内に固定され、カップリング21の中間環状部材221のボア226及びカップリング22の中間環状部材241のボア246内に固定されるベアリング227及び247に取り付けられる。共通環状部材231は、このようにして共通軸Xと第2の軸Yの両方に垂直な第3の軸Z上の共通環状部材231の周りで、中間環状部材221及び中間環状部材241の周りを強制回転させられる。
【0045】
1対の直径方向に対向するアクスル254は、外側環状部材251内の対向するボア255から、第4の中間環状部材241のボア244内に固定されたベアリング245の中に延びる。アクスル254の軸は、共通中心軸Xに垂直の第2の軸Yと位置合わせされている。外側環状部材251は、このようにして、第2の軸Yの周りで、及び共通軸Xに垂直に中間環状部材241の周りを強制回転させられる。
【0046】
ベアリング225,245、227、247は、滑り軸受またはキャップ付きごろニードル軸受である可能性がある。
【0047】
部材211、221、231、241、及び251、並びにアクスル214、234、及び254の寸法は、各凸状外周部と各凹状内周部との間に小さい隙間203を設けるために選ばれる。部材の間の隙間203、及び部材の同心性は、アクスル214と254の端部が、それぞれ内側と外側の部材211と251のボア215及び255内に締まりばめによって固定され、中間環状部材221と241のベアリング225と245によって支持されることによって、及びアクスル234が、その中にまたはアクスルのどちらかの端部に中間部材221と241のベアリング227と247によって締まりばめを有することにより共通環状部材234のボア236内に固定されることによっても維持される。また、アクスル及びベアリングは、サークリップ、スナップリング、ピン、またはボルト付きキャップによって保持される場合もある。
【0048】
部材211、221、231、及び241は、共通中心軸に平行な方向に挿入し、次に小さい方の部材を適所に回転させることによって、対向する装填長穴202を使用し、部材221、231、241、及び251の中に順番に装填される。アクスルは次に適所に配置される。
【0049】
共通環状部材231は、回転運動及びトルクを一方のカップリング21から他方のカップリング22に、または逆に伝達する。
【0050】
図5のカップリングは、任意の接続シャフトが中心開口200に挿入され、スプライン201に接続が行われるという点でメスのカップリングである。環状部材211を、ボスから側面方向に延びるシャフトを有するボスに置き換えることによって、入力または出力に外部で行われる接続。
【0051】
すべての例で、すべての例の隙間103及び203の適切な幅は、意図されている用途のための設計の問題であり、カップリングの意図された用途、回転の速度、装填外形、及び環状部材に使用される材料に従って変わる。しかしながら、通例、隙間103または203は、全径が100mm未満である場合、カップリングの全径の0.5%、及び直径が100mm以上のカップリングの場合、全径の1%であるであろう。
【0052】
例では、理想的には、部材の慣性質量は、中心軸Xからさらに遠ざかると減少し、部材である。これは、中間部材及び外側部材に、必要に応じて穴を追加する、及び/または中間部材を内側部材よりも薄くし、同様に外側部材を中間部材よりも薄くすることによって、材料の選択を通じて行うことができる。これは、中間部材及び外側部材の慣性質量が、それらが、すべての部材が同じ材料からなるならば有していただろうものと比較すると減少することを確実にする。
【0053】
中心軸Xから離れた回転部分の慣性質量を減少させるための追加の処置は、アクスル134及び234が、アクスル114及び214よりも小さい直径であり、アクスル254が軸234よりも小さい直径であることを含む。
【0054】
上述のカップリングは、任意の適切な材料から作られてよい。ただし、設計の点で、中心軸Xからの距離が増すにつれて、部材の慣性質量を削減する望ましさを理解するべきである。
【0055】
キャップ付きの滑り軸受が使用される場合、表面は、例えば高性能の鋼、黄銅、青銅、アルミニウム、チタンなどの金属製、または例えばナイロン、ガラス充填ナイロン、アセタール、ABS、Delrin(登録商標)などのプラスチック製である場合がある。
【0056】
金属環状部材は、例えばグリースなど、従来の潤滑剤によって潤滑されてよい。代わりに、プラスチックライナーなど乾燥した潤滑剤面が使用されてもよい。材料及び潤滑剤の選択は、カップリングの意図された用途に依存する。
【0057】
図1から
図5では、説明されるように、部材111及び121の、並びに部材211、221、231、及び241の外周部は球形の凸状周辺部であり、部材121及び131の、並びに221、231、241、及び251の内周部は、球形の凹状周辺部である。部材間の接触は、部材間でアクスルによって維持される隙間203を有することによって回避することができるので、隙間が十分に大きい場合には、周辺部表面は円筒形である可能性がある。代わりに、周辺部はその端縁に向かって面取りされる可能性がある。また、隙間を維持するアクスル114及び134、並びに214、234、及び254は、カプリングの部材の同心性も維持する。
【0058】
図1から
図5のカップリングは、
図6から
図10に示されるようにパルスダンパを備える場合がある。
【0059】
パルスダンパ301は、回転可能な入力駆動部に接続可能な第1の端部円盤形のプレート305、及び第1のエンドプレート305に平行且つ対向する第2の円盤形のエンドプレート306を有し、両方のエンドプレートとも中心軸Xの周りに配置される。
【0060】
第1のエンドプレート305は、フランジ357及びボルト358を使用し、それに取り付けられたアクスル352を有する。アクスル352は、中心軸Xと同軸であり、第1のエンドプレート305から第2のエンドプレート306に向かって延びる。
【0061】
第2のエンドプレート306は、アクスル352の周りで管362から同軸に延び、管362とアクスル352との間に1対のベアリング342のためのハウジングを形成する管362を有する。管362は段付きであり、ベアリング342を据え付けることを可能にする。ベアリング342は、環状ロックナット355がアクスル352の周りで外部ねじ山354と協調する内部ねじ山356を有することによって、管362の一方の端部で適所に保持される。広がったロックワッシャ360は、ロックナット355と、対のベアリング342の一方との間に置かれる。管362の他方の端部で、ベアリングは、アクスル352の段付き部分によって適所に保持される。
【0062】
減衰リング303は、管362の周りに配置される。減衰リング303は、
図7及び
図10により詳細に図示される。減衰リング303は、管362の周りで互いから等距離に配置されたエラストマ部材332間にディバイダを形成する、偶数(この場合6つ)のウェッジブロック334及び336を含む。ブロック334及び336は、エラストマ部材332によって互いから分けられる。交互のブロック336は、ボルト307によって第1のエンドプレート305に留められる。
図6から
図9の実施形態では、ブロック334及び336は、わずかに曲線状の側壁を有するウェッジ形状である。
【0063】
第1のエンドプレート305にボルトで留められたブロック336間のブロック334は、ボルト308で同軸の管362に留められる(
図7を参照)。ブロック334を通るボルト308は、エラストマ部材332を同軸の管362に当接させる。この配置は、減衰リング303を、中心軸の周りでのみ、放射状にではなく強制的に曲げさせるため、不均衡を防ぐ。
図6から
図9に見られるように、ウェッジブロック334は、弾性部材に隣接する曲線状の側面を有し、側面の曲率は軸方向の管に向かって増加する。弾性部材にその端縁に向かってより大きい圧力を課し、軸方向の管との良好な接触を確実にするこの配置。
【0064】
減衰リング303の柔軟な接続エラストマ部分332は、動作中に継続的に且つ交互に、固定されたブロック334と336との間で縮み、延びることによって、例えば内燃機関から送達される電力パルスを吸収する。減衰リング3は、固定されたブロック334及び336が、隣接する成形されたエラストマ材料によって適所に制約されたオーバーモールドした構成要素であり、オーバーモールドは、使用中のエラストマ材料の半径方向の過剰な拡大も防ぐ。
【0065】
ピン359は、ブロック334を同軸の管362に対して適所に位置決めし、保持する。追加のピン359は、ブロック336を配置し、第1のエンドプレート305に対して適所に保つのを支援する。
【0066】
ウェッジブロック332は、通常、軽さのためにアルミニウムまたはアルミニウム合金製であって、可撓カップリングでの慣性力を最小限に抑える。
【0067】
図では、第2のエンドプレート306は、
図1から
図4に図示されるカップリング1の1つの外側部材131に機械加工された一体化されたフランジであるが、それは、
図1から
図4に図示されるカップリング2の外側部材131または
図5のカップリングの外側部材351に等しく十分にボルトで留められるであろう。減衰手段の直径が十分に小さいならば、減衰手段も、
図1から
図4に図示されるカップリング1及び3の内側部材111または
図5の内側部材211の1つにボルトで留められるであろう。
【国際調査報告】