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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】薬剤溶出形状記憶発泡体
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/54 20060101AFI20221220BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 23/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 38/04 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20221220BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20221220BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 31/43 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 31/65 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 31/545 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20221220BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20221220BHJP
   A61L 27/48 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A61L27/54
A61K45/00
A61K9/00
A61K9/48
A61K47/10
A61K47/38
A61K38/02
A61K38/18
A61K38/19
A61K38/20
A61P23/00
A61P29/00
A61P31/10
A61P9/00
A61P37/06
A61K38/04
A61K48/00
A61K31/7088
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/34
A61K47/12
A61K31/704
A61K33/24
A61K31/337
A61K31/43
A61K31/65
A61K31/545
A61K9/127
A61K9/107
A61L27/18
A61L27/48
A61P35/00
A61L27/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522807
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 US2020055891
(87)【国際公開番号】W WO2021076837
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/916,515
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510162539
【氏名又は名称】ザ テキサス エーアンドエム ユニバーシティ システム
【氏名又は名称原語表記】THE TEXAS A&M UNIVERSITY SYSTEM
【住所又は居所原語表記】3369 TAMU College Station, Texas 77843-3369, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】メイトランド,ダンカン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ,コーリー
(72)【発明者】
【氏名】クマール,シュリデヴィ アルン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA53
4C076AA95
4C076BB32
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC31
4C076DD38
4C076DD42
4C076DD50
4C076DD55
4C076EE06
4C076EE22
4C076EE31
4C076FF31
4C081AB11
4C081BA16
4C081BB06
4C081BB07
4C081CA052
4C081CA212
4C081CB022
4C081CC01
4C081CD022
4C081CE02
4C081DA11
4C081DC11
4C084AA13
4C084AA17
4C084BA03
4C084BA44
4C084DA01
4C084DA12
4C084DB52
4C084MA67
4C084NA05
4C084NA12
4C084ZA04
4C084ZA21
4C084ZA36
4C084ZB08
4C084ZB11
4C084ZB26
4C084ZB32
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086CC04
4C086CC10
4C086CC13
4C086DA29
4C086EA10
4C086EA16
4C086HA12
4C086HA24
4C086HA26
4C086HA28
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA67
4C086NA05
4C086NA12
4C086ZA04
4C086ZA21
4C086ZA36
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB32
(57)【要約】
がんの進行を防ぐために、腫瘍の切除が一般的に行われている。しかし、手術後には、手術部位にがん細胞を逃がす空隙が形成され、転移のリスクが高まることを含む懸念がある。この課題に対処するために、一実施形態は、抗がん剤を放出することもできる組織空隙充填装置として、ポリウレタン系の形状記憶発泡体を含む。当該発泡体は、体温で活性化し、可鍛性となる。そのような特性により、組織空隙を正確に封止するような発泡体を成形することができ、その後は、薬物溶出装置として機能することができる。ポリビニルアルコール(PVA)との薬物組成に基づいて、用途に応じて発泡体からの薬物放出プロファイルを変更することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
開放セル及びさらなる開放セルを含む形状記憶高分子(SMP)発泡体であって、前記SMP発泡体には第1及び第2の状態がある、発泡体、及び
前記開放セルに含まれる材料組成物
を含む、装置であって、ここで
前記材料組成物には、(a)治療剤、及び(b)ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれ、かつ、
前記治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
装置。
【請求項2】
前記SMP発泡体は、前記SMP発泡体が37℃で可塑化され、前記SMP発泡体のガラス転移温度(Tg)が25℃未満に低下すると、第1の状態から第2の状態に膨張するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記SMP発泡体は、少なくとも第1の成分及び第2の成分の反応生成物を含み、ここで、
前記第1の成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、かつ、
前記第2の成分は、トリエタノールアミン(TEA)、ヒドロキシプロピルエチレンジアミン(HPED)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記SMP発泡体は、少なくとも第1の成分及び第2の成分の反応生成物を含み、ここで、
前記第1の成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、かつ、
前記第2の成分は、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール(HT)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール(BEP)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記SMP発泡体は、少なくとも第1の成分、第2の成分、及び第3の成分の反応生成物を含み、ここで、
第1の成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、
第2の成分は、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール(HT)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール(BEP)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、
第3の成分は、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、イオヘキソール、トリヨードフェノール、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記治療剤は、ドキソルビシン、シスプラチン、パクリタキセル、アモキシシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
導管を含み、前記導管は、SMP発泡体を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記導管は、他の開放セルを含む他のSMP発泡体を含み、前記他のSMP発泡体には、第1及び第2の状態があり、
前記他の開放セルに含まれる他の材料組成物であって、前記他の材料組成物は、(a)他の治療剤、及び(b)他の、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、ここで、
前記他の治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、
前記材料組成物は、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つの第1の量を含み、
前記他の材料組成物は、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つの他の第2の量を含み;
前記第1の量は、前記第2の量と等しくない、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記SMP発泡体は、第1の状態で最大外径が1.2mm以下であり、
前記第1の状態で圧縮されて、第2の状態に拡張するように構成される、
請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記導管は、18ゲージ以下の針を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記開放セルの最大直径は、少なくとも50ミクロンであり、前記治療剤の大きさは900ダルトン以下である、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記開放セルは、ストラット及び内壁のうちの少なくとも1つを含み、
前記材料組成物は、ストラット及び内壁の少なくとも1つに直接接触する、
請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記開放セルは、
SMP発泡体の内部に含まれ、
さらなる開放セルに実質的に囲まれ、かつ
前記SMP発泡体の外面に直接接触しない、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記治療剤は、高分子、リポソーム、ミセル粒子、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つによってカプセル化されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
カプセル化された前記治療剤は、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つに含まれ、
前記PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つは、前記カプセル化された治療剤が壁に直接接触しないように、SMP発泡体のセルの壁と前記カプセル化された治療剤との間にある、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
コーティングを含む、請求項1に記載の装置であって、
前記開放セルはストラットを含み、
前記コーティングは前記ストラット上にあり、かつ、
前記コーティングは材料組成物を含む、装置。
【請求項17】
前記ストラットの内部部分には、前記治療剤、さらなる治療剤、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記コーティングの治療剤は、第1の期間中にSMP発泡体から患者の組織に溶出するように構成され、
ストラットの内部部分は、治療剤、さらなる治療剤、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、第2の期間中に前記SMP発泡体から患者の組織に溶出するように構成され、
前記第2の期間は、前記第1の期間の少なくとも1日後におこる、
請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記ストラットの内部部分はさらなる治療剤を含む、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
前記ストラットの内部部分は、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含まず、かつ、
材料組成物は前記ストラットの周囲で架橋されていない、
請求項17又は18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、米国特許仮出願第62/916,515号(2019年10月17日出願、発明の名称「薬剤溶出形状記憶発泡体」)の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
[0002]本発明の実施形態は、医療機器の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]がんは死亡原因の第2位であり、米国だけでも2019年には約60万人が死亡すると推定されている。固形腫瘍の場合、一次的な医学的介入の1つとして、がん細胞が確実に残存しないように、腫瘍を周辺組織の一部と共に切除する手術があげられる。しかし、肺等の生命維持に不可欠な臓器では、正常組織を温存することが不可欠であり、現在のところ、がん細胞の境界を予測する正確な検出法がない。そのため、後にがん再発の原因となるがん細胞が滞留する可能性がある。また、複数の研究により、a)切除後の組織の空隙を利用してがん細胞が脱離すること、又はb)術後のストレスにより転移が高まる可能性が指摘されている。従来、手術後の組織の空隙は、生分解性又は非分解性縫合糸を用いて、手術後に縫合される。この縫合方法には、創傷の予後不良による合併症や、非分解性縫合糸の抜糸等、ある課題がある。溶解性縫合糸の場合、患者の生理的条件に応じて分解速度を加速させることができる。例えば、患者が高熱を呈する場合、縫合糸は予測された時間よりも速く劣化し、創傷の予後不良につながる可能性が高い。
【0004】
[0004]本発明の実施形態の特徴及び有利な点は、添付の特許請求の範囲、1つ以上の実施形態の以下の詳細な説明、及び対応する図から明らかである。適当な場合には、対応する要素又は類似の要素を示すために、図中の参照番号を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】[0005]本発明の実施形態のための非累積放出曲線を含むグラフである。
図2】[0006]本発明の実施形態のための非累積放出曲線を含むグラフである。
図3】[0007]本発明の実施形態のための非累積放出曲線を含むグラフである。[0008]図1~3のY軸は、発泡体から溶出した薬剤の質量を示す。
図4】[0009]本発明の一実施形態における形状記憶高分子発泡体ストラットの断面図である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0010]ここで、図面を参照するが、図面において、同様の構造が同様の接尾辞参照呼称でもたらされてよい。様々な実施形態の構造をより明確に示すために、本明細書に含まれる図面は、構造の概略図である。したがって、製造された構造の実際の外観、例えば写真は、例示された実施形態のクレームされた構造を依然として組み込んでいながら、異なって見える場合がある(例えば、実際の製造された装置では、壁は互いに正確に直交していないかもしれない)。さらに、図面は、例示された実施形態を理解するために有用な構造のみを示す場合がある。当技術分野で公知のさらなる構造が、図面の明瞭性を維持するために含まれていない場合がある。例えば、装置の全ての層が必ずしも示されているわけではない。「実施形態」、「様々な実施形態」等は、そのように記載される複数でもありうる実施形態を示すが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含むとは限らない。ある実施形態は、他の実施形態について記載された特性のうち、ある、すべての、又は全てを備えてよい。「第1の」、「第2の」、「第3番の」等は、共通のオブジェクトを説明し、同様のオブジェクトの異なるインスタンスが参照されていることを示す。そのような形容詞は、そのように記述されたオブジェクトが、時間的にも、空間的にも、ランク付けにおいても、又は他のいかなる方法でも、所定の順序になければならないことを意味するものではない。「接続される(た)」とは、素子が互いに直接的に物理的又は電気的に接触していることを示してよく、「結合される(た)」とは、素子が互いに協働するか又は相互作用することを示してよいが、それらは直接物理的又は電気的に接触していてもいなくてもかまわない。「A又はBの少なくとも1つを含む」等の記載には、A、B、又はA及びBである状況が含まれる。
【0007】
[0011]上記の課題を解決するために、生分解性縫合糸が手術後の傷口を縫合するために広く用いられている。また、この縫合糸を薬物送達システムとして用いる試みもなされてきた。しかしながら、発明者らは、薬物溶出縫合糸の機械的強度が最適でないこと、かつ、及び薬物の持続的放出を達成できない等の多くの課題があるため、臨床的に適用可能な薬物溶出縫合糸はほとんどないことを見出した。さらに、発明者らは、縫合糸からの薬物放出の制御が不十分であること(又は、縫合糸に薬物を装填する能力さえも)により、治療効果がさらに損なわれることを見出した。縫合糸はしばしば薬物溶液に浸されるその結果、薬物の放出を直ちに制御することができない。薬物の体内滞留時間は短すぎて、所望の治療効果を達成することはできない。発明者らは、吸収性縫合糸に関するもう一つの大きな懸念として、炎症の増加をあげている。腫瘍切除において、縫合糸では創傷を正確に封鎖できない場合がある。したがって、縫合糸と接触していない創傷の領域では、残存するがん細胞が脱離してしまうかもしれない。
【0008】
[0012]縫合糸の代替法としては、術後の生分解性インプラント、例えば、ハイドロゲルがあげられる。ハイドロゲルの薬物放出能は、広範に特徴づけられてきた。ハイドロゲルは、温度及びpHを含む様々な刺激に応答するように設計して、積載物を放出することができる。例えば、腫瘍の微小環境のpHは、生理的pHと比較して低い傾向がある。ハイドロゲルを、低pH環境に感受性であるように化学的に設計することで、腫瘍の微小環境における積載物を選択的に送達することができる。これは理論的には薬物溶出縫合糸に代わる有効な薬物送達方法であるが、発明者らが判断したハイドロゲルには、薬物放出のタイミングや傷口の密閉を正確に制御できるほど十分な引張強度はない。ハイドロゲル中の水分含有量が増加すると、非剛性で液体状の構造となり、ハイドロゲルは組織間隙を正確に塞ぐのに効果的な溶液ではなくなる。また、この機械的性質により、装置が早期に溶解し、積載物の荷重が制御されずに放出される。
【0009】
[0013]このため、発明者らは、転移の発生を治療的に阻害しながら、組織空隙をより正確に封鎖するプラット発泡体が必要であると判断してきた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0014]そのために、一実施形態は、発泡体のSMP特性に基づいて空隙に適合するためにもちいられることができるSMP発泡体を含む。当該発泡体は、切除表面付近に残留するキャンセル細胞の殺傷を促進するような、小さな治療用分子を担持する。したがって、当該実施形態は、当該発泡体が生体適合性であり、悪性疾患の再発を予防又は遅延するように調整しうる放出プロファイルを備える薬物を装填することができるが、これは、従来技術を凌駕する利点をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0015]低分子薬剤は、ポリビニルアルコール溶液中で薬物と共に発泡体をインキュベートすることにより、発泡体上又は発泡体中に装填することができる。その後、体温で発泡体を活性化することで、発泡体から薬物(又はその一部)を放出させることができる。また、放出時間は、比率の異なるPVAを用いて調節することができ、薬物溶出装置を調節することができる。薬物放出プロファイルは、発泡体の化学組成、発泡体に含まれるPVAの量、発泡体中のセルのサイズ、発泡体のセルの網状化の程度、又はその組み合わせを変化させることにより調整することができる。
【0012】
[0016]一実施形態は、組織空隙充填及び薬物溶出型形状記憶高分子(SMP)発泡体を含む。SMP発泡体は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系発泡体を含む。しかしながら、他の実施形態では、ヒドロキシプロピルエチレンジアミン(HPED)、トリエタノールアミン(TEA)、及び2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)の反応生成物である発泡体を含む。TMHDI発泡体は、HDI発泡体と比較して、孔径をより小さくすることができ、したがって、薬物送達プロファイルが異なる。
【0013】
[0017]一実施形態では、蛍光性低分子であるアクリフラビンを積載物として用いて、発泡体からの治療剤放出プロファイルを例示する。一実施形態では、PVAを用いて、発泡体上又は発泡体中への薬剤の取り込みを改善させる。網状、部分的網状、及び非網状のTMHDI系の発泡体又は他のSMP発泡体を用いて異なる薬物取り込み及び放出プロファイルを達成しうる。
【0014】
[0018]形状記憶材料には、一次形状に成形することができ、安定した二次形状に再形成することができ、その後、当該一次形状を回復するために制御可能に作動されるという有用な能力がある。金属合金及び高分子材料の両方が形状記憶をもつことができる。金属の場合、形状記憶効果は、原子の格子構造が変化する熱誘起固相変態から生じ、その結果、弾性率と寸法が巨視的に変化する。高分子材料の場合、一次形状は加工後に得られ、物理的構造又は化学的架橋によって固定される。二次形状は、材料がエラストマー状態である間に材料を変形させることによって得られ、その形状は、結晶、液晶、又はガラス転移温度以下で高分子を冷却すること;さらなる共有結合又はイオン架橋等を誘導すること等を含むある方法の1つで固定される。
【0015】
[0019]二次形状である間、高分子鎖の部分又は全ては、その平衡ランダムウォーク立体配座から摂動され、ある程度のバルク配向性を備える。配向した鎖は、そのエントロピーの減少により、ある種のポテンシャルエネルギーを備え、これが形状回復のための駆動力をもたらす。しかし、それらは、速度論的効果(当該低いTgよりも低い場合)又は物理的拘束(物理的又は化学的架橋)のいずれかのために自発的に回復することはない。その拘束を除去する(例えば、高分子をそのガラス転移又は融解温度より高温で加熱する、イオン性又は共有結合の架橋を除去する等)ことにより、一次形状への回復のための作動が生じる。光子誘発配座変換、化学環境(pH、イオン強度等)の変化による配座変化(ロッド-コイル転移等)、又は電界(例えば、電気、磁気、等)が付与されたことによる構造変化により、形状記憶挙動をおこす他の高分子もまた用いてよい。
【0016】
[0020]このように、SMPは、温度変化等の外部刺激(トリガー)により誘発される変形状態(一時的な形状)から、元の(永久的な)形状への回復能を備える高分子スマート材料である。SMPは、2つ以上の形状を保持することができ、その間の移行は、温度によって誘導される。温度変化に加えて、SMPの形状変化は、電場、磁場、光、又は溶媒の可塑化等がトリガーとなることができる。一般的な高分子と同様に、SMPは、SMPを構成する構造単位により、安定から生分解性、軟質から硬質、弾性から硬質までの幅広い特性範囲をカバーすることができる。SMPとしては、熱可塑性及び熱硬化性(共有結合的に架橋された)高分子材料があげられる。
【0017】
[0021]実施形態は、ハイドロゲル系の技術等の他の技術に勝るある利点をもたらす。一実施形態は、SMP発泡体に添加される担体高分子を利用する。発明者らは、多くのSMP発泡体(当該担体高分子を含まない)について、薬物量(例えば、低分子)をそれほど装填することができないことを見出した。水は小さな分子であるが、発明者らは、SMP発泡体を異なる湿度レベルに様々な時間曝露してから、100%の相対湿度に96時間曝露した後、発泡体が8.0%(質量比)の水分吸収を示したことを既に見出している。水は極性であるが、小さく、多くのHDI及びTMHDI系のSMP発泡体は比較的親水性である。したがって、発明者らは、より多くの薬物を送達又は保持するために、担体高分子を発泡体に添加することを見出した。しかし、本発明者らは、さらに、発泡体に添加される担体高分子の厚さ及び全質量により、発泡体の圧着及び/又は形状回復が制限される(これは、カテーテルを用いて、小さく巻回する血管系を介して発泡体を送達する等の、蛇行経路を介して発泡体を送達する能力を制限することができる)ことを見出した。しかし、発明者は、PVAが、形状回復速度及び直径がそのような従来技術と比較してそれほど制限されないという点で、従来技術(例えば、ハイドロゲル)よりも有利であることを見出した。さらに、PVAは、多くのハイドロゲルよりも、堆積した総質量についてより調整できるため、PVAは、質量を加えることによって生じる圧着制限を低減するのにも役立つと考えられる。SMP発泡体は、正確な配置に保持したまま、制御可能に膨張させることができる。SMP発泡体は、作動後短時間(例えば、数秒)でその永久的な形状に膨張するが、これは、従来のハイドロゲル系の装置よりもはるかに迅速である。
【0018】
[0022]発明者らは、ある用途にとって重要な点として、例えば、特定のがんが局所組織への時限放出が必要な場合があることであることを見出した。これは、がんのマージンの同定が困難であること、及びがんのすべてが腫瘍とともに外科的に切除されたと確信できないことに起因する場合がある。化学療法及び放射線療法は、残存する切除部分や血流に循環している転移性細胞を除去するための二次的な方法である。しかしながら、PVA及びSMPからの放出速度及び二重放出は、腫瘍部位に局在する抗がん分子の局所的かつ持続的な送達に有益である。「二重放出」は、PVA(PVAが発泡体の外側のシェルの形態であってよい)及びSMP発泡体(PVAがセル内に存在するか又は存在せずにかかわらず、発泡体のセル内に薬剤が存在してよい)の両方からの治療剤の放出に対処する。
【0019】
[0023]一実施形態は、薬物溶出SMP発泡体を作製するための方法を含む。この方法は、0%、1%、2%、3%、10%(wt./vol)の様々なPVA溶液と混合した、0.017mg/mLのアクリフラビン溶液(例えば、アクリフラビン溶液ジメチルスルホキシド(DMSO)中の1mg/mL)中で、発泡体(n=3)を、室温で、回転子上で一晩インキュベートすることを含む。薬剤の粘度及び発泡体上又は発泡体内への薬物の取り込みを高めるために、様々なPVA濃度を用いることができる。他の実施形態では、PVAを一定に保ち、アクリフラビン濃度を変化させる(PVA粘度を変化させる)。その後、発泡体を各々の薬物/PVA溶液から除去し、真空チャンバー中で5日間乾燥させることができる。その後、発泡体を0.4mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、37℃でインキュベートすることができる。様々な時点で上清を除去し、416/514nm(Ex/Em)での蛍光を測定することができる。
【0020】
【表1】
[0024]上の表は、複数の実施形態に関する化学組成物を示す。
【0021】
[0025]薬物溶液でPVA濃度を増加させると、比例して粘度を増加させることができる。この粘度の増加により、発泡体内の薬物の保持能を高めることができる。カルボキシメチルセルロース等の他の粘度変化化合物も(PVAの代わりに又は加えて)同様の薬物の取り込み及び放出を達成するために用いることができる。
【0022】
[0026]一実施形態では、アクリフラビンを遊離薬物形態の搭載物として用いる(これは、PVA濃度が異なる薬物溶液の放出プロファイルを例示するのに役立つ)。PVA濃度を高める実施形態では、発泡体上への、又は発泡体中への薬物取り込みを高める(例えば、図1、2、3参照)。これは、少なくとも部分的には、PVAと併用する場合に薬物の粘度が高まることによるものであり、これにより、薬物を発泡体中に存在する孔内又は孔上に捕捉させることができるためであろう。PVA(0%PVA)非含有薬物溶液中に発泡体を浸漬することを含む実施形態では、PVA濃度を高める溶液のものと比較して、薬物取り込みがより少ない。一実施形態は、複数の発泡体を手術部位に堆積させることを含むことができ、当該発泡体は、様々なPVA含有量を備えるため、様々な放出プロファイル(これにより、プログラムされた期間中薬物溶出を分配させることができる)を備える。放出プロファイルはまた、薬物溶液中のPVA含有量と比較して変化する。PVAが0%の薬物溶液では遅延バースト放出が達成され、一方、PVA濃度がより高い溶液により発泡体からの即時放出が可能となる。したがって、PVAを混合されたこの薬物製剤は、PVA濃度を調整することにより、薬物取り込み及び薬物放出プロファイルを調節することができる。注目すべきは、実施形態では抗炎症剤であるアクリフラビンが用いられるが、他の薬物分子(例えば、ドキソルビシン)を、発泡体上に、又は発泡体中に装填することができることである。多くの治療薬は疎水性の低分子であり、したがってアクリフラビンと同様の負荷及び放出プロファイルを備えることが期待される。当該治療薬を、他の実施形態において、アクリフラビンの代わりに用いてもよく、又はアクリフラビンと共に加えてよい。
【0023】
[0027]再度、上記のように、薬物放出プロファイルは、所望の治療効果に応じて調節することができる。例えば、カプセル化されていない「遊離薬物」を用いる代わりに、薬物カプセル化されたナノ粒子を用いて放出プロファイルを変更することができる。薬物カプセル化ビヒクル(マイクロ粒子、ナノ粒子及びハイドロゲルを含む)では、粒子が発泡体から放出されることにより、遅延型持続放出が可能となる。このように、薬物溶出SMP発泡体は、用いられる積載物及びPVAに応じて、短期及び長期の薬物送達を促進することができる。薬物の放出量は、薬物のストック濃度に基づいて最適化することもできる。
【0024】
[0028]HDI系のSMP発泡体からのアクリフラビンのインビトロ放出に関しては、図1を参照されたい。図1の非累積放出曲線は、PVA濃度の増加に伴ってSMP発泡体からのアクリフラビン放出が増加する(又は少なくとも異なる)ことを示す。これは、PVA(及びPVAの発泡体への親和性)によるアクリフラビンの担持量が増加するためと考えられる。図2では、非累積放出曲線は、網状化HH80 SMP発泡体からのアクリフラビン放出が、PVA濃度の増加とともに高まる(又は少なくとも異なる)ことを示す。
【0025】
[0029]異なる実施形態は、例えば、より長い放出時間、スパイク放出なし、デュアルスパイク放出等の異なる薬物放出プロファイルを含んでよい。これは、特許請求の範囲の項で以下に説明するように実施されてよい。
【0026】
[0030]非網状TMHDI 60発泡体からのアクリフラビンのインビトロ放出を図3に示す。図3では、非累積放出曲線は、TH60 SMP発泡体からのアクリフラビン放出がPVA濃度の増加とともに増加する(または少なくとも異なる)ことを示す。
【0027】
[0031]実施形態は、PVA濃度が増加するドキソルビシン添加SMP発泡体を含み、ここで発泡体は直径0.8mmまで圧着される。このサイズ制限により、18G針を用いて、マウスの腹腔内領域に発泡体をより良好に注入することができる。
【0028】
[0032]PVAに含まれる薬剤を含むSMP発泡体は、SMP発泡体及びハイドロゲルの併用と比較される場合があるが、ある実施形態では、発泡体は、ハイドロゲルに含まれる薬剤と同様に、PVA/薬剤部分に結合されてよい。
[0033]以下の例は、さらなる実施形態に関する。
【0029】
[0034]例1.開放セルを含む形状記憶高分子(SMP)発泡体であって、前記SMP発泡体には第1及び第2の状態がある、形状記憶高分子(SMP)発泡体、及び、前記開放セルに含まれる材料組成物を含む装置であって、ここで前記材料組成物には、(a)少なくとも1つの治療剤、及び(b)ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれ、かつ、前記少なくとも1つの治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【0030】
[0035]一実施形態では、発泡体はポリウレタン熱硬化性発泡体である。ある実施形態では、PVAは、発泡体に化学的に結合しない。ある実施形態では、治療剤は、発泡体に化学的に結合しない。ある実施形態では、PVAは、発泡体に化学的に結合しておらず、治療剤は、発泡体に化学的に結合しない。一実施形態では、PVAは、治療剤に化学的に結合しない。
【0031】
[0036]例1.1.開放セルを含む形状記憶高分子(SMP)発泡体であって、前記SMP発泡体には第1及び第2の状態がある、発泡体、及び前記開放セルに含まれる材料組成物を含む装置であって、ここで前記材料組成物には、(a)少なくとも1つの治療剤、及び(b)ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、ハイドロゲル、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれ、かつ、前記少なくとも1つの治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【0032】
[0037]例2.前記SMP発泡体は、前記SMP発泡体が37℃で可塑化され、前記SMP発泡体のガラス転移温度(Tg)が25℃未満に低下すると、第1の状態から第2の状態に膨張するように構成される、例1に記載の装置。
【0033】
[0038]例えば、「SMP発泡体が37℃で可塑化され」る場合とは、温度のスペクトルにわたる可塑化を含む。例えば、可塑化は、例えば、33°Cから40°Cまでの温度範囲にわたって起こることがあり、37°Cはそこに含まれるが、可塑化は35°C及び39°Cで起こることができる。さらに、「SMP発泡体のガラス転移温度(Tg)が25℃未満に低下する」とは、Tgを、例えば、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0°C等に低下させることがあげられる。
【0034】
[0039]一実施形態では、37℃の水中で可塑化されると、ガラス転移温度(Tg)は~12℃に低下する。これにより、体温の流体に曝された場合に作動できるようになる。一実施形態では、SMP発泡体は網状化されて開放孔構造を形成する。細孔サイズは200~1500μmの間で調整可能である。一実施形態では、SMP発泡体は親水性である。様々な実施形態は、装置が異なる速度で作動するように、SMPの親水性を調整したものである。
【0035】
[0040]本明細書で用いる「体温」とは、正常な体温範囲を伝達することを意味する。正常な体温は、人、年齢、活動性、時刻によって異なる。平均正常体温は一般に98.6°F(37°C)と認められているが、「正常」体温は97°F(36.1°C)から99°F(37.2°C)までの広い範囲にわたる。100.4°F(38°C)を超える体温は、発熱を示すことがあるが、それでも本明細書に記載される実施形態の範囲内の状態であろう。
【0036】
[0041]例2.1.前記SMP発泡体は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、かつ、前記SMP発泡体は、トリエタノールアミン(TEA)、ヒドロキシプロピルエチレンジアミン(HPED)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例2に記載の装置。
[0042]一実施形態では、発泡体は生分解性である。
【0037】
[0043]例3.前記SMP発泡体は、少なくとも第1の成分及び第2の成分の反応生成物を含み、ここで、前記第1の成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、かつ、前記第2の成分は、トリエタノールアミン(TEA)、ヒドロキシプロピルエチレンジアミン(HPED)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例2に記載の装置。
【0038】
[0044]例4.前記SMP発泡体は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、かつ、前記SMP発泡体は、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール(HT)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール(BEP)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例2に記載の装置。
【0039】
[0045]例5.前記SMP発泡体は、少なくとも第1の成分及び第2の成分の反応生成物を含み、ここで、前記第1の成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、かつ、前記第2の成分は、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール(HT)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール(BEP)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例2に記載の装置。
【0040】
[0046]例6.前記SMP発泡体は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み前記SMP発泡体は、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール(HT)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール(BEP)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、前記SMP発泡体は、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、イオヘキソール、トリヨードフェノール、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例2に記載の装置。
【0041】
[0047]例7.前記SMP発泡体は、少なくとも第1の成分、第2の成分、及び第3の成分の反応生成物を含み、ここで、第1の成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、第2の成分は、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール(HT)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール(BEP)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、第3の成分は、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、イオヘキソール、トリヨードフェノール、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例2に記載の装置。
【0042】
[0048]例8.前記少なくとも1つの治療剤は、ドキソルビシン、シスプラチン、パクリタキセル、アモキシシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例2に記載のシステム。
【0043】
[0049]例9.例1~8のいずれかに記載の装置を含むシステムであって、開放セル内に含まれる材料組成物を備え、SMP発泡体を含む導管を含む、システム。
【0044】
[0050]PVAを含む又は含まない薬剤が「オープンセル内に含まれる」とは、例えば、PVAを含む又は含まない薬剤がセルを完全に充填する場合、セルを部分的に充填する場合、又はセルのストラットをコーティングする場合が含まれる。
【0045】
[0051]一実施形態では、PVA/薬剤は、SMP発泡体全体又はSMP発泡体の様々な部分にある。PVA/薬剤は、SMP発泡体のストラット上に小さな部分で堆積し、及び/又はストラット上に薄い膜を形成する。PVA/薬剤はまた、発泡体の全体積(又はほぼ全体積)を充填してよい。一実施形態では、SMP/PVA/薬剤の複合体の小片(例えば、ビーズ)は、当該小片が患者の血管系に入り込むこと及び患者の血管系内で伝達されることを回避するのに十分大きい場合、創傷に注入される。他の実施形態では、SMP/PVA/薬剤の併用装置を、創傷(例えば、皮膚がん切除)に配置し、包帯に取り付けた後、患者を圧迫する当該包帯に基づいて、当該装置を創傷に押し付ける。
【0046】
[0052]例10.前記導管は、例1~8のいずれかの装置のさらなるインスタンスを含む、例9に記載のシステム。
【0047】
[0053]例えば、複数の発泡体を針、シース、又はカテーテルに含めることができる。当該発泡体は、本質的に同じであってよく、又は異なっていてよい。例えば、ある発泡体は、PVA非含有の薬剤を含んでよく、他の発泡体は、PVA内に薬剤が含まれてよい。これは、より長い放出プロファイルが得られうる。さらに、薬剤は、互いに同じでも、異なってもよい。例えば、当該システムは、第1の薬剤は(PVAとの結合又はその欠如に基づき)第1の期間中に溶出され、第2の薬剤(第1の薬剤と化学組成は等しくない)は、手術部位及び/又は空隙及び/又は創傷の変化する生理学的特徴を予測して、第2の期間中に溶出されるように提供されてよい(ある期間が第1の期間と重なり、他の期間では第1の期間と重ならない場合がある)。
【0048】
[0054]一実施形態では、キットを容器に封入することができる。当該キットは、適度に圧着されたSMP発泡体を、当該圧着された状態で発泡体を保持するシース内に含むことができる。当該発泡体は、PVA又はカルボキシメチルセルロース又いかなる粘度改変剤を介して当該発泡体に結合された治療剤を備えてよい。当該発泡体は、手動で手術部位に挿入されるか、又はカテーテル、シース又はカニューレを介して手術部位に挿入することができる。
【0049】
[0055]しかしながら、他の実施形態では、導管は全く必要ない。例えば、医療提供者は、指又は鉗子を用いるだけで、空隙に発泡体を加えることができる。
【0050】
[0056]キットは、各々薬物放出プロファイルが異なる複数の発泡体を含んでよく、医療提供者は、選択した発泡体に基づいた放出プロファイルを調整する機能を備える発泡体の組み合わせを患者に適用するために、発泡体の組み合わせを選択することができる。
【0051】
[0057]一実施形態では、導管はシリンジに連結されているか、又はシリンジに連結されることができる。当該シリンジ内の生理食塩水を用いて、発泡体を患者内に展開させることができる。
【0052】
[0058]例10.1.前記SMP発泡体は、第1の状態で最大外径が1.2mm以下であり、第1の状態で圧縮されて、第2の状態に拡張するように構成される、例9に記載のシステム。
【0053】
[0059]しかしながら、他の実施形態では、前記SMP発泡体は、第1の状態で最大外径が1.2、1.5、1.8、2.0mm以上であるより大きな実施形態を用いることができる。
[0060]一実施形態では、圧着後/圧縮後の形状は、略平面状、円筒状、球形等である。そのような様々な形状は、同じか又は異なる永久形状(例えば、長方形、卵形、球形等)であってよい。
【0054】
[0061]例11.前記導管は、18ゲージ以下の針を含む、例9~10.1のいずれかに記載のシステム。
【0055】
[0062]このサイズは、いくつかの用途(例えば、小児科、動物)にとって重要なサイズである場合がある。例えば、発泡体にハイドロゲルを加えると、圧着が1.33mmに制限される場合があるが、これでは18 G針内に適合しない場合がある。しかしながら、PVAを用いて薬剤を発泡体に結合させる実施形態であれば、18 G針に含まれる場合がある。18 Gの制限を超える注射針は、国によっては「注射」とみなされない場合があり、したがって、侵襲的な処置となり、治療のためのリスクと費用が高まる場合がある。さらに、当該圧着外径が短い場合(PVAを用いることで少なくとも部分的には可能となる)、例えば、蛇行した血管系を横断しなければならない血管内手段及び/又は小形状因子から利益を得る他の展開経路を介した展開がより良好に促進される場合がある。
【0056】
[0063]例12.前記材料組成物は、SMP発泡体のセルの1つに直接接触する、例1~11のいずれかに記載のシステム。
【0057】
[0064]例13.前記材料組成物は、SMP発泡体のセルの1つの内壁に直接接触する、例12に記載のシステム。
[0065]換言すれば、当該材料組成物は、単に発泡体を取り囲むPVAの殻の中にあるのではない。その代わりに、当該材料組成物は、実際には、いくつかのセル内に含まれる。
【0058】
[0066]実施形態では、薬剤は、~約900ダルトン以下の低分子を含む。これは、針、カテーテル、シース等を介して注入するのに適した所望の外径に圧縮することができる小さなセルの発泡体内に含ませるために必要な場合がある。他の実施形態では、当該薬剤は、1000、800、700、又は600ダルトン未満の分子である、低分子を含むことができる。
【0059】
[0067]発明者らにより、(本明細書中で用いられる用語としての)低分子が~約900ダルトン以下であることを考慮すると、最大直径がミクロン以上であるセル/孔を備える発泡体に対して、低分子の薬物を装填することは困難であることが見いだされた。化学療法剤は、通常、低分子を用いるが、当該分子は、埋め込み直後に、(平均して、セルの最大直径がミクロン以上である)発泡体から脱離する場合がある。したがって、当該発泡体を低分子薬物溶液中に浸漬する場合、発泡体中への薬物取り込みが低下するか又は薬物が制御放出されない場合ある。しかしながら、ある実施形態では、PVAを組み込むことにより、埋め込み可能なSMP発泡体における薬物の装填が改善される。PVAは、粘度調節剤である水系の溶液である。PVAを用いると、直径が約900ダルトン以下の低分子を直径が約900ダルトンより大きいSMP発泡体の開放セル内に保持させることができた。PVAを用いると、~約900ダルトン以下の低分子を、直径が1ミクロンより大きいSMP発泡体の開放セル内に保持させることができた。
【0060】
[0068]例14.前記SMP発泡体のセルの1つは、前記SMP発泡体の内部部分内に含まれ、さらなるセルに実質的に囲まれ、前記さらなるセルは、互いに直交する平面に含まれる、例13に記載のシステム。
【0061】
[0069]したがって、当該発泡体の内部部分内に配置された内部セルは、依然として、当該セル内に薬剤を含むことができる(そして、当該薬剤は、単に、発泡体の周囲のPVAシェル内にあるわけではない)。深さが異なる発泡体に薬剤を備えることにより、送達プロファイルをより長くすることができる。
【0062】
[0070]一実施形態では、低分子薬剤(例えば、アクリフラビン)は、PVA内及び発泡体内に位置してよいが、必ずしもPVA内に位置する必要はない。それにより、薬剤は異なる時間に放出されることができる。例えば、PVAに含まれていないが、発泡体内にある薬剤は、PVAに含まれるが、必ずしも発泡体中にあるとは限らない薬剤の後に放出されてよい。このようなPVAで封入された薬剤は、発泡体の外表面にあり、薬剤を発泡体に結合させるPVAにより適所に保持されることができる。したがって、当該SMP発泡体は、PVA非含有の場合、必ずしもPVAを備える場合ほどには多くの薬剤を取り込むことができるとは限らないものの、PVAで封入された薬剤の部分と、PVAで封入されなかった部分とを併用する発泡体は依然として有益でありうる。
【0063】
[0071]一実施形態としては、PVAの即時放出、及び、SMP高分子ネットワークに直接装填された薬剤と同一又は異なる薬剤の1又はそれ以上の遅延ボーラスが生じるような、二峰性又は三峰性放出動力学を備えるPVAでコーティングされたSMPであってよい。
【0064】
[0072]ある実施形態としては、発泡体のセル内に、発泡体を取り囲むPVAシェルに含まれる第1の薬剤と、PVAに含まれ、かつ、含まれる第2の薬剤とを含むことができる。第1の薬剤及び第2の薬剤の化学組成物は、同一又は異なってよい。当該配置では、第1の薬剤を最初に溶出した後に第2の薬剤を溶出することができる。
【0065】
[0073]ある実施形態としては、発泡体のセル内に、発泡体を取り囲むPVAシェルに含まれる第1の薬剤と、PVAに含まれる(又はPVAに含まれない)発泡体の外側セル内にある第2の薬剤、及び、PVAに含まれる(又はPVAに含まれない)発泡体の内側セル内にある第3の薬剤とを含むことができる。当該第1の薬剤、第2の薬剤、及び第3の薬剤の化学組成物は、同一又は異なってよい。当該配置では、この配置では、第1の薬剤を最初に溶出した後に第2の薬剤を溶出し、その後に第3の薬剤を溶出することができる。
【0066】
[0074]例15.前記治療剤は、高分子、リポソーム、ミセル粒子、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つによってカプセル化されている、例1~11のいずれかに記載のシステム。
【0067】
[0075]ある実施形態としては、例えば、トリガーされたメカニズム(例えば、さらなる薬物が装填された超音波破壊マイクロビーズ)又は自動メカニズム(例えば、分解と共に放出される適度に結合した薬剤)を介する薬剤の三次的遅延放出があげられる。例えば、ある実施形態では、薬剤の一部はカプセル化されていない状態で発泡体内に含めることができ、当該発泡体の他の部分はカプセル化された状態で発泡体内に含めることができる。最初に放出される薬剤は、カプセル化されていない薬剤であってよく、その後、カプセル化された薬剤が十分なエネルギー(例えば、超音波)にさらされた時点で、カプセル化された薬剤が放出されることができる。カプセル化されていない薬剤及びカプセル化された薬剤は、異なる薬剤であってよく、又は、同じ薬剤であってよい。
【0068】
[0076]そのような実施形態は、発泡体及び薬剤を装填したハイドロゲルを用いるシステムよりも有利でありうる。当該発泡体は、生理学的環境と接触するとハイドロゲルが速やかに溶解しやすい。その場合、薬物放出は、遊離薬物、又は高分子、リポソーム、若しくはミセル様粒子内にカプセル化された薬物のいずれかを負荷することにより、より良好に制御することができる。
【0069】
[0077]薬物放出プロファイルは、所望の治療効果に応じて調節することができる。例えば、遊離薬物の代わりに薬物カプセル化ナノ粒子を用いることにより、送達プロファイルを変化させることができる。薬物カプセル化ビヒクル(微粒子、ナノ粒子及びハイドロゲルを含む)は、粒子が発泡体から放出される場合、遅延型持続放出させることができる。したがって、薬物溶出SMP発泡体は、用いられる搭載物の種類及びPVAに応じて、短期及び長期の薬物送達を促進することができる。薬物の放出量はまた、薬物のストック濃度に基づいて最適化することができる。
【0070】
[0078]例16.カプセル化された治療剤は、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つに含まれ、
前記PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つは、カプセル化された治療剤が壁に直接接触しないように、SMP発泡体のセルの壁とカプセル化された治療剤との間にある、例15に記載のシステム。
【0071】
[0079]例17.患者の組織内に空隙を形成すること、かつ、前記空隙内に例1~10.1又は12~16のいずれかに記載の装置を配置すること、を含む方法。
【0072】
[0080]例18.患者の組織内に空隙を形成すること、前記空隙内に例9~11のいずれかによる導管の遠位端を位置決めすることであって、前記導管が例1~16のいずれかの装置を含み、かつ、前記導管内から前記空隙内に前記装置を移動させること、を含む、方法。
【0073】
[0081]例19.(a)少なくとも1つの治療剤、(b)ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び(cポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせの)少なくとも1つを含む組成物を形成すること、前記組成物を、開放セルを含む形状記憶高分子(SMP)発泡体に適用して、前記SMP発泡体及び前記組成物の組み合わせたものを形成すること、1,013.25mbar未満の圧力で前記組み合わせたものを乾燥させること、前記SMP発泡体を一次形状になるようにプログラミングすること、前記SMP発泡体を安定した二次形状に形成することを含む方法であって、前記SMP発泡体は、前記一次形状を回復するように制御可能に作動するように構成され、前記二次形状のSMP発泡体は、前記SMP発泡体、前記少なくとも1つの治療剤、前記DMSO、及び前記PVA、前記カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、ここで、前記少なくとも1つの治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、方法。
【0074】
[0082]しかしながら、他の実施形態では、DMSOの代わりに、又はDMSOに加えて、エタノール、塩系溶媒、及び水系溶媒等のDMSOの代替物を用いることができる。他の実施形態では、DMSO又はその代替物は、DMSO又はその代替物がもはや二次形状のSMP発泡体に含まれないように、製造プロセス中で除去されてよい。当該溶媒(例えば、DMSO)は、治療剤(抗がん剤)自体に含まれてよい。
【0075】
[0083]ある実施形態では、薬剤及びPVAは、同時に、発泡体に加えられてよく、他の実施形態では、それらは、別々に発泡体に加えられてよい。
【0076】
[0084]一実施形態では、DMSOで溶媒を膨潤させることにより、薬剤を発泡体に装填する。その後、薬剤を含む発泡体を、当該発泡体を囲むPVAハイドロゲルに装填して、ハイドロゲル及び発泡体の複合体を形成する。
【0077】
[0085]以下の:(1)SMP発泡体/PVA/薬剤装置をそのTgより高温で加熱し、パッケージングのための所望の形状に保持すること、(2)前記装置をそのTgより低温で冷却し、パッケージングされた前記形状を前記装置にプログラムすること、(3)前記装置をEtO滅菌し、30℃未満の温度でパッケージングし、保存すること、(4)発泡体を適用するために、前記発泡体をパッケージから取り出し、患者内のどこかに挿入すること、(5)前記発泡体を体温で可塑化し、空隙の一部又は全部を膨張させ、充填すること、かつ、(6)薬物溶出を経時的に行うこと、を含む、方法。
【0078】
[0086]例20.転移を予防する患者からがん性、前がん性、又は他の組織を除去することに関連する外科手術又は他の処置によって残存する組織内の空隙を充填するために用いられる、多孔質、生分解性/生体吸収性の形状記憶高分子(SMP)発泡体。
【0079】
[0087]例21.1又は複数の抗がん治療薬(組み合わせたものの単一治療薬)が装填されて溶出される、例20のSMP発泡体。
【0080】
[0088]例22.薬物が装填された球状発泡体はまた、腫瘍に供給する血管に注入することもでき、前記腫瘍の部位での薬物濃度を潜在的に高め、かつ、正常組織を損傷することによる副作用を最小限に抑えることができる。
【0081】
[0089]SMP発泡体に充填することができる治療薬の例としては、ドキソルビシン、シスプラチン、及びパクリタキセル等の抗がん剤として用いられる低分子、抗原、及びペプチドがあげられるが、これらに限定されない。治療薬の他の例としては、感染性疾患の治療のために用いられるアモキシシリン、ドキシサイクリン、及びセファレキシン等の抗生物質も発泡体も装填することができるが、これらに限定されない。他の治療剤としては、また、抗原、タンパク質、及び核酸も、発泡体に装填することができる。
【0082】
[0090]発泡体に装填される搭載物としてはまた、局所麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、及び免疫抑制剤があげられる。
【0083】
[0091]薬物を装填し、SMP発泡体上及びSMP発泡体中にコーティンされる担体材料の例としては、PVA、CMC、ハイドロゲル、及び、放出プロファイルを変えうる他の高分子系のナノ粒子があげられる。
【0084】
[0092]例1a.開放セル及びさらなる開放セルを含む形状記憶高分子(SMP)発泡体であって、前記SMP発泡体には第1及び第2の状態がある、発泡体、及び、前記開放セルに含まれる材料組成物、を含む装置であって、ここで、前記材料組成物には、(a)治療剤、及び(b)ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれ、かつ、前記治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【0085】
[0093]当該例では、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つがあげられるが、他の実施形態では、(実施形態の用途に応じて)アカシア、寒天、アラミン酸、モノステアリン酸アルミニウム、アタパルジャイト、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、セルロース、デキストリン、ゼラチン、ゲランガム、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、微結晶セルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、デンプン(コーン、ジャガイモ、タピオカ、小麦)、トラガカント、キサントムガム、又はその組み合わせ等の粘性増加剤を含んでよい。
【0086】
[0094]一実施形態では、材料組成物は、医療提供者が、薬剤放出を(画像化を介して)経時的にモニターすることを補助するために、薬剤を蛍光を発色させることができる。
【0087】
[0095]例1aの変形例::開放セル及びさらなる開放セルを含む形状記憶高分子(SMP)発泡体であって、前記SMP発泡体には第1及び第2の状態がある、発泡体、及び前記開放セルに含まれる蛍光材料組成物、を含む装置であって、ここで前記蛍光材料組成物には、(a)治療剤、及び(b)ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれ、かつ、前記治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【0088】
[0096]例1aの変形例::開放セル及びさらなる開放セルを含む形状記憶高分子(SMP)発泡体であって、前記SMP発泡体には第1及び第2の状態がある、発泡体、及び前記開放セルに含まれる材料組成物を含む、装置であって、ここで前記材料組成物には、(a)治療剤、及び(b)ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれ、かつ、前記治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、前記SMP発泡体が前記第1の状態から前記第2の状態まで膨張した場合、不規則な形状の組織空隙に膨張し、それにより、前記SMP発泡体を前記不規則な形状の組織空隙のマージンに対して直接物理的に押し付けるように構成される、装置。
【0089】
[0097]例1aの変形例::開放セル及びさらなる開放セルを含む形状記憶高分子(SMP)発泡体であって、前記SMP発泡体には第1及び第2の状態がある、発泡体、及び前記開放セルに含まれる材料組成物を含む、装置であって、ここで前記材料組成物には、(a)治療剤、及び(b)ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれ、かつ、前記治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、前記SMP発泡体が前記第1の状態から前記第2の状態まで膨張した場合、不規則な形状の組織空隙に膨張し、それにより、前記SMP発泡体が前記不規則な形状の組織空隙の不規則な形のマージンに適合するように構成される、前記SMP発泡体を含む装置。
【0090】
[0098]本明細書で取り扱う実施形態は、(1)手術後の組織間隙の正確なプラギング、及び/又は(2)がんの再発及び転移を防止するための化学療法剤の高装填及び制御放出をもたらす。実施形態では、(1)PVA濃度を高めることにより、薬物装填が~80%改善され、及び/又は(2)用いられたPVA濃度に基づいて、薬物の遅延バースト及び持続放出(徐放)が達成されたことが示された。
【0091】
[0099]その結果、ある実施形態としては、組織空隙を効果的に封鎖しつつ、化学療法薬の取り込みを高めることができる薬物装填SMP発泡体があげられる。これにより、腫瘍切除後おこる転移に対する十分な解決策が提供される。
【0092】
[00100]例1aの変形例::開放セル及びさらなる開放セルを含む形状記憶高分子(SMP)発泡体であって、前記SMP発泡体には第1及び第2の状態がある、発泡体、及び前記開放セルに含まれる材料組成物を含む、装置であって、ここで、前記治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【0093】
[00101]例2a.前記SMP発泡体は、前記SMP発泡体が37℃で可塑化され、前記SMP発泡体のガラス転移温度(Tg)が25℃未満に低下すると、第1の状態から第2の状態に膨張するように構成される、例1aに記載の装置。
【0094】
[00102]例3a.前記SMP発泡体は、少なくとも第1の成分及び第2の成分の反応生成物を含み、ここで、前記第1の成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、かつ、前記第2の成分は、トリエタノールアミン(TEA)、ヒドロキシプロピルエチレンジアミン(HPED)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例2aに記載の装置。
【0095】
[00103]例4a.前記SMP発泡体は、少なくとも第1の成分及び第2の成分の反応生成物を含み、ここで、前記第1の成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、かつ、前記第2の成分は、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール(HT)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール(BEP)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例2aに記載の装置。
【0096】
[00104]例5a.前記SMP発泡体は、少なくとも第1の成分、第2の成分、及び第3の成分の反応生成物を含み、ここで、第1の成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、第2の成分は、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール(HT)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール(BEP)、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、第3の成分は、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、イオヘキソール、トリヨードフェノール、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例2aに記載の装置。
【0097】
[00105]例6a.前記治療剤は、ドキソルビシン、シスプラチン、パクリタキセル、アモキシシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例1a~5aのいずれかに記載の装置。
[00106]例7a.導管を含み、前記導管は、SMP発泡体を含む、例1a~6aのいずれかに記載の装置。
[00107]例8a.前記導管が、前記SMP発泡体のさらなるインスタンスを含む、例7aに記載の装置。
[00108]例8aの変形例:前記導管は、他の開放セルを含む他のSMP発泡体を含み、前記他のSMP発泡体には、第1及び第2の状態があり、前記他の開放セルに含まれる他の材料組成物であって、前記他の材料組成物は、(a)他の治療剤、及び(b)他の、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、ここで、前記他の治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、前記材料組成物は、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つの第1の量を含み、前記他の材料組成物は、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つの他の第2の量を含み;前記第1の量は、前記第2の量と等しくない、例7aに記載の装置。
【0098】
[00109]例8aの変形例:前記導管は、他の開放セルを含む他のSMP発泡体を含み、前記他のSMP発泡体には、第1及び第2の状態があり、前記他の材料組成物は、(a)他の治療剤、及び(b)他の、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、ここで、前記他の治療剤は、薬物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、血管拡張剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、成長因子、サイトカイン、インターロイキン、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、前記材料組成物は、第1の量の治療剤を含み、前記他の材料組成物は、第2の量の他の治療剤を含み、前記第1の量は、前記第2の量と等しくない、例7aに記載の装置。
【0099】
[00110]例9a.前記SMP発泡体は、第1の状態で最大外径が1.2mm以下であり、
前記第1の状態で圧縮されて、第2の状態に拡張するように構成される、例7aに記載の装置。
【0100】
[00111]例えば、例えば、PVAの代わりにハイドロゲルを用いる場合、そこまで直径を小さく圧着することは極めて困難であうる。
【0101】
[00112]例10a.前記導管は、18ゲージ以下の針を含む、例9aに記載の装置。
【0102】
[00113]しかしながら、他の実施形態では、針又は導管が必要ない場合がある。例えば、医療提供者は、本明細書に記載されたSMP発泡体を単に手に取り、その手を使って組織に直接適用(例えば、腫瘍切除)することを望むことができる。
【0103】
[00114]例11a.前記開放セルの最大直径は、少なくとも50ミクロンであり、前記治療剤の大きさは900ダルトン以下である、例9a記載の装置。
[00115]他の実施形態では、前記開放セルの最大直径は、50ミクロンから2mmの間である。他の実施形態では、開放セルの最大直径は、2mm未満であるが、50、75、100、125、150、175、又は200ミクロンより大きい。
【0104】
[00116]例12a.前記開放セルは、ストラット及び内壁のうちの少なくとも1つを含み、
前記材料組成物は、ストラット及び内壁の少なくとも1つに直接接触する、例9aに記載の装置。
【0105】
[00117]例13a.前記開放セルは、SMP発泡体の内部に含まれ、さらなる開放セルに実質的に囲まれ、かつ、SMP発泡体の外面に直接接触しない、例12aに記載の装置。
【0106】
[00118]例14a.前記治療剤は、高分子、リポソーム、ミセル粒子、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つによってカプセル化されている、例1a~13aのいずれかに記載の装置。
【0107】
[00119]例15a.カプセル化された前記治療剤は、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つに含まれ、前記PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つは、カプセル化された治療剤が壁に直接接触しないように、SMP発泡体のセルの壁とカプセル化された治療剤との間にある、例14aに記載の装置。
【0108】
[00120]例16a.コーティングを含む、例1aの装置であって、前記開放セルはストラットを含み、前記コーティングは前記ストラット上にあり、かつ、前記コーティングは材料組成物を含む、装置。
【0109】
[00121]例17a.前記ストラットの内部部分には、前記治療剤、さらなる治療剤、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つが含まれる、例16aに記載の装置。
【0110】
[00122]例えば、図4を参照されたい。薬剤(例えば、薬物)は、溶媒(例えば、DMSO)を介してストラット内部に組み込まれてよい。特定の実施形態(例えば、例3a~5a)における発泡体の化学的性質に基づき、PVAコーティングは、それ自体では薬剤をSMPストラット中に運ぶことができない。溶媒がなければ、薬剤は担体コーティング内に留まる。したがって、溶媒を用いることにより、(ストラット上だけでなく)ストラット中への薬剤の組み込みに寄与することができる。
【0111】
[00123]方法としては、ストラットへの薬剤の装填とは異なる工程で、ストラット(又はSMP発泡体セルの壁又は一般的な基盤)に薬剤を装填するステップがあげられる。例えば、最初に薬剤Aを、溶媒を用いてSMPストラットに装填する。次に、ストラット表面に薬剤B(又はさらなる薬剤A)を、担体コーティングを用いて装填する。
【0112】
[00124]例17aの変形例:(a)SMP発泡体が第1の状態にある場合に、ストラットの内部部分は、治療剤、さらなる治療剤、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、(b)SMP発泡体が第2の状態にある場合に、前記ストラットの内部部分は、治療剤、さらなる治療剤、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、例16aに記載の装置。
【0113】
[00125]例18a前記コーティングの治療剤は、第1の期間中にSMP発泡体から患者の組織に溶出するように構成され、ストラットの内部部分は、治療剤、さらなる治療剤、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含み、第2の期間中にSMP発泡体から患者の組織に溶出するように構成され、前記第2の期間は、前記第1の期間の少なくとも1日後に発生する、例16aに記載の装置。
【0114】
[00126]例えば、コーティング中の薬剤Aは、第1の時間枠(例えば、1~48時間)にわたって切除縁組織に溶出する一方で、ストラット内部の薬物B(又は薬物A又は薬物A及びB)はより遅く(例えば、48時間後又は1週間後)組織中に溶出することができる。これは、ストラット内部の薬剤が無傷のストラットから溶出するために起こるのかもしれない。しかし、ストラットが生分解性であり、経時的に分解されるために起こるのかもしれない。ストラットが分解するにつれて、その内部のいかなる薬物も、周囲の組織に溶出する。
【0115】
[00127]上記のシナリオは、薬剤(薬剤A)がコーティングから放出され(二重放出の第1の経路)、薬剤(薬剤A、B、又はA及びB)がストラット又はセルの基盤構成要素(二重放出の第2の経路)内から放出される「二重放出」メカニズムの例を取り上げたものである。
【0116】
[00128]一実施形態では、(コーティング中又はストラット中の)薬物は、親水性であってよい。これは、親水性薬物が有機溶媒に溶解しない可能性があるため、注目される。ドキソルビシン及びアクリフラビンは、DMSO及び水に可溶である。発泡体中のDMSOの存在は、(微量でも)発泡体の膨張に寄与する(結果として、より多くの薬物が発泡体のコアに浸透する)。有機溶媒等の溶媒を用いて、親水性薬剤を例3a~5aの化学的性質を備えるストラット又はセル壁の内部に装填することができる。当該溶媒としては、例えば、DMSO、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、及びグリセロールがあげられる。当該溶媒の中には、溶媒がSMP発泡体中に残留していると、組織との相互作用のために、特定の用途には不適当なものもある。
【0117】
[00129]例19a.前記ストラットの内部部分はさらなる治療剤を含む、例17a~18aのいずれかに記載の装置。
【0118】
[00130]例20a.前記ストラットの内部部分は、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含まない、例17a~19aのいずれかに記載の装置。
【0119】
[00131]例20aの変形例:前記ストラットの内部部分は、PVA、カルボキシメチルセルロース、又はその組み合わせのうちの少なくとも1つを含まず、かつ、材料組成物はストラットの周囲で架橋されていない、例17~19のいずれかに記載の装置。
【0120】
[00132]一実施形態では、開放セルの最大直径は、少なくとも50ミクロンであり、治療剤は900ダルトン以下である。しかしながら、ストラットの周囲の材料組成物が架橋されない場合、薬剤の遅延放出又は持続放出がより困難になる。そこで、粘度を高める担体高分子を用いると、持続的に薬剤を放出するための材料組成物の架橋結合の欠如の問題に取り組むことに、寄与することができる。
【0121】
[00133]一実施形態では、材料組成物は、発泡体に化学的に結合(例えば、共有結合)されない。その代わりに、材料組成物は、材料組成物内に物理的に含まれる。このため、いかなる方法においても、薬剤の損傷が回避されうる。
【0122】
[00134]本発明の実施形態の上記説明は、例示及び説明の目的で提示される。それは、網羅的であること、または開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するものではない。本明細書及び特許請求の範囲には、例えば、左、右、上、下、下、下、上、下、第1、第2等の用語が含まれるが、これらは説明の目的のみに用いられるものであり、限定的なものとして解釈されるべきではない。例えば、相対的な垂直位置を示す用語は、基板の側面がその基板の「上」面である状況を示すものであり、基板の「上」面が標準的な地上基準フレームにおいて「下」面より低くても、用語「上」の意味内であれば、基板は実際にはいかなる向きであってもよい。本明細書で用いられる用語「上」は、第2の層が、第1の層と第2の層の間に直接存在し、直接接触することを示すものではなく、第1の層と第1の層上の第2の層との間に第3の層又は他の構造が存在してもよい。本願に記載にする装置又は物品の実施形態は、多数の配置及び方向において製造、使用、又は輸送ことができる。当業界の当業者は、上記の教示に照らして、多くの修正および変形が可能であることを理解することができる。当業者は、図に示された様々な構成要素の様々な等価な組み合わせ及び代替物を認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】