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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】クランク軸、圧縮機及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 3/10 20060101AFI20221220BHJP
   F04B 39/02 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F16C3/10
F04B39/02 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523350
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2020121597
(87)【国際公開番号】W WO2021098423
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201911158486.0
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518056542
【氏名又は名称】安徽美芝制冷設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI MEIZHI COMPRESSOR CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.418 Caihong Road,Hefei High and New Technical Development District,Hefei,Anhui 230031,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】王誠誠
【テーマコード(参考)】
3H003
3J033
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AC03
3H003BD06
3H003CA01
3J033AA02
3J033BA02
3J033BA07
3J033BA11
3J033CA01
3J033CA10
(57)【要約】
クランク軸(100)であって、第1の軸(110)、第2の軸(130)、第1のクランクアーム(120)、第2のクランクアーム(140)及び凹部(121)を備え、第1のクランクアーム(120)は第1の軸(110)の一端に設けられ、第1のクランクアーム(120)に第1の油路(111)が設けられ、第1の油路(111)は第1の軸(110)を貫通し、第2のクランクアーム(140)は第2の軸(130)の一端に設けられ、第2のクランクアーム(140)に第2の油路(131)が設けられ、第2の油路(131)は第2の軸(130)を貫通し、凹部(121)は第1のクランクアーム(120)の第1の軸(110)から遠い端面に設けられるか、または第2のクランクアーム(140)の第2の軸(130)から遠い端面に設けられ、第2のクランクアーム(140)は第1のクランクアーム(120)に接続されるために使用され、凹部(121)が第1の油路(111)と第2の油路(131)を連通するようにする。凹部(121)によって潤滑油を貯蔵し、第2の油路(131)に給油し、給油効果を向上させる。また、圧縮機の実際の排気量要件に応じて、第2の軸(130)と第1の軸(110)との相対位置を調整することによって偏心量を調整し、クランク軸を異なる圧縮機の排気量要件に適応させることができ、加工製造しやすい。さらに、クランク軸を含む圧縮機及び圧縮機を含む冷凍装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸と、第2の軸と、第1のクランクアームと、第2のクランクアームと、凹部と、を備え、
前記第1のクランクアームは前記第1の軸の一端に設けられ、前記第1のクランクアームに第1の油路が設けられ、前記第1の油路は前記第1の軸を貫通し、
前記第2のクランクアームは前記第2の軸の一端に設けられ、前記第2のクランクアームに第2の油路が設けられ、前記第2の油路は前記第2の軸を貫通し、
前記凹部は、前記第1のクランクアームの前記第1の軸から遠い端面に設けられるか、または前記第2のクランクアームの前記第2の軸から遠い端面に設けられ、前記第2のクランクアームは前記第1のクランクアームに接続されるために使用され、前記凹部が前記第1の油路と前記第2の油路を連通するようにするクランク軸。
【請求項2】
前記凹部は前記第1のクランクアームの前記第1の軸から遠い端面に設けられ、前記第1の油路は前記凹部の一部の底壁を貫通する請求項1に記載のクランク軸。
【請求項3】
前記凹部は前記第2のクランクアームの前記第2の軸から遠い端面に設けられ、前記第2の油路は前記凹部の一部の底壁を貫通する請求項1に記載のクランク軸。
【請求項4】
前記第2の軸は前記第1の軸の軸線に対して第1の方向に偏心して設置され、前記凹部は少なくとも一部が前記第1の方向に沿って延びる請求項1~3のいずれか1つに記載のクランク軸。
【請求項5】
前記凹部の開口は楕円形であり、前記楕円形の中心は前記第1の方向において前記第1の軸の軸線に対して偏心して設置される請求項4に記載のクランク軸。
【請求項6】
前記楕円形の短軸は前記第1の方向に沿って延び、前記楕円形の長軸は2つの短い円弧セグメントに対応し、
前記第1のクランクアームに位置する前記2つの短い円弧セグメントのうちの1つは前記第2の油路が位置する領域に延びるために使用され、または、
前記第2のクランクアームに位置する前記2つの短い円弧セグメントのうちの1つは前記第1の油路が位置する領域に延びるために使用される請求項5に記載のクランク軸。
【請求項7】
前記第1のクランクアームと前記第1の軸は一体成形され、
前記第2のクランクアームと前記第2の軸は一体成形され、
前記第1のクランクアームと前記第2のクランクアームは一体に接続される請求項1~3のいずれか1つに記載のクランク軸。
【請求項8】
前記第1のクランクアームと前記第1の軸は一体的に鍛造して成形され、
前記第2のクランクアームと前記第2の軸は一体的に鍛造して成形され、
前記第1のクランクアームと前記第2のクランクアームは抵抗溶接で一体に溶接される請求項7に記載のクランク軸。
【請求項9】
前記第2のクランクアームの前記第2の軸から遠い一端に溶接バンドが設けられ、前記溶接バンドは前記凹部の外周に環設されるために使用され、
前記第2のクランクアームは前記溶接バンドによって前記第1のクランクアームに抵抗溶接で溶接される請求項8に記載のクランク軸。
【請求項10】
前記第1の軸のいずれかの断面において、前記第1の油路の各箇所の肉厚は完全に同じではない請求項1~3のいずれか1つに記載のクランク軸。
【請求項11】
前記第1の軸のいずれかの断面において、前記第1の油路は軸対称の特殊な形状の穴構造であり、または、
前記第1の軸のいずれかの断面において、前記第1の油路は円形の穴構造であり、前記円形の穴構造の中心は前記第1の軸の軸線からずれている請求項10に記載のクランク軸。
【請求項12】
前記第1の軸のいずれかの断面において、前記第1の油路は薄肉部と厚肉部を含み、
前記第2の軸は前記第1の軸の軸線に対して前記薄肉部から離れる方向に偏心して設置される請求項10に記載のクランク軸。
【請求項13】
前記第1の軸の軸線に対する前記第2の軸と前記薄肉部の中心角は90°以上である請求項12に記載のクランク軸。
【請求項14】
前記薄肉部の内輪郭は第1の円弧であり、前記厚肉部の内輪郭は第2の円弧であり、前記第1の円弧と前記第2の円弧の開口方向は前記第1の軸の軸線に向かう請求項12に記載のクランク軸。
【請求項15】
前記薄肉部の肉厚は0.3mm以上であり、及び/又は、
前記第1の円弧の弧長の値の範囲は3mm~5mmであり、及び/又は、
前記第1の円弧に対応する半径と前記第2の円弧に対応する半径との差の値の範囲は0mm~2mmである請求項14に記載のクランク軸。
【請求項16】
前記第1の油路は前記薄肉部と前記厚肉部を接続する遷移部を更に備え、前記遷移部の内輪郭は第1の直線を有し、
前記第1の円弧と前記第1の直線の交差点に第1の接線を描画し、前記第2の円弧と前記第1の直線の交差点に第2の接線を描画し、前記第1の軸の内部に向かう前記第1の接線と前記第2の接線との角度は90°より大きい請求項14に記載のクランク軸。
【請求項17】
前記薄肉部の内輪郭は第3の円弧であり、前記厚肉部の内輪郭は第4の円弧であり、
前記第3の円弧と前記第4の円弧のうちの一方の開口方向は前記第1の軸の軸線に向かい、他方の開口方向は前記第1の軸の軸線に反対向きである請求項12に記載のクランク軸。
【請求項18】
前記溶接バンドの外輪郭は前記第2のクランクアームの外輪郭と同じ形状であり、及び/又は、
前記溶接バンドの断面は台形または楔形である請求項9に記載のクランク軸。
【請求項19】
前記溶接バンドの前記第1のクランクアームに向かう端面の幅は0.2mm以上である請求項9に記載のクランク軸。
【請求項20】
前記第1のクランクアームの前記第1の軸に近い一端にボスが設けられ、
前記ボスは前記第1の軸の周りを取り囲み、前記ボスと前記第1の軸との間に凹溝が形成される請求項1~3のいずれか1つに記載のクランク軸。
【請求項21】
前記ボスの高さは0.5mmより大きく、及び/又は、
前記凹溝の深さは0.8mm以下である請求項20に記載のクランク軸。
【請求項22】
前記第1の軸に第1の油穴が設けられ、前記第1の油穴は前記第1の油路に連通され、
前記第2の軸に第2の油穴が設けられ、前記第2の油穴は前記第2の油路に連通される請求項1~3のいずれか1つに記載のクランク軸。
【請求項23】
前記第1の油穴の直径は1.5mm以上であり、
前記第2の油穴の直径は1.5mm以上である請求項22に記載のクランク軸。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1つに記載のクランク軸と、
底部に油タンクを有するハウジングと、
前記ハウジング内に設けられるモーターであって、前記モーターのローターが前記第1の軸に嵌設されるモーターと、
前記第1の軸に嵌設されるとともに、前記ローターと前記第1のクランクアームとの間に位置する軸受けと、
リンクの一端に接続されるピストンと、を備え、前記リンクの他端が前記第2の軸に接続される圧縮機。
【請求項25】
請求項24に記載の圧縮機と、
入口が前記圧縮機の出口に連通される凝縮器と、
入口が前記凝縮器の出口に連通される減圧部材と、
入口が前記減圧部材の出口に連通されるとともに、出口が前記圧縮機の入口に連通される蒸発器と、を備える冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は冷凍装置の技術分野に関し、具体的には、クランク軸、圧縮機及び冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、定速往復圧縮機は一般的に鋳造で成形される。異なる往復圧縮機の排気量要件を満たすために、クランク軸は異なる偏心量と軸径を必要とするが、偏心量と軸径が異なるクランク軸を計画する場合に再度型開きを必要とするため、クランク軸を鋳造する金型の標準化度が低くなり、汎用性が低く、製造コストが高くなる。しかも、鋳造で成形されたクランク軸は外面に給油通路を加工する必要があり、加工が複雑で、給油効果が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願は、従来の技術または関連技術に存在している技術問題の一つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本願の第1の態様はクランク軸を提供する。
【0005】
本願の第2の態様は圧縮機を提供する。
【0006】
本願の第3の態様は冷凍装置を提供する。
【0007】
これを鑑みて、本願の第1の態様の実施例によれば、クランク軸を提供し、前記クランク軸は、第1の軸、第2の軸、第1のクランクアーム、第2のクランクアーム及び凹部を備え、第1のクランクアームは第1の軸の一端に設けられ、第1のクランクアームに第1の油路が設けられ、第1の油路は第1の軸を貫通し、第2のクランクアームは第2の軸の一端に設けられ、第2のクランクアームに第2の油路が設けられ、第2の油路は第2の軸を貫通し、凹部は第1のクランクアームの第1の軸から遠い端面に設けられるか、または第2のクランクアームの第2の軸から遠い端面に設けられ、第2のクランクアームは第1のクランクアームに接続されるために使用され、凹部が第1の油路と第2の油路を連通するようにする。
【0008】
本願の実施例によるクランク軸は、第1の軸、第1のクランクアーム、第2の軸及び第2のクランクアームを備え、第1のクランクアームに第1の油路を設けるとともに、第1の油路に第1の軸を貫通させ、第2のクランクアームに第2の油路を設けるとともに、第2の油路に第2の軸を貫通させることにより、第2のクランクアームと第1のクランクアームを接続した後、第1の油路は第2の油路に連通され、潤滑油が第1の油路を通って第2の油路内に入り、油を供給する。また、第1のクランクアームの第1の軸から遠い一端に凹部を設けるか、または第2のクランクアームの第2の軸から遠い一端に凹部を設けることによって、第1の油路と第2の油路との間に凹部を有し、凹部を通じて潤滑油を貯蔵し、第2の油路内に十分な油を確保することに役に立つ一方で、第2の軸は、第1の軸の軸線に対して偏心して設置されるので、凹部を介して互いにずれている第1の油路と第2の油路を連通することができ、潤滑油が第1の油路を通って第2の油路にさらに入りやすくなり、給油効果を向上させる。
【0009】
また、第2のクランクアームは第1のクランクアームに接続されるために使用され、即ち第1のクランクアームと第2のクランクアームは互いに独立しており、後から一体に組み立てられ、第2の軸を第1の軸の軸線に対して偏心して設置することに役に立ち、圧縮機の実際の排気量要件に応じて、偏心量を調整し、第2の軸と第1の軸との相対位置を調整することができ、その結果、クランク軸を異なる圧縮機の排気量要件に適応させることができ、例えば、第1の軸と第1のクランクアームを固定し、偏心方向において第2のクランクアームと第2の軸を移動させることにより、異なる偏心量のクランク軸を取得する。第1の軸と第2の軸が一体的に鋳造して成形され、クランク軸の外面に給油通路を加工する必要がある関連技術と比較して、クランク軸の部品の汎用性を向上させ、給油通路や異なる偏心量の要件があるクランク軸を加工するために機能が複雑で、または構造が多様である加工機器を必要とせず、加工しやすく、生産コストを削減する。
【0010】
また、本願による上記の技術的手段におけるクランク軸は、以下のような付加的な技術的特徴を備えてもよい。
いくつかの実施例において、凹部は第1のクランクアームの第1の軸から遠い端面に設けられ、第1の油路は凹部の一部の底壁を貫通する。
【0011】
これらの実施例において、具体的に、凹部を第1のクランクアームの第1の軸から遠い端面に設け、第1の油路が凹部の一部の底壁を貫通することにより、第1の油路を凹部に十分に連通させることに役に立つ一方で、凹部の貫通されていない部分によって油を貯蔵して、第2の油路内に給油することができ、潤滑効果を向上させる。
【0012】
いくつかの実施例において、凹部は第2のクランクアームの第2の軸から遠い端面に設けられ、第2の油路は凹部の一部の底壁を貫通する。
【0013】
これらの実施例において、具体的に、凹部を第2のクランクアームの第2の軸から遠い端面に設け、第2の油路が凹部の一部の底壁を貫通することにより、第2の油路を凹部に十分に連通させることに役に立つ一方で、凹部の貫通されていない部分によって油を貯蔵して、第2の油路内に給油することができ、潤滑効果を向上させる。
【0014】
いくつかの実施例において、第2の軸は第1の軸の軸線に対して第1の方向に偏心して設置され、凹部は少なくとも一部が第1の方向に沿って延びる。
【0015】
これらの実施例において、具体的に、第2の軸を第1の軸の軸線に対して第1の方向に偏心して設置するように設定し、即ち第2の軸の軸線は第1の軸の軸線に平行で第1の方向に沿って間隔をあけて分布し、凹部は少なくとも一部が第1の方向に沿って延びるように設定することにより、第1の油路内の潤滑油が凹部を通って第2の油路に入ることに役に立ち、第2の油路内への給油に便利であり、潤滑効果を向上させる。
【0016】
いくつかの実施例において、凹部の開口は楕円形であり、楕円形の中心は第1の方向に第1の軸の軸線に対して偏心して設けられる。
【0017】
これらの実施例において、具体的に、凹部の開口は楕円形に設計されており、このとき、凹部は楕円形座ぐり構造であってもよい。楕円形の中心を第1の方向に第1の軸の軸線に対して偏心して設置することにより、さらに潤滑油が凹部を通って大量に第2の油路に入ることを確保することができ、潤滑効果を向上させる。
【0018】
無論、他の実施例において、凹部の開口は楕円形に限らず、長い帯状または円状等にすることもできる。
【0019】
いくつかの実施例において、楕円形の短軸は第1の方向に沿って延び、楕円形の長軸は2つの短い円弧セグメントに対応し、第1のクランクアームに位置する2つの短い円弧セグメントのうちの1つは第2の油路が位置する領域に延びるために使用され、または第2のクランクアームに位置する2つの短い円弧セグメントのうちの1つは第1の油路が位置する領域に延びるために使用される。
【0020】
これらの実施例において、凹部が第1のクランクアームに設けられる場合、楕円形の短軸を第1の方向に沿って延ばし、長軸に対応する2つの短い円弧セグメントのうちの1つを第2の油路が位置する領域に延ばし、即ち凹部は少なくとも一部が第2の油路に直接連通するように当接されることができることにより、短軸方向の凹部によって油を貯蔵することができる一方で、短い円弧セグメントが第2の油路が位置する領域に延びるため、第2の油路に給油することに便利になる。また、凹部が第2のクランクアームに設けられる場合、楕円形の短軸を第1の方向に沿って延ばし、長軸に対応する2つの短い円弧セグメントのうちの1つを第1の油路が位置する領域に延ばし、即ち凹部は少なくとも一部が第1の油路に直接連通するように当接されることができることにより、短軸方向の凹部によって油を貯蔵することができる一方で、短い円弧セグメントが第1の油路が位置する領域に延びるため、第1の油路が該凹部によって第2の油路に給油することに便利になる。短い円弧セグメントがクランク軸のいずれかの偏心条件で、第2の油路または第1の油路が位置する領域に延びるように設計されることによって、凹部が第2の油路または第1の油路に連通される。
【0021】
いくつかの実施例において、第1のクランクアームは第1の軸に一体成形される。第2のクランクアームは第2の軸に一体成形される。第1のクランクアームは第2のクランクアームに一体に接続される。第1のクランクアームと第1の軸を一体成形することで、第2のクランクアームと第2の軸を一体成形し、その後、第1のクランクアームと第2のクランクアームを一体に接続し、クランク軸の組立を実現し、加工が簡単であり、モジュール式でありながら、異なる圧縮機の排気量要件を満たし、特に第2のクランクアームは多くの排気量要件の下で第1のクランクアームに接続できる場合、クランク軸の生産効率を向上させる。
【0022】
無論、第1のクランクアームは第1の軸に溶接接続してもよく、第2のクランクアームは第2の軸に溶接接続してもよい。
【0023】
いくつかの実施例において、第1のクランクアームは第1の軸に一体的に鍛造して成形され、及び/又は第2のクランクアームは第2の軸に一体的に鍛造して成形される。成形が簡単で、加工製造プロセスが成熟し、生産効率及び材料利用率が高く、クランク軸部品の品質を確保しながら、コストを削減することができる。鋳造プロセスを採用してクランク軸を加工し、クランク軸の外面に後段で給油油路を加工する必要がある関連技術と比較して、鍛造プロセスを採用してクランク軸を加工することによって、一定の精度の第1のクランクアームと第1の油路付きの第1の軸、及び第2のクランクアームと第2の油路付きの第2の軸を高速で実現でき、油路を直接鍛造して成形し、生産効率を向上させることができる。しかも、1セットの鍛造金型は異なる偏心量のクランク軸の要件を満たすことができるため、金型が非常に良好な汎用性を持ち、開発コスト及び製造コストを削減する。また、金属鋳造熱間成形プロセスによる環境の汚染や、エネルギーの大量消費を回避する。
【0024】
無論、第1のクランクアームと第1の軸は旋削等により一体成形されてもよく、同様に、第2のクランクアームと第2の軸は旋削により一体成形されてもよい。
【0025】
いくつかの実施例において、第1のクランクアームと第2のクランクアームは抵抗溶接により一体に溶接される。
【0026】
これらの実施例において、第1のクランクアームと第2のクランクアームを抵抗溶接で一体に接続し、抵抗溶接は溶接バンドを通電して第1のクランクアームの第2のクランクアームに向かう側に溶け込ませることができるため、接続が便利でしっかりしており、第2のクランクアームの第1のクランクアームに対する反りの状況がなく、第2のクランクアームはしっかりと第1のクランクアームの適切な位置に設けられるのに便利であり、これにより第2の軸の第1の軸に対する偏心量を調整する。第2のクランクアームの溶接がクランク軸の全ての偏心条件を満たす場合に第1のクランクアームに溶接することができ、これにより、クランク軸部品の汎用性を確保する。
【0027】
いくつかの実施例において、第2のクランクアームの第2の軸から遠い一端に溶接バンドが設けられ、溶接バンドは凹部の外周に環設されるために使用され、第2のクランクアームは溶接バンドによって第1のクランクアームに抵抗溶接で溶接される。凹部が第1のクランクアームに設けられ、凹部の開口が楕円形である場合、楕円形の長軸に対応する2つの短い円弧セグメントのうちの一方は第2の油路が位置する領域に延びるために使用され、他方の短い円弧セグメント及び楕円形の短軸に対応する2つの長い円弧セグメントは第1の油路の開口を取り囲んでおり、いずれかの偏心位置でも溶接バンドの内部に位置する。
【0028】
他のいくつかの実施例において、第1のクランクアームと第2のクランクアームはレーザー溶接で一体に溶接される。接続が容易でしっかりする。
【0029】
いくつかの実施例において、第1の軸のいずれかの断面において、第1の油路の各箇所の肉厚は完全に同じではない。
【0030】
これらの実施例において、第1の軸のいずれかの断面において、第1の油路の各箇所の肉厚は完全に同じではなく、即ち第1の軸の外面との間に相対的な薄肉と厚肉があるように設定されることにより、第1の油路の断面は円形の穴ではなく、三角形の穴、楕円形の穴またはひょうたん形の穴などであるか、または第1の油路の断面は円形の穴であるが、その中心が第1の軸の軸線からずれている。クランク軸の回転中に、第1の油路の周方向における各箇所の肉厚は完全に同じではなく、発生した遠心力も完全に同じではないため、潤滑油は遠心力の作用の下で肉厚が薄い箇所を介して給油され、第1の油路と第2の油路に流入して潤滑することができ、給油効果が良く、潤滑効果が良い。給油量とクランク軸の構造強度を確保するために、クランク軸の直径を大きく設計することで、油路の直径が大きくなり、十分な遠心力を確保し、さらに給油量を確保することができる関連技術と比較して、クランク軸の給油量を向上させ、構造強度を確保すると同時に、小型のクランク軸を実現することができる。
【0031】
いくつかの実施例において、第1の軸のいずれかの断面において、第1の油路は軸対称構造である。
【0032】
これらの実施例において、第1の油路が第1の軸のいずれかの断面において、例えば楕円形、十字形などの軸対称構造であるように設計されることにより、第1の油路を加工しやすいと同時に、給油量を確保することができる。
【0033】
いくつかの実施例において、第1の軸のいずれかの断面において、第1の油路は軸対称の特殊な形状の穴構造である。第1の油路の肉厚を大きく変化させるのを確保することができ、これにより、第1の軸が潤滑油の給油を誘導するように十分な遠心力を発生することができる。
【0034】
いくつかの実施例において、第1の軸のいずれかの断面において、第1の油路は円形の穴構造であり、円形の穴構造の中心は第1の軸の軸線からずれている。第1の油路のいずれかの断面を円形の穴状に設定することにより、加工しやすい。
【0035】
いくつかの実施例において、第1の軸のいずれかの断面において、第1の油路は薄肉部と厚肉部を有し、第2の軸は第1の軸の軸線に対して薄肉部から離れる方向に偏心して設置される。
【0036】
これらの実施例において、第1の軸のいずれかの断面において薄肉部と厚肉部を有し、薄肉部はデフォルトで肉厚が最も薄いセグメントであり、厚肉部は肉厚が最も厚いセグメントであるように設計される。即ちいずれかの薄肉部はいずれかの厚肉部よりも厚さが小さい。薄肉部の数は1つでも、複数でもよく、同様に、厚肉部の数は1つでも、複数でもよい。第2の軸は第1の軸の軸線に対して薄肉部から離れる方向に偏心して設置され、即ち第2の軸と薄肉部は第1の軸の軸線に対して同一の方位に位置しないため、第2の軸による遠心力が第1の軸の薄肉部に影響を与えるのを回避でき、薄肉部の破損や損傷等を防ぎ、薄肉部の構造強度を確保し、これにより、小型のクランク軸が高い給油量を有することを更に実現する。
【0037】
いくつかの実施例において、第1の軸の軸線に対する第2の軸と薄肉部の中心角は90°以上である。
【0038】
これらの実施例において、さらに第1の軸の軸線に対する第2の軸と薄肉部の中心角は90°以上であり、即ち第1の軸のいずれかの断面における第2の軸と薄肉部の正投影は、第1の軸の軸線に対して対応する中心角が少なくとも90°であるように設定されることにより、第2の軸と薄肉部は十分な距離だけ離間し、第1の軸に対する第2の軸の偏心運動により第1の軸の薄肉部に与える影響を効果的に回避し、第2の軸の薄肉部の構造強度がクランク軸の要件を満たすのを確保する。
【0039】
具体的に、第1の軸の軸線に対する第2の軸と薄肉部の中心角は90°であるため、薄肉部は往復圧縮機のピストンの運動方向に垂直になる。無論、第1の軸の軸線に対する第2の軸と薄肉部の中心角は120°または180°等であってもよく、薄肉部の肉厚及び位置によって決められてもよい。
【0040】
いくつかの実施例において、薄肉部の内輪郭は第1の円弧であり、厚肉部の内輪郭は第2の円弧であり、第1の円弧と第2の円弧の開口方向は第1の軸の軸線に向かう。
【0041】
これらの実施例において、第1の軸のいずれかの断面において、薄肉部の内輪郭は第1の円弧であり、厚肉部の内輪郭は第2の円弧であるように限定されることにより、加工しやすく、潤滑油の高速な給油に便利である。また、第1の円弧と第2の円弧の開口方向が第1の軸の軸線に向かうことによって、第1の油路は大きな空間を有し、より多くの潤滑油が第1の油路に流入することに便利であり、潤滑効果を向上させ、第1の油路の加工にも便利である。
【0042】
いくつかの実施例において、薄肉部の肉厚は0.3mm以上であり、及び/又は第1の円弧の弧長の値の範囲は3mm~5mmであり、及び/又は第1の円弧に対応する半径と第2の円弧に対応する半径との差の値の範囲は0mm~2mmである。
【0043】
これらの実施例において、薄肉部の肉厚を0.3mm以上、例えば0.4mm~0.5mmにすることにより、薄肉部が十分な構造強度を有するのを確保する。また、第1の円弧の弧長を0mmより大きくし、例えば3mm~5mmにすることにより、薄肉部が十分な給油量を有するのを確保する。また、第1の円弧に対応する半径と第2の円弧に対応する半径との差を0mm以上、例えば1mm~2mmにすることにより、2つの半径の差が0であると、第1の油路の断面は円形の穴構造であり、第1の軸の軸線に対して偏心して設定されることで、第1の軸が回転中に潤滑油の給油を誘導するために十分な遠心力を発生することができる。
【0044】
いくつかの実施例において、第1の油路は薄肉部と厚肉部を接続する遷移部を更に有する。さらに、遷移部の内輪郭は第1の直線を有する。
【0045】
これらの実施例において、第1の軸のいずれかの断面において、薄肉部と厚肉部を接続するための遷移部を有するように設定されることで、第1の軸の厚さの変化を緩衝し、第1の軸の構造強度を向上させることができる。
【0046】
いくつかの実施例において、遷移部は第1の直線を含み、例えばそれぞれ第1の円弧と第2の円弧に接し、無論、接しなくてもよく、遷移部は第5の円弧を含んでもよく、第1の直線は第5の円弧によって第1の円弧と第2の円弧を接続する。
【0047】
いくつかの実施例において、第1の円弧と第1の直線の交差点に第1の接線を描画し、第2の円弧と第1の直線の交差点に第2の接線を描画し、第1の軸の内部に向かう第1の接線と第2の接線との角度は90°より大きい。第1の油路の内部に十分な空間を確保し、給油量を確保する。
【0048】
無論、第1の軸の内部に向かう第1の接線と第2の接線との角度は90°より小さくてもよい。
【0049】
いくつかの実施例において、薄肉部の内輪郭は第3の円弧であり、厚肉部の内輪郭は第4の円弧であり、第3の円弧と第4の円弧のうちの一方の開口方向が第1の軸の軸線に向かい、他方の開口方向が第1の軸の軸線に反対向きである。
【0050】
いくつかの実施例において、溶接バンドの外輪郭は第2のクランクアームの外輪郭と同じ形状であり、及び/又は溶接バンドの断面は台形または楔形である。
【0051】
これらの実施例において、溶接バンドの外輪郭は第2のクランクアームの外輪郭と同じ形状であるように設定されることにより、第2のクランクアームは、第1のクランクアームに対して部分的に反る状況が発生することなく、第1のクランクアームに密着されやすい。例えば、溶接バンドは第2のクランクアームの辺縁に位置し、第2のクランクアームの辺縁に丸い角で接続され、または溶接バンドが第2のクランクアームの辺縁から一定の距離があり、デフォルトで溶接バンドは第4の油路の一端の開口を囲む。また、溶接バンドの断面を台形または楔形にすることにより、例えば溶接バンドの第2の軸の軸線に向かう側が外向きの楔形であることで、通電して第1のクランクアームの第2のクランクアームに近い側に溶け込み、第1のクランクアームと第2のクランクアームをしっかりと接続しやすい。
【0052】
いくつかの実施例において、溶接バンドの第1のクランクアームに向かう端面の幅は0.2mm以上である。
【0053】
これらの実施例において、溶接バンドの第1のクランクアームに向かう端面の幅は0.2mm以上であり、例えば0.5mm~0.8mmにすることにより、溶接バンドは第1のクランクアームと第2のクランクアームをしっかりと接続することができる。
【0054】
いくつかの実施例において、第1のクランクアームの第1の軸に近い一端にボスが設けられる。
【0055】
これらの実施例において、第1のクランクアームの第1の軸に近い一端にボスが形成されることにより、ガスケットの取り付けと位置決めに便利であり、軸受けの圧縮機への配置が容易であり、軸受けと第1の軸との垂直性を確保する。
【0056】
いくつかの実施例において、ボスが第1の軸の周りを取り囲むようにし、ボスと第1の軸の外輪郭との交差点に凹溝を形成することにより、軸受けを安定して支持するのに便利であり、且つ凹溝の存在は、後段で第1の軸の仕上げに寄与し、カッターに位置を譲らせることができる一方で、ボスと第1の軸との間に凹溝がない場合と比較して、ボスの研削仕上げ面積を減少し、ボスの研削仕上げに便利であり、コストが節約される。具体的に、ボスと凹溝は相対的に存在し、凹溝の内面にも円弧面があり、エッジを有してもよい。
【0057】
いくつかの実施例において、ボスの高さは0.5mmより大きく、及び/又は凹溝の深さは0.8mm以下である。具体的に、ボスの高さは1mm、2mm等であってもよく、凹溝の深さは0.2mm~0.4mmであってもよいため、ボスは軸受け及びローターを支持するために十分な構造強度を有し、凹溝は第1の軸の研削仕上げを確保できる。
【0058】
いくつかの実施例において、第1の軸に第1の油穴が設けられ、第1の油穴は第1の油路に連通され、第2の軸に第2の油穴が設けられ、第2の油穴は第2の油路に連通される。
【0059】
これらの実施例において、第1の軸に第1の油路に連通される第1の油穴を設け、第2の軸に第2の油路に連通される第2の油穴を設けることで、潤滑油が第1の油穴と第2の油穴を通って流出して、圧縮機のローターなどの構造を潤滑することができる。
【0060】
第1の油穴の数は1つまたは少なくとも2つであり、第2の油穴の数は1つまたは少なくとも2つである。
【0061】
いくつかの実施例において、第1の油穴の直径は1.5mm以上であり、第2の油穴の直径は1.5mm以上、例えば2mm~4mmである。潤滑油の順調な流出を確保する。
【0062】
いくつかの実施例において、第1の軸と第2の軸は両方とも低炭素合金鋼などの低炭素鋼軸または合金鋼軸であり、構造強度が高く、耐磨耗性が良い。
【0063】
本願の第2の態様の実施例は圧縮機を提供し、以上のような技術的手段のいずれかのクランク軸を備える。
【0064】
本願による圧縮機は、以上のような技術的手段のいずれかのクランク軸を備えるため、以上のような技術的手段のいずれかの有益な効果を有し、ここでは逐一繰り返して説明しない。
【0065】
いくつかの実施例において、圧縮機は、ハウジング、モーター、軸受け及びピストンをさらに備える。ハウジングの底部に油タンクを有し、モーターはハウジング内に設けられ、モーターのローターは第1の軸に嵌設され、軸受けは第1の軸に嵌設されるとともに、ローターと第1のクランクアームとの間に位置し、ピストンはリンクの一端に接続され、リンクの他端は第2の軸に接続される。第1の軸は油タンク内に伸びるため、潤滑油は第1の軸を通って第2の軸に流入し、クランク軸の潤滑を実現し、ローターとリンクの潤滑を更に実現し、圧縮機の潤滑効果を向上させ、摩損を減少し、圧縮機の耐用年数を延長させる。
【0066】
いくつかの実施例において、クランク軸のボスは軸受けのレースウェイよりも直径が大きく、1mm~2mm大きく、軸受けを安定して支持するのに役に立ち、軸受けの大きな変動を回避する。
【0067】
いくつかの実施例において、第1の軸の第2の軸から遠い一端に面取りが設けられ、面取りの幅は第1の油路のどの部分の肉厚より小さく、第1の軸へのローターの取り付けに便利である。
【0068】
本願の第3の態様の実施例は、以上のような技術的手段のいずれかの圧縮機を備える冷凍装置を提供する。
【0069】
本願による冷凍装置は、以上のような技術的手段のいずれかの圧縮機を備えるため、以上のような技術的手段のいずれかの有益な効果を有し、ここでは逐一繰り返して説明しない。
【0070】
いくつかの実施例において、冷凍装置は凝縮器、減圧部材及び蒸発器をさらに備える。圧縮機の出口は凝縮器の入口に連通され、減圧部材の入口は凝縮器の出口に連通され、蒸発器の入口は減圧部材の出口に連通され、蒸発器の出口は圧縮機の入口に連通される。冷凍と加熱のサイクルを実現し、圧縮機の耐用年数が長いため、冷凍システムの耐用年数を延ばすことに寄与する。
【0071】
本願の付加的な態様と利点を以下の説明から明らかにするか、本願の実践を通じて理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
本願の上記及び/又は付加の態様及び利点は、以下の図面と組み合わせた実施例の説明から明らかになり、容易に理解される。
図1】本願の一実施例によるクランク軸を示す断面模式図である。
図2図1におけるA-A方向に沿う断面図である。
図3】本願の一実施例による第1の軸と第1のクランクアームを示す1つの構造模式図である。
図4】本願の一実施例による第1の軸と第1のクランクアームを示す他の構造模式図である。
図5】本願の一実施例による第1の軸と第1のクランクアームを示す別の構造模式図である。
図6】本願の一実施例による第2の軸と第2のクランクアームを示す1つの構造模式図である。
図7】本願の一実施例による第2の軸と第2のクランクアームを示す他の構造模式図である。
図8】本願の一実施例による第2の軸と第2のクランクアームを示す別の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解するように、以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら本願についてさらに詳しく説明する。なお、矛盾しない限り、本願の実施例及び実施例における特徴を組み合せることができる。
【0074】
本願を十分に理解するように、以下の説明で多くの具体的な詳細を説明するが、本願はここで説明する形態と異なる形態で実施することもできるので、本願の保護範囲は以下で開示する具体的な実施例に限定されない。
【0075】
以下、図1図8を参照しながら、本願のいくつかの実施例に記載のクランク軸100を説明する。
【0076】
実施例1
図1に示すように、クランク軸100であって、第1の軸110、第2の軸130、第1のクランクアーム120、第2のクランクアーム140及び凹部121を備え、第1のクランクアーム120は第1の軸110の一端に設けられ、第1のクランクアーム120に第1の油路111が設けられ、第1の油路111は第1の軸110を貫通し、第2のクランクアーム140は第2の軸130の一端に設けられ、第2のクランクアーム140に第2の油路131が設けられ、第2の油路131は第2の軸130を貫通し、凹部121は第1のクランクアーム120の第1の軸110から遠い端面に設けられ、第2のクランクアーム140は第1のクランクアーム120に接続されるために使用され、凹部121が第1の油路111と第2の油路131を連通するようにする。
【0077】
当該実施例において、第1のクランクアーム120の第1の軸110から遠い一端に凹部121を設けるか、または第2のクランクアーム140の第2の軸130から遠い一端に凹部121を設けることによって、第1の油路111と第2の油路131との間に凹部121を有し、凹部121によって潤滑油を貯蔵し、第2の油路131内に十分な油量を確保する一方で、第2の軸130が第1の軸110の軸線に対して偏心して設置され、凹部121を介して互いにずれている第1の油路111と第2の油路131を連通することができ、潤滑油が第1の油路111を通って第2の油路131に流入することにより便利であり、給油効果を向上させる。また、第2のクランクアーム140は第1のクランクアーム120に接続されるために使用され、即ち第1のクランクアーム120と第2のクランクアーム140は互いに独立しており、後から一体に組み立てられ、第2の軸130が第1の軸110の軸線に対して偏心して設置されることに役に立ち、圧縮機の実際の排気量要件に応じて、偏心量を調整することができ、例えば、第1の軸110と第1のクランクアーム120を固定したが、偏心方向において第2のクランクアーム140と第2の軸130を移動させることによって、異なる偏心量のクランク軸100を取得し、クランク軸100部品の汎用性を向上させ、給油通路や異なる偏心量の要件があるクランク軸100を加工するために機能が複雑で、または構造が多様である加工機器を必要とせず、加工しやすく、生産コストを削減する。
【0078】
さらに、図1図4及び図5に示すように、凹部121は第1のクランクアーム120の第1の軸110から遠い端面に設けられ、第1の油路111は凹部121の一部の底壁を貫通する。第1の油路111は凹部121の一部の底壁を貫通することにより、第1の油路111が凹部121に十分に連通させることに役に立つ一方で、凹部121の貫通されていない部分によって油を貯蔵して、第2の油路131内に給油することができ、潤滑効果を向上させる。
【0079】
さらに、図1に示すように、第2の軸130は第1の軸110の軸線に対して第1の方向に偏心して設置され、凹部121は少なくとも一部が第1の方向に沿って延びる。凹部121は少なくとも一部が第1の方向である図1における当該断面視での矢印に示すような偏心方向に延びるように設定されることにより、第1の油路111内の潤滑油は凹部121を通って第2の油路131に流入することに役に立ち、第2の油路131内への給油に便利であり、潤滑効果を向上させる。
【0080】
さらに、図5に示すように、凹部121の開口は楕円形であり、楕円形の中心は第1の方向に第1の軸110の軸線に対して偏心して設置される。楕円形の短軸は第1の方向に延び、楕円形の長軸に対応する2つの短い円弧セグメントのうちの1つは第2の油路131が位置する領域に延びることができる。楕円形の短軸を第1の方向に沿って延ばさせ、長軸に対応する2つの短い円弧セグメントのうちの1つのものを第2の油路131が位置する領域に延ばさせ、即ち凹部121は少なくとも一部が直接連通するように第2の油路131に当接される。短軸方向の凹部121によって油を貯蔵することができる一方で、短い円弧セグメントが第2の油路131が位置する領域に延びるため、第1の油路111は凹部121によって第2の油路131に給油することに便利である。短い円弧セグメントがクランク軸100のいずれかの偏心条件でも、第2の油路131が位置する領域に延びるように設計される。
【0081】
無論、他の実施例において、凹部121の開口は楕円形に限らず、長い帯状または円状等にすることもできる。
【0082】
実施例2
上記の実施例1との相違点は、凹部121が第2のクランクアーム140の第2の軸130から遠い端面に設けられることである。
【0083】
さらに、凹部121は第2のクランクアーム140の第2の軸130から遠い端面に設けられ、第2の油路131は凹部121の一部の底壁を貫通する。第2の油路131は凹部121の一部の底壁を貫通することにより、第2の油路131を凹部121に十分に連通させることに役に立つ一方で、凹部121の貫通されていない部分によって油を貯蔵して、第2の油路131内に給油することができ、潤滑効果を向上させる。
【0084】
さらに、第2の軸130は第1の軸110の軸線に対して第1の方向に偏心して設置され、即ち第2の軸130の軸線は第1の軸110の軸線に平行で第1の方向に沿って間隔をあけて分布し、凹部121は少なくとも部分が第1の方向に沿って延びることにより、第1の油路111内の潤滑油が凹部121を通って第2の油路131に入ることに役に立ち、第2の油路131内への給油に便利であり、潤滑効果を向上させる。
【0085】
さらに、凹部121の開口は楕円形であり、楕円形の中心は第1の方向に第1の軸110の軸線に対して偏心して設置される。楕円形の短軸は第1の方向に沿って延び、楕円形の長軸に対応する2つの短い円弧セグメントのうちの1つは第1の油路111が位置する領域に延びることができる。楕円形の短軸を第1の方向に沿って延ばさせ、長軸に対応する2つの短い円弧セグメントのうちの1つのものを第1の油路111が位置する領域に延ばさせ、即ち凹部121は少なくとも一部が第1の油路111に直接連通するように当接される。短軸方向の凹部121によって油を貯蔵することができる一方で、短い円弧セグメントが第1の油路111が位置する領域に延びるため、第1の油路111は凹部121によって第2の油路131に給油することに便利である。短い円弧セグメントがクランク軸100のいずれかの偏心条件でも、第1の油路111に延びるように設計され、凹部121が第1の油路111に連通されるようにする。
【0086】
または、さらに、凹部121の開口は楕円形に限らず、長い帯状または円状等にすることもできる。
【0087】
実施例3
上記実施例1または実施例2に基づいて、図1に示すように、さらに第1のクランクアーム120と第1の軸110は一体成形され、第2のクランクアーム140と第2の軸130は一体成形され、第1のクランクアーム120は第2のクランクアーム140に一体に接続されるように限定される。第1のクランクアーム120と第1の軸110を一体成形し、第2のクランクアーム140と第2の軸130を一体成形し、その後、第1のクランクアーム120と第2のクランクアーム140を一体に接続することによって、クランク軸100の組立を実現し、加工が簡単であり、モジュール式でありながら、異なる圧縮機の排気量要件を満たし、特に第2のクランクアーム140は多くの排気量要件の下でいずれも第1のクランクアーム120に接続できる場合、クランク軸100の生産効率を向上させる。
【0088】
さらに、第1のクランクアーム120は第1の軸110と一体的に鍛造して成形され、及び/又は第2のクランクアーム140は第2の軸130に一体的に鍛造して成形される。成形が簡単で、加工製造プロセスが成熟し、生産効率及び材料利用率が高く、クランク軸100の部品品質を確保しながら、コストを削減することができる。鋳造プロセスを採用してクランク軸100を加工し、クランク軸100の外面に後段で給油油路を加工する必要がある関連技術と比較して、鍛造プロセスを採用してクランク軸100を加工することによって、一定の精度の第1のクランクアーム120と第1の油路111付きの第1の軸110、及び第2のクランクアーム140と第2の油路131付きの第2の軸130を高速で実現でき、油路を直接鍛造して成形し、生産効率を向上させることができる。しかも、1セットの鍛造金型は異なる偏心量のクランク軸100の要件を満たすことができるため、金型が非常に良好な汎用性を持ち、開発コスト及び製造コストを削減する。また、金属鋳造熱間成形プロセスによる環境の汚染や、エネルギーの大量消費を回避する。
【0089】
さらに、図7及び図8に示すように、第2のクランクアーム140の第2の軸130から遠い一端に溶接バンド141が設けられ、溶接バンド141は凹部121の外周に環設されるために使用され、第2のクランクアーム140は溶接バンド141によって第1のクランクアーム120に抵抗溶接で溶接される。
【0090】
凹部121が第1のクランクアーム120に設けられ、及び凹部121の開口は楕円形である場合、楕円形の長軸に対応する2つの短い円弧セグメントのうちの1つは第2の油路が位置する領域に延び、もう1つの短い円弧セグメント及び楕円形の短軸に対応する2つの長い円弧セグメントは第1の油路111の開口を取り囲んでおり、いずれかの偏心位置でも溶接バンド141の内部に位置する。
【0091】
具体的に、図7及び図8に示すように、溶接バンド141の外輪郭は第2のクランクアーム140の外輪郭と同じ形状であり、及び/又は溶接バンド141の断面は台形または楔形である。溶接バンド141の外輪郭は第2のクランクアーム140の外輪郭と同じ形状であるように設定されることにより、第2のクランクアーム140は、第1のクランクアーム120に対して部分的に反る状況が発生することなく、第1のクランクアーム120に密着されやすい。例えば、溶接バンド141は第2のクランクアーム140の辺縁に位置し、第2のクランクアーム140の辺縁に丸い角で接続され、または溶接バンド141は第2のクランクアーム140の辺縁から一定の距離があり、デフォルトで溶接バンド141は第4の油路の一端の開口を囲む。また、溶接バンド141の断面が台形または楔形であり、例えば溶接バンド141の第2の軸130の軸線に向かう側が外向きの楔形であることで、第1のクランクアーム120の第2のクランクアーム140に近い側を通電して溶け込み、第1のクランクアーム120と第2のクランクアーム140をしっかりと接続することに便利である。
【0092】
具体的に、溶接バンド141の第1のクランクアーム120に向かう端面の幅は0.2mm以上である。溶接バンド141の第1のクランクアーム120に向かう端面の幅は0.2mm以上であり、例えば0.5mm~0.8mmであるため、溶接バンド141は第1のクランクアーム120と第2のクランクアーム140をしっかりと接続することができるのを確保する。
【0093】
または、さらに、第1のクランクアーム120と第2のクランクアーム140はレーザー溶接で一体に溶接される。接続が容易でしっかりする。
【0094】
実施例4
上記のいずれかの実施例に基づいて、図2に示すように、第1の軸110のいずれかの断面において、第1の油路111の各箇所の肉厚は完全に同じではない。
【0095】
当該実施例において、第1の軸110のいずれかの断面において、第1の油路111の各箇所の肉厚は完全に同じではなく、即ち第1の軸110の外面との間に相対的な薄肉と厚肉があるように設定されることにより、第1の油路111の断面は円形の穴ではなく、三角形の穴、楕円形の穴またはひょうたん形の穴などであるか、または第1の油路111は円形の穴であるが、その中心が第1の軸110の軸線からずれている。クランク軸100の回転中に、第1の油路111が周方向での各箇所の肉厚は完全に同じではなく、発生した遠心力も完全に同じではないため、潤滑油は遠心力の作用の下で肉厚が薄い箇所を介して給油され、第1の油路111と第2の油路131に流入して潤滑することができ、給油構造が良く、潤滑効果が良い。給油量とクランク軸100の構造強度を確保するために、クランク軸100の直径を大きく設計することで、油路の直径が大きくなり、十分な遠心力を確保し、さらに給油量を確保することができる関連技術と比較して、クランク軸100の給油量を向上させ、構造強度を確保すると同時に、小型のクランク軸100を実現することができる。
【0096】
さらに、第1の軸110のいずれかの断面において、第1の油路111は軸対称構造である。第1の油路111が第1の軸110のいずれかの断面において楕円形、十字形などの軸対称構造であるように設計されることにより、第1の油路111を加工しやすいと同時に、給油量を確保することができる。
【0097】
例えば、第1の軸110のいずれかの断面において、第1の油路111は円形の穴構造であり、円形の穴構造の中心は第1の軸110の軸線からずれている。第1の油路111のいずれかの断面を円形の穴状に設定することにより、加工しやすい。
【0098】
さらに、図2に示すように、第1の軸110のいずれかの断面において、第1の油路111は例えば十字形などの軸対称の特殊な形状の穴構造である。第1の油路111の肉厚を大きく変化させるのを確保することができ、これにより、第1の軸110が潤滑油の給油を誘導するように十分な遠心力を発生することができる。
【0099】
実施例5
上記実施例4に基づいて、図2に示すように、さらに、第1の軸110のいずれかの断面において、第1の油路111は薄肉部112と厚肉部113を有し、第2の軸130は第1の軸110の軸線に対して薄肉部112から離れる方向に偏心して設置されるように限定される。
【0100】
当該実施例において、第1の軸110のいずれかの断面において薄肉部112と厚肉部113を有し、薄肉部112はデフォルトで最も薄いセグメントであり、厚肉部113は肉厚が最も厚いセグメントであるように設計される。即ちいずれかの薄肉部112はいずれかの厚肉部113よりも厚度が小さい。薄肉部112の数は1つでも、複数でもよく、同様に、厚肉部113の数は1つでも、複数でもよい。第2の軸130は第1の軸110の軸線に対して薄肉部112から離れる方向に偏心して設置され、即ち第2の軸130と薄肉部112は第1の軸110の軸線に対して同一の方位に位置しないため、第2の軸130による遠心力により第1の軸110の薄肉部112に影響を与えるのを回避でき、薄肉部112の破損や損傷等を防ぎ、薄肉部112の構造強度を確保し、これにより、小型のクランク軸100が高い給油量を有することを更に実現する。
【0101】
さらに、第1の軸110の軸線に対する第2の軸130と薄肉部112の中心角は90°以上である。即ち第1の軸110のいずれかの断面における第2の軸130と薄肉部112の正投影は第1の軸110の軸線に対応する中心角に対して少なくとも90°であるため、第2の軸130と薄肉部112は十分な距離だけ離間し、第1の軸110に対する第2の軸130の偏心運動により第1の軸110の薄肉部112に与える影響を効果的に回避し、第2の軸130と薄肉部112の構造強度はクランク軸100の要件を満たすのを確保する。
【0102】
具体的に、第1の軸110の軸線に対する第2の軸130と薄肉部112の中心角は90°であるため、薄肉部112は往復圧縮機のピストンの運動方向に垂直である。無論、第1の軸110の軸線に対する第2の軸130と薄肉部112の中心角は120°または180°等であってもよい。薄肉部112の肉厚及び位置によって決められてもよい。
【0103】
さらに、図2に示すように、薄肉部112の内輪郭は第1の円弧であり、厚肉部113の内輪郭は第2の円弧であり、第1の円弧と第2の円弧の開口方向は第1の軸110の軸線に向かう。加工しやすいとともに、潤滑油の高速な給油に便利である。また、第1の円弧と第2の円弧の開口方向が第1の軸110の軸線に向かうことによって、第1の油路111は大きな空間を有し、より多くの潤滑油が第1の油路111に流入することに便利であり、潤滑効果を向上させ、第1の油路111の加工にも便利である。
【0104】
または、さらに、薄肉部112の内輪郭は第3の円弧であり、厚肉部113の内輪郭は第4の円弧であり、第3の円弧と第4の円弧のうちの一方の開口方向は第1の軸110の軸線に向かい、他方の開口方向は第1の軸110の軸線に反対向きである。
【0105】
具体的に、薄肉部112の肉厚が0.3mm以上であり、及び/又は第1の円弧の弧長の値の範囲は3mm~5mmであり、及び/又は第1の円弧に対応する半径と第2の円弧に対応する半径との差の値の範囲は0mm~2mmである。薄肉部112が0.3mm以上、例えば0.4mm~0.5mmであるため、薄肉部112は十分な構造強度があるのを確保する。また、第1の円弧の弧長が0mmより大きく、例えば3mm~5mmであるため、薄肉部112は十分な給油量があるのを確保する。また、第1の円弧に対応する半径と第2の円弧に対応する半径との差が0mm以上、例えば1mm~2mmであり、2つの半径の差が0であると、第1の油路111の断面は円形の穴構造であり、第1の軸110の軸線に対して偏心して設定されることで、第1の軸110が回転中に潤滑油の給油を誘導するために十分な遠心力を発生できる。
【0106】
さらに、図2に示すように、第1の油路111は薄肉部112と厚肉部113を接続する遷移部114を更に備える。遷移部114によって薄肉部112と厚肉部113を接続することによって、第1の軸110の厚さの変化を緩衝し、第1の軸110の構造強度を向上させることができる。
【0107】
さらに、遷移部114は第1の直線を含み、例えばそれぞれ第1の円弧と第2の円弧に接し、無論、接しなくてもよく、または遷移部114は第1の直線と第5の円弧を含み、第1の直線は第5の円弧によって第1の円弧と第2の円弧を接続する。
【0108】
具体的に、第1の円弧と第1の直線の交差点に第1の接線を描画し、第2の円弧と第1の直線の交差点に第2の接線を描画し、第1の軸110の内部に向かう第1の接線と第2の接線との角度は90°より大きい。第1の油路111の内部に十分な空間を確保し、給油量を確保する。
【0109】
無論、第1の軸110の内部に向かう第1の接線と第2の接線との角度は90°より小さくてもよい。
【0110】
実施例6
上記のいずれかの実施例に基づいて、図3に示すように、さらに第1のクランクアーム120の第1の軸110に近づく一端にボス122が設けられるように限定される。第1のクランクアーム120の第1の軸110に近づく一端にボス122が形成されることにより、ガスケットの取り付けと位置決めに便利であり、軸受けの圧縮機への配置が容易であり、軸受けと第1の軸110との垂直性を確保する。
【0111】
さらに、ボス122を第1の軸110の周りに取り囲み、ボス122と第1の軸110の外輪郭との交差点に凹溝(図示せず)を形成することにより、軸受けを安定して支持するのに便利であり、且つ凹溝の存在は、後段で第1の軸110の仕上げに寄与し、ナイフに位置を譲ることができる一方で、ボス122と第1の軸110との間に凹溝がない場合と比較して、ボス122の研削仕上げ面積を減少し、ボス122の研削仕上げに便利であり、コストを節約する。具体的に、ボス122と凹溝は相対的に存在し、凹溝の内面にも円弧面があり、エッジを有してもよい。
【0112】
さらに、ボス122の高さが0.5mmより大きく、及び/又は凹溝の深さが0.8mm以下である。具体的に、ボス122の高さは1mm、2mm等であってもよく、凹溝の深さは0.2mm~0.4mmであってもよいため、ボス122が軸受け及びローターを支持するために十分な構造強度を有し、凹溝は第1の軸110の研削仕上げを確保できる。
【0113】
さらに、図4及び図6に示すように、第1の軸110に第1の油穴115が設けられ、第1の油穴115は第1の油路111に連通され、第2の軸130に第2の油穴132が設けられ、第2の油穴132は第2の油路131に連通される。第1の軸110に第1の油路111に連通される第1の油穴115を設け、第2の軸130に第2の油路131に連通される第2の油穴132を設けることによって、潤滑油は第1の油穴115と第2の油穴132を通って流出して、圧縮機のローター等の構造を潤滑することができる。
【0114】
具体的に、第1の油穴115の数は1つまたは少なくとも2つであり、第2の油穴132の数は1つまたは少なくとも2つである。
【0115】
具体的に、第1の油穴115の直径は1.5mm以上であり、第2の油穴132の直径は1.5mm以上、例えば2mm~4mmである。潤滑油の順調な流出を確保する。
【0116】
具体的に、第1の軸110、第2の軸130は両方とも低炭素合金鋼などの低炭素鋼軸または合金鋼軸であり、構造強度が高く、耐磨耗性が良い。
【0117】
実施例7
圧縮機であって、上記実施例のいずれかに記載のクランク軸100を備える。本実施例による圧縮機は、上記いずれかの実施例に記載のクランク軸100を備えるため、上記いずれかの実施例に記載の有益な効果を備え、ここでは逐一繰り返して説明しない。
【0118】
さらに、圧縮機は、ハウジング、モーター、軸受け及びピストンをさらに備える。の底部に油タンクを有し、モーターはハウジング内に設けられ、モーターのローターは第1の軸110に嵌設され、軸受けは第1の軸110に嵌設されるとともに、ローターと第1のクランクアーム120との間に位置し、ピストンはリンクの一端に接続され、リンクの他端は第2の軸130に接続される。第1の軸110は油タンク内に伸びるため、潤滑油は第1の軸110を通って第2の軸130に流入し、クランク軸100の潤滑を実現し、ローターとリンクの潤滑を更に実現し、圧縮機の潤滑効果を向上させ、摩損を減少し、圧縮機の耐用年数を延長させる。
【0119】
さらに、クランク軸100のボス122は軸受けのレースウェイよりも直径が大きく、1mm~2mm大きく、軸受けを安定して支持するのに役に立ち、軸受けの大きな変動を回避する。
【0120】
さらに、第1の軸110の第2の軸130から遠い一端に面取りが設けられ、面取りの幅は第1の油路111のどの部分の肉厚より小さく、第1の軸110へのローターの取り付けに便利である。
【0121】
実施例8
冷凍装置であって、上記実施例のいずれかに記載の圧縮機を備える。本実施例による冷凍装置は、上記いずれかの実施例に記載の圧縮機を備えるため、上記いずれかの実施例に記載の有益な効果を備え、ここでは逐一繰り返して説明しない。
【0122】
さらに、冷凍装置は凝縮器、減圧部材及び蒸発器をさらに備える。圧縮機の出口は凝縮器の入口に連通され、減圧部材の入口は凝縮器の出口に連通され、蒸発器の入口は減圧部材の出口に連通され、蒸発器の出口は圧縮機の入口に連通される。冷凍と加熱のサイクルを実現し、圧縮機の耐用年数が長いため、冷凍システムの耐用年数を延ばすことに寄与する。
【0123】
具体的に、冷凍装置は冷蔵庫またはエアコン等であってもよい。
【0124】
本願において、別に明確な具体的限定がある場合を除き、「複数」は2つ以上を意味する。「取り付ける」、「連結」、「接続」、「固定」等の用語は広い意味で理解されるものであり、例えば、「接続」は、固定接続であってもよければ、取り外し可能な接続または一体的な接続であってもよく、「連結」は直接的な接続であってもよければ、中間の媒介を介する間接的な接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況によって上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0125】
本明細書の説明において、「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「具体的な実施例」等の用語が含まれた説明は、当該実施例又は例を用いて説明される具体的な特徴、構造、材料又は利点は本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることが意図されるものである。本明細書において、上記用語に関する例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に関するものとは限らない。なお、説明される具体的な特徴、構造、材料又は利点はいずれか1つ又は複数の実施例もしくは例で、適切な方式で組み合わせることができる。
【0126】
以上は、本願の好適な実施例に過ぎず、本願を限定するものではない。当業者であれば、本願に様々な修正や変更が可能である。本願の精神や原則内での全ての修正、同等の置換、改善などは、本願の保護範囲に含まれる。
【0127】
本願は、2019年11月22日に中国特許庁に提出された、出願番号が201911158486.0であり、発明の名称が「クランク軸、圧縮機及び冷凍装置」である中国特許出願の優先権を主張し、上記出願の全ての内容は援用により本出願に組み込まれる。
【符号の説明】
【0128】
図1図8における符号と部材名称との間の対応関係は以下のとおりである。
100 クランク軸
110 第1の軸
111 第1の油路
112 薄肉部
113 厚肉部
114 遷移部
115 第1の油穴
120 第1のクランクアーム
121 凹部
122 ボス
130 第2の軸
131 第2の油路
132 第2の油穴
140 第2のクランクアーム
141 溶接バンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】