(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】低摩擦スキン層を備えた屋外/屋内光学ケーブル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
G02B6/44 381
G02B6/44 371
G02B6/44 366
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523577
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 US2020054893
(87)【国際公開番号】W WO2021080798
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509094034
【氏名又は名称】オーエフエス ファイテル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】デバン,ハロルド,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スカルパーチ,アナベル,ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイマン,ピーター,エー.
【テーマコード(参考)】
2H201
【Fターム(参考)】
2H201AX03
2H201BB03
2H201BB06
2H201BB22
2H201BB25
2H201BB32
2H201BB65
2H201BB68
2H201BB77
2H201BB80
2H201DD04
2H201DD14
2H201KK06
2H201KK07
2H201KK09
2H201KK17
2H201KK22B
2H201KK25B
2H201KK27A
2H201KK27B
2H201KK28B
2H201KK29B
2H201KK33A
2H201KK34A
2H201KK35A
2H201KK36A
2H201KK65
2H201KK75
2H201MM02
2H201MM03
2H201MM17
(57)【要約】
低減された表面摩擦を有する光ファイバケーブルは、低摩擦の難燃性ケーブルジャケット構造を含み得る。ケーブルジャケット構造は、より厚く、難燃性の高いケーブルジャケットと、ケーブルジャケット上に形成され、より薄く、低摩擦のスキン層とを含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性材料からなるケーブルジャケットと、
前記ケーブルジャケット上の低摩擦スキン層であって、前記ケーブルジャケットの厚さよりも小さい厚さを有する低摩擦スキン層と、
前記ケーブルジャケットの内部にある複数の光ファイバとを備える光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記スキン層は、12~200立方ミリメートル(mm
3)の耐摩耗性を有する請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記ケーブルジャケットは、38~70パーセントの限界酸素指数(LOI)を有する請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記ケーブルジャケットの前記厚さは、1.0~3.0ミリメートル(mm)であり、
前記スキン層の前記厚さは、0.2~0.5mmである請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記スキン層は、12~200mm
3の耐摩耗性を有し、
前記ケーブルジャケットは、200mm
3を超える耐摩耗性を有し、
前記ケーブルジャケットは、38~70パーセントの限界酸素指数(LOI)を有する請求項4に記載の光ファイバケーブル。
【請求項6】
前記複数の光ファイバは、アレイ内の隣接する複数の光ファイバに沿って断続的に分散されたマトリックス材料によって互いに平行に結合された前記複数の光ファイバの前記アレイを備えるローラブルリボンを形成する請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項7】
前記光ファイバケーブルの外径は5~35mmである請求項6に記載の光ファイバケーブル。
【請求項8】
前記複数の光ファイバを含む前記ケーブルジャケットの内部の中心管と、
前記ジャケットと前記中心管との間の複数の補強部材とをさらに備える請求項7に記載の光ファイバケーブル。
【請求項9】
前記中心管と前記補強部材との間の水遮断テープをさらに備える請求項8に記載の光ファイバケーブル。
【請求項10】
前記ケーブルジャケットの前記厚さは、1.5~2.5ミリメートル(mm)であり、
前記スキン層の前記厚さは0.2~0.5mmであり、
前記スキン層は、30~150mm
3の耐摩耗性を有し、
前記ケーブルジャケットは、200~300mm
3の耐摩耗性を有し、
前記ケーブルジャケットは42~55パーセントの限界酸素指数(LOI)を有する請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年10月21日付の米国仮特許出願第62/923,778号「OUTDOOR/INDOOR OPTICAL CABLES WITH REDUCED SURFACE FRICTION THROUGH USE OF SKIN LAYER」の優先権を主張し、その出願は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
光ファイバケーブルは、ジャケット内に封入された2本以上の光ファイバを備える。「屋外/屋内」と呼ばれることもある分類の光ファイバケーブルは、導管のような狭い空間を通るルーティングを容易にする柔軟性および安全のための難燃性を含む特性を有する。屋外/屋内ケーブルは、多くの場合、数百メートルの屋外空間と屋内空間との間に通される。難燃性は、一般的に、火炎拡散および煙放出に対する耐性を意味する。高い難燃性を達成するために、ケーブルジャケットは、鉱物充填低煙ゼロハロゲン(LSZH)材料から作製され得る。これらのタイプの高難燃性材料は、一般に、鉱物充填剤の良好な分散を可能にするために、非常に軟らかいベース樹脂を使用する。結果として、そのような材料から作製されるケーブルジャケットは、高い表面摩擦を有し、これは、長い長さの導管内に設置することを困難にし得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は、低減された表面摩擦を有する光ファイバケーブルに関する。例示的な実施形態では、光ファイバケーブルは、ジャケットを覆う低摩擦スキン層を有する難燃性ケーブルジャケットを含むケーブルジャケット構造を含む。スキン層は、ケーブルジャケットよりも薄い。ケーブルジャケットの内部には、2本以上の光ファイバが収容される。
【0004】
別の例示的な実施形態では、光ファイバケーブルは、ケーブルジャケットと、ケーブルジャケットを覆う低摩擦スキン層と、ケーブルジャケットの内部の2本以上の光ファイバとを含む。ケーブルジャケットは、1.0~3.0ミリメートル(mm)の厚さ、200立方ミリメートル(mm3)を超える耐摩耗性、および38~70パーセントの限界酸素指数(LOI)を有し得る。スキン層は、0.2~0.5mmの厚さ、12~200mm3の耐摩耗性および16~40パーセントのLOIを有し得る。
【0005】
他のケーブル、方法、特徴、および利点は、以下の図および詳細な説明を検討すると、当業者に明白となるであろう。すべてのそのような追加のシステム、方法、特徴、および利点は、この説明内に含まれ、本明細書の範囲内にあり、添付の請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0006】
本発明は、以下の図面を参照してよりよく理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を明確に示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態によるケーブルジャケット構造の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の例示的な実施形態による
図1のケーブルジャケット構造を有する光ファイバケーブルの断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の例示的な実施形態による
図1のケーブルジャケット構造のパラメータの一例を示す表である。
【
図4】
図4は、本発明の例示的な実施形態による
図1のケーブルジャケット構造のパラメータの別の例を示す別の表である。
【
図5】
図5は、本発明の例示的な実施形態によるローラブルリボンの上面図である。
【
図7】
図7は、本発明の例示的な実施形態による光ファイバケーブルの斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の例示的な実施形態による別の光ファイバケーブルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1(縮尺通りではない)に示すように、本発明の例示的または例示的な実施形態では、ケーブルジャケット構造100は、一般的に管状のケーブルジャケット102と、ケーブルジャケット102の上、すなわちケーブルジャケット102の外面上に形成されたスキン層104とを備える。例えば、スキン層104は、ケーブルジャケット102の上に押し出されてもよく、またはケーブルジャケット102上のコーティングであってもよい。以下でさらに詳細に説明するように、スキン層104は、ケーブルジャケット102よりも実質的に薄くてもよく、ケーブルジャケット102が作製される材料と比較して低摩擦材料で作製されてもよい。ケーブルジャケット102は、難燃性の高い材料からなる。低摩擦スキン層104は、ケーブルジャケット102よりも難燃性が低い場合がある。
【0009】
図2に示すように、光ファイバケーブル200は、上述のケーブルジャケット構造100(
図1)と同様の構造を有していてもよい。光ファイバケーブル200は、ケーブルジャケット202と、ケーブルジャケット202を覆って形成されるスキン層204と、ケーブルジャケット202の内部208内に含有される複数の光ファイバ206とを備えてもよい。ケーブルジャケット202の厚さ(J)は、例えば1.0~3.0ミリメートル(mm)であってよく、スキン層204の厚さ(S)は、例えば0.2~0.5mmであってよい。光ファイバケーブル200の外径(O.D.)(これは、スキン層204のO.D.でもある)は、例えば5~35mmとすることができる。
【0010】
耐摩耗性は、スキン層204の低摩擦特性の代用となり得る。スキン層204は、ケーブルジャケット202よりも実質的に高い耐摩耗性を有し得る。本開示の目的のために、耐摩耗性は、ISO4649-Aとして規格化された周知の方法を使用して測定され得る。ISO4649-A法は、立方ミリメートル(mm3)の単位での耐摩耗性の値を与える。スキン層204は、ISO4649-A法を用いて測定して、例えば12~200mm3の耐摩耗性を有し得る。より薄いスキン層204は、いくらか難燃性であり得るが、ケーブルジャケット202ほど難燃性が高い必要はない。スキン層204が作製され得る適切な材料の例としては、ハロゲン化材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびLSZH(Low Smoke Zero Halogen)材料、例えば、PPS、ポリイミド、ナイロン、アセタール、ポリエステルおよび熱可塑性ポリウレタン(TPU)ベース難燃性熱可塑性プラスチックが挙げられる。
【0011】
難燃性は、ポリマーの燃焼を支援する酸素の最小濃度(パーセンテージとして表される)である限界酸素指数(LOI)に関して定義され得る。ケーブルジャケット202は、例えば、38~70パーセントのLOIを有するポリマーから作製され得る。ケーブルジャケット202は、スキン層204よりも実質的に大きい難燃性を有し得る。ケーブルジャケット202は、スキン層204よりも実質的に厚いので、ケーブルジャケット202は、ケーブル200の難燃性の大部分を提供することができる。38~70パーセントの上述のケーブルジャケットLOI範囲とは対照的に、スキン層204は、例えば、16~40パーセントの範囲のLOIを有し得る。ケーブルジャケット202が作製され得る好適な材料の例としては、LSZH鉱物充填難燃性材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレンビニルアセタート(EVA)、またはハロゲン化難燃性材料、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)もしくはポリビニリデンフルオリド(PVDF)が挙げられる。
【0012】
図3に示されるように、ケーブル200(
図2)の例示的な実施形態は、表1に示される厚さ、耐摩耗性、及びLOIの上述のパラメータの組み合わせによって特徴付けられ得る。例えば、ジャケット202は、1.0~3.0mmの厚さ、200mm
3を超える耐摩耗性、及び38~70パーセントのLOIを有することができ、スキン層204は、0.2~0.5mmの厚さ、12~200mm
3の耐摩耗性、及び16~40パーセントのLOIを有することができる。
【0013】
図4に図示されるように、ケーブル200(
図2)の例示的実施形態はさらに、表2に記載される厚さ、耐摩耗性、およびLOIの上記パラメータの組み合わせによって特徴付けられ得る。例えば、ケーブルジャケット202は、1.5~2.5mmの厚さ、200~300mm
3の耐摩耗性、及び42~55パーセントのLOIを有することができ、スキン層204は、0.2~0.5mmの厚さ、30~150mm
3の耐摩耗性、及び21~32パーセントのLOIを有することができる。
【0014】
図5に示すように、上記の光ファイバ(例えば、
図2の複数の光ファイバ206)は、1つまたは複数のいわゆる「ローラブル」光ファイバリボン500の形態であってもよく、その例示的なものが
図5~
図6に示される。ローラブル光ファイバリボン500は、一般にマトリックス材料504と呼ばれる接着剤のパッチでその長さに沿って断続的に互いに接合された複数の光ファイバ502を含む。当業者によってよく理解されるように、ローラブル光ファイバリボン500は、その光ファイバ502が互いに平行に配列された状態で平らに(すなわち平面に)置かれると、
図5~
図6に示される概して平らなまたはリボンの形状を有するにもかかわらず、マトリックス材料504の(連続的ではない)断続的な分布は、光ファイバ502を充分に自由または無拘束のままにし、それにより、光ファイバは、
図2の断面に示される形状等のコンパクトな束または略円筒形状に転がるか、または別様にそれを呈することができる。
【0015】
図5~
図6に示されるマトリックス材料504のパターンまたは本明細書に記載されるローラブル光ファイバリボン500の他の特徴は、例としてのみ意図され、当業者は、他のタイプのローラブル光ファイバリボンが適切であることを認識するであろう。すべてのそのようなローラブル光ファイバリボンが有する共通の特性は、マトリックス材料504の(連続的ではない)断続的な分布が、リボンに充分な柔軟性をもたらし、リボンを上述の束状または円筒状にロールし、平坦に置かれたときにリボン形状に戻ることを可能にすることである。用語「ローラブル」は、光ファイバリボンの文脈において、マトリックス材料504の連続的な分布ではなく断続的な分布によって提供されるこの特性を有するリボンを具体的に指すと当業者によって理解される。「ローラブル」リボンは、マトリックス材料がファイバの長さに沿って連続的に分布している「平坦な」または「封入された」リボンとして当技術分野で一般に呼ばれるものと対比され得る。平坦なリボンでは、ファイバはマトリックス材料内に完全に封入され得る。封入された光ファイバリボンの剛性は、ケーブルにおける高いファイバ充填密度を達成することに課題を提示する。ローラブルリボンの開発は、ケーブルにおけるより高いファイバ充填密度をもたらしている。
【0016】
図7~
図8に示すように、別の例示的な実施形態では、光ファイバケーブル700は、
図1に関して上述したケーブルジャケット構造100と同様であり得るケーブルジャケット構造702を含む。したがって、ジャケット構造702は、ケーブルジャケット704(
図8)と、ケーブルジャケット704を覆うスキン706とを備えることができる。ケーブルジャケット構造702は、
図2~
図4に関して上述した物理的パラメータによって特徴付けることができる。
【0017】
ケーブルジャケット704の内部には、中心管710内に収容された2本以上のローラブル光ファイバリボン(
図7には個別に示されていない)の束708がある。ケーブル700はまた、ジャケット704と中心管710との間に複数の補強部材712を含んでもよい。補強部材712は、例えば、螺旋状に配列されたガラスファイバ糸ストランド、ガラスファイバロッドまたはアラミド糸を含んでもよい。難燃性であってもよい水遮断テープ714の層もまた、中心管710と補強部材712との間に含まれてもよい。難燃性であってもよい水遮断テープの別の層(不図示)もまた、ローラブル光ファイバリボン708と中心管710との間に含まれてもよい。
【0018】
中央管構成が
図7~
図8に例として示されているが、本開示による二重層ジャケットは、例えば、ルースチューブ設計、スロット付きコア設計、及びタイトバッファ設計を含む任意の他の構成を有するケーブルに含まれ得る。
【0019】
図9に示すように、ルースチューブ光ファイバケーブル900の例は、
図1に関して上述したケーブルジャケット構造100と同様であり得るケーブルジャケット構造902を含む。したがって、ジャケット構造902は、ケーブルジャケット904と、ケーブルジャケット904を覆うスキン906とを備え得る。ケーブルジャケット構造902は、
図2~
図4に関して上述した物理的パラメータによって特徴付けることができる。
【0020】
ケーブルジャケット904の内部には、複数の管910内に緩く収容された2本以上のローラブル光ファイバリボン(
図9には個別に示されていない)の束908がある。ケーブル900はまた、中心管913内に含有される、ガラスファイバまたは金属ロッド等の半剛性補強部材911を含んでもよい。ケーブル900は、ケーブルジャケット904と複数の管910との間に、例えば螺旋状に配置されたガラスファイバ糸ストランド、ガラスファイバロッドまたはアラミド糸などの補強部材912を含むことができる。難燃性であり得る水遮断テープ914の層が、複数の管910と補強部材912との間および中心管913の周囲に含まれ得る。
【0021】
上述の方法で、かなりの距離にわたって狭い空間に容易に設置することができる難燃性光ファイバケーブルを提供することができる。難燃性の高度なジャケットは、ケーブルの難燃性の大部分を提供し得る。ジャケットほど多くの難燃性を提供する必要がない低摩擦スキンは、長い導管長によるなど、設置の容易さを促進する。
【0022】
以上、本発明の1つまたは複数の例示的または例示的な実施形態を詳述した。しかしながら、本発明は、添付の請求の範囲によって定義され、記載される特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【国際調査報告】