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特表2022-553959迅速挿入型中心静脈カテーテル及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】迅速挿入型中心静脈カテーテル及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523586
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 US2020056864
(87)【国際公開番号】W WO2021081205
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/924,582
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード ハロルド
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA14
4C267AA24
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB10
4C267BB24
4C267CC08
4C267GG05
4C267HH08
4C267HH22
(57)【要約】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)およびその方法が開示されている。一例では、RICCは、カテーテルチューブと、カテーテルチューブの内側部分の上に配置された縫合翼と、カテーテルチューブの近位端部分に連結されたハブと、複数の延長レッグとを含む。カテーテルチューブは、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成された、カテーテルチューブの遠位部分に位置する第1の部分を含み得る。カテーテルチューブは、第1のデュロメータ硬さより小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成された、カテーテルチューブの第1の部分の近位に位置する第2の部分を含み得る。カテーテルチューブは、セルジンガー法を使用することなく、挿入部位に挿入され、患者の脈管構造内で前進させられている場合にカテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
迅速挿入型中心静脈カテーテルであって、
カテーテルチューブであって、
第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの遠位部分に位置する第1の部分と、
前記第1のデュロメータ硬さより小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位に位置する第2の部分であって、前記カテーテルチューブは、挿入部位に挿入され、患者の脈管構造内で前進させられている場合に前記カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する、第2の部分と
を含むカテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの内側部分の上に配置された縫合翼と、
前記カテーテルチューブの近位端部分に連結されたハブと、
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルを通って延びる管腔の数に等しい複数の延長レッグと
を備える、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項2】
前記縫合翼と前記ハブとの間の前記カテーテルチューブは単一カテーテルチューブであり、既存の中心静脈カテーテルまたは末梢挿入中心静脈カテーテルに共通の縫合翼とハブとの組み合わせから延びる複数の延長レッグに比べて、ドレッシングを前記単一カテーテルチューブの周りにしっかりと挟むことができることにより、前記縫合翼の上に適用された前記ドレッシングと前記患者の皮膚との間の細菌侵入を低減するように構成されている、請求項1に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項3】
前記縫合翼と前記ハブとの間の前記カテーテルチューブは、該カテーテルチューブが前記患者の頭または首から離れるように曲げられて、前記患者に固定することができるのに十分な可撓性を有することによって、前記複数の延長レッグが前記患者の頭または首に近接することによる前記患者の不快感を軽減するように構成される、請求項1又は2に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項4】
前記カテーテルチューブの前記第1の部分は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、又はポリウレタンである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項5】
前記カテーテルチューブの前記第2の部分はバンプチューブであり、前記縫合翼は、該縫合翼の近位の前記カテーテルチューブが、前記縫合翼の遠位の前記カテーテルチューブよりも大きい外径を有するように、前記カテーテルチューブの前記第2の部分におけるバンプの上に配置される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項6】
前記カテーテルチューブは、該カテーテルチューブの前記第2の部分よりも大きい外径を有する、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の近位側に位置する第3の部分をさらに含み、前記縫合翼は、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の近位端部分と前記カテーテルチューブの前記第3の部分の遠位端部分との上に配置される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項7】
前記カテーテルチューブの前記第3の部分は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、又はシリコーンである、請求項6に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項8】
前記カテーテルチューブの前記第2の部分は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、又はシリコーンである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項9】
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルは、三股ハブを含む三管腔カテーテルであり、前記三股ハブは、該ハブから延びる3つの延長レッグを有し、前記3つの延長レッグの各延長レッグは、前記延長レッグの近位端部分に連結されたルアーコネクタを含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項10】
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルは、第1のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第1の部分の遠位端の開口部まで延びる第1の管腔と、第2のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第1のアイレットまで延びる第2の管腔と、第3のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第2のアイレットまで延びる第3の管腔とを含む請求項9に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項11】
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルは、分岐ハブを含む二管腔カテーテルであり、前記分岐ハブは、該ハブから延びる2つの延長レッグを有し、前記2つの延長レッグの各延長レッグは、前記延長レッグの近位端部分に連結されたルアーコネクタを含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項12】
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルは、第1のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第1の部分の遠位端の開口部まで延びる第1の管腔と、第2のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第2の部分のアイレットまで延びる第2の管腔とを含む、請求項11に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項13】
迅速挿入型中心静脈カテーテルであって、
カテーテルチューブであって、
第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの遠位部分に位置する第1の部分と、
前記第1のデュロメータ硬さより小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料からなるバンプチューブで形成された、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位に位置する第2の部分であって、前記カテーテルチューブは、セルジンガー法を用いることなく、挿入部位に挿入され、患者の脈管構造内で前進させられている場合に前記カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する、第2の部分と
を含むカテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの内側部分に設けられた縫合翼であって、該縫合翼の近位の前記カテーテルチューブが、前記縫合翼の遠位の前記カテーテルチューブよりも大きい外径を有するように、前記カテーテルチューブの前記第2の部分におけるバンプの上に配置される、縫合翼と、
前記カテーテルチューブの近位端部分に連結されたハブと、
前記ハブから延びる3つの延長レッグと
を備え、前記3つの延長レッグの各延長レッグは、前記延長レッグの近位端部分に連結されたルアーコネクタを含む、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項14】
第1の管腔は、第1のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第1の部分の遠位端の開口部まで延び、第2の管腔は、第2のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第1のアイレットまで延び、第3の管腔は、第3のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第2のアイレットまで延びる、請求項13に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項15】
前記縫合翼と前記ハブとの間の前記カテーテルチューブは、既存の中心静脈カテーテルまたは末梢挿入中心静脈カテーテルに共通の縫合翼とハブとの組み合わせから延びる複数の延長レッグに比べて、ドレッシングを前記カテーテルチューブの周りにしっかりと挟むことができることにより、前記縫合翼の上に適用された前記ドレッシングと前記患者の皮膚との間の細菌侵入を低減するように構成されている、請求項13又は14に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項16】
前記縫合翼と前記ハブとの間の前記カテーテルチューブは、該カテーテルチューブが前記患者の頭または首から離れるように曲げられて、前記患者に固定することができるのに十分な可撓性を有することによって、前記複数の延長レッグが前記患者の頭または首に近接することによる前記患者の不快感を軽減するように構成される、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項17】
迅速挿入型中心静脈カテーテルの方法であって、
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルの管腔の内側に配置された針で患者の脈管構造へアクセスすべく、挿入部位を形成することであって、該迅速挿入型中心静脈カテーテルはカテーテルチューブを備え、該カテーテルチューブは、
第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの遠位部分に位置する第1の部分を含むカテーテルチューブと、
前記第1のデュロメータ硬さより小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位に位置する第2の部分と
を備えることと、
前記カテーテルチューブの遠位端部分を前記挿入部位に挿入することと、
前記カテーテルチューブを前記患者の前記脈管構造を通って前進させることと
を含み、該前進させることは、前記カテーテルチューブが挿入されて前記患者の前記脈管構造を通って前進する場合に、前記カテーテルチューブの座屈を防ぐのに十分な柱座屈強度を有するため、セルジンガー法を使用する必要なく、前記挿入部位に前記カテーテルチューブを挿入することをさらに含む、方法。
【請求項18】
前記挿入部位を形成して前記カテーテルチューブの前記第1の部分の少なくとも一部を前記挿入部位内に挿入した後、前記迅速挿入型中心静脈カテーテルの前記管腔から前記針を引き戻すことをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記挿入部位は右鎖骨下静脈又は右内頸静脈にある、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記患者の前記脈管構造を通して前記カテーテルチューブを前進させることは、前記右鎖骨下静脈または前記右内頸静脈、右腕頭静脈、および上大静脈を通して前記カテーテルチューブの前記第1の部分を前進させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
迅速挿入型中心静脈カテーテルであって、
カテーテルチューブと、
第1のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの遠位部分に位置する第1の部分と、
前記第1のポリマー材料と実質的に等しいデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位に位置する第2の部分であって、前記カテーテルチューブは、挿入部位に挿入されて患者の脈管構造内で前進させられている場合に前記カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する、第2の部分と、
前記カテーテルチューブの内側部分の上に配置された縫合翼と、
前記カテーテルチューブの近位端部分に連結されたハブと、
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルを通って延びる管腔の数に等しい複数の延長レッグと
を備える、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、迅速挿入型中心静脈カテーテル及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中心静脈カテーテル(CVC:central venous catheter)はデュロメータ硬さが比較的小さい材料で形成されており、それが、CVCが柱座屈強度を欠く一因となっている。柱座屈強度の欠如により、CVCは一般にセルジンガー法によって患者の体内へと導入され、その脈管構造内で前進させられる。セルジンガー法では、多くのステップと医療機器(例えば、針、外科用メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、ディレータ、CVC等)が利用される。セルジンガー法は有効ではあるものの、多くのステップには時間がかかり、多数の医療機器を扱うことは煩雑であり、これらは何れも患者に外傷を負わせる可能性がある。それに加えて、セルジンガー法の多数のステップ中に交換が必要な医療機器が多いことから、接触による汚染の可能性が比較的高い。そのため、カテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【0003】
本願では、上記に対処する迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC(rapidly inserted central catheter)」という)及びその方法が開示される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で開示されるのはRICCであり、いくつかの実施形態では、RICCは、カテーテルチューブと、カテーテルチューブの内側部分上に配置された縫合翼と、カテーテルチューブの近位端部分に連結されたハブと、RICCを通って延びる複数の延長レッグとを含む。前記カテーテルチューブは、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの遠位部分に位置する第1の部分を含む。また、前記カテーテルチューブは、前記第1のデュロメータ硬さより小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位に位置する第2の部分を含む。前記カテーテルチューブは、挿入部位に挿入され、患者の脈管構造内で前進させられている場合に前記カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する。前記ハブから延びる延長レッグの数は、RICCを通って延びる管腔の数と同じである。
【0005】
いくつかの実施形態において、前記縫合翼と前記ハブとの間の前記カテーテルチューブは、前記縫合翼の上に適用されたドレッシングと前記患者の皮膚との間の細菌侵入を低減するように構成された単一カテーテルチューブである。単一のカテーテルチューブであるため、既存の中心静脈カテーテルまたは末梢挿入中心静脈カテーテルに共通の縫合翼とハブとの組み合わせから延びる複数の延長レッグに比べて、ドレッシングをカテーテルチューブの周りにしっかりと挟むことができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記縫合翼と前記ハブとの間の前記カテーテルチューブは、前記複数の延長レッグが前記患者の頭または首に近接することによる前記患者の不快感を軽減するように構成される。前記カテーテルチューブは、該カテーテルチューブが前記患者の前記頭または首から離れるように曲げられて、前記患者に固定することができるのに十分な可撓性を有する。
【0007】
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第1の部分はポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、又はポリウレタンである。
いくつかの実施形態において、前記カテーテルチューブの前記第2の部分はバンプチューブ(bump tubing)である。前記縫合翼は、該縫合翼の近位の前記カテーテルチューブが、前記縫合翼の遠位の前記カテーテルチューブよりも大きい外径を有するように、前記カテーテルチューブの前記第2の部分におけるバンプの上に配置される。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記カテーテルチューブは、該カテーテルチューブの前記第2の部分の近位側に位置する第3の部分をさらに含む。前記カテーテルチューブの前記第3の部分は、前記カテーテルチューブの前記第2の部分より大きい外形を有する。前記縫合翼は、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の近位端部分と前記カテーテルチューブの前記第3の部分の前記遠位端部分との上に配置されている。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記カテーテルチューブの前記第3の部分は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、又はシリコーンである。
いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの第2の部分はポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、又はシリコーンである。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記RICCは、前記ハブとして三股ハブを含む三管腔カテーテルであり、該ハブは前記三股ハブから延びる3つの延長レッグを有する。前記3つの延長レッグの各延長レッグは、前記延長レッグの近位端部分に連結されたルアーコネクタを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記RICCは、第1のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第1の部分の遠位端の開口部まで延びる第1の管腔を含む。また、前記RICCは、第2のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第1のアイレットまで延びる第2の管腔を含む。また、前記RICCは、第3のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第2のアイレットまで延びる第3の管腔を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記RICCは、前記分岐ハブを含む二管腔カテーテルであり、該ハブは前記分岐ハブから延びる2つの延長レッグを有する。前記2つの延長レッグの各延長レッグは、前記延長レッグの近位端部分に連結されたルアーコネクタを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記RICCは、第1のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第1の部分の遠位端の開口部まで延びる第1の管腔を含む。また、前記RICCは、第2のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第2の部分のアイレットまで延びる第2の管腔を含む。
【0014】
また、本明細書で開示されるのはRICCであり、いくつかの実施形態では、RICCは、カテーテルチューブと、カテーテルチューブの内側部分上に配置された縫合翼と、前記カテーテルチューブの近位端部分に連結されたハブと、前記ハブから延びる3つの延長レッグとを含む。前記カテーテルチューブは、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの遠位部分に位置する第1の部分を含む。また、前記カテーテルチューブは、前記第1のデュロメータ硬さより小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料からなるバンプチューブで形成された、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位に位置する第2の部分を含む。前記カテーテルチューブは、セルジンガー法を使用することなく、挿入部位に挿入され、患者の脈管構造内で前進させられている場合に前記カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する。前記縫合翼は、該縫合翼の近位の前記カテーテルチューブが、前記縫合翼の遠位の前記カテーテルチューブよりも大きい外径を有するように、前記カテーテルチューブの前記第2の部分におけるバンプの上に配置される。前記3つの延長レッグの各延長レッグは、前記延長レッグの近位端部分に連結されたルアーコネクタを有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記RICCは、第1のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第1の部分の遠位端の開口部まで延びる第1の管腔を含む。また、前記RICCは、第2のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第1のアイレットまで延びる第2の管腔を含む。また、前記RICCは、第3のルアーコネクタの近位端の開口部から前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第2のアイレットまで延びる第3の管腔を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記縫合翼と前記隆起との間の前記カテーテルチューブは、前記縫合翼の上に適用された包帯と前記患者の皮膚との間の細菌侵入を低減するように構成されている。前記カテーテルチューブは、既存の中心静脈カテーテルまたは末梢挿入中心静脈カテーテルに共通の縫合翼とハブとの組み合わせから延びる複数の延長レッグに比べて、ドレッシングをカテーテルチューブの周りにしっかりと挟むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記縫合翼と前記ハブとの間の前記カテーテルチューブは、前記複数の延長レッグが前記患者の頭または首に近接することによる前記患者の不快感を軽減するように構成される。前記カテーテルチューブは、該カテーテルチューブが前記患者の前記頭または首から離れるように曲げられて、前記患者に固定することができるのに十分な可撓性を有する。
【0018】
また、本願では、RICCの方法が開示され、方法は、いくつかの実施形態において、前記RICCの管腔の内側に配置された針で患者の脈管構造へアクセスすべく、挿入部位を形成する形成ステップを含む。前記RICCは、前記カテーテルチューブの遠位部分に位置する第1の部分と、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位に位置する第2の部分とを含む。前記カテーテルチューブの前記第1の部分は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成され、前記カテーテルチューブの前記第2の部分は、前記第1のデュロメータ硬さより小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成されている。方法は、前記カテーテルチューブの遠位端部分を前記挿入部位に挿入する挿入ステップをさらに含む。方法は、患者の前記脈管構造を通して前記カテーテルチューブを前進させる前進ステップをさらに含む。前記前進ステップは、セルジンガー法を使用する必要なく、前記挿入部位に前記カテーテルチューブをさらに挿入することをさらに含む。前記カテーテルチューブは、前記挿入部位に挿入されて前記患者の前記脈管構造内を前進させられている場合に前記カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有するため、セルジンガー法を使用する必要はない。
【0019】
いくつかの実施形態において、方法は、前記挿入部位を形成して前記カテーテルチューブの前記第1の部分の少なくとも一部を前記挿入部位内に挿入した後、前記RICCの前記管腔から前記針を引き戻す引き戻しステップをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、挿入部位は右鎖骨下静脈又は右内頸静脈にある。
いくつかの実施形態において、前記前進ステップは、前記カテーテルチューブの前記第1の部分を右鎖骨下静脈又は右内頸静脈、右腕頭静脈を通り、上大静脈の中へと前進させることをさらに含む。
【0021】
また、本明細書で開示されるのはRICCであり、いくつかの実施形態では、RICCは、カテーテルチューブと、カテーテルチューブの内側部分上に配置された縫合翼と、前記カテーテルチューブの近位端部分に連結されたハブと、前記ハブから延びる複数の延長レッグとを含む。前記カテーテルチューブは、第1のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの遠位部分に位置する第1の部分を含む。また、前記カテーテルチューブは、前記第1のポリマー材料と実質的に等しいデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成された、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位に位置する第2の部分を含む。前記カテーテルチューブは、挿入部位に挿入され、患者の脈管構造内で前進させられている場合に前記カテーテルチューブの座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有する。前記ハブから延びる延長レッグの数は、RICCを通って延びる管腔の数と同じである。
【0022】
本明細書で提供される概念のこのよう特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】いくつかの実施形態によるRICCの等角図を示す。
図2】いくつかの実施形態によるRICCの分解図を示す。
図3】いくつかの実施形態によるRICCの分解図を示す。
図4】いくつかの実施形態によるRICCのカテーテルチューブの遠位部分を示す。
図5A】いくつかの実施形態によるRICCのカテーテルチューブの第1の横断面を示す。
図5B】いくつかの実施形態によるRICCのカテーテルチューブの第2の横断面を示す。
図5C】いくつかの実施形態によるRICCのカテーテルチューブの第3の横断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0025】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数のステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0026】
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0027】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0028】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
上述したように、カテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。本願では、上記に対処するRICC及びその方法が開示される。
【0029】
迅速挿入型中心静脈カテーテル
図1は、いくつかの実施形態によるRICC100の等角図を示す。
図示されるように、RICC100は、カテーテルチューブ110と、縫合翼140と、ハブ150と、該ハブ150から延びる複数の延長レッグ160とを含む。
【0030】
縫合翼140は、カテーテルチューブ110の近位端部分と遠位端部分との間のカテーテルチューブ110の内側部分の上に配置されている。選択された製造方法に応じて、縫合翼140は、カテーテルチューブ110の挿入用に構成された縫合翼140を通って長手方向に延びる貫通穴とともに成形され得る(例えば、以下のカテーテルチューブ110の第2の部分214)。(たとえば、図1及び図2を参照。)あるいは、縫合翼140は、縫合翼140の遠位側に位置するカテーテルチューブ110の複数のカテーテルチューブ管腔(以下に示すカテーテルチューブ110の第2の部分314)を、縫合翼140の近位側に位置するカテーテルチューブ110の複数のカテーテルチューブ管腔(以下に示すカテーテルチューブ110の第3の部分318)に流体接続するように構成された縫合翼140を通って長手方向に延びる複数の流体経路用の複数のコアピンの上に成形され得る。(たとえば、図1及び図3を参照。)あるいは、縫合翼140は、縫合翼140の遠位側に位置するカテーテルチューブ110の複数のカテーテルチューブ管腔(以下に示すカテーテルチューブ110の第2の部分314)を、縫合翼140の近位側に位置するカテーテルチューブ110の複数のカテーテルチューブ管腔(以下に示すカテーテルチューブ110の第3の部分318)に流体接続するように構成された縫合翼140を通って長手方向に延びる複数のカニューレの上に成形され得る。(たとえば、図1及び図3を参照。)
縫合翼140は、縫合翼140を患者に縫合するための複数の貫通穴344を有する一対の翼342を含む。(たとえば、図3を参照。)一対の翼342の各翼は、縫合翼140を患者に縫合するための1つの貫通穴、2つの貫通穴、3つの貫通穴、または4つの貫通穴を含んでもよい。
【0031】
ハブ150は、ハブ150の遠位端部分に位置するボア内にカテーテルチューブ110の近位端部分を挿入することなどによって、カテーテルチューブ110の近位端部分に連結される。また、図示されていないが、ハブ150は、該ハブ150の近位端部分に延長レッグ160の数に対応する数の複数のボアを含む。ハブ150の遠位端部分に位置する複数のボアは、複数の延長レッグ160が複数のボアの中への挿入を受け入れるように構成される。
【0032】
詳細に後述するように、RICC100は、単一管腔カテーテル、または二管腔カテーテルもしくは三管腔カテーテルなどのマルチ管腔カテーテルであってもよい。したがって、ハブ150は、単一管腔カテーテル用に分岐していないか、またはRICC100を通って延びる複数の管腔に従って分岐している。例えば、ハブ150は、二管腔カテーテル用に二股に分岐するか、または三管腔カテーテル用に三股に分かれてもよい。選択された製造方法に応じて、ハブ150は、カテーテルチューブ110の複数のカテーテルチューブ管腔を複数の延長レッグ160の複数の延長レッグ管腔に流体接続するように構成されたハブ150を通って長手方向に延びる複数の流体経路用の複数のコアピンの上に成形され得る。あるいは、ハブ150は、カテーテルチューブ110の複数のカテーテルチューブ管腔を複数の延長レッグ160の複数の延長レッグ管腔に流体接続するように構成されたハブ150を通って長手方向に延びる複数のカニューレの上に成形されてもよい。
【0033】
複数の延長レッグ160は、それらの遠位端部分を経由してハブ150から延びる。延長レッグ160の数は、RICC100を通って延びる管腔の数と同じである。例えば、RICC100が単一管腔カテーテルである場合、1つの延長レッグがハブ150から延びる。RICC100が二管腔カテーテルである場合、2つの延長レッグがハブ150から延びる。RICC100が三管腔カテーテルである場合、3つの延長レッグがハブ150から延びる。
【0034】
RICC100は、複数の医療機器をRICC100に流体接続するための複数のルアーコネクタ170をさらに含む。複数の延長レッグ160の各延長レッグは、延長レッグの近位端部分に連結された複数のルアーコネクタ170のうちの1つのルアーコネクタを含む。上記を考慮すると、ルアーコネクタ170の数は、延長レッグ160の数に等しく、次に延長レッグ160の数は、RICC100を通って延びる管腔の数に等しい。例えば、RICC100が単管腔カテーテルである場合、1つの延長レッグがハブ150から延び、1つのルアーコネクタがその延長レッグに連結される。RICC100が二管腔カテーテルである場合、2つの延長レッグがハブ150から延び、2つのルアーコネクタが2つの延長レッグにそれぞれ連結される。RICC100が三管腔カテーテルである場合、3つの延長レッグがハブ150から延び、3つのルアーコネクタが3つの延長レッグにそれぞれ連結される。
【0035】
カテーテルチューブ110の2つの属は、2つの実施形態において以下に示される。カテーテルチューブ110の第1の実施形態の識別機能が最初に導入され、続いてカテーテルチューブ110の第2の実施形態の識別機能が導入される。説明の便宜上、以後、カテーテルチューブ110の2つの実施形態の様々な特徴を説明するが、その特徴の一部はカテーテルチューブ110の2つの実施形態間で共通し、その特徴の一部はカテーテルチューブ110の第1の実施形態または第2の実施形態に固有のものである。RICC100の他の特徴は、カテーテルチューブ110について説明した後、本明細書の別の箇所で説明されている。
【0036】
図2は、カテーテルチューブ110の第1の実施形態によるRICC100の分解図を示す。
示されるように、カテーテルチューブ110の第1の実施形態は、カテーテルチューブ110の第1の部分212及び第2の部分214を含み、カテーテルチューブ110の第1の部分212及び第2の部分214が製造中に連結される態様に応じて第1の部分212と第2の部分214との間に任意部分216を備える。カテーテルチューブ110の第1の部分212及び第2の部分214が連結される態様は、2019年9月24日に出願の米国仮出願第62/905,363号及び2019年9月10日に出願の米国仮出願第62/898,408号に記載されており、各々はその全体が本願に援用されるものとする。(また、2019年10月18日に出願された米国仮出願第62/923,320号を参照されたい。該出願は、その全体が本出願に援用される。)例えば、本明細書に記載されるように一緒に連結された第1、第2、および第3の部分の任意の2つの部分は、接合(例えば、溶媒接合)または溶接(例えば、RF溶接)によって一緒に連結され得る。前述の仮出願におけるカテーテルチューブ110、210、または310の第3の部分、即ち接合部140、240、または340は、カテーテルチューブ110の第1の実施形態の第1の部分212と第2の部分214との間の任意の部分216に対応する。
【0037】
図3は、カテーテルチューブ110の第2の実施形態によるRICC100の分解図を示す。
示されるように、カテーテルチューブ110の第2の実施形態は、カテーテルチューブ110の第1の部分212及び第2の部分314を含み、カテーテルチューブ110の第2の部分314の基端側に第3の部分318を備える。任意部分216は、カテーテルチューブ110の第1の部分212及び第2の部分314が製造中に連結される態様に応じて、カテーテルチューブ110の第2の実施形態の第1の部分212と第2の部分314との間に設けられてもよい。第1実施形態のカテーテルチューブ110と同様に、第2実施形態のカテーテルチューブ110の第1の部分212と第2の部分314が連結される態様は、前述の仮出願に記載されている。前述の仮出願におけるカテーテルチューブ110、210、または310の第3の部分、即ち接合部140、240、または340は、カテーテルチューブ110の第1の実施形態の第1の部分212と第2の部分214との間の任意の部分216に対応する。
【0038】
前述のことを考慮して、カテーテルチューブ110は、RICC100を製造する選択された方法に応じて、2つの部分から少なくとも4つの部分までを含むことができる。カテーテルチューブ110のこのような実施形態の中では、カテーテルチューブ110の遠位部分に位置する第1の部分212と、カテーテルチューブ110の第1の部分の近位側に位置する第2セクション214又は314という2つの部分が一般的である。
【0039】
カテーテルチューブ110の第1の部分212は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、またはポリウレタン)で形成されるのに対して、第2の部分214又は314は、第1のデュロメータ硬さより小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料(塩化ポリビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、またはシリコーン)で形成されている。例えば、カテーテルチューブ110の第1の部分212および第2の部分214または314の各部分は、異なるデュロメータ硬さを有する異なるポリウレタンから形成されてもよい。実際、カテーテルチューブ110のポリウレタンの部分が、室温では比較的に剛性を有するが、体温ではインビボでより柔軟になり、血管壁および静脈炎への刺激を低減するという点で、ポリウレタンは有利である。ポリウレタンは、他のいくつかのポリマーよりも血栓形成性が低いという点でも有利である。
【0040】
第1のデュロメータ硬さおよび第2のデュロメータ硬さは、異なるスケール(例えば、タイプAまたはタイプD)であってもよいため、第2のポリマー材料からなる第2のデュロメータ硬さは、第1のデュロメータ硬さよりも数値的に小さくない可能性があることを理解されたい。即ち、異なるスケール(それぞれ0から100の範囲)は、同様の硬度を有する材料のグループで異なる材料を特徴付けるために設計されているため、第2のポリマー材料の硬度は依然として第1のポリマー材料の硬度よりも小さい場合がある。
【0041】
上述した説明に関わらず、カテーテルチューブ110の柱座屈強度が、挿入部位に挿入されて患者の血管系を通って前進したときにカテーテルチューブ110の座屈を防ぐのに十分であれば、カテーテルチューブ110の第1の部分212及第2の部分214又は314は、実質的に同じデュロメータ硬さを有する同じポリマー材料又は異なるポリマー材料で形成されてもよい。
【0042】
第1のポリマー材料からなる第1の部分212と、第2のポリマー材料からなる第2の部分214又は314とを少なくとも有するカテーテルチューブ110は、カテーテルチューブ110が挿入部位に挿入されて患者の脈管構造を進む際にカテーテルチューブ110の座屈を防ぐのに十分な柱座屈強度を有している。カテーテルチューブ110の柱座屈強度は、セルジンガー法を使用することなく、カテーテルチューブ110を挿入部位に迅速に挿入し、カテーテルチューブ110を患者の脈管構造を通して前進させることができるという点で注目に値する。
【0043】
図2に示されるカテーテルチューブ110の第1の実施形態を参照すると、カテーテルチューブ110の第2の部分214は、カテーテルチューブ110の第2の部分214の中間部分にバンプ215として示される隆起した直径を含む。カテーテルチューブ110の第2の部分214の近位部分は、カテーテルチューブ110の第2の部分214の遠位部分よりも大きい外径を有する。図1に示すように、縫合翼140がバンプ215の上に配置される場合、縫合翼140の近位のカテーテルチューブ110(本明細書ではカテーテルチューブ延長部としても参照される)は、縫合糸の翼140の遠位のカテーテルチューブ110よりも大きい外径を有する。縫合翼140の近位のカテーテルチューブ110の第2の部分214のより大きな外径は、RICC100の使用中にハブ150及び複数の延長レッグ160を患者の頭又は首から離して曲げるために有用な、より厚く、より耐捩じれ性を有するカテーテル-チューブ壁を提供する。さらに、カテーテルチューブ110に存在する任意の管腔は、縫合翼140の遠位側よりも縫合翼140の近位側のカテーテルチューブ110の第2の部分214においてより大きな直径を有してもよい。これにより、特に、縫合翼140の近位にあるカテーテルチューブ110の第2の部分214が患者の頭または首から離れるように曲げられている場合に、流量の減少が防止される。カテーテルチューブ110の第2の部分214は、バンプチューブの一度の押し出しによって形成され得る。
【0044】
図3に示されるカテーテルチューブ110の第2の実施形態を参照すると、カテーテルチューブ110の第2の部分314及び第3の部分318は共に、カテーテルチューブ110の第1の実施形態の第2の部分214の隆起した直径を模擬している。カテーテルチューブ110の第3の部分318は、カテーテルチューブ110の第2の部分214より大きい外径を有する。縫合翼140がカテーテルチューブ110の第2の部分314の近位端部分とカテーテルチューブ110の第3の部分318の遠位端部分との上に配置される場合、縫合翼140の近位にあるカテーテルチューブ110(カテーテルチューブ延長部としても参照される、即ちカテーテルチューブ110の第3の部分318)は、縫合翼140の遠位にあるカテーテルチューブ110(即ち、カテーテルチューブ110の第2の部分314)よりも大きい外径を有する。カテーテルチューブ110の第2のセクション214に関して上で述べたのと同様に、縫合翼140の近位のカテーテルチューブ110の第3の部分318のより大きな外径は、RICC100の使用中にハブ150及び複数の延長レッグ160を患者の頭又は首から離して曲げるために有用な、より厚く、より耐捩じれ性を有するカテーテル-チューブ壁を提供する。さらに、カテーテルチューブ110に存在する任意の管腔は、カテーテルチューブ110の第2のセクション314よりも、カテーテルチューブ110の第3のセクション318においてより大きな直径を有してもよい。これにより、特に、縫合翼140の近位にあるカテーテルチューブ110の第3の部分318が患者の頭または首から離れるように曲げられている場合に、流量の減少が防止される。カテーテルチューブ110の第2の部分214または314と同様に、カテーテルチューブ110の第3の部分318は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、またはシリコーンであってもよい。
【0045】
カテーテルチューブ110の第1の実施形態または第2の実施形態のいずれであっても、縫合翼140とハブ150との間のカテーテルチューブ110は、カテーテルチューブ110の外径が縫合翼140からハブ150まで連続的に増加する逆テーパーを有する。換言すれば、カテーテルチューブ110は、ハブ150から縫合翼140に向かって先細であるが、縫合翼140の遠位にあるカテーテルチューブ110よりも大きな外径を有し続けている。縫合翼140からハブ150までカテーテルチューブ110の外径が連続的に増加することに関連して、カテーテルチューブ壁の厚みは連続的に増加してもよいし、カテーテルチューブ110の任意の管腔は断面積が連続的に増加してもよいし、又はそれらの組み合わせであってもよい。その結果、特に、縫合翼140の近位にあるカテーテルチューブ110が患者の頭または首から離れるように曲げられている場合に、縫合翼140とハブ150との間のカテーテルチューブ110は、捩じれおよび流量減少に対してより耐性を有する。
【0046】
縫合翼140とハブ150との間のカテーテルチューブ110(本明細書でカテーテルチューブ延長部として参照される、カテーテルチューブ110の部分)、またはカテーテルチューブ延長部は、縫合翼140の上に適用されるドレッシングと患者の皮膚との間の細菌侵入を低減するように構成された単一のカテーテルチューブである。既存のCVCまたは末梢挿入中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted central catheters)は、CVC及びPICCに共通の縫合翼とハブとの組み合わせから延びる複数の延長レッグを有する。CVCまたはPICCの複数の延長レッグは、微生物の侵入に対するドレッシングの下に複数の経路を提供する。単一カテーテルチューブであるカテーテルチューブ110は、既存のCVCまたはPICCの複数の延長レッグよりも、ドレッシングをカテーテルチューブ110の周りにしっかりと挟むことができる。例えば、ドレッシングは、カテーテルチューブ110全体に容易に巻き付けられるか、又はカテーテルチューブ110と患者との間のカテーテルチューブ110の下に一緒に挟まれ得る。これに対して、既存のCVCまたはPICCの複数の延長レッグにドレッシングを巻いても、延長チューブ間には隙間が残る。このように、単一カテーテルチューブであるカテーテルチューブ110は、縫合翼140の上に適用されたドレッシングと患者の皮膚との間の細菌の侵入を制限する。
【0047】
縫合翼140とハブ150との間のカテーテルチューブ110(本明細書でカテーテルチューブ延長部としても参照されるカテーテルチューブ110の部分)は、患者の頭または首の近接する複数の延長レッグ160による患者の不快感を軽減するようにも構成される。上述したように、縫合翼140の近位にあるカテーテルチューブ110の第2の部分214又は第3の部分318は、より厚く、より耐捩じれ性を有するカテーテル-チューブ壁を提供するが、カテーテルチューブ110の第2の部分214又は第3の部分318は、カテーテルチューブ110を患者の頭または首から離して曲げて、患者の快適さのために患者に固定できるように、十分に柔軟性を有している。
【0048】
図4は、いくつかの実施形態によるRICC100のカテーテルチューブ110の遠位部分を示す。図5A乃至図5Cは、いくつかの実施形態によるRICC100のカテーテルチューブ110の遠位部分の異なる横断面を示す。
【0049】
RICC100は、単一管腔カテーテル、または二管腔カテーテル、三管腔カテーテル、四管腔カテーテル、五管腔カテーテル、または六管腔カテーテルなどのマルチ管腔カテーテルであってもよい。
【0050】
図4および図5A乃至図5Cに示されるように、RICC100が三管腔カテーテルとして構成される場合、RICC100は、第1の管腔、第2の管腔、および第3の管腔を含む。第1の管腔は、カテーテルチューブ110の第1の部分212の先端又は遠位端の開口部から複数のルアーコネクタ170のうちの第1のルアーコネクタの基端の開口部まで延びている。第2の管腔は、カテーテルチューブ110の第2の部分214又は314の遠位端部のアイレット420から複数のルアーコネクタ170のうちの第2のルアーコネクタの近位端の開口部まで延びている。第3の管腔は、アイレット420の近位側にあるカテーテルチューブ110の第2の部分214又は314の遠位端部のアイレット422から複数のルアーコネクタ170のうちの第3のルアーコネクタの近位端の開口部まで延びている。第1の管腔、第2の管腔、および第3の管腔の各管腔については、以下に記載される別の段落で詳細に説明する。
【0051】
RICC100の第1の管腔は、流体接続された管腔部分を含み、管腔部分は、カテーテル管110の第1の部分212の管腔524と、任意部分216が存在する場合にはカテーテル管110の任意部分216の管腔526と、カテーテルチューブ110の第2の部分214または314の第1の管腔528とを含む。カテーテルチューブ110がカテーテルチューブ110の第2の実施形態である場合、RICC100の第1の管腔の流体的に接続された管腔部分は、縫合翼140の第1の流路または第1のカニューレ管腔とカテーテルチューブ110の第3の部分318の第1の管腔とをさらに含む。(カテーテルチューブ110の第3の部分318の第1の管腔は、カテーテルチューブ110の第2の部分314の第1の管腔528に類似しているため、図示されていない。)カテーテルチューブ110が該カテーテルチューブ110の第2の実施形態であろうと第3の実施形態であろうと、RICC100の第1の内腔の流体接続された管腔部分は、ハブ150の第1の流路又は第1のカニューレ管腔、複数の延長レッグ160のうちの第1の延長レッグ(例えば、図1乃至図3で「遠位側」と表示された延長レッグ)の第1の延長レッグ管腔、及び複数のルアーコネクタ170のうちの第1のルアーコネクタの第1のルーア-コネクタ管腔をさらに含む。
【0052】
RICC100の第2の管腔は、カテーテルチューブ110の第2の部分214又は314の遠位端部分のアイレット420から延びる、カテーテルチューブ110の第2の部分214又は314の第2の管腔530を含む流体的に接続された管腔部分を含む。カテーテルチューブ110がカテーテルチューブ110の第2の実施形態である場合、RICC100の第2の管腔の流体的に接続された管腔部分は、縫合翼140の第2の流路または第2のカニューレ管腔とカテーテルチューブ110の第3の部分318の第1の管腔とをさらに含む。(カテーテルチューブ110の第3の部分318の第2の管腔は、カテーテルチューブ110の第2の部分314の第2の管腔530に類似しているため、図示されていない。)カテーテルチューブ110が該カテーテルチューブ110の第2の実施形態であろうと第3の実施形態であろうと、RICC100の第2の内腔の流体接続された管腔部分は、ハブ150の第2の流路又は第2のカニューレ管腔、複数の延長レッグ160のうちの第2の延長レッグ(例えば、図1乃至図3で「中間」と表示された延長レッグ)の第2の延長レッグ管腔、及び複数のルアーコネクタ170のうちの第2のルアーコネクタの第2のルーア-コネクタ管腔をさらに含む。
【0053】
RICC100の第3の管腔は、カテーテルチューブ110の第2の部分214又は314の遠位端部分のアイレット422から延びる、カテーテルチューブ110の第2の部分214又は314の第3の管腔532を含む流体的に接続された管腔部分を含む。カテーテルチューブ110がカテーテルチューブ110の第2の実施形態である場合、RICC100の第3の管腔の流体的に接続された管腔部分は、縫合翼140の第3の流路または第3のカニューレ管腔とカテーテルチューブ110の第3の部分318の第3の管腔とをさらに含む。(カテーテルチューブ110の第3の部分318の第3の管腔は、カテーテルチューブ110の第2の部分314の第3の管腔532に類似しているため、図示されていない。)カテーテルチューブ110が該カテーテルチューブ110がの第2の実施形態であろうと第3の実施形態であろうと、RICC100の第3の内腔の流体接続された管腔部分は、ハブ150の第3の流路又は第3のカニューレ管腔、複数の延長レッグ160のうちの第3の延長レッグ(例えば、図1乃至図3で「近位側」と表示された延長レッグ)の第3の延長レッグ管腔、及び複数のルアーコネクタ170のうちの第3のルアーコネクタの第3のルーア-コネクタ管腔をさらに含む。
【0054】
RICC100が二管腔カテーテルとして構成される場合、RICC100は、第1の管腔および第2の管腔を含む。同様にRICC100が三管腔カテーテルとして構成される場合、第1の管腔は、カテーテルチューブ110の第1の部分212の先端又は遠位端の開口部から複数のルアーコネクタ170のうちの第1のルアーコネクタの基端の開口部まで延びている。第2の管腔は、カテーテルチューブ110の第2の部分214又は314の遠位端部のアイレット420に類似したアイレットから複数のルアーコネクタ170のうちの第2のルアーコネクタの近位端の開口部まで延びている。二管腔カテーテルとして構成されたRICC100の第1の管腔および第2の管腔は、三管腔カテーテルとして構成されたRICC100の第1の管腔および第2の管腔に類似しているため、第1の管腔および第2の管腔の各管腔に関する追加の詳細は、二管腔カテーテルとして構成されたRICC100の第1の管腔および第2の管腔についての上記説明から認識され得る。
【0055】
RICC100が単一管腔カテーテルとして構成される場合、RICC100は、単一の管腔を含み、この単一管腔は、上記の説明との整合性のために、本明細書では第1の管腔として参照される。同様にRICC100が三管腔カテーテルとして構成される場合、第1の管腔は、カテーテルチューブ110の第1の部分212の先端又は遠位端の開口部から複数のルアーコネクタ170のうちの第1のルアーコネクタの基端の開口部まで延びている。単一管腔カテーテルとして構成されたRICC100の第1の管腔は、三管腔カテーテルとして構成されたRICC100の第1の管腔に類似しているため、RICC100の第1の管腔に関する追加の詳細は、単一管腔カテーテルとして構成されたRICC100の第1の管腔についての上記説明から認識され得る。
【0056】
方法
RICC100を製造するための方法は、1つまたは複数の押し出し可能な構成要素を押し出す1つまたは複数の押し出しステップと、1つまたは複数の成形可能な構成要素を成形する1つまたは複数の成形ステップと、押し出し可能な構成要素および成形可能な構成要素を一緒に連結することによって、RICC100またはRICC100の任意の部分を組み立てる1つまたは複数の組み立てステップとを含む。
【0057】
1つまたは複数の押出ステップは、カテーテルチューブ110の1つまたは複数の部分について上述した説明に従って、カテーテルチューブ110の第1の部分212、カテーテルチューブ110の第2の部分214又は314、カテーテルチューブ110の任意部分216、及びカテーテルチューブ110の第3の部分318から選択したカテーテルチューブ110の任意の1つまたは複数の部分を押出すことを含むことができる。1つまたは複数の押し出しステップは、1つまたは複数の延長レッグについて上述した説明に従って、複数の延長レッグ160のうちの任意の1つまたは複数の延長レッグを押し出すことをさらに含むことができる。
【0058】
1つまたは複数の成形ステップは、1つまたは複数の成形可能な構成要素について上述した説明に従って、縫合翼140およびハブ150から選択される任意の1つまたは複数の成形可能な構成要素を成形することを含む。1つまたは複数の成形ステップは、1つまたは複数のルアーコネクタについて上述した説明に従って、複数のルアーコネクタ170のうちの任意の1つまたは複数のルアーコネクタを成形することをさらに含むことができる。
【0059】
全体が本明細書に援用される2019年10月18日に出願の米国仮特許出願第62/923,320号及び2019年9月6日に出願の米国仮特許出願第62/898,408号に記載されるように、RICC100又はその任意の部分を組み立てる1つ又は複数の組み立てステップは、カテーテルチューブ110の第1の部分212をカテーテルチューブ110の任意部分216を介して直接的又は間接的に第2の部分214又は314に連結することを含んでもよい。参照した前述の援用は、カテーテルチューブ110の第1の部分212をカテーテルチューブ110の第2の部分214または314に連結することを支援するために望まれる他の任意のステップを含む。
【0060】
RICC100を使用する方法は、RICC100の管腔の内側に配置された針で患者の脈管構造へアクセスすべく、挿入部位を形成する形成ステップを含む。挿入部位は、右または左の鎖骨下静脈などの鎖骨下静脈、右または左の内頸静脈などの内頸静脈、または大腿静脈にあってもよい。
【0061】
方法は、カテーテルチューブ110の遠位端部分を挿入部位に挿入する挿入ステップをさらに含む。
方法は、挿入部位を形成してカテーテルチューブ110の第1の部分212の少なくとも一部を挿入部位内に挿入した後、RICC100の管腔から針を引き戻す引き戻しステップをさらに含む。
【0062】
方法は、セルジンガー法を用いることなく、患者の脈管構造を通してカテーテルチューブ110を前進させる前進ステップをさらに含む。例えば、挿入部位が右鎖骨下静脈又は右内頸静脈である場合、前進ステップは、カテーテルチューブ110又は少なくともその遠位端部分が右鎖骨下静脈又は右内頸静脈、右腕頭静脈、及び上大静脈を通って前進するように、挿入部位にさらにカテーテルチューブ110を挿入することをさらに含むことができる。左鎖骨下静脈または左内頸静脈などの他の挿入部位では、対応する脈管構造を通してカテーテルチューブ110の遠位端部分を前進させることが必要である。カテーテルチューブ110は、挿入部位に挿入されて患者の脈管構造内を前進させられている場合にカテーテルチューブ110の座屈を防止するのに十分な柱座屈強度を有するため、セルジンガー法を使用する必要はない。
【0063】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。当業者は、より広い態様において、付加的な適応をおこなったり、および/または改変を行ったりすることを理解することができ、これらの適応および/または改変も包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から外れて実施されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
【国際調査報告】