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特表2022-553968人工内耳電極保持部を捉え保持する、耳鼻科手術器具及びロボット装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】人工内耳電極保持部を捉え保持する、耳鼻科手術器具及びロボット装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/18 20060101AFI20221220BHJP
   A61F 11/20 20220101ALI20221220BHJP
【FI】
A61F2/18
A61F11/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523685
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 FR2020051893
(87)【国際公開番号】W WO2021079058
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】1911806
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522116421
【氏名又は名称】コリン
【氏名又は名称原語表記】COLLIN
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、マザレグ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA29
4C097BB04
(57)【要約】
患者の内耳に人工内耳電極保持部を挿入する耳鼻科手術器具(30)は、把持近位端(34)と、挿入中に電極保持部を捉え保持する機能的遠位端(44)を備える。近位端(34)はロボットの関節アームに固定する手段(36)を備え、遠位端(44)はクランプで電極保持部の一部を把持する、固定された部材(46、48)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工内耳(10)電極保持部(14)を患者の内耳に挿入する耳鼻科手術器具(30;30´)であって、把持近位端(34)と、挿入中に前記電極保持部(14)の一部(22;18)を捉え保持する機能的遠位端(44、44´)とを備えており、
-前記近位端(34)は、ロボット(60)の関節アーム(62)に固定する手段(36)を備え、
-前記遠位端(44;44´)は、クランプで前記電極保持部(14)の前記一部(22;18)を把持する部材(46、48;50)を備え、
クランプで把持する前記部材は、固定されることを特徴とする、耳鼻科手術器具(30;30′)。
【請求項2】
さらに、前記固定される把持部材(46、48;50)は硬質であり、前記電極保持部(14)の前記一部(22;18)の把持は、前記電極保持部(14)の弾性によってなされる、請求項1に記載の耳鼻科手術器具(30;30´)。
【請求項3】
特にAISI規格による304L又は316L形の手術用ステンレス鋼により作られる、請求項2に記載の耳鼻科手術器具(30、30´)。
【請求項4】
クランプで固定される把持部材は、前記器具(30)の遠位部(40)に沿って伸びる二股フォーク(46、48)であり、これら二股(46、48)の間の前記電極保持部(14)の前記一部(22)を捉え保持する、請求項1~3のいずれか一項に記載の耳鼻科手術器具(30)。
【請求項5】
いくつかのずれた部(32、38、40)を備え、このすべてが前記フォークの二股(46、48)の主平面(P1)と平行な1つの同じ平面(P1)に伸びる、請求項4に記載の耳鼻科手術器具(30)。
【請求項6】
いくつかのずれた部(32、38、40)を備え、このすべてが前記フォークの二股(46、48)の主平面(P2)と垂直な1つの同じ平面(P1)に伸びる、請求項4に記載の耳鼻科手術器具(30)。
【請求項7】
前記フォークの各股(46、48)は、矩形断面を有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の耳鼻科手術器具(30)。
【請求項8】
クランプで固定される把持部材は、前記器具(30´)の遠位部(40)の自由端(44′)に、横方向に取り付けられた側溝(50)であり、前記側溝(50)の内部容積内にある前記電極保持部(14)の前記一部(18)を捉え保持する、請求項1~3のいずれか一項に記載の耳鼻科手術器具(30´)。
【請求項9】
前記ロボット(60)の前記関節アーム(62)に固定する前記手段(36)は、この近位端(34)の外面に縦方向にくり抜かれたロック溝を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の耳鼻科手術器具(30;30´)。
【請求項10】
-電子制御により動かすことができる関節アーム(62)を有するロボット(60)と、
-請求項1~9のいずれか一項に記載の耳鼻科手術器具(30;30´)と、
を備えるロボット外科的処置装置であって、
前記ロボット(60)の前記関節アーム(62)は、前記耳鼻科手術器具(30;30´)の前記固定手段(36)と協調するように適合された相補的な固定手段(64)を有する、ロボット外科的処置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の内耳に人工内耳電極保持部を挿入する耳鼻科手術器具に関する。また、そのような器具を備えるロボット装置に関する。
【0002】
本発明は、より具体的にはこのような種類の耳鼻科手術器具に関する、把持近位端と、挿入中に電極保持部の一部を捉え保持する機能的遠位端を備える。
【背景技術】
【0003】
人工内耳は、いくつかの部品で作られた外側部品と内側部品とからなる。外側部品は、個人の耳や頭蓋骨の皮膚に装着するようになっており、一般的には、音環境を捉えて音を電気信号に変換する少なくとも一つのマイクと、特に音声を優先的に処理する、受信した情報をフィルタリングするプロセッサと、電磁誘導による送信機で構成されている。内側部品は、送信機の反対側の皮膚の下に配置された受信機を備え、受信機は、個人の蝸牛の鼓膜管(Tympanic Duct)内に配置される電極保持部と電気的に接続されている。通常シリコーン(silicone)で作られる電極保持部は、柔らかくて弾力性のある部品であり、患者にインプラントの内側部品を設置する必要がある外科的処置途中に内耳に挿入することが難しい。
【0004】
患者の内耳に人工内耳電極保持部を挿入する耳鼻科手術器具の例は、例えばEP3513834A1に記載されている。これは手術前に電極保持部が付けられたカニューレを有する遠位部と、カニューレから引き出して患者の内耳に挿入するために手術中電極保持部を押すプランジャとを有する。これは外科医が直接把持することができる円筒型の把持近位部も有する。あるいは、この目的のために設計されてはいないが、この円筒型の近位部はロボットアームのフックによって把持されることもできる。この器具自体は、生産することがかなり複雑である。
【0005】
人工内耳電極保持部を挿入するロボット装置の他の例は、特許US8、594、799B2に記載されている。この文献に装置は図示されているが、電極保持部を捉え把持器具は詳しく説明されてない。どの器具かが示されず、どの様にしての説明無しに、一般的な挿入器具を使えるとだけ述べている。
【0006】
一般的な器具の例は、シャフトの遠位端に関節で接続されるマイクロクランプであり、この近位部を手で持つように設計されている。外科医の他の手を自由にするためには、器具を持つ手でマイクロクランプの開閉を制御する必要がある。この結果、また器具の生産が難しくなる。そして、このような器具がロボットの関節アームによって実現されるためには、ロボットの関節アームは器具を持つだけでなくマイクロクランプの開閉を操作できる程に十分に洗練されなければならない。
【発明の概要】
【0007】
したがって、上で述べた問題や制約の少なくとも一部を回避する、患者の内耳に人工内耳電極保持部を挿入する耳鼻科手術器具を提供することが望ましい。
【0008】
したがって、把持近位端と、挿入中に電極保持部の一部を捉え保持する機能的遠位端を備えており、
-近位端は、ロボットの関節アームに固定する手段を備え、
-遠位端は、クランプで電極保持部の一部を把持する部材を備える、
このような種類の器具が提案される。
【0009】
ロボットの関節アームに固定する手段をもつ近位端を具体的に備えることで、外科医の手の自由度に関する制約から自身を解放し、先行技術で想定されたものよりも非常に簡単な、捉え保持する機能的遠位端を提供することができる。従って、特に関節で接続されていないという事実を含めて、ロボットアームに固定する手段と組み合わせて安価で生産しやすい器具を形成する、クランプで固定される把持部材が巧みに提案される。固定されて特に関節で接続されていないため、望ましい電極保持部の一部を捉え又は解放するには外科医の手動アクションが必要となるが、近位端がロボットアームによって保持されることを具体的に意図していることを考慮すると、これはもはや問題にならない。
【0010】
任意選択で、さらに、固定される把持部材は硬質であり、電極保持部の一部の把持は、電極保持部の弾性によってなされる。
【0011】
この場合、耳鼻科手術器具は、特にAISI規格による304L又は316L形手術用ステンレス鋼により作られてもよい。
【0012】
また、任意選択で、クランプで固定される把持部材は、器具の遠位部に沿って伸びる二股フォークであり、これら二股の間の電極保持部の一部を捉え保持する。
【0013】
この場合、耳鼻科手術器具はいくつかのずれた部を備え、このすべてがフォークの二股の主平面と平行な1つの同じ平面に伸びる。
【0014】
また、この場合、耳鼻科手術器具はいくつかのずれた部を備え、このすべてがフォークの二股の主平面と垂直な1つの同じ平面に伸びる。
【0015】
また、任意選択で、フォークの各股は、矩形断面を有する。
【0016】
また、任意選択で、クランプで固定される把持部材は、器具の遠位部の自由端に、横方向に取り付けられた側溝であり、側溝の内部容積内にある電極保持部の一部を捉え保持する。
【0017】
また、任意選択で、ロボットの関節アームに固定する手段は、器具の近位端の外面に縦方向にくり抜かれたロック溝を備える。
【0018】
また、
-電子制御により動かすことができる関節アームを有するロボットと、
-請求項1~9のいずれか一項に記載の耳鼻科手術器具(30;30´)と、
を備えるロボット外科的処置装置であって、
ロボットの関節アームは、耳鼻科手術器具の固定手段と協調するように適合された相補的な固定手段を有する、ロボット外科的処置装置が提案される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、単に例として提供され、添付の図面を参照する、以下の説明の助けを借りてよりよく理解されるものとする。
図1図1は、人工内耳と電極保持部の内側部品の一般的な構造の例を概略的に示す図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る図1のような電極保持部を挿入する耳鼻科手術器具の一般的な構造を概略的に示す縦断面図である。
図3図3は、図2の器具を示す斜視図である。
図4図2の器具の変形例を示す斜視図。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る図1のような電極保持部を挿入する耳鼻科手術器具の一般的な構造を概略的に示す斜視図である。
図6図6は、図5の装置の機能的遠位端の側面図および正面図の2つの面のセットである。
図7図7は、図5の装置の機能的遠位端の変形例の側面図および正面図の2つの面のセットである。
図8図8は、図2の器具を含むロボット外科的処置装置の一般的な構造を概略適に示す一部図である。
図9図9は、図8のロボット装置を利用する外科的処置方法の連続ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示された人工内耳の内側部品10は、電気接続16を介して電極保持部14に接続された受信機12を含む。受信機12は、図示されていない外側部品の送信機の反対側の皮膚の下に配置されることを意図される。電極保持部14は、個人の鼓膜管内に配置される。
【0021】
様々な種類の電極保持部が市場に存在する。図1に示されたものは、複数の電極20の支持を形成する本体18と、この把持を補助する近位フィン22を有する。本体18は柔らかくて弾力性があり、一般的にはシリコーンで作られて、本質的に円筒型であって円型の断面を持つ。近位フィン22は任意選択で、柔らかく、弾力性があり、本体18と同様に一般的にはシリコーンで作られて、平らな矩形の節で本体18を伸びる。
【0022】
図2に概略的に示された耳鼻科手術器具30は、近位フィン22でそれを把持することで図1の電極保持部を患者の内耳に挿入するように適合されている。有利だが任意選択である実施形態に従って、これは外科医の照準軸を自由にするいくつかのずれた部を有する。あるいは、これは直線であってもよい。
【0023】
従って、これは直線軸A1の周りに伸びて、この第1直線軸A1の周りに把持近位端34を有する、第1保持又は固定部32を含む。把持近位端34は、例えば、特許FR2 998 344B1の示唆に従って、外面が縦方向にくり抜かれた、一部が球形の、より深い空洞で終わる簡単なロック溝で実現される、ロボットの関節アームに固定する手段36を含む。
【0024】
耳鼻科手術器具30は、第1直線軸A1から離れて、第1部分32から第2直線軸A2の主な方向に自由度なく伸びる、第1部分32と一体である第2たわみ部分38をさらに含む。横方向のかさばりを最小限に抑えながら器具30に非常に長い形状を与えられる軸A1とA2の間の角度は、例えば、2と10度の間であって、好ましくは2と4度の間である。
【0025】
耳鼻科手術器具30は、第2部分38の遠位端42から、第2直線軸A2と異なる第3直線軸A3に沿って、第1直線軸A1に接近するように自由度なく伸びる、第2部分38と一体である第3機能的支持部40をさらに含む。この第3部分40は機能的遠位端44を有して、本発明によれば、電極保持部14の望ましい一部を締める、固定された把持部材を含む。軸A1とA3の間の角度は、例えば、2と10度の間であって、好ましくは2と4度の間である。これは手術器具30の横方向のかさばりを制限しながら、ユーザの視界をクリアにし、外科的行動を容易にするのに十分である。有利だが任意選択に、特許出願FR3 066 378A1の一般原則に従って、第3部分40は、第1部分32が伸びる第1直線軸A1が機能的遠位端44を通るように-より詳しくは、枢支点(pivot point)Pで、第3部分40のクランプで固定される把持部材を通るように‐この長さと第3直線A3の標定によって形作られている。
【0026】
耳鼻科手術器具30の3つの部分32、38、及び40は、2つの曲がりを有する1つの同じ棒(円形、正方形、矩形断面、又はリンケージの、単純な円筒型の棒)による、把持近位端34と機能的遠位端44で構成されてもよい:第1曲がりは第1と第2部分32、38の接合部に、第2曲がりは第2と第3部分38、40接合部、すなわち第2部分38の遠位端42にある。加えて、今まで説明された器具30の構成部分の全てはプラスチック、金属、ステンレス鋼、チタニウム、又は生体適合性のある硬質材料又は耳鼻咽喉科手術用途に適合した硬質材料から作られてもよい。耳鼻科手術において特に勧められる材料の例はAISI(American Iron and Steel Institute)規格による304L又は316L形手術用ステンレス鋼であって、これで器具全体を構成してもよい。この場合、機能的遠位端44を形成するクランプで固定される把持部材は、3つのずれた部32、38、及び40を形成する棒の他の一部と同じ材料で作られてもよい。器具の他の一部と同じく硬い、クランプで固定される把持部材を有することの有利さは、組み立てを生産する易さと手術要件への適合性である。電極保持部14の望ましい一部を締めることは何しろ電極保持部14の弾性のおかげで可能である。
【0027】
把持近位端34が前述の棒への挿入口である場合、これは軸A1に沿って棒の近位端を受けるボア(bore)を含む、実質適に円筒型のスリーブとして形成されてもよい。同様に、機能的遠位部44が前述の棒への挿入口である場合、これは棒の遠位部で軸A3に沿ってボアでの受信用円筒図法を含んでもよい。挿入口としての設計される機能的遠位端44の有利さは、器具30の残りが「普遍的」な器具として標準的な方法で生産可能になり、少なくとも電極保持部14のクランプで固定される把持部材以外の、様々な外科的機能を備えた、取り出し可能な近位端のセットと共に提供されることである。
【0028】
寸法と構造において、器具30は、耳鼻科手術に使われるには、一般的に10と20cmの間、好ましくは10と15cmの間の全長(近位端と枢支点の間の)を有する必要がある。例えば、この長さが14cmに近くて軸A1とA3の間の角度が3.2度辺りであると、ユーザの目が枢支点から18cm、つまり軸A1に沿って器具30の近位端から縦方向に4cm離れている場合、これは横方向の観測距離を1cmずらすことを可能とする。この構造は実使用において満足された。さらに、1と2mmの間の円筒棒直径もまた適合である。なお、しかしながら、この数値は単なる例示として示され、目的とする活用や内容によって小さく又は大きくされてもよいことを注意されたい。
【0029】
図2に示された実施形態において、クランプで固定される把持部材は、さらに詳しくは、これら二股の間の電極保持部14の近位フィン22を捉え保持する、器具30の第3部分40の伸長に伸びる二股46、48を有するフォークである。二股46、48の形と寸法は、電極近位フィン22や、捉え保持することが望ましい電極保持部14の他の任意の一部の形と寸法によって定義されるべきである。特に、図1に示されたような平らな矩形断面を有する近位フィンの場合、平行な股の矩形断面は、フィンの厚さによって適切な間隔を空けている。あるいは、それは特に、円形、楕円形など、矩形以外の断面であってもよい。
【0030】
図3の斜視図は、3つのずれた部32、38、40を含んで、耳鼻科手術器具30が、二股46、48が伸びる主平面と並行な平面P1に伸びることを示す。しかも、同じ平面である。
【0031】
あるいは、図4の斜視図は、3つのずれた部32、38、40を含んで、耳鼻科手術器具30が、二股46、48が平行に伸びる主平面P2に、垂直であってもよい平面P1に伸びることを示す。他の変形例も可能であり、主に捉え保持される電極保持部の形、及びどのように患者の内耳に挿入されるかによる。
【0032】
図5に示された耳鼻科手術器具30´は、クランプで固定される把持部材の機能的遠位端44′がもはやフォークではなく側溝50であり、すなわち、全長に沿って縦方向の開口部52を備えた中空の円筒型部であり、この側溝50は、器具30′の第3直線部の自由端に対して縦方向に取り付けられていることで、図2図4のそれらと違う。これは電極保持部14の円筒型本体18が、側溝50によって形成された中空の開いた円筒型の内部容積内に捉え保持されることを可能とする。これは電極保持部14が近位フィン22を有しない場合において特に好ましい実施形態である。縦方向の開口部は電極保持部14を容易に捉える程に広いが、患者の内耳に挿入中にそれを保持できる程に狭くもある。言い換えると、側溝50の端は、断面の半円よりわずかに大きい円弧を形成するように、お互いに向かって有利に折りたたまれている。
【0033】
図6の側面図と正面図は、縦方向の開口部52が、側溝50が取り付けられている第3棒部の反対側にあることを示す。
【0034】
図7の側面図と正面図は、縦方向の開口部52が、第3棒部の横方向に配置されるように、角度的に約90度オフセットされている変形形態を示す。他の変形も可能であり、主に捉え保持される電極保持部の形、及びどのように患者の内耳に挿入されるかによる。
【0035】
図8に、耳鼻科手術器具30を操作するロボット外科的処置装置が非常に概略的に示されている。これは電子制御により動かすことができる、搬送アーム62を備えるロボット60を備える。発明に係る装置と互換するロボットの例は、台北(台湾)にて2010年10月18~22日まで開催されたIEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systemsにおいて公開された、Miroirらによる論文「RobOtol: from design to evaluation of a robot for middle ear surgery」に説明されている。これは特に人工内耳の内側部品を挿入することに関して、内耳又は中耳の耳鼻科手術に特に適合した構造及び運動学を提示する。
【0036】
図8に示された装置は、
-把持近位端34にロック溝固定手段36が提供される耳鼻科手術器具30と、
-器具30の把持近位端34をロボット60の搬送アーム62に固定する相補的な手段と、
をさらに含む。
【0037】
この相捕的な固定手段は、例えば、ロボット60の搬送アーム62の自由遠位端に配置されたクランピングリング64を含み、この搬送アーム62自体は、把持近位端34の挿入を受ける。ロック溝36は、特許FR2 998 344B1に示されたように、器具30をロボット60の搬送アーム62に挿入することに伴い、角度的に案内することを可能とする。さらに一般的には、図9に図示された装置の構造と互換する既知の任意の固定手段は想定可能であり、特に耳鼻科手術器具30の主軸A1がロボット60の介入軸に対応するように固定可能とする任意の手段がそうである。
【0038】
器具30が図5の器具30′に代わってもよいことは明らかである。
【0039】
図9は、図8のロボット装置を利用して外科医が電極保持部14を患者の内耳に挿入する外科的処置方法の連続的なステップを示す。
【0040】
最初のステップ100で、外科医は耳鼻科手術器具30又は30′をロボット60の関節アーム62の自由端に固定する。
【0041】
次のステップ102で、彼又は彼女は電極保持部14を把持し、望ましい一部、近位フィン22又は本体18を、固定される把持部材44、46、又は50に締める。
【0042】
電極保持部14を患者の内耳に挿入するステップ104の途中に、外科医は周辺制御機器(図示せず)の補助を受けて、ロボット60の関節アーム62に運ばれる耳鼻科手術器具30又は30′の機能的遠位端44又は44′を動かし、電極保持部14を蝸牛に正確に導く。従って、外科的行動は非常に正確で制御される。
【0043】
電極保持部14が蝸牛に正しく取り付けられると、外科医はステップ106において、固定される把持部材44、46、又は50に締めたこの部分を手動で解放する。
【0044】
最後に、最終ステップ108において、外科医は制御装置を使ってこの動きを正確に制御して、手術部位から耳鼻科手術器具30又は30′を解放する。
【0045】
上述したようなロボット装置は、設計、生産、使用が簡単な器具を使って、人工内耳電極保持部を患者の内耳に挿入する手術手順を促進し、安全にすることが明らかである。既知の行動は、震えと不随意運動を排除しながら、手術行動の再現性を確保して再現することができる。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されないことも理解されたい。実際、当業者には、今開示されたばかりの教示に照らして、開示した実施形態に対して様々な修正を行えることが明らかであるだろう。上記の発明の詳細な開示において使用された用語は、本発明本明細書に記載の実施形態に限定するものとして解釈されるべきでなく、ここに開示されたばかりの教示に当業者の一般的な知識を適用することによって、この予想の届く範囲にあるすべての均等物を含むものとして解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】