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特表2022-553971燃料電池システムおよびテールガス燃焼器組立体、ならびに方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】燃料電池システムおよびテールガス燃焼器組立体、ならびに方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20221220BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20221220BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20221220BHJP
【FI】
H01M8/04 N
F23K5/00 301Z
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523689
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2020079131
(87)【国際公開番号】W WO2021078632
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】1915281.8
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】16/660,078
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アイザック・コットゥロー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・マクローン
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ポスルスウェイト
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ・ドジオ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・バーナード
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・シュミット
【テーマコード(参考)】
3K068
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
3K068AA03
3K068AB02
3K068CA05
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC02
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA36
5H127BA38
5H127BA59
5H127BB02
5H127EE16
5H127EE24
(57)【要約】
燃料電池システムは、中心軸(12')に沿って延び第1の端(20)と第2の端(30)を有する中空の細長い本体(12)と、端(20,30)間に位置付けられ、端(20)から壁(40)までの第1の容積(52)と壁(40)から端(30)までの第2の容積(62)を定める燃焼器壁(40)と、酸化剤流れを提供する容積(52)への酸化剤入口(70)と、壁(40)に当接するか壁(40)における開口を通じて容積(52)から容積(62)へと延びる中空の細長い燃焼器(100)とを伴う燃焼器組立体(10)を備える。燃焼器(100)は、容積(52)への第1の側の開口および容積(62)への第2の側の開口を有する燃焼器板(156)または混合器(150)と、第1の燃料を第1の通路から容積(52)へ送り込むための第1の燃料入口(125)と、第2の燃料を第2の通路から容積(62)へと送り込むための第2の燃料入口(135)とを備える。システムは入口(135)への燃料混合物の送達のために第1の燃料通路を第2の燃料通路に選択的に連結する連結部(810,812)をさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 中心軸に沿って延び、第1の端および第2の端を有する中空の長手方向に細長い本体と、
(ii) 前記第1の端と前記第2の端との間に位置付けられる燃焼器壁であって、前記第1の端から前記燃焼器壁までの第1の容積、および、前記燃焼器壁から前記第2の端までの第2の容積を定める燃焼器壁と、
(iii) 前記第1の容積への酸化剤入口であって、それ自体を通る酸化剤流れを提供するための酸化剤入口と、
(iv) 前記燃焼器壁に当接する、または、前記燃焼器壁における開口を通じて前記第1の容積から前記第2の容積へと延びる少なくとも1つの中空の細長い燃焼器であって、
(a) 前記第1の容積への第1の側の開口、および、前記第2の容積への第2の側の開口を有する燃焼器板または混合器、
(b) 第1の燃料を第1の燃料通路から前記第1の容積へと送り込むための前記第1の容積への第1の燃料入口、ならびに、
(c) 第2の燃料を第2の燃料通路から前記第2の容積へと送り込むための前記第2の容積への第2の燃料入口
を備える少なくとも1つの中空の細長い燃焼器と
を備える燃焼器組立体を備え、
前記第2の燃料入口への前記第1の燃料と前記第2の燃料との混合物の送達のために、前記第1の燃料通路を前記第2の燃料通路に選択的に連結するための少なくとも1つの連結部をさらに備える燃料電池システム。
【請求項2】
前記第2の燃料通路への前記第1の燃料通路の選択的な連結のための三方弁を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記混合器を備える場合、前記混合器は、前記第1の容積への第1の側の開口と、前記第2の容積への第2の側の開口とを有する複数の羽根を備える軸方向旋回混合器である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記燃焼器板を備える場合、前記燃焼器板は、前記第1の容積と前記第2の容積との間で延びる複数の通路を備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
燃料電池スタックをさらに備え、前記第1の燃料は、前記燃料電池スタックを通過していない燃料ガスを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の燃料は、前記燃料電池システムの燃料電池スタックからのアノードオフガスである、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の燃料入口への前記第2の燃料の送達のために、燃料電池スタックのアノードの出口を前記第2の燃料入口に連結するオフガス管システムをさらに備え、前記第2の燃料通路はアノードオフガス管システムの一部を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の燃料入口への第1の燃料ガスの送達のために、燃料ガス供給源を前記第1の燃料入口に連結する第1のガス管システムをさらに備え、前記第1の燃料通路は前記第1のガス管システムの一部を形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の燃料は、幹線供給ガス、天然ガス、起動燃料、または補充燃料のうちの任意の1つまたは複数である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記連結部は、前記第1の燃料を前記第1の燃料入口から前記第2の燃料入口へと選択的に送達するために、前記第1の燃料通路から前記第2の燃料通路へと延びるバイパス配管を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の燃料入口および前記第2の燃料入口の少なくとも一方はノズルである、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのノズルは、そのそれぞれの燃料入口における少なくとも1つの孔によって定められる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の燃料入口および前記第2の燃料入口の少なくとも一方は、それぞれ第1の燃料管または第2の燃料管におけるオリフィスである、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の燃料入口および/または前記第2の燃料入口は、そのそれぞれの燃料通路の端に位置決めされず、そのそれぞれの燃料通路に沿って位置決めされる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の燃料電池システムを動作させる方法であって、
(i) 酸化剤を前記酸化剤入口へと方向付けるステップと、
(ii) 前記第1の燃料を前記第1の燃料入口へと選択的に方向付け、前記第2の燃料を前記第2の燃料入口へと選択的に方向付けるステップと、
(iii) 前記選択的に方向付けられた燃料を、
a. 前記燃焼器板もしくは前記混合器、
b. 前記第2の燃料入口、または、
c. 前記燃焼器板もしくは前記混合器および前記第2の燃料入口
の1つを出た後、前記第2の容積において燃焼させるステップと
を含む方法。
【請求項16】
2つの前記燃料の混合物を前記第2の燃料入口へと送達するために、前記第1の燃料通路を前記第2の燃料通路に連結するための前記連結部の使用を含み、それによって2つの前記燃料の前記混合物は、前記第2の燃料入口を出た後、前記第2の容積において燃焼させられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記燃料電池システムは、第1のモード、第2のモード、第3のモード、および任意選択の第4のモードにおいて選択的に動作可能であり、各々のモードは以下のように特徴付けられる、すなわち、
(i) 前記第1のモードでは、前記第1の燃料を、前記第1の燃料通路を介して前記第1の燃料入口へと方向付け、それによって、前記酸化剤および前記第1の燃料は、前記第1の燃料入口と前記燃焼器板または前記混合器との間で前記第1の容積において合流および混合し、前記第2の燃料は前記第2の燃料入口に供給されない、
(ii) 前記第2のモードでは、前記第1の燃料を、前記第1の燃料通路を介して前記第1の燃料入口へと方向付け、それによって、前記酸化剤および前記第1の燃料は、前記第1の燃料入口と前記燃焼器板または前記混合器との間で前記第1の容積において合流および混合し、前記第2の燃料は前記第2の燃料入口に供給され、それによって、前記酸化剤および前記第2の燃料は前記第2の容積において合流および混合する、
(iii) 前記第3のモードでは、前記第1の燃料を、前記少なくとも1つの連結部を介して前記第2の燃料入口へと方向付け、前記第2の燃料は前記第2の燃料入口へも方向付けられ、それによって、前記第1の燃料および前記第2の燃料は、2つの前記燃料の混合物として前記第2の燃料入口を出るために混合し、
次に、前記酸化剤および前記混合物は、燃焼のために前記第2の容積において合流および混合する、
(iv) 前記任意選択の第4のモードでは、前記第2の燃料が、前記第2の燃料入口へ供給され、前記酸化剤および前記第2の燃料は、燃焼のために前記第2の容積において合流および混合し、前記第1の燃料は、前記第1の燃料入口にも前記第2の燃料入口にも供給されない、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記システムは、前記第1の燃料と前記第2の燃料との両方が前記第2の燃料入口へと方向付けられ、それによって、前記第1の燃料および前記第2の燃料は合流して混合し、次に、前記混合物は、燃焼のために前記第2の容積において前記酸化剤と合流して混合し、前記第1の燃料は、前記第1の容積における前記酸化剤との混合のために、前記第1の燃料入口へも方向付けられる選択可能な第5のモードをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の燃料と前記第2の燃料との前記混合物の比が可変であり、処理装置によって制御される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の燃料入口への前記第1の燃料の流量と前記第2の燃料入口への前記第1の燃料の流量との比が可変であり、処理装置によって制御される、請求項18または19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テールガス燃焼器を伴う燃料電池システムに関し、詳細には、複数の燃料送り装置を伴う燃料電池システムを動作させる燃焼器および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池、燃料電池スタック、燃料電池スタック組立体、および熱交換器システム、構成および方法の教示が、当業者にはよく知られており、具体的には、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16および特許文献17があり、それらは、本明細書において参照によりそれらの全体が組み込まれている。
【0003】
文脈上別段の指示がない限り、「流体」という用語は、液体と気体との両方を包含している。
【0004】
法律、および改善された環境責任の一般的な傾向は、すべての運転における燃料の燃えることまたは燃焼によって生成される排出物を低減することへの関心を高めている。具体的に燃料電池の運転において、家庭で使用されるときに燃料電池ガス加熱器具に適用される欧州規格EN 50465:2008など、排出物のレベルについて最大限度を設定する法律がある。排出物を制御するときに特に重要なことは、一酸化炭素(CO)および亜酸化窒素(NOX)の排出物を削減することである。
【0005】
燃焼器の設計は、燃焼排出物を制御することになるとき、非常に重要なこととなる。空気流、反応物の混合、および火炎の位置などの因子が、燃やされる燃料の化学的組成と共にすべて検討されなければならない。同じ燃焼器で燃焼される燃料の組成における変化は、非常に異なる排出物をもたらす可能性がある。そのため、要求される排出物限度を忠実に守るために、特定の燃料のための燃焼器を設計することがしばしば必要である。それでもなお、燃焼器が様々な燃料によって燃料供給されなければならない状況があり、燃焼の安定性および排出物の制御が、これらのモードの各々において重要である。
【0006】
燃焼器は、熱エネルギーを提供し、燃料電池システムおよびその関連するシステム部品の温度を動作温度まで上昇させるために、燃料電池システムにおいてしばしば使用される。燃料電池システムは、少なくとも1つの燃料電池スタックを典型的には備える。
【0007】
燃料電池システムは、長寿命を考慮して設計される必要があり、すなわち、長年にわたって動作し、しばしば連続的に運転するように設計される必要がある。これは、燃焼器が、いくつかの動作モードにおいて、燃焼器の燃料供給管の中でコークスが形成する傾向を有し得るため、このようなシステムでの使用のための燃焼器の設計を特に重要なものとさせる。具体的には、コークス形成は、天然ガスなどの高発熱量の燃料を送る供給管において発生する可能性がある。
【0008】
本明細書において燃料電池または次いでより好ましくは燃料電池システムに言及される場合、固体酸化物燃料電池(SOFC)またはSOFCシステムに言及しており、より好ましくは、中温固体酸化物燃料電池(IT-SOFC)またはIT-SOFCシステムに言及している。燃料電池システムは少なくとも1つの燃料電池スタックを備え、各々の燃料電池スタックは少なくとも1つの燃料電池を備える。より好ましくは、燃料電池、または燃料電池スタックの燃料電池は、450~650℃の動作温度範囲、より好ましくは、500~610℃の動作温度範囲を有する。
【0009】
固体酸化物燃料電池を利用する場合、燃焼器は低発熱量(LCV)燃料と高発熱量(HCV)燃料との両方によって燃料供給されることが好ましい。これらの用語は、例えば「低位発熱量(「LCV」とも称される)」および「高位発熱量(「HCV」とも称される)」とは区別され、すべての燃料が低位発熱量と高位発熱量との両方を有することは、留意されるべきである。低発熱量(LCV)燃料の例は、高い割合のH2、COと、任意選択で低い割合のCH4とを伴うものである。LCV燃料についてのウォッベ指数は、典型的には18~35MJ/m3の間である。高発熱量(HCV)燃料の例は、メタン、エタンもしくはプロパン、またはそれらの任意の組み合わせから成るものであり、HCV燃料についてのウォッベ指数は、典型的には36~85MJ/m3の間である。天然ガスまたは燃料ガスへの言及は、高発熱量燃料に言及しており、発熱量を低減させるための(つまり、ガスのエネルギー含量を低減させるための)処理が燃料電池スタックの中で行われないことを概して意味する。アノードオフガスへの言及は、低発熱量燃料であり、燃料電池スタックを通過し、オフガスとしてアノードから出力されるなど、燃料電池システムにおいて処理された燃料(つまり、LCV燃料)を意味する。
【0010】
燃料電池スタックは、電気化学反応のために水素リッチHCV燃料を使用する。電気化学反応の結果として、燃料ガスは、水素が水蒸気になることや、一酸化炭素が二酸化炭素になることなど、反応元素の一部が酸化されることを伴って、組成を変化させる。結果として、この処理からのオフガスはLCV燃料である。そのため、HCV燃料がLCV燃料とは区別されることは明らかである。
【0011】
次に、電気化学反応から形成されたLCV燃料が、燃焼器で燃焼させられ得る。しかしながら、HCV燃料の燃焼は、典型的には、燃料電池が動作温度に達するまで、(例えば、起動において)燃料電池システムを最初に加熱するために必要とされる。したがって、起動時に、HCV燃料を燃焼させることが必要である。燃料電池の定常状態の動作の間、大部分がLCVの燃料を燃焼させることが必要である。燃料電池の動作点の状態同士の間での移行の間(つまり、燃料電池の電力出力が変化させられるとき)、燃焼させられる燃料の組成もそれに応じて変化し、定常状態から停止への移行の間も同様に変化する。これらの燃料の各々の燃焼で低排出物を維持するために、異なる構成の燃焼器が必要とされ、HCV燃料の燃焼器は、燃焼の前の酸化剤との大きい度合いの混合を好み、LCV燃料の燃焼器は、燃焼の前の酸化剤との小さい量の混合を好む。さらに、より大きな空気流が、LCV燃料と比較してHCV燃料にとって好ましいとされる。しかしながら、酸化剤流れが燃料電池スタックの温度を制御するために使用されることなど、システムにおける他の要件のため、燃焼制御の目的だけのために燃焼器への空気流を制御することはほとんど不可能である。そのため、記載されている状況では、燃料のうちの一方のために、または、特定の空気流のために設計された燃焼器を利用することが、他方の燃料について好ましくない燃焼をもたらすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第02/35628号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/07582号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/089848号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2005/078843号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/079800号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2006/106334号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2007/085863号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2007/110587号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2008/001119号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2008/003976号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2008/015461号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2008/053213号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2008/104760号パンフレット
【特許文献14】国際公開第2008/132493号パンフレット
【特許文献15】国際公開第2009/090419号パンフレット
【特許文献16】国際公開第2010/020797号パンフレット
【特許文献17】国際公開第2010/061190号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そのため、LCV燃料とHCV燃料との両方を、燃焼を分離することなく、または、複雑なシステムを利用することなく、同時または個別のいずれかで燃焼することができる一方で、低排出物を維持し、燃焼器内のコークス形成の可能性を低減し、変化する空気流に対処する、具体的には、幅広い範囲の空燃比ラムダに対処する燃料電池システムおよび燃焼器を製作することが望ましい。
【0014】
先行技術の装置は、異なるラムダを含め、幅広い動作条件にわたって、火炎の安定性の欠如にも悩まされ得る。また、製品の大きさを縮小するために、コンパクトな火炎を達成することも望ましい。
【0015】
本発明は、先行技術の燃焼器を改善しようと努めている。具体的には、先行技術の問題のうちの少なくとも1つに対処、克服、または軽減しようと努めている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、
(i) 中心軸に沿って延び、第1の端および第2の端を有する中空の長手方向に細長い本体と、
(ii) 前記第1の端と前記第2の端との間に位置付けられる燃焼器壁であって、前記第1の端から前記燃焼器壁までの第1の容積、および、前記燃焼器壁から前記第2の端までの第2の容積を定める燃焼器壁と、
(iii) 前記第1の容積への酸化剤入口であって、それ自体を通る酸化剤流れを提供するための酸化剤入口と、
(iv) 前記燃焼器壁に当接する、または、前記燃焼器壁における開口を通じて前記第1の容積から前記第2の容積へと延びる少なくとも1つの中空の細長い燃焼器であって、
(a) 前記第1の容積への第1の側の開口、および、前記第2の容積への第2の側の開口を有する燃焼器板または混合器、
(b) 第1の燃料を第1の燃料通路から前記第1の容積へと送り込むための前記第1の容積への第1の燃料入口、ならびに、
(c) 第2の燃料を第2の燃料通路から前記第2の容積へと送り込むための前記第2の容積への第2の燃料入口
を備える少なくとも1つの中空の細長い燃焼器と
を備える燃焼器組立体を備え、
第2の燃料入口への第1の燃料と第2の燃料との混合物の送達のために、第1の燃料通路を第2の燃料通路に選択的に連結するための少なくとも1つの連結部をさらに備える燃料電池システムが提供される。
【0017】
本明細書における方法ステップまたは特徴への言及は、このような方法ステップを実施するように適合または構成される本発明のシステムへの言及でもある。
【0018】
第1の端は上流端と称されてもよく、第2の端は下流端と称されてもよい。「上流」および「下流」という用語は、参照されている構成要素の相対位置を反映するように意図されている。具体的には、「上流」および「下流」の使用は、流体流路または処理における構成要素の相対位置を反映し得る。「'特徴X'の上流」(本体の中の特徴の状況において)という文言は、'特徴X'から第1の端の方、つまり、第1の端と'特徴X'との間に位置付けられることを意味し、「'特徴X'の下流」(本体の中の特徴の状況において)という文言は、'特徴X'から第2の端の方、つまり、特徴Xと第2の端との間に位置付けられることを意味する。同様に、第1の側は上流側と称されてもよく、第2の側は下流側と称されてもよい。第1の燃料入口はHCV燃料入口と称されてもよく、第2の燃料入口はLCV燃料入口と称されてもよい。同様に、第1の燃料は、HCV燃料、燃料ガス、または天然ガスと称されてもよく、第2の燃料は、LCV燃料またはアノードオフガスと称されてもよい。
【0019】
少なくとも1つの連結部(例えば、第1の燃料供給部と第2の燃料供給部とを連結するための、第1の燃料通路と第2の燃料通路との間の連結部、または、第1の燃料供給副システムと第2の燃料供給副システムとの間の連結部)の使用は、通常は燃焼器板または混合器の前に導入される第1の燃料を、燃焼器板または混合器の後に導入させるために再方向付けさせる。例えばバイパス配管(2つのそれぞれの供給配管を連結する)といった少なくとも1つの連結部を介しての流れのこのような再方向付けは、燃焼器板または混合器の下流のHCVについての燃焼条件が理想より低くなるため、直観的にはおかしいと感じられる。しかしながら、このようなシステム設計は、システムの幅広い範囲の動作を可能にし、例えば、所望の比率(例えば、第1および第2の燃料の全体の吸入の30%以下または20%以下の小さい比率)において、HCV燃料をシステムに使用させることができ、燃料配管において、特には、第1の燃料入口において、コークス形成の蓄積についての傾向が、はるかにより高くなる。
【0020】
一部の燃焼器では、第1の燃料を再方向付けすることができる柔軟性は、例えば、モード同士の間の移行の間に一時的に使用される場合、燃焼特性を支援することもでき、例えば、火炎の安定性を向上させるために使用できる。
【0021】
好ましくは、燃焼器は、燃焼器組立体の中に一体に形成され得る、または、燃焼器組立体に搭載される交換可能な別体の燃焼器ユニットであり得る。
【0022】
好ましくは、燃焼器は、前記第1の容積から前記本体における開口の外方へ延びる燃焼器ユニットの第1の端を有する少なくとも1つの中空の長手方向に細長い燃焼器ユニットを備え、燃焼器ユニットは、前記第1の容積から前記第2の容積への前記燃焼器壁における開口を通じて、燃焼器ユニットの第2の端へと延びる。システムが、例えば軸方向または旋回の混合器といった混合器を備えるとき、これは、前記燃焼器ユニットの第1の端と前記燃焼器ユニットの第2の端との間に位置付けられ得る。システムが燃焼器板を備える場合、これは、前記燃焼器ユニットの第2の端またはその近くに位置付けられ得る。
【0023】
本明細書における「燃焼器ユニット」への言及は、必要に応じて、交換可能な燃焼器ユニット、または一体の燃焼器への言及である。
【0024】
好ましくは、中空の長手方向に細長い本体は内部空洞を定める。より正確には、本体は、内部容積を定める取り囲まれた形である。中空の長手方向に細長い本体についての形の例には、円筒および管、ならびに多角形を伴う形がある。多角形の断面の例には、四角形(矩形など)、五角形、六角形、七角形、および八角形の断面がある。本体は、前記中心軸に沿って、前記中心軸の周りに延びることができる。
【0025】
先に述べられているように、本体は中心軸に沿って延びる。特定の実施形態では、中心軸は、真っ直ぐな軸以外であり得る。例えば、軸は、湾曲されてもよい、または、段付きとされてもよい。
【0026】
先の定義からわかるように、流体流路が、前記酸化剤入口から、前記第1の容積、および前記第2の容積へと定められる。
【0027】
第1の容積は、第1の端と、燃焼器壁と、本体との間に定められるように見なすことができる。同様に、第2の容積は、燃焼器壁と、第2の端と、本体との間に定められるように見なすことができる。
【0028】
好ましくは、本体は、前記燃焼器壁から前記第2の端へと延びる本体内側表面を備える。好ましくは、前記第2の容積は、前記燃焼器壁と、前記本体内面と、前記第2の端との間に定められる。
【0029】
第2の容積は火炎管とも称されることができ、2つの用語は、本明細書では置き換え可能に使用されている。
【0030】
好ましくは、端壁が前記第1の端に位置付けられる。これは、端壁を通る構成要素の任意選択の経路決定を可能にする。しかしながら、入口は、第1の容積に入るのに難しい場所に位置決めされてもよい。
【0031】
先に述べられているように、ある構成では、少なくとも1つの燃焼器ユニットの第1の端は、第1の容積から本体における開口の外方へ延びる。したがって、少なくとも1つの燃焼器ユニットの第1の端は、本体の第1の端において端壁から延びる必要がない。例えば、少なくとも1つの燃焼器ユニットの第1の端は、本体の側壁から延びてもよい。燃焼器組立体が複数の燃焼器ユニットを備える場合、一部の実施形態において、第1の容積から本体における開口の外方へ延びる部分は、複数の燃焼器ユニットの共用または共通の部品であり得る。
【0032】
好ましくは、システムは、第2の燃料通路への第1の燃料通路の選択的な連結のための三方弁を備える。
【0033】
弁は、第1の燃料入口または第2の燃料入口のいずれかへの第1の燃料の方向付けを有利に可能にする。弁は、必要に応じて、第1の燃料入口または第2の燃料入口への流れを閉じることができる。より好ましくは、弁は、(例えば、可変弁とでき)流れが第1の燃料入口と第2の燃料入口との両方へ方向付けられるように選択的に動作させることができ、それによって、第1の燃料の一部が第1の燃料入口へ供給され、第1の燃料の残りの部分が第2の燃料入口へ供給される。これは、燃焼器組立体が、コークス蓄積などの望ましくない産物を低減するために動作モードを通じて移行する燃焼特性の変化を可能にすることができる。
【0034】
ある構成では、第1の燃料供給副システム(第1の燃料通路)と第2の燃料供給副システム(第2の燃料通路)とがそれぞれ燃料を燃焼器のそれぞれの入口に供給し、バイパス配管が2つの副システムの間で延びる。バイパス配管は、第1の燃料供給副システムに設けられた三方弁から、第2の燃料供給副システムとの結合部へと延びることができ、その結合部は開放した連結であり得る。
【0035】
代替で、第1の燃料供給副システムは結合部(開放した連結)を備えることができ、その結合部は、例えば、分岐のいずれかかまたは両方に設けられている(例えば作動可能な)オン/オフまたは可変の弁といった、二方弁で、燃焼器への第1の燃料供給入口につながる一方の分岐と、第2の燃料供給副システムにつながる他方の分岐とを伴う下流の分岐へと別れる。このような結合部の上流において、HCV燃料の全体の量が少なくとも1つの連結部の上流で選択的に計量され得るように、さらなる可変またはオン/オフの弁が任意選択で設けられてもよい。
【0036】
したがって、三方弁が使用され得るか、または、一部の実施形態では、三方の管の分岐が使用され得、例えば二方弁といった弁が、第1の燃料流を方向付ける同じ効果で使用されてもよい。
【0037】
好ましくは、混合器を備える場合、混合器は、前記第1の容積への第1の側の開口と、前記第2の容積への第2の側の開口とを有する複数の羽根を備える軸方向旋回混合器である。軸方向の旋回混合は、第2の容積へと旋回混合器を通過する流れ(例えば、酸化剤、または第1の燃料と酸化剤との混合)に旋回を与える。これは、燃焼特性を変化させることができる。
【0038】
好ましくは、燃焼器板を備える場合、前記燃焼器板は、前記第1の容積と前記第2の容積との間で延びる複数の通路を備える。複数の小さい通路が複数の小さい火炎を生成し、それによって、燃焼を、燃焼器板の近くの小さい領域に閉じ込める。板は、燃焼器壁またはその近くで第1の容積と第2の容積とを分離する円板と見なすことができる。
【0039】
旋回混合器と燃焼器板とは、燃焼器組立体の中で相互に置き換え可能な代用品である。そのため、複数の通路または羽根に明確に限定されていない場合、例えば、燃焼器組立体の他の特徴が、旋回混合器および燃焼器板の両方と両立できる。そのため、本文書を通じての一方への言及は他方への言及であり得る。
【0040】
好ましくは、第2の燃料入口は、第1の燃料入口より前記燃焼器ユニットの第2の端に近接する。第2の容積における第2の燃料入口の位置決めは、第2の燃料入口から出る燃料が燃焼器板または混合器を通過しないため、空気(つまり、酸化剤)との混合に低下をもたらす。第2の燃料入口を燃焼器ユニットの第2の端に近接して位置決めすることで、燃焼器板もしくは混合器からの燃焼した乱流の空気/燃料の結果生じる混合、および/または、第2の容積において第2の燃料入口から形成される火炎の位置が、燃焼特性を向上させる。
【0041】
好ましくは、システムは、燃料電池スタックをさらに備え、第1の燃料は、燃料電池スタックを通過していない燃料ガスを含む。典型的には、第1の燃料は高発熱量(HCV)燃料を含む。第1の燃料が第2の燃料より高位の発熱量を有する場合、第2の燃料への第1の燃料の選択的な供給によって、混合物に第2の燃料より高位の発熱量を持たせ、したがって第1の燃料は補充ガスである。特定のモードでは、高位発熱ガス、つまり、HCV燃料は、(燃焼器板または混合器の前に)第1の燃料入口に送り込まれるとき、HCV供給管においてコークス形成をより生じさせやすい。それらのモードでは、HCV燃料とLCV燃料との混合を許可し、それを第2の燃料入口へ供給することで、燃料電池システムにおいてHCVをなおも使用しつつ、燃料電池システムの耐用期間にわたってコークス形成の危険性を最小限にすることが可能である。
【0042】
好ましくは、第2の燃料は、燃料電池システムの燃料電池スタックからのアノードオフガスである。このアノードオフガスは、(HCV)燃料が燃料電池スタックを通過し、改質装置を通過し、化学反応を受けた可能性があるため、低発熱燃料を有する。このアノードオフガスは、燃料電池スタック内の化学反応の結果として、HCV燃料より高い湿度を有する。この湿度は、燃料が混合されて第2の燃料入口へと送り込まれるとき、HCV燃料のコークス形成の可能性を低下させることで支援できる。
【0043】
好ましくは、燃料電池システムは、燃料ガス電池のアノード側から前記第2の燃料入口へのアノードオフガスの供給のために、燃料電池スタックのアノードの出口を前記第2の燃料入口に連結するオフガス管システムを備える。第2の燃料通路はオフガス管システムの一部を形成する。オフガス管システム(または第2の燃料供給副システム)は、燃料電池スタックのアノード側の出口を第2の燃料入口と流体連通して設置するための流れ連結部であり、そのため、LCV燃料はオフガス管システムを通過する。オフガス管システムは燃焼器組立体に直接的に連結する必要がない。アノードオフガス管システムは、燃焼器組立体に到達する前に、熱交換器などの様々な構成要素を通過することができる。
【0044】
好ましくは、燃料電池システムは、前記第1の燃料入口への第1の燃料ガスの供給のために、第1の燃料ガス供給源を前記第1の燃料入口に連結する第1のガス管システム(または第1の燃料供給副システム)を備える。第1の燃料通路は第1のガス管システムの一部を形成する。第1のガス管システムは、燃料供給源を燃焼器組立体と流体連通して設置するための流れ連結部を提供する。そのため、HCV燃料は、管システムを通じて燃焼器組立体に供給される。HCV燃料は、改質装置および燃料電池スタックなど、燃料電池システムにおける様々な他の構成要素に供給され得る。第1のガス管システムは、燃料ガスパイプシステムとも称される。
【0045】
管システムが記載されているが、管は、流体、つまり燃料、オフガス、または酸化剤を、2つの位置の間で流体連通させるのに適した任意の形態を取ることができる。
【0046】
好ましくは、第1のガスは、幹線供給ガス、天然ガス、起動燃料、または補充燃料である燃料ガスである。これらの燃料は、すべて高発熱量を有し、そのため、例えば、燃料電池スタックおよびシステムのために熱を生成する高い温度の燃焼のために有利に使用できるといった、先にそれらの燃料と関連付けられた特性を有する。しかしながら、それらの燃料は、特定の状況において、管の詰まりを引き起こし得るコークス形成をもたらす可能性がある(コークス形成を軽減する水蒸気含有でスタックを離れるアノードオフガスと対照的である)。
【0047】
好ましくは、例えばバイパス配管といった連結部は、第1の燃料の前記第1の燃料入口から前記第2の燃料入口への供給を選択的に送達するために、前記第1の燃料通路を前記第2の燃料通路に直接的に連結する。したがって、バイパス配管はオフガス管システムと第1のガス管システムとの間に連結される。バイパス配管は、分岐配管であり得る、または、三方弁などの弁によって連結され得る。バイパス配管の直接的な連結は、バイパス配管が例えば弁を介して動作させられるとき、動作モード同士の間での素早い移行を確実にする。
【0048】
使用中、通路同士の間の連結は選択的に使用でき、つまり、連結またはバイパス配管を通じた第1の燃料の供給が、例えば、バイパス配管の上流または内部の弁を動作させることで、動作可能または制御可能であり得る。
【0049】
好ましくは、複数の羽根が内径と外径とを有する。好ましくは、前記旋回混合器は、前記中心軸に対して垂直な平面と交差する、前記第1の燃料入口と前記第2の燃料入口との間の点に位置付けられ、その垂直な平面は、前記中心軸に対して垂直な平面が前記燃焼器壁と交差する点であり、前記第1の端から最も遠くにある前記中心軸に沿う点である点から、前記複数の羽根の1つの内径以内にある前記中心軸に沿う点と交差する。
【0050】
特定の実施形態では、羽根は、燃焼器壁が羽根または旋回混合器と共に製造されるように、または、個別の燃焼器ユニットの追加なしで燃焼器壁から羽根を形成するために燃焼器壁が切断または機械加工されるように、燃焼器壁の一部として形成される。
【0051】
好ましくは、前記第1の燃料入口は、前記複数の羽根の前記外径の径方向内側に位置決めされる。羽根の径方向内側での第1の燃料入口の位置決めは、第1の燃料入口を通じて提供される燃料が羽根を通じて引き込まれることを支援する。
【0052】
少なくとも1つの燃焼器ユニットが燃焼器壁における開口を通じて延びるため、各々の燃焼器ユニットの第1の端は、周囲または第1の容積の一部を定めると見なすことができる。同様に、各々の燃焼器ユニットの第2の端は、第2の容積の周囲の一部を定めると見なすことができる。したがって、旋回混合器が第1の容積の中でより第1の端の方に位置決めされる場合、第1の容積は縮小され、旋回混合器の第2の側が第2の容積の中でより第2の端の方に位置決めされる場合、第2の容積は縮小される。
【0053】
好ましくは、少なくとも1つの燃焼器ユニットが、より好ましくは燃焼器ユニット内部容積を定める燃焼器ユニット外側本体を備える。したがって、内部容積は第1の容積の中に含まれる(つまり、第1の容積の一部である)。好ましくは、燃焼器ユニット外側本体は少なくとも1つの開口(少なくとも1つの空気入口開口)を定める。好ましくは、流体流路が、前記酸化剤入口から、前記第1の容積、前記燃焼器ユニット内部容積、および前記第2の容積へと定められる(つまり、前記酸化剤入口から、前記第1の容積へと、および、前記第1の容積の前記内部容積を介して前記第2の容積へと定められる)。好ましくは、第1の燃料入口が内部容積の中に位置付けられる。
【0054】
文脈上別段の指示がない限り、本明細書における「少なくとも1つの燃焼器ユニット」への言及は、好ましくは、各々の少なくとも1つの燃焼器ユニットへの言及、および、適切である各々の燃焼器ユニットへの言及である。
【0055】
好ましくは、少なくとも1つの燃焼器ユニットは、前記燃焼器壁における前記開口を通じて、前記第1の容積から前記第2の容積に向けて延びる外側環状部を備え、前記外側環状部は、外径と、内径と、第1の端と、第2の端とを有する。好ましくは、前記外径は、前記燃焼器壁における開口の直径と等しい。
【0056】
好ましくは、少なくとも1つの燃焼器ユニットは、前記燃焼器壁における前記開口を通じて、前記第1の容積から前記第2の容積に向けて延びる内側環状部を備え、前記内側環状部は、外径と、内径と、第1の端と、第2の端とを有する。
【0057】
好ましくは、外側環状部および内側環状部の第1の端は、旋回燃焼器組立体の第1の端に最も近い外側環状部および内側環状部の端である。同様に、外側環状部および内側環状部の第2の端は、好ましくは、旋回燃焼器組立体の第2の端に最も近い外側環状部および内側環状部の端である。
【0058】
より好ましくは、前記外側環状部の第2の端は、中心軸に対して垂直な平面と交差し、その平面は、旋回混合器と旋回燃焼器組立体の第2の端との間で延び、幾何学的な中間点から下流において、複数の羽根の1つの内径と複数の羽根の内径の半分とのそれらを含む間の前記中心軸に沿う点と交差する。
【0059】
より好ましくは、前記外側環状部の第1の端は、中心軸に対して垂直な平面と交差し、その平面は、旋回混合器と旋回燃焼器組立体の第1の端との間で延び、前記外側環状部の第2の端の上流において、複数の羽根の2つの外径以内の位置における点と交差する。
【0060】
特定の実施形態では、外側環状部の一部または全部が燃焼器ユニット外側本体によって形成され得る。
【0061】
より好ましくは、前記内側環状部の第2の端は、中心軸に対して垂直な平面と交差し、その平面は、前記中心軸に沿う位置における点と交差し、旋回混合器と旋回燃焼器組立体の第2の端との間で延び、幾何学的な中間点から下流において、複数の羽根の内径の半分以下の前記中心軸に沿う点と交差する。
【0062】
より好ましくは、前記内側環状部の第1の端(旋回燃焼器組立体の第1の端に最も近い内側環状部の第1の端の一部)は、第1の燃料入口の下流で、内側環状部の第2の端の上流に位置付けられる。
【0063】
好ましくは、前記内側環状部の外径は、前記外側環状部の内径より小さい。より好ましくは、内側環状部が前記外側環状部の径方向で内部に(つまり、径方向内側に)位置決めされる。
【0064】
特定の実施形態では、外側環状部は、壁と一体である点において、燃焼器壁の一部として形成される。このような実施形態では、外側環状部は、本体の第1および/または第2の端に向けてなおも延びることができる。例えば、外側環状部は、燃焼器壁から押し出し、成形、押圧、または形成され得る。同様に、内側環状部は燃焼器壁の一部として形成され得る。
【0065】
好ましくは、複数の羽根は前記外側環状部の中に位置決めされる。より好ましくは、複数の羽根は前記外側環状部と前記内側環状部との間で径方向に延びる。好ましくは、外側環状部の内径は複数の羽根の外径と等しく、内側環状部の外径は複数の羽根の内径と等しい。
【0066】
ある実施形態では、複数の羽根は、単一の環状部によって支持されるように、前記内側環状部または前記外側環状部の1つだけから延びてもよく、このような実施形態では、複数の羽根の外径は外側環状部の内径より小さくてもよく、または、複数の羽根の内径は内側環状部の外径より大きくてもよい。
【0067】
当業者にとって、内側環状部の一部として、外側環状部の一部として、内側および外側の環状部の一部として、または、例えば燃焼器ユニット外側本体の一部としてといった、外側環状部が燃焼器ユニットの一部である外側環状部の一部として羽根を製造することは、明らかとなる。
【0068】
環状部は、複数の羽根より遠くまで第2の容積へと延び得るため、燃焼器の特性に影響を与え得る。
【0069】
2つ以上の燃焼器ユニットがある場合、好ましくは、各々の燃焼器ユニットは、その燃焼器ユニットのための燃焼器壁における開口を通じて延びる内側環状部および外側環状部を有する。
【0070】
好ましくは、第1の燃料入口および第2の燃料入口は、複数の羽根の内径の径方向内側に位置付けられる。
【0071】
好ましくは、第1の燃料入口と第2の燃料入口とは、中心軸と概して平行な軸に沿って並べられる、または、中心軸と概して平行な軸に沿って独立して並べられる。
【0072】
好ましくは、複数の羽根の外径は、複数の羽根の内径の2倍から4倍の間で大きく、より好ましくは約3倍大きい。
【0073】
好ましくは、各々の少なくとも1つの燃焼器ユニットは、(A)前記第1の端に最も近い前記中心軸に沿う点である第1の点であって、前記点において前記中心軸に対して垂直な平面が前記燃焼器ユニット旋回混合器の前記複数の羽根と交差する、第1の点を定め、(B)前記第1の端から最も遠い前記中心軸に沿う点である第2の点であって、前記点において前記中心軸に対して垂直な平面が前記燃焼器ユニット旋回混合器の前記複数の羽根と交差する、第2の点を定め、(C)前記第1の点および前記第2の点から等距離の前記中心軸に沿う幾何学的な中間点を定める。
【0074】
好ましくは、各々の第1の燃料入口は、前記中心軸に対して垂直な平面と交差する、前記酸化剤入口と前記旋回混合器との間の点に位置付けられ、その垂直な平面は、前記第1の点から、前記第1の燃料入口の流れ面積と等価の円の直径の1つ分から2つ分の間の、前記中心軸に沿う点と交差する。
【0075】
好ましくは、各々の第2の燃料入口は、前記中心軸に対して垂直な平面と交差する、前記第1の燃料入口と前記第2の端との間の点に位置付けられ、その垂直な平面は、前記幾何学的な中間点から、前記複数の羽根の前記内径以下である、前記中心軸に沿う点と交差する。
【0076】
このような場所の定義は、記載されている燃焼器の性能の向上のために、第1の燃料入口および第2の燃料入口の場所の定義を可能にする。
【0077】
好ましくは、前記第1の点は、前記第1の端に最も近い前記中心軸に沿う点であり、前記点において前記中心軸に対して垂直な平面が、前記複数の羽根に沿って流れる流体に角運動量を誘導するように適合される前記複数の羽根の区域と交差する(つまり、前記複数の羽根に沿って流れる流体に角運動量を誘導するように適合される点において前記複数の羽根と交差する)。したがって、全体にわたって流れている流体に角運動量を誘導しない区域(例えば、特には前記中心軸と概して平行な軸である軸の周りで径方向に移動しない真っ直ぐな区域を有する羽根)と、湾曲区域とを有する複数の羽根を伴う燃焼器ユニットでは、第1の点は、湾曲区域の開始の場所になると見なされる。
【0078】
本発明の定義内において、前記HCV入口は第2の容積に向かうものであり得る、または、前記LCV入口は第1の容積に向かって位置決めされ得る。このような再位置決めは、燃焼に悪影響がない程度、つまり、旋回燃焼器組立体がその機能にとってもはや効果的ない程度までだけとされ得る。
【0079】
燃焼器壁と第2の端とによって定められる第2の容積は、火炎管と称されてもよい。好ましくは、火炎管は、概して円筒形であり、内径と外径とを有し中心軸の周りに配置される。より好ましくは、火炎管の内径は、複数の羽根の外側直径の2倍から3倍の間である。より好ましくは、火炎管の内径は、複数の羽根の外側直径の2.5倍である。
【0080】
好ましくは、第1の燃料入口および第2の燃料入口の少なくとも一方はノズルである。各々の少なくとも1つのノズルは、前記燃料入口における少なくとも1つの孔によって定められ、少なくとも1つの孔は任意の形であり得る。少なくとも1つの孔の面積の合計は、単一の円の孔の面積と等価の円の直径を有する。少なくとも1つの孔の面積の合計は、例えば、第1の燃料入口の流れ面積、第2の燃料入口の流れ面積、または、第1または第2の燃料入口の流れ面積といった、流れ面積と称されてもよい。
【0081】
このような入口は、前記第1の燃料管または前記第2の燃料管におけるオリフィスであり得る。前記入口は、前記第1の管または前記第2の管の前記第2の端に位置決めされる必要がないが、前記管に沿って位置決めされ得る。前記第1または第2の燃料入口が複数の開口を備える場合、燃料入口の場所は、中心軸に沿っての流れ面積の加重平均の平均であるとして好ましくは定められる。
【0082】
好ましくは、燃焼器組立体は点火装置を備える。好ましくは、点火装置は第2の容積に位置付けられる。より好ましくは、点火装置は、第2の容積から、本体から外方へと延びる。より好ましくは、点火装置の点火端が第2の容積の中に位置決めされる。特定の実施形態では、点火装置は、本体の第2の端を越えて位置決めされる。特定の実施形態では、点火装置は、燃焼器壁を通じて、または、本体の第2の端壁を通じて延びる。
【0083】
文脈上別段の指示がない限り、本明細書における開口への言及は、構成要素における孔、経路、開口、または通り道への言及であり、このような用語は置き換え可能である。各々の開口は、孔、経路、およびスロットから成る群から独立して選択される形を有し得る。各々の開口は、円、楕円、長円、矩形、腎臓形(つまり、腎臓のような形)、および準環状(つまり、ほとんど環状)から成る群から選択される断面の形を有し得る。
【0084】
好ましくは、燃焼器組立体はテールガス燃焼器であり、テールガス燃焼器は、燃料電池スタックからのアノードオフガスおよびカソードオフガスを燃やすのに適する燃焼器である。
【0085】
旋回燃焼器組立体は、燃料電池組立体またはシステムと一体であり、好ましくは、固体酸化物燃料電池システムと一体であり、なおもより好ましくは中温作動固体酸化物燃料電池システムと一体である。
【0086】
好ましくは、酸化剤入口は酸化剤供給源と流体流れで連通している。より好ましくは、酸化剤入口は、少なくとも1つの燃料電池スタックカソードオフガス出口と流体流れで連通している。好ましくは、少なくとも1つの燃焼器ユニットは、少なくとも1つの燃料電池スタックアノードオフガス出口と流体流れで連通している。より好ましくは、少なくとも1つの燃焼器ユニットの第1の燃料入口は、燃料電池システムのための少なくとも1つの燃料供給源と流体流れで連通している。好ましくは、少なくとも1つの燃焼器ユニットの第2の燃料入口は、少なくとも1つの燃料電池スタックアノードオフガス出口と流体流れで連通している。
【0087】
好ましくは、燃料電池システムは固体酸化物燃料電池(SOFC)システムである。より好ましくは、燃料電池システムは中温作動固体酸化物燃料電池(IT-SOFC)システムである。
【0088】
燃焼器組立体は、例えば、管および壁のための金属合金、ならびに、管のためのガラスといった、技術的に知られている材料から形成される。高い温度のため、材料は耐高温性を有していなければならない。
【0089】
本発明により同じく提供されるのは、燃料電池システムを動作させる方法であって、その方法は、
(i) 酸化剤を前記酸化剤入口へと方向付けるステップと、
(ii) 第1の燃料を前記第1の燃料入口へと選択的に方向付け、第2の燃料を前記第2の燃料入口へと選択的に方向付けるステップと、
(iii) 選択的に方向付けられた燃料を、
a. 燃焼器板もしくは混合器、
b. 第2の燃料入口、または、
c. 燃焼器板もしくは混合器および第2の燃料入口
の1つを出た後、前記第2の容積において燃焼させるステップと
を含む。
【0090】
好ましくは、第1の燃料(HCV燃料)が前記第1の燃料入口(HCV燃料入口)に供給されるとき、前記酸化剤と前記HCV燃料流れとは、第1の燃料入口と旋回燃焼器との間において前記第1の容積で合流し、第2の燃料(LCV燃料)が前記第2の燃料入口(LCV燃料入口)に供給されるとき、前記酸化剤と前記LCV燃料流れとは、旋回燃焼器と第2の端との間において前記第2の容積で合流する。
【0091】
好ましくは、例えばバイパス配管といった連結部が、2つの燃料の混合物を第2の燃料入口へと送達するために、第1の燃料通路を第2の燃料通路に連結するために使用され、それによって2つの燃料の混合物は、第2の燃料入口を出た後、前記第2の容積において燃焼させられる。
【0092】
先に詳述されているように、好ましくは、HCV燃料は、メタン、エタンもしくはプロパン、またはそれらの任意の組み合わせから成る燃料である。より好ましくは、HCV燃料は、36~85MJ/m3の間のウォッベ指数を伴う燃料であると見なされる。典型的なHCV燃料は天然ガスであり、天然ガスについてのウォッベ指数は48~54MJ/m3である。
【0093】
好ましくは、LCV燃料は、高い割合のH2、CO、またはCO2を有する燃料である。より好ましくは、LCV燃料についてのウォッベ指数は、典型的には18~35MJ/m3の間であり、より好ましくは22~26.53MJ/m3の間である。
【0094】
好ましくは、燃料電池システムは、第1のモード、第2のモード、第3のモード、および任意選択の第4のモードにおいて選択的に動作可能であり、各々のモードは以下のように特徴付けられる、すなわち、
(i) 第1のモードでは、第1の燃料が、第1の燃料通路を介して前記第1の燃料入口へと供給され、それによって、前記酸化剤および前記第1の燃料は、前記第1の燃料入口と前記燃焼器板または前記混合器との間で前記第1の容積において合流および混合し、第2の燃料は前記第2の燃料入口に供給されない、
(ii) 第2のモードでは、前記第1の燃料が、第1の燃料通路を介して前記第1の燃料入口へと供給され、それによって、前記酸化剤および前記第1の燃料は、前記第1の燃料入口と前記燃焼器板または前記混合器との間で前記第1の容積において合流および混合し、
前記第2の燃料は前記第2の燃料入口に供給され、それによって、前記酸化剤および前記第2の燃料は前記第2の容積において合流および混合する、
(iii) 第3のモードでは、前記第1の燃料が、前記少なくとも1つの連結部を介して前記第2の燃料入口へと供給され、前記第2の燃料は前記第2の燃料入口へも供給され、それによって、前記第1の燃料および前記第2の燃料は、2つの燃料の混合物として第2の燃料入口を出るために混合し、
次に、前記酸化剤および前記混合物は、燃焼のために前記第2の容積において合流および混合する、
(iv) 任意選択の第4のモードでは、前記第2の燃料が、前記第2の燃料入口へ供給され、前記酸化剤および前記第2の燃料は、燃焼のために前記第2の容積において合流および混合し、第1の燃料は、第1の燃料入口にも第2の燃料入口にも供給されない。
【0095】
モードは、起動、暖機、定常状態、および停止などの異なる動作モードに言及することができる。これらのモードの中で、温度の高さは、コークス形成を防止するためのバイパス配管の使用など、異なる要件をもたらす可能性がある。そのため、燃料電池システムは、燃料電池システムによって必要とされるように、異なるモードにおけるバイパス配管の使用の間で行き来することができる。これは、燃焼性能の向上に関して旋回燃焼器組立体の利点を提供し、コークス形成の危険性の低減によりシステムの長寿命も向上させる。
【0096】
第4のモードは定常状態モードであり、理想的にはこのモードが使用され、それによって、燃料ガスが消費されず、つまり、第1の燃料が第1の燃料入口にも第2の燃料入口にも供給されない。しかしながら、燃料ガスのわずかな送り込みが常に使用されることが望ましい一部の燃料電池システムがあり得る。
【0097】
好ましくは、システムは、前記第1の燃料と前記第2の燃料との両方が前記第2の燃料入口へと供給され、それによって、前記第1の燃料および前記第2の燃料は合流して混合し、次に、混合物は、燃焼のために前記第2の容積において前記酸化剤と合流して混合し、第1の燃料は、第1の容積における酸化剤との混合のために、第1の燃料入口へも供給される選択可能な第5のモードをさらに有する。これによって、バイパス配管は様々な量の第1の燃料を第2の燃料入口(延いては、第1の燃料入口)に提供し、それによって、動作モードを変化させるときなど、第1の燃料が移行するモードを可能にする。可変の流れは、例えば、可変弁によって制御され得る。
【0098】
好ましくは、第1の燃料と第2の燃料との混合物の比が可変であり、処理装置によって制御される。これは、流れがあらかじめ決定されるプリセットレベル、または、センサなどからの読み取りのいずれかを可能にし、必要な出力のために必要とされる流れを決定付けることができる。
【0099】
好ましくは、第1の燃料入口への第1の燃料の流量と第2の燃料入口への第1の燃料の流量との比が可変であり、処理装置によって制御される。これは、所望の出力を可能とするために、燃料、延いては燃焼特性を変化させることができる。
【0100】
より好ましくは、2つの比は共通の処理装置によって制御され得る。同様に、燃料および酸化剤のすべての流量は、通常は共通の処理装置である処理装置によって制御され得る。
【0101】
好ましくは、酸化剤は、動作する燃料電池からの空気またはカソードオフガスである(このような酸化剤は、空気と比較してある程度酸素が失われている)。より好ましくは、前記酸化剤は、動作する固体酸化物燃料電池からの、より好ましくは、動作する中温作動固体酸化物燃料電池からのカソードオフガスである。
【0102】
LCV燃料は、HCV燃料など炭化水素燃料の改質によって形成でき、改質処理は、空気または蒸気などの酸化剤による処理を含み得る。LCVは、旋回燃焼器組立体に入る前、燃料電池において電気化学反応を受ける可能性がある。SOFC燃料電池スタックアノードオフガスは、LCV燃料であると見なすことができる。
【0103】
好ましくは、炭化水素燃料の改質が燃料電池システムにおいて行われる。より好ましくは、旋回燃焼器組立体は、燃料電池システムと一体であり、燃料電池システムによって生成されるアノードオフガスを燃やす。
【0104】
好ましくは、HCV燃料および/またはLCV燃料は、点火装置によって第2の容積において点火または燃焼させられる。より好ましくは、点火は複数の羽根の下流で行われる。好ましくは、前記第2の容積で前記燃料を燃焼させるステップは、前記第2の容積において前記燃料を点火および燃焼させることを含む。
【0105】
好ましくは、第1の容積と第2の容積との少なくとも一方は、封止または包囲された容積である。より好ましくは、燃焼器ユニットは、前記本体における開口から外方へ延びるとき、封止を形成する。
【0106】
好ましくは、燃焼されたガスは、第2の容積から本体の第2の端(つまり、下流端)を通じて流れる、または排気される。
【0107】
燃焼器壁が第1の容積を第2の容積から分離するという事実によって、燃料の燃焼は、第2の容積に制限されて行われる。これは、燃焼の前に、旋回燃焼器組立体の特定の部品における異なる燃料の混合の制御を可能にする。これは、具体的には、すべての酸化剤およびHCV燃料が、第1の燃料入口に供給されるとき、火炎管に到達するために複数の羽根を通過しなければならないため、異なる混合の量および異なる混合の激しさを可能にする。
【0108】
複数の羽根を通る流れは、燃焼が閉じ込められる火炎管の前に、流れのさらなる混合をもたらす。
【0109】
酸化剤と燃料との混合の燃焼は、第2の容積で行われ、この燃焼からの生成物は燃焼器組立体から排気される。好ましくは、この処理から生成される熱は、燃料電池スタックおよび燃料電池システムを加熱するために使用される。
【0110】
好ましくは、酸化剤と少なくとも1つのHCV燃料およびLCV燃料との流れは、旋回燃焼器組立体へのガス流の燃料に対する酸化剤の比(ラムダ)が1~20ラムダの間となり、より好ましくは1~18ラムダの間となり、より好ましくは1~10ラムダの間または2~18ラムダの間となるようにされる。より好ましくは、旋回燃焼器が酸化剤とHCV燃料との流れ(LCV燃料なし)を有する場合、旋回燃焼器組立体は5ラムダ未満の燃料に対する酸化剤の比で動作する。
【0111】
ラムダの関連する測定は、燃焼器入口における測定、つまり、酸化剤、HCV、およびLCVの入口における測定である。
【0112】
燃焼器組立体が燃料電池システムと一体であるため、燃焼器組立体への酸化剤流れと、そしてある程度まではLCV流れとが、燃料電池スタックと、燃料電池スタックにおいて引き込まれる電流とによって決定付けられるため、燃焼器組立体が大きなラムダ範囲にわたって動作することができることは有利である。それによって、燃焼器組立体が安定した燃焼を維持する大きなラムダの動作範囲は、(a)酸化剤流れを制限することによって、燃焼器組立体が燃料電池スタック動作を決定付けるのを防止する、ならびに/または、(b)燃焼器組立体へのすべてのカソードオフガスおよびアノードオフガスの流れを可能にする。
【0113】
第1の燃料入口または第2の燃料入口の少なくとも1つのノズルの等価の直径は、それら燃料入口を通るのに必要な速度によって定められ得る。好ましくは、少なくとも1つの燃焼器ユニットの第1の燃料入口を通るHCV燃料の速度は3~6m/sの間である。より好ましくは、少なくとも1つの燃焼器ユニットの第2の燃料入口を通るLCV燃料の速度は10~35m/sの間である。
【0114】
本発明の代替の態様によれば、
(i) 中心軸に沿って延び、第1の端および第2の端を有する中空の長手方向に細長い本体と、
(ii) 前記第1の端における端壁と、
(iii) 前記第1の端と前記第2の端との間に位置付けられる燃焼器壁であって、前記第1の端から前記燃焼器壁までの第1の容積、および、前記燃焼器壁から前記第2の端までの第2の容積を定める燃焼器壁と、
(iv) 前記第1の容積への酸化剤入口と、
(v) 前記第1の容積から前記本体における開口の外方へ延びる燃焼器ユニットの第1の端を有する中空の長手方向に細長い少なくとも1つの燃焼器ユニットであって、前記燃焼器壁における開口を通じて前記第1の容積から前記第2の容積へ延び、燃焼器ユニットの第2の端へと延び、燃焼器ユニット内部容積を定め、
(a) 前記燃焼器ユニットの内側に位置決めされ、前記燃焼器ユニットの第1の端と前記燃焼器ユニットの第2の端との間に位置付けられ軸方向旋回の旋回混合器であって、内径と外径とを有する複数の羽根、前記第1の容積に向けて位置決めされ、前記第1の容積へと開口する第1の側、および、前記第2の容積に向けて位置決めされ、前記第2の容積へと開口する第2の側を備える旋回混合器、
(b) 前記第1の容積への第1の燃料入口であって、前記酸化剤入口と前記旋回混合器との間で、前記複数の羽根の前記外径の径方向内側に位置決めされる第1の燃料入口、ならびに、
(c) 前記燃焼器ユニットの第2の端に近接し、前記複数の羽根の前記外径の径方向内側の、前記第2の容積への第2の燃料入口
を備える少なくとも1つの燃焼器ユニットと
を備え、各々の少なくとも1つの燃焼器ユニットは、
(A) 前記第1の端に最も近い前記中心軸に沿う点である第1の点であって、前記点において前記中心軸に対して垂直な平面が前記燃焼器ユニット旋回混合器の前記複数の羽根と交差する、第1の点を定め、
(B) 前記第1の端から最も遠い前記中心軸に沿う点である第2の点であって、前記点において前記中心軸に対して垂直な平面が前記燃焼器ユニット旋回混合器の前記複数の羽根と交差する、第2の点を定め、
(C) 前記第1の点および前記第2の点から等距離の前記中心軸に沿う幾何学的な中間点を定め、
各々の第1の燃料入口は、前記中心軸に対して垂直な平面と交差する、前記酸化剤入口と前記旋回混合器との間の点に位置付けられ、その垂直な平面は、前記第1の点から、前記第1の燃料入口の流れ面積と等価の円の直径の1つ分から2つ分の間の、前記中心軸に沿う点と交差し、
各々の第2の燃料入口は、前記中心軸に対して垂直な平面と交差する、前記第1の燃料入口と前記第2の端との間の点に位置付けられ、その垂直な平面は、前記幾何学的な中間点から、前記複数の羽根の前記内径以下である、前記中心軸に沿う点と交差する、
旋回燃焼器組立体が提供される。
【0115】
さらなる態様では、先に記載されているような燃料電池システムを動作させる方法であって、その方法は、
(i) 酸化剤を前記酸化剤入口へと供給するステップと、
(ii) 第1の燃料を前記第1の燃料入口に選択的に供給し、第2の燃料を前記第2の燃料入口に選択的に供給するステップであって、前記第1の燃料および前記第2の燃料は異なる発熱量を有する、ステップと、
(iii) 前記旋回混合器または前記第2の燃料入口のいずれかかまたは両方を出た後、前記第2の容積における選択的に供給された燃料を燃焼させるステップと
を含む。
【0116】
構成要素の含有を明示するために本明細書で使用されているような「備える」という用語は、さらなる構成要素が存在しない実施形態も含む。
【0117】
本発明の具体的な好ましい態様が、添付の独立請求項に述べられている。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1】本発明における使用に適する旋回燃焼器組立体の概略的な部分的に切断されている平面図である。
図2図1においてA'と印されている特徴の概略的な詳細図である。
図2A】本発明における使用に適する軸方向燃焼器組立体の概略図である。
図3A図1図2Aの燃焼器組立体を備える、本発明による燃料電池システムの概略図である。
図3B図3Aの燃料電池システムの代替の燃料電池システムの概略図である。
図3C図3Aの燃料電池システムの代替の燃料電池システムの概略図である。
図3D図3Aの燃料電池システムの代替の燃料電池システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
本発明の最良の態様を含む本発明の開示を当業者に十分に可能にさせることが、本明細書の残りの部分においてより具体的に述べられている。ここで、本発明の実施形態が詳細に参照され、その実施形態の1つまたは複数の例が以下に述べられている。各々の例は、本発明の説明を用いて提供されており、本発明の限定ではない。
【0120】
様々な改良および変形が本発明の範囲から逸脱することなく本発明において行われ得ることは、当業者には明らかとなる。例えば、一実施形態の一部として記載されている特徴は、なおもさらなる実施形態を生み出すために、他の実施形態において使用されてもよい。したがって、本発明は、添付の請求項およびそれらの均等の範囲内にあるこのような改良および変形を網羅することが意図されている。
【0121】
本発明の他の目的、特徴、および態様が、本明細書の残りの部分において開示されている。ここでの詳述は、例示の実施形態のみについての記載であり、本発明のより広い態様を限定するとして意図されていないことは、当業者によって理解されるものであり、そのより広い態様は、例示の構成において具現化されている。
【0122】
本明細書で使用されている符号の列記が、本記載の最後に提供されている。本明細書および図面における参照符号の繰り返しの使用は、同じまたは同類の特徴または要素を表すように意図されている。
【0123】
この記載の目的のために、燃焼器、軸方向燃焼器、軸方向燃焼器組立体、旋回燃焼器、テールガス燃焼器、および旋回燃焼器組立体という用語は、本発明の燃焼器組立体に言及するように理解され、適切な場合、容易に置き換え可能である。
【0124】
以下の特定の実施形態において、燃料電池システムは、少なくとも1つの燃料電池スタックを備えるIT-SOFC(中温作動固体酸化物燃料電池)システムであり、その少なくとも1つの燃料電池スタックの燃料電池は、典型的には450~650℃の範囲で動作する。
【0125】
図1を参照すると、旋回燃焼器組立体10が示されている。旋回燃焼器組立体10は、中心軸12'を有する概して円筒形の(つまり、主に円筒形の)旋回燃焼器本体12と、旋回燃焼器本体の上端壁16と、旋回燃焼器本体の下端壁14とを備え、旋回燃焼器本体の下端壁14は旋回燃焼器本体の下流端30を定める。
【0126】
旋回燃焼器組立体10は、その円筒の形を横切って径方向において本体12と交差する燃焼器壁40によって分割されている。燃焼器壁40は、旋回燃焼器本体の下流端30を向く下流面42を有する。燃焼器壁40は、旋回燃焼器本体の上端壁16を向く上流面44も有する。本体の上端壁16と燃焼器壁40との間の本体12の部分は、本明細書では燃焼器管50と称される第1の区域を定める。燃焼器壁40と本体の下端壁14との間の本体12の部分は、概して円筒形であり、本体の内面64と本体の外面66とを有する第2の区域を定める。
【0127】
第1の容積52が、燃焼器壁の上流面44と、旋回燃焼器本体の上端壁16の内面54と、燃焼器管の内面56とによって定められる(つまり、それらの面の間に定められる)。同様に、第2の容積62が、本体の内面64と、旋回燃焼器本体の下端壁14と、燃焼器壁の下流面42とによって定められる(つまり、それらの面の間に定められる)。
【0128】
燃焼器ユニット100が、燃焼器ユニットの第1の端20と燃焼器ユニットの第2の端124とを有する。燃焼器ユニットの第1の端20(上流端)は、旋回燃焼器組立体10から突出し、具体的には、旋回燃焼器本体の上端壁16における開口16'を通じて第1の容積52から突出する。燃焼器ユニットの第2の端124(下流端)は、第1の容積52から、燃焼器壁40における開口40'を通じて、第2の容積62へと突出する。
【0129】
燃焼器壁40および旋回燃焼器本体の上端壁16は、それらを貫く燃焼器ユニット100の通過または配置を可能とするために、それらに定められた開口(それぞれ開口40'および開口16')を有する。これは、旋回燃焼器本体12とは分離した燃焼器ユニット100の製造を可能にする。そのため、組立体は、旋回燃焼器本体の上端壁16における開口16'と、燃焼器壁40における開口40'とを貫く燃焼器ユニット100の配置を必要とするだけである。
【0130】
燃焼器ユニット100の肩部112が、燃焼器壁40に当接し、燃焼器ユニット100が旋回燃焼器本体12および第2の容積62へとさらに進むのを防止する。そのため、燃焼器ユニット100は、旋回燃焼器本体の上端壁16における旋回燃焼器本体12への燃焼器ユニット100の溶接による結合によって、所定位置に拘束される。他の実施形態では、半田付け、ロウ付け、仕付け、または、技術的に知られている他の結合技術を含め、他の結合技術が使用される。これは、第1の容積(第1の容積52)が包囲されるように、燃焼器ユニット100と旋回燃焼器本体の上端壁16との間の封止の作成をもたらす。同様に、肩部112が燃焼器壁40に当接することで、それらの間に封止がもたらされる。
【0131】
単一の燃焼器ユニットが以下に記載されているが、他の実施形態では(図示せず)、旋回燃焼器本体12を貫き(例えば、旋回燃焼器本体の上端壁16を貫き)、第1の容積52を貫き、燃焼器壁40を貫き、第2の容積62へと通る複数の燃焼器ユニット100が使用される。
【0132】
図1に示されているような旋回燃焼器組立体10では、燃焼器ユニット100が、第1の容積52を通過し、燃焼器管の内面56からほとんど等距離に位置決めされる。燃焼器管の内面56の一部は、空気入口70を通り、旋回燃焼器本体12を通り、第1の容積52へと入る空気の送り込みを可能にするための開口を有する。同様に旋回燃焼器本体12を通過するのは、点火装置80が第2の容積62へと突出するのに通る点火装置開口82である。
【0133】
点火装置80および空気入口70の位置決めは、旋回燃焼器本体12の軸を挟んで互いと反対になるように図1に示されているが、空気入口70および点火装置80の位置決めは変えられてもよい。空気は第1の容積52へと送り込まれ、初期の点火が、点火装置80の火花発生により、第2の容積62において行われる。
【0134】
第2の容積62は火炎管を定め、ガスの燃焼が行われることになる。
【0135】
旋回燃焼器本体の排気部が、旋回燃焼器本体の下端壁14に近接して位置決めされており、ガスをそこから排気し、つまり、第2の容積62と流体流れで連通しているが、簡潔性および利便性のため、図1では示されていない。
【0136】
図2を参照すると、旋回燃焼器組立体10および燃焼器ユニット100のより詳細な図が示されている。第1の容積52を通過する燃焼器ユニット100の部分は、ほとんど円筒形であり、旋回燃焼器本体12と同じ円筒の方向に(中心軸12'において)並べられる燃焼器ユニット外側本体110を有する。燃焼器ユニット100は、燃焼器壁40の大まかな方向を向く燃焼器ユニット上内面111を有する。第2の容積62へと燃焼器壁40における開口40'を通過する燃焼器ユニット100の端は、燃焼器ユニットの第2の端124(つまり、燃焼器ユニット下端)である。燃焼器ユニット外側本体110は、壁とされた本体であり、厚さを有する。燃焼器ユニット外側本体110の内面は内面114である。燃焼器ユニット内部容積116が、内面114と、燃焼器ユニット上内面111と、燃焼器ユニットの第2の端124とによって定められる(つまり、それらの間に定められる)。
【0137】
燃焼器ユニット外側本体110は、燃焼器壁40における開口40'を通じて第2の容積62へと突出する。燃焼器ユニット外側本体110が燃焼器壁40を通じて突出する場合、燃焼器ユニット外側本体110は肩部112を有する。肩部112は、燃焼器ユニット外側本体110の前記壁の厚さが縮小されるように、燃焼器ユニットの第1の端20から遠くで段付きとされる(組み立てられた旋回燃焼器組立体10において、肩部112は、燃焼器ユニット100が燃焼器壁40を通じて突出する前に燃焼器壁の下流面42に到達する場所にある)。縮小した厚さの壁を伴う燃焼器ユニット外側本体110の部分は外側環状部140であり、外側環状部140は、同じ内面114を共有し、外側環状部外側面144を有する。外側環状部140は、燃焼器壁40を通じて第2の容積62へと、燃焼器ユニットの第2の端124まで突出する。
【0138】
肩部112は燃焼器壁の下流面42に接して制限され、これは、燃焼器ユニット100が燃焼器壁40における開口および旋回燃焼器本体の上端壁16を通じて位置決めされるとき、肩部112が燃焼器壁の上流面44を通過するのを有利に防止する。旋回燃焼器組立体を組み立てるとき、これは、燃焼器ユニット100が第1の容積52を通じてどれくらい奥で位置決めさせられるべきかの測定の必要性なく、燃焼器ユニット100の旋回燃焼器本体12への簡単な挿入を可能にする。これは、燃焼器ユニット100の位置を定めるための燃焼器ユニット100の機械加工および肩部112の位置決めを可能にし、製造される旋回燃焼器組立体10の数に拘わらず、旋回燃焼器本体12に対する燃焼器ユニット100のより一定の位置決めをもたらす。これは、製造が一定である場合、追加の測定が燃焼器ユニット100を位置決めするために必要とされないため、旋回燃焼器組立体10のより迅速な組立加工ももたらす。
【0139】
燃焼器ユニット外側本体110は、内面114を通じて第1の容積52と燃焼器ユニット内部容積116とに隣接する少なくとも1つの空気入口孔115(この実施形態では、複数の空気入口孔115)を有する。これらの空気入口孔115は、第1の容積52から燃焼器ユニット内部容積116へのガスの通過を可能にする(または、反対の方向においてであるが、旋回燃焼器組立体10の動作はこれを阻止するはずである)。空気入口孔115は形が円筒形であり、外側本体110の円筒形の周囲の周りに配置される。他の実施形態では(図示せず)、空気入口孔115について他の幾何学の形状が可能である。
【0140】
空気入口孔115は別として、第1の容積52は、通常はその内部で燃焼器ユニット内部容積116から封止される。これは、空気入口70からの空気が第2の容積62へと流れる前に空気入口孔115を通じて流れるべきであることを確実にする。
【0141】
燃焼器ユニット外側本体110と平行に延び、燃焼器ユニット外側本体110の内部で径方向に位置決めされるのは、HCV燃料管120である。HCV燃料管120は、燃焼器ユニット100内の燃焼器ユニット上内面111を通じて燃焼器ユニット内部容積116へと突出する。HCV燃料管120は、HCV燃料管内面121とHCV燃料管外面122とによって壁とされた円筒である。HCV燃料管120の下流端はHCV入口125である。
【0142】
HCV燃料管120と平行に延び、HCV燃料管120の内部で径方向に位置決めされるのは、LCV燃料管130である。指部130'がLCV燃料管130から延び、LCV燃料管130をHCV燃料管120の中で中心付ける。LCV燃料管130は、燃焼器ユニット上内面111を通じて突出し、HCV管内部容積123、HCV入口125、および燃焼器ユニットの第2の端124を通過し(燃焼器壁40における開口40'を通過し)、第2の容積62へ入る。LCV燃料管130は、主には、内面131と外面132とによって壁とされた円筒である。LCV燃料管130の下流端はLCV入口135である。
【0143】
HCV管内部容積123が、HCV燃料管内面121と、LCV管外面132と、HCV入口125と、燃焼器ユニットの第1の端20とによって定められる(つまり、それらの間に定められる)。LCV管内部容積133が、LCV管内面131と、LCV入口135と、燃焼器ユニットの第1の端20とによって定められる(つまり、それらの間に定められる)。図では示されていないが、上流方向に続くHCV燃料管120の端は、HCV燃料供給部に連結され、例えば、HCV燃料管120は、燃焼器ユニットの第1の端20に達する前、燃焼器ユニット100に対して垂直な方向から旋回燃焼器組立体10に接近してもよい。同様に、上流方向に続くLCV燃料管130の端は、LCV燃料供給部に連結される。
【0144】
HCV入口125は、燃焼器ユニット内部容積116の中で、燃焼器壁40の上流に位置決めされ、LCV入口135は、第2の容積62に位置決めされ、したがった燃焼器壁40の下流に位置決めされる。HCV入口125は、肩部112を伴う径方向平面にあり、つまり、旋回燃焼器本体12の円筒の軸に対して垂直な平面にある。LCV入口135は、下流方向においてより遠くにあり、つまり、旋回燃焼器本体の下流端30に向かって燃焼器ユニットの第2の端124より遠くにある。
【0145】
LCV燃料管130は、HCV燃料管内部容積123に直接的につながる開口を有していない。つまり、HCV管内部容積123は、燃焼器ユニット内部容積116への開口であるHCV入口125における開口を除いて封止されている。同様に、LCV燃料管130のための旋回燃焼器組立体10内の唯一の開口は、第2の容積62へのLCV入口135における開口であり、つまり、LCV管内部容積133は、LCV入口135を除いて封止されている。先に検討されているように、図示されていないが、上流方向に続くHCV燃料管120の端およびLCV燃料管130の端は、燃料供給部に充当するように連結される。
【0146】
このような封止は、燃料管を通る流れ、または、各々の管の内部容積内の空気の混ざることのないことを確保する。動作中、下流方向に管を通じた流れがあり、これは、流れの圧力による流れがあるとき、燃料または空気の流れが管を逆流する可能性のないことをさらに確保する。
【0147】
HCV燃料入口125の下流、つまり、旋回燃焼器本体の下流端30に向けてさらに遠くで、LCV燃料入口135の上流、つまり、旋回燃焼器本体の下流端30から離れるようにさらに遠くには、旋回混合器150がある。旋回混合器150は、それらを通る流れを方向付けるための羽根155を有する。羽根155は、外側環状部140の内面114から、内側環状部160へと延び、より具体的には内側環状部外面162へと延びる。内側環状部160は、外側環状部140の内側で、LCV燃料管130の外側に位置決めされ、旋回混合器150の中心から、旋回燃焼器本体の下流端30に向かう下流方向に延びる。内側環状部160は、下流方向において燃焼器ユニットの第2の端124より遠くには延びておらず、これは外側環状部140と同じである。LCV燃料管130は内側環状部内面163の間を通る。
【0148】
旋回混合器150は軸方向旋回の旋回混合器である。羽根155は、軸方向の旋回をもたらすように、それら羽根155を通過する流れに影響を与える任意の数の羽根である。軸方向の旋回は、再循環ゾーンが火炎管の中に(つまり、第2の容積62に)作り出されるため、火炎の長さを短縮するのに重要である。
【0149】
外側環状部140および内側環状部160は、第2の容積62への酸化剤および燃料の流れに、ならびに、旋回混合器150によって形成される再循環ゾーンの位置決めに、有利に影響を有する。これは、火炎の長さを縮小するための向上した旋回をもたらし、火炎の源が旋回混合器150に近いが旋回混合器150に露出されないように、火炎の源を制御する。これは、羽根155およびLCV入口135を、直接的な燃焼に曝されることから保護し、それによって、羽根表面または入口表面における孔食などの変形を防止する。
【0150】
図2Aは、図1および図2の旋回燃焼器組立体10の代替の配置を示している。軸方向燃焼器組立体10'である燃焼器組立体が示されている。軸方向燃焼器組立体10'は、旋回混合器150以外は旋回燃焼器組立体10を参照して先に記載されたのと同じ特徴を有する。そのため、同様の参照符号が軸方向燃焼器組立体10'を説明するために使用されており、旋回燃焼器組立体10を参照する記載は軸方向燃焼器組立体10'に当てはまる。
【0151】
軸方向燃焼器組立体10'は、第1の容積52と第2の容積62とを定める燃焼器壁40を有する。LCV燃料管130は、第1の容積52を通過しており、燃料を第1の容積52に導入して酸化剤と混合させることなく燃料を第2の容積62に直接的に導入するために、第2の容積62に位置決めされるLCV入口135に連結される。同様に、酸化剤入口およびHCV入口は、酸化剤およびHCV燃料を第1の容積52へとそれぞれ導入する。
【0152】
燃焼器100は、組立体の中に一体に形成され、第2の容積62を向く第2の端124を有する。燃焼器ユニットの第2の端124には、燃焼器板156が設けられる。燃焼器板156は、燃焼器壁40にわたって位置決めされ、一方の側において第1の容積52を向き、他方の側において第2の容積62を向く。そのため、燃焼器板156は先の実施形態の旋回混合器150に取って代わっている。
【0153】
燃焼器板156は、第1の容積52と第2の容積62との間に燃焼器板の経路または通路157を定める複数の開口157を有する。そのため、第1の容積52において混合する酸化剤および燃料は、複数の燃焼器板通路157を通過し、第2の容積62において燃焼する。
【0154】
複数の燃焼板通路157は、火炎の源を燃焼器ユニット100の第2の端124の非常に近くにさせることができる。
【0155】
図3Aを参照すると、この図は、燃料電池システム800の配管および器具の線図の一部の概略図である。この図は、先に検討された旋回燃焼器組立体10の特徴、または、図2Aを参照して検討された軸方向燃焼器組立体10'などの旋回混合器150のない燃焼器の特徴を任意選択で有するテールガス燃焼器400の流体流れのいくつかの入力および出力を示している。
【0156】
燃料電池スタック405が概略的に示されている。スタックにおける各々の燃料電池は、カソード側60と、アノード側401と、カソード側60とアノード側401との間の電解質層501とを有する。燃料が燃料電池スタック405に提供される。提供される燃料は、燃料ガスまたは天然ガスなどのHCV燃料であり得る。燃料は、燃料電池スタック405に入る前に改質装置を通じて改質され得る。
【0157】
燃料電池スタック405は、すべてのそれぞれの電池について、カソード側60およびアノード側401からの共通の出口を有する。カソード側60からの出口はカソードオフガス管システムDであり、これは、カソード側60とテールガス燃焼器400のカソードオフガス入口83との間にカソードオフガス流体流路Dを提供する。カソードオフガス入口83が、先の図を参照して先に検討されている酸化剤入口70となることが好ましいことに留意されたい。
【0158】
カソードオフガス流体流路Dが、カソード側60とテールガス燃焼器400との間で直接的に連結されることが示されているが、一部の実施形態では、カソードオフガス流体流路Dは、熱交換器などのさらなるシステムを通過してもよい。燃焼器への空気は、カソードオフガス流体流路D以外の供給源から提供されてもよい。例えば、酸化剤入口70とカソードオフガス入口83とは別々であってもよく、空気の異なる供給源を提供してもよい。
【0159】
アノード側401は、アノードオフガス流体流路Bを形成するアノードオフガス管システムBを通じてアノードオフガス入口821と流体連通している。アノードオフガス入口821は、旋回燃焼器組立体10または軸方向燃焼器組立体10'を参照して先に検討されているように、LCV入口135につながるLCV燃料管130への入口である。LCV燃料およびアノードオフガス燃料の用語は置き換え可能である。
【0160】
燃料ガス(つまり、HCV燃料)のための燃料供給源250が設けられる。燃料供給源250は、燃料ガス管システムCである燃料ガス流体流れCを通じて、テールガス燃焼器400における燃料ガス入口805に連結されている。燃料ガス入口805は、旋回燃焼器組立体10および/または軸方向燃焼器組立体10'を参照して先に検討されているように、HCV入口125につながるHCV燃料管120の入口である。HCV燃料、燃料ガス、および天然ガスの用語は置き換え可能である。
【0161】
燃料供給源250は、燃料電池スタック405に燃料を提供するなど、燃料電池システム800の様々な他の部品に提供され得る。これは、図3Aの部分的なシステムに示されていない。
【0162】
燃料ガス管システムCには弁810が設けられている。弁810は、燃料供給源250、燃料ガス管システムC、およびバイパス配管Aと連通している三方弁である。バイパス配管Aは、燃料供給源250とアノードオフガス管システムBとの間に、燃料ガスからアノードオフガスへの流体流路Aを形成する。そのため、バイパス配管Aは、アノードオフガス入口821への燃料ガスの送達を可能にする。
【0163】
そのため、バイパス配管Aとの連結から下流にあるアノードオフガス管システムBの部分(つまり、バイパス配管とオフガス入口821との間の部分)は、燃料ガスおよびアノードオフガスの流れを可能にする。連結のこの部分は、燃料ガスおよびアノードオフガスの流体流路B'であり、そのため、2つの燃料の混合がアノードオフガス配管システムのこの混合部分B'で行われ得る。そのため、バイパス配管Aは、LCV入口135への燃料ガス(つまり、HCV燃料)の送達を可能にする。この送達は、以下で詳細に検討されているように制御される。
【0164】
燃料ガスとアノードオフガスとの混合がアノードオフガス配管システムの混合部分B'において行われるとして記載されているが、混合器が燃料の混合を可能にするために提供されてもよい。混合器は、乱流を助長する管の形態、燃料を含むためのより大きい室の形態、または、燃料の混合をもたらすための他の組み合わせの形態であり得る。
【0165】
テールガス燃焼器805はテールガス燃焼器排気部81を有し、テールガス燃焼器排気部81では、燃焼された燃料、つまり、燃料ガス、アノードオフガス、または、それらのガスの酸化剤との組み合わせが、テールガス燃焼器805から排気される。次に、排気ガスは、CHPシステムなどの燃料電池システムの外部であり得る何かの使用のために、テールガス燃焼器オフガス流体流路Eを通過させられる。
【0166】
先に検討されているように、三方弁810は、燃料流れを、アノードオフガス管システムBと、燃料ガス管システムCと、入口とに送達することができ、したがって、それらに連結されるHCV入口125およびLCV入口135に送達することができる。三方弁810は常に動作しているわけではない。代わりに、三方弁810は、燃料ガス流れを燃料ガス管システムCへ方向付けるために、または、すべての流れをアノードオフガス管システムBへ方向付けるために、動作させられ得る。弁810の動作は、燃料ガスシステム800が、起動、暖機、動作、停止など、どのモードで動作しているか、および、燃料電池システム800、特には燃料電池スタック405が、どの温度で動作しているかに応じて、左右される。
【0167】
ある実施形態では、三方弁810は、流れの一部分をアノードオフガス管システムBへと迂回させるように動作可能であり、それによって、燃料ガス入口805とアノードオフガス入口821との両方への同時の燃料ガスの流れを可能にする。制御装置は、その弁への(可変)流量比を制御することができる。
【0168】
図3A(図3B図3C、および図3D)は、配管および器具の線図(PとID)であり、そのため、これらの図に示されたテールガス燃焼器400への入口が単なる例示であることは、理解されるものであり、例えば、アノードオフガス入口821は、図3Aにおいて側面でテールガス燃焼器に入るように示されている。しかしながら、図2は、LCV燃料管130の場所のため、アノードオフガス入口821を燃焼器組立体10の第1の端に位置決めさせる必要がある。そのため、図3Aは、示されている連結位置を限定せず、どちらかといえば、構成要素がどのように連結されているかを示している。これは、燃料ガス入口およびカソードオフガス入口83に同様に当てはまる。同様に、図3Aのテールガス燃焼器400について使用されている符号は、燃焼器ユニット100、旋回混合器150、または燃焼器板156を示していない。しかしながら、テールガス燃焼器400は、旋回燃焼器組立体10、軸方向燃焼器組立体10'、または、先に検討されたような他の燃焼器組立体であり得る。
【0169】
図3B図3C、および図3Dを参照すると、これらは、図3Aの燃料電池システムに対しての小規模の改良を伴う代替の燃料電池システムの概略図をそれぞれ示している。すべての参照符号は同じ装置および管システムを描写している。図3Bは、三方弁250の上流の二方オン/オフ燃料供給弁を示しているだけであり、他は図3Aの設計と同じであるが、配置が異なるように描写されている。図3Cおよび図3Dは、管システムAおよびCが一体に連結されている図3Aの三方弁250を、管システムAおよびCの各々においてそれぞれ1つの二方オン/オフ弁812で置き換えているだけであり、管システムAおよびCは、上流において、永久的に開放している結合連結部で合流する。図3Dは、開放した結合部連結の上流において、二方オン/オフ燃料供給弁を追加的に有する。
【0170】
記載されている管システムは、流体の移送、具体的には、燃料、空気、酸化剤、およびオフガスの移送に適する任意の形態であり得る。管システムは、管状の管、柔軟な管などの形態であり得る。管システムは、高い温度の流れを含め、温度変動に耐える必要があり得る。
【0171】
燃料電池システムでは、テールガス燃焼器は、4つの主な動作モードを有する。
【0172】
1) 暖機、非改質:
燃料電池システムが冷えている場合、動作状態に達する前にスタックを加熱することが必要である。この初期の局面は、燃料電池スタック出口の温度を、275℃より高くまで、より好ましくは300℃より高くまで上昇させる。燃料は、ガス状であり得る、または、蒸発させられ得るが、このモードでは、燃焼器へと直接的に送り込まれるHCV燃料(だけ)である。
【0173】
図1図2、および図2Aの燃焼器組立体10または10'と、図3Aの燃料電池システム800とを考えると、このモードでは、HCV燃料(燃料ガス)は、燃焼器ユニット100のHCV燃料管120を通じて燃焼器へと送り込まれる。そのため、三方弁810は、燃料供給源250からのHCV燃料のすべてを、燃料ガス管システムCを介して燃料ガス入口805へと方向付ける。HCV燃料は、HCV入口125においてHCV燃料管120を出る。この動作と同時に、空気が空気入口70を通じて第1の容積52へと送り込まれ、これは、好ましくは、カソードオフガス管システムDを介したカソードオフガスである。この容積の内部の空気は、空気入口孔115を通過して燃焼器ユニット内部容積116へと入り、燃焼器本体の下流端30に向けて下流方向に流れる。
【0174】
旋回混合器150または燃焼器板156に到達する前、つまり、旋回混合器150または燃焼器板156の上流で、HCV燃料と空気とは、燃焼器本体12に入ってから初めて互いに曝される。HCV燃料と空気との初期の予混合が起こるのはここである。HCV燃料と空気との混合物は、旋回混合器150または燃焼器板156を通過する。HCV燃料と空気との間の最大の度合いの混合は、旋回混合器150を通り、第2の容積62へ入るそのときに行われる。旋回混合器150のすぐ下流のこの領域が混合ゾーンである。HCV燃料の空気との最大の度合いの混合は、完全な燃焼を可能にし、COおよびNOXなどの望ましくない排出物の量を低減するために、重要である。
【0175】
「空気」という用語が使用されているが、「酸化剤」は、技術的に使用されている他の用語と共に、酸素運搬媒体を記載するための共通に使用される用語でもある。そのため、空気と酸化剤とは、本明細書の目的について置き換え可能である。
【0176】
そのため、HCV燃料と空気との混合物が点火装置80を介して点火される。旋回混合器150は、第2の容積62の中に逆流領域または再循環ゾーンをもたらす軸方向旋回装置である。再循環ゾーンは、燃焼ゾーンだけでなく混合ゾーンにも影響を与えるようになっている。これはいくつかの利点を有し、HCV燃料の混合の理想的な燃焼は、混合が最も激しくなるため、このゾーンで行われるべきであるし、また、この逆流は火炎の長さを短縮する効果を有する。再循環ゾーンの結果として、火炎の源は旋回混合器150のすぐ下流である。同様に、燃焼器板156は、燃焼器板156の近くのより小さい領域に火炎を閉じ込める効果を有する。これは、より短い長さの増加した数の火炎をもたらす複数の燃焼器板通路157のためである。
【0177】
この動作モードの間、空気流量は、数ある測定の中で、燃焼器への入口温度を測定する制御システムによって制御される。HCV燃料の流れは、燃焼器下流端における温度に応じてHCV燃料の流量を変化させる比例制御弁を用いて、制御システムによって制御される。このモードにおいて燃焼器を通る空気流量は、70~116SLMで変化することができる。HCV燃料の流量は、0.8~6SLMの間になると考えられる。ここで、空気-燃料の等量比(ラムダ)は4以下である。
【0178】
入口における孔の大きさと共に、HCV燃料入口125の配置および位置決めの変化は、記載されている限度を超える異なる排出物を生成するなど、燃焼器の燃焼および機能に影響する可能性がある。
【0179】
2) 暖機、改質、温まったテールガス燃焼器の場合。
旋回燃焼器組立体10または軸方向燃焼器組立体10'についての動作の第2のモードは、275℃より高く、より好ましくは300℃より高い燃料電池スタック温度において行われる。このモードは、燃料を、直接的に送り込まれるHCV燃料から、燃料電池スタック405からのLCV燃料へと移行させる。つまり、LCV燃料は、燃料電池の反応からの改質ガスまたはアノードオフガスであり得る。
【0180】
LCV燃料(アノードオフガス)が、LCV燃料管130を通じてテールガス燃焼器400へと送り込まれる。図3A図3Dに示されているように、アノードオフガスは、燃料電池スタック405のアノード側401から、アノードオフガス管システムBを通じて、アノードオフガス入口821へと供給される。このLCV燃料管130は、旋回混合器150の内径の中心、または、燃焼器板156の内部領域を通過して、第2の容積62に入る。LCV燃料がLCV入口135を通じて第2の容積62へと送り込まれるのは、この時点においてのみである。注目すべきは、これはHCV燃料の火炎の源の下流である。
【0181】
LCV燃料が旋回混合器150を通過しないため、第2の容積62において空気とのより激しさのない混合領域があり、HCV燃料と比較したとき、燃焼の前に空気との少量の混合しか行われない。同様に、LCV燃料が燃焼器板156を通過しないため、燃焼の前に酸化剤との少量の混合があるだけである。しかしながら、COおよびNOXのより少ない排出物をもたらすためには、組成が燃焼前の高い度合いの混合を好まないため、LCV燃料にとってこれは好ましいとされる。
【0182】
燃焼はLCV燃料入口135の下流で行われる。旋回混合器150の補足的な効果があり、LCV燃料の燃焼は、典型的にはより長い火炎をもたらし、つまり、HCV火炎より大きい長さをもたらし、これは、部分的には、より激しさのない燃焼およびより大きな体積流量のためであり、旋回混合器150からの逆流領域がLCV燃料火炎の火炎長さを短縮する。火炎長さにおけるこのような短縮は、空間節約にとって有用であり、より短くてよりコンパクトな旋回燃焼器本体12を可能にするが、旋回燃焼器組立体10の下流端に向けて、またはさらには旋回燃焼器組立体10の下流端を越えて(つまり、本体の下端壁14の下流で)、機器を保護するためにも有用である。
【0183】
暖機、改質、高温のテールガス燃焼器の場合。
スタックの温度が550℃に向けて増加し、500℃~550℃の範囲にあるとき、この動作モードの下位のモードが行われる。
【0184】
HCV燃料(燃料ガス)は、燃焼器ユニット100のLCV燃料管130を通じて燃焼器へと再方向付けられ、送り込まれる。そのため、三方弁810または二方弁812は、HCV燃料のすべてを、燃料供給源250から、燃料供給源250をアノードオフガス管システムBに連結するバイパス配管Aを介して、アノードオフガス入口821へ方向付けるために動かされる。したがって、LCV燃料およびHCV燃料は、LCV燃料管130を通じて旋回燃焼器組立体10へと送り込まれる。アノードオフガスは、燃料電池スタック405のアノード側401から、アノードオフガス管システムBを通じて、アノードオフガス入口821へと供給される。このLCV燃料管130は、旋回混合器150の内径の中心を通過して、第2の容積62に入る。HCV燃料およびLCV燃料がLCV入口135を通じて第2の容積62へと送り込まれるのは、この時点においてのみである。
【0185】
そのため、HCV燃料およびLCV燃料は、アノードオフガス管システムB'の混合部分において合流し、燃料の混合は、この領域において、LCV管130を通じて行われる。HCV燃料とLCV燃料との混合物が旋回混合器150を通過しないため、第2の容積62において空気とのより激しさのない混合領域があり、燃焼の前に空気との少量の混合しかない。しかしながら、この下位モードにおける高い温度のため、HCV燃料がHCV燃料入口125へと送り込まれる場合、コークス形成の傾向があり、一方、LCV燃料とHCV燃料との混合物をLCV入口135へと送り込むことは、コークス形成の可能性を低減し(水素がLCV燃料に存在するため)、そのためHCV燃料配管の詰まりの傾向を低減する。
【0186】
そのため、バイパス配管Aの提供は、システムがどのように動作させられるかに関してより大きな柔軟性を可能にし、それによってシステム性能(例えば、応答時間)を向上させ、HCV燃料およびLCV燃料の混合のこの下位モードにおける連続使用は、全体の燃料の流れが増加させられるため、このモードにおける暖機時間を向上させることができる。
【0187】
システムが暖機の最終段階にあるとき、定常状態の動作の間より多くの燃料を流すことが必要であることを説明するために、燃料電池は定常状態における燃料以上の燃料を消費するが、より小さい出力を生成し、燃料電池への熱入力は、燃料電池の温度を上昇させるためにより高くなる。より多くのLCV燃料を提供することが可能であるが、より大きな流量およびより大きなシステム構成要素が必要とされるため、最も素早い暖機にとって最適な選択ではない可能性があり、例えば、改質装置は、同じ暖機時間を達成するためにLCVだけが供給される場合、より大きくなる必要があり得る。さらに、暖機は、スタック自体の中の改質の吸熱反応により、燃料電池への燃料の流れの増加のため、遅くされる可能性がある。
【0188】
燃料電池スタックの温度が550℃に向けて増加するとき、制御システムは、HCVの流れを選択的に減少させることで、HCV燃料およびLCV燃料の混合動作は、燃料電池が電気化学反応を始めるとき、LCV燃料だけの動作へと移動する。
【0189】
3) 定常状態、全出力。
第3の動作モードでは、燃料電池スタックは典型的には約550℃である(個々の燃料電池および個々の燃料電池構成要素の正確な温度は変化し、燃料電池スタックの燃料電池は、約500~610℃の範囲で動作する)。これは主にLCV燃料の状況である。このモードでは、LCV燃料は、LCV管130を通じて燃焼器へと送り込まれ続ける。しかしながら、LCV燃料の流量は、ここで燃料電池スタックによって決定され、燃料電池システムによって必要とされる電気出力である。
【0190】
定常状態、低出力
この下位モードの動作の間に燃料電池システムを通る空気流は、燃料電池スタックの温度によって制御される。燃焼器の出口温度が監視され、出口温度が特定の閾値より低くなる場合、燃料電池スタックの温度を維持または増加させるシステムの温度を増加させるために、追加のHCV燃料が追加される。
【0191】
追加のHCV燃料が必要とされる場合、これもまた、燃焼器ユニット100のLCV燃料管130を通じて燃焼器へと送り込まれる。そのため、三方弁810または二方弁812は、HCV燃料のすべてを、燃料供給源250から、燃料供給源250をアノードオフガス管システムBに連結するバイパス配管Aを介して、アノードオフガス入口821へ方向付けるために動かされる。燃料の混合は、アノードオフガス管B'とLCV管130との混合部分において行われる。
【0192】
この低出力の下位モードは、より高い動作温度のため、HCV燃料がHCV入口125へと送り込まれる場合、コークス形成の傾向があり得る下位モードである。コークス形成が起こる傾向は、一部ではHCV燃料と混合されるときにコークスの低減を支援するLCV燃料の湿気のため、HCV燃料とLCV燃料とが混合して部分的にLCV入口135を通じて供給されることを低下させる。HCV燃料とLCV燃料とを送り込むことは、燃料電池スタック405への流れである蒸気改質で水が使用されるため、改質水の使用も向上させることができる。HCV燃料とLCV燃料とを送り込むことは、全体の燃料の流れが増加させられ得るため、燃料電池スタック405をより高温にさせることができる、または、システムをより効率的に動作させることができる。
【0193】
したがって、バイパス配管Aの提供は、システムがどのように動作させられるかに関してより大きな柔軟性をここでも可能とし、それによってシステム性能を向上させる。
【0194】
4) 停止
第4の動作モードでは、LCV燃料の流れは、燃料電池スタックが約450℃に到達するまで燃料電池スタックおよび燃料電池システムの温度を低下させるために、低減させられ、燃料電池システムへのHCV燃料の流れは停止させられ、これはさらに、LCV燃料入口135を通るLCV燃料の流れを停止させ、燃焼が止まる。次に、燃料電池システムは自然に冷却するようにそのままとされる。
【0195】
以下のTable 1(表1)は、本発明が4つの主要な動作モードにおいてシステムの動作をどのように向上させたかをまとめており、具体的には、HCV燃料をテールガス燃焼器の旋回後混合器(または燃焼器板の後)へと流すことは有利であり、そのため、炭素形成についての傾向を最小限にする。旋回前または旋回後の混合器によって、送り込みは、問題になっている燃料がテールガス燃焼器にどこで入るか(つまり、軸方向燃焼器組立体における旋回羽根または燃焼器板の前または後)が意味される。
【0196】
「高温TGB」は、典型的には、テールガス燃焼器への空気供給/カソードオフガス(流れD)が500~550℃を上回る場合であり、「暖かいTGB」は、典型的には、テールガス燃焼器への空気入口が500~550℃を下回る場合である。モード同士の間の移行は漸進的とでき、そのため、旋回混合器の前から後への(燃焼器板の前から後への)HCV燃料の漸進的な移行を有することは有益であり得る。
【0197】
【表1】
【0198】
燃料電池システムおよび旋回燃焼器組立体の全体の設計および動作は、単一のモードおよび混合したモードにおいて様々な燃料によって燃料供給されるときにより低い排出物をもたらし、大きなラムダ範囲にわたる動作と共にコークス形成の低下をもたらし、コンパクトな設計を可能にする小さい火炎長さを有することをもたらす。
【0199】
本発明は上記の実施形態のみに限定されず、他の実施形態が、添付の請求項の範囲から逸脱することなく、当業者には容易に明らかとなる。
【符号の説明】
【0200】
10 旋回燃焼器組立体
10' 軸方向燃焼器組立体
12 旋回/軸方向燃焼器本体
12' 中心軸
14 旋回/軸方向燃焼器本体の下端壁
15 旋回/軸方向燃焼器本体の排気部
16 旋回/軸方向燃焼器本体の上端壁
20 燃焼器ユニットの第1の端
30 旋回/軸方向燃焼器本体の下流端
40 燃焼器壁
42 燃焼器壁の下流面
44 燃焼器壁の上流面
50 燃焼器管
52 第1の容積
54 内面
56 燃焼器管の内面
60 カソード側
62 第2の容積
64 本体内面
66 本体外面
70 空気入口
80 点火装置
81 テールガス燃焼器の排気部
82 点火装置開口
83 カソードオフガス入口(酸化剤入口)
100 燃焼器ユニット/燃焼器
110 燃焼器ユニット外側本体
111 燃焼器ユニット上内面
112 肩部
114 内面
115 空気入口孔
116 燃焼器ユニット内部容積
120 HCV燃料管
121 HCV燃料管内面
122 HCV燃料管外面
123 HCV管内部容積
124 燃焼器ユニットの第2の端
125 HCV入口
130 LCV燃料管
130' 指部
131 LCV燃料管内面
132 LCV燃料管外面
133 LCV管内部容積
135 LCV入口
140 外側環状部
144 外側環状部外面
150 旋回混合器
155 羽根
156 燃焼器板
157 燃焼器板通路
160 内側環状部
162 内側環状部外面
163 内側環状部内面
250 燃料供給源
400 旋回燃焼器組立体/テールガス燃焼器
401 アノード側
405 燃料電池スタック
501 電解質層
800 燃料電池システム
805 燃料ガス(HCV燃料)入口
810 三方弁
812 二方弁
821 アノードオフガス入口
A 燃料ガスからアノードオフガスへの流体流路-バイパス配管
B アノードオフガス流体流路-アノードオフガス管システム
B' 燃料ガスおよびアノードオフガスの流体流路-アノードオフガス管システムの混合部分
C 燃料ガス流体流路-燃料ガス管システム
D カソードオフガス流体流路-カソードオフガス管システム
E テールガス燃焼器オフガス流体流路
図1
図2
図2A
図3A
図3B
図3C
図3D
【国際調査報告】