(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】遮光ネット
(51)【国際特許分類】
D03D 15/46 20210101AFI20221220BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20221220BHJP
D03D 19/00 20060101ALI20221220BHJP
D03D 15/283 20210101ALI20221220BHJP
D03D 15/54 20210101ALI20221220BHJP
【FI】
D03D15/46
D03D1/00 Z
D03D19/00
D03D15/283
D03D15/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523705
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 KR2020009230
(87)【国際公開番号】W WO2021080125
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】10-2019-0132429
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522160701
【氏名又は名称】ユン,ヒョ サン
【氏名又は名称原語表記】YUN, Hyo Sang
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヒョ サン
【テーマコード(参考)】
4L048
【Fターム(参考)】
4L048AA15
4L048AA56
4L048AB10
4L048AB28
4L048AC01
4L048BA08
4L048CA00
4L048CA15
4L048DA28
4L048DA29
(57)【要約】
本発明は、遮光ネットに関し、製織が容易で、生産性を向上させることができ、巻取強度が高くて、巻取装置などによって巻取が可能であり、多様な色の表現が可能で、遮光量の調節及びデザイン的審美感を高めることができる。このために、経糸はPEモノフィラメントからなり、緯糸はPEフィルムからなり、二つの経糸がそれぞれの緯糸を包む絡み織(Leno weave)形態に繰り返し的に製織されて完成される遮光ネットを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光ネットにおいて、
経糸はPEモノフィラメントであり、緯糸は巻取強度、遮光量の調節及び透過される光を分散させるために、1枚のPEフィルムを幅方向に2重または3重に折り畳むか、2枚のPEフィルムを積載した後、幅方向に4重または6重に折り畳んでなり、二つの経糸がそれぞれの緯糸を包む絡み織(Leno weave)形態に繰り返し的に製織されて完成される、ことを特徴とする遮光ネット。
【請求項2】
前記二つの経糸は緯糸を包みながら交差するように製織されるか、交差後、それぞれの経糸を1回または2回撚る、ことを特徴とする請求項1に記載の遮光ネット。
【請求項3】
前記緯糸に適用されるPEフィルムの幅は、2~5mmであり、
前記経糸に適用されるPEモノフィラメントは、UVカット剤が混合されたPE材質である、ことを特徴とする請求項1に記載の遮光ネット。
【請求項4】
前記緯糸の製織密度は、7~15/inであり、
前記経糸の製織密度は、2~5/inである、ことを特徴とする請求項1に記載の遮光ネット。
【請求項5】
前記緯糸は色を発現する顔料が含まれたPEフィルムを利用する、ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の遮光ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光ネットに関するもので、製織が容易で、生産性を向上させることができ、巻取強度が高くて、巻取装置などによって巻取が可能であり、多様な色の表現が可能で、遮光量の調節及びデザイン的審美感を高めることができる。
【背景技術】
【0002】
一般的に、遮光ネットは太陽光を遮断する機能を有しているが、設置施設に加えられる荷重を最小化する必要がある。
【0003】
そこで、フィルム形態の原糸を利用してモノフィラメントなどで編んで製織する。
【0004】
このような遮光ネットは、大韓民国公開実用新案第85-6916号公報(遮光ネット、1985.10.04公開)において、多数本のフィルム糸1、1a、1b、1c…をモノフィラメント糸2、2a、2b、2c、…で結び目を形成して交織する際において、一フィルム糸1を一モノフィラメント糸2とその次の行のモノフィラメント糸2cとの間にかけて編んで、相互隣接する二つのフィルム糸1、1aが互いに半分ずつ重なった状態で、4本のモノフィラメント糸2、2a、2b、2cによって交織されるように製織したものを加熱圧着する技術を提案している。
【0005】
また、大韓民国公開特許第10-2002-0025298号公報(農業資材用遮光ネット、2002年04月04日公開)は、多数本のフィルム糸2、2a、2b、2cとモノフィラメント糸1、1a、1b、1cで編織して、日差しを遮断するための遮光ネット4において、フィルム糸2の一端をモノフィラメント糸1と合わせて、既形成されたループ3aの後方に送ってループ3を形成し、モノフィラメント糸1とフィルム糸2は分離されて、モノフィラメント糸1は供給される他のフィルム糸2aと合わせて、既形成されたループ3の次に他のループ3bを形成し、フィルム糸2aは次のコースに移動して、他のモノフィラメント糸1aと合わせられて他のループ3`を形成した後、コースを移動したフィルム糸2は先にループ3を形成した位置に移動して、モノフィラメント糸1と合わせられてループ3`を形成することを繰り返して編織する技術を提案している。
【0006】
また、大韓民国登録特許第10-1868279号公報(遮光効率が向上された遮光ネットの製造方法、2018年06月08日登録)は、第1経路乃至第9経路で形成された基準糸供給経路と、前記第1経路から前記第9経路方向に向ける編糸供給経路を一つの経路ユニットとして有する経編機を利用した遮光膜製造方法において、第1時間の間、第1経路から第3経路方向に第1基準糸が形成されるようにし、第3経路から第5経路方向に第2基準糸が形成されるようにし、第5経路から第7経路方向に第3基準糸が形成されるようにし、第7経路から第9経路方向に第4基準糸が形成されるようにする第1ステップと、前記第1時間の間、前記第1基準糸に対応して前記編糸が前記第1経路の基準糸と第3経路の基準糸に順次結束されるようにする第2ステップと、前記第1時間以後に、所定時間が経過する間に前記第3経路について前記基準糸供給経路方向に前記第1基準糸乃至第4基準糸を拡張する第3ステップと、前記所定時間経過後に、第2時間の間、第1基準糸乃至第4基準糸がそれぞれ初期経路に復帰するようにする第4ステップと、前記第2時間の間、前記第4基準糸に対応して前記編糸が前記第9経路の基準糸と第7経路の基準糸に順次結束されるようにする第5ステップと、前記第1ステップ乃至第5ステップを順次繰り返す第6ステップと、を含んで完成される技術を提案している。
【0007】
しかしながら、前記のような従来の遮光ネットは、大部分フィルム形態の緯糸を合糸またはモノフィラメントを利用して複合的に編んで製造するようになるが、その製織方法が複雑で、生産性が低下されることはもちろん、強度も低くて外部衝撃によって破損される事態が頻繁に発生する。
【0008】
それにより、遮光ネットの寿命が低く、ビニールハウスのような施設物に適用するときに、外部環境によって遮光ネットの取り外し及び取り付け時に巻取する方法を適用しにくいという問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような問題点を解決するために、製織が容易で、生産性が向上された遮光ネットを提供することを本発明の目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、巻取強度を高めて、施設に設置された大規模の遮光ネットの取り付け及び取り外しの時に、巻取装置などを利用してより容易に作業することができるようにする遮光ネットを提供することにある。
【0011】
本発明のまた他の目的は、遮光量を選択的に制御することができ、多様な色を具現することにより、デザイン的審美感を増大することができる遮光ネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的を達するための遮光ネットにおいて、経糸はPEモノフィラメントからなり、緯糸はPEフィルムからなり、二つの経糸がそれぞれの緯糸を包む絡み織(Leno weave)形態に繰り返し的に製織されて完成されることを特徴とする遮光ネットを提供することにより、巻取強度などを高めることができる。
【0013】
また、前記二つの経糸は緯糸を包みながら交差するように製織されるか、交差後にそれぞれの経糸が1回または2回撚られ、前記緯糸に適用されるPEフィルムの幅は2~5mmであり、前記経糸に適用されるPEモノフィラメントはUVカット剤が混合されたPE材質であることを特徴とする。
【0014】
また、最適な製織のために、緯糸の製織密度は7~15/inで、経糸の製織密度は2~5/inであり、前記緯糸は1枚または2枚のPEフィルムを適用し、前記PEフィルムは巻取強度及び遮光量を調節するために、1枚のPEフィルムを幅方向に2重または3重に折り畳むか、2枚のPEフィルムを積載した後、幅方向に4重または6重に折り畳んで製織するようになる。
【0015】
また、デザイン的な審美感を向上及び遮光量を調節するために、前記緯糸は色を発現する顔料が含まれたPEフィルムを利用することを特徴とする遮光ネットを提供することにより、本発明の目的をより効果的に達することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明で遮光ネットを提供することにより、製織が容易で、生産性が向上され、巻取強度を高めて施設に設置された大規模の遮光ネットの取り付け及び取り外しの時に、巻取装置などを利用してより容易に作業することができ、遮光量を選択的に制御することができ、多様な色を具現することにより、デザイン的審美感を増大することができる遮光ネットを提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る製織構造を示すための構造図である。
【
図2】本発明に係る製織構造を示すための側面斜視図である。
【
図3】本発明に係る他の実施例を示すための構造図である。
【
図4】本発明に係るまた他の実施例を示すための構造図である。
【
図5】本発明に係るまた他の実施例を示すための側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る製織構造を示すための構造図であり、
図2は、本発明に係る製織構造を示すための側面斜視図である。
【0020】
以下、
図1及び
図2を参照して本発明の遮光ネットを詳しく説明すると、PE(Polyethylene)モノフィラメントからなる二つの経糸とPE(Polyethylene)フィルムからなる緯糸を絡み織(Leno weave)形態に製織した遮光ネットを提供する。
【0021】
より詳しくは、PEモノフィラメントからなる二つの経糸がそれぞれの緯糸を包む絡み織(Leno weave)形態に繰り返し的に製織されて遮光ネット生地が作られ、このように製織されて完成される生地を利用して本発明の遮光ネットを提供する。
【0022】
ここで、前記のように絡み織で遮光ネットを製織することは、生産性の向上、及びビニールハウスのような施設に遮光ネットを設置した後、施設物の温度を調節するために、遮光ネットの取り外し及び取り付けのような作業をするとき、遮光ネットが破損されることを防止するための巻取強度を増加させるためである。
【0023】
また、遮光ネットによって遮光される光量を選択的に適用することができるようにする。
【0024】
より詳しく説明すれば、従来の遮光ネットは、大部分フィルム形態の緯糸を合糸またはモノフィラメントを利用して複合的に編んで製造するが、その製織方法が複雑で、生産性が低下されるとともに、強度も低くて、外部衝撃によって破損される事態が頻繁に発生する。
【0025】
それにより、遮光ネットの寿命が低いことは勿論、ビニールハウスのような施設物に適用するときに、外部環境によって遮光ネットの取り外し及び取り付けの時に巻取する方法を適用しにくいという問題が発生する。
【0026】
これを解決するために、PEモノフィラメント材質の経糸とPEフィルム形態の緯糸を絡み織(Leno weave)で製織して経糸方向である縦側方向または緯糸方向である横側方向に外部要因による力を受けても破損されることを防止する。
【0027】
したがって、巻取装置に大規模の遮光ネットを巻き取っても経糸または緯糸の製織組職が破壊されることを防止することができる。
【0028】
このような本発明の遮光ネットは、製織時に二つの経糸の間に緯糸を位置するようにした後、一対の経糸をそれぞれ交差するように製織するか、交差後にそれぞれの経糸を1回または2回撚って、緯糸であるPEフィルムと経糸の結合力を高めるようにする(
図3及び
図4参照)。
【0029】
また、前記緯糸に適用されるPEフィルムの幅は、2~5mmの大きさを保持するようにする。
【0030】
これは、製織後に、PEフィルムを透過する光透過量の調節のための緯糸の密度調節、遮光ネットの単位面積当たり荷重及び緯糸の長さ方向へ破壊強度を調節するためである。
【0031】
より詳しく説明すれば、前記のような幅を保持するPEフィルムを幅方向に折り畳んで2重または3重になるようにして、単位面積当たり(in×in)含まれる緯糸の数を違うように適用することができる。
【0032】
それによって、緯糸の製織密度は7~15/inを適用し、経糸の製織密度は2~5/inを適用するようになる。
【0033】
この時、前記経糸は日光堅牢度を高めることができるように、UVカット剤が混合されたPEモノフィラメントを利用する。
【0034】
また、前記緯糸は、1枚または2枚のPEフィルムを適用することができるが、PEフィルムは、巻取強度及び遮光量を調節するために、1枚のPEフィルムを幅方向に2重または3重に折り畳むか、2枚のPEフィルムを積載した後、幅方向に4重または6重に折り畳んで製織するようになる(
図5参照)。
【0035】
より詳しく説明すれば、緯糸に適用されるPEフィルムを折り畳んで厚さを調節することにより、透過される太陽光の量を調節することは勿論、太陽光が透過されるときにも1重のPEフィルムを通過して直光の形態になることを防止して、所定の厚さの折り畳まれたPEフィルムを通過するときに光が屈折されたり分散されることができるようにする。
【0036】
これは植物の生育において、直光の形態よりは分光されて施設に植栽された植物に均衡に光が照射されることができるようにして、よりよく生育されることができるようにするためである。
【0037】
また、前記のような緯糸は、設置される場所または遮光が必要な植物の栽培によって多様な色を発現する顔料が含まれたPEフィルムを利用する。
【0038】
これは、既存の遮光ネットが光の吸収率の高い黒色のフィルムを利用して製織されて、設置場所の多様な要求事項を反映しにくい問題があったからである。
【0039】
例えば、遮光ネットが設置される場所のデザインなどの審美感に重点を置く場合、黒色が適用される従来の遮光ネットを設置しにくいという問題があり、遮光される光量を調節して最適な光量を提供すべき植物の栽培の場合、遮光される時間を調節したり、追加的な照明などを設置してこれを補う不便があった。
【0040】
それによって、多様な色の具現及び多様な遮光量を具現することができ、製織の時、1つの緯糸が同じ線上に配置されて、多様な色の表現または一部分が異なる色の遮光ネットの製織が可能である。
【0041】
以下、本発明の実施に係る遮光ネットと従来の遮光ネットの強度を比較するための延伸糸引張強度を測定するために、「KS K 0520:2015グラブ法(CRE Type)」を準用して、下記のように測定した。
【0042】
比較例1
フィルム糸の一端をモノフィラメント糸と合わせて既形成されたループの後方に送ってループを形成し、モノフィラメント糸とフィルム糸は分離されて、モノフィラメント糸は供給される他のフィルム糸と合わせられて既形成されたループの次に他のループを形成し、フィルム糸は次のコースに移動されて他のモノフィラメント糸と合わせられて他のループを形成した後、コースを移動したフィルム糸は、まずループを形成した位置に移動してモノフィラメント糸と合わせてループを形成する形態に製織されて販売されている従来の遮光ネット。
【0043】
比較例2
多数本のフィルム糸をモノフィラメント糸で結び目を形成して交織する際において、一フィルム糸を一モノフィラメント糸とその次の行のモノフィラメント糸の間にかけて編んで、相互隣接する二つのフィルム糸が互いに半分ずつ重なった状態で、4本のモノフィラメント糸によって交織される形態に製織されて販売されている従来の遮光ネット。
【0044】
実施例
緯糸:PEフィルム4mm1枚、3重折り畳む
経糸:PEモノフィラメント
【0045】
一対の経糸の間に緯糸を位置するようにした後、一対の経糸をそれぞれ交差して絡み織に製織する。
【表1】
【0046】
前記のように、比較例1を試料1、比較例2を試料2、本発明に係る実施例を試料3として製織された遮光ネットの生地に対する引張強度に対する試験結果、従来の遮光ネットである試料1及び試料2より本発明に係る試料3の経糸方向及び緯糸方向の引張強度が顕著に優れることに調査された。
【0047】
それにより、大単位施設で遮光ネットを取り付け及び取り外す際に、巻取装置を利用して巻取するか、ビニールハウスなどのような施設物で遮光ネットが離脱されないように縛り上げる際にもより強く縛ることができて、従来の問題点である引張強度の低下問題を克服した。
【符号の説明】
【0048】
1 経糸
2 緯糸
【国際調査報告】