(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】可変流路ウォータハンマー防止空気弁及び設計方法
(51)【国際特許分類】
F16K 24/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
F16K24/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524659
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2021087072
(87)【国際公開番号】W WO2022016917
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】202010800057.5
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】518142258
【氏名又は名称】中国水利水電科学研究院
【氏名又は名称原語表記】China Institute of Water Resources and Hydropower Research
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】戴 会超
(72)【発明者】
【氏名】王 浩
(72)【発明者】
【氏名】李 甲振
(72)【発明者】
【氏名】郭 新蕾
(72)【発明者】
【氏名】郭 永▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 涛
(72)【発明者】
【氏名】趙 汗青
(72)【発明者】
【氏名】付 輝
(72)【発明者】
【氏名】潘 佳佳
【テーマコード(参考)】
3H055
【Fターム(参考)】
3H055AA04
3H055CC06
3H055CC15
3H055GG14
3H055JJ02
(57)【要約】
本発明は、可変流路ウォータハンマー防止空気弁及び設計方法に関し、頂部に吸排気口が設けられた弁体を含み、吸排気口の下方にはボールシート及び浮動ボールが設置され、弁体には内向きに開くことが可能な回転式逆止弁が少なくとも1つ設けられ、回転式逆止弁は、弁体ヒンジに接続された回転式弁部と、回転式弁部により開閉が制御された可変流路吸気口と、回転式弁部の開度を制限する設備と、シール設備と、を含む。本発明は、吸気時、空気弁が吸排気口及び可変流路を介して吸気し、排気時に吸排気口のみを介して排気し、吸排気流路面積を変更し、さらに迅速な吸気及び緩やかな排気を実現し、排気過程の強い三次元特徴による絞りリングの受力、閉鎖過程の不確定性の問題を回避し、バネ作用力の不安定性の問題を解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に送水管路に接続可能な接続部材を備えた弁体で、前記弁体は上部と下部が絞り込まれて中間が突起した中空ポット状であり、上部の絞られた部分が回転体であり、弁体の中間突起部位の断面形状が正多角形であり、前記弁体の底部に流体出入口が設けられ、頂部に吸排気口が設けられ、前記吸排気口にシールリングが設けられ、吸排気口の下方にボールシート及び浮動ボールが設置され、前記ボールシートは上から下へ順にグリッドと、ガイドスリーブと、複数のオーバーフロー孔付きの浮動ボールベースであり、前記ボールシート及び弁体がガイドスリーブブラケットにより固定的に接続される弁体を含む可変流路ウォータハンマー防止空気弁であって、
前記中間突起部位の下半部分には内向きに開くことが可能な回転式逆止弁が少なくとも1つ設けられ、前記回転式逆止弁は、弁体ヒンジに接続された回転式弁部と、回転式弁部により開閉が制御された可変流路吸気口と、回転式弁部の開度を制限する設備と、シール設備と、を含む、
可変流路ウォータハンマー防止空気弁。
【請求項2】
前記弁部の開度を制限する設備は、制限リングであり、前記制限リングは、制限リングブラケットにより弁体に固定的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気弁。
【請求項3】
前記回転式逆止弁の回転式弁部の回転開閉角度が30~45°である、
ことを特徴とする請求項2に記載の空気弁。
【請求項4】
前記弁体の中間突起部位の断面形状は、正八角形であり、四つの回転式逆止弁が取り囲んで均一に分布する、
ことを特徴とする請求項3に記載の空気弁。
【請求項5】
前記弁体の中間突起部位の断面形状は、正十二角形であり、六つの回転式逆止弁が取り囲んで均一に分布する、
ことを特徴とする請求項3に記載の空気弁。
【請求項6】
前記吸排気口の上方に弁カバーが設置される、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の空気弁。
【請求項7】
前記ガイドスリーブブラケットは、ガイドスリーブの周囲を取り囲む複数のシート状体である、
ことを特徴とする請求項6に記載の空気弁。
【請求項8】
前記浮動ボールは、非金属材料の中空ボールである、
ことを特徴とする請求項6に記載の空気弁。
【請求項9】
請求項1に記載の空気弁を使用する変流路ウォータハンマー防止方法であって、前記ウォータハンマー防止方法は、
正常な送水状態では、
送水管路の送水動作が正常であり、ウォータハンマーの傾向が現れず、弁体に水が充填され、水体が浮動ボールを弁体の上部の吸排気口のシールリングに持ち上げ、浮動ボールとシールリングが結合して吸排気口をシールし、空気も水も出入りすることができないという空気弁を閉じるステップ1と、
送水管路が正常な送水動作過程において、管路における水体から少量の空気が析出し、析出した空気が徐々に集めて弁体に入り、空気弁の頂部に集中し、空気体積の増大に伴い、水位が低下し、浮動ボールが受けた浮力が低下してシールリングから離脱し、空気が吸排気口から迅速に排出し、析出した空気が排出した後、水位が上昇し、浮動ボールをシールリングに持ち上げ、空気弁が閉じ、送水管路が正常な送水状態を保持し続けるという空気が析出するステップ2と、を含み、
ウォータハンマー防止状態では、
送水管路に負圧が発生する場合、弁体内の水体が送水管路に吸引されて、流体出入口から送水管路に入り、弁体内の水位の低下に伴って浮動ボールがそれに伴って低下し、空気出入口が開き、空気が弁体内に入り、水体が流れて残った空間を埋めるという空気弁の排水のステップ3と、
弁体内の水位が回転式逆止弁の下に低下する時、回転式逆止弁が大気圧の作用下で開き、空気が同時に吸排気口及び可変流路吸気口から弁体に入り、さらに弁体を介して送水管路に入るという可変流路吸気のステップ4と、
送水管路内の圧力が回復し、かつ大気圧より大きい場合、弁体内の空気圧もそれに伴って増加し、回転式逆止弁の回転式弁部が重力作用下で可変流路吸気口を閉じ、空気が吸排気口のみを介して弁体から排出するという空気弁の排気のステップ5と、
送水管路内の圧力が徐々に回復することに伴い、管路内の空気が弁体に入って吸排気口から排出し、空気の排出に伴い送水管路内の水体が弁体に入り、弁内の水位が徐々に上昇することに伴い、浮動ボールが水の浮力作用下で上昇し、浮動ボールがシールリングと接触するまで上昇し、空気弁が完全に閉じ、送水管路が正常な送水状態に戻るという空気弁の給水のステップ6と、を含む、
ことを特徴とする変流路ウォータハンマー防止方法。
【請求項10】
請求項1に記載の可変流路空気弁の設計方法であって、前記設計方法は、
空気弁の吸排気流量面積を決定するステップ01であって、水力遷移プロセス分析により、必要とする空気弁の吸気流路面積A
in及び排気流路面積A
outを決定し、空気が空気弁を流れる時、その境界条件が、
【数1】
式において、
【数2】
は空気質量流量[kg/s]であり、C
inは吸気流量係数であり、A
inは吸気面積[m
2]であり、p
aは大気圧[Pa]であり、ρ
aは大気密度[kg/m
3]であり、pは空気弁の対応位置での管路圧力[Pa]であるという空気が亜音速で流入する状況1)と、
【数3】
式において、Rは気体定数[8.31J・mol
-1・K
-1]であり、T
0は気体の絶対温度[K]であるという空気が臨界速度で流入する状況2)と、
【数4】
式において、C
outは排気流量係数であり、A
outは排気面積[m
2]であるという空気が亜音速で流出する状況3)と、
【数5】
という空気が臨界速度で流出する状況4)と、の四種類の状況に分けられるステップ01と、
吸排気口の直径を計算するステップ02であって、必要とする排気流路面積A
outに基づいて、吸排気口の直径d
1を計算するステップ02と、
【数6】
可変流路総面積を決定するステップ03であって、必要とする可変流路の面積A
可変流路がA
可変流路=A
in-A
outであるステップ03と、
各単一の流路の面積を決定するステップ04であって、弁体の中間突出部位の断面形状が正多角形であり、角柱形弁体の面の数がNであり、Nが6以上の偶数、6、8、12……であり、
弁体の中間突出部位の断面形状に基づくと、各角柱面上の可変流路の過流面積A
単一流路がA
単一流路=(A
in-A
out)/(N/2)であるステップ04と、
可変流路開口のサイズを決定するステップ05であって、角柱体の断面が正多角形であり、その内接円の直径が空気弁の直径の整数倍を選択すると、単一の流路の面積がA
単一流路=(A
in-A
out)/(N/2)=sLであり、ここで、sは回転式逆止弁の開度[m]であり、Lは可変流路吸気口の幅[m]であるステップ05と、
を含む設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変流路ウォータハンマー防止空気弁及び設計方法に関し、管路システムのウォータハンマー防止装置及び使用方法とこのような防止装置を設計する方法であり、長距離導水又は都市給排水等の工事圧力送水管路の水力遷移過程保護に関する装置及び方法である。
【背景技術】
【0002】
時空間分布上の不均一性又は資源的不足は、中国の水資源の現状及び一部の地域の経済社会発展の制約であり、長距離の導水工事は、水資源配置を最適化する最も一般的な工事方法である。導水工事は、一般的にトンネル、管路、トンネル、ボックスカルバート等を採用して水の輸送を行い、ここで、管路送水は、外部からの干渉が小さく、敷地が少なく、かつ複雑な地形、地形及び気候条件に適応することができ、より広く応用されている。
【0003】
管路を使用して水の輸送を行う場合、境界条件の変更、動作状態の切り替え、事故又は緊急動作状態の発生により、水流流速の変化は、システム圧力変動を引き起こし、管路を叩く音に類似する音声を発し、ウォータハンマー又は水撃現象と呼ばれる。工事保護方法を取らない場合に、管路のウォータハンマーは、数百メートルの過渡的な高圧を生成することができ、管路破裂が発生する。真空気化が発生する可能性もあり、管路が押し潰されるか又は水柱が継ぎ合わせることにより生成された過渡的な高圧により、管路が破裂する。
【0004】
空気弁は、一般的な管路保護装置の一つであり、その作用は、以下のとおりである。(1)システムが初めて水を充填するか又は運転を停止し点検した後に再び起動する時、管路内の空気を排出する。(2)ウォータハンマーの負圧が発生する時に開き、空気を管路に迅速に流入させ、管路が押し潰されるか又は真空気化が発生することを回避する。管路の圧力が大気圧より高い時に、負圧を防止するために管路内に吸い込まれたガスを排出する。(3)管路が正常に動作する時に析出されたガスを排出し、ガスがエアバッグに滞留して水流抵抗を増加させ、送水効率に悪影響を与え、さらに動作コストを増加させることを回避する。負圧吸気時に、空気が管路に迅速に入って、負圧を低減することを要求するが、正圧排気時に、ガスが管路から比較的遅く排出されることを要求する。吸気が遅い場合に、負圧を効果的に抑制することができない可能性があるが、排気が速い場合に、二次的に発生する継ぎ合わせウォータハンマーは、非常に大きな圧力変動を生成し、管路、空気弁又は他の電気機器を破壊する可能性がある。したがって、理想的な空気弁は、迅速に吸気し、かつ緩やかに排気することができるべきである。
【0005】
空気弁に対して、迅速な吸気及び緩やかな排気を実現することは、二種類の方法を有する。(1)合理的な流路設計により、吸気及び排気過程は、異なる流量係数を有し、即ちCin>Coutである。劉梅清ら(2004)は、その研究において、Cin/Cout>10を満たす限り、空気弁のウォータハンマーの保護作用が明らかであると指摘した。Carlosetal.(2011)、郭永シン(GUO YONGXIN)ら(2018)は、その研究において、より小さい排気流量係数Coutが、水柱が分離してウォータハンマーを継ぎ合わせること防止することに有利であると主張した。しかしながら、流路設計により吸排気流量係数に十倍の差を発生させることは、実現しにくい。(2)空気弁の吸排気過程に異なる流路面積を有させる。劉志勇及び劉梅清(2009)は、典型的な工程に対して、(CinAin)/(CoutAout)=101の空気弁の配置手段を提供し、王玲及び王福軍(2017)は、Ain/Aout=10の吸気微排出弁が空管の注水過程における水柱の分離及び高圧ウォータハンマーの再継ぎ合わせに対する防止が最も効果的であると指摘した。吸排気が異なる流路面積を有することは、それぞれ一つの大口径吸気弁と一つの小口径排気弁を設置してもよく、一つの吸排気流路を自動的に切り替える空気弁を設置することにより実現することができる。そのうち、第二種の方式は、より一般的である。
【0006】
現在の段階において、ウォータハンマー防止空気弁の設計構想は、以下のとおりである。吸排気は、同じ流路を共用し、かつ絞りリングが設置され、排気が速い場合、絞りリングが受ける気流推力は、自身の重力又はバネの作用力より大きく、絞りリングが上向きに移動し、通過流路を局所的に閉塞させ、排気面積を減少させる。このような解決手段は、理論的には完全に実行可能であるが、その設計及び使用過程において以下の問題が発生する可能性がある。(1)流体動力学分析を計算する境界条件(例えば圧力入口、流速入口又は圧力出口)が均一で一致するものであるが、空気弁の吸気及び排気が強い三次元特徴を有するため、絞りリングの受力が不均一であり、受けた推力及び摩擦抵抗が設計値と一定の差を有し、絞りリングが設計風速又は排気量で閉じることができるか否かをさらに研究する必要がある。(2)限られた空間内の気流推力は、流路の構造、絞りリングの開度などの複数の要因に影響され、その数値を正確に決定することが難しい。他方、バネの作用力は、バネワイヤ材質、バネワイヤ径、バネ中径、バネの高さ、バネリング数などの様々な要因に影響され、その弾性係数の一定性、一致性も設計製造者に迷惑をかける難題である。(3)現在の段階においては、吸気時に大流路を使用し、排気時に小流路を直ちに使用する空気弁がまだない。該目的を達成するために、一般的なやり方は、真空破壊弁と小孔径の吸排気空気弁を組み合わせて使用することであり、設備コスト、取付費用が高いだけでなく、用地の取得や運転メンテナンスに一定の面倒をもたらし、解決する必要がある問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術の問題を克服するために、本発明は、可変流路ウォータハンマー防止空気弁及び設計方法を提供する。前記ウォータハンマー防止空気弁に二つの空気通路が設けられ、一つは、吸気、排気通路であり、もう一つは、吸気のみに用いられ、いかなる動力及び制御を必要としない条件下で、吸気量が排気量よりも大きい通気機能を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は以下のように実現される。底部に送水管路に接続可能な接続部材を備えた弁体で、前記弁体は上部と下部が絞り込まれて中間が突起した中空ポット状であり、上部の絞られた部分が回転体であり、弁体の中間突起部位の断面形状が正多角形であり、前記弁体の底部に流体出入口が設けられ、頂部に吸排気口が設けられ、前記吸排気口にシールリングが設けられ、吸排気口の下方にボールシート及び浮動ボールが設置され、前記ボールシートは上から下へ順にグリッドと、ガイドスリーブと、複数のオーバーフロー孔付きの浮動ボールベースであり、前記ボールシート及び弁体がガイドスリーブブラケットにより固定的に接続される弁体を含む可変流路ウォータハンマー防止空気弁であって、前記中間突起部位の下半部分には内向きに開くことが可能な回転式逆止弁が少なくとも1つ設けられ、前記回転式逆止弁は、弁体ヒンジに接続された回転式弁部と、回転式弁部により開閉が制御された可変流路吸気口と、回転式弁部の開度を制限する設備と、シール設備と、を含む。
【0009】
さらに、前記弁部の開度を制限する設備は、制限リングであり、前記制限リングは、制限リングブラケットにより弁体に固定的に接続される。
【0010】
さらに、前記回転式逆止弁の回転式弁部の回転開閉角度αは、30~45°である。
【0011】
さらに、前記弁体の中間突起部位の断面形状は、正八角形であり、四つの回転式逆止弁が取り囲んで均一に分布する。
【0012】
さらに、前記弁体の中間突起部位の断面形状は、正十二角形であり、六つの回転式逆止弁が取り囲んで均一に分布する。
【0013】
さらに、前記吸排気口の上方に弁カバーが設置される。
【0014】
さらに、前記ガイドスリーブブラケットは、ガイドブッシュの周囲を取り囲む複数のシート状体である。
【0015】
さらに、前記浮動ボールは、非金属材料の中空ボールである。
【0016】
上記空気弁を使用する変流路ウォータハンマー防止方法であって、前記ウォータハンマー防止方法は、
正常な送水状態では、
送水管路の送水動作が正常であり、ウォータハンマーの傾向が現れず、弁体に水が充填され、水体が浮動ボールを弁体の上部の吸排気口のシールリングに持ち上げ、浮動ボールとシールリングが結合して吸排気口をシールし、空気も水も出入りすることができないという空気弁を閉じるステップ1と、
送水管路が正常な送水動作過程において、管路における水体から少量の空気が析出し、析出した空気が徐々に集めて弁体に入り、空気弁の頂部に集中し、空気体積の増大に伴い、水位が低下し、浮動ボールが受けた浮力が低下してシールリングから離脱し、空気が吸排気口から迅速に排出し、析出した空気が排出した後、水位が上昇し、浮動ボールをシールリングに持ち上げ、空気弁が閉じ、送水管路が正常な送水状態を保持し続けるという空気が析出するステップ2と、を含み、
ウォータハンマー防止状態では、
送水管路に負圧が発生する場合、弁体内の水体が送水管路に吸引されて、流体出入口から送水管路に入り、弁体内の水位の低下に伴って浮動ボールがそれに伴って低下し、空気出入口が開き、空気が弁体内に入り、水体が流れて残った空間を埋めるという空気弁の排水のステップ3と、
弁体内の水位が回転式逆止弁の下に低下する時、回転式逆止弁が大気圧の作用下で開き、空気が同時に吸排気口及び可変流路吸気口から弁体に入り、さらに弁体を介して送水管路に入るという可変流路吸気のステップ4と、
送水管路内の圧力が回復し、かつ大気圧より大きい場合、弁体内の空気圧もそれに伴って増加し、回転式逆止弁の回転式弁部が重力作用下で可変流路吸気口を閉じ、空気が吸排気口のみを介して弁体から排出するという空気弁の排気のステップ5と、
送水管路内の圧力が徐々に回復することに伴い、管路内の空気が弁体に入って吸排気口から排出し、空気の排出に伴い送水管路内の水体が弁体に入り、弁内の水位が徐々に上昇することに伴い、浮動ボールが水の浮力作用下で上昇し、浮動ボールがシールリングと接触するまで上昇し、空気弁が完全に閉じ、送水管路が正常な送水状態に戻るという空気弁の給水のステップ6と、を含む。
【0017】
上記空気弁の設計方法であって、前記設計方法は、以下のステップを含み、
空気弁の吸排気流量面積を決定するステップ01であって、水力遷移プロセス分析により、必要とする空気弁の吸気流路面積A
in及び排気流路面積A
outを決定し、空気が空気弁を流れる時、その境界条件が、
【数1】
式において、
【数2】
は空気質量流量[kg/s]であり、C
inは吸気流量係数であり、A
inは吸気面積[m
2]であり、p
aは大気圧[Pa]であり、ρ
aは大気密度[kg/m
3]であり、pは空気弁の対応位置での管路圧力[Pa]であるという空気が亜音速で流入する状況1)と、
【数3】
式において、Rは気体定数[8.31J・mol
-1・K
-1]であり、T
0は気体の絶対温度[K]であるという空気が臨界速度で流入する状況2)と、
【数4】
式において、C
outは排気流量係数であり、A
outは排気面積[m
2]であるという空気が亜音速で流出する状況3)と、
【数5】
という空気が臨界速度で流出する状況4)と、の四種類の状況に分けられるステップ01と、
吸排気口の直径を計算するステップ02であって、必要とする排気流路面積A
outに基づいて、吸排気口の直径d
1を計算するステップ02と、
【数6】
可変流路総面積を決定するステップ03であって、必要とする可変流路の面積A
可変流路がA
可変流路=A
in-A
outであるステップ03と、
各単一の流路の面積を決定するステップ04であって、弁体の中間突出部位の断面形状が正多角形であり、角柱形弁体の面の数がNであり、Nが6以上の偶数、6、8、12……であり、
弁体の中間突出部位の断面形状に基づくと、各角柱面上の可変流路の過流面積A
単一流路がA
単一流路=(A
in-A
out)/(N/2)であるステップ04と、
可変流路開口のサイズを決定するステップ05であって、角柱体の断面が正多角形であり、その内接円の直径が空気弁の直径の整数倍を選択すると、単一の流路の面積が、A
単一流路=(A
in-A
out)/(N/2)=sLであり、ここで、sは回転式逆止弁の開度[m]であり、Lは可変流路吸気口の幅[m]であるステップ05と、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の利点及び有益な効果は以下のとおりである。本発明は、二つの流路を利用して設置し、一つは、浮動ボールにより開閉が制御された吸排気口流路であり、もう一つは、回転式逆止弁により開閉が制御された可変流路である。吸排気口流路は、弁体内の水位が低下する時に流通状態にあり、かつ空気弁内の空気がほぼ完全に排出されて、水位が上昇して浮動ボールを持ち上げる時のみに閉じる。可変流路は、送水管路が負圧になり、かつ弁体内の水体がほぼ排出された時のみに開き、空気弁内の圧力が大気圧より大きい時、回転式逆止弁が自重作用下で閉じる。吸気時、空気弁が吸排気口及び可変流路を介して吸気し、排気時に吸排気口のみを介して排気し、このように流路の変化により、吸排気流路面積を変更し、さらに迅速な吸気及び緩やかな排気を実現する。可変流路を開く作用力は、負圧であり、閉じ作用力は、回転式弁部の重力である。排気面積を調整する作用力を気流推力から重力に調整すると、一方では排気過程の強い三次元特徴による絞りリングの受力、閉鎖過程の不確定性の問題を回避し、バネ作用力の不安定性の問題も解決する。前記空気弁は、数値シミュレーション結果に基づいて吸気面積及び排気面積を任意に設定することができる。可変流路の面積は、角柱形弁体と、内側に開口する回転式逆止弁と、制限リングとにより制御され、可変流路の面積が大きい場合、弁体の面の数、寸法及び回転式逆止弁の開度を増加させ、逆も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下に図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1、2、3、6及び7の前記空気弁の構造概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1及び4の前記空気弁の弁体の中間部位の上半部分の断面概略図であり、
図1におけるA-A断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1、3、4及び5の前記空気弁の八面弁体の中間部位の下半部分の断面概略図であり、
図1におけるB-B断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例5及び10の前記空気弁の十二面弁体の中間部位の下半部分の断面概略図であり、
図1におけるB-B断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例9に記載のウォータハンマー防止方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施例9に記載の送水管路の正常な送水時に空気弁が閉じた状態概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例9に記載の送水管路から空気が析出する時に空気弁が開いた状態概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例9に記載の送水管路に圧力低下が発生して空気弁が開いた状態概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例9に記載の送水管路に圧力低下が発生して空気弁が開いたと同時に回転式逆止弁も開いた状態概略図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例9に記載の送水管路の圧力が回復する時に回転式逆止弁が閉じた後の状態概略図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施例10の前記計算方法において角柱体の面の数を増加させることにより可変流路の過流面積を増加させる概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例1)
本実施例は、可変流路ウォータハンマー防止空気弁であり、
図1に示すとおりである。本実施例は、底部に送水管路に接続可能な接続部材1を備えた弁体2を含み、前記弁体は上部と下部が絞り込まれて中間が突起した中空ポット状であり、上部の絞られた部分201が回転体であり、弁体の中間突起部位202の断面形状が正多角形であり、
図2に示すとおりであり(
図2に示すのは正八面体であり、すなわち断面形状が正八角形の弁体であり)、前記弁体の底部に流体出入口203が設けられ、頂部に吸排気口204が設けられ、前記吸排気口にシールリング205が設けられ、吸排気口の下方にボールシート3及び浮動ボール4が設置され、前記ボールシートは上から下へ順にグリッド301と、ガイドスリーブ302と、複数のオーバーフロー孔3031付きの浮動ボールベース303であり、前記ボールシート及び弁体がガイドスリーブブラケット5により固定的に接続され、前記中間突起部位の下半部分には内向きに開くことが可能な回転式逆止弁6が少なくとも1つ設けられ、前記回転式逆止弁は、弁体ヒンジ601に接続された回転式弁部602と、回転式弁部により開閉が制御された可変流路吸気口603と、弁部の開度を制限する設備604と、シール設備605と、を含む。
【0022】
本実施例の基本的な原理は、弁体側壁上の回転式逆止弁を利用して吸気時に一つの吸気通路を増加させて開き、吸気量が排気量よりも大きい通気機能を実現することである。
【0023】
回転式逆止弁は、弁体にヒンジ接続されて垂下された弁部であり、開閉は、いかなる人為による動力を必要とせず、バネの復帰などの作用を必要とせず、重力、空気流動の圧力や水の圧力のみに依存するものである。機構全体が非常に簡単であり、部品の数が少なく、故障確率を大幅に低減し、メンテナンスの費用を低減する。
【0024】
前記回転式逆止弁の回転式弁部の形状は、矩形であり、上端にヒンジが設置され、回転式弁部の周辺縁部にシール設備が設置され、適切な位置に弁部の開度を制限する設備が設置されることにより、回転式弁部の開閉に一定の制限がされる。シール設備は、ゴムストリップ又は他のシール作用を生成可能な材料であってもよい。弁部開度を制限する設備は、止め輪又はヒンジに設置されたストッパ等の装置であってもよい。
【0025】
前記弁体は、送水管路に垂直に取り付けられ、前記接続部材は、フランジ又は他の溶接又はボルトで接続された部品であってもよい。弁体の中間突出部位は、多面体であり、回転式逆止弁の弁部を取り付けることに役立つ。弁体は、多面体柱状構造であり、断面形状は、正多角形であり、多面体の面の数は、偶数であり、正八面体又は正十二面体等であってもよい。弁体の中心を取り囲む各面に一定の間隔で下半部分に回転式逆止弁が設置される。管路内に負圧が発生する場合、回転式逆止弁は、弁体の内側に開き、
図1における破線の位置を参照し、管路の負圧が小さいか又は圧力が大気圧より大きい場合、逆止弁は、重力の作用下で閉じる。
【0026】
弁体内の中心にガイドスリーブが設置され、ガイドスリーブは、周囲に囲まれたガイドスリーブブラケットにより弁体に固定的に接続される。ガイドスリーブは、浮動ボールが運動する軌道であり、円柱体であり、上半部分がグリッド状に分けられ、水気通路とし、中間が円筒であり、下半部分が浮動ボールベースに分けられる。浮動ボールベースは、球形支持ベースであり、オーバーフロー孔が切断され、排気が完了し、水位が浮動ボールベースまで上昇する時に、水流を通過させて、浮動ボールを浮上させるために用いられる。
【0027】
浮動ボールは、ゴム、ナイロン又は他の非金属材質の中空体であり、水中で浮上することができる。
【0028】
枝、葉、石などの不純物が空気弁に入ることを防止するために、弁体の頂部、すなわち吸排気口の上方に弁カバーを設置することができ、弁カバーは、円錐形又は他の形状のカバーであり、弁カバーブラケットにより弁体に接続される。
【0029】
(実施例2)
本実施例は、実施例1への改善であり、実施例1の弁部の開度を制限する設備の細分化である。本実施例の前記弁部の開度を制限する設備は、制限リングであり、前記制限リングは、制限リングブラケットにより弁体に固定的に接続され、
図1及び
図3に示すとおり、図中の破線は、回転式弁部が開いた時の位置を示す。
【0030】
本実施例における制限リングの位置は、リングの縁部が回転式弁部の開放を阻止することができ、制限リングが円形であってもよく、弁体と嵌合する正多角形であってもよく、例えば弁体が正八面体である場合、制限リングが正八角形である。
【0031】
(実施例3)
本実施例は、上記実施例への改善であり、上記実施例の回転式弁部の回転開閉角度に関する細分化である。
図1に示すとおり、本実施例の前記回転式逆止弁の回転式弁部の回転開閉角度αは、30~45°である。
【0032】
開閉角度が大き過ぎてはいけず、大きすぎると水流に衝撃されて閉じることができず、小さすぎると空気の流れに不利である。α角度の選択は、空気の流量に基づいて決定すべきである。
【0033】
(実施例4)
本実施例は上記実施例への改善であり、上記実施例の弁体の中間部位の断面形状に関する微細化である。
図2に示すように、本実施例の前記弁体の中間突起部位の断面形状は、正八角形であり、
図3に示すように、四つの回転式逆止弁が取り囲んで均一に分布する。
【0034】
正多面体は、比較的簡単で製造しやすい形状であり、各面の幅が大きいほど、幅Lが大きい可変流路吸気口を配置しやすく、
図3に示すとおりである。
【0035】
(実施例5)
本実施例は、上記実施例への改善であり、上記実施例の弁体の中間突起部位に関する微細化である。本実施例の前記弁体の中間突起部位の断面形状は、正十二角形であり、六つの回転式逆止弁が取り囲んで均一に分布し、
図4に示すとおりである。
【0036】
正多面体の面の数が増加し、より多くの可変流路吸気口を配置することができる。
【0037】
(実施例6)
本実施例は、上記実施例への改善であり、上記実施例の弁体に関する微細化である。本実施例の前記弁体の吸排気口の上方に弁カバーが設置され、
図1に示すとおりである。
【0038】
弁カバーは、主に不純物が弁体内に入ることを阻止するためである。弁カバーは平板、又は円錐形等の形状であってもよい。弁カバーは。弁カバーブラケット701により弁体に接続され、
図1に示すとおりである。
【0039】
弁カバーブラケットは、弁体に接続され、弁カバーを支持する円筒形ブラケットであり、上側が弁カバーに接続され、下側が弁体に溶接される。弁カバーブラケットは、円周に沿って均一に配置され、その数は、一般的に3~8個であり、構造強度を保証すればよい。金網をフィルタとしてブラケットに囲み、不純物が弁体内に吸入されることを回避する。
【0040】
(実施例7)
本実施例は、上記実施例への改善であり、上記実施例のガイドスリーブブラケットに関する微細化である。本実施例に記載のガイドスリーブブラケットは、ガイドブッシュの周囲を取り囲む複数のシート状体である。
【0041】
これらのシート状体の水流方向に沿う断面形状は、両端が角丸の矩形であり、
図1における右側のガイドスリーブブラケットにおける断面形状に示すように、両端が尖った角を呈して長い扁平円形状であってもよく、
図1における左側のガイドスリーブブラケットにおける断面形状に示すとおりである。
【0042】
(実施例8)
本実施例は、上記実施例への改善であり、上記実施例の浮動ボールに関する微細化である。本実施例に係る浮動ボールは、非金属材料の中空ボールである。
【0043】
中空の浮動ボールは、より浮上しやすく、かつ一定の重量を有し、表面硬度が大きく、吸排気口を効果的にシールすることができる。
【0044】
(実施例9)
本実施例は、上記空気弁を使用する変流路ウォータハンマー防止方法であり、前記ウォータハンマー防止方法のステップは、以下のとおりである。
前記方法は、主に二種類の状態があり、一つは、送水管路の正常な送水時に空気弁の状態であり、もう一つは、送水管路内に圧力低下が発生し、ウォータハンマー現象の発生を防止する状態であり、ウォータハンマー防止方法のフローは、
図5に示すとおりである。
【0045】
正常な送水状態では、ステップ1及び2を含む。
送水管路の送水動作が正常であり、ウォータハンマーの傾向が現れず、弁体に水が充填され、水体が浮動ボールを弁体の上部の吸排気口のシールリングに持ち上げ、浮動ボールとシールリングが結合して吸排気口を密封し、空気や水がいずれも出入りすることができず、
図6に示すとおりであるという空気弁を閉じるステップ1である。
【0046】
本ステップは、管路が正常に送水する常態であり、管路内の水圧が正常であり、流量及び流速が正常である。空気弁内の浮動ボールは、吸排気口のシールリングに当接し、吸排気口をシールする。
【0047】
送水管路が正常な送水動作過程において、管路における水体から少量の空気が析出し、析出した空気が徐々に集めて弁体に入り、空気弁の頂部に集中し、空気体積の増大に伴い、水位が低下し、浮動ボールが受けた浮力が低下してシールリングから離脱し、空気が吸排気口から迅速に排出し、析出した空気が排出した後、水位が上昇し、浮動ボールをシールリングに持ち上げ、空気弁が閉じ、送水管路が正常な送水状態を保持し続けるという空気が析出するステップ2である。
【0048】
送水管路は、送水過程において空気が水から析出し続け、析出した空気は、水流に伴って運動し、上昇可能な場所が出現するまで、自然に集中し、空気弁は、水から析出した空気が集中する場所であり、析出した空気がある程度に集中すると、空気弁の浮動ボールが降下し、集まった空気が放出する。
【0049】
ウォータハンマー防止状態では、ステップ3~6を含む。
送水管路に負圧が発生する場合、弁体内の水体が送水管路に吸引されて、流体出入口から送水管路に入り、弁体内の水位の低下に伴って浮動ボールがそれに伴って低下し、空気出入口が開き、空気が弁体内に入り、水体が流れて残った空間を埋め、
図8に示すとおりであるという空気弁の排水のステップ3である。
【0050】
送水管路に圧力が低下するというウォータハンマーの早期現象が発生する時、弁体内の水体は、まず送水管路に補充され、この時に浮動ボールのため、制御弁の吸排気口が開き、空気は、水体が空間から離れる空いた空間を埋め、この時に送水管路内の水圧が低下し続けずに上昇すると、送水管路内の水体は、弁体に還流し、制御弁が閉じた状態に戻すが、逆に、送水管路内の水圧が低下し続けると、次のステップに入ることにより、水体が空間から離れて空いた空間を埋める。
図8、9、10における単線矢印は、空気の流動経路を示し、中空矢印は、水流の流動経路を示す。
【0051】
弁体内の水位が回転式逆止弁の下に低下する時、回転式逆止弁が大気圧の作用下で開き、空気が同時に吸排気口及び可変流路吸気口から弁体に入り、さらに弁体を介して送水管路に入り、大量の迅速な吸気を実現し、ウォータハンマーの負圧を低減し、管路の押し潰しを回避し、
図9に示すとおりであるという可変流路吸気のステップ4である。
【0052】
回転式逆止弁の開きにより、空気が送水管路に入る輸送量を増大させ、空気が送水管路に流入する通路を二つに変化させ、圧力低下による空間を埋めることを加速し、さらにウォータハンマーの負圧を削減する。
【0053】
送水管路内の圧力が回復し、かつ大気圧より大きい場合、弁体内の空気圧もそれに伴って増加し、回転式逆止弁の回転式弁部が重力作用下で可変流路吸気口を閉じ、空気が吸排気口のみを介して弁体から排出し、排気の流路面積が大幅に減少するため、排気速度も大幅に減少し、水柱継ぎ合わせのウォータハンマーの強度を低下させ、
図10に示すとおりであるという空気弁の排気のステップ5である。
【0054】
回転式逆止弁を閉じることにより、空気が流出する通路が一つに変化させ、空気排出の速度を緩め、圧力の増加速度を緩め、さらにウォータハンマー現象の発生を回避する。
【0055】
送水管路内の圧力が徐々に回復することに伴い、管路内の空気が弁体に入って吸排気口から排出し、空気の排出に伴い送水管路内の水体が弁体に入り、弁内の水位が徐々に上昇することに伴い、浮動ボールが水の浮力作用下で上昇し、浮動ボールがシールリングと接触するまで上昇し、空気弁が完全に閉じ、送水管路が正常な送水状態に戻り、
図6に示すとおりであるという空気弁の給水のステップ6である。
【0056】
(実施例10)
本実施例は、上記可変流路空気弁の設計方法である。本実施例の基本的な考え方は、まず弁体を出入りする空気の差異を見つけ、次にこの差異に基づいて回転式逆止弁が開いた時の空気流量を計算し、さらに回転式逆止弁の可変流路吸気口の大きさ及び回転式弁部の開度を決定することである。
【0057】
前記設計方法の具体的ステップは、以下のとおりである。
【0058】
ステップ01:空気弁の吸排気流量面積を決定する。水力遷移プロセス分析により、必要とする空気弁の吸気流路面積Ain及び排気流路面積Aoutを決定し、空気が空気弁を流れる時、その境界条件が、以下の四種類の状況に分けられるステップ01。
【0059】
1)空気が亜音速で流入する状況であって、
【数7】
式において、
【数8】
は空気質量流量[kg/s]であり、C
inは吸気流量係数であり、A
inは吸気面積[m
2]であり、p
aは大気圧[Pa]であり、ρ
aは大気密度[kg/m
3]であり、pは空気弁の対応位置での管路圧力[Pa]である、状況。
【0060】
2)空気が臨界速度で流入する状況であって、
【数9】
式において、Rは気体定数[8.31J・mol
-1・K
-1]であり、T
0は気体の絶対温度[K]であるという空気が臨界速度で流入する、状況。
【0061】
3)空気が亜音速で流出する状況であって、
【数10】
式において、C
outは排気流量係数であり、A
outは排気面積[m
2]であるという空気が亜音速で流出する、状況。
【0062】
4)空気が臨界速度で流出する状況であって、
【数11】
という、状況。
【0063】
ステップ02:吸排気口の直径を計算する。必要とする排気流路面積Aoutに基づいて、吸排気口の直径d1を計算するステップ02。
【0064】
【0065】
ステップ03:可変流路総面積を決定する。必要とする可変流路の面積A可変流路がA可変流路=Ain-Aoutであるステップ03。
【0066】
ステップ04:各単一の流路の面積を決定する。
【0067】
弁体の中間突出部位の断面形状が正多角形であり、角柱形弁体の面の数がNであり、Nが6以上の偶数、6、8、12……であり、
弁体の中間突出部位の断面形状に基づくと、各角柱面上の可変流路の過流面積A単一流路がA単一流路=(Ain-Aout)/(N/2)であるステップ04。
【0068】
ステップ05:可変流路開口のサイズを決定する。
【0069】
角柱体の断面が正多角形であり、その内接円の直径が空気弁の直径の整数倍を選択すると、単一の流路の面積がA単一流路=(Ain-Aout)/(N/2)=sLであり、ここで、sは回転式逆止弁の開度[m]であり、Lは可変流路吸気口の幅[m]であるステップ05。
【0070】
パラメータN、s及びLは、一般的に複数回の試算を行った後に確定する必要があり、角柱体の面の数を増加させ、角柱体の内接円の直径を増大させる等の方法により可変流路の過流面積を増加させることができる。
図4及び
図11は、角柱体の内接円の直径を増大させ角柱体の面の数を増加させることにより、可変流路の過流面積を増加させることを示す。
【0071】
最後に説明すべきことは、以上は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、限定するものではない。好ましい配置解決手段を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の技術的解決手段(例えば空気弁の基本的な形式、様々な式の運用、ステップの優先順位など)に対して修正又は同等置換を行うことができ、本発明の技術的解決手段の精神及び範囲から逸脱しないことを理解すべきである。
【0072】
(付記)
(付記1)
底部に送水管路に接続可能な接続部材を備えた弁体で、前記弁体は上部と下部が絞り込まれて中間が突起した中空ポット状であり、上部の絞られた部分が回転体であり、弁体の中間突起部位の断面形状が正多角形であり、前記弁体の底部に流体出入口が設けられ、頂部に吸排気口が設けられ、前記吸排気口にシールリングが設けられ、吸排気口の下方にボールシート及び浮動ボールが設置され、前記ボールシートは上から下へ順にグリッドと、ガイドスリーブと、複数のオーバーフロー孔付きの浮動ボールベースであり、前記ボールシート及び弁体がガイドスリーブブラケットにより固定的に接続される弁体を含む可変流路ウォータハンマー防止空気弁であって、
前記中間突起部位の下半部分には内向きに開くことが可能な回転式逆止弁が少なくとも1つ設けられ、前記回転式逆止弁は、弁体ヒンジに接続された回転式弁部と、回転式弁部により開閉が制御された可変流路吸気口と、回転式弁部の開度を制限する設備と、シール設備と、を含む、
可変流路ウォータハンマー防止空気弁。
【0073】
(付記2)
前記弁部の開度を制限する設備は、制限リングであり、前記制限リングは、制限リングブラケットにより弁体に固定的に接続される、
ことを特徴とする付記1に記載の空気弁。
【0074】
(付記3)
前記回転式逆止弁の回転式弁部の回転開閉角度が30~45°である、
ことを特徴とする付記2に記載の空気弁。
【0075】
(付記4)
前記弁体の中間突起部位の断面形状は、正八角形であり、四つの回転式逆止弁が取り囲んで均一に分布する、
ことを特徴とする付記3に記載の空気弁。
【0076】
(付記5)
前記弁体の中間突起部位の断面形状は、正十二角形であり、六つの回転式逆止弁が取り囲んで均一に分布する、
ことを特徴とする付記3に記載の空気弁。
【0077】
(付記6)
前記吸排気口の上方に弁カバーが設置される、
ことを特徴とする付記4又は5に記載の空気弁。
【0078】
(付記7)
前記ガイドスリーブブラケットは、ガイドスリーブの周囲を取り囲む複数のシート状体である、
ことを特徴とする付記6に記載の空気弁。
【0079】
(付記8)
前記浮動ボールは、非金属材料の中空ボールである、
ことを特徴とする付記6に記載の空気弁。
【0080】
(付記9)
付記1に記載の空気弁を使用する変流路ウォータハンマー防止方法であって、前記ウォータハンマー防止方法は、
正常な送水状態では、
送水管路の送水動作が正常であり、ウォータハンマーの傾向が現れず、弁体に水が充填され、水体が浮動ボールを弁体の上部の吸排気口のシールリングに持ち上げ、浮動ボールとシールリングが結合して吸排気口をシールし、空気も水も出入りすることができないという空気弁を閉じるステップ1と、
送水管路が正常な送水動作過程において、管路における水体から少量の空気が析出し、析出した空気が徐々に集めて弁体に入り、空気弁の頂部に集中し、空気体積の増大に伴い、水位が低下し、浮動ボールが受けた浮力が低下してシールリングから離脱し、空気が吸排気口から迅速に排出し、析出した空気が排出した後、水位が上昇し、浮動ボールをシールリングに持ち上げ、空気弁が閉じ、送水管路が正常な送水状態を保持し続けるという空気が析出するステップ2と、を含み、
ウォータハンマー防止状態では、
送水管路に負圧が発生する場合、弁体内の水体が送水管路に吸引されて、流体出入口から送水管路に入り、弁体内の水位の低下に伴って浮動ボールがそれに伴って低下し、空気出入口が開き、空気が弁体内に入り、水体が流れて残った空間を埋めるという空気弁の排水のステップ3と、
弁体内の水位が回転式逆止弁の下に低下する時、回転式逆止弁が大気圧の作用下で開き、空気が同時に吸排気口及び可変流路吸気口から弁体に入り、さらに弁体を介して送水管路に入るという可変流路吸気のステップ4と、
送水管路内の圧力が回復し、かつ大気圧より大きい場合、弁体内の空気圧もそれに伴って増加し、回転式逆止弁の回転式弁部が重力作用下で可変流路吸気口を閉じ、空気が吸排気口のみを介して弁体から排出するという空気弁の排気のステップ5と、
送水管路内の圧力が徐々に回復することに伴い、管路内の空気が弁体に入って吸排気口から排出し、空気の排出に伴い送水管路内の水体が弁体に入り、弁内の水位が徐々に上昇することに伴い、浮動ボールが水の浮力作用下で上昇し、浮動ボールがシールリングと接触するまで上昇し、空気弁が完全に閉じ、送水管路が正常な送水状態に戻るという空気弁の給水のステップ6と、を含む、
ことを特徴とする変流路ウォータハンマー防止方法。
【0081】
(付記10)
付記1に記載の可変流路空気弁の設計方法であって、前記設計方法は、
空気弁の吸排気流量面積を決定するステップ01であって、水力遷移プロセス分析により、必要とする空気弁の吸気流路面積A
in及び排気流路面積A
outを決定し、空気が空気弁を流れる時、その境界条件が、
【数13】
式において、
【数14】
は空気質量流量[kg/s]であり、C
inは吸気流量係数であり、A
inは吸気面積[m
2]であり、p
aは大気圧[Pa]であり、ρ
aは大気密度[kg/m
3]であり、pは空気弁の対応位置での管路圧力[Pa]であるという空気が亜音速で流入する状況1)と、
【数15】
式において、Rは気体定数[8.31J・mol
-1・K
-1]であり、T
0は気体の絶対温度[K]であるという空気が臨界速度で流入する状況2)と、
【数16】
式において、C
outは排気流量係数であり、A
outは排気面積[m
2]であるという空気が亜音速で流出する状況3)と、
【数17】
という空気が臨界速度で流出する状況4)と、の四種類の状況に分けられるステップ01と、
吸排気口の直径を計算するステップ02であって、必要とする排気流路面積A
outに基づいて、吸排気口の直径d
1を計算するステップ02と、
【数18】
可変流路総面積を決定するステップ03であって、必要とする可変流路の面積A
可変流路がA
可変流路=A
in-A
outであるステップ03と、
各単一の流路の面積を決定するステップ04であって、弁体の中間突出部位の断面形状が正多角形であり、角柱形弁体の面の数がNであり、Nが6以上の偶数、6、8、12……であり、
弁体の中間突出部位の断面形状に基づくと、各角柱面上の可変流路の過流面積A
単一流路がA
単一流路=(A
in-A
out)/(N/2)であるステップ04と、
可変流路開口のサイズを決定するステップ05であって、角柱体の断面が正多角形であり、その内接円の直径が空気弁の直径の整数倍を選択すると、単一の流路の面積がA
単一流路=(A
in-A
out)/(N/2)=sLであり、ここで、sは回転式逆止弁の開度[m]であり、Lは可変流路吸気口の幅[m]であるステップ05と、
を含む設計方法。
【国際調査報告】