(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(54)【発明の名称】電池モジュール、電池パック及び装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/588 20210101AFI20221220BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20221220BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20221220BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20221220BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20221220BHJP
【FI】
H01M50/588
H01M50/55 101
H01M50/503
H01M50/553
H01M50/593
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538996
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 CN2020118763
(87)【国際公開番号】W WO2021135463
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】201922494988.2
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲海▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】李 盛林
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA04
5H043AA12
5H043AA13
5H043AA15
5H043AA20
5H043CA04
5H043CA21
5H043DA09
5H043FA04
(57)【要約】
エネルギー貯蔵装置の技術分野に関し、特に装置(D)、電池パック(M)及び電池モジュール(A)に関し、該電池モジュール(A)は電池セル(1)及び絶縁板(2)を含み、絶縁板(2)は本体部(21)及び第1突起部(22)を含み、第1突起部(22)は側壁(221)及び頂壁(222)を有し、且つ両者は収容キャビティを画定し、電極端子(11)の少なくとも一部を収容キャビティに収容し、頂壁(222)が一部の電極端子(11)を被覆することで、溶接時に生じた金属微粒子又は他の不純物が各電池セル(1)の間に入るリスクを低減させ、さらに電池モジュール(A)の清掃の難しさを低減させ、電池モジュール(A)の安全性及び信頼性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュール(A)であって、
電極端子(11)を含む電池セル(1)と、
前記電池セル(1)の最上部に設置され、本体部(21)及び前記本体部(21)に対して突起する第1突起部(22)を含む絶縁板(2)と、
を含み、
前記第1突起部(22)は前記本体部(21)に接続される側壁(221)及び前記側壁(221)の最上部に接続される頂壁(222)を含み、前記側壁(221)と前記頂壁(222)は収容キャビティを囲んで形成するように構成され、前記電極端子(11)の少なくとも一部が前記収容キャビティに収容され、且つ前記頂壁(222)は一部の前記電極端子(11)を被覆する電池モジュール(A)。
【請求項2】
前記頂壁(222)に貫通穴(222a)が設けられ、前記貫通穴(222a)は前記収容キャビティに貫通し、前記電極端子(11)の一部は前記貫通穴(222a)から露出する請求項1に記載の電池モジュール(A)。
【請求項3】
前記電極端子(11)はベース部(111)及び前記ベース部(111)から突出する第1接続部(112)を含み、前記頂壁(222)は少なくとも一部の前記ベース部(111)を被覆し、前記第1接続部(112)は前記貫通穴(222a)から露出する請求項2に記載の電池モジュール(A)。
【請求項4】
前記絶縁板(2)の厚さ方向(Z)に沿って、前記第1接続部(112)の上面は前記頂壁(222)の上面よりも低くない請求項3に記載の電池モジュール(A)。
【請求項5】
前記電池モジュール(A)は接続片(3)をさらに含み、前記接続片(3)は前記絶縁板(2)の前記電池セル(1)から離れる一方側に位置し、
前記接続片(3)は前記電極端子(11)の前記貫通穴(222a)から露出する一部を接続することに用いられる請求項2~4のいずれか一項に記載の電池モジュール(A)。
【請求項6】
前記接続片(3)は前記貫通穴(222a)を被覆する請求項5に記載の電池モジュール(A)。
【請求項7】
前記本体部(21)に収容溝(211)が設置され、前記第1突起部(22)は前記収容溝(211)の底壁(211a)に設置される請求項1~6のいずれか一項に記載の電池モジュール(A)。
【請求項8】
前記本体部(21)には前記底壁(211a)に接続される複数の第2突起部(24)が設置され、前記第2突起部(24)は前記第1突起部(22)の外周に位置し、且つ前記第2突起部(24)と前記第1突起部(22)の突起方向は同じである請求項7に記載の電池モジュール(A)。
【請求項9】
前記絶縁板(2)はフランジング(23)を含み、前記フランジング(23)は前記本体部(21)の外周に設置され、
前記フランジング(23)の延伸方向は前記第1突起部(22)の突起方向と同じである請求項1~8のいずれか一項に記載の電池モジュール(A)。
【請求項10】
電池パック(M)であって、前記電池パック(M)は筐体(M1)及び請求項1~9のいずれか一項に記載の電池モジュール(A)を含み、前記電池モジュール(A)は前記筐体(M1)内に収容される電池パック(M)。
【請求項11】
装置(D)であって、
請求項10に記載の電池パック(M)を含み、前記電池パック(M)は電気エネルギーを提供することに用いられる装置(D)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施形態はエネルギー貯蔵装置の技術分野に関し、特に電池モジュール、電池パック及び装置に関する。
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年12月31日に中国特許庁に提出され、出願番号が201922494988.2であり、発明の名称が「電池モジュール、電池パック及び装置」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は援用により本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電池モジュールは複数の電池セルを含み、電池セルは電極端子を含み、各電極端子の間は接続片を介して接続され、それにより複数の電池セルは接続され、通常の場合、接続片と電極端子は溶接の方式で接続され、溶接過程で生じた金属微粒子は各電池セルの間に飛散し、清掃が難しいだけでなく、隣接する電池セルが金属微粒子により短絡しやすく、さらに危険を引き起こす。
【発明の概要】
【0003】
本願は電池モジュール、電池パック及び装置を提供し、該電池モジュールは金属微粒子及び他の不純物が各電池セルの間に入る可能性を減らし、電池モジュールの清掃の難しさを低減させると共に、電池モジュールの安全性及び信頼性を向上させることができる。
【0004】
本願の実施例は電池モジュールを提供し、
電極端子を含む電池セルと、
電池セルの最上部に設置され、本体部及び本体部に対して突起する第1突起部を含む絶縁板と、を含み、
第1突起部は本体部に接続される側壁及び側壁の最上部に接続される頂壁を含み、側壁と頂壁は収容キャビティを囲んで形成するように構成され、電極端子の少なくとも一部が収容キャビティに収容され、且つ頂壁は一部の電極端子を被覆する。
【0005】
従って、通常の電池モジュールの絶縁板に比べて、絶縁板は各電池セルを遮蔽できるだけでなく、第1突起部によって電極端子の一部を被覆することができ、それによって、金属微粒子が各電池セルの間に入るリスクを低減させ、さらに電池モジュールの清掃の難しさを低減させ、電池モジュールの安全性及び信頼性を向上させる。
【0006】
1つの可能な設計では、頂壁に貫通穴が設けられ、貫通穴は収容キャビティに貫通し、電極端子の一部は貫通穴から露出する。
【0007】
1つの可能な設計では、電極端子はベース部及びベース部から突出する第1接続部を含み、頂壁は少なくとも一部のベース部を被覆し、第1接続部は貫通穴から露出する。
【0008】
1つの可能な設計では、絶縁板の厚さ方向に沿って、第1接続部の上面は頂壁の上面よりも低くない。
【0009】
1つの可能な設計では、電池モジュールは接続片をさらに含み、接続片は絶縁板の電池セルから離れる一方側に位置し、
接続片は電極端子の貫通穴から露出する一部を接続することに用いられる。
【0010】
1つの可能な設計では、接続片は貫通穴を被覆する。
【0011】
1つの可能な設計では、本体部に収容溝が設置され、第1突起部は収容溝の底壁に設置される。
【0012】
1つの可能な設計では、本体部には底壁に接続される複数の第2突起部が設置され、第2突起部は第1突起部の外周に位置し、且つ第2突起部と第1突起部の突起方向は同じである。
【0013】
1つの可能な設計では、絶縁板はフランジングを含み、フランジングは本体部の外周に設置され、
フランジングの延伸方向は第1突起部の突起方向と同じである。
【0014】
本願の第2態様は電池パックを提供し、電池パックは筐体及び以上の電池モジュールを含み、電池モジュールは筐体内に収容される。
【0015】
本願の第3態様は装置を提供し、
以上の電池パックを含み、電池パックは電気エネルギーを提供することに用いられる。
【0016】
本願では、絶縁板に第1突起部が設置され、第1突起部は側壁及び頂壁を含んでもよく、且つ両者は収容キャビティを画定し、通常の電池モジュールの絶縁板に比べて、絶縁板は各電池セルを遮蔽できるだけでなく、第1突起部によって電極端子の一部を被覆することができ、それによって、金属微粒子が各電池セルの間に入るリスクを低減させ、さらに電池モジュールの清掃の難しさを低減させ、電池モジュールの安全性及び信頼性を向上させる。
【0017】
理解されるべきであるように、以上の一般的な説明及び以下の詳細な説明は例示的なものに過ぎず、本願を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に使用される必要がある図面を簡単に紹介し、明らかなように、以下に説明される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】本願の実施例に提供される装置の構造模式図である。
【
図2】本願の実施例に提供される電池パックの構造模式図である。
【
図3】本願の実施例に提供される絶縁板及び電池セル配列構造の構造模式図である。
【
図5】本願の実施例に提供される絶縁板が電池セル配列構造に取り付けられた構造模式図である。
【
図7】本願の実施例に提供される電池セル配列構造の構造模式図である。
【
図9】本願の実施例に提供される電池モジュールの構造模式図である。
【
図11】本願の実施例に提供される接続部材の構造模式図である。
【
図12】本願の実施例に提供される絶縁板の平面図である。
【
図13】本願の実施例に提供される絶縁板の構造模式図である。
【
図16】
図13のVII位置の局所的な拡大図である。 ここでの図面は、明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本願に合致する実施例を示し、明細書と共に本願の原理を解釈することに用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の技術的解決手段をよりよく理解するために、以下、図面を参照しながら本願の実施例を詳細に説明する。
【0020】
明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに取得したすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0021】
本願の実施例に使用される用語は特定の実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限するためのものではない。特に断らない限り、本願の実施例及び添付の特許請求の範囲に使用される単数形の「1種」、「前記」及び「該」は複数形を含むことを意味する。
【0022】
理解されるべきであるように、本明細書に使用される用語「及び/又は」は関連対象を説明する関連関係に過ぎず、3つの関係が存在することを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することの3つの状況を示すことができる。また、本明細書の文字「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0023】
本願の説明では、明確に規定及び限定されない限り、「第1」、「第2」という用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性を指示又は暗示するものであると理解してはならない。規定又は説明されない限り、用語「複数」とは2つ以上を指し、2つを含み、「接続」、「固定」等の用語はいずれも広い意味を持つべきであり、例えば、「接続」は、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続され、又は一体的に接続され、又は電気的に接続されてもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に基づいて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0024】
なお、本願の実施例に説明される「上」、「下」、「左」、「右」等の方位詞は図面に示される角度から説明されるものであり、本願の実施例を限定するものであると理解してはならない。また、文脈では、さらに理解する必要がある点として、1つの素子が別の素子の「上」又は「下」に接続されることが記載されるときに、別の素子の「上」又は「下」に直接接続されてもよく、中間素子を介して別の素子の「上」又は「下」に間接的に接続されてもよい。
【0025】
本願の実施例は電池セルを電源として使用する装置、電池パック、電池モジュールを提供し、電池セルを電源として使用する装置は、車両、船舶、小型飛行機、エネルギー貯蔵キャビネット等の装置を含み、1つの可能な設計では、該装置は動力源を含んでもよく、該動力源は装置に駆動力を提供することに用いられ、且つ該動力源は装置に電気エネルギーを提供する電池モジュール又は電池パックとして構成されてもよい。該装置の駆動力は全部が電気エネルギーであってもよく、電気エネルギー及び他のエネルギー(例えば、機械的エネルギー)を含んでもよく、該動力源は電池モジュール(又は電池パック)であってもよく、該動力源は電池モジュール(又は電池パック)及びエンジン等であってもよい。従って、電池セルを電源として使用できる装置であれば、いずれも本願の保護範囲内に含まれる。
【0026】
図1に示すように、車両を例とし、本願の実施例の車両は新エネルギー自動車であってもよく、該新エネルギー自動車は純電気自動車であってもよく、ハイブリッド自動車又は航続距離延長型電気自動車等であってもよい。該車両は電池パックM及び車両本体を含んでもよく、該電池パックMは車両本体に設置され、該車両本体に駆動モーターがさらに設置され、且つ駆動モーターは電池パックMに電気的に接続され、電池パックMにより電気エネルギーを提供し、駆動モーターは伝動機構を介して車両本体の車輪に接続され、それにより車両を走行させるように駆動する。具体的に、該電池パックMは車両本体の底部に水平に設置されてもよい。
【0027】
図2に示すように、電池パックMは筐体M1及び電池モジュールAを含み、筐体M1はキャビティM2を有し、電池モジュールAはキャビティM2内に収容され、電池モジュールAの数は1つ又は複数であってもよく、複数の電池モジュールAは収容キャビティ内に配列して配置される。筐体M1のタイプは制限されず、フレーム型の筐体、ディスク型の筐体又はボックス型の筐体等であってもよい。具体的に、
図2に示すように、該筐体M1は電池モジュールAを収容する下部筐体と下部筐体に蓋合される上部筐体を含んでもよい。
【0028】
より具体的に、該電池モジュールAは複数の電池セル1を含み、複数の電池セル1は長手方向Xに沿って相互に積んで、電池セル配列構造A1を形成する。
【0029】
電池セル1は電極端子11を含み、電極端子11は電気エネルギーを出力することに用いられ、各電池セル1はいずれも正極電極端子及び負極電極端子を含み、電池モジュールAにおいて、複数の電池セル1の間は電気的に接続され、具体的に直列接続及び/又は並列接続等の接続方式を用いることができ、且つ電池セル1の間は接続片3を介して接続され、例えば、複数の電池セル1が直列接続されるときに、1つの電池セル1の正極電極端子と別の電池セル1の負極電極端子は接続片3を介して接続される。
【0030】
通常の場合、接続片3は正極電極端子及び負極電極端子に溶接され、溶接過程で金属微粒子が生じ、これらの金属微粒子は電池モジュールAの各箇所に飛散し、例えば、各電池セル1の間及び電極端子11と接続片3との間に飛散し、そのため、隣接する電池セル1は金属微粒子により短絡し、電極端子11と接続片3との間は金属微粒子により短絡し、それにより電池モジュールAの充放電過程に影響を与える。従って、接続片3と電極端子11を溶接した後、電池モジュールAを清掃する必要があり、それによって、電池モジュールA内の金属微粒子を除去し、それにより電池モジュールAの安全性及び信頼性を向上させる。
【0031】
通常の場合、接続片3と電極端子11との溶接を完了した後、反転、吸着、洗浄等の工程によって電池モジュールAを清掃することができ、それにより電池モジュールA内の金属微粒子を除去する。しかし、各電池セル1を電池パックMの筐体M1内に固定(具体的に接着の方式で固定してもよい)してから、接続片3と電極端子11を溶接するときに、電池パックM全体を清掃することしかできず、電池パックMの吸着清掃を実現しにくく、そのため、電池パックMに金属微粒子が残存するリスクが存在している。
【0032】
いくつかの実施例では、通常の電池モジュールAは絶縁板をさらに含んでもよく、該絶縁板は各電池セル1の電極端子11の上方を被覆し、接続片3は絶縁板の上方に位置し、該絶縁板には電極端子11を通過するための貫通穴が設置され、該貫通穴と電極端子11との間に大きい隙間が存在し、それにより該貫通穴を貫通する電極端子11と接続片3を溶接する。該解決手段では、絶縁板の貫通穴箇所も金属微粒子が容易に飛散する場所であり、且つ清掃しにくい。
【0033】
該技術的問題を解決するために、
図3~
図6に示すように、本願の実施例は電池モジュールAを提供し、該電池モジュールAは電池セル1及び絶縁板2を含んでもよく、各電池セル1は長手方向Xに沿って相互に積んで、電池セル配列構造A1を形成し、電池セル1は電極端子11を有し、絶縁板2は電池セル1の最上部に設置され、絶縁板2は本体部21を含んでもよく、本体部21はその自体に対して突起する第1突起部22を有する。
【0034】
具体的に、
図4に示すように、第1突起部22は側壁221及び頂壁222を含んでもよく、頂壁222は側壁221を介して本体部21に接続され、且つ両者は収容キャビティを画定し、絶縁板2が電池セル配列構造A1に接続されるときに、電極端子11の少なくとも一部は該収容キャビティに位置し、且つ第1突起部22の頂壁222は電極端子11の一部を被覆する。
【0035】
本願の実施例に提供される電池モジュールAは、電池セル1の最上部に絶縁板2を設置することによって、各電池セル1を遮蔽でき、金属微粒子及び他の不純物が各電池セル1の間に入るリスクを低減させ、電池モジュールAの清掃難しさを低減させ、且つ該絶縁板2は各電池セル1及び他の金属部材に対して絶縁の役割を果たすことができ、それにより電池セル1の信頼性を向上させる。いくつかの実施例では、絶縁板2は第1突起部22によって電極端子11の一部を被覆し、金属微粒子及び他の不純物が絶縁板2を経て隣接する電池セル1の間に入るリスクを低減させ、且つ金属微粒子が該第1突起部22に落ちるときに、該第1突起部22の側壁221を経て絶縁板2に滑り落ちることができ、それにより金属微粒子が電池モジュールAの内部に入るリスクをさらに低減させ、それによって、金属微粒子及び他の不純物は絶縁板2の表面のみに付着し、溶接を完了した後に電池モジュールAを清掃するときに、絶縁板2の電池セル1から離れる一方側の表面のみを清掃すればよく、各電池セル1の間の位置を清掃する必要がなく、それにより電池モジュールAの清掃難しさを低減させ、電池モジュールAの安全性及び信頼性を向上させる。
【0036】
1つの可能な設計では、
図4に示すように、第1突起部22の頂壁222に貫通穴222aが設置されてもよく、貫通穴222aは頂壁222を貫通し、収容キャビティと連通し、電極端子11の一部は貫通穴222aから延出でき、即ち、電極端子11の一部は貫通穴222aから露出し、該一部の電極端子11は接続片3に接続することに用いることができ、両者は具体的に溶接の方式で接続されてもよく、それにより電池セル1の電気的接続を実現する。
【0037】
本実施例では、電極端子11の一部が第1突起部22の貫通穴222aから延出するときに、電極端子11と接続片3の溶接を実現することができるだけでなく、両者の溶接前に、該貫通穴222aによって電極端子11の貫通穴222aから延出する一部を位置決めすることができ、それにより接続片3の位置決め精度を向上させ、さらに接続片3と電極端子11との間の接続安定性を向上させる。
【0038】
具体的に、該電極端子11の貫通穴222aから延出する一部の側壁は貫通穴222aの側壁に当接でき、即ち、該電極端子11と貫通穴222aとの側壁の間に隙間がなく、又は隙間が小さく、それにより金属微粒子又は他の不純物が電池モジュールAの内部に落ちるリスクをさらに低減させることができる。
【0039】
1つの可能な設計では、
図7及び
図8に示すように、電極端子11はベース部111及び第1接続部112を含んでもよく、第1接続部112はベース部111に対して突出し、絶縁板2が電池セル配列構造A1に接続されるときに、第1接続部112は貫通穴222aから延出でき、第1突起部22の頂壁222はベース部111の少なくとも一部を被覆する。
【0040】
本実施例では、絶縁板2が電池セル配列構造A1に接続されるときに、電極端子11の第1接続部112を対応する貫通穴222aから延出させることによって、各ベース部111及び貫通穴222aの側壁により絶縁板2及び電池セル配列構造A1を位置決めすることができ、それにより絶縁板2と電池セル配列構造A1の位置精度を向上させ、両者の接続信頼性を向上させる。いくつかの実施例では、絶縁板2の第1突起部22の頂壁222が対応する電極端子11のベース部111の少なくとも一部を被覆するときに、電極端子11と絶縁板2の貫通穴222aとの間に隙間が存在するリスクをさらに低減させることができ、それにより金属微粒子又は他の不純物が収容キャビティに入るリスクを低減させ、さらに、金属微粒子又は他の不純物が電池モジュールAの内部に入るリスクを低減させる。
【0041】
具体的に、
図8に示すように、1つの可能な設計では、絶縁板2の厚さ方向に沿って、第1接続部112の上面は頂壁222の上面よりも低くなく、即ち、第1接続部112は頂壁222に対して同じ高さであり又は突出し、このような設計によって、電極端子11が第1接続部112を介して接続片3に接続されやすくなると共に、接続片3に接続されるときに接続片3及び電極端子11を位置決めしやすくする。
【0042】
一方、
図9に示すように、接続片3は絶縁板2の電池セル1から離れる一方側に位置し、且つ電極端子11の貫通穴222aから露出する一部に接続され、それにより接続片3と電極端子11の溶接を容易にし、且つ接続片3と電極端子11の溶接位置が絶縁板2の電池セル1から離れる一方側に位置するため、溶接時に生じた金属微粒子が各電池セル1の間に落ちるリスクをさらに低減させ、電池モジュールAの安全性及び信頼性を向上させることができる。
【0043】
具体的に、
図10に示すように、接続片3は電極端子11に溶接された後、該接続片3は貫通穴222aを被覆でき、電極端子11の第1接続部112の位置がずれるときに、接続片3は依然として第1接続部112に溶接でき、電極端子11の位置が予め設定された位置からずれるため、接続片3が対応する電極端子11に溶接できないというリスクを低減させ、さらに接続片3と電極端子11との間の接続安定性を向上させ、また、接続片3が貫通穴222aを被覆するため、接続片3と電極端子11との間の接触面積は比較的大きく、それにより両者間の接続安定性をさらに向上させ、電極端子11と接続片3との間の通過断面積を大きくし、接続片3及び電極端子11の温度が高すぎるリスクを低減させることができる。
【0044】
より具体的に、
図11に示すように、接続片3は凹部31及び少なくとも2つの第2接続部32を含んでもよく、各第2接続部32はそれぞれ凹部31の対向する両側に位置し、第2接続部32と凹部31は一体成形されてもよく、凹部31は絶縁板2の方向に向かって凹み、各第2接続部32は電極端子11の第1接続部112に接続することに用いられ、接続時に、凹部31は接続片3が接続する2つの電極端子11の間に位置してもよく、接続片3を位置決めしやすく、接続片3の位置に誤差が発生するため、接続片3が対応する電極端子11に接続できないというリスクを低減させる。いくつかの実施例では、各第2接続部32の面積は頂壁222の貫通穴222aの面積よりも大きく、接続部材3は第2接続部32によって各貫通穴222aを被覆することができる。
【0045】
図12に示すように、1つの可能な設計では、絶縁板2の本体部21に収容溝211が設置されてもよく、具体的に、本体部21に凹み領域を設置し、且つ該凹み領域は電極端子11の方向に向かって凹み、該凹み領域は収容溝211を形成し、第1突起部22は収容溝211の底壁211aに位置する。
【0046】
本実施例では、溶接で生じた金属微粒子が第1突起部22の側壁221から収容溝211内に滑り落ちることができ、従って、該収容溝211は接続片3と電極端子11を溶接するときに生じた金属微粒子を収集することに用いられ、溶接が終了した後に電池モジュールAを清掃するときに、収容溝211のみを清掃すればよい。
【0047】
具体的に、
図13及び
図14に示すように、1つの可能な設計では、本体部21は複数の第2突起部24を有し、各第2突起部24は収容溝211の底壁211aに設置され、且つ第1突起部22の外周に位置し、第2突起部24の突出方向は第1突起部22の突出方向と同じであり、即ち、電池セル1から離れる方向に向かって突出する。接続片3と電極端子11の溶接過程で生じた金属微粒子は溶接位置から離れる方向に向かって移動し、金属微粒子は移動する過程で第2突起部24に接触すると、第2突起部24の作用下で、跳ね返されるか、収容溝211に滑り落ちることができ、収容溝211は溶接時に生じた金属微粒子を収集することができ、それにより金属微粒子の収集及び清掃を実現しやすい。
【0048】
より具体的に、第2突起部24によって収容溝211を異なる収集領域に仕切り、各収集領域にそれぞれ第1突起部22が設置されてもよく、第1突起部22の数は1つ又は複数であってもよく、且つ同一の接続片3を介して接続される電極端子11は同一の収集領域に位置してもよく、それにより溶接時に生じた金属微粒子が溶接位置に近い収集領域内に落ち、より清掃しやすくなる。
【0049】
上記の実施例では、第2突起部24は溶接で生じた金属微粒子を収集するための役割を果たすことに加えて、接続片3を位置決めすることに用いることもでき、接続片3を溶接するときに、接続片3を隣接する第2突起部24の間に位置させ、該接続片3がその両側に位置する第2突起部24に当接でき、それにより第2突起部24によって接続片3を位置決めし、接続片3の位置決め精度を向上させ、接続片3は絶縁板2の貫通穴222aを被覆することができ、接続片3と電極端子11の接続信頼性を向上させる。
【0050】
1つの可能な設計では、
図15に示すように、絶縁板2は第3突起部25を有してもよく、第3突起部25は本体部21に設置され、その突起方向は第1突起部22及び第2突起部24と同じであってもよく、即ち、電池セル1から離れる方向に向かって突起し、第3突起部25に補強構造が設置されてもよく、補強構造は突起又は補強リブ等の通常の補強構造であってもよく、それにより絶縁板2の構造強度及び耐用年数を向上させる。
【0051】
また、第3突起部25は第2突起部24と収集領域を画定してもよく、それによって、溶接時に生じた金属微粒子を収集し、また、第3突起部25は回避領域をさらに含んでもよく、回避領域の設置位置は実際の状況に応じて選択できる。1つの可能な設計では、回避領域はフレキシブル回路基板(Flexible Printed Circuit:FPC)の端子を回避することに用いられ、さらに絶縁板2の構造を最適化し、使用過程で絶縁板2が他の部材と干渉するリスクを低減させる。
【0052】
1つの可能な設計では、
図16に示すように、絶縁板2はフランジング23を含んでもよく、フランジング23は本体部21の外周に設置され、且つ延伸方向は第1突起部22の突起方向と同じであり、即ち、電池セル1から離れる方向に向かって延伸する。1つの可能な設計では、フランジング23は収容溝211を画定することに用いることができ、溶接で生じた金属微粒子がフランジング23に接触すると、該フランジング23の作用下で、金属微粒子は跳ね返され、収容溝211内に落ちることができ、それにより金属微粒子の収集及び清掃を実現しやすい。
【0053】
上記各実施例の電池モジュールAに基づいて、本願は電池モジュールAの組立方法をさらに提供し、該電池モジュールAは電池セル1、絶縁板2及び接続片3を含み、絶縁板2に第1突起部22が設置され、第1突起部22は接続される側壁221と頂壁222を有し、且つ頂壁222と側壁221は収容キャビティを画定し、頂壁222に貫通穴222aが設置され、貫通穴222aは収容キャビティと連通する。組立方法は以下のとおりである。
【0054】
S1:複数の電池セル1を相互に積んで電池セル配列構造A1を構成する。
【0055】
S2:高さ方向Zに沿って、絶縁板2を電池セル配列構造A1の最上部に置くことで、電池セル1の電極端子11の一部を貫通穴222aから露出させ、且つ第1突起部22の頂壁222によって電極端子11の少なくとも一部を被覆する。
【0056】
S3:接続片3によって電極端子11の貫通穴222aから露出する一部を接続する。
【0057】
本実施例では、絶縁板2と電池セル配列構造A1を接続するときに、まず、電極端子11の一部を絶縁板2の貫通穴222aから露出させ、絶縁板2の第1突起部22によって電極端子11の少なくとも一部を被覆し、それにより、絶縁板2と電極端子11との間に隙間が発生する可能性を減らし、次に、接続片3と電極端子11の貫通穴222aから露出する一部とを溶接し、それにより、溶接で生じた金属微粒子が絶縁板2と電極端子11との間の隙間を経て電池セル1の間に入るというリスクを低減させることができ、それにより電池モジュールAの安全性及び信頼性を向上させる。また、溶接で生じた金属微粒子は電池モジュールAの表面にしか付着しないため、清掃しやすい。
【0058】
具体的に、絶縁板2は収容溝211を有し、接続片3と電極端子11の貫通穴222aから露出する一部とを接続する前に、ステップS3は以下のステップをさらに含んでもよい。
【0059】
S31:接続片3を対応する収容溝211内に係接する。
【0060】
このような設計によって、接続片3と電極端子11を接続するときに接続片3を位置決めしやすくなり、接続片3と電極端子11との間の相対位置の精度を向上させ、さらに接続片3と電極端子11との間の接続安定性を向上させる。
【0061】
より具体的に、絶縁板2を電池セル配列構造A1の最上部に置く前に、ステップS1は以下のステップをさらに含んでもよい。
【0062】
S11:少なくとも一部の電池セル1の最上部に接着剤を塗布し、及び/又は、絶縁板2の底部に接着剤を塗布することで、絶縁板2と電池セル配列構造A1を接着させることができる。
【0063】
電池セル1と絶縁板2との間に接着剤を塗布することによって、電池セル配列構造A1と絶縁板2を固定して接続することができ、両者間の接続安定性を向上させ、それにより、電池セル配列構造A1と絶縁板2に相対的な移動が存在するため、両者の間に隙間が発生するというリスクを低減させ、それにより金属微粒子が両者の隙間に沿って電池モジュールAの内部に入るリスクを低減させ、電池モジュールAの安全性及び安定性を向上させる。
【0064】
以上は本願のいくつかの実施例に過ぎず、本願を制限するためのものではなく、当業者にとって、本願に対して様々な修正や変更を行うことができる。本願の精神及び原則内に行われた任意の修正、均等物への置換や改良等は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0065】
A…電池モジュール、
A1…電池セル配列構造、
M…電池パック、
M1…筐体、
M2…キャビティ、
D…装置、
1…電池セル、
11…電極端子、
111…ベース部、
112…第1接続部、
2…絶縁板、
21…本体部、
211…収容溝、
211a…底壁、
22…第1突起部、
221…側壁、
222…頂壁、
222a…貫通穴、
23…フランジング、
24…第2突起部、
25…第3突起部、
3…接続片、
31…凹部、
32…第2接続部。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュー
ルであって、
電極端
子を含む電池セ
ルと、
前記電池セ
ルの最上部に設置され、本体
部及び前記本体
部に対して突起する第1突起
部を含む絶縁
板と、
を含み、
前記第1突起
部は前記本体
部に接続される側
壁及び前記側
壁の最上部に接続される頂
壁を含み、前記側
壁と前記頂
壁は収容キャビティを囲んで形成するように構成され、前記電極端
子の少なくとも一部が前記収容キャビティに収容され、且つ前記頂
壁は一部の前記電極端
子を被覆する電池モジュー
ル。
【請求項2】
前記頂
壁に貫通
穴が設けられ、前記貫通
穴は前記収容キャビティに貫通し、前記電極端
子の一部は前記貫通
穴から露出する請求項1に記載の電池モジュー
ル。
【請求項3】
前記電極端
子はベース
部及び前記ベース
部から突出する第1接続
部を含み、前記頂
壁は少なくとも一部の前記ベース
部を被覆し、前記第1接続
部は前記貫通
穴から露出する請求項2に記載の電池モジュー
ル。
【請求項4】
前記絶縁
板の厚さ方
向に沿って、前記第1接続
部の上面は前記頂
壁の上面よりも低くない請求項3に記載の電池モジュー
ル。
【請求項5】
前記電池モジュー
ルは接続
片をさらに含み、前記接続
片は前記絶縁
板の前記電池セ
ルから離れる一方側に位置し、
前記接続
片は前記電極端
子の前記貫通
穴から露出する一部を接続することに用いられる請求項2~4のいずれか一項に記載の電池モジュー
ル。
【請求項6】
前記接続
片は前記貫通
穴を被覆する請求項5に記載の電池モジュー
ル。
【請求項7】
前記本体
部に収容
溝が設置され、前記第1突起
部は前記収容
溝の底
壁に設置される請求項1~6のいずれか一項に記載の電池モジュー
ル。
【請求項8】
前記本体
部には前記底
壁に接続される複数の第2突起
部が設置され、前記第2突起
部は前記第1突起
部の外周に位置し、且つ前記第2突起
部と前記第1突起
部の突起方向は同じである請求項7に記載の電池モジュー
ル。
【請求項9】
前記絶縁
板はフランジン
グを含み、前記フランジン
グは前記本体
部の外周に設置され、
前記フランジン
グの延伸方向は前記第1突起
部の突起方向と同じである請求項1~8のいずれか一項に記載の電池モジュー
ル。
【請求項10】
電池パッ
クであって、前記電池パッ
クは筐
体及び請求項1~9のいずれか一項に記載の電池モジュー
ルを含み、前記電池モジュー
ルは前記筐
体内に収容される電池パッ
ク。
【請求項11】
装
置であって、
請求項10に記載の電池パッ
クを含み、前記電池パッ
クは電気エネルギーを提供することに用いられる装
置。
【国際調査報告】