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特表2022-554052ゴースト像のないヘッドアップディスプレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ゴースト像のないヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20221221BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515881
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 GB2020052700
(87)【国際公開番号】W WO2021079154
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】1915455.8
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1915608.2
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507200787
【氏名又は名称】ケンブリッジ エンタープライズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ダピン, チュウ
(72)【発明者】
【氏名】デン, ユアンボ
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA15
2H199DA17
2H199DA25
2H199DA26
2H199DA30
2H199DA36
2H199DA42
3D344AA19
3D344AA21
3D344AA27
3D344AC25
(57)【要約】
ゴースト像のないヘッドアップディスプレイを提供するための画像生成システムであって、本システムは、前面及び背面を有するディスプレイスクリーンと、所定のアイボックスに向けて反射させるためにディスプレイスクリーンに向けて画像を投影するピクチャ生成ユニットと、視野レンズとを備え、ピクチャ生成ユニットは、光がディスプレイスクリーンの前面に入射して、第1の虚像を形成するように視野レンズを通して光を投影するように構成され、光の一部がディスプレイスクリーンを透過し、ディスプレイスクリーンの背面に入射して第2の虚像を形成し、第1の虚像及び第2の虚像はオフセットを有し、視野レンズは、オフセットが閾値未満の大きさであり、第1の虚像及び第2の虚像はアイボックスから見て実質的に重なり合うように構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴースト像のないヘッドアップディスプレイを提供するための画像生成システムであって、
前面及び背面を有し、第1の構成を有するディスプレイスクリーンと、
第1の所定のアイボックスに向けて反射させるために前記ディスプレイスクリーンに向けて画像を投影するピクチャ生成ユニットと、
視野レンズとを備え、
前記ピクチャ生成ユニットは、光が前記ディスプレイスクリーンの前記前面に入射して、第1の虚像を形成するように前記視野レンズを通して光を投影するように構成され、前記光の一部が前記ディスプレイスクリーンを透過し、前記ディスプレイスクリーンの前記背面に入射して第2の虚像を形成し、前記第1の虚像及び前記第2の虚像はオフセットを有し、
前記視野レンズは、前記オフセットが閾値未満の大きさであり、前記第1の虚像及び前記第2の虚像は前記アイボックスから見て実質的に重なり合うように構成され、
前記ピクチャ生成ユニット及び/又は前記視野レンズは、前記ディスプレイスクリーンの構成又は所定のアイボックスのうちの一方が変化したときに前記第1の虚像と前記第2の虚像との間の前記オフセットを調整するようにさらに構成された、画像生成システム。
【請求項2】
前記ピクチャ生成ユニット及び前記視野レンズが、前記ディスプレイスクリーンの前記前面に入射する前記光がコリメートされるように構成された、請求項1に記載の画像生成システム。
【請求項3】
前記第1の虚像が、前記アイボックスから第1の投影距離で第1の虚像平面に投影され、前記第2の虚像が、前記アイボックスから第2の投影距離で第2の虚像平面に投影される、請求項1又は2に記載の画像生成システム。
【請求項4】
前記視野レンズが、前記第1の虚像と前記第2の虚像との間の前記オフセットが閾値角度分解能未満であるように、前記第1の投影距離及び前記第2の投影距離で前記第1の虚像及び前記第2の虚像を投影するように構成された、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項5】
前記閾値角度分解能が、ピクセルの寸法に等しい、請求項4に記載の画像生成システム。
【請求項6】
前記閾値角度分解能が、人間の目の角度分解能に等しい、請求項4に記載の画像生成システム。
【請求項7】
前記第1の虚像及び前記第2の虚像が、光軸に垂直な平面でオフセットされている、請求項1~6のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項8】
前記視野レンズが、凹面鏡、自由曲面、フレネルレンズ、導波管、回折光学素子、ホログラフィック光学素子、又は1つ若しくは複数のテーパ形光ファイバのうちの1つによって提供される、請求項1~7のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項9】
前記ピクチャ生成ユニットが、光源と、空間光変調器とを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項10】
前記ピクチャ生成ユニットが、プロジェクタと、投影画像を実現する拡散器とを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項11】
前記ピクチャ生成ユニットが、レーザと、2次元走査鏡とを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項12】
前記ピクチャ生成ユニットが、コンピュータで生成されたホログラムを生成するホログラフィックユニットと、前記ホログラムを実現する拡散器とを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項13】
前記ピクチャ生成ユニットが、液晶ディスプレイデバイス、発光ダイオードデバイス、マイクロ発光ダイオードデバイス、有機発光ダイオードデバイス、又はデジタル光処理デジタルマイクロミラーデバイスのうちの1つ又は複数を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項14】
前記ピクチャ生成ユニットと前記視野レンズ、及び/又は前記視野レンズと前記ディスプレイスクリーンとの間に介在する光学素子をさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項15】
前記介在する光学素子が、折り返し鏡、円筒鏡、円柱レンズ、導波管、回折光学素子、又はホログラフィック光学素子のうちの1つを備える、請求項14に記載の画像生成システム。
【請求項16】
前記ピクチャ生成ユニットと通信する画像プロセッサをさらに備え、前記画像プロセッサが、前記画像が前記ディスプレイスクリーン上で歪曲して見えないように前記光学的構成によって生じる歪曲を考慮するように構成された、請求項1~15のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項17】
前記ヘッドアップディスプレイの前記ディスプレイスクリーンが、車両のフロントガラスである、請求項1~16のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項18】
前記第1の虚像及び前記第2の虚像が、画像の立体写真のうちの第1の画像に関連する、請求項1~17のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項19】
前記視野レンズ、投影ユニット及び/又は介在する光学部品(存在する場合)のうちの1つ又は複数が、互いに対して移動可能である、請求項1~18のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項20】
前記第1の虚像及び前記第2の虚像が、多次元画像である。請求項1~19のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項21】
前記第1の虚像及び前記第2の虚像が、画像のサブセットを備え、前記サブセットの各画像が、前記ディスプレイスクリーンに投影されたとき、前記サブセットの各画像が前記アイボックスから見たときに見かけの奥行きが異なるように、前記視野レンズの焦点距離から異なる距離で実現される、請求項1~20のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項22】
前記視野レンズを通して前記ディスプレイスクリーンによって反射された光を捕捉するように配置された感光性デバイスをさらに備える、請求項1~21のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項23】
ゴースト像のないヘッドアップディスプレイを用意するための方法であって、
所定のアイボックスに向けて反射させるために、前面及び背面を有するディスプレイスクリーンにレンダリングされる画像をピクチャ生成ユニットで生成するステップと、
前記ピクチャ生成ユニットと前記ディスプレイスクリーンとの間に視野レンズを用意するステップであって、
前記ディスプレイスクリーンの前記前面に入射する光の一部が反射されて、第1の虚像を形成し、前記光の一部が前記ディスプレイスクリーンを透過し、前記背面に入射して、前記第1の虚像とはオフセットされた第2の虚像を形成する、ステップと、
前記オフセットが閾値未満の大きさであり、前記第1の虚像及び前記第2の虚像は前記アイボックスから見て実質的に重なり合うように前記視野レンズを構成するステップと、
前記アイボックス又は前記ディスプレイスクリーンの変化を認識し、前記第1の虚像及び前記第2の虚像が前記アイボックスから見て実質的に重なり合うように前記ピクチャ生成ユニット及び/又は視野で生成された前記画像を調整するステップと、
を含む、方法。
【請求項24】
前記ディスプレイスクリーンの前記前面に入射する前記光がコリメートされるように、前記ピクチャ生成ユニット及び前記視野レンズを構成するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の虚像を、前記アイボックスから第1の投影距離で第1の虚像平面に、前記第2の虚像を、前記アイボックスから第2の投影距離で第2の虚像平面に投影するステップをさらに含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の虚像と前記第2の虚像との間の前記オフセットが閾値角度分解能未満であるように、前記第1の投影距離及び前記第2の投影距離で前記第1の虚像及び前記第2の虚像を投影するステップをさらに含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記閾値角度分解能が、ピクセルの寸法に等しい、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記閾値角度分解能が、人間の目の角度分解能に等しい、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の虚像及び前記第2の虚像が、光軸に垂直な平面でオフセットされている、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスプレイシステムに関する。特に、排他的ではないが、本開示は、ゴースト像がないようにスクリーン上に画像を表示する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドアップディスプレイ(HUD)は、フロントガラス又はバイザーなどの透明な表面に画像が投影される公知のディスプレイである。このようなディスプレイは、車両内を含む多くの異なる環境において周知である。
【0003】
自動車業界では、ほとんどの市販のHUDは、別個の光学スクリーンを利用する(コンバイナ型HUD)か、又は風防ガラスに直接表示する(フロントガラス型HUD)。コンバイナ型HUDは、大きな変更なしにほとんどの車種に設置可能である。コンバイナ型UHDは、透明なプラスチック製プロジェクタスクリーンを利用して、現実の運転環境と投影された虚像とを組み合わせる。設置は比較的安価であるが、プラスチック製スクリーンは運転手の視野を部分的に覆い隠し、さらに、ユニットが振動を受けたときのその性能は不十分である。
【0004】
フロントガラス型HUDは、車両のフロントガラスを利用して、虚像と現実環境とを組み合わせる。フロントガラスは有限の厚さ(典型的にコンバイナ型HUDで使用されるスクリーンよりもはるかに大きい)を有しているため、投影画像はフロントガラスの前面及び背面の両方で反射され、結果として1次画像及び2次オフセット「ゴースト」像が生じる。ゴースト像という用語は、当該技術分野において、また本明細書全体を通じて、2次オフセット画像を説明するために使用される。この効果を無効化するために、前面での反射を強化する(以て、背面での後の反射を低減し、ゴースト像を減少させる)特殊なフィルムをフロントガラスに貼ることができる。このようなフィルムは比較的安価だが、視覚的に見栄えが悪く、画質に悪影響を及ぼし、長期間太陽光にさらされると有効性が低下し得る。別の解決策は、運転手に単一の鮮明な画像を提示するように2つの反射像を効果的に重ね合わせる特殊な多層ウェッジ形フロントガラスを提供することである。ウェッジ形フロントガラスの概略図を図1に示す。このような特別に製造されたフロントガラスは、各用途に合わせて特別に設計しなければならないため、製作費が高い。
【0005】
代替的アプローチは、放射性/散乱性ナノ粒子から作成された1つ又は複数の層を有するフロントガラスを設計することである。各層は、走査型レーザプロジェクタによって励起されると、R/G/B波長帯のうちのいずれかで可視放射物を生成する。複数の波長帯の画像を重ねることによって、風防ガラスにカラー画像が表示される。このいわゆるフルフロントガラス型HUDは、視野角及び表示位置に制限がなく、レーザスペックルもないが、やはり製造は高価で複雑である。さらに、運転手は表示された情報を見るためにフロントガラスに集中しなければならないため、多深度画像(すなわち、見かけの奥行きが異なるところに要素を持つ画像)は体験され得ない。
【0006】
電車及びトラックに見出されるようなフロントガラスの傾斜角が大きい用途のためにHUDを設計にする際にはさらなる困難が生じる。小型車については、フロントガラスの傾斜角は通常30°~45°の間で、HUDシステムはダッシュボード直下に設置されるため、HUDシステムの設計はより容易になる。しかし、より大型の車両については、フロントガラスの傾斜角は広範囲で様々あり得る。例えば、ほとんどの電車のフロントガラスは60°~80の傾斜角を有する。トラック及びバスの場合、傾斜角はさらに大きく、最大90°になり得る。傾斜角が大きくなると、より大型の車両で使用される厚いフロントガラスと相俟って、フロントガラスの前面及び背面から反射される画像のオフセットが大きくなることによって、ゴースト像の問題がより顕著になるだけでなく、前述の従来の軽減技術のコストも高くなる。
【0007】
そのため、既存の方法では、複数の異なるシステム間でゴースト像を低減することができない。
【0008】
本発明の目的は、上記の先行技術の欠陥のいくつかを軽減することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の態様及び実施形態は、添付の特許請求の範囲によって特許請求される装置を提供する。
【0010】
本発明の第1の態様によると、ゴースト像のないヘッドアップディスプレイを提供するための画像生成システムが提供され、本システムは、前面及び背面を有するディスプレイスクリーンと、所定のアイボックスに向けて反射させるためにディスプレイスクリーンに向けて画像を投影するピクチャ生成ユニットと、視野レンズとを備え、ピクチャ生成ユニットは、光がディスプレイスクリーンの前面に入射して、第1の虚像を形成するように視野レンズを通して光を投影するように構成され、光の一部がディスプレイスクリーンを透過し、ディスプレイスクリーンの背面に入射して第2の虚像を形成し、第1の虚像及び第2の虚像はオフセットを有し、視野レンズは、オフセットが閾値未満の大きさであり、第1の虚像及び第2の虚像はアイボックスから見て実質的に重なるように構成されている。
【0011】
このアプローチにより、ディスプレイスクリーンの表面又は内部構造を一切変更する必要なく、ゴースト像のない投影が可能となる。さらに、この技術は最大90°の幅広い傾斜角のディスプレイスクリーンに適用可能である。
【0012】
任意選択で、ピクチャ生成ユニット及び視野レンズは、ディスプレイスクリーンの前面に入射する光がコリメートされるように構成される。
【0013】
任意選択で、第1の虚像は、アイボックスから第1の投影距離で第1の虚像平面に投影され、第2の虚像は、アイボックスから第2の投影距離で第2の虚像平面に投影される。
【0014】
任意選択で、視野レンズは、第1の虚像と第2の虚像との間のオフセットが閾値角度分解能未満であるように、第1の投影距離及び第2の投影距離で第1の虚像及び第2の虚像を投影するように構成される。
【0015】
任意選択で、閾値角度分解能は、ピクセルの寸法に等しい。
【0016】
任意選択で、閾値角度分解能は、人間の目の角度分解能に等しい。オフセットをディスプレイ及び/又は人間の目が解像できる限度未満まで低減することによって、ゴースト像は効果的に除去される。
【0017】
任意選択で、第1の虚像及び第2の虚像は、光軸に垂直な平面でオフセットされている。
【0018】
任意選択で、視野レンズは、凹面鏡、自由曲面、フレネルレンズ、導波管、回折光学素子、ホログラフィック光学素子、又は1つ若しくは複数のテーパ形光ファイバのうちの1つによって提供される。特にテーパ形光ファイバは、投影画像のファイバ空間をレンズなしで拡大でき、以て、光の光路を短くし、システムの空間フットプリント全体を減少させることができる。
【0019】
任意選択で、ピクチャ生成ユニットは、光源と、空間光変調器とを備える。
【0020】
任意選択で、ピクチャ生成ユニットは、プロジェクタと、投影画像を実現する拡散器とを備える。
【0021】
任意選択で、ピクチャ生成ユニットは、レーザと、2D(2次元)走査鏡とを備える。
【0022】
任意選択で、ピクチャ生成ユニットは、コンピュータで生成されたホログラムを生成するホログラフィックユニットと、ホログラムを実現する拡散器とを備える。
【0023】
任意選択で、ピクチャ生成ユニットは、LCD(液晶ディスプレイ)デバイス、LED(発光ダイオード)デバイス、マイクロLED(発光ダイオード)デバイス、OLED(有機発光ダイオード)デバイス、又はデジタル光処理デジタルマイクロミラーデバイスのうちの1つ又は複数を備える。このようなデバイスは、電流の印加によって起動でき、これは、所望に応じて局所化され、変調され得る。これらのデバイスは、柔軟なマルチカラーディスプレイをさらに提供することができる。
【0024】
任意選択で、システムは、ピクチャ生成ユニットと視野レンズ、及び/又は視野レンズとディスプレイスクリーンとの間に介在する光学素子をさらに備える。
【0025】
任意選択で、介在する光学素子は、折り返し鏡、円筒鏡、円柱レンズ、導波管、回折光学素子、又はホログラフィック光学素子のうちの1つを備える。このような介在する光学素子により、光の経路を設置環境の物理的範囲の周りに配置することができ、またフロントガラス自体のすべての光学的効果を補償することができる。
【0026】
任意選択で、システムは、光照射野ディスプレイと通信する画像プロセッサをさらに備え、画像プロセッサは、観察者によって知覚される画像が歪曲して見えないように光学的構成によって生じる歪曲を考慮する(account for)ように構成される。これにより、画像生成後のあらゆる補正及び嵩張る補正光学素子を不要なものにする。さらに、これは、様々なディスプレイ表面及び光学的構成に適合し得る高い柔軟性も提供する。
【0027】
任意選択で、ヘッドアップディスプレイのスクリーンは、車両のフロントガラスである。
【0028】
任意選択で、第1の虚像及び第2の虚像は、画像の立体写真のうちの第1の画像に関連する。これにより、ユーザは、重ねた画像のいずれに焦点を合わせるかに応じて、物体又はシーンを複数の視点から見ることができる。
【0029】
任意選択で、視野レンズ、投影ユニット及び/又は介在する光学部品(存在する場合)のうちの1つ又は複数は、互いに対して移動可能である。
【0030】
任意選択で、第1の虚像及び第2の虚像は、多次元画像である。HUDシステムを通じた3次元画像の投影は、実物体の説得力のある表現を生み出すように、そのような画像を適切な様々な奥行きで表示することを可能にする。
【0031】
任意選択で、第1の虚像及び第2の虚像は、画像のサブセットを構成し、サブセットの各画像は、ディスプレイスクリーンに投影されたとき、サブセットの各画像がアイボックスから見たときに異なる見かけの奥行きを有するように、視野レンズの焦点距離から異なる距離で実現される。
【0032】
任意選択で、システムは、視野レンズを通してディスプレイスクリーンによって反射された光を捕捉するように配置された感光性デバイスをさらに備える。これにより、本システムは、環境及び/又は前記環境内のユーザを監視するために使用され得るカメラとして機能することができる。
【0033】
本発明の第2の態様によると、ゴースト像のないヘッドアップディスプレイを用意するための方法が提供され、当該方法は、所定のアイボックスに向けて反射させるために、前面及び背面を有するディスプレイスクリーンにレンダリングされる画像をピクチャ生成ユニットで生成するステップと、ピクチャ生成ユニットとディスプレイスクリーンとの間に視野レンズを用意するステップであって、ディスプレイスクリーンの前面に入射する光の一部が反射されて、第1の虚像を形成し、光の一部がディスプレイスクリーンを透過し、背面に入射して、第1の虚像とはオフセットされた第2の虚像を形成する、ステップと、オフセットが閾値未満の大きさであり、第1の虚像及び第2の虚像はアイボックスから見て実質的に重なり合うように視野レンズを構成するステップとを含む。
【0034】
本発明の他の態様は、添付の請求項のセットから明らかになるであろう。
【0035】
ここで、本発明の1つ又は複数の実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ウェッジウィンドスクリーンを利用した既知のHUDシステムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図3A】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図3B】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図4】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図5A】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図5B】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図6】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図7】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図8】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図9A】フロントガラスの所与の屈折率1.5に対して、異なるディスプレイスクリーンの厚さにおける入射角と縦方向変位との間の関係を示すグラフである。
図9B】フロントガラスの所与の屈折率1.5に対して、異なるディスプレイスクリーンの厚さにおける入射角と横方向変位との間の関係を示すグラフである。
図10】フロントガラスの所与の厚さ8mmに対して、ディスプレイスクリーンの屈折率の範囲にわたる複像の縦方向変位及び横方向変位を示すグラフである。
図11】本発明の一実施形態による拡大システムの動作を示す図である。
図12】異なる投影距離に対して、視野レンズの焦点距離と画像平面から焦点面までの距離との間の関係を示すグラフである。
図13】本発明の一実施形態による拡散器の動作を示す図である。
図14】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図15A】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略的3Dモデル及びプロトタイプを示す図である。
図15B】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略的3Dモデル及びプロトタイプを示す図である。
図15C】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略的3Dモデル及びプロトタイプを示す図である。
図15D】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略的3Dモデル及びプロトタイプを示す図である。
図16】本発明の一実施形態によるHUDシステムの部品を設計し実装するためのステップを示すフロー図である。
図17A】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図17B】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図17C】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図18】本発明の一実施形態によるHUD設置環境のモデルである。
図19】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図20A】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図20B】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図20C】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図21A】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図21B】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図22】本発明の一実施形態によるHUDシステムの概略図である。
図23A】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図23B】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図23C】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図24A】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
図24B】本発明の一実施形態によるHUDシステムのシミュレーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一態様では、装置及びディスプレイは、自動車などの車両に設置される。以下の説明は、ディスプレイスクリーンとしてフロントガラスを利用する自動車のHUDに関して記述されるが、本明細書に記載される本開示及び概念は、他の形態のHUD(例えば、他の形態の車両、ヘルメット若しくはゴーグルなどのウェアラブルプラットフォーム、又は他の公知のタイプのHUDに設置されるもの)、並びに一般にディスプレイに適用可能である。
【0038】
特に、本発明は、陸上(路上/オフロード、又は軌道)、海中又は海上、空中又は宇宙で運転可能な車両などの制約された環境での使用のために設置されることが想定される。例としては、自動車、バス、トラック、掘削機、重作業用の外骨格スーツ、オートバイ、列車、テーマパークの乗り物、潜水艦、船、ボート、ヨット、ジェットスキー及び他のタイプの海の乗り物、飛行機、グライダ、及び他のタイプの空の乗り物、宇宙飛行体及び宇宙船用のシャトルを挙げることができるが、これらに限定されない。さらに、本技術は、ヘルメット又はゴーグルなどの運転手/操作者の頭部/目の保護装置などの可動プラットフォームにも設置/内蔵することができる。したがって、保護用ヘルメット/ゴーグルの装着に伴う任意の活動は、本明細書に記載された発明を利用することができる。これらの保護用ヘルメット/ゴーグルは、オートバイ乗り/サイクリスト、スキーヤ、宇宙飛行士、外骨格オペレータ、軍人、鉱夫、スキューバダイバ、及び建設作業者によって着用され得るが、これらに限定されない。さらに、これは、ゲーム機、アーケードマシン用のスタンドアロン環境で使用することができ、外部2D/3Dディスプレイと組み合わせることによって、シミュレーションプラットフォームとしても使用可能である。また、これは教育及び娯楽目的で研究機関及び博物館で使用してもよい。
【0039】
図1は、ウェッジ形フロントガラスを用いた従来のHUDシステムを示す。
【0040】
フロントガラス1aに画像を投影し、画像がフロントガラス1aの前面2a及び背面3aの両方で反射されるピクチャ生成ユニット(PGU)100aが示されている。フロントガラス1aは、第1のガラス層4aと、第2のガラス層5aと、第1のガラス層及び第2のガラス層を角度αで付勢する介在するウェッジ形層6aとの3層で形成されている。ウェッジ層6aがある結果、フロントガラス1aの前面2a及び背面3aは、各面によって反射された画像が互いに重なり合い、観察者200aによって単一の画像として知覚され、以て、任意のゴースト像が効果的に除去されるように入射光に対して異なる角度にある。しかしながら、このタイプのウェッジ形フロントガラスは、高価で製造及び設置が困難であり、一般に、従来のフロントガラスほど柔軟でも堅牢でもない。
【0041】
図2は、本発明の一実施形態によるHUDシステム10を示す。
【0042】
HUDシステム10は、PGU100、拡散器110、視野レンズ120及び従来のフロントガラス1から構成される。PGU100は、プロジェクタによって提供されるが、当業者であれば、以下に説明するように動作可能であれば任意の適切な光源及び結像手段を用いてもよいことを理解するであろう。したがって、一実施形態では、PGU100は、レーザ及び2D(2次元)走査鏡、又は拡散器110に形成するためのコンピュータで生成されたホログラムを生成するホログラフィックユニットから形成される。代替的実施形態では、PGU100は、拡散器110に形成するための3次元光照射野画像を生成する光照射野ユニットである。デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶ディスプレイ(LCD)デバイス、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)ディスプレイ、レーザプロジェクタ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、量子ドット発光ダイオード(QLED)ディスプレイ及びマイクロ発光ダイオード(μLED)ディスプレイもPGU100において又はPGU100として使用されてもよい。当業者であれば、DMD、LCoS及びLCD(液晶ディスプレイ)の実施形態において、PGU100が初期光源をさらに備えることを理解するであろう。対照的に、LED(発光ダイオード)を備えたPGU100は、さらなる発光部品を必要としないであろう。さらに、DMD、LCoS、LCD(液晶ディスプレイ)又はLED(発光ダイオード)、OLED(有機発光ダイオード)、QLED、μLEDの実施形態では、拡散器110が存在しないように、外部画像実現面は必要とされない。
【0043】
一実施形態において、PGU100は、ユーザに見える最終画像が正しく表示されるように、光路を操作するために使用される部品を通る光の透過に起因する歪曲を考慮することが可能である。一実施形態において、これは、投影される前にデジタル域で画像に事前補償逆歪曲を適用する、PGU100内の(又は他の方法でPGU100と通信する)ソフトウェアベースの歪曲補正モジュールによって達成される。一実施形態において、歪曲補正モジュールは、投影光学素子及びディスプレイの光学部品から予想される歪曲を計算し、ユーザに見える最終画像が歪曲しないように適用されなければならない逆歪曲を決定する。これにより、PGUは各画像の光路における非対称性を考慮することができる。このような事前補償歪曲は、既知のようにソフトウェアにより決定することができる。これにより、画像生成後のあらゆる補正及び嵩張る補正光学素子を不要なものにする。さらに、これは、様々なディスプレイ表面及び光学的構成に適合し得る高い柔軟性も提供する。
【0044】
使用時、PGU100は、拡散器110に光を投影して画像を形成する。この画像は、次に視野レンズ120を通して投影され、投影画像をフロントガラス1上に収束させ、そこで観察者200に向かって反射される。当業者であれば、以下に示す要件を満たしていれば、任意の適切な焦点及び拡大光学素子を使用してもよいことを理解するであろう。一実施形態において、視野レンズ120は、フレネルレンズによって提供される。一実施形態において、視野レンズ120は、PGU100からの発散ビームをほぼ平行なビームに変更するように構成される。
【0045】
視野レンズ120からフロントガラス1へと透過するPGU100からの光の経路は、光路と呼ばれる。当業者であれば、任意の数の介在する反射器/レンズ又は他の光学部品が、必要に応じて光路を操作するために(例えば、HUDシステム10の全体のサイズを最小化するために)、PGU100と視野レンズ120との間、又は視野レンズ120とフロントガラス1との間の光路に沿って配置されてもよいことを理解するであろう。
【0046】
本発明の態様は、柔軟で構成可能なシステムを可能にすることであり、その結果、設置に限定されないようにゴースト像を低減することである。以下に詳述するように、1次画像とゴースト像との間の角度分離が人間の目の角度分解能より小さいことを要求し、それに応じてHUDシステムを実装することによって、ユーザの身長、ディスプレイの角度、サイズなどの変化量を考慮することができる。
【0047】
図3A図3B図4及び図5A図5Bは、便宜上、視野レンズ120もフロントガラス1も示されていないが、このような介在する光学素子を含む実施形態を示す。
【0048】
図3Aは、PGU100、拡散器110、第1の鏡111、第2の鏡112、第3の鏡113、及び視野レンズ114から構成されるHUDシステム10を示す。図2に関連して上述したように、PGU100は、拡散器110を不要にするものを含む、任意の適切な画像生成手段によって提供されてもよい。視野レンズ120及びフロントガラス1は図示されていないが、図2の実施形態と同様に、さらに光路に沿って配置される。
【0049】
使用時、PGU100及び拡散器110(存在する場合)は、鏡111に画像を投影し、鏡111が画像を鏡112に反射させるように配置される。鏡112は、湾曲した矢印によって示されるようにz軸を中心に回転可能である。画像は、次に鏡113に反射され、鏡113は視野レンズ114を通って画像の向きを変える。
【0050】
この配置は柔軟性があるため、複数の異なる条件(例えば、異なるフロントガラスの厚さ又は傾斜角、運転手の身長など)に対してゴーストのない画像をディスプレイに投影できることが有益である。本実施形態では、PGU100及び鏡112は、ゴースト像のない投影を確実にするように調整することができる。
【0051】
図3Bは、PGU100、拡散器110、第1の鏡111及び第2の鏡112、並びに視野レンズ113aから構成されるHUDシステム10の代替的実施形態を示す。図3Aの実施形態と同様に、任意の適切な画像生成及び実現手段を採用することができる。ここでも、フロントガラス1は示されていないが、図2の場合と同様に、光路に沿って配置される。
【0052】
使用時、図3Aに関連して上述したように、鏡111及び鏡112に画像を投影するように配置されたPGU100及び拡散器110。本実施形態では、鏡112は固定され、画像を視野レンズ113aへと向きを変えるために使用される。
【0053】
本実施形態では、システムの調整能力は、システムの変化量の差を補償するために回転させることができる折り返し鏡に由来する。
【0054】
これらの折り返し鏡はすべて、凹面鏡又は自由曲面に置き換えられて、結像歪曲を補償するか、又は拡大部品として機能することによって、視野レンズの倍率を低下させることができる。
【0055】
図4は、PGU100、拡散器110、第1の鏡111b、第2の鏡112b、及び第3の鏡113bから構成されるHUDシステム10のさらに別の代替的実施形態を示す。図3A及び図3Bの実施形態と同様に、任意の適切な画像生成及び実現手段を採用することができる。視野レンズ120及びフロントガラスは示されていないが、それらは図2と同じようにさらに光路に沿って配置される。
【0056】
使用時、PGU100及び鏡111bは、PGU100からの光を拡散器110に反射するように配置され、拡散器110が鏡112bへ、最後に鏡113bへと画像を反射する。当業者であれば、拡散器110が視野レンズ120の前の光路に沿った任意の地点に配置されてもよいことを理解するであろう。鏡112b及び鏡113bは両方とも、投影画像の方向を正確に制御するとともに、システムの任意の変化量を調整し、以てより調整可能なシステムをもたらすように、x軸を中心に回転可能である。
【0057】
図5Aは、導波管115aが視野レンズ120の後に配置され、PGU100から放射された光をフロントガラス1(図示せず)へと向きを変えるために使用される実施形態を示す。図5Bは、画像を拡大するために、導波管115bがPGU100からの光の向きを変え、且つ発散させるために使用される代替的実施形態を示す。図示されていないが、導波管115a及び導波管115bは、図2図4に示されたHUDシステム10のいずれかの一部として実装されることが想定される。さらなる実施形態では、導波管115a及び導波管115bは、回折光学素子(DOE)又はホログラフィック光学素子(HOE)と置き換えられる。当業者であれば、説明するように動作していれば、任意の適切に反射性又は屈折性の光学部品が使用されてもよいことを理解するであろう。
【0058】
図3A図3B図4図5A及び図5Bに示された本発明の光学素子の配置により、HUDシステム10は、異なる厚さ又は傾斜角を有するフロントガラス、又は異なる身長の観察者に適合できる。これは、視野レンズ120に対するピクチャ生成ユニット100の傾斜を変化させることによっても実現可能である。フロントガラス1によって反射された画像を見るためにユーザの目が位置していなければならない領域は、アイボックスと呼ぶ。図3A図5Bのそれぞれにおいて、回転可能な鏡が、制御手段と通信する1つ又は複数のアクチュエータを備え、以て、その回転角度を変更できることが想定される。さらなる実施形態では、追加のアクチュエータは、x平面、y平面及びz平面の各々におけるそれらの相対位置及び角度成分を変化させるように鏡、拡散器110及びPGU10の各々に設けられる。
【0059】
一実施形態において、HUDシステム10は、奥行きの知覚を作り出すために両眼視差が使用されるオートステレオスコピーによって3D効果をもたらすようにさらに構成される。
【0060】
図6は、2つのPGU100a、100b及び一対の視野レンズ120a、120bから構成されるHUDシステム10の一実施形態を示す。少なくとも図2に関連して上述したように、PGU100a、PGU100bはそれぞれ、任意の適切な画像生成手段によって提供されてもよい。簡略さを期して、拡散器110、視野レンズ120及びフロントガラス1は図示されていないが、図2の実施形態と同様に、さらに光路に沿って配置される。
【0061】
使用時、PGU100a、PGU100bはそれぞれ、専用の視野レンズ120a、120bを経由して、画像の立体写真のうちの一方の画像を観察者の目200a、200bのうちの一方に向けて投影する。したがって、観察者は、異なる両眼視差を有する2つのほぼ同一の画像を見る。観察者の目それぞれについて、後述する原理に基づいてゴーストのない画像が生成される。
【0062】
図7は、PGU100、視野レンズ120、ビーム分割鏡116、第1の鏡112a及び第2の鏡112b、並びにさらなる一対の視野レンズ120a、120bから構成されるHUDシステム10の代替的実施形態を示す。
【0063】
使用時、PGU100は、単一の画像を視野レンズ120を通ってビーム分割鏡111へと投影することによって、画像の立体写真の両方の画像を生成する。次に、画像は、鏡112a及び鏡112bの各々に向かい、続いて前方へ視野レンズ120a及び視野レンズ120bを通って観察者の対応する目200a、200bに向かう。
【0064】
HUDの光学システムは、その異なる機能及び論理的順序に基づいて、コンバイナシステム、拡大システム、及び中間光学素子の3つの部分に分割することができる。コンバイナシステムは、HUDと設置環境との間の全体的な関係を定義する。例えば、図8に示すように、HUDシステム10の設置位置、HUDからフロントガラス1への光ビームの入射角、及びフロントガラス1から観察者/運転手200へ反射して戻る光ビームの角度。コンバイナシステムの幾何学的配置が定義されると、拡大システムは、運転手が情報を快適に観察できるように、投影画像を適切なサイズに拡大するように設計することができる。フロントガラス1の前面2及び背面3から反射される画像間の角度オフセットが、人間の目の最低解像力に近くなり、以てゴースト像の問題を解決するように拡大システムを設計することが可能である。前述したように、本発明の利点は、システムの幾何学的配置が変化した場合、ゴーストのない画像が確実に生成されるように拡大鏡システム及び/又はコンバイナシステムを調整することができることである。
【0065】
拡大システムを設計するとき、分解能、視野(FoV)及びアイボックスなどの考慮する必要があるHUDの重要なパラメータがいくつかある。コンバイナシステム及び拡大システムが定義された後は、鏡のサイズ及び位置、使用されていれば拡散器110の拡散角など、中間光学素子の要件が既知である。
【0066】
コンバイナシステム
コンバイナシステムを設計するために、システムの要件及び設置環境の制約を知る必要がある。例示的な環境が図8に示される。
【0067】
図8は、車両のフロントガラス1をコンバイナデバイスとして利用するHUDシステム10を示す。PGU100、拡散器110及び視野レンズ120(図示せず)は、位置(x,y)又は(x,y)のいずれかから画像を投影するように配置されている。画像pは、フロントガラス1の前面2及び背面3の両方から、L,Lに位置する観察者200に向かって反射され、その結果、第1の画像平面の1次画像p及び第2の画像平面のゴースト像pが生成される。フロントガラス1は、フロントガラスの屈折率n、フロントガラスの厚さd、及びフロントガラスの傾斜角αといういくつかのパラメータによって特徴付けられる。これらの要素は、フロントガラス1の前面2によって反射される1次画像と、フロントガラス1の背面3によって反射されるゴースト像との間の横方向変位δ及び縦方向変位δを定義する。この関係は下記式によって与えられる。
【数1】

式中、γは、HUDシステム10からの光ビームの入射角である。実際には、運転手は1次画像とゴースト像との間の横方向変位を観察するだけであるため、横方向変位δが主な懸念材料である。式(1)で見てとれるように、δは、n、d及びγの影響を受ける。典型的な屈折率nは通常1.5~1.52の小さな範囲内にあり、nをn=1.5とすると、フロントガラスの厚さの範囲、例えば0mm~10mmの厚さに対して入射角と、複像間の変位との間の関係をプロットすることが可能である。結果を図9A及び図9Bに示す。
【0068】
図9Bから見てとれるように、同じ入射角の場合、フロントガラスの厚さが増大するにつれ、横方向変位が大きくなる。図9Aから、フロントガラスの異なる厚さに対して、入射角が大きくなるにつれ、まずδが大きくなり50°付近でその最大値に達し、その後0°になるまで小さくなることが見てとれる。実践場面では、γは50°未満であり、この場合、縦方向変位δを小さくする、又はなくすために、小さな入射角が必要となる。
【0069】
図10は、1.49~1.54の間の屈折率の範囲にわたる入射角に応じた横方向変位及び縦方向変位の変化を示す。これは、屈折率はあまり影響しておらず、したがってHUDシステム10を設計する際の重要な要素ではないことを示す。
【0070】
所与の車両モデルに対して、フロントガラス1の屈折率、厚さ、及びフロントガラス1の傾斜角αが設定されている。一方、観察者の位置も通常固定されているため、これはL及びLの値は既知であることを意味する。したがって、所与のn、d、α、L及びLに対して、HUDの位置(x,y)を調整して、以下の関係で異なる入射角を得ることができる。
【数2】
【0071】
式(3)より、フロントガラス1への入射角は、フロントガラス1の傾斜角及び観察者200の位置によって決まることが見てとれる。複像の横方向変位を小さくするために、yの値を大きくし、xの値を小さくすることによって入射角の大きさを小さくしなければならない。例えば、図8では、位置(x,y)によって位置(x,y)よりも小さなγの値が得られる。
【0072】
拡大システム
設置環境パラメータ及びHUDシステム10の位置が決まると、δの値を計算することができる。すると、ゴースト像のない投影を実現するために必要な投影距離を定義することができる。
【0073】
人間の目が識別可能な最小角度分解能は0.02度、すなわち0.0003ラジアンであり、これは、画像と観察者200との間の距離で見たδが0.0003ラジアンよりも小さいと、観察者200は2つの画像を1つのものと解釈することを意味する。画像と観察者200との間の距離をdeiと示すが、これにより、ゴースト像を除去する条件は、次のように書くことができる。
【数3】
【0074】
したがって、dei=δ/0.0003以上の値が望ましく、これは拡大システムを変更することによって達成可能である。
【0075】
図11は、抽象化された拡大システムの主要な特徴を示す。理解を容易にするために、図11は、焦点距離fを有する単一の視野レンズ120を有するシステムを示す。サイズhの画像は、視野レンズ120から距離dで画像平面300に形成され、レンズ120を透過して画像平面400にサイズHの画像を形成する。deiは、式(4)によって与えられるように、投影画像と、観察者200の左L及び右Rの目との間の距離である。環境設置パラメータは、拡大係数M=H/hだけでなく、虚像平面400とレンズとの間の距離d=dei-dが既知であるように、出射口径と観察者との間の距離dを定義する。結像式は以下のように書くことができる。
【数4】
【0076】
拡大システムは虚像を生成するため、dを正に保つようにdの前の符号は負になる。
【0077】
式(5)を整理し直すと、以下のようになる。
【数5】

が分かっているため、dはfとともに変化する。焦点距離の長いレンズを選択すると、dの値も大きくなる。
【0078】
レンズの焦点距離を選択するとき、歪曲の影響も考慮しなければならない。画像平面が焦点面に近いとき、標的画像の樽形歪曲を観察することがあり、これは中心からの距離の二乗に比例して大きくなる。この問題に対する解決策の1つは、より口径の大きな、又はより焦点距離の長いレンズを選択することである。固定された投影距離については、焦点距離と、画像平面と焦点面との間の距離との間の関係を図12に示す。見てとれるように、所与の投影距離に対して、焦点距離が長いほどf-dの値は大きくなり、歪曲を低減することができる。しかし、焦点距離が長くなると、システムの光経路全体が長くなるため、嵩張る可能性がある。したがって、画質とHUD全体のサイズとのバランスをとる焦点距離のレンズを選択する必要がある。
【0079】
別の重要な検討要素はレンズの口径である。HUDは特定の視野(FoV)を有し、アイボックスに向かって画像を投影する。FoVは観察者200に見える虚像の角度サイズであるが、アイボックスは通常、観察者200がその中で頭を動かしても依然として虚像を見ることができる長方形の箱として定義される。FoVが大きいほど、観察者200はより大きな画像を見ることができ、より大きなアイボックスは、運転手がHUDコンテンツを見ることができる有効ゾーンを定義する。HUDシステム10の理論的なFoVは、標的画像のサイズ及びレンズの倍率によって決まるが、HUDシステム10のアイボックスは、レンズの口径によって決まる。FOV値は、以下のように表すことができる。
【数6】
【0080】
図11のモデルを参照して、3つの異なる口径サイズW~Wを検討する。理論的なFoVを達成する最小口径サイズW、両目が虚像を見ることができる口径サイズW、及び運転手がアイボックス内で頭部を動かすことができる口径サイズW。すると、以下の恒等式から与えられる。
【数7】

式中、ipdは瞳孔間距離、Sはアイボックスのサイズを表す。実践上の用途では、Sは通常、W>W>Wとなるためipdよりも大きく、したがってレンズの最小口径サイズはWによって決まる。dei及びdの値が分かれば、レンズの必要な口径サイズは式(10)によって与えられる。
【0081】
このように、システム要件は理論的な考察によって喚起され決定されるため、生成される画像は常にゴーストのない画像であることが確実になる。
【0082】
中間光学素子
前節では、HUDの設置位置の決定、対応する投影距離、及び適切なレンズの選択について詳述している。中間光学素子は、光路をさらに調整するために使用され、小さなシステム全体の体積で高い効率を達成するために使用することができる。中間光学素子としては、追加のレンズ、拡散器、鏡、導波管、回折光学素子、ホログラフィック光学素子、又は透明ガラスを挙げることができる。
【0083】
視野レンズ120は、システムの主要光学素子であり、これは投影画像の品質に直接影響する。HUDシステム10のアイボックスを考慮すると、必要な口径サイズをかなり大きくすることが通常要求される。そのため、視野レンズ120としてフレネルレンズが選択される。しかし、フレネルレンズの結像品質は、通常の光学レンズほど良好ではなく、投影画像に歪曲及び収差をもたらす。したがって、一実施形態において、結像品質を最適化するために、単一のフレネルレンズの代わりに結像品質を向上させるためのレンズセットを使用してもよい。
【0084】
一実施形態における別の重要な光学部品は、拡散器110である。従来のHUDでは、LED(発光ダイオード)パネル又はLCD(液晶ディスプレイ)スクリーンなどのPGU100が画像源として使用され、拡散器110は不要である。しかし、LED(発光ダイオード)パネル及びLCD(液晶ディスプレイ)スクリーンの1つの重大な欠点は、これらの種類のPGUによって生成される画像の輝度及びコントラストがかなり低く、日中に投影画像を見ることが困難であることである。HUDシステム10の輝度及びコントラストを改善するために、PGU100としてデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)プロジェクタを使用してもよい。これには、観察者200がフル画像を見ることができるように、プロジェクタの後に拡散器110が配置されてDMDからの光を拡散させることが必要である。
【0085】
拡散器110を選択するとき、光の透過率、拡散角及びサイズの3つの重要な要素がある。光の透過率については、高ければ高いほどよい。拡散角及びサイズについては、前述の拡大システムによって決められる。
【0086】
図13は、PGU100、拡散器110及び視野レンズ120から構成されるHUDシステム10の一部を示す。簡略さを期して、拡散器110及び視野レンズ120は、それぞれ拡散器平面及びレンズ平面と呼ばれる、それらの位置及び向きを示す単一の線で表されている。拡散器110はPGU100から距離dに配置され、拡散器110及び視野レンズは距離dだけ離れている。Wは視野レンズ120の口径サイズである。
【0087】
使用時、PGU100は、拡散器110に光を投影して画像を形成し、これは視野レンズ120を通って向けられる。したがって、拡散器平面は、図11に示す拡大システムで記述した画像平面と等価である。
【0088】
図13において、ηはPGU100の発散角であり、εは拡散器110の拡散角である。図11を振り返ると、画像のサイズはhと定義され、hはFoV及びアイボックスの要求を満たすように拡大システムによって決定される。正しいhの値を得るためには、PGU100と拡散器110との間の距離が以下を満たさなければならない。
【数8】

すると、拡散器110のサイズはhより大きくなければならない。拡散角の選択については、図11から以下のように推論できる。
【数9】
【0089】
小さな拡散角を選択することによって、有効視野角が制限されるが、大きな拡散角を選択することによりディスプレイの光の強度が低下する。加えて、口径サイズは、少なくとも要求されるアイボックスを実現するためにできるだけ大きくなければならない。したがって、拡散角は、最大光効率を達成するようにW<Wという条件を満たさなければならない。
【0090】
鏡はシステムの別の重要な光学素子であり、これは、システム全体の体積を低減するため、又はシステム設計の都合上、光経路を変更するために使用される。拡大システムの主要構造が定義されると、システムに追加される鏡のサイズ及び位置は、確立された光経路を通じて計算することができ、鏡が開口紋りとして機能してHUDシステム10の性能に悪影響を与えないことを確実にする。
【0091】
システム構成
例示的な設置環境を図14に示すが、HUDシステム10は図2及び図8と同様に配置されており、個々の部品は図15Aに示す。フロントガラスの傾斜角は72°であり、フロントガラスの屈折率は1.5であり、フロントガラスの厚さは8mmである。Lは1.22mであり、Lは70mmである。観察者200とフレネルレンズとの間の距離dは約1.5mである。上記の節で記述したアプローチに従って、29°が最小入射角として選択され、複像の縦方向変位を4.78mmと計算することができる。したがって、理想的な投影距離は約14mである。14メートルの投影距離を実現するために、焦点距離400mm及び口径サイズ300mm×300mmのフレネルレンズ。式(6)によると、画像平面はフレネル長の焦点面から20mm離れて配置されていなければならない。標的FoVは8°×4°であり、アイボックスは130mm×50mmに設定されている。したがって、理論的に必要なフレネルレンズの口径サイズは344mm×172mmである。そのため、300mm×300mmサイズの口径サイズを有するフレネルレンズを用いると、実際のアイボックスは、約100mm×50mmとなる。拡散器110については、透過率90%及び拡散角30°を有するホログラフィック拡散器が選択される。
【0092】
大きな投影角を実現し、設置サイズを小さくするために、2つの鏡111、112は、図15A図15Dに示すように拡散器110と視野レンズ120との間に配置される。図15A図15Dは、PGU100、拡散器110、2つの鏡111、112、及び視野レンズ120から構成されるHUDシステム10を示す。システム10は、少なくとも図2図4に関連して上述したのと同様に動作する。
【0093】
図16は、上述したHUDシステム10を設計するためのプロセスをまとめたものである。
【0094】
ステップS100では、環境条件が入力される。環境条件には、フロントガラス1の傾斜角、厚さ及び屈折率、観察者200の位置、並びに利用可能な設置体積が含まれる。次いで、これらを用いて、ゴースト像の縦方向変位を虚像距離とともに計算する。
【0095】
ステップS110では、計算された虚像距離、並びに所望のFoV及びアイボックスサイズを用いて、視野レンズ120の必要な焦点距離を定義する。
【0096】
ステップS120では、出力された視野レンズ120及びPGU100の特性を用いて、拡散器110(使用する場合)の必要な位置及びパラメータ、並びにシステム10に採用される任意の鏡の口径を計算する。このように、出力されたパラメータは、環境条件に応じて調整される。
【0097】
図17A及び図17Bは、PGU100、拡散器110、2つの反射鏡111、112、及び視野レンズ120を利用した本発明の一実施形態のシミュレーションを示す。このシミュレーションは、傾斜角78°の傾斜角、厚さ8mm及び屈折率1.5を有するフロントガラスに基づく。この場合、画像は、15mの距離で投影され、ゴーストのない画像を実現する。
【0098】
図17Cは、各部品のサイズが適切に設定されていれば、ビグネット効果がないことを示すために、視野レンズ120の投射された光のフットプリントを示す。
【0099】
非対称な、又は大きく湾曲したフロントガラスが関与する用途
高速列車に用いられるフロントガラスの厚さは、従来の自動車用フロントガラスに比較して、その曲率と同様にはるかに大きい。加えて、これらのフロントガラスは、従来の道路車両用のものよりも非常に高価であることが多い。したがって、高速列車用のウェッジ形フロントガラスを製造することは、特に経済的に実用的ではない。しかし、本発明の原理に基づいて、フロントガラスに変更を加える必要がないゴースト像のないHUDが提供される。
【0100】
高速列車の運転席の代表的なモデルは図18に示されており、対象領域(すなわち、画像が投影されるフロントガラス内面の領域)において、フロントガラスのガラスの倒れ角20°、フロントガラスの屈折率1.5、フロントガラスの厚さ28mm、及び焦点距離714mmの円筒形外形を有する。HUDの典型的な設置位置により、HUDからフロントガラスへの入射角は59°となる。式(1)及び式(2)によると、ゴースト像のない投影を実現するために、投影距離は66.67メートル超にする必要がある。しかし、このような長い距離の投影を実現するために、光学部品の精度は非常に高くなければならず、画像サイズは非常に大きくなければならない。折衷案として、20メートルの標的投影距離を用いた。
【0101】
したがって、高速列車用HUDの設計目標は、130mm×50mmのアイボックスに対して、H7°×V4°の視野で20メートル先まで画像を投影することである。フロントガラスは、その曲率及び厚さ故に、水平方向(2次方向)及び垂直方向(ゴースト像が主に見える1次方向)に沿って倍率が異なる異方性光学部品として機能する。HUDシステムの残りの部分は、これに対応するように設計する必要がある。
【0102】
そのため、20メートル先に画像を投影するために単一のレンズが使用される場合、フロントガラスは、軸外結像規則に従って画像を再結像するための円筒鏡として機能するため、最終画像は運転手の前方の非常に短い投影距離(例えば、1m未満)で提示される。したがって、フロントガラスの曲率は、さらなる光学部品、例えば、円柱レンズ又は円筒鏡などの第2の異方性光学部品を用いることによって補償されなければならない。一実施形態において、さらなる光学部品は、より複雑なフロントガラスの外形用の自由形状レンズ又は自由形状鏡であることができる。
【0103】
図19は、観察者200によって見られるようにフロントガラス201に画像を投影するように構成された、折り返し鏡211、1つの等方性視野レンズ220、及び1つの凹型円柱レンズ221によって形成されるHUDシステム10の一実施形態を示す。簡略さを期して、ピクチャ生成ユニット又は拡散器は図示されていないが、任意の適切な画像生成及び実現手段を採用することができる。
【0104】
使用時、生成された光学的物体はPGUによって投影され、画像がフロントガラス2011の1焦点距離内に位置するようにまず視野レンズ220によって結像されるため、その後フロントガラス201は20メートル先に画像を結像する。フロントガラス201は円筒鏡のように機能するため、ゴースト像(すなわちδ)の生成に大きく影響しない2次方向であるそのパワー方向に沿ってのみ倍率を有する。1次方向に沿って、画像は、観察者からの見かけの投影距離が1.5メートルしかないため、ゴースト像のない投影は実現されていない。ゴースト像のない投影を実現するために、1次方向に沿ってのみ屈折力を有する円柱レンズ221が使用される。円柱レンズ221は、通常レンズの10mm後ろに配置され、2次方向の最終投影距離と一致するように1次方向に沿った最終投影距離が20メートルとなるように構成される。結論として、画像は両方向において20メートル投影される。
【0105】
図19に示す光学的構成の2D及び3Dシミュレーション結果を図20A図20B図20C図21A及び図21Bに示す。図21Aは、生成された光学的物体の9つの視野を示すアイボックス全体のスポット図である。図21Bは、フロントガラス201を含む光学部品の結果として生じる画像の歪曲を示す。
【0106】
結像品質をさらに最適化するために、必要に応じて、光路に沿ってより多くの光学素子をシステムに導入してもよい。加えて、図21Bに示すように、上記実施形態において観察者201が見る画像は、図示された構成によって生じる水平及び垂直視方向に沿った倍率差により、水平方向に沿ってつぶれて見える。一実施形態において、これは、既知のように事前補償画像生成手段を用いて補正される。
【0107】
図22は、鏡211及び円柱レンズ221の代わりに円筒鏡212を用いることを除いて、図19と同一の代替的実施形態を示す。図19と同じ原理に従って、レンズ220を使用して生成された光学的物体を結像し、次いでこの光学的物体は2次方向に沿って20メートル先にフロントガラス201によってさらに結像される。次いで、円筒鏡212を用いて、1次方向に沿って20メートルの投影距離に一致するようにゴースト像に影響する1次方向に沿って屈折力を付加し、ゴースト像のない投影を実現する。
【0108】
図22に示す光学的構成の2D及び3Dシミュレーション結果を図23A図23B図23C図24A及び図24Bに示す。見てとれるように、円筒鏡212の使用は、絶対歪曲及び全体的な画質に悪影響を与え得るが、フルカラー画像におけるアクロマート拡散(achromatic dispersion)を減少させることができる。
【0109】
したがって、本発明の態様によるHUDシステム10が提供される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図22
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
【国際調査報告】