IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミドルトン メディカル イノベーション ピーティーワイ リミテッドの特許一覧

特表2022-554057能動的に偏向可能な尿道カテーテルと偏向機構とを用いる尿路カテーテルおよび膀胱にカテーテルを挿入する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】能動的に偏向可能な尿道カテーテルと偏向機構とを用いる尿路カテーテルおよび膀胱にカテーテルを挿入する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20221221BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20221221BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20221221BHJP
【FI】
A61M1/00 160
A61M25/092 500
A61M25/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022517430
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 AU2020050972
(87)【国際公開番号】W WO2021051158
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】2019903441
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522106053
【氏名又は名称】ミドルトン メディカル イノベーション ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MIDDLETON MEDICAL INNOVATIONS PTY LTD
【住所又は居所原語表記】Level 1,683 Bourke Road,Camberwell,Victoria 3124 AUSTRALIA
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミドルトン,イアン エス
(72)【発明者】
【氏名】ミドルトン,ローリー エル
(72)【発明者】
【氏名】ミドルトン,ドゥーガル エル
【テーマコード(参考)】
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA19
4C077EE04
4C267AA03
4C267AA07
4C267AA32
4C267AA39
4C267BB07
4C267BB26
4C267BB27
4C267BB40
4C267BB52
4C267CC26
(57)【要約】
偏向可能な先端を持つ尿路カテーテルは、患者の尿道内に挿入されるよう構成され、細長部と、細長部の遠位端近傍の先端部と、ユーザがカテーテルを把持可能な、遠位端から離間した係合部とを有する中空のカテーテル本体であって、先端部はカテーテルを尿道内で操向する目的で偏向可能でカテーテルが尿道の自然な湾曲に追従することを可能にし、先端部は略直線状の状態から、細長部が略直線状である時に先端部が偏向する偏向状態に移動可能である、中空のカテーテル本体を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿路カテーテルであって、
患者の尿道内に挿入されるよう構成され、細長部と、前記細長部の遠位端近傍の先端部と、ユーザが前記カテーテルを把持可能な、前記遠位端から離間した係合部とを有する中空のカテーテル本体であって、前記先端部は前記カテーテルを前記尿道内で操向する目的で偏向可能で前記カテーテルが前記尿道の自然な湾曲に追従することを可能にし、前記先端部は略直線状の状態から、前記細長部が略直線状である時に前記先端部が偏向する偏向状態に移動可能である、中空のカテーテル本体を備え、
前記カテーテル本体は、膀胱から尿を排出するために内部に形成された主経路と、前記主経路から離れて形成され、可撓性を有する操向部材を収容することができる少なくとも1つの追加経路とを備え、前記各追加経路のルーメンは前記遠位端から前記係合部の近傍の位置まで延び、前記操向部材は、前記先端部において前記追加経路内で固着され、前記カテーテルの外でユーザによって係合されて前記先端部を偏向させるよう構成される、尿路カテーテル。
【請求項2】
前記中空のカテーテル本体は前記先端部で狭くなる、請求項1に記載の尿路カテーテル。
【請求項3】
前記中空のカテーテル本体の壁厚は前記先端部で減少する、請求項1または2に記載の尿路カテーテル。
【請求項4】
前記先端部は、前記細長部と前記先端部の交わり部で始まる円弧の周辺で偏向し、前記先端部はその遠位端で略直線状であるように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項5】
前記細長部は、前記先端部より硬く、使用中は略直線状態にあるよう構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項6】
前記先端部の長さは、約2cmから4cmである、請求項1から5のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項7】
前記先端部は、前記細長部の長手方向の軸に合致する平面において偏向するよう構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項8】
前記先端部は最大90°の角度まで偏向可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項9】
前記カテーテルの先端は、泌尿器における他所とは対照的に、尿道内で前記カテーテルを操向する目的で偏向可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項10】
それぞれ内部に操向部材が収容され、前記カテーテルの前記先端部の意図しない横方向の偏向を防ぐよう互いに角度をなして離間された第1および第2の追加経路、を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項11】
前記第1および前記第2の経路は、約40°の角度で互いに離間している、請求項1から10のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項12】
可撓性を有する前記先端から離間された可膨張性のバルーンと、
膨張のために流体を前記バルーンに連通するために前記カテーテルの近位端にあるコネクタと前記バルーンとの間に延在するバルーン膨張経路と、をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項13】
前記操向部材はナイロンの紐である、請求項1から12のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項14】
尿道内で前記先端部を偏向させるために、ユーザによる係合のために前記操向部材の端に連結された係合部材をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項15】
前記係合部材は直立位置に付勢され、前記ユーザの指による動作を容易にする、請求項13に記載の尿路カテーテル。
【請求項16】
前記係合部材は、前記操向部材を引っ張ることで前記直立位置に付勢される、請求項14に記載の尿路カテーテル。
【請求項17】
前記係合部材は、直立位置で前記カテーテル本体上に載置される形状を有する、請求項13から15のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項18】
前記係合部材は、前記カテーテル本体の外面に接する凹状の基部を有する、請求項16に記載の尿路カテーテル。
【請求項19】
前記係合部材は、そのまわりを枢動可能な点で前記カテーテル本体の外部に連結された簡易な引き金状のレバーである、請求項16または17に記載の尿路カテーテル。
【請求項20】
前記係合部材は前記カテーテルから容易に取り外し可能である、請求項1から19のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項21】
前記カテーテルの前記先端は、膀胱または腎臓のカテーテルに必要なより鋭い円弧というよりも、前記尿道の前記湾曲に基づいて穏やかな円弧で偏向するよう構成される、請求項1から20のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項22】
前記カテーテルおよび任意の付属品は、金属部材から構成されない、請求項1から21のいずれか一項に記載の尿路カテーテル。
【請求項23】
男性患者の膀胱にカテーテルを挿入する方法であって
請求項1から22のいずれか一項に記載のカテーテルを提供するステップと、
前記カテーテルを患者の尿道に挿入するステップと、
前記カテーテルが前記尿道に挿入されると、前記先端部を上方向に矢状断面に略平行に能動的に偏向させて、前記尿道を通して前記カテーテルを操向するステップとを備え、
前記先端部は偏向後跳ね返って真っすぐになる、男性患者の膀胱にカテーテルを挿入する方法。
【請求項24】
挿入中に抵抗にあえば前記カテーテルをわずかに後退させ、それから前記カテーテルを尿道内で再度前進させるとき前記先端部を偏向させるステップをさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記カテーテルは触感のフィードバックのみを利用して前進させ偏向させる、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動的に偏向可能な尿道カテーテルと偏向機構とを用いる、尿路カテーテルおよび男性患者の膀胱にカテーテルを挿入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
男性患者の尿道への膀胱カテーテルの挿入が、多くの医療の状況において、必要とされるであろう。これは、病院の医療看護スタッフにとって一般的な仕事であり、前立腺を経て上方に通すとき、特に過去に前立腺の手術を受けていれば、男性の尿道の湾曲はこれを困難な処置とする可能性がある。困難にあえば、泌尿器科の外科医が援助に呼ばれることが多い。
【0003】
現在、男性の尿道のカテーテル挿入に一般的に用いられる3つの選択肢として、簡易な直線状の可撓性を有する尿道カテーテル、一定の湾曲を持つクーデ式の先端のカテーテル、および硬質なカテーテル導入器が挿入される簡易な直線状のカテーテルがある。
【0004】
簡易な直線状の可撓性を有する尿道カテーテルは潤滑にされ尿道で押し上げられるだけであり、ほとんどの場合、尿道の自然な湾曲に追従し、尿道に重大な外傷を与えることなく膀胱に入るであろう。カテーテルは尿道で押し上げられるのに十分な硬さを有する必要があるために、略直線状の尿路カテーテルの可撓性は限られる。尿道がカテーテルによって真っすぐにされない場合、カテーテルが尿道の湾曲に追従可能となるにはこの限られた可撓性は十分ではなく、その結果、尿道の損傷、または尿道の壁におけるいわゆる「擬似通路」を生じさせるであろう。
【0005】
さらに、尿道の被蓋がわずかに不規則ならば、または、尿道の管に瘢痕またはより大きな異常があればカテーテルは簡単には通らず、非常に多くの場合カテーテル先端が尿道に少なくともいくぶんかの損傷を引き起こす。研究では、最大20%のケースでカテーテル挿入が困難になる可能性があることが示された。現在入手可能な略直線状のカテーテルではカテーテル挿入工程中に操向ができない。
【0006】
この問題を解決しようと、固定された曲線状の先端(クーデ式の先端)を有するカテーテルが考案、生産されて、湾曲した尿道の周辺でカテーテルの通過を容易にした。しかしながら、これらのカテーテルは実際に操向可能ではなく、特定の尿道の湾曲が偶然カテーテル先端の湾曲と同じならば容易に通過するだけであろう。カテーテル先端の一定の湾曲も、カテーテルが、直線状である尿道の遠位部を通過することを困難にすることが多い。実際、クーデ式の先端のカテーテルの設計の過程で選ばれる湾曲は、湾曲した尿道の全角度と尿道の直線部のゼロ角度との間での折り合いとなる。
【0007】
カテーテル導入器を使用する場合は、カテーテルを尿道で上方に通す前に、この湾曲した硬質の金属製のロッドを、簡易で直線状の可撓性を有するカテーテルに挿入する。このロッドは湾曲して男性の尿道の湾曲全体に適合するので、尿道の直線状部を上がって通過することは困難で潜在的に危険であるが、尿道の湾曲全体に適合するのに十分な湾曲の角度を有するように形作られる。カテーテル導入器は硬質で、完璧に挿入されなければ尿道に大きな外傷を生じさせることになる。そのため、カテーテル導入器は、通常、実際の泌尿器科医ではない医療の専門家は誰も使用しない。
【0008】
上述の問題の結果、クーデ式の先端のカテーテルおよび導入器の両方の長所のすべてまたはその大部分を有する一方、短所をほとんど持たないまたは好ましくは全く持たないであろう新規なカテーテルの設計が必要である。必要とされるのは、実際に操向可能な尿道カテーテルである。
【0009】
望遠鏡およびカテーテルを含む操向可能な装置は、腸および血管(例えば、GB1116317、CN1088536689、およびCN203183482)を含む多数の身体の器官内を、さらに、膀胱および腎臓を含む泌尿器の部位内を進んでいくよう開発されてきた。これらの装置は、操向用のワイヤおよび操向制御機構を含むであろう様々な種類の操向機構を利用している。望遠鏡(例えば、WO2014043586)またはカメラを通して直接視覚化することで、または蛍光透視(例えば、WO2019152727)を含む種々の態様を利用する放射線学的誘導をすることで、誘導がなされうる。各装置は、その特定の身体の位置およびその装置が意図するまさにその目的に適するように個々の特徴を有しているであろうが、尿道それ自体の中で操向可能な尿路カテーテルとして使用するには全く不向きであろう。
【0010】
一例として、WO2014043586に記載された膀胱鏡検査用カテーテルは、膀胱内の膀胱鏡または治療器具用の可撓性を有し潜在的に操向可能なシーズ、および留置用膀胱カテーテルの両方として機能するよう設計されているが、尿道内で偏向させるまたは尿道でカテーテルを容易に上方へ通過させるように設計されていない。
【0011】
別の例として、WO2019152727におけるカテーテルは、腎臓内でのみ偏向可能に設計されている。このカテーテルは、尿道内で偏向させる、尿道でカテーテルを容易に上方へ通過させる、または膀胱から排液させるようには設計されていない。
【0012】
上述のように、湾曲した不規則な男性の尿道の形状のために、尿路カテーテルを必要とする男性患者への対応にとっての大きな課題は、カテーテルを尿道で実際に上方へ通過させて膀胱内へ通すことである。これまでのカテーテルの設計では、尿道内でカテーテルを適切に操作してカテーテルを挿入する対象の尿道の個々の解剖学的構造に対応させることはできなかった。必要なのは、この目的に適するようにされる特定の設計の特色を持った操向可能なカテーテルである。これらの特徴は、泌尿器の他の部位で操向可能に設計されたであろう装置に対して多くの点で異なる。
【0013】
尿道経由で膀胱にカテーテルを挿入することは、社会の中、患者の住居、医者の診察室、緊急部門、および病室で行われる必要がある。そのため、非常に高価で非実用的なために一般的には軽い処置であるものに日常的に用いることはできない望遠鏡による誘導または放射線学的誘導を必要とせずに、多くのケースでカテーテル挿入を行うことが可能である必要がある。そのため、さらに後述するように、カテーテルは、触感または「感触」によって挿入できる必要がある。
【0014】
この手順はまた、社会、および病院の看護師、他の保健医療従事者、経験の少ない医者、そしてある状況ではまさに患者自身(セルフカテーテル挿入)によって行われるのにも適している必要があり、複雑な操向機構はこのような目的のためにはまったく不適切である。
【0015】
適切なカテーテルは、特に、尿道内での操向が可能に設計されるべきであり、膀胱または腎臓内では必要な多方向の偏向または回転は必要とされない。これは、泌尿器の他の部位と比較した場合の尿道の特定の解剖学的特徴のためである。この設計はまた、さらに詳細に後述し図面で例示するように、カテーテルを妨害するであろう解剖学的理由を考慮する必要がある。
【0016】
男性の尿道で操向されるよう設計されたカテーテルの湾曲の角度は、膀胱または腎臓内で最適に機能するよう設計されたカテーテルまたは望遠鏡に必要とされる角度とは全く異なる。特に、尿道の湾曲は、通常、上向きに45°より大きく、90°を超えない。一方、腎臓でのカテーテルの湾曲の角度は先鋭な角度である必要があり、理想的には反対方向に90°より大きく、腎集合管系の密な領域内で適合させると、はるかに小さい半径の円弧を有する。偏向の円弧の合計を得るためには、先端の偏向部分は5~6cmの次元で著しく長い必要がある。膀胱内の偏向可能な装置も、膀胱頸部を含む膀胱の全面に到達可能とするならば、90°より大きく偏向可能である必要があり、偏向の円弧は、尿道に最適である漸次の偏向に比べて通常かなり小さいであろう。尿道内のカテーテルのこのような先鋭な角度での偏向は、カテーテルの先端が尿道の前壁に衝突するという結果になるだけであろう。
【0017】
近位尿道は横方向にそれることはないが、湾曲した経路にわたって同じ矢状断面内を通るので、カテーテルは水平から上方に偏向できる必要があればよく、横方向に偏向可能または回転可能である必要はない。そのためその長さおよび上方湾曲の実際の角度内には正常な尿道の変動があるだけなので、理想的で能動的に偏向可能なカテーテルは、同じ矢状断面において水平に対して0°から90°の間で偏向可能である必要があればよいだけである。牽引力が低下または除去されると、カテーテルの自然な弾性反動の結果カテーテル先端が真っすぐになるため、一方向上向きに能動的な偏向が必要なだけである。
【0018】
そのため、完全操向可能な装置は必要とされず、膀胱または腎臓で必要とされるであろう、より大きく、重く、複雑な操向機構を必要としない。このような複雑な機構は、製造に費用がかかる可能性があり、また、尿道カテーテルにとって実質必要条件である使い捨てに適する可能性は低い。さらに複雑な機構も、尿道カテーテルに組み込まれる偏向機構の非常に好ましい特徴でもある取り外しができる可能性が低くなるであろう。
【0019】
図1に男性の尿道の解剖学的構造を示す。カテーテル挿入を成功させるためには、カテーテルが多数の潜在的な障害部位を通過する必要があることがわかる。その経路は、略直線状の陰茎の尿道110で始まり、球部尿道112および膜様部尿道114の湾曲した連結部で第1の障害物に接触する前まで通る。その後、カテーテルは、膀胱頸部118を通って移動し膀胱120に入る前に前立腺部尿道116を通過する必要がある。
【0020】
図2から図4を参照して、最初に図2の直線状カテーテル122aを使ったカテーテル挿入工程と、さらに、湾曲したクーデ式の先端を有するカテーテル122bを使ったカテーテル挿入工程とを例示する。
【0021】
カテーテルの先端を尿道に挿入する直前に、ユーザは陰茎を手動で牽引し陰茎を安定させ陰茎の尿道110を真っすぐにすることが重要であり、これにより、カテーテル先端が抵抗なく尿道のこの部分をより通りやすくなる。このような牽引により陰茎の尿道が真っすぐにされながら、尿道の前立腺部、膜様部、および球部が周りの構造に相対的に固定され、球部尿道から膀胱頸部までの尿道の上向きの湾曲はこのような牽引では大きく直線化されない。このように、カテーテルは、陰茎の尿道の直線部を通過可能である必要があるが、湾曲した近位尿道を上方に通過可能であることも必要である。
【0022】
カテーテルは、潤滑剤を使って陰茎の(遠位の)尿道に導入され、真っすぐにされた遠位の尿道に沿って通される。これは通常、カテーテルが真っすぐであり尿道の管が解剖学的に正常であれば、カテーテルの挿入の最も簡単な部分である。
【0023】
図2を参照すると、直線状カテーテル122aは容易に略直線状の陰茎の尿道110を通ることはわかるが、カテーテル先端が球部尿道112と膜様部尿道114の湾曲した連結部に到達すると、略直線状のカテーテルが経路中の湾曲に接触することで困難が起こるおそれがあり、操作が進まなければ、重大な尿道の外傷がここで引き起こされる可能性がある。湾曲の角度は典型的には45°から90°であり、直線状カテーテルに対応するために尿道を大きく歪ませるか、または湾曲した尿道に合わせるためにカテーテルを大きく偏向させるかが必要となる。
【0024】
カテーテルが湾曲した経路を通って移動する必要があるという問題は、カテーテル122b(図3および図4)でその先端の湾曲により幾分緩和されるが、挿入中に直線状の陰茎の尿道110の前壁への先端の衝突が起こり、そして球部尿道112と膜様部尿道114の連結部において、特に図3に示す位置X1で再び起こるおそれがある。
【0025】
図4に示すように、カテーテル先端の一定の角度は膀胱頸部に向けて上方に通過するのに十分な鋭さはないため、位置X2で前立腺部尿道116の貫通ができてしまい、擬似通路を生じさせる。図5に示すように、一旦擬似通路ができると、先端は通常位置X2に作られた擬似通路に再び入るだけであるので、カテーテル122bを膀胱120内に通すことはさらに難しくなりうる。これは尿道カテーテルの経路について試みられる非常に一般的なシナリオである。
【0026】
図6はカテーテル122bを用いることのさらなる困難を示す。この場合は、患者は、TURP(経尿道的前立腺摘除術)処置などの過去の前立腺の手術によって前立腺を過去に摘除したことがある。カテーテル122bは、膀胱頸部118の下で衝突し、カテーテル挿入を成功させるためにカテーテル122bが膀胱120の中に入っていくことを阻止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】GB1116317
【特許文献2】CN1088536689
【特許文献3】CN203183482
【特許文献4】WO2014043586
【特許文献5】WO2019152727
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
上記の問題は、尿道を通して膀胱に挿入するのに適している新しい種類のカテーテルの必要性があることを示している。カテーテルの偏向可能な先端は、男性の尿道の特定の解剖学的構造と、使い捨て装置の要件のために設計される操向機構に合わせて構成される必要がある。
【0029】
偏向機構は、好ましくは、簡易で、コスト効果が良く、非常に軽量で、製造が容易で安価であり、流体との接触に影響されず、カテーテルの減菌を容易にでき、好ましくは金属成分がなく(その結果、MRIスキャンが必要な患者から取り外す必要がない)、障害を持った人も1つの指で容易に操作でき、好ましくはカテーテル機能に影響を与えることなく容易に完全に取り外し可能であり、および/または、少なくとも現在入手可能なものの有用な代替品となる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の一態様によれば、尿路カテーテルが提供される。前記尿路カテーテルは、患者の尿道内に挿入されるよう構成され、細長部と、前記細長部の遠位端近傍の先端部と、ユーザが前記カテーテルを把持可能な、前記遠位端から離間した係合部とを有する中空のカテーテル本体であって、前記先端部は前記カテーテルを前記尿道内で操向するために偏向可能で前記カテーテルが前記尿道の自然な湾曲に追従することを可能にし、前記先端部は略直線状の状態から、前記細長部が略直線状である時に前記先端部が偏向する偏向状態に移動可能である、中空のカテーテル本体を備える。前記カテーテル本体は、膀胱から尿を排出するために内部に形成された主経路と、前記主経路から離れて形成され、可撓性を有する操向部材を配置できる少なくとも1つの追加経路とを備え、前記各追加経路は前記遠位端から前記係合部の近傍の位置まで延び、前記操向部材は、前記先端部において前記追加経路内で固着され、前記カテーテルの外でユーザによって係合されて前記先端部を偏向させるよう構成される。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記中空のカテーテル本体は前記先端部で狭くなる。
【0032】
好ましくは、前記中空のカテーテル本体の壁厚は前記先端部で減少する。好ましくは、前記先端部は、前記細長部と前記先端部の交わり部で始まる円弧の周辺で偏向し、前記先端部はその遠位端で略直線状であるように構成される。
【0033】
好ましくは、前記細長部は、前記先端部より硬く、使用中は略直線状態にあるよう構成される。好ましくは、前記先端部の長さは、約2cmから4cmであるが、2cm未満でも4cmより大きくてもよい。好ましくは、前記先端部は、前記細長部の長手方向の軸に合致する平面において偏向するよう構成される。 好ましくは、前記先端部は最大90°の角度まで偏向可能である。
【0034】
好ましくは、前記カテーテルは、それぞれ内部に操向部材が収容され、尿路内で横方向に捻じれることなく前記カテーテル本体の前記先端部を偏向させるために互いに角度をなして離間された第1および第2の追加経路、を備える。
【0035】
前記第1および前記第2の経路は、約40°の角度で互いに離間していてもよい。
【0036】
前記カテーテルは、可撓性を有する前記先端から離間された可膨張性のバルーンと、膨張のために流体を前記バルーンに連通するために前記カテーテルの近位端にあるコネクタと前記バルーンとの間に延在するバルーン膨張経路と、をさらに備えてもよい。
【0037】
好ましくは、前記操向部材はナイロンの紐または同様の合成ポリマーの紐である。好ましくは、前記カテーテルは前記先端部を偏向させるために、ユーザによる係合のために前記操向部材の端に連結された係合部材をさらに備える。
【0038】
好ましくは、前記係合部材は直立位置に付勢され、前記ユーザの指による動作を容易にする。さらに好ましくは、前記係合部材は、前記操向部材を引っ張ることで前記直立位置に付勢される。あるいは、前記係合部材は、直立位置で前記カテーテル本体上に載置される形状を有する。このような実施形態において、前記係合部材は、前記カテーテル本体の外面に接する凹状の基部を有することができる。あるいは、前記係合部材は、そのまわりを枢動可能な点で前記カテーテル本体の外部に連結されたレバーである。
【0039】
本発明の他の態様によれば、男性患者の膀胱にカテーテルを挿入する方法が提供され、前記方法は、
上述の種類のカテーテルを提供するステップと、
前記カテーテルを患者の尿道に挿入するステップと、
前記カテーテルが前記尿道に挿入されると、前記先端部を偏向させて、前記尿道を通して前記カテーテルを操向するステップとを備える。
【0040】
前記方法は、挿入中に抵抗にあえば前記カテーテルをわずかに後退させ、それから前記カテーテルを尿道内で再度前進させるとき前記先端部を偏向させるステップをさらに備えてもよい。
【0041】
本発明をより容易に理解できるように、添付の図面を参照して、実施例のみによって、実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】男性の尿道の解剖学的構造を示す図である。
図2】従来の直線状のカテーテルを示す図であり、尿道へのカテーテルの挿入を試みていることを示す。
図3】クーデ式の先端のカテーテルを示す図であり、尿道へのカテーテルの挿入を試みていることを示す。
図4】クーデ式の先端のカテーテルを示す図であり、尿道へのカテーテルの挿入を試みていることを示す。
図5】クーデ式の先端のカテーテルを示す図であり、尿道へのカテーテルの挿入を試みていることを示す。
図6】クーデ式の先端のカテーテルを示す図であり、尿道へのカテーテルの挿入を試みていることを示す。
図7a】本発明の一実施形態の、非偏向状態における尿路カテーテルの側面図である。
図7b】偏向状態の使用における、図7aのカテーテルの側面図である。
図8a】本発明の他の実施形態の、非偏向状態における尿路カテーテルの側面図である。
図8b】偏向状態の使用における、図8aのカテーテルの側面図である。
図9図7aのカテーテルを近くで見た図である。
図10a図9のA-A線に沿った断面を示す、図9のカテーテルの断面図である。
図10b図9のB-B線に沿った断面を示す、図9のカテーテルの断面図である。
図11】係合部材の動作を示す、図8aのカテーテルを近くで見た側面図である。
図12a図11のC-C線に沿った断面を示す、図11のカテーテルの断面図である。
図12b図11のD-D線に沿った断面を示す、図11のカテーテルの断面図である。
図13a図10aの位置に相当する位置で取った断面を示す、本発明の他の実施形態のカテーテルの断面図である。
図13b図10bの位置に相当する位置で取った断面を示す、本発明の他の実施形態のカテーテルの断面図である。
図14a図11のC-C線に沿った断面を示す、図11のカテーテルの断面図である。
図14b図11のD-D線に沿った断面を示す、図11のカテーテルの断面図である。
図15】本発明の他の実施形態の尿路カテーテルの側面図である。
図16】係合部材がユーザによって操作されている尿路カテーテルの側面図である。
図17】患者が自身でカテーテルを挿入して、挿入している手の親指を使って係合部材を操作することを可能にする係合部材の構成を示す尿路カテーテルの平面図である。
図18】以下の過去の経尿道的前立腺摘除術(TURP)(図21)を含む尿道にカテーテルを挿入する工程における、本発明の一実施形態のカテーテルを示す。
図19】以下の過去の経尿道的前立腺摘除術(TURP)(図21)を含む尿道にカテーテルを挿入する工程における、本発明の一実施形態のカテーテルを示す。
図20】以下の過去の経尿道的前立腺摘除術(TURP)(図21)を含む尿道にカテーテルを挿入する工程における、本発明の一実施形態のカテーテルを示す。
図21】以下の過去の経尿道的前立腺摘除術(TURP)(図21)を含む尿道にカテーテルを挿入する工程における、本発明の一実施形態のカテーテルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図7aおよび図7bは、本発明の好ましい実施形態による尿路カテーテル10を示す。
【0044】
尿路カテーテル10は、中空のカテーテル本体12を含む。中空のカテーテル本体12は、患者の尿道に挿入されるように構成される。カテーテル本体12は細長く、その遠位端13の近傍の先端部16と、遠位端13から離間した係合部18とを有し、そこでユーザはカテーテルを把持することができる。先端部16は、尿道内でカテーテル10を操向するために偏向可能である。
【0045】
中空のカテーテル本体12は、カテーテル本体12の遠位端13に排液開口14を有し、この開口14を通して尿を膀胱から排出できる。
【0046】
カテーテル本体の係合部18は、カテーテル本体12上に形成されたハンドルまたはグリップを含んでいてもよい(不図示)。他の実施形態では、カテーテル本体12が指を受け入れることができる、例えば、窪みを有する輪郭を持つことで、係合部18がカテーテル本体12に形成されてもよい。
【0047】
このカテーテル本体は、好ましくは、従来の材料、すなわち、シリコーン系プラスチックから従来の成型/成形技術を用いて単一の部材として形成される。当業者なら、例えば、ラテックスゴムなどの他の材料を用いてもよいことを理解するであろう。
【0048】
図9図10bを参照すると、カテーテル本体12は、膀胱から尿を排出するための主経路20と、主経路20から離れて形成された少なくとも1つの追加経路22を有し、可撓性を有する操向部材24が追加経路22内に収容されうる。図10aおよび図10bの実施形態では、1つの操向部材24が用いられている。図13aおよび図13bの実施形態では、2つ操向部材が用いられている。
【0049】
経路(複数可)22は遠位端13から係合部18の近傍の位置まで延び、操向部材24はプラグ15によって遠位端13で経路22内に固着され、反対側の端部ではカテーテル10の外部でのユーザによる係合で先端部16を偏向させるよう構成される。これにより、カテーテル10は、患者の尿道に挿入された後、操向されうる。遠位端13から離れた端部での操向部材24の係合は係合部材32を介して行われ、これについてはさらに詳しく後述する。
【0050】
中空のカテーテル本体12は先端部16で偏向可能に構成される。これにより、カテーテル10は尿道の湾曲の角度を再現でき、上述の問題を起こすことなく容易に挿入できる。先端部16は、すなわち、慎重な動作のもとユーザによって能動的に偏向可能であり、カテーテル10の尿道への挿入を容易にする。
【0051】
これを達成するため、いくつかの実施形態では、先端部16はカテーテル本体よりも可撓性を有するが、ある程度の復元力は残すように製造される。ユーザが、先端部16を偏向させるために付加した係合部材32からの力を除いた後先端部16は直線状になるが、患者の尿道のもともとの湾曲によって完全に直線状の状態には戻ることはないであろう。
【0052】
カテーテル全体が均一な材料からなる場合、図9に示すように、先端部16でカテーテル本体12の壁を狭くすることでも偏向が達成されるであろう。実際、必要とされるカテーテルの偏向可能箇所の壁厚がカテーテル軸の残部より小さくなければ、操向部材に牽引力を印加すると、カテーテル全体が湾曲して単一の円弧になるであろう。カテーテル軸の全長の湾曲は、実際、カテーテルの挿入をさらに困難にするであろう。壁厚の減少度およびカテーテルの先端の薄くされた部分の長さは、カスタム設計される必要があり、その結果、カテーテル先端は最適な形状を持ち、牽引力が操向部材に印加されると尿道の湾曲した部位の形状に適合する。カテーテル本体1の壁厚を薄くすることで、先端部16がより柔らかくなり、壁の貫通によって尿道を損傷するリスクを低減させうることも有利である。
【0053】
他の実施形態では、カテーテル本体12は、例えば、直線状、湾曲した、放射状、またはその組み合わせである変形線で形成されて、先端部16およびカテーテル本体12の連結部でのカテーテル本体の湾曲を容易にしてもよい。当業者なら、カテーテル本体12の湾曲、座屈、捻れ、または他の歪を引き起こす他の手段も可能であることを理解するであろう。
【0054】
研究によると、成人男性の尿道の湾曲部分の平均の長さは4~5cmである。このため、カテーテルの偏向可能な先端の円弧は、4~5cmの距離にわたって90°の方向に変化するように算出される必要がある。そして、このように算出された円弧は、好ましくは2~4cmの長さの偏向可能な先端部に適用されるが、この長さより長くてもまたは短くてもよい。好ましくは、先端部16の長さはこのような装置の最も一般的なユーザである成人男性での使用のため2~4cmであるが、カテーテル10は他の年齢の男性での使用のため他のサイズでも使用可能であることは理解されるであろう。
【0055】
さらに詳細に後述するように、先端部16は、細長部の長手方向の軸に合致する平面において偏向するよう構成される。横方向すなわち側方への動きを伴わないこの単一の平面での偏向は、カテーテル10が尿道の形状をとることを可能にして挿入を容易にするためになされる。
【0056】
先端部16の偏向は、0°~90°の角度範囲で可能であり、カテーテル本体12が患者の尿道の自然な輪郭に追従することを可能にする。
【0057】
中空のカテーテル本体12を先端部16で細くすることでも、カテーテル10の尿道への挿入を支援することができる。
【0058】
カテーテル10はまたバルーン経路25(図9図12a、および図12b)をカテーテル本体12内に有する。バルーン経路25では、カテーテル本体12の近位端40の近傍に配置されるコネクタ28から可膨張性のバルーン26まで例えば水などの流体を連通することができ、バルーン26は、膨張するとカテーテル10を適切な位置で保持することを助け、継続的に、典型的には何日にもわたって患者の膀胱からの排出を可能にする。可膨張性のバルーン26は先端部16から離間しており、好ましくは、カテーテル10の偏向部近傍または偏向部内に位置する。所望する期間バルーン26を膨張した状態に維持するために、バルブ30が設けられる。上述の構成要素は、一般に使用されるフォーリー尿道カテーテルの典型である。一つのバルーン26を例示しているが、多数のバルーンも使用可能であることは理解されるであろう。
【0059】
図13aおよび図13bに示すように、他の実施形態では、カテーテル本体12は第1および第2の追加経路22a、22bを有し、操向部材24a、24bがそれぞれその中に収容されている。第1および第2の追加経路22a、22bは角度をなして離間されており、そのため経路22a、22bのそれぞれの操向部材24aおよび24bは、先端部16の偏向に安定性を与え、その結果、偏向は操向部材24a、24bの中間点を通る平面内で起こりカテーテル先端が上方へ捻じれることを防止する。
【0060】
図示の実施形態において、第1および第2の経路22a、22bは、約40の角度をなして離間している。この角度は40°未満であってもよく、40°より大きくてもよいことが理解されるであろう。
【0061】
好ましい実施形態において、操向部材は可撓性を有するナイロンの紐であるが、操向部材が他の材料、特には他のポリマーから形成されてもよく、他の構成を取ってもよいことが理解されるであろう。さらには、操向部材は金属の部材からなってもよい。
【0062】
ユーザが操向部材24を係合してカテーテル10の先端部16を偏向させるのを可能にするために、カテーテル10はさらにユーザによって操作されうる係合部材32を含む。図7aおよび図7bに示すようなある実施形態では、係合部材32は簡易なリングであり、このリングが引っ張られて操向部材24を伸張し先端16を偏向させる。図8aおよび図8bに示す実施形態において、係合部材32はレバーである。
【0063】
係合部材32は、直立位置へと付勢され、ユーザによる操作を容易にする。この点において、係合部材32を直立位置へと付勢することによって、ユーザは1つの指で部材32を容易に係合し操作でき、同時に残りの手を使って導入時にカテーテル10を保持する。図11および図16は、係合部材32が係合され動かされて先端部16が操作されることを示している。使用中、ユーザは片手を使って係合部18でカテーテル本体12を支持し他方の手を遠位端13の方にさらに向けて、カテーテル10の操作を試みる。このように、手際は限られるので、係合部材32をできるだけ使いやすくすることが重要である。
【0064】
いくつかの実施形態では、係合部材32は操向部材24の伸張によって直立位置へと付勢されてもよい。図11にこのような構造を示す。
【0065】
カテーテル本体12に印を付して、ユーザが先端部16の偏向の角度を推定できるようにしてもよい。
【0066】
他の実施形態では、係合部材32は直立位置でカテーテル本体12上に載置されるような形状を持つ。図12aおよび図12bの実施形態において、係合部材32は、湾曲したまたは凹状の基部を有し、この基部は旋回円弧の一点でカテーテル本体12の外面に接する。他の例では、図15に示すように、カテーテル本体12は、係合部材32が載置される窪みを持つよう形成される。
【0067】
図12a、図12b、図14a、および図14bに見られるように、係合部材32は丸い形状の基部35を有し、基部は中空のカテーテル12の外面に相補的な形状を有し、その結果係合部材32が中空のカテーテル12上に載置される。図12a、図12b、図14a、および図14bに見られるように、丸い形状の基部35は横側方間で丸い形状になされるが、使用時ユーザが容易に係合できるように概して安定した態様でカテーテル12上に載置できるように(図11に見られるように)深さ寸法において略平坦でもよい。
【0068】
図14aに示す実施形態において、丸い形状の基部35と操向部材24の伸張とで十分に係合部材32は略直立状態に保持されうる。図14aおよび図14bの実施形態において、係合部材32は脚部37を持つよう形成され、脚部37は部分的にカテーテル本体12の周囲で延在し、係合部材32がその周りを枢動可能な点36を覆うように延びる。
【0069】
図12a、図12b、図14a、および図14bの実施形態において、係合部材32は、点34(図11)でカテーテル本体12の外部に連結するレバーとして機能する。これが機構上の利点となり、先端部16の偏向を支援する。図12a、図12b、図14a、および図14bに見られるように、つまみ36がカテーテル本体12の側部に形成され、対応する受け口38が係合部材32に形成され、係合部材32の動作を可能にするようにつまみ36および受け口38は協働して脚部37によって係合部材32を枢動可能に支持する。他の実施形態では、つまみ36が係合部材32に形成され、受け口38がカテーテル本体12に形成されてもよいことが理解されるであろう。ここでも、ユーザが容易に利用できるように、係合部材32を適切な位置に維持し上方に付勢するのは、係合部材32の基部35、または操向部材24の伸張(または両方)でありうる。
【0070】
係合部材32の製造時に、1つまたは2つの孔を、1つまたは各操向部材24を通すために、係合部材32に組み込んでもよい。その後、組み立て時、係合部材32はカテーテル本体12に「クリップ止め」され、1つまたは2つの操向部材24が、係合部材32の孔23を通して引っ張られ、従来の固着手段を用いて固着されうる。
【0071】
係合部材32は基本的にカテーテル本体12にクリップ止めされるので、挿入後容易に取り外しできる。このためには、係合部材32は先端を偏向するように静止位置から作動され、1つまたは各操向部材24が切断される。操向部材24が切断された後、先端部16は静止および非偏向位置に戻るので、操向部材24は経路22に戻るように引っ張られるであろう。係合部材32はその後クリップ止めからはずされ破棄できる。
【0072】
開口33は、係合部材32の作動のためにユーザがこの開口に指を挿入できるように構成される。係合部材32および開口33は楕円形、または逆「引き金」形状などの複雑な形状等他の形態または形状を取ってもよく、開口33の無い簡易なレバーでもよい。
【0073】
上述の係合部材32は、操向部材24に張力を付加して先端部16を偏向させる簡易で、信頼性を有する、軽量な手段である。挿入後一時に何日も尿道カテーテルを尿道に保持することが多いときにこれは重要である。患者は、潜在的に、カテーテルを留置して歩行し日々の日常作業を行う必要があろうため、重いまたは嵩高い偏向機構は目的にはまったく不適切であろう。このように、他の医療分野において湾曲した解剖学的構造の問題に対処するために用いられるカテーテルの操向システムは比較的大きく、重く、複雑であり、尿道カテーテルとして用いるのには不適切なだけである。
【0074】
上述のカテーテル10は男性患者の膀胱にカテーテルを挿入するのに用いられるように構成される。使用時、このカテーテル10は患者の尿道に挿入され、その後先端部16が操作されて、膀胱への挿入を容易にする。これは、カテーテルが尿道に挿入されると先端部を偏向させることによって尿道の湾曲部の周辺のカテーテルを操向することでなされる。先端部16の操作は、単に、取り除かなければ衝撃を受ける位置または押し込まれる位置からカテーテルを取り除き挿入を続行させることでもよい。
【0075】
カテーテル10を用いたカテーテル挿入工程を、図16図21を参照してより詳細に説明する。
【0076】
上述のように、カテーテルの先端を尿道に挿入する直前に、ユーザは陰茎を手動で牽引し陰茎を安定させ陰茎の尿道110を真っすぐにすることが重要であり、これにより、カテーテル先端13が抵抗なく尿道110のこの部分をより通りやすくなる。
【0077】
カテーテル10は、潤滑剤を使って陰茎の(遠位の)尿道に導入され、真っすぐにされた遠位の尿道110に沿って通される。これは通常、カテーテル10が真っすぐであり尿道の管110が解剖学的に正常であれば、カテーテル110の挿入の最も簡単な部分である。
【0078】
図18を参照すると、カテーテル10が挿入されて略直線状の形態になり、略直線状の陰茎の尿道110を容易に通ることがわかる。しかしながら、特に過去の外傷、感染症、器具使用、または手術があれば、尿道の被蓋(粘膜)は実際には非常に不規則に凸凹でありうる。尿道の不規則な凸凹は、過去の前立腺の手術、特にTURP処置後は特に一般的である。
【0079】
カテーテルは緩やかに前方に押されるので、先端が不規則な凸凹または尿道の粘膜の欠陥によって何らかの障害物に当たれば、ユーザはカテーテルの先端を上方にわずかに偏向させ、それからさらに前方に緩やかに押すことができる。カテーテル先端の上方へのこの偏向で、尿道の後壁から離れるようにカテーテル先端が引き上げられる。先端がこれ以上先へ進むことができないなら、カテーテルをその後おそらくはほんの数ミリだけ緩やかに引っ込め、カテーテル先端をさらに少しだけ偏向させる。カテーテルがその後前へ進むなら、さらなる偏向は行わず、主カテーテルルーメンから尿が流れ出るまでカテーテルを押し通す。
【0080】
「上方」という用語を参照すると、当業者なら、カテーテル挿入は背中を下にして横たわる患者に一般的には行われ、上方向は天井に向かう方向であろうと理解するであろう。しかし、カテーテル挿入は横向きまたは腹臥で横たわる患者に行われてもよく、この場合は、体の略前方方向に偏向するであろう。
【0081】
カテーテルは障害物を迂回したあとさらに前方に押されるので、操向部材の牽引が保たれうる結果、カテーテル先端は持続的に偏向される。または、牽引が解除されて、カテーテル先端がさらに前に進む前に受動的に少なくとも部分的に真っすぐにされうる。障害物を通過後に操向素子の牽引を弛緩すると、偏向したカテーテル先端がより近位尿道側の前壁に衝突するリスクが低下するであろう。
【0082】
全挿入工程は、手動による抵抗感覚のみを用いて行い、他の能動的な操向可能な装置とは異なり、視覚的または放射線による誘導に依存しない。
【0083】
カテーテル先端が球部尿道112と膜様部尿道114の湾曲した連結部に到達すると、略直線状のカテーテルが通路内の湾曲に接触して困難が生じるおそれがある。ユーザが、先端がこの位置にあることによる抵抗によって触感のフィードバックを受けると、カテーテル10をわずかに(おそらくは、ほんの数ミリ)後退させるとよく、カテーテル10を引き続いて前進させると係合部材32が先端を偏向させるように係合されるので、カテーテル10は衝突することなく球部尿道112および膜様部尿道114の湾曲した連結部を通過することができる。これによって、図4との関連で述べるように、操作で先に進むことができなければ、この場所、特には位置X1に形成される擬似通路で起こる可能性のある重大な尿道の外傷が回避される。
【0084】
図18および図19に示すように、カテーテル10が前立腺部尿道116を通って前進し膀胱頸部118を通過して膀胱120に入るとき、先端の偏向が係合部材32を使って維持されてもよい。
【0085】
当業者なら図16から図19に関連して例示した挿入工程は、図2図6に示すものよりずっと簡易で局部的な外傷を受けにくいということを理解するであろう。これは、特に、患者がTURP処置などの過去の前立腺の手術によって過去に前立腺を摘除した場合になるであろう。
【0086】
カテーテルの上述の構成により、カテーテル挿入はカテーテルからの触感のフィードバックのみを用いて行われうる。
【0087】
男性の尿道の解剖学的知識を利用することで、尿道カテーテルを物理的に通すことができる患者自身を含む任意の人による男性の尿道のカテーテル挿入に、特に適するようになされた新規な操向可能な尿道カテーテルの設計を可能にした。好ましい実施形態における操向制御機構は、1本の指の一方向の短い動作を必要とする簡易で、単一の部材である、引き金状のレバーである。この単一の部材はプラスチックで非常に安価に製造でき、簡易なモノフィラメントのナイロンの紐に取り付けることができる。
【0088】
過去に設計された操向可能な装置の多くは金属ワイヤの操向素子の力を必要とし、その中には可撓性を発揮するマルチフィラメントもあった。この新規な設計はナイロンの紐を操向部材として用いることを可能にする。なぜなら、その比較的大きなサイズは鋼の力を必要とせず、操向素子が持つある程度の弾性によってでも十分な偏向を達成できるからである。
【0089】
膀胱内で数カ月保持する必要があるであろう使い捨てカテーテルのナイロン製の操向素子の長所は、安価で簡易に製造される、熱融合、プラスチックプラグ、または接着剤によってカテーテル先端に容易に取り付けられる、シリコーン経路内で滑走特性を高めることが可能である、長期にわたる流体との接触で腐食しない、金属成分に対するアレルギーの可能性がない、減菌技術を改良することなしにカテーテルの減菌が容易である、特にマルチフィラメントワイヤと比べて、バイオフィルムおよび潜在的な感染に対する耐性がある、超音波、CTスキャン、またはMRIでの画像に干渉する放射線反射がない、MRIスキャンにおいて金属部品が使えないことでMRIの前に可能ならカテーテルを取り除く必要が生じる、係合部材を取り除く場合に標準的な病院用の鋏で紐が容易に切断される、ことである。
【0090】
上述の実施形態の多くの変形例が、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者に明らかであろう。例えば、カテーテル12は、丸い形状以外でもよく、例えば、楕円形でもよく、その長さに沿って均一な断面形状を有していなくてもよい。
【0091】
本明細書および以下の特許請求の範囲にわたって、文脈上不適切でなければ、用語「備える」および「1つのものが備える」および「備えている」などの変形は、説明された構成要素またはステップ、または、構成要素群またはステップ群を含むことを意味すると理解されるが、任意の他の構成要素またはステップ、または、構成要素群またはステップ群の排除ではないと理解される。
【0092】
本明細書内でのいかなる先行刊行物(またはそれから導き出される情報)またはいかなる既知の事柄の参照も、先行刊行物(またはそれから導き出される情報)または既知の事柄が、この明細書が関係する研究の分野における共通の一般的な知識の一部を形成するという認識または承認またはいかなる形態の示唆としても取られるのでなくおよび取られるべきでない。
【符号の説明】
【0093】
10 尿路カテーテル
12 中空のカテーテル本体
13 遠位端
14 排液開口
15 プラグ
16 先端部
18 係合部
20 主経路
22 追加経路
24 操向部材
25 バルーン経路
26 可膨張性のバルーン
28 コネクタ
29 操向部材の固着点
30 バルブ
32 係合部材
33 開口
34 旋回軸点
35 係合部材の丸い形状の基部
36 つまみ
37 係合部材の脚部
38 受け口
40 カテーテル本体の近位端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図11
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2021-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿路排出カテーテルであって、
患者の尿道内に挿入されるよう構成され、細長部と、前記細長部の遠位端近傍の先端部と、ユーザが前記カテーテルを把持可能な、前記遠位端から離間した係合部とを有する中空のカテーテル本体であって、前記先端部は前記カテーテルを前記尿道内で操向する目的で前記細長部と前記先端部との間の連結部における前記中空のカテーテル本体の壁厚の減少により、前記連結部に対して偏向可能で、前記カテーテルが男性の尿道の自然な湾曲に追従することを可能にし、前記先端部は略直線状の状態から、前記細長部が略直線状である時に前記先端部が偏向する偏向状態に移動可能である、中空のカテーテル本体を備え、
前記カテーテル本体は、膀胱から尿を排出するために内部に形成された主経路と、前記主経路から離れて形成され、可撓性を有する操向部材を収容することができる少なくとも1つの追加経路とを備え、前記各追加経路のルーメンは前記遠位端から前記係合部の近傍の位置まで延び、前記操向部材は、前記先端部において前記追加経路内で固着され、前記カテーテルの外でユーザによって係合されて前記先端部を偏向させるよう構成される、尿路排出カテーテル。
【請求項2】
詳細には、能動的に偏向可能な先端を利用して、前記男性の尿道に特有の解剖学的構造内を進んでいくように構成される、請求項1に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項3】
前記中空のカテーテル本体は前記連結部で狭くなる、請求項1または2に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項4】
前記中空のカテーテル本体の壁厚は前記連結部で減少し、前記先端部にわたって概して維持する請求項1から3のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項5】
前記先端部は、前記細長部と前記先端部の前記連結部で始まる円弧の周辺で偏向し、前記先端部はその遠位端で略直線状であるように構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項6】
前記細長部は、前記先端部より硬く、使用中は略直線状態にあるよう構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項7】
前記先端部の長さは、約2cmから4cmである、請求項1からのいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項8】
前記先端部は、前記細長部の長手方向の軸に合致する平面において偏向するよう構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項9】
前記カテーテルの能動的に偏向可能な先端は一方向にのみ偏向して、偏向するとき、前記男性の尿道の湾曲の形状に適合するように構成される、請求項8に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項10】
前記偏向した先端の受動的な直線化は、前記カテーテルを製造するのに使用される材料の復元力によって決まる、請求項8または9に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項11】
1本の操向ケーブルを利用する、請求項1から10のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項12】
前記先端部は最大90°の角度まで偏向可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項13】
前記カテーテルの前記先端は、泌尿器における他所とは対照的に、尿道内で前記カテーテルを操向する目的で偏向可能である、請求項1から12のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項14】
それぞれ内部に操向部材が収容され、前記カテーテルの前記先端部の意図しない横方向の偏向を防ぐよう互いに角度をなして離間された第1および第2の追加経路、を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項15】
前記第1および前記第2の経路は、約40°の角度で互いに離間している、請求項1から14のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項16】
可撓性を有する前記先端から離間された可膨張性のバルーンと、
膨張のために流体を前記バルーンに連通するために前記カテーテルの近位端にあるコネクタと前記バルーンとの間に延在するバルーン膨張経路と、をさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項17】
前記操向部材はナイロンの紐である、請求項1から16のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項18】
尿道内で前記先端部を偏向させるために、ユーザによる係合のために前記操向部材の端に連結された係合部材をさらに備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項19】
前記係合部材は直立位置に付勢力され前記男性の尿道にカテーテルを挿入するのに利用される一般的なグリップで前記カテーテルを把持している手の1本の指による動作を容易にする、請求項18に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項20】
前記係合部材は、前記操向部材を引っ張ることで前記直立位置に付勢される、請求項19に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項21】
前記係合部材は、直立位置で前記カテーテル本体上に載置される形状を有する、請求項18から20のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項22】
前記係合部材は、前記カテーテル本体の外面に接する凹状の基部を有する、請求項21に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項23】
前記係合部材は、そのまわりを枢動可能な点で前記カテーテル本体の外部に連結された簡易な引き金状のレバーである、請求項20または21に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項24】
前記係合部材は前記カテーテルから容易に取り外し可能である、請求項1から23のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項25】
前記係合部材は、単一の部材の形態である、請求項18から24のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項26】
前記カテーテルの前記先端は、膀胱または腎臓のカテーテルに必要なより鋭い円弧というよりも、前記尿道の前記湾曲に基づいて前記連結部で始まる穏やかな円弧で偏向するよう構成される、請求項1から25のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項27】
前記カテーテルおよび任意の付属品は、金属部材から構成されない、請求項1から26のいずれか一項に記載の尿路排出カテーテル。
【請求項28】
男性患者の膀胱にカテーテルを挿入する方法であって
患者の尿道内に挿入されるよう構成され、細長部と、前記細長部の遠位端近傍の先端部と、ユーザが前記カテーテルを把持可能な、前記遠位端から離間した係合部とを有する中空のカテーテル本体であって、前記先端部は略直線状の状態から、前記細長部が略直線状である時に前記先端部が前記連結部に対して遠位で偏向する偏向状態に移動可能である中空のカテーテル本体を備える排出カテーテルを提供するステップと、
前記カテーテルを前記患者の尿道に挿入するステップと、
前記カテーテルが前記尿道を通過するとき、前記カテーテルが前記尿道に挿入されると、前記先端部を上方向に矢状断面に略平行に能動的に偏向させて、前記尿道を通して前記カテーテルを操向するステップとを備え、
前記先端部は偏向後跳ね返って真っすぐになる、男性患者の膀胱にカテーテルを挿入する方法。
【請求項29】
挿入中に抵抗にあえば前記カテーテルをわずかに後退させ、それから前記カテーテルを尿道内で再度前進させるとき前記先端部を偏向させるステップをさらに備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記カテーテルは、望遠鏡による誘導または放射線学的誘導を含むいかなる先導支援からも自立して、能動的に操向されるよう構成される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記カテーテルは触感のフィードバックのみを利用して前進させ偏向させる、請求項28から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記カテーテル本体は、膀胱から尿を排出するために内部に形成された主経路と、前記主経路から離れて形成され、可撓性を有する操向部材を収容することができる少なくとも1つの追加経路とをさらに備え、前記各追加経路のルーメンは前記遠位端から前記係合部の近傍の位置まで延び、前記操向部材は、前記先端部において前記追加経路内で固着され、前記カテーテルの外でユーザによって係合されて前記先端部を偏向させるよう構成され、
前記方法は、前記偏向のために前記操向部材を係合および後退させるステップをさらに備える、請求項28から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項28から32のいずれか一項に記載の方法において使用される尿路排出カテーテル。
【国際調査報告】