(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ヒーター制御を備えた電子タバコ装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20221221BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20221221BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20221221BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/57
A24F40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518400
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2020079595
(87)【国際公開番号】W WO2021078785
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アディア, カイル
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC16
4B162AC22
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
電子タバコ装置が提供され、電子タバコ装置は、生成された蒸気をマウスピース開口部(118、218、318、418)に導くように配置された蒸気流路(105、205、305、405)と、アトマイザから物理的にずれた位置で蒸気流路内に配置されたセンサ(150、250、350、450)とを有する。電子タバコ装置は、第1の電力をアトマイザのヒーターに印加し(601)、センサを使用して蒸気流路内の第1の温度測定値を決定し(602)、第1の温度測定値に基づいてヒーターに対する第1の電力調節量を決定し(603)、第1の電力調節量に基づいて第1の電力を第2の電力に調節し(604)、第2の電力をヒーターに印加する(605)、ように構成された1つ又は複数のプロセッサも有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子タバコ装置であって、
マウスピース開口部を備えたマウスピースと、
生成された蒸気を前記マウスピース開口部まで導くように配置された蒸気流路と、
アトマイザから物理的にずれた位置に、前記蒸気流路内に配置されたセンサと、を含み、
前記電子タバコ装置は、
第1の電力をアトマイザのヒーターに印加し、
前記センサを使用して、前記蒸気流路内の第1の温度測定値を決定し、
前記第1の温度測定値に基づいて、前記ヒーターの第1の電力調節量を決定し、
前記第1の電力調節量に基づいて前記第1の電力を第2の電力に調節し、前記第2の電力を前記ヒーターに印加する、ように構成された1つ又は複数のプロセッサを更に含む、電子タバコ装置。
【請求項2】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記電子タバコ装置が蒸気を生成するようにトリガーされた後の時点で、前記電子タバコ装置が最適な動作温度に達したとみなされるときに、前記第1の温度測定値を決定するように構成される、請求項1に記載の電子タバコ装置。
【請求項3】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記第1の温度測定値を所定のデータセットと比較して、前記電子タバコ装置で使用される液体貯蔵庫が十分な液体を含んでいるかどうかを判断するように更に構成される、請求項1又は請求項2に記載の電子タバコ装置。
【請求項4】
前記第1の温度測定値を決定する場合、前記1つ又は複数のプロセッサは、所定の期間に渡る一連の温度測定値を決定するように構成される、請求項1~3の何れか一項に記載の電子タバコ装置。
【請求項5】
前記第1の電力調節量を決定するときに、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記第1の温度測定値を所定の閾値と比較して前記第2の電力を決定するように構成され、
前記第2の電力は、前記第1の温度測定値が前記所定の閾値を上回る場合、前記第1の電力よりも低い電力になり、
前記第2の電力は、前記第1の温度測定値が前記所定の閾値を下回る場合、前記第1の電力よりも高い電力になる、請求項1~4の何れか一項に記載の電子タバコ装置。
【請求項6】
前記所定の閾値は所定の温度範囲であり、前記第1の電力調節量を決定するときに、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記第1の温度測定値を前記所定の温度範囲と比較して前記第2の電力を決定するように構成され、
前記第2の電力は、前記第1の温度測定値が前記所定の温度範囲を上回る場合、前記第1の電力よりも低い電力になり、
前記第2の電力は、前記第1の温度測定値が前記所定の温度範囲を下回る場合、前記第1の電力よりも高い電力になり、
前記第2の電力は、前記第1の温度測定値が前記所定の温度範囲内である場合、前記第1の電力と等しくなる、請求項5に記載の電子タバコ装置。
【請求項7】
前記所定の閾値は、前記電子タバコ装置で使用される消耗品の種類に基づいて決定される、請求項5又は請求項6の何れか一項に記載の電子タバコ装置。
【請求項8】
前記所定の閾値は、前記電子タバコ装置のユーザによって入力される、請求項5~7の何れか一項に記載の電子タバコ装置。
【請求項9】
前記第1の温度は、前記電子タバコ装置が吸入されているときに測定される、請求項1~8の何れか一項に記載の電子タバコ装置。
【請求項10】
前記第1の温度測定値を決定する前記1つ又は複数のプロセッサは、前記1つ又は複数のプロセッサが、
前記電子タバコ装置上での吸入を示す蒸気流管内の流量、又は、
気化可能材料を気化させるためにアトマイザをトリガーするように構成された気化トリガーボタンが押されたこと、のうちの少なくとも1つを検出することにより、トリガーされる、請求項1~9の何れか一項に記載の電子タバコ装置。
【請求項11】
前記第1の電力は、第1のデューティサイクルを伴って出力されるパルス幅変調電力であり、前記第1の電力を前記第2の電力に調節するとき、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記第1のデューティサイクルを第2のデューティサイクルに調節するように構成される、請求項1~10の何れか一項に記載の電子タバコ装置。
【請求項12】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記第2の電力をアトマイザのヒーターに印加し、
前記センサを使用して、前記蒸気流路内の第2の温度測定値を決定し、
前記第2の温度測定値に基づいて、前記ヒーターの第2の電力調節量を決定し、
前記第2の電力調節量に基づいて前記第2の電力を第3の電力に調節し、前記第3の電力を前記ヒーターに印加する、ように更に構成される、請求項1~11の何れか一項に記載の電子タバコ装置。
【請求項13】
前記第2の電力調節量を決定するときに、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記第2の温度測定値を前記所定の閾値と比較して前記第3の電力を決定するように構成され、
前記第3の電力は、前記第2の温度測定値が前記所定の閾値を上回る場合、前記第2の電力よりも低い電力になり、
前記第3の電力は、前記第2の温度測定値が前記所定の閾値を下回る場合、前記第2の電力よりも高い電力になる、請求項12に記載の電子タバコ装置。
【請求項14】
前記所定の閾値は所定の温度範囲であり、前記第2の電力調節量を決定するときに、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記第2の温度測定値を前記所定の温度範囲と比較して前記第3の電力を決定するように構成され、
前記第3の電力は、前記第2の温度測定値が前記所定の温度範囲を上回る場合、前記第2の電力よりも低い電力になり、
前記第3の電力は、前記第2の温度測定値が前記所定の温度範囲を下回る場合、前記第2の電力よりも高い電力になり、
前記第3の電力は、前記第2の温度測定値が前記所定の温度範囲内である場合、前記第2の電力と等しくなる、請求項13に記載の電子タバコ装置。
【請求項15】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記蒸気流路内での更なる温度測定値を繰り返し決定し、前記更なる温度測定値に基づいてヒーターの更なる電力調節量を決定し、前記更なる電力調節量に基づいて前記ヒーターに印加されることになる電力を更なる電力に調節し、前記更なる電力を前記ヒーターに印加する、ように更に構成される、請求項1~14の何れか一項に記載の電子タバコ装置。
【請求項16】
電子タバコを動作させる方法であって、前記電子タバコは、生成された蒸気をマウスピース開口部に導くように配置された蒸気流路と、アトマイザから物理的にずれた位置で、前記蒸気流路内の温度を決定するように前記蒸気流路内に配置されたセンサと、を含み、
前記方法は、
第1の電力をアトマイザのヒーターに印加することと、
前記センサを使用して、前記蒸気流路内の第1の温度測定値を決定することと、
前記第1の温度測定値に基づいて、前記ヒーターの第1の電力調節量を決定することと、
前記第1の電力調節量に基づいて前記第1の電力を第2の電力に調節すること、及び前記第2の電力を前記ヒーターに印加することと、を含む方法。
【請求項17】
命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記1つ又は複数のプロセッサに、
第1の電力をアトマイザのヒーターに印加させ、
センサを使用して蒸気流路内の第1の温度測定値を決定させ、前記センサは電子タバコ装置の前記蒸気流路内に配置され、
前記第1の温度測定値に基づいて、前記ヒーターの第1の電力調節量を決定させ、
前記第1の電力調節量に基づいて前記第1の電力を第2の電力に調節させ、前記第2の電力を前記ヒーターに印加させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タバコに関し、より具体的には、電子タバコ用温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコなどの蒸気生成装置は、一層人気が高い消費者向け製品になりつつある。
【0003】
気化又はエアロゾル化のための加熱装置は、当技術分野において既知である。そのような装置は、典型的には、気化可能製品を加熱するように配置されたヒーターを含む。動作時には、気化可能製品をヒーターで加熱して、消費者が吸入するように製品の成分を気化させる。いくつかの例では、製品は、カプセルに入ったタバコを含むことがあるか又は従来の紙巻きタバコに類似していることがあり、他の例では、製品は、液体又はカプセル内の液状内容物であることがある。
【0004】
そのような装置では、より精密な蒸気温度制御が必要である。従って、本発明の目的は、このような課題に対処することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、マウスピース開口部を備えたマウスピースと、生成された蒸気をマウスピース開口部に導くように配置された蒸気流路と、アトマイザから物理的にずれた位置に、蒸気流路内に配置されたセンサと、を含む電子タバコ装置が提供され、この電子タバコ装置は、第1の電力をアトマイザのヒーターに印加し、センサを使用して蒸気流路内の第1の温度測定値を決定し、第1の温度測定値に基づいてヒーターに対する第1の電力調節量を決定し、第1の電力調節量に基づいて第1の電力を第2の電力に調節し、第2の電力をヒーターに印加する、ように構成された1つ又は複数のプロセッサを更に含む。
【0006】
このようにして、生成された蒸気自体の温度を、蒸気流路内の蒸気の温度を使用してアトマイザの温度設定を調節することにより、直接的に制御することができる。これは、蒸気の温度を制御するためにヒーター温度を測定し調節する場合に比べて有利である、というのも、ヒーター温度は、必ずしも蒸気温度とは直接的に相関しないからである。所与のヒーター電圧又は温度に対して、生成される蒸気の温度は、電子タバコ装置のヒーターとマウスピースとの間の距離、マウスピースの直径及び材料、蒸気に使用される液体の種類、周囲空気温度、圧力、及び空気流量などの要因によって影響を受けることがある。ヒーターの電圧又は温度ではなく蒸気の温度を決定すると、この問題が克服され、生成される蒸気の温度に対するより正確な制御がもたらされる。これは、消費者が吸入するときに、蒸気の温度が規制ガイドラインを満たすことを保証する場合に、特に有益である。更に、生成される蒸気の温度を測定することにより、異なる吸入器と液体貯蔵庫(又はカートリッジ)との製造上の差異を吸収しながら、蒸気温度の較正が可能になる。
【0007】
蒸気流路は、蒸気流管を含むことが好ましい。アトマイザは、気化可能液体などの気化可能材料又はタバコなどの繊維状材料から蒸気を生成するように構成されることが好ましい。
【0008】
1つ又は複数のプロセッサは、電子タバコ装置が蒸気を生成するようにトリガーされた後の時点で、電子タバコ装置が最適な動作温度に達したとみなされるときに、第1の温度測定値を決定するように構成されることが好ましい。
【0009】
最適な動作温度は、ヒーターが十分な温度になっており、ヒーターを囲む液体が、電子タバコ装置が蒸気を生成するように特定の温度になっているときのものであることが好ましい。上記の時点とは、1.5~3.5秒の間であることが好ましく、2~3秒の間であることがより好ましい。
【0010】
1つ又は複数のプロセッサは、第1の温度測定値を所定のデータセットと比較して、電子タバコ装置で使用される液体貯蔵庫が十分な液体を含んでいるかどうかを判断するように、更に構成されることが好ましい。
【0011】
液体貯蔵庫が十分な液体を含んでいるかどうかの判断は、第1の電力調節量を決定する前に行われることが好ましい。ヒーター温度を制御する際の使用に加えて、生成される蒸気の温度は、更に、アトマイザでの湿潤レベルに対応することが分かった。より低い温度は、アトマイザが不十分な湿潤状態であることに相当することがある。従って、十分な液体が利用可能であるかどうかをまず判断することにより、蒸気の温度をあげるために利用可能な十分な蒸気がないにも関わらず蒸気の温度をあげるという前提の下で、低い蒸気温度をもたらす不十分な湿潤状態のアトマイザが更に加熱されるという状況を回避することができる。これにより、不十分な湿潤状態のアトマイザを過熱させないことで、ユーザ体験が向上する。
【0012】
第1の温度測定値を決定する場合、1つ又は複数のプロセッサは、所定の期間に渡る一連の温度測定値を決定するように構成されることが好ましい。
【0013】
一連の温度測定値を記録することにより、温度を決定する際の精度を向上させることができる。この一連の温度測定値は平均されることが好ましい。所定の期間は、3秒間など数秒程度以内であることが好ましい。
【0014】
第1の電力調節量を決定するとき、1つ又は複数のプロセッサは、第1の温度測定値を所定の閾値と比較して第2の電力を決定し、ここで、第1の温度測定値が所定の閾値を上回る場合、第2の電力は第1の電力よりも低い電力になり、第1の温度測定値が所定の閾値を下回る場合、第2の電力は第1の電力よりも高い電力になる、ように構成されることが好ましい。
【0015】
このようにして、蒸気の温度を、所望の温度閾値を上回るか又は下回る場合、調節することができる。これにより、ユーザ体験が向上する。所定の閾値は、電子タバコ装置の1つ又は複数のプロセッサによってアクセス可能なストレージ内に記憶されることが好ましい。
【0016】
所定の閾値は所定の温度範囲であり、第1の電力調節量を決定するときに、1つ又は複数のプロセッサは、第1の温度測定値を所定の温度範囲と比較して第2の電力を決定し、ここで、第1の温度測定値が所定の温度範囲を上回る場合、第2の電力は第1の電力よりも低い電力になり、第1の温度測定値が所定の温度範囲を下回る場合、第2の電力は第1の電力よりも高い電力になり、第1の温度測定値が所定の温度範囲内にある場合、第2の電力は第1の電力と等しくなる、ように構成されることが好ましい。
【0017】
このようにして、蒸気の温度を、所望の温度範囲を上回るか又は下回る場合、調節することができる。これにより、ユーザ体験が向上する。所定の温度範囲は、電子タバコ装置の1つ又は複数のプロセッサによってアクセス可能なストレージ内に記憶されることが好ましい。
【0018】
所定の閾値は、電子タバコ装置で使用される消耗品の種類に基づいて決定されることが好ましい。
【0019】
消耗品が異なると、最適な蒸気温度も異なる。このようにして、蒸気の温度を、使用される消耗品の種類に対して最適な温度に設定することができる。
【0020】
消耗品は、電子タバコ装置に挿入可能な若しくは接続可能な気化可能な液体若しくは繊維質の粒状物質(タバコなど)を収容するカートリッジ、又は電子タバコ装置の液体貯蔵庫内の気化可能液体であることが好ましい。
【0021】
所定の閾値は、電子タバコ装置のユーザによって入力されることが好ましい。
【0022】
このようにして、電子タバコ装置のユーザは、蒸気の好ましい温度又は温度範囲を選択することができる。
【0023】
第1の温度は、電子タバコ装置が吸入されているときに測定されるのが好ましい。
【0024】
このようにして、決定される温度は、電子タバコ装置が吸入されているときに生成された蒸気の温度に対応する。これにより、電子タバコ装置が吸入されていないときに、蒸気温度測定値が、蒸気流路内の周囲温度測定値と混同されるのが防止される。
【0025】
第1の温度測定値を決定する1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数のプロセッサが、電子タバコ装置上での吸入を示す蒸気流管内の流量、又は、気化可能材料を気化させるためにアトマイザをトリガーするように構成された気化トリガーボタンが押されたこと、のうちの少なくとも1つを検出することにより、トリガーされることが好ましい。
【0026】
蒸気流管内の流量は、空気流センサによって検出されることが好ましい。
【0027】
第1の電力は、第1のデューティサイクルを伴って出力されるパルス幅変調電力であり、第1の電力を第2の電力に調節するとき、1つ又は複数のプロセッサは、第1のデューティサイクルを第2のデューティサイクルに調節するように構成される、ことが好ましい。
【0028】
このようにして、ヒーターに印加される電力を、正確に温度を制御するように適合させることができる。
【0029】
1つ又は複数のプロセッサは更に、第2の電力をアトマイザのヒーターに印加し、センサを使用して蒸気流路内の第2の温度測定値を決定し、第2の温度測定値に基づいてヒーターに対する第2の電力調節量を決定し、第2の電力調節量に基づいて第2の電力を第3の電力に調節し、第3の電力をヒーターに印加する、ように構成されることが好ましい。
【0030】
このようにして、後続の温度測定値に基づいて電力を更に制御することができる。第2の温度測定値は、電子タバコ装置上での後に続く吸入中に測定されることが好ましい。
【0031】
第2の電力調節量を決定するとき、1つ又は複数のプロセッサは、第2の温度測定値を所定の閾値と比較して第3の電力を決定し、ここで、第2の温度測定値が所定の閾値を上回る場合、第3の電力は第2の電力よりも低い電力になり、第2の温度測定値が所定の閾値を下回る場合、第3の電力は第2の電力よりも高い電力になる、ように構成されることが好ましい。
【0032】
所定の閾値は所定の温度範囲であり、第2の電力調節量を決定するときに、1つ又は複数のプロセッサは、第2の温度測定値を所定の温度範囲と比較して第3の電力を決定し、ここで、第2の温度測定値が所定の温度範囲を上回る場合、第3の電力は第2の電力よりも低い電力になり、第2の温度測定値が所定の温度範囲を下回る場合、第3の電力は第2の電力よりも高い電力になり、第2の温度測定値が所定の温度範囲内にある場合、第3の電力は第2の電力と等しくなる、ように構成されることが好ましい。
【0033】
このようにして、蒸気が所望の温度範囲内にあるように、生成される蒸気の温度を改善するように、電力を更に調節することができる。
【0034】
1つ又は複数のプロセッサは、蒸気流路内で更なる温度測定値を繰り返し決定し、更なる温度測定値に基づいてヒーターの更なる電力調節量を決定し、更なる電力調節量に基づいてヒーターに印加されることになる電力を更なる電力に調節し、更なる電力をヒーターに印加する、ように更に構成されることが好ましい。
【0035】
このようにして、生成される蒸気について所望の温度範囲を繰り返し維持するように、電力を繰り返し調節することができる。
【0036】
別の態様では、電子タバコを動作させる方法が提供され、電子タバコは、生成された蒸気をマウスピース開口部に導くように配置された蒸気流路と、アトマイザから物理的にずれた位置で、蒸気流路内の温度を決定するように蒸気流路内に配置されたセンサと、を含み、この方法は、第1の電力をアトマイザのヒーターに印加することと、センサを使用して蒸気流路内の第1の温度測定値を決定することと、第1の温度測定値に基づいてヒーターに対する第1の電力調節量を決定することと、第1の電力調節量に基づいて第1の電力を第2の電力に調節すること及び第2の電力をヒーターに印加することと、を含む。
【0037】
別の態様では、命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体が提供され、この命令は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、1つ又は複数のプロセッサに、第1の電力をアトマイザのヒーターに印加させ、センサを使用して蒸気流路内の第1の温度測定値を決定させ、センサは電子タバコ装置の蒸気流路内に配置され、第1の温度測定値に基づいてヒーターに対する第1の電力調節量を決定させ、第1の電力調節量に基づいて第1の電力を第2の電力に調節させ、第2の電力をヒーターに印加させる。
【0038】
別の態様では、電子タバコ装置が提供され、この電子タバコ装置は、生成された蒸気をマウスピース開口部に導くように配置された蒸気流路と、アトマイザから物理的にずれた位置で、蒸気流路内の温度を決定するように蒸気流路内に配置されたセンサと、を含み、電子タバコ装置は、センサからデータを読み出し、データは測定された温度データセットを含み、測定された温度データセットは時間の関数としての1つ又は複数の温度測定値を含み、測定された温度データセットを所定の温度データと比較し、所定の温度データは異なる流体移送要素湿潤レベルでの電子タバコ装置の蒸気流路内の蒸気の温度を示し、比較に基づいて更なる処置を決定し実施する、ように構成された1つ又は複数のプロセッサを更に含む。
【0039】
このようにして、流体移送要素の湿潤レベルを蒸気流路内の蒸気又は空気の温度から決定することができ、流体移送要素が不十分な湿潤状態であるか、過剰な湿潤状態であるか、又は十分な湿潤状態である場合、適切な処置を行うことができる。
【0040】
蒸気流路は、生成された蒸気をアトマイザからマウスピース開口部に導くように配置されることが好ましい。蒸気流路は、蒸気流管を含むことが好ましい。センサが、蒸気流路内の温度を測定することが好ましい。即ち、測定された温度データセットは、蒸気流路内で測定された温度から構成される。流体移送要素はアトマイザの一部であり、液体貯蔵庫内に延びて、気化可能液体を液体貯蔵庫からアトマイザのヒーターまで運ぶことが好ましい。流体移送要素は、芯であることが好ましい。アトマイザは、気化可能液体から蒸気を生成するように構成されることが好ましい。
【0041】
一例では、測定された温度データセットは、所定の期間に渡る時間の関数として1つ又は複数の温度測定値を含み、所定の期間は、電子タバコ装置上での1回の吸入の時間の長さに対応する。一例では、所定の温度データは、所定の期間に渡る異なる流体湿潤レベルでの電子タバコ装置の蒸気流路内の蒸気の温度を示す。
【0042】
1つ又は複数のプロセッサは、電子タバコ装置が蒸気を生成するようにトリガーされた後の時点で、電子タバコ装置が最適な動作温度に達したとみなされるとき(即ち、電子タバコ装置が蒸気を生成するように、ヒーターが十分な温度になり、ヒーターを取り囲む液体が特定の温度になったとき)、測定された温度データセットを読み出すように構成されることが好ましい。
【0043】
上記の時点とは、電子タバコ装置が蒸気を生成するようにトリガーされた後の、1.5~3.5秒の間であることが好ましく、2~3秒の間であることがより好ましい。
【0044】
電子タバコ装置上での吸入中の、蒸気流路内で生成された蒸気又は空気の、温度対時間の温度データセットは、温度対時間のプロットの形状が、流体移送要素の湿潤レベルに応じて変化するという点で、特徴的なプロット形状を有することが分かった。このようにして、流体移送要素の湿潤レベルに対応する、最も合う所定の温度セットを、測定された温度データセットに対して特定することがき、それによって、流体移送要素の湿潤レベルを決定できる。
【0045】
最も合う所定の温度データセットは、測定された温度データセットに最も近く一致する所定の温度データセットであることが好ましい。一例では、これは、最小二乗分析を用いて決定することができる。
【0046】
測定された温度データセットを所定の温度データと比較するとき、1つ又は複数のプロセッサは、測定された温度データセットを2つ以上の所定の温度データセットと比較し、測定された温度データセットに対して最も近い対応する所定の温度データセットである、2つ以上の所定の温度データセットのうちのある所定の温度データセットを決定し、2つ以上の所定の温度データセットのうちの第1の所定の温度データセットは、不十分な湿潤状態の流体移送要素に対応し、2つ以上の所定の温度データセットのうちの第2の所定の温度データセットは、十分な湿潤状態の流体移送要素に対応する、ように構成されることが好ましい。
【0047】
流体移送要素の湿潤レベルは、蒸気流路内の生成された蒸気又は空気の温度に対応することが分かった。従って、流体移送要素の湿潤レベルは、生成された蒸気の温度から決定可能である。このようにして、流体移送要素が不十分な湿潤状態であると判断された場合、更なる処置を行うことができる。最も近い対応する所定のデータセットは、測定された温度データセットに最も近く一致する所定のデータセットであることが好ましい。
【0048】
2つ以上の所定の温度データセットのそれぞれは、第1の時点に対して所定の温度データポイントを含み、1つ又は複数のプロセッサは、所定の温度データポイント間の閾値温度を設定し、第1の時点での測定された温度データセットの測定された温度データポイントが、閾値温度を下回っているか又は下回っていないかを判断することにより、最も近く一致する所定の温度データセットを決定するように構成されることが好ましい。
【0049】
電子タバコ装置上での吸入中に蒸気流路内で生成された蒸気又は空気の、時間の関数としての温度データは、温度が流体移送要素の湿潤レベルに応じて変化する特徴的なポイントを有することが分かった。この特徴的なポイントでの測定された温度が閾値を下回っている場合、流体移送要素は不十分な湿潤状態であると判断することができる。このようにして、温度を測定することができ、特徴的なポイントでの温度を所定の温度データと比較して、流体移送要素の湿潤レベルを決定することができる。
【0050】
更なる処置を決定するとき、1つ又は複数のプロセッサは、測定された温度データポイントが閾値温度を下回っている場合、流体移送要素が不十分な湿潤状態であると判断し、湿潤レベルが不十分な湿潤状態として判断された場合、アトマイザのヒーターを調節し、測定された温度データポイントが閾値温度を下回っていない場合、流体移送要素は十分な湿潤状態であると判断し、湿潤レベルが十分な湿潤状態として判断された場合、ヒーターに調節を加えない、ように構成されることが好ましい。
【0051】
不十分な湿潤状態の流体移送要素は、十分な湿潤状態の流体移送要素よりも、ある特定の時点でより低い温度の蒸気を生成することが分かった。このようにして、流体移送要素が不十分な湿潤状態であると判断された場合、ヒーターを調節して、流体移送要素が乾燥すること又は消費者が乾燥した流体移送要素から熱風を吸入することを抑制することができる。これにより、ユーザ体験が向上する。
【0052】
2つ以上の所定の温度データセットのそれぞれは、時間の関数として複数の所定の温度データポイントを含み、1つ又は複数のプロセッサは、2つ以上の所定の温度データセットのいずれが、測定された温度データセットに最もよく合うかを識別することにより、最も近い対応する所定の温度データセットを決定するように構成されることが好ましい。
【0053】
更なる処置を決定するとき、1つ又は複数のプロセッサは、最も近い対応する所定の温度データセットが第1の所定の温度データセットである場合、流体移送要素は不十分な湿潤状態であると判断し、湿潤レベルが不十分な湿潤状態として判断された場合、電子タバコ装置のヒーターを調節し、最も近い対応する所定の温度データセットが第2の所定の温度データセットである場合、流体移送要素は十分な湿潤状態であると判断し、湿潤レベルが十分な湿潤状態として判断された場合、ヒーターに調節を加えない、ように構成されることが好ましい。
【0054】
このようにして、流体移送要素が不十分な湿潤状態である場合、ヒーターを調節して、流体移送要素が乾燥すること又は消費者が乾燥した流体移送要素から熱風を吸入することを抑制することができる。これにより、ユーザ体験が向上する。
【0055】
ヒーターを調節するとき、1つ又は複数のプロセッサは、ヒーターをオフにするか、又はヒーターの電力出力を低減するように構成されることが好ましい。
【0056】
このようにして、液体貯蔵庫が空である場合、又は流体移送要素が液体貯蔵庫から液体を引き込むことができるよりも速く、ヒーターが流体移送要素中の液体を気化させている場合、ヒーターをオフにすることができるか、又は電力出力を低減することができる。
【0057】
ヒーターの電力出力を低減する場合、1つ又は複数のプロセッサは、ヒーターのデューティサイクルを調節するように構成されることが好ましい。
【0058】
このようにして、ヒーター電力出力を正確に制御することができる。
【0059】
1つ又は複数のプロセッサは、時間の関数として測定された温度データセット中の温度スパイクの数を決定するように更に構成されることが好ましく、温度スパイクは、液体がセンサと相互作用していることに相当する。
【0060】
過剰な湿潤状態の流体移送要素は、流体移送要素から熱い液体が射出されることにつながる。これらは、液体の射出がセンサと相互作用する場合、測定温度データセットにおける熱スパイク又は異常として識別できることが分かっている。このようにして、そのようなスパイクを検出することにより流体移送要素が過剰な湿潤状態にあると判断された場合、更なる処置を行うことができる。
【0061】
測定された温度データセットを所定の温度データと比較するとき、1つ又は複数のプロセッサは、決定された温度スパイクの数を温度スパイクの閾値数と比較するように構成されることが好ましい。
【0062】
このようにして、流体移送要素内の過剰な湿潤状態を識別することができる。
【0063】
一例では、温度スパイクの閾値数は、過剰な湿潤状態の流体移送要素に対応する温度データセットから予め決定しておくことができる。温度スパイクは、温度の上昇又は温度の低下、即ち、正のスパイク又は負のスパイクであることがあり、それぞれ熱い又は冷たい液体の射出に起因する。
【0064】
更なる処置を決定するとき、1つ又は複数のプロセッサは、決定された温度スパイクの数が温度スパイクの閾値数を上回る場合、流体移送要素は過剰な湿潤状態にあると判断し、湿潤レベルが過剰な湿潤状態であると判断された場合、補正プログラムを実行するように構成されることが好ましい。
【0065】
このようにして、流体移送要素内の過剰な湿潤状態が識別された場合、それを補正することができる。
【0066】
温度スパイクの数が閾値数を上回っていない場合、更なる処置は行われず、電子タバコ装置は通常通り動作し続けることが好ましい。
【0067】
補正プログラムを実行する場合、1つ又は複数のプロセッサは、ヒーターの電力出力を増加させるように構成されることが好ましい。
【0068】
このようにして、流体移送要素がもはや過剰な湿潤状態ではなくなるように、流体移送要素の湿潤レベルを低減することができる。
【0069】
温度測定値は離散した間隔で記録されるか、又は温度測定値は連続的に記録されることが好ましい。
【0070】
離散した間隔で温度測定値を記録すると、電子タバコ装置の1つ又は複数のプロセッサの処理負荷が最小限に抑えられる。
【0071】
連続的に温度測定値を記録すると、より正確な温度データセットがもたらされる。
【0072】
別の態様では、電子タバコ装置を制御する方法が提供され、この方法は、アトマイザから物理的にずれた位置で、蒸気流路内の温度を決定するように蒸気流路内に配置されたセンサからからデータを読み出すことであって、データは測定された温度データセットを含み、測定された温度データセットは時間の関数としての1つ又は複数の温度測定値を含む、ことと、測定された温度データセットを所定の温度データと比較することであって、所定の温度データは異なる流体移送要素湿潤レベルでの電子タバコ装置の蒸気流路内の蒸気の温度を示す、ことと、比較に基づいて更なる処置を決定し実施することと、を含む。
【0073】
別の態様では、命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体が提供され、この命令は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、1つ又は複数のプロセッサに、アトマイザから物理的にずれた位置で、蒸気流路内の温度を決定するように電子タバコ装置の蒸気流路内に配置されたセンサからデータを読み出させ、データは測定された温度データセットを含み、測定された温度データセットは時間の関数としての1つ又は複数の温度測定値を含み、測定された温度データセットを所定の温度データと比較させ、所定の温度データは異なる流体移送要素湿潤レベルでの電子タバコ装置の蒸気流路内の蒸気の温度を示し、比較に基づいて更なる処置を決定し実施させる。
【0074】
別の態様では、電子タバコ装置が提供され、この電子タバコ装置は、マウスピース開口部を備えたマウスピースと、生成された蒸気をマウスピース開口部に導くように配置された蒸気流路と、アトマイザから物理的にずれた位置で、蒸気流路内の温度を決定するように蒸気流路内に配置されたセンサと、を含む。
【0075】
このようにして、生成された蒸気自体の温度を、蒸気流路内の蒸気の温度を使用してアトマイザのヒーターの温度設定を調節することにより、直接的に制御することができる。これは、蒸気の温度を制御するためにヒーター温度を測定し調節する場合に比べて有利である、というのも、ヒーター温度は、必ずしも蒸気温度とは直接的に相関しないからである。所与のヒーター電圧又は温度に対して、生成される蒸気の温度は、電子タバコのヒーターとマウスピースとの間の距離、マウスピースの直径及び材料、蒸気に使用される液体の種類、周囲空気温度、圧力、及び空気流量などの要因によって影響を受けることがある。ヒーターの電圧又は温度ではなく蒸気の温度を決定すると、この問題が克服され、生成される蒸気の温度に対するより正確な制御がもたらされる。これは、消費者が吸入するときに、蒸気の温度が規制ガイドラインを満たすことを保証する場合に、特に有益である。更に、生成される蒸気の温度を測定することにより、異なる吸入器と液体貯蔵庫(又はカートリッジ)との製造上の差異を吸収しながら、蒸気温度の較正が可能になる。
【0076】
蒸気流路は、蒸気流管を含むことが好ましい。アトマイザは、気化可能液体などの気化可能材料又はタバコなどの繊維状材料から蒸気を生成するように構成されることが好ましい。センサは、センサとアトマイザとの間に接触がないように、アトマイザから物理的にずれた位置に配置されることが好ましい。
【0077】
センサは、動作時に、アトマイザの近位の蒸気流路の端部よりも、マウスピースの近位の蒸気流路の端部により近くなるように、蒸気流路内に配置されることが好ましい。
【0078】
このようにして、消費者によって吸入されるときの蒸気の温度は、吸入の直前の温度を判断することにより、正確に制御される。熱は、生成された蒸気の対流(又は加熱された空気の対流)、ヒーターからの伝導(ヒーターと別の部品との物理的接触による)及び放射によって、アトマイザのヒーターから伝達されることができる。センサは、対流ベースの熱伝達を測定するように配置されることが好ましい。このようにして、温度測定における伝導及び放射による熱伝達の混在が抑制される。
【0079】
センサは、支持ブラケット上に取り付けられることが好ましい。
【0080】
支持ブラケットは、センサの一部が、蒸気流路内に少なくとも部分的に延びることができるように構成されることが好ましい。
【0081】
このようにして、蒸気温度のより正確な読取を達成することができる。特に、蒸気温度の読取の精度が向上する、というのも、生成された蒸気は、電子タバコのマウスピース部分のマウスピースにある空気によって、まだ薄められていないからである。蒸気流路内に少なくとも部分的に延びるセンサの部分は、センサの端部であることが好ましい。
【0082】
支持ブラケットは、蒸気流路をまたがって配置されることが好ましい。
【0083】
このようにして、生成された蒸気が容易に通過できるようにしながら、蒸気流路内の蒸気の流れの経路内にセンサを支持することができる。支持ブラケットは、蒸気流路をまたがって配置された格子又はメッシュを含むことができることが好ましい。
【0084】
電子タバコ装置は、更に、主制御ユニットを備える本体と、センサを備えるマウスピース部分と、を含み、マウスピース部分は蝶番によって本体に接続され、センサは蝶番を通って配線された有線接続によって主制御ユニットに接続されることが好ましい。
【0085】
このようにして、主制御ユニットは、検出された温度を使用してそれに応じてアトマイザの電力を調節することができ、その結果、マウスピースが蝶番によって電子タバコの本体に接続される2部構成の装置において、蒸気の温度を正確に制御することができるようになる。本体は、電子タバコ装置の電池及び制御電子機器を更に含むことが好ましい。
【0086】
有線接続は、連続的なワイヤであることが好ましい。
【0087】
このようにして、堅牢な接続によって、検出された蒸気温度を主制御ユニットに供給することができる。
【0088】
電子タバコ装置は、更に、主制御ユニットを備える本体と、センサを備えるマウスピース部分であって、本体から接続可能で且つ分離可能なマウスピース部分と、を含み、センサは、有線接続によって主制御ユニットに接続され、有線接続は第1の部分及び第2の部分を含み、これらの部分は本体とマウスピース部分との間で、解放可能な接続で接続されることが好ましい。
【0089】
このようにして、センサ構成は、一方の部分(即ち、マウスピース部分)にセンサを有し、他方の部分(即ち、本体)に主制御ユニットを有する、2部構成の電子タバコで実装することができ、これらの部分は、互いに完全に分離可能である。本体は、電子タバコ装置の電池及び制御電子機器を更に含むことが好ましい。
【0090】
解放可能な接続は、マウスピース部分内に配置された第1の接触部分、及び電子タバコ装置の本体内に配置された第2の接触部分を含み、第1の接触部分及び第2の接触部分は、本体とマウスピース部分を電気的に接続する、ことが好ましい。
【0091】
このようにして、センサと主制御ユニットとの間で、接続可能で切断可能な電気的接続を実現することができる。第1及び第2の接触部分は、マウスピース部分と本体との間の角度位置とは無関係に接続を形成するように構成される、円形のコネクタであることが好ましい。
【0092】
第1の接触部分は少なくとも1つの第1の突起を含み、第2の接触部分は少なくとも1つの第2の突起を含み、少なくとも1つの第1の突起及び少なくとも1つの第2の突起は、電子タバコ装置のマウスピース部分及び本体が接続されたときに整列されるように配置されることが好ましい。
【0093】
このようにして、本体及びマウスピース部分を互いに接続させたときに、センサと主制御ユニットとの間の通信を容易に実現することができる。突起は、ポゴピンであることが好ましい。
【0094】
センサは、主制御ユニットからは分離しており主制御ユニットに無線で接続される、第2の制御ユニットに物理的に接続されることが好ましい。
【0095】
このようにして、主制御ユニットは、センサとの物理的接続を必要とすることなく、蒸気温度を処理することができる。これにより、電子タバコの設計上の制約が低減される。無線接続は、Bluetooth接続であることが好ましい。
【0096】
主制御ユニットは電子タバコ装置の本体内に配置され、センサ及び第2の制御ユニットは電子タバコ装置のマウスピース部分内に配置され、マウスピース部分は本体から分離可能である、ことが好ましい。
【0097】
このようにして、例えば、マウスピース部分内に配置された液体貯蔵庫又はカートリッジを、センサを主回路ユニットに物理的に再接続する必要なく、本体から分離し、補充又は交換することができる。これにより、使い易さが向上する。マウスピース部分は、本体から完全に分離可能であることが好ましい。
【0098】
センサは、電子タバコ装置内の第1のカートリッジと第2のカートリッジとの間に配置されるように構成され、第1のカートリッジは液体及びアトマイザを含み、第2のカートリッジは繊維状材料の粒を含む、ことが好ましい。
【0099】
このようにして、蒸気温度を、繊維状材料の粒を通過する前に測定することができる。測定される蒸気温度は、蒸気が消費者によって吸入される前に繊維状材料の粒を通過することに起因する、蒸気温度の変化(即ち、蒸気温度の低下)を考慮に入れるように、コントローラで調節されることが好ましい。コントローラは、繊維状材料の粒を通過する前の測定された蒸気温度と、粒を通過した後の予測される蒸気温度との所定の関係を保存することが好ましい。繊維状材料はタバコを含むことが好ましい。このようにして、第2のカートリッジの一部として含まれる使い捨て可能なマウスピースを有する電子タバコは、アトマイザ内のヒーターの温度又は電圧ではなく蒸気の温度を決定するという前述の利点から恩恵を受けることができる。
【0100】
センサは、熱電対、熱線センサ、又はサーミスタのうちの1つであることが好ましい。
【0101】
熱電対は、タイプK熱電対であることが好ましい。
【0102】
別の態様では、前述の態様の電子タバコ装置を動作させる方法が提供され、この方法は、アトマイザで気化可能材料を気化させて蒸気流を生成することと、センサを使用して温度を決定することと、決定された温度に基づいて、アトマイザの電力調節量を決定することと、決定された温度に応答してアトマイザの電力を調節することと、を含む。
【0103】
本開示の目的のために、蒸気及びエアロゾルという用語は入替可能であることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0104】
ここで、図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。
【0105】
【
図1a】第1の実施形態による電子タバコの分解図である。
【
図1b】第1の実施形態による電子タバコの図である。
【
図1c】第1の実施形態による電子タバコの切取内部図である。
【
図1d】第1の実施形態による代替の電子タバコの切取内部図である。
【
図2a】第2の実施形態による電子タバコの図である。
【
図2b】第2の実施形態による電子タバコの液体貯蔵領域の切取内部図である。
【
図3a】第3の実施形態による電子タバコの分解図である。
【
図3b】第3の実施形態による電子タバコの図である。
【
図4a】閉じた配置の、第4の実施形態による電子タバコの切取内部図である。
【
図4b】開いた配置の、第4の実施形態による電子タバコの切取内部図である。
【
図7】電子タバコを動作させる方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
図1a~
図1dは、電子タバコ100の実施形態を示している。そのような実施形態では、電子タバコ100は、本体104及びマウスピース部分102を有する。マウスピース部分102は、液体収容カートリッジ106を受け取るように構成され、カートリッジ106は、本体104と係合可能且つ係合解除可能であり、マウスピース部分102は本体104に接続可能である。即ち、カートリッジ106をマウスピース部分102の内部に収容することができ、次いで、カートリッジ106及びマウスピース部分102を本体104に取り付けることができる。
図1aは、マウスピース部分102、本体104、及びカートリッジ106を別々に示しており、
図1bは、互いに係合され接続された状態のマウスピース部分102、本体104、及びカートリッジ106を示している。
【0107】
本体104は、電子タバコ100に電力を提供するための電池と、電子タバコ100の動作を制御するための制御電子機器とを含む。特に、カートリッジ106とマウスピース部分102の両方を取り付けることができる本体104の遠位端110にあるポート108にカートリッジ106が接続されたとき、カートリッジ106内のアトマイザ194は、本体104内の電池及び制御電子機器によって給電され制御される。本体104は、電子タバコ100のオン及びオフの切り替え、及びアトマイザ194のヒーターを係合させてカートリッジ内の液体貯蔵庫114からの気化可能な液体を気化させること、などの機能のための、ユーザ操作可能ボタン112を更に含むことができる。制御電子機器、又は主制御ユニット、又はコントローラは、1つ又は複数のプロセッサと、電子タバコ100用の動作命令を保存するメモリとを含む。一例では、制御電子機器はプリント回路基板を含む。
【0108】
マウスピース部分102は、消費者が吸入する開口部又は穴118を有するマウスピース116を含み、蒸気流管120は、開口部118に接続され、マウスピース部分102の内部に収容される。マウスピース部分102は、本体104と接続可能であり且つ切り離し可能である。これは、例えば、とりわけ、ねじ式タイプの接続122a、122b、又はバヨネットタイプの接続によって実現することができる。
【0109】
カートリッジ106は、気化可能な液体を収容するように構成された液体貯蔵庫114を含む。カートリッジ106はアトマイザ194を更に含む。アトマイザ194は、ヒーターと、液体貯蔵庫114からヒーターまで液体を吸い上げるように構成された、芯又は液体をヒーターに運ぶための他の任意の適切な手段などの流体移送要素とを有する。アトマイザ194が配置される、カートリッジ106の第1の端部124は、本体104内の前述のポート108内に受け取られるように構成され、その結果、アトマイザ194と本体104内の制御電子機器及び電池との間で、そのような界面を介して、電気的な接続が実現される。アトマイザを含むカートリッジは、カートマイザとみなすことができる。代替形態では、アトマイザ194は、カートリッジ106内の液体貯蔵庫114と係合可能な本体104の構成要素であり得る。
【0110】
蒸気流管130は、カートリッジ106を軸方向に貫通し、カートリッジ106の第1の端部124にあるアトマイザ194を、液体貯蔵庫114を通って、カートリッジ106の第2の端部126(第1の端部124の反対側の第2の端部126)に接続する。カートリッジ106内の蒸気流管130は、カートリッジ106がマウスピース部分102の中に収容されたときに、マウスピース116内の蒸気流管120と整列し、それによって、アトマイザ194からマウスピース116までの全体的な蒸気流管を形成する。このようにして、液体を液体貯蔵庫114から液体が気化されるヒーターまで運ぶことができる。消費者がマウスピース開口部118上で吸入すると、生成された蒸気はアトマイザ194から蒸気流経路又は流路105に沿って、カートリッジ106内の蒸気流管130の部分を通って、マウスピース116内の蒸気流管120の部分に入り、マウスピース116内の蒸気流管120の部分を通って、マウスピース開口部118へと、消費者による吸入のために引き込まれる。
【0111】
一例では、カートリッジ106内の液体がなくなると、カートリッジ106をマウスピース部分102から取り外し、新しいカートリッジ106と交換することができる。別の例では、カートリッジ106は、新しい液体で補充することができる。
【0112】
温度センサ150が蒸気流経路105内に配置される。温度センサ150は、生成された蒸気の温度を測定するように配置される。温度センサ150は、アトマイザ194からマウスピース116に向かって離れた又は物理的にずれた位置にある支持ブラケット152上に配置されることがある。或いは、センサは自己支持式で、蒸気流経路内に延びる延長部分を含むことがある。センサは、蒸気流管内の内面上にある場合もある。
【0113】
第1の例では、温度センサ150は、マウスピース部分102の構成要素である。温度センサ150は、マウスピース116内の蒸気流管120の部分内に配置されるか、又はマウスピース116内の蒸気流管120の部分とカートリッジ106内の蒸気流管130の部分との間のマウスピース部分102の領域内に配置されることがある。
【0114】
そのような例では、温度センサ150は、有線接続154を介して、本体104内のコントローラに接続することができる。前述した通り、マウスピース部分102及び本体104は、互いに接続可能であり切り離し可能であり得る。従って、温度センサ150とコントローラとの間で接続可能で切り離し可能な電気接続を利用することができる。
【0115】
有線接続154によって温度センサ150と接続された1つ又は複数の端子140が、マウスピース116からの遠位端にあるマウスピース部分102の表面142上に配置され、この表面142は、マウスピース部分102と本体104が互いに接続されたときに、カートリッジ106及びマウスピース部分102を係合させるように構成された、本体104の端部にある本体104の協働面146と隣接する。有線接続によってコントローラに接続される対応する端子144が、本体104の協働面146上に配置される。これは、
図1cに最もよく示されており、この図は、カートリッジ106を収容し、接続するために本体104の近位にある、マウスピース部分102の切取内部図を表している。マウスピース部分102及び本体104上の端子140、144は、マウスピース部分102が本体104に完全に接続されたときに、マウスピース部分102の端子140が本体104の対応する端子144と整列するように、配置される。
【0116】
このようにして、本体104及びマウスピース部分102が互いに接続されると、端子140、144が整列し、センサ150とコントローラとの間の接続が形成される。一例では、端子140、144は、マウスピース部分102及び本体104の協働面142、146の周りに配置された円形のコネクタ140、144である。これは、マウスピース部分102と本体104との間の相対的な角度位置とは無関係に接続を行うことができるので、有利である。円形のコネクタは、互いに接続されたときに確実な接続を形成するように、それぞれの面から外側に向かって弾性的に付勢されていることがある。別の例では、端子140、144は、マウスピース部分102の面142と本体104の面146の両方から外側に突き出た突起である。より具体的には、端子140、144は、電子タバコ100の軸方向に弾性を有する。例えば、端子140、144は、ポゴピンとして構成されることがある。このようにして、各端子140、144は、反対側の対応する端子に力を加え、その端子をそれぞれマウスピース部分102又は本体104の内側に変位させる。ポゴピンの弾性は、この変位に対してそれぞれマウスピース部分102又は本体104から外側に付勢する。これにより、マウスピース部分102の端子140と本体104の端子144との間の確実な接続がもたらされる、というのも、それらの端子は互いに向けて付勢されるからである。
【0117】
代替形態では、温度センサ150は、電子タバコ100のマウスピース部分102内に配置された制御電子機器の二次の組に接続されることがある。二次の制御電子機器は、Bluetooth接続又は無線接続などの無線インターフェースを介して、温度センサ150からの温度測定データを本体104内のコントローラに無線で伝達するように構成される。
【0118】
別の例では、温度センサ150は、支持ブラケット152によって、カートリッジ106内の蒸気流管130の部分内に配置される、カートリッジ106の構成要素であり得る。そのような例では、温度センサ150は、温度センサ150から蒸気流管130に沿ってカートリッジ106と本体104との間の境界面に至る有線接続を介して、コントローラに接続されることがある。次いで、温度センサ150とコントローラとの間の電子接続を、カートリッジ106と本体104との間の電気的インターフェースによって実現することができる。これは
図1dに最もよく示されている。幾つかの例では、有線接続154は、
図1dに示すように、蒸気流管130の内部に沿って延び、本体とアトマイザ194との間の電気接続を提供しているのと同じインターフェースによるコントローラとの電気接続のために、温度センサをカートリッジ106の第1の端部124に接続することがある。他の例では、有線接続は、蒸気流管130の外側に沿って延び、温度センサ150は、蒸気流管130の側壁内の密封された開口部を通ってこの有線接続に接続されることがある。
【0119】
蒸気流経路105内の温度センサ150の構成は、
図5を参照して、後でより詳細に説明する。
【0120】
図2a及び
図2bは、電子タバコ200の別の実施形態を示す。この実施形態では、電子タバコ200は、本体204及びマウスピース部分202を有する。
【0121】
幾つかの例では、マウスピース部分202は、本体204に取り付け可能であり且つ取り外し可能である。これは、とりわけ、ねじ式タイプの接続、又はバヨネットタイプの接続によって実現することができる。他の例では、マウスピース部分202及び本体204は、単一のエンティティの2つの部分であり得る。即ち、マウスピース部分202及び本体204は、互いに恒久的に取り付けられている。
【0122】
本体204は、電子タバコ200に電力を提供するための電池と、電子タバコ200の動作を制御するための制御電子機器と、気化可能液体を気化させるように構成されたヒーターを有するアトマイザ294と、を含む。本体204は、電子タバコ200のオン及びオフの切り替え、及びヒーターを係合させて液体貯蔵庫214からの気化可能な液体を気化させること、などの機能のための、ユーザ操作可能ボタン212を更に含むことができる。制御電子機器、又は主制御ユニット、又はコントローラは、1つ又は複数のプロセッサと、電子タバコ200用の動作命令を保存するメモリとを更に含む。一例では、制御電子機器はプリント回路基板である。アトマイザ294は、ヒーターと、芯、又は液体をヒーターに運ぶための他の任意の適切な手段などの流体移送要素と、を含む。流体移送要素は、マウスピース部分202内の液体貯蔵庫214から液体が気化されるヒーターまで液体を吸い出すように構成される。
【0123】
マウスピース部分202は、消費者が吸入する開口部又は穴218を有するマウスピース216と、マウスピース開口部216を本体204内のアトマイザ294に接続するように構成された蒸気流管230と、を含む。マウスピース部分202は、気化可能液体を収容するように構成された液体貯蔵庫又は液体タンク214も含む。例では、液体タンク214は、マウスピース部分202からマウスピース216を取り外すことにより、又は本体204からマウスピース部分202を取り外すことにより、補充及び再補充するために開くことができる。結合されたマウスピース216及び液体貯蔵庫214は、電子タバコ200のマウスピース部分202とみなすことができる。
【0124】
蒸気流管230は、軸方向に液体タンク214の中心を通って延び、アトマイザ294内のヒーターからマウスピースまで蒸気を運ぶように構成される。液体貯蔵庫214は、第1の端部224で本体204内のアトマイザ294に接続され、第2の端部226でマウスピース216に接続され、液体貯蔵庫214の第1の端部224と第2の端部226とは、互いに反対側にある。即ち、蒸気流経路又は蒸気流路205は、アトマイザ294から、蒸気流管230を通って、マウスピース開口部218まで配置される。
【0125】
マウスピース216は、気化可能な液体がアトマイザ294で気化されるとき、蒸気流管230を経由して消費者によりマウスピース216を通して吸入され得るように構成される。
【0126】
動作時に、液体貯蔵庫214は、流体移送要素によってヒーターまで吸い出される気化可能液体で満たされている。ヒーターに電力を加えて、液体を加熱し気化させる。消費者はマウスピース216上で吸入し、それによって、蒸気流路又は経路205に沿って蒸気流管230を通ってマウスピース216内の穴218まで蒸気を吸い込み、マウスピース216において蒸気は消費者によって吸入される。
【0127】
図1の実施形態を参照して説明したのと同様の態様で、温度センサ250は、アトマイザ294から離れてマウスピース216に向かう位置にある支持ブラケット252によって、蒸気流経路205内に配置される。例えば、温度センサ250を、液体貯蔵庫214の内部の、蒸気流管230内に、アトマイザ294よりもマウスピース216の近くに、配置することができる。
図2bは、蒸気流管230内に温度センサ250を有する液体貯蔵庫214の切取内部図を示す。他の例では、温度センサ250は、蒸気流管230がマウスピース216と接続する、蒸気流管230の端部に配置されることがあり、又は、マウスピース216自体の中に配置されることがある。温度センサ250は、アトマイザ294とマウスピース216内の穴218との間の蒸気流経路205内で、生成された蒸気の温度を測定するように構成される。
【0128】
温度センサ250は、コントローラ又は制御電子機器に接続される。一例では、温度センサ250は、有線接続254によってコントローラに接続される。マウスピース部分202及び本体204が互いに恒久的に取り付けられている例では、有線接続254はセンサ250からコントローラまで延びる単一のワイヤであることがあり、又は、センサ250をコントローラに接続する一連のワイヤであることがある。マウスピース部分202及び本体204が互いに取り付け可能で取り外し可能である例では、センサ250とコントローラとの間の接続可能で切り離し可能な接続が利用される。有線接続によって温度コントローラと接続された1つ又は複数の端子が、遠位端にあるマウスピース部分202の表面上に配置され、この表面は、マウスピース部分202と本体204が互いに接続されたときに、本体204の遠位端にある本体204の協働面と隣接する。有線接続によってセンサ250に接続される対応する端子が、本体204の協働面上に配置される。マウスピース部分202及び本体204上の端子は、マウスピース部分202が本体204に完全に接続されたときに、マウスピース部分202の端子が本体204の対応する端子と整列するように、配置される。このようにして、本体204及びマウスピース部分202が互いに接続されると、端子が整列し、センサ250とコントローラとの間の接続が形成される。一例では、端子は、マウスピース部分202及び本体204の協働面の周りに配置された円形のコネクタである。これは、マウスピース部分202と本体204との間の相対的な角度位置とは無関係に接続を行うことができるので、有利である。円形のコネクタは、互いに接続されたときに確実な接続を形成するように、それぞれの面から外側に向かって弾性的に付勢されていることがある。別の例では、端子は、マウスピース部分202の面と本体204の面の両方から外側に突き出た突起である。より具体的には、端子は、電子タバコ200の軸方向に弾性を有する。例えば、端子は、ポゴピンとして構成され得る。このようにして、各端子は、反対側の対応する端子に力を加え、その端子をそれぞれマウスピース部分202又は本体204の内側に変位させる。ポゴピンの弾性は、この変位に対してそれぞれマウスピース部分202又は本体204から外側に付勢する。これにより、マウスピース部分202の端子と本体204の端子との間の確実な接続がもたらされる、というのも、それらの端子は互いに向けて付勢されるからである。幾つかの例では、有線接続254は、蒸気流管230の内側に沿って端子まで延びることがある。他の例では、有線接続254は、蒸気流管230の外側に沿って端子まで延び、温度センサ250は、蒸気流管230の側壁内の密封された開口部を通ってこの有線接続に接続されることがある。
【0129】
別の例では、温度センサ250は、電子タバコ200のマウスピース部分202内に配置された制御電子機器の二次の組に接続される。二次の制御電子機器は、Bluetooth接続又は無線接続などの無線インターフェースを介して、温度センサ250からの温度測定データを本体204内のコントローラに無線で伝達するように構成される。
【0130】
蒸気流経路205内の温度センサ250の構成は、
図5を参照して、後でより詳細に説明する。
【0131】
図3a及び
図3bは、
図1a~
図1dを参照して説明したものと同様の、電子タバコ300の別の実施形態を示す。
【0132】
この実施形態では、カートリッジ又は液体貯蔵庫314及びマウスピース316は、単一のエンティティ、マウスピース部分302を形成し、これは、本体304に接続可能であり切り離し可能である。即ち、気化可能液体を収容するように構成された液体貯蔵庫314は、マウスピース部分302の一部であり、その結果、液体貯蔵庫314を含むマウスピース部分302は、本体304から取り外し可能であり入れ替え可能である。マウスピース部分302は、マウスピース316を有する液体貯蔵庫又はカートリッジ314とみなすことができる。
【0133】
図1を参照して説明したのと同様の態様で、本体304は、電子タバコ300に電力を提供するための電池と、電子タバコ300の動作を制御するための制御電子機器とを含む。特に、マウスピース部分302が本体304に接続されているとき、マウスピース部分302内のアトマイザは、本体304内の電池及び制御電子機器によって給電され制御される。本体304は、電子タバコ300のオン及びオフの切り替え、及びヒーターを係合させて液体貯蔵庫314からの気化可能な液体を気化させること、などの機能のための、ユーザ操作可能ボタンを更に含むことができる。制御電子機器、又は主制御ユニット、又はコントローラは、1つ又は複数のプロセッサと、電子タバコ300用の動作命令を保存するメモリとを含む。一例では、制御電子機器はプリント回路基板である。
【0134】
マウスピース部分302は、第1の端部部分326にある開口部又は穴318を有するマウスピース316と、第2の端部部分324にあるアトマイザ394とを含む(第2の端部部分324は、第1の端部部分326とは遠位で反対側である)。マウスピース部分302の第2の端部324は、本体304と係合してアトマイザ394と電池及びコントローラとの間に電気接続、即ち、アトマイザ394用の電力及び制御の電気接続、を形成するように構成された電気接点342を更に含む。
【0135】
液体貯蔵庫314はマウスピース部分302の第1の端部部分326と第2の端部部分324との間に配置され、蒸気流管330は、マウスピース部分302の第2の端部324にあるアトマイザ394から液体貯蔵庫314を通ってマウスピース部分302の第1の端部326にあるマウスピース開口部318まで延びる。即ち、蒸気流管330は、アトマイザ394に接続する液体貯蔵庫314内の部分と、マウスピース開口部318に接続するマウスピース316内の部分と、を有する。
【0136】
アトマイザ394は、芯、又は液体を運ぶための他の任意の適切な手段などの流体移送要素と、ヒーターとを含む。流体移送要素は、液体を液体貯蔵庫314からヒーターに吸い出すように構成される。ヒーターは、次いで、液体を加熱し気化させて、蒸気を生成する。
【0137】
マウスピース部分302及び本体304が互いに接続されると、本体304の内部に電気接点342及び液体貯蔵庫314が収容される。そうすることで、マウスピース部分302の電気接点342は、本体304内部の対応する接点と接続されるようになり、それによって、本体304がアトマイザ394に給電し制御することが可能になる。
【0138】
使用時には、コントローラによって、電池からアトマイザ394内のヒーターに電力が加えられる。次いで、ヒーターは流体移送要素によってヒーターに吸い出された液体を加熱し、蒸気を生成する。消費者がマウスピース316内の開口部318上で吸入すると、生成された蒸気は、マウスピース316によって、蒸気流経路又は蒸気流路305に沿って吸い込まれる。これは、蒸気が、蒸気流管330を通って、アトマイザ394からマウスピース開口部318まで吸い込まれることを含む。次いで、消費者は、生成された蒸気を吸入することができる。
【0139】
一例では、液体貯蔵庫314内の液体がなくなると、マウスピース部分302を本体304から取り外し、新しいマウスピース部分302と交換することができる。別の例では、マウスピース部分302内の液体貯蔵庫314は、新しい液体で再補充することができる。
【0140】
温度センサ350は、アトマイザ394から離れてマウスピース316に向かう位置にある支持ブラケット352によって、蒸気流経路305内に配置される。温度センサ350は、生成された蒸気の温度を測定するように配置され、コントローラに接続されている。
【0141】
温度センサ350は、マウスピース部分302の構成要素である。温度センサ350は、液体貯蔵庫314内の蒸気流管330の部分内に、又はマウスピース316内の蒸気流管330の部分内に配置することができる。
【0142】
そのような例では、温度センサ350は、有線接続354を介して、本体304内のコントローラに接続することができる。前述した通り、マウスピース部分302及び本体304は、互いに接続可能であり切り離し可能である。従って、温度センサ350とコントローラとの間で接続可能で切り離し可能な電気接続を、電気接続342を介して利用することができる。そのような例では、温度センサ350は、有線接続354によって、マウスピース部分302の第2の端部部分324にある追加の(又は第2の)電気接点に、アトマイザ394に給電し制御するものまで、接続することができる。次いで、温度センサ350とコントローラとの間の有線接続は、マウスピース部分302及び本体304が互いに接続されたときに、本体304内の対応する電気接点との接続により、実現することができる。
【0143】
図3aに示す例では、マウスピース部分302内の有線接続354の部分は、蒸気流管330の内側に沿って延びる。他の例では、マウスピース部分302内の有線接続の部分は、蒸気流管330の外側に沿って延び、温度センサ350は、蒸気流管330の側壁内の密封された開口部を通ってこの有線接続に接続されることがある。
【0144】
代替構成では、温度センサ350は、電子タバコ300のマウスピース部分302内に配置された制御電子機器の二次の組に接続されることがある。二次の制御電子機器は、Bluetooth接続又は無線接続などの無線インターフェースを介して、温度センサ350からの温度測定データを本体304内のコントローラに無線で伝達するように構成される。
【0145】
蒸気流経路305内の温度センサ350の構成は、
図5を参照して、後でより詳細に説明する。
【0146】
図4a及び
図4bは、電子タバコ400の別の実施形態を示す。この実施形態では、マウスピース部分402は、蝶番403を介して本体404に接続されている。
【0147】
図4a及び
図4bの例では、マウスピース部分402は、本体404と同じ平面内を回転するように蝶番で留められて動くようになっている。別の例では、マウスピース部分402は、本体404に垂直な平面内を回転するように、蝶番で留められて動くようになっていることがある。
【0148】
マウスピース部分402は、タバコなどの繊維状材料又は香味成分の粒を収容するカートリッジ(即ち、マウスピースカートリッジ又は第1のカートリッジ416)の形態でマウスピース416を含む。マウスピースカートリッジ416は、電子タバコ400から外側に突き出るように構成された第1の端部部分426にある開口部418を有し、この開口部上で消費者は吸入することができる。第2の反対側の端部部分424には、マウスピースカートリッジ416を通って蒸気が流れるようにする空気入口が配置される。
【0149】
マウスピースカートリッジ416は、マウスピース部分402内に配置された蒸気流管430内に受け取り可能であり、その結果、消費者が吸入によりマウスピースカートリッジ416上で吸い込むと、蒸気が、蒸気流管から、マウスピースカートリッジ内の入口を通り、繊維状材料を通って、マウスピース開口部418まで引き込まれて、ユーザが吸入する。
【0150】
本体404は、制御電子機器480及び電池482、並びに液体を収容するカートリッジ(又は第2のカートリッジ)490を受け取るための台座484を備える。本体404は、電子タバコ400のオン及びオフの切り替え、及びヒーターを係合させて液体貯蔵庫からの気化可能な液体を気化させること、などの機能のための、ユーザ操作可能ボタンを更に含むことができる。制御電子機器480、又は主制御ユニット、又はコントローラは、1つ又は複数のプロセッサと、電子タバコ400用の動作命令を保存するメモリとを含む。一例では、制御電子機器480はプリント回路基板である。
【0151】
第2のカートリッジ490は、気化可能な液体を収容するように構成された液体貯蔵庫492を含む。第2のカートリッジ490はアトマイザ494を更に含む。アトマイザ494は、ヒーターと、液体貯蔵庫492からヒーターまで液体を吸い上げるように構成された、芯又は液体をヒーターに運ぶための他の任意の適切な手段などの流体移送要素とを有する。アトマイザ494が配置される、第2のカートリッジ490の第1の端部497は、第2のカートリッジ490が台座484内に受け取られると、本体404に電気的に接続されるように構成され、その結果、アトマイザ494と本体404内の制御電子機器480及び電池482との間で、そのような境界面を介して、電気的な接続が実現される。代替形態では、アトマイザは、第2のカートリッジ内の液体貯蔵庫と係合可能な本体404の構成要素であり得る。
【0152】
蒸気流管496は、第2のカートリッジ490を軸方向に貫通する。蒸気流管496は、第2のカートリッジ490の第1の端部497にあるアトマイザ494を、液体貯蔵庫492を通って、第2のカートリッジの第2の端部498(第1の端部497の反対側の第2の端部498)に接続する。
【0153】
図4aに示すように、蝶番式マウスピース部分402が閉じられ、本体404に完全に接続されたとき、マウスピースカートリッジ416が受け取られる端部と反対側の、マウスピース部分402内の蒸気流管430の端部は、第2のカートリッジ490内の蒸気流管496に接続される。即ち、第2のカートリッジ490が本体404に収容され、蝶番式マウスピース部分402が閉じられると、第2のカートリッジ490内の蒸気流管496はマウスピース部分402内の蒸気流管430と整列する。このようにして、液体を液体貯蔵庫492から液体が気化されるアトマイザ494のヒーターまで、芯によって吸い出すことができる。消費者がマウスピースカートリッジ416上で吸入すると、生成された蒸気は、アトマイザ494から蒸気流経路又は流路405に沿って、第2のカートリッジ490内の蒸気流管496を通って、マウスピース部分402内の蒸気流管430を通り、マウスピースカートリッジ416内の入口を通って、マウスピースカートリッジ416内の繊維状材料を通り、マウスピース開口部418へと、消費者による吸入のために引き込まれる。
【0154】
即ち、蒸気は、第2のカートリッジ490から生成され、第1のカートリッジ416を通って吸い込まれ、第1のカートリッジ416では、消費者による吸入のために、蒸気は繊維状材料(タバコなど)と相互作用して、繊維状材料によって風味をつけられた蒸気を形成する。
【0155】
言い換えると、第2のカートリッジ490内の液体貯蔵庫492からの液体は、芯によって、アトマイザ494のヒーターまで吸い出される。ヒーターは、液体を気化させて蒸気を形成する。消費者がマウスピースカートリッジ416上で吸入すると又は吸い込むと、蒸気は、第2のカートリッジ490内の蒸気流管496を通って、マウスピース部分402内の蒸気流管430を通り、マウスピースカートリッジ416の入口に至り、そこで、蒸気は繊維状材料(タバコなど)と相互作用し、次いでマウスピース開口部418へと至り、そこで、消費者により吸入されることから、蒸気は、蒸気流経路又は流路405に沿って、マウスピース開口部418に引き込まれる。
【0156】
図4bに示すように、蝶番式マウスピース部分402が開いているとき、蒸気流管430は第2のカートリッジ490から切り離される。開位置にあるとき、第2のカートリッジ490を取り外し、交換又は再補充することができる。幾つかの例では、使用済マウスピースカートリッジ416を、新しい繊維状材料で再補充することができる。他の例では、マウスピースカートリッジ416は使い捨てであり、新しい繊維状材料を収容する新しいカートリッジと交換することができる。
【0157】
温度センサ450が蒸気流経路又は流路405内に配置される。一例では、温度センサ450は、マウスピース部分402内に配置される。より具体的には、温度センサ450は、支持ブラケット452によって、マウスピース部分402内の蒸気流管430内に配置される。即ち、蝶番403が(
図4aのように)閉位置にあるとき、温度センサ450が、(第2のカートリッジ490内の)アトマイザ494よりもマウスピースカートリッジ416に近くなるように、温度センサ450は、マウスピース部分402内の蒸気流管430内に配置される。
【0158】
温度センサ450は、第2のカートリッジ490とマウスピースカートリッジ416との間の蒸気流路405内に配置される。従って、センサ450によって測定される蒸気温度は、マウスピースカートリッジ416を通過する前の蒸気温度に相当する。
【0159】
図4a及び
図4bの例では、マウスピースカートリッジ416は、第2のカートリッジ490に接続する蒸気流管430の端部から離れて、マウスピース部分402内の蒸気流管430の遠位端部分に取り付けられ保持される。マウスピースカートリッジ416は、マウスピース部分402内の蒸気流管430の一部を占める。即ち、マウスピースカートリッジ416より下のマウスピース部分402内の蒸気流管430の部分は、マウスピースカートリッジ416によって占有されていない。温度センサ450は、マウスピース部分402内の蒸気流管430のこの占有されていない部分に配置される。その結果、(
図4aのように)閉位置にあるとき、温度センサ450は、第2のカートリッジ490とマウスピースカートリッジ416との間の蒸気流路430内に配置される。
【0160】
他の例では、マウスピースカートリッジ416は、蝶番式マウスピース部分402が閉位置にあるとき、マウスピースカートリッジ416が第2のカートリッジ490に隣接し、第2のカートリッジ490内の蒸気流管496がマウスピースカートリッジ416の入口と整列するように、マウスピース部分402内の蒸気流管430全体を占めることがある。そのような例では、温度センサ450は、マウスピース部分402内の蒸気流管430の端部に配置されることがあり、蒸気流管430は第2のカートリッジ490に接続し、その結果、温度センサ450は、第2のカートリッジ490とマウスピースカートリッジ416との間に配置される。そのような例では、消費者がマウスピースカートリッジ416上で吸入するとき、蒸気流経路又は流路が、第2のカートリッジ490内のアトマイザ494から、第2のカートリッジ490内の蒸気流管496を通り、マウスピース部分402内の蒸気流管430全体を実質的に占めるマウスピースカートリッジ416を通って、マウスピースカートリッジ416内の開口部418まで、形成される。
【0161】
温度センサ450は、蒸気流経路405内で、より具体的には、マウスピース部分402内の蒸気流管430内で、生成された蒸気の温度を測定するように構成される。温度センサ450は、有線接続454によってコントローラ480に接続される。有線接続は、蝶番403が開位置及び閉位置にあるとき、温度センサ450とコントローラ480との間の接続を維持するように、マウスピース部分402と本体404との間で蝶番403を通って配線される、1本のワイヤ又は一連の複数のワイヤとして、形成されることがある。
【0162】
蒸気流経路内の温度センサの構成は、
図5を参照して、後でより詳細に説明する。
【0163】
図1~
図4のそれぞれの実施形態では、温度センサ150、250、350、450は、限定するものではないが、熱電対(アルメル、ニッケル・クロム、ニッケル・アルミニウムから作製されるタイプK熱電対など)、熱線センサ、又はサーミスタを含む、任意の適切な種類の温度センサであり得る。
【0164】
図5は、温度センサ150を蒸気流経路又は流路105内に、より具体的には蒸気流管120内に配置するように構成された支持ブラケット152を示す。
図5の図は、
図1、特に
図1cの実施形態に特定的であるが、当業者であれば、以下の原理は、例えば
図1~
図4の任意のものの実施形態など、蒸気流管内にセンサを配置するための任意の適切な構成に適用できることを容易に理解するであろう。
【0165】
蒸気流管120に放射状にまたがって延びるメッシュなどの支持ブラケット152、又は他の任意の適切な種類のブラケットを使用して、蒸気流管120内に温度センサ150を配置する。温度センサ150を支持ブラケット152に接続して、センサ150の少なくとも一部(即ち、測定先端部)が、少なくとも部分的に蒸気流路105の中に延びるようにする。温度センサ150は、支持ブラケット152によって、蒸気流管120内の実質的に半径方向の中央位置に保持されることが好ましい。メッシュブラケットは有利である、というのも、それは、蒸気流を実質的に妨げることなく、蒸気流の経路105内に温度センサ150を保持することを可能にするからである。或いは、蒸気流管にまたがって配置される実質的に正方形の格子として形成される支持ブラケットも、そのような利点を提供することができる。代替形態では、温度センサ150は、蒸気流管120の側壁に取り付けられることがある。
【0166】
図1~
図4のそれぞれの実施形態では、装置のユーザがトリガーボタンを押すことにより、アトマイザをトリガーし、ヒーターを加熱することができる。1つ又は複数のプロセッサが、トリガーボタンが押されたことを検出し、次いで、アトマイザをトリガーしてヒーターを加熱する。或いは、1つ又は複数のプロセッサが、流量検出器を使用してユーザが吸入していることを検出することができるように、流量検出器が蒸気流路内の適切な位置に配置されることがある。吸入又は空気流を検出すると、1つ又は複数のプロセッサは、アトマイザをトリガーしヒーターを加熱するように構成されることがある。
【0167】
動作時には、
図1~
図5の任意のものを参照して説明した実施形態の場合、生成される蒸気の温度の制御は、温度センサを使用して実現することができる。そのような方式について、
図6を参照して説明する。
【0168】
なお、本明細書では、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラは両方とも、動作を実施するものとして説明されることに留意されたい。当業者であれば、コントローラは、動作を実行する1つ又は複数のプロセッサを含むという点で、これらの用語が入替可能に使用されることを容易に理解するであろう。
【0169】
前述のように、蒸気の温度を、ユーザにとって満足のいく温度になるように、好ましくは摂氏60度を超えないように、制御することが望ましい。大抵のユーザは、タバコの煙の温度(即ち、約摂氏30度、又は、タバコの棒の長さが短くなるにつれて、摂氏40~50度まで)に近い蒸気温度を好む。更に、本発明者らは、蒸気温度が、ヒーターの周囲の液体のレベルも示すことを発見した。これにより、電子タバコの制御電子機器が、「芯が乾燥している」状態を検出し、是正処置を行うことも可能になる。
【0170】
図6を参照すると、本発明による蒸気温度を制御する方法が示されている。ステップ601では、電子タバコのコントローラにある1つ又は複数のプロセッサは、第1の電力をアトマイザのヒーターに印加するようにプログラムされる。即ち、第1の電力レベルが、コントローラによって指示された通りに、電池からヒーターに印加される。一例では、第1の電力は、第1のデューティサイクルでパルス幅変調されていることがある。
【0171】
図1~
図5を参照して説明したように、アトマイザは、ヒーターと、液体貯蔵庫からヒーターの近傍まで液体を運ぶように構成された流体移送要素と、を備える。図示した実施形態では、流体移送要素は芯であることがあり、この芯は、液体が液体貯蔵庫からヒーターまで吸い出されることを可能にする。次いで、液体は、ヒーターによって加熱され気化される。
【0172】
生成された蒸気は、前述のように、蒸気流経路又は蒸気流路105、205、305、405を通って進み、そこで温度センサ150、250、350、450と相互作用する。ステップ602では、1つ又は複数のプロセッサは、センサを使用して蒸気流路での第1の温度測定値を決定する。即ち、第1の温度測定値は、電子タバコが吸入されたときに、生成された蒸気が蒸気流路を通って吸い込まれながら、測定される。第1の温度測定値のトリガーは、1つ又は複数のプロセッサが、電子タバコ上での吸入を示す蒸気流管内の流量を検出することにより、又は、アトマイザをトリガーして気化可能材料を気化させるように構成された気化トリガーボタン、即ちヒーターボタンが押されたことを検出することにより、引き起こされることがある。幾つかの例では、蒸気が生成されるのを可能にするために、タイマーを使用して、ヒーターボタンが押されてから第1の温度測定値がトリガーされるまでの間に適切な遅延があることを保証することがある。
【0173】
第1の例では、少なくとも1つのプロセッサは、ヒーターの作動後に所定の時間が経過した時点で、センサから単一の温度測定値を読み出すように構成される。
【0174】
幾つかの他の例では、1つ又は複数のプロセッサは、所定の期間中の一連の離散的な温度測定値に基づいて、第1の温度測定値を決定する。例えば、所定の期間は、3秒間など数秒間の間隔以内である。この期間内に記録された温度ポイントの平均を取って、第1の温度測定値を決定することができる。所定の期間は、開始時間t0を備えていることがあり、t0は、0よりも大きく、ヒーターの作動後1.5~3.5秒の間であることが好ましく、ヒーターの作動後2~3秒の間であることがより好ましい。監視の終了時間は、ユーザが電子タバコを作動停止させたときの、蒸気吸入セッションの終了時であり得る。液面を理解するために、加熱段階の早い段階の間に、例えば、ヒーターの作動後0~1秒などに、有用な温度情報を識別することもできる。ヒーターは、液体の供給が不足している(即ち、芯の湿潤レベルが低いか又は低下している)場合、最初の0~1秒間中に、はるかに急速に高温まで加熱される。この段階中の温度測定値を使用して、空焚きを識別し回避することができる。空焚きは、例えば、液体供給が不足している場合に、ヒーターをオフにすることにより、回避することができる。
【0175】
ステップ603では、1つ又は複数のプロセッサは、第1の温度測定値に基づいて、ヒーターの第1の電力調節量を決定する。
【0176】
即ち、蒸気の温度が予想よりも高い場合、ヒーターに印加される電力レベルを低減することができ、蒸気の温度が予想よりも低い場合、ヒーターに印加される電力レベルを増加させることができる。温度が予想される範囲内である場合、ヒーターに印加される電力レベルを維持することができる。この電力調節量を使用して、第1の電力を第2の電力に調節する。一例では、第2の電力は、第2のデューティサイクルでパルス幅変調されていることがある。望ましい温度範囲は、規制要件を満たすために、(例えば)摂氏60度という上限閾値を下回ることが好ましい。しかしながら、他の例では、望ましい温度範囲を消費者が選択することができる。
【0177】
第1の電力調節量は、所定の温度閾値に基づいて決定することができる。所定の温度閾値は、絶対値であり得る。或いは、第1の電力調節量は、所定の温度範囲に基づいて決定することができる。
【0178】
所定の温度閾値又は所定の温度範囲は、例えば規制要件を満たすように、電子装置内で予め設定されていることがある。或いは、所定の温度閾値又は範囲は、蒸気温度の調節可能な制御を提供するように、消費者によって設定されることがある。温度を調節することにより、蒸気出力を増加又は減少させることができる。消費者が調節可能な温度閾値又は範囲により、消費者が、蒸気出力の好みを満たすように、温度を増減させることが可能になる。
【0179】
所定の閾値に基づいて第1の電力調節量を決定する場合、コントローラにある1つ又は複数のプロセッサは、第1の温度測定値を所定の閾値(即ち、温度ポイント)と比較して、第2の電力を決定するように構成される。
【0180】
第1の温度測定値が所定の閾値を上回っている場合、第1の電力調節量を使用して、ヒーターの電力を調節又は低減して、生成される蒸気の温度を下げる。そのような場合、第1の電力調節量は負の調節量である。従って、第1の温度測定値が所定の閾値を上回る場合、第2の電力は第1の電力よりも低い電力になる。ヒーターの第1の電力は、パルス幅変調された電圧若しくは電流のデューティサイクルを減らすことにより、又は常に印加される電圧若しくは電流の振幅を減らすことにより、第2の電力まで低下させることができる。
【0181】
第1の温度測定値が所定の閾値を下回る場合、第1の電力調節量を使用して、ヒーター電力を調節又は増加させて、生成される蒸気の温度を上げる。そのような場合、第1の電力調節量は正の調節量である。従って、第1の温度測定値が所定の閾値を下回る場合、第2の電力は第1の電力よりも高い電力になる。ヒーターの第1の電力は、パルス幅変調された電圧若しくは電流のデューティサイクルを増やすことにより、又は常に印加される電圧若しくは電流の振幅を増加させることにより、第2の電力まで増加させることができる。
【0182】
このようにして、蒸気の温度を、所望の温度閾値を上回るか又は下回る場合、調節することができる。これにより、ユーザ体験が向上する。
【0183】
所定の温度範囲に基づいて第1の電力調節量を決定する場合、コントローラにある1つ又は複数のプロセッサは、第1の温度測定値を所定の範囲と比較して、第2の電力を決定するように構成される。
【0184】
第1の温度測定値が所定の温度範囲を上回っている場合、第1の電力調節量を使用して、ヒーターの電力を調節又は低減して、生成される蒸気の温度を下げる。そのような場合、第1の電力調節量は負の調節量である。従って、第1の温度測定値が所定の温度範囲を上回る場合、第2の電力は第1の電力よりも低い電力になる。閾値の例と同様に、ヒーターの第1の電力は、パルス幅変調された電圧若しくは電流のデューティサイクルを減らすことにより、又は常に印加される電圧若しくは電流の振幅を減らすことにより、第2の電力まで低下させることができる。
【0185】
第1の温度測定値が所定の温度範囲を下回る場合、第1の電力調節量を使用して、ヒーター電力を調節又は増加させて、生成される蒸気の温度を上げる。そのような場合、第1の電力調節量は正の調節量である。従って、第1の温度測定値が所定の温度範囲を下回る場合、第2の電力は第1の電力よりも高い電力になる。閾値の例と同様に、ヒーターの第1の電力は、パルス幅変調された電圧若しくは電流のデューティサイクルを増やすことにより、又は常に印加される電圧若しくは電流の振幅を増加させることにより、第2の電力まで増加させることができる。
【0186】
第1の温度測定値が所定の温度範囲内である場合、ヒーター電力は調節されない、というのも、生成される蒸気の温度を増加又は低減させる必要がないからである。そのような場合、第1の電力調節量はゼロの調節量である(即ち、調節なし)。言い換えると、パルス幅変調された電圧若しくは電流のデューティサイクル、又は常に印加される電圧若しくは電流の振幅に、調節は加えられない。従って、第1の温度測定値が所定の温度範囲内である場合、第2の電力は第1の電力と等しくなる(又は、少なくとも実質的に等しくなる)。
【0187】
このようにして、蒸気の温度が所望の温度範囲を上回るか又は下回る場合、蒸気の温度を調節することができ、蒸気の温度が所望の温度閾値範囲内である場合、蒸気の温度を維持することができる。これにより、ユーザ体験が向上する。
【0188】
所定の閾値又は所定の温度範囲は、電子タバコ内のメモリユニットなど、電子タバコのコントローラがアクセスできるストレージ内に保存される。ヒーター電力は、ヒーターに印加されるパルス幅変調された電力のデューティサイクルを調節することにより、調節される。即ち、ヒーター電力を増加すべきである場合、デューティサイクルは増加され、ヒーター電力を低減すべきである場合、デューティサイクルは低減され、ヒーター電力を現在のレベルで維持すべきである場合、デューティサイクルは維持される。他の例では、ヒーター電力は、ヒーターに印加される連続的な電圧又は電流レベルの振幅を増減することによって、調節することができる。
【0189】
ステップ604では、1つ又は複数のプロセッサは、第1の電力調節量に基づいて第1の電力を第2の電力に調節し、第2の電力をヒーターに印加する。
【0190】
ステップ605では、1つ又は複数のプロセッサが第2の電力をアトマイザのヒーターに印加するという点で、電子タバコの動作が継続する。
【0191】
電子タバコの動作が続くにつれて、第2の電力設定でヒーターによって生成された蒸気が温度センサに届く。ステップ606では、1つ又は複数のプロセッサは、センサを使用して蒸気流路での第2の温度測定値を決定する。即ち、温度の第2の測定値は、第1の測定の後で、第2の電力を使用してヒーターを用いて生成された蒸気から判断される。
【0192】
ステップ607では、コントローラにある1つ又は複数のプロセッサは、第2の温度に基づいてヒーターの第2の電力調節量を決定する。蒸気の温度が予想よりも高い場合、ヒーターに印加される電力レベルを低減することができ、蒸気の温度が予想よりも低い場合、ヒーターに印加される電力レベルを増加させることができる。温度が予想される範囲内である場合、ヒーターに印加される電力レベルを維持することができる。この電力調節量を使用して、第2の電力を第3の電力に調節する。
【0193】
第1の電力調節量の場合と同様に、第2の電力調節量は、所定の温度閾値又は所定の温度範囲に基づくことができる。
【0194】
所定の温度閾値に基づいて第1の電力調節量を決定する場合、コントローラにある1つ又は複数のプロセッサは、第2の温度測定値を所定の閾値と比較して、第3の電力を決定するように構成される。一例では、第2の温度測定値が比較される所定の閾値は、第1の温度測定値が比較されるのと同じ所定の閾値である。代替形態では、第2の温度測定値が比較される所定の閾値は、第1の温度測定値が比較されるのとは異なる所定の閾値であり得る。
【0195】
第2の温度測定値が所定の閾値を上回っている場合、第2の電力調節量を使用して、ヒーターの電力を調節又は低減して、生成される蒸気の温度を下げる。そのような場合、第2の電力調節量は負の調節量である。従って、第2の温度測定値が所定の閾値を上回る場合、第3の電力は第2の電力よりも低い電力になる。
【0196】
第2の温度測定値が所定の閾値を下回る場合、第2の電力調節量を使用して、ヒーター電力を調節又は増加させて、生成される蒸気の温度を上げる。そのような場合、第2の電力調節量は正の調節量である。従って、第2の温度測定値が所定の閾値を下回る場合、第3の電力は第2の電力よりも高い電力になる。
【0197】
このようにして、電子タバコの使用が続くにつれて、蒸気の温度を所望の温度に連続的に調節することができ、それによって、ユーザ体験が向上する。
【0198】
所定の温度範囲に基づいて第2の電力調節量を決定する場合、コントローラにある1つ又は複数のプロセッサは、第1の温度測定値を所定の範囲と比較して、第2の電力を決定するように構成される。一例では、第2の温度測定値が比較される所定の温度範囲は、第1の温度測定値が比較されるのと同じ所定の温度範囲である。代替形態では、第2の温度測定値が比較される所定の温度範囲は、第1の温度測定値が比較されるのとは異なる所定の温度範囲であり得る。
【0199】
第2の温度測定値が所定の温度範囲を上回っている場合、第2の電力調節量を使用して、ヒーターの電力を調節又は低減して、生成される蒸気の温度を下げる。そのような場合、第2の電力調節量は負の調節量である。従って、第2の温度測定値が所定の温度範囲を上回る場合、第3の電力は第2の電力よりも低い電力になる。
【0200】
第2の温度測定値が所定の温度範囲を下回る場合、第2の電力調節量を使用して、ヒーター電力を調節又は増加させて、生成される蒸気の温度を上げる。そのような場合、第2の電力調節量は正の調節量である。従って、第2の温度測定値が所定の温度範囲を下回る場合、第3の電力は第2の電力よりも高い電力になる。
【0201】
第2の温度測定値が所定の温度範囲内である場合、ヒーター電力は調節されない、というのも、生成される蒸気の温度を増加又は低減させる必要がないからである。そのような場合、第2の電力調節量はゼロの調節量である(即ち、調節なし)。従って、第2の温度測定値が所定の温度範囲内である場合、第3の電力は第2の電力と等しくなる(又は、少なくとも実質的に等しくなる)。
【0202】
このようにして、電子タバコの使用が続くにつれて、必要に応じて、蒸気の温度を所望の温度に連続的に調節し続けることができ、それによって、ユーザ体験が向上する。
【0203】
ステップ608では、1つ又は複数のプロセッサは、第2の電力調節量に基づいて第2の電力を第3の電力に調節し、第3の電力をヒーターに印加する。
【0204】
次いで、プロセスは、後に続く温度測定値と電力調節量を伴って続行し、必要に応じてヒーター電力を継続的に調節することにより、生成される蒸気の温度を継続的に改善することができる。即ち、1つ又は複数のプロセッサは、蒸気流路内での更なる温度測定値を繰り返し決定し、更なる温度測定値に基づいて、ヒーターの更なる電力調節量を決定する。次いで、1つ又は複数のプロセッサは、更なる電力調節量に基づいてヒーターに印加されることになる電力を調節し、更なる電力をヒーターに印加する。使用セッションの終了時に、即ち、消費者が気化を完了したときに、ヒーターへの電力は止められる。
【0205】
温度測定は、ユーザが電子タバコ上で吸入している(それによって、ヒーターをトリガーしている)間、又はヒーターボタンが押されることによりヒーターがトリガーされたときに、行われる。このようにして、温度測定値は、蒸気流路内に蒸気がある場合にのみ記録される。これにより、流路内の周囲空気の温度が測定され、測定された蒸気温度と混同されるのが防止され、それによって、測定される蒸気温度及びヒーター制御の精度が向上する。
【0206】
一例では、第1のヒーター電力を使用する、第1の温度測定値は、電子タバコ上での第1の吸入中に決定され、第2のヒーター電力を使用する、第2の温度測定値は、電子タバコ上での第2の吸入中に記録される。即ち、1回の吸入につき1つの測定温度が決定され、これを使用してその後の吸入のためにヒーターを制御する。このようにして、第2の吸入における蒸気の温度が、第1の吸入中に行われた第1の測定に基づいて、調節されている。次いで、第2の測定された温度を使用して、第3の吸入のための電力、ひいては蒸気温度を調節する。
【0207】
別の例では、第1のヒーター電力を使用する、第1の温度測定値は、第1の吸入中の第1の時点で決定され、この第1の温度測定値に基づいて、第1の吸入中に、電力を第2の電力に直ちに調節することができる。次いで、第1の吸入中にヒーターに印加される第2の電力を用いて生成された蒸気に基づいて、第1の吸入中のその後の時点で、第2の温度測定値を決定することができる。次いで、第2の温度測定値に基づいて、やはり第1の吸入中に、第2の電力をヒーターに印加される第3の電力に調節することができる。このようにして、1回の吸入中に、ヒーター電力ひいては蒸気温度の動的制御を実現することができる。この動的制御により、消費者による各吸入が、所定の閾値に近いか、又は所定の温度範囲内にあることが確実になる。より詳細には、測定された温度は、閉ループでフィードバックされ、その結果、ヒーター電力の調節を頻繁に行うことができる(例えば、10ミリ秒ごと)。この調節は、測定された温度を設定値温度(例えば、所定の温度閾値、所定の温度範囲、所定の温度範囲内の点、又は所定の目標温度)に一致させるように行われる。
【0208】
電力調節量は、温度測定値と所定の閾値又は所定の温度範囲との差に基づいて決定することができる。即ち、電力調節量は、測定された温度が所定の閾値又は所定の温度範囲よりもどれ位高いか又は低いかに基づいて、スケール変更される。温度差と必要な電力調節量との間のそのような関係は、コントローラがアクセス可能な電子タバコのメモリに保存されている。
【0209】
或いは、電力調節は、所定の量だけ電力を段階的に調節することにより、実現することができる。即ち、第1の温度が所定の閾値又は所定の温度範囲を上回るか又は下回る場合、電力は、固定の所定量だけそれぞれ低減されるか又は増加される、即ち、電力調節は、電力の一定の減少又は増加になる。次いで、第2の電力は、一定量だけ低減又は増加された第1の電力に相当する。次いで、第2の温度測定が行われるとき、第2の温度測定値が所定の閾値又は所定の温度範囲を上回るか又は下回るかを判断する。そうであるなら、電力は、再び、固定の所定量だけそれぞれ低減又は増加される。
【0210】
所定の閾値の場合、プロセスは、温度が閾値を下回るか又は上回るまで、電力の低減又は増加を続ける。この時点で、電力は、蒸気を閾値に近い温度に維持するために、それぞれ増加又は低減される。
【0211】
所定の温度範囲の場合、プロセスは、その後の温度測定値が所定の温度範囲内に含まれるまで続行し、その時点で、電力レベルが維持される(更なる温度測定値が範囲外になるまで/ならない限り。その時点で調節は続行する)。
【0212】
ステップ602に続いて、蒸気流路内での第1の温度測定値がセンサを使用して決定されると、測定された蒸気温度を使用して、カートリッジに問題があるかどうかを判断することができる。消費者の吸入速度を流量検出器から決定することができ、ヒーターに印加される電力を、コントローラによって決定することができる。蒸気温度が、所与の吸入速度及び印加電力のわりに高い場合は、カートリッジに問題があるとコントローラによって判断されることがある。従って、コントローラは、更なる処置を講じることができ、例えば、消費者に警告を提供したり、又は(例えば、ヒーター電力を遮断することにより)装置を遮断したりする。
【0213】
図1、
図3、及び
図4を参照して説明した実施形態などでは、電子タバコは、異なる種類のカートリッジ、例えば異なる種類/量の液体又は気化可能材料を収容するカートリッジと互換性があることがある。そのような異なる種類のカートリッジは、最適な蒸気温度が様々である気化可能材料を収容することがある。従って、異なる所定の温度閾値及び所定の温度範囲が、例えば、対応するカートリッジの種類を示すルックアップテーブル形式で、電子タバコのメモリに保存されることがある。カートリッジが電子タバコの中に収容されると、電子タバコはカートリッジの種類を判断し、ルックアップを実施して、そのカートリッジの所定の閾値温度又は所定の温度範囲を決定することができる。
【0214】
一例では、電子タバコは、カートリッジの近距離無線通信(NFC)チップ又は類似のものを読み取ることにより、カートリッジの種類を判断することができる。別の例では、電子タバコは、ユーザが電子タバコ上のインターフェースを使用してカートリッジの種類を入力することにより、カートリッジの種類を判断することができる。別の例では、電子タバコは、ユーザが、有線又は無線接続(例えば、USB又はBluetooth接続)によって電子タバコと通信する電子機器(例えば、スマートフォン)上の対応するアプリケーションを使用してカートリッジの種類を入力することにより、カートリッジの種類を判断することができる。次いで、この情報は、接続により、電子機器から電子タバコへ送信される。
【0215】
図2を参照して説明したような実施形態では、液体タンクは、電子タバコと互換性のある異なる種類の液体を収容することがある。これらの異なる液体は、最適な蒸気温度が異なることがある。従って、ユーザは、電子タバコのインターフェースを使用して、液体タンクに追加された液体の種類を入力することができ、又は、ユーザは、有線若しくは無線接続(USB若しくはBluetooth接続)を使用して、電子機器(スマートフォンなど)の対応するアプリケーションを使用して電子タバコに接続することができ、そのアプリケーションを使用して液体の種類を入力することができる。これは、次いで、接続により電子タバコに送信される。異なる液体の種類、及びそれらの対応する最適な蒸気温度を、例えば、ルックアップテーブル形式で電子タバコのメモリに保存することができる。電子機器のコントローラは、ルックアップテーブルにアクセスし、液体の種類に関連付けられた最適な蒸気温度(即ち、所定の閾値、又は所定の温度範囲)を決定することができる。
【0216】
上述したものと同様の態様で、蒸気温度は、
図1~
図4を参照して説明した実施形態の任意のものについてユーザがカスタマイズ可能であり得る。即ち、電子機器がカートリッジ又は液体の種類に基づいて所定の閾値又は所定の温度範囲を決定する代わりに又はこれに加えて、ユーザが、所定の閾値又は所定の温度範囲として適用されることになる所望の蒸気温度を手動で入力することができる。この所望の蒸気温度は、電子タバコのインターフェースを使用して、又は、有線若しくは無線接続(USB若しくはBluetooth接続など)により、電子タバコに接続される電子機器(スマートフォンなど)の関連するアプリケーションを介して、入力することができる。次いで、この入力された所望の蒸気温度を、所定の閾値又は所定の温度範囲として、電子タバコのメモリに保存することができる。
【0217】
蒸気の温度が測定された後で蒸気がカプセルを通過する、
図4を参照して説明したような実施形態では、所定の調節係数を測定された温度に適用して、調節された測定温度が、消費者の口に届く蒸気の温度に対応することを確実にすることができる。例えば、蒸気がマウスピースカートリッジを通過すると、測定された温度に比べて蒸気が冷やされる可能性がある。所定の調節係数を電子タバコのメモリに保存することができ、蒸気がマウスピースカートリッジを通過する際の温度の低下を考慮するように、測定された温度を調節することができる。異なる種類のマウスピースカートリッジに対応する複数の調節係数を、例えば、ルックアップテーブル形式でメモリに保存することができる。電子タバコは、例えば、カートリッジ内のNFCチップ若しくは類似のものを読み取ることにより、挿入されたマウスピースカートリッジの種類を検出することができ、或いは、ユーザは、電子タバコ上のインターフェースを使用して、又は、有線若しくは無線接続(USB若しくはBluetooth接続など)により電子タバコに接続されたスマートフォンなどの電子機器の関連アプリケーションを使用することにより、カートリッジの種類を入力することができる。次いで、電子タバコのコントローラは、ルックアップテーブルを使用して、そのカートリッジの種類に対応する温度調節量を特定することができる。次いで、その温度調節量を、測定された温度に適用することができる。
【0218】
別の例では、最大の蒸気温度を、所定の閾値又は所定の温度範囲として電子タバコのメモリに保存することがある。即ち、電子タバコが超えてはならない蒸気温度(又は温度範囲)である。例えば、所定の閾値又は所定の温度範囲を、最大温度として設定することができる。この温度(又は温度範囲)に達するか又は上回る蒸気温度が測定された場合、ヒーターに印加される電力が低減される。このようにして、規制最大蒸気温度への準拠を、正確に達成することができる。これは、ヒーターの測定温度に基づいて蒸気温度を決定及び制限するよりも、効果的で正確である、というのも、温度制御は、蒸気を生成するヒーターではなく、蒸気の実際の温度に基づいているからである。
【0219】
図7は、
図1~
図4の任意のものを参照して説明したような、電子タバコの動作方法のフロー図である。ここでは、流体移送要素又は気化器若しくはアトマイザでの湿潤レベルを決定して、芯が過剰な湿潤状態であるか、不十分な湿潤状態であるか、又は十分な湿潤状態であると判断された場合に、更なる処置を行うことができる。
【0220】
気化器又はアトマイザの湿潤レベルを決定する方法は、有利にも
図6を参照して説明した蒸気温度調節方法と一緒に適用される。気化器の湿潤レベルをまず決定することにより、読取値を誤る危険性が低減される。これは、測定される蒸気温度は、気化器が湿潤されていない場合、実際にはより低くなるからである。前述した蒸気温度を制御する方法は、このとき、気化器が十分な液体供給を受け取っていなくても、ヒーターの電力を増加させ、次いで、加熱を増加させる。
【0221】
なお、本明細書では、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラは両方とも、動作を実施するものとして説明されることに留意されたい。当業者であれば、コントローラは、動作を実行する1つ又は複数のプロセッサを含むという点で、これらの用語が入替可能に使用されることを容易に理解するであろう。
【0222】
ステップ701では、電子タバコの1つ又は複数のプロセッサは、温度センサから測定された温度データセットを読み出すように構成される。測定された温度データセットは、時間の関数として、生成された蒸気の1つ又は複数の温度測定値を含む。
【0223】
温度測定は、ユーザが電子タバコ上で吸入している(それによって、ヒーターをトリガーしている)間、又はヒーターボタンが押されることによりヒーターがトリガーされたときに、行われる。このようにして、温度測定値は、蒸気流路内に蒸気がある場合にのみ記録される。これにより、流路内の周囲空気の温度が測定され、測定された蒸気温度と混同されるのが防止される。一例では、1つ又は複数のプロセッサは、吸入の期間全体に渡る蒸気温度を決定するように構成される。別の例では、1つ又は複数のプロセッサは、吸入中のある設定時点で(即ち、電子タバコが蒸気を生成するようにトリガーされた後の設定時点で)、電子タバコが最適な動作温度に達したとみなされるときに、蒸気温度を決定するように構成される。即ち、ヒーターが十分な温度になっており、且つヒーターを囲む液体が特定の温度になっており、その結果、電子タバコが予想される所定の温度で蒸気を生成しているときである。言い換えると、これは、生成される蒸気の温度が所定の動作温度に達したと予測される、蒸気生成中の時点である。これは、蒸気生成中(即ち、吸入中)の時間の関数としての、生成される蒸気の温度は、必ずしも一定ではないので、特に妥当である。上記の時点とは、電子タバコが蒸気を生成するようにトリガーされた後の、1.5~3.5秒の間であることが好ましく、又は、2~3秒の間であることがより好ましい。
【0224】
ステップ702では、電子タバコの1つ又は複数のプロセッサは、測定された温度データセットを所定の温度データと比較する。所定の温度データは、異なる流体移送要素、又は芯の湿潤レベルでの、電子タバコの蒸気流路内での蒸気流の温度データを示す。
【0225】
一例では、測定された温度データを所定の温度データと比較する場合、電子タバコの1つ又は複数のプロセッサは、測定された温度データセットを2つ以上の所定の温度データセットと比較することがあり、この2つ以上の所定の温度データセットのそれぞれは、所定の温度データポイント(即ち、所定の時点での所定の温度)を含む。
【0226】
次いで、1つ又は複数のプロセッサは、2つ以上の所定の温度データセットのうち、測定された温度データセットに最も近く一致する所定の温度データセットである、所定の温度データセットを決定する。即ち、所定の時点で測定された温度データ(即ち、測定された温度データポイント)に最も近く一致する、所定の時点での所定の温度(即ち、所定の温度データポイント)を有する所定の温度データセットが、最も近く一致する温度データセットとして選択される。
【0227】
一例では、所定の時点は、吸入中のある時点、例えば吸入の3秒後など、に対応する。
【0228】
図8は、芯の2つの湿潤レベルに対する所定の温度データセットを示す。各所定の温度データセットは、1つの時点に対応する1つの温度データポイント801、802(即ち、所定の温度データポイント)を含む。データポイント801を含む第1の温度データセットは、不十分な湿潤状態又は乾燥した芯に対応する。データポイント802を含む第2の温度データセットは、十分に湿潤した芯に対応する。
図8の例では、上記の時点は、吸入の3秒後に相当する。吸入の3秒後に測定された温度ポイントがデータポイント801により近い場合、第1の温度データセットが、最も近く一致する温度データセットであると判断される。この場合、芯は不十分な湿潤状態であると判断される。吸入の3秒後に測定された温度データポイントがデータポイント802により近い場合、第2の温度データセットが、最も近く一致する温度データセットであると判断される。この場合、芯は十分な湿潤状態であると判断される。
【0229】
一例では、最も近く一致する所定のデータセットは、所定の温度データポイント間に閾値温度803を設定すること、及び測定された温度データポイントが閾値温度803を下回るか又は下回らないかを判定することにより、決定することができる。一例では、閾値温度803は、データポイント801と802との間の中間であり得る。(例えば、吸入の3秒後で)測定された温度データポイントが閾値803を下回らない(又は上回る)場合、測定された温度データポイントは所定のデータポイント802に最も近いと判断され、測定された温度データポイントが閾値803を下回る(又は上回らない)場合、データポイント801に最も近いと判断される。
【0230】
吸入の2秒~3秒後の領域での温度測定値が、芯の湿潤レベルを特に特徴付けることが分かった。即ち、2~3秒の領域にある温度データは、不十分な湿潤状態の芯と十分な湿潤状態の芯とで著しく異なる。
【0231】
ステップ703では、電子タバコの1つ又は複数のプロセッサは、比較に基づいて、更なる処置を決定し実施する。芯が不十分な湿潤状態であると判断され、乾燥した芯を加熱する危険性がある場合、例えば、測定された温度データポイントが閾値温度を下回る場合、湿潤レベルが不十分な湿潤状態であると判断されたので、アトマイザのヒーターが調節される。芯が十分な湿潤状態であると判断された場合、例えば、測定された温度データポイントが閾値温度を下回っていない場合、湿潤レベルが十分な湿潤状態であると判断されたので、ヒーターに調節は加えられない。一例では、液体が吸い出される時間を与えるようにヒーターをオフにすることにより、ヒーターが調節される。別の例では、ヒーターの電力出力を低減することにより、ヒーターが調節される。一例では、ヒーターの電力出力は、パルス幅変調された電圧若しくは電流のデューティサイクルを低減することにより、又は、常に印加される電圧若しくは電流の振幅を低減することにより、低減することができる。
【0232】
電力を低下させる決定量は、測定された温度データポイントと閾値との差に基づくことができる。即ち、電力を低下させる量は、測定された温度データポイントがどれ位閾値より低いかに基づいて、スケール変更させることができる。測定された温度データポイント間の温度差と必要な電力の低下量と間のそのような関係は、コントローラがアクセス可能な電子タバコのメモリに保存される。
【0233】
或いは、電力は、吸入毎に所定の量だけ電力を段階的に低下させることにより、適切なレベルに低減させることができる。即ち、第1の測定された温度データポイントが閾値を下回る場合、電力は固定の所定量だけ低減される、即ち、電力低減は電力の一定の低減になる。次いで、第2の温度データセットが第2の吸入中に測定された場合、第2の測定された温度データポイントが閾値を下回るかどうかが判断される。そうである場合、電力は再び、固定の所定量だけ低減される。第2の測定された温度データポイントが閾値を上回るか又は閾値である場合、電力レベルは後に続く吸入の間、維持される。
【0234】
別の例では、芯が不十分な湿潤状態であると判断された場合、更なる処置には、(例えば、ヒーターを一時停止することにより)一時的な蒸気吸入遅延を実施して、芯が再び湿潤できるようにすることが含まれることがある。別の例では、芯が不十分な湿潤状態であると判断された場合、更なる処置には、消費者に警告を発して、液面が低くなっていることを示すことが含まれることがある。
【0235】
別の例では、2つより多くの所定のデータセットを使用することがあり、各所定のデータセットは、異なる流体移送要素又は芯の湿潤レベルでの電子タバコの蒸気流路内の蒸気流の温度データを示す。例えば、液体貯蔵水位が低くなり始めると、芯への流量が低下し始めることがあり、その結果、芯が次第に乾燥することがある。即ち、所定の温度データセットは、十分な湿潤状態であるか又は不十分な湿潤状態であるかだけではなく、湿潤レベルの範囲に対応することができる。所定の温度データセットのそれぞれは、所定の温度データポイントを含み、湿潤レベルは、測定された温度データポイントに最も近く一致する所定の温度データポイントに基づいて判断されることがある。これに応答して、ヒーターを調節して温度を調節し、それによって、芯からの気化速度を増減させて、所定の最適な芯湿潤レベルを達成することができる。即ち、所定の温度データセットのうちの1つが、所定の最適な湿潤レベルに対応し、所定の最適な湿潤レベルに対応する所定の温度データセットが最も近く一致する所定の温度データセットであると判断されるまで、その後の吸入において、ヒーター電力が調節される。
【0236】
ステップ702に戻ると、別の例では、測定された温度データを所定の温度データと比較する場合、電子タバコの1つ又は複数のプロセッサは、測定された温度データセットを2つ以上の所定の温度データセットと比較することがあり、この2つ以上の所定の温度データセットのそれぞれは、時間の関数として、複数の所定の温度データポイントを含む。
【0237】
この場合、電子タバコの1つ又は複数のプロセッサは、2つ以上の所定の温度データセットのいずれが、測定された温度データセットと最もよく適合するかを識別することにより、最も近く一致する所定の温度データセットを決定するように構成される。即ち、所定の温度データセットとは、所定の温度プロファイル、又は時間に対する蒸気温度のプロットである。測定された温度データとは、測定中の吸入の温度プロファイルであり、即ち、測定中の吸入の間の、時間に対する蒸気温度のプロットである。
【0238】
電子タバコ装置上での吸入中の、蒸気流路内で生成された蒸気又は空気の、温度対時間の温度データセットは、温度対時間のプロットの形状が、流体移送要素の湿潤レベルに応じて変化するという点で、特徴的なプロット形状を有することが分かった。このようにして、流体移送要素の湿潤レベルに対応する、最も合う所定の温度セットを、測定された温度データセットに対して特定することがき、それによって、流体移送要素の湿潤レベルを決定できる。装置の特徴(ヒーターの配置、ヒーターの種類、空気流路の長さ、装置内部の圧力低下、液体貯蔵庫の種類、等)に依存して、所与の芯湿潤レベルの温度プロファイルに対して影響があることがある。しかしながら、異なる湿潤レベルの温度プロファイルは、同じ種類の装置の間では変わらない。即ち、所与の種類の装置について、湿潤状態の芯及び不十分な湿潤状態の芯の特徴的な温度プロファイル間には、明らかな差がある。従って、芯の湿潤状態又は不十分な湿潤状態をプロファイルから特定することができ、適切な処置を講じることができる。
【0239】
図9は、2つの異なる芯湿潤レベルでの、3秒間の吸入についての所定の温度データプロファイル901、902を示す。第1のプロファイル901は、不十分な湿潤状態の芯から生成される蒸気に対応する。第2のプロファイル902は、十分な湿潤状態の芯に対応する。2秒と3秒との間の領域で、特徴的な差が観察される。即ち、
図9に見られるように、不十分な湿潤状態の芯のプロファイル901は、十分な湿潤状態の芯のプロファイル902よりも平坦な曲線を有している。そのような差は、ヒーターが、不十分な湿潤状態の芯に対して、蒸気よりもむしろ空気を加熱することにより、もたらされている可能性がある。
【0240】
1つ又は複数のプロセッサは、測定された温度データプロファイルを所定の温度データプロファイルにマッピングし、所定の温度データプロファイルのいずれが最もよい適合をもたらすかを判断する、アルゴリズムを実行する。一例では、1つ又は複数のプロセッサによって最小二乗ルーチンが実行されることがあり、最小二乗ルーチンは、測定された温度データセットと所定の温度データセットとの間に適用されて、所定の温度データセットのいずれが最もよい適合又は最も近い一致をもたらすかを判断することがある。他の例では、測定されたデータセットに最も近く一致する所定のプロファイル(即ち、ある変数に対する別の変数のプロット)を判断するのに適した他のルーチンを実施することがある。
【0241】
図7の例では、第1の所定の温度データセット901(即ち、第1の所定の温度プロファイル)が、測定された温度データセットに最もよく適合する所定の温度データセットであると判断された場合、芯が不十分な湿潤状態であると判断される。第2の所定の温度データセット902(即ち、第2の所定の温度プロファイル)が、最もよく適合する所定の温度データセットであると判断された場合、芯が十分な湿潤状態であると判断される。
【0242】
吸入時間の長さは、様々であり得る。しかしながら、温度プロファイルは通常、2~3秒後には安定する。従って、吸入時間の長さとは無関係に、湿潤レベルごとに単一の温度プロファイルを使用することができる。或いは、異なる吸入時間に対応する湿潤レベルの所定の温度プロファイルを、電子タバコのメモリに保存することができる。次いで、コントローラは、温度がピーク値に達するポイントに基づいて、吸入時間の長さを判断し、ピーク値は吸入の終了に対応し、またコントローラは、吸入時間の長さに対応する所定の温度プロファイルにアクセスする。
【0243】
図10は、5秒間の吸入についての、不十分な湿潤状態の芯1001及び十分な湿潤状態の芯1002に対応する、所定の温度プロファイルの例を示す。やはり、十分な湿潤状態の芯及び不十分な湿潤状態の芯から生成される蒸気の温度プロファイルにおける特徴的な違いが、2秒~3秒の間の領域で見られる。
【0244】
ステップ703では、電子タバコの1つ又は複数のプロセッサは、比較に基づいて、更なる処置を決定し実施する。
【0245】
芯が不十分な湿潤状態であると判断され、乾燥した芯を加熱する危険性がある、例えば、最も適合する所定の温度データセットが第1の所定の温度データセットである場合、湿潤レベルが不十分な湿潤状態であると判断されたので、アトマイザのヒーターが調節される。芯が十分な湿潤状態であると判断された場合、例えば、最も適合する所定の温度データセットが第2の所定の温度データセットである場合、湿潤レベルが十分な湿潤状態であると判断されたので、ヒーターに調節は加えられない。前述のように、一例では、液体が吸い出される時間を与えるようにヒーターをオフにすることにより、ヒーターが調節される。別の例では、ヒーターの電力出力を低減することにより、ヒーターが調節される。一例では、ヒーターの電力出力は、パルス幅変調された電圧若しくは電流のデューティサイクルを低減することにより、又は、常に印加される電圧若しくは電流の振幅を低減することにより、低減することができる。
【0246】
電力を低下させる決定量は、測定された温度データセットが、各所定の温度データセットにどれ位よく一致するかに基づくことができる。即ち、電力を低下させる量は、測定された温度データセットが、(十分な湿潤状態の芯に対応する)第2の所定の温度データセットと比べて、どれ位よく(不十分な湿潤状態の芯に対応する)第1の所定の温度データセットと一致するかに基づいて、スケール変更することができる。一例では、測定された温度データセットが、各所定の温度データセットから逸脱する量を、1つ又は複数のプロセッサが実行する最小二乗適合ルーチンによって計算することができる。他の例では、データセット間の差を定量化することができる他のルーチンを使用することがある。適合上の差と必要な電力の低下量との間のそのような関係は、コントローラがアクセス可能な電子タバコのメモリに保存される。
【0247】
或いは、電力は、吸入毎に所定の量だけ電力を段階的に低下させることにより、適切なレベルに低減させることができる。即ち、第1の測定された温度データセットが、(不十分な湿潤状態の芯に対応する)第1の所定の温度データセットに最も近く一致する場合、電力は固定の所定量だけ低減される、即ち、電力低減は電力の一定の低減になる。次いで、第2の測定された温度データセットが第2の吸入中に測定されるとき、第2の測定された温度データセットが、(不十分な湿潤状態の芯に対応する)第1の所定の温度データセットに依然として最も近く一致するかどうかが判断される。そうである場合、電力は再び、固定の所定量だけ低減される。第2の測定された温度データセットが(十分な湿潤状態の芯に対応する)第2の所定の温度データセットに最も近く一致する場合、電力レベルは後に続く吸入の間、維持される。このプロセスを繰り返して、ヒーター電力を継続的に改善することができる。
【0248】
別の例では、芯が不十分な湿潤状態であると判断された場合、更なる処置には、(例えば、ヒーターを一時停止することにより)一時的な蒸気吸入遅延を実施して、芯が再び湿潤できるようにすることが含まれることがある。別の例では、芯が不十分な湿潤状態であると判断された場合、更なる処置には、消費者に警告を発して、液面が低くなっていることを示すことが含まれることがある。
【0249】
このようにして、不十分な湿潤状態の芯を検出することができる。不十分な湿潤状態の芯は、カートリッジ又は液体タンク内の液面が低くなっているか又は空であり、その結果、芯が乾燥していることを示す。不十分な湿潤状態の芯はまた、ヒーターが芯の中の液体をあまりに速く気化させており、芯が乾燥する前に液体貯蔵庫から更なる液体を吸い出すことができていないことも示す(例えば、消費者が繰り返し、立て続けに、長い吸入を行っている場合)。芯が不十分な湿潤状態になる別の原因は、装置が、液体が容易に芯まで流れることができない向きに保管されているか又は使用されている場合であり得る。カートリッジに問題があると、やはり、不十分な湿潤状態を引き起こすことがあり、例えば、液体が液体貯蔵庫から芯まで移動するのが妨げられ、それによって、芯が液体で湿潤されるのが妨げられる場合である。乾燥した芯を加熱すると、不快なユーザ体験につながる可能性がある。前述した方法を使用して、乾燥した芯(又は不十分な湿潤状態の芯)を判断し、是正措置、例えば、その後の吸入の間ヒーター電力を低減させ、それによって気化速度を遅くして、芯の乾燥を阻止するか、又は、ヒーターをオフにして、液体がヒーターまで吸い出されるようにより多くの時間を与えるか、若しくは乾燥した芯が加熱されるのを防止する、などを講じることができる。オフにされたヒーターは、消費者に、カートリッジの交換又は液体貯蔵庫の補充を促すことができる。幾つかの例では、LED又は可聴表示を出力するように構成されたスピーカーなどのインジケータを電子タバコに組み込んで、芯が乾燥していると判断された場合に、カートリッジを交換するか又は液体貯蔵庫を補充する必要があることをユーザに示すことができる。
【0250】
別の例では、2つより多くの所定のデータセットを使用することがあり、各所定のデータセットは、異なる流体移送要素又は芯の湿潤レベルでの電子タバコの蒸気流路内の蒸気流の温度データを示す。即ち、所定の温度データセットは、十分な湿潤状態であるか又は不十分な湿潤状態であるかだけではなく、湿潤レベルの範囲に対応することができる。所定の温度データセットのそれぞれは、所定の温度プロファイルを含み、湿潤レベルは、測定された温度プロファイルに最も近く一致する、又は最もよく適合する所定の温度プロファイルに基づいて判断されることがある。これに応答して、ヒーターを調節して温度を調節し、それによって、芯からの気化速度を増減させて、所定の最適な芯湿潤レベルを達成することができる。即ち、所定の温度データセットのうちの1つが、所定の最適な湿潤レベルに対応し、所定の最適な湿潤レベルに対応する所定の温度データセットが最も近く一致する所定の温度データセットであると判断されるまで、その後の吸入において、ヒーター電力が調節される。
【0251】
前述の不十分な湿潤状態の芯の問題への対処に加えて、本方法は更に、過剰な湿潤状態の芯に関連した問題への対処も提供する。過剰な湿潤状態の芯は、ヒーターから吐き出される液体の射出につながる可能性がある。これらの液体の射出は、消費者が蒸気を吸入する際に不快になることがある。
【0252】
液体の射出は、蒸気流路内の温度センサと相互作用し、温度センサによって検出可能である。
【0253】
センサに到達する高温の液体射出は、測定された温度データセットにおける増加する又は正の温度スパイクとして、識別することができる。センサに到達する低温の液体射出は、測定された温度データセットにおける減少する又は負の温度スパイク又は低下として、識別することができる。
【0254】
1つ又は複数のプロセッサは、測定された温度データセットにおける温度スパイクの数を決定するアルゴリズムを実行する。一例では、温度スパイクは、時間対温度のプロットの勾配における急激な増加又は低下として識別することができる。
【0255】
別の例では、過剰な湿潤状態の芯は、液体の1つ又は複数の大きな液滴がセンサと相互作用することにつながる可能性がある。これは、センサの読取に影響を及ぼし、液滴がセンサから取り除かれるまで、1回又は複数回の吸入の間異常な読取を引き起こす。例えば、液滴マットがセンサの読取を妨げ、記録された温度プロファイルは、液滴が取り除かれるまで、吸入中に比較的に一定であるように見える。
【0256】
更なる例では、過剰な湿潤状態の芯は、ヒーターが必要な気化温度に達することができないことにつながる可能性がある。コントローラは、流量検出器を使用して、消費者の吸入速度を決定し、ヒーターに印加される電力を決定することができる。蒸気温度が所与の吸入速度及び印加電力に対して予想される温度よりも低い場合、コントローラは、芯が過剰な湿潤状態であると判断することができる。
【0257】
ステップ702では、芯が不十分な湿潤状態であるかどうかを判断するために、温度測定された温度データを所定のデータセットと比較するのに加えて(又はその代わりに)、1つ又は複数のプロセッサを、決定された温度スパイクの数を温度スパイクの閾値数と比較するように構成することができる。
【0258】
温度スパイクの閾値数は、電子タバコのメモリに保存される。温度スパイクの閾値数は、所与の期間に対する閾値数であり得る。即ち、メモリは、異なる期間に対応する複数の閾値を保存することができる。一例では、期間は、ヒーターがオンにされている時間に対応する。1つ又は複数のプロセッサは、流量検出器が空気流を検出する(これは、ヒーターをトリガーすることができる)こと、又はヒーターボタンがどれ位長く押されたか(ヒーターをトリガーする)に基づいて、この期間を判断し、その時間の長さに対応する温度スパイクの閾値数にアクセスする。代替形態では、メモリは、単一の時間単位に正規化された単一の閾値数を保存することがある。次いで、プロセッサは、測定された温度データセット内の温度スパイクの数を、単一の時間単位内のスパイクの数に正規化し、この数を閾値と比較する。
【0259】
温度スパイクの閾値数は、所与の期間の、温度スパイクの数であり、それを超えると芯が過剰な湿潤状態であるとみなされる。従って、ステップ703では、芯が不十分な湿潤状態であるか又は十分な湿潤状態であるかを判断するのに加えて(又はその代わりに)、1つ又は複数のプロセッサは、温度スパイクの数が温度スパイクの閾値数を超えているかどうかを判断することにより、芯が過剰な湿潤状態であるかどうかについても判断することができる。
【0260】
温度スパイクの数が閾値を超えており、芯が過剰な湿潤状態であると判断されることを示す場合、1つ又は複数のプロセッサは、補正プログラムを実行する。
【0261】
これに加えて又はその代わりに、1つ又は複数のプロセッサは、液体の大きな液滴がセンサ上にあることに起因して、又はヒーターが必要な気化温度に達することができないことに起因して、過剰な湿潤状態が判断される場合にも、補正プログラムを実行することができる。
【0262】
一例では、補正プログラムを実行する場合、1つ又は複数のプロセッサは、ヒーターに印加される電力を増加させる。これによりヒーターの温度が上がり、それによって、生成される蒸気の量が増加し、結果として、芯の湿潤レベルが低下する。ヒーター温度は、ヒーターの電力出力を増加させることにより、上げられる。一例では、ヒーターの電力出力は、パルス幅変調された電圧若しくは電流のデューティサイクルを増加させることにより、又は、常に印加される電圧若しくは電流の振幅を増加させることにより、増加させることができる。
【0263】
温度スパイクの例では、電力を増加させる決定量は、決定された温度スパイクの数と温度スパイクの閾値数との差に基づくことがある。即ち、電力を増加させる量は、閾値数よりもどれ位多くの温度スパイクがあると判断されるかに基づいて、スケール変更されることがある。決定された温度スパイクの数と、必要な電力の増加量との間のそのような関係は、コントローラがアクセス可能な電子タバコのメモリに保存される。
【0264】
或いは、電力は、吸入毎に所定の量だけ電力を段階的に増加させることにより、適切なレベルに増加させることができる。即ち、第1の測定されたデータセットが、閾値数を超えるとして判断された温度スパイクの数を有する場合、電力は、固定の所定量だけ増加される、即ち、電力増加は固定の電力の増加になる。次いで、第2の温度データセットが第2の吸入中に測定されるとき、温度スパイクの数が依然として閾値を上回るかどうかが判断される。そうである場合、電力は再び、固定の所定量だけ増加される。第2の測定された温度データセットが閾値の又は閾値を下回る数の温度スパイクを有する場合、電力レベルはその後の吸入の間維持される。
【0265】
前の例では、測定された温度データセットの温度測定値を、離散的な間隔で記録することができる。これにより、電子タバコの1つ又は複数のプロセッサの処理負荷が最小限に抑えられる。或いは、測定された温度データセットの温度測定値を、連続的に記録することができる。これにより、より正確な温度データセットが提供される。
【0266】
前述の実施形態は限定するものではないことが、当業者には容易に理解されるであろう。各実施形態の特徴は、必要に応じて、他の実施形態に組み込むことができる。
【0267】
電子タバコによって実行される、本明細書で説明する処理ステップは、電子タバコに関連付けられた非一時的なコンピュータ可読媒体又はストレージに保存することができる。コンピュータ可読媒体は、不揮発性媒体及び揮発性媒体を含むことができる。揮発性媒体は、とりわけ、半導体メモリ及び動的メモリを含むことができる。不揮発性媒体は、とりわけ、光ディスク及び磁気ディスクを含むことができる。
【国際調査報告】