(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】レバー部材を含むカテーテルデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518688
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020078356
(87)【国際公開番号】W WO2021078535
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522113165
【氏名又は名称】アネスティージー アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソン、オーヴェ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA24
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB19
4C267BB31
4C267BB33
4C267BB40
4C267BB53
4C267CC08
4C267EE01
4C267HH08
(57)【要約】
本開示は、カテーテル(2)および皮下注射イントロデューサー針(3)を含むカテーテルデバイス(1)に関し、カテーテルデバイス(1)は、レバー部材(23)をさらに含み、レバー部材(23)は、カテーテル(2)に除去可能に取り付けられるように適合されており、イントロデューサー針(3)に対して、後退させられた近位位置から、前進させられた遠位位置へ、カテーテルを軸線方向に運動させるようにさらに適合されており、カテーテルデバイス(1)は、インジケーターをさらに含み、少なくとも以下の前進させられた位置を示し、a)カテーテル(2)が、距離dだけ前進させられており、前記距離dは、針(3)の斜角付き先端(18)の長さに対応している、および、b)カテーテル(2)が、距離Dだけ前進させられており、前記距離Dは、針(3)の斜角付き先端の長さよりも大きい長さに対応している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルデバイス(1)であって、前記カテーテルデバイス(1)は、軸線A-Aと、患者に面するように適合されている下側(L)と、前記患者から離れる方に面するように適合されている、前記下側(L)の反対側の上側(U)とを有しており、前記カテーテルデバイス(1)は、カテーテル(2)および皮下注射イントロデューサー針(3)を含み、
前記カテーテル(2)は、軸線方向に細長いハウジング(4)を含み、前記ハウジング(4)は、カップリングメカニズムまたはプラグを受け入れるように適合されている近位開放端部(5)を有しており、前記ハウジング(4)は、内部通路(6)と、前記カテーテルの前記上側の上に配置されている内部オリフィス(8)を備えた接続ポート(7)と、前記近位開放端部(5)の前記外側表面の上の突出部材(15)とをさらに含み、前記カテーテル(2)は、前記細長いハウジング(4)に接続されている可撓性のカテーテルチューブ(12)をさらに含み、前記可撓性のカテーテルチューブ(12)は、遠位先端端部(13)およびルーメン(14)を含み、前記ルーメン(14)は、前記ハウジング(4)の前記内部通路(6)に流体連通しており、
前記イントロデューサー針(3)は、近位ヘッド(16)と、遠位斜角付き先端(18)を有する中空針(17)と、延長部分(19、29)とを含み、延長部分(19、29)は、前記針(17)を前記ヘッド(16)と接続しており、前記針(3)が前記カテーテル(2)の中へ挿入されるときに、前記カテーテル(2)の前記近位端部(5)と係合するように適合されており、前記ヘッド(16)は、前記中空針(17)の前記内部に流体連通している軸線方向チャネル(20)と、グリッププレート(21)と、係合部材(22)とを含み、前記グリッププレート(21)は、前記ヘッド(16)の上に配置されており、前記軸線方向に対して垂直の方向に延在しており、前記係合部材(22)は、前記グリッププレート(21)の上に配置されており、前記グリッププレート(21)から遠位に突出しており、
前記カテーテル(2)および針(3)は、前記針(3)が前記カテーテル(2)の中へ挿入されているときに、前記グリッププレート(21)が前記カテーテル(2)の前記上側(U)に向けて方向付けられて前記接続ポート(7)と整合されるように配置されており、前記カテーテル(2)の前記近位端部(5)の上の前記突出部材(15)は、前記グリッププレート(21)の上の前記係合部材(22)と係合し、前記針(3)が前記カテーテル(2)に対して前記軸線A-Aの周りに回転することを防止するように適合されている、カテーテルデバイス(1)において、
前記カテーテルデバイス(1)は、レバー部材(23)をさらに含み、前記レバー部材(23)は、前記カテーテル(2)に除去可能に取り付けられるように適合されており、前記イントロデューサー針(3)に対して、後退させられた近位位置から、前進させられた遠位位置へ、前記カテーテル(2)を前記軸線方向に運動させるようにさらに適合されており、後退させられた前記近位位置では、前記イントロデューサー針(3)の前記斜角付き先端(18)は、前記カテーテルチューブ(12)の前記遠位端部(13)から突出しており、前進させられた前記遠位位置では、前記イントロデューサー針(13)の前記斜角付き先端(18)は、前記カテーテルチューブ(12)によってフードされており、
前記カテーテルデバイス(1)は、前記グリッププレート(21)の上におよび/または前記延長部分(19、29)の上に、視覚的なおよび/または触覚的なインジケーターをさらに含み、少なくとも以下の前進させられた位置を示すことを特徴とし、
a) 前記カテーテル(2)が、距離dだけ前進させられており、前記距離dは、前記針(3)の前記斜角付き先端(18)の長さに対応している、および、
随意的に、b) 前記カテーテル(2)が、距離Dだけ前進させられており、前記距離Dは、前記針(3)の前記斜角付き先端(18)の長さよりも大きい長さに対応しており、たとえば、前記斜角付き先端(18)の前記長さの2倍またはそれ以上の長さに対応している、カテーテルデバイス(1)。
【請求項2】
前記レバー部材(23)は、レバーアーム(24)と、前記カテーテル(2)と接続するためのコネクター(25)とを含む、請求項1に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項3】
前記レバー部材(23)は、前記イントロデューサー針(3)の前記グリッププレート(21)と相互作用し、前記カテーテル(2)を遠位に前進するように運動させる、請求項1または2に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項4】
前記コネクター(25)は、係合凹部(26)をさらに含み、前記係合凹部(26)は、前記カテーテル(2)の前記近位端部(5)の上の前記突出部(15)と係合し、前記レバー部材(23)を前記カテーテル(2)に除去可能に接続するように適合されている、請求項2または3に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項5】
前記レバー部材(23)は、前記カテーテル(2)の前記接続ポート(7)に除去可能に取り付けられるように適合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項6】
前記針(3)の前記延長部分(19、29)の長さは、完全に前進させられたときに前記レバー部材(23)が前記カテーテル(2)を前進させることとなる合計長さと少なくとも等しいかまたはそれよりも大きくなっている、請求項1から5のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項7】
前記インジケーターは、ストップ表面(35)を含み、前記ストップ表面(35)は、前記グリッププレート(21)の上に配置されており、前記レバー部材(23)が前記ストップ表面(35)と係合することとなるようになっており、触覚的なインディケーションを前記ユーザーに提供する、請求項1から6のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項8】
前記ストップ表面(35)は、前記グリッププレート(21)の上の配置されている溝部、突出部、または縁部を含む、請求項7に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項9】
前記レバーアーム(24)は、相互作用部材(27)を含み、前記相互作用部材(27)は、前記グリッププレート(21)の前記ストップ表面(35)と相互作用するように適合されている、請求項7または8に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項10】
前記レバーアーム(24)は、L字状の形状または湾曲した形状を有しており、前記カテーテル(2)の上に配置されており、前記相互作用部材が、前記グリッププレートの前記ストップ表面(35)と係合するように適合されている、前記L字状の形状の角度、または、前記湾曲した形状の凸形表面、または、前記凸形表面の上の隆起部を含むようになっている、請求項7から9のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項11】
前記インジケーターは、前記針(3)の前記延長部分(19、29)の上に配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項12】
前記針(3)の前記延長部分(29)は、リブ(30)を提供されており、前記リブ(30)は、前記軸線A-Aから半径方向に前記延長部分(29)を取り囲んでおり、前記カテーテル(2)の前記近位端部(5)、または、前記レバー部材(23)の前記コネクター(25)は、ロッキングフランジ(32)を提供されており、前記ロッキングフランジ(32)は、前記カテーテル(2)が前記針(3)に対して遠位に運動させられるときに、前記針(3)の前記延長部分(29)の上の前記リブ(30)と係合するように適合されており、前記リブ(30)は、前記カテーテルチューブ(12)の前記遠位端部(13)に対する前記針(3)の前記斜角付き先端(18)の位置を示すようにマークされている、請求項11に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項13】
前記カテーテルデバイス(1)は、前記軸線A-Aから半径方向に前記延長部分を取り囲むリブ(30)を提供された前記針(3)の延長部分(29)をさらに含み、前記カテーテル(2)の前記近位端部(5)、または、随意的に、前記レバー部材(23)の前記コネクター(25)は、ロッキングフランジ(32)を提供されており、前記ロッキングフランジ(32)は、前記カテーテル(2)が前記針(3)に対して遠位に運動させられるときに、前記針(3)の前記延長部分(29)の上の前記リブ(30)と係合するように適合されており、前記リブ(30)は、随意的に、前記カテーテルチューブ(12)の前記遠位端部(13)に対する前記針(3)の前記斜角付き先端(18)の位置を示すようにマークされている、請求項7から9のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項14】
前記針の前記延長部分(29)は、前記延長部分(29)全体の一方の側に沿って面取りされた表面(31)を含み、前記延長部分(29)の断面U字形状をもたらす、請求項12または13に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項15】
前記インジケーターは、リブ(30)のマーキングを含み、前記マーキングは、前記カテーテル(2)が特定の距離だけ前進させられているということに対応することとなり、それぞれのリブ(30)が前記ロッキングフランジ(32)の上を引っ張られて前記ロッキングフランジ(32)と係合していることによって提供される触覚的なインディケーションに加えて、視覚的なインディケーションを前記ユーザーに提供する、請求項12から14のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項16】
前記レバーアーム(24)は、突起(33)を含み、前記カテーテル(2)の前記細長いハウジング(4)、または、随意的に、前記レバー部材(23)の前記コネクター(25)の前記近位端部は、保持エレメント(34)を含み、前記保持エレメント(34)は、前記突起(33)と係合するように適合されており、前記レバー部材(23)が、完全に前進させられた位置において前記カテーテルデバイス(1)を可逆的にロックすることができるようになっている、請求項2から15のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のカテーテル(2)に接続されるように適合されているレバー部材(23)であって、前記レバー部材(23)は、前記カテーテル(2)の中へ挿入されたイントロデューサー針(3)のグリッププレート(21)と係合するように適合されているレバーアーム(24)と、前記カテーテル(2)に除去可能に取り付けられるように適合されているコネクター(25)とを含む、レバー部材(23)。
【請求項18】
前記コネクター(25)は、係合凹部(26)およびロッキング突出部材(28)をさらに含み、前記係合凹部(26)は、前記カテーテル(2)の近位端部(5)の上の突出部(15)と係合し、前記レバー部材(23)を前記カテーテル(2)に除去可能に接続するように適合されており、前記ロッキング突出部材(28)は、前記イントロデューサー針(3)の前記グリッププレート(21)の上の前記係合部材(22)と係合するように適合されている、請求項17に記載のレバー部材(23)。
【請求項19】
前記コネクター(25)は、前記カテーテル(2)の前記接続ポート(7)と係合し、前記レバー部材(23)を前記カテーテル(2)に除去可能に接続するように適合されている、請求項17に記載のレバー部材(23)。
【請求項20】
前記レバーアーム(24)は、突出している突起(33)を含み、前記突起(33)は、保持エレメント(34)と係合するように適合されており、前記保持エレメント(34)は、前記レバー部材(23)の前記コネクター(25)の上に配置されているか、または、前記カテーテル(2)の前記近位端部(5)の上に配置されている、請求項17から19のいずれか一項に記載のレバー部材(23)。
【請求項21】
患者の中の血管の中にカテーテル(2)を設置する際に使用するための、前記請求項1から16のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)であって、前記設置することは、
i. 前記カテーテルが設置されることとなる場所において、前記患者の皮膚に対して前記カテーテルデバイス(1)を位置決めするステップ、および、皮下血管に向けて遠位運動によって前記カテーテルデバイス(1)を前進させるステップと、
ii. 血液が前記イントロデューサー針(3)の前記ヘッド(16)の中に出現し、血管が進入されたことを示すときに、前記遠位運動を停止させるステップと、
iii. 前記イントロデューサー針(3)を静止した状態に維持しながら、前記グリッププレート(21)に向けてレバー部材(23)を運動させるステップと、
iv. 前記レバー部材(23)を前記グリッププレート(21)に押し付け、それによって、前記レバー部材(23)が前記細長いハウジング(4)に向けて前記グリッププレート(21)に対抗して滑ることを引き起こし、第1のインジケーターが到達され、前記イントロデューサー針(3)の前記斜角付き先端(18)がフードされていることを示すまで、静止した状態に維持されている前記イントロデューサー針(3)に対して、前記カテーテル(2)が遠位に移動することをさらに引き起こすステップと、
v. 前記カテーテルデバイス(1)を前記血管の中へさらに運動させるステップと、
vi. 前記イントロデューサー針(3)を静止した状態に維持しながら、前記レバー部材(23)をさらに運動させ、1つまたは随意的に2つ以上のステップで、前記カテーテル(2)を前記血管の中へさらに遠位に前進させるステップと、
vii. 前記レバー部材(23)の使用によって前記イントロデューサー針(3)に対して前記カテーテル(2)が完全に前進したときに、取り付け部材(11)によって前記患者の前記皮膚に前記カテーテル(2)を取り付けるステップと、
viii. 前記イントロデューサー針(3)および随意的に前記レバー部材(23)を前記カテーテルデバイス(1)から除去し、除去可能なプラグの使用によって、または、注入デバイスなどへの接続によって、前記カテーテル(2)の前記近位開放端部(5)をシールするステップと
を含む、カテーテルデバイス(1)。
【請求項22】
患者の血管の中にカテーテルを設置するための方法であって、前記方法は、
i. 前記カテーテル(2)が設置されることとなる場所において、前記患者の皮膚に対して、カテーテル(2)およびイントロデューサー針(3)を含むカテーテルデバイス(1)を位置決めするステップ、ならびに、皮下血管に向けて遠位運動によって前記カテーテルデバイス(1)を前進させるステップと、
ii. 血液が前記イントロデューサー針(3)の前記ヘッド(16)の中に出現し、血管が進入されたことを示すときに、前記遠位運動を停止させるステップと、
iii. 前記イントロデューサー針(3)を前記患者に対して静止した状態に維持しながら、前記イントロデューサー針(3)の上の前記グリッププレート(21)に向けてレバー部材(23)を運動させるステップと、
iv. 前記レバー部材(23)を前記グリッププレート(21)に押し付け、それによって、前記レバー部材(23)が前記細長いハウジング(4)に向けて前記グリッププレート(21)に対抗して滑ることを引き起こし、第1のインジケーターが到達され、前記イントロデューサー針(3)の前記斜角付き先端(18)がフードされていることを示すまで、静止した状態に維持されている前記イントロデューサー針(3)に対して、前記カテーテル(2)が遠位に移動することをさらに引き起こすステップと、
v. 前記カテーテルデバイス(1)を前記血管の中へさらに運動させるステップと、
vi. 前記イントロデューサー針(3)を静止した状態に維持しながら、前記レバー部材(23)をさらに運動させ、1つまたは随意的に2つ以上のステップで、前記カテーテル(2)を前記血管の中へさらに遠位に前進させるステップと、
vii. 前記レバー部材(23)の使用によって前記イントロデューサー針(3)に対して前記カテーテル(2)が完全に前進したときに、取り付け部材(11)によって前記患者の前記皮膚に前記カテーテル(2)を取り付けるステップと、
viii. 前記イントロデューサー針(3)および随意的に前記レバー部材(23)を前記カテーテルデバイス(1)から除去し、除去可能なプラグの使用によって、または、注入デバイスなどへの接続によって、前記カテーテル(2)の前記近位開放端部(5)をシールするステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルおよび皮下注射イントロデューサー針を含むカテーテルデバイスに関する。より具体的には、本開示は、請求項1の導入部に定義されているような、カテーテルおよび皮下注射イントロデューサー針を含むカテーテルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内カテーテルデバイスは、当技術分野において知られており、静脈などのような皮下血管の中へのアクセスを提供し、薬剤、薬物、化学療法、栄養、および/または、任意の他の流体を被検者の中へ導入するために一般に使用されている。SE355946は、依然として幅広く使用されている基本的なタイプの注入カニューレアッセンブリを開示している。カテーテルは、通常は、血管の中にフィットさせられるように、可撓性のまたは半可撓性になっている。可撓性のまたは半可撓性のカテーテルは、被検者の皮膚を穿孔することができないので、イントロデューサー針が、カテーテルのルーメンの中へ挿入され、針の斜角付き先端が、カテーテルの遠位先端端部を越えて露出されるようになっている。皮膚を通してターゲットにされた血管の中へ針の斜角付き先端を挿入することによって、患者の血管系がアクセスされる。針による血管の中への挿入は、針ヘッドの中のチャンバーの中の血液の出現によって示される。針の斜角付き先端が血管の中へ挿入され、血液が前記チャンバーの中に出現するようになると、カテーテルおよび針は、カテーテルの所望の位置が実現されるまで、血管の中へ遠位に前進させられる。カテーテルが適正に位置決めされると、針をカテーテルから近位に引っ張ることによって針が除去され、その後に、針が廃棄される。
【0003】
カテーテルを挿入するときの1つの共通の問題は、血液がチャンバーの中に出現し、針およびカテーテルが遠位にさらに前進させられると、さらに血管を穿刺し、それによって、反対側の血管壁部を通って血管から退出するリスクが存在するということである。これは、カテーテルが適正に設置されないということをもたらすこととなる。しかし、これは、検出することが困難である可能性があり、発見される前に患者に不快感を与えることが多い。検出されると、不適正に位置決めされたカテーテルは廃棄されなければならず、新しいカテーテルデバイスを用いて手順全体が繰り返されなければならず、それは、患者に大きな不快感および追加的な痛みをもたらし、同様に、医療用材料の浪費に起因する経済的な悪影響をもたらす。
【0004】
上述の問題を回避するための1つの一般的な実務は、血管がアクセスされたときに針を「フード(hood)」することである。「フーディング(hooding)」は、針の静止位置を維持しながら、同時に、部分的に挿入されたカテーテルを遠位に運動させることを必要とし、斜角付き針先端がカテーテルの内側ルーメンの中へ引き込まれるようになっている。斜角付き針先端がフードされると、カテーテルデバイスは、静脈の中へ所望の位置へと遠位に前進させられる。
【0005】
この技法に伴う1つの問題は、血液が針チャンバーの中に出現するには十分に、斜角付き針先端が血管を穿刺したが、完全には血管に進入していない場合である。次いで、フーディングは、カテーテルが血管の外部に沿ってスライドすることをもたらす可能性がある。結果的に、カテーテルは、血管の中に適正に設置されない。これは、手順を繰り返す必要性をもたらすこととなり、上記に述べられているような同じ結果を有する。
【0006】
そのうえ、ユーザーが針の皮下の位置または血管の中のカテーテルを見ることができないので、フーディングは盲目的に実施される。したがって、斜角付き針先端は、オーバーフードまたはアンダーフードされる可能性がある。アンダーフーディングは、斜角付き針先端の一部分が依然としてカテーテルの先端を越えて露出されていることを意味しており、上述のように、さらに血管を穿刺するリスクがある。オーバーフーディングは、斜角付き針先端がカテーテルのルーメンの中へ近位に引き込まれ過ぎていることを意味しており、カテーテルの可撓性のまたは半可撓性の先端の最も遠位の端部が針によって支持されていない状態にする。次いで、カテーテルの支持されていない部分は、血管の中へ前進させられている間に、曲げられるか、傷付けられるか、または、その他の方法で妨害されるリスクがある可能性がある。これは、ルーメンを通した流体および/または薬剤の不十分な投与をもたらす可能性がある。
【0007】
斜角付き針先端がフードされて所望の皮下の位置になると、斜角付き針先端は、斜角付き針先端がカテーテル先端端部の遠位に突出する露出位置へと遠位に押し戻されることができない。その理由は、これが、斜角付き針先端がカテーテル先端端部の一部を切り裂くまたは引き裂くことを引き起こす可能性があるからである。したがって、斜角付き針先端をフードした後に、カテーテルが適正に位置決めされていないということを発見するときには、不適正に位置決めされたカテーテルは廃棄されなければならず、新しいカテーテルデバイスを用いて手順全体が繰り返されなければならず、それは、患者に大きな不快感および追加的な痛みをもたらし、同様に、医療用材料の浪費に起因する経済的な悪影響をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先行技術における上記に特定されている欠陥および不利益のうちの1つまたは複数を緩和するか、軽減するか、または排除し、少なくとも上述の問題を解決することである。本発明者は、静脈内カテーテルを挿入するときに起こる可能性のある上記に列挙されたすべての問題に気付いた。とりわけ、未経験のユーザーは、不適正に位置決めされたカテーテルを高い頻度で使用する可能性がある。したがって、本発明者は、上記の問題が回避されるように、ユーザーをガイドし、カテーテルの挿入プロセスを制御することができる、静脈内カテーテルデバイスを開発するという目的を特定した。本発明者の別の目的は、使用しやすく、今日のものと比較して実務を実質的に変更しない、静脈内カテーテルデバイスを開発することである。追加的に、本発明者は、片手で操作されることができる静脈内カテーテルデバイスを開発し、患者の手足を保持するために片手を使用しながら、たとえば、もう一方の手でカテーテルを挿入することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、カテーテルデバイスであって、カテーテルデバイスは、軸線A-Aと、患者に面するように適合されている下側と、患者から離れる方に面するように適合されている、下側の反対側の上側とを有しており、カテーテルデバイスは、カテーテルおよび皮下注射イントロデューサー針を含み、
カテーテルは、軸線方向に細長いハウジングを含み、ハウジングは、カップリングメカニズムまたはプラグを受け入れるように適合されている近位開放端部を有しており、ハウジングは、内部通路と、カテーテルの上側の上に配置されている内部オリフィスを備えた接続ポートと、近位開放端部の外側表面の上の突出部材とをさらに含み、カテーテルは、細長いハウジングに接続されている可撓性のカテーテルチューブをさらに含み、可撓性のカテーテルチューブは、遠位先端端部およびルーメンを含み、ルーメンは、ハウジングの内部通路に流体連通しており、
イントロデューサー針は、近位ヘッドと、遠位斜角付き先端を有する中空針と、延長部分とを含み、延長部分は、針をヘッドと接続しており、針がカテーテルの中へ挿入されるときに、カテーテルの近位端部と係合するように適合されており、ヘッドは、中空針の内部に流体連通している軸線方向チャネルと、グリッププレートと、係合部材とを含み、グリッププレートは、ヘッドの上に配置されており、軸線方向に対して垂直の方向に延在しており、係合部材は、グリッププレートの上に配置されており、グリッププレートから遠位に突出しており、
カテーテルおよび針は、針がカテーテルの中へ挿入されているときに、グリッププレートがカテーテルの上側に向けて方向付けられて接続ポートと整合されるように配置されており、カテーテルの近位端部の上の突出部材は、グリッププレートの上の係合部材と係合し、針がカテーテルに対して軸線A-Aの周りに回転することを防止するように適合されており、
カテーテルデバイスは、レバー部材をさらに含み、レバー部材は、カテーテルに除去可能に取り付けられるように適合されており、イントロデューサー針に対して、後退させられた近位位置から前進させられた遠位位置へ、カテーテルを軸線方向に運動させるようにさらに適合されており、後退させられた近位位置では、イントロデューサー針の斜角付き先端は、カテーテルチューブの遠位端部から突出しており、前進させられた遠位位置では、イントロデューサー針の斜角付き先端は、カテーテルチューブによってフードされており、カテーテルデバイスは、グリッププレートの上におよび/または延長部分の上に、視覚的なおよび/または触覚的なインジケーターをさらに含み、少なくとも以下の前進させられた位置を示すことを特徴とし、a) カテーテルが、距離dだけ前進させられており、距離dは、針の斜角付き先端の長さに対応している、および、随意的に、b) カテーテルが、距離Dだけ前進させられており、距離Dは、針の斜角付き先端の長さよりも大きい長さに対応しており、たとえば、斜角付き先端の長さの2倍またはそれ以上の長さに対応している、カテーテルデバイスが提供される。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、レバー部材は、レバーアームと、カテーテルと接続するためのコネクターとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、レバー部材は、イントロデューサー針のグリッププレートと相互作用し、カテーテルを遠位に前進するように運動させる。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、前記コネクターは、係合凹部をさらに含み、係合凹部は、カテーテルの近位端部の上の突出部と係合し、レバー部材をカテーテルに除去可能に接続するように適合されている。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、レバー部材は、カテーテルの接続ポートに除去可能に取り付けられるように適合されている。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、針の延長部分の長さは、完全に前進させられたときにレバー部材がカテーテルを前進させることとなる合計長さと少なくとも等しいかまたはそれよりも大きくなっている。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、インジケーターは、ストップ表面を含み、ストップ表面は、グリッププレートの上に配置されており、レバー部材が前記ストップ表面と係合することとなるようになっており、触覚的なインディケーションをユーザーに提供する。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、ストップ表面は、グリッププレートの上の配置されている溝部、突出部、または縁部を含む。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、レバーアームは、相互作用部材を含み、相互作用部材は、グリッププレートのストップ表面と相互作用するように適合されている。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、レバーアームは、L字状の形状または湾曲した形状を有しており、カテーテルの上に配置されており、相互作用部材が、グリッププレートのストップ表面と係合するように適合されている、L字状の形状の角度、または、湾曲した形状の凸形表面、または、前記凸形表面の上の隆起部を含むようになっている。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、インジケーターは、針の延長部分の上に配置されている。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、針の延長部分は、リブを提供されており、リブは、軸線A-Aから半径方向に延長部分を取り囲んでおり、カテーテルの近位端部、または、レバー部材のコネクターは、ロッキングフランジを提供されており、ロッキングフランジは、カテーテルが針に対して遠位に運動させられるときに、針の延長部分の上のリブと係合するように適合されており、リブは、随意的に、カテーテルチューブの遠位端部に対する針の斜角付き先端の位置を示すようにマークされている。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、針の延長部分は、延長部分全体の一方の側に沿って面取りされた表面を含み、延長部分の断面U字形状をもたらす。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、インジケーターは、リブのマーキングを含み、マーキングは、カテーテルが特定の距離だけ前進させられているということに対応することとなり、それぞれのリブがロッキングフランジの上を引っ張られてロッキングフランジと係合していることによって提供される触覚的なインディケーションに加えて、視覚的なインディケーションをユーザーに提供する。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、レバーアームは、突起を含み、カテーテルの細長いハウジング、または、随意的に、レバー部材のコネクターの近位端部は、保持エレメントを含み、前記保持エレメントは、突起と係合するように適合されており、レバー部材が、完全に前進させられた位置においてカテーテルデバイスを可逆的にロックするようになっている。
【0024】
第2の態様によれば、カテーテルに接続されるように適合されているレバー部材であって、前記レバー部材は、カテーテルの中へ挿入されたイントロデューサー針のグリッププレートと係合するように適合されているレバーアームと、カテーテルに除去可能に取り付けられるように適合されているコネクターとを含む、レバー部材が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、コネクターは、係合凹部をさらに含み、係合凹部は、カテーテルの近位端部の上の突出部と係合し、レバー部材をカテーテルに除去可能に接続するように適合されている。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、前記コネクターは、カテーテルの接続ポートと係合し、レバー部材をカテーテルに除去可能に接続するように適合されている。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、レバーアームは、突出している突起を含み、突起は、保持エレメントと係合するように適合されており、前記保持エレメントは、レバー部材のコネクターの上に配置されているか、または、カテーテルの近位端部の上に配置されている。
【0028】
第3の態様によれば、患者の中の血管の中にカテーテルを設置する際に使用するための、第1の態様によるカテーテルデバイスであって、設置することは、
i. カテーテルが設置されることとなる場所において、患者の皮膚に対してカテーテルデバイスを位置決めするステップ、および、皮下血管に向けて遠位運動によってカテーテルデバイスを前進させるステップと、
ii. 血液がイントロデューサー針のヘッドの中に出現し、血管が進入されたことを示すときに、遠位運動を停止させるステップと、
iii. イントロデューサー針を静止した状態に維持しながら、グリッププレートに向けてレバー部材を運動させるステップと、
iv. レバー部材をグリッププレートに押し付け、それによって、レバー部材が細長いハウジングに向けてグリッププレートに対抗して滑ることを引き起こし、第1のインジケーターが到達され、イントロデューサー針の斜角付き先端がフードされていることを示すまで、静止した状態に維持されているイントロデューサー針に対して、カテーテルが遠位に移動することをさらに引き起こすステップと、
v. カテーテルデバイスを血管の中へさらに運動させるステップと、
vi. イントロデューサー針を静止した状態に維持しながら、レバー部材をさらに運動させ、1つまたは随意的に2つ以上のステップで、カテーテルを血管の中へさらに遠位に前進させるステップと、
vii. レバー部材の使用によってイントロデューサー針に対してカテーテルが完全に前進したときに、取り付け部材によって患者の皮膚にカテーテルを取り付けるステップと、
viii. イントロデューサー針およびレバー部材をカテーテルデバイスから除去し、除去可能なプラグの使用によって、または、注入デバイスなどへの接続によって、カテーテルの近位開放端部をシールするステップと
を含む、カテーテルデバイスが提供される。
【0029】
また、本明細書では、患者の血管の中にカテーテルを設置するための方法であって、方法は、
i. カテーテルが設置されることとなる場所において、患者の皮膚に対して、カテーテルおよびイントロデューサー針を含むカテーテルデバイスを位置決めするステップ、ならびに、皮下血管に向けて遠位運動によってカテーテルデバイスを前進させるステップと、
ii. 血液がイントロデューサー針のヘッドの中に出現し、血管が進入されたことを示すときに、遠位運動を停止させるステップと、
iii. イントロデューサー針を患者に対して静止した状態に維持しながら、イントロデューサー針の上のグリッププレートに向けてレバー部材を運動させるステップと、
iv. レバー部材をグリッププレートに押し付け、それによって、レバー部材が細長いハウジングに向けてグリッププレートに対抗して滑ることを引き起こし、第1のインジケーターが到達され、イントロデューサー針の斜角付き先端がフードされていることを示すまで、静止した状態に維持されているイントロデューサー針に対して、カテーテルが遠位に移動することをさらに引き起こすステップと、
v. カテーテルデバイスを血管の中へさらに運動させるステップと、
vi. イントロデューサー針を静止した状態に維持しながら、レバー部材をさらに運動させ、1つまたは随意的に2つ以上のステップで、カテーテルを血管の中へさらに遠位に前進させるステップと、
vii. レバー部材の使用によってイントロデューサー針に対してカテーテルが完全に前進したときに、取り付け部材によって患者の皮膚にカテーテルを取り付けるステップと、
viii. イントロデューサー針およびレバー部材をカテーテルデバイスから除去し、除去可能なプラグの使用によって、または、注入デバイスなどへの接続によって、カテーテルの近位開放端部をシールするステップと
を含む、方法が提供される。
【0030】
本発明は、下記に与えられる詳細な説明から明らかになることとなる。詳細な説明および特定の例は、単なる図示目的のために、本発明の好適な実施形態を開示している。本発明の範囲内で変更および修正が行われ得るということを、当業者は、詳細な説明の中の指針から理解する。
【0031】
したがって、本明細書で開示されている発明は、説明されているデバイスの特定のコンポーネントパーツ、または、説明されている方法のステップに限定されないということが理解されるべきである。その理由は、そのようなデバイスおよび方法は変化することが可能であるからである。また、本明細書で使用されている専門用語は、特定の実施形態を説明するのみの目的のためのものであり、限定することを意図していないということが理解されるべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されているように、「a」、「an」、「the」、および「said」という冠詞は、文脈が明示的にそうでないことを指示していない限り、エレメントのうちの1つまたは複数が存在しているということを意味することが意図されているということが留意されるべきである。したがって、たとえば、「ユニット(a unit)」または「ユニット(the unit)」への言及は、いくつかのデバイスなどを含むことが可能である。そのうえ、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(contining)」という語句、および、同様の語句は、他のエレメントまたはステップを除外しない。
【0032】
定義
「ユーザー」という用語は、カテーテルの設置を実施することとなるか、または、患者に対して他の医療的な治療、準備、手術などを実施することとなる、介護者として解釈されるべきである。
【0033】
「遠位」という用語は、ユーザーから離れるような位置または場所を参照するものとして解釈されるべきである。「遠位に」という用語は、ユーザーから離れる方に導く運動を参照するものとして解釈されるべきである。
【0034】
「近位」という用語は、ユーザーの近くの位置または場所を参照するものとして解釈されるべきである。「近位に」という用語は、ユーザーに向けて導く運動を参照するものとして解釈されるべきである。
【0035】
「血管(vessel)」または「血管(blood vessel)」という用語は、患者の中の任意の血管として解釈されるべきである。それは、動脈または静脈に関係することが可能である。
【0036】
「斜角」という用語は、1つの角度として本明細書で議論されている。しかし、斜角付き針先端は、2つ以上の角度付き表面(たとえば、ベベルのヒールおよび2次的なベベルなど)を含むことが可能である。本開示の理解のために重要なことは、「ベベル長さ」という用語が、ベベル長さ全体を包含する(針先端のすべての斜角付き表面を含む)ということである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1a】本開示の実施形態によるカテーテルデバイスの中に含まれるパーツの斜視図である。
【
図1b】組み立てたときの
図1aに示されているようなカテーテルデバイスの断面図である。
【
図2a】本開示の実施形態による、レバー部材の機能を図示する、カテーテルデバイスの断面図である。
【
図2b】本開示の実施形態による、レバー部材の機能を図示する、カテーテルデバイスの断面図である。
【
図2c】本開示の実施形態による、レバー部材の機能を図示する、カテーテルデバイスの断面図である。
【
図3a】本開示の実施形態によるカテーテルデバイスの上面図である。レバー部材を備えたカテーテルを図示する図である。
【
図3b】本開示の実施形態によるカテーテルデバイスの上面図である。レバー部材を備えたカテーテル、および、カテーテルの中へ挿入されたイントロデューサー針を図示する図である。
【
図4a】本開示の実施形態による、カテーテルとレバー部材との間の保持構成体の断面図である。
【
図4b】本開示の実施形態による、カテーテルとレバー部材との間の保持構成体の断面図である。
【
図6】本開示の実施形態によるカテーテルデバイスの中に含まれるパーツの斜視図である。
【
図7a】本開示の実施形態による延長部分の機能を図示する、
図6の実施形態の斜視図である。
【
図7b】本開示の実施形態による延長部分の機能を図示する、
図6の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
上記の目的、ならびに、本発明の追加的な目的、特徴、および利点は、添付の図面に関連して解釈されるときに、本発明の例示的な実施形態の以下の例示目的のおよび非限定的な詳細な説明を参照することによって、より完全に認識されることとなる。
【0039】
本開示によるカテーテルデバイスは、軸線A-Aと、患者に面するように適合されている下側と、患者から離れる方に面するように適合されている、下側の反対側の上側とを有している。カテーテルデバイスは、カテーテルおよび皮下注射イントロデューサー針を含む。
【0040】
カテーテルは、軸線方向に細長いハウジングを含み、ハウジングは、カップリングメカニズムまたはプラグを受け入れるように適合されている近位開放端部を有している。近位端部は、たとえば、シリンジなどとの容易なフィッティングのために、カップリングメカニズムとしてメス型ルアーロックフィッティングを提供され得る。カップリングメカニズムを通して、カテーテルは、カテーテルと接続するために一般的な注入デバイスまたは任意の他の医療機器に連結され得る。ハウジングは、内部通路と、カテーテルの上側の上に配置されている内部オリフィスを備えた接続ポートとをさらに含む。接続ポートは、たとえば、カテーテルを介して患者の中へ灌流されている注入液体の中へ薬物または医薬品を注入するために使用され得る。ハウジングは、上記に開示されているプラグまたはカップリングメカニズムと係合してロックするために、近位開放端部の外側表面の上の突出部材をさらに含む。カテーテルは、カテーテルは、細長いハウジングに接続されている可撓性のカテーテルチューブをさらに含み、可撓性のカテーテルチューブは、遠位先端端部およびルーメンを含み、ルーメンは、ハウジングの内部通路に流体連通している。可撓性のカテーテルチューブは、血管の中に設置されているカテーテルの一部であり、それが挿入されている血管を損傷させないまたは穿刺しないようにするために、可撓性でなければならない。
【0041】
イントロデューサー針は、近位ヘッドと、遠位斜角付き先端を有する中空針と、延長部分とを含み、延長部分は、針をヘッドと接続している。延長部分は、針がカテーテルの中へ挿入されるときに、カテーテルの近位端部と係合するように適合されている。ヘッドは、中空針の内部に流体連通している軸線方向チャネルと、グリッププレートと、係合部材とを含み、グリッププレートは、ヘッドの上に配置されており、軸線方向に対して垂直の方向に延在しており、係合部材は、グリッププレートの上に配置されており、グリッププレートから遠位に突出している。
【0042】
カテーテルおよびイントロデューサー針は、皮下注射中空針は別として、典型的に、合成ポリマー材料によって製造されており、合成ポリマー材料は、透明または半透明になっている。典型的に、製造するための材料は、ポリウレタンまたはポリテトラフルオロエチレン(たとえば、FEPなど)であることが可能である。皮下注射中空針は、通常は、ステンレス鋼から製造されており、前記スチールは、随意的に、メッキされている。
【0043】
カテーテルおよび針は、針がカテーテルの中へ挿入されているときに、グリッププレートがカテーテルの上側に向けて方向付けられて接続ポートと整合されるように配置されている。そのうえ、カテーテルの近位端部の上の突出部材は、グリッププレートの上の係合部材と係合し、針がカテーテルに対して軸線A-Aの周りに回転することを防止するように適合されている。
【0044】
カテーテルデバイスは、レバー部材をさらに含み、レバー部材は、カテーテルに除去可能に取り付けられるように適合されており、イントロデューサー針に対して、後退させられた近位位置から、前進させられた遠位位置へ、カテーテルを軸線方向に運動させるようにさらに適合されている。後退させられた近位位置では、イントロデューサー針の斜角付き先端は、カテーテルチューブの遠位端部から突出している。前進させられた遠位位置では、イントロデューサー針の斜角付き先端は、カテーテルチューブによってフードされている。カテーテルデバイスは、インジケーターをさらに含み、少なくとも以下の前進させられた位置を示すことを特徴とし、a) カテーテルが、距離dだけ前進させられており、距離dは、針の斜角付き先端の長さに対応している、および、随意的に、b) カテーテルが、距離Dだけ前進させられており、距離Dは、針の斜角付き先端の長さよりも大きい長さに対応しており、たとえば、斜角付き先端の長さの2倍またはそれ以上の長さに対応している。デバイスは、本開示によるカテーテルデバイスの使用の間に示すのに有利な他の距離に相関する追加的なインジケーターを含むことが可能である。
【0045】
カテーテルデバイスは、最初に、従来のカテーテルデバイスと同じ様式で使用される。したがって、カテーテルデバイスは、患者の皮膚に対して位置決めされ、軸線A-Aを皮膚表面に対してほとんど平行に維持し、それは、わずかに傾斜されており、カテーテルの近位端部およびイントロデューサー針のヘッドが皮膚表面から小さい高さに維持されている間に、イントロデューサー針の遠位斜角付き先端が皮膚と接触した状態になるようになっている。その後に、カテーテルデバイスは、遠位に前進させられ、遠位斜角付き先端が皮膚を穿孔するようになっており、最終的に、ターゲット血管も穿孔するようになっている。ユーザーは、血管が遠位斜角付き先端によって穿孔されたことを知ることとなる。その理由は、血液がイントロデューサー針に進入することとなり、針のヘッドの軸線方向チャネルの中に出現することとなるからである。したがって、ユーザーは、透明のまたは半透明の材料を通して、針のヘッドの中に出現する血液を視覚的に観察することとなる。
【0046】
血液が軸線方向チャネルに進入すると、レバー部材は、第1のインジケーターまで運動させられ、それによって、カテーテルは、針に対して、後退させられた近位位置から、前進させられた遠位位置へ運動させられる。第1のインジケーター位置までレバー部材を運動させることは、カテーテルが針に対して距離dだけ前進させられたということを意味しており、ここで、距離dは、針の遠位斜角付き先端の長さに等しい。したがって、針の遠位斜角付き先端は、カテーテル先端端部によってフードされている。手順のこの時点において、針の斜角付き先端は、カテーテルの遠位先端端部から突出するように遠位に運動させられることができない。その理由は、これが、斜角付き先端がカテーテルチューブの小さいピースを切り裂くかまたは引き裂くことを引き起こす可能性があるからである。したがって、レバー部材によって第1のインジケーターに到達することは、また、カテーテルデバイスに関する復帰不能な点である。カテーテルの設置に関して何かが正しくないということが発見される場合には、カテーテルデバイス全体が廃棄されなければならない。レバー部材が血液または任意の他の体液と接触していないという条件の下で、場合によっては、レバー部材が、カテーテルデバイスから除去され、新しいカテーテルデバイスによって再使用され得る。
【0047】
上記に説明されているフーディングが実施された後に、カテーテルデバイスは、血管の中へ遠位にさらに運動させられる。その後に、レバー部材は、第2のインジケーターまでさらに運動させられ、それによって、カテーテルは、針に対して、第1の前進させられた遠位位置から第2の前進させられた遠位位置へ運動させられる。第2のインジケーターの位置へレバー部材を運動させることは、カテーテルが針に対して距離Dだけ前進させられたということを意味している。距離Dは、針の遠位斜角付き先端の長さを超える長さに等しく、たとえば、遠位斜角付き先端の長さの2倍(2x)またはそれ以上に等しい。したがって、このアクションは、イントロデューサー針の遠位斜角付き先端を越えて、カテーテルチューブが血管の中へ十分に挿入されることを保証することとなる。
【0048】
第1のステップにおいて、斜角付き先端が血管に部分的に(しかし、完全にではない)進入した場合、フーディングは、血管の中の斜角付き先端のポイントと同じ位置までカテーテルを進めることとなり、血管の中へのカテーテルデバイスのさらなる前進は、斜角付き先端がカテーテル先端から突出する状態で、反対側の血管を穿孔するリスクをもたらすことなく、カテーテル先端をさらに血管の中へ位置決めすることとなる。
【0049】
斜角付き先端の長さ(ひいては、距離dおよびD)は、使用されている針のゲージに依存する。高いゲージは、より小さい直径を有する針に対応しており、一方では、低いゲージは、より大きい直径を有する針に対応している。針の直径が大きいほど、斜角付き先端の長さは長くなる。また、斜角付き先端の長さは、針先端の斜角に依存することとなる。したがって、インジケーターは、使用されることが意図される針のゲージおよび斜角に適合されている。本技術分野における当業者は、それぞれのゲージおよび斜角に関して長さおよび距離を決定することができることとなり、結果的に、本開示にしたがって前記長さおよび距離が示されるように、インジケーターを設置することができることとなる。
【0050】
カテーテルの設置の間のすべてのハンドリングは、皮膚の穿孔から針の斜角付き先端のフーディングまで、本開示のデバイスを使用して片手で行われ得る。片手でカテーテルデバイスを保持している間に、レバー部材を引っ張ることは、ユーザーによる直感的なアクションを伴い、同じ手の1本の指によって行われ得る。
【0051】
したがって、ユーザーは、もう一方の手を使用し、患者の手足を保持し、前記皮膚を穿孔する前に皮膚を引き伸ばすことなどが可能である。
【0052】
本明細書で開示されているカテーテルデバイスは、斜角付き先端がフードされているときおよびオーバーフードされているときの明確なインディケーションをそれぞれ提供する。インディケーションは、視覚的および/または触覚的であることが可能である。したがって、カテーテルを設置するプロセスは、現在開示されているデバイスの使用によって盲目的に実施されることはもはやない。ユーザーは、第1のインジケーターがレバー部材によって到達されると、針の斜角付き先端がフードされることを常に確信することとなり、したがって、任意の組織をさらに穿孔するリスクが低減される。
【0053】
レバー部材は、レバーアームと、カテーテルと接続するためのコネクターとを含むことが可能である。レバーアームは、カテーテルがイントロデューサー針に対して遠位に運動させられるように、作動させられるように適合されなければならず、ここで、レバーアームの作動は、イントロデューサー針が任意の方向に運動させられることを引き起さないこととなる(遠位または近位のいずれにも運動させられない)。レバー部材にレバーアームを提供することは、レバーアームを近位に引っ張ってカテーテルを遠位に前進させる際に、ユーザーによる直感的な作動を可能にする。レバーアームは、好ましくは、L字状の形状または湾曲した形状を含む。
【0054】
レバー部材は、イントロデューサー針のグリッププレートと相互作用し、カテーテルを運動させ、遠位に前進させることが可能である。したがって、レバー部材(または、随意的に、レバーアーム)は、好ましくは、近位に運動させられ、グリッププレートと相互作用し、グリッププレートは、イントロデューサー針の上に、ならびに、レバー部材およびカテーテルの両方に対して近位位置に位置決めされている。したがって、グリッププレートは、抵抗を提供し、レバー部材に印加される入力の力が、それに対して方向付けられることとなる。これは、レバー部材カテーテルに取り付けられているかまたは接続されているポイントにおいて、レバー部材の出力の力がカテーテルに対して働かされることを引き起こし、グリッププレートから離れる方向に(すなわち、遠位に)カテーテルを運動させる。結果的に、レバー部材のレバー機能が強化される。
【0055】
上述のように、レバー部材は、コネクターを含むことが可能である。コネクターは、係合凹部をさらに含むことが可能であり、係合凹部は、カテーテルの近位端部の上の突出部と係合し、レバー部材をカテーテルに除去可能に接続するように適合されている。前記近位突出部への係合凹部の係合は、レバー部材が軸線A-Aの周りに回転することをさらに防止する。それによって、レバー部材および随意的にレバーアームが、カテーテルの接続スリーブと整合させられ、また、針のグリッププレートと整合させられることが保証される。したがって、レバー部材は、上記に開示されているように、グリッププレートと相互作用することが可能である。
【0056】
レバー部材は、代替的に、カテーテルの接続ポートに除去可能に取り付けられるように適合され得る。したがって、コネクターは、細長いハウジングに直接的に隣接して、接続ポートの外側周囲部を少なくとも部分的に包囲するかまたは囲むように適合されており、プラグが接続ポートの上にフィットさせられることができるようになることを妨げないようになっている。好ましくは、コネクターは、接続ポートを完全には包囲していないかまたは囲んでおらず、接続ポートがプラグによってフィットさせられているかどうかにかかわらず、より容易に接続ポートから除去可能になっている。レバー部材が接続ポートに除去可能に取り付けられると、接続ポートの上にフィットされているプラグが、レバー部材を適切な場所に維持するのに役立つことが可能である。しかし、これは、レバー部材の機能にとって本質的ではない。
【0057】
レバー部材は、カテーテルが適正に位置決めされると、針とともに容易に除去され得る。カテーテルの設置の間に、レバー部材がイントロデューサー針のグリッププレートに向けて運動させられるときに、レバー部材およびグリッププレートを同時に単純にグリップし、両方のアイテムがカテーテルを退出するまでそれらを近位に引っ張ることによって、カテーテルから両方を除去することが容易である。したがって、カテーテルからレバー部材を除去するために必要とされる余分なステップが存在しない。カテーテルの近位端部に除去可能に取り付けられているレバー部材、および、接続ポートに除去可能に取り付けられているレバー部材の両方が、それにしたがって除去され得る。
【0058】
針の延長部分の長さは、好ましくは、レバー部材がカテーテルを前進させることができる合計長さと少なくとも等しいかまたはそれよりも大きくなっていることが可能である。これは、カテーテルデバイスのハンドリングの間に、および、とりわけ、カテーテルが血管の中に適正に位置決めされると、イントロデューサー針の除去の間に、安定性を提供することとなる。したがって、カテーテルチューブが針の上を遠位に前進させられるときに、および、針がさらに近位に引っ張り戻されてカテーテルから除去されるときに、針は、軸線A-Aに対して垂直の方向にぐらつくかまたは移動するリスクがないこととなる。それによって、針の除去の間にカテーテルチューブを損傷させるリスクが最小化される。さらに、カテーテルを設置するユーザーによる針のハンドリングは、安定におよび確実にされる。
【0059】
インジケーターは、ストップ表面を含むことが可能である。ストップ表面は、グリッププレートの上に配置され得り、レバー部材が前記ストップ表面と係合することとなるようになっており、触覚的なインディケーションをユーザーに提供する。グリッププレートの上に配置されているストップ表面は、グリッププレートの遠位表面の上の中心A-A軸線から異なる距離に設置されている。第1のインジケーターストップ表面は、中心A-A軸線から第2のインジケーターストップ表面よりも長い距離に設置されることとなる。それによって、レバー部材は、グリッププレートに向けて運動させられているときに、第1のインジケーターストップ表面を最初に係合することとなる。レバー部材を近位にさらに運動させることは、レバー部材がカテーテルデバイスの中心A-A軸線に向けてグリッププレートに沿って滑ること、および、第2のインジケーターストップ表面と係合することを引き起こすこととなる。
【0060】
ストップ表面は、グリッププレートの上の配置されている溝部、突出部、または縁部を含むことが可能である。ストップ表面の特定の形状は、重要でない。ストップ表面は、グリッププレートの上の所定の場所に提供されており、ここで、本開示において説明されているようなカテーテルデバイスのハンドリングの間の前記場所は、カテーテルが少なくとも距離dおよび随意的に距離Dだけ前進させられていることに対応することとなる。
【0061】
レバーアームは、相互作用部材を含むことが可能であり、相互作用部材は、グリッププレートのストップ表面と相互作用するように適合されている。上記に開示されているように、レバーアームは、好ましくは、L字状の形状または湾曲した形状を有している。相互作用部材は、好ましくは、グリッププレートのストップ表面と係合するように適合されている、L字状の形状の外側角度、または、湾曲した形状の凸形表面、または、前記凸形表面の上の隆起部を含むことが可能である。しかし、レバー部材に関して本明細書で開示されているような機能を提供することとなるさらなる形状が可能であるということを当業者は認めることとなる。
【0062】
針の延長部分は、リブを提供され得り、リブは、軸線A-Aから半径方向に延長部分を取り囲んでいる。この実施形態では、カテーテルの近位端部、または、随意的に、レバー部材のコネクターは、ロッキングフランジを提供されており、ロッキングフランジは、カテーテルが針に対して遠位に運動させられるときに、針の延長部分の上のリブと係合するように適合されている。ロッキングフランジと係合するそれぞれのリブに関して、触覚的なインディケーションが、ユーザーに提供されている。追加的に、ロッキングフランジと係合するリブは、針がカテーテルの中へ運動させられて戻されることを防止することとなる。延長部分のこの実施形態は、本明細書で開示されている任意のレバー部材と組み合わせられ得る。
【0063】
針の斜角付き先端が、上記に開示されているように、カテーテル先端端部によってフードされると、延長部分の上のリブが、ロッキングフランジと係合し、それによって、カテーテルに対する針の任意の遠位運動を防止する。したがって、この段階では、単に針を遠位に押すことのみによって、カテーテルデバイス全体をさらに前進させることが可能である。リブとロッキングフランジとの係合に起因して、針を押すことによって、針がカテーテル先端端部から突出するリスクが存在しない。それによって、斜角付き先端がカテーテル先端端部の一部を切り裂くリスクは、ほとんど存在しないかまたは全く存在しない。代替的にまたは追加的に、インジケーターは、針の延長部分の上に配置され得る。したがって針の延長部分は、リブを提供され得り、リブは、上記に開示されているように、軸線A-Aから半径方向に延長部分を取り囲んでおり、前記リブは、カテーテルチューブの遠位端部に対する針の斜角付き先端の位置を示すようにマークされ得る。したがって、インジケーターは、リブのマーキングを含み、マーキングは、カテーテルが特定の距離だけ前進させられているということに対応することとなり、それぞれのリブがロッキングフランジの上を引っ張られてロッキングフランジと係合していることによって提供される触覚的なインディケーションに加えて、視覚的なインディケーションをユーザーに提供する。リブのマーキングは、特定のリブの記号、文字、数字、または色を含むことが可能である。したがって、ロッキングフランジと係合すると、カテーテルが距離dだけ遠位に運動させられることを結果として生じさせることとなるリブ、および、ロッキングフランジと係合すると、カテーテルが距離Dだけ遠位に運動させられることを結果として生じさせることとなるリブが、マークされ得る。マーキングは、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。イントロデューサー針の上で最も近位に位置付けされ、グリッププレートの最も近くに位置付けされている第1のマーキングは、距離dを示すこととなり、より遠位に位置付けされ、グリッププレートから最も遠くに位置付けされている任意のさらなるマーキングは、1つまたは複数の距離Dを示すこととなる。
【0064】
針の延長部分は、上記の実施形態のいずれかによるリブを提供されており、延長部分全体の一方の側に沿って面取りされた表面をさらに含むことが可能であり、延長部分の断面U字形状をもたらす。それによって、針の回転は、カテーテルの中への針の再進入を可能にすることとなる。その理由は、延長部分の平坦な面取りされた表面が、ロッキングフランジと係合しないこととなるからである。したがって、針は、カテーテルの中へ再前進させられ得る。これは、イントロデューサー針が事故的にカテーテルから除去される場合に有用である可能性がある。しかし、より重要なことには、これは、カテーテルデバイスの組み立て時に、カテーテルの中へイントロデューサー針を導入することができるようにするために極めて重要である。しかし、本開示において上記に与えられている理由のために、カテーテルデバイスがすでに患者の中へ挿入されている場合には、カテーテルの中へ針を再挿入するための針の回転は決して行われてはならない。
【0065】
レバーアームは、突起を含むことが可能であり、カテーテルの細長いハウジング、または、随意的に、レバー部材のコネクターの近位端部は、保持エレメントを含むことが可能である。前記保持エレメントは、突起と係合するように適合されており、レバー部材が、完全に前進させられた位置においてカテーテルデバイスを可逆的にロックするようになっている。同じ機能を保ちながら、本明細書で開示されているような突起および保持エレメント以外の特徴を備えたこのロッキング配置を設計することが実行可能である。したがって、カテーテルに接続されるように適合されているレバー部材が、本明細書で開示されており、前記レバー部材は、カテーテルの中へ挿入されたイントロデューサー針のグリッププレートと係合するように適合されているレバーアームと、カテーテルに除去可能に取り付けられるように適合されているコネクターとを含む、レバー部材が提供される。前記レバー部材は、レバー部材に関して上記に開示されている特徴のうちのすべてまたはいくつかを示すことが可能である。したがって、コネクターは、係合凹部をさらに含むことが可能であり、係合凹部は、カテーテルの近位端部の上の突出部と係合するように適合されており、上記に開示されているようにレバー部材をカテーテルに除去可能に接続するようになっている。代替的に、前記コネクターは、カテーテルの接続ポートと係合するように適合され得り、上記に開示されているようにレバー部材をカテーテルに除去可能に接続するようになっている。レバーアームは、突出している突起を含むことが可能であり、突起は、保持エレメントと係合するように適合されており、前記保持エレメントは、レバー部材のコネクターの上に配置されているか、または、カテーテルの近位端部の上に配置されている。
【0066】
レバー部材は、ユーザーがレバー部材をカテーテルデバイスに接続するために、個別に提供され得り、または、カテーテルデバイスは、その製造時に、レバー部材を提供され得る。
【0067】
本開示によるレバー部材および/またはカテーテルデバイスの製造および梱包は、ヘルスケアシステムの中で使用するための規制規則およびガイドラインに従っているべきである。ヘルスケアの中で使用されることを意図し、患者および/または体液と接触することを意図する任意のデバイスは、そのような規制規則およびガイドラインに従わなければならない。
【0068】
本開示によれば、患者の中の血管の中にカテーテルを設置する際に使用するための、上記によるカテーテルデバイスであって、設置することは、
i. カテーテルが設置されることとなる場所において、患者の皮膚に対してカテーテルデバイスを位置決めするステップ、および、皮下血管に向けて遠位運動によってカテーテルデバイスを前進させるステップと、
ii. 血液がイントロデューサー針のヘッドの中に出現し、血管が進入されたことを示すときに、遠位運動を停止させるステップと、
iii. イントロデューサー針を患者に対して静止した状態に維持しながら、グリッププレートに向けてレバー部材を運動させるステップと、
iv. レバー部材をグリッププレートに押し付け、それによって、レバー部材がグリッププレートに対抗して下向きに滑ることを引き起こし、第1のインジケーターが到達され、イントロデューサー針の斜角付き先端がフードされていることを示すまで、静止した状態に維持されているイントロデューサー針に対して、カテーテルがさらに遠位に移動することを引き起こすステップと、
v. カテーテルデバイスを血管の中へさらに運動させるステップと、
vi. イントロデューサー針を静止した状態に維持しながら、レバー部材をさらに運動させ、1つまたは随意的に2つ以上のステップで、カテーテルを血管の中へさらに遠位に前進させるステップと、
vii. レバー部材の使用によってイントロデューサー針に対してカテーテルが完全に前進したときに、患者の皮膚にカテーテルを取り付けるステップと、
viii. イントロデューサー針およびレバー部材をカテーテルデバイスから除去し、除去可能なプラグの使用によって、または、注入デバイスなどへの接続によって、カテーテルの近位開放端部をシールするステップと
を含む、カテーテルデバイスが提供される。
【0069】
また、本明細書では、患者の血管の中にカテーテルを設置するための方法であって、方法は、
i. カテーテルが設置されることとなる場所において、患者の皮膚に対して、本開示によるカテーテルデバイスを位置決めするステップ、ならびに、皮下血管に向けて遠位運動によってカテーテルデバイスを前進させるステップと、
ii. 血液がイントロデューサー針のヘッドの中に出現し、血管が進入されたことを示すときに、遠位運動を停止させるステップと、
iii. イントロデューサー針を患者に対して静止した状態に維持しながら、イントロデューサー針のグリッププレートに向けてレバー部材を運動させるステップと、
iv. レバー部材をグリッププレートに押し付け、それによって、レバー部材がグリッププレートに対抗して下向きに滑ることを引き起こし、第1のインジケーターが到達され、イントロデューサー針の斜角付き先端がフードされていることを示すまで、静止した状態に維持されているイントロデューサー針に対して、カテーテルがさらに遠位に移動することを引き起こすステップと、
v. カテーテルデバイスを血管の中へさらに運動させるステップと、
vi. イントロデューサー針を静止した状態に維持しながら、レバー部材をさらに運動させ、1つまたは随意的に2つ以上のステップで、カテーテルを血管の中へさらに遠位に前進させるステップと、
vii. レバー部材の使用によってイントロデューサー針に対してカテーテルが完全に前進したときに、患者の皮膚にカテーテルを取り付けるステップと、
viii. イントロデューサー針およびレバー部材をカテーテルデバイスから除去し、除去可能なプラグの使用によって、または、注入デバイスなどへの接続によって、カテーテルの近位開放端部をシールするステップと
を含む、方法が提供される。
【0070】
患者の皮膚へのカテーテルの取り付けは、好ましくは、取り付け部材を皮膚に取り付けることによって行われる。取り付け部材は、たとえば、カテーテルの下側に配置されているウィングのような構造体であることが可能である。
【0071】
ここで、本発明は、添付の図面を参照して説明されることとなり、図面には、本発明の好適な例示的な実施形態が示されている。しかし、本発明は、他の形態で具現化され得り、本明細書で開示されている実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。開示されている実施形態は、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供されている。
【0072】
ストップ表面および相互作用部材に関する配置および設計は、レバー部材のコネクターが細長いハウジングの近位端部に取り付けられている実施形態に関してほとんど示されているが、それは、それらの図面に限定されない。コネクターが接続ポートに取り付けられている実施形態と組み合わせることも可能である。
【0073】
図1aおよび
図1bは、カテーテルデバイス1の1つの実施形態を示しており、それは、中心軸線A-Aと、患者に面するように適合されている下側(L)と、患者から離れる方に面するように適合されている、下側(L)の反対側の上側(U)とを有しており、カテーテルデバイス1は、カテーテル2および皮下注射イントロデューサー針3を含む。カテーテル2は、軸線方向に細長いハウジング4を含み、ハウジング4は、カップリングメカニズムまたはプラグを受け入れるように適合されている近位開放端部5を有している。ハウジング4は、内部通路6と、カテーテルの上側の上に配置されている内部オリフィス8を備えた接続ポート7とをさらに含み、前記オリフィス8は、逆止弁9によって内部通路6と接続している。プラグ10が、接続ポート7の上にフィットさせられ得る。突出部材15が、近位開放端部5の外側表面の上に配置されている。カテーテル2は、細長いハウジング4に接続されている可撓性のカテーテルチューブ12をさらに含み、可撓性のカテーテルチューブ12は、遠位先端端部13およびルーメン14を含み、ルーメン14は、ハウジング4の内部通路6に流体連通している。本実施形態では、カテーテル2は、カテーテル2を患者の皮膚に取り付けるための取り付け部材11をさらに含む。イントロデューサー針3は、近位ヘッド16と、遠位斜角付き先端18を有する中空針17と、延長部分19とを含み、延長部分19は、針17をヘッド16と接続しており、針3がカテーテル2の中へ挿入されるときに、カテーテル2の近位端部5および細長いハウジング4と係合するように適合されている。ヘッド16は、中空針17の内部に流体連通している軸線方向チャネル20と、カテーテルデバイス1の軸線方向に対して垂直の方向に延在している、ヘッド16の上に配置されているグリッププレート21と、グリッププレート21の上に配置されており、グリッププレート21から遠位に突出している係合部材22とを含む。カテーテル2および針3は、針3がカテーテル2の中へ挿入されているときに、グリッププレート21がカテーテル2の上側に向けて方向付けられて接続ポート7と整合されるように配置されている。カテーテル2の近位端部5の上の突出部材15は、典型的に、グリッププレート21の上の係合部材22と係合し、針3がカテーテル2に対して軸線A-Aの周りに回転することを防止するように適合されている。
【0074】
カテーテルデバイス1は、レバー部材23をさらに含み、レバー部材23は、カテーテル2に除去可能に取り付けられるように適合されており、イントロデューサー針3に対して、後退させられた近位位置から、前進させられた遠位位置へ、カテーテル2を軸線方向に運動させるようにさらに適合されている。レバー部材23は、レバーアーム24と、カテーテル2と接続するためのコネクター25とを含む。
図1bに示されているように、レバー部材23は、イントロデューサー針3のグリッププレート21と相互作用し、カテーテル2を遠位に前進するように運動させる。コネクター25は、係合凹部26をさらに含み、係合凹部26は、カテーテル2の近位端部5の上の突出部15と係合し、レバー部材23をカテーテル2に除去可能に接続するように適合されている。そのうえ、コネクター25は、ロッキング突出部材28を含み、ロッキング突出部材28は、前記コネクターの上に近位に配置されており、イントロデューサー針の上の係合部材22と係合するように適合されている。したがって、カテーテル2の上の突出部材15は、コネクター25の係合凹部26と係合し、コネクター25のロッキング突出部材28は、針3のグリッププレート21の上の係合部材22と係合する。この配置は、カテーテルデバイス1の中に含まれるすべてのメインユニット(すなわち、カテーテル2、イントロデューサー針3、およびレバー部材23)が、前記ユニットのいずれかが互いに対してA-A軸線の周りに回転することとならないようにロックされることとなることを保証することとなる。
【0075】
図2a~
図2cは、レバー部材の機能をさらに図示している。
図2aにおいて、カテーテル2は、後退させられた近位位置にあり、そこでは、イントロデューサー針3の斜角付き先端18が、カテーテルチューブ12の遠位端部13から長さdだけ突出している。
図2bにおいて、レバー部材23は、グリッププレート21の上の第1のインジケーターストップ表面35へ、
図2aの中の矢印Bによって示されているように運動させられており、カテーテルチューブ12による斜角付き先端18のフーディングに対応する第1の前進させられた遠位位置をもたらす。したがって、カテーテルチューブ12は、イントロデューサー針に対して距離dだけ前進させられている。
図2cにおいて、レバー部材23は、グリッププレート21に沿って完全に運動させられており、完全に前進させられた遠位位置をもたらし、そこでは、カテーテルチューブ14が、イントロデューサー針3に対して距離Dだけ前進させられている。
【0076】
図2cは、実施形態をさらに図示しており、そこでは、針3の延長部分19の長さは、完全に前進させられたときにレバー部材23がカテーテル2を前進させることとなる合計長さDと少なくとも等しいかまたはそれよりも大きくなっている。
【0077】
図3aは、実施形態を図示しており、そこでは、レバー部材23は、カテーテル2の細長いハウジング4の上に配置されている接続ポート7に除去可能に取り付けられている。
図3bは、イントロデューサー針3を含む同じ実施形態を図示しており、そこでは、プラグ10が、接続ポート7の上に位置決めされており、レバー部材23は、針3のグリッププレート21に向けて完全に運動させられている。したがって、イントロデューサー針3のヘッド16は、カテーテル2が針3に対して完全に前進させられているので、カテーテル2の近位に見ることができ、斜角付き先端(図示せず)がカテーテルチューブ12によってオーバーフードされるようになっている。
【0078】
図4aは、実施形態を図示しており、そこでは、レバー部材23のレバーアーム24が、突起33を含み、レバー部材23のコネクター25の近位端部は、保持エレメント34を含む。保持エレメント34は、
図4bに示されているように、突起33と係合するように適合されており、レバー部材23が、カテーテルが完全に前進させられた位置において可逆的にロックされ得るようになっている。保持エレメントは、カテーテル2の細長いハウジング4の上に配置され得る。これは、レバー部材23が接続ポートに接続されているときに好適である。
図5a~
図5fは、レバー部材23の異なる非限定的な実施形態を図示しており、レバーアーム24、相互作用部材27、グリッププレート21、およびストップ表面35に関する異なるバージョンを含む。
【0079】
図5aおよび
図5bは、カテーテルデバイスの実施形態を図示しており、そこでは、レバーアーム24が、湾曲した形状を有しており、レバーアーム24の凸形表面が、グリッププレート21の上の縁部の形状のストップ表面35と係合している。
【0080】
図5cは、実施形態を図示しており、そこでは、レバーアーム24が、L字状の形状を有しており、L字状の形状の外側角度が、相互作用部材27として作用し、グリッププレート21の中の溝部の形状のストップ表面35と係合している。
【0081】
図5dは、実施形態を図示しており、そこでは、レバーアーム24が、湾曲した形状を有しており、凸形表面が、隆起部の形状の相互作用部材27を提供されている。前記隆起部は、グリッププレート21の中の溝部の形状のストップ表面35と係合している。
【0082】
図5eは、実施形態を図示しており、そこでは、レバーアーム24が、L字状の形状を有しており、L字状の形状の外側角度が、相互作用部材27として作用する。この実施形態では、グリッププレート21は、ストップ表面を含まない。そのような実施形態は、グリッププレート21の上に視覚的なインジケーター(図示せず)を提供され得り、ならびに/または、代替的に、延長部分19の上に視覚的なおよび/もしくは触覚的なインジケーター(図示せず)を提供され得る。
【0083】
図5fは、実施形態を図示しており、レバーアーム24が、L字状の形状を有しており、L字状の形状の外側角度が、相互作用部材27として作用する。この実施形態では、グリッププレート21は、
図5a~
図5bに示されている実施形態と比較して反対方向に配置されている縁部の形状のストップ表面35を提供されている。
【0084】
図6は、本開示によるカテーテルデバイス1の別の実施形態を図示している。多くの特徴は、
図1aの中のものと同一であり、それらの特徴への参照は、
図6においても同じである。針3の延長部分29は、リブ30を提供されており、リブ30は、軸線A-A(図示せず)から半径方向に延長部分29を取り囲んでおり、レバー部材23のコネクター25の近位端部は、ロッキングフランジ32を提供されており、ロッキングフランジ32は、カテーテル2が針3に対して遠位に運動させられるときに、針3の延長部分29の上のリブ30と係合するように適合されている。
【0085】
図7aおよび
図7bは、延長部分29の機能をさらに図示している。針3の延長部分29は、延長部分29全体の一方の側に沿って面取りされた表面31を含み、延長部分29の断面U字形状をもたらす。
図7aの中の矢印Bによって示されているようにレバーアーム24を低下させることによって、カテーテル2は、イントロデューサー針3に対して方向Cに遠位に運動させられる。リブ30(図示せず)は、ロッキングフランジ32と係合することとなり、針3がカテーテル2の中へ遠位に再挿入されることを防止するようになっている。
図7bの中の矢印Dによって示されているように針3を回転させることによって、面取りされた表面31は、ロッキングフランジ32と整合され、それによって、矢印Fによって示されているように、針3をカテーテルの中へ再挿入することが可能であり、または、矢印Eによって示されているように、カテーテル2を近位に引っ張ることによって、カテーテル2を再位置決めすることが可能である。ロッキングフランジ32および面取りされた表面31の正確な位置決めは、グリッププレートが上側を向いており、前記上側の上の接続ポートと整合されているときに(すなわち、患者の中へのカテーテルの挿入のためのカテーテルデバイス針の配置)、それらが整合されていない限り、重要なものではない。
【0086】
当業者は、上記に説明されている好適な実施形態に本発明が限定されないということを認識する。当業者は、修正例および変形例が添付の特許請求の範囲の中で可能であるということをさらに認識する。たとえば、レバーアーム、ストップ表面、または相互作用部材の正確な形状は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく変化することが可能である。追加的に、開示されている実施形態に対する変形例は、図面、本開示、および、添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求されている発明を実践する当業者によって理解および実現され得る。
【国際調査報告】