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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】血管内カテーテルデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518695
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2020078365
(87)【国際公開番号】W WO2021078536
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】1951198-9
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522113165
【氏名又は名称】アネスティージー アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソン、オーヴェ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA14
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267CC08
4C267HH22
(57)【要約】
本開示は、カテーテル(2)および皮下注射イントロデューサー針(3)を含むカテーテルデバイス(1)に関し、皮下注射イントロデューサー針(3)の延長部分(19)は、前記延長部分を取り囲むリブ(23、23a)を提供されており、カテーテル(2)の近位端部(5)は、ロッキングフランジ(25)を提供されており、ロッキングフランジ(25)は、リブ(23、23a)と係合するように適合されており、ロッキングフランジ(25)と係合しているそれぞれのリブが、針(3)に対するカテーテル(2)の前進の触覚的なインディケーションをユーザーに提供することとなるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルデバイス(1)であって、前記カテーテルデバイス(1)は、軸線A-Aと、患者に面するように適合されている下側(L)と、前記患者から離れる方に面するように適合されている、前記下側(L)の反対側の上側(U)とを有しており、前記カテーテルデバイス(1)は、カテーテル(2)および皮下注射イントロデューサー針(3)を含み、
前記カテーテル(2)は、軸線方向に細長いハウジング(4)を含み、前記ハウジング(4)は、カップリングメカニズムまたはプラグを受け入れるように適合されている近位開放端部(5)を有しており、前記ハウジング(4)は、内部通路(6)と、前記カテーテル(2)の前記上側の上に配置されている内部オリフィス(8)を備えた接続ポート(7)と、前記近位開放端部(5)の前記外側表面の上の突出部材(15)とをさらに含み、前記カテーテル(2)は、前記細長いハウジング(4)に接続されている可撓性のカテーテルチューブ(12)をさらに含み、前記可撓性のカテーテルチューブ(12)は、遠位先端端部(13)およびルーメン(14)を含み、前記ルーメン(14)は、前記ハウジング(4)の前記内部通路(6)に流体連通しており、
前記イントロデューサー針(3)は、近位ヘッド(16)と、遠位斜角付き先端(18)を有する中空針(17)と、延長部分(19)とを含み、延長部分(19)は、前記針(17)を前記ヘッド(16)と接続しており、前記針(3)が前記カテーテル(2)の中へ挿入されるときに、前記カテーテル(2)の前記近位端部(5)と係合するように適合されており、前記ヘッド(16)は、前記中空針(17)の前記内部に流体連通している軸線方向チャネル(20)と、グリッププレート(21)と、係合部材(22)とを含み、前記グリッププレート(21)は、前記ヘッド(16)の上に配置されており、前記軸線方向に対して垂直の方向に延在しており、前記係合部材(22)は、前記グリッププレート(21)の上に配置されており、前記グリッププレート(21)から遠位に突出しており、
前記カテーテル(2)および針(3)は、前記針(3)が前記カテーテル(2)の中へ挿入されているときに、前記グリッププレート(21)が前記カテーテル(2)の前記上側(U)に向けて方向付けられて前記接続ポート(7)と整合されるように配置されており、前記カテーテル(2)の前記近位端部(5)の上の前記突出部材(15)は、前記グリッププレート(21)の上の前記係合部材(22)と係合し、前記針(3)が前記カテーテル(2)に対して前記軸線A-Aの周りに回転することを防止するように適合されている、カテーテルデバイス(1)において、
前記針(3)の前記延長部分(19)は、リブ(23、23a)を提供されており、前記リブ(23、23a)は、前記軸線A-Aから半径方向に前記延長部分(19)を取り囲んでおり、前記カテーテル(2)の前記近位端部(5)は、ロッキングフランジ(25)を提供されており、前記ロッキングフランジ(25)は、前記針(3)に対する前記カテーテル(2)の遠位運動のときに、前記針(3)の前記延長部分(19)の上の前記リブ(23、23a)と係合するように適合されていることを特徴とする、カテーテルデバイス(1)。
【請求項2】
前記針(3)の前記延長部分(19)は、前記延長部分(19)全体の一方の側に沿って面取りされた表面(24)を含み、前記延長部分(19)の断面U字形状をもたらす、請求項1に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項3】
前記リブ(23、23a)は、前記カテーテルチューブ(12)の前記遠位端部(13)に対する前記針(3)の前記斜角付き先端(18)の位置を示すために、インジケーターを提供されている、請求項1または2に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項4】
前記インジケーターは、リブ(23、23a)のマーキングを含み、前記マーキングは、前記カテーテル(2)が特定の距離だけ前進させられているということに対応することとなり、それぞれのリブ(23、23a)が前記ロッキングフランジ(25)の上を引っ張られて前記ロッキングフランジ(25)と係合していることによって提供される触覚的なインディケーションに加えて、視覚的なインディケーションを前記ユーザーに提供する、請求項1から3のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)。
【請求項5】
前記リブ(23、23a)は、インジケーターを含み、少なくとも以下の前進させられた位置を示し、
a) 前記カテーテル(2)が、距離dだけ前進させられており、前記距離dは、前記針(3)の前記斜角付き先端(18)の長さに対応している、および、
b) 前記カテーテル(2)が、距離Dだけ前進させられており、前記距離Dは、前記針(3)の前記斜角付き先端(18)の長さよりも大きい長さに対応しており、たとえば、前記斜角付き先端(18)の前記長さの2倍またはそれ以上の長さに対応している、請求項1から4のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルおよび皮下注射イントロデューサー針を含むカテーテルデバイスに関する。より具体的には、本開示は、請求項1の導入部に定義されているような、カテーテルおよび皮下注射イントロデューサー針を含むカテーテルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内カテーテルデバイスは、当技術分野において知られており、静脈などのような皮下血管の中へのアクセスを提供し、薬剤、薬物、化学療法、栄養、および/または、任意の他の流体を被検者の中へ導入するために一般に使用されている。SE355946は、依然として幅広く使用されている基本的なタイプの注入カニューレアッセンブリを開示している。カテーテルは、通常は、血管の中にフィットさせられるように、可撓性のまたは半可撓性になっている。可撓性のまたは半可撓性のカテーテルは、被検者の皮膚を穿孔することができないので、イントロデューサー針が、カテーテルのルーメンの中へ挿入され、針の斜角付き先端が、カテーテルの遠位先端端部を越えて露出されるようになっている。皮膚を通してターゲットにされた血管の中へ針の斜角付き先端を挿入することによって、患者の血管系がアクセスされる。針による血管の中への挿入は、針ヘッドの中のチャンバーの中の血液の出現によって示される。針の斜角付き先端が血管の中へ挿入され、血液がチャンバーの中に出現するようになると、カテーテルおよび針は、カテーテルの所望の位置が実現されるまで、血管の中へ遠位に前進させられる。カテーテルが適正に位置決めされると、針をカテーテルから近位に引っ張ることによって針が除去され、その後に、針が廃棄される。
【0003】
カテーテルを挿入するときの1つの共通の問題は、血液がチャンバーの中に出現し、針およびカテーテルが遠位にさらに前進させられると、さらに血管を穿刺し、それによって、反対側の血管壁部を通って血管から退出するリスクが存在するということである。これは、カテーテルが適正に設置されないということをもたらすこととなる。しかし、これは、検出することが困難である可能性があり、発見される前に患者に不快感を与えることが多い。検出されると、不適正に位置決めされたカテーテルは廃棄されなければならず、新しいカテーテルデバイスを用いて手順全体が繰り返されなければならず、それは、患者に大きな不快感および追加的な痛みをもたらし、同様に、医療用材料の浪費に起因する経済的な悪影響をもたらす。
【0004】
上述の問題を回避するための1つの一般的な実務は、血管がアクセスされたときに針を「フード(hood)」することである。「フーディング(hooding)」は、針の静止位置を維持しながら、同時に、部分的に挿入されたカテーテルを遠位に運動させることを必要とし、斜角付き針先端がカテーテルの内側ルーメンの中へ引き込まれるようになっている。斜角付き針先端がフードされると、カテーテルデバイスは、静脈の中へ所望の位置へと遠位に前進させられる。
【0005】
この技法に伴う1つの問題は、血液が針チャンバーの中に出現するには十分に、斜角付き針先端が血管を穿刺したが、完全には血管に進入していない場合である。次いで、フーディングは、カテーテルが血管の外部に沿ってスライドすることをもたらす可能性がある。結果的に、カテーテルは、血管の中に適正に設置されない。これは、手順を繰り返す必要性をもたらすこととなり、上記に述べられているような同じ結果を有する。
【0006】
そのうえ、ユーザーが針の皮下の位置または血管の中のカテーテルを見ることができないので、フーディングは盲目的に実施される。したがって、斜角付き針先端は、オーバーフードまたはアンダーフードされる可能性がある。アンダーフーディングは、斜角付き針先端の一部分が依然としてカテーテルの先端を越えて露出されていることを意味しており、上述のように、さらに血管を穿刺するリスクがある。オーバーフーディングは、斜角付き針先端がカテーテルのルーメンの中へ近位に引き込まれ過ぎていることを意味しており、カテーテルの可撓性のまたは半可撓性の先端が針によって支持されていない状態にする。次いで、カテーテルの支持されていない部分は、血管の中へ前進させられている間に、曲げられるか、傷付けられるか、または、その他の方法で妨害されるリスクがある可能性がある。これは、ルーメンを通した流体および/または薬剤の不十分な投与をもたらす可能性がある。
【0007】
斜角付き針先端がフードされて所定の皮下の位置になると、斜角付き針先端は、斜角付き針先端がカテーテル先端端部の遠位に突出する露出位置へと遠位に押し戻されることができない。その理由は、これが、斜角付き針先端がカテーテル先端端部の一部を切り裂くまたは引き裂くことを引き起こす可能性があるからである。したがって、斜角付き針先端をフードした後に、カテーテルが適正に位置決めされていないということを発見するときには、不適正に位置決めされたカテーテルは廃棄されなければならず、新しいカテーテルデバイスを用いて手順全体が繰り返されなければならず、それは、患者に大きな不快感および追加的な痛みをもたらし、同様に、医療用材料の浪費に起因する経済的な悪影響をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先行技術における上記に特定されている欠陥および不利益のうちの1つまたは複数を緩和するか、軽減するか、または排除し、少なくとも上述の問題を解決することである。本発明者は、静脈内カテーテルを挿入するときに起こる可能性のある上記に列挙されたすべての問題に気付いた。とりわけ、未経験のユーザーは、不適正に位置決めされたカテーテルを高い頻度で使用する可能性がある。したがって、本発明者は、上記の問題が回避されるように、ユーザーをガイドし、カテーテルの挿入プロセスを制御することができる、静脈内カテーテルデバイスを開発するという目的を特定した。本発明者の別の目的は、使用しやすく、今日のものと比較して実務を実質的に変更しない、静脈内カテーテルデバイスを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、カテーテルデバイスであって、カテーテルデバイスは、軸線A-Aと、患者に面するように適合されている下側と、患者から離れる方に面するように適合されている、下側の反対側の上側とを有しており、カテーテルデバイスは、カテーテルおよび皮下注射イントロデューサー針を含み、
カテーテルは、軸線方向に細長いハウジングを含み、ハウジングは、カップリングメカニズムまたはプラグを受け入れるように適合されている近位開放端部を有しており、ハウジングは、内部通路と、カテーテルの上側の上に配置されている内部オリフィスを備えた接続ポートと、近位開放端部の外側表面の上の突出部材とをさらに含み、カテーテルは、細長いハウジングに接続されている可撓性のカテーテルチューブをさらに含み、可撓性のカテーテルチューブは、遠位先端端部およびルーメンを含み、ルーメンは、ハウジングの内部通路に流体連通しており、
イントロデューサー針は、近位ヘッドと、遠位斜角付き先端を有する中空針と、延長部分とを含み、延長部分は、針をヘッドと接続しており、針がカテーテルの中へ挿入されるときに、カテーテルの近位端部と係合するように適合されており、ヘッドは、中空針の内部に流体連通している軸線方向チャネルと、グリッププレートと、係合部材とを含み、グリッププレートは、ヘッドの上に配置されており、軸線方向に対して垂直の方向に延在しており、係合部材は、グリッププレートの上に配置されており、グリッププレートから遠位に突出しており、
カテーテルおよび針は、針がカテーテルの中へ挿入されているときに、グリッププレートがカテーテルの上側に向けて方向付けられて接続ポートと整合されるように配置されており、カテーテルの近位端部の上の突出部材は、グリッププレートの上の係合部材と係合し、針がカテーテルに対して軸線A-Aの周りに回転することを防止するように適合されており、
針の延長部分は、リブを提供されており、リブは、軸線A-Aから半径方向に延長部分を取り囲んでおり、カテーテルの近位端部は、ロッキングフランジを提供されており、ロッキングフランジは、カテーテルが針に対して遠位に運動させられるときに、針の延長部分の上のリブと係合するように適合されている。
【0010】
1つの実施形態によれば、針の延長部分は、延長部分全体の一方の側に沿って面取りされた表面を含み、延長部分の断面U字形状をもたらす。
【0011】
1つの実施形態によれば、リブは、カテーテルチューブの遠位端部に対する針の斜角付き先端の位置を示すために、インジケーターを提供されている。
【0012】
1つの実施形態によれば、インジケーターは、リブのマーキングを含み、マーキングは、カテーテルが特定の距離だけ前進させられているということに対応することとなり、それぞれのリブがロッキングフランジの上を引っ張られてロッキングフランジと係合していることによって提供される触覚的なインディケーションに加えて、視覚的なインディケーションをユーザーに提供する。
【0013】
1つの実施形態によれば、リブは、インジケーターを含み、少なくとも以下の前進させられた位置を示し、
a) カテーテルが、距離dだけ前進させられており、前記距離dは、針の斜角付き先端の長さに対応している、および、
b) カテーテルが、距離Dだけ前進させられており、前記距離Dは、針の斜角付き先端の長さよりも大きい長さに対応しており、たとえば、斜角付き先端の長さの2倍またはそれ以上の長さに対応している。
【0014】
本発明は、下記に与えられる詳細な説明から明らかになることとなる。詳細な説明および特定の例は、単なる図示目的のために、本発明の好適な実施形態を開示している。本発明の範囲内で変更および修正が行われ得るということを、当業者は、詳細な説明の中の指針から理解する。
【0015】
したがって、本明細書で開示されている発明は、説明されているデバイスの特定のコンポーネントパーツ、または、説明されている方法のステップに限定されないということが理解されるべきである。その理由は、そのようなデバイスおよび方法は変化することが可能であるからである。また、本明細書で使用されている専門用語は、特定の実施形態を説明するのみの目的のためのものであり、限定することを意図していないということが理解されるべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されているように、「a」、「an」、「the」、および「said」という冠詞は、文脈が明示的にそうでないことを指示していない限り、エレメントのうちの1つまたは複数が存在しているということを意味することが意図されているということが留意されるべきである。したがって、たとえば、「ユニット(a unit)」または「ユニット(the unit)」への言及は、いくつかのデバイスなどを含むことが可能である。そのうえ、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(contining)」という語句、および、同様の語句は、他のエレメントまたはステップを除外しない。
【0016】
定義
「ユーザー」という用語は、カテーテル設置をすることを実施することとなるか、または、患者に対して他の医療的な治療、準備、手術などを実施することとなる、介護者として解釈されるべきである。
【0017】
「遠位」という用語は、ユーザーから離れるような位置または場所を参照するものとして解釈されるべきである。「遠位に」という用語は、ユーザーから離れる方に導く運動を参照するものとして解釈されるべきである。
【0018】
「近位」という用語は、ユーザーの近くの位置または場所を参照するものとして解釈されるべきである。「近位に」という用語は、ユーザーに向けて導く運動を参照するものとして解釈されるべきである。
【0019】
「血管(vessel)」または「血管(blood vessel)」という用語は、患者の中の任意の血管として解釈されるべきである。それは、動脈または静脈に関係することが可能である。本明細書で議論されているように、「ベベル長さ」という用語は、ベベル長さ全体を包含する(針先端の任意の斜角付き表面のすべてを含む)。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a】本開示の実施形態によるカテーテルデバイスの中に含まれるパーツの斜視図である。
図1b】組み立てたときの図1aに示されているようなカテーテルデバイスの断面図である。
図1c図1bにおいて丸で囲まれているカテーテルデバイスの一部の拡大図での断面図である。
図2a】面取りされた表面の機能を図示する、カテーテルデバイスの断面図である。
図2b図2aにおいて丸で囲まれているカテーテルデバイスの一部の拡大図での断面図である。
図3a】面取りされた表面の機能をさらに図示する、カテーテルデバイスの側面図である。
図3b図3aにおいて丸で囲まれているカテーテルデバイスの一部の拡大図である。
図3c図3bと同じカテーテルデバイスの一部の拡大図での断面図である。
図4a】面取りされた表面および隆起部の機能をさらに図示する、カテーテルデバイスの側面図である。
図4b図4aにおいて丸で囲まれているカテーテルデバイスの一部の断面図である。
図5a】使用の準備ができているカテーテルデバイスの側面図である。
図5b図5aにおいて丸で囲まれているカテーテルデバイスの一部の拡大図である。
図5c図5bと同じカテーテルデバイスの一部の拡大図での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記の目的、ならびに、本発明の追加的な目的、特徴、および利点は、添付の図面に関連して解釈されるときに、本発明の例示的な実施形態の以下の例示目的のおよび非限定的な詳細な説明を参照することによって、より完全に認識されることとなる。
【0022】
本開示によるカテーテルデバイスは、軸線A-Aと、患者に面するように適合されている下側と、患者から離れる方に面するように適合されている、下側の反対側の上側とを有している。カテーテルデバイスは、カテーテルおよび皮下注射イントロデューサー針を含む。
【0023】
カテーテルは、軸線方向に細長いハウジングを含み、ハウジングは、カップリングメカニズムまたはプラグを受け入れるように適合されている近位開放端部を有している。近位端部は、たとえば、シリンジなどとの容易なフィッティングのために、カップリングメカニズムとしてメス型ルアーロックフィッティングを提供され得る。カップリングメカニズムを通して、カテーテルは、カテーテルと接続するために一般的な注入デバイスまたは任意の他の医療機器に連結され得る。ハウジングは、内部通路と、カテーテルの上側の上に配置されている内部オリフィスを備えた接続ポートとをさらに含む。接続ポートは、たとえば、カテーテルを介して患者の中へ灌流されている注入液体の中へ薬物または医薬品を注入するために使用され得る。ハウジングは、上記に開示されているプラグまたはカップリングメカニズムと係合してロックするために、近位開放端部の外側表面の上の突出部材をさらに含む。カテーテルは、カテーテルは、細長いハウジングに接続されている可撓性のカテーテルチューブをさらに含み、可撓性のカテーテルチューブは、遠位先端端部およびルーメンを含み、ルーメンは、ハウジングの内部通路に流体連通している。可撓性のカテーテルチューブは、血管の中に設置されているカテーテルの一部であり、それが挿入されている血管を損傷させないまたは穿刺しないようにするために、可撓性でなければならない。
【0024】
イントロデューサー針は、近位ヘッドと、遠位斜角付き先端を有する中空針と、延長部分とを含み、延長部分は、針をヘッドと接続している。延長部分は、針がカテーテルの中へ挿入されるときに、カテーテルの近位端部と係合するように適合されている。ヘッドは、中空針の内部に流体連通している軸線方向チャネルと、グリッププレートと、係合部材とを含み、グリッププレートは、ヘッドの上に配置されており、軸線方向に対して垂直の方向に延在しており、係合部材は、グリッププレートの上に配置されており、グリッププレートから遠位に突出している。
【0025】
カテーテルおよびイントロデューサー針は、皮下注射中空針は別として、典型的に、合成ポリマー材料によって製造されており、合成ポリマー材料は、透明または半透明になっている。典型的に、製造するための材料は、ポリウレタンまたはポリテトラフルオロエチレン(たとえば、FEPなど)であることが可能である。皮下注射中空針は、通常は、ステンレス鋼から製造されており、前記スチールは、随意的に、メッキされている。
【0026】
カテーテルおよび針は、針がカテーテルの中へ挿入されているときに、グリッププレートがカテーテルの上側に向けて方向付けられて接続ポートと整合されるように配置されている。そのうえ、カテーテルの近位端部の上の突出部材は、グリッププレートの上の係合部材と係合し、針がカテーテルに対して軸線A-Aの周りに回転することを防止するように適合されている。
【0027】
針の延長部分は、リブを提供されており、リブは、軸線A-Aから半径方向に延長部分を取り囲んでいる。カテーテルの近位端部は、ロッキングフランジを提供されており、ロッキングフランジは、カテーテルが針に対して遠位に運動させられるときに、針の延長部分の上のリブと係合するように適合されている。ロッキングフランジと係合するそれぞれのリブに関して、触覚的なインディケーションが、ユーザーに提供されている。ロッキングフランジと係合するための第1のリブは、好ましくは、グリッププレートの上の係合部材の最も遠位のポイントの遠位に位置決めされており、または、A-A軸線に沿ってグリッププレートの上の係合部材の最も遠位のポイントと同じ位置に位置決めされている。
【0028】
リブを提供されている針の延長部分は、延長部分全体の一方の側に沿って面取りされた表面をさらに含むことが可能であり、延長部分の断面U字形状をもたらす。それによって、針の回転は、カテーテルの中への針の再進入を可能にすることとなる。その理由は、延長部分の平坦な面取りされた表面が、ロッキングフランジと係合しないこととなるからである。したがって、針は、カテーテルの中へ再前進させられ得る。これは、イントロデューサー針が事故的にカテーテルから除去される場合に有用である可能性がある。しかし、より重要なことには、これは、カテーテルデバイスの組み立て時に、カテーテルの中へイントロデューサー針を導入することができるようにするために極めて重要である。しかし、本開示において上記に与えられている理由のために、カテーテルデバイスがすでに患者の中へ挿入されている場合には、カテーテルの中へ針を再挿入するための針の回転は決して行われてはならない。リブは、カテーテルチューブの遠位端部に対する針の斜角付き先端の位置を示すために、インジケーターを提供され得る。したがって、インジケーターは、リブのマーキングを含み、マーキングは、カテーテルが特定の距離だけ前進させられているということに対応することとなり、それぞれのリブがロッキングフランジの上を引っ張られてロッキングフランジと係合していることによって提供される触覚的なインディケーションに加えて、視覚的なインディケーションをユーザーに提供する。リブのマーキングは、記号、文字、数字、もしくは色、または、任意の他の適切なマーキングを含むことが可能である。
【0029】
インジケーターは、好ましくは、少なくとも以下の前進させられた位置を示すことが可能であり、a) カテーテルが、距離dだけ前進させられており、距離dは、針の斜角付き先端の長さに対応している、および、b) カテーテルが、距離Dだけ前進させられており、距離Dは、針の斜角付き先端の長さよりも大きい長さに対応しており、たとえば、斜角付き先端の長さの2倍またはそれ以上の長さに対応している。デバイスは、本開示によるカテーテルデバイスの使用の間に示すのに有利な他の距離に相関する追加的なインジケーターを含むことが可能である。
【0030】
カテーテルデバイスは、従来のカテーテルデバイスと同じ様式で使用される。したがって、カテーテルデバイスは、患者の皮膚に対して位置決めされ、軸線A-Aを皮膚表面に対してほとんど平行に維持し、それは、わずかに傾斜されており、カテーテルの近位端部およびイントロデューサー針のヘッドが皮膚表面から小さい高さに維持されている間に、イントロデューサー針の遠位斜角付き先端が皮膚と接触した状態になるようになっている。その後に、カテーテルデバイスは、遠位に前進させられ、遠位斜角付き先端が皮膚を穿孔するようになっており、最終的に、ターゲット血管も穿孔するようになっている。ユーザーは、血管が遠位斜角付き先端によって穿孔されたことを知ることとなる。その理由は、血液が次いでイントロデューサー針に進入することとなり、針のヘッドの軸線方向チャネルの中に出現することとなるからである。したがって、ユーザーは、透明のまたは半透明の材料を通して、針のヘッドの中に出現する血液を視覚的に観察することとなる。血液が軸線方向チャネルに進入すると、針は、カテーテルのルーメンの中へ近位に引き抜かれ、または、好ましくは、カテーテルは、患者に対して針を静止した状態に維持しながら、遠位に運動させられ、針の斜角付き先端が、カテーテル先端端部によってフードされることとなるようになっている。針の斜角付き先端が、カテーテル先端端部によってフードされると、延長部分の上のリブが、ロッキングフランジと係合し、それによって、カテーテルに対する針の任意の遠位運動を防止する。したがって、この段階では、単に針を遠位に押すことのみによって、カテーテルデバイス全体をさらに前進させることが可能である。リブとロッキングフランジとの係合に起因して、針を押すことによって、針がカテーテル先端端部を通り過ぎて突出するリスクが存在しない。それによって、斜角付き先端がカテーテル先端端部の一部を切り裂くかまたは引き裂くリスクは、ほとんど存在しないかまたは全く存在しない。
【0031】
上記に開示されているようなインジケーターを含むカテーテルデバイスに関して、カテーテルは、第1のインジケーターが到達されるように近位に運動させられ、それによって、カテーテルは、針に対して、後退させられた近位位置から、前進させられた遠位位置へ運動させられる。
【0032】
これは、カテーテルが針に対して距離dだけ前進させられたということを意味することが可能であり、ここで、距離dは、針の遠位斜角付き先端の長さに等しい。したがって、針の遠位斜角付き先端は、カテーテル先端端部によってフードされている。手順のこの時点において、針の斜角付き先端は、カテーテルの遠位先端端部から突出するように遠位に運動させられることができない。ロッキングフランジと係合しするリブは、針がカテーテルの中へ運動させられて戻されることを防止することとなり、カテーテルの中への針の事故的な再挿入を防止することとなる。その理由は、これが、上記に議論されているように、斜角付き先端がカテーテルチューブの小さいピースを切り裂くかまたは引き裂くことを引き起こす可能性があるからである。したがって、第1のインジケーターに到達することは、また、患者の中へ導入されるときに、カテーテルデバイスに関する復帰不能な点である。カテーテルの設置に関して何かが正しくないということが発見される場合には、カテーテルデバイス全体が廃棄されなければならない。
【0033】
したがって、ロッキングフランジと係合すると、カテーテルが距離dだけ遠位に運動させられることを結果として生じさせることとなるリブ、および、随意的に、ロッキングフランジと係合すると、カテーテルが距離Dだけ遠位に運動させられることを結果として生じさせることとなるリブが、マークされ得る。マーキングは、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。イントロデューサー針の上で最も近位に位置付けされ、グリッププレートの最も近くに位置付けされている第1のマーキングは、距離dを示すこととなり、より遠位に位置付けされ、グリッププレートから最も遠くに位置付けされている任意のさらなるマーキングは、1つまたは複数の距離Dを示すこととなる。
【0034】
本開示によるカテーテルデバイスの製造および梱包は、ヘルスケアシステムの中で使用するための規制規則およびガイドラインに従っているべきである。ヘルスケアの中で使用されることを意図し、患者および/または体液と接触することを意図する任意のデバイスは、そのような規制規則およびガイドラインに従わなければならない。
【0035】
ここで、本発明は、添付の図面を参照して説明されることとなり、図面には、本発明の好適な例示的な実施形態が示されている。しかし、本発明は、他の形態で具現化され得り、本明細書で開示されている実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。開示されている実施形態は、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供されている。
【0036】
図1a~図1cは、本開示によるカテーテルデバイスを図示しており、それは、中心軸線A-Aと、患者に面するように適合されている下側(L)と、患者から離れる方に面するように適合されている、下側(L)の反対側の上側(U)とを有しており、カテーテルデバイス1は、カテーテル2および皮下注射イントロデューサー針3を含む。カテーテル2は、軸線方向に細長いハウジング4を含み、ハウジング4は、カップリングメカニズムまたはプラグを受け入れるように適合されている近位開放端部5を有している。ハウジング4は、内部通路6と、カテーテルの上側の上に配置されている内部オリフィス8を備えた接続ポート7とをさらに含み、前記オリフィス8は、逆止弁9によって内部通路6と接続している。プラグ10が、接続ポート7の上にフィットさせられ得る。突出部材15が、近位開放端部5の外側表面の上に配置されている。カテーテル2は、細長いハウジング4に接続されている可撓性のカテーテルチューブ12をさらに含み、可撓性のカテーテルチューブ12は、遠位先端端部13およびルーメン14を含み、ルーメン14は、ハウジング4の内部通路6に流体連通している。イントロデューサー針3は、近位ヘッド16と、遠位斜角付き先端18を有する中空針17と、延長部分19とを含み、延長部分19は、針17をヘッド16と接続しており、針3がカテーテル2の中へ挿入されるときに、カテーテル2の近位端部5および細長いハウジング4と係合するように適合されている。ヘッド16は、中空針17の内部に流体連通している軸線方向チャネル20と、カテーテルデバイス1の軸線方向に対して垂直の方向に延在している、ヘッド16の上に配置されているグリッププレート21と、グリッププレート21の上に配置されており、グリッププレート21から遠位に突出している係合部材22とを含む。カテーテル2および針3は、針3がカテーテル2の中へ挿入されているときに、グリッププレート21がカテーテル2の上側に向けて方向付けられて接続ポート7と整合されるように、カテーテルデバイス1の中に配置されている。カテーテル2の近位端部5の上の突出部材15は、典型的に、グリッププレート21の上の係合部材22と係合し、針3がカテーテル2に対して軸線A-Aの周りに回転することを防止するように適合されている。
【0037】
針3の延長部分19は、リブ23を提供されており、リブ23は、軸線A-Aから半径方向に延長部分19を取り囲んでおり、カテーテル2の近位端部5は、ロッキングフランジ25を提供されており、ロッキングフランジ25は、カテーテル2が針3に対して遠位に運動させられるときに、針3の延長部分19の上のリブ23と係合するように適合されている。すべての図に示されている実施形態において、針3の延長部分19は、延長部分19全体の一方の側に沿って面取りされた表面24を含み、延長部分19の断面U字形状(図示せず)をもたらす。
【0038】
図2aおよび図2bは、面取りされた表面24の機能を図示している。面取りされた表面24がロッキングフランジ25と整合されるように針3を回転させることによって、カテーテル2の中へ針3を再挿入することが可能であり、または、針3に対してカテーテル2を近位に引っ張ることによって、カテーテル2を再位置決めすることが可能である。ロッキングフランジ25および面取りされた表面24の正確な位置決めは、グリッププレートが上側を向いており、前記上側の上の接続ポートと整合されているときに(すなわち、患者の中へのカテーテルの挿入のためのカテーテルデバイスの配置)、それらが互いに整合されていない限り、重要なものではない。ロッキングフランジ25は、ユーザーがプラグ、コネクター、または注入デバイスをカテーテル2に接続することを妨げるように位置決めされてはならない。
【0039】
図3a~図3cは、図2a~図2bに関して上記に開示されているように、針3を回転させることによって、針3がカテーテル2の中へ再挿入されるときに、係合部材22がロッキングフランジ25に到達するときに、および、随意的に、突出部材15にも到達するときに、針3の挿入が停止することとなるということを図示している。したがって、ロッキングフランジ25および随意的に突出部材15は、係合部材22のさらなる前進(ひいては、針3のさらなる前進)をブロックすることとなる。とりわけ3aおよび3cから明確であるように、針3は、この時点において、カテーテル2の中へ完全には挿入されていない。カテーテル2の近位端部5の縁部(線iによって示されている)と針3のヘッド16の縁部(線iiによって示されている)との間に、スペースSが依然として存在している。しかし、ロッキングフランジ25は、この時点において、第1のリブ23の近位を通り過ぎていることとなり、第1のリブ23は、軸線方向に、係合部材22と同じ位置に、または、係合部材22よりも遠位の位置のいずれかに位置決めされている。図3cにおいて見られるように、第1のリブの縁部は、係合部材22に対していくらか遠位にあり、係合部材22の位置は、線iによって示されている。上記に開示されているように、ロッキングフランジと係合するための第1のリブは、好ましくは、グリッププレートの上の係合部材の最も遠位のポイントの遠位に位置決めされており、または、軸線方向にグリッププレートの上の係合部材の最も遠位のポイントと同じ位置に位置決めされている。
【0040】
図4aおよび図4bは、図3a~図3cに図示されているように係合部材22がロッキングフランジ25に触れている位置において、任意のリブ23がロッキングフランジ25と係合することなく、カテーテルデバイス1の使用のための位置へと針3を回転させて戻すことが可能であるということを図示している。最も近位のリブ23aは、この段階において、ロッキングフランジ25と相互作用しておらず、それによって、カテーテルの中への針の完全な挿入と干渉しない。突出部材15の位置決めは、この段階において突出部材15が針3の回転と干渉しないこととなるようになっていることが必要である。むしろ、それらは、好ましくは、針3の回転を補助するように位置決めされ得り、係合部材22が、図3bに示されているように、突出部材15に直接的に隣接して位置決めされることとなるようになっており、係合部材22の遠位表面が、突出部材15の近位表面に対抗してスライドすることとなるようになっている。
【0041】
図5a~図5cは、針3が完全にカテーテル2の中へ挿入されたときのカテーテルデバイス1を図示している。針3が、図3a~図3cに図示されている位置から、図4aおよび図4bに図示されている位置へ回転させられたときに、針3は、遠位にさらに運動させられ得り、針3がカテーテルの中へ完全に挿入されるようになっている。次いで、針3のヘッド16は、カテーテル2の近位開放端部4の近位縁部と係合する。したがって、このポイントにおいて、係合部材22は、図5cにおいて見られるように、カテーテル2の近位開放端部4の縁部を通り過ぎて突出している。係合部材22は、そのうえ、突出部材15によって、A-A軸線の周りの回転からブロックされる。これは、典型的に、カテーテルデバイス1がユーザーに送達されるカテーテルデバイス1の配置である。
【0042】
ロッキングフランジ25および面取りされた表面24の正確な位置決めは、グリッププレート21が上側を向いており、前記上側の上の接続ポート7と整合されているときに(すなわち、患者の中へのカテーテル2の挿入のためのカテーテルデバイス針3の配置)、それらが整合されていない限り、重要なものではない。
【0043】
当業者は、上記に説明されている好適な実施形態に本発明が限定されないということを認識する。当業者は、修正例および変形例が添付の特許請求の範囲の中で可能であるということをさらに認識する。たとえば、リブおよびロッキングフランジの正確な形状は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく変化することが可能である。追加的に、開示されている実施形態に対する変形例は、図面、本開示、および、添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求されている発明を実践する当業者によって理解および実現され得る。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
【国際調査報告】