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特表2022-554078共同伝送のチャネル状態情報フィードバックのための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】共同伝送のチャネル状態情報フィードバックのための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/024 20170101AFI20221221BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20221221BHJP
   H04B 7/0452 20170101ALI20221221BHJP
   H04B 7/0417 20170101ALI20221221BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20221221BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20221221BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20221221BHJP
【FI】
H04B7/024
H04B7/0413 200
H04B7/0452
H04B7/0417
H04W84/12
H04W24/10
H04W16/28 130
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522707
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2020127532
(87)【国際公開番号】W WO2021089046
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/932,845
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/089,112
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スー、ジュン フーン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】アボウル-マグド、オサマ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067EE02
5K067EE10
5K067KK03
(57)【要約】
STAがワイヤレスチャネルのチャネル状態情報(CSI)を決定する方法が、複数の通信チャネルを介して複数のAPから複数のサウンディングデータ伝送を受信する段階を含む。この方法は、通信チャネルの各々について、通信チャネルの各々を介して受信される複数のサウンディングデータ伝送に基づきチャネルのチャネル状態情報(CSI)を推定する段階を更に含む。加えて、この方法は、通信チャネルの各々のチャネル状態情報を集約して、集約されたCSIを生成する段階と、複数のAPに対して集約されたCSIを伝送する段階とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステーション(STA)がワイヤレスチャネルのチャネル状態情報(CSI)を決定する方法であって、
複数の通信チャネルを介して複数のアクセスポイント(AP)から複数のサウンディングデータ伝送を受信する段階と、
前記複数の通信チャネルの各々について前記複数のサウンディングデータ伝送に基づき前記通信チャネルのCSIを推定する段階と、
前記複数の通信チャネルを集約して、集約されたチャネル行列を有する集約されたチャネルを生成する段階と、
前記集約されたチャネル行列に対する特異値分解を実行して、前記集約されたチャネルのΣ行列およびV行列を生成する段階と、
前記複数のAPに前記Σ行列および前記V行列を伝送する段階と
を備える、方法。
【請求項2】
前記複数のサウンディングデータ伝送は連続して受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のサウンディングデータ伝送は並行して受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記集約されたチャネル行列は前記複数のサウンディングデータ伝送の利得およびフェーズを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の通信チャネルは802.11 Wi-Fiプロトコルを使用する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記802.11 Wi-Fiプロトコルは多入力多出力(MIMO)プロトコルを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の通信チャネルを介して前記複数のAPにより共同伝送が使用されることを決定する段階を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アクセスポイント(AP)がワイヤレスチャネルのチャネル状態情報(CSI)を決定する方法であって、
複数の通信チャネルを介して複数のステーション(STA)にサウンディングデータ伝送を伝送する段階と、
前記サウンディングデータ伝送に応答して前記複数のSTAの各々からΣ行列とV行列との対を受信する段階であって、対になった前記Σ行列および前記V行列の各々は、前記複数のSTAの各々により推定されるチャネルの行列の特異値分解を通じて生成される、段階と、
前記複数のSTAから受信される前記Σ行列と前記V行列との対に基づき前記CSIの集約行列を再構築する段階と、
前記集約行列に基づきプリコーダ行列を計算する段階と
を備える、方法。
【請求項9】
前記サウンディングデータ伝送は複数のサウンディングデータ伝送と並行して伝送される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記サウンディングデータ伝送は複数のサウンディングデータ伝送と直列に伝送される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記APが、協調ビームフォーミング技法を用いた前記プリコーダ行列を使用して前記複数のSTAのうちの1つと通信する段階を更に備える、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記APが、共同伝送技法を用いた前記プリコーダ行列を使用して複数のデータストリームの一部を前記複数のSTAと通信する段階を更に備える、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
通信チャネルを介して通信するステーション(STA)であって、前記STAは、
プロセッサと、命令を記憶する非一過性メモリとを備え、前記命令は、前記プロセッサにより実行されると、前記STAに、
複数の通信チャネルを介して複数のアクセスポイント(AP)から複数のサウンディングデータ伝送を受信することと、
前記複数の通信チャネルの各々について前記複数のサウンディングデータ伝送に基づき前記通信チャネルのCSIを推定することと、
前記複数の通信チャネルを集約して、集約されたチャネル行列を有する集約されたチャネルを生成することと、
前記集約されたチャネル行列に対する特異値分解を実行して、前記集約されたチャネルのΣ行列およびV行列を生成することと、
前記複数のAPに対して前記集約されたチャネルの前記Σ行列および前記V行列を伝送することと
を実行させる、ステーション。
【請求項14】
前記複数のサウンディングデータ伝送は連続して受信される、請求項13に記載のステーション。
【請求項15】
前記複数のサウンディングデータ伝送は並行して受信される、請求項13に記載のステーション。
【請求項16】
前記集約されたチャネル行列は前記複数のサウンディングデータ伝送の利得およびフェーズを含む、請求項13から15のいずれか一項に記載のステーション。
【請求項17】
前記複数の通信チャネルは802.11 Wi-Fiプロトコルを使用する、請求項13から16のいずれか一項に記載のステーション。
【請求項18】
前記802.11 Wi-Fiプロトコルは多入力多出力(MIMO)プロトコルを含む、請求項17に記載のステーション。
【請求項19】
前記複数の通信チャネルを介して前記複数のAPにより共同伝送が使用されることを決定することを更に備える、請求項13から18のいずれか一項に記載のステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ワイヤレス通信システムの分野、特にアクセスポイント(AP)連携を使用する場合のサウンディングプロトコルに関する。
【背景技術】
【0002】
Wi-Fi(登録商標)プロトコルのIEEE(登録商標)802.11ファミリなどのワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システムは、WLANと1つまたは複数の更なるネットワークとの間のインタフェースとして機能するアクセスポイント(AP)と、802.11プロトコルをサポートし且つAPと信号を交換するデバイスであるステーション(STA)とを含む、信号を送信および受信するワイヤレス通信デバイスを含む。
【0003】
APおよびSTAは両方とも、ワイヤレス通信デバイスが複数のアンテナを有する多入力多出力(MIMO)技術を導入することができる。これによって、ビームフォーミングなどの技法を使用してワイヤレスネットワークの性能およびスループットを増大させることができる。
【0004】
APは、サウンディングプロトコルを使用してAP上のアンテナとSTA上のアンテナとの間の通信チャネルの特性を推定する。APからSTAにサウンディングパケットが送信される。STAはサウンディングパケットの受信を分析および評価し、送信側APには情報がフィードバックされる。APは次に、STAへの伝送を構成する際にこの「チャネル状態情報」(CSI)を利用する。
【0005】
場合によっては、複数のAPが連携して動作してWLAN内の1つまたは複数のSTAと通信することができる。例えば、提案されているIEEE 802.11be規格は、次世代の超高スループット(EHT)WLANをサポートするために開発中である。AP連携を用いてEHT通信を実現することができ、AP連携は複数のAP間の協調とAP上の複数のアンテナとを利用して、干渉を最小限に抑え且つSTAとの通信のサービス品質を改善することができる。
【0006】
場合によっては、複数のAPが連携して動作して1つまたは複数のSTAと通信することで、スループットの増大または改善を実現することができる。AP連携は、干渉を最小限に抑え且つSTAとの通信のサービス品質を改善するのに役立つこともできる。
【0007】
しかしながら、既存のサウンディングプロトコルは、AP連携が使用されると、チャネル推定の正確さが不十分になる可能性がある。従って、アクセスポイント連携を使用する場合のサウンディングプロトコルのための方法および装置を改善する必要がある。
【0008】
この背景情報は、本発明に関連する可能性があると出願人が考える情報を明らかにするために提供されている。前述の情報のいずれかが本発明に対する従来技術を構成しているという自認が必ずしも意図されているわけでも、そのように解釈されるべきでもない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態の目的は、AP連携を使用する場合のサウンディングプロトコルのための方法および装置を提供することである。本発明の実施形態によれば、STAがワイヤレスチャネルのチャネル状態情報(CSI)を決定する方法が提供される。この方法は、複数の通信チャネルを介して複数のAPから複数のサウンディングデータ伝送を受信する段階と、通信チャネルの各々について、通信チャネルの各々を介して受信される複数のサウンディングデータ伝送に基づきチャネルのチャネル状態情報(CSI)を推定する段階と、通信チャネルの各々のチャネル情報を集約して、集約されたCSIを生成する段階と、複数のAPに対して集約されたCSIを伝送する段階とを含む。
【0010】
本発明の実施形態によれば、ステーション(STA)がワイヤレスチャネルのチャネル状態情報(CSI)を決定する方法が提供される。この方法は、複数の通信チャネルを介して複数のアクセスポイント(AP)から複数のサウンディングデータ伝送を受信する段階と、複数の通信チャネルの各々について複数のサウンディングデータ伝送に基づきチャネルのCSIを推定する段階と、複数の通信チャネルを集約して、集約されたチャネル行列を有する集約されたチャネルを生成する段階と、特異値分解を使用して、集約されたチャネル行列を変換して、集約されたチャネル行列のΣ行列およびV行列を生成する段階と、複数のAPにΣ行列およびV行列を伝送する段階とを含む。
【0011】
更なる実施形態において、複数のサウンディングデータ伝送は連続して受信される。
【0012】
上述した実施形態のいずれかにおいて、複数のサウンディングデータ伝送は並行して受信される。
【0013】
上述した実施形態のいずれかにおいて、集約された行列は複数のサウンディングデータ伝送の利得およびフェーズを含む。
【0014】
上述した実施形態のいずれかにおいて、複数の通信チャネルは802.11 Wi-Fiプロトコルを使用する。
【0015】
上述した実施形態のいずれかにおいて、802.11プロトコルは多入力多出力(MIMO)プロトコルを含む。
【0016】
上述した実施形態のいずれかは、複数の通信チャネルを介して複数のAPにより共同伝送が使用されることを決定する段階を更に含む。
【0017】
本発明の実施形態によれば、アクセスポイント(AP)がワイヤレスチャネルのチャネル状態情報(CSI)を決定する方法が提供される。この方法は、複数の通信チャネルを介して複数のステーション(STA)にサウンディングデータ伝送を伝送する段階と、サウンディングデータ伝送に応答して複数のSTAの各々からΣ行列とV行列との対を受信する段階であって、対になったΣ行列およびV行列の各々は、複数のSTAの各々により推定されるチャネルの行列の特異値分解を通じて生成される、段階と、複数のSTAから受信されるΣ行列とV行列との対に基づきCSIの集約行列を再構築する段階と、集約行列に基づきプリコーダ行列を計算する段階とを含む。
【0018】
上述した実施形態のいずれかにおいて、サウンディングデータ伝送は複数のサウンディングデータ伝送と並行して伝送される。
【0019】
上述した実施形態のいずれかにおいて、サウンディングデータ伝送は複数のサウンディングデータ伝送と直列に伝送される。
【0020】
上述した実施形態のいずれかは、APが、協調ビームフォーミング技法を用いたプリコーダ行列を使用して複数のSTAのうちの1つと通信する段階を更に含む。
【0021】
上述した実施形態のいずれかは、APが、共同伝送技法を用いたプリコーダ行列を使用して複数のデータストリームの一部を複数のSTAと通信する段階を更に含む。
【0022】
本発明の実施形態によれば、通信チャネルを介して通信するステーション(STA)が提供される。STAは、プロセッサと、命令を記憶する非一過性メモリとを含み、命令は、プロセッサにより実行されると、STAに、複数の通信チャネルを介して複数のアクセスポイント(AP)から複数のサウンディングデータ伝送を受信することと、複数の通信チャネルの各々について複数のサウンディングデータ伝送に基づきチャネルのCSIを推定することと、複数の通信チャネルを集約して、集約されたチャネル行列を有する集約されたチャネルを生成することと、特異値分解を使用して、集約されたチャネル行列を変換して、集約されたチャネル行列のΣ行列およびV行列を生成することと、複数のAPにΣ行列およびV行列を伝送することとを実行させる。
【0023】
上述した実施形態のいずれかにおいて、複数のサウンディングデータ伝送は連続して受信される。
【0024】
上述した実施形態のいずれかにおいて、複数のサウンディングデータ伝送は並行して受信される。
【0025】
上述した実施形態のいずれかにおいて、集約された行列は複数のサウンディングデータ伝送の利得およびフェーズを含む。
【0026】
上述した実施形態のいずれかにおいて、複数の通信チャネルは802.11 Wi-Fiプロトコルを使用する。
【0027】
上述した実施形態のいずれかにおいて、802.11プロトコルは多入力多出力(MIMO)プロトコルを含む。
【0028】
上述した実施形態のいずれかは、複数の通信チャネルを介して複数のAPにより共同伝送が使用されることを決定する段階を更に含む。
【0029】
以上では、実施形態を、それらが実装され得る本発明の態様と併せて説明した。実施形態はそれらが説明される態様と併せて実装され得るが、その態様の他の実施形態を用いて実装されてもよいことが当業者には解るであろう。実施形態が相互に排他的であるか、または、そうでなければ互いに矛盾している場合、そのことは当業者にとって明らかであろう。当業者にとって明らかであるように、幾つかの実施形態は一態様との関連で説明され得るが、他の態様に適用可能であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下の詳細な説明からは、添付の図面と組み合わせて理解される本発明の更なる特徴および利点が明らかになるであろう。
【0031】
図1】本発明の実施形態において使用され得るコンピューティングデバイスを示す。
【0032】
図2】本発明の実施形態が使用され得るワイヤレスネットワークを示す。
【0033】
図3】ある実施形態に係る、協調ビームフォーミング技法を使用する2つのAPおよび2つのSTAを有する実施形態を示す。
【0034】
図4】ある実施形態に係る、共同伝送技法を使用する2つのAPおよび2つのSTAを有する実施形態を示す。
【0035】
図5】ある実施形態に係る連続的サウンディング手順を示す。
【0036】
図6】ある実施形態に係る第1の並行的サウンディング手順を示す。
【0037】
図7】ある実施形態に係る第2の並行的サウンディングプロトコルを示す。
【0038】
図8a】ある実施形態に係る、チャネル状態情報のCSI行列を示す。
【0039】
図8b】ある実施形態に係る、チャネル状態情報の2つの集約された行列を示す。
【0040】
図9a】ある実施形態に係る、CBF技法を使用するプリコーダ行列の使用を示す。
【0041】
図9b】ある実施形態に係る、JT技法を使用するプリコーダ行列の使用を示す。
【0042】
図10】ある実施形態に係る、STAに集約されるCSI情報とJT技法とを使用するプリコーダ行列の算出および使用を示す。
【0043】
なお、添付の図面を通じて同様の特徴は同様の参照番号で識別される。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の実施形態の目的は、アクセスポイント(AP)連携を使用する場合にサウンディングプロトコルを実装する方法および装置を提供することである。
【0045】
ワイヤレスネットワークは通常、STAと呼ばれる幾つかのエンドユーザステーションを含む。これらのステーションは、当技術分野で知られているようなより広いローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、並びに、任意の数の他の有線ネットワークおよびワイヤレスネットワークへのアクセスを提供する、アクセスポイント(AP)にワイヤレス接続されている。多くのネットワークトポロジでは、単一のAPが複数のSTAにサービスを提供する可能性がある。
【0046】
STAの例には、携帯電話、タブレット、ラップトップコンピュータ、別のAP、車両、ビーコンなどといった任意のワイヤレスエンティティが含まれる。
【0047】
最も普遍的なワイヤレスネットワークのうちの幾つかは、ワイヤレス通信に使用されるプロトコルを規定する基準のIEEE802.11ファミリに基づいている。プロトコルのファミリにおけるより最近の基準のうちの1つは、802.11be超高スループット(EHT)である。802.11beの特徴のうちの1つは、速さ、距離、信号対雑音比(SNR)、または他の要因についてワイヤレス接続を最適化するためにSTAが複数のAPに接続できる、マルチアクセスポイント(AP)協調として知られている。STAが複数のAPに接続できるようにすること、または、APが複数のSTAに接続できるようにすることで、複数のパスを使用して、APを通じたより広いネットワークへのSTAの接続を最適化できることが可能になる。
【0048】
最新のワイヤレスのSTAおよびAPは、STAおよびAPの各々が複数の送信アンテナおよび受信アンテナを使用して送信および受信できる、多入力多出力(MIMO)技術もサポートする。STAおよびAPにおけるMIMO技術によって、それらは、スループット、範囲、またはスループットと範囲の両方を増大させるためにマルチストリーム伝送を使用することができる。MIMO構成の複数のアンテナの更なるメリットは、ビームフォーミングを使用してワイヤレス伝送の方向を制御することで更なる改善がもたらされ得ることである。MIMO技術を用いて、AP上の各アンテナとSTA上の各アンテナとの間のパスは独立的に最適化され得る。
【0049】
図1は、本明細書で開示する方法を利用するSTAおよびAPを実装するために使用され得るワイヤレス通信デバイスまたはシステム100のブロック図である。例としては、携帯電話、ポータブルコンピュータ、タブレット、ワイヤレスアクセスポイントなどがある。特定のデバイス100は、示されている全てのコンポーネントまたはこれらのコンポーネントのサブセットのみを利用してよく、デバイスごとに統合のレベルが異なっていてよい。更に、デバイスは、複数の処理装置、プロセッサ、メモリ、トランスミッタ、受信機などといったコンポーネントの複数のインスタンスを含んでよい。デバイス100は処理装置110を含む。処理装置110は通常、中央処理装置(CPU)110としても知られているプロセッサ、バス、およびメモリ120を含み、任意選択で、大容量記憶デバイス130、ビデオアダプタ140、およびI/Oインタフェース160(任意選択であることを示すために各々が破線で示されている)も含んでよい。デバイス100は、有線ネットワークまたはIEEE802.11対応ワイヤレスネットワークなどのワイヤレスネットワークであり得る通信ネットワーク102にデバイスを接続する1つまたは複数のネットワークインタフェース150を更に含んでよい。デバイス100は、3G、4G、LTE、5Gなどといったセルラネットワークであり得るセルラネットワーク104にコンピューティングシステムを接続する1つまたは複数の無線アクセスネットワークインタフェース190を更に含んでよい。
【0050】
CPU110は、任意の種類の電子データプロセッサを含んでよく、1つまたは複数のコアまたは処理要素を含んでよい。メモリ120は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、リードオンリメモリ(ROM)、またはそれらの組み合わせなどの任意の種類の非一時的システムメモリを含んでよい。ある実施形態では、メモリは、起動時に使用するROMと、プログラムを実行しながら使用するプログラムおよびデータ記憶装置のためのDRAMとを含んでよい。バスは、メモリバスもしくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス、またはビデオバスを含む任意の種類の幾つかのバスアーキテクチャのうちの1つまたは複数であってよい。
【0051】
大容量記憶装置130は、データ、プログラム、および他の情報を記憶し、且つ、そのデータ、プログラム、および他の情報を、バスを介してアクセス可能にするように構成されている、任意の種類の非一時的記憶デバイスを含んでよい。大容量記憶装置は、例えば、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、または光ディスクドライブのうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0052】
ビデオアダプタ140およびI/Oインタフェース160は、外部の入力デバイスおよび出力デバイスを処理装置に結合する任意選択のインタフェースを提供する。入力デバイスおよび出力デバイスの例には、ビデオアダプタ140に結合されるディスプレイ170と、I/Oインタフェース1160に結合されるタッチスクリーンなどのI/Oデバイス180とが含まれる。CPU110には他のデバイスが結合されてもよく、更なるインタフェースまたはより少ないインタフェースが利用されてよい。例えば、ユニバーサルシリアルバスUSB(不図示)などのシリアルインタフェースを使用して外部デバイス用のインタフェースを提供してよい。代替的に、コンピューティングシステムは、利用可能な大容量記憶装置、ビデオアダプタ、およびネットワーク上で利用可能なI/Oインタフェースに接続するためにネットワークインタフェースに依存してよい。
【0053】
図2は、APを通じてインターネット202にワイヤレス接続するSTAの実施形態200を示す。・・K、K、・・・、Kは、スケジューリングされるデータストリームである。他の実施形態では、STAが接続するように構成されている任意の他のコンピュータネットワークによりインターネット202が置き換えられ得ることが解る。AP204、206、208は、あるエリアでワイヤレスネットワークアクセスを提供する複数のAPを示す。一般に、L個のAPが存在してよく、Lは正の整数である。L個のAPの各々はMIMOアーキテクチャを有しており、特に、ビームフォーミングを含むMIMO技術をサポートできる幾つかの伝送アンテナ、すなわち、N、N、・・・、N伝送アンテナをサポートする。L個のAP、204、206、208の各々は、インターネット202に直接または間接的に接続されている。3つのSTA、すなわち、ラップトップコンピュータ210、タブレット212、および携帯電話214が示されている。実施形態200では任意の数のSTAがサポートされてよく、APのカバレッジエリアと、STAへのサービスが許容限界を下回る原因になり得るAPの応答性およびスループット能力に影響を与え得るSTAの数とによってのみ限定される。STAは、インターネットにアクセスするために1つまたは複数のAPに接続する。
【0054】
図3は、図2と同様の実施形態を示す。ここでは、例示を目的として2つのAPおよび2つのSTAが示されている。STA1 304およびSTA2 306はAP1 204およびAP2 206にアクセスして、インターネット202にアクセスする。AP1 204およびAP2 206は、2つのSTAが一方または両方のAPに接続できるようにするマルチAP協調を実装する。
【0055】
マルチAP技法は「協調ビームフォーミング」(CBF)および「共同伝送」(JT)として知られている技法を含む。CBF技法を使用して、STA1 304はAP1 204と通信するようにスケジューリングされてよく、STA2 306はAP2 206と通信するようにスケジューリングされてよい。図4を参照すると、JT技法を使用して、KデータストリームおよびKデータストリームはAP1 204とAP2 206との間で共有されて、STA1 304およびSTA2 306と共同で通信する。
【0056】
マルチAP協調およびビームフォーミングを使用する場合は、「サウンディング」として知られている較正手順を使用してAP上のアンテナとSTA上のアンテナとの間のワイヤレス通信チャネル状態情報(CSI)を推定する。CSI測定は、APとSTAとの間のビームフォーミング伝送を構成するために使用される。幾つかのサウンディング手順では、APがSTAにヌルのデータパケット(NDP)を伝送する。1つまたは複数のNDPパケットを受信する各STAは、それらを分析してチャネルまたはチャネル応答を算出または推定して、APとSTAとの間の通信の組み合わせ用のフィードバック行列を生成する。幾つかの実施形態では、チャネルを推定することは、受信された1つまたは複数のNDPのフェーズおよび利得を測定することを含む。サウンディングによって、ネットワークにオーバヘッドが付加されるが、そのオーバヘッドに起因する能力の減少を上回るべきネットワーク性能の増大が可能になる。マルチAP協調を使用する場合は、各STAによりCSIの算出が実行される。STAからのCSI情報は次に、各APにフィードバックされる。各APには、STAから受信される情報を集約して、複数のAPがSTAへの共同伝送(JT)の実行またはCBFを使用したスケジューリングされたSTAへの通信のために協調する場合に使用され得る、プリコーダを計算する責任がある。プリコーダは、伝送アンテナの各々に使用する伝送パラメータを決定するためにMIMOトランスミッタにより使用される。
【0057】
図5は、ある実施形態に係る連続的サウンディング手順500を示す。マスタAPがSTAに向けてNDPアナウンスメント(NDPA)フレームを送信して、手順を始める。マスタAPは、サウンディング手順を開始するように指定されているAPである。マスタAPは次に、第1のNDPフレーム(NDP1として示されている)を送信する。この後、他のスレーブAPが順次、NDPフレームをSTAに向けて連続して送信する。示されているこの実施形態では、スレーブAP1が第2のNDPフレーム、NDP2を送信し、次に、別のスレーブAP2が第3のNDPフレーム、NDP3を送信する。次に、マスタAPは、CSIビームフォーミングレポートをフィードバックするようにSTAに信号を送るトリガフレームを送信する。各STAは各APから順番にNDPを受信する。そのため、連続的サウンディングによって、各STAは、他のAPから影響を受けることなく個々のAPへのチャネルを推定することができる。
【0058】
図6は、ある実施形態に係る第1の並行的サウンディング手順600を示す。マスタAPは、STAに向けてNDPAフレームを送信して、手順を始める。次に、マスタAPおよびスレーブAPの両方がSTAに向けてNDPフレームを同時に送信する。次に、マスタAPは、CSIビームフォーミングレポートをフィードバックするようにSTAに信号を送るトリガフレームを送信する。このサウンディング手順には、更なるスレーブAPがそれぞれのNDPフレームをNDP1およびNDP2と並行して送信することにより参加してもよい。
【0059】
図7は、ある実施形態に係る第2の並行的サウンディング手順700を示す。マスタAPがSTAに向けてサウンディングトリガフレームを送信して、手順を始める。次に、マスタAPおよびスレーブAPの両方がSTAに向けてNDPAフレームを同時に送信する。この後、マスタAPおよびスレーブAPの両方がSTAに向けてNDPフレームを同時に送信する。次に、マスタAPは、CSIビームフォーミングレポートをフィードバックするようにSTAに信号を送るトリガフレームを送信する。このサウンディング手順には、更なるスレーブAPがそれぞれのNDPフレームをNDPA、NDP1、およびNDP2と並行して送信することにより参加してもよい。
【0060】
図3に戻ると、この図は、2つのSTAの各々とマルチAP連携を実行する2つのAPを示す。AP1 204はN個のTxアンテナを有する。AP2 206はN個のTxアンテナを有する。STA1 304はM個のRxアンテナを有する。STA2 306はM個のRxアンテナを有する。サウンディングプロセスの間、STA1 304は、チャネル308および310について、AP1 204およびAP2 206内のトランスミッタから受信されるNDPフレームに基づき
【数1】
および
【数2】
CSIを推定する必要がある。同様に、STA2 306は、チャネル312および314について、AP1 204およびAP2 206内のトランスミッタから受信されるNDPフレームに基づき
【数3】
および
【数4】
CSIを推定する必要がある。行列の文字Hは、受信された信号の利得およびフェーズを含み得るサウンディング手順の一部としてSTA1 304およびSTA2 306により推定されるような生のチャネルデータを指すために使用される。サウンディング手順は、限定されるわけではないが、図5図6、または図7に示す手順のうちの1つであってよい。
【数5】
は、STAxとAPyとの間の生のチャネルデータを表すサイズA×Bの行列である。AP1 204はKストリームを伝送してよく、AP2 206はKストリームを伝送してよく、KはMより小さいかそれに等しく、KはMより小さいかそれに等しい。MおよびMは通常、NまたはNより小さいかそれに等しい。
【0061】
STAが生データのH行列をAPに伝送し返すことは非実用的である。実施形態では、行列Hに関連するチャネル情報が、特異値分解(SVD)技法を使用してHを形態UΣVに分解することにより固有値および右固有行列に基づきAPにフィードバックされてよく、Uは左固有行列、Σは固有値行列、Vは右固有行列である。Hの大きさ(dimension)がK×Nである場合は、Uの大きさがK×Kになり、Σの大きさがK×Nになり、Vの大きさがN×Nになる。SVD形式で記述される場合は、実用的な目的のために、ユニタリ行列UなしでΣV情報のみがフィードバックされれば十分である。ΣおよびVデータを所与とすると、Hは次に、APにより再構築され得る。上付き文字Hはエルミート転置(すなわち、共役転置)行列演算を指す。
【0062】
APのプリコーダは、AP1 204またはAP2 206であり得るマスタAPにより、または、AP1 204およびAP2 206の両方により計算され得る。マルチAP協力を使用する場合は、協調ビームフォーミング(CBF)または共同伝送(JT)のプリコーダを計算するために、実際のストリームサイズKおよびKについて、4つのチャネル状態
【数6】
308、
【数7】
310、
【数8】
312、および
【数9】
314の全てを各APに集約する必要がある。図8aは、CBFの場合にプリコーダが計算され得るようにマスタAPまたは個々のAPで再構築される集約された行列800を示す。図8bは、JTの場合にプリコーダが計算され得るようにマスタAPまたは個々のAPで再構築される集約された行列802を示す。実施形態では、AP(マスタAPまたは個々のAP)が、HのSVD形態のフィードバックされた固有値Σおよび右固有行列Vのみに基づき、再構築されたチャネル行列800または802からプリコーダを計算する。
【0063】
図9aに示すように、STA1 304およびSTA2 306がAP1 204と通信する協調ビームフォーミング(CBF)を使用する実施形態では、
【数10】
308チャネルおよび
【数11】
312チャネルのみがAP1 204に集約され、その一般逆行列がゼロフォーシングビームフォーミングタイプのプリコーダに取られる。これによって、大きさN×(K+K)のプリコーダ900が得られ、その最初のK列のみがAP1 204内のCBプリコーダに使用される。同様に、AP2 206がチャネルを集約し、且つ、大きさN×(K+K)の集約されたチャネルの一般逆行列を取る、実施形態では、その最後のK列のみがAP2 206のCBプリコーダに使用される。図9aでは、PCBF1がH11およびH21の一般逆行列を用いて計算されてよく、最初のK列を取る。PCBF2がH11およびH21の一般逆行列を用いて計算されてよく、最後のK列を取る。
【0064】
各AP内のチャネル行列は、左固有行列Uでなく、フィードバックされた固有値Σと右固有行列Vとに基づき再構築される。これらのCSI値が集約される(例えば、単一のH行列中に連結される)場合は、U、Σ、およびVは、各チャネルのU、Σ、およびVから個々に、別々に集約されると考えることができる。Uはフェーズ情報を含むユニタリ行列であることから、これを搬送周波数オフセット(CFO)の一種と見なすことができ、CBの全体的なマルチユーザMIMO(MU-MIMO)性能に影響を与えることなく無視することができる。他の実施形態では、単一のAPベースのダウンリンクMU-MIMOに同じ原理を適用することができる。
【0065】
共同伝送(JT)を使用する実施形態では、集約されるチャネルが行列800内の列に限定されず、行列800の行によっても集約される。これらの実施形態では、チャネルが行列800の行に集約される場合にU行列が無視されない。すなわち、チャネル
【数12】
308および
【数13】
310が集約される場合は、U、Σ、およびVを別々に集約してJTのプリコーダを計算することができず、ひいては、
【数14】
308、
【数15】
310、
【数16】
312、
【数17】
314の各々について個々にフィードバックを伝送させることができない。図9bは、JTを使用する実施形態のプリコーダ行列を示す。
【0066】
実施形態では、個々のチャネルのCSI情報は、CBFに基づくマルチAP連携または単一のAPベースのDL MU-MIMOを使用する場合に、個々のSTAと個々のAPとの間で別々に伝送され得る。しかしながら、JTに基づくマルチAP連携を使用する実施形態では、SVDの計算とCSI情報の算出とを行う前に、各STAと、連携しているAPとの間のチャネルを最初に各STAに集約しなければならない。図5図6、および図7に示すサウンディング手順と他の適切な方法では、各STAは、STAとマルチAP連携内の全てのAPとの間の推定されたチャネルを集約する必要がある。STAは次に、集約されたチャネルのSVDを算出して、APにフィードバックするCSI情報を計算してよい。
【0067】
図3を参照すると、STA1 304およびSTA2 306は、図8bの行列802と同様に、推定されたチャネルを集約すべきである。ここで、各STAがフィードバック用のCSI情報を計算する前に、
【数18】
はSTA1 304に集約され、
【数19】
はSTA2 306に集約される。行列802は、STA1 304およびSTA2 306の両方からの
【数20】
チャネルおよび
【数21】
チャネルのフィードバックされたCSI情報に基づき、マスタAPで再構築され得る。
【0068】
図10を参照すると、行列802では、上付き文字xがSTAインデックスを表す。すなわち、Hは、STAxで推定および集約される、推定されたチャネルである。下付き文字はチャネルのサイズである。行列802の一般逆行列は、マスタAP内のゼロフォーシングビームフォーミング(ZFBF)ベースのプリコーダ行列1002を計算するために使用される。チャネル
【数22】
および
【数23】
は、推定されたチャネルを集約せずにP行列ベースの並行的NDPサウンディングを使用して推定され得る。他の実施形態では、インターリーブトーンベースのロングトレーニングフィールド(LTF)に基づく並行的NDPサウンディングが、本明細書で説明する連続的サウンディングの場合と同様のチャネル集約を必要とする可能性がある。
【0069】
本発明の実施形態では、STAが特異値分解行列ΣおよびVを計算する前にチャネル集約を実行する。特異値分解行列ΣおよびVは次に、STAにより1つまたは複数のAPにフィードバックされる。この手法は、特に、通信のためにAPにより(協調ビームフォーミングでなく)共同伝送が実装されている場合に実行される。幾つかの実施形態では、STAは、通信のために共同伝送が実装されているかどうかを決定するように構成されている。複数のAPにより一緒に共同伝送が実装されている場合は、STAは、特異値分解行列ΣおよびVの計算およびフィードバックを行う前にチャネル集約を実行するように更に構成されている。すなわち、STAと、連携モードで一緒に動作している全てのAPとの間の推定されたチャネルは、共同伝送(JT)スケジュールの場合、CSIがフィードバックされる前に各STAに集約され得る。STAは故に、それ自体と、連携している全てのAPとの間のチャネルを組み合わせて推定する。次に、この集約されたチャネルに対してSVDが実行される。共同伝送が実装されていない場合(例えば、協調ビームフォーミングが実装されている場合)は、STAは異なる手順を実行するように構成される。例えば、STAは、チャネル集約をせずに特異値分解行列の計算およびフィードバックを行うように構成され得る。すなわち、各STAと各APとの間の推定されたチャネルは、協調ビームフォーミングスケジュールの場合、各STAに集約されずにフィードバックされ得る。
【0070】
共同伝送の場合は、集約されたチャネル行列を以下のように表すことができる。
【数24】
【0071】
ここで、aおよびbは異なるチャネルを指す。
【0072】
様々な実施形態において、連携モードにある1つのAPと、AP連携におけるスケジューリングされた全てのSTAとの間のチャネルをAPで一緒に再構築して、協調ビームフォーミング(CB)スケジュールのZFBFベースのプリコーダ計算を計算してよい。
【0073】
様々な実施形態において、全てのAPと、連携モードにあるスケジューリングされた全てのSTAとの間の全てのチャネルをAPで一緒に再構築して、共同伝送(JT)スケジュールを計算してよい。
【0074】
本発明の実施形態によれば、STAがワイヤレスチャネルのチャネル状態情報(CSI)を決定する方法が提供される。この方法は、複数の通信チャネルを介して複数のAPから複数のサウンディングデータ伝送を受信する段階と、通信チャネルの各々について、通信チャネルの各々を介して受信される複数のサウンディングデータ伝送に基づきチャネルのチャネル状態情報(CSI)を推定する段階と、通信チャネルの各々のチャネル情報を集約して、集約されたCSIを生成する段階と、複数のAPに対して集約されたCSIを伝送する段階とを含む。
【0075】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、公称値からの変動、例えば、公称値からの+/-10%の変動を含むと解釈されるべきである。係る変動は、それが具体的に言及されているかどうかにかかわらず、本明細書で提供する所与の値に常に含まれることを理解すべきである。
【0076】
別段の定めがない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されているものと同じ意味を有する。
【0077】
前述の実施形態の説明を通じて、本発明は、ハードウェアのみを使用することにより、または、ソフトウェアおよび必要なユニバーサルハードウェアプラットフォームを使用することにより実装され得る。係る理解に基づき、本発明の技術的解決策はソフトウェア製品の形態で具現化され得る。ソフトウェア製品は、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、USBフラッシュディスク、またはリムーバブルハードディスクであり得る、不揮発性または非一時的な記憶媒体に記憶され得る。ソフトウェア製品は、本発明の実施形態で提供する方法をコンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワークデバイス)が実行できるようにする幾つかの命令を含む。例えば、係る実行は、本明細書で説明するような論理操作のシミュレーションに対応してよい。ソフトウェア製品は、本発明の実施形態に係る、デジタル論理装置を構成またはプログラミングするための操作をコンピュータデバイスが実行できるようにする幾つかの命令を追加的または代替的に含んでよい。
【0078】
本発明をその具体的な特徴および実施形態を参照して説明してきたが、本発明から逸脱することなく様々な修正および組み合わせが行われ得ることは明らかである。従って、明細書および図面は、添付の特許請求の範囲で規定されるような本発明の例示として単に見なされるべきであり、本発明の範囲内にあるありとあらゆる修正、変形、組み合わせ、または同等物を網羅することが想定される。
(他の考えられる項目)
(項目1)
ステーション(STA)がワイヤレスチャネルのチャネル状態情報(CSI)を決定する方法であって、
複数の通信チャネルを介して複数のアクセスポイント(AP)から複数のサウンディングデータ伝送を受信する段階と、
前記複数の通信チャネルの各々について前記複数のサウンディングデータ伝送に基づき前記チャネルのCSIを推定する段階と、
前記複数の通信チャネルを集約して、集約されたチャネル行列を有する集約されたチャネルを生成する段階と、
前記集約されたチャネル行列に対する特異値分解を実行して、前記集約されたチャネルのΣ行列およびV行列を生成する段階と、
前記複数のAPに前記Σ行列および前記V行列を伝送する段階と
を備える、方法。
(項目2)
前記複数のサウンディングデータ伝送は連続して受信される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記複数のサウンディングデータ伝送は並行して受信される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記集約されたチャネル行列は前記複数のサウンディングデータ伝送の利得およびフェーズを含む、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記複数の通信チャネルは802.11 Wi-Fiプロトコルを使用する、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記802.11 Wi-Fiプロトコルは多入力多出力(MIMO)プロトコルを含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記複数の通信チャネルを介して前記複数のAPにより共同伝送が使用されることを決定する段階を更に備える、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
アクセスポイント(AP)がワイヤレスチャネルのチャネル状態情報(CSI)を決定する方法であって、
複数の通信チャネルを介して複数のステーション(STA)にサウンディングデータ伝送を伝送する段階と、
前記サウンディングデータ伝送に応答して前記複数のSTAの各々からΣ行列とV行列との対を受信する段階であって、対になった前記Σ行列および前記V行列の各々は、前記複数のSTAの各々により推定されるチャネルの行列の特異値分解を通じて生成される、段階と、
前記複数のSTAから受信される前記Σ行列と前記V行列との対に基づき前記CSIの集約行列を再構築する段階と、
前記集約行列に基づきプリコーダ行列を計算する段階と
を備える、方法。
(項目9)
前記サウンディングデータ伝送は複数のサウンディングデータ伝送と並行して伝送される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記サウンディングデータ伝送は複数のサウンディングデータ伝送と直列に伝送される、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記APが、協調ビームフォーミング技法を用いた前記プリコーダ行列を使用して前記複数のSTAのうちの1つと通信する段階を更に備える、項目8から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記APが、共同伝送技法を用いた前記プリコーダ行列を使用して複数のデータストリームの一部を前記複数のSTAと通信する段階を更に備える、項目8から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
通信チャネルを介して通信するステーション(STA)であって、前記STAは、
プロセッサと、命令を記憶する非一過性メモリとを備え、前記命令は、前記プロセッサにより実行されると、前記STAに、
複数の通信チャネルを介して複数のアクセスポイント(AP)から複数のサウンディングデータ伝送を受信することと、
前記複数の通信チャネルの各々について前記複数のサウンディングデータ伝送に基づき前記チャネルのCSIを推定することと、
前記複数の通信チャネルを集約して、集約されたチャネル行列を有する集約されたチャネルを生成することと、
前記集約されたチャネル行列に対する特異値分解を実行して、前記集約されたチャネルのΣ行列およびV行列を生成することと、
前記複数のAPに対して前記集約されたチャネルの前記Σ行列および前記V行列を伝送することと
を実行させる、ステーション。
(項目14)
前記複数のサウンディングデータ伝送は連続して受信される、項目13に記載のステーション。
(項目15)
前記複数のサウンディングデータ伝送は並行して受信される、項目13に記載のステーション。
(項目16)
前記集約された行列は前記複数のサウンディングデータ伝送の利得およびフェーズを含む、項目13から15のいずれか一項に記載のステーション。
(項目17)
前記複数の通信チャネルは802.11 Wi-Fiプロトコルを使用する、項目13から16のいずれか一項に記載のステーション。
(項目18)
前記802.11 Wi-Fiプロトコルは多入力多出力(MIMO)プロトコルを含む、項目17に記載のステーション。
(項目19)
前記複数の通信チャネルを介して前記複数のAPにより共同伝送が使用されることを決定する段階を更に備える、項目13から18のいずれか一項に記載のステーション。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
【国際調査報告】