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特表2022-5540892端子型腐食防止装置、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】2端子型腐食防止装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C23F 13/20 20060101AFI20221221BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20221221BHJP
   C23F 13/02 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
C23F13/20 Z
H02J1/00 304A
C23F13/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523269
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 CA2020051417
(87)【国際公開番号】W WO2021077223
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/925,486
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】522156092
【氏名又は名称】カナディアン オート プリザベイション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジアティス,ペトロス ゼット.
【テーマコード(参考)】
4K060
5G165
【Fターム(参考)】
4K060AA03
4K060BA02
4K060CA06
4K060CA19
4K060CA22
4K060CA27
4K060EA17
4K060EB01
4K060FA10
5G165EA01
(57)【要約】
腐食防止装置、システム及び方法が提供される。装置は、全部で2つだけの端子を用いて保護される物体及び電源に接続されている間に動作し得る。これは、腐食防止信号の一時的交流成分をブロックするチョーク装置を用いて回路のリターンパスノードを逆参照することにより達成され得る。そのため、チョーク装置は、腐食防止信号を単一の負/グラウンドパスから対象物に向け、それから回路の正リードを通してリターンさせる。2端子型腐食防止装置は、それにより、対象物への第1の接続から離れた場所に対象物へのもう1つの接続が設けられるのを要しないことにより、例えば車両への取り付け処理を簡略化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の第1のノード及び第2のノードのそれぞれと接続するための第1の端子及び第2の端子と、
前記第2の端子に接続される前記腐食防止モジュールの出力ポートに、一時的交流成分を有する電気波形信号を生成するための腐食防止モジュールと、
前記波形信号の前記一時的交流成分が前記リターンポートに入ることをブロックするように、且つ、前記波形信号の前記一時的交流成分が前記第2の端子に流れることができるように、前記腐食防止モジュールの前記出力ポートをリターンポートに接続するチョーク装置と、
を備える腐食防止装置。
【請求項2】
前記電源及び前記金属体を前記第1及び第2の端子のみを介して前記装置に接続することにより金属体の腐食率を低減するよう構成された、請求項1に記載の腐食防止装置。
【請求項3】
前記第2の端子が前記電源から負電圧を受信するための負端子である、請求項1又は2に記載の腐食防止装置。
【請求項4】
前記腐食防止モジュールは、前記第1の端子に接続された入力ポートを更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の腐食防止装置。
【請求項5】
前記チョーク装置はレジスタを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の腐食防止装置。
【請求項6】
前記チョーク装置はフェライトビーズを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の腐食防止装置。
【請求項7】
前記チョーク装置はインダクタを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の腐食防止装置。
【請求項8】
前記チョーク装置はダイオードを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の腐食防止装置。
【請求項9】
前記チョーク装置は、前記波形信号が生成される期間に前記出力ポートを前記リターンポートから電気的に切断し、前記波形信号が生成されない期間に前記第2の端子を前記リターンポートに電気的に接続するスイッチ装置を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の腐食防止装置。
【請求項10】
前記電気波形信号が1kHz~10kHzの範囲内の周波数を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の腐食防止装置。
【請求項11】
第1及び第2の端子を有する腐食防止装置を提供することと、
前記装置の前記第2の端子を用いて、前記装置を前記金属体に接続することと、
前記装置の腐食防止モジュールにおいて一時的交流成分を有する電気波形信号を生成することと、
前記電気波形信号を前記腐食防止モジュールにリターンさせることであって、前記波形信号の前記一時的交流成分をブロックすることを含む、リターンさせることと、
前記金属体に電流を誘導するために、前記電気波形信号を前記第2の端子に提供することと、
を備える、金属体の腐食率を低減する方法。
【請求項12】
前記第1及び第2の端子のみを介して、前記装置に給電する電源及び前記金属体を前記装置に接続すること
を更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の端子が電源から負電圧を受ける負端子である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の端子を前記腐食防止モジュールの入力ポートに接続することを更に備える、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ブロックすることが、レジスタの使用を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ブロックすることが、フェライトビーズの使用を含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ブロックすることが、インダクタの使用を含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ブロックすることが、ダイオードの使用を含む、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ブロックすることが、
前記波形信号が生成される期間に前記電気波形信号全体をブロックすることと、
前記波形信号が生成されない期間に前記第2の端子を前記腐食防止モジュールのリターンポートに接続することと、
を含む、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記電気波形信号が、1kHz~10kHzの範囲内の周波数を有する、請求項11~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記金属体が車両の一部である、請求項11~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
電源に接続するための第1の端子及び第2の端子と、
前記第1の端子に接続された第1のポートと、リターンポートとを備える腐食防止モジュールであって、前記第1のポートから交流成分を有する腐食防止信号を出力するよう構成された腐食防止モジュールと、
前記第1のポートと前記リターンポートとの間に直列接続され、前記腐食防止信号の前記交流成分が前記リターンポートに入ることを妨げるよう構成されたリターンパス装置と、
を備える装置。
【請求項23】
前記電源及び前記金属体を前記第1及び第2の端子のみを介して前記装置に接続することにより、金属体の腐食率を低減するよう構成された、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の端子が前記電源の負端子に接続するために構成されている、請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
前記第2の端子が前記電源の正端子と接続するよう構成されている、請求項22~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記腐食防止モジュールが、前記第2の端子に接続された入力ポートを更に含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記リターンパス装置はレジスタを含む、請求項22~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記リターンパス装置はフェライトビーズを含む、請求項22~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記リターンパス装置はインダクタを含む、請求項22~28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記リターンパス装置はダイオードを含む、請求項22~29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記リターンパス装置は、前記腐食防止信号を出力する期間に前記出力ポートを前記リターンポートから電気的に切断し、前記腐食防止信号を出力しない期間に前記第2の端子を前記リターンポートに電気的に接続するスイッチ装置を含む、請求項22~30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記腐食防止信号は1kHz~10kHzの範囲内の周波数を有する、請求項22~31のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月24日に出願された米国仮特許出願第62/925,486号に基づく優先権を主張し、この出願は参照により本明細書に援用される。
【0002】
分野
本開示内容は、一般に、腐食防止に関する。より具体的には、本開示内容は、非カソード腐食防止装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
酸化環境において、適切な条件下において、電子を取り込んで還元される物体がある。これらの電子は、典型的に、酸化環境に暴露された金属体の原子から来る。酸化環境は、少なくとも1つの化学物質の存在によって特徴づけられ、この化学物質の原子は、該環境において、金属原子から少なくとも1つの電子を取得することによって還元されることができる。電子を「寄付」する際に、金属が酸化する。酸化プロセスが進むにつれて、金属体は、もはやその所期の用途に使用することができない段階まで劣化する。他の環境において、劣化は、例えば物体に錆が生じるような、美観的に不快なものであり得る。
【0004】
酸化防止のための試みとしてのいくつかの解決策には、カソード保護システムが含まれる。これらのシステムにおいて、保護される金属体は、電子回路のカソードを形成する。保護される金属体とアノードとは、電気エネルギー源に接続され、電気回路はアノードからカソードへと水溶液を介して完結される。電子の流れは、普通であれば酸化を引き起こす水溶液中の物体に必要な電子源を提供し、それにより、保護される金属(カソード)の原子から来る電子の「寄付」を減少させる。しかしながら、そのようなカソード保護システムは、例えば海水又は導電土質のような導電媒体に少なくとも部分的には沈んでいない金属体の保護のための使用に限定される。その結果、多くの金属体はこれらのカソードシステムによっては有効に保護することができない。
【0005】
もう一つのタイプのアプローチは、電気装置を用いて電気信号を生成して金属体に印加するものであった。金属体への信号の効果は、金属体の腐食率を減少させることであり得る。これらの装置は、典型的に、回路を金属体及び電源の両方に接続するために3つの端子又は線を要する。これらの装置は、例えば車両等に取り付けることが難しくあり得る。
【0006】
したがって、腐食防止装置及び方法の改善が望まれる。
【0007】
図面の簡単な説明
以下に、本開示内容の実施形態が、添付の図面を参照して、例示としてのみ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】3線式非カソード腐食防止装置のブロック図である。
図2】腐食防止回路のブロック図である。
図3】例としての応用における本開示内容に従う腐食防止装置の実施形態のブロック図である。
図3A】チョーク装置を備える実施形態の一部を示すブロック図である。
図3B】腐食防止装置を電気システムに接続する例としての方法を示すブロック図である。
図3C】腐食防止装置を電気システムに接続する例としての方法を示すブロック図である。
図4】もう1つの例としての応用における腐食防止装置の実施形態のブロック図である。
図5】腐食防止モジュール及びリターンパスシステムを示す例としての実施形態における回路図である。
図6】腐食防止モジュール及びリターンパスシステムを示す例としての実施形態における回路図である。
図7】腐食防止モジュール及びリターンパスシステムを示す例としての実施形態における回路図である。
図8】腐食防止モジュール及びリターンパスシステムを示す例としての実施形態における回路図である。
図9】腐食防止モジュール及びリターンパスシステムを示す例としての実施形態における回路図である。
図10図9の腐食防止装置の回路図例である。
図11】例としてのコンピューティングデバイス又はシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本開示内容は、一般に、金属体の腐食防止の改良に関する。特に、本開示内容は、改善された腐食防止装置、システム及び方法に関する。
【0010】
1つの態様によれば、本発明は、金属体の腐食率を低減する方法及びシステムを提供する。この方法及びシステムは、例えば波形信号である電気信号を生成することと、電気波形を金属体に接続することと、電気波形に応じて金属体において電流を誘導することと、を含み得る。電気波形は所定の特徴を有し、波形が一時的交流成分を有するように直流電源から生成され得る。信号は、時として、腐食防止信号と呼ばれ得る。
【0011】
1つの態様によれば、本開示内容は、その腐食防止機能を実現するために、2つの線、端子、又は他の電気的接続のみを利用する腐食防止装置又はシステムを提供する。1つの態様において、これは、回路の基準電圧を、負パスに接続された出力信号の電圧と異ならせるチョーク装置のような装置を用いて、腐食防止電気波形信号を生成する回路のリターンパスノードを逆参照することによって達成され得る。こうすることにより、出力信号は単一の負/グラウンドパスに向かわされ、信号が保護するよう設計された金属体に向かわされる。信号は、その後、回路の正リードを通ってリターンする。実施形態において、装置は3つ以上の端子を有してもよい。
【0012】
更に、1つの態様において、腐食防止装置は、2つの端子のみを用いて腐食防止機能を実行し、電源からの電力を受け取るように設けられる。
【0013】
1つの態様において、本開示内容は、電源の第1のノード及び第2のノードのそれぞれと接続するための第1の端子及び第2の端子と、第2の端子に接続される腐食防止モジュールの出力ポートに、一時的交流成分を有する電気波形信号を生成するための腐食防止モジュールと、波形信号の一時的交流成分がリターンポートに入ることをブロックするように、且つ、波形信号の一時的交流成分が第2の端子に流れることができるように、腐食防止モジュールの出力ポートをリターンポートに接続するチョーク装置と、を備える腐食防止装置を提供する。
【0014】
1つの実施形態において、腐食防止装置は、電源及び金属体を第1及び第2の端子のみを介して装置に接続することにより金属体の腐食率を低減するよう構成される。
【0015】
1つの実施形態において、第2の端子は、電源から負電圧を受信するための負端子である。
【0016】
1つの実施形態において、腐食防止モジュールは、第1の端子に接続された入力ポートを更に備える。
【0017】
1つの実施形態において、チョーク装置はレジスタを備える。
【0018】
1つの実施形態において、チョーク装置はフェライトビーズを備える。
【0019】
1つの実施形態において、チョーク装置はインダクタを備える。
【0020】
1つの実施形態において、チョーク装置はダイオードを備える。
【0021】
1つの実施形態において、チョーク装置は、波形信号が生成される期間に出力ポートをリターンポートから電気的に切断し、波形信号が生成されない期間に第2の端子をリターンポートに電気的に接続するスイッチ装置を備える。
【0022】
1つの実施形態において、電気波形信号は1kHz~10kHzの範囲内の周波数を有する。
【0023】
1つの実施形態において、一時的交流成分は1kHz~10kHzの範囲内の周波数を有する。
【0024】
1つの態様において、本開示内容は、第1及び第2の端子を有する腐食防止装置を提供することと、装置の第2の端子を用いて装置を金属体に接続することと、装置の腐食防止モジュールにおいて一時的交流成分を有する電気波形信号を生成することと、電気波形信号を腐食防止モジュールにリターンさせることであって、波形信号の一時的交流成分をブロックすることを含む、リターンさせることと、金属体に電流を誘導するために電気波形信号を第2の端子に提供することと、を備える、金属体の腐食率を低減する方法を提供する。
【0025】
1つの実施形態において、方法は、第1及び第2の端子のみを介して装置に給電する電源及び金属体を装置に接続すること、を含む。
【0026】
1つの実施形態において、第2の端子は電源から負電圧を受ける負端子である。
【0027】
1つの実施形態において、方法は、第1の端子を腐食防止モジュールの入力ポートに接続することを備える。
【0028】
1つの実施形態において、ブロックすることは、レジスタの使用を含む。
【0029】
1つの実施形態において、ブロックすることは、フェライトビーズの使用を含む。
【0030】
1つの実施形態において、ブロックすることは、インダクタの使用を含む。
【0031】
1つの実施形態において、ブロックすることは、ダイオードの使用を含む。
【0032】
1つの実施形態において、ブロックすることは、波形信号が生成される期間に電気波形信号全体をブロックすることと、波形信号が生成されない期間に第2の端子を腐食防止モジュールのリターンポートに接続することと、を含む。
【0033】
1つの実施形態において、電気波形信号は、1kHz~10kHzの範囲内の周波数を有する。
【0034】
1つの実施形態において、金属体は車両の一部である。
【0035】
1つの態様において、本開示内容は、電源に接続するための第1の端子及び第2の端子と、第1の端子に接続された第1のポートとリターンポートとを備える腐食防止モジュールであって、第1のポートから交流成分を有する腐食防止信号を出力するよう構成された腐食防止モジュールと、第1のポートとリターンポートとの間に直列接続され、腐食防止信号の交流成分がリターンポートに入ることを妨げるよう構成されたリターンパス装置と、を備える装置を提供する。
【0036】
1つの実施形態において、装置は、電源及び金属体を第1及び第2の端子のみを介して装置に接続することにより、金属体の腐食率を低減するよう構成される。
【0037】
1つの実施形態において、第1の端子は電源の負端子に接続するよう構成されている。
【0038】
1つの実施形態において、第2の端子は電源の正端子と接続するよう構成されている。
【0039】
1つの実施形態において、腐食防止モジュールは、第2の端子に接続された入力ポートを更に含む。
【0040】
1つの実施形態において、リターンパス装置はレジスタを含む。
【0041】
1つの実施形態において、リターンパス装置はフェライトビーズを含む。
【0042】
1つの実施形態において、リターンパス装置はインダクタを含む。
【0043】
1つの実施形態において、リターンパス装置はダイオードを含む。
【0044】
1つの実施形態において、リターンパス装置は、腐食防止信号を出力する期間に出力ポートをリターンポートから電気的に切断し、腐食防止信号を出力しない期間に第2の端子をリターンポートに電気的に接続するスイッチ装置を備える。
【0045】
1つの実施形態において、腐食防止信号は1kHz~10kHzの範囲内の周波数を有する。
【0046】
図1は、腐食防止電気波形を生成する従来の腐食防止装置10、直流電源16、及び、腐食防止装置10によって保護される金属体15を含むシステムのブロック図である。図1に示され符号付けられるように、装置10は、装置10を電源16及び金属体15に接続するための3本の端子又は線を有する。2つの線である線1及び線2は、装置10に電源供給するために使用され、3つめの線である線3は、腐食防止波形を出力するために使用される。線1は、電源16の正ノードに接続され、線2は、負/グラウンドパスに接続される。線3は、腐食防止波形を含む。図1は、腐食防止波形が線3の金属体15への接続点19から線2の金属体15への接続点18へと進むように、線2の取り付け点から少し離れたところでの線3の金属体15への取り付け方を示す。応用によっては、線2及び線3を離間させた位置で金属体15に取り付けなければならないことは、腐食防止装置10の取り付けを複雑にし得る。例えば、腐食防止装置が車両に取り付けられる場合、3つめの線(例えば、線3)の配線、及び例えば車両の車体の一部であるような金属体15への接続は、複雑になり得る。
【0047】
図2は、腐食防止電気信号を生成する従来の腐食防止回路20、直流電源26、及び腐食防止回路20により保護される金属体25のブロック図である。回路20は、電気抵抗装置Z1及びZ2、キャパシタC1、スイッチ22を含む。スイッチ22は、位置22bにおいて、キャパシタC1を充電するために使用され得る。スイッチ22は、その後、キャパシタC1の放電を可能とするために、位置22aに移動することにより金属体25に腐食防止キャパシタ放電信号を提供し得る。
【0048】
3つ以上の端子を有する従来のシステムの課題は、腐食防止信号を提供するための第3のコンダクタを、モジュールのリターンパスから少し離れたところに取り付ける必要性に関する。これは、金属体の距離を通して作り出されるリアクタンス負荷が必要であるためであり得る。これは、腐食防止装置の取り付けにおける課題となり得る。更に、例えば装置が車両に取り付けられる際に、第3のコンダクタを物理的にルーティングしなければならないという課題もあり得る。
【0049】
本開示内容は、1つの態様において、腐食防止機能を実現するために2つの端子のみの使用を必要とする腐食防止装置を提供する。更に、腐食防止機能の実現と電源からの電力の受け取りの両方を実行するために、2つの端子のみの使用を必要とする腐食防止装置が提供される。
【0050】
一般に、1つの態様において、本開示内容は、グラウンドへのスイッチを作り出し、又はリターン(ネガティブ線)と腐食防止波形信号との間にAC/DC負荷を作り出す構成を有する回路、装置、又はシステムを提供する。これは、例えば、負荷を用いることにより、又は、グラウンド線に送出され得る波形信号を生成するために回路のグラウンドと電源の負端子とをスイッチングする方法により達成され、それにより、2端子型の装置がもたらされ得る。こうすることにより、グラウンド線を伝わるよう波形信号をそらしながら、異なる電位(システム浮動グラウンド)において仮想システムノードを生成することが可能である。したがって、本質において、波形信号は、装置において電力を受け取るためにも用いられる、装置の2つの端子のうちの1つを介して金属体に伝達され得る。これは、図1及び図2の装置における線3のような、波形信号を金属体に伝達するための専用の第3の端子又は線を有する装置と対照的である。
【0051】
電気波形信号は、金属体に印加された際に、金属体において電流を誘導し得、これによって、金属体の腐食が防止され得る。電流は、金属体の表面電流の形をとるか、又はそれを含み得る。表面電流は、金属体の表面の一部、ほぼ全体、又は全体を覆い得る。
【0052】
本開示に係る2端子型の解決策において、システム電圧の範囲は、それが設計された応用に応じて異なり得る。システム電圧とは、装置が電力供給される電圧である。例としての実施形態において、腐食防止装置のシステム電圧は5V~24Vの範囲に入り得る。しかしながら、システム電圧は、任意の他の適切な電圧であり得る。装置の負端子は、例えば電源からの、例えば-5V~-24Vの範囲の、対応する負電圧に接続され得る。腐食防止波形信号の周波数又は繰り返し率は実施形態により異なり得、任意の適切な値を有するように選択され得る。例えば、例としての実施形態において、周波数は、例えば、1MHzから定励磁(0Hzを意味する)までの範囲内の任意の適切な値に設定され得る。1つ以上の実施形態において、周波数は、約1kHz~20kHz、又は1kHz~10kHzの範囲内に設定され得る。幾つかの実施形態において、周波数は、2.5kHz、5kHz、7.5kHz、10kHz、又はこれらの値より低い、これらの値の間である、又はこれらの値より高い、任意の他の適切な値であり得る。
【0053】
信号の波形は、任意の適切な種別及び/又は形であり得る。1つの実施形態において、波形信号の一時的交流成分は、正弦波を含み得る。しかしながら、他の実施形態において、同様の効果を持つ他の適切な波形が適用され得ることが理解されるべきである。1つ以上の実施形態において、波形は、1つ以上の正弦波、パルス、正方形、傾斜、鋸歯、三角形、ノイズ、ランダム形状、又はそれらの組合せを含み得る。1つの実施形態において、波形信号は交流信号であるか、又は交流信号を含み得る。1つの実施形態において、波形信号はRF信号であるか、又はRF信号を含み得る。
【0054】
図3は、金属体150及び電源160と組み合わせた、本開示内容に従う腐食防止装置100の例としての実施形態を示すブロック図である。この実施形態において、装置100は、2つの外部端子100a、100bを有し、そのうち1つが電源160の正ノードに接続され、もう1つが負ノードに接続される。電源160は、直流電源又は交流電源を備え得る。
【0055】
装置100は、一般に、入力ポート110a、出力ポート110b、及び/又はリターンポート110cを有し得る、腐食防止モジュール110を備え得る。腐食防止モジュール110は、出力ポート110bに出力され得る腐食防止波形信号を生成する回路又は他の構成要素を備え得る。モジュール110は、例えば電源160のような電源から電力供給され得る。入力ポート110aは、電源160のノードのうちの1つに接続され得る。図3の実施形態において、入力ポート110aは電源160の正ノードに接続され、リターンパスシステム111は、電源160の負ノードに接続される。しかしながら、もう1つの実施形態において、入力ポート110aは電源160の負ノードに接続され、リターンパスシステム111が電源160の負ノードに接続されてもよい。
【0056】
更に、装置100は、金属体150へ腐食防止波形信号を伝達するための第3の外部端子を有する代わりに、腐食防止波形信号を、そこから電力を受け取る端子100a、100bに加えるように構成され得る。この実施形態において、波形信号は端子100bに供給される。更に、腐食防止モジュール110の出力は、リターンポート110cを介しリターンパス114を介して腐食防止モジュール110に戻される。しかしながら、波形信号の一部又は全部がリターンポート110cに到達することを妨げるために、リターンパスシステム111は、リターンポート110cの間に置かれる。リターンパスシステム111は、波形信号の一部又は全部をブロックするための回路及び/又は構成要素を備え得る。1つの実施形態において、リターンパスシステム111は、波形信号の一時的交流成分をブロックする回路及び/又は構成要素を備え得る。このブロック又はフィルターを達成するための様々な例としての構造及び構成が、図5~10を参照することを含めて、以下に説明される。波形信号の一部又は全部をブロックすることにより、リターンパスシステム111は、波形信号を腐食防止装置100の端子100a、100bに向かうよう強いる。波形信号は、その後、金属体150に向かう。
【0057】
図3Aは、リターンパスシステム111がチョーク装置112から成る、又はチョーク装置112を含む実施形態の一部を示すブロック図である。この方法で、波形信号は、装置100の負端子から流れ出すが、腐食防止モジュール110へ戻るようリターンパスを流れることを妨げられる。チョーク装置112は、リターンパス装置とも呼ばれ得る。
【0058】
本明細書で使用されるように、チョーク及びチョーク装置という用語は、一般に、信号の一部又は全部をブロックする任意の種別の装置を指す。チョーク装置は、高周波数信号をブロックし得るが、直流、及びおそらくは低周波数信号を通過させ得る。本開示内容に従う実施形態では、チョーク装置は、波形信号の一時的交流成分をブロックするように選択又は構成され得る。1つの実施形態では、チョーク装置はACチョーク、RFチョーク、及び/又は何らかの他の周波数抵抗素子であるか、それを備え得る。いくつかの実施形態において、チョーク装置は、波形信号を完全にブロックし得る。その場合、チョーク装置はスイッチを備え得る。
【0059】
再び、腐食防止装置100の負端子100bは、電源160の負ノードに直接又は間接に接続され得、並行して、金属体150への接続である。したがって、腐食防止装置100の負端子100bは、並列で、金属体150、及び電源160の負ノードと接続される。図3は、また、波形信号の直流成分のための少なくとも1つのリターンパスを提供するための、金属体150と電源160の正端子との間の接続を示す。波形信号の一時的交流成分は、このリターンパスを通っても、又は、代替として、浮動のままにされてもよい。この接続パスには、1つ以上の構成部品152が存在し得る。例えば、構成部品152は、例えば他の電子及び/又は光デバイスのバイパスキャパシタのような、車両の1つ以上の構成部品であってもよい。構成部品152は、例えば車両の金属体に接続された電装品のように、既に電源160及び金属体150の両方に接続されていてもよく、この接続は、腐食防止装置100が取り付けられる際に、新たなコンダクタを取り付ける必要なしに、波形信号のためのリターンパスとして動作し得る。
【0060】
2端子型腐食防止装置は、従来の3端子型装置と比べて、単に、装置の取り付けを簡易化し得る。装置が車両に取り付けられる1つの応用において、取り付けは、例えば車両の電気ポートであるがそれに限定されない既存の接続点を利用することにより簡易化され得る。1つの例において、本開示内容に従う腐食防止装置は、車両全体の金属体に腐食信号を放射するために、車両のボンネットの下で直接バッテリに接続され得る。もう1つの例において、本開示内容に従う腐食防止装置は、任意の車両のUSBポートと接続して車両全体の金属体を通して腐食信号を放射するためのユニバーサル・シリアル・バス(USB)インターフェースを持つよう構成され得る。もう1つの例において、本開示内容に従う腐食防止装置は、標準的な煙草ライターに挿入されるプラグ、又は車両のオンボード診断装置(OBD)ポートへの補充的なコネクタ・インターフェースを有するよう構成され得る。一般的に言えば、本開示内容に従う腐食防止装置は、腐食の成長を低減する腐食信号を放射するための共通のリターンパスを有する任意の適切な電源に容易に接続され得る。この装置は、例えば、電源と金属体との間の既存の接続が既にある場合に、電源及び金属体の両方に接続又は結合され得る。例えば、車両において、車両の電気システムは、典型的に、車両のフレーム又は車体の少なくとも一部に接続される。このようにして、腐食防止装置は、電源(例えば、バッテリー等)から電力を受け取り、車両の少なくとも一部を通って腐食防止信号を伝達するために、電気システムに接続され得る。
【0061】
図3B及び図3Cは、金属体に腐食防止を提供するために、本開示内容に従う腐食防止装置100を電気システムに接続する単なるいくつかの例としての方法を示すブロック図である。1つの実施形態において、金属体は車両の部品であり、電気システムはバッテリを備える車両の電気システムであってよい。
【0062】
図3Bは、腐食防止装置100が電気システムに直接接続又は結合される、可能な設定を示す。これは、例えばOBDポート、バッテリ接続、煙草ライタープラグ、USBポート等のような電気接続インターフェースを介して装置100を電気システムに接続することを含み得る。これらは単なる例である。したがって、装置100の2端子は、OBDポート、USBポート等において、2つの接続点又はコンダクタに接続され得る。
【0063】
図3Cは、腐食防止装置100が電気システムに統合される、可能な設定を示す。例えば、装置100は、車両の任意の適切な電気装置に取り付けられ、又は統合され得る。例えば、装置100は、無線システム、ライティングシステム、コンピュータシステム、USBドングル、煙草ライターソケット、ディスプレイシステム、車内時計等の一部であってもよく、例えば車両工場において設置され得る。
【0064】
1つの実施形態において、本開示内容に従う腐食防止装置は、金属体に対する継続的な腐食防止効果を可能とするために、電源に継続的又は定期的に接続され得る。1つの例において、腐食防止装置は、車両が走行していない時でも、車両のバッテリから電力を得ることが可能であり得る。このようにして、車両によっては時間の大半であり得る、車両が駐車している間も腐食防止が提供され得る。
【0065】
図3は、腐食防止装置100がコントローラ130及び/又はテスト接続140を備え得ることを示す。コントローラ130は、プロセッサ134、及び/又はメモリ132を備えてよく、波形信号の生成を含む、装置100の動作の部分的な又は完全な制御を提供するよう構成され、腐食防止モジュール110と通信可能に接続され得る。更に、コントローラ130は、他の動作を実行するよう構成され得る。テスト接続140は、例えば装置100の試験を実行すること、及び/又は、データ及び/又は更新ソフトウェア及び/又はファームウェアをアップロード及び/又はダウンロードするような、任意の適切な目的のための通信インターフェースを提供し得る。
【0066】
他の実施形態において、腐食防止モジュール110及びコントローラ130の機能、動作、及び/又は構造は、説明及び図示されているように分かれていないかもしれない。例えば、腐食防止モジュール110のいくつか又は全ての機能、動作、及び/又は構造は、コントローラ130にて配置又は実行され得る。代替的に又は追加的に、コントローラ130のいくつか又は全ての機能、動作、及び/又は構造は、腐食防止モジュール110にて配置又は実行され得る。代替的に、コントローラ130は腐食防止モジュール110の一部であってもよい。他の構成もまた可能である。
【0067】
図4は、図3の設置と比較して、腐食防止装置100を有する異なる例としての構成を示すブロック図である。図4において、図3の構成と同様に、腐食防止装置100の負端子100bは、金属体150に直接接続され得る。しかし、図3とは異なり、図4において、装置100の負端子100bは、電源160の負ノードに直接接続されない。むしろ、電源160の負ノードは、代わりに、金属体150に直接接続され、この接続点150bは、装置100の負端子100bに接続された接続点150aの位置から離れた位置に置かれ得る。したがって、腐食防止装置100の負端子100bは、金属体150及び電源160の負ノードと直列接続される。図4は、また、可能性としての電源寄生162を示し、これは、例えば、電源160がバッテリ(例えば、自動車バッテリ)である場合に寄生バッテリドレインを表し得る。
【0068】
図5は、腐食防止モジュール110及びリターンパスシステム111を示す例としての実施形態における回路図であり、システム111は、図3Aに示されるようなチョーク装置112を備える。図5の例としての実施形態において、チョーク装置112は、リターンパスを浮動させ、リターンパスと端子100bのグラウンド/負パスとの間の電位を作り出すレジスタ112aを備える。レジスタ値は任意の適切な値であり得る。例えば、レジスタ値は、腐食防止回路に応じて、10オーム~60Kオームの範囲であり得、ことによるとそれを超えることもあり得る。1つの実施形態において、Rが抵抗値であり、Vが最低動作直流電圧であり、Iが腐食防止回路(例えば、腐食防止装置100)の直流動作電流であり、R=V÷Iであるオームの法則を用いて、最適値が決定され得る。
【0069】
図6は、図5と類似する、もう1つの例として実施形態の回路図である。図6の例としての実施形態において、チョーク装置112は、リターンパスを浮動させ、リターンパスと端子100bのグラウンド/負パスとの間の電位を作り出すフェライトビーズ112bを備える。フェライトビーズは、抵抗成分と交流成分(インピーダンス)の両方を有する。フェライトビーズは、小型で入手可能であり、インダクタとして機能することができる。1つの実施形態において、フェライトビーズを選択する際、最小の直流抵抗で最高の交流インピーダンスを有するものが選択されるべきである。
【0070】
図7は、図5と類似する、もう1つの例として実施形態の回路図である。図7の例としての実施形態において、チョーク装置112は、リターンパスを浮動させ、リターンパスと端子100bのグラウンド/負パスとの間の電位を作り出すインダクタ112cを備える。1つの実施形態において、インダクタ112cのインダクタンス値は、XL=2×π×F×Lの公式を用いて計算され得る。ここで、XLはインピーダンス、Fは腐食防止波形信号の周波数、Lはインダクタンス値である。この公式は、L=XL÷(2×π×F)と再構成され得る。これにより、インダクタンス値を解くことが可能である。1つの実施形態において、リアクタンス(XL)値は、高インピーダンスを有するように選択され得る。何故なら、少なくとも特定の実施形態において、腐食防止装置100の電流は非常に低く、インダクタの容量を運ぶ電流は重要ではないかもしれないからである。1つの実施形態において、インダクタンス値は、10μH~200μHの範囲から選択され得る。腐食防止装置100の他の設計パラメータに応じて、この範囲外のインダクタンス値が選択され得る。
【0071】
図8は、図5と類似する、もう1つの例として実施形態の回路図である。図8の例としての実施形態において、チョーク装置112は、リターンパスを浮動させ、リターンパスと端子100bのグラウンド/負パスとの間の電位を作り出す、1つ以上の様々なタイプのダイオード112dを備え得る。そのようなダイオード112dの例は、標準ダイオード、ツェナーダイオード、及びショットキダイオードを含む。ダイオード112dは、腐食防止信号から順方向バイアスされているため、エネルギーをグラウンド/負パスから出す電圧低下をもたらす。いくつかの実施形態において、これは、本明細書に記載された別の方法と比べて最も効率的な方法ではないかもしれないが、それでも使用され得る。
【0072】
図9は、図5と類似する、もう1つの例として実施形態の回路図である。図9の例としての実施形態において、チョーク装置112は、リターンパスを浮動させ、リターンパスと端子100bのグラウンド/負パスとの間の電位を作り出すスイッチング素子112eを含み得る。スイッチング素子112eは、波形信号が生成される間に出力ポート110bをリターンポート110cから電気的に切断し、波形信号が生成されない間に第2の端子100bをリターンポート110cに電気的に接続し得る。スイッチング素子112eの例には、トランジスタ、又は電界効果トランジスタ(FET)が含まれる。スイッチング素子112eは能動素子であるため、例えば図10に示されるような、腐食防止装置のわずかに異なる構成が必要とされ得る。
【0073】
図10において、リターンパスは、リターンパスのスイッチングを達成するNPN/PNPトランジスタ又はFET112fを含み得る。例えばコントローラ130のような回路は、腐食防止波形信号の生成中にトランジスタをオンにし、その後に、トランジスタをオフにし、グラウンド/負パスをリターンパスから切断して電流をグラウンド/負パスから出すよう構成され得る。図10において、トランジスタ制御信号113が示される。この信号は、単一のグラウンド/負パスを通して電流をリダイレクトするためのオフ・タイムの間にスイッチをトリガする。
【0074】
図5~10に示された例としての実施の形態は例示に過ぎず、グラウンドへのスイッチを作り出すために、又は、リターン(ネガティブ線)と腐食防止波形信号との間のAC/DC負荷を作り出すために、他の種類の受動又は能動的なリターンパス装置111、又はチョーク装置112が利用され得る。更に、1つの実施形態において、チョーク装置112は、例えば図5~10の実施形態のもののうちの1つ以上を含む、2つ以上の構成要素を含み得る。
【0075】
更に、本開示内容に従う処理及び方法も提供され得る。単なる例として、金属体の腐食率を低減する例としての方法は、以下を備え得る。即ち、第1及び第2の端子を有する腐食防止装置が提供される。この装置は、装置の第2の端子を用いて金属体に接続され得る。装置の腐食防止モジュールにおいて、一時交流成分を有する電気波形信号が生成される。電気波形信号は、腐食防止モジュールにリターンされるが、このリターンすることには、波形信号の一時交流成分をブロックすることを含む。電気波形信号は、金属体に電流を誘発するために第2の端子に提供される。
【0076】
少なくともいくつかの実施形態において、本開示内容に従う腐食防止装置は、電源及び保護される金属体と接続するための2つの接続端子のみを有する。
【0077】
少なくともいくつかの実施形態において、本開示内容に従う腐食防止装置は、電解質なしに、保護される金属体と接続される。例えば、保護される金属体は、電解液に浸される必要はない。
【0078】
少なくともいくつかの実施形態において、低電圧の使用は、人間又は動物を高電圧にさらすことに関連するリスクを除去する。
【0079】
本開示内容に従う腐食防止装置及び/又は方法は、例えば、非カソード保護が好ましい腐食防止策である様々な工業的利用のような、任意の適切な応用において使用され得る。これには、工業設備及びインフラが含まれる。
【0080】
図11は、本開示内容に従う実施形態の1つ以上の態様又は構成部分を実装するために使用され得る例としてのコンピュータ化された装置又はシステム1100のブロック図である。例えば、システム1100は、本開示内容に従う装置、システム又は方法に使用される、例えばコントローラ(例えば、コントローラ130)のようなコンピュータ装置又はシステムを実装するために使用され得る。
【0081】
コンピュータシステム1100は、1つ以上のプロセッサ1102、メモリ1104、大量記憶装置1110、入出力(I/O)インターフェース1106、及び通信サブシステム1108を含み得る。更に、システム1100は、例えばマルチプロセッサ1102、及び/又はマルチメモリ1104等の複数装置を備え得る。プロセッサ1102は、1つ以上のデジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報処理のために設計されたデジタル回路、情報処理のために設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/又は、情報を電気的に処理する他の機構を備え得る。これらの処理ユニットは、物理的に同一の装置内に置かれてもよく、又は、プロセッサ1102は、協働して動作する複数の装置の処理機能を表し得る。プロセッサ1102は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアにより、又は、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの何らかの組み合わせにより、及び/又は、プロセッサ1102に処理能力を構成するための他の機構により、モジュールを実行するか、又は、さもなくばモジュールに属する機能を実行するよう構成され得、プロセッサ可読命令の実行中の1つ以上の物理的なプロセッサ、プロセッサ可読命令、回路、ハードウェア、記憶媒体又は任意の他の構成部品を含み得る。
【0082】
コンピュータシステム1100の1つ以上の構成部品又はサブシステムは、1つ以上のバス1112又は任意の他の適切な方法によって、互いに接続され得る。
【0083】
バス1112は、メモリバス、記憶バス、メモリコントローラバス、周辺バス又はそれに類するものを含むいくつかのバスアーキテクチャのうちの任意の種別の1つ以上であり得る。CPU1102は、任意の種別の電子データプロセッサを備え得る。メモリ1104は、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、読取り専用メモリ(ROM)、及びそれらの組み合わせ等の任意の種別のシステムメモリを備え得る。1つの実施形態において、メモリは、起動時に使用されるためのROM、及び、プログラム実行中に使用されるためのプログラム及びデータ記憶のためのDRAMを含み得る。
【0084】
大量記憶装置1110は、データ、プログラム及び他の情報を記憶し、それらのデータ、プログラム、及び他の情報を、バス1112を介してアクセス可能とするよう構成された任意のタイプの記憶装置を備え得る。大量記憶装置1110は、1つ以上の固体ドライブ、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ等を備え得る。いくつかの実施形態において、データ、プログラム、又は他の情報は、例えばクラウド内のようなリモートに記憶され得る。コンピュータシステム1100は、通信サブシステム1108経由を含む任意の適切な方法で、ネットワーク又は他のデータ伝送媒体を介してリモート記憶装置と情報を送受信し得る。
【0085】
入出力インターフェース1106は、コンピュータシステム1100と1つ以上の他の装置又はシステムとの間の有線及び/又は無線通信を可能とするインターフェースを提供し得る。例えば、入出力インターフェース1106は、腐食防止装置100のテスト接続140を実装するために利用され得る。更に、追加の、又はより少ないインターフェースが使用されてもよい。例えば、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)(図示せず)のような1つ以上のシリアルインターフェースが提供され得る。
【0086】
コンピュータシステム1100は、本開示内容に従う装置、システム、及び/又は方法を構成、動作、制御、監視、感知、及び/又は調整するために利用され得る。
【0087】
通信ネットワークを含む任意の形態又は媒体のデジタルデータ通信を通じた信号の送受信のいずれか一方又は両方のために、通信サブシステム1108が提供され得る。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、例えばインターネットのような相互ネットワーク、及び、例えばアドホックなピアツーピアネットワークのようなピアツーピアネットワークが含まれる。通信サブシステム2008は、1つ以上の有線及び無線インターフェースを通じた通信を可能とするための任意の構成部品又はその集合を含み得る。これらのインターフェースは、GPRS、UMTS、LTE、LTE-A、及び専用狭域通信(DSRC)のみならず、USB、イーサネット(例えば、IEEE802.3)、高精細度マルチメディアインターフェース(HDMI)、Firewire(商標)(例えば、IEEE1394)、Thunderbolt(商標)、WiFi(商標)(例えば、IEEE802.11)、WiMAX(例えば、IEEE802.16)、Bluetooth(商標)、又は近距離無線通信(NFC)を含み得るがそれらに限定されない。通信サブシステム1108は、1つ以上の有線接続のための1つ以上のポート又は他の構成部品(図示せず)を含み得る。追加で、又は代替的に、通信サブシステム1108は、1つ以上の送信機、受信機、及び/又はアンテナ部材(いずれも図示せず)を含み得る。
【0088】
図11のコンピュータシステム1100は、例に過ぎず、限定を意味するものではない。様々な実施形態が、図示又は説明された幾つかの又は全ての構成要素を利用し得る。いくつかの実施形態は、図示又は説明されないが、当業者に知られている他の構成要素を利用し得る。
【0089】
本開示内容に従う2端子型腐食防止装置の試験は、金属パネルにおける腐食率の低減に対する有効性を示した。まず試験環境について説明し、その後に試験結果の要約をする。
【0090】
試験は、腐食チャンバーを用い、(1)暴露時間を500時間とする、(2)電解液を0.01モルの炭酸ナトリウム溶液とする、との変更を伴うASTM B-117より適用された方法を採用して、実験室内で実施された。
【0091】
個々の標本は、標準的な自動車製造方法(電気泳動塗装、プライマー、ベース、及び透明塗装)で塗装された6インチ×8インチの亜鉛鉄板である。各実験において2群のパネルが設けられる。即ち、「対照」群(これらのパネルはモジュールによって保護されない)、及び「試験」群(これらのパネルは腐食防止装置の2端子型の実施形態によって保護される)である。各グループに16の同一の標本が存在するため、各実験は合計で32のパネル(標本)を使用する。各群の傷(scribe)に形成される錆の量を統計的に分析可能とするために、各群で16の標本が使用される。分析の詳細は以下に説明される。例えば傷にどのように切りつくかといった、錆の生じる間に発生する経過はランダムな性質を有するため、任意の1つの傷に形成される錆の量はランダムである。しかし、群としての対照標本(16パネル)と群としての試験標本(16パネル)とを比較すると、試験群に少ない錆が検出され、本明細書で示される実施形態の2ワイヤ型腐食防止装置の肯定的な効果が示された。
【0092】
腐食がそこに発生するための標準的な損傷個所を導入するために、各標本が傷つけられ、即ち、パネルの中央に4インチの長さの引っかき傷が作られる。これは、切断ホイール(研磨ディスク)を有するDremel(商標)回転ツールを用い、個々の傷をできる限り同一にするために標本ごとに新しい切断ディスクを用いてなされる。
【0093】
16の試験標本のそれぞれは、それぞれの腐食防止装置によって保護される。2線式の試験において、パネルに接続される2つの線は、電源、及びモジュール駆動/グラウンド線である。モジュールからは2本の線しかないが、接続のために、パネルの頂部に沿って4つ、底部に沿って4つの穴が開けられる。2線のそれぞれは、線を4つのピッグテールリード線に配布するために、リードに4通りの「Y」を有し得る。この目的は、傷に電流を均一に流すことである。丸形板端子で終端されるモジュール線は、ステンレススチールのハードウェアを備えるパネルに接続される。これらの接続は、電気接続の腐食を防止するために防水性のエポキシパテで覆われる。
【0094】
パネルは、Q-Labによって製造された環境チャンバーに暴露される。16の対照パネルが1つのチャンバーに入れられ、16の試験パネルがもう1つのチャンバーに入れられる。試験モジュールは、2.5kHzの繰り返し率を有し、ピークトゥーピーク出力電流が350mAであり、平均電流が0.3mAである。モジュールのこの構成は、最悪の場合の腐食の低減状況を示そうとするものであることに注意されたい。
【0095】
2つのチャンバーの状態は、可能な限り近くなるよう制御される。これら2つの間で、霧の収集率及び分布が注意深く制御される。電解質の濃度もチェックされる。例えば温度のような他の要素は、チャンバーで制御される。言い換えれば、温度が正しくない場合、警告が生成される。
【0096】
試験が完了すると、対照標本及び試験標本が取り除かれ、対照傷と比較した試験傷の腐食の低減において、腐食防止装置の有効性を決定する分析がなされる。これは、それぞれの傷の全領域に存在する腐食量を検知するための画像の取得及び処理分析によってなされる。例として、分析は、傷が0.3の結果を有することを決定できるが、これは、領域の30%が錆に覆われていることを意味する。したがって、この分析は、対照傷における最悪の場合の腐食レベルと、試験傷における最良の場合の腐食レベルとを比較することができる。もう1つの比較は、対照傷の平均腐食レベルと試験傷の平均腐食レベルとから構成され得る。これは、対照傷/試験傷の比率で表され得る。比率が1より大きい場合、平均として、対照パネルの傷が試験パネルの傷より多くの錆を有することを示し、これは肯定的な結果である。数が大きければ大きいほど、対照パネルは悪くなり、試験パネルは良くなる。
【0097】
繰り返し率2.5kHzを有し、ピークトゥーピーク出力電流が350mAである試験モジュールにとって、平均有効率は1.19である。これは、2線モジュールが腐食防止に効果的であることの肯定的な表れである。しかし、繰り返し率及び/又は出力電力を増加されることにより、この比率が増加し、それによって更に改善された腐食防止抵抗をもたらすことが想定され得る。
【0098】
本明細書に記載された実施形態のいくつかは、車両で利用され得る腐食防止装置に関する。しかし、本開示内容の範囲は、車両を含む応用に限定されることを意図しない。本開示内容に従う教示は、他の応用において又は他の応用とともに、並びに、他の領域において利用又は応用され得る。
【0099】
本明細書で使用されたように、「接続される」、「接続」及び「結合される」との用語は、一般に、電流が一方から他方へ流れるように、言及された要素が直接的又は間接的に、電気的に接続されることを意味する。接続は、直接導電接続、誘導接続、静電接続、及び/又は任意の他の適切な電気的接続を含み得る。介在する要素が存在し得る。
【0100】
これまでの説明において、例示のために、実施形態の完全な理解を提供するために多数の詳細が述べられた。しかしながら、これらの特定の詳細が必須ではないことは当業者にとって明らかである。別の例において、理解をあいまいにしないために、周知の電気的構造及び回路がブロック図の形で示される。例えば、本明細書に説明される実施形態がソフトウェア・ルーチン、ハードウェア回路、ファームウェア又はそれらの組み合わせとして実装されるか否かについて、具体的な詳細は提供されない。
【0101】
すくなくともいくつかの実施形態において、1つ以上の態様又は構成要素が、1つ以上の専用コンピューティングデバイスによって実装され得る。専用コンピューティングデバイスは、デスクトップコンピュータ、携帯可能コンピュータ、ハンドヘルド・コンピューティングデバイス、ネットワークデバイス、又は、本開示内容に従う動作及び特徴を実装する配線及び/又はプログラム・ロジックを備える任意の他のコンピューティングデバイスを含む任意の適切なタイプのコンピューティングデバイスであり得る。
【0102】
本開示内容の実施形態は、機械読み取り可能媒体(コンピュータ読み取り可能媒体、プロセッサ読み取り可能媒体、又はコンピュータ読み取りプログラムコードがその中に具象化されたコンピュータ利用可能媒体ともいう)に記憶されたコンピュータプログラム製品として表され得る。機械読み取り可能媒体は、ディスケット、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、メモリ装置(揮発性又は不揮発性)、又は同様の記憶メカニズムを含む、磁気、光、又は電気記憶媒体を含む任意の適切な非一時的で有形な媒体であり得る。機械読み取り可能媒体は、実行されたときにプロセッサに本開示内容の実施形態に従う方法のステップを実行させる命令、コードシーケンス、構成情報、又は他のデータの様々なセットを含み得る。当業者が理解するように、説明された実装をするために必要な他の命令又は動作も機械読み取り可能媒体に記憶され得る。機械読み取り可能媒体に記憶された命令は、プロセッサ又は他の適切な処理装置によって実行され、説明されたタスクを実行するための回路とインターフェースを有し得る。
【0103】
本明細書に説明され図面に示された特定の実施形態の構造、特徴、アクセサリ、又はその代替は、矛盾がない限りにおいて、本明細書に説明され図示された全ての実施形態を含む本開示内容の全ての教示内容に一般的に適用されることを意図する。言い換えれば、特定の実施形態の構造、特徴、アクセサリ、又はその代替は、特に明示されない限りにおいて、実施形態のみに限定されることを意図しない。
【0104】
加えて、本明細書に説明及び/又は図示された方法及びデータフローのステップ及び順序は限定的であることを意図しない。異なるステップ、異なる数のステップ、及び/又は異なるステップ順序を備える方法及びデータフローもまた企図される。更に、順次に又は同時に実行されるものとして、いくつかのステップが図示されているが、他の実施形態において、これらのステップはそれぞれ、同時に又は順次に実行されてもよい。
【0105】
任意の他の文書及び/又は情報が本明細書に参照により援用される場合、それらの他の文書及び/又は情報と本出願の内容との間に何らかの矛盾や不一致が存在する限り、一般的に、本出願の内容が適用されることが意図される。
【0106】
上記の実施形態は、例示のみを意図する。当業者によって特定の実施形態に対する置換、修正及び変更が行われ得る。特許請求の範囲は、本明細書に記載された特定の実施形態によって限定されるべきではなく、明細書全体と矛盾しない方法で解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図3A
図3B
図3C
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【国際調査報告】