(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】電極組立体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/536 20210101AFI20221221BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20221221BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20221221BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20221221BHJP
H01M 10/0585 20100101ALN20221221BHJP
H01M 10/04 20060101ALN20221221BHJP
【FI】
H01M50/536
H01M4/66 A
H01M50/586
H01M50/593
H01M10/0585
H01M10/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523497
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 KR2020011465
(87)【国際公開番号】W WO2021101026
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0148934
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ス・ヒュン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ブム・ヨン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ミン・キム
【テーマコード(参考)】
5H017
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H017AA02
5H017AA03
5H017AA04
5H017BB08
5H017BB11
5H017BB13
5H017BB14
5H017CC03
5H017DD03
5H017DD06
5H017EE07
5H017HH03
5H017HH09
5H028AA05
5H028BB02
5H028BB03
5H028BB05
5H028CC11
5H028EE06
5H028HH01
5H029AJ14
5H029BJ04
5H029BJ12
5H029BJ15
5H029CJ22
5H029DJ05
5H029DJ07
5H029EJ12
5H029HJ04
5H043AA11
5H043AA13
5H043AA15
5H043AA19
5H043BA15
5H043BA16
5H043BA19
5H043BA20
5H043CA08
5H043CA12
5H043CA13
5H043EA02
5H043EA07
5H043EA22
5H043EA32
5H043HA22E
5H043HA29E
5H043JA21E
5H043KA24E
5H043KA45E
5H043LA02E
5H043LA45E
(57)【要約】
課題を解決するための本発明の実施形態に係る電極組立体の製造方法は、第1正極ホイル、正極絶縁層、および第2正極ホイルが順に積層されて形成された正極集電体の少なくとも一部に正極活物質を塗布して正極を製造し、第1負極ホイル、負極絶縁層、および第2負極ホイルが順に積層されて形成された負極集電体の少なくとも一部に負極活物質を塗布して負極を製造するステップと、前記正極と前記負極との間にセパレータを介在させるステップと、前記正極集電体において前記正極活物質が塗布されていない正極タブおよび前記負極集電体において前記負極活物質が塗布されていない負極タブの少なくとも一部の領域から、それぞれ前記正極絶縁層および前記負極絶縁層を除去するステップと、前記正極タブおよび前記負極タブにそれぞれ正極リードおよび負極リードを連結するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1正極ホイル、正極絶縁層、および第2正極ホイルが順に積層されて形成された正極集電体の少なくとも一部に正極活物質を塗布して正極を製造し、第1負極ホイル、負極絶縁層、および第2負極ホイルが順に積層されて形成された負極集電体の少なくとも一部に負極活物質を塗布して負極を製造するステップと、
前記正極と前記負極との間にセパレータを介在させるステップと、
前記正極集電体において前記正極活物質が塗布されていない正極タブおよび前記負極集電体において前記負極活物質が塗布されていない負極タブの少なくとも一部の領域から、それぞれ前記正極絶縁層および前記負極絶縁層を除去するステップと、
前記正極タブおよび前記負極タブにそれぞれ正極リードおよび負極リードを連結するステップと
を含む、電極組立体の製造方法。
【請求項2】
前記正極絶縁層および前記負極絶縁層を除去するステップは、前記正極タブおよび前記負極タブを有機溶媒に浸漬するステップを含む、請求項1に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項3】
前記正極絶縁層および前記負極絶縁層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項2に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項4】
前記有機溶媒は、アセトンを含む、請求項2または3に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項5】
前記正極タブおよび前記負極タブの全長の20%~80%が前記有機溶媒に浸漬される、請求項2から4のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項6】
前記正極タブおよび前記負極タブは、前記有機溶媒に30秒~2分間浸漬される、請求項2から6のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項7】
前記正極絶縁層および前記負極絶縁層を除去するステップは、前記正極タブおよび前記負極タブを有機溶媒に浸漬するステップ後に、前記有機溶媒を乾燥するステップをさらに含む、請求項2から6のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項8】
前記正極絶縁層および前記負極絶縁層を除去するステップは、有機溶媒を前記正極タブおよび前記負極タブに噴射するステップを含む、請求項1に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項9】
正極集電体の少なくとも一部に正極活物質が塗布された正極と、
負極集電体の少なくとも一部に負極活物質が塗布された負極と、
前記正極と前記負極との間に介在されるセパレータとを含み、
前記正極集電体は、第1正極ホイル、正極絶縁層、および第2正極ホイルが順に積層されて形成され、
前記負極集電体は、第1負極ホイル、負極絶縁層、および第2負極ホイルが順に積層されて形成され、
前記正極集電体において正極活物質が塗布されていない正極タブの少なくとも一部の領域から前記正極絶縁層が除去され、
前記負極集電体において負極活物質が塗布されていない負極タブの少なくとも一部の領域から前記負極絶縁層が除去されている、電極組立体。
【請求項10】
前記正極絶縁層が前記正極タブから前記正極タブの全長の20%~80%除去され、
前記負極絶縁層が前記負極タブから前記負極タブの全長の20%~80%除去されている、請求項9に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記正極絶縁層および前記負極絶縁層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項9または10に記載の電極組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年11月19日付けの韓国特許出願第10-2019-0148934号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、電極組立体およびその製造方法に関し、より詳しくは、電極集電体が電極絶縁層を含む多層構造に形成され、別の連結部が存在しなくても複数の電極タブに1つの電極リードを容易に連結することができる電極組立体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、およびリチウムイオンポリマー電池などが挙げられる。かかる二次電池は、デジタルカメラ、ポータブルDVDプレイヤー(P-DVD)、MP3プレイヤー(MP3P)、携帯電話、PDA、携帯ゲーム機(Portable Game Device)、パワーツール(Power Tool)、およびE-バイク(E-bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力が求められる大型製品と、余剰の発電電力や再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置と、バックアップ用電力貯蔵装置にも適用されて用いられている。
【0004】
電極組立体を製造するために、正極(Cathode)、セパレータ(Separator)、および負極(Anode)を製造し、これらを積層する。具体的に、正極活物質スラリーを正極集電体に塗布し、負極活物質スラリーを負極集電体に塗布し、正極(Cathode)および負極(Anode)を製造する。そして、前記製造された正極と負極との間にセパレータ(Separator)が介在されて積層されると、単位セル(Unit Cell)が形成され、単位セルが互いに積層されることで、電極組立体が形成される。そして、かかる電極組立体が特定のケースに収容され、電解液を注入すると、二次電池が製造される。
【0005】
ところで、従来は、正極および負極の電極が単層構造に形成され、電極の両面同士で電気が流れる可能性があった。よって、外部からの衝撃により電極組立体が破損すると、電極の一面に短絡が発生し、前記電極の他面にも短絡が発生した際、爆発などの危険が発生し得るという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、電極集電体が電極絶縁層を含む多層構造に形成され、別の連結部が存在しなくても複数の電極タブに1つの電極リードを容易に連結することができる電極組立体およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及していないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係る電極組立体の製造方法は、第1正極ホイル、正極絶縁層、および第2正極ホイルが順に積層されて形成された正極集電体の少なくとも一部に正極活物質を塗布して正極を製造し、第1負極ホイル、負極絶縁層、および第2負極ホイルが順に積層されて形成された負極集電体の少なくとも一部に負極活物質を塗布して負極を製造するステップと、前記正極と前記負極との間にセパレータを介在させるステップと、前記正極集電体において前記正極活物質が塗布されていない正極タブおよび前記負極集電体において前記負極活物質が塗布されていない負極タブの少なくとも一部の領域から、それぞれ前記正極絶縁層および前記負極絶縁層を除去するステップと、前記正極タブおよび前記負極タブにそれぞれ正極リードおよび負極リードを連結するステップとを含む。
【0009】
また、前記正極絶縁層および前記負極絶縁層を除去するステップは、前記正極タブおよび前記負極タブを有機溶媒に浸漬するステップを含んでもよい。
また、前記正極絶縁層および前記負極絶縁層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでもよい。
また、前記有機溶媒は、アセトンを含んでもよい。
【0010】
また、前記正極タブおよび前記負極タブの全長の20%~80%は、前記有機溶媒に浸漬されてもよい。
また、前記正極タブおよび前記負極タブは、前記有機溶媒に30秒~2分間浸漬されてもよい。
【0011】
また、前記正極絶縁層および前記負極絶縁層を除去するステップは、前記正極タブおよび前記負極タブを有機溶媒に浸漬するステップ後に、前記有機溶媒を乾燥するステップをさらに含んでもよい。
また、前記正極絶縁層および前記負極絶縁層を除去するステップは、有機溶媒を前記正極タブおよび前記負極タブに噴射するステップを含んでもよい。
【0012】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係る電極組立体は、正極集電体の少なくとも一部に正極活物質が塗布された正極と、負極集電体の少なくとも一部に負極活物質が塗布された負極と、前記正極と前記負極との間に介在されるセパレータとを含み、前記正極集電体は、第1正極ホイル、正極絶縁層、および第2正極ホイルが順に積層されて形成され、前記負極集電体は、第1負極ホイル、負極絶縁層、および第2負極ホイルが順に積層されて形成され、前記正極集電体において正極活物質が塗布されていない正極タブは、少なくとも一部の領域から前記正極絶縁層が除去され、前記負極集電体において負極活物質が塗布されていない負極タブは、少なくとも一部の領域から前記負極絶縁層が除去される。
【0013】
また、前記正極絶縁層が前記正極タブから前記正極タブの全長の20%~80%除去され、前記負極絶縁層が前記負極タブから前記負極タブの全長の20%~80%除去されてもよい。
また、前記正極絶縁層および前記負極絶縁層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでもよい。
本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によると、少なくとも次のような効果がある。
電極集電体が電極絶縁層を含む多層構造に形成され、有機溶媒を用いて複数の電極タブの電極絶縁層をエッチングすることにより、隣り合う電極タブ同士で互いに接触することで複数の電極タブを全て電気的に連結させることができるため、1つの電極リードを複数の電極タブに容易に連結することができる。
【0015】
本発明に係る効果は以上で例示された内容により制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池の組立図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電極集電体の側面を示した概略図である。
【
図3】電極タブの正極ホイルおよび負極ホイルに連結部が形成された様子をそれぞれ側面から示した概略図である。
【
図4】連結部に電極リードが連結された様子を上面から示した概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る複数の正極タブと複数の負極タブが積層された様子を正面から示した概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る複数の正極タブと複数の負極タブを有機溶媒に浸漬する様子を示した概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る複数の正極タブと複数の負極タブから、それぞれ正極絶縁層と負極絶縁層が除去された様子を正面から示した概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る複数の正極タブと複数の負極タブにそれぞれ電極リードが連結された様子を正面から示した概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る複数の正極タブと複数の負極タブにそれぞれ電極リードが連結された様子を上面から示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の利点および特徴、そして、それらを達成する方法は、添付図面とともに詳細に後述している実施形態を参照すれば明らかになるであろう。但し、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現できるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によって定義されるのみである。明細書の全体にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指し示す。
【0018】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味として用いられてもよい。また、一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義していない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0019】
本明細書で用いられた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、語句において特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で用いられる「含む(comprise)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素の他に、1つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除するものではない。
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳しく説明することにする。
図1は、本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池1の組立図である。
パウチ型二次電池1を製造する過程は、先ず、電極活物質とバインダーおよび可塑剤を混合したスラリーを正極集電体101および負極集電体102に塗布して正極および負極などの電極を製造し、それをセパレータ(Separator)の両側に積層することで所定形状の電極組立体10を形成した後、電極組立体10を電池ケース13に挿入し、電解液の注入後にシールする。
【0021】
電極組立体(Electrode Assembly)10は、電極およびセパレータが積層されて形成される。具体的に、電極組立体10は、正極および負極などの2種類の電極と、前記電極を互いに絶縁させるために電極の間に介在されるセパレータとを含む。かかる電極組立体10には、スタック型、ゼリーロール型、スタックアンドフォールディング(stack & folding)型などがある。2種類の電極、すなわち、正極および負極は、それぞれ、電極絶縁層1013、1023を含む多層構造の電極集電体101、102に活物質スラリーが塗布された構造である。本発明の一実施形態に係る電極集電体101、102は、2つの電極ホイルの間に電極絶縁層1013、1023が積層された多層構造に形成される。電極集電体101、102に関する詳しい説明は後述する。スラリーは、通常、粒状の活物質、補助導体、バインダー、および可塑剤などが、溶媒が添加された状態で撹拌されて形成されてもよい。溶媒は、後続工程において除去される。
【0022】
電極組立体10は、
図1に示されたように、電極タブ(Electrode Tab)11を含む。電極タブ11は、電極組立体10の正極および負極からそれぞれ突出し、電極組立体10の内部と外部との間に電子が移動可能な経路となる。電極組立体10の電極集電体101、102は、電極活物質が塗布された部分と、電極活物質が塗布されていない末端部分、すなわち、無地部とから構成される。そして、電極タブ11は、無地部を裁断して形成されるか、または無地部に別の導電部材を超音波溶接などにより連結して形成されてもよい。かかる電極タブ11は、
図1に示されたように、電極組立体10の一側から同じ方向に並んで突出してもよいが、これに制限されず、それぞれ異なる方向に突出してもよい。
【0023】
電極組立体10の電極タブ11には、二次電池1の外部に電気を供給する電極リード(Electrode Lead)12がスポット(Spot)溶接などにより連結される。そして、電極リード12の一部は、絶縁部14により周りが取り囲まれる。絶縁部14は、電池ケース13の上部ケース131および下部ケース132が熱融着されるシール部134に限定されて位置し、電池ケース13に接着される。そして、電極組立体10から生成される電気が電極リード12を介して電池ケース13に流れるのを防止し、電池ケース13のシールを維持する。よって、かかる絶縁部14は、電気がよく通じない非導電性を有する不導体から製造される。一般的に、絶縁部14としては、電極リード12に付着しやすく、厚さが比較的に薄い絶縁テープを多く用いるが、これに制限されず、電極リード12を絶縁可能であれば、多様な部材を用いてもよい。
【0024】
電極リード12は、正極タブ111に一端が連結され、正極タブ111が突出した方向に延びる正極リード121と、負極タブ112に一端が連結され、負極タブ112が突出した方向に延びる負極リード122とを含む。一方、正極リード121および負極リード122は、
図1に示されたように、何れも他端が電池ケース13の外部に突出する。それにより、電極組立体10の内部で生成された電気を外部に供給することができる。また、正極タブ111および負極タブ112がそれぞれ多様な方向に向かって突出形成されるため、正極リード121および負極リード122もそれぞれ多様な方向に向かって延びることができる。
【0025】
正極リード121および負極リード122は、その材質が互いに異なってもよい。すなわち、正極リード121は、正極集電体101の正極ホイルと同一のアルミニウム(Al)材質であり、負極リード122は、負極集電体102の負極ホイルと同一の銅(Cu)材質またはニッケル(Ni)がコーティングされた銅材質であってもよい。そして、電池ケース13の外部に突出した電極リード12の一部分は、端子部となり、外部端子と電気的に連結される。
【0026】
電池ケース13は、電極組立体10を内部に収納する、軟性の材質から製造されたパウチである。以下、電池ケース13は、パウチであるものと説明する。電池ケース13は、電極リード12の一部、すなわち、端子部が露出されるように電極組立体10を収容しシールされる。かかる電池ケース13は、
図1に示されたように、上部ケース131および下部ケース132を含む。下部ケース132には、カップ部133が形成され、電極組立体10を収容可能な収容空間1331が備えられ、上部ケース131は、前記電極組立体10が電池ケース13の外部に離脱しないように前記収容空間1331を上部からカバーする。この際、
図1に示されたように、上部ケース131にも収容空間1331が備えられたカップ部133が形成され、電極組立体10を上部から収容してもよい。上部ケース131および下部ケース132は、
図1に示されたように一側が互いに連結されて製造されてもよいが、これに制限されず、互いに分離されて別に製造されるなど、多様に製造されてもよい。
【0027】
電極組立体10の電極タブ11に電極リード12が連結され、電極リード12の一部分に絶縁部14が形成されると、下部ケース132のカップ部133に備えられた収容空間1331に電極組立体10が収容され、上部ケース131が前記空間を上部からカバーする。そして、内部に電解液を注入し、上部ケース131および下部ケース132の縁から外側に延長形成されたシール部134をシールする。電解液は、二次電池1の充放電時、電極の電気化学的反応により生成されるリチウムイオンを移動させるためのものであり、リチウム塩と高純度の有機溶媒2類との混合物である非水系有機電解液、または高分子電解質を用いたポリマーを含んでもよい。かかる方法により、パウチ型二次電池1を製造することができる。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る電極集電体101、102の側面を示した概略図である。
上記で記述したように、正極および負極などの電極は、電極活物質とバインダーおよび可塑剤を混合したスラリーを正極集電体101および負極集電体102などの電極集電体101、102にそれぞれ塗布して製造する。
【0029】
従来は、正極集電体101および負極集電体102がそれぞれ単層構造に形成されていた。よって、外部からの衝撃により電極組立体10が破損すると、短絡による爆発などの危険が発生し得るという問題があった。しかし、本発明の一実施形態によると、
図2に示されたように、電極集電体101、102は、2つの電極ホイルの間に電極絶縁層1013、1023が積層された多層構造に形成される。具体的には、正極集電体101は、第1正極ホイル1011、正極絶縁層1013、および第2正極ホイル1012が順に積層されて形成される。そして、負極集電体102は、第1負極ホイル1021、負極絶縁層1023、および第2負極ホイル1022が順に積層されて形成される。
【0030】
第1正極ホイル1011および第2正極ホイル1012は、化学的変化を誘発せず且つ高い導電性を有する材料から製造される。例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などを表面処理したものであってもよく、特にアルミニウムであることが好ましいが、これに制限されない。そして、第1正極ホイル1011および第2正極ホイル1012は、正極活物質の接着力を高めるために、表面に微細な凹凸を形成してもよい。
【0031】
第1負極ホイル1021および第2負極ホイル1022は、化学的変化を誘発せず且つ導電性を有する材料から製造される。例えば、銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン、焼成炭素、または銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などを表面処理したもの、またはアルミニウム-カドミウム合金であってもよく、特に銅またはニッケルをメッキした銅であることが好ましいが、これに制限されない。そして、第1負極ホイル1021および第2負極ホイル1022は、負極活物質の結合力を高めるために、表面に微細な凹凸を形成してもよい。
【0032】
正極絶縁層1013は、第1正極ホイル1011と第2正極ホイル1012との間に積層され、第1正極ホイル1011と第2正極ホイル1012との間を絶縁させる。そして、負極絶縁層1023は、第1負極ホイル1021と第2負極ホイル1022との間に積層され、第1負極ホイル1021と第2負極ホイル1022との間を絶縁させる。これにより、外部からの衝撃により電極組立体10が破損しても、1つの電極において一面と他面を電気的に断絶させることで、短絡による爆発などの危険を予め防止して安全性を確保することができる。かかる正極絶縁層1013および負極絶縁層1023は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)、およびガラス繊維からなる群から選択された1つ以上の物質からなってもよい。特に、主に耐摩耗性および耐熱性を有するナイロン(Nylon)樹脂またはポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマーが用いられる。
【0033】
図3は、電極タブ11の正極ホイルおよび負極ホイルに連結部113が形成された様子をそれぞれ側面から示した概略図であり、
図4は、連結部113に電極リード12が連結された様子を上面から示した概略図である。
【0034】
上記で記述したように、電極タブ11は、電極集電体101、102において無地部を裁断して形成されるか、または無地部に別の導電部材を超音波溶接などにより連結して形成されてもよい。そして、電極リード12は、電極タブ11に一端が連結され、電極タブ11が突出した方向に延び、他端が電池ケース13の外部に突出する。以下、電極タブ11は、無地部を単に裁断して形成したものと説明するが、これは説明の便宜のためのものであって、権利範囲を制限するためのものでない。
【0035】
電極集電体101、102が単層構造に形成されるのであれば、互いに隣り合う電極タブ11を接触させて連結することで、複数の電極タブ11が全て電気的に連結される。よって、1つの電極リード12が1つの電極タブ11にだけ連結されても、電極リード12を介して電極組立体10の内部で生成された電気を全て十分に二次電池1の外部に供給することができる。
【0036】
しかしながら、本発明の一実施形態によると、電極集電体101、102が電極絶縁層1013、1023を含む多層構造に形成されるため、互いに隣り合う電極タブ11を接触させて連結しても、複数の電極タブ11が全て電気的に連結されない。よって、複数の電極タブ11同士で全て連結するとともに、1つの電極リード12とも連結する複数の連結部113が別に形成されなければならない。
【0037】
複数の連結部113は、
図3に示されたように、複数の第1正極ホイル1011、第2正極ホイル1012にそれぞれ連結される正極連結部1131と、複数の第1負極ホイル1021、第2負極ホイル1022にそれぞれ連結される負極連結部1132とを含む。そして、
図4に示されたように、互いに隣り合う複数の正極連結部1131を接触させて連結し、1つの正極連結部1131に1つの正極リード121を連結する。同様に、互いに隣り合う複数の負極連結部1132を接触させて連結し、1つの負極連結部1132に1つの負極リード122を連結する。それにより、電極組立体10の内部で生成された電気を全て1つの正極リード121および1つの負極リード122を介して十分に二次電池1の外部に供給することができる。
【0038】
しかしながら、かかる方法は、複数の連結部113が別に必要であり、かかる複数の連結部113を、それぞれ、第1正極ホイル1011および第2正極ホイル1012、第1負極ホイル1021および第2負極ホイル1022に連結する工程も別に必要であるため、製造コストおよび時間が過度にかかるという問題がある。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態に係る複数の正極タブ111と複数の負極タブ112が積層された様子を正面から示した概略図である。
本発明の一実施形態によると、電極集電体101、102が電極絶縁層1013、1023を含む多層構造に形成され、有機溶媒2を用いて複数の電極タブ11の電極絶縁層1013、1023をエッチングすることにより、隣り合う電極タブ11同士で互いに接触することで複数の電極タブ11を全て電気的に連結させることができるため、1つの電極リード12を複数の電極タブ11に容易に連結することができる。
【0040】
このために、本発明の一実施形態に係る電極組立体10の製造方法は、第1正極ホイル1011、正極絶縁層1013、および第2正極ホイル1012が順に積層されて形成された正極集電体101の少なくとも一部に正極活物質を塗布して正極を製造し、第1負極ホイル1021、負極絶縁層1023、および第2負極ホイル1022が順に積層されて形成された負極集電体102の少なくとも一部に負極活物質を塗布して負極を製造するステップと、前記正極と前記負極との間にセパレータを介在させるステップと、前記正極集電体101において前記正極活物質が塗布されていない正極タブ111および前記負極集電体102において前記負極活物質が塗布されていない負極タブ112の少なくとも一部の領域から、それぞれ前記正極絶縁層1013および前記負極絶縁層1023を除去するステップと、前記正極タブ111および前記負極タブ112にそれぞれ正極リード121および負極リード122を連結するステップとを含む。そして、前記正極絶縁層1013および前記負極絶縁層1023を除去するステップは、前記正極タブ111および前記負極タブ112を有機溶媒2に浸漬するステップを含んでもよい。
【0041】
そして、かかる方法により製造された本発明の一実施形態に係る電極組立体10は、正極集電体101の少なくとも一部に正極活物質が塗布された正極と、負極集電体102の少なくとも一部に負極活物質が塗布された負極と、前記正極と前記負極との間に介在されるセパレータとを含み、前記正極集電体101は、第1正極ホイル1011、正極絶縁層1013、および第2正極ホイル1012が順に積層されて形成され、前記負極集電体102は、第1負極ホイル1021、負極絶縁層1023、および第2負極ホイル1022が順に積層されて形成され、前記正極集電体101において正極活物質が塗布されていない正極タブ111は、少なくとも一部の領域から前記正極絶縁層1013が除去され、前記負極集電体102において負極活物質が塗布されていない負極タブ112は、少なくとも一部の領域から前記負極絶縁層1023が除去される。
【0042】
図5に示されたように、正極と負極との間にセパレータを介在させると電極積層体が形成され、複数の正極タブ111と複数の負極タブ112がそれぞれ積層される。そして、かかる複数の正極タブ111と負極タブ112には、それぞれ複数の正極絶縁層1013と負極絶縁層1023が挿入されている。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態に係る複数の正極タブ111と複数の負極タブ112を有機溶媒2に浸漬する様子を示した概略図であり、
図7は、本発明の一実施形態に係る複数の正極タブ111と複数の負極タブ112から、それぞれ正極絶縁層1013と負極絶縁層1023が除去された様子を正面から示した概略図である。
【0044】
有機溶媒2を用いて、複数の電極タブ11の電極絶縁層1013、1023をエッチングする。特に本発明の一実施形態によると、前記形成された電極積層体の正極タブ111および負極タブ112を、
図6に示されたように有機溶媒2に浸漬する。
【0045】
上記で記述したように、正極絶縁層1013および負極絶縁層1023は、種々のポリマーから形成されてもよく、特にポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでもよい。そして、第1正極ホイル1011、第2正極ホイル1012、第1負極ホイル1021、および第2負極ホイル1022は、それぞれ金属から形成されてもよい。この際、有機溶媒2は、金属とは化学的反応性が無いかまたは低く、ポリマーとは化学的反応性が高いことが好ましく、例えば、アセトンを含んでもよい。それにより、有機溶媒2は、金属から形成された第1正極ホイル1011、第2正極ホイル1012、第1負極ホイル1021、および第2負極ホイル1022は変化させず、
図7に示されたように、ポリマーから形成された正極絶縁層1013および負極絶縁層1023だけをエッチングさせる。
【0046】
正極タブ111および負極タブ112の少なくとも一部の領域から、それぞれ正極絶縁層1013および負極絶縁層1023が除去されてもよい。すなわち、正極タブ111および負極タブ112の全体から全て正極絶縁層1013および負極絶縁層1023が除去されてもよいが、一部の領域からのみ除去されてもよい。このために、正極タブ111および負極タブ112は、前記有機溶媒2に一部だけ浸漬されてもよく、特に正極タブ111および負極タブ112の全長の20%~80%だけ、好ましくは30%~70%だけ浸漬されてもよい。
【0047】
有機溶媒2は、化学的反応性が高い物質であるため、正極タブ111および負極タブ112を長時間浸漬させると、金属から形成された第1正極ホイル1011、第2正極ホイル1012、第1負極ホイル1021、および第2負極ホイル1022とも化学的反応が発生し得る。よって、正極タブ111および負極タブ112は、前記有機溶媒2に30秒~2分間、好ましくは1分~2分間浸漬されてもよい。
【0048】
一方、本発明の他の実施形態によると、ノズルなどを用いて、有機溶媒2を前記形成された電極積層体の正極タブ111および前記負極タブ112に噴射してもよい。これにより、単に有機溶媒2に浸漬するよりは、有機溶媒2自体の圧力で電極絶縁層1013、1023がさらに迅速で且つ容易にエッチングされることができる。
【0049】
図8は、本発明の一実施形態に係る複数の正極タブ111と複数の負極タブ112にそれぞれ電極リード12が連結された様子を正面から示した概略図であり、
図9は、本発明の一実施形態に係る複数の正極タブ111と複数の負極タブ112にそれぞれ電極リード12が連結された様子を上面から示した概略図である。
【0050】
正極タブ111および前記負極タブ112を有機溶媒2に浸漬した後、有機溶媒2を乾燥する。それにより、電極タブ11から正極絶縁層1013および負極絶縁層1023だけが除去されることができる。
【0051】
電極タブ11から正極絶縁層1013および負極絶縁層1023が除去されるため、第1正極ホイル1011と第2正極ホイル1012との間には空いた空間が形成され、第1負極ホイル1021と第2負極ホイル1022との間にも空いた空間が形成される。それにより、
図8に示されたように、隣り合う正極ホイル同士で互いに接触して全て電気的に連結されることができ、隣り合う負極ホイル同士で互いに接触して全て電気的に連結されることができる。
【0052】
そして、
図8および
図9に示されたように、1つの正極ホイルに1つの正極リード121が連結され、1つの負極ホイルに1つの負極リード122が連結される。よって、1つの電極リード12が1つの電極タブ11にだけ連結されても、電極リード12を介して電極組立体10の内部で生成された電気を全て十分に二次電池1の外部に供給することができる。
【0053】
本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施可能であることを理解することができるであろう。よって、以上で記述された実施形態は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないことを理解しなければならない。本発明の範囲は上記の詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその均等概念から導き出される多様な実施形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0054】
1 パウチ型二次電池
2 有機溶媒
10 電極組立体
11 電極タブ
12 電極リード
13 電池ケース
14 絶縁部
101 正極集電体
102 負極集電体
111 正極タブ
112 負極タブ
113 連結部
121 正極リード
122 負極リード
131 上部ケース
132 下部ケース
133 カップ部
134 シール部
1011 第1正極ホイル
1012 第2正極ホイル
1013 正極絶縁層
1021 第1負極ホイル
1022 第2負極ホイル
1023 負極絶縁層
1131 正極連結部
1132 負極連結部
1331 収容空間
【国際調査報告】