(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】基板をニップに導入するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/20 20060101AFI20221221BHJP
B41F 16/00 20060101ALI20221221BHJP
H01L 31/0224 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H05K3/20 C
B41F16/00 H
H01L31/04 260
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523648
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 IB2020059931
(87)【国際公開番号】W WO2021079309
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520319794
【氏名又は名称】ルメット テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】ベンジオン ランダ
(72)【発明者】
【氏名】ヨセフ シャチャック
(72)【発明者】
【氏名】ジッツチャック サンダーズ
(72)【発明者】
【氏名】オフィール ネガー
【テーマコード(参考)】
5E343
5F151
【Fターム(参考)】
5E343AA03
5E343AA22
5E343BB75
5E343CC21
5E343DD56
5E343EE22
5E343ER35
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5E343FF09
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5E343GG20
5F151CB27
5F151FA14
5F151FA15
(57)【要約】
物質パターンを基板に転写するためのシステムを開示する。このシステムは、ローラと反対面との間に形成されたニップと、物質パターンを担持し、所定の速度でニップを通過するように走行されるウェブと、ニップに向かって基板を搬送する無端コンベアとを備え、基板は、ウェブから基板に物質パターンが転写されるように、ウェブと同時にかつ同速度でニップを通過する。基板がニップに把持されると、搬送コンベアからそれ以上の力が加わらないため、基板の圧縮を回避することができる。無端搬送コンベアには、基板の後縁に係合するように構成された少なくとも1つの突起を形成してもよい。無端搬送コンベアは、ウェブの速度よりも低い速度で基板をニップに向かって押すように走行させることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質パターンを基板に転写するシステムであって、物質パターンを担持するウェブと、ローラと反対面との間のニップの中をウェブに走行させるウェブ走行機構と、基板が、ウェブと同時にかつ同速度で前記ニップに把持されると共に前記ニップの中を摩擦走行するように、基板を前記ニップに向かって前進させる搬送コンベアとを備え、前記ウェブは、前記ニップを通過中に基板の表面に押し付けられることにより、その物質パターンを当該ウェブから当該基板に転写させ、当該基板の前縁が前記ニップに把持されると、前記搬送コンベアは、当該基板に圧縮力が加わらないように、前記ニップを通過する当該基板の通過速度より低い速度で当該基板を前記ニップに向かって前進させるように走行することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記搬送コンベアから前記基板に対して、当該基板を前記ニップに向かって前進させる方向のそれ以上の力が加わらず、回避される圧縮は、前記ニップと前記搬送コンベアとの間の当該基板の長手方向の圧縮であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記搬送コンベアには、前記基板の後縁に係合する少なくとも1つの突起が設けられ、当該基板の後縁は、当該基板の前縁が前記ニップ内に係合すると、前記突起から自動的に離脱することを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
基板の後縁が前記搬送コンベアの突起に係合し、それによって前記搬送コンベア上にロードされるように、基板を、前記搬送コンベアの突起によって引き入れられる量にそれぞれ載置する供給コンベアが設けられていることを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記供給コンベア及び搬送コンベアが、前記ニップから遠位にある前記搬送コンベアの端部において、互いに重複し、跨っていることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記搬送コンベア及び供給コンベアのそれぞれが、周期的に移動可能な少なくとも1本の無端ベルトによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記搬送コンベアは、前記基板と係合し、それによって当該基板が突起と係合するまでの当該基板の速度を低下させる摩擦部材を有することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記搬送コンベア及び供給コンベアの少なくとも一方は2本の平行なベルトによって形成され、前記供給コンベアは前記搬送コンベアとは異なる平面で基板を担持し、当該システムには、基板を、前記供給コンベアから前記搬送コンベアの突起によって引き入れられる量にそれぞれ昇降させる昇降機構が設けられていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記供給コンベアの平面は前記搬送コンベアの平面より高く、前記昇降機構によって基板はそれぞれ下降されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記搬送コンベアの突起と接触する際に前記基板にかかる圧力を最小限にすることを確実にするために、当該基板と前記昇降機構との間に、低摩擦の静的界面又は回転界面が存在することを特徴とする請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記搬送コンベアの突起は、前記基板の後縁と点接触するように構成されていることを特徴とする請求項3乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記搬送コンベアの一方の側には、2つ以上のプッシャが前記基板が移動するX方向において互いに間隔をあけて配置され、当該プッシャは、前記搬送コンベアの他方の側に配置された細長いガイド面に対して当該基板を前記X方向に交差するY方向に付勢することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記プッシャは、ばねによって前記基板に向かって付勢されるローラを含むことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ニップの反対面は静止していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記ローラは第1の加圧ローラであり、前記反対面は第2の加圧ローラによって形成され、2つのウェブが前記基板と同時に前記ニップを通過し、当該2つのウェブは、第1の物質パターンを担持する第1のウェブと第2の物質パターンを担持する第2のウェブとで構成され、第1の物質パターン及び第2の物質パターンが当該基板の対向する表面に転写されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記突起は、前記ニップに対する前記基板のX方向のレジストレーションに対応し、前記プッシャは、前記ニップに対する当該基板のY方向のレジストレーションに対応しており、当該システムはさらに、前記2つのウェブの少なくとも一方の経路に沿って少なくとも1つのテンションローラを備え、当該少なくとも1つのテンションローラは、前記2つのウェブの少なくとも一方の他方に対するX方向のレジストレーションに対応するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ニップに到達する前に、前記搬送コンベア及び/又は1又は複数のウェブによって支持された基板を加熱するためのヒータをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記ニップに到達する前、又はヒータが存在する場合には当該ヒータを通過する前に、基材及びウェブの少なくとも一方に接着剤を塗布するアプリケータをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記ニップの下流に少なくとも1つの後転写ステーションをさらに備え、当該少なくとも1つの後転写ステーションは、任意に、基板及び/又は1又は複数のウェブの温度を低下させるように構成された冷却ステーション、ウェブを基板の表面から分離するように構成された分離ステーション、並びに物質パターン及び/又は基板へのそれらの付着を変化させるように構成された後処理ステーションから選択されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記物質パターンは導電性材料の粒子を含み、前記少なくとも1つの後転写ステーションは、前記粒子を焼結して前記物質パターンに導電性を付加するように構成された後処理ステーションであることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
加圧ローラと反対面との間に形成されたニップ内に基板を導入し、その中を基板に走行させる方法であって、基板は、搬送コンベアによって前記ニップに向かって前進させられ、前記搬送コンベアは、当該基板に対する圧縮力を回避するように、前記ニップを通過する当該基板の通過速度より低い速度に設定され、当該基板の前縁が前記ニップ内に係合すると当該基板に力を加えるのを停止するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項22】
前記搬送コンベアは、前記基板に対して当該基板を前記ニップに向かって前進させる方向の力を加えるのを停止して、前記ニップと前記搬送コンベアとの間における当該基板に対する長手方向の圧縮力を回避するように構成されていることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記搬送コンベアには、前記基板の後縁と係合し、当該基板を前記ニップに向かって押すための突起が形成され、当該基板の前縁が前記ニップ内に進入すると、その後縁は前記搬送コンベアの突起から離れることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、パリ条約優先権に基づき、2019年10月22日に出願された英国特許出願第1915299.0号の優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容を、参照によりここに記載されているかのように本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、可撓性ウェブからの転写による基板への物質パターンの付与に関する。
【背景技術】
【0003】
特定の製品の製造においては、基板の表面に物質パターンを付与する必要が生じる場合がある。例えば、特に、太陽電池、回路基板、タッチスクリーン、及び無線周波数識別(RFID)アンテナ等の製造において、導電性材料の粒子を含む組成物と、典型的には粒子を所望の形状(例えば、線状パターン、線形断面等)に維持するバインダー、及び/又は対象基板への付着性を高めるか若しくはこれとの任意の機能的相互作用を容易にすることができる接着剤とを含む物質を、基板に塗布することが望まれる場合が考えられる。基板は、例えば、太陽電池の場合には半導体ウェーハであってもよく、プリント回路基板の場合には電気絶縁性基板であってもよい。このような基板は一般的に硬質で平面状であるが、可撓性及び/又は非平坦(例えば、湾曲状)の基板を使用することも可能である。場合によっては、例えばRFIDデバイスの場合、機器の本体の一部等の3次元アイテムに基板パターンを直接付与することが望ましい場合があり、基板パターンが付与される表面は平らであっても湾曲していてもよい。
【0004】
基板に物質パターンを付与する方法としては、様々なものが知られている。一般的に、物質パターンは基板上に直接形成される。いくつかの方法においては、物質パターンが表面全体を覆うことを目的とするものではない場合、例えばスクリーン印刷によって所望のパターンを実現するために物質の選択的堆積を行うことがある。別の方法においては、基板の表面全体を物質でコーティングした後、エッチングやレーザーアブレーション等により物質の一部を選択的に除去し、所望のパターンを残すこともある。これらの方法にはそれぞれ利点と欠点がある。
【0005】
本出願人は、国際公開第2018/020479号及び国際公開第2018/020481号において、まず可撓性ウェブに形成された溝を物質で埋め、続いて可撓性ウェブから基板にパターンを転写することによって、基板上に物質パターンを形成することを以前に提案している。国際公開第2018/020483号には、導電性材料の粒子と熱活性化接着剤とを含む組成物のパターンを可撓性ウェブの表面から基板の表面に転写するための装置が開示されており、かかる装置は以下を有する。
(i)ウェブの表面と基板の表面とを互いに押し付ける加圧ローラが作用するニップの中に、ウェブ及び基板を同時に前進させるためのそれぞれの走行機構、
(ii)ニップを通過する前又は通過中、表面同士が接触しているときに、ウェブ及び基材の少なくとも一方を、組成物中の接着剤が活性化する温度まで加熱する加熱ステーション、
(iii)ニップ通過後のウェブ及び基板を冷却するための冷却ステーション、及び
(iv)冷却ステーションを通過した後、ウェブを基板から剥離し、基板の表面に付着した組成物のパターンを残すための分離デバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の装置を用いて、半導体ウェーハのような壊れやすい(例えば、薄くて脆い)基板にパターンを高速で転写印刷すると、基板がニップ部に供給される際に損傷したり破損したりする虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の問題を緩和する観点から、本開示の第1の態様によれば、物質パターンを基板に転写するシステムであって、物質パターンを担持するウェブと、ローラと反対面との間のニップの中をウェブに走行させるウェブ走行機構と、基板が、ウェブと同時にかつ同速度でニップに把持されると共にニップの中を摩擦走行するように、基板をニップに向かって前進させる搬送コンベアとを備え、ウェブは、ニップを通過中に基板の表面に押し付けられることにより、その物質パターンをウェブから基板に転写させ、基板がニップに把持されると、搬送コンベアから基板に対して、基板をニップに向かって前進させるそれ以上の力が加わらず、それによって基板の圧縮が回避されることを特徴とするシステムが提供される。
【0008】
システムのいくつかの実施形態において、搬送コンベアは、基板に対して、基板をニップに向かって前進させる方向に力を加えず、回避される圧縮は、ニップと搬送コンベアとの間における基板の長手方向の圧縮である。
【0009】
システムのいくつかの実施形態において、搬送コンベアは、基板の後縁に係合する少なくとも1つの突起を有し、搬送コンベアは、ニップを通過する基板の通過速度よりも低い速度で基板をニップに向かって前進させるように走行し、それによって、基板の後縁は、基板の前縁がニップ内に係合すると、突起から自動的に離脱する。
【0010】
基板の後縁が搬送コンベアの突起に係合し、それによって搬送コンベア上にロードされるように、基板を、搬送コンベアの突起によって引き入れられる量にそれぞれ載置する供給コンベアを設けることができる。
【0011】
本発明におけるニップの役割は、ウェブから基板への物質パターンの転写を確実にするために、ウェブと基板とを互いに押し付ける力を加えることである。基板が、搬送コンベアによって力が加えられていない状態でニップに把持されることで、ニップと搬送コンベアとの間における基板の圧縮を防止することができる。ニップの各側は、ローラ(例えば、加圧ローラ)であってもよいし、基板又はウェブが容易に相対摺動可能な低摩擦面(例えば、反対面)であってもよい。本明細書に記載の発明の実施形態において、ニップの少なくともウェブと接触する側がローラによって構成される。
【0012】
2つの異なるウェブから基板の両側に物質パターンを転写する場合、2つのウェブと基板が同一のニップを通過する間に両方の転写を同時に行ってもよいし、2つの別個のニップを通して転写を連続的に行ってもよい。前者の場合、ニップは、対向する2つのローラによって構成することができる。なお、一実施形態において、2つのローラのサイズは、対称である。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、ローラと反対面との間に形成されたニップ内に基板を導入し、その中を基板に走行させる方法であって、基板は、搬送コンベアによってニップに向かって前進させられ、当該搬送コンベアは、基板の圧縮を回避するように、基板の前縁がニップ内に係合すると基板に力を加えるのを停止するように構成されている、方法が提供される。
【0014】
この方法のいくつかの実施形態において、搬送コンベアは、基板に対して基板をニップに向かって前進させる方向の力を加えるのを停止して、ニップと搬送コンベアとの間における基板の長手方向の圧縮を回避するように構成されている。
【0015】
この方法のいくつかの実施形態において、搬送コンベアには、基板の後縁と係合して基板をニップに向かって押すための突起が形成され、搬送コンベアの速度は、基板の前縁がニップ内に進入すると後縁が搬送コンベアの突起から離れるように、ニップを通過する基板の通過速度よりも低く設定されている。
【0016】
本開示のこれら並びに他の利点及び特徴は、特に添付の特許請求の範囲に記載されているが、図面と併せて以下の詳細な説明を参照すれば、よりよく理解されるであろう。
【0017】
次に、添付の図面を参照しながら、本開示のいくつかの実施形態についてさらに例示説明する。ここで、同様の参照符号又は文字は、同一又は同様の対象を示す。本説明は、図面と共に、本開示のいくつかの実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。図面は、例示的な説明を目的とするものであり、本開示の根本的な理解に必要とされるよりも詳細に実施形態の構造の詳細を示そうとはしていない。明瞭化及び説明の目的で、図示されたいくつかの対象は、必ずしも縮尺通りに示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】特に基板を送り出すための新規な装置を含むように本教示に従って変更することができる、基板の両側に(例えば、導電性の)パターンを付与するための、国際公開第2018/020483号に記載されているような転写システムを示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に従った、基板を正確なタイミング及び速度でニップに送り出すための供給機構の斜視図である。
【
図4】
図2に示す装置を、
図3の断面に対して垂直な平面に沿って切断した斜視断面図である。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、本開示に従った基板供給機構により基板が送り出され、基板の1又は複数の側に物質パターンが付与され得るニップを概略的に示す図である。
【
図6】本開示の様々な実施形態に従って、加圧ローラ及び裏当て面をさらにコーティングし、組み合わせて、特に
図5A及び
図5Bに図示されるような基板供給機構と共に実施することができるニップをいかに形成することができるかを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
国際公開第2018/020483号にさらに詳細に記載されているように、
図1の装置は、例えばスタック12から又はカセットから引き出される基板10の対向する表面に物質パターンを付与することを意図して作られている。例えば、パターンの物質は、(例えば、金属又は適切な合金を含む)導電性粒子等の粒子と、熱活性化接着剤及び/又は圧力活性化接着剤(例えば、ホットメルトポリアミド接着剤)とを含む組成物であってよい。このようなパターンには、例えば、組成物を焼結するためのエネルギーを加えることによって、導電性を付加することができる。組成物は、導電性を得るためにエネルギーを加えなくてもよい場合もあり、場合によっては、導電性は必要とされず、例えば、パターンは単に装飾的であり得る。パターンにその所望の機能的及び/又は美的な効果を発現させるために処理を行う場合、例えば、導電性を付加するために加熱を行うか、又は基板への接着性を高めるために融着若しくは硬化を行う場合、こうした処理は、典型的には、ウェブから基板にパターンが転写された後に実行される。
【0020】
したがって、電気を通すことができるという機能的なパターンが考慮される一例において、基板10は、半導体ウェーハであってよく、装置により、所望の最終製品(例えば、太陽電池)の表裏電極が半導体ウェーハに付与される。転写されたパターンは、基板上に所望されるパターンの少なくとも一部を構成してもよく、それらは例えば、太陽電池フィンガーのグリッド状パターンを形成してもよく、交差方向のバスバーは任意に類似又は異なる方法によって別個に付与される。両側に付与される2つの導電性パターンは通常は互いに異なるが、それぞれ基板と正確に位置合わせされる必要があり得る(したがって、基板の両側で相互に位置合わせされる必要があり得る)。別の例では、最終製品は、半導体ウェーハを除くもの(例えば、電気絶縁性基板、プラスチック、ガラス等)、太陽電池以外の機能性(例えば、回路基板、RFIDアンテナ、ディスプレイ、タッチパネル等の機能性)を備えるもの、及び/又は純粋な装飾であってもよい。
【0021】
図1に示す基板走行機構の非限定的な例では、基板10は、1枚ずつスタック12から検査ステーション60に取り出され、そこでカメラ601によって基板の上面に欠陥がないか光学的に分析することができる。続く選択ステーション62では、欠陥があることが判明した基板を排出することができる。
【0022】
基板10(好ましくは、欠陥がないと予め検査されたもの)は、コンベア及び位置合わせ装置50によって前進され、そこでヒータ52によって加熱され得る。任意に、ウェブからのパターンの転写及び/又は基板上でのその保持を改善するように構成された接着剤を、基板の表面又はその一部に塗布することができる。必要に応じて加熱され、正確に位置決め及び方向付けされた後、基板10(任意に、接着剤で少なくとも部分的にコーティングされていてもよい)は、2つの加圧ローラ22a、22b間に形成されたニップ40に供給される。加圧ローラ22a、22bは、
図1に示すように、同一かつ対称であってもよい。
【0023】
欠陥のある基板を検出して排出するための検査ステーション60及び選択ステーション62を有することが推奨されるが、そうしたステーションは装置の動作に必須ではなく、品質管理の観点から好ましいにすぎない。同様の役割を果たすステーションを、ニップの下流、例えば可撓性ウェブの剥離後に追加的又は代替的に任意に設けて、欠陥パターンを検出してそうした欠陥を有する基板を排出すること、及び/又は品質レベルに応じて種々の容器に選別することも可能である。
【0024】
装置がニップの上流にステーション60、62を有する場合、欠陥がありそれ故排出された基材の後に引き出された非欠陥の基材が、ウェブのパターンと同期してニップに到達できるように、加速ステーション64をさらに含むことが望まれ得る。したがって、かかる加速ステーション64は、基板がなくなった場合に、ニップでのウェブの「空」送りを防止することができる。しかしながら、こうした空送りは、そうした非欠陥ウェーハのバッファから欠陥のないものとして予め選択された基板を追加する等の代替手段によって許容又は緩和され得るので、かかる加速ステーションは必須ではない。
【0025】
同様の検査ステーションを装置内の別の位置に位置付けて、検出され信号が発せられることが意図されている状況に対応して、検査ステーションが関連する指示をシステムに送信するように構成することもできる。例えば、ニップの上流に配置されたセンサによって検出され得る基板のミスフィードが生じた場合、検査ステーションは、基板供給の中断、ウェブ供給の減速、及び(少なくともミスフィードされた基板を除去している間における)装置の動作停止を引き起こすことができる。
【0026】
基板に転写される所望の組成物を含む物質のパターンは、2つの可撓性ウェブ14a、14bによって担持されるが、前述のように、これらは同一である必要はない。
図1から明確に分かるように、2つのウェブ14a、14bの走行機構は互いの鏡像であることができるが、そうである必要はなく、
図5及び
図6に図示され、これらを参照して以下に説明するように、代替的な構成が可能である。繰り返しを避けるために、本明細書では、両方のウェブ走行機構の構成要素を総称的に表すために添え字なしの参照数字を用いるが、図面では、上側走行機構と下側走行機構とを区別するために添え字「a」及び「b」を用いる。
【0027】
各ウェブ14は、例えば供給ロール16から、アイドラーローラ18と、矢印21で示すように左から右に移動可能なダンサ20とにより引き出される。ダンサ20は、ウェブに張力を与え、また、ウェブパターンの基材10への正確なレジストレーション14(端部位置合わせ)を確実にする役割を果たすことができる。基板の対向する側に物質パターンを付与するために2つのウェブを用いる場合、それぞれの経路に沿って存在し得るテンションローラは、両方のウェブによって担持されたパターン間のレジストレーションを行う役割を果たすことができる。
【0028】
典型的には、ウェブ14が供給ロール16から引き出されるとき、組成物はウェブの表面と水平であり、必ずしもそうとは限らないが、通常は本質的に乾燥している。任意に、ウェブからのパターンの転写及び/又は基材上でのその保持を改善するように構成された接着剤を、供給ロール16からウェブ14が引き出された後、基材に接触する前に(例えば、ニップの上流で)ウェブ14に塗布することも可能である。ウェブ14は、基材10が供給されるニップ40が形成された2つの加圧ローラ22の間を通過する。ニップ40内では、ウェブ14の物質/組成物パターンが基板10の表面に押し付けられ、その結果、物質/組成物パターンが基板に付着する。その後、ウェブ14は、任意の冷却ステーション23を通過し、2つのローラ26の間を通過し、例えば、分離デバイス30によって、又は分離に適した巻き取り角度を形成することによって、基板10から分離することができる。例えばデバイス30によって基材10から分離された後、ウェブは巻き取りロール32に再び巻き取ることができる。必要に応じて、巻き取りロール32は、ウェブ供給者に返却してリサイクルが可能である。
【0029】
巻き取りロール32が廃棄される場合、ウェブ14は、使い捨てウェブ又は可撓性膜と呼ばれることがある。本明細書に開示されているようなウェブを用いる方法は、「ロール・トゥ・ロール」法と呼ばれることがあり、パターンが基材に転写されるウェブは、供給ロール16から引き出され、巻き取りロール32に再び巻き取られる。
【0030】
剥離が望ましくない場合、例えば、ウェブ14がさらに基材10を保護する役割を果たすことがあるときは、分離デバイス30及び巻き取りロール32を装置から省いてもよい。本明細書で組成物パターン及びその変形形態について用いられる「転写された」という用語は、ウェブ及び基材が互いに分離されていない実施形態も包含するものと理解されるべきである。例えば、物質パターンが圧力によって転写される、転写が高温で行われない、及び/又はウェブが基板から急速に分離される必要がない、といった理由から冷却が望ましくない場合、冷却ステーション23を装置から省くか、電源をオフにしてもよい。
【0031】
物質/組成物パターンを基板10に正確にレジストレーションすることを確実にする目的で、例えばアイドラーローラ18の上流に、ウェブ14上のパターンの位置を感知するための光学センサ70を設けてもよい。センサの種類、各ウェブ及び基材が辿る経路に沿ったセンサの位置決め、制御及び応答動作を行うように構成されたシステムに対してセンサが提供し得る信号、並びに正確なレジストレーションを確実に行うため又は誤ったレジストレーションを許容範囲内に減少させるために装置の様々な部分に対してそれらが引き起こし得る応答は、当業者に知られており、本明細書に詳述する必要がない。
【0032】
非限定的な例として、コントローラは、ウェブに第1の速度を設定し、基板がニップに係合するとき(及び係合する前)に、搬送コンベア上の基板の第2の速度を調節してもよい。ニップの少なくとも1つの加圧ローラの周速は、ウェブの線速と本質的に同じであるので、基板の速度とニップの速度とを比較するとき、それぞれの対応する線速が参照される。本出願人は、ニップの速度を、ニップに係合する際の基板の速度よりも確実に高くすることによって、特に基板の長手方向の圧縮を回避する。これは、基板に対するウェブの速度を増加させるか、又はウェブに対する基板の速度を減少させることによって達成することができる。
【0033】
図面には、2つのパターンを基板のそれぞれの対向する表面に同時に転写することができる装置が模式的に示されているが、当業者であれば、同様の装置を用意して、物質/組成物パターンを基板の片側のみ又は基板の片側ずつに転写できることを容易に理解できる(例えば、第1のウェブのパターンを第1の側に、第2のウェブのパターンを第2の側に順次付与するためには2つのニップが必要である)。このような場合、ニップ40は、例えば、装置の単一ニップ、又は第1ニップ若しくは第2ニップのいずれであっても、1つの加圧ローラ22と基板10のための裏当て支持体34との間に形成することができる。裏当て支持体は、静的であってもよいし(例えば、プレート、加圧ローラ、及び/又はその上の基板を変位させるウェブの移動)、動いていてもよい(例えば、それぞれのウェブの相対移動に合わせて選択された速度で基板を搬送するように構成されたコンベア)。ニップは少なくとも1つの加圧ローラ22(例えば、22a)を含むため、圧力が加えられる面は、反対面又は裏当て面36と呼ぶことができ、これは前述のように第2の加圧ローラ(例えば、22b)又は裏当て支持体34であってもよく、システムの動作においてニップが閉じる際に静的又は動的な面を提供することができる。
【0034】
図5A及び
図5Bは、ニップのいくつかの構成を高度に模式的に示す図である。
図5Aは、基材10が矢印の方向でニップ40Aに供給され、基材10の両側に、ウェブ14a、14bによってそれぞれ実現される物質パターンが供与されるシステムを示す図である。ウェブ14a、14bはそれぞれ供給ロール16a、16bによって供給され、結果として最終的には巻き取りロール32a、32bに再び巻き取られる。基材10は、後で詳述する供給機構55を介して2つの加圧ローラ22a、22bによって形成されたニップ40Aに供給され、パターンの転写後に10’としてニップから出る。
【0035】
図5Bは、基板10が矢印の方向でニップ40Bに供給され、基板10の両側のうち片側に、ウェブ14aによって実現される物質パターンが供与される代替システムを示す図である。ウェブ14aは供給ロール16aによって供給され、巻き取りロール32aに再び巻き取られる。基材は、供給機構55aを介して、加圧ローラ22aと裏当て支持体34とによって形成されたニップ40Bに供給される。基材は、任意に、供給機構55bを介して、加圧ローラ22bと裏当て面36とによって形成される第2のニップ40Cに続けて進入してもよい。ニップ40Cにより、基材の他方側に第2の物質パターンを付与することができる。第2のパターンは、供給ロール16bによって供給され、巻き取りロール32bに再び巻き取られるウェブ14bによって実現される。ニップ40A、40Bはニップ40Cの例であり、ニップ40Aの構成は、基材の両側に物質パターンを同期して付与するのに好適かもしれない。ただし、3つの構成はいずれも、基材の片側のみにパターンを付与するため、又は片側ずつパターンを順次付与するために用いることができる。
【0036】
ニップの構成にかかわらず、ニップ40を構成する加圧ローラ22及び裏当て面36(例えば、裏当て支持体34)は、その間を通過することを目的として作られたウェブ及び基板に適した形で構成することができる。例えば、それらには、適切な隙間が形成されていてもよいし、適切な寸法、形状又は表面形状、適切な摩擦特性、適切な圧縮性(例えば、ウェブと基板の面との密着を促す)、適切な硬度(例えば、基板の機械的特性に適合)、及び当業者によって容易に理解できる同様の考慮事項を有していてもよい。加圧ローラ又は裏当て支持体のそのような特性は、その部分に固有のものであってもよいし、その部分に対する適切なコーティングによって実現されるものであってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、加圧ローラ22(又はその裏当て支持体)を物質(例えば、ポリマー化合物又は混合物)でコーティングして、その外表面に、100ショアA以下、90ショアA以下、80ショアA以下、70ショアA以下、60ショアA以下、50ショアA以下、又は40ショアA以下の硬度を有する外層25を形成することができる。いくつかの実施形態において、加圧ローラ22の外表面硬度は、少なくとも10ショア00、少なくとも30ショア00、少なくとも50ショア00(これはおよそ10ショアAに対応する)、少なくとも20ショアA、又は少なくとも30ショアAである。
【0038】
いくつかの実施形態において、加圧ローラ22(又はその裏当て支持体)を物質でコーティングして、その外表面に、ウェブ及び基材の表面との適切な接触を確実にするように構成された圧縮層として代替的又は付加的に機能する外層25を形成することができる。
【0039】
図6は、加圧ローラ22又は裏当て面36がコーティングされていないか、又は外層25でコーティングされている、そうした代替例を模式的に示す図である。図中、ニップ401乃至407によって示されるこれらの可能な組み合わせのために、コーティングされたバージョンの加圧ローラ及び裏当て面を、それぞれ22’及び36’と表す。
【0040】
ニップを形成する部品(例えば、加圧ローラ22及び裏当て面36)は、好ましくは互いに離脱可能であり、例えば、ニップの隙間を基板及び/若しくはウェブの厚みに適合させるため、ウェブを通すため、又はミスフィードされた基板を取り除くため、さらにはニップで必要となり得る従来の動作及び保守のために、相互間の距離を調整する(例えば、2つの加圧ローラ22a、22bの少なくとも一方を他方に近づけたり遠ざけたりする)ことが可能である。
【0041】
ニップを閉じて転写に適した隙間を形成すると、移動した部分に接触するウェブの軽度の(典型的には後方への)変位が生じることがあるので、この現象を考慮に入れて、閉じる前にウェブを適宜位置決めしてもよい。例えば、ニップ40を閉じる前にウェブによって担持されるパターン同士の位置がずれるように2つのウェブ14の一方を他方に対して意図的に前進させ、ニップを閉じる際にウェブ及びそれぞれのパターンが(例えば、許容範囲内に)正確に位置合わせされするようにしてもよい。ニップを閉じた後に正確な位置合わせを実現するために、ニップを閉じる前の意図的な位置ずれの程度は、ニップの構造及び動作に基づいて計算してもよいし、経験的に判断してもよい。ニップを閉じた後の正確な位置合わせについては、ウェブ走行機構を始動又は再作動する前に目視によって確認するか、又は装置の動作中に適切なセンサの補助によって確認することができる。
【0042】
冷却ステーション23において、ウェブが付着したままの基材の冷却は、図示の例では、ローラ22間のニップとローラ26間のニップとを通過し、さらにアイドラーローラ28を通過する無端ベルト24によって行われる。かかる目的のために、他の冷却方法及び冷却デバイスを代替的に使用することもできる。そのような方法及びデバイスのいくつかにおいては、ローラ26を省いてもよい。代替的な方法において、ウェブ(ひいてはある程度の基板)は、「静的」なヒートシンク(例えば、流体によって受動的又は能動的に冷却され、任意に熱放散を促進するための多数のフィンを含む従来の熱交換器)と熱接触させることによって伝導冷却されてもよい。例えば、ヒートシンクは、ニップと、ウェブが基板から(例えば、分離デバイスによって、又はウェブが基板から分離するのに十分な角度を形成することによって)分離される経路上の1点との間に延在してもよい。ウェブ(1つ又は複数)及び/又は基板は、そのような接触を促す1つ又は複数のローラによって、ヒートシンクと熱的に接触した状態に維持されてもよい。いくつかの実施形態において、これらのローラはさらに、ヒートシンクの一部として作用してもよい。例えば、このようなローラは、任意に冷却(例えば、液体冷却)されてもよい。
【0043】
ウェブ(1つ又は複数)及び/又は基板を冷却するために用いられる手段及び方法にかかわらず、このような冷却は、ウェブが特定の温度で分離点(例えば、分離デバイス)に到達するように構成され、基板からのウェブの分離及び/又は基板の表面への組成物パターンの付着を促進するようになされる。特定の理論に縛られることを望むわけではないが、ウェブの軟化温度未満かつ組成物の軟化温度未満(例えば、組成物に含まれるポリマー、例えば接着剤、特に熱的活性化接着剤の軟化温度未満)の温度でウェブを基板から分離することが、これらの工程に役立つだろうと考えられている。例えば、冷却後かつ分離時のウェブの温度は、最高60℃、最高50℃、又は最高40℃とすることができる。
【0044】
この理論的根拠に従って、冷却ステーションは、いくつかの実施形態において、装置に必要でない場合もある。例えば、パターンを基板に十分に転写し、付着することができる比較的中程度の温度で転写が行われる場合、冷却ステップは必要でない場合がある。これは、例えば、組成物の接着剤が感圧接着剤である場合、又は追加の接着剤が基材、ウェブ、若しくはその選択領域に塗布される場合にあり得る。
【0045】
図1に示す装置を高速で用いる場合、基材10が薄くて脆いと、損傷(例えば、破損)が、商業的にかなりの割合で観察された。比較的壊れやすい基板の破損は、装置の均一な速度低下によって低減又は防止することができるが、こうした方法では生産性も低下してしまう。本開示は、より低い、好ましくは1.5%未満の破損率を達成するために、ニップ40の上流の対応する構成要素を置き換えることを意図して作られた代替供給機構を提供する。本発明の供給機構は、比較的壊れやすい基板に有利であるが、その用途はそのような基板に限定される必要はない。比較的速い速度でのパターンの転写は、基板の種類に関係なく生産性を高めるためである。ニップ40の下流の装置は、例えば、本質的に国際公開第2018/020483号及び米国特許出願公開第2019/0174635号に記載されているものとすることができ、これらは変更されることなく保持されてもよいし、本明細書に記載されているように適合されてもよい。
【0046】
同様に、本教示による代替供給機構の動作を容易にするのみ、又はこれに関連しないニップの上流側の構成要素は、保持されてもよい。例えば、可撓性ウェブによって担持されたパターンをタイミングよく実現することを確実にするサブシステムは、本出願人によって以前に開示されたものと原理及び構成が類似しているか、そうでなければ当技術分野から部分的に知られているか、あるいは本書にさらに記載されているように適合させることができる。そのような既知の構成要素は本明細書では詳述しないが、関心のある読者は、特に、参照によりその全体が本明細書に記載されたものとして援用される国際公開第2018/020483号及び米国特許出願公開第2019/0174635号を参照されたい。新規な構成については、後の段落で説明する。
【0047】
図2乃至
図4は、上述のような2つのローラ22a、22bの間のニップ40に基板10を供給するための装置56を示す図である。この装置は、本明細書では、互いに区別するために、供給コンベア54及び搬送コンベア58と呼ばれる、2本の別々に走行するコンベアによって構成されている。供給コンベアの役割は、基板10を、スタック又はカセットのような適切な供給体から、搬送コンベア58によって拾える位置まで1枚ずつ移送することである。搬送コンベア58の役割は、まず、各基板10の正確な位置決め(例えば、位置決検出センサによる)を行い、次に、基板パターンを担持するウェブの動きと同期したタイミングでニップ40に基板10が到着するように、基板10を所定の速度でニップ40まで前進させて、パターンと基板との正確なレジストレーションを実現することである。
【0048】
パターンの表面へのレジストレーション、又はパターン同士のレジストレーションの当業者であれば容易に理解できるように、こうした事柄では通常いくらかの許容誤差が許容され、許容誤差は、相対的な用語(例えば、ずれの割合)又は絶対的な用語(例えば、意図した位置決めからの距離)で表され得る。例えば、機能的パターンの場合、正確な位置決めから±100μm以下、±75μm以下、又は±50μm以下の許容誤差内であれば、レジストレーションは正確であると見なすことができる。例えば、X方向(コンベア54、58の移動方向)及びこれに交差するY方向のそれぞれにおいて、基板の様々な縁(前縁、後縁、右縁、及び左縁)に対する所望の位置決めから±50μm以内であれば、パターンは正確にレジストレーションされている。また、パターンが基板の上面及び下面の両方に付与される場合、X方向及びY方向それぞれにおいて、相互間の所望の位置決めから±50μm以内であれば、パターンは正確にレジストレーションされている。純粋に装飾的なパターンの場合、このような許容誤差はさらに緩和することができ、意図した位置から数ミリメートル(mm)以内に付与されたパターンであっても、その所望の装飾目的にとって視覚的に満足できる場合には、正確にレジストレーションされていると見なすことができる。
【0049】
供給コンベア54の速度は、電気モータを介して制御され、その速度はエンコーダを用いて監視される。供給コンベア54は、互いに平行に走る間隔をあけて配置された2本の周期的に移動可能な無端ベルトを有していてもよく、基板10の各側縁は、2本のベルトそれぞれに載って支持される。このように、ベルトは、搬送される基板10の幅よりも小さな間隔をあけて配置されることが好ましい。基板10は、スタック又はカセットから基板10を引き出すことによって、又は供給コンベア54の上流にある別のステーションによって、供給コンベア54に送り出すことができる。
【0050】
供給コンベア54が2本の別個のベルトによって形成されている理由は、その下流端で、2本のベルトが搬送コンベア58の上流端にまたがり、それぞれの基板が供給コンベア54から搬送コンベア58に移送される重複領域が形成されるためである。コンベア間での移送については、供給コンベアが搬送コンベアの平面より高い平面にあり、基板が前者から後者のコンベアへそれぞれ下降する一実施形態に関連して、詳細に後述する。当業者であれば、供給コンベアが搬送コンベアの平面より低い平面にあり、基板が前者から後者のコンベアにそれぞれ上昇するという逆の場合のために装置を変更する方法が分かるであろう。
【0051】
いくつかの実施形態において、基板10が供給コンベア54上に載っている間に、検査、選別、レーザードーピング、又は他の工程のうち1つ又は複数を実施することができる。他の実施形態において、供給コンベア54は、純粋に、基板10をスタック又はカセットから全体として56で示す搬送ステーションに移送する手段として機能する。
【0052】
搬送ステーション56は、搬送コンベア58を有する。搬送コンベア58は、
図3では、例えば、ベルトの全幅にわたって横方向に延びるバー66として示す少なくとも1つの突起66を有する無端ベルトとして形成される。ただし、基板のサイズ及び/又は意図する位置に適合する他の任意の寸法とすることもできる。例えば、突起は、コンベアの幅にわたって位置し、基板に好適に接触するピンの形状を有していてもよく、かかる突起は、任意に、ニップに対する基板のレジストレーションを容易にすることができる。突起は、ニップ40に向かって前進中の基板10の後縁に係合することを意図して作られている。基板は、コンベアの摩擦に依るのではなく、その後縁から押されることによって前進するので、各基板は、ニップ40に向かって前進するときに正確に位置決定される。一度に1枚の基板10全体のみをニップ40に向かって搬送できるように、搬送コンベア58は、その全周にわたっていくつか(例えば、2、3個)のみの突起を有するように寸法決めされてもよい。これは、1枚の基板10とウェブとの間のレジストレーションが次の基板に影響を与えることを防止したり、シャットダウンが発生した場合に基板の損失を最小限に抑えたりするといった多くの理由から望ましいと考えられる。
【0053】
例示的な図示の実施形態では、供給コンベア54の平面は、搬送コンベア58の平面より高いが、これは限定的に解釈されるべきではない。重複領域において、基板は、供給コンベアによって昇降機構68(
図3及び
図4で最もよく分かる)上を走行する。昇降機構68は、搬送コンベア58の平面よりも高い平面で、1枚の基板をその縁において支持する。供給コンベア54によって基板10がロードされると、昇降機構68は、支持された基板を、搬送ベルトの突起66と接触可能な、搬送コンベアの平面より高い位置まで下降させる。その結果、基板10は、その後縁が突起66と接触した状態で昇降機構68から離れて搬送コンベア58のベルト上を摺動する。昇降機構68は、下方に突起がない場合にのみ低位置に移動するように、搬送コンベア58と同期して移動する。これは、例えば、搬送ベルトと同期して回転するカムによって昇降機構68を動作させることによって、又は、搬送コンベア58に関連するセンサによって独立駆動式昇降機構68の下降を開始することによって実現することができる。
【0054】
基板10がバー66と接触して破損する可能性を減少させるために、基板を置く昇降機構68のフレームは、低い摩擦係数を有していてもよい。これは、ベアリング部材を使用すること、昇降機構68を低摩擦材料で処理又はコーティングすること、又は単に昇降機構68のフレームを研磨することによって実現することができる。
【0055】
基板10とウェブ14のパターンとを同期させるために、ウェブ14の速度や搬送コンベア58の速度を変化させてもよい。搬送ステーション56にセンサを設置して、突起66及び/又は基板10、特にその前縁の位置を監視してもよい。2つのウェブを用いて基板10の対向する表面にパターンを付与する場合、ウェブの少なくとも一方は、一定の表面速度で走行されてもよい。基板10の前縁がニップ40に接触すると、基板10が突起66から引き離されることを確実にするために、搬送コンベア58の速度は、ニップ40におけるウェブ(1つ又は複数)の表面速度より低い。仮に、搬送コンベア58の速度がニップ40を通過する基板の速度を超えている場合、突起66から基板に長手方向の圧縮力が加わり、その結果、破損の危険性が増大する可能性がある。したがって、容易に理解されるように、本教示は、基板の前縁がニップに把持される際に、基板の縁への圧縮を生じさせるような搬送コンベアからの力が加わらない装置(及び関連方法)に関するものである。X方向及びY方向に沿った基板の縁は、通常、基板の中心に近い部分よりも壊れやすく、したがって、本発明の装置は、その完全性を維持するものであり、転写を確実に行うのに十分大きく、破損を防ぐのに十分小さなZ方向の圧縮を、基板が受けることができるほど頑丈であるか、ニップが加えるように構成されているか、又はその両方であってもよい。
【0056】
ウェブによって担持されるパターンと、それが転写される基板との間の上記X方向における正確な位置合わせは、搬送コンベアの移動のタイミングを正確にとることによって実現される。交差するY方向における位置合わせは、基板が搬送コンベア58上にある間に、かかる交差方向に基板を付勢することによって実現することができる。基板の後縁が搬送コンベアの突起66に積極的に係合するため、Y方向の位置合わせの動作がX方向の基板の位置に干渉する虞はない。
【0057】
搬送コンベアの突起66が基板の後縁と2点以上で接触し、Y方向の位置合わせを行うために基板をガイドに押し付ける部材も基板の側縁と2点以上で接触すると、Y方向の位置合わせを行う際に基板が斜行(垂直軸周りに回転)する虞がある。基板が所望の方向に向いてニップに到着することを確実にするために、突起66は基板の後縁と点接触のみを行うことが好ましく、また、搬送コンベアの一方の側に2つ以上のプッシャを配置して、搬送コンベアの他方の側に配置された細長いガイド面に対して基板を付勢することが好ましい。ガイド面は、細長いガイド面を構成するように、低摩擦面を有する切れ目のないバー、又は互いに十分に近接した(例えば、回転接触する)一連のローラとすることができる。プッシャは、基板の移動方向において互いに間隔をあけて配置することができ、ばねによって基板に向かって付勢されるローラを含んでいてもよい。プッシャの間隔と、プッシャが基板の側縁に接触するタイミングとは、プッシャが比較的壊れやすい基板の角に接触するのを防ぐように構成される。基板とプッシャとの係合及び離脱は、X方向に沿った基板の位置を基準としたカムシステムによって制御することができる。
【0058】
このような配列により、基板の片側が、ガイド面とは2点で接触し、搬送コンベアの突起とは1点のみで接触するようにすることができる。接触点が3つしかない場合、基板が斜行する危険性を回避することができる。プッシャはY方向における基板のレジストレーションを容易にし、突起はX方向における基板のレジストレーションに寄与する。なお、こうしたX方向及びY方向における基板のレジストレーションはニップに対して行われるものである。
【0059】
基板の片側にパターンを付与する場合、適切な基板のレジストレーションによって、適切な転写タイミング、したがって基板の片側に対するパターンの位置付けが保証されるならば、ニップに対するウェブのレジストレーションは不要である。ただし、ウェブの経路に沿ったテンションローラによって、基板と転写パターンとの間のこのような位置合わせを容易にすることが可能である。2つのウェブから両側に、2つの連続するニップにおいて、又はより典型的には同一のニップにおいて、パターンを転写する場合、適切な位置合わせを確実にするためには、2つのウェブの少なくとも一方に、ウェブの経路に沿ったテンションローラが必要である。両ウェブの経路のそれぞれに沿ってテンションローラがあれば、工程をさらに容易にすることができる。
【0060】
この文脈で留意すべき点として、特定の基板、特に半導体ウェーハの剛性により、基板の直線状の縁が直線状のガイドに押し付けられるときでさえ、一方から他方へ力が伝達される接触点は2つしかないと考えられる。
【0061】
もし、供給コンベアと搬送コンベアとの間で基板を無作為なタイミングで移送させるだけであれば、2つのコンベアの重複領域において、基板が少なくとも部分的に突起66のうち1つの上で止まる虞があるだろう。上述した昇降機構68は、このような事態から保護する目的で作られたものである。昇降機構は、各基板が突起66から離れた状態を維持し、搬送ベルト58の動きと同期して基板を下降させ、基板が次の突起にかかって昇降機構を通過することを確実にする。
【0062】
昇降機構の使用は、突起が基板の後縁に接触することを確実にしながら、供給コンベアと搬送コンベアとの速度差の問題を克服するための1つの方法に過ぎない。代替の実施形態において、2つのコンベア54、58の間に重複領域を設け、搬送コンベアの摩擦部材が、供給コンベア54から搬送コンベア58に移送される基板10に係合してその速度を低下させ、搬送コンベア58の突起66が基板の後縁に接触することを確実にしてもよい。2つのコンベア54、58の正確なタイミングによって、搬送中の基板が突起に着地するのを防止することができる。適切なタイミングは、基板が突起によって引き入れられる量にそれぞれ供給(搬送コンベアに載置)されることを確実にする。
【0063】
コンベアベルトのX方向の長さに沿った突起間の距離は、摩擦部材/昇降機構が正確に機能するのに十分である必要がある。また、供給量を挟む突起間の距離は、基板の寸法より少なくとも10%大きい必要がある。
【0064】
また、昇降機構は、その上にある基材が、搬送コンベア上の基板のレジストレーションによって影響を受けるのを防ぐことができる。つまりこれは、前述のとおり、単に基板の前縁がニップに進入する前に、基板を下降させることによってなされる。これは、摩擦部材に対する昇降機構の重要な利点である。
【0065】
供給コンベアと搬送コンベアとの間に存在検知センサを設けて、供給コンベア54に基板が検出されたときに搬送コンベア58の移動を開始するようにしてもよい。存在検知センサは、供給コンベア54の速度を調節して、基板が(例えば、供給コンベアから搬送コンベアに移送された基板の後縁に係合可能な突起の位置に関して)適切なタイミングで輸送コンベア58に供給されることを確実にするために用いることができる。ニップに対する基板のレジストレーションを評価し、その前縁の到着をウェブから転写されるパターンの所望の位置決めと同期させるために、追加のセンサを設けてもよい。
【0066】
昇降機構68は、カム及び従動機構、ピストン機構、又は当技術分野で知られている他の機構であってもよい。
【0067】
代替的に、又は二次的な抑制として、搬送コンベア58を跨ぐようにさらに下流にシステム(図示せず)を設置してもよい。このようなシステムは、基板10を正確に位置合わせするための1つ又は複数のガイドレールを有することができる。Y方向における基板の位置合わせを容易にするために用いられるプッシャに加えて設置される場合、ガイドレール(1つ又は複数)は、予備的な位置合わせを実現するためにプッシャの上流に配置されてもよい。
【0068】
搬送ステーション56は、基板10がニップに進入する前にそれを所望の温度まで加熱する役割を果たすヒータ52をさらに含んでいてもよい。同様に、基板に接触する前にその温度を上昇させるように、ウェブの経路に沿ってヒータが配置されてもよい。代替的に、又は追加的に、接着剤コーティングが基板若しくはウェブ、又はその選択領域に施され、そのようなコーティングに用いられる接着剤が(任意に、圧力活性化可能であることに加えて)熱活性化可能である場合、接着剤コーティングを施すように構成されたアプリケータの下流にヒータを配置してもよい。
【0069】
これらの位置のいずれかにおける所望の温度は、例えば、組成物が熱活性化接着剤を含む場合、ウェブ14によって担持される組成物中の接着剤を活性化し得る温度であってよく、基板及び各ウェブで同一である必要はない。適切な加熱温度は、組成物及び接着剤の性質、並びにウェブ及び基材を構成する材料に依存し、国際公開第2018/020479号及び米国特許出願公開第2019/0172967号においてより詳細に記載されている。例えば、加熱温度は、組成物及びその中の接着剤の軟化温度に依存してもよく、したがって、任意に様々な物質及び/又はその配列を有するパターンをそれぞれのウェブから付与する場合、同一基板の各側で異なっていてもよい。ヒータが用いられる実施形態において、必要なあらゆる装置及びその部分(例えば、加熱されたウェブ及び/又は加熱された基板に接触又は隣接する部分)を、歪み又は故障を生じることなく熱に耐えるように構成するように注意が必要である。
【0070】
加熱は、到達すべき温度によって異なる形態をとることができ、伝導、対流、又は輻射によるものであってよい。ウェブは、基材に関して後述するように、放射によって加熱することもできるが、必要であれば、典型的には、熱風を用いて、又は加熱部材(例えば、加熱ローラ)との接触によって加熱される。
【0071】
基板が放射によって加熱される実施形態において、ヒータ52は、搬送コンベア58の上方及び/又は下方に配置された1つ又は複数の赤外線ランプを有していてもよい。基板10が厚い場合、例えば約1mmを超える場合、均一な加熱を実現するために、基板10の両側に配置された加熱ランプを共に用いてもよい。このような加熱が必要な場合、搬送コンベア58は、供給コンベア54と同様に分割されてもよく、すなわち、それぞれが基板の片側を支持する2本の細い同期ベルトから成り、それぞれが基板10を両側から押すためのそれぞれの突起を有していてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、ヒータ52に含まれる赤外線ランプは、全体として約6kW、12kW、24kW、又は他の適切な量の放射に相当する放射を行うように構成することができる。ランプからの放射が加熱領域の外部に達するのを阻止するために、シールド74が設けられてもよい。シールドの過熱を防止するために、冷却装置76が設けられてもよい。冷却装置は、空冷部品又は当技術分野で知られた他の手段を含んでいてもよい。
【0073】
加熱は、ウェブ(1つ又は複数)及び/又は基材に対してニップの上流で行うことができるが、代替的に又は追加的にニップで行うこともできる。例えば、加圧ローラ22は、いくつかの実施形態において、追加的に加熱ローラとして機能することができる。ニップの上流でウェブ及び/又は基材を加熱することにより、ニップの加熱の必要性がなくなるか、又はニップをより低い温度に加熱することが可能になる場合がある。いくつかの実施形態において、加熱は、搬送ステーション56の前に行うことさえできるが、加熱をニップ40のより近くで行うほど、工程はより効率的である。複数の位置で、及び/又は複数の基板やウェブの一方に対して行う場合、基板及びウェブ(1つ又は複数)がニップに進むにつれて温度が徐々に変化するように様々な加熱温度が設定され得る。このような勾配は、ウェブから基板の対象表面へのパターンの転写に悪影響を及ぼす可能性のある温度の急激な上昇、又は逆に急激な下降を回避するように選択することができる。温度が許容範囲内にあることを確認するために温度センサを装置に組み込み、コントローラ(手動式又はコンピュータ制御式)を設けて温度をそれぞれの許容範囲内に維持してもよい。
【0074】
上述したように、いくつかの実施形態において、シャットダウンが発生した場合に廃棄物が最小限になるように、一度に1枚の基板10のみを搬送コンベア58に載置することができる。例えば、基板10がヒータを通過する途中にシャットダウンが発生した場合、もしも基板が部分的に加熱され、その後冷却されただけであるか、又は加熱領域でコンベア58が停止したために過熱されたとすると、基板は廃棄物と見なされる可能性がある。これは、各ステーションが最後の基板10を次のステーションに渡すときに順次シャットダウンするシャットダウン手順を用いることによって軽減することができる。例えば、搬送ステーション56は、最後の基板10の前縁がニップ40に進入した時点で初めてシャットダウンしてもよい。そのような場合、この順次のシャットダウンによって不可逆的な処理から救出された数枚の基板は、無駄にする必要がなく、リサイクルされ得る。
【0075】
ニップを通過した後、ウェブを基板から分離(例えば、剥離)することができ、このような分離が生じると、ウェブから基板への物質パターンの転写が完了する。分離を補助するために、基板及びウェブ(1又は複数)をニップの下流で冷却してもよい。冷却によって、物質パターンの基材への付着を加速するか、そうでなければ容易にすること、及び/又は可撓性ウェブからのパターンの転移を容易にすることができると考えられるので、適切な冷却温度及び/又は冷却速度は、組成物及びその成分の性質によって異なるであろう。基材及び/又はウェブの冷却を確実にするために用いられる手段にかかわらず、そのような冷却が必要に応じて行われる場所及び/又はデバイスは、冷却ステーションと呼ぶことができる。
【0076】
図示された例示的な実施形態の装置の分離デバイス30は、鋭角を規定する小さな半径で屈曲した金属板を有する。ウェブは、巻き取りローラ32への戻り経路において、屈曲した金属板の外側によって規定された鋭角で屈曲する。この作用により、基板10に付着している組成物を残したまま、ウェブ14が基板10から剥離する。当業者であれば、ウェブ14の経路と基板10の経路との間に形成される角度によって、又は代替の分離デバイスによって、ウェブ14の同様の満足な剥離が達成できることを容易に理解できるだろう。基材の表面からのウェブの剥離を確実にするために用いられる手段にかかわらず、そのような分離が必要に応じて行われる場所及び/又はデバイスは、分離ステーションと呼ぶことができる。冷却ステーション及び分離ステーションは、基材及びウェブが任意の所望の作用を受けることができるニップ下流のステーションの非限定的な例であり、これらのステーションは、後転写ステーションとも呼ばれる。
【0077】
これで、少なくとも1つの側に所望のパターンの少なくとも一部が形成された基板は、必要であれば、さらに処理することができる。例えば、転写されたパターンに導電性を付加するために、物質に含まれる金属粒子の焼結及び/又は融合を引き起こすのに十分な量のエネルギーに曝すことができ、物質が基板への付着を促進し得る硬化性材料を含む場合には、放射により硬化することができる。万一ウェブが基板から剥離されない場合、ニップに続いて行われる処理は、分離しなければ共通のウェブに付着して「連結」されてしまうであろう個々の基板間を(例えば、隣接する基板の間でウェブを切断することによって)分離することを含んでもよい。このような後処理は、別の装置(例えば、太陽電池炉)でオフラインで行ってもよいし、本教示による装置を用いてインラインで行ってもよい。基板、転写パターン、及び使用目的に応じて様々な後処理が存在し、これらは当業者には知られているため、本明細書では詳述しない。基板及びウェブのそのような後処理が行われ得る場所又はデバイスは、まだ付着し合っているか分離しているかにかかわらず、後処理ステーションと呼ぶことができる。後処理ステーションは、後転写ステーションの一種と考えることができる。
【0078】
本開示をその様々な特定の実施形態に関して説明してきたが、このような具体的に記載された実施形態は、単に例示を目的としており、限定的であると解釈されるべきではない。
【0079】
したがって、具体的に記載された装置を含む以上の説明は、ここに記載の主題の単なる一例であり、単に例示を目的として記載され、したがって、必ずしも限定的であることを意図するものではない点を理解されたい。さらに、本明細書に記載されたそのような特徴の全ての例、実施形態、実装、事例、実例、図示/図解等は、非限定的であると理解されるべきである。本明細書の開示に基づいて、そのような特徴の他の多くの代替、変更、修正、置換、及び変形形態が当業者には想起されるであろう。したがって、そのような全ての代替、変更、及び変形形態、並びにそれらの意味及び等価性の範囲内にあるあらゆる変更は包含されることが意図されている。
【0080】
本明細書において、「例示的」という語は、「例、事例、又は図示として機能する」という意味で用いられる。「例示的」として説明される特定の特徴のいかなる例、実施形態、事例、実例、又は図示/図解も、必ずしも他の実施形態よりも好適又は有利であると解釈されるものではないか、他の実施形態からの1つ又は複数の特徴の組み込みを排除するものではないか、又はそのいずれでもない。さらに、ある実施形態において好適又は有利であると説明される特徴は、他の実施形態において必ずしも好適又は有利とは限らない。
【0081】
理解されるべき点として、明瞭化のために様々な実施形態の文脈で説明したここに記載の主題の特定の特徴は、単一の実施形態で、又は複数の実施形態において組み合わせて実装することができる。これとは逆に、簡潔さのために単一の実施形態又は複数の実施形態の文脈で説明したここに記載の主題の様々な特徴は、個別に若しくは任意の好適な部分的組み合わせの形で、又はここに記載の主題の他の任意の実施形態において適宜実装することができる。実施形態の文脈で説明した特定の特徴は、実施形態がそれらの特徴なしでは実施不可能な場合を除き、実施形態の不可欠な特徴と考えられることはない。
【0082】
本明細書の開示から特に定義又は理解されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0083】
別段の記載がない限り、選択肢に列挙の最後の2つの構成要素間における表現「及び/又は」の使用は、列挙された選択肢のうち1つ又は複数の選択肢が適切かつ可能であることを示す。
【0084】
本開示の説明及び特許請求の範囲において、動詞「備える、有する、含む(comprise)」、「含む、有する(include)」、及び「有する(have)」のそれぞれ、並びにそれらの活用形は、対象又は動詞の目的語が必ずしも完全な列挙ではないことを示すために用いられる。
【0085】
本明細書で用いる単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形への言及を含み、文脈上別段の指定がない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数の」を意味する。
【0086】
本明細書で使用される場合、A及びBの少なくとも一方という用語は、A又はBのいずれかを意味することを意図し、いくつかの実施形態において、A及びBを意味し得る。
【0087】
「上側」、「下側」、「右」、「左」、「下」、「裏」、「表」、「下方」、「下降」、「低い」、「上」、「上方」、「上昇」、「高い」、「垂直」、「側」、「水平」、「後方」、「前方」、「上流」、及び「下流」等の位置的又は動的な用語、並びにこれらの文法的派生語は、本明細書では、説明を目的としたものにすぎず、特定の対象(例えば、装置の構成要素)の相対的な位置付け、配置、若しくは変位を説明するためか、第1の対象若しくは第2の対象を示すためか、又は両方のために用いられることがある。かかる用語は、例えば、「下」にある対象が「上」にある対象より下方にあることを必ずしも示すものではない。かかる方向若しくは構成要素、又はその両方は、反転、回転、空間移動、斜め方向若しくは斜め位置に配置、水平若しくは垂直に配置、又は同様に変更され得るものである。
【0088】
本開示の実施形態の特徴に関する範囲の限界値が本明細書に記載される場合、別段の記載がない限り、実施形態においてかかる特徴の可能な値は、記載の限界値の間の値だけでなく、記載の限界値も含み得るものと理解されるべきである。本明細書において、別段の記載がない限り、ここに記載の主題の実施形態の1つ又は複数の特徴の条件又は関係特性を修飾する「実質的に」、「およそ」、及び「約」等の形容詞は、その条件又は特性が、意図される用途のための実施形態の動作に許容される許容誤差内で定義されているか、又は実行中の測定及び/若しくは使用中の測定機器から予測される変動内で定義されていることを意味するものと理解されるべきである。例えば、「約」及び「およそ」との用語が数値の前にある場合、それは、±15%若しくは±10%、又は±5%のみ、あるいはかかる範囲内の他の任意の適切な±変動を示すことができ、場合によっては、精密な値を示すことができる。さらに、別段の記載がない限り、ここに記載の主題の実施形態で用いられる用語(例えば、数値)は、そのような形容詞がなくても、関連する用語の厳密な意味から離れるかもしれないが、実施形態又はその関連部分が、説明どおり及び/又は当業者に理解されるように動作し機能することが可能な許容範囲を有するものと解釈されるべきである。
【0089】
本開示の内容を理解又は遂行するために必要な範囲において、特に本出願人の出願を含む、本明細書に記載された全ての刊行物、特許、及び特許出願を、その全体が参照によりここに記載されているかのように本明細書に援用する。
【0090】
添付の特許請求の範囲で請求する上記開示の特徴に加えて、それ自体で進歩性があると考えられる特徴について、いずれ1つ又は複数の分割特許出願をする際の正当な根拠を提供するために、以下の条項で規定する。
【0091】
第1項 少なくとも1つの物質パターンを、少なくとも1つのウェブそれぞれの表面から基板の少なくとも1つの表面に転写する装置であって、基板が少なくとも1つのウェブと同時に通過するニップであって、ニップを通過中の少なくとも1つのウェブの表面と基板の表面とを互いに押し付ける役割を果たす少なくとも1つの加圧ローラを有するニップと、ウェブ供給機構と、基板搬送機構とを備え、ウェブ供給機構及び基板搬送機構の動作は、基板の表面への物質パターンの正確な位置付けを確実にするために同期される、装置。
【0092】
第2項 少なくとも1つの物質パターンを、少なくとも1つのウェブそれぞれの表面から基板の少なくとも1つの表面に転写する装置であって、基板が少なくとも1つのウェブと同時に通過するニップであって、ニップを通過中の少なくとも1つのウェブの表面と基板の表面とを互いに押し付ける役割を果たす少なくとも1つの加圧ローラを有するニップと、ウェブ供給機構と、基板搬送機構とを備え、基板搬送機構は、ニップに向かう移動方向に交差する方向における基板の正確な位置付けを確実にするための位置合わせ機構を含む、装置。
【0093】
第3項 位置合わせ機構がさらに、ニップに対する基板の縁の正確な方向付けを確実にする役割を果たす、第2項に記載の装置。
【0094】
第4項 位置合わせデバイスは、基板の縁が3つの基準点に接触し、少なくとも1つの基準点が基板の後縁に接触するように、基板を横方向に付勢するように構成されている、第3項に記載の装置。
【0095】
第5項 少なくとも1つの物質パターンを、少なくとも1つのウェブそれぞれの表面から基板の少なくとも1つの表面に転写する装置であって、基板が少なくとも1つのウェブと同時に通過するニップであって、ニップを通過中の少なくとも1つのウェブの表面と基板の表面とを互いに押し付ける役割を果たす少なくとも1つの加圧ローラを有するニップと、ウェブ供給機構と、基板搬送機構とを備え、基板搬送機構は、供給コンベアと、供給コンベアの下流かつ下方に設けられた搬送コンベアと、供給コンベアから搬送コンベア上に基板を下降させるための昇降機構とを有する、装置。
【0096】
第6項 少なくとも1つの物質パターンを、少なくとも1つのウェブそれぞれの表面から基板の少なくとも1つの表面に転写する装置であって、基板が少なくとも1つのウェブと同時に通過するニップであって、ニップを通過中の少なくとも1つのウェブの表面と基板の表面とを互いに押し付ける役割を果たす少なくとも1つの加圧ローラを有するニップと、ウェブ供給機構と、基板搬送機構とを備え、基板搬送機構はさらに、基板及びウェブをニップに送り出す前に基板及び少なくとも1つのウェブの少なくとも一方を加熱するように構成されたヒータを含む、装置。
【0097】
第7項 物質パターンを、2つのウェブそれぞれの表面から基板の対向する表面に転写する装置であって、基板が2つのウェブと同時に通過するニップであって、ニップを通過中の2つのウェブの表面を基板の対向する表面に押し付ける役割を果たす2つの加圧ローラを有するニップと、各ウェブに関連付けられたそれぞれのウェブ供給機構と、基板搬送機構とを備え、ウェブ供給機構の少なくとも一方が、2つのウェブを互いに位置合わせするための少なくとも1つのテンションローラを有する、装置。
【0098】
第8項 物質パターンを、2つのウェブそれぞれの表面から基板の対向する表面に転写する装置であって、各ウェブに関連付けられたそれぞれのウェブ供給機構と、基板搬送機構と、基板が順次通過する2つのニップとを備え、各ニップは、ニップを通過中の2つのウェブそれぞれの表面と基板のそれぞれの表面とを互いに押し付ける役割を果たす加圧ローラを有する、装置。
【国際調査報告】