(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】水と二酸化炭素を利用する熱エネルギー伝送方法
(51)【国際特許分類】
F24H 4/02 20220101AFI20221221BHJP
F24H 7/02 20220101ALI20221221BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
F24H4/02 Z
F24H7/02 601Z
F25B1/00 396D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523859
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 US2020057432
(87)【国際公開番号】W WO2021081541
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522147126
【氏名又は名称】エム.イー.ディー. エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ガイノス,フランソワ,イグナス
(72)【発明者】
【氏名】クエニ,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ,カメラン
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA03
3L122AA23
3L122AA46
3L122AC26
(57)【要約】
本発明は、液体二酸化炭素を作動流体として使用するエネルギー分配システムを提供する。二酸化炭素を蒸発させることで冷却を提供し、二酸化炭素を圧縮して液体状態に戻すことで熱を提供する。両段階で移動される熱の量は、環境の加熱及び冷却を行うのに十分な量である。発電プラントからの廃熱エネルギーが温水の形態でシステムに供給され、プロセス全体を駆動するために使用される。地下の熱エネルギー貯蔵システムは、現在の需要を超えるエネルギーをシステムに流入させるために使用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギー源から加熱及び冷却を必要とする顧客の現場にエネルギーを分配する方法であって、
(a)前記熱エネルギー源において、約4℃~約15℃の間の温度で、その温度で二酸化炭素を液体状態に維持するのに十分な圧力下で、液体状態の二酸化炭素を生成すること、
(b)前記熱エネルギー源において、少なくとも30℃の温度の温水を生成すること、
(c)前記液体二酸化炭素及び前記温水を前記現場までパイプで送ること、
(d)前記液体二酸化炭素を蒸発させて二酸化炭素ガスにし、前記現場で冷却を提供すること、
(e)前記蒸発した二酸化炭素を膨張させること、
(f)前記膨張した二酸化炭素を前記温水で暖めること、及び
(g)ステップ(a)で述べた条件まで、前記気化された二酸化炭素を圧縮、凝縮、及び冷却し、拒絶された熱を使用して前記現場で加熱を提供すること、
を含む方法。
【請求項2】
前記膨張した二酸化炭素が前記温水に注入することによって暖められる、請求項1に記載の熱エネルギー分配方法。
【請求項3】
(h)水が充填されたループに前記温水を注入することであって、前記水はループ内で循環されている、注入すること、
(i)前記ループ内の水が、
i.前記注入された温水によって温められ、
ii.季節的熱エネルギー貯蔵システムの第1の部分を通過し、前記第1の部分は、前記水を4℃~15℃の間の温度に冷却するように構成及び作動され、
iii.断熱膨張する二酸化炭素ガスと接触して冷却され、
iv.未溶解の二酸化炭素ガスと分離され、
v.前記温水の注入速度に等しい速度で、前記ループから部分的に排出され、
vi.前記季節的熱エネルギー貯蔵システムの第2の部分を通過し、前記第2の部分は、前記水を4℃~15℃の間に温めるように構成及び作動され、及び
vii.ステップ(i)に戻されること、
をさらに含む、請求項2に記載の熱エネルギー分配方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願及び優先権主張出願はない。
【0002】
本発明は、エネルギー伝送及び送達の一般分野に属する。より詳細には、本発明は、必要に基づく加熱及び冷却の両方の能力の同時伝送及び同時送達に関連する。
【背景技術】
【0003】
電力生産のための発電所は、非常に大量の熱エネルギーを生成する。燃料の性質及びプラントの設計に依存して、電気エネルギーの生産中に放散される(同時発生する)熱エネルギーは、35から65%の範囲に及ぶことがある。生成された電気を最終消費者に送達するのは比較的容易であるが、同時発生した熱エネルギーを潜在的な消費者に送達するのははるかにより困難である。
【0004】
同時発生による熱エネルギー生産は、電力生産の関数であるため、需要に容易に一致せず、商業的に有意な量の熱エネルギーを貯蔵することは困難である。さらに、熱エネルギー損失は、伝送中、特に損失が生産エネルギーの50%を超えることがある遠隔地の場合、相当なものである。エネルギー損失は効果的な断熱で減らすことができるが、そのような断熱のコストはその効果よりも急速に増加する。これらの理由から、中央で発生した熱エネルギーの送達は、地域の電気公共施設が地下配管を介して同時発生した蒸気を顧客に経済的に送達できるニューヨーク市やシカゴなどの人工密度の高い都市部に大部分が制限されている。
【0005】
冷却を必要とする顧客は、蒸気を利用して蒸気圧縮又は吸収式冷凍機を動かすことができるが、これらはオフィスタワーやマンションに見られる大規模な設備に対してのみ経済的である。小規模の住宅及び商業顧客は、蒸気圧縮式エアコンに電力を供給するために電力グリッドに依存しており、非常に暑い天候においては、計画停電又は計画外不全のポイントまでローカルグリッドを酷使する可能性がある。湖、川、又は海の水がヒートシンクとして利用できる場合、地域冷却として知られる冷水を分配する方法が可能であるが、冷水の送達のために第2の並列分配システムの設置が必要となる。
【0006】
上記の困難を考慮すると、同時発生した熱エネルギーを、特に長距離にわたって伝送する経済的かつ効率的な方法に対する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、適度に加熱された水を熱媒体として使用し、また、冷熱生成のために熱エネルギーに変換可能な機械的エネルギーを運ぶ別の流体であって、熱エネルギーは熱生成のために機械的エネルギーに逆変換可能である別の流体-50気圧のオーダーの高圧下の液体二酸化炭素-を使用して、熱エネルギーの供給を生産し、エンドユーザに伝送、及び伝達することによって、上記の欠点を克服する。
【0008】
冷却を得るために、エンドユーザは、液体二酸化炭素を蒸発させ、それによって局所熱交換器から二酸化炭素の気化熱を取り除く。気体の断熱膨張は、さらなる冷却を得るために使用することができる。
【0009】
次に、膨張したガスは、加熱された水によって暖められる。熱を得るために、エンドユーザは、暖められたガスを断熱的に圧縮、液化、及び冷却し、発生した熱は熱交換器に供給される。二酸化炭素はシステムに戻される。本発明の好ましい実施形態では、これらのプロセスは、地中の熱エネルギー貯蔵システムから取り出され、循環する水によって送達されるエネルギーによって補完される。
【0010】
圧力下に二酸化炭素は臨界温度31℃未満の適度な温度で液体状態を維持することができる。その圧力は、深さ1.5m未満の世界のほとんどの土壌の平均温度に相当する4℃~15℃の温度範囲で二酸化炭素が液体のままであるような圧力であることが好ましい。これらの条件下で、液体二酸化炭素は、長い距離にわたって地下パイプで輸送することができ、エネルギー損失は距離による圧力低下を補償するために必要なポンピングに制限される。輸送先で、二酸化炭素の膨張により、機械的エネルギーと冷却の両方が得られる。
【0011】
熱エネルギーの大部分を運ぶ水は、周囲の土壌との熱交換によってその動作温度を維持し、周囲の土壌は加熱されると大容量のエネルギー貯蔵媒体として機能する。本発明のシステムは、熱同時発生した熱エネルギーの高い割合を、最終顧客にアラカルトで、すなわち、冷却及び/又は加熱に対する消費者の需要に応じて、先行技術の蒸気分配システムで実用化されているよりもかなり長い距離にわたって供給することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】流入する水のための入口接続チャンバを示す。
【
図4】排出される水のための出口接続チャンバを示す。
【
図5】二酸化炭素回収チャンバに結合された注入チャンバを示す。
【
図6】流入する温水のための大地結合型熱交換器を示す。
【
図7】冷却された水のための大地結合型熱交換器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のプロセスは、電気及び熱エネルギーの同時発生に適合されたエネルギー生産施設で開始される。この施設は、廃棄物の熱分解又はガス化が高温高圧で行われ、中圧又は高圧で分離された二酸化炭素が発電プロセス自体から直接利用できるようにした廃棄物-エネルギー変換プラントであると好ましい。二酸化炭素の回収又は外部からの二酸化炭素の供給を備えている場合、燃焼型のプラントを利用することができる。二酸化炭素を液体状態に圧縮するのに必要な電力は、好ましくはプラントの電気出力によって供給され、圧縮及び凝縮によって放出される熱は、同時発生する熱出力に寄与する。
【0014】
エンドユーザへの二酸化炭素の輸送はパイプを介して行われ、この際二酸化炭素は室温で約763kg/m3の密度で液体状態である。これは、通常の条件(NTP、20℃及び1気圧)下での二酸化炭素の密度である1.80kg/m3の400倍を超える。パイプは地中に、少なくとも1.5m、好ましくは2.0m以上の深さで埋設される。配管はこの深さでほとんど又はまったく断熱材が施されない。世界のほとんどの先進地域で、周囲の土壌温度が4℃から15℃を維持しているためである。二酸化炭素の沸点をその範囲未満に維持するのに十分な圧力(15℃で約50気圧)が、二酸化炭素の配管システム全体で維持される。このような圧力下で二酸化炭素を確実に、かつコスト効率よく封じ込めるために、配管は比較的小さな直径(10cm以下)であることが望ましい。圧力(50気圧程度)は現地の土壌温度に合わせて変化させることができ、また必要に応じて季節ごとに調整することもできる。“ホットスポット”、例えば配管が日光にさらされる場所、又は配管が完全な深さにない場所には、断熱材及び/又は冷却材が提供される。
【0015】
設計にもよるが、5MWの発電プラントは、2.5MWのオーダーの熱エネルギーも生産することになり、本発明では、これを断熱パイプ内の温水として運び出す。直径約250mmの配管は、この運搬物を運ぶのに十分である。温水は適度な温度(30℃から90℃)であるため、断熱レベルは蒸気の分配に必要なものよりもはるかに低い。
【0016】
50気圧且つ10~20l/sで全能力で循環する液体二酸化炭素で満たされた100mmのパイプによって輸送される機械的エネルギーは約4MWである。10l/sの液体二酸化炭素は、約50MWの発電プラントにおける二酸化炭素の生成量に相当する。
【0017】
水に注入されない二酸化炭素は、10~20l/sの全能力まで二酸化炭素戻りパイプ内を再循環する。このように、二酸化炭素ループ内の二酸化炭素の蓄積のおかげで、発電プラントの能力に関係なく、蓄積された機械エネルギーのフルパワーに達することができる。
【0018】
次に図面に目を向けて、本発明のシステムの動作について記載する。
図1は、本システムの水ループの全体概略図である。多数のこのようなループが、発電プラントからつながる二酸化炭素と水のパイプラインの長さに沿って存在し得る。各ループは、適切にスケールアップされる場合、大規模な集合住宅又は近隣地域、小売センター、オフィス又は工業団地、あるいは町全体にサービスを提供し得る。
【0019】
約50気圧の圧力下にある液体二酸化炭素は、100でシステム内に計量供給される。液体二酸化炭素は、パイプ107と115を通ってループ状に流れる。二酸化炭素は、以下に詳述するように、水の出口111から徐々に失われ、100で計量供給される量は、循環量を維持し、また圧力を維持する。
【0020】
前のループの温水出力がある場合は、101で入る。発電プラントからの温水は入口接続チャンバ102でループ内に計量供給され、結合された流れはパイプ103で第1の大地結合型熱交換器104に運ばれる。熱は土壌に流れ込み、土壌は低強度の熱エネルギーのための大容量リザーバとして機能する。水は105で熱交換器から出て、二酸化炭素注入器106に供給される。50気圧の二酸化炭素がパイプ107を通って注入器に入る。注入器の動作を以下に記載する。
【0021】
水はパイプ108を介して注入器106を出て、パイプ108から出口接続チャンバ109で抜き取られ、パイプ111を介してラインの次のループに渡される場合がある。引き抜かれなかった水は、第2の水-土壌熱交換器110に供給される。これらの熱交換器は地下で極めて近くに設置されているので、交換器104で暖められた土壌は、交換器110内の水に熱を戻す。温められた水はパイプ112を通って出て、二酸化炭素回収ユニット115に流れる。発電プラントからの、又は前のループからの50気圧の液体二酸化炭素が114で回収ユニットに入る。回収ユニットの動作は後述する。このユニットで回収された二酸化炭素は二酸化炭素パイプ107に戻され、水はパイプ113を通って出ていき、第1の熱交換器104に戻り、ループが完了する。
【0022】
図2に目を向けると、入口接続チャンバが拡大されて示されている。入口204は、発電プラントからの温水を運び、温水は入口接続チャンバ102でいずれかの前のループからの水と合流し、その水はパイプ101を通って流入するものである。合流した流れは、流入する温水によって、好ましくは30℃を超える温度まで加熱され、コネクタ201を介してパイプ113に入り、大地結合型熱交換器104(
図1)に移り、そこでループの熱エネルギー貯蔵器として機能する周囲の土壌を暖める。
【0023】
次に、
図3に目を向けて、二酸化炭素注入器の動作について記載する。約12℃~15℃で熱交換器104(
図1)を出た水は、105で注入器に入る。パイプ107によって運ばれた50気圧の液体二酸化炭素の一部は膨張チャンバ301を通って気化し、膨張したガスはパイプ303によってタービン駆動型の水ポンプ304に送られた後に305で水流に注入される。ポンプ304は、ループ内の水の循環に寄与する。水と、混入された二酸化炭素は、相分離チャンバ106に入り、そこで二酸化炭素は出口307から取り出される。二酸化炭素は圧縮機308で圧縮されて液化され、パイプ107に戻された後、310で出て戻りパイプ115に移る。
【0024】
チャンバ306は1~2気圧に保たれ、108で出る水は、正確な圧力と温度に依存して、約1g/リットルから約3g/リットルの範囲の濃度の溶存二酸化炭素を含むことになる。
【0025】
膨張チャンバ301における二酸化炭素の蒸発は、かなりの冷却を伴う(二酸化炭素の気化熱は50気圧で約7700J/mol)。熱交換器302は蒸発速度を維持するために必要な熱を提供し、冷却された熱伝達流体は、システムのユーザに冷却を提供するために、例えば中央空調システムを冷却するために使用される。逆に、308では、50気圧へのガスの圧縮とその後の液化により、同程度の熱量が放出される。熱交換器309はユーザのための空気及び水の加熱に使用するためにこの熱を回収し、圧縮機を動かすために必要なエネルギーの一部がそれによって使用される(残りは液体二酸化炭素の形で貯蔵される)。304でタービンを通過する際の二酸化炭素の断熱膨張は冷却も伴い、それに応じて108で出る水も冷却され、その熱エネルギーはこうして二酸化炭素に伝達されたことになる。
【0026】
図4に目を向けると、出口接続チャンバがより詳細に示されている。パイプ108に入る炭酸化され冷却された水の一部は、コネクタ401を介して引き抜かれ、接続チャンバ109を介して出口パイプ111に送られることができる。引き抜かれなかった水は、大地結合型熱交換器110に移り、そこで大地結合型熱交換器104によって暖められた土壌から熱を引き込むことによって、約12℃~15℃の動作温度まで暖め戻される。
【0027】
次に
図5に目を向けると、二酸化炭素回収ユニットが詳細に示されている。回収ユニットは、水の圧力と温度の局所的な変動によりシステム内で発生する二酸化炭素の泡を回収する働きをする。パイプ112を通って流れる炭酸水は、二酸化炭素回収チャンバ511に入り、そこで気相と液相が分離される。二酸化炭素はパイプ512を通って圧縮機513に入り、そこで約50気圧に圧縮されて液化した後、二酸化炭素パイプ107に戻される。圧縮と凝縮によって放出された熱は、熱交換器514で使用するために回収される。ほとんど脱炭酸された水は、パイプ113に移り、発電プラントからの温水と混合された後、地上結合型熱交換器104に戻され、ループが完了する。チャンバの位置は重要ではないが、ガスが溜まりやすい高い位置が好ましく、複数のチャンバを採用してもよい。
【0028】
図6に目を向けると、代表的な大地結合型熱交換器104が図示されている。温水は103で入り、マニホールド601に流入する。必要な場合、例えば土壌温度が効率的な熱伝達に対して暖かすぎる場合、水を弁(図示せず)により出口105に直接迂回させることができる。図示の実施形態では、熱交換パイプ602及び603の2つのラックが、地表よりも少なくとも1.5m、好ましくは少なくとも2.0m下で、土壌に埋設され、土壌と有効に熱的に接触している。深さは、システムが設置される気候に適切な深さになる。この実施形態では、水は次に、第2のマニホールド603に流れ、次に、同様に土壌に埋設された第2の熱交換パイプ604及び605のセットに流れる。これらのパイプから出る水は、マニホールド606によって集められ、出口105に導かれる。
【0029】
図7に目を向けると、同様の代表的な大地結合型熱交換器110が示されている。冷水は108で入り、マニホールド701に流入する。必要な場合、水は弁(図示せず)により出口112に直接迂回させることができる。示された実施形態では、熱交換パイプ702及び703の2つのラックが、システムが設置される気候に適した深さで、土壌に埋設され、土壌と有効に熱的に接触している。この実施形態では、水は次に、第2のマニホールド704に流れ、次に、同様に土壌に埋設された第2の熱交換パイプ705及び706のセットに流れる。これらのパイプから出る水は、マニホールド707によって集められ、出口112に導かれる。
【0030】
大地結合型熱交換器104及び110は、一方から他方への熱伝達の効率を最大にするために、地下で極めて近くに設置される。中等度の気候では、それらは水平に(地面と平行に)設置され得るが、極端な気候では、過度に熱い又は冷たい土壌にさらされるのを最小にするために、それらを垂直に設置することが望ましいかもしれない。
【0031】
図1による複数のループが、温水及び二酸化炭素のパイプラインの長さに沿って分布することが期待される。最後のそのようなループにおいて、111で出る炭酸水排水は、好ましくは農業灌漑に向けられる。炭酸水はまた、所望により、システムを通る水の最大流量によってのみ制限される中間ループで引き抜くことができる。
【0032】
特に、炭酸水による地下灌漑は、灌漑植物による二酸化炭素の直接の取り込みをもたらし、二酸化炭素の大気放出はそれによって減少する。温室内でその効果をより高めることができる。炭酸ガス灌漑のテストでは、作物の生育が大幅に改善されることが実証されているが、これまで必要な規模の経済的な二酸化炭素供給源はなかった。本発明は、まさにそのような供給源を提供することができる。このシステムで使用される二酸化炭素が酸化的発電プロセスから回収される場合、正味の結果は回収と隔離であり、これは人為的な気候変動を緩和する手段として非常に望ましい。
【0033】
システム全体は、いくつかの点で、R744(二酸化炭素)を作動流体とする大型の蒸気圧縮冷凍システムのように作用する。二酸化炭素が蒸発するところで熱が吸収され、二酸化炭素が圧縮されるところで熱が放出される。両方の熱の流れによって、環境の加熱及び冷却に役立つ温度差が生まれる。このシステムを駆動するエネルギーは、根本的には発電プラントから出る廃熱を含んだ温水と、比較的程度は低いが二酸化炭素の蒸発・膨張・溶解とに由来し、これを通じて圧縮に使用されるエネルギーはユーザによって回収される。水が使用される温度は極端ではないので、断熱はそれほど不可欠ではなく、熱エネルギーは地下の熱エネルギー貯蔵手段によって容易に貯蔵される。
【0034】
代替の実施形態では、適切な局地的地質が存在する場合、帯水層熱エネルギー貯蔵システム、ボアホール熱エネルギーシステム、季節熱エネルギー貯蔵(STES)の任意の他の形態を、示された土壌熱貯蔵システムの代わりに採用することができる。
【国際調査報告】