IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピードモント アニマル ヘルス リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特表2022-554144ピモベンダン製剤およびその使用方法
<>
  • 特表-ピモベンダン製剤およびその使用方法 図1
  • 特表-ピモベンダン製剤およびその使用方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ピモベンダン製剤およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20221221BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221221BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20221221BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20221221BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K31/501
A61K9/20
A61K9/48
A61P9/10
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/26
A61K47/04
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/44
A61K47/20
A61K9/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523868
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 US2020057120
(87)【国際公開番号】W WO2021081366
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/924,985
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517430299
【氏名又は名称】ピードモント アニマル ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ヘプラー ダグラス アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル マイケル エス.
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン ニール イー.
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー ゲイル エル.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA32
4C076AA36
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC11
4C076DD15
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD57
4C076DD67
4C076EE06H
4C076EE16
4C076EE23H
4C076EE32
4C076EE38
4C076EE53
4C076FF31
4C076FF36
4C076FF51
4C076FF52
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC41
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA10
4C086NA12
4C086ZA36
4C086ZC61
(57)【要約】
心障害を治療するために哺乳動物において使用するための、ピモベンダンを含むチュアブル経口製剤が、本明細書で提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ピモベンダンまたはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物と、
b)医薬的に許容される担体と
を含む単回用量のチュアブル経口製剤であって、
前記ピモベンダンが、顆粒状形態にあり、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーでコーティングされている、
単回用量のチュアブル経口製剤。
【請求項2】
1.25mg、2.5mg、5mg、10mg、12.5mg、または15mgのピモベンダンが、前記製剤中に存在する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記顆粒状粒子の顆粒が、平均サイズ約100~1500μmの寸法を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
25℃または40℃で少なくとも6、12、24または36ヶ月間安定である、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記ピモベンダンが、ラクトースおよび/またはリン酸二カルシウムと共に造粒され、次いでコーティングされている、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
前記医薬的に許容される担体が、
i)デンプン、
ii)クロスカルメロースナトリウム、
iii)ラウリル硫酸ナトリウム、
iv)ステアリン酸マグネシウム、
v)リン酸二カルシウム、
vi)ポリエチレングリコール、
vii)グリセリン、および
viii)ダイズ油
を含む均質な混合物である、
請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記医薬的に許容される担体が、
i)デンプン、
ii)クロスカルメロースナトリウム、
iii)ポリビニルピロリドン、
iv)ステアリン酸マグネシウム、
v)リン酸二カルシウム、
vi)ポリエチレングリコール、
vii)グリセリン、および
viii)ダイズ油
を含む均質な混合物である、
請求項5に記載の製剤。
【請求項8】
前記デンプンが、天然デンプン、糊化デンプン、部分的糊化デンプン、デンプン粉末、デンプン顆粒、化学修飾デンプン、膨潤性物理修飾デンプン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
前記デンプンが、糊化デンプンである、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
香味剤をさらに含む、請求項7に記載の製剤。
【請求項11】
抗酸化剤をさらに含む、請求項7に記載の製剤。
【請求項12】
ポリビニルピロリドンをさらに含む、請求項7に記載の製剤。
【請求項13】
錠剤またはカプセルである、請求項7に記載の製剤。
【請求項14】
治療有効量の請求項1の製剤を対象に投与することを含む、対象において心障害を治療する、方法。
【請求項15】
前記対象が、哺乳動物である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、イヌである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、ネコである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記心障害が、うっ血性心不全である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記心障害が、心筋症である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記心障害が、拡張型または拘束型心筋症である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記心障害が、房室弁閉鎖不全である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月23日に出願された米国仮特許出願第62/924,985号の米国特許法第119条(e)の下での優先権の恩典を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、医薬製剤に関し、より具体的には、心障害を治療するために哺乳動物において使用するための、ピモベンダンを含む経口製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
背景情報
ピモベンダン、(4,5-ジヒドロ-6-[2-(4-メトキシフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-イル]-5-メチル-3(2H)-ピリダジノン)は、米国特許第4,361,563号(特許文献1)において開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
ピモベンダンは、強心性、降圧性および抗血栓性の治療薬であり、哺乳動物におけるうっ血性心不全などの心障害の治療に有用である。ピモベンダンは、カルシウム感作効果、およびいくつかのホスホジエステラーゼIII型阻害効果を有する強心性血管拡張薬化合物である。カルシウム増感剤は、心筋細胞へのカルシウム侵入を増加させるのではなく、カルシウムとトロポニン-Cとの結合を変化させることにより、収縮性タンパク質を既存の細胞質カルシウムに増感させることによって、正の変力効果を達成する。カルシウム増感によって正の変力効果を産生することにより、細胞質カルシウム過負荷のいくつかの悪影響を回避する。細胞質カルシウムレベルの増加は、不整脈および突然死の傾向の増加と関連している。心不全を有するヒト患者における経口ピモベンダンの長期使用の臨床試験は、生存に顕著な悪影響を及ぼすことなく、運動耐性および生活の質の改善を実証している。
【0005】
心障害は、ネコおよびイヌなどの小型哺乳動物、ならびにヒトにおいて発生することが知られている問題である。例えば、肥大型心筋症は、ネコにおいて最も一般的な心臓疾患であり、この種において心不全の最も一般的な原因である。さらに、静脈内陽性変力薬は、急性心不全の管理において重要な役割を果たし、拡張型心筋症を有するイヌにおいてしばしば短期的な改善をもたらすであろう。
【0006】
延長された貯蔵安定性も示し、延長された治療的緩和を哺乳動物に提供する、心障害のための製剤が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,361,563号
【発明の概要】
【0008】
一態様では、本開示は、ピモベンダンまたはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物と、医薬的に許容される担体と、を含む、単回用量のチュアブル経口製剤を提供する。ピモベンダンは、顆粒状形態にあり、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーでコーティングされている。さらに、製剤は、25℃または40℃で少なくとも6、12、18、24、30、または36ヶ月間以上、安定である。
【0009】
実施形態では、製剤のピモベンダン顆粒は、ピモベンダンをラクトースおよび/またはリン酸二カルシウムと混合し、混合物を造粒して、平均サイズ約100~1500μm、約100~1000μm、または約200~850μmの寸法の顆粒を産生し、次いで、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーで顆粒をコーティングすることによって形成される。実施形態では、顆粒は、平均サイズ約1200、1100、1000、900、800、700、600、500、400、300、または200μm未満の寸法を有する。
【0010】
実施形態では、製剤は、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、ポリエチレングリコール、グリセリン、ダイズ油、および任意選択で1つ以上の香味剤、抗酸化剤および/またはポリビニルピロリドンを含む、医薬的に許容される担体中に分散されたコーティングされたピモベンダン顆粒を含む均質混合物である。
【0011】
治療有効量の本開示の製剤を投与することによって、対象における心疾患または心障害を治療する方法もまた、本明細書で提供される。実施形態では、対象は、イヌまたはネコなどの哺乳動物である。様々な実施形態では、心疾患または心障害は、うっ血性心不全、心筋症、拡張型もしくは拘束型心筋症、または房室弁閉鎖不全である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態でのデータを示すグラフ表示である。
図2】本開示の一実施形態でのデータを示すグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
以下の用語、定義、および略語が適用される。本明細書で使用される略語は、化学および生物学分野内でのそれらの従来の意味を有する。
【0014】
「対象」という用語は、本開示の方法によって治療される哺乳動物生物を指す。そのような生物には、飼いイヌおよび飼いネコなどの伴侶動物が含まれるが、これらに限定されない。本開示の文脈において、「対象」という用語は、概して、以下に記載される治療(例えば、本開示の組成物の投与)を受ける個体か、または受けた個体を指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物のいずれかを指す。非ヒト動物には、任意の非ヒト哺乳動物が含まれる。そのような非ヒト動物には、げっ歯類、非ヒト霊長類(例えば、サルおよび類人猿)、有蹄類、ヒツジ、ウシ、反すう動物、ウサギ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、マウスなどが含まれ得るが、これらに限定されない。本開示の特定の実施形態では、動物は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、動物には、飼いイヌおよび飼いネコなどの伴侶動物が含まれるが、これらに限定されない。本開示の文脈において、「対象」という用語は、概して、以下に記載される治療(例えば、本開示の組成物の投与)を受ける個体か、または受けた個体を指す。
【0016】
「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医によって求められている患者または組織の生物学的または医学的応答を誘発するであろう化合物または医薬組成物の量を意味する。
【0017】
「医薬的に許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合性である必要があり、そのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0018】
化合物の「投与」および/または化合物を「投与する」という用語は、治療を必要とする対象に本開示の化合物または医薬組成物を提供することを意味すると理解される必要がある。
【0019】
数値に関して「約」という用語は、別段の定めのない限り、数値の上下にわずかな変動の範囲を数値が含むことを意味し、例えば、1という値は、0.5~1.5およびその間のすべての数を含むと理解されるであろう。
【0020】
実施形態では、本開示の医薬製剤は、ピモベンダンおよび医薬担体を含む、錠剤またはカプセルなどの経口剤形である。
【0021】
製剤の安定性を増強するために、ピモベンダンは、顆粒状形態で製剤に組み込まれ、Kollicoat(登録商標)IRなどのポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーでコーティングされる。したがって、本開示の製剤は、25℃または40℃で少なくとも6、12、18、24、30、または36ヶ月間以上、安定である。
【0022】
実施形態では、製剤のピモベンダン顆粒は、ピモベンダンをラクトースおよび/またはリン酸二カルシウムと混合し、混合物を造粒して、平均サイズ約100~1500μm、約100~1000μm、または約200~850μmの寸法の顆粒を産生し、次いで、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーで顆粒をコーティングすることによって形成される。実施形態では、顆粒は、平均サイズ約1200、1100、1000、900、800、700、600、500、400、300、または200μm未満の寸法を有する。
【0023】
実施形態では、ピモベンダン顆粒は、ピモベンダンをラクトースおよび/またはリン酸二カルシウムと混合し、850μmの開口部を有する#20メッシュスクリーンに通過させることによって混合物を造粒することによって形成される。次いで、得られた顆粒をポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーでコーティングする。
【0024】
実施形態では、溶媒は、ピモベンダン顆粒の産生中に利用されるが、それは得られたコーティングされた顆粒中には存在しない。例えば、水またはエタノールなどの溶媒は、ピモベンダンおよびラクトース一水和物および/またはリン酸二カルシウムの乾燥混合物に添加される前に、ポリビニルピロリドンなどの好適な結合剤を溶解するために使用され得る。ピモベンダンとラクトースおよび/またはリン酸二カルシウムとの乾燥混合物を混合しながら、結合剤溶液を添加する。結合剤溶液を添加し、得られた混合物を十分に混合したら、適切なサイズの顆粒を産生する好適なメッシュスクリーン(#20メッシュ)に通過させる。この時点で、顆粒は依然として濡れており、コーティング前に溶媒を蒸発させることによって乾燥させる。
【0025】
溶媒を蒸発させて顆粒を乾燥させたら、それらをポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーでコーティングする。次いで、コーティングを乾燥させ、乾燥したコーティングされた顆粒を、医薬的に許容される担体と配合する。
【0026】
特定の実施形態では、ピモベンダン顆粒の製剤は、以下の表Iに記載されるとおりである。
【0027】
(表I)ピモベンダンコーティング顆粒製剤
【0028】
特定の実施形態では、ピモベンダン顆粒の製剤は、以下の表IIに記載されるとおりである。
【0029】
(表II)ピモベンダンコーティング顆粒製剤
【0030】
特定の実施形態では、ピモベンダン顆粒の製剤は、以下の表IIIに記載されるとおりである。
【0031】
(表III)ピモベンダンコーティング顆粒製剤
【0032】
特定の実施形態では、ピモベンダン顆粒の製剤は、以下の表IVに記載されるとおりである。
【0033】
(表IV)ピモベンダンコーティング顆粒製剤
【0034】
特定の実施形態では、ピモベンダン顆粒の製剤は、以下の表Vに記載されるとおりである。
【0035】
(表V)ピモベンダンコーティング顆粒製剤
【0036】
特定の実施形態では、ピモベンダン顆粒の製剤は、以下の表VIに記載されるとおりである。
【0037】
(表VI)ピモベンダンコーティング顆粒製剤
【0038】
本開示の一実施形態では、経口組成物は、ソフトチュアブル製剤(「ソフトチュー(soft chew)」)の形態であり、口当たりがよく、動物に許容される。製剤は、医薬的に許容される担体中に分散されたピモベンダンコーティング顆粒を含む均質な混合物である。
【0039】
本開示の製剤に使用するためのピモベンダン、(4,5-ジヒドロ-6-[2-(4-メトキシフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-イル]-5-メチル-3(2H)-ピリダジノン)は、米国特許第4,361,563号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ピモベンダンは、天然の形態または塩形態で本開示の製剤に製剤化され得ることが理解されるであろう。医薬的に許容される非毒性塩には、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノ-エタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基に由来し得る塩基付加塩(遊離カルボキシルまたは他のアニオン性基で形成される)が含まれる。かかる塩はまた、任意の遊離カチオン性基を有する酸付加塩として形成され得、概して、例えば、塩酸、硫酸、もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸で形成されるであろう。本開示の塩は、アミノ基を塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸でプロトン化することによって形成されるアミン塩を含む。本開示の塩はまた、アミノ基をp-トルエンスルホン酸、酢酸などの好適な有機酸でプロトン化することによって形成されるアミン塩を含み得る。
【0040】
ピモベンダンに加えて、本開示の製剤は、以下の構成要素:溶媒または溶媒の混合物、1つ以上の充填剤、1つ以上の結合剤、1つ以上の界面活性剤、1つ以上の湿潤剤、1つ以上の潤滑剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の着色剤、1つ以上の抗菌剤、1つ以上の抗酸化剤、1つ以上のpH調節剤、および1つ以上の香味剤のうちの1つ以上、を含み得る。
【0041】
好ましくは、経口組成物の構成要素は、食品グレード以上の品質(例えば、USPまたはNFグレード)として分類されるであろう。「食品グレード」という用語は、動物の摂取に好適であり、動物の健康に有害な化学物質または他の薬剤を含有しない材料を指すために使用される。したがって、食品グレードの構成要素は、動物起源のものである場合、低温殺菌、濾過、加圧、または照射などの当技術分野で既知のプロセスによって感染性因子または汚染物質の存在を実質的に低減または排除するように調製されるであろう。より好ましくは、本開示の経口組成物の構成要素は、感染性因子の伝播を避けるために動物起源のものとはならない。
【0042】
当技術分野において既知である様々な充填剤が、本開示のソフトチュアブル組成物において使用され得る。充填剤には、リン酸二カルシウム、トウモロコシデンプン、事前糊化されたトウモロコシデンプン、ダイズタンパク質微粒子、トウモロコシ穂軸、およびトウモロコシグルテンミールなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
実施形態では、充填剤は、天然デンプン、糊化デンプン、部分的糊化デンプン、デンプン粉末、デンプン顆粒、化学修飾デンプン、膨潤性物理修飾デンプン、またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、2つ以上の充填剤の組み合わせを組成物において使用し得る。
【0044】
デンプン構成要素は、任意の供給源由来のデンプンを含み得、ソフトチューにおいて結合剤として機能し得る。一実施形態では、組成物中で使用されるデンプン構成要素は、修飾されていない。別の実施形態では、デンプン構成要素は、誘導体化および/または事前糊化される。別の実施形態では、デンプン構成要素は、高度に誘導体化される。誘導体化のためのベースとなるデンプンとして機能し得るいくつかのデンプンには、通常のトウモロコシ、ワキシーコーン、ジャガイモ、タピオカ、米などが含まれる。デンプンの誘導体化剤の好適な種類には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、酢酸無水物、およびコハク酸無水物、ならびに他の食品承認エステルもしくはエーテルが含まれるが、それらに限定されず、かかる化学物質を単独で、または互いに組み合わせて導入する。
【0045】
様々な実施形態では、デンプン構成要素中のデンプンの事前の架橋は、系のpH、および産物を形成するために使用される温度に基づいて、必要である場合もあれば、必要でない場合もある。
【0046】
デンプン構成要素はまた、デンプン様成分を含み得る。デンプン様成分を糊化するか、または形成工程の前もしくは最中に調理して、所望のマトリックス特性を達成することができる。糊化デンプンを使用する場合、加熱または調理することなく、主題開示の産物を調製するか、または主題開示のプロセスを実施することが可能であり得る。しかしながら、糊化されていない(ゲル化されていない)または未調理のデンプンも使用され得る。
【0047】
充填剤は、典型的には、組成物中に、約5%~約80%(w/w)、約10%~約70%(w/w)、約10%~約60%、約10%~約50%(w/w)、または約10%~約40%(w/w)の濃度で存在する。より典型的には、充填剤は、約10%~約40%(w/w)、約10%~約30%(w/w)、約10%~約25%(w/w)、または約15%~約25%(w/w)の濃度で存在し得る。
【0048】
本開示の組成物に使用され得る結合剤には、ポリビニルピロリドン(例えば、ポビドン)、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、PEG3350、PEG4000、PEG6000、PEG8000、およびさらにはPEG20,000などを含む様々なグレードのポリエチレングリコール;商品名Kollidon(登録商標)VA64などでBASFによって販売される製品などのビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのコポリマー(例えば、コポビドン);ジャガイモデンプン、タピオカデンプンもしくはトウモロコシデンプンなどのデンプン;糖蜜、コーンシロップ、蜂蜜、メープルシロップ、および様々な種類の糖類;または2つ以上の結合剤の組み合わせが含まれる。一実施形態では、組成物は、結合剤のポビドンK30LPおよびPEG3350もしくはPEG4000、またはそれらの組み合わせを含む。結合剤は、典型的には、組成物中に、約1%~約30%(w/w)の濃度で存在する。より典型的には、組成物は、約1%~約20%(w/w)、約1~約15%(w/w)、約1%~約10%(w/w)、約1%~約5%(w/w)、または約1%~約3%(w/w)の濃度で結合剤を含むであろう。
【0049】
組成物に使用され得る湿潤剤には、グリセロール(本明細書ではグリセリンとも称される)、プロピレングリコール、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどが含まれるが、これらに限定されない。様々なグレードのポリエチレングリコールも湿潤剤として使用され得る。
【0050】
一部の実施形態では、湿潤剤は、天然および合成両方の脂肪(複数可)を含むが、これに限定されない、2つ以上の油を含み得る。ソフトチュー中に成分として用いられる油は、植物もしくは動物起源の飽和もしくは不飽和液体脂肪酸、そのグリセリド誘導体もしくは脂肪酸誘導体、またはそれらの混合物であり得る。典型的な動物性の脂肪または油の供給源は、魚油、鶏脂、獣脂、精選された白色グリース、プライムスチームラード、およびそれらの混合物である。しかしながら、他の動物性脂肪もまた、ソフトチューにおける使用に好適である。植物性の脂肪または油の好適な供給源は、パーム油、パーム水素化油、トウモロコシ胚芽水素化油、ヒマシ水素化油、綿実油、ダイズ油、オリーブ油、ピーナッツ油、パームオレイン油、カカオ脂肪、マーガリン、バター、ショートニング、およびパームステアリン油、ならびにそれらの混合物に由来し得る。さらに、動物性または植物性の油または脂肪の混合物は、マトリックスにおける使用に好適である。
【0051】
湿潤剤は、典型的には、組成物中に、約1%~約45%(w/w)の濃度で存在し得る。典型的には、本開示の組成物中の湿潤剤の濃度は、5%~約40%(w/w)、約5%~約35%(w/w)、または約10%~約35%(w/w)となるであろう。より典型的には、本開示の組成物は、約25%~約35%(w/w)の湿潤剤を含有するであろう。
【0052】
界面活性剤は、組成物中に、約0.1%~約10%(w/w)、約1%~約5%(w/w)、または約1%~約3%(w/w)の濃度で存在し得る。より典型的には、界面活性剤は、約0.05%~約2%(w/w)または約0.05~約1%(w/w)の濃度で存在し得る。組成物中に使用され得る界面活性剤の例としては、モノオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノオレイン酸ソルビタン(Span(登録商標)20)を含むソルビタンエステル、ポリビニルアルコール、ポリソルベート20およびポリソルベート80を含むポリソルベート、d-アルファ-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシナート(TPGS)、ラウリル硫酸ナトリウム、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー(例えば、LUTROL(登録商標)F87などのポロキソマー)、ポリオキシル35ヒマシ油(Cremophor(登録商標)EL)、ポリオキシル40水素化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)RH40)、ポリオキシル水素化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)RH60)を含むポリエチレングリコールヒマシ油誘導体、プロピレングリコールモノラウラート(LAUROGLYCOL(登録商標))、グリセロールカプリラート/カプラート(CAPMUL(登録商標)MCM)、ポリグリコール化グリセリド(GELUCIRE(登録商標))、PEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Softigen(登録商標)767)、PEG400カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Labrasol(登録商標))、PEG300オレイン酸グリセリド(Labrafil(登録商標)M-1944CS)、PEG300リノール酸グリセリド(Labrafil(登録商標)M-2125CS)を含むグリセリドエステル、ポリオキシル8ステアラート(PEG 400モノステアラート)、ポリオキシル40ステアラート(PEG 1750モノステアラートを含むポリエチレングリコールステアラートおよびポリエチレングリコールヒドロキシステアラートなどが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールステアラート(同義語として、マクロゴールステアラート、ポリオキシルステアラート、ポリオキシエチレンステアラート、エトキシル化ステアラート、CAS番号9004-99-3、9005-08-7)は、混合ポリオキシエチレンポリマーのモノステアラートエステルおよびジステアラートエステルの混合物である。ポリエチレングリコールヒドロキシステアラートは、ヒドロキシステアリン酸のモノエステルおよびジエステルとポリエチレングリコールとの混合物である。組成物中に使用され得るポリエチレングリコールヒドロキシステアラートの1つは、ポリエチレングリコール12-ヒドロキシステアラートである。別の実施形態では、組成物は、界面活性剤ポリエチレングリコール15 12-ヒドロキシステアラート(BASFのSolutol(登録商標)HS15)、12-ヒドロキシステアリン酸のモノエステルおよびジエステルと15モルのエチレンオキシドとの混合物を含み得る。また、これらの化合物、およびそれらの量は、当技術分野で既知である。本開示の別の実施形態では、組成物は、界面活性剤としてポリオキシル35ヒマシ油(Cremophor(登録商標)EL)を含み得る。他の実施形態では、チュアブル組成物は、界面活性剤として、ポリオキシル40水素化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)RH40)またはポリオキシル60水素化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)RH60)を含み得る。本開示の組成物はまた、界面活性剤の組み合わせを含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、1つ以上の崩壊剤を含有し得る。本開示の組成物に使用され得る崩壊剤の例としては、セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポラクリリンカリウム、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、トウモロコシデンプン、事前糊化デンプン、修飾デンプン、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、グリシン、クロスポビドン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、メチルセルロース、キトサンなど、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
特定の実施形態では、本開示の経口組成物は、最大約15%(w/w)の1つ以上の崩壊剤を含むであろう。一実施形態では、組成物は、約1%(w/w)~約12%(w/w)の1つ以上の崩壊剤を含み得る。別の実施形態では、組成物は、約1%(w/w)~約10%(w/w)または約5%(w/w)~約10%(w/w)の1つ以上の崩壊剤を含み得る。
【0055】
製剤は、抗酸化剤、防腐剤、またはpH安定剤などの他の不活性成分を含有し得る。これらの化合物は、製剤技術分野において既知である。活性剤の分解を阻害するために、抗酸化剤が本開示の組成物に添加され得る。好適な抗酸化剤には、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アスクロビルパルミタート、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、n-プロピルガラート、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)モノチオグリセロール、プロピルガラート、MTG(モノチオグリセロール)、トリエチルシトラート、クエン酸、TBHQ(tert-ブチルヒドロキノン)などが含まれるが、これらに限定されない。抗酸化剤は、概して、製剤の総重量に基づいて、約0.0001~約2.0%(w/w)、例えば、約0.0002~約1.0%、または約0.0002%~約0.03%(w/w)の量で製剤に添加される。
【0056】
組成物はまた、抗菌剤または防腐剤を含み得る。好適な防腐剤には、パラベン(メチルパラベンおよび/またはプロピルパラベン)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、ブチルパラベン、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、エチルパラベン、イミド尿素、メチルパラベン、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサールなどが含まれるが、これらに限定されない。本開示の組成物中の防腐剤の濃度は、典型的には、約0.01~約5.0%(w/w)、約0.01~約2%(w/w)、または約0.05~約1.0%(w/w)である。一実施形態では、本開示の組成物は、約0.1%~約0.5%(w/w)の防腐剤を含有するであろう。
【0057】
多くの香味剤を本開示の組成物において使用して、経口製剤の口当たりを改善し得る。好ましい香味剤は、動物性供給源由来ではないものである。様々な実施形態では、果物、肉(豚肉、牛肉、鶏肉、魚、家禽などを含むが、これらに限定されない)、野菜、チーズ、レバー、チーズバーガー、レバーチーズバーガー、ベーコン、チーズベーコンおよび/または人工香味剤に由来する香味剤構成要素を使用し得る。香味剤構成要素は、典型的には、ソフトチューを摂取する生物に関連する考慮事項に基づいて選択される。例えば、ウマはリンゴの香味剤構成要素を好む可能性があるが、イヌは肉の香味剤構成要素を好む可能性がある。非動物性供給源に由来する香味剤構成要素が好ましいが、いくつかの実施形態では、煮込み牛肉香味、人工粉末牛肉香味、ローストビーフ香味、およびコーンビーフ香味などの、牛肉または肝臓の抽出物などを含有する天然香味が使用され得る。
【0058】
非動物性香味剤には、人工的な牛肉の香味、人工的な香味剤が添加されたダイズタンパク質などの植物性タンパク質に由来する香味(例えば、ダイズ由来のベーコンの香味剤)、および人工的な香味剤を含まないダイズタンパク質などの植物性タンパク質に由来する香味が含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
別の実施形態では、香味剤構成要素には、ストロベリー香味、トゥッティフルッティ(tutti fruity)香味、オレンジ香味、バナナ香味、ミント香味、およびリンゴ糖蜜が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
本開示において使用するための特に好ましい香味剤は、Ohly,Inc.によって製造されるProvesta(登録商標)356である。これは、酵母抽出物の特性および反応香味に基づいて構築され、心地よいスモーキーな塩漬けベーコン香味を提供する、淡褐色の水溶性粉末である。Provesta(登録商標)356は、動物由来の成分を含有していない。
【0061】
本開示の組成物は、標的動物に所望のレベルの口当たりを提供する量の1つ以上の香味剤を含み得る。1つ以上の香味剤は、典型的には、約5%~約40%(w/w)の濃度で存在するであろう。より典型的には、香味剤は、約10%~約30%、または約15%~約25%(w/w)の濃度で存在するであろう。
【0062】
様々な実施形態では、本開示の経口組成物は、コーティングされ得る。任意の好適なコーティングが、使用され得る。一実施形態では、添加剤と干渉しないコーティングが選択される。別の実施形態では、添加剤の消化時間を変更し、それによって、添加剤の放出を少なくとも部分的に制御することができる添加剤が選択される。好適なコーティングには、当技術分野で一般的であるように、任意の医薬的に許容されるコーティング、および/または栄養補助的に許容されるコーティングが含まれ、それであり得るが、これらに限定されない。(ポリマー、モノマー)。コーティングとして機能することができるポリマーのリストについては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,498,153号を参照することができる。
【0063】
他の実施形態では、経口製剤のためのコーティングには、ゼラチン、ベヘン酸グリセリル、ココアバター、および蜜蝋が含まれる。他のコーティングは、当技術分野の熟練者に既知であろう。錠剤のためのコーティングには、シールコーティング、サブコーティング、およびシロップコーティングなどの糖コーティング、ならびにパンポアコーティング(pan-pour coating)およびパンスプレーコーティングなどのフィルムコーティングが含まれる。当技術分野の熟練者に周知であるように、コーティングは、溶媒、可塑剤、着色剤、不透明な増量剤、およびフィルム形成剤などの追加の構成要素を含有する。
【0064】
実施形態では、医薬的に許容される担体は、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、ポリエチレングリコール、グリセリン、ダイズ油、および任意選択で1つ以上の香味剤、抗酸化剤および/またはポリビニルピロリドンを含む。
【0065】
例示的な製剤は、以下の表VIIに記載される。
【0066】
(表VII)製剤
【0067】
例示的な製剤は、以下の表VIIIに記載される。
【0068】
(表VIII)製剤
【0069】
例示的な製剤は、以下の表IXに記載される。
【0070】
(表IX)製剤
【0071】
例示的な製剤は、以下の表Xに記載される。
【0072】
(表X)製剤
【0073】
例示的な製剤は、以下の表XIに記載される。
【0074】
(表XI)製剤
【0075】
本開示の製剤は、投薬単位形態で都合よく提供され得、調剤学の分野において周知の方法のうちのいずれかによって調製され得る。すべての方法は、活性成分を、1つ以上の副成分を構成する担体と会合させる工程を含む。概して、医薬組成物は、活性成分を、経口投与を介した投与に好適な担体と均一かつ密接に会合させることによって調製される。
【0076】
治療有効量の本開示の製剤を投与することによって、対象における心疾患または心障害を治療する方法もまた、本明細書で提供される。
【0077】
様々な実施形態では、心疾患または心障害は、うっ血性心不全、心筋症、拡張型もしくは拘束型心筋症、または房室弁閉鎖不全である。
【0078】
本明細書に記載の方法では、ピモベンダンの適切な投薬量レベルは、概して、例えば、1日当たり約0.25~約15mg/kg、1日当たり約2.0~約14mg/kgなど、1日当たり約0.01~約50mg/kgとなるであろう。この範囲内で、各活性成分の投薬量は、単回投与形態で、約0.25~3.5mg/kg、0.25~14mg/kg、1.0~10mg/kg、1.5~10mg/kg、2.0~10mg/kg、2.5~8.0mg/kg、2.5~8mg/kg、2.5~7.0mg/kg、2.5~6.5mg/kg、2.5~6.0mg/kg、2.5~5.5mg/kg、2.5~5.0mg/kg、2.5~4.0mg/kg、2.5~3.5mg/kg(2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3mg/kgなどのすべての中間投薬量を含む)であり得る。本開示の製剤は、哺乳動物、特に伴侶動物、とりわけネコおよびイヌにおいて特に有用である。
【0079】
様々な実施形態では、経口製剤は、心疾患または心障害の期間を通して毎日投与され得る。
【0080】
以下の実施例は、本発明の実施形態をさらに例示するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。それらは、使用され得るものの典型であるが、当業者に既知の他の手順、方法、または技術を代替的に使用し得る。
【実施例
【0081】
実施例I
製剤製造および安定性
表VII(図1のPAH19-01-002)およびVIII(図1のPAH19-01-003)の製剤を調製し、安定性について試験した。
【0082】
顆粒を作製するために、結合剤ポリビニルピロリドンを、好適な溶媒(最も頻繁に使用されるのは、エタノールまたは水である)中に溶解する。ピモベンダンAPIとラクトース一水和物またはリン酸二カルシウムとを乾燥ブレンドする。乾燥ブレンドを混合し続けながら、結合剤溶液をゆっくりと添加する。溶液を添加し、混合物に大きな塊がなくなったら、混合を中止し、適切なサイズの顆粒を産生する好適なメッシュスクリーン(#20メッシュ)に顆粒を通過させる。この時点では顆粒はまだ湿っている。顆粒を乾燥させるか、または顆粒を乾燥可能にする(例えば、一晩)。次いで、顆粒を、適切なレベル(例えば、5%の重量増加)のコーティング(Kollicoat(登録商標)IR)が適用される流動床操作に移す。スプレーが完了し、コーティングされた顆粒が乾燥したら、コーティングされた顆粒を、適切なメッシュスクリーン(#20メッシュ)に通過させる。APIの含有量について顆粒をアッセイする。
【0083】
ソフトチュアブル錠剤を製造するために、PEG3350を65~75℃に加熱して溶解させる。その間に、残りの乾燥成分を量り、塊を分解するが適切な量の顆粒を含むように、好適なスクリーンに通過させて、顆粒のアッセイを補正する。乾燥成分をブレンドする(例えば、Vブレンダー中で)。乾燥ブレンドを好適なブレンダーに移し、混合しながら、当業者に既知の好適な速度でグリセリンを添加する。混合しながら、0.02%TBHQを有するダイズ油を好適な速度で添加する。混合しながら、液化PEG3350を好適な速度で添加する。最終的なブレンドを、好適な時間混合させる。産物を最終的な錠剤形態に成形し、錠剤を硬化させる。
【0084】
次いで、安定性について製剤を試験した。図1は、顆粒がコーティングされていない同等の製剤(図1~2のPAH19-01-001)と比較した、表VII(図1-2のPAH19-01-002)およびVIII(図1-2のPAH19-01-003)の製剤の安定性を示す。表VIIおよびVIIIの製剤は、少なくとも6ヶ月間安定を維持していることが予想される。
【0085】
本開示の目的は、上記の実施例を参照して説明されてきたが、修正および変形が本開示の趣旨および範囲内に包含されることが理解されるであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
【国際調査報告】