IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケミストリーアールエックスの特許一覧 ▶ ブリーチタ、ラーズの特許一覧

特表2022-554148表皮及び真皮の過形成を治療するための方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】表皮及び真皮の過形成を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20221221BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/16 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221221BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20221221BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221221BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/522
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/08
A61K47/16
A61K47/22
A61K47/12
A61K47/06
A61K47/28
A61K47/24
A61K9/107
A61K9/127
A61K9/08
A61K9/12
A61P17/00
A61P9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523877
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 US2020070683
(87)【国際公開番号】W WO2021081554
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/924,202
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522162808
【氏名又は名称】ケミストリーアールエックス
(71)【出願人】
【識別番号】522161443
【氏名又は名称】ブリーチタ、ラーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ブリーチタ、ラーズ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA24
4C076BB31
4C076CC11
4C076CC18
4C076DD34A
4C076DD35E
4C076DD37E
4C076DD38E
4C076DD40E
4C076DD41E
4C076DD45E
4C076DD46A
4C076DD48E
4C076DD52E
4C076DD59E
4C076DD63A
4C076DD70A
4C076EE23E
4C076EE55A
4C076FF33
4C084AA17
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA28
4C084MA63
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZA89
4C084ZC20
4C084ZC54
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA24
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA02
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA89
4C086ZC20
4C086ZC54
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 トラメチニブ、ピロール誘導体、TAK-733、CH4987655、RDEA119/BAY869766、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブなどの局所投与型オンコキナーゼ阻害剤を用いて先天性表皮または皮膚過形成を治療するための組成物及び方法が本明細書に記述される。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンコキナーゼ阻害剤、溶解性向上剤、及び基剤を含む組成物。
【請求項2】
請求項1記載の組成物において、前記オンコキナーゼ阻害剤が、トラメチニブ(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル}フェニル)アセトアミド)、ピロール誘導体、TAK-733(一連の8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン誘導体)、CH4987655及びRDEA119/BAY869766、コビメチニブ((S)-[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)フェニル][3-ヒドロキシ-3-(ピペリジン-2-イル)アゼチジン-l-イル]メタノン)、ビニメチニブ(5-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-l-メチル-lH-ベンゾ[d]イミドゾ-ル-6-カルボキサミド)、セルメチニブ(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエルホキシ)-3-mエチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、PD-325901、Cl-1040、PD035901、テトラチオモリブタート、TAK-933、及びそれらの組合せからなる群から選択される、組成物。
【請求項3】
請求項1記載の組成物において、前記溶解性向上剤が、酢酸エチル、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項4】
請求項1記載の組成物において、前記基剤が、白色ワセリン、白色ワセリンUSP、ミネラルゼリー、ワセリン、黄色ワセリン、黄色ソフトパラフィン、白色ソフトパラフィン、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、PCCA可塑基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項5】
請求項1記載の組成物において、前記基剤がクリーム基剤、エモリエント基剤、またはリポソーム基剤である、組成物。
【請求項6】
請求項1記載の組成物において、前記組成物が外用液剤、クリーム、ローション、フォーム、またはリニメントの形態である、組成物。
【請求項7】
外用組成物の製造する方法であって、オンコキナーゼ阻害剤を溶解性向上剤または溶媒に溶解してオンコキナーゼ阻害剤溶液とする工程と、前記オンコキナーゼ阻害剤を基剤と組み合わせる工程と、を含む、方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、前記オンコキナーゼ阻害剤が、トラメチニブ(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4.3-d]ピリミジン-1(2H)-イル}フェニル)アセトアミド)、ピロール誘導体、TAK-733(一連の8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン誘導体)、CH4987655及びRDEA119/BAY869766、コビメチニブ((S)-[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)フェニル][3-ヒドロキシ-3-(ピペリジン-2-イル)アゼチジン-l-イル]メタノン)、ビニメチニブ(5-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-l-メチル-lH-ベンゾ[d]イミドゾ-ル-6-カルボキサミド)、セルメチニブ(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエルホキシ)-3-mエチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、PD-325901、Cl-1040、PD035901、テトラチオモリブタート、TAK-933、及びそれらの組合せからなる群から選択される、方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法において、前記溶解性向上剤が、酢酸エチル、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項10】
請求項7記載の方法において、前記基剤が、白色ワセリン、白色ワセリンUSP、ミネラルゼリー、ワセリン、黄色ワセリン、黄色ソフトパラフィン、白色ソフトパラフィン、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、PCCA可塑基、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、方法。
【請求項11】
請求項7記載の方法において、前記基剤がクリーム基剤またはエモリエント基剤である、方法。
【請求項12】
先天性表皮、真皮の過形成、または血管異常の治療方法であって、オンコキナーゼ阻害剤、溶解性向上剤、及び基剤を含む組成物を、治療を必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記投与する工程が、患者の皮膚に組成物を塗布する工程を含む、方法。
【請求項14】
請求項12記載の方法であって、前記組成物を再投与する工程をさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項12記載の方法において、前記患者が、先天性表皮過形成、先天性真皮過形成、コステロ症候群、脂腺母斑症候群、またはそれらの組み合わせを有する、方法。
【請求項16】
請求項12記載の方法において、前記患者がポートワインステイン、毛細血管奇形、スタージ・ウェーバー症候群、クリッペル・トレノネー症候群、静脈奇形、またはリンパ管奇形を有する、方法。
【請求項17】
請求項12記載の方法において、前記オンコキナーゼ阻害剤が、トラメチニブ(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4.3-d]ピリミジン-1(2H)-イル}フェニル)アセトアミド)、ピロール誘導体、TAK-733(一連の8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン誘導体)、CH4987655及びRDEA119/BAY869766、コビメチニブ((S)-[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)フェニル][3-ヒドロキシ-3-(ピペリジン-2-イル)アゼチジン-l-イル]メタノン)、ビニメチニブ(5-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-l-メチル-lH-ベンゾ[d]イミドゾ-ル-6-カルボキサミド)、セルメチニブ(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエルホキシ)-3-mエチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、PD-325901、Cl-1040、PD035901、テトラチオモリブタート、TAK-933、及びそれらの組合せからなる群から選択される、方法。
【請求項18】
請求項12記載の方法において、前記溶解性向上剤が、酢酸エチル、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項19】
請求項12記載の方法において、前記基剤が、白色ワセリン、白色ワセリンUSP、ミネラルゼリー、ワセリン、黄色ワセリン、黄色ソフトパラフィン、白色ソフトパラフィン、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、PCCA可塑基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項20】
請求項12記載の方法において、前記基剤がクリーム基剤、エモリエント基剤、またはリポソーム基剤である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年10月22日に出願された「Methods For Treating Congenital Epidermal Hyperplasia And Compositions For Same」と題する米国仮登録第62/924,202号の優先権を主張し、その内容全体を参照によりここに組み込むものとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の様々な実施形態は、オンコキナーゼ阻害剤、溶解性向上剤、及び基剤を含む局所用組成物を対象とする。いくつかの実施形態では、オンコキナーゼ阻害剤は、トラメチニブ(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル}フェニル)アセトアミド)、ピロール誘導体、TAK-733(一連の8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン誘導体)、CH4987655及びRDEA119/BAY869766、コビメチニブ(cobimetinib)((S)-[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)フェニル][3-ヒドロキシ-3-(ピペリジン-2-イル)アゼチジン-l-イル]メタノン)、ビニメチニブ(5-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-l-メチル-lH-ベンゾ[d]イミドゾ-ル-6-カルボキサミド)、セルメチニブ(selumetinib)(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエルホキシ)-3-mエチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、PD-325901、Cl-1040、PD035901、テトラチオモリブテート、TAK-933等及びそれらの組み合わせが挙げられる。このような実施形態の溶解性向上剤は、酢酸エチル、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、及びこれらの組み合わせであっても良く、このような実施形態の基剤は、ホワイトペトロラタムであって良い。白色ペトロラタムUSP、ミネラルゼリー、ワセリン、黄色ペトロラタム、黄色ソフトパラフィン、白色ソフトパラフィン、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、PCCA可塑化ベース、及びこれらと同等のもの、ならびにこれらの組合せであっても良い。いくつかの実施形態では、基剤は、クリーム基剤、エモリエント基剤、またはリポソーム基剤であって良い。様々な実施形態の組成物は、局所用液体、クリーム、ローション、フォーム、またはリニメントの形態であって良い。
【0003】
さらなる実施形態は、オンコキナーゼ阻害剤を溶解性向上剤または溶媒に溶解してオンコキナーゼ阻害剤溶液を作成する工程、及びオンコキナーゼ阻害剤を基剤と組み合わせる工程を含む外用組成物の製造方法を対象とする。いくつかの実施形態では、オンコキナーゼ阻害剤は、トラメチニブ(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル}フェニル)アセトアミド)、ピロール誘導体、TAK-733(一連の8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン誘導体)、CH4987655及びRDEA119/BAY869766、コビメチニブ((S)-[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)フェニル][3-ヒドロキシ-3-(ピペリジン-2-イル)アゼチジン-l-イル]メタノン)、ビニメチニブ(5-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-l-メチル-lH-ベンゾ[d]イミドゾ-ル-6-カルボキサミド)、セルメチニブ(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエルホキシ)-3-mエチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、PD-325901、Cl-1040、PD035901、テトラチオモリブテート、TAK-933、及びこれらと同等のもの、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。このような実施形態の溶解性向上剤は、酢酸エチル、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、及びこれらの組み合わせであっても良く、このような実施形態の基剤は、ホワイトペトロラタムであって良い。白色ペトロラタムUSP、ミネラルゼリー、ワセリン、黄色ペトロラタム、黄色ソフトパラフィン、白色ソフトパラフィン、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、PCCA可塑化ベース、及びこれらと同様のもの、ならびにこれらの組合せであっても良い。いくつかの実施形態では、基剤は、クリーム基剤、エモリエント基剤、またはリポソーム基剤であって良い。様々な実施形態の組成物は、局所用液体、クリーム、ローション、フォーム、またはリニメントの形態であって良い。
【0004】
他の実施形態は、オンコキナーゼ阻害剤、溶解性向上剤、及び基剤を含む組成物を、治療を必要とする患者に投与することによって、先天性表皮、真皮過形成、または血管異常を治療する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、投与する工程は、患者の皮膚に組成物を塗布する工程を含んでも良く、特定の実施形態では、方法は、患者に組成物を再投与する工程を含んでも良い。そのような実施形態の患者は、先天性表皮過形成、先天性真皮過形成、コステロ症候群、脂腺母斑症候群等またはそれらの組み合わせの症状を有する、診断された、または症状を示す可能性がある。特定の実施形態では、患者は、ポートワインステイン、毛細血管奇形、スタージ・ウェーバー症候群、クリッペル・トレノネー症候群、静脈奇形、及びリンパ管奇形を有するか、診断されるか、または症状を示すことができる。いくつかの実施形態では、オンコキナーゼ阻害剤は、トラメチニブ(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル}フェニル)アセトアミド)、ピロール誘導体、TAK-733(一連の8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン誘導体)、CH4987655及びRDEA119/BAY869766、コビメチニブ((S)-[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)フェニル][3-ヒドロキシ-3-(ピペリジン-2-イル)アゼチジン-l-イル]メタノン)、ビニメチニブ(5-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-l-メチル-lH-ベンゾ[d]イミドゾ-ル-6-カルボキサミド)、セルメチニブ(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエルホキシ)-3-mエチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、PD-325901、Cl-1040、PD035901、テトラチオモリブテート、TAK-933、及びこれらと同様のもの、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。このような実施形態の溶解性向上剤は、酢酸エチル、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、及びこれらの組み合わせであっても良く、このような実施形態の基剤は、ホワイトペトロラタムであって良い。白色ペトロラタムUSP、ミネラルゼリー、ワセリン、黄色ペトロラタム、黄色ソフトパラフィン、白色ソフトパラフィン、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、PCCA可塑化ベース、及びこれらと同様のもの、ならびにこれらの組合せであっても良い。いくつかの実施形態では、基剤は、クリーム基剤、エモリエント基剤、またはリポソーム基剤であって良い。様々な実施形態の組成物は、局所用液体、クリーム、ローション、フォーム、またはリニメントの形態であって良い。
【発明を実施するための形態】
【0005】
今、様々な態様が、以下により完全に説明される。しかしながら、そのような態様は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全であり、当業者にその範囲を十分に伝えるように提供される。
【0006】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の各介在する値、及びその述べられた範囲内の他の述べられたまたは介在する値が、本開示内に包含されることが意図される。例えば、1ml~8mlの範囲が記載されている場合、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、及び7mlも、1ml以上の値の範囲及び8ml以下の値の範囲と同様に、明示的に開示されることが意図される。
【0007】
パーセント、部分及び比率はすべて外用組成物の全重量に基づいており、特に指定しない限り、測定はすべて約25℃で行われる。
【0008】
単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の参照語を含む。したがって、例えば、「ポリマー」への言及は、単一のポリマーならびに2つまたはそれ以上の同一または異なるポリマーを含み、「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤ならびに2つまたはそれ以上の同一または異なる賦形剤を含む、などである。
【0009】
数値の直前にある「約」という言葉は、本開示の文脈がそうでないことを示すか、またはそのような解釈と矛盾しない限り、その値のプラスまたはマイナス10%の範囲、例えば「約50」は45~55、「約25,000」は22,500~27,500、等を意味する。例えば、「約49、約50、約55」などの数値のリストにおいて、「約50」は、先行する値と後続の値の間の間隔(複数可)の半分未満に及ぶ範囲、例えば、49.5以上~52.5未満を意味する。さらに、「約より小さい」値または「約より大きい」値という表現は、本明細書に提供される用語「約」の定義に照らして理解されるべきである。
【0010】
本明細書で使用される用語「投与する(administer)」、「投与する(administrating)」または「投与(administration)」は、化合物(関心物質とも呼ばれる)または化合物(関心物質)の薬学的に許容される塩または組成物を対象に直接投与することのいずれかを意味する。
【0011】
本明細書で使用される「担体」という用語は、担体、賦形剤、及び希釈剤を包含し、角質層または有棘層などの組織層にわたって医薬、化粧品または他の薬剤を運ぶまたは輸送することに関与する液体または固体フィラー、希釈剤、賦形剤、溶剤またはカプセル化材料などの材料、組成、または媒体を意味する。
【0012】
本開示において、「障害」という用語は、特に断らない限り、疾患、状態、または疾病という用語を意味し、互換的に使用される。
【0013】
「有効量」及び「治療上有効量」という用語は、本開示において互換的に用いられ、対象に投与されたときに、対象における障害の症状を軽減し、または意図される組織治療領域の成長、質感、外観、色、感覚、若しくは水和を増強、軽減、正常化、若しくは調整することができる化合物の量を意味する。有効量」または「治療上有効な量」を構成する実際の量は、障害の重症度、患者のサイズ及び健康状態、及び投与経路を含むがこれらに限定されない多くの条件によって変化する。当業者であれば、医学の分野で知られている方法を用いて、適切な量を容易に決定することができる。
【0014】
フレーズ「薬学的に許容される」または「化粧品的に許容される」は、合理的な利益/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び/または他の哺乳類の組織と接触して使用するのに適している、それらの関心事/化合物、塩、組成、剤形などを指すために本明細書に採用される。いくつかの態様において、薬学的に許容されるとは、連邦政府または州政府の規制機関によって承認されるか、または哺乳動物(例えば動物)、より詳細にはヒトでの使用について米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に記載されることを意味する。
【0015】
本明細書で使用される「塩」という用語は、遊離酸のアルカリ金属塩を形成し、遊離塩基の付加塩を形成するために一般に使用される薬学的に許容される塩を包含する。塩の性質は、それが薬学的に許容されるものであることを条件として、重要ではない。「塩」という用語はまた、水和物などの付加塩の溶媒和物、及び付加塩の多形も含む。適切な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸から、または有機酸から調製することができる。そのような無機酸の非限定的な例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、及びヘテロシクリル含有カルボン酸及びスルホン酸から選択でき、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール、グルコン、乳酸、リンゴ、酒石酸、クエン酸、アスコルビン、グルクロン、マレイン、フマール、ピルビン、アスパラギン,グルタミン酸、安息香酸、アントラニル、メシル、ステアリン、サリチル、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル、エンボン(パモイック)、メタンスルホン、エタンスルホン、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、3-ヒドロキシブチリル、ガラクタル酸、ガラクツロン酸などである。
【0016】
用語「患者」及び「対象」は交換可能であり、本発明の化合物で治療され得る任意の生体を意味すると見なすことができる。このように、用語「患者」及び「対象」は、任意の非ヒト哺乳動物、霊長類、またはヒトを含むことができるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、「患者」または「対象」は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、豚、牛、羊、馬、霊長類、またはヒトなどの哺乳動物である。いくつかの実施形態では、患者または対象は、成人、子供、または幼児である。いくつかの実施形態では、患者または対象は、成人または子供のヒトである。
【0017】
「治療する」という用語は、本明細書では、例えば、障害または状態を治療する方法に関して使用され、一般に、化合物または組成物を投与しない対象に対して、医学的状態の症状の頻度を減らすか、発症を遅らせるか、または対象における組織表面の意図する組織治療領域の成長、質感、外観、色、感覚、もしくは水和を増強、軽減、正常化、もしくは調節する、化合物または組成物の投与を含む。これは、被験者の状態を改善または安定化させる方法で、症状の症状、臨床徴候、及び基礎となる病理を逆転、低減、または停止させることを含むことができる。例えば、細菌、微生物、真菌、または原虫感染の文脈では、「治療する」とは、細菌、微生物、真菌、または原虫負荷の低減、及び/または感染に関連する症状の改善を意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「治療」は、被験者の望ましくない状態または疾患を治療、戦闘、改善、予防または改善するために利用される薬剤を意味する。一部、本明細書に記載の実施形態は、良性増殖、新生物、表在血管の異常(腫瘍及び奇形)、表皮水疱症、傷及びただれ、ランゲルハンス細胞組織球症、結節性硬化症、皮膚の前がん、または悪性腫瘍、並びに皮膚における免疫細胞の濃縮を含むが、これらに限らない種々の皮膚の疾患、状態、または障害若しくはその症状の治療に向けられる可能性がある。皮膚の状態は、ウイルス的に誘導された、または非ウイルス的に誘導された皮膚の成長または増殖であっても良い。皮膚の状態は、炎症性状態であっても良い。皮膚の状態は、増殖亢進状態であっても良い。皮膚の状態は、遺伝的に決定された状態であっても良い。皮膚の状態は、内在的及び外来的変化(例えば、光老化(紫外線による変化))、色素性変化、小じわ及びリタイドを含む老化であっても良い。いくつかの実施形態では、皮膚状態は、ヒトパピローマウイルス誘発性病変、例えば、いぼ、総型いぼ、掌蹠いぼ、扁平いぼ、再発性いぼ、再石灰化いぼ、治療ナイーブいぼ、疣状表皮異形成関連いぼ、性器いぼ、尖圭コンジローム、頸部異形成または新形成、例えば、子宮頸部上皮内新生物(CIN);HHV-1(HSV-1)、HHV-2(HSV-2)、HHV-3(水痘-帯状疱疹ウイルス)などにより誘発されるヘルペスウイルス関連病変、例えば、水疱瘡、帯状疱疹;ポックスウイルスによる病変(例えば、伝染性軟属腫、Orf;角質、皮膚角、角栓、尖圭コンジローム、線維上皮性ポリープ、結節性痒疹、光線性角化症、扁平上皮癌、in situ扁平上皮癌、角化黄色腫、基底細胞癌、皮膚リンパ腫及び良性リンパ球性浸潤・過形成、皮膚扁平上皮癌、皮膚リンパ腫、皮膚扁平上皮癌、皮膚瘢痕化症、皮膚扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、皮膚瘢痕化症、皮膚扁平上皮癌、皮膚の過形成、明細胞性黄色腫、大細胞性黄色腫、表皮性黄色腫、汗孔角化症、過角化症、毛孔性角化症、苔癬状角化症、黒色表皮腫、コンフルエント及び網状乳頭腫症、母斑(例えば、真皮母斑、表皮母斑、複合母斑、ILVEN(炎症性線状疣状表皮母斑)、脂腺母斑、面ぽう母斑など;ニキビ、例えば、面ぽうニキビ、炎症性ニキビ、丘疹性ニキビ、膿疱性ニキビ、嚢胞性ニキビ;嚢胞、例えば、表皮嚢胞、稗粒腫、トリキレンマル嚢胞、毛包嚢胞、増殖嚢胞、デルモイド嚢胞、毛巣嚢胞、アポクリン嚢胞、エクリン嚢胞、皮脂嚢胞、粘液嚢胞、粘液様嚢胞、神経節嚢胞、滑膜嚢胞、有毛嚢胞、ステイトシストマ、ヒドロシストマ;付属器の新生物、例えば、毛包腫、線維毛包腫、毛包周囲線維腫、毛盤腫、脂腺母斑、軟骨様汗管腫、毛包上皮腫、毛包芽腫、脱落性毛包上皮腫、毛母腫、毛包上皮癌、毛包腫、毛包上皮癌、毛包内腫瘍、毛包内腫瘍、三葉腺腫、増殖性毛孔性腫瘍、皮脂腺腫、皮脂上皮腫、皮脂癌、汗管腫、ヒドラデンマ、アポクリンヒドラデンマ、スピラデンマ、円柱腫、エクリン母斑(エクリンハマルトマ)、乳頭腺腫、乳頭状腺癌良性メラニン細胞性増殖または新生物、例えば、梅毒、カフェオレ斑、ベッカー黒色症、黒子、日光黒子、単純黒子、粘膜メラノサイト病変、蒙古斑、太田母斑、青色母斑、後天性メラノサイト母斑(母細胞性母斑、「ホクロ」)、先天性母斑、扁平母斑、再発母斑、血管及び血管周囲の新生物及び反応性過形成、例えば、血管腫、チェリー血管腫、ホブネイル血管腫(標的血管腫)、房状血管腫、血管内皮腫、好酸球性血管リンパ球過形成(ALHE)、グロムス腫瘍(血管腫)、血管外皮腫;皮膚神経及び神経内分泌腫瘍例、神経鞘腫、シュワンノーマ、神経線維腫、神経鞘腫瘍、神経鞘粘液腫、神経鞘腫、顆粒細胞腫;線維性及び線維組織球性増殖症、例えば、アクロコルドン、線維組織球性増殖症、線維腫、線維上皮性ポリープ、線維腫、線維性丘疹、血管線維腫、真珠様陰茎丘疹、爪周囲線維腫、皮膚線維腫、線維角化腫、硬化性または多形性の線維腫、結合組織母斑、皮膚瘢痕、過形成、ケロイド、酒さ、皮膚真菌・皮膚糸状菌・カビ感染症、爪白癬、色素沈着、リュウマチ、乾癬、悪性黒色腫、脂漏性角化症、脂漏性角化症変種(例えば、黒色丘疹症、逆毛状角化症/角化腫、疣状肢角化症/疣状肢角化症、スタッコ角化症;またはそれらの組み合わせを含む。
【0019】
範囲または類似の方法に従って請求することができる、グループ内の任意のサブ範囲またはサブ範囲の組み合わせを含む、任意のそのようなグループの任意の個々のメンバーを除外する権利をここに留保することによって、この開示の完全な尺度未満は、任意の理由で請求することができる。さらに、ここに、個々の置換基、アナログ、化合物、リガンド、構造、またはそれらのグループ、またはクレームされたグループの任意のメンバーを但し書きで除外する権利を留保することにより、本開示の完全な尺度未満が、任意の理由でクレームされることができる。本開示を通じて、様々な特許、特許出願、及び刊行物が参照される。これらの特許、特許出願及び刊行物の開示は、その全体が、本開示の日付の時点で当業者に知られている技術の状態をより完璧に説明するために、参照により本開示に組み込まれる。本開示は、引用された特許、特許出願及び刊行物と本開示との間に矛盾がある場合に適用される。
【0020】
便宜上、本明細書、実施例及び特許請求の範囲で採用されている特定の用語をここに集めておく。他に定義されない限り、本開示で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0021】
様々な実施形態は、1またはそれ以上のオンコキナーゼ阻害剤を含む局所組成物、及び治療を必要とする対象にかかる局所組成物を投与することによる先天性表皮または真皮の過形成の治療方法に向けられ、一部の実施形態では、局所組成物は、過形成を軽減し、過形成に伴う変色を軽減し、先天性表皮または真皮の過形成に伴う症状を緩和し得る。特定の実施形態において、局所用組成物は、コステロ症候群及び脂腺母斑症候群などの先天性表皮または真皮の過形成を治療するために使用されても良い。さらなる実施形態では、組成物は、ポートワインステイン、加齢とともに濃くなる扁平で赤みを帯びた病変である毛細血管奇形、単純母斑または血管ステイン、及びスタージ・ウェーバー症候群及びクリッペル・トレノネー症候群に伴う毛細血管奇形、静脈奇形、及びリンパ管奇形といった血管奇形の治療のために使用され得る。いくつかの実施形態では、血管異常を治療するための方法は、オンコキナーゼ阻害剤を含む局所組成物を、治療を必要とする対象に投与する工程を含み得る。
【0022】
様々な実施形態のオンコキナーゼ阻害剤は、任意のオンコキナーゼ阻害剤であって良く、いくつかの実施形態では、オンコキナーゼ阻害剤は、ヒトRAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達カスケードに関連する/属するキナーゼを阻害することができるものであって良い。いくつかの実施形態では、オンコキナーゼ阻害剤は、HRASを阻害することができる。好適なオンコキナーゼ阻害剤の実施例には、トラメチニブ(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル}フェニル)アセトアミド)、ピロール誘導体、TAK-733(一連の8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン誘導体)、CH4987655及びRDEA119/BAY869766、コビメチニブ((S)-[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)フェニル][3-ヒドロキシ-3-(ピペリジン-2-イル)アゼチジン-l-イル]メタノン)、ビニメチニブ(5-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-l-メチル-lH-ベンゾ[d]イミドゾ-ル-6-カルボキサミド)、セルメチニブ(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエルホキシ)-3-mエチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、PD-325901、Cl-1040、PD035901、テトラチオモリブタート、TAK-933、及びこれらと同様のもの、ならびにその組み合わせがある。特定の実施形態では、オンコキナーゼ阻害剤は、トラメチニブであっても良い。
【0023】
オンコキナーゼ阻害剤は、治療を提供することができる任意の量で提供することができる。例えば、そのような実施形態の組成物におけるオンコキナーゼ阻害剤の濃度は、約30%(w/w)までであり得、いくつかの実施形態では、抗生物質の濃度は、約20%(w/w)までであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、約0.1%(w/w)~約30%(w/w)、約0.25%(w/w)~約20%(w/w)、約0.5%(w/w)~約15%(w/w)、約1%(w/w)~約15%(w/w)、約1%(w/w)~約10%(w/w)、またはこれらの例示範囲によって網羅された抗生物質の任意の範囲若しくは個々の濃度を含むことができる。特定の実施形態では、組成物は、約0.25%(w/w)~約15%(w/w)、約0.5%(w/w)~約10%(w/w)、約0.75%(w/w)~約7.5%(w/w)、約1%(w/w)~約5%(w/w)、約1%(w/w)~約3%(w/w)、またはこれらの例の範囲に含まれる、いずれかの範囲や個人の濃度のものを含むことができる。
【0024】
様々な実施形態の組成物は、例えば、白色ワセリン、白色ワセリンUSP、ミネラルゼリー、ワセリン、黄色ワセリン、黄色ソフトパラフィン、白色ソフトパラフィン、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、PCCA可塑基、及びこれらと同様のもの、ならびにこれらの組み合わせなどの基剤を含んでも良く、特定の実施形態では、基剤がエモリヤー基剤であっても良い。
【0025】
いくつかの実施形態では、基剤は、リポソーム基剤であっても良い。リポソーム基剤は、親油性成分と水性成分とを含むエマルジョンであり、ローション、クリーム、ゲル、またはペーストの形態であることができる。好適なリポソーム基剤の例としては、PCCA Lipoderm(登録商標)、Lipoderm ActiveMax(登録商標)、無水Lipoderm、及びLipoderm High Molecular Weight(登録商標)PCCAが挙げられる。そのようなリポソーム基剤は、例えば、グリセリン、安息香酸C12-15アルキル、ステアリン酸グリセリル、ジメチコン、セテアリルアルコール、セテアリルグルコシド、ポリアクリルアミド、セタノール、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、キサンタンガム、アロエベラ(アロエ・バーバデンシス(Aloe barbadensis))、酢酸トコフェロール(ビタミンE酢酸)、プルヌスアミガダルスアマラ(ビターアーモンド)核油、ビティスビニフェラ(ブドウ)種子エキス、トリチカムバルガー(小麦)胚油、パルミチン酸レチニル(ビタミンA)、パルミチン酸アスコルビル(ビタミンC)、プロリポマルチエマルジョンリポソームシステム、EDTA四塩化ナトリウム、フェノキシエタノール、ヒドロキシメチルグリシンナトリウムなど及びそれらの組合せを含む。等及びその組み合わせた約60~80%wt/wt水で構成することが可能である。
【0026】
いくつかの実施形態では、ベースはクリームベースであっても良い。クリームベースは、油と水の半固体エマルションである。これらは、連続した水相に分散した油の小滴からなる水中油型(O/W)クリームと、連続した油相に分散した水の小滴からなる油中水型(W/O)クリームの2種類に分けられる。水中油型クリームは、べたつきが少なく、水で洗い流しやすいため、使い心地や化粧品としての完成度が高い。油中水型クリームは取り扱いが難しいが、クリームに配合される薬物の多くは疎水性であり、油中水型クリームは水中油型クリームより容易に放出される。また、油中水型クリームは、皮膚の最外層である角質層からの水分損失を低減する油性バリアを提供するため、より保湿性に優れている。クリームベースは、通常、水、油、乳化剤、及び後述するような増粘剤を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、ベースは、保湿クリーム基剤であっても良い。保湿クリーム基剤は、皮膚の最外層である角質層からの水分損失を低減するバリアを提供し得るエモリエント剤または保湿剤を加えた、上述のクリーム基剤と同じ成分で構成される。保湿クリーム基剤におけるエモリエント剤または保湿剤は、セチルエステルワックス、ステアリルアルコール、セチルアルコール、及びグリセリン、またはそれらの組み合わせであっても良い。例示的なクリームベース及び保湿クリーム基剤には、VersaBase(PCCA)、エモリエント(Emollient)クリーム、バニシング(Vanishing)クリーム、CeraVe、Vanicream、ビタミンE、Cliniderm、Dermabase(精製水、ワセリン、ミネラルオイル、セトステアリルアルコール)、Eucerin(水、ワセリン、ミネラルオイル、セレシン、ラノリンアルコール、メチルクロルイソチオゾリノン、メチルイソチアゾリノン)、Glaxal(WellSpring Pharmaceutical Corp、サラソタ、フロリダ州)、ステアリン酸クリーム、または当業者に知られている局所製剤に用いられる他の任意の医薬クリーム基剤である。
【0028】
いくつかの実施形態では、基剤は、軟膏基剤であっても良い。軟膏は、油と水が7:1~2:1、5:1~3:1、または4:1の比率で提供される組成物であり、いくつかの実施形態では、軟膏は水を含んでも含まなくても良く、例えばAquaphor、Pracasil、及び可塑性基剤などがある。軟膏は、一般に、油、ワックス、水、アルコール、石油製品、シリコーン、水、及び他の薬剤を用いて配合され、様々な粘度及び溶剤特性を有する製剤を調製することができる。一般に用いられる製剤には、油脂性基剤(白色軟膏)、吸収性基剤、W/Oエマルジョン基剤(コールドクリーム型基剤)、O/Wエマルジョン基剤(親水性軟膏)、水溶性基剤、その他がある。これらの製剤は、薬効や化粧品としての価値を持つ物質や製品を溶解または懸濁させるために使用される。
【0029】
いくつかの実施形態では、基はエモリエント基であって良い。エモリエント基剤の非限定的な例としては、C9~C14直鎖または分岐アルキルアルコール、C3~C14直鎖または分岐ポリオール、C6~C12二酸のC6~C14ジエステル、炭化水素、天然ロウ、植物油及びシリコーン、分岐鎖エステル、部分グリセリド脂肪酸エトキシル化、タンパク質派生物、ラノリンとラノリン派生物及び脂肪アルコールエトキシレート、エモリエント油、脂肪酸、脂肪アルコール及びそのエステル類、例えば、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジオクチル、イソオクタン酸イソオクチル、アジピン酸ジオクチル、スクワラン、ペトロラタム、ミネラルオイル、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、ひまわり油、ごま油、オリーブオイル、シクロメチコン、ジメチコン等が挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態において、エモリエント基剤は、式を有するポリオールであっても良いし、またはそれを含んでも良い。
HOCH-[CHOH]-CHOH
であり、インデックスxは、1~20の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1~10の整数である。そのようなポリオールの実施例には、グリセロール、エリスリトール、キシリトール、(2R、3R)-ブタン-1,2,3,4-テトロール、(2S、3R)-ブタン-1,2,3,4-テトラオール、(2R、3S)-ブタン-1,2,3、4-テトラオール、(2S、35)-ブタン-1,2,3,4-テトロール、(2R、3R、4R)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、(2S、3R、4R)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、(2R、3S、4R)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、(2R、3R、4S)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、(2S、3S、4R)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、(2S、3R、4S)-ペンタン-1,2,3,4、5-ペントール、(2R、3S、4S)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、及び(2S、3S、4S)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントールが含まれる。いくつかの実施形態では、エモリエント基はグリセロールであっても良い。
【0031】
実施形態の組成物中の塩基の量は変化することができ、他の成分の量に依存することになる。所望の局所用医薬製剤中の他の成分のより少ない量を補償するために、より多くの塩基を添加することができる。いくつかの実施形態では、塩基は、全組成物の約45%(w/w)~約99.75%(w/w)の濃度、または当該技術分野で知られている任意の範囲もしくは個々の濃度で存在することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、組成物は、溶解性エンハンサーをさらに含んでも良い。理論に拘束されることを望むことなく、上述のものを含むオンコキナーゼ阻害剤は、上述の塩基に不溶性である可能性がある。したがって、オンコキナーゼ阻害剤を患部組織に効果的に送達する局所用組成物を製造するために、溶解性向上剤が必要である場合がある。溶解性向上剤は、特に限定されず、様々な公知の溶解性向上剤及びその組合せを含むことができる。特定の実施形態において、溶解性向上剤は、例えば、酢酸エチル、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール等及びこれらの組み合わせであって良く、一部の実施形態において、溶解性向上剤はDMSOであって良い。組成物は、約10%(w/w)~約40%(w/w)の溶解性エンハンサーを含んでも良く、いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも約25%(w/w)~約35%(w/w)の溶解性エンハンサーを含んでも良い。
【0033】
様々な実施形態の組成物は、例えば、液体、クリーム、ローション、泡、リニメントなどを含む任意の形態であることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、上記の組成物は、液体として製剤化されても良い。局所投与用の液体剤形は、例えば、アルコール、グリコール、油、水などの希釈剤を含んでも良い。このような組成物は、湿潤剤または乳化剤を含んでも良い。いくつかの実施形態では、実施形態の組成物は、水中油型または油中水型エマルションとして製剤化されても良い。クリームは、水相が油相に分散している油中水型(w/o)エマルジョン、または油が水性基剤内に分散している水中油型(o/w)エマルジョンであり得る。軟膏は一般に、より粘性の高い水中油型クリームを指す。従来の軟膏基剤(すなわち担体)には、炭化水素(ペトロラタム、ミツロウなど)植物油、脂肪アルコール(コレステロール、ラノイルリン、ウールアルコール、ステアリルアルコールなど)またはシリコーンが含まれる。また、澱粉、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルクなどの不溶性固形物も軟膏やクリームに使用することができる。上記の組成物のゲル形態は、ポリマーのネットワークまたはコロイド固体粒子の中に大量の水性または水性-アルコール性液体を封入することによって形成することができる。このようなポリマーまたはコロイド(ゲル化剤または増粘剤)は、典型的には10%w/w未満の濃度で存在し、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ペクチン、トラガカント、カラギー、寒天、粘土、ケイ酸アルミニウム、カルボマー等が挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、上記の組成物は、1またはそれ以上の薬学的に許容される希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、保湿剤、可溶化剤、保存料、着色剤、プラスター、担体、賦形剤等及びこれらの組み合わせをさらに含んでも良い。当業者は、例えば、Modern Pharmaceutics,Banker & Rhodes,Marcel Dekker, Inc.(1979)及びGoodman & Gilman's The Pharmaceutical Basis of Therapeutics, 6th Edition,MacMillan Publishing Co,New York(1980)を参照して、実施形態の組成物及び製剤中のこのような成分の量を決定する際の指針にすることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、ローションの形態であり得る。ローションは、低粘度~中粘度の局所用製剤である。ほとんどのローションは、これらの2相の分離を防ぐためにセチルアルコールなどの乳化剤を含む水中油型エマルションである。ローションは、香料、グリセロール、ワセリン、色素、防腐剤、タンパク質、安定化剤などを含むことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、局所用製剤は、発泡体の形態であり得る。医薬用発泡体は、バルブの作動により、気体媒体中の液体及び/または固体材料の微細な分散物を放出する、1つまたはそれ以上の活性成分を含む加圧された剤形である。発泡製剤は、一般に、他の局所投与形態よりも適用しやすく、密度が低く、広がりやすい。泡は、製剤成分に応じて、皮膚にエモリエントまたは乾燥機能を提供するために様々な方法で製剤化することができる。したがって、この送達技術は、局所的な使用に利用可能な製剤のスペクトルに有用な追加である。
【0038】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、リニメントの形態であり得る。リニメントまたはバームは、ローションと同様の粘性を有し、軟膏またはクリームよりも粘性が低い局所製剤である。リニメントは、一般に、皮膚に擦り込むことにより摩擦を与えて塗布される。リニメントは、通常、アルコール、アセトン、または同様の蒸発の早い溶媒から調合され、サリチル酸メチル、ベンゾイン樹脂、またはカプサイシンなどの刺激性の芳香族化合物を含むことがある。
【0039】
皮膚の水和を助けるエモリエントまたは潤滑性ビヒクルも使用することができる。ヒトの皮膚に使用するための水和性組成物を調製するのに適した基剤またはビヒクルの例は、ペトロラタム、ペトロラタム+揮発性シリコーン、ラノリン、コールドクリーム(USP)、及び親水性軟膏(USP)である。
【0040】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンB(ナイアシンアミド、ニコチン酸、C1-18ニコチン酸エステル、ニコチニルアルコール、ピロキシジンなどのB6系化合物、及びB5化合物(パンテノール、または「プロB5」など)、ビタミンA(プロピオン酸レチニルなどのレチノイド、カロテノイドなどを含む)、ビタミンE(ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、その他のトコフェロールのエステルなどを含む)、ビタミンC(脂肪酸のアスコルビルエステル、及びアスコルビン酸誘導体、例えば、アスコルビルグルコシド、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸ナトリウム、及びアスコルビルソルベートを含む)、及びそれらの全ての天然及び/または合成アナログ、並びにそれらの組合せが挙げられる。様々な実施形態において、組成物は、組成物に含まれる各ビタミンの約0.0001wt%~約50wt%、約0.001wt%~約10wt%、約0.01wt%~約5wt%、または約0.1wt%~約1wt%、または任意の個々の濃度または範囲、を含んでも良い。
【0041】
いくつかの実施形態では、組成物は、酸化防止剤を含んでも良い。そのような抗酸化剤は、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、エリソルビン酸、グアイアックゴム、没食子酸プロピル、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸ジラウリル、tert-ブチルヒドロキノン、トコフェロールなど、及びその薬学的に許容される塩もしくはエステルまたはそれらの組合せが挙げられる。抗酸化剤は、全組成物の約0.01%(w/w)~約1%(w/w)の濃度、またはこの例示範囲によって包含される任意の個々の濃度で存在することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、様々なモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、及びそれらのブレンドを含む乳化剤を、全組成物の約3%(w/w)~約10%(w/w)の濃度で含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚の鎮静化、平滑化、保湿、または保護を提供する保湿剤をさらに含むことができる。保湿剤は、限定されず、例えば、カラミン、ドデシル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ポリソルビタンのポリオキシエチレンエステル、例えば、モノオレエート、モノラウレート、モノパルミテート、モノステアレートエステル、ソルビタンのエステル、ポリオキシエチレンエーテル、ジオクチルスルホサクシネート(DOSS)、レシチン及びドクサー酸ナトリウムであり得る。このような組成物における保湿剤の量は、組成物全体の約0.01%(w/w)~5%(w/w)であって良い。
【0044】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、サリチル酸メチル、コデイン、モルヒネ、メタドン、ペチジン、ブプレノルフィン、ヒドロモルフィン、レボルファノール、オキシコドン、フェンタニル、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、及びそれらと同等もの、ならびにそれらのコビネーション等の鎮痛剤をさらに含んでも良い。鎮痛剤そのような組成物の量は、全組成物の約0.01%(w/w)~5%(w/w)であって良い。
【0045】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、パパイン/尿素、バルサムペルー/ヒマシ油/トリプシン、クロロフィリン銅錯体/パパイン/尿素、コラゲナーゼ等及びそれらの組み合わせ等の局所用剥離剤をさらに含んでも良い。このような組成物における剥離剤の量は、組成物全体の約0.01%(w/w)~5%(w/w)であって良い。
【0046】
本発明の他の実施形態は、上記の組成物のいずれかを投与する工程によって、先天性表皮、真皮過形成、または血管異常を治療する方法を含む。様々な実施形態の方法は、治療を必要とする対象の先天性表皮、真皮過形成、または血管異常の場所に、上述した様々な実施形態の組成物を投与する工程を含むことができる。投与する工程は、様々な手段によって実施することができる。例えば、投与は、被験者の皮膚に組成物を塗布することによって達成することができ、いくつかの実施形態では、皮膚は、患部に接触しやすくするためにマッサージまたは摩擦され得る。いくつかの実施形態では、投与する工程は、1日あたり1回、2回、3回、4回、またはそれ以上実施することができ、投与は、1週間~6ヶ月間、または症状が解消されるまで、1日あたり所定回数実施することができる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の症状の改善は、処置の約7日以内に観察され得、特定の実施形態では、1つまたはそれ以上の症状の改善は、最初の処置後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、または約6日以内に観察され得る。
【0047】
さらなる実施形態は、1つまたはそれ以上のオンコキナーゼ阻害剤を含む外用組成物を製造するための方法を含む。このような実施形態は、一般に、1つまたはそれ以上のオンコキナーゼ阻害剤を溶解性向上剤または溶媒に溶解してオンコキナーゼ阻害剤溶液とし、オンコキナーゼ阻害剤を基剤と組み合わせる工程を含み得る。オンコキナーゼ阻害剤は、上述したオンコキナーゼ阻害剤のいずれであっても良く、基剤は、例えば、外用液剤、クリーム、ローション、フォーム、リニメント等の作成に用いられる上述した基剤のいずれであっても良い。上述したように、溶解性向上剤は、例えば、酢酸エチル、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール等及びそれらの組み合わせであっても良く、一部の実施形態において、溶解性向上剤はDMSOであっても良い。
【0048】
いくつかの実施形態では、ベースはクリームベースであっても良い。クリームベースは、当業者によく知られている従来の技術によって別途調製することができる。一般に、好適なプロセスは、クリームの様々な成分を適切な相対量で都合の良い任意の順序で混和し、その後、必要であれば、pHを最終的な所望の値に調整することを含む。例えば、基剤の成分を約65℃~約75℃の温度で乳化物が形成されるまで混合し、乳化したクリーム基剤を冷却した後、または混合中に治療剤を添加することができる。
【0049】
当技術分野で知られているように、投与するための特定の手段は、製剤の特定の成分を使用することを必要とする場合がある。そのような成分は、上記に記載されており、組成物に適切に組み込むことができる。
【0050】
[実施例]
本発明は、その特定の好ましい実施形態を参照してかなり詳細に説明されてきたが、他のバージョンも可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書内に含まれる説明及び好ましいバージョンに限定されるべきではない。本発明の様々な態様は、以下の非限定的な実施例を参照して説明される。
【実施例1】
【0051】
脂腺母斑症候群の小児患者のために、エモリエントクリームを調製した。クリームは、患部に直接投与される。クリームの例は、表1に提供される。
【表1】
【実施例2】
【0052】
表在性血管異常を有する小児患者を対象に、リポソーム基剤含有外用組成物を調製した。この組成物は、患部に直接投与される。クリームの例を表1に示す。
【表2】
【国際調査報告】