(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】テキスタイル材料のための接着促進用組成物および関連する強化テキスタイル材料
(51)【国際特許分類】
D06M 15/03 20060101AFI20221221BHJP
D06M 13/11 20060101ALI20221221BHJP
D06M 15/693 20060101ALI20221221BHJP
D06M 13/256 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
D06M15/03
D06M13/11
D06M15/693
D06M13/256
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523905
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2020079918
(87)【国際公開番号】W WO2021078955
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508349735
【氏名又は名称】ポルシェ アンデュストリ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】マエル ゴバン
(72)【発明者】
【氏名】ルイ オランド
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AA07
4L033AA08
4L033AA09
4L033AB01
4L033AC11
4L033BA08
4L033BA28
4L033CA02
4L033CA68
(57)【要約】
本発明は、リグノスルホン酸塩、少なくとも2つのエポキシド単位を含む前記塩用のエポキシ硬化剤およびエラストマラテックスを含む、テキスタイル材料向けの接着促進用組成物に関する。リグノスルホン酸塩は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウムまたはカルシウムのリグノスルホン酸塩であり得る。本発明は同様に、ゴム材料との関係において、強化テキスタイル材料に接着特性を与えるためのこのような組成物の使用、前記組成物で少なくとも部分的にコーティングおよび/または含浸された強化テキスタイル材料、特にテキスタイル構造、ヤーンまたはコード、およびゴムが、少なくとも1つの強化テキスタイル材料を、ゴム材料の表面上におよび/またはその内部に一体化した状態で含む、ゴム製のまたはゴム材料を含む部品、にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノスルホン酸塩、少なくとも2つのエポキシ単位を含むこの塩のエポキシ硬化剤、およびエラストマラテックスを含む、テキスタイル用ボンディング組成物。
【請求項2】
前記リグノスルホン酸塩が、リグノスルホン酸ナトリウム、リグノスルホン酸カリウム、リグノスルホン酸マグネシウム、リグノスルホン酸アンモニウムまたはリグノスルホン酸カルシウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記硬化剤が、脂肪族ポリオールのジグリシジルまたはポリグリシジルエーテル;多官能性フェノールのジグリシジルまたはポリグリシジルエーテル;酸性条件下で得られたホルムアルデヒドとフェノールの縮合生成物のポリグリシジルエーテル;脂肪族または芳香族ポリカルボン酸のジまたはポリグリシジルエステル;エポキシシクロヘキシル基を含有する化合物;オレフィン不飽和化合物のエポキシ化の結果として得られるポリエポキシ化合物;およびそれらの混合物の中から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記硬化剤が、以下の化合物:1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル;2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル;ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート;3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;グリセロールジグリシジルエーテル;グリセロールトリグリシジルエーテル;グリセロールジグリシジルエーテルとグリセロールトリグリシジルエーテルの混合物;ノボラック型エポキシ樹脂およびそれらの混合物、の中から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
アクリロニトリル/カルボキシル化ブタジエンコポリマのラテックス(XNBR)、アクリロニトリル/水素化ブタジエンのラテックス(HNBR)、クロロスルホン化ポリエチレンのラテックス(CSM)、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンコポリマのラテックス(VPSBR)、スチレン/ブタジエンコポリマのラテックス(SBR)、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマラテックス(NBR)、ポリブタジエン(BR)ラテックス,クロロブタジエン(CR)ラテックス、天然ゴムラテックス(NR)、ポリウレタンラテックスまたはそれらの少なくとも2つの混合物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の乾燥物質の質量含有率が、詳細にはおよそ2~およそ38%、詳細にはおよそ4~およそ30%、より詳細にはおよそ7~およそ25%であり得る、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物との関係において約40~約95重量%、好ましくは約55~約90重量%のエラストマを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比が、およそ0.01~およそ5、より詳細にはおよそ0.03~およそ1、典型的にはおよそ0.05~およそ0.5である、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
[硬化剤+リグノスルホン酸塩]/ラテックス質量比が、およそ0.05~およそ0.6、より詳細にはおよそ0.15~およそ0.5である、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
中性または塩基性pH、詳細にはおよそ7~およそ13、詳細にはおよそ9~およそ13のpHを有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
リグノスルホン酸塩およびエラストマラテックスを含む第1の組成物と、少なくとも2つのエポキシ単位を含む前記リグノスルホン酸塩のエポキシ硬化剤を含む第2の組成物とを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のボンディング組成物を製造するためのキット。
【請求項12】
ゴムとの関係において、強化テキスタイルに対して接着特性を付与するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物またはキットの使用。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載のボンディング組成物で少なくとも部分的にコーティングおよび/または含浸された、強化テキスタイル、特に、ヤーン、コードまたはテキスタイル構造。
【請求項14】
ゴムが、請求項1~13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの強化テキスタイルを、前記ゴムの表面上に、および/またはその内部に組込まれて含む、ゴム製のまたはゴムを含む部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイル用の接着剤またはボンディング組成物、詳細には、テキスタイルをゴムに接着させるための組成物に関する。本発明は詳細には、ベルト、パイプ、タイヤ、空気ばね(エアスプリング)そしてより一般的には、ゴムが表面上および/または深さ方向(質量中)に強化テキスタイルを含んでいる、ゴム製のまたはゴム製部品を含むあらゆる部品または物品の分野における利用分野に関する。したがって、本発明は同様に、この接着剤でコーティングされた強化テキスタイルおよび、表面上および深さ方向の両方でこの接着剤を組込んでいる部品または物品にも関する。
【背景技術】
【0002】
伝動ベルトの例を取り上げると、テキスタイル強化材は、何よりもまずベルトの寸法安定性を保証しなければならない。このため、強化材には、さまざまな環境において特定的な機械的特性を有することが求められる。求められる特性を保証しかつ特に剥離のリスクを回避するために、テキスタイル強化材は、ベルトのゴムに接着しなければならない。強化材は、1つのゴムまたは複数の異なるゴムと接触する可能性がある。ゴムとの優れた相容性を可能にするため、強化材は概して接着剤で処理される。強化材には、さらに複雑な特性が求められる可能性もある。例えば、強化材の縁部は、切断が容易でありながら、切断されベルトの側面で露呈されたときにほつれてはならない。これらの他の特性を保証するために、他のタイプの処理をヤーンに対し適用することができる。
【0003】
これらの特性を全て得るためには、ヤーンに対し一定の構造、特にコードの形の構造を提供し、複数の化学的および熱的処理を提供することが必要である。
【0004】
テキスタイル強化材には複数の異なる処理が適用されることから、接着剤と強化材、ゴムとの相容性、そして強化材に適用される他の処理との相容性も保証することが必要不可欠である。
【0005】
化学的処理の主要目的は、所与の強化材をそれが接触し得るさまざまなゴムに接着させることにある。処理は、存在する強化材のタイプ[ガラス、アラミド、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など]およびゴム類の数と同様にさまざまである。
【0006】
強化テキスタイルをゴムに接着させるための処理の中心にあるのは、いわゆるレゾルシノールホルムアルデヒドラテックスつまりRFL処理である。これは、ラテックス(エラストマまたはポリマのコロイド水分散)とフェノプラストまたはアミノプラストタイプの熱硬化性樹脂を混合することが関与する系である。この系には歴史があり、70年代に広く開発され、選り抜きの処理であり続けている。この処理に置き換わるべく多くの試みがなされてきたにもかかわらず、これまでのところ、等価の性能を達成するための広範な解決法を提供することが可能となることは一度もなかった。これは、最大限の静的接着、すなわち動的応力のない接着を得るために、全面的に最適化されている。
【0007】
熱処理は、合成強化材の場合、化学的特性(接着性)だけでなく機械的特性にも影響を及ぼす。これは、なかでも収縮特性に影響を及ぼす。オーブン内での処理は、機械的特性の維持と接着剤の架橋との間の調和の結果もたらされる。
【0008】
したがって、これら全ての理由で、新規の処理は、機械的特性を保証するために、現行の処理条件に適応することができなければならない。しかしながら、より低い温度での処理を可能にする接着剤が、或る種の利用分野において潜在的に新しい有利な特性を提供するものであり、かつ有利なエネルギ的側面を示すものである。
【0009】
しかしながら、接着性能を改善するためまたは耐摩耗性を提供するためには、RFLでの処理を含め、最大4つの異なる処理をテキスタイルに対し連続して適用することが必要となる可能性がある。これらは、以下の処理である:
1)フィラメントをマトリクス内に捕捉させフィラメントをそれらの間にブロックできるようにするヤーンのコア処理。したがって、これはほつれ耐性を提供しヤーンに剛性を与える。
2)接着を改善するための予備活性化。
3)1層または2層でのRFL処理。
4)市販の接着促進剤またはエラストマ溶液の形でのオーバーコート(時としてセメント結合と呼ばれる)。
【0010】
したがって、調合の何らかの変更によって、さまざまな用途のために通常使用されるさまざまな化学的および熱的(またはより一般的に、物理的)処理の機能性に問題が生じないことも同様に好ましい。
【0011】
以上で言及した全ての制約条件を考慮して、RFL処理は、テキスタイルとゴムの間の接着を可能にする選り抜きの処理として認められてきた。接着に関与する現象は、ゴム部品の加硫中に作用させられる一方、RFL処理自体は数ヵ月前にテキスタイルに対して適用され得る。このような理由から、多くの場合「ボンディング」処理なる用語が用いられ、「接着」なる用語はむしろ接着状態を示すために留保されている。RFLにおいては、ラテックスは、概してボンディングすべきゴムと性質が類似しているエラストマまたはポリマの水性コロイド分散体である。しかしながら、これらのラテックスは、そのままでは実際の機械的特性を有していない。系の強度を確実にするために、熱硬化(熱硬化性)樹脂が添加される。これは、レゾルシノールとホルムアルデヒドから作られたRF樹脂である。その極性を介して、これはテキスタイルに対する優れた接着を提供する。これは、メッシュを形成し、このメッシュ中にラテックスが捕捉され、系を剛化する。このメッシュは、マトリクス内のエラストマ鎖の拡散を可能にし、その後ゴムに対する優れた接着を提供(加硫の間のエンタングルメント、分子相互作用そして場合によっては共架橋)するのに充分な可撓性を有し続ける。
【0012】
RFLは、現在発癌性が疑われる物質として知られているホルマリンとレゾルシノールを含有する。したがって、このホルマリンおよびレゾルシノールに対する、またはRFL組成物全体に対する代替物を見出すことが有利であると思われる。その実装の観点とそれを包含する最終製品の使用特性の両方から見た、以上で繰り返し記したRFLの複雑な特性のため、代替的解決法を発見しようとすることは、実際には困難となっている。代替案以上のものであるばかりでなく性能の増強をも提供するこのような解決法を見出すことが、さらに一層有利であると思われる。これらが、発明人らが克服に乗り出した課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、特にRFLの公知の用途においてRFLに代わり、それに近いかさらにはそれよりも優れた性能レベルを提供し、しかも持続可能な開発に関連して有利な経済的条件下で許容可能である構成成分を用いてこれを達成することを可能にする新規の接着解決法を提供することにある。
【0014】
天然の接着剤として、およびリグノスルホン酸塩硬化剤と組合せてマット(不織)を作るための短繊維結合剤として、または多層木質系製品における接着剤として、リグノスルホン酸塩が提供されている。これらは、RFLの代替組成物として提案されたことがなく、リグノスルホン酸塩が、ゴムとのボンドを保証するための接着処方を開発し充分な機械的性能を提供するのに好適なものであると分かり得る示唆は全く存在しない。これらは同様に、特許文献特開2002-226812号公報および特開2001-234143号公報中に記載されている通り、硬化剤を含有しない組成物中で界面活性剤としても使用される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明の対象は、リグノスルホン酸塩、この塩のエポキシ硬化剤およびポリマラテックス、特にエラストマラテックスを含む(またはこれらに基づく、これらで本質的に構成される、またはこれらで構成される)組成物にある。詳細には、これはテキスタイル用の接着剤組成物またはボンディング組成物である。
【0016】
本発明で使用される「エポキシ硬化剤」なる用語は、少なくとも2つのエポキシ単位またはオキサシクロプロパンまたは-CH-CH2-O環を含む化合物を意味するものとして理解される。この化合物は、エポキシ環を開環することによってアルコールなどの構成成分と付加反応し得る。2つのエポキシ単位の存在により、アルコールを含有する2単位との反応、したがって架橋としても知られている重合反応が可能になる。したがって、本発明に係るエポキシ硬化剤は、リグノスルホン酸塩を架橋するための架橋剤である。
【0017】
本発明の対象は同様に、リグノスルホン酸塩、この塩のエポキシ硬化剤およびポリマラテックス、特にエラストマラテックスを混合することによって得られた、または得ることができる、テキスタイル用の組成物、詳細には接着剤、またはボンディング組成物でもある。一実施形態において、該組成物は、塩基性媒体中で、リグノスルホン酸塩とこの塩のエポキシ硬化剤とを混合しその後ポリマラテックス、特にエラストマラテックスを添加することによって;または塩基性媒体中のリグノスルホン酸塩とポリマラテックス、特にエラストマラテックスを混合し、その後この塩のエポキシ硬化剤を添加することによって得られるか、または得ることができる。
【0018】
一実施形態において、組成物は、塩基性媒体中のリグノスルホン酸塩とこの塩のエポキシ硬化剤の間の反応の結果として得られる生成物を含む。
【0019】
該組成物は、テキスタイルをゴムまたは類似の材料に接着させるために使用されるボンディング組成物であり得る。これらの組成物は、基材、例えば特にテキスタイル、特に本発明に係るテキスタイル上に適用可能である組成物である。本発明は同様に、その調製方法にも関する。
【0020】
本発明の対象は同様に、熱処理などの好適な処理プロセスを受けた後乾燥および硬化させられるこれらの組成物にもある。「乾燥」なる用語は、水または揮発性物質の蒸発を意味するものとして理解される。「硬化」なる用語は、組成物中に存在し、熱処理の必要性のない条件を含めた適用された処理条件の下で反応する能力を有する化合物の、全体的または部分的のいずれかの、あらゆる重合または架橋反応を意味するものとして理解される。これらの乾燥および硬化させられた組成物は、次に、概して基材、例えば特にテキスタイル、特に本発明に係るテキスタイル、あるいはこれらのテキスタイルを包含するゴム部品などと結び付けられる。「結び付けられる」なる用語は、組成物がテキスタイルに含浸する、テキスタイルをコーティングするまたはテキスタイルに含浸させこれをコーティングすることを示すために使用される。コーティングは、連続または不連続であってよい。含浸はコアにまで至る完全なものかまたは部分的であってよい。
【0021】
本発明の対象は同様に、リグノスルホン酸塩およびポリマラテックス、特にエラストマラテックスを含む第1の組成物と;リグノスルホン酸塩のエポキシ硬化剤を含む第2の組成物とを含むキットまたはセットでもある。第1および第2の組成物は、混合されてボンディング組成物を形成するのに好適であり、そのように意図されており、その後でこのボンディング組成物は本発明の意味合いにおいてテキスタイル上に適用される。
【0022】
本発明は同様に、ゴムなどとの関係において、強化テキスタイルに対して接着特性を付与するために、本発明に係るボンディング組成物を適用するための適用方法にも関する。この方法には、熱処理などの好適な処理プロセスを用いた、組成物の乾燥および硬化ステップが含まれる。
【0023】
本発明は同様に、ゴムなどとの関係において、強化テキスタイルに対して接着特性を付与するための、本発明に係る組成物または乾燥および硬化されたボンディング組成物の使用にも関する。
【0024】
本発明は同様に、特に乾燥および硬化された本発明に係るボンディング組成物で少なくとも部分的にコーティングおよび/または含浸されている強化テキスタイル、特にヤーン、コードまたはテキスタイル構造にも関する。
【0025】
本発明は同様に、ゴムまたはゴムマトリクスの表面上および/またはその内部に組込まれた本発明に係る少なくとも1つの強化テキスタイルをゴムが含んでいる、ゴム(または類似の材料)製の物品または部品、あるいはゴム(または類似の材料)製の部分を含む物品または部品にも関する。
【0026】
本発明の他の対象は、以下の詳細な説明を読むことで明らかになるものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
したがって、本発明の第1の対象は、少なくとも1つのリグノスルホン酸塩、少なくとも1つのこの塩のエポキシ硬化剤、およびエラストマラテックスを含む(またはこれらに基づいた、本質的にこれらで構成されている、またはこれらで構成されている)、テキスタイル用の接着剤またはボンディング組成物にある。
【0028】
理論により束縛されることを意図するものではないが、当然のこととして、リグノスルホン酸塩およびこの塩のエポキシ硬化剤は、混合されたとき、この混合がボンディング組成物でコーティングおよび/または含浸された後にテキスタイルに対して適用される熱処理などの熱を受けるか否かに関わらず、共に反応して反応生成物を生成すると考えられる。リグノスルホン酸塩は、化合物が熱を受けたときに、リグノスルホン酸塩の反応性単位をエポキシ環に付加し、この環を開環することによる架橋反応においてエポキシ硬化剤との反応を開始することが予期される。この熱は、ボンディング組成物でのコーティングおよび/または含浸の後にテキスタイルに適用される熱処理などの熱処理プロセスの間に適用することができる。エポキシ硬化剤は少なくとも2つのエポキシ単位を含有することから、架橋反応、ひいてはポリマまたは樹脂の形成が起こると予期される。1つの有利な実施形態においては、この反応には塩基性媒体の存在が有利に作用すると予期される。この反応状態は、実施例の第1部において、より詳細に検討され説明されている。しかしながら、調製または保管の間に、リグノスルホン酸塩とエポキシの間の1つまたは複数の反応メカニズムが起こる可能性も排除できない。「反応生成物」なる用語は、当然のことながら、最終組成物中に入り込む可能性があると思われるいかなる添加物も含まない、リグノスルホン酸塩とエポキシ硬化剤の間の反応の生成物を意味するものと理解される。
【0029】
この組成物は、特に、3成分を撹拌しながら混合する、同様に本発明の1つの対象である方法によって得ることができる。
【0030】
実施例中で例示されているように、第1の実施形態によると、リグノスルホン酸塩を水中に溶解させ、その後で得られた溶液をラテックスおよびエポキシと混合することができる。この可溶化は、ソーダおよび/またはアンモニアタイプの作用物質を添加して塩基性媒体中で作用させることによって促進することができる。1つの方法によると、リグノスルホン酸塩溶液とラテックスが最初に混合され、その後で初めてエポキシが添加される。別の方法によると、リグノスルホン酸塩溶液およびエポキシ硬化剤が最初に混合され、その後に初めてラテックスが添加される。このように、先述のものが2つの様式を構成する。別段の指示がないかぎり、「添加」なる用語は、第1の生成物の第2の生成物への添加、またはその逆を意味するものと理解される場合があることに注意せよ。
【0031】
調製方法の一実施形態においては、リグノスルホン酸塩は撹拌しながら水中で溶解させることができ、pHを塩基性にする作用物質の存在下で、混合物は、好ましくは完全な可溶化に至るまで撹拌される。その後、混合物は、撹拌しながらラテックスに添加され、その後、なおも撹拌しながら硬化剤が組込まれる(好ましくはこの硬化剤は、例えば勢いよく撹拌しながら予め水中に溶解または分散させられている)。1つの実際的様式によると、リグノスルホン酸塩およびラテックスの混合物は、エポキシ硬化剤の溶液または分散体に添加される。エポキシ硬化剤との混合は、リグノスルホン酸塩とラテックスの混合物の調製に続いて、または本発明の対象であるキットまたはセットの場合のように後に、行なうことができる。組成物は、すぐに使えるボンディング組成物としてか、または要求に応じて調節して希釈可能なボンディング組成物として使用され得る。
【0032】
該方法の別の実施形態によると、リグノスルホン酸塩とエポキシ硬化剤の水溶液を混合してから、撹拌しながらラテックスの水分散体に対して混合物を添加することが可能である。1つの実際的様式によると、リグノスルホン酸塩とエポキシ硬化剤の混合物は、ラテックスに添加される。有利には、リグノスルホン酸塩溶液またはリグノスルホン酸塩と硬化剤の溶液のpHは、例えばラテックスの組込み前に水酸化ナトリウムおよび/またはアンモニアを添加することによって、塩基性となるように調整される。組成物は、すぐに使える接着剤組成物としてか、または要求に応じて調節して希釈可能な接着剤組成物として使用され得る。
【0033】
以下の特徴は、本発明のさまざまな対象に適用可能である。
【0034】
ラテックスは好ましくは、ポリマおよび/またはエラストマの塩基性水分散体である。同様に、中性pHで本発明にしたがって実施することも可能である。実施するpH値は特に、組成物のpHに関して以下で言及されている値であり得る。
【0035】
「エラストマ」なる用語は、特に、ガラス遷移温度(Tv)がおよそ25℃未満であるポリマまたはコポリマを意味するものとして理解される。エラストマは、ボンディングすべきゴム中およびボンディング組成物のラテックス中に存在する。「エラストマラテックス」は、エラストマのコロイド水分散体である。
【0036】
本明細書中の「ゴム」または「エラストマ材料」なる用語は、1つまたは複数のタイプの充填材、強化剤(カーボンブラック、シリカ、カオリンなど)、可塑化剤、加硫剤(硫黄、過酸化物、金属酸化物および必要な促進剤)、問題の用途のための他の通常のあらゆる添加物(例えば酸素、オゾン、熱、火炎、UVに対する保護のための実装を容易にするためのもの)の、合成または天然のいずれかの、エラストマまたはエラストマゴムから調製された加硫または架橋製品を意味するものとして理解される。本発明は同様に、合成ゴムと天然ゴムの両方に関する。エラストマをベースとして調合されるゴムは、その得られるTvが、1つまたは複数のゴムを用いて形成された機械的部品またはアセンブリの使用温度、動作温度、または用途/利用温度よりも低い材料である。
【0037】
リグノスルホン酸塩は、木材加工、特に「酸性亜硫酸水素塩焼成法」として知られる方法にしたがった紙パルプ製造のための木材処理の結果として得られる副産物である。亜硫酸水素塩を使用するこの方法は、使用される対イオンの性質に応じて、対応するリグノスルホン酸塩を得ることを可能にする。これらのリグノスルホン酸塩は同様に、木材からそれらを生産するように意図された方法からも誘導可能である。
【0038】
好ましくは、ボンディング組成物中、リグノスルホン酸塩はナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウムまたはカルシウム塩であり得る。
【0039】
1つの例示的実施形態においては、亜硫酸水素塩法により、例えばランド県(フランス)産のフランスカイガンショウから調製されたリグノスルホン酸塩が使用される。
【0040】
好ましくは、ボンディング組成物はホルムアルデヒドまたはホルマリンを含まない。好ましくは、ボンディング組成物は、レゾルシノールを含まない。好ましくは、ボンディング組成物は、ホルムアルデヒドまたはホルマリン、およびレゾルシノールを含まない。好ましくは、ボンディング組成物は、有機溶媒を含まない。ボンディング組成物は水を溶媒として使用し、そのpHは必要に応じて調整することができる。
【0041】
本発明に係るエポキシ硬化剤は、少なくとも2つのエポキシドまたはエポキシ基または単位を含むポリエポキシ化合物である。詳細には、ヘテロ原子、好ましくは酸素または窒素原子、より詳細には酸素原子によって担持された平均2個以上のグリシジルまたはメチル-グリシジルラジカルを含有するもの;または平均2個以上のエポキシ-シクロ-ヘキシル基を含有するものをいう場合がある。以下のリストの中からの複数の異なる化合物を使用することが可能である。
【0042】
硬化剤としては、特に以下のものを挙げることができる:
- 脂肪族ポリオールのジグリシジルまたはポリグリシジルエーテル;
- 多官能性フェノールのジグリシジルまたはポリグリシジルエーテル;
- 酸性条件下で得られたホルムアルデヒドとフェノールの縮合生成物のポリグリシジルエーテル;
- 脂肪族または芳香族ポリカルボン酸のジまたはポリグリシジルエステル;
- エポキシシクロヘキシル基を含有する化合物;
- オレフィン不飽和化合物のエポキシ化の結果として得られるポリエポキシ化合物。
【0043】
具体的には、以下のものを挙げることができる:
- 脂肪族ポリオールのジグリシジルまたはポリグリシジルエーテル、例えばブタンジオール-1,4;ヘキサンジオール-1,6;1,2,6-ヘキサン-トリオール;グリセロール;ネオペンチルグリコール;エチレングリコール;トリエチレングリコール;1,2プロピレングリコールまたはポリアルキレングリコール、例えばポリプロピレングリコール;またはポリアルキレングリコールの誘導体、例えばポリプロピレングリコール;
- 多官能性フェノールのジグリシジルまたはポリグリシジルエーテル、例えば2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(またはBPA);2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(またはBPA-F);1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニル-エタン(またはBPA-P);2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(BPB);ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(またはBPBP);2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(またはBPC);ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジクロロエチレン(またはBPCII);ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(またはBPF);4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール(またはBPFL);2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン(またはBPG);1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン(またはBPM);1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)など;
- 酸性条件下で得られたホルムアルデヒドとのフェノールの縮合生成物のポリグリシジルエーテル、すなわちフェノールのノボラックおよびクレゾールのノボラックなど;
- エポキシシクロヘキシル基を含有する化合物のエーテル、例えば3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;エポキシ-8,9(エポキシ-3,4シクロヘキシル)-3ジ-オキサ-2,4スピロ5.5ウンデカン;およびビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなど;
- フタル酸、テレフタル酸、A-テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、二量体化リノレン酸などのポリカルボン酸のジまたはポリグリシジルエステル。
【0044】
エポキシ硬化剤は詳細には、以下に列挙される化合物の中から選択され得、ここで組成物は、それらのうち1つまたは複数、特にそれらのうちの2つを包含し得るということが理解される:
- 1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル(脂肪族ポリオールのジグリシジルエーテル)
- 2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル(多官能性フェノールのジグリシジルエーテル)
- ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート(ポリカルボン酸のジ-またはポリ-グリシジルエステル)
- 3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(エポキシシクロヘキシル基を含有する化合物)
- 1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(脂肪族ポリオールのジグリシジルエーテル)
- グリセロールジグリシジルエーテル(脂肪族ポリオールのジグリシジルエーテル)
- グリセロールトリグリシジルエーテル(脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル)
- 例えば製品番号GE100(脂肪族ポリオールのジグリシジルエーテル)としてRaschig社から市販されている、グリセロールジグリシジルエーテルとグリセロールトリグリシジルエーテルの混合物、
- 例えば製品番号Araldite PZ323(ホルムアルデヒドとフェノールの縮合生成物のポリグリシジルエーテル)としてHUNTSMAN社から市販されている、ノボラック型エポキシ樹脂。
【0045】
エポキシ硬化剤は同様に、複素環アミン、アミドおよび窒素含有塩基のN-グリシジル誘導体、例えばN,N-ジグリシジル-アニリン;N,N-ジグリシジル-トルイジン;N,N,N’,N’テトラキス-グリシジルビス(4-アミノフェニル)-メタン;4-ヒドロキシアニリンのトリグリシジル誘導体;トリグリシジルイソシアヌレート;N,N’-ジグリシジル-エチレン-ウレア;N,N’-ジグリシジル-5,5-ジメチルヒダントイン;N,N’-ジグリシジルイソプロピル-5ヒダントイン;およびN,N’-ジグリシジル-5,5-ジメチル-6-イソプロピル-5,6-ジヒドロ-ウラシルの中から選択されてもよい。
【0046】
ラテックスは有利には、アクリロニトリル/カルボキシル化ブタジエンコポリマのラテックス(XNBR)、アクリロニトリル/水素化ブタジエンのラテックス(HNBR)、クロロスルホン化ポリエチレンのラテックス(CSM)、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンコポリマのラテックス(VPSBR)、スチレン-ブタジエンコポリマラテックス(SBR)、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマラテックス(NBR)、ポリブタジエンラテックス(BR)、クロロブタジエンラテックス(CR)、天然ゴムラテックス(NR)、ポリウレタンラテックスまたはそれらの少なくとも2つの混合物であり得る。
【0047】
組成物の乾燥物質の重量含有率は、詳細にはおよそ2~およそ38%、詳細にはおよそ4~およそ30%、より詳細にはおよそ7~およそ25%であり得る。
【0048】
本発明に係る組成物は、特に、組成物との関係において約40~約95重量%、好ましくは約55~約90重量%または約40~約60、70、80もしくは90重量%のエラストマを含み得る。
【0049】
別段の指示のないかぎり、組成物は、乾燥物質として提供される。
【0050】
組成物中、硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比は、詳細にはおよそ0.01~およそ5、より詳細にはおよそ0.03~およそ1、典型的にはおよそ0.05~およそ0.5であってよい。選択された硬化剤およびリグノスルホン酸塩の対に応じて、より低いまたはより高い値が可能であることが判明する可能性があり、このパラメータは、本明細書に基づいて当業者により決定され得る。
【0051】
組成物中、[硬化剤+リグノスルホン酸塩]/ラテックス質量比は、詳細にはおよそ0.05~およそ0.6、より詳細にはおよそ0.15~およそ0.5であってよい。組合わせて選択された化合物に応じて、より低いまたはより高い値が可能であることが判明する可能性があり、このパラメータは、本明細書に基づいて当業者により決定され得る。
【0052】
有利な特徴によると、組成物は、中性または塩基性pH、詳細にはおよそ7~およそ13、詳細にはおよそ9~およそ13のpHを有する。組成物はこの目的で、例えばソーダなどのpHの調整を可能にする添加物を含むことができる。
【0053】
組成物は、エラストマラテックスの水を含む。適用可能な組成物を、従来の適用に十分な流動性にするために、例えば含浸によって、さらに水を添加することができる。
【0054】
組成物は同様に、特に、乾燥質量でおよそ0.01または0.1%~およそ50%の含有率で添加物を含むことができる。組成物は特に、水性媒体(例えばシラン、ブロックドイソシアネート)中に可溶であるボンディングまたは接着促進剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、ワックス(例えばエマルジョン状態の微結晶炭化水素ワックス)、充填材(例えばカーボンブラック、シリカ)、着色剤、金属酸化物(例えば酸化亜鉛ZnO)、エラストマ架橋剤、抗UV剤、抗オゾン剤、熱保護剤を含み得る。これらの作用物質は、RFL調合物中で従来より使用されている添加物である。これらは、本発明の目標である接着剤と相容性がある。
【0055】
一実施形態において、テキスタイル用のボンディング組成物は、本質的にリグノスルホン酸塩、この塩のエポキシ硬化剤、およびエラストマラテックスで構成されており、1つまたは複数の添加物、特に前段落で言及された接着剤のうち1つまたは複数を含み得る。有利には、本発明に係る組成物は、トリエチレントリアミン(TETA)およびトリエチルアミン(TEA)などの、エポキシ基または単位を含有する化合物のための従来の触媒または硬化剤を一切含まない。
【0056】
ボンディング組成物の粘度は、例えば、低粘度に好適であるULAモジュールを備えた、ブルックフィールド粘度計を用いて23℃で測定される。実施例中で詳述されているように、粘度は、特に、含水率を調整することによって調整可能である。粘度は、使用されるコーティングプロセスまたは含浸プロセスにおけるテキスタイルへの優れた適用を可能にするために所望のレベルを得るように調整され得る。浸漬による含浸の場合、この粘度は特におよそ1~およそ10、典型的にはおよそ1~およそ5CpまたはmPa.sであり得る。
【0057】
本発明に係る組成物は、あらゆるテキスタイルに適用され得る。本発明の意味合いにおける「テキスタイル」なる用語は、連続モノフィラメントヤーン、連続マルチフィラメントヤーン、ステープルファイバ、モノフィラメントおよび/もしくはマルチフィラメント連続ヤーンまたはチョップドヤーンの任意のアセンブリ、特にウイック、従来の撚合技術によってこのようなヤーンから形成されたコードおよび、特にファブリック、グリッドなどの形をした撚合されたまたはケーブル化されたヤーンのアセンブリから形成された「テキスタイル構造体」を意味するものとして理解される。本発明に係る組成物で処理された本発明のテキスタイルは、「強化テキスタイル」なる表現によって呼称される。
【0058】
テキスタイルは、本質的に有機または無機であり得る。テキスタイルのタイプとしては、特にガラス(特にEガラスまたは高弾性ガラス)、玄武岩、炭素、アラミド(メタまたはパラ)、ポリビニルアルコール、セルロース、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート、PET)、ポリアミド(PA、特にPA4.6、PA6.6、PA6)、アクリル、ハイブリッド(共にケーブル化されたアラミドヤーン+ナイロンヤーン;共にケーブル化されたアクリル+ガラス+銅)などに言及することができる。テキスタイルが、複数のヤーンのコードまたはテキスタイル構造体である場合、ヤーンは全て、本質的に有機または無機であり得るか、またはコードまたはテキスタイル構造体は、有機および無機の両方のタイプのヤーンを含むことができる。
【0059】
本発明の対象は同様に、特にエラストマ材料との関係において、このようなテキスタイルに対してボンディング特性を付与するための、本発明に係るボンディング組成物の適用方法または使用にもある。この使用は、本発明に係るテキスタイルのボンディング方法という用語に曲用され得る。この使用または方法には、テキスタイル(ヤーン、コード、テキスタイル構造体)に対して前記組成物を適用し、その後それを乾燥させるステップが含まれる。この適用は、以下で説明するように、コーティングのために業界で使用中の方法、特に含浸によって実施可能である。ラテックスひいては構成成分であるエラストマの選択は、有利には、処理すべきゴムを構成するエラストマの性質に類似する調合に片寄る傾向がある。
【0060】
一実施形態において、テキスタイルの含浸は、接着剤調製物の含有されたタンク内への「浸漬」によって行なわれる。
【0061】
ヤーン、コードおよびケーブルには、特に、ボンディング組成物を適用するために、タンク内での直接的浸漬またはキスロールを用いた含浸のいずれかを施すことができる。浸漬または含浸の後、余剰の湿潤調製物は好ましくは、例えばプレス(パディング)、スピナレットダイ、吸引または発泡材などの多孔質支持体間の物理的圧縮によって除去される。浸漬または含浸、そして場合によっては余剰の調製物の最終的除去の後、ボンディング組成物の乾燥および熱硬化が次に実施される。こうしてコーティングされた含浸テキスタイルを、オーブン内に通過させて、ボンディング組成物の乾燥および架橋を可能にすることができる。オーブンから取出した後、テキスタイルは再度、含浸ステップ(キスロールによる含浸または浸漬による)を受け、その後、オーブン内を通過することができ、これらのステップは、特に最高で合計4回の含浸まで(2、3または4回)、反復可能である。
【0062】
鉱物繊維(ガラス、玄武岩、炭素など)に特に好適である別の含浸方法においては、マルチフィラメントヤーンの含浸前にコームおよび/または「ピグテイル」で構成された束解きシステムを使用することができる。これにより、徹底的な含浸を促進するためのマルチフィラメントヤーンの最大限の開繊が可能となる。上述の通りのキスロールを用いた含浸または浸漬の後、余剰の湿潤調製物は好ましくは、例えばプレス(パディング)、吸引または発泡材などの多孔質支持体間の物理的圧縮によって除去される。浸漬または含浸、そして場合によっては余剰の調製物の最終的除去の後、ボンディング組成物の乾燥および熱硬化が次に実施される。こうしてコーティングされた含浸ヤーンを、オーブン内に通過させて、ボンディング組成物の乾燥および架橋を可能にすることができる。オーブンから取出した後、ヤーンは再度、含浸ステップ(キスロールによる含浸または浸漬による)を受け、その後、オーブン内を通過することができ、これらのステップは、特に最高で合計4回の含浸まで(2、3または4回)、反復可能である。
【0063】
ヤーンの含浸、乾燥および熱硬化の後、ヤーンは次にライン内で撚合される。ケーブル化は、好ましくは、すでに処理されたヤーンに対して実施されるが、最初にケーブル化を行ない、その後含浸、乾燥および熱硬化ステップを行なうことも同様に可能である。さまざまな異なる方法において、速度は1m/min~150m/minの範囲内であり得、オーブンの温度は30℃~350℃、より具体的には100~300℃、さらに一層具体的には140~220℃の範囲である。プロセス全体を通してテキスタイルに機械的張力を加えることもできる。
【0064】
一実施形態は、伝動ベルトまたはコンベヤベルトなどのアセンブリ内に組込むためのテキスタイル強化材の生産に関する。この目的で、例えばPA4~6などのポリアミド製コードが、撚合そして次にケーブル化によって構築される。得られたコードは任意かつ有利には、フィラメントを相互にブロックしてヤーンにほつれ耐性を付与し、こうして同様にヤーンに剛性を与えるように意図された第1のコア含浸プロセスによって処理されてよい。これは、トルエン中のメチレンジフェニルジイソシアネート溶液を用いて行なうことができ、含浸されたコードは次に、オーブン内での乾燥および熱硬化を受ける。コードはその後、本発明の接着剤組成物を含有するタンク内で含浸され、その後オーブン内で乾燥および熱硬化させられる。
【0065】
別の実施形態は、窓または扉のシールなどの形材およびシール内に組込むためのテキスタイル強化材の生産に関する。このような強化材は特に、接着剤組成物が相容性を有するべき、ガラス繊維サイズ剤を含有するガラスヤーンで作られていてよい。ガラスヤーン(特にE-ガラス)から始めて着手することが可能であり、このガラスは、束解きプロセス(前出)および本発明のボンディング組成物を含有するタンク内での含浸プロセスに付される。含浸されたヤーンは、オーブン内で乾燥および熱硬化に付された。オーブンから取出した後、ヤーンは撚合作業を受ける。複数、例えば3本の含浸された撚合ヤーンを次に共にケーブル化することができる。
【0066】
別の実施形態は、ブレーキパイプ内の編組、コイル、ラップまたはニット強化材として役立つように設計されたテキスタイル強化材の生産に関する。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはポリアミドなどの有機材料製のヤーンから始めることが可能である。好ましくは、それらに対して撚合が加えられる。好ましくは撚合ヤーンは、本発明のボンディング組成物内での含浸、次にオーブン内での乾燥および熱硬化による処理に付される。
【0067】
この実施形態の一変形形態として、類似のヤーンから始めて、その後、連続する撚合とその後のケーブル化のステップを用いてコードを構築することが可能である。得られたコードは、例えばトルエン中のメチレンジフェニルジイソシアネート溶液を用いることによって、フィラメントを相互にブロックしヤーンにほつれ耐性を付与し、こうして同様にヤーンに剛性を与えるように意図された第1のコア含浸プロセスによって処理される;コードは次に、オーブン内での乾燥および熱硬化を受ける。得られたコードはその後、本発明のボンディング組成物中での含浸、そして次にオーブン内での乾燥および熱硬化によって処理される。
【0068】
使用または方法に関連する他の特徴は、残りの説明を読むことで明らかになるものである。
【0069】
本発明の対象は同様に、本発明に係るボンディング組成物でコーティングおよび/または含浸された強化テキスタイルにもある。本発明の目的は、特にボンディング組成物でコーティングおよび/または含浸され本明細書中に記載の方法を実装することによって得ることのできる強化テキスタイルである。それは同様に、前記テキスタイルに対して接着剤組成物を適用することによって、強化テキスタイルを生産する目的でテキスタイルを処理するためのテキスタイル処理方法にも関する。
【0070】
本発明の対象は特に、本発明に係るボンディング組成物でコーティングおよび/または含浸されたヤーンにある。ヤーンは、撚合ヤーンであってよく、撚合は、組成物の適用およびその乾燥および/または硬化の前または後に行なわれてよい。ヤーンがマルチフィラメントである場合、それはコアまで完全に含浸され得、これは、必要であれば、組成物での含浸前にヤーンを分割すること(当業者にとって公知の手段によるフィラメントの離隔)によって得ることができたと考えられる。このヤーンは特に、硬化したボンディング組成物(乾燥および/または架橋された)を含むかまたは、この硬化したボンディング組成物でコーティングされ得る。
【0071】
本発明の対象は同様に、本発明に係るボンディング組成物でコーティングおよび/または含浸されたコードにもある。このコードは特に、硬化したボンディング組成物(乾燥および/または架橋された)を含むかまたはこの硬化したボンディング組成物でコーティングされ得る。
【0072】
コードは、接着剤組成物でコーティングまたは含浸されていない少なくとも2本のヤーンから形成されてよい。概して各ヤーンは、最初に撚合され、次にヤーンはケーブル化され(共に集合させられ、基本ヤーンの撚合の方向とは反対の方向に撚合され)、その後コードは、接着剤組成物で含浸され、この組成物は適用後に硬化させられる。
【0073】
コードは、接着剤組成物でコーティングまたは含浸された少なくとも2本のヤーンの集合によって形成されてもよい。概して各ヤーンは、組成物の凝固の後に撚合され、その後ヤーンはケーブル化され(共に集合させられ、基本ヤーンの撚合の方向とは反対の方向に撚合され);他の処理プロセス(「オーバーコート」または「トップコート」)と併せたコードのためのコーティングプロセス、およびその乾燥を提供することが可能である。
【0074】
本発明の対象は同様に、製織などの公知の技術またはグリッドの場合には糊着または接合によってヤーンを集合させることによって形成されるテキスタイル構造体にもある。これらのテキスタイル構造体は、本発明の組成物でコーティングまたは含浸され、本発明は、硬化したボンディング組成物でコーティングされたこのようなテキスタイル構造体を網羅する。
【0075】
ボンディング組成物は、RFLのために使用される方法によって、本発明の意味合いにおけるテキスタイルに適用され得る。含浸、直接的浸漬またはキスロールによる、を最初に選定すべきである。
【0076】
本発明の対象は同様に、本発明に係る少なくとも1つの強化テキスタイル、特にヤーン、コードおよび/またはテキスタイル構造体を含む、ゴム製の(またはゴム製の部分を含む)物品または部品にもある。この強化テキスタイルは、特に、物品または部品の表面に適用されかつ/または物品または部品の内部に一体化され得る。
【0077】
これまで述べられてきた通り、ゴムは、天然または合成エラストマ、例えば加硫(架橋)天然ゴム(NRまたはポリイソプレン)、または合成、加硫(架橋)ゴムなどをベースとする加硫可能な調合物である。合成ゴムの例としては、ポリブタジエン(BR)、ポリウレタン(AUまたはEU)、ポリクロロプレン(CR)、シリコーン(VMQ、PVMQ)およびフルオロシリコーン(FVMQ)、エチレン-プロピレン-ジエンモノマ(EPDM)、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマ(NBRすなわちニトリルブタジエンゴム)、水素化ブタジエン-アクリロニトリルコポリマ(HNBR)、スチレン-ブタジエンコポリマ(SBR)、エピクロロヒドリン(ECOまたはCO)、ブチル(IIR)、ブロモブチル(BIIR)、クロロブチル(CIIR)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、カルボキシル化ニトリルブタジエンアクリロニトリル(XNBR)、エチレンとメチルアクリレートのコポリマ(AEM)、エチレンと酢酸ビニルのコポリマ(EVMおよびEVA)、ポリアクリレート(ACM)、フッ素化ゴム(FKM)、ペルフッ素化ゴム(FFKM)のゴムを挙げることができる。
【0078】
ゴムは、同様に、このようなエラストマガムの混合またはカットに基づく加硫可能な調合物であってもよい。
【0079】
ゴムは同様に、熱可塑性エラストマ(いわゆる「物理的架橋」エラストマ、例えばSBS、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックなど)をベースとする調合物でもあり得る。
【0080】
本発明の対象は、特に[エラストマまたはゴムでできたそのマスの内部に埋込まれているか、または表面と同一平面にある状態で]本発明にしたがってボンディングされた強化テキスタイル、例えば個別であるかまたはケーブル化されているか、あるいはそうでなければテキスタイル構造体の形に集合させられ得る、またはこれらのカテゴリのうちの2つ以上のカテゴリのものである1つまたは複数のヤーン、を含むエラストマまたはゴム製の物品または部品である。
【0081】
「ボンディングされた」なる用語は、特に、強化テキスタイルが硬化した(乾燥および/または架橋された)ボンディング組成物を含むかまたは硬化したボンディング組成物でコーティングされていることを標示するものとして理解される。
【0082】
本発明の対象は同様に、エラストマまたはゴムでできたそのマスの内部に埋込まれた状態で、個別であるかまたはケーブル化されているかあるいはテキスタイル構造体の形に集合させられ得る、またはこれらのカテゴリのうちの2つ以上のカテゴリのものである1つまたは複数のヤーンを含む、エラストマまたはゴム製の、そしてこれに加えてこのエラストマまたはゴム材料の少なくとも1つの表面に対しボンディングまたは接着された状態で本発明に係るテキスタイル構造体を含み、ここでこれらの強化テキスタイルが本発明にしたがって接着されている、物品または部品にある。
【0083】
物品としては、網羅的ではないが、本発明にしたがって接着またはボンディングされた少なくとも1つの強化テキスタイル、特に、接着する物品の表面上に適用されるおよび/または物品のエラストマ材料の内部に一体化される本発明のボンディング組成物で処理されたヤーン、コードまたはテキスタイル構造体を組込むことのできる、以下に列挙する物品に言及することができる;
- ベルト、特に伝動ベルト、シンクロベルト、コンベヤベルト、エレベータベルト、Vベルト。ベルトは、エラストマまたはゴムのマス中に埋込まれたヤーンまたはコードを含み得る。これらのベルトは同様に、ヤーンおよびコードの代りにまたはこれらに加えて、表面、例えば伝動ベルトでは背面および分配ベルトについては背面およびノッチに接着するテキスタイル構造体、特にファブリックをも含み得る。
- 可撓性または剛性ホース、特にブレーキホース(一重または二重編組のいずれかの編組テキスタイル構造体を含む)、ホース、オイルおよびガスホースを含めた工業用ホース(ラップされたまたはスパイラル状のテキスタイル構造体、すなわちラップまたはスパイラル加工によって製造されたテキスタイル構造体を含む)、ホース(ニットテキスタイル構造体)。
編組、スパイラル加工、ニット加工は、概して、押出し加工によるパイプの実装中に実施される。
- 特殊品目:空気ばね(「エアスプリング」)、動的カップリングディスク、パイププラグ、補償/オフセットシール。
- タイヤ:特に重量物運搬車およびレーシング用。
【0084】
これらの物品用のゴム組成物の例として含まれるのは、以下のものである:伝動ベルト:EPDMまたはCRベース;シンクロベルト:HNBRおよびCRベース;ホース:SBRまたはEPDM、またはNBR/PVCブレンドまたはエピクロロヒドリンまたはブチルベース;エアスプリング:CRベース;動的ディスク:CRまたはNRベース;タイヤ:NR、BRまたはSBRベースの複数の混合物を含む厚い部品。
【0085】
本発明は、再生可能な非食品原料の回収に統合されるという利点を有する。本発明は、現在木材および製紙産業からの廃棄物であるリグニンの回収を可能にする。この化合物は、完全に無害で、コストが低く、性能が高い。この状況下でのその使用は、食品市場に競合するものではなく、化学製品に対する規制の対象とはならない。これは農業資源である。
【0086】
ここで、非限定的例として考慮に入れられる実施形態を用いて、本発明についてさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0087】
第I部 リグノスルホン酸塩とエポキシ硬化剤を含む調合物の調製(2成分例)
熱硬化性材料の架橋または「焼成」現象、すなわち反応生成物を結果としてもたらす3次元共有結合網の形成には、熱の放出が伴う。したがって、熱硬化性材料の架橋を特性評価するためには、従来、示差走査熱量計(DSC)が使用される。これは、未焼成の熱硬化性材料を制御された温度勾配に付し、その後、結果としての発熱ピークの場所、サイズおよび形状を分析することによって達成される。
【0088】
数グラムのリグノスルホン酸ナトリウム(Arbo N18;Tembec N18)とエポキシ硬化剤(1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル)を、周囲温度でフード下のアルミニウムカップ内で2分間均質化する。リグノスルホン酸塩/エポキシ硬化剤の質量比は、精確に1である。その後、数ミリグラムのこの組成物を、直径43mmおよび深さ12mmのアルミニウム製るつぼ内に封入する。その後、METTER TOLEDO社製DSC3+STAReSYSTEMなるDSC設備内に試料を置き、毎分80mlの窒素流の下において毎分10℃で25~300℃の温度勾配に付す。試料が受ける総エンタルピ変動は、STAR SW14.00ソフトウェアを用いて、発熱ピーク下の表面積を積分することによって記録され、その後J・g-1に正規化される。架橋反応速度が最大である℃単位の焼成温度は、±1℃の精度で発熱ピークの最大ピーク(peakmax)で測定される。
【0089】
同じ方法は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル;ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート;3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;グリセロールジグリシジルエーテル;グリセロールトリグリシジルエーテル;製品番号GE100としてRaschig社から市販されているグリセロールジグリシジルエーテルとグリセロールトリグリシジルエーテルの混合物;製品番号Araldite(登録商標)PZ323としてHUNTSMAN社から市販されているノボラック型エポキシ樹脂を含有する他の組成物を生成するために適用される。
【0090】
同じ方法は、リグノスルホン酸ナトリウムのみを含有する他の試料を生成するために適用される。
【0091】
同じ方法は、エポキシ硬化剤のみを含有する他の試料を生成するために適用される。
【0092】
【0093】
リグノスルホン酸塩のみを含有する対照試料について測定された発熱エネルギの変化が100%に正規化されている。
【0094】
エポキシ硬化剤のみを含有する組成物(リグノスルホン酸塩/硬化剤質量比0)は、リグノスルホン酸塩対照との関係において0~33%といった、ゼロのまたは低い発熱変動を示す。
【0095】
リグノスルホン酸ナトリウムとエポキシ硬化剤を含有する組成物(リグノスルホン酸塩/硬化剤質量比1)は、リグノスルホン酸塩対照との関係において595~1199%の発熱エネルギ変動を示す。対照との関係におけるこの高い発熱変動は、熱硬化性材料の架橋または「焼成」の現象の特徴である。リグノスルホン酸塩に対するエポキシ硬化剤の役割がここで明確に判明している。
【0096】
例
第II部:接着剤調合物の調製例
この部で説明される定義および測定または制御方法は、概して、別段の規定のないかぎり、要望に応じて適用可能である。
【0097】
調製物の乾燥抽出物(または質量濃度)は、定義された乾燥方法にしたがって揮発性材料(水、溶媒)を蒸発させた後の残留乾燥物質の百分率として定義される。質量mech=2~5グラムで採取した湿潤試料について、乾燥器天秤を用いて分析を実施する。表面密度52.g・m-2、閾値1.6μmの、結合剤を含まないガラス繊維フィルタを格納する予め風袋計量したアルミニウムカップ内に試料を置く。その後、質量が完全に安定化するまで、全体を120℃の温度に付す。結果は%単位で表現される。
【0098】
調製物の粘度を、ブルックフィールド粘度計を用いて23℃で測定する。別段の規定のないかぎり、ULA(Ultra Low Viscosity Adaptator)モジュールおよびNo.1モバイル(低粘度系)を用いて60rpm(毎分回転数)の速度で測定を行なう。
【0099】
緩衝溶液を用いる塩基性媒体中での測定のために較正したMETLER340pH計を使用して、水性調製物のpHを測定する。ガラス電極と3MのKCl電解質を使用する。
【0100】
別段の記述のないかぎり、調製物を作るために使用される水は、70μS/cm未満の残留伝導度の逆浸透品質の水である。
【0101】
例C.II-1:リグノスルホン酸ナトリウムとエポキシ硬化剤をベースとする接着剤の調製
本発明の第1の実施形態においては、64.2gのリグノスルホン酸ナトリウム(Arbo N18;Tembec)を撹拌しながら1184gの水中に溶解させる。次に、溶液に対し10質量%の水酸化ナトリウム溶液2.5gを添加し、これを10分間、撹拌下に維持して、完全に可溶化させる。この溶液を、983gのスチレン-ブタジエン-ビニルピリジンコポリマラテックス(VPSBR)に撹拌しながら添加する。硬化剤調製段階の間、全体を撹拌(150rpm)下に維持する。
【0102】
35gのGE100を取り、230グラムの水と共に勢いよく撹拌する(300rpm)。この溶液をリグノスルホン酸塩とラテックスの調製物に添加する。完全に均質化するまで数分間、撹拌を維持する。
【0103】
調製物は、10.8のpH、19.43%の乾燥抽出物(固体含有率)および2.45mPa.sの粘度を有する。
【0104】
同じ方法を適用して、以下のパラメータを変動させることにより他の2つの組成物を生成した:
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:56%~116%
[リグノスルホン酸塩+硬化剤]/ラテックスの質量比:18%~21%
組成物中の乾燥ラテックスの質量%:80~84%。
【0105】
合計、3つの組成物を生成した。
【0106】
例C.II-2:リグノスルホン酸ナトリウム接着剤およびエポキシ硬化剤を調製するための第2の調製方法
本発明の第2の実施形態においては、容器内に34.8gのリグノスルホン酸ナトリウムを導入し、782gの水を徐々に添加する。溶液を200rpmで撹拌する。その後、10質量%の水酸化ナトリウム溶液20gと、20質量%のアンモニア100.7gを、調製物に、撹拌しながら連続的に添加する。混合物を200rpmで10分間撹拌する。
【0107】
スチレン-ブタジエンコポリマのラテックス調製物(SBR湿潤ラテックス;946g)および157gの先に均質化した水に、撹拌しながらリグノスルホン酸ナトリウムの塩基性溶液を添加する。
【0108】
75.5gのGE100を勢いよく(300rpm)撹拌し、383.75グラムの水をそれに添加する。このエマルジョンを直ちにリグノスルホン酸塩とラテックスの調製物に、撹拌しながら添加する。完全に均質化するまで数分間、撹拌を維持する。
【0109】
調製物は、12.2のpH、19.9%の乾燥抽出物および2.7mPa・sの粘度を有する。
【0110】
同じ方法を適用して、以下のパラメータを変動させることにより別の組成物を生成した:
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:217%~218%
[リグノスルホン酸塩+硬化剤]/ラテックスの質量比:21%~29%
組成物中の乾燥ラテックスの質量%:78%~82%。
【0111】
合計、2つの組成物を生成した。
【0112】
例C.II-3:リグノスルホン酸ナトリウムとエポキシ硬化剤をベースとする接着剤を調製するための第3の調製方法
本発明の第3の調製方法においては、955gの水中に撹拌しながら19gのリグノスルホン酸ナトリウムを溶解させ10質量%の水酸化ナトリウム溶液19gを添加することによって、リグノスルホン酸ナトリウムの塩基性溶液を調製する。完全に可溶化させるため、10分間200rpmの撹拌下に調製物を放置する。
【0113】
容器内に167gの水を導入することにより、塩基性ラテックス分散体を調製し、その後これを200rpmで撹拌する。その後、1049gのスチレン-ブタジエンコポリマラテックス(SBR)、次に20質量%のアンモニア溶液25gを連続して導入する。その後、塩基性リグノスルホン酸塩溶液をラテックス分散体に対して撹拌しながら添加する。
【0114】
49gのGE100を勢いよく(300rpm)撹拌し、216グラムの水をそれに添加する。この溶液を直ちにリグノスルホン酸塩とラテックスの調製物に対して撹拌しながら添加する。完全に均質化するまで数分間、撹拌を維持する。
【0115】
調製物は、12.25のpH、18.33%の乾燥抽出物および2.25mPa・sの粘度を有する。
【0116】
同じ方法を適用して、以下のパラメータを変動させることにより他の2つの組成物を生成した:
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:255%~516%
[リグノスルホン酸塩+硬化剤]/ラテックスの質量比:16%~46%
組成物中の乾燥ラテックスの質量%:68%~86%。
【0117】
合計、3つの組成物を生成した。
【0118】
例C.II-4:リグノスルホン酸カリウムとエポキシ硬化剤をベースとする接着剤を調製するための第4の調製方法
この調製方法においては、94.5gのリグノスルホン酸カリウム水溶液と63.7gのGE100を混合する。その後、勢いよく撹拌しながら混合物に1794.8gの水を注ぎ込む。その後、10質量%の水酸化ナトリウム溶液33gと20質量%のアンモニア溶液166.6gを、撹拌しながら調製物に連続して添加する。混合物を10分間撹拌下に放置し、その後、水(176g)中のクロロプレンラテックス(湿潤ラテックスCR;1004g)に対し撹拌しながら添加する。
【0119】
調製物は、12.69のpH、19.58%の乾燥抽出物および2.45mPa・sの粘度を有する。
【0120】
同じ方法を適用して、以下のパラメータを変動させることにより他の2つの組成物を生成した:
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:33%~134%
[リグノスルホン酸塩+硬化剤/ラテックス]の質量比:20%~47%
組成物中の乾燥ラテックスの質量%:65%~79%。
【0121】
合計、3つの組成物を生成した。
【0122】
例C.II-5:リグノスルホン酸カリウムとエポキシ硬化剤をベースとする接着剤を調製するための第5の調製方法
この調製方法においては、94.5gのリグノスルホン酸カリウム水溶液と63.7gのGE100を混合する。その後、勢いよく撹拌しながら混合物に1794.8gの水を注ぎ込む。その後、10質量%の水酸化ナトリウム溶液33gと20質量%のアンモニア溶液166.6gを、撹拌しながら調製物に連続して添加する。混合物を10分間撹拌下に放置し、その後、水(176g)中のクロロプレンラテックス(湿潤ラテックスCR;1004g)の分散体に、撹拌しながら添加する。
【0123】
この調製物1306gを採取し、撹拌しながら996gの水中に希釈する。次に、55質量%の酸化亜鉛水分散体36g、35質量%のカーボンブラック水分散体78g、および接着促進剤(ブロックイソシアネート)83gを、穏やかに撹拌しながら連続して添加する。
【0124】
調製物は、12.32のpH、14.1%の乾燥抽出物および1.95mPa・sの粘度を有する。
【0125】
同じ方法を適用して、以下のパラメータを変動させることにより他の2つの組成物を生成した:
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:33%~135%
[リグノスルホン酸塩+硬化剤]/ラテックスの質量比:20%~47%
組成物中の乾燥ラテックスの質量%:48%~59%。
【0126】
合計、3つの組成物を生成した。
【0127】
これらの例の組成物は、強化テキスタイルの処理に関する部において使用される。
【0128】
第III部- 強化テキスタイルの処理
この部で説明される定義および測定または制御方法は、概して、別段の規定のないかぎり、要望に応じて適用可能である。処理されたテキスタイルの機械的特性、例えば破断時引張強さ、破断時引張伸び、収縮(shrinkage)、温度収縮、収縮(contraction)(蒸気収縮)、温度収縮力、線形重量、荷重速度(ディップピックアップ;DPU)、剛性などは、テキスタイル業界において有効な規格にしたがって測定される。本発明に関連して、新規の処理が、標準的RFLに比べた、これらの特性のいかなる変更ももたらさないことが確認されている。
【0129】
本発明の接着剤調製物は、その接着性能について評価される。テキスタイルのコーティング後、このテキスタイルを未加硫ゴムマトリクス内に置き、ゴムと接触しているテキスタイルの表面がいかなる汚染も受けない状態にとどまるようにする。その後、テキスタイルを含有するマトリクスを、各ゴムに特有の温度、時間および圧力に応じて圧縮により加硫する。テキスタイル+加硫マトリクスの集合体は、接着試験片を形成する。
【0130】
接着試験片は、ISO36:2017などのさまざまな国際規格中に記載の複数の形態をとることができる。試験片ひいては接着を決定するために実施される試験は、当業者にはT試験(「プルアウト試験」、ASTM D2229-04)、H試験(NF ISO4647規格またはASTM D4776-04に準じる)、剥離(剥離試験)、などの名称で一般的に知られている。次に、テキスタイルの引裂またはゴムマトリクスの引裂の界面接触ゾーンが破壊するまで、供試体に応力を加えることによって、試験を実施する。その後、破断時のテキスタイルの外観、場合によっては試験片の厚みに帰着させられる最大接着力、平均引裂力などの基準にしたがって、接着を評価する。
【0131】
含浸方法についての一般情報
概して、テキスタイル含浸方法は、接着剤調製物を格納するタンク内での浸漬(dipping、soaking)によって実施される。このような方法のスキームは、Gomes A.、Nabih N.、Kramer T、Adhesion activation of tire textiles by resorcinol formaldehyde free coatings、Rubber World、March 2016に例示されている。
【0132】
未処理のヤーン、コードおよびケーブルのコイルは、ライン入口にあるクリール上に位置付けされている。任意にはアキュムレータシステムを使用してもよい。ボンディング組成物の適用のためにヤーン、コードおよびケーブルをタンク内に直接浸漬するかまたはキスロールで含浸させることができる。浸漬または含浸の後、余剰の湿潤調製物を、好ましくは、例えばプレス(パッディング)、吸引または発泡により除去する。
【0133】
次に、ボンディング組成物の乾燥および/または架橋を実施する。こうして、コーティングされた含浸済みテキスタイルを、オーブン内に通過させることができ、ボンディング組成物の乾燥および架橋を可能にする。オーブンから取出した後、テキスタイルに対して再度含浸ステップ、次にオーブン内通過を行なうことができ、これらのステップは、特に最高合計4回の含浸(2、3または4回)まで反復可能である。ラインを離れた後、ヤーン、コードまたはケーブルを巻取り機上に収容することができる。
【0134】
鉱物繊維(ガラス、玄武岩、炭素など)に特に好適である別の含浸方法では、コームおよび/または「ピグテイル」で構成された束解きシステムをクリールの出口において使用することができる。これにより、マルチフィラメントヤーンを最大限に開繊することが可能となり、徹底的な含浸が促進される。含浸および乾燥および/または架橋ステップの後、次にヤーンをライン内で撚合する。撚合は好ましくは、すでに処理されたヤーンについて実施する。このように形成したコードに対して、追加の処理プロセスを実施することができる。
【0135】
さまざまな異なる方法において、速度は、1m/min~150m/minの範囲内であり得、オーブンの温度は30℃~350℃、より具体的には100~300℃、さらに一層具体的には140~220°の範囲内である。機械的張力をテキスタイルに適用することも同様に可能である。別段の指示のないかぎり、以下の例においては、RFLでの処理の間に適用されるものと同一の条件下で本発明の対象であるボンディング組成物でテキスタイルを処理した。
【0136】
例III-1:ベルト用の処理したポリアミド4~6強化材
本発明の1つの調製例において、発明者らは、伝動ベルトまたはコンベヤベルトなどのアセンブリ内の強化材として使用可能であり得る1つの解決法を提示することを目指している。
【0137】
この目的で、撚合そして次にケーブル化という連続したステップを用いて、470/5×3dtex(100/125)構成のPA4~6で作られたコードを構築した。得られたコードを、トルエン中のメチレンジフェニルジイソシアネートの溶液中での第1の含浸によって処理し、その後、オーブン内での乾燥および熱硬化に付した。次に、通常適用されるRFL処理の代りに、20質量%の乾燥物質濃度の本発明のボンディング組成物(接着剤)を格納するタンク内でコードに含浸させた。得られたさまざまな異なる接着剤で含浸されたさまざまな異なるヤーンを、過酸化物で加速したEPDM(エチレン-プロピレンジエンモノマ)をベースとする混合物に対する接着について評価した。試験片を圧縮成形によって作製した。同じ条件下で作製されたRFLで含浸されたヤーンにより、対照接着値を得ることが可能となった。得られた接着値は、表2に提示され、対照RFLヤーンで得た接着との関係における接着%として表現されている。
【0138】
例III-2;形材用の処理したガラス強化材
本発明の1つの調製例において、発明者らは、窓または扉のシールなどのシールおよび形材中の強化材として使用可能であり得る1つの発明を提示することを目指している。このような強化材は、ボンディング組成物と相容性を有していなければならないガラス繊維サイズ剤を含むガラスヤーンでできている。
【0139】
これを行なうために、136tex強度のいくつかのEガラスヤーンを、束解きプロセス、およびRFLに代わって本発明のボンディング組成物(接着剤)を格納するタンク内での含浸に付した。この例では、20%の質量濃度を有する接着剤を評価した。含浸したヤーンをオーブン内で乾燥および熱硬化に付した。オーブンから取出した後、ヤーンを撚合作業に付して、Z方向で1メートルあたり135回旋の撚合をヤーンに付与した。次に、3本の含浸した撚合ヤーンを135Sレベルにおいて一方向で共にケーブル化する。
【0140】
得られたさまざまな接着剤が含浸されたさまざまなヤーンを、従来押出し加工による作業で実施されているEPDMゴム混合物に対する接着について評価した。試験片を圧縮成形によって作製した。同じ条件下で生産されたRFLで含浸されたヤーンにより、対照接着値を得ることが可能となった。得られた接着値は表2に提示されており、対照RFLヤーンで得られた接着との関係における接着%として表現されている。
【0141】
例III-3:パイプ用の処理したポリエチレンテレフタレート強化材
本発明の別の調製例において、発明者らはブレーキパイプ内の編組、コイリング、ラッピングまたはニッティングされた強化材として使用可能である1つの解決法を提示することを目指している。
【0142】
例III-3(a):この目的で、1100dtex強度を有するポリエチレンテレフタレート(PET)ヤーンに対して、90Z撚合ヤーンを適用した。得られたヤーンを、本発明の対象であるボンディング組成物(接着剤)中での含浸プロセス、次にオーブン内での熱硬化による処理に付した。この例中で使用した接着剤は、20%の乾燥物質または固体濃度を有する。接着剤で含浸したさまざまな異なるヤーンを、従来ブレーキパイプで使用される過酸化物で加速したEPDMゴムブレンドに対する接着について評価した。試験片を圧縮成形によって作製した。同じ条件下で作製されたRFLで含浸されたヤーンにより、対照接着値を得ることが可能となった。得られた値は、表2に提示され、対照RFLヤーンで得た接着との関係における接着%として表現されている。
【0143】
例III-3(b): 別の例において、撚合そして次にケーブル化という連続したステップを用いて、830/2×3dtex構成のコードを構築した。得られたコードを、トルエン中のメチレンジフェニルジイソシアネートの溶液中での第1の含浸によって処理し、その後、オーブン内での乾燥および熱硬化に付した。この例で使用したボンディング組成物(接着剤)は20%の乾燥物質または固体濃度を有する。接着剤で含浸したさまざまな異なるヤーンを、CRをベースとするゴム混合物に対する接着について評価した。試験片を圧縮成形によって作製した。同じ条件下で作製されたRFLで含浸されたヤーンにより、対照接着値を得ることが可能となった。得られた値は、表2に提示され、対照RFLヤーンで得た接着との関係における接着%として表現されている。
【0144】
【0145】
例C.11-1のさまざまな異なる接着剤で処理した例II1-1のポリアミド4~6コードは、RFLで含浸された対照ヤーンと比較してEPDMに対する満足のいく接着レベルを示した。得られた接着レベルならびに破断パターンの観察は、評価された接着剤がテキスタイルに適用された第1の含浸と相容性のあるものであることを示している。
【0146】
例C.II-2のさまざまな異なる接着剤で処理された例III-2のEガラスコードは、RFLで含浸された対照ヤーンと比較してEPDMに対する満足のいく接着レベルを示した。このレベルはRFLで得られたものよりも低いものであるが、適用の有効な性能を保証するのに充分な高さである。得られた接着レベルならびに破断パターンの観察は、評価された接着剤がガラスのサイズ剤と相容性あるものであることを示している。さらに、このように処理されたガラスヤーンは、視覚的損傷を全く示さず、加工ライン上に過度の汚染をひき起こすこともなかった。このことは、評価対象接着剤が、機械的保護特性を含めてRFLと同一の特性を付与する能力を有すること示している。
【0147】
例C.II-3の各々のさまざまな異なる接着剤で処理された例III-3(a)のPETヤーンは、RFLで含浸された対照ヤーンに比較してEPDMに対するより高い接着レベルを示した。例C.II-4の各々のさまざまな異なる接着剤で処理された例III-3(b)のPETヤーンは、RFLで含浸された対照ヤーンに比較してCR混合物に対する満足のいく接着レベルを示した。
【0148】
結論として、これらのさまざまな試験の結果は、本発明に係る接着剤組成物が、ホルムアルデヒドおよびレゾルシノールを含有する従来のRFL接着溶液の使用に対する非常に有利な代替案を構成するものであることを明らかに実証している。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
前記組成物の乾燥物質の質量含有率が
、およそ2~およそ38%、詳細にはおよそ4~およそ30%、より詳細にはおよそ7~およそ25%で
ある、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【国際調査報告】