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特表2022-554173エレベータ設備のレールシステムのコンソールを壁上に取り付けるための締結システム、レールシステム、および取付方法
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  • 特表-エレベータ設備のレールシステムのコンソールを壁上に取り付けるための締結システム、レールシステム、および取付方法 図1
  • 特表-エレベータ設備のレールシステムのコンソールを壁上に取り付けるための締結システム、レールシステム、および取付方法 図2
  • 特表-エレベータ設備のレールシステムのコンソールを壁上に取り付けるための締結システム、レールシステム、および取付方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(54)【発明の名称】エレベータ設備のレールシステムのコンソールを壁上に取り付けるための締結システム、レールシステム、および取付方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/02 20060101AFI20221221BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B66B7/02 E
F16B43/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523908
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2020079763
(87)【国際公開番号】W WO2021078866
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】19204909.6
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビュートラー,エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ロ・ヤーコノ,ロメオ
【テーマコード(参考)】
3F305
3J034
【Fターム(参考)】
3F305BD10
3J034AA02
3J034BA18
(57)【要約】
本発明は、とりわけ、エレベータ設備のレールシステム(102)のブラケット(100)を取り付けるための2つの締結要素(201)を有する締結システム(200)に関し、締結要素(201)は、貫通孔(203)を有する締付板(202)とアンカーボルト(206)を受容するための受容スリーブ(204)とを有し、受容スリーブ(204)は、アンカーボルト(206)用の貫通開口(208)を有し、角度的に可動の玉継手(212)が締付板(202)と受容スリーブ(204)との間に形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ設備のレールシステム(102)のブラケット(100)用の締結システム(200)であって、締結システムが、2つの締結要素(201)、アンカーボルト(206)、および少なくとも2つのナット(216)を備え、
エレベータ設備のレールシステム(102)のブラケット(100)を取り付けるための各締結要素(201)は、貫通孔(203)を有する締付板(202)とアンカーボルト(206)を受容するための受容スリーブ(204)とを有し、受容スリーブ(204)はアンカーボルト(206)用の貫通開口(208)を有し、角度的に可動の玉継手(212)は締付板(202)と受容スリーブ(204)との間に形成され、
アンカーボルト(206)は壁(502)内に係止されることができ、おねじ(210)を有し、ナット(216)はおねじ(210)に螺合されることができ、締結要素(201)は、アンカーボルト(206)上のナット(216)相互間に配置されることができ、ブラケット(100)は、締結要素(201)相互間に位置決めされ、位置合わせされ、かつクランプ締めされることができる、締結システム(200)。
【請求項2】
玉継手(212)の凹状当接部(510)は、締付板(202)の一方または両方内に形成され、玉継手(212)の凸状加圧片(512)は、受容スリーブ(204)の一方または両方上に形成される、請求項1に記載の締結システム(200)。
【請求項3】
凹状当接部(510)の一方または両方は、少なくともある領域においてほぼ半球形であり、かつ/または、凸状加圧片(212)の一方または両方は、少なくともある領域においてほぼ半球形である、請求項2に記載の締結システム(200)。
【請求項4】
アンカーボルト(206)が貫通開口(208)内に受容されるときに玉継手の角運動を可能にするために、締付板(202)の一方または両方を貫通する1つまたは複数の貫通孔(203)は、関連する受容スリーブ(204)の貫通開口(208)よりも大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載の締結システム(200)。
【請求項5】
締付板(202)の一方または両方の締付面(220)は、締付面の反対側の同じ締付板(202)の後側よりも実質的に大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載の締結システム(200)。
【請求項6】
締付板(202)の一方または両方は、12センチメートル~15センチメートルの直径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の締結システム(200)。
【請求項7】
締結システムはばね座金(508)をさらに備え、ばね座金(508)は、アンカーボルト(206)上のナット(216)の一方と締結要素(201)の一方との間に配置されることができる、請求項1~6のいずれか一項に記載の締結システム(200)。
【請求項8】
エレベータ設備用のレールシステム(102)であって、レールシステム(102)が、請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの締結システム(200)を使用して壁(502)に固着されるブラケット(100)を有し、ブラケット(100)は、壁(502)内に係止されたアンカーボルト(206)がそれを通って案内される少なくとも1つの開口部(104)を有し、開口部(104)は、アンカーボルト(206)の直径よりも位置決め公差(400)だけ大きく、開口部(104)の縁部(128)は、アンカーボルト(206)上に押し付けられる少なくとも2つの締結要素(201)の間にクランプ締めされ、締結要素(201)は、アンカーボルト(206)上にロックされる2つのナット(216)の間にクランプ締めされる、レールシステム(102)。
【請求項9】
ブラケット(100)は、壁(502)内に係止された別のアンカーボルト(206)がそれを通って案内される、少なくとも1つの別の開口部(104)を有し、別の開口部(104)の縁部(218)は、請求項1~6のいずれか一項に記載の2つの他の締結要素(201)の間にクランプ締めされ、他の締結要素が他のアンカーボルト(206)上に押し付けられ、他の締結要素(201)は、別のアンカーボルト(206)上にロックされる2つのナット(216)の間にクランプ締めされる、請求項8に記載のレールシステム(102)。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の締結システム(200)を使用してエレベータ設備のレールシステム(102)のブラケット(100)を壁(502)上に取り付ける方法であって、
アンカーボルト(206)は壁(502)内に係止され、
第1のナット(216)はアンカーボルト(206)のおねじ(210)に螺合され、
受容スリーブ(204)を有する第1の締結要素(201)は、受容スリーブ(204)が第1のナット(216)に当接するまでアンカーボルト(206)上に押し付けられ、
アンカーボルト(206)は、開口部(104)の縁部(218)が第1の締結要素(201)の締付板(202)に当接するまでブラケット(100)の開口部(104)を通って案内され、
締付板(202)を有する第2の締結要素(201)は、締付板(202)が縁部(218)に接触するまでアンカーボルト(206)上に押し付けられ、
締結要素(201)相互間にブラケット(100)をクランプ締めするために、第2のナット(216)はおねじ(210)に螺合され、
ブラケット(100)を位置合わせするために、ブラケット(100)と壁(502)との間の距離は、おねじ(210)上の第1のナットおよび第2のナット(216)を調整することによって設定され、ブラケット(100)の垂直および水平位置が、開口部(104)の寸法によって予め決定される位置決め公差(400)内でブラケット(100)を移動させることによって設定され、ブラケット(100)とアンカーボルト(206)との間の角度ずれ(504)は、玉継手(212)を回転させることによって補償され、
ナット(516)は、ブラケット(100)を締結要素(201)相互間に固定するために、位置合わせ後に所定の位置にロックされる、方法。
【請求項11】
ブラケット(100)は、少なくとも1つの位置合わせノッチ(106)を有し、ブラケット(100)は、ナット(216)をロックする前に位置合わせノッチ(106)および鉛直線を使用して位置合わせされる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ばね座金(508)は、第2の締結要素(201)と第2のナット(216)との間のアンカーボルト(206)上に配置され、ばね座金(508)は、締付板(202)相互間にブラケット(100)をクランプ締めするために、第2のナット(216)を予め締めることによって予張力を与えられる、請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ設備のレールシステムのブラケット(bracket)を壁上に取り付けるための2つの締結要素を有する締結システム、エレベータ設備用のレールシステム、およびエレベータ設備のレールシステムのブラケットを壁上に取り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラケットは、エレベータ設備のレールシステムのための下部構造の一部である。ブラケットは、コンソールと呼ばれることもある。複数のブラケットが、レールシステムの延在方向に沿って配置されることができる。ブラケットは、壁、例えばエレベータシャフトに締結される。レールシステムができるだけ真っ直ぐに構築されることができるように、ブラケットは組立中に複数の軸線で位置合わせされる。
【0003】
仏国特許発明第2996216号明細書は、壁取付式エレベータガイドの締結具を示している。
【0004】
位置合わせは、例えば、互いに螺合される要素の相対移動によって行われることができる。移動は、要素の少なくとも一方に位置合わせされるべき軸線に対して横方向に位置合わせされる少なくとも1つの細長い穴を用いて可能にされることができる。位置合わせされた要素の相対位置は、例えば、両方の要素を通じて挿入されたダウエルピンを使用して固定されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】仏国特許発明第2996216号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
とりわけ、改良された締結システム、改良されたレールシステム、およびエレベータ設備のレールシステムのブラケットを壁上に取り付けるための改良された方法が必要となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのような必要性は、独立請求項による、エレベータ設備のレールシステムのブラケットを壁上に取り付けるための2つの締結要素を有する締結システム、エレベータ設備用のレールシステム、および、エレベータ設備のレールシステムのブラケットを壁上に取り付ける方法を用いて満たされることができる。有利な諸実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、エレベータ設備のレールシステムのブラケット用の締結システムが提案され、締結システムは、2つの締結要素、アンカーボルトおよび、少なくとも2つのナットを備え、エレベータ設備のレールシステムのブラケットを取り付けるための各締結要素は、貫通孔を有する締付板とアンカーボルトを受容するための受容スリーブとを有し、受容スリーブはアンカーボルト用の貫通開口を有し、角度的に可動の玉継手が締付板と受容スリーブとの間に形成され、アンカーボルトは、壁内に係止されることができ、かつおねじを有し、ナットはおねじに螺合されることができ、締結要素は、アンカーボルト上のナット相互間に配置されることができ、ブラケットは、締結要素相互間に位置決めされ、位置合わせされ、かつクランプ締めされることができる。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、エレベータ設備用のレールシステムが提案され、レールシステムは、本発明の第1の態様による少なくとも1つの締結システムを使用して壁に固着されるブラケットを有し、ブラケットは、壁内に係止されたアンカーボルトがそれを通って案内される少なくとも1つの開口部を有し、開口部は、アンカーボルトの直径よりも位置決め公差だけ大きく、開口部の縁部は、本発明の第2の態様による2つの締結要素の間にクランプ締めされ、2つの締結要素はアンカーボルト上に押し付けられ、締結要素は、アンカーボルト上にロックされる2つのナットの間にクランプ締めされる。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、2つの締結要素を有する本発明の第1の態様による締結システムを使用してエレベータ設備のレールシステムのブラケットを壁上に取り付ける方法が提案され、締結要素はそれぞれ、貫通孔を有する締付板とアンカーボルト用の受容スリーブとを有し、受容スリーブはアンカーボルト用の貫通開口を有し、角度的に可動の玉継手が締付板と受容スリーブとの間に配置され、アンカーボルトは壁内に係止され、第1のナットがアンカーボルトのおねじに螺合され、受容スリーブを有する第1の締結要素は、受容スリーブが第1のナットに当接するまでアンカーボルト上に押し付けられ、アンカーボルトは、開口部の縁部が第1の締結要素の締付板に当接するまでブラケットの開口部を通って案内され、締付板を有する第2の締結要素は、締付板が縁部に接触するまでアンカーボルト上に押し付けられ、締結要素相互間にブラケットをクランプ締めするために、第2のナットがおねじに螺合され、ブラケットを位置合わせするために、ブラケットと壁との間の距離が、おねじ上の第1のナットおよび第2のナットを調整することによって設定され、ブラケットの垂直および水平位置が、開口部のサイズによって予め決定される位置決め公差内でブラケットを移動させることによって設定され、ブラケットとアンカーボルトとの間の角度ずれが玉継手を回転させることによって補償され、ナットは、ブラケットを締結要素相互間に固定するために、位置合わせ後に所定の位置にロックされる。
【0011】
本発明の諸実施形態の可能な特徴および利点は、とりわけ、本発明を限定することなく、以下に記載される概念および知見に基づくと考えられることができる。
【0012】
エレベータ設備は、乗客を実質的に垂直に移送する乗客移送設備とすることができる。エレベータ設備は、例えば、建物のエレベータシャフト内に配置されることができる。エレベータ設備は、建物の外側に配置されることもできる。エレベータ設備は、少なくとも1つの垂直に移動可能なかごを有することができる。かごは、建物の多くの階またはフロアの間で前後に移動されることができる。エレベータシャフトは、接続された階ごとに1つの着陸点を有することができる。かごは、建物に接続されたレールシステムによって案内されることができる。
【0013】
ブラケットは、レールシステムの構造要素とすることができる。ブラケットは、レールシステムのレールと建物との間に配置されることができる。ブラケットは、レールシステムの耐荷重要素とすることができる。レールシステムは、複数のブラケットを使用して建物の壁またはエレベータシャフトに接続されることができる。ブラケットは、レールシステムの横梁とすることができる。ブラケットは、金属材料で作られることができる。ブラケットは、例えば成形金属シートで作られることができる。ブラケットは、略U字形の輪郭を有することができる。レールシステムまたはエレベータ設備の他の構成要素は、ブラケットに固着されることができる。
【0014】
ここに提示された締結システムまたは、ここに提示された2つの締結要素を使用して、ブラケットは、壁内に係止されたアンカーボルトに接続されることができる。アンカーボルトは、その長さの大部分にわたっておねじを有することができる。おねじは、メートルねじとすることができる。アンカーボルトの外径が16ミリメートルの場合、おねじは、例えば、M16ねじとすることができる。ナットは、おねじに適合するめねじを有することができる。アンカーボルトは、壁の穴の中に締結される重負荷アンカーとすることができる。アンカーボルトは、少なくとも1つの拡張要素および拡張コーンを有することができる。拡張要素は、拡張コーン上を摺動し、穴の側面に押し付けられることができる。その結果、アンカーボルトは、特に壁に高張力を伝達することができる。拡張要素は、壁に当接するナットを締めることによって拡張されることができる。ナットと壁との間に座金が配置されることができる。代替的または追加的に、アンカーボルトは穴の中に接着されることもできる。
【0015】
締付板は円形とすることができる。締付板は、環状締付面を有することができる。アンカーボルト用の貫通孔の形をとる凹部が、締付面の中心に配置されることができる。締付面は平坦とすることができる。受容スリーブは、壁アンカーとして働くアンカーボルトに螺合されるナットのための接触面を有することができる。接触面は、貫通開口に対して横方向に位置合わせされることができる。貫通開口は、アンカーボルトのおねじよりもわずかに大きい直径を有することができる。玉継手の中立位置では、締付面は、貫通開口の中心軸線に対して垂直に位置合わせされることができる。
【0016】
ブラケットの開口部は、大きな穴とすることができる。開口部は、例えば円形とすることができる。開口部は、壁アンカーの直径よりも何倍も大きくすることができる。開口部は、ブラケットから打ち抜かれることができる。あるいは、開口部は、レーザ切断を用いてブラケットから切り取られることができる。アンカーボルトが開口部の中央に配置されると、開口部の縁部またはリムと壁アンカーとの間の距離が、距離の方向に位置決め公差を形成する。
【0017】
ブラケットは、アンカーボルトに螺合される2つのナットの間に保持された2つの締結要素の2つの締付板の間にクランプ締めされることができる。ブラケットの貫通孔を囲む縁部をクランプ締めするために、第2のナットは、最初は堅固に締め付けられない。縁部が締付面相互間にクランプ締めされると、締付面は低い締付け力によってブラケットに押し付けられるので、ブラケットは締結要素相互間で、位置決め公差内で動かされることができる。
【0018】
玉継手は、少なくとも2つの空間方向に互いに相対的に移動することができる2つの接合面を有することができる。したがって、玉継手を形成する2つの構成要素は、異なる向きで互いに相対的に動かされることができる。接合面は、互いに相補的とすることができる。接合面は、同じ半径を有する球面のサブ領域として形状を定められることができる。サブ領域は、異なるサイズにすることができる。サブ領域は、同じサイズにすることもできる。玉継手は、例えば、受容スリーブと締付板との間に挿入されることができる。接合面は、互いに隣接する構成要素によって、すなわち、受容スリーブおよび締付板自体によって形成されることもできる。
【0019】
例えば、壁アンカーが壁内にある角度をなして係止されるために、角度ずれが生じる可能性がある。角度ずれは、壁の形状によって引き起こされる可能性もある。
【0020】
玉継手を回転させると、締結要素はブラケット上を摺動することができる。玉継手内の回転、開口部内の動き、およびアンカーボルトに沿った動きにより、ブラケットはすべての空間方向に位置合わせされることができる。
【0021】
ロックされると、アンカーボルトの同じおねじ上の少なくとも2つのナットが、異なる回転方向に互いに向かって動かされて、ナット相互間の距離を縮小する。ナット相互間に位置する締結要素とブラケットとが互いに押し付けられ、ブラケットが到達する位置および角度位置は、結果として生じる摩擦接続によって固定される。玉継手も互いに押し付けられ、したがってそれらの現在の角度位置に固定される。
【0022】
ブラケットは、少なくとも1つの位置合わせノッチを有することができる。ナットをロックする前に、ブラケットは、位置合わせノッチおよび鉛直線を使用して位置合わせされることができる。位置合わせノッチは、ブラケットの少なくとも1つの凹部および/または少なくとも1つの突出部によって形成されるマーキングとすることができる。位置合わせ中、位置合わせノッチは、例えば、レールシステムのレールが垂直にかつ一直線に延びるように、レーザ鉛直線からのレーザビームまたはコード鉛直線からのコードに位置合わせされることができる。
【0023】
締結システムは、少なくとも1つのばね座金を備えることができる。1つまたは複数のばね座金が、第2の締結要素と第2のナットとの間のアンカーボルト上に配置されることができる。ばね座金は、締付板相互間にブラケットをクランプ締めするために第2のナットを予め締め付けることによって予張力を与えられることができる。ばね座金は、弛緩状態で3次元の予変形を有する座金とすることができる。ばね座金は、例えば、溝付きであり、弛緩状態で螺旋形状を有することができる。あるいは、ばね座金の外縁が、ばね座金の内縁に対して曲げられることができる。予め締めると、ばね座金は、ばねのたわみによって少なくとも最小限に押しつぶされ、ばねのたわみによるこの変形に反力で反応する。締付板相互間でブラケットを移動させるのは、締付力が反力に対応するため、ばね座金によって単純化されることができる。
【0024】
玉継手の凹状当接部が、締付板内に形成されることができる。玉継手の凸状加圧片が、受容スリーブ上に形成されることができる。逆に、凹状加圧片が、受容スリーブ内に形成されることができ、凸状当接部が、締付板上に形成されることができる。したがって、玉継手は、締付板および対応する形状の受容スリーブによって形成されることができる。締結要素は、2つの部品のみからなることができる。当接部および加圧片はそれぞれ、球面のサブ領域を形成することができる。当接部および加圧片は、異なるサイズの球面のサブ領域を形成することができる。球面は同じ半径を有することができる。サブ領域はそれぞれ、球状層の表面に対応することができる。
【0025】
凹状当接部は、ほぼ半球形とすることができる。代替的または追加的に、凸状加圧片は、ほぼ半球形とすることができる。大角度調整範囲は、半球形状を用いて実現されることができる。例えば、±20°の角度調整範囲が実現されることができる。特に、±15°の角度調整範囲が実現されることができる。特に、±10°の角度調整範囲が実現されることができる。
【0026】
アンカーボルトが貫通開口内に受容されるときに玉継手の角運動を可能にするために、締付板を通る貫通孔は、受容スリーブの貫通開口よりも大きくすることができる。貫通孔は、締付面の凹部に対応することができる。貫通孔は、玉継手の当接部を締付面に接続することができる。貫通孔は、例えば、30ミリメートル~40ミリメートルの直径を有することができる。特に、貫通孔は、35ミリメートルの直径を有することができる。貫通孔は円錐形とすることができる。
【0027】
締付板の締付面は、締付板の締付面とは反対側の後側よりも有意に大きくすることができる。締付板の縁部は、ほぼとがっていることができる。締付板の側面は、締付面に対してある角度をなして位置合わせされることができる。側面は円錐台形とすることができる。側面が傾斜しているため、材料が節約されることができ、締結要素の重量は、必要に応じて減少させられることができる。
【0028】
締付板は、12センチメートル~15センチメートルの直径を有することができる。締付板の直径は、特に13センチメートルとすることができる。締付板の直径は、ブラケットの開口部の直径よりも有意に大きくすることができる。開口部は、例えば、10センチメートルの直径を有することができる。直径が大きいため、締付板は、開口部を通ってフィットすることはなく、位置決め公差のすべての位置で開口部の縁部に確実に当接する。極端な位置では、締付板は、縁部のサブ領域だけに当接することもできる。
【0029】
ブラケットは、壁内に係止された別のアンカーボルトがそれを通って案内される少なくとも1つの別の開口部を有することができる。別の開口部の縁部は、本発明の第2の態様による2つのさらなる締結要素の間にクランプ締めされることができ、さらなる締結要素はアンカーボルト上に押し付けられる。さらなる締結要素は、別のアンカーボルト上にロックされる2つのナットの間にクランプ締めされることができる。ブラケットは、少なくとも2つのアンカーボルトにおいて壁に接続されることができる。その結果、ブラケットは、回転しないようにされることができる。玉継手は、特に、ブラケットがすべての空間方向に位置合わせされることができるので、追加の締結点が不要にされることができることを意味する。
【0030】
本発明の可能な特徴および利点のうちのいくつかは、異なる実施形態を参照して本明細書に記載されている通りであることに留意されたい。当業者は、本発明の他の実施形態に至るために、取付け方法、締結要素、およびブラケットの特徴は、必要に応じて組み合わされる、適合される、または交換されることができることを認識する。
【0031】
本発明の諸実施形態が、添付の図面を参照して以下に記述され、図面も本明細書も、本発明を限定するものとして解釈されるためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】一実施形態によるレールシステム用のブラケットの立体図である。
図2】一実施形態による締結システムの断面図である。
図3】一実施形態による位置合わせ中の締結システムの立体図である。
図4】一実施形態によるレールシステムの位置合わせされたブラケットの図である。
図5】一実施形態による位置合わせされた締結システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面は単に概略的なものであり、原寸に比例して描かれてはいない。同一の参照符号は、様々な図面における同一または同等の特徴を指す。
【0034】
図1は、一実施形態によるレールシステム102用のブラケット100の立体図を示す。ブラケット100は、取り付けられていない状態で示されている。ブラケット100は、エレベータ設備のレールシステム102の横梁である。ブラケット100は、シートメタル製である。例えば、ブラケット100は、打ち抜き曲げ部品として設計される。ブラケットのシートメタルは、この場合、例えば5ミリメートルの厚さである。ブラケット100は、曲げ耐性を高めるために、略U字形またはC字形である。輪郭の結果として、ブラケットは、底面と、底面から同じ方向に曲げられた2つの側面とを有する。側面は、中央よりも両端部領域で低い高さを有する、すなわち、側面は丸みを帯びているかまたは弓形である。
【0035】
ブラケット100は、端部領域内に2つの開口部104を有する。開口部104は、ここでは円形であり、100ミリメートルの直径を有する。開口部100は、ブラケット100の底面に配置される。開口部104は、側面相互間の中央に配置される。
【0036】
側面の一方が、ブラケットから離れる方向を指すタブを有する端部領域のそれぞれに幅広面を有する。タブはそれぞれ、ブラケット100が主延在方向に対して横方向に位置合わせされる細長い穴を有する。
【0037】
一実施形態では、端部領域付近の側面はそれぞれ、位置合わせノッチ106を有する。端部領域の位置合わせノッチ106はそれぞれ、主延在方向に対して垂直な共通線上に配置される。位置合わせノッチ106は、ここでは、側面の縁部にU字形の溝として設計される。位置合わせノッチ106は、側面の縁部の上方に突起として設計されることもできる。
【0038】
図2は、一実施形態による、取り付けられた締結システム200の断面図を示す。締結システム200は、本発明の一態様による2つの締結要素201を備える。締結要素201は、図1の説明図に実質的に対応するブラケット100の底面の両側に配置される。締結要素201はそれぞれ、貫通孔203を有する締付板202とアンカーボルト206用の受容スリーブ204とを有する。受容スリーブ204はそれぞれ、アンカーボルト206用の貫通開口208を有する。貫通開口208は、アンカーボルト206のおねじ210よりもわずかに大きい直径を有する。受容スリーブ204と関連する締付板202との間に玉継手212が形成される。
【0039】
アンカーボルト206は、ここでは重負荷アンカーとして設計され、一方の端部に締付装置214を有する。端部は、壁(図示せず)の穴(ここには図示せず)に配置され、締付装置214を使用して壁内に係止される。その場合、アンカーボルト206の反対側端部は壁から突出する。第1のナット216がおねじ210に螺合され、受容スリーブ204を有する第1の締結要素201は、受容スリーブ204が第1のナット216に当接するまでアンカーボルト206上に押し付けられる。次いで、アンカーボルト206は開口部104を通って案内され、開口部104の縁部218は締付板202の締付面220に当接する。
【0040】
したがって、締結システム200は、2つの締結要素201、アンカーボルト206、および少なくとも2つのナット216からなる。締結システム200は、例えば、予め組み立てられることができる。締結システム200の構成要素は、ロスプルーフ方法(a loss-proof manner)でアンカーボルト206上に配置されることができる。アンカーボルトは、ナット216およびナット上に配置された締結要素201を用いて壁内に係止されることもできる。次いで、ブラケット100を組み立てるために、第2のナット216および第2の締結要素201だけが取り除かれ、ブラケット100が押し付けられる。
【0041】
次いで、締付板202を有する第2の締結要素201は、締付面220が縁部218の反対側に当接するまで、アンカーボルト206上に押し付けられる。
【0042】
第2の締結要素201は、第2のナット216によって固定される。第2のナット216は、ブラケット100が締結要素201相互間で動かされることができるように、わずかに締め付けられるだけである。ブラケットの位置および箇所または向きがすべての空間方向に位置合わせされると、ナット216は、所要のトルクを使用してロックされかつ締め付けられる。その結果、締結要素201はブラケット100に押し付けられ、位置および箇所または向きが固定される。
【0043】
一実施形態では、第2のナット216は溝付きナットである。ナット216がロックされると、アンカーボルト206は、溝付きナットのクラウンのプロング相互間で横方向に穴をあけられ、割りピン222が穴およびクラウンを通って押し込まれる。割りピン222により、第2のナット126は緩むことができず、紛失しないように固定される。
【0044】
図3は、一実施形態による、位置合わせ中の締結システム200の立体図を示す。ブラケット100は、図1および図2の説明図に実質的に対応する。ここでは、ブラケット100を空間的に位置合わせするためにレーザビーム300が使用される。レーザビーム300は、レールシステム102の下端の光源302から垂直上方に放射される。レーザビーム300は、ブラケット100の位置合わせノッチ106が設計に従って配置されるべき点に配置される。次いで、ブラケット100は、レーザビーム300が位置合わせノッチ106を通って延びるまで、締結要素201およびナット216を使用して移動および回転させられる。
【0045】
レーザビーム300の代わりに、コード鉛直線のコードが使用されることもでき、このコードは、レールシステム102の上端に固着され、垂直下方に垂れ下がる。
【0046】
ブラケット100を位置合わせするために、異なる光源302からの2つの異なるレーザビーム300が、左右の位置合わせノッチに使用されることができる。あるいは、上方に放射されたレーザビーム300は、ミラー装置を使用してレールシステム102の上端で横方向に偏向させられ、他の位置合わせノッチ106が設計に従って配置されるべき点で再び下方に向けられることができる。
【0047】
図4は、一実施形態による、位置合わせされたブラケット100の図を示す。ブラケット100は、前の図の説明図に実質的に対応する。ここでは、アンカーボルト206は不正確に配置され、位置合わせ中の不正確さは、開口部104の位置決め公差400を利用することによって補償された。ブラケット100の上側が水平に位置合わせされている。
【0048】
説明図の左側のアンカーボルト206は、極端に右にかつ極端に上に配置されている。説明図の右側のアンカーボルト206は、極端に下に配置されている。Y方向およびZ方向に、すなわち左/右および上/下に実質的に50ミリメートルの大きな位置決め公差400により、左のアンカーボルト206は右開口部104内で右上にずらしてして配置されることができるのに対して、右のアンカーボルト206は開口部104内で下にずらして配置されることができる。ここでは位置決め公差400がかなりの程度まで使用されているので、締付面は、いくつかの領域において開口部104の縁部218上にのみ載っている。
【0049】
図5は、一実施形態による位置合わせされた締結システム200の断面図を示す。この説明図は、図2の説明図に実質的に対応する。これに対し、水平に対して10°の角度ずれ504を有する壁502の凹凸に起因して、アンカーボルト206が壁502の表面に対して垂直に向けられるように、壁502内に穴500が配置されている。大きい座金506が表面上に載っており、締付装置214を穴500の側面に対してクランプ締めするために、大きい座金に対して別のナット216が螺合される。アンカーボルト206の角度ずれ504を補償するために、玉継手212は10°だけ偏向される。受容スリーブ204はアンカーボルト206を介して案内されるので、2つの締結要素201の高さのずれがある。
【0050】
一実施形態では、第2のナット216と第2の締結要素201の受容スリーブ204との間にばね座金508が配置される。ばね座金508は、ここでは溝付き座金として設計される。ここに示されているロック状態では、ばね座金508は最大限に圧縮され、したがって受容スリーブ204およびナット216に対して平らになる。
【0051】
ブラケット100を位置合わせするには、第2のナット216は、縁部218が締付ディスク202相互間で動かされることができるような縁部218に対する締付ディスク202の低い締付け力を達成するために、低い位置合わせトルクでばね座金508に対して螺合されるだけである。
【0052】
一実施形態では、締付板202はそれぞれ、玉継手212の当接部510として凹部を有し、この凹部は少なくともほぼ球形部分を形成するのに対して、受容スリーブ204はそれぞれ、加圧片512として突出部を有し、この突出部は少なくともほぼ球形部分を形成する。ここで、当接部510および加圧片512は半球形である。
【0053】
言い換えれば、図1図5は、コンソールが壁に固着され得るようにする締結要素または締結要素で形成された締結システムを示す。締結要素は、球状ディスクと呼ばれることもできる。2つの締結要素が、アンカーボルト上にロックされ、コンソールの位置が6次元に設定されることを可能にすることができる。
【0054】
位置合わせおよび位置は、鉛直線を使用して設定されることができる。この目的のために、コンソールは、位置合わせを可能にするために、締結要素を使用して空間的に動かされることができる。このようにして、エレベータシャフトの公差が補償されることができる。位置合わせは、2つのアンカーボルト、玉継手、およびコンソールの2つの大きな穴を使用して行われる。壁からの距離は、アンカーボルト上のナットを使用して設定される。並進運動が大きな穴の中で起こる。回転が球面継手において起こる。
【0055】
その結果、コンソールは空間的に自由に配置されることができ、エレベータシャフトおよびアンカーボルトの公差にかかわらず正確な位置合わせが確保されることができる。コンソールが位置合わせされると、玉継手上のナットは、システムを共に押しかつ所定の位置に固定するために締め付けられる。
【0056】
最後に、「備える(comprising)」、「有する(having)」などの用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、「a」または「an」などの用語は、複数を排除するものではないことに留意されたい。さらに、上記の実施形態の1つを参照して説明された特徴またはステップはまた、上記の他の実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用され得ることに留意されたい。特許請求の範囲における参照符号は、限定的であると見なされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】